(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】胸部X線画像検査のための非接触呼吸測定及び視覚化
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240312BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20240312BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B6/00 535
A61B5/113
A61B6/50 500C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555283
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022056182
(87)【国際公開番号】W WO2022194666
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】メンサー ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】セネガス ジュリアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヨッケル サーシャ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】メントラップ デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】サールバッハ アクセル
【テーマコード(参考)】
4C038
4C093
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB33
4C038VC05
4C093AA01
4C093DA03
4C093FA47
4C093FG19
(57)【要約】
本発明は、胸部X線撮影に関する。画質及び一貫性を改善するために、入力ユニット、処理ユニット、及び出力ユニットを有する呼吸状態決定装置が提供される。入力ユニットは、胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスを受信するように構成される。処理ユニットは深度画像の受信されるシーケンスを分析して、患者の呼吸運動を表す時間にわたる一つ又はそれより多くの関心領域(ROI)内の深度値の変化を決定し、時間にわたる一つ又はそれより多くのROIの内側の深度値の決定される変化に基づいて呼吸信号を決定するように構成される。出力ユニットは、決定される呼吸信号を提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸状態決定装置であって、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと
を有し、
前記入力ユニットは、胸部X線撮影画像検査のために位置決めされる患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスを受信するように構成され、
前記処理ユニットは、前記受信される深度画像のシーケンスを分析して、前記センサの画像平面に直交する患者の解剖学的構造の動き及び/又は前記センサの画像平面内の患者の解剖学的構造の動きを表す少なくとも1つの関心領域(ROI)の内側の深度値の変化を経時的に決定し、前記決定される少なくとも1つのROIの内側の深度値の経時的な変化に基づいて呼吸信号を決定するように構成され、
前記出力ユニットは、前記決定される呼吸信号を提供するように構成される、
呼吸状態決定装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記少なくとも1つのROIの内側の平均深度値の変化を決定して、前記呼吸信号を決定するように構成される、請求項1に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのROIは、第1のROI及び第2のROIを含む少なくとも2つのROIを有し、
前記処理ユニットは、前記画像平面に直交する第1の患者の解剖学的構造の動きを表す、前記第1のROIの内側の深度値の変化を経時的に決定し、前記画像平面内の第2の患者の解剖学的構造の動きを表す、前記第2のROIの内側の深度値の変化を経時的に決定するように構成され、
前記処理ユニットは、前記決定される第1及び第2のROIの両方の内側の深度値の変化に基づいて、呼吸信号を決定するように構成される、
請求項1乃至2の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのROIは、前記患者の解剖学的構造及び前記患者の両側の背景を覆うROIを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項5】
前記患者が前記胸部X線画像検査のために横方向位置に配置されるとき、前記少なくとも1つのROIは、
前記患者の背中を表す画素及び背景内の領域を表す画素を有する第1のROIと、
前記患者の胸部を表す画素及び背景内の領域を表す画素を有する第2のROIと、
前記患者の胴体の第3のROIと
を有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのROIは、前記患者の肩を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを有するROIを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのROIは、前記患者の胴体及び背景を覆うROIを有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項8】
前記処理ユニットは、自動露出制御(AEC)線量測定チャンバの活性領域に基づいて、又は前記患者の一つ又はそれより多くの解剖学的ランドマークに基づいて、前記少なくとも1つのROIを決定するように構成される、請求項1乃至7の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項9】
前記処理ユニットは、前記決定される呼吸信号に基づいて、所定の呼吸状態でx線曝射を放出するための時点を決定するようにさらに構成される、請求項1乃至8の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置。
【請求項10】
胸部X線撮像システムであって、
x線源と、撮像される患者を収容するために前記x線源から離間されるx線検出器とを有するx線撮像システムと、
前記胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサであって、前記患者の胴体の深度画像のシーケンスを連続的に捕捉するように構成される、センサと、
請求項1乃至9の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置と
を有する、胸部X線撮像システム。
【請求項11】
前記呼吸状態決定装置から呼吸信号を受信し、前記患者の呼吸状態に関するフィードバックを提供するように構成されるフィードバック装置
をさらに有する、請求項10に記載の胸部X線撮像システム。
【請求項12】
前記x線撮像システムは、前記呼吸状態決定装置によって決定されるx線曝露を放出するための時点で、画像取得のために自動的にトリガされるか、又は手動で制御されるように構成される、請求項10又は11に記載の胸部X線撮像システム。
【請求項13】
胸部X線撮影画像検査において患者の呼吸状態を決定するための方法であって、
前記胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスを受信するステップと、
前記受信される深度画像のシーケンスを分析して、前記センサの画像平面に直交する患者の解剖学的構造の動き及び/又は前記センサの画像平面内の患者の解剖学的構造の動きを表す、少なくとも1つの関心領域(ROI)の内側の深度値の変化を経時的に決定するステップと、
前記決定される少なくとも1つのROIの内側の深度値の経時的な変化に基づいて、呼吸信号を決定するステップと、
前記決定される呼吸信号を提供するステップと
を有する、方法。
【請求項14】
前記決定される呼吸信号に基づいて、所定の呼吸状態でx線曝露を放出するための時点を決定するステップ
をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の装置を制御するため、又は請求項10乃至12の何れか一項に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素であって、プロセッサによって実行されるとき、請求項13又は14に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胸部X線撮影に関し、特に、呼吸状態決定装置、胸部X線撮影イメージングシステム、患者の呼吸状態を決定する方法、及びコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
胸部X線検査は、最も重要で頻繁な画像診断検査の1つである。良好な放射線画像を取得するために、特定の診断要件及び画像品質基準が、国際的及び国内的なガイドライン及び勧告において定義されている。後―前(PA)、前―後(AP)、又は横方向(LAT)投影における胸部X線撮影は、「完全吸気時及び呼吸停止時に実施される」べきである。これは、放射線画像における関連する肺構造の適切な可視化及び評価のために必要である。
【0003】
今日のワークフローでは、オペレータが通常、検査室を離れている間に呼吸コマンドを与え、その後、患者の実際の呼吸状態に関する視覚的フィードバックなしにX線画像取得をトリガする。多くの場合、患者は例えば、患者が呼吸コマンドを理解できないため、又は患者が十分に長く息を止めることができないため、呼吸指示に完全に従わない。後者は特に、操作者が検査室にいる間に呼吸コマンドを与え、X線放出制御に到達するのに数秒を必要とする場合に起こり得る。
【0004】
しかしながら、完全吸気時に正確に撮影されるX線撮影は、診断タスクを容易にする。さらに、強い呼吸又は他の胸部の動きの瞬間に撮影される画像は、モーションブラーによって劣化することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画質を改善する必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に説明する態様は、呼吸状態決定装置、胸部X線撮像システム、患者の呼吸状態を決定するための方法、及びコンピュータプログラム要素にも適用されることに留意される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、入力ユニットと、処理部と、出力部とを備える呼吸状態決定装置が提供される。入力ユニットは、胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスを受信するように構成される。処理ユニットは受信される深度画像のシーケンスを分析して、センサの画像平面に直交する患者の解剖学的構造の動き及び/又はセンサの画像平面内の患者の解剖学的構造の動きを表す少なくとも1つの関心領域(ROI)内の深度値の経時的な変化を決定し、少なくとも1つのROIの内側の深度値の経時的な変化に基づいて呼吸信号を決定するように構成される。出力ユニットは、決定される呼吸信号を提供するように構成される。
【0008】
言い換えれば、患者の呼吸信号を抽出するために、患者上の(例えば、患者の背中、胸部、及び/又は肩上の)1つ又は複数のROIの内側の深度値の変化を追跡するために、連続的に取得される深度画像のシーケンスを利用することが提案される。深度画像のシーケンスは、時系列に配列される複数の深度画像を含む。各深度画像は、画像データフレームと呼ばれることもある。抽出される呼吸信号は異なるレベルの自動化を達成するために、画像取得のトリガを誘導又は制御するために使用可能であり得る。
【0009】
呼吸は患者の胸郭のボリュームを変化させ、呼吸運動とも呼ばれる、異なる身体部分、例えば、胸郭/腹部、肩などの運動をもたらす。患者の向き(例えば、PA/AP又はLAT)に応じて、これらの動きベクトルは、画像平面に対して平行又は直交することができる。これは、例えば、患者の背後に平坦な表面がないコンピュータトモグラフィ(CT)及び磁気共鳴(MR)画像とは対照的に、X線に特に当てはまる。本明細書に記載される呼吸状態決定装置は、1つ又は複数のROIの内側の深度カメラ信号に基づいて、画像平面内の呼吸運動成分、画像平面に直交する呼吸運動成分、又は両方の運動成分を捕捉するように構成され、各ROIは特定の患者の解剖学的構造(例えば、胸部、肩など)をカバーする。
【0010】
例えば、深度画像のシーケンスは、検出器の前面カバー又はベッドによって画定される検出器平面に対してほぼ垂直な光軸を有するセンサ(例えば、3Dカメラ)によって取得されてもよい。このジオメトリ設定では、画像平面は検出器平面に等しくなる。さらに、呼吸運動は、2つの方法で現れ得る。
【0011】
深度値の局所的変化、すなわち、センサ画像(例えば、3Dカメラ画像)のz成分をもたらす、検出器平面(すなわち、画像平面)に直交する患者の背中の動き、及び/又は
患者の肩の上下運動、すなわち、画像平面内の運動成分、すなわち、センサ画像(すなわち、3Dカメラ画像)のy成分である。
【0012】
このようにして、被検体の体積の任意の変化を捕捉するために、1次元運動成分を決定することが可能である。患者の胸部の3次元画像を再構成し、患者の呼吸運動を決定するために患者の胸部直径のリアルタイム測定値を生成する必要はない。むしろ、少なくとも1つのROIの内側の深度値の単純な算術平均、又はROIの内側の患者の解剖学的構造を表す画素の相対的な割合が、患者の呼吸運動を決定するために使用され得る。
【0013】
一例では、呼吸信号が実際の呼吸状態に関するフィードバックを与えるために、コンソール及び/又はチューブヘッドにおいてオペレータに表示され得る。操作者は患者が呼吸コマンドに応答しているかどうかをチェックすることができ、適切なときにx線曝露を放出する。
【0014】
別の例では、呼吸信号が例えば、再帰ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、さらに分析及び分類され得、深い吸気及び息止めが検出されるとき、音響信号及び/又は視覚信号がオペレータに与えられ得る。
【0015】
さらなる例では、画像取得の自動ゲート又はトリガリングがリアルタイムで取得される呼吸データに基づいて実行され、完全吸気のような予め定義される呼吸状態で画像を取得することができる。この自動化レベルではオペレータが例えばボタンを押すことによって画像取得を可能にすることができるが、システムは呼吸状態及び患者(呼吸)動きに関して最適な時点を見つけるために、事前定義される時間ウィンドウ内で実際の画像取得を遅延させることができる。システム遅延は臨床的要求、例えば、重大な患者状態のために、ユーザによって無効にされ得る。
【0016】
このようにして、画像取得中に患者の呼吸状態を監視するために、装着型センサを患者の身体に適用する必要がない。患者は「そのまま」検査室に入り、その中の所望の標的スポットに向かって歩く。患者の胴体の深度画像は、例えばレンジカメラで捕捉され、次いで、患者の呼吸信号のインジケータとして使用され得る、患者上の1つ又は複数のROIの動きを検出するために使用される。胸部X線画像検査のビューに応じて、1つ又は複数のROIは患者の胸部、背部(PA)、胸部(AP)肩、又は患者の胴体と背景の両方を覆う領域上に定義されてもよく、これについては以下で、特に
図3乃至7に関して説明する。したがって、患者の呼吸信号は1つ又は複数のROIの内側の深度値の変化から導出され得、次いで、異なるレベルの自動化を達成するために、画像取得のトリガリングを誘導又は制御するために使用される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「画像平面」はセンサ(例えば、深度カメラ)の光軸に垂直な平面を指し、オブジェクト点の鮮明な像が少なくともガウス光学系内に現れる。胸部検査の場合、検出器平面、すなわち、検出器前面カバー又はベッドによって画定される平面は、カメラが検出器通常に対して傾斜していない場合、画像平面と等しい。傾斜ビュー(通常、胸部検査には使用されない)の場合、検出器平面は、画像平面とは異なり得る。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載の方法は、呼吸信号の非線形スケーリングを誘発することによって、傾斜ビューに適合させることもできることを理解するのであろう。
【0018】
加えて、呼吸状態決定装置によって提供される呼吸信号は、X線放出のための最適な時間を決定するのに役立ち得る。患者はモーションブラーの回避によりリテークの数を減らすことができ、それによりALARA(「合理的に達成可能な低As」)目的を促進するという点で利益を得ることができる。放射線科医はまた、診断タスクのために、より良好な画像品質を享受することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのROIは、第1のROI及び第2のROIを含む少なくとも2つのROIを含む。処理ユニットは画像平面に直交する第1の患者の解剖学的構造の動きを表す、時間第1のROIの内側の深度値の変化を決定し、画像平面内の第2の患者の解剖学的構造の動きを表す、時間第2のROIの内側の深度値の変化を決定するように構成される。処理ユニットは、第1及び第2のROIの両方の内部の深度値の決定される変化に基づいて呼吸信号を決定するように構成される。
【0020】
言い換えれば、画像平面に直交する運動成分と画像平面内の運動成分とを含む両方の運動成分を組み合わせて、患者の呼吸信号を表す1D信号を生成することができる。これは、以下に、特に
図4Aに示される実施例に関して詳細に説明される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのROIは、患者の解剖学的構造及び患者の両側の背景を覆うROIを含む。
【0022】
したがって、剛体の動きが、背景画素の総数まで変化することはない。したがって、(LATビューにおいてしばしば観察される)画像平面内の任意の患者全体の動きは、患者の両側の背景を含む広いROIについての患者画素の割合を変化させず、すなわち、そのようなROIの平均深度値を変化させない。したがって、患者及び静的背景を含むROI内部の深度値の変化を決定すること(たとえば、ROI内部の深度値を平均すること、又はROI内部の患者画素の割合を決定すること)は体積の変化を捕捉することができ、対象の大域的なシフト、すなわち、患者の動きに対してロバストであることに対して不変である。
【0023】
これは、以下に、特に
図5A, 5B, 6A, 6B, 7A、及び7Bに示される実施例に関して、詳細に説明される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットは、決定される呼吸信号に基づいて、所定の呼吸状態でx線曝射を放出するための時点を決定するようにさらに構成される。
【0025】
例えば、呼吸信号は例えば、再帰的ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、深い吸気及び息止め、したがって、x線曝露を放出するための時点を検出するために、さらに分析され、分類され得る。
【0026】
画像取得の自動ゲート又はトリガはx線曝射を放出するために、決定される時点で実行され得る。
【0027】
一例では患者が胸部X線撮影画像検査のために後―前(PA)位置に配置されるとき、PAビューでは少なくとも1つのROIが患者の背中のROIを含む。
【0028】
PAビューでは検出器平面、すなわち画像平面に直交する患者の背中の動きは深度値の局所的な変化につながり得る。したがって、患者の呼吸信号は、患者の背中のROIの内側の深度値の変化から導出され得る。
【0029】
一例では患者が胸部X線画像検査のために前―後(AP)位置に配置されるとき、APビューでは1つ又は複数のROIが患者の胸部上のROIを含む。
【0030】
APビューでは、画像平面に直交する患者の胸部の動きは深度値の局所的な変化につながり得る。したがって、患者の呼吸信号は、患者の胸部上のROIの内側の深度値の変化から導出され得る。
【0031】
本発明の実施形態によれば、患者が胸部X線画像検査のために横方向位置に位置付けられるとき、横方向(LAT)ビューにおいて、少なくとも1つのROIは、
【0032】
患者の背中を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを含む第1のROIと、
【0033】
患者の胸部を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを有する第2のROIと、
【0034】
患者の胴体上の第3のROIと
の一つ又はそれより多くを含む。
【0035】
背景は、検出器、ベッド、システム治療台などによって画定され得る。
【0036】
患者が胸部X線画像検査のために横方向位置に配置されるとき、患者の呼吸サイクルは患者の背中の動き、すなわち、画像平面内の動き成分を誘発することができる。この特性は、患者の背中付近に位置するROIから呼吸信号を抽出するために使用することができる。ROIの内側の深度値の集合は、患者の背中及び背景を含む2つのクラスタに明確に分離される。ROIの内側の「患者画素」の相対的な割合は背景よりも小さい深度値を有し、吸気/呼気により変化し、したがって、患者の呼吸信号のインジケータとして使用することができる。同様のアプローチが、患者の胸部を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを含むROIに適用可能である。
【0037】
別の選択肢は背景を表す画素を含まずに、患者の胴体上にROIを配置することである。吸気又は呼気の間、画像平面(例えば、検出器平面)に直交する患者の胴体の動きは、深度値の局所的変化につながり得る。したがって、患者の呼吸信号は、患者の胴体上のROI内部の深度値の変化から導出され得る。これは、以下に、特に
図6A, 6B, 6C、及び6Dに示される例に関して詳細に説明される。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのROIは、患者の肩を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを有するROIを含む。
【0039】
PA、AP、及びLATビューでは、呼吸運動が患者の肩の上下運動、すなわち、画像平面内の運動成分としても現れ得る。したがって、呼吸信号は、PA、AP、及びLATビューにおいて患者の肩の近くに位置するROIから導出され得る。深度画像では、検出される肩ランドマークの周りのROIが検出器を表す画素と患者を表す画素とを含む。ROIの内側の深度値の集合は、患者及び背景を含む2つのクラスタに明確に分離される。ROIの内側の「患者画素」の相対的な割合は背景よりも小さい深度値を有し、吸気/呼気により変化し、したがって、患者の呼吸信号のインジケータとして使用され得る。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのROIは、患者の胴体及び背景を覆うROIを含む。
【0041】
PAビューでは、ROIが患者の後胸部と背景(例えば、x線検出器)の両方を覆うことができる。
【0042】
APビューでは、ROIが前胸部及び背景(例えば、x線検出器又は検査テーブル)の両方を覆うことができる。
【0043】
LATビューでは、ROIが側胸部及び背景(例えば、x線検出器又は検査テーブル)を覆うことができる。
【0044】
そのようなROIから推定される呼吸信号は、画像平面内の患者の剛体運動に対してロバストである。これは、以下に、特に
図7A及び7Bに示される実施形態に関して説明される、患者の適正な肉眼的動きの問題を解決するために有益である。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットは、自動露出制御(AEC)線量測定チャンバの活性領域に基づいて、又は患者の一つ又はそれより多くの解剖学的ランドマークに基づいて、少なくとも1つのROIを決定するように構成される。
【0046】
一例では検査の大部分においてAECが使用される場合、x線技術者はチャンバを患者の肺領域内に正確に位置決めしなければならず、したがって、この領域は患者の肺位置と良好に一致する。これは、以下に、特に、
図2A及び2Bに示される実施形態に関して説明される。
【0047】
別の例では、解剖学的ランドマークが例えば、検出される肺ランドマークを包含するバウンディングボックスを使用することによって、呼吸分析のための患者適応ROIを定義するために使用され得る。これは、以下に、特に、
図3A及び3Bに示される実施形態に関して説明される。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニットは、少なくとも1つのROIの内側の平均深度値の変化を評価するように構成される。
【0049】
例えば、画像平面に直交する動き成分(例えば、PAビューにおける患者の背中の動き)は、「患者画素」のための低減される深度値につながる。したがって、ROIの内側の深度値の平均は減少する。
【0050】
例えば、画像平面における動き成分(例えば、LATビューにおける胸部の動き又はPAビューにおける垂直方向の肩の動き)は、背景を表す画素と比較して、「患者画素」の割合の増加をもたらす。したがって、ROIの内側の深度値の平均は減少する。
【0051】
平均深度値は、重み付け平均又は通常の平均であってもよい。
【0052】
平均深度値は単一の一次元(1D)時間信号を表し、したがって、患者の呼吸運動のためのインジケータとして使用され得る。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、
胸部X線撮像システムであって、
x線源と、撮像される患者を収容するために前記x線源から離間されるx線検出器とを有するx線撮像システムと、
前記胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサであって、前記患者の胴体の深度画像のシーケンスを連続的に捕捉するように構成される、センサと、
請求項1乃至9の何れか一項に記載の呼吸状態決定装置と
を有する、胸部X線撮像システムが提供される。
【0054】
例えば、センサは例えば、光検出及び距離測定(LIDAR)、無線検出及び距離測定(RADAR)、又はカメラベースのセンサを使用する3次元(3D)非接触運動スキャナを含むことができる。3Dカメラベースのセンサは例えば、ステレオベースのセンサ又は赤外線ビデオセンサを含むことができる。
【0055】
いくつかの例では、レンジカメラのような単一のセンサが提供される。いくつかの例では、複数のセンサが提供され得る。例えば、深度情報は、2つ以上の別個のカメラから導出されてもよい。
【0056】
センサはx線システムに、例えば、チューブヘッド内に取り付けられてもよく、又はシステムから取り外されて、例えば、天井に取り付けられてもよい。
【0057】
センサ(例えば、レンジカメラ)は患者が胸部X線撮影画像検査のために位置決めされる後、吸気/呼気の間、患者の背中、胸部、及び/又は肩の1つ以上のROIの内側の深度値の変化を追跡するために、一連の深度画像データフレームを取得し続ける。1つ又は複数のROIの内側の深度値の変化に基づいて、患者の呼吸信号を確立して、x線撮像システムによる画像取得のトリガを誘導又は制御することができる。
【0058】
深度画像のシーケンスは、非電離放射線へのセンサの曝露によって取得されてもよい。例えば、赤外光が使用されるが、可視スペクトルの光を使用することも想定される。センサは、3D画像データを感知するために患者に投影される、予め定義される構造化光パターンを使用してもよい。例えば、構造化光パターンはスペックルパターンである。例えば、センサはレンジカメラの一部であってもよい。例として、Microsoft Kinect又はASUS Xtion Pro Live機器がある。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、胸部X線撮像システムは呼吸状態決定装置から呼吸信号を受信し、患者の呼吸状態についてのフィードバックを提供するように構成されるフィードバック装置をさらに備える。
【0060】
フィードバック装置は聴覚フィードバック装置(たとえば、スピーカ)、視覚的フィードバック装置(たとえば、ディスプレイ)、又はオーディオビジュアルフィードバック装置であり得る。
【0061】
例えば、呼吸信号は、オペレータコンソール上にリアルタイムで表示されてもよい。次いで、操作者は曲線を可視化し、x線放出のための最適な時間を選択することができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、x線撮像システムは、呼吸状態決定装置によって決定されるx線曝射を放出するための時点で、画像取得のために手動で制御されるか、又は自動的にトリガされるように構成される。
【0063】
一例では、呼吸信号が例えば、再帰的ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、さらに分析及び分類され保持、深い吸気及び息止めが検出されると、音響信号及び/又は視覚信号がオペレータに与えられる。
【0064】
さらに、オペレータは例えばボタンを押すことによって、画像取得を可能にすることができるが、システムは呼吸状態及び患者(呼吸)動きに関して最適な時点を見つけるために、事前定義される時間ウィンドウ内で実際の画像取得を遅延させることができる。システム遅延は臨床的要求、例えば、重大な患者状態のために、ユーザによって無効にされ得る。
【0065】
本発明の第3の態様によれば、
胸部X線撮影画像検査において患者の呼吸状態を決定するための方法であって、
前記胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスを受信するステップと、
前記受信される深度画像のシーケンスを分析して、患者の呼吸運動を表す、少なくとも1つの関心領域(ROI)の内側の深度値の変化を経時的に決定するステップと、
前記決定される少なくとも1つのROIの内側の深度値の経時的な変化に基づいて、呼吸信号を決定するステップと、
前記決定される呼吸信号を提供するステップと
を有する、方法が提供される。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、方法は、決定される呼吸信号に基づいて、所定の呼吸状態でx線曝露を放出するための時点を決定することをさらに含む。
【0067】
本発明の別の態様によれば、第1の態様及び任意の関連する例によるデバイスを制御するための、又は第2の態様及び任意の関連する例によるシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素が提供され、プロセッサによって実行されるとき、第3の態様及び任意の関連する例による方法を実行するように構成される。
【0068】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0069】
図面において、文献のように、同様の参照符号は概して異なる図面を通じて同一の部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図2A】自動露光制御線量測定チャンバのアクティブ領域によって画定される患者の背中のROIを示す。
【
図2B】
図2Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示す。
【
図3A】患者の解剖学的目印によって画定される患者の背中のROIを示す。
【
図3B】
図3Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示す。
【
図4B】
図4Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示す。
【
図5A】患者の後胸部と背景の両方をカバーするROIを示す。
【
図5B】
図5Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示す。
【
図6A】画像平面内及び画像平面に直交する呼吸運動を共同で捕捉する異なるROIを示す。
【
図6B】
図6Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示す。
【
図7A】画像平面内及び画像平面に直交する呼吸運動を共同で捕捉する異なるROIを示す。
【
図7B】
図7Aに示されるROIから導出される呼吸信号を示し、これは、剛体の患者の動きが生じるときである。
【
図8】胸部X線画像検査において患者の呼吸状態を決定するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、胸部X線撮像システム100の一実施形態を概略的かつ例示的に示す。胸部x線撮像システム100は、x線撮像システム110と、センサ120と、呼吸状態決定装置10とを備える。
【0072】
x線撮像システム110は、x線源112及びx線検出器114を含む。x線検出器114は、撮像される患者PATを収容するためにx線源112から離間される。
【0073】
一般に、画像取得の間、コリメートされるx線ビーム(矢印Pで示される)はx線源112から発し、関心領域(ROI)において患者PATを通過し、その中の物質との相互作用によって減衰を経験し、次いで、減衰されるビームは、x線検出器114の表面に当たる。ROIを構成する有機材料の密度は、減衰のレベルを決定する。胸部X線画像検査における胸郭と肺組織である。高密度材料(骨など)は、密度の低い材料(肺組織など)よりも高い減衰を引き起こす。次いで、x線のための登録されるデジタル値は、所与の取得時間及び投影方向のためのx線投影画像を形成するデジタル値のアレイに統合される。
【0074】
x線撮像システム110の全体的な動作は、操作者によってコンソール116から制御され得る。コンソール116は、取得されるx線画像又はイメージャ設定が閲覧又はレビューされ得るスクリーン又はモニタ118に結合され得る。医学研究所の技術者などのオペレータはコンソール116を介して、例えば、ジョイスティック又はペダル、又はコンソール116に結合される他の適切な入力手段を作動させることによって、個々のx線露光を放出することによって実行される画像取得を制御することができる。
【0075】
図1の例では、患者PATが背後にx線検出器114がある平坦な表面に面して立っている。別の例(図示せず)によれば、x線撮像システム110はCアーム型であり、患者PATは実際には立つ代わりに検査テーブル上に横たわっている。
【0076】
センサ120は、胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体の深度画像のシーケンスを連続的に捕捉するように構成される。
【0077】
例えば、センサ120は、患者PAT上に構造化光の円錐を投影するプロジェクタを有するレンジカメラを備えてもよい。構造化光の円錐は、視野(FOV)と呼ばれることもある。レンジカメラの例は、Microsoft Kinect又はASUS Xtion Pro Live機器である。次いで、患者の表面からカメラへの前記光の反射は、同様にカメラに含まれるセンサ120によって記録される。反射されるスペックルパターンにおける「歪み」は、次いで、スペックルパターンがどのように、患者が存在しなかった場合のように見えるべきであったかと比較することによって、記録される。次いで、登録される歪みは、各画素について、距離値とも呼ばれる深度値に変換される。センサ及びプロジェクタは、必ずしも、先に説明したのと同じカメラハウジング内に存在しなくてもよいことも理解されよう。一例によれば、プロジェクタ及びセンサは、異なる成分として配置されてもよい。しかしながら、レンジカメラは、異なる原理、例えば飛行時間、ステレオ三角測量、光三角測量シート、干渉計、及び符号化開口に従って動作することもできることを理解される。
【0078】
別の例では、センサ120が各レンズに対して別個の画像センサ又はフィルムフレームを有する2つ以上のレンズを有するステレオカメラを備えてもよい。これはカメラが人間の両眼視をシミュレートすることを可能にし、したがって、それは立体写真として知られるプロセスで3次元画像を捕捉する能力を与える。
【0079】
さらなる例では、深度情報が2つ以上の別個のカメラから、又はレーザスキャナから導出され得る。
【0080】
例えば、LIDAR又はレーダーを使用する他の3D非接触運動スキャナも、患者の胴体の深度画像のシーケンスを捕捉するのに適している場合がある。
【0081】
深度画像データは、他のセンサデータと融合することができる。例えば、深度カメラ情報は、RGBカメラチャネルからのオプティカルフロー、又は例えば超音波(US)センサからの他のレンジデータと組み合わせることができる。
【0082】
センサ120は、患者の呼吸状態の適切な監視を可能にするように取り付けることができる。
【0083】
図1の例では、センサ120がX線管の近くに取り付けられている。別の例(図示せず)では、センサ120が焦点の近くに、検査室の天井に、又は検査室の壁に取り付けることができる。
【0084】
呼吸状態決定装置10は、デスクトップ及びラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどを含む、任意のコンピューティング装置であり得る。呼吸状態決定装置10は汎用装置であってもよいし、後述する機能を提供するのに適した装置の専用ユニットを備えた装置であってもよい。
図1の例では、呼吸状態決定装置10の構成要素が1つの単一ユニットに統合されて示されている。しかしながら、代替例では、いくつか又はすべての構成要素が分散型アーキテクチャにおいて別個のモジュールとして構成され、適切な通信ネットワークにおいて接続され得る。呼吸状態決定装置10及びその構成要素は、専用FPGAとして、又はハードワイヤードされるスタンドアロンチップとして構成することができる。いくつかの例では、呼吸状態決定装置10又はその構成要素のいくつかはソフトウェアルーチンとして動作するコンソール116内に常駐し得る。
【0085】
呼吸状態決定装置10は、入力部12と、処理部14と、出力部16とを備える。各ユニットは、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用、又はグループ)及び/又はメモリ(共有、専用、又はグループ)、組合せ論理回路、及び/又は説明した機能を提供する他の適切なコンポーネントの一部であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0086】
大まかに言えば、センサ120は、非電離放射線、例えば可視光、赤外光などの曝露によって患者PATの深度画像のシーケンスを取得するように構成される。深度画像のシーケンスは、患者の3D形状又は少なくとも患者の胴体部分を捕捉する。したがって、深度画像のシーケンスは患者の呼吸状態の監視のために、3D空間における患者PATの外面又は外周の変化を「追従する」か、又は記述する。
【0087】
次いで、深度画像のシーケンスは、イーサネット(登録商標)インターフェース、USB(登録商標)インターフェース、WiFi(登録商標)もしくはBluetooth(登録商標)などのワイヤレスインターフェース、又は入力周辺機器と処理ユニット14との間のデータ転送を可能にする任意の同等のデータ転送インターフェースとして実装され得る入力ユニット12を介して、呼吸状態決定装置10に供給される。次いで、処理ユニット14は、以下でより詳細に説明する方法で深度画像の受信されるシーケンスを処理して、呼吸信号とも呼ばれる呼吸信号を、イーサネット(登録商標)インターフェース、USB(登録商標)インターフェース、WiFi(登録商標)もしくはBluetooth(登録商標)などのワイヤレスインターフェース、又は出力周辺機器と処理ユニット14との間のデータ転送を可能にする任意の同等のデータ転送インターフェースとして実装され得る出力ユニット16を介して出力する。
【0088】
決定される呼吸信号は、画像取得のトリガを誘導又は制御するために使用され得る。以下の例では、さまざまなオートメーションレベルについて説明する。
【0089】
一例では、呼吸信号が実際の呼吸状態に関するフィードバックを与えるために、コンソール116及び/又はチューブヘッドに結合されるスクリーン118においてオペレータに表示され得る。操作者は患者が呼吸コマンドに応答しているかどうかを確認することができ、適切な場合には、ジョイスティック又はペダル、又は操作卓116に結合される他の好適な入力手段を作動させることによってx線曝射を公表することができる。
【0090】
別の例では、呼吸信号が例えば、再帰的ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、呼吸状態決定装置10でさらに分析され、分類される。リアルタイムで取得される呼吸データに基づいて、呼吸状態についてオペレータに知らせるために、視覚的又は音響的なガイダンスがオペレータに提供されてもよい。
【0091】
さらなる例では、画像取得の自動ゲート又はトリガリングがリアルタイムで取得される呼吸データに基づいて実行され、完全吸気のような予め定義される呼吸状態で画像を取得することができる。この例では、操作者が例えば、X線放出要求を開始することができ、一方、システムは呼吸状態をチェックし、患者が吸入して息を止めている場合にのみ、画像取得のために露出を放出する。ユーザは臨床的な必要性がある場合、自動化されるゲートを無効にし、露光を手動で放出することができる。
【0092】
以下のセクションでは、PA、AP、及びLATビューでセンサによって登録される画像シーケンスからの呼吸信号の決定について説明する。
【0093】
AP/PA投影における胸部X線撮影
後―前(PA)はx線ビームの進行方向、すなわち、x線ビームが前方部分の前に胸部の後方部分に当たる方向を指す。画像を取得するために、患者はx線検出器に対して胸部と共に立つように、腕を上に、又は側部に保持するように、及び肩を前方に転がすように、求められる。その後、x線技師は患者に、数回の深呼吸を行い、それを数秒間保持するように依頼することができる。呼吸を保持するこの技術は一般に、画像上の心臓及び肺の明瞭な画像を得るのに役立つ。
【0094】
前後(AP)画像を得るために、患者は、x線検出器に背中を向けて立つように求められる。患者が立つことができない場合、患者をベッドに座らせて、又は仰臥させて、AP画像を撮影することもできる。
【0095】
以下では、本方法が例示の目的のために、PA投影における胸部X線撮影のために説明される。しかしながら、当業者であれば、本方法をAP投影における胸部X線撮影にも適合させることができることを理解するのであろう。背景面は、検出器、ベッド、システム治療台などによって画定される。読み取りを容易にするために、背景(例えば、検出器)内のオブジェクトは図示されていない。
【0096】
一般に、呼吸運動は、一般に2つの方法で明らかとなる。
【0097】
検出器平面(又は画像平面)に直交する患者の背中/胸部の動きであって、深度値の局所的変化をもたらす動き、及び患者の肩の上下運動、すなわち画像平面内の動き成分である。
【0098】
本開示は深度画像のシーケンスから一方又は両方の動き成分を抽出し、患者の呼吸運動を表す抽出される一方又は両方の動き成分から単一の1D時間信号を取得することを提案する。
【0099】
例えば、深度画像のシーケンスは検出器の前面カバー又はベッドによって画定される検出器平面に対して実質的に垂直な光軸を有するセンサ(例えば、3Dカメラ)によって取得されてもよい。このジオメトリ設定では、画像検出器面プレーンに等しくなる。さらに、呼吸運動は次の2つの方法で明らかとなる。
【0100】
検出器平面(すなわち、画像平面)に直交する患者の背中の動きは、深度値の局所的変化、すなわち、センサ画像(例えば、3Dカメラ画像)のz成分となり、患者の肩の上下の動き、すなわち、画像平面内の動き成分、すなわち、センサ画像(すなわち、3Dカメラ画像)のy成分となる。
信号形成処理の詳細は後述する。
【0101】
第1の選択肢では、
図2Aに示すように、1つ以上のROIは画像平面に直交する患者の背中の動きを抽出するために、患者の背中のROIを含む。この例では、像面は検出器面である。
図2Aの例ではROIがシステムジオメトリパラメータに基づいて、より具体的には深度画像内のx線検出器を表す特徴によって定義される。例えば、呼吸信号抽出のためのROIは、深度画像において患者表面上に投影され得る、自動露出制御(AEC)線量測定チャンバのアクティブエリアによって定義され得る。AECは検査の大部分で使用されるので、x線技術者は患者の肺領域内にチャンバを正確に位置決めしなければならず、したがって、この領域は患者の肺位置とよく一致する。
【0102】
次に、処理ユニット14は患者の呼吸運動を表す時間の関数としてROIの内側の深度値の変化を決定し、それに基づいて呼吸信号を決定する。
図2Bは、
図1Aに示されるROIから抽出される、深い吸気及び息止めを伴う呼吸信号の例を示す。この例では、1D呼吸信号がROIの内側の深度値を平均化することによって生成される。時間フィルタリング、例えば、非線形フィルタ又はカルマンフィルタによるさらなる処理が異常値を抑制し、より平滑化される時間信号を生成するために適用され得る。x線画像は、t=0で取得される。
【0103】
第2の選択肢では
図3Aに示されるように、ROIは深度画像における患者の一つ又はそれより多くの解剖学的ランドマークによって定義される。たとえば、処理ユニット14は深度画像から外部ランドマーク(たとえば、肩)又は内部ランドマーク(たとえば、肺尖)の位置を推定するように構成され得る。例えば、J. Senegas, A. Saalbach, M. Bergtholdt, S. Jockel, D. Mentrup, R. Fischbachによる 「ルーチン臨床胸部X線検査のための深度画像及び自動ランドマーク検出に基づくコリメーション予測の評価」(In: A. F. Frangi et al.(eds.): MICCAI 2018, LNCS 11071, pp. 571乃至579, Springer, Cham(2018))が参照される。これらのランドマークは例えば、検出される肺ランドマークを包含するバウンディングボックスを使用することによって、呼吸分析のための患者適応ROIを定義するために使用され得る。例えば、胸部又は胸部x線について、股関節及び肩関節は深度画像を構成する深度値から識別され得、2つの股関節を接合する線はROIのためのより低い境界として使用され得る。肩関節を連結する線は、外側境界を形成する2つの胴体側面を有する上側の境界として使用されてもよい。
【0104】
図3Bは、
図3Aに示されるROIから抽出される、深い吸気及び息止めを伴う呼吸信号の例を示す。この例では、1D呼吸信号がROIの内側の深度値を平均化することによっても生成される。X線画像は、t=0で取得される。
【0105】
第3の選択肢では、
図4Aに示すように、患者の呼吸サイクルは垂直方向肩運動、すなわち、画像平面内の運動成分を誘発することもできる。この特性は、患者の肩の近くに位置するROI(ROI_shoulderとして示される)から呼吸信号を抽出するために使用され得る。例えば、ランドマーク検出器アルゴリズムは、肩ランドマークを検出するために使用され得る。深度画像では、検出される肩ランドマークの周りのROIが検出器を表す画素と、患者を表す画素とを含む。ROIの内側の深度値の集合は患者及び背景(例えば、x線検出器又は検査テーブル)を含む2つのクラスタに明確に分離される。
【0106】
図4Bは、
図4Aに示されるROIから抽出される、深い吸気及び息止めを伴う呼吸信号の例を示す。処理ユニット14は、検出される肩ランドマークの周りの領域を含むROIの内側の全ての深度値を平均化するように構成される。吸入による肩の上方へのシフトの間、ROIの内側の「患者画素」の相対的な割合は全てが検出器よりも小さい深度値を有するが、増加する。その結果、平均ROI深度値は減少する。同様に、呼気中、平均ROI深度値は増加する。したがって、平均ROI深度値信号は、呼吸運動の指標である。
【0107】
図4Aはまた、患者の背中領域上に配置されるさらなるROI(ROI_backとして示される)を示す。さらなるROIから抽出される呼吸信号を
図4Bに示す。いくつかの例では、
図4Bに示す2つの呼吸信号を組み合わせて、最適な呼吸信号を計算することができる。
【0108】
任意選択的に、患者領域と背景領域との間の遷移の垂直位置を追跡することができる。吸気はこの遷移の垂直位置の上方シフトをもたらし、一方、呼気は、下方シフトをもたらす。したがって、肩/背景遷移の垂直位置は、患者の呼吸運動を表す1D信号を構成する。
【0109】
上述のように、呼吸運動は2つのタイプの局所的な画像変化、すなわち、a)センサに向かう運動成分、すなわち、画像平面に直交する運動成分、例えば、PAビューにおける患者の背中の運動又はAPビューにおける患者の胸部の運動、及びb)画像平面における運動成分、例えば、PAビュー又はAPビューにおける肩の上下運動、において現れることができる。
【0110】
前述のように、画像平面に直交する動き成分は第1及び第2のオプションに従って決定され得、一方、画像平面内の動き成分は第3のオプションを使用して決定され得る。両方の動き成分は適切に選択されるローカルROIの内側の深度画素を平均化し、その後、例えば2つの信号の線形結合を使用して結合することによって評価することができる。ROIの内側の全ての深度値の平均は、患者が吸入することにつれて減少する。
【0111】
第4のオプションでは、
図5Aに示すように、患者の胴体と背景の一部、すなわち患者の両側の背景の両方をカバーする大きいROI(ROI_largeとして示す)を選択することによって、両方の運動成分に共同でアクセスすることもできる。
図5Aは、より大きなROIの例を示す。吸気位相の間、肺容積、したがって胴体の容積が増加し、背景画素と比較して「患者画素」の数が増加し、患者画素の深度値が減少する。
【0112】
以下に示すように、オフセット補正後のROIの内側の平均深度値の相対的変化は、ROIの内側の患者ボリュームの相対的変化に近似する。平均深度信号
は、平均「患者厚さ」
、「患者画素数」N
p、センサまでの検出器の距離D、及びROIの内側の画素の総数Nに依存し、
となる。
【0113】
オフセット補正信号
の相対的な変化x(t)/x(0)は、x線収集フレーム(t=0)
に関してボリュームV
pの相対的変化に正比例する。
【0114】
したがって、オフセット補正信号xの相対的変化は、患者の胴体の体積変化に近似する。これは、ボリュームV
pが平均患者厚さ
と、例えば直方体モデルを用いた患者面積A
pとの積によって近似され得ることを仮定する。
【0115】
図5Bは、ROIの内側の深度値を平均することによって、より大きいROIから導出される呼吸信号を示す。x線画像は、t=0で取得される。
【0116】
比較のために、
図5Aはまた、患者の背中上のROI(ROI_backとして示される)を示し、
図5Bは、それから導出される呼吸信号を示す。
【0117】
大きいROIからの呼吸信号は画像平面内の剛体患者の動きに対してロバストであり、これについては、以下に、特に、
図7A及び7Bに示される実施形態に関して説明する。
【0118】
LAT投影における胸部X線検査
上述のアプローチはまた、横方向突出部にも適用可能であり得、場合によっては追加のセンサ及び/又は異なるセンサ位置を必要とし、これは以下に説明される。
【0119】
通常、前面ビューを補完するために横方向画ビュー撮影される。側面画像は前面画像と一緒に、3次元分析を可能にするので、病変の位置を特定するのに有用である。横方向画像を得るために、患者は1つの肩をプレート上に回して配置し、彼らの頭部の上に彼らの手を上げるように求められる。技術者は、患者に深呼吸をしてそれを保持するように再度要求することができる。
【0120】
LATビューでは、1つ又は複数のROIが
図6Aに示されるROIのうちの1つ又は複数を備え得る。
【0121】
第1のROI(ROI_backとして示される)は、患者の背中を表す画素と、背景(x線検出器又は検査ベッド)内の領域を表す画素とを備え得る。ROIの内側の深度値の集合は、患者の背中及び背景を含む2つのクラスタに明確に分離される。このオプションでは、処理ユニット14が胸部の周りの領域を含むROIの内側の全ての深度値を平均化するように構成される。吸入中、ROIの内側の「患者画素」の相対的な割合は全て背景よりも小さい深度値を有するが、増加する。その結果、平均ROI深度値は減少する。同様に、呼気中、平均ROI深度値は増加する。したがって、平均ROI深度値信号は、呼吸運動のインジケータである。
【0122】
(ROI_chestとして示される)第2のROIは、患者の胸部を表す画素と、背景内の領域を表す画素とを備え得る。同様に、平均ROI深度値信号は、呼吸運動のインジケータである。
【0123】
第3のROI(ROI_torsoとして示される)は、患者の胴体上に配置され得る。ROIの内側の平均深度値の相対的変化は、呼吸運動のインジケータである。
【0124】
第4のROI(ROI_largeとして示される)は患者の胸部と背景との間の境界線を越えることによって、及び患者の背部と背景との間の境界線を越えることによって、患者の胴体及び背景の一部を覆う大きいROIであり得、すなわち、第4のROIは、患者の胴体及び患者の両側の背景を覆う。
【0125】
図6Bは、これらの異なるROIの内側の深度値から導出される呼吸信号を示す。x線画像は、t=0で取得される。
【0126】
大きいROIからの呼吸信号は画像平面における剛体の患者の動きに対してロバストであり、これは、
図7A及び7Bに示されるように、LAT検査において頻繁に生じる。
図7Bから分かるように、大きいROI(ROI_largeとして示される)から導出される呼吸信号は画像平面における剛体の患者の動きに対してロバストであり、一方、患者の背中及び胸部上のROIからの個々の信号は、患者の動きによる勾配によって破損される。
【0127】
図2B乃至7Bに示される、決定される呼吸信号はさらに、処理ユニット14によって分析され、決定される呼吸信号に基づいて、所定の呼吸状態でx線曝露を放出するための時点を決定することができる。
【0128】
例えば、呼吸信号は例えば、再帰的ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、さらに分析され、分類され得る。RNNは通常、信号に適用されるニューラルネットワークの一種であり、信号は、時間の間にその値の間に相関を有する。基本的に、RNNは相互接続されるニューロン及び電流入力のループバックアーキテクチャであり、それによって、最後の隠れ状態は、次の隠れ状態の出力に影響を及ぼす。RNNはシーケンシャル情報に理想的に適しており、メモリも備えているため、時系列データに適している。
【0129】
訓練中に、ネットワーク及び層の異なるパラメータが、複数の以前に記録される患者の呼吸信号を含む訓練データセットを使用して探索される。以前に記録される患者の呼吸信号は同じ患者から、及び/又は他の患者から取得され得る。データセット内の所定の呼吸状態でx線曝露を放出するための時点は、専門技術者によって注釈付けされてもよい。トレーニング後、RNNは受信される呼吸信号から、時間的特徴、すなわち、x線曝露を放出するための時点を抽出するために使用される。
【0130】
x線撮像システムは決定される時点における画像取得のために、手動で制御されるか、又は自動的にトリガされ得る。例えば、操作者は例えば、x線放出要求を開始することができ、一方、システムは呼吸状態をチェックし、決定される時点での画像取得のためにのみ露光を放出する。ユーザは臨床的な必要性がある場合、自動化されるゲートを無効にし、露光を手動で放出することができる。
【0131】
上述の呼吸状態決定装置10及び胸部x線撮影システム100は例えば、患者PATが
図1に示されるように立つのではなく、画像取得中に検査テーブル上に横たわるCアームx線撮像装置において動作するように容易に適合させることができる。
【0132】
図8を参照すると、胸部X線撮影画像検査において患者の呼吸状態を決定する方法のフローチャートが示されている。
【0133】
ステップ210では、胸部X線撮影画像検査のために配置される患者の胴体を覆う視野を有するセンサで連続的に捕捉される深度画像のシーケンスが受信される。したがって、患者が胸部X線撮影画像検査のために位置決めされると、センサ(例えば、レンジカメラ)は、患者の胴体の深度画像データフレームのシーケンスを長期間にわたって取得し続ける。取得される深度画像データフレームのシーケンスは、入力ユニット12を介して、
図1に示される呼吸状態決定装置10に供給され得る。
【0134】
ステップ220において、受信される深度画像のシーケンスが分析されて、患者の呼吸運動を表す1つ以上の関心領域(ROI)内の深度値の経時的な変化が決定される。別の言い方をすれば、1つ又は複数のROIの内側の深度値は個々の深度画像のシーケンスにわたって記録され得、深度値の変化は関数時間として確立され得る。
【0135】
ステップ230では、呼吸信号が時間1つ又は複数のROIの内側の深度値の決定される変化に基づいて決定される。たとえば、1D呼吸信号は、加重平均又は通常の平均を使用することによって、1つ又は複数のROIの内側の深度値を平均することによって生成され得る。
【0136】
ステップ240において、決定される呼吸信号は例えば、コンソール及び/又はチューブヘッドにおけるディスプレイに出力され、実際の呼吸状態に関するフィードバックを与える。操作者は患者が呼吸コマンドに応答しているかどうかをチェックすることができ、適切なときにx線曝露を放出する。
【0137】
任意選択で、呼吸信号は例えば、再帰的ニューラルネットワーク(RNN)を使用して、さらに分析され、分類され得る。
【0138】
一例では、深い吸気及び息止めが検出されると、音響信号及び/又は視覚信号がオペレータに与えられ得る。
【0139】
一例では、所定の呼吸状態でx線曝露を放出するための時点が決定される呼吸信号に基づいて決定され得る。操作者は例えば、x線放出要求を開始することができ、一方、システムは呼吸状態をチェックし、決定される時点での画像取得のためにのみ露光を放出する。ユーザは臨床的な必要性がある場合、自動化されるゲートを無効にし、露光を手動で放出することができる。
【0140】
本発明の別の例示的な実施形態では、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように適合されることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0141】
したがって、コンピュータプログラム要素は、本発明の実施形態の一部であってもよいコンピュータユニットに記憶されてもよい。この計算ユニットは、上述の方法のステップの実行を実行又は誘発するように適合され得る。さらに、それは、上述の装置の構成要素を動作させるように適合され得る。計算ユニットは自動的に動作するように、及び/又はユーザの順序を実行するように適合され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされ得る。したがって、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように装備されてもよい。
【0142】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートの手段によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムの両方を包含する。
【0143】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述のプロシージャの例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができる。
【0144】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CDROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に記憶されるコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前のセクションによって説明される。
【0145】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0146】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0147】
本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明されることに留意される。特に、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されると見なされる、上記及び以下の説明から集まるのであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計以上の相乗効果を提供することができる。
【0148】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。
【0149】
請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】