(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ラミネート接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20240312BHJP
C09J 11/00 20060101ALI20240312BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20240312BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20240312BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20240312BHJP
C08G 18/12 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J11/00
C09J5/00
C08G18/66 040
C08G18/38 093
C08G18/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556757
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 FR2022050500
(87)【国際公開番号】W WO2022195235
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パーダル, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ジャルノー, マリオン
(72)【発明者】
【氏名】ボーニョン, ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ファロー, ルドウィグ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA13
4J034CB01
4J034CB03
4J034CC03
4J034CC08
4J034CD15
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4J034HA07
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4J034HC03
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4J034JA02
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4J040EF111
4J040EF281
4J040GA14
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4J040JB02
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4J040KA17
4J040KA23
4J040KA31
4J040LA01
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA06
(57)【要約】
ラミネート接着剤
本発明は、-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物であって、
-OH成分は、少なくとも1つのポリオールA1を含む組成物であり、
-NCO成分は、以下の工程:
E1)
i)8000~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールA2;
ii)200g/mol以下のモル質量を有し、少なくとも1つの二次OH官能基を含む、少なくとも1つのポリオールA3;
iii)少なくとも1つのポリイソシアネート;
iv)任意要素のポリオールA4
の、NCO/OHモル比(r1)が1.7~2.2の範囲になるような量での重付加反応による少なくとも2つの-NCO末端官能基を含むポリウレタンプレポリマーP1の調製工程
及び
E2)NCO/NHモル比(r2)が10~25の範囲になるような量の、工程E1)の終わりに形成された生成物と少なくとも1つのアミノシランとの反応工程
を含む方法によって得られた少なくとも1つのポリウレタンP2を含む組成物である、
ことを特徴とする、-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物であって、
-OH成分は、少なくとも1つのポリオールA1を含む組成物であり、
-NCO成分は、以下の工程:
E1)
i)8000~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールA2;
ii)200g/mol以下のモル質量を有し、少なくとも1つの二次OH官能基を含む、少なくとも1つのポリオールA3;
iii)少なくとも1つのポリイソシアネート;
iv)任意要素のポリオールA4
の、NCO/OHモル比(r1)が1.7~2.2、好ましくは1.8~2.1の範囲になるような量での重付加反応による少なくとも2つの-NCO末端官能基を含むポリウレタンプレポリマーP1の調製工程
及び
E2)NCO/NHモル比(r2)が10~25、好ましくは15~21の範囲になるような量での、工程E1)の終わりに形成された生成物と少なくとも1つのアミノシランとの反応工程
を含む方法によって得られた少なくとも1つのポリウレタンP2を含む組成物である、
ことを特徴とする、-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物。
【請求項2】
ポリオールA1が、
-モル質量が200g/mol以下のジオールと、
-ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、-OH末端ポリマー、及びそれらの混合物から選択される、200g/molを超える数平均分子量を有するポリオールと、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリオールA1が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1、4-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサン-1,6-ジオール又はそれらの混合物から選択され、ポリオールA1が好ましくはジエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリエステルポリオールA2が、8500g/mol以上、好ましくは9000g/mol以上、更により好ましくは10000g/mol以上の数平均モル質量Mnを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリエステルポリオールA2が、
-少なくとも1つの脂肪族ジオール(i);と
-テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びそれらのジエステル又は無水物誘導体から選択される少なくとも1つの芳香族二酸(ii);及び
-少なくとも1つの脂肪族二酸(iii)又はそのジエステル若しくは無水物誘導体と
の重縮合反応によって得られるコポリエステルであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリエステルポリオールA2が非晶質ポリエステルポリオールであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオールA3が、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリオールA4が、グリセロール、三官能性ポリエーテルポリオール(トリオール)、1~20個の炭素原子及び3個のメチロール基を含むアルカンを含むトリメチロールアルカンから選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリオールA4が、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロール(n-ブタン)、トリメチロールイソブタン、トリメチロール(s-ブタン)、トリメチロール(t-ブタン)、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン、トリメチロールデカン、トリメチロールウンデカン及びトリメチロールドデカンから選択され、ポリオールA4が、好ましくはトリメチロールプロパンであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネートがジイソシアネート、トリイソシアネート及びそれらの混合物から選択され、好ましくはポリイソシアネートがジイソシアネートから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ポリウレタンP1が、ポリウレタンP1の総重量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは1重量%~3重量%の範囲のNCO基の質量含有量を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
アミノシランが以下の式(I)を有し、
(R
4O)
3-p(R
3)
pSi-R
1-NH-R
2(I)
式中、
-R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1~10個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の一価の炭化水素系ラジカルを表し、
-R
4は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の一価の炭化水素系ラジカルを表すか、
又は2つのR
4基が環を形成することができ、
-pは、0、1又は2に等しい整数、好ましくは0又は1に等しく、更により好ましくは0に等しく、
-R
1は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の二価アルキレンラジカルを表し、R
3は優先的にメチレン又はn-プロピレンを表し、
-R
2は、H、直鎖若しくは分岐のアルキルラジカル、アリールアルキルラジカル、1~20個の炭素原子を含む環状ラジカル、又は以下の式(II)を有するラジカルを表し、
式中、
-R
7及びR
8は、互いに独立して、水素又は-R
9、-COOR
9及び-CNからなる群から選択されるラジカルであり、
-ラジカルR
10は、水素、又は-CH
2-COOR
9、-COOR
9、-CONHR
9、-CON(R
9)
2、-CNからなる群から選択されるラジカルであり、
-ラジカルR
9は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を含む1個~20個の炭素原子を含む炭化水素系ラジカルである、
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
工程E1)が、酸、例えばリン酸の存在下で行われることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
-NCO成分が、前記-NCO成分の総重量に対して、20重量%~100重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より優先的には40重量%~80重量%のポリウレタン(複数可)P2(乾燥抽出物)を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
-NCO成分がいずれのXDI系トリイソシアネートをも含まず、より詳細には、-NCO成分がいずれのトリイソシアネートをも含まないことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
-NCO成分及び/又は-OH成分が、可塑剤、触媒、溶媒、顔料、接着プロモーター、吸湿剤、UV安定剤(又は抗酸化剤)、染料、充填剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物中の-NCO及び-OH成分の量が、-NCO/-OH当量モル比が1.7~3、好ましくは1.9~2.5、更により優先的には2~2.2の範囲内にあるような量であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
接着剤層によって互いに接合された少なくとも2つの材料層を含む多層構造体であって、前記接着剤層が、架橋状態の請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物からなることを特徴とする、多層構造体。
【請求項19】
請求項18に記載の多層構造体を製造する方法であって、以下の工程:
-OH及び-NCO成分を混合し、必要に応じて有機溶媒で希釈して接着剤混合物を形成することと、次いで
-第1の材料層の表面上に前記接着剤混合物をコーティングすることと、次いで
-有機溶媒を蒸発させることと、次いで、
-第1の材料層でコーティングされた表面上に第2の層の表面をラミネートすることと、次いで、
-前記接着剤混合物を架橋することと、
を含む、方法。
【請求項20】
フレキシブル包装の製造のための、請求項18に記載の多層フィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒系二成分ポリウレタン接着剤組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明による架橋組成物の層によって互いに結合された少なくとも2つの材料層を含む、特にフレキシブル包装の分野で使用され得る多層構造体(又は複合体)に関する。
【0003】
本発明はまた、食品用のフレキシブル包装の作製のための当該多層構造体の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
特にアグリフード製品の包装用に意図されたフレキシブルな(又は柔軟な)包装は、一般に、紙、金属(例えばアルミニウム)又は熱可塑性樹脂ポリマー等の異なる材料からなる(シート又はフィルムの形態の)いくつかの薄層からなり、その厚さは5~150μmである。これらの薄層は互いに接着結合され、厚さが20~400μmの範囲であり得る対応する複合(又は多層)フィルムは、材料の様々な個々の層(「支持体」とも呼ばれる)の特性を組み合わせることを可能にし、したがって消費者に、最終的なフレキシブル包装に適した特性のセット、例えばその視覚的外観(特に、包装された製品に関連し、消費者向けの情報を提示する印刷要素、又はその透明性)、光又は大気の水分又はガス、特に酸素に対するバリア効果、又は適切な耐熱性を提供する。
【0005】
多層フィルムが構成される様々な材料層は、典型的には、工業的ラミネート方法中にラミネートすることによって組み合わされるか又は組み立てられる。これらの方法は、この目的のために設計され、一般に数百メートル/分程度の非常に高いライン速度で連続的に動作する接着剤(又は糊)及び機器(又は機械)のアイテムを使用する。このようにして得られた多層フィルムは、それ自体が「ラミネート体」と呼ばれることが多い。
【0006】
これらのラミネート方法は、最初に、第1の材料フィルム上に接着剤をコーティングする工程を含み、これは、一般に10g/m2を超えない接着剤の量(又は単位面積当たりの重量)に相当する、一般に10μm未満の制御された厚さを有する接着剤の連続層の堆積からなる。このコーティング工程の後に、接着剤の層で覆われた第1のフィルムへのこの第2のフィルムの加圧下での適用からなる、第1の材料と同一又は異なる第2の材料フィルムをラミネートする工程が続く。
【0007】
したがって、複合フィルムは、最終的に非常に広い幅のフォーマットで得られ、一般に、それらが貯蔵するフィルムと同様に最大2mの幅を有する直径1m~1.50mの幅広リールの形態で巻き取ることによって調整される。これらの大型リールは、工業用農業食品製造業者によって直接使用するために、それらの製品を包装するために、又はコンバーターによって使用するために貯蔵及び輸送され得る。
【0008】
両方の場合において、フィルムは、その幅を狭くするために切断され、小袋を製造するために成形され、小袋は、それ自体が製品、例えば、農作物の包装を意図している。
【0009】
溶媒系二成分ポリウレタンラミネート接着剤は、フレキシブル包装分野を対象とした多層システムの製造のための接着剤として広く使用されている。ラミネート方法における当該溶媒系接着剤の使用は、有機溶媒のエバポレーションの工程を必要とする。この工程は、ラミネート工程の前に、コーティング工程後に接着剤で覆われた第1のフィルムをオーブンに通すことによって行われる。
【0010】
溶媒系二成分ポリウレタンラミネート接着剤は、2つの組成物(又は成分)の形態:
-イソシアネート-NCO末端基を有する化学種を含むもの(-NCO成分として知られている)、及び
-ヒドロキシル-OH末端基を有する化学種を含む他方(-OH成分として知られる)
でラミネータに供給される。
【0011】
これらの2つの成分の混合は、ラミネート機の始動前にラミネート機のオペレータによって常温で行われてもよく、適切な粘度によってラミネート機の正確な機能を可能にする。
【0012】
このようにして得られた混合物を第1の薄層上にコーティングする工程及び第2の層をラミネートする工程の終了時に、-NCO成分のイソシアネート基は、架橋と呼ばれる反応によって-OH成分のヒドロキシル基と反応して、ウレタン基を含む三次元ネットワークの形態であるポリウレタンを形成し、2つの薄いラミネート層間に接着剤シールの結合を提供する。
【0013】
フレキシブル包装の専門家は、包装用の特定の成分(例えば、小袋、ワイプ又はトレイで)が非常に攻撃的であり、包装(多層フィルム)を損傷する可能性があることを知っている。これらの成分は、様々な包装層を通って移動し、接着剤層の性能を低下させる可能性がある。例えば、特定の成分は、その密封性特性(低融点)のために使用される第1のフィルムを通って移動し得る。これらの密封可能なフィルムは、一般にポリエチレン又はポリプロピレンで作られており、透過性が高い。この第1のフィルムを通って移動した後、成分はそれ自体が接着剤層と直接接触することになる。いくつかの現象(膨潤、基材と接着剤層との間の模擬物の蓄積、接着剤の劣化等)は、接着性能の損失につながる可能性があり、また、ラミネート体の外観の低下である、気泡又は層間剥離チャネルの外観につながる可能性がある。攻撃的な成分は、それらの化学的性質:酸(酢、ケチャップ等)、アルカリ性(洗剤)、脂肪(油、マヨネーズ)、辛味(トウガラシ)等に従って分類することができる。フレキシブルラミネーションの分野では、全てのタイプの成分に耐性がある汎用接着剤が必要とされている。しかしながら、今日まで、既存の解決策は、接着剤が特に1種類の成分に耐性がある限り、この必要性を部分的にしか満たさない。
【0014】
更に、良好な耐薬品性を有する接着剤組成物は、接着性能にプラスの影響を与えるにもかかわらず、毒性であるか、又は規制上の理由ですぐに禁止されるべきである出発物質を含有することが知られている。これは、特にエポキシ樹脂及びビスフェノールAの場合である。
【0015】
最後に、ポリウレタン系接着剤組成物は、一般に、NCO末端ポリウレタンプレポリマーの合成のための反応から生じるジイソシアネートモノマーの高い残留含有量を含む主にNCO末端NCO成分を使用するという欠点を有する。低分子量の(「遊離」)ジイソシアネートモノマーのこれらの残留量は、二成分接着剤の使用後に多層フィルムを通って、したがって最終的なフレキシブル包装を通って移動することができる。したがって、当該化合物は、特に包装された食品中に存在する水又は水分と接触すると、加水分解によって第1級芳香族アミン(PAA)を形成することができ、これは人の健康及び環境に非常に有害であると考えられている。
【0016】
したがって、上記の欠点の少なくとも1つを少なくとも部分的に克服する新規な接着剤組成物が必要とされている。
【0017】
より詳細には、様々な種類の攻撃的成分に対する良好な耐薬品性、良好な接着特性、及び残留モノマーの含有量の減少の間の良好な妥協点を提供する新規な接着剤組成物が必要とされている。
【0018】
経時的に安定な粘度を有する新規な接着剤組成物も必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
組成物
本発明は、-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物であって、
-OH成分は、少なくとも1つのポリオールA1を含む組成物であり、
-NCO成分は、以下の工程:
E1)
i)8000~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールA2;
ii)200g/mol以下のモル質量を有し、少なくとも1つの二次OH官能基を含む、少なくとも1つのポリオールA3;
iii)少なくとも1つのポリイソシアネート;
iv)任意要素のポリオールA4
の、NCO/OHモル比(r1)が1.7~2.2、好ましくは1.8~2.1の範囲になるような量での重付加反応による少なくとも2つの-NCO末端官能基を含むポリウレタンプレポリマーP1の調製工程
及び
E2)NCO/NHモル比(r2)が10~25、好ましくは15~21の範囲になるような量の、工程E1)の終わりに形成された生成物と少なくとも1つのアミノシランとの反応工程
を含む方法によって得られた少なくとも1つのポリウレタンP2を含む組成物である、
ことを特徴とする、-OH成分と-NCO成分とを含む溶媒系二成分接着剤組成物に関する。
【0020】
-OH成分
-OH成分は、少なくとも1つのポリオールA1を含む組成物である。
【0021】
ポリオールA1は、
-モル質量が200g/mol以下のジオールと、
-ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、-OH末端ポリマー、及びそれらの混合物から選択される、200g/molを超える数平均分子量を有するポリオールと、
から選択され得る。
【0022】
ポリオールA1のヒドロキシル官能性は、2~6の範囲であり得る。好ましくは、ポリオールA1のヒドロキシル官能性は2である。ヒドロキシル官能性は、ポリオール1モル当たりのヒドロキシル官能性の平均数である。
【0023】
ポリオールA1は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、-OH末端ポリマー、及びそれらの混合物から選択される、200g/molより大きく3000g/mol以下の数平均分子量を有するポリオールから選択され得る。
【0024】
200g/molを超える数平均分子量を有するポリエステルポリオールA1は、ポリエステルジオール及びポリエステルトリオールから選択され得る。
【0025】
ポリエステルポリオールの中でも、言及され得る例には以下のものが含まれる。
-ヒマシ油等の天然起源のポリエステルポリオール;
-
-1つ以上の脂肪族(直鎖状、分岐状又は環状)又は芳香族ポリオール、例えばモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ブテンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、スクロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、脂肪アルコールダイマー、脂肪アルコールトリマー、及びこれらの混合物の、
-1,6-ヘキサン二酸(アジピン酸)、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、1,18-オクタデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、脂肪酸ダイマー、脂肪酸トリマー、及びこれらの酸の混合物等の1つ以上のポリカルボン酸又はそのエステル若しくは無水物誘導体、不飽和無水物、例えばマレイン酸若しくはフタル酸無水物、又はラクトン、例えばカプロラクトンと
の重縮合から生じるポリエステルポリオール
-リシノール酸等の1つ以上のヒドロキシ酸とジオールとの重縮合から得られるエストリドポリオール(言及され得る例としては、Vertellusから入手可能なPolycin(登録商標)D-1000及びPolycin(登録商標)D-2000が挙げられる)。
【0026】
上記のポリエステルポリオールは、従来の方法で調製することができ、大部分は市販されている。
【0027】
Mnが200g/molを超えるポリエステルポリオールの中でも、ヒドロキシル官能性が2に等しい以下の製品が挙げられ得る:数平均分子量が約2000g/molであり、融点が約50℃のポリカプロラクトンであるTone(登録商標)0240(Union Carbideによって販売されている)、又は数平均モル質量Mnが約1060g/molであり、ヒドロキシル価が102~112mg KOH/gの範囲であるDekatol(登録商標)3008(Bostik社によって販売されている)。これは、アジピン酸、ジエチレングリコール及びモノエチレングリコールの縮合から生じる生成物である。
【0028】
ポリエステルポリオールは、好ましくは、1000~2000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0029】
200g/molを超える数平均分子量を有するポリエーテルポリオールは、直鎖又は分岐鎖のアルキレン部分が1~4個の炭素原子、より優先的には2~3個の炭素原子を含むポリオキシアルキレンポリオールから選択され得る。
【0030】
ポリオキシアルキレンジオール又はトリオールの例として、言及され得る例としては、以下が挙げられる。
-300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシプロピレンジオール又はトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオール又はトリオールとしても示される);
-300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシエチレンジオール又はトリオール(ポリエチレングリコール(PEG)ジオール又はトリオールとしても示される);
-及びそれらの混合物。
【0031】
上記のポリエーテルポリオールは、従来の方法で調製することができ、広く市販されている。それらは、塩基性触媒(例えば、水酸化カリウム)又は複金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下で、対応するアルキレンオキシドの重合によって得ることができる。
【0032】
ポリエーテルジオールの例として、Dow社からVoranol(登録商標)P400の名称で販売されている、400g/molの範囲の数平均分子量(Mn)及び250~270mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するポリオキシプロピレンジオールを挙げることができる。ポリエーテルトリオールの例としては、Dow社によってVoranol(登録商標)CP450の名称で販売されている、450g/molの領域の数平均分子量(Mn)及び370~396mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するポリオキシプロピレントリオール、又はDow社によってVoranol(登録商標)CP3355の名称で販売されている、3554g/molの領域の数平均分子量を有するポリオキシプロピレントリオールを挙げることができる。
【0033】
200g/molを超える分子質量を有するポリエンポリオールは、ヒドロキシル末端基を含むポリエン、及びその対応する水素化又はエポキシ化誘導体から選択することができる。ポリエンポリオールは、場合により水素化又はエポキシ化されたヒドロキシル末端基を含むポリブタジエンから選択されてもよい。優先的には、本発明に従って使用され得るポリエンポリオール(複数可)は、場合により水素化又はエポキシ化されているブタジエンホモポリマー及びヒドロキシル末端基を含む共重合体から選択される。
【0034】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、ポリエンポリオールの「ヒドロキシル末端基」という用語は、ポリエンポリオールの主鎖の末端に位置するヒドロキシル基を意味する。
【0035】
上記の水素化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリジエンの二重結合の完全又は部分水素化によって得ることができ、したがって飽和又は不飽和である。
【0036】
上記のエポキシ化誘導体は、ヒドロキシル末端基を含むポリエンの主鎖の二重結合の化学選択的エポキシ化によって得ることができ、したがってその主鎖に少なくとも1つのエポキシ基を含む。
【0037】
言及され得るポリエンポリオールの例としては、ヒドロキシル末端基を含む飽和又は不飽和ブタジエンホモポリマーが挙げられ、これらは場合によりエポキシ化され、例えば、Cray Valley社によりPoly BD(登録商標)又はKrasol(登録商標)の名称で販売されているものが挙げられる。
【0038】
ポリカーボネートポリオールは、特に300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリカーボネートジオール又はトリオールから選択されてもよい。
【0039】
ポリカーボネートジオールの例としては、Novomer社によって販売されており、1000及び2000g/molに等しいそれぞれの数平均分子量(Mn)を有し、そのヒドロキシル価がそれぞれ112及び56mg KOH/gである、Converge(登録商標)Polyol 212-10及びConverge(登録商標)Polyol 212-20が挙げられる。
【0040】
-OH末端基を有するポリマーは、1つ以上のポリオールと1つ以上のポリイソシアネートとの間の重付加反応によって、NCO/OHモル比が厳密には1未満になるポリイソシアネート(複数可)及びポリオール(複数可)の量で得られてもよい。反応は、触媒の存在下で行われ得る。使用され得るポリオール及びポリイソシアネートは、-OH末端基を有するポリマーの調製に典型的に使用されるもの、例えば本特許出願に記載されるものであり得る。
【0041】
好ましい実施形態によれば、ポリオールA1は、200g/mol以下、優先的には150g/mol以下のモル質量を有するジオールから選択される。
【0042】
200g/mol以下のモル質量を有するジオールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサン-1,6-ジオール又はそれらの混合物を挙げることができる。
【0043】
好ましくは、ポリオールA1はジエチレングリコールである。
【0044】
-OH成分は、可塑剤、触媒、レオロジー添加剤、溶媒、顔料、接着プロモーター(例えばアミノシラン)、吸湿剤、UV安定剤(又は抗酸化剤)、染料、充填剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含み得る。これらの任意選択の添加剤の総含有量は、当該-OH成分の総重量に対して最大5重量%であり得る。
【0045】
-OH成分は、当該OH成分の総重量に対して、80重量%を超えるポリオール(複数可)A1、好ましくは90重量%を超える、優先的には95重量%を超える、更により優先的には99重量%を超えるポリオール(複数可)A1を含み得る。
【0046】
-OH成分は、23℃で1~3000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0047】
23℃での粘度の測定は、1999年に公開された規格ISO2555に従ってブルックフィールド粘度計を使用して実施することができる。典型的には、23℃で行われる測定は、粘度範囲に適したスピンドルを備えたブルックフィールドRVT粘度計を使用して、20毎分回転数(rpm)で行うことができる。
【0048】
-NCO成分
-NCO成分は、以下の工程:
E1)
i)8000~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールA2;
ii)200g/mol以下のモル質量を有し、少なくとも1つの二次OH官能基を含む、少なくとも1つのポリオールA3;
iii)少なくとも1つのポリイソシアネート;
iv)任意選択のポリオールA4
の、NCO/OHモル比(r1)が1.7~2.2、好ましくは1.8~2.1の範囲になるような量での重付加反応による少なくとも2つの-NCO末端官能基を含むポリウレタンプレポリマーP1の調製工程
及び
E2)NCO/NHモル比(r2)が10~25、好ましくは15~21の範囲になるような量の、工程E1)の終わりに形成された生成物と少なくとも1つのアミノシランとの反応工程
を含む方法によって得られた少なくとも1つのポリウレタンP2を含む組成物である。
【0049】
ポリエステルポリオールA2
ポリエステルポリオールA2は、8500g/molより大きい、好ましくは9000g/mol以上、更により優先的には10000g/mol以上の数平均分子量Mnを有する。
【0050】
ポリエステルポリオールA2は、好ましくは
-少なくとも1つの脂肪族ジオール(i);と
-テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸及びそれらのジエステル又は無水物誘導体から選択される少なくとも1つの芳香族二酸(ii);及び
-少なくとも1つの脂肪族二酸(iii)又はそのジエステル若しくは無水物誘導体と
の重縮合反応によって得られるコポリエステルである。
【0051】
数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(又はGPC)という用語でも示されるサイズ排除クロマトグラフィー(又はSEC)によって測定される。実施される較正は、通常、PEG(ポリエチレングリコール)又はPS(ポリスチレン)、好ましくはPSの較正である。
【0052】
ポリエステルポリオールA2のヒドロキシル価(NOHと示す)、より一般的にはポリオールのヒドロキシル価(NOHと示す)は、ポリオール1グラム当たりのヒドロキシル官能基数を表し、ISO14900:2017規格に従って滴定法によって決定される、ヒドロキシル官能基のアッセイに使用される水酸化カリウム(KOH)の当量ミリグラム数の形態で表される。NOHは、以下の関係によって数平均分子量Mnに関係づけられる。
NOH=(56.1x2x1000)/Mn
【0053】
脂肪族ジオール(i)は直鎖状であっても分岐状であってもよく、エチレングリコール(CAS:107-21-1)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-3-エチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-メチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-エチル-2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-4-エチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-3-エチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジプロピル-4-エチル-2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2,3-ジエチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2,4-ジエチル-3-プロピル-1,5-ペンタンジオール、3-ブチル-2-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:42856-62-2)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD、CAS:4457-71-0)、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール(CAS:2157-31-5)、2,2-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:3121-82-2)、3,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:53120-74-4)、2,3-ジメチル-1,5-ペンタンジオール(CAS:81554-20-3)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール-NPG、CAS:126-30-7)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(CAS:115-76-4)、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール(CAS:78-26-2)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(CAS:115-84-4)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(CAS:2163-42-0)、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール(CAS:14690-00-7)、2,2-ジベンジル-1,3-プロパンジオール(CAS:31952-16-6)、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール(CAS:24765-57-9)、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:15208-19-2)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:49623-11-2)、5-メチル-2-(1-メチルエチル)-1,3-ヘキサンジオール(CAS:80220-07-1)、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジオール、1,5-ヘキサンジオール(CAS:928-40-5)、3-メチル-1,6-ヘキサンジオール(CAS:4089-71-8)、3-(tert-ブチル)-1,6-ヘキサンジオール(CAS:82111-97-5)、1,3-ヘプタンジオール(CAS:23433-04-7)、1,2-オクタンジオール(CAS:1117-86-8)、1,3-オクタンジオール(CAS:23433-05-8)、2,2,7,7-テトラメチル-1,8-オクタンジオール(CAS:27143-31-3)、2-メチル-1,8-オクタンジオール(CAS:109359-36-6)、2,6-ジメチル-1,8-オクタンジオール(CAS:75656-41-6)、1,7-オクタンジオール(CAS:3207-95-2)、4,4,5,5-テトラメチル-3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオール(CAS:76779-60-7)、2,2,8,8-テトラメチル-1,9-ノナンジオール(CAS:85018-58-2)、1,2-ノナンジオール(CAS:42789-13-9)、2,8-ジメチル-1,9-ノナンジオール(CAS:40326-00-9)、1,5-ノナンジオール(CAS:13686-96-9)、2,9-ジメチル-2,9-ジプロピル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-64-0)、2,9-ジブチル-2,9-ジメチル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-65-1)、2,9-ジメチル-2,9-ジプロピル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-64-0)、2,9-ジエチル-2,9-ジメチル-1,10-デカンジオール(CAS:85018-63-9)、2,2,9,9-テトラメチル-1,10-デカンジオール(CAS:35449-36-6)、2-ノニル-1,10-デカンジオール(CAS:48074-20-0)、1,9-デカンジオール(CAS:128705-94-2)、2,2,6,6,10,10-ヘキサメチル-4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオール(CAS:112548-49-9)、1-フェニル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:109217-58-5)、2-オクチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:48074-21-1)、2,10-ジエチル-2,10-ジメチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:85018-66-2)、2,2,10,10-テトラメチル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:35449-37-7)、1-フェニル-1,11-ウンデカンジオール(CAS:109217-58-5)、1,2-ウンデカンジオール(CAS:13006-29-6)、1,2-ドデカンジオール(CAS:1119-87-5)、2,11-ドデカンジオール(CAS:33666-71-6)、2,11-ジエチル-2,11-ジメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-68-4)、2,11-ジメチル-2,11-ジプロピル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-69-5)、2,11-ジブチル-2,11-ジメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:85018-70-8)、2,2,11,11-テトラメチル-1,12-ドデカンジオール(CAS:5658-47-9)、1,11-ドデカンジオール(CAS:80158-99-2)、11-メチル-1,7-ドデカンジオール(CAS:62870-49-9)、1,4-ドデカンジオール(CAS:38146-95-1)、1,3-ドデカンジオール(CAS:39516-24-0)、1,10-ドデカンジオール(CAS:39516-27-3)、2,11-ジメチル-2,11-ドデカンジオール(CAS:22092-59-7)、1,5-ドデカンジオール(CAS:20999-41-1)、6,7-ドデカンジオール(CAS:91635-53-9)、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選択される。
【0054】
好ましくは、ジオール(i)は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール(又はプロパン-1,2-ジオール)、プロパン-1、3-ジオール、(1,4-、1,3-又は1,2-)ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール又はシクロヘキサンジメタノールから選択される。
【0055】
好ましいバリアントによれば、ジオール(i)は、エチレングリコール及びジエチレングリコールから選択される。
【0056】
更により好ましくは、エチレングリコール及びジエチレングリコールからそれぞれなる2つのジオール(i)が使用される。
【0057】
モノマー(ii)として用いられ得るテレフタル酸、イソフタル酸又はフタル酸のジエステル誘導体の中でも、テレフタル酸ジメチル又はイソフタル酸ジメチルを含む例が言及され得る。モノマー(ii)の芳香族二酸の無水物誘導体の例としては、無水フタル酸が言及され得る。
【0058】
好ましくは、それぞれテレフタル酸及びイソフタル酸からなる2つの二酸(ii)が使用される。
【0059】
脂肪族二酸(iii)は、直鎖又は分岐であってもよく、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸及びコハク酸から選択される。
【0060】
好ましくは、脂肪族二酸(iii)としてアジピン酸が使用される。
【0061】
好ましい実施形態によれば、ポリエステルポリオールA2は、非晶質ポリエステルポリオールである。
【0062】
本発明の目的のために、別途指定のない限り、「非晶質ポリエステルポリオール」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)によって分析した場合に融点を有さないことが示されているポリエステルポリオールを意味する。
【0063】
好ましい実施形態によれば、ポリエステルポリオールA2は、
-それぞれエチレングリコール及びジエチレングリコールからなる2つの脂肪族ジオール(i)と、
-それぞれテレフタル酸及びイソフタル酸からなる2つの二酸(ii)、及び
-脂肪族二酸(iii)としてのアジピン酸と
の重縮合によって得られる。
【0064】
モノマー(ii)及び場合により(iii)の一部がジエステル誘導体、例えばメチル又はエチルジエステル誘導体である場合、当該モノマーは、第1の工程において、1つ以上のジオールモノマー(i)と混合され、当該混合物は、好ましくはチタン系又は亜鉛系触媒の存在下でエステル交換反応を実施し、形成されたメタノール又はエタノールを除去するために、190℃までの範囲であり得る温度にされる。第2の工程では、二酸であるモノマー(ii)及び場合により(iii)を、1つ以上のジオールモノマー(i)との混合物として添加し、反応媒体は、エステル化反応を行い、形成された水を除去する230℃までの範囲であり得る温度にされる。最後に、第3の工程において、圧力を約5mbar未満の値に下げ、反応媒体を250℃の領域の値までより高い温度にして、ポリエステルポリオールの鎖の長さを増加させて所与のNOH値を達成する。
【0065】
ポリエステルポリオールA2は、乾燥形態又は溶媒和物形態であってもよい。溶媒は、例えば、エステル、ケトン及び芳香族化合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物から選択され得る。
【0066】
ポリオールA3
ポリオールA3の数平均モル質量Mnは、150g/mol以下であり得る。
【0067】
ポリオールA3のヒドロキシル官能性は、2~6の範囲であり得る。好ましくは、ポリオールA3のヒドロキシル官能性は2である。ヒドロキシル官能性は、ポリオール1モル当たりのヒドロキシル官能性の平均数である。
【0068】
ポリオールA3は、1,2-プロパンジオール又はモノプロピレングリコール(CAS:57-55-6)、ジプロピレングリコール(CAS:25265-71-8)、トリプロピレングリコール(CAS:24800-44-0)、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール(CAS:2157-31-5)、5-メチル-2-(1-メチルエチル)-1、3-ヘキサンジオール(CAS:80220-07-1)、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジオール、1,3-ヘプタンジオール(CAS:23433-04-7)、1,2-オクタンジオール(CAS:1117-86-8)、1,3-オクタンジオール(CAS:23433-05-8)、1,7-オクタンジオール(CAS:3207-95-2)、1,2-ノナンジオール(CAS:42789-13-9)、1,5-ノナンジオール(CAS:13686-969)、1,9-デカンジオール(CAS:128705-94-2)、1,2-ウンデカンジオール(CAS:13006-29-6)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0069】
ポリオールA3は、好ましくは、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びそれらの混合物から選択される。
【0070】
任意選択のポリオールA4
工程E1)で得られたポリウレタンプレポリマーP1は、上記のポリオールA2及びA3とは異なるポリオールA4の存在下で調製され得る。
【0071】
ポリオールA4のヒドロキシル官能性は、好ましくは3である。ヒドロキシル官能性は、ポリオール1モル当たりのヒドロキシル官能性の平均数である。
【0072】
ポリオールA4は、グリセロール、三官能性ポリエーテルポリオール(トリオール)、1~20個の炭素原子及び3個のメチロール基を含むアルカンを含むトリメチロールアルカンから選択され得る。
【0073】
三官能性ポリエーテルポリオールの中で、言及され得る例としては、直鎖又は分岐鎖のアルキレン部分が1~4個の炭素原子、より優先的には2~3個の炭素原子を含むポリオキシアルキレントリオールが挙げられる。それらは、例えば、300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシプロピレントリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)トリオールとしても示される)、又は300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシエチレントリオール(ポリエチレングリコール(PEG)トリオールとしても示される)であり得る。
【0074】
三官能性ポリエーテルポリオールは、従来から調製することができ、広く市販されている。それらは、塩基性触媒(例えば、水酸化カリウム)又は複金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下で、対応するアルキレンオキシドの重合によって得ることができる。
【0075】
ポリエーテルトリオールの例として、450g/molの領域の数平均分子量(Mn)及び370~396mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有するDow社によってVoranol(登録商標)CP450の名称で販売されているポリオキシプロピレントリオール、又は3554g/molの領域の数平均分子量を有するDow社によってVoranol(登録商標)CP3355の名称で販売されているポリオキシプロピレントリオール、又は約5948g/molの数平均分子量及び28.3mg KOH/gに等しいヒドロキシル価NOHを有する三官能性PPGであるAcclaim(登録商標)6300を挙げることができる。
【0076】
1~20個の炭素原子を含むアルカン及び3個のメチロール基を含むトリメチロールアルカンの中でも、例えば、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロール(n-ブタン)、トリメチロールイソブタン、トリメチロール(s-ブタン)、トリメチロール(t-ブタン)、トリメチロールペンタン、トリメチロールヘキサン、トリメチロールヘプタン、トリメチロールオクタン、トリメチロールノナン、トリメチロールデカン、トリメチロールウンデカン及びトリメチロールドデカンを含む例が言及され得る。
【0077】
好ましくは、ポリオールA4は、1~20個の炭素原子を含有するアルカン及び3個のメチロール基を含むトリメタノールアルカンから選択され、更により優先的にはトリメチロールプロパンである。
【0078】
ポリイソシアネート
ポリイソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート、及びそれらの混合物から選択され得る。
ジイソシアネートのうち、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-HMDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン(MPDI)、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、(2,5)-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5-NBDI)、(2,6)-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6-NBDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6-XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6-XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特に、m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、トルエンジイソシアネート(特に、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特に4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)及び/又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI))、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(特にテトラメチル(メタ)キシリレンジイソシアネート)、例えば以下の式(Y)を有するPDIアロファネート(n=5)又はHDIアロファネート(n=6):
(Y)
(式中、pは1~2の範囲の整数であり、qは0~9、好ましくは2~5の範囲の整数であり、R
cは1~20個の炭素原子、好ましくは6~14個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、環状又は非環状、直鎖又は分岐炭化水素系鎖を表し、R
dは2~4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐二価アルキレン基、好ましくは二価プロピレン基を表す);
及びそれらの混合物からなる群を含む例が言及され得る。
【0079】
ジイソシアネートは、好ましくは芳香族ジイソシアネート、アリール脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートである。
【0080】
好ましくは、ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(特に、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)及び/又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI))、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特にm-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))及びHDI又はPDIアロファネートから選択される。
【0081】
トリイソシアネートの中でも、イソシアヌレート、ビウレット、及びジイソシアネートとトリオールとの付加物を含む例が言及され得る。
【0082】
イソシアヌレートは、イソシアヌレートの70重量%以上の純度を有する(ポリ)イソシアヌレートの技術的混合物の形態で使用することができる。
【0083】
言及され得るジイソシアネートトリマーの例としては、以下が言及され得る。
-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートトリマー:
-イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレートトリマー:
【0084】
本発明に従って使用することができるジイソシアネート及びトリオールの付加物の例として、以下に示すようなメタキシリレンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンの付加物が言及され得る。この付加物は、例えばMitsui Chemicals,Inc.からTakenate(登録商標)D-110Nの名称で販売されている。
【0085】
ポリイソシアネートは、広く市販されている。例として、約95%の純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorex社によって販売されているScuranate(登録商標)TX、99重量%を超える純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorex社によって販売されているScuranate(登録商標)T100、及びIPDIに対応する、Covestro社によって販売されているDesmodur(登録商標)Iが言及され得る。
【0086】
好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネートはジイソシアネートであり、更により優先的にはジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0087】
ジフェニルメタンジイソシアネートは、その総重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95%の4,4’異性体を含み得る。
【0088】
例えば、Dow社のIsonate(登録商標)M125が言及され得、その4,4’異性体含有量は少なくとも97重量%であり、2,2’異性体含有量は0.1%未満である。この生成物の-NCO基のパーセンテージ(重量/重量ベースで表される)は33.6%に等しい。
【0089】
工程E1-ポリウレタンP1の合成
工程E1)の間、重付加反応は、95℃未満、例えば50℃~80℃の温度で行われ得る。
【0090】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、(r1)は、工程E1)の反応媒体中に存在するポリイソシアネート(複数可)及びポリオール(複数可)の全てによるイソシアネート基(NCO)の数とヒドロキシル基(OH)の数とのモル比に対応するNCO/OHモル比である。
【0091】
工程E1)の重付加反応は、少なくとも1つの反応触媒の存在下又は非存在下で実施することができる。
【0092】
触媒は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応によるポリウレタンの形成を触媒するための当業者に公知の任意の触媒であり得る。
【0093】
工程E1)の反応媒体の重量に対して、最大0.3重量%の範囲の量の触媒(複数可)を使用することができる。
【0094】
工程E1)の反応は、溶媒の存在下で行うこともできる。溶媒は、エステル、ケトン及び芳香族化合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒は、工程E1)中に添加されてもよく、又は当該溶媒に溶解した出発試薬に由来してもよい。溶媒は、例えば、エステル、ケトン及び芳香族化合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物から選択され得る。
【0095】
ポリウレタンP1は、ポリウレタンP1の総重量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは1重量%~3重量%の範囲のNCO基の質量含有量を有し得る。
【0096】
ポリウレタンプレポリマーP1を得るための上記の一連の条件は、有利には、ポリウレタンプレポリマーP1が、反応生成物中に存在する過剰の未反応ジイソシアネートモノマー(複数可)を除去又は低減するために、例えば先行技術で使用されるような精製、蒸留又は選択的抽出方法によって処理する必要なく、-NCO成分の調製においてその合成直後に使用することができるように、反応の終わりに十分に低い未反応ジイソシアネートモノマーの濃度を得ることを可能にする。
【0097】
したがって、得られた-NCO成分は、-NCO成分(乾燥抽出物)の重量に対して3.5重量%以下(好ましくは3.0重量%以下)のジイソシアネートモノマー(複数可)の含有量を含み得る。
【0098】
工程E2-ポリウレタンP2の合成
工程E2)は、95℃未満、例えば40℃~80℃の温度で実施され得る。
【0099】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、(r2)は、イソシアネート基NCOの数対NH官能基の数のモル比に対応するNCO/NHモル比であり、全てのイソシアネート(特に、工程E1の終了時に反応しなかったNCO末端基を有するポリウレタン及び任意選択的にポリイソシアネート)、及び工程E2)の反応媒体中に存在するアミノシランによってそれぞれ運ばれる。
【0100】
工程E2)の重付加反応は、少なくとも1つの反応触媒の存在下又は非存在下で実施することができる。
【0101】
触媒は、当業者に公知の任意の触媒であり得る。工程E2)の反応媒体の重量に対して、最大0.3重量%の範囲の量の触媒(複数可)を使用することができる。
【0102】
工程E2)の反応は、溶媒の存在下で行うこともできる。溶媒は、エステル、ケトン及び芳香族化合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得る。溶媒は、工程E1)中、工程E2)中に添加されてもよく、又は当該溶媒に溶解した出発試薬に由来してもよい。溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物から選択され得る。
【0103】
アミノシラン
アミノシランは、特に、工程E1)の終了時に得られるポリウレタンプレポリマーP1の-NCO官能基と反応性である官能基としてアミン官能基を含有する。
【0104】
アミノシランは、好ましくは以下の式(I)を有し、
(R
4O)
3-p(R
3)
pSi-R
1-NH-R
2(I)
式中、
-R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1~10個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の一価の炭化水素系ラジカルを表し、
-R
4は、同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の一価の炭化水素系ラジカルを表すか、
又は2つのR
4基が環を形成することができ、
-pは、0、1又は2に等しい整数、好ましくは0又は1に等しく、更により好ましくは0に等しく、
-R
1は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の二価アルキレンラジカルを表し、R
3は優先的にメチレン又はn-プロピレンを表し、
-R
2は、H、直鎖若しくは分岐アルキルラジカル、アリールアルキルラジカル、1~20個の炭素原子を含む環状ラジカル、又は以下の式(II)を有するラジカルであり、
式中、
-R
7及びR
8は、互いに独立して、水素又は-R
9、-COOR
9及び-CNからなる群から選択されるラジカルであり、
-ラジカルR
10は、水素、又は-CH
2-COOR
9、-COOR
9、-CONHR
9、-CON(R
9)
2、-CNからなる群から選択されるラジカルであり、
ラジカルR
9は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を含む1個~20個の炭素原子を含む炭化水素系ラジカルである。
【0105】
特に、式(II)のラジカルは、以下のラジカルのうちの1つから選択することができ、
式中、R
9は先に定義した通りである。
【0106】
好ましい実施形態によれば、式(I)のアミノシランは、
-R3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、
-R4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、
-pは0、1又は2に等しい整数であり、好ましくはpは0であり、
-R1は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の二価アルキレンラジカルを表し、R1は優先的にn-プロピレンを表し、
-R2はHを表す。
【0107】
上記式(I)のアミノシランは、好ましくは第1級アミノシラン、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン;第2級アミノシラン、例えば、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;第1級アミノシラン、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン又は3-アミノプロピルジメトキシメチルシランとマイケル受容体、例えばアクリロニトリル、アクリル酸エステル、アクリルアミド、マレイン酸ジエステル、メチレンマロン酸ジエステル、イタコン酸ジエステルとのマイケル付加の反応生成物である。
【0108】
好ましくは、アミノシランは3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0109】
アミノシランは、市販されていてもよく、例えば、Evonikによって販売されているDynasylan(登録商標)1189、又はMomentiveによって販売されているSilquest(登録商標)A1100であってもよい。
【0110】
ポリウレタンP2
-NCO成分は、当該-NCO成分の総重量に対して、20重量%~100重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より優先的には40重量%~80重量%のポリウレタン(複数可)P2(乾燥抽出物)を含み得る。
【0111】
ポリウレタンP2は、単一のポリマー又はポリマーブレンドであってもよい。
【0112】
ポリウレタンP2は、ポリウレタンP2の総重量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは0.8重量%~3重量%の範囲のNCO基の質量含有量を有し得る。
【0113】
ポリウレタンP2は、少なくとも1つのイソシアネート基及びアミノシランに由来する少なくとも1つのシリル化基を含み得る。これらの基は、主鎖の末端に、及び/又は主鎖に沿った側鎖基として配置されてもよい。
【0114】
好ましくは、ポリウレタンP2は、主鎖の一方又は両方の末端にアミノシランから誘導されるシリル基を含むが、側基としては含まない(2以下のシリル基官能性)。
【0115】
-NCO成分(乾燥抽出物)は、23℃で2000mPa.s~8000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0116】
NCO成分
-NCO成分は、可塑剤、触媒、レオロジー剤、溶媒、顔料、接着プロモーター、吸湿剤、UV安定剤(又は抗酸化剤)、染料、充填剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含み得る。
【0117】
-NCO成分は、例えば、当該-NCO成分の総重量に対して0.001重量%~1重量%の範囲の含有量でリン酸を含み得る。リン酸は、工程E1の間、工程E1の後、工程E2の間、又は工程E2の後に添加することができる。
【0118】
-NCO成分は、-NCO成分の総重量に対して、好ましくは10重量%~60重量%の範囲、より優先的には15重量%~50重量%の範囲、更により優先的には20重量%~45重量%の範囲の量の少なくとも1つの溶媒を含み得る。
【0119】
溶媒は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、キシレン、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン等の有機溶媒及びアルコール性溶媒、又はIsane(登録商標)(Total社から入手可能なイソパラフィンに基づく)若しくはExxol(登録商標)D80(ExxonMobil Chemical社から入手可能な脂肪族炭化水素に基づく)から選択されてもよい。
【0120】
好ましくは、-NCO成分は酢酸エチルを含む。
【0121】
-NCO成分はまた、3つのNCO末端基を含むポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートとトリオールとの付加物を含んでもよい。その含有量は、当該-NCO成分の総重量に対して10重量%以下であり得る。
【0122】
好ましくは、-NCO成分は、XDI系トリイソシアネートを含まず、より詳細には、-NCO成分はあらゆるトリイソシアネートを含まない。
【0123】
好ましい実施形態によれば、-NCO成分は、
-30重量%~90重量%、より優先的には40重量%~80重量%のポリウレタン(複数可)P2)(乾燥抽出物);
-10重量%~60重量%、より優先的には15重量%~50重量%、更により優先的には20重量%~45重量%の溶媒(複数可);
-0重量%~1重量%、好ましくは0.001重量%~1重量%のリン酸
を含み、
パーセンテージは、当該-NCO成分の総重量に対する重量パーセンテージである。
【0124】
組成物
当該組成物中の-NCO及び-OH成分の量は、-NCO/-OH当量モル比が1.7~3、好ましくは1.9~2.5、更により優先的には2~2.2の範囲内にあるような量であり得る。
【0125】
用語「-NCO/-OH当量モル比」とは、-NCO基の当量数(-NCO成分中に存在)と-OH基の当量数(-OH成分中に存在)との比を意味する。
【0126】
示されている比率での-NCO成分と-OH成分との混合は、ラミネート機が始動される前に、ラミネート機のオペレータによって23℃で行われ得る。このようにして得られた接着剤組成物の粘度は、溶媒の単純な添加によって調整することができ、実際には30%~40%重量/重量の範囲であり得る接着剤組成物の乾燥抽出物の最終量が得られる。このようにして得られた接着剤組成物は、ラミネート機での使用及びラミネート機の正しい動作に完全に適し得る。
【0127】
使用
本発明の主題はまた、接着剤層によって互いに接合された少なくとも2つの材料層を含む多層(複合)構造であり、当該接着剤層が架橋状態の本発明による組成物からなることを特徴とする。
【0128】
接着剤層の厚みは、1.2~5μmであることが好ましい。
【0129】
接着剤層は、本発明による組成物を好ましくは0.5~5g/m2の範囲の量で架橋することによって得ることができる。
【0130】
接着剤層を取り囲む材料層が作製される材料は、一般に、紙、金属、例えばアルミニウム、又は熱可塑性樹脂ポリマー、例えば、
-ポリエチレン(PE)、
-ポリプロピレン(PP)、
-エチレン及びプロピレンに基づく共重合体、
-ポリアミド(PA)、
-ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はその他
-エチレンに基づく共重合体、例えば無水マレイン酸グラフト化共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体(EVA)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体(EVOH)、エチレンとアクリル酸アルキルとの共重合体、例えばアクリル酸メチル(EMA)又は酢酸ブチル(EBA)、
-ポリスチレン(PS)、
-ポリ塩化ビニル(PVC)、
-ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、
-乳酸のポリマー若しくは共重合体(PLA)、又は
-ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)
から選択される。
【0131】
材料の個々の層は、それ自体いくつかの材料からなり得る。これは、例えば、2つのポリマーの共押出によって得られた熱可塑性樹脂ポリマーの層(この場合、共押出された層の間に接着剤はない)であってもよく、熱可塑性樹脂ポリマーの個々の層はまた、追加のバリア効果を加えるために物質(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素に基づく)でコーティングされてもよく、又は金属化されてもよい(アルミニウム粒子で金属化されたPETの場合)。
【0132】
接着剤層に隣接する2つの材料層及び本発明による多層構造体に使用される他の材料層の厚さは、例えば5~150μmの広い範囲内で変化し得る。当該構造体の総厚はまた、例えば20~400μmの広い範囲内で変化しやすい可能性がある。
【0133】
好ましくは、多層構造体は多層フィルムの形態である。
【0134】
好ましいバリアントによれば、フィルムは、2~4層の材料の薄層を含み、当該フィルムは、2層、3層又は4層でそれぞれ示される。
【0135】
一実施形態によれば、当該フィルムは、3層フィルム:PET/ALU/PE(二配向ポリエステル)である。
【0136】
本発明の主題はまた、本発明による多層(複合)構造体を製造する方法であり、以下の工程
-OH及び-NCO成分を混合し、必要に応じて有機溶媒で希釈して接着剤混合物を形成する工程と、次いで
-第1の材料層の表面上に当該接着剤混合物をコーティングする工程と、次いで
-有機溶媒を蒸発させる工程と、次いで、
-第1の材料層でコーティングされた表面上に第2の層の表面をラミネートする工程と、次いで
-当該接着剤混合物を架橋する工程と、
を含む。
【0137】
-OH成分と-NCO成分とを混合する工程は、適用前に、室温(23℃)で行ってもよく、又は加熱して行ってもよい。
【0138】
好ましくは、混合は、-OH及び-NCO成分の一方又は他方に含まれる成分の分解温度未満の温度で行われる。特に、混合は、あらゆる熱分解も回避するために、95℃未満、好ましくは15~80℃の範囲、より好ましくは25℃~50℃の範囲の温度で行われる。
【0139】
当該混合物は、材料の表面の全部又は一部にコーティングされてもよい。特に、当該混合物は、1.5~5μmの範囲の厚さを有する層の形態でコーティングされてもよい。コーティングは、連続的又は実質的に連続的に行うことが好ましい。
【0140】
場合により、材料の表面上の当該混合物の架橋は、コーティングされた材料(複数可)を70℃以下の温度に加熱することによって促進することができる。この架橋反応を完了し、したがって必要なレベルの凝集を確実にするのに必要な時間は、一般に0.5~24時間程度である。
【0141】
第2の材料のコーティング及びラミネートは、一般に、当業者に周知のように、すなわち接着剤層が接着結合によって2つの材料を付着する能力を失う前に、コーティング方法と適合性である時間間隔内で行われる。
【0142】
場合により、材料の表面上の当該混合物の架橋は、コーティングされた材料(複数可)を70℃以下の温度に加熱することによって促進することができる。この架橋反応を完了し、したがって必要なレベルの凝集を確実にするのに必要な時間は、一般に0.5~24時間程度である。
【0143】
本発明はまた、フレキシブル包装の製造のための本発明による多層(複合)構造体の使用に関する。具体的には、本発明による複合体は、非常に多様なフレキシブル包装の製造に使用することができ、これらは、ヒートシーリング(又は熱溶着)技術によって形成され、次いで(消費者向けの製品を包装する工程の後に)閉じられる。
【0144】
特に、本発明による複合体は、毒性のリスクなしに食品包装に使用することができる。食品用の包装は、使用前に90℃~135℃の範囲の温度で熱処理することができる。
【0145】
多層構造体は、食品を包装することを目的としたフレキシブル包装を製造するのに有利に適している。
【0146】
本発明による接着剤組成物は、有利には、架橋後に、包装される異なる種類の成分に対して良好な耐薬品性を有する多層構造体をもたらす。
【0147】
また、有利には、残留モノマー含有量が減少し、芳香族アミン(PAA)の形成を劇的に減少させることができる。
【0148】
本発明による接着剤組成物は、有利には、多くの攻撃的成分(架橋後)に対する多層構造体の良好な耐薬品性、低毒性、及び良好な接着特性の間の良好な妥協点をもたらす。
【0149】
上述した全ての実施形態を互いに組み合わせてもよい。特に、組成物の上記の様々な構成成分、特に組成物の好ましい実施形態は、互いに組み合わせることができる。
【0150】
本発明の文脈において、「xとyとの間」又は「x~yの範囲」という用語は、限界x及びyが含まれる範囲を意味する。例えば、「0%~25%」の範囲は、特に0%及び25%の値を含む。
【0151】
ここで、本発明を以下の実施例で説明するが、これらは純粋に例示として与えられており、その範囲を限定するために解釈されるべきではない。
【実施例】
【0152】
以下の化合物を実施例で使用した:
-Perstorpから入手可能なトリメチロールプロパン(TMP)(CAS77-99-6)(モル質量=134g/mol);
-BASFから入手可能なモノプロピレングリコール(CAS57-55-6)(モル質量=76g/mol);
-Dowから入手可能なIsonate(登録商標)M125:少なくとも97%の4,4’異性体を含有するMDI異性体の混合物。その官能性は2に等しく、そのNCOパーセンテージは33.6%である。
-Covestroから入手可能なDesmodur(登録商標)L75:酢酸エチル中に75%固形分を含有するトルエンジイソシアネート及びトリメチロールプロパンのTDI/TMP付加物。そのNCOパーセンテージは13.3%である;
-Momentive社から販売されており、179.29g/molに等しいモル質量を有するγ-アミノプロピルトリエトキシシランに対応するSilquest(登録商標)A1100;
-Prayonから入手可能なリン酸;
-Sabicから入手可能なジエチレングリコール
【0153】
実施例1:ポリエステルポリオールA2の調製
35.120gのモノエチレングリコール及び154.435gのジエチレングリコールを、撹拌機、蒸留塔、加熱手段及び温度計を備え、真空ポンプに接続された閉鎖された1リットル反応器に入れる。
【0154】
反応混合物の温度が120℃に達したら、以下を反応器に導入する:アジピン酸76.190g、イソフタル酸170.035g、テレフタル酸64.165g及びチタンキレート系触媒0.035g(DuPont社のTyzor(登録商標)LA)。
【0155】
次に、3時間で230℃の温度に達するように温度勾配をプログラムする。次いで、酸価(Na)を測定する。酸価Naが25mg KOH/g未満になったら反応を停止する。次いで、(DuPont社の式(nBuO)4Ti、Tyzor(登録商標)TnBTの)0.020gのチタン系触媒を導入し、次いで、反応器を減圧下に置き(2時間で15mbarに達する)、反応混合物を240℃に加熱する。
【0156】
Na及び180℃でのブルックフィールド粘度の測定を行う。Naが3mg KOH/g未満であり、粘度が8000~9000mPa.sの間であるとき、反応を停止する。
【0157】
続いて、得られたポリエステルポリオールを200℃に冷却し、次いで撹拌しながら室温で酢酸エチルにゆっくり注いで、59.47%重量/重量の溶液を形成する。
【0158】
このようにして得られたポリエステルポリオールのNOHは、ISO規格14900:2017に従って測定し、10mg KOH/gに等しく、11220g/molのMnに対応する。
【0159】
実施例2:-NCO成分(2A、2B、2C)
ポリイソシアネート(Desmodur(登録商標)L75を除く)及びポリオールを、窒素下に維持され、絶えず撹拌しながら、75℃~77℃の範囲の温度で、表1に示す量で反応器中で混合する。ポリオールのヒドロキシル官能基が完全に消費されるまで、全体をこの温度で撹拌し続ける。反応の進行は、標準NF T52-132に従って、塩酸を用いたジブチルアミンの逆滴定によってNCO基の含有量を測定することによって監視される。測定されたNCO基含有量が所望のNCO基含有量にほぼ等しい場合、リン酸を反応混合物に添加し(70℃未満の温度で)、次いで、反応媒体を均質化するために30分間撹拌する。次いで、Silquest(登録商標)A1100を加える(70℃未満の温度)。反応混合物を30分間撹拌し、続いてDesmodur(登録商標)L75を添加する。Desmodur(登録商標)75は希釈剤として作用し、いかなる化学反応にも関与しない。混合物を60~70℃で均質化(30分間)した後、23℃でのブルックフィールド粘度及び固体含有量を測定する。
【0160】
実施例3:-NCO成分(3A)
ジイソシアネート(複数可)及びポリオールを、窒素下に維持し、絶えず撹拌しながら、75℃~77℃の範囲の温度で、表1に示す量で反応器中で混合する。ポリオールのヒドロキシル官能基が完全に消費されるまで、全体をこの温度で撹拌し続ける。反応の進行は、標準NF T52-132に従って、塩酸を用いたジブチルアミンの逆滴定によってNCO基の含有量を測定することによって監視される。測定されたNCO基含有量が所望のNCO基含有量にほぼ等しい場合、リン酸を反応混合物に添加し(70℃未満の温度で)、次いで、反応媒体を均質化するために30分間撹拌する。次いで、Silquest(登録商標)A1100を加える(70℃未満の温度)。
【0161】
実施例4:二成分接着剤組成物
-OH成分を、溶媒を用いて実施例2(2A、2B又は2C)又は実施例3(3A)の-NCO成分と混合して接着剤混合物を流動化し、次いで、所与の重量比で室温(23℃)でラミネート計量ローラ間に導入して、所与のNCO/OHモル比を達成することを可能にする。
【0162】
【0163】
実施例8:PET/ALU/PE3層フィルム
第1のPETフィルム、第2のアルミニウムフィルム及び第3のPEフィルムからなる3層フィルムを調製する。
【0164】
厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、厚み12μmのアルミニウム(ALU)フィルム、厚み15μmの二軸延伸ポリエステル(PE)フィルムを用いる。試験は、バリア層(アルミニウム)を含む構造に対して意図的に行われる。
【0165】
この3層フィルムは、実施例1/2~1/6のそれぞれについて、ノルドメカニカ型ラミネート機のタンクに二成分接着剤組成物を供給し、逐次工程により得られる。
【0166】
当該ラミネート機は、常温及び50m/分の運転速度で動作する開放タンクを有するローラ型のコーティング装置を備える。各PET/ALU及びALU/PE接触面で3つのフィルムを結合する接着剤層は、約2μmの厚さを有する。
【0167】
この3層フィルムについて、以下の試験を行う。
【0168】
A.180°剥離試験
三層フィルムの凝集性は、180°剥離試験によって評価される。
【0169】
180°剥離試験は、フランス規格NF T 54-122に記載されている通りである。この試験の原理は、フィルムの2つの個々の層を分離(又は剥離)するのに必要な力を決定することにあり、これらの層は二成分接着剤(OH成分/NCO成分)によって結合される。
【0170】
製造後、室温(23℃)、相対湿度(RH)50%の雰囲気下で保管する。試料を採取し、180°剥離試験に供する。
【0171】
三層フィルムから幅15mm、長さ約10cmの長方形の試験片を切り出す。このストリップに含まれるフィルムの2つの個々の層(PET/ALUとPEとの間)は、この試験片の端部から約2cmにわたって手動で取り外され、こうして得られた2つの自由端は、垂直軸上に位置する引張試験装置の固定部及び可動部にそれぞれ接続された2つの締結装置に取り付けられる。
【0172】
駆動機構が可動部分に100mm/分の均一な速度を与え、その結果、分離された端部が180°の角度を形成して垂直軸に沿って徐々に移動する二層の分離がもたらされるが、固定部分は、ダイナモメータに接続され、こうして保持された試験片が耐える力を測定し、N/15mmで表される。
【0173】
B耐薬品性の評価方法
小袋は、実施例8に示すPET/ALU/PE三層複合体から作製される(切断テンプレート12.2x10.2cm;模擬物と接触する表面積240cm2)。小袋に20gの模擬物を充填する(オレンジジュースを85℃で導入し、他の模擬物を23℃で導入する)。小袋を40℃の温度に25日間維持された気候室に置く。
【0174】
剥離力は、エージングの前後に測定される(動的モニタリング)。
【0175】
エージング後の剥離力は、初期値の40%未満であってはならない。
【0176】
【0177】
アルミニウムとポリエチレンとの間で得られた剥離値は、4N/15mmより高く、試験した様々な模擬物の攻撃性(アルコール、酸、高温導入)を考慮して完全に満足のいくものである。
【国際調査報告】