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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】積層造形用金属粉末管理システム
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/39 20210101AFI20240312BHJP
   B22F 10/14 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/80 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/73 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20240312BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240312BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240312BHJP
   G01N 15/02 20240101ALN20240312BHJP
【FI】
B22F10/39
B22F10/14
B22F10/80
B22F10/73
B22F10/36
B22F10/34
B33Y10/00
B33Y40/00
G01N15/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553048
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022018337
(87)【国際公開番号】W WO2022187244
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,170
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519058147
【氏名又は名称】カーペンター テクノロジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ラシュトン,ジョン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ニコラス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】フェラー,ベン,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート,フランシス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウッダー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,フィリップ,アンソニー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA10
4K018AA14
4K018AA24
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA13
4K018BA20
4K018BB04
4K018BB07
4K018KA61
(57)【要約】
【課題】積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法を提供すること。
【解決手段】積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法。少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含む密閉粉末容器に、未使用の金属粉末が提供される。金属粉末は積層造形システムに移動され、金属粉末の層の一部が固化され、余剰金属粉末は、積層造形システムから、粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器に移動される。余剰金属粉末に、未使用の粉末又は第2の金属粉末が追加され、混成粉末の品質が確認され、このプロセスが少なくとも一回繰り返され、その後、これらのステップの少なくとも1つに関する粉末の物理的移動データが収集され、データリポジトリに保存される。粉末材料パラメータが測定され、評価されてもよく、また、粉末材料パラメータはデータリポジトリに保存されてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法であって、
a)積層造形に適した未使用の金属粉末を取得するステップであって、前記金属粉末が、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含む密閉粉末容器内に配置されている、取得するステップと、
b)前記粉末容器を、自動金属粉末移動システムを備えた積層造形システムに接続して、粉末移動を閉ループで実施するステップであって、前記自動金属粉末移動システムが、空気圧コントローラ又は電子コントローラの少なくとも一方によって制御可能であり、かつ、前記積層造形システムへの計量された量の金属粉末の供給を制御するように適合されている、実施するステップと、
c)前記粉末容器から前記積層造形システムに金属粉末を供給するステップと、
d)前記積層造形システムを作動させて、前記積層造形システムのビルドプレート上に前記金属粉末の少なくとも1つの層を形成するステップと、
e)前記少なくとも1つの金属粉末の層の一部を固化させるステップであって、前記金属粉末の層の余剰部分が粉末の形で残される、固化させるステップと、
f)ステップd)とe)を少なくとも1回繰り返すステップと、
g)余剰金属粉末を、前記積層造形システムから、前記粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器へ移動させるステップと、
h)前記粉末容器、第2の粉末容器、又は前記内部粉末容器内の前記余剰金属粉末に未使用の金属粉末を追加して、混成粉末を形成するステップと、
i)前記混成粉末の品質を確認するステップと、
j)確認済みの混成粉末を用いて、ステップb)~i)を少なくとも1回繰り返すステップと、
k)ステップa)~j)のうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データを収集するステップと、
l)前記粉末の物理的移動データをデータリポジトリに保存するステップと
を含み、
ステップa)~l)の各々において、前記少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置は、電子的にアクセス可能である、閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサーは、前記粉末容器内の酸素、前記粉末容器内の温度、前記粉末容器内の湿度、前記粉末容器内の圧力、前記粉末容器内の粉末の色、前記粉末容器内の前記粉末の形態、前記粉末容器内に配置された粉末のレベル、前記粉末容器内に配置された前記粉末の質量、又は前記粉末容器内に配置された粉末の汚染の少なくとも1つを測定するように適合されている、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項3】
ステップa)~l)の間、前記粉末及び余剰粉末を不活性雰囲気下に維持することをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項4】
前記余剰粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項5】
ステップb)~i)を繰り返すステップj)の前に、前記混成粉末をふるいにかけることをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項6】
確認の前に、前記混成粉末を混合することをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項7】
前記粉末容器から前記積層造形システムへ金属粉末を供給するステップc)は、前記積層造形システム内の粉末貯蔵格納庫に前記金属粉末を供給することを含み、供給される金属粉末の量は、ステップd)において金属粉末の少なくとも2つの層を形成するのに十分である、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項8】
固化させるステップd)は、結合、焼結、又は溶融のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項9】
前記混成粉末の品質を確認することは、(i)前記混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定し評価すること、又は(ii)粉末の物理的移動データを調べることのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項10】
前記混成粉末の前記少なくとも1つの粉末材料パラメータを、前記データリポジトリに保存することをさらに含む、請求項9に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項11】
前記混成粉末の前記少なくとも1つの粉末材料パラメータは、格子間元素化学、置換元素化学、微量元素分析、見かけ密度、タップ密度、粒度分布、湿度、粉末形状、粉末形態、ホールフロー、カーニーフロー、ふるい仕様、トラップガス含有量、レオメトリー安定性指数、及び安息角からなる群から選択される、請求項9に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項12】
前記混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することは、光学画像を取り込むこと、走査型電子顕微鏡画像を取り込むこと、断面画像を取り込むこと、クーロメトリック滴定を実施すること、又はピクノメトリー測定を実施することのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項13】
前記粉末の物理的移動データは、粉末貯蔵データ、積層造形システムの識別情報、前記粉末が前記積層造形システムに供給された回数、及び前記粉末が未使用の金属粉末と混成された回数のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項14】
ステップa)~j)のうちの少なくとも1つに関連するプロセスデータを収集することをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項15】
前記収集したプロセスデータを前記データリポジトリに保存することをさらに含む、請求項14に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項16】
前記プロセスデータが、前記固化ステップc)におけるレーザー出力、前記固化ステップc)におけるレーザーの速度、又はステップd)において形成された層の厚みのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項17】
前記混成粉末の品質を確認することは、前記収集したプロセスデータを調べることをさらに含む、請求項14に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項18】
前記密閉粉末容器は出荷粉末容器からなり、前記未使用の金属粉末は、その製造後に前記出荷粉末容器に入れて出荷される、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項19】
ステップa)の前に、出荷粉末容器から前記密閉粉末容器へ未使用の金属粉末を移動させることをさらに含む、請求項1に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項20】
積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法であって、
a)積層造形に適した第1の金属粉末を取得するステップであって、前記第1の金属粉末が、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含む密閉粉末容器内に配置されている、取得するステップと、
b)前記粉末容器を、自動金属粉末移動システムを備えた積層造形システムに接続して、粉末移動を閉ループで実施するステップであって、前記自動金属粉末移動システムが、空気圧コントローラ又は電子コントローラの少なくとも一方によって制御可能であり、かつ、前記積層造形システムへの計量された量の金属粉末の供給を制御するように適合されている、実施するステップと、
c)前記粉末容器から前記積層造形システムに金属粉末を供給するステップと、
d)前記積層造形システムを作動させて、前記積層造形システムのビルドプレート上に前記金属粉末の少なくとも1つの層を形成するステップと、
e)前記少なくとも1つの金属粉末の層の一部を固化させるステップであって、前記金属粉末の層の余剰部分が粉末の形で残される、固化させるステップと、
f)ステップd)とe)を少なくとも1回繰り返すステップと、
g)余剰金属粉末を、前記積層造形システムから、少なくとも1つの余剰粉末容器センサー、余剰粉末容器追跡装置、又は余剰粉末容器光学装置を含む余剰粉末容器に移動させるステップと、
h)前記余剰粉末容器に第2の金属粉末を追加して、混成粉末を形成するステップと、
i)前記余剰粉末容器内の前記混成粉末の品質を確認するステップと、
j)前記余剰粉末容器内に配置された確認済みの混成粉末を用いて、ステップb)~i)を少なくとも1回繰り返すステップと、
k)ステップa)~j)のうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データを収集するステップと、
l)前記粉末の物理的移動データをデータリポジトリに保存するステップと
を含み、
ステップa)~l)の各々において、前記少なくとも1つのセンサー、追跡装置、光学装置、余剰粉末容器センサー、余剰粉末容器追跡装置、又は余剰粉末容器光学装置は、電子的にアクセス可能である、閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項21】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末が、同じ組成を有する、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項22】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末は、それぞれ単一のバッチからのものである、請求項21に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項23】
前記第1の金属粉末と前記第2の金属粉末は、異なるバッチからのものである、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項24】
前記第1の金属粉末は、未使用の金属粉末である、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのセンサーは、前記粉末容器内の酸素、前記粉末容器内の温度、前記粉末容器内の湿度、前記粉末容器内の圧力、前記粉末容器内の粉末の色、前記粉末容器内の前記粉末の形態、前記粉末容器内に配置された前記粉末のレベル、前記粉末容器内に配置された前記粉末の質量、又は前記粉末容器内に配置された前記粉末の汚染のうちの少なくとも1つを測定するように適合されている、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項26】
前記余剰粉末容器は、内部粉末容器又は外部粉末容器からなる、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項27】
ステップa)~l)の間、前記第1の金属粉末、第2の金属粉末、余剰金属粉末及び混成粉末を不活性雰囲気下に維持することをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項28】
前記余剰金属粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項29】
ステップb)~i)を繰り返すステップj)の前に、前記混成粉末をふるいにかけることをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項30】
確認の前に、前記混成粉末を混合することをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項31】
前記粉末容器から前記積層造形システムに金属粉末を供給するステップc)は、前記積層造形システム内の粉末貯蔵格納庫に前記金属粉末を供給することを含み、供給される金属粉末の量は、ステップd)において金属粉末の少なくとも2つの層を形成するのに十分である、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項32】
固化させるステップd)は、結合、焼結、又は溶融のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項33】
前記混成粉末の品質を確認することは、(i)前記混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定し、評価すること、又は(ii)前記粉末の物理的移動データを調べることのうちの少なくとも一方を含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項34】
前記混成粉末の前記少なくとも1つの粉末材料パラメータを前記データリポジトリに保存することをさらに含む、請求項33に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項35】
前記粉末の物理的移動データは、粉末貯蔵データ、前記積層造形システムの識別情報、前記粉末が前記積層造形システムに供給された回数、及び前記粉末が前記第2の粉末と混成された回数のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項36】
ステップa)~j)のうちの少なくとも1つに関連するプロセスデータを収集することをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項37】
前記収集したプロセスデータを前記データリポジトリに保存することをさらに含む、請求項36に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項38】
前記プロセスデータは、前記固化ステップc)におけるレーザー出力、前記固化ステップc)におけるレーザーの速度、又はステップd)において形成された層の厚みのうちの少なくとも1つを含む、請求項36に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項39】
前記混成粉末の品質を確認することは、前記収集したプロセスデータを調べることをさらに含む、請求項36に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項40】
前記混成粉末の前記少なくとも1つの粉末材料パラメータは、格子間元素化学、置換元素化学、微量元素分析、見かけ密度、タップ密度、粒度分布、湿度、粉末形状、粉末形態、ホールフロー、カーニーフロー、ふるい仕様、トラップガス含有量、レオメトリー安定性指数、及び安息角からなる群から選択される、請求項33に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項41】
前記混成粉末の前記少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することは、光学画像を取り込むこと、走査型電子顕微鏡画像を取り込むこと、断面画像を取り込むこと、クーロメトリー滴定を実施すること、又はピクノメトリー測定を実施することのうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項42】
前記密閉粉末容器は出荷粉末容器からなり、前記第1の金属粉末は、その製造後に前記出荷粉末容器に入れて出荷される、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項43】
前記第1の粉末は未使用の粉末であり、ステップa)の前に、前記第1の金属粉末を出荷粉末容器から前記密閉粉末容器へ移動させることをさらに含む、請求項20に記載の閉ループ金属粉末管理方法。
【請求項44】
積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法であって、
a)自動金属粉末移動システムを使用して、積層造形に適した未使用の金属粉末を、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含むホッパーから、少なくとも1つの容器センサー、容器追跡装置、又は容器光学装置を含む密閉粉末容器に移動させるステップと、
b)前記粉末容器を積層造形システムに接続して、粉末移動を閉ループで実施するステップと、
c)前記粉末容器から前記積層造形システムへ金属粉末を供給するステップと、
d)前記積層造形システムを作動させて、前記積層造形システムのビルドプレート上に前記金属粉末の少なくとも1つの層を形成するステップと、
e)前記少なくとも1つの金属粉末の層の一部を固化させるステップであって、前記金属粉末の層の余剰部分が粉末の形で残される、固化させるステップと、
f)ステップd)とe)を少なくとも1回繰り返すステップと、
g)余剰金属粉末を、前記積層造形システムから、前記粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器へ移動させるステップと、
h)前記粉末容器、前記第2の粉末容器、又は前記内部粉末容器内の前記余剰金属粉末に未使用の金属粉末を追加して、混成粉末を形成するステップと、
i)前記混成粉末の品質を確認するステップと、
j)確認済みの混成粉末を用いて、ステップb)~i)を少なくとも1回繰り返すステップと、
k)ステップa)~j)のうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データを収集するステップと、
l)前記粉末の物理的移動データをデータリポジトリに保存するステップと
を含み、
ステップa)~l)の各々において、前記少なくとも1つのセンサー、追跡装置、光学装置、容器センサー、容器追跡装置、又は容器光学装置は、電子的にアクセス可能である、閉ループ金属粉末管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年3月1日に出願された米国仮特許出願第63/155,170号の優先権及びその利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[背景]
積層造形は一般に、材料(単数又は複数)の層を構築することにより3D物体を製造するプロセスに関する。従来、材料は、粉末(例えば、金属粉末)の形で積層造形機に供給され得る。
【0003】
粉末は、その加工性を得るために重要であることが知られている範囲の物理的特性及び化学的特性を有している。すなわち、粉末が積層造形に適するものになるか、それとも適しないものになるかは、粉末の加工性によって決まる。これらの特性のいくつかは材料自体に固有のものであるが、特性によっては、粉末の周囲環境の影響を受けるものがある。例えば、粉末の特性は、周囲の湿度、大気中の反応性ガス、他の粉末や異物のような汚染物質、静電気力、その他の外的要因の影響を受けることがある。粉末の特性は積層造形物品の特性に影響を与えるため、品質の観点から、そうした要因を監視し制御することが重要である。
【0004】
さらに、積層造形では、粉末が、プロセスを通じて複数回にわたって再利用(リサイクル)される場合がある。粉末のリサイクルは、材料特性の検出可能な劣化又は変化に繋がり、その結果、処理能力や積層造形物品の最終品質にも、影響が及ぶ可能性がある。
【0005】
[概要]
本発明の種々の実施形態は、最初の製造から積層造形部品における最終的使用まで、ユーザーが金属粉末を追跡することを可能にする閉ループシステムを含む。このシステムは、金属粉末を制御された雰囲気下に維持し、詳細なトレーサビリティ、材料の系統分類、及び汚染、過剰な湿度、粉末の酸化、及び他の望ましくない事態に対するリスク管理のために、デジタル文書による品質管理を維持する。さらに、このシステムによれば、ユーザーは、未使用の(すなわち、使用されていない)金属粉末に、積層造形プロセスからリサイクルされた使用済み金属粉末を追加又は結合し、その品質を確認することができ、同時に、金属粉末を、材料のバッチ及びサブバッチの識別に至るまで追跡可能な関連する環境モニタリング及び文書による品質管理を伴う、制御された雰囲気又は不活性雰囲気下に維持することができる。
【0006】
本明細書に記載されるシステムの利点は、システム内で管理される金属粉末が、物理的移動履歴、環境条件、材料特性データ、プロセス履歴、及びその他の要因の任意の組み合わせに結び付けることが可能な固有のデジタルフィンガープリントを有する点である。これにより、ユーザーは、金属粉末の再利用、粉末のスクラップ、粉末の再試験などを、どのように進めるかについて、インテリジェントな決定を下すことができる。
【0007】
一態様において、本発明の種々の実施形態は、積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法に関する。この方法は、積層造形に適した未使用の金属粉末を取得することを含み、この金属粉末は、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、及び/又は光学装置を含む密閉粉末容器内に配置されている。粉末移動を閉ループで実施するために、粉末容器は、自動金属粉末移動システムを備えた積層造形システムに接続される。自動金属粉末移動システムは、空気圧及び/又は電子(例えば、プログラマブルロジック)コントローラによって制御可能であり、かつ、積層造形システムへの金属粉末の計量された量の供給を制御するように適合されている。
【0008】
粉末容器からの金属粉末は、積層造形システムに供給される。積層造形システムは、積層造形システムのビルドプレート上に金属粉末の少なくとも1つの層を形成するように作動される。少なくとも1つの金属粉末の層の一部は固化され、金属粉末の層の余剰部分が粉末の形で残される。これらの2つのステップが、少なくとも1回繰り返される。
【0009】
余剰金属粉末は、積層造形システムから、粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器に移動される。粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器内の余剰金属粉末に、未使用の金属粉末が追加され、混成粉末が形成される。混成粉末の品質が確認される。金属粉末を積層造形システムに接続することから始まる先のステップが、確認済みの混成粉末を用いて、少なくとも1回繰り返される。上記ステップのうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データが収集され、データリポジトリに保存される。これらのステップの各々において、センサー、追跡装置、及び/又は光学装置は、電子的にアクセス可能である。
【0010】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。少なくとも1つのセンサーは、粉末容器内の酸素、粉末容器内の温度、粉末容器内の湿度、粉末容器内の圧力、粉末容器内の粉末の色、粉末容器内の粉末の形態、粉末容器内に配置された粉末のレベル、粉末容器内に配置された粉末の質量、及び/又は粉末容器内に配置された粉末の汚染のうちの少なくとも1つを測定するように適合されている。
【0011】
金属粉末及び余剰金属粉末は、前記ステップの各々の間、不活性雰囲気下に維持される場合がある。
【0012】
余剰金属粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータが、測定されてもよい。
【0013】
確認済みの粉末を用いてステップを繰り返す前に、混成粉末は、ふるいにかけられてもよい。
【0014】
確認の前に、混成粉末は混合されてもよい。
【0015】
金属粉末を粉末容器から積層造形システムに供給することは、積層造形システム内の粉末貯蔵格納庫に金属粉末を供給することを含む場合があり、供給される金属粉末の量は、粉末の少なくとも2つの層を形成するのに十分なものとされる。
【0016】
金属粉末層の少なくとも一部を固化させることは、結合、焼結、及び/又は溶融を含み得る。
【0017】
混成粉末の品質を確認することは、(i)混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定し、評価すること、及び/又は、(ii)粉末の物理的移動データを調べることを含み得る。
【0018】
混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータは、データリポジトリに保存されてもよい。
【0019】
混成粉末の粉末材料パラメータは、格子間元素化学、置換元素化学、微量元素分析、見かけ密度、タップ密度、粒度分布、湿度、粉末形状、粉末形態、ホールフロー、カーニーフロー、ふるい仕様、トラップガス含有量、レオメトリー安定性指数、及び/又は安息角であってもよい。
【0020】
混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することは、光学画像を取り込むこと、走査型電子顕微鏡画像を取り込むこと、断面画像を取り込むこと、クーロメトリック滴定を実施すること、及び/又はピクノメトリー測定を実施することを含み得る。
【0021】
粉末の物理的移動データは、粉末貯蔵データ、積層造形システムの識別情報、金属粉末が積層造形システムに供給された回数、及び/又は粉末が未使用の金属粉末と混成された回数を含み得る。
【0022】
上記ステップのうちの少なくとも1つに関連するプロセスデータが収集され、データリポジトリに保存されてもよい。プロセスデータは、固化ステップにおけるレーザー出力、固化ステップにおけるレーザーの速度、及び/又は形成された層の厚みを含み得る。混成粉末の品質を確認することは、収集したプロセスデータを調べることを含み得る。
【0023】
密閉粉末容器は出荷粉末容器からなる場合があり、未使用の金属粉末は、その製造後に出荷粉末容器に入れて出荷されてもよい。上で概説したステップを実施する前に、未使用の金属粉末は、出荷粉末容器から密閉粉末容器に移動される場合がある。
【0024】
他の態様において、本発明の種々の実施形態は、積層造形のための閉ループ金属粉末管理方法に関する。この方法は、積層造形に適した第1の金属粉末を取得することを含み、第1の金属粉末は、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含む密閉粉末容器内に配置されている。金属粉末の移動を閉ループで実施するために、粉末容器は、自動金属粉末移動システムを備えた積層造形システムに接続される。自動金属粉末移動システムは、プログラマブルロジックコントローラによって制御可能であり、かつ、積層造形システムへのプログラムされた量の金属粉末の供給を制御するように適合されている。
【0025】
金属粉末は、粉末容器から積層造形システムへ供給される。積層造形システムは、積層造形システムのビルドプレート上に金属粉末の少なくとも1つの層を形成するように作動される。少なくとも1つの金属粉末の層の一部が固化され、金属粉末層の余剰部分が、粉末の形で残される。これらの2つのステップが、少なくとも1回繰り返される。
【0026】
余剰金属粉末は、積層造形システムから、少なくとも1つの余剰金属粉末容器センサー、余剰粉末容器追跡装置、又は余剰粉末容器光学装置を含む余剰粉末容器に移動される。余剰粉末容器に第2の金属粉末を追加して、混成粉末が形成される。余剰粉末容器内の混成粉末の品質が確認される。
【0027】
余剰粉末容器内に配置された確認済みの混成粉末を用いて、金属粉末を積層造形システムに接続することから始まる先のステップが、少なくとも1回繰り返される。上記ステップのうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データが収集され、データリポジトリに保存される。上記ステップの各々において、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、光学装置、余剰粉末容器センサー、余剰粉末容器追跡装置、及び/又は余剰粉末容器光学装置のうちの少なくとも1つは、電子的にアクセス可能である。
【0028】
以下の特徴のうちの1つ以上が含まれ得る。第1の金属粉末と第2の金属粉末は、同じ組成のものであってもよく、例えば、それらは単一のバッチからのものであってもよい。第1の金属粉末及び第2の金属粉末は、異なるバッチからのものであってもよい。第1の金属粉末は未使用の金属粉末であってもよい。
【0029】
少なくとも1つのセンサーは、粉末容器内の酸素、粉末容器内の温度、粉末容器内の湿度、粉末容器内の圧力、粉末容器内の粉末の色、粉末容器内の粉末の形態、粉末容器内に配置された粉末のレベル、粉末容器内に配置された粉末の質量、及び/又は粉末容器内に配置された粉末の汚染のうちの少なくとも1つを測定するように適合される場合がある。
【0030】
余剰粉末容器は、内部粉末容器又は外部粉末容器からなる場合がある。
【0031】
上記のステップの間、第1の金属粉末、第2の金属粉末、余剰金属粉末、及び混成粉末は、不活性雰囲気下に維持される場合がある。
【0032】
余剰金属粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータは、測定することができる。
【0033】
確認された粉末を用いて前記ステップを繰り返す前に、混成粉末は、ふるいにかけてもよい。
【0034】
確認の前に、混成粉末は混合されてもよい。
【0035】
粉末容器から積層造形システムに金属粉末を供給することは、積層造形システム内の粉末貯蔵格納庫に金属粉末を供給することを含む場合があり、供給される金属粉末の量は、金属粉末の少なくとも2つの層を形成するのに十分である。
【0036】
金属粉末層の少なくとも一部を固化させることは、結合、焼結、及び/又は溶融を含み得る。
【0037】
混成粉末の品質を確認することは、(i)混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定し、評価すること、及び/又は(ii)粉末の物理的移動データを調べることを含み得る。混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータは、データリポジトリに保存されてもよい。
【0038】
粉末の物理的移動データは、粉末貯蔵データ、積層造形システムの識別情報、粉末が積層造形システムに供給された回数、及び/又は粉末が第2の粉末と混成された回数を含み得る。
【0039】
上記ステップのうちの少なくとも1つに関連するプロセスデータが収集されてもよく、収集されたプロセスデータはデータリポジトリに保存されてもよい。プロセスデータは、固化ステップにおけるレーザー出力、固化ステップにおけるレーザーの速度、又は形成された層の厚みを含み得る。混成粉末の品質を確認することは、収集されたプロセスデータを調べることを含み得る。
【0040】
混成粉末の粉末材料パラメータは、格子間元素化学、置換元素化学、微量元素分析、見かけ密度、タップ密度、粒度分布、湿度、粉末形状、粉末形態、ホールフロー、カーニーフロー、ふるい仕様、トラップガス含有量、レオメトリー安定性指数、及び/又は安息角であってもよい。
【0041】
混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータを測定することは、光学画像を取り込むこと、走査型電子顕微鏡画像を取り込むこと、断面画像を取り込むこと、クーロメトリー滴定を実施すること、及び/又はピクノメトリー測定を実施することを含み得る。
【0042】
密閉粉末容器は出荷粉末容器からなる場合があり、第1の金属粉末は、その製造後に出荷粉末容器に入れて出荷される場合がある。この場合、第1の金属粉末は未使用の金属粉末であってもよく、第1の金属粉末は、上で概説したステップを実施する前に、出荷粉末容器から密閉ミールパウダー容器に移される場合がある。
【0043】
さらに別の態様において、本発明の種々の実施形態は、積層造形のための連続的な閉ループ金属粉末管理方法に関する。この方法は、自動金属粉末移動システムを使用して、積層造形に適した未使用の金属粉末を、少なくとも1つのセンサー、追跡装置、又は光学装置を含むホッパーから、少なくとも1つの容器センサー、容器追跡装置、又は容器光学装置を含む密閉粉末容器に移動させることを含む。粉末容器は、積層造形システムに接続され、粉末移動を閉ループで実施する。
【0044】
粉末容器からの金属粉末は、積層造形システムに供給される。積層造形システムは、積層造形システムのビルドプレート上に、金属粉末の少なくとも1つの層を形成するように作動される。少なくとも1つの金属粉末層の一部が固化され、金属粉末層の余剰部分が、粉末の形で残される。これらの2つのステップが、少なくとも1回繰り返される。
【0045】
余剰金属粉末は、積層造形システムから、粉末容器、第2の容器、又は内部粉末容器へと移動される。未使用の金属粉末を粉末容器、第2の容器、又は内部粉末容器に追加して混成粉末が形成され、混成粉末の品質が確認される。確認済みの混成粉末を用いて、金属粉末を積層造形システムに接続することから始まる先のステップが、少なくとも1回繰り返される。上記ステップのうちの少なくとも1つに関連する粉末の物理的移動データが収集され、データリポジトリに保存される。センサー、追跡装置、光学装置、容器センサー、容器追跡装置、及び/又は容器光学装置は、これらのステップの各々の間に、電子的にアクセス可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施形態による、積層造形のための閉ループ金属粉末管理システムを示す概略図である。
【0047】
図2】本発明の実施形態による、大型粉末床システムでの積層造形のための閉ループ金属粉末管理システムを示す概略図である。
【0048】
図3】本発明の実施形態による、容積低減容器を利用した小型粉末床システムでの積層造形のための閉ループ金属粉末管理システムを示す概略図である。
【0049】
図4】本発明の実施形態による、金属粉末管理システム内で使用可能な装置の例を示す工学技術的スケッチである。
【0050】
図5】本発明の実施形態による、無線データ転送の例示的実施形態を示す概略図である。
【0051】
図6a】は、本発明の実施形態による、粉末ホッパーを受け入れるためのベースユニットを示す斜視図である。
【0052】
図6b】は、本発明の実施形態による、自動デカントシステムを示す正面図である。
【0053】
図6c】は、本発明の実施形態による、自動ドッキングステーションを示す正面図である。
【0054】
図7】は、本発明の実施形態による、閉ループ金属粉末管理システムの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[詳細な説明]
閉ループ金属粉末管理の説明と利点
図1を参照すると、本発明の実施形態による、積層造形のための閉ループ金属粉末管理システム100は、(a)金属粉末を製造するために使用される原料供給源(例えば、未精製元素又はプレアロイマスターメルト)と、(b)金属粉末アトマイザーと、(c)スクリーニング作業と、(d)製造された金属粉末の特性を認証するためのラボラトリー試験と、(e)製造された金属粉末が装填された金属粉末容器(例えば、ホッパー)と、(f)デジタル技術で作成された積層造形設計(「ビルドファイル」とも呼ばれる)と、(g)積層造形機と、(h)金属粉末のリサイクル(これは、再スクリーニング、異なるホッパー間のバッチの充填や結合、及び粉末特性の再試験を含み得る)と、(i)積層造形機で金属粉末を固化させることにより製造された積層造形物品及び試験片とを含む。データは、これらの作業の各々から収集され、例えば、クラウドベースのソフトウェアシステム(j)に取り込まれる。クラウドベースのソフトウェアシステム(j)は、データの集計や分析のために、研究所のERP(企業資源計画)システム又はセントラルITシステム(k)に接続されてもよい。
【0056】
図2を参照すると、本発明の実施形態による、大型粉末床システムでの積層造形のための閉ループ金属粉末管理システム200は、金属粉末を供給する元になる生産設備210と、未使用の金属粉末、使用済み金属粉末(余剰金属粉末)、又は混合(混成)金属粉末が予め充填された、例えばホッパーのような容器220と、容器と自動的にドッキングして金属粉末を積層造形機235に装填する自動デカントシステム230と、制御された環境240下で未使用の金属粉末を(ある程度)使い果たされた容器に追加する粉末追加ステーション240と、金属粉末をある容器から別の容器に移し、不要な特大粒子や不要な凝集体を除去するふるい分けステーション250と、原料リサイクル265のために、生産ストリームから高価値廃棄物を抽出する抽出ステーション260と、完全に密封された容器内で金属粉末の結合バッチを混合するための混合ステーション270と、容器を生産サイクルに戻す前に材料の品質を確認するための、結合粉末/混合粉末の保持サンプルのラボラトリー試験280とを含む。各ステーションのwifiアイコンは、閉ループシステム内のスマートデバイスからの無線データ転送を示しており、これは、例えば集中型ソフトウェアデータベースのようなデータリポジトリに取り込まれる。
【0057】
図2に示されている粉末管理システムは、バッチ処理システムの一例である。バッチ処理とは、粉末材料の全体から元の材料ロットを遡って明確に追跡できるように、制御された方法で積層造形システムに材料を順次追加し、及び/又は積層造形システムから材料を除去することを指している。バッチ処理は、外部で混成、すなわち混合されたロットを積層造形システムに供給することを含み、これによって、システムの外部にある同じバッチ又は異なるバッチからの粉末を補充し、ふるい分けし、及び/又は混成する造形サイクルの後、システムを再充填する前に、システムから原料粉末が除去される。
【0058】
連続的処理とは、内部粉末再循環ループを含む積層造形システムに、材料のバッチを追加することを指している。この方法では、各造形サイクルの後に、外部に保持された1つ以上のバッチからの粉末が、積層造形システムに追加される。ただし、充填後、粉末は通常、システムから除去されず、内部容器に蓄積される。各造形サイクルの後、内部容器からさらに多くの粉末原料が供給され、新しい造形シーケンスが開始される。したがって、循環中の粉末は、相対的に異なる割合で混成された増大する一組のロットを含む場合がある。したがって、任意のある時点でサブバッチやロットごとの粉末の正確な組成は不明であるが、機械に投入されたすべての粉末の元のロット識別子は、それらが追加されるときに追跡することができる。
【0059】
内部容器は、固定粉末格納庫として積層造形システムに配管されたホッパー、ビン、回収容器、又は他の容器である。内部容器は通常、ステンレス鋼又は同様の材料から製作される。造形後に蓄積した余剰粉末は、積層造形システムのオーバーフロービン、造形室、及び/又は粉末除去空間から内部容器に再循環され、次の造形準備シーケンスを待つ。通常、粉末は、システムから取り出されることなく、内部容器に戻される前にインラインでふるい分けられ、オーバーサイズの粒子が除去される。実施形態によっては、内部容器は、積層造形室とは別の装置内に収容され、内部容器が閉ループ配管で連結されているため、粉末をシステム全体から取り出す必要はない場合がある。このような複数装置の閉ループシステムは、商業的には、例えば、自動粉末回収システム、ICPM、ICMなどと呼ばれることがある。
【0060】
図3を参照すると、本発明の実施形態による、少容量の容器を利用した小型粉末床システムでの積層造形のための閉ループ金属粉末管理システム300は、金属粉末を供給する元になる生産設備210と、未使用の金属粉末、使用済み金属粉末、又は混合金属粉末が予め充填された、例えばホッパーのような容器320と、より大きなホッパーから、(ある程度)使い果たされた少容量の第2の容器へ金属粉を移動させる(「満杯にする(トップオフ)」)ための自動デカントシステム330と、完全に充填された少容量の第2の容器340と、不要な特大粒子や不要な凝集物を除去するふるい分けステーション350と、原料リサイクル365のために、生産ストリームから高価値廃棄物を抽出する抽出ステーション360と、充填済み容器(「WIP(作業中)出口」在庫)用の多段置き場370と、粉末容器の金属粉末が充填された積層造形機380と、ある程度空になった容器に充填された機械からの使用済み粉末の排出ストリーム385と、使用済み金属粉末を有する容器390と、使用済み粉末容器(「WIP(作業中)入口」)用の多段置き場395とを含む。各ステーションに示されているwifiアイコンは、閉ループシステム内のスマートデバイスからの無線データ転送を示しており、これは、例えば集中型ソフトウェアデータベースのようなデータリポジトリに取り込まれる。
【0061】
例えば、図1図3に示された閉ループシステムによれば、ユーザーは、「舞台裏」トレーサビリティを維持しながら、バッチと連続の両方の積層造形操作を実施することができるため、金属粉末の履歴の監査や検索を任意の時点で実施できる点で安心である。このシステムは、ユーザーが取得したすべてのデータを一箇所に保存し、粉末のデジタル「フィンガープリント」と系統分類を生成する。データには、統計的プロセス管理(SPC)、主要プロセス変数(KPV)、周囲/環境情報、リアルタイム追跡情報、粉末の物理的・化学的特性、その他ユーザーが定義した関連情報(製造工程や製造部品に固有のもの)が含まれる場合がある。
【0062】
図1図3を参照すると、本明細書に記載されるシステムは、材料の保管と供給源出所の完全なチェーンを確実に形成するために、金属粉末工場から、はるばる閉ループで垂直に統合されたサプライチェーンである。
【0063】
本発明の種々の実施形態で使用される金属粉末は、粒子状に分解された元素金属又は2種以上の金属の合金である。粉末は、単一の金属元素、混合された元素粒子、又はプレアロイ粒子を含む場合がある。典型的な金属及び合金粉末には、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、銅、アルミニウム、ニオブ、ジルコニウム、及びその他の一次元素に基づくものが含まれる。例えば、従来の合金粉末は、チタン-6アルミニウム-4バナジウム(「Ti6Al4V」)である。粒子の形状は、球状、針状、凝集状、又は非晶質である場合がある。粒子の典型的サイズは、1μm~250μmの範囲である。金属粉末は、ガスアトマイゼーション、水アトマイゼーション、プラズマアトマイゼーション、遠心処理、及びその他の製造方法を使用して製造され得る。
【0064】
金属粉末材料は、事前充填ホッパーのような容器に入れて出荷される。この容器は、積層造形とリサイクルの全工程を通じて、粉末輸送に不可欠な「ベースユニット」として機能する。この点で、ホッパーは、インクジェットプリンタのプリントカートリッジに類似した働きをする。プリントカートリッジは、インクを充填してプリンタに直接接続することができ、空になると元の製造元に返却され、環境に配慮した廃棄、洗浄、又は新しいインクの補充を行うことができる。
【0065】
閉ループ内では、噴霧から印刷部品に至るまで、制御された雰囲気、すなわち不活性な雰囲気が損なわれることはない。所望の条件からのはみ出しや逸脱がないか雰囲気を監視することができ、これによりユーザーは、操作を続行するか否かについて、十分な情報に基づく決定を行うことができる。例えば、金属粉末が入った容器には、アルゴンや窒素のような不活性ガスを0.2バールの圧力まで充填できるが、これは規格上の圧力容器を構成するものではない。
【0066】
金属粉末は、製造施設での装填時から、図1図3に示したプロセスステップ全体を通じて、不活性雰囲気に接触した状態に維持される。人体が金属粉末に曝されることを抑制し、又は大幅に低減するためである。積層造形に使用される微細な粉末は、オペレータに直接接触すると、呼吸器障害、アレルギー反応、発癌性、又はその他の悪影響を含む健康被害を引き起こす可能性がある。現在利用可能な積層造形システムは、開放容器内で金属粉を露光する1つ以上の工程を必要とする。図1図3に示したような完全に閉じたループによれば、オペレータがさらされる可能性のあるすべてのポイントが排除される。
【0067】
図4を参照すると、この工学技術図には、閉ループ金属粉末管理システムで使用できる様々な機器の斜視図が含まれている。機器には、ホッパー400のような容器、デカントシステム410、自動金属粉末移動システム420、自動混合システム430、自動デカントシステム430、及びソフトウェアエコシステム440が含まれる。
【0068】
積層造形のための連続閉ループ金属粉末管理方法
図1図3に示したシステムのような閉ループ金属粉末管理システムは、下記のように、積層造形に使用される場合がある。
【0069】
一実施形態では、密閉容器からの金属粉末を積層造形に使用することができ、余剰金属粉末を元の密閉容器に移動させることができ、未使用の金属粉末を余剰金属粉末に追加して混成粉末(本明細書では混合粉末とも呼ばれる)を作成することができ、その後、この混成粉末を積層造形に使用することができる。
【0070】
特に、積層造形に適した未使用の金属粉末を、センサー、追跡装置、及び/又は光学装置を含む密閉粉末容器に配置された状態で得ることができる。密閉容器は出荷容器であってもよく、未使用の金属粉末は、その製造後に出荷容器に入れて出荷されてもよい。あるいは、出荷粉末容器からの未使用の金属粉末を、例えば、自動ドッキングシステムのような自動金属粉末移動システムを使用することで、密閉粉末容器に直接的又は間接的に移動させることができる(図6b及び関連説明を参照)。この実施形態では、出荷粉末容器は、センサー、追跡装置、及び/又は光学装置を含み、密閉粉末容器は、容器センサー、容器追跡装置、及び/又は容器光学装置を含む。
【0071】
閉ループで金属粉末の移動を実施するために、粉末容器は、積層造形システムに接続される。いくつかの実施形態では、閉ループで金属粉末移動を実施するために、粉末容器は、自動金属粉末移動システムを備えた積層造形システムに接続される。自動金属粉末移動システムは、空気圧コントローラ及び/又はプログラマブルロジックコントローラのような電子コントローラによって制御可能であり、積層造形システムへの計量された量の金属粉末の供給を制御するように適合されている。自動金属粉末移動システムに関する更なる詳細は、図6a~図6cに関して以下に提供される。
【0072】
金属粉末は、粉末容器から積層造形システムに供給される。金属粉末を供給することは、積層造形システム内の粉末貯蔵格納庫に粉末を供給することを含む場合があり、供給される金属粉末の量は、後続の積層造形ステップ中に金属粉末の少なくとも2つの層を形成するのに十分である。
【0073】
積層造形システムは、積層造形システムのビルドプレート上に金属粉末の少なくとも1つの層を形成するように作動される。少なくとも1つの金属粉末の層の一部は固化され、金属粉末層の余剰部分が粉末の形で残される。連結は、結合、焼結、及び/又は溶融を含み得る。
【0074】
金属粉末の供給と固化のステップが少なくとも1回繰り返された後、積層造形システムからの余剰金属粉末は、粉末容器もしくは第2の粉末容器(バッチ処理の場合)もしくは内部粉末容器(連続処理の場合)に移動される。未使用の金属粉末が、粉末容器、第2の粉末容器、又は内部粉末容器内の余剰金属粉末に追加され、混成粉末を形成する。実施形態によっては、混成粉末は混合されてもよい。
【0075】
混成粉末の品質が確認される。混成粉末の確認には、混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータ(例えば、格子間元素化学、置換元素化学、微量元素分析、見かけ密度、タップ密度、粒度分布、湿度、粉末形状、粉末形態、ホールフロー、カーニーフロー、ふるい仕様、トラップガス含有量、レオメトリー安定性指数、及び/又は安息角)の測定及び評価が含まれ得る。混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータの測定には、光学画像を取り込むこと、走査型電子顕微鏡画像を取り込むこと、断面画像を取り込むこと、クーロメトリック滴定を実施すること、及び/又はピクノメトリー測定を実施することが含まれ得る。混成粉末の粉末材料パラメータは、データリポジトリに保存されてもよい。本明細書で使用する場合、データリポジトリは、メタデータ(すなわち、データを定義するために使用される記述子)で分類されタグ付けされた、構造化及び/又は非構造化情報のデジタルストア又はアーカイブである。データリポジトリは、単一の構造化データベース、データベースのセット、データウェアハウス、データレイク、及びデジタル情報のための他の組織化ツールであるか、又はそれらを含む場合がある。
【0076】
実施形態によっては、余剰粉末の粉末材料パラメータが測定される場合がある。追加的又は代替的に、粉末の物理的移動データを調べることにより、混成粉末の品質が確認されてもよい。粉末の物理的移動データには、粉末貯蔵データ、積層造形システムの識別情報、粉末が積層造形システムに供給された回数、及び/又は粉末が未使用の粉末と混成された回数が含まれ得る。
【0077】
プロセスデータが収集されてもよく、任意選択的にデータリポジトリに保存されてもよい。プロセスデータは、固化ステップにおけるレーザー出力、固化ステップにおけるレーザーの速度、又は積層造形システムによって形成された層の厚さを含み得る。混成粉末の品質を確認することは、収集されたプロセスデータを調べることも含み得る。
【0078】
粉末容器を積層造形装置に接続することから始まる上記ステップが、確認された混成粉末を用いて、少なくとも1回繰り返される場合がある。これらのステップを繰り返す前に、混成粉末は、ふるいにかけられる場合がある。
【0079】
上記ステップのうちの少なくとも1つに関連する粉末物理的移動データが収集される。
【0080】
混成粉末の少なくとも1つの粉末材料パラメータ及び/又は粉末の物理的移動データは、データベースに保存される。
【0081】
これらのステップの各々において、センサー、追跡装置、光学装置、容器センサー、容器追跡装置、及び/又は容器光学装置は、電子的にアクセス可能である。
【0082】
別の実施形態では、積層造形システムにおいて、第1の金属粉末が固化される。固化ステップの後、余剰金属粉末は余剰粉末容器に移動され、第2の金属粉末が追加され、混成粉末が形成される。第1及び第2の金属粉末は、同じ組成を有していてもよく、単一のバッチからのもの(すなわち、粉末製造業者によって提供される単一のアトマイゼーション熱又は混合ロットからのもの)であってもよい。他の実施形態では、第1及び第2の金属粉末は、異なるバッチからのもの(すなわち、異なるアトマイゼーション熱又は異なる混合ロットからのもの)であってもよい。第1の金属粉末は、未使用の金属粉末であってもよい。
【0083】
金属粉末のラボラトリー試験
本明細書に記載されるような積層造形に使用される粉末は、金属の複数の粒子を含む。粒子は、100ナノメートル~250マイクロメートルの範囲(例えば、15μmから45μmまで又は22μm未満)から選択された平均粒子サイズを有することができる。
【0084】
ラボラトリー試験は、金属粉末の積層造形機への最初の移動(例えば、図1、ステップ(d))の前、及び/又は積層造形サイクル内の任意の段階で得られたサンプルに対して実施することができる。ラボラトリー試験は、金属粉末の保持サンプルを得ることによって実施される。サンプル量は、例えば250gの粉末とすることができる。一般に、ユーザーは、ある粉末バッチを未使用のバッチ又は別の使用済み(余剰)バッチ(すなわち、リサイクル粉末、又は、未使用の粉末とリサイクル粉末を含む混成粉末)と混合、ふるい分け、又はその他の方法で混成することを含む場合があるリサイクルステップの後に、粉末を試験する。
【0085】
ユーザーは、どの操作ステップでラボラトリー試験を実施するか、及び、各ステップでどの一連の試験を実施するかを指定するサンプリング計画を定義することができる。試験結果は、粉末管理ソフトウェアに転記され、粉末のデジタルスレッドとデジタルフィンガープリントを確実に維持するために、サンプル識別の詳細がタグ付けされる。あるいは、試験結果は、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を介して、実験室の機器からソフトウェア・データ・リポジトリに転送されてもよい。
【0086】
粉末について収集された実験室データは、化学元素測定、ふるい測定又はレーザー回折による粒度分布(PSD)、ホールフロー、カーニーフロー、安息角、見かけ密度、タップ密度、ピクノメトリー、断面画像、デジタルカメラ画像、粒子色分析、光学顕微鏡画像、共焦点顕微鏡画像、走査型電子顕微鏡画像、重量減少による水分分析、クーロメトリック滴定、カールフィッシャー滴定、安定性指数、基本流動指数によるレオメトリー、円形度、伸長度、凸度、又はアスペクト比による形態、及びその他の測定の任意の組み合わせを含み得る。
【0087】
粉末の測定は、金属粉末が劣化している場合や仕様から外れている場合をユーザーが判断するのに役立つ。例えば、過度に酸化した粉末、汚染された粉末、変形した粉末、又は角張った粉末が、積層造形プロセスに戻され、リサイクルされた場合、品質リスクが生じる可能性がある。
【0088】
金属粉末管理システムソフトウェアは、粉末が通過した可能性がある様々な容器や機械のようなライフサイクル全体の詳細と共に、金属粉末のバッチのデータを表示する。これにより、最終用途の印刷部品の品質に関する粉末容器のトレーサビリティと実験室での試験結果の重要性が強調され、視覚化される。
【0089】
空の粉末容器の充填
本発明の種々の実施形態において、粉末容器は、ホッパー、容器、ボトル、又は他の入れ物であってよい。例えば、容器は、ステンレス鋼で作られたホッパーであってもよく、又は、プラスチックで作られたボトルであってもよい。システムは、複数の小さなボトルとは対照的に、大きな容器を使用する方が管理しやすい。例えば、内容量 120~240Lのホッパーは、様々な積層造形操作に有用である。密封容器は、金属粉末の流動に有害な湿気の侵入リスクを軽減する。適当なホッパーは、例えば、ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるカーペンターアディティブ社から入手可能なCarpenter Additive PowderTraceホッパーである。
【0090】
他の容器から粉末を手動で又は自動で移動することにより、粉末容器に金属粉末が充填される。この操作は、不活性雰囲気のような制御された条件下で行われる場合がある。粉末容器の充填が完了した後、粉末容器にアルゴンのような不活性ガスを充填して、水分や酸素が粉末と直接接触しないようにすることができる。
【0091】
金属粉末の環境条件及び周囲条件の監視
本発明の種々の実施形態において、粉末容器(例えば、ホッパー)及び他の粉末処理装置(例えば、ふるい、混合機、積層造形機移動線路など)は、周囲条件又はホッパー内の環境条件をリアルタイムかつその場で監視するための電子センサーを有する。センサーは、酸素、温度、圧力、湿度、カメラを使用した可視光スペクトルでの粉末の色、赤外スペクトルでの色、粉末の流動性、粉末の形態、粉末容器内の粉末のレベル、粉末容器内の粉末の質量、粉末の汚染、及びその他の特性の任意の組み合わせを測定することができる。汚染とは、例えば、水/湿気、異物、他の粉末合金などである。
【0092】
センサーからのデータは、施設内の電子受信ハブに(例えば、wifi信号又は低電力無線信号を介して)無線で送信され、電子受信ハブは、トレーサビリティを確保するために、その情報をログに記録し、バッチ及びホッパーの識別情報と共に保存する。
【0093】
図5を参照すると、wifiアイコンは、閉ループシステム内のスマートデバイスから、集中型ソフトウェアデータベースのようなデータリポジトリに取り込まれる無線データ転送を示している。この図示の例では、金属粉末を含む容器220(例えばホッパー)が、温度8℃、湿度40%の物流エリア500から、積層造形生産セル510へと移動される。積層造形生産セルでは、ホッパーの温度は変わらないが、湿度が20%に低下している。ただし、積層造形生産セル520の周囲温度は高くなっており、28℃である。オペレータがホッパーを開けると、この温度差によって湿気が金属粉末に結露し、金属粉末の品質に影響を与える可能性がある。ソフトウェアベースの金属粉末管理システム530は、物流エリア500及び積層造形生産セル510、520からのすべてのセンサーを監視し、ホッパーを開けると露点が高くなりすぎるので「開けるのは安全ではなく」、ユーザーはX時間待つ必要がある旨の信号をユーザーに提供する。温度が平衡535になると(例えば、X時間後(温度25℃、湿度20%の場合))、ソフトウェアは、ホッパーを「開けても安全」であり、金属粉末を積層造形機235に装填できる旨の信号540を提供する。
【0094】
実施形態によっては、センサー又は装置は、金属粉が使用するのに安全であるか、又は移動するのに安全であるかをエンドユーザーに警告する、色付きの光のような視覚的「許可/不許可」信号を有する場合がある。例えば、「使用しても安全」な状態とは、粉末が別の場所から移動された後、粉末の温度が周囲の積層造形施設の温度と平衡になったときである。温度差が大きすぎると、周囲空気からの湿気が露点以下の粉末に結露し、粉末品質の低下又は不要な湿気の浸入を引き起こす可能性がある。この湿気は、伸びの悪さ(粉末の「凝集」)、水素脆化、又はその他の有害なメカニズムにより、積層造形部品の特性に悪影響を及ぼす可能性がある。他の実施形態では、視覚的信号は、粉末バッチからの実験室データ又は現場(in-situ)特性評価データで識別された品質の偏りの可能性をエンドユーザーに警告する場合がある。
【0095】
他の実施形態では、粉末容器(例えばホッパー)は、例えば無線周波数識別(RFID)又は全地球測位システム(GPS)を使用して、閉ループシステム内の任意の点において、粉末のライフサイクル全体を通して、粉末ホッパーの物理的位置のトレーサビリティを維持するための地理的位置追跡装置としても機能する場合がある。
【0096】
実施形態によっては、粉末容器は、粉末の形態と色をリアルタイムで監視するために、デジタルカメラ、赤外線カメラ、又は他の撮像装置のような光学装置を含む場合がある。
【0097】
自動粉末移動システムを使用した積層造形機への金属粉末の装填
次に、図6a~図6cを参照し、積層造形機(例えば、積層造形機235)への金属粉末の自動移動のための自動金属粉末移動システムについて、さらに詳細に説明する。本発明の種々の実施形態では、金属粉末は、積層造形機内の造形室、吐出量、又は別個の格納庫に直接装填することができる。移動は、金属粉末ホッパー又は他の粉末容器を受け取るように設計された自動金属粉末移動システムを使用して、ステンレス鋼の金属粉末ホッパーから行われてもよい。
【0098】
自動金属粉末移動システムは、標準的なアダプターを使用して、複数の異なる積層造形装置に適応できるように設計されている。金属粉末自動移動システムのレイアウトと設置面積は、ホッパー又は他の粉末容器のサイズに合わせて設計されており、製造現場の床面積の使用率を最小限に抑えることができる。自動金属粉末移動システムは、自動ガイド機能を備えたフォークリフトを使用して、ホッパーやその他の粉末容器を積載できるように設計されており、自動ガイド機能により、ホッパーはベース上に正確に設置される。自動金属粉末移動システムは、ホッパーとの密封された接続を形成する。プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を介して、ユーザーは、積層造形機に移動させる粉末の量を指定することができる。このシステムは、指定された体積又は質量の金属粉末を、真空搬送により、ホッパーから積層造形機へ移動させることができる。
【0099】
特に、図6Aは、本発明の実施形態による、粉末容器(例えば、金属粉末ホッパー)を受け取るためのベースユニット600を示す斜視図である。ベースユニットは、例えば120~240リットルの金属粉末を収容できる粉末ホッパーを受け取るように構成された2つのプラットフォームアーム610を含む。プラットフォームアームは、入ってくる粉末ホッパーの自動ガイドを可能にするために、側面及び背面に垂直部620(エッジ)を有していてもよい。各プラットフォームアームの長さは、例えば、1m~2m、高さは、例えば、0.15m、幅は、例えば、0.15mであり、ステンレス鋼のような剛性材料で作成されてもよい。プラットフォームアームは、垂直部の間に粉末ホッパーの底部を配置できるように十分に離間されていてもよく、例えば、2つのプラットフォームアームに沿った2つの対向する垂直エッジ間の距離は、0.5~1mであってもよい。
【0100】
ホッパーの正方形配置を確実にするために、プラットフォームアームの上面に、ホッパーの底面の対応する開口部と嵌合するように構成された円錐形のガイド630が設けられてもよい。図示の実施形態では、4つのガイドが示されているが、もっと多くのガイド又はもっと少ないガイドが含まれてもよいものと理解される。
【0101】
アダプターフランジ継手640は、ベースユニットアセンブリの中央に配置されている。アダプターフランジは、ホッパー側の対応する継手と嵌合するように構成されており、2つの継手を手動で又は自動で接続して、粉末移動を開始することができる。
【0102】
ベースユニットは、プラットフォームアームの下に配置されたベースを含む。ベースは、プラットフォームアームの下方に配置された2つのベース部材650を含むことができる。2つのプラットフォームアームの床からの距離は調整可能であってもよい。ベースユニットのプラットフォームアームとベース部材は互いに分離されていてもよく、リアルタイムの重量測定のために、その間にひずみゲージ又は計りが配置されてもよい。適当なひずみゲージ又は計りの例としては、オメガ社製のKFHシリーズのゲージがある。
【0103】
図6Bは、本発明の実施形態による、自動デカントシステム330を含む自動金属粉末移動システムを示す正面図である。自動デカントシステム330は、フレーム660(例えば、フレームの底部に配置されたトレイ665を有するステンレス鋼フレーム)の上に配置された図6aのベースユニット600を含む。パイプ、バルブ、及び継手を備えた従来の配管670が、ベースユニットのアダプターフランジに接続されるように配置され、そこに粉末容器を接続することができる。
【0104】
使用時には、容器320(例えばホッパー)はフレームの上部のベースユニット上に配置され、第2の粉末容器340はフレームの底部のトレイ上に配置される。ホッパー320と粉末容器340は、ベースユニットのアダプターフランジと、配管とを介して接続されていてもよい。金属粉末は、手動バルブ、プログラマブルバルブ、又は他の供給制御手段を使用して、上部のホッパー320から下部の第2の容器340へ移動させ、すなわち「デカント」(傾瀉)することができる。
【0105】
このレイアウトは、比較的少量の金属粉(例えば、120リットル未満)を使用する積層造形装置にとって、閉ループ金属粉末制御を維持するのに有用である。例えば、この自動金属粉末移動システムは、図3の積層造形用の閉ループ金属粉末管理システムと共に使用される場合がある。
【0106】
このように、本発明の種々の実施形態において、図3に示す自動デカントシステム330は、大きい方のホッパーから小さい方の容器への金属粉末の移動、又はその逆の移動に使用される場合がある。これは、特定の積層造形機が特定タイプの容器を受け取るように設計されている場合に必要になる場合がある。金属粉末は、元のホッパーから積層造形機に直接移動されるのではなく、粉末は間接的に移動され、まず代替容器に移動され、その後、積層造形機内の造形室、吐出量、又は別個の格納庫に移動される。ホッパーから別容器への金属粉末の計量された量の移動は、空気圧コントローラ、又は電子コントローラ(例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC))によって制御されてもよい。
【0107】
図6cは、本発明の別の実施形態による、ドッキングシステム680を含む自動金属粉末移動システムを示す正面図である。このドッキングシステムでは、図6aのベースユニット610が、床に配置されている。粉末容器220(例えばホッパー)は、ベースユニット上に配置される。剛性又は可撓性のパイプアセンブリ685は、ベースユニット上のアダプターフランジ(例えばKFフランジアダプター)に取り付けられ、ホッパーを、積層造形機(図示せず)の上に配置できる金属粉末真空ユニット690又は空気圧真空コンベヤに接続する。適当な金属粉末真空ユニットは、フォルクマンGmbH製のMULTIJECTOR(登録商標)シリーズの空気圧真空コンベヤである。第2の金属粉末真空ユニット690’は、ホッパーの上に配置され、別の一組の接続配管(図示せず)を介して、例えば余剰金属粉末のような戻り材料を受け取る。このドッキングシステムは、粉末容器(例えばホッパー)と積層造形機との間の完全に閉じたループを維持する。
【0108】
このレイアウトは、比較的多量の金属粉末(例えば、120リットル以上)を使用する積層造形機にとって、閉ループ金属粉末制御を維持するのに有用である。例えば、この自動金属粉末移動システムは、図2の積層造形用の閉ループ金属粉末管理システムと共に使用される場合がある。
【0109】
使用時には、金属粉末は、積層造形機の上部にある真空ユニットで真空を作り出すことによって、積層造形機に移動される。余剰金属粉末は、ホッパーの上にある第2の真空ユニットによって生成された真空によって、積層造形機から容器(例えばホッパー)へ移動させることができる。
【0110】
アルゴン背圧を有する「事前充填」ホッパーと積層造形機との間には、圧力の不均衡が存在する可能性がある。パイロットラインシステムを粉末移動機構に追加して、圧力のバランスをとることで、過圧を回避できる。また、自動ドッキングステーションと積層造形機との間に密閉用バタフライバルブを追加することで、機械雰囲気とのインターロックや、圧力の安全性を維持することもできる。このシステムは、金属粉末移動中のスパークを避けるため、静電気を地面に逃がすように設計されている。自動ドッキングステーションには、自己点検及びアラーム付きの安全システムが追加されており、これらの安全システムは、静電気の不要な蓄積をユーザーに警告することができる。
【0111】
図2も参照すると、自動金属粉末移動システムによれば、枯渇した粉末の補充と注ぎ足し(トップアップ)のために、未使用の金属粉末又は他の使用済み金属粉末を含む容器を、制御された環境240下で「ドッキングホッパー」にその場で接続することが可能になる。
【0112】
図7を参照すると、本発明の実施形態による、例示的閉ループ金属粉末管理システムのレイアウトを示す写真である。金属粉末ホッパー220は、自動ドッキングシステム680上に置かれ、剛性のステンレス鋼配管685を介して積層造形機235に接続されている。容器(例えばホッパー)から積層造形機への金属粉末の移動と、その逆の移動は、2つの金属粉末真空ユニット690、690’を用いて達成される。計量された量の金属粉末の移動は、プログラマブルロジックコントローラのような電子コントローラ700、又は空気圧コントローラによって制御される。
【0113】
自動ドッキングステーションと積層造形機との間の剛性の配管は、金属粉末の移動距離及び曲げ半径を最小化するために使用され、閉塞を回避し、したがって稼働時間を最大化することができる。配管用マグネットクランプによれば、複雑な組み立て(例えば、機械にネジ止め又はボルト止めすること)なしに、ユニットを積層造形機械に接続することが可能になる。接続配管は、機械のアクセスパネルと干渉しないように設計されており、接続配管によれば、設置面積が最小限に抑えられるだけでなく、装填や取り出しの操作のために、金属粉末を双方向に移動させることが可能になる。
【0114】
金属粉末は、一時的に自立して容器内の流れを妨げる「ブリッジ」を引き起こすことがある。これは、ホッパー出口が円錐形に設計されていない粉末装置ではリスクとなるため、この状況を回避するために、容器は円錐の角度を付けて設計される場合がある。粉末は、「コア」又は「マス」フロー体制で、すなわち容器開口部の真ん中を通る(コア)フロー又は容器の側面に沿って流れる(マス)フローで、流れることができる。より良い制御のためにはマスフローが望ましいため、ホッパーは、幅広い種類の粉末のマスフローを促進するように設計されるべきである。これは、出口開口部に至るホッパー底部の角度を急勾配にすることで達成される。容器内の金属粉末の再利用バッチの上に未使用の金属粉末を追加する場合、マスフローの事例では、「LILO(後入後出)」の在庫管理条件になるのに対し、コアフローの事例では、在庫順序が「LIFO(後入先出)」になる。
【0115】
積層造形ビルドサイクルの実行
適当な積層造形方法は、ASTM(アメリカ材料試験協会)の積層造形技術に関する専門委員会F42によって発行されたSTM F2792-12aに定義されているような、ASTMにより特定された積層造形の7つのカテゴリー(すなわち、バインダージェット(BJT)方式、指向性エネルギー堆積法(DED)、マスク画像投影ベースのステレオリソグラフィー(MIP-SL)、材料押出法(MEX)、材料噴射法(MJT)、粉末床溶融結合法(PBF)、及びシート積層法(SHL))のいずれであってもよい。また、派生的方法や組み合わせが使用されてもよい。本発明の実施形態と共に使用するのに適した積層造形システムの例としては、例えば、GE Additive、RENISHAW(登録商標)、SLM Solutions、Desktop Metalなどが挙げられる。
【0116】
積層造形プロセス中、金属粉末ライフサイクル管理システムソフトウェアを使用して、主要プロセス変数及びその他の情報を、監視し、収集し、保存し、集計し、処理し、及び分析することができる。例えば、本システムは、積層造形機から読み出されたログファイル、温度、湿度、プロセスパラメータ(レーザー速度、ハッチ間隔、ビームサイズ、ビーム速度、レーザー出力、及び他の統計値を含む)、工作機械のツールパス、又は総入射レーザーエネルギー(LPBF造形プロセス内で総照射体積にわたって積算されたレーザーエネルギー量として定義される)の任意の組み合わせを記録することができる。
【0117】
一実施形態では、本システムは、積層造形機からの排ガス流の品質を監視し、記録する。例えば、煙検知センサーを使用して、排気ガスの品質を、積層造形プロセスから発せられる「すす」又は焦げた粒子の観点から、記録することができる。
【0118】
使用済み金属粉末のリサイクル、補充、再試験
積層造形のユーザーにとっての基本的な課題は、特に金属粉末を何度も使用する場合の、金属粉末のライフサイクル管理全体にわたる部品の再現性と再現性である。金属粉末は再利用されると劣化するため、積層造形部品の品質に影響を与える可能性がある。個々の原材料及び用途につき、ユーザーは、適当な金属粉末のリサイクル量を決定するために使用できる一組の一意の主要プロセス変数(KPV)を開発する必要がある。本明細書に開示された金属粉末管理システムによれば、ユーザーは、幅広い統計及び条件を監視することができ、その後、「ビッグデータ」分析ツールを使用して、作業が連続生産に移行する場合の基本的なKPVを特定することができる。
【0119】
図1の粉末のリサイクル(h)及びふるいステーション250、350を参照すると、金属粉末の混合又はふるい分けは、均質なバッチを生成するために、閉ループ内のホッパー内又はホッパー間で、その場で別個のステップとして実施することができる。一例では、使用済み粉末は抽出ステーション260、360でふるいにかけられ、ふるい分けされた過大な粒子は別のホッパー内に配置され、高価値廃棄物として生産施設又はスクラップヤードに送り返される。混合又はふるい分けの後、保持された金属粉末サンプルを取得して、粉末ラボラトリー試験を繰り返すことができ、その結果は、当該バッチのトレーサビリティ情報と共にデータ収集ソフトウェアにロードされる。
【0120】
一実施形態では、使用済み金属粉末を含むホッパーは、電気加熱ジャケット、オイルジャケットを使用して加熱されるか、加熱されたオーブン内に配置され、同時に、動的真空引きによってホッパーが排気され、ホッパーの再使用前に、粉末の含水率が低減される。
【0121】
容器又は余剰粉末容器への粉末の誘導
積層造形ステップの完了後、余剰金属粉末を、ホッパーに戻すか、それとも余剰金属粉末ホッパーに戻すかを決定する必要がある。余剰金属粉末の運命は、統計的プロセス制御、KPV、又は粉末の様々な特性の連続モニタリングによって決定することができ、粉末の特性には、流動性、レオロジー、化学的性質、形態、多孔性、汚染、含水率、リサイクル/移動履歴、積層造形プロセスから得られるプロセスデータ、完成部品から得られる材料特性データなどが含まれる。これらの結果として得られた測定値のいずれかがリサイクル戦略内のいずれかの時点で仕様外である場合、金属粉末は、隔離及び/又は廃棄物流への廃棄のために、余剰金属粉末容器(例えばホッパー)へと誘導される場合がある。
【0122】
ユーザーは、特定の用途や原材料に応じて、複数の再利用戦略を有する場合がある。一実施形態では、生産中に金属粉末の質量が枯渇するにつれて、追加の未使用の金属粉末が追加され、混合及び/又はふるい分けによって選択的に混成される(これは「未使用追加」注ぎ足し戦略と呼ばれる)。別の実施形態では、再利用される金属粉末の複数のバッチは、得られる金属粉末がユーザーによって決定された仕様条件を満たす場合、混合及び/又はふるい分けによって混成することができる。
【0123】
積層造形された物品と試験片の試験
再び図1を参照すると、金属粉末管理システムは、積層造形されたサンプルの特性に関するラボラトリー試験から収集された情報を収集し、保存することもできる。例えば、引張機械特性、疲労特性、応力破断、熱伝導率、膨張係数、微細構造、化学特性、腐食特性、磁気特性、又は任意の他の材料データを、積層造形されたサンプル及び後処理されたサンプルから収集することができる。
【0124】
一実施形態では、金属粉末管理システムは、広範囲の材料データ、リサイクルデータ、積層造形プロセス、及び後処理(例えば、熱処理、化学処理、熱間静水圧プレスなど)データを収集する。このシステムにより、ユーザーは、多くのプロセスサイクルにわたって、統計的に有意な量のデータ、すなわち「ビッグデータ」を収集し、機械学習、強化学習、及びその他の人工知能技術を含む分析を実施して、洞察を得て、エンドツーエンドのプロセスを最適化し、高性能な結果を得ることができる。
【0125】
本明細書では、本発明を1つ以上の好ましい実施形態に関連して詳細に説明しているが、本開示は本発明の例示的で例証的なものに過ぎず、単に本発明の完全かつ実施可能な開示を提供する目的で行っているものであることを理解されたい。前述の開示は、本発明を限定するように解釈されることも、他のそのような実施形態、適応、変形、修正又は同等の配置を排除するように解釈されることも意図するものではなく、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びその均等によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
【国際調査報告】