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特表2024-512509LC-MS/MS法によるADC中のTCEP含有量の検出方法
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  • 特表-LC-MS/MS法によるADC中のTCEP含有量の検出方法 図1
  • 特表-LC-MS/MS法によるADC中のTCEP含有量の検出方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】LC-MS/MS法によるADC中のTCEP含有量の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20240312BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/72 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/04 20060101ALI20240312BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240312BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20240312BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
G01N27/62 X
G01N27/62 V
G01N30/06 E
G01N30/88 C
G01N30/26 A
G01N30/72 C
G01N30/04 P
G01N30/86 J
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/68
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557459
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2022083946
(87)【国際公開番号】W WO2022206807
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110348153.5
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087262
【氏名又は名称】レメゲン シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】REMEGEN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.58 Beijing Middle Road, Yantai Development Zone, Yantai District, China(Shandong)Pilot Free Trade Zone, Yantai, Shandong 264006 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姚 雪静
(72)【発明者】
【氏名】王 莉
(72)【発明者】
【氏名】孫 文龍
(72)【発明者】
【氏名】斉 桂平
【テーマコード(参考)】
2G041
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041FA06
2G041FA12
2G041GA03
2G041GA09
2G041HA01
2G041LA08
4C076AA99
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA21
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA50
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、LC-MS/MS法によるADC中のTCEP含有量の検出方法に関する。この方法では、ADCサンプルがエルマン反応により誘導化され、次にLC-MS/MS法によりTCEP含有量が検出される。
【効果】この方法によれば、複雑なADCサンプルにおけるエルマンと反応可能な他の物質の影響を排除することができ、サンプルの前処理が不要になり、特異性に優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)によるADCサンプル中のTCEP含有量の検出方法であって、被検物であるADCサンプルがエルマン反応により誘導化され、C18クロマトカラムを採用し、サンプルの前処理が不要であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記C18クロマトカラムに使用される移動相Aが、ギ酸を含む水溶液、好ましくは0.1%のギ酸を含む水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記C18クロマトカラムに使用される移動相Bが、ギ酸を含むアセトニトリル/メタノール溶液、好ましくは0.1%のギ酸を含むアセトニトリル/メタノール(80/20、v/v)溶液であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
添加されるエルマン試薬の濃度が、約5~20μg/ml、さらに好ましくは10.0μg/mlであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法では、標準品溶液がTCEPを採用して作製されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
好ましくは、前記標準品溶液が1.0μg/mlのTCEP溶液であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記TCEP溶液の構成及び標準曲線シリーズ溶液の調製が、
1)EPに計量した計量質量がmで表される5~10mgのTCEP・HCl参照品を、適量のサンプル溶解液で溶解し、TCEP・HClとTCEPとのモル比が1:1である関係からTCEP濃度を算出した後、希釈液でTCEP濃度が1.0μg/mlになるまで段階的に希釈するTCEP作動液の調製工程と、
2)1.0μg/mlのTCEP標準品溶液を希釈液で濃度がそれぞれ16ng/ml、8ng/ml、4ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、0.5ng/mlであるTCEP標準品溶液に希釈する標準曲線シリーズ溶液の調製工程と、を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、希釈液でそれぞれ1.0μg/mlのTCEP溶液を希釈して調製された、濃度が12ng/ml、3ng/ml、1ng/mlであるTCEP品質管理溶液を使用することをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記希釈液が、50%のメタノール水溶液であることを特徴とする、請求項7~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体クロマトグラフには、米国アジレント社のAgilent 1200型液体クロマトグラフ、Teledyne Isco社の高圧分取液体クロマトグラフ、アジレントのHPLC 1260型高速液体クロマトグラフが含まれるが、これらに限定されない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記タンデムマススペクトルには、米国AB Sciex社のAPI 4000型タンデム質量分析計、島津のトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計、GBCのOptimass誘導結合プラズマ直交加速飛行時間型質量分析計が含まれるが、これらに限定されない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記C18クロマトカラムには、YMC-C18、Agilent Extard-C18、資生堂のPAK CR-18が含まれるが、これらに限定されない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医薬分野に属し、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析(LC-MS/MS、又はLC-MSMSと称する)法による抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjuate、ADC)サンプル中のTCEP含有量の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TCEPは、トリ(2-カルボキシエチル)ホスフィンとも呼ばれ、非常に効果的なチオール類還元剤であり、タンバク質化学及びプロテオミクス研究におけるジスルフィド結合の定量的還元剤として広く使用されている。この試薬TCEPは、水溶液での安定性や溶解性が良く、酸性、アルカリ性溶液での安定性も良いため、タンバク質化学及びプロテオミクス研究において優先的に選択されることが多い。
【0003】
タンバク質を還元するための他の2つの一般的な薬剤(ジチオスレイトール及びβ-メルカプトエタノール)と比較して、TCEPは無臭で、より強力かつ不可逆的な還元剤である。TCEPが媒介するジスルフィド結合の分解の生成物は、実際には2つの遊離チオール/システインであり、より親水性で、空気酸化への耐性が強い。また、TCEPは、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーに用いられた金属を低減する恐れがない。
【0004】
TCEPはADC製品の製造に広く使われており、還元後のタンパク質を保護するという主な目的として添加され、添加ステップがモノクローナル抗体の還元工程に含まれる。プロセスの実践では、還元剤が添加されないと、ADCが正常に結合されないか又は結合後の製品の品質が低下する恐れがあるが、抗体還元後の合成ステップではTCEPは不要になり、既存のADC合成技術におけるその後の処理には、TCEPに対する特定の除去プロセスはなく、TCEPが製品の透析過程のみで除去されるため、ADC製品に残留する恐れがあり、その後の薬の安全性に一定の悪影響を及ぼすことが無視できないことが示される。現在、ADC関連製品におけるTCEP検出に関する研究は、従来技術においてまだ見られていない。
【0005】
LC-MS/MSは、実際にはLC技術と2つのMS技術を組み合わせた総合的な検出技術である。LC-MS/MSは液体クロマトグラフ(LC)とマススペクトル(MS)との組み合わせたものであり、注入された後のサンプルがまず移動相に連れてクロマトカラムに入り、クロマトカラムによる分離の後に、マススペクトルに入って検出されるという動作原理として働く。質量分析計では、測定物の質量電荷比(m/z)に従って検出を行い、測定物がイオン源でガスイオンに変換されてマススペクトルに入り、トリプル四重極において一次質量分析計が特定の範囲のイオンをスキャンするかまた特定のイオンが衝突室に入ることを許可し、衝突室内において分子イオンが衝突して分解し、子イオンが形成されて二次マススペクトルに入り、二次質量分析計が特定の範囲のイオンをスキャンするか又は特定のイオンが検出器に入ることを許可する。このように、LC-MS/MSの併用が非常に顕著な利点を持っている。その理由は、ガスクロマトグラフィーは揮発性で分解しない物質しか分離できないのに対し、液体クロマトグラフィーは分離範囲を大幅に広げていることにある。従って、LCと高選択性、高感度のMS/MSとの組み合わせにより、複雑なサンプルのリアルタイム分析を実行することが可能になり、LCによる分離が困難である場合でも、MS1及びMS2により目的化合物の中性破片走査を実行すれば、混合物中の目的化合物を見つけて強調表示し、信号対雑音比を大幅に向上させることができる。
【0006】
トリ(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)は、一定のpH値の範囲内で芳香族ジスルフィド結合の化合物を定量的に還元できるため、エルマン(DTNB)と反応して形成した5-メルカプト-2-ニトロ安息香酸(TNB)の量を測定することにより、TCEPの濃度を便利に決定することができる(Analytical Biochemistry、1994、220:5~10)。現在、報告されているTCEP検出には、エルマン反応による誘導化が多く採用される。その反応原理は以下の通りである。
【0007】
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、タンパク質医薬品や医薬品に使用される多くの試薬も、DTNBと反応してTNBを生成する可能性があるため、TNBの量を検出することによりADC中のTCEPの濃度を決定する方法は、サンプル中の他の還元剤の影響を受けやすく、正確性が低い。
現在、TCEP含有量に対する検出方法は少ない。TCEPの極性が大きく、C18により保持されないので、UV検出器での応答が低く、そして質量分析計の応答も低い。そのため、TCEPを効果的かつ直接的に検出できる方法はまだない。そこで、本発明者らは、LC-MSMSを抗体薬物複合体の製品中のTCEP検出に用い、効率がよく、安定性や正確性が高い検出方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、LC-MS/MS法を採用して抗体薬物複合体の製品中のTCEPを検出し、サンプルがエルマン法により誘導化され、TNBの含有量を検出するのではなく、TCEP誘導化の生成物の含有量を検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複雑なADCサンプルにおけるエルマン試薬(DTNB)と反応可能な物質からの干渉を排除することができ、サンプルの前処理が不要になり、特異性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、線形フィッティング標準曲線である。
図2図2は、LC-MS/MS法によるTCEP含有量測定の検出結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における第1の態様は、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)によるADCサンプル中のTCEP含有量の検出方法であって、被検物であるADCサンプルがエルマン反応により誘導化され、C18クロマトカラムが採用され、サンプルの前処理が不要であることを特徴とする方法に関する。
【0013】
さらに、採用される移動相Aは、ギ酸を含む水溶液、好ましくは0.1%のギ酸を含む水溶液である。
【0014】
さらに、採用される移動相Bは、ギ酸を含むアセトニトリル/メタノール溶液、好ましくは0.1%のギ酸を含むアセトニトリル/メタノール(80/20、v/v)溶液である。
【0015】
さらに、添加されるエルマン試薬の濃度は、約5~20μg/ml、さらに好ましくは10.0μg/mlである。
【0016】
さらに、前記方法では、標準品溶液がTCEPを採用して調製される。
【0017】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、標準品溶液がTCEPを採用して調製される。
【0018】
さらに、前記標準品溶液は、1.0μg/mlのTCEP溶液であることが好ましい。
【0019】
さらに、前記TCEP溶液の構成及び標準曲線シリーズ溶液の調製は、
1)EPに計量した計量質量がmで表される5~10mgのTCEP・HCl参照品を、適量のサンプル溶解液で溶解し、TCEP・HClとTCEPとのモル比が1:1である関係からTCEP濃度を算出した後、希釈液でTCEP濃度が1.0μg/mlになるまで段階的に希釈するTCEP作動液の調製工程と、
2)1.0μg/mlのTCEP標準品溶液を希釈液で濃度がそれぞれ16ng/ml、8ng/ml、4ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、0.5ng/mlのTCEP標準品溶液に希釈する標準曲線シリーズ溶液の調製工程と、を含む。
【0020】
前記方法は、それぞれ1.0μg/mlのTCEP溶液を希釈液で希釈して調製された、濃度が12ng/ml、3ng/ml、1ng/mlであるTCEP品質管理溶液を使用することをさらに含む。
【0021】
さらに、前記希釈液は50%のメタノール水溶液である。
【0022】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、前記液体クロマトグラフには、米国アジレント社のAgilent 1200型液体クロマトグラフ、Teledyne Isco社の高圧分取液体クロマトグラフ、アジレントのHPLC 1260型高速液体クロマトグラフが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、前記タンデム質量分析計には、米国AB Sciex社のAPI 4000型タンデム質量分析計、島津のトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計、GBCのOptimass誘導結合プラズマ直交加速飛行時間型質量分析計が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明における第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法においては、液体クロマトグラフには、C18カラムが採用され、YMC-C18、Agilent Extard-C18、資生堂のPAK CR-18が含まれるが、これらに限定されない、
【0025】
本発明におけるいずれかの態様のいずれかの実施形態においては、いずれかの技術的特徴は、矛盾が生じない限り、他の実施形態における該当技術的特徴に適用する可能性がある。本発明で引用されるすべての文献の全内容が参照により本明細書に組み込まれるが、これらの文献に記載された意味が本発明と一致しない場合、本発明の記載に基準する。
【実施例
【0026】
実施例1(液体クロマトグラフ-タンデム質量分析(LC-MS/MS)法によるTCEP含有量の測定)
1)作動液の調製
【0027】
TCEP作動液の調製:5~10mgのTCEP・HCl参照品をEP管に精密に計量し、計量質量をmで表し、適量のサンプル溶解液で溶解し、TCEP・HClとTCEPとのモル比(1:1)からTCEP濃度(TCEP濃度=250.19m/286.65)を算出した後、希釈液でTCEP濃度が1.0μg/mlになるまで段階的に希釈した。
【0028】
DTNB作動液の調製:5~10mgのDTNBをEP管に精密に計量し、適量のサンプル溶解液で濃度10mg/mlまで溶解し、希釈液で10μg/mlまで段階的に希釈した。
【0029】
標準曲線シリーズ溶液の調製:表1に従って希釈液で1.0μg/mlのTCEP(A1とする)を濃度がそれぞれ16ng/ml、8ng/ml、4ng/ml、2ng/ml、1ng/ml、0.5ng/mlであるTCEP参照品溶液に希釈し、上記の様々な濃度の溶液をそれぞれ200μl取り、それぞれに濃度10μg/mlのDTNB作動液20μlを加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で2時間反応させた後、直接に検出を行った。
【0030】
【表1】
【0031】
品質管理溶液の調製:表2に従って希釈液で1.0μg/mlのTCEP(A1’とする)を濃度がそれぞれ400ng/ml(HQC)、200ng/ml(MQC)、100ng/ml(LQC)であるTCEP品質管理溶液に希釈した。上記の様々な濃度のTCEP品質管理溶液をそれぞれ200μlずつ取り、20μlの濃度10μg/mlのDTNB作動液を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で10min反応させた後、直接に検出を行った。
【0032】
【表2】
【0033】
2)液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計測定:
被測定サンプルの処理:移動相(0.1%のギ酸のアセトニトリル/メタノール(80/20、v/v)溶液)を希釈液とし、ADCサンプルの濃度を適切な濃度(サンプルにおけるTCEPの含有量を線形範囲にするべきであり、該範囲を超えた場合は、希釈倍数を増減して再度に検出を行う必要がある)に希釈した。サンプル希釈液を200μl取り、20μlの濃度10μg/mlのDTNB溶液を加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で2時間反応させた後、直接に検出を行った。
【0034】
移動相Aの調製:水800mlを計量し、ギ酸800μlを加え、超音波で混合し、移動相Aを得た。
【0035】
移動相Bの調製:アセトニトリル800ml及びメタノール200mlを計量し、ギ酸1mlを加え、超音波で混合し、移動相Bを得た。
【0036】
移動相Aと移動相Bを使用して表3に示す濃度勾配に従って溶出を行った。
【0037】
【表3】
【0038】
3)データ処理と分析
評価基準:r≧0.9800、定量下限と定量上限との間にある濃度範囲が標準曲線の定量範囲であり、標準曲線濃度点の回収率が85%~115%の範囲にあり、定量上限及び定量下限濃度点の回収率が80%~120%の範囲にあった。
【0039】
品質管理の回収率が85%~115%の範囲にあり、各濃度の品質管理サンプルの少なくとも50%がこの範囲を満たし、また、同じ分析ロットで少なくとも4つの品質管理濃度点がこの要件を満たすことにした。
【0040】
具体的な結果は次の通りであった:
【0041】
【表4】
【0042】
線形フィッティング後に得られた標準曲線は次の通りであった。
y=16058x-416744、 R2=0.9936
図1の結果によれば、R2>0.99、フィッティング性が極めて良かったことが分かった。
【0043】
実施例2(検出方法の結果と評価)
1)再現性
供試品1000μlにTCEP標準品(濃度1.0μg/ml)8μlを加えて得た溶液200μlを取り、それに100μg/ml濃度のDTNB溶液20μlを加え、ボルテックスで混合し、室温下暗所で2時間反応させた。6つの複製サンプルを並行して調製し、6つのサンプルの濃度結果を測定して評価した。具体的な結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】
定量分析の分野では、再現性とは、同じ操作条件下で、同じ分析者が比較的短い間隔時間内で測定して得られた結果の精度を指す。許容される再現性の基準:メインピークの濃度RSD≦15.0%。本試験のRSD=4.1%であったから、本方法は再現性が良かったことがわかった。
【0046】
2)正確性
適量の供試品を取り、高、中、低濃度とした標準品TCEPの添加量及び標準品の終濃度については、品質管理溶液のLQC溶液(4ng/ml)、MQC溶液(16ng/ml)及びHQC溶液(50ng/ml)であった。供試品及び標準品の添加量を表6に示し、正確性の結果を表7に示す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
許容される正確性の基準:回収率が70.0%~130.0%の範囲にあり、RSD≦15.0%であること。
本実験では、回収率が82.9%~104.2%で、RSDがそれぞれ3.1%、2.5%、0.8%であった。この検出結果によれば、本方法が高精度、高選択性、高感度を有し、抗体薬物複合体サンプル中のTCEP濃度の検出に適していたことが分かった。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の精神を詳述した。本発明の技術的本質に従って上記の実施例に対してなされた任意の修正や、同等の変更、修飾が本発明の保護範囲内にあるものとすること、を当業者なら理解するであろう。
図1
図2
【国際調査報告】