(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フリーポジショニングマルチデバイスワイヤレス充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240312BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240312BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240312BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240312BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 301E
H02J50/90
H01F38/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558812
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022021918
(87)【国際公開番号】W WO2022204496
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ネルハイム,マグネ
(72)【発明者】
【氏名】マケルレア,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ペトロヴィッチ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】トカルダニ,モハメド アリ サケット
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ジェームス
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA01
5G503GB08
(57)【要約】
ワイヤレス充電のためのシステム、方法および装置が開示されている。ワイヤレス充電装置は、複数の平面状電力伝送コイル、コイル基板、およびドライバ回路を有する。平面状電力伝送コイルの各々は、電力伝送領域を取り囲む渦巻状の巻線として形成され得る。一例では、各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを渦巻状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの他のそれぞれのストランドから電気的に絶縁されている。コイル基板には、複数の切込みが形成され得る。複数の切込みは、平面状電力伝送コイルを予め構成された三次元配置で固定するように構成され得る。ドライバ回路は、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の上やその近傍に配置されたときに、平面状電力伝送コイルのうちの1つまたは複数に充電電流を供給するように構成され得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス充電装置において、
複数の平面状電力伝送コイルであって、各平面状電力伝送コイルは、電力伝送領域を取り囲む渦巻状の巻線として形成されている、複数の平面状電力伝送コイルと、
複数の切込みが形成されたコイル基板であって、前記複数の切込みは、前記複数の平面状電力伝送コイルを予め構成された三次元配置で固定するように構成されている、コイル基板と、
充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の上または近くに配置されたときに、前記複数の平面状電力伝送コイルの1以上に充電電流を供給するように構成されたドライバ回路と、を具えることを特徴とするワイヤレス充電装置。
【請求項2】
各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを渦巻状に巻くことによって形成され、前記マルチストランドワイヤの各ストランドは、前記マルチストランドワイヤの他のそれぞれのストランドから電気的に絶縁されている、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項3】
前記コイル基板は、
前記平面状電力伝送コイルの1つから、この1つの平面状電力伝送コイルが前記ドライバ回路に結合される点まで、前記マルチストランドワイヤの終端を担持するように構成された1つまたは複数のチャネルまたはダクトをそれぞれ具える、請求項2に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項4】
前記チャネルまたはダクトは、前記1つの平面状電力伝送コイルの単一の配向を可能にするパターンで配設されている、請求項3に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項5】
前記予め構成された三次元配置は、前記複数の平面状電力伝送コイルの電力伝送領域の組み合わせとして、前記コイル基板の上面を介した充電面を提供する、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項6】
前記コイル基板の下面に隣接して設けられたフェライト層を含む、請求項3に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項7】
前記予め構成された三次元配置は、複数の垂直面において平面状電力伝送コイルを提供する、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項8】
前記予め構成された三次元配置は、前記第1の平面状電力伝送コイルと前記第2の平面状電力伝送コイルとの重なりを提供し、前記第1の平面状電力伝送コイルと前記第2の平面状電力伝送コイルは、異なる垂直面に固定される、請求項7に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項9】
前記コイル基板は、成形ポリマから形成されている、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項10】
前記複数の切込みは、前記コイル基板の成形時に形成される、請求項9に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項11】
前記コイル基板は三次元印刷によって形成され、前記複数の切込みは、印刷時に前記コイル基板に形成される、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項12】
前記コイル基板は、ポリマ、アセテート、ビニル、ニトリルゴム、ラテックス、押出発泡ポリスチレンから形成される、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項13】
前記複数の切込みは、フライス加工、研削、エッチング、研磨、化学的浸食または化学的溶解によって形成される、請求項1に記載のワイヤレス充電装置。
【請求項14】
ワイヤレス充電装置を構成する方法において、
コイル基板に形成された第1の切込みに第1の平面状電力伝送コイルを挿入するステップであって、前記第1の切込みは、前記第1の平面状電力伝送コイルを予め構成された三次元配置内に固定するように構成される、ステップと、
前記コイル基板に形成された第2の切込みに第2の平面状電力伝送コイルを挿入するステップであって、前記第2の切込みは、前記第2の平面状電力伝送コイルを前記予め構成された三次元配置内に固定するように構成される、ステップと、
充電式デバイスが前記ワイヤレス充電装置の上または近くに配置されたときに、前記第1の平面状電力伝送コイルまたは前記第2の平面状電力伝送コイルに充電電流を供給するようにドライバ回路を構成するステップとを含み、
前記第1の平面状電力伝送コイルおよび前記第2の平面状電力伝送コイルは、それぞれの電力伝送領域を取り囲む渦巻状の巻線として形成されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記第1の平面状電力伝送コイルおよび前記第2の平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤからなり、前記マルチストランドワイヤの各ストランドは、前記マルチストランドワイヤの他のそれぞれのストランドから電気的に絶縁されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記予め構成された三次元配置は、複数の平面状電力伝送コイルの電力伝送領域の組み合わせとして、前記コイル基板の上面を介して充電面を提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記コイル基板の下面に隣接して設けられたフェライト層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記予め構成された三次元配置は、複数の垂直面において平面状電力伝送コイルを提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記予め構成された三次元配置は、前記第1の平面状電力伝送コイルと前記第2の平面状電力伝送コイルとの間に重なりを提供し、前記第1の切込みと前記第2の切込みは異なる垂直面に設けられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コイル基板において、
基板の本体に予め構成された三次元配置で形成された複数の切込みであって、当該複数の切込みの各々は、マルチストランドワイヤから形成される平面状電力伝送コイルを固定するように構成されている、複数の切込みと、
前記基板の本体に形成された1以上のチャネルであって、各チャネルは、関連する平面状電力伝送コイルから結合点までマルチストランドワイヤの終端を担持するように構成されている、1以上のチャネルとを具え、
前記1以上のチャネルは、関連する平面状電力伝送コイルの単一の配向が可能であるパターンで配置されている、コイル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2022年3月24日に米国特許庁に出願された仮特許出願第17/703,978号および2021年3月26日に米国特許庁に出願された仮特許出願第63/166,964号の優先権と利益を主張するものであり、この出願の内容全体は以下に完全に記載されているかのようにその全体およびすべての適用目的のために参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、平面リッツ伝送コイルを使用したワイヤレス電力伝送の効率向上に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル機器および/または通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタをサポートし、ワイヤレス充電装置の新しい用途をサポートするため必要である。例えば、より高い電力をより高い効率で供給する充電装置が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される特定の態様によるワイヤレス充電装置が具える充電面に設けられる充電セルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される特定の態様により適合され得るワイヤレス充電装置が具える充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される特定の態様により適合され得るワイヤレス充電装置が具える充電面のセグメント内で充電セルの複数の層が重ねられたときの充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される特定の態様による構成された複数層の充電セルを採用する充電装置の充電面によって提供される電力伝送領域の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、本明細書に開示される特定の態様による充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレス電力トランスミッタを示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置において使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジを示す図である。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置における直流駆動をサポートする第2のトポロジを示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の特定の態様に従って構成された充電セルのレイアウトを示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の特定の態様に従って構成されたリッツ伝送コイルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の特定の態様による複数の重なり合うリッツコイルが設けられた充電面の一部の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の特定の態様によるリッツコイルから構成されたワイヤレス充電装置の充電面を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の特定の態様に従って提供されるリッツコイル基板の特定の態様を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の特定の態様によるリッツコイル基板内に保持されたリッツコイルの透視図である。
【
図14】
図14は、本開示の特定の態様による基板内のリッツコイルの配置を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の特定の態様による機械的キーイング機構を提供できる基板構成の例を示す図である。
【
図16】
図16は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の特定の態様による充電装置の構成方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、複数の伝送コイルを用いる、または複数の受電デバイスを同時に充電できる自由配置充電面を提供するワイヤレス充電装置に関するシステム、装置、および方法に関する。一態様では、ワイヤレス充電装置のコントローラは、充電されるデバイスの位置を特定し、受電デバイスに電力を供給するように最適に配置された1つまたは複数の伝送コイルを構成することができる。充電セルは、1つまたは複数の誘導伝送コイルを備えるかこれを構成することができ、複数の充電セルは、充電面を提供するように配置または構成することができる。充電対象デバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。いくつかの例では、位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプの感知を使用して実装することができる。
【0010】
本開示の一態様において、複数の充電セル内の各充電セルは、中央の電力伝送領域を有するリッツコイルを提供する平面または実質的に平坦な巻線を形成するために、リッツ線を用いて構成され得る。各充電セルは、同軸または重なった電力伝送領域を有する複数のリッツコイルを含むか、またはそれに関連し得る。複数の充電セルは、充電セルが重ならないように、充電装置の充電面に隣接して配置され得る。
【0011】
一例として、ワイヤレス充電装置は、複数の平面状電力伝送コイル、コイル基板、およびドライバ回路を有する。複数の平面状電力伝送コイルの各々は、電力伝送領域を取り囲む渦巻状の巻線として形成され得る。一例では、各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを渦巻状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの各ストランドから電気的に絶縁されている。コイル基板には、複数の切込みが形成され得る。複数の切込みは、複数の平面状電力伝送コイルを予め構成された三次元配置で固定するように構成され得る。ドライバ回路は、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の上やその近傍に配置されたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1つまたは複数に充電電流を供給するように構成され得る。
【0012】
充電セル
本明細書に開示される特定の態様によれば、ワイヤレス充電装置の充電面は、充電装置の表面に隣接配置された充電セルを使用して提供され得る。一例において、充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って、充電面の1以上の層に配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電の充電面に実質的に直交しコイルに隣接する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的であって共通の軸に沿うか近接して配向される電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素いう。本開示では、充電セル内のコイルは、充電コイル、伝送コイル、リッツコイル、またはこれらの用語の組み合わせを用いて呼ばれることもある。
【0013】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電装置の表面に実質的に直交するように誘導された磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実施態様では、充電セルは、充電装置の表面の規定された部分内に配置され、充電表面の規定された部分内の誘導磁場に寄与するコイルを含み、磁場は、充電面に実質的に直交して流れる磁束に寄与する。いくつかの実装例では、充電セルは、1以上の動的に定義される充電セルに含まれるコイルに励起電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、ワイヤレス充電装置は、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含み、ワイヤレス充電装置は、1以上のコイルのスタックへの近接性に基づいて、充電されるデバイスの位置を検出することができる。充電装置は、コイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを定義または提供することができる。いくつかの実装例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。本明細書では、コイルを、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送器コイル、伝送コイル、送電コイル、送電器コイルなどと呼ぶことがある。
【0014】
図1は、ワイヤレス充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本開示では、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むと理解され得る。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源を充電装置に結合することができる。
【0015】
充電セル100は、充電装置の外表面領域の近くに設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一実施例では、充電セル100は、1以上のコイル102を区切るか囲む実質的に六角形の形状を有する。各コイルは、電力伝送領域104に電磁界を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、ワイヤ、または回路基板トレースを用いて構築され得る。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、
図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である全体形状を有してもよい。いくつかの実施態様では、1以上のコイルは、平坦な渦巻形状または実質的に円形の形状を有し得る。他の実装例では、円形または楕円形、あるいは他の形状を持つコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に各コイルの巻線数、製造技術の能力または制限、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように決定され得る。各コイル102は、渦巻構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0016】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合された充電システムに含まれ得る充電面のセグメントまたはその一部の単一層に設けられた充電セル202の配列200の一例を示す図である。充電セル202は、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。本実施例では、充電セル202は、重なり合うことなく端と端を合わせて配置されている。この配置は、スルーホールやワイヤ配線なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なり合う配置など、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルのワイヤをインターリーブしたり、同心円状に配置したり、ある程度重ねたりしてもよい。
【0017】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電面のセグメントまたは部分内で複数の層が重ね合わされる場合の、2つの視点300、310からの充電セルの配置の一例を示す。この例では、4層の充電セル302、304、306、308が充電面内に設けられている。各層の充電セル302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。一実施例では、充電セル302、304、306、308の銅の層が、4層以上のプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する割り当てられた充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0018】
図4は、本明細書に開示される特定の態様による充電システムによって提供される充電面400に規定または構成される電力伝送領域の配置を示す図である。図示された充電面400は、4層の充電セル402、404、406、408を用いて構成されている。
図4において、第1層の充電セル402の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L1」と記され、第2層の充電セル404の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L2」と記され、第3層の充電セル406の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L3」と記され、第4層の充電セル408の充電セルが提供する各電力伝送領域が「L4」と記されている。
【0019】
ワイヤレストランスミッタ
図5は、ワイヤレス充電装置のベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ500の特定の態様を示す図である。ワイヤレス充電装置のベースステーションは、ワイヤレス充電装置の動作を制御するために使用される1以上の処理回路を含み得る。コントローラ502は、フィルタ回路508でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御し得る。いくつかの例では、コントローラ502は、ドライバ回路504によって出力される交流電流の周波数を制御するために使用されるデジタル周波数基準信号を生成する。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号は、プログラマブルカウンタなどを使用して生成され得る。いくつかの例では、ドライバ回路504は、直流電源または入力から交流電流を生成するために協働する電力インバータ回路および1つまたは複数の電力増幅器を含む。いくつかの例では、デジタル周波数基準信号は、ドライバ回路504によって生成されてもよいし、別の回路によって生成されてもよい。共振回路506は、コンデンサ512とインダクタ514を含む。インダクタ514は、交流電流に応答して磁束を生成する充電セル内の1または複数の伝送コイルを表すか含み得る。共振回路506は、本明細書においてタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516はタンク電圧とも呼ばれる。
【0020】
パッシブping技術は、LCノード510で測定または観測された電圧および/または電流を使用して、本明細書に開示された特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドに近接する受電コイルの存在を識別することができる。従来のワイヤレス充電装置は、共振回路506のLCノード510の電圧や共振回路506の電流を測定する回路を含む。これらの電圧と電流は、電力調整目的および/またはデバイス間の通信をサポートするために監視され得る。本開示の特定の態様によれば、
図5に示すワイヤレストランスミッタ500のLCノード510の電圧は、共振回路506を介して伝送されるエネルギーの短いバースト(ping)に対する共振回路506の応答に基づいて、充電式デバイスまたは他の物体の存在を検出できるパッシブping技術をサポートするために監視され得る。
【0021】
パッシブPingディスカバリ技術を用いて、高速で低消費電力のディスカバリを提供することができる。パッシブPingは、共振回路506を含むネットワークを通して、少量のエネルギーを含む高速パルスで駆動することによって生成することができる。高速パルスは共振回路506を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消滅するまで、その固有の共振周波数でネットワークを発振させる。高速パルスに対する共振回路506の応答は、共振LC回路の共振周波数によって部分的に決定され得る。パッシブPing(初期電圧=V
0)に対する共振回路506の応答は、LCノード510で観測される電圧V
LCにより、次のように表すことができる。
【0022】
共振回路506は、コントローラ502または他のプロセッサが物体の存在を検出するためにデジタルPingを使用しているときに監視され得る。デジタルPingは、共振回路506を一定時間駆動することで生成される。共振回路506は、ワイヤレス充電装置の伝送コイルを含む同調ネットワークである。受電デバイスは、変調信号のシグナリング状態に応じて受電回路が示すインピーダンスを変更することにより、共振回路506で観測される電圧または電流を変調することができる。次に、コントローラ502または他のプロセッサは、受電デバイスが近くにあることを示すデータ変調応答を待つ。
【0023】
選択的コイル励起
本明細書に開示された特定の態様によれば、1以上の充電セル内の電力伝送コイルを選択的にアクティブ化して、互換デバイスの充電に最適な電磁界を提供することができる。いくつかの実施例では、電力伝送コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なり得る。充電セル単位で最適な充電設定を選択することができる。いくつかの例では、充電設定は、充電されるデバイスと整列しているか、またはデバイスの近くに位置していると判断される充電面の充電セルを含み得る。コントローラは、充電されるデバイスの位置の検知に基づく充電設定に基づいて、単一の電力伝送コイルを作動させてもよいし、電力伝送コイルの組み合わせを作動させてもよい。いくつかの実施態様では、ワイヤレス充電装置は、充電イベント中に1つまたは複数の電力伝送コイルまたは1つまたは複数の所定の充電セルを選択的に作動させることができるドライバ回路を有し得る。
【0024】
図6は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電装置において使用するためのマトリクス多重化スイッチングをサポートする第1のトポロジ600を示す図である。ワイヤレス充電装置は、受電デバイスを充電するために1以上の充電セル100を選択することができる。使用しない充電セル100は、電流から遮断することができる。
図2、3に例示するハニカムパッケージング構成では、対応する数のスイッチを必要とする比較的多数の充電セル100を使用することができる。本明細書に開示される特定の態様によれば、充電セル100は、特定のセルに給電できるようにする2以上のスイッチに接続された複数のセルを有するマトリクス608に論理的に配置され得る。図示されたトポロジ600では、2次元マトリクス608が提供され、次元はXおよびY座標によって表され得る。スイッチの第1のセット606の各々は、セル列の各セルの第1の端子を、ワイヤレス充電中にコイルを励起するために電流を供給する電圧源または電流源602の第1の端子に選択的に結合するように構成される。スイッチの第2のセット604の各々は、セル列の各セルの第2の端子を、電圧源または電流源602の第2の端子に選択的に結合するように構成される。セルの両端子が電圧源または電流源602に結合されると、充電セルはアクティブとなる。
【0025】
マトリクス608を使用することで、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、個別に接続されたN個のセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリクス608は、√N個のスイッチで動作させることができる。マトリクス608を使用することで、大幅なコスト削減を実現し、回路および/またはレイアウトの複雑さを軽減することができる。1例では、9セルの実装例は、6つのスイッチを使用して3x3マトリクス608で実装することができ、3つのスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの実装は、8つのスイッチを使用して4x4マトリクス608で実装することができ、8つのスイッチを節約することができる。
【0026】
動作中は、少なくとも2つのスイッチが閉じられ、1つのコイルまたは充電セルを電圧源または電流源602にアクティブに結合する。複数のコイルまたは充電セルの電圧源または電流源602への接続を容易にするために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、複数のスイッチを閉じて、受電デバイスに電力を転送する際に、複数の伝送コイルを駆動する動作モードを有効にすることができる。
【0027】
図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、各個のコイルまたは充電セルがドライバ回路702によって直接駆動される第2のトポロジ700を示す。ドライバ回路702は、コイルグループ704から1以上のコイルまたは充電セル100を選択して、受電デバイスを充電するように構成され得る。充電セル100に関連してここに開示された概念は、個々のコイルまたはコイルスタックの選択的励起に適用され得ることを理解されたい。使用されていない充電セル100は電流が流れない。比較的多数の充電セル100を使用することができ、個々のコイルまたはコイルグループを駆動するためにスイッチングマトリクスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリクスは、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイル群を定義する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリクスは、充電セルおよび/または選択されたコイル群を励起するために使用することができる。
【0028】
図8は、本開示の特定の態様に従って構成された充電セルのレイアウト800を示す図である。図示の例では、充電セルレイアウト800は、絶縁接着層826によって接着または接合された一対の2層PCB822または824の金属層上に実装された4層構造を使用して提供される。他の例では、4層構造は単一の4層PCBの金属層上に実装されてもよい。
【0029】
図示の例では、アクティブ充電セル802が4層構造の第1層に設けられ、他の3層に設けられた充電セル804、806、808がアクティブ充電セル802の巻線と重なる巻線を有し得る。一例では、各充電セルは、PCB822または824の片側に半径が減少するトレース812または816として形成された巻線を有する伝送コイルを含む。一例では、半径が減少するトレース812は、実質的に滑らかな曲線の渦巻形状を有する。別の例では、半径が減少するトレース816はセグメント化され、ほぼ六角形状である。半径が減少するトレース812および816は、それぞれ磁性コア材料814および818に隣接して設けられ得る。磁性コア材料814および818は、ソフトフェライトなどの低保磁力材料から形成され得る。一例では、磁性コア材料814および818は接着層に一体化される。別の例では、磁性コア材料814および818は、接着剤層に取り付けられるか、接着層の間に挟まれ得る。
【0030】
一対の2層PCB822または824の横断面810の部分
図820は、充電セルレイアウト800のさらなる態様を示す。いくつかの例では、第2層の充電セル804、第3層の充電セル806、第2層の充電セル808は、アクティブ充電セル802と部分的に重なる。金属層832、834、836、838の巻線が占める領域は黒く塗りつぶされており、個々のトレースは明示されていない。各金属層832、834、836および838は、PCB822または824の側に設けられている。PCB822と824の隣接する2つの金属層834と836の間には平面磁性コア842が設けられる。平面磁性コア842は、接着層に含まれていてもよいし、接着層826、828の間に含まれてもよい。平面磁性コア842と接着層826、828は電気的に非導電性である。
【0031】
PCB上に形成された伝送コイルを含むシングルコイルおよびマルチコイルのワイヤレス充電システムが直面する課題には、伝送コイルを形成または供給するトレースの通電能力、表皮効果、隣接する巻線から誘導される渦電流、およびその他の電磁気の問題による非効率的な電力供給が含まれる。電流はトレースまたはワイヤの最も外側の範囲(表皮)に流れる傾向があり、表皮効果による損失は、高周波信号を伝送するトレースやワイヤで発生する。トレースまたはワイヤの表皮に電流が集中すると、高周波AC電流を流すために使用されるトレースまたはワイヤの断面積の割合が減少するため、トレースまたはワイヤの抵抗が効果的に増加し得る。ワイヤレス充電装置におけるより高い電力伝送速度に対する需要の高まりは、ワイヤレス充電装置の伝送コイルを介した電力伝送の効率を改善することによって、少なくとも部分的に満たすことができる。従来の受電デバイスはトランスミッタに最大5Wを要求することがあるが、次世代の受電デバイスは充電プロセスを促進するために15W以上を要求する可能性がある。
【0032】
本開示の特定の態様により、ワイヤレス充電装置が受電デバイスへのワイヤレス電力伝送効率を向上させることができる。伝送コイルの設計と関連製造技術の改善により、伝送電力を増加させることができる。一例では、複数のワイヤで形成された伝送コイルを、あらかじめ割り当てられた3次元(3D)位置にコイルを受ける基板を使用して組み立てて、整列状態に維持することができる。
【0033】
図9は、本開示の特定の態様に従って構成された伝送コイルの一例を示す図である。伝送コイルは多撚リッツ線で巻くことができ、各伝送コイルは、ワイヤテール904、906を介して接続することができ、伝送コイルは本明細書ではリッツコイル900と呼ばれ得る。ワイヤテール904の断面図からわかるように、リッツ線の各ストランド910は、表皮効果損失を緩和または実質的に低減するのに十分に細い絶縁導体として形成されている。表皮効果損失は、高周波信号を伝送するワイヤで発生し、電流はワイヤの最外周(表皮)に流れる傾向がある。ストランド910は個々の性質を維持するために絶縁されており、個々のストランド910の相対的な位置がリッツ線の長さにわたって変化するように撚られている。いくつかの例では、ストランド910は外部絶縁層908によって結合される。リッツコイル900は、電力伝送領域902に対応する開放内部を有する実質的に平面状のコイルとして巻かれる。
【0034】
図10は、複数のコイルが重なり合って設けられたワイヤレス充電装置1000において、充電面を提供するように構成されたリッツコイルの一例を示す図である。図示の例では、各コイルは
図9のリッツコイル900の1バージョンまたはコピーである。ワイヤレス充電装置1000の特定の態様の説明を容易にするために、3層のリッツコイル900が示されている。いくつかの例では、リッツコイル900は4層に配置され、充電装置の充電面上の任意の利用可能な場所に配置された受電側充電式デバイスの充電を可能にするように構成され得る。ワイヤレス充電装置1000に設けられるリッツコイル900の層数およびリッツコイル900の配置は、用途、充電面のサイズおよび形状、およびリッツコイル900ごとの電力伝送要件に応じて変化し得る。
【0035】
ワイヤレス充電装置1000は、本開示の特定の態様に従って構築および構成され、充電面上または充電面近傍の充電式デバイスの位置、充電面上または充電面近傍の他の充電式デバイスまたは異物の位置、受電コイルの数および位置を含む充電式デバイスの物理的特性、充電面または充電式デバイスの温度、および充電式デバイスと交渉された、または仕様で定義された電力伝送レベル、に基づいて選択された充電設定を使用して、全面での充電能力を確保する。充電設定は、複数のコイル層のうちの1つに配置された1以上のリッツコイル900を使用して、充電式デバイスへの電力供給を最適化するように選択され得る。充電設定によって得られる最適化は、熱管理、電流分布、磁束集中、位置に関するものであり得る。充電設定を通じて得られる最適化は、ワイヤレス充電装置1000によって、またはワイヤレス充電装置1000で提供される1以上の充電面を通じて、実施される複数の同時充電トランザクションに関連し得る。
【0036】
充電面に対するリッツコイル900の配置は、設計要件によって正確に定義することができる。組み立てられるリッツコイル900の数が多くなると、管理や位置合わせが難しくなり、リッツコイル900の位置がばらつくと、完成した装置によってはコイルの構成が不正確になることがある。場合によっては、リッツコイル900は接着剤やエポキシ樹脂を使用して定位置に保持してもよい。しかしながら、接着剤や樹脂を塗布する前にリッツコイル900を正確に位置決めする必要があり、接着剤を塗布する際に動きが生じると、完成したワイヤレス充電装置の動作に影響を与える可能性がある。本開示の特定の態様によれば、リッツコイル900を受けて、ワイヤレス充電装置の寿命の間、リッツコイル900を所望の構成に維持するための基板が提供されてもよい。
【0037】
図11は、本開示の特定の態様に従ってリッツコイル900から構成されたワイヤレス充電装置1100の充電コイルを示す図である。分解
図1120は、リッツコイルを受けて、設計者によって定義された公差を満たすコイル間の3次元変位を有する所定の多層リッツコイル構造1124にリッツコイルを維持するように構成されたリッツコイル基板1122を示す。また、リッツコイル基板1122は、多層リッツコイル構造1124とフェライト層1126または他の種類の磁性材料との間の空間的関係を規定してもよい。リッツコイル基板1122にメカニカルガイドおよび/またはチャネルを組み込み、コイルの一方向のスケーラブルな大量製造精度を確保することができる。例えば、多層リッツコイル構造1124の各リッツコイル900は、リッツコイル基板1122に形成された対応する切込み、キャビティ、凹部、窪み、または空洞に単一の向きで挿入され得る。リッツコイル900は、所定の位置に挿入されると、リッツコイル基板1122と充電面が占める三次元空間内に拘束され得る。
【0038】
図12は、本開示の特定の態様に従ってワイヤレス充電装置に設けられるリッツコイル基板1200の特定の態様を示す図である。リッツコイル基板1200は、1つまたは複数のリッツコイル900を受けるように構成された切込み、キャビティ、凹部、窪みまたは空洞を有し得る。リッツコイル基板1200は、ポリマ、アセテート、ビニル、ニトリルゴム、ラテックス、押出発泡ポリスチレン、および/または他の材料から形成され得る。場合によっては、プリント回路基板を形成、エッチング、機械加工、またはその他の方法で構成して、リッツコイル基板1200を提供するために組み合わせる切込み、キャビティ、凹部、窪み、または空洞を設けてもよい。リッツコイル基板1200は、リッツコイルの多層配列とフェライト層1228または他の種類の磁性材料の層との間の空間的関係を画定してもよい。
【0039】
本開示の特定の態様によれば、リッツコイル基板1200は、リッツコイル900を順序付けられたアセンブリの所定の位置に配置できるようにする複数の切込みを有していてもよい。いくつかの例では、リッツコイル基板1200が3D印刷、成形、押出成形、および/または低圧膨張によって製造される際に、切込みが予め形成されてもよい。いくつかの例では、切込みは、フライス加工、研削、エッチング、研磨、化学浸食、化学溶解、またはリッツコイル基板1200を形成するのに使用される材料に用いるのに適した別の技術によって形成され得る。
【0040】
リッツコイル基板1200の特定の態様を断面
図1220に示す。図示のリッツコイル基板1200は4層の充電面を提供し、断面
図1220は4つのリッツコイル1224a~1224dの配置と組み立ての例を示している。リッツコイル基板1200は、第1のリッツコイル1224aを受ける深い第1の切込み1226aを有する。この第1の切込み1226aは、いくつかの例では、完全な円として形成され得る。他の例では、第1の切込み1226aは、リッツコイル基板1200の同一平面内の別の切込みと重なってもよい。
【0041】
第1のリッツコイル1224aが第1の切込み1226a内に固定されると、第2のリッツコイル1224bがリッツコイル基板1200の第2の切込み1226b内に配置され得る。第2のリッツコイル1224bは、リッツコイル基板1200内の位置にある場合に、第1のリッツコイル1224aを含む平面の上に位置する。第2のリッツコイル1224bの一部は、第1のリッツコイル1224aの一部と重なる。第1のリッツコイル1224aと第2のリッツコイル1224bの水平中心線を含む平面の分離は、第1の切込み1226aと第2の切込み1226bの深さの相対的な差によって構成され得る。
【0042】
第3のリッツコイル1224cは、リッツコイル基板1200の深い第3の切込み1226cによって受けられる。この第3の切込み1226cは、いくつかの例では、完全な円として形成され得る。他の例では、第3の切込み1226cは、同一平面内の別の切込みと重なってもよい。一例では、第3の切込み1226cは、第1のリッツコイル1224aの下面が第3のリッツコイル1224cの上面または他の部分と同一平面上にある場合に、第1の切込み1226aと部分的に重なり、結果としてスルーホールが形成されてもよい。
【0043】
第3のリッツコイル1224cが第3の切込み1226c内に固定されると、第4のリッツコイル1224dが第4の切込み1226d内に配置され得る。第4のリッツコイル1224dは、第3のリッツコイル1224cを含む平面の下方に位置する。第4のリッツコイル1224dの一部は、リッツコイル基板1200内に固定されたときに第3のリッツコイル1224cの一部と重なる。第3のリッツコイル1224cと第4のリッツコイル1224dの水平中心線を含む平面の分離は、第3の切込み1226cと第4の切込み1226dの相対的な深さの差によって構成され得る。
【0044】
リッツコイル1224a~1224dは、リッツコイル基板1200が発泡材料から製造される場合を含め、圧力嵌めによってリッツコイル基板1200内に固定され得る。いくつかの例では、リッツコイル1224a~1224dは、接着剤によってリッツコイル基板1200内に固定され得る。いくつかの例では、リッツコイル1224a~1224dは、機械的手段によってリッツコイル基板1200内に固定され得る。
図13は、本開示の特定の態様に従ってリッツコイル基板内に保持されたリッツコイルの透過
図1300を提供する。
【0045】
図14は、本開示の特定の態様に従って充電面を提供するために使用されるリッツコイル基板1420の一部内でのリッツコイル1400の配置を示す図である。リッツコイル1400は、リッツコイル基板1420に形成された切込み、空洞、凹部、窪み、または空洞(本明細書では総称して切込み1428と呼ぶ)に受容され得る。切込み1428の直径は、リッツコイル1400の公称外径1402に基づいて選択される。リッツコイル基板1420はまた、リッツコイル1400のワイヤテール1404、1406を、ワイヤレス充電装置の伝送回路に結合されたコネクタ、ピン、またははんだ付けパッドに送るか保持するように構成されたガイド、ダクト、スルーホール、またはチャネル1424、1426を含む。図示の例では、リッツコイル1400の下または上に1つのチャネル1426を延在させ、リッツコイル1400のコアを起点とするワイヤテール1406を担持することができる。リッツコイル1400を示す断面
図1410は、リッツコイル1400の下のワイヤテール1406の配線を示す。断面
図1410は、基板本体1412と、ここでは基板本体1412の下に配置されたフェライト層1414の概念的な表現も提供している。
【0046】
本開示の一態様では、リッツコイル基板は、充電面に対してリッツコイルを物理的または機械的に正確に配置できるように構成することができる。本開示の別の態様では、リッツコイル基板は、リッツコイルとワイヤレス充電装置の伝送回路との適切な電気的接続を保証するキーイング機構として機能するガイド、ダクト、スルーホール、またはチャネルを備えて構成または製造することができる。
【0047】
図14に示されるチャネル1424、1426間の物理的変位は、リッツコイル1400のワイヤテール1404、1406が意図した終端点、またはワイヤテール1404、1406がドライバ回路に結合される位置に確実に導かれるのに十分であり得る。場合によっては、ワイヤテール1404、1406がある時点でねじれ、リッツコイル1400の意図された入力が出力として接続され、リッツコイル1400の意図された出力が入力として接続される可能性がある。このような誤った接続を行うと、リッツコイル1400によって位相のずれた磁束が発生し、充電設定で使用される他のリッツコイルが生じる磁束を打ち消したり、干渉したりする傾向がある。製造時または組立時のコイル位置のズレによる磁束の反転は位相誤差と呼ばれ、充電装置を無効または動作不能にすることがある。ワイヤ配線の問題が発生する確率は大量生産において高くなり、取り扱いでのコイルの反転配置、ワイヤテール1404、1406の曲がり、およびその他の取り扱いの問題に起因し得る。
【0048】
図15は、本開示の特定の態様に従って適合された基板構成1500、1520の例を示す図であり、図示の基板構成1500、1520は、ワイヤレス充電装置の組立中にワイヤ配線の問題が発生する確率を排除または最小化することができるキーイング機構を提供する。各実施例において、リッツコイル1502、1522は、リッツコイル基板1510または1530に形成された切込み、キャビティ、凹部、窪み、または空洞(本明細書では切込み1512または1532と総称する)に受容される。切込み1512、1532は、リッツコイル1502、1522の公称外径に基づいて選択される直径を有する。リッツコイル基板1510または1530はまた、リッツコイル1502のワイヤテール1504および1506、またはリッツコイル1522のワイヤテール1524および1526を担持または保持するように構成されたガイド、ダクト、スルーホールまたはチャネル1514および1516、または1544および1546を含む。一例では、チャネル1514および1516または1544および1546は、ワイヤレス充電装置の伝送回路または発散回路に結合されたコネクタ、ピン、またははんだ付けパッドに繋がり得る。図示の例では、1つのチャネル1516、1536がリッツコイル1502の下または上に延在して、リッツコイル1502、1522の中心を起点とするワイヤテール1506を終端または結合点まで導いている。
【0049】
この第1の例では、リッツコイル1502は、コイルのコアを始点とし、ワイヤテール1504、1506の間が物理的に分離されるように、他のワイヤテール1504が整列している線から離れるように角度付けられたワイヤテール1506を有する。角度付けられたワイヤテール1506は、ワイヤテール1506とコイル巻線との重なりが最小になるように、コイルレイアウトの半径に整列され得る。いくつかの実装例では、ワイヤテール1506は、他のワイヤテール1504と平行な方向に、リッツコイル1502の半径の少なくとも4分の1の距離でコイル巻線を横断してもよい。ワイヤテール1504、1506間の角度は、設計または用途のニーズに基づいて選択され得る。
図15に示す例では、ワイヤテール1504、1506間の角度は約45°が選択されている。他の実施態様では、ワイヤテール1504、1506間に90°の角度または鈍角が提供される。
【0050】
第2の例では、リッツコイル1522は、コイルのコアを起点とし、スルーホールによってリッツコイル基板1530を介して充電面の別の層に導かれるワイヤテール1526を有する。他方のワイヤテール1524もリッツコイル1522の周縁部を越えて基板を貫通する。
【0051】
本明細書で提供されるコイルアセンブリの例およびその変形例は、磁束生成に位相誤差をもたらすリスクを最小化または全く伴わずに、リッツコイル1400、1502、1522のアセンブリを自動化し、規模の拡大を可能にする。本開示の特定の態様に従って構成されたガイド、ダクト、スルーホール、またはチャネル1424、1426、1514、1516、1544、1546は、ワイヤレス充電装置の製造または組立中にコイルが反転され、回転され、または他の方法でずれた状態で取り付けられることを実質的に不可能にすることができる。ガイド、ダクト、スルーホール、またはチャネル1424、1426、1514、1516、1544、1546は、コイルが正しく取り付けられた場合に基板にフィットするが、コイルが適切に挿入されていない場合に基板アセンブリが不整合となったり、不適合となったり、適切に閉じたりロックしないように設計され得る。
【0052】
処理回路の例
図16は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1600のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1600が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1602を用いて実装することができる。処理回路1602は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1604を含むことができる。プロセッサ1604の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1以上のプロセッサ1604は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1616の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1604は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1616の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1616をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0053】
図示の例では、処理回路1602が、概してバス1610で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1610は、処理回路1602の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1610は、1以上のプロセッサ1604およびストレージ1606を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1606は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1606は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0054】
バス1610は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1608は、バス1610と1以上のトランシーバ1612との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1600が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1612を設けることができる。また、装置1600の性質に応じて、ユーザインターフェース1618(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1610に直接またはバスインターフェース1608を介して通信可能に結合することができる。
【0055】
プロセッサ1604は、バス1610の管理と、ストレージ1606を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1604を含む処理回路1602は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1606は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1604によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0056】
処理回路1602の1以上のプロセッサ1604は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1606に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、処理回路1602に存在していても、プロセッサ1604に存在していても、処理回路1602の外部にあっても、処理回路1602を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1606は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0057】
ストレージ1606は、本明細書でソフトウェアモジュール1616とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1616の各々は、処理回路1602にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1604によって実行されると、1以上のプロセッサ1604の動作を制御するランタイムイメージ1614に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1602に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0058】
ソフトウェアモジュール1616のいくつかは、処理回路1602の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1616は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1602を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1616は、プロセッサ1604の内部デバイスおよび/または論理回路1622を構成することができ、トランシーバ1612、バスインターフェース1608、ユーザインターフェース1618、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1616は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1602が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1612へのアクセス、ユーザインターフェース1618などを含むことができる。
【0059】
処理回路1602の1以上のプロセッサ1604は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1616のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1604は、例えばユーザインターフェース1618、トランシーバ1612およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1604は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1604によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1604の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1620を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1604の制御をタイムシェアリングプログラム1620に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1604の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1620は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1604の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1604の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0060】
一実施態様では、装置1600は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のプロセッサ1604に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはそのように動作する。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成され得る。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。
【0061】
一例として、ワイヤレス充電装置は、複数の平面状電力伝送コイル、コイル基板、およびドライバ回路を有する。複数の平面状電力伝送コイルの各々は、電力伝送領域を取り囲む渦巻状の巻線として形成され得る。一例では、各平面状電力伝送コイルは、マルチストランドワイヤを渦巻状に巻くことによって形成され、マルチストランドワイヤの各ストランドは、マルチストランドワイヤの各ストランドから電気的に絶縁されている。コイル基板には、1つまたは複数のチャネルまたはダクトが設けられ得る。各チャネルまたはダクトは、平面状電力伝送コイルの1つから、1つの平面状電力伝送コイルがドライバ回路に結合される点まで、マルチストランドワイヤの終端を延ばすように構成され得る。チャネルまたはダクトは、所望の1つの平面状電力伝送コイルの単一の配向を可能にするパターンで配置され得る。コイル基板には、複数の切込みが形成され得る。複数の切込みは、複数の平面状電力伝送コイルを予め構成された三次元配置で固定するように構成され得る。ドライバ回路は、充電式デバイスがワイヤレス充電装置の上やその近傍に配置されたときに、複数の平面状電力伝送コイルのうちの1つまたは複数に充電電流を供給するように構成され得る。いくつかの例では、切込みは少なくとも1つのチャネル、少なくとも1つのダクト、または少なくとも1つのスルーホールと合体している。
【0062】
いくつかの例では、予め構成された三次元配置は、複数の平面状電力伝送コイルの電力伝送領域の組み合わせとして、コイル基板の上面を介して充電面を提供する。コイル基板の下面に隣接してフェライト層を設けてもよい。
【0063】
いくつかの例では、予め構成された三次元配置は、複数の垂直面で平面状電力伝送コイルを提供する。予め構成された三次元配置は、第1の平面状の電力伝送コイルと第2の平面状の電力伝送コイルとの重なりを提供してもよい。第1の平面状電力伝送コイルと第2の平面状電力伝送コイルは、異なる垂直面に固定され得る。
【0064】
いくつかの例では、コイル基材はポリマ、アセテート、ビニル、ニトリルゴム、ラテックス、押出ポリスチレンフォームから形成される。一例では、コイル基板は成形ポリマから形成することができ、複数の切込みは成形時にコイル基板に形成することができる。別の例では、コイル基板は三次元印刷によって形成され、複数の切込みは印刷時にコイル基板に形成される。他の例では、複数の切込みは、フライス加工、研削、エッチング、研磨、化学的浸食または化学的溶解によって形成される。
【0065】
本開示の特定の態様において、コイル基板は、基板本体内に予め構成された三次元配置で形成された複数の切込みと、基板本体内に形成された1以上のチャネルとを有する。複数の切込みの各々は、マルチストランドワイヤから形成される平面状電力伝送コイルを固定するように構成され得る。各チャネルは、関連する平面状電力伝送コイルから結合点までマルチストランドワイヤの終端を担持するように構成され得る。1つまたは複数のチャネルは、関連する平面状電力伝送コイルの単一の配向を可能にするパターンで配置され得る。
【0066】
図17は、充電装置を構成する方法を示すフローチャート1700である。ブロック1702において、コイル基板に形成された第1の切込みに第1の平面状電力伝送コイルを挿入することができる。第1の切込みは、予め構成された三次元配置内に第1の平面状電力伝送コイルを固定するように構成され得る。ブロック1704において、コイル基板に形成された第2の切込みに第2の平面状電力伝送コイルを挿入することができる。第2の切込みは、予め構成された三次元配置内に第2の平面状電力伝送コイルを固定するように構成され得る。ブロック1706において、ドライバ回路が、充電式デバイスがワイヤレス充電装置上またはその近傍に配置されたときに、第1の平面状電力伝送コイルまたは第2の平面状電力伝送コイルに充電電流を供給するように構成することができる。第1の平面状電力伝送コイルおよび第2の平面状電力伝送コイルは、それぞれの電力伝送領域を囲む渦巻状の巻線として形成され得る。一例では、第1の平面状電力伝送コイルと第2の平面状電力伝送コイルはマルチストランドワイヤで構成される。マルチストランドワイヤの各ストランドは、当該マルチストランドワイヤの他のストランドから電気的に絶縁され得る。本例では、マルチストランドワイヤは、ストランドが撚り合わされたリッツ線であり得る。
【0067】
いくつかの例では、予め構成された三次元配置は、複数の平面状電力伝送コイルの電力伝送領域の組み合わせとして、コイル基板の上面を介して充電面を提供する。コイル基板の下面に隣接してフェライト層を設けてもよい。
【0068】
いくつかの例では、予め構成された三次元配置は、複数の垂直面で平面状電力伝送コイルを提供する。予め構成された三次元配置は、第1の平面状電力伝送コイルと第2の平面状電力伝送コイルとの間に重なりを提供し得る。第1の切込みと第2の切込みは、異なる垂直面に設けられてもよい。
【0069】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】