(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ロボット式動的剛性付与複合医療用構造体の制御
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20240312BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B1/005 512
A61B1/01 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555352
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022019711
(87)【国際公開番号】W WO2022192515
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518072597
【氏名又は名称】ネプチューン メディカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】タナー,ニール
(72)【発明者】
【氏名】シーフ,マーク・シー
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,フランシスコ・ジー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF29
4C161GG24
4C161HH02
4C161HH05
4C161LL02
(57)【要約】
スコープ、たとえば内視鏡、またはその他の医療器具を身体内を通って移送するのを支援するように構成された剛性付与部材を含む、入れ子状ロボットシステム。これらの装置は、第2の剛性付与デバイスに対して同軸に配置された第1の剛性付与デバイスと、システムをステアリング、前進および/または後退させるためのユーザ作動コントロールと、第2の剛性付与デバイスの軸方向移動および/またはステアリングを可能にするアクチュエータと、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスの剛性を連係させるためのコントローラとを含むことができる。第1および第2の剛性付与デバイスは、圧力および/または真空の印加によって剛性化されるように構成可能である。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、
ユーザ作動コントロールと、を含み、
前記コントロールが、
前記第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
作動させると順に、
前記第2の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、
非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上で移動させ、
前記第1の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第2の剛性付与デバイスを非剛性化する、ように構成された、少なくとも1つのアクチュエータと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを、前記第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置まで、剛性化された前記第2の剛性付与デバイス上で移動させるように構成されている、請求項1に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項3】
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成されている、請求項1に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項4】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、
ユーザ作動コントロールと、を含み、
前記コントロールが、
前記第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
少なくとも1つのアクチュエータであって、
作動させると順に、
前記第2の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、
非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを、ユーザが前記アクチュエータを作動停止させるまで、剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上で移動させ、
前記第1の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第2の剛性付与デバイスを非剛性化するように構成された、少なくとも1つのアクチュエータと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置に達した場合、剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上の非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスの移動を自動的に終了させるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項4に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項6】
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成されている、請求項4に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項7】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、
ユーザ作動コントロールと、を含み、
前記コントロールは、
前記第1の剛性付与デバイスまたは前記第2の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にするように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、
第1のモードでは前記少なくとも1つの第1のアクチュエータが前記第1の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にし、第2のモードでは前記少なくとも1つの第1のアクチュエータが前記第2の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にするように、前記少なくとも1つの第1のアクチュエータをモード間でトグルさせるように構成された、少なくとも1つの第2のアクチュエータとを含み、
さらに、ユーザが、前記第2のアクチュエータを前記第1のモードから前記第2のモードにトグルさせるように作動させると、前記第1の剛性付与デバイスが自動的に剛性化され、前記第2の剛性付与デバイスが自動的に非剛性化され、前記ユーザが、前記第2のアクチュエータを前記第2のモードから前記第1のモードにトグルさせるように作動させると、前記第2の剛性付与が自動的に剛性化され、前記第1の剛性付与デバイスが自動的に非剛性化される、入れ子状ロボットシステム。
【請求項8】
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成されている、請求項7に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項9】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第2の剛性付与デバイスの遠位端をステアリングするように構成された複数のケーブルを含む前記第2の剛性付与デバイスであって、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な前記第2の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化するように構成されたコントローラであって、前記第1の剛性付与デバイスがその上をスライドすることによって生じる前記遠位端の意図しない撓みを補償するために前記ケーブルの張力を調整するようにさらに構成された前記コントローラと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項10】
前記システムは前記複数のケーブルのうちの1本または複数のケーブルにおける張力を検出するように構成された張力センサーをさらに含み、前記コントローラが前記張力センサーからの出力に基づいて前記張力を調整するように構成されている、請求項9に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項11】
前記第2の剛性付与デバイスがその遠位端にカメラを含み、前記コントローラが、前記カメラからの画像に基づいて前記張力を調整するように構成されている、請求項8に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項12】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第2の剛性付与デバイスの遠位端をステアリングするように構成された複数のケーブルを含む前記第2の剛性付与デバイスであって、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な前記第2の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化するように構成されたコントローラであって、前記第2の剛性付与デバイスがその中をスライドするときに前記第1の剛性付与デバイスの意図しない撓みを低減するために、前記ケーブルの張力を閾値量未満に制限するようにさらに構成された前記コントローラと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項13】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、解剖学的管腔内で形状コピーシーケンスを引き起こすために前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化させるように構成され、前記形状コピーシーケンス後に前記解剖学的管腔内で前記システムの湾曲を弛緩させるようにさらに構成されたコントローラと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項14】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、を含み、
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが交互に並進し、真空または圧力によって交互に剛性化するように構成され、
さらに、前記第1の剛性付与デバイスの直径が前記第1の剛性付与デバイスの近位端におけるより大きい直径から前記第1の剛性付与デバイスの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている、入れ子状ロボットシステム。
【請求項15】
入れ子状ロボットシステムであって、
内層と外層とを含む環状壁を含む第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、内層と外層とを含む環状壁を含む第2の剛性付与デバイスであって、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能に構成された前記第2の剛性付与デバイスと、を含み、
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとが、交互に並進し、真空または圧力の印加によって交互に剛性化するように構成され、
さらに、前記第1の剛性付与デバイスまたは前記第2の剛性付与デバイスの前記内層と前記外層との間の環状間隙が、前記システムの近位端におけるより大きい直径から前記システムの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている、入れ子状ロボットシステム。
【請求項16】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、を含み、
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが、交互に並進し、真空または圧力によって交互に剛性化するように構成され、
前記入れ子状ロボットシステムが、前記第1および第2の剛性付与デバイスが引き抜かれるときに前記第1および第2の剛性付与デバイスの張力を維持するように構成された1組の張力付与要素を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項17】
前記張力付与要素が駆動ホイールである、請求項16に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項18】
入れ子状ロボットシステムであって、
第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスとを含み、
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成され、
前記入れ子状ロボットシステムが、ユーザ作動コントロールを含み、前記コントロールが、
前記第2の剛性付与デバイスの遠位端の上下動と水平動を制御するように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、
第1のモードでは前記少なくとも1つの第1のアクチュエータが前記第2の剛性付与デバイスの前記遠位端の上下動と水平動を制御し、第2のモードでは前記少なくとも1つの第1のアクチュエータが前記デバイスの軸方向のねじりを制御するように、前記少なくとも1つの第1のアクチュエータをモード間でトグルさせるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータと、を含む、入れ子状ロボットシステム。
【請求項19】
圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能であって、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第2の剛性付与デバイスと、
前記第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
コントローラと、を含み、前記コントローラが、
前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスへの圧力の印加を調整するように構成された圧力レギュレータを含み、
前記コントローラが、順に、
前記第2の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、
非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上で移動させるかまたは移動を可能にし、
前記第1の剛性付与デバイスを剛性化し、
前記第2の剛性付与デバイスを非剛性化する、ように、
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとの間で圧力の印加を制御するように構成されている、入れ子状ロボットシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとの間で圧力の印加を自動的に連係させるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項21】
前記コントローラが、前記圧力レギュレータを圧力の供給源に結合するように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項22】
前記コントローラが、1つまたは複数のプロセッサと前記1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリとを含み、前記メモリが、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されるとコンピュータ実装方法を実行するコンピュータプログラム命令を記憶するように構成され、前記コンピュータ実装方法が、
前記第2の剛性付与デバイスを剛性化するステップと、
前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化するステップと、
非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上で移動させるかまたは移動を可能にするステップと、
前記第1の剛性付与デバイスを剛性化するステップと、
前記第2の剛性付与デバイスを非剛性化するステップと、を含む、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項23】
前記コントローラが、非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスを、前記第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置まで、剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上で移動させるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項24】
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが真空の印加によって剛性化されるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項25】
前記コントローラが、前記第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置に達した場合に非剛性化された前記第1の剛性付与デバイスの剛性化された前記第2の剛性付与デバイスの上での移動を終了させるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項26】
前記コントローラが、前記第1の剛性付与デバイスを完全に非剛性化することによって前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化するように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項27】
前記コントローラが、前記第2の剛性付与デバイスを移動および/またはステアリングするために、前記少なくとも1つのアクチュエータを関節運動させるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項28】
前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが圧力の印加によって剛性化されるように構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、少なくとも1本のケーブルを含み、前記コントローラが、前記第1の剛性付与デバイスがその上をスライドすることによって生じる遠位端の意図しない撓みを補償するために前記少なくとも1本のケーブルの張力を調整するようにさらに構成されている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1本のケーブルにおける張力を検出するように構成された張力センサーをさらに含み、前記コントローラが、前記張力センサーからの出力に基づいて前記張力を調整するように構成されている、請求項29に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項31】
前記第2の剛性付与デバイスがその遠位端にカメラを含み、前記コントローラが前記カメラからの画像に基づいて前記張力を調整するように構成されている、請求項29に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項32】
前記コントローラが、前記第2の剛性付与デバイスがその中をスライドするときに前記第1の剛性付与デバイスの意図しない撓みを低減するために、前記少なくとも1本のケーブルの張力を閾値量未満に制限するようにさらに構成されている、請求項29に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項33】
前記第1の剛性付与デバイスの直径が、前記第1の剛性付与デバイスの近位端におけるより大きい直径から前記第1の剛性付与デバイスの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている、請求項19に記載の入れ子状ロボットシステム。
【請求項34】
入れ子状ロボットシステムであって、
圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第1の剛性付与デバイスと、
前記第1の剛性付与デバイス内に同軸に配置され、前記第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能であり、圧力または真空の印加によって剛性化するように構成された第2の剛性付与デバイスと、
前記第2の剛性付与デバイスの軸方向の移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、
前記第1の剛性付与デバイスを前進または後退させるための第1のユーザ入力と、前記第2の剛性付与デバイスを前進または後退させるための第2のユーザ入力とを受け取るように構成されたユーザ作動コントロールと、
コントローラと、を含み、前記コントローラが、
前記第1の剛性付与デバイスと前記第2の剛性付与デバイスへの圧力の印加を調整するように構成された圧力レギュレータを含み、
前記コントローラが、前記第1のユーザ入力が選択されたときに前記第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、前記第2の剛性付与デバイスを剛性化するためと、前記第2のユーザ入力が選択されたときに前記第1の剛性付与デバイスを剛性化し、前記第2の剛性付与デバイスを非剛性化するために、前記第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとの間で圧力の印加を制御するように構成されている、入れ子状ロボットシステム。
【請求項35】
身体管腔を通って前進する方法であって、
第1の剛性付与デバイスが軟性形態である状態で、前記身体管腔内に前記第1の剛性付与デバイスを挿入するステップと、
前記第1の剛性付与デバイスを剛性形態に遷移させるために前記第1の剛性付与デバイスに真空または圧力を供給するステップと、
第2の剛性付与デバイスが前記剛性形態の前記第1の剛性付与デバイスの形状をとるように、前記第1の剛性付与デバイスが前記剛性形態である状態で、軟性形態の前記第2の剛性付与デバイスを前記第1の剛性付与デバイスに挿入するステップと、
前記第2の剛性付与デバイスを前記軟性形態から剛性形態に遷移させるために前記第2の剛性付与デバイスに真空または圧力を供給するステップと、
前記身体管腔に対して相対的に前記第1または第2の剛性付与デバイスの遠位端を固定するステップと、
前記第1および第2の両方の剛性付与デバイスを前記軟性形態に遷移させるステップと、
前記身体管腔をまっすぐに伸ばすように前記第1および第2の剛性付与デバイスを近位側に引っ張るステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001]本出願は、2021年3月10日に出願された「CONTROL OF ROBOTIC DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の米国仮特許出願第63/159,196号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
参照による援用
【0002】
[0002]本明細書に記載の公開文献および特許出願は、各個別の公開文献または特許出願が参照により組み込まれると具体的に個別に示されているかのように、参照によりその全体が同程度まで本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003]医療器具を自然体腔を含む体内を通して挿入することは、様々な医療処置にとって有用な場合があるが、難しい課題ともなり得る。医療処置時、介入医療機器は生体構造内を湾曲またはループして通る場合があり、それによって医療デバイスの前進が難しくなることがある。
【0004】
[0004]たとえば、胃腸管の過度の湾曲またはループに起因して内視鏡が前進しなくなるときに生じる胃腸ループは、特によく知られた内視鏡検査の臨床上の課題である。実際、ある1つの研究では、大腸内視鏡検査を受けている患者100人中91人にループが発生していることが判明した(Shah et al,「Magnetic Imaging of Colonoscopy:An Audit of Looping,Accuracy and Ancillary maneuvers」Gastrointest Endosc 2000;52:1-8)。胃腸管ループは処置を長引かせ、血管壁および腸間膜を引き延ばすことがあるために患者にとって痛みを生じさせる場合がある。また、腸管ループは、穿孔の発生率の増大につながる。腸管ループの重大事例では、ループが結腸の長さを引き延ばし、大腸内視鏡が終端まで達するのに十分に長くないため、完全な大腸内視鏡検査が不可能である。腸管ループは、精密な先端部制御の障害となり、ユーザがハンドルと内視鏡先端部との所望の1対1の動きの関係を把握することをできなくする。このような問題は、大腸内視鏡検査、食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)、小腸内視鏡検査、内視鏡的膵胆チューブ造影(ERCP)、介入的内視鏡処置(ESD(内視鏡粘膜下層剥離術)およびEMR(内視鏡粘膜切除)を含む)、ロボットフレキシブル内視鏡検査、経口ロボット手術(TORS)、建腸管症例(ルーY吻合を含む)、およびNOTES(経管腔的内視鏡手術)処置を含む、広範な内視鏡処置にわたって一般的に発生する。したがって、胃腸管へのより成功裏のアクセスを提供するために、胃腸管ループの防止に役立つデバイスが必要である。
【0005】
[0005]医療機器を前進させる際の同様の困難は、たとえば、肺、腎臓、脳、心窩部、およびその他の解剖学的構造部位における介入処置中に発生する可能性がある。したがって、通常では達するのが困難な解剖学的部位への安全で効率的で正確なアクセスを実現可能なデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書では、医療処置などの身体内の処置を行うための装置(たとえば、入れ子状システムを含む、システム、デバイスなど)および方法について記載する。たとえば、本明細書では、身体領域内を視覚化し、アクセスすることができるようにするためのロボット制御アクセスシステムと、その使用方法について記載する。これらの装置および方法のいずれも、圧力(陽圧および/または陰圧)の印加により二者択一的に剛性化可能な、入れ子状剛性付与デバイスを含むことができる。たとえば、装置は、2つの剛性付与部材が互いに対して相対的に軸方向にスライドするように、第2の(たとえば外側)剛性付与部材)内に入れ子になった第1の(たとえば内側)剛性付与部材を含むことができる。これらの装置は、一般に、装置の前進および/または後退、および具体的には第1の(たとえば内側)剛性付与部材と第2の(たとえば外側)剛性付与部材の前進および/または後退を含む装置の移動をガイドするための1つまたは複数の入力を含むユーザ作動コントロール(たとえばユーザ入力)を含むことができる。ユーザ作動コントロールは、第1の剛性付与部材と第2の剛性付与部材のいずれかまたは両方をステアリングするための1つまたは複数のコントロールも含むことができる。
【0007】
[0007]一般に、入れ子状剛性付与部材は、圧力の印加によって(たとえば、陽圧の印加によって、または陰圧の印加によって)剛性化させることができる。
【0008】
[0008]一般に、これらの装置は、入れ子状の第1の(たとえば内側)剛性付与部材と第2の(たとえば外側)剛性付与部材の移動を連係させるように構成可能である。たとえば、これらの装置のいずれも、ユーザ作動コントローラからの入力を連係させることができ、第1の剛性付与部材と第2の剛性付与部材を剛性状態と非剛性(たとえば軟性)状態との間で自動的にトグルさせることができる、コントローラを含むことができる。コントローラは、1つまたは複数のプロセッサと、制御回路とを含むことができ、1つまたは複数のセンサーから入力を受信することができる。センサーは、コントローラに、第1および/または第2の剛性付与部材の絶対位置または相対位置、および/または第1および/または第2の剛性付与部材の剛性(たとえば圧力)に関する入力を提供することができる。
【0009】
[0009]第1の剛性付与部材と第2の剛性付与部材の剛性が圧力によって制御される実施例では、装置は、第1の剛性付与デバイスおよび第2の剛性付与デバイスへの圧力の印加を調整する1つまたは複数の圧力レギュレータを含むことができる。圧力レギュレータは、コントローラと一体化されてもよく、または別個であってコントローラに結合されてもよい。圧力レギュレータは、陽圧および/または陰圧の供給源を含んでもよく、または供給源に結合されるように構成されてもよい。圧力レギュレータおよび/またはコントローラは、圧力を第1の剛性付与部材と第2の剛性付与部材との間で切り換えるための1つまたは複数のスイッチおよび/またはバルブを含んでもよい。圧力レギュレータは、第1および/または第2の剛性付与部材の圧力を(したがって剛性も)維持することができる。圧力レギュレータは、第1および/または第2の剛性付与部材を非剛性化(たとえば軟性)状態と1つまたは複数の剛性(剛性化)状態とを迅速に切り換えるように構成可能である。一般に、コントローラは、第1および第2の剛性付与部材の剛性を制御するために、第1の剛性部材と第2の剛性付与部材との間で印加される圧力を切り換えるための実行可能命令を含むことができる。コントローラは、剛性化状態と非剛性化状態とを手動で切り換える必要なしに装置をステアリング、前進および/または後退させるために、ユーザがユーザ作動コントロールから制御を入力することができるように、第1および第2の剛性付与部材の剛性を自動的または半自動的に制御するように構成可能である。
【0010】
[00010]たとえば、本明細書では、入れ子状ロボットシステムであって、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、ユーザ作動コントロールとを含み、コントロールは、第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、作動させると、順に、第2の剛性付与デバイスを剛性化し、第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、非剛性化された第1の剛性付与デバイスを剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で移動させ、第1の剛性付与デバイスを剛性化し、第2の剛性付与デバイスを非剛性化するように構成された少なくとも1つのアクチュエータとを含む、入れ子状ロボットシステムについて記載する。
【0011】
[00011]上記少なくとも1つのアクチュエータは、非剛性化された第1の剛性付与デバイスを剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で、第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置まで移動させるように構成可能である。
【0012】
[00012]これらの装置(たとえば入れ子状ロボットシステム)のいずれかおいても、第1および第2の剛性付与デバイスは、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成可能である。
【0013】
[00013]たとえば、入れ子状ロボットシステムは、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、ユーザ作動コントロールとを含むことができ、コントロールは、第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、作動させると、順に、第2の剛性付与デバイスを剛性化し、第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、非剛性化された第1の剛性付与デバイスを、ユーザがアクチュエータを作動停止させるまで剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で移動させ、第1の剛性付与デバイスを剛性化し、第2の剛性付与デバイスを非剛性化するように構成された少なくとも1つのアクチュエータとを含むことができる。
【0014】
[00014]これらの装置(たとえば入れ子状ロボットシステム)のいずれも、第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置に達した場合、剛性化された第2の剛性付与デバイスの上の非剛性化された第1の剛性付与デバイスの移動を自動的に終了させるように構成されたコントローラを含むことができる。
【0015】
[00015]実施例によっては、入れ子状ロボットシステムが、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、ユーザ作動コントロールとを含み、コントロールは、第1の剛性付与デバイスまたは第2の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にするように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、上記少なくとも1つの第1のアクチュエータを、第1のモードでは上記少なくとも1つの第1のアクチュエータが第1の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にし、第2のモードでは上記少なくとも1つの第1のアクチュエータが第2の剛性付与デバイスの軸方向移動を可能にするように、モード間でトグルさせるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータとを含み、さらに、ユーザが、第2のアクチュエータを第1のモードから第2のモードにトグルするように作動させ、第1の剛性付与デバイスが自動的に剛性化され、第2の剛性付与デバイスが自動的に非剛性化され、ユーザが第2のアクチュエータを第2のモードから第1のモードにトグルさせ、第2の剛性付与が自動的に剛性化され、第1の剛性付与デバイスが自動的に非剛性化される。
【0016】
[00016]これらの入れ子状ロボットシステムのいずれも、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第2の剛性付与デバイスの遠位端をステアリングするように構成された複数のケーブルを含む第2の剛性付与デバイスであって、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化するように構成されたコントローラとを含むことができ、コントローラは、第1の剛性付与デバイスがその上をスライドすることによって生じる遠位端の意図しない撓みを補償するためにケーブルの張力を調整するようにさらに構成されている。
【0017】
[00017]システムは、複数のケーブルのうちの1本または複数のケーブルにおける張力を検出するように構成された張力センサーをさらに含むことができ、コントローラは張力センサーからの出力に基づいて張力を調整するように構成されている。第2の剛性付与デバイスがその遠位端にカメラを含み、コントローラがカメラからの画像に基づいて張力を調整するように構成されている、請求項8の入れ子状ロボットシステム。
【0018】
[00018]これらの入れ子状ロボットシステムのいずれも、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第2の剛性付与デバイスの遠位端をステアリングするように構成された複数のケーブルを含む第2の剛性付与デバイスであって、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化するように構成されたコントローラとを含むことができ、コントローラは、第2の剛性付与デバイスがその中をスライドさせられるときに第1の剛性デバイスの意図しない撓みを低減するために、ケーブルの張力を閾値量未満に制限するようにさらに構成されている。
【0019】
[00019]たとえば、入れ子状ロボットシステムが、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置された第2の剛性付与デバイスであって、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に並進させ、解剖学的管腔内で形状コピーシーケンスを引き起こすために第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとを交互に剛性化するように構成されたコントローラとを含むことができ、コントローラは、形状コピーシーケンス後に解剖学的管腔内でシステムの湾曲を弛緩させるように構成されている。
【0020】
[00020]実施例によっては、入れ子状ロボットシステムは、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスとを含み、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが交互に並進し、真空または圧力によって交互に剛性化されるように構成され、さらに、第1の剛性付与デバイスの直径が、第1の剛性付与デバイスの近位端におけるより大きい直径から第1の剛性付与デバイスの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている。
【0021】
[00021]これらの入れ子状ロボットシステムのいずれも、内層と外層とを含む環状壁を含む第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、内層と外層とを含む環状壁を含む第2の剛性付与デバイスであって、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能に構成された第2の剛性付与デバイスとを含むことができ、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが、交互に並進し、真空または圧力の印加によって交互に剛性化されるように構成され、さらに、第1の剛性付与デバイスまたは第2の剛性付与デバイスの内層と外層の間の環状間隙が、システムの近位端におけるより大きい直径からシステムの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている。
【0022】
[00022]実施例によっては、入れ子状ロボットシステムは、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置された第2の剛性付与デバイスであって、第1の剛性付与デバイに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスとを含み、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが交互に並進し、真空または圧力によって交互に剛性化されるように構成され、入れ子状ロボットシステムが、第1および第2の剛性付与デバイスが引き抜かれるときに第1および第2の剛性付与デバイスの張力を維持するように構成された1組の張力付与要素を含む。
【0023】
[00023]これらの装置のいずれかにおいて、張力付与要素は駆動ホイールである。
【0024】
[00024]たとえば、入れ子状ロボットシステムが、第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に半径方向に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能な第2の剛性付与デバイスとを含むことができ、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスが圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成され、入れ子状ロボットシステムはユーザ作動コントロールを含むことができ、コントロールは、第2の剛性付与デバイスの遠位端の上下動と水平動を制御するように構成された少なくとも1つの第1のアクチュエータと、上記少なくとも1つのアクチュエータを、第1のモードで上記少なくとも1つの第1のアクチュエータが第2の剛性付与デバイスの遠位端の上下動と水平動位を制御し、第2のモードで少なくとも1つの第1のアクチュエータがデバイスの軸方向のねじりを制御するように、少なくとも1つの第1のアクチュエータをモード間でトグルさせるように構成された少なくとも1つの第2のアクチュエータとを含むことができる。
【0025】
[00025]たとえば、入れ子状ロボットシステムが、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に同軸に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能であり、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第2の剛性付与デバイスと、第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、コントローラとを含むことができ、コントローラは、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスへの圧力の印加を調整するように構成された圧力レギュレータを含み、コントローラは、順に、第2の剛性付与デバイスを剛性化し、第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で非剛性化された第1の剛性付与デバイスを移動させるかまたは移動を可能にし、第1の剛性付与デバイスを剛性化し、第2の剛性付与デバイスを非剛性化するように、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスとの間で圧力の印加を制御するように構成されている。
【0026】
[00026]コントローラは、第1の剛性付与デバイスと第2の剛性付与デバイスの間で圧力の印加を自動的に連係させるように構成可能である。実施例によっては、コントローラは、圧力レギュレータを圧力の供給源に結合するように構成される。コントローラは、1つまたは複数のプロセッサと、その1つまたは複数のプロセッサに結合されたメモリとを含むことができ、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるとコンピュータ実装方法を行うコンピュータプログラム命令を記憶するように構成され、コンピュータ実装方法は、第2の剛性付与デバイスを剛性化することと、第1の剛性付与デバイスを非剛性化することと、非剛性化された第1の剛性付与デバイスを、剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で移動させるかまたは移動を可能にすることと、第1の剛性付与デバイスを剛性化することと、第2の剛性付与デバイスを非剛性化することとを含む。
【0027】
[00027]実施例によっては、コントローラは、非剛性化された第1の剛性付与デバイスを、剛性化された第2の剛性付与デバイスの上で第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置まで移動させるように構成される。コントローラは、第2の剛性付与デバイスに対して相対的な事前設定位置またはセンサー決定位置まで達した場合、剛性化された第2の剛性付与デバイスの上の非剛性化された第1の剛性付与デバイスの移動を終了させるように構成可能である。コントローラは、第1の剛性付与デバイスを完全に非剛性化することによって第1の剛性付与デバイスを非剛性化するように構成可能である。コントローラは、第2の剛性付与デバイスを移動および/またはステアリングするために、上記少なくとも1つのアクチュエータを関節運動させるように構成可能である。
【0028】
[00028]実施例によっては、第1および第2の剛性付与デバイスは、圧力の印加によって剛性化されるように構成可能である。
【0029】
[00029]上記少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1本のケーブル(またはテンドン)を含むことができ、コントローラは、第1の剛性付与デバイスがその上をスライドすることによって生じる遠位端の意図しない撓みを補償するために、少なくとも1本のケーブルの張力を調整するようにさらに構成可能である。これらの装置のいずれも、上記少なくとも1本のケーブルにおける張力を検出するように構成された張力センサーを含んでもよく、コントローラは、張力センサーからの出力に基づいて張力を調整するように構成される。実施例によっては、第2の剛性付与デバイスがその遠位端にカメラを含み、コントローラは、カメラからの画像に基づいて張力を調整するように構成される。
【0030】
[00030]コントローラは、第2の剛性付与デバイスがその中を通ってスライドさせられるときに第1の剛性付与デバイスの意図しない撓みを低減するために、上記少なくとも1本のケーブルの張力を閾値量未満に制限するようにさらに構成可能である。実施例によっては、第1の剛性付与デバイスの直径は、第1の剛性付与デバイスの近位端におけるより大きい直径から第1の剛性付与デバイスの遠位端におけるより小さい直径まで先細になっている。
【0031】
[00031]たとえば、入れ子状ロボットシステムが、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第1の剛性付与デバイスと、第1の剛性付与デバイス内に同軸に配置され、第1の剛性付与デバイスに対して相対的に軸方向にスライド可能であり、圧力または真空の印加によって剛性化されるように構成された第2の剛性付与デバイスと、第2の剛性付与デバイスの軸方向移動またはステアリングを可能にするように構成された少なくとも1つのアクチュエータと、第1の剛性付与デバイスを前進または後退させるための第1のユーザ入力と、第2の剛性付与デバイスを前進または後退させるための第2のユーザ入力とを受け取るように構成されたユーザ作動コントロールと、コントローラとを含むことができ、コントローラは、第1の剛性付与デバイスおよび第2の剛性付与デバイスへの圧力の印加を調整するように構成された圧力レギュレータを含み、コントローラは、第1のユーザ入力が選択されたときに第1の剛性付与デバイスを非剛性化し、第2の剛性付与デバイスを剛性化し、第2のユーザ入力が選択されたときに第1の剛性付与デバイスを剛性化し、第2の剛性付与デバイスを非剛性化するように、第1と第2の剛性付与デバイスの間で圧力の印加を制御するように構成されている。
【0032】
[00032]本明細書では、これらの装置のいずれかを使用して身体管腔を通して前進する方法についても記載する。たとえば、方法が、第1の剛性付与デバイスが軟性形態である状態で身体管腔に第1の剛性付与デバイスを挿入することと、第1の剛性付与デバイスを剛性形態に遷移させるために第1の剛性付与デバイスに真空または圧力を供給することと、第2の剛性付与デバイスが剛性形態の第1の剛性付与デバイスの形状をとるように、第1の剛性付与デバイスが剛性形態である状態で第1の剛性デバイスを通して軟性形態の第2の剛性付与デバイスを挿入することと、第2の剛性付与デバイスを軟性形態から剛性形態に遷移させるために第2の剛性付与デバイスに真空または圧力を供給することと、第1または第2の剛性付与デバイスの遠位端を身体管腔に対して相対的に固定することと、第1と第2の両方の剛性付与デバイスを軟性形態に遷移させることと、身体管腔をまっすぐにするように第1および第2の剛性付与デバイスを近位側に引っ張ることとを含むことができる。
【0033】
[00033]本明細書に記載の方法および装置のすべてが任意の組合せで本明細書で企図されており、本明細書に記載のような利点を実現するために使用することができる。
【0034】
[00034]例示の実施形態について記載する以下の詳細な説明と添付図面とを参照することによって、本明細書に記載の方法および装置の特徴と利点をよりよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】[00035]剛性付与デバイスを示す図である。
【
図2A】[00036]剛性付与デバイスの例示の剛性化形状を示す図である。
【
図2B】剛性付与デバイスの例示の剛性化形状を示す図である。
【
図3A】[00037]例示の真空剛性付与デバイスを示す図である。
【
図3B】例示の真空剛性付与デバイスを示す図である
【
図3C】例示の真空剛性付与デバイスを示す図である
【
図3D】例示の真空剛性付与デバイスを示す図である
【
図4A】[00038]例示の圧力剛性付与デバイスを示す図である。
【
図4B】例示の圧力剛性付与デバイスを示す図である。
【
図5】[00039]遠位端部を有する剛性付与デバイスを示す図である。
【
図6】[00040]複数の能動的に制御される連結部を有する遠位端部を備えた剛性付与デバイスを示す図である。
【
図7】[00041]入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図8】[00042]内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとの間にカバーを備えた入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図9A】[00043]外側剛性付与デバイスがステアリングおよび撮像機能を含む入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図9B】外側剛性付与デバイスがステアリングおよび撮像機能を含む入れ子状剛性付与システムを示す図である。
【
図10A】[00044]入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10B】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10C】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10D】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10E】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10F】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10G】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図10H】入れ子状剛性付与システムの使用例を示す図である。
【
図11A】[00045]ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11B】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11C】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図11D】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図12A】[00046]ロボット制御剛性付与システムを作動させる機構を示す図である。
【
図12B】ロボット制御剛性付与システムを作動させる機構を示す図である。
【
図13】[00047]ロボット制御剛性付与システムの駆動ユニットを示す図である。
【
図14】[00048]ロボット制御剛性付与システムと共に使用するスライドを示す図である。
【
図15A】[00049]ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図15B】ロボット制御剛性付与システムを示す図である。
【
図16】[00050]ロボット制御剛性付与システム用の旋回アームを示す図である。
【
図17】[00051]ロボット制御剛性付与システムのための例示のユーザ作動コントロールを示す図である。
【
図18A】[00052]軟性形態たるみ状態の剛性付与システムを示す図である。
【
図18B】[00053]たるみを防ぐ駆動ホイールを備えた剛性付与システムを示す図である。
【
図19A】[00054]結腸におけるねじり操作を示す図である。
【
図19B】結腸におけるねじり操作を示す図である。
【
図19C】結腸におけるねじり操作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[00055]一般に、本明細書では、スコープたとえば内視鏡、またはその他の医療器具を身体の湾曲部またはループ部(たとえば体内管)を通して移送するのを支援するように構成された、1つまたは複数の剛性付与デバイス(オーバーチューブを含むがこれには限定されない)と、入れ子状剛性付与デバイスを含む剛性付与デバイスの組合せとを含む、装置について記載する。具体的には、本明細書では、剛性形態と非剛性形態とを交互に切り換えることによって、制御された方式で身体の領域内に前進させることができる入れ子状剛性付与デバイスを有する装置(ロボットシステムを含む、システム、方法など)について記載する。本明細書に記載の装置は、著しく曲がりくねった身体領域であってもナビゲーションすることができるようにしながら、これらの装置のより容易で、より正確および/またはより直観的な操作を実現する方式で、両方の入れ子状剛性付与デバイスの剛性状態を自動化し、連係させるように構成可能である。
【0037】
[00056]剛性付与デバイスは、長く、細く、中空とすることができ、軟性形態(すなわち、弛緩した、柔軟な、または曲げやすい形態)から剛性形態(すなわち、堅い、および/または剛性付与されたときの形状を保持する形態)に迅速に遷移することができる。これらの剛性付与デバイスを、本明細書では剛性付与部材と呼ぶ場合がある。複数の層(たとえば、コイル層または強化層、スリップ層、ブレード層、ブラダー層および/または封止シース)が組み合わさって剛性付与デバイスの壁を形成することができる。剛性付与デバイスは、たとえば、剛性付与デバイスの壁に対して、または剛性付与デバイスの壁内に、真空または圧力を供給することによって軟性形態から剛性形態に遷移することができる。真空または圧力が取り除かれた状態では、層は互いに対して相対的に容易に剪断または移動することができる。真空または圧力が加えられた状態では、層は剪断、移動、屈曲、トルクおよび座屈に対して実質的に強化された抵抗能力を示す状態に遷移することができ、それによりシステムに剛性付与をもたらす。
【0038】
[00057]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、カテーテル、シース、スコープ(たとえば内視鏡)、ワイヤ、オーバーチューブ、トロカール、または腹腔鏡器具を含む、様々な医療用途のために剛性付与をもたらすことができる。剛性付与デバイスは、別個の付加デバイスとして機能することができ、または、カテーテル、シース、スコープ、ワイヤまたは腹腔鏡器具の本体に組み込むことができる。本明細書に記載のデバイスは、非医療用構造体にも剛性付与をもたらすことができる。
【0039】
[00058]例示の剛性付与デバイスシステムが
図1に示されている。システムは、ブレード層と、外層(下にあるブレードを示すためにその一部が切り取られている)と、内層とを含む複数の層を備えた壁を有する剛性付与デバイス300を含む。システムは、さらに、剛性付与デバイス300に真空または圧力を供給するための真空または圧力供給口344を有するハンドル342を含む。真空または圧力をオンおよびオフにし、それによって剛性付与デバイス300を軟性形態と剛性形態との間で遷移させるために、作動要素346を使用することができる。剛性付与デバイス300の遠位先端部339は、身体を通過する剛性付与デバイス300の遠位端移動を容易にするために、滑らかで柔軟性があり、非外傷性のものとすることができる。また、先端部339は、身体を通る剛性付与デバイス300の遠位端移動をさらに容易にするために、遠位端から近位端にかけて先細とすることができる。
【0040】
[00059]剛性付与された形態の例示の剛性付与デバイスを、
図2Aおよび
図2Bに示す。剛性付与デバイスは剛性付与されるとき、真空または圧力が加えられる前の形状で剛性付与され、すなわち剛性付与デバイスはまっすぐにならず、屈曲せず、またはその他により実質的にその形状を変えない(たとえば、
図2Aに示すようなループ形態または
図2Bに示すような蛇行形状で硬くなってもよい)。これが可能なのは、(たとえばコイル巻きチューブからなる)内層または外層に及ぼす空気硬化作用を、屈曲状態の剛性付与デバイスの最大荷重能力のわずかな割合(たとえば5%)とすることができ、それによって剛性付与デバイスがまっすぐに伸びることに対して抵抗することができるためである。真空または圧力が解放されると、ブレードまたは撚り糸が互いに対してロック解除し、剛性付与デバイスの屈曲を可能にするように再び移動することができる。この場合も、剛性付与デバイスが真空または圧力の解放によってより柔軟にされるとき、真空または圧力が解放される前の形状で柔軟になり、すなわち剛性付与デバイスはまっすぐにならず、屈曲せず、またはその他により実質的にその形状を変えない。したがって、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、ブレードの撚り糸間の動きを制限することによって(たとえば真空または圧力を加えることによって)、柔軟性のある、より硬くない形態からより剛性が高い剛性形態に遷移することができる。
【0041】
[00060]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、剛性形態と軟性形態との間で迅速に、実施例によっては不定遷移サイクル数で、切り替わることができる。介入医療デバイスがより長くされ、人体内に深く挿入されるようになるにつれ、また、より厳密な治療処置を行うことが期待されるにつれて、精度と制御の必要性が増している。本明細書に記載の選択的剛性付与デバイス(たとえばオーバーチューブ)は、(必要な場合に)柔軟性の利点と(必要な場合に)剛性の利点の両方をもたらすことができるので有利である。また、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、たとえば、参照により本明細書にその全体が組み込まれる、2016年9月2日に出願された「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の国際特許出願第PCT/US2016/050290号に記載されているものなど、従来型の内視鏡、大腸内視鏡、ロボットシステムおよび/またはナビゲーションシステムと共に使用することができる。
【0042】
[00061]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、上記に加えて、または上記に代えて、WO2017/041052として公開された「DEVICE FOR ENDOSCOPIC ADVANCEMENT THROUGH THE SMALL INTESTINE」という名称の2016年9月2日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/050290号、WO2019/018682として公開された「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の2018年7月19日に出願された国際特許出願第PCT/US2018/042946号、WO2020/018934として公開された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURE」という名称の2019年7月19日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/042650号、および2020年1月16日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING COMPOSITE MEDICAL STRUCTURES」という名称の国際特許出願第PCT/US2020/013937号に関連して記載されている特徴のいずれも含むことができ、これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
[00062]本明細書に記載の剛性付与デバイスは、異なる長さおよび直径を含む、複数の構成で提供可能である。実施例によっては、剛性付与デバイスは、(たとえば、剛性付与デバイスの本体内で典型的な内視鏡ツールの通過を可能にするための)ワーキングチャネル、バルーン、入れ子要素および/またはサイドローディング機構を含むことができる。
【0044】
[00063]
図3A~
図3Dを参照すると、一実施例では、チューブ状剛性付与デバイス100が、(たとえば中を通して器具または内視鏡を配置するための)管腔120の周囲に配置された複数の層を有する壁を含むことができる。剛性付与デバイス100に剛性を付与するためにこれらの層の間に真空を供給することができる。
【0045】
[00064]最内層115は、たとえば剛性付与デバイス100の壁内に真空が印加されると残りの層をそれに接して圧密にすることができる内面を提供するように構成可能である。この構造体は、非真空状態において屈曲力を最小化/柔軟性を最大化するように構成することができる。実施例によっては、最内層115は、上述のようにマトリックス内に強化要素150zまたはコイルを含むことができる。
【0046】
[00065]最内層115の上の(すなわち半径方向外側の)層113は、スリップ層とすることができる。
【0047】
[00066]層111は、半径方向空隙(すなわち空間)とすることができる。空隙層111は、その上のブレード層が(真空が印加されていないときに)内部で動くための空間と、(真空の印加時に)ブレード層または織り層が半径方向内側に動くことができる空間とを提供することができる。
【0048】
[00067]層109は、本明細書の他の箇所に記載されているものと同様のブレード撚り糸133を含む第1のブレード層とすることができる。ブレード層は、たとえば、0.0025cm(0.001インチ)から0.1016cm(0.040インチ)の厚さとすることができる。たとえば、ブレード層は0.0025cm(0.001インチ)、0.0076cm(0.003インチ)、0.0127cm(0.005インチ)、0.0254cm(0.010インチ)、0.0381cm(0.015インチ)、0.0508cm(0.020インチ)、0.0635cm(0.025インチ)または0.0762cm(0.030インチ)の厚さとすることができる。
【0049】
[00068]実施例によっては、
図3Bに示すように、ブレードは張力繊維またはフープ繊維137を有することができる。フープ繊維137は、ブレード層となるようにらせん状とし、および/または織ることができる。また、フープ繊維137は、2.54cm(1インチ)当たり2~50個、たとえば20~40個のフープで配置可能である。フープ繊維137は、半径方向に(座屈または湾曲に耐える)高い圧縮剛性を示すことができるが、剛性付与デバイス100の長手方向軸135の方向には柔軟なままであることができるので有利である。すなわち、剛性付与デバイス100に圧縮が加えられた場合、ブレード層109は圧縮しながら直径を拡大しようとする。フープ繊維137はこの直径拡張に耐えることができ、したがって圧縮に耐えることができる。したがって、フープ繊維137は、屈折時に柔軟であるがそれでも張力と圧縮の両方に耐えるシステムを提供することができる。
【0050】
[00069]層107は、層111と同様の別の半径方向空隙層とすることができる。
【0051】
[00070]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイスは複数のブレード層を有することができる。たとえば、剛性付与デバイスは2層、3層または4層のブレード層を含むことができる。
図3Cを参照すると、層105は第2のブレード層105とすることができる。第2のブレード層105は、第1のブレード層109に関連して記載されている特徴のいずれでも有することができる。実施例によっては、第2のブレード層105のブレードは第1のブレード層109のブレードと同じとすることができる。他の実施例では、第2のブレード層105のブレードは第1のブレード層109のブレードと異なっていてもよい。たとえば、第2のブレード層105のブレードは、第1のブレード層109のブレードよりも少ない撚り糸を含み、より大きいブレード角度αを有することができる。撚り糸の本数が少ないことにより、剛性付与デバイス100の柔軟性を(同等またはより多数の撚り糸を有する第2の撚り糸と比較して)増しやすくすることができ、より大きいブレード角度αは、剛性付与デバイス100の柔軟性を増大させ/維持した状態で、(たとえば、第1のブレード層が圧縮された場合に)第1のブレード層109の直径を収縮させやすくすることができる。別の例として、第2のブレード層105のブレードは、第1のブレード層109のブレードよりも多数の撚り糸を含み、より大きいブレード角度αを有することができる。より多数の撚り糸を有する結果として、比較的強靱で滑らかな層となり、一方、より大きいブレード角度αを有することで第1のブレード層109の直径を収縮させやすくすることができる。
【0052】
[00071]層103は、層111と同様の別の半径方向空隙とすることができる。空隙層103は、約0.0762cm(0.03インチ)など、0.0005cm(0.0002インチ)~0.1016cm(0.04インチ)の厚さを有することができる。この範囲内の厚さは、ブレード層の撚り糸133が、剛性付与デバイス100の屈曲時に柔軟性を確保するように、互いに対して容易にスリップし、および/または膨らむことができるように保証することができる。
【0053】
[00072]最外層101は、ブレード層105、109に対して引き下げるように真空が印加されると半径方向内側に移動し、ブレード層105、109の表面に従うように構成可能である。最外層101は、柔らかく、非外傷性とすることができ、層115と共に真空気密チャンバを形成するように両端で封止することができる。最外層101は、エラストマー、たとえばウレタン製とすることができる。最外層101の硬度は、たとえば30Aから80Aとすることができる。また、最外層101は、約0.0025cm(0.001インチ)、0.0051cm(0.002インチ)、0.0076cm(0.003インチ)、または0.0102cm(0.004インチ)など、0.0003cm(0.0001インチ)~0.0254cm(0.01インチ)の厚さを有することができる。あるいは、最外層は、たとえばLDPE、ナイロンまたはPEEKを含む、プラスチックとすることができる。
【0054】
[00073]実施例によっては、最外層101は、たとえば、その中を延びる張力繊維またはフープ繊維137を有することができる。フープ繊維137は、たとえばアラミド(たとえばテクノーラ、ナイロン、ケブラー(登録商標))、ベクトラン、ダイニーマ、炭素繊維、グラスファイバーまたはプラスチック製とすることができる。また、フープ繊維137は、2.54cm(1インチ)当たり2~50フープ、たとえば20~40フープで配置することができる。実施例によっては、フープ繊維137はエラストマーシース内に積層させることができる。フープ繊維は、別の繊維と比較して一方向により高い剛性を示すことができるので有利である(たとえばフープ方向にはきわめて硬いが、剛性付与デバイスの長手方向軸の方向ではきわめて柔軟とすることができる)。さらに、フープ繊維は、フープ繊維が突然高いフープ剛性を示し得る引張荷重下に置かれるまでは、低いフープ剛性を示すことができるので有利である。
【0055】
[00074]実施例によっては、最外層101は、生体構造を通る剛性付与デバイスのスライド移動を向上させるために、その外面に潤滑油、コーティングおよび/または粉末(たとえばタルカムパウダー)を含むことができる。コーティングは、親水性(たとえばHydromer(R)コーティングまたはSurmodics(R)コーティング)または疎水性(たとえばフッ素重合体)とすることができる。コーティングは、たとえばコーティングを上にディップ、ペイントまたはスプレーすることによって塗布することができる。
【0056】
[00075]最内層115も同様に、柔軟性を最大限にするために、特に剛性付与デバイス100に真空が印加されていないときに境界層が互いに対してより容易に剪断することができるように構成された、潤滑油、コーティング(たとえば親水性または疎水性コーティング)および/または粉末(たとえばタルカムパウダー)をその内面上に含むことができる。
【0057】
[00076]実施例によっては、最外層101は半径方向内側の層の上で緩みがあってもよい。たとえば、層101(チューブを構成すると想定して)の内径は、半径方向内側の次の層との間で(たとえばブレード層との間で)0cm(0インチ)~0.508cm(0.200インチ)の直径空隙を有してもよい。これにより、高い剛性付与倍数を維持しながら、真空下にないときに真空剛性付与システムにより柔軟性を与えることができる。他の実施例では、最外層101は、半径方向内側の次の層(たとえばブレード層)上で多少伸張されてもよい。たとえば、層101を構成するチューブのゼロ歪み直径は、半径方向内側の次の層よりも直径が0cm(0インチ)から0.508cm(0.200インチ)小さくてもよく、次いでその上で伸張されてもよい。真空下にないとき、このシステムは、外層101がより緩いシステムよりも低い柔軟性を有し得る。しかし、より滑らかな外観も有することができ、使用中に裂ける可能性を低くすることもできる。
【0058】
[00077]実施例によっては、最外層101は半径方向内側の層の上で緩みがあってもよい。層101を徐々に拡張し、剛性付与デバイスが軟性形態でより自由に屈曲することができるようにするために、層101の下にわずかな陽圧が加えられてもよい。この実施例では、最外層101はエラストマーとすることができ、ブレード上で圧縮力を維持することができ、それによって剛性を与えることができる。(シースをブレードから離れるように名目的に拡張するのに十分な、たとえば2psiの)陽圧が加えられた後は、最外層101は剛性には寄与しなくなり、それによってベースライン柔軟性を強化することができる。剛性付与が必要になった後は、剛性を与えるために陽圧を陰圧(真空)によって置き換えることができる。
【0059】
[00078]剛性付与デバイス100内で真空を最小から完全気圧真空(たとえば約14.7psi)まで保持することができる。実施例によっては、可変剛性機能をもたせるために真空が任意の中間レベルまで解放されるように、ブリード弁、レギュレータまたはポンプ制御を備えることができる。この真空圧は、ブレードスリーブの層を隣接層に接して圧縮することによって、剛性付与デバイス構造体に剛性を与えるために有利に使用することができる。ブレードは、屈曲時に(すなわち、その長手方向軸に対して垂直に屈曲するときに)自然に曲がることができ、ブレードが内層上に載っている状態で屈曲形状に従うように、スリーブが曲げられると、織り合わさった撚り糸によって形成された格子構造が変形する。この結果、ブレードスリーブが曲がるにつれて各格子要素のコーナー角が変化する格子幾何形状となる。本明細書に記載の層などのコンフォーマルな材料の間で圧縮されると、格子要素はそれぞれの現在の角に固定され、真空の印加時に変形に耐えることができる強化された機能を有し、それによって真空が印加されたときの屈曲において構造全体に剛性を付与する。また、実施例によっては、ブレード中またはブレード上のフープ繊維は、高い印加曲げ荷重でのブレードの局部座屈を防止するのに役立つ引張荷重を支えることができる。
【0060】
[00079]剛性付与デバイス100の剛性は、軟性形態から剛性形態に遷移させると、2倍から30倍超、たとえば10倍、15倍、または20倍に増大することができる。特定の一実施例において、剛性付与デバイス100と同様の剛性付与デバイスの剛性を試験した。試験剛性付与デバイスの壁厚は1.0mm、外径は17mmであり、剛性付与デバイスの長さ9.5cmのカンチレバー部の端部に、剛性付与デバイスが10度撓むまで力を加えた。軟性モードのときにこれを行うのに要した力は30グラムに過ぎなかったが、剛性(真空)モードでこれを行うのに要した力は350グラムであった。
【0061】
[00080]真空剛性付与デバイス100の一部の実施例では、ブレード層は1層のみであってもよい。真空剛性付与デバイス100の他の実施例では、2層、3層またはそれより多くのブレード層を備えることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス100の半径方向空隙層またはスリップ層のうちの1つまたは複数の層をなくすことができる。実施例によっては、剛性付与デバイス100のスリップ層のうちの一部または全部の層をなくすことができる。
【0062】
[00081]本明細書に記載のブレード層は、可変剛性層の役割を果たすことができる。可変剛性層は、作動させると(たとえば真空が印加されると)曲げ剛性および/または剪断抵抗が増大し、その結果剛性がより高くなる、1つまたは複数の可変剛性要素または構造体を含むことができる。ブレード層に加えて、またはブレード層に代えて他の可変剛性要素を使用することができる。実施例によっては、参照により全体が本明細書に組み込まれる2018年7月19日に出願された「DYNAMICALLY RIGIDIZING OVERTUBE」という名称の国際特許出願第PCT/US2018/042946号に記載されているように、係合部を可変剛性要素として使用することができる。これに代えて、またはこれに加えて、可変剛性要素は、粒子または顆粒、ジャミング層、薄片、剛性付与軸部材、剛性付与部品、長手方向部材または実質的に長手方向の部材を含むことができる。
【0063】
[00082]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、真空ではなく圧力の印加によって剛性付与することができる。たとえば、
図4A~
図4Bを参照すると、剛性付与デバイス2100は、剛性付与のために真空ではなく圧力(たとえば1気圧を超える圧力)を保持するように構成可能な点を除き、剛性付与デバイス100と同様とすることができる。したがって剛性付与デバイス2100は、(たとえば器具または内視鏡をそれを通して配置するための)管腔2120の周囲に配置された複数の層を含むことができる。剛性付与デバイス2100は、(最内層115に類似した)最内層2115と、(スリップ層113に類似した)スリップ層2113と、圧力空隙2112と、ブラダー層2121と、(空隙層111に類似した)空隙層2111と、(ブレード層109に類似した)ブレード層2109または本明細書に記載のような他の可変剛性層と、(層107に類似した)空隙層2107と、閉じ込め最外層2101とを含むことができる。
【0064】
[00083]圧力空隙2112は、剛性付与デバイス2100の層への圧力印加のための空隙を与える封止チャンバとすることができる。圧力は、流体または気体膨張/圧力媒体を使用して圧力空隙2112に供給することができる。膨張/圧力媒体は、水または生理食塩水、あるいは、たとえば土またはグリセリンなどの潤滑流体とすることができる。潤滑流体は、たとえば、剛性付与デバイス2100の層が軟性形態において互いの上を動きやすくすることができる。膨張/圧力媒体は、剛性付与デバイス2100の剛性付与時に空隙2112に供給することができ、剛性付与デバイス2100を軟性形態に変形し戻すために部分的にまたは完全に排出させることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス2100の圧力空隙2112は、事前充填シリンジまたは事前充填吸入器などの事前充填圧力源に接続可能であり、それによって医師の要する準備時間を短縮することができる。
【0065】
[00084]ブラダー層2121は、たとえば(たとえばショア硬度20A~70Aの)低デュロメータエラストマーまたは薄いプラスチックシート製とすることができる。ブラダー層2121は、チューブを形成するように長さ方向に封止されたプラスチックまたはゴムの薄いシートから形成することができる。長さ方向の封止は、たとえば突き合わせ継手または重ね継ぎとすることができる。たとえば、重ね継ぎは、重ね継ぎにおけるゴムを溶融させることによって、または接着剤を使用することによって、ゴムシートに長手方向に形成することができる。実施例によっては、ブラダー層2121は、厚さ約0.0127cm(0.005インチ)など、0.0005cm(0.0002インチ)~0.0508cm(0.020インチ)の厚さとすることができる。ブラダー層2121は、柔らかい、高摩擦性の、伸縮性のある、および/またはしわが寄りやすいものとすることができる。実施例によっては、ブラダー層2121は、ポリオレフィンまたはPETである。ブラダー2121は、たとえば、基材の押し出し成形などの熱収縮チューブを形成するために使用される方法を使用し、次に熱、圧力および/または放射による壁薄化によって形成することができる。圧力空隙2112を通して圧力が供給されると、ブラダー層2121は、空隙層2111を通して拡張して、ブレード撚り糸の相対運動が低減されるようにブレード層2109を閉じ込め最外層2101に押し付けることができる。
【0066】
[00085]閉じ込め最外層2101は、押し出し成形チューブなどのチューブとすることができる。あるいは、閉じ込め最外層2101は、本明細書に記載の他の実施例の最内層に関連して説明したものと類似した補強部材(たとえば、円形または矩形断面を備えた金属ワイヤ)がエラストマーマトリックス内に封入されたチューブとすることができる。実施例によっては、閉じ込め最外層2101は、(たとえばラウンドワイヤまたはフラットワイヤ製の)つる巻きばね、および/またはチューブ状ブレード(ラウンド金属ワイヤまたはフラット金属ワイヤからなるものなど)と、層内の他の要素に結合されていない薄いエラストマーシートとを含むことができる。閉じ込め最外層2101は、連続した滑らかな表面を備えたチューブ状構造体とすることができる。これにより、近接し、局所的に高い接触荷重を有するそれに接してスライドする外側部材(たとえば本明細書でさらに説明するような入れ子構成)に好都合にすることができる。また、外層2101は、ピンチングなどの圧縮荷重を支持するように構成可能である。さらに、(たとえば補強要素を中に備えた)外層2101は、圧力が加えられても剛性付与デバイス2100が直径を変化させるのを防止するように構成可能である。
【0067】
[00086]外層2101と内層2115の両方が補強要素を中に含むため、ブレード層2109は(引張荷重下での)直径の縮小と(圧縮荷重下での)直径の増大の両方が適度に抑制され得る。
【0068】
[00087]軟性状態から剛性状態への遷移のために真空ではなく圧力を使用することによって、剛性付与デバイス2100の剛性を増すことができる。たとえば、実施例によっては、圧力空隙2112に供給される圧力は、2気圧と40気圧の間、4気圧と20気圧の間、5気圧と10気圧の間など、1気圧と40気圧の間とすることができる。実施例によっては、供給される圧力は、約2気圧、約4気圧、約5気圧、約10気圧、約20気圧である。実施例によっては、剛性付与デバイス2100は、(単純なカンチレバー構成で測定されたときに)10倍~80倍、20倍~50倍など、2倍から100倍の、軟性形態から剛性形態への相対曲げ剛性の変化を示すことができる。たとえば、剛性付与デバイス2100は、約10倍、15倍、20倍または25倍、30倍、40倍、50倍あるいは100倍を超える、軟性形態から剛性形態への相対曲げ剛性の変化を有し得る。
【0069】
[00088]本明細書に記載の剛性付与デバイスのいずれも、遠位端部または、剛性付与デバイスの細長い本体とは異なる設計の部分を有することができる。たとえば、
図5に示すように、剛性付与デバイス5500は、細長い本体5503zと遠位端部5502zとを有することができる。遠位端部5502zのみ、細長い本体5503zのみ、または遠位端部5502zと細長い本体5503zの両方が、本明細書に記載のように(たとえば真空および/または圧力により)剛性付与することができる。実施例によっては、一方の部分5502z、5503zが圧力によって作動し、他方の部分5502z、5503zが真空によって作動する。他の実施例では、両方の部分5502z、5503zが圧力または真空によって作動する。
【0070】
[00089]
図6を参照すると、他の実施例では、遠位端部7602zが、剛性付与デバイス7600のステアリングのためにケーブル7624を介するなどして能動的に制御される複数の連結部7604zを含むことができる。デバイス7600は、デバイスの動きを制御するように構成されたケーブル7624を含む点を除き、デバイス5800と類似している。
図26には細長い剛性付与本体7603z(すなわち外壁7601、ブレード層7609および内層7615を備える)を通るケーブル7624の通過が図示されていないが、ケーブル7624は本明細書の他の箇所に記載されているようないずれかの方式で延びることができる。実施例によっては、細長い剛性付与本体7603zの1つまたは複数の層が、遠位端部7602z内に続くことができる。たとえば、
図26に示すように、内層7615が遠位端部7602z内に続くことができ、たとえば連結部7604zの半径方向内側に位置することができる。同様に、剛性付与近位部からの追加の層のうちのいずれかの層(たとえば、ブレード層7609もしくは外層7601が遠位部7602z内に続いてもよく、および/または、連結部7604zの半径方向内側に位置してもよい)。他の実施例では、細長い剛性付与本体7603zの層のいずれも遠位部7602z内まで続いていない。連結部7604zは(および本明細書に記載のいずれの連結部も)その上に被覆材7627zを含むことができる。被覆材7627zは、遠位部7602zを非外傷性および/または滑らかにすることができるので有利である。被覆材7627zは、延伸PTFEなどのフィルムとすることができる。延伸PTFEは、屈曲に対する抵抗が低いが座屈に対する抵抗が高い、滑らかで低摩擦性の表面を与えることができるので有利である。
【0071】
[00090]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイスは、本明細書に記載の1つまたは複数の他の剛性付与デバイスと共に使用することができる。たとえば、内視鏡が本明細書に記載の剛性付与機構を含むことができ、剛性付与デバイスが本明細書に記載の剛性付与機構を含むことができる。これらを併用することにより、次々に前進することができ、それによってループが減らされるかまたはなくなるように常に要素のうちの1つが硬化されたままであることができるようにする、入れ子状システムを形成することができる(すなわち順次に前進する入れ子状システムを形成することができる)。
【0072】
[00091]例示の入れ子状システム2300zを
図7に示す。システム2300zは、同心円状にまたは非同心円状に互いに対して軸方向に移動可能な外側剛性付与デバイス2300と内側剛性付与デバイス2310(ここでは剛性付与スコープとして構成される)とを含むことができる。外側剛性付与デバイス2300と内側剛性付与デバイス2310は、本明細書に記載のような剛性付与機構のいずれでも含むことができる。たとえば、外側剛性付与デバイス2300は、最外層2301aと、ブレード層2309aと、巻かれたコイルを含む内層2315aとを含むことができる。外側剛性付与デバイス2300は、たとえば、剛性付与をもたらすように最外層2301と内層2315aとの間で真空を受けるように構成することができる。同様に、内側スコープ2310は、(たとえばコイルが巻かれた)外層2301bと、ブレード層2309bと、ブラダー層2321bと、(たとえばコイルが巻かれた)内層2315bとを含むことができる。内部スコープ2310は、たとえば、剛性付与をもたらすためにブラダー2321bと内層2315bとの間で圧力を受けるように構成可能である。また、空気/水チャネル2336zとワーキングチャネル2355とが内側剛性付与デバイス2310を通って延びることができる。さらに、内部剛性付与スコープ2310は、カメラ2334zと、ライト2335zと、ステアリング可能連結部2304zとを備えた遠位部2302zを含むことができる。遠位部2302zの上にカバー2327zが延びていてもよい。別の実施例では、カメラおよび/または照明は別個のアセンブリで送達可能である(たとえば、カメラと照明とがカテーテル内に束ねられ、ワーキングチャネル2355および/または追加のワーキングチャネルを通して最遠位端2333zまで送達されてもよい)。
【0073】
[00092]内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に境界2337zを配置することができる。境界2337zは、たとえば、0.0051cm(0.0020インチ)、0.0127cm(0.005インチ)または0.0508cm(0.020インチ)の厚さなど、0.0025cm(0.001インチ)~0.127cm(0.050インチ)の寸法d(
図5参照)を有する空隙とすることができる。実施例によっては、境界2337zは、低摩擦性とすることができ、たとえば摩擦を低減するために粉末、コーティングまたはラミネーションを含むことができる。実施例によっては、内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に封止材があってもよく、介在空間は静圧軸受を形成するようにたとえば流体または水によって加圧されてもよい。他の実施例では、内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300との間に封止材があってもよく、介在空間は摩擦を低減するために小球で満たされてもよい。
【0074】
[00093]内側剛性付与デバイス2310と外側剛性付与デバイス2300は、入れ子状システム2300zの長さに沿って屈曲または形状を伝達するように、互いに対して相対的に移動可能であり、交互に剛性化することができる。たとえば、内側デバイス2310を管腔に挿入することができ、所望の形状に屈曲またはステアリング可能である。ブレード要素にこの形態における内側剛性付与デバイス2310を係合させ、ロックさせるために、内側剛性付与デバイス2310に圧力を加えることができる。次に、(たとえば軟性状態の)剛性付与デバイス2300を、剛性内側デバイス2310の上を前進させることができる。外側剛性付与デバイス2300が内側デバイス2310の先端部に達すると、剛性付与デバイスの形状を固定するように層を係合させ、ロックするために、剛性付与デバイス2300に真空を印加することができる。内側デバイス2310は、軟性状態に遷移し、前進することができ、このプロセスが繰り返される。システム2300zについて剛性付与デバイスと、スコープとして構成された内側デバイスとを含むものとして説明しているが、他の構成も可能であることを理解されたい。たとえば、システムは、2つのオーバーチューブ、2つのカテーテル、またはオーバーチューブとカテーテルとスコープの組合せを含んでもよい。
【0075】
[00094]
図8に別の例示の入れ子状システム2700zを示す。システム2700zは、内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイス2710、2700の両方に取り付けられたカバー2738zを含む点を除いてシステム2300zと類似している。カバー2738zは、たとえば、弾性と伸縮性を可能にするように、低デュロメータで薄壁であってもよい。カバー2738zは、ウレタン、ラテックスまたはシリコーンなどのゴムであってもよい。カバー2738zは、内側デバイスと外側デバイス2710、2700との間の境界/半径方向空隙を保護してもよい。カバー2738zは、内側チューブと外側チューブとの間の空間に汚染物質が入るのを防いでもよい。カバー2738zは、さらに、内側チューブと外側チューブとの間の空間に組織およびその他の物質が閉じ込められるのを防いでもよい。カバー2738zは、内側デバイス2710と外側デバイス2700が互いに独立して移動することができるようにするために材料の弾性限界内で伸びてもよい。カバー2738zは、カバー2738zが常に最小限のわずかに伸びた状態にあるようにして、剛性付与デバイス2710、2700に接着されるかまたは取り付けられてもよい。この実施例は、清浄化のために外側を拭くことができてもよい。実施例によっては、カバー2738zは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第US6447491号で開示されているものなどの、「ローリング」封止材として構成可能である。
【0076】
[00095]
図9A~
図9Bに別の例示の入れ子状システム9400zを示す。このシステム9400zでは、外側剛性付与デバイス9400が(たとえばスコープに類似した)ステアリングおよび撮像機能を含み、一方、内側デバイスは剛性付与機能のみを含む(ただし、本明細書の他の箇所に記載されているような追加のステアリング要素を含むことができる)。したがって、外側デバイス9400は本明細書で開示されている連結部またはその他のステアリング手段9404zと、カメラ9434zと照明9435zとを含む。外側デバイス9400は、さらに、内側デバイス9410にアクセスするための中央通路9439z(たとえばその中のワーキングチャネルなどの管腔)を含むことができる。実施例によっては、チューブのベローまたはループが通路9439zを内側デバイス9410の管腔に接続することができる。他の入れ子状システムと同様に、一度にデバイス9410、9400の少なくとも一方が剛性付与可能であり、他方は剛性付与に従い、および/または生体構造を通って移動することができる。ここで、外側デバイス9400は内側デバイス9410を導くことができる(
図9Aでは内側デバイス9410が外側デバイス9400に対して相対的に引き込まれている様子が示されており、
図7Bでは外側デバイス9400とほぼ等しく伸張されている)。システム9400zは、生体構造を挟むのを回避し、および/または内側デバイスと外側デバイス9410、9400との間に流体が流入するのを回避するように、滑らかな外表面を与えることができるので有利である。外側デバイス9400にステアリング機能を有することで、先端部のステアリングのために追加のてこ力を与えることもできる。また、外側デバイスは、外側デバイス9400のより大きな直径と、より大型のカメラを収容することができることにより、より優れた撮像機能をもたせるのを容易にすることができる。
【0077】
[00096]
図10A~
図10Hに、本明細書に記載のような入れ子状システム2400zの使用例を示す。
図10Aでは、ステアリング可能内側剛性付与デバイス2410の遠位端が外側剛性付与デバイス2400の外側に延びるように、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に配置されている。
図10Bでは、内側剛性付与デバイス2410の遠位端が(たとえばケーブル7624などのステアリングケーブルを介して)所望の方向/向きに曲げられ、次に(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を使用して)剛性化される。
図10Cでは、(軟性形態の)外側剛性付与デバイス2400が剛性付与された内部剛性付与デバイス2410の上(屈曲遠位部の上を含む)を前進させられる。外側剛性付与デバイス2400の遠位端が内側剛性付与デバイス2410の遠位端上で十分に前進させられた後、外側剛性付与デバイス2400に(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を使用して)剛性付与することができる。
図10Dでは、次に、(たとえば本明細書に記載のように真空または圧力を取り除くことによって、および、先端部が容易に動くことができるようにステアリングケーブルが緩むことができるようにすることによって)内側剛性付与デバイス2410を軟性状態に遷移させることができ、希望の通りに前進させ、方向づけ/向かせ/ステアリングすることができる。あるいは、
図10Dで、剛性付与された外側チューブにかかる荷重を最小限にするように、内側剛性付与デバイス2410が出現すると、内側剛性付与デバイス2410を(手動またはコンピュータ制御により)能動的にステアリングすることができる。外側剛性付与デバイス2400にかかる荷重を最小限にすることで、このチューブが剛性付与された形状を保持するのが容易になる。内側剛性付与デバイス2410が剛性付与された後は、外側剛性付与デバイス2400を軟性状態に遷移させることができ、(
図10Eに示すように)その上を前進させることができる。次に、
図10F~
図10Hに示すようにこのプロセスを繰り返すことができる。繰り返されたプロセスの結果、軟性形態の内側および外側の剛性付与デバイス2410、2400が、デバイス2410、2400のうちのいずれか剛性形態にある方の形状に連続して従う(またはコピーする)「形状コピー」を生じさせることができる。
【0078】
[00097]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了時に、最初の2つの剛性付与デバイス(2400、2410)の上に第3の剛性付与デバイスをスライドさせ、剛性付与することができる。次に、剛性付与デバイス2400および2410を引き抜くことができる。最後に、第3のチューブの内部管腔に第4の剛性付与デバイスを挿入することができる。この第4の剛性付与デバイスは、剛性付与デバイス2410よりも大きい直径とより多くの機構を有してもよい。たとえば、第4の剛性付与デバイスは、より大きいワーキングチャネル、より多くのワーキングチャネル、より高性能なカメラまたはこれらの組合せを有してもよい。この技術は、より柔軟性があり操作しやすい傾向がある2つのより小型のチューブが身体の深部に達することを可能にすることができる一方、治療目的のためにより大型のチューブを最終的に送達することができる。あるいは、上記の例において、第4の剛性付与デバイスは、当技術分野で知られているような通常の内視鏡であってもよい。
【0079】
[00098]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了時に、外側剛性付与デバイス2400が剛性付与されてもよく、次に内側剛性付与デバイス2410が取り外されてもよい。たとえば、剛性付与デバイス2410は、カメラと照明と遠位ステアリング部とを含む「ナビゲーション」デバイスであってもよい。「ナビゲーション」デバイス2410は処置と処置との間に洗浄しやすいように、十分に密閉されていてもよい。その場合、第2の内側デバイスが剛性付与外側デバイス2400の内側に配置されてもよく、外側デバイス2400の遠位端を越えて前進させられてもよい。第2の内側デバイスは、カメラ、ライト、水、吸引ツールおよび様々なツールなどの要素を含む「治療」チューブであってもよい。「治療」デバイスは、ステアリング部または剛性付与能力を有していなくてもよく、それによって治療チューブの本体内に他の機構、たとえば治療を行うためのツールを含めるための追加の空間を与えてもよい。所定位置に配置された後は、「治療」チューブ上のツールが、たとえば人体の消化管における粘膜切除または切開などの身体の治療を行うために使用されてもよい。
【0080】
[00099]別の実施例では、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了後または完了時に、第3のデバイスが内側チューブ2410内に挿入されてもよい。第3のデバイスは剛性付与デバイスおよび/または内視鏡であってもよい。
【0081】
[000100]実施例によっては、
図10A~
図10Hに示すシーケンスの完了およびシステム2400zを使用して所定位置で行われた任意の治療の完了後、システム2400z全体を生体構造から取り外すことができる。引き抜きの方法の一例では、システム2400zを軟性形態に遷移させることができ(すなわち、内側と外側の両方のデバイス2410、2400を軟性形態に遷移させることができる)、軟性システム2400zを近位側に引っ張ることができる。この方法では、患者の身体(たとえば肛門)とロボットアーム(たとえば後述するアーム1023y)との間の張力が、(たとえば、軟性システム2400zのより多くの部分が身体の内部よりも身体の外部に位置づけられるため)システム2400zが取り外されるときに身体から落ちるのを防ぐことができる。
【0082】
[000101]引き抜き方法の別の例として、
図10A~
図10Hを参照しながら説明したのと同様であるが、それとは逆の形状コピーを行うことができる。この例では、たとえば、内側剛性付与デバイス2410を剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410の上で外側剛性付与デバイス2400を(軟性形態にある状態で)近位側に引き抜くことができる。次に外側剛性付与デバイス2400を剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410を弛緩させ、外側剛性付与デバイス2400内で(たとえば内側剛性付与デバイス2410の遠位端が外側剛性付与デバイス2400の遠位端と面一になるまで)近位側に移動させることができる。この実施例では、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に引き込まれると、外側剛性付与デバイス2400の固定形状を損なわずにステアリング可能遠位端部が外側剛性付与デバイス2400の形状に確実に移行するように、ステアリングケーブルの張力を一定に(たとえば0.1kg(1/4ポンド)未満などの低い値に)保持することができる。これに代えて、またはこれに加えて、外側剛性付与デバイス2400がまっすぐな形状で剛性化される場合、内側剛性付与デバイス2410を外側剛性付与デバイス2400内に引き込むことができ、ステアリングケーブルのそれぞれの張力を等しくする(すなわち、同じ値、したがって子形状を母形状の内側の形状に従わせる)ことができる。
【0083】
[000102]引き抜き方法の別の例として、内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位先端部が外側剛性付与デバイス2410内に後退させられるとき、またはその後で、その遠位先端部を近位側に能動的にステアリングして外側剛性付与デバイス2400の既知、想定または測定形状とすることができる。すなわち、外側剛性付与デバイス2400の、内側剛性付与デバイス2410の遠位先端部の直近位にある部分の形状と一致するように、内側剛性付与デバイス2410の遠位先端部をステアリングすることができる。特定の一実施例では、内側剛性付与デバイス2410は、外側剛性付与デバイス2400から10.16cm(4インチ)だけ突出していてもよく、外側剛性付与デバイス2400の最後の10.16cm(4インチ)が、6.35cm(2.5インチ)の曲率半径に沿った90度湾曲を形成してもよい。この実施例では、内側剛性付与デバイス2410を6.35cm(2.5インチ)の曲率半径に沿った90度湾曲になるようにステアリングすることができ、次に外側剛性付与デバイス2400内に(その形状で)引き込むことができる。これは、内側剛性付与デバイス2410が外側剛性付与デバイス2400内に確実に容易に引き込まれるようにすることができる(すなわち両者の形状が一致させられているため)ので有利となり得る。
【0084】
[000103]実施例によっては、本明細書に記載の剛性付与デバイス(たとえばシステム2400zなどの入れ子状システム)をロボット制御することができる。
図11A~
図11Dに、ロボット制御または操作(たとえば剛性化、ステアリング、移動など)可能な
図10A~
図10Hに示すもののような入れ子状システム9300zの使用例を示す。
図11A~
図11Dに示すように、外側剛性付与デバイス9300と内側剛性付与デバイス9310とが共にカセット9375などの共通構造体において終端されてもよい。外側剛性付与デバイス9300は、カセット9357に取り付けられたディスク9389の回転によって、内側剛性付与デバイス9310に対して相対的に移動可能である。たとえば、ディスク9389はピニオンとすることができ、外側剛性付与デバイス9300は外部に複数の微小な歯を含むラック9382を有してもよい。ディスク9389を歯9382に接して回転させると、外側剛性付与デバイス9300を内側剛性付与デバイス9310に対して相対的に前方または後方に進めることができる。実施例によっては、剛性付与デバイス9300、9310の可能な移動または平行移動は、カセット9357の大きさまたは設計によって制限される。
【0085】
[000104]カセット9357は、内側剛性付与デバイス9310(および/または外側剛性付与デバイス9300)の先端部をステアリングする(たとえば屈曲または撓ませる)ためのケーブル9363a、9363bにそれぞれ接続可能な追加のディスク9371a、9371bをさらに含むことができる。他のステアリング機構(たとえば空気圧、水圧、形状記憶合金、EAP(電気活性ポリマー)またはモータ)も可能である。この場合も、異なるステアリング機構を備えた実施例では、カセット9357の1つまたは複数のディスク(たとえばディスク9371a、9371b)が、ステアリングを作動させるために使用されてもよい。
【0086】
[000105]カセット9357は、それぞれ、内側剛性付与デバイス9310および外側剛性付与デバイス9300の圧力空隙に接続可能なベロー9303a、9303bをさらに含むことができる。ベロー9303a、9303bを圧搾することにより、圧力管路9305zを通る流体を駆動することができ、それによって内側剛性付与デバイス9310、9300の圧力空隙内の圧力を上昇させ、剛性付与デバイス9310、9300が剛性になるようにすることができる。ベロー9303a、9303bの起動は順次および/または同時に適用されてもよい。
図9A~
図9Dに示すように、カセット9357はベロー9303a、9303bを制御するための偏心カム9374a、9374bを含むことができる。あるいは、
図12Aに示すように、(たとえばカセット9357上または駆動ユニット9517y上の)1つまたは複数のリニアアクチュエータ9316yを、ベロー9303a、9303bを作動させるように構成することができる。別の代替形態として、
図12Bに示すように、デバイス9300、9310は、(本明細書に記載のような)1つまたは複数のサンプまたは(たとえば圧力管路9305zを介した)圧力源9306zを介して剛性付与および剛性付与解除されることができる。内側および外側剛性付与デバイス9310、9300の剛性化を生じさせる他の機構も可能である。たとえば、実施例によっては、カセット9357が、剛性付与のための圧力を加えるように内側および外側剛性付与デバイス9310、9300に送達可能な流体を含むシリンジまたはその他の容器を含むことができる。実施例によっては、シリンジまたはその他の容器は、カセット9357内の流体を引き出し、それによって内側および外側剛性付与デバイス9310、9300に印加可能な真空を生じさせるために使用可能である。
【0087】
[000106]
図11A~
図11Dに戻って参照すると、カセット9357は内側剛性付与デバイス9310における追加の管腔および/または配線に接続するためのコネクタ9315yを含むことができる。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部に吸気と水の両方を送達するための接続部を含んでもよい。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部に取り付けられたカメラを外部モニタおよび/または映像処理ユニットに接続する電気コネクタを含んでもよい。コネクタ9315yは、内側剛性付与デバイス9310の先端部までずっと続く中空のチューブ(たとえばワーキングチャネル)に接続する機械コネクタを含んでもよい。コネクタ9315yを含めることによって、システム9300zのすべての構成要素の制御を、カセット9357を使用して行うことができる。
【0088】
[000107]
図93Bの側面透視図に最もよく示すように、ディスク9389、9371a、9371bおよびカム9374a、9374b(または対応するベロー)にはカセット9357の底部からアクセス可能であってもよい。ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bは、トルクを伝達するために、スプライン、ピンまたは歯などの機構を有してもよい。これらの機構は、ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bを(たとえば駆動ユニットによって)操作することができるようにすることができる。
【0089】
[000108]
図13に、ディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bを駆動するために使用可能な駆動ユニット9517yの例を示す。たとえば、駆動ユニット9517yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bと整列し得る駆動パドル9519yを含むことができる。駆動パドル9519yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bにトルクを伝えるように、駆動ユニット9517yの1つまたは複数のモータによって駆動(すなわち回転)可能である。駆動パドル9519yは、カセット9357のディスク9389、9371a、9371bおよび/またはカム9374a、9374bにトルクを伝達するための機構9518y(たとえばスプライン、ピン、歯など)を含むことができる。駆動ユニット9517yは、たとえば、クリップ、ねじまたは磁石を使用してカセット9357に結合してもよい。
【0090】
[000109]
図14を参照するとともに
図11A~11Dに戻って参照すると、実施例によっては、ロボットシステム(たとえば、内側と外側の剛性付与デバイス9310、9300と、カセット9357とを含むシステム9300z)が線状のスライド1002y上に配置されてもよい。リニアスライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイス9310、9300を制御するように構成された(駆動ユニット9517yに類似した)駆動ユニット10017yをさらに含むことができる。スライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイス9310、9300が共に(すなわち同時に)並進することを可能にすることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス9300に対して相対的な内側剛性付与デバイス9310の相対移動を生じさせるために、システム9300zを第1の方向(スライド10020yに沿って前方または後方)に並進させることができ、それと同時に外側剛性付与デバイス9300上のディスク9389とラック9382とを使用して外側剛性付与デバイス9300を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させることができる。すなわち、内側剛性付与デバイス9310を外側剛性付与デバイス9300に対して相対的に前進させるために、両方の剛性付与システム9300、9310を含むシステム9300zをスライド10020yに沿って前進させ、それと同時に、ディスク9389とラック9382とを使用して外側剛性付与デバイス9300を後退させる。逆に、内側剛性付与デバイス9310を外側剛性付与デバイス9310に対して相対的に後退させるために、両方の剛性付与システム9300、9310を含むシステム9300zをスライド10020yに沿って後退させることができ、それと同時に外側剛性付与デバイス9033を前進させることができる。
【0091】
[000110]実施例によっては、駆動ユニット1017y、ラック9382および/またはディスク9389が、その上にフォースゲージを含むことができる。フォースゲージは、内側および/または外側剛性付与デバイス9310、9300を挿入または引き出しするのに要する力の量を測定するように構成可能である。フォースゲージは、たとえば、力の量が閾値(たとえば、超えた場合に生体構造に傷害を生じさせる可能性がある力の閾値量)を超えた場合、1つまたは複数の警報をトリガするために使用することができる。実施例によっては、1つまたは複数の警報は、段階的に大きくなる警報とすることができる。たとえば、第1の警報が警告を示すことができ、第2の警報が傷害の起こり得る危険性を示すことができる。実施例によっては、警報の閾値は、システム9300zの状態またはモードに応じて異なり得る。たとえば、内側部材9310と外側部材9300の交互の剛性によって尺取り虫式に前進する場合、警報は第1の1組の閾値を有することができる。それに対して、引き出しおよび後退の場合(たとえば、内側部材と外側部材9310、9300の両方が軟性である)、警報は第2の1組の閾値を有することができる。警報は、たとえば画面上の画像の変化(たとえば仮想光または色の変化)、1つまたは複数の物理光源からの光の変化(たとえば輝度または色)、コントローラの振動または振動音、および/または特定の運動または機能の遮断によって表すことができる。駆動ユニット1017y、ラック9382および/またはディスク9389上にあるものとして説明しているが、フォースゲージは、挿入力および/または引き出し力の測定を可能にしながらシステム9300z内の他の場所に配置することも可能であることを理解されたい。
【0092】
[000111]
図14を参照すると、リニアスライド10020yは、内側および外側剛性付与デバイスと共に使用される1つまたは複数のツール(たとえばツール9980)を制御するように構成された第2の駆動ユニット10030yをさらに含むことができる。実施例によっては、第1の駆動ユニット10017yと第2の駆動ユニット10030yはリニアスライド10020yに沿って独立して並進することができる。駆動ユニット10030Yには、1つ、2つまたはそれ以上のツール9980が接続してもよい。リニアスライド10020yは、外側剛性付与デバイスがどのような並進をしても、入れ子状剛性付与システムと共に使用されるツールが外側剛性付与デバイスの遠位端における所定位置に確実に留まるようにすることができるので有利である。たとえば、ツール駆動ユニット10030yは、外側剛性付与デバイスがスライド10020yに対して相対的に前進するときに、ツールを前方に並進させるように構成することができる。同様に、ツール駆動ユニット10030yは、外側剛性付与デバイスがスライド10020yに対して相対的に後退するときにツールを後退させるように構成することができる。これにより、たとえば、ツールが確実に取り付け具(たとえば取り付け具9823y)にロックされるようにすることができる。
【0093】
[000112]
図15Aおよび
図15Bに、入れ子状剛性付与デバイス10100、10110の制御のために駆動ユニット10117yに取り付けられたカセット10157を備えたスライド10120y上に配置された例示のロボットシステム10100zの透視図と上面図とをそれぞれ示す。2つの異なるツール10180の制御のための2つのカセット10125yが、駆動ユニット10130yに取り付けられている。ツール10180は、ガイド1021yに挿入され、取り付け具10123yにおいてポート10124yにロックされる。
【0094】
[000113]
図16に、スライド10120yと、したがってロボットシステムの他の部分(入れ子状剛性付与デバイス10100、10110および/またはツール10180を含む)を患者に対して適切な向きにするようにリニアスライド10120yに接続可能な例示の旋回アーム10231yを示す。したがって、リニアスライド10120yは、垂直、水平またはその間の角度に配置されてもよい。
【0095】
[000114]システム10100zは、以下のような例示の方式で使用されてもよい。カセット10157が内側および外側剛性付与デバイス10110、10100に取り付けられ、内側および外側剛性付与デバイス10110、10100が(たとえば
図65A~
図65Hに詳細に示すように)患者の身体内に前進させられる。実施例によっては、内側および外側剛性付与デバイス10110、10100は、患者の結腸または上部胃腸管内に前進させられる。内側剛性付与デバイス10110と外側剛性付与デバイス10100の往復運動が、カセット10157内のディスクディスクの動きとスライダ10120yに沿った剛性付与デバイス10110、10100の並進とによってもたらされる。剛性付与はカセット10157内のベローを圧搾することによってもたらされる。ステアリングは、カセット10157内のディスクによってもたらされる。医療従事者が、処置を行う身体内の部位に達すると、ツールをガイド10121yを通して挿入することができ、ポート10124yにロックすることができる。次に、カセット10125yがツールの制御のために駆動ユニット10130yに取り付けられる。
【0096】
[000115]本明細書に記載の駆動ユニットは、制御のためにコンピュータ(たとえばコンピュータ、タブレット、ラップトップなど)に接続されてもよい。駆動ユニットと通信するコンピュータは、臨床医がシステムおよび使用している任意のツールを制御するように対話するためのユーザインターフェースを提供するソフトウェアを含んでもよい。本明細書に記載のカセットおよび/または駆動ユニットの、コンピュータ制御によるものなどの自動化を使用して、反復作業を実施しやすくすることができる。たとえば、水を放出しながら円弧状に剛性付与デバイスの遠位端を自動的に動かすプログラムを開発することができる。次に、胃腸管から水と物質を吸引するために第2の円弧を形成することができる。これは、たとえば胃腸管を洗浄するのに有用な場合がある。操作者がたとえばデバイスの遠位端を方向づけるためにジョイスティックを使用して入力を与えるだけで済むように、本明細書で概説している剛性付与ステップを順次に行うプログラムを開発することができる。
【0097】
[000116]
図17を参照すると、実施例によっては、システム2400zまたは9300zの使用(たとえば、
図10A~
図10Hに関して説明したシーケンス)は、コンピュータデバイス1737x(すなわちコントローラまたはコンピュータ)に(たとえばオンボード電子装置1744xを介して無線で)接続されたコントロール1736xを使用して行うことができる。コントロール1736xは、内側剛性付与デバイス2410/9310の(たとえば上下および左右の)ステアリングを可能にするように構成されたステアリングアクチュエータ1738x(たとえばトグル)を含む手持ち型コントロール1736xとすることができる。コントロール1736xは、内側剛性付与デバイス2410/9310の前進/後進移動を可能にするように構成された運動アクチュエータ1739x(たとえばトグル)をさらに含むことができる。
【0098】
[000117]実施例によっては、コントロール1736xは、外側剛性付与デバイス2400/9300が自動的に内側剛性付与デバイス2410/9310を形状コピーすることができるようにするように構成されたアクチュエータ1740x(たとえばボタン)をさらに含むことができる。すなわち、アクチュエータ1740xを作動させる(たとえばボタンを押す)と、内側剛性付与デバイス2410/9300が軟性形態から剛性形態に遷移することができ、次に外側剛性付与デバイス2400/9300が剛性形態から軟性形態に遷移することができ、外側剛性付与デバイス2400/9300を内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進は、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス9410/9310に対して相対的な事前設定位置に達すると(たとえば、外側剛性付与デバイス2400/9300の遠位端が内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端と一致すると)終了させることができる。他の実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進は、センサー読み取りによって自動的に終了させることができる。たとえば、センサー読み取りは、(たとえば、カメラがカメラ画像に外側剛性付与デバイス2400/9300が映っているのを検知したときの)内側剛性付与デバイス2410/9310のカメラからの出力とすることができる。別の実施例として、センサー読み取りは、外側剛性付与デバイス2400/9300を前進させるのに要する(すなわち、必要な力が事前設定閾値を満たすときの)力の量とすることができる。外側剛性付与デバイス2400/9300が形状コピーシーケンスを完了すると、自動形状コピーシーケンスを完了するために自動的に外側剛性付与デバイス2400/9300を剛性化させることができ、内側剛性付与デバイス2410/9310を非剛性化させることができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300の自動形状コピーシーケンス(アクチュエータ1740xの作動により)が行われる間に、アクチュエータ1738x、1739を作動停止させることができる(すなわち、内側剛性付与デバイス2410/9310の移動を防止するため)。
【0099】
[000118]
図17にはステアリングアクチュエータおよび運動アクチュエータ1738x、1739xがトグルとして示されており、自動形状コピーアクチュエータ1740xがボタンとして示されているが、アクチュエータのいずれも代替アクチュエータ(たとえば、トグル、ボタン、ジョイスティック、スライドまたはトラックボール)に置き換えてもよいことを理解されたい。アクチュエータ1738x、1739x、1740xのいずれも、触覚フィードバックを備えることができる。たとえば、運動アクチュエータ1739xの作動は、内側剛性付与デバイス2410/9310を前方または後方に移動させるのに必要な力の量に比例する、運動に対する抵抗を含むことができる。
【0100】
[000119]実施例によっては、コントロール1736xは、アクチュエータ1740xに加えてまたは代えて、アクチュエータ1742x(たとえばボタン)を含むことができる。アクチュエータ1742xは、外側剛性付与デバイス2400/9300が自動的に内側剛性付与デバイス2410/9310を形状コピーすることを可能にするように構成可能である。アクチュエータ1742xは、ボタン1742xが、外側剛性付与デバイス2400/9300の所望の前進に達するまでユーザによって押下されるように構成可能である点を除き、ボタン1740xと類似し得る。アクチュエータ1742xを放すと、外側剛性付与デバイス2400/9300は自動的に剛性化することができ、内側剛性付与デバイス2410/9310は非剛性化することができる。アクチュエータ1742xを作動させると、(たとえば、内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400、9300の遠位端の位置合わせにより、またはカメラ読み取りにより、または力センサーにより)前進を終了させる信号がシステム2400z/9300zによって検出される前にユーザがアクチュエータ1742xを放さない場合に、形状コピーシーケンスが(たとえばボタン1740xに関して説明したように)自動的に停止することができる。したがってアクチュエータ1742xは、自動形状コピーシーケンスに、アクチュエータ1740xよりもより多くの外側剛性付与デバイス2400/9300の移動に対するユーザによる制御を与えることができる。
【0101】
[000120]実施例によっては、コントロール1736xは、アクチュエータ1740x、1742xに加えてまたは代えて、アクチュエータ1745x(たとえばレバー)を含むことができる。アクチュエータ1745xは、作動させると、アクチュエータ1739xが内側剛性付与デバイス2410/9310の前進/後進運動と外側剛性付与デバイス2400/9300の前進/後進運動を可能にすることを切り換えるように、アクチュエータ1739xのモードを切り換えるように構成可能である。この実施例では、ユーザがモードをトグルさせると、コンピュータデバイス1737xおよび/またはオンボード電子装置1744xが自動的に前のデバイス(すなわち、アクチュエータ1739xによって制御されなくなったデバイス)を剛性化し、現在のデバイス(すなわちアクチュエータ1739xによって制御されているデバイス)を非剛性化することができる。
【0102】
[000121]実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310が設定時間間隔よりも長い時間、移動を停止しているとき、または内側剛性付与デバイス2410/9310カセットが外側剛性付与デバイス2400/9300に対して相対的な事前設定された移動終わりに達したときなどに、外側剛性付与デバイス2400/9300の前進を自動的に作動させることができる。
【0103】
[000122]実施例によっては、システム2400z/9300zは、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させられるときに、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の設定形状(たとえば、ステアリング可能遠位端部の形状および/または本体の剛性化形状)を損なわないように保証するように設計された機構を含むことができる。一実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300を前進させるときに、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の位置/向きに調整を加えることができるようにするためにコンピュータデバイス1737xが張力センサーを使用することができる。使用方法の一例では、(たとえばケーブル7624に類似した)ステアリングケーブルの張力を最初に(すなわち、内側剛性付与デバイス2410/9310が剛性化された後、外側剛性付与デバイス2400/9300が前進させられる前に)測定することができる。次に、外側剛性付与デバイス2400/9300を内側剛性付与デバイス2410/9310の上で前進させることができ、ケーブルの張力を測定することができる。ケーブル張力の変化を(たとえばケーブルの剛性と共に)、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の意図しない変位の量を判定するために使用することができる。意図しない変位が判定された後、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端部の位置を別の位置に調整するためにケーブルによって逆変位を作動させることができる。たとえば、その開始位置に戻る。実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の形状を感知するために、張力センサーの代わりにまたは張力センサーに加えて、光ファイバーセンサーなどのセンサーを使用してもよい。
【0104】
[000123]別の実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300がその上で前進させられるときに内側剛性付与デバイス2410/9310の移動(たとえば半径方向の移動)を制御するために、張力センサーに加えて、または張力センサーの代わりに、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位先端部にあるカメラを使用することができる。すなわち、外側剛性付与デバイス2400/9300がその上で前進させられている間、固定位置を維持するために所定位置において内側剛性付与デバイス2410/9310上のカメラを視覚サーボすることができる(すなわち、外側剛性付与デバイス2400/9300が内側剛性付与デバイス2410/9310の形状を変形させるのを防ぐために、内側剛性付与デバイス2410/9310のカメラからの視覚画像をフィードバックとして使用することができる)。実施例によっては、画像変位が特定の閾値に達した場合、コンピュータデバイス1737xが、外側剛性付与デバイス2400/9300が前進するのを防止することができ、それによって外側剛性付与デバイス2400/9300が、内側剛性付与デバイス2410/9310の固定形状に影響を与え過ぎるのを防ぐ。他の実施例では、コンピュータデバイス1737xが、画像の移動に基づいてベクトルを計算することができ、遠位先端部に(ステアリングケーブルを調節することによって)元の位置に戻るように指令することができる。内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位先端部の固定位置を維持するためにカメラを使用することは、ユーザが生体構造内の固定視覚位置を確実に維持することができるようにするのにも役立ち得るため、有利である。
【0105】
[000124]同様に、実施例によっては、システム2400z/9300zは、内側剛性付与デバイス2410/9310がその中を前進するときに、内側剛性付与デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300の設定形状(すなわち剛性形状)を損なわないように保証するように設計された機構を含むことができる。たとえば、コンピュータデバイス1737xが、内側剛性付与デバイス2410/9310が前進するときに内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルの張力が閾値未満(0.1kg(1/4ポンド)未満の低い値など)に一様に維持されるように保証し、それによって内側剛性付与デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300に大き過ぎる力を加えないように保証することができる。実施例によっては、ケーブルの張力は、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が外側剛性付与デバイス2400/9300の遠位端に対して完全に遠位になるまでの間だけ、特定の(低い)閾値に制限することができる。実施例によっては、外側剛性付与デバイス2400/9300が剛性化された直後にステアリングケーブルが持っていた張力を保持している間、ステアリングケーブルを前進させることができる。
【0106】
[000125]実施例によっては、より高い曲げ剛性は形状コピー忠実度の劣化につながる可能性があるため、形状コピーされた湾曲はシステム2400z/9300zに沿って近位側に伝播されるにつれて次第にまっすぐになることができる。このように次第にまっすぐになること(または「弛緩」)は、曲がりくねった生体構造を通ってナビゲーションしやすくするのに(たとえばキャプスタン抗力を低減するために)有利になり得る。一実施例では、近位端においてこのようにまっすぐに伸びるのを促すために、システム2400z/9300zは、デバイス2400/9300(およびシステム2400z/9300z)が近位端におけるより大きな直径と遠位端においてより小さい直径を備えるように、外側デバイス2400/9300の直径の漸進的な先細りを備えることができる。近位端における直径を大きくすることによって、システム2400z/9300zは、遠位端より近位端においてより硬くなることができ、それによって弛緩を促すことができる。別の実施例では、近位端においてこのようにまっすぐに伸びるように促すために、内側剛性付与デバイス2410/9310または外側剛性付与デバイス2400/9300のうちの一方または両方が、最内層115と最外層101との間のデバイス壁(
図3Cの例示の壁のレイアウトを参照)に先細の空間または間隙を含むことができる。間隙は、それぞれのデバイス2410/9310、2400/9300の近位端においてより大きく、デバイス2410/9310、2400/9300の遠位端においてより小さくすることができる。近位端におけるより小さい間隙によって、近位端の柔軟性がより低くなり、したがってまっすぐに伸びやすくなる。
【0107】
[000126]実施例によっては、システム2400z/9300zは、システム2400z/9300zが生体構造内にある状態で、形状コピーされた形態の湾曲の指令された弛緩を可能にするように構成可能である。たとえば、湾曲を弛緩させること、すなわち、デバイス2410/9310、2400/9300が互いに対して相対的にスライドさせられるとき、および/またはシステム2400z/9300zに第3のデバイスが通されるときに、キャプスタン抗力を低減するために、両方のデバイス2410/9310、2400/9300の剛性状態を部分的にまっすぐに伸ばすことが望ましい場合がある。湾曲弛緩は、システム2400z/9300zがその中に配置されている生体構造(たとえば直腸)を損傷せずに生体構造をわずかに引っ張るかまたはまっすぐに伸ばすように構成することができるので有利である。
【0108】
[000127]指令湾曲弛緩の一実施例では、内側剛性付与デバイス2410/9310と外側剛性付与デバイス2400/9300の両方を同時に弛緩させることができ、それによってシステム2400z/9300z全体がまっすぐに伸びやすくなるようにすることができる(ただし、生体構造によって部分的に制約される)。この実施例では、軟性形態の内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300の複合剛性は、生体構造において安全であることがわかっているデバイスの剛性より小さく設計することができる。たとえば、直腸での使用のために、システム2400z/9300zはたとえば標準の成人用結腸鏡の複合剛性より低い複合剛性を有することができ、それによってシステム2400z/9300zが湾曲弛緩時に安全であることがわかっているデバイスよりも多くの力を加えることがないように保証することができる。
【0109】
[000128]指令湾曲弛緩の別の実施例では、いずれのデバイス2410/9310、2400/9300も並進させずに、内側剛性付与デバイス2410/9310と外側剛性付与デバイス2400/9300とを交互に剛性化および非剛性化させることができ、それによって湾曲の漸進的な弛緩を生じさせることができる(コピーサイクルごとに必然的にシステム2400z/9300zがわずかずつまっすぐに伸びることができるようになるため)。たとえば、まず、両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化することができる。次に、内側または外側剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300のうちの第1のデバイスを弛緩させ、その後、剛性化させることができる。次に、内側または外側剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300のうちの第2のデバイスを弛緩させ、その後、剛性化させることができる。システム2400z/9300zの形状が所望の形状まで平滑になる(すなわち湾曲が弛緩する)までこの剛性化/弛緩のループを繰り返すことができる。
【0110】
[000129]指令湾曲弛緩の別の実施例では、剛性状態と非剛性状態との間の移行を段階づけるために上記の2つのメカニズムの組合せを使用することができる。すなわち、システム2400z/9300zは、両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化させ、次に一方のデバイス2410/9310、2400/9300のみを剛性化させ、次にいずれのデバイス2410/9310、2400/9300も剛性化させず、次に一方のデバイス2410/9310、2400/9300のみを剛性化させ、次に両方のデバイス2410/9310、2400/9300を剛性化させるなどのように変動することができる。
【0111】
[000130]本明細書に記載の指令湾曲弛緩方法のいずれも、所望の弛緩量を調整するために変更を加えることができる。たとえば、弛緩の量を変えるために、(弛緩と非弛緩の)サイクルの数を変更することができる。別の実施例として、サイクルの周波数および/またはデューティサイクル(たとえば、非剛性形態がどれだけ長く維持されるか)を変更することができる。別の実施例として、剛性化段階および非剛性化段階に印加される圧力および/または真空に変更を加えることができる(たとえば、非剛性化段階における真空/圧力のすべてを解放するのではなく、最も曲率が大きい領域のみでブレードがスリップすることができるように部分的解放を行うことができる)。
【0112】
[000131]指令湾曲弛緩の一部の実施例では、弛緩は特定の閾値まで加えることができる。たとえば、設定半径(たとえば5.08cm(2インチ))より急な屈曲のみが弛緩されるまで弛緩シーケンスを行うことができる。
【0113】
[000132]指令湾曲弛緩の一部の実施例では、外側剛性付与デバイス2400/9300の形状に選択的に変更を加えるために(たとえば、特定の場所における湾曲を弛緩させるために)内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部を使用することができる。
【0114】
[000133]実施例によっては、システム2400z/9300zに作業ツールを通しやすくするために指令湾曲弛緩を使用することができる。たとえば、作業ツールが当たるねじ曲がりを減らすように、作業ツールがシステム2400z/9300zを通過するまでシステム9300zを弛緩させることができる。
【0115】
[000134]実施例によっては、システム2400z/9300zは、生体構造内で整復操作を行うために(すなわち、結腸内などの生体構造内のねじ曲がった経路をまっすぐに伸ばすために)使用することができる。整復操作時、システム2400z/9300zの遠位端を(たとえば脾湾曲部などの結腸内の屈曲部の周りで角度をつけることによって)固定することができ、次に、軟性形態である状態でシステム2400z/9300z全体(すなわち内側と外側の剛性付与デバイス2410/9310、2400/9300)を近位側に引くことができる。遠位端が固定された状態でシステム2400z/9300zを近位側に引くことによって、アンカーポイントに対して遠位にある管腔をまっすぐに伸ばすことができ、それによって曲がりくねった経路をまっすぐにすることができる。
【0116】
[000135]実施例によっては、挿入中に生体構造を展開するため、またはループを展開するために、システム2400z/9300zを使用することができる。たとえば、患者の結腸に患者の右側から入り、折り畳まれたS字結腸を開くようにα型ループを形成するためにシステム2400z/9300zを使用することができる。
【0117】
[000136]実施例によっては、(たとえば生体構造を展開またはループを展開しやすくするため)近位端からシステム2400z/9300z全体をねじるのと類似した操作を行うために、システム2400z/9300zを使用することができる。すなわち、この操作は、システム2400z/9300zが固定した角度に曲げられ、次に屈曲の固定角度を維持した状態で近位端からシステム全体が(たとえば90度~180度)回転させられた場合に起こることになる運動を、システム2400z/9300zが模倣することができるようにすることができる。たとえば、
図19A~
図19Cを参照すると、このねじり操作は、N字ループなどの湾曲ループの展開を可能にすることができる。すなわち、
図19Aに示すようにシステム2400z/9300zをN字ループの最初の湾曲部まで結腸内に進めることができる。
図19Bに示すように、システム2400z/9300zは、ねじり操作(すなわちねじりを模倣するために)を作動させ、結腸内にさらに進めることができ、それによって結腸を引っ張り、結腸自体の上でループさせ、N字ループにおける急な曲率半径ではなく、より大きな曲率半径を通したナビゲーションを可能にすることができる。次に、システム2400z/9300zをこの大きい曲率半径を通って結腸内にさらに前進させることができる。N字ループをまっすぐに伸ばすために結腸内で使用されるものとして示されているが、このねじり操作は他の解剖学的部位でも使用可能であることを理解されたい。
【0118】
[000137]特定の一実施例では、ねじり操作は内側剛性付与デバイス2410/9310の複数のケーブルを同時に作動させることによって行うことができる。たとえば、ある実施例では、内側剛性付与デバイス2410/9310は、4本のケーブル(「x面」における作動を制御するための2本のケーブルと、「y面」における作動を制御するための2本のケーブル)を作動させることによって制御されるステアリング可能遠位端部を含むことができる。「x面」(または水平動)はアクチュエータ1738xを左右に動かすことによって制御することができ、「y面」(または上下動)は、アクチュエータ1738xを上下に動かすことによって制御することができる。アクチュエータ1738xを上に動かすと、指示されたy正ケーブルを引っ張ることができ、内側剛性付与デバイス2410/9310を「北」に傾けることができる。(たとえばコントロール1736x上のボタンなどのアクチュエータを押すことによって)ねじり操作が作動させられると、アクチュエータ1738xの運動とx、y出力を同じように相関させることができなくなる。逆に、屈曲が形成され、ねじり操作が作動させられると、コンピュータデバイス1737xが、以下の式を使用して極座標半径rと角度θを計算することができる。
【数1】
これらの値が計算された後、新たなx座標とy座標とを出力する計算器として機能することになる固有コサインおよびサインカーブを計算することができ、ここでrはy軸の振幅として機能し、θは区間(-180°、180°]間のx軸に沿った初期位置である。このねじり操作では、アクチュエータ1738xは、屈曲部を作動させるのに必要なx値とy値の両方を出力するのに1つの軸(θ)を必要とするだけで済む。コンピュータデバイス1737xは、以下の式を使用して範囲(-180°、180°]をサイクルし、xとyを出力することができる。
x=rcos(θ)およびy=rsin(θ)
【0119】
[000138]この実施例では、アクチュエータ1738xの左または右への動きによって、コンピュータデバイス1737xに上述のように値θを(-180°と180°]の範囲の間で上または下にサイクルさせることができ、それによってケーブルの動きのためにx値とy値を計算することができる。したがって、アクチュエータ1738xを左右に動かすことによって、屈曲部を回転またはねじる(すなわち、時計回りまたは反時計回りに回転/ねじる)ことができる。
【0120】
[000139]ある実施例では、ねじり操作の前に、形成される円弧の長さを延長するために外側剛性付与デバイス2400/9300の先端を内側剛性付与デバイス2410/9310の先端に対して遠位に前進させることができる。
【0121】
[000140]ある実施例では、システム2400z/9300zは、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が単独で実現可能なよりも急カーブに操作するように構成可能である。たとえば、内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位端部は、外側剛性付与デバイス2400/9310によって部分的にのみ覆われるように配置することができる。(内側剛性付与デバイス2410のステアリング可能遠位端部が部分的に覆われた状態で)剛性付与デバイス2400/9300が剛性形態にされた場合、外側剛性付与デバイス2400/9300の高い剛性が、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部の覆われた部分が屈曲するのを防ぐことができる。その結果、遠位端部の露出部分のみが屈曲することになり、それによって遠位端部における急な(すなわち低曲率半径)小さい屈曲または湾曲を可能にする。
【0122】
[000141]実施例によっては、システム2400z/9300zを通す生体構造(たとえば結腸)の形状をマッピングするためにシステム2400z/9300zを使用することができる。たとえば、外側剛性付与デバイス2400/9300の配置と剛性化の後、内側剛性付与デバイス2410/9310を軟性状態で剛性外側デバイス2400/9300内に引き込むことができる。デバイス2410/9310が外側剛性付与デバイス2400/9300内で引き抜かれるとき(および/または引き抜き後に再び挿入されるとき)、剛性化した外側デバイス2400/9300の形状を(したがってそれに応じて生体構造の形状も)マッピングするためにステアリングケーブルの張力を(たとえば本明細書に記載のように張力センサーおよびコンピュータデバイス1737xを使用して)監視することができる。別の実施例として、外側剛性付与デバイス2400/9300を引き抜き、次に再挿入することができる。デバイス2400/9300が(軟性形態で)剛性内側デバイス2410/9310の上で再挿入されるとき、内側剛性付与デバイス2410/9310の屈曲の程度(したがってそれに応じて生体構造の形状)を測定するために、力センサーを使用して外側剛性付与デバイス2400/9300の挿入力を測定することができる。
【0123】
[000142]同様に、実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端の指令された遠位関節運動とその後の形状コピーシーケンス(内側および外側デバイス2410/9310、2400/9300の軸方向運動を含む)がわかっているため、システム2400z/9300zの集積された全体形状の推定値を出すことができ、制御、視覚化および/または全体的状況認識のために使用することができる。さらに、形状コピーの効率および/または正確度を経験的にまたは分析的にモデル化することができ、全体形状推定に適用することができる。
【0124】
[000143]実施例によっては、システム2400z/9300zをステアリングおよび/または制御するためのコンピュータビジョンアルゴリズムの一部として(たとえばコンピュータデバイス1737xによって)内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位端部におけるカメラを使用することができる。たとえば、コンピュータデバイス1737xは、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリング可能遠位端部が移動しているときを判定するためにコンピュータビジョンアルゴリズムを使用することができる。コンピュータデバイス1737xは、次に、既知の範囲または概算範囲におけるカメラ映像内の要素の運動からカメラの回転運動と直線運動を計算することができる。これは、たとえば、ステアリングのキャリブレーションを確実にするために、ステアリングケーブルの運動がステアリング可能遠位端部のステアリングにどのように作用するかを検出するのに有用となり得る。別の実施例として、コンピュータデバイス1737xは、自動管腔追従モード(すなわちコンピュータビジョンアルゴリズムを使用した管腔の検出による)を可能にするために、コンピュータビジョンアルゴリズムを使用することができる。この実施例では、たとえば、ユーザ(たとえば医師)がシステム2400z/9300zの挿入軸に指令することができ、システム2400z/9300zは指令された経路に従って自動的に関節運動することができる。別の実施例では、システム2400z/9300zは、ユーザに、最適管腔追従のために内側剛性付与デバイス2410/9310をどこに駆動するべきかを示唆する視覚ガイドを与えることができる。この実施例では、医師がカメラを向けるための標的として内視鏡映像上に視覚ガイドを描画することができる。別の実施例では、システム2400z/9300zは、所望の場合には医師がガイドを「突破する」(すなわち無視する)ことができるようにもしながら、内側剛性付与デバイス2410/9310のための駆動指令を最適軌道に向かってバイアスさせるステアリングガイド(たとえばポテンシャル場)をユーザに提供することができる。
【0125】
[000144]実施例によっては、システム2400z/9300zは、診断モードになるように構成可能である。たとえば、診断モードでは、内側剛性付与デバイス2410/9310を部分的にまたは完全に外側剛性付与デバイス2400/9310内に引き込むことができる(および/または外側剛性付与デバイス2400/9300をその上で部分的に移動させることができる)。内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルが破損していると疑われる場合、ステアリングケーブルとそのそれぞれのアクチュエータの診断テストを行うことができる。たとえば、内側剛性付与デバイス2410/9310のステアリングケーブルを制御するモータを、内側剛性付与デバイス2410/9310の遠位屈曲部が剛性化した外側デバイス2400/9300の内部を圧迫するように作動させることができる。この操作中に、ステアリングケーブルの張力の対応する上昇が見られるはずである。張力の上昇がない場合、その個別ステアリングケーブルが破損している可能性があると判定することができる。
【0126】
[000145]
図18Aを参照すると、実施例によっては、システム2400z/9300zが(たとえば取り外しのため、または整復操作のため)完全に軟性形態で引き抜かれるときに、システム2400z/9300zが患者の身体1846xの外部でたるむ場合がある。このたるみを補償するために、身体の外部でシステム2400z/9300zを支持するために支持デバイスおよび/または座屈防止デバイスを使用することができる。他の実施例では、
図18Bを参照すると、たるみを補償するために、システム2400z/9300zは、それを通してシステム2400z/9300zが操作される身体管腔への入口点(たとえば口または肛門)において複数の駆動ホイール1847xまたはその他の把持機構を含むことができる。駆動ホイール1847xは、システム2400z/9300zが引き抜かれるときにシステム2400z/9300zの張力を維持することができ、それによってシステム2400z/9300zの身体1846xの外部にある部分を身体1846xから近位終端点(たとえばカセット1837)まで比較的まっすぐに、自己支持するように維持することができる。他の実施例では、システム2400z/9300zは、システム9400zを完全に軟性形態に遷移させないことによって、身体外部のシステム2400zを支持するための座屈防止デバイスおよび/またはその他の機構なしに使用することができる。すなわち、システム2400zは、少なくとも1つのデバイス2400、2410が常に剛性化しているように使用し、構成することができる(すなわち、デバイス2410、2400が交互に前進させられ、剛性化させられるため)。したがって、システム2400z全体の長さの大部分が使用中に剛性であることができる。その剛性状態のため、システム2400zは、外部座屈防止デバイスおよび/または支持機構なしに、身体の外部で(すなわち挿入時)安定していることができる。
【0127】
[000146]実施例によっては、内側剛性付与デバイス2410/9310が前進しているときは常に、ステアリングケーブルの部分を正確に制御することができる。それに対して、内側剛性付与デバイス2410/2400が後進しているかまたは外側剛性付与デバイス2400が前進している時は常に、ケーブルの張力を正確に制御することができる。
【0128】
[000147]本明細書でステアリングケーブルに関して「張力」(たとえば張力を監視する)と記載されている場合、ケーブルを作動させるための他のメカニズム(たとえば水圧)が考えられることを理解されたい。
【0129】
[000148]実施例によっては、細かいステップ(たとえば2.54cm(1インチ)未満のステップ)を使用して内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとが本明細書に記載のロボットシステムによって前進させられてもよい。細かいステップは、剛性付与デバイスの配置と方向づけのより精密な制御を可能にし得るので有利である。たとえば、ユーザは内側チューブを所望の方向にステアリングしてもよく、内側チューブがアウターチューブのわずかに前方(たとえば1.27cm(1/2インチ)、1.905cm(3/4インチ)、または2.54cm(1インチ)をわずかに下回って)に前進すると、アウターチューブの剛性付与と前進または後退のシーケンスが自動的にトリガされてもよい。実施例によっては、必要であれば現在の細かいステップのシーケンスを無効化することができる。実施例によっては、内側剛性付与デバイスと外側剛性付与デバイスとが、中間ステップ(たとえば2.54cm(1インチ)~7.62cm(3インチ)ステップ)または大きなステップ(たとえば7.62cm(3インチ)超)を使用してロボットシステムによって前進させられてもよい。
【0130】
[000149]本明細書に記載のカセットおよび/またはツールは、使い捨てであってもよく、または再使用可能であってもよく、または限られたサイクル数だけ使用と洗浄が繰り返されてもよい。
【0131】
[000150]本明細書に記載のリニアスライドは、実施例によっては、対応するU字形の管を有するU字形とすることができる。あるいは、リニアスライドは、実施例によっては、対応する円形の管を有する円形とすることができる。
【0132】
[000151]実施例によっては、外側剛性付与デバイスの先端部は、ロボットシステムと共に使用されるツールのエンドエフェクタを見るための1つまたは複数のカメラを含むことができる。これにより、ロボットシステムのコントローラが、制御入力とエフェクタ出力との関係を計算し、それに応じて、歯の経路にかかわりなく(たとえば屈曲時のツール制御ケーブルにかかる抗力にかかわりなく)同じエフェクタ運動を与えるように調整できるようにすることができる。
【0133】
[000152]本明細書に記載の入れ子状システムのための外側剛性付与デバイスは、真空により剛性付与すると称し、内側スコープ剛性付与デバイスは圧力により剛性付与すると称する場合が多いが、その逆も成立し(すなわち外側剛性付与デバイスが圧力により、内側剛性付与デバイスが真空により剛性付与可能である)、および/または両方が同じ剛性付与源(圧力および/または真空)を有することができる。
【0134】
[000153]入れ子状システムの内側要素および外側要素について、統合された剛性付与要素を含むものとして一般的に記述しているが、(たとえば、撮像スコープ要素と剛性付与要素との間で相対的なスライドを可能にするように)剛性付与要素は別々とすることができる。
【0135】
[000154]本明細書に記載の入れ子状システムの剛性付与システムは、組み立てられると内側剛性付与デバイスが外側剛性付与デバイス内で実質的に回転することができないように設計することができる。たとえば、内側剛性付与デバイスの外面は、スパインを形成する長手方向の隆起と溝とを有してもよい。外側剛性付与デバイスの内面は、外側剛性付与デバイスの同じ機構と嵌め合う対応する隆起と溝とを有することができる。
【0136】
[000155]本明細書に記載の入れ子状システムの剛性付与デバイスの一方または両方が、ステアリング可能とすることができる。両方の剛性付与デバイスがステアリング可能である場合、柔軟性があり長手方向に動く剛性付与デバイスの方をステアリングするアルゴリズムを実装してもよい。アルゴリズムは、剛性付与されたデバイスの形状を予測するために柔軟性のある剛性付与デバイスをステアリングすることができ、それによって、移動する柔軟性のある剛性付与デバイスが剛性デバイスをまっすぐに伸ばす傾向を最小限にすることができる。
【0137】
[000156]本明細書に記載の入れ子状システムの一方の剛性付与デバイスが真空を必要とし、他方の剛性付与デバイスが圧力を必要とする場合、一方と他方(外側と内側)のいずれかを動かすことがスイッチを入れることを必要とするユーザ制御を構成することができ、その場合スイッチは、たとえば一方が柔軟性をもたせるために排気されると他方が剛性をもたせるために加圧される第1の状態と、一方が柔軟性をもたせるために排気され、他方が剛性をもたせるために真空引きされる第2の状態との間でトグルする。これは、たとえばフットペダルまたはハンドスイッチであってもよい。
【0138】
[000157]実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムの交替移動を手動で制御することができる。他の実施形態では、交替移動はコンピュータによって、および/または電動式モーションコントロールシステムを使用して自動的に制御することができる。
【0139】
[000158]本明細書に記載の入れ子状システムは、類似した剛性とすることができるので有利である。これにより、入れ子状システムの全体剛性が比較的連続的であるように保証することができる。本明細書に記載の入れ子状システムは、様々な異なる生体構造に収まるように小型とすることができる。たとえば、神経用途の場合、システムの外径は、約0.254cm(0.1インチ)など、0.127cm(0.05インチ)と0.381cm(0.15インチ)の間とすることができる。心臓用途の場合、システムの外径は、約0.508cm(0.2インチ)など、0.254cm(0.1インチ)と0.762cm(0.3インチ)の間とすることができる。胃腸用途の場合、システムの外径は、2.032cm(0.8インチ)など、0.762cm(0.3インチ)と2.54cm(1.0インチ)の間とすることができる。また、本明細書に記載の入れ子状システムは、微小プロファイルであっても高い剛性を維持することができる。たとえば、軟性形態から剛性形態への相対的剛性の変化は、10倍、20倍、30倍およびさらに大きい倍数とすることができる。さらに、本明細書に記載の入れ子状システムは、互いに対して円滑に動くことができるので有利である。
【0140】
[000159]本明細書に記載の入れ子状システムは、任意の経路、または開放空間、複雑な空間もしくは曲がりくねった空間をナビゲートすることができ、一連の自立した複雑な形状を形成することができるので有利である。入れ子状システムは、さらに、形状伝播をもたらすことができ、それにより1つの要素から別の要素に形状記憶を伝えることを可能にするので有利である。実施例によっては、たとえばシステムの半径または曲率が増大し、周囲の生体構造がシステムに支持を与えるように、周期的に両方のチューブを部分的にまたは完全に柔軟状態にすることができる。チューブを部分的に、または完全に柔軟状態にするように、チューブに剛性を与えるために使用される圧力または真空を低減または停止することができる。この一時の弛緩(たとえば1~10秒)により、システムが、システムが通過している生体構造とより密接に合致する形状を見つけることができるようにしてもよい。たとえば、結腸では、この弛緩により生体構造における急カーブを緩やかに開くことができる。
【0141】
[000160]実施例によっては、内側または外側剛性付与デバイスの剛性機能は、先端部で内側剛性付与デバイスによって形成される急カーブが、外側剛性付与デバイスによってコピーされると、その形状が外側チューブを通って近位に伝播するにつれて徐々に開かれる(より大きな半径を有するようにする)ように設計されてもよい。たとえば、外側剛性付与デバイスは、剛性付与されると最小曲率半径が大きくなるように設計されてもよい。
【0142】
[000161]入れ子状システムは連続的であり(すなわち分節がない)、したがって身体(たとえば腸)を通る円滑で連続的な移動をもたらす。入れ子状システムは使い捨てで、低コストとすることができる。
【0143】
[000162]実施例によっては、外側剛性付与デバイスは(たとえば、参照により全体が本明細書に組み込まれるPCT/US18/42946に記載されているような)動的に剛性付与するオーバーチューブとすることができる。実施形態によっては、内側剛性付与デバイスは、剛性付与システムまたは市販のスコープ、たとえば5mm径の鼻腔鏡とすることができる。剛性付与および入れ子状システムを使用することで、十二指腸内視鏡と比較して、必要ならより高い柔軟性、必要ならより高い剛性、強化された操作性、および、はるかに小さい曲率半径で関節運動する能力を示す、より小型のスコープの使用を可能にする。
【0144】
[000163]実施例によっては、目的部位に達すると、入れ子状システムの内側剛性付与デバイスを引き抜くことができる。外側剛性付与デバイスは剛性付与された状態を維持することができ、蛍光透視撮像のために内部要素の空間を通して造影剤を注入することができる。
【0145】
[000164]入れ子状システムがとるどのような形状の3D表現でも提供するように、本明細書に記載の入れ子状システムのいずれにおいてもRFコイルを使用することができる。その表現は、(たとえば自動大腸内視鏡検査後の医師による見直しのために)形状を再現するため、または所与の点まで戻るために使用することができる。
【0146】
[000165]実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムは、ワーキングチャネル、加圧管路、真空管路、先端洗浄、および照明と撮像(視覚システム、超音波、X線、MRI)のための電子部品のペイロードを担持する内部構造体を備えた、完全内視鏡として有用となり得る。
【0147】
[000166]本明細書に記載の入れ子状システムは、たとえば大腸内視鏡検査のために使用可能である。そのような大腸内視鏡検査用入れ子状システムは、ループを低減またはなくすことができる。このシステムは内視鏡的整復術の必要をなくすことも可能である。ループがないので、処置はS状結腸鏡検査の速度および低コストと大腸内視鏡検査の有効性とを兼ね備えることができる。さらに、大腸内視鏡検査用入れ子状システムは、意識下鎮静術とそれに付随するコスト、時間、リスクおよび設備要件をなくすことができる。また、本明細書に記載の入れ子状システムを使用することによって、そのような大腸内視鏡検査処置のための処置技術を著しく軽減することができる。また、実施例によっては、本明細書に記載の入れ子状システムは、視覚システムがポリープを探しながら自動的に入れ子状システムを結腸の中央を通して駆動する自動大腸内視鏡検査を実現することができる。そのような自動システムは、鎮静剤も基礎検査のための医師も必要としないことになる一方、必要であればさらなる検査のために医師が経過観察することを可能にするので有利である。
【0148】
[000167]一実施例に関連して本明細書に記載されているいずれの特徴も、別の実施例に関連して本明細書で記載されているいずれの特徴とでも組み合わせることができ、または置き換えることができることを理解されたい。たとえば、本明細書に記載の剛性付与デバイスの様々な層および/または機構は組合せ、代替、および/または他の層に対して相対的に配置変更することができる。
【0149】
[000168]以上の概念および以下で詳述するさらなる概念のあらゆる組合せが(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書で開示されている本発明の主題の一部であることが企図されており、本明細書に記載の利点を実現するために使用可能であることを理解されたい。
【0150】
[000169]本明細書に記載および/または図示されているプロセスパラメータおよびステップのシーケンスは、例示のためにのみ示すものであり、希望通りに変更することができる。たとえば、本明細書に図示および/または記載されているステップは特定の順序で示され、説明されている場合があるが、これらのステップは、必ずしも図示または説明されている順序で行われる必要はない。本明細書に記載および/または図示されている様々な例示の方法は、本明細書に記載または図示されているステップのうちの1つまたは複数のステップを省いてもよく、または開示されているステップに加えて追加のステップを含んでもよい。
【0151】
[000170]本明細書に記載の方法(ユーザインターフェースを含む)のいずれも、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとして実装可能であり、プロセッサ(たとえばコンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)によって実行されるとプロセッサに、表示、ユーザとのやり取り、分析、パラメータ(タイミング、周波数、強度などを含む)の変更、決定、警報などを含むがこれらには限定されないステップのいずれかを制御、実行させる、プロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体として記述される場合がある。たとえば、本明細書に記載の方法のいずれも、少なくとも部分的に、方法のプロセスのための命令のセットを記憶する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を格納するメモリを有する1つまたは複数のプロセッサを含む装置によって実行可能である。
【0152】
[000171]本明細書では様々な実施例が完全機能コンピューティングシステムの文脈で記載および/または図示されているが、これらの例示の実施例のうちの1つまたは複数の実施例が、配布を実際に実施するために使用されるコンピュータ可読媒体の特定の種類にかかわらず、様々な形態のプログラム製品として配布可能である。本明細書で開示されている実施例は、特定のタスクを実行するソフトウェアモジュールを使用して実装されてもよい。これらのソフトウェアモジュールは、コンピュータ可読記憶媒体またはコンピュータシステムに記憶可能なスクリプト、バッチまたはその他の実行ファイルを含み得る。実施例によっては、これらのソフトウェアモジュールは、コンピュータシステムを、本明細書で開示されている例示の実施例のうちの1つまたは複数の実施例を実行するように構成することができる。
【0153】
[000172]本明細書に記載のように、本明細書に記載および/または図示されているコンピューティングデバイスおよびシステムは、本明細書に記載のモジュール内に含まれるものなどのコンピュータ可読命令を実行可能な任意の種類または形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを広く表す。最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスは、それぞれ少なくとも1つのメモリデバイスと少なくとも1つの物理プロセッサとを含むことができる。
【0154】
[000173]本明細書で使用されている「メモリ」または「メモリデバイス」という用語は、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶可能な任意の種類または形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を一般に表す。一実施例では、メモリデバイスは、本明細書に記載のモジュールのうちの1つまたは複数のモジュールを記憶、ロードおよび/または維持することができる。メモリデバイスの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、これらのうちの1つまたは複数の変形または組合せ、あるいは任意のその他の適切な記憶メモリが含まれるが、これらには限定されない。
【0155】
[000174]さらに、本明細書で使用されている「プロセッサ」または「物理プロセッサ」という用語は、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することができる任意の種類または形態のハードウェア実装処理装置を指す。一実施例では、物理プロセッサは、上述のメモリデバイスに記憶されている1つまたは複数のモジュールをアクセスおよび/または変更することができる。物理プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、これらのうちの1つまたは複数の一部、これらのうちの1つまたは複数の変形または組合せ、あるいは任意のその他の適切な物理プロセッサが含まれるが、これらには限定されない。
【0156】
[000175]別々の要素として示されているが、本明細書に記載および/または図示されている方法ステップは、単一のアプリケーションの各部分を表す場合がある。さらに、実施例によっては、これらのステップの1つまたは複数のステップは、コンピューティングデバイスによって実行されるとコンピューティングデバイスに方法ステップなどの1つまたは複数のタスクを行わせることができる1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表すか、または対応する場合がある。
【0157】
[000176]また、本明細書に記載のデバイスのうちの1つまたは複数のデバイスは、データ、物理デバイス、および/または物理デバイスの表現を、1つの形態から別の形態に変換することができる。これに加えて、またはこれに代えて、本明細書に記載のモジュールのうちの1つまたは複数のモジュールは、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/またはその他によりコンピューティングデバイスと対話することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理コンピューティングデバイスの任意のその他の部分を、1つの形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変換することができる。
【0158】
[000177]本明細書で使用されている「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することができる任意の形態のデバイス、搬送波または媒体を一般に指す。コンピュータ可読媒体の例には、搬送波などの伝送型媒体と、磁気記憶媒体(たとえばハードディスクドライブ、テープドライブおよびフロッピィディスク)、光記憶媒体(たとえばコンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)およびBLU-RAYディスク)、電子記憶媒体(たとえばソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)などの非一過性型媒体、およびその他の配布システムが含まれるが、これらには限定されない。
【0159】
[000178]当業者は、本明細書で開示されているいずれのプロセスまたは方法も、多くの点で変更可能であることがわかるであろう。本明細書に記載および/または図示されているプロセスパラメータおよびステップのシーケンスは、例として示すに過ぎず、希望通りに変更可能である。たとえば、本明細書に図示および/または記載されているステップは、特定の順序で図示または説明されているが、これらのステップは必ずしも図示または説明されている順序で実行される必要はない。
【0160】
[000179]本明細書に記載および/または図示されている様々な例示の方法は、本明細書に記載または図示されているステップのうちの1つまたは複数のステップを省いてもよく、または開示されているステップに加えて追加のステップを含んでもよい。また、本明細書で開示されているいずれかの方法のステップを、本明細書で開示されているいずれかの他の方法の任意の1つまたは複数のステップと組み合わせることができる。
【0161】
[000180]本明細書に記載のプロセッサは、本明細書で開示されている任意の方法の1つまたは複数のステップを実行するように構成可能である。これに代えて、またはこれと組み合わせて、プロセッサは、本明細書で開示されている1つまたは複数の方法の1つまたは複数のステップを組み合わせるように構成可能である。
【0162】
[000181]本明細書において機構または要素が別の機構または要素「上」にあると言う場合、それはその別の機構もしくは要素の直接上に存在することができ、または介在機構および/もしくは要素も存在してもよい。それに対して、機構または要素が別の機構または要素の「直接上」にあるという場合、介在する機構または要素は存在しない。また、機構または要素が別の機構または要素に「接続される」、「取り付けられる」または「結合される」と言う場合、それはその別の機構もしくは要素に直接接続、取り付けもしくは結合可能であり、または介在する機構もしくは要素が存在してもよいことを理解されたい。それに対して、機構または要素が別の機構または要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」または「直接結合される」と言う場合、介在する機構または要素は存在しない。一実施例に関して説明、または図示しているが、そのように説明、または図示されている機構および要素は、他の実施例にも適用可能である。また、当業者には、別の機構に「隣接して」配置されている構造体または機構と言う場合、隣接している機構の上に重なるかまたは下にある部分を有し得ることもわかるであろう。
【0163】
[000182]本明細書で使用されている用語は、特定の実施例について説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。たとえば、本明細書で使用されている単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他の解釈を示していない限り、複数形も含むことが意図されている。「含んでいる」および/または「含む」という用語は、本明細書で使用されている場合、記載されている機構、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を規定しているが、1つまたは複数の他の機構、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことを、さらに理解されたい。本明細書で使用されている「および/または」という用語は、関連付けられている列挙事項のうちの1つまたは複数のいずれかまたは全部の組合せを含み、「/」と略される場合がある。
【0164】
[000183]「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図面に示されているような1つの要素または機構の別の要素または機構との関係を説明しやすいように使用されている場合がある。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示されている向きに加えて、使用時または動作時のデバイスの異なる向きも包含することが意図されていることを理解されたい。たとえば、図中のデバイスが逆にされた場合、別の要素または機構の「下」、「下方」であると記載されている要素はその別の要素または機構の「上」の向きになることになる。したがって、「下」という例示の用語は、上と下の両方の向きを包含し得る。デバイスは、他の向き(90°回転またはその他の向き)とされてもよく、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述語はそれに応じて解釈される。同様に、「上方へ」、「下方へ」、「垂直」、「水平」などの用語は、本明細書では、特に別様に示されていない限り、説明のみを目的として使用されている。
【0165】
[000184]本明細書では、様々な機構/要素(ステップを含む)について記述するために「第1」および「第2」という用語が使用されている場合があるが、文脈が別の解釈を示していない限り、これらの機構/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの機構/要素を別の機構/要素から区別するために使用されている場合がある。したがって、以下で説明する第1の機構/要素は、第2の機構/要素と称することも可能であり、同様に、以下で説明する第2の機構/要素は、本発明の教示から逸脱することなく第1の機構/要素と称することも可能である。
【0166】
[000185]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈が他の解釈を要求しない限り、「comprise(含んでいる)」という語および「comprises(含んでいる)」および「comprising(含む)」などの変形は、方法および物(たとえばデバイスおよび方法を含む構成物および装置)において様々な構成要素を一緒に採用することができることを意味する。たとえば、「comprising(含む)」という用語は、任意の記載されている要素またはステップの包含を含意するが、いかなる他の要素またはステップの排除も含意しないものと理解されたい。
【0167】
[000186]一般に、本明細書に記載の装置および方法のいずれも包括的であることを理解すべきであるが、あるいは構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットは排他的である場合があり、様々な構成要素、ステップ、部分構成要素、またはサブステップ「からなること」または、あるいは、それら「から本質的になること」と表現される場合がある。
【0168】
[000187]実施例で使用されているものを含み、別に明示的に規定されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されているすべての数値は、「約」または「ほぼ」という語が明示的に記載されていない場合であっても、この用語が前置されているかのように解釈され得る。「約」または「ほぼ」という語句は、大きさおよび/または位置を説明するときに、記載されている値および/または位置が、値および/または位置の妥当な期待範囲内にあることを示すために使用されていることがある。たとえば、数値は、記載されている値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載されている値(または値の範囲)の+/-1%、記載されている値(または値の範囲)の+/-2%、記載されている値(または値の範囲)の+/-5%、記載されている値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有し得る。本明細書で示されているいずれの数値も、文脈が他の解釈を示さない限り、「約」または「おおよそ」その値を含むものとも理解されるべきである。たとえば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載のいずれの数値範囲もその範囲に含まれるすべての部分範囲を含めることが意図されている。また、値が開示されている場合、当業者にはしかるべく理解されるように、その値「以下」、「その値以上」、および値の間の考えられる範囲も開示されていると解釈される。たとえば、値「X」が開示されている場合、「X以下」および「X以上」(たとえば、ここでXは数値である)であることも開示されている。本出願全体を通じてデータがいくつかの異なる形態で示されていることと、このデータが終点と始点、およびデータ点の任意の組合せの範囲を表すことも理解されたい。たとえば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点「15」とが開示されている場合、10と15の間のほかに、10および15を超えること、それ以上であること、それ未満であること、それ以下であること、およびそれに等しいことも開示されているとみなされるものと理解されたい。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されているものと理解されたい。たとえば、10と15が開示されている場合、11、12、13および14も開示されている。
【0169】
[000188]上記では様々な例示の実施形態が開示されているが、特許請求の範囲によって説明されている本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更のうちのいずれも加えることができる。たとえば、記載されている様々な方法ステップが実行される順序は、代替実施形態では多くの場合、変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全に省かれてもよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態の任意による機能は、ある実施形態には含まれ、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、以上の説明は、主として例示を目的として示されており、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0170】
[000189]本明細書に含まれる実施例と例示は、本主題を実施することができる具体的な実施形態を例として示すものであり、限定的ではない。前述のように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的置換および変更を加えることができるように他の実施形態も使用可能であり、それらから導き出すことができる。本発明の主題のそのような実施形態を、本明細書では、単に便宜上、実際に複数の発明または発明概念が開示されている場合に本出願の範囲を自発的にいかなる単一の発明または発明概念に限定することも意図せずに、個別にまたは総称して「発明」という用語で呼ぶ場合がある。したがって、本明細書では特定の実施形態を図示し、説明したが、同じ目的を達成することを意図した任意の構成を、示されている特定の実施形態の代わりに用いてもよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる改変または変形を対象として含むことが意図されている。当業者には、上記の説明を検討すれば上記の実施形態の組合せおよび本明細書に具体的に記載されていないその他の実施形態も明らかであろう。
【国際調査報告】