(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】生体反応性化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07C 305/26 20060101AFI20240312BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240312BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240312BHJP
C12N 9/00 20060101ALI20240312BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
C07C305/26 CSP
C07K16/28 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/09 Z
C12N9/00
C12P21/02 C
A61K47/69
A61K39/395 C
A61K39/395 D
A61K39/395 Y
A61K47/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553044
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022018381
(87)【国際公開番号】W WO2022187273
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127440
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイー・オブ・カリフオルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジュン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
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4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD44
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA41
4B065CA42
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC41
4C076DD51
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C085AA13
4C085CC22
4C085DD62
4C085EE03
4C085EE05
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、とりわけ、生体反応性の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸を含有する化合物、及びその使用方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)の構造を有する、化合物:
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を含む、細胞。
【請求項4】
式(B)の構造を有する生体分子であって、
【化2】
式中、
(i)Xが少なくとも1つのアミノ酸を含み、YがOHであるか、
(ii)Yが少なくとも1つのアミノ酸を含み、XがHであるか、又は
(iii)X及びYがそれぞれ、少なくとも1つのアミノ酸を含む、生体分子。
【請求項5】
式(C)の構造を有する生体分子であって、
【化3】
式中、R
1が、小分子部分、アミノ酸部分、又はペプチジル部分である、生体分子。
【請求項6】
R
1が、小分子部分である、請求項5に記載の生体分子。
【請求項7】
R
1が、アミノ酸部分又はペプチジル部分である、請求項5に記載の生体分子。
【請求項8】
R
1が、前記ペプチジル部分であり、前記ペプチジル部分が、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディである、請求項5に記載の生体分子。
【請求項9】
R
1が、標的に結合することができる、請求項5~8のいずれか一項に記載の生体分子。
【請求項10】
R
1が、細胞の表面上の標的に結合することができる、請求項9に記載の生体分子。
【請求項11】
前記細胞の前記表面上の前記標的が、受容体である、請求項10に記載の生体分子。
【請求項12】
前記受容体が、膜受容体又はホルモン受容体である、請求項10に記載の生体分子。
【請求項13】
前記標的が、アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アンジオテンシン受容体、アペリン受容体、胆汁酸受容体、ボンベシン受容体、ブラジキニン受容体、カンナビノイド受容体、ケメリン受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、クラスAオーファン受容体、ドーパミン受容体、エンドセリン受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)、ホルミルペプチド受容体、遊離脂肪酸受容体、ガラニン受容体、グレリン受容体、糖タンパク質ホルモン受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体、Gタンパク質共役エストロゲン受容体、ヒスタミン受容体、ヒドロキシカルボン酸受容体、キスペプチン受容体、ロイコトリエン受容体、リゾリン脂質受容体、リゾリン脂質S1P受容体、メラニン凝集ホルモン受容体、メラノコルチン受容体、メラトニン受容体、モチリン受容体、ニューロメジンU受容体、ニューロペプチドFF/ニューロペプチドAF受容体、ニューロペプチドS受容体、ニューロペプチドW/ニューロペプチドB受容体、ニューロペプチドY受容体、ニューロテンシン受容体、オピオイド受容体、オプシン受容体、オレキシン受容体、オキソグルタル酸受容体、P2Y受容体、血小板活性化因子受容体、プロキネチシン受容体、プロラクチン放出ペプチド受容体、プロスタノイド受容体、プロテアーゼ活性化受容体、QRFP受容体、リラキシンファミリーペプチド受容体、ソマトスタチン受容体、コハク酸受容体、タキキニン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、微量アミン受容体、ウロテンシン受容体、及びバソプレッシン受容体の群から選択される受容体である、請求項9に記載の生体分子。
【請求項14】
前記標的が、PD-1又はPD-L1である、請求項9に記載の生体分子。
【請求項15】
前記標的が、タンパク質、核酸又は炭水化物である、請求項9に記載の生体分子。
【請求項16】
請求項4~15のいずれか一項に記載の生体分子を含む、細胞。
【請求項17】
前記細胞が、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、又は動物細胞である、請求項16に記載の細胞。
【請求項18】
請求項4~15のいずれか一項に記載の生体分子を含む、インビトロ翻訳系。
【請求項19】
バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含む生体分子コンジュゲートであって、前記バイオコンジュゲートリンカーが、式(D)の構造を有する、生体分子コンジュゲート。
【化4】
【請求項20】
前記生体分子コンジュゲートが、式(E)の構造を有し、
【化5】
式中、
R
1が、前記第1の生体分子部分であり、
R
2が、前記第2の生体分子部分であり、
L
1が、結合又は第1の共有結合リンカーであり、
L
2が、結合又は第2の共有結合リンカーであり、
X
1が、-NR
5-、-O-、-S-、又は
【化6】
であり、
ここで、環Aが、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、A中の窒素が、前記バイオコンジュゲートリンカーに結合しており、
R
5が、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである、請求項19に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項21】
式中、
L
1が、結合、-S(O)
2-、-NR
3A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR
3A-、-NR
3AC(O)-、-NR
3AC(O)NR
3B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンであり、
L
2が、結合、-S(O)
2-、-NR
4A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR
4A-、-NR
4AC(O)-、-NR
4AC(O)NR
4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換アルキルアリーレンであり、
R
3A、R
3B、R
4A及びR
4Bが独立して、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである、請求項20に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項22】
X
1が、-NH-、-O-、又はイミダゾリレンである、請求項20又は21に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項23】
R
1が、ペプチジル部分、核酸部分、炭水化物部分、又は小分子部分を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項24】
R
2が、ペプチジル部分、核酸部分、炭水化物部分、又は小分子部分を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項25】
R
2が、ペプチジル部分を含み、R
2が、リジン、ヒスチジン又はチロシンを介してL
2に共有結合している、請求項24に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項26】
式(I)、式(II)又は式(II)の構造を含む、
【化7】
請求項20、23、24又は25に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項27】
R
1が、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項20~26のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項28】
R
2が、少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項29】
R
1が、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディを含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項30】
R
2が、受容体を含む、請求項20~29のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項31】
前記受容体が、膜受容体又はホルモン受容体である、請求項30に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項32】
前記受容体が、アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アンジオテンシン受容体、アペリン受容体、胆汁酸受容体、ボンベシン受容体、ブラジキニン受容体、カンナビノイド受容体、ケメリン受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、クラスAオーファン受容体、ドーパミン受容体、エンドセリン受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)、ホルミルペプチド受容体、遊離脂肪酸受容体、ガラニン受容体、グレリン受容体、糖タンパク質ホルモン受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体、Gタンパク質共役エストロゲン受容体、ヒスタミン受容体、ヒドロキシカルボン酸受容体、キスペプチン受容体、ロイコトリエン受容体、リゾリン脂質受容体、リゾリン脂質S1P受容体、メラニン凝集ホルモン受容体、メラノコルチン受容体、メラトニン受容体、モチリン受容体、ニューロメジンU受容体、ニューロペプチドFF/ニューロペプチドAF受容体、ニューロペプチドS受容体、ニューロペプチドW/ニューロペプチドB受容体、ニューロペプチドY受容体、ニューロテンシン受容体、オピオイド受容体、オプシン受容体、オレキシン受容体、オキソグルタル酸受容体、P2Y受容体、血小板活性化因子受容体、プロキネチシン受容体、プロラクチン放出ペプチド受容体、プロスタノイド受容体、プロテアーゼ活性化受容体、QRFP受容体、リラキシンファミリーペプチド受容体、ソマトスタチン受容体、コハク酸受容体、タキキニン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、微量アミン受容体、ウロテンシン受容体、又はバソプレシン受容体である、請求項30に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項33】
前記受容体が、PD-1又はPD-L1である、請求項30に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項34】
前記受容体が、上皮成長因子受容体であり、R
1が前記上皮成長因子受容体に結合することができる部分である、請求項30に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項35】
R
1が、ペプチジル部分又は小分子部分を含む、請求項34に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項36】
R
1が、抗体、抗原結合断片、シングルドメイン抗体、単鎖可変領域断片、又はアフィボディを含む、請求項34に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項37】
R
2が、PD-1であり、R
1が、PD-1に結合することができる部分である、請求項33に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項38】
R
1が、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディ、小分子、PD-L1タンパク質、又はPD-L1タンパク質の断片を含む、請求項37に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項39】
R
2が、PD-L1であり、R
1が、PD-L1に結合することができる部分である、請求項33に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項40】
R
1が、抗体、抗原結合断片、シングルドメイン抗体、アフィボディ、小分子、PD-1タンパク質、又はPD-1タンパク質の断片を含む、請求項39に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項41】
請求項19~40のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲートを含む、細胞。
【請求項42】
R
2が、前記細胞の表面上のタンパク質である、請求項41に記載の細胞。
【請求項43】
前記細胞が、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される、請求項41又は42に記載の細胞。
【請求項44】
前記動物細胞が、ヒト細胞である、請求項43に記載の細胞。
【請求項45】
細胞上の標的に結合する方法であって、前記細胞を請求項4~15のいずれか一項に記載の生体分子と接触させることを含み、ここで、前記生体分子が、前記細胞の表面上の前記標的に特異的に結合することができ、それによって前記生体分子が前記標的と共有結合を形成する、方法。
【請求項46】
前記共有結合が、硫黄-フッ素交換反応によって形成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記共有結合が、近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応によって形成される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記生体分子及び前記標的が、式(D)の構造を有するバイオコンジュゲートリンカーによって共有結合される、請求項45に記載の方法:
【化8】
【請求項49】
配列番号1のアミノ酸配列を有するピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に1つ以上のアミノ酸残基の置換を含む変異体ピロリジル-tRNA合成酵素であって、基質結合部位が、配列番号1のアミノ酸配列に記載される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基を含む、変異体ピロリジル-tRNA合成酵素。
【請求項50】
配列番号1のアミノ酸配列における前記置換が、(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229I、L229V、又はL229Iからなる群から選択される、請求項49に記載の変異体ピロリジルtRNA合成酵素。
【請求項51】
前記ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に1、2、3、4、5、又は6つのアミノ酸残基の置換を含む、請求項49又は50に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素。
【請求項52】
前記ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に6つを超えるアミノ酸残基の置換を含む、請求項49又は50に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素。
【請求項53】
配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項49に記載のピロリジル-tRNA合成酵素。
【請求項54】
請求項49~53のいずれか一項に記載のピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む、ベクター。
【請求項55】
tRNA
Pylをコードする核酸配列を更に含む、請求項54に記載のベクター。
【請求項56】
請求項49~55のいずれか一項に記載のピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む細胞の、ゲノム。
【請求項57】
tRNA
Pylをコードする核酸を更に含む、請求項56に記載のゲノム。
【請求項58】
請求項49~53のいずれか一項に記載のピロリジル-tRNA合成酵素と、式(A)のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンとを含む、複合体:
【化9】
【請求項59】
tRNA
Pylを更に含む、請求項58に記載の複合体。
【請求項60】
前記tRNA
Pylが、配列番号3に記載の配列を有する、請求項59に記載の複合体。
【請求項61】
前記tRNA
Pylが、アンチコドンを含み、前記アンチコドンが、CUT、TTA、又はTCAを含む、請求項59に記載の複合体。
【請求項62】
前記tRNA
Pylが、アンチコドンを含み、前記アンチコドンが少なくとも1つの非標準塩基を含む、請求項59に記載の複合体。
【請求項63】
tRNA
Pylと、式(A)のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンとを含む、複合体:
【化10】
【請求項64】
前記tRNA
Pylが、配列番号3に記載の配列を有する、請求項63に記載の複合体。
【請求項65】
前記tRNA
Pylが、アンチコドンを含み、前記アンチコドンが、CUA、TTA、又はTCAを含む、請求項63に記載の複合体。
【請求項66】
前記tRNA
Pylが、アンチコドンを含み、前記アンチコドンが、少なくとも1つの非標準塩基を含む、請求項63に記載の複合体。
【請求項67】
請求項49~53のいずれか一項に記載のピロリジル-tRNA合成酵素、請求項54若しくは54に記載のベクター、請求項55若しくは57に記載のゲノム、請求項58~66のいずれか一項に記載の複合体、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む、細胞。
【請求項68】
前記細胞が、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、又は動物細胞である、請求項67に記載の細胞。
【請求項69】
請求項68に記載の細胞から得られる、細胞質抽出物。
【請求項70】
請求項19~40のいずれか一項に記載のバイオコンジュゲートを形成する方法であって、前記方法が、第1の生体分子部分を第2の生体分子部分と接触させることを含み、
前記第1の生体分子部分がフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含み、
前記第2の生体分子部分が前記フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンと反応性であり、
それにより、前記生体分子コンジュゲートを形成する、方法。
【請求項71】
前記第1の生体分子部分と前記第2の生体分子部分とが、単一の生体分子内に含まれ、前記バイオコンジュゲートリンカーが分子内リンカーである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の生体分子部分と前記第2の生体分子部分とが、別個の生体分子内に含まれ、前記バイオコンジュゲートリンカーが分子間リンカーである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記接触が、細胞内で行なわれる、実施形態70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記接触が、細胞の表面で行われる、請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記接触が、溶液中で行なわれる、実施形態70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記接触が、インビトロで行なわれる、実施形態70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記接触が、インビボで行なわれる、実施形態70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の生体分子部分と前記第2の生体分子部分とが、単一の生体分子内に含まれ、前記バイオコンジュゲートリンカーが分子内リンカーである、請求項19~26のいずれか一項に記載のバイオコンジュゲート。
【請求項79】
前記第1の生体分子部分と前記第2の生体分子部分とが、別個の生体分子内に含まれ、前記バイオコンジュゲートリンカーが分子間リンカーである、請求項19~26のいずれか一項に記載の生体分子コンジュゲート。
【請求項80】
前記第1の生体分子部分と前記第2の生体分子部分とを接触させる工程の前に、前記第1の生体分子部分を、ピロリジル-tRNA合成酵素、tRNA
Pyl、及び式(A)のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンと接触させる工程を更に含む、請求項70~79のいずれか一項に記載の方法。
【化11】
【請求項81】
前記第2の生体分子部分が、前記フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンと反応性である少なくとも1つのリジン、ヒスチジン、又はチロシンを含むペプチジル部分である、請求項70~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含むタンパク質を生成する方法であって、前記方法が、核酸を、ピロリジル-tRNA合成酵素、tRNA
Pyl、及び式(A)のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンと接触させることを含み、
【化12】
ここで、前記核酸がタンパク質をコードし、前記核酸が、tRNA
Pylによって認識される少なくとも1つのコドンを含み、それによって前記フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含む前記タンパク質を生成する、方法。
【請求項83】
前記接触させる工程が、インビトロで行われる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記接触させる工程が、細胞内で行われる、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞が、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、又は動物細胞である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
少なくとも1つのフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含む、タンパク質。
【請求項87】
前記タンパク質が1つのフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含む、請求項86に記載のタンパク質。
【請求項88】
前記タンパク質が、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディである、請求項86又は87に記載のタンパク質。
【請求項89】
前記タンパク質が、膜受容体である、請求項86又は87に記載のタンパク質。
【請求項90】
前記タンパク質が、式(IV)の部分、式(V)の部分、又は式(VI)の部分を含む、請求項86~89のいずれか一項に記載のタンパク質:
【化13】
【請求項91】
請求項86~90のいずれか一項に記載のタンパク質を含む、細胞。
【請求項92】
配列番号98に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含む、ナノボディ。
【請求項93】
配列番号99に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含む、ナノボディ。
【請求項94】
配列番号95として記載のCDR1と、配列番号96として記載のCDR2と、配列番号100として記載のCDR3とを含む、ナノボディ。
【請求項95】
配列番号95として記載のCDR1と、配列番号96として記載のCDR2と、配列番号101として記載のCDR3とを含む、ナノボディ。
【請求項96】
配列番号90のアミノ酸配列を含む、ナノボディ。
【請求項97】
配列番号92のアミノ酸配列を含む、ナノボディ。
【請求項98】
配列番号93のアミノ酸配列を含む、ナノボディ。
【請求項99】
配列番号94のアミノ酸配列を含む、ナノボディ。
【請求項100】
請求項92~99のいずれか一項に記載のナノボディと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年6月24日に提出された米国出願第63/214,432号、2021年3月1日に提出された米国出願第63/155,222号の優先権を主張し、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の助成による研究開発において行われた発明に対する権利に関する陳述
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって授与された助成金番号R01GM118384の下で、政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
ASCIIファイルとして提出される「配列表」、表、又はコンピュータプログラムリスト付録書類の参照
2022年2月28に作成され、55,165バイトの、IBM-PC、MS Windowsオペレーティングシステムの機械フォーマットのファイル048536-709001WO_SL_ST25.txtに記載された配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
新しい化学結合のタンパク質への導入は、タンパク質の構造及び機能を操作するための革新的な手段となる。様々な潜在的な生体反応性の官能基を含有する非天然アミノ酸(Uaa)が、最近、遺伝暗号の拡張によってタンパク質に導入されてきている。これは、細胞タンパク質の相互作用を研究するためだけでなく、新規なタンパク質ベースの治療薬を作製するための精巧なツールを提供する。潜在的アリールフルオロ硫酸基を介したSuFExクリックケミストリーは、モジュール有機合成、化学生物学、及び薬物開発の支援における価値が実証されている。米国特許出願公開第2021/0002325号に記載されているように、本発明者らは、タンパク質の架橋及び共有結合タンパク質薬物の生成のために、フルオロ硫酸-L-チロシン(FSY)をタンパク質に組み込んだ。
【0005】
当技術分野ではとりわけ、タンパク質の同定、薬物標的の発見、又は生物学的療法に使用することができる新規でその他の非天然アミノ酸が必要とされている。とりわけ、当技術分野におけるこれら及び他の問題に対する解決策を本明細書は提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、式(A)の構造を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)を提供する:
【0007】
【0008】
本明細書では、式(B)の構造を有する生体分子を提供し、
【0009】
【化2】
式中、(i)Xが少なくとも1つのアミノ酸を含み、YがOHであるか、(ii)Yが少なくとも1つのアミノ酸を含み、XがHであるか、又は(iii)X及びYがそれぞれ、少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0010】
本明細書では、式(C)の構造を有する生体分子を提供し、
【0011】
【化3】
式中、R
1は生体分子である。態様では、R
1はペプチジル部分、核酸部分、炭水化物部分、又は小分子である。態様では、R
1はペプチジル部分である。
【0012】
本明細書では、バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含む生体分子コンジュゲートを提供し、ここでバイオコンジュゲートリンカーは式(D)の構造を有する:
【0013】
【0014】
本明細書では、式(E)の構造を有する生体分子コンジュゲートを提供し、
【0015】
【化5】
式中、R
1は第1の生体分子部分であり、R
2は第2の生体分子部分であり、L
1、L
2、及びX
1は本明細書で定義される通りである。
【0016】
本明細書では、FSKを含む生体分子を提供し、ここで、FSKは式(F)の構造を有する側鎖を有する:
【0017】
【化6】
態様では、生体分子はタンパク質である。態様では、タンパク質は、抗体、抗体変異体(例えば、抗原結合断片、シングルドメイン抗体、単鎖可変領域断片、アフィボディ)、又は膜受容体である。
【0018】
本開示のこれら及びその他の実施形態及び態様を、本明細書でより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】タンパク質へのFSKの部位特異的組み込みを示す。
図1A:遺伝子コード拡張によるタンパク質へのFSK組み込みの概略図。
図1B:精製ユビキチン(6FSK)のSDS-PAGE。
図1C:インタクトなユビキチン(6FSK)の質量スペクトル。理論分子量:9589.9Da;測定値:9590.1Da。
【
図1B】タンパク質へのFSKの部位特異的組み込みを示す。
図1A:遺伝子コード拡張によるタンパク質へのFSK組み込みの概略図。
図1B:精製ユビキチン(6FSK)のSDS-PAGE。
図1C:インタクトなユビキチン(6FSK)の質量スペクトル。理論分子量:9589.9Da;測定値:9590.1Da。
【
図1C】タンパク質へのFSKの部位特異的組み込みを示す。
図1A:遺伝子コード拡張によるタンパク質へのFSK組み込みの概略図。
図1B:精製ユビキチン(6FSK)のSDS-PAGE。
図1C:インタクトなユビキチン(6FSK)の質量スペクトル。理論分子量:9589.9Da;測定値:9590.1Da。
【
図2A】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図2B】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図2C】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図2D】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図2E】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図2F】遺伝的にコードされたFSKによって長距離でのタンパク質の架橋が可能になることを示す。
図2A:FSYとFSKの化学構造、及びSuFExケミストリーによって近接する求核残基(例えば、Lys、Tyr、His)と反応するフルオロ硫酸アリールの概略図。
図2B:それらのエネルギーが最小化された状態におけるCαからF原子までの測定されたFSY及びFSKの反応距離:9.0オングストローム(FSY)及び13.8オングストローム(FSK)。
図2C:Glu65と隣接する求核残基との距離を黄色の点線で示したecGSTの結晶構造(PDBコード:1A0F)。
図2D:ecGSTの部位65に組み込まれたFSK又はFSYによって誘導されたecGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
図2E:Lys44とAla97のCα間の距離を示したsjGSTの結晶構造(PDBコード:1Y6E)。
図2F:FSK又はFSYによって誘導されたsjGST二量体架橋のウェスタンブロット解析。
*は、大腸菌中のsjGSTと相互作用する他のタンパク質を示す。
【
図3A】ユビキチンにおけるFSKによる分子内共有結合架橋を示す。
図3A:Lys29を標的とするFSKの組み込みのためのGlu18を示したユビキチン(PDBコード:1AAR)の構造。
図3B:Ub(18FSK)のESI-MS。9587.9Daのピークは、インタクトなUb(18FSK)に対応する(MW計算値:9587.9Da)。9568.6Daのピークは、Lys29と反応してHFを失うFSK18によって分子内架橋されたUbに対応する(MW計算値:9567.9)。9506.8Daのピークは、SO
2Fを失ったUb(18FSK)(MW計算値:9506.9)に対応し、それはFSKの不純物に起因し得る。トリプシン消化Ub(18FSK)から同定された架橋ペプチドのタンデム質量スペクトル(図示せず)は、FSKがデザイン通りにLys29と反応することを示した。
【
図3B】ユビキチンにおけるFSKによる分子内共有結合架橋を示す。
図3A:Lys29を標的とするFSKの組み込みのためのGlu18を示したユビキチン(PDBコード:1AAR)の構造。
図3B:Ub(18FSK)のESI-MS。9587.9Daのピークは、インタクトなUb(18FSK)に対応する(MW計算値:9587.9Da)。9568.6Daのピークは、Lys29と反応してHFを失うFSK18によって分子内架橋されたUbに対応する(MW計算値:9567.9)。9506.8Daのピークは、SO
2Fを失ったUb(18FSK)(MW計算値:9506.9)に対応し、それはFSKの不純物に起因し得る。トリプシン消化Ub(18FSK)から同定された架橋ペプチドのタンデム質量スペクトル(図示せず)は、FSKがデザイン通りにLys29と反応することを示した。
【
図4A】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図4B】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図4C】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図4D】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図4E】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図4F】FSKによってEGFR受容体を共有結合的に標的化できるようになった7D12ナノボディを示す。
図4A:EGFRと複合体を形成したナノボディ7D12の構造(PDBコード:4KRL)を示し、EGFRのHis359を標的とするFSKの組み込みのための7D12のArg30及びSer31を示す。
図4B:7D12(31FSK)のESI-MS分析。MW計算値:14673.1Da(1対のジスルフィド結合を形成);MW測定値:14673.2Da。
図4C:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS-PAGE分析。
図4D:インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析。7D12(31FSK)のみがEGFRを共有結合で架橋した。
図4E:A431細胞の表面上に発現された天然EGFRとのナノボディ7D12の架橋のウェスタンブロット解析。7D12と7D12(31FSK)を、示された時間間隔でA431細胞と共にインキュベートして、細胞溶解物を抗His抗体で免疫ブロットして、ナノボディ7D12を検出した。
図4F:7D12(Tyr109)とEGFR(Lys443)の間の距離の概略図を示し、Lys443をPDB構造4KRLにおける部位特異的変異導入後の状態として示した。
【
図5A】哺乳動物細胞におけるタンパク質の架橋のためのタンパク質へのFSKの遺伝的組み込みを示す。
図5A:様々な条件下でのHeLa-EGFP(182TAG)レポーター細胞の蛍光顕微鏡画像。細胞を、pNEU-FSKRSを用いて、又は用いずにトランスフェクションして、1mMのFSKを用いて、又は用いずに増殖させた。上:明視野;下:GFP蛍光チャネル。
図5B:HeLa細胞におけるEGFPへのFSKの組み込みのウェスタンブロット解析。(a)のサンプルを溶解させ、抗GFP抗体を用いて検出した。GAPDHの発現レベルを参照として使用した。
図5C:哺乳動物細胞におけるFSKによるecGST架橋のウェスタンブロット解析。pNEU-FSKRSを、pCDNA3.1-ecGST(WT)、ecGST(86TAG)、又はecGST(86TAG/92A)と共にHEK293T細胞にコトランスフェクションした。ecGSTの二量体架橋を抗His抗体を用いて検出した。GAPDHを参照として使用した。
【
図5B】哺乳動物細胞におけるタンパク質の架橋のためのタンパク質へのFSKの遺伝的組み込みを示す。
図5A:様々な条件下でのHeLa-EGFP(182TAG)レポーター細胞の蛍光顕微鏡画像。細胞を、pNEU-FSKRSを用いて、又は用いずにトランスフェクションして、1mMのFSKを用いて、又は用いずに増殖させた。上:明視野;下:GFP蛍光チャネル。
図5B:HeLa細胞におけるEGFPへのFSKの組み込みのウェスタンブロット解析。(a)のサンプルを溶解させ、抗GFP抗体を用いて検出した。GAPDHの発現レベルを参照として使用した。
図5C:哺乳動物細胞におけるFSKによるecGST架橋のウェスタンブロット解析。pNEU-FSKRSを、pCDNA3.1-ecGST(WT)、ecGST(86TAG)、又はecGST(86TAG/92A)と共にHEK293T細胞にコトランスフェクションした。ecGSTの二量体架橋を抗His抗体を用いて検出した。GAPDHを参照として使用した。
【
図5C】哺乳動物細胞におけるタンパク質の架橋のためのタンパク質へのFSKの遺伝的組み込みを示す。
図5A:様々な条件下でのHeLa-EGFP(182TAG)レポーター細胞の蛍光顕微鏡画像。細胞を、pNEU-FSKRSを用いて、又は用いずにトランスフェクションして、1mMのFSKを用いて、又は用いずに増殖させた。上:明視野;下:GFP蛍光チャネル。
図5B:HeLa細胞におけるEGFPへのFSKの組み込みのウェスタンブロット解析。(a)のサンプルを溶解させ、抗GFP抗体を用いて検出した。GAPDHの発現レベルを参照として使用した。
図5C:哺乳動物細胞におけるFSKによるecGST架橋のウェスタンブロット解析。pNEU-FSKRSを、pCDNA3.1-ecGST(WT)、ecGST(86TAG)、又はecGST(86TAG/92A)と共にHEK293T細胞にコトランスフェクションした。ecGSTの二量体架橋を抗His抗体を用いて検出した。GAPDHを参照として使用した。
【
図6A】実施例に記載されるクローニングに使用するプライマーを示す。
【
図6B】実施例に記載されるクローニングに使用するプライマーを示す。
【
図7】18℃で24時間誘導したFSKRS変異型のFSK組み込み効率を比較する。
【
図8】30℃で6時間誘導したFSKRS変異型のFSK組み込み効率を比較する。
【
図9】ウェスタンブロットによって検出されたEGFP(182TAG)へのFSKの組み込みを示す。FSKRSをpBAD-EGFP(182TAG)に同時形質転換して、タンパク質の発現を1mMのFSKの存在下、又は非存在下で誘導した。EGFPへのFSKの組み込みの成功を、抗his抗体を用いたウェスタンブロットを行うことによって検出した。
【
図10】sfGFP(2TAG)及びsfGFP(151TAG)へのFSKの組み込みを示す。pEVOL-FSKRSを、それぞれpBAD-sfGFP(2TAG)及びpBAD-sfGFP(151TAG)と共にDH10b細胞を同時形質転換した。タンパク質の発現を、1mMのFSKの存在下又は非存在下で誘導した。EGFPへのFSKの組み込みの成功を、プレートリーダー(励起波長485nm、発光波長528nm)で検出した。プロットは600nmの光学密度での細菌の増殖に対して正規化した後の値で表した。
【
図11】短距離の近接におけるFSY及びFSKによるGSTの架橋を比較する。pEVOL-FSYRS及びpEVOL-FSKRSをそれぞれecGST 103TAG/107Ala、GST 103TAG/107His、GST 103TAG/107Lys、GST 103TAG/107Tyrと共発現させ、1mMのFSK又はFSYの存在下、37℃で6時間誘導した。WT GSTを陰性対照として使用した。GSTの二量体架橋を、抗His抗体を用いたウェスタンブロットによって検出した。
【
図12A】86番目の位置におけるFSY及びFSKによる大腸菌のGSTの架橋を比較する。
図12Aは、Val86におけるFSY/FSK架橋の概略図である。
図12Bに、1mMのFSK又はFSYの存在下、37℃で6時間、ecGST WT又はpBAD-GST(86TAG)と共発現させたpEVOL-FSYRS及びpEVOL-FSKRSの結果を示す。WT GSTを陰性対照として使用した。GSTの二量体架橋を、抗His抗体を用いたウェスタンブロットによって検出した。
【
図12B】86番目の位置におけるFSY及びFSKによる大腸菌のGSTの架橋を比較する。
図12Aは、Val86におけるFSY/FSK架橋の概略図である。
図12Bに、1mMのFSK又はFSYの存在下、37℃で6時間、ecGST WT又はpBAD-GST(86TAG)と共発現させたpEVOL-FSYRS及びpEVOL-FSKRSの結果を示す。WT GSTを陰性対照として使用した。GSTの二量体架橋を、抗His抗体を用いたウェスタンブロットによって検出した。
【
図13】Trx及びCysHの架橋におけるFSK及びFSYによる架橋効率を比較する。
【
図14】1mMのFSKの存在下及び非存在下での発現における7D12(30FSK)及び7D12(31FSK)の精製を示す。
【
図15】インビトロでのEGFRとの架橋における7D12(30FSK)、7D12(30FSY)、7D12(109FSK)及び7D12(109FSY)の利用を示す。
【
図16】インビボでの未知の基質との架橋におけるTrx(59FSK)、Trx(62FSK)、Trx(59FSY)、Trx(62FSY)の利用を示す。
【
図17】生細胞における遺伝的にコードされた化学的架橋によるTrxの基質タンパク質の同定におけるFSK又はFSYの使用の概略図である。
【
図18】フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)の合成のスキームを示す。
【
図19】培地中にFSKが存在しない場合、又は培地中に1mMのFSKが存在する場合の、異なるFSKRSを用いたsfGFP(151TAG)へのFSKの組み込みを示す(+は培地中に1mMのFSKが存在することを示す)。細胞を37℃で増殖させ、5.5時間誘導した。sfGFPの蛍光強度を測定して、細胞の光学密度で正規化した。NThisは、Hisx6がN端に付加されたことを意味し、CThisは、Hisx6がC端に付加されたことを意味する。
【
図20】培地中に1mMのFSKが存在しない場合、及び存在する場合の、異なるFSKRSを用いたsfGFP(151TAG)へのFSKの組み込みを示す。細胞を18℃で増殖させ、24時間誘導した後、蛍光強度を測定して、OD正規化した。
【
図21A】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析を示し、ここで、ナノボディ7D12は、109位、113位、及び116位にFSYを含有するか(
図21A)、又は1位、109位、若しくは113位にFSYを含有する(
図21B)。ナノボディ7D12を、15μlのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。ナノボディ7D12は、配列番号88として示される。
【
図21B】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のウェスタンブロット解析を示し、ここで、ナノボディ7D12は、109位、113位、及び116位にFSYを含有するか(
図21A)、又は1位、109位、若しくは113位にFSYを含有する(
図21B)。ナノボディ7D12を、15μlのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。ナノボディ7D12は、配列番号88として示される。
【
図22A】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図22A)及びウェスタンブロット解析(
図22B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【
図22B】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図22A)及びウェスタンブロット解析(
図22B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【
図23】ナノボディ7D12 WT又は109位にFSYを含有するナノボディ7D12とA431細胞株との共有結合架橋のウェスタンブロット解析である。
【
図24A】インビトロでナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図24A)及びウェスタンブロット解析(
図24B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は30位若しくは31位にFSKを含有するか、又はナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【
図24B】インビトロでナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図24A)及びウェスタンブロット解析(
図24B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は30位若しくは31位にFSKを含有するか、又はナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【
図25A】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図25A)及びウェスタンブロット解析(
図25B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は31位にFSKを含有するか、又はナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【
図25B】インビトロでのナノボディ7D12とEGFRとの共有結合架橋のSDS Page分析(
図25A)及びウェスタンブロット解析(
図25B)を示し、ここで、ナノボディ7D12は31位にFSKを含有するか、又はナノボディ7D12は109位にFSYを含有する。2μMの精製ナノボディ7D12を、15ulのPBS中の500nMのEGFRと共に37℃で20時間インキュベートした。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書で使用される略語は、化学的及び生物学的分野内のそれらの従来の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学的分野に公知の化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0021】
置換基は、左から右に書かれたそれらの従来の化学式によって特定される場合、右から左に構造を書くことから生じるであろう化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は-OCH2-と等しい。
【0022】
「アルキル」という用語は、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、直鎖(すなわち、非分岐)又は分岐炭素鎖(又は炭素)、又はそれらの組み合わせを意味し、これは、完全飽和、一価又は多価不飽和であってもよく、一価、二価、及び多価ラジカルを含むことができる。アルキルは、指定された数の炭素を含んでもよい(例えば、C1~C10は、1~10個の炭素を意味する)。アルキルは非環化鎖である。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、メチルなどの基、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの相同体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びに高級相同体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは、酸素リンカー(-O-)を介して分子の残り部分に結合しているアルキルである。アルキル部分は、アルケニル部分であり得る。アルキル部分は、アルキニル部分であり得る。アルキル部分は、完全飽和であり得る。アルケニルは、1つ以上の二重結合に加えて、1つ超の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含んでもよい。アルキニルは、1つ以上の三重結合に加えて、1つを超える三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含み得る。
【0023】
「アルキレン」という用語は、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、アルキルに由来する二価のラジカルを意味し、限定はされないが、-CH2CH2CH2CH2-によって例示される。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本明細書では好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、概して8個以下の炭素原子を有する短鎖のアルキル基又はアルキレン基である。「アルケニレン」という用語は、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、アルケンに由来する二価のラジカルを意味する。
【0024】
「ヘテロアルキル」という用語は、単独で、又は別の用語と組み合わせて、別途明記されない限り、少なくとも1個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si、及びS)を含む安定した直鎖若しくは分岐鎖、又はそれらの組み合わせを意味し、窒素原子及び硫黄原子は、任意に酸化され得、窒素ヘテロ原子は、任意に四級化され得る。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基内部の任意の位置に、又はアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に配置されていてもよい。ヘテロアルキルは、非環化鎖である。例としては、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3、及び-CNが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3などの最大2個又は3個のヘテロ原子が連続し得る。ヘテロアルキル部分は、1個のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアルキル部分は、2個の任意に異なるヘテロ原子を含み得る。ヘテロアルキル部分は、3個の任意に異なるヘテロ原子を含み得る。ヘテロアルキル部分は、4個の任意に異なるヘテロ原子を含み得る。ヘテロアルキル部分は、5個の任意に異なるヘテロ原子を含み得る。ヘテロアルキル部分は、最大8個の任意に異なるヘテロ原子を含み得る。「ヘテロアルケニル」という用語は、単独で、又は別の用語と組み合わせて、別途記述されない限り、少なくとも1つの二重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルケニルは、任意に、1つ以上の二重結合に加えて、2つ以上の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含み得る。「ヘテロアルキニル」という用語は、単独で、又は別の用語と組み合わせて、別途記述されない限り、少なくとも1つの三重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルキニルは、任意に、1つ以上の三重結合に加えて、2つ以上の三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含み得る。
【0025】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、ヘテロアルキルに由来する二価のラジカルを意味し、限定はされないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-によって例示される。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子はまた、鎖の末端のうちのいずれか、又は両方を占有し得る(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なお更に、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の配向は、連結基の式が書かれた方向によって暗示されない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-及び-R’C(O)2-の両方を表す。上記のように、本明細書で使用されるヘテロアルキル基は、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’、及び/又は-SO2R’などの、ヘテロ原子を介して分子の残り部分に結合している基を含む。「ヘテロアルキル」が列挙された後に特定のヘテロアルキル基、例えば、-NR’R’’などが列挙される場合、ヘテロアルキル及び-NR’R’’という用語が冗長でも相互排他的でもないことが理解されよう。むしろ、特定のヘテロアルキル基が明確化のために列挙される。したがって、「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書では、-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を除外するものとして解釈されるべきではない。
【0026】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で又は他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環式バージョンを意味する。シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、芳香族ではない。加えて、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残り部分に結合している位置を占有し得る。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれ、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに由来する二価のラジカルを意味する。
【0027】
実施形態では、「シクロアルキル」という用語は、単環式、二環式又は多環式シクロアルキル環系を意味する。態様では、単環式環系は、3~8個の炭素原子を含む環状炭化水素基であり、そのような基は、飽和又は不飽和であり得るが、芳香族ではない。態様では、シクロアルキル基は、完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。二環式シクロアルキル環系は、架橋単環式環又は縮合二環式環である。態様では、架橋単環式環は、単環式環の2つの隣接していない炭素原子がさらなる1~3個の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち、式中のwが1、2、又は3である(CH2)wの形態の架橋基)によって連結された単環式シクロアルキル環を含む。二環式環系の代表的な例としては、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、及びビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。態様では、縮合二環式シクロアルキル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環を含む。態様では、架橋又は縮合二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。態様では、シクロアルキル基は、任意選択で、独立してオキソ又はチアである、1つ又は2つの基で置換されている。態様では、縮合二環式シクロアルキルは、フェニル環、5若しくは6員単環式シクロアルキル、5若しくは6員単環式シクロアルケニル、5若しくは6員単環式ヘテロシクリル、又は5若しくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5若しくは6員単環式シクロアルキル環であり、縮合二環式シクロアルキルは、任意選択で、独立してオキソ又はチアである、1つ又は2つの基によって置換されている。態様では、多環式シクロアルキル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)フェニル、二環式アリール、単環式若しくは二環式ヘテロアリール、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルケニル、及び単環式若しくは二環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの別の環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環(基本環)である。態様では、多環式シクロアルキルは、塩基環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。態様では、多環式シクロアルキル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)フェニル、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、及び単環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの別の環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環(基本環)である。多環式シクロアルキル基の例としては、テトラデカヒドロフェナントレニル、ペルヒドロフェノチアジン-1-イル、及びペルヒドロフェノキサジン-1-イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
実施形態では、シクロアルキルは、シクロアルケニルである。「シクロアルケニル」という用語は、その平易な通常の意味に従って使用される。態様では、シクロアルケニルは、単環式、二環式、又は多環式シクロアルケニル環系である。態様では、単環式シクロアルケニル環系は、3~8個の炭素原子を含む環状炭化水素基であり、そのような基は不飽和である(すなわち、少なくとも1つの環状炭素炭素二重結合を含む)が、芳香族ではない。単環式シクロアルケニル環系の例としては、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。態様では、二環式シクロアルケニル環は、架橋単環式環又は縮合二環式環である。態様では、架橋単環式環は、単環式環の2つの隣接していない炭素原子が1~3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち、形態(CH2)wの架橋基、式中、wは、1、2、又は3である)によって連結される単環式シクロアルケニル環を含む。二環式シクロアルケニルの代表的な例としては、ノルボルネニル及びビシクロ[2.2.2]オクト2エニルが挙げられるが、これらに限定されない。態様では、縮合二環式シクロアルケニル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、又は単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式シクロアルケニル環を含む。態様では、架橋又は縮合二環式シクロアルケニルは、単環式シクロアルケニル環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。態様では、シクロアルケニル基は、任意選択で、独立してオキソ又はチアである、1つ又は2つの基で置換されている。態様では、多環式シクロアルケニル環は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)フェニル、二環式アリール、単環式若しくは二環式ヘテロアリール、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルケニル、及び単環式若しくは二環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルケニル環(基本環)を含有する。態様では、多環式シクロアルケニルは、基礎環内に含まれる任意の炭素原子を介して親分子部分に結合される。態様では、多環式シクロアルケニル環は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、(ii)フェニル、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、及び単環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの環系のいずれかに縮合した単環式シクロアルケニル環(基本環)を含有する。
【0029】
実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、ヘテロシクリルである。本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、単環式、二環式又は多環式複素環を意味する。ヘテロシクリル単環式ヘテロ環は、環が飽和又は不飽和であるが芳香族ではない、O、N、及びSからなる群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、3、4、5、6、又は7員環である。3又は4員環には、O、N、及びSからなる群から選択された1個のヘテロ原子が含まれる。5員環には、0又は1つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子とが含まれ得る。6又は7員環には、0、1、又は2つの二重結合と、O、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子とが含まれ得る。ヘテロシクリル単環式ヘテロ環は、ヘテロシクリル単環式ヘテロ環内に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して親分子部分に接続されている。ヘテロシクリル単環式ヘテロ環の代表的な例としては、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チラゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル二環式ヘテロ環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式ヘテロ環である。ヘテロシクリル二環式ヘテロ環は、二環式環系の単環式ヘテロ環部分内に含まれる任意の炭素原子又は任意の窒素原子を介して親分子部分に接続されている。二環式ヘテロシクリルの代表的な例としては、2,3-ジヒドロベンゾフラン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、2,3-ジヒドロベンゾチエン-2-イル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロ-1H-インドリル、及びオクタヒドロベンゾフラニルが挙げられるが、これらに限定されない。態様では、ヘテロシクリル基は、任意選択で、独立してオキソ又はチアである、1つ又は2つの基で置換されている。ある特定の態様では、二環式ヘテロシクリルは、フェニル環、5若しくは6員単環式シクロアルキル、5若しくは6員単環式シクロアルケニル、5若しくは6員単環式ヘテロシクリル、又は5若しくは6員単環式ヘテロアリールに縮合した5若しくは6員単環式シクリル環であり、二環式シクリルは、任意選択で、独立してオキソ又はチアである、1つ又は2つの基によって置換されている。多環式ヘテロシクリル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)フェニル、二環式アリール、単環式若しくは二環式ヘテロアリール、単環式若しくは二環式シクロアルキル、単環式若しくは二環式シクロアルケニル、及び単環式若しくは二環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの別の環系のいずれかに縮合した単環式ヘテロシクリル環(基本環)である。多環式ヘテロシクリルは、基礎環内に含まれる任意の炭素原子又は窒素原子を介して親分子部分に結合している。態様では、多環式ヘテロシクリル環系は、(i)二環式アリール、二環式ヘテロアリール、二環式シクロアルキル、二環式シクロアルケニル、及び二環式ヘテロシクリルからなる群から選択される1つの環系、又は(ii)フェニル、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、及び単環式ヘテロシクリルからなる群から独立して選択される2つの別の環系のいずれかに縮合した単環式ヘテロシクリル環(基本環)である。多環式ヘテロシクリル基の例としては、10H-フェノチアジン-10-イル、9,10-ジヒドロアクリジン-9-イル、9,10-ジヒドロアクリジン-10-イル、10H-フェノキサジン-10-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-5-イル、1,2,3,4-テトラヒドロピリド[4,3-g]イソキノリン-2-イル、12H-ベンゾ[b]フェノキサジン-12-イル、及びドデカヒドロ-1H-カルバゾール-9-イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で、又は別の置換基の一部として、別途明記されない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。更に、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C1~C4)アルキル」という用語としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「アシル」という用語は、別途明記されない限り、-C(O)Rを意味し、Rは、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0032】
「アリール」という用語は、別途明記されない限り、多価不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味し、これらは、単一の環、又は一緒に縮合している(すなわち縮合環アリール)若しくは共有結合している多環(好ましくは1~3環)であり得る。縮合環アリールは、縮合環のうちの少なくとも1つがアリール環である、一緒に縮合した複数の環を指す。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、又はSなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)を指し、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に四級化される。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環のうちの少なくとも1つが芳香族複素環である、一緒に縮合している複数の環)を含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が5員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2つの環を指す。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2つの環を指す。また、6,5-縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が5員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2つの環を指す。ヘテロアリール基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の残り部分に結合することができる。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、トリアジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピラジニル、プリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラン、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチオフェニル、イソキノリル、キノキサリニル、キノリル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが挙げられる。上記のアリール環系及びヘテロアリール環系の各々に対する置換基は、以下に記載の許容される置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれ、アリール及びヘテロアリールに由来する二価のラジカルを意味する。ヘテロアリール基置換基は、環ヘテロ原子窒素に-O-結合していてもよい。
【0033】
縮合環ヘテロシクロアルキル-アリールは、ヘテロシクロアルキルに縮合したアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリールは、ヘテロシクロアルキルに縮合したヘテロアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキル-シクロアルキルは、シクロアルキルに縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、別のヘテロシクロアルキルに縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキル-アリール、縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、縮合環ヘテロシクロアルキル-シクロアルキル、又は縮合環ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、各々独立して、非置換であるか、又は本明細書に記載される置換基の1つ以上で置換され得る。
【0034】
スピロ環式環は、隣接する環が単一の原子を介して結合している2つ以上の環である。スピロ環式環内の個々の環は、同一であっても異なっていてもよい。スピロ環式環内の個々の環は、置換であっても非置換であってもよく、一組のスピロ環式環内の他の個々の環とは異なる置換基を有してもよい。スピロ環式環内のそれぞれの環における可能な置換基は、スピロ環式環の一部ではない場合の同じ環で可能な置換基(例えば、シクロアルキル環又はヘテロシクロアルキル環の置換基)である。スピロ環式環は、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンであってもよく、スピロ環式環内の個々の環は、全ての環が1つの種類である場合も含み、直前のリストのうちのいずれかであってもよい(例えば、全ての環が置換ヘテロシクロアルキレンであり、各環が同じ又は異なる置換ヘテロシクロアルキレンであってもよい)。スピロ環式環系について言及するとき、複素環式スピロ環式環は、少なくとも1つの環が複素環式環であり、各環が異なる環であってもよい、スピロ環式環を意味する。スピロ環式環系に言及するとき、置換スピロ環式環は、少なくとも1つの環が置換されており、各置換基が、任意に異なっていてもよいことを意味する。
【0035】
記号
【0036】
【化7】
又は「-」は、分子又は化学式の残りの部分への化学式部分の結合点を示す。
【0037】
「オキソ」という用語は、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。
【0038】
本明細書で使用される「アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O2)-R’を有する部分を意味し、R’は、上記で定義された置換若しくは非置換アルキル基である。R’は、指定された数の炭素原子を有し得る(例えば、「C1~C4アルキルスルホニル」)。
【0039】
アルキレン部分(本明細書ではアルキレンリンカーとも称される)に共有結合しているアリーレン部分としての「アルキルアリーレン」という用語。態様では、アルキルアリーレン基は、以下の式を有する:
【0040】
【0041】
アルキルアリーレン部分は、アルキレン部分又はアリーレンリンカー(例えば、炭素2、3、4、又は6)において、ハロゲン、オキソ、-N3、-CF3、-CCl3、-CBr3、-CI3、-CN、-CHO、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO2CH3、-SO3H、-OSO3H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、置換若しくは非置換C1~C5アルキル、又は置換若しくは非置換2~5員ヘテロアルキル)(例えば、置換基で)置換されていてもよい。態様では、アルキルアリーレン部分は非置換である。
【0042】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)の各々は、示されるラジカルの置換形態及び非置換形態の両方を含む。各種類のラジカルの好ましい置換基が以下に提供される。
【0043】
アルキルラジカル及びヘテロアルキルラジカル(多くの場合、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと称される基を含む)の置換基は、ゼロから(2m’+1)(式中、m’が、そのようなラジカル内の炭素原子の総数である)までの範囲の数で、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2、-NR’SO2R’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’から選択されるが、これらに限定されない様々な基のうちの1つ以上であり得る。R、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、各々好ましくは独立して、水素、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキル、アルコキシ、若しくはチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を指す。本明細書に記載の化合物が、1つ超のR基を含む場合、例えば、R基の各々は、これらの基が1つ超存在するとき、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基として独立して選択される。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わせられて、4、5、6、又は7員環を形成し得る。例えば、-NR’R’’には、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。置換基についての上記の考察から、当業者であれば、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF3及び-CH2CF3)及びアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)などの水素基以外の基に結合している炭素原子を含む基を含むよう意図されていることを理解するであろう。
【0044】
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基の置換基は、変化し、例えば、芳香環系上のゼロから開放原子価の総数までの範囲の数で、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2、-R’、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1~C4)アルコキシ、及びフルオロ(C1~C4)アルキル、-NR’SO2R’’、-NR’C(O)R’’、-NR’C(O)-OR’’、-NR’OR’’から選択され、式中、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’が、好ましくは、独立して、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、及び置換若しくは非置換ヘテロアリールから選択される。本明細書に記載の化合物が、1つ超のR基を含む場合、例えば、R基の各々は、これらの基が1つ超存在するとき、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基として独立して選択される。
【0045】
環(例えば、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリーレン)の置換基は、環の特定の原子上ではなく、環上の置換基(一般に浮遊置換基と称される)として示されてもよい。このような場合、置換基は、(化学原子価の規則に従って)環原子のいずれかに結合してもよく、縮合環又はスピロ環式環の場合、縮合環又はスピロ環式環の1員と結合しているものとして示される置換基(単環上の浮遊置換基)は、縮合環又はスピロ環式環のいずれか上の置換基(多環上の浮遊置換基)であってもよい。置換基が特定の原子ではなく環に結合しており(浮遊置換基)、置換基の下付き文字が1より大きい整数である場合、複数の置換基は、同じ原子、同じ環、異なる原子、異なる縮合環、異なるスピロ環式環上にあってもよく、各置換基は任意に異なっていてもよい。分子の残り部分への環の結合点が単一の原子に限定されない場合(浮遊置換基)、結合点は、その環の任意の原子であってもよく、縮合環又はスピロ環式環の場合、化学原子価の規則に従って、縮合環又はスピロ環式環のうちのいずれかの任意の原子であり得る。環、縮合環、又はスピロ環式環が1つ以上の環ヘテロ原子を含み、環、縮合環、又はスピロ環式環がもう1つの浮遊置換基(分子の残り部分への結合点を含むが、これに限定されない)とともに示される場合、浮遊置換基は、ヘテロ原子に結合してもよい。環ヘテロ原子が浮遊置換基を有する構造又は式において、1つ以上の水素に結合していることが示され(例えば、環原子への2つの結合及び水素への第3の結合を有する環窒素)、ヘテロ原子が浮遊置換基に結合している場合、置換基は、化学原子価の規則に従って、水素を置き換えると理解される。
【0046】
2つ以上の置換基が、任意に連結して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキル基を形成し得る。このようないわゆる環形成置換基は、必ずとは言えないが典型的には、環状基礎構造に結合した形で認められる。一実施形態では、環形成置換基は、基礎構造の隣接する成員に結合している。例えば、環状基礎構造の隣接する成員に結合している2つの環形成置換基は、縮合環構造を形成する。別の実施形態では、環形成置換基は、基礎構造の単一の成員に結合している。例えば、環状基礎構造の単一の成員に結合している2つの環形成置換基は、スピロ環式構造を創出する。更に別の実施形態では、環形成置換基は、基礎構造の隣接していない成員に結合している。
【0047】
アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式-T-C(O)-(CRR’)q-U-の環を形成し得、式中、T及びUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、又は単結合であり、qは、0~3の整数である。代替的に、アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式-A-(CH2)r-B-の置換基で置き換えられてもよく、式中、A及びBは、独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-、又は単結合であり、rは、1~4の整数である。そのように形成された新たな環の単結合のうちの1つは、二重結合で任意に置き換えられ得る。代替的に、アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意に、式-(CRR’)s-X’-(C’’R’’R’’’)d-の置換基で置き換えられてもよく、式中、s及びdは、独立して、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR’-である。置換基R、R’、R’’、及びR’’’は、好ましくは、独立して、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、及び置換若しくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」又は「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0049】
「置換基」は、本明細書で使用される場合、以下の部分、すなわち、(A)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、非置換アルキル(例えば、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、又はC1~C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、又は2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C6シクロアルキル、又はC5~C6ヘテロシクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、又は5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6~C10アリール、C10アリール、又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)、(B)(i)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3-、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、非置換アルキル(例えば、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、又はC1~C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、又は2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C6シクロアルキル、又はC5~C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、又は5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6~C10アリール、C10アリール、又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)と、(ii)(a)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、非置換アルキル(例えば、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、又はC1~C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、又は2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C6シクロアルキル、又はC5~C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、又は5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6~C10アリール、C10アリール、又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)、及び(b)オキソ、ハロゲン、-CCl3、-CBr3、-CF3、-CI3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC(O)NHNH2、-NHC(O)NH2、-NHSO2H、-NHC(O)H、-NHC(O)OH、-NHOH、-OCCl3、-OCF3、-OCBr3、-OCI3、-OCHCl2、-OCHBr2、-OCHI2、-OCHF2、非置換アルキル(例えば、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、又はC1~C4アルキル)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員ヘテロアルキル、2~6員ヘテロアルキル、又は2~4員ヘテロアルキル)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C6シクロアルキル、又はC5~C6シクロアルキル)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキル、又は5~6員ヘテロシクロアルキル)、非置換アリール(例えば、C6~C10アリール、C10アリール、又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員ヘテロアリール、5~9員ヘテロアリール、又は5~6員ヘテロアリール)から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールとから選択される少なくとも1つの置換基で置換されたアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択される基を意味する。
【0050】
本明細書で使用される「サイズ限定置換基(size-limited
substituent)」又は「サイズ限定置換基(サイズ限定置換基)」は、「置換基」について上述した全ての置換基から選択される基を意味し、各置換若しくは非置換アルキルは、置換若しくは非置換C1~C20アルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロアルキルは、置換若しくは非置換2~20員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換シクロアルキルは、置換若しくは非置換C3~C8シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換3~8員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換アリールは、置換若しくは非置換C6~C10アリールであり、各置換若しくは非置換ヘテロアリールは、置換若しくは非置換5~10員ヘテロアリールである。
【0051】
本明細書で使用される「低級置換基(lower substituent)」又は「低級置換基(lower substituent group)」は、「置換基」について上述した全ての置換基から選択される基を意味し、各置換若しくは非置換アルキルは、置換若しくは非置換C1~C8アルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロアルキルは、置換若しくは非置換2~8員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換シクロアルキルは、置換若しくは非置換C3~C7シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換アリールは、置換若しくは非置換C6~C10アリールであり、各置換若しくは非置換ヘテロアリールは、置換若しくは非置換5~9員ヘテロアリールである。
【0052】
実施形態では、本明細書の化合物において記載される各置換基は、少なくとも1つの置換基で置換される。より具体的には、態様では、本明細書の化合物において記載される各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は置換ヘテロアリーレンは、少なくとも1つの置換基で置換される。態様では、これらの基のうちの少なくとも1つ又は全ては、少なくとも1つのサイズ限定置換基で置換される。態様では、これらの基のうちの少なくとも1つ又は全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換される。
【0053】
本明細書における化合物の実施形態では、各置換若しくは非置換アルキルは、置換若しくは非置換C1~C20アルキルであり得、各置換若しくは非置換ヘテロアルキルは、置換若しくは非置換2~20員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換シクロアルキルは、置換若しくは非置換C3~C8シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換3~8員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換アリールは、置換若しくは非置換C6~C10アリールであり、及び/又は各置換若しくは非置換ヘテロアリールは、置換若しくは非置換5~10員ヘテロアリールである。本明細書の化合物の態様では、各置換若しくは非置換アルキレンは、置換若しくは非置換C1~C20アルキレンであり、各置換若しくは非置換ヘテロアルキレンは、置換若しくは非置換2~20員ヘテロアルキレンであり、各置換若しくは非置換シクロアルキレンは、置換若しくは非置換C3~C8シクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンは、置換若しくは非置換3~8員ヘテロシクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換アリーレンは、置換若しくは非置換C6~C10アリーレンであり、かつ/又は各置換若しくは非置換ヘテロアリーレンは、置換若しくは非置換5~10員ヘテロアリーレンである。
【0054】
実施形態では、各置換若しくは非置換アルキルは、置換若しくは非置換C1~C8アルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロアルキルは、置換若しくは非置換2~8員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換シクロアルキルは、置換若しくは非置換C3~C7シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換アリールは、置換若しくは非置換C6~C10アリールであり、かつ/又は各置換若しくは非置換ヘテロアリールは、置換若しくは非置換5~9員ヘテロアリールである。態様では、各置換若しくは非置換アルキレンは、置換若しくは非置換C1~C8アルキレンであり、各置換若しくは非置換ヘテロアルキレンは、置換若しくは非置換2~8員ヘテロアルキレンであり、各置換若しくは非置換シクロアルキレンは、置換若しくは非置換C3~C7シクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンは、置換若しくは非置換3~7員ヘテロシクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換アリーレンは、置換若しくは非置換C6~C10アリーレンであり、及び/又は各置換若しくは非置換ヘテロアリーレンは、置換若しくは非置換5~10員ヘテロアリーレンである。
【0055】
実施形態では、置換若しくは非置換部分(例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、及び/又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレン)は、非置換である(例えば、それぞれ、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、非置換アルキレン、非置換ヘテロアルキレン、非置換シクロアルキレン、非置換ヘテロシクロアルキレン、非置換アリーレン、及び/又は非置換ヘテロアリーレンである)。態様では、置換若しくは非置換部分(例えば、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、及び/又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレン)は、置換されている(例えば、それぞれ、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は非置換ヘテロアリーレンである)。
【0056】
実施形態では、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1つの置換基で置換され、置換部分が、複数の置換基で置換されている場合、各置換基は、任意に異なっていてもよい。態様では、置換部分が複数の置換基で置換されている場合、各置換基は異なる。
【0057】
実施形態では、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1つのサイズ限定置換基で置換され、置換部分が、複数のサイズ限定置換基で置換されている場合、各サイズ限定置換基は、任意に異なっていてもよい。態様では、置換部分が複数のサイズ限定置換基で置換されている場合、各サイズ限定置換基は異なる。
【0058】
実施形態では、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1つの低級置換基で置換され、置換部分が、複数の低級置換基で置換されている場合、各低級置換基は、任意に異なっていてもよい。態様では、置換部分が複数の低級置換基で置換されている場合、各低級置換基は異なる。
【0059】
実施形態では、置換部分(例えば、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン、及び/又は置換ヘテロアリーレン)は、少なくとも1つの置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換されており、置換部分が、置換基、サイズ限定置換基、及び低級置換基から選択される複数の基で置換される場合、各置換基、サイズ限定置換基、及び/又は低級置換基は、任意に異なっていてもよい。態様では、置換部分が置換基、サイズ限定置換基、及び低級置換基から選択される複数の基で置換されている場合、各置換基、サイズ限定置換基、及び/又は低級置換基は、異なる。
【0060】
本開示のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心又はキラル中心)又は二重結合を有し、絶対立体化学の観点から、アミノ酸について(R)-若しくは(S)-又は(D)-若しくは(L)として定義され得る、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性体の形態、並びに個々の異性体が、本開示の範囲内に包含される。本開示の化合物は、合成及び/又は単離するには不安定すぎることが当該技術分野で知られている化合物を含まない。本開示は、ラセミ体及び光学的に純粋な形態の化合物を含むよう意図されている。光学的に活性な(R)-及び(S)-又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製されても、従来の技法を使用して分解されてもよい。本明細書に記載の化合物がオレフィン結合又は他の幾何不斉中心を含む場合、別途指定されない限り、化合物がE幾何異性体及びZ幾何異性体の両方を含むよう意図されている。
【0061】
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、同じ数及び種類の原子、ひいては同じ分子量を有するが、原子の構造配置又は立体配置に関しては異なる化合物を指す。
【0062】
本明細書で使用される「互変異性体」という用語は、平衡状態で存在し、ある異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される、2つ以上の構造異性体の1つを指す。
【0063】
本開示のある特定の化合物が互変異性体形態で存在してもよく、化合物の全てのかかる互変異性体形態が開示の範囲内であることは、当業者には明らかであろう。
【0064】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、その構造の全ての立体化学形態を含むことを意味し、すなわち、各不斉中心に対するR及びS配置である。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、並びにエナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、本開示の範囲内である。
【0065】
別途記述されない限り、本明細書に示される構造はまた、1個以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むようにも意図されている。例えば、重水素若しくは三重水素による水素の代置、又は13C若しくは14C濃縮炭素による炭素の代置を除く、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0066】
本開示の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で、不自然な割合の原子同位体を含んでもよい。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、又は炭素-14(14C)などの放射性同位元素で放射性標識化されてもよい。本開示の化合物の全ての同位体変形は、放射性であるか否かにかかわらず、本開示の範囲内に包含される。
【0067】
本出願を通じて、選択肢、例えば、1つ超の可能なアミノ酸を含む各アミノ酸位置は、マーカッシュ群で記載されることに留意されたい。マーカッシュ群の各成員が別個に考慮されるべきであり、それにより、別の実施形態を含み、マーカッシュ群が単一の単位として読まれるべきではないことが特に企図される。
【0068】
「類似体(Analog)」又は「類似体(analogue)」は、Chemistry and Biology内のその平易な通常の意味に従って使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)と構造的に類似しているが、組成、例えば、異なる元素の原子による1つの原子の置き換え、又は特定の官能基の存在下、又は別の官能基による1つの官能基の置き換え、又は参照化合物の1つ以上のキラル中心の絶対立体化学が異なる化合物を指す。したがって、類似体は、参照化合物と機能及び外観の点で同様又は同等であるが、構造又は起源の点では異なる化合物である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」という用語は、1つ以上を意味する。加えて、本明細書で使用される場合、「a[n]で置換される」という語句は、特定の基が、指定された置換基のいずれか又は全てのうちの1つ以上で置換され得ることを意味する。例えば、アルキル基又はヘテロアリール基などの基が「非置換C1~C20アルキル又は非置換の2~20員ヘテロアルキルで置換されている」場合、基は、1つ以上の非置換C1~C20アルキル及び/又は1つ以上の非置換の2~20員ヘテロアルキルを含み得る。
【0070】
1つの部分が1つのR置換基で置換されている場合、その基は「R置換」と称されてもよい。ある部分がR置換されている場合、その部分は、少なくとも1つのR置換基で置換されており、各R置換基は、任意に異なる。特定のR基が化学種(式(I)など)の説明中に存在する場合、ローマアルファベット記号が、その特定のR基の各外観を区別するために使用されてもよい。例えば、複数のR13置換基が存在する場合、各R13置換基は、R13A、R13B、R13C、R13Dなどと区別され得、R13A、R13B、R13C、R13Dなどはそれぞれ、R13の定義の範囲内で定義され、場合によっては、異なる。
【0071】
「検出可能な薬剤」又は「検出可能な部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、磁気共鳴画像法、又は他の物理的手段などの適切な手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な検出可能な薬剤には、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、77As、86Y、90Y。89Sr、89Zr、94Tc、94Tc、99mTc、99Mo、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-1581Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、Cr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、32P、フルオロフォア(例えば、蛍光色素)、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、常磁性分子、常磁性ナノ粒子、超小型超常磁性酸化鉄(「USPIO」)ナノ粒子、USPIOナノ粒子凝集体、超常磁性酸化鉄(「SPIO」)ナノ粒子、SPIOナノ粒子凝集体、単結晶酸化鉄ナノ粒子、単結晶酸化鉄、ナノ粒子造影剤、ガドリニウムキレート(Gd-キレート)分子、ガドリニウム、放射性同位元素を含むリポソーム又はその他の送達ビヒクル、放射性核種(例えば、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、ルビジウム-82)、フルオロデオキシグルコース(例えば、フッ素-18標識)、任意のガンマ線放出放射性核種、陽電子放出放射性核種、放射性標識グルコース、放射性標識水、放射性標識アンモニア、バイオコロイド、マイクロバブル(例えば、アルブミン、ガラクトース、脂質、及び/又はポリマーを含むマイクロバブルシェルと、空気、重ガス、パーフルオロカーボン、窒素、オクタフルオロプロパン、ペルフレクサン脂質ミクロスフェア、ペルフルトレンなどを含むマイクロバブルガスコアとを含む)、ヨード造影剤(例えば、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、イオキシラン、イオプロミド、ジアトリゾエート、メトリゾエート、イオキサグレート)、硫酸バリウム、二酸化トリウム、金、金ナノ粒子、金ナノ粒子凝集体、フルオロフォア、2光子フルオロフォア、又はハプテン及びタンパク質、又は、例えば、放射性標識をペプチド、又は標的ペプチドと特異的に反応する抗体に組み込むことによって検出可能にすることができる他の物質が含まれる。検出可能な部分は、一価の検出可能な薬剤又は別の組成物と結合を形成することができる検出可能な薬剤である。
【0072】
本開示の態様による造影剤及び/又は標識剤として使用され得る放射性物質(例えば、放射性同位体)には、18F、32P、33P、45Ti、47Sc、52Fe、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、77As、86Y、90Yが挙げられるが、これらに限定されない。89Sr、89Zr、94Tc、94Tc、99mTc、99Mo、105Pd、105Rh、111Ag、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-1581Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra及び225Ac、が含まれる。本開示の態様に従って追加の造影剤として使用することができる常磁性イオンとしては、遷移金属及びランタニド金属(例えば、原子番号が21~29、42、43、44、又は57~71である金属)のイオンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本開示の化合物の記載は、当業者に既知である化学結合の原理によって制限される。したがって、基がいくつかの置換基のうちの1つ以上で置換され得る場合、そのような置換は、化学結合の原理に従うように、かつ本質的に不安定ではない、並びに/又は水性、中性、及びいくつかの既知の生理学的条件などの周囲条件下では不安定である可能性が高いと当業者に知られている化合物をもたらすように、選択される。例えば、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理に従って、環ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合し、それによって本質的に不安定な化合物が回避される。
【0074】
当業者であれば、化合物又は化合物属(例えば、本明細書に記載の属)の変数(例えば、部分又はリンカー)が、全ての原子価が満たされた独立型化合物の名称又は式によって記載される場合、その変数の満たされていない原子価は、変数が使用される状況によって決定付けられることを理解するであろう。例えば、本明細書に記載の化合物の変数が単結合を介して化合物の残りの部分に接続(例えば、結合)される場合、その変数は、独立型化合物の一価形態(すなわち、満たされていない原子価に起因して単結合を形成することができる)を表すと理解される(例えば、変数が、一実施形態では「メタン」と名付けられているが、その変数が単結合によって化合物の残りの部分に結合していることが知られている場合、当業者であれば、その変数が実際にはメタンの一価形態、つまり、メチル又は-CH3であることを理解するであろう)。同様に、リンカー変数(例えば、本明細書に記載のL1、L2、又はL3)の場合、当業者であれば、その変数が独立型化合物の二価形態であることを理解するであろう(例えば、変数がある実施形態では「PEG」又は「ポリエチレングリコール」に割り当てられるが、その変数が2つの別個の結合によって化合物の残りの部分に接続されている場合、当業者であれば、その変数が、独立型化合物PEGではなく、PEGの二価(すなわち、2つの満たされていない原子価を介して2つの結合を形成することができる)形態であることを理解するであろう。
【0075】
「核酸」とは、一本鎖、二本鎖、若しくは多重鎖のいずれかの形態のヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)及びそれらのポリマー、又はそれらの相補体を指す。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」などの用語は、通常の慣習的な意味で、ヌクレオチドの直鎖状配列を指す。「ヌクレオチド」という用語は、通常の及び慣習的な意味で、単一のポリヌクレオチド単位、すなわちモノマーを指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの修飾型であり得る。本明細書で企図されるポリヌクレオチドの例には、一本鎖及び二本鎖のDNA、一本鎖及び二本鎖のRNA、並びに一本鎖及び二本鎖のDNAとRNAとの混合物を有するハイブリッド分子が含まれる。本明細書で企図される核酸、例えば、ポリヌクレオチドの例としては、あらゆる種類のRNA、例えば、mRNA、siRNA、miRNA、及びガイドRNA、並びにあらゆる種類のDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、及びミニサークルDNA、並びにそれらの任意の断片が挙げられる。ポリヌクレオチドの文脈における「二本鎖」という用語は、通常の及び慣習的な意味で、二本鎖性を指す。核酸は、直鎖若しくは分岐鎖であり得る。例えば、核酸は、ヌクレオチドの直鎖であり得るか、又は核酸は、例えば、核酸がヌクレオチドの1つ以上のアーム又は分岐を含むように分岐し得る。任意に、分岐状核酸は、繰り返し分岐して、デンドリマーなどの高次構造を形成する。
【0076】
例えば、ホスホチオエート骨格を有する核酸を含む核酸は、1つ以上の反応性部分を含み得る。本明細書で使用される場合、反応性部分という用語は、共有結合、非共有結合、又は他の相互作用を介して別の分子、例えば、核酸又はポリペプチドと反応することができる任意の基を含む。例として、核酸は、共有結合、非共有結合、又は他の相互作用を介してタンパク質又はポリペプチド上のアミノ酸と反応するアミノ酸反応性部分を含み得る。
【0077】
この用語はまた、既知のヌクレオチド類似体又は修飾された骨格残基若しくは結合を含有する核酸も包含し、合成、天然に存在する、及び天然に存在せず、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の方法で代謝される。そのような類似体の例としては、例えば、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、ホスホロチオエート(リン酸中の酸素が二重結合硫黄で置換されたホスホロチオエートとしても知られる)、ホスホロジチオエート、ホスホノカルボン酸、ホスホノカルボキシレート、ホスホノ酢酸、ホスホノギ酸、メチルホスホネート、ボロンホスホネート、又はO-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Pressを参照)、並びに5-メチルシチジン又はシュードウリジンなどにおけるヌクレオチド塩基に対する修飾、またペプチド核酸骨格及び結合を含むホスホジエステル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。他の核酸類似体としては、正に帯電した骨格、非イオン性骨格、修飾糖、及び米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号、並びにSanghui及びCook編集のASC Symposium Series 580,チャプター6及び7のCarbohydrate Modifications in Antisense Researchに記載されているものを含む非リボース骨格(例えば、当技術分野で公知のホスホロジアミデートモルホリノオリゴ又はロックド核酸(LNA))を有するものが含まれる。1つ以上の炭素環式糖を含有する核酸も、核酸の1つの定義内に含まれる。リボース-ホスフェート骨格の修飾は、例えば、生理学的環境におけるそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために、又はバイオチップ上のプローブとして、様々な理由で行うことができる。天然に存在する核酸と類似体の混合物を作製することができ、あるいは、異なる核酸類似体の混合物、並びに天然に存在する核酸と類似体の混合物を作製してもよい。諸態様では、DNAのヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体、又は両方の組み合わせである。
【0078】
核酸は、非特異的配列を含み得る。本明細書中で使用される場合、「非特異的配列」という用語は、任意の他の核酸配列に相補的であるように設計されていないか、又は部分的にのみ相補的である一連の残基を含む核酸配列を指し、例として、非特異的核酸配列は、細胞又は生物と接触したときに、阻害性核酸として機能しない核酸残基の配列である。
【0079】
ポリヌクレオチドは、一般的には、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、及びチミン(T)(ポリヌクレオチドがRNAである場合、チミン(T)の代わりにウラシル(U))の特定の配列で構成される。従って、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表示であり、あるいは、この用語は、ポリヌクレオチド分子自体に使用される。このアルファベット表示は、中央処理装置を備えたコンピュータのデータベースに入力でき、機能ゲノミクス及び相同性検索などのバイオインフォマティクスアプリケーションに使用できる。ポリヌクレオチドは、1つ以上の非標準ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、及び/又は修飾ヌクレオチドを任意選択で含み得る。
【0080】
本明細書で使用される「相補体」という用語は、相補的なヌクレオチド又はヌクレオチドの配列と塩基対合することができるヌクレオチド(例えば、RNA又はDNA)又はヌクレオチドの配列を指す。本明細書中に記載され、当該技術分野において一般的に公知であるように、アデノシンの相補的(マッチング)ヌクレオチドは、チミジンであり、グアニジンの相補的(マッチング)ヌクレオチドは、シトシンである。したがって、相補体は、第2の核酸配列の対応する相補的ヌクレオチドと塩基対合するヌクレオチドの配列を含み得る。相補体のヌクレオチドは、第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に又は完全に一致し得る。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列の各ヌクレオチドと完全に一致する場合、その相補体は、第2の核酸配列の各ヌクレオチドと塩基対を形成する。相補体のヌクレオチドが第2の核酸配列のヌクレオチドと部分的に一致する場合、相補体のヌクレオチドの一部のみが第2の核酸配列のヌクレオチドと塩基対を形成する。相補配列の例には、コード配列及び非コード配列が含まれ、非コード配列は、コード配列に対する相補的ヌクレオチドを含み、したがって、コード配列の相補体を形成する。相補配列の更なる例は、センス配列及びアンチセンス配列であり、センス配列は、アンチセンス配列に対する相補的ヌクレオチドを含み、したがって、アンチセンス配列の相補体を形成する。
【0081】
本明細書に記載されるように、配列の相補性が部分的である場合、一部の核酸のみが塩基対合に従って一致し、又は完全な場合、全ての核酸が塩基対合に従って一致する。したがって、互いに相補的な2つの配列は、特定のパーセンテージの同一ヌクレオチド(すなわち、特定領域にわたって約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性)を有し得る。
【0082】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコード化されたもの、並びに例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンなど、後で修飾されるアミノ酸である。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα炭素を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。かかる類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸」及び「非天然アミノ酸」という用語は、天然には見られないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、及びアミノ酸模倣体を指す。
【0083】
アミノ酸は、本明細書では、それらの一般的に既知である3文字記号又はIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字記号のいずれかによって参照され得る。ヌクレオチドはそれらの一般的に認められている一文字コードによって参照され得る。
【0084】
「アミノ酸側鎖」という用語は、アミノ酸に含まれる官能置換基を指す。例えば、アミノ酸側鎖は、天然に存在するアミノ酸の側鎖であり得る。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、又はバリン)、並びに後から修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。態様では、アミノ酸側鎖は、非天然アミノ酸側鎖であり得る。態様では、アミノ酸側鎖は、H、
【0085】
【化9】
である。実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、
【0086】
【0087】
「天然に存在しないアミノ酸の側鎖」又は「非天然アミノ酸の側鎖」又は「Uaa」という用語は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、アリルアラニン、2-アミノイソ酪酸の官能性置換基を指す。非天然アミノ酸は、天然に存在するか、化学的に合成される非タンパク質原性アミノ酸である。かかる類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。非限定的な例としては、エキソ-シス-3-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボン酸塩酸塩、シス-2-アミノシクロヘプタンカルボン酸塩酸塩、シス-6-アミノ-3-シクロヘキセン-1-カルボン酸塩酸塩、シス-2-アミノ-2-メチルシクロヘキサンカルボン酸塩酸塩、シス-2-アミノ-2-メチルシクロペンタンカルボン酸塩酸塩、2-(Boc-アミノメチル)安息香酸、2-(Boc-アミノ)オクタン二酸、Boc-4,5-デヒドロ-Leu-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)、Boc-4-(Fmoc-アミノ)-L-フェニルアラニン、Boc-β-Homopyr-OH、Boc-(2-インダニル)-Gly-OH、4-Boc-3-モルホリン酢酸、4-Boc-3-モルホリン酢酸、Boc-ペンタフルオロ-D-フェニルアラニン、Boc-ペンタフルオロ-L-フェニルアラニン、Boc-Phe(2-Br)-OH、Boc-Phe(4-Br)-OH、Boc-D-Phe(4-Br)-OH、Boc-D-Phe(3-Cl)-OH、Boc-Phe(4-NH2)-OH、Boc-Phe(3-NO2)-OH、Boc-Phe(3,5-F2)-OH、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(3,4-ジメトキシフェニル)酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(2-フルオロフェニル)酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(3-フルオロフェニル)酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(4-フルオロフェニル)酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(4-メトキシフェニル)-酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-フェニル酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-(3-ピリジル)酢酸purum、2-(4-Boc-ピペラジノ)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-酢酸purum、Boc-β-(2-キノリル)-Ala-OH、N-Boc-1,2,3,6-テトラヒドロ-2-ピリジンカルボン酸、Boc-β-(4-チアゾリル)-Ala-OH、Boc-β-(2-チエニル)-D-Ala-OH、Fmoc-N-(4-Boc-アミノブチル)-Gly-OH、Fmoc-N-(2-Boc-アミノエチル)-Gly-OH、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、Fmoc-(2-インダニル)-Gly-OH、Fmoc-ペンタフルオロ-L-フェニルアラニン、Fmoc-Pen(Trt)-OH、Fmoc-Phe(2-Br)-OH、Fmoc-Phe(4-Br)-OH、Fmoc-Phe(3,5-F2)-OH、Fmoc-β-(4-チアゾリル)-Ala-OH、Fmoc-β-(2-チエニル)-Ala-OH、4-(ヒドロキシメチル)-D-フェニルアラニンが挙げられる。実施形態では、非天然アミノ酸は以下の式を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)である:
【0088】
【0089】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸及び核酸の両方の配列に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾された変異体」とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝コードの縮重のため、多くの核酸配列が任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって指定される全ての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変更することなく、記載の対応するコドンのいずれかに変更できる。このような核酸バリエーションは、保存的に修飾されたバリエーションの一種である「サイレントバリエーション」である。ポリペプチドをコードする本明細書の全核酸配列は、あらゆる可能な核酸のサイレントバリエーションについても記載する。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が修飾されて、機能的に同一の分子を生じ得ることを理解するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレントバリエーションは、記載された各配列の中に暗に示されている。
【0090】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コード配列の単一アミノ酸又はごく一部のアミノ酸を変更し、付加し、又は欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、又は付加が、これらの変更により、化学的に類似したアミノ酸でのアミノ酸の置換がもたらされる「保存的に修飾された変異体」であることを認識するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野で周知である。このような保存的に修飾された変異体は、本開示の多型変異体、種間相同体、及び対立遺伝子に加えられ、それらを除外しない。
【0091】
次の8つのグループにはそれぞれ、互いに保存的に置換されるアミノ酸が含まれる:(1)Alanine(A)、Glycine(G)、(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、(4)アルギニン(R)、リジン(K)、(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、(7)セリン(S)、スレオニン(T)、及び(8)システイン(C)、メチオニン(M)。(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照されたい)。
【0092】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で交換可能に使用され、実施形態では、ポリマーはアミノ酸から構成されない部分にコンジュゲート化されていてもよい。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに対して適用される。「融合タンパク質」は、単一の部分として組換えにより発現される2つ以上の別個のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0093】
アミノ酸又はヌクレオチド塩基の「位置」は、N末端(又は5’末端)に対するその位置に基づいて、参照配列中の各アミノ酸(又はヌクレオチド塩基)を順次同定する番号で示される。最適なアラインメントを決定する際に考慮しなければならない欠失、挿入、トランケーション、融合などのため、一般に、単純にN末端からカウントすることよって決定される試験配列のアミノ酸残基数は、必ずしも参照配列の対応する位置の数と同じではない。例えば、変異体がアラインメントされた参照配列と比べて欠失を有する場合、欠失部位には参照配列の位置に対応する変異体のアミノ酸は存在しないことになる。アラインメントされた参照配列に挿入がある場合、その挿入は参照配列中の付番されたアミノ酸位置に対応しない。切断又は融合の場合、参照配列又はアラインメントされた配列のいずれかに、対応する配列のいずれのアミノ酸にも対応しないアミノ酸の区間が存在し得る。
【0094】
所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列の付番の文脈で使用される場合、「参照して付番される」又は「対応する」という用語は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチド配列が参照配列と比較された場合の特定の参照配列の残基の付番を指す。
【0095】
タンパク質のアミノ酸残基は、所与の残基と同じタンパク質内の本質的な構造的位置を占める場合、所与の残基に「対応する」。例えば、選択された残基が、配列番号1のPylRSタンパク質中のTyr126と同じ本質的な空間的又は他の構造的な関係を占める場合、選択されたタンパク質中の選択された残基は、配列番号1のPylRSタンパク質中のTyr126に対応する。実施形態では、選択されたタンパク質を最大の相同性でPylRSタンパク質とアラインメントした場合、Tyr126にアラインメントされた選択されたタンパク質における位置はTyr126に対応すると言われる。一次配列アラインメントの代わりに、例えば、選択されたタンパク質の構造をPylRSタンパク質と最大限に一致するようにアラインメントして、全体の構造を比較する場合、三次元構造アラインメントもまた使用することができる。この場合、構造モデルにおいてTyr126と同じ必須位置を占めるアミノ酸は、Tyr126残基に対応すると言われている。
【0096】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列のアラインメントを最適にするために参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して付加又は欠失(すなわちギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を生成し、そのマッチした位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で除算し、その結果に100を乗算して、配列同一性のパーセンテージを生成することによって計算する。
【0097】
2つ以上の核酸又はポリペプチドの配列の文脈における「同一の」又は「同一性」パーセントという用語は、下記のデフォルトパラメータを用いたBLAST又はBLAST2.0の配列比較アルゴリズムを使用して、又はマニュアルアラインメントと目視検査(例えば、NCBIウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/などを参照)によって測定して、同一であるか、又は特定のパーセンテージ(すなわち、比較ウィンドウ又は指定された領域に関して最大限に対応するように比較及びアラインメントを行ったときに、特定の領域について、約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性)で同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドを有する、2つ以上の配列又は部分配列を指す。従って、このような配列は「実質的に同一」である。この定義はまた、試験配列の相補物にも言及してもよく、又はそれに適用されてもよい。定義は、欠失及び/又は付加を有する配列、並びに置換を有する配列も含む。以下に説明するように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを計算することができる。実施形態では、同一性は、少なくとも約25のアミノ酸長又はヌクレオチド長の領域にわたって、又はより好ましくは50~100のアミノ酸長又はヌクレオチド長の領域にわたって存在する。
【0098】
「抗体」という用語は、当技術分野におけるその一般的に既知の意味に従って使用される。抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生された多くのよく特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下の抗体を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に結合した軽鎖であるFabの二量体、F(ab)’2を産生する。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊し、それによってF(ab)’2二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は本質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.,3d ed.1993参照)。インタクトな抗体の消化に関して様々な抗体断片が定義されているが、当業者は、かかる断片が化学的に又は組換えDNA方法論を使用してデノボ合成できることを理解するであろう。したがって、本明細書で使用される抗体という用語はまた、抗体全体の修飾によって産生される抗体断片、若しくは、組換えDNA方法論(例えば、一本鎖Fv)を用いてデノボ合成されたもの、又はファージディスプレイライブラリを用いて同定されたもの(例えば、McCaffertyら,Nature 348:552~554(1990)を参照)を含む。
【0099】
抗体は入り組んだ内部構造を有する大きく複雑なタンパク質である。天然の抗体分子は、2つの同一のポリペプチド鎖のペアを含み、各ペアは1本の軽鎖及び1本の重鎖を有している。軽鎖と重鎖はそれぞれ、順に標的抗原の結合に関与する可変(「V」)領域と、免疫系の他の構成要素と相互作用する定常(「C」)領域の2つの領域からなる。軽鎖及び重鎖の可変領域は、三次元空間で一体となって、抗原(例えば、細胞の表面上の受容体)に結合する可変領域を形成する。軽鎖又は重鎖の各可変領域内には、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3つの短いセグメント(平均10アミノ酸の長さ)がある。抗体可変ドメインの6つのCDR(軽鎖から3つ及び重鎖から3つ)が三次元空間で一緒に折り畳まれて、実際の抗体結合部位を形成し、標的抗原にドッキングする。CDRの位置と長さは、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,アメリカ保健社会福祉省,1987によって正確に定義されている。CDRに含まれない可変領域の部分はフレームワーク(「FR」)と呼ばれ、CDRの周囲を形成する。
【0100】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対からなり、各対は、1本の「軽」鎖(約25kD)及び1本の「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定している。可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖及び重鎖を指す。Fc(すなわち、断片結晶化可能領域)は、免疫グロブリンの「基部」又は「尾部」であり、典型的には、抗体のクラスに応じて、2つ又は3つの定常ドメインに寄与する2つの重鎖で構成される。Fc領域は、特定のタンパク質に結合することにより、各抗体が特定の抗原に対して適切な免疫応答を引き起こすことを保証する。Fc領域は、また、Fc受容体などの様々な細胞受容体、及び補体タンパク質などの他の免疫分子に結合する。
【0101】
本明細書で提供される「抗体変異体」は、受容体タンパク質又は抗原に結合することができ、抗体又はその断片の1つ以上の構造ドメインを含むポリペプチドを指す。抗体変異体の非限定的な例としては、シングルドメイン抗体(ナノボディ)、アフィボディ(モノクローナル抗体より小さく(例えば約6kDA)、高い親和性で受容体タンパク質又は抗原に結合することができ、モノクローナル抗体を模倣することができるポリペプチド)、抗原結合断片(Fab)、Fab二量体(単特異性Fab2、二重特異性Fab2)、三重特異性Fab3、一価IgGs、単鎖可変領域断片(scFv)、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、scFv-Fc、ミニボディ、IgNAR、V-NAR、hcIgG、VhH、又はペプチボディが挙げられる。本明細書で提供される「ペプチボディ」は、抗体のFcドメインに(共有結合又は非共有結合リンカーを介して)付着したペプチド部分を指す。当技術分野で知られている抗体変異体のさらなる非限定的な例としては、軟骨魚類又はラクダ類によって産生される抗体が挙げられる。ラクダ類からの抗体及びそれらの可変領域、並びにそれらの産生、単離、及び使用の方法の一般的な説明は、参考文献のWO97/49805及びWO97/49805に見ることができ、参照によりそれらの全体が全ての目的で本明細書に組み込まれる。同様に、軟骨魚類からの抗体及びその可変領域、並びにそれらの産生、単離、及び使用の方法は、WO2005/118629に見出すことができ、参照によりその全体が全ての目的で本明細書に組み込まれる。
【0102】
「シングルドメイン抗体」又は「ナノボディ」は、単一の単量体可変領域抗体ドメインを有する抗体断片を指す。これは、抗体全体と同様に、特定の抗原に選択的に結合することができる。実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒト又はヒト化シングルドメイン抗体である。
【0103】
単鎖可変断片(scFv)は、典型的には、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質であり、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドで接続されている。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンを多く含み得、溶解性のためにセリン又はスレオニンを多く含み得る。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端に接続することができ、又はその逆も可能である。
【0104】
本明細書で提供される「抗原」という用語は、本明細書で提供される抗体結合ドメインに結合することができる分子を指す。本明細書で提供される「抗原結合ドメイン」は、抗原(エピトープ)に結合する抗体の領域である。上記のように、抗原結合ドメインは、重鎖及び軽鎖のそれぞれの1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメイン(それぞれ、VL、VH、CL及びCH1)を含み得る。実施形態では、抗原結合ドメインは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む。実施形態では、抗原結合ドメインは、軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメイン及び/又は重鎖定常ドメインを含まない。パラトープ又は抗原結合部位は、抗原結合ドメインのN末端に形成される。抗原結合ドメインの2つの可変ドメインは、抗原のエピトープに結合し得る。
【0105】
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生された多くのよく特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下の抗体を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に結合した軽鎖であるFabの二量体、F(ab)’2を産生する。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊し、それによってF(ab)’2二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は本質的にヒンジ領域の一部を有する抗原結合部分である(Fundamental Immunology(Paul ed,3d ed.1993)。インタクトな抗体の消化に関して様々な抗体断片が定義されているが、当業者は、かかる断片が化学的に又は組換えDNA方法論を使用してデノボ合成できることを理解するであろう。したがって、本明細書で使用される抗体という用語は、また、全抗体の修飾によって産生される抗体断片、若しくは、組換えDNA方法論(例えば、一本鎖Fv)を用いてデノボ合成されたもの、又はファージディスプレイライブラリを用いて同定されたもの(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照されたい)を含む。
【0106】
抗体のエピトープは、抗体が結合するその抗原の領域である。2つの抗体は、それぞれが他方の抗原への結合を競合的に阻害(ブロック)する場合、同じ又は重複するエピトープに結合する。つまり、一方の抗体の1倍、5倍、10倍、20倍、又は100倍の過剰は、競合結合アッセイの測定において、他方の結合を、少なくとも30%、好ましくは50%、75%、90%、又は更には99%阻害する(例えば、Junghansら,Cancer Res.50:1495,1990を参照)。代替的に、一方の抗体の結合を低減又は排除する抗原中の本質的に全てのアミノ酸変異が他方の抗体の結合を低減又は排除する場合、2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を減少又は排除するいくつかのアミノ酸変異が他方の抗体の結合を減少又は排除する場合、2つの抗体は重複するエピトープを有する。
【0107】
抗体、例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体は、当技術分野で公知の多くの技術によって調製することができる(例えば、Kohler及びMilstein,Nature 256:495~497(1975)、Kozborら,Immunology Today 4:72(1983)、Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy pp77~96,Alan R.Liss,Inc.(1985)、Coligan,Current Protocols in Immunology(1991)、Harlow及びLane,Antibodies、A Laboratory Manual(1988)、及びGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.1986))。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローン化することができ、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローン化することができ、組換えモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリは、ハイブリドーマ又は形質細胞からも作製され得る。重鎖と軽鎖の遺伝子産物のランダムな組み合わせは、様々な抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生成する(例えば、Kuby,Immunology(3rd ed.1997を参照)。一本鎖抗体又は組換え抗体の産生技術(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)は、ポリペプチドに対する抗体を生成するために使用することができる。また、トランスジェニックマウス、又は他の哺乳動物などの他の生物を使用して、ヒト化抗体又はヒト抗体を発現させてもよい(例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、Marksら,Bio/Technology 10:779~783(1992)、Lonbergsら,Nature 368:856~859(1994)、Morrison,Nature 368:812~13(1994)、Fishwildら,Nature Biotechnology 14:845~51(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996)、並びにLongberg及びHuszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい)。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーのFab断片を同定することができる(例えば、McCaffertyら,Nature 348:552~554(1990)、Marksら,Biotechnology 10:779~783(1992)を参照)。抗体は、二重特異性、すなわち2つの異なる抗原を認識できるようにすることもできる(例えば、WO93/08829、Trauneckerら,EMBO J.10:10:3655~3659(1991),及びSureshら,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照)。抗体はまた、ヘテロコンジュゲート(例えば、2つの共有結合した抗体)又は免疫毒素であってもよい(例えば、米国特許第4,676,980号、国際公開第91/00360号、国際公開第92/200373号、及び欧州特許第03089号を参照)。
【0108】
非ヒト抗体をヒト化又は霊長類化するための方法は当技術分野において公知である(例えば、米国特許第4,816,567号、同第5,530,101号、同第5,859,205号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,777,085号、同第6,180,370号、同第6,210,671号、及び第6,329,511号、国際公開第87/02671号、欧州特許出願第0173494号、Jonesら,(1986)Nature 321:522及びVerhoyenら,(1988)Science 239:1534)。ヒト化抗体は、例えば、Winter and Milstein(1991)Nature 349:293にさらに記載されている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしばインポート残基と呼ばれ、典型的にはインポート可変ドメインから取得される。ヒト化は、本質的にげっ歯類のCDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換えることにより、Winter及び共同研究者の方法に従って行うことができる(例えば、Morrisonら,PNAS USA,81:6851~6855(1984)、Jonesら,Nature 321:522~525(1986),Riechmannら,Nature 332:323~327(1988)、Morrison及びOi,Adv.Immunol.,44:65~92(1988)、Verhoeyenら,Science 239:1534~1536(1988)及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596(1992)、Padlan,Molec.Immun.,28:489~498(1991)、Padlan,Molec.Immun.,31(3):169~217(1994)を参照)。したがって、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、インタクトなヒト可変ドメインよりも実質的に少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基及びおそらくいくつかのFR残基がげっ歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする第1の配列及び所望の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列セットを含むポリヌクレオチドが、合成的に、又は適切なcDNA及びゲノムDNAセグメントを組み合わせることによって産生され得る。ヒト定常領域DNA配列は、様々なヒト細胞から周知の手順に従って単離することができる。
【0109】
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が異なる若しくは改変されたクラス、エフェクター機能及び/若しくは種の定常領域に連結されるように、又はキメラ抗体に新しい特性を与える完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように、定常領域又はその一部が改変、置換、又は交換された、あるいは(b)可変領域又はその一部が、異なる又は改変された抗原特異性を有する可変領域で改変、置換、又は交換された抗体分子である。実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒト化及び/又はキメラモノクローナル抗体を含む。
【0110】
抗体又は抗原に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的に(又は選択的に)免疫反応する」という語句は、タンパク質又はペプチドを指す場合、多くはタンパク質及び他の生物製剤の不均一な集団において、タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10~100倍超で特定のタンパク質に結合する。このような条件下での抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性のために選択された抗体が必要である。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性があり、他のタンパク質とは免疫反応性がない抗体サブセットのみを得るように選択され得る。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成することができる。特定のタンパク質と特異的に免疫反応性のある抗体を選択するために、様々なイムノアッセイフォーマットを使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイの形式及び条件の記載については、Harlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。
【0111】
「受容体タンパク質」又は「膜受容体」は、細胞の原形質膜に埋め込まれている受容体(タンパク質)を指す。実施形態では、受容体タンパク質は、細胞の細胞外ドメイン、細胞の膜貫通ドメイン、又は細胞の細胞内ドメインに位置する。実施形態では、受容体タンパク質は、細胞表面受容体である。実施形態では、受容体タンパク質は細胞外ドメインにある。実施形態では、受容体タンパク質は膜貫通ドメインにある。実施形態では、受容体タンパク質は、イオンチャネル連結型受容体、酵素共役型受容体、又はGタンパク質共役受容体である。実施形態では、受容体タンパク質は、ホルモン受容体である。
【0112】
本明細書で使用される「生体分子」という用語は、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質、及び核酸などの巨大分子、並びに例えば、一次代謝産物及び二次代謝産物などの小分子を指す。態様では、「生体分子」は、タンパク質を指す。態様では、「生体分子」は核酸を指す。態様では、「生体分子」は、炭水化物を指す。実施形態では、タンパク質は、シングルドメイン抗体である。実施形態では、タンパク質は、膜受容体である。
【0113】
「生体分子部分」という用語は、生体分子を形成するペプチジル部分、炭水化物部分、脂質部分、又は核酸部分を指す。
【0114】
本明細書で使用される「ペプチジル部分」という用語は、生体分子又は生体分子コンジュゲートの一部を形成し得るタンパク質、タンパク質断片、又はペプチドを指す。態様では、ペプチジル部分は、生体分子(例えば、タンパク質)の一部を形成する。態様では、ペプチジル部分は、バイオ(例えば、タンパク質)コンジュゲートの一部を形成する。ペプチジル部分はまた、追加の化学部分(例えば、追加のR置換基)で置換されてもよい。態様では、ペプチジル部分は、シングルドメイン抗体の一部を形成する。態様では、ペプチジル部分は、膜受容体の一部を形成する。
【0115】
本明細書で使用される「アミノ酸部分」という用語は、アミノ酸が本明細書に記載される式(B)の化合物などの別の化合物又は部分に連結され得るような一価のアミノ酸を指す。
【0116】
本明細書で使用される「炭水化物部分」という用語は、炭水化物、例えば、ポリヒドロキシアルデヒド、ケトン、アルコール、酸、それらの単純な誘導体、及びアセタール型の結合を有するそれらのポリマーを指し、それは、生体分子又はバイオコンジュゲートの一部を形成し得る。態様では、炭水化物部分は、生体分子の一部を形成する。態様では、炭水化物部分は、生体分子コンジュゲートの一部を形成する。炭水化物部分はまた、更なる化学部分(例えば、更なるR置換基)で置換されてもよい。
【0117】
本明細書で使用される「核酸部分」という用語は、核酸、例えば、生体分子又はバイオコンジュゲートの一部を形成し得るDNA及びRNAを指す。態様では、核酸部分は、生体分子の一部を形成する。態様では、核酸部分は、バイオコンジュゲートの一部を形成する。核酸部分はまた、更なる化学部分(例えば、更なるR置換基)で置換されてもよい。
【0118】
「小分子」は、10,000ダルトン以下の分子量を有する、天然又は合成の低分子量有機化合物である。低分子への結合は、例としてアルキル基、カルボニル、アミド、スルフィド、エーテル、エステル、アレーン、ヘテロアレーン、ケタール、オキシム、イミン、エナミン、アルケン、アルキン、又は他の基が挙げられるが、これらに限定されない構造と低分子との間の任意の共有結合を介して生じ得る。
【0119】
「小分子部分」は、生体分子の一部を形成し得るか、又は式(F)によって表される1つ以上のFSKアミノ酸側鎖を含有し得る小分子を指す。実施形態では、小分子部分は、一価の小分子である。
【0120】
「ピロリジル-tRNA合成酵素」という用語は、ピロリジル-tRNA合成酵素活性を有する酵素(ホモログ、アイソフォーム、及びそれらの機能性断片を含む)を指す。ピロリジル-tRNA合成酵素は、α-アミノ酸のピロリシンをコグネイトtRNA(tRNApyl)に結合させ、それによって、タンパク質の生合成中のアンバー終止コドン(例えば、TAG)におけるピロリシンの取り込みを可能にするために必要な反応を触媒するアミノアシル-tRNA合成酵素(aaRS)である。この用語は、(例えば、野生型ピロリジル-tRNA合成酵素と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくは100%の活性の範囲内で)ピロリジル-tRNA合成酵素活性を維持するピロリジル-tRNA合成酵素又はその変異体、ホモログ、又はアイソフォームの任意の組換え型又は天然型を含む。態様では、変異体、ホモログ、又はアイソフォームは、天然に存在するピロリジル-tRNA合成酵素と比較して、配列の全体又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200の連続したアミノ酸部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列の同一性を有する。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1に記載の配列を含む。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1に記載の配列である。
【0121】
「変異型ピロリジル-tRNA合成酵素」又は「変異型PylRS」又は「変異体ピロリジル-tRNA合成酵素」又は「変異体PylRS」という用語は、野生型アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する任意のピロリジル-tRNA合成酵素を指す。実施形態では、変異体PylRSは、配列番号1に記載のメタノメチロフィラス・アルブスのピロリジル-tRNA合成酵素の野生型アミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する任意のピロリジル-tRNA合成酵素を指す。態様では、「変異型ピロリジル-tRNA合成酵素」は、tRNAPylへのフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンの結合を触媒する任意のピロリジル-tRNA合成酵素を指す。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、126位のチロシン、129位のメチオニン、168位のバリン、227位のヒスチジン、228位のチロシン、及び229位のリジンからなる群から選択される1つ以上の残基に変異を有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の5つの変異を有する配列番号1を含む:(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、及び(v)Y228P。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の6つの変異を有する配列番号1を含む:(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229I。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の6つの変異を有する配列番号1を含む:Y126G、M129A、V168F、H227T、Y228P、及びL229I。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の6つの変異を有する配列番号1を含む:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229V。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の6つの変異を有する配列番号1を含む:Y126G、M129A、V168F、H227I、及びY228P。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、以下の6つの変異を有する配列番号1を含む:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229I。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に記載の配列を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に記載の配列である。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に記載の配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端及び/又はC端に6つのヒスチジン残基を更に含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端に6つのヒスチジン残基を更に含む。態様では、変異型ピロリシル-tRNA合成酵素は、C端に6つのヒスチジン残基を更に含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列である。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列である。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列によってコードされる。態様では、「変異型ピロリジル-tRNA合成酵素」は「ピロリジル-tRNA合成酵素」と呼ばれ、当業者は、野生型の配列番号1との比較に基づいて、ピロリジル-tRNA合成酵素が変異型であるかどうかを容易に認識できる。
【0122】
実施形態では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、126位のチロシン、129位のメチオニン、168位のバリン、227位のヒスチジン、228位のチロシン、及び229位のリジンからなる群から選択される1つ以上の残基に変異を有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の5つの変異:(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、及び(v)Y228Pを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227T、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227T、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端(M残基の後)に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227T、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Vを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Vを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端(M残基の後)に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Vを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227I、及びY228Pを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227I、及びY228Pを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端(M残基の後)に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227I、及びY228Pを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端及び/又はN端(例えば、M残基の後)に1~10個のヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、C端に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、N端(M残基の後)に6つのヒスチジン残基を有し、以下の6つの変異:Y126G、M129A、V168F、H227S、Y228P、及びL229Iを有する配列番号1を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列である。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に記載の配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列を含む。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列である。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に記載の配列によってコードされる。
【0123】
「tRNAPyl」という用語は、鎖内の塩基対合によって折り畳まれて、特定のアミノ酸(例えば、ピロリシン、FSK)を担持し、それをタンパク質合成中にmRNA上のその対応するコドン(すなわち、tRNAのアンチコドンに相補的なもの)にマッチさせる特徴的なクローバー葉構造を形成する約50~約100ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。tRNAPylの略称「Pyl」は、ピロリシンを表す。実施形態では、アンチコドンは、CUA、TTA、又はTCAを含む。実施形態では、アンチコドンはCUAを含む。実施形態では、アンチコドンはTTAを含む。実施形態では、アンチコドンはTCAを含む。実施形態では、アンチコドンは、少なくとも1つの非標準塩基を含む。アンチコドンCUAは、アンバー終止コドンに相補的である。態様では、tRNAPylはFSKに結合される。態様では、tRNAPylは、約50~約100ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。態様では、tRNAPylは、約60~約90ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。態様では、tRNAPylは、約65~約85ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。態様では、tRNAPylは、約70~約90ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。態様では、tRNAPylは、約60~約80ヌクレオチドを含有する一本鎖RNA分子を指す。
【0124】
本明細書で使用される「基質結合部位」という用語は、基質と一時的な結合又は相互作用を形成する酵素活性部位に位置する残基を指す。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位は、アミノ酸基質と一時的な結合又は相互作用を形成するピロリジル-tRNA合成酵素の活性部位に位置する残基を指す。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位は、以下の残基、すなわち、:配列番号1のアミノ酸配列に記載の126位のチロシン、129位のメチオニン、168位のバリン、227位のヒスチジン、228位のチロシン、及び229位のリジンのうちの1つ以上を含む。
【0125】
「プラスミド」、「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、遺伝子及び/又は遺伝子の発現に必要な調節エレメントをコードする核酸分子を指す。プラスミドからの遺伝子の発現は、シス又はトランスで起こり得る。遺伝子がシスで発現される場合、遺伝子と調節エレメントは同じプラスミドにコードされる。トランスでの発現とは、遺伝子及び調節エレメントが別個のプラスミドによってコードされている場合を指す。
【0126】
「複合体」という用語は、2つ以上の構成要素を含み、構成要素が一緒に結合して機能単位を形成する組成物を指す。態様では、本明細書に記載の複合体は、本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素とアミノ酸基質(例えば、FSK)とを含む。態様では、本明細書に記載の複合体は、本明細書に記載の変異型ピロリシル-tRNA合成酵素とtRNA(例えば、tRNAPyl)とを含む。態様では、本明細書に記載の複合体は、本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、アミノ酸基質(例えば、FSK)、及びtRNA(例えば、tRNAPyl)を含む。態様では、本明細書に記載の複合体は、本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、アミノ酸基質(例えば、FSK)、tRNA(例えば、tRNAPyl)を含有するポリペプチドからなる群から選択される少なくとも2つの成分を含む。
【0127】
「トランスフェクション」、「形質導入」、「トランスフェクトする」又は「形質導入する」という用語は、交換可能に使用することができ、核酸分子及び/又はタンパク質を細胞に導入するプロセスとして定義される。非ウイルスの又はウイルスベースの方法を使用して、核酸を細胞に導入することができる。核酸分子は、完全なタンパク質又はその機能的部分をコードする遺伝子配列であってよい。トランスフェクションの非ウイルス方法は、核酸分子を細胞に導入するための送達システムとしてウイルスDNA又はウイルス粒子を使用しない任意の適切なトランスフェクション方法を含む。例示的な非ウイルストランスフェクション方法としては、カルシウムホスフェートトランスフェクション、リポソームトランスフェクション、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、ヒートショックを通じたトランスフェクション、マグネトフェクション及びエレクトロポレーションが挙げられる。態様では、核酸分子は、当技術分野において公知の標準的な手順に従って、エレクトロポレーションを使用して細胞に導入される。ウイルスベースの方法の場合、任意の有用なウイルスベクターを本明細書に記載の方法で使用することができる。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。態様では、核酸分子は、当技術分野で周知の標準的な手順に従って、レトロウイルスベクターを使用して細胞に導入される。「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語はまた、外部環境から細胞にタンパク質を導入することを指す。典型的には、タンパク質の形質導入又はトランスフェクションは、細胞膜を横断できるペプチド又はタンパク質の、目的のタンパク質への付着に依存する。例えば、Fordら(2001)、Gene Therapy 8:1~4及びProchiantz(2007)、Nat.Methods 4:119~20が参照できる。
【0128】
「単離された」という用語は、核酸又はタンパク質に適用される場合、核酸又はタンパク質が天然の状態で関連する他の細胞成分を本質的に含まないことを意味する。これは、例えば、均一な状態であることができ、乾燥又は水溶液のいずれかであってもよい。純度及び均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を使用して決定される。製剤中に主たる種として存在するタンパク質は、実質的に精製されている。
【0129】
「接触させる」は、その単純な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子、生体分子部分を含む化学化合物、又は細胞)が反応、相互作用する、又は物理的に触れるように十分に近接することを可能にするプロセスを指す。しかしながら、結果として生じる反応生成物は、添加された試薬間の反応から直接、又は反応混合物中に生成され得る、添加された試薬のうちの1つ以上からの中間体から生成され得ることが理解されるべきである。
【0130】
「接触させる」という用語は、2つの種が反応、相互作用、又は物理的に触れることを可能にすることを含み、ここで2つの種は、本明細書に記載の生体分子及び/又は生体分子部分であり得る。態様では、接触させることは、本明細書に記載の2つの生体分子部分を相互作用させることを含み、ここで生体分子部分は、共有結合してコンジュゲートを形成する。
【0131】
本明細書で使用される場合、「バイオコンジュゲート反応性部分」及び「バイオコンジュゲート反応性基」という用語は、バイオコンジュゲート反応性基の原子又は分子間の会合の結果としてバイオコンジュゲート(例えば、共有結合リンカー)を形成することができる部分又は基を指す。会合は、直接的又は間接的であり得る。例えば、本明細書で示される第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、-NH2、-COOH、-N-ヒドロキシスクシンイミド、又は-マレイミド)と第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、スルフヒドリル、硫黄含有アミノ酸、アミン、アミン側鎖含有アミノ酸、又はカルボキシレート)との間のコンジュゲートは、例えば、共有結合若しくはリンカー(例えば、第2のリンカーの第1のリンカー)による直接的なもの、又は、例えば、非共有結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子-誘起双極子、ロンドン分散)、環スタッキング(pi効果)、疎水性相互作用)などによる間接的なものであってもよい。態様では、バイオコンジュゲート又はバイオコンジュゲートリンカーは、求核置換(例えば、アミン及びアルコールと、ハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、及び炭素-炭素及び炭素-ヘテロ原子の多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス・アルダー付加)を含むがこれらに限定されない、バイオコンジュゲート化学(すなわち、2つのバイオコンジュゲート反応性基の会合)を使用して形成される。これら及び他の有用な反応は、例えば、March,Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1985、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,1996、及びFeeneyら,Modification of Proteins,Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982で考察されている。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、マレイミド部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、スルフヒドリル)に共有結合で結合している。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、ハロアセチル部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、スルフヒドリル)に共有結合で結合している。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、ピリジル部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、スルフヒドリル)に共有結合で結合している。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、-N-ヒドロキシスクシンイミド部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、アミン)に共有結合で結合している。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、マレイミド部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、スルフヒドリル)に共有結合で結合している。態様では、第1のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、-スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミド部分)は、第2のバイオコンジュゲート反応性基(例えば、アミン)に共有結合している。
【0132】
本明細書のバイオコンジュゲート化学に使用される有用なバイオコンジュゲート反応性基としては、(a)カルボキシル基及びN-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及び芳香族エステルを含むがこれらに限定されないそれらの様々な誘導体、(b)エステル、エーテル、アルデヒドなどに変換され得るヒドロキシル基(c)ハロゲン化物が、後に、例えば、アミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルボアニオン、又はアルコキシドイオンなどの求核基で置き換えられ得、それにより、ハロゲン原子の部位で新しい基の共有結合が生じる、ハロアルキル基、(d)例えば、マレイミド又はマレイミド基など、ディールス・アルダー反応に関与することができるジエノフィル基、(e)例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン、若しくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、又はグリニャール付加若しくはアルキルリチウム付加などの機序を介して、後続する誘導体化が可能であるような、アルデヒド又はケトン基、(f)例えば、スルホンアミドを形成するためのアミンとの後続する反応のためのハロゲン化スルホニル基、(g)ジスルフィドへの変換、ハロゲン化アシルとの反応、金などの金属への結合、マレイミドとの反応が可能な、チオール基、(h)例えば、アシル化、アルキル化、又は酸化され得る、アミン又はスルフヒドリル基(例えば、システインに存在するもの)、(i)例えば、付加環化、アシル化、マイケル付加などを受け得る、アルケン、(j)例えば、アミン及びヒドロキシル化合物と反応し得る、エポキシド、(k)核酸合成に有用なホスホルアミダイト及び他の標準的な官能基、(l)金属酸化ケイ素結合、(m)例えば、リン酸ジエステル結合を形成するための反応性リン基(例えば、ホスフィン)への金属結合、(n)銅触媒による付加環化クリックケミストリーを使用してアルキンに結合したアジドが挙げられ、(o)ビオチンコンジュゲートは、アビジン又はストレプトアビジンと反応して、アビジン-ビオチン複合体又はストレプトアビジン-ビオチン複合体を形成することができる。
【0133】
バイオコンジュゲート反応性基は、それらが本明細書に記載のコンジュゲートの化学的安定性に関与しない、又は干渉しないように選択することができる。代替的に、反応性官能基は、保護基の存在によって架橋反応に関与することから保護することができる。態様では、バイオコンジュゲートは、マレイミドなどの不飽和結合とスルフヒドリル基との反応から得られる分子エンティティを含む。
【0134】
「インビトロ翻訳系」という用語は、遺伝子産物の同定(例えば、プロテオミクス)、トランケートされた遺伝子産物の合成による変異の局在化、タンパク質のフォールディングの研究、及びタンパク質への修飾アミノ酸又は非天然アミノ酸の組み込みを提供し得る、セルフリー抽出物中におけるタンパク質のインビトロ合成を提供する系を指す。実施形態において、インビトロ翻訳系は、タンパク質への修飾アミノ酸又は非天然アミノ酸(例えば、FSK)の組み込みを提供する系を指す。例示的なインビトロ翻訳系は、New England BioLabs,Inc.のPurexpress(登録商標)In VitroProtein Synthesis Kitである。インビトロ翻訳系の例示的な成分としては、アミノ酸、コムギ胚芽抽出物、タンパク質合成のための細胞成分(例えば、tRNA、リボソーム、開始因子、伸長因子、終結因子)、塩(例えば、Mg2+、K+)が挙げられる。実施形態では、インビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球系又はコムギ胚芽抽出物系である。
【0135】
「フルオロ硫酸-L-チロシン」及び「FSY」という用語は、以下の構造を有する非天然アミノ酸:
【0136】
【0137】
【0138】
FSYは、以下の式のアミノ酸側鎖を含む:
【0139】
【0140】
「フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン」及び「FSK」という用語は、式(A)の構造を有する非天然アミノ酸:
【0141】
【0142】
【0143】
FSKは、式(F)のアミノ酸側鎖を含む:
【0144】
【0145】
「FSK生体分子」という用語は、FSK非天然アミノ酸及び/又はそのアミノ酸側鎖を含む生体分子を指す。
【0146】
「バイオコンジュゲート」又は「FSKバイオコンジュゲート」という用語は、式(D)の構造を有するバイオコンジュゲートリンカー(「FSKバイオコンジュゲートリンカー」)を含む任意の生体分子を指す:
【0147】
【0148】
「FSKタンパク質」という用語は、FSK非天然アミノ酸及び/又はそのアミノ酸側鎖を含むタンパク質を指す。
【0149】
「タンパク質コンジュゲート」又は「FSKタンパク質コンジュゲート」という用語は、式(D)の構造を有するバイオコンジュゲートリンカーを含む任意のタンパク質を指す:
【0150】
【0151】
「硫黄-フッ素交換反応」又は「SuFEx」という用語は、例えば、Dongら,Angewandte Chemie,53(36):9340~9448(2014)、Wangら,J.Am.Chem.Soc.,140(15):4995~4999(2018)によって詳細に記載され、また本明細書の実施例に記載されているクリックケミストリーのタイプを指す。「近接により可能になる」SuFExという用語は、反応性の種が互いに近接している場合、すなわち、SuFEx反応が生じるために十分に空間的に近い場合に起きる硫黄-フッ素交換反応を指す。近接は、単一の生体分子(例えば、タンパク質)内で、又は2つの異なる生体分子(例えば、タンパク質)間で生じ得る。当業者は、反応性の種が、反応(例えば、バイオコンジュゲート、式(A)、(B)、若しくは(C)の部分、又は式(I)、(II)、若しくは(III)のタンパク質を形成するFSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間の硫黄-フッ素物交換反応)が生じるために十分に近いかどうかを容易に判定することができる。
【0152】
「分子間リンカー」という用語は、2つの異なる生体分子間の連結基を指す。例えば、式(E)、(I)、(II)又は(III)の化合物が分子間リンカーを有する場合、R1のペプチジル部分は第1のタンパク質であり、R2のペプチジル部分は第2のタンパク質であり、その結果、第1のタンパク質と第2のタンパク質は、式(E)、(I)、(II)又は(III)の部分を介して共有結合で結合される。態様では、第1のタンパク質と第2のタンパク質は異なるタンパク質であり、例えば、シングルドメイン抗体と膜受容体のような2つの異なるタンパク質の間に分子間リンカーを提供する。
【0153】
「分子内リンカー」という用語は、単一の生体分子内の連結基を指す。例えば、式(E)、(I)、(II)、又は(III)の化合物が分子内リンカーを有する場合、R1のペプチジル部分とR2のペプチジル部分は同じタンパク質の中にある。態様では、第1のタンパク質と第2のタンパク質は同じタンパク質であり、すなわち、単一のタンパク質内に分子間リンカーを提供する。
【0154】
生体分子及びバイオコンジュゲート
本明細書では、生体分子及び潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸と天然に存在するアミノ酸との相互作用によって形成されるバイオコンジュゲートを提供する。潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸であるフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK又はN6-(4-((フルオロスルホニル)オキシ)ベンゾイル)-L-リジン)は、クリックケミストリー反応(例えば、硫黄-フッ素交換反応(SuFEx))によって、近接する標的アミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、チロシン)との共有結合の形成を促進する。例えば、FSKは、天然に存在するタンパク質中のアミノ酸に挿入されてもよく、又はアミノ酸を置換してもよく、それによって、そのタンパク質に、そのタンパク質自体上の近接して位置付けられた標的アミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、チロシン)、又はそれが天然に相互作用するタンパク質と共有結合を形成する能力を与える。FSKは、細胞に対して非毒性であることを少なくとも部分的に理由として、インビトロの条件及びインビボの条件の両方においてタンパク質間又はタンパク質内における共有結合の形成を促進するために使用することができる。したがって、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸FSKは、生体分子(例えば、タンパク質、炭水化物、核酸)を共有結合で連結させてバイオコンジュゲートを形成するために有用である。態様では、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸FSKは、単一の生体分子(例えば、タンパク質)内の生体分子部分(例えば、ペプチジル部分)を共有結合で連結させるために有用である。態様では、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸FSKは、異なる生体分子中の生体分子部分(例えば、ペプチジル部分)を共有結合で連結させる(例えば、2つのタンパク質を共有結合で連結させる)ために有用である。態様では、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸FSKは、シングルドメイン抗体を膜受容体に共有結合で連結させるために有用である。
【0155】
本明細書中に示されるように、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸としてのFSKは、以前に説明された生体反応性の非天然アミノ酸と比較して、優れた化学的機能性(すなわち、優れた特性)を示した。例えば、FSKは、細胞内で安定で非毒性かつ非反応性であるが、標的残基の近接して配置されたとき、細胞の条件下で反応性になる。FSKは、生理学的条件下で、タンパク質内及びタンパク質間の近接により可能になるSuFEx反応によって、リジン、ヒスチジン及びチロシンと特異的に、高い選択性で反応することができる。
【0156】
本明細書では、1つ以上の潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸を含む生体分子を提供する。態様では、生体分子は、タンパク質、核酸、又は炭水化物である。態様では、生体分子は、タンパク質である。態様では、FSK及びリジン、ヒスチジン、又はチロシンは、タンパク質のαヘリックス中にある。態様では、FSK及びリジン、ヒスチジン、又はチロシンは、タンパク質のβシート中にある。態様では、タンパク質はシングルドメイン抗体である。態様では、タンパク質は膜受容体である。態様では、潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸は、式(A)の構造を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)である:
【0157】
【化20】
態様では、生体分子は、FSK非天然アミノ酸を含むタンパク質である。態様では、タンパク質は少なくとも1つのFSKを含む。実施形態では、タンパク質は1つのFSKを含む。態様では、タンパク質は2つ以上のFSKを含む。態様では、タンパク質は2つのFSKを含む。態様では、タンパク質は3つのFSKを含む。態様では、生体分子は、式(F)で表されるFSKアミノ酸側鎖を含むタンパク質である:
【0158】
【化21】
態様では、タンパク質は、リジン、ヒスチジン、チロシン、又はそれらの2つ以上の組み合わせに近接するFSKを含む。態様では、タンパク質は、リジンに近接するFSKを含む。態様では、タンパク質は、ヒスチジンに近接するFSKを含む。態様では、タンパク質は、チロシンに近接するFSKを含む。態様では、タンパク質は、抗体又は抗体変異体である。態様では、タンパク質は、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディである。
【0159】
「近接する」は、FSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンが、SuFEx反応が成功裏に生じるように互いに十分に近いことを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~50アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~45アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~40アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~35アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~30アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~25アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~20アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~15アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~10アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~9アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~8アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~7アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~6アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~5アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~4アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~3アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンの1~2アミノ酸内にあることを意味する。態様では、「近接する」は、FSKがリジン、ヒスチジン、又はチロシンに隣接していることを意味する。
【0160】
本明細書では、バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含むバイオコンジュゲートを提供し、ここで、バイオコンジュゲートリンカーは式(D)の構造を有する:
【0161】
【化22】
態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分はそれぞれ独立して、ペプチジル部分である。態様では、バイオコンジュゲートはタンパク質コンジュゲートである。態様では、バイオコンジュゲートはタンパク質コンジュゲートであり、ここでバイオコンジュゲートリンカーは分子内リンカーである。態様では、タンパク質コンジュゲートは、複数の分子内リンカーを含む。態様では、バイオコンジュゲートはタンパク質コンジュゲートであり、ここでバイオコンジュゲートリンカーは分子間リンカーである。態様では、タンパク質コンジュゲートは複数の分子間リンカーを含む。態様では、タンパク質コンジュゲートは分子内リンカー及び分子間リンカーを含む。
【0162】
実施形態では、バイオコンジュゲートは、式(E)の構造を有するか
【0163】
【化23】
あるいは次式を有すると記載される:
R
1-L
1-A-X
1-L
2-R
2
式中、Aは式(D)のバイオコンジュゲートリンカーであり、R
1は第1の生体分子部分であり、R
2は第2のバイオコンジュゲート部分であり、L
1は、結合又は第1の共有結合リンカーであり、L
2は、第2の共有結合リンカーの結合であり、X
1は、-NR
5-、-O-、-S-、又は
【0164】
【化24】
であり、ここで、環Aは、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、A中の窒素はバイオコンジュゲートリンカーに結合している。R
5は、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0165】
L1は、結合、-S(O)2-、-NR3A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR3A-、-NR3AC(O)-、-NR3AC(O)NR3B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。R3A及びR3Bは独立して、水素、置換若しくは非置換アルキルイル、置換若しくは非置換ヘテロアルキルイル、置換若しくは非置換シクロアルキルイル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルイル、置換若しくは非置換アリールイル、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールイルである。
【0166】
L2は、結合、-S(O)2-、-NR4A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR4A-、-NR4AC(O)-、-NR4AC(O)NR4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換アルキルアリーレンである。実施形態では、L2は、結合、-S(O)2-、-NR4A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR4A-、-NR4AC(O)-、-NR4AC(O)NR4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。R4A及びR4Bは独立して、水素、置換若しくは非置換アルキルイル、置換若しくは非置換ヘテロアルキルイル、置換若しくは非置換シクロアルキルイル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキルイル、置換若しくは非置換アリールイル、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールイルである。
【0167】
X1は、-NR5-、-O-、-S-、又は
【0168】
【化25】
であり、式中、環Aは、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンである。態様では、X
1は-NR
5-である。態様では、X
1は-O-である。態様では、X
1は-S-である。態様では、X
1は
【0169】
【化26】
では、環Aは置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。態様では、環Aは置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンである。態様では、環Aは非置換ヘテロアリーレンである。態様では、環Aは非置換ヘテロシクロアルキレンである。態様では、環Aは置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)である。態様では、環Aは非置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)である。態様では、環Aは置換若しくは非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、環Aは置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、環Aは非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。実施形態では、L
1は結合である。
【0170】
実施形態では、R5は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである。態様では、R5は水素である。
【0171】
実施形態では、R5は、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アリール、又は置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0172】
実施形態では、R5は、水素、置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、又は5~6員)である。
【0173】
実施形態では、R5は、水素、非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、又はC3~C5)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、又は3~5員)、非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、又は5~6員)である。
【0174】
実施形態では、L1は、結合、-S(O)2-、-NR3A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR3A-、-NR3AC(O)-、-NR3AC(O)NR3B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0175】
実施形態では、L1は、結合、-S(O)2-、-NR3A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR3A-、-NR3AC(O)-、-NR3AC(O)NR3B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。態様では、L1は、結合、置換若しくは非置換アルキレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、結合、非置換アルキレン、又は非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L1は非置換アルキレンである。態様では、L1は非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L1は結合である。
【0176】
実施形態では、L1は、-O-、-S-、R32-置換若しくは非置換C1~C2アルキレン(例えば、C1若しくはC2)又はR32-置換若しくは非置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、R32-置換若しくは非置換アルキレン(例えば、C1~C8アルキレン、C1~C6アルキレン、又はC1~C4アルキレン)、R32-置換若しくは非置換ヘテロアルキレン(例えば、2~10員ヘテロアルキレン、2~6員ヘテロアルキレン、又は2~4員ヘテロアルキレン)、R32-置換若しくは非置換シクロアルキレン(例えば、C3~C8シクロアルキレン、C3~C6シクロアルキレン、又はC5~C6シクロアルキレン)、R32-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキレン、3~6員ヘテロシクロアルキレン、又は5~6員ヘテロシクロアルキレン)、R32-置換若しくは非置換アリーレン(例えば、C6~C10アリーレン、C10アリーレン、又はフェニレン)、又はR32-置換若しくは非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員ヘテロアリーレン、5~9員ヘテロアリーレン、又は5~6員ヘテロアリーレン)である。態様では、L1は独立して、-O-、-S-、非置換C1~C2アルキレン(例えば、C1又はC2)又は非置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は独立して、非置換メチレンである。態様では、L1は独立して、非置換エチレンである。態様では、L1は、置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、置換3員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、置換4員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、非置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、非置換3員ヘテロアルキレンである。態様では、L1は、非置換4員ヘテロアルキレンである。
【0177】
R32は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX32
3、-CHX32
2、-CH2X32、-OCX32
3、-OCH2X32、-OCHX32
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHOH、-N3、R33-置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、R33-置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、R33-置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、C5~C6)、R33-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、R33-置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又はR33-置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、R32は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX32
3、-CHX32
2、-CH2X32、-OCX32
3、-OCH2X32、-OCHX32
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X32は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0178】
実施形態では、R32は独立して、非置換メチルである。態様では、R32は独立して、非置換エチルである。
【0179】
R33は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX33
3、-CHX33
2、-CH2X33、-OCX33
3、-OCH2X33、-OCHX33
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、R34-置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、R34-置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、R34-置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、R34-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、R34-置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又はR34-置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、R33は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX33
3、-CHX33
2、-CH2X33、-OCX33
3、-OCH2X33、-OCHX33
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X33は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0180】
実施形態では、R33は独立して、非置換メチルである。態様では、R33は独立して、非置換エチルである。
【0181】
R34は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX34
3、-CHX34
2、-CH2X34、-OCX34
3、-OCH2X34、-OCHX34
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X34は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0182】
実施形態では、R34は独立して、非置換メチルである。態様では、R34は独立して、非置換エチルである。
【0183】
実施形態では、R3Aは、水素、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0184】
実施形態では、R3Aは、水素、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アリール、又は置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0185】
実施形態では、R3Aは、水素、置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0186】
実施形態では、R3Aは、水素、非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0187】
実施形態では、R3Bは、水素、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0188】
実施形態では、R3Bは、水素、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アリール、又は置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0189】
実施形態では、R3Bは、水素、置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0190】
実施形態では、R3Bは、水素、非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0191】
実施形態では、L2は、結合、-S(O)2-、-NR4A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR4A-、-NR4AC(O)-、-NR4AC(O)NR4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン、又は置換若しくは非置換アルキルアリーレンである。実施形態では、L2は、結合、-S(O)2-、-NR5-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR4A-、-NR4AC(O)-、-NR4AC(O)NR4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0192】
実施形態では、L2は、結合、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換アルキルアリーレンである。実施形態では、L2は、結合、置換若しくは非置換アルキレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、結合、非置換アルキレン、又は非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、非置換アルキレンである。態様では、L2は、非置換ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、結合である。態様では、L2は、結合、又は置換若しくは非置換アルキルアリーレンである。態様では、L2は、結合又は非置換アルキルアリーレンである。態様では、L2は、非置換アルキルアリーレンである。態様では、L2はベンジレンである。
【0193】
実施形態において、L2は、-O-、-S-、R35-置換若しくは非置換C1~C2アルキレン(例えば、C1若しくはC2)又はR35-置換若しくは非置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、結合、R35-置換若しくは非置換アルキレン(例えば、C1~C8アルキレン、C1~C6アルキレン、又はC1~C4アルキレン)、R35-置換若しくは非置換ヘテロアルキレン(例えば、2~8員ヘテロアルキレン、2~6員ヘテロアルキレン、又は2~4員ヘテロアルキレン)、R35-置換若しくは非置換シクロアルキレン(例えば、C3~C8シクロアルキレン、C3~C6シクロアルキレン、又はC5~C6シクロアルキレン)、R35-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン(例えば、3~8員ヘテロシクロアルキレン、3~6員ヘテロシクロアルキレン、又は5~6員ヘテロシクロアルキレン)、R35-置換若しくは非置換アリーレン(例えば、C6~C10アリーレン、C10アリーレン、又はフェニレン)、又はR35-置換若しくは非置換ヘテロアリーレン(例えば、5~10員ヘテロアリーレン、5~9員ヘテロアリーレン、又は5~6員ヘテロアリーレン)である。態様では、L2は、-O-、-S-、非置換C1~C2アルキレン(例えば、C1又はC2)又は非置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、非置換メチレンである。態様では、L2は、非置換エチレンである。態様では、L2は、置換2員ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、置換3員ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、置換4員ヘテロアルキレンである。態様では、L2は、非置換2員ヘテロアルキルである。態様では、L2は、非置換3員ヘテロアルキルである。態様では、L2は、非置換4員ヘテロアルキルである。
【0194】
R35は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX35
3、-CHX35
2、-CH2X35、-OCX35
3、-OCH2X35、-OCHX35
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、R36-置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、R36-置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、R36-置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、R36-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、R36-置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又はR36-置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、R35は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX35
3、-CHX35
2、-CH2X35、-OCX35
3、-OCH2X35、-OCHX35
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X35は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0195】
実施形態では、R35は独立して、非置換メチルである。態様では、R35は独立して、非置換エチルである。
【0196】
R36は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX36
3、-CHX36
2、-CH2X36、-OCX36
3、-OCH2X36、-OCHX36
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、R37-置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、R37-置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、R37-置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、R37-置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、R37-置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又はR37-置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。態様では、R36は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX36
3、-CHX36
2、-CH2X36、-OCX36
3、-OCH2X36、-OCHX36
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X36は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0197】
実施形態では、R36は独立して、非置換メチルである。態様では、R36は独立して、非置換エチルである。
【0198】
R37は独立して、オキソ、ハロゲン、-CX37
3、-CHX37
2、-CH2X37、-OCX37
3、-OCH2X37、-OCHX37
2、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-N3、非置換アルキル(例えば、C1~C8、C1~C6、C1~C4、又はC1~C2)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~8員、2~6員、4~6員、2~3員、又は4~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C4~C6、又はC5~C6)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、4~6員、4~5員、又は5~6員)、非置換アリール(例えば、C6~C10又はフェニル)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~9員、又は5~6員)である。X37は独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iである。
【0199】
実施形態では、R37は独立して、非置換メチルである。態様では、R37は独立して、非置換エチルである。
【0200】
実施形態では、R4Aは、水素、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0201】
実施形態では、R4Aは、水素、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アリール、又は置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0202】
実施形態では、R4Aは、水素、置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0203】
実施形態では、R4Aは、水素、非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0204】
実施形態では、R4Bは、水素、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンである。
【0205】
実施形態では、R4Bは、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換シクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換アリール、又は置換(例えば、置換基、サイズ限定置換基、又は低級置換基で置換された)若しくは非置換ヘテロアリールである。
【0206】
実施形態では、R4Bは、水素、置換若しくは非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、置換若しくは非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、置換若しくは非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、置換若しくは非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は置換若しくは非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0207】
実施形態では、R4Bは、水素、非置換アルキル(例えば、C1~C20、C1~C10、C1~C5)、非置換ヘテロアルキル(例えば、2~20員、2~10員、2~5員)、非置換シクロアルキル(例えば、C3~C8、C3~C6、C3~C5)、非置換ヘテロシクロアルキル(例えば、3~8員、3~6員、3~5員)、非置換アリール(例えば、C6~C10、C6~C8、C6~C5)、又は非置換ヘテロアリール(例えば、5~10員、5~8員、5~6員)である。
【0208】
実施形態では、X1は、イミダゾリレン、-NH-又は-O-である。態様では、X1は、イミダゾリレン(すなわち、二価イミダゾール)である。態様では、X1は、-NH-である。態様では、X1は、-O-である。
【0209】
実施形態では、第1の生体分子部分は、ペプチジル部分である。態様では、第2の生体分子部分は、ペプチジル部分である。態様では、第1の生体分子部分は、ペプチジル部分であり、第2の生体分子部分は、ペプチジル部分である。態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分中のペプチジル部分は同じタンパク質中にある。態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分中のペプチジル部分は異なるタンパク質中にある。実施形態では、異なるタンパク質は、シングルドメイン抗体と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、抗体と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、抗原結合断片と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、アフィボディと膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、単鎖可変領域断片と膜受容体である。
【0210】
実施形態では、-L1-R1はペプチジル部分である。実施形態では、-L2-R2はペプチジル部分である。態様では、-L1-R1のペプチジル部分と-L2-R2のペプチジル部分は同じタンパク質中にある。態様では、-L1-R1のペプチジル部分と-L2-R2のペプチジル部分は異なるタンパク質中にある。態様では、L1は結合である。態様では、L2は結合である。態様では、L1とL2は結合である。実施形態では、異なるタンパク質は、シングルドメイン抗体と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、抗体と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、単鎖可変領域断片と膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、アフィボディと膜受容体である。実施形態では、異なるタンパク質は、抗原結合断片と膜受容体である。
【0211】
実施形態では、第1の生体分子部分は核酸部分又は炭水化物部分である。実施形態では、第1の生体分子部分は核酸部分である。実施形態では、第1の生体分子部分は炭水化物部分である。実施形態では、第2の生体分子部分は核酸部分又は炭水化物部分である。実施形態では、第2の生体分子部分は核酸部分である。実施形態では、第2の生体分子部分は炭水化物部分である。
【0212】
実施形態では、-L1-R1は核酸部分又は炭水化物部分である。態様では、-L1-R1は核酸部分である。態様では、-L1-R1は炭水化物部分である。態様では、-L2-R2は核酸部分又は炭水化物部分である。態様では、-L2-R2は核酸部分である。態様では、-L2-R2は炭水化物部分である。態様では、L1は結合である。態様では、L2は結合である。態様では、L1とL2は結合である。
【0213】
実施形態では、第1の生体分子部分は、小分子部分、ペプチジル部分、核酸部分、及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、第2の生体分子部分は、小分子部分、ペプチジル部分、核酸部分、及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、第1の生体分子部分は、第2の生体分子部分と同じである。態様では、第1の生体分子部分は、第2の生体分子部分とは異なる。態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分は、同じ生体分子内にある。態様では、第1の生体分子部分及び第2の生体分子部分は、異なる生体分子内にある。態様では、第1の生体分子部分は小分子部分であり、第2の生体分子部分はペプチジル部分である。態様では、第1の生体分子部分はペプチジル部分であり、第2の生体分子部分は小分子部分である。
【0214】
実施形態では、第1の生体分子部分は、ペプチジル部分、核酸部分、及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、第2の生体分子部分は、ペプチジル部分、核酸部分、及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、第1の生体分子部分は、第2の生体分子部分と同じである。態様では、第1の生体分子部分は、第2の生体分子部分とは異なる。態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分は、同じ生体分子内にある。態様では、第1の生体分子部分及び第2の生体分子部分は、異なる生体分子内にある。態様では、第1の生体分子部分と第2の生体分子部分はそれぞれ独立して、ペプチジル部分である。
【0215】
実施形態では、-L1-R1は、小分子部分、ペプチジル部分、核酸部分及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、-L2-R2は、小分子部分、ペプチジル部分、核酸部分及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、-L1-R1は小分子部分である。態様では、-L2-R2は小分子部分である。態様では、L1は結合である。態様では、L2は結合である。態様では、L1とL2は結合である。
【0216】
実施形態では、-L1-R1は、ペプチジル部分、核酸部分及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、-L2-R2は、ペプチジル部分、核酸部分及び炭水化物部分からなる群から選択される。態様では、-L1-R1は、-L2-R2と同じである。態様では、-L1-R1は、-L2-R2とは異なる。態様では、-L1-R1及び-L2-R2はそれぞれ独立して、ペプチジル部分である。態様では、L1は結合である。態様では、L2は結合である。態様では、L1とL2は結合である。
【0217】
態様では、本開示は、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むタンパク質を提供する:
【0218】
【0219】
態様では、タンパク質は式(IV)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(V)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(VI)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(IV)の部分と式(V)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(IV)の部分と式(VI)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(V)の部分と式(VI)の部分を含む。態様では、タンパク質は式(IV)の部分と、式(V)の部分と、式(VI)の部分とを含む。態様では、式(IV)、(V)、(VI)の部分、又はそれらの組み合わせは、分子内共有結合を形成する。態様では、式(IV)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(V)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(VI)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(IV)と(V)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(IV)と(VI)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(V)と(VI)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(IV)、(V)及び(VI)の部分は分子内共有結合を形成する。態様では、式(IV)、(V)、(VI)の部分、又はそれらの組み合わせは、分子間共有結合を形成する。態様では、式(IV)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(V)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(VI)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(IV)及び(V)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(IV)及び(VI)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(V)及び(VI)の部分は分子間共有結合を形成する。態様では、式(IV)、(V)及び(VI)の部分は分子間共有結合を形成する。
【0220】
態様では、本開示は、式(I)、式(II)、又は式(III)のタンパク質を提供し、
【0221】
【0222】
【化29】
式中、R
1及びR
2は各々独立して、一緒に結合されたペプチジル部分であり、すなわち、式(I)、(II)、及び(III)のタンパク質は分子内共有結合を含む。態様では、タンパク質は式(I)のものである。態様では、タンパク質は式(II)のものである。態様では、タンパク質は式(III)のものである。態様では、R
1のペプチジル部分及びR
2のペプチジル部分は、タンパク質αストランドを含む。態様では、R
1のペプチジル部分及びR
2のペプチジル部分は、タンパク質βストランドを含む。態様では、R
1のペプチジル部分がタンパク質αストランドを含み、R
2のペプチジル部分はタンパク質βストランドを含む。態様では、R
1のペプチジル部分がタンパク質βストランドを含み、R
2のペプチジル部分はタンパク質αストランドを含む。
【0223】
態様では、本開示は、式(I)、式(II)、又は式(III)のタンパク質を提供し、
【0224】
【0225】
【化31】
式中、R
1は第1のタンパク質のペプチジル部分であり、R
2は第2のタンパク質のペプチジル部分であり、すなわち、2つのタンパク質の間に分子間共有結合が存在する。態様では、分子間結合は2つの異なるタンパク質の間にある。態様では、分子間結合は2つの同じタンパク質(例えば、分子間結合されている同じアミノ酸配列を有する2つのタンパク質)の間にある。態様では、第1のタンパク質が式(IV)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合して、式(I)の分子間結合タンパク質を形成する。態様では、第1のタンパク質が式(V)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合して、式(II)の分子間結合タンパク質を形成する。態様では、第1のタンパク質が式(VI)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合して、式(III)の分子間結合タンパク質を形成する。態様では、第1のタンパク質は、式(IV)の部分及び式(IV)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合している。態様では、第1のタンパク質は、式(IV)の部分及び式(VI)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合している。態様では、第1のタンパク質は、式(V)の部分及び式(VI)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合している。態様では、第1のタンパク質は、式(IV)の部分、式(V)の部分、及び式(VI)の部分を介して第2のタンパク質に共有結合している。態様では、第1のタンパク質はホルモンであり、第2のタンパク質はホルモン受容体である。態様では、第1のタンパク質は抗体又は抗体変異体であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質は抗体であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質は抗体変異体であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質は、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディであり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質は抗体結合断片であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質は単鎖可変領域断片であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質はシングルドメイン抗体であり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質はアフィボディであり、第2のタンパク質は膜受容体である。態様では、第1のタンパク質はシングルドメイン抗体であり、第2のタンパク質はホルモン受容体である。態様では、ペプチジル部分R
1及びR
2はタンパク質αヘリックスを含む。態様では、ペプチジル部分R
1及びR
2はタンパク質βシートを含む。態様では、ペプチジル部分R
1がタンパク質αヘリックスを含み、ペプチジル部分R
2はタンパク質βシートを含む。態様では、ペプチジル部分R
1がタンパク質βシートを含み、ペプチジル部分R
2はタンパク質αヘリックスを含む。態様では、R
1は抗体又は抗体変異体であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は抗体であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は抗体変異体であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は、抗体、抗原結合性断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディであり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は抗原結合断片であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は単鎖可変領域断片であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1はシングルドメイン抗体であり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1はアフィボディであり、R
2は膜受容体である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は抗体又は抗体変異体である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は抗体である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は抗体変異体である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディである。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は抗原結合断片である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2は単鎖可変領域断片である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2はシングルドメイン抗体である。態様では、R
1は膜受容体であり、R
2はアフィボディである。
【0226】
態様では、タンパク質コンジュゲートは、3つ以上の異なる及び/又は別個のタンパク質を含み得る。例えば、第1のタンパク質は、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを介して第2のタンパク質に共有結合され、第2のタンパク質は、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを介して第3のタンパク質に共有結合される。別の例として、第1のタンパク質は、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを介して第2のタンパク質に共有結合され、第1のタンパク質はまた、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを介して第3のタンパク質に共有結合される。これらの態様のそれぞれにおいて、第1のタンパク質、第2のタンパク質、及び第3のタンパク質はそれぞれ、任意で、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含んでもよく、ここで、R1とR2のペプチジル部分は、それぞれ、第1のタンパク質、第2のタンパク質、又は第3のタンパク質内で分子内結合を形成する。
【0227】
実施形態において、本開示は、非天然アミノ酸を含む、小分子部分、膜受容体、抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディを提供し、ここで、非天然アミノ酸は式(F)の側鎖を有する:
【0228】
【0229】
実施形態にでは、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディを提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む膜受容体を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む小分子部分を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む抗体を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む抗原結合断片、単鎖可変領域断片を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む単鎖可変領域断片を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含むシングルドメイン抗体を提供する。実施形態では、本開示は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含むアフィボディを提供する。
【0230】
実施形態では、本明細書に記載される生体分子及びタンパク質は膜受容体を含む。実施形態では、膜受容体は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)受容体、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)受容体、5-ヒドロキシトリプタミン受容体、アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アデノシンA2A受容体、アデノシンA2B受容体、アンジオテンシン受容体、アペリン受容体、胆汁酸受容体、ボンベシン受容体、ブラジキニン受容体、カンナビノイド受容体、ケメリン受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、クラスAオーファン受容体、ドーパミン受容体、エンドセリン受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)、ホルミルペプチド受容体、遊離脂肪酸受容体、ガラニン受容体、グレリン受容体、糖タンパク質ホルモン受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体、Gタンパク質共役受容体、Gタンパク質共役エストロゲン受容体、ヒスタミン受容体、ヒドロキシカルボン酸受容体、キスペプチン受容体、ロイコトリエン受容体、リゾリン脂質受容体、リゾリン脂質S1P受容体、メラニン凝集ホルモン受容体、メラノコルチン受容体、メラトニン受容体、モチリン受容体、ニューロメジンU受容体、ニューロペプチドFF/ニューロペプチドAF受容体、ニューロペプチドS受容体、ニューロペプチドW/ニューロペプチドB受容体、ニューロペプチドY受容体、ニューロテンシン受容体、オピオイド受容体、オプシン受容体、オレキシン受容体、オキソグルタル酸受容体、P2Y受容体、血小板活性化因子受容体、プロキネチシン受容体、プロラクチン放出ペプチド受容体、プロスタノイド受容体、プロテアーゼ活性化受容体、QRFP受容体、リラキシンファミリーペプチド受容体、ソマトスタチン受容体、コハク酸受容体、タキキニン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、微量アミン受容体、ウロテンシン受容体、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。
【0231】
実施形態では、膜受容体はPD-1受容体又はPD-L1受容体である。実施形態では、膜受容体はPD-1受容体である。実施形態では、膜受容体はPD-L1受容体である。
【0232】
実施形態では、膜受容体は、がん細胞上に発現される受容体である。実施形態では、膜受容体は、対照と比較してがん細胞上に過剰発現される受容体である。
【0233】
実施形態では、膜受容体はGタンパク質共役受容体である。実施形態では、膜受容体は受容体型チロシンキナーゼである。実施形態では、膜受容体はErbB受容体である。実施形態では、膜受容体は上皮成長因子受容体(EGFR)である。実施形態では、膜受容体は上皮成長因子受容体1(HER1)である。実施形態では、膜受容体は上皮成長因子受容体2(HER2)である。実施形態では、膜受容体は上皮成長因子受容体3(HER3)である。実施形態では、膜受容体は上皮成長因子受容体4(HER4)である。
【0234】
実施形態では、膜受容体はEGFRである。実施形態では、膜受容体は、がん細胞上に発現されるEGFRである。実施形態では、膜受容体は、対照と比較してがん細胞上に過剰発現されるEGFRである。
【0235】
本明細書では、FSK又はFSYで修飾されたナノボディ7D12を提供する。ナノボディ7D12は配列番号88で示され、ここで、CDR1は配列番号95に示され、CDR2は配列番号96に示され、CDR3は配列番号97に示される。
【0236】
配列番号88 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDYWGQGTQV TVSS
【0237】
配列番号95=RTSRSYGMG
【0238】
配列番号96=GISWRGDS
【0239】
配列番号97=AAGSAWYGTLYEYDY
【0240】
本明細書では、ナノボディ中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであるナノボディ7D12を提供する。実施形態では、ナノボディは、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含み、ここで、30位又は31位に対応する位置のアミノ酸がFSKである。実施形態では、ナノボディは、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含み、ここで、30位に対応する位置のアミノ酸がFSKである(すなわち、30位は配列番号95における4位に対応する)。実施形態では、ナノボディは、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含み、ここで、31位に対応する位置のアミノ酸がFSKである(すなわち、31位は配列番号95の5位に対応する)。実施形態では、ナノボディは、配列番号98に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含む。実施形態では、ナノボディは、配列番号99に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含む。配列において、XFSKはFSKである。
【0241】
配列番号98=RTSXFSKSYGMG
【0242】
配列番号99=RTSRXFSKYGMG
【0243】
実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号35又は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸はFSKである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、30位又は31位に対応する位置のアミノ酸がFSKである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、位置30に対応する位置のアミノ酸がFSKである(すなわち、配列番号89)。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、位置31に対応する位置のアミノ酸がFSKである(すなわち、配列番号90)。
【0244】
実施形態では、ナノボディは配列番号89を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号89で記載される。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号89に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号89の30位に対応する位置にFSKを含有しなければならない。実施形態において、ナノボディの配列番号89に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号89内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有する。配列番号89において、XFSKはFSKである。
【0245】
配列番号89 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSXFSK SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDYWGQGTQV TVSS
【0246】
実施形態では、ナノボディは配列番号90を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号90で記載される。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号90に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号90の31位に対応する位置にFSKを含有しなければならない。実施形態において、ナノボディの配列番号90に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号90内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有する。配列番号90において、XFSKはFSKである。
【0247】
配列番号90 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR XFSKYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDYWGQGTQV TVSS
【0248】
本明細書では、ナノボディ中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであるナノボディ7D12を提供する。実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含み、ここで、109位又は113位に対応する位置のアミノ酸がFSYである。実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96のCDR2と、配列番号97に記載のCDR3とを含み、ここで、109位に対応する位置のアミノ酸がFSYである(すなわち、ここで、109位は配列番号97における11位に対応する)。実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号100に記載のCDR3とを含む。実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号95に記載のCDR1と、配列番号96に記載のCDR2と、配列番号101に記載のCDR3とを含む。配列において、XFSYはFSYである。
【0249】
配列番号100=AAGSAWYGTLXFSYEYDY
【0250】
配列番号101=AAGSAWYGTLYEYDXFSY
【0251】
実施形態では、ナノボディ7D12は、配列番号35又は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、ここで、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、1位、109位、113位、又は116位に対応する位置のアミノ酸がFSYである。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、1位に対応する位置のアミノ酸がFSYである(すなわち、配列番号91)。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、109位に対応する位置のアミノ酸がFSYである(すなわち、配列番号92)。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、113位に対応する位置のアミノ酸がFSYである(すなわち、配列番号93)。実施形態では、ナノボディ7D12は配列番号88に記載のアミノ酸配列を有し、116位に対応する位置のアミノ酸がFSYである(すなわち、配列番号94)。
【0252】
実施形態では、ナノボディは配列番号91を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号91で記載される。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号91に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号91の1位に対応する位置にFSYを含有しなければならない。実施形態において、ナノボディの配列番号91に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号91内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有し、ナノボディは、配列番号91の1位に対応する位置にFSYを有する。配列番号91において、XFSYはFSYである。
【0253】
配列番号91 XFSYVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDYWGQGTQV TVSS
【0254】
実施形態では、ナノボディは配列番号92を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号92で記載される。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号92に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号92の109位に対応する位置にFSYを含有しなければならない。実施形態では、ナノボディの配列番号92に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号92内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有する。配列番号92において、XFSYはFSYである。
【0255】
配列番号92 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLXFSYE YDYWGQGTQV TVSS
【0256】
実施形態では、ナノボディは配列番号93を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号93で記載される。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。態様では、ナノボディは配列番号93に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号93の113位に対応する位置にFSYを含有しなければならない。実施形態において、ナノボディの配列番号93に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号93内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有する。配列番号93において、XFSYはFSYである。
【0257】
配列番号93 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDXFSYWGQGTQV TVSS
【0258】
実施形態では、ナノボディは配列番号94を含む。実施形態では、ナノボディは配列番号94で記載される。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。実施形態では、ナノボディは配列番号94に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。配列同一性が100%未満の実施形態では、ナノボディは、配列番号94の116位に対応する位置にFSYを含有しなければならない。実施形態において、ナノボディの配列番号94に対する配列同一性が100%未満の場合、ナノボディは、配列番号94内のCDR1、CDR2、及びCDR3に対して100%の配列同一性を有し、ナノボディは、配列番号94の116位に対応する位置にFSYを有する。配列番号94において、XFSYはFSYである。
【0259】
配列番号94 QVKLEESGGG SVQTGGSLRL TCAASGRTSR SYGMGWFRQA PGKEREFVSG ISWRGDSTGY ADSVKGRFTI SRDNAKNTVD LQMNSLKPED TAIYYCAAAA GSAWYGTLYE YDYWGXFSYGTQV TVSS
【0260】
実施形態において、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであるナノボディ7D12(本明細書に記載される実施形態を含む)と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。実施形態では、医薬組成物は、配列番号89(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号90(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号98に記載のCDR1、配列番号96に記載のCDR2、配列番号97に記載のCDR3を含むナノボディと、薬学的に許容される賦形剤とを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号99に記載のCDR1、配列番号96に記載のCDR2、配列番号97に記載のCDR3を含むナノボディと、薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0261】
実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSKのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSKのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のリジンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSKのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のヒスチジンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSKであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSKのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のチロシンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号89(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号89(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号89(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号89(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号90(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号90(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号90(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSKを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号90(その実施形態を含む)を含む。
【0262】
実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであるナノボディ7D12(本明細書に記載の実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。実施形態では、医薬組成物は、配列番号91(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号92(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号93(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号94(その実施形態を含む)と、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号95に記載のCDR1、配列番号96に記載のCDR2、配列番号100に記載のCDR3を含むナノボディと、薬学的に許容される担体とを含む。実施形態では、医薬組成物は、配列番号95に記載のCDR1、配列番号96に記載のCDR2、配列番号101に記載のCDR3を含むナノボディと、薬学的に許容される担体とを含む。
【0263】
実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSYのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSYのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のリジンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSYのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のヒスチジンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、本開示は、アミノ酸配列中の少なくとも1つのアミノ酸がFSYであり(本明細書に記載の実施形態を含む)、FSYのアミノ酸側鎖を介してEGFRタンパク質中のチロシンに共有結合したナノボディ7D12を含むバイオコンジュゲートを提供する。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号91(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号91(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号91(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号91(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号92(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号92(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号92(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号92(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号93(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号93(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号93(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号93(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号94(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のリジンのアミノ酸に共有結合した配列番号94(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のヒスチジンのアミノ酸に共有結合した配列番号94(その実施形態を含む)を含む。実施形態では、バイオコンジュゲートは、FSYを介してEGFR中のチロシンのアミノ酸に共有結合した配列番号94(その実施形態を含む)を含む。
【0264】
ピロリジル-tRNA合成酵素
本明細書に記載されるように、非天然アミノ酸(例えば、FSK)は、生体分子(例えば、タンパク質)中の天然に存在するアミノ酸に挿入されてもよく、又はそれを置換してもよい。非天然アミノ酸を生体分子(例えば、タンパク質)中のアミノ酸に挿入又は置換するためには、タンパク質の形成中に、それを組み込むことができなければならない。従って、非天然アミノ酸は、翻訳中に使用され得るようにトランスファーRNA分子(tRNA)上に存在しなければならない。アミノ酸のローディングは、適切なアミノ酸のtRNA分子への結合を促進する酵素であるアミノアシルtRNA合成酵素によって生じる。しかし、非天然アミノ酸のtRNAへの結合は、必ずしも天然に存在するアミノアシルtRNA合成酵素によって達成されなくてもよい。操作されたアミノアシルtRNA合成酵素(例えば、変異型ピロリジルtRNA合成酵素(PylRS))は、非天然アミノ酸をtRNAに結合させるために有用であり得る。PylRS変異型ライブラリを作製した。以前に記載されたPylRS変異型ライブラリと比較して、本明細書で作製されたPylRS変異型ライブラリは、より多数のアミノ酸残基(例えば、10アミノ酸残基)を同時に変異させることを可能にする新しいスモールインテリジェント変異誘発アプローチを使用して構築された。選択及びスクリーニングした全体のクローンのうち、4つのPylRS変異型がFSKを結合させることができ、1つのPylRSがFSKの結合において特に有効であると同定された。
【0265】
本開示は、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素を提供する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、及び228位のチロシン残基で生じる。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、及び(v)Y228Pである。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも6つのアミノ酸残基の置換を含む。態様では、少なくとも6つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基で生じる。態様では、少なくとも6つのアミノ酸残基の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229Iである。
【0266】
実施形態では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2の核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2の配列を含む核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号2に対して少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。あるいは、配列番号2はFSKRSと称される。
【0267】
実施形態では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86の核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86の配列を含む核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号86に対して少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素の配列番号86に対する配列同一性が100%未満の場、N端の最初の7つのアミノ酸は常にMH6である。あるいは、配列番号86はFSKRSNThisと呼ばれる。
【0268】
実施形態では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87の核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87の配列を含む核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する核酸配列によってコードされる。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号87に対して少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。態様では、ピロリジル-tRNA合成酵素の配列番号87に対する配列同一性が100%未満の場合、C端の最後の6つのアミノ酸は常にヒスチジンである。あるいは、配列番号87はFSKRSCThisと呼ばれる。
【0269】
ベクター
本明細書で提供される組成物(例えば、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、tRNAPyl)は、当技術分野で公知の方法を使用して細胞に送達され得ることが企図される。したがって、1つの態様において、その実施形態を含む本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。態様では、ベクターは、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む。態様では、ベクターは、tRNAPylをコードする核酸配列を更に含む。態様では、ベクターは、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む。態様では、ベクターは、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、及び228位のチロシン残基で生じる。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、及び(v)Y228Pである。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも6つのアミノ酸残基の置換を含む。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基で生じる。態様では、少なくとも6つのアミノ酸残基の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229Iである。態様では、ベクターは配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。態様では、ベクターは配列番号86のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。態様では、ベクターは配列番号87のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。態様では、ベクターは、tRNAPylをコードする核酸配列を更に含む。
【0270】
実施形態では、tRNAPylをコードする核酸配列は以下である:GGGGGACGGTCCGGCGACCAGCGGGTCTCTAAAACCTAGCCAGCGGGGTTCGACGCCCCGGTCTCTCGCCA(配列番号3)。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に記載の配列を含む。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を有する。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列を有する。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を有する。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を有する。態様では、tRNAPylをコードする核酸配列は、配列番号3に対して少なくとも98%の配列同一性を有する配列を有する。
【0271】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、それは、追加のDNAセグメントをライゲーションできる線形又は円形の二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲーションすることができる。特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)において自律複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。実施形態において、本開示は、本明細書に記載のピロリジル-tRNA合成酵素(例えば、その実施形態及び態様を含む配列番号1、配列番号2、配列番号86、又は配列番号87)をコードする核酸配列を含む細胞のゲノムを提供する。実施形態において、本開示は、本明細書に記載のピロリジル-tRNA合成酵素(例えば、その実施形態及び態様を含む配列番号1、配列番号2、配列番号86、又は配列番号87)をコードする核酸配列、及びtRNAPylをコードする核酸配列(例えば、その実施形態及び態様を含む配列番号3)を含む細胞のゲノムを提供する。更に、特定のベクターは、それらが動作可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、多くの場合プラスミドの形態である。プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であることから、「プラスミド」と「ベクター」は交換可能に使用することができる。しかしながら、本開示は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損型レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などのそのような他の形態の発現ベクターを含むことを意図している。更に、いくつかのウイルスベクターは、特定の細胞型を特異的又は非特異的に標的化することができる。使用できる例示的なベクターとしては、pEvolベクター、pMPベクター、pETベクター、pTakベクター、pBadベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
複合体
1つの態様では、その実施形態を含む本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素と、式(A)のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)とを含む複合体を提供する:
【0273】
【0274】
態様では、複合体は、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内の少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素を含む。態様では、複合体は、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも5つのアミノ酸残基の置換を含む変異型ピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含む。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、及び228位のチロシン残基で生じる。態様では、少なくとも5つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、及び(v)Y228Pである。態様では、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、配列番号1のアミノ酸配列中に少なくとも6つのアミノ酸残基の置換を含む。態様では、少なくとも6つのアミノ酸の置換は、配列番号1のアミノ酸配列に示される126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基で生じる。態様では、少なくとも6個のアミノ酸残基の置換は、配列番号1のアミノ酸配列中の(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229Iである。態様では、複合体は配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。態様では、複合体は配列番号86のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。態様では、複合体は配列番号87のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0275】
実施形態では、複合体は、その実施形態を含む本明細書に記載の変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン、及びその実施形態を含む本明細書に記載のtRNAPylを含む。態様では、tRNAPylは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列を含む。態様では、tRNAPylは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。態様では、tRNAPylは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。態様では、tRNAPylは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。態様では、tRNAPylは、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0276】
組成物
本開示は、その実施形態及び態様を含む本明細書において提供される組成物を提供する。実施形態において、組成物は、式(A)を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)を含む:
【0277】
【化34】
実施形態では、組成物は、インビトロ翻訳系の構成要素、本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のtRNA
Pyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0278】
実施形態では、組成物は、その実施形態及び態様を含む本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素を含む。実施形態では、組成物は、FSK、本明細書に記載のtRNAPyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0279】
実施形態では、組成物は、その実施形態及び態様を含む本明細書に記載のtRNAPylを含む。実施形態では、細胞は、FSK、本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0280】
実施形態では、組成物は、式(A)を有するFSKと、tRNA(例えば、本明細書に記載されるような)、補因子(例えば、開始因子、伸長因子、終結因子)、エネルギー再生系(例えば、真核生物系のクレアチンリン酸及び/又はクレアチンホスホキナーゼ、並びに細菌系のホスホエノールピルビン酸及び/又はピルビン酸キナーゼ)、ペプチド、塩(例えば、マグネシウム塩、カリウム塩)、タンパク質、及びリボソーム(例えば、70Sリボソーム、80Sリボソーム)からなる群から選択される1つ以上の化合物とを含む。実施形態では、組成物は、式(A)を有するFSKと、tRNA、補因子、エネルギー再生系、塩、タンパク質、リボソーム、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される化合物とを含む。実施形態では、組成物は、式(A)を有するFSKと、補因子、エネルギー再生系、塩、リボソーム、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される化合物とを含む。実施形態では、組成物は、式(A)を有するFSKと、tRNA、開始因子、伸長因子、終結因子、クレアチンリン酸、クレアチンホスホキナーゼ、マグネシウム塩、カリウム塩、80Sリボソーム、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される化合物とを含む。実施形態では、組成物は、式(A)を有するFSKと、tRNA、開始因子、伸長因子、終結因子、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ、マグネシウム塩、カリウム塩、70Sリボソーム、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される化合物とを含む。
【0281】
インビトロ翻訳系
実施形態において、本開示は、その実施形態及び態様を含む、本明細書に記載の生体分子、例えば、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、式(I)、式(II)、式(III)の生体分子を含むインビトロ翻訳系を提供する。実施形態では、インビトロ翻訳系は、コムギ胚芽抽出物のインビトロ翻訳系又はウサギ網状赤血球溶解物のインビトロ翻訳系である。実施形態において、インビトロ翻訳系は、コムギ胚芽抽出物のインビトロ翻訳系である。実施形態において、インビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物のインビトロ翻訳系である。
【0282】
細胞組成物
本開示は、その実施形態及び態様を含む本明細書で提供される組成物及び複合体を含む細胞を提供する。実施形態では、細胞は、式(A)を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)を含む:
【0283】
【化35】
実施形態では、細胞は、本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のtRNA
Pyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0284】
実施形態では、細胞は、その実施形態及び態様を含む本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素を含む。実施形態では、細胞は、FSK、本明細書に記載のtRNAPyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0285】
実施形態では、細胞は、その実施形態及び態様を含む本明細書に記載されるtRNAPylを含む。実施形態では、細胞は、FSK、本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0286】
態様では、細胞は、その実施形態及びその態様を含む本明細書に記載のベクターを含む。態様では、細胞は、FSK、本明細書に記載される変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のtRNAPyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載の複合体(その実施形態及び態様を含む)、又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0287】
実施形態では、その実施形態及びその態様を含む、本明細書に記載の複合体を含む細胞が提供される。態様では、細胞は、FSK、本明細書に記載の変異体ピロリジル-tRNA合成酵素(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のtRNAPyl(その実施形態及び態様を含む)、本明細書に記載のベクター(その実施形態及び態様を含む)又はそれらの2つ以上の組み合わせを更に含む。
【0288】
実施形態では、FSKは細胞内で生合成され、それによってFSKを含有する細胞を生成する。態様では、FSKは、細胞外の培地に含有され、細胞に浸透して、それによってFSKを含有する細胞を生成する。態様では、細胞はFSK生体分子を含む。態様では、細胞はFSKタンパク質を含む。複数の態様では、細胞は、細胞内で合成されたFSK生体分子を含む。複数の態様では、細胞は、細胞内で合成されたFSKタンパク質を含む。態様では、細胞は、細胞外で合成され、細胞内に浸透するFSK生体分子を含む。態様では、細胞は、細胞外で合成され、細胞内に浸透するFSKタンパク質を含む。
【0289】
実施形態では、細胞は、本明細書に記載のバイオコンジュゲートを含む。態様では、細胞は、バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含むバイオコンジュゲートを含み、ここで、バイオコンジュゲートリンカーは、次式を有する:
【0290】
【化36】
態様では、細胞は、式R
1-L
1-A-X
1-L
2-R
2のバイオコンジュゲートを含み、ここで、式中の置換基は、本明細書で定義される通りである。態様では、第1及び第2の生体分子部分はそれぞれ独立して、ペプチジル部分、核酸部分、又は炭水化物部分である。態様では、第1及び第2の生体分子部分はそれぞれ、同じタンパク質内のペプチジル部分である。態様では、第1及び第2の生体分子部分はそれぞれ、異なるタンパク質内(例えば、シングルドメイン抗体内及び膜受容体内)のペプチジル部分である。
【0291】
実施形態では、細胞は、式(IV)の部分、式(V)の部分、又は式(VI)の部分を含むタンパク質を含む:
【0292】
【化37】
を有する、請求項3に記載の化合物。態様では、式(A)、(B)、又は(C)の部分は、タンパク質内で分子内共有結合を形成する。態様では、式(A)、(B)、又は(C)の部分は、2つのタンパク質の間に分子間共有結合を形成する。
【0293】
実施形態では、細胞は、式(I)、式(II)、又は式(III)のタンパク質を含み、
【0294】
【0295】
【化39】
ここで、式中のR
1及びR
2はそれぞれ独立してペプチジル部分である。態様では、R
1とR
2は、式(I)、(II)、及び(III)のタンパク質が分子内結合を含むように、一緒に結合される。態様では、R
1及びR
2は、式(I)、(II)、及び(III)のタンパク質が2つのタンパク質の間の分子間結合を含むように、2つの異なるタンパク質中のペプチジル部分である。実施形態では、R
1はシングルドメイン抗体中のペプチジル部分であり、R
2は膜受容体中のペプチジル部分である。実施形態では、R
1は膜受容体中のペプチジル部分であり、R
2はシングルドメイン抗体中のペプチジル部分である。
【0296】
細胞は、任意の原核細胞又は真核細胞であることができる。態様では、細胞は原核細胞である。態様では、細胞は真核細胞である。態様では、細胞は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、又は動物細胞である。態様では、動物細胞は昆虫細胞又は哺乳動物細胞である。態様では、細胞は細菌細胞である。態様では、細胞は真菌細胞である。態様では、細胞は植物細胞である。態様では、細胞は古細菌細胞である。態様では、細胞は動物細胞である。態様では、細胞は昆虫細胞である。態様では、細胞は哺乳動物細胞である。態様では、細胞はヒト細胞である。例えば、本明細書に記載の組成物のいずれも、例えば大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞、酵母又は哺乳動物細胞(例えば、Hela細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はCOS細胞)において発現させることができる。態様では、細胞は、未成熟の哺乳動物細胞、すなわち、多能性幹細胞である。態様では、細胞は、他のヒト組織に由来する。他の適切な細胞が当業者には知られている。
【0297】
生体分子又はバイオコンジュゲートを形成する方法
本明細書で提供する組成物は、生体分子又はバイオコンジュゲートを形成するために有用である。したがって、1つの態様において、生体分子、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、tRNAPyl、及び式(A)を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)、
【0298】
【化40】
を接触させてFSK生体分子を形成し、それによって、FSK生体分子、すなわち、FSKの非天然アミノ酸を含む生体分子を生成する方法を提供する。本方法によって生成される生体分子は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む:
【0299】
【化41】
生体分子を生成する方法に使用される変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、本明細書に記載のいずれかである。生体分子を生成する方法に使用されるtRNA
Pylは、本明細書に記載のいずれかである。態様では、生体分子はタンパク質である。態様では、生体分子は核酸である。態様では、生体分子は、炭水化物である。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0300】
実施形態において、本開示は、タンパク質、変異型ピロリジル-tRNA合成酵素、tRNAPyl、及び式(A)を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)、
【0301】
【化42】
を接触させてFSKタンパク質を生成し、それによりFSKタンパク質、すなわち、FSKの非天然アミノ酸を含むタンパク質を生成する方法を提供する。本方法によって生成されるタンパク質は、式(F)の非天然アミノ酸側鎖を含む:
【0302】
【化43】
タンパク質を生成する方法に使用される変異型ピロリジル-tRNA合成酵素は、本明細書に記載のいずれかである。タンパク質を生成する方法に使用されるtRNA
Pylは、本明細書に記載のいずれかである。態様では、FSKタンパク質は、リジン、ヒスチジン、チロシン、又はそれらの2つ以上を更に含む。態様では、FSKタンパク質は、リジン、ヒスチジン、チロシン、又はそれらのうちの2つ以上に近接するFSKを含む。態様では、FSKタンパク質は、リジンに近接するFSKを含む。態様では、FSKタンパク質は、ヒスチジンに近接するFSKを含む。態様では、FSKタンパク質は、チロシンに近接するFSKを含む。用語「近接する」は、本明細書で説明される。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0303】
実施形態において、本開示は、FSKを含む第1の生体分子部分を第2の生体分子部分と接触させてバイオコンジュゲートを形成する方法を提供し、ここで、第2の生体分子部分は第1の生体分子部分中のFSKと反応性であり、それによってバイオコンジュゲートが形成される。態様では、FSKを含む第1の生体分子部分は、式(B)の化合物であり、
【0304】
【化44】
ここで、式中のXとYは本明細書で定義される通りである。態様では、FSKを含む第1の生体分子部分は、式(C)の化合物であり、
【0305】
【化45】
ここで、式中のR
1は本明細書に定義される通りである。態様では、FSKを含む第1の生体分子部分は、式(F)のアミノ酸側鎖を有する生体分子である:
【0306】
【化46】
態様では、第2の生体分子部分は、第1の生体分子中のFSKと反応性であるリジン、ヒスチジン、又はチロシンを含む。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になるクリックケミストリー(例えば、第1の生体分子部分上のFSKと第2の生体分子部分上のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間)によって生じる。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、硫黄-フッ素交換反応(例えば、第1の生体分子部分上のFSKと、第2の生体分子部分上のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間)によって生じる。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応(例えば、第1の生体分子部分上のFSKと、第2の生体分子部分上のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間)によって生じる。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0307】
実施形態において、本開示は、1つ以上の分子内共有結合を含むタンパク質(例えば、タンパク質コンジュゲート)を提供する。態様では、FSKと近接するリジン、ヒスチジン、又はチロシンとが反応して分子内共有結合を形成し、それにより式(IV)の部分、式(V)の部分、若しくは式(VI)の部分、又はこれらの2つ以上の組み合わせが得られる:
【0308】
【化47】
FSK及びそれに近接するリジン、ヒスチジン、又はチロシンは、タンパク質のαヘリックス及び/又はタンパク質のβシート上に存在してもよい。態様では、FSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子内共有結合を形成する反応は、クリックケミストリーによって実現される。態様では、FSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子内共有結合を形成する反応は、近接により可能になるクリックケミストリーによって実現される。態様では、FSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子内共有結合を形成する反応は、硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、FSKとリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子内共有結合を形成する反応は、近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0309】
実施形態において、本開示は、式(I)、(II)又は(III)のタンパク質コンジュゲートを提供し、ここで、R1及びR2はそれぞれ独立してペプチジル部分である:
【0310】
【化48】
態様では、R
1とR
2は一緒に結合して、分子内でコンジュゲート化されたタンパク質を形成する。態様では、R
1とR
2は一緒には結合していない。態様では、タンパク質コンジュゲートを形成する反応は、クリックケミストリーによって実現される。態様では、タンパク質コンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になるクリックケミストリーによって実現される。態様では、タンパク質コンジュゲートを形成する反応は、硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、タンパク質コンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0311】
実施形態では、2つ以上のタンパク質を、本明細書に記載の方法及び組成物によって共有結合させることができる。態様では、FSKは第1のタンパク質中の非天然アミノ酸であり、リジン、ヒスチジン、又はチロシンは第2のタンパク質中のアミノ酸であり、第1のタンパク質と第2のタンパク質は異なる。第1のタンパク質中のFSKは、第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン又はチロシンと反応して、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に分子間共有結合を形成する。2つのタンパク質を連結する分子間共有結合は、式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって表される:
【0312】
【化49】
FSK及びリジン、ヒスチジン、又はチロシンは、それらのそれぞれのタンパク質のαヘリックス及び/又はそれらのそれぞれのタンパク質のβシート上に存在してもよい。態様では、第1のタンパク質中のFSKと第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子間共有結合を形成する反応は、クリックケミストリーによって実現される。態様では、第1のタンパク質中のFSKと第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子間共有結合を形成するための反応は、近接により可能になるクリックケミストリーによって実現される。態様では、第1のタンパク質中のFSKと第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子間共有結合を形成する反応は、硫黄-フッ素交換によって実現される。態様では、第1のタンパク質中のFSKと第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンとの間に分子間共有結合を形成する反応は、近接により可能になる硫黄-フッ素交換によって実現される。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0313】
実施形態において、本開示は、バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含むバイオコンジュゲートを提供し、ここで、バイオコンジュゲートリンカーは式(D)を有する:
【0314】
【化50】
態様では、バイオコンジュゲートは式(E):
【0315】
【化51】
を有するか、又はバイオコンジュゲートは式R
1-L
1-A-X
1-L
2-R
2を有し、ここで、式中の置換基は本明細書で定義される通りである。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、クリックケミストリーによって実現される。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になるクリックケミストリーによって実現される。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、バイオコンジュゲートを形成する反応は、近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応によって実現される。態様では、反応はインビトロで行われる。態様では、反応はインビボで行なわれる。態様では、反応は、1つ以上の生細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている細菌細胞内で行われる。態様では、反応は、1つ以上の生きている哺乳動物細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、及び動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。態様では、反応は、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞内で行われる。
【0316】
標的に結合する方法
本明細書では、式(C)の構造を有する生体分子を提供し、
【0317】
【化52】
式中、R
1は、小分子部分、アミノ酸部分、又はペプチジル部分である。実施形態では、R
1は小分子部分である。実施形態では、R
1はアミノ酸部分又はペプチジル部分である。実施形態では、R
1はアミノ酸部分である。実施形態では、R
1はペプチジル部分である。実施形態では、R
1は抗体、抗原結合断片、単鎖可変領域断片、シングルドメイン抗体、又はアフィボディである。実施形態では、R
1は抗体である。実施形態では、R
1は抗原結合断片である。実施形態では、R
1は単鎖可変領域断片である。実施形態では、R
1はシングルドメイン抗体である。実施形態では、R
1はアフィボディである。実施形態では、R
1は標的に結合することができる。実施形態では、R
1は細胞の表面上の標的に結合することができる。実施形態では、細胞の表面上の標的は受容体である。実施形態において、受容体は、膜受容体又はホルモン受容体である。
【0318】
実施形態において、標的は、アセチルコリン受容体、アデノシン受容体、アンジオテンシン受容体、アペリン受容体、胆汁酸受容体、ボンベシン受容体、ブラジキニン受容体、カンナビノイド受容体、ケメリン受容体、ケモカイン受容体、コレシストキニン受容体、クラスAオーファン受容体、ドーパミン受容体、エンドセリン受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)、ホルミルペプチド受容体、遊離脂肪酸受容体、ガラニン受容体、グレリン受容体、糖タンパク質ホルモン受容体、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体、Gタンパク質共役エストロゲン受容体、ヒスタミン受容体、ヒドロキシカルボン酸受容体、キスペプチン受容体、ロイコトリエン受容体、リゾリン脂質受容体、リゾリン脂質S1P受容体、メラニン凝集ホルモン受容体、メラノコルチン受容体、メラトニン受容体、モチリン受容体、ニューロメジンU受容体、ニューロペプチドFF/ニューロペプチドAF受容体、ニューロペプチドS受容体、ニューロペプチドW/ニューロペプチドB受容体、ニューロペプチドY受容体、ニューロテンシン受容体、オピオイド受容体、オプシン受容体、オレキシン受容体、オキソグルタル酸受容体、P2Y受容体、血小板活性化因子受容体、プロキネチシン受容体、プロラクチン放出ペプチド受容体、プロスタノイド受容体、プロテアーゼ活性化受容体、QRFP受容体、リラキシンファミリーペプチド受容体、ソマトスタチン受容体、コハク酸受容体、タキキニン受容体、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体、微量アミン受容体、ウロテンシン受容体、及びバソプレシン受容体の群から選択される受容体である。実施形態では、標的はPD-1又はPD-L1である。実施形態では、標的はPD-1である。実施形態では、標的はPD-L1である。実施形態では、標的はタンパク質、核酸、又は炭水化物である。実施形態では、標的はタンパク質である。実施形態では、標的は核酸である。実施形態では、標的は炭水化物である。
【0319】
本明細書では、細胞を式(B)の生体分子又は式(C)の生体分子と接触させることを含む細胞上の標的を結合する方法を提供し、ここで、生体分子は細胞の表面上の標的に特異的に結合することができ、それによって生体分子は標的と共有結合を形成する。実施形態では、本方法は、細胞を式(B)の生体分子と接触させることを含み、ここで、生体分子は細胞の表面上の標的に特異的に結合することができ、それによって生体分子は標的と共有結合を形成する。実施形態では、本方法は、細胞を式(C)の生体分子と接触させることを含み、ここで、生体分子は細胞の表面上の標的に特異的に結合することができ、それによって生体分子は標的と共有結合を形成する。実施形態では、硫黄-フッ素交換反応によって共有結合が形成される。実施形態では、近接によって可能になる硫黄-フッ素交換反応によって共有結合が形成される。実施形態では、生体分子と標的は、式(D)の構造を有するバイオコンジュゲートリンカーによって共有結合される:
【0320】
【0321】
「標的」とは、R1と共有結合又は非共有結合することができる任意の化合物を指す(例えば、タンパク質)。実施形態では、「標的」として、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素、抗体、抗原、脂質、代謝産物、ホルモン、炭水化物、核酸、細胞、受容体、ウイルス、又はR1と共有結合若しくは非共有結合することができる任意の他の部分が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、R1及びそのアミノ酸側鎖(すなわち、式(F))の両方が標的に結合することができる。本発明のいかなる理論にも拘束されることを意図するものではないが、例示のみを目的として、近接により誘導されるカップリングにおいて、R1は、最初に非共有結合を介して標的に係合し、その後、FSKアミノ酸側鎖を介して共有結合し得る。
【0322】
実施形態1~57
実施形態1.バイオコンジュゲートリンカーを介して第2の生体分子部分にコンジュゲート化された第1の生体分子部分を含む生体分子コンジュゲートであって、バイオコンジュゲートリンカーが、次式:
【0323】
【化54】
を有する、生体分子コンジュゲート。
実施形態2.生体分子コンジュゲートが、式:R
1-L
1-A-X
1-L
2-R
2を有し、式中、Aが、バイオコンジュゲートリンカーであり、R
1が、前記第1の生体分子部分であり、R
2が、前記第2の生体分子部分であり、L
1が、結合又は第1の共有結合リンカーであり、L
2が、結合又は第2の共有結合リンカーであり、X
1が、-NR
5-、-O-、-S-、又は
【0324】
【化55】
であり、式中、環Aが、置換若しくは非置換ヘテロアリーレン又は置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレンであり、A中の窒素がバイオコンジュゲートリンカーに結合しており、R
5が、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、ここで、R
1及びR
2が任意で一緒に結合されて、分子内でコンジュゲート化された生体分子コンジュゲートを形成する、実施形態1の生体分子コンジュゲート。
実施形態3.L
1が、結合、-S(O)
2-、-NR
3A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR
3A-、-NR
3AC(O)-、-NR
3AC(O)-、-NR
3AC(O)NR
3B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンであり、L
2が、結合、-S(O)
2-、-NR
4A-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NR
4A-、-NR
4AC(O)-、-NR
4AC(O)NR
4B-、-C(O)O-、-OC(O)-、置換若しくは非置換アルキレン、置換若しくは非置換ヘテロアルキレン、置換若しくは非置換シクロアルキレン、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又は置換若しくは非置換ヘテロアリーレンであり、R
3A、R
3B、R
4A、及びR
4Bが独立して、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換ヘテロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換アリール、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールである、実施形態2の生体分子コンジュゲート。
実施形態4.X
1が、-NH-、-O-、又はイミダゾリレンである、実施形態2又は3の生体分子コンジュゲート。
実施形態5.前記第1の生体分子部分が、ペプチジル部分、核酸部分、又は炭水化物部分である、実施形態1~4のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態6.前記第1の生体分子部分がペプチジル部分であり、前記ペプチジル部分が、リジン、ヒスチジン、又はチロシンを介して前記バイオコンジュゲートリンカーに共有結合している、実施形態5の生体分子コンジュゲート。
実施形態7.前記第2の生体分子部分が、ペプチジル部分、核酸部分、又は炭水化物部分である、実施形態1~4のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態8.前記第2の生体分子部分がペプチジル部分であり、前記ペプチジル部分が、リジン、ヒスチジン、又はチロシンを介して前記バイオコンジュゲートリンカーに共有結合している、実施形態7の生体分子コンジュゲート。
実施形態9.-L
1-R
1が、ペプチジル部分、核酸部分、又は炭水化物部分である、実施形態2~4のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態10.-L
2-R
2が、ペプチジル部分、核酸部分、又は炭水化物部分である、実施形態2~4のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態11.前記ペプチジル部分がシングルドメイン抗体又は膜受容体を含む、実施形態5~10のいずれか1つの生体分子。
実施形態12.R
1中のペプチジル部分がシングルドメイン抗体を含み、R
2中のペプチジル部分が膜受容体を含むか、又はR
1中のペプチジル部分が膜受容体を含み、R
2中のペプチジル部分がシングルドメイン抗体を含む、実施形態1~4のいずれか1つの生体分子。
実施形態13.前記バイオコンジュゲートリンカーが分子間リンカーである、実施形態1~11のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態14.前記バイオコンジュゲートリンカーが分子内リンカーである、実施形態1~11のいずれか1つの生体分子コンジュゲート。
実施形態15.式(I)、式(II)、又は式(III)のタンパク質であって、
【0325】
【化56】
式中、R
1及びR
2がそれぞれ独立してペプチジル部分であり、R
1及びR
2が任意で一緒に結合して分子内コンジュゲートタンパク質を形成するタンパク質。
実施形態16.前記タンパク質が式(I)である、実施形態15のタンパク質。
実施形態17.前記タンパク質が式(II)である、実施形態15のタンパク質。
実施形態18.前記タンパク質が式(III)である、実施形態15のタンパク質。
実施形態19.R
1及びR
2がそれぞれ独立してタンパク質αヘリックス又はタンパク質βシートを含む、実施形態15~18のいずれか1つのタンパク質。
実施形態20.R
1及びR
2が一緒に結合していない、実施形態15~19のいずれか1つのタンパク質。
実施形態21.R
1のペプチジル部分がシングルドメイン抗体を含み、R
2のペプチジル部分が膜受容体を含む、実施形態15~20のいずれか1つのタンパク質。
実施形態22.R
1のペプチジル部分が膜受容体を含み、R
2のペプチジル部分がシングルドメイン抗体を含む、実施形態15~20のいずれか1つのタンパク質。
実施形態23.R
1及びR
2が一緒に結合して分子内コンジュゲートタンパク質を形成する、実施形態15~19のいずれか1つのタンパク質。
実施形態24.配列番号1のアミノ酸配列を有するピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に少なくとも6つのアミノ酸残基の置換を含むピロリジル-tRNA合成酵素であって、前記基質結合部位が、配列番号1のアミノ酸配列に記載される、126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基を含む、ピロリジル-tRNA合成酵素。
実施形態25.前記配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも6つのアミノ酸残基の置換が、(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229I、L229V、又はL229Iである、実施形態24のピロリジルtRNA合成酵素。
実施形態26.配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態24のピロリジル-tRNA合成酵素。
実施形態27.実施形態24~26のいずれか1つのピロリジル-tRNA合成酵素をコードする核酸配列を含むベクター。
実施形態28.tRNA
Pylをコードする核酸を更に含む、実施形態27のベクター。
実施形態29.実施形態24~26のいずれか1つのピロリジル-tRNA合成酵素と、以下の式:を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンとを含む複合体:
【0326】
【化57】
を有する、請求項1に記載の化合物。
実施形態30.tRNA
Pylを更に含む、実施形態29の複合体。
実施形態31.実施形態1~14のいずれか1つの生体分子コンジュゲートを含む細胞。
実施形態32.実施形態15~23のいずれか1つのタンパク質を含む細胞。
実施形態33.実施形態24~26のいずれか1つのピロリジル-tRNA合成酵素を含む細胞。
実施形態34.実施形態27~28のいずれか1つのベクターを含む細胞。
実施形態35.実施形態29~30のいずれか1つの複合体を含む細胞。
実施形態36.次式のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを含む細胞:
【0327】
【化58】
を有する、請求項1に記載の化合物。
実施形態37.配列番号1のアミノ酸配列を有するピロリジル-tRNA合成酵素の基質結合部位内に少なくとも6つのアミノ酸残基の置換を含むピロリジル-tRNA合成酵素を更に含み、ここで、前記基質結合部位が、配列番号1のアミノ酸配列に記載される、126位のチロシン残基、129位のメチオニン残基、168位のバリン残基、227位のヒスチジン残基、228位のチロシン残基、及び229位のリジン残基を含む、実施形態36の細胞。
実施形態38.前記配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも6つのアミノ酸残基の置換が、(i)Y126G、(ii)M129A、(iii)V168F、(iv)H227T、H227S、又はH227I、(v)Y228P、及び(vi)L229V又はL229Iである、実施形態37の細胞。
実施形態39.前記ピロリジル-tRNA合成酵素が、配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態37の細胞。
実施形態40.tRNA
Pylを更に含む、実施形態36~39のいずれか1つの細胞。
実施形態41.前記細胞が、細菌細胞又は哺乳動物細胞である、実施形態31~40のいずれか1つの細胞。
実施形態42.実施形態13の生体分子コンジュゲートを形成する方法であって、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン生体分子内のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン部分を、第2の生体分子部分を含む化合物と接触させることを含み、ここで、前記第2の生体分子がフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン部分と反応性であり、それにより、分子間リンカーを有する生体分子コンジュゲートを形成する、方法。
実施形態43.実施形態14の生体分子コンジュゲートを形成する方法であって、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン生体分子内のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン部分を、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン生体分子中の第2の生体分子部分と接触させることを含み、ここで、前記第2の生体分子はフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン部分と反応性であり、それにより、分子内リンカーを有する生体分子コンジュゲートを形成する、方法。
実施形態44.前記接触が細胞内で行なわれる、実施形態42又は43の方法。
実施形態45.接触させる前に、生体分子と、実施形態24~26のいずれか1つのピロリジル-tRNA合成酵素と、tRNA
Pylと、次式を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンとを接触させる工程を更に含む、
【0328】
【化59】
フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン生体分子を形成する、実施形態42~44のいずれか1つの方法。
実施形態46.実施形態20~22のいずれか1つのタンパク質を形成する方法であって、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンタンパク質中のフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンを、第2のタンパク質中のリジン、ヒスチジン、又はチロシンと接触させ、それにより、分子間でコンジュゲート化されたタンパク質を形成することを含む方法。
実施形態47.実施形態23のタンパク質を形成する方法であって、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リシンタンパク質を、リシン、ヒスチジン又はチロシンを含む第2のタンパク質と接触させ、それにより、分子内でコンジュゲート化されたタンパク質を形成することを含む方法。
実施形態48.タンパク質と、実施形態24~26のいずれか1つのピロリジル-tRNA合成酵素と、tRNA
Pylと、次式を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンとを接触させ、
【0329】
【化60】
それにより、フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジンタンパク質を生成することを更に含む、実施形態46又は47の方法。
実施形態49.接触が硫黄-フッ素交換反応を含む、実施形態48の方法。
実施形態50.接触が近接により可能になる硫黄-フッ素交換反応を含む、実施形態48の方法。
実施形態51.接触が細胞内で行なわれる、実施形態46~50のいずれか1つの方法。
実施形態52.非天然アミノ酸を含むタンパク質であって、非天然アミノ酸が次式の側鎖:
【0330】
【化61】
を有する、タンパク質。
実施形態53.タンパク質がシングルドメイン抗体である、実施形態52のタンパク質。
実施形態54.タンパク質が膜受容体である、実施形態52のタンパク質。
実施形態55.非天然アミノ酸がリジン、ヒスチジン、又はチロシンに近接する、実施形態52~54のいずれか1つのタンパク質。
実施形態56.式(IV)の部分、式(V)の部分、式(VI)の部分、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むタンパク質:
【0331】
【化62】
実施形態57.実施形態52~56のいずれか1つのタンパク質を含む、細胞。
【0332】
タンパク質についての遺伝的にコードされたSuFExクリックケミストリーの範囲を更に拡大するために、本発明者らは、新しい潜在的な生体反応性Uaaフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)を設計し、大腸菌及び哺乳動物細胞においてそれを遺伝的にコードするための新しい合成酵素を展開した。アリールフルオロ硫酸を有するリジン誘導体として、FSKは、FSYよりも大きな反応距離を提供し、より柔軟である。本発明者らは、FSKが、分子内及び分子間の両方で、FSYでは到達不可能な長い距離で隔てられたタンパク質の部位を連結するための共有結合を生成するために有用であり、インビトロ及び細胞中の使用に適合することを実証した。FSKは、FSYを補完し、一般的な適用において、より広い範囲のタンパク質の部位へのSuFExケミストリーによる共有結合の導入を可能にする。
【0333】
実施例
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態及び態様を更に説明することを意図している。実施例は、開示又は特許請求の精神又は範囲を限定することを意図するものではない。
【0334】
実施例1
タンパク質側鎖は、システインのみによって共有結合を自然に形成することができる。この天然の障壁は、近接により可能になる反応性によって、遺伝的にコードされた潜在的な生体反応性の非天然アミノ酸(Uaa)と近傍の天然の残基との間に形成された新たな共有結合をタンパク質に加えることによって打破されている。(参考文献1、2)。ハロゲン、アクリルアミド、ビニルスルホン、アリールカルバメート、フルオロスルフェート、又はキノンメチドを含有する生体反応性Uaaのコレクションが、Cys、Lys、His、Tyr、及び他の求核性残基を標的とするように遺伝子的にコードされている。(参考文献3~8)。これらの新しい共有結合は、光学的、熱的、及び様々なタンパク質の特性を増強するために、並びにタンパク質の構造及び機能を光調節するために、タンパク質中に組み込まれている。(参考文献1、3、9~11)。共有結合はまた、タンパク質の間で形成することができ、それは、弱い一過性のタンパク質相互作用を捕捉して同定するために利用されている。(参考文献12、13)。
【0335】
生体反応性の官能基の中で、フルオロ硫酸は、その非常に優れた生体適合性、近接依存性の反応性、及び多標的の能力のために特に興味深い。(参考文献14~17)。それは、非相互作用タンパク質とランダムには反応しないが、それらが近接して位置する場合にのみHis、Lys、Tyrを含む求核性残基と効率的に反応する優れた潜在性の基である。(参考文献7)。本発明者らは、最近、フルオロ硫酸-L-チロシン(FSY)を遺伝的にコードし、タンパク質の架橋だけでなく、インビボのがんのための共有結合タンパク質薬物を生成においてのその使用を実証した。(参考文献7、18)。それにもかかわらず、チロシン誘導体として、FSYは比較的剛直な側鎖と制限された反応半径を有し、それは空間において更に離れて位置する標的残基を架橋することができない。タンパク質の共有結合の生成においてフルオロ硫酸の使用の能力を最大化するために、本発明で、本発明者らは、FSYよりも大きな柔軟性及び長い反応距離を提供する長い脂肪族側鎖を有するフルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(FSK)を設計し、遺伝的にコードした。本発明者らは、FSKが、FSYでは短すぎるタンパク質内及びタンパク質間の共有結合を可能にすることを示し、インビトロ及び細胞における様々な応用におけるFSKの多くの使用を実証した。
【0336】
FSKの設計及びタンパク質への遺伝的組み込み
フルオロ硫酸に柔軟性と長い反応半径を与えるために、本発明者らは、生体適合性及びSuFEx反応性に重要なアリールフルオロ硫酸基をLys骨格に結合させることによってFSKを設計した(
図1A)。次いで、本発明者らは、以前に記載された指向性進化ストラテジーを使用して、FSKを特異的に組み込むためのオルソゴナルな合成酵素を遺伝子操作した。(参考文献19)。数回進化させた後、細胞を緑色蛍光にする増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)にFSKを効率的に組み込むことができる4つのヒットが同定された。それらの中で、hit1(配列番号2)は、18℃及び30℃の両方で最も高い抑制効率でEGFPにFSKを組み込み、したがってFSKRS(
図7~8)と命名した。EGFP(182TAG)の発現のウェスタンブロット解析もまた、FSKRSがFSKのみを組み込み、天然アミノ酸を組み込まないことを示した(
図9)。本発明者らはまた、2位及び151位におけるスーパーフォルダGFP(sfGFP)へのFSK組み込みを試験した。両方の位置で、FSKを含まない対照サンプルと比較して、FSKを増殖培地に添加した場合に強いsfGFPの蛍光が検出され(
図10)、Uaaに対するFSKRSの特異性が確認された。組み込みの忠実度を更に評価するために、本発明者らは、FSKを小タンパク質のユビキチンに6位で組み込み、精製タンパク質のインタクトな質量をESI-MSで測定した。測定された9590.1Daの分子量は、理論値(9589.9Da)とよく一致し、天然アミノ酸の誤った組み込みに対応する他のピークは同定されず、FSKRSによるFSKの組み込みの高い忠実度を示した(
図1B)。
【0337】
FSKは、細胞中でFSYが到達できない距離でのタンパク質間の架橋を可能にする。
本発明者らは、FSY及びFSKがタンパク質に組み込まれ、SuFEx反応によって近接する標的の天然の残基と反応する場合のFSY及びFSKの反応距離の選択性を検討した(
図2A)。エネルギー最小化の状態では、CαとF原子の間の距離は、FSYが9.0Å、FSKが13.8Åであった(
図2B)。これらの長さをガイドとして用いて、本発明者らは、ホモ二量体タンパク質である大腸菌グルタチオントランスフェラーゼ(ecGST)に対するそれらのタンパク質間架橋能を試験した。FSY又はFSKを、先ず二量体界面のecGSTの103位に組み込み、その付近で他の単量体のHis106及びLys107を潜在的な標的残基とした。ecGSTの結晶構造に基づいて、残基103のCαは、His106のδ-N原子から8.5Åであり、Lys107のε-N原子から6.0Åである。(参考文献20)。FSYを組み込んだ場合に強いecGST二量体の架橋が見られたが、FSKを組み込んだ場合には明らかな二量体架橋は検出されず(
図12)、このことは、FSKが二量体界面の制限された空間においてあまりに近くに位置する標的の残基に適していないことを示している。
【0338】
本発明者らは次に、FSYには遠すぎる標的の残基を架橋するFSKの能力を試験した。本発明者らは、その周りに複数の求核性残基(Lys93、Tyr100、Lys132、Tyr135)が存在し、α炭素までの距離が9.2~13.3ÅであるecGSTの65位にFSY又はFSKを組み込むことを選択した(
図2C)。この距離は、FSKの反応には好都合であるが、FSYには遠すぎるはずである。実際に、65位にFSY又はFSKを組み込んだ後、本発明者らは、FSKが有意なecGST二量体架橋を誘導するが、FSYは誘導しないことを見出した(
図2D)。本発明者らはまた、Tyr92及びTyr72がそれぞれ9.5Å及び11.3Å離れて位置するecGSTの86位にFSK又はFSYを組み込んだ(
図13A)。同様の結果が得られ、FSKはecGSTを架橋して二量体にしたが、同じ位置に組み込まれたFSYは明らかな架橋を誘導しなかった(
図13B)。
【0339】
ホモ二量体ecGSTを架橋することに加えて、本発明者らはまた、ヘテロなタンパク質の相互作用におけるFSY及びFSKの架橋能を比較した。大腸菌チオレドキシン(Trx)は、3’-ホスホアデノシン-5’-ホスホ硫酸(PAPS)レダクターゼと相互作用する。本発明者らは、以前に、大腸菌Trxの60位にFSYを組み込んでも、TrxをPAPSレダクターゼと効率的には架橋できないことを見出した。(参考文献7)。PAPSとの複合体におけるTrxの構造の検討から、最も近い可能な標的の残基はPAPSのHis242であり、それはTrxの残基60のCαから12.2Å離れていることが示された。は(参考文献21)。したがって、本発明者らは、同じ部位へのFSKの組み込みが、FSKの長い可撓性アームによって架橋効率を改善するかどうかを試験した。満足なことに、FSYではわずかな架橋しか検出できなかったが、FSKではウェスタンブロットにおいてTrxとPAPSレダクターゼとの間を強固に架橋することができた(
図14)。
【0340】
次に、本発明者らは、FSKがどの求核性の天然の残基と反応し得るかを調べた。本発明者らは、Ala97のCαからLys44のNεの距離が11.7ÅであるsjGSTタンパク質の残基対Ala97及びLys44を使用して、その残基特異性を試験した。(参考文献22)。本発明者らは、Lys44をHis、Tyr、Ala、Ser、又はThrに変異させて一連の変異型を作製し、またFSKを97位に組み込んだ(
図2E)。ウェスタンブロット解析から、FSKがHis、Tyr、Lys残基と架橋して、安定なsjGST二量体を形成することが示された(
図2F)。以前に報告されたように、FSYもまた、His、Tyr、及びLysと安定な架橋を形成する。(参考文献7)。FSY及びFSKは両方とも同じアリールフルオロ硫酸基を含むように設計されていることから、FSYとFSKには同じ反応性が予想される。更に、本発明者らはまた、これらの変異型の97位にFSYを組み込んだが、何ら明確な二量体sjGST架橋が観察されず(
図2F)、FSKとFSYとの間の距離の差が更に裏付けられた。まとめると、FSKは、FSYと同じ多標的の反応特異性を有し、FSYでは到達不可能な距離でのタンパク質の架橋を可能にした。
【0341】
FSKは、分子内でのタンパク質の共有結合を可能にする。
ペプチド又はタンパク質内への分子内架橋の遺伝的な導入は、熱安定性及び細胞透過性などの特性を操作するためにタンパク質の残基をステープル留め又は架橋する革新的な方法である。現在の方法は、主に、2つのCys残基間のジスルフィド結合形成、又は生体反応性のUaa上に導入されたハロゲン若しくはマイケル受容体によるCysのチオール基の標的化に依存している。このことにより、架橋されたペプチド又はタンパク質について生成できるコンフォメーション及び立体配置の数が大きく制限される。FSKは、タンパク質中にCysよりも豊富な複数の求核性残基と反応し、好ましいより長い反応アームを有するため、本発明者らは、FSKが、タンパク質の遺伝的にコードされた分子内架橋についての架橋パターンの多様性を拡大すると推論した。概念の実証として、本発明者らは、モデルタンパク質のユビキチンに対するFSKの分子内架橋能力を検討した。本発明者らは、Lys29との近接のためにユビキチン(Ub)の18位にFSKを組み込んだ(
図3A)。(参考文献23)。インタクトなタンパク質の質量分析は20Daの質量損失を有する主要なピーク(強度75%)を示し、分子内架橋の形成の成功を示唆した(
図3B)。Ubの結晶構造から予測されるように、FSKとLys29との間で架橋が生じたかどうかを決定するために、本発明者らは更に、架橋されたUb(18FSK)をトリプシン消化し、高分解能のタンデム質量分析を用いて分析した。架橋ペプチドがタンデム質量分析によって同定され(示さず)、架橋ペプチドの一連のb及びyイオンによって、FSK18がUb中のLys29と反応したことが明白に示された。この架橋ペプチドに加えて、本発明者らはまた、FSK組み込みペプチドを同定し(タンデム質量の分析結果は示さず)、それは他のペプチドとはランダムに反応せず、分子内タンパク質架橋の生成におけるFSKの高い特異性を示した。
【0342】
FSK及びFSYは、様々な位置でのナノボディによるEGFR受容体の共有結合の標的化を可能にする。
細胞上の天然の受容体をインビボで抗体やナノボディなどの様々なタンパク質バインダーと共有結合で標的化する能力は、イメージング、診断、及び治療のための強力な手段を提供すると思われ、EGFRは様々ながんにおける貴重なマーカーであることから、本発明者らは、それをナノボディと共有結合で標的化することを目指した。(参考文献24)。FSK及びFSYは異なる反応距離を有することから、本発明者らは、FSK又はFSYをナノボディに組み込むことによってEGFRの異なる位置を標的化することができるはずである。E
25と複合体化したナノボディ7D12の結晶構造に基づいて、2つの位置のCαからHis359のδ-N原子の距離が、それぞれ11.9及び12.3Åであるので(
図4A)、本発明者らは、ナノボディ7D12の30位又は31位へのFSKの組み込みが、EGFRのHis359と架橋する可能性があると予測した。同様に、ナノボディ7D12の109位へのFSYの組み込みは、109位の残基のCαからLys443のε-N原子までの距離7.1Åを有する(
図4F)EGFRのLys443を標的とするはずである。この距離は、FSKに対してはうまく機能しないはずである。
【0343】
これらの予測を試験するために、本発明者らは、大腸菌中でFSKを7D12に組み込み、7D12(30FSK)及び7D12(31FSK)を高純度で単離した(
図14)。完全長7D12ナノボディは発現中にFSKを増殖培地に添加した場合にのみ得られ、精製ナノボディの質量分析により、FSKのみが組み込まれたことが確認された(
図4B)。次に、本発明者らは、7D12(30FSK)又は7D12(31FSK)をEGFRとインキュベートしてインビトロでの架橋を評価した。インキュベートしたサンプルのSDS-PAGE分析から、7D12(31FSK)とのインキュベーション後にEGFRのゲルバンドはほぼ完全にアップシフトしたが、7D12(30FSK)又は7D12(WT)とのインキュベーション後ではアップシフトしないことが示された(
図4C)。このアップシフトしたバンドは、ウェスタンブロットにおいて、EGFRとナノボディ7D12(31FSK)との共有結合架橋であることが確認された(
図4D)。これらの結果は、ナノボディ7D12(31FSK)が高い効率でEGFRを架橋したことを示している。比較すると、SDS-PAGE及びウェスタンブロット解析において、架橋距離の短い109位では、EGFRは、7D12(109FSY)によって架橋されたが、7D12(109FSK)では架橋されなかった(
図15)。更に、本発明者らはまた、7D12(31FSK)のがん細胞表面上に発現されるネイティブなEGFRレセプターを架橋する能力を評価した。ヒト類表皮癌細胞株A431を7D12(31FSK)又は7D12(WT)と共にインキュベートした。細胞溶解物のウェスタンブロット解析は、7D12(WT)は細胞と架橋できなかったが、7D12(31FSK)はEGFRと共有結合で架橋し、架橋効率が1~8時間で時間とともに増加したことを示している(
図4E)。これらの結果は、FSKとFSYが異なる反応距離で効率的な架橋を構築するように互いに補完することができ、ナノボディをEGFR受容体と不可逆的に結合させることができ、共有結合の様式で機能する新規なタンパク質ベースの診断薬及び治療薬の創出を可能にすることを示している。
【0344】
哺乳動物細胞におけるFSKの組み込み及び架橋
哺乳動物細胞におけるFSKの適用を可能にするために、本発明者らは、ヒトHeLa細胞におけるFSKの組み込み及びインビボでの架橋を試験した。FSKRSとtRNA
Pylを発現するプラスミドpNEU-FSKRSを、HeLa-EGFP(182TAG)レポーター細胞にトランスフェクトした。(参考文献26)。ゲノムに組み込まれたEGFP遺伝子の182TAGコドンの抑制によって、細胞を緑色蛍光にする全長EGFPが産生される。細胞培養物にFSKを添加した場合にのみ、共焦点顕微鏡を用いて細胞から強いEGFPの蛍光が観察された(
図5A)。抗EGFP抗体を用いた細胞溶解物のウェスタンブロット解析もまた、全長EGFPが、FSKを与えた細胞でのみ産生されたことを示し(
図5B)、EGFPへのFSKの組み込みを示した。
【0345】
本発明者らは次に、FSKの哺乳動物細胞環境におけるタンパク質の架橋について検討した。プラスミドpNEU-FSKRSを、GST(WT)、GST(86TAG)、又はGST(86TAG/92A)を発現するプラスミドpCDNA3.1と共にHEK293T細胞にコトランスフェクトし、細胞を1mMのFSKの存在下で増殖させた。細胞溶解物をウェスタンブロットで解析して、GST二量体架橋を検出した。
図5Cに示すように、GSTの86位へのFSKの組み込みは、GST二量体架橋を成功裏に与え、これは陰性対照のGST(WT)及びGST(86TAG/92A)では観察されなかった。これらの結果は、FSKを進化させたFSKRSを用いて哺乳動物系のタンパク質に組み込み、更に細胞中でのタンパク質の架橋に用いることができることを示している。
【0346】
FSY又はFSKによる化学架橋による大腸菌におけるTrxインタラクトームの同定
以前は、ハロアルカンUaaのみが保存されたシステインを含有するその基質タンパク質をプローブするために酵素の活性部位に組み込まれていた。FSKとFSYは、Lys、His、及びTyrに対する多標的の能力を有することから、本発明者らは、これらが、Cysを有さないが、相互作用界面にLys、His、又はTyrを有するより広い範囲の相互作用するタンパク質を捕捉するために使用できると推論した。更に、FSYとFSKは、活性部位又は結合界面の内側ではなく、結合界面の周辺に組み込むことができ、タンパク質相互作用との潜在的な干渉を最小限にすることができる。複合体タンパク質の環境におけるFSK及びFSYの反応距離の選択性を更に調べるために、本発明者らは、遺伝的にコードされた化学的架橋(GECX)によって生細胞における酵素の未知の基質の同定におけるそれらの利用を検討した(
図17A)。具体的には、本発明者らは、FSK又はFSYを大腸菌細胞中のチオレドキシン(Trx)の59位又は62位に組み込んだ。これらの2つの位置はTrxの活性部位から離れており、Trxとその基質との結合界面の周辺に位置している可能性が高い。62位に組み込んだ場合に、WTのTrxと比較して、FSKとFSYの両方は可能性のある基質タンパク質を効率的に架橋した(
図16)。これらの架橋タンパク質を取り出して、トリプシンで消化し、タンデム質量分析で分析した。架橋タンパク質の解析のためにOpenUaaソフトウェアを使用して、本発明者らは、Trx(FSK)サンプル及びTrx(FSY)サンプルからTrxの12個の基質タンパク質を同定した。これらの基質タンパク質の中で、AHPC、TPX、SDHA、HPTG、CH10は、以前に報告された公知のTrx基質である。(参考文献27)。FSK又はFSYの使用によって、DNAK、APHC、及びTPXなど、Trxのいくつかの重複する基質が存在する。しかし、FSK及びFSYは、同じ基質タンパク質AHPC及びDNAKに対して異なる残基選択性を示した。これらの重複する基質タンパク質の他に、FSK及びFSYはそれぞれ、それ自体の別の9つの異なる基質を有した(表1~2)。これらの結果は、複合体タンパク質の環境において基質を同定する際のFSY及びFSKの明確かつ相補的な価値を示している。
【0347】
表1(FSK)及び表2(FSY)に、Trxの基質タンパク質及びFSK又はFSYによって架橋されたそれらのペプチドを特定し、ここで太字下線は架橋残基であり、配列番号18中の小文字下線はIAMによってアルキル化されたCysである。
【0348】
【0349】
【0350】
考察
要約すると、本発明者らは、大きく離れたタンパク質残基の共有結合のための、新規なフルオロ硫酸を含有する潜在性の生体反応性Uaa、FSKを開発した。以前に開発された多標的の生体反応性UaaであるFSYが、FSYのより短い反応半径によって、共有結合の架橋を生成することができなかった場所に、FSKは、そのより長く柔軟な側鎖によって効率的に共有結合で連結することができた。この拡張によって、顕著により広い範囲のタンパク質の部位を共有結合で連結することができる。タンパク質間架橋に加えて、FSKはまた、分子内架橋のためにも使用でき、これにより、タンパク質の架橋パターンの多様性を大きく拡張して、新規なタンパク質特性の操作を促進する。更に、本発明者らは、FSKをナノボディに組み込むことに成功し、それらをEGFRに対する共有結合バインダーに変換し、それはインビトロで、またがん細胞の表面上でEGFRに不可逆的に結合し、それによりがんのイメージング及び治療のための新規な手段を提供し得る。最後に、本発明者らは、細菌及び哺乳動物細胞の両方において、FSKをタンパク質に組み込むことができ、共有結合でタンパク質の架橋を生成し得ることを実証した。His、Lys、及びTyrに対する同じ多標的の能力を共有する一方で、FSKは、より長くより柔軟な側鎖でFSYを補完する。それらは共に、ほとんど全てのタンパク質及びタンパク質-タンパク質相互作用について、SuFExケミストリーによる共有結合を生成するための強力な潜在的生体反応性の系を提供することができる。従って、本発明者らは、FSKが基礎的な生物学的研究並びにタンパク質工学において大きな用途を有することを期待している。
【0351】
実験手順
試薬及び分子生物学
Integrated DNA Technologies(IDT)によって、プライマーは合成されて精製され、プラスミドはGENEWIZによって配列決定された。全ての分子生物学試薬は、New England Biolabs又はVazymeから入手した。His-HPR抗体、GFPモノクローナル抗体、GAPDH-HRP抗体はProteinTech Groupから入手した。pBAD-ユビキチン(6TAG)及びpBAD-ecGST
WT及びecGST変異型を以前に記載されたように使用した。(Liuら,Journal of the American Chemical Society 2019,141(24),9458~9462)。ecGST
HindIII-pcDNA及びecGST Xhol-pcDNAプライマーを使用して、ecGST WT及びecGST(86TAG)、ecGST(86TAG/92A)、ecGST(86TAG/92A/72A)をpcDNA
3.1にクローニングした。クローニングに使用したプライマーを
図6に示す。
【0352】
FSKRSアミノ酸の配列を配列番号2に示す。
【0353】
配列番号2
MTVKYTDAQI QRLREYGNGT YEQKVFEDLA SRDAAFSKEM SVASTDNEKK
IKGMIANPSR HGLTQLMNDI ADALVAEGFI EVRTPIFISK DALARMTITE
DKPLFKQVFW IDEKRALRPM LAPNLGSVAR DLRDHTDGPV KIFEMGSCFR
KESHSGMHLE EFTMLNLFDM GPRGDATEVL KNYISVVMKA AGLPDYDLVQ
EESDVYKETI DVEINGQEVC SAAVGPTPID AAHDVHEPWS GAGFGLERLL
TIREKYSTVK KGGASISYLN GAKIN
【0354】
sfGFP(2TAG)。プライマーsfGFP2TAG For及びsfGFP2TAG Revを使用して、pBAD-sfGFP(2TAG)(配列番号28、ここで太字下線:2位のアンバーコドンTAG)を構築した。
【0355】
【0356】
ecGST(86TAG)。プライマーecGST NdeI~GST86TAG-Revを使用して、オーバーラップPCRによってpBAD-ecGST(86TAG)を構築した。(配列番号29、ここで太字下線:86位のアンバーコドンTAG)
【0357】
【0358】
ecGST(65TAG)。pBAD-ecGST(65TAG)を、プライマーecGST65TAG-For及びecGST65TAG-Revを用いた部位特異的変異導入によって構築した(配列番号30、ここで太字下線:65位のアンバーコドンTAG)。
【0359】
【0360】
ecGST(86TAG/92A)。pBAD-ecGST(86TAG/92A)を、プライマーecGST86TAG92A-For及びecGST86TAG92A-Revを用いた部位特異的変異導入によって構築した。(配列番号31、ここで太字下線:86位のアンバーコドンTAG。太字イタリック体:92A)
【0361】
【0362】
ecGST(86TAG/92A/72A)。pBAD-ecGST(86TAG/92A/72A)を、プライマーecGST86TAG92A72A-For及びecGST86TAG92A72A-Revを用いた部位特異的変異誘導によって構築した。(配列番号32、ここで太字下線:86位のアンバーコドンTAG。太字イタリック体:72/92A)。
【0363】
【0364】
sjGST WT。pBAD-sjGST WTを、プライマーHR-sjGST NdeI及びHR-sjGST HindIIIを用いてクローニングした。(配列番号33)
【0365】
配列番号33
MTSMSPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEGDKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGAVLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDALDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPKSDLVPRGSHHHHHH
【0366】
sjGST(97TAG)及びsjGST(97TAG/44変異型)。pBAD-sjGST(97TAG)及びpBAD-sjGST(97TAG/44A)を、プライマーHR-sjGST NdeI、sjGST sjGST97TAG-For、sjGST97TAG-Rev、HR-sjGST
HindIII rev、sjGST44A-For、及びsjGST44A-Revによって構築し、プライマーセット44S-For、44S-Rev、44T-For、44T-Rev、44Y-For、44R-Rev、44H-For、44H-Revを用いて、pBAD-sjGST(97TAG/44S)、pBAD-sjGST(97TAG/44T)、pBAD-sjGST(97TAG/44Y)及びpBAD-sjGST(97TAG/44H)を調製した。(配列番号34、ここで、太字下線:97位のアンバーコドンTAG。太字イタリック体:対を形成したLys44及びそのA、S、T、H、Yへの変異。)
【0367】
【0368】
7D12。プライマー7D12 NdeI及び7D12 HindIIIを使用して、7D12 WTをpBADプラスミドにクローニングした。(配列番号35)
【0369】
配列番号35
MGQVKLEESG GGSVQTGGSL RLTCAASGRT SRSYGMGWFR QAPGKEREFV SGISWRGDST GYADSVKGRF TISRDNAKNT VDLQMNSLKP EDTAIYYCAA AAGSAWYGTL YEYDYWGQGT QVTVSS
【0370】
7D12(30TAG)。pBAD-7D12(30TAG)を、プライマー7D12 30TAG-For及び7D12 30TAG-REを用いた部位特異的変異導入によって構築した。(配列番号36、ここで、太字下線:30位のアンバーコドンTAG。)
【0371】
【0372】
7D12(31TAG)。pBAD-7D12(31TAG)を、プライマー7D12 31TAG-For及び7D12 31TAG-Revを用いた部位特異的変異導入によって構築した。(配列番号37、ここで太字下線:31位のアンバーコドンTAG)
【0373】
【0374】
ライブラリの構築及びFSKRS変異型の選択
FSKの組み込みに効率的な合成酵素をスクリーニングするために、プライマーMaPylRS NdeIからMaPylRS PstIを用いて、メタノメチロフィルス・アルバスのPylRS-tRNA合成酵素(配列番号1)の活性部位をランダム化して、FSKのスクリーニングのためのライブラリを作製した。FSKの組み込みにおけるオルソゴナルな合成酵素の選択は、先に記載した手順に従った。(Liuら,Journal of the American Chemical Society 2018,140(28),8807~8816、Liuら,Angewandte Chemie(International ed.in English)2018,57(39),12702~12706を参照)。候補ヒットを、プライマーHRpEVOL-For及びHRpEVOL-Revを用いてpEVOLプラスミドに再クローニングし、続いてpBAD-EGFP(182TAG)への組み込みの効率を調べた。ヒットについての組み込み効率を、600nmでのODで正規化した緑色蛍光(485nmで励起、528nmで発光)を読み取って比較した。以下の表3に示すように、4つの候補ヒットが同定された。
【0375】
配列番号1
MTVKYTDAQI QRLREYGNGT YEQKVFEDLA SRDAAFSKEM SVASTDNEKK IKGMIANPSR HGLTQLMNDI ADALVAEGFI EVRTPIFISK DALARMTITE DKPLFKQVFW IDEKRALRPM LAPNLYSVMR DLRDHTDGPV KIFEMGSCFR KESHSGMHLE EFTMLNLVDM GPRGDATEVL KNYISVVMKA AGLPDYDLVQ EESDVYKETI DVEINGQEVC SAAVGPHYLD AAHDVHEPWS GAGFGLERLL TIREKYSTVK KGGASISYLN GAKIN
【0376】
【0377】
EGFP(182TAG)、sfGFP(151TAG)、sfGFP(2TAG)へのFSKの組み込み
pBAD-sfGFP(2TAG)、pBAD-sfGFP(151TAG)又はpBAD-EGFP(182TAG)をpEVOL-FSKRSと共にDH10bに同時形質転換し、50μg/mLのカナマイシンと34μg/mLのクロラムフェニコールを添加したLB寒天プレートに播種した。単一コロニーを採取して、1mLの2xYT(5g/LのNaCl、16g/Lのトリプトン、10g/Lの酵母抽出物)に接種した。細胞を37℃、220rpmで十分に通気しながら一晩置いてODが0.5になるまで増殖させた。翌朝、細胞を、1mMのFSKを含む又は含まない、適切な抗生物質、0.2%アラビノースを補充した新鮮な2XYT中に10倍に希釈した。次いで、細胞を30℃で6時間又は18℃で一晩のいずれかで誘導した。蛍光を、上記のようにプレートリーダーで検出した。
【0378】
発現及び精製のためのタンパク質へのFSKの一般的組み込み
ユビキチン(6TAG)、ユビキチン(18TAG)、7D12(30TAG)、及び7D12(31TAG)へのFSKの組み込みについての形質転換の手順は上記と同じである。形質転換後、単一コロニーを採取して、37℃、220rpmで一晩増殖させた。翌朝、細胞培養物を100倍に希釈し、次いで、十分に通気し、適切な抗生物質を選択して、30~100mLのスケールでODが0.5になるまで再増殖させた。次いで、培地に1mMのFSKを含む又は含まない0.2%アラビノースを添加して、18℃、220rpmで18時間、18℃又は30℃で6時間発現させた。IMACクロマトグラフィーを使用してタンパク質を精製した。そして、Liuら,Journal of the American Chemical Society 2019,141(24),9458~9462に記載されている手順を行った。
【0379】
大腸菌内でのタンパク質の架橋におけるecGST、sjGST及びそれらの変異型へのFSK及びFSYの利用
生きている大腸菌の細胞内でのecGST又はsjGST及びそれらの変異型の架橋をプローブするため。pBAD-ecGST WT、pBAD-ecGST(86TAG)、pBAD-ecGST(65TAG)、pBAD-ecGST(86TAG/92A)、pBAD-ecGST(86TAG/92A/72A)、又はsjGST WT、sjGST(97TAG)、sjGST(97TAG/44A、S、T、H、又はY)をpEVOL-FSYRS又はpEVOL-FSKRSのいずれかと共にDH10b細胞に同時形質転換した。ODが約0.5になるまで細胞が増殖したときに、FSY又はFSKをそれぞれ0.2%アラビノースと共に細胞に添加して誘導した。細胞をタンパク質発現のために37℃で6時間増殖させ、次いで、これをベンチトップ型の遠心分離機で遠心分離して回収し、100mMのDTTを含有する2xSDSローディングダイで処理して、95℃で5分間煮沸した。架橋によるGSTの二量体化を、抗his抗体を用いたウェスタンブロットによってモニターした。
【0380】
7D12へのFSY又はFSKの組み込み
pBAD-7D12(xxxTAG、ここでxxxは組み込み位置を示す)を、pEVOL-FSYRS(FSYの組み込み用)又はpEVOL-FSKRS(FSKの組み込み用)と共にDH10bに同時形質転換し、50μg/mLのカナマイシンと34μg/mLのクロラムフェニコールを補充したLB寒天プレートに播種した。形質転換後、単一コロニーを採取して、37℃、220rpmで一晩増殖させた。翌朝、細胞培養物を100倍に希釈し、次いで、十分に通気し、適切な抗生物質を選択して、30~100mLのスケールでODが0.5になるまで再増殖させた。次いで、培地に1mMのFSY又はFSKを含む又は含まない0.2%アラビノースを添加し、30℃で12時間発現させた。Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーを用いてタンパク質を精製した。
【0381】
7D12及びEGFRのインビトロでの架橋
7D12とEGFRのインビトロでの架橋を調べるために、精製した2μMの7D12 WT、7D12(30FSK)又は7D12(31FSK)を、pH7.4、15μLの1xPBS中で、それぞれ500nMの組換えヒトEGFRタンパク質(Abcam、カタログ番号ab155726)と共にインキュベートした。37℃で16時間インキュベートした後、サンプルを最終1xSDSローディングダイで処理し、95℃で5分間煮沸した。架橋を、クマシーブルーSDS-PAGE又は1:10000抗his抗体を用いたウェスタンブロットを行なって調べた。
【0382】
7D12とEGFRの細胞内での架橋
EGFRを過剰発現したA431哺乳動物細胞への7D12の直接架橋のために、A431細胞を24ウェルプレートに播種し(ウェル当たり2×106細胞)、37℃で一晩培養した。細胞を1μMの7D12及び7D12(31TAG)で1、2、4、8及び12時間処理した。トリプシンで消化した後、細胞を300gで5分間遠心分離して収集し、1×のプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む100μLのRIPA緩衝液を添加して溶解させた。サンプルをSDS-PAGE上で分離し、1:10000抗his抗体を用いたウェスタンブロットで検出した。抗GAPDH抗体を参照タンパク質として使用した。
【0383】
Hela GFP(182TAG)へのFSKの遺伝的組み込み
細胞集団が80%コンフルエンスに達したときに、プラスミドpNEU-FSKRS(1μg)を、2mLのRPMI1640培地中、3μLのポリエチレンイミン(PEI)でHela-GFP182(TAG)細胞にトランスフェクトした。ブランクのHela-GFP182(TAG)細胞群を陰性対照として使用した。トランスフェクションの6時間後に細胞を1mMのFSKで処理して、あるいは処理せずに、更に48時間培養した。細胞を1XPBSで1回洗浄して、顕微鏡画像解析を行なった後、回収して、抗GFP抗体を用いてウェスタンブロットを行った。抗GAPDH抗体を参照タンパク質として使用した。
【0384】
哺乳動物細胞におけるecGST変異型へのFSKの遺伝的組み込み
哺乳動物細胞におけるタンパク質の架橋をプローブするため。細胞集団が80%コンフルエンスに達したときに、プラスミドpNEU-FSKRS(1.5μg)を、1μgの
pCDNA3.1 ecGST WT、1.5μgのecGST(86TAG)、1.5μgのecGST(86TAG/92A)、及び1.5μgのecGST(86TAG/92A/72A)とそれぞれ、2mLのDMEM培地中、9μLのポリエチレンイミン(PEI)でHEK(293T)細胞にコトランスフェクトした。トランスフェクションの6時間後に細胞を1mMのFSKで処理して、あるいは処理せずに、更に48時間培養した。細胞を回収して、抗His抗体を用いてウェスタンブロットを行った。抗GAPDH抗体を参照タンパク質として使用した。
【0385】
質量分析
質量分析測定は、前記のように行った。(Lieら,Journal of the American Chemical Society 2017,139(9),3430~3437)。簡潔には、エレクトロスプレーイオン化質量分析では、インタクトなタンパク質の質量スペクトルを、LC-20AD(Shimazu)液体クロマトグラフィーユニットに接続され、ポジティブエレクトロスプレーイオン化(+ESI)モードで動作するQTOF Ultima(Waters)質量分析計を使用して得た。タンパク質サンプルを、Waters Xbridge BEH C4カラム(300Å、3.5μm、2.1mmx50mm)上で、0.1%ギ酸を含む30~71.4%のアセトニトリル勾配を用いて、逆相クロマトグラフィーによって小分子から分離した。各分析は、室温で0.2mL/分の一定流速下、25分で行なった。データは、350から2500までのm/zで、1秒/スキャンの速度で取得した。あるいは、スペクトルを、Waters ACQUITY UPLC Protein BEH C4逆相カラム(300Å、1.7μm、2.1mmx150mm)でXevo G2-S QTOFによって取得した。0.1%のギ酸を含む5%~95%のアセトニトリル勾配を、5分間の実行時間にわたって、室温で0.5mL/分の一定流速で使用した。スペクトルは、350から2000までのm/zで、1秒/スキャンの速度で取得した。MassLynxで最大エントロピーを使用してスペクトルをデコンボリューションした。タンデム質量分析では、Ultimate 3000 LCシステムと接続したQ Exactive Orbitrapを使用して、ペプチドの分析及び配列決定を行った。Q Exactive Orbitrapによるデータ取得は以下の通りであった。10μLのトリプシン消化タンパク質をオートサンプラーを介して,Ace UltraCore super C18逆相カラム(300Å、2.5μm、75mm×2.1mm)にロードした。0.1%ギ酸を含む5%~95%のアセトニトリル勾配を、45分の実行時間にわたって、室温で、0.2mL/分の一定流速で使用した。MSデータを、28、30、35eVの段階的に正規化された衝突エネルギーを使用して、HCDの断片化のためのサーベイスキャンから最も豊富な前駆体イオンを動的に選択するデータ依存トップ10法を使用して取得した。Q Exactive上、200のm/zにおいて70,000の分解能でサーベイスキャンを取得した。ペプチドの同位体パターンの理論的パターンは、UCSF MS-ISOTOPE(http://prospector.ucfs.edu)又はenviPat Web2.1(Loosら,Analytical Chemistry 2015,87(11),5738~5744)を用いて計算した。
【0386】
実施例2
アリールフルオロ硫酸の合成は、[4-(アセチルアミノ)フェニル]イミドジスルフリルジフルオリド(AISF)試薬を使用して硫黄(IV)フッ化物を合成する最近の方法に基づいていた。フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(5、FSK)の合成スキームを
図18に示す。
【0387】
4-((フルオロスルホニル)オキシ)安息香酸(2)の合成。200mLの丸底フラスコに、4-ヒドロキシ安息香酸(1、1.38g、10mmol)及び[4-(アセチルアミノ)フェニル]-イミドジスルフリルジフルオリド(AISF)試薬(3.78g、12mmol、1.2当量)を加えた。混合物を無水テトラヒドロフラン50mLに溶解し、撹拌しながら1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(3.35mL、22mmol、2.2当量)を滴下した。次いで、溶液を室温で20分間撹拌した。次いで、反応物を50mLの酢酸エチルで希釈し、1MのHCl(100mLx2)及び食塩水(100mLx1)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。次いで、粗生成物を、MeOH:CH2Cl2(1:100)を使用したカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物の4-((フルオロスルホニル)オキシ)安息香酸を白色固体(2、1.72g、7.8mmol、78%)として単離した。
【0388】
フルオロスルホニルオキシベンゾイル-L-リジン(5、FSK)の合成。4-((フルオロスルホニル)オキシ)安息香酸(2、0.22g、1mmol)の無水CH2CL2(15mL)溶液に、撹拌しながら、塩化オキサリル(0.21ml、2.5mmol、2.5当量)をアルゴン下、0℃で滴下した。次いで、ジメチルホルムアミド(0.1mL)を触媒として添加した。次いで、反応混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、溶液を真空下で濃縮して、黄色油状物を得た。粗4-(クロロカルボニル)フェニルスルホフルオリデート(3、約1mmol)を無水CH2Cl2(10mL)に再溶解させて0℃に冷却した。次いで、N-BOC-Lys-tBu(4、0.34g、1mmol、1当量)を加え、その後、Et3N(0.15mL、1.1mmol、1.1当量)を滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を20mLのH2Oでクエンチし、1MのHCl(20mLx2)で洗浄した。水層を合わせて酢酸エチル(50mLx2)で抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。次いで、粗生成物を、MeOH:CH2Cl2(1:100)を使用したカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物のN-BOC-FSK-tBuを黄色油状物として単離した(0.25g、0.50mmol、50%)。
【0389】
N-BOC-FSK-tBu(0.25g、0.50mmol)をシンチレーションバイアルに入れて、ジオキサン中の4MのHCl(10mL)に溶解させた。反応物を一晩撹拌した。生じた固体を濾別し、冷エーテル(10mLx2)で洗浄して、生成物のFSK-HClを白色固体として得た(5、158mg、0.41mmol、81%)。1H NMR(400MHz,D2O):δ(ppm)7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.59(d,J=8.8Hz,2H),3.99(t,J=6.0,1H),3.43(t,J=6.8Hz,2H),2.03-1.94(m,2H),1.72-1.66(m,2H),1.55-1.49(m,2H)。13C NMR(100MHz,D2O):δ(ppm)173.5,169.9,152.4,135.2,130.2,121.9,53.9,40.1,30.2,28.5,22.3。HR-ESI(+)m/z:C13H17FN2NaO6S[M+Na]+の計算値、371.0684;実測値371.0690。
【0390】
実施例3
FSKRS(配列番号2)のC端にHisx6タグを付加すると、FSKの組み込み効率が約96%増加した。FSKRSのN端にHisx6タグを付加しても、FSKの組み込み効率は増加しなかった。細胞を37℃で培養した場合、増加は安定していた。結果を
図19に示し、ここで、FL/ODは、左から右に、5410(FSKRS)、33563(FSKRS+)、7546(FSKRSNThis)、31379(FSKRSNThis+)、4746(FSKRSCThis)、及び65735(FSKRSCThis+)であり、ここで、FSKRSは配列番号2であり、FSKRS-NThisは配列番号86であり、FSKRS-CThisは配列番号87である。
【0391】
FSKの組み込みを18℃で試験した場合、1mMのFSKの存在下でのsfGFPの蛍光強度の増加は、
図20に示されるように、FSKRS-CThisx6においてFSKRSに対して有意ではなかった。
図20を参照すると、FSKRSの+UAAのFL/ODは71685であり、FSKRSの-UAAは3274であり、FSKRS-CThisの+UAAのFL/ODは76214であり、FSKRS-CThisの-UAAは2602であり、FSKRS-NThisの+UAAのFL/ODは53687であり、FSKRS-NThisの-UAAは4055であった。
【0392】
-FSKに対する+FSKの蛍光強度比は、FSKRS(21.9倍)よりもFSKRS-CTHisx6(29.3倍)の方が高く、これは主に、FSKが存在しない場合のFSKRS-CTHisx6のバックグラウンドが低いためである。FSKRS-NTHisx6についての-FSKに対する+FSKの蛍光強度比は13.2倍であった。37℃及び18℃での結果の比較から、FSKRSのC端に付加されたHisx6タグによって合成酵素の熱安定性が向上したことが示された。したがって、FSKの組み込み効率に対するHisx6タグの増加効果は、約18℃~約37℃の温度で有効である。実施形態において、温度は約25℃~約30℃である。
【0393】
sfGFP(151TAG)にFSYを組み込むためにFSYRSを用いて行なった同様の実験は、そのような効果を示さず、FSKRSに対するHisx6の効果が独特かもしれないことを示唆した。他のタグもFSKRSに対して同様の効果を有し得る。
【0394】
要約すると、FSKRSのC端にHisx6タグを付加することにより、37℃でのFSKの組み込み率が増加した。
【0395】
配列番号86(FSKRS-NTHis6)
MHHHHHHTVKYTDAQIQRLREYGNGTYEQKVFEDLASRDAAFSKEMSVASTDNEKKIKGMIANPSRHGLTQLMNDIADALVAEGFIEVRTPIFISKDALARMTITEDKPLFKQVFWIDEKRALRPMLAPNLGSVARDLRDHTDGPVKIFEMGSCFRKESHSGMHLEEFTMLNLFDMGPRGDATEVLKNYISVVMKAAGLPDYDLVQEESDVYKETIDVEINGQEVCSAAVGPTPIDAAHDVHEPWSGAGFGLERLLTIREKYSTVKKGGASISYLNGAKIN*
【0396】
配列番号87(FSKRS-CTHis6)
MTVKYTDAQIQRLREYGNGTYEQKVFEDLASRDAAFSKEMSVASTDNEKKIKGMIANPSRHGLTQLMNDIADALVAEGFIEVRTPIFISKDALARMTITEDKPLFKQVFWIDEKRALRPMLAPNLGSVARDLRDHTDGPVKIFEMGSCFRKESHSGMHLEEFTMLNLFDMGPRGDATEVLKNYISVVMKAAGLPDYDLVQEESDVYKETIDVEINGQEVCSAAVGPTPIDAAHDVHEPWSGAGFGLERLLTIREKYSTVKKGGASISYLNGAKINHHHHHH*
【0397】
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【0398】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示目的のみのためであり、それを考慮した様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】