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特表2024-512400BOGを再液化するための方法および装置
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  • 特表-BOGを再液化するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】BOGを再液化するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20240312BHJP
   C07C 9/06 20060101ALI20240312BHJP
   C07C 7/09 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F25J1/00 B
C07C9/06
C07C7/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555361
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022056317
(87)【国際公開番号】W WO2022189619
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021105999.2
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508161827
【氏名又は名称】テーゲーエー、マリン、ガス、エンジニヤリング、ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン-クーン,ハンス-クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4D047
4H006
【Fターム(参考)】
4D047AA09
4D047AB08
4D047BA03
4D047BA09
4D047CA04
4D047CA08
4D047CA16
4D047DA17
4D047EA03
4H006AA02
4H006AA04
4H006AB84
4H006AD18
4H006BC11
(57)【要約】
本発明は、揮発性成分を含むボイルオフガス(BOG)を再液化する方法に関し、この方法は以下の工程を含む。a)BOG流を圧縮する工程であって、BOG流は、最終圧力を有する最終圧縮BOG流として最終圧縮段階を出る。b)最終的に圧縮されたBOG流を凝縮して、少なくとも部分的に凝縮され、最終的に圧縮された流体流を得る工程。c)流体流入口および流体流出口を有する流体容器を提供する工程であって、流体流出口の位置は、所定の流体収容容積よりも上になるように選択される。d)工程b)からの流体流を流体流入口を通して流体容器に供給する工程。e)液体容器の液面設定点を、流体流出口の上端のレベル、またはそれより所定の量だけ上になるように設定する工程。f)最終圧縮段階の上限の最終圧力制限を設定する工程。g)流体容器内の液面を測定する工程。h)最終圧力を測定する工程。i)流体流出口を介して流体容器から流体流を排出する工程。j)流体流の気体成分を凝縮するために、工程i)からの流体流を、最終圧力よりも低い圧力で流体流の飽和温度に等しい温度まで冷却する工程。k)測定された液面が少なくとも液面設定値に等しいとき、および/または測定された最終圧力が最終圧力制限に等しいときに、冷却された流体流を移送する工程。本発明はまた、その方法を実行するための装置にも関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性成分を含むボイルオフガス(BOG)を再液化する方法であって、
a)BOG流(9)を圧縮する工程であって、BOG流(9)は、最終圧力を有する最終的に圧縮されたBOG流(9)として最終圧縮段階(10)を出る工程と、
b)前記最終的に圧縮されたBOG流(9)を凝縮して、少なくとも部分的に凝縮され、最終的に圧縮された流体流(9a)を得る工程と、
c)流体流入口(15)および流体流出口(17)を有する流体容器(4)を提供する工程であって、前記流体流出口(17)の位置は、所定の流体収容容積(18)よりも上になるように選択される工程と、
d)前記工程b)からの前記流体流(9a)を前記流体流入口(15)を通して前記流体容器(4)に供給する工程と、
e)液面設定点(23)が前記流体流出口(17)の上端のレベル、またはその上の所定の距離にあるように、前記流体容器(4)の液面設定点(23)を設定する工程と、
f)前記最終圧縮段階(10)について上限の最終圧力制限を設定する工程と、
g)前記流体容器(4)内の液面を測定する工程と、
h)前記最終圧力を測定する工程と、
i)前記流体流(9a)を前記流体容器(4)から前記流体流出口(17)を通して排出する工程と、
j)前記流体流(9a)の気体成分を凝縮するために、前記工程i)からの前記流体流(9a)を前記最終圧力よりも低い圧力で流体流(9a)の飽和温度に等しい温度まで冷却する工程と、
k)測定された液面が少なくとも前記液面設定値(23)に等しいとき、および/または、測定された前記最終圧力が前記最終圧力制限に等しいときに、冷却された前記流体流(9b)を移送する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記工程j)は、
j1)冷媒(32)が熱交換器(29)を流れる冷媒回路(35)を設ける工程と、
j2)前記工程i)からの流体流(9a)を前記熱交換器(29)に供給する工程とを含み、
前記工程k)は、
冷却された流体流(9b)を熱交換器(29)から排出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程j1)は、液体冷媒(32)が熱交換器(29)を通って流れる冷媒回路(35)を設ける工程を含み、
前記工程j1)はさらに、冷媒貯蔵タンク(39)内に冷媒(32)を貯蔵することをさらに含み、前記冷媒貯蔵タンク(39)の下部領域(40)の冷媒(32)は液化相にあり、上部領域(41)は気相にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程j1)は、前記熱交換器(29)とは構造的に分離された冷媒貯蔵タンク(39)に冷媒(32)を貯蔵することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記工程j1)は、前記冷媒貯蔵タンク(39)を熱交換器(29)に組み込むことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)において前記BOG流(9)が少なくとも2つの圧縮段階(48,10)で圧縮され、
前記工程j1)は、
j1.1)供給ライン(37)によって液体流を冷媒(32)として流体容器(4)から冷媒回路(35)に供給する工程と、
j1.2)前記供給ライン(37)に供給弁(46)を配置し、供給のために供給弁(46)を開き、さもなければ供給弁(46)を閉じたままにする工程と、
j1.3)蒸発した冷媒を前記BOG流(9)に供給し、前記冷媒回路(35)内の圧力を供給点(51)の中間圧力に等しく、従って前記最終圧力より低く設定するために、前記冷媒貯蔵タンク(39)の気相領域(41)と、第1圧縮段階(48)と最終圧縮段階(10)の間のBOG流(9)との間に流れ接続(50)を確立する工程とを含む、
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程j1.1)においては、前記液体流が前記流体容器(4)の底部から除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記冷媒貯蔵タンク(39)からの液体の前記冷媒(32)の排出点(42)が、前記熱交換器(20)への前記冷媒(32)の前記入口(30)の上方に配置される、請求項4、または、請求項4と請求項6または請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
冷却のために前記工程j)において沸騰冷却システムが使用される、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程b)における凝縮は、海水(28)によって行われる、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法を実行するための装置であって、
圧縮機(2)と、凝縮機(3)と、流体容器(4)と、圧力センサ(27)と、冷却装置(5)と、アクチュエータ(6)とを備え、
前記圧縮機(2)は、
BOG流のための入口(8)を有し、
前記圧縮機(2)の前記最終圧縮段階(10)は、前記BOG流(9)を最終圧力まで最終的に圧縮し、最終的に圧縮された前記BOG流(9)のためのBOG流出口(11)を有し、
前記凝縮機(3)は、
前記最終圧縮段階(10)の前記BOG流出口(11)と流体接続(13)するBOG流入口(12)を有し、
前記最終的に圧縮されたBOG流(9)を少なくとも部分的に凝縮して流体流(9a)にするように構成されており、
流体流出口(14)を有し、
前記流体容器(4)は、
前記凝縮機(3)の流体流出口(14)と流れ接続(16)である流体流入口(15)と、
予め規定された前記流体収容容積(18)よりも上に流体流出口(17)と、
前記流体容器(4)内の液面を測定するためのレベルセンサ(24)とを有し、
前記圧力センサ(27)は、最終圧力を測定するための圧力センサ(27)であり、
前記冷却装置(5)は、
前記流体容器(4)の前記流体流出口(17)とと流れ接続(20)である流体流入口(19)を有し、
冷却された流体流(9b)のための流体流出口(25)を有し、
前記冷却装置(5)は、前記流体流(9a)の気体成分を凝縮するために、前記最終圧力よりも低い圧力で前記流体流(9a)の飽和温度に等しい温度まで前記流体流(9a)を冷却するように構成されており、
前記アクチュエータ(6)は、
前記冷却装置(5)の前記流体流出口(25)と流体接続(26)しており、
測定された液面が少なくとも前記液面設定値(23)に等しい場合、および/または、測定された前記最終圧力が事前に定義された最終圧力制限に等しい場合に、冷却された流体流を移送するために開放位置されることができ、そうでない場合には、冷却された前記流体流(9b)を一時停止する閉位置にされることができる、装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、弁(6)である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記冷却装置(5)は、冷媒(32)が熱交換器(29)を通って流れる冷媒回路(35)を有し、前記熱交換器(29)は、前記流体容器(4)の前記流体流出口(17)と流体接続(20)した流体流入口(33)と、前記冷却装置の前記流体流出口(25)を形成する流体流出口(34)を有する、請求項11または請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記熱交換器(29)を流れる前記冷媒(32)は液体であり、前記冷媒回路(35)は冷媒貯蔵タンク(39)を有し、前記冷媒(32)は前記冷媒貯蔵タンク(39)の下部領域(40)においては液化相にあり、上部領域(41)においては気相にある、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記冷媒貯蔵タンク(39)と前記熱交換器(29)とが構造的に分離されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記冷媒貯蔵タンク(39)は、前記熱交換器(29)に組み込まれている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記圧縮機(2)は少なくとも2段圧縮機であり、第1の圧縮段階(48)はBOG流(9)用の入口(8)を有し、
前記冷却装置(5)はさらに、
液体冷媒(32)のための前記冷媒回路(35)の入口を液体流のための前記流体容器(4)の出口(36)に接続する供給ライン(37)と、
前記供給ライン(37)に配置され、前記液体流を供給するために開位置にすることができ、そうでない場合は閉位置にすることができる供給弁(46)と、
蒸発した冷媒を前記BOG流(9)に供給し、前記冷媒回路(35)内の圧力を前記供給点(51)の前記中間圧力に等しく、従って前記最終圧力より低く設定するために、前記冷媒貯蔵タンク(39)の前記気相領域(41)と、前記第1圧縮段(48)と前記最終圧縮段階(10)の間の前記BOG流(9)との間の流れ接続を確立するための導管(50)とを備える、請求項14から請求項16までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
液体流(32)のための前記流体容器(4)の前記出口(36)は、前記流体容器(4)の底部に具体化されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記冷媒貯蔵タンク(39)からの前記液体冷媒(32)の前記出口(42)は、前記熱交換器(29)に流入する前記冷媒(32)の入口(30)より上に配置されている、請求項15、または、請求項15および請求項17または請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記冷却装置(5)は沸騰冷却システムである、請求項11から請求項19までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記凝縮機(3)の前記冷媒は海水(28)である、請求項11から請求項20までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
請求項11から請求項21までのいずれか1項に記載の装置を有する容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(特に)エタンなどの揮発性成分を含むBOG(ボイルオフガス)を再液化する方法、およびその方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BOGは蒸発した液化ガスである。液化ガス、つまりBOGは一般に、蒸発点が通常互いに異なる成分を含む物質の混合物である。BOGは、液化ガスが陸地で貯蔵されるか、例えば自家消費用の燃料として船舶で輸送または運ばれる液化ガスタンク(以下、単にタンクともいう)および/または液化ガスが流れるパイプラインに流入する不可避の熱侵入によって生成される。最近、液化ガスから揮発性成分の割合が増加して検出されることが増えている。例えば、タンク液体中のエタン含有量が5mol%~8mol%の範囲に増加したLPG貨物(商業用プロパンなど)が現在では一般的になっている。その結果、長年知られていた輸送中の再液化プロセスでは、増加した割合の揮発性成分を凝縮させることができなくなった。非凝縮性留分が発生する。
【0003】
BOGの再液化は、環境とコスト効率の理由から、特に通常の運転中の炭化水素気体の排出と貨物の損失を減らすために望ましい。
【0004】
貨物気体中の非凝縮性留分の問題は、再液化プロセスの操作において長い間知られていた。市場ではいくつかの解決策が確立されている。
【0005】
-効果的な解決策の1つは、非凝縮性物質の量が少ない場合(例えば、タンクのパージからの残留窒素など)、初期運転期間中に大気への排気を行うことである。この解決策は、非凝縮性成分が貨物の通常の成分であり、排出される気体の量が多すぎる場合には使用できない。
【0006】
-残留気体凝縮機は、凝縮機上の自動または手動操作の通気弁を介して凝縮機から非凝縮性気体留分が供給される熱交換器である。この熱交換器は、圧縮機の最終圧力のほぼ下の混合気体をタンクの飽和温度に近い温度レベルまで冷却する。高沸点炭化水素の大部分はこの方法で凝縮され、結果として生じる少量の残りのBOGは非凝縮性気体で富化される。これは貨物ロスを減らすための有効な手段である。このプロセスで使用される冷却媒体は通常、貯蔵圧力での液化による凝縮液であるため、このプロセスではタンクを冷却するために利用できる冷却能力が大幅に減少する。低濃度の揮発性貨物成分に適用でき、製品切り替え時の貨物回収にも使用できる。
【0007】
-カスケード冷却も使用される。多くの船舶、特に半冷凍船舶は、エタン/エチレンを純粋な貨物として輸送するように設計されている。これは、最低-40℃の凝縮温度レベルを提供する冷媒システムを備えた冷却カスケードで行われる。これは、2段階圧縮によって達成可能な圧力レベルであらゆるタイプの市販LPGを処理するのにも適している。この方法の欠点は、追加のカスケードシステムに必要な機械や装置の複雑さとコストである。
【0008】
-近年、国際公開第WO2012/143699A1号で知られるような排気クーラーの開発が見られる。ここでは海水を冷媒として使用して、貨物凝縮機内での2段階再液化プロセスによって再液化が行われる。国際公開第WO2012/143699A1号パンフレットに記載されている開発は、基本的に残留気体凝縮機と同様である。技術的な利点は、温度レベルがタンク圧力ではなく、2つの圧縮段階間の中間圧力に関連付けられていることである。通常、貨物を凝縮するにはこれで十分である。同時に、システムの冷却能力は、残留気体凝縮機と比較してそれほど大きく低下しない。
【0009】
-DE10 2013 101 414A1では、タンクの液体をエコノマイザーに供給することが提案されている。このアプローチは、タンクの液体は蒸気(BOG)よりも揮発性成分の濃度が大幅に低いという事実を利用する。液化装置からの凝縮液の代わりにタンク液体をエコノマイザーに装填すると、エコノマイザーから第2圧縮段階へのBOG流中の揮発性成分の濃度が低下し、その結果、二段圧縮機システムを温水条件下でも運転できるようになる。欠点は、注入のためにタンクの液体を加圧する必要があるため、追加の機器が必要となり、プロセスがより複雑になることである。
【発明の概要】
【0010】
しかしながら、従来技術から知られているこれらの2段階再液化プロセスであっても、揮発性成分、例えばエタンの割合が高い貨物を取り扱うことは困難である。エタンはより揮発性の高い成分であり、BOG中のエタンの濃度は、以下ではバルク液体とも呼ばれる液化ガスの液相中の濃度よりもはるかに高くなる。
【0011】
-3段圧縮機の使用も従来技術から知られている。3段圧縮機を使用することにより、吐出圧力における凝縮温度を、世界貿易条件下で、さらには暖かい海水でも容易に達成できるレベルまで上げることができる。この明らかなアプローチの欠点は、より高度な機器への投資コストが高いことである。
【0012】
バルク液体中のエタン含有量2.5%、5%、および8%は、LPGシステムが設計される標準貨物仕様である。大型のLPGシステムの場合は、通常、タンク動作圧力が0~0.4barg(0kPag~40.53kPag)のIMOタイプAタンクが適切である。上記で特定したエタン含有量から得られるBOG組成物は、所定の温度レベルでの凝縮圧力の増加を必要とする。上で述べたように、二段往復圧縮機と海水の使用は、LPG再液化における最先端技術である。世界中で使用できるように、32℃の海水が考慮されている。しかし、多くの港や主要な貿易地域の気温はそれよりも暖かい傾向がある。
【0013】
標準的な圧縮機構成の場合、バルク液体中の約3.5%を超えるエタン濃度を処理することが、すべての周囲条件で常に実現可能であるとは限らないことは明らかである。このような場合、標準的なアプローチは、LPG凝縮機に排気弁を取り付けて、利用可能な圧力と温度の組み合わせでは凝縮できない気体の一部を吹き飛ばすことである。
【0014】
典型的な状況を次の数値例に示す。
【0015】
5%エタン貨物のエタンのBOG濃度は、完全に冷却されたタンク(1bar a(100kPa)で)で約26%である。温度36℃では、この混合物は最大吐出圧力21bar a(2. MPa)の2段圧縮機で簡単に管理できる。
【0016】
凝縮温度40℃(暖かい海水または熱交換器の汚れの結果)では、約3mol%のBOGが蒸気相に残る。この量は、タンク液体の組成のわずかな変化に非常に敏感に反応する。たとえば、エタン含有量がわずか5.5%に増加すると、後者の量は14%に増加する。
【0017】
通常の運転では、この気体は大気中に放出され、温室効果ガスの望ましくない放出だけでなく貨物の損失を意味するか、蒸気としてタンクに戻され、結果として利用可能な冷却能力が大幅に減少する。
【0018】
対照的に、本発明の目的は、より高い割合の揮発性成分を有するBOGも再液化することができ、費用効率の高い方法および装置を提案することである。
【0019】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の方法および請求項11に記載の装置によって達成される。
【0020】
本発明による手段により、揮発性成分を多く含むBOGを比較的少ない労力と費用で再液化することができる。
【0021】
本発明は、部分的に凝縮した流体を受け入れるための流体容器に対して液面設定値が事前に定義されており、最大の最終圧力、つまり最終圧力制限が最終圧力に対して事前に定義されており、流体容器の下流にある冷却装置からの流体の排出が、最終圧力の関数として事前に定義された温度で流体が冷却され、液面レベルの設定値に達するか超えた場合にのみ、または最終圧力制限に達した場合にのみ行われる場合、部分的に凝縮した流体中の液相部分を簡単な方法で増加できるという認識に基づいている。
【0022】
最終圧縮段階の最大最終圧力制限を事前に定義することにより、BOGに揮発性成分が含まれている場合(例えばエタンの割合が高い場合)、または凝縮温度が高い場合(例えば温水または凝縮機の汚れが原因)、その後の凝縮機内にあるすべての揮発性成分が完全に凝縮するのに必要な最終圧力までBOGが圧縮されず、したがって、最終圧縮圧力をさらに増加する必要があることが認められる。これにより、部分的に凝縮した流体の気相部分が増加し、流体容器内の液面が低下する状況が生じる。液面設定値が設定されており、流体容器の流体流出口の上端がこの液面設定値のレベル、またはその液面設定値よりも所定量下にあるため、液面が流体流出口の上端より下に落ちるまで液体流体のみが冷却装置に流れる。さらに、液面の測定により、アクチュエータは液面が液面設定値を下回るまで冷却された流体流のみを移送するため、最終圧力制限に達するまでアクチュエータによって液体のみが移送されることが保証される。
【0023】
アクチュエータが閉じると、流体流が逆流し、冷却装置内の流体がさらに冷却される。この逆流により、流体容器内の液面は再び上昇し始める。BOG流の気相留分が増加し続けると、最終圧力も増加する。最終圧力が増加するにつれて、凝縮温度も上昇する。つまり、より低温でない冷媒を使用すると、負の温度範囲での凝縮が達成される。したがって、適切に指定された最終圧力制限に達すると、冷却装置内の比較的「温かい」冷媒を使用して流体の気相を完全に凝縮するか、少なくとも流体の揮発性成分の大部分を完全に凝縮させることができる。したがって、流体容器内で液面設定値に再度到達していない場合でも、最終圧力制限に達するとアクチュエータが再び開き、完全または少なくとも広範な凝縮により、完全にまたは大部分が液体の流体流が冷却装置から排出される。
【0024】
BOG内の揮発性留分が再び減少すると、部分凝縮流体内の気相留分も減少し、流体容器内の液面が再び上昇し、最終圧縮圧力が再び低下する。最終圧縮圧力が最終圧力制限を下回ると、アクチュエータは閉じられ、液面が再び液面設定値に達するまで閉じたままになる。したがって、かなりの気相留分を含む流体が冷却装置から移送されるのが防止される。アクチュエータは、液面が液面設定値に達するかそれを超えるまで再び開かない。アクチュエータは連続制御ループ内で開くことができる。
【0025】
したがって、本発明による手段により、揮発性成分を含むBOGであっても、ほとんど費用と労力を費やすことなく再液化することが可能になる。
【0026】
アクチュエータは弁であることが好ましい。冷却装置内で冷却された流体流の移動は、弁を使用してコスト効率よく制御できる。弁は冷却装置の一部であってもよく、その流体流出口に直接配置されてもよい。しかしながら、弁は、熱交換器の流体流出口と流体接続された流体流排出ライン内に配置されてもよい。弁が、冷却された流体流が供給される液化ガスタンクまたは機器の一部であることも考えられる。
【0027】
アクチュエータが、例えば速度制御され、速度ゼロで冷却された流体流を一時停止する、すなわち停止する容積搬送装置、例えばタービンであることも考えられる。
【0028】
工程j)では、冷却は、冷媒が熱交換器を通って流れ、工程i)からの流体流が熱交換器に供給され、冷却された流体流が熱交換器から排出される冷媒回路によって実行されることが好ましい。このようにして、流体流をコスト効率よく冷却することができる。
【0029】
液体冷媒は熱交換器を有利に流れ、冷媒は冷媒貯蔵タンクに貯蔵され、冷媒貯蔵タンクの下部領域の冷媒は液化相にあり、上部領域の冷媒は気相にある。液体冷媒により良好な熱伝達が確保され、冷媒貯蔵タンクにより熱交換器に常に十分な冷媒が供給されることが確実にされる。
【0030】
冷媒貯蔵タンクと熱交換器を別構造とすることができるため、空間配置の自由度が高く、メンテナンスや修理が容易になる。
【0031】
あるいは、冷媒貯蔵タンクを熱交換器に組み込んで一体化することもできる。これにより、コンパクトで省スペースな設計が可能になる。また、接続パイプラインを敷設する必要がないため、コストが削減され、パイプラインを介した熱の侵入も防止される。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、方法は請求項6の特徴を備え、装置は請求項17の特徴を備える。ここでは、BOGを2段階のプロセスで圧縮し、再液化したBOGを冷媒として使用する。一方では、冷却装置が初段圧縮段と最終圧縮段との間のBOG流に接続されており、供給ラインに配置されている再液化BOGを冷媒回路に供給するためにのみ開く供給弁が配置されているため、一方、冷媒回路内の圧力レベルは、初段圧縮段と最終圧縮段との接続部における中間圧力レベルに等しい。したがって、最終圧縮圧力が優勢な流体容器から冷媒回路に入る再液化BOGは、入って冷却されるにつれて膨張する。最終圧縮圧力が最終圧力制限に達すると、流体容器から熱交換器に入る気体状流体は特に高い圧力下にあり、圧力降下、ひいては冷媒回路に入る再液化BOGの温度降下が特に大きくなる。その結果、熱交換器内の気体状BOGは完全に、または少なくともほぼ完全に凝縮される。
【0033】
これは、冷媒回路に冷媒として供給される液体流がその底部の流体容器から除去される場合に特に有利である。これにより、気体状流体が冷媒回路に入らないことが簡単な方法で保証される。
【0034】
請求項8または19に記載の手段の有利な展開では、冷媒貯蔵タンクからの液体冷媒の排出点は、熱交換器への冷媒の入口の上方に配置される。これにより、重力だけで熱交換器に十分な冷媒が確保される。
【0035】
流体容器から排出される流体流を冷却するための冷却装置は、沸騰冷却システムであることが好ましい。このようにすることにより、冷却に必要な技術的リソースは比較的少なく抑えられる。
【0036】
最終的に圧縮されたBOG流は、海水が特に費用効率が高いため、凝縮機内で海水によって凝縮されることが好ましい。
【0037】
次に、図面を参照して、例として本発明をより詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明による装置の第1の実施形態の流れ図を示す。
【0039】
図2は、本発明による装置の第2の実施形態の流れ図を示す。
【0040】
本発明による装置1の実施形態は、図に示すように、圧縮機2、凝縮機3、流体容器4、冷却装置5、および、流体流排出ライン7に弁の形態で設けられるアクチュエータ6を有する。
【0041】
圧縮機2は、BOG流9用の入口8を有する。この入口8は、液化ガスタンクの気相領域と流れ接続していてもよい。
【0042】
BOG流9は、圧縮機2の最終圧縮段階10で最終圧力まで圧縮される。最終圧力は、BOG流9を構成する物質混合物の組成に依存し、物質混合物およびBOG流9内の揮発性成分の割合に応じて増加する。
【0043】
図1に示す実施形態では二段または多段圧縮機2が示されているが、この実施形態では、圧縮機2は単段圧縮機であってもよい。その場合、単一の圧縮段階は最終圧縮段階10にもなる。
【0044】
最終圧力制限は、アクチュエータ6、すなわち弁を作動させるための最大最終圧力として指定される。
【0045】
最終圧縮段階10は、最終的に圧縮されたBOG流9用の出口11を有し、この出口は凝縮機3のBOG流入口12と流体接続13している。凝縮機3では、最終的に圧縮されたBOG流9は、最終圧力とは独立して予め定められた温度で冷却される。したがって、凝縮機3は、例えば海水によって冷却することができる。
【0046】
したがって、揮発性成分を含むBOG流9の場合、設定された最終圧力制限が、利用可能な凝縮機温度でBOG流のすべての揮発性成分を凝縮するには十分ではなく、その結果、BOG流9が単に部分的に凝縮するだけである可能性がある。
【0047】
以下では、凝縮機3から排出されるBOG流は、液体および/または気体成分を含む可能性があるため、一般に流体流9aと呼ばれる。したがって、関連付けられた出口は流体流出口14と呼ばれる。
【0048】
凝縮機3の流体流出口14は、流体容器4の流体流入口15と流体接続16している。
【0049】
流体容器4は、流体容器4の所定の流体収容容積18の上にあり、冷却装置5の流体流入口19と流体接続20している流体流出口17を有する。
【0050】
流体容器4内では、流体の気相と液相が下部液相領域21と上部気相領域22に分離される。流体容器4の液面設定点23は、流体流出口17の上端のレベル、またはその上の所定の距離に設定される。
【0051】
流体容器4には、液面を測定するためのレベルセンサ24も配置されている。測定信号は弁制御部6aに送られ、この制御部6aにより、冷却装置の下流の流体流排出ライン内の弁6を開位置または閉位置にすることができる。
【0052】
冷却装置5は、前述の流体流入口19と、流体流排出ライン7と流体接続26している流体流出口25とを有する。冷却装置5内の流体流9aは、最終圧力よりも低い温度で流体流9aの飽和温度に等しい温度まで冷却される。
【0053】
圧縮機2の最終圧縮段階10からの排出後、BOG流9(凝縮機3からの排出後は流体流9aと呼ばれる)は最終圧力下にある。この最終圧力は、圧縮機2の最終圧縮段階10からのBOG流9の排出口から冷却装置5の下流の流体流排出ライン7の弁6まで延びる領域の任意の場所に配置された圧力センサ27によって測定される。それは最終的な圧力の下にある。この圧力センサ27は、例えば流体容器4内に配置され得る。測定信号は弁制御部6aに送られ、この制御部6aによって流体流排出ライン7内の弁6を開位置または閉位置にすることができる。開位置では、再液化BOGはさらに何らかの用途に送られ、たとえば液化ガスタンクに供給される。
【0054】
したがって、アクチュエータまたは弁の位置は、次のように、レベルセンサ24だけでなく圧力センサ27からの測定信号によっても制御される。
【0055】
A)開位置
【0056】
流体流排出ライン7のアクチュエータまたは弁6は、次の場合に開位置になる。
a)液面が少なくとも液面定値23に等しい
および/または
b)最終圧力が最終圧力制限に達する。
【0057】
a)の場合
流体容器4の流体流出口17の上端は、液面設定点23のレベル、またはそれよりも所定量下にあるので、液面設定点23に達すると、その液化相21からの流体のみ、すなわち再液化BOGのみが冷却装置5に流入し、流体流排出ライン7にさらに流入する。
【0058】
b)の場合
最終圧力制限に達すると、流体は比較的高い圧力下にあるため、最終圧力制限で流体流の飽和温度よりも低い温度まで冷却すると、流体流9aの気体成分がさらに高レベルで凝縮する。たとえわずかな冷却、例えば1Kだけの冷却があり、冷却装置5から排出される流体流9aがほぼ完全に液体であるか、実際には完全に液体である場合でも同様である。
【0059】
B)閉位置
【0060】
流体流排出ライン7の弁6のアクチュエータは、次の場合に閉位置になる。
液面が液面設定値23を下回り、
そして
最終圧力が最終圧力制限を下回っている。
【0061】
非凝縮BOGの割合が増加すると(例えば、BOG中の揮発性成分の割合が増加したため、または海水冷却凝縮機3内の海水28が暖かくなったために)、流体中の気相留分22が増加し(そして液相部分21が減少し)、最終圧力が増加する。
【0062】
液面が液面設定点23を下回り、さらに流体容器4の流体流排出ポート17の上端よりもさらに下に低下した場合、流体の気相22と液化相21との間の境界は、最初は、流体容器4の流体流排出ポート17の領域にある。この場合、気体と液体の混合物が流体容器4から排出され、冷却装置5に入る。
【0063】
液体流出口17が完全に流体容器4の気相領域22内にある程度まで液面が低下すると、気体状のBOGのみが排出される。
【0064】
冷却装置5の下流側の流体流排出ライン7のアクチュエータまたは弁6が閉じているため、流体が逆流し、その結果、流体容器4内の液面が再び上昇する。これは、凝縮機3を出て流体容器4に入る部分的に凝縮されたBOG流9aは、増加した気相部分を含むが、依然として液相部分も含むためである。
【0065】
上述のように、BOG内の非凝縮成分の割合が増加すると、一方では最終圧力が増加し、他方では流体容器4内の液面が上昇するため、時間が経過するにつれて、上記のA)a)とA)b)の少なくとも1つが達成され、アクチュエータまたは弁6が再び開く。
【0066】
図1は、外部冷却装置5を含む本発明による装置1の実施形態を示す。
【0067】
冷却装置5は、冷媒32の入口30および出口31、ならびにそれぞれ流体流9aおよび9bの入口33および出口34を有する熱交換器29を有する。
【0068】
熱交換器29は外部冷媒回路の一部である。
【0069】
熱交換器29の流体流入口33は流体容器4の流体流出口17と流体接続20しており、熱交換器29の流体流出口34は冷却装置の流体流排出ライン7に接続されている。
【0070】
図2に示す実施形態では、冷媒32として再液化BOGが使用されている。
【0071】
ここでも、冷却装置5は、冷媒32の入口30および出口31、ならびにそれぞれ流体流9aおよび9bの入口33および出口34を有する熱交換器29を含む。熱交換器29は冷媒回路35の一部である。
【0072】
図1に示す実施形態と同様に、熱交換器29の流体流入口33は流体容器4の流体流出口17と流体接続20しており、熱交換器29の流体流出口34は冷却装置の流体流排出ライン7に接続されている。
【0073】
図2に示す実施形態では、流体容器4は、流体容器4の第2の出口を形成し、再液化BOG専用、すなわち液体流専用の底部出口36をさらに含む。
【0074】
底部出口36は、供給ライン37を介して冷媒貯蔵タンク39の冷媒入口38に接続されている。図示の実施形態では、この冷媒入口38は、冷媒貯蔵タンク39の底部に配置されている。
【0075】
冷媒32、すなわち、この目的に使用される再液化BOGは、冷媒回路35内(特に熱交換器29内)で部分的に再び蒸発し、その結果、冷媒32は、冷媒貯蔵タンク39の下部領域40内に液化相で存在し、その上部領域41では気相で存在する。
【0076】
液相領域40において、冷媒貯蔵タンク39は、熱交換器29の冷媒入口30の上にあり、熱交換器29と流体接続43にある冷媒出口42を有する。
【0077】
冷媒貯蔵タンク39には、冷媒32の液化相の充填レベル45を測定するための冷媒レベルセンサ44が配置されている。
【0078】
供給ライン37には供給弁46が配置されている。冷媒レベルセンサ44からの測定信号は、供給弁46を開位置または閉位置にすることができる弁制御部46aに送られる。開位置では、再液化されたBOGが冷媒32として冷媒貯蔵タンク39に供給される。冷媒貯蔵タンク39内の冷媒32の液化相の充填レベル45は、冷媒貯蔵タンク39の冷媒出口42が常に液相領域40にあるように、供給弁46を開閉することによって制御される。これにより、熱交換器29には常に十分な冷媒32が供給されることが保証される。
【0079】
熱交換器29の冷媒出口31は、供給弁46の下流で供給ライン37と流体接続47しており、液体冷媒32が冷媒貯蔵タンク39および熱交換器29を連続して流れる冷媒回路35を形成している。冷媒回路35は沸騰冷却システムのように動作する。
【0080】
図2に示す実施形態では、圧縮機2は二段圧縮機である。第1圧縮段階48は、圧縮されるBOG流9用の入口8を含み、BOG流9を最終圧力よりも低い中間圧力まで圧縮する。第2圧縮段階は最終圧縮段階10であり、中間圧縮されたBOG流を最終圧力まで圧縮し、最終的に圧縮されたBOG流のための出口11を含む。
【0081】
冷媒貯蔵タンク39の気相領域41は、第1圧縮段階48と最終圧縮段階10との間のBOG流と流体接続50する出口49を有する。したがって、蒸発した冷媒、すなわち気体状BOGは、冷媒貯蔵タンク39から第1圧縮段階48と最終圧縮段階10との間のBOG流に供給することができる。第1圧縮段階10と最終圧縮段階10との間の供給点51における中間圧力は、冷媒貯蔵タンク39内にも広がり、したがって冷媒回路35全体にも広がる。供給弁46は、供給ライン37内の最終圧力と中間圧力の間の境界を形成する。
【0082】
供給弁46の上流では、流体流9aおよび最終的に圧縮されたBOG流9は最終圧力下にあり、すなわち最大でも所定の最終圧力制限を下回っている。
【0083】
最終圧力または最終圧力制限にある冷媒32が供給弁46を介して冷媒回路35に供給されると、冷媒32は中間圧力まで膨張し、それに応じて冷却される。
【0084】
流体容器4から熱交換器29に流れる流体流9aは最終圧力制限にある高圧のため、また冷媒回路35内の温度レベルが比較的低いため、流体流9aは中間圧力で流体流9aの飽和温度近くの温度まで冷却され、その結果、流体流9aの気相部分がこの状態で凝縮され、再液化BOGが排他的にまたはほぼ排他的に開いた弁7を通って(最終圧力制限で)流体流排出ライン7に移送され、例えばタンクに排出される。
【0085】
最終圧力が最終圧力制限を下回るとすぐに、この弁6は、流体容器4内の液面設定点23に再び達するまで再び閉じられ、弁6が再び開かれる。
【0086】
BOGを再液化するための本発明による手段を、図2に示す実施形態を参照しながら数値例とともに以下に説明する。数値例では、再液化するBOGはプロパンの液化ガスタンクから排出され、凝縮機3は海水で冷却される。以下に記載されている液体と気体の組成、および個別の工程/装置要素の圧力と温度は、NIST(米国標準技術研究所)のデータを使用したフラッシュ計算に基づいている。
【0087】
a)再液化用BOGを取り出した液化ガスタンク内
液体: プロパン
エタン含有量5mol%
BOG:エタン含有量約26mol%
圧力: 1bar a(100kPa)
【0088】
b)2段圧縮機2内
BOG流:エタン含有量約100% 26mol%
中間圧力:5bar a(500kPa)
最終圧力:21bar a(2.1MPa)
【0089】
圧縮機2から排出される最終的に圧縮されたBOG流9の場合、エタン含有量が約26mol%、圧力21bar a(2.1MPa)で完全に凝縮する温度は約25℃である。
【0090】
c)凝縮機3内
冷媒側:
水温32℃の海水28、
凝縮機3への熱侵入により、凝結温度
したがって、BOG流9は部分的にのみ凝縮される。
【0091】
気体/凝縮液側:
圧力(最終圧力):21bar a(2.1MPa)
流入BOG流9:エタン含有量約100% 26mol%
排出され部分的に凝縮した流体流9a:
(大、約97mol%BOG)液体含有量(凝縮液):エタン含有量約25モル%
(少、約3mol%BOG)非凝縮気体含有量:エタン含有量約45mol%
【0092】
d)流体容器4内
液体含有量(凝縮液):エタン含有量約25mol%
気体含有量:エタン含有量約45mol%
圧力(最終圧力):21bar a(2.1MPa)
【0093】
e)冷却装置5内
冷媒側:
供給弁46の上流の供給ライン37内
凝縮液:エタン含有量約25mol%
圧力(最終圧力):21bar a(2.1MPa)
供給弁46の上流の供給ライン37内、すなわち冷媒回路35内
圧力(中間圧):5bar a(500kPa)(最終圧から中間圧まで膨張)
凝縮液:温度約-6.5℃
エタン含有量約8mol%(温度とエタン含有量の値は、エタンの一部が圧力降下により蒸発するため設定されており、凝縮液中のプロパンの割合は増える。)
【0094】
流体側:
気体成分中:エタン含有量約45mol%
圧力(最終圧力):21bar a(2.1MPa)(気体成分は完全液化)
【0095】
エタン含有量は、流体側の気体成分内で約45mol%、温度約は冷媒側で約-6.5℃、流体側の気体成分の飽和圧力は約10bar a(1MPa)である。流体側の圧力は最終圧力21bar a(2.1MPa)であるので、流体中の気体成分は完全に液化する。
図1
図2
【国際調査報告】