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特表2024-512434シーツ保持配置構成及び患者移送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】シーツ保持配置構成及び患者移送装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/10 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61G7/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555754
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 SE2022050307
(87)【国際公開番号】W WO2022211710
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2150421-2
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521562924
【氏名又は名称】ニョルド インターナショナル エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アナグノスタキス,ゲオルギオス
(72)【発明者】
【氏名】ゼーダー,アニエス
(72)【発明者】
【氏名】アーンズタイン,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】キャグナー,バルブロ
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA08
4C040GG02
4C040JJ06
(57)【要約】
シーツ上に居る患者を移送するときに、シーツを保持するための、シーツ保持配置構成であって、少なくとも2つのノブ及び少なくとも2つのホルダ要素を備え、シーツは、互いに接続されたときにノブとホルダ要素との間に保持され、ホルダ要素には、開口を介したノブの挿入を可能にするように適合された開口が提供され、シーツ保持配置構成は、牽引配置構成に接続可能であり、シーツ保持配置構成は、少なくとも2つのノブが提供された接続部材を備え、ステムは、ホルダ要素の半円端部セクションに対応する形状を有する円周状の溝を備えるため、シーツは、ホルダ要素がノブに接続されたとき、溝と半円端部セクションとの間に保持されることになる。本発明の利点は、シーツ上に居る患者を、容易で確実な様式で第1の面から受け取り面へと移送可能な点である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーツ(116)を移動させ、前記シーツ上に居る患者を移送するときに、前記シーツ(116)に取り付け、前記シーツ(116)を保持するための、シーツ保持配置構成(1)であって、
前記シーツ保持配置構成(1)は、少なくとも2つのノブ(14)及び少なくとも2つの対応するホルダ要素(2)を備え、
前記ホルダ要素(2)は、接続されたとき、前記ノブ(14)とホルダ要素(2)との間の適所に前記シーツ(116)を保持するように前記ノブ(14)に接続可能であり、
各ノブ(14)は、ヘッド(15)及びステム(16)を備え、
前記ステム(16)は、円形の断面を有し、
前記ヘッド(15)は、前記ステム(16)より大きく、
前記ホルダ要素(2)には、開口(4)を介した前記ヘッド(15)の挿入を可能にし、前記ホルダ要素(2)の前記ノブへの接続を可能にするように適合された、前記開口(4)が提供され、
前記シーツ保持配置構成(1)は、前記ホルダ要素(2)を引っ張り、それによって前記シーツ(116)を移動させ、したがって前記シーツ(116)上に居る患者を移送するように構成された、牽引配置構成(107)に接続されるか又は接続可能であり、
前記シーツ保持配置構成(1)は、接続部材(17)を備え、
前記少なくとも2つのノブ(14)は、前記接続部材(17)の縦方向に互いにある距離をおいて前記接続部材(17)上に配置され、
前記ステム(16)は、円周状に延在する丸みを帯びた溝(18)を備え、
前記開口(4)は、前記ヘッド(15)より大きな第1の部分(5)及び前記ヘッド(15)より小さな第2の部分(6)を備え、
前記第2の部分(6)は、直線セクション(9)及び半円端部セクション(10)を備え、
前記半円端部セクション(10)は、前記ステム(16)の前記溝(18)の前記丸みを帯びた形状に対応する形状を伴う丸みを帯びた突出面(7)を有するため、前記シーツ(116)が前記ノブ(14)の上に置かれ、
前記対応するホルダ要素(2)が前記ノブ(14)と前記ホルダ要素(2)との間に前記シーツ(116)を位置決めしながら前記ノブ(14)に接続されたとき、及び、前記ノブ(14)に対する前記ホルダ要素(2)の前記位置が前記開口(4)の前記第2の部分(6)の前記半円端部セクション(10)の可能な限り近くに前記ステム(16)が配置されるようなときに、前記シーツ(116)は、前記丸みを帯びた突出面(7)と前記丸みを帯びた溝(18)との間で、前記半円端部セクション(10)に沿ってクランプされることを特徴とする、シーツ保持配置構成。
【請求項2】
前記第2の部分(6)の前記直線セクション(9)は、少なくとも1つの突起(8)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項3】
前記接続部材(17)は、ロッドであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項4】
前記接続部材(17)は、ワイヤであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項5】
前記溝(18)の高さは、前記ホルダ要素(2)の厚みに等しいことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項6】
前記ホルダ要素(2)は、牽引配置構成(107)に接続されるように適合された牽引開口(12)を備えることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項7】
前記牽引開口(12)は、前記ホルダ要素(2)の前記半円端部セクション(10)の反対側端部に位置決めされることを特徴とする、請求項6に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項8】
前記ホルダ要素(2)は、柔軟リボン(13)によって前記ホルダ要素(2)を前記シーツ保持配置構成(1)に固定するように適合された、少なくとも1つのストラップスロット(11)を備えることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項9】
前記ホルダ要素(2)は、2から10mmの間の厚みを伴い平坦であることを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項10】
前記シーツ保持配置構成(1)は、少なくとも3つのノブ(14)及び少なくとも3つのホルダ要素(2)を備えることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成。
【請求項11】
可動シーツ上に置かれた患者を第1の面から受け取り面へと移送するための、患者移送装置(101)であって、
前記患者移送装置(101)は、請求項1から10の何れか一項に記載のシーツ保持配置構成(1)を備え、
前記患者移送装置(101)は、前記シーツ保持配置構成(1)に接続された2つの牽引ワイヤ(109)が提供された牽引配置構成(107)を更に備えることを特徴とする、患者移送装置。
【請求項12】
前記患者移送装置(101)は、前記シーツ保持配置構成(1)の格納を可能にするように、前記牽引ワイヤ(109)に動作可能に接続された少なくとも1つのモータ(103)を備えることを特徴とする、請求項11に記載の患者移送装置。
【請求項13】
前記患者移送装置(101)は、車輪(105)が提供されたフレーム(102)上に装着されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の患者移送装置。
【請求項14】
前記シーツ牽引配置構成(107)は、高さ調節可能な様式で前記フレーム(102)上に装着されることを特徴とする、請求項13に記載の患者移送装置。
【請求項15】
前記患者移送装置(101)は、調節可能壁装着アーム(111)上に装着されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の患者移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院、介護施設、及び他の環境(setting)において、特定の状況では、患者が、1台のベッドから隣接するベッド又は手術台など、ある面から隣接面へと輸送されることが必要である。この手順は、何人かの看護師又は他の専門家の協力を必要として手動で、あるいは、患者移送装置を用いて、行われ得る。患者をある面から別の面へと移動させるように構成された患者移送装置が一般に知られている。
【0003】
具体的に言えば、可動シーツ上に置かれた患者を第1の病床上から第2の受け取り側病床へと移送するための患者移送装置は、US2006090258号から知られている。この患者移送装置は、基部と、基部に取り付けられたモータと、モータを用いて格納できるようにモータに接続された2本のストラップと、シーツに解放可能に取り付け可能なクランピングアセンブリと、を備える。したがって患者移送装置は、第1の病床の反対側の、受け取り側病床の一方の側に配置され得、患者が横たわるシーツに接続され得る。次いで、クランピングアセンブリは、患者が横たわるシーツを第1のベッドから第2の受け取り側ベッドへと引っ張るために、モータ及び2本のストラップを組み合わせて(in connection with)使用され得る。
【0004】
WO9613239号は、ベッドシーツ、及びベッド又はストレッチャに取り付けられたコンベヤを使用して、ベッドからストレッチャへ、又はその逆へ、患者を輸送するための患者輸送システムを開示する。シーツは、クリップ配置構成によってコンベヤに取り外し可能に取り付けられ、柔軟ベルトがクリップをコンベヤに取り付ける。コンベヤは、ハンドルを使用して手動で操作される。
【0005】
しかしながら、これらの多くの装置の使用はしばしば、多数の人手を要するステップ、多大な時間を費やすステップ、及び/又は、人間工学的に困難なステップを伴う。したがって、改良されたシーツ保持配置構成が求められる。
【発明の概要】
【0006】
したがって本発明の一目的は、改良されたシーツ保持配置構成を提供することである。更なる目的は、改良された患者移送装置を提供することである。
【0007】
本発明に従った問題の解決策は、請求項1に記載のシーツ保持配置構成によって、及び、請求項1に記載のシーツ保持配置構成を含む請求項11に記載の患者移送装置によって、定義される。他の請求項は、有利な実施形態、並びに、シーツ保持配置構成及び患者移送装置の更なる展開を含む。
【0008】
シーツを移動させ、シーツ上に居る患者を移送するときに、シーツに取り付け、シーツを保持するための、シーツ保持配置構成であって、シーツ保持配置構成は、少なくとも2つのノブ及び少なくとも2つの対応するホルダ要素を備え、ホルダ要素は、接続されたとき、ノブとホルダ要素との間の適所にシーツを保持するようにノブに接続可能であり、各ノブはヘッド及びステムを備え、ステムは円形の断面を有し、ヘッドはステムより大きく、ホルダ要素には、開口を介したヘッドの挿入を可能にし、ホルダ要素のノブへの接続を可能にするように適合された、開口が提供され、シーツ保持配置構成は、ホルダ要素を引っ張り、それによってシーツを移動させ、したがってシーツ上に居る患者を移送するように構成された、牽引配置構成に接続されるか又は接続可能である。本発明の目的は、シーツ保持配置構成が接続部材を備え、少なくとも2つのノブは、接続部材の縦方向に互いにある距離をおいて接続部材上に配置され、ステムは円周状に延在する丸みを帯びた溝を備え、開口は、ヘッドより大きな第1の部分及びヘッドより小さな第2の部分を備え、第2の部分は直線セクション及び半円端部セクションを備え、半円端部セクションは、ステムの溝の丸みを帯びた形状に対応する形状を伴う丸みを帯びた突出面を有するため、シーツがノブの上に置かれ、対応するホルダ要素が、ノブとホルダ要素との間にシーツを位置決めしながらノブに接続されたとき、及び、ノブに対するホルダ要素の位置が、開口の第2の部分の半円端部セクションの可能な限り近くにステムが配置されるようなときに、シーツは、丸みを帯びた突出面と丸みを帯びた溝との間で、半円端部セクションに沿ってクランプされることになる、という点で、達成される。
【0009】
本発明に従ったシーツ保持配置構成のこの第1の実施形態によって、シーツの迅速及び確実な取り付けを可能にするシーツ保持配置構成が提供される。こうしたシーツ保持配置構成を用いると、ベッド上に横たわる患者を、牽引配置構成を使用してベッドの第1の面から受け取り面へと移送することができる。シーツ保持配置構成は、患者が受け取り面の横に位置決めされているときにシーツに容易に取り付けられ、患者の移送の間、シーツを安全な様式で保持することになる。患者が移送されると、シーツ保持配置構成は、シーツ及び牽引配置構成から容易に取り外すことができる。ホルダ要素とノブとの間の接触面の形状は互いに対応し、ぴったりしたフィットを提供するため、シーツの接触面を大きくすることになる。より大きな接触面は、シーツの摩耗及びシーツにかかる圧力を減少させ、シーツ保持配置構成の滑り又は引き裂き(tearing)を防ぐことになる。
【0010】
保持要素の開口には、内部突起が更に提供され得る。突起は、ホルダ要素をノブに固定するのに役立ち、シーツ保持配置構成にシーツを取り付けるオペレータに戦術的なフィードバック(tactical feedback)を提供する。オペレータは、突起を用いて、ホルダ要素が正確に位置決めされた時点を検出することができる。シーツ保持配置構成の接続部材は、堅いロッド状部材、又は柔軟なワイヤなどの、いずれかであり得る。
【0011】
ホルダ要素には、ホルダ要素をシーツ保持配置構成のノブに、又は、シーツ保持配置構成の接続部材に取り付けるように適合された、1つ以上のスロットが提供される。ホルダ要素は、好ましくは、落下や消失しないように、リボン又は紐に取り付けられる。ホルダ要素は、フック、例えば安全フックを用いて牽引ワイヤを取り付け可能な牽引開口を、更に備える。したがってシーツ保持配置構成は、牽引配置構成への接続及び牽引配置構成からの取り外しを容易に行うことができる。これに伴う1つの利点は、シーツ保持配置構成を、例えば洗浄のために牽引配置構成から取り外すことが可能である点、及び、異なる牽引配置構成と共に使用可能である点である。患者を手動で移送できるように、ハンドルをシーツ保持配置構成に取り付けることも可能である。牽引配置構成は、ストレッチャマトラス、外傷マトラス、又は他の重いアイテムなどの、他のアイテムを牽引するためにも使用され得る。
【0012】
シーツ保持配置構成は、牽引配置構成を備える患者移送装置において使用され得る。患者移送装置は、好ましくは、患者をベッドから受け取り面に移送することになる電気モータを備える。受け取り面は別のベッドであり得るか、あるいは、例えば、X線、CT、又はMRI装置における安静面であり得る。
【0013】
本発明を、添付の図面に示される実施形態を参照しながら、下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従った、患者移送装置を示す図である。
図2】本発明に従った、シーツ保持配置構成において使用されるホルダ要素を示す図である。
図3】本発明に従った、シーツ保持配置構成において使用されるノブを示す図である。
図4a】ロック解除状態におけるシーツ保持配置構成を示す図である。
図4b】シーツを伴うシーツ保持配置構成を示す図である。
図4c】ロック状態の前のシーツ保持配置構成を示す図である。
図4d】ロック状態におけるシーツ保持配置構成を示す図である。
図4e】シーツ保持配置構成に取り付けられるフックを示す図である。
図5a】患者を第1の面から受け取り面に移送するために使用されるときの、図1の患者移送装置を示す図である。
図5b】患者を第1の面から受け取り面に移送するために使用されるときの、図1の患者移送装置を示す図である。
図6】本発明に従った、患者移送装置の更なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記に記載された更なる展開を伴う本発明の実施形態は、単なる例としてみなされ、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は本発明に従ったシーツ保持配置構成を備える患者移送装置の図を示し、図2及び図3はシーツ保持配置構成の詳細を示し、図4aから図4eはシーツのシーツ保持配置構成への取り付けを示し、図5aから図5bは使用時の患者移送装置を示し、図6は患者移送装置の第2の例を示す。
【0017】
図1に示された患者移送装置101は、図示された例において、シーツ保持配置構成1、牽引配置構成107、及び、牽引配置構成107が取り付けられるフレーム102を備える。フレーム102は、床などの水平面上に置かれるように配置され、この面を横切って患者移送装置101を移動させるための車輪105が提供される。牽引配置構成107は、2つのワイヤボビン108に接続されたモータ103と、モータ103及びワイヤボビン108を包含し、この患者移送装置101を使用して移送される患者を、例えば埃又は体液との接触によって生じる汚染から保護する、外部ケーシング104と、を備える。外部ケーシングは、完全に取り外され得るか、又は、ヒンジを用いて取り付けられ得るため、ワイヤボビンを洗浄又は置換すべきときに外部ケーシングを開くことができるようになっている。このケーシングには、外部ケーシングに取り外し可能なように取り付けられるパッドが提供され得、パッドは外部ケーシングから取り外され得るようになっている。
【0018】
図示された患者移送装置101は、牽引配置構成107の位置を垂直に調整するための手段を備える。これは例えば、フレーム102内の垂直トラック106又は溝に沿って、牽引配置構成107を移動させることが可能な、フレーム102内に配置された電気モータ(図示せず)であってよい。これによって、受け取り面114の高さが変動し得る特定の状況における患者移送装置101の使用を簡単にする。
【0019】
モータ103は、患者を第1の面から受け取り面へと牽引するときに使用される、2つの横方向に間隔を置いて配置されたワイヤボビン108に結合される。牽引配置構成は、ボビン上に巻きつけられたワイヤ109が提供されたワイヤボビン108を備える。ボビン108は、直接モータに、又はモータによって駆動されるシャフトのいずれかで、モータ103に機械的に接続される。ボビン108に接続されない2本のワイヤ109の端部には、細長い接続部材17が提供され、ワイヤ109のそれぞれの端部に取り付けられるように適合された、シーツ保持配置構成1に取り付けられるように適合されたフック110が提供される。
【0020】
シーツ保持配置構成1は、細長い接続部材17、複数のノブ14、及び複数のホルダ要素2を備える。接続部材17は、堅いロッドであり得るか、又はある種の柔軟ワイヤであり得る。図示された例において、ロッドは接続部材として使用される。ノブは、図示された例において、牽引配置構成107のワイヤボビン間の距離に対応する距離で、ロッド上に間隔を置いて装着される。これによって牽引配置構成107は、シーツ保持配置構成を直線的に牽引できるようになる。ロッドには、例えばロッドの長さ又はシーツのサイズに応じて、2つ以上のノブが提供され得る。ロッドは、患者が横たわるシーツを牽引することからの負荷を、両方のワイヤ109に分散させることができる。図示された例において、ロッドには、ロッドの端部に配置された2つのノブが提供される。ロッド又はワイヤは、例えば、両方のワイヤ109を牽引配置構成から同時に牽引できるようにすることによって、シーツ保持配置構成の取り扱いも簡単にし得る。接続部材は、2つのノブ間の距離が、牽引配置構成の牽引ワイヤ間の距離に対応することも保証する。
【0021】
図2は、ホルダ要素2の一例を示す。ホルダ要素には、鍵穴型開口4が提供された円周体3が提供される。開口には、第1の部分5及び第2の部分6が提供される。第1の部分は、図示された例では円形であるが他の形も可能である。第1の部分は、シーツでカバーされたノブの上にねじ込まれるように適合され、したがって、第1の部分のサイズは、ノブのヘッドのサイズよりも幾分大きい。第2の部分6は、半円端部セクション10及び直線セクション9を備える。直線セクションの縁部は平行であり、半円端部セクションを第1の部分と相互接続させる。半円端部セクションの内部縁部7は丸みを帯びており、凸型である。丸みを帯びた縁部の直径は、一例では、ホルダ要素の厚みに等しいが、他の丸みを帯びた形状も可能である。一例において、ホルダ要素は5mm厚さであり、好ましくは2mmから10mmの厚さである。ホルダ要素2は平坦である。
【0022】
図3は、ノブ14の一例を示す。ノブにはヘッド15及びステム16が提供される。ステムには、凹型であり、ホルダ要素の半円端部セクション10と協働するように適合された、円周状の丸みを帯びた溝18が提供される。凹型の丸みを帯びた溝18の形状は、半円端部セクション10の凸型内側端部7の形状に実質的に対応する。溝18の高さは、一例において、ホルダ要素2の厚みに等しいがわずかに小さくてもよい。溝の直径は、半円端部セクションの直径よりも幾分小さい。溝と半円端部セクションとの間のサイズ差は、溝と半円端部セクションとの間でシーツを安全な様式でぴったりとクランプできるようにする。このようにして、シーツは半円端部セクションの内側縁部全体と溝との間でクランプされ、相対的に大きな接触面を提供し、患者のある面から別の面への移送の間、シーツの滑り又は破れ(ripping)のリスクを低減させる。
【0023】
第2の部分の幅、すなわち、直線セクションの縁部間の距離及び半円セクションの直径は、このため、ステムの丸みを帯びた溝よりもわずかに大きい。一例において、第2のセクションの幅は21mmであり、溝の直径は15mmである。これにより、シーツを、半円端部セクションと溝との間で、安全な及びぴったりとした様式でクランプすることが可能であり、シーツ上の接触負荷を低減させる。他の手段が可能であるが、試験は、第2のセクションの幅と溝の直径との間の15~30%の間の領域におけるサイズ差は、数センチメートルの直径を有するより小さなノブに対して、シーツの確実な保持を与えることを示している。これにより、シーツは、シーツ保持配置構成に取り付けられるときに、ノブの上で均等に折り畳まれないため、シーツの複数層に空間を与える。
【0024】
ノブは、好ましくは強化プラスチックなどの堅い材料で作られる。ホルダ要素は、好ましくは幾分弾力性があり、弾性プラスチック又はゴムで作られ得る。ホルダ要素、ノブ、及び接続部材はどちらも、すべて電磁波に対して透過的な材料で作られることが有利である。これにより、病院環境における適用性、相互運用性、及び放射機械の出力にほとんど影響を与えない(give low to zero disturbance)。このようにして、シーツ保持配置構成は、患者が放射線検査を受けるときに取り外さなくてよい可能性がある。
【0025】
ホルダ要素は、ホルダ要素をノブ又は接続部分に取り付けるように適合された、1つ以上のストラップスロット11を更に備える。これにより、ホルダ要素が消失するのを防ぎ、ホルダ要素が常に手元にあることを保証する。ホルダ要素は、一例において、柔軟リボン13で取り付けられる。リボンは、ホルダ要素に固定して取り付けられ得るか、又はホルダ要素に取り外し可能に取り付けられ得るため、ホルダ要素は損傷の際に交換可能となる。リボンは、リボンを交換できるように、ノブ又は接続部材に取り外し可能に取り付けられ得る。ノブは、一例において、ねじを用いてロッドに装着され、リボンはノブとロッドとの間に装着される。
【0026】
ホルダ要素は、牽引配置構成107に取り付けられるように適合される。図示された例において、ホルダ要素には、ホルダ要素の一方の端部に配置された牽引開口12が提供され、端部は半円端部セクションの反対側にある。牽引開口は、例えば、フック、例えば安全フックによって、牽引配置構成に取り付けられ得る。このようにして、ホルダ要素の牽引配置構成への取り付け、及び牽引配置構成からの取り外しを、迅速に行うことができる。ホルダ要素にはフック要素も提供可能であり、牽引配置構成のワイヤには、ループ要素が提供可能である。牽引開口12は、半円端部セクションと同じ平面内に配置されるため、シーツ上で作用する牽引力は、牽引配置構成の牽引ワイヤに対して平行となる。したがって、患者の移送中、シーツ保持配置構成にいかなる位置合わせ不良も存在しないことになる。
【0027】
ホルダ要素の直線セクション9には、図示された例において、内部突起8が提供される。突起は、シーツを保持するときにホルダ要素をノブに固定するのに役立ち、シーツ保持配置構成にシーツを取り付けるオペレータに戦術的なフィードバックを提供する。突起を用いると、オペレータは、ホルダ要素が正しく位置決めされた時点、及び、半円端部セクションと溝との間にシーツがクランプされたことを、検出することができる。一例において、突起間の距離は溝の直径に等しい。したがって空のノブは、ホルダ要素がノブに装着されるときにいかなる抵抗も与えない。シーツがノブに巻き付けられるとき、シーツを伴うノブは、オペレータに戦術的なフィードバックを与える。
【0028】
図4aから図4eは、接続部材がロッドである、シーツ保持配置構成へのシーツの取り付けを示す。ここでは、シーツ保持配置構成1の1つのノブ14へのシーツ116の取り付けが示される。
【0029】
図4aは、ノブ及びホルダ要素がロック解除状態にある、シーツ保持配置構成の一部を示す。図4bにおいて、シーツ116はシーツ保持配置構成1のノブ14の頂部に配置される。ホルダ要素は、シーツを伴うノブに向けて移動される。図4cにおいて、ホルダ要素はノブの上に位置決めされ、ノブのヘッド15の上に開口4の第1の部分5が延在する状態で押し下げられる。シーツは同時にノブの上に押し下げられ、開口によって幾分共に引き出される。
【0030】
図4dにおいて、ノブ及びホルダ要素はロック状態にある。開口4の第2の部分6はノブに向けて引っ張られるため、ホルダ要素の半円端部セクション10は溝18に近接し、シーツは押されて、半円端部セクションと溝との間でぴったりと保持されることになる。突起8はノブの中心を通過し、ホルダ要素を適所に保持するのに役立つ。図4eにおいて、牽引配置構成のフック110がホルダ要素の牽引開口12に取り付けられる。
【0031】
図5aから図5bは、患者117を第1の面113、図示された場合では第1のベッドから、受け取り面114、図示された場合では受け取り側ベッド115へと移送する際の、患者移送装置101の使用を示す、斜視図を示す。図5aにおいて、患者117は第1のベッド上でシーツ116の上に横たわり、患者移送装置101のシーツ保持配置構成1がそこに接続される。受け取り側ベッド115は第1のベッドと並んで配置され、患者移送装置101は、受け取り側ベッドの第1のベッドとは反対側に配置される。図5bにおいて、患者移送装置101のモータ103は、患者移送装置101及び第1のベッド115に向けたシーツ保持配置構成1の格納を生じさせる。これにより、患者117が横たわるシーツ116上に牽引力を生じさせる。したがって、患者117は、第1の面113から受け取り面114に移送される。
【0032】
図6は、本発明の別の態様に従った、患者移送装置の斜視図を示す。ここで、患者移送装置101の牽引配置構成107は、壁112に装着された調節可能可動アーム111上に装着される。可動アーム111は、代替として、壁マウントの代わりに天井マウントから延在し得ること、及び、アーム上の接合の数は変更可能であることを理解されたい。示された例において、シーツ保持配置構成1は、5つのノブ14及びより長いロッド17上に配置された5つのホルダ要素2を備える。2つのノブは、前述のように、牽引配置構成107のワイヤボビン間の距離に対応する距離で配置される。これにより、牽引配置構成107は、シーツ保持配置構成を真っ直ぐに引っ張ることができる。シーツ保持配置構成を牽引するために使用される2つのノブの間に1つのノブが配置され、ロッドの外側端部に2つのノブが配置される。より多くのノブを使用することで、シーツにかかる負荷をより均等に分配し得、より重い患者を移送する際に有利であり得る。
【0033】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものとみなされるべきではなく、後述の特許請求の範囲の範囲内で、多数の追加の変形及び改変が可能である。シーツ保持配置構成は、任意のタイプの薄い生地又は布の取り付け及び保持に使用され得る。
【符号の説明】
【0034】
1:シーツ保持配置構成
2:ホルダ要素
3:本体
4:開口
5:第1の部分
6:第2の部分
7:内部縁部
8:内部突起
9:直線セクション
10:半円セクション
11:ストラップスロット
12:牽引開口
13:リボン
14:ノブ
15:ヘッド
16:ステム
17:接続部材
18:溝
101:患者移送装置
102:フレーム
103:モータ
104:ケーシング
105:車輪
106:垂直トラック
107:牽引配置構成
108:ボビン
109:ワイヤ
110:フック
111:アーム
112:壁
113:第1の面
114:受け取り面
115:ベッド
116:シーツ
117:患者
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】