(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】新規な免疫活性インターロイキン2アナログ結合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/55 20060101AFI20240312BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/26 20060101ALN20240312BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C07K14/55
A61K38/20 ZNA
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/04
C12N15/26
C12P21/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555563
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 KR2022004620
(87)【国際公開番号】W WO2022211537
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0042305
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ホ ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】オ ウリム
(72)【発明者】
【氏名】パク ダヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンソプ
(72)【発明者】
【氏名】キム ユヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ アラム
(72)【発明者】
【氏名】キム サンユン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG05
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C076AA11
4C076AA22
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4C076AA53
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4C076BB11
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4C076FF34
4C084AA02
4C084BA01
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4C084BA41
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4C084MA17
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4C084MA59
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4C084NA05
4C084NA11
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA04
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、インターロイキン2受容体に対する結合力が変化したインターロイキン2アナログの持続型結合体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン2アナログ(analog)を含む持続型結合体であって、下記化学式(1)で表される持続型結合体。
【化1】
ここで、Xはアルデスロイキン(aldesleukin)に比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログ(analog)であり、
Lはポリエチレングリコールリンカーであり、
aは0又は自然数であるが、aが2以上であればそれぞれのLは互いに独立しており、
Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとL間、LとF間の共有結合連結を示すものであり、
前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つが変異した配列を含むものである。
【請求項2】
前記インターロイキン2アナログは、インターロイキン2α受容体に対する結合力がアルデスロイキンとは異なることを特徴とする、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項3】
前記133番目の位置に相当するアミノ酸に少なくとも1つのアミノ酸が付加されたものである、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項4】
前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたものである、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項5】
前記インターロイキン2アナログは、1個~10個のアミノ酸置換をさらに含むものである、請求項4に記載の持続型結合体。
【請求項6】
前記インターロイキン2アナログは、18番目、19番目、20番目、22番目、38番目、42番目、43番目、45番目、61番目、68番目、69番目、74番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目及び96番目の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたものである、請求項5に記載の持続型結合体。
【請求項7】
前記インターロイキン2アナログは、18番目、22番目、38番目、42番目、61番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたものである、請求項5に記載の持続型結合体。
【請求項8】
前記インターロイキン2アナログは、次のアナログのいずれかである、請求項1に記載の持続型結合体。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び32番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び35番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び38番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び43番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び48番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(g)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び49番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(h)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び76番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(i)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(j)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び87番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(k)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(l)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び80番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(m)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(n)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、19番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(o)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が除去され、125番目、12番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(p)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び61番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(q)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(r)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び88番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(s)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び89番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(t)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び91番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(u)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び94番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(v)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び126番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(w)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(x)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(y)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(z)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aa)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ab)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ac)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ad)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、20番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ae)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(af)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ag)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ah)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、88番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ai)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ak)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(al)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(am)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(an)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ao)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ap)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aq)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ar)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(as)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(at)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(au)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(av)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aw)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ax)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ay)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(az)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ba)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bb)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bc)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、19番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bd)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(be)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bf)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bg)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bh)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bi)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bk)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bl)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、43番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bm)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bn)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、82番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bo)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bp)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目及び86番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【請求項9】
前記アミノ酸置換は、次のアミノ酸置換からなる群から選択されるいずれかである、請求項8に記載の持続型結合体。
(a)12番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(b)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(c)19番目のアミノ酸のチロシン、バリン、フェニルアラニン、アルギニンへの置換
(d)20番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(e)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(f)32番目のアミノ酸のシステインへの置換
(g)35番目のアミノ酸のシステイン又はグルタミン酸への置換
(h)38番目のアミノ酸のアラニン又はアスパラギン酸への置換
(i)42番目のアミノ酸のリシン、アラニン又はトリプトファンへの置換
(j)43番目のアミノ酸のシステイン、グルタミン酸又はグルタミンへの置換
(k)45番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(l)48番目のアミノ酸のシステインへの置換
(m)49番目のアミノ酸のシステインへの置換
(n)61番目のアミノ酸のグルタミン、アルギニン又はアスパラギン酸への置換
(o)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸又はグルタミンへの置換
(p)69番目のアミノ酸のグリシンへの置換
(q)74番目のアミノ酸のヒスチジン又はアラニンへの置換
(r)76番目のアミノ酸のシステインへの置換
(s)80番目のアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸又はトリプトファンへの置換
(t)81番目のアミノ酸のアスパラギン酸、グルタミン酸又はアスパラギンへの置換
(u)82番目のアミノ酸のグリシン又はバリンへの置換
(v)84番目のアミノ酸のグルタミン酸、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(w)85番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン、トリプトファン、チロシン、トレオニン、イソロイシン、グルタミン酸又はフェニルアラニンへの置換
(x)86番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン又はロイシンへの置換
(y)87番目のアミノ酸のシステインへの置換
(z)88番目のアミノ酸のグルタミン、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(aa)89番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(ab)91番目のアミノ酸のトレオニン、フェニルアラニン又はグルタミン酸への置換
(ac)92番目のアミノ酸のフェニルアラニン、ロイシン、チロシン又はトリプトファンへの置換
(ad)94番目のアミノ酸のフェニルアラニン又はバリンへの置換
(ae)95番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(af)96番目のアミノ酸のフェニルアラニン、バリン又はイソロイシンへの置換
(ag)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
(ah)126番目のアミノ酸のトレオニンへの置換
【請求項10】
前記インターロイキン2アナログは、次のアナログのいずれかである、請求項8に記載の持続型結合体。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【請求項11】
前記アミノ酸置換は、次のアミノ酸置換からなる群から選択されるいずれかである、請求項10に記載の持続型結合体。
(a)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(b)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(c)38番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(d)42番目のアミノ酸のリシンへの置換
(e)61番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(f)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(g)80番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(h)81番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(i)85番目のアミノ酸のバリンへの置換
(j)86番目のアミノ酸のバリンへの置換
(k)92番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(l)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
【請求項12】
前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のもの、又はそれらの組み合わせ(combination)もしくはそれらのハイブリッド(hybrid)である、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項13】
前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域である、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項14】
前記免疫グロブリンFc領域は、非グリコシル化されたものである、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項15】
前記Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含み、前記エチレングリコール繰り返し単位部分(moiety)の化学式量は、1~100kDaの範囲にある、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項16】
前記持続型結合体は、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域のいずれかのFc領域に1分子のXが前記ポリエチレングリコールリンカーを介して共有結合的に連結されたものである、請求項1に記載の持続型結合体。
【請求項17】
下記化学式(2)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体。
【化2】
ここで、Xは配列番号3~106のアミノ酸配列から選択されるいずれかのポリペプチド配列を含むインターロイキン2アナログであり、
Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、
Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、
-はXとZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、
前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のXが共有結合により連結されたものである。
【請求項18】
前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、15、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、56、58、59、60、62、71、72、74、75、76、77、78、85、87、89、91、92、93、94、95、98、99、100、101、103、104、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものである、請求項17に記載の持続型結合体。
【請求項19】
前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、87、89、91、92、93、94、98、99、100、101、103、104及び105のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものである、請求項17に記載の持続型結合体。
【請求項20】
前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものである、請求項17に記載のインターロイキン2アナログ。
【請求項21】
前記インターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むものである、請求項17に記載の持続型結合体。
【請求項22】
下記化学式(3)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体。
【化3】
ここで、X’は下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、
Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、
Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、
-はX’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、
前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’が共有結合により連結されたものである。
[一般式1]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-X19-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-X43-F-X45-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-X74-S-K-N-F-H-X80-X81-P-R-X84-X85-X86-S-N-I-N-X91-X92-V-X94-E-X96-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式1,配列番号212)
前記一般式1において、
X1は欠失しており、
X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、
X19はロイシン(L)又はチロシン(Y)であり、
X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、
X38はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)又はアルギニン(R)であり、
X42はアラニン(A)、フェニルアラニン(F)、リシン(K)又はトリプトファン(W)であり、
X43はグルタミン酸(E)、リシン(K)又はグルタミン(Q)であり、
X45はアラニン(A)又はチロシン(Y)であり、
X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)であり、
X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、
X74はヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)であり、
X80はフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、
X81はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はアルギニン(R)であり、
X84はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、
X85はアラニン(A)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)であり、
X86はアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)又はバリン(V)であり、
X91はトレオニン(T)又はバリン(V)であり、
X92はフェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)又はチロシン(Y)であり、
X94はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、
X96はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)である。
【請求項23】
前記一般式1において、
X43はリシン(K)であり、
X45はチロシン(Y)であり、
X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、
X68はグルタミン酸(E)であり、
X74はグルタミン(Q)であり、
X80はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、
X85はロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、
X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)であり、
X92はフェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)である、請求項22に記載のもの。
【請求項24】
前記インターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むものである、請求項22に記載のインターロイキン2アナログ。
【請求項25】
下記化学式(4)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体。
【化4】
ここで、X’’は下記一般式2で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、
Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、
Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、
-はX’’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、
前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’’が共有結合により連結されたものである。
[一般式2]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-L-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-K-F-Y-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-Q-S-K-N-F-H-F-X81-P-R-D-X85-X86-S-N-I-N-V-F-V-L-E-L-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式2,配列番号213)
X1は欠失しており、
X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、
X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、
X38はアラニン(A)又はアルギニン(R)であり、
X42はフェニルアラニン(F)又はリシン(K)であり、
X61はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、
X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、
X81はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、
X85はロイシン(L)又はバリン(V)であり、
X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)である。
【請求項26】
前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものである、請求項25に記載のインターロイキン2アナログ。
【請求項27】
薬学的有効量の請求項1又は17に記載の持続型結合体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、癌の予防又は治療用薬学組成物。
【請求項28】
前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106からなる群から選択されるものである、請求項27に記載の薬学組成物。
【請求項29】
前記癌は、転移性腎細胞癌、転移性黒色腫、大腸癌、肝癌、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、肺癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、膀胱癌及び胃癌からなる群から選択されるいずれかである、請求項27に記載の薬学組成物。
【請求項30】
前記薬学組成物は、次の特性の少なくとも1つの特性を示すものである、請求項27に記載の薬学組成物。
(i)アルデスロイキンと比較した高い血中曝露量
(ii)アルデスロイキンと比較した高い腫瘍成長抑制活性
(iii)アルデスロイキンと比較した高い記憶T細胞生成反応
【請求項31】
前記薬学組成物は、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与又は直腸内投与経路で投与されるものである、請求項27に記載の薬学組成物。
【請求項32】
前記薬学組成物は、1週間~1カ月の範囲の時間間隔で投与されるものである、請求項27に記載の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なインターロイキン2アナログ結合体、その製造方法、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン2(Interleukin 2)は、計133個のアミノ酸残基から構成される分子量約15kDaの重要な免疫刺激剤であり、T細胞、B細胞をはじめとする免疫系の様々な細胞を活性化する。インターロイキン2の免疫刺激剤としての高い効能は、癌、エイズをはじめとする様々な免疫関連疾患の治療に有用である(特許文献1)。現在、インターロイキン2(Proleukin(登録商標))は、転移性腎細胞癌及び転移性黒色腫の治療用としてFDAから承認された医薬である。しかし、高服用量のインターロイキン2療法には深刻な毒性が関連するので、適用できる患者が制限され、実際に適当な少数の患者に対してのみこの治療療法が行われている。インターロイキン2に関連する毒性には、高熱、吐気、嘔吐、血管漏出(vascular leak)、重い低血圧、肺浮腫及び肝損傷を引き起こす血管漏出症候群(Vascular leak syndrome)が含まれる。
【0003】
インターロイキン2受容体には、3種のサブユニット受容体がある。そのサブユニットは、α鎖(IL-2Rα,CD25)、β鎖(IL-2Rβ又はCD122)及びγ鎖(IL-2Rγ又はCD132)で形成されており、インターロイキン2が受容体サブユニットの様々な組み合わせに結合することにより、様々な機能を発揮することができる。単一のインターロイキン2α受容体は、低親和性インターロイキン2受容体であり、シグナル伝達には関与しない。インターロイキン2β及びγ受容体の複合体は、中程度の親和性でインターロイキン2に結合する。インターロイキン2α、β及びγ受容体の複合体は、高い親和性でインターロイキン2に結合する。インターロイキン2β及びγ受容体の複合体は、多重シグナル伝達経路のキナーゼ活性化による効果的なシグナル変換に必要である。特に、インターロイキン2β及びγ受容体の複合体は、CD8+細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞において著しく見られる。また、高い親和性を有するインターロイキン2α、β及びγ受容体の複合体は、通常見られるCD4+T調節細胞(Treg)のみならず、最近では、活性化したT細胞においても見られる。インターロイキン2β受容体は、CD8+T細胞又はナチュラルキラー細胞(NK cell)に分布して体内の免疫反応に関与するので、免疫活性化のためにβ受容体に対する活性向上により治療剤を開発する研究が行われている。
【0004】
一方、インターロイキン2には様々な免疫関連疾患の治療剤としての可能性があるにもかかわらず、毒性及び副作用を減少させると共に服用量を減少させることのできる薬剤が十分に存在しない状態であるので、新規かつ向上した薬剤に関する研究がさらに求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0070091号公報
【特許文献2】国際公開第97/034631号
【特許文献3】国際公開第96/032478号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献2】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献3】Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444
【非特許文献4】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献5】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献6】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献7】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献8】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献9】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献10】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献11】J. Sambrook et al.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献12】F.M. Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York,9.50-9.51, 11.7-11.8
【非特許文献13】H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
免疫関連疾患の治療剤開発の一環として、インターロイキン2アナログを含むと共に、持続性に優れ、かつ薬理効果に優れた薬剤の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、インターロイキン2アナログを含む持続型結合体を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記持続型結合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含む、癌の予防又は治療用薬学組成物を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物を必要とする個体に、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物を投与するステップを含む、癌の予防又は治療方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物の癌の予防又は治療用途を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物を含む、癌の予防又は治療のための薬剤を提供する用途を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるインターロイキン2アナログ又はそれを含む持続型結合体は、生体インターロイキン2β受容体結合力が増大したアナログであり、抗癌治療目的の投与利便性及び副作用を改善することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】インターロイキン2アナログ持続型結合体(アナログ21、41及び52番)のSDS-PAGE結果を示す図である。
【
図2】インターロイキン2アナログ持続型結合体(アナログ21、41及び52番)の純度分析結果を示す図である。
【
図3】インターロイキン2アナログ持続型結合体のICR及びC57BL/6マウスにおける薬物動態を分析した結果を示す図である。AはICRマウスにおけるインターロイキン2アナログ41番結合体及びインターロイキン2アナログ52番結合体の薬物動態を分析した結果を示す図であり、BはC57BL/6マウスにおけるインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ86番結合体、インターロイキン2アナログ104番結合体及びインターロイキン2アナログ105番結合体の薬物動態を分析した結果を示す図である。
図3において、持続型結合体の投与量と血清中濃度の数値は、当該結合体全体においてインターロイキン2アナログ部位が占める重量のみを基準として示す値である。
【
図4】マウスにおいてインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体、インターロイキン2アナログ52番結合体の動物モデルにおける抗癌効力を確認した結果を示す図である。
図4において、持続型結合体の投与量は、当該結合体全体においてインターロイキン2アナログ部位が占める重量のみを基準として示す値である。
【
図5】インターロイキン2アナログ持続型結合体の動物モデルにおける記憶T細胞変化を確認した結果を示す図である。Aはインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体、インターロイキン2アナログ52番結合体の腫瘍成長抑制効果を分析した結果を示す図であり、Bはインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体、インターロイキン2アナログ52番結合体の記憶T細胞数を分析した結果を示す図である。
図5において、持続型結合体の投与量は、当該結合体全体においてインターロイキン2アナログ部位が占める重量のみを基準として示す値である。
【
図6】インターロイキン2アナログ持続型結合体の悪性黒色腫動物モデルにおける抗腫瘍効力を評価した結果を示す図である。Aはアルデスロイキンとインターロイキン2アナログ86番結合体の腫瘍サイズを確認した結果を示す図であり、Bはアルデスロイキンとインターロイキン2アナログ86番結合体の生存率を確認した結果を示す図である。
図6において、持続型結合体の投与量は、当該結合体全体におけるインターロイキン2アナログ部位が占める重量のみを基準として示す値である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一態様は、新規なインターロイキン2アナログ(interleukin 2 analog又はIL-2 analog)を含む持続型結合体である。前記インターロイキン2(interleukin 2, IL-2)アナログは、天然インターロイキン2又はインターロイキン2アナログであるアルデスロイキン(aldesleukin)に比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログであってもよく、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において少なくとも1つのアミノ酸が変異した配列を含むものであってもよい。
【0017】
一具体例として、前記持続型結合体は、化学式(1)で表される持続型結合体であることを特徴とする。
【0018】
X-La-F・・・(1)
【0019】
ここで、Xはインターロイキン2アナログ(analog)であり、このアナログは持続型結合体の一部をなさず、X単独ではアルデスロイキンに比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログであり、Lはポリエチレングリコールリンカーであり、aは0又は自然数であるが、aが2以上であればそれぞれのLは互いに独立しており、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はXとL間、LとF間の共有結合連結を示すものであり、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つが変異した配列を含むものである。
【0020】
他の具体例として、前記持続型結合体は、天然インターロイキン2の少なくとも1つのアミノ酸に置換(substitution)、付加(addition)、欠失(deletion)、修飾(modification)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される変異が起こったインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
【0021】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて、インターロイキン2α受容体結合力が変化し、インターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
【0022】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、前記133番目の位置に相当するアミノ酸に少なくとも1つのアミノ酸が付加されたインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
【0023】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された配列を有するインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
【0024】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、1個~10個のアミノ酸置換をさらに有するインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
【0025】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、インターロイキン2アナログ部位の18番目、19番目、20番目、22番目、38番目、42番目、43番目、45番目、61番目、68番目、69番目、74番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目及び96番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
【0026】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、18番目、22番目、38番目、42番目、61番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
【0027】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、次のアナログのいずれかのインターロイキン2アナログを結合体の一部として含むことを特徴とする。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び32番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び35番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び38番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び43番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び48番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(g)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び49番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(h)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び76番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(i)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(j)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び87番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(k)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(l)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び80番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(m)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(n)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、19番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(o)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、12番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(p)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び61番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(q)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(r)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び88番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(s)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び89番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(t)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び91番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(u)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び94番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(v)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び126番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(w)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(x)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(y)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(z)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aa)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ab)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ac)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ad)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、20番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ae)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(af)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ag)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ah)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、88番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ai)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ak)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(al)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(am)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(an)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ao)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ap)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aq)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ar)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(as)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(at)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(au)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(av)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aw)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ax)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ay)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(az)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ba)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bb)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bc)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、19番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bd)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(be)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bf)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bg)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bh)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bi)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bk)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bl)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、43番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bm)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bn)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、82番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bo)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bp)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目及び86番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【0028】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、次のアミノ酸置換からなる群から選択される少なくとも1つの置換を有するインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
(a)12番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(b)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(c)19番目のアミノ酸のチロシン、バリン、フェニルアラニン、アルギニンへの置換
(d)20番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(e)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(f)32番目のアミノ酸のシステインへの置換
(g)35番目のアミノ酸のシステイン又はグルタミン酸への置換
(h)38番目のアミノ酸のアラニン又はアスパラギン酸への置換
(i)42番目のアミノ酸のリシン、アラニン又はトリプトファンへの置換
(j)43番目のアミノ酸のシステイン、グルタミン酸又はグルタミンへの置換
(k)45番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(l)48番目のアミノ酸のシステインへの置換
(m)49番目のアミノ酸のシステインへの置換
(n)61番目のアミノ酸のグルタミン、アルギニン又はアスパラギン酸への置換
(o)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸又はグルタミンへの置換
(p)69番目のアミノ酸のグリシンへの置換
(q)74番目のアミノ酸のヒスチジン又はアラニンへの置換
(r)76番目のアミノ酸のシステインへの置換
(s)80番目のアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸又はトリプトファンへの置換
(t)81番目のアミノ酸のアスパラギン酸、グルタミン酸又はアスパラギンへの置換
(u)82番目のアミノ酸のグリシン又はバリンへの置換
(v)84番目のアミノ酸のグルタミン酸、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(w)85番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン、トリプトファン、チロシン、トレオニン、イソロイシン、グルタミン酸又はフェニルアラニンへの置換
(x)86番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン又はロイシンへの置換
(y)87番目のアミノ酸のシステインへの置換
(z)88番目のアミノ酸のグルタミン、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(aa)89番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(ab)91番目のアミノ酸のトレオニン、フェニルアラニン又はグルタミン酸への置換
(ac)92番目のアミノ酸のフェニルアラニン、ロイシン、チロシン又はトリプトファンへの置換
(ad)94番目のアミノ酸のフェニルアラニン又はバリンへの置換
(ae)95番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(af)96番目のアミノ酸のフェニルアラニン、バリン又はイソロイシンへの置換
(ag)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
(ah)126番目のアミノ酸のトレオニンへの置換
【0029】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、配列番号3~106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
【0030】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、次のアナログのいずれかのインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【0031】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、次のアミノ酸置換からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を有するインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
(a)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(b)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(c)38番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(d)42番目のアミノ酸のリシンへの置換
(e)61番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(f)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(g)80番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(h)81番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(i)85番目のアミノ酸のバリンへの置換
(j)86番目のアミノ酸のバリンへの置換
(k)92番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(l)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
【0032】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のもの、又はそれらの組み合わせ(combination)もしくはそれらのハイブリッド(hybrid)である免疫グロブリンFc領域を含むことを特徴とする。
【0033】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、IgG4 Fc領域を含むことを特徴とする。
【0034】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域を含むことを特徴とする。
【0035】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であることを特徴とする。
【0036】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記免疫グロブリンFc領域は、2本のポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結された構造であり、前記2本のうち1本の鎖の窒素原子を介してのみ連結されたものであることを特徴とする。
【0037】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号438のアミノ酸配列を有する単量体を含むことを特徴とする。
【0038】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号438のアミノ酸配列の単量体からなるホモ二量体であることを特徴とする。
【0039】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記免疫グロブリンFc領域は、そのN末端プロリンの窒素原子を介して連結されたものであることを特徴とする。
【0040】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含み、前記エチレングリコール繰り返し単位部分(moiety)の化学式量は、1~100kDa範囲にあることを特徴とする。
【0041】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域のいずれかのFc領域に1分子のXが前記ポリエチレングリコールリンカーを介して共有結合的に連結されたものであることを特徴とする。
【0042】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記エチレングリコール繰り返し単位は、[OCH2CH2]nであり、nは、自然数であって、前記インターロイキン2アナログ結合体中の[OCH2CH2]n部分の平均分子量、例えば数平均分子量が1~100kDaになるように決定されることを特徴とする。
【0043】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記nの値は、前記インターロイキン2アナログ結合体中の[OCH2CH2]n部分の平均分子量、例えば数平均分子量が3.4kDaになるように決定されることを特徴とする。
【0044】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記aは、1であり、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域のいずれかのFc領域鎖に1分子のXが前記エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを介して共有結合的に連結されたものであることを特徴とする。
【0045】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記リンカーの一末端が前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域の2本のFc領域鎖のいずれかのFc領域鎖にのみ連結されたものであることを特徴とする。
【0046】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体において、前記結合体は、Lの一末端がFのアミノ基又はチオール基、Lの他の末端がXのアミノ基又はチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合により、F及びXにそれぞれ連結されたものであることを特徴とする。
【0047】
本発明の他の態様は、化学式(2)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体である。
【0048】
X-Z-Fc・・・(2)
【0049】
ここで、Xは配列番号3~106のアミノ酸配列から選択されるいずれかのポリペプチド配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はXとZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のXが共有結合により連結されたものである。
【0050】
一具体例として、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、15、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、56、58、59、60、62、71、72、74、75、76、77、78、85、87、89、91、92、93、94、95、98、99、100、101、103、104、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むことを特徴とする。
【0051】
他の具体例として、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、87、89、91、92、93、94、98、99、100、101、103、104及び105のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むことを特徴とする。
【0052】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体は、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を有するインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
【0053】
前述した具体例のいずれかによる持続型結合体のインターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むことを特徴とする。
【0054】
本発明のさらに他の態様は、化学式(3)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体である。
【0055】
X’-Z-Fc・・・(3)
【0056】
ここで、X’は一般式1で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はX’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’が共有結合により連結されたものである。
【0057】
[一般式1]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-X19-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-X43-F-X45-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-X74-S-K-N-F-H-X80-X81-P-R-X84-X85-X86-S-N-I-N-X91-X92-V-X94-E-X96-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式1,配列番号212)
【0058】
一般式1において、X1は欠失しており、X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、X19はロイシン(L)又はチロシン(Y)であり、X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X38はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)又はアルギニン(R)であり、X42はアラニン(A)、フェニルアラニン(F)、リシン(K)又はトリプトファン(W)であり、X43はグルタミン酸(E)、リシン(K)又はグルタミン(Q)であり、X45はアラニン(A)又はチロシン(Y)であり、X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)であり、X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X74はヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)であり、X80はフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、X81はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はアルギニン(R)であり、X84はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X85はアラニン(A)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)であり、X86はアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)又はバリン(V)であり、X91はトレオニン(T)又はバリン(V)であり、X92はフェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)又はチロシン(Y)であり、X94はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、X96はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)である。
【0059】
一具体例として、一般式1において、X43はリシン(K)であり、X45はチロシン(Y)であり、X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X68はグルタミン酸(E)であり、X74はグルタミン(Q)であり、X80はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、X85はロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)であり、X92はフェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)であることを特徴とする。
【0060】
他の具体例として、前記インターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むことを特徴とする。
【0061】
本発明のさらに他の態様は、化学式(4)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体である。
【0062】
X’’-Z-Fc・・・(4)
【0063】
ここで、X’’は一般式2で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はX’’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’’が共有結合により連結されたものである。
【0064】
[一般式2]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-L-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-K-F-Y-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-Q-S-K-N-F-H-F-X81-P-R-D-X85-X86-S-N-I-N-V-F-V-L-E-L-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式2,配列番号213)
【0065】
X1は欠失しており、X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X38はアラニン(A)又はアルギニン(R)であり、X42はフェニルアラニン(F)又はリシン(K)であり、X61はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X81はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X85はロイシン(L)又はバリン(V)であり、X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)である。
【0066】
一具体例として、前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むことを特徴とする。
【0067】
本発明のさらに他の態様は、非ペプチド性重合体を介してインターロイキン2アナログを免疫グロブリンFc領域に連結するステップを含む、インターロイキン2アナログを有する持続型結合体を製造する方法である。
【0068】
一具体例として、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸が変異したことを特徴とする。
【0069】
本発明のさらに他の態様は、インターロイキン2アナログ(analog)又はその持続型結合体を含む、癌の予防又は治療用薬学組成物である。
【0070】
一具体例として、前記薬学組成物は、薬学的有効量のインターロイキン2アナログの持続型結合体と、薬学的に許容される賦形剤とを含むことを特徴とする。
【0071】
他の具体例として、前記薬学組成物であるインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つが変異した配列を含むことを特徴とする。
【0072】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物は、アルデスロイキンに比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログを含むことを特徴とする。
【0073】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記インターロイキン2アナログは、配列番号3~106からなる群から選択されることを特徴とする。
【0074】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106からなる群から選択されることを特徴とする。
【0075】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記持続型結合体は、化学式(1)で表されることを特徴とする。
【0076】
X-La-F・・・(1)
【0077】
ここで、Xはアルデスロイキンに比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログであり、Lはポリエチレングリコールリンカーであり、aは0又は自然数であるが、aが2以上であればそれぞれのLは互いに独立しており、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はXとL間、LとF間の共有結合連結を示すものである。
【0078】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記癌は、転移性腎細胞癌、転移性黒色腫、大腸癌、肝癌、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、肺癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、膀胱癌及び胃癌からなる群から選択されるいずれかであることを特徴とする。
【0079】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、組成物は、アルデスロイキンと比較した高い血中曝露量、腫瘍成長抑制及び/又は記憶T細胞反応を示すことを特徴とする。
【0080】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記薬学組成物は、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与又は直腸内投与経路で投与されることを特徴とする。
【0081】
前述した具体例のいずれかによる薬学組成物において、前記薬学組成物は、1週間~1カ月の範囲の時間間隔で投与されることを特徴とする。
【0082】
本発明のさらに他の態様は、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物を個体に投与するステップを含む、癌の予防又は治療方法である。
【0083】
本発明のさらに他の態様は、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物の癌の予防又は治療用途である。
【0084】
本発明のさらに他の態様は、前記インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含む、癌の予防又は治療のための薬剤を提供する用途である。
【0085】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。さらに、本明細書全体にわたって多くの論文及び特許文献が参照されており、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれており、それにより本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0086】
本明細書全体を通して、アミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられる。また、本明細書において略語で言及したアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に従って記載したものである。
アラニン A
アルギニン R
アスパラギン N
アスパラギン酸 D
システイン C
グルタミン酸 E
グルタミン Q
グリシン G
ヒスチジン H
イソロイシン I
ロイシン L
リシン K
メチオニン M
フェニルアラニン F
プロリン P
セリン S
トレオニン T
トリプトファン W
チロシン Y
バリン V
【0087】
本明細書における「Aib」は「2-アミノイソブチル酸(2-aminoisobutyric acid)」又は「アミノイソブチル酸(aminoisobutyric acid)」と混用され、2-アミノイソブチル酸(2-aminoisobutyric acid)とアミノイソブチル酸(aminoisobutyric acid)は混用される。
【0088】
本発明の一態様は、インターロイキン2アナログを含む持続型結合体を提供する。
【0089】
具体的には、前記持続型結合体は、化学式(1)で表されるものであってもよい。
【0090】
X-La-F・・・(1)
【0091】
ここで、Xはアルデスロイキンに比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログ(analog)であり、Lはポリエチレングリコールリンカーであり、aは0又は自然数であるが、aが2以上であればそれぞれのLは互いに独立しており、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はXとL間、LとF間の共有結合連結を示すものである。
【0092】
本発明の持続型結合体のインターロイキン2アナログは、結合体の一部をなさず、単独で存在する場合に、インターロイキン2受容体に対する結合力が変化したこと、特にインターロイキン2β受容体結合力が増大したことを特徴とする。具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、結合体の一部をなさず、単独で存在する場合に、天然インターロイキン2又は公知のアルデスロイキンに比べて、インターロイキン2β受容体に対する結合力が増大したものであってもよく、より具体的には、インターロイキン2α受容体に対する結合力も変化(増加又は減少)したものであって、天然インターロイキン2において少なくとも1つのアミノ酸が変異した配列を含むものであってもよい。
【0093】
本発明における「インターロイキン2(interleukin 2, IL-2)」とは、生体内免疫システムにおいてシグナルを伝達するサイトカインの一種である免疫調節剤を意味する。インターロイキン2は、一般に約15kDaの重要な免疫刺激剤として知られている。
【0094】
本発明における「インターロイキン2アナログ」とは、天然配列において少なくとも1つのアミノ酸が変異したものを意味し、特に本発明においては、天然のものに比べてインターロイキン2受容体に対する結合力が減少又は増加した、天然インターロイキン2のアミノ酸が変異したインターロイキン2アナログであってもよい。具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、非自然発生(non-naturally occurring)のものであってもよい。
【0095】
前記天然インターロイキン2は、ヒトインターロイキン2であってもよく、その配列は公知のデータベースなどから得られる。具体的には、配列番号1のアミノ酸配列であるが、これに限定されるものではない。
【0096】
本発明における、天然インターロイキン2が配列番号1のアミノ酸配列であるとは、配列番号1と同じ配列だけでなく、配列番号1と相同性80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列も本発明の天然インターロイキン2の範疇に含まれることを意味し、アミノ酸の変異位置は、配列番号1を基準に、相同性80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列をアラインメント(align)したときに、配列番号1のアミノ酸配列に相当する位置が変異したことを意味する。
【0097】
本発明における、天然配列において少なくとも1つのアミノ酸が変異したものとは、天然インターロイキン2において少なくとも1つのアミノ酸に置換(substitution)、付加(addition)、欠失(deletion)、修飾(modification)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される改変が行われたものを意味する。
【0098】
具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つが変異した配列を含むものであってもよい。具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換され、さらに1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上のアミノ酸置換を含むものであってもよい。125番目のアミノ酸であるシステインがセリンに置換されるが、これに限定されるものではなく、さらなる置換が起こるアミノ酸は、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸であるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
また、前記変異位置以外に、当該技術分野で公知のペプチドの安定性及び半減期延長のために行う程度のアミノ酸残基の置換、付加、欠失、修飾などを含むインターロイキン2アナログも本発明に含まれる。
【0100】
本発明における「アルデスロイキン(aldesleukin)」又は「インターロイキン2アナログ(aldesleukin)」とは、市販されているインターロイキン2アナログであるaldesleukin(商標名:Proleukin(登録商標))を意味し、具体的には、配列番号2のアミノ酸配列を有するものを意味する。本発明においては、「インターロイキン2アナログ1」と混用される。本発明によるインターロイキン2アナログは、前記インターロイキン2アナログ1に比べて、変化したインターロイキン2α受容体結合力及び/又は増大したインターロイキン2β受容体結合力を有するものであってもよい。
【0101】
インターロイキン2α受容体は、インターロイキン2のシグナル伝達システムには関与しないことが知られているが、他のインターロイキン2受容体(β又はγ)とインターロイキン2の結合力を10倍~100倍増加させ、CD4+調節T細胞などに発現する。
【0102】
インターロイキン2β受容体は、CD8+T細胞又はナチュラルキラー細胞(NK cell)に主に分布しており、免疫反応とマクロファージ作用を活性化することを主な機能とするので、インターロイキン2β受容体の活性化により腫瘍アポトーシス及び身体の免疫反応の活性化が期待される。
【0103】
よって、本発明のインターロイキン2β受容体に対する結合力が増加したインターロイキン2アナログは、腫瘍抑制及び死滅などの治療効果を増大させ、副作用は減少させる効果を奏する。
【0104】
本発明における前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された配列を含むものであってもよく、1~10個のアミノ酸変異をさらに含むものであってもよい。例えば、125番目のアミノ酸がセリンに置換され、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目及び126番目の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換され、かつ/又は133番目のアミノ酸に少なくとも1つのアミノ酸が付加された配列を含むが、これらに限定されるものではなく、天然インターロイキン2及び/又はアルデスロイキンに比べて、インターロイキン2α受容体結合力が変化し、インターロイキン2β受容体結合力が増加したインターロイキン2アナログであればいかなるものでもよい。
【0105】
本発明のインターロイキン2アナログの一例として、前記インターロイキン2アナログは、前記133番目の位置に相当するアミノ酸に少なくとも1つのアミノ酸が付加されたものであるが、これに限定されるものではない。本発明の目的上、前述したように付加されるアミノ酸は、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて、インターロイキン2α受容体結合力が変化し、インターロイキン2β受容体結合力が増大するものであれば、その種類や長さが制限されるものではなく、天然アミノ酸以外にも、非天然アミノ酸、化学的改変を含むアミノ酸が付加されてもよい。
【0106】
他の例として、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換され、18番目、19番目、20番目、22番目、38番目、42番目、43番目、45番目、61番目、68番目、69番目、74番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸のうち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又はそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたものであるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
さらに他の例として、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換され、18番目、19番目、22番目、38番目、42番目、43番目、45番目、61番目、68番目、74番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、88番目、91番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸のうち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又はそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたものであるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
さらに他の例として、前記インターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換され、18番目、22番目、38番目、42番目、61番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目の位置に相当するアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸にさらに置換されたものであるが、これらに限定されるものではない。
【0109】
さらに他の例として、前記インターロイキン2アナログは、次のアナログからなる群から選択されるいずれかであってもよい。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び32番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び35番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び38番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び43番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び48番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(g)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び49番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(h)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び76番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(i)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(j)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目及び87番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(k)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(l)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び80番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(m)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(n)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、19番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(o)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、12番目、38番目及び42番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(p)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び61番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(q)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(r)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び88番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(s)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び89番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(t)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び91番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(u)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び94番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(v)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目及び126番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(w)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目及び84番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(x)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(y)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(z)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aa)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ab)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ac)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ad)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、20番目、38番目、42番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ae)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(af)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ag)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ah)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、81番目、88番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ai)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ak)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(al)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(am)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(an)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ao)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、84番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ap)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aq)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ar)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(as)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(at)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(au)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(av)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(aw)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ax)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、74番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ay)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(az)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、69番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(ba)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、84番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bb)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目、94番目及び96番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bc)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、19番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bd)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、38番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(be)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bf)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bg)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bh)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、45番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bi)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bj)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bk)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bl)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、43番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bm)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目、91番目、92番目及び95番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bn)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、35番目、38番目、42番目、74番目、80番目、81番目、82番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bo)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(bp)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目及び86番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【0110】
ここで、前記インターロイキン2アナログが含むアミノ酸置換は、次のアミノ酸置換からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
(a)12番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(b)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(c)19番目のアミノ酸のチロシン、バリン、フェニルアラニン、アルギニンへの置換
(d)20番目のアミノ酸のバリン又はフェニルアラニンへの置換
(e)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(f)32番目のアミノ酸のシステインへの置換
(g)35番目のアミノ酸のシステイン又はグルタミン酸への置換
(h)38番目のアミノ酸のアラニン又はアスパラギン酸への置換
(i)42番目のアミノ酸のリシン、アラニン又はトリプトファンへの置換
(j)43番目のアミノ酸のシステイン、グルタミン酸又はグルタミンへの置換
(k)45番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(l)48番目のアミノ酸のシステインへの置換
(m)49番目のアミノ酸のシステインへの置換
(n)61番目のアミノ酸のグルタミン、アルギニン又はアスパラギン酸への置換
(o)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸又はグルタミンへの置換
(p)69番目のアミノ酸のグリシンへの置換
(q)74番目のアミノ酸のヒスチジン又はアラニンへの置換
(r)76番目のアミノ酸のシステインへの置換
(s)80番目のアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、バリン、アスパラギン酸又はトリプトファンへの置換
(t)81番目のアミノ酸のアスパラギン酸、グルタミン酸又はアスパラギンへの置換
(u)82番目のアミノ酸のグリシン又はバリンへの置換
(v)84番目のアミノ酸のグルタミン酸、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(w)85番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン、トリプトファン、チロシン、トレオニン、イソロイシン、グルタミン酸又はフェニルアラニンへの置換
(x)86番目のアミノ酸のバリン、アラニン、グリシン又はロイシンへの置換
(y)87番目のアミノ酸のシステインへの置換
(z)88番目のアミノ酸のグルタミン、バリン又はフェニルアラニンへの置換
(aa)89番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(ab)91番目のアミノ酸のトレオニン、フェニルアラニン又はグルタミン酸への置換
(ac)92番目のアミノ酸のフェニルアラニン、ロイシン、チロシン又はトリプトファンへの置換
(ad)94番目のアミノ酸のフェニルアラニン又はバリンへの置換
(ae)95番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(af)96番目のアミノ酸のフェニルアラニン、バリン又はイソロイシンへの置換
(ag)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
(ah)126番目のアミノ酸のトレオニンへの置換
【0111】
さらに他の例として、前記インターロイキン2アナログは、次のインターロイキン2アナログから選択されるいずれかであってもよい。
(a)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(b)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(c)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(d)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、38番目、42番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(e)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、61番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
(f)天然インターロイキン2において、1番目のアミノ酸が欠失され、125番目、18番目、22番目、68番目、80番目、81番目、85番目、86番目及び92番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたインターロイキン2アナログ
【0112】
ここで、前記インターロイキン2アナログが含むアミノ酸置換は、次のアミノ酸置換からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
(a)18番目のアミノ酸のアルギニンへの置換
(b)22番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(c)38番目のアミノ酸のアラニンへの置換
(d)42番目のアミノ酸のリシンへの置換
(e)61番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(f)68番目のアミノ酸のアスパラギン酸への置換
(g)80番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(h)81番目のアミノ酸のグルタミン酸への置換
(i)85番目のアミノ酸のバリンへの置換
(j)86番目のアミノ酸のバリンへの置換
(k)92番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換
(l)125番目のアミノ酸のセリンへの置換
【0113】
本明細書における「相当する(corresponding to)」とは、ペプチドにおいて列挙される位置のアミノ酸残基であるか、又はペプチドにおいて列挙される残基に類似、同一もしくは相当するアミノ酸残基であることを意味する。相当する位置のアミノ酸を確認することは、特定配列を参照する配列の特定アミノ酸を決定することになる。
【0114】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1とアラインメント(align)すると、それに基づいて、前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基の数、位置を参照してナンバリングすることができる。
【0115】
このようなアラインメントには、例えばNeedleman-Wunschアルゴリズム(非特許文献1)、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献2)などを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、当該技術分野で公知の配列アラインメントプログラム、ペアワイズ配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムなどを適宜用いることができる。
【0116】
本発明において、ペプチド中のアミノ酸の特定位置で表現されていても、参照配列において相当する位置を意味することもある。
【0117】
さらに他の例として、前記インターロイキン2アナログは、配列番号3~106からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものであるか、前記アミノ酸配列から必須に構成されるものであるか、前記アミノ酸配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
また、本明細書において「特定配列番号からなるインターロイキン2アナログ」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるインターロイキン2アナログと同一又は相当する活性を有するものであれば、当該配列番号のアミノ酸配列の前後の無意味な配列付加や、自然発生する突然変異や、その非表現突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、このような配列付加又は突然変異を有するものも本発明に含まれることは言うまでもない。
【0119】
本発明のインターロイキン2アナログは、配列番号3~106のアミノ酸配列と40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の相同性又は同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0120】
具体例として、本発明のインターロイキン2アナログは、配列番号21、41、52、86、104及び105からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものであるか、前記アミノ酸配列から必須に構成されるものであるか、前記アミノ酸配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
本発明における「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列又は塩基配列が互いに関連する程度を意味し、百分率で表される。
【0122】
保存されている(conserved)ポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列相同性又は同一性は標準的な配列アルゴリズムにより決定され、用いられるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に用いられてもよい。実質的には、相同性を有するか(homologous)又は同じ(identical)配列は、中程度又は高いストリンジェントな条件(stringent conditions)下において、一般に配列全体又は一部分とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションには、ポリヌクレオチドにおいて一般のコドン又はコドン縮退を考慮したコドンを有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることは言うまでもない。
【0123】
相同性及び同一性は、しばしば互換的に用いられる。
【0124】
任意の2つの塩基配列又はペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、例えば非特許文献3のようなデフォルトパラメーターと「FASTA」プログラムなどの公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。あるいは、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献2)(バージョン5.0.0又はそれ以降のバージョン)で行われるように、ニードルマン=ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(非特許文献1)を用いて決定することができる(GCGプログラムパッケージ(非特許文献4)、BLASTP、BLASTN、FASTA(非特許文献5、6及び7)を含む)。例えば、国立生物工学情報センターのBLAST又はClustal Wを用いて相同性、類似性又は同一性を決定することができる。
【0125】
塩基配列又はペプチドの相同性、類似性又は同一性は、例えば非特許文献8に開示されているように、非特許文献1などのGAPコンピュータプログラムを用いて、配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列のうち短いものにおける記号の総数で、類似する配列記号(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数を割った値と定義している。GAPプログラムのためのデフォルトパラメーターは、(1)二進法比較マトリックス(同一性は1、非同一性は0の値をとる)及び非特許文献9に開示されているように、非特許文献10の加重比較マトリックス(又はEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス)と、(2)各ギャップに3.0のペナルティ、及び各ギャップの各記号に追加の0.10ペナルティ(又はギャップオープンペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5)と、(3)末端ギャップに無ペナルティとを含む。よって、本発明における「相同性」又は「同一性」は、配列間の関連性(relevance)を示すものである。
【0126】
以上の内容は、本発明の他の具体例又は他の態様にも適用されるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
本発明のインターロイキン2アナログは、インターロイキン2のα及び/又はβ受容体との結合力を低下又は増加させることによりin vitro活性を変化させる、新たなインターロイキン2の代替剤として用いられる。特に、β受容体に対する結合力を増加させるだけでなく、α受容体に対する結合力を変化(増加又は減少)させるので、両受容体に対する活性により、効果的な治療剤として用いられる。
【0128】
本発明における、インターロイキン2のアナログの製造のためのこのような改変には、L型もしくはD型アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸を用いた改変、並びに/あるいは天然配列の修飾、例えば側鎖官能基の改変、分子内の共有結合、一例として側鎖間の環形成、メチル化、アシル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などの修飾による改変が全て含まれる。
【0129】
また、天然インターロイキン2のN及び/又はC末端に少なくとも1つのアミノ酸が付加されたものが全て含まれる。
【0130】
前述したように置換されるか、付加されるアミノ酸としては、ヒトタンパク質において通常観察される20種のアミノ酸だけでなく、異常又は非天然アミノ酸を用いることができる。異常アミノ酸の市販元には、Sigma-Aldrich、ChemPep、Genzyme pharmaceuticalsが含まれる。これらのアミノ酸が含まれるペプチドと定型的なペプチド配列は、民間のペプチド合成会社、例えば米国のAmerican peptide companyやBachem、又は韓国のAnygenにおいて合成及び購入することができる。
【0131】
アミノ酸誘導体も同様に入手することができ、一例として4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などが挙げられる。
【0132】
また、本発明によるインターロイキン2アナログは、生体内のタンパク質切断酵素から保護して安定性を向上させるために、そのN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾された形態であってもよく、有機基により保護された形態であってもよく、ペプチド末端などにアミノ酸が付加されて改変された形態であってもよい。
【0133】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N及びC末端が電荷を帯びているので、その電荷を除去するために、N末端のアセチル化(acetylation)及び/又はC末端のアミド化(amidation)を行うが、特にこれらに限定されるものではない。
【0134】
本発明のインターロイキン2アナログは、Solid phase合成法により合成することもでき、組換え法により生産することもでき、商業的に依頼して作製することもできるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
また、本発明のインターロイキン2アナログは、その長さに応じてこの分野で周知の方法、例えば自動ペプチド合成機により合成することができ、遺伝子操作技術により産生することができる。
【0136】
具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、標準合成方法、組換え発現システム又は任意の他の当該分野の方法により作製することができる。よって、本発明によるインターロイキン2アナログは、例えば(a)ペプチドを固相もしくは液相法で段階的に又はフラグメント組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法、(b)ペプチドをコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法、(c)ペプチドをコードする核酸作製物を無細胞試験管内で発現させ、発現生成物を回収する方法、又は(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせによりペプチドのフラグメントを得て、次にフラグメントを連結してペプチドを得ることにより当該ペプチドを回収する方法をはじめとする多くの方法で合成することができる。
【0137】
本発明において、天然インターロイキン2受容体に対するいずれかのインターロイキン2アナログ(又はそれを含む持続型結合体)の結合力は、受容体に対する親和性を測定する方法としてSPR(surface plasmon resonance)を用いて測定することができる。
【0138】
具体的には、SPR分析としては、タンパク質-リガンド結合の原理を用いてセンサチップにインターロイキン2受容体を固定化し、連続希釈法により実験緩衝液に希釈したインターロイキン2アナログを注入して固定化した受容体との結合を誘導し、その後同じ流速で実験緩衝液のみ注入して受容体とインターロイキン2アナログの解離を誘導し、結合力を測定する方法や、まず、センサチップにヒト免疫グロブリンFc領域に対する抗体を固定し、次いで、Fc領域が結合したインターロイキン2受容体を固定化してインターロイキン2アナログを注入し、結合力を測定する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
より具体的には、ビオチンで標識したヒトインターロイキン2受容体をストレプトアビジンバイオセンサチップに固定化し、2倍連続希釈法でHBS-EP+緩衝液に希釈したインターロイキン2アナログ持続型結合体を1分当たり20μLの流速で3分間注入し、その後同じ流速でHBS-EP+緩衝液のみ3分間注入してインターロイキン2受容体とインターロイキン2アナログ持続型結合体の解離を誘導し、次いで得られた結合定数及び解離定数からBioaevaluationプログラムにより1:1 binding fitting modelで結合力を測定することができるが、これに限定されるものではない。
【0140】
さらに具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2又はインターロイキン2アナログ(aldesleukin; 又はインターロイキン2アナログ1)に比べて、減少又は増加したインターロイキン2α受容体結合力を有してもよい。
【0141】
さらに具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンのインターロイキン2α受容体結合力と比較して、約0.001倍以上、約0.005倍以上、約0.01倍以上、約0.05倍以上、約0.1倍以上、約0.3倍以上、約0.5倍以上、約0.7倍以上、約0.9倍以上、約1.1倍以上、約1.3倍以上、約1.5倍以上、約1.7倍以上のインターロイキン2α受容体結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて変化したものであれば本発明に含まれる。
【0142】
あるいは、アルデスロイキンのインターロイキン2α受容体結合力(100%)を基準に、本発明のインターロイキン2アナログは、完全に結合力を喪失したものであるか、約1%以上、約5%以上、約7%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約50%以上、約70%以上、約90%以上、約100%以上、約150%以上、約200%以上の結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて変化したものであれば本発明に含まれる。
【0143】
また、具体的には、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンのインターロイキン2β受容体結合力と比較して、約0.1倍以上、約0.3倍以上、約0.5倍以上、約0.7倍以上、約1.0倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約60倍以上、約70倍以上、約80倍以上、約90倍以上、約100倍以上のインターロイキン2β受容体結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて変化したか、増加したものであれば本発明に含まれる。
【0144】
あるいは、アルデスロイキンのインターロイキン2β受容体結合力(100%)を基準に、本発明のインターロイキン2アナログは、約5%以上、約9%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約50%以上、約100%以上、約200%以上、約500%以上、約700%以上、約1000%以上、約1500%以上、約3000%以上、約5000%以上、約7000%以上、約10000%以上、約12000%以上、約15000%以上、約20000%以上、約25000%以上の結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて増加したものであれば本発明に含まれる。
【0145】
本発明における「約」とは、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などが全て含まれる範囲であり、約という用語の後に続く数値と同等又は同程度の範囲の数値であればいかなるものでもよい。
【0146】
本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて、インターロイキン2α受容体に対する結合力が変化し、インターロイキン2β受容体に対する結合力が増加したことを特徴とする。
【0147】
本発明の具体的な実施形態においては、本発明のインターロイキン2アナログを作製するために、天然インターロイキン2(配列番号1)に基づいて、変異を導入したインターロイキン2アナログを作製した。本発明で作製したインターロイキン2アナログは、配列番号3~106のいずれかのアミノ酸配列を含むものであってもよく、配列番号108~211のいずれかの塩基配列でコードされるものであってもよい。
【0148】
本発明のインターロイキン2アナログをコードする核酸は、配列番号1の天然インターロイキン2をコードする塩基配列において、特定位置のアミノ酸に変異(アミノ酸の欠失、置換及び/又は付加)を導入できるように改変されたものであってもよく、具体的には、配列番号3~106のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むものであってもよい。例えば、本発明の核酸は、配列番号108~211のいずれかの塩基配列を有するものであってもよく、含むものであってもよい。
【0149】
本発明の塩基配列は、コドンの縮退(degeneracy)により、又は本発明の核酸を発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮して、本発明のインターロイキン2アナログのアミノ酸配列が変化しない範囲でコード領域に様々な改変を行うことができる。具体的には、本発明の核酸は、配列番号108~211のいずれかの配列と相同性もしくは同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上及び100%未満の塩基配列を有するものであるか、含むものであるか、又は配列番号108~211の配列のいずれかの配列と相同性もしくは同一性が70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上及び100%未満の塩基配列からなるものであるか、必須に構成されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
また、本発明の核酸は、公知の遺伝子配列から調製されるプローブ、例えば本発明の核酸配列の全部又は一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列であればいかなるものでもよい。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(非特許文献11、12参照)に具体的に記載されている。
【0151】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2つの核酸が相補的配列を有することが求められる。「相補的」とは、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を表すために用いられるものである。例えば、DNAにおいて、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。よって、本発明の核酸には、実質的に類似する核酸配列だけでなく、全配列に相補的な単離された核酸断片が含まれてもよい。
【0152】
前記ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーはポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野で公知である(例えば、非特許文献11)。
【0153】
相同性又は同一性については前述した通りである。
【0154】
また、本発明のインターロイキン2アナログは、天然インターロイキン又はアルデスロイキンに比べて体内半減期が延長されたものであるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、半減期延長のための生体適合性物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)がインターロイキン2アナログに直接又はリンカーを介して結合され、半減期が延長された持続型結合体の形態が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0155】
本発明による持続型結合体は、インターロイキン2β受容体に対する結合力を向上させたインターロイキン2アナログを含むだけでなく、その半減期を延長させるための代表的なキャリアとして免疫グロブリンFc領域に結合させることにより、インターロイキン2アナログの半減期が延長され、血中曝露量が高まり、生体内免疫反応が増加するので、癌細胞の成長抑制及び減少を効果的に達成することができる。
【0156】
本発明を実現するための本発明の他の態様は、インターロイキン2アナログの持続型結合体を提供する。
【0157】
本発明において、前記インターロイキン2アナログ持続型結合体は、インターロイキン2アナログに、その生体内半減期を延長させるための生体適合性物質が結合された形態であってもよい。本明細書における前記生体適合性物質は、キャリアと混用される。
【0158】
本発明における前記持続型結合体は、キャリアが結合されていないインターロイキン2アナログより効力の持続性が向上したものであり、本発明においては、このような結合体を「持続型結合体」又は「結合体」という。
【0159】
なお、このような結合体は、天然に存在しない(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0160】
本発明の一具体例において、前記持続型結合体は、化学式(1)で表される持続型結合体である。
【0161】
X-La-F・・・(1)
【0162】
ここで、Xはアルデスロイキンに比べてインターロイキン2β受容体結合力が増大したインターロイキン2アナログ(analog)であり、Lはポリエチレングリコールリンカーであり、aは0又は自然数であるが、aが2以上であればそれぞれのLは互いに独立しており、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、前記「-」は共有結合を示すものである。
【0163】
より具体的には、XとL、及びLとFは共有結合により互いに連結されたものであってもよく、ここで、前記結合体は、化学式(1)の順に、X、L及びFが共有結合によりそれぞれ連結された結合体である。
【0164】
また、前記Fは、Xに直接連結された(すなわち、化学式(1)においてaが0である)ものであってもよく、リンカー(L)を介して連結されたものであってもよい。
【0165】
本発明における前記インターロイキン2アナログは、前記結合体の一部をなす一構成である。具体的には、化学式(1)におけるXに該当する。インターロイキン2アナログについては前述した通りである。
【0166】
前記結合体におけるFは、X、すなわちインターロイキン2アナログの半減期を延長させる物質であり、本発明の結合体の一部をなす一構成である。
【0167】
前記Fは、Xに共有化学結合により互いに結合されたものであってもよく、Lを介して、Xに共有化学結合により互いに結合されたものであってもよい。
【0168】
具体的には、前記Fは、免疫グロブリンFc領域であり、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG Fc領域又は非グリコシル化されたIgG4 Fc領域であるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0169】
本発明の具体的な一例として、前記F(免疫グロブリンFc領域)は、2本のポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一末端が前記2本のポリペプチド鎖のいずれかのポリペプチド鎖にのみ連結されている構造を有するが、これに限定されるものではない。
【0170】
本発明のペプチド中の少なくとも1つのアミノ酸側鎖は、生体内で可溶性及び/又は半減期を向上させ、かつ/又はバイオアベイラビリティを増加させるために、このような生体適合性物質に接合される。また、このような改変は、治療学的タンパク質及びペプチドのクリアランス(clearance)を減少させる。
【0171】
前述した生体適合性物質は、水溶性(両親媒性又は親水性)のもの、無毒性のもの、及び/又は薬学的に許容されるものであってもよい。
【0172】
前記Fは、Xに直接連結された(すなわち、化学式(1)においてaが0である)ものであってもよく、ポリエチレングリコールリンカー(L)を介して連結されたものであってもよい。
【0173】
具体的な一実施形態において、本発明の持続型結合体は、インターロイキン2アナログと免疫グロブリンFc領域が連結されたものであるが、これに限定されるものではない。
【0174】
本発明における「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域を除いたものであり、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、本発明の結合体の一部をなす一構成であってもよい。具体的には、化学式(1)におけるFに該当する。
【0175】
本明細書において、Fc領域には、免疫グロブリンのパパイン消化により得られる天然配列だけでなく、その誘導体、例えば天然配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより置換されて天然のものとは異なる配列などの改変体も含まれる。前記誘導体、置換体、改変体は、FcRnに結合する能力を有することを前提とする。本発明において、Fはヒト免疫グロブリン領域であるが、これに限定されるものではない。本明細書における「生体適合性物質」又は「キャリア」とは、前記Fc領域を意味する。
【0176】
前記F(免疫グロブリンFc領域)は、2本のポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結された構造であり、前記2本の鎖のうち1本の鎖の窒素原子を介してのみ連結された構造であるが、これに限定されるものではない。前記窒素原子を介した連結は、リシンのεアミノ原子やN末端のアミノ基に還元的アミノ化により連結されるものであってもよい。
【0177】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミン基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(すなわち、還元的アミノ化が可能な官能基)と反応してアミンを生成し、次いで還元反応によりアミン結合を形成する反応を意味し、当該技術分野で周知の有機合成反応である。
【0178】
本発明の持続型結合体の一具体例として、前記持続型結合体は、前記免疫グロブリンFc領域がそのN末端窒素原子を介してリンカーに連結されたものであってもよい。
【0179】
このような免疫グロブリンFc領域は、重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含むが、これに限定されるものではない。
【0180】
本発明における免疫グロブリンFc領域は、N末端に特定ヒンジ配列を含んでもよい。
【0181】
本発明における「ヒンジ配列」とは、重鎖に位置してジスルフィド結合(inter disulfide bond)により免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0182】
本発明において、前記ヒンジ配列は、次のアミノ酸配列を有するヒンジ配列中の一部が欠失して1つのシステイン残基のみ有するように変異したものであるが、これに限定されるものではない。
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号418)。
【0183】
前記ヒンジ配列は、配列番号418のヒンジ配列中の8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して1つのシステイン残基のみ含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は、1つのシステイン残基のみ含む、3~12個のアミノ酸からなるものであるが、これに限定されるものではない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、次の配列を有するものであってもよい。
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号419)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号420)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号421)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号422)
Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号423)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号424)
Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号425)
Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号426)
Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号427)
Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号428)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号429)
Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号430)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号431)
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号432)
Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号433)
Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号434)
Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号435)
Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号436)
Ser-Cys-Pro(配列番号437)
【0184】
より具体的には、前記ヒンジ配列は、配列番号428(Pro-Ser-Cys-Pro)又は配列番号437(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0185】
本発明の持続型結合体のより具体的な形態において、前記結合体中の前記免疫グロブリンFc領域のN末端はプロリンであり、その結合体は前記プロリンの窒素原子を介してFc領域がリンカーに連結されたものである。
【0186】
本発明の持続型結合体の一実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列が存在することにより免疫グロブリンFc領域の2本の鎖がホモ二量体(homodimer)やヘテロ二量体(heterodimer)を形成する二量体の形態であってもよい。本発明の化学式(1)の結合体は、リンカーの一末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の1本の鎖に連結された形態であるが、これに限定されるものではない。
【0187】
本発明における「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味し、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個もしくは10個以上のアミノ酸が含まれる。本発明の免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列をN末端に含むが、これに限定されるものではない。
【0188】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然のものと実質的に同等又は向上した効果を有するものであれば、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変領域を除き、一部又は全部の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。さらに、CH2及び/又はCH3に相当する非常に長い一部のアミノ酸配列が欠失した領域であってもよい。
【0189】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメインの少なくとも1つのドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、又は6)重鎖定常領域の各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
本発明における前記免疫グロブリンFc領域は、同一起源のドメインからなる一本鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体の形態であるが、これらに限定されるものではない。
【0191】
また、本発明の持続型結合体の一実施形態として、前記免疫グロブリンFc領域Fは、2本のポリペプチド鎖からなる二量体(dimer)であり、ここで、前記Fc領域二量体FとXは、エチレングリコール繰り返し単位を含む1つの同じリンカーLを介して共有結合的に連結されている。本実施形態の具体的な例において、Xは、このようなFc領域二量体Fの2本のポリペプチド鎖のいずれかのポリペプチド鎖にのみリンカーLを介して共有結合により連結されている。本実施形態のさらに具体的な例において、このようなFc領域二量体Fの2本のポリペプチド鎖のうちXが連結された1本のポリペプチド鎖には、1分子のXのみLを介して共有結合的に連結されている。本実施形態の最も具体的な例において、前記Fはホモ二量体である。
【0192】
他の具体例において、前記免疫グロブリンFc領域Fは、2本のポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一末端が前記2本のポリペプチド鎖のいずれかのポリペプチド鎖にのみ連結されたものであるが、これに限定されるものではない。
【0193】
本発明の持続型結合体の他の実施形態においては、二量体形態の1つのFc領域に2分子のXが対称に結合されてもよい。ここで、前記免疫グロブリンFc領域とXは、Lにより互いに連結されてもよい。しかし、上記例に限定されるものではない。
【0194】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域には、天然アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体も含まれる。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより異なる配列を有するものを意味する。
【0195】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であることが知られている214~238、297~299、318~322、又は327~331番目のアミノ酸残基が修飾に適した部位として用いられる。
【0196】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去された誘導体、天然FcからN末端のいくつかのアミノ酸が欠失した誘導体、天然FcのN末端にメチオニン残基が付加された誘導体など、様々な誘導体が用いられる。さらに、エフェクター機能をなくすために、補体結合部位、例えばC1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を作製する技術は、特許文献2、3などに開示されている。
【0197】
分子の活性を全体的に変化させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野で公知である(非特許文献13)。最も一般的な交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)、アミド化(amidation)などにより修飾(modification)されてもよい。
【0198】
記述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を向上させたものであってもよい。
【0199】
また、このようなFc領域は、ヒトや、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物の生体内から分離した天然のものから得てもよく、形質転換された動物細胞もしくは微生物から得られた組換えたもの又はその誘導体であってもよい。ここで、天然のものから得る方法は、全免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離し、その後タンパク質分解酵素で処理することにより得る方法であってもよい。パパインで処理するとFab及びFcで切断され、ペプシンで処理するとpF’c及びF(ab)2に切断される。これらは、サイズ排除クロマトグラフィー(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離することができる。より具体的な実施形態において、ヒト由来のFc領域は、微生物から得られた組換え免疫グロブリンFc領域である。
【0200】
また、免疫グロブリンFc領域は、天然糖鎖であってもよく、天然のものに比べて増加した糖鎖であってもよく、天然のものに比べて減少した糖鎖であってもよく、糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には、化学的方法、酵素学的方法、微生物を用いた遺伝工学的手法などの通常の方法が用いられる。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は、補体(c1q)との結合力が著しく低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が低減又は除去されるので、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このようなことから、糖鎖が除去されるか、非グリコシル化された免疫グロブリンFc領域は、薬物のキャリアとしての本来の目的に適する形態である。
【0201】
本発明における「糖鎖の除去(Deglycosylation)」とは、酵素で糖を除去したFc領域を意味し、非グリコシル化(Aglycosylation)とは、原核生物、より具体的な実施形態においては大腸菌で産生されてグリコシル化されていないFc領域を意味する。
【0202】
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒト起源、又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であり、より具体的な実施形態においてはヒト起源である。
【0203】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のFc領域であってもよく、それらの組み合わせ(combination)又はそれらのハイブリッド(hybrid)によるFc領域であってもよい。より具体的な実施形態においては、ヒト血液に最も豊富なIgG又はIgM由来のものであり、さらに具体的な実施形態においては、リガンド結合タンパク質の半減期を延長させることが知られているIgG由来のものである。一層具体的な実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非グリコシル化されたFc領域であるが、これらに限定されるものではない。
【0204】
また、一具体例として、免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4 Fcのフラグメントであり、各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain形態)により2つの単量体が連結されたホモ二量体であってもよく、ここで、ホモ二量体は、各単量体において35番目と95番目のシステイン間、及び141番目と199番目のシステイン間にジスルフィド結合、すなわち2つのジスルフィド結合(intra-chain形態)を有するものである/有するものであってもよい。
【0205】
各単量体のアミノ酸は、221個のアミノ酸からなり、ホモ二量体を形成するアミノ酸は、全体で442個のアミノ酸からなるが、これらに限定されるものではない。具体的には、免疫グロブリンFcフラグメントは、配列番号438のアミノ酸配列(221個のアミノ酸からなる)を有する2つの単量体が各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合によりホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立して35番目と95番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合、及び141番目と199番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであるが、これに限定されるものではない。
【0206】
化学式(1)のFは、配列番号438のアミノ酸配列を有する単量体を含むものであり、前記Fは、配列番号438のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であるが、これらに限定されるものではない。
【0207】
一例として、免疫グロブリンFc領域は、配列番号439のアミノ酸配列(442個のアミノ酸からなる)を含むホモ二量体であるが、これに限定されるものではない。
【0208】
一具体例として、前記免疫グロブリンFc領域とXはグリコシル化されていないが、これに限定されるものではない。
【0209】
一方、本発明における「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する際に、同一起源の一本鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが異なる起源の一本鎖ポリペプチドに結合することを意味する。すなわち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgE Fcフラグメントからなる群から選択される少なくとも2つのフラグメントから二量体又は多量体を作製することができる。
【0210】
本発明における「ハイブリッド(hybrid)」とは、一本鎖免疫グロブリン定常領域内に、少なくとも2つの異なる起源の免疫グロブリンFcフラグメントに相当する配列が存在することを意味する。本発明においては、様々な形態のハイブリッドが可能である。すなわち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなる群から選択される1つ~4つのドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含んでもよい。
【0211】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けられ、本発明においては、それらの組み合わせ又はそれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、より具体的には、補体依存性細胞傷害(CDC, Complement dependent cytotoxicity)などのエフェクター機能(effector function)のほとんどないIgG4のFc領域である。
【0212】
また、前述した結合体は、天然インターロイキン2もしくはアルデスロイキンより、又はFが修飾されていないXより効力の持続性が向上したものであり、このような結合体には、前述した形態だけでなく、生分解性ナノ粒子に封入された形態などが全て含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0213】
化学式(1)において、前記Lはポリエチレングリコールリンカーであってもよい。
【0214】
本発明における「ポリエチレングリコールリンカー」には、エチレングリコール繰り返し単位が少なくとも2つ結合された生体適合性重合体が含まれる。前記繰り返し単位は、ペプチド結合を除く任意の共有結合により互いに連結される。前記ポリエチレングリコールリンカーは、本発明の結合体の一部をなす一構成であり、化学式(1)におけるLに該当する。本明細書において、前記リンカーは、「非ペプチド性リンカー」又は「非ペプチド性重合体」と混用される。
【0215】
前記Laにおいて、aは1以上であってもよく、aが2以上であればそれぞれのLは独立したものであってもよい。
【0216】
具体的な一実施形態における前記結合体は、両末端にF(具体的には、免疫グロブリンFc領域)、及びX(具体的には、インターロイキン2アナログ)に結合される反応基を含む非ペプチド性リンカーを介して、FとXが互いに共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0217】
具体的には、本発明における非ペプチド性リンカーは、末端に反応基を含み、結合体を構成する他の構成要素との反応により結合体を形成することができる。両末端に反応性官能基を有する非ペプチド性リンカーが各反応基を介して化学式(1)のX及びFに結合することにより結合体を形成する場合、前記非ペプチド性リンカー又は非ペプチド性重合体を非ペプチド性重合体連結部(linker moiety)又は非ペプチド性リンカー連結部ともいう。
【0218】
具体的な一実施形態において、前記L(ポリエチレングリコールリンカー)は、エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー、例えばポリエチレングリコールであるが、これに限定されるものではない。本明細書における前記ポリエチレングリコールは、エチレングリコールホモポリマー、PEGコポリマー又はモノメチル置換PEGポリマー(mPEG)の形態を包括するものでるが、特にこれらに限定されるものではない。また、当該分野で公知のそれらの誘導体や当該分野の技術水準で容易に作製できる誘導体も本発明に含まれる。
【0219】
前記ポリエチレングリコールリンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含むと共に、結合体として構成されるまでは、結合体の作製に用いられる官能基を末端に含むものであってもよい。本発明による持続型結合体は、前記官能基を介してXとFが連結された形態であるが、これに限定されるものではない。本発明における前記非ペプチド性リンカーは、2つ又は3つ以上の官能基を含み、各官能基は、同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0220】
具体的には、前記リンカーは、化学式(5)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であるが、これに限定されるものではない。
【0221】
【0222】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これらに限定されるものではない。
【0223】
前記持続型結合体のPEG部分は、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素とその-(CH2CH2O)n-間に介在する酸素原子も含むが、これに限定されるものではない。
【0224】
一具体例として、前記エチレングリコール繰り返し単位は[OCH2CH2]nで表され、n値は、自然数であって、前記インターロイキン2アナログ結合体中の[OCH2CH2]n部分の平均分子量、例えば数平均分子量が0超~約100kDaになるように決定されるが、これらに限定されるものではない。他の具体例として、前記n値は、自然数であって、前記インターロイキン2アナログ結合体中の[OCH2CH2]n部分の平均分子量、例えば数平均分子量が約1~約100kDa、約1~約80kDa、約1~約50kDa、約1~約30kDa、約1~約25kDa、約1~約20kDa、約1~約15kDa、約1~約13kDa、約1~約11kDa、約1~約10kDa、約1~約8kDa、約1~約5kDa、約1~約3.4kDa、約3~約30kDa、約3~約27kDa、約3~約25kDa、約3~約22kDa、約3~約20kDa、約3~約18kDa、約3~約16kDa、約3~約15kDa、約3~約13kDa、約3~約11kDa、約3~約10kDa、約3~約8kDa、約3~約5kDa、約3~約3.4kDa、約8~約30kDa、約8~約27kDa、約8~約25kDa、約8~約22kDa、約8~約20kDa、約8~約18kDa、約8~約16kDa、約8~約15kDa、約8~約13kDa、約8~約11kDa、約8~約10kDa、約9~約15kDa、約9~約14kDa、約9~約13kDa、約9~約12kDa、約9~約11kDa、約9.5~約10.5kDa、又は約10kDaであるが、これらに限定されるものではない。
【0225】
また、具体的な一実施形態における前記結合体は、インターロイキン2アナログと免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカー(L)を介して共有結合により連結された構造であるが、これに限定されるものではない。
【0226】
具体的な他の実施形態における前記持続型結合体において、前記Lはエチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーであり、aは1であり、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であってもよい。より具体的には、二量体形態の免疫グロブリンFc領域のいずれかのFc領域に1分子のXが前記エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーを介して共有結合的に連結されたものであるが、これに限定されるものではない。また、具体的なさらに他の実施形態においては、前記エチレングリコール繰り返し単位を含むリンカーの一末端が前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域の2本のFc領域鎖のいずれかのFc領域鎖にのみ連結されたものであるが、これに限定されるものではない。
【0227】
本発明に用いられるポリエチレングリコールリンカーの分子量は、0超~200kDaの範囲、具体的には約1~100kDaの範囲、約1~50kDaの範囲、約1~30kDaの範囲、約2~30kDaの範囲、約1~20kDaの範囲、より具体的には約3.4kDa~10kDaの範囲、さらに具体的には約3.4kDaであるが、これらに限定されるものではない。また、前記Fに該当するポリペプチドに結合される本発明の非ペプチド性リンカーは、1種類の重合体だけでなく、異なる種類の重合体の組み合わせが用いられてもよい。
【0228】
本発明における「約」とは、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1などが全て含まれる範囲であり、約という用語の後に続く数値と同等又は同程度の範囲の数値であればいかなるものでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0229】
具体的には、前記非ペプチド性リンカーは、F及びXに結合されていない状態で両末端に反応基を有し、前記反応基を介してF及びXに結合されるものであってもよい。
【0230】
一具体例として、前記リンカーの両末端は、免疫グロブリンFc領域のチオール基、アミノ基、ヒドロキシ基、及びインターロイキン2アナログ(X)のチオール基、アミノ基、アジド基、ヒドロキシ基に結合されるが、これらに限定されるものではない。
【0231】
具体的には、前記リンカーは、両末端がそれぞれ免疫グロブリンFc領域及びインターロイキン2アナログ(X)に結合される反応基、より具体的には、免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基と、N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミノ基と、C末端に位置するヒドロキシ基とからなる群から選択される少なくとも1つに結合され、インターロイキン2アナログ(X)のシステインのチオール基と、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミノ基と、アジドリシンのアジド基と、ヒドロキシ基とからなる群から選択される少なくとも1つに結合される反応基であるが、これらに限定されるものではない。
【0232】
さらに具体的には、前記リンカーの反応基は、アルデヒド基、マレイミド基及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであるが、これらに限定されるものではない。
【0233】
上記において、アルデヒド基の例として、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0234】
上記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルバレレート、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジルカーボネートが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0235】
前記リンカーは、上記反応基を介して、免疫グロブリンFc領域であるF、及びインターロイキン2アナログであるXに連結され、リンカー連結部に変換されてもよい。
【0236】
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりはるかに安定している。アルデヒド反応基は、低いpHではN末端に選択的に反応し、高いpH、例えばpH9.0の条件ではリシン残基と共有結合を形成することができる。
【0237】
また、前記リンカーの両末端の反応基は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、両末端にアルデヒド基を有するものであってもよく、一末端にはマレイミド基、他の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基又はブチルアルデヒド基を有するものであってもよい。しかし、リンカーの各末端にF、具体的には免疫グロブリンFc領域とXが結合されるものであれば、特にこれに限定されるものではない。
【0238】
例えば、前記リンカーの一末端には反応基としてマレイミド基を含み、他の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基などを含んでもよい。
【0239】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールをリンカーとして用いる場合、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前述した様々な反応基として活性化するか、市販されている修飾された反応基を有するポリエチレングリコールを用いることにより、本発明のインターロイキン2アナログ持続型結合体を作製することができる。
【0240】
具体的な一実施形態において、前記リンカーは、Xのシステイン残基、より具体的にはシステインの-SH基に連結されたものであるが、これらに限定されるものではない。
【0241】
具体的には、前記システイン残基の-SH基にリンカーの反応基が連結されてもよい。反応基については前述した通りである。マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はXの-SH基にチオエーテル(thioether)結合で連結することができ、アルデヒド基はF、具体的には免疫グロブリンFcの-NH2基に還元的アミノ化反応により連結することができるが、これに限定されるものではない。
【0242】
具体的な他の実施形態において、前記リンカーは、Xのリシン残基、より具体的にはリシンのアミノ基に連結されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0243】
また、前記結合体において、リンカーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2に連結されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0244】
さらに、前記結合体において、本発明によるインターロイキン2アナログは、反応基を有するリンカーにC末端を介して連結されてもよいが、これは一例にすぎない。
【0245】
本発明における「C末端」とは、ペプチドのカルボキシ末端を意味し、本発明の目的上、リンカーに結合する位置を意味する。例えば、これらに限定されるものではないが、C末端の最末端のアミノ酸残基だけでなく、C末端周辺のアミノ酸残基が全て含まれ、具体的には最末端から1~20番目のアミノ酸残基が含まれる。
【0246】
また、前述した結合体は、Fが修飾されていないXより効力の持続性が向上したものであり、このような結合体には、前述した形態だけでなく、生分解性ナノ粒子に封入された形態などが全て含まれる。
【0247】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、配列番号3~106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログと免疫グロブリンFc領域がリンカーを介して連結された持続型結合体を提供する。
【0248】
前記インターロイキン2アナログ、リンカー及びそれを含む持続型結合体については前述した通りである。
【0249】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、化学式(2)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体を提供する。
【0250】
X-Z-Fc・・・(2)
【0251】
ここで、Xは配列番号3~106のアミノ酸配列から選択されるいずれかのポリペプチド配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はXとZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のXが共有結合により連結されたものである。
【0252】
前記インターロイキン2アナログ、リンカー、Fc領域及びそれを含む持続型結合体については前述した通りである。
【0253】
具体的な一実施形態において、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、15、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、56、58、59、60、62、71、72、74、75、76、77、78、85、87、89、91、92、93、94、95、98、99、100、101、103、104、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものであるか、前記配列から必須に構成されるものであるか、前記配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0254】
具体的な他の実施形態において、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、87、89、91、92、93、94、98、99、100、101、103、104及び105のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものであるか、前記配列から必須に構成されるものであるか、前記配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0255】
具体的なさらに他の実施形態において、前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものであるか、前記配列から必須に構成されるものであるか、前記配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0256】
また、前記インターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むものであるが、これに限定されるものではない。
【0257】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、化学式(3)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体を提供する。
【0258】
X’-Z-Fc・・・(3)
【0259】
ここで、X’は一般式1で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はX’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’が共有結合により連結されたものである。
【0260】
[一般式1]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-X19-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-X43-F-X45-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-X74-S-K-N-F-H-X80-X81-P-R-X84-X85-X86-S-N-I-N-X91-X92-V-X94-E-X96-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式1,配列番号212)
【0261】
一般式1において、X1は欠失しており、X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、X19はロイシン(L)又はチロシン(Y)であり、X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X38はアラニン(A)、アスパラギン酸(D)又はアルギニン(R)であり、X42はアラニン(A)、フェニルアラニン(F)、リシン(K)又はトリプトファン(W)であり、X43はグルタミン酸(E)、リシン(K)又はグルタミン(Q)であり、X45はアラニン(A)又はチロシン(Y)であり、X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)であり、X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X74はヒスチジン(H)又はグルタミン(Q)であり、X80はフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、X81はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はアルギニン(R)であり、X84はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X85はアラニン(A)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)であり、X86はアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)又はバリン(V)であり、X91はトレオニン(T)又はバリン(V)であり、X92はフェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)又はチロシン(Y)であり、X94はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、X96はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)である。
【0262】
前記インターロイキン2アナログ、リンカー、Fc領域及びそれを含む持続型結合体については前述した通りである。
【0263】
一般式1においてX133に相当するトレオニン(T)に少なくとも1つのアミノ酸が付加されるが、これに限定されるものではない。
【0264】
具体的には、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、15、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、56、58、59、60、62、71、72、74、75、76、77、78、85、87、89、91、92、93、94、95、98、99、100、101、103、104、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものであるか、前記配列から必須に構成されるものであるか、前記配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0265】
このようなインターロイキン2アナログは、アルデスロイキン又は天然インターロイキン2より増加したβ受容体結合力を有するが、これらに限定されるものではない。
【0266】
具体的な一実施形態において、一般式1にて、X43はリシン(K)であり、X45はチロシン(Y)であり、X61はアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X68はグルタミン酸(E)であり、X74はグルタミン(Q)であり、X80はフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)であり、X85はロイシン(L)、バリン(V)又はチロシン(Y)であり、X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)であり、X92はフェニルアラニン(F)又はイソロイシン(I)であるが、これらに限定されるものではない。
【0267】
具体的には、前記インターロイキン2アナログは、配列番号10、13、14、16、17、20、21、22、32、35、36、42、53、54、87、89、91、92、93、94、98、99、100、101、103、104及び105のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むことを特徴とする。
【0268】
本発明のインターロイキン2アナログは、C末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むが、これに限定されるものではない。
【0269】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、化学式(4)で表されるインターロイキン2アナログの持続型結合体を提供する。
【0270】
X’’-Z-Fc・・・(4)
【0271】
ここで、X’’は一般式2で表されるアミノ酸配列を含むインターロイキン2アナログであり、Zはポリエチレングリコールリンカーであって、分子量2kDa~30kDaのリンカーであり、Fcは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であり、-はX’’とZ間、ZとFc間の共有結合連結を示すものであり、前記持続型結合体は、前記二量体形態のFc領域のうち1本のポリペプチド鎖にのみZの一末端が共有結合により連結され、そのZの反対側の末端に1分子のX’’が共有結合により連結されたものである。
【0272】
[一般式2]
X1-P-T-S-S-S-T-K-K-T-Q-L-Q-L-E-H-L-X18-L-D-L-X22-M-I-L-N-G-I-N-N-Y-K-N-P-K-L-T-X38-M-L-T-X42-K-F-Y-M-P-K-K-A-T-E-L-K-H-L-Q-C-L-E-X61-E-L-K-P-L-E-X68-V-L-N-L-A-Q-S-K-N-F-H-F-X81-P-R-D-X85-X86-S-N-I-N-V-F-V-L-E-L-K-G-S-E-T-T-F-M-C-E-Y-A-D-E-T-A-T-I-V-E-F-L-N-R-W-I-T-F-S-Q-S-I-I-S-T-L-T(一般式2,配列番号213)
【0273】
X1は欠失しており、X18はロイシン(L)又はアルギニン(R)であり、X22はグルタミン酸(E)又はグルタミン(Q)であり、X38はアラニン(A)又はアルギニン(R)であり、X42はフェニルアラニン(F)又はリシン(K)であり、X61はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X68はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X81はアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)であり、X85はロイシン(L)又はバリン(V)であり、X86はイソロイシン(I)又はバリン(V)である。
【0274】
前記インターロイキン2アナログ、リンカー、Fc領域及びそれを含む持続型結合体については前述した通りである。
【0275】
具体的には、前記インターロイキン2アナログは、配列番号22、42、53、87、105及び106のアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれかの配列を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0276】
また、一般式2においてX133に相当するトレオニン(T)に少なくとも1つのアミノ酸が付加されるか、インターロイキン2アナログのC末端に少なくとも1つのアミノ酸をさらに含むが、これらに限定されるものではない。
【0277】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、インターロイキン2アナログを含む持続型結合体を製造する方法を提供する。
【0278】
前記インターロイキン2アナログ、及びそれを含む持続型結合体については前述した通りである。
【0279】
具体的には、前記方法は、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に変異が導入されたインターロイキン2アナログを生体適合性物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)にリンカー(例えば、非ペプチド性重合体)を介して連結するステップを含むものであってもよい。
【0280】
本発明の持続型結合体製造方法は、天然インターロイキン2において、1番目、12番目、18番目、19番目、20番目、22番目、32番目、35番目、38番目、42番目、43番目、45番目、48番目、49番目、61番目、68番目、69番目、74番目、76番目、80番目、81番目、82番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、91番目、92番目、94番目、95番目、96番目、125番目、126番目及び133番目の位置に相当するアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に変異を導入するステップをさらに含んでもよいが、前述した本発明によるインターロイキン2アナログが生体適合性物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)に連結された持続型結合体が製造されるものであれば、特定のステップやその順序に限定されるものではない。
【0281】
また、本発明の持続型結合体製造方法は、a)前記インターロイキン2アナログをコードする核酸を含む形質転換体を培養してインターロイキン2アナログを発現させるステップと、b)発現したインターロイキン2アナログを分離及び精製するステップとをさらに含むが、これに限定されるものではない。
【0282】
前記インターロイキン2アナログをコードする核酸は、配列番号109~212のいずれかの塩基配列を含むものであるか、前記塩基配列から(必須に)構成されるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0283】
本発明において、形質転換体の培養に用いられる培地は、好適な方法で宿主細胞培養の要件を満たさなければならない。宿主細胞の成長のために培地中に含まれる炭素源は、作製される形質転換体の種類に応じて当業者の判断により適宜選択され、培養の時期及び量を調節するために好適な培養条件が採用される。
【0284】
用いることのできる糖源としては、グルコース、スクロース、ラクトース、フラクトース、マルトース、デンプン、セルロースなどの糖及び炭水化物、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ココナッツ油などの油脂、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸などの脂肪酸、グリセリン、エタノールなどのアルコール、酢酸などの有機酸が挙げられる。これらの物質は、単独で用いることもでき、混合物として用いることもできる。
【0285】
用いることのできる窒素源としては、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、黄粉及び尿素、又は無機化合物、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムが挙げられる。窒素源も、単独で用いることもでき、混合物として用いることもできる。
【0286】
用いることのできるリン源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、又はそれらに相当するナトリウム含有塩が挙げられる。また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウム、硫酸鉄などの金属塩を含有してもよい。
【0287】
最後に、上記物質以外に、アミノ酸、ビタミンなどの必須成長物質が用いられてもよい。また、培養培地に好適な前駆体が用いられてもよい。前述した原料は、培養過程において培養物に好適な方法でバッチ毎に又は連続して添加されてもよい。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの塩基性化合物、又はリン酸、硫酸などの酸性化合物を好適な方法で用いて培養物のpHを調整してもよい。また、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を用いて気泡生成を抑制してもよい。好気状態を維持するために、培養物中に酸素又は酸素含有気体(例えば、空気)を注入してもよい。
【0288】
本発明による形質転換体の培養は、通常20℃~45℃、具体的には25℃~40℃の温度で行われる。また、培養は、所望のインターロイキン2アナログの最大の生成量が得られるまで続けるが、これらの目的上、通常10~160時間続ける。
【0289】
前述したように、宿主細胞に応じて適切な培養条件を整えると、本発明による形質転換体によりインターロイキン2アナログが生産され、ベクターの構成及び宿主細胞の特徴に応じて、生産されるインターロイキン2アナログは宿主細胞の細胞質内、細胞周辺腔(periplasmic space)又は細胞外に分泌される。
【0290】
宿主細胞の内外で発現したタンパク質は、通常の方法で精製することができる。精製方法の例としては、塩析(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、リン酸ナトリウム沈殿など)、溶媒沈殿(例えば、アセトン、エタノールなどを用いたタンパク質分画沈殿など)、透析、ゲル濾過、イオン交換、逆相カラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、限外濾過などの技法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0291】
あるいは、ペプチド合成法により作製したインターロイキン2アナログを生体適合性物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)に非ペプチド性重合体を介して連結してもよい。このようなペプチド合成は、本発明のインターロイキン2アナログ配列が提供されているので、公知のペプチド合成法を用いることにより難なく行うことができる。
【0292】
インターロイキン2アナログについては前述した通りである。
【0293】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、前記方法で製造した持続型結合体を提供する。
【0294】
本明細書において特に断らない限り、本発明による「インターロイキン2アナログ」又はインターロイキン2アナログが生体適合性物質に共有結合で連結された「結合体」についての明細書の詳細な説明や請求の範囲の記述は、当該インターロイキン2アナログ又は結合体は言うまでもなく、当該インターロイキン2アナログ又は結合体の塩(例えば、前記インターロイキン2アナログの薬学的に許容される塩)又はその溶媒和物の形態が全て含まれるカテゴリーにも適用される。よって、明細書に「インターロイキン2アナログ」又は「結合体」とのみ記載されていたとしても、当該記載内容はその特定の塩、その特定の溶媒和物、その特定の塩の特定の溶媒和物にも同様に適用される。これらの塩の形態は、例えば薬学的に許容される任意の塩を用いた形態であってもよい。
【0295】
前記塩の種類は、特に限定されるものではない。もっとも、個体、例えば哺乳類に安全かつ効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0296】
前記「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用できる物質を意味する。
【0297】
本発明における「薬学的に許容される塩」には、薬学的に許容される無機酸、有機酸又は塩基から誘導された塩が含まれる。好適な酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。好適な塩基から誘導された塩には、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニウムなどが含まれる。
【0298】
また、本発明における「溶媒和物」とは、本発明によるインターロイキン2アナログ又はその塩が溶媒分子と複合体を形成したものを意味する。
【0299】
本発明を実現するための本発明のさらに他の態様は、インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含む組成物を提供する。インターロイキン2アナログ、その持続型結合体については前述した通りである。本発明による組成物は、薬学組成物であってもよく、具体的な一形態としては、癌予防又は治療用途を有する薬学組成物であってもよい。
【0300】
本発明による組成物は、インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含むものであってもよく、具体的には、薬理学的有効量のインターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含むものであってもよい。また、薬学的に許容される担体をさらに含んでもよい。
【0301】
本発明による組成物の具体例として、配列番号3~106からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸配列を有するインターロイキン2アナログ又はそれを含む持続型結合体が挙げられ、より具体的には、配列番号22、42、53、87、105及び106からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸配列を有するインターロイキン2アナログ又は前記インターロイキン2アナログを含む持続型結合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0302】
本発明における「薬理学的有効量」とは、前記インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体が癌の予防又は治療効果を発揮すると共に、患者に毒性や副作用のない安全な投与用量を意味し、インターロイキン2受容体、具体的にはβ及び/又はα受容体に活性を示す投与用量を意味するが、これらに限定されるものではない。
【0303】
本発明による組成物は、次の特性の少なくとも1つの特性を示すものであってもよいが、増大したインターロイキン2β受容体に対する結合力に基づく免疫反応向上、抗癌効果などを示すものであればいかなるものでもよい。
(i)アルデスロイキンと比較した高い血中曝露量
(ii)アルデスロイキンと比較した腫瘍成長抑制
(iii)アルデスロイキンと比較した記憶T細胞生成反応
【0304】
T細胞成長因子として知られるインターロイキン2は、免疫調節に関与するタンパク質であり、T細胞を増殖させ、B細胞を刺激し、T細胞に作用してγ-インターフェロンを分泌させる活性を有する。このようなインターロイキン2の免疫調節活性を基に、体内免疫システムを用いて癌細胞を除去することにより、癌の予防及び治療効果が得られる。
【0305】
特に、本発明のインターロイキン2アナログは、シグナル伝達において主な役割を果たすインターロイキン2β受容体に対する結合力が増大したものであるので、個体の免疫システムにおいてさらに効果的な抗癌効果をもたらす。また、前記インターロイキン2アナログを含む持続型結合体は、インターロイキン2β受容体に対する結合力が増大すると共に、持続性が高まるにつれて血中曝露量が高まり、優れたバイオアベイラビリティを示し、結局のところ、優れた腫瘍成長抑制及び記憶T細胞生成能を有するので、効果的な癌予防又は治療効果を発揮することができる。
【0306】
具体的には、本発明のインターロイキン2アナログ持続型結合体は、天然インターロイキン2、アルデスロイキン又はそれを含む持続型結合体のインターロイキン2α受容体結合力に比べて、完全に結合力を喪失したものであるか、約0.001倍以上、約0.005倍以上、約0.01倍以上、約0.05倍以上、約0.1倍以上、約0.3倍以上、約0.5倍以上、約0.6倍以上、約0.7倍以上、約0.8倍以上、約0.9倍以上、約1.1倍以上、約1.3倍以上、約1.5倍以上、約1.7倍以上のインターロイキン2α受容体結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて変化したものであれば本発明に含まれる。
【0307】
また、具体的には、本発明のインターロイキン2アナログ持続型結合体は、天然インターロイキン2、アルデスロイキン又はそれを含む持続型結合体のインターロイキン2β受容体結合力に比べて、約0.1倍以上、約0.3倍以上、約0.5倍以上、約0.7倍以上、約1.0倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約60倍以上、約70倍以上、約80倍以上、約90倍以上、約100倍、約130倍、約150倍、約200倍以上のインターロイキン2β受容体結合力を有するものであるが、その数値は限定されるものではなく、結合力が天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて変化したもの、又は増加したものであれば本発明に含まれる。
【0308】
本発明において、癌は、大腸癌、肝癌、卵巣癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、肺癌、皮膚癌、黒色腫、乳癌、膀胱癌及び胃癌からなる群から選択されるいずれかであるか、又は転移癌であるが、これらに限定されるものではない。また、転移性腎細胞癌又は転移性黒色腫が含まれてもよい。
【0309】
本発明における「予防」とは、前記インターロイキン2アナログ(例えば、前記インターロイキン2アナログ自体又はそれに生体適合性物質が結合された持続型結合体の形態)又はそれを含む組成物の投与により癌又は腫瘍を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味する。
【0310】
本発明における「治療」とは、前記インターロイキン2アナログ(例えば、前記インターロイキン2アナログ自体又はそれに生体適合性物質が結合された持続型結合体の形態)又はそれを含む組成物の投与により癌の症状を好転又は有利に変化させるあらゆる行為を意味する。
【0311】
本発明のインターロイキン2アナログ又はその持続型結合体の使用は、血中曝露量、血中半減期及び生体内効力持続効果の画期的な向上により、毎日投与しなければならない慢性患者への投与回数を減少させることができるので、患者の生活の質を向上させることができるという大きな利点がある。
【0312】
本発明の薬学組成物は、薬学的に許容される担体又は希釈剤をさらに含んでもよい。このような薬学的に許容される担体又は希釈剤は、非自然発生のものであってもよい。
【0313】
本発明における「薬学的に許容される」とは、治療効果を発揮する程度の十分な量と副作用を起こさないことを意味し、癌の種類、患者の年齢、体重、健康状態、性別、患者の薬物に対する感受性、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合、同時に用いられる薬物などの医学分野における公知の要素により当業者が容易に決定することができる。
【0314】
本発明のインターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含む薬学組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。前記賦形剤は、経口投与の場合は、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合は、緩衝剤、保存剤、鎮痛剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合は、基剤、賦形剤、滑沢剤、保存剤などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0315】
本発明の組成物の剤形は、前述したような薬学的に許容される賦形剤と混合して様々の形態に製造することができる。例えば、経口投与の場合は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハー剤などの形態に製造することができ、注射剤の場合は、使い捨てアンプル又は複数回投薬形態に製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル剤、徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0316】
なお、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アカシア、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などが挙げられる。また、充填剤、抗凝集剤、滑沢剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0317】
また、本発明の薬学組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれかの剤形を有してもよい。
【0318】
さらに、前記組成物は、薬学分野における通常の方法による患者の体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的にはタンパク質医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化し、当該技術分野で通常用いる投与方法を用いて経口、又は皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内もしくは直腸経路が含まれる非経口投与経路で投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0319】
さらに、前記結合体は、生理食塩水や有機溶媒のように薬剤に許容される様々な担体(carrier)と混合して用いることができ、安定性や吸収性を向上させるために、グルコース、スクロース、デキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)、グルタチオンなどの抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質、他の安定化剤(stabilizers)などを薬剤として用いることができる。
【0320】
本発明のさらに他の態様は、インターロイキン2アナログ、それを含む持続型結合体、又はそれを含む薬学組成物を必要とする個体に、インターロイキン2アナログ、それを含む持続型結合体、又はそれを含む薬学組成物を投与するステップを含む、癌の予防又は治療方法を提供する。
【0321】
前記インターロイキン2アナログ及び/又はインターロイキン2アナログの持続型結合体、それを含む組成物、癌、予防及び治療については前述した通りである。
【0322】
本発明における前記個体とは、癌を発症した個体、又は癌の疑いのある個体であって、ヒトをはじめとしてマウス、家畜などが含まれる哺乳動物を意味し、本発明のインターロイキン2アナログ及び/もしくは結合体、又はそれを含む前記組成物で治療可能な個体であればいかなるものでもよい。
【0323】
本発明における「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質(例えば、インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体)を導入することを意味し、投与経路は、生体内の標的に送達できるものであれば、一般的なあらゆる経路で投与することができ、例えば腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0324】
本発明の方法は、前記インターロイキン2アナログ又はその持続型結合体を含む薬学組成物を薬学的有効量で投与するステップを含んでもよい。好適な総1日用量は正しい医学的判断の範囲内で担当医により決定され、1回又は数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては他の製剤が用いられるか否か、具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と共に又は同時に投与される薬物をはじめとする様々な因子や、医薬分野で周知の類似の因子に応じて異なる量であることが好ましい。
【0325】
本発明の方法において、投与する際の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重、疾患の重症度などの様々な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類により決定される。具体的には、本発明の組成物は、前記インターロイキン2アナログ又はそれを含む持続型結合体を薬学的有効量で含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0326】
前記インターロイキン2アナログ又は持続型結合体を薬学的有効量で含むとは、インターロイキン2アナログ又は持続型結合体により目的とする薬理活性(例えば、癌の予防、改善又は治療)が得られる程度に含むことを意味し、また、投与される個体に毒性や副作用がないか、僅かなレベルであって、薬学的に許容されるレベルで含むことを意味するが、これらに限定されるものではない。このような薬学的有効量は、投与回数、患者、剤形などを総合的に考慮して決定される。
【0327】
本発明の前記薬学組成物は、上記成分(有効成分)を0.01~99重量対体積%で含有するが、特にこれに限定されるものではない。
【0328】
本発明の組成物の総有効量は、単回投与量(single dose)で患者に投与してもよく、複数回投与量(multiple dose)で長期間投与する分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与してもよい。本発明の薬学組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含有量を変えてもよい。具体的には、本発明のインターロイキン2アナログ又はその持続型結合体の総用量は、1日体重1kg当たり約0.0001mg~500mgであることが好ましい。しかし、前記インターロイキン2アナログ又はその結合体の用量は、薬学組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌、排泄率など様々な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、これらを考慮すると、当該分野における通常の知識を有する者であれば、前記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定することができるであろう。本発明による薬学組成物は、本発明の効果を奏するものであれば、その剤形、投与経路及び投与方法が特に限定されるものではない。
【0329】
本発明の薬学組成物は、生体内持続性及び力価に優れるので、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を大幅に減少させることができる。前記薬学組成物は、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与又は直腸内投与経路で投与されるものであるが、目的とする薬理効果が得られるものであれば、特定の投与経路に限定されるものではない。
【0330】
例えば、本発明の薬学組成物は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は1カ月に1回投与するものであってもよく、1週間~1カ月の範囲の時間間隔で1回又は複数回投与するものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0331】
本発明を実現するさらに他の態様は、癌の予防又は治療のための薬剤の製造における、前記インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、それを含む組成物の用途である。
【0332】
前記インターロイキン2アナログ及び/もしくはその持続型結合体、又はそれを含む組成物、癌、予防、治療、投与経路及び投与回数については前述した通りである。
【0333】
本発明を実現するさらに他の態様は、インターロイキン2アナログ、その持続型結合体、又はそれを含む組成物の癌予防又は治療用途を提供する。
【0334】
前記インターロイキン2アナログ及び/もしくはその持続型結合体、又はそれを含む組成物、癌、予防、治療、投与経路及び投与回数については前述した通りである。
【0335】
なお、本明細書において、特に断らない限り、「含む」、「有する」、「含有する」などの表現は、明示した整数(integer)又は整数の集合を含むことを意味するが、他の整数又は整数の集合を排除するものではないと解されるべきである。
【0336】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例はあくまで本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0337】
天然インターロイキン2及びインターロイキン2アナログ発現ベクターの作製
133個のアミノ酸をコードする天然インターロイキン2発現ベクターを作製するために、報告されているインターロイキン2配列(NM_000586.3;配列番号1)に基づいて合成したインターロイキン2をpET-22bベクター(Novagen)にクローニングした。また、前記インターロイキン2を鋳型とし、インターロイキン2のアミノ酸を改変させた新規なインターロイキン2アナログを作製した。
【0338】
インターロイキン2アナログを増幅させるためのPCR条件は、95℃で30秒間、55℃で60秒間、65℃で6.5分間とし、この過程を16サイクル行った。所望の部位のアミノ酸が正常に改変されたかを判断するために、上記条件で得られた突然変異(mutagenesis)産物に対して配列分析を行い、各インターロイキン2アナログの目的とする変異位置に、天然のものを基準として次の表1に示す変異があることが確認された。このように得られた発現ベクターをpET22b-インターロイキン2アナログ1~105と命名した。
【0339】
表1に各アミノ酸の改変配列及びアナログ名を示す。これらのインターロイキン2アナログを作製するために、順方向(F)及び逆方向(R)プライマーを合成し、その後PCRを行った各アナログ遺伝子を増幅した。
【0340】
表1において、アナログ1はアルデスロイキンであり、プライマー#1~#204は本明細書の配列番号214~417にそれぞれ相当する。
【0341】
【0342】
desA1とは、インターロイキン2の1番目のアミノ酸であるアラニンを欠失させたことを意味する。表2にインターロイキン2アナログの全長タンパク質配列を示す。表2内の太字は変異位置を示す。
【0343】
【実施例2】
【0344】
インターロイキン2アナログの発現
実施例1で作製した発現ベクターを用いて、T7プロモーター調節下で組換えインターロイキン2アナログを発現させた。各組換えインターロイキン2アナログ発現ベクターに発現大腸菌菌株、E.coli BL21DE3(E. coli B F-dcm ompT hsdS(rB
-mB
-) gal λ(DE3); ノバジェン社)を形質転換した。形質転換方法は、ノバジェン社が推薦する方法を用いた。各組換え発現ベクターが形質転換された各単一コロニーを得て、アンピシリン(50μg/mL)を含む2×ルリア培地(Luria Broth)に接種し、37℃で15時間培養した。組換え菌株の培養液と30%グリセリンとを含む2×LB培地を1:1(v/v)の比で混合して各1mLずつcryoチューブに分注し、-150℃で保管した。これを組換えタンパク質の作製のための細胞ストック(cell stock)として用いた。
【0345】
組換えインターロイキン2アナログの発現のために、各細胞ストック1バイアル(vial)を溶解して500mLの2×LBに接種し、37℃で14~16時間振盪培養した。600nmでの吸光度値が4.0以上になったら培養を終了し、これを種培養液として用いた。5L発酵槽(Bioflo-320, NBS, 米国)を用いて、種培養液を1.6Lの発酵培地に接種して初期発酵を始めた。培養条件は、温度37℃、空気量2.0L/min(1vvm)、攪拌速度650rpmとし、30%アンモニア水を用いてpH6.70に維持した。発酵は、培養液中の栄養素が枯渇したら追加培地(feeding solution)を添加することにより、流加培養を行った。菌株の成長はOD値によりモニタし、吸光度値が70以上になったら最終濃度500μMのIPTGを導入した。培養はIPTG導入後約23~25時間まで続け、培養終了後に、遠心分離器を用いて組換え菌株を得て、使用するまで-80℃で保管した。
【実施例3】
【0346】
インターロイキン2アナログの抽出及びリフォールディング(refolding)
実施例2で得られたインターロイキン2アナログ発現大腸菌からインターロイキン2アナログを可溶性形態に変えるために、細胞を破砕してリフォールディングした。培養液100mLの分量に相当する細胞ペレットを1~200mLの破砕緩衝液(20mM Tris-HCl pH9.0,1mM EDTA pH9.0,0.2M NaCl,0.5%Triton X-100)に浮遊させ、その後マイクロフルイダイザー(Microfluidizer)を用いて、15,000psiで組換え大腸菌を破砕した。13,900gで30分間遠心分離して上清を捨て、400mLの最初の洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0,5mM EDTA pH9.0)でペレットを洗浄した。前記と同一条件で遠心分離して上清を捨て、ペレットを400mLの2番目の洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0,5mM EDTA pH9.0,2%Triton X-100)でペレットを洗浄した。前記と同一条件で遠心分離して上清を捨て、ペレットを400mLの3番目の洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0,5mM EDTA pH9.0,1%sodium deoxycholorate)でペレットを洗浄した。前記と同一条件で遠心分離して上清を捨て、ペレットを400mLの4番目の洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0,5mM EDTA pH9.0,1M NaCl)でペレットを洗浄した。前記と同一条件で遠心分離することにより、洗浄した大腸菌封入体(inclusion body)ペレットを得た。洗浄した封入体ペレットを400mLの可溶/還元化緩衝液(6M Guanidine,100mM Tris pH8.0,2mM EDTA pH9.0,50mM DTT)に再浮遊させ、50℃で30分間攪拌した。可溶/還元したインターロイキン2アナログに蒸留水100mLを注入して6M Guanidineを4.8M Guanidineに希釈し、その後13,900gで30分間遠心分離してペレットは捨て、溶液のみ得た。希釈した溶液に蒸留水185.7mLをさらに注入して4.8M Guanidineを3.5M Guanidineに希釈し、その後100%acetic acidを用いてpHを5.0に調整した。pHを調整した溶液を常温で1時間攪拌した。不純物が沈殿した溶液は、13,900gで30分間遠心分離して上清を捨て、最後の洗浄緩衝液(3.5M Guanidine,20mM Sodium Acetate pH5.0,5mM DTT)でペレットを洗浄した。前記と同一条件で遠心分離してペレットを得た。洗浄したインターロイキン2アナログを400mLのリフォールディング緩衝液(6mM Guanidine,100mM Tris pH8.0,0.1mM CuCl2)に溶解させた。混合溶液を4℃で15~24時間攪拌することによりリフォールディング過程を行った。
【実施例4】
【0347】
サイズ排除カラムクロマトグラフィー
実施例3で得られたインターロイキン2アナログリフォールディング溶液をサイズ排除カラムに適用して精製するために、1mL以下に濃縮した。カラムはリフォールディング溶液導入前に緩衝液(2M Guanidine,100mM Tris pH8.0)で平衡化し、リフォールディング溶液導入後に緩衝液を流して溶出した。溶出した試料はGuanidineを含んでいるので、安定化溶液(10mM Sodium Acetate pH4.5,5%Trehalose)に変更し、その後RP-HPLC、peptide mapping分析により純度を測定した。測定した純度が80%以上になったら実験に用いた。
【実施例5】
【0348】
インターロイキン2アナログの受容体結合力評価
実施例4で得られたインターロイキン2アナログのインターロイキン2α受容体及びβ受容体のそれぞれに対する受容体結合力を測定するために、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance, SPR, BIACORE T200, GE healthcare)を用いた。作製したアナログのα受容体及びβ受容体に対する結合力を測定し、インターロイキン2アナログ1(aldesleukin)と各結合力を比較した。
【0349】
まず、CM5チップ(GE healthcare社)にアミンカップリング法(amine coupling)により抗ヒト免疫グロブリン抗体(Abcam社,#ab97221)を約5,000RU(resonance unit)だけ固定化し、その後抗原抗体結合反応によりヒト免疫グロブリンFc部位が結合したインターロイキン2α受容体(SYMANSIS社,#4102H)又はインターロイキン2β受容体(SYMANSIS社,#4122H)をそれぞれ免疫グロブリン抗体に結合して最終的に固定化した。次に、前述したように作製した組換えインターロイキン2アナログを濃度別に2倍連続希釈法でHBS-P+緩衝液(Cytiva社,BR100671)に希釈し、インターロイキン2受容体が最終的に固定されたCM5チップに流して各インターロイキン2受容体の結合力を測定した。結合力の測定は、結合速度(Ka)と解離速度(Kd)を用いて行い、10uL/分の流速でインターロイキン2アナログを3分間流して結合速度を測定し、同一時間及び同一流速でHBS-P+緩衝液のみ流して各インターロイキン2受容体からの解離速度を測定した。測定終了後に、Biaevaluationプログラムにおいて1:1 binding fitting modelにより受容体の結合力評価を行った。
【0350】
【0351】
表3は、アナログ1(aldesleukin)と比較したインターロイキン2アナログのインターロイキン2α又はβ受容体に対する相対的結合力を整理した表であり、表3における「定義不可」とは、表面プラズモン共鳴測定において当該受容体に対する結合が観測されず、その受容体に限っては当該物理量が定義されないことを意味する。
【0352】
【0353】
試験結果(
図1、
図2及び表3)から分かるように、本発明のインターロイキン2アナログは、インターロイキン2α受容体結合力を完全に喪失するか、インターロイキン2アナログ1に比べて減少又は増加するなど、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンとは異なるインターロイキン2α受容体結合力を示すことが確認された。それに対して、インターロイキン2β受容体に対しては、天然インターロイキン2又はアルデスロイキンに比べて、最大で100倍の相対的に強い結合力が確認された。よって、インターロイキン2アナログのアミノ酸配列がインターロイキン2α又はβ受容体との結合に影響を及ぼすことが確認された。これは、特定位置のアミノ酸を置換することによりインターロイキン2受容体の結合力を変化させることができることを示唆するものである。
【0354】
このような実験結果は、本発明によるインターロイキン2アナログが変化したインターロイキン2α受容体結合力及びインターロイキン2β受容体結合力を有し、それにより様々な薬物開発に用いられることを示唆するものである。
【実施例6】
【0355】
インターロイキン2アナログとポリエチレングリコール(3.4K PEG)リンカーの連結反応及びインターロイキン2アナログ連結体の精製
実施例4で得られたインターロイキン2アナログを免疫グロブリンFc領域に結合した持続型結合体を作製するために、まず、インターロイキン2アナログをポリエチレングリコール(PEG)リンカーの一末端に連結した連結体を作製した。連結体の作製には、21番目、41番目、52番目、86番目、104番目及び105番目のインターロイキン2アナログを用い、PEGリンカーとして、分子量が3.4kDaであって、両末端のヒドロキシ水素がプロピルアルデヒド基で修飾されたポリエチレングリコール(日本NOF社のALD(2)3.4K PEG)を用いて、それを前記インターロイキン2アナログのN末端に連結反応させた。インターロイキン2アナログ:PEGリンカーのモル比を1:15~1:20とし、インターロイキン2アナログの濃度を1mg/mL以下として、2~10℃で1時間反応させた。ここで、反応は、100mMリン酸カリウム(pH5.5)下で行い、還元剤として20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Sodium cyanoborohydride, SCB)を添加した。反応液は、脱塩カラムを用いて、20mMトリエチルアミン(Triethylamine)(pH8.0)緩衝液に変更し、その後トリエチルアミン(pH8.0)と塩化ナトリウムの濃度勾配を用いたFractogel(登録商標) EMD TMAE(S)(Merck Millipore)又はSource 15Q(Cytiva)カラムを用いて精製することにより、インターロイキン2アナログ-3.4K PEG連結体を得た。
【実施例7】
【0356】
インターロイキン2アナログ-3.4K PEG-免疫グロブリンFc領域持続型結合体の作製
インターロイキン2アナログ-3.4K PEG-免疫グロブリンFc領域持続型結合体を作製するために、実施例6の方法で得られたインターロイキン2アナログ-3.4K PEG連結体と免疫グロブリンFc領域(配列番号438)のモル比を1:10とし、総タンパク質濃度を30mg/mLとして、2~10℃で15~16時間反応させた。ここで、反応液は100mMリン酸カリウム(pH6.0)であり、還元剤として20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。
【0357】
ここで、用いた免疫グロブリン領域は、配列番号423のアミノ酸配列(221個のアミノ酸からなる)を有する2つの単量体が各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合によりホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立して35番目と95番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合、及び141番目と199番目のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものである。
【0358】
【0359】
反応終了後に、上記反応液から、ビストリス(Bis-Tris)(pH6.5)と塩化ナトリウムを用いてButyl FF(Cytiva)で未反応免疫グロブリンFc領域を除去し、クエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)と硫酸アンモニウムを用いてSource 15ISO(Cytiva)で精製することにより、インターロイキン2アナログのN末端が3.4kDaのPEGリンカーの一末端に連結され、3.4kDaのPEGリンカーの反対側の末端がFc領域のN末端プロリンの窒素に連結されたインターロイキン2アナログ-3.4K PEG-免疫グロブリンFc領域結合体(持続型結合体)を得た。この持続型結合体をSDS-PAGE、RP-HPLC、SE-HPLCにより分析した。(
図1及び
図2)
【実施例8】
【0360】
インターロイキン2アナログ結合体のインターロイキン2受容体結合力評価
実施例7で得られたインターロイキン2アナログ持続型結合体のインターロイキン2α、β受容体のそれぞれに対する受容体結合力を測定するために、表面プラズモン共鳴(SPR, BIACORE T200, GE healthcare)を用いた。
【0361】
具体的には、ビオチンで標識したヒトインターロイキン2受容体α及びβサブユニット(ACROBiosystems)のそれぞれをストレプトアビジンバイオセンサチップ(SA chip, Cytiva社)に約100RU及び500RUずつ固定化し、2倍連続希釈法でHBS-EP+緩衝液(Cytiva社,BR100669)に希釈したインターロイキン2アナログ持続型結合体又はアルデスロイキンを1分当たり20μLの流速で注入した。3分間の結合過程後に、同じ流速でHBS-EP+緩衝液のみ3分間注入し、インターロイキン2受容体におけるインターロイキン2アナログ持続型結合体又はアルデスロイキンの解離を誘導した。ここで、得られた結合定数及び解離定数から結合力を算出した。結合力評価は、Biaevaluationプログラムにおいて1:1 binding fitting modelにより行った。
【0362】
評価の結果、インターロイキン2アナログ結合体は、固有のインターロイキン2受容体結合力を有することが確認され、特にインターロイキン2受容体αサブユニットに対して、各候補物質間に明らかな結合力の差異が確認された。より詳細には、評価の結果、インターロイキン2アナログ21番結合体及び52番結合体は、インターロイキン2受容体αサブユニットに結合せず、インターロイキンアナログ41番結合体、86番結合体、104番結合体及び105番結合体は、アルデスロイキンと比較してそれぞれ50.8%、65.2%、81.0%及び112.9%の相対的結合力が確認された。インターロイキン2受容体βサブユニットに対して、インターロイキン2アナログ21番結合体及び52番結合体をはじめとする全てのインターロイキン2アナログ結合体において、アルデスロイキンに比べて高い結合力が確認された。
【0363】
表5に、α受容体とβ受容体に分けて作製したインターロイキン2アナログ持続型結合体における、アルデスロイキンの結合力を基準に比較した相対的結合力(%)を整理した。表5において、当該持続型結合体は、それを構成するインターロイキン2アナログの番号で表示した(例えば、インターロイキン2アナログ21番の持続型結合体は「インターロイキン2アナログ21番結合体」と表示した)
【0364】
【実施例9】
【0365】
インターロイキン2アナログ持続型結合体の薬物動態学評価
実施例5及び7で確認したインターロイキン2アナログ及びそれを含む持続型結合体のインターロイキン2受容体に対する結合力に基づいて、インターロイキン2アナログと持続型結合体を用いた薬剤が優れた血中曝露量及びバイオアベイラビリティを有するか否かを確認した。
【0366】
具体的には、本発明者らは、インターロイキン2アナログ持続型結合体とアルデスロイキンの薬物動態学をICR及びC57BL/6系統正常マウスモデルにおいて比較、分析した。
【0367】
より具体的には、アルデスロイキンを投与する対照群、並びにインターロイキン2アナログ結合体(インターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体、インターロイキン2アナログ52番結合体、インターロイキン2アナログ86番結合体、インターロイキン2アナログ104番結合体及びインターロイキン2アナログ105番結合体)を投与する実験群において、正常マウスに皮下、静脈内又は腹腔内注射した。インターロイキン2アナログ結合体を皮下注射した群においては、1、4、8、24、48、72及び96時間後に、それぞれ3匹の動物の眼窩静脈から採血し、アルデスロイキンを静脈内又は腹腔内経路に投薬した群においては、0.08、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8及び24時間後に、それぞれ3匹ずつ同様に採血した。採血した各群の血液は、遠心分離して血清を分離し、ヒトインターロイキン2抗体を用いるELISA方法により血中のインターロイキン2アナログ結合体及びアルデスロイキンを定量した。その結果、インターロイキン2アナログ結合体は、ICR及びC57BL/6系統正常マウスにおいて、アルデスロイキンに比べて高い血中曝露量を示した(
図3、表6及び7)。次の表における結合体の容量、AUC、濃度の数値は、結合体全体においてインターロイキン2アナログ部位が占める重量のみを基準として結合体量数値(mg,ng)を示したものである。
【0368】
【0369】
【0370】
これらの表から分かるように、本発明によるインターロイキン2アナログ結合体は、皮下経路で投与したにもかかわらず、静脈内注射又は腹腔内注射によるアルデスロイキンに比べて高い血中分布率を示す。これらの結果は、薬物投与する際に、前記インターロイキン2アナログ結合体をヒト組換えインターロイキン2より少ない量で投薬しても、より多い量が血中に曝露され、さらには、投薬の利便性まで確保できることを示唆するものである。
【実施例10】
【0371】
インターロイキン2アナログ持続型結合体の抗癌効能評価
前記インターロイキン2アナログ結合体の治療的効能を調べるために、同種移植したCT26大腸癌腫マウスモデル(CT26 colon tumor syngeneic mouse mode)にインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体及びインターロイキン2アナログ52番結合体、並びに対照物質としてのアルデスロイキンをそれぞれ投薬し、その後腫瘍の大きさと個体死亡率を評価した。
【0372】
具体的には、細胞培養用フラスコで培養したCT26細胞(ATCC)をBALB/cマウスの脚に皮下注射し、数日後に肉眼で腫瘍が観察されたら、腫瘍の大きさが同程度になるように各群に7匹ずつ配分した。各群には、0.5mg/kgのインターロイキン2アナログ21番結合体、インターロイキン2アナログ41番結合体及びインターロイキン2アナログ52番結合体をそれぞれ皮下経路で1週間に1回ずつ、計2回反復投薬した。ここで、持続型結合体の投与量は、当該結合体におけるインターロイキン2アナログ部位のみの重量で示すものである。アルデスロイキン投薬群には、3.0mg/kgのプロロイキン注(Novartis)を腹腔内経路で1日に1回ずつ、5日間連続投薬し、2日間の休憩後に、同一日程で5日間さらに投薬した。
【0373】
最初の投薬日から32日間にわたって体重及び個体死亡を観察した。その結果によれば、全てのインターロイキン2アナログ結合体投薬群において優れた抗癌効能が確認された。特に、インターロイキン2アナログ41番結合体を投薬した群においては、全ての個体で完全寛解が観察された。それに対して、アルデスロイキンを投薬した群においては、7匹のうち2匹が死亡に至り、僅か2匹でのみ完全寛解が観察された。本発明によるインターロイキン2アナログ結合体は、アミノ酸配列の変更によりヒトインターロイキン2受容体βサブユニットに強力に結合し、それにより優れた抗癌効力が現れたものであると解される(
図4)。それだけでなく、ヒト免疫グロブリンFc領域が連結された持続型結合体の構造により、高い血中曝露が可能になり、投薬間隔が大きくなり、従来の注射療法を皮下経路に変更することにより、患者及び医療提供者に投薬利便性をもたらすことを示唆するものである。
【実施例11】
【0374】
腫瘍の反復曝露による記憶T細胞反応評価
実施例10の抗癌効能評価に続き、腫瘍の反復曝露による記憶T細胞の反応を評価した。具体的には、前記抗癌効能評価の終了後に、完全寛解が確認された個体に対して、最初の薬物投薬から42日目及び70日目にそれぞれCT26細胞を最初の曝露と同様に皮下経路で投与して再曝露し、次いで腫瘍が成長するか否かを観察し、2番目の再曝露の4日後及び7日後に、マウスの脾臓における記憶T細胞の数をFACS Canto II(Becton Dickinson)装置で分析した。
【0375】
その結果、陰性対照群を除く全ての薬物投薬群において、再曝露による腫瘍の成長が抑制されただけでなく、脾臓における記憶T細胞の有意な増加が観察された(
図5)。結論として、本発明によるインターロイキン2アナログ結合体は、単一製剤で同種移植したCT26大腸癌腫マウスモデルにおける記憶免疫反応を誘導することができ、最初の腫瘍の曝露だけでなく、腫瘍の再曝露に対しても強力な抗癌効能を維持するものである。
【実施例12】
【0376】
悪性黒色腫におけるインターロイキン2アナログ持続型結合体の抗癌効能評価
本発明によるインターロイキン2アナログ結合体の抗癌効能を評価するために、黒色腫細胞であるB16F10細胞を同種移植した悪性黒色腫マウスモデル(B16F10 melanoma tumor syngeneic mouse model)にインターロイキン2アナログ86番結合体、及び対照物質としてのアルデスロイキンをそれぞれ投薬し、その後腫瘍の大きさと個体生存率を評価した。
【0377】
具体的には、細胞培養用フラスコで培養したB16F10細胞(ATCC)をC57BL/6マウスの大腿に皮下注射し、数日後に肉眼で腫瘍が観察されたら、腫瘍の大きさが同程度になるように各群に9匹ずつ配分した。持続型結合体におけるインターロイキン2アナログ部位の重量を基準として、0.08mg/kg~10mg/kgのインターロイキン2アナログ86番結合体をそれぞれ皮下経路で1週間に1回ずつ、計4回反復投薬した。また、対照群としてのアルデスロイキン投薬群には、3.0mg/kgのプロロイキン注(Novartis)を腹腔内経路で1日に1回ずつ、5日間連続投薬し、2日間の休止期を設ける方法で計4回反復投薬した。
【0378】
最初の投薬日から15日目における各群の腫瘍の大きさ(
図6のA)と、60日間の各個体の生存率(
図6のB)を観察した。その結果、本発明のインターロイキン2アナログ86番結合体投薬群は、アルデスロイキン投薬群に比べて、腫瘍の大きさが小さくなり、個体生存率にも優れることが確認され、本発明の持続型結合体の投薬用量依存的な抗癌効能が確認された。特に、1週間に4.0mg/kg以上のインターロイキン2アナログ86番結合体を投薬した群においては、一部の個体で腫瘍が完全に除去された完全寛解が観察された。それに対して、アルデスロイキンを3.0mg/kgで5日間継続して投薬した群においては、いかなる個体にも完全寛解が見られなかった。
【0379】
これは、本発明のインターロイキン2アナログ結合体が、アルデスロイキンに比べて相対的に強力なヒトインターロイキン2受容体βサブユニットに結合するという特徴を有するように設計されることにより、優れた抗癌効力を示すことを意味するものである。それだけでなく、望ましくない副作用をもたらさない最小限のヒトインターロイキン2受容体αサブユニットに対する結合力により過度な免疫反応が効果的に制御されるので、持続型結合体におけるインターロイキン2アナログ部位の重量を基準として10mg/kg以上の高容量投薬群においても投薬を中断するほどの副作用は観察されなかった。
【0380】
これらの実験結果は、本発明による天然インターロイキン2にアミノ酸変異を導入したインターロイキン2アナログを含む持続型結合体が変化したインターロイキン2α受容体結合力及びインターロイキン2β受容体結合力を有するので、それを活用した様々な薬物開発、特に抗癌剤開発に有用であることを示唆するものである。
【0381】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
【配列表】
【国際調査報告】