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特表2024-512529k空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】k空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558119
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2021140280
(87)【国際公開番号】W WO2022213666
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110379060.9
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ イー
(72)【発明者】
【氏名】祖 涛
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 丹
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB07
4C096AB15
4C096AB25
4C096AC01
4C096AC04
4C096AC05
4C096AC08
4C096AD13
4C096BA03
4C096BA07
4C096DB16
(57)【要約】
【課題】本発明は磁気共鳴画像の分野に属する、k空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法及び装置を提供する。
【解決手段】
該方法は、まず、k空間パラレルイメージング方法によって測定オブジェクトが磁気共鳴パラメータの測定に必要なマルチフレームイメージングから取得した自動補正信号を持つアンダーサンプリング画像フレームを再構築し、次に、自動補正信号を持たない他のアンダーサンプリング画像フレームデータを画像空間において再構築する。本発明はアンダーサンプリングデータから正確なSENSE方法に必要な感度マップを生成し、追加の収集を行う必要がない。該方法は従来のGRAPPA方法とほぼ一致する画像を生成し、且つ明らかなアーチファクトを有しないが、速度が従来のGRAPPA方法の4倍以上である。該方法は自動補正の再構築方法とされて全サンプリングフレームを必要とせず、特に三次元(3D)マルチフレーム磁気共鳴画像の加速に適する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフレームイメージングにおけるアンダーサンプリング画像フレームの再構築に用いられるk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法であって、
前記アンダーサンプリング画像フレームは自動補正信号を持つ第1アンダーサンプリング画像フレームと、自動補正信号を持たない且つ加速係数が2以上である第2アンダーサンプリング画像フレームとを含み、第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数以下であり、
前記再構築する方法は、以下のステップS1~ステップS4を含み、
前記ステップS1では、第1アンダーサンプリング画像フレームをk空間における自動補正のパラレルイメージング方法により再構築して完全な画像フレームを補正フレームとして取得し、補正フレームのk空間データをフーリエ変換して各チャネルのコイル画像を取得し、すべてのチャネルのコイル画像を結合してチャネル結合画像を取得し、
前記ステップS2では、各チャネルのコイル画像を前記チャネル結合画像で割って各チャネルのコイル感度マップを取得し、前記チャネル結合画像から支持領域を識別し、且つ感度マップにおける支持領域に対して平滑化によるノイズ除去を行い、感度マップにおける非支持領域を外挿して、最適化された感度マップを取得し、
前記ステップS3では、最適化された感度マップによって前記補正フレームにおいて加速係数が1のSENSE再構築を行って、参照画像を生成するとともに、前記補正フレームに対して後ろ向きアンダーサンプリングを行って後ろ向きアンダーサンプリングの加速係数を前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数と同じにし、更にアンダーサンプリング後のデータに対してSENSE再構築を行って、潜在的なエイリアシングアーチファクトを有する後ろ向き再構築画像を生成し、参照画像及び後ろ向き再構築画像に基づいて補正係数マップを取得し、且つ補正係数マップにおける各位置の画素値を参照画像及び後ろ向き再構築画像における対応位置の画素値の商にし、
前記ステップS4では、第1アンダーサンプリング画像フレーム以外の残りの第2アンダーサンプリング画像フレームに対して前記最適化された感度マップによりSENSE再構築を行い、SENSE再構築後の画像を前記補正係数マップに乗じて、アーチファクトを抑制する完全な画像フレームを取得する
ことを特徴とするk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項2】
前記ステップS1において、前記k空間における自動補正のパラレルイメージング方法はGRAPPA方法であり、コイルの重みを計算してアンダーサンプリング領域に応用することにより、完全な画像フレームを再構築して取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項3】
前記GRAPPA方法はTikhonov正則化を用いるGRAPPAである
ことを特徴とする請求項2に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項4】
前記第1アンダーサンプリング画像フレームと第2アンダーサンプリング画像フレームとはいずれも二次元画像であり、前記第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2であることが好ましく、前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2~4であることが好ましい
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項5】
前記第1アンダーサンプリング画像フレームと第2アンダーサンプリング画像フレームとはいずれも三次元画像であり、前記第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2×2であることが好ましく、前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数がN×Mであることが好ましく、2≦N≦4、2≦M≦4であり、且つ総加速係数が12以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項6】
前記ステップS1において、平方根方法又は自己適応方法によりすべてのコイル画像を結合する
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項7】
前記ステップS2において、感度マップにおける支持領域に対してフィッティング方式で平滑化によるノイズ除去を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項8】
前記ステップS3において、異常値を除去するように、前記補正係数マップをフィルタによりフィルタリングする必要がある
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項9】
前記ステップS4において、前記最適化された感度マップによりSENSE再構築を行うとき、カットオフ特異値正則化方法を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法。
【請求項10】
磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備え、前記制御ユニットにはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されたとき、請求項1~9のいずれか1項に記載のイメージング方法は、実施され、前記磁気共鳴スキャナは前記第1アンダーサンプリング画像フレーム及び第2アンダーサンプリング画像フレームデータを取得するためのものである
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴画像の分野に属し、マルチフレーム画像データを必要とする磁気共鳴パラメータの測定に対して高速収集を実現することができる。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像(MRI)は核スピン密度、縦緩和時間(T1)、横緩和時間(T2)、見かけ拡散係数(ADC)、脳血流速度、磁化転移速度などを含む組織パラメータを測定するためのものであってもよい。これらのパラメータの信号源は生体内にある内因性化合物の核(例えば、水中のH)であってもよく、外因性物質又はトレーサーであってもよい。組織のMRIパラメータの直接量子化によって神経、筋肉骨格、肝臓及び心筋のイメージングにおける更なる価値のある様々な病理的な臨床情報を提供することができる。
【0003】
これらのパラメータを測定するイメージング技術は緩和時間イメージング、拡散イメージング、灌流イメージング、機能磁気共鳴(fMRI)及び化学交換飽和転移(CEST)イメージングを含み、それらはほとんど同じイメージングオブジェクトに対してパルスシーケンスパラメータ変調を有するマルチフレーム画像データセットを収集する必要がある。これらの変調可能なパルスシーケンスパラメータはエコー時間(TE)、反転角度又は勾配強度などを含み、例えば、拡散イメージングは同じイメージングオブジェクトに対して異なる勾配磁場におけるデータを収集する必要がある。目標パラメータの推定はマルチフレーム画像データセットにおける信号変化を数学的モデルとフィッティングすることで実現され得る。複数回収集する必要があるため、走査時間が長く、これはその臨床での応用を制限する一方、より長い走査時間に起因して追加の運動を引き起こしやすく、このため、技術そのものが運動に比較的敏感である。従って、データ収集時間を短縮してイメージング過程を加速することは患者に利便性を提供するだけでなく、画像品質の向上にも役立つ。
【0004】
マルチフレームイメージングにおけるパラメータ測定を加速するために、中国国内外の研究者は既に多くの方法を提案しており、CEST技術を例とすると、Keyhole-CEST、SLAM、k-w ROSA、CS-CESTなどの方法がある。Keyhole-CESTは取得された低解像度の画像と高解像度の参照画像とを組み合わせて各回収集すべきデータを減少させるが、画像の高周波情報を犠牲にしてしまう。SLAM方法は偵察走査から取得された先験位置決め知識によって直接に任意の形状の関心領域から領域CEST測定値を生成し、従来のシングルボクセル及びマルチボクセル方法よりも遥かに高い信号対雑音比効率を有するが、領域内部の組織の異質性情報が紛失してしまう。モデルに基づく方法のうちのk-w ROSAはサブ空間に基づくZスペクトル信号を分解して測定モデルに結合することにより、直接に完全又は不完全な測定から関心のある非対称なZスペクトルを推定できるが、その加速能力が限られてしまう。圧縮センシングに基づくCS-CEST方法は画像の変換領域におけるスパース性により加速するが、実際の応用においてまだ完全なランダムアンダーサンプリングを実現していない。
【0005】
パラレルイメージング方法はその実用性及びロバスト性により臨床的に広く使用されている。現在、基本的にはGRAPPAを代表とする自動補正のk空間方法及びSENSEを代表とする顕在的なコイル感度に基づく画像空間方法の2種類に分けられる。GRAPPAは自動補正のk空間パラレルイメージングアルゴリズムであり、マルチチャネルデータの線形組み合わせにより欠損点をフィッティングする。GRAPPAの補正方程式は以下の式1に示され、
【数1】
[1]
ここで、Aが自動補正信号(ACS)により生成されるソースデータ行列を示し、yが目標データベクトルを示し、wがフィッティングしようとする重みを示す。過去の研究によって、加速係数がより低い場合、GRAPPAは正確な画像を生成することができ、且つより高いロバスト性を有することが明らかになった。マルチフレームデータを必要とするパラメータの測定の場合には、複数フレームの画像を収集する必要があるため、従来のGRAPPA方法は各画像フレームがいずれもACSを収集する必要があり、これは加速効果を大幅に低減してしまい、1つのみのACSを収集して、これにより算出された重み値をすべてのアンダーサンプリングフレームに応用すれば、未知のアーチファクトを導入してしまう。一方、加速係数が高い場合には、GRAPPAはより遠いk空間収集データから欠損データをフィッティングするしかなく、これは誤差を増加させてしまう。GRAPPAの原理はその加速能力を制限し、実際の二次元(2D)イメージングが一般的に2倍加速を用い、三次元(3D)イメージングが一般的に2×2倍加速を用いる。
【0006】
SENSEは並列再構築を画像空間の線形方程式の反転問題として見なし、感度マップが完全に正確である場合、SENSEは最小二乗意味における最適解を求めることができる。しかしながら、実際には、正確な感度マップが取得されにくく、且つ感度マップにおける微小な誤差に起因して再構築画像における強いラップアラウンドアーチファクトを引き起こす恐れがある。最近、マルチフレーム画像データの収集及びパラメータの測定を加速するために、可変加速感度コーディング(vSENSE)方法が提案されている。マルチフレームイメージングにおいて、異なるフレームの画像は同じイメージングオブジェクトから取得されたものであり、理論的に同じコイル感度を有する。この仮定を基に、vSENSE方法は全サンプリングする又はより低い倍数でアンダーサンプリングする1つの画像フレームから調整された感度マップを取得し、次により高い加速係数でアンダーサンプリングする別の画像フレームを再構築する。vSENSEはより高い加速能力を有するが、3つの明らかな欠点がある。第1として、自動補正方法ではなく、追加の参照走査から初期感度マップを取得すると、非一致性を引き起こす恐れがあり、第2として、最新の3D vSENSE 方法において、全サンプリング画像が取得できないため、2倍加速するSENSE画像フレームが正確なものとして見なされ、その再構築された画像が依然として潜在的なアーチファクトを有し、第3として、3D vSENSE方法における最も高い加速倍数が8であり、且つ既により多くのアーチファクトが現れており、その加速効果が依然として制限されてしまう。
【0007】
従って、マルチフレームイメージングを必要とするMRパラメータの測定分野において、自動補正再構築が可能であるとともに、一層高い加速係数が許容されて高いロバスト性を有する方法を提供することは、極めて重要な意味を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術におけるマルチフレームイメージング再構築において自動補正が不可能で、且つ再構築画像が潜在的なアーチファクトを有し、加速効果が大幅に制限されているといった問題を解決し、且つk空間と画像空間とを組み合わせて再構築する高速イメージング方法(英語の名称はjoint K-space and Image-space Parallel Imagingであり、以下にKIPI方法と略称されてもよい)及び装置を提供することにあり、高度にアンダーサンプリングされたk空間データから正確な画像を回復することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が用いる具体的な技術案は以下のとおりである。
【0010】
第1態様では、本発明に係るk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法であって、アンダーサンプリング画像フレームを再構築するためのものであり、前記アンダーサンプリング画像フレームは自動補正信号を持つ第1アンダーサンプリング画像フレームと、自動補正信号を持たない且つ加速係数が2以上である第2アンダーサンプリング画像フレームとを含み、第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数以下であり、
前記再構築方法は、
第1アンダーサンプリング画像フレームをk空間における自動補正のパラレルイメージング方法により再構築して完全な画像フレームを補正フレームとして取得し、補正フレームのk空間データをフーリエ変換して各チャネルのコイル画像を取得し、すべてのチャネルのコイル画像を結合してチャネル結合画像を取得するステップS1と、
各チャネルのコイル画像を前記チャネル結合画像で割って各チャネルのコイル感度マップを取得し、前記チャネル結合画像から支持領域を識別し、且つ感度マップにおける支持領域に対して平滑化によるノイズ除去を行い、感度マップにおける非支持領域を外挿して、最適化された感度マップを取得するステップS2と、
最適化された感度マップによって前記補正フレームにおいて加速係数が1のSENSE再構築を行って、参照画像を生成するとともに、前記補正フレームに対して後ろ向きアンダーサンプリングを行って後ろ向きアンダーサンプリングの加速係数を前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数と同じにし、更にアンダーサンプリング後のデータに対してSENSE再構築を行って、潜在的なエイリアシングアーチファクトを有する後ろ向き再構築画像を生成し、参照画像及び後ろ向き再構築画像に基づいて補正係数マップを取得し、且つ補正係数マップにおける各位置の画素値を参照画像及び後ろ向き再構築画像における対応位置の画素値の商にするステップS3と、
第1アンダーサンプリング画像フレーム以外の残りの第2アンダーサンプリング画像フレームに対して前記最適化された感度マップによりSENSE再構築を行い、SENSE再構築後の画像を前記補正係数マップに乗じて、アーチファクトを抑制する完全な画像フレームを取得するステップS4と、を含む。
【0011】
第1態様の好適例として、前記ステップS1において、前記k空間における自動補正のパラレルイメージング方法はGRAPPA方法であり、コイルの重みを計算してアンダーサンプリング領域に応用することにより、完全な画像フレームを再構築して取得する。
【0012】
更に、前記GRAPPA方法はTikhonov正則化を用いるGRAPPAであることが好ましい。
【0013】
第1態様の好適例として、前記第1アンダーサンプリング画像フレームと第2アンダーサンプリング画像フレームとがいずれも二次元画像であり、前記第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2であることが好ましく、前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2~4であることが好ましい。
【0014】
第1態様の好適例として、前記第1アンダーサンプリング画像フレームと第2アンダーサンプリング画像フレームとがいずれも三次元画像であり、前記第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2×2であることが好ましく、前記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数がN×Mであることが好ましく、2≦N≦4、2≦M≦4であり、且つ総加速係数が12以下である。
【0015】
第1態様の好適例として、前記ステップS1において、平方根方法又は自己適応方法によりすべてのコイル画像を結合する。
【0016】
第1態様の好適例として、前記ステップS2において、感度マップにおける支持領域に対してフィッティング方式で平滑化によるノイズ除去を行う。
【0017】
第1態様の好適例として、前記ステップS3において、異常値を除去するように、前記補正係数マップをフィルタによりフィルタリングする必要がある。
【0018】
第1態様の好適例として、前記ステップS4において、前記最適化された感度マップによりSENSE再構築を行うとき、カットオフ特異値正則化方法を用いることが好ましい。
【0019】
第2態様では、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置であって、磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備え、前記制御ユニットはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムが実行されるとき、第1態様のいずれか1項に記載のマルチフレーム画像の再構築方法を実現するためのものであり、前記磁気共鳴スキャナは前記第1アンダーサンプリング画像フレーム及び第2アンダーサンプリング画像フレームデータを取得するためのものである。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0021】
本発明はすべてのフレームのACSデータを必要とせず、純粋加速の効果を大幅に向上させる。本発明は加速係数が2以上のアンダーサンプリング画像フレームにより正確な感度マップを生成することができる。第1アンダーサンプリング画像フレームがまずk空間における自動補正のパラレルイメージング方法(例えば、GRAPPA)により再構築されるため、追加して収集された感度マップを必要とせず、該方法は自動補正を実現することができる。本発明はk空間における自動補正のパラレルイメージング方法のロバスト性を考慮したため、従来のvSENSE方法に比べて収集速度を更に加速することができる。
【0022】
全サンプリング画像フレームを用いる必要がないため、該方法は特に3Dマルチフレームイメージングに適用される。そして、パラメータの測定に必要なソース画像を取得するとき、本発明は位相コーディング及び階層コーディング方向における前向き加速係数が元の12倍まで向上することが許容され、且つ真理値結果と一致するソース画像及び最終的な目標パラメータ画像を生成する。一方、本発明は高度アンダーサンプリングデータから再構築された画像が明らかなエイリアシングアーチファクトを有しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は実施例の結果の再構築図であって、GRAPPA及びKIPIにより再構築された+6ppmファントム画像の比較である。その中、図1のaは全サンプリングk空間の二乗和(RSS)の再構築結果であり、図1のbは加速係数(AF)=4の場合にGRAPPAにより再構築されたファントムソース画像であり、図1のcはAF=4の場合にKIPIにより再構築されたファントムソース画像であり、図1dは選定されたa画像の関心領域におけるGRAPPA(破線)及びKIPI(二重線)により取得されたZスペクトル及び全k空間の結果(実線)であり、図1のe及びfはそれぞれb画像、c画像及びa画像の差分マップである。且つ、b及びc画像が同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像フレームを含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4にする。
図2図2は実施例の水モデルのアミドプロトン転移重み(APTw)パラメータ画像である。その中、図2のaは全サンプリングデータから計算したAPTw画像であり、図2のbはGRAPPAによって第1アンダーサンプリング画像フレームACSデータから取得された重み値を利用して他の第2アンダーサンプリング画像フレームを再構築して取得したAPTw画像であり、明らかなアーチファクトを有し、図2のcはKIPIによって補正フレームから導出された感度マップを利用して他の第2アンダーサンプリング画像を再構築して取得したAPTw画像である。且つ、図2のb及びcが同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像フレームを含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4に選択する。
図3図3は実施例のGRAPPA及びKIPIにより再構築された+6ppm脳画像である。その中、図3のaは全サンプリングk空間のRSS再構築であり、図3のbはAF=4の場合にGRAPPAにより再構築された健康な志願者のソース画像であり、図3のcはAF=4の場合にKIPIにより再構築された健康な志願者のソース画像であり、図3のdは選定されたa画像の関心領域におけるGRAPPA(破線)及びKIPI(二重線)により取得されたZスペクトル及び全k空間の結果(実線)であり、図3のe及びfはそれぞれb、c画像及びa画像の差分マップである。且つ、図3のb及びcの画像が同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像フレームを含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4に選択する。
図4図4は実施例の健康な志願者の2D APTwパラメータ画像である。その中、図4のaは全サンプリングデータから計算したAPTw画像であり、図4のbはAF=4の場合にGRAPPAにより再構築されたAPTw画像であり、残りのフレームの再構築には補正フレームACSデータから取得された重み値を用い、図4のcはAF=4の場合にKIPIにより再構築されたAPTw画像であり、SENSEステップにおいて補正フレームから導出された感度マップを用いる。且つ、図4のb及びcの画像が同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像フレームを含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4に選択する。
図5図5は実施例の健康な志願者の-4ppm 3D-CESTソース画像である(各組が72枚のマップから選んだ5枚のマップである)。その中、図5のaはAF=2×1の従来のGRAPPAにより再構築して取得された-4ppmのソース画像であり、図5のbはGRAPPAにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のソース画像であり、図5のcはKIPIにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のソース画像であり、図5のd及びeはそれぞれGRAPPA及びKIPIによる再構築結果の真実値aに対する差分マップであり、再構築誤差(RNMSE)がそれぞれ0.026及び0.014である。矢印がGRAPPAにより再構築されたエイリアシングアーチファクトを指し示す。可変加速アンダーサンプリングデータは、+3.5ppmフレームにACSデータがあり、AF=2×2が第1アンダーサンプリング画像フレームであり、残りの6フレームにACSデータがなく、AF=2×4が第2アンダーサンプリング画像フレームである。
図6図6は実施例の健康な志願者のAPTwパラメータ画像である(各組が72枚のマップから選んだ5枚のマップである)。その中、図6のaはすべてのフレームのAF=2×1データ及びACSデータによるGRAPPAにより再構築して取得されたAPTw画像であり、図6のbはGRAPPAにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のAPTw画像であり、図6のcはKIPIにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のAPTw画像である。矢印が可変加速係数GRAPPA APTw画像におけるアーチファクトを指し示す。+3.5ppmフレームにACSデータがあり、AF=2×2が第1アンダーサンプリング画像フレームであり、残りの6フレームにACSデータがなく、AF=2×4が第2アンダーサンプリング画像フレームである。
図7図7は実施例の健康な志願者のAPTw画像である(各組が72枚のマップから選んだ5枚のマップである)。その中、図7のaはすべてのフレームのAF=2×1データ及びACSデータによるGRAPPAにより再構築して取得されたAPTw画像であり、図7のbはGRAPPAにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のAPTw画像であり、図7のcはKIPIにより可変加速係数のアンダーサンプリングデータから再構築された健康な志願者のAPTw画像である。矢印が可変加速係数GRAPPA APTw画像におけるアーチファクトを指し示す。+3.5ppmフレームにACSデータがあり、AF=2×2が第1アンダーサンプリング画像フレームであり、残りの6フレームにACSデータがなく、AF=4×3が第2アンダーサンプリング画像フレームである。
図8図8は本発明のKIPI方法の模式的なフローチャートであって、再構築された第1アンダーサンプリング画像フレームが補正フレームである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら具体的な実施形態によって本発明を更に詳述及び説明する。互いに衝突しない限り、本発明の各実施形態の技術的特徴はいずれも対応して組み合わせられてもよい。
【0025】
SENSE再構築方法において、i(1≦i≦N)番目のコイル画像mが既知のものであれば、i番目のコイルの感度マップSEはmをコイル組合せ画像ρで割って取得できる。
【数2】
[2]
【0026】
従って、加速係数(AF)が2(一般性を失わない)の後ろ向きSENSE再構築の場合、下記方程式が成り立つ。
【数3】
[3]
ここで、
がラップアラウンド後のチャネル画像ベクトルを示し、上添字1及び2が異なる2つの空間エイリアシング位置を示す。

がそれぞれ2つの空間エイリアシング位置の画像ベクトルを示す。ρとρがそれぞれコイル組合せ画像における2つの空間エイリアシング位置の画素値を示す。

がそれぞれ2つの空間エイリアシング位置のコイル感度ベクトルを示す。
【0027】
式[3]の最小二乗解は、以下の式4に示され、
【数4】
[4]
ここで、
であり、Iが単位行列である。

がそれぞれρとρの推定値を示す。
【0028】
実際の状況において、チャネル画像が一般的に未知のものである。注意したことは、GRAPPA再構築の結果をmとして代入すれば、式[2-4]には実際に、GRAPPA再構築結果から導出された感度マップをSENSEに応用すると、SENSEの加速係数に関わらずにGRAPPA再構築と一致する結果を生成することができることが説明されることである。実際にはmが完全に正確なものであるかどうかに関わらず、用いる感度が式[2]の定義に合えば、式[3]及び[4]がいずれも成り立つ。マルチフレームイメージング技術において異なる画像フレームが同じ感度を有するため、GRAPPA再構築フレームから導出された感度マップを他のフレームに応用することができる。
【0029】
上記原理に基づいて、サンプリング時に本発明はマルチフレームイメージングにおける1つの画像フレームを選択してより低い加速係数(例えば、2Dイメージングの場合にAF=2であり、3Dイメージングの場合にAF=2×2である)でアンダーサンプリングして中心部分の自動補正信号(ACS)を保存して第1アンダーサンプリング画像フレームとして記し、残りのフレームをより高い加速係数でアンダーサンプリングしてACSをなくして第2アンダーサンプリング画像フレームとして記す。本発明はより低い加速係数の第1アンダーサンプリング画像フレームに対してGRAPPA再構築を行って補正フレームとし、次に式[2]により対応する感度マップを計算し、更にこの感度マップを応用して第2アンダーサンプリング画像フレームに対してSENSE再構築を行う。一般的な意味で、SENSE再構築の精度が用いる感度マップのみに関連するが、具体的な画像コントラストに関連しない。上記導出により、補正フレームにおいてSENSE再構築を応用すれば、低加速係数のGRAPPAと同じ画像品質を取得できることが証明される。そして、補正フレーム及び他の第2アンダーサンプリング画像フレームが同じ感度(理想的に正確であるが、取得できないもの)を有し且つイメージングオブジェクトが一致するため、他のフレームにおいて上記導出された感度マップ(実際のものであるが、取得できる)を用いてSENSE再構築を行えば、補正フレームと近い品質の画像も取得できる。本発明に係るk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法のプロセスは図8に示され、以下にその具体的な実現過程を詳しく説明する。
【0030】
該マルチフレームイメージングの再構築方法は主に磁気共鳴スキャナにより取得されたアンダーサンプリング画像フレームを再構築するためのものであり、アンダーサンプリング画像フレームがACSのある第1アンダーサンプリング画像フレーム及びACSのない第2アンダーサンプリング画像フレームを含むべきである。第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数AFが2以上であり、且つ第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数以下であるべきであり、これにより第2アンダーサンプリング画像フレームの取得に必要な時間を短縮する。第1アンダーサンプリング画像フレームは1フレームのみを必要とするが、第2アンダーサンプリング画像フレームは複数のフレームがあるため、第1アンダーサンプリング画像フレームにより補正フレームを取得し、更に残りの1フレーム当たりの第2アンダーサンプリング画像フレームを再構築できれば、収集速度を大幅に向上させることができる。
【0031】
なお、磁気共鳴スキャナにより取得されたアンダーサンプリング画像フレームは2D画像であってもよく、3D画像であってもよい。アンダーサンプリング画像フレームの具体的な加速係数は実際の状況に応じて調整される必要があり、アンダーサンプリング画像フレームが2D画像である場合、第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2であることが好ましく、第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2~4であることが好ましい。アンダーサンプリング画像フレームが3D画像である場合、第1アンダーサンプリング画像フレームの加速係数が2×2であることが好ましく、第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数がN×Mであることが好ましく、2≦N≦4、2≦M≦4であり、且つ総加速係数が12以下である。
【0032】
該k空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法は具体的に下記のステップを含む。
【0033】
ステップS1では、第1アンダーサンプリング画像フレームをk空間における自動補正のパラレルイメージング方法(GRAPPA)により再構築して完全な画像フレームを補正フレームとして取得する。次に、補正フレームのk空間データをフーリエ変換して各チャネルのコイル画像を取得し、すべてのチャネルのコイル画像を結合してチャネル結合画像を取得する。
【0034】
GRAPPA方法は従来技術に属し、コイルの重みを計算してアンダーサンプリング領域に応用することにより、完全な画像フレームを再構築して取得する。更に、GRAPPA方法を用いれば、本発明はTikhonov正則化を用いるGRAPPAを採用するように推薦する。
【0035】
なお、このステップにおいて、GRAPPAにより第1アンダーサンプリング画像フレームの再構築を実現するように推薦するが、場合によってはSPIRiT、CAIPIRINHAなどの他のk空間における自動補正のパラレルイメージング方法を用いてもよい。
【0036】
また、このステップにおいて、すべてのコイル画像の結合が平方根(RSS)方法により実現されてもよく、当然ながら、自己適応結合(adaptive combine)方法により実現されてもよい。
【0037】
ステップS2では、各チャネルのコイル画像を上記チャネル結合画像で割って各チャネルのコイル感度マップを取得する。上記チャネル結合画像から支持領域を識別し、且つ感度マップにおける支持領域に対して平滑化によるノイズ除去を行い、感度マップにおける非支持領域を外挿して、最適化された感度マップを取得する。
【0038】
このステップにおいて、感度マップにおける支持領域に対してフィッティング方式で平滑化によるノイズ除去を行うことができる。フィッティングはローカルフィッティング及びグローバルフィッティングの2つの方式を含み、当然ながら、フィルタによるフィルタリング形式により支持領域の平滑化によるノイズ除去を行ってもよい。
【0039】
ステップS3では、最適化された感度マップによって上記補正フレームにおいて加速係数が1のSENSE再構築を行って、参照画像を生成する。それと同時に、上記補正フレームに対して後ろ向きアンダーサンプリングを行って後ろ向きアンダーサンプリングの加速係数を上記第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数と同じにし、更にアンダーサンプリング後のデータに対してSENSE再構築を行って、潜在的なエイリアシングアーチファクトを有する後ろ向き再構築画像を生成する。次に、参照画像及び後ろ向き再構築画像に基づいて補正係数マップを取得し、且つ補正係数マップにおける各位置の画素値を参照画像及び後ろ向き再構築画像における対応位置の画素値の商にし、即ち参照画像及び後ろ向き再構築画像の商を画素毎に求めて補正係数マップを取得する。
【0040】
注意すべきことは、直接に取得された補正係数マップには異常値がある恐れがあるため、フィルタによりフィルタリングして異常値を除去してから次のステップを実行することが望ましいことである。
【0041】
ステップS4では、第1アンダーサンプリング画像フレーム以外の残りの各フレームの第2アンダーサンプリング画像フレームに対して上記最適化された感度マップによりSENSE再構築を行うことができ、SENSE再構築後の画像を上記補正係数マップに乗じれば、アーチファクトを抑制する完全な画像フレームを取得することができる。
【0042】
なお、このステップにおいてSENSE再構築後の画像を補正係数マップに乗じるとき、2枚の画像を乗じることとは、2枚の画像における同じ位置の画素値を1点ずつ乗じたものを完全な画像フレームにおける対応位置の画素値とすることを意味する。
【0043】
注意すべきことは、本発明の第2アンダーサンプリング画像フレームは複数のフレームを有するが、異なる第2アンダーサンプリング画像フレームは異なる加速係数を有してもよいことである。各フレームの第2アンダーサンプリング画像フレームに対してSENSE再構築を行うとき、用いる補正係数マップも同じ加速係数に基づいて取得される必要がある。具体的には、1フレームの第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数がXである場合、ステップS3において加速係数Xに基づいて補正フレームに対して後ろ向きアンダーサンプリングを行い、次にSENSEにより後ろ向き再構築画像を再構築し、且つ参照画像及び後ろ向き再構築画像に基づいて補正係数マップを取得する必要もあり、別のフレームの第2アンダーサンプリング画像フレームの加速係数がYである場合、S3において加速係数Yに基づいて補正フレームに対して後ろ向きアンダーサンプリングを行い、次にSENSEにより後ろ向き再構築画像を再構築し、且つ参照画像及び後ろ向き再構築画像に基づいて補正係数マップを取得する必要もある。
【0044】
このステップにおいて、最適化された感度マップによりSENSE再構築を行うとき、カットオフ特異値正則化方法を用いてより小さい特異値の一部を捨てることが好ましい。
【0045】
これにより、上記ステップS1~ステップS4は本発明に係るk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法(KIPI)を構成する。実際の応用において、上記KIPI方法を磁気共鳴イメージング装置の制御ユニットに統合し、更にマルチフレームイメージング再構築を自動的に行うことのできる磁気共鳴イメージング装置を形成することができる。該磁気共鳴イメージング装置は磁気共鳴スキャナ及び制御ユニットを備え、制御ユニットはコンピュータプログラムが記憶され、該コンピュータプログラムが実行されるとき、上記KIPI方法を実現することができる。そして、該KIPI方法に必要なアンダーサンプリング画像データ(第1アンダーサンプリング画像フレーム及び第2アンダーサンプリング画像フレーム)が磁気共鳴スキャナにより予め取得される。
【0046】
上記磁気共鳴スキャナは従来技術により実現されてもよく、成熟した商用製品に属し、詳細な説明は省略する。
【0047】
上記制御ユニットは中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)、ネットワークプロセッサ(NP、Network Processor)などを含む汎用プロセッサであってもよく、デジタルシグナルプロセッサ(DSP、Digital Signal Processing)、特定用途向け集積回路(ASIC、Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、Field-Programmable Gate Array)又は他のプログラマブルロジックデバイス、個別ゲート又はトランジスタロジックデバイス、個別ハードウェアコンポーネントであってもよい。
【0048】
なお、制御ユニットはKIPI方法を実現するプログラムが記憶される以外に、マルチフレームイメージングの実現に必要なイメージングシーケンス及び他のソフトウェアプログラムを有すべきである。
【0049】
本発明に係るk空間と画像空間とを組み合わせて再構築するイメージング方法及び装置は、磁気共鳴画像における同一イメージングオブジェクトを複数回収集する必要がある任意のマルチフレームイメージング技術に適用されてもよく、該技術は緩和時間(T1、T2)イメージング、拡散イメージング、灌流イメージング、機能イメージング(fMRI)、磁気共鳴波スペクトル(MRS)イメージング、化学交換飽和転移(CEST)イメージングを含むが、それらに限らない。
【0050】
以下、当業者に本発明の本質をより良く理解させるように、CESTイメージングに基づいて一実施例によって本発明の上記KIPI方法が実現できる技術的効果を更に説明する。
【0051】
実施例
1、MRI実験
すべてのファントム実験及び人体実験がいずれも1台の3テスラ(T)シーメンススキャナ(MAGNETOM Prisma,Siemens Healthcare,Erlangen,Germany)において行われ、64チャネル受信ヘッドコイルを用いる。ファントムは2%アガロースゲルがいっぱいに充填される1つのフラスコと、2つの試験管とで構成される。一方の試験管に10%ウシ血清アルブミン(BSA)を充填してリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、他方の試験管に5%ウシ血清アルブミンを充填してPBSにも溶解する。人体研究は現地機構審査委員会のの許可を得たのである。
【0052】
用いられるシーケンスはCESTイメージングシーケンスであり、測定するMRIパラメータはアミドプロトン転移効果の高さである。
【0053】
ファントムの場合、CEST走査は時間1.0s、2μT飽和パルスを用い、次に脂肪抑制の軸方向2Dマルチスピンエコー(TSE)シーケンスにより読み出し、収集パラメータはTE=6.7ms、TR=3s、FA=90、FOV=212×186mm、解像度=2.2×2.2mm、スライス厚さ=5mm、収集行列の大きさ=96×96、ターボ係数=42である。合計して51個の異なる周波数オフセットのフレームが収集され、その中に不飽和フレームS0及び6~-6ppmの飽和フレームが含まれ、そのステップ幅が0.5ppmである。各飽和フレームの信号平均値(NSA)が2である。2D人体研究はファントム研究と同じパラメータを用いる。
【0054】
3D人体脳実験の場合、SPACE-CESTシーケンスを用いてデータ収集を行い、実行パラメータはTE=17ms、TR=3s、FOV=212×212×201mm、解像度=2.8×2.8×2.8mm、収集行列の大きさ=76×76×72、ターボ係数=140、NSA=1.2、GRAPPA加速係数=2×1(それぞれ位相コーディング及び階層コーディング方向にある)である。ACSは組み込み収集を用い、行列の大きさは24×76×72である。アミドプロトン転移重み(APTw)イメージングのために、合計して7つのCEST飽和オフセットフレームが収集され、その中に(S0)、±3、±3.5及び±4-ppmが含まれる。
【0055】
B0補正の場合、2D及び3D実験においてCESTシーケンスと同じ視野、方位及び解像度のGREシーケンスを用い、TRが30msである。GREシーケンスがダブルエコーモードにおいて実行され、TEがそれぞれ4.92ms及び9.84msである。
【0056】
2、画像の再構築及び分析
すべての処理及び分析はいずれもPCコンピュータ(3.2GHz)において作成されたMATLAB(MathWorks,Natick,MA)ソフトウェアを用いてオフラインで行われる。
【0057】
2D実験において、1番目の+3.5ppmを第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、AF=2である。第2アンダーサンプリング画像フレームは、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像フレームを含まない)アンダーサンプリングの場合にAF=2であり、他の46フレームの場合にAF=4である。3D実験において、+3.5ppmフレームを第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、AF=2×2であり、残りの6フレームが第2アンダーサンプリング画像フレームであり、AF=2×4(1番目の3D実験)又はAF=4×3(2番目の3D実験)であり、第1アンダーサンプリング画像フレームに対して、ACS行列の寸法を24×76×72から24×76×24まで減少することは、元のACSの一部のみを保存することを意味する。注意することは、2D又は3D実験において第1アンダーサンプリング画像フレームのみにACSデータを保存することである。
【0058】
本実施例のKIPIは下記4つのステップに分けられる。
【0059】
ステップ1では、まず、GRAPPAにより第1アンダーサンプリング画像フレームを再構築する。Tikhonov正則化を用いるGRAPPAにより第1アンダーサンプリング画像フレームを再構築し、且つACSデータを書き込んで補正フレームとする。再構築された補正フレームのk空間データをフーリエ変換して各チャネルのコイル画像を取得し、次に平方根(RSS)再構築によりすべてのチャネルのコイル画像を結合し、結合後に取得されたチャネル結合画像をRSS画像として記す。2D GRAPPAカーネルが4×5であることは収集された4本の位相コーディングライン及び5つの周波数コーディングポイントを示し、即ち1つの欠損点が各チャネルにおける20個の点を用いてフィッティングする。同じ意味で、3DのGRAPPAカーネルが4×5×4(それぞれ位相コーディング×周波数コーディング×階層コーディング方向である)である。
【0060】
ステップ2では、次に、コイル感度マップを計算する。各チャネルのコイル画像を上記RSS画像で割って、再構築された補正フレーム画像から各チャネルのオリジナルの感度分布マップを計算する。このような方式で計算した感度マップは機械で走査した画像幾何学的パラメータと同じであるため、レジストレーションする必要がない。従って、閾値処理によりRSS画像から支持領域を識別し(閾値を0.1近くに設定する)、形態学的イメージング方法により感度マップにおける空洞を埋めて領域の境界を平滑化する。本実施例は三次重み付きカーネルを持つ局所重み付け投影回帰(LWPR)フィッティングにより感度マップにおける支持領域に対して平滑化によるノイズ除去を行い、感度マップにおける非支持領域を外挿して、最適化された感度マップを取得する。本実施例が用いる多項式は二次多項式であり、支持領域のウィンドウ幅は12であり、非支持領域のウィンドウ幅は24である。
【0061】
ステップ3では、ついでに、アーチファクトを抑制するための補正係数マップを計算する。最適化された感度マップによって再構築された補正フレーム画像において加速係数が1のSENSE再構築を行って、参照画像ρを生成する。次に、補正フレームにおいて後ろ向きアンダーサンプリングを行って後ろ向きアンダーサンプリングの加速係数をその後に再構築する必要がある第2アンダーサンプリング画像フレームと同じにし、更にアンダーサンプリング後のデータに対してSENSE再構築を行って、潜在的なエイリアシングアーチファクトを有する後ろ向き再構築画像ρを生成する。補正係数マップはエイリアシング画像を1点ずつ後ろ向き再構築画像で割ったものとして定義され、即ち補正係数マップにおける各位置の画素値は参照画像及び後ろ向き再構築画像における対応位置の画素値の商である。また、異常値を除去するように、本実施例の補正係数マップは3×3ウィンドウのメディアンフィルタによりフィルタリングされる必要がある。補正係数マップCの計算公式は以下の式5に示され、
【数5】
【0062】
ステップ4では、最後に、残りのすべての第2アンダーサンプリング画像フレームを再構築する。このステップにおいて、カットオフ特異値正則化方法によって第2アンダーサンプリング画像フレームに対してSENSE再構築を行って、最大値よりも2%小さい特異値を捨てる。次に、アーチファクト抑制方法によってSENSE方法で生成された画像を補正係数マップに1点ずつ乗じて、誤差を更に減少させれば、アーチファクトを抑制する完全な画像フレームを取得することができる。
【0063】
注意すべきことは、本実施例の2D実験における第2アンダーサンプリング画像フレームが2つの加速係数即ちAF=2及びAF=4を有するため、第3ステップにおいてそれぞれAF=2及びAF=4に基づいて後ろ向きアンダーサンプリングを行って2種類の異なる補正係数マップを生成し、対応する補正係数マップを第4ステップにおける第2アンダーサンプリング画像フレームのSENSE再構築に対応して使用する必要もあることである。
【0064】
比較のために、後ろ向きアンダーサンプリングのデータに対して可変加速のGRAPPA再構築を行う。このような場合、第1アンダーサンプリング画像フレームのACSから取得されたGRAPPA重みをすべての他のフレームに応用する。GRAPPA、KIPI及び真実値の正規化された二乗平均平方根誤差(RNMSE)を比較することにより、KIPI方法の精度を評価する。2D画像を比較する場合、完全なサンプリング画像を真実値とし、3D画像の場合、全サンプリング時間が長すぎるため、通常の2×1GRAPPA画像を真実値として見なす。
【0065】
APTwパラメータ画像の計算は以下のとおりである。まず、ソース画像を第1アンダーサンプリングフレーム3.5ppmにレジストレーションする。次に、2種類の異なるTEから取得されたGRE画像の位相差をB0地図として計算する。ついでに、算出されたB0地図に基づいて各ボクセルに補正後の+3.5-ppm及び-3.5-ppm信号値を生成する。最後に、補正後の3.5-ppm及び+3.5-ppm画像を減算してAPTwパラメータ画像を取得する。
【0066】
3、結果の分析
図1から分かるように、GRAPPA方法(図1のb、e)はKIPI方法(図1のc、f)の誤差よりも大幅に大きい(矢印)。KIPIにより高品質の画像(再構築誤差RNMSE=0.008)を生成する。また、可変加速係数アンダーサンプリングの場合、通常のGRAPPAによる囲まれたzスペクトル(図1dにおける破線)は真実値(図1dにおける実線)に比べて、大きな誤差が生じてしまう。ところが、KIPIによる結果(図1dにおける二重線)は真実値とほぼ一致する。
【0067】
図2にはソース画像(図1)から算出されたAPTwパラメータ画像を示す。KIPI方法により生成されたAPTw画像(図2のc)は真実値とほぼ一致し(完全サンプリング、図2のa)、微妙な違いが示されるだけである。ところが、AF=4GRAPPAを用いる場合、結果として、大面積の低信号で、明らかな位相コーディング方向を有するエイリアシング特徴が現れる。KIPIとGRAPPAとが同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリングフレームを含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4にする。
【0068】
図3には同じ実験条件における健康な人間の脳の画像を示す。ファントム研究と同様に、結果として、KIPIの再構築がGRAPPAよりも正確であることが検証される。一方では、KIPIにより生成されたソース画像(図3のc)と真実値(図3のa)との一致性がGRAPPAにより同じデータから再構築されたソース画像(図3のb、再構築誤差がそれぞれ0.018及び0.029である)よりも優れる。他方では、KIPI方法により生成されたzスペクトル(図3のd、二重線)は全k空間スペクトルとほぼ区別できない(図3のd、実線)が、GRAPPAによる誤差が顕著である(図3のd、破線)。
【0069】
図4にはソース画像(図3)から生成されたAPTwパラメータ画像を示す。zスペクトルが正確ではないため、GRAPPA(図4のb)の結果は図3(a)の実線で囲まれた対応位置に明らかなアーチファクトが現れることである。ところが、真実値(図4のa)に比べて、KIPI方法(図4のc)による画像品質がほとんど損なわれない。ここで見えるAPTw画像の強化が不足することは健康な被験者の特徴である。KIPIとGRAPPAとが同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用い、1番目の+3.5ppmをAF=2の第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、S0及び±3.5ppm(第1アンダーサンプリング画像を含まない)をAF=2として選択し、及び残りの46フレームをAF=4にする。
【0070】
図5にはAF=2×1(位相コーディング及び階層コーディング方向)の従来のGRAPPAにより取得された-4ppmのソース画像、並びにKIPI及び通常のGRAPPAにより再構築された同じアンダーサンプリングデータの結果を示す。走査時間が制限されるため、完全サンプリングによる3D CEST収集を取得できず、従って、従来の2×1GRAPPA走査(図5のa)は正確な真実値であると見なされる。同じ可変加速係数アンダーサンプリングデータを用いても、KIPI(図5のc)により生成されたソース画像はGRAPPA(図5のb)再構築よりも真実値に合う。また、GRAPPA画像においてエイリアシングアーチファクトも明らかである(図5のb、d、矢印)。
【0071】
図6図5からのソース画像に対してB0補正及び画像レジストレーションを行って生成したAPTwパラメータ画像である。通常のGRAPPA方法により再構築されたAPTw画像(図6のb)から多くのアーチファクトが見え、これは主に階層方向におけるエイリアシングアーチファクトとして現れる。その比較として、KIPI方法により生成されたAPTw画像(図6のc)は真実値(図6のa)とほとんど同じである。可変加速係数アンダーサンプリングデータは、+3.5ppmフレームにACSデータがあり、AF=2×2であり、残りの6フレームにACSデータがなく、AF=2×4である。
【0072】
図7にはより高い加速係数を用いる場合の健康な志願者APTwパラメータ画像を示す。+3.5ppmフレームを第1アンダーサンプリング画像フレームとして選択し、AF=2×2であり、残りの6フレームの場合にAF=4×3である。図6(b)と異なり、ここのGRAPPAの折り畳みアーチファクトは主に位相コーディング方向に現れる。同様に、GRAPPAにより再構築されたAPTw画像には明らかなアーチファクトがあるが、KIPIの結果にはほとんどない。KIPIによる単一のソース画像フレームが高くとも12の加速係数に達する。要するに、純粋な有効加速係数が8に達することができる。
【0073】
以上に記載の実施例は単に本発明の好適な解決手段であり、本発明を制限するためのものではない。当業者であれば、本発明の主旨及び範囲を逸脱せずに、更に種々の変化及び変形を行うことができる。従って、等価置換又は等価変換の方式で取得された技術案は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】