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特表2024-512451エンテカビル(ETV)の抗ウイルス性プロドラッグおよびその製剤
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  • 特表-エンテカビル(ETV)の抗ウイルス性プロドラッグおよびその製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】エンテカビル(ETV)の抗ウイルス性プロドラッグおよびその製剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 473/18 20060101AFI20240312BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240312BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
C07D473/18 CSP
A61K31/522
A61P43/00 111
A61P31/12
A61P1/16
A61P29/00
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/48
A61K47/44
A61K47/38
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556761
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022071137
(87)【国際公開番号】W WO2022198195
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,719
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】501244222
【氏名又は名称】ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャタジー,アルナブ ・ケー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,アニル
(72)【発明者】
【氏名】エリアセン,アンダース・ミカル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA22
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB21
4C076BB32
4C076CC04
4C076CC16
4C076CC29
4C076CC35
4C076DD09E
4C076DD17E
4C076EE23E
4C076EE32
4C076EE53
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA752
4C084ZB112
4C084ZB332
4C086AA01
4C086AA03
4C086CB07
4C086GA15
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA67
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】
化合物、組成物、ならびにRおよびRが本明細書で定義される構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することによって、対象におけるHBVの感染症を治療および/または予防するためのそれらの使用方法が本明細書で提供される。
【化1】
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって:
【化1】
式中、
がHであるか、またはX-Lであり、
m=1または2であり、
X-Lが、-C(=O)L、-C(=O)OL、-C(=O)NH(L)、-C(=O)N(L)、-CH(R)OC(=O)L、-C(=O)CH(R)-NH(L)、-C(=O)CH(R)-N(L)、-P(=O)(NHL)、-P(=O)(NHL)(NL)、または-P(=O)(NLであり、
各Lが、独立して、(C1-22、直鎖および分岐)アルキル、(C3-22、直鎖および分岐)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、n=0または1である(CHR)-フェニル、および-CHR-N(R)2から選択され、
またはRが、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートモノアミダート、ホスフェートジモノアミダート、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含むリン酸残基またはその誘導体残基であり、
Rが、H、(C1-22)アルキル、(C3-22)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、または(C6-C12)アリールであり、
がHであるか、またはX-Lであり、
またはRが、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートモノアミダート、ホスフェートジアミダート、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含む、リン酸残基またはその誘導体残基であり、
およびRが、同時にHではない、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRの各々がX-Lである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
X-Lが-C(=O)Lである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
以下の表から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【表1】
【請求項5】
結晶形態であり、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される9.00、17.28、21.72、および23.80 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする、請求項4に記載の化合物11。
【化2】
【請求項6】
前記ディフラクトグラムが、以下のピーク:11.74、19.48、25.00、および27.16 °2θ±0.20 °2θをさらに含む、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
結晶形態であり、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される16.44、19.36、20.88および26.46 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする、請求項4に記載の化合物36。
【化3】
【請求項8】
前記ディフラクトグラムが、以下のピーク:15.18、22.16、24.56、および28.58 °2θ±0.20 °2θをさらに含む、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
結晶形態であり、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される12.30、18.62、20.34、および25.54 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする、請求項4に記載の化合物29。
【化4】
【請求項10】
前記ディフラクトグラムが、以下のピーク:14.96、16.54、21.38、および27.74 °2θ±0.20 °2θをさらに含む、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
前記薬学的に許容される担体が、ゴマ油、ヒマシ油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む製剤であって、前記化合物が、水溶性セルロース系ポリマーおよび非イオン性界面活性剤を含む水溶液に懸濁されている、製剤。
【請求項14】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースおよびその塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13または14に記載の製剤。
【請求項16】
前記水溶性セルロース系ポリマーがカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)である、請求項13~15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル無水物、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ソルビトール無水物脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンエーテルからなる群から選択される、請求項13~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンエステルから選択される、請求項13~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、約0.1~約2.0%(w/v)の量で存在する、請求項13~18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、約0.3~約0.8%(w/v)の量で存在する、請求項13~19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、約0.5%(w/v)の量で存在する、請求項13~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
前記非イオン性界面活性剤が、約0.1~約2.0%(w/v)の量で存在する、請求項13~21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤が、約0.3~約0.8%(w/v)の量で存在する、請求項13~22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
前記非イオン性界面活性剤が、約0.5%(w/v)の量で存在する、請求項13~23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記水溶性セルロース系ポリマーが、約0.5%(w/v)の量のCMCであり、前記非イオン性界面活性剤が、約0.5%(w/v)の量のTween-80である、請求項13~24のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
逆転写酵素生物活性で酵素を発現するウイルスを、有効量または有効濃度の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、ウイルス逆転写酵素生物活性を阻害する方法。
【請求項27】
逆転写酵素の阻害が医学的に指示される患者のウイルス感染症を治療する方法であって、有効量または有効濃度の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項28】
患者のウイルス感染症を治療または予防する方法であって、治療または予防を必要とする前記患者に、有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項29】
前記投与が、経口、非経口、およびインプラント投与経路から選択される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、水性懸濁液もしくは溶液として製剤化されるか、または遅延放出のためにポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む粒子でカプセル化される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ウイルス感染症がB型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの抗HBV剤を投与することをさらに含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗HBV剤が、アデホビルジピボキシル、テルビブジン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、ラミブジン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
HBVのウイルス感染を治療または予防するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月16日に出願された米国仮特許出願第63/161,719号に対する優先権の利益を主張し、この出願は、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染症は、世界中で毎年数百万人もの人々に影響を及ぼす、重大な公衆衛生上の問題である。特定のヌクレオシド類似体逆転写酵素(RT)阻害剤、例えばエンテカビル(ETV)は、HBV耐性に対する高いバリア性を有する(Curr Med Res Opin 2005、21(11)、1845~1856)。
【化1】
【0003】
逆転写酵素阻害剤は、HBVを含む、逆転写酵素機能がウイルス複製およびウイルスタンパク質の産生に不可欠であるウイルスによって引き起こされる、ウイルス感染症の治療に有効であり得る。DNAウイルスであるHBVの場合、DNAウイルスポリメラーゼは逆転写酵素機能も有し、複製中にウイルスRNA中間体からウイルスDNAを生成する。HBVを治療する抗ウイルス性化合物の例は、ラミブジンである。
[先行技術文献]
[非特許文献]
[非特許文献1]Curr Med Res Opin 2005、21(11)、1845~1856
[非特許文献2]Int.J.Pharm.2018,543(1),52-59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ETVの毎日の投与には患者のコンプライアンスの課題があるので、ETVの持続放出を促進する努力がなされてきた。例えば、ETVのプロドラッグはETV-パルミタートであり、これは最大1ヶ月間、治療的レベルより高い血漿レベルを実証する(Int.J.Pharm.2018,543(1),52-59)。
【化2】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題およびその他に対処するために、本開示は、様々な実施形態において、式(I)によるETVの生物活性プロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を提供し、
【化3】
式中、
はHであるか、またはX-Lであり、
m=1または2であり、
X-Lは、-C(=O)L、-C(=O)OL、-C(=O)NH(L)、-C(=O)N(L)、-CH(R)OC(=O)L、-C(=O)CH(R)-NH(L)、-C(=O)CH(R)-N(L)、-P(=O)(NHL)、-P(=O)(NHL)(NL)、または-P(=O)(NLであり、
各Lは、独立して、(C1-22、直鎖および分岐)アルキル、(C3-22、直鎖および分岐)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、n=0または1である(CHR)-フェニル、および-CHR-N(R)2から選択され、
またはRは、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートアミダート(モノおよびジ)、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含むリン酸残基またはその誘導体残基であり、
Rは、H、(C1-22)アルキル、(C3-22)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、または(C6-C12)アリールであり、
はHであるか、またはX-Lであり、
またはRは、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートアミダート(モノおよびジ)、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含む、リン酸残基またはその誘導体残基であり、
およびRは、同時にHではない。
【0006】
本開示はまた、追加の実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0007】
さらなる実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む製剤を提供する。化合物は、水溶性セルロース系ポリマーと非イオン性界面活性剤とを含む水溶液に懸濁される。
【0008】
別の実施形態では、ウイルス逆転写酵素生物活性を阻害する方法も提供される。方法は、逆転写酵素生物活性で酵素を発現するウイルスを、有効量または有効濃度の本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む。
【0009】
さらなる態様では、本開示は、患者のウイルス感染症、例えば逆転写酵素の阻害が医学的に指示される感染症を治療または予防する方法を提供する。方法は、治療または予防を必要とする患者に、有効量の本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ETVの示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0011】
図2】ETVのX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0012】
図3】微粒子化ETVおよびその製剤のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0013】
図4】プロドラッグ9の示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0014】
図5】プロドラッグ9のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0015】
図6】プロドラッグ11の示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0016】
図7】プロドラッグ11のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0017】
図8】製剤化されたプロドラッグ11のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0018】
図9】プロドラッグ36の示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0019】
図10】プロドラッグ36のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0020】
図11】微粒子化プロドラッグ36およびその製剤のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0021】
図12】プロドラッグ29の示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0022】
図13】プロドラッグ29のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0023】
図14】微粒子化プロドラッグ29およびその製剤のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0024】
図15】ETV-パルミタートの示差走査熱量測定(DSC)を示す図である。
【0025】
図16】ETV-パルミタートのX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0026】
図17】微粒子化ETV-パルミタートおよびその製剤のX線粉末ディフラクトグラム(XPRD)である。
【0027】
図18】IM投与後のETVおよびプロドラッグ9のラットPKデータである(実施例39;表2)。
【0028】
図19】IM投与後のプロドラッグ11、29およびETVのイヌPKデータである(実施例40;表3)。
【0029】
図20】IM/SC投与後のプロドラッグ11、36およびETV-パルミタートのイヌPKデータである(実施例41;表4)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、部分的には、ETVのプロドラッグである化合物に関する。さらに、これらのプロドラッグの製剤は、逆転写酵素(RNA指令型DNAポリメラーゼ)の阻害がウイルス感染を遅延または遮断する、HBVなどのウイルスのウイルス感染症に対する患者の治療的および予防的治療を提供する。これらの治療のための投与経路には、経口、非経口およびインプラント(組成物およびデバイス)が含まれ得るが、これらに限定されない。本開示の製剤は、例えば水性懸濁液および/または油溶液製剤として注射された場合、これらのプロドラッグからのETVの遅延放出または制御放出または持続放出を提供し、したがって本発明のETVプロドラッグが長時間作用剤として機能することを可能にする。
【0031】
定義
【0032】
「アルキル」は、1~約25個の炭素原子を含む直鎖(線状)または分岐鎖ヒドロカルビルを指す。例えば、アルキルは、1~10個の炭素原子または1~6個の炭素原子を有することができる。例示的なアルキルには直鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が含まれ、直鎖アルキル基の分岐鎖異性体、例えば、これらに限定されないが、-CH(CH、-CH(CH)(CHCH)、-CH(CHCH3)、-C(CH、-C(CHCH、-CHCH(CH、-CHCH(CH)(CHCH)、-CHCH(CHCH、-CHC(CH、-CHC(CHCH、-CH(CH)CH(CH)(CHCH)、-CHCHCH(CH、-CHCHCH(CH)(CHCH)、-CHCHCH(CHCH、-CHCHC(CH、-CHCHC(CHCH、-CH(CH)CHCH(CH、-CH(CH)CH(CH)CH(CH、等も含まれる。したがって、アルキル基には、第1級アルキル基、第2級アルキル基、および第3級アルキル基が含まれる。
【0033】
「アルケニル」という用語は、1~10、1~8、1~6、1~4、1~2、または少なくとも1つの不飽和、すなわち炭素-炭素二重結合を有する2~約25個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。
【0034】
「シクロアルキル」という用語は、飽和単環式、二環式、三環式、または多環式の3~14員環系、例えばC-C-シクロアルキルを指す。シクロアルキルは、任意の原子を介して結合していてもよい。シクロアルキルの代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。多環式シクロアルキルには、縮合、架橋および/またはスピロ縮合することができる環が含まれる。
【0035】
「アリール」は、単独でまたは別の用語の一部として使用される場合、縮合の有無にかかわらず、指定された数の炭素原子を有する、または指定されていない場合、14個までの炭素原子を有する炭素環式芳香族基、例えばC-C10-アリールまたはC-C14-アリールを意味する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニルなどが挙げられる(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry(Dean,J.A.,ed)13th ed.表7-2を参照されたい)。「アリール」はまた、縮合多環系の一部であるアリール環、例えば本明細書で定義されるシクロアルキルに縮合したアリールを意図する。例示的なアリールはフェニルである。
【0036】
本明細書中に記載される化合物は、立体配置異性体、幾何異性体および立体配座異性体(例えば、シスまたはトランス立体配座を含む)を含む様々な異性体形態で存在し得る。化合物はまた、単一の互変異性体および互変異性体の混合物の両方を含む、1つまたは複数の互変異性形態で存在し得る。「異性体」という用語は、化合物の互変異性体形態を含む、本開示の化合物のすべての異性体形態を包含することを意図している。本開示の化合物はまた、開鎖または環化形態で存在し得る。場合によっては、環化形態の1つ以上が水の損失から生じ得る。開鎖および環化形態の具体的な組成は、化合物をどのように単離、保存または投与するかに依存し得る。例えば、化合物は、酸性条件下では主に開鎖形態で存在し得るが、中性条件下では環化し得る。すべての形態が本開示に含まれる。
【0037】
本明細書に記載されるいくつかの化合物は、不斉中心を有することができ、したがって、異なるエナンチオマーおよびジアステレオマー形態で存在することができる。本明細書に記載の化合物は、光学異性体またはジアステレオマーの形態であり得る。したがって、本開示は、光学異性体、ジアステレオ異性体、およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形態の、本明細書に記載される化合物およびそれらの使用を包含する。本開示の化合物の光学異性体は、既知の技術、例えば不斉合成、キラルクロマトグラフィー、擬似移動床技術によって、または光学活性分割剤の使用による立体異性体の化学分離によって得ることができる。
【0038】
別段示されない限り、「立体異性体」という用語は、他の立体異性体を実質的に含まない化合物の1つの立体異性体を意味する。したがって、1つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、化合物の約80重量%超の1つの立体異性体および化合物の約20重量%未満の他の立体異性体、例えば化合物の約90重量%超の1つの立体異性体および化合物の約10重量%未満の他の立体異性体、または化合物の約95重量%超の1つの立体異性体および化合物の約5重量%未満の他の立体異性体、または化合物の約97重量%超の1つの立体異性体および化合物の約3重量%未満の他の立体異性体、または化合物の約99重量%超の1つの立体異性体および化合物の約1重量%未満の他の立体異性体を含む。上記の立体異性体は、本明細書に記載のそれぞれの重量パーセンテージで存在する2つの立体異性体を含む組成物と見なすことができる。
【0039】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に不一致がある場合、示された構造が支配する。さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば太線または破線で示されていない場合、構造または構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈されるべきである。しかし、場合によっては、2つ以上のキラル中心が存在する場合、構造および名称は、相対的な立体化学を説明するのを助けるために単一のエナンチオマーとして表されてもよい。有機合成の当業者は、化合物が単一のエナンチオマーとして、それらを調製するために使用される方法から調製されるかどうかを知るであろう。
【0040】
本明細書で使用される場合、別途そうではないと特定されない限り、「化合物」という用語は、化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、および/または互変異性体を包含するという点で包括的である。したがって、例えば、本開示の化合物は、その化合物の互変異性体の薬学的に許容される塩を含む。
【0041】
本明細書では、「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される有機もしくは無機酸の、または塩基の塩である。代表的な薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性および水不溶性塩、例えば、酢酸塩、アムソネート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホネート、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムカート(mucate)、ナプシレート、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエート、オレイン酸塩、オキサレート、パルミチン酸塩、パモエート(1,1-メチレン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、アインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロネート(polygalacturonate)、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホネート、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチレート(sulfosaliculate)、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、および吉草酸塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有することができる。この例では、薬学的に許容される塩は複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0042】
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、疾患または疾患に関連する症状の改善または根絶を指す。特定の実施形態では、そのような用語は、そのような疾患を有する患者への1つ以上の予防または治療剤の投与から生じる、疾患の拡散または悪化の最小化を指す。
【0043】
用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」は、予防または治療剤の投与から生じる、患者における疾患の発症、再発、または拡散の予防を指す。
【0044】
「有効量」という用語は、本明細書に記載の疾患の治療もしくは予防において治療上もしくは予防上の利益を提供するのに十分な、または疾患に関連する症状を遅延もしくは最小化するのに十分な、本明細書に記載の化合物または他の有効成分の量を指す。さらに、本明細書に記載の化合物に関する治療有効量は、疾患の治療または予防において治療上の利益を提供する治療剤の単独の量、または他の療法と組み合わせた量を意味する。本明細書に記載の化合物に関連して使用される場合、この用語は、全体的な治療を改善し、疾患の症状もしくは原因を軽減もしくは回避し、または別の治療剤の治療有効性を増強するか、もしくはそれと相乗的である量を包含し得る。
【0045】
「患者」または「対象」には、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、子ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモットなどの動物が含まれる。いくつかの実施形態によれば、動物は、非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳動物である。一実施形態では、患者はヒト、例えばヒト乳児、小児、青年または成人である。本開示では、「患者」および「対象」という用語は互換的に使用される。
【0046】
本開示は、様々な実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、
【化4】
式中、
はHであるか、またはX-Lであり、
m=1または2であり、
X-Lは、-C(=O)L、-C(=O)OL、-C(=O)NH(L)、-C(=O)N(L)、-CH(R)OC(=O)L、-C(=O)CH(R)-NH(L)、-C(=O)CH(R)-N(L)、-P(=O)(NHL)、-P(=O)(NHL)(NL)、または-P(=O)(NLであり、
各Lは、独立して、(C1-22、直鎖および分岐)アルキル、(C3-22、直鎖および分岐)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、n=0または1である(CHR)-フェニル、および-CHR-N(R)2から選択され、
またはRは、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートモノアミダート、ホスフェートジモノアミダート、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含むリン酸残基またはその誘導体残基であり、
Rは、H、(C1-22)アルキル、(C3-22)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、または(C6-C12)アリールであり、
はHであるか、またはX-Lであり、
またはRは、-OCH(R)OP(=O)(OH)、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスホネート、リン酸ポリエステル、ホスフェートモノアミダート、ホスフェートジアミダート、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエートもしくはホスホロボラノエートを含む、リン酸残基またはその誘導体残基であり、
およびRは、同時にHではない。
【0047】
様々な実施形態において、RおよびRの各々はX-Lである。いくつかの実施形態において、X-Lの一方または両方の例は、-C(=O)Lである。例示的な実施形態において、RおよびRの各々は、-C(=O)Lである。
【0048】
他の実施形態では、本明細書で定義される式(I)の規定にもかかわらず、式(I)は、以下の組み合わせの1つまたは複数を除外する。
a)R=HかつR=X-L、R=X-LかつR=H、またはR=R=X-Lこれらの組み合わせでは、X-Lは、-C(=O)L、-C(=O)OL、または-C(=O)NH(L)であり、各Lは、(C6-30、直鎖および分岐鎖)アルキル、アルケニルが1~6の不飽和を含み得る(C7-30、直鎖および分岐鎖)アルケニルから独立して選択され;
b)R=-C(=O)CH(CH-CH、n=3、5、7、9、11、13、15、R=Hであり;
c)Rは、モノホスフェートであり、Rは、水素、置換または非置換C-C10アルキル、置換または非置換C-C10シクロアルキル、置換または非置換C-C12アルカノイル、置換または非置換-C(O)O-C-C10アルキルからなる群から選択され、置換基は、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、ニトロ、ヒドロキシ、-NR、およびシアノ基からなる群から選択され、RおよびRの各々は、独立してH、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはC-Cハロアルキルである。
【0049】
さらなる実施形態では、本開示は、以下の表1に示すとおり、化合物1~38およびその薬学的に許容される塩を提供する。
【0050】
様々な実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩は、固体である。例えば、固体は、非晶質固体および1つ以上の結晶性固体(多形)から選択される。非晶質および結晶性固体は、例えば、粉末X線回折および示差走査熱量測定(DSC)を含む、当技術分野で公知の機器技術によって特徴付けられる。本発明の化合物の結晶性固体の例示的な特徴付けデータとしては、図4図14に示されるものが挙げられる。
【0051】
例示的な実施形態では、本開示は、結晶形態の化合物11を提供する。
【化5】
【0052】
化合物11の固体結晶形態は、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される9.00、17.28、21.72、および23.80 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする。さらなる実施形態では、ディフラクトグラムは、11.74、19.48、25.00、および27.16 °2θ±0.20 °2θのピークをさらに含む。
【0053】
別の例示的な実施形態では、本開示は、結晶形態の化合物36を提供する。
【化6】
【0054】
化合物36の固体結晶形態は、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される16.44、19.36、20.88、および26.46 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする。ある実施形態では、ディフラクトグラムは、15.18、22.16、24.56、および28.58 °2θ±0.20 °2θのピークをさらに含む。
【0055】
本開示はまた、結晶形態の化合物29を提供する。
【化7】
【0056】
化合物29の固体結晶形態は、1.54056Åの波長でCu-Kα放射線を使用する回折計で決定される12.30、18.62、20.34、および25.54 °2θ±0.20 °2θのピークを含むX線粉末ディフラクトグラムを特徴とする。ある実施形態では、ディフラクトグラムは、14.96、16.54、21.38、および27.74 °2θ±0.20 °2θのピークをさらに含む。
【0057】
さらなる例示的実施形態では、本開示は、表1に示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。化合物は、特徴付けデータ(NMRおよびLCMS)と共に開示される。
【0058】
【表1】
【0059】
医薬組成物
【0060】
本開示はまた、様々な実施形態において、治療有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物、またはその薬学的に許容される塩、立体異性体、および/または互変異性体を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的配合の許容される慣行に従って、1つ以上の追加の治療剤、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント、安定剤、乳化剤、防腐剤、着色剤、緩衝剤、香味付与剤をさらに含有する。
【0061】
一実施形態では、医薬組成物は、表1に示すものから選択される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体および/もしくは互変異性体、ならびに薬学的に許容される担体を含む。
【0062】
本開示の医薬組成物は、優良な医療行為と一致する様式で製剤化され、服用され、投与される。この文脈で考慮すべき因子には、治療される特定の障害、治療される特定の対象、対象の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に知られている他の因子が含まれる。
【0063】
投与される化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体および/もしくは互変異性体の「治療有効量」は、そのような考慮事項によって調節され、逆転写酵素活性、ウイルス複製、ウイルスタンパク質の産生、またはそれらの組み合わせを阻害するのに必要な最小量である。そのような量は、正常細胞または対象全体に対して毒性である量未満であり得る。一般に、投与される本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)の初期治療有効量は、約0.01~約200mg/kgの範囲である。典型的な投与量範囲は、約0.1~約400mg/患者体重kg/日であり、典型的な初期範囲は、約50~約200mg/kg/日である。錠剤およびカプセル剤などの経口単位剤形は、約0.1mg~約1000mgの本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)を含有し得る。別の実施形態では、そのような剤形は、約50mg~約500mgの本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)を含有する。さらに別の実施形態では、そのような剤形は、約25mg~約200mgの本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)を含有する。なおも別の実施形態では、そのような剤形は、約10mg~約100mgの本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)を含有する。さらなる実施形態では、そのような剤形は、約5mg~約50mgの本開示の化合物(またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体)を含有する。前述の実施形態のいずれにおいても、剤形は、1日に1、2、3または4回投与され得る。
【0064】
本開示の組成物は、用量単位製剤で経口的に、局所的に、非経口的に、例えば肺投与のために吸入もしくはスプレーによって、または直腸に投与することができる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0065】
本明細書に記載の適切な経口組成物には、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、シロップまたはエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
別の態様では、本開示の化合物またはその薬学的に許容される立体異性体、塩もしくは互変異性体および薬学的に許容される担体を含む、単一単位投与量に適した医薬組成物も包含される。
【0067】
経口使用に適した本開示の組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができる。例えば、本開示の化合物の液体製剤は、化合物の薬学的に口に合う調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有する。
【0068】
錠剤組成物については、非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した本開示の化合物を錠剤の製造に使用する。そのような賦形剤の例としては、限定されないが不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクが挙げられる。錠剤はコーティングしなくても、または公知のコーティング技術によってコーティングして、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって所望の期間にわたる持続的な治療作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。
【0069】
経口使用のための製剤はまた、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬質ゼラチンカプセルとして、または有効成分が水もしくは油媒体、例えば落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合される軟質ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0070】
水性懸濁液の場合、本開示の化合物は、安定な懸濁液を維持するのに適した賦形剤と混合される。そのような賦形剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
経口懸濁液はまた、分散剤または湿潤剤、例えば天然ホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートを含有し得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、および1つ以上の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンを含有し得る。
【0072】
油性懸濁液は、本開示の化合物を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油、または流動パラフィンなどの鉱油、またはヒマシ油、またはそれらの組み合わせに懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してもよい。
【0073】
上記のような甘味剤、および香味剤を添加して、口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存され得る。
【0074】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒を分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の防腐剤と混合して、本開示の化合物を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤も存在し得る。
【0075】
本開示の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくは落花生油、または鉱油、例えば流動パラフィン、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えばダイズ、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、無水物、例えばソルビタンモノオレエート、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合反応生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンはまた、甘味剤および香味剤を含有し得る。
【0076】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤化され得る。そのような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、ならびに香味剤および着色剤を含有し得る。医薬組成物は、滅菌注射剤、水性懸濁液または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射剤溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用され得る、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0077】
本開示の化合物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、化合物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して化合物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような材料は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0078】
非経口投与のための組成物は、滅菌媒体中で投与される。使用されるビヒクルおよび製剤中の化合物の濃度に応じて、非経口製剤は、溶解化合物を含有する懸濁液または溶液のいずれかであり得る。局所麻酔薬、防腐剤および緩衝剤などのアジュバントを非経口組成物に添加することもできる。
【0079】
様々な実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む製剤を提供する。化合物は、水溶性セルロース系ポリマーと非イオン性界面活性剤とを含む水溶液に懸濁される。
【0080】
水溶性セルロース系ポリマーは、様々な実施形態によれば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースおよびその塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。具体的な例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、水溶性セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)である。水溶性セルロース系ポリマーは、約0.1~約2.0%(w/v)または約0.3~約0.8%(w/v)の量で存在する。例示的な量は、約0.5%(w/v)である。
【0081】
さらなる実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル無水物、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ソルビトール無水物脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンエーテルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレエート(Tween-80)から選択される。様々な実施形態において、非イオン性界面活性剤は、約0.1~約2.0%(w/v)または約0.3~約0.8%(w/v)の量で存在する。例示的な量は、約0.5%(w/v)である。
【0082】
例示的な実施形態では、水溶性セルロース系ポリマーは、約0.5%(w/v)の量のCMCであり、非イオン性界面活性剤は、約0.5%(w/v)の量のTween-80である。
【0083】
使用方法
【0084】
本開示はさらに、様々な態様において、ウイルス逆転写酵素生物活性を阻害する方法を提供する。方法は、逆転写酵素生物活性で酵素を発現するウイルスを、有効量または有効濃度の本明細書に記載の化合物と接触させることを含む。
【0085】
本開示はさらに、様々な実施形態において、逆転写酵素の阻害が医学的に指示される患者におけるウイルス血症の予防またはウイルス感染症の治療の方法を提供し、方法は、本明細書に記載の化合物の有効量または有効濃度を患者に投与することを含む。例えば、化合物は、化合物からETVを遅延放出または制御放出または持続放出させる製剤で投与される。より具体的には、化合物は、本明細書に記載の水性懸濁液または溶液として製剤化され、遅延放出のために、例えばポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む粒子にカプセル封入することができる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症はHBVによって引き起こされる。化合物の投与経路には、経口、非経口およびインプラント(薬物送達組成物およびデバイス)が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
HBVの治療または予防のための方法の一実施形態では、方法は、少なくとも1つの追加の抗HBV剤をさらに含む。薬剤には、アデホビルジピボキシル、テルビブジン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩およびラミブジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
[実施例]
【0088】
略称
【0089】
以下の略称を使用する:テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル(MeCN)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、メタノール(MeOH)、酢酸エチル(EtOAc)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)。
【0090】
本開示の化合物の調製のための一般的な実施例
【0091】
本明細書中に記載される化合物のための出発物質および中間体は、下記に記載される方法の適用または順応によって、それらの明らかな化学的等価物によって、または、例えば、The Science of Synthesis,Volumes 1-8.Editors E.M.Carreira et al.Thieme publishers(2001-2008)などの文献に記載されるように調製される。試薬および反応オプションの詳細は、Scifinder(www.cas.org)またはReaxys(www.reaxys.com)などの市販のコンピュータ検索エンジンを使用した構造および反応検索によっても入手可能である。
【0092】
パートI:中間体-Aの調製
【0093】
[実施例1]
2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(中間体-A)の合成
【化8】
【0094】
N,N-ジメチルホルムアミド(1L)中のエンテカビル水和物(50.0g、170mmol)およびイミダゾール(34.6g、510mmol)の混合物に、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(33.2g、220mmol)を0~5℃で添加した。添加後、得られた混合物を30℃で一晩撹拌した。混合物を水(4L)に注ぎ、濾過した。ケークを石油エーテル(400mL)で、次いで石油エーテル/酢酸エチルの溶液(9/1、1000mL)で洗浄した。
得られた固体を真空中で乾燥させて、所望の中間体-A(57.9g、収率87%)を白色固体として得た。
【0095】
H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.50(s,1H),7.54(s,1H),6.36(br s,2H),5.28(t,J=8.0 Hz,1H),5.07(s,1H),4.86(s,1H),4.53(s,1H),4.11(s,1H),3.64(d,J=6.4 Hz,2H),2.48-2.43(m,1H),2.13-2.07(m,1H),2.00-1.94(m,1H),0.81(s,9H),0.08(s,6H).
【0096】
パートII:実施例化合物の調製
【0097】
[実施例2]
((1R,3S,5S)-5-アセトキシ-3-(2-アミノ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-9H-プリン-9-イル)-2-メチレンシクロペンチル)酢酸メチル(1):
【化9】
【0098】
化合物2に従う手順を使用することによってプロドラッグ1を調製する。LC-MS(ESI+):m/z 362.42[M+H]+.
【0099】
[実施例3]
((1R,2S,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(イソブチリルオキシ)-3-メチレンシクロペンチル)イソ酪酸メチル(2):
【化10】
【0100】
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中のイソ酪酸(4.80g、54.2mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(7.30g、54.2mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(200mg、1.36mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.5g、81.4mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(10.4g、54.2mmol)およびエンテカビル水和物(4.00g、13.6mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。
合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(5mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(5mL)中で研和すると、所望の2(4.1g、収率72%)が白色固体として得られた。
【0101】
LC-MS(ESI):R=3.042 min,mass calcd.417.20 for C2027,m/z found 418.2[M+H]
【0102】
[実施例4]
(1S,3S,5R)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレン-5-((ピバロイルオキシ)メチル)シクロペンチルピバラート(3)
【化11】
【0103】
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中のピバル酸(5.54g、54.2mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(7.32g、54.2mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.20g、1.36mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.5g、81.4mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(10.4g、54.2mmol)およびエンテカビル水和物(4.00g、13.6mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。
合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(5mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(20mL)中で研和すると、所望の3(5.16g、収率85%)が白色固体として得られた。
【0104】
LC-MS(ESI):R=2.358 min,mass calcd.445.2 for C2231,m/z found 446.2[M+H]
【0105】
[実施例5]
((1R,2S,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-((2-エチルブタノイル)オキシ)-3-メチレンシクロペンチル)メチル2-エチルブタノエート(4)
【化12】
【0106】
N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中の2-エチルブタン酸(6.30g、54.2mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(7.30g、54.2mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(200mg、1.36mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.5g、81.4mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(10.4g、54.2mmol)およびエンテカビル水和物(4.00g、13.6mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(150mL)に注ぎ、酢酸エチル(150mL)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(150mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(150mL)およびブライン(150mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(30mL)中で研和すると、所望の4(4.30g、収率66%)が白色固体として得られた。
【0107】
LC-MS(ESI):R=3.606 min,mass calcd.473.3 for C2435,m/z found 474.2[M+H]
【0108】
[実施例6]
((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレン-5-(ペンタノイルオキシ)シクロペンチル)吉草酸メチル(5)および((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-5-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)吉草酸メチル(26)
【化13】
【0109】
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中のエンテカビル水和物(500mg、1.69mmol)、吉草酸(519mg、5.08mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.30g、6.76mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(21mg、0.17mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(874mg、6.76mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(150mL)に注いだ。EtOAc(100mL×2)を添加して、所望の化合物を抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl水溶液(150mL)およびブライン(200mL)で2回洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して残渣を得た。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~60%(%B))により精製して、所望の26(40mg、収率6.5%)を白色固体として、および5(190mg、収率25%)を白色固体として得た。
【0110】
26:LC-MS(ESI):R=2.941 min,mass calcd.361.4 for C1723,m/z found 362.2[M+H]
【0111】
5:LC-MS(ESI):R=3.836 min,mass calcd.445.5 for C2231,m/z found 446.2[M+H
【0112】
[実施例7A]
(1S,2R,4R)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルペンタノアート(中間体-B)
【化14】
【0113】
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中の2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(中間体-A)(1.20g、3.06mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(200mg、cat.)およびp-トルエンスルホン酸(200mg、cat.)の混合物に、ウンデカン酸(14g、6.12mmol)を25℃で添加した。室温で48時間撹拌した後、混合物を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=20:1~10:1)によって精製して、所望の化合物中間体-B(185mg、収率76%)を白色固体として得た。
【0114】
[実施例7B]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルウンデカノエート(37):テトラヒドロフラン(20mL)中の(1S,2R,4R)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルペンタノアート(中間体-B)(1.40g、2.50mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(5mL、5mmol)中の1MのTABFを0℃で添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=30:1~10:1)によって精製して、所望の化合物37(1.1g、収率99%)を白色固体として得た。
【0115】
H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.59(s,1H),7.71(s,1H),6.43(s,2H),5.59-5.57(m,2H),5.31-5.26(m,2H),5.16(s,1H),4.99(s,1H),4.61(m,1H),3.62-3.61(m,2H),3.18-3.14(m,1H),2.70(s,1H),2.31-2.28(m,2H),2.22-2.17(m,1H),1.73-1.64(m,2H),1.49-1.08(m,12H),0.86-0.83(m,3H).
【0116】
[実施例7C]
((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレン-5-(ウンデカノイルオキシ)シクロペンチル)メチルウンデカノエート(6):DMF(5mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルウンデカノエート(37)(400mg、0.900mmol)、DMAP/p-トルエンスルホン酸(20mg/20mg)の溶液に、DCC(556mg、2.70mmol)に室温で48時間添加した。次いで、混合物を水(50mL)に注ぎ、EtOAc(20mL)で3回抽出した。合わせた有機相を水(30mL)およびブライン(30mL)で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣を、溶離液としてDCM:MeOH=20:1~10:1を使用するシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、表題化合物6(180mg、収率33%)を白色固体として得た。
【0117】
LC-MS(ESI):R=3.739 min,mass calcd.613.4 for C3455,m/z found 614.5[M+H]
【0118】
[実施例8A]
(9Z,12Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルオクタデカ-9,12-ジエノエート(inter-C)
【化15】
【0119】
ジクロロメタン(300mL)中の2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(inter-A)(1.50g、3.83mmol)、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸(3.23g、11.5mmol)、ピリジン(3.03g、38.3mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(46mg、0.38mmol)の混合物に、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.37g、11.5mmol)を25℃で添加した。室温で16時間撹拌した後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=20:1~10:1)によって精製して、所望の化合物inter-C(2.70g、純度89%、収率96%)を白色固体として得た。
【0120】
LC-MS(ESI):R=4.030 min,mass calcd.653.4 for C3659Si,m/z found 654.3[M+H]
【0121】
[実施例8B]
(9Z,12Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルオクタデカ-9,12-ジエノエート(inter-D)
【0122】
テトラヒドロフラン(30mL)中の(9Z,12Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルオクタデカ-9,12ジエノエート(2)(2.70g、3.6mmol)の溶液に、室温でテトラヒドロフラン(25mL、25mmol)中1M TABFを添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して残渣を得た。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=15:1)によって精製して、所望の化合物inter-D(580mg、収率30%)を灰色固体として得た。
【0123】
H NMR(300 MHz,DMSO-d6)δ 10.66(s,1H),7.74(s,1H),6.49(br s,2H),5.41-5.30(m,7H),5.19(s,1H),5.04(t,J=5.4 Hz,1H),4.65(s,1H),3.65(t,J=5.7 Hz,2H),2.77-2.73(m,3H),2.59-2.49(m,1H),2.32(t,J=7.2 Hz,2H),2.26-2.19(m,1H),2.05-2.00(m,4H),1.63-1.53(m,2H),1.35-1.29(m,14H),0.88(t,J=6.9 Hz,3H).
【0124】
[実施例8C]
(9Z,12Z)-((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレン-5-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12ジエノイルオキシ)シクロペンチル)メチルオクタデカ-9,12ジエノエート(8)
【0125】
N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中の(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸(445mg、1.58mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(403mg、2.10mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(26mg、0.21mmol)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(407mg、3.15mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。(9Z,12Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルオクタデカ-9,12-ジエノエート(570mg、1.05mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=10:1)およびpre-TLC(ジクロロメタン:メタノール=10:1)によって精製して、所望の8(250mg、収率30%)を灰色半固体として得た。
【0126】
LC-MS(ESI):R=7.179 min,mass calcd.801.6 for C4875,m/z found 802.6[M+H]
【0127】
[実施例9]
(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエノイルオキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルドコサ-4,7,10,13,16,19ヘキサエノエート(9):
【化16】
【0128】
N,N-ジメチルホルムアミド(300mL)中のDHA(44.5g、136mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(27.5g、203mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(415mg、3.40mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(43.8g、339mmol)の混合物を0℃で45分間撹拌した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(39.0g、203mmol)を加えた。15分後、エンテカビル水和物(10.0g、33.9mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で2日間撹拌した。次いで、混合物を水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(500mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~100%(%B)、次いで100%メタノール)によって精製して、所望の9(23.6g、収率77%)を褐色半固体として得た。
【0129】
LC-MS(ESI):R=11.775 min,mass calcd.897.6 for C5675,m/z found 898.6[M+H]
【0130】
[実施例10]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-((2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチル2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセテート(10)
【化17】
【0131】
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中のインドメタシン(35.7g、100mmol)、エンテカビル水和物(10.0g、33.9mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(366mg、3mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(51.6g、400mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(38g、200mmol)およびHOBT(27.0g、0.200mol)を添加した。
混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、混合物を水(600mL)に注ぎ、酢酸エチル(200mL)で3回抽出した。合わせた有機相を1M塩酸塩水溶液(200mL)で3回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~100%(%B))によって精製して、所望の10(14.0g、収率44%)を黄色固体として得た。
【0132】
LC-MS(ESI):R=3.632 min,mass calcd.955.3 for C5043Cl,m/z found 956.2[M+H]
【0133】
[実施例11]
((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレン-5-(2-フェニルアセトキシ)シクロペンチル)メチル2-フェニルアセテート(11)
【化18】
【0134】
N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中の2-フェニル酢酸(14.8g、108mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(22.0g、163mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(330mg、2.7mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(35.1g、271mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(31.19g、163mmol)およびエンテカビル水和物(8.00g、27.1mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(600mL)に注ぎ、酢酸エチル(300mL)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(300mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(30mL)中で研和すると、所望の11(11.3g、収率84%)が白色固体として得られた。
【0135】
LC-MS(ESI):R=3.554 min,mass calcd.513.2 for C2827,m/z found 514.2[M+H]
【0136】
[実施例12A]
(R)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニルアセトキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニルアセテート(inter-E)
【化19】
【0137】
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中のエンテカビル水和物(10.0g、33.9mmol)、(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニル酢酸(30.0g、119mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(1.00g、8.20mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(40g、310mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(40.0g、209mmol)およびHOBT(22.0g、162mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(800mL)に注ぎ、酢酸エチル(250mL)で3回抽出した。合わせた有機相を1M塩酸塩水溶液(200mL)で3回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮して、所望の2(28.0g、収率100%)を白色固体として得た。
【0138】
[実施例12B]
(R)-((1R,3S,5S)-5-((R)-2-アミノ-2-フェニルアセトキシ)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-メチレンシクロペンチル)メチル2-アミノ-2-フェニル酢酸二塩酸塩(12)
【0139】
酢酸エチル(250mL)中4Mの塩酸塩中の(R)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニルアセトキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチル2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニルアセテート(inter-E)(28.0g、37.7mmol)の溶液を、-20℃で2時間撹拌した。混合物を濾過し、ケークを酢酸エチル(100mL)で洗浄して、所望の12(20.0g、収率86%)を白色固体として得た。
【0140】
LC-MS(ESI):R=3.020 min,mass calcd.543.2 for C2829,m/z found 544.2[M+H]
【0141】
[実施例13A]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチル3-メチルブタノエート(inter-F):
【化20】
【0142】
ジクロロメタン(250mL)中の2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オンinter-A(2.0g、5.1mmol)、3-メチルブタン酸(1.04g、10.2mmol)、ピリジン(1.62g、20.4mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(62mg、0.51mmol)の混合物に、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.11g、10.2mmol)を0℃で添加した。室温で16時間撹拌した後、混合物を水(100mL)に注いだ。混合物を酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=20:1)によって精製して、所望の化合物inter-F(2.18g、収率91%)を白色固体として得た。
【0143】
H NMR(300 MHz,DMSO-d6)δ 10.64(s,1H),7.69(s,1H),6.49(br s,2H),5.36-5.24(m,3H),4.68(s,1H),3.83-3.77(m,2H),2.80-2.75(m,1H),2.56-2.46(m,1H),2.27-2.21(m,3H),2.10-1.97(m,1H),0.95(s,3H),0.93(s,3H),0.91(s,9H),0.11(s,6H).
【0144】
[実施例13B]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチル3-メチルブタノエート(inter-G)
【0145】
テトラヒドロフラン(80mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチル3-メチルブタノエート(inter-F)(2.10g、4.40mmol)の溶液に、室温でテトラヒドロフラン(15mL、15mmol)中1M TABFを添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を水(100mL)に注いだ。混合物を酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。
濾液を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=20:1)によって精製して、所望の化合物inter-G(780mg、収率48%)を白色固体として得た。
【0146】
LC-MS(ESI):R=1.955 min,mass calcd.361.4 for C1723,m/z found 362.1[M+H]
【0147】
[実施例13C]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-3-メチレン-2-((2-フェニルアセトキシ)メチル)シクロペンチル3-メチルブタノエート(13)
【0148】
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチル3-メチルブタノエート(inter-G)(300mg、0.831lmmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(527mg、2.75mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(10mg、0.08mmol)および2-フェニル酢酸(278mg、2.04mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(350mg、2.71mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラム(ジクロルメタン:メタノール=20:1)によって精製して、所望の13(205mg、収率52%)を白色固体として得た。
【0149】
LC-MS(ESI):R=3.640 min,mass calcd.479.2 for C2529,m/z found 580.2[M+H]
【0150】
[実施例14~17]
化合物13に従う手順を使用することによって、化合物14~17を調製した。
【0151】
[実施例18A]
((1R,2S,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-ヒドロキシ-3-メチレンシクロペンチル)メチル2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセテート(28)
【化21】
【0152】
N,N-ジメチルホルムアミド(500mL)中のインドメタシン(60.5g、169mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(45.8g、340mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(2.07g、20mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(102.8g、800mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(64.98g、340mmol)およびエンテカビル水和物(50.0g、169mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(1L)に注ぎ、酢酸エチル(1L)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(500mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をメタノール(50mL)中で研和すると、所望の28(35g、収率33%)が白色固体として得られた。
【0153】
LC-MS(ESI):R=3.957 min,mass calcd.616.2 for C3129ClN,m/z found 617.1[M+H]
【0154】
[実施例18B]
(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-((2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセトキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルドコサ-4,7,10,13,16,19ヘキサエノエート(18)
【0155】
N,N-ジメチルホルムアミド(300mL)中のDHA(23.4g、71.3mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(12.0g、89.0mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(217mg、1.78mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(16.1g、125mmol)の混合物を5℃で30分間撹拌した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(17.1g、89.0mmol)を加えた。10分後、((1R,3S,5S)-3-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-5-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)メチル2-(1-(4-クロロベンゾイル)-5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)アセテート(28)(11.0g、17.8mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(300mL)中のDHA(23.4g、71.3mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(12.0g、89.0mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(217mg、1.78mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(16.09g、124.6mmol)の別の混合物を5℃で30分間撹拌した。
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(17.1g、89.0mmol)を加えた。30分後、新しい混合物を先の混合物に添加した。撹拌を室温で2日間続けた。次いで、混合物を水(1000mL)に注ぎ、酢酸エチル(500mL)で3回抽出した。合わせた有機相を1M塩酸塩水溶液(500mL)で2回、およびブライン(500mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=20:1~10:1)によって精製して、所望の18(7.60g、収率46%)を黄色固体として得た。
【0156】
LC-MS(ESI):R=3.344 min,mass calcd.926.4 for C5359ClN,m/z found 927.4[M+H]
【0157】
[実施例19]
化合物19を、(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-フェニル酢酸を使用する化合物18に従う手順を使用し、その後0℃でHCl-EtOAcを使用して脱保護することによって調製した。
【0158】
[実施例20A]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルヘキサノエート(inter-H)
【化22】
【0159】
DMF(40mL)中の2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(inter-A)(1.50g、3.84mmol)溶液に、DMAP(20mg)およびTsOH(10mg)を添加した。ヘキサン酸(445mg、3.84mmol)およびDCC(790mg、3.84mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。ヘキサン酸(445mg、3.84mmol)およびDCC(790mg、3.84mmol)の第2のバッチを添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。ヘキサン酸(445mg、3.84mmol)およびDCC(790mg、3.84mmol)の第3のバッチを添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。ヘキサン酸(445mg、3.84mmol)およびDCC(790mg、3.84mmol)の第4のバッチを添加した。混合物を室温で72時間撹拌した。次いで、混合物を水(100mL)に注ぎ、酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。合わせた有機相を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール=50:1~20:1~10:1)によって精製して、所望の化合物inter-H(1.65g、収率88%)を白色固体として得た。
【0160】
H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.59(s,1H),7.65(s,1H),6.44(br s,2H),5.32-5.21(m,3H),5.03-4.94(m,1H),4.65-4.64(m,1H),3.80-3.78(m,2H),2.72-2.69(m,1H),2.50-2.43(m,1H),2.32-2.28(m,2H),2.24-2.19(m,1H),1.55-1.49(m,2H),1.29-1.24(m,4H),0.90-0.84(m,12H),0.09-0.08(m,6H).
【0161】
[実施例20B]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルヘキサノエート(inter-I)
【0162】
テトラヒドロフラン(50mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルヘキサノエート(2)(1.70g、3.47mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(10mL、10mmol)中の1M TABFを0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して残渣を得た。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~60%(%B))により精製して、所望の化合物inter-I(470mg、収率36%)を白色固体として得た。
【0163】
H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.59(s,1H),7.70(s,1H),6.43(br s,2H),5.35-5.26(m,2H),5.19-5.12(m,1H),5.03-4.94(m,1H),4.60(s,1H),3.66-3.56(m,2H),2.71-2.63(m,1H),2.56-2.42(m,1H),2.34-2.29(m,2H),2.25-2.14(m,1H),1.61-1.47(m,2H),1.36-1.19(m,4H),0.97-0.92(m,3H).
【0164】
[実施例20C]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-3-メチレン-2-((2-フェニルアセトキシ)メチル)シクロペンチルヘキサノエート(20)
【0165】
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルヘキサノエート(inter-I)(200mg、0.530mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(275mg、2.14mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(7mg、0.06mmol)および3-メチルブタン酸(102mg、1.07mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(408mg、2.14mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(20mL)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(20mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~60%(%B))によって精製して、所望の20(125mg、収率51%)を白色固体として得た。
【0166】
LC-MS(ESI):R=3.802 min,mass calcd.459.2 for C2333,m/z found 460.2[M+H]
【0167】
[実施例21]
化合物20に従う手順を使用することによって、化合物21を調製した。
【0168】
[実施例22]
((1R,2S,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-ヒドロキシ-3-メチレンシクロペンチル)イソ酪酸メチル(22)
【化23】
【0169】
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中のイソ酪酸(1.10g、12.4mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリゾール(3.10g、23.2mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.2g、1.6mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.00g、46.4mmol)の混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(4.40g、23.2mmol)およびエンテカビル水和物(4.60g、15.5mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。合わせた有機相を0.5M塩酸塩水溶液(5mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~80%(%B))によって精製して、所望の22(1.7g、収率32%)を白色固体として得た。
【0170】
LC-MS(ESI):R=2.255 min,mass calcd.347.2 for C1621,m/z found 348.1[M+H]
【0171】
[実施例23~30]
実施例22に上記される化合物22に従う手順を使用することによって、化合物23~30を調製した。
【0172】
[実施例31A]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルイソブチレート(inter-J)
【化24】
【0173】
ジクロロメタン(300mL)中の2-アミノ-9-((1S,3R,4S)-3-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-2-メチレンシクロペンチル)-1H-プリン-6(9H)-オン(inter-A)(6.00g、15.3mmol)、イソ酪酸(2.03g、23.0mmol)、ピリジン(14.6g、184mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(187mg、1.53mmol)の混合物に、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.75g、23.0mmol)を0℃で添加した。室温で16時間撹拌した後、混合物を濾過し、ケークをジクロロメタン(50mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をエタノール(250mL)中で研和した。混合物を濾過し、ケークをさらなる50mLのジクロロメタンで洗浄して湿潤ケーク(10.5g)を得た。濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムC18(移動相A:水、移動相B:アセトニトリル、勾配:5~65%(%B))によって精製して、所望の生成物を得た。湿潤ケークおよびpre-C18から新たに得られた生成物を合わせ、真空中で乾燥させて、所望のinter-J(7.49g、純度85%、収率90%)を白色固体として得た。
【0174】
LC-MS(ESI):R=1.47 min,mass calcd.461.3 for C2235Si,m/z found 462.6[M+H]H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.51(s,1H),7.57(s,1H),6.36(br s,2H),5.23(t,J=8.4 Hz,1H),5.16-5.13(m,2H),4.57(s,1H),3.73-3.71(m,2H),2.69-2.60(m,1H),2.47-2.41(m,2H),2.16-2.11(m,1H),1.03-1.00(m,6H),0.81(s,9H),0.01(s,6H).
【0175】
[実施例31B]
(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(ヒドロキシメチル)-3-メチレンシクロペンチルイソブチレート(31):酢酸エチル(30mL)中の(1S,2R,4S)-4-(2-アミノ-6-オキソ-1H-プリン-9(6H)-イル)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-メチレンシクロペンチルイソブチレート(2)(7.45g、13.7mmol)の混合物に、酢酸エチル(30mL)中の4M塩酸塩を室温で添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。残渣をエタノール(20mL)中で研和すると、所望の31(3.89g、収率82%)が白色固体として得られた。
【0176】
LC-MS(ESI):R=3.540 min,mass calcd.347.2 for C1621,m/z found 348.2[M+H]
【0177】
[実施例32~37]
化合物32~37を、実施例31で上記した化合物32に従う手順を以下のとおり変更して使用して調製した:a)33および34に触媒作用量のp-トルエンスルホン酸(0.51mmol反応に5mg)を使用した;b)TBS群の脱保護を、i)33にはTBAF、ii)34にはTFA、iii)35および36にはHCl-THFを使用して行った。
【0178】
[実施例38]
選択した化合物の微粒子化
【0179】
選択した化合物を、Tecnologia Meccanica J20を用いて、粉砕圧力0.48MPaおよび入口圧力0.38MPaで微粒子化した。
ジェットミリングの前にすべての試料を粉砕した。微粒子化後、粒径は以下のとおりである:ETV(D50=2.4μm;D90=5.0μm);ETV-パルミタート(D50=3.0μm;D90=10.5μm)、プロドラッグ29(D50=1.8μm;D90=4.0μm)、およびプロドラッグ36(D50=7.0μm;D90=16.6μm)。
【0180】
薬物動態(PK)研究
【0181】
動物 動物(約200~250gの雄SDラット、および約12~15kgの雄ビーグル犬)は、承認された販売業者から入手した。
【0182】
順化/検疫到着後、動物は、獣医学スタッフまたは他の権限を有する職員のメンバーによって全般的な健康状態について評価された。動物を少なくとも3日間順化させた後、研究に供した。
【0183】
動物管理動物は、順化中に群れで収容され、研究中に個別に収容された。動物の室内環境を管理した(目標条件:温度18~26℃、相対湿度30~70%、人工光12時間、暗12時間)。温度および相対湿度を毎日監視した。
【0184】
動物のカニューレ挿入:なし
【0185】
投与前の少なくとも12時間、動物を絶食させた。すべての動物に、投与の4時間後、Certified RodentおよびRodent Diet以外を自由に摂取させた。
【0186】
水をオートクレーブ処理した後、動物に自由に与えた。水の定期的な分析を行い、結果を記録保管した。検出レベルで、研究の目的、実施または結果に干渉すると予想される、食事または水における既知の汚染物質はない。
【0187】
用量製剤 IM/SC製剤:製剤を表2~4に示す手順に従って調製した。製剤を投与日に調製した。製剤を調製した後、4時間以内に動物に投与した。各製剤の2つの20μLアリコートを各製剤溶液から取り出し、1.5mLのポリプロピレン微量遠心管に移し、LC/UVまたはLC-MS/MSによる用量検証を行った。
【0188】
用量投与 SC/IM投与のために、用量製剤を、それぞれ施設のSOPに従って皮下/筋肉内注射によって投与した。
【0189】
試料収集 各時点で伏在静脈から血液を、ラットについては約200μL、アカゲザルについては0.5mL採取した。すべての血液試料を、抗凝固剤として4μLのKEDTA(0.5M)を含有する微量遠心管に移し、血漿用に処理されるまで湿った氷上に置いた。
【0190】
血液/血漿処理 血液:血液試料を、採取の30分以内に約4℃、3000 g、15分での遠心分離によって血漿用に処理した。血漿試料をポリプロピレン管に保存し、ドライアイス上で急速凍結し、LC/MS/MS分析まで-70±10℃に保った。
【0191】
試料分析
用量製剤の濃度検証
・各用量製剤の製剤アリコートを中間位置で二通り収集した。
・用量製剤試料中の試験化合物の濃度は、LC/UVまたはLC/MS/MS法によって決定した。
生物分析方法および試料分析
・対応する生体マトリックス中の試験化合物の定量測定のためのLC-MS/MS法は、非GLPコンプライアンス下で開発された。
・ゼロではない8つの較正標準を有する検量線を、LLOQを含む方法に適用した。
・低濃度、中濃度、および高濃度からなるQC試料のセットをこの方法に適用した。
・試験試料の分析は、LC-MS/MS法を使用して、1組の較正標準および2組のQC試料を用いて同時に行うことになる(試料数が48を超える場合、2組のQC試料を含む2つの検量線を適用した)。
・合否判定基準:
線形性:最低6つの較正標準を、血漿中のそれらの公称値の±20%以内に逆算した。
精度:6つのQC試料のうち最低4つを、血漿中のそれらの公称値の±20%以内に逆算した。
特異性:単一ブランクマトリックス中の平均計算濃度は、LLOQの0.5倍であるものとする。
感度:LLOQを1~3ng/mLを目標として試みる。
キャリーオーバー:最高標準注入直後の単一ブランクマトリックス中の平均計算キャリーオーバー濃度がLLOQであるものとする。キャリーオーバーが基準を満たすことができなかった場合、社内の生物分析SOPに従ってキャリーオーバーの割合が推定されるものとする。
【0192】
データ分析 血漿濃度対時間のデータを、Phoenix WinNonlin 6.3ソフトウェアプログラムを使用してノンコンパートメントアプローチによって分析した。Cmax、Tmax、T1/2、AUC(0-t)、AUC(0-inf)、MRT(0-t)、MRT(0-inf)、%Fおよび血漿濃度対時間プロファイルのグラフを報告した。
【0193】
[実施例39]
【0194】
Bis-DHAプロドラッグ9(31mg/kg、ETVの等価用量)およびETV(20mg/kg)を、筋肉内投与経路を介して単回用量のラットPK試験に供した。非微粒子化プロドラッグおよびETVを使用した。プロドラッグ9は、ETVよりも遅い、248倍低いCmaxをもたらした。プロドラッグ9についても、半減期および平均滞留時間の延長が観察され、長時間作用型薬剤として好適であった。
【0195】
表2は、IM投与後のETVおよびプロドラッグ9のラットPKデータを示す。データを図18にグラフ形式で示す。
【0196】
【表2】
【0197】
[実施例40]
【0198】
プロドラッグ11および29、ならびにETVを、ETVの20mg/kg等価用量を筋肉内注射することによって単回用量のイヌPK試験に供し、112日間モニタリングした(表3参照)。水性懸濁液製剤は、0.5% CMC-Naおよび0.5% Tween 80から誘導した。プロドラッグ6は、ほぼ112日間を超えて、0.5ng/mLを上回るETVの血漿レベルを示した。反対に、エンテカビルは、23日目に0.5ng/mL未満であることが分かった。
モノエステル系プロドラッグ29は、最大55日間、治療レベルを提供した。微粒子化ETV(D50=2.4μm;D90=5.0μm)およびプロドラッグ29(D50=1.8μm;D90=4.0μm)および非微粒子化プロドラッグ11(D50=4.4μm;D90=13.0μm)をこの試験に使用した。
【0199】
表3は、IM投与後のプロドラッグ11、29およびETVのイヌPKデータを示す。データを図19にグラフ形式で示す。
【0200】
【表3】
【0201】
[実施例41]
【0202】
プロドラッグ11および36、ならびにETV-パルミタートを、ETV(約1~2mg/kg)の様々な等価用量で筋肉内または皮下投与することによって単回用量のイヌPK試験に供し、56日間モニタリングした(表4参照)。水性懸濁液製剤は、0.5% CMC-Naおよび0.5% Tween 80から誘導した。プロドラッグ6は、IM経路によって投与した場合、1mg/kg ETV等価用量でほぼ45日間、0.5ng/mLを超えるETVの血漿レベルを示した。対照的に、既知のプロドラッグ、ETV-パルミタート酸は、ETVの2倍等価用量で0.5ng/mLを超える血漿レベルを約27日間しか提供しなかった。プロドラッグ6のSC経路投与は、初期のゆっくりした吸収と共に、56日間を超えて0.5ng/mLを超える濃度を提供する。微粒子化ETV-パルミタート(D50=3.0μm;D90=10.5μm)およびプロドラッグ36(D50=7.0μm;D90=16.6μm)および非微粒子化プロドラッグ11(D50=4.4μm;D90=13.0μm)をこの試験に使用した。
【0203】
表4は、IM/SC投与後のプロドラッグ11、36およびETV-パルミタートのイヌPKデータを示す。データを図12にグラフ形式で示す。
【0204】
【表4】
【0205】
[実施例42]
粉末X線分析のために、適切な量の試料化合物粉末(一般に約20~50mg)を試料パン上に置き、ガラス板で穏やかに加圧して、X線走査のための平坦な表面を得た。試料は一般に粉砕されず、ふるいにかけられて、合成された外力が結晶転移を引き起こすのを回避した。いくつかのブロック試料については、小さなスクレーパを使用して粉末へと加圧した。データ収集は、CuK-α線(λ=1.54056Å);40kVの電圧および30mAの電流;および2~60度の走査範囲(毎分5度)を使用するShimadzu XRD-6000回折計で行った。
図1
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【国際調査報告】