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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】超音波システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556948
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022056427
(87)【国際公開番号】W WO2022194722
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21162706.2
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522417764
【氏名又は名称】パルシファイ メディカル
【氏名又は名称原語表記】Pulsify Medical
【住所又は居所原語表記】MC Square Offices, Philipssite 5 bus 1 3001 Leuven, Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】バルボサ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲ,ジャン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD15
4C601EE15
4C601FF01
4C601GB09
4C601GB18
4C601HH14
4C601JB41
4C601JC06
4C601JC16
4C601JC20
4C601JC23
(57)【要約】
本発明は、特に心臓監視のための超音波システム(1)に関し、超音波システム(1)は、超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素(3a)を有するトランスデューサアレイ(3)と、トランスデューサアレイ(3)に結合されている、トランスデューサアレイ(3)を制御するための制御ユニット(40)と、トランスデューサアレイ(3)からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット(41)と、を備え、システムは、参照超音波データを得るために構成された、少なくとも1つの参照モジュール(45)と、目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構成するために構成された、少なくとも1つのボリューム再構成モジュール(46)と、目標器官および/または目標器官の一部の前記ボリュームを監視するために構成された、少なくとも1つの選択監視ユニット(47)と、をさらに備える。本発明はさらに、対象者の身体部分を超音波撮像するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に心臓監視のための超音波システム(1)であって、
- 超音波を提供し、反射した超音波を検出するための複数のトランスデューサアレイ要素(3a)を有するトランスデューサアレイ(3)と、
- 前記トランスデューサアレイ(3)に結合されている、前記トランスデューサアレイ(3)を制御するための制御ユニット(40)と、
- 前記トランスデューサアレイ(3)からデータを受け取り、前記受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット(41)と、を備え、
前記システムは、
- 参照超音波データを得るために構成された、少なくとも1つの参照モジュール(45)と、
- 目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構成するために構成された、少なくとも1つのボリューム再構成モジュール(46)と、
- 前記目標器官および/または前記目標器官の一部の前記ボリュームを監視するために構成された、少なくとも1つの選択監視ユニット(47)と、
をさらに備える、超音波システム(1)。
【請求項2】
前記システムが、収縮開始位相、収縮末期位相、拡張開始位相、および拡張末期位相の少なくとも1つを含む心周期位相を判定するために構成された、少なくとも1つの位相判定モジュール(49)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の超音波システム(1)。
【請求項3】
前記システムが、アーチファクトを特定し、アーチファクトによって生じる超音波信号に対する妨害を回避するために構成されたアーチファクト判定モジュール(48)をさらに備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超音波システム(1)。
【請求項4】
対象者の身体部分を超音波撮像するための方法であって、少なくとも、
- 前記対象者の前記身体内に伝導する超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素(3a)を有するトランスデューサアレイ(3)を配置するステップと、
- 走査により参照超音波データを得るステップであって、前記参照超音波データは、前記対象者の前記身体内に伝導された前記超音波の受信に基づく、参照超音波データを得るステップと、
- 目標組織もしくは解剖学的構造、および/または目標組織もしくは解剖学的構造の一部を検出するステップと、
- 前記目標組織もしくは解剖学的構造、および/または前記目標器官の一部のボリュームを再構成するステップと、
前記目標組織もしくは解剖学的構造、および/または前記目標組織もしくは解剖学的構造の一部の前記ボリュームを監視するステップと、を含む方法。
【請求項5】
参照超音波データを得る前記ステップが、少なくとも2つの異なる走査位相を含み、前記少なくとも2つの異なる走査位相が解像度の面で異なることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、アーチファクトを特定し、アーチファクトによって生じる超音波撮像に対する妨害を回避するステップ、をさらに含むことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記目標組織もしくは解剖学的構造および/または前記目標組織もしくは解剖学的構造の一部の前記ボリュームを再構成するステップが、画像を生成せずに前記目標組織もしくは解剖学的構造および/または血管の前記ボリュームを少なくとも部分的に走査することを含むことを特徴とする、請求項4から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、収縮開始位相、収縮末期位相、拡張開始位相、および拡張末期位相の少なくとも1つを含む心周期位相を判定するステップをさらに含み、前記ボリュームを監視するステップが、1つまたは複数の心周期位相でのみ行われることを特徴とする、請求項4から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
前記心周期位相が、少なくとも1回の心周期中に少なくとも2回、前記目標器官および/または前記目標器官の一部の定められた位置を通して少なくとも1つの超音波ビームを送出することによって判定されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、データ効率的な心臓動き推定のために組み合わされた疎画像の獲得および追跡を含むことを特徴とする、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、少なくとも、
- 参照フレーム(密な3D画像)を基に形状推定を行うステップと、
- 2D画像獲得のために、シングルビームおよび/またはスライスなどの疎なサンプリング位置を定義するステップと、
- 各スライスで推定された2Dの動きを3Dアフィン動きモデルに統合する3D変形を推定するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、少なくとも、
- 参照フレーム(密な3D画像)を基に形状推定を行うステップと、
- 少数のプレーンの相関付けを介して収縮末期の時間的なトリガを行うステップと、
- 収縮末期における2D画像獲得のために、シングルビームおよび/またはスライスなどの疎なサンプリング位置を定義するステップと、
- オプティカルフローにより3Dグローバル変形および精緻化を行うステップと、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、心臓シーケンスにおける主要時間フレームの、無参照の自動的特定を含むことを特徴とする、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、少なくとも、
- 一つの画像シーケンスのすべてのフレーム間のペアワイズ相関を推定するステップと、
- 対角線特定により心周期の分離を行うステップと、
- 拡張末期/収縮末期(ED/ES)の特定のために極小値推定を行うステップと、
を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記参照フレームが、2ステップの手順に従って測定され、第1のステップは、関心領域のより粗い画像を収集し、この粗い画像を使用して関心ボリュームを検出することであり、第2のステップでは、前記検出された関心ボリュームに着目するために詳細な走査を行うことを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に心臓監視のための、超音波システム、特に着用型超音波モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
着用型の超音波モニタシステムは、時間に伴う心臓機能を監視する。超音波モニタは、パッチ型の形式で身体に装着されることがある。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0136462(A1)号明細書は、着用型超音波デバイスおよびそのデバイスの使用方法を開示し、デバイスは、電源と、アプリケータに電力を送る少なくとも1つの集積回路とを備えた電力コントローラを含んでいる。アプリケータは電力コントローラに電気的に結合され、アプリケータの表面は一定の時間にわたって着用者に超音波を伝送する。アプリケータは、無線周波数(RF)駆動電子機器と、駆動電子機器に結合された超音波トランスデューサと、駆動電子機器に結合されたサーマルカットオフを含む監視装置とを含む。
【0004】
国際公開第2018/102828(A1)号パンフレットは、超音波トランスデューサに使用するための超音波結合パッチ、より詳細には、ゲル捕捉機能をもつ超音波結合パッチを開示している。
【0005】
国際公開第2019/162485(A1)号パンフレットは、超音波励振圧力波を発するための複数の送信要素を備える送信器/トランスデューサを用いて、不均一性を含んでいる伝搬媒体の超音波測定を行うための方法および装置を開示している。
【0006】
多数の超音波トランスデューサ要素を備えた超音波システムでは、例えば10,000または100,000個の要素を備えたトランスデューサアレイが使用される場合、1つ1つのトランスデューサ要素をすべて個々にサンプリングすると、莫大な量のデータにつながる。したがって、システムは、スループットおよびこのデータの処理のために高い能力を必要とする。そのようなアレイおよびそのすべての個々のトランスデューサ要素を駆動し、読み出すためには、多量の電力が必要とされる。
【0007】
電力消費は、特にシステムが長期の監視用に構成される場合には、超音波システムの動作にとって重要な因子である。それは、容量の限られた携帯型電源を備えるかそれに接続されることのある、携帯型の超音波デバイスの場合には一層重要となる。
【0008】
本発明の目的は、特に超音波システムが、超音波システムのバッテリの再充電または交換を必要とせずに数日間継続して機能することが可能であるという点で、超音波システム、特に心臓監視用の超音波システムを改良することである。
【0009】
この要求は、利用可能な電力および許容されるコンピューティング要件に厳しい課題を課す。
【発明の概要】
【0010】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴をもつ超音波システムによって解決される。したがって、特に心臓監視のための超音波システムは、
超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素を有するトランスデューサアレイと、
トランスデューサアレイに結合されている、トランスデューサアレイを制御するための制御ユニットと、
トランスデューサアレイからデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニットと、を備え、
システムは、
参照超音波データを得るために構成された、少なくとも1つの参照モジュールと、
目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構成するために構成された、少なくとも1つのボリューム再構成モジュールと、
目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを監視するために構成された、少なくとも1つの選択監視ユニットと、をさらに備える。
【0011】
本出願の意味における波とは、媒体を通じたエネルギーの移送と理解されるべきであり、すなわち、任意種類の超音波信号と理解することができる。
【0012】
さらなる有利な実施形態が従属請求項に与えられる。
【0013】
詳細には、この超音波システムは、一般に、国際公開第2019/162485(A1)号パンフレットによって開示されるような超音波システムであり得る。さらに開示される特徴は、例えば国際公開第2019/162485(A1)号パンフレットに開示されるシステムに追加され得る。
【0014】
本発明は、トランスデューサアレイ全体によって無制限のエリアを常時監視する代わりに、関心特徴および/または選択された時間点に監視を絞ることにより、電力節減が可能になるという基本的発想に基づいている。複数のトランスデューサアレイ要素を有するトランスデューサアレイ、制御ユニット、データ処理ユニット、参照モジュール、ボリューム再構成モジュール、および選択監視ユニットを含むハードウェアシステムの使用は、心周期または心周期の選択された位相の間に必要とされる生理学的および/または病理学的情報を提供する、器官、流体運搬構造、もしくは身体内の他の体積測定特徴、例えば心臓、または目標器官の一部、特に心室もしくは心房、などの関心特徴のボリュームに監視を制限することを可能にし得る。例えば、心臓全体のボリュームではなく左心室のボリュームを監視して、特に心周期当たりまたは心周期の選択された位相当たりに心臓がどれほどの量の血液を送り出しているかを判定してよい。全体として、この監視ボリュームの制限を通じて、電力消費が低減した監視、およびシステムのバッテリのより長い寿命、ならびに/またはより低い頻度の充電が可能となる。言い換えると、このシステムは、好都合に、必要とする演算能力がより少なく、超音波システムの電力消費が低減される。
【0015】
このシステムは、心臓監視用に構成されてよく、これは例えば、心臓活動および/または患者の心臓特性の監視を含んでよい。心臓活動の監視は、心拍リズムおよび/または心拍出量などのパラメータの監視を含んでよい。
【0016】
システムは、少なくとも1つのトランスデューサアレイ、すなわち、複数のトランスデューサアレイ要素を備えたデバイスまたはユニットを有する。詳細には、トランスデューサアレイは、チップ設計を有してよい。トランスデューサアレイ要素は、超音波パルスまたは信号を生成するアクチュエータとして使用され得るユニットである。代替的にまたは追加的に、トランスデューサアレイ要素は、超音波パルスまたは信号の受信または検出のために使用されてもよい。一般的に、1つのトランスデューサアレイ要素は、1つまたは複数のトランスデューササブ要素から構成されてよい。そのようなサブ要素は、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(pMUT:piezoelectric micromachined ultrasonic transducer)部品または静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(cMUT:capacitive micromachined ultrasonic transducer)部品であり得る、1つのトランスデューサのみであることが可能である。
【0017】
一実施形態では、一つのトランスデューサアレイ要素は、例えば、4個、9個、16個のトランスデューササブ要素から構成されてよく、これらは2×2、3×3、4×4の格子または別の好適な方式のいずれかで配置されてよい。また、例えば2×3構成の6個のサブ要素には、非正方形の構成が使用され得る。さらなる実施形態では、1つのトランスデューサアレイ要素の中に他の数のトランスデューササブ要素が設けられてよく、1つのトランスデューサアレイ要素のトランスデューササブ要素は、格子、または例えば結晶格子配置に似た別の配置で構成されてよい。サブ要素は、直列接続または並列接続のいずれで接続されてもよく、またそれらが単一の機能ユニットとして動作可能なように共通の入力および出力を提供してよい。
【0018】
トランスデューサ要素および/またはサブ要素を製造するために、種々の技術が使用されてよい。例えば、cMUTユニットは、Gerardoらによる「Fabrication and testing of polymer-based capacitive micromachined ultrasound transducers for medical imaging」(Microsystems & Nanoengineering(2018)4:19)に記載されるような、ポリマーを用いる技術を使用して作製されてよい。
【0019】
システムの複雑性を低減するために、いくつかのトランスデューサ要素が、一つの機能ユニットに組み合わされ、単一の「要素」として扱われてよく、すなわち、組み合わされたトランスデューサアレイ要素は、単一のユニットであるかのように同時に駆動される。
【0020】
トランスデューサアレイのトランスデューサアレイ要素は、最適に駆動できるように直列または並列に接続され得る。
【0021】
詳細には、トランスデューサアレイ要素は、個々に制御可能となるように構成されてよい。例えば、2Dアレイ構成では、トランスデューサ要素をアレイの行または列の方向に並列に接続して、行/列に基づくアーキテクチャを作り出すことができる。
【0022】
また、システムは制御ユニットを備える。制御ユニットは、いくつかの構成要素を備えてよく、それらは例えば共通の筐体もしくは封体構造内に、互いと構造的に一体化されてよく、または、構造的に分離した構成要素として実装されてよく、それらは互いと結合してよい。
【0023】
トランスデューサアレイ要素は、制御信号に基づいて超音波、特に超音波パルスまたは信号、を生成および/または受信するように構成される。トランスデューサアレイにそれぞれの制御信号を提供するために、制御ユニットは、送信モジュールおよび受信モジュールを備えてよく、それらは、トランスデューサアレイ用のおよび/またはトランジスタ用のドライバモジュールに実装されてよく、ドライバモジュールがトランスデューサアレイ要素を制御してよい。
【0024】
制御ユニットは、これらに限定されないが、以下の例などの種々のタスクを行うように構成されてよい。制御ユニットは、デジタル信号処理および/またはフィルタリングを行うように構成されてよい。また、制御ユニットは、特に、ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュールなどのメモリモジュールにおける、情報の記憶および/または検索に関係する動作を行うように構成されてよい。また、制御ユニットは、例えばUSBインターフェースやワイヤレスインターフェースを介して、メモリモジュールとのインターフェースなどの外部インターフェース、トランシーバユニットを駆動する、および/または他のユニットから制御信号を受信するための動作を行うように構成されてよい。制御ユニットはまた、例えばトランスデューサアレイ要素に連結されたスイッチを通じて、トランスデューサアレイを制御するための動作も行ってよく、そのようなスイッチは、トランジスタ、またはより具体的には薄膜トランジスタ(TFT)要素、もしくはそのようなスイッチ/トランジスタの行列、例えばTFT行列、であり得る。TFT行列は、制御ユニットの機能および/または構造面で一つの(一体)部であり得る。また、制御ユニットは、トランスデューサ要素に接続されているトランジスタスイッチ/トランジスタ/TFT要素を制御する、超音波パルスおよび信号の生成ならびに/または感知に関する遅延を生成する、生成される超音波パルス、ビーム形成動作を定義する、および/または電力管理を制御するように構成されてよい。前記機能の各々は、個々にまたは組み合わせて、ASIC設計で実施および/または実装されてよい。また、これらの機能は、制御ユニットのモジュールとして実装されてよい。
【0025】
制御ユニットは、トランスデューサアレイ要素を制御するように構成され得るスイッチ、例えばトランジスタまたは薄膜トランジスタ(TFT)、を備えてよい。詳細には、スイッチ/トランジスタ/薄膜トランジスタのアレイが設けられてよく、それがトランスデューサアレイに結合される。
【0026】
システムのTFTアレイ(またはより一般的にはスイッチングモジュール)は、トランスデューサアレイを制御するために使用される。TFTアレイまたはスイッチングモジュールは、トランスデューサアレイに結合されることが可能であり、特にトランスデューサ要素の入力ポートに結合されてよい。詳細には、スイッチアレイ(例えばTFTアレイ)は、1つの構成要素として、例えば共通の筐体または封体構造内で、トランスデューサアレイと構造的に一体化されてよい。
【0027】
制御ユニットは、1つまたはいくつかのマイクロプロセッサから構成されるかまたはそれを備えてよい。また、制御ユニットは、1つまたはいくつかの特定用途集積回路(ASIC)を備えてよい。制御ユニット、特に制御ユニットのマイクロプロセッサは、プリント回路基板(PCB)に完全にまたは部分的に一体化されてよい。制御ユニットはまた、TFTアレイのパネルに一体化された制御回路からなってもよく、この制御回路は、トランスデューサ要素の選択を可能にするTFTスイッチ要素と連携して機能するが、TFTスイッチ要素とは別の機能ユニットとして機能する。PCBは、剛体、可撓性、伸縮性、またはその混成的な組み合わせであってよい。
【0028】
システムは、トランスデューサアレイに関する1つまたは複数の制御アルゴリズムが実行されるように構成された、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/またはデジタル特定用途集積回路(ASIC)を備えてよい。FPGAおよび/またはASICは、制御ユニットに備えられてよい。
【0029】
一実施形態では、システムは、ビーム形成器モジュールをさらに備える。ビーム形成器モジュールは、少なくとも1つのトランスデューサアレイ要素または複数のトランスデューサアレイ要素に時間遅延を適用するように構成されてよい。トランスデューサアレイ要素の異なるセットには異なる時間遅延が適用されてよい。これは、高解像度の測定、ビーム集束および/またはビーム操作の好都合に容易な制御を可能にする。
【0030】
詳細には、時間遅延は、1つのトランスデューサアレイ要素または複数のトランスデューサアレイ要素が超音波パルスの送信および/または超音波信号の受信に使用されるときに適用されてよい。
【0031】
1つのトランスデューサアレイ要素または複数のトランスデューサアレイ要素の時間遅延は、他のトランスデューサアレイ要素の制御に相対的に定義されてよい。
【0032】
また、ビーム形成器モジュールおよび/またはシステムの別のユニットが、遅延を決定するために利用されてもよい。詳細には、遅延は、各トランスデューサアレイ要素に対して、または複数のトランスデューサアレイ要素に対して決定され、決定された遅延がそれらに適用される。
【0033】
詳細には、制御ユニットは、ビーム形成器制御を実施するためのASIC、および/または、例えば、超音波パルスの送信および/またはデータの収集もしくは提供に関する空間的および/または時間的な疎性条件を適用するための(超音波デバイスによって行われる測定ならびに超音波パルスおよび信号に関係する)信号処理アルゴリズムのための設計を備えてよい。詳細には、ビーム形成器制御は、例えば、ある数のトランスデューサアレイ要素、例えば8~32個、例えば14、15、16、17または18個のトランスデューサアレイ要素、またはいくつかの接続されたトランスデューサアレイ要素(例えば14、15、16、17または18個)を備える機能ユニットにそれぞれ異なる遅延を適用することができる、電子遅延および加算回路を備えることができる。それは、それらチャネルの出力を加算して、1つの単一の出力値にする。詳細には、トランスデューサアレイ要素の各機能ユニットに固有の遅延を適用することにより、超音波ビームに特定の形状が得られるように、連携された方式で超音波パルスが生成され得る。また、超音波信号を受信する要素は、サンプルボリューム内部で的を絞った測定を提供するように、連携された方式でビーム形成器によって制御されてよい。データ処理ユニットは、種々の方式で実装されてよい。それは、例えばマイクロプロセッサを備えてよい。詳細には、それはASIC設計を備えてよい。また、データ処理ユニットおよび制御ユニットは、共通の演算ユニットで少なくとも部分的に実行されるソフトウェアモジュールとして実装されてよい。例えば、処理ユニットは、メモリから読み出し、データ処理ユニットおよび/または制御ユニットを実装する動作を行うための命令を実行してよい。
【0034】
また、データ処理ユニットは、1つまたはいくつかのアナログ-デジタル変換器(ADC)および/またはデジタル-アナログ変換器(DAC)を備えてよい。これらの変換器は、アナログチャネルとデジタルチャネルを互いに連結し、デジタルデータの収集および処理と、アナログ制御信号および検出信号の処理の両方を可能にするように構成される。DAC要素および/または別のアーキテクチャを使用して、時間利得コントローラが実装されてよい。
【0035】
1つの実施形態では、システムは複雑性低減モジュールをさらに備え、これは、トランスデューサアレイ要素の少なくとも1つまたは複数のサブアレイを定義し、その少なくとも1つまたは複数のサブアレイを、少なくとも1つの(もしくは複数の)超音波パルスを送信し、および/または少なくとも1つもしくは複数の超音波信号を受信するための機能ユニットとして制御するように構成されてよい。
【0036】
1つの実施形態では、複雑性低減モジュールは、複雑性低減機能を実装する演算動作のための命令を備えたソフトウェアモジュールとして実装されてよい。このソフトウェアモジュールは、特に、制御ユニットのモジュールとして実装されてよい。具体的には、複雑性低減モジュールは、少なくとも部分的に、制御ユニットおよび/またはデータ処理ユニットに備えられてよい。
【0037】
参照モジュールは、参照超音波データを得る機能を実装する。そのような機能は、トランスデューサアレイによる超音波パルスおよび信号の生成および/または検出に影響してよく、またはデータの獲得および/もしくは処理に影響してよい。
【0038】
トランスデューサアレイが対象者の身体に配置されるとき、それは、それが配置される身体の特徴についての事前情報を全く有していない。第1のステップにおいて、トランスデューサアレイ/パッチが自身の視野内の領域の詳細な走査を行う(トランスデューサのアレイ/行列の完全なまたは疎なステッピング)ことが可能であり得る。
【0039】
この走査は、監視する関心器官(例えば心臓、心室、心房、血管、大動脈、肺等)の位置、アーチファクト等を含む、関心特徴を検出することを可能にする。当技術分野で知られる任意の方法が特徴検出に使用され得る(例えば既知の特徴との相関付け、ニューラルネットワークなど)。
【0040】
ボリューム再構成モジュールは、例えば心臓、左/右心室、左/右心房、血管、大動脈、肺などの目標器官または目標器官の一部の関心特徴のボリュームを再構成する。
【0041】
このソフトウェアモジュールは、特に制御ユニットと共に実装されてよい。具体的には、ボリューム再構成モジュールは、少なくとも部分的に、制御ユニットおよび/またはデータ処理ユニットに備えられてよい。ボリューム再構成モジュールは、とりわけ、データおよびセンサの複雑性ならびに/または量を低減するための機能を実装してよい。そのような機能は、トランスデューサアレイによる超音波パルスおよび信号の生成および/または検出に影響してよく、またはデータの獲得および/もしくは処理に影響してよい。
【0042】
関心特徴、例えば目標器官および/または目標器官の一部、のボリュームを再構成するために、平行および/または集束および/または操作超音波ビームの集まりが、トランスデューサアレイのサブアレイによって提供される。よって、トランスデューサアレイを単一の全体として操作し、各要素を個々のユニットとして使用するのではなく、サブアレイ走査アーキテクチャが使用されてよく、すなわち、トランスデューサアレイ要素のグループが、機能ユニットとして組み合わされてよい。詳細には、隣り合う要素が組み合わされてよい。詳細には、超音波ビームは、トランスデューサアレイのトランスデューサのサブセット、すなわちサブアレイを選択することにより、平行化および/または集束および/または操作され得る。サブアレイが大きいほど、超音波ビームがより平行化され、サブアレイの集束能力が良好になる。超音波ビームは、関心ボリュームの特徴の方向に「発射」する。単一の平行ビームから戻ってくる反射した超音波信号は、制御ユニットで、アレイの単一の位置(サブアレイの位置付けおよび超音波ビームが送信される角度によって決まる)に沿った深さ情報を情報として与える撮像データに変換することができる。この平行および/または集束および/または操作ビームは、好ましくは、関心ボリュームと交差する(例えば心室の場合、これは心筋層との交差であり得る)か、または境界(例えば心筋層)と交差してよい。複数のこのようなビームを、ボリューム上の無作為のもしくは入念に選択された位置に、および/または関心特徴の境界にわたって発射することにより、ボリュームを疎にサンプリングすることができ、この疎なデータを使用してボリュームを再構成することができる。
【0043】
また、疎なデータを使用して、以前の測定で収集されたより詳細な参照ボリュームと比較した変形を判定してもよく、すなわち、疎な測定による時間に伴う参照ボリュームの変形が追跡され得る。また、撮像データを直接使用して、参照画像に直接照らして変形を追跡してもよい。
【0044】
詳細には、ボリューム再構成モジュールは、サブアレイごとに、複数のトランスデューサアレイ要素の中でのそのサブアレイの位置を制御してよい。また、ボリューム再構成モジュールは、サブアレイごとに、トランスデューサアレイ要素のそのサブアレイによって実装される超音波送信ビーム形状および/または超音波受信ビーム形状の集束深度および/または操作角度を制御してよく、そのようなビーム形成アルゴリズムは、プログラム可能ユニットの場合はソフトウェアモジュールとして、または例えばASIC内のチップ設計により、実装されてよい。
【0045】
サブアレイのトランスデューサアレイ要素は、単一の機能ユニットとして機能してよく、超音波パルスの送信を制御し、サンプルからの、例えば患者身体内部からの、反射超音波信号を収集することにより、1Dの深さデータセットを収集する。
【0046】
また、システムは、トランスデューサアレイまたはトランスデューサアレイの1つまたは複数のサブアレイによって収集された1Dデータセットから3D空間情報を生成するように構成されてよい。
【0047】
撮像を行うためにトランスデューサアレイ要素のサブアレイを制御するために、および例えば3D空間情報を生成するために、複数のトランスデューサアレイ要素の中でサブアレイ位置の位置付けが決定され、制御されてよい。これは、トランスデューサアレイ要素に励振信号を送信する、および/またはトランスデューサアレイ要素から読み出し信号を送信するように構成されるスイッチングアレイ(例えば薄膜トランジスタ(TFT)アレイ)と、センサの周囲部に配置されてよいシステムの制御ユニット、特に混合信号ASIC、との間の信号経路を制御することによって実施されてよい。制御ユニットは、特に、(これらに限定されないが)スイッチング(TFT)アレイや、スイッチ(例えばTFT)のそれぞれのドライバモジュールなどのシステム全体の他の要素または部分との組み合わせで、アクティブなサブアレイおよびシステムのトランスデューサアレイのより大きい行列内でのサブアレイ位置を定義するために、トランスデューサアレイ要素の行および/または列を選択的に切り替えるように構成されてよい。
【0048】
サブアレイの超音波ビームの方向および深さを制御し、超音波ビームの形状を制御するために、集束および/またはビーム操作が使用されてよい。ビーム形状は、個々のトランスデューサアレイ要素に遅延を適用することにより、または、共通の入力および出力を提供する組み合わされたトランスデューサアレイ要素のセット、すなわち機能ユニット、に遅延を適用することにより、制御される。これは、超音波パルスを送信し、それにより所定の焦点によって定められる深さに超音波エネルギーを集束させること、および所定の操作角度下で超音波エネルギーを送信することの両方のために行われてよい。送信と同様に、ビーム形状は、例えば、例えばサンプル内の所定の位置から超音波信号を受信する方向および集束深度を定義するために、超音波信号を受信するために制御されてよい。
【0049】
例えば3D空間情報を生成するためにデータを収集するには、制御ユニットは、例えば患者の身体の中で選定された関心領域に応じて、サブアレイごとに、そのサブアレイの位置、ならびにそのサブアレイの集束深度および/または操作角度を制御するように構成されてよい。
【0050】
一実施形態では、システムは、アーチファクト判定モジュールをさらに備え、これは、トランスデューサアレイと、システムを装着した患者の皮膚との間の気泡、または骨、例えば肋骨、などのアーチファクトを特定し、アーチファクトによって生じる超音波信号に対する妨害を回避するために構成される。詳細には、アーチファクト判定モジュールは、トランスデューサアレイの中のサブアレイの位置を、それが、例えば気泡の近くに患者の肋骨があることに起因する、超音波ビームに対する障害によって妨げられないように決定するように構成されて(も)よい。言い換えると、これは、超音波監視中の妨害信号を制限することを可能にする。
【0051】
選択監視ユニットは、目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを監視する。詳細には、心周期のうち離散した時間インスタンスでのみボリュームの詳細な走査を行うことにより、計算負荷がさらに低減される可能性がある。
【0052】
選択監視ユニットにとって重要なのは、特徴(すなわち目標器官または目標器官の一部)のボリューム全体が追跡されるのではなく、またトランスデューサアレイ全体が使用されるのではない(したがって、すべてのトランスデューサ要素が追跡に使用されるのではない)ことである。
【0053】
詳細には、システムは、収縮開始位相、収縮末期位相、拡張開始位相、および拡張末期位相の少なくとも1つを含む心周期位相を判定するために構成された少なくとも1つの位相判定モジュールをさらに備えてよい。よって、これは、システムが、好都合に走査および/または監視を心周期の特定の位相に制限できることを可能にし得る。特に一回拍出量を評価するためには、拡張末期位相および収縮末期位相だけが重要である。したがって、これらの時間インスタンスのみにおけるボリューム走査が望ましい場合あり、それが選択監視ユニットによって可能にされてよい。
【0054】
詳細には、この検出を可能にするために、位相判定モジュールは、拡張末期位相および収縮末期位相を検出することを必要とする場合がある。したがって、単一の(またはいくつかの)平行および/または集束および/または操作超音波ビームが、関心ボリュームの入念に選定された位置を通じて送信される。これは、時間に伴う収縮の良好なグラフが得られるように、一回の心周期を通じて数回行われる(例えば、心周期全体にわたって40~200個の「サンプル」が取られ得る)。こののサンプリングされた曲線から、例えば、導関数に着目して曲線中の最小値/最大値を求めることにより、拡張末期位相および収縮末期位相を検出することができ、代替的に、数周期が測定されることが可能であり、この場合は、収縮末期位相/拡張位相の正確な推定を可能にする。そして、心臓リズムの規則性により、拡張末期位相/収縮末期位相の次のインスタンスを決定することができる。別の選択肢は、時系列を入力とし、拡張末期位相および収縮位相を出力として与える、ニューラルネットワークを訓練することである。また、ゲーティングが器官の別の部分に使用されてもよい。加えて、ECG信号を超音波測定と組み合わせて、心臓周期を判定してもよい。
【0055】
詳細には、ボリュームのこの走査は、測定中の動きアーチファクトを回避する時間間隔に行われてよい。この時間間隔が1回の心周期内で短過ぎる場合、トリガされる測定が可能であり、そこでは、異なるいくつかの心周期にわたってすべての必要なデータを収集する(ただし、各回で心周期の同じ位相における点を収集し、呼吸アーチファクトが補正されるように注意を払う)。
【0056】
参照モジュール、ボリューム制約モジュール、選択監視ユニット、アーチファクト判定モジュール、および/または位相判定モジュールは、少なくとも原則的には共通の演算ユニットで実行される、1つまたは複数のソフトウェアモジュールとして実装されてよい。詳細には、この1つまたは複数のソフトウェアモジュールは、とりわけ、参照超音波データを得る機能、目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構成する機能、あるいは、目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを、特に定められた心周期の時間点に監視する機能を実装する演算動作のための命令を備えてよい。このソフトウェアモジュールは、特に制御ユニットと共に実装されてよい。具体的には、参照モジュール、ボリューム制約モジュール、選択監視ユニット、アーチファクト判定モジュールおよび/または位相判定モジュールは、少なくとも部分的に、制御ユニットおよび/またはデータ処理ユニットに備えられてよい。システムの一実施形態では、トランスデューサアレイは、可撓性であり、および/または伸縮性である。よって、システムは、好都合にその幾何学形状を、プローブまたはサンプル表面、例えば患者の身体、に合わせて調節することができる。詳細には、トランスデューサアレイ要素は、互いの方に向けて柔軟に方向付けられてよい。
【0057】
例えば、トランスデューサアレイ要素は、それらが平面または曲面に配置されるように、可撓性のおよび/または伸縮性の基板によって支持されてよい。基板は、例えばポリマー材料からなってよい。
【0058】
システムの一実施形態では、トランスデューサアレイは、トランスデューサアレイを患者の身体に固定するために粘着パッチに一体化される。そして、システムは、例えば心臓機能などの患者の身体機能を監視するため、特に長期監視するために、容易に使用されることが可能となり、好都合である。
【0059】
トランスデューサアレイは、パッチを患者の身体表面に取り付けるのに適した粘着エリアをトランスデューサアレイに設けることにより、パッチに一体化されてよい。また、布地または他の可撓性材料に粘着材料が設けられて、トランスデューサアレイを身体表面に固定するために使用されてよい。詳細には、パッチは、トランスデューサアレイを身体表面に近接して固定するように構成されてよい。
【0060】
トランスデューサアレイと制御ユニットとの間の結合は、配線接続、特にトランスデューサアレイと制御ユニットとの間のデータおよび/または送電用のインターフェース、を備えてよい。詳細には、制御ユニットおよび/または制御ユニットの一部は、センサアレイ上に配置されても、またはセンサアレイと一体化されて1つの共通の部とされてもよい。センサアレイは、特に、スイッチ(例えばTFT)アレイとトランスデューサアレイの組み合わせによって具現化され得る。
【0061】
詳細には、制御ユニットがセンサアレイを制御する場合は、配線接続があるか、および/またはワイヤレスインターフェースが設けられる。ワイヤレスセンサアレイが実装される場合、制御ユニットは、センサアレイに配置される、および/またはセンサアレイと共に1つの構成要素に一体化されてよい。
【0062】
詳細には、センサアレイが別の要素と配線によって接続される場合、センサアレイの制御の少なくとも一部は、センサアレイで実装される、および/またはセンサアレイと共に1つの構成要素に一体化されてよい。また、センサアレイへの配線を通じたアクセスがある場合は、追加的な制御ユニットが、例えば別個のPCまたは制御ユニットに設けられてよい。センサアレイは、例えばトランスデューサアレイとTFTアレイの組み合わせである。コントローラの一部は、集積回路設計により、またはICをTFTに接合することにより、TFTアレイに一体化され得る。
【0063】
詳細には、トランスデューサが別の構成要素と配線によって接続される場合、トランスデューサアレイの制御の少なくとも一部は、トランスデューサアレイで実装される、および/またはトランスデューサアレイと共に1つの構成要素に一体化されてよい。また、トランスデューサアレイへの配線を通じたアクセスがある場合は、追加的な制御ユニットが、例えば別個のPCまたは制御ユニットに設けられてよい。
【0064】
システムの一実施形態では、システムは、トランスデューサアレイおよび/または制御ユニットにエネルギーを提供するための電源ユニットをさらに備える。よって、システムは、特に携帯型電源が設けられる場合、非常にフレキシブルに好都合に使用されることが可能である。例えば、電源は、システムの構成要素として携帯型デバイスに一体化されるバッテリを備えてよい。
【0065】
トランスデューサアレイを単一の全体として操作し、各要素を個々のユニットとして使用するのではなく、サブアレイ走査アーキテクチャが使用されてよく、すなわち、トランスデューサアレイ要素のグループが機能ユニットとして組み合わされてよい。詳細には、隣り合う要素が組み合わされる。
【0066】
詳細には、トランスデューサアレイの中の各サブアレイを制御するための制御アルゴリズムが提供されてよい。制御アルゴリズムは、サブアレイごとに、複数のトランスデューサアレイ要素の中でのそのサブアレイの位置を制御してよい。また、制御アルゴリズムは、サブアレイごとに、トランスデューサアレイ要素のそのサブアレイによって実装される超音波送信ビーム形状および/または超音波受信ビーム形状の集束深度および/または操作角度を制御してよく、そのようなビーム形成アルゴリズムは、プログラム可能ユニットの場合はソフトウェアモジュールとして、または例えばASIC内のチップ設計により、実装されてよい。
【0067】
個々のサブアレイが、超音波パルスを送信する、および/または超音波信号を受信するための機能ユニットとして制御される場合、システムは、例えば、サブアレイを、超音波パルスを送信および/または受信する、ならびに/または超音波信号を受信するための単位セルとして使用することにより、サンプルの超音波に基づく測定を行うように構成されてよい。詳細には、超音波信号は、先に生成された超音波パルスの反射として検出され、反射信号およびその強度を具体的なエリアまたは位置にマッピングすることによって撮像または他のデータ処理が行われる。
【0068】
サブアレイのトランスデューサアレイ要素は、組み合わされた「要素」として機能して、超音波パルスの送信を制御し、サンプルからの、例えば患者身体内からの、反射超音波信号を収集することにより、1Dの深さデータセットを収集する。
【0069】
また、システムは、トランスデューサアレイまたはトランスデューサアレイの1つまたは複数のサブアレイによって収集された1Dデータセットから3D空間情報を生成するように構成されてよい。
【0070】
システムは、トランスデューサアレイの中のサブアレイの位置を、例えば、表面の近くに患者の肋骨があることに起因する、または肺が直接の超音波伝送経路内に存在することに起因する、またはサブアレイのトランスデューサアレイ要素とサンプルとの間の気泡に起因する、超音波ビームに対する障害によって妨げられないように決定するように構成されてよい。例えば3D空間情報を生成するためにデータを収集するには、制御ユニットは、例えば患者の身体の中で選定された関心領域に応じて、サブアレイごとに、そのサブアレイの位置、ならびにそのサブアレイの集束深度および/または操作角度を制御するように構成されてよい。
【0071】
撮像を行うためにトランスデューサアレイ要素のサブアレイを制御するため、および例えば3D空間情報を測定するために、複数のトランスデューサアレイ要素の中でサブアレイ位置の位置付けが決定され、制御されてよい。これは、トランスデューサアレイ要素に制御信号を送信する、および/またはトランスデューサアレイ要素から読み出し信号を送信するように構成される、薄膜トランジスタ(TFT)アレイと、センサの周囲部に配置されてよい、システムの制御ユニット、特に混合信号ASIC、との間の信号経路を制御することによって実施されてよい。制御ユニット、特にスイッチ(例えばTFT)アレイ、およびそれぞれのスイッチ(例えばTFT)ドライバモジュールは、アクティブなサブアレイおよびシステムのトランスデューサアレイのより大きい行列内でのサブアレイ位置を定義するために、トランスデューサアレイ要素の行および/または列を選択的に切り替えるように構成されてよい。詳細には、TFT要素はTFTトランジスタを含んでおり、これらのトランジスタは、接続されたトランスデューサ要素へ向かう電気接続を提供するまたは遮断することができる電子的に制御されるスイッチとして働く。TFTドライバは、少なくとも1つの、しかし好ましくは複数の、TFTトランジスタに接続し、TFTドライバは、取り付けられたTFTトランジスタの切替(オン/オフ)を制御するための電子信号を提供する。
【0072】
サブアレイの超音波ビームの形状、集束、または操作を制御するために、ビーム形成モジュールが使用されてよく、これは、最適に測定することが可能な方向および深さの制御を可能にする。ビーム形状は、個々のトランスデューサアレイ要素に、または共通の入力および出力を提供する組み合わされたトランスデューサアレイ要素の集まり、すなわち機能ユニット、に遅延を適用することにより、制御される。これは、超音波パルスを送信し、それにより所定の焦点によって定められる深さに超音波エネルギーを集束させること、および所定の操作角度下で超音波エネルギーを送信することの両方のために行われてよい。送信と同様に、ビーム形状は、例えばサンプル内の所定の位置から超音波信号を最適に受信するように、超音波信号を受信する方向および集束深度を定義するために、超音波信号を受信するために制御されてよい。
【0073】
システムの複雑性は、種々の方式で特性として定義されてよい。詳細には、複雑性は、個々に駆動される機能ユニットの数を測定する。例えば、システムの「複雑性」は、超音波パルスの生成および/または超音波信号の受信のために使用されるチャネルの総量を指すことがある。
【0074】
サブアレイサイズは、好適な信号対雑音比、特定のビーム形状および/または要求される画像品質が達成され得るように選定・構成されてよい。例えば、あるサブアレイサイズSAが選定され、SAが行の数「n」と列の数「m」の積であるとき(SA=n*m)、これはシステムの複雑性を大幅に低減させる可能性がある。
【0075】
一実施形態では、複雑性低減モジュールが、別々のサブアレイのトランスデューサアレイ要素同士に重なりがないように、複数のサブアレイを定義するように構成される。言い換えると、トランスデューサアレイ要素は、異なるサブアレイ間で「共有」されるのではなく、すなわち数個のサブアレイに帰属するのではなく、サブアレイのうち1つに帰属するかまたはどれにも帰属しない。したがって、トランスデューサアレイは、好都合なことに、非常に単純で効率的な方式で制御されることが可能である。
【0076】
一実施形態では、システムは、少なくとも1つのトランスデューサアレイセットを形成する少なくとも2つのトランスデューサアレイを備え、制御ユニットは、そのトランスデューサアレイセットを1つの単一のトランスデューサアレイとして制御するように構成される。トランスデューサアレイセットを使用することにより、例えば、1つのシステムを用いていくつかの位置が監視され得る(例えば肺の監視に必要とされる)。さらに、より大きい表面積が監視可能となる。また、器官、流体運搬構造、もしくは身体内の他の体積測定特徴、例えば心臓および/または肺および/または胸部である、目標を監視するための異なる視点が確立可能となる。
【0077】
トランスデューサアレイユニットは、直列および/または並列に、単一の要素、すなわち単一のトランスデューサアレイセット、として組み合わされてよく、それは超音波システムの単一のトランスデューサアレイとして駆動される。
【0078】
トランスデューサアレイ要素を個々に、または機能ユニットとして組み合わせてアドレス指定するために、種々のアーキテクチャが使用されてよい。行/列に基づくアーキテクチャでは、例えば、1次元に配置されたトランスデューサアレイ要素が組み合わされて、一つの機能ユニットとして扱われる。1次元にあるそのような要素は、基本的にまっすぐな線に沿って配置されてよい。例えば、トランスデューサアレイの各単一の要素を個々に制御する、および/またはすべてのトランスデューサアレイ要素から信号を収集する代わりに、1つの軸に沿ったすべての要素が、単一の入力および/または出力として組み合わされてよい。例えば、1つの行または列のすべての要素が組み合わされる。トランスデューサ要素を、スイッチとして構成されたTFT要素に接続することは、トランスデューサ要素を行または列に選択的に接続することを可能にし、そのため、単一の行または列に沿ってアクティブなトランスデューサの部分選択を行うことができる。組み合わされたトランスデューサアレイ要素をそれぞれ駆動し、読み出すためのパルサーおよび受信器は各々、アレイの行もしくは列またはその組み合わせのいずれかに接続することができ、これは、読み出し電子機器内の、行/行、列/列または行/列読み出しスキームと呼ぶ可能な構成につながる。
【0079】
一実施形態では、システムは、トランスデューサアレイが行/列に基づくアーキテクチャに従って制御されるように構成される。これは、好都合なことに、データ複雑性を大きく低減することを可能にする。行/列アーキテクチャは、この特定のトランスデューサアレイアーキテクチャによって実装されてよく、または、制御ユニットがどのようにトランスデューサアレイを駆動するかによって実装されてもよく、その場合、行または列構成は制御ユニットによって設定されてよい。
【0080】
行/列に基づくアーキテクチャでは、同じ行または列に沿って配置されているトランスデューサアレイ要素が共に接続され、単一の機能ユニットとしてアドレス指定される。単一のトランスデューサアレイ要素同士のこの組み合わせは、複雑性をN*M(各単一のトランスデューサアレイ要素が個々に制御される場合)からN+Mに下げ、Nは、トランスデューサアレイに存在する行および列の数を表す。トランスデューサ要素を、スイッチとして構成されたTFT要素に接続することは、トランスデューサ要素を行または列に選択的に接続することを可能にし、そのため、1つの行または列に沿ってアクティブなトランスデューサの部分選択を行うことができる。
【0081】
ここでは、各行および/または列単位は、依然として、外部ノードと内部のトランスデューサアレイ要素との間の接続を形成する複数の相互接続線から構成されてよい。各相互接続線は、ここでは、例えば信号線、接地線を提供するため、またはTFTトランジスタを切り替えるための制御信号を提供するために、異なる信号を搬送することができる。
【0082】
また、超音波パルスの送信および超音波信号の受信のために同じ角度をもつ超音波ビーム形状を選定することにより、向上した信号品質が達成され得る。同じ方向の「送信」および「受信」ビームへのビーム操作を行うために、行/行または列/列に基づく駆動および読み出しスキームが使用されてよい。これらのアーキテクチャには、「送信」および「受信」チャネルが、トランスデューサアレイ要素の2D行列として構成されてよいトランスデューサアレイの同じ次元に沿って位置する。行/行または列/列に基づく駆動および読み出しスキームでは、ビーム操作は1次元に沿って行われてよい。詳細には、ASIC要素は、2つの直交する方向のビーム操作を可能にするために、トランスデューサアレイ要素の列および/または行に沿って配置されてよい。しかし、例えば画像データを収集するための送信および受信の各イベントには、2つの直交する方向の一方のみがアクセスされてよい。
【0083】
詳細には、1つの行または列の要素が、種々の方式で組み合わされてよい。例えば、センサとしてのこれら要素のデータが、制御ユニットによる適切な制御によって仮想的に1つのチャネルとして組み合わされてよく、または、行/列アーキテクチャは、例えばトランスデューサアレイ要素レベルで直接一体化ステップを行うことにより、トランスデューサアレイ自体の設計によって実装されてもよい。行/列構成は、適切なチップ設計によって実装されてもよい。
【0084】
サブアレイは、TFTアレイに対する制御信号の組み合わせ(どのトランスデューサ要素がアクティブであるかを決定する)と、TFTの行または列へのパルスチャネルおよび読み出しチャネルの経路設定とにより、電子的に定義されてよい。例えば、本発明をこれらの特徴に制限することなく、制御ユニットの一部であってよいTFTドライバが、および/または部分的にTFT層の回路により、アクティブな列を選択することができ、一方、制御層が、読み出しチャネルおよび書き込みチャネルを列に接続する。詳細には、両者の交わりがサブアレイを形成してよい。別の例では、TFTドライバがアクティブな列を選択し、制御ユニットが行の書き込みチャネルおよび列の読み出しチャネルを接続し、またはその逆でもよい。また、いくつかの隣り合う行または列の要素が、同じように組み合わされてよい。
【0085】
一実施形態では、システムは、サブアレイサイズが設けられ、そのサブアレイサイズのサブアレイが定義され、個々のサブアレイに基づいてトランスデューサアレイが制御されるように構成される。したがって、サブアレイは、好都合に非常に高精度に定義され、様々な条件に合わせて調節されることが可能となる。
【0086】
サブアレイサイズの値は、種々の方式で決定されるかまたは与えられてよく、例えば、動的な決定ステップで、最適なサブアレイサイズが、空き演算能力、信号対雑音比もしくは精度値、物体もしくはトランスデューサアレイの幾何学的性質、または較正ステップで決定もしくは測定される較正値のようなパラメータに応じて決定される。詳細には、サブアレイサイズは、システム検討を通じて事前に決定される。考慮事項は、例えば、戻り信号の信号対雑音比、およびビーム拡散および集束ビーム幅などのパラメータを含む超音波ビーム形状であってよい。別のパラメータは、サブアレイサイズであってよく、これが過度に大きく選定されると、サブアレイが、システムが適用される患者の肋骨間に収まらない。
【0087】
例えば、少なくとも16行×16列のサブアレイサイズが設けられてよい。選定される値は、超音波に使用される波長に依存してよい。トランスデューサアレイ要素同士が略全波長の間隔になっているアレイでは、多数のトランスデューサ要素を組み合わせると、互いと一定の距離を有する肋骨と肋骨の間を通して測定する際に問題が生じる可能性がある。例えば14×14、12×12、10×10などの小さい数が使用されてよい。2分の1波長(ラムダ/2)のピッチ値であれば、行および列の量は倍、すなわち32行および32列になり、対して2*ラムダのピッチには、8行および8列が使用されてよい。
【0088】
詳細には、制御ユニットは、サブアレイごとにビーム特性を提供してよい。よって、このサブアレイの要素は、それぞれ、ある特定の方向への、そして定められたパルス特性をもつ超音波パルスを生成するために使用される。一方、ビーム特性は、システムの超音波信号検出特性、特に超音波信号が最適に検出される方向および(集束)深度を定義する。これは、焦点は、最良の解像度を仮定したときに所与の深さで「最適」であることに起因する。
【0089】
一実施形態では、各サブアレイのトランスデューサ要素は、アナログ超音波センサ信号を提供するように構成され、各サブアレイのトランスデューサ要素の超音波センサ信号は、1つの共通のアナログ-デジタル変換器(ADC)に提供される。詳細には、1つのサブアレイのトランスデューサアレイ要素の個々の信号は、まず組み合わされた後に、ADCに提供される。これは、好都合に低減した複雑性につながる。
【0090】
例えば、行/列アーキテクチャで、行当たりまたは列当たり1つのADCがあってよい。ADCは、データ処理ユニットの一部であるかまたは1つもしくは複数の別々のユニットに実装されてよい。トランスデューサアレイ要素のサブアレイの検出信号を1つのADCに提供することにより、1つのみのデジタル信号が生成され、獲得されるデータの量が減る。
【0091】
システムによって必要とされるアナログ-デジタル変換器の数は、受信チャネル当たり1つからサブアレイ当たり1つに低減され得、よって、生成されるデータの量も低減する。結果として、電力消費およびデータレートの面で著しい利益が達成され得る。
【0092】
追加的または代替的に、サブアレイビーム形成のソフトウェアまたはプログラミング実装が本システムで使用されてもよい。
【0093】
特に明示的に開示されるのは、対象者の身体部分を超音波撮像するための方法であって、この方法は、少なくとも、
超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素を有するトランスデューサアレイを、対象者の身体に配置するステップと、
走査により参照超音波データを得るステップと、
目標器官および/または目標器官の一部を検出するステップと、
目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを再構成するステップと、
目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを監視するステップと、を含む。
【0094】
一実施形態では、参照超音波データを得るステップが、少なくとも2つの異なる走査位相を含み、前記少なくとも2つの異なる走査位相が解像度の面で異なる。
【0095】
さらなる実施形態では、方法は、少なくとも1つのアーチファクトを検出するステップをさらに含む(トランスデューサアレイと、対象者の身体との間の気泡、骨、または軟骨など)。
【0096】
さらなる実施形態では、目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを再構成するステップは、画像を生成せずに目標器官および/または血管のボリュームを少なくとも部分的に走査することを含む。
【0097】
詳細には、走査は、平行/集束および/または操作超音波ビームを用いる、超音波によるパルスエコー測定に基づいてよく、超音波ビーム形状は、トランスデューサアレイのトランスデューサアレイ要素のサブセットを、トランスデューサアレイ要素の中のサブアレイとして選択することによって制御される。サブアレイ内のトランスデューサ要素を異なる位相で駆動するかまたは読み出すことにより、ビーム形状の制御が可能になる。
【0098】
詳細には、1回のパルスエコー測定に関係するデータは、ボリュームの位置、および関心特徴、例えば目標器官および/または目標器官の一部および/または脈管および/または脈管の一部、の界面の情報を提供する。複数のこのようなビームを、ボリューム上の無作為なもしくは入念に選択された位置に、および/または関心特徴の境界にわたって発射することにより、ボリュームを疎にサンプリングすることができ、この疎なデータを使用してボリュームを再構成することができる。
【0099】
上記で説明したように、ボリュームを再構成するために、別の方法は、疎な測定データを使用し、以前の測定で収集されたより詳細な参照ボリュームと比較した変形を判定することができ、すなわち、疎な測定を用いて時間に伴う参照ボリュームの変形を追跡する。さらに別の方法は、撮像データを直接使用して、参照画像に直接照らして変形を追跡することができる。
【0100】
別の実施形態では、参照ボリュームを初期走査ステップで走査することができ、これはボリュームをより詳細に走査する。この走査ステップは、関心領域の粗い画像を撮影する第1の検出ステップに分割されることも可能であり、次いでこの粗い画像が使用されて、関心ボリュームを見つける/検出する。次いで、第2のより詳細な走査ステップが、検出された関心ボリュームに着目する。これは、好都合に、詳細な参照ボリュームを確立するために必要とされる測定の量を低減する。
【0101】
詳細には、疎なデータは、bスプライン補間または所定の形状にフィッティングすることによる補間によって補間されてよい。
【0102】
さらに、方法は、収縮開始位相、収縮末期位相、拡張開始位相、および拡張末期位相の少なくとも1つを含む心周期位相を判定するステップをさらに含んでよく、監視は1つまたは複数の心周期位相でのみ行われる。
【0103】
一実施形態では、心周期位相は、少なくとも1回の心周期中に少なくとも2回、目標器官および/または目標器官の一部の定められた位置を通して、少なくとも1つの平行/集束または操作超音波ビームを用いる少なくとも1回の超音波によるパルスエコー測定を行うことによって判定される。
【0104】
詳細には、この方法は、超音波システムを動作させるという目的を果たす。よって、それは本発明の超音波システムと同じ利点を有する。
【0105】
一般に、関心特徴は目標器官であってよく、心臓または血管を含んでよく、目標器官の一部は心室または心房を含んでよい。関心特徴は、器官に関係しない場合もある身体内の別の構造、例えば内出血に起因して器官と器官の間にある血液の量、であってもよい。
【0106】
方法は、データ効率的な心臓動き推定のために組み合わされた疎画像の獲得および追跡を含むことができる。
【0107】
方法が少なくとも以下のステップを含むことが可能である:
- 参照フレーム(密な3D画像)を基に形状推定を行うステップ、
- 2D画像獲得のために、シングルビームおよび/またはスライスなどの疎なサンプリング位置を定義するステップ、および
- 各スライスで推定された2Dの動きを3Dアフィン動きモデルに統合する3D変形を推定するステップ。
【0108】
さらに、方法は、少なくとも以下のステップを含むことができる:
- 参照フレーム(密な3D画像)を基に形状推定を行うステップ、
- 少数のプレーンの相関付けを介して収縮末期の時間的なトリガを行うステップ、
- 収縮末期における2D画像獲得のために、シングルビームおよび/またはスライスなどの疎なサンプリング位置を定義するステップ、および
- オプティカルフローにより3Dグローバル変形および精緻化を行うステップ。
【0109】
好ましくは、参照フレーム(密な3D画像)は、システムによって取得された測定結果およびデータに基づく。
【0110】
また、方法は、心臓シーケンスにおける主要時間フレームの、無参照の自動的特定を含むことができる。
【0111】
方法が少なくとも以下のステップを含むことが可能である:
- 一つの画像シーケンスのすべてのフレーム間のペアワイズ相関を推定するステップ、
- 対角線特定により心周期の分離を行うステップ、および
- 拡張末期/収縮末期(ED/ES)の特定のために極小値推定を行うステップ。
【0112】
さらに、参照フレーム推定(例えば密な3D画像)は、2ステップの手順に従って測定され、第1のステップは、関心領域のより粗い画像を収集し、この粗い画像を使用して関心ボリュームを検出することであり、第2のステップでは、検出された関心ボリュームに着目するために詳細な走査を行う。これは、好都合に、詳細な参照ボリュームを確立するために必要とされる測定の量を低減する。本発明のさらなる詳細および利点が、次いで図面との関係で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】超音波システムの一実施形態の図である。
図2A】超音波システムの実施形態のトランスデューサアレイの詳細図である。
図2B】超音波システムの実施形態のトランスデューサアレイの詳細図である。
図2C】超音波システムの実施形態のトランスデューサアレイの詳細図である。
図3A】超音波システムの別の実施形態の図である。
図3B】超音波システムの別の実施形態の図である。
図3C】超音波システムの別の実施形態の図である。
図3D】超音波システムの別の実施形態の図である。
図4】超音波システムの別の実施形態の図である。
図5】超音波システムを動作させるための方法の一実施形態の図である。
図6】超音波システムを動作させるための方法の別の実施形態の図である。
図7】超音波システムを動作させるための方法の別の実施形態の図である。
図8】超音波システムを補正するための方法の一実施形態の図である。
図9】本発明の一実施形態による超音波システムを用いた、データ効率的な心臓動き推定のための組み合わされた疎画像の獲得および追跡のステップのフローチャートである。
図10図9に示されるステップの視覚化図である。
図11】本発明の一実施形態による、データ効率的な心臓動き推定のための超疎な画像の獲得および追跡のフローチャートおよび視覚化図である。
図12】本発明の一実施形態による超音波システムを用いた、データ効率的な心臓動き推定のための組み合わされた疎画像の獲得および追跡のステップのフローチャートである。
図13図12に示されるステップの視覚化図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1および図2A図2Cを参照して、超音波システムの一実施形態を説明する。
【0115】
図1は、模式的概観を示し、超音波システム1の機能ブロックを説明している。
【0116】
この実施形態による超音波システム1は、特に患者の心臓活動を長期監視するための、着用型超音波システム1として構成される。
【0117】
詳細には、この超音波システムは、一般に、国際公開第2019/162485(A1)号パンフレットに開示されるような超音波システムであり得る。以下の追加的な特徴は、このすでに開示されている国際公開第2019/162485(A1)号パンフレットの超音波システムにおいてさらに実現されることが可能である。
【0118】
超音波センサおよび支援電子機器は、この実施形態に示されるように、可撓性の身体着用形式で一体化され得る。
【0119】
図1に示される実施形態では、超音波システムは(少なくとも部分的に)パッチ2内に搭載される。
【0120】
超音波システム1は、本実施形態では圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(pMUT)アレイ3として構成される、トランスデューサアレイ3を備えている。
【0121】
トランスデューサアレイ3は、複数のトランスデューサアレイ要素3aを備える。
【0122】
本実施形態では、pMUT要素3a。
【0123】
トランスデューサアレイ要素3aのサブセットがサブアレイ4を形成する。
【0124】
詳細には、各トランスデューサアレイ要素3aは、1つまたは数個のサブ要素3b、特にpMUTサブ要素3bまたは構成要素、から構成されることが可能であり、これらは単一のより大きいトランスデューサアレイ「要素」3aとして駆動される。
【0125】
他の実施形態では、静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(cMUT)部品が使用され得る。
【0126】
異なる数のトランスデューササブ要素3bまたは異なる構成のサブ要素3bを有する他の構成も可能である。
【0127】
さらに、スイッチアレイまたはスイッチモジュール5があり、これはより具体的にはTFTアレイとして実現され得る。
【0128】
超音波システム1のさらに他の一部は、スイッチドライバ6、受信器7およびパルサー8を有するアナログフロントエンド10である。
【0129】
スイッチドライバ6は、TFTドライバモジュールとして具現化され得る。
【0130】
受信器7は、アナログ-デジタル変換器(ADC)として具現化され得る。
【0131】
パルサー8は、パルサーモジュールであり得る。
【0132】
デジタル特定用途集積回路(ASIC)9があり得る。
【0133】
さらに、インターフェースモジュール11および外部ユニット12/バックエンドユニット12がある。
【0134】
センサアレイ(例えば上記のトランスデューサアレイ3)およびスイッチ/TFTアレイを含むトランスデューサアレイ21は、スイッチドライバ23を実装するユニット、受信器24、およびパルサーユニット25と結合される。
【0135】
これらのユニットは、アナログ信号22を介してトランスデューサアレイ21と通信するように構成される。
【0136】
この実施形態では、それらは特定用途集積回路内に実装される。そのようなASICは、センサの周囲部またはアナログフロントエンド10に位置することができる。
【0137】
また、それらは、信号を受信・処理し、信号処理/制御ユニット26と通信するために使用され、信号処理/制御ユニット26は、例えばCPU、メモリまたは他のユニットを有するFPGAと共にアナログフロントエンド10に組み込み演算システムとして実装され、これらの制御および信号処理アルゴリズムも、部分的または完全にASIC内に実装されてよい。
【0138】
提供されたデータのさらなる処理は、例えば超音波画像再構成アルゴリズム、データ分析、視覚化および制御アルゴリズムを組み込んでいる制御モジュール27によって行われる。
【0139】
PCなど、外部ユニット12に配線されているシステム20の場合、処理アルゴリズムの少なくとも一部は、任意で、組み込み演算システムおよび/または外部ユニット12で実行することができる。ワイヤレスの場合、そのような演算ステップは、組み込み演算システム内で、または場合によっては少なくとも部分的にホルダー内で実施され得る。
【0140】
さらに、図2Bは別の実施形態を示し、ここでは、2つ以上のトランスデューサアレイ3がトランスデューサアレイセット3cを形成することができ、それは、1つの機能ユニット、すなわち「仮想的な」単一のランスデューサアレイ、として制御される。
【0141】
図2Bの実施形態では、第1および第2のトランスデューサアレイ3が、1つのトランスデューサアレイセット3cによって構成されている。この実施形態では、トランスデューサアレイセット3cは、「仮想的に」1つの単一のトランスデューサアレイ3として制御される。
【0142】
また、図2Bは、トランスデューサアレイ3が複数のトランスデューサアレイ要素3aを備え、それらがN行およびM列の行列として構成されていることを示している。
【0143】
さらに、図2Bは、トランスデューサアレイ要素3aのサブセットがサブアレイ4を構成し、それはここでは1つの単位として制御されることを示している。サブアレイ4は、n個の行およびm個の列を有する。
【0144】
図2Bはまた、トランスデューサアレイ3の行および/または列に沿った要素3aは、1つまたは複数の相互接続線で相互接続され、いわゆる行/列に基づくアーキテクチャであることも示している。要素3aは、要素3aが接続されるか否かおよびそれがどの信号経路に接続するかを決定するスイッチ、詳細にはTFTスイッチ、により相互接続線に並列に接続する。よって、トランスデューサアレイ3の行および/または列は、まとめて制御されることが可能である。これは、要素3aの行および/または列をまとめて切り替えることによりシステムを単純化することを可能にする。
【0145】
この実施形態のトランスデューサアレイ3は可撓性である。ここでは、トランスデューサアレイ要素3aは、例えば可撓性ポリマー材料から成る可撓性基板に配置される。
【0146】
さらに、超音波システム1は、薄膜トランジスタ(TFT)アレイ5として具現化され得るスイッチアレイを備え、これは複数のTFT要素を含む。
【0147】
スイッチアレイ5は、そのスイッチ要素(またはTFTアレイとして具現化される場合はTFT要素)が、対応するpMUT要素3aを制御するように構成される。詳細には、各TFT要素は、1つのpMUT要素3aに割り当てられる。
【0148】
本実施形態では、150*150個のTFT要素をもつTFTアレイ5が使用され、それらは直角の行および列の2D行列として構成される。アレイの大きさは、特にそれぞれのpMUTアレイ3の大きさに依存し、異なる実施形態においては異なってよい。
【0149】
トランスデューサアレイ3と同様に、この実施形態のTFTアレイ5も可撓性であるおよび/または伸縮性である。ここでは、TFTアレイ要素は、例えば可撓性ポリマー材料からなる可撓性基板に配置される。
【0150】
詳細には、TFTアレイ5は、トランスデューサアレイ3と同じ基板に配置される。
【0151】
詳細には、一体化は、モノリシックであっても異種混成であってもよい。本例示的実施形態では、センサ層とTFT層は、別々に製造されて、ウエハ-ウエハ接合工程で接合されてよく、それに続いて、相互接続されたモジュールの処理が行われる。
【0152】
詳細には、「異種間一体化(HI)」とは、機能性を向上させ、動作特性を高めるために、複数の別々に製造された構成要素を単一のチップに組み立ててパッケージングすることを指す場合がある。本実施形態では、単一の機能(感知)をもつ1つの単一のアレイが作製され、これはモノリシックデバイスを示唆する。
【0153】
詳細には、行/列アーキテクチャの一例が示される図2Bに着目する。
【0154】
この実施形態では、pMUTアレイ3とTFTアレイ5の両方が、粘着パッチ2に一体化される。
【0155】
この実施形態では、粘着パッチ2は、約10×10cmの大きさである。大きさは、異なる実施形態において変動してよい。
【0156】
粘着パッチ2は、超音波システム1、特にトランスデューサアレイ3、を患者の皮膚に取り付ける目的に適する材料からなる。したがって、生体適合性があり、呼吸性のある材料が使用される。パッチ上の粘着層は、パッチを身体に取り付けるため、およびトランスデューサアレイ3の位置が患者の皮膚に対して基本的に一定であることを確実にするために使用される。
【0157】
別の実施形態では、「音響マッチング層」が、皮膚とトランスデューサアレイ3との間に設けられる。
【0158】
システム1はまた、電子機器をアナログ制御するための機能ブロック、いわゆるアナログフロントエンドを備える。
【0159】
アナログフロントエンド10は、トランスデューサアレイ3および/またはTFTアレイ5の制御および読み出しなどのオプションを提供するために、トランスデューサアレイ3およびTFTアレイ5に結合されている。このために、データと電力の両方が、アナログフロントエンド10と、トランスデューサアレイ3およびTFTアレイ5を有するパッチ2との間の結合を通じて転送されてよい。
【0160】
この実施形態によれば、アナログフロントエンドは、特定用途IC(ASIC)内に、またはTFT層の回路として、または別個の構成要素として、またはそれらの組み合わせとして実装され得る。アナログフロントエンドが構成されるすべての物理構成要素は、一体化された構成要素として直接TFTに、ICとしてTFTの周囲部に、または物理的な相互接続部を通じてセンサ2に物理的に取り付けられたPCB(可撓性または剛体)上のいずれかに、一体化され得る。
【0161】
異なる実施形態では、特定用途ICは、TFT層の周囲部に一体化されても、またはPCBに一体化されてよい。
【0162】
ここでは、TFTドライバモジュール6は、アナログフロントエンド10に設けられ、アナログフロントエンド10は、TFTアレイ5およびその個々のTFT要素をそれぞれ制御および管理するための低水準インターフェースを提供するように構成される。一実施形態では、ゲートドライバが、TFT層の周囲部でASICと一体化される。別の実施形態では、ドライバ回路は、部分的にまたは完全にTFT層内に設計され得る。
【0163】
詳細には、本実施形態のTFTドライバモジュール6は、それぞれ超音波パルスの生成を制御し、超音波信号を検出するために送信モジュールおよび受信モジュールと共に一体化され得る。すべてのこれら機能モジュールは、アナログフロントエンドの一部を形成する。
【0164】
また、受信器7が、アナログフロントエンド10の一部として設けられ、これは、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するように構成される。
【0165】
また、パルサーモジュール8がアナログフロントエンド10の一部として設けられ、これは、超音波パルスが生成されるようトランスデューサアレイ3を制御するように構成される。詳細には、ビーム形成がここで行われる。超音波パルスを生成するシステム1の各パルサーユニットに、遅延値が個別に設定されてよい。パルサーユニットの異なるチャネル、特に各pMUT要素3a、における遅延が、集束およびビーム形状を決定する。
【0166】
また、デジタルミドルエンドが設けられ、これは、超音波システム1に関する制御動作の一部を行うように、具体的には、超音波パルスを生成し、超音波信号を検出するためにトランスデューサアレイ3およびTFTアレイ5の活動を制御するように構成される。デジタルミドルエンドはまた、アナログフロントエンドから受信された信号に信号処理を行うように構成される。
【0167】
デジタルミドルエンドの一部として、マイクロプロセッサ、ならびに/または超音波システム1およびその電子構成要素を制御するための動作を行う他のユニットが設けられてよい。
【0168】
この実施形態の超音波システム1は、容易にカスタマイズできる超音波センサおよび監視デバイスを提供する。
【0169】
インターフェースモジュールは、配線接続および/または無線接続に基づく接続を構築する可能性を提供する。本実施形態では、接続方法の例には、USBおよびEthernet、ならびにブルートゥースおよびWiFiネットワークを介するものが含まれる。
【0170】
インターフェースモジュールは、ここでは、外部ユニットとのデータ通信および/または電力接続を可能にするように構成される。
【0171】
この実施形態では、PCBとその構成要素およびTFTアレイ5は、一体化された制御ユニットおよびデータ処理ユニットを構成する。PCBおよびTFTアレイ5ならびにトランスデューサアレイ3は、異なる実施形態では、別々に形成されるユニットとして構成されてよく、またはそれらは一つの共通のユニットに一体化されてよい。
【0172】
さらなる実施形態では、リモートまたはクラウドに基づくバックエンドユニット12が、インターフェースモジュールを通じて、直接、またはローカルまたはワイドエリアネットワークに接続されているコンピュータなどの別のデバイスを介して間接的に、アクセスされてよい。バックエンドユニットは、データの読み出しおよび記憶、データ分析、デバイスの構成、さらなる情報の提供、および認証システムに基づく取得データへのアクセスの管理などの動作を行ってよい。
【0173】
図2Aを参照して、超音波システム1のこの実施形態のトランスデューサアレイ3の詳細図を説明する。
【0174】
トランスデューサアレイ3は、pMUT要素3aの行列を有し、これは少数だけを模式的に示している。
【0175】
システム1は、pMUT要素3aのサブアレイ4が定義されるように構成される。サブアレイ4の要素3aは、超音波パルスを生成し、および/または超音波信号を検出するための1つの機能ユニットとして扱われる。
【0176】
この実施形態では、ASICが、トランスデューサアレイ3の中のサブアレイ4を定義するためのステップを行う。サブアレイ4の定義は、種々の方式で、例えばチップ設計により、またはトランスデューサアレイ3を制御する他のユニットにより、実施されてよい。
【0177】
本実施形態では、トランスデューサアレイ3は、40~250の範囲の行から選択されたN行、特に75、100、124、または150行、および40~250の範囲の列から選択されたM列、特に75、100、124、または150列を備えてよく、それらは2次元行列として配列される。一方、サブアレイサイズ値は、8~32行、特に16行、×8~32列、特に16列を含んでよい。よって、162個の要素3aのグループが、1つのサブアレイ4にグループ化される。これは、システムの複雑性およびデータ量のそれぞれ大幅な低減につながる。この態様については、図5を参照して下記でさらに説明する。
【0178】
本明細書において、相互に関係付けられた要素3aは、互いと隣り合うように選定される。
【0179】
さらなる実施形態では、サブアレイ4のこの定義は、種々の方式で、例えば構成ステップで、サブアレイ4に含めるpMUT要素3aの数を定義する所定のサブアレイサイズ値を入力することにより、および/またはpMUTアレイ3内でのサブアレイ4の位置を入力することにより、構成されてよい。また、サブアレイ4の形態、すなわちその寸法サイズは、入力値によって決定されてもよい。
【0180】
1つの実施形態では、サブアレイサイズは、システム開発時に定義されてよい。製品自体において、サブアレイサイズは、この値を動的に再構成するオプションを伴わずに、固定されることが可能である。この場合は、固定されたサイズが使用されることになる。
【0181】
どのようにサブアレイ4が定義されるかを制御する前記値は、デジタルミドルエンドおよび/またはデジタルバックエンドによって決定されてもよく、この機能の一部は、超音波システム1のASICまたは別の制御要素によって実装されてもよく、または特にアルゴリズムに応じて、インターフェースモジュールを通じた入力により実装されてもよい。サブアレイ4を定義するパラメータを決定するためのそのようなアルゴリズムは、データ/画像品質要件、信号対雑音比、システムの動作に干渉する要因に関する情報、ユーザ入力、ならびに構成情報、および/または他のパラメータなどの入力値を使用してよい。
【0182】
図2Cを参照すると、行/列に基づくマイクロビーム形成器を実装するための実施形態が模式的に説明されている。
【0183】
サブアレイ4は、n個の行およびm個の列を有し、マイクロビーム形成器30に接続されている。この特定の場合、トランスデューサアレイ要素3aのn行は、それぞれ1つの出力チャネル31として組み合わされている。これらの出力チャネルを「Ch1」~「Chn」と名付ける。
【0184】
サブアレイ4のトランスデューサアレイ要素3aについて、マイクロビーム形成器30は、サブアレイ4からのn個のアナログ入力チャネル31を1つの単一デジタル出力チャネル35に組み合わせる。
【0185】
このために、遅延操作が遅延ユニット32によって行われ、続いて加算ユニット32が使用されて、n個のアナログ入力を首尾一貫して合計する。
【0186】
アナログ-デジタル変換34が使用されて、得られたアナログ信号をデジタル信号に変換し、それがデジタル出力チャネル35を通じて出力される。
【0187】
さらなる実施形態では、各チャネル31が、その信号がアナログビーム形成器30で組み合わせられる前に入力信号の何らかのアナログ処理を行うことができる。
【0188】
図3A図3Eを参照して、超音波システムの他の実施形態を説明する。上記で説明した超音波システムの実施形態が参照される。図1および図3A図3Dは、システムのアナログ実施形態を提示するものであるが、異なる態様は強調表示され、異なる要素は明示的に示されている。
【0189】
図3Aには、PCB10がパッチ2に接続された状態で示されている。トランスデューサアレイ3およびTFTアレイ5は、これらもパッチ2と一体化されているため、図示していない。また、インターフェースモジュール11は、PCB10に直接接続される。
【0190】
PCB10には、システム1を制御する回路が示されている。
【0191】
ASIC9は、PCB10上に設けられている。
【0192】
また、インターフェース制御モジュール11aが設けられ、別のICを用いて実装される。それは、インターフェースモジュール11への低水準インターフェースを提供し、それによりインターフェースモジュール11の制御を可能にする。
【0193】
また、メモリモジュール13が設けられ、ここでは具体的にはランダムアクセスメモリ(RAM)モジュール13として構成される。
【0194】
また、電力管理モジュール14が設けられる。
【0195】
別の実施形態では、電源、例えば図3Eを参照して下記でさらに説明されるようにバッテリが設けられる。この場合、蓄えられた電力へのアクセスは、電力管理モジュール14を介してシステム構成要素に提供される。この場合、インターフェースモジュール11は、ワイヤレスデータ接続を、特に制御ユニットに、提供するように構成されてよい。
【0196】
本実施形態では、外部電源または外部電力網への接続など、システムに電力を提供する別の方式が使用されてよい。
【0197】
ASIC9、インターフェースモジュールASIC11a、メモリモジュール13、および電力管理モジュール14は、種々の方式で実装されてよく、そのうちのいくつかは当技術分野で知られている。例えば、マイクロプロセッサ、ASICチップおよび/または他のユニットが使用されてよい。
【0198】
図3Cを参照して、図3Aのものに相当する実施形態の別の図を説明する。
【0199】
この実施形態では、システム201はユニット203aを備え、この中にトランスデューサアレイ203およびTFTアレイ205が一体化されている。可撓性PCB210がこのユニット203aに結合され、両方がパッチケース202に一体化されている。
【0200】
PCB210は、剛体、可撓性、伸縮性、またはその混成的な組み合わせであってよい。
【0201】
システム201は、16チャネルのASICを有するモジュール206を含んでおり、これは、アナログフロントエンド機能ブロックおよび任意で完全なまたは部分的なデジタルミドル/バックエンドを含んでいる。ASICモジュール206は、センサユニット203aまたはPCB210のいずれかに一体化され得る。
【0202】
詳細には、可撓性PCB210は、センサの上部、特にセンサユニット203aの上部、で可撓性となるように構成される。PCB210とセンサユニット203aとの間の物理リンクは、特に可撓性相互接続部などの相互接続部によってなされる。
【0203】
可撓性PCB210は、例えばCPU、FPGAおよび/または他の要素を備えた制御装置209など、組み込みコンピュータシステムに関する構成要素を備える。
【0204】
可撓性PCB210は、例えばシステム201がそれによってPC212に結合されるUSBコネクタ211およびUSBトランシーバ211aなどの物理的インターフェースモジュールをさらに備える。
【0205】
可撓性PCB210はまた、RAMモジュール213および電力管理IC214を備える。
【0206】
図3Dを参照して、図3Aのものに相当する実施形態の別の図を説明する。
【0207】
システム301は、可撓性パッケージ、特にパッチケース302を備え、その中にセンサユニット303aおよび可撓性PCB310が一体化される。可撓性PCB310は、センサユニット303aに結合されている。
【0208】
PCB310は、剛体、可撓性、伸縮性、またはその混成的な組み合わせであってよい。
【0209】
システム301は、16チャネルのASICを有するモジュール306を含んでおり、これは、アナログフロントエンド機能ブロックおよび任意で完全なまたは部分的なデジタルミドル/バックエンドを含んでいる。ASICモジュール306は、センサユニット303aまたはPCB310のいずれかに一体化され得る。
【0210】
可撓性PCB310は、制御装置309、ワイヤレストランシーバ311、メモリモジュール313、バッテリゲージ314、ワイヤレス/有線チャージャ314a、およびパワーIC315がその上に一体化されている。
【0211】
詳細には、可撓性PCB310は、センサの上部、特にセンサユニット303aの上部、で可撓性となるように構成される。PCB310とセンサユニット303aとの間の物理リンクは、特に可撓性相互接続部などの相互接続部によってなされる。
【0212】
また、可撓性バッテリが設けられてもよい。
【0213】
図3Eを参照すると、図3Dの実施形態などの一実施形態の模式的な断面が説明されている。
【0214】
システム401は、センサ403を備える。
【0215】
対象者の皮膚への良好な接触を可能にするために、音響マッチングおよび/または接着剤層420が一方の側でセンサ403に付加される。
【0216】
センサ403の他方の側には、周囲部406部分が配置される。詳細には、センサ403を制御するための電子機器が周囲部406に配置される。
【0217】
周囲部406の上方の層として、相互接続部404が配置される。詳細には、相互接続部404は、センサ403の要素を、例えば行/列アーキテクチャで接続することができる。
【0218】
相互接続部404の上方の層には、IC要素406aが配置される。
【0219】
上記の構成の一番上に、可撓性バッテリ414が配置される。この可撓性バッテリ414は、IC要素406aおよび/またはPCB410の隣に配置されてもよい。
【0220】
図4を参照すると、別の実施形態の模式図が示されている。図示される構成要素は、上記で説明された実施形態にも存在してよく、同様のまたは相当する要素は、同じ参照符号を有し、再び詳細に説明されることはない。
【0221】
図4に示す要素およびモジュールの一部またはすべては、別々に形成されたデバイスなどの異なるユニットに実装されてよく、またはそれらは同じ演算ユニットおよび/またはデジタルメモリデバイス内にプログラムモジュールによって実装されてもよい。
【0222】
この実施形態の要素およびモジュールの組み合わせは、例示的なものであり、必ずしも互いと関係しない、または本発明の一実施形態において組み合わせられる、多数のオプションの特徴を含むと理解されるべきである。
【0223】
図4に、トランスデューサアレイ3が示され、これは、少なくとも部分的にPCB10上に構成されてよい制御ユニット40(トランスデューサアレイ3を制御する)に連結されている。
【0224】
トランスデューサアレイ3と制御ユニット40との間の接続は、直接のケーブル結合接続である。しかし、代替の実施形態では、間接的なおよび/またはワイヤレスの接続が可能である。
【0225】
例えば、制御ユニット40は、パッチ2(ワイヤレスパッチおよび有線パッチに可能)に取り付けられ得る。さらに、別個のコンピュータに、特に有線バージョンのための追加的な制御ユニットがあり得る。
【0226】
トランスデューサアレイ3は、超音波の提供および/または超音波信号の受信のために構成され、複数のトランスデューサアレイ要素3aを備える。
【0227】
制御ユニット40はTFTアレイ5を備え、これについては上記ですでに説明した。
【0228】
制御ユニット40は、専用データ処理ユニット41をさらに備え、これは、異なる実施形態では、他のモジュールの一部(下記で参照符号41~49で指定される)を備えてよく、または異なる実施形態では、いくつかの個々のモジュールによって実装されてよい。データ処理ユニット41は、トランスデューサアレイ3からデータを受け取って処理する。
【0229】
さらに、制御ユニット40は、参照モジュール45を備える。
【0230】
また、制御ユニット40は、ボリューム再構成モジュール46を備え、これは特に、この実施形態では超音波システム1を装備した対象者の左心室である目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構築するものである。
【0231】
さらに、制御ユニット40は、特に左心室を監視するための、選択監視ユニット47を備える。
【0232】
さらに、制御ユニット40は、補正モジュール44を備える。
【0233】
また、制御ユニット40は、複雑性低減モジュール42を備える。
【0234】
加えて、制御ユニット40は、変形補正モジュール43を備える。
【0235】
それに加えて、制御ユニット40は、アーチファクト判定モジュール48を備える。
【0236】
さらに、制御ユニット40は、位相判定モジュール49を備える。
【0237】
この実施形態によるシステム1は、一体化された支援電子機器によって制御される。支援電子機器は、センサの周囲部に沿って分散された混合信号ASIC要素を備える。センサは、トランスデューサアレイ3を備える。ASIC要素は、PCB10に位置することも可能である。
【0238】
また、電子機器の残りは可撓性PCB10に一体化され、可撓性PCB10はセンサに接続される。
【0239】
ASIC要素は、可撓性超音波センサの縁部に沿って分散され、以下の機能の一部またはすべてを有する:
機械的トランスデューサ、すなわちトランスデューサアレイ要素3aを作動させる;
トランスデューサアレイ要素3aによって受信された信号の処理およびデジタル化;
TFTアレイ5の切替の制御;および/または
アナログチャネル、すなわち、異なるトランスデューサアレイ要素3aからのアナログチャネル、を異なる列/行のセットに動的に再接続する。
【0240】
可撓性PCB10は、デジタル信号処理および他のASIC要素の制御を行うためのデジタル「マスター」ASIC9および/またはマイクロプロセッサを含んでいる。デジタルの信号処理および/または制御は、センサの周囲部および/または縁部に沿って分散された混合信号ASICで一部がまたは全体が実施されてもよい(例えば、相互接続部によってPCBのセンサの裏側に配線される)。
【0241】
トランスデューサアレイ3のpMUT要素3aの行/列のアドレス指定を行うことにより、システム1の複雑性がN*MからN+Mに低減され、NおよびMは、アレイ中の行と列の量を表す。完全に有線のアレイの場合(すなわち、各トランスデューサアレイ要素3aが個々に制御される場合)、各要素3aは個々にアドレス指定され得る(したがってN*Mの複雑性)のに対し、行/列に基づくアーキテクチャでは、同じ行または列に沿った要素3aが共に接続され、単一の単位としてアドレス指定され、それにより複雑性をN+Mに下げる。各ユニットは依然として、外部ノードと内部のアレイ要素との間の接続を形成する複数の相互接続線から構成され得る。各相互接続線は、例えば信号線、接地線を提供するため、またはTFTトランジスタを切り替えるための制御信号を提供するために、異なる信号を搬送することができる。
【0242】
ハードウェアビーム形成器を使用して例えば16個のアナログチャネルを組み合わせてよく、それらは各々トランスデューサアレイ要素3aが相互接続された一つのユニットに接続し、単一のADC7に接続し、すなわち1つのデジタルチャネルとなる。組み合わされる要素3aの数が、システム複雑性が低減される率を決定する。詳細には、複数のADC7が設けられてよく、これらは、定義されたトランスデューサアレイ要素3aのサブアレイ4に連結されてよい。
【0243】
この実施形態では、一サブアレイ4が1つの機能ユニット、例えばアレイ全体を走査するための「単一エンティティ」(単位セル)、として使用される。この単一エンティティは、電子的に制御される、および/またはより大きいトランスデューサアレイ3にわたって走査される。詳細には、サブアレイ4は、トランスデューサアレイ3の1つの行/列ごとに電子的に「シフト」される。
【0244】
本実施形態では、サブアレイ4は、単一のユニットとして電子的に制御される。詳細には、各サブアレイ4に1つのASICがある。
【0245】
さらなる実施形態では、各ASICに対して複数のサブアレイ4が設けられてよい。この数は、利用可能な電力、コスト制約、許容されるコンパクトさ、および/またはシステムの速度要件によって決まる。
【0246】
個々のサブアレイを制御するため、またはASICごとに複数のサブアレイを制御するためにいくつかのASICを使用することにより、いくつかの測定、詳細には「単一エンティティ」または「機能ユニット」、が並行して動作するので、より高速な走査が可能になる。
【0247】
以下では、上記で説明されたような実施形態の態様およびそれを動作させる方法が説明される。詳細には、以下の説明は、図4の実施形態と同様の実施形態に基づいている。
【0248】
トランスデューサアレイ3が対象者の身体(胸部)に配置されるとき、それは、それが配置される身体の特徴についての事前情報を全く有していない。よって、参照モジュール45が、全トランスデューサアレイ3(トランスデューサの行列)の領域の詳細な走査を提供する。この走査は、関心/目標の特徴である左心室を検出することを可能にする。例えば既知の特徴との相関付け、ニューラルネットワークなど、当技術分野で知られる任意の方法が特徴検出に使用され得る。さらに、この走査は、対象者の胸部へのトランスデューサアレイ3の不正確な配置を検出することを可能にし、および/または、左心室がトランスデューサアレイ3の位置から部分的にしか見えないかどうかが評価されてもよい。
【0249】
参照モジュール45によって得られた参照超音波データに基づいて、ボリューム再構成モジュール46は、トランスデューサアレイ3のサブアレイ3aによる平行超音波ビームの集まりを提供することにより、左心室のボリュームを再構成する。
【0250】
よって、ボリューム再構成モジュール46は、複数のトランスデューサアレイ要素3aの中のサブアレイ4の位置を制御することができる。また、ボリューム再構成モジュール46は、サブアレイ4ごとに、トランスデューサアレイ要素3aのそのサブアレイ4によって実装される超音波送信ビーム形状および/または超音波受信ビーム形状の集束深度および/または操作角度を制御することができ、そのようなビーム形成アルゴリズムは、プログラム可能ユニットの場合にはソフトウェアモジュールとして、または例えばASIC内のチップ設計により、実装されてよい。
【0251】
別の方法は、左心室の別の疎なパルスエコー測定を使用し、その測定結果を使用して、以前の測定で収集されたより詳細な参照ボリュームと比較した変形を判定することができ、すなわち、それは、疎な測定だけを使用して時間に伴う参照ボリュームの変形を追跡する。さらに別の方法は、撮像データを直接使用して、参照画像に直接照らして変形を追跡することもできる。
【0252】
アーチファクト判定モジュール48は、トランスデューサアレイと、システムを装着した患者の皮膚との間の気泡、または骨、例えば肋骨などのアーチファクトを特定し、アーチファクトによって生じる超音波撮像に対する妨害を回避するために使用され得る。詳細には、肋骨の強い超音波反射が特定のために使用され得る。アーチファクト判定モジュール46は、一般に、トランスデューサアレイ要素3aのグループをサブアレイ4として組み合わせてよい。
【0253】
トランスデューサ要素3aのグループをサブアレイ4として組み合わせることは、代替的に、複雑性低減モジュール42によって行われ得る。
【0254】
また、複雑性低減モジュール42は、複雑性低減機能を実装する演算動作のための命令を備えたソフトウェアモジュールとして実装されてよい。そのようなソフトウェアモジュールは、特に、制御ユニット40と共に実装されてよい。
【0255】
具体的には、複雑性低減モジュール42は、少なくとも部分的に、制御ユニット40および/またはデータ処理ユニット41に備えられてよい。
【0256】
さらに、選択監視ユニット47は、左心室を(サブアレイ4を用いて)監視するように構成される。
【0257】
詳細には、心周期のうち離散した時間インスタンスでのみボリュームの詳細な走査を行うことにより、計算負荷がさらに低減される可能性がある。
【0258】
位相判定モジュール49は、心周期位相、特に収縮末期位相および拡張末期位相を判定するように構成される。これは、一回拍出量の評価のためには、拡張末期位相および収縮末期位相だけが重要であるためである。このために、入念に選定された左心室の位置または他の参照を通じて、1回の(あるいは数回の)超音波パルスエコー測定が行われ、そこから心周期を判定することができる。これは、時間に伴う収縮の良好なグラフが得られるように、例えば心周期全体にわたって40~200個の「サンプル」が取られるように、一回の心周期を通じて数回行われる。これらのサンプリングされた曲線から、導関数を分析して曲線中の最小値/最大値を求めることにより、拡張末期位相および収縮末期位相が検出される。代替的に、数回の周期を測定することができ、これは、収縮末期位相/拡張位相の正確な推定を可能にする。そして、心臓リズムの規則性により、拡張末期位相/収縮末期位相の次のインスタンスを決定することができる。別の選択肢は、時系列を入力とし、拡張末期位相および収縮位相を出力として与える、ニューラルネットワークを訓練することであり得る。さらに別の選択肢は、例えば心腔の弁などの心臓周期の好適な示唆を与える、心臓の特徴に対する着目を特定することである。位相は、例えばECG信号のような他の信号で心臓周期を監視することによって判定することも可能である。
【0259】
したがって、拡張末期および収縮末期位相における詳細なボリューム走査が、選択監視ユニット47によって可能になる。
【0260】
例えば、拡張末期位相および収縮位相が位相判定モジュール49によって検出されたら、システム1は、位相判定モジュール49から切り替えて、単一の「走査」ビームをボリューム再構成モジュール46に送り、ボリュームを再構成するのに十分な量のビームを送る。
【0261】
データ処理のため、特に監視および/または臨床用途のためには、一定の期間、例えば一日間、にわたる心臓出力変動がシステム1によって判定されてよい。また、心拍数やその他のパラメータなど、例えば、測定された心臓活動に関係する動きデータが提供されてもよい。例えば、加速度計がシステム1に一体化されるかまたは接続されてよい。また、患者の胸部の運動が加速度計で判定されてもよい。さらに、呼吸および身体活動の影響が考慮されてよい。患者の運動、例えば呼吸のリズムが測定されてよい。さらに、肺も超音波システムによって監視されてよい。
【0262】
また、トランスデューサアレイ3の変形についての情報を得るために、トランスデューサアレイ3、例えばpMUTアレイ3、の変化する性質が分析されてよい。
【0263】
また、自動的な評価を行って、信号対雑音比が低過ぎる、すなわち所定の制限を下回り、測定の信頼性が影響されるかどうかを判定してもよい。
【0264】
詳細には、集束ビームを使用した超音波によるパルスエコー測定を使用して、プローブボリュームをサンプリングしてよい。
【0265】
心臓活動の監視中に処理・分析される必要のある、取得データの量を減らす手段として、サンプリングは、心腔または別のボリュームの拡張末期および/または収縮末期のボリュームに制限されてよい。
【0266】
心臓リズムを追跡するために、単一の参照ビームを使用して、心臓の動きを追跡し、拡張末期位相および/または収縮位相を評価してよい。
【0267】
監視が最も信頼できるデータを提供するのを確実にするために、種々の措置が取られてよい。すなわち、超音波パルスエコー測定が、少ない空間データ点の、選択され、減らされた測定値のサンプリングと共に使用されてよい。また、超音波パルスエコー測定が、変動するパルス反復周波数と共に使用されてもよく、パルス反復周波数は、定義された測定窓の外側では減らされる。パルス反復周波数は、規則的な間隔に関係してよく、またパルスエコー測定は、明確な時間窓に制限されてよい。例えば、より多くのパルスエコー測定値を集め、関心ボリュームのより密なサンプリングを行うために、この時間窓の中ではより高いパルス反復周波数が設定されてよく、一方、パルス反復周波数は、例えば心臓収縮の位相を低い時間解像度で追跡するために、時間窓の外側では低く設定される。
【0268】
監視は、特に所与の周波数で、ボリュームを計算するステップ、ボリュームおよび/またはボリュームの変化、画像データのセグメンテーションおよび統合を近似するために楕円のボリュームを計算するステップ、基準値を検出するステップ、トランスデューサアレイの変形および/または動的な形状因子を推定するために、システムを較正する、および/または特にトランスデューサアレイにおける歪みを監視するステップを含んでよい。
【0269】
詳細には、監視および較正は、特にトランスデューサアレイが可撓性パッチに含まれる場合、システムの動作において2つの別個のステップとして実施される:
a)パッチが患者の身体に付加される。
b)パッチが較正ステップを行う(胸部の形状に起因するパッチの変形形状を検出する)。
c)システムが、時間に伴う心臓のボリュームの監視と追跡を行う。
【0270】
監視中に、例えば患者の呼吸または運動が理由で、パッチの動的な形状変化を補正する必要がある場合がある。これは、例えば、a)規則的な間隔で再較正を行う、b)歪み監視により変形を測定する、c)形状変形の追跡アルゴリズムを使用することによって行われ得る。
【0271】
ボリュームの監視は、様々なやり方で行われ得る。
a)心室の詳細な基準形状を確立し、時間に伴うこの基準形状の変化を、限られた回数の超音波によるパルスエコー測定で追跡する。
b)限られた回数の超音波によるパルスエコー測定で測定を行い、それらから直接ボリュームを確立する。
【0272】
詳細には、画像に基づく指標が較正ステップに使用されてよい。これは、変形したトランスデューサアレイからでも、すなわち、トランスデューサアレイの具体的な形状因子の再構成を行わずに、変形のない画像の再構成を可能にし得る。例えば、不適切な形状が仮定されてよく、それらの不適切な形状に基づいて真の画像が再構成されてよい。
【0273】
また、変形のない再構成データに基づいて、トランスデューサアレイの形状推定が行われてよい。
【0274】
測定は、拡散反射体に向けて参照ビームを生成し、サブアレイ4の互いに対する変位を評価するために反射超音波信号を別の既知のサブアレイ4で検出することによって行われてよく、これは、アレイ3の変形した形状を推定することを可能にする。
【0275】
また、トランスデューサアレイ3の変形の情報を得るために、トランスデューサアレイ3、例えばpMUTアレイ3、の変化する性質が分析されてよい。
【0276】
特に患者の心臓活動を監視するために、種々の検出方法が使用されてよい。すなわち、左心室が検出され、測定、特にそのボリュームおよびボリュームの動的な変化の測定の対象とされてよい。
【0277】
さらに、測定値におけるノイズを減らし、適切な超音波ビーム形成および集束の選択を最適化するために、肋骨や患者の身体内の他の妨害物が検出されてよい。詳細には、肋骨の強い超音波反射が特定のために使用されてよい。
【0278】
トランスデューサアレイ3のサブアレイ4を定義するために、いくつかのステップが設けられて、個々に、または互いと組み合わせて実施されてよい。トランスデューサアレイ3内でのサブアレイ4の位置を制御するために、すなわち、適切な要素3aを選定し、それらをサブアレイ4に割り当てるために、サブアレイ4の位置決めステップが行われてよい。また、要素、特にpMUT要素3aの劣化につながる、特定の要素3aにかかる長期間のストレスを回避するために、サブアレイの位置を、特にランダムにシフトしてもよい。
【0279】
ASIC要素の使用は、少なくともデバイスへの直接の物理的アクセスなくしてはそれぞれの制御方法が容易には操作できないため、デバイスの安全性を向上させることができる。
【0280】
1つの実施形態では、特に心臓監視のための超音波システム1は、複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3と、トランスデューサアレイ3に結合されている、トランスデューサアレイ3を制御するための制御ユニット40と、トランスデューサアレイ3からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット41とを備える。ここで、超音波システム1は、複雑性低減モジュール42をさらに備え、この複雑性低減モジュール42は、トランスデューサアレイ要素3aの少なくとも1つのサブアレイ4を定義し、この少なくとも1つのサブアレイ4を、少なくとも1つの超音波パルスを送信する、および/または少なくとも1つの超音波信号を受信するための機能ユニットとして制御するように構成される。
【0281】
1つの実施形態では、特に心臓監視のための超音波システム1は、超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3と、トランスデューサアレイ3に結合されている、トランスデューサアレイ3を制御するための制御ユニット40と、トランスデューサアレイ3からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット41とを備える。ここで、超音波システム1は、参照超音波データを得るために構成された少なくとも1つの参照モジュール45と、目標器官または目標器官の一部のボリュームを再構成するために構成された少なくとも1つのボリューム再構成モジュール46と、目標器官および/または目標器官の一部のボリュームを監視するために構成された少なくとも1つの選択監視ユニット47と、をさらに備える。
【0282】
1つの実施形態では、特に心臓監視のための超音波システム1は、複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3と、トランスデューサアレイ3に結合されている、トランスデューサアレイ3を制御するための制御ユニット40と、トランスデューサアレイ3からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット41とを備える。ここで、超音波システム1は、少なくとも2つの動作モード、すなわちスリープモードおよび測定モード、を有する。制御ユニット40は、スリープモードが起動されているときには、低周波数システムクロックを所定のスリープ周波数で動作させるように構成され、測定モードが起動されているときには、高周波数システムクロックを測定周波数に設定するように構成される。
【0283】
1つの実施形態では、特に心臓監視のための超音波システム1は、複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3であって、トランスデューサアレイ3は可撓性である、トランスデューサアレイ3と、トランスデューサアレイ3に結合されている、トランスデューサアレイ3を制御するための制御ユニット40と、トランスデューサアレイ3からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット41とを備える。ここで、超音波システム1は、可撓性のトランスデューサアレイ3が曲がることによって生じるアナログ超音波信号中の影響を補正するために構成された少なくとも1つの補正モジュール44をさらに備える。
【0284】
1つの実施形態では、特に心臓監視のための超音波システム1は、複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3と、トランスデューサアレイ3に結合されている、トランスデューサアレイ3を制御するための制御ユニット40と、トランスデューサアレイ3からデータを受け取り、受け取ったデータを処理するためのデータ処理ユニット41とを備える。ここで、超音波システム1は、変形補正ステップを行うように構成される変形補正モジュール43をさらに備え、変形情報は、トランスデューサアレイ3に関して判定される。
【0285】
これらの実施形態は、自由に互いと組み合わせてよい。例えば図4を参照して上記で説明されたようなさらなるモジュールが、本明細書で説明されるさらなる機能を可能にするために任意で設けられてよい。
【0286】
図5を参照して、超音波システム1を動作させるための方法が説明される。以下の説明は、例えば図4を参照して上記で説明された超音波システム1の実施形態に基づくが、超音波システム1の他の実施形態も適し得る。
【0287】
この文脈において、「複雑性低減」とは、センサ、特にトランスデューサアレイ要素3aまたはサブアレイ4、をアドレス指定するために必要とされる読み出しチャネルおよび/または書き込みチャネルの量の低減を言う。
【0288】
これは以下によって達成され得る。
a)サブ要素3bを単一の機能要素3aとして組み合わせる(図2A参照);
b)要素3aを行/列アーキテクチャで共に接続することにより、N*Mから(N+M)への複雑性低減につながる(図2B参照);
c)一度にトランスデューサアレイ3全体ではなく、サブアレイ4を駆動することにより、(N+M)から(n+m)への複雑性低減につながる;および/または、
d)マイクロビーム形成器を使用して、サブアレイ4のn(またはm)個のアナログ入力チャネル31を単一のデジタル入力チャネル35として組み合わせる(図2C参照)。
【0289】
ステップ51において、複数のサブアレイ4が、トランスデューサアレイ3の中に定義される。続くステップ52において、個々のサブアレイ4が、超音波パルスを送信する、および/または超音波信号を受信するための機能ユニットとして制御される。
【0290】
この実施形態のシステムでは、ステップ51、52は、超音波システム1の制御ユニット40に備えられる複雑性低減モジュール42によって行われる。ここでは、複雑性低減モジュール42は、送信サイクルがアクティブであるか受信サイクルがアクティブであるかに応じて、他のユニットおよびモジュール、特にTFTドライバモジュール6、受信器モジュール7、および/またはパルサーモジュール8を制御するように構成される。
【0291】
ステップ51、52は、周期的に行われてよく、すなわち、それらは、例えば所与の間隔で繰り返される、または事前に定められた事象および/もしくは制御信号によってトリガされてよい。
【0292】
1つの実施形態では、システムは、サブアレイ4が動的に定義され、その位置を変えることができるように構成される。
【0293】
本実施形態では、サブアレイ4は、別々のサブアレイ4のトランスデューサアレイ要素3a同士に重なりがないように、すなわち、異なるサブアレイ4間で「共有」されるトランスデューサアレイ要素3aがないように、定義される。
【0294】
別の実施形態では、トランスデューサアレイセット3cは、少なくとも2つのトランスデューサアレイ3を備え、制御ユニット40は、トランスデューサアレイ3を1つの機能ユニットとして制御するように構成される。
【0295】
また、一実施形態では、トランスデューサアレイ3は、行/列に基づくアーキテクチャに従って制御されてよい。
【0296】
さらに、サブアレイサイズは、事前に決定されるか、またはアルゴリズムによって提供もしくは決定されてよく、そのサブアレイサイズのサブアレイ4が、この値に基づいて定義される。そして、トランスデューサアレイ3を、これら個々のサブアレイ4に基づいて動作させる。
【0297】
また、トランスデューサ要素3aは、特にTFTアレイ5を介して、制御ユニット40によって制御される。各サブアレイ4のトランスデューサアレイ要素3aは、アナログ超音波センサ信号を検出し、アナログ信号を生成する。このアナログ信号は、受信器モジュール7に提供される。
【0298】
詳細には、1つのサブアレイ4のトランスデューサアレイ要素3bからのアナログ信号は、システム1の1つの共通する受信器モジュールによって処理される。さらなる実施形態では、例えばデータの獲得および処理を高速化するために、いくつかの異なる受信器モジュール7が設けられてよい。
【0299】
さらに、マイクロビーム形成アーキテクチャが、システム1の制御ユニットの特化ASIC要素および/または別の要素などのハードウェアのビーム形成モジュール43によって実装され得る。
【0300】
また、データは、トランスデューサアレイ3から受信された後にフィルタリングされてよい。これは、アナログ信号および/またはデジタル信号に作用してよい、フィルタモジュール44によって実施されてよい。どのフィルタが適用されるかに応じて、フィルタリング後のデータは、低下した空間的解像度および/または時間的解像度で得られる。
【0301】
別の実施形態では、フィルタは、フィルタ特性を調整することによって構成され得る。よって、フィルタは、有効化および無効化されてよく、データに対するフィルタの影響が調整されてよく、および/またはフィルタ後のデータの解像度が、例えば特定の器官および機能を監視する必要性、撮像目的、またはデバイス固有の性質に合わせて適合されてよい。
【0302】
図6を参照して、超音波システムを動作させる方法の別の実施形態を説明する。以下の説明は、例えば図4を参照して上記で説明された超音波システムの実施形態に基づくが、超音波システム1の他の実施形態も適し得る。
【0303】
方法の第1のステップ61において、超音波システムの測定モードがアクティブになっている。システムは、トランスデューサアレイ3を使用して測定を行うように構成される。
【0304】
詳細には、測定は、制御ユニット40に備えられるシステムクロックによって制御される。このシステムクロックは、超音波パルスの生成および超音波信号の受信、ならびに収集されたデータの処理および分析などの測定ステップが実施される周波数を提供する。
【0305】
ステップ62において、制御ユニット40が、スリープ信号を受信し、続いてシステムのスリープモードを起動する。この実施形態によると、スリープ信号は、システムによって測定が行われなかった、および/またはデータ問合せが受信されなかった、所定の継続時間の後に生成される。別の実施形態では、スリープ信号は、インターフェースモジュール11を介して外部ユニットから受信される。
【0306】
スリープ信号に応答して、スリープオンシーケンスが行われ、このシーケンス中に、制御ユニット40は、後のステップでシステムに電源投入するために必要なモジュールを除く一連のモジュールを停止する。詳細には、ウェイクアップコントローラモジュール、割込コントローラモジュール、および/またはタイマモジュールは、スリープモード中に実行状態のままにされる。
【0307】
スリープモードが起動された状態では、システムクロックは、待機周波数を25~50kHzの値、好ましくは32kHzの値に設定するように構成される。
【0308】
別のステップ63において、ウェイクアップ信号が受信され、制御ユニット40は、システムの測定モードを起動するように構成される。このために、スリープオフシーケンスが行われ、このとき、測定を行ってデータを提供するためのモジュールがその後開始される。詳細には、スリープオフシーケンスは、スリープオンシーケンス中に無効化されたモジュールが再び起動されるように構成されてよい。
【0309】
この実施形態によると、起動される最初のモジュールが位相ロックループ(PLL)を備え、これは、システムクロックに測定周波数信号を提供するように構成される。よって、システムは、スリープオフシーケンスを行った後に高周波数クロックが提供されることになり、好都合である。
【0310】
測定モードが起動された状態では、システムクロックは、測定周波数を約200MHzの値、好ましくは150~250MHzの間に、設定するように構成される。
【0311】
さらなるステップ64において、システム1は、患者の心臓活動を監視するための周期的な測定を行うように構成される。これらの測定は、システムクロックによってタイミングがとられ、システムクロックは、高い周波数値にあり、高周波数の測定を可能にする。
【0312】
1つの実施形態では、共通のシステムクロックを使用して、スリープモードおよび測定モードでそれぞれ低周波数および高周波数を提供する。よって、測定モードが起動されているとき、システムクロックは測定周波数に設定され、スリープモードが起動されているとき、システムクロックはスリープ周波数に設定される。
【0313】
別の実施形態では、低周波数システムクロックおよび高周波数システムクロックが設けられる。ここでは、低周波数システムクロックはスリープ周波数を有し、一方、高周波数システムクロックは、測定モードが起動されると、高い方の測定周波数に設定される。
【0314】
図7を参照して、上記の超音波システム1を動作させるための方法の別の実施形態を説明する。以下の説明は、少なくとも基本的に、例えば図4を参照して上記で説明された超音波システム1の実施形態に基づくが、超音波システム1の他の実施形態も適し得る。
【0315】
方法は、ステップ71~77を含む。
【0316】
この実施形態のシステム1では、ステップ72および73は参照モジュール45によって得られ、ステップ74はアーチファクト判定モジュール48によって得られ、ステップ75は位相判定モジュール49によって得られ、ステップ76はボリューム再構成モジュール46によって得られ、ステップ77は選択監視ユニット47によって得られる。
【0317】
それぞれのモジュール/ユニットは、超音波システム1の制御ユニット40に備えられている。
【0318】
ステップ72、73、74、75、76および/または77は、同期して行われてよい。さらに、ステップ72~77は、下記で述べられるのとは異なる順序で行われ得る。
【0319】
ステップ72~77は、周期的に行われてよく、すなわち、それらは、例えば所与の間隔で繰り返される、または事前に定められた事象および/もしくは制御信号によってトリガされてよい。
【0320】
ステップ71において、超音波を提供するための複数のトランスデューサアレイ要素3aを有するトランスデューサアレイ3が、対象者の身体に配置される。
【0321】
ステップ72において、走査によって参照超音波画像が得られる。
【0322】
ステップ73において、目標器官および/または目標器官の一部が検出される(この実施形態では左心室)。
【0323】
この実施形態では、ステップ72は、解像度の面で異なる2つの異なる走査位相を含む。詳細には、ステップ72は、関心領域全体を検出するのに十分な高速の走査(低解像度走査)から開始することを特徴とする。その後に、この関心領域のより詳細な走査が続き、これはより高い解像度を用いて、例えば特徴、アーチファクトおよび/または監視すべき領域(すなわち、左心室の領域)をより高精度に検出する。一般に、解像度の面で異なる3つ以上の異なる走査位相があってよい。また、解像度のコンスタントな増大も一般に可能であってよい。
【0324】
ステップ72の結果に基づいて、左心室がステップ73で検出される。
【0325】
ステップ74において、トランスデューサアレイ3と対象者の皮膚との間の割れ目および/または気泡などのあり得るアーチファクトが特定される。そのようなアーチファクトによって生じる超音波信号への障害は、サブアレイ4の再構成によって回避されてよい(図4参照)。
【0326】
ステップ75において、心周期位相、特に収縮末期および拡張末期位相、が判定される。
【0327】
ステップ76において、左心室のボリュームが再構成される。
【0328】
この実施形態では、ステップ76は、画像を生成せずに左心室のボリュームを少なくとも部分的に走査することを含む。
【0329】
走査は、集束ビームを用いる超音波によるパルスエコー測定に基づいてよく、そこでは、トランスデューサアレイ3のトランスデューサアレイ要素3aのうちのサブセットをトランスデューサアレイ要素3aの中のサブアレイ4として選択し、トランスデューサアレイ要素3aの個々の要素および/またはセットに異なる位相を適用することにより、超音波ビームがビーム形成される。1回のパルスエコー測定に関係するデータは、左心室のボリュームの2つの境界点の情報を提供し、ボリュームは、点群の異なる点間の補間に基づいて点群から再構成することができる。
【0330】
また、ボリュームは、疎な点群を使用し、以前の測定で収集されたより詳細な参照ボリュームと比較した変形を判定することによって再構成されてもよく、すなわち、疎な測定を使用して時間に伴う参照ボリュームの変形を追跡する。さらに別の方法は、撮像データを直接使用して、参照画像に直接照らして変形を追跡することもできる。
【0331】
ステップ77において、左心室のボリュームが、収縮末期および拡張末期位相でのみ監視される。
【0332】
目標器官(ここでは左心室)は一般に心臓または血管を含んでよく、目標器官の一部は心室または心房を含んでよいことに留意されたい。器官を対象とすることに加えて、例えば、内出血による身体内部の血液のボリュームなど、身体内部の他の体積測定特徴が撮像されてもよい。
【0333】
参照モジュール45、ボリューム再構成モジュール46、および監視ユニット47は、以下のように、また図9および図10に示されるように、機能し、相互作用してよい。
【0334】
詳細には、データ効率的な心臓動き推定のために、組み合わされた疎画像の獲得および追跡があってよい。
【0335】
左心室(LV)の一回拍出量を推定するには、一心周期にわたるLV形状および動きを特定することが必要である。
【0336】
解剖学的構造と機能の両方を十分に表すために、一周期にわたるLVの密な特徴付けが必要とされ、これは通例、心周期の間に数個の時間点にわたって高解像度の3次元データを獲得することを必要とする。
【0337】
この高いデータ獲得スループットは、普通、データ帯域幅が限られているだけでなく電力消費要件がかなり制約されている携帯型/着用型システムとは両立しない。
【0338】
図9に示され、図10にさらに詳細に示される方法は、3つの主要なブロック部S1a、S2a、およびS3aを含む。
【0339】
第1のブロックS1aは、参照フレーム(密な3D画像)内でのLV形状推定を行うものである。
【0340】
これは、初回の高解像度走査であり、例えば拡張末期に取られ、そこから既存のセグメンテーションアルゴリズムを使用してLV表面を自動的に範囲特定する。(Barbosaら参照)。
【0341】
参照フレームにおける患者LV形状が得られる。
【0342】
第2のブロックS2aは、2D画像獲得のための疎なスライスの定義である。
【0343】
これは、患者固有の解剖学的構造に基づく、追跡するサブスライスの自動的な選択であり、ここでは、心周期全体にわたる画像データが獲得され、すなわち、動き推定のための時間に伴う2D画像シーケンス(2D+tの画像のシーケンス)が獲得される。
【0344】
第3のブロックS3aは、各スライスで推定された2Dの動きを3Dアフィン動きモデルに統合する3D変形の推定である。
【0345】
画像獲得を最適化するために、次いで、2つの後続フレームの間でその変形が推定された更新後のLV表面が、サブスライス選択ブロックにフィードバックされ、これにより、LVの動きを追跡するために獲得する必要のあるデータを最小にすることが可能となる。
【0346】
詳細には、左心室表面近くの領域をカバーする複数の2Dスライスを通じて、3D空間内の疎なサンプリングを定義することが好都合であり、動きは、オプティカルフローアルゴリズムを介して推定される。この情報を次いで、心周期全体にわたる左心室の変形を推定するために、左心室に関連する3D座標系に投影する。特に好都合であるのは、密な3Dデータから3D変形を直接推定する場合と比べて限られた性能の損失で、推定された2D動き情報を3D変形に効率的に投影することを可能にする数学的形式主義の使用である。
【0347】
このアルゴリズムは、次のように記述することができる:LV表面の現在の推定のために、いくつかの2Dスライスが、超音波走査線が発射されるLVの周方向に対して垂直に定義される。データが獲得されたら、スライスの各々における2D画像勾配が計算され、周方向の(すなわち、スライス面外)次元に沿った画像の不変性を仮定することによって3Dに投影される。次いで、LVの解剖学的座標を使用して、アフィンオプティカルフロー式を介してこの情報を単一の3D変形行列に組み合わせる。
【0348】
代替的におよび/または追加的に、参照モジュール45、ボリューム再構成モジュール46、および監視ユニット47は、以下のように、また図11に示されるように機能してよい。
【0349】
詳細には、データ効率的な心臓動き推定のために、超疎な画像獲得と追跡があってよい。
【0350】
左心室(LV)の一回拍出量を推定するには、一心周期にわたるLV形状および動きを特定することが必要となる。解剖学的構造と機能の両方を完全に表すために、一周期にわたるLVの密な特徴付けが必要とされ、これは通例、心周期の間に数個の時間点にわたって高解像度の3次元データを獲得することを必要とする。
【0351】
この高いデータ獲得スループットは、普通、データ帯域幅が限られているだけでなく電力消費要件がかなり制約されている携帯型/着用型システムとは両立しない。複数の機能指標を推定するために拡張末期および収縮末期両方のLV形状だけが必要であることを考えると、ストリーミングされるデータを減らすための可能な手法は、心周期中のこの2つの時間点にだけ患者を走査することである。
【0352】
図11に示される方法は、4つの主要なブロック部S1b、S2b、S3b、およびS4dを含む。
【0353】
第1のブロックS1bは、参照フレーム(密な3D画像)内でのLV形状推定を行うものである。
【0354】
ここでは、初回の高解像度走査が拡張末期に取られ、そこから既存のセグメンテーションアルゴリズムを使用してLV表面を自動的に範囲特定する。(Barbosaら参照)。
【0355】
第2のブロックS2bは、EDフレームに対する少数のプレーンの相関付けを介した、収縮末期の時間的なトリガである。
【0356】
ここでは、少数の撮像スライス/プレーンを使用して、拡張末期のフレームに対する現在のフレームの類似度を計算する。最小の類似度が収縮末期のフレームに対応することになる。
【0357】
第3のブロックS3bは、収縮末期における2D画像獲得のための疎なスライスの定義である。
【0358】
ここでは、患者固有の解剖学的構造に基づく、変形推定のためのサブスライスの自動的な選択が行われ、画像データは収縮末期にのみ獲得される。
【0359】
第4のブロックS4bは、オプティカルフローによる3Dグローバル変形および精緻化である。
【0360】
このブロックでは、生理学的な事前変形が適用され、次いで、例えばブロックS1a~S3aの方法との関連で解説されたように、オプティカルフローに基づく3Dアフィン動きモデルを用いてそれが精緻化される。
【0361】
この方法の概念の背後にある基本的な有利な態様は、必要とされる心臓機能指標の推定(例えば一回拍出量)に関するデータ獲得レートを最小にするために、空間的な疎性要素と時間的な疎性要素の両方を組み合わせることである。
【0362】
アルゴリズムは、次のように記述することができる。
【0363】
LV表面の現在の推定のために、少数の2Dスライス(通例は1つまたは2つで十分である)が、超音波走査線が発射されるLVの周方向に対して垂直に定義される。
【0364】
拡張末期のフレームに対する、時間に伴うそれらスライスの各々の相関が取られ、最小のものが、最も見込みの高い収縮末期フレームとして選択され、そこでより多くの数の2Dスライスが取られる。
【0365】
データが獲得されたら、スライスの各々における2D画像勾配が計算され、周方向の(すなわち、スライス面外)次元に沿った画像の不変性を仮定することによって3Dに投影される。
【0366】
次いで、LVの解剖学的座標を使用して、アフィンオプティカルフロー式を介してこの情報を単一の3D変形行列に組み合わせる。
【0367】
収束問題を回避するために、LV表面を実際の変形により近づけて初期化するため、オプティカルフローの使用の前にLVのグローバルな事前変形が適用される。
【0368】
代替的におよび/または追加的に、位相判定モジュール49は、以下のように、また図12および図13に示されるように機能してよい。
【0369】
詳細には、心臓シーケンスにおける主要時間フレームの、無参照の自動的特定が行われてよい。
【0370】
従来の診断超音波システムは、補助信号(例えばECG)を利用して、時間に伴うデータ獲得をトリガするが、そのような信号は、システム複雑性が種々の獲得データの量と共に急速に増減する着用型デバイスでは利用できないこともある。さらに、そのようなトリガがないと、連続したデータ獲得は、複数の心周期からの画像をストリーミングすることになる。これは、さらなる分析の前に、各心拍中の該当する機能指標(例えば一回拍出量)を推定するためにシーケンスを個々の周期に区分する必要があることを示唆する。
【0371】
方法は、図12および図13に示されるように、3つの主要なブロック部S1c、S2c、およびS3cを含む。
【0372】
第1のブロックS1cは、一つの画像シーケンスのすべてのフレーム間のペアワイズ相関の推定である。
【0373】
画像のシーケンスがある期間にわたって獲得された後、個々のフレーム間の相関をシーケンス中のすべての可能な画像ペアについて算出して、行列MAを生成する(図13参照)。言い換えると、ペアワイズ相関行列が得られる。
【0374】
第2のブロックS2cは、対角線特定による心周期の分離である。行列MA内の強い対角線の特定により、個々の心周期の数が推定される。
【0375】
詳細には、相関行列の中の個々の心拍が特定される。
【0376】
第3のブロックS3cは、拡張末期/収縮末期(ED/ES)を特定するための極小値の推定である。各周期中に、最小の相関が取られ、これは、拡張末期フレームと収縮末期フレームを同時に表す、最も見込みの高い画像ペアに対応する。
【0377】
拡張末期/収縮末期(ED/ES)画像がその結果である。
【0378】
収縮末期フレームの特定のために過去にはフレーム間相関が提案されているが、それは常に、拡張末期の瞬間に対応する参照フレームが存在することに依拠し、それは、現在、従来の超音波システムでは補助ECG信号に基づくQRSの特定から定義されるのが通例である。我々の提案する方法は、そのような参照の必要性をなくし、個々の心周期への画像シーケンスの完全に自動的なパーティショニングを可能にすると共に、拡張末期/収縮末期の画像ペアに対応する最も見込みの高いフレームを特定する。
【0379】
このアルゴリズムは、次のようにして実現され得る:画像のシーケンスがある期間にわたって獲得されたら、個々のフレーム間の相関をシーケンス中のすべての可能な画像ペア(i,j)について算出する。この結果、(i,j)番目の要素がシーケンス中のi番目の画像とj番目の画像との相関である、2D行列Mが得られる。対角線を検出することにより、心臓の動きの周期性を利用して個々の心拍を分離することができる。この後、個々の心周期について最小の相関が取られ、これは、その不一致が最大である、拡張末期フレームと収縮末期フレームを同時に表す、最も見込みの高い画像ペアに対応する。必要であれば、異なる周期からの拡張末期/収縮末期フレーム間のペアを、各心周期の外側にある極小値として推定することも可能である(例えばゲート画像再構成のために)。
【符号の説明】
【0380】
1 超音波システム
2 粘着パッチ
3 トランスデューサアレイ;pMUTアレイ
3a トランスデューサアレイ要素;pMUT要素;トランスデューサアレイユニット
3b サブ要素;pMUTサブ要素
3c トランスデューサアレイセット
4 サブアレイ
5 薄膜トランジスタ(TFT)アレイ
6 TFTドライバモジュール
7 アナログ-デジタル変換器(ADC)
8 パルサーモジュール
9 デジタル特定用途集積回路(ASIC)
10 アナログフロントエンド
11 インターフェースモジュール
11a インターフェース制御モジュールASIC
12 外部ユニット;バックエンドユニット
13 メモリモジュール(RAM)
14 電力管理モジュール
20 システム
21 トランスデューサアレイ
22 アナログ信号
23 スイッチドライバユニット
24 受信器ユニット
25 パルサーユニット
26 信号処理;制御ユニット
27 制御モジュール
30 マイクロビーム形成器
31 アナログ出力チャネル
32 遅延ユニット
33 加算ユニット
34 アナログ-デジタル変換器(ADC)
35 デジタル出力チャネル
40 制御ユニット
41 データ処理ユニット
42 複雑性低減モジュール
43 変形補正モジュール
44 補正モジュール
45 参照モジュール
46 ボリューム再構成モジュール
47 選択監視ユニット
48 アーチファクト判定モジュール
49 位相判定モジュール
51 ステップ
52 ステップ
61 ステップ
62 ステップ
63 ステップ
64 ステップ
71 ステップ
72 ステップ
73 ステップ
74 ステップ
75 ステップ
76 ステップ
77 ステップ
81 ステップ
82 ステップ
83 ステップ
84 ステップ
201 システム
202 パッチケース
203 トランスデューサアレイ
205 TFTアレイ
206 ビーム形成器モジュール
209 制御装置
210 可撓性PCB
211 USBコネクタ
211a USBトランシーバ
212 PC
213 RAMモジュール
214 電力管理IC
301 システム
302 可撓性パッケージ;パッチケース
303a センサユニット
306 ASIC(AFE)要素
309 制御装置
310 可撓性PCB
311 ワイヤレストランシーバ
313 メモリモジュール
314 バッテリゲージ
314a ワイヤレス/有線チャージャ
315 パワーIC
401 システム
403 センサ
404 相互接続部
406 周囲部
406a IC
410 可撓性PCB
414 可撓性バッテリ
420 音響マッチングおよび接着剤層
N 行の数
M 列の数
MA 行列
S1a (機能)ブロック
S2a (機能)ブロック
S3a (機能)ブロック
S1b (機能)ブロック
S2b (機能)ブロック
S3b (機能)ブロック
S4b (機能)ブロック
S1c (機能)ブロック
S2c (機能)ブロック
S3c (機能)ブロック
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】