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特表2024-512331レーザ加工装置、レーザ加工装置の操作方法、及びレーザ加工装置を使用するワークピースの加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】レーザ加工装置、レーザ加工装置の操作方法、及びレーザ加工装置を使用するワークピースの加工方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 27/00 20060101AFI20240312BHJP
   B65H 23/18 20060101ALI20240312BHJP
   B65H 23/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B65H27/00 Z
B65H23/18
B65H23/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553571
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022016320
(87)【国際公開番号】W WO2022186975
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,229
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
2.BLUETOOTH
3.VISUAL BASIC
4.JAVA
5.PYTHON
6.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】593141632
【氏名又は名称】エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ニューフェルド,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】コスモフスキ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウンラート,マーク
【テーマコード(参考)】
3F104
3F105
【Fターム(参考)】
3F104DA12
3F104DA13
3F104EA01
3F105BA02
3F105BA07
3F105BA12
3F105CA02
3F105CA06
3F105CA09
3F105CA15
(57)【要約】
多数の実施形態が開示されている。1つは、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように動作可能なアンワインドスピンドルを含むアンワインドアセンブリと、ワークピースのリワインド材料ロールを支持し、ワークピースをレーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリとを有するワークピースハンドリングシステムを含むレーザ加工装置である。もう1つは、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するアンワインドスピンドルを支持するように構成された上部構造に取り付けられ、固定具の上方空間内に配置されたウェブハンドリングアセンブリを備えるワークピースハンドリングシステムを含むレーザ加工装置である。レーザ加工装置は、ワークピースの所望の引っ張り状態を保つために、テンションローラに付勢力を作用させるように構成されたウェブテンショナアセンブリをさらに含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用するためのシステムであって、
レーザ加工装置であって、
ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源と、
前記ビーム経路と交差する位置で前記ワークピースを固定するように動作可能であって、第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具と
を含むレーザ加工装置と、
第1のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように動作可能なアンワインドスピンドルであって、前記ワークピースを前記レーザ加工装置に供給するように動作可能なアンワインドスピンドルを含むアンワインドアセンブリと、
前記ワークピースのリワインド材料ロールを支持するように動作可能なリワインドスピンドルであって、前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、
第1のシャトルサポートに設置され、前記アンワインドアセンブリ及び前記リワインドアセンブリを支持するように構成された第1の可動フレームであって、前記固定具が移動可能な前記第1の方向又は前記第2の方向に移動可能な第1の可動フレームを備える第1のシャトルアセンブリと
を含む第1のワークピースハンドリングシステムと、
第2のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取り、前記ワークピースを前記レーザ加工装置へと戻すように動作可能なリターンスピンドルと、
第2のシャトルサポートに設置され、前記リターンスピンドルを支持するように構成された第2の可動フレームであって、前記固定具が移動可能な前記第1の方向又は前記第2の方向に移動可能な第2の可動フレームを備える第2のシャトルアセンブリと
を含む第2のワークピースハンドリングシステムと
を備える、システム。
【請求項2】
ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用するためのシステムであって、
レーザ加工装置であって、
ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源と、
前記ビーム経路と交差する位置で前記ワークピースを固定するように動作可能であって、第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具と
を含むレーザ加工装置と、
ワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように動作可能なアンワインドスピンドルであって、前記ワークピースを前記レーザ加工装置に供給するように動作可能なアンワインドスピンドルを含むアンワインドアセンブリと、
前記ワークピースのリワインド材料ロールを支持するように動作可能なリワインドスピンドルであって、前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、
シャトルサポートに設置され、前記アンワインドアセンブリ及び前記リワインドアセンブリを支持するように構成された可動フレームであって、前記第1の方向又は前記第2の方向に沿って移動可能な可動フレームを備えるシャトルアセンブリと、
を含むワークピースハンドリングシステムと、
前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取り、前記ワークピースを前記レーザ加工装置に向かわせるように動作可能であって前記固定具に設置されているワークピースリターンアセンブリと
を備える、システム。
【請求項3】
前記ワークピースリターンアセンブリは、リターンスピンドルを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記固定具に設置され、前記ワークピースの所望の引っ張り状態を保つように動作可能な前記ワークピースリターンアセンブリに付勢力を作用させるように構成された付勢機構をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワークピースリターンアセンブリは、エアターンアセンブリを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ワークピースリターンアセンブリは、前記固定具に設置され、前記ワークピースの所望の引っ張り状態を保つように動作可能な前記エアターンアセンブリに付勢力を作用させるように構成された付勢機構をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記固定具は、前記ワークピースの所望の引っ張り状態を保つために前記ワークピースリターンアセンブリに付勢力を作用させるように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記アンワインドアセンブリは、前記ウェブ材料が前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成されたウェブ付勢システムをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記ウェブ付勢システムは、前記ウェブ材料の所望の引っ張り状態を保つために、前記ウェブ材料が前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成された非接触付勢システムを備えている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ウェブ付勢システムは、前記ウェブ材料の所望の引っ張り状態を保つために、前記ウェブ材料が前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成された接触ローラを備えている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記非接触付勢システムは、前記ウェブ材料が前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に当たる1以上の空気の流れを発するように構成されたエアバーを備えている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ウェブ付勢システムは、前記ウェブ材料が前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成されたエアターンアセンブリを備えている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用するためのシステムであって、
レーザ加工装置であって、
ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源と、
前記ビーム経路と交差する位置で前記ワークピースを固定するように動作可能な固定具であって、移動可能な固定具と
を含むレーザ加工装置と、
前記ワークピースを前記レーザ加工装置に供給するように動作可能である第1のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように構成されたアンワインドスピンドルを支持するように構成された上部構造に取り付けられた第1のウェブハンドリングアセンブリであって、前記固定具の上方の空間内に配置された第1のウェブハンドリングアセンブリと、
前記ワークピースの所望の引っ張り状態を保つために、テンションローラに付勢力を作用させるように構成された付勢機構によって前記固定具に固定された前記テンションローラを含むウェブテンショナアセンブリと
を含む第1のワークピースハンドリングシステムと
を備える、システム。
【請求項14】
前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取るように動作可能な第2のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースからなるリワインド材料ロールを支持するように構成されたリワインドスピンドルを支持するように構成された上部構造に取り付けられ、前記固定具の上方の空間内に配置される第2のウェブハンドリングアセンブリと、
前記ワークピースの所望の引っ張り状態を保つために、前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成された付勢機構によって前記固定具に固定されたテンションローラを含むウェブテンショナアセンブリと
を含む第2のワークピースハンドリングシステムをさらに備えた、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ウェブが前記アンワインド材料ロールから剥離する箇所の近傍で前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように構成されたウェブ付勢システムをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用するためのシステムであって、
レーザ加工装置であって、
ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源と、
ビーム経路と交差する位置で前記ワークピースを固定するように動作可能であって、第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具と
を含むレーザ加工装置と、
第1のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように動作可能であって前記ワークピースを前記レーザ加工装置に供給するように動作可能なアンワインドスピンドルと、前記ウェブ材料の所望の引っ張り状態を保つために前記ウェブ材料に付勢力を作用させるように動作可能なウェブ付勢システムとを含むアンワインドアセンブリと、
前記ワークピースのリワインド材料ロールを支持するように動作可能なリワインドスピンドルであって、前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、
第1のシャトルサポートに設置され、前記アンワインドアセンブリ及び前記リワインドアセンブリを支持するように構成された第1の可動フレームであって、前記固定具が移動可能である前記第1の方向又は前記第2の方向に移動可能である第1の可動フレームを備える第1のシャトルアセンブリと
を含む第1のワークピースハンドリングシステムと、
第2のワークピースハンドリングシステムであって、
前記ワークピースを前記レーザ加工装置から受け取り、前記ワークピースを前記レーザ加工装置に戻すように動作可能なリターンスピンドルと、
第2のシャトルサポートに設置され、前記リターンスピンドルを支持するように構成された第2の可動フレームであって、前記固定具が移動可能である前記第1の方向又は前記第2の方向に移動可能である第2の可動フレームを備える第2のシャトルアセンブリと
を含む第2のワークピースハンドリングシステムと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年3月5日に提出された米国仮特許出願第63/157,229号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書に開示される実施形態は、概して、ワークピースをレーザ加工する装置に関し、より具体的には、種々のワークピースをハンドリングするシステムを組み込んだレーザ加工装置、レーザ加工装置の操作方法、及び、レーザ加工装置を使用するワークピースのレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
比較的薄い柔軟性のあるワークピース(「ウェブ」としても知られる)をレーザ加工するためのシステム又は装置は、場合によっては、(例えば、ウェブに対してレーザ加工を施すことができるように)ウェブをレーザ加工装置に案内し、レーザ加工されたウェブを装置から取り出すように適合されたハンドリングシステムを備えるか、あるいはこのようなハンドリングシステムと連携して使用されることがある。しかしながら、従来のハンドリングシステム(例えば、複数のアイドラローラ、ターンローラ及びウェブテンションダンサローラを有している)は嵩張るものとして知られており、貴重な床空間を占有する。ワークピースハンドリングシステムをレーザ加工装置の支持構造に組み込むことによるシステムの設置面積の低減は、ウェブハンドリングロールの加速と減速とに起因するレーザ加工ビーム位置を乱す可能性がある。そのため、質量がレーザ加工装置の支持構造から機械的に分離されたコンパクトなワークピースハンドリングシステムが今なお求められている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面の簡単な説明
図1図1は、一実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示している。
図2図2は、第1ワークピースハンドリングシステムと第2ワークピースハンドリングシステムとを備えた、一実施形態におけるワークピース加工システムを模式的に示している。
図3図3は、一実施形態におけるワークピース加工システムの、図2に示したXI-XI線に沿って見た平面図を示している。
図4図4は、別の実施形態におけるワークピースハンドリングシステムを備えるワークピース加工システムを模式的に示している。
図5図5は、図4に示したワークピース加工システムの実施形態の詳細図を模式的に示している。
図6図6は、別の実施形態における、ワークピースハンドリングシステムを備えるワークピース加工システムを模式的に示している。
図7図7は、図6に示したワークピース加工システムの実施形態の詳細図を模式的に示している。
図8図8は、一実施形態における、第1の位置と第2の位置において示した第1と第2のハンドリングシステムを備えたワークピース加工システムを模式的に示している。
図9図9は、一実施形態における、第1の位置と第2の位置において示した第1と第2のハンドリングシステムを備えたワークピース加工システムを模式的に示している。
図10図10は、一実施形態におけるウェブハンドリングアセンブリを模式的に示している。
図11図11は、図8及び図9に示したワークピースハンドリングシステムの実施形態のウェブテンション装置の様々な位置状態を模式的に示している。
図12図12は、図8及び図9に示したワークピースハンドリングシステムの実施形態のウェブテンション装置の様々な位置状態を模式的に示している。
図13図13は、図8及び図9に示したワークピースハンドリングシステムの実施形態のウェブテンション装置の様々な位置状態を模式的に示している。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明の一実施形態は、ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用されるためのシステムとして特徴付けることができ、ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源と、ビーム経路と交差する位置でワークピースを固定するように動作可能であって、第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具とを含んでいる。第1のワークピースハンドリングシステムは、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するようになっていて、ワークピースをレーザ加工装置に供給するように動作可能であるアンワインドスピンドルを含むアンワインドアセンブリと、ワークピースのリワインド材料ロールを支持するようになっていて、ワークピースをレーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、を含むものとして提供され得る。システムは、第1のシャトルサポート上に設置され、固定具が移動可能な第1の方向又は第2の方向に移動可能な第1の可動フレームを備えつつ、アンワインドアセンブリ及びリワインドアセンブリを支持するように構成されている第1のシャトルアセンブリをさらに含んでいてよい。システムは、レーザ加工装置からワークピースを受け取り、ワークピースをレーザ加工装置へ戻すように動作可能なリターンスピンドルと、第2のシャトルサポート上に設置され、固定具が移動可能な第1の方向又は第2の方向に移動可能な第2の可動フレームを備えつつ、リターンスピンドルを支持するように構成された第2のシャトルアセンブリとを含む第2のワークピースハンドリングシステムをさらに含んでいてよい。
【0006】
本発明の他の実施形態は、ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用されるためのシステムとして特徴付けることができ、ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源を含むレーザ加工装置を含んでいる。システムは、さらに、ビーム経路と交差する位置でワークピースを固定するようになっていて、第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具を含んでいる。システムは、さらに、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するようになっているアンワインドスピンドルを含むアンワインドアセンブリを有するワークピースハンドリングシステムを含んでいてもよい。アンワインドスピンドルは、ワークピースをレーザ加工装置へ供給するように動作可能であってよい。システムは、さらに、ワークピースのリワインド材料ロールを支持するようになっていて、ワークピースをレーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、シャトルサポート上に設置された可動フレームを備え、アンワインドアセンブリ及びリワインドアセンブリを支持するように構成されたシャトルアセンブリと、を有していてもよい。可動フレームは、第1の方向又は第2の方向に沿って移動可動であってよい。システムは、さらに、固定具に設置され、ワークピースをレーザ加工装置から受け取り、かつ、ワークピースをレーザ加工装置へと向かわせるように構成されたワークピースリターンアセンブリを含んでいる。
【0007】
本発明の他の実施形態は、ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用されるためのシステムとして特徴付けることができ、ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源を備えるレーザ加工装置と、ビーム経路と交差する位置でワークピースを固定するように動作可能であって移動可能な固定具とを含んでいる。システムは、さらに、ワークピースをレーザ加工装置に供給するように構成され、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するように構成されたアンワインドスピンドルを支持するように構成された上部構造に取り付けられて、固定具の上方空間内に配置された第1のウェブハンドリングアセンブリを含む第1のワークピースハンドリングシステムと、ワークピースの所望の引っ張り状態を保つために付勢力をテンションローラに作用させるように構成された付勢機構によって固定具に固定されたテンションローラを含むウェブテンショナアセンブリとを含んでいてもよい。
【0008】
ウェブ材料として供給されるワークピースの加工のためのシステムは、さらに、ワークピースをレーザ加工装置から受け取るように動作可能で、ワークピースからなるリワインド材料ロールを支持するように構成されたリワインドスピンドルを支持するように構成された上部構造に取り付けられ、固定具の上方空間内に配置された第2のウェブハンドリングアセンブリを含む第2のワークピースハンドリングシステムをさらに含んでいてもよい。システムは、さらに、ワークピースの所望の引っ張り状態を保つためにウェブ材料に付勢力を作用させるように構成された付勢機構によって固定具に固定されたテンションローラを備えたウェブテンショナアセンブリを含んでいてもよい。
【0009】
本発明のその他の実施形態は、ウェブ材料として供給されるワークピースの加工に使用されるためのシステムとして特徴付けることができ、ビーム経路に沿って伝播可能なレーザエネルギービームを生成するように動作可能なレーザ源を備えるレーザ加工装置と、ビーム経路と交差する位置でワークピースを固定するように動作可能であって第1の方向及び第2の方向に沿って移動可能な固定具とを含んでいる。システムは、さらに、ワークピースのアンワインド材料ロールを支持するようになっていてワークピースをレーザ加工装置に供給するように動作可能なアンワインドスピンドルを有するアンワインドアセンブリを含む第1のワークピースハンドリングシステムと、ウェブ付勢システムとを含んでいてよい。ウェブ付勢システムは、ウェブ材料の所望の引っ張り状態を保つためにウェブ材料に付勢力を作用させるように動作可能である。システムは、さらに、ワークピースのリワインド材料ロールを支持するようになっていて、ワークピースをレーザ加工装置から受け取るように動作可能なリワインドスピンドルを含むリワインドアセンブリと、第1のシャトルサポート上に設置され、固定具が移動可能な第1の方向又は第2の方向に移動可能な第1の可動フレームを備えつつ、アンワインドアセンブリ及びリワインドアセンブリを支持するように構成された第1のシャトルアセンブリとを含んでいてよい。第2のワークピースハンドリングシステムは、ワークピースをレーザ加工装置から受け取り、ワークピースをレーザ加工装置に戻すように動作可能なリターンスピンドルと、第2のシャトルサポート上に設置され、固定具が移動可能な第1の方向又は第2の方向に移動可能である第2の可動フレームを備えつつ、リターンスピンドルを支持するように構成されている第2のシャトルアセンブリとを含んで提供されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。明示的に述べている場合を除き、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。図面を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の数字は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
【0011】
明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。特に定義されている場合を除き、本明細書において使用される(技術的用語及び科学的用語を含む)すべての用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことを理解すべきである。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。特に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるノードを「第1のノード」と呼ぶことができ、同様に別のノードを「第2のノード」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。
【0012】
特に示されている場合を除き、「約」や「その前後」などは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方位に加えて異なる方位を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方位の双方を含み得るものである。対象物が他の方位を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方位にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
【0013】
本明細書において使用されるセクション見出しは、特に言及している場合を除いて、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。本開示の精神及び教示を逸脱することなく、多くの異なる形態、実施形態及び組み合わせが考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態の例に限定して解釈すべきではないことは理解できよう。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
【0014】
I.システム-概要
図1は、本発明の一実施形態によるレーザ加工装置模式的に示した図である。
【0015】
図1に示した実施形態を参照すると、ワークピースを加工するためのレーザ加工装置100(本明細書においては単に「装置」ともいう)は、ビーム経路114に沿って伝搬可能なレーザエネルギービーム116を生成するためのレーザ源101と、第1のポジショナ106と、第2のポジショナ108と、第3のポジショナ110と、スキャンレンズ112とを含むものとして特徴付けることができる。スキャンレンズ112とポジショナのうちの1つとを必要に応じて共通のハウジング又は「スキャンヘッド」120に一体化することができる。例えば、スキャンレンズ112と第2のポジショナ108とを共通のスキャンヘッド120に一体化することができる。第1のポジショナ106及び第2のポジショナ108のそれぞれは、レーザエネルギービーム中のレーザエネルギーがレーザ源101からスキャンレンズ112に伝搬する際に通るビーム経路114を偏向するように、レーザエネルギービーム116を回折、反射、屈折、あるいは偏向可能となっている。スキャンレンズ112は、入射レーザエネルギービームを集束し、この入射レーザエネルギービームは、最終的にはワークピース102に到達する。図1は、レーザ加工装置100が第1のポジショナ106と第2のポジショナ108とを含んでいるものとして示しているが、必要に応じてこれらの光学的構成要素の一方又は双方をレーザ加工装置100から省略し得ることは理解できよう。同様に、必要に応じて第3のポジショナ110を省略し得る。図示はされていないが、レーザ加工装置100は、レーザ源104とスキャンレンズ112との間のビーム経路に配置された1以上の他の光学的構成要素(ミラー、レンズ、偏光子、波長板、開口、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、波面補償光学部品、中継光学部品など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを本明細書では「光学部品」ともいう)を含み得る。
【0016】
概して、装置100は、装置100の動作を制御する又は装置100の動作の制御を容易にするコントローラ122のような1以上のコントローラを含んでいる。一実施形態においては、コントローラ122は、レーザ源101、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、スキャンレンズ112(可変焦点長レンズとして設けられる場合)などのような、装置100の1以上の構成要素に(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結され、これにより、これらの構成要素は、コントローラ122により出力される1以上の制御信号に応答して動作できるようになっている。
【0017】
装置100は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)コントローラ122と通信可能に連結されるユーザインタフェイス124をさらに含んでいてもよい。このユーザインタフェイス124は、1以上の出力デバイス、1以上の入力デバイス、又はこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。一般的に、出力デバイスは、人間が感知可能な刺激(例えば、視覚、聴覚、触覚など)を通じて情報を与えるかあるいは伝達することが可能な任意のデバイスである。出力デバイスの例としては、モニタ、プリンタ、スピーカ、触覚型アクチュエータなどが挙げられる。一般的に、入力デバイスは、例えば、装置100のユーザが、装置100を動作させるため(あるいは装置100の動作を簡単にするため)に命令、コマンド、パラメータ、情報などを提供することを可能にする任意のデバイスである。入力デバイスの例としては、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、マイクロフォン、カメラなどが挙げられる。
【0018】
必要に応じて、装置100は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)コントローラ122と通信可能に連結される通信モジュール126を含んでいる。通信モジュール126は、データを送信し、データを受信し、あるいはその両方を行うことができるようになっている。したがって、通信モジュール126は、有線又は無線リンクを介して他のデバイス又はネットワーク(例えばネットワーク128)にデータを送信及び/又は受信するための回路、アンテナ、コネクタなど、あるいはこれらを組み合わせたものを含み得る。一例では、通信モジュール126は、コントローラ122内のソフトウェア又はファームウェアと協働してシリアルポート(例えばRS232)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IRインタフェイスなど、又はこれらを任意に組み合わせたものとして機能するコネクタであり得る。他の例では、通信モジュール126は、RS-232C、IBM46XX、キーボードウェッジインタフェイスなど、又はこれらを任意に組み合わせたもののような複数の異なるホストインタフェイスプロトコルをサポートするユニバーサルインタフェイスドライバ用途向け集積回路(UIDA)であり得る。通信モジュール126は、当該技術分野において知られているような、USB、Ethernet、Bluetooth、Wi-Fi、赤外線(例えばIrDa)、RFID通信など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような他の既知の通信モードをサポートする1以上のモジュール、回路、アンテナ、コネクタなどを含んでいてもよい。コントローラ122とは別個の構成要素とするのではなく、既知の方法又は好適な方法で通信モジュール126をコントローラ122の一部として組み込んでもよいことは理解できよう。
【0019】
ネットワーク128は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)装置100から離れた1以上のシステム(例えば、図1に特定されるような遠隔システム130)と通信可能に連結され得る。一実施形態においては、遠隔システム130は、コンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)、コンピューティングシステム(例えば、クラウドコンピューティングプラットフォーム)、(例えば、装置100のような他の装置に関連付けられた)他のコントローラ又は通信モジュールなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどのデバイスであり得る。遠隔システム130は、装置100のユーザにより、あるいは装置100の製造者により、あるいは装置100についてのメンテナンスを行う責務を負った技術者により、あるいはこれに類する者により、あるいはこれらを組み合わせた者により所有されるか操作されるデバイスであり得る。通信モジュール126とネットワーク128を介して、コントローラ122は、遠隔システム130との間で様々なデータを通信し得る。このため、遠隔システム130に出力することができるデータの例としては、上述した画像データ又は測定データ(以下で詳細に説明する)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。遠隔システム130により出力されるデータを(例えば、ネットワーク128及び通信モジュール126を介して)コントローラ122に入力して、装置100を動作させるための、あるいは装置100の動作に影響を与えるか簡単にするための命令、コマンド、パラメータ、情報などを表すようにしてもよい。
【0020】
II.ワークピースハンドリングシステムに関する実施形態
図1には図示されていないが、ワークピースハンドリングシステムが設けられてもよい。概して、ワークピースハンドリングシステムは、加工されるワークピース102をロードし、あるいはワークピース102が加工されるとワークピース102をアンロードし、あるいはその両方を行うように構成され得る。ワークピース102が比較的薄い柔軟性のある物(「ウェブ」としても知られ、繊維、紙、箔、積層体、FPCパネル、FPCなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る)である実施形態においては、ワークピースハンドリングシステムは、(例えば、スプール又はロールから取り出された)ワークピース102を加工のために装置100に案内し、加工済みワークピース102を(例えば、加工済みワークピース102を他のスプール又はロールにロードすることにより)装置100から取り出すように構成されるロールツーロールシステムとして提供され得る。以下、そのようなワークピースハンドリングシステムの種々の典型的な実施形態について述べる。
【0021】
A.別々に支持されたローラを有するワークピースハンドリングシステム
図2及び図3を参照すると、ワークピースハンドリングシステム400のようにウェブを取り扱うように構成された第1のワークピースハンドリングシステムは、(例えば、ワークピース102を構成するアンワインド材料ロール442から取り出された)ワークピース102を加工するために装置100の固定具104上へと(例えば、装置100の第1のポート140aを通じて)案内するように構成され得る。この実施形態においては、装置100と固定具104とは、第1のワークピースハンドリングシステム400及び第2のワークピースハンドリングシステム500とは分離したベース600上に据え付けられている。ワークピースハンドリングシステム400は、加工済みワークピース102を固定具104から(例えば、装置100の第2のポート140bを通じてワークピース102で形成されたリワインド材料ロール432上へと)取り出すように構成されていてもよい。ワークピース102を固定具104から(例えば、装置100の第3のポート150aを通じて)受け取ってそれをワークピースハンドリングシステム400へと(例えば、装置100の第4のポート150bを通じて)戻すように構成されたワークピースハンドリングシステム500のような第2のワークピースハンドリングシステムも提供され得る。
【0022】
図示された実施形態においては、固定具104は、装置100の第3のポジショナ110のステージに連結されている。そのため、固定具104は、ビーム経路114と交差する位置でワークピース102を固定可能となっている。この場合において、第3のポジショナ110は、上述したような分割ステージ位置決めシステムとして提供され、固定具104を搬送するステージはYステージである。したがって、固定具104は、Y方向に沿って移動可能となっており、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112など、あるいはこれらの組み合わせなどの1以上の構成要素は、(例えば、フレーム、ガントリーなどに設けられた直動ステージにより)固定具104上でX方向に沿って移動可能となっている。別の実施形態においては、固定具104はX方向に沿って移動可能である。上述したように、固定具104は、ワークピース102に力(例えば、機械的な力、静電力、真空力、磁力など)を作用させて(例えば、ワークピース102の加工中に)ワークピース102を固着、保持、あるいは固定できるようになっている。したがって、固定具104は、当該技術分野において知られているような真空チャック、静電チャック、磁気チャックなどとして提供され得る。
【0023】
図2に示されるように、第1のワークピースハンドリングシステム400は、ワークピース102で形成され、支持機構446によって支持されたアンワインドスピンドル444に設置されたアンワインド材料ロール442を有し、ワークピース102を(例えば、第1のポート140aを通じて)固定具104に供給するように動作可能なアンワインドアセンブリ440を含み得る。アンワインドアセンブリ440は、ウェブ材料がアンワインド材料ロール442から離れる箇所の近傍に配置されたウェブ付勢システム300を含んでいてよい。ウェブ付勢システム300は、ワークピース102がアンワインド材料ロール442から離れる際にワークピース102を所望の引っ張り状態に保つために、ウェブ材料が材料ロール442から離れる箇所の近傍で付勢力をウェブ材料に作用するように構成され得る。一実施形態においては、ウェブ付勢システム300は、ウェブ材料に当たる空気の流れを発するように構成されたエアバーのような非接触付勢システムを備えている。別の実施形態においては、ウェブ付勢システム300は、ウェブ材料がアンワインド材料ロール442から繰り出された際にウェブ材料に力を作用するように構成された接触ローラ(図示せず)を備えている。ワークピース102を第1のポート140aへと案内するように構成されたターンローラ450が提供されてもよい。一実施形態においては、ターンローラ450は、回転するスピンドルに設置された円筒状の要素として提供され得る。他の実施形態においては、ターンローラ450は、エアターン(air turn)アセンブリとして提供されてよい。当該技術分野で知られているように、「エアターン」は、スロットが形成されるか、貫通孔が形成されるか又は多孔質であるかのいずれかの表面を有する円筒状のエレメントであり、ワークピース102と円筒との間に加圧空気のクッションを生成するように構成されている。ターンローラ450は、ワークピース102を所望の引っ張り状態に保つためにウェブ材料に力を作用させるように構成された付勢デバイス又は張力デバイス(図示せず)を含んでいてもよい。ある実施形態においては、アンワインドアセンブリ440は、(例えば、アンワインド材料ロール442の内側の)アンワインドスピンドル444と同軸に位置する1以上のバランシングスピンドル448を含んでいてもよい。バランシングスピンドル448は、アンワインドスピンドル444及びアンワインド材料ロール442の加速又は減速に起因する力を緩和し、相殺し又は弱めるために、アンワインドスピンドル444とは逆の方向に回転するように構成され得る。
【0024】
第1のワークピースハンドリングシステム400は、さらに、支持機構436によって支持されたリワインドスピンドルに設置されてワークピース102で形成されたリワインド材料ロール432を備えたリワインドアセンブリ430を含み得る。リワインドアセンブリ430は、(以下で説明する)リターンアセンブリ530からのワークピース102を第2のポート140bから受け取るように構成されている。ある実施形態においては、リワインドアセンブリ430は、(例えば、リワインド材料ロール432の内側の)リワインドスピンドル434と同軸に配置されたバランシングスピンドル438を含んでいてもよい。バランシングスピンドル438は、リワインドスピンドル434及びリワインド材料ロール432の加速又は減速に起因する力を緩和し、相殺し又は弱めるために、リワインドスピンドル434とは逆の方向に回転するように構成され得る。ある実施形態においては、支持機構436は、(例えば、ワークピース102を所望の引っ張り状態に保つために)リワインドスピンドル434をY方向に移動させるように構成された付勢機構を含み得る。
【0025】
アンワインドアセンブリ440とリワインドアセンブリ430とは、第1のシャトルサポート410上に設置された第1の可動フレームを備えた第1のシャトルアセンブリ420によって支持され得る。一実施形態においては、第1のシャトルアセンブリ420は、アンワインドアセンブリ440及びリワインドアセンブリ430を少なくとも1方向に移動させるように構成されており、したがってワークピース102を固定具104に対して移動させる直動ステージとして提供され得る。そのため、第1の可動フレームは、X方向に移動可能である。図示される実施形態においては、第1のシャトルアセンブリ420は、ワークピース102の所望の位置を調整するか又は保つために、アンワインドアセンブリ440とリワインドアセンブリ430とを(Y方向及びZ方向に直交する)X方向に移動させる。したがって、第1のシャトルサポート410は、レーザ加工装置100を支持するベース600から分離して工場の床に据え付けられるように構成されている。こうした構成は、第1のワークピースハンドリングシステム400によってレーザ加工装置100に作用するのがワークピース102のウェブ材料を通じた力だけであるということを意味する。したがって、レーザ加工装置100を乱しかねないシャトルアセンブリ420の加速及び減速に起因する反力は最小化され得る。ある実施形態においては、第1のシャトルアセンブリ420は、アンワインドアセンブリ440とリワインドアセンブリ430とを、(例えば、ワークピース102を所望の引っ張り状態に保つようにウェブ付勢システム300及びターンローラ450と協働して)Y方向に移動させ得る。そのため、第1の可動フレームも、(固定具104が移動可能な方向である)Y方向に移動可能である。
【0026】
図示される実施形態においては、第2のワークピースハンドリングシステム500は、第2のシャトルアセンブリ520に取り付けられた支持/付勢機構536に設置されて、リターンスピンドル534に支持されたリターンロール532を備えたワークピースリターンアセンブリ530を含み得る。リターンロールスピンドル534は、ワークピース102を装置100の固定具104から(例えば、第3のポート150aから)受け取り、ワークピース102を装置100に(例えば、第4のポート150bを通じて)戻すように動作する。第2のシャトルアセンブリ520は、第2のシャトルサポート510に設置された第2の可動フレームを含み得る。一実施形態においては、第2のシャトルアセンブリ520は、ワークピースリターンアセンブリ530を少なくとも1方向に移動させるように構成されており、したがってワークピース102を固定具104に対して相対的に移動させる直動ステージとして提供され得る。図示される実施形態においては、第2のシャトルアセンブリ520は、ワークピース102の所望の位置を調整するか又は保つために、ワークピースリターンアセンブリ530を(Y方向及びZ方向に直交する)X方向に移動させる。そのため、第2の可動フレームはX方向に移動可能である。したがって、第2のシャトルサポート510は、レーザ加工装置100を支持するベース600から分離して工場の床に据え付けられるように構成されている。こうした構成は、第2のワークピースハンドリングシステム500によってレーザ加工装置100に作用するのがワークピース102のウェブ材料を通じた力だけであるということを意味する。したがって、レーザ加工装置100を乱しかねないシャトルアセンブリ520の加速及び減速に起因する反力は最小化され得る。ある実施形態においては、第2のシャトルアセンブリ520は、ワークピースリターンアセンブリ530を(例えば、ワークピース102を所望の引っ張り状態に保つように第1のワークピースハンドリングシステム400と協働して)Y方向に移動させ得る。そのため、第2の可動フレームも、(固定具104が移動可能な方向である)Y方向に移動可能である。
【0027】
図2を参照すると、アンワインド材料ロール442及びリワインド材料ロール432のそれぞれは、関連するロール442/432の下へ送り出されたワークピース102の一部までの距離を測定し、測定した距離を表すセンサデータを生成するように構成される(例えばアンワインドスピンドル444、リワインドスピンドル434、支持/付勢機構446及び436、又はシャトルアセンブリ420に設置されるか、又はリワインド材料ロール432の下の)距離センサ(図示せず)を含み得る。センサデータは、距離センサから(例えば1以上のセンサ信号として)アンワインドスピンドル444及び434が回転される態様(例えば、方向、速度、量など、あるいはこれらを任意に組み合わせたようなものに関して)を制御するために使用されるコントローラ(例えばハンドラコントローラ)へ出力され得る。
【0028】
図示されていないが、ワークピースハンドリングシステム400及び500は、ワークピースハンドリングシステム800を制御し、あるいはワークピースハンドリングシステム400及び500の制御又は動作を簡単にする1以上のコントローラ(本明細書では総称的に「ハンドリングコントローラ」という)を含んでいてもよい。一実施形態においては、ハンドリングコントローラは、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)ワークピースハンドリングシステムの上述した構成要素のうちの1つ以上の構成要素(例えば、アンワインドスピンドル444、リワインドスピンドル434、リターンスピンドル534などに連結されたモータやアクチュエータ)と通信可能に連結されている。このため、1つ以上の構成要素が、ハンドラコントローラにより出力される1以上の制御信号に応答して動作可能となっている。
【0029】
概して、ハンドラコントローラは、命令を実行する際に上述した制御信号を生成するように構成される1以上のプロセッサを含んでいる。プロセッサは、命令を実行するように構成されるプログラマブルプロセッサ(例えば、1以上の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む)として提供され得る。プロセッサにより実行可能な命令は、ソフトウェア、ファームウェアなど、あるいは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む(デジタル回路、アナログ回路、アナログ/デジタル混合回路を含む)好適な形態の回路など、あるいはこれらを任意に組み合わせて実現され得る。命令の実行は、1つのプロセッサ上で行ってもよく、複数のプロセッサに分散させてもよく、1つのデバイス内又はデバイスのネットワークにわたる複数のプロセッサにわたって並行に行っても、あるいはこれに類する方法でも、あるいはこれらを任意に組み合わせて行ってもよい。
【0030】
一実施形態においては、ハンドラコントローラは、(例えば、1以上の有線又は無線通信リンクを介して)プロセッサによりアクセス可能なコンピュータメモリのような有形媒体を含んでいる。本明細書で使用される場合には、「コンピュータメモリ」は、磁気媒体(例えば、磁気テープ、ハードディスクドライブなど)、光学ディスク、揮発性又は不揮発性半導体メモリ(例えば、RAM、ROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、SONOSメモリなど)などを含んでおり、ローカルアクセス可能なもの、又は(例えばネットワークを通じて)遠隔アクセス可能なもの、又はこれらを組み合わせたものであり得る。一般的に、命令は、コンピュータソフトウェア(例えば、実行コード、ファイル、命令など、ライブラリファイルなど)として格納され得る。そのようなコンピュータソフトウェアは、例えば、C、C++、Visual Basic、Java、Python、Tel、Perl、Scheme、Ruby、アセンブリ言語、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL、VERILOGなど)などによって書かれ、当業者によって本明細書で述べられた説明から簡単に作成することができる。コンピュータソフトウェアは、通常、コンピュータメモリにより伝達される1以上のデータ構造に格納される。
【0031】
図示される実施形態においては、ワークピース102は、アンワインド材料ロール442から解かれた後、(例えば、第1のポート140aを通じて、固定具104上のワークピース102の一部が装置100によって加工され得るように)ターンローラ450の下、及び固定具104上へと送り出される。ワークピース102は、固定具104から第3のポート150aを通じてリターンロール532上へと送り出されるように案内され、続いてリターンロール532の下へ、そして(例えば、第4のポート150bを通じて)固定具104下へと送り返され、最終的にリワインドスピンドル434に巻き取られる(例えば、これによりリワインド材料ロール802bが形成される)前に、第2のポート140bから出ていく。最初は、ワークピース102は、ワークピースハンドリングシステム400及び500に設置するために、前述した種々のローラの上と下とに(例えば、上述したように、アンワインドスピンドル444から、固定具104の上を通して、リターンロール532に掛け回し、固定具104の下を通して、そしてリワインドスピンドル434上へと)手動で送り出される。
【0032】
アンワインドスピンドル444及びリワインドスピンドル434のそれぞれは、1以上のモータ又はその他のアクチュエータ(図示せず)に連結され、これらによって駆動される(すなわち、回転させられる)。リターンスピンドル534もまた、1以上のモータ又はその他のアクチュエータに連結され、これらによって駆動され得る。したがって、ワークピース102は、最初に設置した後、アンワインドスピンドル444とリワインドスピンドル434とが協調して回転することによって、割り出され、あるいは固定具104上を移動することができる。例えば、図2に示されるように、ワークピース102は、アンワインドスピンドル444が時計回り方向へ、そしてリワインドスピンドル434が反時計回り方向へと回転することによって、右へと移動することができる。同様に、ワークピース102はアンワインドスピンドル444が反時計回り方向へ、そしてリワインドスピンドル434が時計回り方向へと回転することによって、左へと移動することができる。
【0033】
例示として上述したように、ワークピースハンドリングシステム400及び500の動作を次に説明する。ワークピース102は、装置100によって加工される前に、(上述のように)ワークピースハンドリングシステム400及び500内に設置される。次に、アンワインドスピンドル444及びリワインドスピンドル434は、ワークピース102の一部を加工するためにワークピース102を固定具104の上部へと前進させるために駆動(例えば、時計回り方向に回転)され得る。固定具104の上部に位置決めされたワークピース102の一部は、本明細書では「ワークピース102のロードされた一部」ともいう。ワークピース102が前進させられると、ロール442/432の一方又は各々の距離センサによるセンサ信号出力が、アンワインドスピンドル444及びリワインドスピンドル434の回転の仕方を制御するために(例えば、ハンドラコントローラにおいて)用いられる。例えば、距離センサと、関連する材料ロール442/432の下へと送り出されたワークピース102との距離が所定の距離幅閾値よりも小さいとセンサ信号が示した場合、ハンドラコントローラは、スピンドル(例えば、アンワインドスピンドル444)の回転する速度を減少させるようにモータ又はアクチュエータの動作を制御することができる。距離センサと、関連する材料ロール442/432の下へと送り出されたワークピース102との距離が所定の距離幅閾値よりも大きいとセンサ信号が示した場合、ハンドラコントローラは、スピンドル(例えば、アンワインドスピンドル444)の回転する速度を増加させるようにモータ又はアクチュエータの動作を制御することができる。スピンドルの回転する速度が減少又は増加すると、距離センサと、関連する材料ロール442/432の下へと送り出されているワークピース102の一部との間の距離は、所定の距離閾値内に維持され得る。
【0034】
ワークピース102の所望の一部が固定具104上に前進させられた後、固定具104は、(例えば、コントローラ122による制御信号出力を受けて)ロードされたワークピース102の一部に対し、ロードされたワークピース102の一部を固定具104に固着し、保持し、又は固定する力(例えば、機械力、静電力、真空力、磁力など)を作用させるように操作される。装置100による、ロードされたワークピース102の一部の加工中、固定具104は、(例えば、装置100のYステージの動作により)Y軸に沿って前後に移動することができる。固定具104に固定されると、ロードされたワークピース102の一部は、同様にY軸に沿って移動することができる。概して、固定具104を支持するY軸に沿ったYステージの移動(及び、ワークピース102の移動)は、アンワインドスピンドル444及び/又はリワインドスピンドル434の角加速度よりも顕著に大きい加速度によって特徴付けることができる。
【0035】
固定具104を支持するYステージとスピンドル444及び434との間の加速能力の相違に起因するワークピース102のフラッタ、しわ、又は破損を無くすか又は減少させるために、ウェブ付勢システム300、ターンローラ450、付勢機構446並びに448、及びワークピースリターンアセンブリ530の要素は、Y軸に沿った固定具104の移動と協調して(例えばZ軸に沿って)移動できるように駆動され得る。例えば、固定具104を支持するYステージがY軸に沿って速度「v」で距離「d」にわたって左に移動すると、付勢機構446及び/又は448は、スピンドル444、及び434に対して、適切な速度と距離で(例えば、速度v/2で距離d/2にわたって)Z方向で上向きに力を作用させる(そして移動させる)ことができる。さらに、ターンローラ450は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために必要とされる距離だけ-Y方向に移動し得る。ウェブ付勢システム300も、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために、(例えば、システムの他の部分と協働して)ウェブ材料に作用される力を調節するために多少なりとも動作され得る。同様に、固定具104を支持するYステージがY軸に沿って速度「v」で距離「d」にわたって右に移動すると、付勢機構446及び448は、適切な速度と距離で(例えば、速度v/2で距離d/2にわたって)Z軸に沿って下向きに力を作用させる(そして移動させる)ことができる。さらに、ターンローラ450は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために必要とされる距離だけ、+Y方向に移動し得る。概して、付勢機構446並びに448(そしてこれによってスピンドル434並びに444)及び/又はターンローラ450は、Yステージが駆動される加速度に厳密に一致した加速度で駆動される。上述したように、アンワインド材料ロール442及び/又はリワインド材料ロール432及び/又はターンローラ450の位置を変化させることにより、アンワインド材料ロール442とターンローラ450との間のワークピース102の一部(同様にリワインド材料ロール432と装置100との間のワークピース102の一部)は、ロードされたワークピース102の一部が固定具104によってY軸に沿って移動しても、静止したままでいる(又は少なくとも実質的に静止している)ことができる。ワークピースリターンアセンブリ530の要素も、支持/付勢機構536及び/又は第2のシャトルアセンブリ520を動作させてリワインドローラ532を動的に位置決めすることによって、ワークピース102の一部を静止状態に維持するために協働することができる。
【0036】
スピンドル434及び444、ターンローラ450、リターンロール532、及び固定具104を支持するYステージの協調した動きを容易にするために、装置100は、Yステージと動作可能に連結されていて、かつ、Yステージの位置、Yステージが移動する方向、Yステージが移動する速度など、又はそれらの組み合わせなどのような当該技術分野で知られたデータを表すエンコーダ信号(本明細書では「エンコーダデータ」ともいう)を生成するように構成されたエンコーダ(図示せず)を含み得る。エンコーダは、ハンドラコントローラと(1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されていてよく、そしてエンコーダデータ指令をワークピースハンドラコントローラに送信可能であってよい。あるいは、エンコーダは、ハンドラコントローラと通信可能に連結されたコントローラ122と(1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されていてよい。この別の実施形態においては、ハンドラコントローラは、エンコーダからエンコーダデータを受信したコントローラ122から、エンコーダデータを受信し得る。エンコーダデータを受信すると、ワークピースハンドラコントローラは、上述のように、スピンドル434及び444、ターンローラ450、リターンロール532を動かすための1以上の制御信号を生成して出力する。
【0037】
例示として上述したように、ワークピースハンドリングシステム400は、単一のワークピース102をハンドリングする(例えば、ワークピース102を装置100に案内し、ワークピース102を装置100から取り出す)ように適合されている。しかしながら別の実施形態においては、ワークピースハンドリングシステムは複数のワークピースをハンドリングするように構成されていてもよい。例えば、ワークピースハンドリングシステム400及び500は、2つのワークピースをハンドリングするように変更されていてもよい。2つのワークピースのハンドリングを可能にするために、アンワインドアセンブリ440及びリワインドアセンブリ430は、図3に示されるように、各々が一対の材料ロールとスピンドルを別々に含むことができる。図3を参照すると、アンワインドアセンブリ440は、図2に関して(例えば、1組の支持/付勢機構446によって)説明したのと同様に、各々が第1のシャトルアセンブリ420に設置された2つのアンワインド材料ロール(すなわち、第1のアンワインド材料ロール442aと第2のアンワインド材料ロール442bであり、各々は総称的に「アンワインド材料ロール442」という)を含んでいる。同様に、リワインドアセンブリ430は、図2に関して(例えば、1組の支持/付勢機構436a及び436bによって)説明したのと同様に、各々が第1のシャトルアセンブリ420に設置された2つのリワインド材料ロール(すなわち、第1のリワインド材料ロール432aと第2のリワインド材料ロール432bであり、各々は総称的に「リワインド材料ロール432」という)を含んでいる。ワークピース102を所望の引っ張り状態に維持するため、ウェブがアンワインド材料ロール442a及び442bから解かれる際に、ウェブ付勢システム300は、別々のウェブ付勢システム300a及び300b(図示せず)として提供され得る。同様に、ワークピース102を固定具104へと案内するように構成されたターンローラ450は、一対のターンローラ450a及び450bとして提供され得る。同様に、2つのワークピースのハンドリングを可能にするために、リターンアセンブリ530は、図2に関して(例えば、1組の支持/付勢機構536a及び536bによって)説明したのと同様に、各々が第2のシャトルアセンブリ520に設置された一対のリターンロール532a及び532bを有していてよい。
【0038】
B.別々に支持された単一のローラサポートを備えたワークピースハンドリングシステム
上述した実施形態においては、複数のワークピースハンドリングシステムが装置100の固定具104に対するワークピース102の位置決めのために使用される。別の実施形態においては、単一のワークピースハンドリングシステムが、固定具104に設置されたダイナミックワークピーステンションシステムと協働して使用され得る。図4及び図5は、(例えば、ワークピース102で形成されたアンワインド材料ロール442から取り出される)ワークピース102を加工のために装置100の固定具104上に(例えば、装置100の第1のポート140aを通じて)案内するように構成され得るワークピースハンドリングシステム400のような、ウェブをハンドリングするように構成されたワークピースハンドリングシステムの様々な図を示している。この実施形態においては、装置100及び固定具104は、ワークピースハンドリングシステム400からは独立して、ベース600上に設置されている。ワークピースハンドリングシステム400は、加工されたワークピース102を固定具104から(例えば、装置100の第2のポート140bを通じてワークピース102で形成されたリワインド材料ロール432上に)取り出すように構成されていてもよい。上述の実施形態とは対照的に、ワークピース102を固定具104からリワインドアセンブリ430へと戻す制御は、固定具104に設置されて、ワークピース102を装置100の固定具104から(例えば、第3のポート150aから)受け取るように動作するワークピースリターンアセンブリ540によって達成することができる。そのため、ワークピースリターンアセンブリ540は、ワークピース102を(例えば、第4のポート150bを通じて)装置100の固定具104下に戻すことができ、ワークピース102は第2のポート140bから出て、リワインドアセンブリ430によって巻き取られる。図5は、ワークピースリターンアセンブリ540の詳細図を示している。ワークピースリターンアセンブリ540は、リターンスピンドル544に設置されたリターンロール542を含み得る。ワークピースリターンアセンブリ540は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために、ワークピースリターンアセンブリ540に(例えば、リターンスピンドル544に対して)付勢力を作用させるように構成された支持/付勢機構546によって固定具104に設置され得る。ワークピースリターンアセンブリ540は、リターンロール542の位置と、付勢機構546によってリターンスピンドル544に作用される荷重とを表すデータをコントローラ122に送信するように構成されている測定及び制御構成要素(例えば、エンコーダやひずみゲージ)を含んでいてよく、これにより、コントローラ122は、固定具104及びワークピースリターンアセンブリ540に、ワークピース102の加工及び移動の間にワークピース102の所望の引っ張り状態を保つようにコマンドすることができる。
【0039】
上述した実施形態と同様に、固定具104は、装置100の第3のポジショナ110のステージと連結されている。そのため、固定具104は、ビーム経路114と交差する位置でワークピース102を固定可能になっている。この場合、第3のポジショナ110は、上述したような分割ステージ位置決めシステムとして提供され、固定具104を搬送するステージはYステージである。したがって、固定具104は、Y方向に移動可能となっており、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112など、あるいはこれらの組み合わせなどの1以上の構成要素は、(例えば、フレーム、ガントリーなどに設けられた直動ステージにより)固定具104上でX方向に沿って移動可能となっている。別の実施形態においては、固定具104は、X方向に沿って移動可能である。上述したように、固定具104は、ワークピース102に力(例えば、機械的な力、静電力、真空力、磁力など)を作用させて(例えば、ワークピース102の加工中に)ワークピース102を固定具104に固着、保持、あるいは固定できるようになっている。
【0040】
図6及び図7に示されるように、他の実施形態においては、ワークピース102を固定具104からリワインドアセンブリ430に戻す制御は、固定具104に設置され、装置100の固定具104から(例えば、第3のポート150aから)ワークピース102を受け取るように動作可能なワークピースリターンアセンブリ550によって達成され得る。そしてワークピース102は(例えば、第4のポート150bを通じて)装置100の固定具104下に戻され、ワークピース102は第2のポート140bから出て、リワインドアセンブリ430によって巻き取られる。図7は、ワークピースリターンアセンブリ550の詳細図を示している。ワークピースリターンアセンブリ550は、エアターン基板554上に形成されたエアターン表面552を含み得る。エアターン表面552及びエアターン基板554は、スロットが形成されるか、貫通孔が形成されるか又は多孔質表面であるかのいずれかを備えて、ワークピース102と表面(すなわち、エアターン表面552)との間に加圧空気のクッションを生成するように構成された半円筒状の要素から形成され得る。一実施形態においては、エアターン基板554は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つためにエアターン基板554に力を作用させるように構成された付勢又は引っ張りデバイス556を含んでいてもよい。エアターン表面552とワークピース102との間の空気圧は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために調整され得る。上述の実施形態と同様に、ワークピースリターンアセンブリ550は、付勢機構546によってエアターン表面552に作用する荷重を表すデータをコントローラ122に送信するように構成されている測定及び制御構成要素(例えば、エンコーダやひずみゲージ)を含んでいてよく、これにより、コントローラ122は、固定具104及びワークピースリターンアセンブリ550に、ワークピース102の加工及び移動の間にワークピース102の所望の引っ張り状態を保つようにコマンドすることができる。
【0041】
C.トラバース角度の浅いウェブサポートを備えたワークピースハンドリングシステム
上記で説明した実施形態に関して、フレキシブルプリント回路の高速自動加工には、薄くて柔軟性のある物(「ウェブ」としても知られる)の安定性を含む多くの材料ハンドリングの課題がある。ウェブをレーザ加工装置へと繰り出す間にスピンドルと材料ロールが急加速すると、材料ロールからウェブが許容できないほど剥離し、これによるウェブへの損傷が引き起こされ、これは歩留まり損失と加工の中断時間の原因となる可能性がある。以下に説明するワークピースハンドリングシステムの実施形態は、これらの問題を回避するために使用することができる。例えば、ウェブの安定的なハンドリングを可能にする一つの方法又は一つの構成は、可能な限りトラバース角度(traversing angle)(すなわち、材料ロールからウェブが離れる角度)を最小化することである。また、当該技術分野で知られているロールツーロール材料ハンドリングシステムの構成は、嵩張り、かつかなりの製造床面積を占める可能性がある。以下に説明する実施形態は、設置面積を小さくしつつ、ウェブの浅いトラバース角度を維持するために使用することができる。
【0042】
図8及び図9は、このシステムの実施形態の一例における位置状態を模式的に示している。図8に示されるように、レーザ加工装置100は、ウェブ材料として供給されるワークピース102にレーザ加工ビームを照射するように構成されたものとして提供され得る。一実施形態においては、第1のワークピースハンドリングシステム1200は、(例えば、第1のウェブハンドリングアセンブリ1220から取り出された)ワークピース102を加工のために装置100に(すなわち、装置100の固定具1104上に)供給するように動作可能なものとして提供され得る。固定具1104は、レーザ源101によって発振されたレーザエネルギービーム116のビーム経路114と交差する位置でワークピース102を固定するように動作する。装置100はベース1000に設置されており、固定具1104は、ベース1000上で移動可能に配置されていて、かつ、装置100に対してワークピース102を位置決めするように構成されている。上述のように、固定具1104は、ワークピース102に力(例えば、機械的な力、静電力、真空力、磁力など)を作用させて(例えば、ワークピース102の加工中に)ワークピース102を固定具104に固着、保持、あるいは固定できるようになっている。したがって、固定具1104は、当該技術分野において知られているような真空チャック、静電チャック、磁気チャックなどとして提供され得る。図8は、装置100及びベース1000に対して左端の位置にある固定具1104を示している。図9は、ベース1000及び装置100に対して右端の位置(例えば、Y方向において最も遠い移動範囲)にある固定具1104を示している。
【0043】
図10を参照すると、図示された実施形態においては、第1のワークピースハンドリングシステム1200は、固定具1104の上方に位置する空間1206に配置された第1のウェブハンドリングアセンブリ1220を含み得る。第1のウェブハンドリングアセンブリ1220は、支持/付勢機構1226によって上部構造1228に固定されているアンワインドスピンドル1224に設置された(例えば、ワークピース102で形成された)アンワインド材料ロール1222を含み得る。支持/付勢機構1226は、(アンワインドスピンドル1224の位置を変え、そしてアンワインド材料ロール1222の位置を変えるために)アンワインドスピンドル1224に力を作用させるように構成され得る。図10を参照すると、第1のウェブハンドリングアセンブリ1220は、ウェブ1202がアンワインド材料ロール1222から離れるウェブ接触点1204に接近して付勢力をウェブ1202に作用させるように構成されたウェブ付勢システム1230をさらに含んでいてもよい。一実施形態においては、ウェブ付勢システム1230は、ウェブ材料に当たる空気の流れ1232を放出するように構成されたエアバーのような非接触付勢システムを備えている。別の実施形態においては、ウェブ付勢システム1230は、アンワインド材料ロール1222からウェブ材料が離れる際にウェブ材料に力を作用させるように構成された接触ローラ(図示せず)を備え得る。動作中、ウェブの角度θ(本明細書では「トラバース角度θ」ともいう)は、固定具1104がY方向において位置を変え、ウェブ接触点1204の位置が変化する際に、垂直に対して反時計回りに方向づけられたトラバース角度θ0から、垂直に対して時計回りに方向づけられたトラバース角度θ1へと変化し得る。上述のように、動作中、トラバース角度θは一般的にできる限り小さく保たれるべきである。というのも、ウェブ1202がアンワインド材料ロール1222から高速で又は高加速の下で解かれると、ウェブはアンワインド材料ロール1222からかなり離れて剥離し、ワークピース102を損傷しかねないからである。ウェブ1202のトラバース角度θ0からθ1への変動中に、ウェブ接触点1204は、アンワインドスピンドル1224の上方の位置からアンワインドスピンドル1224の下方の位置へと変化することができ、図10においては、その合計の距離を「A」と表している。ウェブ接触点1204の変化により、ウェブ付勢システム1230の位置(又はウェブ付勢システム1230から出る空気の流れ1232の角度)は、ウェブ材料又はワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために、ウェブ付勢システム1230がウェブ接触点1204又はその近くでウェブ1202に力を作用させるように、調整可能であり得る。
【0044】
図8図9及び図11から図13を参照すると、第1のワークピースハンドリングシステム1200は、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つように構成されたウェブテンショナアセンブリ1240aをさらに含んでいてよい。一実施形態においては、ウェブテンショナアセンブリ1240aは、支持/付勢機構1246aによって固定具1104に連結されたスピンドル1244aに設置され、固定具1104及びアンワインドウェブハンドリングアセンブリ1220に対して少なくともZ方向において、テンションローラ1242aに付勢力を作用させるように(そしてテンションローラ1242aの位置を調整するように)構成されたテンションローラ1242aを含み得る。ウェブテンショナアセンブリ1240aは、ワークピース102を固定具1104の上方で所望の高さに位置決めするように構成されたアイドラローラ1250aをさらに含んでいてもよい。支持/付勢機構1246aは、アイドラローラ1250aを、Z方向において(例えば、固定具1104の上方でワークピース102の高さを制御するために)、Y方向において(例えば、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つために第1のワークピースハンドリングシステム1200において他の構成要素と協働するように)、及びX方向において(例えば、アイドラスピンドル1252aの軸に沿ってアイドラローラ1250aの必要な位置調整をするために)位置決めするようになっていてよい。
【0045】
一実施形態においては、第2のワークピースハンドリングシステム1300は、(例えば、元は第1のワークピースハンドリングシステム1200から取り出された)ワークピース102を、加工後に装置100から(すなわち、固定具1104から)受け取るように提供され得る。図10を参照すると、図示される実施形態においては、第2のワークピースハンドリングシステム1300は、固定具1104の上方に位置する空間1306に配置された第2のウェブハンドリングアセンブリ1320を含み得る。第2のウェブハンドリングアセンブリ1320は、支持/付勢機構1326によって上部構造1328に固定されたリワインドスピンドル1324に設置された(例えば、ワークピース102から形成された)リワインド材料ロール1322を含み得る。支持/付勢機構1326は、(リワインドスピンドル1324の位置を変え、そしてリワインド材料ロール1322の位置を変えるために)リワインドスピンドル1324に力を作用させるように構成されていてよい。第2のワークピースハンドリングシステム1300はまた、固定具1104から引き出されて第2のウェブハンドリングアセンブリ1320のリワインド材料ロール1322に移動される際にワークピース102の所望の引っ張り状態を保つように構成されているウェブテンショナアセンブリ1240bを含んでいてもよい。この実施形態においては、ウェブテンショナアセンブリ1240bの構造はウェブテンショナアセンブリ1240aの構造と同じであるが、ウェブテンショナアセンブリ1240aに対して鏡像構成で配置されている。簡潔にするため、ウェブテンショナアセンブリ1240bの詳細は図11から図13には示されていない。
【0046】
例示として上述したように、ワークピースハンドリングシステム1200及び1300の動作を次に説明する。ワークピース102は、装置100によって加工される前に、ワークピースハンドリングシステム1200及び1300に設置される。次に、ワークピース102の一部を加工するために固定具1104の上部へと前進させるために、アンワインドスピンドル1224は駆動(例えば、反時計回り方向に回転)されてよく、リワインドスピンドル1324は駆動(例えば、時計回り方向に回転)されてよい。固定具104の上部に位置決めされたワークピース102の一部は、本明細書では「ワークピース102のロードされた一部」ともいう。ワークピース102の所望の一部が固定具104上に前進させられると、固定具1104は、(例えば、コントローラ122による制御信号出力を受けて)ロードされたワークピース102の一部を固定具1104に固着し、保持し、又は固定する力(例えば、機械力、静電力、真空力、磁力など)を作用させるように操作される。装置100による、ロードされたワークピース102の一部の加工中に、固定具1104は、(例えば、装置100のYステージの動作により)Y軸に沿って前後に移動することができる。固定具1104に固定されると、ロードされたワークピース102の一部は、同様にY軸に沿って移動することができる。
【0047】
レーザ加工装置100の作動中にワークピース102が加工されている際、ワークピース102は、第1のウェブハンドリングアセンブリ1220から、ウェブテンショナアセンブリ1240aを通り、固定具1104を横断してウェブテンショナアセンブリ1240bによって送られ、そして固定具1104の上方の空間1306に配置された第2のウェブハンドリングアセンブリ1320によって(例えば、リワインド材料ロール1322上に)巻き取られることになる第2のワークピースハンドリングシステム1300へと供給される。概して付勢機構1226、1246a、及び1254a(及びそれらによってスピンドル1224、1244a、及び1252a)は、Yステージ(すなわち、固定具1104)が駆動される加速度に厳密に一致した加速度で駆動されるか又は作動される。上述したように、アンワインド材料ロール1222及びアイドラローラ1250aに対してテンションローラ1242aの位置を変化させることにより、アンワインド材料ロール1222におけるウェブ接触点1204と、ワークピース102とアイドラローラ1250aとが接触する点との間のワークピース102の一部は、ロードされたワークピース102の一部が固定具1104によってY軸に沿って移動しても、静止したままでいる(又は少なくとも実質的に静止している)ことができる。例えば、固定具1104がその移動限界の左側(たとえば、+Y方向)にあるとき、ウェブは、垂直に対して(そしてアンワインドウェブハンドリングアセンブリ1220及びウェブテンショナアセンブリ1240aに対して)角度θ0で位置している。この位置において、ウェブ接触点1204(図10に示されている)はアンワインドスピンドル1224の上方にある。固定具1104がワークピース102の加工中に-Y方向における移動を開始する際にワークピース102を静止状態に保つために、支持/付勢機構1246aは、スピンドル1244aをアイドラローラ1250aから距離B0に位置させるために作動する。固定具1104が右へ移動する際には、支持/付勢機構1246aは、ウェブを静止状態に保つためにウェブ1202に付勢力を作用させる。ウェブが垂直(例えば、図10及び図11に示されているように角度θ=0の時)である箇所において、ウェブ接触点1204は、-Z方向(すなわち、下向き)に移動する。この箇所において、アンワインド材料ロール1222におけるウェブ接触点1204と、ワークピース102とアイドラローラ1250aとが接触する点との間のワークピース102(例えば、ウェブ1202)の一部を静止状態に保つために、支持/付勢機構1246aは、テンションローラ1242aを-Z方向においてアイドラローラ1250aの下方の距離B1に移動させるために、スピンドル1244aに付勢力を作用させる。固定具1104が-Y方向における移動限界まで(図9に示されているように右側へ)移動すると、ウェブは、垂直に対して(そしてアンワインドウェブハンドリングアセンブリ1220及びウェブテンショナアセンブリ1240aに対して)角度θ1で位置している。この位置において、ウェブ接触点1204(図10に示されている)は、アンワインドスピンドル1224の下方にあり、ウェブ1202が角度θ0で方向づけられていた際に接触点1204が存在していた箇所から距離Aのところにある。この位置において、アンワインド材料ロール1222におけるウェブ接触点1204と、ワークピース102とアイドラローラ1250aとが接触する点との間のワークピース102の一部を静止状態に保つために、支持/付勢機構1246aは、テンションローラ1242aを-Z方向において(図13に示されているように)アイドラローラ1250aの下方の距離B2に移動させるために、スピンドル1244aに付勢力を作用させる。この実施形態におけるウェブテンショナアセンブリ1240aの構成により、スピンドル1244aが支持/付勢機構1246aによって移動される距離(B0からB2まで)を、固定具1104がY方向に移動する際にウェブ接触点1204がZ方向に移動する距離Aの半分にすることが可能となる。
【0048】
テンションローラ1242aと、固定具1104を支持するYステージとの協調した動きを容易にするために、装置100は、Yステージと動作可能に連結されていて、かつ、Yステージの位置、Yステージが移動する方向、及びYステージが移動する速度など、又はそれらの組み合わせなどのような当該技術分野で知られたエンコーダ信号を表すデータ(本明細書では「エンコーダデータ」ともいう)を生成するように構成されたエンコーダ(図示せず)を含み得る。エンコーダは、ハンドラコントローラと(例えば、1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されていて、エンコーダデータ指令をハンドラコントローラに送信可能であってよい。あるいは、エンコーダは、ハンドラコントローラと通信可能に連結されたコントローラ114と(1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されていてもよい。この別の実施形態においては、ハンドラコントローラは、エンコーダからエンコーダデータを受信したコントローラ122からエンコーダデータを受信し得る。エンコーダデータを受信すると、ハンドラコントローラは、上述のように、テンションローラ1242aを動かすための1以上の制御信号を生成して出力する。
【0049】
エンコーダ信号がエンコーダによって出力される時間と、Yステージの移動に応答してテンションローラ1242aが上昇され又は下降される時間との間には、不可避的に遅延が存在する。典型的には、遅延は数ミリ秒のオーダーである。したがって、テンションローラ1242aに絶えず力を作用させているテンションローラ1242aの付勢機構1246は、Yステージの移動に応答してテンションローラ1242aが上昇され又は下降されるまで、ワークピース102の所望の引っ張り状態を保つための遅延を補償するように動作する。エンコーダデータに加え、ひずみゲージや他のセンサ(図示せず)も、支持/付勢機構1246a及び/又は支持/付勢機構1254aに組み込まれ得る。ひずみゲージは、(例えば、テンションローラ1242aとアイドラローラ1250aとに作用する付勢力を表す)データをコントローラ122に出力するように構成され得る。上述したように、この実施形態においては、ウェブテンショナアセンブリ1240bの構造と機能はウェブテンショナアセンブリ1240aと同様であるが、ウェブテンショナアセンブリ1240aに対して鏡像構成で配置されている。簡潔にするため、ウェブテンショナアセンブリ1240bの詳細は図11から図13には示されていない。
【0050】
ワークピース102のロードされた一部の加工が終了すると(例えば、固定具1104がサポート1000の左端に到達した時)、ワークピース102の加工された一部は、(例えば、アンワインドスピンドル1224に連結されたトルクモータによって)ワークピース102の他の部分を繰り出すアンワインドウェブハンドリングアセンブリ1220と協調して、リワインドウェブハンドリングアセンブリ1320によって(例えば、リワインドスピンドル1324に連結されたトルクモータによって)巻き上げられる。上述した実施形態及び特徴部は、ウェブ1202又はワークピース102を損傷することなく、ウェブ1202を固定具1104へと高速で前進させることができる。
【0051】
III.結論
上記は、本発明の実施形態及び例を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】