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特表2024-512500改善された空気濾過ユニットを有する、移動式空気濾過患者隔離システム、移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム、および移動式室内空気濾過システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】改善された空気濾過ユニットを有する、移動式空気濾過患者隔離システム、移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム、および移動式室内空気濾過システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/16 20060101AFI20240312BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61L9/16
A61L9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557383
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022021126
(87)【国際公開番号】W WO2022198123
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,238
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】512121783
【氏名又は名称】フィパック・リサーチ・アンド・ディベロップメント・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】オービル,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】オービル,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】エリー,セドリック
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA10
4C180DD03
4C180DD09
4C180HH05
4C180HH11
4C180KK01
4C180KK05
4C180MM06
4C180MM10
(57)【要約】
移動式空気濾過隔離システムおよびこのシステムを使用する方法であって、このシステムが、基部と、基部から上方に延在するフレームと、フレームに設置された空気濾過ユニットと、エンクロージャを形成することを目的として、空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテンと、を備える。方法は、患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを配置するステップと、エンクロージャから空気を引き出すために空気濾過ユニットを動作させるステップと、を含むことができる。
【選択図】図9E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式空気濾過隔離システムであって、
基部と、
前記基部から上方に延在するフレームと、
前記フレームに取り付けられる空気濾過ユニットと、
エンクロージャを形成するように、前記空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテンと、
を備える、移動式空気濾過隔離システム。
【請求項2】
前記基部が、前記基部を床の上で旋回させるのを可能にするための少なくとも1つホイールを備える、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項3】
前記フレームが、前記基部に取り付けられる底部端部と、前記空気濾過ユニットに取り付けられる頂部端部と、を有する少なくとも1つの垂直ライザを備える、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの垂直ライザが、前記空気濾過ユニットの高さを調整するのを可能にするために上方および下方に選択的に伸縮させられるように構成される、請求項3に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項5】
前記垂直ライザの前記頂部端部が頂部支持体を備え、
さらに、前記空気濾過ユニットが前記頂部支持体に取り付けられる、
請求項3に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項6】
前記空気濾過ユニットが直立位置と折り畳み位置との間で移動させられ得るように、前記空気濾過ユニットが前記フレームにヒンジ式に取り付けられる、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項7】
前記基部が直立位置と折り畳み位置との間で移動させられ得るように、前記基部が前記フレームにヒンジ式に取り付けられる、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのカーテンが可撓性である、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのカーテンが前記空気濾過ユニットに取り外し可能に固定される、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項10】
前記空気濾過ユニットが、前記エンクロージャから空気を引き出すように、および、引き出した前記空気を浄化するように、構成される、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項11】
前記空気濾過ユニットがフィルターを備える、請求項10に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項12】
前記フィルターが、化学物質、ウイルス、微生物、薬物、液滴、および粒子からなる群から選択される少なくとも1つを捕捉するように構成される、請求項11に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項13】
前記空気濾過ユニットが、前記フィルターを殺菌するように構成されたUV光源を備える、請求項11に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項14】
前記空気濾過ユニットに電力供給するためのバッテリーをさらに備える、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項15】
前記空気濾過ユニットが監視および制御システムに無線接続される、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項16】
前記空気濾過ユニットが、(i)化学物質の存在、(ii)生物製剤の存在、および(iii)前記空気濾過ユニットの適切な機能、のうちの少なくとも1つを監視するためのセンサを備える、請求項1に記載の移動式空気濾過隔離システム。
【請求項17】
患者を隔離するための移動式空気濾過隔離システムであって、
基部と、
前記基部から上方に延在するフレームと、
前記フレームに取り付けられる空気濾過ユニットと、
患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを形成するように、前記空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテンと、
を備える、移動式空気濾過隔離システム。
【請求項18】
部屋から空気を引き出すこと、引き出した前記空気を浄化すること、および次いで浄化した前記空気を前記部屋の中に戻すこと、のための空気濾過ユニットであって、ハウジングを備え、前記ハウジングが、
前記ハウジングに形成された空気入口と、
前記ハウジングに形成された空気出口と、
前記ハウジングを通って延在して前記空気入口を前記空気出口に接続する通路と、
前記通路内の空気を浄化するための、前記通路に配設されたフィルターと、
空気を、前記フィルターを通して前記部屋から前記空気入口に引き入れるためのおよび前記空気出口から前記部屋へ出すための、前記通路内に配設された吸気ファンと、
前記フィルターを殺菌するための紫外線(UV)光源と、
を備える、空気濾過ユニット。
【請求項19】
前記フィルターが、化学物質、ウイルス、微生物、薬物、液滴、および粒子からなる群から選択される少なくとも1つを捕捉するように構成される、請求項18に記載の空気濾過ユニット。
【請求項20】
前記吸気ファンおよび前記フィルターのうちの少なくとも一方の適切な機能を監視するための少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項18に記載の空気濾過ユニット。
【請求項21】
(i)前記部屋の中の化学物質の存在、(ii)前記部屋の中の生物製剤の存在、および(iii)前記部屋の中の二酸化炭素の濃度、のうちの少なくとも1つを監視するための少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項18に記載の空気濾過ユニット。
【請求項22】
患者を隔離するための方法であって、前記方法が、
部屋の中の患者を隔離するための移動式空気濾過隔離システムであって、
基部、
前記基部から上方に延在するフレーム、
前記フレームに取り付けられる空気濾過ユニット、ならびに、
患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを形成するように、前記空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテン、
を備える、移動式空気濾過隔離システムを提供するステップと、
前記患者の前記頭部および前記胴体の周りに前記エンクロージャを配置するステップと、
前記エンクロージャから空気を引き出すこと、引き出した前記空気を浄化すること、および浄化した前記空気を前記部屋に戻すことのために、前記空気濾過ユニットを動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記患者が病院用ベッドに居る、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記空気濾過ユニットを動作させる間において前記患者に薬物を供給するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記空気濾過隔離システムが前記患者の頭部および胴体の周りに前記エンクロージャを配置するための直立位置、ならびに前記空気濾過隔離システムを保管するための折り畳み位置まで移動させられ得るように、前記空気濾過ユニットが前記フレームにヒンジ式に取り付けられ、前記基部が前記フレームにヒンジ式に取り付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのカーテンが前記空気濾過ユニットに取り外し可能に固定される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
部屋を浄化するための方法であって、前記方法が、
ハウジングを備える空気濾過ユニットを提供するステップであって、前記ハウジングが、
前記ハウジングに形成された空気入口、
前記ハウジングに形成された空気出口、
前記ハウジングを通って延在して前記空気入口を前記空気出口に接続する通路、
前記通路内の空気を浄化するための、前記通路に配設されたフィルター、
空気を、前記フィルターを通して前記部屋から前記空気入口に引き入れるためのおよび前記空気出口から前記部屋へ出すための、前記通路内に配設された吸気ファン、ならびに、
前記フィルターを殺菌するための紫外線(UV)光源、
を備える、空気濾過ユニットを提供するステップと、
前記部屋から空気を引き出すこと、引き出した前記空気を浄化すること、および浄化した前記空気を前記部屋に戻すことのために、前記空気濾過ユニットを動作させるステップと、
を含む方法。
【請求項28】
前記フィルターが、化学物質、ウイルス、微生物、薬物、液滴、および粒子からなる群から選択される少なくとも1つを捕捉するように構成される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記吸気ファンおよび前記フィルターのうちの少なくとも一方の適切な機能を監視するための少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
(i)前記部屋の中の化学物質の存在、(ii)前記部屋の中の生物製剤の存在、および(iii)前記部屋の中の二酸化炭素の濃度、のうちの少なくとも1つを監視するための少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
(i)前記部屋の中の化学物質の存在、(ii)前記部屋の中の生物製剤の存在、および(iii)前記部屋の中の二酸化炭素の濃度、のうちの少なくとも1つを考慮するために前記空気濾過ユニットの動作を修正するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フィルターを殺菌するために前記UV光源を使用するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
係属中の先行特許出願の参照
本出願は、
(i)「METHOD AND APPARATUS FOR ENSURING AIR QUALITY IN A BUILDING,INCLUDING METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING A WORKING DEVICE USING A HANDHELD UNIT HAVING SCANNING,NETWORKING,DISPLAY AND INPUT CAPABILITY」と題される、FIPAK Research And Development Companyにより2021年9月14日に出願した係属中の先行米国仮特許出願第号17/474,445号(代理人整理番号FIPAK-18CON3)の継続出願であり、この特許出願がさらに、「METHOD AND APPARATUS FOR ENSURING AIR QUALITY IN A BUILDING,INCLUDING METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING A WORKING DEVICE USING A HANDHELD UNIT HAVING SCANNING,NETWORKING,DISPLAY AND INPUT CAPABILITY」と題される、FIPAK Research And Development Companyにより2020年1月7日に出願した先行米国特許出願第16/736、104号(代理人整理番号FIPAK-18 CON2))の継続出願であり、この特許出願がさらに、「METHOD AND APPARATUS FOR ENSURING AIR QUALITY IN A BUILDING,INCLUDING METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING A WORKING DEVICE USING A HANDHELD UNIT HAVING SCANNING,NETWORKING,DISPLAY AND INPUT CAPABILITY」と題される、FIPAK Research And Development Companyにより2017年7月3日に出願した先行米国特許出願第15/640,725号(代理人整理番号FIPAK-18 CON)の継続出願であり、この特許出願がさらに、「METHOD AND APPARATUS FOR ENSURING AIR QUALITY IN A BUILDING,INCLUDING METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING A WORKING DEVICE USING A HANDHELD UNIT HAVING SCANNING,NETWORKING,DISPLAY AND INPUT CAPABILITY」と題される、FIPAK Research And Development Companyにより2015年3月2日に出願した先行米国特許出願第14/635,206号(代理人整理番号FIPAK-18)の継続出願であり、この特許出願がさらに、
(A)「METHOD AND APPARATUS FOR MONITORING AND ENSURING AIR QUALITY IN A BUILDING」と題される、FIPAK Research And Development CompanyおよびStephan Hauvilleらにより2014年5月19日に出願した先行米国特許出願第14/281,416号(代理人整理番号FIPAK-16)の一部継続出願であり、この特許出願がさらに、「METHOD AND APPARATUS FOR HANDLING AIR IN A LABORATORY BUILDING」と題される、FIPAK Research And Development CompanyおよびStephan Hauvilleらにより2013年5月18日に出願した先行米国仮特許出願第61/824,997号(代理人整理番号FIPAK-16 PROV)の利益を主張するものであり、
米国特許出願第14/635,206号がさらに、(B)「METHOD AND APPARATUS FOR HANDLING AIR IN A LABORATORY BUILDING」と題される、FIPAK Research And Development CompanyおよびStephan Hauvilleらにより2014年2月28日に出願した先行米国仮特許出願第61/946,292号(代理人整理番号FIPAK-18 PROV)の利益を主張するものであり、
本出願がさらに、(ii)「MOBILE AIR FILTERING PATIENT ISOLATION SYSTEM,MOBILE AIR-FILTERING BENCHTOP ISOLATION SYSTEM,AND MOBILE ROOM AIR-FILTERING SYSTEM,INCLUDING IMPROVED AIR FILTRATION UNIT」と題される、FIPAK Research And Development CompanyおよびStephane Hauvilleらにより2021年3月19日に出願した係属中の先行米国仮特許出願第63/163,238号(代理人整理番号FIPAK-29 PROV)の利益を主張するものである。
【0002】
上で特定された8つの特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して、空気濾過システムに関し、より詳細には、新規の空気濾過患者隔離システム(air filtering patient isolation system)、新規の空気濾過ラボラトリ隔離システム、および新規の室内空気濾過システムに関し、改善された空気濾過ユニットを含む。
【背景技術】
【0003】
現在、世界は、SARS-CoV-2ウイルスの発生を原因とする世界的パンデミックの最中ある。この死のおそれのある伝染性の高いウイルスは、主として、空気中の人から人への経路を介して広まると考えられている。結果として、一般に、可能な限り、ウイルスに感染した人々を、ウイルスに感染していない人々から隔離すること望ましい。ソーシャルディスタンス、マスクの使用、および高頻度の手の消毒が、ウイルスの広がりを低減するための効果的なテクニックであることが分かっている。
【0004】
多くの事例において、SARS-CoV-2ウイルスに罹患した患者は入院しなければならない。これにより大きな問題が露わになっている。というのは、感染患者が、医療従事者、他の患者などにとっての有意なリスクをもたらすからである。同時に、感染患者は、一般に、医療従事者からの有意なケアを必要とし、例えば人工呼吸器などの、非常に高度な医療設備への実質的なアクセスを必要とする。病院の特別なセクション(例えば、室内空気を常に洗浄する陰圧室)にこれらの感染患者を隔離するという努力が行われてきたが、病院のこれらの特別なセクションは、通常、ウイルス診断を行うポイント(例えば、緊急治療室)から遠隔のところに位置し、病院のこれらの特別なセクションは収容能力が制限される。したがって、患者がウイルスを有すると診断されると、患者は最初に、診断時にいた場所(例えば、緊急治療室)から病院の特別なセクション(例えば、陰圧室)まで移動させられなければならず、この移送は、理想的には、患者移送中にウイルスの広がりを防止するために患者を完全なエンクロージャ「スーツ」の中に入れた状態で行われる。これにより、患者移送は、最善の条件下でも、面倒で、時間を要するものとなる。さらに、これは病院の特別なセクション(例えば、陰圧室)内において感染患者のためのベッドが利用可能であることを前提としているが、これは多くの事例において当て嵌まらず、特にはウイルスの症状の数がピークである場合に当て嵌まらない。結果として、多くの患者が病院の非隔離セクション(例えば、一般病室または一般病棟)の中に収容されなければならない。残念ながら、これにより、医療従事者、非感染患者、などから感染患者を隔離することが非常に困難となる。
【0005】
したがって、一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得る空気濾過患者隔離システムを提供することが望ましく、その結果、感染患者がその周囲から安全に隔離され得るようになり、それにより医療従事者、非感染患者などを保護することができるようになる。理想的には、これらの空気濾過患者隔離システムは、病院のいたるところに迅速に配備され得るように、また特には病院が殺到する感染患者を扱う場合にも迅速に配備され得るように、移動式であるべきである。
【0006】
上記に加えて、多くの状況で、患者は、空中浮遊し得る、さらには、医療従事者、他の患者などにとってのリスクを呈し得る(高リスク薬物が、医療従事者、他の患者などに接触する場合)、高リスク薬物を用いて治療される必要がある可能性がある。
【0007】
したがって、一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得る空気濾過患者隔離システムを提供することが望ましく、その結果、このような高リスク薬物を用いて治療される患者がその周囲から安全に隔離され得るようになり、それにより、医療従事者、他の患者などを、高リスク薬物に対しての暴露から保護することができるようになる。理想的には、これらの空気濾過患者隔離システムは、病院のいたるところに迅速に配備され得るように、移動式であるべきである。
【0008】
上記に加えて、多くの状況で、有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)は従事者(personnel)によって取り扱われなければならない。限定しないが例として、科学者は、ラボラトリ環境内で危険な化学物質および/または生物製剤を頻繁に取り扱う必要がある。この環境では、有害物質を換気フード内で取り扱うようにする隔離チャンバ(例えば、換気フード)をラボラトリ内に提供することが一般的である。このような換気フードは、通常、ダクト付き換気フードおよびダクトレス換気フードを含む。ダクト付き換気フードは高価である。その理由は、ダクト付き換気フードが建物内に据え付けられることになるダクト構造を必要とするからであり、さらには、ダクト付き換気フードが、換気フードの中から外部環境へと空気を排出し、それにより夏季中では冷却空気に含まれる「エネルギー」が浪費され得るようになり、冬季中では温められた空気に含まれる「エネルギー」が浪費され得るようになる、からである。ダクトレス換気フードはより経済的である。その理由は、ダクトレス換気フードがダクト構造の必要性を排除するからであり、さらには、ダクトレス換気フードが換気フードの中からラボラトリに戻すように空気を排出し(つまり、適切な治療の後で)、それにより夏季中では冷却空気に含まれる「エネルギー」が保存されるようになり、冬季中では温められた空気に含まれる「エネルギー」が保存されるようになる、からである。しかし、このようなダクトレス換気フードも多額の投資を必要とし、ダクトレス換気フードは移動させるのに注意が必要であり、また、セットアップするのに専門知識が必要であり、それにより要求に応じて追加の隔離チャンバを迅速かつ容易に提供することが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ラボラトリ内に容易に配備され得る空気濾過ラボラトリ隔離システムを提供することが望ましく、その結果、ベンチトップがその周囲から安全に隔離され得るようになり、それによりラボラトリの従事者を有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)から保護することができるようになる。理想的には、これらの空気濾過ラボラトリ隔離システムは、ラボラトリまたは建物のいたるところに迅速に配備され得るように、また特には要求に応じて追加の隔離チャンバを迅速かつ容易に提供することが必要である場合にも迅速に配備され得るように、移動式であるべきである。
【0010】
上記に加えて、多くの状況で、室内空気のための濾過を実現することが望ましいこととなり得る。限定しないが例として、現在のSARS-CoV-2パンデミックでは、室内空気のための適切な濾過が、人から人へのウイルスの伝染を最小にするのを支援することができる。限定しないがさらなる例として、有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)が室内で取り扱われなければならない場合、室内空気の適切な濾過が、室内に存在する個人に対してのハザードを最小にすることができる。
【0011】
したがって、例えば伝染性ウイルスからの個人のリスクを低減することまたは室内に存在する可能性がある有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)からの個人のリスクを低減することなどを目的として、室内にいる個人の安全を向上させるための、室内に容易に配備され得る室内空気濾過システムを提供することが望ましい。理想的には、これらの室内空気濾過システムは、建物のいたるところに迅速に配備され得るように、また特には要求に応じて追加の室内空気濾過能力を迅速かつ容易に提供することが必要である場合にも迅速に配備され得るように、移動式であるべきである。
【0012】
上記に加えて、SARS-CoV-2ウイルス、および、他の有害ウイルス、微生物など、に対して人々を保護するための向上した効果を有する改善された空気濾過ユニットを提供することが望ましい。理想的には、これらの改善された空気濾過ユニットが、空気濾過患者隔離システム、空気濾過ラボラトリ隔離システム、室内空気濾過システム、および他の空気濾過システム、の中で使用されるように構成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、感染患者をその周囲から安全に隔離するのを可能にして、それにより医療従事者、非感染患者などを保護するのを可能にするように、一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得る新規の空気濾過患者隔離システムの提供および使用を含む。
【0014】
本発明はさらに、医療従事者、他の患者などを、高リスク薬物に対しての暴露から保護することを目的として、高リスク薬物を用いて治療される患者をその周囲から安全に隔離するのを可能にするように、一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得る新規の空気濾過患者隔離システムの提供および使用を含む。
【0015】
本発明はさらに、ラボラトリの従事者を有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)から保護することを目的として、ベンチトップをその周囲から安全に隔離するのを可能にするように、ラボラトリ内に容易に配備され得る新規の空気濾過ラボラトリ隔離システムの提供および使用を含む。
【0016】
本発明はさらに、例えば伝染性ウイルスからの個人のリスクを低減することまたは室内に存在する可能性がある有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)からの個人のリスクを低減することなどを目的として、室内にいる個人の安全を向上させるための、室内に容易に配備され得る新規の室内空気濾過システムの提供および使用を含む。
【0017】
本発明はさらに、SARS-CoV-2ウイルス、および、他の有害ウイルス、微生物など、に対して人々を保護するための向上した効果を有する改善された空気濾過ユニットの提供および使用を含む。
【0018】
本発明の好適な一形態では、移動式空気濾過隔離システムが提供され、本システムが、
基部と、
基部から上方に延在するフレームと、
フレームに取り付けられる空気濾過ユニットと、
エンクロージャを形成するように、空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテンと、
を備える。
【0019】
本発明の別の好適な形態では、患者を隔離するための移動式空気濾過隔離システムが提供され、本システムが、
基部と、
基部から上方に延在するフレームと、
フレームに取り付けられる空気濾過ユニットと、
患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを形成するように、空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテンと、
を備える。
【0020】
本発明の別の好適な形態では、部屋から空気を引き出すこと、引き出した空気を浄化すること、および次いで浄化した空気を部屋の中に戻すこと、のための空気濾過ユニットが提供され、空気濾過ユニットがハウジングを備え、ハウジングが、
ハウジングに形成された空気入口と、
ハウジングに形成された空気出口と、
上記ハウジングを通って延在して空気入口を空気出口に接続する通路と、
通路内の空気を浄化するための、通路に配設されたフィルターと、
フィルターを通して部屋から空気入口に空気を引き入れるためのおよび空気出口から部屋へ出すための、上記通路内に配設された吸気ファンと、
フィルターを殺菌するための紫外線(UV)光源と、
を備える。
【0021】
本発明の別の好適な形態では、患者を隔離するための方法が提供され、本方法が、
部屋の中の患者を隔離するための移動式空気濾過隔離システムを提供するステップであって、システムが、
基部、
基部から上方に延在するフレーム、
フレームに取り付けられる空気濾過ユニット、ならびに、
患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを形成するように、空気濾過ユニットから下方に延在する少なくとも1つの可撓性カーテン、
を備える、移動式空気濾過隔離システムを提供するステップと、
患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャを配置するステップと、
エンクロージャから空気を引き出すこと、引き出した空気を浄化すること、および浄化した空気を部屋に戻すことのために、空気濾過ユニットを動作させるステップと、
を含む。
【0022】
本発明の別の形態では、部屋を浄化するための方法が提供され、本方法が、
ハウジングを備える空気濾過ユニットを提供するステップであって、ハウジングが、
ハウジングに形成された空気入口、
ハウジングに形成された空気出口、
上記ハウジングを通って延在して空気入口を空気出口に接続する通路、
通路内の空気を浄化するための、通路に配設されたフィルター、
フィルターを通して部屋から空気入口に空気を引き入れるためのおよび空気出口から部屋へ出すための、上記通路内に配設された吸気ファン、ならびに、
フィルターを殺菌するための紫外線(UV)光源、
を備える、空気濾過ユニットを提供するステップと、
部屋から空気を引き出すこと、引き出した空気を浄化すること、および浄化した空気を部屋に戻すことのために、空気濾過ユニットを動作させるステップと、
を含む。
【0023】
同様の符号により同様の部分を示している添付図面と共に考察される本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明により、本発明のこれらのおよび他の目的および特徴がより完全に開示されるかまたはより完全に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図2】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図3】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図4】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図5】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図6】本発明に従って形成された新規の「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図6A】本発明に従って形成された新規の空気濾過ユニットの態様を示す概略図である。
図7】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過隔離システムを示す概略図である。
図8】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過隔離システムを示す概略図である。
図9】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過隔離システムを示す概略図である。
図9A】本発明に従って形成された新規の「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9B】本発明に従って形成された新規の「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9C】本発明に従って形成された新規の「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9D】本発明に従って形成された新規の「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9E】本発明に従って形成された新規の「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9F】本発明に従って形成された新規の「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9G】本発明に従って形成された新規の「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9H】本発明に従って形成された新規の「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図9I】本発明に従って形成された新規の「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システムを示す概略図である。
図10】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを示す概略図である。
図11】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを示す概略図である。
図12】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを示す概略図である。
図13】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを示す概略図である。
図14】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過システムを示す概略図である。
図15】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過システムを示す概略図である。
図16】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過システムを示す概略図である。
図17】本発明に従って形成された新規の「ホイール付き」移動式空気濾過システムを示す概略図である。
図18】本発明に従って形成された別の新規の空気濾過ユニットの態様を示す概略図である。
図19】本発明に従って形成された空気濾過ユニットを制御するためのシステムを示す概略図である。
図20】本発明に従って形成された空気濾過ユニットを制御するためのシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は新しい改善された空気濾過システムを提供する。
より具体的には、本発明の一形態では、一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得る新しい改善された空気濾過患者隔離システムが提供され、その結果、感染患者がその周囲から安全に隔離され得るようになり、それにより医療従事者、非感染患者などを保護することができるようになる。この空気濾過患者隔離システムは、好適には、病院のいたるところに迅速に配備され得るように、また特には病院が殺到する感染患者を扱う場合にも迅速に配備され得るように、移動式である。
【0026】
上記に加えて、本発明の空気濾過患者隔離システムが一般病室または一般病棟の中の一般の病院用ベッドの周りに容易に配備され得、その結果、高リスク薬物を用いて治療される患者がその周囲から安全に隔離され得るようになり、それにより、医療従事者、他の患者などを、高リスク薬物に対しての暴露から保護することができるようになる。この空気濾過患者隔離も同様に、好適には、病院のいたるところに迅速に配備され得るように、移動式である。
【0027】
本発明の一形態では、ラボラトリ内に容易に配備され得る新しい改善された空気濾過ラボラトリ隔離システムが提供され、その結果、ベンチトップ(換言すれば、作業台又は実験台)がその周囲から安全に隔離され得るようになり、それによりラボラトリの従事者を有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)から保護することができるようになる。この空気濾過ラボラトリ隔離システムは、好適には、ラボラトリのいたるところに迅速に配備され得るように、また特には要求に応じて追加の隔離チャンバを迅速かつ容易に提供することが必要である場合にも迅速に配備され得るように、移動式である。
【0028】
本発明の一形態では、例えば伝染性ウイルスからの個人のリスクを低減することまたは室内に存在する可能性がある有害物質(例えば、化学物質、生物製剤など)からの個人のリスクを低減することなどを目的として、室内にいる個人の安全を向上させるための、室内に容易に配備され得る新しい改善された室内空気濾過システムが提供される。この室内空気濾過システムは、好適には、建物のいたるところに迅速に配備され得るように、また特には要求に応じて追加の室内空気濾過能力を迅速かつ容易に提供することが必要である場合にも迅速に配備され得るように、移動式である。
【0029】
本発明の一形態では、SARS-CoV-2ウイルス、および、他の有害ウイルス、微生物など、などに対して人々を保護するための向上した効果を有する改善された空気濾過ユニットが提供される。この改善された空気濾過ユニットが、空気濾過患者隔離システム、空気濾過ラボラトリ隔離システム、室内空気濾過システム、および他の空気濾過システム、の中で使用されるように構成される。
【0030】
1. 移動式空気濾過患者隔離システム
1.1 「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム
本発明の一形態では、ここで図1~3および図4~6を参照すると、新しい「カート設置型」移動式(換言すれば、可動)空気濾過患者隔離システム5が提供される。「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5が、患者が自分のベッド7の中に留まる間において、患者のベッドサイドのところに患者のための「個人用の陰圧チャンバ」を実質的に作り出す。ベッド7が、固定位置の患者用ベッド、ホイール付きの患者用ベッド、ガーニーなどであってよく、ベッド7が、一般病室または一般病棟、野戦病院、患者の家、などの中に位置することができる、ことに留意されたい。
【0031】
「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5が、概して、
移動式カート10と、
移動式カート10から上方に延在するフレーム15と、
フレーム15の要素(後述を参照)と共に患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ(換言すれば、囲い込み部材)25を形成するためにフレーム15から垂れ下がる可撓性透明カーテン20と、
エンクロージャ25の中から空気を引き出すこと、引き出した空気を浄化すること、および次いで浄化した空気を部屋に戻すこと、のための空気濾過ユニット30と、
空気濾過ユニット30をエンクロージャ25の内部に接続するための1つまたは複数の管35と、
を備える。
【0032】
1.2 移動式カート10
移動式カート10がシステム5のための可動性を提供する。移動式カート10が、概して、1つまたは複数の脚部45によって形成された長方形基部40と、移動式カート10(および、システム5の残りの部分)を床の上で旋回させるのを可能にするための、長方形基部40の底部に設置されたホイール50と、を備える。
【0033】
長方形基部40が、空気濾過ユニット30の占有面積より大きい固定の構成を有することができるか(図1~3を参照)、長方形基部40が、空気濾過ユニット30の占有面積と実質的に同じサイズの固定の構成を有することができるか(図4~6を参照)、長方形基部40が別のサイズの固定の構成を有することができるか、または、長方形基部40が可変の構成を有することができ、ここでは、脚部45のうちの2つ以上の脚部45がその長さを拡大または縮小するために(およびそれにより、長方形基部40の構成を変化させるために)入れ子式に伸縮することができる。
【0034】
ホイール50が、患者のベッドに隣接する位置までシステム5を移動させるのを可能にする。例えば、医療従事者により不意にシステムが動かされるかまたは患者などによりシステムが掴まれるときにシステム5が移動するのを防止することを目的として、ホイール50は、患者のベッドに隣接する定位置でシステム5を維持するように選択的にロック可能となり得る。別法として、基部40が、例えば、医療従事者により不意にシステムが動かされるかまたは患者などによりシステムが掴まれるときにシステム5が移動するのを防止することを目的として、患者のベッドに隣接する定位置でシステム5を維持するようにベッドに固定可能となり得る(例えば、示されない機械的コネクタにより)。
【0035】
移動式カート10(および、システム5の残りの部分)が、好適には、ベッドの側部(図1~3を参照)からまたはベッドの頭部(図4~6を参照)などから患者のベッドに接近するのを可能にするように、構成されることに留意されたい。システム5の両方の構成で(つまり、図1~3の構成および図4~6の構成)、移動式カート10の複数の部分がベッド7の下に嵌め込まれるように設計され、対して移動式カート10の他の部分および空気濾過ユニット30がベッド7の下に配置可能ではない可能性がある、ことにも留意されたい。
【0036】
1.3 フレーム15
フレーム15が、フレーム15の要素(後述を参照)と共に患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ25を形成するために、移動式カート10から上方に延在し、可撓性透明カーテン20を支持する。フレーム15が、移動式カート10の長方形基部40に設置された垂直ライザ55と、垂直ライザ55の頂部にセットされた頂部支持体60と、を備える。可撓性透明カーテン20が頂部支持体60から垂れ下がる。
【0037】
垂直ライザ55が、好適には、頂部支持体60の高さを調整するのを可能にするために上方および下方に入れ子式に伸縮する。好適には、(例えば、図1~3に示されるように、移送中にシステム5の占有面積を縮小させることを目的として)頂部支持体60を移動式カート10の占有面積に位置合わせするのを可能にするために、または、(例えば、図4~6に示されるように、システム5を患者のベッドの周りに配置するとき)移動式カート10の一方側まで頂部支持体60を突出させるのを可能にするために、垂直ライザ55が、その軸を中心として回転することができる。垂直ライザ55は、移動式カート10の長方形基部40の一辺の中間に位置することができるか(例えば、図1~3および図4~6を参照)、または、垂直ライザ55は、移動式カート10の長方形基部40の1つの角に位置することができる(図1~3または図4~6に示されない)、などとなる。
【0038】
頂部支持体60が、患者の頭部および胴体の周りで垂れ下がる可撓性透明カーテン20のため支持体を提供し、さらには、患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ25を一体に形成するために可撓性透明カーテン20と共に機能する要素(後述を参照)を提供する。より具体的には、本発明の一形態では、頂部支持体60が、透明頂部70を担持する頂部フレーム65を備える。頂部フレーム65、透明頂部70、および可撓性透明カーテン20が、エンクロージャ25を一体に形成する。1つまたは複数の管35が、透明頂部70内に形成された開口部を通してエンクロージャ25の内部に通じている。頂部フレーム65が固定の構成を有することができる(その場合、透明頂部70が実質的に剛体の透明パネルであるかまたは可撓性透明シートとなり得る)か、あるいは、頂部フレーム65が、例えば伸縮式金属フレームなどの、調整可能な構成を有することができる(その場合、透明頂部70が、好適には、頂部フレーム65の内部を閉鎖するために頂部フレーム65の内部を調整可能に跨ることができる可撓性透明キャノピーを備える)。頂部フレーム65が調整可能な構成を有する場合、可撓性透明カーテン20(頂部フレーム65から垂れ下がる)および透明頂部70が「シャワーカーテン」構成を有することができ、その結果、可撓性透明カーテン20および透明頂部70が頂部フレーム65の可変の構成に合うように調整され得、それでも実質的に完全なエンクロージャ25を提供することができる。
【0039】
1.4 可撓性透明カーテン20
可撓性透明カーテン20がフレーム15の頂部フレーム65に取り付けられ、透明頂部70と共に、完全なエンクロージャ25を形成する。
可撓性透明カーテン20が軟質ポリ塩化ビニル(PVC)(例えば、「Eisenglas」)で作られ得る。可撓性透明カーテン20が、頂部フレーム65の各側(または、各縁部)において1つのシートから構成され得るか(図1~3に示されるように)、または、可撓性透明カーテン20が、頂部フレーム65の各側(例えば、各縁部)において複数のシートから構成され得る(例えば、医療従者の手がカーテンを通過するのをより容易にするために)。
【0040】
1.5 空気濾過ユニット30
エンクロージャ25の中から空気を引き出すこと、引き出した空気を浄化すること、および次いで浄化した空気を部屋の中に戻すこと、のための空気濾過ユニット30が提供される。この目的のため、次に図6Aを参照すると、空気濾過ユニット30が1つまたは複数の管35を介してエンクロージャ25に接続され、空気濾過ユニット30が、吸気ファン75と、フィルター80と、吸気ファン75を駆動するための制御電子機器85と、を備える。吸気ファン75が1つまたは複数の管35を介してエンクロージャ25から外へ空気を出し、本プロセス中にエンクロージャ25内に陰圧を作り出し、それによりエンクロージャ25内の空気が可撓性透明カーテン20を通って部屋の中まで通過しないようにするのを保証する。同時に、可撓性透明カーテン20は、空気濾過ユニット30および1つまたは複数の管35を介してエンクロージャ25から引き出された空気を補充するためにカーテンの間の隙間を室内空気が通過するのを可能にする。吸気ファン75が空気をエンクロージャ25から外へ出してチャンバ(または、プレナム)90の中に入れて次いでフィルター80を通過させ、フィルター80でエンクロージャ25からの空気が浄化される。したがって、エンクロージャ25から出る空気のみがフィルター80を通過し、その後、空気が部屋の中に戻される、ことが分かるであろう。
【0041】
空気濾過ユニット30のフィルター80が、例えば患者隔離システムなどの、空気濾過ユニット30を使用することになる特定の用途に従って構成され、フィルターは、有害液滴および/または粒子を捕捉するための、いわゆる高効率粒子空気(HEPA:High-Efficiency Particulate Air)フィルターまたはいわゆる超低粒子空気(ULPA:Ultra Low Particulate Air)フィルターであってよく、その結果、空気濾過ユニット30により部屋に戻される空気から、例えば、有害ウイルス、微粒子などの、有害な汚染物質が浄化される。あるいは、フィルター80は、特定の薬物などに対応するための分子フィルターを含むことができる。限定しないが例として、フィルター80が、Erlab D.F.S.S.A.S.(「Erlab」)から入手可能である種類のHEPAフィルター(例えば、Erlab HEPA H14の高効率粒子フィルター)を含むことができるか、または、フィルター80が、Erlabから入手可能である種類の分子フィルター(例えば、Erlab BE+、BE、AS、F、K、および/またはGのフィルター)を含むことができる。
【0042】
空気濾過ユニット30が例えばバッテリーによって電力供給され得、その結果、つまずくような電源コードが存在しなくなる。バッテリーによって電力供給される空気濾過ユニット30はさらに、容易に利用可能である壁コンセントが存在しない場合でもシステムを使用するのを可能にする。
【0043】
さらに、空気濾過ユニット30が、例えば病院監視および制御システムなどの、「遠隔」の監視および/または制御システムに無線接続され得るか、あるいはスマートフォンまたはタブレットなどに無線接続され得る。
【0044】
空気濾過ユニット30が、適切なシステムの機能を示すための点灯(steady)緑色ライト、システムの警告またはアラートを示すための点滅赤色ライト、システムの警告またはアラートを示すための警告ノイズなどの、システムのステータスを医療従事者に伝えるためのライト(換言すれば、発光部)95および/または音声ユニット100などをさらに装備することができる。
【0045】
1.6 1つまたは複数の管35
空気濾過ユニット30をエンクロージャ25の内部に接続するための1つまたは複数の管35が提供され、その結果、空気濾過ユニット30がエンクロージャ25の内部から空気を引き出すことができるようになり、この空気を濾過することができるようになり、その後、濾過した空気を部屋に戻す。
【0046】
管35が可撓性ホースまたは剛体管から形成され得る。しかし、管35が患者のベッドサイドの周りでのフレーム15の移動(上方への移動または下方への移動、ならびに/あるいは回転移動)を受け入れるのを可能にするように構築されることが重要である。したがって、管35が剛体管から形成される場合、剛体管が、好適には、フレーム15の移動と共に上方または下方に伸縮することが可能となるように構成される。さらに、管35が剛体管から形成される場合、剛体管が、好適には、フレーム15の回転と共に回転することが可能となるように構成される。
【0047】
1.7 例示の使用
「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5が以下のように使用され得る。システム5が患者のベッドに隣接して配置されるようにそのホイール50上で旋回させられ、次いで、フレーム15が、透明頂部70と共に可撓性透明カーテン20により患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ25を形成することになるように、調整される。次いで、空気濾過ユニット30が、エンクロージャ25の中から空気を引き出してフィルター80を介してこの空気を浄化するように起動され、その後、浄化した空気を部屋に戻す。システム5の動作中、患者が自分のベッドに留まる間において、システム5が、患者のベッドサイドにおいて患者の頭部および胴体の周りに「個人用の陰圧チャンバ」を実質的に作り出す、ことに留意されたい。結果として、医療従事者、他の患者などが、エンクロージャ25内にいる患者から隔離され得、さらには、エンクロージャ25内に存在する可能性がある特定の薬物に対して保護され得る。
【0048】
1.8 「ホイール付き」移動式空気濾過患者隔離システム
本発明の別の形態では、次に図7~9を参照すると、新しい「ホイール付き」移動式空気濾過患者隔離システム5Aが提供される。「ホイール付き」移動式空気濾過患者隔離システム5Aは、概して、形態および機能において、上で言及した「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5と同様であるが、以下の点を除く:
(i)移動式カート10が排除され、ホイール50が空気濾過ユニット30の底部に直接に取り付けられる;
(ii)フレーム15が空気濾過ユニット30に直接に取り付けられる;
(iii)垂直ライザ55および1つまたは複数の管35が組み合わされて単一の構造となり、例えば、垂直ライザ55が中空構造を有し、1つまたは複数の管35が中空垂直ライザの内部の中を延在する(または、中空垂直ライザの内部として設けられる)。
所望される場合、図7~9に示されるように、中空垂直ライザ55が、連接ジョイントと一体に接続された複数の剛体管を備えることができる、ことに留意されたい。
【0049】
1.9 「旋回(rolling)式」移動式空気濾過患者隔離システム
本発明の別の形態では、次に図9A~9Dを参照すると、新しい「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システム5Bが提供される。「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システム5Bは、概して、形態および機能において、上で言及した「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5と同様であるが、以下の点を除く:
(i)1つまたは複数の管35および透明頂部70が排除される;
(ii)空気濾過ユニット30が頂部支持体65に取り付けられて頂部支持体65を閉鎖し、その結果、空気濾過ユニット30がエンクロージャ25内の空気に直接に接触する。
【0050】
1.10 「旋回式」および「折り畳み式」の移動式空気濾過患者隔離システム
本発明の別の形態では、次に図9E~9Iを参照すると、新しい「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFが提供される。「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFは、概して、形態および機能において、上で言及した「カート設置型」移動式空気濾過患者隔離システム5と同様であるが、以下の点を除く:
(i)1つまたは複数の管35および透明頂部70が排除される;
(ii)空気濾過ユニット30が頂部支持体65に取り付けられて頂部支持体65を閉鎖し、その結果、空気濾過ユニット30がエンクロージャ25内の空気に直接に接触する;
(iii)フレーム15の少なくとも一部分が直立位置(図9E、9F、9H、および9I)と折り畳み位置(図9G)との間で変形させられ得る。
【0051】
より具体的には、次に図9E~9Iを参照すると、「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFが、概して、移動式カート10と、移動式カート10から上方に延在するフレーム15と、フレーム15に取り付けられた空気濾過ユニット30と、患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ25を形成するために空気濾過ユニット30から垂れ下がる可撓性透明カーテン20と、を備える。
【0052】
移動式カート10が、概して、1つまたは複数の脚部45によって形成された基部40と、移動式カート10(および、システム5BFの残りの部分)を床の上で旋回させるのを可能にするための、基部40に取り付けられたホイール50と、を備える。
【0053】
フレーム15が、好適には、少なくとも1つの垂直ライザ55(その底部端部のところで移動式カート10の基部40に取り付けられる)と、頂部フレーム65と、を備える。空気濾過ユニット30が頂部支持体65に取り付けられて頂部支持体65を閉鎖し、その結果、空気濾過ユニット30がエンクロージャ25内の空気に直接に接触する。可撓性カーテン20が空気濾過ユニット30から垂れ下がる。
【0054】
垂直ライザ55が、好適には、頂部フレーム65(および、空気濾過ユニット30)の高さを調整するのを可能にするために上方および下方に伸縮する。垂直ライザ55が垂直方向に調整可能であることを理由として、システム5BFが、広範囲の既存の物体を、当該物体を何らかの手法で修正するのを必要とすることなく、受け入れることができることが認識されよう。
【0055】
ヒンジ56が垂直ライザ55を頂部フレーム65に接続し、その結果、頂部フレーム65(およびひいては、頂部フレーム65に取り付けられた空気濾過ユニット30)が、垂直(upright)位置から折り畳み位置まで選択的に枢動させられ得る。第2のヒンジ57が垂直ライザ55を基部40に接続し、その結果、基部40が垂直位置から折り畳み位置まで選択的に枢動させられ得る。その垂直位置(患者のためのエンクロージャを提供するための位置)にある頂部フレーム65および基部40を示している図9E、9F、9H、および9Iと、保管のための折り畳み位置にある頂部フレーム65および基部40を示している図9Gと、を参照されたい。頂部フレーム65および/または基部40が、本開示を考慮して当業者には明らかとなるような手法で、手動でまたは電気により開かれるかまたは折り畳まれるように構成され得る。
【0056】
可撓性透明カーテン20が、好適には、取り外し可能な手法で可撓性透明カーテン20を空気濾過ユニット30に取り付けるのを可能にする種類の固定具により、空気濾過ユニット30の下側境界部に取り付けられ、その結果、可撓性透明カーテン20が、システム5BFがその直立位置にあるときは、空気濾過ユニット30に取り付けられ得、システム5BFがその折り畳み位置にあるときは、空気濾過ユニット30から取り外され得る。限定しないが例として、可撓性透明カーテン20が、フック、ジッパー、フック・ループ固定具、ねじ、磁石、または、取り外し可能な手法でカーテン20を空気濾過ユニット30に取り付けるのを可能にするような任意の他の種類の固定具を使用して、空気濾過ユニット30に取り付けられ得る。
【0057】
所望される場合、「旋回式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFが、システム5BFが非使用時にあるときに、1つまたは複数のカーテン20を保管するための保管コンテナ(図示せず)を備えることができる。限定しないが例として、このような保管コンテナは、フレーム15(例えば、垂直ライザ55)に取り付けられる箱、フレーム15に取り付けられる管、フレーム15に取り付けられるポーチなどの、形態であってよい。
【0058】
次に図9Eを参照すると、所望される場合、「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFが、空気濾過ユニット30を動作させるための電力を提供するためのバッテリー58を備えることができる。より具体的には、所望される場合、バッテリー58が基部40の1つまたは複数の脚部45に設置され得、空気濾過ユニット30に(例えば、垂直ライザ55を通って延在するケーブル類を介するか、または、本開示を考慮して当業者には明らかとなるような他のケーブル類を介して)電気接続され得る。重要なこととして、バッテリー58を基部40の1つまたは複数の脚部45に設置することにより、システム5BFに追加の安定性を加えるための釣り合いおもりが提供される。
【0059】
本発明の好適な一形態では、システム5BFが、空気濾過ユニット30に電力供給するためのおよび/またはバッテリー58を充電するための外部電源(例えば、壁のコンセント)にシステム5を接続するための格納可能である電気ケーブル接続部59をさらに備える。
【0060】
「旋回式」および「折り畳み式」移動式空気濾過患者隔離システム5BFが以下のように使用され得る。基部40が、その折り畳み位置(保管位置)から、ホイール50を床の上に配置するためのその直立位置まで枢動させられ得る。システム5BFが、患者のベッドに隣接するようにシステム5BFを配置するためにそのホイール50上で旋回させられ得る。次いで、頂部フレーム65(および、空気濾過ユニット30)が、その折り畳み位置(保管位置)からその直立位置まで枢動させられ得、垂直ライザ55が、空気濾過ユニット30を患者の頭部および胴体の上に配置するように垂直方向に調整され得る。次いで、可撓性透明カーテン20が、患者の頭部および胴体の周りにエンクロージャ25を形成するために空気濾過ユニット30に取り付けられ得る。次いで、空気濾過ユニット30が、エンクロージャ25の中から空気を引き出すこと、および、フィルター80を介してこの空気を浄化すること、のために起動され、その後、浄化した空気を部屋に戻す。システム5BFの動作中、患者が自分のベッドの中に留まる間において、システム5BFが、患者のベッドサイドにおいて患者の頭部および胴体に周りに「個人用の陰圧チャンバ」を実質的に作り出す、ことに留意されたい。結果として、医療従事者、他の患者などが、エンクロージャ25内にいる患者から隔離され得、さらには、エンクロージャ25内に存在する可能性がある特定の薬物に対して保護され得る。システム5BFがその直立位置にあることがもはや必要ない場合、システム5BFがその折り畳み位置まで戻され得、保管庫(例えば、クローゼット、車両など)内に配置され得る。
【0061】
1.11 「ベッド設置型」、「壁設置型」、または「自立型」の空気濾過患者隔離システム
上記の説明では、システム5が、移動式カート10と、システム5を移動可能にするためのホイール50と、備え、システム5Aが、システム5Aを移動可能にするためのホイール50を備え、システム5Bが、移動式カート10と、システム5Bを移動可能にするためのホイール50と、を備え、システム5BFが、移動式カート10と、システム5BFを移動可能にするためのホイール50と、システム5BFを保管するための折り畳み式のフレームと、を備える。しかし、所望される場合、移動式カート10およびホイール50がシステム5から除かれ得、ホイール50がシステム5Aから除かれ得、移動式カート10およびホイール50がシステム5Bから除かれ得、ならびに/あるいは、移動式カート10およびホイール50がシステム5BFから除かれ得、この場合、システム5、5A、5Bおよび/または5BFが不動のシステムとして提供される。より具体的には、システム5、5A、5B、および/または5BFのフレーム15が患者のベッドのフレームに設置され得るか(つまり、システム5、5A、5B、および/または5BFが「ベッド設置型」となり得る)、システム5、5A、5B、および/または5BFのフレーム15が患者のベッド隣接して壁に設置され得るか(つまり、システム5、5A、5B、および/または5BFが「壁設置型」となり得る)、あるいは、システム5、5A、5B、および/または5BFのフレーム15が患者のベッドに隣接して自立型となり得る(つまり、システム5、5A、5B、および/または5BFが「自立型」となり得、システム5BFが「自立型」および「折り畳み式」となり得る)。
【0062】
2. 移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム
本発明の別の形態では、次に図10~13を参照すると、新しい移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム5Cが提供される。移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム5Cが、ベンチトップ105の周りにダクトレス換気フードを実質的に作り出す。移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム5Cは、概して、形態および機能において、前述の「ホイール付き」の移動式空気濾過患者隔離システム5A、5B、5BFと同様であるが、以下の点を除く:
(i)移動式空気濾過ラボラトリ隔離システム5Cはベンチトップ105の周りに隔離ゾーンを作り出すのに使用される;
(ii)そのフィルター80が、ベンチトップの上で使用される可能性がある種類の有害物質(例えば、有毒物質、化学物質、生物製剤など)を扱うように構成される。
【0063】
したがって、本発明のこの形態では、特定の化学物質を処理するための分子フィルター(例えば、酸フィルター、溶剤フィルターなど)が使用され得るか、あるいは、HEPAフィルターまたはULPAフィルター(ウイルスおよび微生物などの特定の生物製剤に対しての保護するためのフィルター)が使用され得る。限定しないが例として、フィルター80が、Erlabから入手可能である種類の分子フィルター(例えば、Erlab BE+、BE、AS、F、K、および/またはGのフィルター)を含むことができるか、Erlabから入手可能である種類のHEPAフィルター(例えば、Erlab HEPA H14高効率粒子フィルター)、または、例えば、ErlabのNeutrodine(登録商標)フィルターなどの、溶媒、酸、および溶剤などの、多数の異なる化学族を同時に取り扱うことができるマルチステージフィルターを含むことができる。
【0064】
所望される場合、移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを形成するためにベンチトップの周りに上で言及したシステム5を配備すること、移動式空気濾過ラボラトリ隔離システムを形成するためにベンチトップの周りに上で言及したシステム5Bを配備すること、ならびに/あるいは、移動式(および、「折り畳み式」の)空気濾過ラボラトリ隔離システムを形成するためにベンチトップの周りに上で言及したシステム5BFを配備することも可能であることに留意されたい。
【0065】
2.1 「ベンチトップ設置型」、「壁設置型」、または「自立型」の空気濾過ラボラトリ隔離システム
上記の説明では、システム5Cが、システム5Cを移動可能にするための、空気濾過ユニット30の底部に取り付けられたホイール50を備え、システム5が、システム5を移動可能にするためのホイール50を備える移動式カート10を備え、システム5Bが、システム5Bを移動可能にするためのホイール50を備える移動式カート10を備え、システム5BFが、移動式カート10と、システム5Bを移動可能にするためのホイール50と、システム5BFを保管するための折り畳み式のフレームをと、を備える。しかし、所望される場合、ホイール50がシステム5Cから除かれ得、移動式カート10およびホイール50がシステム5から除かれ得、移動式カート10およびホイール50がシステム5Bから除かれ得、ならびに/あるいは、移動式カート10およびホイール50がシステム5BFから除かれ得、この場合、システム5C、5、5B、および/または5BFが不動のシステムとして提供される。より具体的には、システム5Cの空気濾過ユニット30、システム5、5B、および/もしくは5BFのフレーム15が、ベンチトップのフレームに設置され得(つまり、システム5C、5、5B、および/もしくは5BFが「ベンチトップ設置型」となり得る)、システム5Cの空気濾過ユニット30、ならびに/または、システム5、5B、および/もしくは5BFのフレーム15が、ベンチトップに隣接して壁に設置され得(つまり、システム5C、5、5B、および/もしくは5BFが「壁設置型」となり得)、あるいは、システム5Cの空気濾過ユニット30、および/もしくは、システム5、5B、および/もしくは5BFのフレーム15が、ベンチトップに隣接して自立型となり得る(つまり、システム5C、5、および/もしくは5Bが「自立型」となり得、システム5BFが「自立型」および「折り畳み式」となり得る)。
【0066】
3. 移動式室内空気濾過システム
本発明の一形態では、次に図14~17を参照すると、新しい移動式室内空気濾過システム5Dが提供される。移動式室内空気濾過システム5Dが、図7~9、9A~9D、9E~9I、および/または10~13のホイール付きの空気濾過ユニット30を実質的に備え、ホイール付きの空気濾過ユニット30の入口オリフィス110が室内空気に対して開いている。
【0067】
使用の好適な方法では、移動式室内空気濾過システム5Dが部屋の中まで動かされ、次いでオンにされ、その結果、移動式室内空気濾過システム5Dがフィルター80を通るように室内空気を循環させ、その後、濾過した空気を部屋の中に戻す。本発明のこの形態では、フィルター80が所望の機能に従って構成され、例えば、室内空気濾過システムが、ウイルス(例えば、SARS-CoV-2ウイルス)、微生物、および他の生物製剤などに対して保護するのに使用される場合、フィルター80が、Erlabから入手可能である種類のHEPAフィルターまたはULPAフィルター(例えば、Erlab HEPA H14の高効率粒子フィルター)を含むことができ、あるいは、室内空気濾過システム5Dが特定の化学物質に対して保護するのに使用される場合、フィルター80が、Erlabから入手可能である種類の分子フィルター(例えば、Erlab BE+、BE、AS、F、K、および/またはGのフィルター)、または、例えば、ErlabのNeutrodine(登録商標)フィルターなどの、溶媒、酸、および溶剤などの、多数の異なる化学族を同時に取り扱うことができるマルチステージフィルターを含むことができる。
【0068】
3.1 「天井設置型」、「壁設置型」、または「自立型」の室内空気濾過システム
上記の説明では、システム5Dが、システム5Dを移動可能にするための、空気濾過ユニット30の底部に取り付けられたホイール50を備える。しかし、所望される場合、ホイール50がシステム5Dから除かれ得る。この事例では、システム5Dが天井に設置され得るか(つまり、システム5Dが「天井設置型」となり得る)、システム5Dが壁に設置され得るか(つまり、システム5Dが「壁設置型」となり得る)、または、システム5Dが自立型となり得る(つまり、システム5Dが「自立型」となり得る)。
【0069】
4. 改善された空気濾過ユニット
本発明の一形態では、SARS-CoV-2ウイルス、および、他の有害ウイルス、微生物など、などに対して人々を保護するための向上した効果を有する改善された空気濾過ユニットが提供される。この改善された空気濾過ユニットが、上で考察したシステム5、5A、5B、および5BFなどの空気濾過患者隔離システム、上で考察したシステム5Cなどの空気濾過ラボラトリ隔離システム、上で考察したシステム5Dなどの室内空気濾過システム、ならびに、他の空気濾過システム、の中で使用されるように構成される。
【0070】
より具体的には、空気濾過ユニット30に関連して上で考察したような、および、多くの空気濾過用途で使用されるような、HEPAフィルターまたはULPAフィルターが、粒子、ウイルス、微生物などを捕捉するのに非常に効果的である。しかし、ウイルスおよび微生物に関しては、これらのHEPAフィルターおよびULPAフィルターは、実際には、ウイルスおよび微生物を破壊せず、単にウイルスおよび微生物をHEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面に収集するだけである。結果として、ウイルスおよび微生物がフィルターの前面に留まり、それにより、HEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面に係合された状態でウイルスおよび微生物を維持するためにHEPAフィルターまたはULPAフィルターに対して継続的に空気圧が適用されない場合はいくらかのエリアが汚染されるリスクが呈される。したがって、空気濾過ユニット30の吸気ファン75が故障した場合(例えば、電源異常により)、吸気ファン75によって生成された空気圧によりファンの前面に既に捕捉されているウイルスおよび微生物がHEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面から解放され得、空気濾過ユニット30の周りのエリアを汚染し得る。さらに、HEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面に留まるウイルスおよび微生物が、使用済みのHEPAフィルターまたはULPAフィルターを新しいHEPAフィルターまたはULPAフィルターに交換するときの保守管理従事者を危険に晒し得る。
【0071】
紫外線(UV)放射が空気中のウイルスおよび微生物を破壊することができることが知られている。結果として、空気中のウイルスおよび微生物を殺すために空気にUV放射を当てる試みが行われてきた。しかし、効果的なUV処理は、有意な時間にわたってウイルスおよび微生物をUV放射に曝すことを必要とすることが分かっている。結果として、処理されることになる空気は、(i)十分なUV線量で処理される間において長時間にわたってチャンバ内で動かない状態で維持されなければならないか、または、(ii)移動する空気が十分なUV線量を受けるために長い移動距離にわたって放射線を当てられなければならない。一部の事例では、長時間にわたってチャンバ内で空気を保持することは実際的ではなく、他の事例では、長い移動距離にわたって空気に放射線を当てることは実際的ではない。結果として、これまでのUV放射の成功は限定的なものであった。
【0072】
本発明によると、従来技術の空気濾過ユニットに付随の問題を解消するための、HPEAフィルターおよびULPAフィルターをUV光源と組み合わせる改善された空気濾過ユニットが提供される。この改善された空気濾過ユニットが、上で考察したシステム5、5A、5B、および5BFなどの空気濾過患者隔離システム、上で考察したシステム5Cなどの空気濾過ラボラトリ隔離システム、上で考察したシステム5Dなどの室内空気濾過システム、ならびに、他の空気濾過システム、の中で使用されるように構成される。
【0073】
次に図18を参照すると、本発明に従って形成された改善された空気濾過ユニット30Aが示されている。空気濾過ユニット30Aが、概して、上で考察した空気濾過ユニット30と同様であるが、HEPAフィルターまたはULPAフィルター80の前面に向けられるそのUV放射を有するUV放射源115を有することを除く。本発明の一形態では、UV放射源115が、264nmの波長のUV放射を放射する。この構成の結果として、吸気ファン75がHEPAフィルターまたはULPAフィルター80を通して空気を引き寄せるとき、空気中のウイルスおよび微生物がHEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面120で捕捉され、吸気ファン75によって提供された空気圧によりHEPAフィルターまたはULPAフィルターのところで保持される。UV放射源115からのUV放射が、吸気ファン75の作用によりHEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面で保持されるウイルスまたは微生物に当たり、ウイルスおよび微生物がHEPAフィルターまたはULPAフィルターの前面で有意な時間にわたって保持されることを理由としてUV放射源115からのUV放射によりウイルスおよび微生物が無害なものとされる。
【0074】
したがって、この新しい手法を用いることにより、HEPAフィルターまたはULPAフィルターおよびUV放射が共益的に組み合わされ、その結果、HEPAフィルターまたはULPAフィルター(効果的に捕捉することができるが消毒しない)の利点とUV放射(効果的に消毒することができるが長時間の曝露を必要とする)の利点を、それらの個別の不利益を受けることなく、得ることができる(HEPAフィルターまたはULPAフィルターはフィルターの前面でウイルスおよび微生物を捕捉し、ウイルスおよび微生物を無害なものにするための時間をUV放射源からのUV放射に対して与える間において、フィルターの前面においてウイルスおよび微生物を保持する)。本質的には、HEPAフィルターまたはULPAフィルターは定位置でウイルスおよび微生物を捕捉して保持し、その間、効果的であるが遅効性のUV放射がウイルスおよび微生物を無害なものとする。したがって、HEPAフィルターまたはULPAフィルターおよびUV放射源が、構成要素のいずれも個別にそれ自体のみでは達成することができない改善された結果を達成するために協働的に一体に機能する。
【0075】
本発明の改善された空気濾過ユニット30Aが、上で考察したシステム5、5A、5B、および5BFなどの空気濾過患者隔離システム、上で考察したシステム5Cなどの空気濾過ラボラトリ隔離システム、上で考察したシステム5Dなどの室内空気濾過システム、ならびに、他の空気濾過システム、の中で使用され得ることが認識されよう。
【0076】
所望される場合、改善された空気濾過システム30Aが、(i)空気中の粒子を検出するためのセンサ125(ウイルスおよび微粒子がそれ自体で粒子に付着する傾向があるため)、(ii)空気中の揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compound)を検出するためのセンサ130、ならびに/あるいは(iii)空気中の二酸化炭素の量を監視するための二酸化炭素センサ、をさらに有することができ、それにより、部屋の中での空気濾過を強化するために空気濾過システム30Aが自動でオンにされる必要があるかどうかを判断する。
【0077】
本発明の好適な一形態では、空気濾過システム30Aが、空気濾過システム30Aの動作要素(例えば、吸気ファン75およびフィルター80など)の適切な機能を監視するための1つまたは複数のセンサを有し、これらのセンサが、好適には、動作要素(例えば、吸気ファン75およびフィルター80など)の適切な機能が中断された場合にアラーム(例えば、音響アラームおよび/または光ベースの視覚的アラーム)を起動するための監視システムに接続される(例えば、有線通信または無線通信により)。
【0078】
さらに、所望される場合、フィルター80が、フィルター80が交換されるのを必要とするタイミングを示すためタイマーを有することができる。
【0079】
スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニットを使用して空気濾過ユニットを制御するための方法および装置
上記のセクションでは、一定量の空気から有害汚染物質(例えば、ウイルス、微生物、化学物質など)を除去するために物体(例えば、病院用ベッド、実験台などの上にいる患者)の上方に位置する包囲された一定量の空気を濾過するための空気濾過ユニット30または30Aを利用する新規の移動式空気濾過患者隔離システム5、5A、5B、5BF、5C、5Dが開示される。
【0080】
本発明の一形態では、次に図19を参照すると、空気濾過ユニット30、30Aが、空気濾過ユニット30、30Aに関する情報(例えば、吸気ファン75のオン/オフのステータス、吸気ファン75の高い/中程度の/低い運転速度、フィルター80の機能/非機能のステータス、フィルター80の残りの有効寿命など)を表示するための搭載ディスプレイスクリーン135を備えることができる。搭載ディスプレイスクリーン135が「受動的(passive)」ディスプレイスクリーンであってよいか、または、所望される場合、搭載ディスプレイスクリーン135が、搭載ディスプレイスクリーン135を介して動作コマンドを空気濾過ユニット30、30Aに提供するのを可能にするためのタッチスクリーンディスプレイであってもよい。
【0081】
所望される場合、空気濾過ユニット30、30Aが監視および制御システム140(例えば、建物内に位置するかまたは現場から離れたところに位置する中央制御監視システム)に(有線通信または無線通信により)接続される場合、監視および制御システム140が、空気濾過ユニット30、30Aのステータスを監視するのに、および/または、空気濾過ユニット30、30Aに動作コマンドを提供するのに、使用され得る。限定しないが例として、空気濾過ユニット30、30Aが、移動式空気濾過患者隔離システム5、5A、5B、5BF、5C、5Dを収容する建物内に位置する監視および制御システム140に(有線通信または無線通信により)接続され得る。限定しないがさらに例として、空気濾過ユニット30、30Aが、現場から離れたところに位置する監視および制御システム140に(有線通信または無線通信により)接続され得、例えば、空気濾過ユニット30、30Aが、新規の空気濾過ユニット30、30Aから数千マイルのところに位置する監視および制御システム(および、移動式空気濾過患者隔離システム5、5A、5B、5BF、5C、5D)にインターネットを介して接続され得る。
【0082】
本発明の別の形態では、監視および制御システム140が空気濾過ユニット30、30Aに直接に組み込まれ得る。これに関して、空気濾過ユニット30、30A内に監視および制御システム140を有することにより、作業デバイスの自体の中央処理装置(図示せず)に直接に埋め込まれたそれ自体のウェブサーバプラットフォームとして機能する完全独立・自律型の作業デバイスを有することの利点が提供されることが認識されよう。
【0083】
上記に関連して、複数の空気濾過ユニット30、30A(1つまたは複数の場所に位置する)が単一の監視および制御システム(例えば、空気濾過ユニット30、30A内に配設された監視および制御システム140)または複数の監視および制御システムに接続され得ることを認識されたい。
【0084】
しかし、搭載ディスプレイスクリーン135を提供することにより、一般に、空気濾過ユニット30、30Aのコストが上がる。
これに対処するために、本発明は、空気濾過ユニット30、30Aが搭載ディスプレイスクリーンを有することを必要とすることなく、空気濾過ユニット30、30Aを制御するための新しい手法を提供する。これが、スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニットを使用して空気濾過ユニット30、30Aを制御するのを可能にする新規のシステムの提供および使用によって達成される。
【0085】
本発明の好適な一形態では、空気濾過ユニット30、30Aがインターネットを介して監視および制御システム(例えば、中央サーバ)に接続され、空気濾過ユニット30、30Aがデバイス固有のQRコード(登録商標)を装備する。本発明のこの形態では、空気濾過ユニット30、30Aが搭載ディスプレイスクリーン135を排除することができ、空気濾過ユニット30、30Aが、スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニットを使用して制御され得る。
【0086】
より具体的には、本発明のこの形態では、次に図20を参照すると、空気濾過ユニット30、30Aがインターネットを介して監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)に接続され(例えば、有線通信または無線通信により)、空気濾過ユニット30、30Aが、デバイス固有のQRコード150を担持するラベル145を装備し、デバイス固有のQRコード150が、スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニット155(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートグラス、ラップトップなど)によって機械読み取りされ得る(例えば、スキャンされ得る)。本発明のこの形態では、空気濾過ユニット30、30Aがその動作ステータス(例えば、吸気ファン75のオン/オフのステータス、吸気ファン75の高い/中程度の/低い運転速度、フィルター80の機能/非機能のステータス、フィルター80の残りの有効寿命など)をインターネットを介して監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)に報告する。この場合、監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)が、適切な機能に関して空気濾過ユニット30、30Aを監視することができる。監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)がさらに、空気濾過ユニット30、30Aの動作を制御するために空気濾過ユニット30、30Aに動作コマンドを提供することができる。さらに、使用者が、空気濾過ユニット30、30Aの動作ステータスを監視するためにおよび/または動作コマンドを空気濾過ユニット30、30Aに提供するためにインターネットなどのネットワークを介して監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)にアクセスすることができる。
【0087】
重要なこととして、新規の空気濾過ユニット30、30Aが搭載ディスプレイスクリーンを有さない場合であっても、新規の空気濾過ユニット30、30Aに隣接するところに位置する使用者が、新規の空気濾過ユニット30、30Aに関する情報(例えば、吸気ファン75のオン/オフのステータス、吸気ファン75の高い/中程度の/低い運転速度、フィルター80の機能/非機能のステータス、フィルター80の残りの有効寿命など)を入手することができる。より具体的には、特定の空気濾過ユニット30、30Aに関する情報を入手するために、使用者が、単純に、スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニット155(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートグラス、ラップトップなど)を使用して特定の新規の空気濾過ユニット30、30Aに付随するデバイス固有のQRコード150をスキャンすることができる。所望される場合、手持ち式ユニット155が、(つまり、適切なソフトウェアにより)デバイス固有のQRコード150をスキャンするときに手持ち式ユニット155と監視および制御システム140との間の通信を支援するためのウェブブラウザ、他のアプリケーション、またはソフトウェアを自動で開くように構成され得る。次いで、この空気濾過ユニット30、30Aに割り当てられたデバイス固有のQRコード150が、手持ち式ユニット155により、監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)に自動で送信され、監視および制御システム140が、このデバイス固有のQRコードに関連付けられた特定の空気濾過ユニット30、30Aに付随する動作情報(つまり、この特定の空気濾過ユニット30、30Aに付随する動作情報)を手持ち式ユニットに戻す。次いで、空気濾過ユニット30、30Aのためのこの動作情報が、手持ち式ユニット155のディスプレイスクリーン上で使用者に対して表示される。
【0088】
加えて、重要なこととして、この特定の空気濾過ユニット30、30Aのためのデバイス固有のQRコード150が監視および制御システム140(例えば、中央サーバ)を介して手持ち式ユニット155と空気濾過ユニット30、30Aとの間のリンクを確立するために使用されると、手持ち式ユニットが(つまり、手持ち式ユニット155から監視および制御システム140に動作コマンドを送ることにより)空気濾過ユニット30、30Aに動作コマンドを提供するのに使用され得る(監視および制御システム140がさらに、これらの動作コマンドを特定の空気濾過ユニット30、30Aに中継する)。
【0089】
したがって、本発明のこの形態では、特定の空気濾過ユニットのためのデバイス固有のQRコードを介して手持ち式ユニット155をこの特定の空気濾過ユニットに関連付けることにより、スキャニング能力、ネットワーキング能力、表示・入力能力を有する手持ち式ユニット155(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートグラス、ラップトップなど)のディスプレイスクリーンが、実質的に、この特定の空気濾過ユニット30、30Aのためのディスプレイスクリーンとなる、ことが分かるであろう。これにより空気濾過ユニット30、30Aから搭載ディスプレイスクリーン135を排除することが可能となり、それにより製造業者のコストを有意に節約することができる。
【0090】
空気濾過ユニット30、30Aが監視および制御システム140を備えることができることを理由として、手持ち式ユニット155と監視および制御システム140との間に直接のピア・ツウ・ピア(peer-to-peer)の無線通信(例えば、WiFi、Bluetoothなど)を確立することが可能となることを認識されたい。本発明のこの形態により、デバイス固有のQRコード150は、手持ち式ユニット155が監視および制御システム140に接続するために必要とする関連のネットワーク接続性データ(例えば、IPアドレス、ローカルネットワークアドレスなど)を含む。本発明のこの形態は、空気濾過ユニット30、30Aがインターネット(または、任意の他の無線ネットワーク)に接続されない状況において、有用となり得る。手持ち式ユニット155が特定の空気濾過ユニット30、30Aに内蔵された監視および制御システム140に直接に接続される場合、手持ち式ユニット155を使用して、上で考察した手法で、この特定の空気濾過ユニット30、30Aの動作を監視および制御することが可能となる。
【0091】
修正
本発明の性質を説明するために本明細書で説明されて示された細部、材料、ステップ、および部品の配置構成の多くの追加の変更形態が、本発明の限定および範囲内に留まりながら、当業者によって作られ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】