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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】超高速レーザ金属堆積プロセス
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/85 20210101AFI20240312BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240312BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 10/368 20210101ALI20240312BHJP
   B22F 12/53 20210101ALI20240312BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240312BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240312BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240312BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B22F10/85
B22F1/05
B22F10/25
B22F10/36
B22F10/368
B22F12/53
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B28B1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556508
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2022055800
(87)【国際公開番号】W WO2022194604
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021106316.7
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーホーフェン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ガッサー,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ピルチ,ノーバート
(72)【発明者】
【氏名】ブリュッキ,マティアス
【テーマコード(参考)】
4G052
4K018
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA10
4K018AA14
4K018AA24
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA13
4K018BB04
(57)【要約】
本発明は、レーザ金属堆積プロセスであって、構成要素(1)の表面(1a)に向けられたレーザビーム(6)によって部分的に溶融した充填材料に冶金的に結合され、充填材料は、粒子(5a)の粉末ジェット(5)としてレーザビーム(6)に送達され、粒子(5a)は、レーザ金属堆積プロセス(200)のプロセスパラメータ(P)並びに粒子(5a)の粒分率及び材料特性の関数として構成要素(1)の表面(1a)から距離(A)のビーム対粒子相互作用区域内でレーザビーム(6)から光エネルギーを吸収し、構成要素(1)の表面(1a)に塗布され、プロセスパラメータ(P)は、粒子(5a)の一部がレーザ放射(6)を通って沸騰温度(S)に到達し、蒸気圧の結果として、構成要素(1)の表面(1a)の方向における粒子(5a)の少なくとも一部の速度が増加するように調整される、レーザ金属堆積プロセスに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ金属堆積を実行するためのレーザ金属堆積プロセス(200)であって、それによって構成要素(1)は、前記構成要素(1)の表面(1a)に向けられたレーザビーム(6)によって部分的に溶融した充填材料に冶金的に結合され、それによって前記充填材料は、粒子(5a)の粉末ジェット(5)として前記レーザビーム(6)に送達され、それによって前記粒子(5a)は、前記レーザ金属堆積プロセス(200)のプロセスパラメータ(P)並びに前記粒子(5a)の粒分率及び材料特性の関数として前記構成要素(1)の前記表面(1a)から距離(A)があるビーム対粒子相互作用区域内で前記レーザビーム(6)から光エネルギーを吸収し、前記構成要素(1)の前記表面(1a)に塗布され、
前記プロセスパラメータ(P)は、前記粒子(5a)の少なくとも一部がレーザ放射(6)を通ってそれらの軌道に沿って沸騰温度(S)に到達し、結果として生じる蒸気圧により、前記構成要素(1)の前記表面(1a)の方向における前記粒子(5a)の少なくとも一部の速度が増加するように調整されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、沸騰温度(S)に達した粒子(5a)の一部の速度増加が2%超であることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、粒子速度の増加は非常に大きいため、前記構成要素の表面の方向への前記粉末ジェット(5)の締め付けは、照らされていない粉末ジェット(5)の幅と比較して、2%~10%、好ましくは3%~6%、特に好ましくは4%~5%で行われることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記沸騰温度(S)に達した粒子(5a)の割合は、前記レーザ放射によってそれらの軌道に沿って加熱される前記粒子(5a)の5%超、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、特に好ましくは80%超であることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粒子(5a)の表面の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、及び特に好ましくは少なくとも40%は、少なくともそれらの沸騰温度(S)まで加熱されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粒子(5a)は、1μm以上、好ましくは10μm以上、特に好ましくは30μm以上及び/又は100μm以下、好ましくは70μm以下、特に好ましくは50μm以下の平均粒径を有することを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、
前記レーザ金属堆積が実行される領域内の前記構成要素(1)の表面自体が、前記透過レーザビーム(6)によってその溶融温度よりも低い温度まで加熱され、それにより、少なくとも前記構成要素(1)の前記表面(1a)上の前記粒子(5a)の衝突点において、前記構成要素(1)の表面(1a)の前記溶融温度よりも高い粒子温度(PT)を有する前記溶融粒子(5a)が、前記構成要素(1)の前記表面(1a)の固相線温度よりも高い温度を誘発して冶金的結合をもたらすことを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粉末ジェット(5)中の前記粒子(5a)の密度を調整することができ、前記レーザビーム(6)のレーザ出力及び火線は、前記構成要素(1)の表面(1a)に衝突する前記レーザ出力は、前記レーザビーム(6)が前記粉末ジェット(5)の粒子(5a)と接触する前の前記レーザ出力の85%未満、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満、特に好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満であるように、寸法決めされ、前記粉末ジェット(5)と位置合わせされることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記レーザビーム(6)は、前記構成要素(1)の表面(1a)からの平均距離(A)が0.25mm~20.0mm、好ましくは0.25mm~10.0mm、より好ましくは0.25mm~5.0mm、特に好ましくは0.8mm~1.2mmである焦点領域(7)を含むことを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粉末ジェット(5)は、前記レーザビーム(6)の前記焦点領域(7)に、好ましくは同軸に送達されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粉末ジェット(5)は、前記搬送ガス体積及び粒子体積を含む、搬送総体積あたり1g/lより大きい粉末質量を有することを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記粉末ジェット(5)は、円錐粉末ジェットとしての同軸ノズルによって、マルチジェットノズルによって、又は矩形ノズルによって前記レーザビーム(6)に送達されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記充填材料は、5m/分~1000m/分、好ましくは10m/分を超える、より好ましくは21m/分を超える、更により好ましくは50m/分を超える、特に好ましくは100m/分を超える、非常に特に好ましくは130m/分を超える、極めて好ましくは150m/分を超える、前記構成要素(1)の前記表面(1a)に沿った供給速度で前記構成要素(1)の前記表面(1a)に塗布されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記充填材料(5)は、ニッケル基合金、コバルト基合金、鉄基合金、チタン基合金、銅基合金、アルミニウム基合金、鉄基材料、及び/又はセラミック、又は上記合金の混合物を含むか、又はそれらからなることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、前記プロセスパラメータ(P)は、不活性な粉末ジェット(5)と、前記プロセスパラメータ(P)に従って35%のレーザ出力、好ましくは50%のレーザ出力、特に好ましくは85%のレーザ出力を有する前記レーザビーム(6)とを用いたこれらのプロセスパラメータ(P)を使用して、前記入射レーザビームの領域で前記構成要素(1)の表面(1a)の溶融が発生しないように選択されることを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセス(200)であって、これに設定される前記プロセスパラメータ(P)は、前記レーザビーム(6)のレーザ出力、前記レーザビーム(6)のビーム誘導、前記焦点領域(7)のサイズ、前記レーザビームに対する、好ましくは前記レーザビーム(6)の前記焦点領域(7)に対する粉末ジェット焦点の相対位置、前記粉末ジェット(5)中の前記粒子(5a)の密度、前記レーザビーム(6)、好ましくは前記レーザビームの前記焦点領域(7)に到達する前の前記粉末ジェット(5)中の前記粒子(5a)の速度、レーザ焦点と前記構成要素(1)の表面(1a)との間の距離、オーバーラップ及び供給速度のグループからの1つ以上の要素を含むことを特徴とする、レーザ金属堆積プロセス。
【請求項17】
構成要素(1)の表面(1a)に向けられたレーザビーム(6)が放たれる少なくとも1つのレーザ(110)と、充填材料から粉末ジェット(5)を生成する少なくとも1つの粉末ノズル(120)とを有する、少なくとも部分的に溶融した前記充填材料と前記構成要素(1)の前記表面(1a)との間に冶金的結合をもたらすためのレーザ金属堆積装置(100)であって、それによって前記レーザビーム(6)及び粉末ノズル(120)は、粒子(5a)の前記粉末ジェット(5)が前記レーザビーム(6)内に送達され、前記粒子(5a)が前記構成要素(1)の前記表面(1a)に塗布されるために、前記レーザ金属堆積プロセス(200)におけるプロセスパラメータ(P)並びに前記粒子(5a)の粒分率及び材料特性の関数として、前記構成要素(1)の前記表面(1a)から距離(A)があるビーム対粒子相互作用区域内の前記レーザビーム(6)から光エネルギーを吸収するように設計及び配置され、
前記レーザ金属堆積装置(100)の前記プロセスパラメータ(P)は、前記粒子(5a)の少なくとも一部がレーザ放射(6)を介してそれらの軌道に沿って沸騰温度(S)に到達するように調整され、結果として生じる蒸気圧により、少なくとも前記構成要素(1)の前記表面(1a)の方向に前記粒子(5a)の一部の速度増加があることを特徴とする、レーザ金属堆積装置。
【請求項18】
構成要素(1)であって、請求項1~16のいずれか一項に記載のレーザ金属堆積プロセスを使用して充填材料が冶金的に塗布される表面(1a)を有する、構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ放射によって少なくとも部分的に溶融した充填材料と構成要素の表面との間に冶金的結合をもたらすためにレーザ金属堆積を実行するためのレーザ金属堆積プロセスに関し、これにより、極端な処理速度を更に高めることができる。本発明は更に、対応するレーザ金属堆積装置及びこのプロセス又は装置によって変更された構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
最先端技術では、レーザ金属堆積は、表面処理プロセスとして、及び充填材料を用いた構成要素の付加製造のために知られている。レーザ金属堆積のよく知られた形態では、粉末形態の充填材料は、粉末ノズルによって構成要素の表面上のレーザビームによって生成された溶融プールに所定の角度で導入される。図1の概略図は、よく知られているプロセスを示す。充填材料の層(2)は、粉末供給装置(3)によって溶融プール(4)に粉末状粒子の形態の充填材料(5)を供給することによって、構成要素(1)上に製造される。溶融プール(4)は、レーザビーム(6)の照射によって液体状態に保たれる。固体粉末の形態の充填材料(5)は、溶融プール(4)の領域に到着し、そこでレーザビーム(6)及び周囲の溶融プールの加熱によって溶融される。ここで構成要素(1)がレーザ(6)及び粉末供給装置(3)に対して移動すると、溶融プールの材料はレーザ(6)の影響領域から移動し、基材と充填材料との間の冶金的結合として固化して層(2)を形成する。溶融プール(4)の下のレーザ入射方向xに見て、レーザ(6)によって照射された出力はまた、構成要素(1)の表面を部分的に貫通する。レーザ放射の作用の結果として、相互作用の持続時間の関数として熱影響区域(10)が形成される。したがって、レーザ(6)の放射強度及び作用持続時間に応じて、充填材料と構成要素材料との混合が行われる。充填材料の粉末は、溶融プールに横方向又は同軸に注入することができる。図1は、側方注入を示す。最先端のプロセスは、典型的には、0.2m/分~5m/分のプロセス速度、すなわちレーザビームに対する構成要素の供給速度を達成することを可能にする。
【0003】
極高速レーザ塗布プロセス(EHLA)は、独国特許出願公開第10 2011 100 456号から既に知られている。このプロセスでは、充填材料は、完全に溶融した形態で溶融プールに送達される。この目的のために、粉末粒子は溶融プールから0より大きい距離で溶融され、液体状態で溶融物に供給される。本発明に係るプロセスは、構成要素の表面上の溶融プールと同じ凝集状態で溶融プールに充填材料を供給する。これにより、溶融プール内の粉末粒子を溶融するのに必要な時間がなくなる。次いでこれにより、層形成に要する時間が短縮され、プロセス速度を大幅に向上させることができる。粉末状充填材料は、レーザビームによって生成された溶融プールに入る前にレーザビームによって溶融される。達成可能な供給速度は、添加された粉末の粒子を溶融するのに必要な時間、及び構成要素の表面に溶融プールを生成するのに必要な時間に依存する。構成要素の加熱及び構成要素の表面で生じるブレンドの程度の両方を最小限に抑えることが望ましい。プロセス速度の更なる増加もまた望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、構成要素への低い入熱及び構成要素の表面での低いブレンドを可能にする、高い供給速度及び堆積速度でのレーザ金属堆積のためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、レーザ金属堆積を実行するためのレーザ金属堆積プロセスによって解決され、それによって構成要素は、構成要素の表面に向けられたレーザビームによって部分的に溶融した充填材料に冶金的に結合され、それによって充填材料は、粒子の粉末ジェットとしてレーザビームに送達され、それによって粒子は、レーザ金属堆積のプロセスパラメータ並びに粒子の粒分率及び材料特性の関数として構成要素の表面から距離があるビーム対粒子相互作用区域内でレーザビームから光エネルギーを吸収し、構成要素の表面に塗布され、それによってプロセスパラメータは、粒子の少なくとも一部がレーザビームを通ってそれらの軌道に沿って沸点に到達し、蒸気圧の結果として、構成要素の表面の方向における粒子の少なくとも一部の速度が増加するように調整される。
【0006】
レーザ金属堆積プロセスは、レーザ金属堆積を実行するために、すなわち、充填材料と構成要素の表面との間に冶金的結合をもたらすために使用される。溶融は、固体材料又は固体材料混合物の液体凝集状態への相転移である。レーザ金属堆積では、相転移は、通常、レーザビームからの入熱により一定圧力で達成される。純粋な物質が一定の圧力で溶融される場合、このプロセス中に存在する溶融温度を明確に決定することができる。相転移の間、温度は一定のままであり、供給される全ての熱は、凝集状態の変化における融解エンタルピとして加えられる。本発明者らは、充填材料の溶融粒子と接触する前に構成要素の表面上の溶接スポットに溶融物が生成されることは、冶金的に結合された層を製造するための必要な前提条件ではないことを認識した。この場合、レーザ放射及び充填材料が構成要素の表面と交わる位置は、溶接スポット、すなわち堆積溶接が生じる位置と呼ばれる。
【0007】
粉末粒子は、構成要素の表面に衝突する前に、レーザビームによって少なくとも部分的に溶融される。粉末粒子は、レーザビームの一部のみが粉末を透過して構成要素に衝突するようにレーザビームを遮光する。構成要素の表面は、溶融粉末粒子の追加のエネルギー入力が、以前は固体であり、まだ溶融していない基板との熱接触による温度上昇に起因して表面に溶融冶金的結合を形成するのに十分である程度まで、伝達された放射構成要素によって予熱されるだけでよい。この目的のために、構成要素に衝突する粒子を介して構成要素の表面に可能な限り多くのエネルギーを導入することが有利であり、これは、粒子を可能な限り高い温度に加熱する必要があることを意味する。この場合の可能な最高温度とは、粒子の沸騰温度と同じくらい高い温度を指す。粒子がこのような温度に加熱されると、当該の粒子の一部又は粒子の表面の一部がその沸騰温度まで加熱される。供給された粉末状充填材料の少なくとも一部の充填材料の粒子の表面を少なくとも部分的に充填材料の沸騰温度まで加熱するために必要なレーザ出力は、透過率、粒子加熱などの他の点では同一の前提条件を有する既知の最先端のプロセスと比較して低いため、達成可能な供給速度を更に増加させることができ、以前のプロセス限界を克服することができる。同じレーザ出力を導入すると、粉末粒子をそれらの沸騰温度まで加熱するよりも、構成要素の表面上の溶接スポットを溶融するのに時間がかかる。更に、本発明に係るプロセスは、構成要素の表面上の熱浸透深さ、したがって熱影響区域を最小限に抑えるために使用することができ、これは、例えば、延性、ヤング率、及び/又は降伏応力などの機械的特性に関して、構成要素の特性が、その表面においてさえ、堆積の結果として変化しないか、又は大きく変化しないことを意味する。熱浸透深さが低いため、充填材料と構成要素の元の材料とのブレンド、すなわち構成要素の表面上での両方の材料の完全な混合はほとんどない。
【0008】
本発明に係る粒子速度の増加は、構成要素の表面に沿った高い供給速度であっても、溶融温度より高い粒子温度の場合の高速の粒子が運動エネルギーの結果として構成要素の表面に対して変形又は押圧され、表面への熱の伝達を改善するので、この点で有利である。これにより、(構成要素の)固体基板表面との粒子の良好な熱交換を開始することができる。その結果、改善された冶金的結合が達成される。したがって、構成要素の表面に向かう粒子の速度の増加は、特にこのプロセスが可能な限り高い供給速度で動作することを可能にするという点で、レーザ金属堆積のプロセスにとって有益である。実施態様の一形態では、沸騰温度に達した粒子の一部の速度増加は2%を超える。2%以上の速度増加で、有益な効果は処理された構成要素において明確に測定可能であり、高い供給速度は、現在の技術水準と比較して、高品質のレーザ金属堆積と低いブレンドと同時に達成することができる。
【0009】
これに関連して、構成要素の表面は、レーザ放射及び粉末ジェットに面する表面を指し、それにより、この表面は、充填材料が表面に塗布されるレーザ金属堆積のみを受ける。本明細書で使用される「構成要素の表面に塗布される」という語句は、或る材料を別の材料、この場合は構成要素に塗布する任意の方法を指す。具体的には、例えば、粉末状充填材料は、構成要素に衝突する前にレーザビームで溶融され、溶融形態でそれに吹き付けられる(塗布される)ことができる。
【0010】
レーザビームは、通常、単レンズ又は多レンズのレーザ光学系を使用して集束され、その最も重要な光学パラメータは、焦点距離及び開口(自由開口の直径)である。レーザビームは、レーザ光学系によって束ねられる。レーザ光学系の後にレーザビームを束ねて作成されるビームウエストは、ビーム焦点とも呼ばれる。実際には、このビーム焦点は単一の離散点ではなく、焦点領域を形成する。レーザビームは、高強度、しばしば非常に狭い周波数範囲(単色光)、ビームの鋭いバンドリング、及び大きなコヒーレンス長の組み合わせを特徴とする電磁波である。赤外スペクトルからのレーザビームは、例えば、レーザ金属堆積に使用される。
【0011】
「充填材料」という用語は、構成要素の表面に粉末ジェットとして塗布される材料全体を指す。したがって、充填材料は、均質、不均質、空間的、及び/又は時間的に変化する組成物を含むことができる単一の材料又は材料の混合物であり得る。例えば、本発明の文脈における充填材料はまた、炭化タングステンを含むIN625などの複数材料混合物を指す。この場合、充填材料は、例えば、粒子を構成要素に導く輸送ガス流を用いて、構成要素の表面上にレーザビームの方向に、かつレーザビームを通って粉末ジェット(又は粒子ジェット)で輸送される粒子の形態で存在する。
【0012】
「粒分率」という用語は、粒子の総量内の粒子の特定のサイズ又はサイズ分布を有する粒子を指す。例えば、粒子は、粒子サイズの特定の間隔内のサイズを有し得る。本明細書で使用される場合、「粉末」又は「粉末状充填材料」という用語は、100μm未満の平均粒径を有する非常に微細に還元された物質を指す。
【0013】
「ビーム対粒子相互作用区域」という用語は、粒子がレーザビームから光エネルギーを吸収する構成要素の表面上の物理的領域を指す。ビーム対粒子相互作用区域のサイズは、プロセスパラメータ、特にレーザビーム誘導及び粒子ビーム誘導に依存する。
【0014】
プロセスパラメータは、それぞれの選択された構成要素によって調整又は指定され得るレーザ金属堆積プロセスの全ての条件を指す。プロセスパラメータは、とりわけ、ビーム対粒子相互作用区域及びビーム対粒子相互作用区域内の沸騰温度に達する粒子の数、並びに個々の粒子の速度の増加をもたらす沸騰温度まで加熱される個々の粒子の材料の割合を決定する。軌道は、構成要素の表面に向かう粒子の飛行経路を記述する。この軌道は、粒子が(例えば、機械的衝撃によって)互いにどのように相互作用するか、及びレーザ放射と(熱的に)どのように相互作用するか、特に粒子が加速されるかどうか、及びこの加速がどの程度高いかに応じて、直線又は曲線であり得る。実施態様の一形態では、これに設定されるプロセスパラメータは、レーザビームのレーザ出力、レーザビームのビーム誘導、焦点領域のサイズ、レーザビームに対する、好ましくはレーザビームの焦点領域に対する粉末ジェット焦点の相対位置、粉末ジェット中の粒子の密度、レーザビーム、好ましくはレーザビームの焦点領域に到達する前の粉末ジェット中の粒子の速度、レーザ焦点と構成要素の表面との間の距離、オーバーラップ及び供給速度のグループからの1つ以上の要素を含む。この文脈における「オーバーラップ」という用語は、粉末ジェットとレーザビームとのオーバーラップ、すなわちレーザビームを最終的に通過する粒子の数を指す。
【0015】
速度を増加させる蒸気圧は、或る割合の粒子を沸騰温度まで加熱した結果である。これにより、それぞれの粒子の材料が蒸発し、これがそれぞれの粒子に順方向の衝撃を及ぼし、構成要素の表面に向かってそれを押し、それによってこのそれぞれの粒子を相応に加速させる。
【0016】
本発明に係るプロセスは、したがって、構成要素への低い入熱及び構成要素の表面での低いブレンドを可能にする、高い供給速度及び堆積速度でのレーザ金属堆積のための方法を提供する。
【0017】
本発明に係るプロセスはまた、粒子表面上で沸騰温度に達したときの蒸気圧の結果としての粒子の加速の目標とする使用が、粒子の速度の増加がレーザビームの焦点領域における粒子密度の希釈をもたらすことを意味するので、粒子の粉末ジェットにおける光エネルギーの熱化(レーザビーム中の粒子の加熱)に関する自己補強プロセスを表す。結果として、沸騰温度より低い温度を有するこの領域内の粒子は、より高い透過率のためにレーザビームからより多くの光エネルギーを吸収することができる。これは、熱化光エネルギーの比が粒子の粉末ジェットに有利にシフトするほど、溶融等温線の基板への浸透深さが低くなるため、プロセスにとって有益である。粒子表面で沸騰温度に達したときに蒸気圧の結果として既に加速されている粒子については、加速された粒子が更なる加熱の減少を経験すると自己調節挙動が始まる。これは、大きな粉末密度又は塗布速度及び高い供給速度にとって特に有利である。
【0018】
実施態様の一形態では、速度の増加は非常に大きいため、構成要素の表面の方向への粉末ジェットの締め付けは、照らされていない粉末ジェットの幅と比較して、2%~10%、好ましくは3%~6%、特に好ましくは4%~5%で行われる。
【0019】
実施態様の更なる形態では、沸騰温度に達した粒子の割合は、レーザ放射によってそれらの軌道に沿って加熱される粒子の5%超、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、特に好ましくは80%超である。粉末ジェット中の粒子が構成要素の表面の方向に加速されるほど、同時に高品質のレーザ金属堆積で達成できる供給速度が高くなる。
【0020】
実施態様の更なる形態では、粒子の表面の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも40%が、少なくともそれらの沸騰温度まで加熱される。球状粒子及び平行入射レーザビーム束の場合、表面の50%以下を沸騰温度まで加熱することができる。本発明に係るレーザ金属堆積プロセスにおけるレーザ放射は集束され、粒子は球形から逸脱する表面を有することができるため、50%を超える表面分率も可能であるが、50%を大幅に超えることはない。沸騰温度に達する粒子の表面積の割合が大きいほど、当該粒子の速度の増加は大きくなる。粉末ジェット中の個々の粒子が構成要素の表面の方向に加速されるほど、高品質のレーザ金属堆積と同時に達成できる供給速度が高くなる。
【0021】
実施態様の更なる形態では、粒子は、1μm以上、好ましくは10μm以上、特に好ましくは30μm以上及び/又は100μm以下、好ましくは70μm以下、特に好ましくは50μm以下の平均粒径を有する。言及された粒径は、利用可能な時間における加熱、粒子内の温度分布の均質性、一方ではレーザビームにおけるその加熱と溶接スポットへのその影響との間の粒子温度の速度、及び他方では構成要素の表面上の個々の粒子によって可能なエネルギー入力に関して有利であることが証明されている。
【0022】
実施態様の更なる形態では、レーザ金属堆積が実行される領域内の構成要素の表面自体が、透過レーザビームによってその溶融温度よりも低い温度まで加熱され、それにより、少なくとも構成要素の表面上の粒子の衝突点において、構成要素の表面の溶融温度よりも高い粒子温度を有する溶融粒子が、構成要素の表面の固相線温度よりも高い温度を誘発して冶金的結合をもたらす。レーザビームは、堆積が実行される構成要素の表面の領域に向けられる。しかしながら、粉末状充填材料は、構成要素に衝突する前にレーザビームを通過する。その結果、レーザビームは部分的に不明瞭になる。レーザビームを通過する粉末ジェットの密度に応じて、多かれ少なかれレーザビームは粉末ジェットを通過することができる。これに関連して、これは「透過率」と呼ばれる。したがって、透過率は、どの程度のレーザ放射が粉末ジェットを通過するかを示す。本発明によれば、透過率は、充填材料が塗布される構成要素の表面が加熱されるようにレーザビームを通過する粉末ジェットによって調整されるが、加熱は構成要素の表面の溶融温度未満のままである。溶接スポットの加熱は、高温の溶融した粉末粒子の衝撃によって、この時点で構成要素の表面をより迅速に溶融することを可能にする。レーザ放射によって構成要素の表面を予熱することにより、更に速い供給速度を達成することが可能になる。レーザ放射が構成要素の表面を溶融温度まで加熱しないという事実は、構成要素材料と充填材料とのブレンドを最小限に抑える。
【0023】
実施態様の更なる形態では、粉末ジェット中の粒子の密度は調整され、レーザビームのレーザ出力及び火線は、構成要素の表面に衝突するレーザ出力が、レーザビームが粉末ジェットの粒子と接触する前のレーザ出力の85%未満、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満、特に好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満であるように、寸法決めされ、粉末ジェットと位置合わせされる。より高い供給速度では、レーザ放射の衝突部分をより大きくして、依然として低いブレンドを確実にすることができる。言い換えれば、粉末密度を使用して、それに応じてレーザ放射の透過率を調整することができる。最適な透過率はまた、供給速度の関数である。光学系では、焦線又は焦点面とも呼ばれる「火線」という用語は、光線が円弧又は曲面の接線である領域を指す。円弧は光空間を制限する。強度は、円弧に向かって増加し、そこで急激に低下する。
【0024】
実施態様の更なる形態では、レーザビームは、構成要素の表面からの平均距離が0.25mm~20.0mm、好ましくは0.25mm~10.0mm、より好ましくは0.25mm~5.0mm、特に好ましくは0.8mm~1.2mmである焦点領域を含む。実験的に決定されるように、上述の最大値は依然として有用なコーティング結果をもたらすが、より小さい距離が有利である。焦点領域は、最も高いエネルギー密度の点である。実際には、これは離散点ではなく、むしろ領域である。したがって、距離は焦点領域の中心から計算されるので、平均距離を表す。距離について述べた値は、これらの値では、一方では、粒子が構成要素の表面に衝突する前に十分な時間が経過し、その結果、或る点でレーザビームによって導入された熱は、熱平衡プロセスを介して粒子内で均一化され、他方では、周囲との熱交換プロセスのために全体の温度レベルはまだ著しく低下していないため、有利であることが証明されている。この領域の拡大のための値は、プロセスパラメータのパラメータの異なるセット間で変化し得る。
【0025】
実施態様の更なる形態では、粉末ジェットは、レーザビームの焦点領域に、好ましくは同軸に供給される。粉末ジェットの円錐形状は、例えば、同軸粉末ノズルを使用することによって容易に達成することができる。その結果、充填材料の粉末のジェットがレーザビームと同軸に溶接スポットに送達されると有利であることが判明した。粉末ジェットの円錐形状が有利であることが判明している。円錐の先端は、特に上述の限界内で、レーザビームの焦点に可能な限り近くなければならない。
【0026】
実施態様の更なる形態では、粉末ジェットは、搬送ガス体積及び粒子体積を含む搬送総体積当たり1g/lより大きい粉末質量を有する。その結果、シールドガスは残部に含まれない。指定された最小量の粉末材料は、有利な方法で構成要素へのレーザビームの透過率を制限する。
【0027】
実施態様の更なる形態では、粉末ジェットは、円錐形粉末ジェットとしての同軸ノズルによって、マルチジェットノズルによって、又は矩形ノズルによってレーザビームに供給される。
【0028】
実施態様の更なる形態では、充填材料は、5m/分~1000m/分、好ましくはそれによって10m/分を超える、より好ましくはそれによって21m/分を超える、更により好ましくはそれによって50m/分を超える、特に好ましくはそれによって100m/分を超える、非常に特に好ましくはそれによって130m/分を超える、極めて好ましくはそれによって150m/分を超える、構成要素の表面に沿った供給速度で構成要素の表面に塗布される。
【0029】
実施態様の更なる形態では、充填材料は、ニッケル基合金、コバルト基合金、鉄基合金、チタン基合金、銅基合金、アルミニウム基合金、鉄基材料、及び/又はセラミック、又は上記合金の混合物を含むか、又はそれらからなる。
実施態様の更なる形態では、プロセスパラメータは、不活性な粉末ジェットと、プロセスパラメータに従って35%のレーザ出力、好ましくは50%のレーザ出力、特に好ましくは85%のレーザ出力を有するレーザビームとを用いたこれらのプロセスパラメータを使用して、入射レーザビームの領域で構成要素の表面の溶融が発生しないように選択される。不活性粉末ジェットは、粉末ジェットが構成要素の表面に塗布されないプロセスを指す。その結果、レーザビームは、シェーディングなしで完全な透過率で構成要素の表面に到達することができる。この場合、実際のレーザ金属堆積プロセスと比較してそのレーザ出力の50%を使用してこのレーザビームが構成要素の表面に向けられる場合、構成要素の表面はこれらの条件下で溶融してはならない。これにより、充填材料が粉末ジェットの形態で塗布される場合、レーザ出力の100%であってもこれが起こらないことが保証される。「レーザ出力」のこの重要なパラメータの検証は、このパラメータが成功したレーザ金属堆積のために決定され、検証されたパラメータセットを使用して、構成要素への低い入熱と構成要素の表面上の低いブレンドと同時に、大きな堆積速度及び堆積速度を達成できることを保証する。
【0030】
本発明は更に、構成要素の表面に向けられたレーザビームが放たれる少なくとも1つのレーザと、充填材料から粉末ジェットを生成する少なくとも1つの粉末ノズルとを使用して、少なくとも部分的に溶融した充填材料と構成要素の表面との間に冶金的結合をもたらすためのレーザ金属堆積装置であって、それによってレーザビーム及び粉末ノズルは、粒子の粉末ジェットがレーザビーム内に送達され、粒子が構成要素の表面に塗布されるために、レーザ金属堆積プロセスにおけるプロセスパラメータ並びに粒子の粒分率及び材料特性に依存する、構成要素の表面から距離があるビーム対粒子相互作用区域内のレーザビームから光エネルギーを吸収するように設計及び配置され、それによってレーザ金属堆積装置のプロセスパラメータは、粒子の少なくとも一部がレーザ放射を介してそれらの軌道に沿って沸騰温度に達するように調整され、後続の蒸気圧の結果として、構成要素の表面に向かう粒子の少なくとも一部の速度増加がある、レーザ金属堆積装置に関する。レーザなどの使用される構成要素は、レーザ金属堆積機器に使用される標準的な構成要素とすることができる。
【0031】
本発明はまた、本発明に係るレーザ金属堆積プロセスを使用して充填材料が冶金的に塗布される表面を有する構成要素に関する。本発明に係る構成要素は、例えば、構成要素の材料と塗布された充填材料との間の特に小さい混合区域に関して、現在の技術水準による構成要素とは異なる。充填材料が塗布される構成要素は、レーザ金属堆積に基本的に適した材料で作られた任意の構成要素とすることができる。少なくとも充填金属が塗布される構成要素の表面は、この材料からならなければならない。例えば、資格のある専門家は、この目的に適した材料に精通している。構成要素は、レーザビーム及び/又は粉末ジェットが、充填材料が塗布される構成要素の表面の領域に到達することができるように表面が設計されていれば、任意の適切な幾何学的形状を有することができる。
【0032】
上述の実施態様の形態又はその特徴はまた、本発明の範囲内の前述の課題に対する解決策を提供するために、特許請求の範囲及びそれに対する後方参照から逸脱する任意の組み合わせで組み合わせることができることが理解される。
【0033】
更に、本特許出願の文脈において、不定冠詞及び「1つ」、「2つ」などの数値表示は、一般に、「少なくとも」の詳述、すなわち「少なくとも1つの・・・」、「少なくとも2つの・・・」などと理解されるべきであることが明確に指摘されるが、「正確に1つの・・・」、「正確に2つの・・・」などのみを暗示できることがそれぞれの文脈から暗黙的であるか、資格を有する専門家に明らかであるか、又は技術的に必須である場合を除く。更に、全ての数値表示並びにプロセスパラメータ及び/又はデバイスパラメータの表示は、技術的な意味で、すなわち通常の公差を有するものとして理解されるべきである。更に、制限「少なくとも」又は「最低でも」又は同様のものの明示的な表示は、「1つ」の単純な使用、すなわち「少なくとも」又は同様のものの表示がないことが、「正確に1つ」を意味するという仮定を生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
また、添付図面及び以下の説明を参照して、本発明の更なる特徴、効果及び利点を説明する。個々の図においてそれらの機能に関して少なくとも本質的に同一である構成要素は、ここでは同じ参照符号で示されているが、全ての図において構成要素に番号を付けて説明する必要はない。
【0035】
図面は以下を示す。
【0036】
図1】最新技術によるレーザ金属堆積プロセスの概略図である。
図2】本発明に係るレーザ金属堆積プロセスの実施態様の一形態の概略図である。
図3図2のビーム対粒子相互作用区域内の粒子の概略図である。
図4】レーザ金属堆積プロセスによって塗布された充填材料を有する構成要素を製造するための、本発明に係るレーザ金属堆積装置の実施態様の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施態様例
図1は、説明の導入部で既に説明されている。
図2は、構成要素(1)の表面(1a)に向けられたレーザビーム(6)を使用して構成要素(1)を部分的に溶融した充填材料と冶金的に結合するレーザ金属堆積を実行するための本発明に係るレーザ金属堆積プロセス(200)を示す。充填材料は、ここでは粒子(5a)の粉末ジェット(5)としてレーザビーム(6)に供給され、それによって粒子(5a)は、レーザ金属堆積プロセス(200)のプロセスパラメータ(P)並びに粒子(5a)の粒分率及び材料特性の関数として構成要素(1)の表面(1a)から距離(A)があるビーム対粒子相互作用区域内でレーザビーム(6)から光エネルギーを吸収し、構成要素(1)の表面(1a)に塗布される。図示の構成では、搬送ガス体積及び粒子体積からなる総搬送体積当たり1g/lより大きくすることができる粉末質量を有する粉末ジェット(5)は、レーザビーム(6)の焦点領域(7)に同軸に供給される。粉末ジェット(5)は、この場合、同軸ノズルによって円錐形粉末ジェットとしてレーザビーム(6)に供給される。しかしながら、別の可能な構成では、粉末は、マルチジェットノズル又は矩形ノズルによって供給することもできる。プロセスパラメータ(P)は、粒子(5a)の少なくとも一部がレーザ放射(6)を通ってそれらの軌道に沿って沸騰温度(S)に到達し、結果として生じる蒸気圧により、構成要素(1)の表面(1a)の方向に粒子(5a)の少なくとも一部の速度が増加し、それにより、沸騰温度(S)に到達した粒子(5a)の割合を2%より大きくすることができるように調整される。これに設定されるプロセスパラメータ(P)は、レーザビーム(6)のレーザ出力、レーザビーム(6)のビーム誘導、焦点領域(7)のサイズ、レーザビームに対する、好ましくはレーザビーム(6)の焦点領域(7)に対する粉末ジェット焦点の相対位置、粉末ジェット(5)中の粒子(5a)の密度、レーザビーム(6)、好ましくはレーザビームの焦点領域(7)に到達する前の粉末ジェット(5)中の粒子(5a)の速度、レーザ焦点と構成要素(1)の表面(1a)との間の距離、オーバーラップ及び供給速度のグループからの1つ以上の要素を含むことができる。上述した粒子速度の増加はこの場合非常に大きい可能性があるため、構成要素の表面の方向への粉末ジェット(5)の締め付けは、照らされていない粉末ジェット(5)の幅と比較して、2%~10%、好ましくは3%~6%、特に好ましくは4%~5%で行われる。粉末ジェットの締め付けは、角度βに対する角度αの百分率偏差によって以下のように定義される:E=(α-β)/α[%]。本発明によれば、レーザ放射によってそれらの軌道に沿って加熱され、沸騰温度(S)に達した粒子(5a)の割合は、粒子(5a)の5%超、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、特に好ましくは80%超とすることができる。更には、レーザ金属堆積が実行される領域内の構成要素(1)の表面自体を、透過レーザビーム(6)によってその溶融温度よりも低い温度まで加熱することができ、それにより、少なくとも構成要素(1)の表面(1a)上の粒子(5a)の衝突点において、構成要素(1)の表面(1a)の溶融温度よりも高い粒子温度(PT)を有する溶融粒子(5a)が、構成要素(1)の表面(1a)の固相線温度よりも高い温度を誘発して冶金的結合をもたらす。更には、粉末ジェット(5)中の粒子(5a)の密度を調整することができ、レーザビーム(6)のレーザ出力及び火線は、構成要素(1)の表面(1a)に衝突するレーザ出力が、レーザビーム(6)が粉末ジェット(5)の粒子(5a)と接触する前のレーザ出力の85%未満、好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満、特に好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満であるように、寸法決めされ、粉末ジェット(5)と位置合わせされる。レーザビーム(6)は、構成要素(1)の表面(1a)からの平均距離(A)が0.25mm~20.0mm、好ましくは0.25mm~10.0mm、より好ましくは0.25mm~5.0mm、特に好ましくは0.8mm~1.2mmである焦点領域(7)を含むことができる。この場合、充填材料は、5m/分~1000m/分、好ましくは10m/分を超える、より好ましくは21m/分を超える、更により好ましくは50m/分を超える、特に好ましくは100m/分を超える、非常に特に好ましくは130m/分を超える、極めて好ましくは150m/分を超える、構成要素(1)の表面(1a)に沿った供給速度で構成要素(1)の表面(1a)に塗布することができる。本発明によれば、本明細書において示されるレーザ金属堆積プロセス(200)のプロセスパラメータ(P)は、不活性な粉末ジェット(5)と、プロセスパラメータ(P)に従って35%のレーザ出力、好ましくは50%のレーザ出力、特に好ましくは85%のレーザ出力を有するレーザビーム(6)とを用いたこれらのプロセスパラメータを使用して、入射レーザビームの領域で構成要素(1)の表面(1a)の溶融が発生しないように選択することができる。
図3は、図2によるビーム対粒子相互作用区域内に位置する、レーザ放射(6)を通る軌道に沿って沸騰温度(S)に達した粒子(5a)の一部からの粒子(5a)を示す。このプロセスにおいて、粒子(5a)の表面は、その沸騰温度(S)の約40%まで加熱される。粒子(5a)の残りの部分は、沸騰温度よりも低い粒子温度(PT)を有する。更に、本明細書では、粒子(5a)は、1μm以上、好ましくは10μm以上、特に好ましくは30μm以上及び/又は100μm以下、好ましくは70μm以下、特に好ましくは50μm以下の平均粒径を有する。充填材料の粒子5aは、例えば、ニッケル基合金、コバルト基合金、鉄基合金、チタン基合金、銅基合金、アルミニウム基合金、鉄基材料、及び/又はセラミック、又は上記合金の混合物を含むか、又はそれらからなる。
【0038】
図4は少なくとも部分的に溶融した充填材料と構成要素(1)の表面(1a)との間に冶金的結合をもたらすための本発明に係るレーザ金属堆積装置(100)を示し、レーザ金属堆積装置(100)は、構成要素(1)の表面(1a)上に向けられたレーザビーム(6)が放たれる少なくとも1つのレーザ(110)、及び充填材料から粉末ジェット(5)を生成するための少なくとも1つの粉末ノズル(120)を有し、それにより、レーザビーム(6)及び粉末ノズル(120)は、粒子(5a)の粉末ジェット(5)がレーザビーム(6)内に送達され、粒子(5a)が、構成要素(1)の表面(1a)に塗布されるために、レーザ金属堆積プロセス(200)におけるプロセスパラメータ(P)並びに粒子(5a)の粒分率及び材料特性の関数として、構成要素(1)の表面(1a)から距離(A)があるビーム対粒子相互作用区域においてレーザビーム(6)から光エネルギーを吸収するように設計及び配置される。レーザ金属堆積装置(100)のプロセスパラメータ(P)は、粒子(5a)の少なくとも一部がレーザビーム(6)を通ってそれらの軌道に沿って沸騰温度(S)に到達し、結果として生じる蒸気圧により、構成要素(1)の表面(1a)の方向に粒子(5a)の少なくとも一部の速度が増加し、それにより、レーザ金属堆積プロセスによって充填材料が塗布される表面(1a)を有する構成要素(1)がもたらされる。ここで参照される図示されていない参照符号に関して、図2及び図3を参照する。更に、本明細書に示すレーザ(110)及び粉末ノズル(120)の配置は、純粋に例示の目的を意図しており、特定の配置/構成を意味するものではないことが指摘される。
【0039】
この時点で、上記又は特許請求の範囲及び/又は図に記載された解決策の特徴は、記載された特徴、効果、及び利点を相応して累積的に実施又は達成するために、必要に応じて組み合わせることもできることに留意されたい。
【0040】
上記で説明した設計変形例は、本発明の初期設計変形例にすぎないことが理解される。この点で、本発明の設計変形形態は、この設計変形例に限定されない。
【符号の説明】
【0041】
1 構成要素
1a 構成要素の表面
2 層
3 粉末供給装置
4 溶融プール
5 粉末ジェット
5a 粒子
6 レーザビーム、レーザ放射
7 焦点領域
9 粒子(最新技術によるもの、図1
10 熱影響区域
100 レーザ金属堆積装置
110 レーザ
120 粉末ノズル
200 レーザ金属堆積プロセス
A 焦点領域と構成要素の表面との間の距離
PT 粒子温度
P プロセスパラメータ
S 沸騰温度
x レーザ入射方向
v 供給速度(構成要素の表面に沿った粉末ジェットの速度又はレーザ基板の相対速)
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】