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特表2024-512491マイクロバイオーム同定およびバクテリオファージ製剤
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  • 特表-マイクロバイオーム同定およびバクテリオファージ製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】マイクロバイオーム同定およびバクテリオファージ製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/76 20150101AFI20240312BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240312BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240312BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20240312BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/14 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240312BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240312BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20240312BHJP
   C12N 7/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
A61K35/76
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
A61P17/00
A61P17/10
A61P17/04
A61K8/99
A61Q19/00
A61K8/14
A61K9/127
A61K31/07
A61P17/00 101
A61K31/455
A61K31/375
A61K31/122
A61K31/52
A61K38/04
A61K38/17
C12N15/09 Z
C12N1/00 T
C12N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557295
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 US2022021021
(87)【国際公開番号】W WO2022198091
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,375
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】523353867
【氏名又は名称】パラレル・ヘルス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ナタリース・カレア
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C076
4C083
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA06
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QQ18
4B063QQ19
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR79
4B063QS10
4B063QS14
4B063QS39
4B063QX01
4B065AA98X
4B065AA98Y
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA19
4C076BB31
4C076CC18
4C076FF70
4C083AA031
4C083AA032
4C083AC851
4C083AD411
4C083AD621
4C083AD631
4C083AD641
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD45
4C083EE13
4C083EE14
4C083FF01
4C084AA02
4C084BA44
4C084CA18
4C084MA24
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZA90
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086BC17
4C086CB07
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA24
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA90
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA24
4C087MA63
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZA90
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA10
4C206CB28
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA44
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA13
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZA90
(57)【要約】
対象の健康状態を治療する方法がここに提供される。方法は、対象からの試料中の微生物の検出と、微生物の同定に続いて、微生物を溶解することができる少なくとも1つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ混合物を生成することとを含み得る。ここに記載される1つ以上のプロセスは、ショットガンメタゲノム配列決定を含み得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚状態を治療する方法であって、
(a)前記対象から得られた皮膚試料中の微生物の集団を検出することであって、前記微生物の集団から抽出された核酸分子のショットガンメタゲノム配列決定を実施し、それにより配列リードのセットを生成し、前記配列リードのセットをプロセシングすることを含む、検出すること;および
(b)前記微生物の集団の微生物を溶解することができる少なくとも1つのウイルスを含むバクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記配列リードのセットが、0.1M~100Mの配列リードからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物の集団が細菌または真菌を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象から得られた前記皮膚試料中の1つ以上のダニを検出することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物の集団が、座瘡に関連する1つ以上の微生物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物の集団が、炎症、発赤、湿疹、酒さ、毛包の孔径の拡大、皮膚のきめの荒れ、経表皮水分蒸散量の増加、皮膚の変色、または角質層および下層の真皮の不均衡な弾性に関連する1つ以上の微生物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記微生物の集団が、老化皮膚に関連する1つ以上の微生物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物の集団が、アクネ菌細菌を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記微生物の集団が、黄色ブドウ球菌細菌を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物の集団が、コリネバクテリウム属細菌を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物の集団が、マラセジア酵母を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出することが、(1)前記皮膚試料からDNAを単離すること、および(2)前記単離されたDNAからヒトDNAを除去することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記単離されたDNAに内部DNA標準を添加することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記内部DNA標準が合成DNAを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセシングが、前記配列リードのセットから1つ以上のバックグラウンド配列リードを排除することを含み、前記バックグラウンド配列リードが、陰性対照試料から単離されたDNAのショットガンゲノム配列決定によって同定される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセシングが、前記配列リードのセットの計数を正規化して、正規化配列リードのセットを生成することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プロセシングが、前記正規化配列リードのセットのクラスタリングを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記プロセシングが、前記正規化配列リードのセットをデータベースと比較することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記データベースが、他の対象からの他の皮膚試料から単離された複数の微生物の配列を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記データベースが、可動遺伝因子の配列を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記可動遺伝因子が、プラスミド、プロファージおよびトランスポゾンからなる群の1つ以上のメンバーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記データベースが、他の対象からの他の皮膚試料から単離された微生物のゲノム配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記可動遺伝因子が、プラスミド、プロファージおよびトランスポゾンからなる群の1つ以上のメンバーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤が溶原性バクテリオファージを含まない、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤が、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが、前記微生物の集団の微生物を溶解することができる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが異なる宿主域を有する、請求項25または26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記異なる宿主域が少なくとも2つのアクネ菌株を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記異なる宿主域が、少なくとも1つのアクネ菌株および少なくとも1つのC.ナムナテンス(namnatense)株を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記異なる宿主域がC.グラニュローサム(granulosum)株を含まない、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージが、インビトロで前記微生物の耐性または再増殖を個々にまたは集合的に防止する、請求項25または26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが溶菌性バクテリオファージである、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤が化粧品配合物の一部である、請求項25~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記化粧品配合物が、前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージを含む1つ以上のリポソームを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化粧品配合物が、抗老化成分をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
マイクロバイオームタイプを決定する方法であって、
(a)対象の皮膚試料から単離されたDNAを内部DNA標準と組み合わせてDNA混合物を形成すること、
(b)DNA混合物のショットガンメタゲノム配列決定を実施して配列リードのセットを生成すること、および
(c)前記配列リードのセットをプロセシングして前記マイクロバイオームのタイプを決定することを含む、方法。
【請求項37】
前記対象が座瘡を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、発赤、湿疹、酒さ、および老化皮膚からなる群から選択される1つ以上の皮膚症状を有する、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚試料から単離された前記DNAが10%未満のヒトDNAを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記内部DNA標準が合成内部DNA標準である、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記プロセシングが、前記配列リードのセットを形質転換して、形質転換された配列リードを生成することを含む、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記形質転換された配列リードをクラスタリングすることをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記プロセシングが、前記配列リードのセットのサブセットの計数を、前記内部DNA標準からの配列リードのセットの別の計数に正規化することを含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記プロセシングが、前記複数の配列リードを陰性対照試料の配列リードのセットと比較することを含み、前記陰性対照試料が、前記皮膚試料と共に短時間空気に開放され、前記皮膚試料と並行してプロセシングされる、請求項36~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記プロセシングが、アクネ菌の1つ以上のサブタイプを検出することを含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記プロセシングが、黄色ブドウ球菌の1つ以上のサブタイプを検出することを含む、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
(a)(i)環境源からの試料を(ii)皮膚試料からの1つ以上の培養微生物と接触させること;および
(b)前記1つ以上の培養微生物を溶解することができる溶菌性バクテリオファージを単離すること;および
(c)前記溶菌性バクテリオファージから単離された核酸を配列決定することを含む、方法。
【請求項48】
前記環境源が下水または土壌懸濁液である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
DNA配列決定を含む方法によって前記1つ以上の培養微生物を同定することをさらに含む、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ以上の培養微生物が、アクネ菌株を含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の培養微生物が、黄色ブドウ球菌株を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の培養微生物が、コリネバクテリウム株を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記皮膚試料が、座瘡、炎症、発赤、湿疹、酒さ、または老化の影響を受けた皮膚からの皮膚スワブを含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記溶菌性バクテリオファージの宿主域を決定することをさらに含む、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記宿主域が、皮膚状態の低リスクに関連する有用細菌を含まない、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記溶菌性バクテリオファージを含むバクテリオファージライブラリーを構築することをさらに含む、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記バクテリオファージライブラリーが、前記1つ以上の培養された微生物を溶解することができる複数の溶菌性バクテリオファージを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
バクテリオファージ製剤に含めるためのバクテリオファージを選択する方法であって、
(a)第1のバクテリオファージと第2のバクテリオファージとの混合物を調製すること;
(b)前記混合物を培養微生物と接触させること、および
(c)接触後に前記培養微生物が再増殖できない場合、前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージを前記バクテリオファージ製剤に含めるために選択することを含み、前記培養微生物が、キューティバクテリウム細菌、ブドウ球菌細菌、またはコリネバクテリウム属細菌を含む、方法。
【請求項59】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが異なる宿主域を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが非溶原性バクテリオファージである、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
(d)前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージを含む化粧品配合物を調製することをさらに含む、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記化粧品配合物がリポソームを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが、前記化粧品配合物中で少なくとも2ヶ月間保存した後に前記培養微生物を溶解することができる、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
(a)ショットガンメタゲノム配列決定を使用して対象の宿主細菌を同定すること;および
(b)前記宿主細菌の同定を受けて、第1のバクテリオファージ、第2のバクテリオファージ、および安定化緩衝液を含むバクテリオファージ混合物を生成することを含む方法であって、前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージの両方が、前記宿主細菌に感染することができる、方法。
【請求項65】
前記宿主細菌がアクネ菌細菌である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2の細菌が、アクネ菌の有用な株に感染しない、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記宿主細菌が黄色ブドウ球菌細菌である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが表皮ブドウ球菌に感染しない、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記宿主細菌がコリネバクテリウム属細菌である、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2の細菌が、コリネバクテリウムの有用な株に感染しない、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記第1のバクテリオファージおよび前記第2のバクテリオファージが、1つまたは複数のリポソームに封入されている、請求項64~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記バクテリオファージ混合物が、レチノイド(ビタミンA誘導体)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、アスコルビン酸(ビタミンC)、皮膚活性ペプチド、カイネチンなどの植物成長因子、またはユビキノン(コエンザイムQ10)を含む、請求項64~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記第1のバクテリオファージまたは前記第2のバクテリオファージが、アクネ菌細菌、黄色ブドウ球菌細菌およびコリネバクテリウム属細菌からなる群の1つ以上のメンバーに特異的に感染する、請求項64~72のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年3月19日に出願された米国仮特許出願第63/163,375号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
対象から得られた生物学的試料は、様々な異なる微生物を含み得、それらは一緒になって対象のマイクロバイオームまたは対象の身体(例えば、皮膚、腸)を形成し得る。マイクロバイオームは、対象の1つ以上の健康パラメータを理解する際、または1つ以上の病変を同定する際に有用であり得る。
【0003】
皮膚マイクロバイオームは、対象の皮膚内および皮膚上に生存する微生物群を含み得る。皮膚マイクロバイオームを測定および分析する方法は、DNA配列決定などの生物学的分析を含み得る。しかしながら、皮膚マイクロバイオームを測定する現在の方法は、試料採取、測定、および分析中にバイアスを持ち込む可能性があり、これが不正確な診断、治療、およびモニタリングにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で認められるのは、対象の身体(例えば、皮膚)中のマイクロバイオームを測定するための改善された方法およびシステムの必要性である。本開示は、対象から得られた生物学的試料中の微生物の集団を検出するためのシステムおよび方法、ならびに対象の1つ以上の状態(例えば、皮膚の状態)を治療するための方法を提供する。
【0005】
一態様では、対象の皮膚状態を治療する方法が本明細書で提供され、方法は、(a)対象から得られた皮膚試料中の微生物の集団を検出することであって、微生物の集団から抽出された核酸分子のショットガンメタゲノム配列決定を実施し、それにより配列リードのセットを生成し、配列リードのセットをプロセシングすることを含む、検出すること;および(b)微生物集団の微生物を溶解することができる少なくとも1つのウイルスを含むバクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤を対象に投与すること、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、配列リードのセットは、0.1M~100Mの配列リードからなる。いくつかの実施形態では、微生物の集団は細菌または真菌を含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象から得られた皮膚試料中の1つまたは複数のダニを検出する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、座瘡に関連する1つ以上の微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、炎症、発赤、湿疹、酒さ、毛包の孔径の拡大、皮膚のきめの荒れ、経表皮水分蒸散量の増加、皮膚の変色、または角質層および下層の真皮の不均衡な弾性に関連する1つ以上の微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、老化皮膚に関連する1つ以上の微生物を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、アクネ菌細菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、黄色ブドウ球菌細菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、コリネバクテリウム属細菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物の集団は、マラセジア酵母を含む。いくつかの実施形態では、検出することは、(1)皮膚試料からDNAを単離すること、および(2)単離されたDNAからヒトDNAを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、内部DNA標準を単離されたDNAに添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、内部DNA標準は合成DNAを含む。いくつかの実施形態では、プロセシングは、配列リードのセットから1つ以上のバックグラウンド配列リードを排除することを含み、バックグラウンド配列リードは、陰性対照試料から単離されたDNAのショットガンゲノム配列決定によって同定される。いくつかの実施形態において、プロセシングは、配列リードのセットの計数を正規化して、正規化配列リードのセットを生成することを含む。いくつかの実施形態において、プロセシングは、正規化配列リードのセットをクラスタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、プロセシングは、正規化配列リードのセットとデータベースとの比較を含む。いくつかの実施形態において、データベースは、他の対象からの他の皮膚試料から単離された複数の微生物の配列を含む。いくつかの実施形態では、データベースは、可動遺伝因子の配列を含む。いくつかの実施形態では、可動遺伝因子は、プラスミド、プロファージおよびトランスポゾンからなる群の1つ以上のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、データベースは、他の対象からの他の皮膚試料から単離された微生物のゲノム配列を含む。いくつかの実施形態では、可動遺伝因子は、プラスミド、プロファージおよびトランスポゾンからなる群の1つ以上のメンバーを含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤は、溶原性バクテリオファージを含まない。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤は、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、微生物の集団の微生物を溶解することができる。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、異なる宿主域を有する。いくつかの実施形態では、異なる宿主域は、少なくとも2つのアクネ菌株を含む。いくつかの実施形態では、異なる宿主域は、少なくとも1つのアクネ菌株および少なくとも1つのC.namnatense株を含む。いくつかの実施形態では、異なる宿主域は、C.グラニュローサム(C.granulosum)株を含まない。いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、インビトロでの微生物の耐性または再増殖を個々にまたは集合的に防止する。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、バクテリオファージまたは真菌ウイルス製剤は、化粧品配合物の一部である。いくつかの実施形態において、化粧品配合物は、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを含む1つ以上のリポソームを含む。いくつかの実施形態では、化粧品配合物は、抗老化成分をさらに含む。
【0007】
別の態様では、(a)対象の皮膚試料から単離されたDNAを内部DNA標準と組み合わせてDNA混合物を形成すること、(b)DNA混合物のショットガンメタゲノム配列決定を実施して配列リードのセットを生成すること、および(c)配列リードのセットをプロセシングしてマイクロバイオームのタイプを決定することを含む、マイクロバイオームタイプを決定する方法が本明細書で提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、対象は座瘡を有する。いくつかの実施形態では、対象は、発赤、湿疹、酒さ、および老化皮膚からなる群から選択される1つ以上の皮膚症状を有する。いくつかの実施形態では、皮膚試料から単離されたDNAは、10%未満のヒトDNAを含む。いくつかの実施形態では、内部DNA標準は合成内部DNA標準である。いくつかの実施形態において、プロセシングは、配列リードのセットを形質転換して、形質転換された配列リードを生成することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、形質転換された配列リードをクラスタリングする工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、プロセシングは、配列リードのセットのサブセットの計数を、内部DNA標準からの配列リードのセットの別の計数に正規化することを含む。いくつかの実施形態において、プロセシングは、複数の配列リードを陰性対照試料の配列リードのセットと比較することを含み、陰性対照試料は、皮膚試料と共に短時間空気に開放され、皮膚試料と並行してプロセシングされる。いくつかの実施形態では、プロセシングは、アクネ菌の1つ以上のサブタイプを検出することを含む。いくつかの実施形態では、プロセシングは、黄色ブドウ球菌の1つ以上のサブタイプを検出することを含む。いくつかの実施形態では、プロセシングは、コリネバクテリウムの1つ以上のサブタイプを検出することを含む。
【0009】
別の態様では、(a)(i)環境源からの試料を(ii)皮膚試料からの1つ以上の培養微生物と接触させること;および(b)1つ以上の培養微生物を溶解することができる溶菌性バクテリオファージを単離すること;および(c)溶菌性バクテリオファージから単離された核酸を配列決定することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0010】
いくつかの実施形態では、環境源は下水または土壌懸濁液である。いくつかの実施形態では、方法は、DNA配列決定を含む方法によって1つ以上の培養微生物を同定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の培養微生物は、アクネ菌株を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の培養微生物は、黄色ブドウ球菌株を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の培養微生物は、コリネバクテリウム株を含む。いくつかの実施形態では、皮膚試料は、座瘡、炎症、発赤、湿疹、酒さ、または老化の影響を受けた皮膚からの皮膚スワブを含む。いくつかの実施形態において、方法は、溶菌性バクテリオファージの宿主域を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、宿主域は、皮膚状態の低リスクに関連する有用細菌を含まない。いくつかの実施形態では、方法は、溶菌性バクテリオファージを含むバクテリオファージライブラリーを構築することをさらに含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージライブラリーは、1つ以上の培養された微生物を溶解することができる複数の溶菌性バクテリオファージを含む。
【0011】
別の態様において、バクテリオファージ製剤に含めるためのバクテリオファージを選択する方法が本明細書で開示され、方法は、(a)第1のバクテリオファージと第2のバクテリオファージとの混合物を調製すること;(b)混合物を培養微生物と接触させること、および(c)接触後に培養微生物が再増殖できない場合、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージをバクテリオファージ製剤に含めるために選択することを含み、培養微生物は、キューティバクテリウム細菌、ブドウ球菌細菌、またはコリネバクテリウム属細菌を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、異なる宿主域を有する。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、非溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、方法は、(d)第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを含む化粧品配合物を調製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、化粧品配合物はリポソームを含む。いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、化粧品配合物中で少なくとも2ヶ月間保存した後に培養微生物を溶解することができる。
【0013】
別の態様では、本明細書に提供される方法は、(a)ショットガンメタゲノム配列決定を使用して対象の宿主細菌を同定すること、(b)宿主細菌の同定を受けて、第1のバクテリオファージ、第2のバクテリオファージ、および安定化緩衝液を含むバクテリオファージ混合物を生成することを含み、ここで第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージの両方が宿主細菌に感染することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、宿主細菌は、アクネ菌細菌である。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2の細菌は、アクネ菌の有用な株に感染しない。いくつかの実施形態では、宿主細菌は、黄色ブドウ球菌細菌である。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、表皮ブドウ球菌に感染しない。いくつかの実施形態において、宿主細菌はコリネバクテリウム属細菌である。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2の細菌は、コリネバクテリウムの有用な株に感染しない。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは、1つ以上のリポソームに封入される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージ混合物は、レチノイド(ビタミンA誘導体)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アセタートまたはトコフェロール(ビタミンE誘導体)、皮膚活性ペプチド、カイネチンなどの植物成長因子、またはユビキノン(コエンザイムQ10)を含む。いくつかの実施形態において、第1のバクテリオファージまたは第2のバクテリオファージは、アクネ菌細菌、黄色ブドウ球菌細菌およびコリネバクテリウム属細菌からなる群の1つ以上のメンバーに特異的に感染する。
【0015】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行に際して、上記または本明細書の他の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0016】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサと、それに連結されたコンピュータメモリとを備えるシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つ以上のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書の他の場所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを含む。
【0017】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の例示に過ぎない実施形態が示され説明される、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0018】
参照による援用
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのような矛盾する材料に取って代わるおよび/または優先することを意図している。
【0019】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面(本明細書では「図(Figure)」および「図(FIG.)」とも)を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バクテリオファージ宿主域アッセイからの例示的なデータを示す。
図2】1つ以上のバクテリオファージとの接触に応答した細菌増殖の例示的なデータを示す。
図3】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラム、さもなければ構成されたコンピュータシステムを示す。
図4】バクテリオファージ宿主域アッセイからの例示的なデータの別のセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の様々な実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を行うことができる。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替形態が使用され得ることを理解されたい。
【0022】
いくつかの態様では、対象からの皮膚試料からマイクロバイオームのタイプを決定するためのシステム、組成物および方法が本明細書で提供される。マイクロバイオームのタイプを決定することは、対象から得られた皮膚試料中の微生物の集団を検出することを含み得る。そのような検出は、対象の皮膚状態(例えば、座瘡、炎症、老化)を診断もしくは治療すること、および/または微生物の集団もしくはその中の亜集団が皮膚状態にどのように影響もしくは作用するかを決定することに有用であり得る。いくつかの例では、治療は、検出されたマイクロバイオームタイプに基づいて対象に投与され得る。そのような治療方法は、微生物集団中の特定の微生物(例えば、細菌)を選択的に溶解またはその増殖を阻害するために使用することができる製剤を、対象に投与することを含み得る。いくつかの態様において、製剤は、微生物の集団の微生物を溶解することができる少なくとも1つのバクテリオファージを含み得る。そのような方法および組成物は、1つまたは複数の皮膚状態の個別化治療に有用であり得る。
【0023】
「少なくとも」、「より大きい」、または「以上」という用語が2つ以上の一連の数値の最初の数値に先行するときはいつでも、「少なくとも」、「より大きい」、または「以上」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2、または3以上は、1以上、2以上、または3以上に相当する。
【0024】
「たったの」、「未満」、または「以下」という用語が2つ以上の一連の数値の最初の数値に先行するときはいつでも、「たったの」、「未満」、または「以下」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2、または1以下は、3以下、2以下、または1以下に相当する。
【0025】
本明細書で使用される「試料」という用語は、一般に、対象の生物学的試料を指す。試料は、組織試料、例えば生検、コア生検、針吸引液、または細針吸引液であり得る。試料はスワブ(例えば、口、皮膚または他の外部に面する体から)であり得る。試料は、例えばスワブ、細孔ストリップ、皮膚吸引液などから得られた皮膚試料であってもよい。試料は流体試料、例えば血液試料、尿試料、または唾液試料であってもよい。試料は、頬スワブであり得る。試料は、血漿または血清試料であり得る。試料は、無細胞試料であり得る。試料は、ウイルス試料であり得るか、またはウイルス試料を含み得る。無細胞試料は、細胞外ポリヌクレオチドを含み得る。細胞外ポリヌクレオチドは、血液、血漿、血清、尿、唾液、粘膜分泌物、痰、便および涙からなる群から選択され得る身体試料から単離され得る。生物学的試料は、任意の数の高分子、例えば細胞高分子を含み得る。試料は、細胞試料であり得る。試料は、1つ以上の細胞またはウイルスを含むことができる。試料は、1つ以上の微生物を含むことができる。生物学的試料は、核酸試料またはタンパク質試料であり得る。生物学的試料は、炭水化物試料または脂質試料でもあり得る。生物学的試料は、他の試料に由来していてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「対象」という用語は、一般に動物、例えば哺乳動物(例えば、ヒト)もしくは鳥類(例えば、鳥)、または植物などの他の生物を指す。例えば、対象は、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類(例えば、マウス)、霊長類、サルまたはヒトであり得る。動物には、家畜、スポーツ動物、およびペットが含まれ得るが、これらに限定されない。対象は、健康もしくは無症候性の個体、疾患(例えば、癌)、もしくは疾患、感染症、健康状態に対する素因を有するもしくは有すると疑われる個体、および/または治療を必要とするもしくは治療を必要とすると疑われる個体であり得る。対象は患者であり得る。
【0027】
本明細書で使用される「配列決定」という用語は、一般に、1つ以上のポリヌクレオチド中のヌクレオチド塩基の配列を決定するための方法および技術を指す。ポリヌクレオチドは、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などの核酸分子であり得、それらのバリアントまたは誘導体(例えば、一本鎖DNA、相補的DNAなど)を含む。配列決定は、現在利用可能な様々なシステム、例えば、限定されないが、Illumina(登録商標)、Pacific Biosciences(PacBio(登録商標))、Oxford Nanopore(登録商標)またはLife Technologies(Ion Torrent(登録商標))による配列決定システムによって行うことができる。代替え的または追加的に、配列決定は、核酸増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCR、定量的PCR、またはリアルタイムPCR)、または等温増幅を用いて行われ得る。そのようなシステムは、対象によって提供された試料からシステムによって生成される、対象(例えば、ヒト)の遺伝情報に対応する複数の生の遺伝データを提供することができる。いくつかの例において、そのようなシステムは、配列決定リード(本明細書中では「リード」とも)を提供する。リードは、配列決定された核酸分子の配列に対応する一連の核酸塩基を含み得る。いくつかの状況では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、プロテオーム情報と共に使用され得る。
【0028】
マイクロバイオームタイプの同定およびバクテリオファージ製剤
一態様では、本明細書において、対象の身体(例えば、皮膚、腸)のマイクロバイオームタイプを決定する、またはマイクロバイオームを測定するための方法が提供される。本開示の方法は、対象から得られた試料(例えば、皮膚試料)中の微生物の集団を検出すること、またマイクロバイオームタイプを決定することを含み得る。場合によっては、検出することは、微生物の集団から抽出された核酸分子のメタゲノム配列決定(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定)を実施することを含む。そのような検出方法は、セットまたは複数の配列リードを生成することと、そのセットまたは複数の配列リードをプロセシングすることとを含み得る。本開示のいくつかの態様では、方法は、バクテリオファージ製剤を対象に投与することをさらに含み得、バクテリオファージ製剤は、微生物の集団の微生物を溶解することができる少なくとも1つのバクテリオファージを含む。本明細書で提供される方法は、対象の皮膚状態(例えば、座瘡、炎症、発赤、湿疹、酒さ、老化など)を同定、診断、または治療するのに有用であり得る。
【0029】
皮膚マイクロバイオーム:いくつかの態様では、本開示は、皮膚試料上の皮膚マイクロバイオームタイプを分析し、1つ以上の微生物を決定する方法を提供する。皮膚マイクロバイオームは、皮膚内および皮膚上に生存する微生物の集団を含み得る。微生物の集団は、同じ種類の微生物を含み得るか、または微生物の集団は、異なる種類の微生物を含み得る。例えば、微生物の集団は、1つ以上の細菌、酵母、真菌、原生生物、ウイルス、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの例では、微生物の集団は、1つ以上のダニを含み得る。
【0030】
皮膚試料:皮膚試料は、1つ以上のアプローチを使用して対象から得ることができる。いくつかの例では、皮膚試料はスワブを使用して得られる。スワブは、任意の有用な形状または材料を含み得る。例えば、スワブは、棒状であり得、検体採取領域を含む第1の端部を含み得る。検体採取領域は、任意の有用な形状、例えば円形、三角形、角錐形、長方形、菱形、五角形、六角形、七角形、八角形などであり得る。スワブは、任意の有用な材料、例えば合成材料(例えば、ナイロン、レーヨン、ダクロンなどのポリマー)または天然に存在する材料(例えば、綿、竹など)を含み得る。いくつかの例では、スワブは合成フロック加工スワブである。いくつかの例では、皮膚試料はテープストリップを使用して得られる。例えば、テープストリップは、毛穴または毛嚢脂腺単位からの内容物を抽出するために使用され得る毛穴ストリップであり得る。いくつかの例では、皮膚試料は皮膚生検を使用して得られる。
【0031】
皮膚試料プロセシング:皮膚試料は、1つ以上の微生物を検出する前にプロセシングされ得る。そのようなプロセシングは、例えば、試料からの1つまたは複数の核酸分子(例えば、DNA、RNA)を抽出または単離すること、および場合により、試料から汚染検体を除去することを含み得る。いくつかの例では、汚染核酸分子(例えば、DNA、RNA)を試料から除去することができる。例えば、対象または宿主(例えば、ヒト)からのDNAを皮膚試料から除去しても、または皮膚試料中の他の生物のDNAから分離してもよい。代替え的または追加的に、皮膚試料由来の微生物DNAを濃縮または精製してもよい。そのような微生物DNAの濃縮または宿主DNAの消耗は、ヒト細胞の溶解および/または哺乳動物もしくはヒトDNAの分解のための技術、例えば浸透圧溶解、プロピジウムモノアジド処理、または他のアプローチを含み得る。したがって、プロセシングされた試料は、最小限のヒトDNA、例えば50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満またはそれ未満のヒトDNAを含み得る。
【0032】
いくつかの例では、単離または抽出された核酸分子に内部標準を添加することができる。内部標準(例えば、DNA標準)の包含は、試料(またはプロセシングされた試料、例えば単離または抽出されたDNA)中に既知のDNA配列をスパイクすることによって行うことができる。いくつかの例では、内部標準の添加は、配列決定から得られる相対的な配列リード計数を調整する際に、または配列リードの計数を正規化し、それにより配列決定の定量的精度を向上させるのに有用であり得る。内部標準は、合成内部DNA標準であり得るか、または内部標準は、天然に存在するDNA分子を含み得る。内部DNA標準は、メタゲノムシークイン、例えばHardwick,et al.2018.「Synthetic Microbe Communities Provide Internal Reference Standards for Metagenome Sequencing and Analysis.」 Nature Communications 9(1):3096(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含み得る。
【0033】
対照試料の包含はまた、マイクロバイオームサブタイプを決定する精度を改善するために使用され得る。一例では、陰性対照試料、例えば環境または空気に曝露されたスワブが、マイクロバイオームの測定または分析のために含まれ得る。そのような例では、皮膚試料を第1のスワブセットで収集することができ、対象の皮膚ではなく空気に曝露された陰性対照スワブセットを、本明細書に記載されるようなさらなるプロセシングおよび、例えば配列決定を介した分析のために含めて、陰性対照配列リードのセットを生成することができる。陰性対照配列リードまたはその一部は、皮膚試料の配列リードから差し引かれ得るかまたは除去され得る(例えば、コンピュータで)。そのような技術は、バックグラウンド核酸汚染を除去するのに有用であり得る(例えば、環境または浮遊細菌DNAの除去)。
【0034】
汚染を防止するか、または皮膚試料から汚染物質を除去するためのさらなるプロセスを実施することができる。例えば、滅菌ハンドリング技術、例えば滅菌されたラミナーフローフード内での試料のプロセシング、ツールまたは試薬の滅菌、汚染核酸分子を除去するための酵素(例えば、RNAseまたはDNAse)によるツールまたは薬剤の滅菌の処理などを実施することができる。理解されるように、任意の数のプロセシング、除染、および/または濃縮技術を使用して、(例えば、配列決定による)試料の読み出しの精度を最適化することができる。プロセシング、除染および/または濃縮技術のうちの1つ以上は、例えば配列決定、皮膚マイクロバイオームタイプへの配列リードのクラスタリング、および1つ以上の微生物の同定による試料分析中に、バイアスを除去または低減することによって試料読み出しを改善することができる。したがって、このような試料のプロセシングを使用して、皮膚マイクロバイオームのタイプの同定の精度を向上させることができる。
【0035】
皮膚マイクロバイオームの測定:皮膚試料上のマイクロバイオームのタイプの決定または1つ以上の微生物の同定は、DNA配列決定(例えば、ハイスループットDNA配列決定)法を用いて行われ得る。配列決定は、16S rRNA配列決定またはショットガンメタゲノム配列決定を含み得る。いくつかの例では、皮膚マイクロバイオームのタイプの正確な同定を可能にし得る、ショットガンメタゲノム配列決定を皮膚試料に対して実行することができる。ショットガンメタゲノム配列決定は、複雑な試料(例えば、複数の微生物型由来の核酸分子を含む)中に存在するすべての遺伝子を包括的に試料採取し、それによって試料中に存在する1つまたは複数の(またはすべての)微生物の検出または同定を可能にするのに有用であり得る。いくつかの例では、ショットガンメタゲノム配列決定を使用すると、例えば16S rRNA遺伝子を欠く微生物もしくはウイルスを除外するか、またはプライマー設計からの微生物(例えば、細菌分類群)を除外するので、分類学的解像度が限定され得るかまたは皮膚マイクロバイオーム分析にバイアスを導入し得る、16S rRNA配列決定の使用を回避することができる。他の例では、ショットガンメタゲノム配列決定の使用は、16S rRNA配列決定の使用を補足し得る。ショットガンメタゲノム配列決定は、例えば酵母(例えば、マラセジア酵母)、ダニ(例えば、デモデックス)などの非細菌性微生物を検出するのに有用であり得る。有益には、非細菌性微生物を検出することにより、皮膚試料のプロファイリングの精度を上げ、種々の微生物タイプを特定の皮膚状態(例えば、毛包炎、湿疹、発赤、座瘡、酒さ、老化皮膚など)または皮膚外観と相関させることができる。
【0036】
ショットガンメタゲノム配列決定:いくつかの例では、ショットガンメタゲノム配列決定を使用して、試料の1つ以上の生物から配列リードを生成することができる。ショットガンメタゲノム配列決定は、16S rRNA配列決定から解像できない可能性がある株レベルのバリアントを解像するのに有用であり得る。例えば、ショットガンメタゲノム配列決定は、16S rRNA配列決定から検出不能であり得る微生物アクセサリーゲノムの配列を決定するのに有用であり得る。そのようなアクセサリーゲノムは、非限定的な例では、株特異的であるか、または微生物の生存に必須ではない遺伝因子を含み得る。いくつかの例では、ショットガンメタゲノム配列決定を使用して、プラスミド、プロファージ、またはトランスポゾンなどの可動遺伝因子を解像または検出することができる。可動遺伝因子は、抗生物質耐性、病原性または代謝経路などの特性を付与し得る、種々のアクセサリー遺伝子を含み得る。試料の株レベルの変異を決定することは、1つ以上の微生物(例えば、アクネ菌または黄色ブドウ球菌などの細菌、酵母、原生生物、他)または微生物の遺伝因子が皮膚状態(例えば、座瘡、老化、炎症)にどのように寄与または影響するかを決定するのに役立ち得る。代替え的または追加的に、試料の株レベルの変異を決定することにより、微生物感受性(例えば、小分子治療、バクテリオファージ、他)および病原性因子の決定が可能になり得る。したがって、ショットガンメタゲノム配列決定から得られた情報を使用して、多種類が生息する試料中の特定の微生物(皮膚試料上に見られるものなど)を標的とすることが知られている製剤(例えば、バクテリオファージ製剤)を設計することができる。
【0037】
ショットガンメタゲノム配列決定はまた、より稀有な微生物またはウイルスのバリアントまたは株を検出するのに十分な配列決定深度を生成するのに有用であり得る。例えば、ショットガンメタゲノム配列決定は、皮膚細菌におけるバクテリオファージ感受性および病原性因子を示し得る、バクテリオファージ受容体遺伝子の株レベルの変動を捕捉することができる。したがって、ショットガンメタゲノム配列決定から何らかの有用な配列決定深度を得ることができる。例えば、皮膚試料から生成される配列リードは、少なくとも0.1ミリオン(M)、少なくとも1M、少なくとも5M、少なくとも10M、少なくとも20M、少なくとも30M、少なくとも40M、少なくとも50M、少なくとも60M、少なくとも70M、少なくとも80M、少なくとも90M、少なくとも100M、少なくとも200Mまたはそれ以上の配列リードを含み得る。いくつかの場合において、皮膚試料から生成される配列リードは、最大で200M、最大で100M、最大で90M、最大で80M、最大で70M、最大で60M、最大で50M、最大で40M、最大で30M、最大で30M、最大で10M、最大で5M、最大で1M、最大で0.1Mまたはそれ以下の配列リードを含み得る。配列リードの範囲、例えば、約1M~約100Mの配列リードが皮膚試料から生成され得る。
【0038】
メタゲノムデータの分析:ショットガンメタゲノム配列決定の後、配列リードをさらにプロセシングまたは分析することができる(例えば、コンピュータで)。そのようなプロセシングまたは分析は、非限定的な例では、濾過、組み立て、ビニング、遺伝子予測などを含むことができ、1つ以上のプロセッサを使用して実行することができる。一例において、配列リードは、例えば、余分な配列、低質な配列、汚染配列などの除去によって、事前にフィルタリングされ得る。いくつかの場合において、配列リードをアセンブルして、配列リードが由来する起源(例えば、微生物、対象など)を決定することができる。そのようなアセンブルは、1つ以上のアセンブルプログラム、例えば、Phrap、Celera Assembler、Velvet Assembler、その他を使用して実行することができる。代替的または追加的に、アセンブルは、de Brujinグラフを生成し、リードをアセンブルすることによって実行されてもよい。配列決定から生成された1つ以上の配列リードは、例えば、アセンブル、ビニング、遺伝子予測などについて、参照ゲノムと比較され得る。アセンブルされた配列またはコンティグは、コーディング領域についてさらに注釈付けされ得る。そのような注釈付けは、既知の遺伝子配列との配列相同性(例えば、公的に利用可能な配列データベース、例えば、BLAST、RefSeqとの相同性)に基づく遺伝子の同定を含み得る。遺伝子予測のための任意の有用なプログラム、例えば、MEGAN、GeneMark、GLIMME、MetaProdigal、FragGeneScan、MetaGeneMark、SNAP、EuGene等が実行され得る。いくつかの例では、アセンブル、注釈付け、または任意の他のプロセシング動作のためにカスタムアルゴリズムを生成することができる。あるいは、アセンブルを行わず、配列を、例えば、分類学的プロファイリング、機能分析などのためにさらにプロセシングしてもよい。
【0039】
いくつかの例において、アセンブルされた配列またはコンティグ(または注釈された配列)は、配列を生物と関連付けるためにビニングされる。そのようなビニングは、相同性に基づくアプローチ(例えば、BLASTを用いた系統発生マーカーの検索、または他のプログラム、例えばMeta Genome Analyzer(MEGAN)、PhymmBL、MetaPhiAn、AMPHORA、mOTUS、MetPhyler、SLIMM、他)を使用して実施され得る。他のビニングアルゴリズムには、DAS Tool MetaWRAP、CheckM、AMBER、SolidBin、CARMA、Sort-iTEMS、TACOA、PhyloPythiaS、Phymm、SCIMM、Metawatt、LikelyBin、MaxBin、COCACOLA、MetaBAT2、CONCOCT、BMC3c、MetaBMF、MBCC、Canopyが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの例では、配列リードまたはその誘導体(例えば、アセンブルされたリード、アセンブルされたコンティグ、ビニングされたリード、他)が形質転換され得る。例えば、比例関係を用いて(例えば、配列リードに適用して)、微生物の分類群に割り当てられるリードの割合を決定することができる。形質転換は、任意の有用なプロセシング操作において、例えば、配列リードのクラスタリングまたはビニングの前、最中、または後、アセンブルの前、最中、または後などに行われ得る。
【0041】
配列リードを正規化して、例えば、試料内の各配列の相対数を決定するか、または試料全体の配列の計数を比較することができる。そのような計数の正規化は、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているように、試料プロセシング中に適切な対照を含めることによって、例えば、(例えば、スパイクインによって)配列決定の前に各試料またはDNAライブラリーに合成内部DNA標準を含めることによって行うことができる。配列決定に続いて、試料からの(例えば、1つ以上の微生物からの)各配列リードの計数をDNA標準の計数に対して正規化することにより、各配列リードの相対数を得ることができる。したがって、第1の試料(例えば、対象からの第1の皮膚試料)からの相対リード計数を別の試料(例えば、対象または異なる対象からの第2の皮膚試料)における相対リード計数と比較することができ、試料全体にわたる配列リードの定量的比較が可能になる。有益なことに、各配列リード計数を正規化すると、1つの試料内または複数の試料にわたって存在する配列リードの定量化の精度が向上し得る。配列リードの正規化は、配列データ分析の任意の便利または好都合な時間、例えばクラスタリングの前、ビニングの前、アセンブルの前に行われ得る。
【0042】
配列リードまたはその派生物(例えば、正規化配列リード)は、任意の有用なクラスタリング法を使用してクラスタリングされ得る。例えば、クラスタリングは、ランダムフォレストクラスタリングを含み得る。クラスタリングは、共通の特徴、例えば色付けされたコンパクトなde Brujinグラフまたはハッシュ化kmerからのunitigに基づいて実行することができる。
【0043】
配列リードまたはその派生物の分類学的プロファイリングを実行して、例えば、微生物分類群(例えば、試料中の微生物の種)を同定することができる。分類学的プロファイリングは、注釈付けを含んでもその一部であってもよく、または分類学的プロファイリングは、別個のプロセスであってもよい。分類学的プロファイリングは、既知の遺伝子配列との配列相同性(例えば、公的に利用可能な配列データベース、例えば、BLAST、RefSeqとの相同性)に基づく遺伝子の同定を含み得る。任意の有用なプログラム、例えば、MEGAN、MGS-Fast、MG-RAST、MAGpy、DIAMONDなどを分類学のために実装することができる。いくつかの例では、分類学プロファイリングに使用されるプログラムは、オープンソースまたは公的に利用可能なプログラム、例えば、Sourmashを含むことができる。代替え的または追加的に、カスタム配列データベース、例えば、本明細書に記載の方法を使用して得られたものなど、複数の皮膚試料の配列決定から生成されたゲノムデータベースを生成し、分類学的プロファイリングのための参照配列として使用することができる。
【0044】
マイクロバイオームライブラリー:複数の対象からの皮膚試料を収集し、配列決定(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定)に供してもよく、配列決定リードをマイクロバイオームライブラリーに保存してもよい。マイクロバイオームライブラリーは、皮膚試料から得られた複数の微生物の配列を含み得、例えば、細菌、酵母、ダニ、ウイルスなどのDNA配列を含み得る。配列は、例えば、プラスミド、トランスポゾン、プロファージなどからのゲノムDNAまたはアクセサリーゲノム配列を含み得る。
【0045】
いくつかの例では、試料または試料からの微生物も収集され、保存され得る。例えば、1つ以上の微生物を試料から取り出し、単離し、または抽出することができ、取り出し、単離、または抽出された微生物の一部を本明細書に記載の配列決定に供し、一部を培養(例えば、収集し、プレート上で増殖)することができる。培養された微生物をさらなるスクリーニングに使用して、例えば、培養された微生物の少なくとも1つを溶解、またはその増殖を阻害することができる1つ以上の薬剤を同定することができる。異なる試料は、異なるマイクロバイオームおよび微生物種を含み得るので、各培養試料は、他の試料の培養マイクロバイオームとは別々に維持され得る。したがって、これらの試料のそれぞれにおいて、1つ以上の微生物を溶解、またはその増殖を阻害することができる薬剤についてスクリーニングすることにより、特定のマイクロバイオームタイプによって引き起こされる皮膚状態の個別化治療が可能になり得る。代替え的または追加的に、試料全体のマイクロバイオームを一緒に混合し、スクリーニングして、プールされた試料を溶解、またはその増殖を阻害することができる1つ以上の薬剤を同定することができる。
【0046】
バクテリオファージアッセイ:試料のスクリーニングを実施して、試料の1つ以上の微生物の増殖を阻害するか、さもなければ死滅(例えば、溶解によって)させることができる1つ以上の薬剤(例えば、小分子、バクテリオファージ、または生物学的分子、例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、代謝産物、またはそれらの組み合わせ)を決定することができる。いくつかの例において、1つ以上の薬剤は、1つ以上のバクテリオファージを含む。例えば、1つ以上のバクテリオファージは、皮膚試料上に存在するある種の細菌を溶解することができる、天然発生、組換え、または合成バクテリオファージであり得る。そのような例では、試料のスクリーニングは、試料から1つ以上の微生物を得ること、場合により1つ以上の微生物を培養すること、および1つ以上の微生物を複数のバクテリオファージに曝露して、微生物-バクテリオファージ混合物を生成することを含み得る。微生物の成長、増殖、または死滅を一定期間にわたって監視することができ、微生物を収集、保存、および/または配列決定することができる。配列決定(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定)は、微生物中または上に存在し、1つ以上の微生物を死滅させるかまたはその増殖を阻害することができるバクテリオファージに関する情報をもたらし得る。したがって、そのようなスクリーニング、例えば微生物をバクテリオファージと培養することと混合物を配列決定することとの組み合わせは、特定の微生物(例えば、細菌)株を除去するためのバクテリオファージの組み合わせを決定するのに有用であり得る。
【0047】
いくつかの例では、スクリーニングは、試料から単離された1つ以上の微生物を配列決定することを含む。例えば、試料から単離された1つ以上の微生物を、(i)培養して微生物ライブラリーを生成し、(ii)配列決定して(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定によって)、試料内に存在する微生物からの配列を含む配列リードのライブラリーを生成することができる。さらに、培養された微生物は、上記のように、1つ以上のバクテリオファージにさらに曝露され、次いで単離され、配列決定され得る。1つ以上のバクテリオファージに対応する配列は、バクテリオファージライブラリーに保存され得る。代替え的または追加的に、1つ以上のバクテリオファージを保存し、例えば、バクテリオファージ宿主域アッセイを用いてさらにスクリーニングして、1つ以上のバクテリオファージに感受性であり得る細菌株を決定することができる。
【0048】
バクテリオファージ源:1つ以上のバクテリオファージは、合成または天然発生であり得る。1つ以上のバクテリオファージは、限定されないが、下水、土壌懸濁液、海洋堆積物、陸地表面下を含む環境源から単離または抽出され得る。そのような場合、環境源のさらなるプロセシングを行って、バクテリオファージを精製または濃縮することができる。
【0049】
バクテリオファージ宿主域アッセイ:バクテリオファージ宿主域アッセイを使用して、インビトロで所与のバクテリオファージに感受性である宿主または宿主細胞群(例えば、細菌細胞)を決定することができる。いくつかの例では、バクテリオファージ宿主域アッセイは、試料または複数の試料から単離された1つ以上の微生物、および環境試料中に存在する1つ以上のバクテリオファージを使用して実施される。例えば、1つ以上の皮膚試料から細菌を収集することができ、場合により、収集された細菌の一部を、細菌の種類(例えば、細菌種またはバリアント)を同定するために配列決定してもよい。収集した細菌を(例えば、寒天プレート上で)培養し、ファージ宿主域アッセイ皿上に分配し、1つ以上のバクテリオファージ(例えば、溶菌性バクテリオファージ)を含み得る環境源からのウイルス画分と接触させることができる。任意選択で、ファージ宿主域アッセイの皿毎に1つの株タイプまたは株タイプのクラスのみが存在するように、収集された細菌を予備選別またはプロセシングしてもよい。ファージ宿主域アッセイでの細菌-バクテリオファージ混合物は、場合により培養されてもよい。収集され、培養された細菌の上または中で増殖し、かつ/またはアッセイで培養された細菌を溶解、もしくはその増殖を防止するバクテリオファージは、単離され、場合により増殖され、バクテリオファージライブラリーの一部として保存されてもよい。代替え的または追加的に、バクテリオファージは配列決定されてもよい。次いで、そのような配列決定データを使用して、単離されたバクテリオファージのそれぞれを特定の宿主生物と関連付けることができる。したがって、そのようなアッセイは、試料から1つ以上の微生物を除去することができるバクテリオファージの同一性およびゲノム配列を決定するのに有用であり得る。1つ以上の微生物の同一性も(例えば、配列決定から)知られているので、各バクテリオファージの宿主域を決定することができる。したがって、所与の標的細菌株について、適切なバクテリオファージを、標的細菌株を溶解するように設計された製剤に含めるために選択することができる。
【0050】
図1は、バクテリオファージ宿主域アッセイから得ることができるデータの例示的なプロットを示す。x軸はバクテリオファージのタイプまたは組み合わせを表し、y軸は細菌株を表す。そのような例において、アレイの各グリッドは、1つ以上のバクテリオファージと組み合わされた1つ以上の皮膚試料で発見され得る、1つ以上の微生物(例えば、細菌)を表し得る。アレイ全体の各グリッドは、同じ微生物のタイプ(例えば、細菌株)を表すことができ、またはグリッドは、異なる微生物のタイプ(例えば、細菌株)を表すことができる。いくつかの例では、グリッドのいくつかは同じ微生物のタイプを表してもよく、他のグリッドは異なる微生物のタイプを表してもよい。同様に、アレイの各グリッドに表示されるバクテリオファージは、同じであっても異なっていてもよく、またはグリッドの一部は同じバクテリオファージを表してもよく、他は異なるバクテリオファージを表す。いくつかの例では、各グリッドは異なる細菌-バクテリオファージの組み合わせを表す。例えば、各グリッドは、単一の微生物(例えば、細菌)タイプ(例えば、株)の増殖(またはその欠如)、および単一のバクテリオファージタイプまたはその組み合わせを表し得る。プロットにおいて、各グリッドの密度または強度は、バクテリオファージタイプまたはバクテリオファージの組み合わせからの、細菌株の増加した死滅または増殖阻害を表す。いくつかの例において、アッセイの1つまたは複数のグリッドは、複数のバクテリオファージを表すことができ、これは、バクテリオファージの組み合わせまたは混合物に対する細菌のタイプまたは株の感受性を決定するのに有用であり得る。宿主域データは、細菌耐性の防止に役立ち得る、マイクロバイオームサブタイプ(例えば、標的細菌株)の溶解、または再増殖の防止に有効なバクテリオファージ(例えば、溶菌性バクテリオファージ)の組み合わせを決定するのに有用であり得る。いくつかの例では、「有用な」細菌の特定の株(例えば、皮膚状態の低いリスクに関連する細菌、他の細菌タイプの過剰増殖を防ぐ細菌、他の微生物からの感染を防ぐ細菌、特定の表皮ブドウ球菌、C.グラニュローサム(C.granulosum)、他)の溶解を回避することが有益であり得る。したがって、宿主域を理解することは、有用な細菌株の溶解を選択的に回避するバクテリオファージの組み合わせを生成するのに有用であり得る。
【0051】
バクテリオファージ製剤:本明細書では、いくつかの態様において、バクテリオファージ製剤または混合物を生成するための方法も提供される。バクテリオファージ製剤または混合物は、微生物(例えば、細菌)を溶解することができるか、または微生物、例えば対象から得られる生物学的試料(例えば、皮膚、腸、口)中に見出される微生物の増殖を阻害することができる少なくとも1つのバクテリオファージを含み得、いくつかの例では、健康状態(例えば、皮膚の状態または障害)の治療に有用であり得る。方法は、試料中の微生物を決定または同定すること(例えば、宿主細菌を同定すること)、および微生物に感染することができる少なくとも1つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ混合物または製剤を生成することを含み得る。バクテリオファージ混合物または製剤は、試料が得られた対象に投与され得る。したがって、本明細書で提供される方法は、個体の健康状態を治療するための個別化製剤または混合物を生成するのに有用であり得る。いくつかの例では、バクテリオファージ混合物または製剤は、2つの異なるバクテリオファージを含み、それらの宿主域は同じでも、または異なっていてもよい。指定された宿主域を有するバクテリオファージのそのような組み合わせは、細菌または微生物の耐性の防止に役立ち得る。
【0052】
図2は、バクテリオファージのペアによる感染に応答した細菌増殖の例示的なデータを示す。各パネルは、T4様バクテリオファージのペアによる感染後の細菌株の増殖曲線を表す。より淡い色相の曲線は感染後の細菌の再増殖を示し、より暗い曲線は細菌の増殖がほとんど、または全くないことを示す。細菌のほとんどまたは全く再増殖させないバクテリオファージのペアは、細菌株に関連する皮膚状態を治療するためのバクテリオファージ混合物または製剤に含める候補であり得る。
【0053】
バクテリオファージの選択:バクテリオファージは、任意の有用な特徴に基づいて、混合物または製剤に含めるために選択され得る。バクテリオファージの選択のために使用され得る特徴としては、非限定的な例において、宿主ゲノムにおける非溶原性または非統合、宿主域(例えば、宿主生物に特異的であり、オフターゲット結合が最小限である)、および所与の製剤における安定性が挙げられる。いくつかの例では、バクテリオファージの組み合わせは、(例えば、アクネ菌など、所与の細菌株を標的とするために)指定されたマイクロバイオームタイプまたは宿主域について選択されてもよく、それらが組み合われて細菌耐性の予防に役立ち得る。
【0054】
製剤:本開示はまた、バクテリオファージまたはバクテリオファージ混合物を、例えば対象に投与するための製剤を提供する。製剤は、スキンケア配合物の化粧品配合物を含み得る。製剤は、1つ以上のバクテリオファージを安定化する(例えば、1つ以上のバクテリオファージの生存率のパーセンテージをある期間、例えば、少なくとも1週間維持する)ように構成された賦形剤など、任意の有用な成分または組成物を含み得る。賦形剤は、1つ以上のバクテリオファージを含む固体、液体またはゲル製剤を増量するための物質を含み得る。いくつかの例では、物質は、例えば、溶解性を増強すること、溶解を減少もしくは増加させること、安定性を増強すること、皮膚またはその一部(例えば、角質層)への浸透を増加させること、バクテリオファージ活性を増大させることなどによって、1つ以上のバクテリオファージに治療的増強を付与し得る。いくつかの例では、賦形剤は、1つ以上のバクテリオファージをカプセル封入し得る1つ以上のリポソームまたは親油性部分(例えば、ミセル、ビシクル)を含み得る。賦形剤または賦形剤の物質は、組成物の特性、例えば粘度を変化させるために使用され得る。物質は、治療剤の特性、例えば、バイオアベイラビリティ、吸収、親水性、疎水性、薬物動態などを変化させるために使用され得る。賦形剤は、結合剤、抗接着剤、コーティング、崩壊剤、流動促進剤(例えば、シリカゲル、タルク、炭酸マグネシウム)、潤滑剤、保存剤、吸着剤、甘味料、ビヒクル、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、賦形剤は、粉末、鉱物、金属、糖(例えば、糖類または多糖類)、糖アルコール、天然に存在するポリマー(例えば、セルロース、メチルセルロース)合成ポリマー(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン)、アルコール、増粘剤、デンプン、高分子(例えば、脂質、タンパク質、炭水化物、核酸分子)などを含み得る。
【0055】
製剤は、皮膚状態(例えば、老化、座瘡)を治療するための追加の成分を含み得る。例えば、製剤は、これらに限定されないが、レチノイド(ビタミンA誘導体)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、アスコルビン酸(ビタミンC)、皮膚活性ペプチド、タンパク質またはペプチド(例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、またはそれらの誘導体)、植物成長因子、例えばカイネチン、ユビキノン(コエンザイムQ10)などを含む、1つ以上の抗老化成分を含み得る。代替的または追加的に、製剤は、1つ以上の抗炎症剤、例えば抗ヒスタミン薬、サリチル酸塩などを含み得る。いくつかの例では、製剤は、1つ以上の抗座瘡剤、例えば過酸化ベンゾイル、サリチル酸、プロバイオティクス、抗生物質、抗真菌剤を含み得る。
【0056】
皮膚症状:バクテリオファージ混合物または製剤を使用して、特定のマイクロバイオームサブタイプ(例えば、細菌株など特定の微生物、または微生物の組み合わせ)によって引き起こされ得るか、またはそれに関連し得る皮膚症状を治療することができる。例えば、本明細書中に記載される製剤を使用して、座瘡、炎症、発赤、湿疹、酒さ、毛包の孔径の拡大、皮膚のきめの荒れ、経表皮水分蒸散量の増加、皮膚乾燥、皮膚の変色(例えば、色素沈着過剰)、皮膚またはその一部(角質層、真皮、他)の不均衡な弾性を治療することができる。製剤は、皮膚状態に関連する1つ以上の微生物、例えば座瘡に関連し得るアクネ菌または黄色ブドウ球菌を溶解するか、またはその増殖を阻害することができる1つ以上のバクテリオファージを含み得る。
【0057】
微生物バリアント:本明細書に記載されるように、皮膚試料は、皮膚状態(例えば、座瘡、湿疹、発赤など)に関連する1つ以上の微生物を含み得る。したがって、バクテリオファージ混合物および製剤は、皮膚状態に関連し得る皮膚微生物の種またはバリアントのいずれかを標的とし得る。例えば、1つまたは複数のバクテリオファージは、細菌、例えば放線菌(Actinobacteria)、ファーミキューテス(Firmicutes)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、バクテロイデス(Bacteroidetes)門からの細菌を標的とし得る。1つ以上の微生物は、いくつかの例では、キューティバクテリウム属細菌(例えば、アクネ菌、C.namnatense、C.avidum)、ブドウ球菌細菌(例えば、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、S.warneri、化膿レンサ球菌、S.ミティス(mitis))、コリネバクテリウム属細菌、アシネトバクター属細菌(例えば、A.ジョンソニー(johnsonii))、シュードモナス属細菌(例えば、緑膿菌)、他の細菌、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの例では、1つまたは複数のバクテリオファージは、真菌微生物を標的化することができ、真菌微生物は、限定されないが、酵母、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、トルロプシス属およびトリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、皮膚糸状菌、例えばミクロスポルム・ギプセウム(Microsporum gypseum)および紅色白癬菌、ならびに非皮膚糸状菌真菌、例えばリゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、フザリウム、スコプラリオプシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevacaulis)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、ペシロマイセス、黄色アスペルギルスおよびペニシリウムを含む。1つ以上のバクテリオファージは、微生物の組み合わせを標的とし得る。そのような組み合わせは、例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように、宿主域アッセイを使用して決定され得る。
【0058】
キット:対象から試料(例えば、皮膚試料)を得るためのキットも、本明細書で提供される。そのようなキットは、例えば、テープパッチもしくはストリップなどの試料コレクタ、スワブ、ワイプ、他、または任意の他の有用なコレクタを含み得る。キットは、試料または試料コレクタを保持するための容器またはコンテナ、および任意選択で、試薬、例えば安定化剤、緩衝液、保存剤、固定剤、pH平衡試薬などを含み得る。キットは、試料収集、保存、輸送、処理などについての説明書をさらに含み得る。
【0059】
システム:いくつかの態様では、本明細書に開示されるのは、試料(例えば、皮膚試料)からマイクロバイオームのタイプを決定するためのシステムであって、システムは、ショットガンメタゲノム配列決定を行うように構成されたシーケンサーと、配列リードのセットを処理してマイクロバイオームのタイプを決定するように構成された、1つ以上のプロセッサとを含む。
【0060】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図3は、ショットガンメタゲノム配列決定からの配列リードを分析または処理するようにプログラム、さもなければ構成されたコンピュータシステム301を示す。コンピュータシステム301は、例えば、クラスタリング分析を実施し、形質転換を実施し、配列リードを標準または陰性対照へ正規化するなど、本開示の配列リードのプロセシングの様々な態様を調節することができる。コンピュータシステム301は、ユーザの電子デバイス、または電子デバイスに関して遠隔に配置されたコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであり得る。
【0061】
コンピュータシステム301は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」とも)305を含み、それは、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム301はまた、メモリまたはメモリ位置310(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ)と、電子記憶装置315(例えば、ハードディスク)と、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース320(例えば、ネットワークアダプタ)と、キャッシュ、他のメモリ、データストレージ、および/または電子ディスプレイアダプタなどの周辺装置325とを含む。メモリ310、記憶装置315、インターフェース320および周辺装置325は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU305と通信する。記憶装置315は、データを記憶するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム301は、通信インターフェース320の助けを借りてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)330に動作可能に連結することができる。ネットワーク330は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信するイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであり得る。ネットワーク330は、場合によっては、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク330は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にし得る、1つまたは複数のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク330は、場合によっては、コンピュータシステム301の助けを借りて、コンピュータシステム301に連結されたデバイスがクライアントまたはサーバとして動作することを可能にし得る、ピアツーピアネットワークを実装することができる。
【0062】
CPU305は、プログラムまたはソフトウェアで具現化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ310などのメモリ位置に格納することができる。命令は、CPU305に向けることができ、続いて、本開示の方法を実施するようにCPU305をプログラム、さもなければ構成することができる。CPU305によって実行される動作の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを含むことができる。
【0063】
CPU305は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム301の1つ以上の他の構成要素を回路に含めることができる。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0064】
記憶装置315は、ドライバ、ライブラリーおよび保存されたプログラムなどのファイルを格納することができる。記憶装置315は、ユーザデータ、例えば、ユーザプレファレンスおよびユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム301は、場合によってはコンピュータシステム301の外部にある、例えばイントラネットまたはインターネットを介してコンピュータシステム301と通信する遠隔サーバ上に位置する、1つまたは複数の追加のデータ記憶装置を含むことができる。
【0065】
コンピュータシステム301は、ネットワーク330を介して1つまたは複数の遠隔コンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム301は、ユーザの遠隔コンピュータシステムと通信することができる。遠隔コンピュータシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末が含まれる。ユーザは、ネットワーク330を介してコンピュータシステム301にアクセスすることができる。
【0066】
本明細書に記載の方法は、コンピュータシステム301の電子記憶場所、例えばメモリ310または電子記憶装置315などに記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能コードまたは機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ305によって実行することができる。場合によっては、コードは、記憶装置315から取り出され、プロセッサ305による容易なアクセスのためにメモリ310に記憶され得る。いくつかの状況では、電子記憶装置315を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ310に記憶される。
【0067】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械で使用するために、事前コンパイルおよび構成することができ、または実行時間中にコンパイルすることができる。コードはプログラミング言語で供給することができ、それは、コードが事前コンパイルされた様式またはコンパイルされるままの様式で実行できるように選択され得る。
【0068】
コンピュータシステム301など、本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングにおいて具現化することができる。本技術の様々な態様は、典型的には機械(またはプロセッサ)実行可能コード、および/またはある種の機械可読媒体上に載せられる、もしくはそこで具現化される関連データの形態の「製品」または「製造物品」と考えることができる。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に記憶することができる。「記憶」タイプの媒体は、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、または様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの関連モジュールのいずれかまたはすべてを含むことができ、それらは、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的記憶を提供することができる。ソフトウェアの全部または一部は、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワークを介して通信され得る。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのロードを可能にすることができる。したがって、ソフトウェア要素を載せることができる別のタイプの媒体は、ローカルデバイス間の物理インターフェースを超えて、有線および光固定電話回線ネットワークを通して、および様々なエアリンクにわたって使用されるような、光波、電気波、および電磁波を含む。有線または無線リンク、光リンクなど、そのような波を搬送する物理的要素もまた、ソフトウェアを載せる媒体と考えることができる。本明細書で使用される場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械の「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。
【0069】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性記憶媒体は、光学または磁気ディスク、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用され得る任意のコンピュータ等の記憶装置のいずれかを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリを含む。有形伝送媒体は同軸ケーブル;コンピュータシステム内にバスを備えるワイヤを含む、銅ワイヤおよび光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気もしくは電磁信号、または音もしくは光波、例えば高周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるもの形態をとることができる。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を搬送する搬送波、そのような搬送波を搬送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためにプロセッサに搬送することに関与することができる。
【0070】
コンピュータシステム301は電子ディスプレイ335を含み、電子ディスプレイ335は、例えば、配列リードアライメント、ビニング、クラスタリング、標準または対照に対する正規化などを提供するためのユーザインターフェース(UI)340を含むか、またはそれと通信することができる。UIの例には、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザインターフェースが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実施することができる。アルゴリズムは、中央処理装置305による実行を受けて、ソフトウェアによって実施され得る。アルゴリズムは、例えば、配列リードをプロセシング、例えば、アライメント、ビニング、アセンブル、正規化、クラスタリング、形質転換、分類学的プロファイリングなどをすることができる。
【0072】
[実施例]
[予言的実施例1]
アクネ菌に感染するバクテリオファージを同定するためのファージ宿主域アッセイ
バクテリオファージ宿主域アッセイを使用して、インビトロで所与のバクテリオファージに感受性である宿主または宿主細胞群(例えば、細菌細胞)を決定することができる。いくつかの例では、アクネ菌細菌に感染するバクテリオファージを同定することが有用であり得る。そのためには、アクネ菌株を培養し、ファージ宿主域アッセイプレートまたは複数のプレートに分配し、バクテリオファージと接触させることができる。ファージ宿主域アッセイでの(例えば、一連のアッセイの各アッセイからの)細菌-バクテリオファージ混合物は、場合により培養またはインキュベートすることができる。配列決定(例えば、メタゲノムショットガン配列決定)を細菌-バクテリオファージ混合物に対して行って、各混合物中に存在するバクテリオファージおよび/または細菌の同一性を決定することができる。
【0073】
宿主域アッセイプレート上でバクテリオファージプラークから抽出されたDNAの配列決定(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定)を使用して、1つ以上のバクテリオファージを同定することができる。プレート上で増殖する細菌から抽出されたDNAの配列決定(例えば、ショットガンメタゲノム配列決定)を使用して、アクネ菌株を同定することができる。いくつかの例では、バクテリオファージプラーク、およびプレート上で増殖する細菌の両方からDNAが抽出される。いくつかの例では、例えば陽性対照として、または配列計数を正規化するために、内部DNA標準を含めることが有益であり得る。例えば、配列決定の前に、既知の配列のDNA標準を試料(例えば、バクテリオファージまたは細菌から抽出されたDNAを含有する試料)にスパイクすることができる。配列決定の後、陽性対照リードの存在は、配列決定が正確に行われたことを検証するのに役立ち得る。いくつかの例では、内部DNA標準を使用して配列決定計数を正規化または定量することができる。例えば、内部DNA標準を既知の濃度で試料にスパイクすることができ、その後の配列決定リード計数を開始既知濃度に基づいて正規化して、得られた配列のそれぞれの相対量または絶対量を決定することができる。
【0074】
配列決定データ(例えば、配列リード)を、本明細書に記載されるようにさらにプロセシングまたは分析して、例えば宿主域パターンに関連するバクテリオファージの遺伝因子を同定することができる。例えば、1つ以上のクラスタリング分析を行って、所与のアクネ菌株に感染することができるバクテリオファージに共通の配列セグメントを決定することができる。したがって、決定された配列セグメントは、アクネ菌を溶解することができるバクテリオファージまたはバクテリオファージタイプを同定するのに有用であり得る。
【0075】
[予言的実施例2]
皮膚マイクロバイオームのタイプまたはサブタイプの決定
本明細書に記載の方法、システムおよびキットは、対象からのマイクロバイオームのタイプまたはサブタイプの決定、および対象の状態を治療することができるバクテリオファージを含む組成物の投与において有用であり得る。
【0076】
一例では、(例えば、本明細書中に記載されるキットを使用して)皮膚試料を対象から得ることができる。対象は、皮膚状態(例えば、座瘡)を有していてもよいし、有していることが疑われてもよい。皮膚試料をさらにプロセシングして、例えば皮膚試料からDNAを抽出することができる。抽出したDNAに内部標準を添加してもよい。抽出されたDNAは、対象のマイクロバイオームのタイプまたはサブタイプを決定するために使用され得る、配列決定(例えば、メタゲノムショットガン配列決定)に供され得る。例えば、配列決定されたDNAは、1つ以上のアクネ菌細菌、または皮膚状態(例えば、座瘡)に関連し得る他の細菌株の存在を示し得る。各細菌の相対的存在量は、内部標準からの配列リードを参照して決定され得る。その後、1つ以上のバクテリオファージを含む組成物を対象に投与することができる。1つ以上のバクテリオファージは、皮膚試料中に存在する細菌株に感染して溶解することができるバクテリオファージを含み得る。例えば、1つ以上のアクネ菌細菌を含む皮膚試料の場合、皮膚症状(例えば、座瘡)の治療に有用であり得る、アクネ菌細菌を溶解することができる1つ以上のバクテリオファージを対象に投与することができる。いくつかの例では、組成物は、同じアクネ菌株を溶解することができる2つ以上のバクテリオファージを含み得、これは細菌耐性の低減に役立ち得る。いくつかの例では、組成物は、異なるアクネ菌溶解することができる2つ以上のバクテリオファージを含み得る。いくつかの例では、バクテリオファージカクテルを投与して、皮膚状態に関連する1つ以上の細菌株を標的とすることができる。1つ以上のバクテリオファージは、皮膚状態(例えば、座瘡)に関連する細菌株を特異的に標的とすることができ、皮膚の状態に関連しない他の細菌(例えば、C.グラニュローサム(C.granulosum))を標的としない。1つ以上のバクテリオファージを含むそのような組成物の対象への投与は、皮膚状態の治療に有用であり得る。
【0077】
[実施例3]
アクネ菌、C.namnatense、およびC.グラニュローサム(granulosum)に対するバクテリオファージ宿主域アッセイ
本明細書に記載される通り、バクテリオファージ宿主域アッセイを使用して、インビトロで所与のバクテリオファージに感受性である宿主または宿主細胞群(例えば、細菌細胞)を決定することができる。
【0078】
バクテリオファージ宿主域アッセイプロトコルの実施例を以下のように提供する。
【0079】
1.10mLの溶融上層寒天と500μL未満の推定宿主細菌とを合わせ、12平方cmのペトリ皿内の1.5%寒天培地の固体ベースの上に注ぐことによって、寒天重層ペトリ皿を調製する。
【0080】
2.ファージストックをSM緩衝液で段階希釈する。
【0081】
3.10-1、次いで10-4希釈(または他に選択された何らかの希釈)のファージストック5~10マイクロリットル(μL)を、寒天重層ペトリ皿上の組織化されたグリッドにピペットで入れる。
【0082】
4.種々のファージストックを用いて工程2~3を繰り返す。
【0083】
5.各ファージストック希釈物からの10μLのファージ液滴を上層寒天に吸収させる。
【0084】
6.寒天重層プレートを、宿主細菌に適した増殖条件下でインキュベーターに入れる。
【0085】
7.インキュベーション中に細菌が目に見える菌叢を形成した後、ファージ希釈物を寒天重層ペトリ皿上にピペットで移した箇所で、プラーク形成の発生についてプレートを評価する。
【0086】
8.プラーク形成がファージスポットの一方または両方で見える場合、それに応じてファージ宿主域をスコア化する。
【0087】
図4は、上記のプロトコルを使用して生成されたバクテリオファージ宿主域アッセイの例示的なデータを示す。y軸は96の異なるバクテリオファージを表し、x軸は13の異なる細菌株を表す。x軸の細菌株は、左から右に、株番号100047(C.namnatense株)、100048(アクネ菌亜種defendens株)、100057(C.avidum株)、100069(C.グラニュローサム(granulosum)株)、100085(アクネ菌株)、100088(アクネ菌株)、100111(アクネ菌株)、100119(アクネ菌株)、100124(アクネ菌株)、100126(アクネ菌株)、100132(アクネ菌株)、100144(アクネ菌株)、および100146(アクネ菌株)を表す。アレイの各グリッドは、バクテリオファージ(y軸)と接触させた細菌株(x軸)の単一アッセイを表す。プロットにおいて、各グリッドの密度または強度は、バクテリオファージタイプからの細菌株の死滅または増殖阻害を表す。白い四角は、バクテリオファージが細菌株に感染していないことを示す。黒い四角は、バクテリオファージが細菌株に感染していることを示す。
【0088】
図4で観察され得る通り、11のバクテリオファージ以外のすべてがCnamnatense株に感染せず(1段目)、3つのバクテリオファージ以外のすべてがCgranulosum株に感染しない(4段目)。ファージの多くは、複数のアクネ菌株に感染する。有用な特性(例えば、アクネ菌株およびC.namnatenseのほとんどまたはすべてに感染するが、C.グラニュローサム(granulosum)には感染しない)を有するバクテリオファージは、例えば、座瘡を治療するための製剤に含めるために選択され得る。
【0089】
全体として、宿主域データは、特定の細菌株の溶解、または再増殖の防止に有効なバクテリオファージを決定するのに有用であり得る。さらに、宿主域データは、1つ以上の細菌株の溶解、または再増殖の防止のためのバクテリオファージの組み合わせを選択するのに有用であり得る。例えば、宿主域データは、同じまたは異なるアクネ菌株を溶解することができる2つ以上のバクテリオファージを決定するのに有用であり得(例えば、バクテリオファージ1~13はすべて、アクネ菌株100048を溶解することができる)、バクテリオファージのこのような組み合わせは、バクテリオファージの1つに耐性であるバリアント株の出現を防止するのに有用であり得る。代替え的または追加的に、2つ以上のバクテリオファージは、C.グラニュローサム(granulosum)などの他の細菌タイプに感染しない、またはそれを溶解しないなど、他の好ましい特性を有し得る。別の例では、宿主域データは、単独でまたは組み合わせて、群内のすべての細菌種に感染する2つ以上のバクテリオファージを決定するのに有用であり得る。例えば、バクテリオファージ13と58との組み合わせは、すべての試験されたアクネ菌株を溶解することができ、13と58と87との組み合わせは、すべての試験されたアクネ菌およびC.namnatense株を溶解することができる。バクテリオファージの特に有益な組み合わせには、バクテリオファージ2、3、7、8、9、11、67、69、85、87および96が含まれる。
【0090】
バクテリオファージおよび/または細菌株をさらに特徴付けるために、(本明細書の他の箇所に記載されているように)1つまたは複数のDNA標準を含んでもよい、バクテリオファージプラークから抽出されたDNAの配列決定を行うことができる。配列決定のためにバクテリオファージプラークを調製する例示的なプロトコルは以下の通りである。
【0091】
1.ブロス培地中でファージストックを調製する。
【0092】
1.細菌の指数増殖期中にファージを添加することによって、感受性細菌培養物を溶解する
2.低速で遠心分離し、ファージを含む上清を保持することによって、大部分の細菌バイオマスを溶解物から除去する
3.清澄化された溶解物を0.2umフィルターで濾過して、ファージストックを滅菌する
2.ファージストックからDNAを抽出する。
【0093】
1.ファージストックをDNAseとインキュベートすることによって外因性DNAを除去する
2.DNAseを除去し、プロテイナーゼKおよびSDSと共にインキュベートすることによってファージキャプシドを消化する
3.市販のシリカ-カラムDNAクリーンアップキットに充填し、80%エタノールで洗浄することによってDNAを精製する
3.Illumina Nextera XTまたはTruSeqキットなどの市販のDNA配列決定ライブラリー調製キットの1つを使用して、精製DNAからDNAライブラリーを調製する。
【0094】
4.DNAライブラリーの品質をアッセイし、配列決定装置にロードする。
【0095】
5.DNA配列決定リードを、ファージゲノムを表す単一のコンティグにアセンブルする。
【0096】
配列決定データ(例えば、配列リード)を、本明細書に記載されるようにさらにプロセシングまたは分析して、例えば宿主域パターンに関連するバクテリオファージの遺伝因子を同定することができる。例えば、1つ以上のクラスタリング分析を行って、所与のキューティバクテリウム株に感染することができるバクテリオファージに共通の配列セグメントを決定することができる。したがって、決定された配列セグメントは、選択キューティバクテリウム株を溶解することができるバクテリオファージまたはバクテリオファージタイプを同定するのに有用であり得る。
【0097】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図しない。本発明を前述の明細書を参照して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明および例示は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が思い浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成または相対的な割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明の実施において使用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のそのような代替形態、修正形態、変形形態または均等物も包含すると考えられる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物がそれによって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】