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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20240312BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553329
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2022002550
(87)【国際公開番号】W WO2022196962
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0033921
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510149600
【氏名又は名称】ジュソン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェホ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251XA32
(57)【要約】
本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に設けられた導電性電荷伝達層を備えたペロブスカイト太陽電池を含み、前記光吸収層の一面は、前記光吸収層の他面と比較して太陽光の入射面の近くに位置し、前記光吸収層の内部の光学バンドギャップは、前記一面から前記他面に行く程同じか又は小さくなり、前記光吸収層の一面の光学バンドギャップは、光吸収層の他面の光学バンドギャップよりも大きい太陽電池及びその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト化合物を含む光吸収層、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に設けられた導電性電荷伝達層を有するペロブスカイト太陽電池を備え、
前記光吸収層の一面が、前記光吸収層の他面と比較して太陽光の入射面の近くに位置し、
前記光吸収層内部の光学バンドギャップ(Optical Band Gap)は、前記一面から前記他面に向かって一定か又は小さくなり、
前記光吸収層の一面の光学バンドギャップは、前記光吸収層の他面の光学バンドギャップよりも大きい太陽電池。
【請求項2】
前記光吸収層が、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、
前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きく、
前記光吸収層の一面に含まれる前記第1ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層の他面に含まれる前記第1ハロゲン元素の含有量より多く、
前記光吸収層の一面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層の他面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量より少ない、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
ペロブスカイト化合物を含む光吸収層、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に設けられた導電性電荷伝達層を有するペロブスカイト太陽電池を備え、
前記光吸収層の一面が、前記光吸収層の他面と比較して太陽光の入射面に近くに位置し、
前記光吸収層は、第1ハロゲン元素と第2ハロゲン元素を含み、
前記光吸収層内部の第1ハロゲン元素の含有量は、前記一面から前記他面に向かって一定か又は少なくなり、
前記光吸収層の一面の第1ハロゲン元素含有量は、前記光吸収層の他面の第1ハロゲン元素含有量よりも多い太陽電池。
【請求項4】
前記光吸収層の一面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量が、前記光吸収層の他面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量より少ない、請求項3に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップが、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい、請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記光吸収層が、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含む、請求項2又は5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記光吸収層が、光学バンドギャップが最も低い第1層、光学バンドギャップが中間である第2層、及び光学バンドギャップが最も高い第3層を含み、前記第1層は前記光吸収層の他面に隣接し、前記第3層は前記光吸収層の一面に隣接する、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記光吸収層が、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、
前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きく、
前記第1層は前記第2ハロゲン元素を含み、前記第1ハロゲン元素を含まず、前記第2層は前記第1ハロゲン元素及び前記第2ハロゲン元素の両方を含み、前記第3層は第1ハロゲン元素を含み、前記第2ハロゲン元素を含まない、請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記光吸収層が、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、
前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きく、
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層のそれぞれは、前記第1ハロゲン元素及び前記第2ハロゲン元素の両方を含み、
前記第1ハロゲン元素の含有量は、前記第3層で最も多く、前記第1層で最も少なく、前記第2ハロゲン元素の含有量は、前記第1層で最も多く、前記第3層で最も少ない、請求項7に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記光吸収層が、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含み、
前記第3ハロゲン元素の含有量は、前記第1層よりも前記第2層で多いか、又は前記第3層よりも前記第2層で多い、請求項8又は9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記光吸収層が、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含み、
前記第3ハロゲン元素の含有量は、前記第1層、前記第2層及び前記第3層において均一である、請求項8又は9に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記ペロブスカイト太陽電池に設けられたバッファ層、及び前記バッファ層に設けられた基板型太陽電池をさらに備える、請求項1又は3に記載の太陽電池。
【請求項13】
ペロブスカイト化合物を含む光吸収層を形成する工程、及び
前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に導電性電荷伝達層を形成する工程を備え、
前記光吸収層を形成する工程が、アミン系化合物及びアミジン系化合物から選択される少なくとも1つの化合物、二価カチオンを含む有機金属化合物、及び少なくとも1つのハロゲン化水素を反応させる工程を含み、
前記光吸収層の一面は、前記光吸収層の他面と比較して太陽光の入射面の近くに位置し、
前記光吸収層の一面の光学バンドギャップは、前記光吸収層の他面の光学バンドギャップよりも大きい、太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記ハロゲン化水素が、第1ハロゲン化水素及び第2ハロゲン化水素を含み、
前記第1ハロゲン化水素に含まれる第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン化水素に含まれる第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きく、
前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量よりも多く、
前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量よりも少ない、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記ハロゲン化水素が、第1ハロゲン化水素及び第2ハロゲン化水素を含み、
前記第1ハロゲン化水素に含まれる第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン化水素に含まれる第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きく、
前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量より多く、
前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量より少ない、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記光吸収層と導電性電荷伝達層とを形成する前に、基板型太陽電池を形成する工程及び前記基板型太陽電池の上にバッファ層を形成する工程をさらに備え、
前記光吸収層と導電性電荷伝達層とを、前記バッファ層の上に形成する、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に関するもので、より詳細にはペロブスカイト太陽電池を適用した太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板型太陽電池上にペロブスカイト太陽電池が積層されたタンデム太陽電池が提案されている。ペロブスカイト太陽電池は短波長の光を吸収し、基板型太陽電池は長波長の光を吸収する。したがって、ペロブスカイト太陽電池が短波長の光をよく吸収し、長波長の光を良好に透過させ、長波長の光が基板型太陽電池側に良好に伝達されることがタンデム太陽電池の効率向上のために必要である。
【0003】
ペロブスカイト太陽電池の厚さが厚い場合、長波長の光を透過し難いため、ペロブスカイト太陽電池の厚さを薄くすることが好ましい。しかしながら、ペロブスカイト太陽電池の厚さが薄くなると電流が低くなるという問題がある。
【0004】
したがって、厚さが薄く、長波長の光をよく透過させながらも電流を高めることができるペロブスカイト太陽電池を製造する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するために考案されたものであり、ペロブスカイト太陽電池の厚さを薄く形成しながら電流を高めることで効率を向上させることができる太陽電池を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、蒸着工程を用いて製造することにより、光吸収層中のハロゲン元素の含有量を容易に調節することができる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に備えられた導電性電荷伝達層を具備したペロブスカイト太陽電池を含み、前記光吸収層の一面は前記光吸収層の他面に比べて太陽光の入射面の近くに位置し、前記光吸収層内部の光学バンドギャップ(Optical Band Gap)が、前記一面から他面に向かって一定か又は小さくなり、前記光吸収層の一面の光学バンドギャップは、前記光吸収層の他面の光学バンドギャップよりも大きい太陽電池を提供する。
【0008】
前記光吸収層は、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きく、前記光吸収層の一面に含まれる前記第1ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層の他面に含まれる前記第1ハロゲン元素の含有量より多く、前記光吸収層の一面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層の他面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量より少なくてもよい。
【0009】
本発明はまた、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に設けられた導電性電荷伝達層を有するペロブスカイト太陽電池を備え、前記光吸収層の一面は、前記光吸収層の他面に比べて太陽光の入射面の近くに位置し、前記光吸収層は、第1ハロゲン元素と第2ハロゲン元素を含み、前記光吸収層内部の第1ハロゲン元素の含有量は、前記一面から前記他面に向かって一定か又は少なくなり、前記光吸収層の一面の第1ハロゲン元素含有量は、前記光吸収層の他面の第1ハロゲン元素含有量より多い太陽電池を提供する。
【0010】
前記光吸収層の一面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層の他面に含まれる前記第2ハロゲン元素の含有量より少なくてもよい。
【0011】
前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きくてもよい。
【0012】
前記光吸収層は、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含むことができる。
【0013】
前記光吸収層は、光学バンドギャップが最も低い第1層、光学バンドギャップが中間の第2層、及び光学バンドギャップが最も高い第3層を含み、前記第1層は前記光吸収層の他面に隣接し、前記第3層は前記光吸収層の一面に隣接することができる。
【0014】
前記光吸収層は、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きく、前記第1層は前記第2ハロゲン元素を含み、前記第1ハロゲン元素を含まず、前記第2層は前記第1ハロゲン元素及び前記第2ハロゲン元素を両方含み、前記第3層は、第1ハロゲン元素を含み、第2ハロゲン元素を含まなくてもよい。
【0015】
前記光吸収層は、第1ハロゲン元素及び第2ハロゲン元素を含み、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きく、前記第1層、前記第2層、及び前記第3層のそれぞれが前記第1ハロゲン元素及び前記第2ハロゲン元素の両方を含み、前記第1ハロゲン元素の含有量は、前記第3層で最も多く、前記第1層で最も少なく、前記第2ハロゲン元素の含有量は、前記第1層で最も多く、前記第3層で最も少なくてもよい。
【0016】
前記光吸収層は、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップより小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含み、前記第3ハロゲン元素の含有量は、前記第1層よりも前記第2層で多いか、又は前記第3層よりも前記第2層で多くてもよい。
【0017】
前記光吸収層は、前記第1ハロゲン元素の光学バンドギャップより小さく、前記第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きい光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素をさらに含み、前記第3ハロゲン元素の含有量は、前記第1層、前記第2層及び前記第3層で均一であり得る。
【0018】
前記ペロブスカイト太陽電池に設けられたバッファ層、及びバッファ層に設けられた基板型太陽電池をさらに備えることができる。
【0019】
本発明はまた、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層を形成する工程、及び前記光吸収層の一面と他面との少なくとも一方の面に導電性電荷伝達層を形成する工程を含み、前記光吸収層を形成する工程は、アミン系化合物及びアミジン系化合物から選択された少なくとも一つの化合物、二価カチオンを含む有機金属化合物、及び少なくとも一つのハロゲン化水素を反応させる工程を含み、前記光吸収層の一面は前記光吸収層の他面に比べて太陽光の入射面の近くに位置し、前記光吸収層の一面の光学バンドギャップは、前記光吸収層の他面の光学バンドギャップよりも大きい太陽電池の製造方法を提供する。
【0020】
前記ハロゲン化水素は、第1ハロゲン化水素及び第2ハロゲン化水素を含み、前記第1ハロゲン化水素に含まれる第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン化水素に含まれる第2ハロゲン元素の光学バンドギャップよりも大きく、前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量より多く、前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量より少なくてもよい。
【0021】
前記ハロゲン化水素は、第1ハロゲン化水素及び第2ハロゲン化水素を含み、前記第1ハロゲン化水素に含まれる第1ハロゲン元素の光学バンドギャップは、前記第2ハロゲン化水素に含まれる第2ハロゲン元素の光学バンドギャップより大きく、前記光吸収層の一面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の一面形を成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量より多く、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第1ハロゲン化水素の含有量が、前記光吸収層の他面を形成する際に投入される前記第2ハロゲン化水素の含有量より少なくてもよい。
【0022】
前記光吸収層と導電性電荷伝達層とを形成する前に、基板型太陽電池を形成する工程、及び前記基板型太陽電池の上にバッファ層を形成する工程をさらに備え、前記光吸収層と導電性電荷伝達層とは、前記バッファ層の上に形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のような本発明によれば、次のような効果がある。
【0024】
本発明の一実施例によれば、光吸収層の光学バンドギャップ(Optical Band Gap)を様々な範囲で形成することにより、ペロブスカイト太陽電池の厚さを薄く形成しながら電流を向上させて太陽電池の効率を向上させることができる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、アミン系化合物及びアミジン系化合物から選択された少なくとも1つの化合物、二価カチオンを含む有機金属化合物、及び2種以上のハロゲン化水素を化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)工程を通じて反応させてペロブスカイト化合物を製造するため、光吸収層の光学バンドギャップの調節が容易である。
【0026】
本発明の一実施例によれば、常温~200℃以下、好ましくは50~150℃の温度で化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)工程又は原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)を通じて薄膜を形成することができるため、最終的に得られるフェロブスカイト化合物内の有機物がCVD工程又はALD中に分解することを防止することができる。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記二価カチオンを含む有機金属化合物の種類によって最終的に得られるペロブスカイト(Perovskite)化合物の光吸収率、光学バンドギャップ(Optical Band Gap)、キャリア移動度及び物質安定性を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による太陽電池の断面図である。
図2】本発明の様々な実施例による光吸収層の下面から上面までの光学バンドギャップ変化を示すグラフである。
図3】本発明の様々な実施例による光吸収層の下面から上面までの光学バンドギャップ変化を示すグラフである。
図4】本発明の様々な実施例による光吸収層の下面から上面までの光学バンドギャップ変化を示すグラフである。
図5A】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図5B】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図5C】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図5D】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図6A】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図6B】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図6C】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図6D】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図6E】本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図7A】本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図7B】本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図7C】本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図7D】本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
図7E】本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点及び特徴、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述される実施例を参照することによって明らかになるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現されるものであり、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に、発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は特許請求の範囲によって定義されるだけである。
【0030】
本発明の実施例を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本発明が図に示された事項に限定されるものではない。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。なお、本発明の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本発明上で言及する「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加され得る。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0031】
構成要素を解釈するにおいて、別途の明示的な記載がなくても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0032】
位置関係に対する説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」又は「直接」が使用されていない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することもできる。
【0033】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に続き」、「~の次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐ」又は「直接」が使用されていない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0034】
第1、第2などは、様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0035】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ又は複数の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むと理解されるべきである。 例えば、「第1項目、第2項目、及び第3項目のうちの少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目、又は第3項目のそれぞれのみならず、第1項目、第2項目、及び第3項目のうちの2つ以上から提示することができるすべての項目の組み合わせを意味することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施例の各々の特徴は、部分的又は全体的に互いに結合又は組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例は互いに対して独立して実施することもでき、連関関係で一緒に実施することもできる。
【0037】
以下、図を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施例による太陽電池の断面図であり、これは、結晶質太陽電池上にペロブスカイト(Perovskite)太陽電池が積層されたタンデム(tandem)太陽電池に関するものである。
【0039】
図1から分かるように、本発明の一実施例による太陽電池は、結晶質太陽電池100、結晶質太陽電池100の一面、例えば上面上に形成されるバッファ層200、前記バッファ層200の一面、例えば上面上に形成されるペロブスカイト(Perovskite)太陽電池300、前記ペロブスカイト太陽電池300の一面、例えば上面上に形成される第1電極400、及び前記結晶質太陽電池100の一面、例えば下面上に形成される第2電極500を含む。
【0040】
前記結晶質太陽電池100は、ウエハなどの半導体基板110、前記半導体基板110の一面に所定のドーパントをドーピングした第1半導体層120、前記半導体基板110の他面に所定のドーパントをドーピングした第2半導体層130を含む。
【0041】
一方、図には、前記半導体基板110の一面が凸凹構造であり、それによって前記第1半導体層120も凸凹構造に対応する形状からなるものとして示したが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではない。前記半導体基板110の一面は、平坦な構造を有することができ、前記第1半導体層120も平坦な構造を有することができる。
【0042】
また、図には、前記半導体基板110の他面が平坦な構造であり、それによって前記第2半導体層130も平坦構造に形成された様子を示したが、必ずしもそれに限定されるものではなく、前記半導体基板110の他面も凸凹構造に形成し、前記第2半導体層130が半導体基板110の他面の凸凹構造に対応する形状からなることができる。
【0043】
前記半導体基板110は、p型又はn型のウエハからなることができ、第1半導体層120は、前記半導体基板110とは異なる極性を有するドーパントでドーピングすることができ、前記第2半導体層130は、前記半導体基板110と同じ極性を有するドーパントでドーピングすることができる。例として、前記半導体基板110はp型ウエハからなることができ、前記第1半導体層120はn型ドーパントでドーピングすることができ、前記第2半導体層130はp型ドーパントでドーピングしてP+層からなることができる。
【0044】
前記バッファ層200は、前記第1半導体層120上に形成される。前記第1半導体層120を凸凹構造に形成することにより、前記バッファ層200は、凸凹構造に対応する形状からなる。しかし、本発明が必ずしもそれに限定されるわけではない。前記半導体基板110の一面は、平坦な構造を有し、前記バッファ層200も平坦な構造を有することができる。
【0045】
前記バッファ層200は、結晶質太陽電池100と前記ペロブスカイト太陽電池300の間に具備され、本発明の一実施例による太陽電池がトンネル接合を介したタンデム太陽電池の構造を成すようにする。
【0046】
前記バッファ層200は、前記ペロブスカイト太陽電池300を透過する長波長の光が損失なしに前記結晶質太陽電池100に入射することができるようにするための物質からなることが好ましい。例として、前記バッファ層200は、透明導電性酸化物、炭素質導電性素材、金属性素材又は導電性高分子からなることができ、場合によっては、前記物質にn型又はp型ドーパントをドーピングすることもできる。
【0047】
前記ペロブスカイト太陽電池300は、導電性電荷伝達層321、322及び光吸収層310を含む。
【0048】
前記ペロブスカイト太陽電池300は、1つ以上の導電性電荷伝達層321、322を含むことができる。例えば、前記ペロブスカイト太陽電池300は、前記バッファ層200上に具備された第1導電性電荷伝達層321、前記第1導電性電荷伝達層上に具備された光吸収層310、及び前記光吸収層310上に具備された第2導電性電荷伝達層322を含んでなることができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、前記導電性電荷伝達層321、322が、前記光吸収層310の両面のいずれか1つの面にのみ配置することもできる。
【0049】
前記第1導電性電荷伝達層321が電子輸送層からなり、前記第2導電性電荷伝達層322が正孔輸送層からなることもでき、前記第1導電性電荷伝達層321が正孔輸送層からなり、前記第2導電性電荷伝達層322が電子輸送層からなることもできる。
【0050】
前記電子輸送層は、BCP(Bathocuproine)、C60、又はPCBM(Phenyl-C61-butyric acid methyl ester)などのようなN-type有機物又はZnO、c-TiO2/mp-TiO2、SnO2、又はIZOなどの当業界で公知された様々なN-type金属酸化物と、それに加えて様々な有機物、無機物を含む化合物からなることができる。
【0051】
前記正孔輸送層は、Spiro-MeO-TAD、Spiro-TTB、ポリアニリン、ポリピノール、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホネート(PEDOT-PSS)、又はポリ-[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](PTAA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-ジイル)(P3HT)等のような当業界に公知の様々なN-type有機物を含んで成ることもでき、Ni酸化物、Mo酸化物又はV酸化物、W酸化物、Cu酸化物などのような当業界に公知の多様なP-type金属酸化物とそれに加えて様々な有機物、無機物を含む化合物からなることもできる。
【0052】
前記光吸収層310は、ペロブスカイト化合物を含んでなることができる。
【0053】
本発明の一実施例によるペロブスカイト化合物は、アミン系化合物の一価有機カチオン及びアミジン系化合物の一価有機カチオンから選択される少なくとも1つ、有機金属化合物の二価カチオン及び1種以上のハロゲン元素を含む。一般式でABXのように表示することができる。
【0054】
前記ABXにおいて、前記Aは、前記アミン系化合物の一価有機カチオンからなることもでき、前記アミジン系化合物の一価有機カチオンからなることもでき、前記アミン系化合物の一価有機カチオンと前記アミジン系化合物の一価有機カチオンを含んでなることもできる。前記Aは、前記アミン系化合物の一価有機カチオンがx比率で含まれ、アミジン系化合物の一価有機カチオンがy比率で含まれる構造からなることができる。ここで、xとyはそれぞれ0より大きく、x+y=1である。
【0055】
前記ABXにおいて、Bは前記有機金属化合物の二価カチオンからなる。
【0056】
前記ABXにおいて、Xは1種以上のハロゲン元素からなる。
【0057】
前記アミン系の化合物は、メチルアミン、エチルアミン、及びフェネチルアミンからなる群から選択することができる。
【0058】
前記アミジン系の化合物は、ホルムアミジンからなることができる。
【0059】
前記有機金属化合物の二価カチオンは、二価カチオンを含む有機金属化合物に由来することができる。二価カチオンを含む有機金属化合物は、Pb、Sn、Ge、Sb、Bi及びBaからなる群から選択される金属を含むことができる。
【0060】
具体的には、前記二価カチオンを含む有機金属化合物は、下記化学式1:
【0061】
【化1】
【0062】
(式中、R1~R12は、それぞれ独立して水素又はアルキル基からなり、前記Xは、Pb、Sn、Ge、Sb、Bi及びBaからなる群から選択される)で表される化合物からなることができる。
【0063】
又は、前記二価カチオンを含む有機金属化合物は、Pb(CH3)4、Pb(C2H5)4、Pb(SCN)2、(C2H5)3PbOCH2C(CH3)3、Pb(C11H19O2)2、Pb((CH3)3C-COCHCO-C(CH3)3)2、Pb((C6H5)2PCH2P(C6H5)2)2、Pb(N(CH3)2C(CH3)2OH)2、及びC12H28 N2O2Pbからなる群から選択することができる。
【0064】
前記二価カチオンを含む有機金属化合物の種類によって、最終的に得られるペロブスカイト(Perovskite)化合物の光吸収率、光学バンドギャップ(Optical Band Gap)、キャリア移動度及び物質安定性を調節することができる。
【0065】
前記ハロゲン元素は、ハロゲン化水素に由来することができる。ハロゲン化水素は、HI、HBr、HF、及びHClからなる群から選択することができる。ハロゲン化水素の種類によって最終的に得られるペロブスカイト化合物の光学バンドギャップを調整することができる。
【0066】
前記アミン系化合物、前記アミジン系化合物、前記二価カチオンを含む有機金属化合物、及び前記ハロゲン化水素は、常温~200℃範囲の温度で気化する物質からなり、好ましくは50℃~150℃の範囲の温度で気化する物質からなる。それにより、前記ABXの化合物を製造する工程を200℃以下、好ましくは150℃以下の温度で化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)工程又は原子層堆積(ALD)を通じて行うことができるようになり、最終的に得られるABXの化合物中の有機物がCVD又はALD工程中に分解することを防止することができる。一方、前記CVD又はALD工程を行う際に、プラズマを印加することも可能である。
【0067】
本発明の他の実施例によるペロブスカイト化合物は、アミン系化合物の一価有機カチオン及びアミジン系化合物の一価有機カチオンから選択される少なくとも1つ、少なくとも1つのアルカリ金属系化合物の1価カチオン、有機金属化合物の二価カチオン及び1種以上のハロゲン元素を含む。一般式でCABXのように表示することができる。
【0068】
前記CABXにおいて、前記Aは、前記アミン系化合物の一価有機カチオンからなることもでき、前記アミジン系化合物の一価有機カチオンからなることもでき、又は前記アミン系化合物の一価有機カチオンと前記アミジン系化合物の一価有機カチオンを含んでなることもできる。
【0069】
前記CABXにおいて、前記Cは少なくとも1つのアルカリ金属からなることができる。
【0070】
前記CAは、前記アミン系化合物の1価有機カチオンがx比率で含まれ、前記アミジン系化合物の1価有機カチオンがy比率で含まれ、前記アルカリ金属の1価カチオンがz比率で含まれる構造からなることができる。ここで、x、y、及びzはそれぞれ0より大きく、x+y+z=1である。
【0071】
前記CABXにおいて、Bは前記二価カチオンからなり、前記Xは1種以上のハロゲン元素からなる。
【0072】
前記アミン系列の化合物、前記アミジン系の化合物、前記二価カチオンを含む有機金属化合物、及び前記ハロゲン化水素は、前記と同様であるため、反復説明は省略することにする。
【0073】
前記アルカリ金属系化合物は、下記化学式2:
【0074】
【化2】
【0075】
(式中、R~Rはそれぞれ独立して水素又はアルキル基からなり、前記Yはアルカリ金属である)で表される化合物からなることができる。
【0076】
このように、本発明の他の実施例によれば、少なくとも1つのアルカリ金属系化合物を反応物に添加することによって、水分、熱及びプラズマに脆弱な一価有機カチオンの不安定性を補うことができる。
【0077】
前記光吸収層310の下面と前記光吸収層310の上面は、互いに異なる光学バンドギャップを有する。具体的には、前記光吸収層310の下面は、前記光吸収層310の上面の光学バンドギャップよりも小さい光学バンドギャップを有する。本発明において、光学バンドギャップは、価電子帯と伝導帯の間にある電子状態密度がゼロとなるエネルギー領域とそのエネルギー差をいい、その単位はeVである。
【0078】
前記光吸収層310の下面と上面の光学バンドギャップを調整することにより、ペロブスカイト太陽電池300の厚さを薄く形成しながらも電流を高めることができる。具体的には、前記光吸収層310の上面は、前記光吸収層310の下面に比べて太陽光が入射する面に相対的に近い位置にあるので、前記光吸収層310の上面の光学バンドギャップを前記光吸収層310の下面の光学バンドギャップよりも大きく形成することにより、ペロブスカイト太陽電池300の電流を高めることができる。本明細書全体では、前記光吸収層310の上面が前記光吸収層310の下面に比べて太陽光が入射する面に相対的に近い位置にある面であると仮定して説明するが、もし、前記光吸収層310の下面が前記光吸収層310の上面に比べて太陽光が入射する面に相対的に近くに位置するようになると、それに対する説明も逆になるだろう。
【0079】
本発明の一実施例によれば、前記光吸収層310内部の光学バンドギャップは、上面から下面に行く程同じか又は小さくなり得る。
【0080】
図2図4は、本発明の様々な実施例による光吸収層310の下面から上面までの光学バンドギャップ変化を示すグラフである。
【0081】
図2から分かるように、本発明の一実施例による光吸収層310の場合、その下面から上面まで光学バンドギャップが徐々に増加することができる。特に、図に示すように、光吸収層310の下面から上面まで光学バンドギャップが一定の傾きを有しながら徐々に増加することができるが、必ずしもそれに限定されるものではなく、前記傾きが一定でなくてもよい。
【0082】
前記光吸収層310に含まれるペロブスカイト化合物は、第1ハロゲン元素(X1)及び第2ハロゲン元素(X2)を含むことができる。
【0083】
前記第1ハロゲン元素(X1)及び第2ハロゲン元素(X2)のそれぞれを含むペロブスカイト化合物は、AB(X1)(X2)で表すことができる。ここで、A及びBは前述と同じであり、前記m、nはそれぞれ0より大きく、m+n=3である。
【0084】
前記第1ハロゲン元素(X1)は、前記第2ハロゲン元素(X2)の光学バンドギャップよりも大きい値の光学バンドギャップを有する。この場合、前記光吸収層310の上面に含まれる前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量は、前記光吸収層310の下面に含まれる第1ハロゲン元素(X1)の含有量より多く、光吸収層310の上面に含まれる第2ハロゲン元素の含有量は、前記光吸収層310の下面に含まれる前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量より少なくてもよい。
【0085】
また、前記光吸収層310の下面では、相対的に小さい光学バンドギャップを有する前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量が、相対的に大きな光学バンドギャップを有する前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量より多く、前記光吸収層310の上面では、相対的に大きな光学バンドギャップを有する前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量が、相対的に小さい光学バンドギャップを有する前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量より多くてもよい。
【0086】
前記光吸収層310内部の前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量は、上面から下面に行くほど同じか少なくなり、前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量は、上面から下面に行くほど同じか多くなり得る。特に、前記光吸収層310の上面から下面に行くほど前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量は次第に減少し、前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量は次第に増加し、前記光吸収層310の下面から上面に行くほど前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量は次第に減少し、前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量は次第に増加することができる。
【0087】
前記ペロブスカイト化合物の一般式AB(X1)(X2)で説明すると、前記光吸収層310の上面から下面に行くほど前記mは減少し、前記nは増加することができ、逆に、前記光吸収層310の下面から上面に行くほど前記mは増加し、前記nは、減少することができる。
【0088】
前記ペロブスカイト化合物(AB(X1)(X2))の第1及び第2ハロゲン元素のうち、光学バンドギャップが大きい第1ハロゲン元素(X1)の含有量が増加するほど、ペロブスカイト化合物の光学バンドギャップも増加することができ、光学バンドギャップが小さい第2ハロゲン元素(X2)の含有量が増加するほど、ペロブスカイト化合物の光学バンドギャップも減少することができる。
【0089】
フルオロ(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち、フルオロ(F)の光学バンドギャップが最も大きく、塩素(Cl)の光学バンドギャップが次に大きく、臭素(Br)の光学バンドギャップが次に大きく、ヨウ素(I)の光学バンドギャップが最も小さい。具体的には、塩素(Cl)の光学バンドギャップは3.1eVであり、ヨウ素(I)の光学バンドギャップは1.6eVである。
【0090】
前記ペロブスカイト化合物が塩素(Cl)とヨウ素(I)のそれぞれを含む場合、光学バンドギャップが相対的に大きい塩素(Cl)の含有量が増加するとペロブスカイト化合物の光学バンドギャップも増加し、光学バンドギャップが相対的に小さいヨウ素(I)の含有量が増加すると第1ペロブスカイト化合物の光学バンドギャップも減少するようになる。したがって、前記光吸収層310内のペロブスカイト化合物が塩素(Cl)とヨウ素(I)を含む場合、前記光吸収層310の下面では、前記ヨウ素(I)の含有量が前記塩素(Cl)の含有量より多く、前記光吸収層310の上面では、前記塩素(Cl)の含有量が前記ヨウ素(I)の含有量より多くなり、特に、前記ヨウ素(I)の含有量は前記光吸収層310の上面から下面に行くほど増加し、前記塩素(Cl)の含有量は、前記光吸収層310の下面から上面に行くほど増加することができる。
【0091】
また、本発明の他の実施例によれば、前記光吸収層310に含まれるペロブスカイト化合物は、前記第1ハロゲン元素(X1)と前記第2ハロゲン元素(X2)に加えて、第3ハロゲン元素(X3)をさらに含むことができる。ここで、前記第1ハロゲン元素(X1)、第2ハロゲン元素(X2)及び第3ハロゲン元素(X3)を含むペロブスカイト化合物は、AB(X1)(X2)(X3)で表示することができる。前記m、n、oはそれぞれ0より大きく、m+n+o=3である。
【0092】
前記第3ハロゲン元素(X3)は、前記第1ハロゲン元素(X1)の光学バンドギャップより小さく、前記第2ハロゲン元素(X2)の光学バンドギャップよりも大きい値の光学バンドギャップを有することで、前記光吸収層310の下面から上面に行くほど前記第3ハロゲン元素(X3)の含有量が増加したり再び減少することができる。すなわち、前記ペロブスカイト化合物のAB(X1)(X2)(X3)において、前記「o」は光吸収層310の下面から上面に行くほど増加した後、減少することができる。場合によっては、前記第3ハロゲン元素(X3)の含有量は、前記光吸収層310全体で均一であり得る。前記第1ハロゲン元素(X1)が塩素(Cl)からなり、前記第2ハロゲン元素(X2)がヨウ素(I)からなる場合、前記第3ハロゲン元素(X3)は臭素(Br)からなることができる。
【0093】
図3から分かるように、本発明の他の実施例による光吸収層310は、光学バンドギャップが最も低い第1層(a)、光学バンドギャップが中間である第2層(b)、及び光学バンドギャップが最も高い第3層(c)を含むことにより、前記光吸収層310の光学バンドギャップがその下面からその上面まで階段式に増加することができる。ここで、前記光学バンドギャップが最も低い第1層(a)は、前記光吸収層310の下面に隣接する領域であり、前記光学バンドギャップが最も高い第3層(c)は、前記光吸収層310の上面に隣接する領域である。
【0094】
図3による光吸収層310中のペロブスカイト化合物は、第1ハロゲン元素(X1)及び、前記第1ハロゲン元素(X1)の光学バンドギャップよりも低い光学バンドギャップを有する第2ハロゲン元素(X2)を含むことができる。
【0095】
ここで、前記光学バンドギャップが最も低い第1層(a)は、前記第2ハロゲン元素(X2)を含み、前記第1ハロゲン元素(X1)は含まず、前記光学バンドギャップが中間である第2層(b)は、前記第1ハロゲン元素(X1)及び前記第2ハロゲン元素(X2)を全て含み、そして、前記光学バンドギャップが最も高い第3層(c)は、第1ハロゲン元素(X1)を含み、前記第2ハロゲン元素(X2)を含まなくてもよい。
【0096】
又は、前記第1層(a)、前記第2層(b)、及び前記第3層(c)のそれぞれが、前記第1ハロゲン元素(X1)及び前記第2ハロゲン元素(X2)の両方を含むこともでき、この場合、前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量は、前記第3層(c)において最も多く、前記第1層(a)で最も少なく、前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量は、前記1層(a)で最も多く、前記第3層(c)で最も少なくなる。
【0097】
図3に係る光吸収層310内のペロブスカイト化合物が、第1ハロゲン元素(X1)、前記第1ハロゲン元素(X1)の光学バンドギャップより低い光学バンドギャップを有する第2ハロゲン元素(X2)、及び前記第1ハロゲン元素(X1)の光学バンドギャップXよりも低く、前記第2ハロゲン元素(X2)の光学バンドギャップより高い光学バンドギャップを有する第3ハロゲン元素(X3)を含むこともできる。
【0098】
この場合、前記第1ハロゲン元素(X1)の含有量及び前記第2ハロゲン元素(X2)の含有量は、前述と同様であり得、前記第3ハロゲン元素(X3)の含有量は、前記第1層(a)よりも前記第2層(b)において多いことがあり得、前記第3ハロゲン元素(X3)の含有量は、前記第3層(c)よりも前記第2層(b)において多いことがあり得、場合によっては、前記第3ハロゲン元素(X3)の含有量は、前記第1層(a)、前記第2層(b)及び前記第3層(c)において均一であることもあり得る。
【0099】
又は、前記第1層(a)は、前記第2ハロゲン元素(X2)は含み、前記第1ハロゲン元素(X1)及び前記第3ハロゲン元素(X3)は含まず、前記第2層(b)は、前記第3ハロゲン元素(X3)は含み、前記第1ハロゲン元素(X1)及び前記第2ハロゲン元素(X2)は含まず、そして、前記第3層(c)は、第1ハロゲン元素(X1)は含み、前記第2ハロゲン元素(X2)及び前記第3ハロゲン元素(X3)は含まなくてもよい。
【0100】
図4から分かるように、本発明のまた他の実施例による光吸収層310は、光学バンドギャップが最も低い第1層(a)、光学バンドギャップが中間である第2層(b)、光学バンドギャップが最も高い第3層(c)、前記第1層(a)と前記第2層(b)の間に具備された第4層(d)、及び前記第2層(b)と第3層(c)の間に具備された第5層(e)を含んでなる。
【0101】
前記第1層(a)、第2層(b)、及び第3層(c)は、上述した図3と同じである。
【0102】
前記第4層(d)は、前記第1層(a)の光学バンドギャップから前記第2層(b)の光学バンドギャップまで徐々に増加し、前記第5層(e)は、第2層(b)の光学バンドギャップから第3層(c)の光学バンドギャップまで、その光学バンドギャップが徐々に増加することができる。前記第4層(d)及び前記第5層(e)の構成は、上述した図2の構成を参照すれば容易に理解することができる。
【0103】
前記光吸収層310を構成するペロブスカイト化合物の薄膜は、アミン系化合物及びアミジン系化合物から選択された少なくとも1つの化合物、二価カチオンを含む有機金属化合物、及び少なくとも1つのハロゲン化水素を反応させる工程を通じて得ることができる。
【0104】
以下のスキームは、CVD工程で本発明の一実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0105】
【化3】
【0106】
前記スキーム1から分かるように、メチルアミン、二価カチオンを含む有機金属化合物としてビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、及びハロゲン化水素としてヨウ化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物としてヨウ化鉛メチルアンモニウム(CHNHPbI(MAPbI))が得られ、それと共に副産物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0107】
前記スキーム1では図に示していないが、メチルアミンとヨウ化水素が反応してCHNHI(ヨウ化メチルアンモニウム;Methylammonium Iodide)の副産物が得ら得、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副生成物を得ることもできる。
【0108】
前記スキーム1において、前記メチルアミンの代わりにエチルアミン又はフェネチルアミンを反応させることもでき、前記ヨウ化水素の代わりに臭化水素(HBr)又は塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において、鉛(Pb)をSn、Ge、Sb、Bi、又はBaで置換した有機金属化合物を反応させることもできる。
【0109】
前記スキーム1で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図3の第1層(a)、第2層(b)及び第3層(c)のうちの1つの層を構成することができる。
【0110】
以下のスキーム2は、CVD工程による本発明の他の実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0111】
【化4】
【0112】
前記スキーム2から分かるように、ホルムアミジン、二価カチオンを含む有機金属化合物として、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、及びハロゲン化水素としてヨウ化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物としてNHCHNHPbI(FAPbI)の化合物が得られ、それと共に副産物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0113】
前記スキーム2では図に示していないが、ホルムアミジンとヨウ化水素が反応してNHCHNHI(ホルムアミジニウムヨウ化物;Formamidinium Iodide)の副産物が得られ、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副生成物を得ることもできる。
【0114】
前記スキーム2において、前記ヨウ化水素の代わりに臭化水素(HBr)又は塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において、鉛(Pb)をSn、Ge、Sb、Bi、又はBaに置換させた有機金属化合物を反応させることもできる。
【0115】
スキーム2によって製造されたNHCHNHPbI(FAPbI)の化合物の光学バンドギャップエネルギーは1.47eVであり、前記スキーム1によって製造されたCHNHPbI(MAPbI)の化合物の光学バンドギャップエネルギーは1.57eVである。すなわち、前記スキーム2によって製造されたNHCHNHPbI(FAPbI)の化合物の光学バンドギャップエネルギーは、前記スキーム1によって製造されたCHNHPbI(MAPbI)の化合物の光学バンドギャップエネルギーよりも低い。それによって、前記スキーム2によって製造されたNHCHNHPbI(FAPbI)の化合物を太陽電池の光吸収層として用いる場合は、前記スキーム1によって製造されたCHNHPbI(MAPbI)の化合物を太陽電池の光吸収層として利用する場合に比べて、より広い太陽光スペクトルを吸収することができる。
【0116】
前記スキーム2で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図3の第1層(a)、第2層(b)及び第3層(c)のうちの1つの層を構成することができる。
【0117】
以下のスキーム3は、CVD工程による本発明のまた他の実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0118】
【化5】
【0119】
前記スキーム3から分かるように、メチルアミン、ホルムアミジン、二価カチオンを含む有機金属化合物として、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、及びハロゲン化水素としてヨウ化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物としてCHNHNHCHNHPbI(MAFAPbI)の化合物が得られ、それと共に副産物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0120】
前記スキーム3では図示していないが、メチルアミンとヨウ化水素が反応してCHNHI(ヨウ化メチルアンモニウム;Methylammonium Iodide)の副産物が得られ、ホルムアミジンとヨウ化水素が反応してNHCHNHI(ホルムアミジニウムヨウ化物;Formamidinium Iodide)の副産物が得られ、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副産物を得ることもできる。
【0121】
前記スキーム3において、前記メチルアミンの代わりにエチルアミン又はフェネチルアミンを反応させることもでき、前記ヨウ化水素の代わりに臭化水素(HBr)又は塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において鉛(Pb)をSn、Ge、Sb、Bi、又はBaに置換した有機金属化合物を反応させることもできる。
【0122】
前記スキーム3によって製造されたCHNHNHCHNHPbI(MAFAPbI)の化合物は、複数の一価カチオンを有するようになり、前記スキーム3によって製造されたCHNHNHCHNHPbI(MAFAPbI)の化合物を太陽電池の光吸収層として利用する場合より高効率のペロブスカイト太陽電池を得ることができる。
【0123】
前記スキーム3で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図3の第1層(a)、第2層(b)及び第3層(c)のうちの1つの層を構成することができる。
【0124】
以下のスキーム4は、CVD工程で、本発明のまた他の実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0125】
【化6】
【0126】
前記スキーム4から分かるように、メチルアミン、ホルムアミジン、二価カチオンを含む有機金属化合物として、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、及びハロゲン化水素としてヨウ化水素及び臭化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物としてCHNHNHCHNHPbI3-xBr(xは0~3の整数)(MAFAPbI3-xBr)の化合物が得られ、それと共に副生成物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0127】
前記スキーム4では図に示していないが、メチルアミンとヨウ化水素とが反応してCHNHI(ヨウ化メチルアンモニウム;Methylammonium Iodide)の副生成物を得ることができ、ホルムアミジンとヨウ化水素が反応してNHCHNHI(ホルムアミジニウムヨウ化物;Formamidinium Iodide)の副産物が得られ、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副産物を得ることもできる。
【0128】
前記スキーム4において、前記メチルアミンの代わりにエチルアミン又はフェネチルアミンを反応させることもでき、前記ヨウ化水素又は臭化水素の代わりに塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において、鉛(Pb)ををSn、Ge、Sb、Bi、又はBaで置換した有機金属化合物を反応させることもできる。
【0129】
前記スキーム4において、時間が経つにつれてヨウ化水素の添加量を減少させ、臭化水素の添加量を増加させる方法で反応させることもできる。
【0130】
前記スキーム4によって製造されたCHNHNHCHNHPbI3-xBr(xは0~3の整数)(MAFAPbI3-xBr)の化合物は、複数のハロゲン物質をドーピングして得られたものであり、前記スキーム3によって製造されたCHNHNHCHNHPbI(MAFAPbI)の化合物と比較して、光学バンドギャップをより広い範囲に精密に制御することができる。
【0131】
前記スキーム4で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図2の光吸収層、及び上述した図4の第4層(d)及び第5層(e)のうちの1つの層を構成することができる。
【0132】
以下のスキーム5は、CVD工程による本発明のまた他の実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0133】
【化7】
【0134】
前記スキーム5から分かるように、アルカリ金属系化合物としてCs(ヘキサメチルジシラザン;HMDS)、メチルアミン、ホルムアミジン、二価カチオンを含む有機金属化合物としてビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、ハロゲン化水素としてヨウ化水素及び臭化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物として(Cs(CHNHNHCHNHPbI3-xBr)(xは0~3の整数)(Cs(MAFAPbI3-xBr)の化合物が得られ、それと共に副生成物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0135】
前記スキーム5では図に示していないが、メチルアミンとヨウ化水素が反応してCHNHI(ヨウ化メチルアンモニウム;Methylammonium Iodide)の副産物が得られ得、ホルムアミジンとヨウ化水素が反応してNHCHNHI(ホルムアミジニウムヨウ化物;Formamidinium Iodide)の副産物が得られ得、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副産物を得ることもできる。
【0136】
前記スキーム5では、時間が経つにつれてヨウ化水素の添加量を減少させ、臭化水素の添加量を増加させる方法で反応させることもできる。
【0137】
前記スキーム5において、前記アルカリ金属系化合物でセシウム(Cs)をリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、又はフランシウム(Fr)に置換させたアルカリ金属系化合物を反応させることもでき、前記メチルアミンの代わりにエチルアミン又はフェネチルアミンを反応させることもでき、前記ヨウ化水素又は臭化水素の代わりに塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において鉛(Pb)をSn、Ge、Sb、Bi、又はBaに置換した有機金属化合物を反応させることもできる。前記スキーム5で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図2の光吸収層、及び上述した図4の第4層(d)及び第5層(e)のうちの1つの層を構成することができる。
【0138】
以下のスキーム6は、CVD工程で本発明のまた他の実施例によるペロブスカイト化合物の薄膜を形成する方法におけるスキームである。
【0139】
【化8】
【0140】
前記スキーム6から分かるように、アルカリ金属系化合物としてCs(ヘキサメチルジシラザン;HMDS)及びRb(ヘキサメチルジシラザン;HMDS)、メチルアミン、ホルムアミジン、二価カチオンを含む有機金属化合物としてビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛、及びハロゲン化水素としてヨウ化水素及び臭化水素を反応させると、ペロブスカイト化合物としてCsRb(CHNHNHCHNHPbI3-xBr)(xは0~3の整数)(CsRb(MAFAPbI3-xBr))の化合物が得られ、それと共に副産物としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)が得られる。
【0141】
前記スキーム6では図に示していないが、メチルアミンとヨウ化水素とが反応してCHNHI(ヨウ化メチルアンモニウム;Methylammonium Iodide)の副生成物が得られ得、ホルムアミジンとヨウ化水素が反応してNHCHNHI(ホルムアミジニウムヨウ化物;Formamidinium Iodide)の副産物が得られ得、また、ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛とヨウ化水素が反応してPbIの副産物が得られ得る。
【0142】
前記スキーム6では、時間が経つにつれてヨウ化水素の添加量を減少させ、臭化水素の添加量を増加させる方法で反応させることもできる。
【0143】
前記スキーム6において、前記アルカリ金属系化合物でセシウム(Cs)又はルビジウム(Rb)をリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、又はフランシウム(Fr)に置換させたアルカリ金属系化合物を反応させることもでき、前記メチルアミンの代わりにエチルアミン又はフェネチルアミンを反応させることもでき、前記ヨウ化水素又は臭化水素の代わりに塩化水素(HCl)を反応させることもでき、前記ビス(ビス(トリメチルシリル))アミノ鉛において鉛(Pb)をSn、Ge、Sb、Bi、又はBaに置換した有機金属化合物を反応させることもできる。
【0144】
前記スキーム6で得られたペロブスカイト化合物の薄膜は、上述した図2の光吸収層と、上述した図4の第4層(d)及び第5層(e)のうちの1つの層を構成することができる。
【0145】
再び図1を参照すると、前記第1電極400は、太陽光が入射する入射面に形成されるので、所定の形態でパターン形成される。第2電極500も所定の形態でパターン形成されることにより、太陽光の反射光が太陽電池内部に入射できるように構成することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0146】
以上は、結晶質太陽電池上にペロブスカイト太陽電池が積層されたタンデム太陽電池について説明したが、本発明が必ずしもタンデム太陽電池に限定されるものではなく、上述した光吸収層310を具備したペロブスカイト太陽電池も含む。
【0147】
図5A図5Dは、本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
【0148】
まず、図5Aから分かるように、結晶質太陽電池100を製造する。
【0149】
前記結晶質太陽電池100は、ウエハのような半導体基板110の一面、特に上面をエッチングして凸凹構造を形成し、前記半導体基板110の一面に所定のドーパントをドーピングして第1半導体層120を形成し、前記半導体基板110の他面に所定のドーパントをドーピングして第2半導体130を形成する工程を通じて製造する。
【0150】
前記半導体基板110の一面を凸凹構造に形成することによって、前記第1半導体層120は、凸凹構造に対応する形状からなる。
【0151】
一方、図には前記半導体基板110の他面、特に下面が平坦な構造で形成され、それによって前記第2半導体層130も平坦構造で形成された様子を示したが、必ずしもそれに限定されるものではなく、前記半導体基板110の他面も凸凹構造に形成し、前記第2半導体層130が前記半導体基板110の他面の凸凹構造に対応する形状からなり得る。場合によっては、前記半導体基板110の他面、特に下面が凸凹構造に形成し、前記半導体基板110の一面、特に上面が平坦な構造で形成することもできる。
【0152】
前記半導体基板110は、上述したp型又はn型のウエハからなり、したがって、光吸収層に対する反復説明は省略することにする。
【0153】
次に、図5Bから分かるように、前記結晶質太陽電池100上にバッファ層200を形成する。
【0154】
前記バッファ層200は、前記第1半導体層120上に形成される。前記第1半導体層120を凸凹構造に形成することにより、前記バッファ層200は凸凹構造に対応する形状からなる。
【0155】
前記バッファ層200は、結晶質太陽電池100と後述するペロブスカイト(Perovskite)太陽電池300の間に具備され、本発明の一実施例による太陽電池がトンネル接合を介したタンデム太陽電池の構造を成すようにする。
【0156】
前記バッファ層200は、前述したペロブスカイト(Perovskite)太陽電池300を透過する長波長の光を損失なく結晶質太陽電池100に入射できるようにするための物質からなることが好ましく、したがって、前記光吸収層に対する反復説明は省略することにする。
【0157】
次に、図5Cから分かるように、前記バッファ層200上にペロブスカイト太陽電池300を形成する。
【0158】
前記ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池300の形成工程は、前記バッファ層200上に第1導電性電荷伝達層321を形成する工程、前記第1導電性電荷伝達層321上に光吸収層310を形成する工程、及び前記光吸収層310上に第2導電性電荷伝達層322を形成する工程を含んでなることができる。
【0159】
ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池300は、上述したようにCVD又はALD工程で形成することができ、これに対する反復説明は省略する。
【0160】
次に、図5Dから分かるように、前記ペロブスカイト太陽電池300の上面上に第1電極400を形成し、前記結晶質太陽電池100の下面上に第2電極500を形成する。
【0161】
前記第1電極400及び前記第2電極500は、上述した通りであり、反復説明は省略することにする。
【0162】
次に、図5Eから分かるように、前記第1電極400上に凸凹構造のパッシベーション層600を形成する。ここで、パッシベーション層600の一部は、エッチングして前記第1電極400が露出するようにする。
【0163】
前記パッシベーション層600を凸凹構造に形成することにより、前記ペロブスカイト太陽電池300に入射する光量を増加させることができる。
【0164】
前記パッシベーション層600は、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなることができ、前記ポリジメチルシロキサンを前記ペロブスカイト太陽電池300上に形成すれば、マイクロピラミッド構造の凸凹構造を得ることができる。
【0165】
図6A図6Eは、本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
【0166】
まず、図6Aから分かるように、結晶質太陽電池100を製造する。
【0167】
前記結晶質太陽電池100は、半導体基板110の下面をエッチングして凸凹構造を形成し、前記半導体基板110の上面に所定のドーパントをドーピングして第1半導体層120を形成し、前記半導体基板110の下面に所定のドーパントをドーピングして第2半導体層130を形成する工程を通じて製造することができる。
【0168】
前記半導体基板110の下面を凸凹構造に形成することにより、前記第2半導体層130は、前記凸凹構造に対応する形状からなる。
【0169】
前記第1半導体層120は、前記半導体基板110と異なる極性を有するドーパントでドーピングすることができ、前記第2半導体層130は、前記半導体基板110と同じ極性を有するドーパントでドーピングすることができる。
【0170】
次に、図6Bから分かるように、前記結晶質太陽電池100の上面上にバッファ層200を形成する。
【0171】
前記バッファ層200は、前記第1半導体層120上に形成する。前記第1半導体層120を平坦な構造で形成することによって、前記バッファ層200も平坦な構造からなる。
【0172】
前記バッファ層200は、前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0173】
次に、図6Cから分かるように、前記バッファ層200上に前記ペロブスカイト太陽電池300を形成する。前記バッファ層200を平坦な構造に形成することで、前記ペロブスカイト太陽電池300も平坦な構造で形成することができる。ペロブスカイト太陽電池300は、前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0174】
次に、図6Dから分かるように、前記ペロブスカイト太陽電池300の上面上に第1電極400を形成し、前記結晶質太陽電池100の下面上に第2電極500を形成する。
【0175】
前記第1電極400及び第2電極500も前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0176】
次に、図6Eから分かるように、前記第1電極400上に凸凹構造のパッシベーション層600を形成する。ここで、前記パッシベーション層600の一部は、エッチングして第1電極400が露出するようにする。
【0177】
前記パッシベーション層600を凸凹構造に形成することにより、前記ペロブスカイト太陽電池300に入射する光量を増加させることができる。
【0178】
前記パッシベーション層600は、ポリジメチルシロキサンからなることができ、前記ポリジメチルシロキサンを前記ペロブスカイト太陽電池300上に形成すれば、マイクロピラミッド構造の凸凹構造を得ることができる。
【0179】
図7A図7Eは、本発明のまた他の実施例による太陽電池の製造方法を示す工程断面図である。
【0180】
まず、図7Aから分かるように、結晶質太陽電池100を製造する。
【0181】
前記結晶質太陽電池100は、半導体基板110の一面と他面をエッチングして凸凹構造を形成し、前記半導体基板110の一面に所定のドーパントをドーピングして第1半導体層120を形成し、前記半導体基板110の他面に所定のドーパントをドーピングして第2半導体層130を形成する工程を通じて製造することができる。
【0182】
前記半導体基板110の一面と他面を凸凹構造に形成することで、前記第1半導体層120及び前記第2半導体層130は、それぞれ凸凹構造に対応する形状からなる。
【0183】
前記第1半導体層120は、前記半導体基板110と異なる極性を有するドーパントでドーピングすることができ、前記第2半導体層130は、前記半導体基板110と同じ極性を有するドーパントでドーピングすることができる。
【0184】
次に、図7Bから分かるように、前記結晶質太陽電池100の上面上にバッファ層200を形成する。
【0185】
前記バッファ層200は、前記第1半導体層120上に形成する。前記第1半導体層120を凸凹構造に形成することにより、前記バッファ層200も凸凹構造からなる。
【0186】
前記バッファ層200は、前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0187】
次に、図7Cから分かるように、前記バッファ層200上に前記ペロブスカイト太陽電池300を形成する。前記バッファ層200を凸凹構造に形成することで、前記ペロブスカイト太陽電池300も凸凹構造に形成することができる。前記ペロブスカイト太陽電池300は、前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0188】
次に、図7Dから分かるように、前記ペロブスカイト太陽電池300の上面上に第1電極400を形成し、前記結晶質太陽電池100の下面上に第2電極500を形成する。
【0189】
前記第1電極400及び第2電極500も前述した実施例と同様であるので、反復説明は省略することにする。
【0190】
次に、図7Eから分かるように、前記第1電極400上にパッシベーション層600を形成する。ここで、前記パッシベーション層600の一部は、エッチングして前記第1電極400が露出するようにする。
【0191】
前記ペロブスカイト太陽電池300を凸凹構造に形成することで、前記パッシベーション層600も凸凹構造に形成することができる。前記パッシベーション層600は、SiO、SiON、SiN、Al、又はMgFなどの様々な材料で形成することができる。
【0192】
以上、添付の図を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲内で多様に変形して実施することができる。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。したがって、以上で記述した実施例はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解されなければならない。本発明の保護範囲は、請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
【国際調査報告】