(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】癌処置治療術と併用して腫瘍治療電場を印加するための方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20240312BHJP
A61N 1/32 20060101ALI20240312BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240312BHJP
A61K 51/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240312BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20240312BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240312BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/32
A61K45/00
A61K45/06
A61K51/00 100
A61K31/502
A61K31/5377
A61K33/243
A61K31/7048
A61K31/4745
A61K31/505
A61P35/00
A61P43/00 125
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P15/00
A61P1/18
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P13/08
A61P1/16
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555509
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022020024
(87)【国際公開番号】W WO2022192719
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508152917
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF REGENTS OF THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ストーリー,マイケル,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】カラナム,ナラシムハ,クマール
【テーマコード(参考)】
4C053
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ21
4C053LL00
4C084AA11
4C084AA12
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA751
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4C084ZC711
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
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4C086CB05
4C086CB22
4C086EA11
4C086GA07
4C086GA12
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC71
4C086ZC75
(57)【要約】
ATR阻害剤を腫瘍へ送達するステップ;および腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATR阻害剤を腫瘍へ送達するステップ;および
腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップ
を含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【請求項2】
ATR阻害剤が、シサンドリンB、Nu6027、ダクトリシブ、EPT-46464、VE-821、AZ20、ベルゾセルチブ、トリン-2、セララセルチブ(AZD6738)、テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン、アザベンゾイミダゾール、ガルチセルチブ(M4344またはVX-803)、Bay1895344(エリムセレチブ)、CGK 733、RP-3500、ATR-IN-4、VE-821、AZ20、ETP-46464、またはATR阻害剤1のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
腫瘍が、肺癌細胞、乳癌細胞、膵臓癌細胞、神経膠芽腫細胞、前立腺癌細胞、肝臓癌細胞、卵管癌細胞、腹膜癌細胞、皮膚癌細胞、子宮頚癌細胞、または卵巣癌細胞のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
腫瘍治療電場の強度がおよそ1V/cmからおよそ4V/cmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
腫瘍治療電場の周波数がおよそ100kHZからおよそ500kHZの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
腫瘍治療電場の周波数がおよそ100kHZ、およそ150kHZ、およそ200kHZ、またはおよそ250kHZである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記印加するステップの少なくとも一部分が、前記送達するステップの少なくとも一部分と同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
DNA複製ストレス誘導剤を腫瘍へ送達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
DNA複製ストレス誘導剤が、白金化合物、アルキル化剤、wee1阻害剤、Chk1阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、母性胚性ロイシンジッパーキナーゼ(MELK)阻害剤、またはNEDD8活性化酵素(NAE)阻害剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤が白金化合物である場合には、前記白金化合物がシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ジシコプラチン、またはリポプラチンのうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がアルキル化剤である場合には、前記アルキル化剤がシクロホスファミドまたはテモゾロミドのうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がwee1阻害剤である場合には、前記wee1阻害剤がアダボセルチブ-MK1775またはPD0166285のうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がChk1阻害剤である場合には、前記Chk1阻害剤がUCN-01、LY2606368、SAR-020106、AZD7762、またはPD0166285のうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がチミジル酸シンターゼ阻害剤である場合には、前記チミジル酸シンターゼ阻害剤が5-FUまたはペメトレキセドのうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がリボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤である場合には、前記リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤がゲムシタビンを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がトポイソメラーゼI阻害剤である場合には、前記トポイソメラーゼI阻害剤がイリノテカンまたはトポテカンのうちの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がトポイソメラーゼII阻害剤である場合には、前記トポイソメラーゼII阻害剤がエトポシドまたはドキソルビシンの少なくとも1つを含み、
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がMELK阻害剤である場合には、前記MELK阻害剤がOTS167を含み、および
腫瘍へ送達されるDNA複製ストレス誘導剤がNAE阻害剤である場合には、前記NAE阻害剤がMLN4924を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
追加のDNA複製ストレス誘導剤を腫瘍へ送達するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはPARP阻害剤のうちの少なくとも1つを送達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
E2F阻害剤が腫瘍へ送達され、前記E2F阻害剤がHLM006474である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
CDK4/6阻害剤が腫瘍へ送達され、前記CDK4/6阻害剤がアベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、またはトリラシクリブである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
PARP阻害剤が腫瘍へ送達され、前記PARP阻害剤がオラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ、BYK204165、ニラパリブ(MK-4827)、ニラパリブ(MK-4827)、トシレート、またはイニパリブである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
放射線治療を腫瘍へ送達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
放射線治療が、腫瘍治療電場が印加される前または後に、送達される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのDNA複製ストレス誘導剤を細胞へ送達するステップであって、前記DNA複製ストレス誘導剤がATR阻害剤を含む、ステップ;および
腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で細胞に印加するステップ
を含む、細胞の増殖を防止し/低下させる方法。
【請求項19】
少なくとも2つのDNA複製ストレス誘導剤を腫瘍へ送達するステップであって、前記DNA複製ストレス誘導剤の少なくとも1つがATR阻害剤を含む、ステップ;
放射線治療を腫瘍へ送達するステップ;および
腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップ
を含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【請求項20】
E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤、または白金化合物のうちの少なくとも1つを腫瘍へ送達するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、参照により本明細書に組み入れられている、2021年3月12日に出願された米国仮出願第63/160,692号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(TTフィールド)は、米国特許第7,565,205号に記載されているように、腫瘍を処置するために用いられ得る、中間周波数範囲内の低強度交流電場である。TTフィールドは、トランスデューサーを患者の身体上に直接置き、そしてトランスデューサー間にAC電圧を印加することにより、目的の領域へ非侵襲的に誘導される。AC電圧は、力線が全般的に前後方向に走る電場を発生するように、第1の時間間隔の間、トランスデューサーの第1のペア間に印加される。その後、AC電圧は、力線が全般的に左右方向に走る電場を発生するように、第2の時間間隔の間、トランスデューサーの第2のペア間に同じ周波数で印加される。その後、そのシステムは、処置の間中、この2段階順序を繰り返す。
【0003】
外科的切除術、化学療法、放射線治療、および免疫療法などの、癌処置に利用可能なある程度の選択肢がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、ATR阻害剤を腫瘍へ送達するステップ;および腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法に関する。
【0005】
本発明の一態様は、少なくとも1つのDNA複製ストレス誘導剤を細胞へ送達するステップであって、DNA複製ストレス誘導剤がATR阻害剤を含む、ステップ;および腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で細胞に印加するステップを含む、細胞の増殖を防止し/低下させる方法に関する。
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも2つのDNA複製ストレス誘導剤を腫瘍へ送達するステップであって、DNA複製ストレス誘導剤の少なくとも1つがATR阻害剤を含む、ステップ;放射線治療を腫瘍へ送達するステップ;および腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の例示的な実施形態により、対象において腫瘍を処置するためのアプローチ例を示す図である。
【
図2】対象において腫瘍を処置する方法の例を示す図である。
【
図3】TTフィールド、オラパリブ、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す図である。
【
図4】TTフィールド、AZD6738、放射線、およびそれらの組合せの非小細胞性肺癌細胞(NSCLC)への効果の例を示す図である。
【
図5】TTフィールド、AZD6738、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す図である。
【
図6】TTフィールド、シスプラチン、エトポシド、およびそれらの組合せのNSCLCへの効果の例を示す図である。
【
図7】TTフィールド、イリノテカン、放射線、およびそれらの組合せNSCLCへの効果の例を示す図である。
【
図8】TTフィールド、イリノテカン、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す図である。
【
図9】TTフィールド、5-FU、放射線、およびそれらの組合せNSCLCへの効果の例を示す図である。
【
図10】TTフィールド、5-FU、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す図である。
【
図11】変調させた電場を有するTTフィールドを対象の身体に印加するための装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
対象において腫瘍を処置するための技術が開示される。本開示は、DNA損傷応答の破壊、DNA複製ストレスの増強、およびDNA複製フォーク崩壊を介して、相乗的細胞殺害を誘導し得る腫瘍治療電場(TTフィールド)に関する。
【0009】
本開示TTフィールドは、いくつかある癌の中で特に、単剤療法としての再発性神経膠芽腫(GBM)の処置、テモゾロミドと併用しての診断済みGBMの処置、ならびにペメトレキセドおよび白金に基づいた化学療法と併用しての切除不能な局所的に進行したまたは転移性悪性胸膜中皮腫(MPM)の処置に用いることができる、理学療法である。本開示TTフィールドは、低強度、中間周波数、交流電場であり得、非侵襲的アレイを用いて腫瘍部位に局所領域的に印加することができる。
【0010】
本開示TTフィールドは、有糸分裂の破壊を通して、腫瘍細胞を低減することができる。さらに、本開示TTフィールドは、腫瘍細胞のDNA損傷修復および複製ストレス経路に影響を及ぼすことができる。例えば、本開示TTフィールド処置は、照射(IR)誘導性DNA損傷修復過程を障害することにより、ファンコニー貧血(FA)経路シグナル伝達タンパク質を減少させることができる。新しく複製されるDNAの長さは、TTフィールド曝露時間の関数として遅くすることができ、TTフィールドは、TTフィールドが複製ストレスを誘導したことを示す、Rループ形成を増加させることができる。本開示TTフィールドは、新規な併用療法選択肢において複製ストレスをターゲットして増加させる化学療法剤に対する感受性を増加させることができる。
【0011】
本発明者らによって認識されているように、癌疾患の予後不良および好ましくない治療指数の二重の不安により、患者における全生存率を向上させるための新規な治療介入および併用療法様式の選択肢が希求されている。
【0012】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、対象において腫瘍を処置するための発明的アプローチ例を示す。これらの阻害剤のそれぞれは、複製ストレスを増加させるために、例えば、DNA修復、DNA複製、DNA架橋、DNA複合体、または細胞周期制御をターゲットし得る。例えば、ATR阻害剤は、DNA損傷時の細胞周期チェックポイントを阻害するために腫瘍細胞または組織へ導入され得る。電離放射線(IR)は、DNA鎖を切断するために腫瘍細胞または組織に適用することができる。白金剤は、DNA複製を阻害することができる鎖内架橋を誘導するために、腫瘍細胞または組織へ送達することができる。架橋の修復は、TTフィールドによって下方制御することができる。PARP阻害剤は、複製フォーク維持の阻害のために腫瘍細胞または組織へ適用することができる。トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA複製および染色体凝縮の阻害のために腫瘍細胞または組織へ送達することができる。
【0013】
開示された、化学療法剤を用いる併用療法選択肢は、TTフィールドと併用して、複製ストレスを相乗的に増加させることができる。本開示化学療法剤は、ゲノム不安定性の主因であり得る、複製ストレスをターゲットすることができる。癌細胞は、欠陥のあるDNA損傷応答(DDR)および細胞周期チェックポイントの喪失と共に、低レベル~軽レベルの複製ストレスを保つことにより、無制限の増殖を維持することができる。正常細胞は、DDRおよび細胞周期チェックポイントの協調作用を通してゲノム安定性を維持することができる。DDRの欠陥および軽レベル~低レベルの複製ストレスは、癌細胞に独特であり、したがって、治療的に利用することができる。複製ストレスを利用するために、本開示TTフィールドは、同様にいくつかの重要な段階において複製ストレスを引き起こし得る本開示化学療法剤と併用することができる。
【0014】
図2は、対象において腫瘍を処置する方法の例100を示す。ステップ202において、DNA複製ストレス誘導剤を腫瘍細胞または組織へ送達することができる。DNA複製ストレス誘導剤は、少なくとも1つのDNA誤取り込み/修飾化学療法剤を含むことができる。例として、DNA誤取り込み/修飾化学療法剤は、白金化合物、アルキル化剤、wee1阻害剤、Chk1阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、母性胚性ロイシンジッパーキナーゼ(MELK)阻害剤、NEDD8活性化酵素(NAE)阻害剤、毛細血管拡張性運動失調症Rad3関連タンパク質(ATR)阻害剤、またはそれらの組合せであり得る。
【0015】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、ATR阻害剤であり得る。ATR阻害剤は、シサンドリンB、Nu6027、ダクトリシブ、EPT-46464、VE-821、AZ20、ベルゾセルチブ、トリン-2(Torin-2)、セララセルチブ(AZD6738)、テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン、アザベンゾイミダゾール、ガルチセルチブ(Gartisertib)(M4344またはVX-803)、Bay1895344(エリムセレチブ)、CGK 733、RP-3500、ATR-IN-4、VE-821、AZ20、ETP-46464、またはATR阻害剤1のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0016】
非限定的実施形態において、ATR阻害剤は、AZD6738を含み得る。AZD6738は、複製チェックポイントについての必須キナーゼであり得るATRの阻害剤であり、複製ストレスからゲノム完全性を保護することにおいて重要な役割を果たす。一例において、およそ1μMからおよそ50μMの間の量でのセララセルチブ(AZD6738)が、腫瘍細胞、組織、または対象に送達することができる。非限定的実施形態において、およそ40mgからおよそ240mgの間の量でのセララセルチブ(AZD6738)を、およそ1日間~およそ21日間、1日1回、対象に送達することができる。
【0017】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、TTフィールド有りまたは無しで、DNA鎖切断を引き起こして、複製ストレスを増加させることができる、トポイソメラーゼ阻害剤であり得る。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含み得る。トポイソメラーゼI阻害剤は、カンプトテシン誘導体(トポテカン、イリノテカン、ベロテカン、ギマテカン、シラテカン)、インデノイソキノリン(NSC314622、インドテカン、インジミテカン)、フェナントリジン(トポバール(topovale))、およびインドロカルバゾール(BE-13793C)、SN-38、カンプトテシン、エキサテカンメシル酸塩、トポテカン塩酸塩、Dxd、ベツリン酸、β-ラパコン、PNU-159682、Genz-644282、LMP744塩酸塩、塩化コラリン、9-アミノ-CPT、ナミテカン、カレニテシン、CH-0793076、エドテカリン、SW044248、エキサテカン、ダトポタマブ デルクステカン、T-2513、ポドカルプスフラボンA、(±)-エボジアミン、TP3011、ヒカントン、ベロテカン塩酸塩、プロスシラリジンA、TAS-103二塩酸塩、ザボフロキサシン、イントプリシン、ヒュアンロングマイシンN(Huanglongmycin N)、Dxd-d5、グロエンランジシン、レベッカマイシン、イントプリシン二メシル酸塩、またはそれらの組合せを含み得る。非限定的実施形態において、トポイソメラーゼII阻害剤は、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン)、エトポシド、テニポシド、デクスラゾキサン、ノボビオシン、メルバロン、アントラサイクリン アクラルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、テニポシド、ビサントレン、アムサクリン、ピラルビシン塩酸塩、ピキサントロン二マレイン酸塩、エリプチシン塩酸塩、アムサクリン塩酸塩、ボレロキシン塩酸塩、アモナフィデ(Amonafide)、PluriSIn #2、ガチフロキサシン、フルメキン、MC-DOXHZN塩酸塩、アムルビシン、ARN-21934、エリプチシン、ピキサントロン、MC-DOXHZN、CP-67804、CP-67015、ボレロキシン、エロモテカン塩酸塩、ガチフロキサシンメシル酸塩、9-ヒドロキシエリプチシン塩酸塩、アルドキソルビシン、ヒカントン、クロロキノキサリンスルホンアミド、プロスシラリジンA、アウリントリカルボン酸、またはそれらの組合せを含み得る。
【0018】
一例において、トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼIIとの三元複合体を形成し、DNA鎖の再ライゲーションを阻止して、DNA鎖切断を引き起こし、複製ストレスを増加させ得る、エトポシドであり得る。DNAのスーパーコイリングは、複製および転写部位の前の鎖分離中に起こり得、トポイソメラーゼにより解放される。スーパーコイルおよびもつれに対処することができないことは、複製フォーク停止および崩壊を生じ得る。非限定的実施形態において、他の作用物質と併用して、エトポシドが、3~4週間ごとに、およそ35mg/m2静脈内(IV)、30~60分間にわたって、1日1回、4日間から、およそ50mg/m2 IV、30~60分間にわたって、1日1回、5日間の間での量で投与され得る。非限定的実施形態において、成人患者におけるエトポシドの用量は、他の阻害剤/作用物質の有り/無しで、3~4週間ごとに、1日目~5日目におよそ50mg/m2/日~およそ100mg/m2/日、または1日目、3日目、および5日目に100~120mg/m2であり得る。
【0019】
一例において、トポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシンの半合成類似体でありかつトポイソメラーゼI阻害剤であるイリノテカンであり得る。イリノテカンは、三元切断複合体におけるトポイソメラーゼI-DNAを捕捉し、最初の切断反応ステップと再ライゲーションステップの両方を阻害し得る。この複合体での複製フォークの崩壊は、不可逆的な複製フォーク停止を引き起こし得、複製ストレスを増加させ得る。非限定的実施形態において、用量あたりおよそ1.5mg/kgまでの量でのイリノテカンが、対象に、2週間の間、週あたりおよそ5日間、毎日、送達され(すなわち、治療の1サイクル)、21日間ごとに繰り返される。3サイクルについての用量は、用量あたりおよそ10mg/kgであり得る。
【0020】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、チミジル酸シンターゼ阻害剤を含み得る。非限定的実施形態において、チミジル酸シンターゼ阻害剤は、5-FUまたはペメトレキセドのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、5-FUは、チミジル酸シンターゼの阻害を通して複製ストレスを誘導し得るピリミジン類似体である。5-FUは、FULFURINOXのような第一選択の化学療法および併用療法レジメンのベースライン成分であり得る。非限定的実施形態において、5-FUの用量は、1日あたりおよそ200mg/m2体表面積であり得る。5-FUは、およそ3週間、持続静脈内注入により対象へ送達され得る。
【0021】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤を含み得る。非限定的実施形態において、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤は、ゲムシタビンを含み得る。ゲムシタビンの用量は、静脈内に30分間にわたるおよそ1250mg/m2であり得る。非限定的実施形態において、ゲムシタビンの用量は、他の作用物質/阻害剤と併用して対象に送達され得る。例えば、およそ1250mg/m2が、他の作用物質/阻害剤(例えば、パクリタキセル)を含む各21日間サイクルの1日目および8日目に、静脈内に30分間にわたって、対象に送達され得る。
【0022】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、白金化合物を含み得る。非限定的実施形態において、白金化合物は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ジシコプラチン(dicycoplatin)、リポプラチンのうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、およそ20mg/m2からおよそ120mg/m2の間の量でのシスプラチンが対象に送達され得る。
【0023】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、アルキル化剤を含み得る。非限定的実施形態において、アルキル化剤は、シクロホスファミドまたはテモゾロミドのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0024】
例えば、およそ40mg/kgからおよそ50mg/kgの間(すなわち、400~1800mg/m2)の量でのシクロホスファミドが対象に送達され得る。シクロホスファミドの本開示用量は、2~5日間にわたって分割され得る。
【0025】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、wee1阻害剤を含み得る。非限定的実施形態において、wee1阻害剤は、アダボセルチブ-MK1775、AZD1775、またはPD0166285のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、他の阻害剤/作用物質(例えば、ゲムシタビン)または放射線処置と併用してのAZD1775は、およそ100mgからおよそ175mgの間の量で対象に送達され得る。AZD1775は、他の阻害剤/作用物質(例えば、ゲムシタビン)または放射線処置の有り/無しで、1日1回、対象に送達され得る。
【0026】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、Chk1阻害剤を含み得る。非限定的実施形態において、Chk1阻害剤は、UCN-01、LY2606368、SAR-020106、AZD7762、またはPD0166285のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、他の作用物質/処置(例えば、ゲムシタビン)と併用して、およそ30mgまでの量でのAZD7762が対象に送達され得る。
【0027】
一例において、DNA複製ストレス誘導剤は、母性胚性ロイシンジッパーキナーゼ(MELK)阻害剤(例えば、OTS167)またはNEDD8活性化酵素(NAE)阻害剤(例えば、MLN4924)のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、およそ0.5mgからおよそ2.0mgの間の量でのOST-167が対象に送達され得る。
【0028】
ある特定の実施形態において、本開示阻害剤は、様々な技術を通して腫瘍細胞または組織へ送達することができる。一例において、本開示阻害剤は、カクテルの形で腫瘍へ送達され得る。1つより多い阻害剤が、カクテルの形に組み合わされて、腫瘍細胞または組織へ送達され得る。非限定的実施形態において、本開示阻害剤は、注入を通して送達され得る。
【0029】
ある特定の実施形態において、追加のDNA複製ストレス誘導剤が送達され得る。一例において、DNA複製ストレス誘導剤および追加のDNA複製ストレス誘導剤は、同じ作用物質または阻害剤を含み得る。一例において、DNA複製ストレス誘導剤および追加のDNA複製ストレス誘導剤は、異なる作用物質または阻害剤を含み得る。
【0030】
ステップ204において、E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤、または追加のDNA複製ストレス誘導剤のうちの少なくとも1つが、腫瘍細胞または組織へ送達され得る。
【0031】
一例において、E2F阻害剤が、腫瘍へ送達されて、転写因子のE2Fファミリーを調節不全にし、DNA損傷を引き起こしまたはDNA損傷修復を阻害する作用物質に対する細胞脆弱性を増加させることができる。非限定的実施形態において、E2F阻害剤はHLM006474であり得る。転写因子のE2Fファミリーは、DNA損傷剤および複製ストレスに対して細胞を感受性にするこれらの特定の経路の下方制御を駆動させることができる。本開示阻害剤を通しての転写因子のE2Fファミリーの調節不全は、DNA損傷を引き起こしまたはDNA損傷修復を阻害する作用物質に対する細胞脆弱性をもたらすことができる。E2F阻害剤の適用は、転写アクチベーターであるE2Fファミリーメンバーの下方制御を含み得、一方、リプレッサーである特定のE2Fファミリーメンバーが活性化される。転写リプレッサーである、このリプレッサーE2F6は、上方制御される。E2F6は、通常、BRCA1の発現を可能にする。しかしながら、転写のリプレッサーの活性化として、BRCA1は下方制御され得る。
【0032】
一例において、CDK4/6阻害剤は、腫瘍へ送達され得る。一例において、CDK4/6阻害剤は、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、またはトリラシクリブのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0033】
一例において、PARP阻害剤は、TTフィールド有りまたは無しで、腫瘍へ送達され、腫瘍細胞のDNA修復を減少させて、細胞死をもたらすことができる。PARP1は、DNA修復およびチェックポイントタンパク質を損傷の部位へリクルートし、DNA末端プロセシング(複製再出発およびChk1活性化の増強に必要とされる)のためにMRE11をリクルートすることにより、DNA切断を保護する。PARP阻害剤を導入することにより、標的腫瘍のDNA切断が増強され得る。PARP阻害剤は、オラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、ルカパリブ、BYK204165、ニラパリブ(MK-4827)、ニラパリブ(MK-4827)、トシレート、またはイニパリブを含み得る。
【0034】
ある特定の実施形態において、腫瘍は、非小細胞性肺癌(NSCLC)、膵臓癌、GBM、中皮腫、膵臓癌、肺癌、卵巣癌、および子宮頚癌のうちの少なくとも1つを含み得る。頭部、胸部、または腹部のいずれの癌も、本開示により影響され得る状態の一つである。一例において、腫瘍は、肺癌細胞、乳癌細胞、膵臓癌細胞、神経膠芽腫細胞、前立腺癌細胞、肝臓癌細胞、卵管癌細胞、腹膜癌細胞、子宮頚癌細胞、皮膚癌細胞、または卵巣癌細胞のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0035】
ステップ206において、腫瘍治療電場(TTフィールド)が腫瘍に印加され得る。非限定的実施形態において、TTフィールドは、所定のパラメーターを用いて、印加され得る。例として、TTフィールドは、約50kHzから約1000kHzまでの周波数範囲内の周波数を含み得る。例として、腫瘍治療電場の周波数は、およそ100kHZからおよそ500kHZの間であり得る。例として、腫瘍治療電場の周波数は、およそ100kHZ、およそ150kHZ、およそ200kHZ、またはおよそ250kHZであり得る。例として、TTフィールドは、約1V/cmから約20V/cmまでの強度範囲内の強度を含み得る。例として、TTフィールドは、約1V/cmから約10V/cmまでの強度範囲内の強度を含み得る。例として、腫瘍治療電場の強度は、およそ1V/cmからおよそ4V/cmの間であり得る。TTフィールドについての他の可能な例示的パラメーターは、いくつかあるパラメーターの中で特に、活性時間、調光時間、およびデューティサイクル(それらの全ては、例えば、ms単位で測定され得る)を含み得る。パラメーターは、腫瘍のサイズ、腫瘍の型、対象、または処置の目的に基づいて改変され得る。一例において、腫瘍治療電場の強度は、およそ1V/cmからおよそ4V/cmの間であり、腫瘍治療電場の周波数は、神経膠芽腫癌細胞を処置するために、およそ150kHZからおよそ250kHZの間である。
【0036】
本開示TTフィールド処置は、DNA損傷を誘導し、かつDNA損傷応答を障害することができる。本開示TTフィールドの印加は、(例えば、放射線照射されなかったが、TTフィールドに曝露された)細胞において時間と共にγ-H2AX巣を増加させることができる。γ-H2AXはまた、複製ストレス中の停止した複製フォークの初期センサーでもあるため、BRCA1およびファンコニー貧血経路の他のメンバーの発現の低下が、崩壊または停止した複製フォークの修復に負の影響を及ぼすように、TTフィールド曝露は複製ストレスを誘導することができる。さらに、DNA複製複合体の不可欠なメンバーである、MCM6およびMCM10遺伝子もまた、TTフィールドの印加により下方制御され得る。
【0037】
ある特定の実施形態において、TTフィールドは、本開示阻害剤および/または放射線治療が適用される前または後に、腫瘍に印加することができる。ある特定の実施形態において、TTフィールドは、本開示阻害剤および/または放射線治療と同時に、標的組織に印加することができる。例として、印加するステップ206の少なくとも一部分は、送達するステップ202の少なくとも一部分および/または送達するステップ204の少なくとも一部分と同時に(simultaneously)/同時に(concomitantly)、実施され得る。非限定的実施形態において、本開示作用物質/阻害剤は、TTフィールドおよび/または放射線治療と同時に送達され得る。例として、印加するステップ206の少なくとも一部分は、送達するステップ202の少なくとも一部分ならびに送達するステップ204および/または送達するステップ208の少なくとも一部分と同時に、実施され得る。
【0038】
ステップ208において、放射線治療が、腫瘍へ送達され得る。一例において、放射線治療は、電離放射線(IR)処置であり得る。放射線治療の線量は、1回あたりおよそ1Gyからおよそ18Gyの間であり得る。一例において、放射線治療の線量は、1回あたりおよそ1.8Gyからおよそ18Gyの間であり得る。放射線治療の線量は、標的腫瘍の型、腫瘍サイズ、対象、または放射線治療の型に基づいて異なり得る。例えば、標準放射線療法は、2Gy/回であり、4~7週間、続き得る。定位放射線療法(SAbR)は、5回より多い回数で、1回あたり一般的な10Gyから高くは18Gyである。5日間、毎日、分割線量が送達され、または単一の分割線量が12より高い場合には、正常組織回復のために休息日が設けられる場合がある。ある特定の実施形態において、このSAbRストラテジーは、TTフィールドと共に用いられ得る。本開示阻害剤を腫瘍へ送達する前または後に、放射線治療が腫瘍へ適用され得る。非限定的実施形態において、放射線治療は、本開示阻害剤および/またはTTフィールドと同時に、腫瘍へ適用され得る。
【0039】
本開示TTフィールドは、DNA損傷を誘導し、かつIR誘導性DNA二本鎖切断(DSB)の修復を遅くすることができる。TTフィールド曝露は、TTフィールドへの曝露時間と共に複製フォーク速度の減少およびRループ形成の出現の増加により複製ストレスを誘導することができる。複製フォーク維持に関連したある特定の遺伝子はまた、異なるDNA修復経路に関与しているため、TTフィールド処置は、結果として、DNA修復能力の低下のために、複製ストレスの増加とDNA損傷の増加の両方を生じることができる。本開示TTフィールドは、癌細胞において条件脆弱性の発生を引き起こし、DNA損傷剤ならびに複製フォーク維持および安定性に関連した重要な酵素を特異的にターゲットする作用物質に対するその癌細胞の感受性をより高くすることができる。
【0040】
本開示技術は、癌細胞において複製ストレスを増加させることにより条件脆弱性環境を誘導することができる。本開示阻害剤(例えば、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、および5-FU)は、複製ストレス経路を直接的または間接的にターゲットする。したがって、そのような阻害剤と併用してTTフィールドを用いることは、それらがどちらも類似した機構で作用できるため、これらの化学療法剤の効力を増強することができる。例えば、TTフィールドは、転写因子のE2Fファミリーの調節不全を通して、複製ストレス経路に影響することができる。E2Fファミリーメンバーの役割を決定することにより、本開示技術は、TTフィールドおよび放射線、E2Fシグナル伝達により通常、調節されるタンパク質に方向付けられた化学療法剤または生物学的薬剤の特定の組合せのターゲティングを可能にする。E2Fファミリー調節不全化細胞は、DNA修復および/または複製ストレスに対してターゲットされる作用物質の使用に対して脆弱になり得る。この場合、治療の成功は、本開示TTフィールド技術が本開示阻害剤/作用物質と併用された時に見られる相乗的細胞殺害によって増強することができる。
【実施例】
【0041】
実験結果
本明細書に開示されたある特定の実施形態を用いて、様々な阻害剤および/または放射線処置(IR)と併用したTTフィールドを、NSCLC細胞または膵臓癌細胞に適用した。例えば、所定の濃度における所定の阻害剤を、NSCLC細胞または膵臓癌細胞に送達し、その細胞をすぐに、TTフィールド(例えば、100~250kHzおよび1~20V/cm)に約24時間、28時間、または72時間、曝露した。所定の濃度は、最適な標的細胞殺害のために細胞株特異的濃度であった。その後、細胞に(2Gyの線量で)1分未満(例えば、3.25Gy/分)、放射線を照射し、すぐに、生存のためにプレーティングした。
【0042】
膵臓癌細胞生存へのPARP阻害剤および/またはIRと併用したTTフィールドの組合せ効果および相乗効果を、細胞死/生存分析アッセイ(すなわち、クローン原性細胞生存アッセイ)によって評価した。
【0043】
図3は、TTフィールド、オラパリブ、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す。特に、
図3は、PARP阻害剤および/またはIRと併用したTTフィールドのPanc-1および04.03細胞生存(すなわち、生存率)への効果を示す。
図3に示されているように、TTフィールド、オラパリブ(すなわち、PARP阻害剤)、およびIRは、Panc-1および04.03細胞の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、オラパリブ(すなわち、PARP阻害剤)、および/またはIRの組合せは、Panc-1および04.03細胞生存への相乗効果を示した。オラパリブを、TTフィールドと同時に与えた。TTフィールドおよび特定の作用物質の開始から24時間後、48時間後、または72時間後に、放射線を与えた。表1および2は、Panc-1(表I)および04.03細胞生存(表II)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。1.0より大きい、すなわち、個々の応答の和より大きい値は、相乗的とみなされる。以下の式がCIを計算するために用いられた:SF=生存率;CI(TTフィールド)+(2Gy)=(SF
2Gy×SF
TTフィールド)/SF
2Gy+TTフィールド;CI(TTフィールド)+(Olap)=(SF
Olap×SF
TTフィールド)/SF
Olap+TTフィールド;CI(2Gy)+(Olap)=(SF
2Gy×SF
Olap)/SF
2Gy+Olap;およびCI(TTフィールド)+(2Gy)+(Olap)=(SF
2Gy×SF
Olap×SF
TTフィールド)/SF
TTフィールド+2Gy+Olap。これらの判定基準ならびに表IおよびIIに要約された結果に基づいて、TTフィールド、IR、およびオラパリブの膵臓癌細胞生存/死への併用効果は、相乗的であることが見出された。最高単剤(HAS)アプローチに基づいている。併用指数についての計算は、下記に見出すことができる。
【0044】
【0045】
【0046】
図4および5は、TTフィールド、AZD6738、放射線、およびそれらの組合せの非小細胞性肺癌細胞(NSCLC)および膵臓癌細胞、それぞれへの効果の例を示す。特に、
図4および5は、TTフィールド曝露が、ATR阻害剤AZD6738のNSLCL細胞(
図4)生存および膵臓癌細胞(
図5)生存への効果を相乗的に増加させることを示している。TTフィールドを、ATR阻害剤AZD6738および放射線(IR)と一緒に用いた。最高単剤(HSA)アプローチを用いて、AZD6738およびIRがTTフィールドと併用された場合、相乗効果が観察された。以下の式が、CIを計算するために用いられた:SF=生存率;CI(TTフィールド)+(2Gy)=(SF
2Gy×SF
TTフィールド)/SF
2Gy+TTフィールド;CI(TTフィールド)+(AZD)=(SF
AZD×SF
TTフィールド)/SF
AZD+TTフィールド;CI(2Gy)+(AZD)=(SF
2Gy×SF
AZD)/SF
2Gy+AZD;およびCI(TTフィールド)+(2Gy)+(AZD)=(SF
2Gy×SF
AZD×SF
TTフィールド)/SF
TTフィールド+2Gy+AZD。
【0047】
図4に示されているように、TTフィールド、AZD6738(すなわち、ATR阻害剤)、およびIRは、H1299およびH157細胞の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、AZD6738(すなわち、ATR阻害剤)、および/またはIRの組合せは、H1299およびH157細胞生存への相乗効果を示した。
【0048】
図5に示されているように、TTフィールド、AZD6738(すなわち、ATR阻害剤)、およびIRは、Panc-1および04.03細胞の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、AZD6738(すなわち、ATR阻害剤)、および/またはIRの組合せは、Panc-1および04.03細胞生存への相乗効果を示した。
【0049】
表3および4は、H1299細胞(表3)およびH157(表4)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。これらの判定基準ならびに表3および4に要約された結果に基づいて、TTフィールド、IR、およびAZD6738のNSLCL細胞生存/死への併用効果は、相乗的であることが見出された。CI値は、TTフィールドおよび作用物質の曝露の時間、ならびに放射線有りまたは無しに基づいている。P値は、統計的有意性について両側性スチューデントT検定を表す。
【0050】
【0051】
【0052】
表5および6は、Panc-1細胞(表5)および04.03細胞(表6)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。これらの判定基準ならびに表5および6に要約された結果に基づいて、TTフィールド、IR、およびAZD6738の膵臓癌細胞生存/死への併用効果は、相乗的であることが見出された。
【0053】
【0054】
【0055】
図6は、TTフィールド、シスプラチン、エトポシド、およびそれらの組合せのNSCLCへの効果の例を示す。特に、
図6は、TTフィールド曝露が、トポイソメラーゼII阻害剤、エトポシドの効力を相乗的に増加させることを示す。最高単剤(HSA)アプローチを用いることにより、相乗効果は、エトポシド(ETP)がTTフィールドと併用された時に観察することができる。CPおよびETPは、単独でまたは併用して、およびTTフィールド有り/無しで、試験された。
図6に示されているように、CPまたはETPが用いられるのが単独か一緒かのいずれの場合でも、TTフィールドの併用が、NSCLS細胞殺害能力を相乗的に増強させた。
【0056】
表7および8は、シスプラチンおよび/またはエトポシドと併用したTTフィールドのH1299(表7)およびH157細胞(表8)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。以下の式が、併用指数を計算するために用いられる:SF=生存率;CI(TTフィールド)+(CP)=(SFCP×SFTTフィールド)/SFCP+TTフィールド;CI(TTフィールド)+(ETOP)=(SFETOP×SFTTフィールド)/SFETOP+TTフィールド;CI(CP)+(ETOP)=(SFCP×SFETOP)/SFCP+ETOP;およびCI(TTフィールド)+(CP)+(ETOP)=(SFCP×SFETOP×SFTTフィールド)/SFTTフィールド+CP+ETOP+TTフィールド。
【0057】
【0058】
【0059】
これらの判定基準ならびに表7および8に要約された結果に基づいて、TTフィールド、CP、およびETOPのNSCLC細胞生存/死への併用効果が、相乗的であることが見出された。
【0060】
図7は、TTフィールド、イリノテカン、放射線、およびそれらの組合せのNSCLCへの効果の例を示す。特に、
図7は、イリノテカンおよび/またはIRと併用したTTフィールドのH1299およびH157細胞生存(すなわち、生存率)への組合せ効果および相乗効果の効果を示す。
図7に示されているように、TTフィールド、イリノテカン、およびIRは、H1299およびH157細胞の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、イリノテカン、および/またはIRの組合せは、H1299およびH157細胞生存への相乗効果を示した。
【0061】
表9および10は、イリノテカンおよび/またはIRと併用したTTフィールドのH1299生存(表9)およびH157細胞生存(表10)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。以下の式が、併用指数を計算するために用いられる:SF=生存率;CI(TTフィールド)+(2Gy)=(SF2Gy×SFTTフィールド)/SF2Gy+TTフィールド;CI(TTフィールド)+(Irino)=(SFIrino×SFTTフィールド)/SFIrino+TTフィールド;CI(2Gy)+(Irino)=(SF2Gy×SFIrino)/SF2Gy+Irino;およびCI(TTフィールド)+(2Gy)+(Irino)=(SF2Gy×SFIrino×SFTTフィールド)/SFTTフィールド+2Gy+Irino。
【0062】
【0063】
【0064】
これらの判定基準ならびに表9および10に要約された結果に基づいて、TTフィールド、イリノテカン、および/またはIRのNSCLC細胞生存/死への併用効果が、相乗的であることが見出された。
【0065】
図8は、TTフィールド、イリノテカン、放射線、およびそれらの組合せの膵臓癌細胞への効果の例を示す。特に、
図8は、イリノテカンおよび/またはIRと併用したTTフィールドのPanc-1細胞生存(すなわち、生存率)への組合せ効果および相乗効果の効果を示す。
図8に示されているように、TTフィールド、イリノテカン、およびIRは、Panc-1細胞生存の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、イリノテカン、および/またはIRの組合せは、Panc-1細胞生存への相乗効果を示した。
【0066】
表11は、イリノテカンおよび/またはIRと併用したTTフィールドのPanc-1細胞生存への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。以下の式が、併用指数を計算するために用いられる。
【0067】
【0068】
これらの判定基準ならびに表11に要約された結果に基づいて、イリノテカン(三元切断複合体におけるトポイソメラーゼI-DNAを捕捉する)と共のTTフィールドの組合せのNSCLC細胞生存/死への併用効果が、相乗的であることが見出された。
【0069】
感受性化および相乗作用の程度は細胞株にわたって異なり得るが、TTフィールドは、エトポシド(トポイソメラーゼIIと三元複合体を形成し、DNA鎖の再ライゲーションを阻止して、DNA鎖切断を誘発しかつ複製ストレスを誘導する)の細胞殺害効力を相乗的に増加させた。
【0070】
図9および10は、TTフィールド、5-FU、放射線、およびそれらの組合せのNSCLCおよび膵臓癌細胞、それぞれへの効果の例を示す。特に、
図9および10は、TTフィールド曝露が、5-フルオロウラシル(FU)および/またはIRとの組合せのNSCLC細胞生存(
図9)および膵臓癌細胞(
図10)への効果を相乗的に増加させることを示す。
図9に示されているように、TTフィールド、5-FU、およびIRは、H1299およびH157細胞生存の生存率を有意に低下させた。さらに、TTフィールド、5-FU、および/またはIRの組合せは、H1299およびH157細胞生存への相乗効果を示した。
図10は、TTフィールド、5-FU、およびIRがPanc-1および04.03細胞生存の生存率を有意に低下させたことを示す。さらに、TTフィールド、5-FU、および/またはIRの組合せは、Panc-1および04.03細胞生存への相乗効果を示した。
【0071】
表12および13は、5-フルオロウラシル(FU)および/またはIRと併用したTTフィールドのH1299生存(表12)およびH157細胞生存(表13)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.005である場合に観察された。以下の式が、併用指数を計算するために用いられる:SF=生存率;CI(TTフィールド)+(2Gy)=(SF2Gy×SFTTフィールド)/SF2Gy+TTフィールド;CI(TTフィールド)+(5FU)=(SF5FU×SFTTフィールド)/SF5FU+TTフィールド;CI(2Gy)+(5FU)=(SF2Gy×SF5FU)/SF2Gy+5FU;およびCI(TTフィールド)+(2Gy)+(5FU)=(SF2Gy×SF5FU×SFTTフィールド)/SFTTフィールド+2Gy+5FU。
【0072】
【0073】
【0074】
これらの判定基準ならびに表12および13に要約された結果に基づいて、TTフィールド、5-フルオロウラシル(FU)、および/またはIRのNSCLC細胞生存/死への併用効果は、相乗的であることが見出された。
【0075】
表14および15は、5-フルオロウラシル(FU)および/またはIRと併用したTTフィールドのPanc-1生存(表14)および04.03細胞生存(表15)への相乗効果の定量化を提供する。相乗効果は、示された時点および示された細胞株について、併用指数(CI)が>1であり、かつP値が<0.05である場合に観察された。
【0076】
【0077】
【0078】
これらの判定基準ならびに表13および14に要約された結果に基づいて、TTフィールド、5-フルオロウラシル(FU)、および/またはIRの膵臓癌細胞生存/死への併用効果は、相乗的であることが見出された。
【0079】
例示的な装置
図11は、電場の変調を有するTTフィールドを対象の身体に印加するための装置の一例を示す。第1のトランスデューサー1101は、基板1104上に位置する13個の電極素子1103を含み、電極素子1103は、導線1109を通して互いに電気的かつ機械的に接続されている。第2のトランスデューサー1102は、基板1106上に位置する20個の電極素子1105を含み、電極素子1105は、導線1110を通して互いに電気的かつ機械的に接続されている。第1のトランスデューサー1101および第2のトランスデューサー1102は、AC電圧源1107およびコントローラ1108と接続されている。コントローラ1108は、1つまたは複数のプロセッサおよびその1つまたは複数のプロセッサによりアクセス可能なメモリを含み得る。メモリは、1つまたは複数のプロセッサにより実行された時、本発明の1つまたは複数の実施形態を履行するようにAC電圧源1107を制御する命令を記憶し得る。いくつかの実施形態において、AC電圧源1107およびコントローラ1108は、第1のトランスデューサー1101および第2のトランスデューサー1102において統合され、第1の電場発生器および第2の電場発生器を形成し得る。
【0080】
図12は、本明細書における実施形態と共に使用するためのコンピュータ装置の例を示す。例として、装置1200は、本明細書に開示されたある特定の発明的技術を履行するためのコンピュータであり得る。例として、装置1200は、本明細書における実施形態についての、電場の変調を有するTTフィールドを印加するためのコントローラ装置であり得る。コントローラ装置1200は、
図11のコントローラ1108として使用され得る。装置1200は、1つまたは複数のプロセッサ1202、1つまたは複数の出力デバイス1205、およびメモリ1203を含み得る。
【0081】
一例において、入力1201に基づいて、1つまたは複数のプロセッサは、本発明の実施形態を履行するように電圧源を制御するための制御シグナルを発生させる。一例において、入力1201はユーザー入力である。別の例において、入力1201は、コントローラ装置1200と通信する別のコンピュータからであり得る。出力デバイス1205は、トランスデューサー選択、発生している電圧、および他の運用情報などの本発明の運用の状態を提供し得る。出力デバイス1205は、本発明のある特定の実施形態により、可視化データを提供し得る。
【0082】
メモリ1203は、1つまたは複数のプロセッサ1202がメモリ1203から情報を読みかつそれへ情報を書き出すことができるように、1つまたは複数のプロセッサ1202によりリンク1104を介してアクセス可能である。メモリ1203は、1つまたは複数のプロセッサ1202により実行された時、本発明の1つまたは複数の実施形態を履行する命令を記憶し得る。
【0083】
例証実施形態
本発明は、以下などの他の例証実施形態を含む。
【0084】
例証実施形態1。ATR阻害剤を腫瘍へ送達するステップ、および腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【0085】
例証実施形態2。腫瘍治療電場の強度がおよそ1V/cmからおよそ4V/cmの間であり、腫瘍治療電場の周波数がおよそ150kHZからおよそ250kHZの間であり、腫瘍が神経膠芽腫癌細胞を含む、例証実施形態1に記載の方法。
【0086】
例証実施形態3。ATR阻害剤がセララセルチブ(AZD6738)をおよそ1μMからおよそ50μMの間の量で含む、例証実施形態1に記載の方法。
【0087】
例証実施形態4。ATR阻害剤が注入を通して送達される、例証実施形態1に記載の方法。
【0088】
例証実施形態5。ATR阻害剤がカクテルの形で送達される、例証実施形態1に記載の方法。
【0089】
例証実施形態6。放射線治療を腫瘍へ送達するステップを含む、例証実施形態1に記載の方法。
【0090】
例証実施形態7。放射線治療の線量が、およそ1Gyからおよそ18Gyの間である、例証実施形態6に記載の方法。
【0091】
例証実施形態8。ATR阻害剤または1つもしくは複数のDNA複製ストレス誘導剤を送達するステップ;E2F阻害剤、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤、または白金化合物のうちの少なくとも1つを腫瘍へ送達するステップ;放射線治療を腫瘍へ送達するステップ;腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【0092】
例証実施形態9。ATR阻害剤および1つまたは複数のDNA複製ストレス誘導剤を腫瘍へ送達するステップ;放射線治療を腫瘍へ送達するステップ;腫瘍治療電場をおよそ50kHzからおよそ1,000kHzの間の周波数で腫瘍に印加するステップを含む、対象において腫瘍を処置する方法。
【0093】
本開示の任意の見出しの下または任意の部分において例証された実施形態は、本明細書で他に指示がない限り、または別様に、文脈が明らかに矛盾することがない限り、本開示の同じまたは任意の他の見出しまたは部分の下で例証された実施形態と組み合わせられ得る。
【0094】
記載された実施形態の多数の改変、変更、および変化は、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、可能である。本発明は、記載された実施形態に限定されず、本発明が、以下の特許請求の範囲およびその等価物の言語によって定義される全範囲を有することが意図される。
【国際調査報告】