(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】複合生分解性ポリマー系材料、その製品およびそれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20240312BHJP
C08K 5/11 20060101ALI20240312BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20240312BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240312BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240312BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240312BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240312BHJP
B29C 48/05 20190101ALI20240312BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C08L67/00 ZBP
C08K5/11
C08L1/02
B33Y80/00
B29C64/118
B29C64/314
B29C45/00
B29C48/05
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553983
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 IL2022050240
(87)【国際公開番号】W WO2022185317
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523336583
【氏名又は名称】バレナ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シャケド,ヤニル
(72)【発明者】
【氏名】ルーバッハ,デイビッド レンツォ
【テーマコード(参考)】
4F206
4F207
4F213
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4F206AA18
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4J200EA21
(57)【要約】
生分解性ポリマーマトリックスと、少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中で安定化させるように構成された少なくとも2重量%の生分解性充填剤とを含む複合生分解性ポリマー系材料を開示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマーマトリックスと、
少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、
少なくとも2重量%の生分解性充填剤と
を含む複合生分解性ポリマー系材料であって、
前記生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、かつ生分解性充填剤は前記生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で前記複合材中に存在することを特徴とする複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項2】
実質的に水を含んでいないことを特徴とする、請求項1に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項3】
前記生分解性ポリマーマトリックスは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)およびそのコポリマー、ポリブチレンサクシネートPBSおよびそのコポリマー、ポリ乳酸PLAおよびそのコポリマーなど、ポリグリコール酸(PGA)、PLGA、カプロラクトン、ポリビニルアルコールならびに熱可塑性ポリウレタンTPUおよびそのコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項4】
前記生分解性ポリマーマトリックスは、前記複合材の総重量の1~28重量%のポリ酢酸ビニルまたはその任意のコポリマーを含む、請求項3に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項5】
前記生分解性可塑剤は、クエン酸アルキル(例えばアセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化油、イソソルビドジエステル油、アルコキシル化カルボン酸(例えばアジピン酸ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、クエン酸オイルおよびポリオールからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項6】
前記生分解性充填剤は、食品廃棄物、植物性材料、廃棄材料、香辛料、澱粉系製品、セルロースおよび海草から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項7】
少なくとも30重量%の生分解性ポリマーマトリックスを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項8】
少なくとも8重量%の生分解性可塑剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項9】
少なくとも15重量%の生分解性可塑剤を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項10】
少なくとも50体積%のポロシティを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項11】
前記ポロシティは1ミクロン~3mmの細孔径を有する、請求項10に記載の複合生分解性ポリマー系材料。
【請求項12】
生分解性ポリマーマトリックスと、
少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、
少なくとも2重量%の生分解性充填剤と
を含む複合生分解性ポリマー系材料から作製された製品であって、
前記生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、かつ生分解性充填剤は前記生分解性可塑剤を前記ポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で前記複合材中に存在することを特徴とする製品。
【請求項13】
射出成形、3D印刷および押し出しのうちの1つによって作製された、請求項11に記載の製品。
【請求項14】
実質的に水を含んでいないことを特徴とする、請求項11に記載の製品。
【請求項15】
複合生分解性ポリマー系製品を作製する方法であって、
生分解性ポリマーマトリックスと、
少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、
少なくとも2重量%の生分解性充填剤と
を一緒に混合する工程であって、前記生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、かつ生分解性充填剤は前記生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で前記複合材中に存在する工程と
押し出し、射出成形および3D印刷のうちの少なくとも1つを用いて前記混合物を成形して複合生分解性ポリマー系製品を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項16】
水を全く添加せずに行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記混合は押し出し機の中で行う、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物をモールドの中に射出して前記製品を形成する、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物を押し出してフィラメントを形成する、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
3D物体を印刷するために前記フィラメントを3Dプリンタに供給する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物をダイの中に押し出してフィルムを形成する、請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月11日に出願された米国特許出願第17/520,675号ならびに2021年3月4日に出願された米国仮特許出願第63/156,454号および2021年6月8日に出願された第63/208,073号の優先権の利益を主張する国際特許出願であり、それらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に生分解性ポリマー系材料に関する。より具体的には、本発明は複合生分解性ポリマー系材料、その製品およびそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファッション産業は世界の温室効果ガス排出量全体の約8%を占めている。さらに「ファッション」における頻繁な変化により、この産業の製品の大部分は非常に低いリサイクル率で絶えず置き換えられている。これがファッション産業を世界において最大の汚染源の1つにさせている。綿や絹などの天然繊維は時間と共に無害な物質に分解することができるが、全ての合成繊維/材料は数百年存続すると予測されている。
【0004】
生分解性ポリマー材料の開発は、合成ポリマーからの汚染を減らすことが最も期待されていることの1つである。生分解性ポリマーは、細菌分解プロセスによって分解してガス(CO2、N2)、水、バイオマスおよび無機塩などの天然の副生成物を生じるように構成されたポリマーである。
【0005】
公知の生分解性ポリマーは、多糖類(例えば澱粉)などの天然ポリマーおよびポリエステルなどの合成ポリマーの両方ならびに合成および天然ポリマーの両方の組み合わせを含む。有望な合成ポリマーはポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)である。しかし、ポリエステル系生分解性ポリマーおよびPBAT系生分解性ポリマーはどちらもそれらの機械的特性により、ファッション産業で使用するのに適していない。ポリエステル系生分解性ポリマーは弱すぎであり、かつ/または非常に吸湿性であり、PBATはファッション物品のためには硬すぎであり、かつ剛体である。
【0006】
従って、ファッション物品で使用するのに十分な強度および柔軟性の両方を有すると共に、少なくとも意図的な生分解プロセス(例えばコンポスターにおいて)が開始するまで防水である生分解性ポリマーが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの態様は、生分解性ポリマーマトリックスと、少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、少なくとも2重量%の生分解性充填剤とを含む複合生分解性ポリマー系材料を対象としていてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、かつ生分解性充填剤は生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で本複合材中に存在する。いくつかの実施形態では、本複合材は実質的に水を含んでいない。
【0008】
いくつかの実施形態では、生分解性ポリマーマトリックスは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)およびそのコポリマー、ポリブチレンサクシネートPBSおよびそのコポリマー、ポリ乳酸PLAおよびそのコポリマー、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)ポリビニルアルコールならびに熱可塑性ポリウレタンTPUおよびそのコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、本複合生分解性ポリマー系材料はさらに、少なくとも30重量%の生分解性ポリマーマトリックスを含んでいてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、生分解性ポリマーマトリックスは本複合材の総重量の1~28重量%のポリ酢酸ビニルまたはその任意のコポリマーを含んでいてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、イソソルビドジエステル油、イソペンチルエポキシソイエート(isopentyl epoxy soyate)、アジピン酸ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)、クエン酸オイルおよびグリセロールから選択される。いくつかの実施形態では、本複合生分解性ポリマー系材料はさらに、少なくとも8重量%の生分解性可塑剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本複合生分解性ポリマー系材料はさらに、少なくとも15重量%の生分解性可塑剤を含んでいてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、生分解性充填剤は、食品廃棄物、香辛料、澱粉系製品、セルロースおよび海草から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本複合生分解性ポリマー系材料は少なくとも50体積%のポロシティを特徴とする。いくつかの実施形態では、ポロシティは1ミクロン~3mmの細孔径を有する。
【0013】
本発明のいくつかの態様は、本発明のいずれかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料の射出成形によって作製された製品を対象としていてもよい。
【0014】
本発明のいくつかのさらなる態様は、本発明のいずれかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料の3D印刷によって作製された製品を対象としていてもよい。
【0015】
本発明のいくつかのさらなる態様は、本発明のいずれかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料の押し出しによって作製された製品を対象としていてもよい。
【0016】
本発明のいくつかの態様は、生分解性ポリマーマトリックスと、少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中で安定化させるように構成された少なくとも2重量%の生分解性充填剤とを一緒に混合する工程と、押し出し、射出成形および3D印刷のうちの少なくとも1つを用いて当該混合物を成形して複合生分解性ポリマー系製品を形成する工程とを含む、複合生分解性ポリマー系製品を作製する方法を対象としていてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、生分解性充填剤は生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で本複合材中に存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、この混合は押し出し機の中で行う。いくつかの実施形態では、押し出された混合物をモールドの中に射出して本製品を形成する。いくつかの実施形態では、当該混合物を押し出してフィラメントを形成する。いくつかの実施形態では、3D物体を印刷するためにフィラメントを3Dプリンタに供給する。いくつかの実施形態では、押し出された混合物をダイの中に押し出してフィルムを形成する。
【0018】
但し本発明は、その目的、特徴および利点と共に構成および操作方法の両方に関して添付の図面と共に読んだ場合に、以下の詳細な説明を参照することにより最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】いくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料から製品を作製する方法のフローチャートである。
【
図2】いくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料から作製された試料の画像を示す。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料から作製されたフリップフロップ(flipflop)の画像を示す。
【0020】
当然のことながら例示の簡潔性および明確性のために、図に示されている要素は必ずしも一定の縮尺どおりに描かれているわけではない。例えば要素のいくつかの寸法は、明確性のために他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに適当であるとみなされる場合には、対応または類似する要素を示すために符号が図の中で繰り返されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者であれば、本発明はその趣旨または必須の特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化できることを理解するであろう。従って上記実施形態は、全ての点において本明細書に記載されている本発明の限定ではなく例示とみなされるべきである。従って本発明の範囲は、上の記載によってではなく添付の特許請求の範囲によって示されており、従って特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内の全ての変形が本明細書に包含されるものとする。
【0022】
以下の詳細な説明では、数多くの特定の詳細は本発明の徹底的な理解を与えるために記載されている。しかし本発明はこれらの特定の詳細がなくとも実施できることが当業者によって理解されるであろう。他の例では、本発明を曖昧にしないために周知の方法、手順および構成要素は詳細に記載されていない。一実施形態に関して記載されているいくつかの特徴または要素を、他の実施形態に関して記載されている特徴または要素と組み合わせてもよい。明確性のために、同じまたは同様の特徴または要素の考察は省略されている場合がある。
【0023】
本発明のいくつかの態様は、複合生分解性ポリマー系材料およびそのような材料から作製された物品または製品を対象としていてもよい。さらなる態様は、そのような物品または製品を作製する方法を対象としていてもよい。本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料は、PBATマトリックスなどのポリマーマトリックスおよび比較的大量(例えば5重量%超)の可塑剤(例えば油系可塑剤)を含んでいてもよい。可塑剤を使用して、履物、バッグおよびベルトなどのファッション製品で必要とされる程度までPBATを軟化させてもよい。比較的大量の可塑剤をPBATに添加する上での主要な課題は、可塑剤がPBATマトリックスから漏出しやすいことであり、従って軟化効果が低下し、かつ作製された物品上に望ましくない油性層が形成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、可塑剤をPBATマトリックス中で安定化および維持するために、当該混合物に添加剤を添加してもよい。本発明者らは驚くべきことに、特定の量で添加される天然の材料を使用して可塑剤をPBATマトリックス中で安定化し得ることを見出した。これらの材料はさらに、最終製品に色、テクスチャおよび香りなどのさらなる特性を与えることも分かった(例えば、シナモンの香りのフリップフロップ、コーヒーの香りの札入れなど)。
【0025】
本明細書で使用される「製品」は、ポリマーから製造することができるあらゆる物品、例えば最終製品(例えば、ファッション物品、玩具、パッケージ、キッチン用品および使い捨ての皿など)、半最終製品(例えば糸)、およびさらなる処理のために提供される原料(例えば3D印刷のためのフィラメント)を含んでもよい。当該製品は、押し出し、射出成形および3次元(3D)印刷などの任意の公知の製造方法を用いて作製することができる。
【0026】
本明細書で使用されるファッション物品は、履物、札入れ、ベルト、バッグ、スマートフォンカバーおよび腕輪などであってもよい。
【0027】
本明細書で使用される「生分解性材料」は、酵素(例えば微生物)分解プロセスによって実質的に分解するように(例えば、材料の重量で約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、99%またはそれ以上(その間のあらゆる範囲を含む)の分解)構成されたどんな材料であってもよい。いくつかの実施形態では、生分解性材料は分解して天然の副生成物を生じる。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「生分解性」という用語は「生物侵食性」という用語も包含し、これは環境条件下でより小さい画分に分解し、従ってその構造および/または機械的特性を実質的に失う組成物/物品を記述する。いくつかの実施形態では、「生物侵食」という用語は、微生物によって開始し、かつ結果として組成物/物品の少なくとも部分的分解を生じさせる組成物/物品の侵食を指す。
【0028】
生分解性材料は、合成および/または天然源からのものであってもよい。いくつかの実施形態では、生分解性材料の細菌分解は当然ながら炭化水素ガス源であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、処理段階のどの段階の間にも水が添加されず、かつどの原料も水溶液で提供されないため、本複合生分解性ポリマー系材料は実質的に水を含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、本複合生分解性ポリマー系材料は、当然ながら生分解性充填剤に含まれている残存量の水のみを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性充填剤(例えば天然繊維)中の水分の量は15重量%以下、通常は6重量%以下である。いくつかの実施形態では、本複合材中の生分解性充填剤の総量は多くとも10重量%であり、従って本複合材中の水分/水の総量は1.5重量%、1.3重量%、1.2重量%、1重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%またはそれより小さい値を超えていなければよい。いくつかの実施形態では、水の量が少ないほど良い。
【0030】
いくつかの実施形態では、本複合材への水のどんな添加も余分である。場合によっては、水の添加はあまり推奨されるものでもない。例えばファッション物品、玩具、パッケージ、キッチン用品および使い捨ての皿などを含む任意の製品のリストにおいて、濡れたフリップフロップまたは濡れた使い捨てプレートを持ちたいと思わないように、任意のさらなる量の水は外観、機能性および触感を損なう場合がある。
【0031】
いくつかの実施形態では、特許請求されている複合材は、少なくとも30体積%のポロシティ、少なくとも50体積%のポロシティまたはさらには少なくとも70体積%のポロシティを含む発泡体であってもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料は、生分解性ポリマーマトリックスと少なくとも5重量%の生分解性可塑剤とを含んでいてもよい。本複合生分解性ポリマー系材料はさらに、生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中で安定化させるように構成された少なくとも2重量%の生分解性充填剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は10~50℃の温度で液体状態であり、かつ生分解性充填剤は生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分な量で本複合材中に存在する。
【0033】
別の態様では、ポリマーマトリックスの形態の生分解性ポリマーと、少なくとも2重量%の生分解性充填剤と、少なくとも5重量%の生分解性可塑剤とを含む材料であって、生分解性充填剤および/または生分解性可塑剤はポリマーマトリックス中に分散されている材料が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、生分解性充填剤および/または生分解性可塑剤はポリマーマトリックス中に均一に分散されている。いくつかの実施形態では、当該材料は複合材である。いくつかの実施形態では、本発明の材料は生分解性である。いくつかの実施形態では、本発明の材料は本質的に生分解性ポリマー、生分解性充填剤および生分解性可塑剤からなる。いくつかの実施形態では、本発明の材料は-50~60℃、-50~40℃、40~60℃の範囲(その間のあらゆる範囲を含む)の温度で固体である。
【0034】
いくつかの実施形態では、「材料」という用語および「生分解性ポリマー系材料」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0035】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤はポリマーマトリックスの内側部分の中に位置している。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスの外側部分は生分解性可塑剤および/または生分解性充填剤を実質的に含んでいない。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は本発明の複合材の機械的特性を修正する。いくつかの実施形態では、本発明の材料は、そこに弾性を与えるのに十分な量の生分解性可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、本発明の材料は弾性材料である。いくつかの実施形態では、本発明の材料は弾性材料または粘弾性材料である。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤の重量/重量(w/w)濃度は、本発明の材料に弾性もしくは粘弾性特性を与えるのに十分なものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性充填剤のw/w濃度は、生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に実質的に保持するのに十分なものである。いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性充填剤のw/w濃度は、生分解性可塑剤の初期重量含有量の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%(その間のあらゆる範囲を含む)を保持するのに十分なものである。いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性充填剤のw/w濃度は、生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に保持するのに十分なものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性充填剤のw/w濃度は、ポリマーマトリックスの内側部分からの生分解性可塑剤の漏出を実質的に防止するのに十分なものである。
【0038】
いくつかの実施形態では、本複合材は、最大200Kg/m2の圧力に曝された場合に重量で少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%の生分解性可塑剤をポリマーマトリックス中に実質的に保持する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本複合材は多孔性材料である。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスは10~99体積%、10~20体積%、20~50体積%、50~70体積%、70~80体積%、80~90体積%、90~99体積%(その間のあらゆる範囲を含む)のポロシティを特徴とする。非限定的な例では、ポロシティは70~85体積%である。いくつかの実施形態では、細孔径は1ミクロン~1mm、1ミクロン~2mmおよび0.5ミクロン~3mmおよびその間のあらゆる値である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本複合材は、単一の生分解性ポリマー種または複数の化学的に異なる生分解性ポリマー(例えばポリマーブレンド)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の生分解性ポリマーは熱可塑性ポリマーである。いくつかの実施形態では、本発明の生分解性ポリマーは、PCL、PLA、PGA、PLGA、PBAT、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などのポリエステルおよびそのコポリマー(例えば、PHB、PHBV、PHHxなど)、ポリオール(例えばポリビニルアルコール)、ポリアルコキシレート(例えばPEG、PPGなど)、ポリブチレンサクシネートPBSおよびそのコポリマー、ポリ乳酸PLAおよびそのコポリマーなど、ポリ酢酸ビニルおよびそのコポリマー、澱粉系ポリマー、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリホスホエステル、ポリアミド(例えばナイロン、ポリアミノ酸)(その任意のコポリマーを含む)、熱可塑性ポリウレタンTPUおよびそのコポリマーならびにそれらの任意のコポリマーおよび任意の組み合わせであるかそれらを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、より柔軟な生分解性複合材を製造するために、ポリ酢酸ビニルなどの柔軟な変性ポリマーおよびそのコポリマーを生分解性ポリマーマトリックスに添加してもよい。そのような生分解性ポリマー系をさらに使用して生分解性可塑剤を結合および保持してもよい。いくつかの実施形態では、柔軟な生分解性ポリマー組成物は必要とされる程度、例えばファッション産業によって必要とされる程度まで生分解性材料を軟化させてもよい。
【0042】
当該技術分野で知られているように、ポリ酢酸ビニルは「生分解性ポリマー」とみなされていない。しかし本発明者らは驚くべきことに、最大35重量%のポリ酢酸ビニルをポリマーマトリックスに添加することにより、他のポリマーが生分解性ポリマーである場合に結果的に生分解性ポリマー組成物になり得ることを見出した。そのような組成物は生物学的プロセスにより完全に分解することができる。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマーマトリックスは生分解性材料の総重量の20~35重量%のポリ酢酸ビニル、例えば22重量%、26重量%、28重量%、30重量%のポリ酢酸ビニルを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマーマトリックスの残りはPBATおよびPHAなどの他の生分解性ポリマーを含んでいてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、生分解性ポリマーマトリックスは本複合材の総重量の1~35、1~32、1~30および1~28重量%、例えば本複合材の総重量の1、2、5、8、10、12、15、18、20、22、24、26、27重量%のポリ酢酸ビニルまたはその任意のコポリマーを含んでいてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、20~35重量%のポリ酢酸ビニルの添加は必要とされる程度、例えばファッション産業によって必要とされる程度まで生分解性材料の軟化を引き起こしてもよい。例えば、28重量%のポリ酢酸ビニルを含む本発明のいくつかの実施形態に係る生分解性材料は70~80のショアA硬度を有していてもよい。ポリ酢酸ビニルを省略することにより、少なくともショア80Aであって最大ショア50Dまで硬度の上昇が生じ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本複合材中の生分解性ポリマーのw/w濃度は、少なくとも15重量%、少なくとも15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、75重量%およびそれ以上(その間のあらゆる範囲を含む)である。いくつかの実施形態では、本複合材中の生分解性ポリマーのw/w濃度は、15~80%、15~90%、15~50%、50~75%、50~80%、50~60%、60~75%、60~80%、80~95%、80~90%(その間のあらゆる範囲を含む)である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明の生分解性ポリマーは、-50~60℃、-50~40℃、40~60℃の範囲(その間のあらゆる範囲を含む)の温度で固体である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、1種以上のさらなるポリマー(例えば、生物侵食性ポリマーおよび/または非分解性ポリマー)を含んでいてもよい複合材を対象としていてもよい。例えばポリマーマトリックスは、ポリエステルおよびそのコポリマー、ポリアミドおよびそのコポリマーならびにスチレン系ポリマーおよびそのコポリマーなどであってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は本発明の生分解性ポリマーと適合不可能(例えば不混和性)である。いくつかの実施形態では、本発明の生分解性可塑剤は-80℃~80℃、-10℃~60℃、0℃~60℃、0℃~50℃、10℃~50℃の範囲(その間のあらゆる範囲を含む)の温度で液体である。
【0049】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は小分子である。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は1,000ダルトン(Da)未満のMWを有する有機小分子である。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は、100~1,000Da、100~300Da、100~200Da、200~500Da、200~1000Da、200~300Da、100~500Da、100~800Da、300~500Da、100~1,000Da、500~800Da、500~1,000Da、800~1,000Da(その間のあらゆる範囲を含む)のMWを有する。各可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0050】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は、単一の化学種または複数の化学的に異なる化学種であるかそれらを含む。いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は、クエン酸アルキル(例えば、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、クエン酸トリエチル)、イソソルビドジエステル油、エポキシ化油(例えばイソペンチルエポキシソイエート)、アルコキシル化カルボン酸(例えば、アジピン酸ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、クエン酸オイル、油、脂肪酸または脂肪酸エステル、モノもしくはジグリセリド(それらのあらゆるエステルおよびポリオール(例えばグリセロール、オリゴ糖)を含む)、またはそれらの任意の組み合わせであるかそれらを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、生分解性可塑剤は、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、イソペンチルエポキシソイエート、アジピン酸ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)、クエン酸オイル、グリセロール、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つであるかそれらを含む。さらなる生分解性可塑剤が当該技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスをさらに軟化させるために5重量%超、例えば10重量%、15重量%、20重量%およびそれ以上を本複合材に添加する。いくつかの実施形態では、全ての添加された可塑剤は製品の寿命全体にわたってポリマーマトリックス中に残ることができる。いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性可塑剤のw/w濃度は、5~20%、5~10%、10~15%、15~20%、5~10%、5~15%、5~7%、5~13%、13~20%(その間のあらゆる範囲を含む)である。
【0052】
いくつかの実施形態では、比較的大量の可塑剤をポリマーマトリックス中で安定化させるために、本複合材はさらに、少なくとも2重量%、例えば3重量%、5重量%およびそれ以上の生分解性充填剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の複合材中の生分解性充填剤のw/w濃度は1~10%、2~10%、2~7%、2~5%、5~10%(その間のあらゆる範囲を含む)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、生分解性充填剤は天然由来であってもよい。例えば、生分解性充填剤は、食品廃棄物、香辛料、澱粉系製品(例えば穀類)、セルロース(例えば木材の塊)、廃棄粒子状材料(例えば堆肥および/または木材チップ、おがくずなどの木廃材など)、植物性材料(例えば小麦粉、そば粉、セモリナ粉、トウモロコシ粉、コーンスターチ、コーンミール、米粉、タピオカ粉、ジャガイモ粉、大豆粉、粉砕したフラックスミール、亜麻粉、麻粉)および海草などから選択されてもよい。充填剤は可塑剤の安定化に加えて、色(例えば顔料)、香りおよびテクスチャを本複合材に与えることもできる。様々な充填剤を用いて作製された試料のいくつかの例が
図2に示されている。いくつかの実施形態では、さらなる生分解性材料、例えば天然顔料を添加してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、
図1のフローチャートに関して以下で考察されているように、本複合生分解性ポリマー系材料を使用して、最終製品などの物品、他の製品の作製のための半最終製品または原料を作製してもよい。いくつかの実施形態では、半最終製品はベルトを作製するために使用される押し出された平らなストランドであってもよく、原料は、製品を印刷するために3Dプリンタに供給されて押し出されるストリップ/ストランドフィラメントを含んでもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系製品を作製するための方法のフローチャートである
図1を参照する。工程110では、本複合生分解性ポリマー系材料の全ての成分を混合して混合物を形成してもよい。混合物は上に開示されているように、生分解性ポリマーマトリックス(例えばPBAT)と、少なくとも5重量%の生分解性可塑剤と、少なくとも2重量%の生分解性充填剤とを含んでいてもよい。非限定的な例では、全ての成分を2軸押し出し機の中に挿入し、関連するマトリックスの融点または軟化点を超えるまで加熱し、一緒に混合して混合物を形成してもよい。いくつかの実施形態では、混合物を混合するために他の混合機器および技術を使用してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法は水を全く添加せずに行う。いくつかの実施形態では、提供される成分はどれも水溶液で提供されない。
【0057】
いくつかの実施形態では、工程120において混合物を成形して本複合生分解性ポリマー系製品を形成してもよい。例えば混合物を直接押し出して、最終製品またはさらなる製品のための原料として使用される細長い(例えばスプール状)ストリップまたはストランドを形成してもよい。あるいは、混合物を最終形状(例えば履物)に射出成形することができる。非限定的な例では、フリップフロップおよびスマートフォンカバーなどの最終製品を形成するために射出成形機を使用することができる。追加または代わりとして、生分解性ポリマー複合材から作製された押し出されたフィラメント(例えばストランド)を3D印刷機に充填して、任意の公知の方法を用いて再溶解および印刷することができる。いくつかの実施形態では、複合生分解性ポリマー系をダイに押し出してフィルム(例えばシート)を形成してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、本方法は、制御された量のポロシティを生分解性ポリマー複合材に導入することにより混合物を発泡させることを含んでいてもよい。例えば部品の形成中(例えば、溶解物の実際の押し出しまたは実際の射出中)に、溶解混合物の中にCO2などのガスを添加してもよい。さらに別の例では、混合物に重炭酸ナトリウムなどの任意の種類の発泡剤を添加して、熱分解によるCO2の放出により発泡体を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ポロシティ量は、例えば30体積%~85体積%、50体積%~85体積%および60体積%~80体積%などの添加される薬剤の量によって決まってもよい。いくつかの実施形態では、細孔径は1ミクロン~1mm、1ミクロン~2mmおよび1ミクロン~3mmならびにその間のあらゆる値である。
【0059】
実験結果
次に、本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料から作製された8つの試料の画像を示す
図2を参照する。当該試料をアルミニウムモールドの中に入れて、12トンの実験室プレスを用いてプレスした。全ての試料をPBATマトリックスと共に様々な生分解性可塑剤および異なる充填剤(例えば粉砕粉末)を用いて作製した。充填剤のいくつかは484Cおよび7771Cなどの天然の顔料を含んでいた。表1は様々な組成をまとめたものである。
【0060】
【0061】
各試料は、異なる色(白黒画像では明白ではない)および異なる香りを有する。例えば、試料BおよびCはコーヒーフレークによる淡茶色がかった色およびコーヒーの香りを有する。さらに別の例では、試料Eは茄子紫色を有し、試料Fは暗赤色を有する。試料Gは蜂蜜のような色およびシナモンの香りを有する。
【0062】
様々な可塑剤および様々な充填剤と共に様々な生分解性ポリマーマトリックスを示すさらなる実験組成が表2に示されている。
【0063】
【0064】
様々な可塑剤および様々な充填剤と共に様々な生分解性ポリマーマトリックスを示すさらなる実験組成が表3に示されている。
【0065】
【0066】
次に、本発明のいくつかの実施形態に係る複合生分解性ポリマー系材料から作製されたフリップフロップの画像である
図3を参照する。
図3のフリップフロップの複合材は、PBATマトリックス、15重量%のATBC可塑剤および3重量%の海草粉末を含んでいた。その結果は、油っぽい表面を有しない緑色がかった柔軟なフリップフロップであった。押し出し機の中で混合物を混合した直後に、フリップフロップをその最終形状に射出成形した。
【0067】
いくつかの実施形態では、全ての試験した試料は、許容可能な実施に従って堆肥中で完全に分解した。例えば
図3に関して考察されている2種類のフリップフロップをプラスチックネットの中に挿入し、50~100cmの深さで堆肥の山の中に埋めた。98日(例えば約3カ月)後に、フリップフロップは完全に生物学的に分解していた。
【0068】
公知の基準に従って様々な試料の機械的特性を測定した。ポリマー、エラストマーおよびゴムの硬度を測定するために、ASTM D2240に従ってショア硬度を測定した。本発明の実施形態に係る試料の試験したショア硬度は、65~95のショアA硬度および15~50のショアD硬度であった。この結果は、フリップフロップ、札入れ、ベルトなどあらゆるファッション物品のために十分な硬度を示している。
【0069】
図に示すように、複合生分解性ポリマー系材料は、ファッション産業ならびに玩具製造業者、パッケージ製造業者、キッチン用品製造業者および使い捨ての皿の製造業者などの他の産業にとって有望な環境に優しい材料であり得る。
【0070】
明示的に記載しない限り、本明細書に記載されている方法の実施形態は特定の順番または順序に限定されない。さらに、本明細書に記載されている全ての製法は例示のみを目的としており、他の異なる製法を使用してもよい。さらに、記載されている方法の実施形態またはその要素のいくつかは同じ時点で起きたり行ったりしてもよい。
【0071】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、多くの修正、置換、変形および均等物が当業者に思い付くだろう。従って添付の特許請求の範囲は本発明の真の趣旨に含まれるものとして、全てのそのような修正および変形を包含するものであることを理解すべきである。
【0072】
様々な実施形態を示してきた。これらの実施形態のそれぞれは当然ながら、示されている他の実施形態からの特徴を含んでいてもよく、具体的に記載されていない実施形態は本明細書に記載されている様々な特徴を含んでいてもよい。
【国際調査報告】