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特表2024-512462不均一な悪性腫瘍についての腫瘍ワクチン抗原カバレッジを最適化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】不均一な悪性腫瘍についての腫瘍ワクチン抗原カバレッジを最適化するための方法
(51)【国際特許分類】
   G16B 5/00 20190101AFI20240312BHJP
【FI】
G16B5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556856
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 US2022020235
(87)【国際公開番号】W WO2022197630
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,023
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レイン クリストファー プライス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ヘッカーマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ウィルヘルム シュミッツ
(57)【要約】
本明細書には、対象の腫瘍から対象特異的免疫原性組成物に好適である腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択するための方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の腫瘍から、対象特異的免疫原性組成物のための腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択するための方法であって、
a)前記腫瘍に存在すると決定されたエピトープのリストを提供することと、
b)前記腫瘍に存在すると決定されたサブクローンのリストを提供することと、
c)エピトープのサブクローンへのマッピングを提供することであって、前記マッピングは、前記エピトープのリストのエピトープが前記サブクローンのリストのどのサブクローン(複数可)に属するかを示す、前記提供することと、
d)目的関数に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのリストからエピトープのセットを選択することであって、前記目的関数が、前記サブクローンのリスト内の全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計または積に対応する最大値を決定するように構成されており、個々のサブクローンの前記サブクローンスコアは、前記選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが前記個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいており、前記目的関数の制約が、前記エピトープのセット内のエピトープの数を限定する、前記選択することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記目的関数の前記制約が、前記エピトープのセット内の前記エピトープの数を、エピトープの所定の最大数に限定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エピトープのサブクローンへのマッピングは、エピトープとサブクローンとの各組み合わせごとに、前記エピトープが前記サブクローンに属する確率を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記個々のサブクローンの前記サブクローンスコアが、前記選択されたエピトープのセットにわたる個々のエピトープ-サブクローンスコアに少なくとも一部基づいており、個々のエピトープ-サブクローンスコアは、前記選択されたエピトープのセットの個々のエピトープが前記個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記エピトープのリスト内の各エピトープが、品質スコアを有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記個々のエピトープ-サブクローンスコアが、前記個々のエピトープの前記品質スコアに少なくとも一部基づいている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記個々のエピトープの前記品質スコアが、包括的に0~1の範囲であり、前記個々のエピトープ-サブクローンスコアは、前記個々のエピトープの前記品質スコアと、前記個々のエピトープが前記個々のサブクローンに属する確率との積である、請求項5または6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エピトープのリスト内のエピトープの前記品質スコアが、前記エピトープの提示確率、結合親和性または免疫原性応答のうちの1つ以上に基づいている、請求項5、6または7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記品質スコアが、MHCクラスI機械学習モデル、MHCクラスII機械学習モデル、製造可能性または1つ以上の包含基準によって、少なくとも一部基づいて決定される、請求項5、6、7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記制約が、前記選択されたエピトープのセットについての最大総重みを決定し、前記リスト内の各エピトープが、重みを割り当てられている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記エピトープのリスト内の各エピトープが、等しく重み付けされている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エピトープのリスト内の各エピトープが、1の重みを割り当てられている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記目的関数の最大値が、前記サブクローンのリスト内のサブクローンの数である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記目的関数の最大値が、1である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記目的関数及び前記制約をラグランジュ乗数問題として表すことを更に含み、前記エピトープのセットが、前記ラグランジュ乗数問題の解に少なくとも一部基づいて選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ロジスティック技法を使用して、前記ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アテンション技法を使用して、前記ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ディープセット技法を使用して、ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
勾配降下技法に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記勾配降下技法が、確率的技法を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記勾配降下技法が、適応ステップサイズ技法を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
組み合わせ最適化技法に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
進化的アルゴリズム技法に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのセットを選択することを更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記エピトープのリストを品質スコアによってソーティングすることと、
エピトープが、前記選択されたエピトープのセット内の他のエピトープは停止条件が満たされるまで属さないサブクローンに属する場合、ソーティングされた前記リスト全体を降順で1回以上反復し、前記選択されたエピトープのセットに前記エピトープを追加することと、を更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記停止条件は、前記選択されたエピトープのセット内のエピトープの数がエピトープの前記最大数に達したときに満たされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記停止条件は、前記選択されたエピトープのセット内のエピトープ数が前記エピトープのリスト内のエピトープの数に達したときに満たされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記エピトープのリスト内の各エピトープごとに:
前記サブクローンのリスト内の各サブクローンごとに、個々のエピトープと個々のサブクローンとの間のメンバーシップ確率を決定することと、
前記サブクローンのリスト内の前記サブクローンの全てにわたる前記個々のエピトープの平均確率を決定することと、
前記個々のエピトープについてのエピトープソーティングスコアを決定することであって、前記エピトープソーティングスコアが、前記個々のエピトープの平均メンバーシップ確率と前記個々のエピトープの前記品質スコアとの積である、前記決定することと、
前記エピトープのリストをエピトープソーティングスコアを降順にすることでソーティングすることと、
前記ソーティングされたエピトープのリストから最上位のエピトープの最大数を選択することと、を更に含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記サブクローンのリストからのサブクローンは、前記サブクローンが前記腫瘍に存在する確率に少なくとも一部基づいて、前記腫瘍に存在すると決定される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記エピトープの最大数が、18、19または20である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記エピトープのリスト内の各エピトープが、1つ以上の包含基準を満たしている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記選択されたエピトープのセットを含む、対象特異的免疫原性組成物を形成することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
クライアントデバイスから前記エピトープのリストを受信することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍に存在するエピトープを識別することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
クライアントデバイスから前記サブクローンのリストを受信することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記腫瘍に存在するサブクローンを識別することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
クライアントデバイスから前記マッピングを受信することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記エピトープのリストのエピトープが前記サブクローンのリストのどのサブクローン(複数可)に属するかを決定することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記クライアントデバイスに、前記選択されたエピトープのリストを送信することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
対象特異的免疫原性組成物の製造のための前記選択されたエピトープのリストを提供することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記エピトープのセットの1つ以上のエピトープを含む対象特異的免疫原性組成物を形成することを更に含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
請求項39または40に記載の対象特異的免疫原性組成物を対象に投与する方法。
【請求項42】
対象特異的免疫原性組成物のためのエピトープのセットを提供するための方法であって、
a)腫瘍に関連付けられたゲノム配列データを取得することと、
b)前記ゲノム配列データに少なくとも一部基づいて、前記腫瘍に存在するエピトープのリストを決定することと、
c)前記ゲノム配列データに少なくとも一部基づいて、前記腫瘍に存在するサブクローンのリストを決定することと、
d)エピトープのサブクローンへのマッピングを決定することであって、前記マッピングは、前記エピトープのリストのエピトープが前記サブクローンのリストのどのサブクローン(複数可)に属するかを示す、前記決定することと、
e)目的関数に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのリストからエピトープのセットを選択することであって、前記目的関数が、前記サブクローンのリスト内の全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計または積に対応する最大値を決定するように構成されており、個々のサブクローンの前記サブクローンスコアは、前記選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが前記個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいており、前記目的関数の制約が、前記エピトープのセット内のエピトープの数を限定する、前記選択することと、
f)前記選択されたエピトープのセットをワクチン製造事業体に提供することと、を含む、前記方法。
【請求項43】
前記エピトープのリストをMHCクラスIまたはMHCクラスII機械学習モデルに入力することと、
前記MHCクラスIまたはMHCクラスII機械学習モデルを介して、前記エピトープのリスト内の前記エピトープの各々についての品質スコアを決定することであって、前記エピトープのリスト内のエピトープの前記品質スコアが、前記エピトープの提示確率、結合親和性または免疫原性応答のうちの1つ以上に基づいている、前記決定することと、を更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エピトープのサブクローンへのマッピングを決定することが、エピトープとサブクローンとの各組み合わせごとに、前記エピトープが前記サブクローンに属する確率を決定すること含む、請求項42または43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
対象特異的免疫原性組成物のためのエピトープのセットを提供するための方法であって、
a)腫瘍に関連付けられたゲノム配列データを取得することと、
b)前記腫瘍に存在するエピトープのリストを決定することと、
c)前記腫瘍に存在するサブクローンのリストを決定することと、
d)エピトープのサブクローンへのマッピングを決定することであって、前記マッピングは、前記エピトープのリストのエピトープが前記サブクローンのリストのどのサブクローン(複数可)に属するかを示す、前記決定することと、
e)目的関数に少なくとも一部基づいて、前記エピトープのリストからエピトープのセットを選択することであって、前記目的関数が、前記サブクローンのリスト内の全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計または積に対応する最大値を決定するように構成されており、個々のサブクローンの前記サブクローンスコアが、前記選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが前記個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいており、前記目的関数の制約が、前記エピトープのセット内のエピトープの数を限定する、前記選択することと、
f)前記エピトープのセットの1つ以上のエピトープを含む対象特異的免疫原性組成物を形成することと、
g)前記免疫原性組成物を前記対象に投与することと、を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月15日に出願された米国仮出願第63/161,023号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表への参照
本出願は、コンピュータ可読形態の配列表を含む。コンピュータ可読形態は、参照により本明細書に組み込まれる。上記ASCIIコピーは、2022年3月14日に作成され、146401_091707_SL.txtと名付けられ、14,044バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
がんは世界の主要な死因であり、全死亡者の4人に1人を占めている。Siegel et al.,CA:A Cancer Journal for Clinicians,68:7-30(2018)。2018年には、1810万人の新たながん症例及び960万人のがん関連の死亡があった。Bray et al.,CA:A Cancer Journal for Clinicians,68(6):394-424。アブレーション技法(例えば、外科的処置及び放射線)及び化学的技法(例えば、化学療法剤)を含む、数多くの既存の標準治療のがん療法がある。残念ながら、そのような療法は、予後危険、毒性副作用及び非常に高いコスト、ならびに不確実な効力を頻繁に伴う。
【0004】
がん免疫療法(例えば、がんワクチン)は、有望ながん治療法として浮上している。がん免疫療法の目標は、正常な組織を無傷のまま残しながら、がんの選択的破壊のために免疫系を活用することである。旧来のがんワクチンは、典型的には、腫瘍関連抗原を標的とする。腫瘍関連抗原は、典型的には、正常な組織に存在するが、がんにおいて過剰発現する。しかしながら、これらの抗原は、多くの場合、正常な組織に存在するため、免疫寛容が免疫活性化を阻止し得る。腫瘍関連抗原を標的とするいくつかの臨床試験では、標準治療と比較して、持続的で有益な効果を実証することができなかった。Li et al.,Ann Oncol.,28(Suppl 12):xii11-xii17(2017)。
【0005】
ネオアンチゲンは、がん免疫療法のための魅力的な標的を表す。ネオアンチゲンは、個々の特異性を有する非自己タンパク質である。ネオアンチゲンは、腫瘍細胞ゲノムにおけるランダムな体細胞変異に由来し、正常な細胞の表面上で発現しない(同書)。ネオアンチゲンは、排他的に腫瘍細胞上で発現し、したがって中枢性免疫寛容を誘導しないため、がんネオアンチゲンを標的とするがんワクチンは、低下した中枢性免疫寛容及び改善された安全性プロファイルを含む潜在的な利点を有する(同書)。
【0006】
がんの変異ランドスケープは複雑であり、腫瘍変異は一般に個々の各対象に固有である。シーケンシングによって検出されるほとんどの体細胞変異は、有効なネオアンチゲンをもたらさない。腫瘍DNAまたは腫瘍細胞中の変異のごく一部のみが、有効である可能性が高いワクチンを設計するのに十分な精度で、転写され、翻訳され、腫瘍特異的ネオアンチゲンへと処理される。更に、全てのネオアンチゲンが免疫原性であるとは限らない。実際、内因性ネオアンチゲンを自発的に認識するT細胞の割合は、約1%~2%である。Karpanen et al.,Front Immunol.,8:1718(2017)を参照されたい。更に、ネオアンチゲンワクチンの製造に関連付けられたコスト及び時間は多大である。
【0007】
したがって、免疫原性組成物のためのネオアンチゲン候補を効率的かつ正確に予測し、優先順位付けし、選択することは、課題のままである。したがって、腫瘍ゲノム材料を特徴付けて、ネオアンチゲンを識別し、どのネオアンチゲンが免疫系によって標的とされるかを識別し、どのネオアンチゲンが有効な免疫原性組成物に好適である可能性が高いかを選択するための統合された方法に対する大きな必要性がまだ満たされていない。
【0008】
発明の概要
本開示は、不均一な悪性腫瘍についてのカバレッジを提供する個別化された(すなわち、対象特異的)免疫原性組成物のために好適な腫瘍特異的ペプチドを選択するための新規の方法に関する。本開示はまた、腫瘍特異的ペプチドを選択し、不均一な悪性腫瘍についての最適なカバレッジのために選択された腫瘍特異的ペプチドを含む免疫原性組成物を製剤化するための新規の手法を使用して選択された腫瘍特異的ペプチドを含む免疫原性組成物を投与することによって、それを必要とする対象においてがんを治療する方法に関する。
【0009】
好適な腫瘍特異的ペプチドは、対象において免疫応答を惹起するのに十分な量で発現すると予測され、任意選択で、腫瘍にわたる十分な多様性を表し、比較的高い製造実現可能性を有するペプチドである。本発明の方法は、腫瘍配列データから決定された初期のペプチドのセットを取り、免疫原性組成物が異なる腫瘍サブクローンにわたる最適なカバレッジを提供しながら、細胞表面提示、結合親和性及び免疫原性応答などの他の品質因子の点でも良好に機能するように、個別化された免疫原性組成物に含めるためのセットをそこから選択する。ある特定の数のペプチドのみを最終生成物に含めることができるという制約のために、ペプチド選択を最適化することは特に重要である。
【0010】
本発明の技法は、腫瘍に存在するペプチドのリスト、腫瘍に存在するサブクローンのリスト、及び所与のペプチドが所与のサブクローンに属する確率を示すペプチドとサブクローンとの間のマッピングを利用する。ペプチドのセットは、サブクローンのリスト内の全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計または積に対応する値を最大化することを目的とする目的関数に基づいて、ペプチドのリストから選択される。個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいている。個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいており、変異が腫瘍内でどのようにクラスター化し得るかを推定または予測するために利用され得る。いくつかの実施形態では、個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのセットにわたる個々のペプチド-サブクローンスコアに少なくとも一部基づいている。個々のペプチド-サブクローンスコアは、選択されたペプチドのセットの個々のペプチドが個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいている。個々のペプチド-サブクローンスコアは、選択されたペプチドのセットの個々のペプチドが個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいており、がん細胞分画または細胞出現率と関連付けられ得る。実施例によれば、細胞分画は、変異を含むがんの分画を表し得る(例えば、変異Aががんの約50%に存在し、変異Bががんの約25%に存在し、変異Cががんの約25%に存在する)。個々のペプチド-サブクローンスコアは、追加的に、提示の確率、結合親和性及び/または免疫原性応答などのペプチドの様々な他の特徴を含む、個々のペプチドの品質スコアに少なくとも一部基づき得る。細胞出現率または細胞分画は、変異が他の変異の存在下で生じるかどうか、または変異がばらばらに生じるかを示す、階層として系統に再編成され得る。
【0011】
本発明の技法に少なくとも一部基づいて製剤化された免疫原性組成物は、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲンまたは少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含み得る。腫瘍特異的ネオアンチゲンは、短いポリペプチドまたは長いポリペプチドによってコードされ得る。免疫原性組成物は、ヌクレオチド配列、ポリペプチド配列、RNA、DNA、細胞、プラスミド、ベクター、樹状細胞または合成長鎖ペプチドを含み得る。免疫原性組成物は、アジュバントを更に含み得る。
【0012】
本開示はまた、それを必要とする対象においてがんを治療する方法であって、本明細書に記載される方法を使用して選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む個別化された免疫原性組成物を投与することを含む、方法に関する。本明細書に開示される方法は、任意の数のがんを治療するのに適し得る。腫瘍は、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞リンパ球性白血病、膀胱癌または肺癌からであり得る。好ましくは、がんは、黒色腫、乳癌、肺癌及び膀胱癌である。
【0013】
本開示による様々な実施形態が図面を参照して記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態による、プロバイダネットワーク(または「サービスプロバイダシステム」)環境の例を示す。
図2】いくつかの実施形態による、顧客にストレージサービス及びハードウェア仮想化サービスを提供するプロバイダネットワークの例のブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、本明細書に記載される技法の一部分または全てを実施するシステムを示す。
図4】様々な実施形態の態様を実施するために使用することができる方法の例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、強力な個別化されたがん免疫原性組成物(例えば、対象特異的免疫原性組成物)に含めるための不均一な悪性腫瘍についての最適なカバレッジのための腫瘍特異的ペプチドを選択するための新規の手法に関する。本開示はまた、腫瘍特異的ペプチドを選択し、選択された腫瘍特異的ペプチドを含む免疫原性組成物を製剤化するための新規の手法を使用して形成された腫瘍特異的ペプチドを含む免疫原性組成物を投与することによって、それを必要とする対象においてがんを治療する方法に関する。
【0016】
対象の腫瘍に現れる固有の変異を標的とする個別化されたがん免疫原性組成物を作製する際に、腫瘍に存在するネオアンチゲンのサブセットが、免疫原性組成物に含めるために選択される。したがって、本発明の方法は、生存可能で有効な免疫原性組成物を作製するペプチドのセットの選択を可能にする。特に、各腫瘍は固有であるだけでなく、各腫瘍の内部には、グループ間で共有されていてもそうでなくてもよい共通の変異を有する個別の細胞群がある。これは「腫瘍の不均一性」として知られている。一般に、腫瘍は、1つ(または少数)の腫瘍細胞から成長する。経時的に、様々な体細胞変異が、ある特定の細胞群に蓄積するが、全ての細胞群にわたって一様ではない。これらの個別の群の各々は、「サブクローン」と称され得る。本明細書に記載される1つ以上の方法を利用して、腫瘍内で変異がどのようにクラスター化するかを推定することができる。本発明の方法は、多くの腫瘍サブクローンにわたって広いカバレッジを有するペプチドの選択を提供する。
【0017】
本開示において引用される全ての刊行物及び特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾するか、またはそれと一致しない範囲については、本明細書が任意のそのような資料に優先する。本明細書における任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本開示の先行技術であることを認めるものではない。値の範囲が表現されるとき、それは、その範囲内の任意の特定の値を使用する実施形態を含む。更に、範囲に記述される値への言及は、その範囲内の各値及びあらゆる値を含む。全ての範囲は、それらの端点を含み、組み合わせ可能である。先立つ「約」の使用によって近似値として値が表現されるとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。特定の数値への言及は、その内容に別途明確な指示がない限り、少なくともその特定の値を含む。「または」の使用は、その使用の特定の内容に別途指示がない限り、「及び/または」を意味するであろう。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、本明細書の態様に関する様々な用語が使用される。そのような用語は、別途指示がない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を与えられるべきである。他の具体的に定義された用語は、本明細書で提供される定義と一致するように解釈されたい。本明細書に記載または参照される技法及び手順は、一般によく理解され、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている広く利用されている分子クローニング法などの、当業者による従来の方法論を使用して一般的に採用される。必要に応じて、別途注記がない限り、市販のキット及び試薬の使用を伴う手順は、一般に、製造業者が定義したプロトコル及び条件に従って実行される。
【0019】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、その内容に別途明確な断りがない限り、複数形を含む。「含む(include)」、「などの(such as)」などの用語は、別途具体的に示されない限り、限定されないが、包含を伝えることを意図している。
【0020】
別途指示がない限り、一連の要素もしくは範囲に先行する「少なくとも(at least)」、「未満(less than)」及び「約(about)」という用語、または同様の用語は、その一連または範囲内のあらゆる要素を指すと理解されたい。当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【0021】
「がん」という用語は、細胞の集団が無制御の増殖、不死、転移可能性、急速な成長及び増殖速度、及び/またはある特定の形態学的特徴を特徴とする、対象における生理学的状態を指す。多くの場合、がんは、腫瘍または塊の形態であり得るが、対象内に単独で存在し得るか、または白血病細胞もしくはリンパ腫細胞などの独立した細胞として血流中を循環し得る。がんという用語は、血液悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、癌腫ならびに他の固形及び非固形腫瘍を含む、全てのタイプのがん及び転移を含む。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより特定の例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌腫、腹膜癌、肝細胞癌、消化管癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、ホルモン受容体陽性乳癌)、骨肉腫、黒色腫、結腸癌、結腸直腸腸癌、子宮内膜(例えば、漿液)癌または子宮癌、唾液腺癌腫、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌腫及び様々なタイプの頭頸部癌が挙げられる。トリプルネガティブ乳癌は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)及びHer2/neuについての遺伝子の発現が陰性である乳癌を指す。ホルモン受容体陽性乳癌は、以下の:ERまたはPRのうちの少なくとも1つについて陽性であり、Her2/neu(HER2)について陰性である乳癌を指す。
【0022】
本明細書で使用される「ネオアンチゲン」という用語は、例えば、腫瘍細胞における変異または腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾を介して、対応する親抗原とは異なる少なくとも1つの変化を有する抗原を指す。変異は、フレームシフト、インデル、ミスセンスもしくはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、またはネオアンチゲンを生じさせる任意のゲノム発現変化を含み得る。変異は、スプライス変異を含み得る。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾は、異常なリン酸化を含み得る。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾は、プロテアソーム生成スプライス抗原も含み得る。Lipe et al.,Science,354(6310):354:358(2016)を参照されたい。一般に、点変異は、腫瘍及びインデルにおける約95%の変異を占め、フレームシフト変異が残りを占める。Snyder et al.,N Engl J Med.,371:2189-2199(2014)を参照されたい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「腫瘍特異的ネオアンチゲン」という用語は、特定の腫瘍細胞または組織に存在するネオアンチゲンである。
【0024】
本明細書で使用される「生殖細胞系同胞」という用語は、対応するネオアンチゲンの非変異ペプチド等価物を表す生殖細胞系抗原を指す。
【0025】
本明細書で使用される「次世代シーケンシング」または「NGS」という用語は、旧来の手法(例えば、サンガーシーケンシング)と比較して増加したスループットを有し、一度に数十万の配列リードを生成する能力を有するシーケンシング技術を指す。
【0026】
本明細書で使用される「ニューラルネットワーク」という用語は、線形変換の複数の層に続いて、典型的には確率的勾配降下及び逆伝播を介して訓練された要素ごとの非線形性からなる、分類または回帰のための機械学習モデルを指す。
【0027】
本明細書で使用される「対象(subject)」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などが挙げられるが、これらに限定されない、任意の哺乳動物などの任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、マウスである。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0028】
本明細書で使用される「腫瘍細胞」という用語は、がん細胞であるか、またはがん細胞に由来する任意の細胞を指す。「腫瘍細胞」という用語はまた、がん様特性、例えば、制御不能な生殖、抗成長シグナルに対する耐性、転移する能力、及びプログラム細胞死を受ける能力の喪失を示す細胞を指すことができる。
【0029】
本明細書で使用される「サブクローン」という用語は、別のクローンからの系統であるが、変異を蓄積することによって分化した細胞のサブ集団を指す。
【0030】
方法の追加の記載、及び方法の実践のためのガイダンスが本明細書に提供される。
【0031】
I.サブクローンカバレッジのための腫瘍特異的ペプチドを選択するための方法
本明細書には、対象の腫瘍から対象特異的免疫原性組成物に好適である腫瘍特異的ペプチドを選択するための方法が開示される。図4は、本明細書で提供される実施形態の例示的な方法を示す。好適な腫瘍特異的ペプチドは、多くの腫瘍サブクローンにわたる広いカバレッジを提供し、腫瘍の細胞表面上に提示される可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象において免疫応答を惹起するのに十分な量で発現すると予測され、任意選択で、腫瘍にわたる十分な多様性を表し、及び/または比較的高い製造実現可能性を有するペプチドである。本発明の方法は、その目的のためにペプチドの群(例えば、約19、20、30または任意の指定された数の群)を選択するための技法を提供する。
【0032】
ペプチドのセットは、最初のペプチドのリストから選択することができる。最初のペプチドのリストは、腫瘍及び対象のゲノム配列データに基づいて決定され得る。一般に、1つ以上の腫瘍特異的ペプチドのポリペプチド配列を表す配列データは、腫瘍試料を配列分析に供することによって決定される。いくつかの実施形態では、配列データを取得することは、以前に行われたシーケンシングから、記憶されたデータを受信するか、またはそれにアクセスすることを含む。配列データは、例えば、エクソーム配列データ、トランスクリプトーム配列データ、全ゲノムヌクレオチド配列データ、ヌクレオチド配列データまたはポリペプチド配列データであり得る。腫瘍及び対象についての配列データを取得する様々な方法は、本明細書に記載される方法に使用することができる。いくつかの例示的なシーケンシング方法は、以下に更に詳細に記載される。
【0033】
1つ以上の腫瘍特異的ペプチドのポリペプチド配列を表す配列データが取得されると、配列データは、対象のMHC分子とともに、対象のための免疫原性組成物に含めるためのペプチド候補を識別及び選択することと併せて分析することができる。いくつかの実施形態では、最初のペプチドのリストは、各体細胞変異に及ぶスライディングウィンドウを使用して識別される。いくつかの実施形態では、腫瘍内に存在するペプチドのシーケンシング及び識別は、本発明の技法の前に行うことができる。存在するペプチドのシーケンシング及び/または決定は、選択技法を行う同じパーティ/エンティティによって、または異なるパーティ/エンティティによって行われ得る。いくつかの実施形態では、最初のペプチドのリストは、クライアントデバイス(例えば、サードパーティデバイス)から受信される。
【0034】
追加的に、識別されたペプチドは、各々、提示確率、結合親和性、ペプチドの免疫原性応答またはそれらの組み合わせに基づき得る品質スコアを有する。いくつかの実施形態では、品質スコアは、予測された提示確率に少なくとも一部基づいている。いくつかの実施形態では、品質スコアは、予測される結合親和性に少なくとも一部基づいている。いくつかの実施形態では、予測される提示確率、予測される結合親和性及び予測される提示確率は、1つ以上の機械学習モデル、ならびに対象のHLAクラスI及び/またはHLAクラスII対立遺伝子によって決定される。いくつかの実施形態では、予測される結合親和性は、Class II対立遺伝子と所与のペプチドとの間の結合親和性を決定するために訓練されたMHCクラスII学習モデルからのデータに少なくとも一部基づいて決定される。いくつかの実施形態では、品質スコアは、予測される免疫原性応答に少なくとも一部基づいている。いくつかの実施形態では、品質スコアは、予測された提示確率、予測された結合親和性及び予測された提示確率の組み合わせに少なくとも一部基づいている。そのようなスコアを決定するために使用されるMHCクラスI及びクラスII機械学習モデルは、以下により詳細に記載される。
【0035】
腫瘍に存在するペプチドのリストに加えて、本発明の選択技法はまた、腫瘍に存在するサブクローンのリストを利用する。腫瘍の成長は、腫瘍細胞のうちの1つ(または少数)を起源とする。経時的に、これらの細胞のある特定の群には様々な体細胞変異が蓄積されるが、他の群には蓄積されない。これらの個別の群の各々がサブクローンである。腫瘍に存在するサブクローンは、様々な方法を通して決定することができる。例えば、全エクソームまたは全ゲノムシーケンシングからサブクローンを検出するための確率的方法は、Pycloneを使用して行われ得る(Roth et al.,2014)。一般に、外部リソースを使用して、いくつのサブクローンが存在し、各変異及び関連するペプチドがどのサブクローン(複数可)に属するかを予測することができる。いくつかの実施形態では、最初のサブクローンのリストは、クライアントデバイス(例えば、サードパーティデバイス)から受信される。
【0036】
いくつかの実施形態では、サブクローンを識別することは確率的であり、ある特定のサブクローンが腫瘍に存在する確率または可能性があることを意味する。したがって、サブクローンは、確率が閾値または他の決定カットオフを満たすとき、「識別された」または「存在する」とみなされる。識別されたペプチドは、それらが属する識別されたサブクローンにマッピングされる。例えば、ある特定のペプチドは、ある特定のサブクローンの一部であるとみなされ得る。場合によっては、ペプチドは、複数のサブクローンに属し得る。いくつかのサブクローンは、いずれのメンバーペプチドも有しない場合がある。どのペプチドがどのサブクローンに属するかのマッピングも確率的であり得、ペプチドがある特定のサブクローンに属するある特定の確率があることを意味する。したがって、ペプチドのサブクローンへのマッピングは、任意のペプチドと任意のサブクローンとの間のメンバーシップの確率(すなわち、メンバーシップ確率)を含む。メンバーシップの確率は、0~1の値として表現され得る。いくつかの実施形態では、ペプチド及びサブクローンのマッピングは、クライアントデバイス(例えば、サードパーティデバイス)から受信される。
【0037】
図4は、対象の腫瘍から、対象特異的免疫原性組成物のための腫瘍特異的ペプチドを選択するための方法を示す。最初に、腫瘍に存在することが決定されたペプチドのリストを取得する410。例えば、「取得すること(obtaining)」は、腫瘍の遺伝子シーケンシングを行い、ペプチドを識別すること、または単にこの記憶された情報にアクセスすることを含み得る。リスト内のペプチドの各々は、考えられる特徴の中でも、ペプチドの提示確率、ペプチドの結合親和性、ペプチドの免疫原性応答またはそれらの組み合わせに基づき得る品質スコアを有する。品質スコアは、包括的に0~1の範囲であり得る。加えて、腫瘍に存在すると決定されたサブクローンのリストも取得する420。同様に、「取得すること(obtaining)」は、記憶された情報にアクセスすることまたはサブクローンを識別するプロセスを行うことを含む。ペプチドのサブクローンへのマッピングも取得する430。マッピングは、ペプチドがどのサブクローン(複数可)に属するか、及び各サブクローンペプチドの組み合わせ間のメンバーシップ確率を示す。
【0038】
ペプチドのリスト、サブクローンのリスト、及びペプチドとサブクローンとの間のマッピング(すなわち、メンバーシップ確率)を利用して、ペプチドのセットを目的関数に基づいてペプチドのリストから選択する440。目的関数は、サブクローンのリスト内の全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計または積に対応する値を最大化することを目的とする。より具体的には、個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいている。いくつかの実施形態では、個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいており、変異が腫瘍内でどのようにクラスター化し得るかを推定または予測するために利用され得る。いくつかの実施形態では、個々のサブクローンのサブクローンスコアは、選択されたペプチドのセットにわたる個々のペプチド-サブクローンスコアに少なくとも一部基づいており、個々のペプチド-サブクローンスコアが、選択されたペプチドのセットの個々のペプチドが個々のサブクローンに属する確率に少なくとも一部基づいている。サブクローンスコアは、がん細胞分画または細胞出現率と関連付けられ得る。実施例によれば、細胞分画は、変異を含むがんの分画を表し得る(例えば、変異Aががんの約50%に存在し、変異Bががんの約25%に存在し、変異Cががんの約25%に存在する)。個々のペプチド-サブクローンスコアは、追加的に、個々のペプチドの品質スコアに少なくとも一部基づき得る。例えば、個々のペプチド-サブクローンは、個々のペプチドの品質スコアと個々のペプチドが個々のサブクローンに属する確率との積であり得る。細胞出現率または細胞分画は、変異が他の変異の存在下で生じるかどうか、または変異がばらばらに生じるかを示す、階層として系統に再編成され得る。
【0039】
各ペプチドは、割り当てられた重みを有し得、ペプチドの選択は、最大総重みによって制約される。いくつかの実施形態では、各ペプチドは、値「1」などの同じ重みを割り当てられる。これらの場合には、最大総重み制約はまた、免疫原性組成物に含めるために、または更なる分析のために選択することができるペプチドの最大数として表現され得る。
【0040】
目的関数の値が全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの合計である実施形態などのいくつかの実施形態では、目的関数の最大値は、サブクローンのリスト内のサブクローンの数に等しく、これは、あらゆるサブクローンが選択されたペプチドによってカバーされていることを示している。値は、提示され、結合し、免疫原性であるなどのペプチドを有し得る想定されるサブクローン数を表す。目的関数の値が全てのサブクローンにわたるサブクローンスコアの積である実施形態などの他の実施形態では、目的関数の最大値は1であり、最小値は0である。これは、全てのサブクローンが、提示され、結合し、免疫原性であるなどの少なくとも1つのペプチドを有する確率として解釈することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明の技法はまた、任意のタイプのエピトープに適用することができ、ペプチドに限定されない。例えば、これは、RNA及びDNA等価物、mRNA、ならびにコンカテマーを含み得る。
【0042】
目的関数
前述の目的関数は、サブクローンカバレッジとペプチド有効性(品質スコアで表される)との間の最適なバランスを取るペプチドのセットを選択する問題を表す。いくつかの実施形態では、目的関数は、以下のように表現することができ、
【数1】
制約を受ける:
【数2】
OR記号∨の定義は以下のとおりである。
AVB=A+B-AB 式3
式中:
Xが、ペプチドのリストであり、X={(x,s,w):i=1,…,N}であり、xが、i番目のペプチドであり、sが、i番目のペプチドの品質スコアであり、wが、i番目のペプチドの重みである。
Cは、ペプチドのリストであり、C={(cα:α=1,…,M}であり、Piαは、ペプチドxがサブクローンcαに属する確率である。ペプチドは、少なくとも1つのサブクローンに属し、2つ以上のサブクローンに属し得る。サブクローンは空でもよい。
Wは、選択されたペプチドの最大総重みである。
【0043】
この問題は、品質スコアが各ペプチドについての確率推定値であると仮定することによって動機付けられ、s=P(x)であり、最適化タスクは、制約を受けて、高品質スコアを有する1つ以上のペプチドを含有する可能性が高いサブクローンの数を最大化するペプチドのリストから制限されたペプチドのセットを選ぶことである。しかしながら、目的関数の全体的な値は、単なる確率値または品質スコアの合計ではない。代わりに、AVBの定義における二次項-ABは、他の選択されたペプチドによって既にカバーされているサブクローンに属する追加のペプチドを追加するための値に対する収穫逓減をもたらす。
【0044】
いくつかの実施形態では、ペプチドの全ては、「1」で表現される同じ重みを有する。そのような場合には、制約は、選択することができるペプチドの最大数である。例示的な実施形態では、選択され得るペプチドの最大数は、18、19または20であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドの最大数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、37、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50以上のペプチドであり得る。選択することができるペプチドの最大数は、約2~20個のペプチド、約2~30個のペプチド、約2~40個のペプチド、約2~50個のペプチド、約2~60個のペプチド、約2~70個のペプチド、約2~80個のペプチド、約2~90個のペプチドまたは約2~100個のペプチドであり得る。目的関数は、様々な方法を使用して解くことができ、これらの方法うちのいくつかが以下に記載されている。
【0045】
ラグランジュ乗数問題としての目的関数
式1の反論関数及び式2の制約は、このラグランジュ乗数問題に対する解が、選択されたペプチドのセットを表す以下のラグランジュ乗数問題として表現することができる。
【数3】
式中、
λは正の実数であり、Πθ=(Πθ ,…,Πθ )∈[0,1]は、実パラメータθのセットに基づいて決定されるXにおけるペプチド当たりの確率である。Πθ は、θが与えられた場合にxが選択される確率を表す。
【0046】
適切なパラメータ化Πθが与えられると、問題は以下のように再計算することができる。
【数4】
【0047】
様々なパラメータ化技法を使用して、ラグランジュ乗数問題に対する解を見つけることができる。いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、ロジスティック技法を使用して、ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて選択される。この技法を使用すると、ペプチドのリスト内の各ペプチドxごとに、実パラメータθが割り当てられる。次いで、関数Πθ =Φ(θ)が評価され、Φ(y)=1/1+exp(-y))はシグモイド関数である。
【0048】
いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、アテンション技法を使用して、ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて選択される。ペプチドのリスト内の各ペプチドについては、ペプチド品質スコア、重み及びサブクローンメンバーシップ確率が連結される。次いで、これは、パラメータθを含むトランスフォーマーのための単一のエンコーダー層を使用して、ペプチドロジットごとに処理される。次いで、ロジットは、シグモイド関数Φを介してΠθ に変換される。
【0049】
いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、ディープセット技法を使用して、ラグランジュ乗数問題のパラメータ化に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、ラグランジュ乗数問題を解くための最適化手順として進化的アルゴリズムを使用して選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、とりわけ、確率的技法、ステップサイズ技法などの勾配降下技法に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、組み合わせ最適化技法を使用して選択され、この技法は、ラグランジュ乗数問題として表現することなく、目的関数を直接最適化することができる。
【0050】
貪欲クラスター割り当て
上述の例示的なラグランジュベースの最適化技法に加えて、ペプチドのセットは、他の好適な技法を使用して選択され得る。例えば、貪欲クラスター割り当て技法が使用され得る。この実施例では、最初のペプチドのリストは、ペプチドが品質スコアを降順にすることによって順序付けられるように、品質スコアによってソーティングされる。(場合によっては、より低いスコアがより良好なペプチドを示す場合、ペプチドは、スコアを昇順にすることによってソーティングされ得る。)空のセット(すなわち、まだペプチドが選択されていない)から始めて、次いで、ソーティングされたリスト内のペプチドが順番に反復され、選択されたペプチドのセット内の他のペプチドが属さないサブクローンにペプチドが属する場合、このペプチドは選択されたペプチドのセットに追加される。そうでなければ、ペプチドは選択されない。ソーティングされたペプチドのリストは1回以上反復され、1つ以上の条件が満たされるまで、このようにしてペプチドを選択する。いくつかの実施形態では、プロセスは、選択されたペプチドの数がペプチドの最大数に達すると停止する。
【0051】
直接ソーティング
いくつかの実施形態では、ペプチドのセットは、直接ソーティング技法を使用して選択することができ、この技法は、ペプチドのリスト内の各ペプチドについては、サブクローンのリスト内の各サブクローンごとに、個々のペプチドと個々のサブクローンとの間のメンバーシップ確率を取得することと、サブクローンのリスト内のサブクローンの全てにわたる個々のペプチドの平均メンバー確率を決定することと、個々のペプチドについてのペプチドソーティングスコアを決定することと、を含む。ペプチドソーティングスコアは、個々のペプチドの平均メンバーシップ確率と個々のペプチドの品質スコアとの積である。次いで、ペプチドのリストは、ペプチドソーティングスコアを降順にすることによってソーティングされる。最後に、ソーティングされたペプチドのリストから最上位のペプチドの最大数が選択される。
【0052】
追加の選択分析
いくつかの実施形態では、ペプチドは製造可能性分析を受けてもよく、製造可能性のためにフィルタリングされてもよい。1つ以上の追加の包含基準は、本明細書に提示される選択方法に加えて、またはそれと併せて適用され得る。これは、本明細書に開示される選択方法の前に、本明細書に開示される方法の一部として、または本明細書に開示される方法の後に行われ得る。例えば、追加のフィルタリング/選択基準は、以下を含み得る:1)体細胞変異が属する遺伝子についてのRNA存在量(100万当たりの転写産物、TPMで測定)(例えば、閾値は、約1、約35または約100のTPMの最小値に設定することができる、2)体細胞変異が必須遺伝子またはドライバー遺伝子であるかどうか。(すなわち、ドライバー遺伝子は、変異が腫瘍成長を引き起こす遺伝子であり、必須遺伝子は、生物の生存に不可欠である遺伝子である)、3)ペプチドが合成可能性及び溶解性に関する品質管理閾値を通過すると予測されるかどうか、4)変異したペプチドが、対応する生殖細胞系ペプチドとどの程度異種であるか(すなわち、異なるか)。(例えば、ペプチドが考慮されるか、または含まれるためには、最小数の変異したアミノ酸が必要であり得る)、5)特定のペプチド候補が特定の対象に存在するという信頼レベル。(例えば、まれな体細胞変異は、より頻繁に生じる変異よりも低い信頼スコアを与えられる)または6)ペプチド候補がシステインなどの、ある特定のアミノ酸を含むかどうか。
【0053】
シーケンシング方法
様々なシーケンシング方法が当該技術分野において周知であり、リアルタイムPC、全エクソームシーケンシング、ディープシーケンシング、ハイスループットシーケンシングまたはそれらの組み合わせを含むPCRベースの方法が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前述の技法及び手順は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている方法に従って行われる。Austell et al.,Current Protocols in Molecular Biology,ed.,Greene Publishing and Wiley-Interscience New York(1992)も参照されたい(定期的な更新あり)。
【0054】
シーケンシング方法としてはまた、ハイスループットシーケンシング、単一セルRNA配列、RNAシーケンシング、パイロシーケンシング、合成によるシーケンシング、単一分子シーケンシング、ナノポアシーケンシング、半導体シーケンシング、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、RNA-Sew(Illumina)、デジタル遺伝子発現(Helicos)、次世代シーケンシング、合成による単一分子シーケンシング(SMSS)(Helicos)、大規模並列シーケンシング、クローン単一分子アレイ(Solexa)、ショットガンシーケンシング、Maxam-HilberyまたはSangerシーケンシング、全ゲノムシーケンシング、全エクソームシーケンシング、プライマーウォーキング、PacBio、SOLid、Ion Torrentまたはナノポアプラットフォームを使用するシーケンシング、及び当該技術分野で既知の任意の他のシーケンシング方法が挙げられ得るが、これらに限定されない。配列データを取得するために本明細書で採用されるシーケンシング方法は、好ましくは、ハイスループットシーケンシングである。ハイスループットシーケンシング技術は、複数の核酸分子を並行してシーケンシングすることが可能であり、何百万もの核酸分子を一度にシーケンシングすることが可能である。Churko et al.,Circ.Res.112(12):1613-1623(2013)を参照されたい。
【0055】
場合によっては、ハイスループットシーケンシングは、次世代シーケンシングであり得る。異なるシーケンシング技術を使用する(例えば、Illumina(San Diego,California)から入手可能なHiSeqまたはMiSeq機器を使用する)数多くの異なる次世代プラットフォームがある。これらのプラットフォームのうちのいずれも、本明細書に開示される遺伝物質をシーケンシングするために採用することができる。次世代シーケンシングは、各々が10~1000塩基の核酸を表す数多くの独立したリードのシーケンシングに基づいている。合成によるシーケンシングは、次世代シーケンシングで使用される一般的な技法である。一般に、シーケンシングは、プライマーをテンプレートにハイブリダイジングして、テンプレート/プライマー二重鎖を形成し、ポリメラーゼが、テンプレート依存的にプライマーにヌクレオチドを追加することを可能にする条件下で、検出可能に標識されたヌクレオチドの存在下で、二重鎖をポリメラーゼと接触させることを伴う。次いで、検出可能な標識からの信号を使用して、組み込まれた塩基を識別し、テンプレート内のヌクレオチドの線形順序を決定するために、これらのステップが順次繰り返される。例示的な検出可能な標識としては、放射性標識、蛍光標識、酵素標識などが挙げられる。サイクルエンドシーケンシングによるIllumina NextSeqプラットフォームなどの配列を検出するための多数の技法が知られている。
【0056】
機械学習モデル
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表す配列データが取得されると、配列データは、対象のMHC分子とともに、機械学習プラットフォーム(すなわち、モデル(複数可))に入力される。機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性である(例えば、対象において免疫応答を惹起する)かどうかを予想する数値的確率スコアを生成する。
【0057】
MHC分子は、ペプチドを輸送し、細胞表面上に提示する。MHC分子は、クラスI及びクラスIIのMHC分子として分類される。MHCクラスIは、ほとんどの腫瘍細胞を含む身体のほぼ全ての細胞の表面上に存在する。MHCクラスIのタンパク質は、通常、内因性タンパク質または細胞の内側に存在する病原体を起源とする抗原でロードされ、次いで、細胞傷害性Tリンパ球(すなわち、CD8+)に提示される。MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-BまたはHLA-Cを含むことができる。クラスIIのMHC分子は、樹状細胞、Bリンパ球、マクロファージ及び他の抗原提示細胞上にのみ存在する。それらの分子は、主に、外部抗原源、すなわち細胞の外側から、Tヘルパー(Th)細胞(すなわち、CD4+)に処理されるペプチドを提示する。MHCクラスII分子は、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA及びHLA-DRB1を含み得る。場合によっては、MHCクラスII分子もがん細胞上で発現し得る。
【0058】
MHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子は、機械学習プラットフォームに入力され得る。典型的には、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子のいずれかが機械学習プラットフォームに入力される。いくつかの実施形態では、MHCクラスI分子は、機械学習プラットフォームに入力される。他の実施形態では、MHCクラスII分子は、機械学習プラットフォームに入力される。いくつかの実施形態では、MHCクラスI機械学習プラットフォームは、MHCクラスI訓練データ上で訓練され得る。いくつかの実施形態では、MHCクラスII機械学習プラットフォームは、MHCクラスII訓練データ上で訓練され得る。いくつかの実施形態では、同じ機械学習プラットフォームは、MHCクラスI訓練データ及びクラスII訓練データの両方で訓練され得る。いくつかの実施形態では、機械学習プラットフォームは、MHCクラスIモデル及びMHCクラスIIモードを含み得る。
【0059】
MHCクラスI分子は、短鎖ペプチドに結合する。MHCクラスI分子は、一般に約8アミノ酸~約10アミノ酸長のペプチドに適応することができる。実施形態では、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約8アミノ酸~約10アミノ酸長の短鎖ペプチドである。MHCクラスII分子は、長さが長いペプチドに結合する。MHCクラスIIは、一般に約13アミノ酸長~約25アミノ酸長であるペプチドに適応することができる。実施形態では、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約13~25アミノ酸長の長鎖ペプチドである。
【0060】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約5アミノ酸長、約6アミノ酸長、約7アミノ酸長、約8アミノ酸長、約9アミノ酸長、約10アミノ酸長、約11アミノ酸長、約12アミノ酸長、約13アミノ酸長、約14アミノ酸長、約15アミノ酸長、約16アミノ酸長、約17アミノ酸長、約18アミノ酸長、約19アミノ酸長、約20アミノ酸長、約21アミノ酸長、約22アミノ酸長、約23アミノ酸長、約24アミノ酸長、約25アミノ酸長、約26アミノ酸長、約27アミノ酸長、約28アミノ酸長、約29アミノ酸長または約30アミノ酸長であり得る。
【0061】
機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性である(例えば、免疫応答を惹起するであろう)可能性を予測する。
【0062】
免疫原性腫瘍特異的ネオアンチゲンは、正常な組織で発現しない。それらのネオアンチゲンは、抗原提示細胞によってCD4+及びCD8+T細胞に提示されて、免疫応答を生成することができる。実施形態では、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって惹起される対象における免疫応答は、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの腫瘍細胞表面への提示を含む。より具体的には、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって惹起される対象における免疫応答は、腫瘍細胞上の1つ以上のMHC分子による1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの提示を含む。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって惹起される免疫応答は、T細胞媒介応答であると想定される。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって惹起される対象における免疫応答は、樹状細胞などの抗原提示細胞によるT細胞への提示を可能にする1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを伴い得る。好ましくは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンは、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞を活性化することが可能である。
【0063】
実施形態では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがCD8+T細胞を活性化する可能性を予測することができる。実施形態では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがCD4+T細胞を活性化する可能性を予測することができる。いくつかの事例では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが惹起することができる抗体価を予測することができる。他の事例では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによるCD8+活性化の頻度を予測することができる。
【0064】
機械学習プラットフォームは、訓練データで訓練されたモデルを含み得る。訓練データは、一連の個別の対象から取得することができる。訓練データは、健康な対象及びがんを有する対象に由来するデータを含み得る。訓練データは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが対象において免疫応答を惹起するかどうかを示す確率スコアを生成するために使用することができる様々なデータを含み得る。例示的な訓練データとしては、正常な組織及び/または細胞に由来するヌクレオチドもしくはポリペプチド配列を表すデータ、腫瘍組織に由来するヌクレオチドもしくはポリペプチド配列を表すデータ、正常な組織及び腫瘍組織からのMHCペプチドーム配列を表すデータ、ペプチド-MHC結合親和性測定値、またはこれらの組み合わせが挙げられ得る。参照データは、質量分析データ、DNAシーケンシングデータ、RNAシーケンシングデータ、健康な対象及びがんを有する対象からの臨床データ、サイトカインプロファイリングデータ、T細胞細胞傷害性アッセイデータ、ペプチド-MHC単量体または多量体データ、ならびに合成タンパク質、正常及び腫瘍ヒト細胞株、新鮮及び凍結した一次試料、及びT細胞アッセイにその後曝露される所定のMHC対立遺伝子を発現させるように操作された単一対立遺伝子細胞株についてのプロテオミクスデータを更に含むことができる。
【0065】
機械学習プラットフォームは、教師あり学習プラットフォーム、教師なし学習プラットフォームまたは半教師あり学習プラットフォームであり得る。機械学習プラットフォームは、配列ベースの手法を使用して、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫応答を惹起することができる(例えば、高もしくは低抗体応答、またはCD8+応答を誘導する)数値的確率を生成することができる。配列ベースの予測は、人工ニューラルネットワーク(例えば、ディープまたは別の方法で)、サポートベクターマシン、K-最近傍、ロジスティックマルチプルネットワーク制約回帰(LogMiNeR)、回帰木、ランダムフォレスト、adaboost、XGBoostまたは隠れマルコフモデルを含む教師あり機械学習モジュールを含み得る。これらのプラットフォームは、既知のMHC結合ペプチドを含む訓練データセットを必要とする。
【0066】
腫瘍特異的ネオアンチゲンがMHC分子上に提示され、免疫応答を惹起することができるかどうかを予測するために、多数の予測プログラムが採用される。例示的な予測プログラムとしては、例えば、HLAminer(Warren et al.,Genome Med.,4:95(2012);HLA type predicted by orienting the assembly of shotgun sequence data and comparing it with the reference allele sequence database)、VariantEffect Predictor Tool(McLaren et al.,Genome Biol.,17:122(2016))、NetMHCpan(Andreatta et al.,Bioinformatics.,32:511-517(2016);sequence comparison method based on artificial neural network,and predict the affinity of peptide-MHC-I type molecular)、UCSCブラウザ(Kent et al.,Genome Res.,12:996-1006(2002))、CloudNeoパイプライン(Bais et al.,Bioinformatics,33:3110-2(2017))、OptiType(Szolek et al.,Bioinformatics,30:3310-316(2014))、ATHLATES(Liu C et al.,Nucleic Acids Res.41:e142(2013))、pVAC-Seq(Hundal et al.,Genome Med.8:11(2016)、MuPeXI(Bjerregaard et al.,Cancer Immunol Immunother.,66:1123-30(2017))、Strelka(Saunders et al.,Bioinformatics.28:1811-7(2012))、Strelka2(Kim et al.,Nat Methods.2018;15:591-4.)、VarScan2(Koboldt et al.,Genome Res.,22:568-76(2012))、Somaticseq(Fang L et al.,Genome Biol.,16:197(2015))、SMMPMBEC(Kim et al.,BMC Bioinformatics.,10:394(2009))、NeoPredPipe(Schenck RO,BMC Bioinformatics.,20:264(2019))、Weka(Witten et al.,Data mining:practical machine-learning tools and techniques.4th ed.Elsevier,ISBN:97801280435578(eBook)(2017)またはOrange(Demsar et al.,Orange:Data Mining Toolbox in Python.,J.Mach Learn Res.,14:2349-2353(2013)が挙げられる。任意の既知の予測プログラムを機械学習プラットフォームとして採用して、ネオアンチゲンが免疫応答を惹起するかどうかを示す数値的確率スコアを生成することができる。
【0067】
採用される機械学習プラットフォームに依存して、追加のフィルタを適用して、仮説的な(Riken)タンパク質の除外、構成型または免疫プロテアソームによってタンパク質分解的に産生される可能性が低いエピトープを除外するための抗原処理アルゴリズムの使用、及びネオアンチゲンが、対応する野生型配列よりも高い予測される結合親和性を有するネオアンチゲンの優先順位付けを含む、腫瘍特異的ネオアンチゲン候補を優先順位付けすることができる。
【0068】
数値的確率スコアは、0~1の数であり得る。実施形態では、数値的確率スコアは、0、0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90または1の数であり得る。より低い数値的確率スコアと比べてより高い数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍特異的ネオアンチゲンが対象においてより高い免疫応答を惹起することを示し、したがって、免疫原性組成物の好適な候補である可能性が高い。例えば、1の数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、0.05の数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンよりも、対象においてより大きな免疫応答を惹起する可能性が高いであろう。同様に、0.5の数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、0.1の数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンよりも、対象においてより大きな免疫応答を惹起する可能性が高いであろう。
【0069】
より低い数値的確率スコアに比べてより高い数値的確率スコアが好ましい。好ましくは、少なくとも0.8、0.81、0.82の数値的確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲン。0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99または1は、免疫応答が対象において惹起される可能性が高いことを示す。
【0070】
より高い数値的確率スコアが好ましいが、より低い数値的確率スコアは、依然として、腫瘍特異的ネオアンチゲンが十分な免疫応答を惹起することが可能であり、その結果、腫瘍特異的ネオアンチゲンが好適な候補である可能性が高いことを示し得る。
【0071】
事例では、本明細書に記載される機械学習プラットフォームはまた、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが腫瘍細胞上のMHC分子によって提示される可能性を予測することができる。機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子によって提示される可能性を予測することができる。
【0072】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択するための方法は、対象におけるMHC分子に結合するための1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの親和性をコンピュータで測定するステップを更に含み得る。約1000nM未満のMHC分子との結合親和性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物に好適であり得ることを示す。約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約50nM未満のMHC分子との結合親和性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物に好適であり得ることを示すことができる。対象におけるMHC分子に結合するための1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの親和性は、腫瘍特異的ネオアンチゲンの免疫原性を予測することができる。代替的に、親和性中央値は、腫瘍特異的ネオアンチゲン免疫原性を予測するための効果的な方法であり得る。親和性中央値は、NetMHCpan、ANN、SMM及びSMMPMBECなどの、エピトープ予測アルゴリズムを使用して計算することができる。
【0073】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのRNA発現も定量化される。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのRNA発現を定量化して、対象における免疫応答を惹起する1つ以上のネオアンチゲンを識別する。RNA発現を測定するための様々な方法が存在する。RNA発現を測定することができる既知の技法としては、RNA-seq、及びインサイチュハイブリダイゼーション(例えば、FISH)、ノーザンブロット、DNAマイクロアレイ、タイリングアレイ及び定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)が挙げられる。当該技術分野における他の既知の技法を使用して、RNA発現を定量化することができる。RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)、短干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、環状RNA(circRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、核小体低分子RNA(snRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(長鎖ncRNA)、サブゲノムRNA(sgRNA)、組み込みもしくは非組み込みウイルスからのRNA、または任意の他のRNAであり得る。好ましくは、mRNA発現が測定される。
【0074】
本発明の技法は、正常な組織において自己免疫応答を誘導し得る腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択する可能性を更に低減することができる。正常な抗原と同様の配列を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンが、正常組織において自己免疫応答を誘導し得ることが想定される。例えば、正常な抗原と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%類似している腫瘍特異的ネオアンチゲンは、自己免疫応答を誘導し得る。自己免疫応答を誘導すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。自己免疫応答を誘導すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、典型的には、免疫原性組成物として選択されない。本方法は、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの、免疫寛容を誘発する能力を測定することを更に含み得る。免疫寛容を誘発すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。免疫寛容を誘発すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。
【0075】
最後に、腫瘍特異的スコアに基づく1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが、対象特異的免疫原性組成物の製剤化のために選択される。実施形態では、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約50個以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物のために選択される。典型的には、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲンが選択される。他の事例では、少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンが選択される。
【0076】
II.治療方法
本開示はまた、それを必要とする対象においてがんを治療する方法であって、本明細書に記載される方法を使用して選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む個別化された免疫原性組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0077】
がんは、任意の固形腫瘍または任意の血液腫瘍であり得る。本明細書に開示される方法は、好ましくは、固形腫瘍に適している。腫瘍は、原発腫瘍(例えば、腫瘍が最初に現れた元の部位にある腫瘍)であり得る。固形腫瘍としては、乳癌腫瘍、卵巣癌腫瘍、前立腺癌腫瘍、肺癌腫瘍、腎臓癌腫瘍、胃癌腫瘍、精巣癌腫瘍、頭頸部癌腫瘍、膵臓癌腫瘍、脳癌腫瘍及び黒色腫腫瘍が挙げられ得るが、これらに限定されない。血液腫瘍としては、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫)及び白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病及びT細胞リンパ球性白血病)からの腫瘍が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書に開示される方法は、血液悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、癌腫ならびに他の固形及び非固形腫瘍を含む、任意の好適ながん性腫瘍に使用することができる。例示的な好適ながんとしては、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌腫、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、原発不明の癌腫、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、結腸癌、結腸直腸腸癌、頭蓋咽頭腫、腺管癌腫、胎児性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽細胞腫、線維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、胚細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、唇及び口腔癌、肝臓癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌腫、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、潜伏原発性癌、NUT遺伝子を伴う正中線神経束癌腫、口癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び鼻腔副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂及び尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、胃癌、T細胞リンパ腫、奇形腫瘍、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌腫、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。好ましくは、がんは、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞リンパ球性白血病、膀胱癌または肺癌である。黒色腫が特に興味深い。乳癌、肺癌及び膀胱癌も特に興味深い。
【0079】
免疫原性組成物は、対象の免疫系、特に、特定のCD8+T細胞またはCD4+T細胞の応答を刺激する。CD8+及びTヘルパーCD4+細胞によって産生されたインターフェロンガンマは、PD-L1の発現を調節する。腫瘍細胞におけるPD-L1発現は、T細胞によって攻撃されると上方制御される。したがって、腫瘍ワクチンは、特定のT細胞の産生を誘導し、同時に、免疫原性組成物の効力を限定し得るPD-L1の発現を上方制御し得る。加えて、免疫系が活性化される一方で、T細胞表面レポーターCTLA-4の発現は対応して増加し、これは、抗原提示細胞上でリガンドB7-1/B7-2と結合し、免疫抑制効果を果たす。したがって、いくつかの事例では、対象は、チェックポイント阻害剤などの抗免疫抑制または免疫刺激薬を更に投与され得る。チェックポイント阻害薬としては、抗CTL4-A抗体、抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらのチェックポイント阻害剤は、T細胞の免疫チェックポイントタンパク質に結合して、腫瘍細胞によるT細胞機能の阻害を除去する。抗体によるCTLA-4またはPD-L1の遮断は、患者のがん性細胞に対する免疫応答を強化することができる。CTLA-4は、ワクチン接種プロトコルに従うときに有効であることが示されている。
【0080】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、がんと診断されているか、既にがんに罹患しているか、再発性がんを有する(すなわち、再発している)か、またはがんを発症するリスクがある対象に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、他の形態のがん治療(例えば、化学療法、免疫療法または放射線)に耐性がある対象に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、他の標準治療のがん療法(例えば、化学療法、免疫療法または放射線)の前に対象に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、対象に、他の標準治療のがん療法(例えば、化学療法、免疫療法または放射線)と同時に、その後にまたは組み合わせて投与することができる。
【0081】
対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマまたは腫瘍特異的応答が望まれる任意の動物であり得る。
【0082】
免疫原性組成物は、腫瘍特異的ネオアンチゲンへの免疫応答を惹起し、症状及び/または合併症を破壊するか、または少なくとも部分的に阻むのに十分な量で対象に投与される。実施形態では、免疫原性組成物は、長期にわたる免疫応答を提供することができる。長期にわたる免疫応答は、増強用量の免疫原性組成物を対象に投与することによって構築することができる。免疫原性組成物に対する免疫応答は、対象に増強用量を投与することによって延長することができる。実施形態では、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ以上の増強用量を投与して、がんを軽減することができる。第1の増強用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%または少なくとも1000%増加させることができる。第2の増強用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%または少なくとも1000%増加させることができる。第3の増強用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%または少なくとも1000%増加させることができる。
【0083】
免疫応答を惹起するのに十分な量は、「治療的に有効な用量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、組成物、投与方式、治療される疾患の段階及び重症度、患者の体重及び一般的な健康状態、ならびに医師の判断に依存するであろう。免疫原性組成物は、一般に、重篤な疾患状態、つまり、特にがんが転移したとき、生命を脅かすまたは潜在的に生命を脅かす状態において採用され得ることに留意されたい。そのような場合には、異物の最小化及びネオアンチゲンの相対的な非毒性性質を考慮して、これらの免疫原性組成物を実質的に過剰に投与することが可能であり、治療を行う医師がそれを望ましいと感じ得る。
【0084】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて対象に投与することができる。治療剤は、例えば、化学療法剤、放射線または免疫療法であり得る。特定のがんに対する任意の好適な療法的治療薬を投与することができる。例示的な化学療法剤としては、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミフォスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンアルファ、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミゾール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、トポテカン塩酸塩、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン酒石酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。対象は、小分子、または標的療法(例えば、キナーゼ阻害薬)を投与され得る。対象は、抗CTLA抗体または抗PD-1抗体または抗PD-Ll抗体を更に投与され得る。抗体によるCTLA-4またはPD-L1の遮断は、患者のがん性細胞に対する免疫応答を強化することができる。
【0085】
III.免疫原性組成物
本発明は、本明細書に記載される方法を使用して選択される1つ以上の腫瘍特異的抗原を含む、個別化された(すなわち、対象特異的)免疫原性組成物(例えば、がんワクチン)に更に関する。そのような免疫原性組成物は、当該技術分野の標準手順に従って製剤化することができる。免疫原性組成物は、特定の免疫応答を上昇させることが可能である。
【0086】
免疫原性組成物は、腫瘍特異的ネオアンチゲンの選択及び数が対象の特定のがんに合わせて調整されるように製剤化することができる。例えば、腫瘍特異的ネオアンチゲンの選択は、がんの特定のタイプ、がんの状態、対象の免疫状態及び対象のMHC型に依存し得る。
【0087】
免疫原性組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、37、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個またはそれ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含み得る。免疫原性組成物は、約10~20個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~30個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~40個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~50個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~60個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~70個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~80個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~90個の腫瘍特異的ネオアンチゲンまたは約10~100個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含有し得る。好ましくは、免疫原性組成物は、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む。また、好ましくは、少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物である。
【0088】
免疫原性組成物は、天然または合成抗原を更に含み得る。天然または合成抗原は、免疫応答を増加させることができる。例示的な天然または合成抗原としては、パン-DRエピトープ(PADRE)及び破傷風菌毒素抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
免疫原性組成物は、任意の形態、例えば、合成長鎖ペプチド、RNA、DNA、細胞、樹状細胞、ヌクレオチド配列、ポリペプチド配列、プラスミドまたはベクターであり得る。
【0090】
腫瘍特異的ネオアンチゲンはまた、牛痘、鶏痘、自己複製アルファビム、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Molecular Therapy,10:616-629(2004)を参照されたい)、または特定の細胞型または受容体を標的とするように設計された第2世代、第3世代もしくはハイブリッド第2世代/第3世代レンチウイルス及び任意の世代の組換えレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない、レンチウイルス(例えば、Hu et al.,Immunol Rev.,239(1):45-61(2011)、Sakma et al,Biochem J.,443(3):603-18(2012)を参照されたい)などの、ウイルスベクター系ワクチンプラットフォームに含めることができる。上記のウイルスベクター系ワクチンプラットフォームのパッケージング能力に依存して、この手法は、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列によって隣接されてもよく、リンカーによって分離されてもよく、または細胞内コンパートメントを標的とする1つ以上の配列で先行されてもよい(例えば、Gros et al.,Nat Med.,22(4):433-8(2016)、Stronen et al.,Science.,352(6291):1337-1341(2016)、Lu et al.,Clin Cancer Res.,20(13):3401-3410(2014)を参照されたい)。宿主への導入時に、感染した細胞は、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを発現し、それによって、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンに対する宿主免疫(例えば、CD8+またはCD4+)応答を惹起する。免疫化プロトコルに有用な牛痘ベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記載されている。本明細書の説明から当業者には明白であろう、ネオアンチゲンの治療的投与または免疫化に有用な多種多様な他のワクチンベクターも使用され得る。
【0091】
免疫原性組成物は、特定の対象の個人的な必要性に応じて、個人に合わせた成分を含有することができる。
【0092】
本明細書に記載される免疫原性組成物は、アジュバントを更に含むことができる。アジュバントは、免疫原性組成物への混和物が腫瘍特異的ネオアンチゲンへの免疫応答を増加させるか、または別の方法で強化及び/または増強するが、物質が単独で投与されるときに腫瘍特異的ネオアンチゲンへの免疫応答を生成しない任意の物質である。アジュバントは、好ましくは、ネオアンチゲンへの免疫応答を生成し、アレルギーまたは他の有害反応を産生しない。本明細書では、免疫原性組成物は、免疫原性組成物の投与の前、一緒に、それと併用してまたはその後に投与することができることが企図される。
【0093】
アジュバントは、例えば、リンパ球の動員、B細胞及び/またはT細胞の刺激、ならびにマクロファージの刺激を含むいくつかのメカニズムによって免疫応答を強化することができる。本発明の免疫原性組成物がアジュバントを含むか、または1つ以上のアジュバントと一緒に投与されるとき、使用することができるアジュバントとしては、ミネラル塩アジュバントまたはミネラル塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及び硫酸アルミニウムなどの)、3De-O-アシル化モノホスホリル脂質A(MPL)(GB2220211を参照されたい)、MF59(Novartis)、AS03(Glaxo SmithKline)、AS04(Glaxo SmithKline)、ポリソルベート80(Tween80、ICL Americas,Inc.)、イミダゾピリジン化合物(国際出願第PCT/US2007/064857号(国際公開第WO2007/109812号として公開されている)を参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際出願第PCT/US2007/064858号(国際公開第WO2007/109813号として公開されている)を参照されたい)及びQS21などのサポニン(Kensil et al,Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(eds.Powell & Newman,Plenum Press,NY,1995)、米国特許第5,057,540号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全または不完全)である。他のアジュバントは、任意選択で、モノホスホリル脂質Aなどの免疫刺激剤と組み合わせて、(スクアレン油またはピーナッツ油などの)水中油エマルションである(Stoute et al,N.Engl.J.Med.336,86-91(1997)を参照されたい)。
【0094】
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドはまた、ワクチン設定におけるアジュバントの効果を強化することが報告されている。RNA結合TLR7、TLR8及び/またはTLR9などの他のTLR結合分子も使用され得る。
【0095】
有用なアジュバントの他の例としては、化学的に修飾されたCpG(例えば、CpR、Idera)、ポリ(I:C)(例えば、polyi:CI2U)、ポリICLC、非CpG細菌性DNAまたはRNA、ならびにシクロホスファミド、スニトミブ(sunitmib)、ベバシズマブ、Celebrex(セレコキシブ)、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL-999、CP-547632、パゾパムブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ及びSC58175などの、治療的に及び/またはアジュバントとして作用し得る免疫活性低分子及び抗体が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、ポリICLCが好ましいアジュバントである。
【0096】
免疫原性組成物は、本明細書に記載される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを、単独でまたは薬学的に許容される担体と一緒に含むことができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの懸濁液または分散液、特に等張性水性懸濁液、分散液または両親媒性溶媒を使用することができる。免疫原性組成物は、滅菌されてもよく、及び/または賦形剤、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤及び/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩及び/または緩衝剤を含んでもよく、例えば従来の分散及び懸濁プロセスによって、それ自体が既知の方式で調製される。ある特定の実施形態では、そのような分散液または懸濁液は、粘度調節剤を含み得る。懸濁液または分散液は、およそ2℃~8℃の温度で保たれるか、または優先的に、より長い保管のために凍結され、次いで使用の直前に解凍され得る。注射のために、ワクチンまたは免疫原性調製物は、水溶液中、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化され得る。この溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/または分散剤のような処方剤を含有していてもよい。
【0097】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、追加的に、防腐剤、例えば水銀誘導体チメロサールを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態では、本明細書に記載される薬学的組成物は、防腐剤を含まない。
【0098】
賦形剤は、アジュバントとは独立して存在することができる。賦形剤の機能は、例えば、免疫原性組成物の分子量を増加させること、活性もしくは免疫原性を増加させること、安定性を付与すること、生物活性を増加させることまたは血清中半減期を増加させることであり得る。賦形剤はまた、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのT細胞(例えば、CD4+またはCD8+T細胞)への提示を助けるために使用することができる。賦形剤は、限定されないが、キーホールリンペットヘモシアニンの担体タンパク質、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、サイログロブリンもしくはオバルブミンなどの血清タンパク質、免疫グロブリン、またはインスリンもしくはパルミチン酸などのホルモンであり得る。ヒトの免疫化のために、担体は、一般に、ヒトに許容される生理学的に許容される担体であり、安全である。代替的に、担体は、デキストラン、例えばセファロースであり得る。
【0099】
細胞傷害性T細胞は、無傷の異種抗原自体ではなく、MHC分子に結合したペプチドの形態の抗原を認識する。MHC分子自体は、抗原提示細胞の細胞表面に位置する。したがって、ペプチド抗原、MHC分子及び抗原提示細胞(APC)の三量体複合体が存在する場合、細胞傷害性T細胞の活性化が可能である。1つ以上の腫瘍特異的抗原が細胞傷害性T細胞の活性化のために使用されるだけでなく、それぞれのMHC分子を有する追加のAPCが追加される場合、免疫応答を強化し得る。したがって、いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、追加的に、少なくとも1つのAPCを含有する。
【0100】
免疫原性組成物は、許容される担体(例えば、水性担体)を含み得る。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.9%食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用することができる。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法によって滅菌することができるか、または滅菌濾過することができる。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装されるか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物は、投与前に滅菌溶液と組み合わせることができる。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤などの生理学的条件に近づけるために必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエートなどを含有し得る。
【0101】
ネオアンチゲンはまた、リンパ組織などの特定の細胞組織を標的とするリポソームを介して投与することができる。リポソームはまた、半減期を増加させるのに有用である。リポソームは、エマルション、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などを含む。これらの調製物では、送達されるネオアンチゲンは、単独で、または例えばCD45抗原に結合するモノクローナル抗体などのリンパ球様細胞の間に行き渡っている受容体に結合する分子、または他の治療的もしくは免疫原性組成物と併用して、リポソームの一部として組み込まれる。したがって、所望のネオアンチゲンで充填されたリポソームは、リンパ球様細胞の部位に方向付けすることができ、次いで、リポソームは、選択された免疫原性組成物を送達する。リポソームは、標準的なベシクル形成脂質から形成することができ、標準的な小胞形成脂質は、一般に、中性及び負電荷を持つリン脂質、及びコレステロールなどのステロールを含む。脂質の選択は、一般に、例えば、血流中のリポソームのリポソームサイズ、酸不安定性及び安定性を考慮することによって導かれる。例えば、Szoka et al.,An.Rev.Biophys.Bioeng.9;467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,501,728号、同第4,837,028号及び同第5,019,369号に記載されているように、リポソームを調製するための様々な方法が利用可能である。
【0102】
免疫細胞を標的とするために、リポソームに組み込まれるリガンドは、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはその断片を含むことができる。リポソーム懸濁液は、とりわけ、投与方式、送達されるペプチド及び治療される疾患の段階に応じて変化する用量で、静脈内に、局部的に、局所的になどで投与することができる。
【0103】
免疫細胞を標的にするための代替的方法、抗原(すなわち、腫瘍特異的ネオアンチゲン)、リガンドまたはアジュバント(例えば、TLR)などの免疫原性組成物の成分を、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)微粒子に組み込むことができる。ポリ(乳酸-co-グリコール酸)微粒子は、エンドソーム送達デバイスとして免疫原性組成物の成分を捕捉することができる。
【0104】
治療目的または免疫化目的のために、本明細書に記載される腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする核酸を患者に投与することもできる。核酸を患者に送達するために、数多くの方法が適宜使用される。例えば、核酸は、「裸のDNA」として直接送達することができる。この手法は、例えば、Wolff et al.,Science 247:1465-1468(1990)、ならびに米国特許第5,580,859号及び同第5,589,466号に記載されている。核酸はまた、例えば、米国特許第5,204,253号に記載されているように、弾道送達を使用して投与することができる。DNAのみで構成された粒子を投与することができる。代替的に、DNAは、金粒子などの粒子に付着することができる。核酸配列を送達するための手法は、エレクトロポレーションの有無にかかわらず、ウイルスベクター、mRNAベクター及びDNAベクターを含むことができる。核酸はまた、カチオン性脂質などのカチオン性化合物に錯体化して送達することができる。
【0105】
本明細書に提供される免疫原性組成物は、経口、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内及び吸入経路が挙げられるが、これらに限定されない、によって、ならびに瘢痕化(例えば、二股針を使用して、皮膚の最上層を引っ掻く)を介して、対象に投与することができる。免疫原性組成物は、腫瘍部位に投与して、腫瘍に対する局部的な免疫応答を誘導することができる。
【0106】
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの用量は、組成物のタイプ、ならびに対象の年齢、体重、体表面積、個々の状態、個々の薬物動態データ及び投与様式に依存し得る。
【0107】
また、本明細書には、本明細書に開示される方法のステップを行うことによって選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を製造する方法が開示される。本明細書に記載されるような免疫原性組成物は、当該技術分野で既知の方法を使用して製造することができる。例えば、本明細書に開示される腫瘍特異的ネオアンチゲンまたはベクター(例えば、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする少なくとも1つの配列を含むベクター)を産生する方法は、宿主細胞がネオアンチゲンまたはベクターをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、ネオアンチゲンまたはベクターを発現するに好適な条件下で宿主細胞を培養することと、ネオアンチゲンまたはベクターを精製することと、を含み得る。標準的な精製方法としては、クロマトグラフィー技法、電気泳動、免疫学的、沈殿、透析、濾過、濃縮及びクロマトフォーカシング技法が挙げられる。
【0108】
宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、酵母またはHEK293細胞を含み得る。宿主細胞は、本明細書に開示される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンまたはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換することができる。ある特定の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、cDNAであり得る。
【0109】
IV.試料
本明細書に開示される方法は、腫瘍に由来する1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択することを含む。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択する方法は、腫瘍に由来する配列データを取得することを含む。そのような配列データは、対象の腫瘍試料に由来し得る。腫瘍試料は、腫瘍生検標本から取得することができる。
【0110】
腫瘍試料は、ヒトまたは非ヒト対象から取得することができる。優先的に、腫瘍試料は、ヒトから取得される。腫瘍試料は、がん性腫瘍を含む様々な生物源から取得することができる。腫瘍は、腫瘍部位、または血液からの循環腫瘍細胞からのものであり得る。例示的な試料としては、体液、組織生検標本、血液試料、血清血漿、便、皮膚試料などが挙げられ得るが、これらに限定されない。試料の供給源は、腫瘍組織生検標本などの固体組織試料であり得る。組織生検標本は、例えば、肺、前立腺、結腸、皮膚、乳房組織またはリンパ節からの生検標本であり得る。試料はまた、例えば、骨髄穿刺液及び骨髄生検標本を含む、骨髄の試料であり得る。試料はまた、液体生検標本、例えば、循環腫瘍細胞、無細胞循環腫瘍DNAまたはエクソソームであり得る。血液試料は、全血、部分的に精製された血液、または末梢血単核細胞(PBMC)などの、全てまたは部分的に精製された血液の分画であり得る。
【0111】
本明細書に記載される腫瘍試料は、対象から直接取得されるか、対象に由来するか、または生体液もしくは組織試料に由来する培養細胞などの対象から取得された試料に由来し得る。腫瘍生検標本は、新鮮な試料であり得る。新鮮な試料は、任意の既知の固定液(例えば、ホルマリン、ツェンカー固定液またはB-5固定液)を用いて対象から除去した後に固定され得る。腫瘍生検標本はまた、対象から直接取得された細胞または対象から取得された細胞に由来する細胞の凍結試料、凍結保存試料などのアーカイブ試料であり得る。好ましくは、対象から取得された腫瘍試料は、新鮮な腫瘍生検標本である。
【0112】
腫瘍試料は、腫瘍生検標本、針吸引、スクレイピング、外科的切除、外科的切開、静脈穿刺または当該技術分野で既知の他の手段が挙げられるが、これらに限定されない、任意の手段によって対象から取得することができる。腫瘍生検標本は、腫瘍を取得するための好ましい方法である。腫瘍生検標本は、任意のがん性部位、例えば、原発腫瘍または二次性腫瘍から取得することができる。原発腫瘍からの腫瘍生検標本が一般に好ましい。当業者は、腫瘍試料を取得するための他の好適な技法を認識するであろう。
【0113】
腫瘍試料は、単一の手順で対象から取得することができる。腫瘍試料は、一定期間にわたって対象から繰り返し取得することができる。例えば、腫瘍試料は、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回、2年に1回または1年に1回取得することができる。一定期間にわたって多数の試料を取得することは、新しい腫瘍特異的ネオアンチゲンを識別及び選択するのに有用であり得る。腫瘍試料は、同じ腫瘍または異なる腫瘍から取得することができる。
【0114】
腫瘍試料は、原発腫瘍、1つ以上の転移及び/または腫瘍成長の個々の部位(例えば、股関節、骨または椎骨などの異なる骨格部からの骨髄)から取得することができる。腫瘍試料は、同じ部位または異なる部位から取得することができる。
【0115】
上述の全てまたは任意の部分は、図1~3に示されるものなどのコンピューティング環境上に実装することができる。図1は、いくつかの実施形態による、プロバイダネットワーク(または「サービスプロバイダシステム」)環境の例を示す。プロバイダネットワーク900は、顧客が、プロバイダネットワークまたは1つ以上のデータセンタ内のネットワーク内のデバイス上に実装される計算リソース及び記憶リソースが挙げられるが、これらに限定されない、仮想化されたリソースのインスタンス912を購入、レンタルまたは別の方法で取得することを可能にする1つ以上の仮想化サービス910を介して、リソース仮想化を顧客に提供し得る。ローカルインターネットプロトコル(IP)アドレス916は、リソースインスタンス912に関連付けることができ、ローカルIPアドレスは、プロバイダネットワーク900上のリソースインスタンス912の内部ネットワークアドレスである。いくつかの実施形態では、プロバイダネットワーク900はまた、顧客がプロバイダ900から取得することができるパブリックIPアドレス914及び/またはパブリックIPアドレス範囲(例えば、インターネットプロトコルバージョン4(IPv4)またはインターネットプロトコルバージョン6(IPv6)アドレス)を提供し得る。
【0116】
従来、プロバイダネットワーク900は、仮想化サービス910を介して、サービスプロバイダの顧客(例えば、1つ以上の顧客デバイス(複数可)952を含む1つ以上のクライアントネットワーク950A~950Cを操作する顧客)が、顧客に割り当てられた、または配分された少なくともいくつかのパブリックIPアドレス914を、顧客に割り当てられた特定のリソースインスタンス912と動的に関連付けることを可能にし得る。プロバイダネットワーク900はまた、顧客が、顧客に配分された1つの仮想化コンピューティングリソースインスタンス912に以前マッピングされたパブリックIPアドレス914を、これも顧客に配分された別の仮想化コンピューティングリソースインスタンス912に再マッピングすることを可能にし得る。サービスプロバイダによって提供された仮想化コンピューティングリソースインスタンス912及びパブリックIPアドレス914を使用して、顧客ネットワーク(複数可)950A~950Cのオペレータなどのサービスプロバイダの顧客は、例えば、顧客特有のアプリケーションを実装し、インターネットなどの中間ネットワーク940上に顧客のアプリケーションを提示し得る。次いで、中間ネットワーク940上の他のネットワークエンティティ920は、顧客ネットワーク(複数可)950A~950Cによって公開された宛先パブリックIPアドレス914へのトラフィックを生成することができ、このトラフィックはサービスプロバイダデータセンタにルーティングされ、データセンタでは、ネットワーク基板を介して、宛先パブリックIPアドレス914に現在マッピングされている仮想化コンピューティングリソースインスタンス912のローカルIPアドレス916にルーティングされる。同様に、仮想化コンピューティングリソースインスタンス912からの応答トラフィックは、ネットワーク基板を介して、中間ネットワーク940に戻され、ソースエンティティ920にルーティングされ得る。
【0117】
本明細書で使用されるようなローカルIPアドレスは、例えば、プロバイダネットワーク内のリソースインスタンスの内部または「プライベート」ネットワークアドレスを指す。ローカルIPアドレスは、インターネットエンジニアリングタスクフォース(IETF)リクエストフォーコメンツ(RFC)1918によって予約されたアドレスブロック内、及び/またはIETF RFC4193によって指定されたアドレスフォーマットのアドレスブロック内にあり得、プロバイダネットワーク内で変更可能であり得る。プロバイダネットワーク外から発信されるネットワークトラフィックは、ローカルIPアドレスに直接ルーティングされず、代わりに、トラフィックはリソースインスタンスのローカルIPアドレスにマッピングされるパブリックIPアドレスを使用する。プロバイダネットワークは、パブリックIPアドレスからローカルIPアドレスへの及びその逆へのマッピングを実行するためのネットワークアドレス変換(NAT)または同様の機能を提供するネットワーキングデバイスまたはアプライアンスを含み得る。
【0118】
パブリックIPアドレスは、サービスプロバイダまたは顧客によってリソースインスタンスに割り当てられる、インターネットで変更可能なネットワークアドレスである。パブリックIPアドレスにルーティングされたトラフィックは、例えば1:1NATを介して変換され、リソースインスタンスのそれぞれのローカルIPアドレスに転送される。
【0119】
一部のパブリックIPアドレスは、プロバイダネットワークインフラストラクチャによって特定のリソースインスタンスに割り当てられる場合があり、これらのパブリックIPアドレスは、標準パブリックIPアドレス、または単に標準IPアドレスと称されることがある。いくつかの実施形態では、リソースインスタンスのローカルIPアドレスへの標準IPアドレスのマッピングは、全てのリソースインスタンスタイプのためのデフォルト起動構成である。
【0120】
少なくともいくつかのパブリックIPアドレスは、プロバイダネットワーク900の顧客に割り当てられるか、またはプロバイダネットワーク900の顧客によって取得されてもよく、次いで、顧客は、それらの配分されたパブリックIPアドレスを、顧客に配分された特定のリソースインスタンスに割り当ててもよい。これらのパブリックIPアドレスは、顧客パブリックIPアドレスまたは単に顧客IPアドレスと称され得る。標準IPアドレスの場合のように、プロバイダネットワーク900によってリソースインスタンスに割り当てられる代わりに、顧客IPアドレスは、例えばサービスプロバイダによって提供されるAPIを介して、顧客によってリソースインスタンスに割り当てられてもよい。標準IPアドレスとは異なり、顧客IPアドレスは、顧客アカウントに配分され、必要または所望に応じて、それぞれの顧客によって他のリソースインスタンスに再マッピングすることができる。顧客IPアドレスは、特定のリソースインスタンスではなく、顧客のアカウントに関連付けられ、顧客がそれを解放することを選択するまで、顧客はそのIPアドレスを制御する。従来の静的IPアドレスとは異なり、顧客IPアドレスは、顧客のパブリックIPアドレスを顧客のアカウントに関連付けられた任意のリソースインスタンスに再マッピングすることによって、顧客がリソースインスタンスまたはアベイラビリティゾーン障害をマスクすることを可能にする。顧客IPアドレスは、例えば、顧客IPアドレスを代替リソースインスタンスに再マッピングすることによって、顧客が顧客のリソースインスタンスまたはソフトウェアを伴う問題をうまく処理することを可能にする。
【0121】
図2は、いくつかの実施形態による、顧客にストレージサービス及びハードウェア仮想化サービスを提供するプロバイダネットワークの例のブロック図である。ハードウェア仮想化サービス1020は、複数の計算リソース1024(例えば、VM)を顧客に提供する。計算リソース1024は、例えば、プロバイダネットワーク1000の顧客(例えば、顧客ネットワーク1050を実装する顧客)にレンタルまたはリースされ得る。各計算リソース1024は、1つ以上のローカルIPアドレスを提供され得る。プロバイダネットワーク1000は、パケットを計算リソース1024のローカルIPアドレスからパブリックインターネット宛先に、及びパブリックインターネットソースから計算リソース1024のローカルIPアドレスにルーティングするように構成され得る。
【0122】
プロバイダネットワーク1000は、例えばローカルネットワーク1056を介して中間ネットワーク1040に結合された顧客ネットワーク1050に、中間ネットワーク1040及びプロバイダネットワーク1000に結合されたハードウェア仮想化サービス1020を介して仮想コンピューティングシステム1092を実装する能力を提供し得る。いくつかの実施形態では、ハードウェア仮想化サービス1020は、顧客ネットワーク1050が、例えばコンソール1094(例えば、ウェブベースのアプリケーション、スタンドアロンアプリケーション、モバイルアプリケーションなど)を介して、ハードウェア仮想化サービス1020によって提供される機能にアクセスすることができる、1つ以上のAPI1002、例えばウェブサービスインターフェースを提供し得る。いくつかの実施形態では、プロバイダネットワーク1000において、顧客ネットワーク1050における各仮想コンピューティングシステム1092は、顧客ネットワーク1050にリース、レンタルまたは別の方法で提供される計算リソース1024に対応し得る。
【0123】
仮想コンピューティングシステム1092及び/または別の顧客デバイス1090のインスタンスから(例えば、コンソール1094を介して)、顧客は、例えば1つ以上のAPI1002を介して、ストレージサービス1010の機能にアクセスして、プロバイダネットワーク1000によって提供される仮想データストア1016(例えば、フォルダまたは「バケット」、仮想化ボリューム、データベースなど)のストレージリソース1018A~1018Nからデータにアクセスし、ストレージリソース1018A~1018Nにデータを記憶させることができる。いくつかの実施形態では、仮想化データストアゲートウェイ(図示せず)は、少なくともいくつかのデータ、例えば頻繁にアクセスされるデータまたは重要なデータをローカルにキャッシュすることができ、かつデータの一次ストア(仮想化データストア1016)が維持されるように、1つ以上の通信チャネルを介してストレージサービス1010と通信して、ローカルキャッシュから新しいまたは修正されたデータをアップロードすることができる顧客ネットワーク1050で提供され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、仮想コンピューティングシステム1092を介して及び/または別の顧客デバイス1090上で、ストレージ仮想化サービスとして作用するストレージサービス1010を介して仮想データストア1016ボリュームをマウントし、これにアクセスすることができ、これらのボリュームは、ユーザにローカル(仮想化)ストレージ1098として見える場合がある。
【0124】
図2には示されていないが、仮想化サービス(複数可)はまた、API(複数可)1002を介してプロバイダネットワーク1000内のリソースインスタンスからアクセスすることができる。例えば、顧客、アプライアンスサービスプロバイダまたは他の事業体は、API1002を介してプロバイダネットワーク1000上のそれぞれの仮想ネットワーク内から仮想化サービスにアクセスして、仮想ネットワーク内または別の仮想ネットワーク内の1つ以上のリソースインスタンスの配分を要求することができる。
【0125】
例示的なシステム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される技法の一部分または全てを実装するシステムは、図3に示されるコンピュータシステム1100などの1つ以上のコンピュータアクセス可能な媒体を含むか、またはそれにアクセスするように構成されている汎用コンピュータシステムを含み得る。図示される実施形態では、コンピュータシステム1100は、入力/出力(I/O)インターフェース1130を介してシステムメモリ1120に結合された1つ以上のプロセッサ1110を含む。コンピュータシステム1100は、I/Oインターフェース1130に結合されたネットワークインターフェース1140を更に含む。図3は、単一のコンピューティングデバイスとしてコンピュータシステム1100を示すが、様々な実施形態では、コンピュータシステム1100は、単一のコンピュータシステム1100として一緒に動作するように構成された1つのコンピューティングデバイスまたは任意の数のコンピューティングデバイスを含み得る。
【0126】
様々な実施形態では、コンピュータシステム1100は、1つのプロセッサ1110を含むユニプロセッサシステムまたは数個のプロセッサ1110(例えば、2個、4個、8個または別の好適な数)を含むマルチプロセッサシステムであり得る。プロセッサ1110は、命令を実行することができる任意の好適なプロセッサであり得る。例えば、様々な実施形態では、プロセッサ1110は、x86、ARM、PowerPC、SPARCもしくはMIPS ISA、または任意の他の好適なISAなどの様々な命令セットアーキテクチャ(ISA)のうちのいずれかを実装する汎用または埋め込みプロセッサであり得る。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ1110の各々は、一般的に、必ずしもそうではないが、同じISAを実装し得る。
【0127】
システムメモリ1120は、プロセッサ(複数可)1110によってアクセス可能な命令及びデータを記憶し得る。様々な実施形態では、システムメモリ1120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュタイプメモリまたは任意の他のタイプのメモリなどの、任意の好適なメモリ技術を使用して実装され得る。図示される実施形態では、上記のこれらの方法、技法及びデータなどの1つ以上の所望の機能を実装するプログラム命令及びデータは、酵素-基質予測子サービスコード1125及びデータ1126としてシステムメモリ1120内に記憶されるように示される。
【0128】
一実施形態では、I/Oインターフェース1130は、プロセッサ1110、システムメモリ1120、及びネットワークインターフェース1140または他のペリフェラルインターフェースを含むデバイス内の任意のペリフェラルデバイス間のI/Oトラフィックを連動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130は、任意の必要なプロトコル、タイミングまたは他のデータ変換を実行して、1つのコンポーネント(例えば、システムメモリ1120)からのデータ信号を別のコンポーネント(例えば、プロセッサ1110)によって使用するのに好適な形式に変換することができる。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130は、例えば、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス標準またはユニバーサルシリアルバス(USB)標準のバリアントなどの様々なタイプのペリフェラルバスを通して取り付けられたデバイスのためのサポートを含み得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130の機能は、例えば、ノースブリッジ及びサウスブリッジなどの2つ以上の別個のコンポーネントに分割され得る。また、いくつかの実施形態では、システムメモリ1120へのインターフェースなどのI/Oインターフェース1130の機能のいくつかまたは全てが、プロセッサ1110に直接組み込まれ得る。
【0129】
ネットワークインターフェース1140は、コンピュータシステム1100と、ネットワーク(単数又は複数)1150に取り付けられた他のデバイス1160との間でデータを交換することを可能にするように構成され得る。様々な実施形態では、ネットワークインターフェース1140は、例えば、イーサネットネットワークのタイプなどの任意の好適な有線または無線一般データネットワークを介した通信をサポートすることができる。追加的に、ネットワークインターフェース1140は、アナログ音声ネットワークまたはデジタルファイバ通信ネットワークなどの電気通信/電話ネットワークを介した、ファイバチャネルSANなどのストレージエリアネットワーク(SAN)を介した、またはI/O任意の他の好適なタイプのネットワーク及び/またはプロトコルを介した通信をサポートすることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、I/Oインターフェース1130(例えば、あるバージョンのペリフェラルコンポーネントインターコネクトエクスプレス(PCI-E)標準を実装するバス、またはQuickPathインターコネクト(QPI)もしくはUltraPathインターコネクト(UPI)などの別のインターコネクト)を使用して接続される1つ以上のオフロードカード1170(1つ以上のプロセッサ1175を含み、場合により1つ以上のネットワークインターフェース1140を含む)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、計算インスタンスをホストするホスト電子デバイス(例えば、ハードウェア仮想化サービスの一部として動作する)として作用することができ、1つ以上のオフロードカード1170は、ホスト電子デバイス上で実行する計算インスタンスを管理することができる仮想化マネージャを実行する。一例として、いくつかの実施形態では、オフロードカード(複数可)1170は、計算インスタンスを一時停止及び/または一時停止解除すること、計算インスタンスを起動及び/または終了させること、メモリ転送/コピー動作を行うことなどの計算インスタンス管理動作を行うことができる。これらの管理動作は、いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100の他のプロセッサ1110A~1110Nによって実行されるハイパーバイザと連携して(例えば、ハイパーバイザからの要求時に)、オフロードカード(複数可)1170によって行われ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、オフロードカード(複数可)1170によって実装された仮想化マネージャは、他のエンティティからの(例えば、計算インスタンス自体からの)要求に適応することができ、任意の別個のハイパーバイザと連携(またはサービス)しない場合がある。
【0131】
いくつかの実施形態では、システムメモリ1120は、上記のようなプログラム命令及びデータを記憶するように構成されたコンピュータアクセス可能媒体の一実施形態であり得る。しかしながら、他の実施形態では、プログラム命令及び/またはデータは、異なるタイプのコンピュータアクセス可能な媒体において、受信、送信、または記憶されてもよい。一般的に言えば、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気または光学媒体、例えば、I/Oインターフェース1130を介してコンピュータシステム1100に結合されたディスクまたはDVD/CDなどの、非一時的記憶媒体またはメモリ媒体を含み得る。非一時的コンピュータアクセス可能記憶媒体はまた、システムメモリ1120または別のタイプのメモリとしてコンピュータシステム1100のいくつかの実施形態に含まれ得る、RAM(例えば、SDRAM、ダブルデータレート(DDR)SDRAM、SRAMなど)、リードオンリーメモリ(ROM)などの任意の揮発性または不揮発性媒体を含み得る。更に、コンピュータアクセス可能媒体は、ネットワークインターフェース1140を介して実装され得るような、ネットワーク及び/または無線リンクなどの通信媒体を介して伝えられる、伝送媒体、または電気、電磁もしくはデジタル信号などの信号を含み得る。
【0132】
本明細書で考察または提案されている様々な実施形態は、多様な動作環境で実装することができ、動作環境は、いくつかの場合、任意の数のアプリケーションを操作するために使用できる1つ以上のユーザコンピュータ、コンピューティングデバイス、または処理デバイスを含み得る。ユーザまたはクライアントデバイスは、標準オペレーティングシステムを稼働させるデスクトップもしくはラップトップコンピュータ、ならびに、携帯ソフトウェアを稼働させかつ多数のネットワーキング及びメッセージプロトコルをサポートすることができる、セルラー、無線、及び携帯型デバイスなどの、多数の汎用パーソナルコンピュータのうちのいずれかを含み得る。このようなシステムは、開発及びデータベース管理などの目的のために、様々な市販のオペレーティングシステム及び他の既知のアプリケーションのうちのいずれかを実行するいくつかのワークステーションも含み得る。これらのデバイスは、ダミー端末、シンクライアント、ゲーミングシステム、及び/またはネットワークを介して通信できる他のデバイスなど、他の電子デバイスも含むことができる。
【0133】
ほとんどの実施形態は、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)、ネットワークファイルシステム(NFS)、共通インターネットファイルシステム(CIFS)、拡張可能なメッセージング及びプレゼンス プロトコル(XMPP)、AppleTalkなど、広く利用可能な様々なプロトコルのいずれかを使用して通信をサポートするために、当業者によく知られている少なくとも1つのネットワークを利用する。ネットワーク(複数可)には、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、公衆交換電話網(PSTN)、赤外線ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、及びそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0134】
ウェブサーバを利用する実施形態では、ウェブサーバは、HTTPサーバ、ファイル転送プロトコル(FTP)サーバ、共通ゲートウェイインターフェース(CGI)サーバ、データサーバ、Javaサーバ、業務アプリケーションサーバなどを含む様々なサーバまたは中間層アプリケーションのいずれかを実行することができる。サーバ(複数可)は、Java(登録商標)、C、C#、もしくはC++などの任意のプログラム言語、または、Perl、Python、PHP、もしくはTCLなどの任意のスクリプト言語、ならびにそれらの組み合わせで書かれた、1つ以上のスクリプトまたはプログラムとして実装され得る、1つ以上のウェブアプリケーションを実行することなどによって、ユーザデバイスからの要求に応答して、プログラムまたはスクリプトを実行することもまたでき得る。サーバ(複数可)はまた、Oracle(登録商標)、Microsoft(登録商標)、Sybase(登録商標)、IBM(登録商標)などから市販されているものを含むがこれらに限定されないデータベースサーバを含んでもよい。データベースサーバはリレーショナルまたは非リレーショナルであってもよく(例えば、「NoSQL」)、分散型または非分散型などであってもよい。
【0135】
本明細書に開示される環境は、上で考察されるとおり、様々なデータストアならびに他のメモリ及び記憶媒体を含み得る。これらは、1つ以上のコンピュータに対してローカルな(及び/またはコンピュータの中に常駐する)、またはネットワーク全体でコンピュータのいずれかもしくは全てからリモートな記憶媒体など、様々な場所に常駐する場合がある。特定の実施形態のセットでは、情報は、当業者によく知られているストレージエリアネットワーク(SAN)に常駐する場合がある。同様に、コンピュータ、サーバまたは他のネットワークデバイスに起因する機能を行うための任意の必要なファイルは、必要に応じて、ローカルで及び/またはリモートで記憶され得る。システムがコンピュータ化されたデバイスを含む場合、各々のかかるデバイスは、バスを介して電気的に連結され得るハードウェア要素を含み得、要素は、例えば、少なくとも1つの中央処理ユニット(CPU)、少なくとも1つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラ、タッチスクリーン、またはキーパッド)、及び/または少なくとも1つの出力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス、プリンタ、またはスピーカ)を含む。このようなシステムはまた、ディスクドライブ、光学記憶デバイス、及びランダムアクセスメモリ(RAM)または読み出し専用メモリ(ROM)などのソリッドステート記憶デバイス、ならびに取り外し可能記憶デバイス、メモリカード、フラッシュカードなどの、1つ以上の記憶デバイスを含み得る。
【0136】
また、このようなデバイスは、上述のようにコンピュータ可読記憶媒体読取装置、通信装置(例えば、モデム、ネットワークカード(無線または有線)、赤外線通信装置など)、及び作業メモリを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体リーダは、コンピュータ可読情報を一時的に、及び/またはより恒久的に含み、記憶し、送信しかつ取り出すための、リモートストレージデバイス、ローカルストレージデバイス、固定ストレージデバイス及び/または取り外し可能なストレージデバイスならびに記憶媒体を表すコンピュータ可読記憶媒体と、接続することができ、またはそれを受容するように構成できる。また、システム及び多様なデバイスは、通常、オペレーティングシステム、及びクライアントアプリケーションまたはウェブブラウザなどのアプリケーションプログラムを含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に位置するいくつかのソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、または他の要素を含む。代替の実施形態が、上述のものからの多数の変形を有し得ることを理解されたい。例えば、また、カスタマイズされたハードウェアも使用する場合があり、及び/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどのポータブルソフトウェアを含む)、もしくはその両方で実装される場合がある。更に、ネットワーク入力/出力デバイスなどの、他のコンピューティングデバイスへの接続が用いられ得る。
【0137】
コードまたはコードの一部を包含するための記憶媒体及びコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(「CD-ROM」)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)もしくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を記憶するために使用することができ、かつシステムデバイスによってアクセスできる任意の他の媒体を含む、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶及び/または送信のために任意の方法または技術で実装される揮発性及び不揮発性の、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体などであるが、これに限定されるものではない記憶媒体及び通信媒体を含む当該分野において既知の、または使用される任意の適切な媒体を含むことがある。本明細書に提供される本開示及び教示に基づいて、当業者であれば、様々な実施形態を実装する他の様式及び/または方法を理解する。
【0138】
先行する記載において、様々な実施形態が記載される。説明の目的のために、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成及び詳細が記述される。しかしながら、実施形態が特定の詳細なしに実践することができることも当業者には明白であろう。更に、記載されている実施形態を不明瞭にしないように、周知の特徴を省略または簡略化することができる。
【0139】
いくつかの実施形態に追加の特徴を追加する任意選択の動作を示すために、角括弧付きテキスト、及び破線境界(例えば、太い破線、細い破線、点破線及び点線)を有するブロックが本明細書で使用される。しかしながら、そのような表記は、これらが唯一のオプションまたは任意選択の操作であること、及び/または実線の枠線を有するブロックがある特定の実施形態では任意選択ではないことを意味すると取られるべきではない。
【0140】
接尾辞文字を有する参照数字を使用して、様々な実施形態では、参照されるエンティティの1つまたは複数のインスタンスがあり得ることを示すことができ、複数のインスタンスがあるとき、各々が同一である必要はないが、代わりにいくつかの一般の特性を共有するか、または共通の方法で作用し得る。更に、使用される特定の接尾辞は、具体的に異議を唱えない限り、特定の量のエンティティが存在することを暗示することを意味しない。したがって、様々な実施形態では、同じまたは異なる接頭辞文字を使用する2つのエンティティは、同じ数のインスタンスを有しても有しなくてもよい。
【0141】
「一実施形態」、「ある実施形態」、「実施形態の例」などへの言及は、記載される実施形態が特定の特徴、構造または特性を含み得るが、あらゆる実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含み得るわけではないことを示す。更に、そのようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造または特性が実施形態に関連して記載されるとき、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0142】
更に、上記の様々な実施形態では、特に具体的に明記されない限り、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」という語句などの選言的言語は、A、BもしくはC、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、A、B及び/またはC)のいずれかを意味すると理解されることが意図される。したがって、選言的言語は、各々が存在するために、所与の実施形態がAのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つまたはCのうちの少なくとも1つを必要とすることを暗示することを意図するものではなく、そのように理解されるべきではない。
【0143】
したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載される本開示のより広範の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更が本明細書に加えられ得ることは明らかである。
【0144】
均等物
本明細書に記載される本発明の方法の他の好適な修正及び適応が明らかであり、本開示または本実施形態の範囲から逸脱することなく好適な等価物を使用して行われ得ることは、当業者には容易に明白であろう。ここで、ある特定の組成物及び方法を詳細に記載したが、以下の実施例を参照することにより、同じことがより明確に理解され、これらの実施例は、限定することを意図するものではなく、例示のためにのみ導入される。
【実施例
【0145】
以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供され、決して限定することを意図するものではない。
【0146】
実施例1:
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0147】
実施例1は、実施形態の例による、変異型の例についての短いMHCクラスIワクチンペプチド候補及び予測された変異エピトープを示す。この実施例では、ボックスで囲まれた文字「H」は、ワクチンペプチド配列「FVLQHLVFL」(配列番号26)の変異サブ配列を表す。本明細書の他の場所に記載される方法のうちの1つ以上によれば、「クラスター割り当て確率」及び「細胞出現率」は、目的関数によって決定することができ、クラスター割り当て確率または細胞出現率は、サブクローンスコアまたはサブクローン重みに対応し得る。サブクローンスコアまたは重みは、選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づき得る。いくつかの実施形態では、サブクローンスコアまたは重み付けは、ペプチドのリストにおけるペプチドの相対的な順序付けを決定するために利用され得る。
【0148】
実施例2:
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0149】
実施例2は、実施形態の例による、変異型の例についての短いMHCクラスIワクチンペプチド候補及び予測された変異エピトープを示す。この実施例では、ボックスで囲まれた文字「C」は、ワクチンペプチド配列「KACHYHSYNGW」(配列番号7)の変異サブ配列を表す。
【0150】
実施例3:
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0151】
実施例3は、変異型の例についての短いMHCクラスIワクチンペプチド候補及び予測された変異エピトープを示す。この実施例では、ボックスで囲まれた文字「H」は、ワクチンペプチド配列「REEENHSFL」(配列番号50)の変異サブ配列を表す。
【0152】
実施例4:
【表13】
【表14】
【表15】
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【0153】
実施例5:
【表17】
【表18】
【0154】
上記の実施例4及び5では、実施例1の短い配列「FVLQHLVFL」(配列番号26)を使用して、実施例4における長いMHCクラスIワクチンペプチド及び実施例5における長いMHCクラスIIワクチンペプチドのための配列を作製し、両方とも、配列の中心に同じ短いサブ配列(例えば、ボックスで囲まれた文字「H」)を含む。本明細書の他の場所で説明されるように、アミノ酸は、変異したアミノ酸の各側に隣接するアミノ酸の第1の最大数があるように、最長のネオアンチゲンに従って、短いサブ配列の両側に添加され得る。予測される変異エピトープは、対応するサブクローンスコアまたは重みとともに、MHCクラスIワクチンペプチド及びMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について生成または決定され得る。サブクローンスコアまたは重みは、選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいてもよく、目的関数によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、サブクローンスコアまたは重みは、ペプチドのリストにおけるペプチドの相対的な順序付けを決定するために利用され得る。
【0155】
実施例6:
【表19】
【表20】
【表21】
【表22-1】
【表22-2】
【表22-3】
【0156】
実施例7:
【表23】
【表24】
【0157】
上記に示される実施例6及び7では、実施例2の短い配列「KACHYHSYNGW」(配列番号7)を使用して、実施例6の長いMHCクラスIワクチンペプチド及び実施例7の長いMHCクラスIIワクチンペプチドのための配列を作製し、両方とも、配列の中心に実施例2と同じ短いサブ配列(例えば、ボックスで囲まれた文字「C」)を含む。予測される変異エピトープは、対応するサブクローンスコアまたは重みとともに、MHCクラスIワクチンペプチド及びMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について生成または決定され得る。サブクローンスコアまたは重みは、選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいてもよく、目的関数によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、サブクローンスコアまたは重みは、ペプチドのリストにおけるペプチドの相対的な順序付けを決定するために利用され得る。
【0158】
実施例8:
【表25】
【表26】
【表27】
【表28-1】
【表28-2】
【0159】
実施例9:
【表29】
【表30-1】
【表30-2】
【0160】
上記に示される実施例8及び9では、実施例3の短い配列「REEENHSFL」(配列番号50)を使用して、実施例8の長いMHCクラスIワクチンペプチド及び実施例9の長いMHCクラスIIワクチンペプチドのための配列を作製し、両方とも、配列の中心に実施例3と同じ短いサブ配列(例えば、ボックスで囲まれた文字「H」)を含む。予測される変異エピトープは、対応するサブクローンスコアまたは重みとともに、MHCクラスIワクチンペプチド及びMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について生成または決定され得る。サブクローンスコアまたは重みは、選択されたエピトープのうちの少なくとも1つが個々のサブクローンに属する確率に基づいてもよく、目的関数によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、サブクローンスコアまたは重みは、ペプチドのリストにおけるペプチドの相対的な順序付けを決定するために利用され得る。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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【国際調査報告】