(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】前立腺癌の治療に使用されるアレナウイルス
(51)【国際特許分類】
C12N 15/40 20060101AFI20240312BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240312BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240312BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240312BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240312BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
C12N15/12
C12N15/55
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N7/01
A61K35/76
A61K39/00 H
A61P37/04
A61P35/00
C12N15/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558455
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022057532
(87)【国際公開番号】W WO2022200373
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】イゴール マトゥシャンスキー
(72)【発明者】
【氏名】アンディー ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キアヌーシュ カッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ローターバッハ
(72)【発明者】
【氏名】クロース オルリンガー
(72)【発明者】
【氏名】サラ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ステメセダー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA27
4B065CA44
4C085AA02
4C085AA03
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
(57)【要約】
本出願は、前立腺癌関連抗原を発現するアレナウイルスに関する。特に、本明細書に記載するのは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種オープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作された修飾アレナウイルス粒子であり、前立腺癌関連抗原は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)からなる群から選択される。同様に本明細書に記載するのは、前立腺癌関連抗原もしくはその抗原断片をコードするアレナウイルスゲノムセグメントまたはSセグメント、cDNA、DNA発現ベクター、かかるアレナウイルス粒子を含む医薬組成物、かかるアレナウイルス粒子を生成する方法及びかかるアレナウイルス粒子を使用した前立腺癌の治療方法、ならびにかかる使用のためのキットである。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレナウイルスSセグメントであって、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作された前記アレナウイルスSセグメントであり、前記前立腺癌関連抗原は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)からなる群から選択される、前記アレナウイルスSセグメント。
【請求項2】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項3】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項4】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項5】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項6】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項7】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項8】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項9】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項10】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項11】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項12】
アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項13】
アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される、請求項1に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項14】
前記PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号1に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項15】
前記PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号2に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項16】
前記PSMAの抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号3または配列番号4に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項17】
前記PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号1を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項18】
前記PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号18を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項19】
前記PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号2を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項20】
前記PSMAの抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号3または配列番号4を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項21】
前記PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号1からなる、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項22】
前記PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号18からなる、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項23】
前記PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号2からなる、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項24】
前記PSMAの抗原断片のアミノ酸配列が、配列番号3または配列番号4からなる、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項25】
前記PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号5に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項26】
前記PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号6に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項27】
前記PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号7または配列番号8に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項28】
前記PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号5を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項29】
前記PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号6を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項30】
前記PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号7または配列番号8を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項31】
前記PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号5からなる、請求項2~5のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項32】
前記PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号6からなる、請求項6~9のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項33】
前記PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列が、配列番号7または配列番号8からなる、請求項10~13のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメントのcDNA。
【請求項35】
請求項34に記載のcDNAを含むDNA発現ベクター。
【請求項36】
請求項1~33のいずれか1項に記載のアレナウイルスSセグメント、請求項34に記載のcDNA、または請求項35に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項37】
1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であって、前記2つのアレナウイルスSセグメントは、請求項1~33のいずれか1項に記載のものであり、前記2つのアレナウイルスSセグメントのうちの一方はGPを含み、他方はNPを含む、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項38】
請求項37に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子であって、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10世代継代された後、前記前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項39】
1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号5からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号6からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項40】
1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項41】
1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項42】
リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルス(PICV)に由来する、請求項37~41のいずれか1項に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項43】
LCMVに由来する、請求項42に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項44】
前記LCMVが、MP株、WE株、内因性LCMVクローン13糖タンパク質の代わりにLCMV株WEの糖タンパク質を発現するLCMVクローン13、Armstrong株、またはArmstrongクローン13株である、請求項43に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項45】
PICVに由来する、請求項42に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項46】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18、またはP2株である、請求項45に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項47】
2つのSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、前記2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号10を含み、前記2つのSセグメントの他方は、配列番号11を含む、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項48】
2つのSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、前記2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号12を含み、前記2つのSセグメントの他方は、配列番号13を含む、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項49】
2つのSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、前記2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号14を含み、前記2つのSセグメントの他方は、配列番号15を含む、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項50】
2つのSセグメントを含む、3セグメント化アレナウイルス粒子であって、前記2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号16を含み、前記2つのSセグメントの他方は、配列番号17を含む、前記3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項51】
感染性及び複製可能である、請求項37~50のいずれか1項に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項52】
弱毒化されている、請求項37~50のいずれか1項に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子。
【請求項53】
3セグメント化アレナウイルス粒子を生成する方法であって、以下を含む、前記方法:
(i)2つのアレナウイルスSセグメント及び1つのアレナウイルスLセグメントの核酸を宿主細胞にトランスフェクトすること、ここで、前記2つのアレナウイルスSセグメントは、請求項1~33のいずれか1項に記載のものであること、
(ii)前記宿主細胞を、ウイルス形成に適した条件下で維持すること、及び
(iii)前記アレナウイルス粒子を含む細胞培養上清を採取すること。
【請求項54】
前記アレナウイルスLセグメント及び前記2つのアレナウイルスSセグメントの転写が、双方向発現カセットを使用して行われる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
さらに、アレナウイルスポリメラーゼをコードする1つ以上の核酸を前記宿主細胞にトランスフェクトすることを含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記アレナウイルスポリメラーゼが、前記アレナウイルスLタンパク質である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
さらに、前記アレナウイルスNPタンパク質をコードする1つ以上の核酸を前記宿主細胞にトランスフェクトすることを含む、請求項53~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記核酸が、cDNAにコードされる、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記核酸が、RNAにコードされる、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記アレナウイルスLセグメント及び前記2つのアレナウイルスSセグメントの転写は、各々、プロモーターの制御下にある、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記プロモーターが、以下からなる群から選択される、請求項58に記載の方法:
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター、
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター、及び
(iii)T7プロモーター。
【請求項62】
請求項37~52のいずれか1項に記載のアレナウイルス粒子、及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項63】
前立腺癌の治療方法であって、それを必要とする対象に対して、請求項62に記載の医薬組成物を治療有効量で投与することを含む、前記方法。
【請求項64】
前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であって、以下を含む、前記方法:
(i)前記対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、前記第一の医薬組成物は、請求項37~52のいずれか1項に記載の1つ以上のアレナウイルス粒子を含むこと、及び
(ii)前記対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、前記第二の医薬組成物は、請求項37~52のいずれか1項に記載の1つ以上のアレナウイルス粒子を含むこと。
【請求項65】
さらに、(i)及び(ii)を繰り返すことを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第一及び前記第二の医薬組成物が、静脈内または腫瘍内に投与される、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、前記第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子と比較した場合、異なるアレナウイルス種に由来するが、同じ前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する、請求項64~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、前記第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子が、請求項48に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子であり、前記第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子が、請求項47に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子である、請求項64~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子が、請求項48及び請求項50に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子であり、前記第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子が、請求項47及び請求項49に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子である、請求項64~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
第二の薬剤が、前記第一及び/または前記第二の医薬組成物と組み合わせて投与される、請求項64~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記第二の薬剤が、前立腺癌を治療するための薬剤である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記第二の薬剤が、ドセタキセル、ミトキサントロン、カバジタキセル、及びペンブロリズマブからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第二の薬剤が、エンザルタミド及びアビラテロンからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記第二の薬剤が、ステロイドとともに投与される、請求項72~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記ステロイドが、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記第一及び/または前記第二の医薬組成物ならびに前記第二の薬剤が、同時に共投与される、請求項71~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記第一及び/または前記第二の医薬組成物が、前記第二の薬剤の投与の前に投与される、請求項71~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記第一及び/または前記第二の医薬組成物が、前記第二の薬剤の投与の後に投与される、請求項71~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記医薬組成物(複数可)と前記第二の薬剤の投与間隔が、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、約12週、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、またはそれ以上である、請求項78~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記対象が、前立腺癌に罹患している、罹患しやすい、またはそのリスクを有する、請求項63~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
容器及び使用説明書を含むキットであって、前記容器は、請求項37~52のいずれか1項に記載のアレナウイルス粒子を含み、任意に、前記アレナウイルス粒子は、静脈内投与に適した医薬組成物に含まれる、前記キット。
【請求項83】
2つ以上の容器及び使用説明書を含むキットであって、前記容器のうちの1つは、請求項37~52のいずれか1項に記載のアレナウイルス粒子を含み、前記容器のうちの他のものは、第二の薬剤を含み、任意に、前記アレナウイルス粒子は、静脈内投与に適した医薬組成物に含まれる、前記キット。
【請求項84】
さらに、静脈内投与を行うのに適した装置を含む、請求項82~83のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月23日に出願された米国第63/165,028号の利益を主張する。当該出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出した配列表の参照
本出願は、配列表を含み、これは、作成日が2022年3月21日であり、56,767バイトのサイズを有するファイル名「13194-062-228_SEQ_LISTING」のASCII形式の配列表として電子的に提出される。該提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0003】
1.緒言
本出願は、前立腺癌関連抗原を発現するアレナウイルスに関する。特に、本明細書に記載するのは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種オープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作された修飾アレナウイルス粒子であり、該前立腺癌関連抗原は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)からなる群から選択される。同様に本明細書に記載するのは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするアレナウイルスゲノムセグメント、例えば、Sセグメント、cDNA、DNA発現ベクター、かかるアレナウイルス粒子を含む医薬組成物、かかるアレナウイルス粒子を生成する方法及びかかるアレナウイルス粒子を使用した前立腺癌の治療方法、ならびにかかる使用のためのキットである。
【背景技術】
【0004】
2.背景技術
2.1 前立腺癌
前立腺癌は、アンドロゲン依存性のタイプのがんであり、世界中の男性に最もよくみられるがんの1つである。これは、米国(U.S.)において、皮膚癌に加えて男性が罹患する最も一般的ながんでもある。2020年、米国では、前立腺癌の新規患者が約191,930人存在し、前立腺癌による死者は約33,330人であると推定されている。欧州連合(EU)では、前立腺癌は男性で最も頻繁に診断されるがんの第1位にランクされており、2012年の新規患者は約345,000人と推定されている。前立腺癌は、同年のEUの新規がん全体の24%を占めた。2015年のEUにおける新規前立腺癌患者の推定数は、約365,000人であった。男性の約9人に1人が生涯のうちに前立腺癌と診断される。年齢は前立腺癌の主要危険因子であり、該疾患の60%は65歳以上の男性で診断され、40歳未満の男性ではほとんど見られない。前立腺癌は肺癌に次いで米国男性のがんによる死亡原因の第2位であり、2020年にはがんによる死亡全体の10%を占めている(Siegel,Miller,and Jemal,2020,CA Cancer J Clin,70:7-30)。EUでは、2020年に合計78,800人の男性が前立腺癌で死亡すると予測されている(Carioli et al.,2020,Ann Oncol,31:650-58.)。
【0005】
限局性前立腺癌の場合、手術、放射線、及び去勢手術または医学的精巣摘出術によって達成されるアンドロゲン枯渇療法(ADT)が多くの場合の治療法である。非標準的な切除術、例えば、凍結療法、高密度超音波、及び光力学療法も使用されるが、長期的なデータはまだ不足している。リンパ節転移のある患者は、多くの場合、根治的放射線療法(RT)及びADTにより、前立腺全摘出術を行ってまたは行わずに治療される(Bekelman et al.,2018,J Clin Oncol,36:3251-58、NCCN_Guidelines(登録商標)2019,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology)。限局性または局所性前立腺癌患者の5年生存率は、ほぼ100%である。
【0006】
前立腺癌患者の約15%は、診断時に転移性疾患を示す。さらに、臨床的に限局性疾患を有する患者の約20%は局所療法に失敗し、治療不能の転移性疾患を発症する(Cooperberg et al.,2004,J Urol,171:1393-401)。ADTは依然として転移性前立腺癌患者に対する標準治療であるが、通常は、初期反応後1~2年以内に進行が起こり、5年生存率は31%である。去勢レベルのアンドロゲン(<50ng/mL)にもかかわらず進行した前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)として知られている。転移性CRPC(mCRPC)を発症した患者の推定生存期間は、2~3年である(Scher et al.,2016,J Clin Oncol,34:1402-18)。
【0007】
転移性前立腺癌の治療選択肢は依然として限られている。抗アンドロゲン剤及び細胞傷害性化学療法は、最上位の治療選択肢のものである。生存率及び生活の質の利点が実証されている標準治療としては、アビラテロン酢酸エステル/プレドニゾン、エンザルタミド、ラジウム-223、及びドセタキセル/プレドニゾンが挙げられる。生活の質の利点は不明だが、生存利益を実証した治療法としては、シプリューセル-T及びカバジタキセル/プレドニゾンが挙げられる(Basch et al.,2014,J Clin Oncol,32:3436-48)。前立腺癌には利用可能な治療選択肢があるにもかかわらず、特に予後不良の患者または進行期の患者にとって、新たな治療に対する需要は依然として高い。例えば、ほぼすべての患者は、最終的には、様々なメカニズムにより、エンザルタミドを含めた新世代の抗アンドロゲン剤に対する耐性を発現する(Watson,Arora,and Sawyers,2015,Nat Rev Cancer,15:701-11)。薬剤耐性を克服するための前立腺癌の新たな治療法の開発に対する関心が高まっている。本明細書に記載の組成物及び方法は、この必要性に対処し、関連する利点を提供する。
【0008】
2.2 前立腺癌関連抗原
前立腺癌関連抗原は、PAP、PSA、及びPSMAを包含し、これらは、前立腺癌の免疫療法における標的抗原として最も一般的に使用されている(Karan,2013,Immunotherapy,5:907-10)。
【0009】
PAPは、前立腺上皮細胞によって分泌される分子量100kDaの糖タンパク質である(Vihko,Kontturi,and Korhonen,1978,Clin Chem,24:466-70.)。2つの型のPAPが存在する。細胞型(cPAP)は前立腺細胞で高度に発現され、分泌型(sPAP)は主に精液に放出される(Lin et al.,2001,J Urol,166:1943-50.)。PAPは、主に良性及び悪性の前立腺組織に限定されており、他の組織では発現が低い。その発現は、グリーソンスコアが高い(6及び7)腫瘍で最も高いが、他の腺癌、例えば、胃、乳房及び結腸でも見られる(Kiessling A,et al.Cancers.2012;4:193-217.)。PAP特異的免疫活性化は、シプリューセル-Tで治療されたCRPC患者の生存と相関している(Sheikh et al.,2013,Cancer Immunol Immunother,62:137-47)。
【0010】
PSAは、カリクレイン関連ペプチダーゼであり、ほぼ例外なく前立腺上皮細胞によって分泌され、前立腺癌の診断及びモニタリングのための診断バイオマーカーである(Kiessling A,et al Cancers.2012;4:193-217)。PSAは、前立腺癌組織の大部分で検出され得る。PSAは、臨床開発の様々な段階で、アデノウイルス、ポックスウイルス、リステリア、プラスミドDNA、ペプチド、及び樹状細胞(DC)を含めた複数の免疫療法プラットフォームによって標的抗原として広く研究されており、そのほとんどは初期段階にある(Venturini and Drake,2019,Cold Spring Harb Perspect Med,9)。前臨床研究と臨床研究の両方で、免疫療法の標的としてのPSAがPSA特異的CD8+T細胞の生成を誘導することが証明されている(Karan et al.,2011,Immunotherapy,3:735-46、Lubaroff et al.,2009,Clin Cancer Res,15:7375-80)。
【0011】
PSMAは、前立腺組織内で発現される膜貫通糖タンパク質であり、その発現レベルは、アンドロゲンアブレーション後に上昇する(Wright et al.,1996,Urology,48:326-34)。PSMAは、正常な前立腺細胞のマーカーであり、ほとんどの前立腺癌腫瘍、特に未分化転移性CRPCで検出され得る。PSMAは、他の正常組織に見出すことができるが、前立腺組織と比較して発現が100~1000倍低い(Kiessling A,et al.Cancers.2012;4:193-217)。抗原特異的なCD4+及びCD8+T細胞応答は、PSMAを標的とするがんワクチンで報告されている(Chudley et al.,2012,Cancer Immunol Immunother,61:2161-70)。
【発明の概要】
【0012】
3.概要
3.1 アレナウイルスゲノムセグメント
1つの態様では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントである。いくつかの実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作される。いくつかの特定の実施形態では、該前立腺癌関連抗原は、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)からなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPAPまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。いくつかの特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号1を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号1からなる。他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号18を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号18からなる。いくつかの特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号5を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PAPまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号5からなる。
【0014】
いくつかの実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSAまたはその抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。いくつかの特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号2を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号2からなる。いくつかの特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号6を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PSAまたはその抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号6からなる。
【0015】
いくつかの実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、該アレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置にPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。いくつかの特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または配列番号4に対して少なくとも80%または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または配列番号4を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または配列番号4からなる。いくつかの特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号7または配列番号8に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の同一性を含む。他の特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号7または配列番号8を含む。さらに他の特定の実施形態では、該PSMAの抗原断片をコードするORFのヌクレオチド配列は、配列番号7または配列番号8からなる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明はさらに、上記に示すアレナウイルスSセグメントをコードするcDNAを含む。他の実施形態では、本発明はさらに、該cDNAを含むDNA発現ベクターを含む。他の実施形態では、本発明はさらに、上記に示すアレナウイルスSセグメント、cDNAまたは該DNA発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0017】
3.2 アレナウイルス粒子及びかかるアレナウイルス粒子の生成方法
別の態様では、本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子である。いくつかの実施形態では、該2つのアレナウイルスSセグメントは、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作される。いくつかの実施形態では、該2つのアレナウイルスSセグメントの一方は、アレナウイルスGPをコードするORFを含み、他方は、該アレナウイルスNPをコードするORFを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10世代継代された後、前立腺癌関連抗原(複数可)またはその抗原断片(複数可)の安定した発現を有する。
【0019】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含み、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号5からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号6からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0020】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含み、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0021】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含み、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にアレナウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0022】
いくつかの実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルス(PICV)に由来する。いくつかの特定の実施形態では、該LCMVは、MP株、WE株、Armstrong株、Armstrongクローン13株、または内因性LCMVクローン13糖タンパク質の代わりにLCMV株WEの糖タンパク質を発現するLCMVクローン13である。他の特定の実施形態では、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18、またはP2株である。
【0023】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、2つのSセグメントを含み、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号10を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号11を含む。
【0024】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、2つのSセグメントを含み、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号12を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号13を含む。
【0025】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、2つのSセグメントを含み、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号14を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号15を含む。
【0026】
特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子は、2つのSセグメントを含み、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号16を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号17を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、感染性でありかつ複製可能である。他の実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は弱毒化される。
【0028】
別の態様では、本明細書に提供するのは、3セグメント化アレナウイルス粒子を生成する方法であり、該方法は、以下を含む:(i)2つのアレナウイルスSセグメント及び1つのアレナウイルスLセグメントの核酸を宿主細胞にトランスフェクトすること、ここで、該2つのアレナウイルスSセグメントは、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有するように操作されるものであること、(ii)該宿主細胞を、ウイルス形成に適した条件下で維持すること、及び
【0029】
(iii)該アレナウイルス粒子を含む細胞培養上清を採取すること。いくつかの特定の実施形態では、該核酸は、cDNAである。他の特定の実施形態では、該核酸は、RNAである。
【0030】
いくつかの実施形態では、該アレナウイルスLセグメント及び該2つのアレナウイルスSセグメントの転写は、双方向発現カセットを使用して行われる。いくつかの実施形態では、該方法はさらに、アレナウイルスポリメラーゼをコードする1つ以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。いくつかの特定の実施形態では、該アレナウイルスポリメラーゼは、アレナウイルスLタンパク質である。他の実施形態では、該方法はさらに、アレナウイルスNPタンパク質をコードする1つ以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。いくつかの実施形態では、該アレナウイルスLセグメント及び該2つのアレナウイルスSセグメントの転写は、各々、プロモーターの制御下にある。いくつかの特定の実施形態では、該プロモーターは、以下からなる群から選択される:(i)RNAポリメラーゼIプロモーター、(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター、及び(iii)T7プロモーター。
【0031】
3.3 治療方法及びそのキット
別の態様では、本明細書に提供するのは、上記に示すアレナウイルス粒子、及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0032】
別の態様では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療方法であり、これは、それを必要とする対象に対して、該医薬組成物を治療有効量で投与することを含む。
【0033】
別の態様では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上の上記に示すアレナウイルス粒子を含むこと、及び(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上の上記に示すアレナウイルス粒子を含むこと、を含む。いくつかの実施形態では、該方法はさらに、(i)と(ii)を繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子と比較した場合、異なるアレナウイルス種に由来するが、同じ前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。いくつかの特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来する。
【0034】
いくつかの実施形態では、該第一及び該第二の医薬組成物は、静脈内投与される。他の実施形態では、該第一及び該第二の医薬組成物は、腫瘍内投与される。さらに他の実施形態では、該第一の医薬組成物は、腫瘍内投与され、該第二の医薬組成物は、静脈内投与される。さらに他の実施形態では、該第一の医薬組成物は、静脈内投与され、該第二の医薬組成物は、腫瘍内投与される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第二の薬剤が、該第一及び/または該第二の医薬組成物と組み合わせて投与される。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、前立腺癌を治療するための薬剤である。ある特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ドセタキセル、ミトキサントロン、カバジタキセル、及びペンブロリズマブからなる群から選択される。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、エンザルタミド及びアビラテロンからなる群から選択される。さらに他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ステロイドとともに投与される。1つの実施形態では、該ステロイドは、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、該医薬組成物及び該第二の薬剤は、同時に共投与される。他の実施形態では、該医薬組成物(複数可)は、該第二の薬剤の投与前に投与される。他の実施形態では、該医薬組成物(複数可)は、該第二の薬剤の投与後に投与される。さらに他の実施形態では、該第二の薬剤は、該第一の医薬組成物の後であるが、該第二の医薬組成物の前に投与される。いくつかの実施形態では、該医薬組成物(複数可)と該第二の薬剤の投与間隔は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週、約3週、約4週、約5週、約6週、約7週、約8週、約9週、約10週、約11週、約12週、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、またはそれ以上である。
【0037】
いくつかの実施形態では、該対象は、前立腺癌に罹患している、罹患しやすい、またはそのリスクを有する。
【0038】
別の態様では、本明細書に提供するのは、容器及び使用説明書を含むキットであり、該容器は上記に示すアレナウイルス粒子を含む。いくつかの実施形態では、該アレナウイルス粒子は、静脈内投与に適した医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、該キットはさらに、静脈内投与を行うのに適した装置を含む。
【0039】
別の態様では、本明細書に提供するのは、2つ以上の容器及び使用説明書を含むキットであり、該容器のうちの1つは、上記に示すアレナウイルス粒子を含み、該容器のうちの他のものは、第二の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、該アレナウイルス粒子は、静脈内投与に適した医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、該キットはさらに、静脈内投与を行うのに適した装置を含む。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0040】
4.図面の簡単な説明
【
図1A】例示的な3セグメント化アレナウイルス粒子の遺伝子組成の概略図。artLCMV-PAP-NP/PSA-GPまたはartPICV-PAP-NP/PSA-GPの遺伝子組成の概略図。
【
図1B】例示的な3セグメント化アレナウイルス粒子の遺伝子組成の概略図。artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの遺伝子組成の概略図。
【
図1C】例示的な3セグメント化アレナウイルス粒子の遺伝子組成の概略図。artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの遺伝子組成の概略図。
【0041】
【
図2A】artLCMV-PAP-NP/PSA-GPのPMVS(12)の導入遺伝子安定性。PAP及びPSA導入遺伝子の安定性をPCRにより、示された継代レベル(P1、P5、またはP10)で分析した。
【
図2B】artLCMV-PAP-NP/PSA-GPのPMVS(12)の導入遺伝子安定性。示された継代でのPMVS(12)のPAP及びPSA導入遺伝子の発現をウェスタンブロット分析によって確認した。親PMVSストックの産生及び継代の生成に使用したHEK/293VRC細胞の全細胞溶解物を、PAP、PSA、LCMV NP、及びMAPK特異的抗体を使用したウェスタンブロットで分析した。未感染のHEK/293VRC細胞の細胞溶解物(対照、C)またはR&Dベクター調製物artLCMV-PAP-NP/PAP-GP(陽性対照1、PC1)もしくはR&DストックartLCMV-PSA-NP/PSA-GP(陽性対照2、PC2)に感染した細胞からの細胞溶解物を対照として使用した。タンパク質サイズ(kDa)は、peqGoldタンパク質標準V、PeqLab(M)を指す。PAP:1162bp=387アミノ酸、PSA:786bp=262アミノ酸。
【0042】
【
図3A】artPICV-PAP-NP/PSA-GPのPMVS(05)cl32/05/05の導入遺伝子安定性。PMVS(05)cl32/05/05のPAP及びPSA導入遺伝子の安定性をPCRにより、示された継代レベルで分析した。
【
図3B】artPICV-PAP-NP/PSA-GPのPMVS(05)cl32/05/05の導入遺伝子安定性。示された継代レベルでのPMVS(05)cl32/05/05の導入遺伝子の発現をウェスタンブロット分析によって確認した。PAP:1162bp=387アミノ酸、PSA:786bp=262アミノ酸。未感染のHEK/293VRC細胞の細胞溶解物(陰性対照、-c)またはR&Dベクター調製物artPICV-PAP-NP/PSA-GPに感染した細胞からの細胞溶解物を対照(陽性対照、+c)として使用した。
【0043】
【
図4】示された継代での両Sセグメントにおける全長PSMAをコードするartLCMVのPCRによって調べた導入遺伝子安定性。NPセグメント上でコードされる導入遺伝子の予想サイズは、2532bpであり、GPセグメント上でコードされる導入遺伝子の予想サイズは、2518bpである。
【0044】
【
図5A】artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPのPMVS(09)Cl.9/7/2の導入遺伝子安定性。PMVS(09)Cl.9/7/2のPSMA1及びPSMA2導入遺伝子の安定性をPCRにより、示された継代レベルで分析した。
【
図5B】artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPのPMVS(09)Cl.9/7/2の導入遺伝子安定性。示された継代でのPSMA1及びPSMA2導入遺伝子の発現をウェスタンブロット分析によって分析した。強力で特異的な抗体が利用できないため、PSMA2タンパク質発現のシグナル検出が妨げられた。アスタリスク(*)は、artPICV-PSMA1/2陽性対照で見出された弱いシグナルのバンドを強調表示している。未感染のHEK/293VRC細胞の細胞溶解物(陰性対照、-c)またはR&Dベクター調製物artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(artPICV-PSMA1/2)もしくはartPICV-PSMA-NP/PSMA-GP(artPICV-PSMA、全長PSMAをコードする)に感染した細胞からの細胞溶解物を対照として使用した。
【0045】
【
図6A】artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPのPMVS 26の導入遺伝子安定性。NP及びGPセグメント上でコードされる導入遺伝子の安定性をPCRにより、示された継代レベルで分析した。
【
図6B】artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPのPMVS 26の導入遺伝子安定性。示された継代での導入遺伝子の発現をウェスタンブロット分析によって確認した。
【0046】
【
図7A】マウスにおける、前立腺癌関連抗原をコードする異なるアレナウイルス粒子を投与した後のCD8T細胞応答の誘導。マウスにおける、示されたベクターの単回投与の7日後でのPSA及びPAPに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、それぞれ、PAP及びPSAの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図7B】マウスにおける、前立腺癌関連抗原をコードする異なるアレナウイルス粒子を投与した後のCD8T細胞応答の誘導。マウスにおける、示されたベクターの単回投与の7日後でのPSMA及びPSMAのサブドメインに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSMAの重複ペプチドライブラリ、または単一ペプチドPSMA
76-90(PSMA1)またはPSMA
634-642(PSMA2)で行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図7C】マウスにおける、前立腺癌関連抗原をコードする異なるアレナウイルス粒子を投与した後のCD8T細胞応答の誘導。マウスにおける、示されたベクターの組み合わせの単回投与の7日後でのPAP及びPSAに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PAPまたはPSAの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図7D】マウスにおける、前立腺癌関連抗原をコードする異なるアレナウイルス粒子を投与した後のCD8T細胞応答の誘導。マウスにおける、示されたベクターの組み合わせの単回投与の7日後でのPSMA及びPSMAのサブドメインに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSMAの重複ペプチドライブラリ、または単一ペプチドPSMA76-90(PSMA1)またはPSMA634-642(PSMA2)で行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図7E】マウスにおける、前立腺癌関連抗原をコードする異なるアレナウイルス粒子を投与した後のCD8T細胞応答の誘導。マウスにおける、示されたベクターまたはベクターの組み合わせの単回投与の7日後でのLCMV NP(左のパネル)及びPICV NP(右のパネル)に対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、それぞれ、LCMV NP及びPICV NPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【0047】
【
図8A】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPの免疫原性。マウスにおける、示されたベクターの初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPAPに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PAPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図8B】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPの免疫原性。マウスにおける、示されたベクターの初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPSAに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSAの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図8C】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPの免疫原性。マウスにおける、示されたベクターの初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのLCMV NP(左のパネル)及びPICV NP(右のパネル)に対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、それぞれ、LCMV NP及びPICV NPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【0048】
【
図9A】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの免疫原性。マウスにおける、示されたベクターの初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPSMA及びPSMAのサブドメインに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSMAの重複ペプチドライブラリ、または単一ペプチドPSMA
76-90(PSMA1)またはPSMA
634-642(PSMA2)で行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図9B】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの免疫原性。マウスにおける、示されたベクターの初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのLCMV NP(左のパネル)及びPICV NP(右のパネル)に対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、それぞれ、LCMV NP及びPICV NPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【0049】
【
図10A】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV及びartPICVベクターの組み合わせの免疫原性。マウスにおける、示されたベクター混合物の初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPAPに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PAPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図10B】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV及びartPICVベクターの組み合わせの免疫原性。マウスにおける、示されたベクター混合物の初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPSAに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSAの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図10C】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV及びartPICVベクターの組み合わせの免疫原性。マウスにおける、示されたベクター混合物の初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのPSMA及びPSMAのサブドメインに対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、PSMAの重複ペプチドライブラリ、または単一ペプチドPSMA
76-90(PSMA1)またはPSMA
634-642(PSMA2)で行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【
図10D】同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV及びartPICVベクターの組み合わせの免疫原性。マウスにおける、示されたベクター混合物の初回投与の26日後及び連続投与の5日後でのLCMV NP(左のパネル)及びPICV NP(右のパネル)に対するCD8T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答。ペプチド刺激は、それぞれ、LCMV NP及びPICV NPの重複ペプチドライブラリで行った。IFN-γ陽性CD3+B220-CD8+T細胞のパーセンテージは、算術平均±標準偏差として、個々のマウスについて示されている。
【0050】
【
図11】用量漸増及び用量拡大の試験デザイン。省略語:Alt.=交互、Approx=約、art=人工、CRPC=去勢抵抗性前立腺癌、GP=糖タンパク質、IV=静脈内(に)、LCMV=リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、NP=核タンパク質、PAP=前立腺酸性ホスファターゼ、PICV=ピチンデウイルス、PSA=前立腺特異抗原、PSMA=前立腺特異的膜抗原、RP2D=第II相推奨用量、Seq.=連続。
【0051】
【
図12】試験デザインスキーム。省略語:DL1/2/3=用量レベル1/2/3、mCRPC=転移性去勢抵抗性前立腺癌、Ph2=第2相、RP2D=第2相推奨用量。
【発明を実施するための形態】
【0052】
5.詳細な説明
本明細書に提供するのは、修飾アレナウイルスゲノムセグメントであり、これは、セクション5.1に記載の通り、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。同様に本明細書に提供するのは、各々が前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種ORFを有するアレナウイルスゲノムセグメントを含む、セクション5.3に記載の修飾3セグメント化アレナウイルス粒子、及びセクション5.4に記載のかかるアレナウイルス粒子を生成する方法である。同様に本明細書に記載するのは、セクション5.2に記載のcDNA、DNA発現ベクター、及び宿主細胞である。さらに本明細書に提供するのは、セクション5.5に記載のかかるアレナウイルス粒子を含む医薬組成物である。かかるアレナウイルス粒子を使用して前立腺癌を治療する方法は、セクション5.6に記載されている。最後に、様々なアッセイ、例えば、本明細書に記載のアレナウイルス粒子の修飾アレナウイルスゲノムセグメントを検出するためのもの、及び処置された動物における免疫応答を測定するためのものは、セクション5.7に記載されている。
【0053】
5.1 アレナウイルスゲノムセグメント
本明細書に提供するのは、前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有する新規アレナウイルスゲノムセグメントである。かかる新規操作されたアレナウイルスセグメントは、アレナウイルスタンパク質、例えば、GP、NP、ZまたはLタンパク質をコードするアレナウイルスORFに加えて、前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PAPをコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PSAをコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PSMAをコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、前立腺幹細胞抗原(PSCA)をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、ムチン-1をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、NY-ESO-1をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、MAGE-Aをコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、AKAP-4をコードする異種ORFを有するように操作されている。
【0054】
本明細書で使用される、「抗原断片」という用語は、該抗原断片が由来する抗原に対する免疫応答を誘発するのに十分な連続アミノ酸配列もしくは立体構造的免疫活性領域を含むか、またはそれに対応する抗原の一部を指すことを意図している。処置された動物におけるかかる免疫応答は、該断片が由来する元の抗原によって誘発される免疫応答と同じである可能性または類似する可能性がある。抗原断片によって誘発される免疫応答としては、元の抗原に特異的な検出可能なT細胞応答が挙げられる。かかる抗原断片は、少なくとも500アミノ酸、少なくとも490アミノ酸、少なくとも480アミノ酸、少なくとも470アミノ酸、少なくとも460アミノ酸、少なくとも450アミノ酸、少なくとも440アミノ酸、少なくとも430アミノ酸、少なくとも420アミノ酸、少なくとも410アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくとも390アミノ酸、少なくとも380アミノ酸、少なくとも370アミノ酸、少なくとも360アミノ酸、少なくとも350アミノ酸、少なくとも340アミノ酸、少なくとも330アミノ酸、少なくとも320アミノ酸、少なくとも310アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、少なくとも290アミノ酸、少なくとも280アミノ酸、少なくとも270アミノ酸、少なくとも260アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも240アミノ酸、少なくとも230アミノ酸、少なくとも220アミノ酸、少なくとも210アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも190アミノ酸、少なくとも180アミノ酸、少なくとも170アミノ酸、少なくとも160アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも50アミノ酸長であるが、該断片が由来する元の抗原の全長よりも短いアミノ酸配列を含む。
【0055】
本明細書に提供するのは、前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORFを有する新規アレナウイルスゲノムセグメントである。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PAPの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PSAの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PSMAの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、PSCAの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、ムチン-1の抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、NY-ESO-1の抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、MAGE-Aの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、アレナウイルスSセグメントであり、該アレナウイルスSセグメントは、AKAP-4の抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、各々がPSMAの抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されている2つのアレナウイルスSセグメントであり、該PSMAの2つの抗原断片は、該PSMAのアミノ酸配列の約半分を含む。いくつかの実施形態では、かかる断片は、該ORFのヌクレオチド配列に天然に存在するATGコドンを利用することによって生成され得る。他の実施形態では、かかる断片は、ATGをPSMAのヌクレオチド配列に人工的に導入することによって生成され得る。
【0057】
具体的には、いくつかの特定の実施形態では、PSMAの分割は、天然に存在するATGの直前に生じ、PSMAの後半は、天然に存在するATGで始まり、野生型PSMAの翻訳とインフレームになる。したがって、1つの実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~171番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の172番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~504番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の505番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~573番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の574番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~924番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の925番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1029番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1030番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1407番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1408番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1524番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1525番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1704番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1705番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1746番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1747番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1845番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1846番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1863番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1864番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1986番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1987番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~1989番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の1990番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。別の実施形態では、PSMAの分割は、配列番号9の1番目~2004番目のヌクレオチドに相当するPSMAの前半に加えて、その末端に付加された終止コドン、及び配列番号9の2005番目~2253番目のヌクレオチドに相当する後半を生成する。上記実施形態では、該PSMAの前半の最後のコドンは、終止コドンに変異する。上記実施形態では、該PSMAの前半の最後のコドンは、TAGであり得る。上記実施形態では、該PSMAの前半の最後のコドンは、TAAであり得る。上記実施形態では、該PSMAの前半の最後のコドンは、TGAであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に前立腺癌関連抗原の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPAPの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAをコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSMAの抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にGPをコードするORFを有するように操作される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にNPをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にZをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。他の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス3’UTRの制御下の位置に本明細書に記載のPSCA、ムチン-1、NY-ESO-1、MAGE-A、またはAKAP-4の抗原断片をコードする異種ORF、及びアレナウイルス5’UTRの制御下の位置にLをコードするORFを有するように操作される。
【0067】
本明細書に提供するのは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片のアミノ酸配列である。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのアミノ酸配列は、配列番号1を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAPのアミノ酸配列は、1つ以上の配列番号1のアミノ酸の置換を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAPのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態では、該アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置2におけるアルギニンからイソロイシンへの置換である(すなわち、I2R変異)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAPのアミノ酸配列は、配列番号18を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPAPのアミノ酸配列は、配列番号18からなる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのアミノ酸配列は、配列番号2を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のアミノ酸配列は、配列番号3または4を含む。
【0070】
本明細書に提供するのは、前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするヌクレオチド配列である。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPAPのヌクレオチド配列は、配列番号5を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSAのヌクレオチド配列は、配列番号6を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも55%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも65%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも91%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも92%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも93%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも94%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも96%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも97%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも98%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の異種ORFによってコードされるPSMAの抗原断片のヌクレオチド配列は、配列番号7または8を含む。
【0073】
他の実施形態では、本明細書に提供するのはアレナウイルスタンパク質、例えば、GP、NP、ZまたはLタンパク質をコードするアレナウイルスORFに加えて、先行する段落に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されているアレナウイルスLセグメントである。
【0074】
本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、任意の種のアレナウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ラッサウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ピチンデウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、フニンウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、オリベロスウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、タミアミ(Tamiami)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、モバラ(Mobala)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、モペイア(Mopeia)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、イッピイ(Ippy)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、アマパリ(Amapari)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、フレキサル(Flexal)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、グアナリト(Guanarito)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ラチノ(Latino)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、マチュポ(Machupo)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、パラナ(Parana)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ピリタル(Pirital)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、サビア(Sabia)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、タカリベ(Tacaribe)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ベアキャニオン(Bear Canyon)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ホワイトウオーター・アロヨ(Whitewater Arroyo)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、Allpahuayoウイルス(ALLV)に由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、アルシャ(Alxa)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、チャパレ(Chapare)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、リジャン(Lijiang)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、クピキシ(Cupixi)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ガイロ(Gairo)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ルーイ・リバー(Loei River)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ルジョ(Lujo)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ルナ(Luna)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ルリ(Luli)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ランク(Lunk)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、マリエンタール(Mariental)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、メリノ・ウォーク(Merino Walk)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、モロゴロ(Morogoro)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、オカハンジャ(Okahandja)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、アポレー(Apore)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、リュウキュウ(Ryukyu)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、ソルウェジ(Solwezi)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、スリス(souris)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、温州(Wenzhou)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、Big Brushy Tankウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、カタリーナ(Catarina)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、Skinner Tankウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、トントクリーク(Tonto Creek)ウイルスに由来し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントは、シャプリ(Xapuri)ウイルスに由来し得る。
【0075】
本明細書に提供するアレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法は、当技術分野で周知の標準的なプロトコルに従う(例えば、Kallert et al.,2017,Nat Commun,8:15327参照)。
【0076】
5.2 核酸、ベクター系及び宿主細胞
本明細書に提供するのは、セクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を形成するためのセクション5.1に記載のアレナウイルスSセグメントを含むまたはそれからなるcDNAである。同様に本明細書に提供するのは、本セクションに記載のcDNAを含むDNA発現ベクターである。さらに本明細書に提供するのは、本セクションに記載のかかるcDNAまたはベクターを含む宿主細胞である。
【0077】
5.2.1 アレナウイルスSセグメント用の核酸、ベクター系及び宿主細胞
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、セクション5.1に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスSセグメントのcDNAである。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、セクション5.1に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスLセグメントであるcDNAである。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、(i)前立腺癌関連抗原をコードする異種ORF、及び(ii)アレナウイルスGP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFを有するように操作されたアレナウイルスセグメントのcDNAであり、該アレナウイルスGP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFのうちの1つは除去され、セクション5.1に記載の異種ORFで置き換えられている。
【0078】
1つの実施形態では、本明細書に提供するのは、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスSセグメントをコードするDNA発現ベクターである。別の実施形態では、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスSセグメントであるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、またはそれに組み込まれる。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスLセグメントをコードするDNA発現ベクターである。別の実施形態では、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスLセグメントであるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、またはそれに組み込まれる。
【0079】
別の実施形態では、本明細書に提供するのは、本セクションの上記cDNAまたはベクター系を含む細胞である。かかる細胞に由来する細胞株、かかる細胞を含む培養物、かかる細胞を培養する方法もまた本明細書に提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスSセグメントのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施形態では、該細胞は、該Sセグメント及び/または該Lセグメントを含む。
【0080】
5.2.2 3セグメント化アレナウイルス粒子用の核酸、ベクター系及び宿主細胞
本明細書に提供するのは、セクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子の3つのアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。より具体的な実施形態では、本明細書に提供するのは、例えば、表1に示すようなDNAヌクレオチド配列またはDNAヌクレオチド配列のセットである。かかる核酸を含む宿主細胞もまた提供する。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、セクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を一緒にコードする一連のDNA発現ベクターである。具体的には、本明細書に提供するのは、3つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子の1つのLセグメント及び2つのSセグメントをコードする一連のDNA発現ベクターである。
【0082】
別の実施形態では、本明細書に提供するのは、本セクションの上記一連のベクターを含む細胞である。かかる細胞に由来する細胞株、かかる細胞を含む培養物、かかる細胞を培養する方法もまた本明細書に提供する。
【0083】
5.3 3セグメント化アレナウイルス粒子
本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、該2つのアレナウイルスSセグメントは、セクション5.1に記載の通りであり、該2つのアレナウイルスSセグメントのうちの一方はGPを含み、他方はNPを含む。同様に本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、ここで、セクション5.1に記載の前立腺癌関連抗原をコードする2つのORFは、該3つのセグメントのうちの2つに挿入される。
【0084】
以下の表1は、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子のゲノム構成の例示的な説明であり、該3セグメント化アレナウイルスゲノムにおける2つのSセグメントのセグメント間組み換えは、複製可能な2セグメント化ウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスのプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組み換えSセグメントは、3’UTRと5’UTRの代わりに、2つの3’UTRまたは2つの5’UTRで構成される)。
【表2】
【0085】
ある特定の実施形態では、位置1と位置2の間の遺伝子間領域(IGR)は、アレナウイルスSセグメントのIGRでもLセグメントのIGRでもよく、位置3と4の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRでもLセグメントのIGRでもよく、位置5と6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。特定の実施形態では、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRでよく、位置3と4の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRでよく、位置5と6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。ある特定の実施形態では、他の組み合わせもまた可能である。ある特定の実施形態では、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子の3セグメント化アレナウイルスゲノムにおける2つのSセグメントのセグメント間組み換えは、複製可能な2セグメント化ウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスのプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組み換えSセグメントは、3’UTRと5’UTRの代わりに、2つの3’UTRまたは2つの5’UTRで構成される)。
【0086】
ある特定の実施形態では、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子におけるSセグメントとLセグメントのセグメント間組み換えは、2つの別々のセグメントの代わりに1つのセグメントのみに2つのウイルス遺伝子を有する機能的セグメントを回復させる。他の実施形態では、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子におけるSセグメントとLセグメントのセグメント間組み換えは、複製可能な2セグメント化ウイルス粒子をもたらさない。
【0087】
ある特定の実施形態では、当業者には、表1に示す構成を有する本明細書に記載のアレナウイルスゲノムを構築し、セクション5.7に記載のアッセイを使用して、当該3セグメント化アレナウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書に論じる複製可能な2セグメント化ウイルス粒子をもたらさないかどうかを確認することができる。
【0088】
上記の複製可能な2セグメント化ウイルス粒子をもたらさないことに加えて、いくつかの実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、大規模な商業的生産に必要な複数世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定な発現を有する。したがって、本明細書に提供するのは、少なくとも4世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも5世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも6世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも7世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも8世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも9世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、少なくとも10世代継代された後に、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の安定した発現を有する3セグメント化アレナウイルス粒子である。
【0089】
実施例のセクション6.1.1及び6.1.2に論じるように、本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、ここで、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号5からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号6からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号10を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号11を含む。
【0091】
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号12を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号13を含む。
【0092】
実施例のセクション6.1.3に論じるように、本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、ここで、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0093】
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号14を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号15を含む。
【0094】
実施例のセクション6.1.4に論じるように、本明細書に提供するのは、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、ここで、第一のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号7からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス核タンパク質(NP)をコードするORFを有するように操作され、第二のアレナウイルスSセグメントは、アレナウイルス5’UTRの制御下の位置に配列番号8からなる異種ORF及びアレナウイルス3’UTRの制御下の位置にウイルス糖タンパク質(GP)をコードするORFを有するように操作される。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子であり、該2つのSセグメントのうちの一方は、配列番号16を含み、該2つのSセグメントの他方は、配列番号17を含む。
【0096】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供する3セグメント化アレナウイルス粒子は、感染性である、すなわち、宿主細胞に入ることまたはその遺伝物質を注入することが可能である。ある特定のより具体的な実施形態では、本明細書に提供する3セグメント化アレナウイルス粒子は、感染性である、すなわち、宿主細胞に入ることまたはその遺伝物質を注入することが可能であり、その後該宿主細胞内でその遺伝情報を増幅及び発現することが可能である。ある特定の実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、感染性の複製欠損性アレナウイルス粒子であり、感染した細胞においてその遺伝情報を増幅及び発現する能力はあるが、通常の遺伝子操作されていない細胞ではさらなる感染性後代粒子を産生することができないゲノムを含むように操作されている。ある特定の実施形態では、該感染性3セグメント化アレナウイルス粒子は、複製可能であり、通常の遺伝子操作されていない細胞でさらなる感染性後代粒子を産生することが可能である。ある特定のより具体的な実施形態では、かかる複製可能なウイルスベクターは、該複製可能なウイルスベクターが由来する野生型ウイルスと比較して弱毒化されている。
【0097】
ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ラッサウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に由来する。ある特定の実施形態では、該LCMVは、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、LCMV cl13/WE(すなわち、内因性LCMVクローン13糖タンパク質の代わりにLCMV株WEの糖タンパク質を発現するLCMVクローン13)、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びそれらの派生物である。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ピチンデウイルス(PICV)に由来する。ある特定の実施形態では、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18、P2株、またはTrapidoらによって記載されているいくつかの分離株のいずれかに由来する(Trapido et al,1971,Am J Trop Med Hyg,20:631-641)。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、フニンウイルスワクチンCandid #1、またはフニンウイルスワクチンXJクローン3株に由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、オリベロスウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、タミアミウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、モバラウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、モペイアウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、イッピイウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、アマパリウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、フレキサルウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、グアナリトウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ラチノウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、マチュポウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、パラナウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ピリタルウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、サビアウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、タカリベウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ベアキャニオンウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ホワイトウオーター・アロヨウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、Allpahuayoウイルス(ALLV)に由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、アルシャウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、チャパレウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、リジャンウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、クピキシウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ガイロウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ルーイ・リバーウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ルジョウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ルナウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ルリウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ランクウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、マリエンタールウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、メリノ・ウォークウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、モロゴロウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、オカハンジャウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、アポレーウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、リュウキュウウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、ソルウェジウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、スリスウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、温州ウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、Big Brushy Tankウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、カタリーナウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、Skinner Tankウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、トントクリークウイルスに由来する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルス粒子は、シャプリウイルスに由来する。
【0098】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、複製欠損性のアレナウイルス粒子であり、ここで、(i)そのゲノムセグメント(複数可)のうちの1つ以上は、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されており、(ii)GP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFは、除去されているか、または機能的に不活化されており、得られるウイルスは、さらなる感染性の後代ウイルス粒子を産生することができない。1つ以上のORFが削除または機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルス粒子は、相補細胞(complementing cell)(すなわち、削除または機能的に不活化されたアレナウイルスORFを発現する細胞)で産生され得る(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるWO2009083210参照)。
【0099】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、複製可能なアレナウイルス粒子であり、ここで、(i)そのゲノムセグメント(複数可)のうちの1つ以上は、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードする異種ORFを有するように操作されており、(ii)GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFは、発現されるが、これらのGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFのうちの1つ以上は、対応するORFの野生型UTR以外のUTRの制御下の位置にある(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるWO2016075250参照)。
【0100】
ある特定の実施形態では、本出願は、ワクチンとしての使用に適した先行する段落に記載のアレナウイルス粒子、ならびに前立腺癌のワクチン接種及び治療においてかかるアレナウイルス粒子を使用する方法に関する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、1つ以上の容器の中に、セクション5.2に記載の1つ以上のcDNAを含むキットである。特定の実施形態では、キットは、1つまたは2つ以上の容器の中に、先行する段落に記載のアレナウイルスSセグメントまたはアレナウイルス粒子を含む。該キットはさらに、以下のうちの1つ以上を含み得る:アレナウイルスSセグメントまたはアレナウイルス粒子のレスキューに適した宿主細胞、プラスミドcDNAを宿主細胞にトランスフェクトするのに適した試薬、ヘルパーウイルス、ウイルスタンパク質をコードするプラスミド及び/または修飾アレナウイルスSセグメントもしくはアレナウイルス粒子またはそれらのcDNAに特異的な1つ以上のプライマー。
【0101】
5.4 3セグメント化アレナウイルス粒子を生成する方法
3セグメント化アレナウイルス粒子は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEmonet et al.,2008,PNAS,106(9):3473-3478、Popkin et al.,2011,J.Virol.,85(15):7928-7932、WO2016075250、WO2016198531、WO2017076988、WO2017080920、WO2017198726、WO2018083220及びWO2018185307によって記載されている当技術分野で既知の逆遺伝子技術によって組み換え的に産生され得る。
【0102】
5.4.1 感染性の複製可能な3セグメント化アレナウイルス粒子
ある特定の実施形態では、セクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を生成する方法は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメントの核酸を宿主細胞にトランスフェクトすること、(ii)ウイルス形成に適した条件下で宿主細胞を維持すること、及び(iii)アレナウイルス粒子を含む細胞培養上清を採取することを含む。
【0103】
cDNAから生成した後、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子(すなわち、感染性及び複製可能な)は、増殖し得る。ある特定の実施形態では、該3セグメント化アレナウイルス粒子は、本明細書に記載のウイルスの使用を可能にする力価まで該ウイルスを増殖させる任意の宿主細胞内で増殖し得る。1つの実施形態では、該宿主細胞は、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を、対応する野生型ウイルスについて測定される力価に匹敵する力価まで増殖させる。
【0104】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子は、宿主細胞内で増殖し得る。使用され得る宿主細胞の具体例としては、BHK、HEK293、VERO細胞等が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子は、細胞株内で増殖し得る。
【0105】
ある特定の実施形態では、該宿主細胞は、培養下に維持され、1つ以上のプラスミドでトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、例えば、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターを含む、哺乳類細胞における発現に適した1つ以上の発現カセットから発現されるアレナウイルスゲノムセグメント(複数化)をコードする。
【0106】
特定の実施形態では、該宿主細胞は、培養下に維持され、1つ以上のプラスミドでトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、例えば、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターを含む、哺乳類細胞における発現に適した1つ以上の発現カセットから生成発現されるウイルス遺伝子(複数化)をコードする。
【0107】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント化アレナウイルス粒子を生成するために使用され得るプラスミドとしては、i)各々が該Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードする2つのプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを挙げることができる。
【0108】
ある特定の実施形態では、ウイルスのLセグメント及びSセグメントの細胞内合成を指示するアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドを、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド。該Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製のための最小限のトランス作用因子である。別の方法として、ウイルスのL及びSセグメントと、NP及びLタンパク質の細胞内合成は、それぞれ、2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAを両側から読み取るpol-I及びpol-IIプロモーターを備えた双方向発現カセットを使用して行われ得る。
【0109】
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳類細胞における遺伝子発現に適した発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下、哺乳類の選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、または、該ウイルス遺伝子転写産物(複数可)の後には、配列内リボソーム進入部位、例えば、脳心筋炎ウイルスの1つが続き、その後該哺乳類の耐性マーカーが続く。E.coliでの産生では、該プラスミドは、さらに細菌の選択マーカー、例えば、アンピシリン耐性カセットを特徴とする。
【0110】
プラスミド(複数可)によるBHK-21またはHEK293細胞のトランスフェクションは、一般的に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたはエレクトロポレーションのいずれかを使用して行われ得る。トランスフェクションの数日後、該適切な選択剤、例えば、ピューロマイシンが、滴定濃度で添加される。生存クローンは、標準的な手順に従って単離及びサブクローニングされ、目的のウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体を用いたウェスタンブロットまたはフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンが同定される。
【0111】
通常、RNAポリメラーゼI駆動の発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動のカセットまたはT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動のカセットを使用することができ、後者は、一次転写産物をプロセシングして正しい末端を得るための3’末端リボザイムを優先的に使用する。ある特定の実施形態では、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであってもよく、すなわち、該ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミドからT7、polI及びpolIIプロモーターによって転写され得る。
【0112】
3セグメント化アレナウイルス粒子の回収のため、以下の手順が想定される。初日:細胞、通常、M6ウェルプレート内で80%コンフルエントに、上記のプラスミドの混合物をトランスフェクトする。このために、任意の一般的に使用される戦略、例えば、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたはエレクトロポレーションが利用され得る。3~5日後:培養上清(アレナウイルス粒子調製物)を採取し、アリコートに分け、該アレナウイルス粒子を使用前に保存するべき期間に応じて、4℃、-20℃、または-80℃で保存する。該アレナウイルス粒子調製物の感染力価は、イムノフォーカスアッセイによって評価される。別の方法として、トランスフェクトされた細胞及び上清を、より大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に、トランスフェクションの3~5日後に継代してもよく、培養上清は、継代の5日後までに採取される。
【0113】
本出願はさらに、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片の発現に関する。本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片のORFは、制限酵素を使用してプラスミドに組み込まれ得る。
【0114】
5.4.2 感染性の複製欠損3セグメント化アレナウイルス粒子
感染性の複製欠損3セグメント化アレナウイルス粒子は、上記の通りにレスキューされ得る。しかしながら、cDNAから生成された後、本明細書に提供する感染性複製欠損アレナウイルスは、相補細胞内で増殖し得る。相補細胞とは、ゲノムの改変によって複製欠損性アレナウイルスから除去された機能を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが削除または機能的に不活化された場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0115】
使用され得る細胞、例えば、BHK-21、HEK293、MC57Gまたはその他は、培養下に維持され、相補性プラスミド(複数可)により、一般的に使用される戦略のいずれか、例えば、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたはエレクトロポレーションを使用してトランスフェクトされる。数日後、該適切な選択剤、例えば、ピューロマイシンが、滴定濃度で添加される。生存クローンは、標準的な手順に従って単離及びサブクローニングされ、目的のウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体を用いたウェスタンブロットまたはフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンが同定される。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞が使用される各ステップで欠落しているウイルス遺伝子(複数可)を補うことができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、トランスで欠落している機能を提供することができる。
【0116】
5.5 医薬組成物
本出願はさらに、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)、及び医薬組成物に関する。かかるワクチン、免疫原性組成物及び医薬組成物は、当技術分野における標準的な手順に従って製剤化され得る。関連技術の当業者には、本明細書に記載の方法及び応用に対する適切な修正及び適応は、自明であり得るとともに、その範囲または任意の実施形態から逸脱することなくなされ得ることが容易に分かるであろう。
【0117】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供するのは、本明細書に記載のアレナウイルス粒子を含む免疫原性組成物である。ある特定の実施形態では、かかる免疫原性組成物はさらに、医薬的に許容される賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、かかる免疫原性組成物はさらに、アジュバントを含む。本明細書に記載の組成物と組み合わせて投与するためのアジュバントは、該組成物の投与前、投与と同時に、または投与後に投与され得る。いくつかの実施形態では、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載の組成物と併せて、またはその一部として投与された場合に、3セグメント化アレナウイルス粒子、及び最も重要なことには、ベクター化する遺伝子産物に対する免疫応答を増大、増強、及び/またはブーストする化合物を指すが、該化合物が単独で投与された場合には、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子及び後者によってベクター化された遺伝子産物に対する免疫応答を生成しない。いくつかの実施形態では、該アジュバントは、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子及び後者によってベクター化された遺伝子産物に対する免疫応答を生成し、アレルギーまたは他の有害反応を引き起こさない。アジュバントは、例えば、リンパ球の動員、B細胞及び/またはT細胞の刺激、ならびにマクロファージまたは樹状細胞の刺激を含めたいくつかの機構によって免疫応答を増強することができる。ワクチンまたは免疫原性組成物がアジュバントを含むか、または1つ以上のアジュバントと一緒に投与される場合、使用され得るアジュバントとしては、無機塩アジュバントまたは無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激性アジュバントが挙げられ得るがこれらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3脱O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB2220211参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80、ICL Americas,Inc.)、イミダゾピリジン化合物(国際出願第PCT/US2007/064857号、国際公開第WO2007/109812号として公開参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際出願第PCT/US2007/064858号、国際公開第WO2007/109813号として公開参照)及びサポニン、例えば、QS21(Kensil et al.,1995,in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(eds.Powell & Newman,Plenum Press,NY)、米国特許第5,057,540号参照)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、該アジュバントは、フロイントアジュバント(完全または不完全)である。他のアジュバントは、水中油型エマルション(例えば、スクアレンまたは落花生油)であり、任意に、免疫刺激剤、例えば、モノホスホリルリピドAとの組み合わせである(Stoute et al.,1997,N.Engl.J.Med.336,86-91参照)。
【0118】
該組成物は、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を単独で、または医薬的に許容される担体と一緒に含む。本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子の懸濁液または分散液、特に等張水性懸濁液または分散液が使用され得る。該医薬組成物は滅菌されてもよく、及び/または賦形剤、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤及び/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩及び/または緩衝剤を含んでもよく、それ自体既知の方法、例えば、従来の分散及び懸濁プロセスで調製される。ある特定の実施形態では、かかる分散液または懸濁液は、粘度調節剤を含んでもよい。該懸濁液または分散液は、約2℃~8℃の温度で保たれるか、または、優先的に長期間保存するために凍結され、その後使用直前に解凍される場合もあれば、保存用に凍結乾燥される場合もある。注射用には、該ワクチンまたは免疫原性調製物は、水溶液、好ましくは、生理学的に適合する緩衝液、例えば、ハンクス液、リンガー液、または生理食塩緩衝液で製剤化され得る。該溶液は、懸濁剤、安定剤及び/または分散剤のような処方剤を含み得る。
【0119】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物はさらに、保存剤、例えば、水銀誘導体チメロサールを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含まない。
【0120】
別の実施形態では、本明細書に提供するのは、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含む組成物である。かかる組成物は、前立腺癌の治療及び予防の方法に使用され得る。他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、前立腺癌に罹患しやすい対象、または前立腺癌に特徴的な症状を示す対象、または前立腺癌と診断された対象の治療に使用される。別の特定の実施形態では、本明細書に提供する免疫原性組成物を使用して、該組成物が投与される宿主において免疫応答が誘導され得る。本明細書に記載の免疫原性組成物はワクチンとして使用することができ、したがって、医薬組成物として製剤化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、対象(例えば、ヒト対象)の前立腺癌の予防に使用される。他の実施形態では、該ワクチン、免疫原性組成物または医薬組成物は、獣医学的及び/またはヒトへの投与に適している。
【0121】
5.6 前立腺癌の治療方法
5.6.1 前立腺癌の治療
セクション5.3に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片を含む3セグメント化アレナウイルス粒子及びセクション5.5に記載の医薬組成物は、同じ抗原を発現する前立腺腫瘍細胞に対して向けられた強力なT細胞応答を誘導するようにデザインされている。いくつかの実施形態では、セクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子は、DC及びマクロファージを標的とし、ひいては効率的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導のための抗原を送達する。その結果、誘導された前立腺癌関連抗原特異的エフェクターCD8+T細胞の腫瘍への流入により、CTLを介した前立腺癌細胞の除去がもたらされる。
【0122】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療方法であり、これは、それを必要とする対象に対して、セクション5.5に記載の医薬組成物を治療有効量で投与することを含む。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の予防方法であり、これは、それを必要とする対象に対して、セクション5.5に記載の医薬組成物を治療有効量で投与することを含む。
【0123】
1つの実施形態では、該医薬組成物の投与は、非経口投与である。非経口投与は、静脈内投与の場合もあれば、皮下投与の場合もある。別の実施形態では、本明細書に提供するアレナウイルス粒子または医薬組成物は、対象に対して、これらに限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内及び吸入経路、乱切(例えば、二股針を使用して皮膚の最上層を擦過すること)を介して、及び腫瘍内投与を介して等により投与される。
【0124】
鼻腔内または吸入による投与の場合、本開示に従って使用するための製剤は、便宜上、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用した加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの体裁の形態で送達され得る。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって特定され得る。吸入具または吸入器で使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、該化合物の粉末混合物及び適切な粉末基剤、例えば、乳糖またはデンプンの粉末混合物を含めて製剤化され得る。
【0125】
5.6.2 交互ベクター療法
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、及び(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、を含む。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の予防を必要とする対象におけるその予防方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、及び(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(iii)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、及び(iv)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与することを含む。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の予防を必要とする対象におけるその予防方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(iii)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、及び(iv)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与すること、を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(iii)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、(iv)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与すること、(v)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、及び(vi)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与すること、を含む。他の実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の予防を必要とする対象におけるその予防方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(iii)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、(iv)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与すること、(v)該対象に対して、一定期間の後、該第一の医薬組成物を再度投与すること、及び(vi)該対象に対して、一定期間の後、該第二の医薬組成物を再度投与することを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、ならびに(i)及び(ii)を追加で3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供するのは、前立腺癌の予防を必要とする対象におけるその予防方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、ならびに(i)及び(ii)を追加で3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回繰り返すことを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、先行する段落における該第一及び該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、異なるアレナウイルス種に由来するが、同じ本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の実施形態では、先行する段落における該第一及び該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、異なるアレナウイルス種に由来し、異なる本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。さらに他の実施形態では、先行する段落における該第一及び該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、同じアレナウイルス種に由来するが、異なる本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。
【0130】
特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該アレナウイルス粒子は、同じ本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該アレナウイルス粒子は、異なる本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。さらに他の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該アレナウイルス粒子は、同じ本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。さらに他の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該アレナウイルス粒子は、異なる本明細書に記載の前立腺癌関連抗原またはその抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。
【0131】
特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、PAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有する。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、同じPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、PAP、PSA、及び同じPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来しかつPAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来しかつPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来しかつPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来しかつPAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有する。
【0132】
特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、PAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有する。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、同じPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来し、両医薬組成物からのアレナウイルス粒子は、PAP、PSA、及び同じPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来しかつPAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来しかつPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有する。他の特定の実施形態では、該第一の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来しかつPSMAの抗原断片をコードするORF(複数可)を有し、該第二の医薬組成物からの1つ以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来しかつPAP及びPSAをコードするORF(複数可)を有する。
【0133】
5.6.3 投与及び計画
同様に本明細書に提供するのは、本明細書に記載の医薬組成物での前立腺癌の治療方法の投与である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含む医薬組成物は、約1×106の複製可能なウイルスフォーカス形成単位(RCV FFU)で投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含む医薬組成物は、約1×107のRCV FFUで投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含む医薬組成物は、約1×108のRCV FFUで投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を含む医薬組成物は、約1×109のRCV FFUで投与される。
【0134】
同様に本明細書に提供するのは、本明細書に記載の医薬組成物での前立腺癌の治療方法の投与である。セクション5.6.2に記載されているように、同じまたは異なる3セグメント化アレナウイルス粒子を含む医薬組成物は交互に入れ替えられ得る。したがって、いくつかの実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第一の医薬組成物の約22日後に投与され得る。他の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第一の医薬組成物の約43日後に投与され得る。
【0135】
5.6.4 併用療法
同様に本明細書に提供するのは、前立腺癌の治療を必要とする対象におけるその治療方法であり、該方法は、(i)該対象に対して、第一の医薬組成物を投与すること、ここで、該第一の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、(ii)該対象に対して、一定期間後に、第二の医薬組成物を投与すること、ここで、該第二の医薬組成物は、1つ以上のセクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含むこと、及び(iii)第二の薬剤を、該第一及び/または第二の医薬組成物と組み合わせて投与することを含む。
【0136】
本明細書に提供する第二の薬剤は、前立腺癌を治療するための当技術分野で周知の薬剤である。いくつかの実施形態では、該第二の薬剤は、一般に腫瘍細胞の増殖を阻害する化学療法薬である。他の実施形態では、該第二の薬剤は、前立腺癌に関連する変異遺伝子(複数可)に対する標的治療薬である。他の実施形態では、該第二の薬剤は、アンドロゲン軸阻害剤(すなわち、アンドロゲンシグナル伝達経路の成分のうちのいずれかの阻害剤)である。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アンドロゲン合成の阻害剤である。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アンドロゲン受容体に結合する。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストである。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストである。他の実施形態では、該第二の薬剤は、前立腺癌の免疫療法に使用される薬剤である。いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。他の実施形態では、該第二の薬剤は放射性医薬品である。
【0137】
いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ドセタキセルである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ミトキサントロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、カバジタキセル(Jevtana(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ニラパリブである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ルカパリブ(Rubraca(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アビラテロン酢酸エステル(Zytiga(登録商標)/Yonsa(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ケトコナゾール(Nizoral(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、CYP17酵素ファミリーの阻害剤である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ビカルタミド(Casodex(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、フルタミドである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ニルタミド(Nilandron(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アパルタミド(Erleada(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ダロルタミド(Nubeqa(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、酢酸ロイプロリド(ELIGARD(登録商標)/Lupron Depot(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ゴセレリン(Zoladex(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、デガレリクス(Firmagon(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、シプリューセル-T(Provenge(登録商標))である。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ペンブロリズマブである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ADXS-PSAである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ラジウム-223(Xofigo(登録商標))である。
【0138】
いくつかの特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ドセタキセルとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ミトキサントロンとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、カバジタキセル(Jevtana(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ニラパリブとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ルカパリブ(Rubraca(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アビラテロン酢酸エステル(Zytiga(登録商標)/Yonsa(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ケトコナゾール(Nizoral(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、CYP17酵素ファミリーの阻害剤とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ビカルタミド(Casodex(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、フルタミドとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ニルタミド(Nilandron(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、アパルタミド(Erleada(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ダロルタミド(Nubeqa(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、エンザルタミド(Xtandi(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、酢酸ロイプロリド(ELIGARD(登録商標)/Lupron Depot(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ゴセレリン(Zoladex(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、デガレリクス(Firmagon(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、シプリューセル-T(Provenge(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ペンブロリズマブとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ADXS-PSAとステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。他の特定の実施形態では、該第二の薬剤は、ラジウム-223(Xofigo(登録商標))とステロイド、例えば、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾロンである。
【0139】
いくつかの実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、静脈内投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、皮下投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、経口投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、皮内投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、筋肉内投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、腹腔内投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、局所投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、経皮投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、鼻腔内投与される。他の実施形態では、本セクションに記載の第二の薬剤は、腫瘍内投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、該第一の医薬組成物及び該第二の薬剤は、同時に共投与される。他の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12時間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6日前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12週間前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の6ヶ月より前に投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12時間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6日後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12週間後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第一の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の6ヶ月より後に投与される。
【0142】
いくつかの実施形態では、該第二の医薬組成物及び該第二の薬剤は、同時に共投与される。他の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12時間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6日前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12週間前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6ヶ月前に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の6ヶ月より前に投与される。
【0143】
いくつかの実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12時間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6日後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約7週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約8週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約9週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約10週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約11週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約12週間後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約1ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約2ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約3ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約4ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約5ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の約6ヶ月後に投与される。特定の実施形態では、該第二の医薬組成物は、該第二の薬剤の投与の6ヶ月より後に投与される。
【0144】
5.6.5 患者集団
いくつかの実施形態では、本明細書に提供する方法は、前立腺癌に罹患している対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、前立腺癌に罹患しやすい対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、前立腺癌のリスクを有する対象に投与するためのものである。
【0145】
当分野で周知のとおり、前立腺癌の進行を評価するために広く使用されている病期分類システムは、対がん米国合同委員会(AJCC)のTNMシステムである。前立腺癌のTNMシステムは、次の5つの情報側面に基づいている:(i)原発腫瘍の広がり(Tカテゴリー)、これはさらに2つのサブカテゴリー、すなわち、診察(直腸指診を含む)、前立腺生検、及び画像検査に基づく臨床的Tカテゴリー(cT)、ならびに外科的に切除された前立腺に基づく病理学的Tカテゴリー(pT)に分類することができる。(ii)がんが近くのリンパ節に広がっているかどうか(Nカテゴリー)、(iii)がんが体の他の部分に広がっている(転移している)かどうか(Mカテゴリー)、(iv)PSAレベル、ならびに(v)前立腺生検のグリーソンスコア。いくつかの実施形態では、本明細書に提供する方法は、cT1、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが10未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、cT2a、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが10未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、pT2、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが10未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、cT1、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが少なくとも10であるが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、cT2aまたはpT2、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが少なくとも10であるが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、cT2bまたはcT2c、N0、M0、グレードグループ1(グリーソンスコア6以下)、及びPSAが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、T1またはT2、N0、M0、グレードグループ2(グリーソンスコア7)、及びPSAが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、T1またはT2、N0、M0、グレードグループ2(グリーソンスコア7または8)、及びPSAが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、T1またはT2、N0、M0、グレードグループ1~4(グリーソンスコア8以下)、及びPSAが20未満であると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、T3またはT4、N0、M0、グレードグループ1~4(グリーソンスコア8以下)、及び任意のPSAであると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、任意のT、N0、M0、グレードグループ5(グリーソンスコア9または10)、及び任意のPSAであると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、任意のT、N1、M0、グリーソンスコアに関する任意のグレードグループ、及び任意のPSAであると診断された対象に投与するためのものである。他の実施形態では、本明細書に提供する方法は、任意のT、任意のN、M1、グリーソンスコアに関する任意のグレードグループ、及び任意のPSAであると診断された対象に投与するためのものである。
【0146】
5.6.6 キット
同様に本明細書に提供するのは、本セクション(すなわち、セクション5.6)に記載の方法を行うために使用され得るキットである。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に提供するキットは、1つ以上の容器及び使用説明書を含み、該1つ以上の容器は、本明細書に提供する組成物(例えば、医薬、免疫原性またはワクチン組成物)を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に提供するキットは、各々が、本明細書に記載の方法を行うための静脈内投与に適した医薬組成物中に該活性成分を含む、容器を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に提供するキットは、2つ以上の容器及び使用説明書を含み、該容器の1つは、セクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含み、別の容器は、セクション5.6.4に記載の第二の薬剤を含む。
【0147】
同様に本明細書に提供するのは、1つ以上の容器及び使用説明書を含むキットであり、該1つ以上の容器は、本明細書に提供する組成物(例えば、医薬、免疫原性またはワクチン組成物)を含む静脈内投与に適した医薬組成物を含み、また、静脈内投与を行うために適した装置、例えば、硬質または半硬質開放容器、プラスチックまたは密閉容器、チューブ、点滴チャンバー、ならびに該液体を該容器から患者の血管に移動させるために必要なチューブの他の付属品、及び針を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に提供するキットは、2つ以上の容器及び使用説明書を含み、該容器の1つは、セクション5.3に記載のアレナウイルス粒子を含み、別の容器は、セクション5.6.4に記載の第二の薬剤を含み、また、静脈内投与を行うために適した装置、例えば、硬質または半硬質開放容器、プラスチックまたは密閉容器、チューブ、点滴チャンバー、ならびに該液体を該容器から患者の血管に移動させるために必要なチューブの他の付属品、及び針を含む。
【0148】
5.7 アッセイ
5.7.1 アレナウイルス検出アッセイ
本明細書に提供するのは、表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要に例示する、処置された動物または処置された患者の様々なサンプル、例えば、唾液、便、血液、及び尿において、セクション5.1に記載のアレナウイルスSセグメントまたはセクション5.3に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子の存在を検出することができる当技術分野で既知の技術である。例えば、RT-PCRを、アレナウイルスに特異的なプライマーとともに使用して、本明細書に記載の前立腺癌関連抗原をコードする異種ORFを有するように操作されたアレナウイルスSセグメントまたは本明細書に記載の3セグメント化アレナウイルス粒子を検出及び定量化することができる。ウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、免疫細胞化学、またはFACSと組み合わせた免疫細胞化学を使用して、アレナウイルスSセグメントの遺伝子産物または3セグメント化アレナウイルス粒子を定量化することができる。
【0149】
5.7.2 感染価を測定するアッセイ
当技術分野で周知の任意のアッセイを、アレナウイルス粒子調製物の感染価を測定するために使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の特定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)によって行うことができる。簡潔には、相補細胞、例えば、HEK293-TVL細胞をプレーティングし、異なる希釈のウイルス/ベクターサンプルを入れる。インキュベーション期間の後、細胞が単層を形成し、ウイルスが細胞に付着できるように、該単層をメチルセルロースで覆う。該プレートをさらにインキュベートすると、元の感染細胞がウイルスの後代を放出する。メチルセルロースのオーバーレイにより、新たなウイルスの拡散は、隣接する細胞に限定される。その結果、各感染粒子は、フォーカスと呼ばれる感染細胞の円形域を産生する。かかるフォーカスは、表示させることができ、それによって、LCMV-NPに対する抗体、または該アレナウイルス粒子もしくは3セグメント化アレナウイルス粒子によって発現される別のタンパク質、及びHRP系の呈色反応を使用して計数可能にすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットルあたりのフォーカス形成単位(FFU/mL)で計算され得る。同様の方法で、3セグメント化された複製可能なウイルス粒子の割合が特定され得る。相補細胞の代わりに、非相補細胞株、例えば、HEK293が使用される。これにより、3セグメント化ウイルス粒子のみが隣接する細胞に感染することが可能になる。複製可能なウイルス/ベクター(RCV)の力価は、1ミリリットルあたりのフォーカス形成単位(RCV FFU/mL)で計算され得る。同様に、該感染価は、表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要に例示する、処置された患者のサンプルにおいて臨床環境で測定され得る。
【0150】
5.7.3 アレナウイルス粒子の増殖
本明細書に記載のアレナウイルス粒子の増殖は、当技術分野で既知の、または本明細書に記載の任意の方法によって評価され得る。ウイルスの増殖は、規定量/濃度の本明細書に記載のアレナウイルス粒子を細胞培養物(例えば、Vero細胞またはBHK-21細胞)に接種することによって測定され得る。該ウイルスを特定の時間インキュベートした後、標準的な方法を使用してウイルスを含む上清を収集し、本明細書に記載のアッセイを使用して感染価が測定され得る。
【0151】
5.7.4 血清ELISA
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種後の体液性免疫応答の測定は、抗原特異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって行われ得る。簡潔には、プレートを抗原(例えば、組み換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を避けるためにブロックし、段階希釈した血清とともにインキュベートする。インキュベーション後、結合した血清抗体は、例えば、酵素結合抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体(全IgGまたはIgGサブクラスを検出)及びその後の呈色反応を使用して検出され得る。抗体力価は、例えば、終点の幾何平均力価として測定され得る。
【0152】
5.7.5 誘導された抗体の中和活性を測定するアッセイ
血清中の中和抗体の測定は、ATCCのARPE-19細胞及びGFPタグ付きウイルスを使用した以下の細胞アッセイで行われる。さらに、外因性補体の供給源として追加のモルモット血清が使用される。中和に使用する1日または2日前に、384ウェルプレートに6.5x103細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種してアッセイを開始する。中和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレートにて37℃で1時間行われる。中和インキュベーションステップの後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーでGFPを検出するためにさらに4日間インキュベートする。陽性中和ヒト血清を各プレートのアッセイ陽性対照として使用し、すべての結果の信頼性をチェックする。力価(EC50)は、4パラメータのロジスティック曲線適合を使用して決定される。追加の試験として、ウェルを蛍光顕微鏡でチェックする。同様に、誘導された抗体の中和活性は、表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要に例示する、臨床環境で測定され得る。
【0153】
5.7.6 プラーク減少アッセイ
簡潔には、LCMVに関するプラーク減少(中和)アッセイは、レポーター遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする複製可能なまたは複製欠損性LCMVを使用して行うことができ、5%ウサギ血清を外因性補体の供給源として使用してもよく、プラークは、蛍光顕微鏡によって数えることができる。中和力価は、対照(免疫前)血清サンプルと比較して、プラークが50%、75%、90%、または95%減少する血清の最高希釈率として定義され得る。
【0154】
qPCR LCMV RNAゲノムは、QIAamp Viral RNA mini Kit(QIAGEN)を使用して、製造業者が提供するプロトコルに従って単離される。LCMV RNAゲノム当量は、SuperScript(登録商標)III Platinum(登録商標)One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)、ならびに該LCMVのNPコード領域の一部または該アレナウイルス粒子もしくは該3セグメント化アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチに特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)で、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)にて行われる定量PCRによって検出される。該反応の温度プロファイルは、60℃で30分、95℃で2分、その後45サイクルの95℃で15秒、56℃で30秒であり得る。RNAは、該プライマー及びプローブ結合部位を含むLCMVのNPコード配列の断片またはアレナウイルス粒子もしくは3セグメント化アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチに対応する、分光光度計で定量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作られた標準曲線とサンプル結果を比較することによって定量され得る。
【0155】
5.7.7 ウェスタンブロッティング
組織培養フラスコ内または懸濁液中で増殖させた感染細胞は、感染後の指定の時点でRIPA緩衝液(Thermo Scientific)を使用して溶解されるか、または細胞溶解することなく直接使用される。サンプルを、還元剤及びNuPage LDSサンプル緩衝液(NOVEX)を使用して99℃まで10分間加熱し、室温まで冷却した後、電気泳動用の4~12%SDSゲルにロードする。タンパク質を膜に、Invitrogens iBlot Gel transfer Deviceを使用してブロットし、ポンソー染色で視覚化する。最後に、該調製物を、目的のタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼ結合二次抗体でプローブし、続いて1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)で染色する。
【0156】
5.7.8 抗原特異的CD8+T細胞検出のためのMHC-ペプチドマルチマー染色アッセイ
当技術分野で周知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD8+T細胞応答を調べることができる。例えば、該MHC-ペプチドテトラマー染色アッセイが使用され得る(例えば、Altman J.D.et al.,Science.1996;274:94-96、及びMurali-Krishna K.et al.,Immunity.1998;8:177-187参照)。簡潔には、該アッセイは、以下のステップを含み、テトラマーアッセイは、抗原特異的T細胞の存在を検出するために使用される。抗原特異的T細胞を検出するために、これは、該ペプチド及びT細胞の定義された抗原特異性及びMHCハプロタイプ用のカスタムメイド(通常は蛍光標識した)MHC分子のテトラマーの両方に結合する必要がある。該テトラマーは次いで、蛍光標識を介したフローサイトメトリーによって検出される。
【0157】
5.7.9 抗原特異的T細胞の検出用のELISPOTアッセイ
当技術分野で周知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的T細胞応答を調べることができる。例えば、ELISPOTアッセイが使用され得る(例えば、Czerkinsky C.C.et al.,J Immunol Methods.1983;65:109-121、及びHutchings P.R.et al.,J Immunol Methods.1989;120:1-8参照)。表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要に例示する、サイトカイン、例えば、これに限定されないが、IFN-γは、該ELISPOTアッセイによって測定され得る。簡潔には、該アッセイは、以下のステップを含む:immunospotプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を、該immunospotプレートで、目的の抗原に由来するペプチドとともにインキュベートする。抗原特異的細胞はサイトカインを分泌し、これがコーティングされた抗体に結合する。該細胞を次いで洗い流し、ビオチン化二次抗サイトカイン抗体を該プレートに添加し、アビジン-HRPシステムまたは他の適切な方法で可視化する。
【0158】
5.7.10 CD8+及びCD4+T細胞の機能の検出用の細胞内サイトカインアッセイ。
当技術分野で周知の任意のアッセイを使用して、CD8+及びCD4+T細胞応答の機能を調べることができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを、限定されないが、表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要に例示するように使用することができる(例えば、Suni M.A.et al.,J Immunol Methods.1998;212:89-98、Nomura L.E.et al.,Cytometry.2000;40:60-68、及びGhanekar S.A.et al.,Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology.2001;8:628-63参照)。簡潔には、該アッセイは、以下のステップを含む:特定のペプチドまたはタンパク質を介して細胞を活性化した後、該サイトカインを該細胞内に保持するためのタンパク質輸送の阻害(例えば、ブレフェルジンA)を加える。一定期間、通常は5時間のインキュベーション後、洗浄ステップが続き、他の細胞マーカーに対する抗体が該細胞に添加され得る。次に細胞を固定し、透過性にする。蛍光色素結合抗サイトカイン抗体が添加され、該細胞が、フローサイトメトリーによって分析され得る。
【0159】
5.7.11 ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ
感染性及び複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当技術分野で周知の任意のアッセイもまた、サンプル中の複製欠損性ウイルス粒子を測定するために使用することができる。例えば、非相補細胞を用いたFFUアッセイが、この目的で使用され得る。
【0160】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルスサンプル中のプラーク形成単位(PFU)の観点からウイルス濃度を測定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補宿主細胞のコンフルエントな単層を、様々な希釈率でウイルス感染させ、該ウイルス感染が無差別に広がるのを防ぐために寒天等の半固体培地で覆う。ウイルスが該固定細胞単層内の細胞内で感染及び複製に成功すると、ウイルスプラークが形成され、周囲の細胞に広がる(例えば、Kaufmann,S.H.;Kabelitz,D.(2002).Methods in Microbiology,Vol.32:Immunology of Infection.Academic Press.ISBN 0-12-521532-0参照)。分析されるウイルスに応じて、プラーク形成には2~14日かかる場合がある。プラークは通常手動で計数され、その結果は、プレートの調製に使用された希釈倍率と組み合わせて、サンプル単位体積あたりのプラーク形成単位数(PFU/mL)を計算するために使用される。該PFU/mLの結果は、該サンプル内の感染性複製可能粒子の数を表す。C細胞を使用する場合、同じアッセイを使用して、複製欠損性アレナウイルス粒子または3セグメント化アレナウイルス粒子を滴定することができる。
【0161】
5.7.12 ウイルス抗原の発現アッセイ
当技術分野で周知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用することができる。例えば、FFUアッセイが行われ得る。検出には、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体調製物(複数可)が使用される(導入遺伝子特異的FFU)。
【0162】
5.7.13 動物モデル
本明細書に記載のアレナウイルス粒子の組み換え及び感染価を調べるために、インビボ動物モデルが使用され得る。ある特定の実施形態では、3セグメント化アレナウイルス粒子の組み換え及び感染価を調べるために使用され得る動物モデルとしては、マウス、モルモット、ウサギ、及びサルが挙げられる。好ましい実施形態では、アレナウイルスの組み換え及び感染価を調べるために使用され得る動物モデルとしては、マウスが挙げられる。より具体的な実施形態では、該マウスは、アレナウイルス粒子の組み換え及び感染価が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組み換え活性化遺伝子1(RAG1)に関して三重欠損性であることを調べるために使用され得る。
【0163】
ある特定の実施形態では、該動物モデルを使用して、アレナウイルスの感染価及び導入遺伝子の安定性を特定することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスRNAは、該動物モデルの血清から単離され得る。技術は、当業者には容易に知られる。該ウイルスRNAを逆転写することができ、該アレナウイルスORFを有するcDNAは、遺伝子特異的プライマーによってPCR増幅され得る。フローサイトメトリーもまた、アレナウイルスの感染価及び導入遺伝子の安定性を調べるために使用され得る。
【0164】
5.7.14 前立腺癌進行のアッセイ
当技術分野で周知の任意のアッセイを使用して、前立腺癌の進行を評価することができる。セクション6.3.6及び6.3.6で例示されているように、前立腺癌の進行及び他の関連する臨床パラメータは、監視され得る。簡潔には、表9.疾患の兆候による進行のPCWG3基準に例示される、PSAの変化レベルの測定、標的病変及び前立腺の進行の監視、骨転移の検出は、標準的な方法で行われ得る(例えば、Scher et al.,2016,J Clin Oncol,34:1402-18参照)。さらに、血液学、臨床化学、尿検査、凝固、甲状腺、血清学、及び前立腺癌関連試験のパラメータが、標準的な臨床検査法で監視され得る。
【実施例】
【0165】
6.実施例
6.1 ベクターデザイン及び連続継代時の導入遺伝子の安定性
6.1.1 artLCMV-PAP-NP/PSA-GPのベクターデザイン及び導入遺伝子の安定性
artLCMV-PAP-NP/PSA-GPは、内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現するLCMVクローン13(LCMV cl13)(LCMV cl13/WE)に基づく弱毒化された複製可能な3セグメント化ベクターである。
図1Aに示す通り、NP-Sセグメントは、ヒト前立腺癌関連抗原PAP(配列番号5)をコードし、GP-Sセグメントは、PSA(配列番号6)をコードする。両抗原のヌクレオチド配列を、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変した。このベクターを、以前にKallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって記載された通り、5プラスミドの共トランスフェクション系を使用して、生産細胞のエレクトロポレーションによって新たに生成した。
【0166】
artLCMV-PAP-NP/PSA-GPベクターのPMVSであるPMVS(12)を生成し、継代レベルを増加させながら、コードされた導入遺伝子の遺伝的安定性及び発現を、PCR及びウェスタンブロッティングによって分析した。
図2Aに示す通り、PAP及びPSA導入遺伝子は、調べたすべての継代レベル間で安定であった。
図2Bに示す通り、PAP及びPSAの発現は、ウェスタンブロッティングによって確認することができた。
【0167】
6.1.2 artPICV-PAP-NP/PSA-GPのベクターデザイン及び導入遺伝子の安定性
artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、ピチンデウイルスの毒性株継代18(PIC、別名PICV p18)に基づく、弱毒化された複製可能な3セグメント化ベクターである。
図1Aに示す通り、NP-Sセグメントは、ヒト前立腺癌関連抗原PAP(配列番号5)をコードし、GP-Sセグメントは、PSA(配列番号6)をコードする。両抗原のヌクレオチド配列を、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変した。
【0168】
artPICV-PAP-NP/PSA-GPのPMVS候補であるPMVS(05)cl.32/05/05を生成し、継代レベルを増加させながら、コードされた導入遺伝子の遺伝的安定性及び発現を、PCR及びウェスタンブロッティングによって分析した。
図3Aに示す通り、PAP及びPSA導入遺伝子は、調べたすべての継代レベル間で安定であった。
図3Bに示す通り、PAP及びPSAの発現は、ウェスタンブロッティングによって確認することができた。
【0169】
6.1.3 artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPのベクターデザイン及び導入遺伝子の安定性
図4に示す通り、全長PSMAをコードするartLCMVベクター(artLCMV-PSMA)(2253bpからなる配列番号9、751アミノ酸に翻訳される)は、連続継代時の主な導入遺伝子の不安定性を示す。したがって、PSMA抗原を、2つの部分、すなわち、PSMA1(配列番号3と343アミノ酸または配列番号7と1032bp)、及びPSMA2(配列番号4と407アミノ酸または配列番号8と1224bp)に分割した。各部分を、1つのそれぞれのゲノムSセグメントにコードした。具体的には、PSMA1導入遺伝子を正しく翻訳するために終止コドンTGAを導入し、開始コドンを維持するためにPSMA配列をATGの前で分割した。
【0170】
artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPは、内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現するLCMVクローン13(LCMV cl13)(LCMV cl13/WE)に基づく弱毒化された複製可能な3セグメント化ベクターである。このベクターは、ヒトFOLH1遺伝子産物、代替的にPSMAとも呼ばれる産物をコードする。PSMAのN末端アミノ酸1~343及び人工的に付加された終止コドンは、GP-Sセグメント上の「PSMA1」(配列番号7)と呼ばれるORFによってコードした。344位の既存のメチオニンによって導かれるPSMAのC末端アミノ酸344~750は、NP-Sセグメント上の「PSMA2」(配列番号8)と呼ばれるORFによってコードした。これらのヌクレオチド配列を、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変した。
【0171】
artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPのPMVS候補であるPMVS(09)cl.9/7/2を生成し、継代レベルを増加させながら、コードされた導入遺伝子の遺伝的安定性及び発現を、PCR及びウェスタンブロッティングによって分析した。
図5Aに示す通り、PSMA1及びPSMA2導入遺伝子は、調べたすべての継代レベル間で安定であった。
図5Bに示す通り、PSMA1の発現は、ウェスタンブロッティングによって確認することができた。PSMA2のタンパク質発現の結果は、使用した抗体の品質が低かったために損なわれたが、ベクターゲノムの配列決定により、コード配列の正確な全長挿入が示された。
【0172】
6.1.4 artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPのベクターデザイン及び導入遺伝子の安定性
artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、ピチンデウイルスの毒性株継代18(PICV、別名PICV p18)に基づく、弱毒化された複製可能な3セグメント化ベクターである。
図1Cに示す通り、このベクターは、ヒトFOLH1遺伝子産物、代替的にPSMAとも呼ばれる産物をコードした。PSMAのN末端アミノ酸1~343及び人工的に付加された終止コドンは、NP-Sセグメント上の「PSMA1」(配列番号7)と呼ばれるORFによってコードした。344位の既存のメチオニンによって導かれるPSMAのC末端アミノ酸344~750は、GP-Sセグメント上の「PSMA2」(配列番号8)と呼ばれるORFによってコードした。これらのヌクレオチド配列を、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変した。以下に詳述するように、artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを生成したところ、導入遺伝子を安定にコードし、発現することが分かった。
【0173】
図6Aに示す通り、PMVS 26というPMVSは、コードされたPSMA1及びPSMA2導入遺伝子を、継代レベル10まで、いずれのセグメントにも導入遺伝子の欠失なく安定に発現した。
図6Bに示す通り、ウェスタンブロット分析により、PMVS 26におけるPSMA1タンパク質の発現は、継代レベル10まで検出可能であることが明らかになった。PSMA2のタンパク質発現の結果は、使用した抗体の品質が低かったために損なわれたが、ベクターゲノムの配列決定により、コード配列の正確な全長挿入が示された。
【0174】
6.1.5 融合導入遺伝子のベクターデザイン及び導入遺伝子の安定性
以下の融合導入遺伝子を有するベクターを試験した:artLCMV-PAP_PSA-NP/PAP_PSA-GP、artLCMV-PSA_PAP-NP/PSA_PAP-GP、及びartLCMV-PAP_PSA-NP/PSMA-GP。PSMA(全長)ベクターセグメントは、751アミノ酸をコードする2253bpを有し、PAP_PSA融合ベクターセグメントは、647アミノ酸をコードする1941bpを有する。3つのベクターすべてがP1では不安定であることが分かった。
【0175】
6.2 マウスにおけるPAP、PSA、及びPSMAをコードするartLCMV及びartPICVベクターの免疫原性
6.2.1 単一ベクター構築物及びベクターの組み合わせの免疫原性
単一ベクター構築物またはその組み合わせが、コードされた抗原に対する免疫応答を誘導する能力を分析するために、示されたベクター構築物を1×10
5RCV FFU/投与でマウスに静脈内免疫化を行った(表2 試験レイアウト参照)。新たに単離した脾細胞を使用した細胞内サイトカイン染色(ICS)を、免疫後7日目に行った。H-2b及びH-2d制限T細胞エピトープをカバーするため、C57BL/6×Balb/cハイブリッドマウス(すなわち、CB6F1マウス)を使用した。GraphPad Prismを使用したテューキーの多重比較検定(一元配置分散分析)を、すべての群の平均を相互に比較することによってICSデータに対して実行した。p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.005(***)及びp<0.001(****)のP値を有意と見なした。
【表3】
【0176】
調べたすべてのベクターは、初回投与後に、コードされた抗原に対してCD8T細胞応答を誘導した(
図7A及び7B)。artLCMV-PAP-NP/PSA-GP(群2)及びartPICV-PAP-NP/PSA-GP(群3)は両方とも、同等のPAP特異的T細胞応答を誘導した(
図7A)。しかしながら、PSAに対する誘導T細胞応答は、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP(群2)と比較して、artPICV-PAP-NP/PSA-GP(群3)で免疫した動物において有意に高かった(
図7A)。
【0177】
同様に、artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPでの免疫化後に、同等のPSMA特異的T細胞応答が観察された。しかしながら、PSMA抗原の個々の部分に対する応答の分析により、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP(群4)と比較して、artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群5)の投与後のPSMA1に対するCD8T細胞応答が有意に高いことが明らかになった(
図7B)。
【0178】
混合ベクターが、コードされたすべての抗原に対して依然としてT細胞応答を誘導するかどうかを調べるために、群6及び7のマウスをそれぞれ、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP(群6)またはartPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群7)の組み合わせで免疫した。
図7C及び7Dに示すように、第二のベクターの共投与は、試験したベクターの免疫原性を消失させず、すべてのベクター構築物は、初回投与後、コードされた抗原に対してかなりのCD8T細胞応答を誘導した。
【0179】
図7Eに示す通り、ベクター骨格特異的CD8T細胞応答は、すべての処置群で誘導された。LCMVのNP特異的T細胞応答は、単一のベクターのみで免疫された群2または4のマウスと比較して、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの組み合わせで免疫した群6の動物で有意に低かった。試験動物に注射されたウイルスの総力価が、単独ベクター群(artLCMV-PAP-NP/PSA-GPまたはartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP)よりも組み合わせベクター群(artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP)で2倍高かったため、これは予想外であった。artPICV系ベクターの場合、artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群5)及びartPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群7)の免疫と比較して、artPICV-PAP-NP/PSA-GP(群3)の投与後、有意に高いベクター骨格(PICV NP)特異的T細胞応答が観察された。
【0180】
6.2.2 同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPの免疫原性
同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPベクターの免疫原性を分析するために、マウスを1×10
5RCV FFU/投与のartLCMV-PAP-NP/PSA-GP(群2及び4)またはartPICV-PAP-NP/PSA-GP(群3及び5)で0日目に静脈内免疫した。3週間後の21日目に、群2及び5の動物に、1×10
5RCV FFU/投与のartLCMV-PAP-NP/PSA-GPを連続して投与した一方、群3及び4のマウスには、1×10
5RCV FFU/投与のartPICV-PAP-NP/PSA-GPを連続して投与した(表3 試験レイアウト参照)。新たに単離した脾細胞を用いた細胞内サイトカイン染色(ICS)を26日目に行い、コードされた前立腺癌関連抗原PAP及びPSA、ならびにアレナウイルスベクター骨格タンパク質NPに特異的なT細胞応答を検出した。GraphPad Prismを使用したテューキーの多重比較検定(一元配置分散分析)を、すべての群の平均を相互に比較することによってICSデータに対して実行した。p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.005(***)及びp<0.001(****)のP値を有意と見なした。
【表4】
【0181】
図8A及び
図8Bに示す通り、PAP及びPSA特異的CD8T細胞応答は、すべての試験群で検出された。しかしながら、最初にartPICV-PAP-NP/PSA-GPベクターで免疫し、続いてartLCMV-PAP-NP/PSA-GPベクターを投与した群5の動物は、他のすべての試験群のマウスと比較して有意に高いPAP特異的(
図8A)及びPSA特異的(
図8B)CD8T細胞応答を示した。
【0182】
PSA特異的T細胞応答(
図8B)の場合、群2と3の間に差があり、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP(群2)と比較して、artPICV-PAP-NP/PSA-GP(群3)による同種交互ベクター投与後に、かなり高いPSA特異的CD8T細胞応答が誘導された。さらに、最初にartLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与された動物に、異種artPICV-PAP-NP/PSA-GPベクターを連続して投与した(群4)場合に、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPのみによる同種交互ベクター投与(群2)と比較してPSA特異的CD8T細胞応答が増加する傾向があった。
【0183】
アレナウイルスNP特異的T細胞応答の分析(
図8C)により、初回投与に使用されたベクター骨格に対するCD8T細胞応答の誘導が実証された。初回artLCMV-PAP-NP/PSA-GP投与の場合、群2(すなわち、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPによる同種連続投与後)と群4(すなわち、artPICV-PAP-NP/PSA-GPによる異種連続投与後)間で、LCMV NP特異的T細胞応答に有意差はなかった。対照的に、マウスに最初にartPICV-PAP-NP/PSA-GPを投与した場合、PICV NP特異的T細胞応答は、動物に異種artLCMV-PAP-NP/PSA-GPベクターを連続して投与した(群5)場合に、artPICV-PAP-NP/PSA-GPによる連続同種投与(群3)と比較して有意に低かった。したがって、導入遺伝子対ベクター特異的T細胞の比は、群5、すなわち、最初にartPICV-PAP-NP/PSA-GPを投与し、連続してartLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与した後に最も高かった。
【0184】
6.2.3 同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの免疫原性
同種または異種交互ベクター投与後のPSMA発現ベクターartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの免疫原性を分析するために、マウスを1×10
5RCV FFU/投与のartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP(群2及び4)またはartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群3及び5)で0日目に静脈内免疫した。3週間後の21日目に、群3及び4の動物に、1×10
5RCV FFU/投与のartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを連続して投与した一方、群2及び5のマウスには、1×10
5RCV FFU/投与のartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを連続して投与した(表4 試験レイアウト参照)。新たに単離した脾細胞を用いた細胞内サイトカイン染色(ICS)を26日目に行い、コードされた前立腺癌関連抗原PSMA、ならびにアレナウイルスベクター骨格タンパク質NPに特異的なT細胞応答を検出した。GraphPad Prismを使用したテューキーの多重比較検定(一元配置分散分析)を、すべての群の平均を相互に比較することによってICSデータに対して実行した。p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.005(***)及びp<0.001(****)のP値を有意と見なした。
【表5】
【0185】
PSMA特異的CD8T細胞応答がすべての試験群で検出された(
図9A)。しかしながら、該PSMA抗原の両部分(すなわち、PSMA1及びPSMA2)に対する最も高い抗原特異的応答は、最初にartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを投与し、連続してartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを投与した群5の動物で認められた。
【0186】
対照的に、
図9Bに示す通り、アレナウイルスNP特異的T細胞応答(
図9B)は、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP(群2)またはartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群3)のいずれかによる同種交互ベクター投与後に、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPに続いてartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP(群4)またはartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPに続いてartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP(群5)の連続投与を使用した異種交互ベクター投与と比較して、有意に高かった。したがって、導入遺伝子対ベクター特異的T細胞の比は、群5、すなわち、最初にartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを投与し、連続してartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを投与した後に最も高かった。
【0187】
6.2.4 同種または異種交互ベクター投与後のartLCMV及びartPICVベクターの組み合わせの免疫原性
コードされた抗原に対する免疫応答を誘導する個々のベクター構築物の能力を、同種及び異種の両交互ベクター投与を使用したベクター混合物(すなわち、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP、artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP)の投与後に分析した。
【0188】
全群のマウスに、0日目に最初に投与し、21日後に1×10
5RCV FFU/ベクターで予め混合したベクターを静脈内投与により連続的に投与した。群1及び3のマウスは、最初にartLCMV-PAP-NP/PSA-GPとartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの組み合わせ(すなわち、artLCMVベクター混合物)で免疫した。群1の動物には、同じベクターの組み合わせを連続的に投与したが、群3のマウスには、artPICV-PAP-NP/PSA-GPとartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの組み合わせ(すなわち、artPICVベクター混合物)を連続的に投与した。群2及び4の動物には、artPICVベクター混合物の初回投与を施した。群2のマウスには、続いて第二の投与としては、同じartPICVベクター混合物を使用して、連続して同種投与した。対照的に、群4の動物には、artLCMVベクター混合物を連続して投与した(表5 試験レイアウト参照)。新たに単離した脾細胞を用いた細胞内サイトカイン染色(ICS)を26日目に行い、コードされた前立腺癌関連抗原PAP、PSA及びPSMAならびにアレナウイルスベクター骨格タンパク質NPに特異的なT細胞応答を検出した。GraphPad Prismを使用したテューキーの多重比較検定(一元配置分散分析)を、すべての群の平均を相互に比較することによってICSデータに対して実行した。p<0.05(*)、p<0.01(**)、p<0.005(***)及びp<0.001(****)のP値を有意と見なした。
【表6】
【0189】
図10Aに示す通り、PAP特異的CD8T細胞応答は、すべての試験群で検出された。最も高いPAP特異的CD8T細胞応答は、最初にartLCMVベクター混合物を投与され、続いてartPICVベクター混合物を投与された群3の動物で観察された。これは、同様に最初にartLCMVベクター混合物を投与されたが、同じartLCMVベクター混合物を同種様式で連続的に投与された群1の動物とは顕著な対照であった。それぞれの動物は、すべての試験群の中で最も低いPAP特異的CD8T細胞応答を示した。
【0190】
異種交互ベクター投与は同様に、PSA特異的CD8T細胞応答の誘導において同種手順よりも有意に優れていた。
図10Bに示す通り、最も高いPSA特異的CD8T細胞応答は、最初にartLCMVベクター混合物を投与され、連続してartPICVベクター混合物を投与された(群3)または最初にartPICVベクター混合物を投与され、連続してartLCMVベクター混合物を投与された(群4)、群3及び4の動物で観察された。PSAに対して有意に低いT細胞応答は、同じartLCMV(群1)またはartPICV(群2)ベクター混合物でそれぞれ2回免疫した動物で誘導された。同種交互ベクター投与によるこれら群間の比較により、artPICVベクター混合物で処置された群2の動物において、artLCMVベクター混合物で免疫された群1の動物と比較して、高いPSA特異的CD8T細胞応答が明らかになった。
【0191】
異なる試験群で誘導されたPSMA特異的CD8T細胞応答の分析により、異種交互ベクター投与後の優れた免疫原性の観察がさらに実証された。
図10Cに示す通り、最も高いPSMA特異的CD8T細胞応答は、最初にartLCMVベクター混合物を投与され、連続してartPICVベクター混合物を投与された(群3)または最初にartPICVベクター混合物を投与され、連続してartLCMVベクター混合物を投与された(群4)、群3及び4の動物で観察された。PSMAに対して有意に低いT細胞応答は、同種交互ベクター投与で処置された、すなわち、同じartLCMV(群1)またはartPICV(群2)ベクター混合物でそれぞれ2回免疫した動物で誘導された。この観察は、全PSMA抗原に対する免疫応答が分析されたのか、その個々のサブドメインのみに対する免疫応答が分析されたのかに関係なく一貫していた。
【0192】
対照的に、ベクター骨格特異的免疫応答は、artLCMVベクター混合物(群1)またはartPICVベクター混合物(群2)のいずれかの同種交互ベクター投与後の方が、artLCMVベクター混合物に続いてartPICVベクター混合物(群3)またはartPICVベクターに続いてartLCMVベクター混合物(群4)の連続投与を使用した異種交互ベクター投与と比較して有意に高く、ベクターNP特異的T細胞応答によって実証される(
図10D)。したがって、導入遺伝子対ベクター特異的T細胞の比は、群4、すなわち、最初にartPICVベクター混合物を投与し、連続してartLCMVベクター混合物を投与した後に最も高かった。
【0193】
6.3 前立腺癌患者の処置
6.3.1 ウイルスベクターに基づく治療的免疫療法
以下の表6.ウイルスベクターに基づく治療的免疫療法の説明に記載の4つの個々のウイルスベクターに基づく治療的免疫療法を試験し、2つの処置計画を検討する:
・群1:患者は、交互2ベクター処置を受ける:
artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとの交互順で最初に投与される。
・群2:患者は、交互4ベクター処置を受ける:
artPICV-PAP-NP/PSA-GPとartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPとの交互順で最初に投与される。
【表7】
【0194】
6.3.2 処置の概要
mCRPCの成人患者は、2つのパート、すなわち、第1相用量漸増及び第2相用量拡大で処置される。この試験デザインの概要を
図11に示す。
【0195】
(i)第I相用量漸増
第I相用量漸増は、2つの処置群を有する:
・群1:交互2ベクター処置。artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとの交互順で最初に投与される。
・群2:交互4ベクター処置。artPICV-PAP-NP/PSA-GPとartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとartLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPとの交互順で最初に投与される。
【0196】
試験処置は、セクション6.3.5(i)に示す通りに施される。
【0197】
(ii)第II相用量拡大
第II相用量拡大は、第I相用量漸増の完了後に開始される。
【0198】
試験処置計画は、セクション6.3.5(ii)に示す試験の第I相用量漸増部分からの安全性、有効性、バイオマーカー、及び免疫原性の結果に基づく。
【0199】
6.3.3 患者集団:試験対象患者基準
全患者に対して:
【0200】
以下の基準をすべて満たす患者は本試験に参加する資格がある:
1.インフォームドコンセント用紙(ICF)に署名した時点で18歳以上の男性患者。
2.本試験への参加について自発的にインフォームドコンセントを与える意欲及び能力がある。
3.神経内分泌分化も小細胞の特徴も伴わない、組織学的に確認された前立腺腺癌の診断。
4.血清テストステロンレベルが<50ng/dL(1.7nmol/L)である文書化された去勢状態。該去勢状態が、両側精巣摘出術、または黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ(アゴニストまたはアンタゴニスト)の使用によって得ることができる。外科的両側精巣摘出術を受けていない患者は、本試験期間中、LHRHアナログを継続する意思がなければならない。
5.患者は、コンピュータ断層撮影法(CT)及び/または磁気共鳴画像法(MRI)で測定可能な軟部組織病変を1つ以上有している必要があり、これは、試験を行う過程で、固形がん効果判定基準(RECIST)v1.1及び免疫RECIST(iRECIST)に従って、腫瘍反応について評価される。
6.患者は、標準治療による疾患の進行を評価されている必要がある。疾患の進行は、前立腺癌臨床試験ワーキンググループ3(PCWG3)のガイダンスに従う以下の基準の1つ以上によって定義される:
・PSAレベルの上昇としてのみ疾患の進行を示す患者の場合、PCWG3は、1週間以上の間隔をあけて(28日間のスクリーニング期間に限定されない)少なくとも2回連続してPSA値が上昇し、最低開始値が1.0ng/mLであることを必要とする。最新のPSAレベルは、最初の治験薬処置前21日以内に取得する必要がある。(注:フルタミドを投与されている患者の場合、フルタミド中止後4週間以上で少なくとも1つのPSA値を取得する必要がある。ビカルタミドまたはニルタミドを投与されている患者の場合、抗アンドロゲン剤中止後6週間以上で少なくとも1つのPSA値を取得する必要がある。)
・測定可能な結節病変または内臓病変を有する患者の場合、RECIST1.1によって定義されるこれらの病変の1つの疾患の進行は、PSAに関係なく適格性には十分である。直径15mm以上のリンパ節の場合、測定可能と見なされ、サイズの変化を評価するために使用される。
・骨転移を有する患者の場合、進行は、骨スキャンまたはその他のスキャン(例えば、MRI)による2つ以上の新たな病変の出現によって定義される。
7.抗アンドロゲン剤の中止とその後の進行は、症例別の例外が適用されない限り、登録の少なくとも4週間以上前に生じる必要がある。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストは、継続されるべきである。
8.症例特有の例外が適用されない限り、患者は以下を有さなければならない:
・患者が最後の治療から進行した後に採取した記録保管軟部組織腫瘍検体または投与前に新鮮な軟部組織生検検体を提供する能力。記録保管サンプルが提供される場合、該サンプルは、2年より前のものであってはならない。
・試験中に生検に潜在的に使用可能である軟部組織病変。
9.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)一般状態が0~1。
10.以前の治癒的放射線療法は、治験薬投与の少なくとも4週間前に完了していなければならない。以前の局所姑息的放射線治療は、治験薬投与の少なくとも2週間前に完了していなければならない。
11.スクリーニング検査値は、以下の基準を満たしている必要があり、試験処置投与前の28日以内に取得するべきである:
・絶対好中球数≧1,500/mm3(1.5×109/L)
・血小板≧100×103/mm3(100×109/L)
・ヘモグロビン≧8.5g/dL
・血清クレアチニン≦2.0×正常上限(ULN)またはクレアチニンクリアランス>30mL/分(Cockcroft-Gault式を使用)
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/アラニンアミノトランスフェラーゼ≦3×ULN
・総ビリルビン≦1.5×ULN(総ビリルビン<3.0mg/dLを有し得るジルベール症候群の患者を除く)
【0201】
6.3.4 用量漸増ガイドライン-暫定用量レベルの検討
artLCMV-PAP-NP/PSA-GP、artPICV-PAP-NP/PSA-GP、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP、及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、IV(静注または静脈内注入として)で投与する。ベクターごとに、1×107RCV FFU/投与/患者の開始用量を投与する。さらに、本臨床研究の第1相部分に関する用量漸増計画は、コホート間で最大1対数のオーダーの用量増加を認める(すなわち、107、108、109RCV FFU)。
【0202】
第1相用量漸増群1及び2では、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP、artPICV-PAP-NP/PSA-GP、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP、及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPの提案されたヒト開始用量は、1×10
7RCV FFUである。潜在的な用量漸増の非限定的な例を表7.群1の暫定用量レベル(artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの交互2ベクター処置)ならびに表8.群2の暫定用量レベル(artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの交互4ベクター処置)に示す。
【表8】
【表9】
【0203】
6.3.5 処置計画及びサイクルの持続期間
患者は、許容できない処置関連毒性を経験するまで、疾患の進行(iRECISTによる免疫学的に確定された進行性疾患(iCPD)もしくはPCWG3による骨進行)まで、または同意の撤回まで処置される。
【0204】
(i)第I相用量漸増
群1(artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの交互2ベクター処置)
・artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPを、交互IV投与で投与する。artPICV-PAP-NP/PSA-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与する。
・サイクル1及び2では、処置サイクルを、42日間と定義する。artPICV-PAP-NP/PSA-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与し、最初の4回の投与については、3週間(21日)ごとに交互に処置する。
・artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル1及び2の1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル1及び2の22日目にIV投与される。
・サイクル3以降のサイクルでは、処置サイクルを、84日間と定義する。サイクル3の1日目は、サイクル2の42日目の完了後に開始する。サイクル3以降のサイクルにおけるartPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの投与は、±7日の時間枠を有する。artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの投与は、以下のように6週間(42日)ごとに交互に行う:
・artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル3以降のサイクルの1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル3以降のサイクルの43日目にIV投与される。
【0205】
群2(artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの交互4ベクター処置):
・artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを、交互IV投与で投与する。artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを投与する。
・サイクル1及び2では、処置サイクルを、42日間と定義する。artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPを投与し、最初の4回の投与については、3週間(21日)ごとに交互に処置する。
・artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、サイクル1及び2の1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPは、サイクル1及び2の22日目にIV投与される。
・サイクル3以降のサイクルでは、処置サイクルを、84日間と定義する。サイクル3の1日目は、サイクル2の42日目の完了後に開始する。サイクル3以降のサイクルにおけるartPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの投与は、±7日の時間枠を有する。artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPの投与は、以下のように6週間(42日)ごとに交互に行う:
・artPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPは、サイクル3以降のサイクルの1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPは、サイクル3以降のサイクルの43日目にIV投与される。
【0206】
第I相用量漸増では、artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPレジメン及び/またはartPICV-PAP-NP/PSA-GP+artPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GP+artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GPレジメンの投与スケジュールは、安全性、有効性、またはバイオマーカーデータに基づいて次のコホート用に変更してもよい。
【0207】
第I相用量漸増では、以下の情報が収集される:(1)DLT観察期間中に投与された第一の治験薬によるDLTの発生率、(2)安全性:AE及びSAEの種類、頻度、ならびに重症度、(3)忍容性:投与の中断、減量及び用量強度、ならびに臨床検査値の評価、(4)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用したORR、DCR、PFS、OS及び奏効期間、(5)PSA反応を示した患者の割合(ベースラインからベースライン後の最低PSA結果までのPSAの50%以上の減少、少なくとも3週間後の2回目の連続PSA評価によって確認される)、(6)任意の時点での最良のPSA反応、(7)抗原(PAP、PSA、及び/またはPSMA)特異的T細胞応答の測定、すなわち、抗原特異的T細胞機能アッセイ、(8)免疫細胞の特性評価(免疫表現型検査)CD4及びCD8T細胞の測定、ならびに(9)腫瘍検体、血液、及び血清/血漿中のバイオマーカーの評価。
【0208】
(ii)第II相用量拡大
アレナウイルスベクターの処置計画及びサイクル持続期間は、第I相で説明したものと同じである。
【0209】
一部の処置群では、患者は、進行性前立腺癌の治療に承認されている薬剤と、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP、artPICV-PAP-NP/PSA-GP、artLCMV-PSMA2-NP/PSMA1-GP、及びartPICV-PSMA1-NP/PSMA2-GPとの併用療法を受ける。
【0210】
第II相用量拡大では、以下の情報が収集される:(1)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用したORR及びDCR、(2)PSA反応を示した患者の割合(ベースラインからベースライン後の最低PSA結果までのPSAの50%以上の減少、少なくとも3週間後の2回目の連続PSA評価によって確認される)、(3)任意の時点での最良のPSA反応、(4)腫瘍反応は、RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)、PCWG3(骨)基準、例えば、奏効期間、PFS、及びOSを使用して評価される、(5)安全性:AE及びSAEの種類、頻度、ならびに重症度、(6)忍容性:投与の中断、減量及び用量強度、ならびに臨床検査値の評価、(7)抗原(PAP、PSA、及び/またはPSMA)特異的T細胞応答の測定、すなわち、抗原特異的T細胞機能アッセイ、(8)免疫細胞の特性評価(免疫表現型検査)CD4及びCD8T細胞の測定、(9)腫瘍検体、血液、及び血清/血漿中のバイオマーカーの評価。
【0211】
6.3.6 有効性の可変要素
第1相用量漸増及び第2相用量拡大のすべての群について、有効性評価は、以下を含む:
・PSAレベルはサイクル1の1日目から3週間ごとに検査
・軟部組織及び骨の画像スキャンは、最初の24週間は8週間ごとに行い(すなわち、サイクル2の15日目から開始し、次にサイクル3の29日目と84日目)、その後サイクル4の84日目以降は12週間ごとに行う。
【0212】
有効性は、PCWG3に従うPSA反応(Scher et al.2016)、PCWG3に従う骨反応、ならびにRECIST v1.1(主要有効性エンドポイント)及びiRECIST(副次的有効性エンドポイント)に従う軟部組織反応を使用して評価する。骨の進行は、少なくとも6週間後に2回目の骨スキャンで確認する必要がある。
【0213】
表9.疾患の兆候による進行のPCWG3基準は、PSAの変化、骨転移、及び測定可能な疾患に基づく評価及び進行の基準を示す(Scher et al.,2016,J Clin Oncol,34:1402-18)。
【表10】
【0214】
6.3.7バイオマーカー及び中央検査室分析
以下の検査室分析(表10.中央検査室分析用のサンプル収集の概要)を行う。
【表11】
【0215】
6.4 転移性去勢抵抗性前立腺癌患者の処置
6.4.1 ウイルスベクターに基づく治療的免疫療法
以下の表11.ウイルスベクターに基づく治療的免疫療法の説明に記載の2つの個々のウイルスベクターに基づく治療的免疫療法を試験し、以下の投与計画を検討する:
artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとの交互順で最初に投与される。
【表12】
【0216】
6.4.2 処置の概要
転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の成人患者は、2つの相、すなわち、第1相用量漸増及び第2相推奨用量(RP2D)確認、ならびに第2相用量拡大で処置される。この試験デザインの概要を
図12に示す。
【0217】
(i)第I相用量漸増
第I相用量漸増は、artPICV-PAP-NP/PSA-GP/artLCMV-PAP-NP/PSA-GP交互2ベクター療法を、安全性及び忍容性、予備有効性、免疫原性ならびに安全な第2相推奨用量(RP2D)の決定に関して評価する。交互2ベクター処置では、artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、artLCMV-PAP-NP/PSA-GPとの交互順で最初に投与される。
【0218】
試験処置は、セクション6.4.5(i)に示す通りに施される。
【0219】
(ii)第II相用量拡大
第II相用量拡大は、第I相用量漸増の完了後に開始され、artPICV-PAP-NP/PSA-GP/artLCMV-PAP-NP/PSA-GP交互2ベクター療法を、本試験の第1相パートで定義されたRP2Dで評価する。
【0220】
試験処置計画は、セクション6.4.5(ii)に示す試験の第I相用量漸増部分からの安全性、有効性、バイオマーカー、及び免疫原性の結果に基づく。
【0221】
6.4.3 患者集団:試験対象患者基準
組織学的または細胞学的に確認された前立腺腺癌を有し、血清テストステロンレベル50ng/dL(1.7nmol/L)未満の去勢状態を示し、少なくとも1つの測定可能な軟部組織病変及び/または1つ以上の検出可能な骨転移を有する参加者は、本試験に登録される。
【0222】
全患者に対して:
【0223】
以下の基準をすべて満たす患者は本試験に参加する資格がある:
1.インフォームドコンセント用紙(ICF)に署名した時点で18歳以上の男性患者。
2.本試験への参加について自発的にインフォームドコンセントを与える意欲及び能力がある。
3.神経内分泌分化も小細胞の特徴も伴わない、組織学的または細胞学的に確認された前立腺腺癌。
4.血清テストステロンレベルが<50ng/dL(1.7nmol/L)である文書化された去勢状態。該去勢状態が、両側精巣摘出術、または黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ(アゴニストまたはアンタゴニスト)の使用によって得ることができる。外科的両側精巣摘出術を受けていない患者は、本試験期間中、LHRHアナログを継続する意思がなければならない。
5.患者は、1つ以上の測定可能な軟部組織病変及び/または1つ以上の検出可能な骨転移を有さなければならない。軟部組織病変は、試験を行う過程で、コンピュータ断層撮影法(CT)及び/または磁気共鳴画像法(MRI)によって、固形がん効果判定基準(RECIST)v1.1及び免疫RECIST(iRECIST)に従って腫瘍反応について評価され得る。
6.患者は、標準治療による疾患の進行を評価されている必要がある。疾患の進行は、前立腺癌臨床試験ワーキンググループ3(PCWG3)のガイダンスに従う以下の基準の1つ以上によって定義される:
・PSAレベルの上昇としてのみ疾患の進行を示す患者の場合、PCWG3は、3週間以上の間隔をあけて(28日間のスクリーニング期間に限定されない)少なくとも2回連続してPSA値が上昇し、最低開始値が1.0ng/mLであることを必要とする。最新のPSAレベルは、最初の治験薬処置前21日以内に取得する必要がある。
・測定可能な結節病変または内臓病変を有する患者の場合、RECIST1.1によって定義されるこれらの病変の1つの疾患の進行は、PSAに関係なく適格性には十分である。直径15mm以上のリンパ節の場合、測定可能と見なされ、サイズの変化を評価するために使用される。
・骨転移を有する患者の場合、進行は、骨スキャンまたはその他のスキャン(例えば、MRI)による2つ以上の新たな病変の出現によって定義される。
7.抗アンドロゲン剤の中止とその後の進行は、症例別の例外が適用されない限り、登録の少なくとも4週間以上前に生じる必要がある。LHRHアゴニストまたはアンタゴニストは、継続されるべきである。
8.症例特有の例外が適用されない限り、患者は以下を有さなければならない:
・患者が最後の治療から進行した後に採取した記録保管軟部組織腫瘍検体または投与前に新鮮な軟部組織生検検体を提供する能力。記録保管サンプルが提供される場合、該サンプルは、2年より前のものであってはならない。
・試験中に生検に潜在的に使用可能である軟部組織病変。
9.米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)一般状態(PS)が0~1。
10.以前の治癒的放射線療法は、治験薬投与の少なくとも4週間前に完了していなければならない。以前の局所姑息的放射線治療は、治験薬投与の少なくとも2週間前に完了していなければならない。
11.スクリーニング検査値は、以下の基準を満たしている必要があり、試験処置投与前の28日以内に取得するべきである:
・絶対好中球数≧1,500/mm3(1.5×109/L)
・血小板≧100×103/mm3(100×109/L)
・ヘモグロビン≧9g/dL(90g/L)または≧5.6mmol/L
・血清クレアチニン≦1.5×正常上限(ULN)またはクレアチニンレベル>1.5x施設ULNの患者の場合、クレアチニンクリアランス>30mL/分(Cockcroft-Gault式を使用)
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULNまたは肝転移のある患者の場合は≦5xULN
・総ビリルビン≦1.5×ULNまたは総ビリルビンレベルが>1.5xULNの患者の場合は直接ビリルビン≦ULN
・アルブミン≧3g/dL
・国際標準化比(INR)またはプロトロンビン時間(PT)≦1.5xULN(PTまたは部分トロンボプラスチン時間(PTT)が抗凝固剤の使用目的の治療範囲内である限り、患者が抗凝固療法を受けている場合を除く)
・活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)または部分トロンボプラスチン時間(PTT)≦1.5xULN(PTまたはPTTが抗凝固剤の使用目的の治療範囲内である限り、患者が抗凝固療法を受けている場合を除く)
【0224】
いくつかの実施形態では、試験対象患者基準は、患者が少なくとも1つの標的内分泌療法(アビラテロン酢酸エステルとプレドニゾン、エンザルタミド、及び次世代標的薬剤、例えば、ARN-509が挙げられるがこれらに限定されない、第二世代の抗アンドロゲン療法として定義される)、及び/またはドセタキセルを含む少なくとも1つのレジメン/ラインの化学療法で治療されたことがあること、及び/または以前の化学療法レジメンがないこと、及び/または3つ以下の前述のレジメン/ラインで治療されている(以前の治療で失敗/進行した)ことを含み得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、試験対象患者基準は、患者が標準治療で疾患の進行を評価されたことがあることを含んでもよく、PSAレベルの上昇としてのみ疾患の進行を示す患者の場合、PCWG3は、3週間以上の間隔をあけて(28日間のスクリーニング期間に限定されない)少なくとも2回連続してPSA値が上昇し、最低開始値が1.0ng/mLであることを必要とし、フルタミドを投与されている患者の場合、フルタミド中止後4週間以上で少なくとも1つのPSA値を取得する必要があり、ビカルタミドまたはニルタミドを投与されている患者の場合、抗アンドロゲン剤中止後6週間以上で少なくとも1つのPSA値を取得する必要がある。
【0226】
6.4.4 用量漸増ガイドライン-暫定用量レベルの検討
artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPをIV投与する。ベクターごとに、1×106RCV FFU/投与/患者の開始用量を投与する。さらに、本臨床研究の第1相部分に関する用量漸増計画は、コホート間で最大1対数のオーダーの用量増加を認める(すなわち、106、107、108RCV FFU)。
【0227】
第1相用量漸増では、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPの提案されたヒト開始用量は、1×10
6RCV FFUである。潜在的な用量漸増の非限定的な例を表12に示す。artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの交互2ベクター処置の暫定用量レベル
【表13】
【0228】
6.4.5 処置計画及びサイクルの持続期間
患者は、許容できない処置関連有害事象を経験するまで、疾患の進行(内臓/軟部組織転移に関しては、固形がん免疫効果判定基準(iRECIST)による確認、もしくは骨転移に関しては、前立腺癌ワーク3(PCW3)による確認)まで、または同意の撤回まで処置される。
【0229】
(i)第I相用量漸増
artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPを、交互IV投与で投与する。artPICV-PAP-NP/PSA-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与する。
【0230】
サイクル1及び2では、処置サイクルを、42日間と定義する。artPICV-PAP-NP/PSA-GPを最初に投与し、その後artLCMV-PAP-NP/PSA-GPを投与し、最初の4回の投与については、3週間(21日)ごとに交互に処置する。
・artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル1及び2の1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル1及び2の22日目にIV投与される。
【0231】
サイクル3以降のサイクルでは、処置サイクルを、84日間と定義する。サイクル3の1日目は、サイクル2の42日目の完了後に開始する。サイクル3以降のサイクルにおけるartPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの投与は、±7日の時間枠を有する。artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPの投与は、以下のように6週間(42日)ごとに交互に行う:
・artPICV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル3以降のサイクルの1日目にIV投与される。
・artLCMV-PAP-NP/PSA-GPは、サイクル3以降のサイクルの43日目にIV投与される。
【0232】
1つの実施形態では、最初の5回の投与は、3週間隔で施される場合があり、6回目以降は、投与は、6週間隔で施され得る。
【0233】
第I相用量漸増では、artPICV-PAP-NP/PSA-GP及びartLCMV-PAP-NP/PSA-GPレジメンレジメンの投与スケジュールは、安全性、有効性、またはバイオマーカーデータに基づいて次のコホート用に変更してもよい。
【0234】
第I相用量漸増では、以下の情報が収集される:(1)DLT観察期間中に投与された第一の治験薬によるDLTの発生率、(2)安全性:AE及びSAEの種類、頻度、ならびに重症度、(3)忍容性:投与の中断、減量及び用量強度、ならびに臨床検査値の評価、(4)全生存期間(OS)、(5)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用した無増悪生存期間(PFS)、(6)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用した全奏効率(ORR)、疾患制御率(DCR)、及び奏効期間(DOR)、(7)PSA反応を示した患者の割合(ベースラインからベースライン後の最低PSA結果までのPSAの50%以上の減少、少なくとも3週間後の2回目の連続PSA評価によって確認される)、(8)任意の時点での最良のPSA反応、(9)PSA進行までの期間(PSA PFS)、(10)前立腺癌関連抗原(PAP及びPSA)特異的T細胞応答の測定、(11)前立腺癌関連抗原(PAP及びPSA)特異的T細胞の特性評価、ならびに(12)腫瘍検体、ならびに血液及び血漿中の循環腫瘍細胞のバイオマーカーの評価。
【0235】
(ii)第II相用量拡大
アレナウイルスベクターの処置計画及びサイクル持続期間は、第I相で説明したものと同じである。
【0236】
一部の処置群では、患者は、進行性前立腺癌の治療に承認されている薬剤と、artLCMV-PAP-NP/PSA-GP及びartPICV-PAP-NP/PSA-GPとの併用療法を受ける。
【0237】
第II相用量漸増では、以下の情報が収集される:(1)PSA反応を示した患者の割合(すなわち、ベースラインからベースライン後の最低PSA結果までのPSAの50%以上の減少、少なくとも3週間後の2回目の連続PSA評価によって確認される)、(2)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用した腫瘍反応、(3)全生存期間(OS)、(4)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用した無増悪生存期間(PFS)、(5)RECIST v1.1/iRECIST(軟部組織)及びPCWG3(骨)基準を使用した全奏効率(ORR)、疾患制御率(DCR)、及び奏効期間(DOR)、(6)任意の時点での最良のPSA反応、(7)PSA進行までの期間(PSA PFS)、(8)安全性:AE及びSAEの種類、頻度、ならびに重症度、(8)忍容性:投与の中断、減量及び用量強度、ならびに臨床検査値の評価、(9)前立腺癌関連抗原(PAP及びPSA)特異的T細胞応答の測定、(10)前立腺癌関連抗原(PAP及びPSA)特異的T細胞の特性評価、(11)腫瘍検体、ならびに血液及び血漿中の循環腫瘍細胞のバイオマーカーの評価。
【0238】
6.4.6 有効性の可変要素
有効性は、PCWG3に従うPSA反応(Scher et al.2016)、PCWG3に従う骨反応、ならびにRECIST v1.1及びiRECIST(副次的有効性エンドポイント)に従う軟部組織反応を使用して評価する。
【0239】
PSAレベルは、ベースライン及びサイクル1の1日目から3週間ごとに評価される。
腫瘍及び骨のスキャンは、サイクル1の1日目以降、客観的な放射線学的疾患進行まで、最初の1年間は9週間(±7日)ごとに行われる。
【0240】
RECIST評価に使用される画像診断法は、胸部、腹部及び骨盤のCTまたはMRIスキャンである。疾患に関する任意の他の領域は、個々の患者の徴候及び症状に基づいてさらに調査される。
【0241】
骨病変は、一般にテクネチウム99を使用して行われる骨シンチグラフィー(骨スキャン)によって評価される。骨病変は、骨スキャンによって評価され、RECIST v.1.1悪性軟部組織評価の一部ではない。骨スキャンでの陽性ホットスポットは、重要と見なされ、悪性疾患の明白な部位は、転移性骨病変として記録される。
【0242】
表13.疾患の兆候による進行のPCWG3基準は、PSAの変化、骨転移、及び測定可能な疾患に基づいて有効性及び進行を評価するための第I相及び第2相において使用される基準を示す。
【表14】
【0243】
6.4.7 探索的バイオマーカー、T細胞応答、PDバイオマーカー、及びその他の中央検査室分析
以下の検査室分析が行われる。
【0244】
ウイルスの排出
【0245】
ウイルスの排出の分析のため、患者から唾液、血液、及び尿のサンプルを採取する。ウイルスの排出を、核タンパク質RNAのコピーを定量化するために定量的逆転写PCRによって分析し、感染性ウイルスが存在しないことを確認するために感染価アッセイと組み合わせて排出物質を特性評価してもよい。
【0246】
T細胞免疫応答
【0247】
細胞性免疫応答は、酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)アッセイによって測定して、抗原特異的免疫応答として末梢血単核球中の分泌されたIFN-γ特異的細胞を評価し、artPICV-PAP-NP/PSA-GP及び/またはartLCMV-PAP-NP/PSA-GPに対する細胞内染色を介してIFN-γ、TNF-α、IL-2、CD107aを測定することによってCD8+T細胞の機能及び抗原認識を評価する(表14)。
【表15】
【0248】
薬力学的バイオマーカー
【0249】
artPICV-PAP-NP/PSA-GP及び/またはartLCMV-PAP-NP/PSA-GP療法にとって重要な因子を特定するためのさらなるバイオマーカー研究を、治療に対する反応及び/または耐性の決定要因、ならびに本臨床試験の間の有害事象の決定要因をさらに調査及び理解するために追求することができる。生物検体(腫瘍物質及び血液成分、血清、血漿及びPBMC)は、組織マーカーの免疫染色、ゲノム分析、及び転写分析に使用され得る。
【0250】
アッセイは、以下を含むがこれらに限定されない:
・生殖系列(血液)遺伝子解析(例えば、全エクソーム解析(WES)、遺伝子発現プロファイル、RNA解析):
・腫瘍における遺伝子及び転写解析:ImmunoID NeXTプラットフォームは、存在特異的T細胞クローン、突然変異変化(TMB)、マイクロサテライト不安定性(MSI)遺伝子シグネチャーを評価し、BRCA1/2及びその他の相同組み換え修復(HRR)関連遺伝子の体細胞突然変異を同定し、相同組み換え欠損(HRD)を示すゲノム瘢痕の存在を検出する。これは、単剤として、または他の治療法との併用でのartPICV-PAP-NP/PSA-GP及び/またはartLCMV-PAP-NP/PSA-GP療法に対する臨床反応にとって不可欠であり得る。
・マルチプレックス免疫蛍光免疫組織化学(mIF):腫瘍サンプルを、PD-L1/PD-1発現、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、疲弊マーカー、及び多くの研究で、多くの異なるがんにおける良好な全生存と相関することが分かっているCD103+腫瘍浸潤リンパ球の発現について評価する。
・循環腫瘍細胞(CTC)及び循環腫瘍DNA(ctDNA):CTCの計数は、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の予後及び反応のバイオマーカーであることが分かっている。CTC数のレベルの低下は、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)の改善と関連している。(Cristofanilli,2004,Hayes,2006)血液サンプルをベースライン及び処置の間に採取して、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)における予後及び反応と相関することが分かっているCTCを測定する。さらに、ゲノムの全体像を調べ、腫瘍関連コピー数変化(CNA)、単一ヌクレオチド変化(SNV)、及び患者で一般に観察される再構成を特徴付けるために、腫瘍組織に加えて血漿/血清も所定の時点で採取する。
・血清バイオマーカー分析:体液性免疫(抗PSA/PAP抗体及び抗ベクター中和抗体)もまた、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって調査し、LCMV及びPICV中和抗体を中和アッセイで分析する。サイトカイン及びケモカインは、所定の時点でMeso Scale Discovery(MSD)を使用して調べ、サイトカイン分泌プロファイルを検討する。
【0251】
7.均等物
本明細書に開示するSセグメント、ゲノムセグメント、ウイルス粒子、核酸、方法、宿主細胞、組成物、及びキットは、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されない。実際、記載されたものに加えて、Sセグメント、ゲノムセグメント、ウイルス粒子、核酸、方法、宿主細胞、組成物、及びキットの様々な修正は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなる。かかる修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0252】
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、参照により全体として組み込まれる。
【表16】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】