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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ナノワイヤの被覆
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/054 20220101AFI20240312BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240312BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240312BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20240312BHJP
   B22F 1/17 20220101ALI20240312BHJP
   D06M 10/02 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 13/188 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 13/35 20060101ALI20240312BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
B22F1/054
H01L21/60 321E
H01L21/90 P
B22F1/102
B22F1/17
D06M10/02 C
D06M13/188
D06M13/35
H05K3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553552
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022054379
(87)【国際公開番号】W WO2022184501
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021105129.0
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519323089
【氏名又は名称】ナノワイヤード ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NanoWired GmbH
【住所又は居所原語表記】Emanuel-Merck-Strasse 99, 64579 Gernsheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビヨレム,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシンガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ケドナウ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルステイエ,ファラフ
【テーマコード(参考)】
4K018
4L031
4L033
5F033
【Fターム(参考)】
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA04
4K018BA20
4K018BB02
4K018BB05
4K018BC22
4K018BC29
4L031AA25
4L031AB01
4L031CB05
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA17
4L033BA55
5F033HH07
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH14
5F033PP26
5F033QQ73
5F033QQ94
(57)【要約】
部品(4、5)上の複数のナノワイヤ(1)に被覆(2)を設ける方法であって、
a)前記各ナノワイヤ(1)を還元物質で処理するステップと、
b)前記各ナノワイヤ(1)を保護物質に浸漬するステップと、
c)前記各ナノワイヤ(1)を乾燥させて、前記保護物質から前記被覆(2)を得るステップと、
を含む方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(4、5)上の複数のナノワイヤ(1)に被覆(2)を設ける方法であって、
a)前記各ナノワイヤ(1)を還元物質で処理するステップと、
b)前記各ナノワイヤ(1)を保護物質に浸漬するステップと、
c)前記各ナノワイヤ(1)を乾燥させて、前記保護物質から前記被覆(2)を得るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記保護物質は、有機物質を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記保護物質は、金属を含む、
方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方法であって、
前記保護物質は、ステップb)において前記保護物質が物理吸着によって前記各ナノワイヤ(1)に少なくとも部分的に付着するように、前記各ナノワイヤ(1)の材料を考慮して選択されている、
方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の方法であって、
ステップa)~c)によって形成された前記各ナノワイヤ(1)の前記被覆(2)は、最大で20分子の層の平均厚を有する、
方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の方法であって、
前記部品(4、5)は、ステップa)とb)の間又はステップb)とc)の間又はその両方において、濯ぎ液で濯がれる、
方法。
【請求項7】
複数のナノワイヤ(1)を介して2つの部品(4、5)を接続する方法であって、
A)前記部品(4、5)うちの少なくとも一方の上の複数のナノワイヤ(1)に被覆(2)を設けるステップと、
B)前記部品(4、5)が前記ナノワイヤ(1)を介して互いに接続されるように、前記部品(4、5)を引き合わせるステップと、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記被覆(2)は、ステップA)において、請求項1~6の何れか1項に記載の方法によって得られる、
方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法であって、
C)加熱によって、前記ナノワイヤ(1)の前記被覆(2)を少なくとも部分的に除去するステップ、
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品上の複数のナノワイヤに被覆を設ける方法に関し、且つ、特に本発明に従って被覆することができる複数のナノワイヤによって2つの部品を接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成長後のナノワイヤに保護塗料(Schutzlack)を塗布することが知られている。この保護塗料は、各ナノワイヤが意図した用途に使用されるまで、ナノワイヤを一時的に保護する。例えば、ナノワイヤは、2つの部品を互いに接続するために使用することができる。保護塗料は、各ナノワイヤの全体を覆っている。その意図した用途に各ナノワイヤを使用する前に、これらのナノワイヤの被覆をはぎ取る必要がある。このために、保護塗料を化学的に取り除かなければならない。これは、さらなる方法ステップがあることを意味しており、この点において、好ましくない。さらに、化学物質、特に、液状又はガス状であろう化学物質が必要となる。製造環境においては、液状の化学物質は、通常、望ましくない。さらに、液体は、処理後の部品上に残渣を残すことがある。ガス状の化学物質を使用する場合は、適切な雰囲気を生成することが必要であり、煩雑である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、記載した従来技術に基づいて、残渣を残さずに容易にその保護を除去できる態様でナノワイヤを保護できるようにすることである。
【0004】
前述の目的は、独立特許請求項の特徴による方法によって達成される。従属請求項はそれぞれ、有利な構成を示している。請求項において個々に詳述する特徴は、技術的に有意な任意の態様で互いに組み合わせ可能である。
【0005】
本発明によれば、部品上の複数のナノワイヤ(1)に被覆(2)を設ける方法が提供される。本方法は、
a)各ナノワイヤを還元物質で処理するステップと、
b)各ナノワイヤを保護物質に浸漬するステップと、
c)各ナノワイヤを乾燥させて、保護物質から被覆を得るステップと、
を含む。ステップa)、b)、c)は、上記の順序で行われることが好ましい。
【0006】
記載の方法では、意図した用途に使用されるまで各ナノワイヤを被覆で保護することができる。意図した用途とは、ナノワイヤが配置されている部品を別の部品に接続することであってもよい。ただし、本方法は、他の用途にも適している。本方法によって得られた被覆は、特に容易に、特に化学物質を使用せずに、除去可能である。一部の用途においては、被覆を除去する必要さえない。
【0007】
記載の方法で、各ナノワイヤを保護することができる。本明細書におけるナノワイヤとは、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲のサイズをワイヤ状の任意の材料体を意味するものと理解されるべきである。ナノワイヤは、例えば円形状、楕円形状、多角形状の底面を有してもよい。特に、ナノワイヤは六角形状の底面を有してもよい。
【0008】
ナノワイヤは、100nm[ナノメートル]~100μm[マイクロメートル]の範囲の長さ、特に500nm~60μmの範囲の長さを有することが好ましい。さらに、ナノワイヤは、10nm~10μmの範囲の直径、特に30nm~2μmの範囲の直径を有することが好ましい。本明細書における「直径」という表現は円形の底面に関するものであり、これから逸脱する底面の場合には、同様の直径の定義を用いるものとする。使用される全てのナノワイヤが同じ長さ及び同じ直径を有することが特に好ましい。
【0009】
記載の方法は、様々なナノワイヤ材料に利用可能である。導電材料、特に、銅、銀、金、ニッケル、錫、白金などの金属は、ナノワイヤの材料として好適である。ただし、金属酸化物などの非導電材料も好適である。全てのナノワイヤは、同じ材料から形成されていることが好ましい。
【0010】
ナノワイヤは、部品上でガルバニック成長させることで形成されてもよい。ナノワイヤは、部品の導電面上に成長させられていることが好ましい。そうではなくこの面が非導電性である部品の一部である場合は、例えば金属被覆することによって、導電性を実現できる。したがって、金属薄層の上にナノワイヤを成長させるために、例えば、非導電性の基板を金属薄層で被覆しておいてもよい。
【0011】
各ナノワイヤは、部品の表面上に垂直になっていることが好ましい。各ナノワイヤの第1端はそれぞれ、部品の表面に接続されていることが好ましい。各ナノワイヤの第2端はそれぞれ、この表面から離れた位置に配置されていることが好ましい。ただし、本方法は、例えば、部品の表面に横たわっているナノワイヤにも適用され得ると考えられる。
【0012】
部品は、特に電子部品であってもよい。例えば、部品は、基板、シリコンチップ、又は、いわゆるプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)であってもよい。ただし、本方法は、他の如何なる種類の部品にも適用可能である。
【0013】
ステップa)において、各ナノワイヤは、還元物質で処理される。各ナノワイヤの表面に対して還元作用を有する化学物質であればいずれも還元物質とみなしてよい。あるいは、各ナノワイヤの表面が還元されるように、ステップa)を工夫することもできる。これは、化学的還元を意味すると理解されたい。ステップa)において、特に各ナノワイヤの表面上の酸化物が除去される。
【0014】
還元物質は、液状であってもガス状であってもよい。例えば、還元物質は、蒸気の形態であってもよい。還元物質は、酸であることが好ましい。例えば、還元物質は、ギ酸であってもよく、特にギ酸蒸気であってもよい。あるいは、還元物質は、液状のクエン酸、フォーミングガス(Formiergas)、又は、水素プラズマであってもよい。
【0015】
ステップa)における各ナノワイヤの処理は、各ナノワイヤを還元物質を塗工することによって行われることが好ましい。液状又はガス状の還元物質の場合、これは、例えば、液状又はガス状の還元物質を各ナノワイヤに噴射することによって、処理を行ってもよい。ガス状の還元物質の場合、還元物質を含む雰囲気に各ナノワイヤを暴露してもよい。
【0016】
ステップb)において、ナノワイヤは保護物質に浸漬される。この保護物質は、液状であることが好ましい。各ナノワイヤが保護物質に浸漬されているときにナノワイヤの表面に付着し、そこから乾燥によってナノワイヤ上に被覆を形成する化学物質はいずれも保護物質とみなされる。乾燥は、ナノワイヤを乾燥させるステップc)において行われる。乾燥は、能動的又は受動的に行われ得る。各ナノワイヤに作用する手段が取られる場合は、能動的乾燥である。例えば、ナノワイヤは、ガス流に暴露されるか又は加熱されるか又はその両方であってもよい。ナノワイヤを乾燥させる何らかの特別な手段が取らずにナノワイヤをその環境に暴露することによってナノワイヤを乾燥させる場合は、受動的乾燥である。
【0017】
記載の方法によって、ナノワイヤの被覆が得られる。ナノワイヤの被覆とは、ナノワイヤの表面上の層を意味すると理解されたい。したがって、被覆は、ナノワイヤの形状に従う。被覆に覆われたナノワイヤは、ナノワイヤという語の上述した定義の範疇に同様に含まれる構造を表している。この被覆は、互いに隣接するナノワイヤ同士の被覆の間に隙間が形成されるように、形成されている。したがって、ナノワイヤは、この被覆があるにも拘わらず、互いに離れている。したがって、複数のナノワイヤをまとめて包み込む保護塗料は、本願明細書に使用されている意味では、ナノワイヤの被覆ではない。代わりに、そのような保護塗料は、部品の表面の被覆を形成し、その中に各ナノワイヤが包まれることになる。
【0018】
この被覆は、ナノワイヤがその本来の用途に使用されるときに、特に容易に除去することができる。これには、化学物質は一切必要ない。この点に関しては、従来技術から知られている諸欠点が克服されている。この場合、保護を形成するために化学物質を必要とすることは、重要ではない。したがって、通常は、困難なく、保護を形成するために化学物質を使用できる。最終的に、この保護は、ナノワイヤの成長も行われる場所に施される。これは、いずれにしても、化学物質の使用を必要とする。従来技術に言及して説明した諸問題は、化学物質によって保護を除去するのは不利であることに関連している。その理由は、ナノワイヤが本来の用途に使用される場所では保護を除去する必要があるからである。記載の方法によれば、この場所は、化学物質が使用不可能である又は化学物質の使用を意図していない場所とすることができる。
【0019】
本方法の好適な実施形態においては、保護物質は有機物質を含む。
【0020】
有機物質の少数の分子の層であっても、ナノワイヤの表面を酸化から保護するには十分であることが分かっている。
【0021】
この実施形態において保護物質として好適であるのは、ベンゾトリアゾール、イミダゾール、ポリビニルピロリドン、ベンズイミダゾール、チオール系物質、又はメルカプトベンズイミダゾールである。
【0022】
本方法のさらに好適な実施形態においては、保護物質は金属を含む。
【0023】
金属の少数の原子の層であっても、ナノワイヤの表面を酸化から保護するには十分であることが分かっている。金属は、貴金属であることが好ましい。ステップb)では、金属は浸漬浴の形態で提供されることが好ましい。これは、適切な温度で行うか、又は、溶剤に当該金属を溶解させて行うか、又は、その両方で行うことができる。したがって、保護物質は、溶剤を含んでいることが好ましい。この溶剤は、ステップc)において蒸発させてもよい。この場合は、被覆は、保護物質の、溶剤として蒸発しない部分から形成されている。
【0024】
この実施形態において保護物質として好適であるのは、銀及び金である。
【0025】
本方法のさらに好適な実施形態においては、保護物質は、ステップb)において保護物質が物理吸着によってナノワイヤに少なくとも部分的に付着するように、ナノワイヤの材料を考慮して選択されている。
【0026】
物理吸着では、保護物質からの分子又は原子又はその両方が、ファンデルワールス力によってナノワイヤの表面に付着する。ステップb)において物理吸着によって保護物質の一部のみがナノワイヤに付着するケースが発生し得る。その理由は、例えば、保護物質が溶剤を含有し、保護物質の残余の部分のみがナノワイヤの表面に付着するからである。
【0027】
本方法のさらに好適な実施形態においては、ステップa)~c)によって形成された各ナノワイヤの被覆は、最大で20原子又は20分子の層の平均厚を有し、特に、最大で10原子又は10分子の層の平均厚を有する。
【0028】
被覆の厚さがこのように薄ければ、ナノワイヤがその意図した用途に使用されるときに、被覆をナノワイヤ上に残しておくことができる。例えば、これらナノワイヤを有する部品は、被覆を除去する必要なく、この複数のナノワイヤを介して、別の部品に接続可能である。この接続は、これらナノワイヤと別の部品の表面との間の被覆を介して、又は、これらナノワイヤと別の部品の表面上の複数のナノワイヤとの間の被覆を介して、形成されてもよい。この別の部品の表面上の複数のナノワイヤも、被覆同士の間に接続が形成されるように被覆されていることが好ましい。あるいは、この被覆は、機械的に容易に除去することができる。例えば、これらナノワイヤを別の部品の表面に接触させることによって又は別の部品の表面上の複数のナノワイヤに接触させることによって、除去することができる。加熱によって、被覆を分解させることもできる。
【0029】
前述の肉薄の被覆は、ステップa)~c)によって得ることができる。この厚さに特に影響するのは、ナノワイヤの材料であり、ステップa)で使用される還元物質の化学的組成、ステップb)で使用される保護物質の化学的組成であり、特に還元物質の濃度と、ステップa)、b)、c)の持続時間や、ステップa)、b)、c)中のナノワイヤの温度などの処理におけるパラメータである。被覆の所望の厚さのためにこれらの要因をどのように選択するかは、実験によって決定できる。
【0030】
被覆が原子から形成される場合、被覆は、最大で20原子の層の平均厚、特に最大で10原子の層の平均厚を有する。被覆が分子から形成される場合、被覆は、最大で20分子の層の平均厚、特に最大で10分子の層の平均厚を有する。
【0031】
本方法のさらに好適な実施形態においては、部品は、ステップa)とb)の間又はステップb)とc)の間又はその両方において、濯ぎ液で濯がれる。これは、「両方において」行われることが好ましい。
【0032】
濯ぎによって、特に肉薄の被覆を得ることができる。濯ぎ液としては、水などの溶剤が特に適している。ステップa)とステップb)との間の濯ぎによって、還元物質と保護物質との間の相互作用を防止できる。ステップb)とステップc)との間の濯ぎによって、保護物質の諸成分を除去できるので、ステップc)において、これらの成分が望ましくない残渣としてナノワイヤに付着することがない。
【0033】
本発明のさらなる態様として、複数のナノワイヤを介して2つの部品を接続する方法を提供する。本方法は、
A)これらの部品のうちの少なくとも一方の上の複数のナノワイヤに被覆を設けるステップと、
B)これらの部品がナノワイヤを介して互いに接続されるように、部品同士を引き合わせるステップと、
とを含む。
【0034】
1つの部品上の複数のナノワイヤに被覆を設ける方法の前述の利点及び特徴は、複数のナノワイヤを介して2つの部品を接続する方法にも適用可能且つ転用可能であり、この逆も同様である。
【0035】
ステップA)及びB)は、記載した順序で行われる。ステップB)は、ステップA)に続けて行われることが好ましい。ステップA)とB)の間では被覆は除去されないことが特に好ましい。そのようにしたとしても、被覆は、ステップB)において部品同士を引き合わせることによって除去されるか、又は、ステップB)に続くステップにおいて除去される。したがって、ステップB)の開始時に、被覆がまだ存在していることが好ましい。
【0036】
各ナノワイヤによって、特に大きな接触面積にわたって接続を形成することが可能とする。その結果、特に機械的に安定した、導電性又は熱伝導性又はその両方を有する接続を得ることができる。前述の方法では、例えば2つの電子部品を互いに接続することができる。ただし、前述の方法は、電子機器分野における用途に限定されない。
【0037】
ナノワイヤは、2つの部品のうち一方に設けられていればよい。その場合、ステップB)において、第1の部品の上の各ナノワイヤは、被覆を介して、第2の部品の表面に接触する。各ナノワイヤと第2の部品の表面との間に被覆が残っていると考えられる。あるいは、この被覆は、2つの部品を引き合わせることによって又はこれ以降の方法ステップによって、所々で又は完全に除去することができる。被覆が除去された箇所は、各ナノワイヤと第2の部品の表面との間が直接接触する。2つの部品を引き合わせたときに被覆が除去されるかどうかと、どの程度除去されるかは、被覆の厚さ、被覆の材料、第2の部品の表面の材料、ナノワイヤの材料、これらの少なくとも1つに依存してもよい。
【0038】
あるいは、ステップA)において、複数のナノワイヤが2つの部品のそれぞれに設けられてもよい。両部品のナノワイヤは、それぞれの被覆によって被覆されていることが好ましい。ステップB)において、第1の部品上のナノワイヤは第2の部品上のナノワイヤに、それぞれの被覆を介して、接触する。両部品上の各ナノワイヤが被覆されている場合、被覆と被覆との間に接触が生じる。これらの被覆は、ナノワイヤ同士の間に残ってもよい。あるいは、これらの被覆は、2つの部品を引き合わせることによって又はこれ以降の方法ステップによって、所々で又は完全に除去することができる。被覆が除去された箇所は、ナノワイヤ同士の間が直接接触する。2つの部品を引き合わせたときに被覆が除去されるかどうかと、どの程度除去されるかは、被覆の厚さ、被覆の材料、第2の部品の表面の材料、ナノワイヤの材料、これらの少なくとも1つに依存してもよい。
【0039】
好適な実施形態においては、被覆は、ステップA)において、部品(4、5)上の複数のナノワイヤに被覆を設ける前述の方法によって得られる。
【0040】
ステップA)においてナノワイヤが一方の部品上にのみ設けられる場合、部品上の複数のナノワイヤに被覆を設ける前述の方法は、この部品上のナノワイヤにも適用される。ステップA)においてナノワイヤが両方の部品上に設けられる場合、部品上の複数のナノワイヤに被覆を設ける前述の方法は、両方の部品上のナノワイヤそれぞれに適用される。
【0041】
2つの部品の接続は、室温で事前に形成してもよい。これが特に当てはまるのは、ナノワイヤが両方の部品上に設けられる場合である。
【0042】
さらに好適な実施形態においては、本方法は、
C)加熱によって、ナノワイヤの被覆を少なくとも部分的に除去するステップ、
をさらに含む。
【0043】
ステップC)は、ステップB)の後に行われることが好ましい。この加熱により、被覆を部分的に除去することが可能となり、好ましくは完全に除去することが可能となる。好ましくは、この加熱は、少なくとも90℃の温度で行われ、特に90~150℃の範囲内の温度で行われる。
【0044】
この加熱は、ステップA)においてナノワイヤが2つの部品の一方にのみ設けられる場合に、特に好適である。この場合は、加熱は、好ましくは、少なくとも170℃の温度で行われ、特に温度170~230℃の範囲内の温度で行われる。この加熱により、第1の部品上の各ナノワイヤを第2の部品の表面に特に良好に接続することができる。
【0045】
この加熱により、ナノワイヤ同士を接続して、これらのナノワイヤがナノワイヤとしてもはや認識されなくなるようにすることが可能となる。
【0046】
本発明は、図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面には、特に好ましい例示的実施形態を示す。しかし、本発明はそれに制限されない。特に、図面及び記載されたサイズ比は、模式的なものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】部品上の複数のナノワイヤに被覆を設けるための、本発明における方法の結果を示す。
図2】複数のナノワイヤを介して2つの部品を接続するための、本発明における方法の第1の実施形態の結果を示す。
図3】複数のナノワイヤを介して2つの部品を接続するための、本発明における方法の第2の実施形態の結果を示す。
図4】複数のナノワイヤを介して2つの部品を接続するための、本発明における方法の第3の実施形態の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、被覆2を有する複数のナノワイヤ1を備えた部品4を示す。被覆2は、以下に示す方法で得られた。
a)各ナノワイヤ1を還元物質で処理するステップと、
b)各ナノワイヤ1を保護物質に浸漬するステップと、
c)各ナノワイヤ1を乾燥させて、保護物質から被覆2を得るステップである。
【0049】
この保護物質は、有機物質又は金属又はその両方を含んでもよい。この保護物質は、ステップb)において保護物質が物理吸着によってナノワイヤ1に少なくとも部分的に付着するように、ナノワイヤ1の材料を考慮して選択されたものである。ステップa)~c)によって形成された被覆2は、ナノワイヤ1の表面において、最大で20原子の層又は分子の層の平均厚を有する。部品4は、ステップa)とステップb)の間又はステップb)とステップc)の間又はその両方において、濯ぎ液で濯がれる。
【0050】
図2は、第1の部品4と第2の部品5を有する装置3を示す。2つの部品4、5は、複数のナノワイヤ1を介して互いに接続されている。各ナノワイヤ1は、被覆2を有する。
この装置3は、
A)2つの部品4、5の上の複数のナノワイヤ1に被覆2を設けるステップと、
B)2つの部品4、5がナノワイヤ1を介して互いに接続されるように、2つの部品4、5を引き合わせるステップと、
含む方法によって得られた。
【0051】
図示された実施形態では、被覆2は、ステップB)において、互いに隣接するナノワイヤ1が該被覆2を介して互いに接続されることによって、部分的に保持されている。ただし、ナノワイヤ1の間の被覆2が所々で裂開していることも明らかである。この裂開は、部品4、5を引き合わせたことによって引き起こされたものである。被覆2が裂開している場所では、複数のナノワイヤ1が、特に良好に、互いに接して保持されている。なお、これらの図は概略的なものに過ぎないことに留意されたい。特に、被覆2は、説明のために、実際の比とは異なり厚く示されている。
【0052】
図3は、第1の部品4と第2の部品5を有する別の装置3を示す。2つの部品4、5は、複数のナノワイヤ1を介して互いに接続されている。図2と異なり、この図では、各ナノワイヤ1は被覆2を一切有さず、互いに直接接続されている。これは、図2を参照して記載した方法によって実現することができる。この方法は、
C)ナノワイヤ1の被覆2を加熱によって除去するステップ、
をさらに含む。
【0053】
ステップC)によって、図2に示されている装置3から図3にされている装置3を得ることができる。この加熱は、ナノワイヤ同士が互いに接続されるように、ナノワイヤの材料をばらけさせる効果を有する。これにより、図3に示されている状況が引き起こされる。この図には、複数のナノワイヤ1が単一の材料層として簡略化されて示されている。それにも拘わらず、2つの部品4、5は、複数のナノワイヤ1を介して互いに接続されているとみなすものとする。
【0054】
図4は、別の装置3を示す。この装置3は、
A)第1の部品4の上の複数のナノワイヤ1に被覆2を設けるが、第2の部品5の上では設けないステップと、
B)2つの部品4、5がナノワイヤ1を介して互いに接続されるように、2つの部品4、5を引き合わせるステップと、
C)各ナノワイヤ1の被覆2を加熱によって除去するステップと、
を含む方法によって得られた。
【0055】
この加熱は、図3の場合のように、各ナノワイヤ1が互いに接続されるという効果を有する。ただし、これらナノワイヤは、第2の部品5の表面にも接続されている。図4は、ステップC)において、図3の場合より高い温度を使用することによって実現可能である。その結果、図4のナノワイヤ1は、図3より密集している。これは、ナノワイヤ1を示す領域がより密度の高い構造となっていることで示されている。
【符号の説明】
【0056】
1 ナノワイヤ
2 被覆
3 装置
4 第1の部品
5 第2の部品
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】