(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】エンクロージャのガス加圧、膨張、および気流管理のための制御システム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/40 20160101AFI20240312BHJP
G01M 9/04 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B90/40
G01M9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555574
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 US2022020041
(87)【国際公開番号】W WO2022192733
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/058496
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523325738
【氏名又は名称】サージボックス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】マイク ホリア ミハイル テオドレスク
【テーマコード(参考)】
2G023
【Fターム(参考)】
2G023AA03
2G023AB02
2G023AB12
2G023AD05
(57)【要約】
エンクロージャ・システムには、膨張可能なエンクロージャと制御システムが含まれる。エンクロージャは、可撓性材料で作られた1つ以上のエンクロージャ壁と、ユーザがエンクロージャ外部からエンクロージャ内部を観察できるように構成された少なくとも1つの透明部と、を含む。エンクロージャは、1つ以上の通気口を含み、通気口の少なくとも1つは、動作中に可変の空気抵抗を有する。制御システムは、エンクロージャ内の環境を制御するように構成されている。制御システムは、エンクロージャに空気を供給するように構成された空気源、1つ以上のセンサ、およびプロセッサを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料と、少なくとも1つの透明部と、を有し、エンクロージャの壁となる1つ以上のエンクロージャ壁;
可変の空気抵抗を有する通気口;および
該エンクロージャ内の環境を制御するように構成された制御システムを備え、
該制御システムは、
該エンクロージャ内に空気を供給するように構成された空気源;
該1つ以上のエンクロージャ壁に結合され、該1つ以上のエンクロージャ壁の真直度レベルおよび該エンクロージャの膨張レベルを示す壁状態データを取得するように構成された壁状態センサを有する1つ以上のセンサ、
プロセッサであって、
該壁状態センサから該壁状態データを受信し;
該壁状態データに基づいて、該エンクロージャの該膨張レベルを決定し;
該空気源から該通気口を通して供給される気流を制御し;
該真直度レベルが該エンクロージャの真直度閾値を満たすように、該エンクロージャ内部の圧力および該エンクロージャ内への該気流を制御するように構成された、前記プロセッサ、を備える、エンクロージャシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のセンサは、前記エンクロージャの内部と該エンクロージャの外部との間の差圧を測定するように構成された1つ以上の圧力センサを備え;
前記プロセッサは、該1つ以上の圧力センサから、該差圧および該差圧の動的変化を示す圧力データを受信し、
該圧力データおよび前記壁状態データに基づいて、前記エンクロージャの前記膨張レベルを決定し;かつ
前記エンクロージャ内部の圧力が所定の圧力範囲にあり、かつ前記1つ以上のエンクロージャ壁の前記真直度レベルが最小真直度閾値以上となるように、前記エンクロージャ内部の前記圧力および前記エンクロージャ内への前記気流を制御するようにさらに構成され;
前記エンクロージャ内部の前記圧力の最大値は、患者の安全閾値限界に関連する圧力レベル未満である、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の圧力センサのうちの少なくとも1つが、1つ以上のエンクロージャ壁に取り付けられ、前記エンクロージャ内部に配置された第1の測定面と前記エンクロージャ外部に配置された第2の測定面に結合されて、周囲圧力を測定し;および/または
前記1つ以上の圧力センサのうちの少なくとも1つが、前記1つ以上のエンクロージャ壁を貫通する圧力チューブに結合されている、請求項2に記載のエンクロージャシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のセンサが、前記エンクロージャの1つ以上の部分を通る気流を検出するように構成された気流センサを有し;かつ
前記プロセッサは、前記エンクロージャ内部の前記圧力が前記所定の圧力範囲にあり、前記1つ以上のエンクロージャ壁の前記真直度レベルが前記最小真直度閾値を超え、かつ前記エンクロージャ内部の前記気流が特定の気流範囲内にあるように、前記エンクロージャ内部の前記圧力および前記エンクロージャ内への前記気流を制御するように構成される、請求項2に記載のエンクロージャシステム。
【請求項5】
前記壁状態センサの少なくとも1つが、前記1つ以上のエンクロージャ壁の一部に結合され、かつ
前記1つ以上のエンクロージャ壁の該一部に機械的に接続された可撓性ホイル;および
前記1つ以上のエンクロージャ壁の該一部と該可撓性ホイルとの間に配置された圧力検知デバイス、を備え、
該可撓性ホイルは、前記壁がまっすぐであるとき、該圧力検知デバイスに圧縮力を加えるように構成され;かつ
該圧力検知デバイスは、前記エンクロージャの表面と該可撓性ホイルの表面との間の圧力を測定するように構成されており;
前記プロセッサは、該圧力検知デバイスから前記壁状態データを受信し、前記壁状態データに基づいて前記エンクロージャの前記膨張レベルを決定するように構成されている、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項6】
前記圧力検知デバイスは、
圧電素子;および
容量性センサであって、該容量性センサのキャパシタプレート間の間隔の変化に基づいて、該圧力検知デバイスに印加される押圧力を決定するように構成された、前記容量性センサ、
のうちの1つ以上を備える、請求項5に記載のエンクロージャシステム。
【請求項7】
前記壁状態センサは、
前記エンクロージャの内面または外面に接続され、前記1つ以上のエンクロージャ壁とともに変形するように構成された歪みゲージ;
前記1つ以上のエンクロージャ壁に結合されたインターディジタルキャパシタであって、該インターディジタルキャパシタが該1つ以上のエンクロージャ壁とともに変形するように構成されており、該インターディジタルキャパシタの変形が該インターディジタルキャパシタの静電容量の変化に対応する、前記インターデジタルキャパシタ;および
前記エンクロージャ壁の画像を取得するように構成されたカメラであって、該画像に基づいて前記真直度レベルを決定するために前記プロセッサに該画像を提供するように構成された、前記カメラ、
のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項8】
前記壁状態センサは、光ファイバ、光源、およびファイバ検出器を備え、該光ファイバは、前記1つ以上のエンクロージャ壁に取り付けられ、前記1つ以上のエンクロージャ壁とともに変形するように構成され、前記光ファイバの変形は、該ファイバ検出器によって検出される信号の変化に対応する、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項9】
前記空気源が、
空気源ケースであって、
エアポンプ;および
該エアポンプに結合され、該エアポンプによって生成された気流を濾過するように構成されたフィルタ;とを備える、前記空気源ケース、および
該空気源ケースと前記エンクロージャとを接続し、該空気源から前記エンクロージャに濾過された空気を供給するように構成されたエアダクトであって、
前記エンクロージャまたは該空気源ケースから着脱可能な少なくとも一端;
前記エアダクト内の圧力レベルを検出するように構成された圧力サンプリングチューブ;
前記エンクロージャの外部に延びるセクション;
前記エンクロージャ内の1つ以上のセクション;および
該ケースへの逆流を防止するための1つ以上のバルブ、のうちの1つ以上を備える、前記エアダクト、
をさらに備える、請求項4に記載のエンクロージャシステム。
【請求項10】
前記空気源ケースが、
前記フィルタの近傍に配置され、前記気流を分離するように構成された1つ以上の気流分離器;
個々のフィルタ領域上の気流、圧力の少なくとも1つ、または気流と圧力の両方を検出するように構成された1つ以上のフィルタセンサ;および
隣接するフィルタ領域における気流、圧力、または気流と圧力の両方の差、をさらに有し、
前記プロセッサは、該フィルタセンサからフィルタセンサデータを受信し、フィルタステータスを判定し、該フィルタステータスを示すメッセージを生成し、該フィルタステータスを示すメッセージを表示するように構成される、請求項9に記載のエンクロージャシステム。
【請求項11】
前記エアダクトを前記エンクロージャに接続するように構成されたアダプタを備え、該アダプタは、該アダプタが前記エアダクトに接続されているか否かを検出するように構成された接続センサを備える、請求項9に記載のエンクロージャシステム。
【請求項12】
前記エンクロージャシステムは、
前記エンクロージャシステムの振動を感知するように構成された振動センサ;および
前記エンクロージャシステムから発生する音を感知するように構成された音センサ、をさらに備え、
前記プロセッサは、該振動が振動閾値より低く、該音が音閾値より低い動作状態を達成するために、該振動センサおよび該音センサの少なくとも一方から受信したデータに基づいて、前記空気ポンプによって提供される気流を制御するように構成される、請求項9に記載のエンクロージャシステム。
【請求項13】
前記通気口が、前記空気がエンクロージャ全体に継続的に循環するように部分的に開いている、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項14】
前記通気口の少なくとも1つが、前記通気口から前記エンクロージャ内の領域まで延びる圧力サンプリングチューブを備え、該圧力サンプリングチューブが、前記エンクロージャ内の該領域の圧力を検出するように構成された圧力センサに接続されている、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記エンクロージャシステムのステータスを判定し、前記エンクロージャシステムの該ステータスが前記エンクロージャに対する汚染の脅威を示しているとの判定に応答して、アラーム信号を生成するように構成される、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のエンクロージャ壁上に配置された1つ以上のストリップアンテナをさらに備え、該ストリップアンテナは、該1つ以上のストリップアンテナから前記プロセッサにデータを無線で送信または受信するように構成されている、請求項1に記載のエンクロージャシステム。
【請求項17】
可撓性材料と少なくとも1つの透明部で作られ、エンクロージャの壁となる1つ以上のエンクロージャ壁;および
該エンクロージャ内部の環境を制御するように構成された制御システムを備えるエンクロージャシステムであって、
該制御システムが、
該エンクロージャ内に空気を供給するように構成された空気源;
前記エンクロージャの内部とエンクロージャの外部との間の差圧を判定するためのデータを提供するように構成された1つ以上の圧力センサを含む1つ以上のセンサ;
プロセッサであって、
該1つ以上の圧力センサから、該差圧および該差圧の動的変化を示す圧力データを受信し、
該圧力データに基づいて、該エンクロージャの膨張レベルを決定し;かつ
該エンクロージャの内部の圧力と該エンクロージャを通る気流を、エンクロージャ内圧力が特定の圧力範囲内にあり、該エンクロージャを通る気流が特定の気流範囲内にあるように制御する;ように構成された、前記プロセッサ、
を備え、
前記エンクロージャ内部の圧力の最大値は、患者の安全閾値限界に関連する圧力レベル未満である、前記エンクロージャシステム。
【請求項18】
前記1つ以上の圧力センサのうちの少なくとも1つが、前記1つ以上のエンクロージャ壁に取り付けられ、前記エンクロージャ内部に配置された第1の測定面と前記エンクロージャ外部に配置された第2の測定面に結合されて、周囲圧力を測定し;および/または
前記1つ以上の圧力センサのうちの少なくとも1つが、前記1つ以上のエンクロージャ壁を貫通する圧力チューブに結合されている、請求項17に記載のエンクロージャシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のセンサは、前記1つ以上のエンクロージャ壁に結合され、前記1つ以上のエンクロージャ壁の真直度レベルおよび前記エンクロージャの膨張レベルを示す壁状態データを取得するように構成された1つ以上の壁状態センサ、を備え、
前記プロセッサは、
該1つ以上の壁状態センサから該壁状態データを受信し;
該壁状態データおよび前記圧力データに基づいて、前記エンクロージャの膨張レベルを決定して;
前記空気源から通気口を通して供給される気流を制御し;
前記エンクロージャ内部の圧力が所定の圧力範囲にあり、かつ前記1つ以上のエンクロージャ壁の真直度レベルが最小真直度閾値以上となるように、前記エンクロージャ内部の圧力および前記エンクロージャ内への気流を制御するように構成されている、請求項17に記載のエンクロージャシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のセンサが、前記エンクロージャの1つ以上の部分を通る気流を検出するように構成された気流センサを有し;かつ
前記プロセッサは、前記エンクロージャ内部の前記圧力が前記所定の圧力範囲にあり、前記1つ以上のエンクロージャ壁の前記真直度レベルが前記最小真直度閾値を超え、かつ前記エンクロージャを通る前記気流が特定の気流範囲内にあるように、前記エンクロージャ内部の前記圧力および前記エンクロージャ内への前記気流を制御するように構成される、請求項19に記載のエンクロージャシステム。
【請求項21】
エンクロージャとエアポンプを備えるエンクロージャシステムを操作する方法であって、
エンクロージャの内部と該エンクロージャの外部との間の差圧を判定すること;および
該差圧に基づいてエアポンプの出力レベルを気流出力値に制御すること、を含み、
該気流出力値は、
該差圧が第1の圧力値より小さい場合、第1の気流範囲にあり;
該差圧が該第1の圧力値より大きく、かつ第2の圧力値より小さい場合、第2の気流範囲にあり;
該差圧が該第2の圧力値より大きい場合、第3の気流範囲にある、前記方法。
【請求項22】
前記第1の気流範囲は、前記エアポンプによって生成される第1のレベルの気流に対応し;
前記第2の気流範囲は、前記エアポンプによって生成される第2のレベルの気流に対応し;
前記第3の気流範囲は、前記エアポンプによって生成される第3のレベルの気流に対応し;
該第1のレベルの気流は、該第2のレベルの気流よりも大きく;かつ
該第2のレベルの気流は、該第3のレベルの気流よりも大きい、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記気流出力値は、前記第1の圧力値、前記第2の圧力値、前記第1の気流範囲、前記第2の気流範囲、および前記第3の気流範囲のうちの1つ以上を含む調整可能なパラメータのセットに基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記調整可能なパラメータが、第1の膨張率よりも大きい膨張率で前記エンクロージャを膨張させるように選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記差圧を圧力閾値と比較すること;
前記差圧が該圧力閾値よりも小さいことに応答して、第1の気流閾値よりも高い気流出力レベルを有する気流出力値で前記エンクロージャ内に気流を提供すること;
前記差圧が該圧力閾値よりも大きいことに応答して、第1のパス信号を生成すること;
前記エンクロージャの真直度レベルを判定すること;
該真直度レベルを真直度閾値と比較すること;
該真直度レベルが該真直度閾値未満であると判定したことに応答して、該気流出力値よりも大きい第2の気流出力値で気流を前記エンクロージャに供給すること;
該真直度レベルが該真直度閾値よりも大きいと判定したことに応答して、第2のパス信号を生成すること;
該気流を第2の気流閾値と比較すること;
該気流が該第2の気流閾値よりも小さいと判定したことに応答して、第3の気流出力値で気流を前記エンクロージャに供給すること;
該気流が該第2の気流閾値よりも大きいと判定したことに応答して、第3のパス信号を生成すること;および
特定の動作状態につながる前記差圧、前記エンクロージャの前記真直度レベル、および前記気流の値を決定および学習すること、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記差圧を定期的に判定すること;
前記判定された差圧を圧力閾値と定期的に比較すること;
前記差圧が該圧力閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記エンクロージャシステムを第1の動作状態で動作するように制御すること;
前記エンクロージャの膨張が開始されてから一定時間が経過した後、前記差圧が圧力閾値未満であると判定したことに応答して、故障アラームを発すること、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記エンクロージャの一部の圧力、前記エンクロージャの一部の気流、前記エンクロージャの一部の壁のステータス、前記エンクロージャの一部の振動、および前記エンクロージャシステムによって発生する音を含む、1つ以上の物理パラメータの値の測定値を定期的に取得すること;
該1つ以上の物理パラメータの値に基づいて、前記エンクロージャシステムの振動挙動を記述する、前記エンクロージャシステムのための1つ以上の物理モデルを生成すること;および
バルブパラメータおよびポンプパラメータのうちの1つ以上を含む、前記エンクロージャシステムのための制御パラメータを定期的に設定すること;
該物理パラメータと該制御パラメータに基づいて、前記エンクロージャシステムのステータスを判定すること;
前記エンクロージャシステムの該ステータスが、故障動作モードまたは非故障動作モードのいずれに対応するかを判定すること;および
前記エンクロージャシステムの該ステータスが、該故障動作モードに対応すると判定したことに応答して、前記エンクロージャシステムを該非故障動作モードで動作させるための該制御パラメータの値を決定すること;を含み、
該制御パラメータの値は、前記エンクロージャシステムの該ステータス、前記エンクロージャシステムの該1つ以上の物理モデル、および前記エンクロージャシステムに関連付けられた1つ以上の機械学習したシステムモデルに基づいて決定される、請求項21に記載のエンクロージャシステム。
【請求項28】
前記エンクロージャシステムの前記ステータス、前記エンクロージャシステムの前記1つ以上の物理モデル、および前記エンクロージャシステムに関連付けられた前記1つ以上の機械学習したシステムモデルに基づいて、システムモデルを生成すること;および
該生成されたシステムモデルを使用して、前記1つ以上の機械学習したシステムモデルを更新すること、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記エンクロージャシステムの前記ステータスを、故障動作モデルおよび非故障動作モデルを含み、エンクロージャシステムの前記ステータスが故障動作モデルに対応するかどうかを決定する前記1つ以上の機械学習したシステムモデルと比較すること;
該故障動作モデルのクラスおよび適切な動作モデルのクラスを生成すること;
該システムモデルが故障動作モデルのクラスに対応するかどうかを判定すること;および
該システムモデルが故障動作の前記クラスに対応すると判定したことに応答して、該システムモデルを含む故障動作モデルの第2のクラスを生成すること、を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
動作前テストを実行すること;
前記エンクロージャの第1のエンクロージャ膨張、第1の加圧、およびの第1の機能テストを実行すること;
前記エンクロージャシステムの1つ以上のセンサからセンサデータを受信すること;
該センサデータに基づいて、前記エンクロージャシステムに関連する1つ以上の空気圧パラメータを判定すること;
前記エンクロージャシステムが非故障圧力フロー状態にあるかどうかを判定すること;
1つ以上の機能テストを実行すること;
制御パラメータのシステムダイナミクスおよびシーケンスのために前記エンクロージャシステムの空気圧モデルを生成すること;
該システムダイナミクスのために機械学習を実行し、機械学習したパラメータを生成すること;および
該センサデータ、該1つ以上の機能テスト、および該機械学習したパラメータに基づいて該制御パラメータを設定すること、を含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年3月12日に出願された米国仮特許出願第63/160,649号および2021年11月8日に出願された国際特許出願番号PCT/US2021/058496の優先権および利益を主張するものであり、これらの出願は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(分野)
本開示は、一般に、エンクロージャシステムおよびエンクロージャシステム内の環境を制御するための制御システム、ならびに手術サイトの手術環境を調節するためのポータブル手術システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
制御システムを含む膨張式エンクロージャおよび物体は、単純なおもちゃの風船から天体装置まで、さまざまな用途に使用されている。しかしながら、様々なタイプのエンクロージャ(例えば、膨張式エンクロージャ、硬い固定容積のエンクロージャ)内の膨張プロセス、ガス加圧、エンクロージャー内の様々なポイントにおける圧力、気流、およびその他の環境パラメータのダイナミクスをモニタおよび制御するように構成された制御システムが必要とされている。また、このような制御システムは、信頼性と適応性の高いシステムとして機能することが求められている。
【0004】
この「背景」セクションで開示されている上記の情報は、本開示の理解を深めることのみを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示は、無菌手術を行うためのエンクロージャシステムの例を説明する。エンクロージャ・システムには、膨張式エンクロージャおよび制御システムが含まれる。エンクロージャは、可撓性材料で作られた1つ以上のエンクロージャ壁と、ユーザがエンクロージャ外部からエンクロージャ内部を観察できるように構成された少なくとも1つの透明部と、を含む。エンクロージャは、1つ以上の通気口を含み、通気口の少なくとも1つは、動作中に可変の空気抵抗を有する。制御システムは、エンクロージャ内の環境を制御するように構成されている。制御システムは、エンクロージャに空気を供給するように構成された空気源、1つ以上のセンサ、およびプロセッサを含む。
【0006】
センサは、エンクロージャの内部とエンクロージャの外部との間の差圧を測定するように構成された1つ以上の圧力センサ;エンクロージャ壁に取り付けられ、または組み込まれ、壁の真直度およびエンクロージャの膨張レベルを表わす壁状態データを取得するように構成された1つ以上の壁状態センサ;およびエンクロージャを通る、またはエンクロージャのコンポーネントを通る気流を判定するように構成された1つ以上の気流センサを含む。
【0007】
プロセッサは、差圧および差圧の動的変化に関する圧力センサからの圧力データを受信するように構成されている。プロセッサは、壁状態センサから壁状態データを受信し、壁状態データを使用してエンクロージャの膨張状態を判定するように構成されている。プロセッサは、空気源と通気口から供給される気流を制御するように構成されている。プロセッサはさらに、壁の真直度を壁を通して良好な視認性を確保する所定の最小真直度以上に維持し、エンクロージャ内圧力を所定の圧力範囲に維持し、エンクロージャを通る気流を所定の気流範囲に維持するように、センサから受信した情報に基づいて、エンクロージャ内部の圧力およびエンクロージャ内への気流を制御するように構成されている。
【0008】
開示された主題のいくつかの実施態様には、エンクロージャシステムを動作させる方法が含まれる。この方法には、圧力センサ、壁状態センサ、気流センサを含む複数のセンサから情報を取得することが含まれる。この方法には、センサから取得した情報を処理し、エンクロージャ内部の圧力、エンクロージャ内の気流、エンクロージャの壁の真直度を判定することが含まれる。この方法には、センサから受信した情報に従って、エンクロージャのエアポンプおよび通気口/バルブを制御することにより、エンクロージャ内の気流を制御することが含まれる。
【0009】
開示される主題のいくつかの実施態様には、エンクロージャの膨張および静止した通常の動作状態におけるエンクロージャの動作に関連する制御プロセスについて機械学習を実行するための方法が含まれる。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された主題のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
(図面の簡単な説明)
本明細書に記載される主題の1つ以上の実施態様は、添付の図面に図示され、以下の詳細な説明で説明される。
【0012】
【
図1】
図1は、情報を受信し、エンクロージャを制御するように構成された制御システムを含む、例示的なエンクロージャシステムの概略図を示す。
【0013】
【
図2】
図2は、エンクロージャがポータブル手術システムの一部である例示的なエンクロージャシステムを示す。
【0014】
【
図3】
図3は、エンクロージャ内に空気を供給し、気流を制御するように構成された例示的な空気源を示す。
【0015】
【
図4】
図4は、エンクロージャ、空気源、エアダクトまたは可撓性チューブ、圧力サンプリングチューブ、および通気口を含む例示的なエンクロージャシステムを示す。
【0016】
【
図5】
図5は、空気源のフィルタを埃やその他の粒子から保護するように構成された保護カバーを含む、例示的な空気源ケースを示す。
【0017】
【
図6】
図6は、エアダクトを空気源に接続するように構成された例示的なアダプタを示す。
【0018】
【
図7】
図7は、例示的な気流分離器およびフィルタセンサを示す。
【0019】
【
図8】
図8は、2重壁を含む例示的な壁状態センサを示す。
【0020】
【
図9】
図9は、複数のセンサから受信した情報を受信して処理する例示的な電子システムを示す。
【0021】
【0022】
【
図11】
図11は、センサ、制御システム、およびアラームの異なる構成を採用した、
図9のシステムの例示的な実施形態を示す。
【0023】
【
図12】
図12は、エンクロージャ、エアダクト、および制御システムによって形成される空気圧システムの機能をモニタするための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0024】
【
図13】
図13は、エンクロージャの内部と外部との間の差圧のエンクロージャシステム機能を動作させる例示的な方法を示す。
【0025】
【
図14】
図14は、エンクロージャシステムを操作し、エンクロージャの空気圧モデルを決定し、エンクロージャに関する知識を取得し、およびエンクロージャの異常動作または故障動作を判定するための、例示的な方法のフローチャートを示す。
【0026】
【
図15】
図15は、エンクロージャシステムの動作を制御するように構成された制御関数の例を示すいくつかのグラフを示す。
【0027】
【
図16】
図16は、エンクロージャ内部の圧力、エンクロージャ壁の真直度、およびエンクロージャ内への気流を含む、複数の物理パラメータのエンクロージャシステム機能を操作する例示的な方法を示す。
【0028】
【
図17】
図17は、機械学習技術および機械学習したシステムモデルを使用する、エンクロージャシステムを操作する例示的な方法を示す。
【0029】
様々な図面における同様の参照番号および表記は、同様の要素を示している。本開示の態様を、例示的な実施形態を表す図面を参照して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(詳細な説明)
本明細書に記載されたエンクロージャシステムの例は、外科手術を行う場合を含む、様々な用途に使用することができる。例えば、エンクロージャシステムは、手術を行う際に患者の上に配置し、手術のために清潔でかつ消毒された環境を提供し、患者の汚染を回避することができる。エンクロージャシステムが提供する保護は、特に手術が十分に消毒されていない環境で行われる場合に、極めて重要である。例えば、外科手術が被災地または病院の外で行われる場合、患者の周囲の環境が汚染されている可能性があり、そのような場所で手術を行うと、環境汚染により患者の健康に重大なリスクが生じる可能性がある。本開示に記載されているようなエンクロージャシステムは、患者の保護を提供することができる。エンクロージャシステムは、エンクロージャ内部およびエンクロージャの関連コンポーネント内部のさまざまな位置での、圧力、気流、温度、ガスの種類、および粒子/汚染物質の密度など、さまざまな制御システム環境パラメータを制御できる制御システムを通じて慎重に制御される。制御システムは、複数のタイプのエンクロージャシステムおよび複数の環境/状況で機能するように構成され得る。
【0031】
図1および2は、例示的なエンクロージャシステムの図を示している。
図1は、エンクロージャ1との間で情報を送受信するように構成された制御システム2を備えるエンクロージャシステムのブロック図を示している。
【0032】
エンクロージャシステムは、エンクロージャ内の望ましい環境(例えば、所望の空気またはガスの純度、および低レベルの汚染物質、望ましくないガス、または微粒子)を維持するように、周囲に対してエンクロージャ内部の所定の過圧、およびエンクロージャを通る所定の最小気流を維持することが望ましいことが多い。本開示では、膨張式エンクロージャ、制御システム、および環境制御方法が、エンクロージャ1の初期膨張のための初期過圧およびガス循環を実施し、その後、エンクロージャ1を通る過圧およびガス流を維持する実施形態を説明する。
【0033】
膨張および環境制御方法は、膨張の動的プロセスを制御すること、エンクロージャを通る気流を制御すること、所定の過圧を保持すること、エンクロージャの内部およびエンクロージャの外部の状態をモニタリングすること(または継続的にモニタリングすること)、を含むことができる。モニタリングでは、所定の装置だけでなく、制御方法およびエンクロージャに関するいくつかのパラメータを測定することができる。制御システム2は、膨張および/または加圧状態が異常であるときを判定し、アラーム信号を発するように構成することができる。動作環境および被制御エンクロージャが変化する可能性があるため、制御システム2は高度な自己適応性を有するように構成され、自己学習機能を含むことができる。
【0034】
図2は、エンクロージャシステムの例示的な実施形態を示している。エンクロージャシステムは、「手術サイト環境の隔離および調節のためのポータブルシステム」と題する国際特許出願番号PCT/US2021/058496に記載されているようなポータブル手術システムの一部であり、この出願は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
図2のエンクロージャシステムは、エンクロージャ1と制御システム2とを含んでいる。エンクロージャ1は、1人以上の操作者(例えば、外科医、看護師など)が、胴体に取り付けられた切開ドレープを介して患者7の胴体にアクセスし、患者7に対して外科的処置を行うことができるように、患者7の胴体上に配置される。エンクロージャ1は、アームポート6と一体化されており、オペレータアーム、または腹腔鏡やロボットなどのアームの代わりとなる増強器具によって、エンクロージャ1の内部へのアクセスを可能にする。このようにして、オペレータはエンクロージャ1の内部から手術サイトにアクセスし、手術を行うことができる。エンクロージャ1には、制御システム2を介して空気が供給され、手術野の上方にエンクロージャ1によって囲まれた内部の無菌空間/環境を形成することができ、それによって、ユーザ(例えば、外科医)が無菌環境で手術を行うことができる。エンクロージャ1には、正圧下で濾過された空気が供給され得る。制御システム2は、空気源3、エアダクト4、および制御システム2がエンクロージャ1から情報(例えば、エンクロージャ1の内部に配置されたセンサからのセンサデータ)を受信し、エンクロージャ1の様々なコンポーネント(例えば、バルブ)を制御することを可能にするように構成されたワイヤコネクタ5を含むことができる。エアダクト4は、空気源3からエンクロージャ1に空気を供給することができる。エアダクト4は、可撓性チューブでもよい。
【0036】
制御システム2は、ガス加圧、膨張、気流を制御するように構成されており、同時に信頼性および適応性の高いシステムとしても機能する。制御システム2は、エンクロージャ1の内部と外部との間の圧力差を判定し、エンクロージャ1の様々な部分の気流を調整し、所望の圧力または気流のダイナミクスを生成し、異常動作(例えば、気流の異常や信号の異常)を検出するように構成されている。制御システム2は、過去の制御状況、および例えば応答時間、プロセスの安全性、騒音や振動のレベル(低レベルが望ましい)、消費電力(消費電力を最小化する)を含む制御データから学習することによって、機械学習を実行するように構成されている。
【0037】
制御システム2は、エンクロージャ1の加圧および/または膨張プロセスを生成、制御、およびモニタすることができる。制御システム2は、エンクロージャ1、エンクロージャ1と制御システム2との結合、および電源などの、エンクロージャシステム全体の要素をモニタリングしながら、エンクロージャ1内の過圧および所定の最小気流を維持するように構成され得る。制御システム2は、必要な信号およびアラームを生成し、関連情報を表示するように構成することができる。制御システム2は、動作における高い信頼性、エンクロージャ1のモデルをテストし作成する機能、エンクロージャのモデルを学習する機能、およびプロセスの異常を診断する機能を保証するように、能動的または受動的な予約ブロックを有することができる。
【0038】
制御システム2は、さらに、プロセッサ、ディスプレイ、アラーム装置、アンテナ、エンクロージャ1内または筐体1に取り付けられたセンサからのデータを無線送信するための装置のうちの1つ以上を含み得る電子システムを含むことができる。電子システム20は、エンクロージャ1内のセンサからデータを受信し、そのデータを処理し、エンクロージャシステムの様々なコンポーネントに制御信号を送信するように構成することができる。以下、エンクロージャシステムの様々なコンポーネントについて説明する。
【0039】
空気源ケース
【0040】
図3は、空気源3の例示的な実施形態を示しており、空気源3は、エアポンプ11、エアフィルタ12、エア循環チャンバ13、エアダクト4と接続するように構成されたアダプタ14、電子サブシステム15、およびエアポンプ11、エアフィルタ12、チャンバ13、および電子サブシステム15を収容するケース16を含むことができる。エアポンプ11が動作しているとき、空気源3は、ケース16の外部から入力気流をフィルタ12を通してケース16内に引き込み、気流をエアダクト4内、さらにエンクロージャ1内に導くことができる。いくつかの実施形態では、気流はフィルタ12を通って入り、フィルタ12によって浄化されてもよい。気流は、フィルタ12からエアポンプ11への低乱流カップリングを通って流れ、エアポンプ11に吸収され、出力に圧力を発生させる。気流は、低乱流カップリング14を通ってエアダクト4内に排出され、エアダクト4を介してエンクロージャ1に導かれ得る。
【0041】
エアポンプ11は、循環される空気の量に適したファン、または他の適切なポンプであってもよい。フィルタ12を保護するために、フィルタ12の前にプレフィルタを設けてもよい。感圧バルブは、エアポンプ11からエンクロージャ1へ向かう空気の循環は許容するが、エンクロージャ1から空気ポンプ11へ向かう逆方向の気流を停止させるために、アダプタ14内、アダプタ14の一端、または気流の軌跡に沿った別の場所に含めることができる。エアポンプ11とフィルタ12は、空気の流れに対して、フィルタ12がエアポンプ11の前に配置される場合もあれば、エアポンプ11がフィルタ12の前に配置される場合もあるように配置され得る。エアポンプ11とフィルタ12は、両者の間に漏斗状の接合部が形成されないように、互いに接合または近接して配置されてもよい。
【0042】
エア循環チャンバ13は、フィルタ12からエアポンプ11へ、およびエアポンプ11からエアダクト4およびエンクロージャ1への実質的に層流の気流を確保するように構成することができる。チャンバ13の壁の内側は、空気摩擦を低減するために特別に処理された表面または幾何学的に構成された表面を有してもよい。チャンバ13は、気流速度に適応した壁構成を持つ漏斗状構造であってもよい。例えば、壁には、気流と接触する面上に、圧電アクチュエータによって変位および傾斜させることができる鱗状の要素を設けることができ、これにより、漏斗の形状を壁との空気摩擦を低減する方向に適合させることができる。
【0043】
電子サブシステム15は、1つ以上の圧力サンプリングチューブ18と接続された圧力センサ(例えば、差圧センサ)を含むことができる。サンプリングチューブ18は、エンクロージャ・システム(例えば、エンクロージャ1、エアダクト4、ケース6)内の様々な場所、または周囲の圧力をサンプリングすることができる。電子サブシステム15はさらに、ワイヤを介してエンクロージャ・システムの様々な装置およびセンサに接続される場合もある。ケース16の内部に配置された電子サブシステム15は、制御システム2の全体的な電子システム20に含めることができる。電子サブシステム15は、センサ、ディスプレイ、アラーム装置、アンテナ、およびエンクロージャ内またはエンクロージャに取り付けられたセンサからのデータを無線送信するための装置に接続され得る。
【0044】
図4は、エンクロージャ1、空気源3、エアダクト4、エアダクト4内に配置された第1の圧力サンプリングチューブ19、エア通気口21、通気口21内に配置された第2の圧力サンプリングチューブ22、壁を通して突出する、エンクロージャ1に直接結合された第3の圧力サンプリングチューブ23、およびエンクロージャ1の内部に配置された1つ以上のセンサ24を含むエンクロージャシステムの例示的な実施形態を示している。センサ24は、ワイヤ26を介して、または無線信号を送信することによって、電子サブシステム15と通信することができる。センサ24は、気流、圧力、温度、湿度、微粒子レベルなどのパラメータをモニタするために、エンクロージャ1の内部に配置することができる。
【0045】
フィルタカバー
【0046】
図5は、エアフィルタ12を埃やその他の粒子29から保護するように構成された保護カバー28を含むケース16の例示的な実施形態を示している。この保護カバー28は、ケース16が屋外の地上に直接設置される場合、または支持面が埃や工業用粉末で覆われる可能性のある工業環境内に設置される場合に保護することができる。
【0047】
プレフィルタまたはフィルタ12は、輸送中または保管中にカバー28によって保護され得る。カバー28は折り畳み可能であってもよく、土壌からの埃や粒子が吸収されてフィルタ12やプレフィルタに入るのを防止してもよい。開いたとき、カバー28は、吸引流が主に上方から来るように、ケース16の壁の垂直面に対して90o未満の角度を形成してもよく、その結果、ケース16が地上のフィールドに配置されたときに埃の吸引を防止することができる。カバー28は、埃の側方吸引を防止するための側方ウィング28(b)を含むことができる。カバー28が閉じられたとき、エアポンプ11の動作が遮断されるように、カバー28が閉じられたときを検出するセンサを設けてもよい。
【0048】
アダプタおよび接続センサ
【0049】
図6に示すように、空気源3は、空気源3を、空気源3からエンクロージャ1への空気流(例えば、加圧下で)を導くエアダクト4に接続するように構成されたアダプタ14を含むことができる。
【0050】
アダプタ14は、空気源3がエアダクト4に接続されていないときにケース16の内部の汚染を防止するために、アダプタ開口部を覆うように構成された気密キャップ31を含んでもよい。これは、制御システム2および/またはエアダクト4の内部が、周囲からの粒子、病原体、またはその他の有害な要素で汚染されている場合に生じ得る。アダプタ14は、アダプタがキャップ31またはエアダクト4のいずれかと正しく接続されているかどうかを判定するように構成された1つ以上の接続センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、接続センサは、アダプタ14の外面上にある2つの金属電極32と、キャップ31の内面上にあるキャップ電極33とを含み、キャップ31が正しく接続されたときにキャップ電極33が電極32をショートカットし、アダプタ14上の電極32間に電流経路を確立するようになっている。適切な電子回路は、2つの電極32間の電気経路の状態を検出する。2つの電極32間に電流経路がない場合、汚染の危険を知らせるためにアラームが設定される。同様に、エアダクト4は、電極32と協働して接続センサとして機能するように構成されたキャップ電極33を含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、接続センサは、フォトダイオード34、フォトトランジスタ、または光に感応する同様のデバイスであってもよい。キャップ31またはエアダクト4がアダプタ14の頭部を覆っていない場合、光が感光デバイスを透過し、アラームが発せられる場合がある。いくつかの実施形態では、1組の接続センサがキャップ31の正しい接続を判定するために使用され、別の1組の接続センサがエアダクト4の正しい接続を判定するために使用されてもよい。キャップ31および/またはエアダクト4が適切に接続されていない場合、制御システム2が信号を区別できるように、異なるアラーム信号(例えば、キャップ31の不適切な接続に応答する第1のアラーム信号と、エアダクト4の不適切な接続に応答する第2のアラーム信号)が生成されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、接続センサは、近接センサを形成する容量性電極、近接センサを構成する2つのインダクタンス、近接センサを構成する金属板とインダクタンス、圧力センサ(ピエゾ抵抗型または他のタイプ)、近接センサを一緒に形成する小型磁石とホールセンサ、不透明な蓋の開放を感知するフォトダイオードまたは他の光感知デバイス、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。
【0053】
制御システム2は、接続センサからの情報を使用して、アダプタが開いて露出していた期間(および時間の長さ)を判定することができる。いくつかの実施形態では、制御システム2が、アダプタ14が第1の閾値時間よりも長い期間にわたって開いていたと判定した場合、警告が発せられる。制御システム2が、アダプタ14が第2の閾値時間よりも長い期間にわたって開いていたと判定した場合、制御システム2は、アラームを鳴らし、および/または動作を停止し、空気源3および/またはエンクロージャ1が汚染されたと判断することができる。制御システム2は、空気源3および/またはエンクロージャ1が汚染されているという警告を表示することもできる。
【0054】
フィルタセンサ
【0055】
図7(a)および7(b)を参照すると、空気源3は、フィルタ12の近傍に配置され、気流を分割する1つ以上の気流分離器35を含むことができる。気流分離器35は、フィルタ12上に垂直に配置された1つ以上の薄壁36を含む。気流は、壁36に平行な方向であってもよい(
図7(b)に示すように)。気流分離器35は、ハニカム状の構造を形成するように配置されてもよい。気流分離器35は、ハニカム構造の各セル内に同一の気流を形成するなど、所望の層流で均一な気流を生成するように構成することができる。気流分離器35は、フィルタ12のいずれかの側に配置されてもよいし、フィルタ12の両側に配置されてもよい。
【0056】
空気源3は、異なるフィルタ領域における空気の流れおよび/または圧力に関する情報を提供するように構成された1つ以上のフィルタセンサ37(
図7(b)および7(c)に示すように)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、フィルタセンサ37は、平面36によって分離された2つの隣接するフィルタ領域間の気流差および/または差圧を測定することができる(
図7(c)に見られるように)。制御システム2は、フィルタセンサ37から情報を受信し、フィルタ状態を判定し、表示用にフィルタステータス(例えば、フィルタは良好に機能している、フィルタを交換する必要があるなど)に関するメッセージを生成するように構成されたプロセッサを含むことができる。
【0057】
動作中、エアフィルタ12は、埃やその他の粒子によって目詰まりしたり、または大きな粒子や大きな速度で移動した物体によって穴が開いたりすることがある。したがって、エアフィルタの動作を持続させるため、空気の濾過をモニタして、上記と同様の問題を検出することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ動作の均一性は、フィルタ12の後または前の気流のセクションにおける動圧および/または静圧を比較することによって実行される。
【0058】
濾過をモニタリングする方法には、1組の圧力センサまたは1組の差圧センサ36を用いて、気流の対称領域における動圧および/または静圧(または圧力差/気流差)を測定することを含むことができる。気流の非対称性または非対称性の時間的変化は、上下および中心から側面にかけて非対称的に発生する可能性のある潜在的なフィルタの目詰まり、あるいは非対称的に発生する可能性のあるフィルタ12の穴の形成、またはフィルタ動作におけるその他の異常を示している可能性がある。方法および測定の感度をさらに高めるために、気流を妨げず、気流の異なる部分からの気流の混合を防止する薄壁(気流分離器35の壁36など)を、気流の対称部分を分離するように対称に配置してもよい。よって、薄壁によって分離された領域間で差分測定を行うことができる。この目的のために、1つの平面またはいくつかの半平面の表面(壁)36を使用することができる。フィルタセンサは、それぞれの領域内の気流の速度の非対称性を感知する圧力センサおよび/または風速計であってもよい。
【0059】
制御システム2の電子機器は、表面(壁)36によって画定されたフィルタ後方の領域における気圧または気流の非対称性を検出するフィルタセンサからの情報を使用することができ、気圧または気流に実質的な非対称性が検出された場合、制御システム2は警告を生成することができる。制御システム2は、大きな非対称性が検出された場合、動作を停止し、フィルタの交換が必要であるという警告を表示する(または他の告知手段をする)ことができる。
【0060】
圧力センサ
【0061】
可撓性で膨張可能な、または固定容積のエンクロージャ1の加圧および/または膨張を制御するために、エンクロージャ1内の圧力および/またはエンクロージャ1の内部と外部との間の静圧差を判定するための手段、および膨張状態を検出する他の手段を利用することができる。その動作範囲、感度、および応答時間が、意図した用途の動作条件を満たすことを条件に、様々なタイプの圧力および/または差圧センサを使用できる。エンクロージャシステムは、1つ以上の圧力センサを含むことができる。圧力センサは、差圧センサおよび/または絶対圧センサを含むことができる。
【0062】
圧力センサは、
図4のセンサ24のようにエンクロージャ1の内部に配置されてもよいし、エンクロージャ1の外部に配置され、
図4のチューブ19、22、23のような圧力サンプリングチューブを介してエンクロージャ1の内部に接続されてもよい。エンクロージャ1の内部に配置された圧力センサは、無線で、または電子システム20に接続されたワイヤを介して、制御システム2にデータを送信することができる。
【0063】
差圧センサは、エンクロージャ1の内部とエンクロージャ1の外部との間の差圧を測定するように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、差圧センサの少なくともいくつかは、エンクロージャ壁に取り付けられ(またはエンクロージャ内に含まれ)、周囲圧力を感知する、エンクロージャ1の内部に配置された第1の測定面と、エンクロージャ1の外部に配置された第2の測定面と、を備える。差圧センサは、エンクロージャ1の内部と外部の圧力差を測定するように構成されている。
【0064】
圧力チューブおよび通気口
【0065】
いくつかの実施形態では、差圧センサの少なくともいくつかは、エンクロージャ壁を貫通する圧力サンプリングチューブに取り付けられる。差圧センサは、エンクロージャ1の外部に配置された圧力チューブの一端に配置(および接続)され、一方、圧力チューブの他端は、エンクロージャ1の内部に配置されて、エンクロージャ1の内部の特定の場所の圧力をサンプリングすることができる。圧力センサと圧力サンプリングチューブは、エンクロージャシステム内またはエンクロージャシステムのすぐ外側のさまざまな場所の圧力をサンプリングするために使用することができる。エンクロージャシステムは、エンクロージャ・システムの様々な場所で圧力を測定するために、いくつかのこのようなチューブおよびセンサを含むことができる。エンクロージャ1の壁を横断する圧力サンプリングチューブは、空気漏れを防ぐために気密ポートに結合されてもよい。圧力センサはケース16の内部に配置され、
図2~3に示すように、圧力チューブを介して、ケース16の外部、エンクロージャ1の内部、またはケース16の内部の圧力を測定することができる。
【0066】
図4を参照すると、エンクロージャ1は、空気がエンクロージャ1内を継続的に循環するように、1つ以上の通気口21を含むことができる。通気口21は、通気口21を開くか、通気口21を閉じるか、または通気口21の空気抵抗を調整するように構成されたバルブを含むことができる。エアダクト4は、エアダクト4を開くか、エアダクト4を閉じるか、またはエアダクト4の空気抵抗を調整するように構成された1つ以上のバルブを含むことができる。プロセッサ50は、空気源3、エアダクト4、および/または通気口21に結合されたバルブの空気抵抗(開、閉、または中間抵抗)を制御することによって、空気源3によって供給される気流、ならびに通気口21および通気口21を通る気流レベルを制御するように構成され得る。
【0067】
通気口21は、エンクロージャ1の内部の圧力をサンプリングする1つまたは複数の圧力サンプリングチューブ22を含むことができる。通気口21は、気流センサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、圧力サンプリングチューブ23は、気密カップリングを介してエンクロージャ1の壁の1つを通ってエンクロージャ1に入ってもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの差圧センサがエンクロージャ1の内部に配置され、周囲圧力をサンプリングする圧力サンプリングチューブに結合されている。差圧センサは、エンクロージャ1の壁内に組み込まれ、センサの一方側は周囲圧力にさらされ、他方側は内部圧力にさらされるため、圧力サンプリングチューブの使用を回避することができる。
【0068】
圧力データの処理
【0069】
圧力センサは、エンクロージャシステムの電子システムに無線または有線でデータを送信することができる。プロセッサは、差圧および/または差圧の動的変化に関する圧力センサからの圧力データを受信するように構成されてもよい。プロセッサは、圧力データを他のセンサからのデータと組み合わせて使用し、エンクロージャ1の膨張状態を判定することができる。電子システム20は、エンクロージャ1内のセンサからデータを受信し、そのデータを処理し、エンクロージャシステムの様々なコンポーネントに制御信号を送信するように構成することができる。
【0070】
1つ以上のセンサがエンクロージャ1の内部に配置され、気圧、差圧、気流速度、温度、またはエンクロージャ1の内部の環境の他の変数のうちの1つ以上を測定することができる。いくつかの実施形態では、センサは、エンクロージャ1の壁に蒸着された、または壁面に埋め込まれたストリップアンテナなどのアンテナを使用して、電波を介してセンサデータを制御システム2に送信することができる。
【0071】
制御システム2は、エアダクト4が空気源3およびエンクロージャ1に接続され、圧力サンプリングチューブが接続され、制御システム2が差圧測定値を受信したときに、システムの基本制御が確立されるように構成されてもよい。
【0072】
壁状態センサ
【0073】
可撓性エンクロージャが膨張している場合、圧力および差圧の測定値は、エンクロージャ1およびその壁の状態を正確に制御するには不十分である場合がある。実際、可撓性の壁は温度によって挙動が異なり、通常の膨張圧では引き締めることのできないシワができ、条件が変化すると壁に過剰な局所応力が生じたり、または不適切な形状になったりする場合がある。したがって、加圧制御を改善するには、圧力やその他の物理パラメータに加えて、壁の状態も考慮に入れる必要がある。
【0074】
エンクロージャシステムは、壁状態センサが配置されたエンクロージャ1の壁の一部の真直度の状態およびエンクロージャ1の膨張レベルを示すデータを取得するように構成された1つ以上の壁状態センサを含むことができる。壁状態センサは、壁に取り付けてもよいし、エンクロージャ1の様々な位置の壁に組み込まれてもよい。プロセッサ50は、壁状態センサから壁状態データを受信し、壁状態データを使用してエンクロージャ1の膨張状態を判定するように構成されてもよい。プロセッサは、センサから受信した情報に基づいて、エンクロージャ1の内部の圧力および筐体1内への気流を制御するようにさらに構成されてもよく、それにより、壁の真直度が所定の最小真直度を超えて維持されることを可能にする。そうすることで、壁越しの視認性が確保される。いくつかの実施形態では、エンクロージャは、それを超える圧力がエンクロージャ内の患者に健康上のリスクをもたらす可能性がある最大圧力値を有することができる。したがって、制御システム2は、エンクロージャ1内の圧力が患者の安全閾値限界に関連する圧力レベル未満になるように、エンクロージャ1の内部の圧力を制御することができる。
【0075】
壁状態センサには、歪みゲージ、3軸加速度計(3D加速度計)などの壁位置センサ、容量性センサ、傾斜センサなど、1つ以上のタイプのセンサを含めることができる。このようなセンサは、膨張状態の評価において、圧力センサを補完、または置き換えることができる。壁の状態をモニタリングするためのセンサは、エンクロージャ1の内部に取り付けてもよいし、壁に取り付けてもよいし、壁の外側に取り付けてもよいし、または可撓性の壁に含められてもよい。制御システム2は、壁の静止画像または動画像を取得し、壁の状態をモニタするように構成された1つ以上のカメラをさらに含むことができる。プロセッサは、カメラから壁の画像を取得し、壁の状態(例えば、壁の真直度)を判定することができる。
【0076】
2重壁センサ
【0077】
図8は、2重壁センサの例示的な実施形態を模式的に示している。2重壁センサは、
図8に見られるように、エンクロージャ1の壁の一部である第1の壁41と、第1の壁41に取り付けられた可撓性ホイルである第2の壁42との間に配置され得る。2重壁センサは、第1の壁41と第2の壁42との間に配置される力/圧力検知デバイス43を含んでもよい。第1の壁41および第2の壁42は、エンクロージャ壁内に小さなポケットを形成することができる。第1の壁41および第2の壁42は、例えば、エンクロージャ1の内部と外部との間の高い差圧のために壁41および42が真っ直ぐになるとき、力/圧力検知デバイス43に圧縮力を加えることができる。力/圧力検知デバイス43は、壁の矯正により壁41および42によって生成される圧力/力を測定するように構成されている。エンクロージャ1が完全に膨張すると、可撓性壁42および第1の壁41は、力センサ43によって検出され、エンクロージャ1の膨張レベルを示す圧力を生成する。従って、力/圧力検知デバイス43によって測定された力は、壁の真直度の測定値を提供する。力/圧力検知デバイス43は、例えば、矩形断面、円形断面、またはエンクロージャ1の内部の圧力が上昇するにつれて窪む予め膨張した気泡44を覆う円形セグメント45として形成された断面を含む、任意の適切な形状を有することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、半円形の物体44が壁41と42の間のポケットに配置され、ピエゾ抵抗フィルムなどの感圧フィルム45で覆われてもよい。フィルム45の抵抗は、壁41および42の矯正および張力に比例して変化する。このような実施形態では、ピエゾ抵抗層45とピエゾ抵抗層の接続部を有する物体44がセンサ43を形成することができる。それぞれの圧力信号の測定は、壁41および42の矯正を示す。いくつかの実施形態では、ピエゾ抵抗膜を担持する物体は、丸みを帯びた角を有する平行六面体の形状を有してもよく、またピエゾ抵抗膜は、エンクロージャ壁またはポケットの可撓性層に直接取り付けられてもよい。プロセッサは、力/圧力検知デバイス43から壁状態データを受信し、壁状態データに基づいてエンクロージャ1の膨張状態を判定することができる。
【0079】
歪みゲージセンサ
【0080】
エンクロージャ1に関連する歪みは、エンクロージャ1の壁の内面または外面に接続された歪みゲージセンサを使用して検出することができる。いくつかの実施形態では、壁状態センサは、エンクロージャ壁の内面または外面に配置および取り付けられ、壁とともに変形し得る歪みゲージセンサを含むことができる。壁の矯正/変形は、壁の真直度レベルに比例した力に応じて歪みゲージセンサを変形させることができる。
【0081】
キャビティセンサ
【0082】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ壁に可撓性層を取り付けることにより、エンクロージャ壁(内側または外側)上に小さな密閉キャビティを生成することができる。したがって、キャビティは、その壁の少なくとも1つがエンクロージャ壁によって形成されている。密閉キャビティは、エンクロージャ内の目標圧力よりわずかに低い圧力で加圧される。壁状態センサは、密閉キャビティ内に配置されてもよい。エンクロージャの圧力が目標値に達すると、エンクロージャ壁の伸びとエンクロージャ1内の内圧によってキャビティの容積が減少する。壁状態センサは、キャビティ内に配置されたキャパシタを形成する2つの電極を含むことができる。キャビティの容積が減少するとキャパシタの電極が移動し、それによって静電容量が変化する。壁が真っ直ぐである場合、静電容量は特定のプリセット値に達する。
【0083】
プリンテッドインターディジタルキャパシタ
【0084】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ1の壁の矯正または膨張レベルを判定するために、インターディジタルキャパシタをエンクロージャ1の可撓性支持体上に印刷または配置することができる。可撓性支持体は壁に接着され、壁面とともに変形し、インターディジタルキャパシタの静電容量を変更することができる。壁と支持体が真っ直ぐである場合、特定の静電容量値が得られる。インターディジタルキャパシタは、エンクロージャ1の可撓性の壁上に直接印刷され得る。
【0085】
光ファイバセンサ
【0086】
いくつかの実施形態では、壁状態センサは、光ファイバ、光源、およびファイバ検出器を含む。光ファイバは、エンクロージャ1の壁に取り付けられ(または組み込まれ)、壁とともに変形するように構成されている。光ファイバの変形は、ファイバ検出器によって検知される信号の変化につながる。
【0087】
壁が完全に膨張し、ファイバ内で光損失がなくなると、光ファイバは真っ直ぐになり、その場合、信号は最大になる。壁が真っ直ぐでない場合、光ファイバは壁とともに曲げられ、その曲げの結果、ファイバ内に光損失が発生する。ファイバ検出器によって検出された信号は、ファイバがどの程度曲がっているか、壁がどの程度真っ直ぐであるかを示す指標を提供し得る。光ファイバブラッググレーティングセンサまたは光偏光子を光ファイバと併用することにより、応力測定機能に加えて、光ファイバセンサ測定の測定感度と測定精度がさらに向上する。
【0088】
他のタイプのセンサ(例えば、光学センサ、容量性センサ、磁気センサ、誘導センサ、抵抗センサ、ピエゾ抵抗歪みまたは応力センサ、圧電センサ、機械的変形センサ)を使用して、壁の完全な膨張を検出する他の様々な方法を実装することができる。また、ToFカメラ(Time-of-Flight cameras)を含む画像および映像取得デバイスを使用して、壁の完全な膨張および真直度をモニタすることもできる。
【0089】
エンクロージャ1内の内圧センサは、エンクロージャ1の完全で正しい膨張に関する間接的で統合された情報を提供するため、エンクロージャ1の壁の1つまたはいくつかの位置に配置された壁の真直度センサまたは壁の張力センサの使用が推奨される。いくつかの実施形態では、センサは、センサ支持体が平面になったときに特定の静電容量に達するインターデジタル静電容量センサである。
【0090】
壁の真直度についてのセンサが使用される制御システム2のいくつかの実施形態では、壁の真直度についてのセンサによって提供される情報は、制御システム2のプロセッサによって取得され、エンクロージャ1の膨張制御を改善するために、圧力センサからの情報を補完し、融合することができる。例えば、制御システム2は、制御システム2の自己学習プロセスにおいて、特定の筐体について、壁が十分に膨張しているエンクロージャ1の内部と外部との間の圧力差値を記憶し、将来の膨張および加圧プロセスのために目標圧力差を利用することができる。
【0091】
振動および音
【0092】
エンクロージャ1、エアダクト4、および制御システム2の容器には、膨張および加圧のプロセスで発生する音および振動の量を制御するための音および振動センサを設けることができる。流量センサ、動圧センサ、温度センサを含む他のセンサを、エンクロージャ1内、制御システム2容器内、および制御システム2からエンクロージャ1へのエアダクト4内で使用し、動作条件をさらに分析し、それに応じて制御を調整することができる。
【0093】
電子機器
【0094】
いくつかの実施形態では、制御システム2の電子機器は、バッテリまたは他の適切な電源、バッテリの充電および放電をモニタリングおよび調整する回路、電圧レギュレータ、および電源モニタ、1つまたはいくつかの圧力および/または差動センサ、1つまたはいくつかの気流用センサ、壁膨張センサ、壁内の応力用センサ、温度センサ、空気湿度センサ、および膨張したエンクロージャの他のパラメータまたは制御に有用な周囲パラメータ用のセンサ、1つまたはいくつかのディスプレイ、1つまたはいくつかのアラームブロック、汎用I/Oインターフェース、通信手段、およびコア電子システムを含むことができる。電子システムは、データ取得、データ処理、データ保存、制御機能の生成、エアポンプ用駆動信号の生成、異常状態の診断と検出、アラーム信号の生成、システム全体と周囲のモニタリング、モニタされたパラメータに基づく制御の決定、制御を改善するための学習、および他のすべての出力インターフェースの駆動など、多数の動作を実行することができる。電子システムの1つ以上のブロックは、動作の信頼性を高めるために予備を備えていてもよい。
【0095】
図9は、1つまたは複数のセンサからの入力を受け取り、その入力をデータ取得および1次制御システム130に処理し、制御信号をエアポンプ制御システム131に送信する、エンクロージャ1の電子システムの例示的な実施形態のブロック図を示している。いくつかの実施形態では、システム130および131は、1つ以上のプロセッサであってもよい。いくつかの実施形態では、システム130および131は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであってもよく、例えば、センサから受信した信号を2次制御回路131による処理に適した信号に変換する第1の1次回路130のような回路を含み、この回路がエアポンプを駆動してもよい。
【0096】
図10および11は、1次制御システム130、第2の1次システム132、システム130および132の適切な動作をモニタするスーパーバイザプロセッサ134、およびユーザが、駆動電気システム131に信号を送ることができる、完全に分離された第3のバックアップ1次制御電気システム133に設定することができる手動制御スイッチ135を含む、
図9に表されるシステムの例示的な実施形態を示す。
【0097】
第2の1次制御ブロック132は、第1の1次制御システム130の動作に冗長性を提供することができ、重要な用途に使用されるように構成された第2の予備、第3の1次制御回路133を有することができる。第1の1次制御ブロック130はデジタルであるが、第2の1次制御電気回路132は、グレースフル・デグラデーション動作および信頼性向上のために機能が低減されてもよく(例えば、第1の1次制御ブロック130の集積回路が適切に機能しない場合、第2の1次制御電気回路132のバックアップ回路は、許容可能な性能を有していてもよいが、第1の1次制御ブロック130の集積回路の性能基準には一致しない場合がある)、いくつかのアナログ回路を使用して、センサからの信号を2次制御回路131への入力に適した信号に変換してもよい。
【0098】
2次制御回路131は、1次制御電気システムのいずれかから入力信号を受信し、受信した信号をエアポンプを駆動するための信号に変換することができる。1次制御システム130、132、133は、エアポンプの動作、空気圧システムを通る気流の動作、およびバッテリの動作のパラメトリックモニタリングを実行することもできる。1次制御システム130、132、133は、視覚的および聴覚的なアラーム信号を発することができ、1次制御システム130、132、133のいずれかは、動作に関する情報、適切な警告文、および操作の提案をディスプレイ上に表示することもできる。第1の1次制御システムと第2の1次制御システムとの間の切り替えは、第1の1次制御システム130の動作をモニタし、その故障を検出する監視システム134によって、手動または自動で行われる。第3の1次制御システム133への切り替えは、人間のオペレータによる操作を最大限に制御するために、スイッチ制御135により手動で行うことができる。
【0099】
1次制御システム130、132、133は、ノイズからの信号のフィルタリング、センサからの信号の平滑化、および様々なセンサからの情報の融合(例えば、圧力センサからの情報と壁状態センサからの情報の融合)を含む特定の信号処理タスクを実行することができる。
【0100】
第1および第2の1次制御システム131、132は、2次制御システム131を制御するために、アナログ信号またはデジタル信号のいずれかを生成することができる。監視システム134は、第1の1次制御システム131の動作状態をモニタし、第1の1次制御システム130の動作が不十分である場合に第2の1次制御システム131に動作を切り替えることを決定し、いつ第1の1次制御システム130の動作をリセットするかを決定してもよい。
【0101】
1つ以上のセンサは、アナログ/デジタル出力を有し、電子システムに接続されていてもよく、無線で(光学的、超音波的、無線電磁波、赤外線、またはその他の適切な手段を使って)情報を電子システムに送信してもよい。
【0102】
センサがデジタル出力を生成する場合、電子システムの一部は、デジタルであってもよいし、センサの少なくとも一部がアナログ出力を有する場合、アナログとデジタルのハイブリッドシステムであってもよい。データ収集および1次制御システムは、監視、故障識別、およびその他の複雑な機能が必要ないか、またはアナログ回路で簡単に実装できる単純な機能に絞られている場合、完全にアナログであってもよい。
【0103】
1次および2次制御システム130~133への機能の分離は、プログラミング目的および設計の簡略化のために有用であるため利用される1つの例示的な実施形態であるが、いくつかの実施形態では、マイクロコントローラまたはFPGAなどの1つ以上の物理デバイスが、1次および2次制御システム130~133の両方の機能を実装してもよい。いくつかの実施形態では、監視、故障識別、およびその他の複雑な機能が必要ないか、またはアナログ回路で簡単に実装できる単純な機能に絞られている場合、第2のデータ収集および1次制御ブロックは完全にアナログであってもよい。
【0104】
特定の用途における制御システム2の動作は、システム最適化のために設定された基準に依存する場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、基準は安全動作であってもよい。別の基準は、エンクロージャ内の圧力を一定に維持することであってもよく、これは、最小気流基準または基準の組み合わせが最適化に使用される実施形態に対して容易に実装することができる。
【0105】
図12は、エンクロージャ1、エアダクト4、および制御システム2(空気源3を含む)を含む空気圧エンクロージャシステムの機能をモニタリングするための方法のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、制御システム2は、ステップ136に示されるように、予備的な動作前チェックを実行することによって開始され得る。電源がオンになると、エンクロージャ1の電子システムは、1つまたはいくつかのセンサから信号を取得し、エンクロージャシステムの設定および動作の分析を開始する。この段階で、エンクロージャシステムは、接続センサからの信号を受信することによって、エアダクト4と空気源3およびエンクロージャ1との接続が正しいか否かを判定することができる。次に、システムは、フィルタエアカバー28が開いているか否かをチェックすることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、エンクロージャシステムの機能を判定するために、ステップ137に示すような初期機能テスト(および予備動作チェック)が実行される。エンクロージャシステムの機能は、差圧の線形(段階的、階段状)またはその他の予め定められた関数で加圧/膨張を初期化し、所定の時間t0の間、差圧を増加させる制御を適用することによってテストされる。この段階中、エアフィルタ12の後方の気流の対称性がチェックされ、対称性が十分でない場合には警告が発せられ、非対称性が大きい場合には動作が停止される場合がある。また、この段階中、空気源3および/または加圧エンクロージャ1の気流を判定することができる。気流は、予め決められた値または同様のエンクロージャの動作から学習した値と比較され、著しい不一致が発生した場合、警告が発せられる場合がある。さらに、膨張中にエンクロージャ1、その壁、エアダクト4内、または制御システム2の容器内で発生する振動および音は学習のため、およびその後、望ましくない挙動(例えば、騒音および/または振動が大きすぎる)を引き起こす特定の制御パラメータを回避するためにモニタされる。制御パラメータには、エアポンプ出力/気流出力、および様々なバルブのステータス/空気抵抗が含まれる。この段階では、ステップ139に示すような情報の獲得およびモデル構築が実行される。エンクロージャ1からの排気のおおよその流れ抵抗やエンクロージャ1のおおよその容積など、エンクロージャシステムのいくつかの性能パラメータ値が抽出される。大きな振動および騒音レベルを発生させる不適切な圧力フロー状態は、通常の動作中にそれらを回避するために保存される。
【0107】
図12の制御方法は、システムの事前テスト健全性チェックステップ136、初期加圧および機能テストステップ137、機能テストブロックおよび動的加圧学習ブロック138、空気圧アンサンブルのパラメータと、エンクロージャ、エアダクト、および制御システムによって形成される空気圧システムの初期モデル学習を測定する測定・学習ブロック139と、性能パラメータ値の初期学習後、連続ループで機能および空気圧システムパラメータをモニタ140し、必要に応じて、ステップ141で動作条件に制御を調整する通常動作ブロック138を含む。ステップ138~140~141は、エンクロージャシステムの通常動作の条件下でループ動作し、システムのパラメータを継続的にモニタし、必要に応じて動作条件を調整する。
【0108】
図13は、一組の初期化前テストを実行し(ブロック136)、予め定められた機能でエンクロージャ1の加圧を初期化し(ブロック144)、所定の圧力条件142が所定の時間内に満たされたか否かをテストする(ブロック142)動作を含む制御方法を示している。条件142が所定の時間内に満たされなかった場合、制御システム2はアラームを発し、故障モードに入る(ブロック146、148)。条件142が所定の時間内に満たされた場合、
図12のブロック138に示すように、制御システム2は通常動作状態に入る。
【0109】
初期加圧段階(ブロック144)において、エンクロージャシステムは、エンクロージャ1の内側と外側との間の実際の差圧を、所定の差圧閾値P1と比較することができる。ブロック142に示すように、得られた差圧が加圧の開始から一定期間にわたって閾値P1より大きくならない場合、エンクロージャシステムはアラームを発し、対応するメッセージをディスプレイに表示することができる(ブロック146)。エンクロージャシステムは、圧力に対処するための是正措置が取られた後、システムが再起動されるまで、その動作を停止する場合がある(ブロック148)。初期の膨張または加圧テストで肯定的な結果が得られた場合、エンクロージャシステムは、その通常の動作状態を実行することができる(ブロック138)。通常動作状態には、例えば、センサからの信号における電気的ノイズのフィルタリングを含む様々な動作が含まれ得る。例えば、ローパスアナログフィルタは、アナログセンサおよび/またはデジタルフィルタによって提供される信号をフィルタリングすることができる。ローパスフィルタリングは、可撓性エンクロージャで使用される圧力、気流、および壁センサから受信した信号に使用することができる。ローパスフィルタリングは、外力(例えば、人間の操作、風など)によるエンクロージャ1の壁の動きによる信号の変動を除去することができるからである。信号の品質は、エンクロージャ1の用途に適合したメディアン フィルタリングまたはその他の統計フィルタによってさらに向上させることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、システムは、エンクロージャの排気口および/または空気ダクト4内の動圧および/または気流速度の測定を含む追加の初期テストを実行し、これらの動圧を保存された値および/または実際の制御システム2の気流と比較し、空気漏れが発生しているか否か、または排気口もしくはエアダクト4が閉塞しているか否かを判定する。初期テストの条件が望ましい動作条件と一致しない場合、警告および/またはアラームが発せられる場合がある。
【0111】
いくつかの実施形態では、予備(プレテスト)段階および初期段階(初期段階には、エンクロージャ1が可撓性である場合の膨張が含まれる)のテスト後、加圧制御システムは、一定の差圧を維持するために通常動作状態138に入る。この通常動作状態138は、一定の差圧を維持する目的で、エンクロージャ1とエンクロージャ1を取り囲む周囲環境との間の差圧の測定値に基づいてもよい。通常段階の動作中、エンクロージャシステムは、所定の学習アルゴリズム40を使用して、エンクロージャ1、エアダクト4、および制御システム2の加圧制御のダイナミクスの詳細を学習することができる。学習は、オペレータまたは他のエンクロージャシステムから得られた学習データを制御システム2に提供することによって補うことができる。得られた情報は、ステップ141で、動作条件に対する制御の将来の調整に使用される。
【0112】
図14は、エンクロージャ1の空気圧モデルを決定し、エンクロージャ1の状態または状況に関するデータを取得し、および異常な状態または動作を検出するための、エンクロージャシステムを動作させる方法のフローチャートを示している。
【0113】
この方法は、制御システム2が、エンクロージャ1およびエンクロージャシステムの他のコンポーネント(例えば、通気口21、空気源3)内部の圧力および気流、エンクロージャシステムによって発生する音、エンクロージャシステムの振動、および壁の歪みのうちの1つ以上に関するデータおよび情報をセンサから取得する動作1401を含むことができる。この方法は、制御システム2が、エンクロージャシステムのエアダクト4、通気口21、およびバルブの伝達関数に関するデータおよび情報を取得する動作1402をさらに含むことができる。
【0114】
この方法は、制御システム2が、動作1401および1402で取得した情報を使用して、信号のスペクトルなど、取得された信号およびデータの一連の特性を判定する動作1403をさらに含むことができる。情報には、圧力データおよび振動データなど、2つ以上のデータ/信号の融合されたデータおよび/または信号が含まれてもよい。この方法は、制御システム2が、スペクトルの主振動成分、低い周波数の成分ではないスペクトルの振動成分、および非線形に生成された成分など、エンクロージャシステムの共振を判定する動作1404をさらに含むことができる。
【0115】
この方法は、制御システム2が、制御パラメータの時系列など、最近の制御パラメータに関連するデータを取得して保存する動作1405をさらに含むことができる。この方法は、制御システム2が、動作1404および1405で生成された情報を使用して、システムのモデルおよびシステムのパラメータを導出し、同じシステムの以前のモデル、および様々な故障動作状態に対応するモデルと比較する動作1406をさらに含むことができる。
【0116】
この方法は、制御システム2が、動作1404、1405、および1406で生成された情報を使用して、様々な制御シーケンスおよびシナリオに対する制御システム2の応答のモデルを生成する動作1407をさらに含むことができる。
【0117】
この方法は、制御システム2が、システム全体の動作分析を実行し、異常な動作状態(例えば、故障動作)が存在するか、またはシステムが適切に動作するかを判定する動作1408をさらに含むことができる。動作分析は、動作1407で生成された情報および/または動作1409で生成された機械学習したデータに基づく。
【0118】
この方法は、制御システムが、システムの機能に関する動作1408で生成されたデータを受信し、そのデータに対して機械学習を実行し、同じタイプの制御について学習したデータを開発して保存し、学習したシステムモデルを開発して保存し、学習した異常状態および動作状態を開発して保存する動作1409をさらに含み得る。動作1401から1409は、ループ内で繰り返され、反復的に実行され得る。
【0119】
図14に示される方法の動作は、反復的または周期的に繰り返されて、様々な時点(第1の時間順序系列t
1、t
2、t
3、・・・t
n、nは1より大きい任意の数)におけるエンクロージャシステムの測定値を取得し、エンクロージャシステムの物理パラメータ測定値の時間順序系列を取得することができる。測定される物理パラメータは、エンクロージャの圧力、エンクロージャシステム内の気流、壁のステータス、エンクロージャシステムの振動、およびエンクロージャシステムによって発生する音のうちの1つ以上を含むことができる。
【0120】
エンクロージャシステムの物理的構成に関する情報に基づいて、制御システムは、エンクロージャシステムのための1つ以上の物理モデルを生成することができる。物理モデルの少なくとも1つは、エンクロージャシステムの振動挙動を記述することができる。
【0121】
制御システムは、制御パラメータの時系列に従って(例えば、第2の時間順序系列T1、T2、・・・Tmの時間で)、エンクロージャシステムを制御し、設定することができる。設定される制御パラメータは、エアポンプのデューティサイクルを制御するパルス、ポンプによって生成される出力気流、空気源を制御するその他のパラメータを含むことができる。制御システム2はさらに、通気口、エアダクト、およびエアポートに含まれるバルブを制御することによって、エンクロージャシステム部品(例えば、通気口、エアダクト、およびエア出力ポート)の1つ以上の空気抵抗を制御することができる。制御されるバルブのそれぞれは、1つ以上の制御パラメータ(例えば、バルブパラメータ)と関連付けられる。
【0122】
制御システム2は、物理パラメータおよび制御パラメータに基づいて、エンクロージャシステムのステータスを判定し、ステータスが、故障動作に対応するか、または適切な(例えば、故障していない)動作に対応するかを判定することができる。エンクロージャシステムのステータスには、少なくとも振動ステータス、空気圧ステータス、気流ステータスが含まれる。
【0123】
制御システム2は、エンクロージャシステムの適切な(例えば、故障していない)動作につながる制御パラメータの時系列を判定し、制御パラメータの時系列に従って制御システム2を設定することができる。制御パラメータの時系列は、エンクロージャシステムのステータス、物理モデル、および1つ以上の機械学習したシステムモデルの関数として判定され得る。
【0124】
制御システム2は、エンクロージャシステムのステータス、物理モデル、および1つ以上の機械学習したシステムモデルに基づいて、システムモデルを生成するように構成され得る。次に、制御システム2は、機械学習したシステムモデルを、生成されたシステムモデルで更新することができる。
【0125】
所定のエアポンプには、ポンプの圧力-気流特性の動作点を決定するポンプ調整パラメータがあり、そのパラメータが増加すると気流が増加する。例えば、電動モータで駆動されるエアポンプの場合、ポンプを制御するパルス幅変調(PWM)のデューティサイクルが増加すると、ポンプ上の一定圧力での気流が増加する。したがって、調整パラメータ(例えば、PWMデューティサイクル)の増加は、ポンプの圧力-流量特性に応じて、エンクロージャ1と周囲(例えば、エンクロージャシステムの外部)との間の圧力差の増加を決定する。制御システム2は、信号調整および1次制御則生成サブシステムと、1次制御則をPWM制御則、またはエアポンピングおよびバルブなどの空気圧制御の物理レベル動作を実行するために使用されるモータまたは他のアクチュエータのタイプに固有の他の制御則に変換するコンバータサブシステムと、を含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、調整パラメータ(制御パラメータとも呼ばれる)は、PWMデューティサイクルη、および加圧エンクロージャの内部と外部との間の差圧ΔPを一定に維持するために使用され得る。ポンピングパワーは、PWMデューティサイクルηに関連する別の制御パラメータであり、以下で使用され得る。
【0127】
エンクロージャシステムを動作させる方法には、以下に説明する動作を含むことができる。制御システム2は、様々な時点で差圧または差圧ΔPのシーケンスを判定することができる。制御システムは、差圧ΔPを含む入力引数を有し、エアポンプによって生成される気流出力値などの制御パラメータの1つ以上の値を返す制御関数F(ΔP)を評価することができる。制御関数Fは、所望の動作状態に従ってエンクロージャシステムを動作させるための制御パラメータ値を返すように構成されている。制御システム2は、制御パラメータ(例えば、エアポンプの出力)を、測定された差圧について制御関数によって返された値に調整することができる。
【0128】
図15は、返された制御パラメータがエアポンプのPWMデューティサイクルηである、差圧ΔPの範囲に対するいくつかの制御関数Fのグラフを示している。いくつかの実施形態では、制御システム2は、以下に説明するような制御関数1504に従って動作することができる。差圧ΔPがΔP
0より小さい場合、返されるパラメータηは一定値η
1(例えば、最大値に近い比較的大きな値)を有し、その結果、ポンプ気流出力は大きくなる。差圧ΔPがΔP
0より大きくΔP
1より小さい場合、返されるパラメータηはη
1からη
2まで直線的に減少する。エンクロージャを通過する気流が望ましい場合、η
2の値は比較的小さく、安定/通常動作範囲中の気流に相当し得る。差圧ΔPがΔP
1より大きくΔP
2より小さい場合、返されるパラメータηはη
2の値に一定に保たれる。差圧ΔPがΔP
2より大きい場合、返されるパラメータηはゼロであり、これはポンプによって供給される気流がゼロであることに対応する。
【0129】
制御関数Fは、制御関数の形状を構成するための調整可能なパラメータのセットを含むことができる。調整可能なパラメータは、ΔP1およびΔP2のような圧力値、η1およびη2のようなトリガ制御パラメータ、および線形性/非線形性係数のうちの1つ以上を含むことができる。制御関数Fは、状況に応じて、例えば、速い膨脹、遅い膨脹、および高度な制御膨脹など、様々な膨張状態を生成するように設計され得る。
【0130】
調整パラメータの増加が、圧力差の増加を決定する(減少に関しても同様)という条件を満たす単純な関係は、一次関数ΔP=a+bη である。制御関数F=Fη(ΔP)は、1502および1504で示されるような線形領域を含む場合がある。線形依存性は、ΔP=0でη=100%の最大値によって制限され、所望の圧力差ΔP0と等しいか、わずかに大きい圧力差まで拡張される場合がある。線形法則の幾つかのバリエーションは、特定の適用ケースに対して直接導出される。一例として、エンクロージャを高速で加圧する必要がある場合、このような高速加圧によって、発生するノイズレベルが大きい、または消費電力が高すぎるなどの欠点がないことを条件として、ΔP=0に100%に近い大きな値ηを選択することができる。また、エンクロージャ1が高速加圧される場合、1504に示すように、区間[0,ΔP1]で、同じ高い値ηが維持される場合がある。エンクロージャ1が通気口を含み、エンクロージャ1全体にわたって最小限のフローが確保される場合、1506に示すように、区間[ΔP0,ΔP2]で、最小値η, η2が一定に維持されてもよく、また同じ区間において、ηがη2から0まで減少してもよい。1508および1510のような非線形関係η=η(ΔP)が採用されてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、エンクロージャシステムは、最初に、設計上の制約(例えば、最大消費電力や放射ノイズの最大レベルなど)に適合するデフォルトの線形則または制御関数F=η(ΔP)で開始してもよく、その後、所定の基準または一連の基準に従って制御則を改善するために継続的に学習してもよい。
【0132】
制御関数Fは、例えば線形則に従って、ηを値η(ΔP2)からゼロまで、ある最大圧力差ΔP3で徐々に減少するように、時間の経過と共に修正してもよい。また、制御区間全体に連続微分を有する、より滑らかな制御関数を使用することもできる。また、エンクロージャが高い高度のところで梱包および密閉され、そのためエンクロージャ内の圧力が膨張場所の大気圧よりも低い場合、膨張式エンクロージャの膨張開始時に負の圧力差が生じることがある。したがって、グラフ領域1512で示すように、システムは圧力ΔP<0に応答する必要がある。
【0133】
差圧のモニタリングに加えて、制御システム2は、気流や温度などの他の物理パラメータの測定およびモニタリングを繰り返し行い、それに応じて制御関数を調整することができる。制御タスクに加えて、制御システム2は、システムの電力供給にバッテリが使用される場合、バッテリの状態をモニタし、バッテリレベルが低い場合に警告を生成してもよい(例えば、バッテリレベルが閾値レベル未満の場合のアラーム)。
【0134】
以下、
図16を参照して、エンクロージャシステムを動作させる方法を説明する。制御システム2は、以下の動作を実行することによって、制御状態およびパラメータを決定する条件を継続的にテストすることができる。第1の動作(1602):制御システム2は、加圧条件ΔP≧ΔP
minim(ここで、ΔPは、エンクロージャ1の内部と外部との間の差圧であり、ΔP
minimは、最小圧力閾値である)が満たされているか否かを判定することができる。第2の動作(1606):制御システム2は、壁の完全な膨張条件(エンクロージャ壁の真直度または歪み)σ≧σ
minim(ここで、σは壁の真直度の尺度であり、σ
minimは壁の真直度の最小閾値である)が満たされているか否かを判定することができる。このステップは、膨張式エンクロージャに対して有効であり、エンクロージャ1が剛体(固定容積)である場合には実行しない。第3の動作(1608):制御システム2は、最小気流条件Q≧Q
minim(ここで、Qはエンクロージャ内の気流の尺度であり、Q
minimは最小気流閾値である)が満たされているかどうかを判定することができる。上記の3つの動作は、第1の動作、第2の動作、第3の動作の順序で連続的に実行することができる。
【0135】
上記の条件のいずれかが不成立の場合、制御システム2は、最小値よりも高いポンピングパワーでポンピングを継続することができる。ポンピングパワーのレベルは、最後の不成立の条件、ΔPの値、不成立の変数の値、および条件不成立時における動作の他のパラメータに依存し得る(動作1604)。
【0136】
内外差圧ΔPと気流Q=Q(ΔP)の間の既知のまたは近似された関係に基づいて、また時間モーメントtn、ΔP(t
n)=ΔP
nにおける差圧の測定値に基づいて、制御システム2は、大きな時間間隔T=t
N2-t
N1にわたって、時間T、Q
v(T)の間のおおよその総気流量を
【数1】
として決定することができる。ここで、δtは2つの連続する時間ステップδt=t
n+1-t
nの間の時間間隔である。医療用途などの一部の用途では、Tは1時間で、手術用途の標準設定はQ
v(T=1hour)≧40Vol
enelであり、ここで、Vol
enelは、エンクロージャの容積である。関係式Q・R
flow=
ΔPにおけるエンクロージャの通気口(または漏れ)の流れ抵抗R
flowは、流れに応じてほぼ二次関数的に増加することを考慮すると、Q
v(T)の近似をさらに改良することができる。
【0137】
条件が満たされた各時点で、制御システム2は、前の条件を満たした制御パラメータの値(例えば、ポンプピングパワー、バルブステータス)および測定された物理パラメータ(例えば、圧力、温度、気流)および加圧のダイナミクスを学習することができる(動作1612)。例えば、エンクロージャシステムが通常動作状態に達するとき、制御システム2は、通常動作を達成する前に、制御パラメータおよび物理パラメータの時間的シーケンスを学習することができる。場合によっては、エンクロージャシステムが故障動作状態にあるとき、制御システム2は、故障動作につながる制御パラメータおよび物理パラメータの時間的シーケンスを学習することができる。いくつかの実施形態では、最後に満たされた条件が気流である場合、気流Q≧Qminim、最小気流Qminimを満たす値P、σが学習され、さらにQminimに到達するための加圧のダイナミクスが、周囲条件、プロセス中の騒音レベル、およびプロセス中の消費電力とともに学習される。
【0138】
いくつかの実施形態では、
図16を参照すると、エンクロージャ・システムを動作させるための方法は、差圧を圧力閾値と比較すること、差圧が圧力閾値よりも小さい場合、通常の気流レベルよりも高い気流レベルでエンクロージャ内に気流を生成すること、を含むことができる。この方法は、差圧が圧力閾値よりも大きい場合に、パス信号を生成すること、エンクロージャの壁の真直度を判定すること、および壁の真直度を真直度閾値と比較すること、をさらに含むことができる。この方法は、壁の真直度が真直度閾値よりも小さい場合に、メンテナンス空気流量よりも高い空気流量でエンクロージャ内により多くの気流を発生させ、壁の真直度が真直度閾値よりも大きい場合に、パス信号を生成すること、をさらに含むことができる。この方法は、エンクロージャ内への気流を判定すること、および気流を気流閾値と比較すること、および気流が気流閾値より小さい場合に、エンクロージャ内により多くの気流を生成すること、をさらに含むことができる。この方法は、気流が気流閾値よりも大きい場合にパス信号を生成すること、望ましい動作状態につながる差圧、壁の真直度、気流の値を決定し学習すること、をさらに含むことができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、
図17を参照すると、エンクロージャシステムを動作させるための方法は、制御システム2が、エンクロージャシステムの物理パラメータに対応する所定の測定信号/データにつながる制御パラメータの時系列を取得する動作1701を含むことができる。測定された信号は、所定のシステムステータスおよび/または所定の動作状態に対応する。動作状態は、1つ以上の通常動作状態および1つ以上の異常/故障動作状態を含むことができる。
【0140】
この方法は、制御システム2が動作1701で取得した情報を使用して、測定された信号の異常状態を見つける動作1702をさらに含むことができる。異常状態は、1つ以上の異常/故障動作状態を示し、それに関連している。故障動作状態は、異常/故障動作状態の仕様に従って一連のクラスに分類することができ、例えば、エンクロージャの漏れに対応するクラス、空気源3とエアダクト4との間の接続不良に対応するクラス、エンクロージャの汚染閾値に達したことに対応するクラス、エアフィルタの目詰まりに対応するクラス、内圧の低下に対応するクラス、閾値以上の振動に対応するクラスなどである。
【0141】
この方法は、制御システム2が、動作1701および1702で取得した信号/データ(例えば、動作状態を示すデータ)を、既知の異常/故障動作状態のセットに対応する信号/データと比較する動作1703をさらに含むことができる。動作1703は、取得した信号/データ(および対応する動作状態)を異常/故障動作状態のクラスに分類すること、をさらに含む。
【0142】
この方法は、制御システム2が、所定の異常/故障動作状態につながる制御パラメータ時系列を含み、かつ異常/故障動作状態に対する機械学習したモデルを含むデータベースにアクセスする動作1704をさらに含むことができる。
【0143】
この方法は、制御システム2が、操作1703および1704で生成された情報を使用して、1701で取得した信号/データについて、その信号/データが対応する所定のクラスの異常/故障動作状態を判定する動作1705をさらに含むことができる。1701で取得した信号/データが所定のクラスに対応しない場合、制御システム2は、異常/故障動作状態の新しいクラスを生成し、信号/データにつながる制御パラメータ時系列をこの新しいクラスに関連付ける。この方法は、動作1704のデータベースを新しいクラスで更新すること、をさらに含むことができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、
図17を参照すると、エンクロージャシステムを動作させるための方法は、エンクロージャシステムのステータスを、故障動作モデルおよび適切な動作モデルを含む機械学習したシステムモデルのセットと比較すること、を含むことができる。この方法は、制御システム2が、エンクロージャシステムのステータスが特定の故障動作モデルに対応するか否かを判定すること、をさらに含むことができる。制御システム2は、故障動作モデルのクラス(各クラスは、異なるタイプの故障動作状態に対応する)および適切な動作モデルのクラス(各クラスは、異なるクラスの適切な(例えば、非故障)動作状態に対応する)を生成するように構成され得る。この方法は、システムモデルが故障動作モデルのクラスに対応するか否かを判定すること、をさらに含むことができる。システムモデルが故障動作に対応し、システムモデルが故障動作モデルのどのクラスにも対応しない場合、制御システム2は、システムモデルに対応する故障動作モデルの新しいクラスを生成することができる。
【0145】
制御パラメータおよび物理パラメータの学習した時間的シーケンスは、エンクロージャシステムの機械学習したモデルを構築するために使用される。学習は、異なるフェーズに関連する1つまたはいくつかの指定された基準に関連して、制御動作の最適化のために実行される。例えば、エンクロージャ1が可撓性を有しており、膨張させる必要がある場合、壁の真直性を含むか否かを問わず、膨張状態を所定時間内に達すること、または可能な限り早く達することが、第1フェーズまたは最初の2つのフェーズの主な最適化基準となり得る。対照的に、最初の数分間、あるいは数十分間は、1時間当たりの平均気流が得られる限り、所定の平均気流を達成することは必須ではない場合がある。したがって、消費電力や平均騒音レベルを最小限に抑えながら、時間当たりの気流が所定量に達した状態を得ることができる。制御システム2またはその主な機能を根本的に変更することなく、様々な最適化基準に基づいて動作を最適化する。
【0146】
最適化された制御の学習は、所定の一連の基準に従って、制御システム2によって継続的に実行される。いくつかの実施形態では、評価が困難なブラックボックスシステムを最適化するための確立された方法である、ベイジアンニューラルネットワークが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、学習システムはニューラルネットワークの逆モデルに基づいており、複雑なシステムのモデルを抽出し、その制御や設計を最適化するのに適している。いくつかの実施形態では、制御システムは、調整可能なルールを有するルールベース制御を使用することができ、ルールはシステムの学習中に最適化される。
【0147】
本開示に記載された実施形態は、圧力や気流などの様々な設定を最適化するためにエンクロージャシステムを制御することを有益に可能にする。 上述され、添付の図面に示されるように、制御システム2は、様々な膨張状態中の膨張プロセスおよびエンクロージャ加圧のダイナミクスを制御およびモニタするように構成され得る。膨張状態には、エンクロージャシステムの環境パラメータ(圧力や気流など)が時間的に安定/一定である定常状態が含まれる。エンクロージャシステムは、一般的に、このような定常状態で意図された目的に使用される。このような定常状態は、エンクロージャをモニタリングし、制御されたプロセスの状況に適応しながら、エンクロージャを通る所定の最小気流を維持するように構成することができる。制御システムは、エンクロージャ内の空気圧を一定に維持すると同時に、エンクロージャ内を通る空気の循環をサポートするように構成することができる。
【0148】
制御システム2は、動的状態の下でエンクロージャを通過する気流を制御するように構成することができる。エンクロージャは、可撓性で膨張可能であってもよい。エンクロージャは、剛性の高い固定容積エンクロージャであってもよい。制御システム2は、膨張式エンクロージャを最初に膨張させ、膨張状態が達成された後、エンクロージャ内の空気循環を支援しながらエンクロージャ内の空気圧を一定に維持するように構成することができる。
【0149】
制御システム2は、エンクロージャの物理パラメータの展開/ダイナミクスパターン(例えば、気流、圧力の時間的展開)を分析することによって、エンクロージャが膨張式エンクロージャであるか固定容積エンクロージャであるかを判定するように構成することができる。制御システム2は、異常な膨張または既知の膨張パターンからの他の逸脱をユーザに警告するために、アラームを作動させるように構成することができる。
【0150】
制御システム2は、膨張中、および空気がエンクロージャ内を循環する際の一定の空気圧を維持する間に、膨張式エンクロージャの壁の状態をモニタおよび制御するように構成することができる。制御システム2は、壁の状態に応じてエンクロージャを制御するように構成することができる。
【0151】
制御システム2は、膨張状態および定常状態中に発生する騒音レベルおよび振動レベルをモニタおよび制御するように構成することができる。
【0152】
制御システム2は、動作モデルを学習し、エンクロージャの膨張パターンに関する情報を形成するように構成することができる。制御システム2は、接続されたエンクロージャが以前に学習したエンクロージャのタイプであるかどうかを認識し、さらにそのタイプのエンクロージャ内の圧力制御を改善するために、エンクロージャモデルおよび情報を使用するように構成することができる。
【0153】
制御システム2は、以下のタスクのうちの1つ以上を実行するように構成することができる:(i)浄化された空気をエンクロージャに供給する、(ii)可撓性エンクロージャおよび固定容積エンクロージャの膨脹を制御する、(iii)空気がエンクロージャ内を所定の空気流量で循環している間、エンクロージャ内の圧力を制御する、(iv)エンクロージャシステムおよび制御システム2の設定(取り付け)が適切であることをモニタする、(v)エンクロージャシステムに含まれる電源の動作をテストおよびモニタする、(vi)エアフィルタリング要素の状態をモニタする、(vii)一定圧力での通常動作状態におけるエンクロージャを通る気流を制御する、(viii)循環される空気の質をモニタする、(ix)不適切な状態が発生した場合に一連のアラーム信号を生成する、(x)膨張または加圧の初期段階を含む制御全体を、エンクロージャの挙動および圧力維持プロセス全体の挙動(制御を改善するために発生するノイズおよび振動を含む)に適合させる。
【0154】
さらに、制御システム2は、制御プロセスについて学習し、以前に学習した特定のタイプのエンクロージャに適応させることによって制御を改善するように構成することができる。制御システム2は、エンクロージャシステムの使用が未浄化空気による汚染の脅威をもたらす状況を判定し;そのような状況が発生したことを記憶し;汚染されたシステムのさらなる使用を防止するために、そのような状況が発生したときにアラーム信号を生成するように構成することができる。
【0155】
制御システム2は、以下を含む1つまたはいくつかのタスクを実行するように構成することができる:a)複数のセンサおよび測定装置からデータを取得する、b)エンクロージャシステムの展開をモニタし、展開中のエンクロージャの汚染度を判定し、取得した情報を保存する、c)可撓性および膨張式エンクロージャの壁の状態を含む、エンクロージャの状態を監視する、d)エンクロージャシステムのシステムモデルを決定し、システムモデルを保存する;e)電源の容量が限られている場合に、電源の消耗レベルを判定する、e)動作に関する情報を表示し、ガイダンスを提供する、f)他のシステムと通信し、データや学習した情報を他のシステムとの間で転送する。
【0156】
制御システム2は、一連のセンサを含むことができる。センサは、エンクロージャの内部またはエンクロージャの壁に配置することができ、センサはエンクロージャ壁に組み込まれ、エンクロージャ壁と一体化した部分を形成してもよい。制御システム2は、空気圧サンプリングチューブを介してエンクロージャに遠隔接続されたセンサ、遠隔からエンクロージャに関するデータを収集するセンサ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0157】
制御システム2は、プロセスおよびエンクロージャの制御およびモニタリング、ならびにデータからの機械学習を目的として、データを取得するためにセンサから電子システムにデータを送信し、データを処理し、データを分析し、データを保存するように構成された1つ以上のコンポーネントを含むことができる。データ処理には、気圧や気流の制御方法の決定、情報通信、データおよび情報の表示、アラームの生成などが含まれる。制御システム2は、制御を改善するため、また圧力および気流制御の状況に適応するために、機械学習を実行する特定のアルゴリズムを使用することができる。
【0158】
制御システム2は、空気循環を有する膨張式エンクロージャと共に使用され得るが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変を行うことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、固定容積のエンクロージャ、可撓性のエンクロージャ、密閉されたエンクロージャ、および通気口および空気循環を備えたエンクロージャが使用され得る。
【0159】
上述した実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書で明示的に記載した実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載されたシステム、装置、および/または方法の様々な変更、修正、および等価物は、当業者には自明であろう。よく知られている機能および構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略されている。
【0160】
制御システム2の1つ以上のコンポーネントは、エンクロージャ1から遠隔で実装することができ、有線または無線の通信ネットワークを介してエンクロージャ1に接続することができることを理解されたい。例えば、プロセッサは、エンクロージャ1から遠隔に配置することができ、1つ以上のセンサからデータを受信することができ、エンクロージャ1内の1つ以上の条件(例えば、圧力)を維持するために、エンクロージャ1に結合された1つ以上のコンポーネントに命令を生成して送信することができる。制御システム2との通信を容易にするために、様々な適切なネットワークを使用することができる。例えば、Wi-Fiネットワーク、セルラーネットワーク、またはBluetoothピコネットなどの長距離および/または短距離無線ネットワークを使用して、制御システムの様々なコンポーネント間、または制御システム2と他のデバイス間の通信を容易にすることができる。
【0161】
記載されたシステム、方法、および技術は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの要素の組み合わせを使用して実装することができる。これらの技術を実装する装置は、適切な入出力装置、コンピュータプロセッサ、およびプログラム可能なプロセッサによって実行される機械可読記憶装置で具体化されたコンピュータプログラム製品を含むことができる。これらの技術を実装するプロセスは、入力データを操作して適切な出力を生成することによって所望の機能を実行する命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プログラムは、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスにデータおよび命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能な命令を含む、1つ以上のコンピュータプログラムまたは非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を使用して実装することができる。各コンピュータプログラムは、高水準の手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語、あるいは必要に応じてアセンブリ言語または機械語で実装することができ、いずれの場合も、言語はコンパイル言語またはインタプリタ言語であってもよい。適切なプロセッサには、一例として、汎用マイクロプロセッサと特殊用途マイクロプロセッサの両方がある。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令およびデータを受信する。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適した記憶装置には、あらゆる形態の不揮発性メモリが含まれ、例えば、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、およびコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)が含まれる。上記の内容はいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完されるか、あるいは組み込まれる場合がある。
【0162】
コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号に影響を与える物質の組成物、またはそれらの1つ以上の組み合わせであってもよい。「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含し得る。装置は、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムの実行環境を構築するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含むことができる。伝搬信号とは、人工的に生成された信号であり、例えば、適切な受信装置に送信するための情報をエンコードするために生成される、機械的に生成された電気信号、光信号、電磁信号などである。
【0163】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、プラグイン、またはコードとしても知られるコンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして、任意の形式で展開することが可能である。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応するとは限らない。プログラムは、他のプログラムを保持するファイルの一部に、または当該プログラム専用の単一ファイル内のデータに、または複数の連携ファイルに格納することができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ、または1つのサイトに配置された、または複数のサイトに分散して配置され、通信ネットワークによって相互に接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0164】
本明細書で説明されるプロセスおよび論理フローは、入力データを操作して出力を生成することによってアクションを実行する1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセスおよび論理フローはまた、特定用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって行うことができ、かつ装置を該特定用途論理回路として実現することもできる。
【0165】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および特定用途マイクロプロセッサの両方、およびあらゆる種類のデジタルコンピュータのいずれか1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリ、またはこれらの両方から命令およびデータを受信する。
【0166】
コンピュータの要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令およびデータを格納する1つ以上のメモリ装置を含み得る。一般に、コンピュータはまた、データを格納する1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはそれらからデータを受信するか、データを送信するか、あるいはデータを送受信するように動作可能に結合される。しかし、コンピュータがそのような装置を有していない場合がある。さらに、コンピュータは、他のデバイス(例えば、ほんの数例を挙げると、タブレットコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオプレーヤー、全地球測位システム(GPS)レシーバーなど)に組み込まれてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体には、全ての形態の不揮発性のメモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれ、例として、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;例えば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特定用途論理回路によって補完されてもよいし、またはその内部に組み込まれてもよい。
【0167】
本明細書には多くの具体的事項が記載されているが、これらは本開示の範囲または特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書において、個別の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、組み合わせることもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の別個の実施形態または任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、そのように主張されることさえあるが、主張された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては組み合わせから削除され、主張された組み合わせが、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションを対象とする場合がある。例えば、マッピング動作は一連の個別の動作として説明されているが、所望の実装に応じて、様々な動作を追加の動作に分割したり、より少ない動作に組み合わせたり、実行順序を変化させたり、または削除したりすることができる。
【0168】
同様に、上述した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品において一緒に統合されてもよいし、複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいことが理解されるべきである。例えば、いくつかの動作は処理サーバによって実行されるものとして説明されているが、動作の1つ以上はスマートメーターまたは他のネットワークコンポーネントによって実行されてもよい。
【0169】
本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の本文)で使用される用語は、一般に「オープン」な用語として意図される(たとえば、「含んでいる」という用語は、「・・・を含んでいるが、これらに限定されない」という用語と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「・・・を含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである、など)。
【0170】
さらに、導入された請求項の特定の数の記載が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合にはそのような意図は存在しない。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲には、特許請求の範囲の記載を導入するために、「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入句の用法が含まれる場合がある。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのような導入された請求項の記載を含む特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味するものと解釈されるべきではない(たとえ同じ請求項に「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句や、「a」または「an」などの不定冠詞が含まれている場合でも(例えば、「a」および/または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである))。クレームの引用を導入するために使用される定冠詞の使用にも同じことが当てはまる。
【0171】
さらに、導入された請求項の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者であれば、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語句を伴わない「2回の記載」というただそれだけの記載は、少なくとも2回の繰り返し、または2回以上の繰り返しを意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」または「A、B、およびCなどの1つ以上」に類似する慣用句が使用される場合、一般的にこのような構文は、A単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせなどを含むことを意図している。用語「および/または」はこのように解釈されるべきである。さらに、「約」、「実質的に」または「おおよそ」という用語は、実際の値(例えば3mmまたは100%(パーセント)のような)の10%以内の値を意味すると解釈すべきである。
【0172】
さらに、明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれであっても、2つ以上の代替用語を提示する選言的な単語または句は、いずれかの用語、どちらかの用語、または両方の用語を含む可能性を考慮していると理解されるべきである。例えば、「AまたはB」という表現は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むものとして理解されるべきである。
【0173】
さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語の使用は、本明細書では、必ずしも要素の特定の順序または数を意味するために使用されているわけではない。一般的に、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、一般的な識別子として異なる要素を区別するために使用される。「第1」、「第2」、「第3」などの用語が特定の順序を暗示することを示さない限り、これらの用語は特定の順序を暗示するものと理解すべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語が特定の数の要素を暗示することが示されていない限り、これらの用語は特定の数の要素を暗示するものと理解すべきではない。
【0174】
本開示の実施形態を詳細に説明してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変を行うことができることを理解されたい。その他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。例えば、特許請求の範囲に記載されている動作は、異なる順序で実行しても望ましい結果を得ることができる。
【国際調査報告】