(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】吸収性複合体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/36 20060101AFI20240312BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240312BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20240312BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20240312BHJP
A61B 46/20 20160101ALN20240312BHJP
【FI】
A61F13/36
A61F13/53 300
A61F13/534 100
A61F13/511 400
A61B46/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023558192
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022021218
(87)【国際公開番号】W WO2022204066
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008428
【氏名又は名称】ベリー グローバル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ワン・レイ
(72)【発明者】
【氏名】フ・リンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヨンジ
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BB03
3B200BB09
3B200CA02
3B200CA11
3B200DB02
3B200DB12
(57)【要約】
親水性繊維を有する不織布上層と、不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、を含む吸収性複合体が提供され、吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層と、を含む複数の層を含み、吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を含む。吸収性複合体は、吸収性コア層に取り付けられたオプションのフィルム層を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性複合体であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層と、
(b)前記不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、を含み、
前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布ウェブと、を含む、複数の層を含み、
前記吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および、(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を含む、吸収性複合体。
【請求項2】
前記不織布上層は、スパンメルト不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはそれらの組み合わせ、例えばS1
a-M
b-S2
c構造を含み、ここで、「S1」は第1のスパンボンド材料であり、「M」はメルトブローン材料であり、「S2」は第2のスパンボンド材料であり、「a」、「b」、および「c」は、それぞれの層の数を示し、それぞれが独立して、1、2、3、4、または5から選択され得る、請求項1に記載の吸収性複合体。
【請求項3】
前記不織布上層は、(i)少なくとも約30重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、または約100重量%の親水性繊維と、(ii)IST70.1によって測定して、少なくとも約50立方フィート/分(CFM)、例えば、IST70.1によって測定して、少なくとも約100CFM、例えば、少なくとも約150CFM、少なくとも約200CFM、少なくとも約250CFM、少なくとも約300CFM、少なくとも約350CFM、少なくとも約400CFM、または少なくとも約500CFMの通気性と、を含む、請求項1~2に記載の吸収性複合体。
【請求項4】
前記不織布上層は、約1~30%、例えば、少なくとも以下:約1、3、5、6、8、10、12、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、および15%のいずれか、を含む、前記吸収性複合体の形成前の結合領域を含む、請求項1~3に記載の吸収性複合体。
【請求項5】
前記吸収性コアは、単一の物理的に絡み合った不織布層と、単一の結合カード不織布層と、を含み、
前記単一の物理的に絡み合った不織布層は、前記不織布上層と前記単一の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項1~4に記載の吸収性複合体。
【請求項6】
前記吸収性コアは、第1の物理的に絡み合った不織布層と、第2の物理的に絡み合った不織布層と、第1の結合カード不織布層と、を含み、
前記第1の結合カード不織布層は、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の物理的に絡み合った不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項1~4に記載の吸収性複合体。
【請求項7】
第2の結合カード不織布層をさらに含み、
前記第1の結合カードウェブは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項6に記載の吸収性複合体。
【請求項8】
前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマー材料を含む複数の合成ステープル繊維を含む、請求項1~7に記載の吸収性複合体。
【請求項9】
前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、9cc/g超、例えば、約12cc/g超、約14cc/g超、約15cc/g超、約16cc/g超、約17cc/g超、約18cc/g超、約19cc/g超、約20cc/g超、約25cc/g超、または約30cc/g超の、空隙容量を有する、請求項8に記載の吸収性複合体。
【請求項10】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%の合成ポリマー繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維を含み、
前記合成ポリマー繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む合成ポリマーを含む、請求項6~9に記載の吸収性複合体。
【請求項11】
前記合成ポリマー繊維は、約20重量%~約100重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性繊維を含み、
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含み、かつ/あるいは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、前記合成ポリマー材料全体に分散された親水性添加剤を含む、請求項10に記載の吸収性複合体。
【請求項12】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%のセルロース繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかのセルロースポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかのセルロース繊維を含み、
前記セルロース繊維は、セルロースアセテート、再生セルロース、鹸化アセテート、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項6~11に記載の吸収性複合体。
【請求項13】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、z方向に厚さ全体を通って延びる複数の開口を含み、
(i)前記複数の開口は、開口領域を画定し、前記開口領域は、約1%~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、12、14、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、22、20、18、16、および15%のいずれかを含み、かつ/あるいは、(ii)前記複数の開口は、約0.1mm~約2mm、例えば、少なくとも以下:約0.1、0.2、0.4、.05.0.6、0.8、および1mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、および1mmのいずれか、の平均直径を有する、請求項6~12に記載の吸収性複合体。
【請求項14】
前記吸収性コアは、(i)パルプ、メルトブローン繊維、もしくはその両方、および/または、(ii)スルーエアボンド不織布層を欠いている、請求項1~13に記載の吸収性複合体。
【請求項15】
吸収性複合体を製造する方法であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層を提供することと、
(b)吸収性コアを提供することであって、前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層と、を含む、複数の層を含む、ことと、
(c)前記不織布上層と前記吸収性コアとを直接または間接的に付着させて、前記吸収性複合体を提供することと、を含み、
前記吸収性複合体は、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性複合体を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2021年3月22日に出願された米国特許出願第63/164,217号に対して米国特許法第119条(35 U.S.C. §119)に基づく優先権を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
ここに開示される発明の実施形態は、一般に、不織布上層と、互いに結合された複数の個別の層を含む吸収性コアと、オプションとしてポリマーフィルムと、を含む、吸収性複合体に関する。
【背景技術】
【0003】
吸収性材料は、典型的には、手術用ドレープ内の開窓領域(例えば、外科処置を行うことができる窓)の周りに位置付けられる。吸収性材料は、外科的介入の間に生成される限られた量の流体を捕捉するために、開窓領域の周りに位置する。これらの流体は、体液(例えば、血液)および/または外科チームによってその作業の実施において使用される流体を含み得る。
【0004】
典型的には、このような吸収性材料は、スパンレースウェブまたは/および化学結合ウェブ中のレーヨンおよびリヨセルなどのセルロース繊維を含む。このような布は、良好な吸収能力を有するが、高い流出(run off)および長い吸収時間(high absorption time)という欠点がある。これらの2つの欠点は、布が流体を吸収するのが遅いことを示し、これは、流体が吸収性材料で覆われた領域から流出することを可能にし得るので、手術中に有害であり得る。
【0005】
異なる群の吸収性材料は、吸収作用を提供するために木材パルプを含有する。しかしながら、この原料(例えば、木材パルプ)は、布によって放出される微粒子の形態で糸くず(lint)を形成する傾向がある。外科処置中の糸くずの生成は望ましくない。
【0006】
現在使用されている別の種類の吸収性材料は、スパンボンドから作られたカバー、親水性メルトブローンから作られたコア、および裏打ちフィルムを含む3層複合体からなる。しかしながら、このタイプの布は、より低い吸収能力(g/g)を示す一方で、依然として高い流出という欠点がある。
【0007】
さらに別の種類の吸収性材料では、適度に嵩高な親水性スパンボンドがフィルムに積層される。しかしながら、このような製品もまた、好ましくない流出(poor run off)(すなわち、流出率が高い)、およびセルロース含有吸収性材料より低い吸収性という欠点がある。
【0008】
したがって、当技術分野では、良好な耐摩耗性、短い吸収時間を特徴とするような漏れを回避するための速い吸収速度、低流出率、および高吸収性のうちの1つ以上を有する、手術用ドレープ上の開窓領域の周りで、トレイカバーとして、または患者の皮膚損傷の予防および/もしくは治療のために医療産業において使用するためなどの、費用効果の高い吸収性材料が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つ以上の実施形態は、前述の問題の1つ以上に対処することができる。本発明による特定の実施形態は、不織布上層と、不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、オプションのフィルム層と、を含む、吸収性複合体を提供する。不織布上層は、複数の親水性繊維を含み得、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、かつ/または不織布上層を形成する繊維の少なくとも一部(もしくは全て)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。不織布上層は、流体による比較的迅速な侵入を可能にするために、概して開放した構造を含み得る。吸収性複合体はまた、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡層)と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層(例えば、熱的に強化された親水性高ロフト不織布層)と、を含む、複数の層を含む、吸収性コアを含んでもよい。不織布上層と同様に、吸収性コアも、複数の親水性繊維を含み得、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、かつ/または吸収性コア層を形成する繊維の少なくとも一部(もしくは全て)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。例えば、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布および/または少なくとも1つの結合カード不織布ウェブは、複数の親水性繊維を含み得、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、および/または、その繊維の少なくとも一部(もしくは全て)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布および/または少なくとも1つの結合カード不織布ウェブは、セルロース繊維(例えば、再生セルロースから形成された繊維)を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および/または(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を有し得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、吸収性コアに直接または間接的に取り付けられた(例えば、結合された)フィルムをオプションとして含むことができ、吸収性コアは、不織布上層とフィルムとの間に直接または間接的に挟まれる。
【0010】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されるような吸収性複合体を含む、手術用ガウン、手術用ドレープ、手術用ドレープの一部、またはトレイライナーを提供する。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、外科処置を行うことができる開窓(例えば、窓または開口)を取り囲む開窓材料を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、望ましくないことに褥瘡性潰瘍などの合併症をもたらし得る皮膚損傷の予防および/または治療のため、医療産業において、例えば、単独で、または製品に組み込まれた場合に、使用するのに適切な材料を提供する。例えば、患者は、病院、老人ホーム、または在宅医療環境での患者のケア中のいくつかの時点で、またはその間に、皮膚損傷を経験し得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、単独であるか、または患者の皮膚と接触して配置することができる製品(例えば、成人用おむつ、寝具用シーツ、ガウンなど)の一部としてのいずれかである。この点に関して、本発明の特定の実施形態は、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)の発症を受けやすい個人の皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を予防する方法も提供する。皮膚の劣化の発症を受けやすい個人としては、数日間にわたり、かなりの量の時間を1つまたは少数の姿勢で過ごし得る任意の患者(例えば、ほとんどもしくは完全に寝たきりである患者)が含まれ得る。この点に関して、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、望ましい通気性、低い摩擦係数、および/または適切な湿度レベルのための高い吸収性(highly absorbent)のうちの1つ以上を有する微気候環境を、個人の皮膚に、またはその近傍に提供し得る。別の態様では、本発明の特定の実施形態は、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を既に患っているかまたはその徴候を示している個人を治療する方法も提供する。この点に関して、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、皮膚の劣化の速度または重症度が良い影響を受けることができる(例えば、劣化の速度を遅くし、停止させ、かつ/または逆転させることができる)ように、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を既に患っているかまたはその徴候を示している個人の皮膚に、またはその近傍に、(上記のような)微気候環境を提供することができる。
【0012】
別の態様では、本発明は、吸収性複合体を製造する方法を提供し、この方法は以下の:(i)親水性繊維を含む不織布上層を提供するステップと、(ii)吸収性コアを提供するステップであって、吸収性コアは、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層(例えば、熱的に強化された親水性高ロフト不織布層)と、を含む、複数の層を含む、ステップと、(iii)不織布上層と吸収性コアとを直接または間接的に付着させて、本明細書に開示されるような吸収性複合体を提供するステップと、を含む。本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、不織布上層、吸収性コア、またはその両方を親水性添加剤で局所的に処理することをさらに含むことができる。本発明の特定の実施形態による方法は、フィルムを吸収性コアに直接または間接的に取り付けることをさらに含むことができ、吸収性コア層は、不織布上層とフィルムとの間に直接または間接的に挟まれる。
【0013】
以下、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をより十分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の特定の実施形態による吸収性複合体を示す。
【
図2】本発明の特定の実施形態による、2つの物理的に絡み合った不織布層を有する吸収性コアを含む吸収性複合体を示す。
【
図3】本発明の特定の実施形態による、2つの物理的に絡み合った不織布層の間に位置する2つの結合カード不織布層を有する吸収性コアを含む吸収性複合体を示す。
【
図4】本発明の特定の実施形態による、吸収性コアに結合されたフィルム層を含む吸収性複合体を示す。
【
図5】本発明の特定の実施形態による、接着剤層によって吸収性コアに接着結合されたフィルム層を含む吸収性複合体を示す。
【
図6】開窓の周りに配置された吸収性複合体を含む手術用ドレープを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明をより十分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈上別段明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本発明は吸収性複合体を提供し、これは、不織布上層であって、(例えば、繊維を形成するためのその溶融配合物の選択により、かつ/または局所処理により、親水性にされた)複数の親水性繊維を含み得る、不織布上層と、不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、を含み、吸収性コアは、一緒に結合され、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、少なくとも1つの結合カードウェブ不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層(例えば、熱的に強化された親水性高ロフト不織布層)と、を含む、複数の個別の不織布層を含む。不織布上層と同様に、吸収性コアも、(例えば、繊維を形成するためのその溶融配合物の選択により、かつ/または局所処理により、親水性にされた)複数の親水性繊維を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、点結合カレンダー加工カバーなどの予備結合スパンメルト不織布(例えば、スパンボンド、メルトブローン、もしくはそれらの組み合わせ)、または結合、例えば熱点結合もしくは超音波点結合されたステープル繊維から作製されたカードウェブを含むことができる。不織布上層は、1つ以上の結合手段を介して、例えば、熱点結合、超音波結合(例えば、超音波点結合)、および/または接着剤結合(例えば、接着剤でくっつけること)によって、吸収性コアに取り付けられ得る。本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、吸収性複合体の重量当たりの吸収能力および/または吸収量の望ましいレベルを維持しながら、吸収速度の低下および/または流出速度の低下など、吸収性複合体にとって特に望ましい様々な特性を提供し得る。例えば、吸収速度および流出率の改善は、本発明の特定の実施形態によれば、他の特性(例えば、吸収性複合体の重量当たりの吸収能力および/または吸収量)に悪影響を及ぼすことなく実現され得る。吸収性複合体は、例えば、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および/または(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を有し得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、吸収性コアに直接または間接的に取り付けられた(例えば、結合された)フィルムをオプションとして含むことができ、吸収性コアは、不織布上層とフィルムとの間に直接または間接的に挟まれる。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、良好な親水性、良好な開放性(例えば、多孔性)、および良好な耐摩耗性を提供することができ、一方、吸収性コアは、高い空隙容量を提供することができる。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、連続および/もしくはステープル単成分ならびに/または連続および/もしくはステープル多成分(例えば、二成分)繊維(例えば、非捲縮繊維、捲縮繊維、および/もしくは熱で捲縮可能な繊維)を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、連続および/またはステープル単成分繊維のブレンドを有する、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡された)を含み得る。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡された)は、弾力性、ならびに空気透過性によって評価されるような望ましい細孔構造を提供するように選択された連続および/またはステープル二成分繊維(例えば、非捲縮繊維、捲縮繊維、および/もしくは熱で捲縮可能な繊維)のブレンドを有することができる。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡された)は、液体の取り込みを容易にするために、その厚さ全体を通って延びる複数の開口を含んでいてもよい。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡された)は、複数のセルロース繊維を単独でまたは合成繊維と組み合わせて含むことができ、これは、親水性にされ得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアはまた、少なくとも1つの結合カード不織布層を含み得る。少なくとも1つの結合カード不織布層は、複数のステープル繊維(例えば、非捲縮繊維、捲縮繊維、および/または熱で捲縮可能な繊維)を含み得、これも親水性にされ得る。本発明の特定の実施形態によれば、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層は、少なくとも1つの結合カード不織布層と不織布上層(top nonwoven layer)との間に位置付けられる。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、パルプおよび/またはメルトブローン繊維を欠いていてよい。
【0018】
用語「実質的な」または「実質的に」は、本発明の特定の実施形態によれば、特定されるような全量を包含し得、または本発明の他の実施形態によれば、特定される全量ではないが、大部分を包含し得る。
【0019】
本明細書において交換可能に使用される、用語「ポリマー(polymer)」または「ポリマーの(polymeric)」は、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、および交互コポリマー、ターポリマーなど、ならびに、それらのブレンドおよび修飾物を含み得る。さらに、特に限定されない限り、用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、すべての可能な構造異性体;幾何異性体、光学異性体、もしくはエナンチオマーを含むがこれらに限定されない立体異性体;および/または、このようなポリマーもしくはポリマー材料の任意のキラル分子形態を含むものとする。これらの形態には、そのようなポリマーまたはポリマー材料のアイソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチック形態が含まれるが、これらに限定されない。用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、チーグラー・ナッタ触媒系およびメタロセン/シングルサイト触媒系を含むがこれらに限定されない、種々の触媒系から製造されたポリマーも含むものとする。用語「ポリマー」または「ポリマーの」は、本発明の特定の実施形態によれば、発酵プロセスによって産生されるか、または生物学的に供給される(biosourced)ポリマーも含むものとする。
【0020】
本明細書で使用される用語「不織布」は、間に差し挟まれているが、編物もしくは織物のように識別可能な反復様式ではない、個々の繊維、フィラメント、および/または糸の構造を有するウェブを含み得る。本発明の特定の実施形態による不織布またはウェブは、例えば、メルトブロープロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡、エアレイド、および結合カードウェブプロセス(bonded carded web processes)など、当技術分野で従来から知られている任意のプロセスによって形成することができる。
【0021】
本明細書で使用される「ステープル繊維」という用語は、フィラメントからの切断繊維を含むことができる。特定の実施形態によれば、任意のタイプのフィラメント材料を使用して、ステープル繊維を形成することができる。例えば、ステープル繊維は、セルロース繊維、ポリマー繊維、および/またはエラストマー繊維から形成することができる。材料の例としては、綿、レーヨン、羊毛、ナイロン、ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレートを含むことができる。ステープル繊維の平均長は、ほんの一例として、約2センチメートル~約15センチメートルを含むことができる。
【0022】
本明細書で使用される「連続繊維」という用語は、例えば、約500,000:1を超える、約750,000:1を超える、または約1,000,000:1を超えるなどの、高い長さ対直径アスペクト比(すなわち、長さ:直径)を有するフィラメントを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、「連続繊維」という用語は、長さが本質的にエンドレスであるフィラメントを含み得る。
【0023】
本明細書で使用される「スパンボンド」という用語は、溶融熱可塑性材料を紡糸口金の複数の微細な、通常は円形の毛細管からフィラメントとして押し出し、押し出されたフィラメントの直径をその後急速に縮小することによって形成される、繊維を含み得る。本発明の一実施形態によれば、スパンボンド繊維は、収集表面上に堆積されるとき、一般に粘着性ではなく、概ね連続的であってよい。本発明の特定の複合体に使用されるスパンボンドは、文献にSPINLACE(登録商標)として記載されている不織布を含み得ることに留意されたい。
【0024】
本明細書で使用される「メルトブローン」という用語は、本発明の特定の実施形態によれば、複数の微細なダイ毛細管を通じて溶融熱可塑性材料を溶融糸またはフィラメントとして、収束する高速の、通常は高温の、ガス(例えば空気)流の中に押し出し、これにより溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くしてそれらの直径を縮小させ、マイクロファイバーの直径にまでし得ることによって形成される、繊維を含み得る。本発明の一実施形態によれば、ダイ毛細管は円形であってよい。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流によって運ばれ、収集表面上に堆積されて、ランダムに分配された(disbursed)メルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続的であっても不連続的であってもよく、収集表面上に堆積されたときに一般に粘着性であるマイクロファイバーである。
【0025】
本明細書で使用される「層」という用語は、X-Y平面内に存在する類似の材料タイプおよび/または機能の一般に認識可能な組み合わせを含み得る。
【0026】
本明細書で使用される用語「二成分繊維」は、別々の押出機から押し出されるが、一緒に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーから形成される繊維を含み得る。二成分繊維は、複合繊維または多成分繊維と呼ばれることもある。ポリマーは、二成分繊維の断面を横切る別個のゾーンにおいて実質的に一定の位置に配置され、二成分繊維の長さに沿って連続的に延びる。このような二成分繊維の構成は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーによって囲まれているシースおよびコア配置であってもよく、または、各々が二成分繊維を含む多成分繊維の技術分野で知られているような、並んだ配置、パイ配置、もしくは「海島」配置であってもよい。「二成分繊維」は、1つのポリマーから作製されたコア繊維が異なるポリマーから作製された熱可塑性シース内に包まれているか、または種々の熱可塑性繊維の並んだ配置を有する、熱可塑性繊維であってよい。第1のポリマーはしばしば、第2のポリマーとは異なる、典型的にはより低い温度で溶融する。シース/コア配置において、これらの二成分繊維は、コアポリマーの望ましい強度特性を保持しながら、シースポリマーの溶融による熱結合を提供する。並んだ配置では、繊維は収縮して捲縮し、z方向の膨張を生じる。
【0027】
本明細書で使用される用語「捲縮」または「捲縮された」は、例えば、「L」字構成を有する折り畳み部分もしくは圧縮部分、「ジグザグ」構成を有する波部分、または螺旋構成のようなカール部分などの、2次元または3次元のカールまたは屈曲を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、用語「捲縮」または「捲縮された」は、溶融紡糸プロセスにおける繊維の通常のレイダウン(lay-down)に関連するものなど、繊維におけるランダムな2次元の波または起伏を含まない。
【0028】
本明細書で使用される「高ロフト」という用語は、BS EN ISO9703-2(1995)に従って、印加圧力が0.1kPaから0.5kPaに変化したときに20%以上圧縮可能な材料を含むことができる。さらに、本明細書で使用される「高ロフト」不織布は、一般に約3mmを超えるz方向厚さおよび比較的低い嵩密度を含み得る。「高ロフト」不織布層の厚さは、ASTM D573-95、ITS120.2に従って測定して、3mmを超える(例えば、4mmを超える、または5mmを超える)ことができる。本明細書で使用される「高ロフト」不織布は、さらに、約50kg/m3未満などの比較的低い密度(例えば、嵩密度 - 単位体積当たりの重量)を有し得る。
【0029】
本明細書に開示された所与の範囲内でより小さな範囲を作り出すことができる、本明細書に開示された全ての整数の終点は、本発明の特定の実施形態の範囲内にある。例として、約10~約15の開示は、例えば、約10~約11;約10~約12;約13~約15;約14~約15などの中間範囲の開示を含む。さらに、本明細書に開示された所与の範囲内でより小さな範囲を作り出すことができる全ての単一小数(single decimal)(例えば、最も近い小数第一位まで報告された数字)の終点は、本発明の特定の実施形態の範囲内にある。例として、約1.5~約2.0の開示は、例えば、約1.5~約1.6;約1.5~約1.7;約1.7~約1.8などの中間範囲の開示を含む。
【0030】
特定の実施形態によれば、本発明は、不織布上層と、不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、オプションのフィルム層と、を含む、吸収性複合体を提供する。不織布上層は、複数の親水性繊維を含み得、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、かつ/または不織布上層を形成する繊維の少なくとも一部(もしくは全て)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。不織布上層は、流体による比較的迅速な侵入を可能にするために、概して開放した構造を含み得る。吸収性複合体はまた、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層(例えば、水流交絡層)と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層(例えば、熱的に強化された親水性高ロフト不織布層)と、を含む、複数の層を含む、吸収性コアを含み得る。不織布上層と同様に、吸収性コアも、複数の親水性繊維を含み得、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、かつ/または吸収性コア層を形成する繊維の少なくとも一部(もしくは全て)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。例えば、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布および/または少なくとも1つの結合カード不織布ウェブは、複数の親水性繊維を含んでもよく、これらの繊維は、親水性添加剤の局所適用を介して、かつ/またはその繊維の少なくとも一部(もしくは全部)を形成するために使用されるポリマー溶融物への親水性添加剤の添加を介して、親水性にされ得る。加えてまたは代替的に、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布および/または少なくとも1つの結合カード不織布ウェブは、セルロース繊維(例えば、再生セルロースから形成された繊維)を含んでもよい。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合吸収速度、および/または(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を有し得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、吸収性コアに直接または間接的に取り付けられた(例えば、結合された)フィルムをオプションとして含むことができ、吸収性コアは、不織布上層とフィルムとの間に直接または間接的に挟まれる。
【0031】
例えば、
図1は、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体を示す。
図1に示す吸収性複合体1は、吸収性コア20に結合された不織布上層10を含む。吸収性コアは、第1の物理的に絡み合った不織布層22と、第1の結合カード不織布層24と、を含む。
図2は、本発明の特定の実施形態による、2つの物理的に絡み合った不織布層22、24を有する吸収性コア20を含む吸収性複合体1を示す。
図2によって図示される吸収性コアは、第1の物理的に絡み合った不織布層22と第2の物理的に絡み合った不織布層26との間に位置する第1の結合カードウェブ24を含む。
図3は、本発明の特定の実施形態によるさらに別の吸収性複合体を図示し、この吸収性複合体は、2つの物理的に絡み合った不織布層22、26の間に位置する2つの結合カード不織布層24、28を含む。これに関して、第1の結合カード不織布層24および第2の結合カード不織布層28は、隣接しており、第1の物理的に絡み合った不織布層22と第2の物理的に絡み合った不織布層28との間に位置付けられている。本発明の特定の実施形態によれば、第1のカード結合不織布層および第2のカード結合不織布層は、様々な結合(例えば、熱結合、超音波結合、接着剤結合など)によって一緒に結合され得る。
図1~
図3は、特定の数またはそれぞれの層を有する特定の実施形態を例示しているが、吸収性複合体は、1~約5個の物理的に絡み合った不織布層および/または1~約5個の結合カード不織布層を含んでもよい。
【0032】
図4は、
図3に示された吸収性複合体の基本構造を含む吸収性複合体1を示すが、吸収性コア20に直接取り付けられたフィルム層30を含む。これに関して、フィルム層30は、熱結合または超音波結合を介して第2の物理的に絡み合った不織布層26に直接結合され得る。本発明の特定の実施形態によれば、フィルム層30は、吸収性コアの最下層の上に直接押出コーティングされ得る。
図5は、
図3に示される吸収性複合体の基本構造を含む吸収性複合体1を示すが、本発明の特定の実施形態によれば、接着剤層40によって吸収性コアに接着結合されたフィルム層30を含む。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはそれらの組み合わせなどのスパンメルト不織布を含むことができる。例えば、不織布上層は、1つ以上のメルトブローン層および1つ以上のスパンボンド層を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、S1a-Mb-S2c構造を含むことができ、「S1」は第1のスパンボンド材料であり、「M」はメルトブローン材料であり、「S2」は第2のスパンボンド材料であり、「a」、「b」、および「c」はそれぞれの層の数を示し、それぞれ独立して、少なくとも1、例えば1、2、3、4、または5の値から選択することができる。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、スパンメルト不織布に加えて、またはその代わりに、点結合カードウェブなどの、ステープル繊維を含むカードウェブを含むことができる。
【0034】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、少なくとも約30重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、または約100重量%の親水性繊維を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、不織布上層は、多くとも以下:約100重量%、95重量%、90重量%、80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、および40重量%のいずれかの親水性繊維、ならびに/または、少なくとも以下:約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、および90重量%のいずれかの親水性繊維を含むことができる。
【0035】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、不織布上層を通る流体の侵入を容易にする概して「開放した」構造を含むことができる。不織布上層の「開放性」は、不織布上層の通気性によって評価することができ、より低い通気性は、より閉鎖した構造を示すことができ、より高い通気性は、相対的に、より「開放した」構造を示すことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、不織布上層は、IST70.1によって測定して、少なくとも約100立方フィート/分(CFM)、例えば、IST70.1によって測定して、少なくとも約150CFM、少なくとも約200CFM、少なくとも約250CFM、少なくとも約300CFM、少なくとも約350CFM、少なくとも約400CFM、または少なくとも約500CFMの通気性を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、不織布上層は、IST70.1によって測定して、多くとも以下:約800、700、600、500、400、350、300、および250CFMのいずれか、ならびに/または、IST70.1によって測定して、少なくとも以下:約40、50、75、100、125、150、175、200、225、および250CFMのいずれか、の通気性を含むことができる。
【0036】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、約0.03mm~約0.3mm、例えば、少なくとも以下:約0.03、0.05、0.08、0.1、0.15、0.18、および0.2mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約0.3、0.28、0.25、0.22、および0.2mmのいずれかの、横方向および縦方向)に垂直であるz方向における厚さを有し得る。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、結合領域を含む予備結合された不織布を含むことができる。例えば、不織布上層は、不織布上層の表面の約1~30%、例えば約1~25%、約3~20%、または約5~15%を含む、吸収性複合体の形成前の結合領域を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、不織布上層は、不織布上層の表面の、多くとも以下:約30%、25%、20%、15%、10%、および5%のいずれか、ならびに/または、不織布上層の表面の、少なくとも以下:約1%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、および20%のいずれかを含む、吸収性複合体の形成前の結合領域を含むことができる。この点に関して、不織布上層は、例えば、熱的に形成された点結合、超音波結合、機械的結合、またはそれらの任意の組み合わせを含む、吸収性複合体の形成前の結合パターンを含むことができる。
【0038】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、使用時の糸くずの形成を軽減する、望ましい耐摩耗性を含む。不織布上層を含む吸収性複合体は、耐摩耗性について試験することができ、不織布上層は、試験(すなわち、IST20.5)に直接供され、IST20.5によって測定して約2mg~約15mg、例えば、IST20.5によって測定して、多くとも以下:約15、14、13、12、11、10、9、8、および7mgのいずれか、ならびに/または、IST20.5によって測定して、少なくとも以下:約2、3、4、5、6、および7mgのいずれか、の上層マーチンデール摩耗値を含む。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層を含む吸収性複合体は試験されてよく、不織布上層は、直接試験され、ASTM D4966によって測定して、多くとも以下:約7000、6000、5750、5500、5250、および5000サイクルのいずれか、ならびに/または、ASTM D4966によって測定して、少なくとも以下:約3000、3500、4000、4500、および5000サイクルのうちのいずれかの上層摩耗サイクル値を含む。
【0039】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、約5~60グラム/平方メートル(gsm)、例えば、約15~50gsm、20~50gsm、25~45gsm、25~40gsm、または約25~35gsmの坪量を含み得る。例えば、不織布上層は、少なくとも以下:約5、6、8、10、12、15、20、25、および30gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約60、50、40、および30gsmのいずれかの坪量を含み得る。
【0040】
上記のように、不織布上層は、複数の親水性繊維を含むことができる。このような繊維は、親水性添加剤での局所適用もしくは処理を介して親水性にされ得、かつ/または、親水性添加剤は、不織布上層の形成に少なくとも部分的に使用される複数の親水性繊維を形成するために使用されるポリマー溶融物に組み込まれ得る。この点に関して、不織布上層の複数の親水性繊維は、単成分繊維、多成分繊維、またはそれらの組み合わせを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層の親水性繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の合成ポリマーを含む単成分繊維を含む。適切なポリオレフィンの例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、またはそれらのブレンドが挙げられる。上記のように、これらの繊維は、水および血液などの液体の取り込みを容易にするために親水性にされ得る。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層の親水性繊維は、シースおよびコア構成ならびに/または並んだ構成を含む二成分繊維などの多成分繊維を含む。本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)を含むシースと、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)またはポリエステルのうちの少なくとも1つを含むコアと、を含む二成分繊維などの、親水性二成分繊維を含む。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、
図1によって例示されるように、単一の物理的に絡み合った不織布層および単一の結合カード不織布層のみを含むことができる。このような実施形態では、単一の物理的に絡み合った不織布層は、不織布上層と単一の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置してよい。
【0042】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、少なくとも2つの物理的に絡み合った不織布層と、少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布層と、を含み得る。例えば、吸収性コアは、
図2によって例示されるように、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、および第1の結合カード不織布層(または第1の熱結合高ロフト不織布層)を含み得る。第1の結合カード不織布層(または第1の熱結合高ロフト不織布層)は、第1の物理的に絡み合った不織布層と第2の物理的に絡み合った不織布層との間に直接または間接的に位置し得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1の結合カード不織布層(または第1の熱結合高ロフト不織布層)は、第1および第2の物理的に絡み合った不織布層の両方に隣接し、かつ/またはこれらと接触していてもよい。
【0043】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、少なくとも2つの物理的に絡み合った不織布層と、少なくとも2つの結合カード不織布層および/または少なくとも2つの熱結合高ロフト不織布層と、を含み得る。例えば、吸収性コアは、
図3によって例示されるように、第1の物理的に絡み合った不織布層と、第2の物理的に絡み合った不織布層と、第1の結合カード不織布層(または第1の熱結合高ロフト不織布層)と、第2の結合カード不織布層(または第2の熱結合高ロフト不織布層)と、を含み得る。これに関して、第1の結合カードウェブまたは第1の熱結合高ロフト不織布層は、第1の物理的に絡み合った不織布層と第2の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置し得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1および第2の結合カード不織布層(または第1および第2の熱結合高ロフト不織布層)は、互いに隣接および/または接触していてよいが、第1の結合カードウェブ(または第1の熱結合高ロフト不織布層)は、第1の物理的に絡み合った不織布層に隣接し、かつ/またはこれと接触していてもよい。本発明の特定の実施形態によれば、1つ以上の熱結合、超音波結合、機械的結合、接着剤結合、またはそれらの任意の組み合わせなどによって、第1の結合カード不織布層は第2の結合不織布層に結合され得る(または、第1の熱結合高ロフト不織布層は第2の熱結合高ロフト不織布層に結合され得る)。
【0044】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の物理的に絡み合った不織布層は、約20~150gsm、例えば、少なくとも以下:約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、および75gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約150、140、130、120、115、110、105、100、95、90、85、および75gsmのいずれか、の坪量を有する。さらに、または代替的に、第2の物理的に絡み合った不織布層は、約20~100gsm、例えば、少なくとも以下:約20、25、30、35、40、45、50、55、および60gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、75、70、65、および60gsmのいずれか、の坪量を有する。
【0045】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、(互いに)独立して、約10重量%~約90重量%の合成ポリマー繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維を含むことができる。合成ポリマー繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む合成ポリマーを含み得る。特定の実施形態によれば、合成ポリマーはポリエステルである。加えてまたは代替的に、合成ポリマー繊維は、約20重量%~約100重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性繊維を含む。上述したように、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の親水性繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含み得る。加えて、または代替的に、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の親水性繊維は、独立して、合成ポリマー材料全体に分散された親水性添加剤を含んでもよい。
【0046】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%のセルロース繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかのセルロースポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかのセルロース繊維を含み得る。セルロース繊維は、例えば、セルロースアセテート、再生セルロース(例えば、ビスコース、レーヨン)、鹸化アセテート、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0047】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の物理的に絡み合った不織布層、第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、x-y平面に垂直なz方向に厚さ全体を通って延びる複数の開口を含み得る。複数の開口は、第1の開口領域を画定し得る、第1の物理的に絡み合った不織布層の第1の複数の開口を含み得、第1の開口領域は、約1%~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、12、14、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、22、20、18、16、および15%のいずれかを含む。加えて、または代替的に、複数の開口は、第2の開口領域を画定し得る、第1の物理的に絡み合った不織布層の第2の複数の開口を含み得、第2の開口領域は、約1%~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、12、14、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、22、20、18、16、および15%のいずれかを含む。
【0048】
本発明の特定の実施形態によれば、複数の開口は、約0.1mm~約3mm、例えば、少なくとも以下:約0.1、0.2、0.4、.05.0.6、0.8、および1mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約3、2.5、2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、および1mmのいずれか、の平均直径を有し得る。本発明の特定の実施形態によれば、複数の開口は円形でなくてもよい。例えば、複数の開口は、正方形、長方形、楕円などのさまざまな形状で提供されてもよい。この点に関して、平均直径は、開口を横切る最長寸法であると考えることができる。ほんの一例として、0.5mmの幅および1mmの長さを有する長方形の開口は、本明細書で使用されるように、1.12mmの直径を有するであろう。本発明の特定の実施形態によれば、第2の物理的に絡み合った不織布層(すなわち、不織布上層から最も遠い)は、第1の物理的に絡み合った不織布層(すなわち、不織布上層に最も近い)よりも小さい開口領域および/または小さい開口であってもよい。
【0049】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、第1の結合カード不織布層および第2の結合不織布カード層などの、複数の結合カード不織布層を含んでもよい。この点に関して、各結合カード不織布層は、独立して、約20~60gsm、例えば、少なくとも以下:約20、25、30、35、および40gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約60、55、50、45、および40gsmのいずれか、の坪量を有し得る。加えて、または代替的に、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマー材料を含む複数の合成ステープル繊維を含んでもよい。本発明の特定の実施形態によれば、合成ポリマーはポリエステルである。
【0050】
複数の合成ステープル繊維は、例えば、約20重量%~約100重量%の親水性ステープル繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性ステープル繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性ステープル繊維を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方の親水性ステープル繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含んでもよい。加えてまたは代替的に、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方の親水性ステープル繊維は、独立して、合成ポリマー材料全体に分散された親水性添加剤を含んでもよい。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、捲縮したステープル繊維を含んでもよい。第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、9cc/g超、例えば、約12cc/g超、約14cc/g超、約15cc/g超、約16cc/g超、約17cc/g超、約18cc/g超、約19cc/g超、約20cc/g超、約25cc/g超、または約30cc/g超の、空隙容量を有し得る。加えてまたは代替的に、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、約0.02cm~約0.15cm、例えば、少なくとも以下:約0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、および0.1cmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約0.15、0.1475、0.145、0.14、0.135、0.13、0.125、0.12、0.115、0.11、0.105、および0.1cmのいずれか、の厚さを有し得る。ほんの一例として、密度1.38g/cm3で15デニールの100%PET繊維を有する40gsm結合カード不織布層を使用すると、約0.1375cm~約0.1475cmの厚さを有することができ、空隙容量(VO)は約33cc/g~約36cc/gである。本発明の特定の実施形態によれば、第1の結合カード不織布層、第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、高ロフト不織布層を含み得る。ほんの一例として、0.0431cmの厚さで約0.905g/cm3の密度で1.5デニール繊維を有する18gsmの坪量を有する、第1のポリプロピレンおよび第2のポリプロピレンで作られた高ロフト不織布層は、22.84cc/gの空隙容量(VO)を有し得るが、そのような高ロフト不織布層は、厚さ0.0570cmでは、約30.56cc/gの空隙容量(VO)を有し得る。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、上述したように、結合カード不織布層はそれぞれ、熱結合高ロフト不織布層に置き換えられてもよい。例えば、1つ以上の結合カード不織布層を図示する各図では、対応する数の熱結合高ロフト不織布層が、結合カード不織布層の代わりに置き換えられてもよい。例えば、本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、例えば、第1の熱結合高ロフト不織布層および第2の熱結合高ロフト不織布層を含み得、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方は、独立して、約1~約35デニール、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、15、および20デニールのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約35、30、25、20、15、14、12、および10デニールのいずれか、の平均デニールを有する、複数の合成ステープル繊維および/または連続繊維を含み得る。
【0053】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方は、独立して、約10~40gsm、例えば、少なくとも以下:約10、12、15、18、20、22、24、および25gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約40、38、35、32、30、28、26、および25gsmのいずれか、の坪量を有することができる。加えてまたは代替的に、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方は、独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマー材料を含む、複数の合成ステープル繊維および/または合成連続繊維を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、合成ポリマー材料は、第1のポリオレフィンと、第1のポリオレフィンとは異なる第2のポリオレフィンと、のブレンドを含み得る。例えば、第1のポリオレフィンは、第1のポリプロピレンを含み得、第2のポリオレフィンは、ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマーなどのポリプロピレン系コポリマーを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマーは、約1~約50重量%のポリエチレン、例えば、少なくとも以下:約1、3、5、8、10、12、15、18、20、22、および25重量%のいずれかのポリエチレン、ならびに/または、多くとも以下:約50、45、40、35、30、28、および25重量%のいずれかのポリエチレンを含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、熱結合高ロフト不織布層中のエチレン含有量の総量は、約1重量%~約40重量%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、18、および20重量%のいずれかのエチレン含有量、ならびに/または、多くとも以下:約40、35、30、25および20重量%のいずれかのエチレン含有量を含み得る。
【0054】
複数の合成ステープル繊維および/または合成連続繊維は、例えば、約20重量%~約100重量%の親水性ステープル繊維および/または親水性連続繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性ステープル繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性ステープル繊維を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方の親水性ステープル繊維および/または親水性連続繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含み得る。加えてまたは代替的に、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方の親水性ステープル繊維および/または親水性連続繊維は、独立して、合成ポリマー材料中に分散された親水性添加剤を含み得る。
【0055】
本発明の特定の実施形態によれば、熱結合高ロフト不織布層(例えば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方)の1つ以上(例えば、全て)を形成する合成ステープル繊維および/または合成連続繊維は、互いに独立して、0~100個数%の捲縮繊維、例えば、少なくとも以下:約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、および50個数%のいずれかの捲縮繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55および50個数%のいずれかの捲縮繊維を含み得る。
【0056】
本発明の特定の実施形態によれば、熱結合高ロフト不織布層(例えば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、または、その両方)のそれぞれは、約0.2mm~約1mm、例えば、少なくとも以下:約0.2、0.3、0.4、および0.5mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約1、0.9.0.8、0.7、0.6、および0.5mmのいずれかの、横方向および縦方向)に垂直であるz方向における厚さを有し得る。加えてまたは代替的に、熱結合高ロフト不織布層(例えば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方)のそれぞれは、約300~約800CFM、例えば、少なくとも以下:約300、325、350、375、400、425、450、475、500、および525CFMのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約800、775、750、725、700、675、650、625、600、575、550、および525CFMのいずれか、の通気性を有することができる。
【0057】
本発明の特定の実施形態によれば、熱結合高ロフト不織布層(例えば、第1の熱結合高ロフト不織布層、第2の熱結合高ロフト不織布層、またはその両方)のそれぞれは、約4~約15g/cc、例えば、少なくとも以下:約4、5、6、7、8、9、および10cc/gのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約15、14、13、12、11、および10cc/gのいずれか、の空隙容量を有し得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、天然セルロース材料および/または合成セルロース材料を欠いていてもよい。本発明の特定の代替的な実施形態によれば、吸収性コアは、天然セルロース材料および/または合成セルロース材料を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性コアは、パルプ、メルトブローン繊維、またはその両方を欠いていてよい。加えてまたは代替的に、吸収性コアは、スルーエアボンド不織布層(through-air-bonded nonwoven layers)を欠いていてよい。
【0059】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、吸収性コアに結合されたフィルム層を含み、吸収性コアは、フィルム層と不織布上層との間に直接または間接的に位置する。フィルム層は、例えば、水不透過性フィルムを含み得る。加えてまたは代替的に、フィルム層は、ポリエチレンなど、少なくとも1つのポリオレフィンを含み得る。
【0060】
本発明の特定の実施形態によれば、フィルム層は、接着剤層を介して吸収性コアに接着結合され得る。この点に関して、接着剤層は、フィルム層と吸収性コア(例えば、不織布上層から最も離れている吸収性コアの層)との間に直接位置し得る。あるいは、フィルム層は、吸収性コア(例えば、不織布上層から最も離れている吸収性コアの層)上に直接溶融押出されてもよい。
【0061】
本発明の特定の実施形態によれば、フィルム層は、約5~約50gsm、例えば、少なくとも以下:約5、8、10、12、15、18、20、22、25、28、および30gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約50、45、40、35、および30gsmのいずれか、の坪量を有することができる。加えてまたは代替的に、接着剤層(存在する場合)は、約1~約10gsm、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、4、および5gsmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約10、9、8、7、6、および5gsmのいずれか、の坪量を有することができる。
【0062】
本発明の特定の実施形態によれば、不織布上層および吸収性コアは、熱的に形成された点結合、超音波結合、機械的結合、接着剤(例えば、結合剤もしくは糊)結合、またはそれらの任意の組み合わせから形成される複合体結合パターンを介して、直接または間接的に互いに結合される。複合体結合パターンは、本発明の特定の実施形態によれば、複数の超音波点結合を含むことができる。
【0063】
本発明の特定の実施形態によれば、複合体結合パターンは、吸収性複合体の表面の30%以下、例えば、吸収性複合体の表面の約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、または約3%以下の複合体結合領域を画定することができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、複合体結合領域は、吸収性複合体の表面の、多くとも以下:約30%、25%、20%、15%、10%、5%、および3%のいずれか、ならびに/または吸収性複合体の表面の、少なくとも以下:約0.5%、1%、2%、3%、5%、8%、10%、12%、および15%のいずれかを含むことができる。
【0064】
上述のように、本発明の特定の実施形態は、様々な用途に適した吸収性複合体のための1つ以上の望ましい特性を含む。例えば、吸収性複合体は、ISO9073-11によって測定して15%未満、例えば、ISO9073-11によって測定して、12%未満、10%未満;8%未満、6%未満、4%未満、3%未満、または1%未満の複合体流出値を含み得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、ISO9073-11によって測定して約0.25~約15%、例えば、少なくとも以下:約0.25、0.5、0.75、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10%のいずれか、ならびに/または、ISO9073-11によって測定して、多くとも約15、14、13、12、11、および10%、の複合体流出値を含み得る。
【0065】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、ISO9073によって測定して、少なくとも600%、例えば、ISO9073によって測定して、少なくとも650%、少なくとも700%、少なくとも725%、少なくとも750%、少なくとも775%、少なくとも800%、少なくとも825%、少なくとも850%、少なくとも875%、少なくとも900%、少なくとも950%、少なくとも1000%、または少なくとも約1500%の複合体吸収能力を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、ISO9073によって測定して、多くとも以下:約1500%、1400%、1300%、1200%、1100%、1000%、950%、900%、875%、850%、825%、および800%のいずれか、ならびに/または、ISO9073によって測定して、少なくとも以下:約500%、550%、600%、700%、および725%のいずれかの複合体吸収能力を含むことができる。
【0066】
本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満、例えば、D824-94によって測定して、7秒未満、6秒未満、5秒未満、または4秒未満の複合体吸収速度を含む。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、D824-94によって測定して、多くとも以下:約8、7、6、および5秒のいずれか、ならびに/または、D824-94によって測定して、少なくとも以下:約3、4、5、および6秒のいずれか、の複合体吸収速度を含み得る。
【0067】
吸収性複合体は、本発明の特定の実施形態によれば、少なくとも7g/cc、例えば少なくとも8cc/g、または少なくとも9cc/gの複合体空隙容量を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、多くとも以下:約12、10、9、および8cc/gのいずれか、ならびに/または、少なくとも以下:約1、2、3、4、5、6、および7cc/gのいずれかの複合体空隙容量を含むことができる。
【0068】
吸収性複合体は、本発明の特定の実施形態によれば、IST20.5によって測定して、約2mg未満、例えば、IST20.5によって測定して、約1.75mg未満、約1.5mg未満、約1.25mg未満、約1.0mg未満、約0.75mg未満、または約0.50mg未満の複合体マーチンデール摩耗値を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、IST20.5によって測定して、多くとも以下:約3、2.5、2、1.5、1、0.75、および0.5mgのいずれか、ならびに/または、IST20.5によって測定して、少なくとも以下:約0.25、0.50、0.75、1.0、および1.25mgのいずれかの複合体マーチンデール摩耗値を含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、ASTM D4966によって測定して、多くとも以下:約7000、6000、5750、5500、5250、および5000サイクルのいずれか、ならびに/または、ASTM D4966によって測定して、少なくとも以下:約3000、3500、4000、4500、および5000のいずれかの複合体摩耗サイクル値を含むことができる。
【0069】
吸収性複合体は、本発明の特定の実施形態によれば、ISO9073によって測定して、6:1~15:1、例えば、6:1~12:1、約7:1~10:1、約7:1~9:1、約7:1~8.5:1、または7.5:1~8.5:1の、吸収性複合体によって吸収される水の重量と複合体の乾燥重量との複合体吸水比を含むことができる。
【0070】
上記のように、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、所望の耐摩耗性を維持しながら、迅速な液体吸収、吸収能力、および/または制限された流出がある様々な適用に適した特性の組み合わせを含むことができる。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、(本明細書で開示されているような)吸収性複合体は、手術用ドレープ、手術用ドレープの一部、トレイライナー、または患者の下の吸収パッドの形で提供され得る。本発明の特定の実施形態によれば、吸収性複合体は、外科処置を行うことができる開窓を取り囲む開窓材料を含む。例えば、
図6は、医療(例えば、外科)処置を行うことができる開窓120の周りに配置された吸収性複合体110を含む手術用ドレープ100を示す。
【0071】
別の態様では、本発明は、望ましくないことに褥瘡性潰瘍などの合併症をもたらし得る皮膚損傷の予防および/または治療のため、医療産業において、例えば、単独で、または製品に組み込まれた場合に、使用するのに適切な材料を提供する。例えば、患者は、病院、老人ホーム、または在宅医療環境での患者のケア中のいくつかの時点で、またはその間に、皮膚損傷を経験し得る。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、吸収性複合体は、単独であるか、または患者の皮膚と接触して配置することができる製品(例えば、成人用おむつ、寝具用シーツ、ガウン、ライナー、ベッドパッド(underpads)、手術用下敷き(surgical underlays)など)の一部としてのいずれかである。本発明の特定の実施形態はまた、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)の発症を受けやすい個人の皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を予防する方法を提供する。皮膚の劣化の発症を受けやすい個人としては、数日間にわたり、かなりの量の時間を1つまたは少数の姿勢で過ごし得る任意の患者(例えば、ほとんどもしくは完全に寝たきりである患者)が含まれ得る。この点に関して、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、望ましい通気性、低い摩擦係数、および/または適切な湿度レベルのための高い吸収性のうちの1つ以上を有する微気候環境を、個人の皮膚に、またはその近傍に提供し得る。別の態様では、本発明の特定の実施形態は、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を既に患っているかまたはその徴候を示している個人を治療する方法も提供する。この点に関して、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体は、皮膚の劣化の速度または重症度が良い影響を受けることができる(例えば、劣化の速度を遅くし、停止させ、かつ/または逆転させることができる)ように、皮膚の劣化(例えば、褥瘡性潰瘍)を既に患っているかまたはその徴候を示している個人の皮膚に、またはその近傍に、(上記のような)微気候環境を提供し得る。
【0072】
別の態様では、本発明は、吸収性複合体を製造する方法を提供し、この方法は、以下の:(i)親水性繊維を含む不織布上層を提供するステップと;(ii)吸収性コアを提供するステップであって、吸収性コアは、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、少なくとも1つの結合カード不織布層と、を含む、複数の層を含む、ステップと、(iii)不織布上層と吸収性コアとを直接または間接的に付着させて、本明細書に開示されるような吸収性複合体を提供するステップと、を含む。本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、不織布上層、吸収性コア、またはその両方を親水性添加剤で局所的に処理することをさらに含むことができる。方法は、本発明の特定の実施形態によれば、フィルムを吸収性コアに直接または間接的に取り付けることをさらに含むことができ、吸収性コア層は、不織布上層とフィルム層との間に直接または間接的に挟まれる。本発明の特定の実施形態によれば、フィルム層を吸収性コアに取り付けるステップは、例えば、接着剤(例えば、感圧接着剤)の連続層または不連続層を介して、フィルムを吸収性コア層に接着積層することを含み得る。本発明の特定の他の実施形態によれば、フィルムを吸収性コア層に取り付けるステップは、吸収性コア(例えば、吸収性コアの最下層)上にフィルムを押出コーティングすることを含み得る。
【0073】
加えてまたは代替的に、本方法は、親水性添加剤を含む第1のポリマー溶融物を形成し、不織布上層の親水性繊維を形成すること、ならびに/または親水性添加剤を含む第2のポリマー溶融物を形成し、吸収性コア繊維(例えば、少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層および/もしくは少なくとも1つの結合カード不織布層に含まれる)を形成することをさらに含み得る。
【0074】
本発明の特定の実施形態によれば、本方法は、第1の物理的に絡み合った不織布層を第1の結合カード不織布層に結合(例えば、熱結合、超音波結合、接着結合など)することと、第2の物理的に絡み合った不織布層を第2の結合カード不織布層に結合(例えば、熱結合、超音波結合、接着結合など)して2つの中間コア層を提供することと、を含み得る。次いで、2つの中間層は、一緒に結合(例えば、熱結合、超音波結合、接着結合など)されて、吸収性コアを形成し得る。次いで、吸収性コアは、不織布上層に結合(例えば、熱結合、超音波結合、接着結合など)され得る。フィルム層は、オプションとして、本明細書に記載され開示される任意の方法で、吸収性コアの自由な側または露出側に取り付けられ得る。
【0075】
〔実施例〕
本開示は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは決して限定的であると解釈されるべきではない。すなわち、以下の実施例に記載される特定の特徴は、単に例示的なものであり、限定的なものではない。
【0076】
試験方法
吸収能力は、ISO9073試験方法に従って測定され、乾燥サンプルの重量に対する、吸収された液体の重量を表すパーセンテージ(%)で表された。
【0077】
1平方インチ当たりで吸収された水は、試験方法ISO9073により測定される。この試験方法では、吸収されたグラム単位の水の重量を、試験されるサンプルの面積(平方インチで表示)で割る。
【0078】
サンプル重量当たりで吸収された水は、ISO9073で測定されたサンプルに吸収された水の重量を、液体を吸収する前のサンプルの重量で割って求める。
【0079】
吸収速度は、使用される液体が脱イオン水であるASTM法D824-94に従って測定される吸収速度である。複合体を試験されるサンプルとして使用し、分配される液体の体積は、第1セットの試験では1mLであり、第2セットの試験では5mLである。
【0080】
実施例セット(1)
60gsmのスパンレース不織布層を形成し、様々な物理的特性について評価した。このスパンレース不織布層は、70重量%のビスコースレーヨン繊維と、親水性にされた、30重量%のポリエステル繊維と、を含んだ。また、40gsmの結合カード不織布層も作製し、60gsmのスパンレース不織布層と同じ特性について評価した。結合カード不織布層は、6デニールのポリエステルステープル繊維から形成された。さらに、熱結合された24gsmの親水性高ロフト不織布を、第1のポリプロピレン/第2のポリプロピレン系コポリマーが70/30~60/40の樹脂処方から作製した。ポリプロピレン系コポリマーは、ポリプロピレンとポリエチレンのコポリマーであり、エチレン含有量は約15重量%であった。これに関して、高ロフト不織布中のポリエチレンの量は、約4.5重量%~6重量%であった。本発明の特定の実施形態によれば、結合カード層の1つ以上を熱結合高ロフト不織布に置き換えてもよい。
【0081】
表1に各不織布層の物理的特性をまとめた。表1に示すように、各不織布層は、5mLの液体で4秒を下回る吸収速度を有し、ゼロの流出率を示した。
【表1】
【0082】
実施例セット(2)
様々な比較用吸収性複合体が得られ、3つの本発明の吸収性複合体と同様に、様々な物理的特性について試験された。
【0083】
本発明の吸収性複合体(1)は、ポリプロピレンの10gsmのSSMMSの不織布上層、実施例セット(1)に記載されるような60gsmの第1のスパンレース不織布層、実施例セット(1)に記載されるような1つの40gsmの結合カード不織布層、実施例セット(1)に記載されるような60gsmの第2のスパンレース不織布層、および第2のスパンレース不織布層に3gsmの接着剤層で接着結合された20gsmのフィルム層を含んでいた。この点について、結合カード不織布層は、2つのスパンレース不織布層の間に直接位置し、不織布上層は、第1のスパンレース不織布層に直接結合されている。特に、本発明の吸収性複合体(1)は、以下の層構造を有する:不織布上層/第1のスパンレース不織布層/結合カード不織布層/第2のスパンレース不織布層/接着剤層/フィルム層。本発明の吸収性複合体(2)は、本発明の吸収性複合体(1)と同じ構造を有するが、2つのスパンレース不織布層の間に位置する追加の結合カード不織布層を含む。本発明の吸収性複合体(3)は、本発明の吸収性複合体(2)と同じ構造を有するが、20gsmのフィルムの代わりに30gsmのフィルムを含む。
【0084】
吸収速度と流出率との組み合わせは、吸収性複合体で考慮すべき事柄にとって特に重要である。表2にまとめたように、本発明の特定の実施形態による吸収性複合体(すなわち、本発明の複合体1~3)はそれぞれ、比較用吸収性複合体の全てに比べてはるかに優れた流出率および吸収時間を示した。例えば、本発明の吸収性複合体のそれぞれは、5mLでは、Lambs Medicalの吸収性複合体の吸収速度の約43%である吸収速度を含んだ。さらに印象的なことに、本発明の吸収性複合体のそれぞれは、Lambs Medicalの吸収性複合体の流出率のせいぜい約30%である流出率を含み、本発明の複合体(3)は1%未満の流出率を有していた。
【表2】
【0085】
本発明に対するこれらおよび他の修正および変形が、添付の特許請求の範囲においてさらに具体的に示される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全体または一部を入れ替えてもよいことを理解されたい。さらに、当業者は、上記の説明が単なる例であり、添付の特許請求の範囲にさらに記載されているような本発明を限定することを意図していないことを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれるバージョンの例示的な記述に限定されるべきではない。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 吸収性複合体であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層と、
(b)前記不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、を含み、
前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布ウェブと、を含む、複数の層を含み、
前記吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および、(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を含む、吸収性複合体。
(2) 前記不織布上層は、スパンメルト不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはそれらの組み合わせ、例えばS1a-Mb-S2c構造を含み、ここで、「S1」は第1のスパンボンド材料であり、「M」はメルトブローン材料であり、「S2」は第2のスパンボンド材料であり、「a」、「b」、および「c」は、それぞれの層の数を示し、それぞれが独立して、1、2、3、4、または5から選択され得る、実施態様1に記載の吸収性複合体。
(3) 前記不織布上層は、(i)少なくとも約30重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、または約100重量%の親水性繊維と、(ii)IST70.1によって測定して、少なくとも約50立方フィート/分(CFM)、例えば、IST70.1によって測定して、少なくとも約100CFM、例えば、少なくとも約150CFM、少なくとも約200CFM、少なくとも約250CFM、少なくとも約300CFM、少なくとも約350CFM、少なくとも約400CFM、または少なくとも約500CFMの通気性と、を含む、実施態様1~2に記載の吸収性複合体。
(4) 前記不織布上層は、約1~30%、例えば、少なくとも以下:約1、3、5、6、8、10、12、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、および15%のいずれか、を含む、前記吸収性複合体の形成前の結合領域を含む、実施態様1~3に記載の吸収性複合体。
(5) 前記吸収性コアは、単一の物理的に絡み合った不織布層と、単一の結合カード不織布層と、を含み、
前記単一の物理的に絡み合った不織布層は、前記不織布上層と前記単一の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、実施態様1~4に記載の吸収性複合体。
【0087】
(6) 前記吸収性コアは、第1の物理的に絡み合った不織布層と、第2の物理的に絡み合った不織布層と、第1の結合カード不織布層と、を含み、
前記第1の結合カード不織布層は、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の物理的に絡み合った不織布層との間に直接または間接的に位置する、実施態様1~4に記載の吸収性複合体。
(7) 第2の結合カード不織布層をさらに含み、
前記第1の結合カードウェブは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、実施態様6に記載の吸収性複合体。
(8) 前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマー材料を含む複数の合成ステープル繊維を含む、実施態様1~7に記載の吸収性複合体。
(9) 前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、9cc/g超、例えば、約12cc/g超、約14cc/g超、約15cc/g超、約16cc/g超、約17cc/g超、約18cc/g超、約19cc/g超、約20cc/g超、約25cc/g超、または約30cc/g超の、空隙容量を有する、実施態様8に記載の吸収性複合体。
(10) 前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%の合成ポリマー繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維を含み、
前記合成ポリマー繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む合成ポリマーを含む、実施態様6~9に記載の吸収性複合体。
【0088】
(11) 前記合成ポリマー繊維は、約20重量%~約100重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性繊維を含み、
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含み、かつ/あるいは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、前記合成ポリマー材料全体に分散された親水性添加剤を含む、実施態様10に記載の吸収性複合体。
(12) 前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%のセルロース繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかのセルロースポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかのセルロース繊維を含み、
前記セルロース繊維は、セルロースアセテート、再生セルロース、鹸化アセテート、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様6~11に記載の吸収性複合体。
(13) 前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、z方向に厚さ全体を通って延びる複数の開口を含み、
(i)前記複数の開口は、開口領域を画定し、前記開口領域は、約1%~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、12、14、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、22、20、18、16、および15%のいずれかを含み、かつ/あるいは、(ii)前記複数の開口は、約0.1mm~約2mm、例えば、少なくとも以下:約0.1、0.2、0.4、.05.0.6、0.8、および1mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、および1mmのいずれか、の平均直径を有する、実施態様6~12に記載の吸収性複合体。
(14) 前記吸収性コアは、(i)パルプ、メルトブローン繊維、もしくはその両方、および/または、(ii)スルーエアボンド不織布層を欠いている、実施態様1~13に記載の吸収性複合体。
(15) 吸収性複合体を製造する方法であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層を提供することと、
(b)吸収性コアを提供することであって、前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層と、を含む、複数の層を含む、ことと、
(c)前記不織布上層と前記吸収性コアとを直接または間接的に付着させて、前記吸収性複合体を提供することと、を含み、
前記吸収性複合体は、実施態様1~14のいずれかに記載の吸収性複合体を含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性複合体であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層と、
(b)前記不織布上層に直接または間接的に取り付けられた吸収性コアと、を含み、
前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層および/または少なくとも1つの熱結合高ロフト不織布ウェブと、を含む、複数の層を含み、
前記吸収性複合体は、(i)D824-94によって測定して、5mLの液体サンプルについて8秒未満の複合体吸収速度、および、(ii)ISO9073-11によって測定して、15%未満の複合体流出値を含む、吸収性複合体。
【請求項2】
前記不織布上層は、スパンメルト不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはそれらの組み合わせ、例えばS1
a-M
b-S2
c構造を含み、ここで、「S1」は第1のスパンボンド材料であり、「M」はメルトブローン材料であり、「S2」は第2のスパンボンド材料であり、「a」、「b」、および「c」は、それぞれの層の数を示し、それぞれが独立して、1、2、3、4、または5から選択され得る、請求項1に記載の吸収性複合体。
【請求項3】
前記不織布上層は、(i)少なくとも約30重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、または約100重量%の親水性繊維と、(ii)IST70.1によって測定して、少なくとも約50立方フィート/分(CFM)、例えば、IST70.1によって測定して、少なくとも約100CFM、例えば、少なくとも約150CFM、少なくとも約200CFM、少なくとも約250CFM、少なくとも約300CFM、少なくとも約350CFM、少なくとも約400CFM、または少なくとも約500CFMの通気性と、を含む、請求項1~2に記載の吸収性複合体。
【請求項4】
前記不織布上層は、約1~30%、例えば、少なくとも以下:約1、3、5、6、8、10、12、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、25、22、20、18、および15%のいずれか、を含む、前記吸収性複合体の形成前の結合領域を含む、請求項1~3に記載の吸収性複合体。
【請求項5】
前記吸収性コアは、単一の物理的に絡み合った不織布層と、単一の結合カード不織布層と、を含み、
前記単一の物理的に絡み合った不織布層は、前記不織布上層と前記単一の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項1~4に記載の吸収性複合体。
【請求項6】
前記吸収性コアは、第1の物理的に絡み合った不織布層と、第2の物理的に絡み合った不織布層と、第1の結合カード不織布層と、を含み、
前記第1の結合カード不織布層は、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の物理的に絡み合った不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項1~4に記載の吸収性複合体。
【請求項7】
第2の結合カード不織布層をさらに含み、
前記第1の結合カードウェブは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層と前記第2の結合カード不織布層との間に直接または間接的に位置する、請求項6に記載の吸収性複合体。
【請求項8】
前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせなどの合成ポリマー材料を含む複数の合成ステープル繊維を含む、請求項1~7に記載の吸収性複合体。
【請求項9】
前記第1の結合カード不織布層、前記第2の結合カード不織布層、またはその両方は、独立して、9cc/g超、例えば、約12cc/g超、約14cc/g超、約15cc/g超、約16cc/g超、約17cc/g超、約18cc/g超、約19cc/g超、約20cc/g超、約25cc/g超、または約30cc/g超の、空隙容量を有する、請求項8に記載の吸収性複合体。
【請求項10】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%の合成ポリマー繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかの合成ポリマー繊維を含み、
前記合成ポリマー繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む合成ポリマーを含む、請求項6~9に記載の吸収性複合体。
【請求項11】
前記合成ポリマー繊維は、約20重量%~約100重量%の親水性繊維、例えば、少なくとも以下:約20、30、40、および50重量%のいずれかの親水性繊維、ならびに/または、多くとも以下:約100、90、80、70、60、および50重量%のいずれかの親水性繊維を含み、
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、その上に親水性コーティングを含み、かつ/あるいは、前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方の前記親水性繊維は、独立して、前記合成ポリマー材料全体に分散された親水性添加剤を含む、請求項10に記載の吸収性複合体。
【請求項12】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、独立して、約10重量%~約90重量%のセルロース繊維、例えば、少なくとも以下:約10、15、20、25、30、35、40、45、および50重量%のいずれかのセルロースポリマー繊維、ならびに/または、多くとも以下:約90、80、70、60、および50重量%のいずれかのセルロース繊維を含み、
前記セルロース繊維は、セルロースアセテート、再生セルロース、鹸化アセテート、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項6~11に記載の吸収性複合体。
【請求項13】
前記第1の物理的に絡み合った不織布層、前記第2の物理的に絡み合った不織布層、またはその両方は、z方向に厚さ全体を通って延びる複数の開口を含み、
(i)前記複数の開口は、開口領域を画定し、前記開口領域は、約1%~約30%、例えば、少なくとも以下:約1、2、3、5、6、8、10、12、14、および15%のいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約30、28、26、25、24、22、20、18、16、および15%のいずれかを含み、かつ/あるいは、(ii)前記複数の開口は、約0.1mm~約2mm、例えば、少なくとも以下:約0.1、0.2、0.4、.05.0.6、0.8、および1mmのいずれか、ならびに/または、多くとも以下:約2、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、および1mmのいずれか、の平均直径を有する、請求項6~12に記載の吸収性複合体。
【請求項14】
吸収性複合体を製造する方法であって、
(a)親水性繊維を含む不織布上層を提供することと、
(b)吸収性コアを提供することであって、前記吸収性コアは、(i)少なくとも1つの物理的に絡み合った不織布層と、(ii)少なくとも1つの結合カード不織布層と、を含む、複数の層を含む、ことと、
(c)前記不織布上層と前記吸収性コアとを直接または間接的に付着させて、前記吸収性複合体を提供することと、を含み、
前記吸収性複合体は、請求項1~
13のいずれか一項に記載の吸収性複合体を含む、方法。
【請求項15】
前記吸収性コアに結合されたフィルム層をさらに含み、
前記吸収性コアは、前記フィルム層と前記不織布上層との間に直接または間接的に位置する、請求項1~13に記載の吸収性複合体。
【国際調査報告】