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特表2024-512457シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー配合物並びにその調製及び使用のためのプロセス
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  • 特表-シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー配合物並びにその調製及び使用のためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー配合物並びにその調製及び使用のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20240312BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 15/356 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 15/564 20060101ALI20240312BHJP
   D06M 13/46 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08F230/08
C08L33/14
D06M15/356
D06M15/263
D06M15/564
D06M13/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023556802
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 US2022012403
(87)【国際公開番号】W WO2022197350
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/160,969
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ジェレティック、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】メッカ、ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】ドンブロウスキー、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ハッソ、ダグラス
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4L033
【Fターム(参考)】
4J002BG071
4J002CH022
4J002EN136
4J002FD312
4J002FD316
4J002GK02
4J002HA07
4J100AL05P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL09R
4J100BA03R
4J100BA08R
4J100BA76P
4J100BA80P
4J100CA05
4J100DA01
4J100FA04
4J100JA11
4L033AB05
4L033AC15
4L033BA85
4L033CA18
4L033CA50
(57)【要約】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)及びそれを調製する方法が提供される。コポリマーは、乳化重合又は他の手段によって調製することができる。コポリマーを含有するエマルジョン配合物は、織物を処理するのに好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の単位式を含むシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーであって、
【化1】

式中、各Rが、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dが、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rが、式OSi(Rの基であり、式中、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dが、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRが、下付き文字wを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択され、各Rが、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dが、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dが、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vが、式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vが、0~12の値を有し、各Rが、架橋性基であり、各Rが、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10が、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2が、前記コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wが、0.25~15の値を有し、下付き文字xが、80~98.75の値を有し、下付き文字yが、1~5の値を有し、下付き文字z1が、0~18.75の値を有し、下付き文字z2が、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、前記コポリマーが、末端部分を更に含む、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のコポリマーの水性エマルジョンを形成するためのプロセスであって、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【化2】

の結晶化可能なモノマー(式中、R及びRが、上記の通りである)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【化3】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、R、D、及びRが、上記の通りである)と、
(C)1重量%~5重量%の、式
【化4】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、R、D、D、下付き文字v、及びRが、上記の通りである)と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセス。
【請求項3】
出発原料(A)が、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート及びベヘニルアクリレートからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
出発原料(B)が式
【化5】

を有する、請求項2又は3に記載のプロセス。
【請求項5】
出発原料(B)が、
式の3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート、
3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
出発原料(C)において、各Rが、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
出発原料(C)が、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項3~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
出発原料(D)が、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記カチオン性界面活性剤が、第四級アンモニウム化合物を含むか、あるいは、前記非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコール、アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ1)において、(H)連鎖移動剤、(J)追加のモノマー、(K)阻害剤、又は(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む、請求項2~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
(H)前記連鎖移動剤が存在し、前記連鎖移動剤がドデカンチオールを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスであって、
1)請求項1に記載のコポリマーの水性エマルジョンを形成することと、
2)前記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む、プロセス。
【請求項13】
(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物であって、請求項1に記載のシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、界面活性剤、水、水分散性架橋剤、任意選択で(L)ワックス、任意選択で(M)殺生物剤、任意選択で(N)追加の水、任意選択で(O)難燃剤、任意選択で(P)しわ減少剤、任意選択で(Q)帯電防止剤、及び任意選択で(R)浸透剤を含む、エマルジョン配合物。
【請求項15】
織物を処理するためのプロセスであって、
I)前記織物を、請求項14に記載のエマルジョン配合物でコーティングすることと、
II)前記織物を加熱することと、を含む、プロセス。
【請求項16】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスであって、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【化6】

の結晶化可能なモノマー(式中、各Rが、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、H及びメチルからなる群から選択される)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【化7】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Dが、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rが、式OSi(Rの基であり、式中、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dが、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRが、下付き文字wを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択され、各Rが、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Rが、上記の通りである)と、
(C-3)1重量%~5重量%の(メタ)アクリル酸と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成することと、
2)前記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年3月15日出願の米国特許仮出願第63/160969号の利益を主張する。米国仮特許出願第63/160,969号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及びそれを調製する方法が提供される。このコポリマーは、織物を処理して耐久撥水性を付与するのに有用である。
【0003】
序論
撥水性織物処理用途において、フルオロカーボン材料は、優れた耐久撥水性を提供するそれらの能力のために市場を支配してきた。しかしながら、規制及び顧客の圧力が、非フルオロカーボン系織物処理剤に対する産業上の必要性に寄与している。以前に開示されたフルオロカーボンを含まない織物処理剤は、それで処理された織物の撥水性が複数回の洗浄後に著しく低下する、乏しい耐久性を提供するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)及びそれを調製する方法が開示される。コポリマーを含有するエマルジョン配合物は、織物を処理するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1
【発明を実施するための形態】
【0006】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)は、以下の単位式を含み、
【0007】
【化1】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字wを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wは、0.25~15の値を有し、下付き文字xは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100である。コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0008】
上記の単位式において、Rは、16~24個の炭素原子を有する。あるいは、Rは、16~22個の炭素原子、あるいは18~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子を有してもよい。Rは、ステアリル、アイコシル、及びベヘニルからなる群から選択され得る。あるいは、Rは、ステアリルであり得る。
【0009】
上記の単位式において、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字wを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択される。あるいは、R、R、及びRは、単位が単位当たり少なくとも6個のケイ素原子、あるいは6~20個のケイ素原子、あるいは7~19個のケイ素原子、あるいは8~18個のケイ素原子、あるいは9~17個のケイ素原子、あるいは10~16個のケイ素原子を有するように選択される。
【0010】
シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位において、各Rは、1~12個の炭素原子の一価炭化水素基である。Rの一価炭化水素基は、アルキル基、例えば1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。あるいは、アルキル基は、1~3個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、各R基は、メチルであり得る。
【0011】
各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択される。各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、Dは、2~10個、あるいは3~5個、あるいは3個の炭素原子を有し得る。各Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、各Dは、アルキレン基、あるいはエチレンであり得る。Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基である。
【0012】
の二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0013】
【化2】

(式中、各下付き文字uは、独立して1~6、あるいは1~2である)などのアルキルアリーレン基を例示することができる。あるいは、二価炭化水素基は、アルキレンであってもよく、あるいは二価炭化水素基はエチレンであってもよい。D及びDの二価炭化水素基としては、上記と同様のものが挙げられてもよく、あるいはメチレンであってもよい。Dの二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレンであってもよい。あるいは、各Dは、エチレンであってもよい。
【0014】
Dについての(ポリ)アルキレンオキシド基は、単位当たり2~4個の炭素原子を有してもよく、例えば、式D(ODv’-ORを有し、式中、Dは2~4個の炭素原子のアルキレン基であり、Dは2~4個の炭素原子のアルキレン基であり、Rは上記の通りであり、下付き文字v’は0~12である。あるいは、下付き文字v’は、0又は1であり得る。あるいは、下付き文字v’は、0であり得る。(ポリ)アルキレンオキシド基の例としては、エチレンオキシド-プロピレンオキシドが挙げられる。
【0015】
あるいは、各Dは、酸素原子及び二価の炭化水素基から選択されてもよい。あるいは、Dの各二価炭化水素基は、エチレンなどのアルキレン基であってもよい。あるいは、各Dは、酸素であってもよい。あるいは、同じ単位において、Dのいくつかの例は酸素であってもよく、Dの他の例はアルキレンであってもよい。
【0016】
上記の単位式において、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択される。あるいは、各Rは、酸素であってもよい。
【0017】
上記の単位式において、各Rは、架橋性基である。各Rは、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択され得る。あるいは、各Rは、独立して、ヒドロキシ及びウレイドからなる群から選択されてもよく、あるいは各Rはヒドロキシであってもよい。
【0018】
上記の単位式において、各Rは、一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和を含まず、直鎖、分岐鎖、若しくは環状(すなわち、単環式若しくは多環式)、又はこれらの組み合わせであってもよい。Rは、アルキル基又はアリール基であってもよく、単環式であっても多環式であってもよく、任意選択で、直鎖状又は分岐状の基を有していてもよい。Rに好適なアルキル基の例としては、メチル、t-アミル、ブチル(t-ブチルを含む)、シクロヘキシル、イソデシル、イソボルニル、及び2-エチルヘキシルを挙げることができる。好適なアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びベンジルが挙げられる。
【0019】
上記の単位式において、R10は、Rについて上述したように、ハロゲン化物、アセテート、又は一価炭化水素基であってもよい。ハロゲン化物は、臭化物(Br)、塩化物(Cl)、フッ化物(F)又はヨウ化物(I)であってもよく、あるいはBr、Cl又はFであり、あるいはCl又はBrであり、あるいはClであってもよい。
【0020】
上記の単位式において、下付き文字w、x、y、及びzは、各単位の相対重量であり、量(w+x+y+z)は合計100であり得る。下付き文字wは、80~98.75の値を有する。あるいは、下付き文字wは、少なくとも80、あるいは少なくとも81、あるいは少なくとも82、あるいは少なくとも83、あるいは少なくとも84、あるいは少なくとも85であってもよい。同時に、下付き文字wは、最大98.75、あるいは最大98、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大95、あるいは最大94、あるいは最大93、あるいは最大92、あるいは最大91、あるいは最大90であってもよい。あるいは、下付き文字xは、80~98、あるいは81~97、あるいは82~96、あるいは82~95、あるいは85~90であってもよい。
【0021】
下付き文字wは、0.25~15の値を有する。あるいは、下付き文字xは、少なくとも0.25、あるいは少なくとも0.5、あるいは少なくとも0.75、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2、あるいは少なくとも3、あるいは少なくとも4、あるいは少なくとも5である。同時に、下付き文字wは、最大15、あるいは最大14、あるいは最大13、あるいは最大12、あるいは最大11、あるいは最大で10であってもよい。あるいは、下付き文字wは、1~14、あるいは2~13、あるいは3~12、あるいは4~11、あるいは5~10、あるいは5~15、あるいは10であってもよい。
【0022】
下付き文字yは、1~5の値を有する。あるいは、下付き文字yは、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも2、あるいは少なくとも1.75であってもよい。同時に、下付き文字yは、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字yは、1~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0023】
下付き文字z1は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよい。他方で、同時に、下付き文字z1は、最大18.75、あるいは最大15、あるいは最大10、あるいは最大8、あるいは最大5であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、0~18.75、あるいは0超~18.75、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0024】
下付き文字z2は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよい。他方で、同時に、下付き文字z2は、最大8、あるいは最大7、あるいは最大6、あるいは最大5、あるいは最大4であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、0~8、あるいは0超~8、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0025】
コポリマーの1分子当たりの単位の総数は特に制限されない。しかし、コポリマーは、以下に記載される方法を用いてGPCによって測定される、100,000g/mol~4,000,000g/mol、好ましくは、200,000g/mol~3,000,000g/molの数平均分子量を有し得る。上に示した単位は任意の順序であってよく、例えば、コポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。
【0026】
当業者は、コポリマーが以下に記載されるようなプロセスを介してラジカル重合によって調製され得ること、及びこのプロセスがコポリマーのための末端部分を形成することを認識する。コポリマーは、例えば、Odian,George(2004).Principles of Polymerization(4th ed.).New York:Wiley-Interscience.ISBN 978-0-471-27400-1に記載されているように、開始剤、連鎖移動剤、又はその両方から誘導され得る末端部分を更に含む。
【0027】
コポリマーは、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0028】
【化3】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは上記のような16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは上記のようなH及びメチルからなる群から選択される)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0029】
【化4】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R及びRは、上記のようにマクロモノマーが1分子当たり少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択される)と
C)1重量%~5重量%の、式
【0030】
【化5】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素及びNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり、それぞれ上記の通りである)と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセスを介して調製され得る。織物を調製するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、上記のステップ1)を実施すること、及び2)ステップ1)において調製された水性エマルジョンと、(G)水分散性架橋剤を含む追加の出発原料とを組み合わせることを含んでもよい。
【0031】
1つ以上の追加の出発原料は、ステップ1)において添加してもよい。例えば、(H)連鎖移動剤、(J)(A)、(B)及び(C)のそれぞれとは異なる追加の結晶化可能でないモノマー、(K)開始剤、及び(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される出発原料は、ステップ1)において添加してもよい。
【0032】
上記のプロセスのステップ1)は、出発原料(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(I)(並びに任意選択で(H)、(J)及び/又は(K))を含むエマルジョンを形成することを含んでもよい。出発原料(A)が室温で固体である場合、出発原料は、出発原料(A)を融解するのに十分な温度及び時間、例えば、5分間~15分間にわたって、30℃~50℃で加熱され得る。得られた出発原料を剪断下で混合して、水性エマルジョンを形成することができる。剪断下での混合は、水性エマルジョンを形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。理論に束縛されるものではないが、剪断下での混合を使用して、エマルジョン中でサブミクロンの粒径を得ることができると考えられる。ステップ1)において、(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)及び(J))を含む出発原料は共重合して、水性エマルジョン中で、出発原料(D)及び(E)(並びに存在する場合には、(K))と共に、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成する。
【0033】
ステップ1)において調製されたこの水性エマルジョンは、続いて、2)出発原料(G)、水分散性架橋剤を、上記のように形成されたエマルジョンに添加することによって、織物を処理するために有用なエマルジョン配合物を調製するために使用され得る。ステップ2)は、任意選択で、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水(出発原料(E)と同じであってもよい)、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、並びに出発原料(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい追加の出発原料を添加することを、更に含んでもよい。ステップ2)は、任意選択で、追加の(D)を添加してもよい。
【0034】
上記のプロセスのステップ2)は、撹拌機を有するジャケット付き容器内で混合するなど、任意の好都合な手段によって実行され得る。ステップ1)及びステップ2)は、同じ容器中で連続して実行され得る。あるいは、ステップ1)及びステップ2)は、異なる装置内で実行され得る。ステップ1)及び/又はステップ2)は、室温又は例えば、最大100℃、あるいは40℃~80℃の高温で実行され得る。あるいは、加熱はステップ1)で実行されてもよく、ステップ2)は室温で実行されてもよい。あるいは、ステップ1)及びステップ2)の一方又は両方は、より低い温度及び最大5気圧などの高められた圧力で実行されてもよい。
【0035】
あるいは、上記のコポリマーは、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒(例えば、一価アルコール)に溶解し、出発原料(A)、(B)、(C)、(I)、及び存在する場合には、(H)及び/又は(J)を、Iimuraらの米国特許第10,047,199号に開示されるようなプロセスにおいて、適切な出発原料及びそれらの量を変化させることによって共重合することを含む方法によって、調製され得る。得られるコポリマーは溶媒性であってもよい。溶媒の全部又は一部は、ストリッピング又は熱及び任意選択で減圧を用いた蒸留などの任意の好都合な手段によって除去することができる。コポリマーは、(D)界面活性剤及び(E)水、並びに上記の方法のステップ2)からの他の出発原料を使用して乳化され得る。コポリマーを製造するための出発原料、及びコポリマーを含むエマルジョン配合物を以下に更に記載する。
【0036】
出発原料(A)は、式(A-1)
【0037】
【化6】

の結晶化可能なモノマー(式中、R及びRは上記の通りである)である。出発原料(A)のための結晶化可能なモノマーの例としては、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、Rが水素である場合、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択されるアクリレートであってもよい。出発原料(A)に好適な結晶化可能なモノマーは、例えば、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)及びBASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されている。「結晶化可能な」とは、出発モノマーが≧25℃±5℃の融点を有することを意味する。
【0038】
出発原料(A)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、80%~98.75%の量で使用される。出発原料(A)の量は、同じ基準で、少なくとも80%、あるいは少なくとも81%、あるいは少なくとも82%、あるいは少なくとも83%、あるいは少なくとも84%、あるいは少なくとも85%であってもよい。同時に、出発原料(A)の量は、同じ基準で、最大98.75%、あるいは最大98%、あるいは最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大94%、あるいは最大93%、あるいは最大92%、あるいは最大91%、あるいは最大90%であってもよい。あるいは、出発原料(A)の量は、同じ基準で、80%~98%、あるいは81%~97%、あるいは82%~96%、あるいは82%~95%、あるいは85%~90%であってもよい。
【0039】
出発原料(B)は、式(B-1)
【0040】
【化7】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、R、D、及びRは上記の通りである)である。
【0041】
あるいは、出発原料(B)は、式(B-2)
【0042】
【化8】

(式中、R、R、及びRは、上記の通りである)を含み得る。
【0043】
あるいは、出発原料(B)は、以下からなる群から選択されるマクロモノマーを含んでもよい:
【0044】
【化9】

の、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート(Si10)、
3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレートであり、式
【0045】
【化10】

を有するもの(Si16)、及びこれらの組み合わせ。出発原料(B)は、国際公開第2020/142388号及び米国特許第6,420,504号に開示されているものなどの公知の方法によって調製され得る。
【0046】
出発原料(B)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、0.25%~15%の量で使用される。あるいは、出発原料(B)は、同じ基準で、少なくとも0.25%、あるいは少なくとも0.5%、あるいは少なくとも0.75%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%、あるいは少なくとも3%、あるいは少なくとも4%、あるいは少なくとも5%の量で使用され得る。同時に、出発原料(B)は、同じ基準で、最大15%、あるいは最大14%、あるいは最大13%、あるいは最大12%、あるいは最大11%、あるいは最大10%の量で存在し得る。あるいは、出発原料(B)の量は、上記と同じ基準で、1%~14%、あるいは2%~13%、あるいは3%~12%、あるいは4%~11%、あるいは5%~10%、あるいは5%~15%、あるいは10%であってもよい。
【0047】
出発原料(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー
出発原料(C)は、架橋性(メタ)アクリレートモノマーである。架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、式(C-1)
【0048】
【化11】

(式中、R、R、D、R、及び下付き文字vは上記の通りである)を有してもよい。出発原料(C)に好適な架橋性(メタ)アクリレートの例としては、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ウレイド(メタ)アクリレートモノマーは、式(C-2)
【0049】
【化12】

(式中、R11は酸素原子又はNH部分である)を有し得る。ウレイドモノマーの例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Pressleyらの米国特許第9,212,292に開示されている。他の架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、BASF SEから市販されている。他の架橋性(メタ)アクリレートは、Sipomer WAM1及び2として市販されている。
【0050】
あるいは、出発原料(C)、架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、(C-3)(メタ)アクリル酸であってもよい。アクリル酸及びメタクリル酸は、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。
【0051】
出発原料(C)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、1%~5%の量で使用される。出発原料(C)の量は、同じ基準で、少なくとも1%、あるいは少なくとも1.25%、あるいは少なくとも1.5%、あるいは少なくとも2%、あるいは少なくとも1.75%であってもよい。同時に、出発原料(C)の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2.75%、あるいは最大2.5%、あるいは最大2.25%であってもよい。あるいは、出発原料(C)の量は、同じ基準で、1%~3%、あるいは1%~2%、あるいは1.5%~2.5%、あるいは1.75%~2.25%、あるいは2%であってもよい。
【0052】
出発原料(D)界面活性剤
出発原料(D)は界面活性剤である。界面活性剤は、(D-1)カチオン性界面活性剤、(D-2)非イオン性界面活性剤、並びに(D-3)カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の両方の組み合わせからなる群から選択されてもよい。本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、正に荷電した分子内に第四級アンモニウム親水性部分を含有する化合物、例えば式(D-1-1):R12131415X’(式中、R12~R15は、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’はハロゲン、例えば塩素又は臭素である)により表され得る第四級アンモニウム塩が挙げられる。あるいは、第四級アンモニウム化合物は、各アルキル置換基に少なくとも8個の炭素原子を有する、アルキルトリメチルアンモニウム及びジアルキルジメチルアンモニウムハライド、又はアセテートであってよい。ジアルキルジメチルアンモニウム塩を使用することができ、式(D-1-2):R1617(CHX’(式中、R16及びR17は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’はハロゲンである)により表される。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用することができ、式(D-1-3):R18(CHX”(式中、R18は12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X”はハロゲン、アセテートである)により表される。
【0053】
例示的な第四級アンモニウムハライド塩は、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム/塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(LTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ヘキサデクリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウム、及び塩化ジドコシルジメチルアンモニウムである。これらの第四級アンモニウム塩は、ADOGEN(商標)、ARQUAD(商標)、TOMAH(商標)、及びVARIQUAT(商標)などの商標で市販されている。
【0054】
使用可能な他の好適なカチオン性界面活性剤としては、脂肪酸アミン及びアミド、並びにそれらの塩及び誘導体、例えば脂肪族脂肪アミン及びそれらの誘導体が挙げられる。市販されているこのようなカチオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Chemicals Inc.(Chicago,Illinois)により、商品名ARQUAD(商標)T27 W、ARQUAD(商標)16-29で販売されている組成物、及びStepan Company(Northfield,Illinois,USA)により商品名Ammonyx Cetac-30で販売されている組成物が挙げられる。
【0055】
(D-1)カチオン性界面活性剤の量は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~5%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよい。他方で、同時に、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4%~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。
【0056】
出発原料(D-2)は非イオン性界面活性剤である。使用可能な、いくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商品名で販売されている2,6,8-トリメチル-4-ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)により、商品名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-15、TERGITOL(商標)15-S-30、及びTERGITOL(商標)15-S-40で販売されているC11~15第二級アルキルポリオキシエチレンエーテル、Dow Chemical Companyにより商品名TRITON(商標)X405で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan Companyにより商品名MAKON(商標)10で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio,USA)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,New Jersey,USA)により商品名BRIJ(商標)L23及びBRIJ(商標)L4で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば、GENAPOL(商標)UD050、及びGENAPOL(商標)UD110)、(vii)C10ゲルベ(Guerbet)アルコール及びエチレンオキシドをベースにするアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(商標)XP79)などの組成物が挙げられる。
【0057】
好適な非イオン性界面活性剤はまた、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーを含む。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))である2つの親水性鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,New Jersey,USA)から市販されており、PLURONIC(商標)L61、L62、L64、L81、P84等のPLURONIC(商標)の商標名で販売されている。
【0058】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール(例えば、23個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール修飾されたポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。使用可能な市販の非イオン性界面活性剤としては、TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商標で販売されている、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキエタノール(6EO)及び(10EO);商標名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-15で販売されているアルキレンオキシポリエチレンオキシエタノール(C11~15二級アルコールエトキシレート7EO、9EO、及び15EO);TERGITOL(商標)15-S-12、15-S-20、15-S-30、15-S-40の商標で販売されている他のC11~15第二級アルコールエトキシレート;TRITON(商標)X-405の商標で販売されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)、及びECOSURF(商標)EH-40などのECOSURF(商標)EHの商標を付したアルコールエトキシレート等の組成物が挙げられる。これらの界面活性剤の全ては、Dow Chemical Companyにより販売されている。
【0059】
商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan CompanyによりMAKON(商標)10の商標で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO)、ICI Surfactants(Wilmington,Delaware,USA)によりBRIJ(商標)35Lの商標で市販されているポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(Laureth-23)、及びICI Surfactantsにより更に販売されているポリオキシエチレンエーテルアルコール、RENEX(商標)30である。
【0060】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なSPEとしては、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のDOWSIL(商標)OFX-5329 Fluidが挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの界面活性剤を使用してこのような水性エマルジョンを形成することができ、これらは当該技術分野において既知であり、例えばGeeらの米国特許第4,122,029号、Rentschの同第5,387,417号、及びSchulzらの同第5,811,487号に記載されている。
【0061】
出発原料(D-2)非イオン性界面活性剤は、希釈で供給されてもよく、使用される量は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~10%の界面活性剤を提供するのに十分であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよく、他方で、同時に、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。あるいは、出発原料(D-1)カチオン性界面活性剤及び(D-2)非イオン性界面活性剤は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、組み合わせて10%以下の量で存在し得る。
【0062】
出発原料(E)水
出発原料(E)は、水である。水は、一般的に限定されず、例えば、水は、処理されていても処理されていなくてもよい。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行ってもよい。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であってもよい)。水の量は、上記のプロセスのステップ1)における乳化重合のための水性エマルジョンを形成するのに十分である。ステップ1)の後に追加の水を添加してもよい。例えば、上記のように調製された水性エマルジョンは、エマルジョン配合物で織物を処理する前に、所望の量の出発原料を達成するために、更なる水で希釈され得る。水は、ステップ1)の全ての出発原料を組み合わせた重量を基準として、20%~97%、あるいは30%~90%、あるいは40%~80%、あるいは50%~97%、あるいは50%~90%、あるいは60%~80%の量で添加され得る。あるいは、水は、少なくとも20%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、及びあるいは少なくとも60%の量で添加されてもよく、他方で、同時に、この量は、同じ基準で、最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大80%であってもよい。
【0063】
理論に束縛されるものではないが、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)は、共重合して、出発原料(F)として以下に記載される(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成すると考えられる。更に、出発原料(D)界面活性剤及び(E)水は共重合反応に関与しないと考えられるが、出発原料(D)及び(E)の一方又は両方を含むコポリマーは本明細書の範囲から除外されない。
【0064】
出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレート共重合体
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、上記の(A)、(B)、(C)及び(I)を含む出発原料の乳化共重合によって調製される。あるいは、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、出発原料(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)連鎖移動剤及び/又は(J)追加のモノマー)から本質的になる出発原料の反応生成物である。あるいは、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、出発原料(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)及び/又は(J))からなる出発原料の反応生成物である。理論に束縛されるものではないが、出発原料(D)及び(E)のいずれも出発原料(A)、(B)及び(C)と共重合せず、単に共重合のためのビヒクルとして働くと考えられる。しかしながら、出発原料(D)及び/又は(E)のうちの1つ以上の一部、又は本方法の過程で添加される任意の他の出発原料が、(A)、(B)、(C)及び(I)を含む出発原料の共重合反応に関与し得る可能性を、本明細書は排除するものではない。
【0065】
出発原料(G)水分散性架橋剤
出発原料(G)は、織物を処理するためにエマルジョン配合物に添加され得る水分散性架橋剤(架橋剤)である。好適な架橋剤としては、ブロックドイソシアネート及びジオールが挙げられる。「ブロックドイソシアネート」という用語は、イソシアネート基がブロッキング剤と反応しており、加熱時にイソシアネート及びブロッキング剤を放出するモノ-、ジ-及びポリイソシアネートを包含する。好適なブロッキング剤は、アミン、アミド、活性水素原子を有する化合物、アルコール、又はオキシムなど、当技術分野で既知である。ブロックドイソシアネートは市販されており、例えば、Archroma(Reinach,Switzerland)製のARKOPHOB(商標)DAN及びARKOPHOB(商標)SR、Rudolf GmbH(Geretsreid,Bayern,Germany)製のRUCO-GUARD(商標)WEB、及びHuntsman Corporation(Woodlands,Texas,USA)製のPHOBOL(商標)XANがある。ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチルヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。好適な架橋剤の例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号、Hamajimaらの米国特許第9,777,105号(第11欄第54行から始まる)に開示されており、これらは、好適な架橋剤を記載する目的のために、本明細書中で参考として援用される。架橋剤(G)の正確な量は、ステップ1)で形成される(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び処理される織物の種類及び量を含む様々な要因に依存するが、架橋剤(G)の重量は、同じ基準で、布地重量の0.25%~3.75%、あるいは0.25%~1%、あるいは0.25%~0.5%であってもよい。
【0066】
出発原料(H)連鎖移動剤
上記プロセスのステップ1)において添加され得る追加の出発原料は、(H)連鎖移動剤を含む。好適な連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、及び/又は2,2-ジメチルデシルメルカプタンなどのメルカプタンが挙げられる。あるいは、連鎖移動剤は、メルカプト酢酸及び/又は2-メルカプトエタノールなどの水溶性であってもよい。好適な連鎖移動剤は当該技術分野において既知であり、例えば、Peter Nesvadbaによる「Radical Polymerization in Industry」、Performance Chemical Research、GASF Schweiz AG、Basel、Switzerland、Encyclopedia of Radicals in Chemistry、Biology and Materials、Online(著作権)2012 John Wiley&Sons,Ltdに開示されている。
【0067】
出発原料(H)は任意であり、出発原料(A)、(B)及び(C)(及び存在する場合には、(J))を組み合わせた重量を基準として、0~1%の量で添加されてもよい。あるいは、(H)連鎖移動剤は、同じ基準で0.5%~0.6%の量で使用されてもよい。
【0068】
出発原料(I)開始剤
開始剤である出発原料(I)もまた、上記のステップ1)において添加される。好適な開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物化合物が挙げられる。例えば、アゾ系化合物は、1-t-アミルアゾ-l-シアノシクロヘキサン、アゾ-ビス-イソブチロニトリル、1-t-ブチルアゾ-シアノシクロヘキサンなどの脂肪族アゾ系化合物、2,2’-アゾビス-(2-メチル)ブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(シアノ吉草酸)、又はこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。アゾ化合物は、当該技術分野において既知であり、例えば、Wilmington,Delaware,USAのThe Chemours Companyから商品名VAZO(商標)WSPの商標名で市販される。過酸化物化合物は、過酸化物又はヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、及びそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。加えて、ジ-ペルオキシド開始剤は、単独で、又は他の開始剤と組み合わせて使用され得る。このようなジ-ペルオキシド開始剤としては、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なペルオキシド化合物は、当技術分野において既知であり、Sigma-Aldrich,Inc.などの様々な供給業者から市販される。あるいは、開始剤はイソアスコルビン酸を含んでもよい。
【0069】
開始剤は、出発原料(I)として単独で使用され得る。あるいは、開始剤(I)は、酸化成分としての開始剤と、還元成分と、を含むレドックス対であり得る。あるいは、イソアスコルビン酸及びt-アミルヒドロペルオキシド又はt-ブチルヒドロペルオキシドなどの疎水性有機ヒドロペルオキシドを含むレドックス対は、開始原料(I)として使用され得る。出発原料(I)に好適な開始剤及び/又はレドックス対の実施例は、Bardmanらの米国特許第6,576,051号(第11欄、第16行から始まる)に開示されている。開始剤がどのように添加されるかは、開始剤が水溶性であるかどうか、及び開始剤のタイプ(例えば、熱開始剤又はレドックス対が使用されるかどうか)を含む様々な要因に依存する。典型的には、熱開始剤が使用される場合、全ての開始剤は、ステップ1)の開始時に一度に添加される。あるいは、レドックス対が使用される場合、それは経時的に計量供給され得る。開始剤(I)は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.01%~3%、あるいは0.1%~1.5%を提供するのに十分な量で使用され得る。
【0070】
出発原料(J)追加のモノマー
出発原料(J)は、ステップ1)において添加され得る任意の追加のモノマーである。出発原料(J)は、上記の出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる結晶化可能でないモノマーである。追加のモノマーは、存在する場合には、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~18.75重量%の量で使用され得る。好適なモノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー、例えばメチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、追加のモノマーは、スチレン又は塩化ビニルであってもよい。出発原料(J)に好適なモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、Polysciences,Inc.から市販されている。あるいは、追加のモノマー(J)は、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、イソボルニルアクリレート(IBA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。追加のモノマーは任意であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、0~18.75%の量で存在し得る。あるいは、(J)追加のモノマーは、少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%の量で存在し得る。他方で、同時に、追加のモノマーは、同じ基準で、最大18.75%、あるいは最大15%、あるいは最大10%、あるいは最大8%、あるいは最大で5%の量で存在し得る。あるいは、(J)追加のモノマーの量は、同じ基準で、0超~18.75%、あるいは0.5%~7%、あるいは1%~6%、あるいは2%~5%であってもよい。
【0071】
出発原料(K)抑制剤
出発原料(K)は、上記のプロセスのステップ1)で任意選択で添加することができる抑制剤である。存在する場合には、出発原料(K)、阻害剤は、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~0.01未満%、あるいは同じ基準で0超~2,000未満ppm、あるいは1ppm~1818ppm、あるいは10ppm~500ppmの量で使用され得る。出発原料(K)に好適な阻害剤は市販されており、例えば、ニトロベンゼン、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、p-メトキシフェノール、2,4-ジ-t-ブチルカテコール、フェノチアジン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO)、及び4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
【0072】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を形成するために、ステップ1)の後に追加の出発原料を任意選択で添加してもよい。出発原料は、出発原料(D)について上述したような追加の界面活性剤、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水(出発原料(E)について上述したような)、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は追加の(D)、(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0073】
出発原料(L)ワックス
出発原料(L)はワックスであり、これはエマルジョン配合物が適用される織物に改善された撥水性又は柔軟性を提供するために任意選択で添加されてもよい。ワックスの量は、選択されたワックスのタイプ、所望の利益、及びエマルジョン配合物で処理される布地を含む要因に応じて変化する。しかしながら、ワックスの量は、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0~75%、あるいは0~50%、あるいは25%~50%であってもよい。あるいは、使用される場合、ワックスの量は、0超%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも25%であってもよく、同時に、ワックスの量は、同じ基準で最大75%、あるいは最大50%であってもよい。好適なワックスの例としては、パラフィンワックス(例えば、n-パラフィン、イソパラフィン、及び/又はシクロパラフィン)、シリコーンワックス、例えば、長鎖アルキル基を有するシリコーンワックス(例えば、アルキルメチルシリコーンワックス)及び/又はアミノ-シリコーンワックス、並びにこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。好適なワックスは、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号及びProbstらの米国特許第10,844,151号に開示されている。ワックスは、水系分散液として供給されてもよく、例えば、Michelman wax 743及びMichelman(Cincinnati,Ohio,U.S.A.)製の他のものがある。他のワックスも、例えば、Sasol Wax(Hamburg,Germany)から市販されており、DOWSIL(商標)AMS-C30などのシリコーンワックスは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手可能である。
【0074】
出発原料(M)殺生物剤
出発原料(M)は、任意選択で、殺生物剤である。殺生物剤の量は、選択される殺生物剤のタイプ及び所望される効果などの要因に応じて変動する。しかしながら、使用される場合、殺生物剤の量は、エマルジョン配合物中の全ての出発原料を組み合わせた重量を基準として、0超%~5%であり得る。出発原料(M)としては、(M-1)殺真菌剤、(M-2)除草剤、(M-3)殺虫剤、(M-4)抗菌剤、又はそれらの組み合わせによって例示される。好適な殺生物剤は、例えば米国特許第9,480,977号に開示されている。
【0075】
出発原料(R)浸透剤
出発原料(R)は浸透剤である。好適な浸透剤は、The Dow Chemical Companyから市販されているグリコールエーテルによって例示され、DOWANOL(商標)DPM、TPM、PPh、EPh、Methyl CARBITOL(商標)、及びButyl CARBITOL(商標)が挙げられる。
【0076】
ステップ1)で上述した水性エマルジョン及び上述したステップ2)で形成されるエマルジョン配合物に添加する出発原料を選択する場合、本明細書に記載される特定の出発原料は2つ以上の機能を有し得るので、出発原料のタイプ間に重複が存在し得る。水性エマルジョン及び/又はエマルジョン配合物に使用される出発原料は、互いに異なっていてもよい。
【0077】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、上記のように、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、(E)水、及び(G)水分散性架橋剤を含む。エマルジョン配合物は、任意選択で、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、並びに出発原料(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含んでもよい。これらの追加の出発原料及びそれらの量は、上記の通りである。更に、本明細書中に記載されるエマルジョン配合物は、フルオロカーボンを含まない出発原料を用いて配合され得る。例えば、エマルジョン配合物は、炭素原子に共有結合したフッ素原子を含有する任意の出発原料を含まなくてもよい。
【0078】
織物の処理プロセス
上記のように調製されたエマルジョン配合物は、織物を処理するために使用することができる。例えば、織物を処理するための方法は、I)上記のエマルジョン配合物で織物をコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。ステップI)は、織物にエマルジョン配合物をパディング、浸漬、又は噴霧するなどの任意の好都合な方法によって実行されてもよい。しかしながら、本方法は、以下に記載される方法に従って、織物に耐久耐水性を付与するのに十分な量の(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び(G)水分散性架橋剤を送達するのに十分であるべきである。本方法は、布地重量に対して0.25重量%~10重量%の(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、及び布地重量に対して0.1重量%~3.75重量%、あるいは0.25重量%~1重量%の(G)水分散性架橋剤(両方とも織物の重量に基づく)を送達するのに十分であり得る。
【0079】
ステップII)は、オーブン中に織物を配置するといった任意の好都合な方法により、実行されてもよい。織物の加熱は、水の全て又は一部を除去するため、及び/又はエマルジョン配合物を硬化させるために実行されてもよい。正確な温度は、選択された織物のタイプの温度感受性及び所望の乾燥時間を含む様々な要因に依存する。しかしながら、加熱は、水を除去するために100℃超の温度で実行されてもよい。あるいは、温度は、水の全て又は一部を除去し、ブロックドイソシアネート架橋剤を脱ブロックし、及び/又は(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを硬化するのに十分な時間にわたって、100℃超~200℃であってもよい。
【0080】
処理される織物は、特に限定されない。好適な織物としては、綿、絹、リネン、及び/又は羊毛の布地などの天然由来の織物、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリアクリロニトリル、並びにポリエチレン及び/又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、並びにそれらの2つ以上の組み合わせ(例えば、ポリエステル/綿ブレンドなどのブレンド)などの合成源に由来する織物が挙げられる。織物の形態も特に限定されない。本明細書に記載されるエマルジョン配合物は、任意の形態の織物、例えば、織布、編布、又は不織布に使用するのに好適である。
【実施例
【0081】
以下の実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、請求項に記載の本発明を制限するものとして解釈すべきではない。使用した原料は以下の通りであった。処理される織物は、ナイロン(スタイル#01194)であり、これは、Burlingtonから購入され、98.61%のナイロン及び1.39%のスパンデックスを含有していた。重量は6.84 Oz/Lin Ydであり、平織りであった。処理される別の織物は、やはりBurlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/mのポリエステル又はPES織布(縮緬)であった。水分散性架橋剤(H-1)は、Huntsmanから購入したPhobolXan(商標)増量剤(オキシムブロック化イソシアネートエマルジョン)であり、受け取ったまま使用した。結晶化可能なモノマー(A-1)はステアリルアクリレートであり、架橋性(メタ)アクリレートモノマー(C-1)は2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、界面活性剤BRIJ(商標)L23-69、カチオン性界面活性剤ARQUAD(商標)16-29(塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)は市販されており、商業的供給源から購入した。出発原料(B-1)は、米国特許第6,420,504号で記載されているように調製された、3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(Si16と省略される)であった。出発原料(B2)は、国際公開第2020/142388号に記載されるように調製された、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート(Si10と省略される)であった。MDDDM-ALMAは、式
【0082】
【化13】

の3-(1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレートであった。PDMS-ALMAは、式
【0083】
【化14】

の重合度nを有するモノ-メタクリルオキシプロピル末端、モノ-トリメチルシロキシ末端のポリジメチルシロキサンであった。Fisherbrand(商標)Model 705音波ディスメンブレーターを音波処理に使用した。マイクロフルイダイザーは、Microfluidics Microfluidizer Model 110Yホモジナイザーであった。DT-樹脂-ALMAは、二官能性及び三官能性シロキサン単位を含むポリメチルシルセスキオキサン樹脂であり、上記樹脂は更にメタクリルオキシプロピル基を含んでいた。MQ-樹脂-ALMAは、メタクリルオキシプロピル基を有するポリメチルシルセスキオキサン樹脂であった。
【0084】
この参考例では、以下のように、方法Aによって試料を調製した。全てのモノマー及び界面活性剤並びに脱イオン水(200g)を400mlジャーに入れた。任意の0.05gのドデカンチオールをいくつかの試料に添加した。ジャーを40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。ジャーの内容物を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。このエマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、0.7gの2,2’-アゾビス(2-メチル-プロピオニトリル)開始剤(AIBN)を添加し、混合物を60℃に加熱した。反応混合物を60℃で75分間、70℃で45分間及び80℃で60分間保持した。次いで、得られた材料をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0085】
本参考例では、以下の方法Bによって試料を調製した。
全てのモノマー、界面活性剤及び脱イオン水(200g)を400mlジャーに入れた。任意の0.05gのドデカンチオールをいくつかの試料に添加した。ジャーを40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。得られた材料を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。このエマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、60℃に加熱した。温度に達した後、レドックス開始剤を0.25mL/分でジャーに供給し(溶液A+B、別々の供給物において以下に記載されるように調製した)、60℃で1時間後、得られた材料をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0086】
開始剤溶液Aを以下のように調製した。0.702gの70%t-ブチルヒドロペルオキシドを45mLのDI水で希釈してストック溶液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0087】
開始剤溶液Bを以下のように調製した。45mLのDI水中の0.96gのイソアスコルビン酸でストック溶液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0088】
この参考例において、分子量は以下の方法を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより測定した。
【0089】
試料調製
試料を、THF溶出液中で約10mg/mLのコポリマーの濃度に調製する。溶液を平床振盪機上で周囲温度で2時間振盪した。溶液を、0.45mのPTFEシリンジフィルタを通して濾過した後、注入した。
【0090】
SEC条件
SECは、Waters 2695LCポンプ及びオートサンプラーに基づいて実行した。流量は1mL/分に設定され、注入量は100uLに設定された。SEC分離を、35℃で保持された2つのAgilent Plgel Mixed-Cカラム上で行った。検出器は、35℃に保持されたWaters 2410示差屈折率検出器であった。
【0091】
ソフトウェア及びデータ処理
Agilent GPCソフトウェアCirrusバージョン3.3を、データ収集及びデータ整理に使用した。3750~0.58kg/molのMp値を有するAgilent製の合計16個のPS線状狭分子量標準を分子量較正に使用した。3次多項式を較正曲線フィッティングに使用した。したがって、この報告において提供される全ての分子量平均、分布及び分子量に対する言及は、PS換算値である。
【0092】
【表1】
【0093】
特に明記しない限り、使用した界面活性剤は、Brij L23(希釈液であり、希釈液中に69%の界面活性剤/活性物質を含んでいた)であった。上付き文字aは、実施例10においてBrij L23(69%活性)の代わりにEcosurf EH-40(75%活性)を使用したことを示す。上付き文字bは、試料が追加のモノマーを含んでいたこと、8g(16%)のイソボルニルメタクリレートを添加したことを示す。
【0094】
比較例1は未処理の布であった。上記の表において、実施例番号A又はBの後の文字は、その実施例を作製するために使用された方法を示す。
【0095】
コーティング配合物は、上記のようにして調製した37gのコポリマーエマルジョン(20%固形分)、6.16gのPhobolXan(商標)増量剤(30%固形分)及び163gの水をプラスチックボトル中で組み合わせ、手で振盪して混合することによって調製した。
【0096】
Mathis HVFパダー(60psiで2メートル/分のロール速度)を使用して、コーティング配合物を織物(上記のナイロン布)上にコーティングした。ナイロン上の目標重量(吸水率53.5%)は、2%のシリコーン-アクリレートコポリマー及び0.5%のPhobolXan(商標)増量剤である。配合物をコーティングのためにパダーに添加し、160℃の強制空気オーブンに3分間通した。コーティングされたナイロンシートを得た。
【0097】
コーティングされたナイロンシートを、90°F洗浄/冷すすぎサイクルを用いて洗濯し、140°Fで乾燥させた。この方法を20回繰り返した。6ポンドのコーティングされたナイロンシートごとに37gのTide洗剤(無臭)を使用した。
【0098】
SDL Atlas M230ブンデスマン試験装置でのISO-9865(ブンデスマン試験)を使用して、コーティング後及び洗浄前並びに1回、5回、10回、及び20回の洗浄後のデータを収集した。外観、布を通過した水の量、及びコーティングされたナイロンシートの水吸収を記録した。結果を下記の表2に示す。
【0099】
外観評価は主観的であり、試験中の水滴の外観又はその欠如に基づいた。図1は、ブンデスマン外観評価を示す。各試料を図1の画像に従って以下のように分類した:5左上、4右上、3中央左、2中央右、1下。外観は、>1であれば合格とみなし、1であれば不合格とみなした。好ましくは、外観は>3であった。更に、布を通過してカップに集められた水の量(透水)は、それが30g未満である場合に合格とみなされた。最後に、布が吸収した水の量(水吸収)を、布の質量に対するパーセントとして記録した。理想的には、布地はその質量の<20%を取り込むべきである。吸水率及び透水量の値が低いほど良好である。耐久撥水性のために、本明細書に記載されるブンデスマン試験に従って、5回、10回、及び20回の洗浄後に、布地が依然として外観>1、吸水率<20%、及び透水量<30gを有することが望まれた。
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
耐久性のある耐水性を有し、5回、10回、及び20回洗浄した後に、上記のブンデスマン試験によって測定して、外観評価>1、その質量の吸水率<20%、及び透水量<30gを有する布を製造することが望ましい。表2A、2B及び2Cは、本発明に従って調製された試料のそれぞれを使用して、耐久性のある耐水性を有する(すなわち、5回、10回及び20回の洗浄後に、外観、吸水率及び透水量の上述の基準を全て満たす)布地が調製されたことを示す。しかしながら、比較試料のいずれも、試験した条件下で5回、10回、及び20回の洗浄のそれぞれの後に3つの基準全てを満たす布地を生産しなかった。比較例1~4、6及び7は全ての基準に不合格であった。比較例5、6、7、及び8はそれぞれ、コポリマーを作製するために本発明の範囲外である異なるシリコーン-(メタ)アクリレート化合物を使用し、これらの比較例のそれぞれは、1つ以上の基準に不合格であった。驚くべきことに、実施例9A及び比較例4は、((A)結晶化可能なモノマー、(B)シリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー、及び(C)架橋性モノマーを組み合わせた重量を基準として)15%より多い量の(B)シリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー(Si10)を使用すると、コーティングの性能は、比較例4において、最初の処理後、並びに1回、5回、10回、及び20回の洗浄後の吸水率が増加するという点で不利になることを示した。したがって、驚くべきことに、コポリマー中のシリコーンの量が少ないほど(実施例9)、より耐久撥水性を有するコーティングが生成されることが見出された。
【0104】
ワックス添加剤を添加して、撥水性能などのいくつかの織物の特性を改善するか、又はそれらをより柔らかい感触にすることができる。エマルジョン配合物を、実施例3(方法B)について上記した手順に従って、以下の表3に記載するように調製した。Michelmanワックス743を約30%固形分で使用し、上記実施例3からのコポリマーエマルジョン(20%固形分)及びPhobolXan(商標)増量剤(約30%固形分)を使用した。ブンデスマン試験を、ナイロンの代わりにポリエステル布を使用したことを除いて、上記のように実行した。結果は、以下の表4A、4B、及び4Cに示されている。
【0105】
【表5】
【0106】
コーティング、洗浄/乾燥、試験手順及び性能要件は、異なる布を使用したことを除いて、上記の通りであった。布地は、Burlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/mのポリエステルPES織布(縮緬)であった。
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】
上記の多孔性ポリエステル布上の撥水性能は、ワックスエマルジョン(コポリマーエマルジョンなし)又はコポリマーエマルジョン(ワックスエマルジョンなし)を使用した場合と比較して、ワックス対コポリマーエマルジョンの1:1及び3:1の比でワックスエマルジョンを添加することによって改善された。実施例10、11及び12は、試験した条件下で、上に概説した全ての性能基準を満たした。比較例9(コポリマーエマルジョンを含まないワックスエマルジョン)は、コーティングされていないポリエステル布(比較例10)と同様に機能し、試験した条件下で3つ全ての基準に不合格であった。
【0111】
追加のコポリマーエマルジョン試料を、上記の参考例における方法Bに従って作製したが、以下の表5に示される出発原料及び量を使用した。表5において、「HEMA」は2-ヒドロキシエチルメタクリレート、「GMA」はグリシジル(メタ)アクリレート、「PEGMA」はポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、「MAA」はメタクリル酸、「Nacrylamide」はN-ヒドロキシメチルアクリルアミド、「Amino」は2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、「(C-2)」は前述した化学式(C-2)のウレイド(メタ)アクリレートモノマーを意味する。これらの実施例は、異なる架橋性基を有するコポリマーのエマルジョンが本明細書に記載されるように調製され得ることを示す。
【0112】
【表9】
【0113】
表5からの試料を、プラスチックボトル中でPhobolXan(商標)増量剤(30%固形分)及び水と組み合わせ、手で振盪して混合した。これらの試料を(上記のように)PES上にコーティングし、上記のブンデスマン外観試験、吸水試験、及び透水試験によって評価した。その結果を、以下の表7A、7B、及び7Cに示す。
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
【表12】
【0117】
解決されるべき課題
耐久撥水性を有する非フルオロカーボン系織物処理剤が産業界で必要とされている。更に、上記のブンデスマン試験によって測定されるような高い耐久性を有するフルオロカーボンを含まない溶液に対する産業上の必要性が存在する。
【0118】
産業上の利用可能性
上記の実施例は、本明細書に記載のプロセスが、本明細書に記載のブンデスマン試験によって測定される耐久撥水性を有する布を製造することができることを示す。より具体的には、布地は、5回、10回、及び20回の洗浄後のブンデスマン外観評価>1、5回、10回、及び20回の洗浄後の吸水率≦20%、並びに5回、10回、及び20回の洗浄後の透水量≦30gを有することができる。
【0119】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表5における定義を有する。
【0120】
【表13】
【0121】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明語の性質であるように意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0122】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、及び範囲内に含まれる任意の他の部分範囲に更に線引きされ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「16~24」は、下位3分の1(すなわち、16~18)、中位3分の1(すなわち、19~21)、及び上位3分の1(すなわち、22~24)と更に区切ることができるか、あるいは範囲「16~24」は、サブ範囲「18~22」を含み、これらは個別的及び集合的に添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、このような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
【0123】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの水性エマルジョンを形成するためのプロセスであって、
1)(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0124】
【化15】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは、16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは、H及びメチルからなる群から選択される)と、(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0125】
【化16】

のシリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、Rは、上記の通りであり、Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択される)、但し、R、R及びRは、マクロモノマーが1分子当たり6~20個のケイ素原子を有するように選択される))と、(C)1重量%~5重量%の、式
【0126】
【化17】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素又はNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり)と、(D)界面活性剤と、(E)水と、(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセス。
【0127】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)において、Rは、水素である。
【0128】
第3の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート及びベヘニルアクリレートからなる群から選択される。
【0129】
第4の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は式
【0130】
【化18】

(式中、R、R、D、及びRは上記の通りである)を有する。
【0131】
第5の実施形態では、第4の実施形態のプロセスにおいて、各Rはアルキルであり、各Dはアルキレンである。
【0132】
第6の実施形態では、第4又は第5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は、1分子当たり10~16個のケイ素原子を有する。
【0133】
第7の実施形態では、第4の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(B)は、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0134】
第8の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(C)において、各Rは、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択される。
【0135】
第9の実施形態では、第8の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0136】
第10の実施形態では、第9の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0137】
第11の実施形態では、第9の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0138】
第12の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(D)は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0139】
第13の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物を含む。あるいは、上記非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール、アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0140】
第14の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスは、ステップ1)において、(H)連鎖移動剤、(J)追加のモノマー、(K)阻害剤、又は(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0141】
第15の実施形態では、第14の実施形態のプロセスにおいて、(H)連鎖移動剤が存在し、連鎖移動剤はメルカプタンを含む。
【0142】
第16の実施形態では、第15の実施形態に記載のプロセスにおいて、メルカプタンは、ドデカンチオールを含む。
【0143】
第17の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(J)追加のモノマーが存在する。
【0144】
第18の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、(J)追加のモノマーは、メチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0145】
第19の実施形態では、第18の実施形態のプロセスにおいて、(J)は、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0146】
第20の実施形態は、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスによって調製されたシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの水性エマルジョンである。
【0147】
第21の実施形態では、第20の実施形態のシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、単位式:を含み、ここで
【0148】
【化19】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字wを有する上記シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が6~20個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wは、0.25~15の値を有し、下付き文字xは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、上記コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0149】
第22の実施形態では、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、
1)(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0150】
【化20】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは、16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは、H及びメチルからなる群から選択される)と、(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0151】
【化21】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Rは、上記の通りであり、Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択される)、但し、R、R及びRは、マクロモノマーが1分子当たり6~20個のケイ素原子を有するように選択される))と、(C)1重量%~5重量%の、式
【0152】
【化22】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素又はNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり)と、(D)界面活性剤と、(E)水と、(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することと、
2)上記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む。
【0153】
第23の実施形態において、第22の実施形態のプロセスは、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0154】
第24の実施形態は、第22及び第23の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスによって調製される、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物である。
【0155】
第25の実施形態において、第24の実施形態のエマルジョン配合物は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、界面活性剤、水、水分散性架橋剤、任意選択で(L)ワックス、任意選択で(M)殺生物剤、任意選択で(N)追加の水、任意選択で(O)難燃剤、任意選択で(P)しわ減少剤、任意選択で(Q)帯電防止剤、及び任意選択で(R)浸透剤を含む。
【0156】
第26の実施形態では、織物を処理するためのプロセスは、I)織物を第24又は第25の実施形態のエマルジョン配合物でコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。
【0157】
第27の実施形態では、織物を処理するためのプロセスは、
I)エマルジョン配合物で上記織物をコーティングすることであって、上記エマルジョン配合物は、
単位式を含むシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(ここで、
【0158】
【化23】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字wを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が6~20個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字wは、0.25~15の値を有し、下付き文字xは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、上記コポリマーは、末端部分を更に含む)と、界面活性剤と、水と、水分散性架橋剤とを含む、コーティングすることと、
II)上記織物を加熱することと、を含む。
【0159】
第28の実施形態では、第27の実施形態のプロセスにおいて、エマルジョン配合物は、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の単位式を含むシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーであって、
【化1】

式中、各Rが、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dが、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rが、式OSi(Rの基であり、式中、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dが、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRが、下付き文字xを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が10~16個のケイ素原子を有するように選択され、各Rが、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dが、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dが、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vが、式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vが、0~12の値を有し、各Rが、架橋性基であり、各Rが、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10が、独立して、ハロゲン、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2が、前記コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字xが、0.25~15の値を有し、下付き文字wが、80~98.75の値を有し、下付き文字yが、1~5の値を有し、下付き文字z1が、0~18.75の値を有し、下付き文字z2が、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、前記コポリマーが、末端部分を更に含む、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のコポリマーの水性エマルジョンを形成するためのプロセスであって、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【化2】

の結晶化可能なモノマー(式中、R及びRが、上記の通りである)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【化3】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、R、D、及びRが、上記の通りである)と、
(C)1重量%~5重量%の、式
【化4】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、R、D、D、下付き文字v、及びRが、上記の通りである)と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセス。
【請求項3】
出発原料(A)が、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート及びベヘニルアクリレートからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
出発原料(B)が、
3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート、
3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
出発原料(C)において、各Rが、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
出発原料(C)が、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
出発原料(D)が、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記カチオン性界面活性剤が、第四級アンモニウム化合物を含むか、あるいは、前記非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコール、アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ1)において、(H)連鎖移動剤、(J)追加のモノマー、(K)阻害剤、又は(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項10】
(H)前記連鎖移動剤が存在し、前記連鎖移動剤がドデカンチオールを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスであって、
1)請求項1に記載のコポリマーの水性エマルジョンを形成することと、
2)前記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む、プロセス。
【請求項12】
(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物であって、請求項1に記載のシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、界面活性剤、水、水分散性架橋剤、任意選択で(L)ワックス、任意選択で(M)殺生物剤、任意選択で(N)追加の水、任意選択で(O)難燃剤、任意選択で(P)しわ減少剤、任意選択で(Q)帯電防止剤、及び任意選択で(R)浸透剤を含む、エマルジョン配合物。
【請求項14】
織物を処理するためのプロセスであって、
I)前記織物を、請求項13に記載のエマルジョン配合物でコーティングすることと、
II)前記織物を加熱することと、を含む、プロセス。
【請求項15】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスであって、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【化5】

の結晶化可能なモノマー(式中、各Rが、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、H及びメチルからなる群から選択される)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【化6】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Dが、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rが、式OSi(Rの基であり、式中、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dが、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rが、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRが、シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマーが10~16個のケイ素原子を有するように選択され、各Rが、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Rが、上記の通りである)と、
(C-3)1重量%~5重量%の(メタ)アクリル酸と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)前記界面活性剤、及び(E)前記水を含む水性エマルジョンを形成することと、
2)前記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む、プロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、国際特許出願PCT/US22/012403号、及び2021年3月15日出願の米国特許仮出願第63/160969号の利益を主張する。
【0002】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及びそれを調製する方法が提供される。このコポリマーは、織物を処理して耐久撥水性を付与するのに有用である。
【0003】
序論
撥水性織物処理用途において、フルオロカーボン材料は、優れた耐久撥水性を提供するそれらの能力のために市場を支配してきた。しかしながら、規制及び顧客の圧力が、非フルオロカーボン系織物処理剤に対する産業上の必要性に寄与している。以前に開示されたフルオロカーボンを含まない織物処理剤は、それで処理された織物の撥水性が複数回の洗浄後に著しく低下する、乏しい耐久性を提供するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)及びそれを調製する方法が開示される。コポリマーを含有するエマルジョン配合物は、織物を処理するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1
【発明を実施するための形態】
【0006】
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(コポリマー)は、以下の単位式を含み、
【0007】
【化1】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字xを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字xは、0.25~15の値を有し、下付き文字wは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100である。コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0008】
上記の単位式において、Rは、16~24個の炭素原子を有する。あるいは、Rは、16~22個の炭素原子、あるいは18~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子を有してもよい。Rは、ステアリル、アイコシル、及びベヘニルからなる群から選択され得る。あるいは、Rは、ステアリルであり得る。
【0009】
上記の単位式において、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字xを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択される。あるいは、R、R、及びRは、単位が単位当たり少なくとも6個のケイ素原子、あるいは6~20個のケイ素原子、あるいは7~19個のケイ素原子、あるいは8~18個のケイ素原子、あるいは9~17個のケイ素原子、あるいは10~16個のケイ素原子を有するように選択される。
【0010】
シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位において、各Rは、1~12個の炭素原子の一価炭化水素基である。Rの一価炭化水素基は、アルキル基、例えば1~6個の炭素原子のアルキル基であり得る。あるいは、アルキル基は、1~3個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、各R基は、メチルであり得る。
【0011】
各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択される。各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、Dは、2~10個、あるいは3~5個、あるいは3個の炭素原子を有し得る。各Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基である。あるいは、各Dは、アルキレン基、あるいはエチレンであり得る。Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基である。
【0012】
の二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、フェニレンなどのアリーレン基、又は
【0013】
【化2】

(式中、各下付き文字uは、独立して1~6、あるいは1~2である)などのアルキルアリーレン基を例示することができる。あるいは、二価炭化水素基は、アルキレンであってもよく、あるいは二価炭化水素基はエチレンであってもよい。D及びDの二価炭化水素基としては、上記と同様のものが挙げられてもよく、あるいはメチレンであってもよい。Dの二価炭化水素基は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレンであってもよい。あるいは、各Dは、エチレンであってもよい。
【0014】
Dについての(ポリ)アルキレンオキシド基は、単位当たり2~4個の炭素原子を有してもよく、例えば、式D(ODv’-ORを有し、式中、Dは2~4個の炭素原子のアルキレン基であり、Dは2~4個の炭素原子のアルキレン基であり、Rは上記の通りであり、下付き文字v’は0~12である。あるいは、下付き文字v’は、0又は1であり得る。あるいは、下付き文字v’は、0であり得る。(ポリ)アルキレンオキシド基の例としては、エチレンオキシド-プロピレンオキシドが挙げられる。
【0015】
あるいは、各Dは、酸素原子及び二価の炭化水素基から選択されてもよい。あるいは、Dの各二価炭化水素基は、エチレンなどのアルキレン基であってもよい。あるいは、各Dは、酸素であってもよい。あるいは、同じ単位において、Dのいくつかの例は酸素であってもよく、Dの他の例はアルキレンであってもよい。
【0016】
上記の単位式において、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択される。あるいは、各Rは、酸素であってもよい。
【0017】
上記の単位式において、各Rは、架橋性基である。各Rは、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択され得る。あるいは、各Rは、独立して、ヒドロキシ及びウレイドからなる群から選択されてもよく、あるいは各Rはヒドロキシであってもよい。
【0018】
上記の単位式において、各Rは、一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和を含まず、直鎖、分岐鎖、若しくは環状(すなわち、単環式若しくは多環式)、又はこれらの組み合わせであってもよい。Rは、アルキル基又はアリール基であってもよく、単環式であっても多環式であってもよく、任意選択で、直鎖状又は分岐状の基を有していてもよい。Rに好適なアルキル基の例としては、メチル、t-アミル、ブチル(t-ブチルを含む)、シクロヘキシル、イソデシル、イソボルニル、及び2-エチルヘキシルを挙げることができる。好適なアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びベンジルが挙げられる。
【0019】
上記の単位式において、R10は、Rについて上述したように、ハロゲン化物、アセテート、又は一価炭化水素基であってもよい。ハロゲン化物は、臭化物(Br)、塩化物(Cl)、フッ化物(F)又はヨウ化物(I)であってもよく、あるいはBr、Cl又はFであり、あるいはCl又はBrであり、あるいはClであってもよい。
【0020】
上記の単位式において、下付き文字w、x、y、及びzは、各単位の相対重量であり、量(w+x+y+z)は合計100であり得る。下付き文字wは、80~98.75の値を有する。あるいは、下付き文字wは、少なくとも80、あるいは少なくとも81、あるいは少なくとも82、あるいは少なくとも83、あるいは少なくとも84、あるいは少なくとも85であってもよい。同時に、下付き文字wは、最大98.75、あるいは最大98、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大97、あるいは最大96、あるいは最大95、あるいは最大94、あるいは最大93、あるいは最大92、あるいは最大91、あるいは最大90であってもよい。あるいは、下付き文字wは、80~98、あるいは81~97、あるいは82~96、あるいは82~95、あるいは85~90であってもよい。
【0021】
下付き文字xは、0.25~15の値を有する。あるいは、下付き文字xは、少なくとも0.25、あるいは少なくとも0.5、あるいは少なくとも0.75、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2、あるいは少なくとも3、あるいは少なくとも4、あるいは少なくとも5である。同時に、下付き文字xは、最大15、あるいは最大14、あるいは最大13、あるいは最大12、あるいは最大11、あるいは最大で10であってもよい。あるいは、下付き文字xは、1~14、あるいは2~13、あるいは3~12、あるいは4~11、あるいは5~10、あるいは5~15、あるいは10であってもよい。
【0022】
下付き文字yは、1~5の値を有する。あるいは、下付き文字yは、少なくとも1、あるいは少なくとも1.25、あるいは少なくとも1.5、あるいは少なくとも2、あるいは少なくとも1.75であってもよい。同時に、下付き文字yは、最大5、あるいは最大4、あるいは最大3、あるいは最大2.75、あるいは最大2.5、あるいは最大2.25であってもよい。あるいは、下付き文字yは、1~3、あるいは1~2、あるいは1.5~2.5、あるいは1.75~2.25、あるいは2であってもよい。
【0023】
下付き文字z1は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよい。他方で、同時に、下付き文字z1は、最大18.75、あるいは最大15、あるいは最大10、あるいは最大8、あるいは最大5であってもよい。あるいは、下付き文字z1は、0~18.75、あるいは0超~18.75、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0024】
下付き文字z2は、0であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、少なくとも0.5、あるいは少なくとも1、あるいは少なくとも2であってもよい。他方で、同時に、下付き文字z2は、最大8、あるいは最大7、あるいは最大6、あるいは最大5、あるいは最大4であってもよい。あるいは、下付き文字z2は、0~8、あるいは0超~8、あるいは0.5~7、あるいは1~6、あるいは2~5であってもよい。
【0025】
コポリマーの1分子当たりの単位の総数は特に制限されない。しかし、コポリマーは、以下に記載される方法を用いてGPCによって測定される、100,000g/mol~4,000,000g/mol、好ましくは、200,000g/mol~3,000,000g/molの数平均分子量を有し得る。上に示した単位は任意の順序であってよく、例えば、コポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。
【0026】
当業者は、コポリマーが以下に記載されるようなプロセスを介してラジカル重合によって調製され得ること、及びこのプロセスがコポリマーのための末端部分を形成することを認識する。コポリマーは、例えば、Odian,George(2004).Principles of Polymerization(4th ed.).New York:Wiley-Interscience.ISBN 978-0-471-27400-1に記載されているように、開始剤、連鎖移動剤、又はその両方から誘導され得る末端部分を更に含む。
【0027】
コポリマーは、
1)
(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0028】
【化3】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは上記のような16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは上記のようなH及びメチルからなる群から選択される)と、
(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0029】
【化4】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R及びRは、上記のようにマクロモノマーが1分子当たり少なくとも6個のケイ素原子を有するように選択される)と
C)1重量%~5重量%の、式
【0030】
【化5】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素及びNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり、それぞれ上記の通りである)と、
(D)界面活性剤と、
(E)水と、
(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、
それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセスを介して調製され得る。織物を調製するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、上記のステップ1)を実施すること、及び2)ステップ1)において調製された水性エマルジョンと、(G)水分散性架橋剤を含む追加の出発原料とを組み合わせることを含んでもよい。
【0031】
1つ以上の追加の出発原料は、ステップ1)において添加してもよい。例えば、(H)連鎖移動剤、(J)(A)、(B)及び(C)のそれぞれとは異なる追加の結晶化可能でないモノマー、(K)開始剤、及び(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される出発原料は、ステップ1)において添加してもよい。
【0032】
上記のプロセスのステップ1)は、出発原料(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(I)(並びに任意選択で(H)、(J)及び/又は(K))を含むエマルジョンを形成することを含んでもよい。出発原料(A)が室温で固体である場合、出発原料は、出発原料(A)を融解するのに十分な温度及び時間、例えば、5分間~15分間にわたって、30℃~50℃で加熱され得る。得られた出発原料を剪断下で混合して、水性エマルジョンを形成することができる。剪断下での混合は、水性エマルジョンを形成するための任意の好都合な手段(例えば、超音波処理及びその後のマイクロ流動化)によって行われ得る。剪断下で混合するための装置(例えば、超音波処理器、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、及びスピードミキサー)は、当該分野で公知であり、市販されている。理論に束縛されるものではないが、剪断下での混合を使用して、エマルジョン中でサブミクロンの粒径を得ることができると考えられる。ステップ1)において、(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)及び(J))を含む出発原料は共重合して、水性エマルジョン中で、出発原料(D)及び(E)(並びに存在する場合には、(K))と共に、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成する。
【0033】
ステップ1)において調製されたこの水性エマルジョンは、続いて、2)出発原料(G)、水分散性架橋剤を、上記のように形成されたエマルジョンに添加することによって、織物を処理するために有用なエマルジョン配合物を調製するために使用され得る。ステップ2)は、任意選択で、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水(出発原料(E)と同じであってもよい)、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、並びに出発原料(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい追加の出発原料を添加することを、更に含んでもよい。ステップ2)は、任意選択で、追加の(D)を添加してもよい。
【0034】
上記のプロセスのステップ2)は、撹拌機を有するジャケット付き容器内で混合するなど、任意の好都合な手段によって実行され得る。ステップ1)及びステップ2)は、同じ容器中で連続して実行され得る。あるいは、ステップ1)及びステップ2)は、異なる装置内で実行され得る。ステップ1)及び/又はステップ2)は、室温又は例えば、最大100℃、あるいは40℃~80℃の高温で実行され得る。あるいは、加熱はステップ1)で実行されてもよく、ステップ2)は室温で実行されてもよい。あるいは、ステップ1)及びステップ2)の一方又は両方は、より低い温度及び最大5気圧などの高められた圧力で実行されてもよい。
【0035】
あるいは、上記のコポリマーは、出発原料のうちの1つ以上を有機溶媒(例えば、一価アルコール)に溶解し、出発原料(A)、(B)、(C)、(I)、及び存在する場合には、(H)及び/又は(J)を、Iimuraらの米国特許第10,047,199号に開示されるようなプロセスにおいて、適切な出発原料及びそれらの量を変化させることによって共重合することを含む方法によって、調製され得る。得られるコポリマーは溶媒性であってもよい。溶媒の全部又は一部は、ストリッピング又は熱及び任意選択で減圧を用いた蒸留などの任意の好都合な手段によって除去することができる。コポリマーは、(D)界面活性剤及び(E)水、並びに上記の方法のステップ2)からの他の出発原料を使用して乳化され得る。コポリマーを製造するための出発原料、及びコポリマーを含むエマルジョン配合物を以下に更に記載する。
【0036】
出発原料(A)は、式(A-1)
【0037】
【化6】

の結晶化可能なモノマー(式中、R及びRは上記の通りである)である。出発原料(A)のための結晶化可能なモノマーの例としては、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、Rが水素である場合、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択されるアクリレートであってもよい。出発原料(A)に好適な結晶化可能なモノマーは、例えば、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)及びBASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されている。「結晶化可能な」とは、出発モノマーが≧25℃±5℃の融点を有することを意味する。
【0038】
出発原料(A)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、80%~98.75%の量で使用される。出発原料(A)の量は、同じ基準で、少なくとも80%、あるいは少なくとも81%、あるいは少なくとも82%、あるいは少なくとも83%、あるいは少なくとも84%、あるいは少なくとも85%であってもよい。同時に、出発原料(A)の量は、同じ基準で、最大98.75%、あるいは最大98%、あるいは最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大94%、あるいは最大93%、あるいは最大92%、あるいは最大91%、あるいは最大90%であってもよい。あるいは、出発原料(A)の量は、同じ基準で、80%~98%、あるいは81%~97%、あるいは82%~96%、あるいは82%~95%、あるいは85%~90%であってもよい。
【0039】
出発原料(B)は、式(B-1)
【0040】
【化7】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、R、D、及びRは上記の通りである)である。
【0041】
あるいは、出発原料(B)は、式(B-2)
【0042】
【化8】

(式中、R、R、及びRは、上記の通りである)を含み得る。
【0043】
あるいは、出発原料(B)は、以下からなる群から選択されるマクロモノマーを含んでもよい:
【0044】
【化9】

の、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート(Si10)、
3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレートであり、式
【0045】
【化10】

を有するもの(Si16)、及びこれらの組み合わせ。出発原料(B)は、国際公開第2020/142388号及び米国特許第6,420,504号に開示されているものなどの公知の方法によって調製され得る。
【0046】
出発原料(B)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、0.25%~15%の量で使用される。あるいは、出発原料(B)は、同じ基準で、少なくとも0.25%、あるいは少なくとも0.5%、あるいは少なくとも0.75%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%、あるいは少なくとも3%、あるいは少なくとも4%、あるいは少なくとも5%の量で使用され得る。同時に、出発原料(B)は、同じ基準で、最大15%、あるいは最大14%、あるいは最大13%、あるいは最大12%、あるいは最大11%、あるいは最大10%の量で存在し得る。あるいは、出発原料(B)の量は、上記と同じ基準で、1%~14%、あるいは2%~13%、あるいは3%~12%、あるいは4%~11%、あるいは5%~10%、あるいは5%~15%、あるいは10%であってもよい。
【0047】
出発原料(C)架橋性(メタ)アクリレートモノマー
出発原料(C)は、架橋性(メタ)アクリレートモノマーである。架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、式(C-1)
【0048】
【化11】

(式中、R、R、D、R、及び下付き文字vは上記の通りである)を有してもよい。出発原料(C)に好適な架橋性(メタ)アクリレートの例としては、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ウレイド(メタ)アクリレートモノマーは、式(C-2)
【0049】
【化12】

(式中、R11は酸素原子又はNH部分である)を有し得る。ウレイドモノマーの例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Pressleyらの米国特許第9,212,292に開示されている。他の架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、BASF SEから市販されている。他の架橋性(メタ)アクリレートは、Sipomer WAM1及び2として市販されている。
【0050】
あるいは、出発原料(C)、架橋性(メタ)アクリレートモノマーは、(C-3)(メタ)アクリル酸であってもよい。アクリル酸及びメタクリル酸は、Sigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。
【0051】
出発原料(C)は、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、1%~5%の量で使用される。出発原料(C)の量は、同じ基準で、少なくとも1%、あるいは少なくとも1.25%、あるいは少なくとも1.5%、あるいは少なくとも2%、あるいは少なくとも1.75%であってもよい。同時に、出発原料(C)の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2.75%、あるいは最大2.5%、あるいは最大2.25%であってもよい。あるいは、出発原料(C)の量は、同じ基準で、1%~3%、あるいは1%~2%、あるいは1.5%~2.5%、あるいは1.75%~2.25%、あるいは2%であってもよい。
【0052】
出発原料(D)界面活性剤
出発原料(D)は界面活性剤である。界面活性剤は、(D-1)カチオン性界面活性剤、(D-2)非イオン性界面活性剤、並びに(D-3)カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の両方の組み合わせからなる群から選択されてもよい。本明細書で有用なカチオン性界面活性剤としては、正に荷電した分子内に第四級アンモニウム親水性部分を含有する化合物、例えば式(D-1-1):R12131415X’(式中、R12~R15は、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’はハロゲン、例えば塩素又は臭素である)により表され得る第四級アンモニウム塩が挙げられる。あるいは、第四級アンモニウム化合物は、各アルキル置換基に少なくとも8個の炭素原子を有する、アルキルトリメチルアンモニウム及びジアルキルジメチルアンモニウムハライド、又はアセテートであってよい。ジアルキルジメチルアンモニウム塩を使用することができ、式(D-1-2):R1617(CHX’(式中、R16及びR17は、12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X’はハロゲンである)により表される。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用することができ、式(D-1-3):R18(CHX”(式中、R18は12~30個の炭素原子を含有するアルキル基、又は獣脂、ヤシ油、若しくは大豆由来のアルキル基であり、X”はハロゲン、アセテートである)により表される。
【0053】
例示的な第四級アンモニウムハライド塩は、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム/塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(LTAC)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ヘキサデクリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、臭化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウム、及び塩化ジドコシルジメチルアンモニウムである。これらの第四級アンモニウム塩は、ADOGEN(商標)、ARQUAD(商標)、TOMAH(商標)、及びVARIQUAT(商標)などの商標で市販されている。
【0054】
使用可能な他の好適なカチオン性界面活性剤としては、脂肪酸アミン及びアミド、並びにそれらの塩及び誘導体、例えば脂肪族脂肪アミン及びそれらの誘導体が挙げられる。市販されているこのようなカチオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Chemicals Inc.(Chicago,Illinois)により、商品名ARQUAD(商標)T27 W、ARQUAD(商標)16-29で販売されている組成物、及びStepan Company(Northfield,Illinois,USA)により商品名Ammonyx Cetac-30で販売されている組成物が挙げられる。
【0055】
(D-1)カチオン性界面活性剤の量は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~5%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよい。他方で、同時に、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、カチオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4%~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。
【0056】
出発原料(D-2)は非イオン性界面活性剤である。使用可能な、いくつかの好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。市販されている非イオン性界面活性剤としては、(i)TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商品名で販売されている2,6,8-トリメチル-4-ノニルポリオキシエチレンエーテル、(ii)Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)により、商品名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-15、TERGITOL(商標)15-S-30、及びTERGITOL(商標)15-S-40で販売されているC11~15第二級アルキルポリオキシエチレンエーテル、Dow Chemical Companyにより商品名TRITON(商標)X405で販売されているオクチルフェニルポリオキシエチレン(40)エーテル、(iii)Stepan Companyにより商品名MAKON(商標)10で販売されているノニルフェニルポリオキシエチレン(10)エーテル、(iv)Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio,USA)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、(v)Croda Inc.(Edison,New Jersey,USA)により商品名BRIJ(商標)L23及びBRIJ(商標)L4で販売されているエトキシ化アルコール、(vi)アルキルオキソアルコールポリグリコールエーテル(例えば、GENAPOL(商標)UD050、及びGENAPOL(商標)UD110)、(vii)C10ゲルベ(Guerbet)アルコール及びエチレンオキシドをベースにするアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えばLUTENSOL(商標)XP79)などの組成物が挙げられる。
【0057】
好適な非イオン性界面活性剤はまた、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーを含む。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))である2つの親水性鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,New Jersey,USA)から市販されており、PLURONIC(商標)L61、L62、L64、L81、P84等のPLURONIC(商標)の商標名で販売されている。
【0058】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール(例えば、23個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール修飾されたポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。使用可能な市販の非イオン性界面活性剤としては、TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10の商標で販売されている、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキエタノール(6EO)及び(10EO);商標名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-15で販売されているアルキレンオキシポリエチレンオキシエタノール(C11~15二級アルコールエトキシレート7EO、9EO、及び15EO);TERGITOL(商標)15-S-12、15-S-20、15-S-30、15-S-40の商標で販売されている他のC11~15第二級アルコールエトキシレート;TRITON(商標)X-405の商標で販売されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)、及びECOSURF(商標)EH-40などのECOSURF(商標)EHの商標を付したアルコールエトキシレート等の組成物が挙げられる。これらの界面活性剤の全ては、Dow Chemical Companyにより販売されている。
【0059】
商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan CompanyによりMAKON(商標)10の商標で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO)、ICI Surfactants(Wilmington,Delaware,USA)によりBRIJ(商標)35Lの商標で市販されているポリオキシエチレン23ラウリルエーテル(Laureth-23)、及びICI Surfactantsにより更に販売されているポリオキシエチレンエーテルアルコール、RENEX(商標)30である。
【0060】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、Aがポリエーテル部分を表し、BがABA構造のシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なSPEとしては、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のDOWSIL(商標)OFX-5329 Fluidが挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの界面活性剤を使用してこのような水性エマルジョンを形成することができ、これらは当該技術分野において既知であり、例えばGeeらの米国特許第4,122,029号、Rentschの同第5,387,417号、及びSchulzらの同第5,811,487号に記載されている。
【0061】
出発原料(D-2)非イオン性界面活性剤は、希釈で供給されてもよく、使用される量は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.1%~10%の界面活性剤を提供するのに十分であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.2%、あるいは少なくとも0.3%、あるいは少なくとも0.4%、あるいは少なくとも0.5%であってもよく、他方で、同時に、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、最大5%、あるいは最大4%、あるいは最大3%、あるいは最大2%、あるいは最大1%であってもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤の量は、同じ基準で、0.2%~4%、あるいは0.3%~3%、あるいは0.4~2.5%、あるいは0.5%~2%であってもよい。あるいは、出発原料(D-1)カチオン性界面活性剤及び(D-2)非イオン性界面活性剤は、水性エマルジョン中の出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、組み合わせて10%以下の量で存在し得る。
【0062】
出発原料(E)水
出発原料(E)は、水である。水は、一般的に限定されず、例えば、水は、処理されていても処理されていなくてもよい。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行ってもよい。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であってもよい)。水の量は、上記のプロセスのステップ1)における乳化重合のための水性エマルジョンを形成するのに十分である。ステップ1)の後に追加の水を添加してもよい。例えば、上記のように調製された水性エマルジョンは、エマルジョン配合物で織物を処理する前に、所望の量の出発原料を達成するために、更なる水で希釈され得る。水は、ステップ1)の全ての出発原料を組み合わせた重量を基準として、20%~97%、あるいは30%~90%、あるいは40%~80%、あるいは50%~97%、あるいは50%~90%、あるいは60%~80%の量で添加され得る。あるいは、水は、少なくとも20%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、及びあるいは少なくとも60%の量で添加されてもよく、他方で、同時に、この量は、同じ基準で、最大97%、あるいは最大96%、あるいは最大95%、あるいは最大80%であってもよい。
【0063】
理論に束縛されるものではないが、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)は、共重合して、出発原料(F)として以下に記載される(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを形成すると考えられる。更に、出発原料(D)界面活性剤及び(E)水は共重合反応に関与しないと考えられるが、出発原料(D)及び(E)の一方又は両方を含むコポリマーは本明細書の範囲から除外されない。
【0064】
出発原料(F)シリコーン-(メタ)アクリレート共重合体
シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、上記の(A)、(B)、(C)及び(I)を含む出発原料の乳化共重合によって調製される。あるいは、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、出発原料(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)連鎖移動剤及び/又は(J)追加のモノマー)から本質的になる出発原料の反応生成物である。あるいは、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、出発原料(A)、(B)、(C)、及び(I)(並びに存在する場合には、(H)及び/又は(J))からなる出発原料の反応生成物である。理論に束縛されるものではないが、出発原料(D)及び(E)のいずれも出発原料(A)、(B)及び(C)と共重合せず、単に共重合のためのビヒクルとして働くと考えられる。しかしながら、出発原料(D)及び/又は(E)のうちの1つ以上の一部、又は本方法の過程で添加される任意の他の出発原料が、(A)、(B)、(C)及び(I)を含む出発原料の共重合反応に関与し得る可能性を、本明細書は排除するものではない。
【0065】
出発原料(G)水分散性架橋剤
出発原料(G)は、織物を処理するためにエマルジョン配合物に添加され得る水分散性架橋剤(架橋剤)である。好適な架橋剤としては、ブロックドイソシアネート及びジオールが挙げられる。「ブロックドイソシアネート」という用語は、イソシアネート基がブロッキング剤と反応しており、加熱時にイソシアネート及びブロッキング剤を放出するモノ-、ジ-及びポリイソシアネートを包含する。好適なブロッキング剤は、アミン、アミド、活性水素原子を有する化合物、アルコール、又はオキシムなど、当技術分野で既知である。ブロックドイソシアネートは市販されており、例えば、Archroma(Reinach,Switzerland)製のARKOPHOB(商標)DAN及びARKOPHOB(商標)SR、Rudolf GmbH(Geretsreid,Bayern,Germany)製のRUCO-GUARD(商標)WEB、及びHuntsman Corporation(Woodlands,Texas,USA)製のPHOBOL(商標)XANがある。ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチルヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールが挙げられる。好適な架橋剤の例は、当該技術分野において既知であり、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号、Hamajimaらの米国特許第9,777,105号(第11欄第54行から始まる)に開示されており、これらは、好適な架橋剤を記載する目的のために、本明細書中で参考として援用される。架橋剤(G)の正確な量は、ステップ1)で形成される(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び処理される織物の種類及び量を含む様々な要因に依存するが、架橋剤(G)の重量は、同じ基準で、布地重量の0.25%~3.75%、あるいは0.25%~1%、あるいは0.25%~0.5%であってもよい。
【0066】
出発原料(H)連鎖移動剤
上記プロセスのステップ1)において添加され得る追加の出発原料は、(H)連鎖移動剤を含む。好適な連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、及び/又は2,2-ジメチルデシルメルカプタンなどのメルカプタンが挙げられる。あるいは、連鎖移動剤は、メルカプト酢酸及び/又は2-メルカプトエタノールなどの水溶性であってもよい。好適な連鎖移動剤は当該技術分野において既知であり、例えば、Peter Nesvadbaによる「Radical Polymerization in Industry」、Performance Chemical Research、GASF Schweiz AG、Basel、Switzerland、Encyclopedia of Radicals in Chemistry、Biology and Materials、Online(著作権)2012 John Wiley&Sons,Ltdに開示されている。
【0067】
出発原料(H)は任意であり、出発原料(A)、(B)及び(C)(及び存在する場合には、(J))を組み合わせた重量を基準として、0~1%の量で添加されてもよい。あるいは、(H)連鎖移動剤は、同じ基準で0.5%~0.6%の量で使用されてもよい。
【0068】
出発原料(I)開始剤
開始剤である出発原料(I)もまた、上記のステップ1)において添加される。好適な開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物化合物が挙げられる。例えば、アゾ系化合物は、1-t-アミルアゾ-l-シアノシクロヘキサン、アゾ-ビス-イソブチロニトリル、1-t-ブチルアゾ-シアノシクロヘキサンなどの脂肪族アゾ系化合物、2,2’-アゾビス-(2-メチル)ブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(シアノ吉草酸)、又はこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。アゾ化合物は、当該技術分野において既知であり、例えば、Wilmington,Delaware,USAのThe Chemours Companyから商品名VAZO(商標)WSPの商標名で市販される。過酸化物化合物は、過酸化物又はヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、及びそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。加えて、ジ-ペルオキシド開始剤は、単独で、又は他の開始剤と組み合わせて使用され得る。このようなジ-ペルオキシド開始剤としては、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、及び2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なペルオキシド化合物は、当技術分野において既知であり、Sigma-Aldrich,Inc.などの様々な供給業者から市販される。あるいは、開始剤はイソアスコルビン酸を含んでもよい。
【0069】
開始剤は、出発原料(I)として単独で使用され得る。あるいは、開始剤(I)は、酸化成分としての開始剤と、還元成分と、を含むレドックス対であり得る。あるいは、イソアスコルビン酸及びt-アミルヒドロペルオキシド又はt-ブチルヒドロペルオキシドなどの疎水性有機ヒドロペルオキシドを含むレドックス対は、開始原料(I)として使用され得る。出発原料(I)に好適な開始剤及び/又はレドックス対の実施例は、Bardmanらの米国特許第6,576,051号(第11欄、第16行から始まる)に開示されている。開始剤がどのように添加されるかは、開始剤が水溶性であるかどうか、及び開始剤のタイプ(例えば、熱開始剤又はレドックス対が使用されるかどうか)を含む様々な要因に依存する。典型的には、熱開始剤が使用される場合、全ての開始剤は、ステップ1)の開始時に一度に添加される。あるいは、レドックス対が使用される場合、それは経時的に計量供給され得る。開始剤(I)は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0.01%~3%、あるいは0.1%~1.5%を提供するのに十分な量で使用され得る。
【0070】
出発原料(J)追加のモノマー
出発原料(J)は、ステップ1)において添加され得る任意の追加のモノマーである。出発原料(J)は、上記の出発原料(A)、(B)及び(C)とは異なる結晶化可能でないモノマーである。追加のモノマーは、存在する場合には、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~18.75重量%の量で使用され得る。好適なモノマーとしては、(メタ)アクリレートモノマー、例えばメチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、追加のモノマーは、スチレン又は塩化ビニルであってもよい。出発原料(J)に好適なモノマーは、当該技術分野において既知であり、例えば、Polysciences,Inc.から市販されている。あるいは、追加のモノマー(J)は、イソボルニルメタクリレート(IBMA)、イソボルニルアクリレート(IBA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。追加のモノマーは任意であり、出発原料(A)、(B)、及び(C)、並びに存在する場合には、(J)を組み合わせた重量を基準として、0~18.75%の量で存在し得る。あるいは、(J)追加のモノマーは、少なくとも0.5%、あるいは少なくとも1%、あるいは少なくとも2%の量で存在し得る。他方で、同時に、追加のモノマーは、同じ基準で、最大18.75%、あるいは最大15%、あるいは最大10%、あるいは最大8%、あるいは最大で5%の量で存在し得る。あるいは、(J)追加のモノマーの量は、同じ基準で、0超~18.75%、あるいは0.5%~7%、あるいは1%~6%、あるいは2%~5%であってもよい。
【0071】
出発原料(K)抑制剤
出発原料(K)は、上記のプロセスのステップ1)で任意選択で添加することができる抑制剤である。存在する場合には、出発原料(K)、阻害剤は、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0超~0.01未満%、あるいは同じ基準で0超~2,000未満ppm、あるいは1ppm~1818ppm、あるいは10ppm~500ppmの量で使用され得る。出発原料(K)に好適な阻害剤は市販されており、例えば、ニトロベンゼン、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、p-メトキシフェノール、2,4-ジ-t-ブチルカテコール、フェノチアジン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの塩、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO)、及び4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
【0072】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を形成するために、ステップ1)の後に追加の出発原料を任意選択で添加してもよい。出発原料は、出発原料(D)について上述したような追加の界面活性剤、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水(出発原料(E)について上述したような)、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は追加の(D)、(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0073】
出発原料(L)ワックス
出発原料(L)はワックスであり、これはエマルジョン配合物が適用される織物に改善された撥水性又は柔軟性を提供するために任意選択で添加されてもよい。ワックスの量は、選択されたワックスのタイプ、所望の利益、及びエマルジョン配合物で処理される布地を含む要因に応じて変化する。しかしながら、ワックスの量は、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの重量に基づいて、0~75%、あるいは0~50%、あるいは25%~50%であってもよい。あるいは、使用される場合、ワックスの量は、0超%、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも25%であってもよく、同時に、ワックスの量は、同じ基準で最大75%、あるいは最大50%であってもよい。好適なワックスの例としては、パラフィンワックス(例えば、n-パラフィン、イソパラフィン、及び/又はシクロパラフィン)、シリコーンワックス、例えば、長鎖アルキル基を有するシリコーンワックス(例えば、アルキルメチルシリコーンワックス)及び/又はアミノ-シリコーンワックス、並びにこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。好適なワックスは、例えば、Knaupの米国特許出願公開第2017/0204558号及びProbstらの米国特許第10,844,151号に開示されている。ワックスは、水系分散液として供給されてもよく、例えば、Michelman wax 743及びMichelman(Cincinnati,Ohio,U.S.A.)製の他のものがある。他のワックスも、例えば、Sasol Wax(Hamburg,Germany)から市販されており、DOWSIL(商標)AMS-C30などのシリコーンワックスは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から入手可能である。
【0074】
出発原料(M)殺生物剤
出発原料(M)は、任意選択で、殺生物剤である。殺生物剤の量は、選択される殺生物剤のタイプ及び所望される効果などの要因に応じて変動する。しかしながら、使用される場合、殺生物剤の量は、エマルジョン配合物中の全ての出発原料を組み合わせた重量を基準として、0超%~5%であり得る。出発原料(M)としては、(M-1)殺真菌剤、(M-2)除草剤、(M-3)殺虫剤、(M-4)抗菌剤、又はそれらの組み合わせによって例示される。好適な殺生物剤は、例えば米国特許第9,480,977号に開示されている。
【0075】
出発原料(R)浸透剤
出発原料(R)は浸透剤である。好適な浸透剤は、The Dow Chemical Companyから市販されているグリコールエーテルによって例示され、DOWANOL(商標)DPM、TPM、PPh、EPh、Methyl CARBITOL(商標)、及びButyl CARBITOL(商標)が挙げられる。
【0076】
ステップ1)で上述した水性エマルジョン及び上述したステップ2)で形成されるエマルジョン配合物に添加する出発原料を選択する場合、本明細書に記載される特定の出発原料は2つ以上の機能を有し得るので、出発原料のタイプ間に重複が存在し得る。水性エマルジョン及び/又はエマルジョン配合物に使用される出発原料は、互いに異なっていてもよい。
【0077】
織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物は、上記のように、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、(E)水、及び(G)水分散性架橋剤を含む。エマルジョン配合物は、任意選択で、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、並びに出発原料(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含んでもよい。これらの追加の出発原料及びそれらの量は、上記の通りである。更に、本明細書中に記載されるエマルジョン配合物は、フルオロカーボンを含まない出発原料を用いて配合され得る。例えば、エマルジョン配合物は、炭素原子に共有結合したフッ素原子を含有する任意の出発原料を含まなくてもよい。
【0078】
織物の処理プロセス
上記のように調製されたエマルジョン配合物は、織物を処理するために使用することができる。例えば、織物を処理するための方法は、I)上記のエマルジョン配合物で織物をコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。ステップI)は、織物にエマルジョン配合物をパディング、浸漬、又は噴霧するなどの任意の好都合な方法によって実行されてもよい。しかしながら、本方法は、以下に記載される方法に従って、織物に耐久耐水性を付与するのに十分な量の(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー及び(G)水分散性架橋剤を送達するのに十分であるべきである。本方法は、布地重量に対して0.25重量%~10重量%の(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、及び布地重量に対して0.1重量%~3.75重量%、あるいは0.25重量%~1重量%の(G)水分散性架橋剤(両方とも織物の重量に基づく)を送達するのに十分であり得る。
【0079】
ステップII)は、オーブン中に織物を配置するといった任意の好都合な方法により、実行されてもよい。織物の加熱は、水の全て又は一部を除去するため、及び/又はエマルジョン配合物を硬化させるために実行されてもよい。正確な温度は、選択された織物のタイプの温度感受性及び所望の乾燥時間を含む様々な要因に依存する。しかしながら、加熱は、水を除去するために100℃超の温度で実行されてもよい。あるいは、温度は、水の全て又は一部を除去し、ブロックドイソシアネート架橋剤を脱ブロックし、及び/又は(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーを硬化するのに十分な時間にわたって、100℃超~200℃であってもよい。
【0080】
処理される織物は、特に限定されない。好適な織物としては、綿、絹、リネン、及び/又は羊毛の布地などの天然由来の織物、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリアクリロニトリル、並びにポリエチレン及び/又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、並びにそれらの2つ以上の組み合わせ(例えば、ポリエステル/綿ブレンドなどのブレンド)などの合成源に由来する織物が挙げられる。織物の形態も特に限定されない。本明細書に記載されるエマルジョン配合物は、任意の形態の織物、例えば、織布、編布、又は不織布に使用するのに好適である。
【実施例
【0081】
以下の実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、請求項に記載の本発明を制限するものとして解釈すべきではない。使用した原料は以下の通りであった。処理される織物は、ナイロン(スタイル#01194)であり、これは、Burlingtonから購入され、98.61%のナイロン及び1.39%のスパンデックスを含有していた。重量は6.84 Oz/Lin Ydであり、平織りであった。処理される別の織物は、やはりBurlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/mのポリエステル又はPES織布(縮緬)であった。水分散性架橋剤(H-1)は、Huntsmanから購入したPhobolXan(商標)増量剤(オキシムブロック化イソシアネートエマルジョン)であり、受け取ったまま使用した。結晶化可能なモノマー(A-1)はステアリルアクリレートであり、架橋性(メタ)アクリレートモノマー(C-1)は2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)であり、界面活性剤BRIJ(商標)L23-69、カチオン性界面活性剤ARQUAD(商標)16-29(塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)は市販されており、商業的供給源から購入した。出発原料(B-1)は、米国特許第6,420,504号で記載されているように調製された、3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート(Si16と省略される)であった。出発原料(B2)は、国際公開第2020/142388号に記載されるように調製された、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート(Si10と省略される)であった。MDDDM-ALMAは、式
【0082】
【化13】

の3-(1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレートであった。PDMS-ALMAは、式
【0083】
【化14】

の重合度nを有するモノ-メタクリルオキシプロピル末端、モノ-トリメチルシロキシ末端のポリジメチルシロキサンであった。Fisherbrand(商標)Model 705音波ディスメンブレーターを音波処理に使用した。マイクロフルイダイザーは、Microfluidics Microfluidizer Model 110Yホモジナイザーであった。DT-樹脂-ALMAは、二官能性及び三官能性シロキサン単位を含むポリメチルシルセスキオキサン樹脂であり、上記樹脂は更にメタクリルオキシプロピル基を含んでいた。MQ-樹脂-ALMAは、メタクリルオキシプロピル基を有するポリメチルシルセスキオキサン樹脂であった。
【0084】
この参考例では、以下のように、方法Aによって試料を調製した。全てのモノマー及び界面活性剤並びに脱イオン水(200g)を400mlジャーに入れた。任意の0.05gのドデカンチオールをいくつかの試料に添加した。ジャーを40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。ジャーの内容物を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。このエマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、0.7gの2,2’-アゾビス(2-メチル-プロピオニトリル)開始剤(AIBN)を添加し、混合物を60℃に加熱した。反応混合物を60℃で75分間、70℃で45分間及び80℃で60分間保持した。次いで、得られた材料をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0085】
本参考例では、以下の方法Bによって試料を調製した。
全てのモノマー、界面活性剤及び脱イオン水(200g)を400mlジャーに入れた。任意の0.05gのドデカンチオールをいくつかの試料に添加した。ジャーを40℃の水浴中で10分間加熱して、ステアリルアクリレートを溶融させた。得られた材料を、超音波処理器を用いて50の振幅で2分間超音波処理して、粗エマルジョンを作製した。次いで、粗エマルジョンを、40℃及び10~15kPSIで作動するマイクロフルイダイザーに通した。次いで、得られたエマルジョンを、還流冷却器、窒素注入口、オーバーヘッドスターラー(IKA RW20)及び熱電対プローブを備えた1000mLの4つ口フラスコに移した。このエマルジョンをテフロンブレードを用いて250RPMで撹拌し、60℃に加熱した。温度に達した後、レドックス開始剤を0.25mL/分でジャーに供給し(溶液A+B、別々の供給物において以下に記載されるように調製した)、60℃で1時間後、得られた材料をゆっくり撹拌しながら30~40℃に冷却した後、注ぎ出した。
【0086】
開始剤溶液Aを以下のように調製した。0.702gの70%t-ブチルヒドロペルオキシドを45mLのDI水で希釈してストック溶液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0087】
開始剤溶液Bを以下のように調製した。45mLのDI水中の0.96gのイソアスコルビン酸でストック溶液を形成した。5gのこの原液を取り、5gのDI水と混合することによって、最終溶液を作製した。
【0088】
この参考例において、分子量は以下の方法を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより測定した。
【0089】
試料調製
試料を、THF溶出液中で約10mg/mLのコポリマーの濃度に調製する。溶液を平床振盪機上で周囲温度で2時間振盪した。溶液を、0.45mのPTFEシリンジフィルタを通して濾過した後、注入した。
【0090】
SEC条件
SECは、Waters 2695LCポンプ及びオートサンプラーに基づいて実行した。流量は1mL/分に設定され、注入量は100uLに設定された。SEC分離を、35℃で保持された2つのAgilent Plgel Mixed-Cカラム上で行った。検出器は、35℃に保持されたWaters 2410示差屈折率検出器であった。
【0091】
ソフトウェア及びデータ処理
Agilent GPCソフトウェアCirrusバージョン3.3を、データ収集及びデータ整理に使用した。3750~0.58kg/molのMp値を有するAgilent製の合計16個のPS線状狭分子量標準を分子量較正に使用した。3次多項式を較正曲線フィッティングに使用した。したがって、この報告において提供される全ての分子量平均、分布及び分子量に対する言及は、PS換算値である。
【0092】
【表1】
【0093】
特に明記しない限り、使用した界面活性剤は、Brij L23(希釈液であり、希釈液中に69%の界面活性剤/活性物質を含んでいた)であった。上付き文字aは、実施例10においてBrij L23(69%活性)の代わりにEcosurf EH-40(75%活性)を使用したことを示す。上付き文字bは、試料が追加のモノマーを含んでいたこと、8g(16%)のイソボルニルメタクリレートを添加したことを示す。
【0094】
比較例1は未処理の布であった。上記の表において、実施例番号A又はBの後の文字は、その実施例を作製するために使用された方法を示す。
【0095】
コーティング配合物は、上記のようにして調製した37gのコポリマーエマルジョン(20%固形分)、6.16gのPhobolXan(商標)増量剤(30%固形分)及び163gの水をプラスチックボトル中で組み合わせ、手で振盪して混合することによって調製した。
【0096】
Mathis HVFパダー(60psiで2メートル/分のロール速度)を使用して、コーティング配合物を織物(上記のナイロン布)上にコーティングした。ナイロン上の目標重量(吸水率53.5%)は、2%のシリコーン-アクリレートコポリマー及び0.5%のPhobolXan(商標)増量剤である。配合物をコーティングのためにパダーに添加し、160℃の強制空気オーブンに3分間通した。コーティングされたナイロンシートを得た。
【0097】
コーティングされたナイロンシートを、90°F洗浄/冷すすぎサイクルを用いて洗濯し、140°Fで乾燥させた。この方法を20回繰り返した。6ポンドのコーティングされたナイロンシートごとに37gのTide洗剤(無臭)を使用した。
【0098】
SDL Atlas M230ブンデスマン試験装置でのISO-9865(ブンデスマン試験)を使用して、コーティング後及び洗浄前並びに1回、5回、10回、及び20回の洗浄後のデータを収集した。外観、布を通過した水の量、及びコーティングされたナイロンシートの水吸収を記録した。結果を下記の表2に示す。
【0099】
外観評価は主観的であり、試験中の水滴の外観又はその欠如に基づいた。図1は、ブンデスマン外観評価を示す。各試料を図1の画像に従って以下のように分類した:5左上、4右上、3中央左、2中央右、1下。外観は、>1であれば合格とみなし、1であれば不合格とみなした。好ましくは、外観は>3であった。更に、布を通過してカップに集められた水の量(透水)は、それが30g未満である場合に合格とみなされた。最後に、布が吸収した水の量(水吸収)を、布の質量に対するパーセントとして記録した。理想的には、布地はその質量の<20%を取り込むべきである。吸水率及び透水量の値が低いほど良好である。耐久撥水性のために、本明細書に記載されるブンデスマン試験に従って、5回、10回、及び20回の洗浄後に、布地が依然として外観>1、吸水率<20%、及び透水量<30gを有することが望まれた。
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
耐久性のある耐水性を有し、5回、10回、及び20回洗浄した後に、上記のブンデスマン試験によって測定して、外観評価>1、その質量の吸水率<20%、及び透水量<30gを有する布を製造することが望ましい。表2A、2B及び2Cは、本発明に従って調製された試料のそれぞれを使用して、耐久性のある耐水性を有する(すなわち、5回、10回及び20回の洗浄後に、外観、吸水率及び透水量の上述の基準を全て満たす)布地が調製されたことを示す。しかしながら、比較試料のいずれも、試験した条件下で5回、10回、及び20回の洗浄のそれぞれの後に3つの基準全てを満たす布地を生産しなかった。比較例1~4、6及び7は全ての基準に不合格であった。比較例5、6、7、及び8はそれぞれ、コポリマーを作製するために本発明の範囲外である異なるシリコーン-(メタ)アクリレート化合物を使用し、これらの比較例のそれぞれは、1つ以上の基準に不合格であった。驚くべきことに、実施例9A及び比較例4は、((A)結晶化可能なモノマー、(B)シリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー、及び(C)架橋性モノマーを組み合わせた重量を基準として)15%より多い量の(B)シリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー(Si10)を使用すると、コーティングの性能は、比較例4において、最初の処理後、並びに1回、5回、10回、及び20回の洗浄後の吸水率が増加するという点で不利になることを示した。したがって、驚くべきことに、コポリマー中のシリコーンの量が少ないほど(実施例9)、より耐久撥水性を有するコーティングが生成されることが見出された。
【0104】
ワックス添加剤を添加して、撥水性能などのいくつかの織物の特性を改善するか、又はそれらをより柔らかい感触にすることができる。エマルジョン配合物を、実施例3(方法B)について上記した手順に従って、以下の表3に記載するように調製した。Michelmanワックス743を約30%固形分で使用し、上記実施例3からのコポリマーエマルジョン(20%固形分)及びPhobolXan(商標)増量剤(約30%固形分)を使用した。ブンデスマン試験を、ナイロンの代わりにポリエステル布を使用したことを除いて、上記のように実行した。結果は、以下の表4A、4B、及び4Cに示されている。
【0105】
【表5】
【0106】
コーティング、洗浄/乾燥、試験手順及び性能要件は、異なる布を使用したことを除いて、上記の通りであった。布地は、Burlington製の、スタイル4774 075、坪量220g/mのポリエステルPES織布(縮緬)であった。
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】
上記の多孔性ポリエステル布上の撥水性能は、ワックスエマルジョン(コポリマーエマルジョンなし)又はコポリマーエマルジョン(ワックスエマルジョンなし)を使用した場合と比較して、ワックス対コポリマーエマルジョンの1:1及び3:1の比でワックスエマルジョンを添加することによって改善された。実施例10、11及び12は、試験した条件下で、上に概説した全ての性能基準を満たした。比較例9(コポリマーエマルジョンを含まないワックスエマルジョン)は、コーティングされていないポリエステル布(比較例10)と同様に機能し、試験した条件下で3つ全ての基準に不合格であった。
【0111】
追加のコポリマーエマルジョン試料を、上記の参考例における方法Bに従って作製したが、以下の表5に示される出発原料及び量を使用した。表5において、「HEMA」は2-ヒドロキシエチルメタクリレート、「GMA」はグリシジル(メタ)アクリレート、「PEGMA」はポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、「MAA」はメタクリル酸、「Nacrylamide」はN-ヒドロキシメチルアクリルアミド、「Amino」は2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、「(C-2)」は前述した化学式(C-2)のウレイド(メタ)アクリレートモノマーを意味する。これらの実施例は、異なる架橋性基を有するコポリマーのエマルジョンが本明細書に記載されるように調製され得ることを示す。
【0112】
【表9】
【0113】
表5からの試料を、プラスチックボトル中でPhobolXan(商標)増量剤(30%固形分)及び水と組み合わせ、手で振盪して混合した。これらの試料を(上記のように)PES上にコーティングし、上記のブンデスマン外観試験、吸水試験、及び透水試験によって評価した。その結果を、以下の表7A、7B、及び7Cに示す。
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
【表12】
【0117】
解決されるべき課題
耐久撥水性を有する非フルオロカーボン系織物処理剤が産業界で必要とされている。更に、上記のブンデスマン試験によって測定されるような高い耐久性を有するフルオロカーボンを含まない溶液に対する産業上の必要性が存在する。
【0118】
産業上の利用可能性
上記の実施例は、本明細書に記載のプロセスが、本明細書に記載のブンデスマン試験によって測定される耐久撥水性を有する布を製造することができることを示す。より具体的には、布地は、5回、10回、及び20回の洗浄後のブンデスマン外観評価>1、5回、10回、及び20回の洗浄後の吸水率≦20%、並びに5回、10回、及び20回の洗浄後の透水量≦30gを有することができる。
【0119】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表5における定義を有する。
【0120】
【表13】
【0121】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明語の性質であるように意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、特定の実施形態に、個々に及び又は組み合わされて依拠され得、十分なサポートを提供する。
【0122】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、及び範囲内に含まれる任意の他の部分範囲に更に線引きされ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「16~24」は、下位3分の1(すなわち、16~18)、中位3分の1(すなわち、19~21)、及び上位3分の1(すなわち、22~24)と更に区切ることができるか、あるいは範囲「16~24」は、サブ範囲「18~22」を含み、これらは個別的及び集合的に添付の特許請求の範囲の範囲内であり、添付の特許請求の範囲の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。加えて、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などに関して、このような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
【0123】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの水性エマルジョンを形成するためのプロセスであって、
1)(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0124】
【化15】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは、16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは、H及びメチルからなる群から選択される)と、(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0125】
【化16】

のシリコーン(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、Rは、上記の通りであり、Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択される)、但し、R、R及びRは、マクロモノマーが1分子当たり6~20個のケイ素原子を有するように選択される))と、(C)1重量%~5重量%の、式
【0126】
【化17】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素又はNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり)と、(D)界面活性剤と、(E)水と、(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することを含む、プロセス。
【0127】
第2の実施形態では、第1の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)において、Rは、水素である。
【0128】
第3の実施形態では、第2の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(A)は、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート及びベヘニルアクリレートからなる群から選択される。
【0129】
第4の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は式
【0130】
【化18】

(式中、R、R、D、及びRは上記の通りである)を有する。
【0131】
第5の実施形態では、第4の実施形態のプロセスにおいて、各Rはアルキルであり、各Dはアルキレンである。
【0132】
第6の実施形態では、第4又は第5の実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(B)は、1分子当たり10~16個のケイ素原子を有する。
【0133】
第7の実施形態では、第4の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(B)は、3-(5-((1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)オキシ)-1,1,1,3,7,9,9,9-オクタメチル-3,7-ビス((トリメチルシリル)オキシ)ペンタシロキサン-5-イル)プロピルメタクリレート、3-(1,5-ビス(2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)-3-(((2-(1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-((トリメチルシリル)オキシ)トリシロキサン-3-イル)エチル)ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチルトリシロキサン-3-イル)プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0134】
第8の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(C)において、各Rは、独立して、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、ウレイド、及びアセトキシからなる群から選択される。
【0135】
第9の実施形態では、第8の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、(2-アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0136】
第10の実施形態では、第9の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート(GMA)、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート(PEGMA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0137】
第11の実施形態では、第9の実施形態のプロセスにおいて、出発原料(C)は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0138】
第12の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、出発原料(D)は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0139】
第13の実施形態では、第12の実施形態のプロセスにおいて、カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物を含む。あるいは、上記非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール、アルコールエトキシレート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0140】
第14の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスは、ステップ1)において、(H)連鎖移動剤、(J)追加のモノマー、(K)阻害剤、又は(H)、(J)、及び(K)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0141】
第15の実施形態では、第14の実施形態のプロセスにおいて、(H)連鎖移動剤が存在し、連鎖移動剤はメルカプタンを含む。
【0142】
第16の実施形態では、第15の実施形態に記載のプロセスにおいて、メルカプタンは、ドデカンチオールを含む。
【0143】
第17の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスにおいて、(J)追加のモノマーが存在する。
【0144】
第18の実施形態では、第17の実施形態のプロセスにおいて、(J)追加のモノマーは、メチルメタクリレート、t-アミルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、例えばt-ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ナフチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0145】
第19の実施形態では、第18の実施形態のプロセスにおいて、(J)は、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、塩化ビニル、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0146】
第20の実施形態は、先行する実施形態のいずれか1つのプロセスによって調製されたシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーの水性エマルジョンである。
【0147】
第21の実施形態では、第20の実施形態のシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマーは、単位式:を含み、ここで
【0148】
【化19】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字xを有する上記シリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が6~20個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字xは、0.25~15の値を有し、下付き文字wは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、上記コポリマーは、末端部分を更に含む。
【0149】
第22の実施形態では、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物を調製するためのプロセスは、
1)(A)80重量%~98.75重量%の、式
【0150】
【化20】

の結晶化可能なモノマー(式中、Rは、16~24個の炭素原子のアルキル基であり、Rは、H及びメチルからなる群から選択される)と、(B)0.25重量%~15重量%の、式
【0151】
【化21】

のシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー(式中、各Rは、上記の通りであり、Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され(式中、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択される)、但し、R、R及びRは、マクロモノマーが1分子当たり6~20個のケイ素原子を有するように選択される))と、(C)1重量%~5重量%の、式
【0152】
【化22】

の架橋性(メタ)アクリレートモノマー(式中、Rは、独立して、酸素又はNHから選択され、Dは、1~12個の炭素の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子の二価基であり、下付き文字vは、0~12であり、Rは、架橋性基であり)と、(D)界面活性剤と、(E)水と、(I)開始剤と、を含む、出発原料を共重合し、それによって、(F)シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、(D)界面活性剤、及び(E)水を含む水性エマルジョンを形成することと、
2)上記水性エマルジョン、及び出発原料(G)ブロックドイソシアネートを含む水分散性架橋剤を組み合わせることと、を含む。
【0153】
第23の実施形態において、第22の実施形態のプロセスは、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を添加することを更に含む。
【0154】
第24の実施形態は、第22及び第23の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスによって調製される、織物を処理するのに好適なエマルジョン配合物である。
【0155】
第25の実施形態において、第24の実施形態のエマルジョン配合物は、シリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー、界面活性剤、水、水分散性架橋剤、任意選択で(L)ワックス、任意選択で(M)殺生物剤、任意選択で(N)追加の水、任意選択で(O)難燃剤、任意選択で(P)しわ減少剤、任意選択で(Q)帯電防止剤、及び任意選択で(R)浸透剤を含む。
【0156】
第26の実施形態では、織物を処理するためのプロセスは、I)織物を第24又は第25の実施形態のエマルジョン配合物でコーティングすることと、II)織物を加熱することと、を含む。
【0157】
第27の実施形態では、織物を処理するためのプロセスは、
I)エマルジョン配合物で上記織物をコーティングすることであって、上記エマルジョン配合物は、
単位式を含むシリコーン-(メタ)アクリレートコポリマー(ここで、
【0158】
【化23】

式中、各Rは、独立して選択された16~24個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、H及びメチルからなる群から選択され、各Dは、2~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、各Rは、式OSi(Rの基であり、式中、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して選択された1~12個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各Dは、独立して、酸素原子、1~12単位の(ポリ)アルキレンオキシド基、及び2~4個の炭素原子の二価炭化水素基からなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSi(Rからなる群から選択され、各Rは、独立して、R及びDSiRからなる群から選択され、但し、R、R、及びRは、下付き文字xを有するシリコーン-(メタ)アクリレートマクロモノマー単位が6~20個のケイ素原子を有するように選択され、各Rは、独立して、酸素原子及びNHからなる群から選択され、Dは、1~12個の炭素原子の二価炭化水素基であり、Dは、2~4個の炭素原子のアルキレン基又は二価のアルキルアリーレン基であり、下付き文字vは、下付き文字yを有する単位中の式(OD)の単位の数を表し、下付き文字vは、0~12の値を有し、各Rは、架橋性基であり、各Rは、1~14個の炭素原子の一価炭化水素基であり、各R10は、独立して、ハロゲン(例えば、塩素)、アセテート基、又は1~14個の炭素原子の一価炭化水素基からなる群から選択され、下付き文字w、x、y、z1、及びz2は、コポリマー中の各単位の相対重量を表し、下付き文字xは、0.25~15の値を有し、下付き文字wは、80~98.75の値を有し、下付き文字yは、1~5の値を有し、下付き文字z1は、0~18.75の値を有し、下付き文字z2は、0~18.75の値を有し、量(w+x+y+z1+z2)=100であり、但し、上記コポリマーは、末端部分を更に含む)と、界面活性剤と、水と、水分散性架橋剤とを含む、コーティングすることと、
II)上記織物を加熱することと、を含む。
【0159】
第28の実施形態では、第27の実施形態のプロセスにおいて、エマルジョン配合物は、(L)ワックス、(M)殺生物剤、(N)追加の水、(O)難燃剤、(P)しわ減少剤、(Q)帯電防止剤、(R)浸透剤、又は(L)、(M)、(N)、(O)、(P)、(Q)、及び(R)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の出発原料を更に含む。
【国際調査報告】