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特表2024-512479ブレーキキャリパにおける制動力および/またはトルクを検出するための装置および方法
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  • 特表-ブレーキキャリパにおける制動力および/またはトルクを検出するための装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパにおける制動力および/またはトルクを検出するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/28 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G01L5/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557077
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 IB2022052363
(87)【国際公開番号】W WO2022195496
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】102021000006203
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】メルディーニ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ミラネージ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】バラーレ,ピエトロ
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB03
2F051AB04
2F051AB09
(57)【要約】
ブレーキキャリパ100の検出部Zに作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するための検出装置1について説明する。この装置1は、固定手段およびクランプ手段5によって、前記ブレーキキャリパ検出部Zと対応するハブホルダ101との間に取り付けられるように適合されている。この検出装置1は、装着され、力が作用していない状態では、主に基準面Pに沿って延びるワッシャまたはプレートの形状をしている。装置1は、第1の機能要素11、第2の機能要素12、位置決め要素10、および検出要素13を有する。第1の機能要素11は、装置1が取り付けられたときにブレーキキャリパ検出部Zと密接に接触するように配置され、ブレーキキャリパ検出部Zに作用する制動力を代表する力を摩擦によって維持するように適合される。第2の機能要素12は、装置1が取り付けられたときにハブホルダ101と密接に接触するように配置されるように適合される。位置決め要素10は、装置1が装着されたときに、第1の機能要素11に接続され、クランプ固定手段5に接続されるように適合されており、装着された装置がハブホルダ101とブレーキキャリパ検出部Zとの間の作業位置に配置されることを確実にし、同時に、第1の機能要素11と第2の機能要素12とが、クランプ固定手段5による支障なしに、相互に相対的に摺動可能に接続されることを可能にする。第1の機能要素11は、第2の機能要素12に対して、制動時にブレーキキャリパ検出部との摩擦によって第1の機能要素が力を受けると、第2の機能要素に対して相対的に摺動するように配置されており、その結果、第1の機能要素11によって受けられる前述の力に依存し、キャリパ検出部Zに作用する制動力を代表する力を、それに加えられる力の関数として変形するように適合された第2の機能要素12の変形可能部分120に伝達するようになっている。検出要素13は、第2の機能要素12の前記変形可能部分に収容され、第1の機能要素11によって変形可能部分に伝達された力、または前記力に相関する量を検出し、検出要素13によって検出された力(または前記力に関連する量)に依存し、ブレーキキャリパの検出部Zに作用する制動力を代表する少なくとも1つの電気信号Vを生成するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキキャリパ(100)のブレーキキャリパ検出部(Z)に作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するための検出装置(1)であって、固定手段およびクランプ手段(5)によって、前記ブレーキキャリパ検出部(Z)と対応するハブホルダ(101)との間に取り付けられるように構成された、検出装置(1)であって、
前記検出装置(1)は、取り付けられた状態で、かつ力が作用していない状態では、基準面(P)に沿って延びるワッシャまたはプレートの形状をしており、
前記検出装置(1)は、
前記検出装置(1)が取り付けられたときに、ブレーキキャリパ検出部(Z)に密着して、摩擦によって前記ブレーキキャリパ検出部(Z)に作用する制動力を代表する力を受けるように構成された第1の機能要素(11)と、
前記検出装置(1)が装着されたときに前記ハブホルダ(101)に密着するように構成された第2の機能要素(12)と、
前記第1の機能要素(11)に接続され、前記検出装置(1)が装着されたときに前記クランプ手段(5)に接続されるように構成され、前記装着された装置が前記ハブホルダ(101)と前記ブレーキキャリパ検出部(Z)との間の作業位置に配置されるようにする、位置決め要素(10)とを備え、
前記第1の機能要素(11)は、前記第2の機能要素(12)に対して、前記第2の機能要素(12)と摺動接触し、ブレーキ時にブレーキキャリパ検出部との摩擦によって前記第1の機能要素が力を受けると、前記第2の機能要素(12)に対して摺動し、その結果、前記第1の機能要素(11)が受ける前記力に依存し、キャリパ検出部(Z)に作用する制動力を代表する力を、前記第1の機能要素(11)の摺動を停止させる前記第2の機能要素(12)の表面に伝達するように配置されており、
前記第1の機能要素(11)は、前記第1の機能要素(11)に加えられる力に応じて変形するように構成された変形可能な部分(120)を備えており、
前記検出装置(1)はさらに、検出要素(13)を有し、
前記検出要素(13)は、前記第2の機能要素(12)の前記変形可能な部分に収容され、前記第1の機能要素(11)によって前記変形可能な部分(120)に伝達された力、または前記力に関連する量を検出し、前記検出要素(13)によって検出された力、または前記力に関連する量に依存して、キャリパ検出部(Z)に作用する制動力を代表する少なくとも1つの電気信号(V)を生成するように構成されている、検出装置(1)。
【請求項2】
前記位置決め要素(10)は、高い変形可能性と低い弾性係数とを特徴とするセンタリング要素であり、
前記第1の機能要素(11)によって支持される力が実質的に完全に前記第2の機能要素(12)の前記変形可能な部分に伝達されるように、前記第1の機能要素(11)によって支持される力の固定手段および/またはクランプ手段(5)への伝達を最小化または著しく低減するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記第1の機能要素(11)は、前記基準面(P)に対して平行で、前記ブレーキキャリパ検出部(Z)に密着して配置され、摩擦により、記ブレーキキャリパ検出部(Z)に作用する制動力を代表する力を受けるように適合された、実質的に平坦な第1の機能要素第1の面と、第1の機能要素第1の面とは反対側で、前記基準面(P)に対して傾斜または垂直の少なくとも1つの部分を有する第1の機能要素第2の面とを有する、半ワッシャ形状の要素であり、
前記第2の機能要素(12)は、前記ハブホルダ(101)に密着して配置されるように適合された、前記基準面(P)に平行な平坦な第2の機能要素第1の面と、前記第2の機能要素第1の面とは反対側にあって、前記基準面(P)に対して傾斜または垂直の少なくとも1つの部分を有する第2の機能要素第2の面であって、前記第1の機能要素第2の面の傾斜部分の傾斜と相補的な傾斜を有する第2の機能要素第2の面とを有する、ハーフワッシャ形状の要素であり、
前記第1の機能要素(11)および前記第2の機能要素(12)は、前記検出装置(1)が取り付けられたとき、前記検出装置(1)に作用する力がない場合には、前記基準面(P)に平行な前記第1の機能要素第2の面の部分が、前記基準面(P)に平行な前記第2の機能要素第2の面の部分と接触するように配置され、前記検出装置(1)に作用する力の存在下で、制動による摩擦によって、前記第1の機能要素の第2面の傾斜部分も前記第2の機能要素の第2面の傾斜部分と接触し、前記第1機能要素によって支持される力から派生する力を伝達し、
前記第2の機能要素の前記第2面の前記傾斜部分は、前記検出要素が収容される前記変形可能な部分を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項4】
前記ブレーキキャリパ検出部(Z)および前記ハブホルダ(101)とそれぞれ接触するように意図された、前記第1の機能要素第1の面および前記第2の機能要素第1の面が、摩擦を最大化し、滑りを防止するために、ローレット加工または機械加工されている、請求項3に記載の検出装置(1)。
【請求項5】
前記第1の機能要素(11)は、前記位置決め要素(10)のためのハウジングを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の検出装置(1)。
【請求項6】
前記第1の機能要素と前記第2の機能要素とを接続するように構成された変形可能な接続要素をさらに備え、
前記変形可能な接続要素が、前記検出要素が収容される前記変形可能な部分を構成する、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項7】
前記第1の機能要素と前記第2の機能要素とを接続するように構成された、変形可能な接続要素をさらに備え、
前記変形可能な接続要素は、
前記第1の機能要素(11)または前記第2の機能要素(12)のいずれか一方に構成されるか、両方の一部に構成されるか、または
前記第1の機能要素(11)および前記第2の機能要素(12)の両方の外側にある第3の要素である、請求項1から2のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項8】
前記第1の機能要素(11)、前記第2の機能要素(12)および前記変形可能な接続要素は、単一の要素に統合されていることを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載検出装置(1)。
【請求項9】
前記変形可能な部分または前記変形可能な接続要素は、ブリッジまたは薄い箔の形状である、請求項1-8のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項10】
前記変形可能な部分は、高度に変形可能なブリッジまたは薄い箔として形成され、前記第2の機能要素(12)の高度に偏った領域に配置される、請求項1-9のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項11】
前記第1の機能要素(11)、前記第2の機能要素(12)が鋼製である、請求項1-10のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項12】
前記第1の機能要素(11)および前記第2の機能要素(12)は、チタンまたはアルミニウム、または設計段階で提供された最大荷重に適合する他の材料で作られていることを特徴とする請求項1-10のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項13】
前記位置決め要素(10)がEPDM製である、請求項1-12のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項14】
前記位置決め要素(10)が、ゴムまたはピークまたはグラファイトまたは低弾性率を有する高度に変形可能な要素で作られている、請求項1-13のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項15】
前記検出要素(13)が、検出された変形またはひずみを代表する信号を提供するように適合された変形またはひずみセンサであり、前記検出された変形またはひずみが、前記センサに作用する力を代表する、請求項1-14のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項16】
前記検出要素(13)が、機械式、光学式、音響式、電気式力センサ、またはひずみセンサのいずれかである、請求項1-15のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項17】
前記検出要素(13)が、光ファイバセンサ、MEMSセンサ、ピエゾ抵抗センサ、またはシリコン上の共振器センサである、請求項16に記載の検出装置(1)。
【請求項18】
前記第1の機能要素の前記第2面および前記第2の機能要素の前記第2面の傾斜面を生成するx軸およびy軸が、設計段階において、制動の結果として発生すると予想される力の方向に対して実質的に直交する方向として定義された方向に向けられている、請求項1-17のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項19】
前記第1の機能要素(11)と前記第2の機能要素(12)との間の摺動を促進するために互いに接触して配置されることが意図された、前記第1の機能要素の前記第2面および前記第2の機能要素の前記第2面の少なくとも一方が、摩擦を低減して摺動を促進するために、DLC、テフロンなどの摩擦防止コーティングで被覆されている、請求項1-18のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項20】
前記検出要素(13)が、前記第1の機能要素(11)の前記変形可能な部分を有する、請求項1-19のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項21】
前記第1の機能要素(11)と前記第2の機能要素の両方が、それぞれの前記検出要素(13)が挿入されるそれぞれの前記変形可能な部分を有することを特徴とする請求項20に記載の検出装置(1)。
【請求項22】
前記第1の機能要素(11)および/または前記第2の機能要素(12)が、それぞれの複数の前記検出要素(13)が挿入される複数の変形可能な部分から構成され、作用力の推定を向上させることおよび/または異なる駆動条件下で力を検出することを可能にする複数のそれぞれの力検出部を有する、請求項1-21のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項23】
検出された力の測定および制動トルクの推定を改善するために適合された温度補償を実行するために有用な温度情報を提供するように構成された、少なくとも1つの温度センサをさらに備える、請求項1-22のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項24】
ブレーキキャリパ(100)のブレーキキャリパ検出部(Z)に作用し、制動時に前記ブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するためのシステムであって、請求項1~23のいずれか1項に記載の検出装置(1)を備え、
前記検出装置(1)の少なくとも1つの検出要素(13)によって提供される少なくとも1つの電気信号(V)に基づいて、前記制動力および/または前記トルクを決定するように構成された電子処理手段をさらに備える、システム。
【請求項25】
ブレーキキャリパ(100)の検出部(Z)に作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出する方法であって、
支持固定手段(5)によって、少なくとも1つの検出装置(1)を、前記ブレーキキャリパ(100)におけるそれぞれの前記検出部(Z)に確実に固定するステップであって、前記少なくとも1つの検出装置(1)は、前記請求項1から23のいずれか1項に記載の検出装置である、ステップと、
前記検出装置(1)に備えられた検出要素(13)によって、前記検出装置(1)が配置された検出部(Z)に作用する力または力に相関する量を検出するステップと、
前記検出装置(1)内に構成された検出要素(13)によって、前記検出要素(13)によって検出された力または力に関連する量に依存し、前記検出部(Z)に作用する制動力を代表する少なくとも1つの電気信号(V)を生成するステップと、
前記少なくとも1つの電気信号(V)を電子処理手段に供給するステップと、
電子データ処理手段によって、前記少なくとも1つの電気信号(V)に基づいて、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを決定するステップを含む、方法。
【請求項26】
制動力推定機能を備えたブレーキキャリパシステムであって、
ブレーキキャリパ本体と、ハブホルダ(101)へのそれぞれの取り付け部にある少なくとも1つの検出ゾーン(Z)とを有するブレーキキャリパ(100)と、
前記ブレーキキャリパ検出部(Z)と対応する前記ハブホルダ(101)との間に、固定クランプ手段(5)によって取り付けて固定された少なくとも1つの検出装置(1)とを有し、
前記少なくとも1つの検出装置(1)が、請求項1から23のいずれか一項に記載の検出装置である、ブレーキキャリパシステム。
【請求項27】
前記ブレーキキャリパと前記ハブホルダとの間の2つのそれぞれの取り付け箇所に、少なくとも2つの検出装置(1)を備えることを特徴とする請求項26に記載のブレーキキャリパシステム。
【請求項28】
前記検出装置(1)に構成された少なくとも1つのそれぞれの検出要素(13)によって生成された少なくとも1つのそれぞれの電気信号(V)を受信するために、少なくとも1つの検出装置(1)に作動可能に接続された電子処理手段をさらに備え、
前記電子処理手段が、前記少なくとも1つの電気信号(V)に基づいて、制動時に前記ブレーキキャリパに作用する制動トルクを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項26または27のいずれか1項に記載のブレーキキャリパシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
【0002】
本発明の対象は、電気信号または電子信号を供給することができるセンサに基づく力検出装置、および関連する方法である。
【0003】
より具体的には、本発明は、ブレーキの検出部に作用する力を検出し、この情報に基づいて、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを推定するための装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景技術
【0005】
ブレーキシステム、例えば電子制御ディスクブレーキシステムを制御、監視および作動させるためには、ブレーキ動作中にブレーキシステムのブレーキキャリパによって加えられる制動力またはトルク値を、リアルタイムで、できるだけ正確に知ることが非常に有用である。
【0006】
しかし、制動力および/またはトルクを直接、正確かつ確実に測定することは困難であり、したがって、そのような値は、一般に、間接的に推定および/または計算されるが、そのような推定または計算では、必要な精度要件を十分に満たせないという欠点がある。
【0007】
この点に関して、先行技術には、制動トルクおよび/または力を、間接的ではあるが、制動トルクおよび/または力に密接に関連する量、例えばブレーキキャリパの異なる点に作用する力を参照する測定値に基づいて決定する傾向がある。
【0008】
キャリパとハブホルダの間には、様々なタイプのセンサが介在しており、例えば、ひずみ計、MEMSセンサの光ファイバなど、様々な検出要素技術を利用している。
【0009】
これらのセンサは一般に、キャリパとセンサの界面で発生する摩擦現象によって、制動時にブレーキキャリパの様々な箇所に作用する力を受け、変形し、センシングエレメントを通してその変形を測定する部品である。その後、変形はひずみに変換され、これによって制動力とトルクを(取得した信号の処理中に数学的法則に基づいて)決定することができる。
【0010】
しかし、非常に変形しやすく、したがって作用する力に敏感で、同時に構造的に健全で、ブレーキシステムの高い応力に耐えることができる部品を作るのは非常に複雑である。
【0011】
いくつかの既知の解決策では、センサは構造的に適切であっても、感度があまり高くない場合がある(特に、変形が制限される低制動トルクの場合)。他の既知の解決策では、センサは感度が高いが壊れやすい。
【0012】
以上のことから、ブレーキキャリパに作用する力を検出し、上記の欠点を克服した制動トルクを推定する装置および方法が強く求められている。
【0013】
特に、広い範囲の制動トルクにわたって正確であり、しかも製造が容易で安価なロバストセンサを製造することによって、上記の問題を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0014】
解決手段
【0015】
本発明の目的は、ブレーキキャリパの検出部に作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するための検出装置であって、従来技術を参照して上述した欠点を少なくとも部分的に解決し、考慮される技術分野において特に感じられる前述のニーズに応えることができる検出装置を提供することにある。
【0016】
これら及び他の目的は、請求項1に記載の検出装置によって達成される。
【0017】
そのような装置のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項2-23の主題である。
【0018】
本発明のさらなる目的は、前述の装置を採用して、ブレーキキャリパの検出部に作用する力を検出するシステムを提供することである。
【0019】
これらおよび他の目的は、請求項24に記載の検出システムによって達成される。
【0020】
本発明のさらなる目的は、ブレーキキャリパの検出部に作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出する方法を提供することである。
【0021】
これらおよび他の目的は、請求項25に記載の方法によって達成される。
【0022】
本発明のさらなる目的は、上記装置を採用した、制動力推定機能を有するブレーキキャリパシステムを提供することである。
【0023】
この目的および他の目的は、請求項26による制動力および/またはトルクを決定するシステムによって達成される。
【0024】
前記ブレーキキャリパシステムのいくつかの有利な実施形態は、従属請求項27-28の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
【0026】
本発明による装置、方法、およびシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
図1図1は、本発明で構成される実施形態による検出装置の透視図である。
図2図2は、図1の装置の分解透視図および多数の直交図を示す。
図3図3(3および3A)は、図1の装置の分解透視図および多数の直交図を示す。
図4図4は、本発明で構成される実施形態による検出装置のいくつかの側面図である。
図5図5は、本発明によるブレーキキャリパシステムのそれぞれの実施形態を示し、ブレーキキャリパにおける検出装置の取り付けを示している。
図6図6は、本発明によるブレーキキャリパシステムのそれぞれの実施形態を示し、ブレーキキャリパにおける検出装置の取り付けを示している。
図7図7は、本発明によるブレーキキャリパシステムのそれぞれの実施形態を示し、ブレーキキャリパにおける検出装置の取り付けを示している。
図8A図8Aは、図7も参照するシステムの実施形態のさらなる詳細および幾何学的側面を示す。
図8B図8Bは、図7も参照するシステムの実施形態のさらなる詳細および幾何学的側面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
【0028】
ブレーキキャリパ100の検出部Zに作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するための検出装置1について、図1-7および図8A-8Bを参照して説明する。
【0029】
装置1は、固定およびクランプ手段5によって、前記ブレーキキャリパ検出部Zと対応するハブホルダ(すなわち、ハブキャリア)101との間に取り付けられるように構成されている。
【0030】
検出装置1は、装着されたとき、及びそれに作用する力がない状態では、主に基準面Pに沿って延びるワッシャ又はプレート(例えば、円盤状、多角形、又は他の形状)のような形状である。
【0031】
装置1は、第1の機能要素11と、第2の機能要素12と、位置決め要素10と、検出要素13とを備える。
【0032】
第1の機能要素11は、装置1が取り付けられたときに、ブレーキキャリパ検出部Zに密着して配置され、摩擦により、前記ブレーキキャリパ検出部Zに作用する制動力を代表する力を受ける(すなわち、持続する)ように構成されている。
【0033】
第2の機能要素12は、装置1が取り付けられたときにハブホルダ101に密着するように構成されている。
【0034】
位置決め要素10は、装置1が装着されたときに、第1の機能要素11に接続され、クランプ固定手段5に接続されるように構成され、装着された装置がハブホルダ101とブレーキキャリパ検出部Zとの間の作業位置に配置されるようにする。
【0035】
第1の機能要素11は、第2の機能要素12に対して、第2の機能要素12と摺動接触するように配置され、制動時に第1の機能要素がブレーキキャリパ検出部との摩擦によって力を受けると、第2の機能要素12に対して相対的に摺動するように配置される(固定手段およびクランプ手段5によって妨げられることなく)、 その結果、第1の機能要素11が受ける前記力に依存し、キャリパ検出部Zに作用する制動力を代表する力を、第1の機能要素11の摺動を停止させ、それに加えられる力に応じて変形するように適合された変形可能部分120からなる第2の機能要素12の表面に伝達するようにする。
【0036】
検出要素13は、第2の機能要素12の前記変形可能部分120に収容され、変形可能部分上で第1の機能要素11によってその上に伝達された力、または前記力に関連する量(例えば、歪みおよび/または変形)を検出し、検出要素13によって検出された力(または前記力に関連する量)に依存し、ブレーキキャリパZの検出部分に作用する制動力を代表する少なくとも1つの電気信号Vを生成するように構成されている。
【0037】
実施形態によれば、位置決め要素10は、第1の機能要素11に形成された溝に挿入される。装置が取り付けられると、位置決め要素10によって、第1の機能要素11が固定手段およびセンタリング手段から適切な距離を保つことができる。この適切な距離により、第1の機能要素11に力が作用したとき、機能要素12上の摺動は固定およびセンタリング要素によって妨げられない。
【0038】
本装置の一実施形態によれば、位置決め要素10は、高い変形性および低い弾性係数を特徴とするセンタリング要素であり、第1の機能要素11が受ける力および/または荷重が第2の機能要素12の変形可能な部分にほぼ完全に伝達されるように、第1の機能要素11が受ける力の固定手段および/またはクランプ手段5への伝達を実質的に相殺または最小化または著しく低減するように構成されている。
【0039】
本装置の一実施形態によれば、第1の機能要素11は、第1の機能要素第1の面および第1の機能要素第2の面を有する半ワッシャ形状の要素であり、第2の機能要素12は、第2の機能要素第1の面および第2の機能要素第2の面を有する半ワッシャ形状の要素である。
【0040】
第1の機能要素第1の面は、実質的に平坦であり、基準面Pに平行であり、ブレーキキャリパの検出部Zに密着して配置され、検出部Zに作用する制動力を代表する力を摩擦によって受けるように構成されている。
【0041】
第1要素第2面は、第1要素第1面の反対側にあり、基準面(P)に対して少なくとも1つの傾斜部分または垂直部分を有する。いくつかの可能な実施形態において、前述の傾斜は90°未満の値または90°の値(垂直の場合)を想定する。
【0042】
平坦な第2要素第1面は基準面Pに平行であり、ハブホルダ101に密着して配置されるように構成されている。
【0043】
第2要素第2面は、第2要素第1面の反対側にあり、基準面Pに対して少なくとも1つの傾斜部分又は垂直部分を有する。この場合も、いくつかの実施可能な選択肢において、前述の傾斜は、90°未満の値又は90°の値(垂直の場合)を想定する。
【0044】
いずれにしても、第2の機能要素第2の面の傾斜は、第1の機能要素第2の面の傾斜部分の傾斜と相補的な傾斜を有する。
【0045】
前記第1の機能要素11および前記第2の機能要素12は、前記装置1が取り付けられたとき、前記装置1に作用する力がない場合には、前記基準面Pに平行な前記第1の機能要素第2の面の部分が、前記基準面Pに平行な前記第2の機能要素第2の面の部分と接触し、 装置1に作用する力が存在する場合には、制動による摩擦によって、第1要素第2面の傾斜部分も第2要素第2面の傾斜部分と接触し、その結果、第1機能要素によって支持される力から派生する力が伝達されるように、配置される。
【0046】
実施態様によれば、第2要素第2面の傾斜部分は、前記検出要素が収容される前記変形可能部分を構成する。
【0047】
前記傾斜面は、純粋に一方向の力を2つの成分に分解するために使用され、測定ゾーンの変形を増大させる。
【0048】
公差を差し引いた実施形態によれば、前述の表面は、表面上の均質な荷重分布を確実にするために同じ傾斜を有する。実際、力が限られた部分にしかかからない場合、装置の機械的強度が損なわれる可能性がある。
【0049】
第1要素第2面の傾斜部分と第2要素第2面の傾斜部分の傾斜は、機械的強度を確保することと、検出要素が配置されるゾーンにおける歪み及び/又は変形の検出可能な状態を確保することとの間の妥協点である。
【0050】
実施態様の選択肢によれば、ブレーキキャリパ検出部Zおよびハブホルダ101にそれぞれ接触して配置されるように意図された第1要素第1面および第2要素第1面は、摩擦を安定化させ最大にし、滑りを防止するように、ローレット加工または機械加工される。
【0051】
実施態様の選択肢によれば、第1の機能要素11は、位置決め要素10のためのハウジングを構成する。
【0052】
実施態様によれば、装置1は、第1の機能要素11と第2の機能要素12とを接続するように構成された変形可能な接続要素をさらに備える。この場合、前記変形可能な接続要素は、検出要素が収容される前記変形可能な部分を構成する。
【0053】
異なる可能な実施態様によれば、前記変形可能な接続要素は、第1の機能要素11内又は第2の機能要素12内のいずれかで構成されるか、又は第1の機能要素11及び第2の機能要素12の両方から外れた第3の要素である。
【0054】
さらなる可能な実施態様によれば、第1の機能要素11、第2の機能要素12、および変形可能な接続要素は、単一の要素に統合される。このような場合、前述の変形可能な接続要素は、両方の機能要素11および12の一部と見なすことができる。
【0055】
実施態様の選択肢によれば、前述の変形可能な接続要素は、ブリッジまたは薄い箔の形態である。
【0056】
本装置の実施態様によれば、前述の変形可能な部分は、高度に変形可能なブリッジまたは薄い箔の形状であり、第2の機能要素12の前述の高度に偏ったゾーンに配置される。
【0057】
本装置の一実施形態によれば、位置決め要素10は、環状形状の要素であり、機能要素11に設けられたハウジング内に配置されるように構成されている。
【0058】
実施態様によれば、前述の第1の機能要素11及び第2の機能要素12は鋼製である。
【0059】
別の実施態様によれば、第1の機能要素11及び第2の機能要素12は、チタン又はアルミニウム、又は装置設計中に提供される最大荷重に適合する他の材料で作られている。
【0060】
実施態様によれば、位置決め要素10はEPDM製である。
【0061】
別の実施態様によれば、位置決め要素10は、ゴム又はピーク又はグラファイト又は低い弾性係数を有する任意の高度に変形可能な要素で作られている。
【0062】
本装置の一実施形態によれば、検出要素13は、検出された変形またはひずみを代表する信号を提供するように適合された変形またはひずみセンサであり、検出された変形またはひずみは、ひいては、センサに作用する力を代表する。
【0063】
本装置の可能な実施形態によれば、検出要素13は、任意の機械的、光学的、音響的、電気的な力、または歪みセンサである。
【0064】
センサという用語は、電気信号を物理量の変動に相関させることができる構成要素を指し、電気信号の変動は対応する機械的な大きさに直接相関していることは注目に値する。
【0065】
例えば、典型的には、明確に定義された領域における部品の変形を測定し、材料の機械的特性を知ることにより、電気信号が得られ、これを通じて、センサが設置された領域に存在する機械的負荷を追跡することができる。
【0066】
測定をより正確にするために、信号を補正し、温度による材料の機械的特性の変化を考慮するために、読み取り領域の温度を検出する熱電対を統合することも可能である。
【0067】
別の実施形態によれば、検出要素13は、光ファイバセンサ、またはMEMSセンサ、またはピエゾ抵抗センサ、またはシリコン上の共振器センサである。
【0068】
本装置の一実施形態によれば、第1の機能要素第2面および第2の機能要素第2面の傾斜面を生成するx軸およびy軸(すなわち、傾斜面の平面を規定するx軸およびy軸)は、(図7、より詳細には図8Aおよび図8Bに示すように)制動の結果として発生すると予想される力の方向に対して実質的に直交するものとして設計の段階で定義された方向に配向される。これにより、第2の機能要素面の傾斜面に伝達される法線荷重が最大になり、検出要素が横たわるゾーンの変形が促進される。
【0069】
本装置の一実施形態によれば、第1の機能要素11と第2の機能要素12との間の摺動を可能にするために互いに接触させることを意図した、第1の機能要素第2の面および第2の機能要素第2の面の少なくとも一方は、摩擦を低減して摺動を促進するために、DLC、テフロンなどの摩擦防止コーティングで被覆される。
【0070】
実施態様によれば、検出要素13は、第1の機能要素11の変形可能な部分に構成される。
【0071】
別の実施態様によれば、第1の機能要素11と第2の機能要素の両方がそれぞれの変形可能な部分を構成し、そこにそれぞれの検出要素13が挿入される。
【0072】
本装置の実施形態によれば、第1の機能要素11および/または第2の機能要素12は、複数の変形可能な部分からなり、その中にそれぞれの複数の検出要素13が挿入され、作用力の推定を改善することおよび/または異なる駆動条件(例えば、正転、逆転)の下で力を検出することを可能にする複数のそれぞれの力検出部を有する。
【0073】
実施形態によれば、装置1は、検出された力の測定値および制動トルクの推定値を改善するために適合された温度補償を実行するために有用な温度情報を提供するように構成された、少なくとも1つの温度センサをさらに備える。
【0074】
上述したように、本装置の一実施形態では、装置1は、部品間の特別に較正されたクリアランスによって互いに自由に摺動する2つの対になったブロックで構成されている。実際、スライドは許容されなければならないが、センサのいかなる要素も、高度に変形可能な位置決め要素を除いて、固定ねじと接触してはならない。
【0075】
キャリパ側のハーフワッシャは、摩擦現象によってキャリパからの制動力を受ける。ローレット加工は、摩擦係数の局所的な変動や、車両の進行方向の変化に伴って起こり得る装置とキャリパの間の微小滑り現象を防止する。このブロックは、ハブホルダと接触しているハーフワッシャの傾斜面に接触するまで、その下のブロック上を自由に移動することができる(図4に示すように)。ハブホルダとの接触面には、滑りを防止するためにローレット加工が施されている。
【0076】
2つのブロックの傾斜面が接触するとき、荷重の伝達が行われ、その荷重は全体が高い変形を受ける外接面に伝達される。
【0077】
実施形態では、最も応力がかかり変形するゾーンでハブホルダ側ハーフワッシャに薄いブリッジが組み込まれ、これは高度に変形可能なエレメントとして、また検出エレメントのハウジングとして機能する。この構成により、荷重はセンサ全体の構造に分散されることなく、検出要素の読み取りゾーンに限定される。
【0078】
ハーフワッシャの摺動が固定ネジと接触しないことが重要である。もしそうであれば、荷重がねじに伝わり、ねじに危険なせん断応力がかかり、センサが機能しなくなる。この問題を克服するために、本装置の実施形態によれば、ハーフワッシャ間のクリアランスが特別に計算される。さらに、位置決め要素(センタリング要素)が、ねじの周りのキャリパ側ハーフワッシャの溝に導入される。 後者は、先に例示したように、低い弾性率を特徴とし、作動中にねじに荷重を伝達しない。
【0079】
FEMシミュレーションと実験テストにより、このセンサ装置、特に変形可能なブリッジにおいて、広範囲に偏りがあることが実証されている。
【0080】
感度分析により、このような装置を使用することで、最小制動トルク条件と最大制動トルク条件の間でひずみの大幅な変化を評価することが可能であることが判明した。
【0081】
次に、本発明による、ブレーキキャリパ100の検出部Zに作用し、制動中にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出するためのシステムについて、図5-7および図8A-8Bを参照して説明する。
【0082】
このシステムは、先に例示した実施形態のいずれか1つによる検出装置1を備え、装置1の少なくとも1つの検出要素13によって供給される少なくとも1つの電気信号Vに基づいて前記制動力および/またはトルクを決定するように構成された電子処理手段をさらに備える。
【0083】
以下に、本発明による、ブレーキキャリパ100の検出部Zに作用し、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを代表する力を検出する方法を説明する。
【0084】
前記方法は、まず、支持固定手段5によって、少なくとも1つの検出装置1をブレーキキャリパ100のそれぞれの検出部Zに確実に固定するステップを備える。前記少なくとも1つの検出装置1は、先に例示した実施形態の装置のいずれか1つによる検出装置である。
【0085】
本方法はさらに、装置1に構成された検出要素13によって、装置1が配置された検出部Zに作用する力または力に関連する量を検出することと、検出要素13によって、検出要素13によって検出された力(または力に関連する量)に依存し、検出部Zに作用する制動力を代表する少なくとも1つの電気信号Vを生成することとを含む。
【0086】
本方法は最後に、前記少なくとも1つの電気信号Vを電子処理手段に供給するステップと、前記電子処理手段によって、前記少なくとも1つの電気信号Vに基づいて、制動操作中にブレーキキャリパに作用する制動トルクを決定するステップとを備える。
【0087】
本発明によれば、制動力推定機能を有するブレーキキャリパシステムが本明細書に記載される。
【0088】
このようなシステムは、ブレーキキャリパ本体と、ハブホルダ101へのそれぞれの取り付け箇所に設けられた少なくとも1つの検出部Zとを有するブレーキキャリパ100からなり、前記ブレーキキャリパ検出部Zと対応するハブホルダ101との間に、固定手段及びクランプ手段5によって取り付け固定された検出装置1からなる。前記少なくとも1つの検出装置1は、先に例示した実施形態のいずれか1つの装置による検出装置である。
【0089】
一実施形態によれば、システムは、ブレーキキャリパとハブホルダとの間の2つの取付点に少なくとも2つの検出装置1を備える。
【0090】
実施形態によれば、システムは、少なくとも1つの検出装置1に動作可能に接続され、それぞれの装置1に構成された少なくとも1つのそれぞれの検出要素13によって生成された少なくとも1つのそれぞれの電気信号Vを受信する電子処理手段をさらに備える。
【0091】
このような電子処理手段は、前記少なくとも1つの電気信号Vに基づいて、制動時にブレーキキャリパに作用する制動トルクを決定するように構成されている。
【0092】
気づかれるかもしれないが、本発明の目的は、その機能的および構造的特徴により、上述した装置、システム、および方法によって完全に達成される。
【0093】
上述したように、本発明による装置および方法は、リアルタイムの制動トルク検出のための効果的な解決策を提供する。制動トルク値をリアルタイムで知ることは、高度なブレーキシステムの制御ロジックを実装するのに有用であるとともに、残留トルク現象の強度を評価するのにも有用である。
【0094】
センサ装置はハブホルダとキャリパの間に介在し、アキシャルマウントとラジアルマウントの両方のキャリパに適合させることができる。また、内部に固定ネジを通すことができる。
【0095】
上記の検出装置は、ブレーキキャリパの1つまたは複数の検出ゾーンに作用する力を精度良く検出することができる。
【0096】
さらに、このような装置は、その小型サイズと「ワッシャ」形状により、既に提供されている固定手段(例えば、ブレーキキャリパをその支持体に取り付けるために既に提供されているねじ、1つまたは複数の取り付けポイント)を使用して、ハブホルダとキャリパの間に有利かつ容易に挿入することができる。
【0097】
さらに、前述の検出装置は、説明した構造的特徴により、非常に大きな力(例えば、緊急ブレーキ時のような高いブレーキトルクによるもの)から、反対に非常に小さな力(例えば、ブレーキシステムに作用する残留トルクによるもの)まで、広いダイナミックレンジにわたって高い精度で力の測定値を提供することができる。
【0098】
本装置の他の利点は、コンパクト性、堅牢性、取り付けの容易さ(例えば、ブレーキキャリパを固定するために既に提供されている固定システムを使用する)、および固定キャリパまたはフローティングキャリパディスクブレーキの状況における使用の汎用性である。
【0099】
同様の利点は、上述の検出システムと方法、およびブレーキキャリパに制動力推定機能を備えたブレーキキャリパシステムでも得られる。
【0100】
前述の特徴により、例えばブレーキキャリパの1つまたは複数の検出点に作用する力の正確な測定が可能になり、それ自体が、一般に、ブレーキシステムの電子制御における多くの用途に非常に有用である。
【0101】
上述したように、最も有用な用途の中には、ブレーキ操作中にリアルタイムで作用する制動力および/またはトルクの推定および/または決定がある。
【0102】
偶発的かつ特定のニーズを満たすために、当業者は、上述の実施形態に対して幾つかの変更および適合を行うことができ、また、しかしながら、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素を他の機能的に等価なものと置き換えることができる。1つの可能な実施形態に属するものとして上述した全ての特徴は、他の説明した実施形態から独立して実施することができる。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】