(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ビデオコーディングのためのピクチャ向きおよび品質メトリクス補足拡張情報メッセージ
(51)【国際特許分類】
H04N 19/70 20140101AFI20240312BHJP
【FI】
H04N19/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558820
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022071051
(87)【国際公開番号】W WO2022213006
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘ、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コバン、ムハンメド・ゼイド
(72)【発明者】
【氏名】ルサノフスキー、ドミトロ
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159MA04
5C159MA05
5C159MC11
5C159ME01
5C159PP04
5C159RB09
5C159RC11
5C159UA02
5C159UA05
(57)【要約】
ビデオエンコーダおよびビデオデコーダは、補足拡張情報(SEI)メッセージに合わせて構成される。SEIメッセージは、ピクチャがどのように回転および/またはミラーリングされ得るかを示すピクチャ向き変換タイプシンタックス要素を含むことがある。SEIメッセージは、品質メトリクスも含むことがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデータを処理する方法であって、
ピクチャを受信することと、
品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、
を備える方法。
【請求項2】
前記品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、前記品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される前記品質メトリクスの前記値を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コーディングすることは、復号することを備え、前記方法は、
処理されたピクチャを形成するために前記品質メトリクスの前記値に従って前記ピクチャに後処理技法を適用することと、
前記処理されたピクチャを表示することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ビデオデータを処理するように構成された装置であって、
ピクチャを記憶するように構成されたメモリと、
回路中に実装された、前記メモリと通信している1つまたは複数のプロセッサとを備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記ピクチャを受信することと、
品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、
を行うように構成された装置。
【請求項12】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、前記品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、
を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される前記品質メトリクスの前記値を示す、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、前記1つまたは複数のプロセッサは、
処理されたピクチャを形成するために前記品質メトリクスの前記値に従って前記ピクチャに後処理技法を適用することと、
前記処理されたピクチャを表示することと
を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
ビデオデータを処理するように構成された装置であって、
ピクチャを受信するための手段と、
品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段と、ここにおいて、前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、
を備える装置。
【請求項22】
前記品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングするための手段、ここにおいて、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、前記品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、
をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される前記品質メトリクスの前記値を示す、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項27】
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項28】
前記コーディングするための手段は、復号するための手段を備え、前記装置は、
処理されたピクチャを形成するために前記品質メトリクスの前記値に従って前記ピクチャに後処理技法を適用するための手段と、
前記処理されたピクチャを表示するための手段と
をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項29】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項30】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項31】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、実行されたとき、ビデオデータを処理するように構成されたデバイスの1つまたは複数のプロセッサに、
ピクチャを受信することと、
品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、
を行わせる非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項32】
前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサに、
前記品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、前記品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、
をさらに行わせる、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項33】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、請求項32に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項34】
前記複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、請求項32に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項35】
前記品質メトリクスシンタックス要素は、前記品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される前記品質メトリクスの前記値を示す、請求項32に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項36】
前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサに、
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに行わせる、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサに、
第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、前記第2の品質メトリクスシンタックス要素は、前記ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、
をさらに行わせる、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項38】
前記デバイスは、前記品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサに、
処理されたピクチャを形成するために前記品質メトリクスの前記値に従って前記ピクチャに後処理技法を適用することと、
前記処理されたピクチャを表示することと
をさらに行わせる、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項39】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項40】
前記品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、請求項31に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、各々の内容全体が本明細書に参照により組み込まれる、2022年3月8日に出願された米国特許出願第17/653,945号、および2021年4月2日に出願された米国仮出願第63/170,267号、および2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,378号の優先権を主張する。2022年3月8日に出願された米国特許出願第17/653,945号は、2021年4月2日に出願された米国仮出願第63/170,267号および2021年6月24日に出願された米国仮出願第63/214,378号の利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は、ビデオ符号化(video encoding)およびビデオ復号(video decoding)に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] デジタルビデオ能力は、デジタルテレビジョン、デジタルダイレクトブロードキャストシステム、ワイヤレスブロードキャストシステム、携帯情報端末(PDA)、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子ブックリーダー、デジタルカメラ、デジタル記録デバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーミングデバイス、ビデオゲームコンソール、セルラー電話または衛星無線電話、いわゆる「スマートフォン」、ビデオ遠隔会議デバイス、ビデオストリーミングデバイスなどを含む、広範囲のデバイスに組み込まれ得る。デジタルビデオデバイスは、MPEG-2、MPEG-4、ITU-T H.263、ITU-T H.264/MPEG-4、Part10、アドバンストビデオコーディング(AVC)、ITU-T H.265/高効率ビデオコーディング(HEVC)、ITU-T H.266/汎用ビデオコーディング(VVC)によって定義された規格、およびそのような規格の拡張、ならびにアライアンスフォーオープンメディア(Alliance for Open Media)によって開発されたAOMedia Video1(AV1)などのプロプライエタリビデオコーデック/フォーマットに記載されているビデオコーディング技法などのビデオコーディング技法を実装する。ビデオデバイスは、そのようなビデオコーディング技法を実装することによって、デジタルビデオ情報をより効率的に送信、受信、符号化、復号、および/または記憶し得る。
【0004】
[0004] ビデオコーディング技法は、ビデオシーケンスに固有の冗長性を低減または除去するための空間(イントラピクチャ)予測および/または時間(インターピクチャ)予測を含む。ブロックベースビデオコーディングでは、ビデオスライス(たとえば、ビデオピクチャまたはビデオピクチャの一部分)が、コーディングツリーユニット(CTU)、コーディングユニット(CU)および/またはコーディングノードと呼ばれることもある、ビデオブロックに区分され得る。ピクチャのイントラコーディングされた(I)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測を使用して符号化される。ピクチャのインターコーディングされた(PまたはB)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測、または他の参照ピクチャ中の参照サンプルに対する時間予測を使用し得る。ピクチャはフレームと呼ばれることがあり、参照ピクチャは参照フレームと呼ばれることがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 概して、本開示は、ビデオデータ(video data)をコーディングするための技法について説明する。特に、本開示は、ビデオデータの処理(たとえば復号、表示など)を支援するメタデータを含むメッセージ(たとえば補足拡張情報(SEI:supplemental enhancement information)メッセージおよび/または他のパケット化構造)を符号化および復号するための技法について説明する。本開示のメッセージは、ピクチャ(picture)の向き、ならびに/あるいは復号されたピクチャを所望の向きに回転および/またはミラーリングするために使用されることがある復号されたピクチャに適用される変換(transform)を示すシンタックス要素(syntax element)を含むことがある。シンタックス要素は、ピクチャ全体または成分ピクチャ(たとえば左眼用および右眼用立体視ピクチャなど)の表示のための変換を示すことがある。別の例では、メッセージは、ピクチャ品質メトリクス(picture quality metrics)を示すシンタックス要素を含むこともある。ピクチャ品質メトリクスは、品質に基づく視点切換えおよび品質に基づくメトリクス測定など、ピクチャの符号化品質を示すことがある。
【0006】
[0006] ビデオデコーダ(video decoder)または他のデバイスは、メッセージを復号し、メッセージに従ってビデオデータのピクチャを処理することがある。ピクチャ向きメッセージ(picture orientation message)は、復号されたピクチャに適用される推奨される向き変換についての命令をビデオデコーダに提供するために使用されることがある。これにより、復号されたピクチャの表示は、より適切な向きで示され得る。ビデオデコーダは、品質メトリクス(quality metrics)を、復号されたピクチャの後処理に使用することがあり、および/または品質メトリクスを、インター予測に使用されるさらに高品質のピクチャを選択するために使用することがある。
【0007】
[0007] 1つの例では、本開示は、ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、変換タイプシンタックス要素(transform type syntax element)を含むピクチャ向きメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す、を備える方法について説明する。
【0008】
[0008] 別の例では、本開示は、ビデオデータを処理するように構成された装置(apparatus)であって、ピクチャを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、メモリと通信している1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、ピクチャを受信することと、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す、を行うように構成された装置について説明する。
【0009】
[0009] 別の例では、本開示は、ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを受信するための手段と、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージをコーディングするための手段と、ここにおいて、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す、を備える装置について説明する。
【0010】
[0010] 別の例では、本開示は、命令(instruction)を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体(non-transitory computer-readable storage medium)であって、命令は、実行されたとき、ビデオデータを処理するように構成されたデバイスの1つまたは複数のプロセッサに、ピクチャを受信することと、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す、を行わせる非一時的コンピュータ可読記憶媒体について説明する。
【0011】
[0011] 別の例では、本開示は、ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素(quality metric syntax element)を含む品質メトリクスメッセージ(quality metrics message)をコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える方法について説明する。
【0012】
[0012] 別の例では、本開示は、ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、メモリと通信している1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行うように構成された装置について説明する。
【0013】
[0013] 別の例では、本開示は、ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを受信するための手段と、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段と、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える装置について説明する。
【0014】
[0014] 別の例では、本開示は、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、実行されたとき、ビデオデータを処理するように構成されたデバイスの1つまたは複数のプロセッサに、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行わせる非一時的コンピュータ可読記憶媒体について説明する。
【0015】
[0015] 1つまたは複数の例の詳細が添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴、目的、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオ符号化および復号システムを示すブロック図。
【
図2】[0017] ピクチャの例示的な回転を示す概念図。
【
図3】[0018] 例示的な変換タイプを示す概念図。
【
図4】[0019] ピクチャ向き補足拡張情報メッセージをコーディングするための例示的なプロセスを示すフローチャート。
【
図5】[0020] 品質メトリクス補足拡張情報メッセージをコーディングするための例示的なプロセスを示すフローチャート。
【
図6】[0021] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオエンコーダ(video encoder)を示すブロック図。
【
図7】[0022] 本開示の技法を実施し得る例示的なビデオデコーダ(video decoder)を示すブロック図。
【
図8】[0023] 本開示の技法による、現在ブロックを符号化するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図9】[0024] 本開示の技法による、現在ブロックを復号するための例示的な方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0025] 本開示は、ビデオデータの処理(たとえば復号、表示など)を支援するメタデータを含むメッセージ(たとえば補足拡張情報(SEI)メッセージおよび/または他のパケット化構造)を符号化および復号するための技法について説明する。本開示のメッセージは、ピクチャの向き、ならびに/あるいは復号されたピクチャを所望の向きに回転および/またはミラーリングするために使用されることがある復号されたピクチャに適用される変換を示すシンタックス要素を含むことがある。シンタックス要素は、ピクチャ全体または成分ピクチャ(たとえば左眼用および右眼用立体視ピクチャなど)の表示のための変換を示すことがある。別の例では、メッセージは、ピクチャ品質メトリクスを示すシンタックス要素を含むこともある。ピクチャ品質メトリクスは、品質に基づく視点切換えおよび品質に基づくメトリクス測定など、ピクチャの符号化品質を示すことがある。
【0018】
[0026] ビデオデコーダまたは他のデバイスは、メッセージを復号し、メッセージに従ってビデオデータのピクチャを処理することがある。ピクチャ向きメッセージは、復号されたピクチャに適用される推奨される向き変換についての命令をビデオデコーダに提供するために使用されることがある。これにより、復号されたピクチャの表示は、より適切な向きで示され得る。ビデオデコーダは、品質メトリクスを、復号されたピクチャの後処理に使用することがあり、および/または品質メトリクスを、インター予測に使用されるさらに高品質のピクチャを選択するために使用することがある。
【0019】
[0027]
図1は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオ符号化および復号システム100を示すブロック図である。本開示の技法は、概して、ビデオデータをコーディング(符号化および/または復号)することを対象とする。概して、ビデオデータは、ビデオを処理するための任意のデータを含む。したがって、ビデオデータは、生の符号化されていないビデオ、符号化されたビデオ、復号された(たとえば再構築された)ビデオ、およびシグナリングデータなどのビデオメタデータを含み得る。
【0020】
[0028]
図1に示されているように、システム100は、この例では、宛先デバイス116によって復号および表示されるべき符号化されたビデオデータを提供するソースデバイス102を含む。特に、ソースデバイス102は、コンピュータ可読媒体110を介して宛先デバイス116にビデオデータを提供する。ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、デスクトップコンピュータ、ノートブック(すなわち、ラップトップ)コンピュータ、モバイルデバイス、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、スマートフォンなどの電話ハンドセット、テレビジョン、カメラ、ディスプレイデバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲーミングコンソール、ビデオストリーミングデバイス、ブロードキャスト受信機デバイスなどを含む、広範囲のデバイスのいずれかを備え得る。いくつかの場合には、ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、ワイヤレス通信のために装備され得、したがって、ワイヤレス通信デバイスと呼ばれることがある。
【0021】
[0029]
図1の例では、ソースデバイス102は、ビデオソース104と、メモリ106と、ビデオエンコーダ200と、出力インターフェース108とを含む。宛先デバイス116は、入力インターフェース122と、ビデオデコーダ300と、メモリ120と、ディスプレイデバイス118とを含む。本開示によれば、ソースデバイス102のビデオエンコーダ200と、宛先デバイス116のビデオデコーダ300とは、SEIメッセージコーディングのための技法を適用するように構成され得る。したがって、ソースデバイス102はビデオ符号化デバイスの一例を表し、宛先デバイス116はビデオ復号デバイスの一例を表す。他の例では、ソースデバイスおよび宛先デバイスは、他の構成要素または配置を含み得る。たとえば、ソースデバイス102は、外部カメラなどの外部ビデオソースからビデオデータを受信し得る。同様に、宛先デバイス116は、一体型ディスプレイデバイスを含むのではなく、外部ディスプレイデバイスとインターフェースし得る。
【0022】
[0030]
図1に示されているシステム100は一例にすぎない。概して、いかなるデジタルビデオ符号化および/または復号デバイスも、SEIメッセージコーディングのための技法を実施し得る。ソースデバイス102と宛先デバイス116とは、ソースデバイス102が宛先デバイス116への送信のためにコーディングされたビデオデータを生成するようなコーディングデバイスの例にすぎない。本開示は、データのコーディング(符号化および/または復号)を実施するデバイスとして「コーディング」デバイスに言及する。したがって、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、コーディングデバイス、特に、それぞれビデオエンコーダおよびビデオデコーダの例を表す。いくつかの例では、ソースデバイス102および宛先デバイス116は、ソースデバイス102および宛先デバイス116の各々がビデオ符号化構成要素およびビデオ復号構成要素を含むように、実質的に対称的に動作し得る。したがって、システム100は、たとえば、ビデオストリーミング、ビデオ再生、ビデオブロードキャスティング、またはビデオテレフォニーのために、ソースデバイス102と宛先デバイス116との間の一方向または二方向ビデオ送信をサポートし得る。
【0023】
[0031] 概して、ビデオソース104は、ビデオデータ(すなわち、生の符号化されていないビデオデータ)のソースを表し、ビデオデータの連続的な一連のピクチャ(「フレーム」とも呼ばれる)をビデオエンコーダ200に提供し、ビデオエンコーダ200は、ピクチャのためにデータを符号化する。ソースデバイス102のビデオソース104は、ビデオカメラ、前にキャプチャされた生のビデオを含んでいるビデオアーカイブ、および/またはビデオコンテンツプロバイダからビデオを受信するためのビデオフィードインターフェースなど、ビデオキャプチャデバイスを含み得る。さらなる代替として、ビデオソース104は、ソースビデオとしてのコンピュータグラフィックスベースデータ、またはライブビデオとアーカイブされたビデオとコンピュータ生成されたビデオとの組合せを生成し得る。各場合において、ビデオエンコーダ200は、キャプチャされたビデオデータ、プリキャプチャされたビデオデータ、またはコンピュータ生成されたビデオデータを符号化する。ビデオエンコーダ200は、ピクチャを、(「表示順序」と呼ばれることがある)受信順序から、コーディングのためのコーディング順序に再配置し得る。ビデオエンコーダ200は、符号化されたビデオデータを含むビットストリームを生成し得る。ソースデバイス102は、次いで、たとえば、宛先デバイス116の入力インターフェース122による受信および/または取出しのために、出力インターフェース108を介して、符号化されたビデオデータをコンピュータ可読媒体110上に出力し得る。
【0024】
[0032] ソースデバイス102のメモリ106と、宛先デバイス116のメモリ120とは、汎用メモリを表す。いくつかの例では、メモリ106、120は、生のビデオデータ、たとえば、ビデオソース104からの生のビデオ、およびビデオデコーダ300からの生の復号されたビデオデータを記憶し得る。追加または代替として、メモリ106、120は、たとえば、それぞれ、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300によって実行可能なソフトウェア命令を記憶し得る。メモリ106およびメモリ120は、この例ではビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300とは別個に示されているが、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、機能的に同様のまたは等価な目的で内部メモリをも含み得ることを理解されたい。さらに、メモリ106、120は、符号化されたビデオデータ、たとえば、ビデオエンコーダ200からの出力、およびビデオデコーダ300への入力を記憶し得る。いくつかの例では、メモリ106、120の部分は、たとえば、生の復号および/または符号化されたビデオデータを記憶するために、1つまたは複数のビデオバッファとして割り振られ得る。
【0025】
[0033] コンピュータ可読媒体110は、ソースデバイス102から宛先デバイス116に符号化されたビデオデータを移送することが可能な任意のタイプの媒体またはデバイスを表し得る。一例では、コンピュータ可読媒体110は、ソースデバイス102が、たとえば、無線周波数ネットワークまたはコンピュータベースネットワークを介して、符号化されたビデオデータを宛先デバイス116にリアルタイムで直接送信することを可能にするための通信媒体を表す。出力インターフェース108は、符号化されたビデオデータを含む送信信号を変調し得、入力インターフェース122は、ワイヤレス通信プロトコルなどの通信規格に従って、受信された送信信号を復調し得る。通信媒体は、無線周波数(RF)スペクトルまたは1つまたは複数の物理伝送線路など、任意のワイヤレスまたはワイヤード通信媒体を備え得る。通信媒体は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、またはインターネットなどのグローバルネットワークなど、パケットベースネットワークの一部を形成し得る。通信媒体は、ルータ、スイッチ、基地局、またはソースデバイス102から宛先デバイス116への通信を容易にするのに有用であり得る任意の他の機器を含み得る。
【0026】
[0034] いくつかの例では、ソースデバイス102は、出力インターフェース108からストレージデバイス112に符号化されたデータを出力し得る。同様に、宛先デバイス116は、入力インターフェース122を介してストレージデバイス112からの符号化されたデータにアクセスし得る。ストレージデバイス112は、ハードドライブ、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVD、CD-ROM、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性メモリ、あるいは符号化されたビデオデータを記憶するための任意の他の好適なデジタル記憶媒体など、様々な分散されたまたはローカルにアクセスされるデータ記憶媒体のいずれかを含み得る。
【0027】
[0035] いくつかの例では、ソースデバイス102は、ソースデバイス102によって生成された符号化されたビデオデータを記憶し得るファイルサーバ114または別の中間ストレージデバイスに符号化されたビデオデータを出力し得る。宛先デバイス116は、ストリーミングまたはダウンロードを介してファイルサーバ114からの記憶されたビデオデータにアクセスし得る。
【0028】
[0036] ファイルサーバ114は、符号化されたビデオデータを記憶し、その符号化されたビデオデータを宛先デバイス116に送信することが可能な任意のタイプのサーバデバイスであり得る。ファイルサーバ114は、(たとえば、ウェブサイトのための)ウェブサーバ、(ファイル転送プロトコル(FTP)またはファイル配信オーバー単方向トランスポート(FLUTE:File Delivery over Unidirectional Transport)プロトコルなどの)ファイル転送プロトコルサービスを提供するように構成されたサーバ、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)デバイス、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)サーバ、マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス(MBMS)または拡張MBMS(eMBMS)サーバ、および/あるいはネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスを表し得る。ファイルサーバ114は、追加または代替として、動的適応ストリーミングオーバーHTTP(DASH)、HTTPライブストリーミング(HLS)、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)、HTTP動的ストリーミングなど、1つまたは複数のHTTPストリーミングプロトコルを実装し得る。
【0029】
[0037] 宛先デバイス116は、インターネット接続を含む任意の標準的なデータ接続を通してファイルサーバ114からの符号化されたビデオデータにアクセスし得る。これは、ファイルサーバ114に記憶された符号化されたビデオデータにアクセスするのに好適であるワイヤレスチャネル(たとえば、Wi-Fi(登録商標)接続)、ワイヤード接続(たとえば、デジタル加入者回線(DSL)、ケーブルモデムなど)、またはその両方の組合せを含み得る。入力インターフェース122は、ファイルサーバ114からメディアデータを取り出すまたは受信するための上記で説明された様々なプロトコル、あるいはメディアデータを取り出すための他のそのようなプロトコルのうちのいずれか1つまたは複数に従って動作するように構成され得る。
【0030】
[0038] 出力インターフェース108および入力インターフェース122は、ワイヤレス送信機/受信機、モデム、ワイヤードネットワーキング構成要素(たとえば、イーサネット(登録商標)カード)、様々なIEEE802.11規格のいずれかに従って動作するワイヤレス通信構成要素、または他の物理的構成要素を表し得る。出力インターフェース108および入力インターフェース122がワイヤレス構成要素を備える例では、出力インターフェース108および入力インターフェース122は、4G、4G-LTE(登録商標)(ロングタームエボリューション)、LTEアドバンスト、5Gなど、セルラー通信規格に従って、符号化されたビデオデータなどのデータを転送するように構成され得る。出力インターフェース108がワイヤレス送信機を備えるいくつかの例では、出力インターフェース108および入力インターフェース122は、IEEE802.11仕様、IEEE802.15仕様(たとえば、ZigBee(登録商標))、Bluetooth(登録商標)規格など、他のワイヤレス規格に従って、符号化されたビデオデータなどのデータを転送するように構成され得る。いくつかの例では、ソースデバイス102および/または宛先デバイス116は、それぞれのシステムオンチップ(SoC)デバイスを含み得る。たとえば、ソースデバイス102は、ビデオエンコーダ200および/または出力インターフェース108に帰属する機能を実施するためのSoCデバイスを含み得、宛先デバイス116は、ビデオデコーダ300および/または入力インターフェース122に帰属する機能を実施するためのSoCデバイスを含み得る。
【0031】
[0039] 本開示の技法は、オーバージエアテレビジョン放送、ケーブルテレビジョン送信、衛星テレビジョン送信、動的適応ストリーミングオーバーHTTP(DASH)などのインターネットストリーミングビデオ送信、データ記憶媒体上に符号化されたデジタルビデオ、データ記憶媒体に記憶されたデジタルビデオの復号、または他の適用例など、様々なマルチメディア適用例のいずれかをサポートするビデオコーディングに適用され得る。
【0032】
[0040] 宛先デバイス116の入力インターフェース122は、コンピュータ可読媒体110(たとえば、通信媒体、ストレージデバイス112、ファイルサーバ114など)から符号化されたビデオビットストリームを受信する。符号化されたビデオビットストリームは、ビデオブロックまたは他のコーディングされたユニット(たとえば、スライス、ピクチャ、ピクチャグループ、シーケンスなど)の特性および/または処理を記述する値を有するシンタックス要素など、ビデオデコーダ300によっても使用される、ビデオエンコーダ200によって定義されるシグナリング情報を含み得る。ディスプレイデバイス118は、復号されたビデオデータの復号されたピクチャをユーザに表示する。ディスプレイデバイス118は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、または別のタイプのディスプレイデバイスなど、様々なディスプレイデバイスのいずれかを表し得る。
【0033】
[0041]
図1には示されていないが、いくつかの例では、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は各々、オーディオエンコーダおよび/またはオーディオデコーダと統合され得、共通のデータストリーム中にオーディオとビデオの両方を含む多重化ストリームをハンドリングするために、適切なMUX-DEMUXユニット、あるいは他のハードウェアおよび/またはソフトウェアを含み得る。
【0034】
[0042] ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は各々、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアなど、様々な好適なエンコーダおよび/またはデコーダ回路のいずれか、あるいはそれらの任意の組合せとして実装され得る。本技法が部分的にソフトウェアで実装されるとき、デバイスは、好適な非一時的コンピュータ可読媒体にソフトウェアのための命令を記憶し、本開示の技法を実施するために1つまたは複数のプロセッサを使用してその命令をハードウェアで実行し得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300の各々は、1つまたは複数のエンコーダまたはデコーダに含まれ得、そのいずれも、それぞれのデバイスにおいて複合エンコーダ/デコーダ(コーデック)の一部として統合され得る。ビデオエンコーダ200および/またはビデオデコーダ300を含むデバイスは、集積回路、マイクロプロセッサ、および/またはセルラー電話などのワイヤレス通信デバイスを備え得る。
【0035】
[0043] ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、高効率ビデオコーディング(HEVC)とも呼ばれるITU-T H.265、あるいはマルチビューおよび/またはスケーラブルビデオコーディング拡張などのそれらの拡張など、ビデオコーディング規格に従って動作し得る。代替的に、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、汎用ビデオコーディング(VVC)とも呼ばれるITU-T H.266など、他のプロプライエタリ規格または業界規格に従って動作し得る。他の例では、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、AOMedia Video1(AV1)、AV1の拡張、および/またはAV1の後継バージョン(たとえばAV2)などのプロプライエタリビデオコーデック/フォーマットに従って動作することもある。他の例では、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、他のプロプライエタリフォーマットまたは業界規格に従って動作することもある。ただし、本開示の技法は、いかなる特定のコーディング規格またはフォーマットにも限定されない。概して、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、SEIメッセージを使用してピクチャ向きおよび/またはピクチャ品質メトリクスを決定する任意のビデオコーディング技法とともに本開示の技法を実施するように構成され得る。
【0036】
[0044] 概して、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ピクチャのブロックベースコーディングを実施し得る。「ブロック」という用語は、概して、処理されるべき(たとえば、符号化されるべき、復号されるべき、あるいは、符号化および/または復号プロセスにおいて他の方法で使用されるべき)データを含む構造を指す。たとえば、ブロックは、ルミナンスおよび/またはクロミナンスデータのサンプルの2次元行列を含み得る。概して、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、YUV(たとえば、Y、Cb、Cr)フォーマットで表されるビデオデータをコーディングし得る。すなわち、ピクチャのサンプルのために赤色、緑色、および青色(RGB)データをコーディングするのではなく、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ルミナンス成分とクロミナンス成分とをコーディングし得、ここで、クロミナンス成分は、赤色相と青色相の両方のクロミナンス成分を含み得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、符号化より前に、受信されたRGBフォーマットのデータをYUV表現にコンバートし、ビデオデコーダ300は、YUV表現をRGBフォーマットにコンバートする。代替的に、前処理および後処理ユニット(図示せず)が、これらのコンバージョンを実施し得る。
【0037】
[0045] 本開示は、概して、ピクチャのデータを符号化または復号するプロセスを含むように、ピクチャのコーディング(たとえば、符号化および復号)に言及することがある。同様に、本開示は、ブロックのためのデータを符号化または復号するプロセス、たとえば、予測および/または残差コーディングを含むように、ピクチャのブロックのコーディングに言及することがある。符号化されたビデオビットストリームは、概して、コーディング決定(たとえば、コーディングモード)とブロックへのピクチャの区分とを表すシンタックス要素についての一連の値を含む。したがって、ピクチャまたはブロックをコーディングすることへの言及は、概して、ピクチャまたはブロックを形成するシンタックス要素についての値をコーディングすることとして理解されるべきである。
【0038】
[0046] HEVCは、コーディングユニット(CU)、予測ユニット(PU)、および変換ユニット(TU)を含む、様々なブロックを定義する。HEVCに従って、(ビデオエンコーダ200などの)ビデオコーダは、クワッドツリー構造に従ってコーディングツリーユニット(CTU)をCUに区分する。すなわち、ビデオコーダは、CTUとCUとを4つの等しい重複しない正方形に区分し、クワッドツリーの各ノードは、0個または4つのいずれかの子ノードを有する。子ノードなしのノードは、「リーフノード」と呼ばれることがあり、そのようなリーフノードのCUは、1つまたは複数のPUおよび/または1つまたは複数のTUを含み得る。ビデオコーダは、PUとTUとをさらに区分し得る。たとえば、HEVCでは、残差クワッドツリー(RQT)は、TUの区分を表す。HEVCでは、PUはインター予測データを表し、TUは残差データを表す。イントラ予測されるCUは、イントラモード指示などのイントラ予測情報を含む。
【0039】
[0047] 別の例として、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、VVCに従って動作するように構成され得る。VVCに従って、(ビデオエンコーダ200などの)ビデオコーダは、ピクチャを複数のコーディングツリーユニット(CTU)に区分する。ビデオエンコーダ200は、クワッドツリーバイナリツリー(QTBT)構造またはマルチタイプツリー(MTT)構造など、ツリー構造に従ってCTUを区分し得る。QTBT構造は、HEVCのCUとPUとTUとの間の分離など、複数の区分タイプの概念を除去する。QTBT構造は、2つのレベル、すなわち、クワッドツリー区分に従って区分される第1のレベルと、バイナリツリー区分に従って区分される第2のレベルとを含む。QTBT構造のルートノードは、CTUに対応する。バイナリツリーのリーフノードは、コーディングユニット(CU)に対応する。
【0040】
[0048] MTT区分構造では、ブロックは、クワッドツリー(QT)区分と、バイナリツリー(BT)区分と、1つまたは複数のタイプのトリプルツリー(TT)(ターナリツリー(TT)とも呼ばれる)区分とを使用して区分され得る。トリプルツリーまたはターナリツリー区分は、ブロックが3つのサブブロックにスプリットされる区分である。いくつかの例では、トリプルツリーまたはターナリツリー区分は、中心を通して元のブロックを分割することなしにブロックを3つのサブブロックに分割する。MTTにおける区分タイプ(たとえば、QT、BT、およびTT)は、対称または非対称であり得る。
【0041】
[0049] AV1コーデックに従って動作するときには、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ビデオデータをブロック単位でコーディングするように構成されることがある。AV1では、処理されることが可能な最大のコーディングブロックは、スーパーブロックと呼ばれる。AV1では、スーパーブロックは、128×128ルーマサンプルまたは64×64ルーマサンプルのいずれかとすることができる。ただし、後継のビデオコーディングフォーマット(たとえばAV2)では、スーパーブロックは異なる(たとえばより大きい)ルーマサンプルサイズで定義されることもある。いくつかの例では、スーパーブロックは、ブロッククワッドツリーの最上位レベルである。ビデオエンコーダ200は、スーパーブロックをより小さいコーディングブロックにさらに区分することがある。ビデオエンコーダ200は、正方形または非正方形区分を用いて、スーパーブロックおよび他のコーディングブロックをより小さいブロックに区分し得る。非正方形ブロックは、N/2×N、N×N/2、N/4×N、およびN×N/4のブロックを含み得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、コーディングブロックの各々に対して別個の予測および変換プロセスを実施し得る。
【0042】
[0050] AV1は、ビデオデータのタイルも定義する。タイルは、他のタイルから独立してコーディングされ得るスーパーブロックの矩形アレイである。すなわち、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、タイル内のコーディングブロックを、他のタイルからのビデオデータを使用することなく、それぞれ符号化および復号し得る。ただし、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、タイルの境界を越えてフィルタリングを実施し得る。タイルのサイズは、一様であることも非一様であることもある。タイルに基づくコーディングは、エンコーダおよびデコーダの実装のための並列処理および/またはマルチスレッディングを可能にし得る。
【0043】
[0051] いくつかの例では、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ルミナンス成分とクロミナンス成分との各々を表すために単一のQTBTまたはMTT構造を使用し得、他の例では、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ルミナンス成分のための1つのQTBT/MTT構造、および両方のクロミナンス成分のための別のQTBT/MTT構造(またはそれぞれのクロミナンス成分のための2つのQTBT/MTT構造)など、2つ以上のQTBTまたはMTT構造を使用し得る。
【0044】
[0052] ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、クワッドツリー区分、QTBT区分、MTT区分、スーパーブロック区分、または他の区分構造を使用するように構成され得る。
【0045】
[0053] いくつかの例では、CTUは、ルーマサンプルのコーディングツリーブロック(CTB)、3つのサンプルアレイを有するピクチャのクロマサンプルの2つの対応するCTB、あるいはモノクロームピクチャ、またはサンプルをコーディングするために使用される3つの別個の色プレーンとシンタックス構造とを使用してコーディングされるピクチャのサンプルのCTBを含む。CTBは、CTBへの成分の分割が区分になるような何らかの値のNについて、サンプルのN×Nブロックであり得る。成分は、ピクチャを4:2:0、4:2:2、または4:4:4色フォーマットに構成する3つのアレイ(ルーマおよび2つのクロマ)のうちの1つからのアレイまたは単一のサンプル、あるいはピクチャをモノクロームフォーマットに構成するアレイまたはアレイの単一のサンプルである。いくつかの例では、コーディングブロックは、コーディングブロックへのCTBの分割が区分になるような何らかの値のMとNとについて、サンプルのM×Nブロックである。
【0046】
[0054] ブロック(たとえば、CTUまたはCU)は、ピクチャ中で様々な方法でグループ化され得る。一例として、ブリックは、ピクチャ中の特定のタイル内のCTU行の矩形領域を指し得る。タイルは、ピクチャ中の特定のタイル列および特定のタイル行内のCTUの矩形領域であり得る。タイル列は、ピクチャの高さに等しい高さと、(たとえば、ピクチャパラメータセット中などの)シンタックス要素によって指定された幅とを有するCTUの矩形領域を指す。タイル行は、(たとえば、ピクチャパラメータセット中などの)シンタックス要素によって指定された高さと、ピクチャの幅に等しい幅とを有するCTUの矩形領域を指す。
【0047】
[0055] いくつかの例では、タイルは複数のブリックに区分され得、それらの各々は、タイル内に1つまたは複数のCTU行を含み得る。複数のブリックに区分されないタイルもブリックと呼ばれることがある。しかしながら、タイルの真のサブセットであるブリックは、タイルと呼ばれないことがある。ピクチャ中のブリックはまた、スライス中に配置され得る。スライスは、もっぱら単一のネットワークアブストラクションレイヤ(NAL)ユニット中に含まれていることがあるピクチャの整数個のブリックであり得る。いくつかの例では、スライスは、いくつかの完全なタイル、または1つのタイルの完全なブリックの連続シーケンスのみのいずれかを含む。
【0048】
[0056] 本開示は、垂直寸法と水平寸法とに関して(CUまたは他のビデオブロックなどの)ブロックのサンプル寸法を指すために、「N×N(NxN)」および「N×N(N by N)」、たとえば、16×16サンプル(16x16 samples)または16×16サンプル(16 by 16 samples)を互換的に使用し得る。概して、16×16のCUは、垂直方向に16個のサンプルを有し(y=16)、水平方向に16個のサンプルを有する(x=16)。同様に、N×NのCUは、概して、垂直方向にN個のサンプルを有し、水平方向にN個のサンプルを有し、ここで、Nは非負整数値を表す。CU中のサンプルは、行と列とに配置され得る。その上、CUは、必ずしも、水平方向において垂直方向と同じ数のサンプルを有する必要があるとは限らない。たとえば、CUはN×Mサンプルを備え得、ここで、Mは必ずしもNに等しいとは限らない。
【0049】
[0057] ビデオエンコーダ200は、予測および/または残差情報、ならびに他の情報を表す、CUのためのビデオデータを符号化する。予測情報は、CUについて予測ブロックを形成するためにCUがどのように予測されるべきかを示す。残差情報は、概して、符号化より前のCUのサンプルと予測ブロックとの間のサンプルごとの差分を表す。
【0050】
[0058] CUを予測するために、ビデオエンコーダ200は、概して、インター予測またはイントラ予測を通してCUについて予測ブロックを形成し得る。インター予測は、概して、前にコーディングされたピクチャのデータからCUを予測することを指すが、イントラ予測は、概して、同じピクチャの前にコーディングされたデータからCUを予測することを指す。インター予測を実施するために、ビデオエンコーダ200は、1つまたは複数の動きベクトルを使用して予測ブロックを生成し得る。ビデオエンコーダ200は、概して、たとえば、CUと参照ブロックとの間の差分に関して、CUにぴったり一致する参照ブロックを識別するために動き探索を実施し得る。ビデオエンコーダ200は、参照ブロックが現在CUにぴったり一致するかどうかを決定するために、絶対差分和(SAD)、2乗差分和(SSD)、平均絶対差(MAD)、平均2乗差(MSD)、または他のそのような差分計算を使用して差分メトリックを計算し得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、単方向予測または双方向予測を使用して現在CUを予測し得る。
【0051】
[0059] VVCのいくつかの例はまた、インター予測モードと見なされ得るアフィン動き補償モードを提供する。アフィン動き補償モードでは、ビデオエンコーダ200は、ズームインまたはアウト、回転、パースペクティブの動き、あるいは他の変則の動きタイプなど、非並進の動きを表す2つまたはそれ以上の動きベクトルを決定し得る。
【0052】
[0060] イントラ予測を実施するために、ビデオエンコーダ200は、予測ブロックを生成するようにイントラ予測モードを選択し得る。VVCのいくつかの例は、様々な方向性モード、ならびにプレーナ(planar)モードおよびDCモードを含む、67個のイントラ予測モードを提供する。概して、ビデオエンコーダ200は、現在ブロック(たとえば、CUのブロック)のサンプルをそれから予測すべき、現在ブロックに対する隣接サンプルを記述するイントラ予測モードを選択する。そのようなサンプルは、ビデオエンコーダ200がラスタ走査順序で(左から右に、上から下に)CTUとCUとをコーディングすると仮定すると、概して、現在ブロックと同じピクチャ中の現在ブロックの上、左上、または左にあり得る。
【0053】
[0061] ビデオエンコーダ200は、現在ブロックについて予測モードを表すデータを符号化する。たとえば、インター予測モードでは、ビデオエンコーダ200は、様々な利用可能なインター予測モードのうちのどれが使用されるか、ならびに対応するモードのための動き情報を表すデータを符号化し得る。たとえば、単方向または双方向インター予測では、ビデオエンコーダ200は、高度動きベクトル予測(AMVP)またはマージモードを使用して動きベクトルを符号化し得る。ビデオエンコーダ200は、アフィン動き補償モードのための動きベクトルを符号化するために、同様のモードを使用し得る。
【0054】
[0062] AV1は、ビデオデータのコーディングブロックを符号化および復号するための2つの一般的技法を含む。この2つの一般的技法は、イントラ予測(たとえばイントラフレーム予測または空間予測)と、インター予測(たとえばインターフレーム予測または時間予測)である。AV1の文脈では、イントラ予測モードを用いてビデオデータの現在フレームのブロックを予測するときには、ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、ビデオデータの他のフレームからのビデオデータを使用しない。ほとんどのイントラ予測モードでは、ビデオエンコーダ200は、現在ブロック内のサンプル値と同じフレーム内の参照サンプルから生成された予測値との間の差に基づいて現在フレームのブロックを符号化する。ビデオエンコーダ200は、イントラ予測モードに基づいて、参照サンプルから生成された予測値を決定する。
【0055】
[0063] ブロックのイントラ予測またはインター予測などの予測に続いて、ビデオエンコーダ200は、ブロックについて残差データを計算し得る。残差ブロックなどの残差データは、ブロックと、対応する予測モードを使用して形成された、ブロックについての予測ブロックとの間の、サンプルごとの差分を表す。ビデオエンコーダ200は、サンプル領域ではなく変換領域中に変換されたデータを作り出すために、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用し得る。たとえば、ビデオエンコーダ200は、離散コサイン変換(DCT)、整数変換、ウェーブレット変換、または概念的に同様の変換を残差ビデオデータに適用し得る。さらに、ビデオエンコーダ200は、第1の変換に続いて、モード依存非分離可能2次変換(MDNSST:mode-dependent non-separable secondary transform)、信号依存変換、カルーネンレーベ変換(KLT)などの2次変換を適用し得る。ビデオエンコーダ200は、1つまたは複数の変換の適用に続いて変換係数を作り出す。
【0056】
[0064] 上述のように、変換係数を作り出すための任意の変換に続いて、ビデオエンコーダ200は変換係数の量子化を実施し得る。量子化は、概して、変換係数を表すために使用されるデータの量をできるだけ低減するために変換係数が量子化され、さらなる圧縮を行うプロセスを指す。量子化プロセスを実施することによって、ビデオエンコーダ200は、変換係数の一部または全部に関連するビット深度を低減し得る。たとえば、ビデオエンコーダ200は、量子化中にnビット値をmビット値に丸めることがあり、ここで、nはmよりも大きい。いくつかの例では、量子化を実施するために、ビデオエンコーダ200は、量子化されるべき値のビット単位右シフトを実施し得る。
【0057】
[0065] 量子化に続いて、ビデオエンコーダ200は、変換係数を走査して、量子化された変換係数を含む2次元行列から1次元ベクトルを作り出し得る。走査は、より高いエネルギー(したがって、より低い頻度)の変換係数をベクトルの前方に配置し、より低いエネルギー(したがって、より高い頻度)の変換係数をベクトルの後方に配置するように設計され得る。いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、シリアル化されたベクトルを作り出すために、量子化された変換係数を走査するために、あらかじめ定義された走査順序を利用し、次いで、ベクトルの量子化された変換係数をエントロピー符号化し得る。他の例では、ビデオエンコーダ200は適応型走査を実施し得る。量子化された変換係数を走査して1次元ベクトルを形成した後に、ビデオエンコーダ200は、たとえば、コンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(CABAC)に従って、1次元ベクトルをエントロピー符号化し得る。ビデオエンコーダ200はまた、ビデオデータを復号する際のビデオデコーダ300による使用のために、符号化されたビデオデータに関連するメタデータを記述するシンタックス要素についての値をエントロピー符号化し得る。
【0058】
[0066] CABACを実施するために、ビデオエンコーダ200は、コンテキストモデル内のコンテキストを、送信されるべきシンボルに割り当て得る。コンテキストは、たとえば、シンボルの隣接値が0値であるか否かに関係し得る。確率決定は、シンボルに割り当てられたコンテキストに基づき得る。
【0059】
[0067] ビデオエンコーダ200は、さらに、ブロックベースシンタックスデータ、ピクチャベースシンタックスデータ、およびシーケンスベースシンタックスデータなどのシンタックスデータを、たとえば、ピクチャヘッダ、ブロックヘッダ、スライスヘッダ、あるいはシーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、またはビデオパラメータセット(VPS)などの他のシンタックスデータ中で、ビデオデコーダ300に対して生成し得る。ビデオデコーダ300は、対応するビデオデータをどのように復号すべきかを決定するために、そのようなシンタックスデータを同様に復号し得る。
【0060】
[0068] このようにして、ビデオエンコーダ200は、符号化されたビデオデータ、たとえば、ブロック(たとえば、CU)へのピクチャの区分ならびにブロックについての予測および/または残差情報を記述するシンタックス要素を含むビットストリームを生成し得る。最終的に、ビデオデコーダ300は、ビットストリームを受信し、符号化されたビデオデータを復号し得る。
【0061】
[0069] 概して、ビデオデコーダ300は、ビットストリームの符号化されたビデオデータを復号するために、ビデオエンコーダ200によって実施されたものの逆プロセスを実施する。たとえば、ビデオデコーダ300は、ビデオエンコーダ200のCABAC符号化プロセスと逆ではあるが、それと実質的に同様の様式でCABACを使用してビットストリームのシンタックス要素についての値を復号し得る。シンタックス要素は、CTUのCUを定義するために、ピクチャをCTUに区分するための区分情報と、QTBT構造などの対応する区分構造に従う、各CTUの区分とを定義し得る。シンタックス要素は、ビデオデータのブロック(たとえば、CU)についての予測および残差情報をさらに定義し得る。
【0062】
[0070] 残差情報は、たとえば、量子化された変換係数によって表され得る。ビデオデコーダ300は、ブロックのための残差ブロックを再生するために、ブロックの量子化された変換係数を逆量子化し、逆変換し得る。ビデオデコーダ300は、ブロックのための予測ブロックを形成するために、シグナリングされた予測モード(イントラまたはインター予測)と、関連する予測情報(たとえば、インター予測のための動き情報)とを使用する。ビデオデコーダ300は、次いで、元のブロックを再生するために(サンプルごとに)予測ブロックと残差ブロックとを組み合わせ得る。ビデオデコーダ300は、ブロックの境界に沿って視覚的アーティファクトを低減するためにデブロッキングプロセスを実施することなど、追加の処理を実施し得る。
【0063】
[0071] 本開示は、概して、シンタックス要素など、ある情報を「シグナリング」することに言及することがある。「シグナリング」という用語は、概して、符号化されたビデオデータを復号するために使用されるシンタックス要素および/または他のデータについての値の通信を指し得る。すなわち、ビデオエンコーダ200は、ビットストリーム中でシンタックス要素についての値をシグナリングし得る。概して、シグナリングは、ビットストリーム中で値を生成することを指す。上述のように、ソースデバイス102は、実質的にリアルタイムでビットストリームを宛先デバイス116に移送するか、または、宛先デバイス116による後の取出しのためにシンタックス要素をストレージデバイス112に記憶するときに行われ得るように、非リアルタイムでビットストリームを宛先デバイス116に移送し得る。
【0064】
[0072] 概して、本開示は、ビデオデータをコーディングするための技法について説明する。特に、本開示は、SEIメッセージを復号するための技法について説明する。本開示のSEIメッセージは、ピクチャの向きを示すシンタックス要素を含むことがある。別の例では、SEIメッセージは、ピクチャ品質メトリクスを示すシンタックス要素を含むことがある。ビデオデコーダまたは他のデバイスは、SEIメッセージを復号し、SEIメッセージに従ってビデオデータのピクチャを処理することがある。
【0065】
[0073] 汎用補足拡張情報(VSEI)規格(たとえばITU-T H.274およびISO/IEC23002-7)は、VVCビットストリームとともに使用されるビデオユーザビリティ情報(VUI)メッセージとSEIメッセージのいくつかとを指定する。SEIメッセージにより、ビデオエンコーダ200は、出力ピクチャのサンプル値の正確な復号のためには必要ではないが、様々な他の目的のために使用されることが可能な、ビットストリーム中のメタデータを含むことが可能になる。ビデオエンコーダ200は、アクセスユニット中に任意数のSEIネットワークアブストラクションレイヤ(NAL)ユニットを含むように構成されることがあり、各SEI NALユニットは、1つまたは複数のSEIメッセージを含み得る。VVCを用いる仕様およびシステムは、特定のSEIメッセージを生成するようにエンコーダに指定することがあり、または受信されるSEIメッセージの特定のタイプの特定の取扱いを定義することがある。
【0066】
[0074] ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 N 18277、「情報技術-異種環境における高効率コーディングおよびメディア配信-Part 2:高効率ビデオコーディング」、2019(「HEVC」)は、クロップされた復号されたピクチャに表示前に適用されることが推奨される変換をデコーダ(たとえばビデオデコーダ300)に通知するための表示向きSEIメッセージを指定する。HEVCの表示向きSEIメッセージのシンタックス構造を、次の表1に示す。
【0067】
[0075]
【0068】
【0069】
[0076] 表1から分かるように、HEVCの表示向きSEIメッセージは、水平フリップ(hor_flip)、垂直フリップ(ver_flip)、および反時計回り回転(anticlockwise_rotation)変換の指示を考慮している。
【0070】
[0077] 3GPP(登録商標)は、技術仕様書(TS)26.114、「IPマルチメディアサブシステム(IMS);マルチメディア電話技術;メディアの取扱いおよび対話」、2021においてビデオ向きの協調(CVO)を指定している。CVOは、送信機側(たとえばソースデバイス102にある)でキャプチャされた画像の現在向きを、適当なレンダリングおよび表示のために受信機(たとえば宛先デバイス116)にシグナリングする。より粒度の低い回転についてのCVO情報は、水平フリップおよび90度回転をサポートするために、次のようにフォーマット化されたバイトとして搬送される。
ビット# 7 6 5 4 3 2 1 0(LSB)
定義 0 0 0 0 C F R1 R0
LSBは最下位のビットを表す
[0078] より高い粒度の回転についてのCVO情報は、次のようにフォーマット化されたバイトとして搬送される。
ビット# 7 6 5 4 3 2 1 0(LSB)
定義 R5 R4 R3 R2 C F R1 R0
[0079] VSEI規格のいくつかの現在の例では、いかなる向きメタデータもサポートしていない。HEVC表示向きSEIメッセージは、回転がピクチャ全体ではなく各成分ピクチャに適用されるものとされるフレームパッキングの場合を考慮していない。
図2は、各成分ピクチャがそれぞれ回転される、フレームパッキングされたピクチャの表示回転の例を示している。
図2に示されるように、ピクチャ150は、2つの成分ピクチャ(たとえば立体ビデオの左眼用ピクチャおよび右眼用ピクチャ)を含む。本開示の技法を用いると、ビデオエンコーダ200は、変換されたピクチャ(transformed picture)152を得るために成分ピクチャの各々に対して回転変換(rotation transform)を実行するようにビデオデコーダ300に命令する変換タイプシンタックス要素を含むコードとSEIメッセージとを送ることがある。
【0071】
[0080] 例示的なVSEIの領域単位パッキング(RWP:region-wise packing)SEIメッセージは、クロップされた復号されたピクチャの色サンプルの投影ピクチャ上への再マッピングを可能にするための情報を提供する。ただし、RWP SEIメッセージは、全方向ビデオ投影がピクチャに適用されるものとして示されているときに使用される。0に等しいrwp_cancel_flagを有するRWP SEIメッセージは、ピクチャに適用されるコード化層ビデオシーケンス(CLVS)中には存在しないはずである。
【0072】
[0081] ピクチャ品質メトリクスは、ピクチャ品質およびコーディング性能を評価するために使用される。ISO/IEC 23001-10、「情報技術-MPEGシステム技術-Part 10:ISOベースメディアファイルフォーマットのメディアの時間指定メタデータメトリクスの搬送」、2015は、ISOBMFF(ISO/IECベースメディアファイルフォーマット)のピーク信号対雑音比(PSNR:peak signal-to-noise ratio)、構造的類似性指標測定(SSIM:structural similarity index measure)、ビデオ品質メトリクス(VQM:video quality metric)、および平均オピニオン評点(MOS:mean opinion score)など、メディアの時間指定メタデータメトリクスの搬送を指定している。ピクチャ品質に関連するランキングは、OMAF、ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 N19042、「ISO/IEC DIS 23090-2 第二版 OMAFのテキスト」、2020と、品質依存の視点切換えおよび没入型メディアメトリクス測定を容易にする、没入型メディアメトリクス(IMM)、ISO/IEC JTC1/SC29/WG3 N0073、「ISO/IEC 23090-6 没入型メディアメトリクスのIS」、2020にも指定されている。PSNRおよびSSIMなど、いくつかのピクチャ品質メトリクスは、エンコーダ側でのみ取得されることが可能である。そのような情報を搬送するためのSEIメッセージは、関連する情報をシステムアプリケーションに提供することができる。
【0073】
[0082] ピクチャ向きSEIメッセージ(Picture Orientation SEI Message)
[0083] 本開示の1つの例によれば、ビデオエンコーダ200は、次の表2に示される1つまたは複数のシンタックス要素を含むピクチャ向きSEIメッセージを生成およびシグナリングするように構成される。特に、ビデオエンコーダ200は、変換タイプシンタックス要素(たとえばpor_transform_type)を生成および符号化するように構成されることがあり、ここで、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す。ビデオエンコーダ200は、また、表2にリストされている他のシンタックス要素およびフラグのうちの1つまたは複数を生成および符号化するように構成されることもある。ビデオデコーダ300は、ピクチャ向きSEIメッセージを受信するように構成されることがあり、その中に含まれるシンタックス要素に従ってピクチャを処理および/または表示することがある。たとえば、ビデオデコーダ300は、変換タイプシンタックス要素によって示される変換を復号されたピクチャに適用するように構成されることがある。
【0074】
[0084]
【0075】
【0076】
[0085] 概して、ピクチャ向き(POR)SEIメッセージは、復号されたピクチャに表示前に適用されることが推奨される変換をビデオデコーダ300に通知するための情報を提供する。いくつかの例では、復号されたピクチャは、クロップされたピクチャであることがある。
【0077】
[0086] 1に等しいシンタックス要素por_cancel_flagの値は、現在SEIメッセージが、出力順序での任意の以前のPOR SEIメッセージの持続性をキャンセルすることを示す。0に等しいシンタックス要素por_cancel_flagの値は、POR情報が後に続くことを示す。
【0078】
[0087] シンタックス要素por_persistence_flagの値は、現在層のPOR SEIメッセージの持続性を指定する。
【0079】
[0088] 0に等しいシンタックス要素por_persistence_flagの値は、POR SEIメッセージが現在の復号されたピクチャのみに適用されると指定する。
【0080】
[0089] 1に等しいシンタックス要素por_persistence_flagの値は、POR SEIメッセージが、現在の復号されたピクチャに適用され、次の条件のうちの1つまたは複数が真になるまで出力順序での現在層のすべての後続のピクチャについて持続すると指定する。
【0081】
現在層の新たなCLVSが開始する。
【0082】
ビットストリームが終了する。
【0083】
出力順序で現在ピクチャの後に続く、POR SEIメッセージと関連付けられたアクセスユニット(AU)の現在層のピクチャが出力される。
【0084】
[0090] 1に等しいシンタックス要素por_constituent_picture_matching_flagの値は、このSEIメッセージが各成分ピクチャに個別に適用され、立体フレームパッキングフォーマットがフレームパッキング配置SEIメッセージによって示されると指定する。0に等しいシンタックス要素por_constituent_picture_matching_flagの値は、このSEIメッセージがクロップされた復号されたピクチャに適用されると指定する。
【0085】
[0091] 次の条件のうちのいずれかが真であるときには、シンタックス要素por_constituent_picture_matching_flagの値は0に等しいものとする。
【0086】
StereoFlagが0に等しい。
【0087】
StereoFlagが1に等しく、fp_arrangement_typeが5に等しい。
【0088】
[0092] 0に等しいStereoFlagの値は、ピクチャに適用される0に等しいfp_arrangement_cancel_flagを有するフレームパッキング配置SEIメッセージが存在しないことを示す。1に等しいStereoFlagの値は、関連するピクチャがフレームパッキングピクチャであることを示す。
【0089】
[0093] 5に等しいシンタックス要素fp_arrangement_typeの値は、出力順序での出力されるクロップされた復号されたピクチャの構成要素平面が交互に現れる第1および第2の成分フレームの時間的インタリーブを形成することを示す。
【0090】
[0094] シンタックス要素por_transform_typeの値は、ピクチャに適用され得る変換(たとえば回転、ミラーリング、または回転とミラーリングとの組合せ)を指定する。いくつかの例では、ミラーリングはフリッピングと呼ばれることもあることに留意されたい。por_transform_typeによって示される変換が回転とミラーリングの両方を指定するときには、ビデオデコーダ300は、ミラーリングを適用する前に回転変換を適用するように構成されることも、またはその逆に構成されることもある。por_transform_typeの例示的な値を、次の表3に指定する。1つの例では、8から31のpor_transform_typeの値は、ITU-T|ISO/IECによる将来の使用のために予約される。
【0091】
[0095]
【0092】
【0093】
[0096] 表3の具体的な値は、一例にすぎない。他の例では、これより多い変換タイプが指定されることも、これより少ない変換タイプが指定されることもある。また、変換は、表3に示される順序とは異なる順序で指定されることもある。
【0094】
[0097]
図3は、例示的な変換タイプを示す概念図である。表3の例では、変換シンタックス要素が0の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、変換を適用しないことがある。
図3は、変換が適用されない元のピクチャ160を示している。
図3のその他の変換タイプは、元のピクチャ160を基準にして示されることになる。変換シンタックス要素が1の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に水平ミラーリング変換(horizontal mirroring transform)を適用して、ピクチャ162を得ることがある。水平ミラーリングは、また、水平フリッピングと呼ばれることもある。変換シンタックス要素が2の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に180度の反時計回りの回転変換(180 degree anticlockwise rotation transform)を適用して、ピクチャ164を得ることがある。変換シンタックス要素が3の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に180度の反時計回りの回転変換を適用し、その後に水平ミラーリング変換を適用して、ピクチャ166を得ることがある。
【0095】
[0098] 変換シンタックス要素が4の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に90度の反時計回りの回転変換を適用し、その後に水平ミラーリング変換を適用して、ピクチャ168を得ることがある。変換シンタックス要素が5の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に90度の反時計回りの回転変換を適用して、ピクチャ170を得ることがある。変換シンタックス要素が6の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に270度の反時計回りの回転変換を適用し、その後に水平ミラーリング変換を適用して、ピクチャ172を得ることがある。変換シンタックス要素が7の値を有するときには、ビデオデコーダ300は、元のピクチャ160に270度の反時計回りの回転変換を適用して、ピクチャ174を得ることがある。
【0096】
[0099]
図4は、ピクチャ向き補足拡張情報メッセージをコーディングするための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図4は、本開示の符号化プロセスと復号プロセスの両方を示している。
図4に示されるように、符号化プロセスは、ビデオエンコーダ200を含むソースデバイス102によって実施され得る。復号プロセスは、ビデオデコーダ300を含む宛先デバイス116によって実施され得る。
【0097】
[0100] 本開示の1つの例では、ソースデバイス102は、ピクチャを受信するように構成されることがある(400)。ソースデバイス102は、(たとえばビデオエンコーダ200を用いて)ピクチャを符号化し、符号化されたビデオビットストリームを宛先デバイス116に送信するようにさらに構成されることがある。ソースデバイス102は、ピクチャの推奨変換タイプを決定するようにさらに構成されることがある(402)。推奨変換タイプは、複数の変換タイプのうちの変換タイプであり得る。ソースデバイス102は、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージを符号化するようにさらに構成されることがあり、ここで、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す(404)。
【0098】
[0101] 宛先デバイス116は、ピクチャを受信するように構成されることがある(410)。宛先デバイス116は、(たとえばビデオデコーダ300を用いて)ピクチャを復号するようにさらに構成されることがある。宛先デバイス116は、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージも復号することがあり、ここで、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す(412)。宛先デバイス116は、変換されたピクチャを形成するために、変換タイプシンタックス要素に従ってピクチャに変換を適用して、(414)、変換されたピクチャを表示する(416)ようにさらに構成されることがある。
【0099】
[0102] 本開示の1つの例では、ピクチャ向きメッセージは、ピクチャ向きSEIメッセージを備える。別の例では、ピクチャ向きメッセージは、ピクチャ向きオープンビットストリームユニット(OBU)を備える。
【0100】
[0103] 上記で説明されたように、複数の変換は、回転変換、ミラーリング変換、または回転とミラーリング変換(mirroring transform)との組合せのうちの2つ以上を含む。さらに詳細な例では、複数の変換は、水平ミラーリング変換を備える第1の変換(first transform)と、180度の反時計回りの回転変換を備える第2の変換(second transform)と、180度の反時計回りの変換およびその後に続く水平ミラーリング変換を備える第3の変換(third transform)と、90度の反時計回りの変換(90 degree anticlockwise transform)およびその後に続く水平ミラーリング変換を備える第4の変換(fourth transform)と、90度の反時計回りの変換を備える第5の変換(fifth transform)と、270度の反時計回りの変換(270 degree anticlockwise transform)およびその後に続く水平ミラーリング変換を備える第6の変換(sixth transform)と、270度の反時計回りの変換を備える第7の変換(seventh transform)とを含む。さらに別の例では、変換タイプシンタックス要素は、変換が適用されないことを示す値(value)をさらに含む。
【0101】
[0104] いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、高い粒度の回転をSEIメッセージに含めてシグナリングすることがある。高い粒度の回転およびミラーリングは、各成分ピクチャに適用され得る。概して、高い粒度の回転は、比較的小さい刻みの回転角度を示し得る。たとえば、高い粒度の回転は、ピクチャを90度未満の角度で回転させることを含み得る。各成分ピクチャが異なる回転をすることがある場合には、ビデオエンコーダ200は、各々が1つの成分ピクチャに適用される、別個の向き変換タイプまたは高い粒度の回転をSEIメッセージまたは他のメタデータタイプにおいて指定し得る。
【0102】
[0105] いくつかの例では、ビデオエンコーダ200は、CVOシグナリングで成分ピクチャ一致フラグを指定することがある。成分ピクチャ一致フラグは、各成分ピクチャに適用される回転の粒度を示す。
【0103】
[0106] ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージ(Picture Quality Metrics SEI Message)
[0107] 本開示の別の例によれば、ビデオエンコーダ200は、次の表4に示されるシンタックス要素のうちの1つまたは複数を含むピクチャ品質メトリクスメッセージ(たとえばSEIメッセージおよび/または他のパケット化構造)を生成およびシグナリングするように構成される。ビデオデコーダ300は、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージを受信するように構成され、その中に含まれるシンタックス要素に従ってピクチャを処理および/または表示することがある。たとえば、宛先デバイス116および/またはビデオデコーダ300は、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージに示される品質メトリクスに従って、1つまたは複数の後処理技法(post-processing technique)を復号されたピクチャに適用するように構成されることがある。例示的な後処理技法は、ピクチャ品質に基づいて、復号されたピクチャをアップスケーリングすることを含むことがある。他の例では、ビデオデコーダ300は、インター予測に使用するための特定のピクチャを選択するために品質メトリクスを使用するように構成されることもある。たとえば、同じピクチャの複数のバージョンが利用可能であるときには、ビデオデコーダ300は、インター予測で参照ピクチャとして使用するために最高の品質メトリクス(たとえば最低の信号対雑音比)を有するピクチャを選択するように構成されることがある。
【0104】
[0108] 表4は、1つの例示的なピクチャ品質メトリクスSEIメッセージである。ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージは、現在の復号されたピクチャの各色成分についての品質メトリクスを提供する。
【0105】
[0109]
【0106】
【0107】
[0110] シンタックス要素pqm_metric_typeの値は、表5に指定されるように、成分に関連付けられた品質メトリクスのタイプを示す。4から127のpqm_metric_typeの値は、ITU-T|ISO/IECによる将来の使用のために予約されており、本明細書の本版に準拠するペイロードデータには存在しないものとする。
【0108】
[0111]
【0109】
【0110】
[0112] 品質メトリクスタイプPSNRは、ピーク信号対雑音比である。品質メトリクスタイプSSIMは、構造的類似性指標である。品質メトリクスMS-SSIMは、マルチスケール構造的類似性指標である。品質メトリクスタイプVQMは、ビデオ品質メトリクスである。
【0111】
[0113] 1に等しいシンタックス要素pqm_single_component_flagの値は、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージと関連付けられたピクチャが単一の色成分を含むと指定する。0に等しいシンタックス要素pqm_single_component_flagの値は、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージと関連付けられたピクチャが3つの色成分を含むと指定する。pqm_single_component_flagの値は、(ChromaFormatIdc==0)に等しいものとする。
【0112】
[0114] シンタックス要素pqm_psnr[cIdx]の値は、PSNRの値を指定する。復号されたピクチャの色成分cIdxの対応するPSNRは、次のように導出される(浮動小数点で表現される)。
【0113】
PSNR=pqm_psnr[cIdx]/100;0に等しいpqm_psnr[cIdx]に対するPSNR=無限大は例外とする。
【0114】
[0115] シンタックス要素pqm_ssim[cIdx]の値は、SSIMの値を指定する。復号されたピクチャの色成分cIdxの対応するSSIMは、次のように導出される(浮動小数点で表現される)。
【0115】
SSIM=(pqm_ssim[cIdx]-127)/128
[0116] シンタックス要素pqm_msssim[cIdx]の値は、MS-SSIMの値を指定する。復号されたピクチャの色成分cIdxの対応するMS-SSIMは、次のように導出される(浮動小数点で表現される)。
【0116】
MS SSIM=(pqm_msssim[cIdx]-127)/128
[0117] シンタックス要素pqm_vqm[cIdx]の値は、VQMの値を指定する。復号されたピクチャの色成分cIdxの対応するVQMは、次のように導出される(浮動小数点で表現される)。
【0117】
VQM=pqm_vqm[cIdx]/50
[0118] ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージは、ビデオ品質の知覚評価(PEVQ)、平均オピニオン評点(MOS)、および/またはその他のピクチャ品質メトリクスなど、他の品質に関連するメトリクスを搬送することもある。
【0118】
[0119] いくつかの例では、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージは、ピクチャが立体フレームパッキング配置SEIメッセージと関連付けられているときに各成分ピクチャの品質メトリクスを指定することもある。ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージは、ピクチャが領域単位フレームパッキングSEIメッセージと関連付けられているときに各領域について品質メトリクスを指定することもある。ピクチャ品質メトリクスが各成分ピクチャまたは各領域について存在するかどうかを示すために、追加のシンタックス要素がSEIメッセージに追加されることもある。
【0119】
[0120] 他の例では、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージは、SEIメッセージと関連付けられたピクチャの1つまたは複数のサブピクチャ(subpicture)または関心領域(ROI:region-of-interest)の品質メトリクスを搬送することがある。サブピクチャまたはROIの数を示すシンタックス要素、サブピクチャまたはROIの位置を示すシンタックス要素、および/あるいはサブピクチャまたはROIのサイズを示すシンタックス要素は、また、SEIメッセージ中に指定されることもある。
【0120】
[0121] 重み付きPSNR(wPSNR:weighted PSNR)および球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR:weighted-to-spherically uniform PSNR)などの追加の品質メトリクスが、ハイダイナミックレンジ(HDR)および360ビデオコンテンツの品質を示すためにSEIメッセージに含まれることもある。
【0121】
[0122] 別の例示的なピクチャメトリクスSEIメッセージのフォーマットは、表6で提供される。
【0122】
【0123】
[0123] 上記のピクチャメトリクスSEIメッセージは、現在の復号されたピクチャの品質メトリクスを提供する。
【0124】
[0124] シンタックス要素pqm_cnt_minus1の値に1を加えた値が、SEIメッセージによって示されるルーマ成分品質メトリクスの数を指定する。
【0125】
[0125] シンタックス要素pqm_type[i]の値は、表7に指定されるように、復号されたピクチャまたはビデオシーケンスと関連付けられたi番目の品質メトリクスタイプを示す。
【0126】
【0127】
[0126] 品質メトリクスタイプPSNRsequenc、wPSNRsequence、およびWS-PSNRsequenceは、シーケンスにわたる複数のピクチャのPSNR、wPSNR、およびWS-PSNRをそれぞれ示す。
【0128】
[0127] シンタックス要素pqm_value[i]の値は、i番目の品質メトリクスの値を指定する。シンタックス要素pqm_typeの値が0であるときには、記憶される16ビットの符号のない整数pqm_valueは、次のようにPSNR値(dB)として解釈される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいPSNRは例外とする。
【0129】
【0130】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0131】
[0128] シンタックス要素pqm_typeの値が1であるときには、記憶される16ビットの符号のない整数pqm_valueは、次のようにwPSNR値(dB)として解釈される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいwPSNRは例外とする。
【0132】
【0133】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0134】
[0129] シンタックス要素pqm_typeの値が2であるときには、記憶される16ビットの符号のない整数pqm_valueは、次のようにWS-PSNR値(dB)として解釈される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいWS-PSNRは例外とする。
【0135】
【0136】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0137】
[0130] シンタックス要素pqm_typeの値が3であるときには、品質メトリクスは、関連付けられたピクチャが属するCLVSの平均ルーマPSNRを示す。16ビットの符号のない整数pqm_valueは、シーケンスレベルPSNR品質メトリクス(dB)の結果として解釈され、次のように導出される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいPSNRは例外とする。
【0138】
【0139】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0140】
[0131] シンタックス要素pqm_typeの値が4であるときには、品質メトリクスは、関連付けられたピクチャが属するCLVSの平均ルーマ重み付きPSNRを示す。16ビットの符号のない整数pqm_valueは、次のようにシーケンスレベルwPSNR値(dB)として解釈される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいwPSNRは例外とする。
【0141】
【0142】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0143】
[0132] シンタックス要素pqm_typeの値が5であるときには、品質メトリクスは、関連付けられたピクチャが属するCLVSの平均ルーマWS-PSNRを示す。16ビットの符号のない整数pqm_valueは、次のようにシーケンスレベルWS-PSNR値(dB)として解釈される(浮動小数点で表現される)。ただし、0に等しいpqm_valueの値に対する無限大に等しいWS-PSNRは例外とする。
【0144】
【0145】
ここで、Mは整数(たとえば100)である。
【0146】
[0133] 別の例では、複数のビデオフレームに適用される平均品質メトリクスを示すために、追加の品質メトリクスタイプがSEIメッセージに含まれることもある。SEIメッセージに指定される品質メトリクスが関連付けられたピクチャに適用され、出力順序での現在層のすべての後続のピクチャについて持続することを示すために、第1のシンタックス要素がSEIメッセージ中に指定されることもある。出力順序での任意の以前の品質メトリクスの持続性をキャンセルするために、第2のシンタックス要素がSEIメッセージ中に指定されることもある。
【0147】
[0134] 別の例では、シーケンスレベルPSNRなどの平均品質メトリクスがCLVSの任意のピクチャについて存在するときには、関連付けられたピクチャ品質SEIメッセージは、CLVSの最初のピクチャについて存在するものとする。同じCLVSに適用されるすべてのSEIメッセージの平均ピクチャメトリクスは、同じ内容を有するものとする。
【0148】
[0135]
図5は、品質メトリクス補足拡張情報メッセージをコーディングするための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図5は、本開示の符号化プロセスと復号プロセスの両方を示している。
図5に示されるように、符号化プロセスは、ビデオエンコーダ200を含むソースデバイス102によって実施され得る。復号プロセスは、ビデオデコーダ300を含む宛先デバイス116によって実施され得る。
【0149】
[0136] 本開示の1つの例では、ソースデバイス102は、ピクチャを受信するように構成されることがある(500)。ソースデバイス102は、(たとえばビデオエンコーダ200を用いて)ピクチャを符号化し、符号化されたビデオビットストリームを宛先デバイス116に送信するようにさらに構成されることがある。ソースデバイス102は、ピクチャの品質メトリクスを決定するようにさらに構成されることがある(502)。ソースデバイス102は、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージを符号化するようにさらに構成されることがあり、ここで、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す(504)。
【0150】
[0137] 本開示のさらに別の例では、ソースデバイス102は、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素(quality metric type syntax element)を符号化するようにさらに構成されることもあり、ここで、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す。1つの例では、複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR:peak signal-to-noise ratio)を含む。別の例では、複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM:structural similarity index)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM:multiscale structural similarity index)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む。上記の例では、品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す。
【0151】
[0138] 宛先デバイス116は、ピクチャを受信するように構成されることがある(510)。宛先デバイス116は、(たとえばビデオデコーダ300を用いて)ピクチャを復号するようにさらに構成されることがある。宛先デバイス116は、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージも復号することがあり、ここで、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す(512)。宛先デバイス116は、処理されたピクチャを形成するために、品質メトリクスの値に従って後処理技法をピクチャに適用して(514)、処理されたピクチャを表示する(516)ようにさらに構成されることがある。
【0152】
[0139] 本開示のさらに別の例では、宛先デバイス116は、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素を復号するようにさらに構成されることがあり、ここで、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す。1つの例では、複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む。別の例では、複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む。上記の例では、品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す。
【0153】
[0140] 本開示の1つの例では、品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスSEIメッセージを備える。別の例では、品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える。
【0154】
[0141] 本開示の他の例では、ソースデバイス102および/または宛先デバイス116は、第2の品質メトリクスシンタックス要素(second quality metric syntax element)を含む第2の品質メトリクスメッセージ(second quality metrics message)をコーディングするように構成されることもあり、ここで、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャまたは関心領域に関係する第2の品質メトリクス(second quality metric)の第2の値(second value)を示す。
【0155】
[0142] 説明のために、上記の技法は、VVC(開発中のITU-T H.266)およびHEVC(ITU-T H.265)の文脈で説明されている。しかし、本開示の技法は、AV1、AV1の将来のバージョン、およびAV1ビデオコーディングフォーマットの後継など、他のビデオコーディング規格およびビデオコーディングフォーマットに合わせて構成されたビデオ符号化デバイスによって実施され得る。たとえば、メッセージは、SEIメッセージとは対照的に、本開示において説明されるメタデータのうちの少なくとも一部を含むオープンビットストリームユニット(OBU)などのパケット化されたデータであることもある。1つの例として、ピクチャ向きOBUがキャンセルフラグ(cancel flag)、持続性フラグ(persistence flag)、成分ピクチャ一致フラグ、または変換タイプシンタックス要素のうちの1つまたは複数を含むように、ピクチャ向きSEIメッセージ内に含まれる上記で説明されたシンタックスの一部またはすべてがピクチャ向きOBUに含まれ得る。別の例として、ピクチャ品質メトリクスOBUがピクチャの品質メトリクスを示す1つまたは複数のシンタックス要素を含むように、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージ内に含まれる上記で説明されたシンタックスの一部またはすべてがピクチャ品質メトリクスOBUに含まれ得る。
【0156】
[0143]
図6は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオエンコーダ200を示すブロック図である。
図6は、説明の目的で提供されており、本開示において広く例示され、説明される技法を限定するものと見なされるべきではない。説明のために、本開示では、VVC(開発中のITU-T H.266)およびHEVC(ITU-T H.265)の技法に従ってビデオエンコーダ200について説明する。しかし、本開示の技法は、AV1およびAV1ビデオコーディングフォーマットの後継など、他のビデオコーディング規格およびビデオコーディングフォーマットに合わせて構成されたビデオ符号化デバイスによって実施され得る。
【0157】
[0144]
図6の例では、ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230と、モード選択ユニット202と、残差生成ユニット204と、変換処理ユニット206と、量子化ユニット208と、逆量子化ユニット210と、逆変換処理ユニット212と、再構築ユニット214と、フィルタユニット216と、復号ピクチャバッファ(DPB)218と、エントロピー符号化ユニット220とを含む。ビデオデータメモリ230、モード選択ユニット202、残差生成ユニット204、変換処理ユニット206、量子化ユニット208、逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、フィルタユニット216、DPB218、およびエントロピー符号化ユニット220のうちのいずれかまたはすべては、1つまたは複数のプロセッサまたは処理回路において実装され得る。たとえば、ビデオエンコーダ200のユニットは、1つまたは複数の回路または論理要素として、ハードウェア回路の一部として、あるいはプロセッサ、ASIC、またはFPGAの一部として実装され得る。その上、ビデオエンコーダ200は、これらおよび他の機能を実施するための追加または代替のプロセッサまたは処理回路を含み得る。
【0158】
[0145] ビデオデータメモリ230は、ビデオエンコーダ200の構成要素によって符号化されるべきビデオデータを記憶し得る。ビデオエンコーダ200は、たとえば、ビデオソース104(
図1)から、ビデオデータメモリ230に記憶されるビデオデータを受信し得る。DPB218は、ビデオエンコーダ200による後続のビデオデータの予測において使用するための参照ビデオデータを記憶する参照ピクチャメモリとして働き得る。ビデオデータメモリ230とDPB218とは、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)(SDRAM)を含むDRAM、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗性RAM(RRAM(登録商標))、または他のタイプのメモリデバイスなど、様々なメモリデバイスのいずれかによって形成され得る。ビデオデータメモリ230とDPB218とは、同じメモリデバイスまたは別個のメモリデバイスによって提供され得る。様々な例では、ビデオデータメモリ230は、図示のように、ビデオエンコーダ200の他の構成要素とともにオンチップであるか、またはそれらの構成要素に対してオフチップであり得る。
【0159】
[0146] 本開示では、ビデオデータメモリ230への言及は、特にそのように説明されない限り、ビデオエンコーダ200の内部のメモリに限定されるものとして解釈されるべきではなく、または特にそのように説明されない限り、ビデオエンコーダ200の外部のメモリに限定されるものとして解釈されるべきではない。そうではなく、ビデオデータメモリ230への言及は、ビデオエンコーダ200が符号化のために受信するビデオデータ(たとえば、符号化されるべきである現在ブロックのためのビデオデータ)を記憶する参照メモリとして理解されるべきである。
図1のメモリ106はまた、ビデオエンコーダ200の様々なユニットからの出力の一時的記憶を提供し得る。
【0160】
[0147]
図6の様々なユニットは、ビデオエンコーダ200によって実施される動作を理解するのを支援するために示されている。ユニットは、固定機能回路、プログラマブル回路、またはそれらの組合せとして実装され得る。固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実施され得る動作に関してプリセットされる。プログラマブル回路は、様々なタスクを実施するように、および実施され得る動作においてフレキシブルな機能を提供するようにプログラムされ得る回路を指す。たとえば、プログラマブル回路は、ソフトウェアまたはファームウェアの命令によって定義された様式でプログラマブル回路を動作させるソフトウェアまたはファームウェアを実行し得る。固定機能回路は、(たとえば、パラメータを受信するかまたはパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実施する動作のタイプは、概して不変である。いくつかの例では、ユニットのうちの1つまたは複数は、別個の回路ブロック(固定機能またはプログラマブル)であり得、いくつかの例では、ユニットのうちの1つまたは複数は、集積回路であり得る。
【0161】
[0148] ビデオエンコーダ200は、算術論理ユニット(ALU)、基本機能ユニット(EFU)、デジタル回路、アナログ回路、および/またはプログラマブル回路から形成されるプログラマブルコアを含み得る。ビデオエンコーダ200の動作が、プログラマブル回路によって実行されるソフトウェアを使用して実施される例では、メモリ106(
図1)は、ビデオエンコーダ200が受信し、実行するソフトウェアの命令(たとえば、オブジェクトコード)を記憶し得るか、またはビデオエンコーダ200内の別のメモリ(図示せず)が、そのような命令を記憶し得る。
【0162】
[0149] ビデオデータメモリ230は、受信されたビデオデータを記憶するように構成される。ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230からビデオデータのピクチャを取り出し、ビデオデータを残差生成ユニット204とモード選択ユニット202とに提供し得る。ビデオデータメモリ230中のビデオデータは、符号化されるべきである生のビデオデータであり得る。
【0163】
[0150] モード選択ユニット202は、動き推定ユニット222と、動き補償ユニット224と、イントラ予測ユニット226とを含む。モード選択ユニット202は、他の予測モードに従ってビデオ予測を実施するための追加の機能ユニットを含み得る。例として、モード選択ユニット202は、パレットユニット、(動き推定ユニット222および/または動き補償ユニット224の一部であり得る)イントラブロックコピーユニット、アフィンユニット、線形モデル(LM)ユニットなどを含み得る。
【0164】
[0151] モード選択ユニット202は、概して、符号化パラメータの組合せと、そのような組合せについての得られたレートひずみ値とをテストするために、複数の符号化パスを協調させる。符号化パラメータは、CUへのCTUの区分、CUのための予測モード、CUの残差データのための変換タイプ、CUの残差データのための量子化パラメータなどを含み得る。モード選択ユニット202は、他のテストされた組合せよりも良好であるレートひずみ値を有する符号化パラメータの組合せを最終的に選択し得る。
【0165】
[0152] ビデオエンコーダ200は、ビデオデータメモリ230から取り出されたピクチャを一連のCTUに区分し、スライス内の1つまたは複数のCTUをカプセル化し得る。モード選択ユニット202は、上記で説明されたMTT構造、QTBT構造、スーパーブロック構造またはクワッドツリー構造など、ツリー構造に従ってピクチャのCTUを区分し得る。上記で説明されたように、ビデオエンコーダ200は、ツリー構造に従ってCTUを区分することから1つまたは複数のCUを形成し得る。そのようなCUは、概して「ビデオブロック」または「ブロック」と呼ばれることもある。
【0166】
[0153] 概して、モード選択ユニット202はまた、現在ブロック(たとえば、現在CU、またはHEVCでは、PUとTUとの重複する部分)についての予測ブロックを生成するように、それの構成要素(たとえば、動き推定ユニット222、動き補償ユニット224、およびイントラ予測ユニット226)を制御する。現在ブロックのインター予測のために、動き推定ユニット222は、1つまたは複数の参照ピクチャ(たとえば、DPB218に記憶された1つまたは複数の前にコーディングされたピクチャ)中で1つまたは複数のぴったり一致する参照ブロックを識別するために動き探索を実施し得る。特に、動き推定ユニット222は、たとえば、絶対差分和(SAD)、2乗差分和(SSD)、平均絶対差(MAD)、平均2乗差(MSD)などに従って、現在ブロックに対して潜在的参照ブロックがどのくらい類似しているかを表す値を計算し得る。動き推定ユニット222は、概して、現在ブロックと考慮されている参照ブロックとの間のサンプルごとの差分を使用してこれらの計算を実施し得る。動き推定ユニット222は、現在ブロックに最もぴったり一致する参照ブロックを示す、これらの計算から得られた最も低い値を有する参照ブロックを識別し得る。
【0167】
[0154] 動き推定ユニット222は、現在ピクチャ中の現在ブロックの位置に対して参照ピクチャ中の参照ブロックの位置を定義する1つまたは複数の動きベクトル(MV)を形成し得る。動き推定ユニット222は、次いで、動きベクトルを動き補償ユニット224に提供し得る。たとえば、単方向インター予測では、動き推定ユニット222は、単一の動きベクトルを提供し得るが、双方向インター予測では、動き推定ユニット222は、2つの動きベクトルを提供し得る。動き補償ユニット224は、次いで、動きベクトルを使用して予測ブロックを生成し得る。たとえば、動き補償ユニット224は、動きベクトルを使用して参照ブロックのデータを取り出し得る。別の例として、動きベクトルが部分サンプル精度を有する場合、動き補償ユニット224は、1つまたは複数の補間フィルタに従って予測ブロックについての値を補間し得る。その上、双方向インター予測では、動き補償ユニット224は、それぞれの動きベクトルによって識別された2つの参照ブロックについてデータを取り出し、たとえば、サンプルごとの平均化または重み付き平均化を通して、取り出されたデータを組み合わせ得る。
【0168】
[0155] AV1ビデオコーディングフォーマットに従って動作するときには、動き推定ユニット222および動き補償ユニット224は、並進動き補償、アフィン動き補償、オーバラップブロック動き補償(OBMC)、および/またはコンパウンドインター/イントラ予測を用いてビデオデータのコーディングブロック(たとえばルーマコーディングブロックとクロマコーディングブロックの両方)を符号化するように構成されることがある。
【0169】
[0156] 別の例として、イントラ予測、またはイントラ予測コーディングのために、イントラ予測ユニット226は、現在ブロックに隣接しているサンプルから予測ブロックを生成し得る。たとえば、方向性モードでは、イントラ予測ユニット226は、概して、予測ブロックを作り出すために、隣接サンプルの値を数学的に組み合わせ、現在ブロックにわたって定義された方向にこれらの計算された値をポピュレートし得る。別の例として、DCモードでは、イントラ予測ユニット226は、現在ブロックに対する隣接サンプルの平均を計算し、予測ブロックの各サンプルについてこの得られた平均を含むように予測ブロックを生成し得る。
【0170】
[0157] AV1ビデオコーディングフォーマットに従って動作するときには、イントラ予測ユニット226は、方向性イントラ予測、非方向性イントラ予測、再帰型フィルタイントラ予測、クロマフロムルーマ(CFL:chroma-from-luma)予測、イントラブロックコピー(IBC)、および/またはカラーパレットモードを用いてビデオデータのコーディングブロック(たとえばルーマコーディングブロックとクロマコーディングブロックの両方)を符号化するように構成されることがある。モード選択ユニット202は、他の予測モードに従ってビデオ予測を実施するための追加の機能ユニットを含み得る。
【0171】
[0158] モード選択ユニット202は、予測ブロックを残差生成ユニット204に提供する。残差生成ユニット204は、ビデオデータメモリ230から現在ブロックの生の符号化されていないバージョンを受信し、モード選択ユニット202から予測ブロックを受信する。残差生成ユニット204は、現在ブロックと予測ブロックとの間のサンプルごとの差分を計算する。得られたサンプルごとの差分は、現在ブロックについての残差ブロックを定義する。いくつかの例では、残差生成ユニット204はまた、残差差分パルスコード変調(RDPCM)を使用して残差ブロックを生成するために、残差ブロック中のサンプル値間の差分を決定し得る。いくつかの例では、残差生成ユニット204は、バイナリ減算を実施する1つまたは複数の減算器回路を使用して形成され得る。
【0172】
[0159] モード選択ユニット202がCUをPUに区分する例では、各PUは、ルーマ予測ユニットと、対応するクロマ予測ユニットとに関連付けられ得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、様々なサイズを有するPUをサポートし得る。上記で示されたように、CUのサイズは、CUのルーマコーディングブロックのサイズを指し得、PUのサイズは、PUのルーマ予測ユニットのサイズを指し得る。特定のCUのサイズが2N×2Nであると仮定すると、ビデオエンコーダ200は、イントラ予測のための2N×2NまたはN×NのPUサイズと、インター予測のための2N×2N、2N×N、N×2N、N×N、または同様のものの対称PUサイズとをサポートし得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300はまた、インター予測のための2N×nU、2N×nD、nL×2N、およびnR×2NのPUサイズに対して非対称区分をサポートし得る。
【0173】
[0160] モード選択ユニット202がCUをPUにさらに区分しない例では、各CUは、ルーマコーディングブロックと、対応するクロマコーディングブロックとに関連付けられ得る。上記のように、CUのサイズは、CUのルーマコーディングブロックのサイズを指し得る。ビデオエンコーダ200およびビデオデコーダ300は、2N×2N、2N×N、またはN×2NのCUサイズをサポートし得る。
【0174】
[0161] いくつかの例として、イントラブロックコピーモードコーディング、アフィンモードコーディング、および線形モデル(LM)モードコーディングなどの他のビデオコーディング技法では、モード選択ユニット202は、コーディング技法に関連付けられたそれぞれのユニットを介して、符号化されている現在ブロックについての予測ブロックを生成する。パレットモードコーディングなど、いくつかの例では、モード選択ユニット202は、予測ブロックを生成せず、代わりに、選択されたパレットに基づいてブロックを再構築すべき様式を示すシンタックス要素を生成し得る。そのようなモードでは、モード選択ユニット202は、符号化されるべきこれらのシンタックス要素をエントロピー符号化ユニット220に提供し得る。
【0175】
[0162] 上記で説明されたように、残差生成ユニット204は、現在ブロックのためのビデオデータと、対応する予測ブロックとを受信する。残差生成ユニット204は、次いで、現在ブロックについての残差ブロックを生成する。残差ブロックを生成するために、残差生成ユニット204は、予測ブロックと現在ブロックとの間のサンプルごとの差分を計算する。
【0176】
[0163] 変換処理ユニット206は、(本明細書では「変換係数ブロック」と呼ばれる)変換係数のブロックを生成するために、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用する。変換処理ユニット206は、変換係数ブロックを形成するために、残差ブロックに様々な変換を適用し得る。たとえば、変換処理ユニット206は、離散コサイン変換(DCT)、方向性変換、カルーネンレーベ変換(KLT)、または概念的に同様の変換を残差ブロックに適用し得る。いくつかの例では、変換処理ユニット206は、残差ブロックに複数の変換、たとえば、回転変換など、1次変換および2次変換を実施し得る。いくつかの例では、変換処理ユニット206は、残差ブロックに変換を適用しない。
【0177】
[0164] AV1に従って動作するときには、変換処理ユニット206は、(本明細書では「変換係数ブロック」と呼ばれる)変換係数のブロックを生成するために、残差ブロックに1つまたは複数の変換を適用することがある。変換処理ユニット206は、変換係数ブロックを形成するために、残差ブロックに様々な変換を適用し得る。たとえば、変換処理ユニット206は、離散コサイン変換(DCT)、非対称離散サイン変換(ADST)、フリップ型ADST(たとえば逆順序のADST)、および恒等変換(IDTX)を含み得る水平/垂直変換の組合せを適用することがある。恒等変換を用いるときには、変換は、垂直方向または水平方向のうちの一方でスキップされる。いくつかの例では、変換処理はスキップされ得る。
【0178】
[0165] 量子化ユニット208は、量子化された変換係数ブロックを作り出すために、変換係数ブロック中の変換係数を量子化し得る。量子化ユニット208は、現在ブロックに関連付けられた量子化パラメータ(QP)値に従って変換係数ブロックの変換係数を量子化し得る。ビデオエンコーダ200は(たとえば、モード選択ユニット202を介して)、CUに関連付けられたQP値を調整することによって、現在ブロックに関連付けられた変換係数ブロックに適用される量子化の程度を調整し得る。量子化は、情報の損失をもたらし得、したがって、量子化された変換係数は、変換処理ユニット206によって作り出された元の変換係数よりも低い精度を有し得る。
【0179】
[0166] 逆量子化ユニット210および逆変換処理ユニット212は、変換係数ブロックから残差ブロックを再構築するために、それぞれ、量子化された変換係数ブロックに逆量子化および逆変換を適用し得る。再構築ユニット214は、再構築された残差ブロックと、モード選択ユニット202によって生成された予測ブロックとに基づいて、(潜在的にある程度のひずみを伴うが)現在ブロックに対応する再構築されたブロックを作り出し得る。たとえば、再構築ユニット214は、再構築されたブロックを作り出すために、モード選択ユニット202によって生成された予測ブロックからの対応するサンプルに、再構築された残差ブロックのサンプルを加算し得る。
【0180】
[0167] フィルタユニット216は、再構築されたブロックに対して1つまたは複数のフィルタ動作を実施し得る。たとえば、フィルタユニット216は、CUのエッジに沿ってブロッキネスアーティファクトを低減するためのデブロッキング動作を実施し得る。フィルタユニット216の動作は、いくつかの例では、スキップされ得る。
【0181】
[0168] AV1に従って動作するときには、フィルタユニット216は、再構築されたブロックに対して1つまたは複数のフィルタ動作を実施することがある。たとえば、フィルタユニット216は、CUのエッジに沿ってブロッキネスアーティファクトを低減するためにデブロッキング動作を実施することがある。他の例では、フィルタユニット216は、デブロッキングの後で適用されることがある条件付き方向性強調フィルタ(CDEF)を適用することがあり、推定されたエッジ方向に基づく非分離可能な非線形の低域方向性フィルタの適用を含むことがある。フィルタユニット216は、また、CDEFの後で適用されるループ復元フィルタ(loop restoration filter)を含むこともあり、分離可能な対称正規化ウィーナフィルタ(separable symmetric normalized Wiener filter)またはデュアル自己誘導フィルタ(dual self-guided filter)を含むこともある。
【0182】
[0169] ビデオエンコーダ200は、再構築されたブロックをDPB218に記憶する。たとえば、フィルタユニット216の動作が実施されない例では、再構築ユニット214は、再構築されたブロックをDPB218に記憶し得る。フィルタユニット216の動作が実施される例では、フィルタユニット216は、フィルタ処理された再構築されたブロックをDPB218に記憶し得る。動き推定ユニット222および動き補償ユニット224は、後で符号化されるピクチャのブロックをインター予測するために、再構築(および潜在的にフィルタ処理)されたブロックから形成された参照ピクチャをDPB218から取り出し得る。さらに、イントラ予測ユニット226は、現在ピクチャ中の他のブロックをイントラ予測するために、現在ピクチャのDPB218中の再構築されたブロックを使用し得る。
【0183】
[0170] 概して、エントロピー符号化ユニット220は、ビデオエンコーダ200の他の機能構成要素から受信されたシンタックス要素をエントロピー符号化し得る。たとえば、エントロピー符号化ユニット220は、量子化ユニット208からの量子化された変換係数ブロックをエントロピー符号化し得る。別の例として、エントロピー符号化ユニット220は、モード選択ユニット202からの予測シンタックス要素(たとえば、インター予測のための動き情報、またはイントラ予測のためのイントラモード情報)をエントロピー符号化し得る。エントロピー符号化ユニット220は、エントロピー符号化されたデータを生成するために、ビデオデータの別の例であるシンタックス要素に対して1つまたは複数のエントロピー符号化動作を実施し得る。たとえば、エントロピー符号化ユニット220は、コンテキスト適応型可変長コーディング(CAVLC)動作、CABAC動作、可変対可変(V2V)長コーディング動作、シンタックスベースコンテキスト適応型バイナリ算術コーディング(SBAC)動作、確率間隔区分エントロピー(PIPE)コーディング動作、指数ゴロム符号化動作、または別のタイプのエントロピー符号化動作をデータに対して実施し得る。いくつかの例では、エントロピー符号化ユニット220は、シンタックス要素がエントロピー符号化されないバイパスモードで動作し得る。
【0184】
[0171] ビデオエンコーダ200は、スライスまたはピクチャのブロックを再構築するために必要とされるエントロピー符号化されたシンタックス要素を含むビットストリームを出力し得る。特に、エントロピー符号化ユニット220は、ビットストリームを出力し得る。
【0185】
[0172] AV1によれば、エントロピー符号化ユニット220は、シンボル間適応マルチシンボル算術コーダ(symbol-to-symbol adaptive multi-symbol arithmetic coder)として構成されることがある。AV1のシンタックス要素は、N個の要素のアルファベットを含み、コンテキスト(たとえば確率モデル)は、N個の確率のセットを含む。エントロピー符号化ユニット220は、これらの確率をnビット(たとえば15ビット)の累積分布関数(CDF)として記憶することがある。エントロピー符号化ユニット22は、コンテキストを更新するために、アルファベットサイズに基づく更新ファクタを用いた再帰的スケーリングを実施することもある。
【0186】
[0173] 上記で説明された動作は、ブロックに関して説明されている。そのような説明は、ルーマコーディングブロックおよび/またはクロマコーディングブロックのための動作であるものとして理解されたい。上記で説明されたように、いくつかの例では、ルーマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックは、CUのルーマ成分およびクロマ成分である。いくつかの例では、ルーマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックは、PUのルーマ成分およびクロマ成分である。
【0187】
[0174] いくつかの例では、ルーマコーディングブロックに関して実施される動作は、クロマコーディングブロックのために繰り返される必要はない。一例として、ルーマコーディングブロックのための動きベクトル(MV)と参照ピクチャとを識別するための動作は、クロマブロックのためのMVと参照ピクチャとを識別するために繰り返される必要はない。むしろ、ルーマコーディングブロックのためのMVは、クロマブロックのためのMVを決定するためにスケーリングされ得、参照ピクチャは同じであり得る。別の例として、イントラ予測プロセスは、ルーマコーディングブロックとクロマコーディングブロックとについて同じであり得る。
【0188】
[0175] 上記で説明されたSEI技法によれば、ビデオエンコーダ200は、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、ピクチャを受信し、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージを符号化するように構成された1つまたは複数の処理ユニットとを含む、ビデオデータを符号化するように構成されたデバイスの一例を表し、ここで、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す。ビデオエンコーダ200は、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージを符号化するようにさらに構成されることもあり、ここで、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す。
【0189】
[0176]
図7は、本開示の技法を実施し得る例示的なビデオデコーダ300を示すブロック図である。
図7は、説明の目的で提供されており、本開示において広く例示され、説明される技法を限定するものではない。説明の目的で、本開示は、VVC(開発中のITU-T H.266)、およびHEVC(ITU-T H.265)の技法に従って、ビデオデコーダ300について説明する。しかしながら、本開示の技法は、他のビデオコーディング規格に構成されたビデオコーディングデバイスによって実施され得る。
【0190】
[0177]
図7の例では、ビデオデコーダ300は、コード化ピクチャバッファ(CPB)メモリ320と、エントロピー復号ユニット302と、予測処理ユニット304と、逆量子化ユニット306と、逆変換処理ユニット308と、再構築ユニット310と、フィルタユニット312と、復号ピクチャバッファ(DPB)314とを含む。CPBメモリ320と、エントロピー復号ユニット302と、予測処理ユニット304と、逆量子化ユニット306と、逆変換処理ユニット308と、再構築ユニット310と、フィルタユニット312と、DPB314とのいずれかまたはすべては、1つまたは複数のプロセッサにおいてまたは処理回路において実装され得る。たとえば、ビデオデコーダ300のユニットは、1つまたは複数の回路または論理要素として、ハードウェア回路の一部として、あるいはプロセッサ、ASIC、またはFPGAの一部として実装され得る。その上、ビデオデコーダ300は、これらおよび他の機能を実施するための追加または代替のプロセッサまたは処理回路を含み得る。
【0191】
[0178] 予測処理ユニット304は、動き補償ユニット316と、イントラ予測ユニット318とを含む。予測処理ユニット304は、他の予測モードに従って予測を実施するための追加のユニットを含み得る。例として、予測処理ユニット304は、パレットユニット、(動き補償ユニット316の一部を形成し得る)イントラブロックコピーユニット、アフィンユニット、線形モデル(LM)ユニットなどを含み得る。他の例では、ビデオデコーダ300は、より多数の、より少数の、または異なる機能構成要素を含み得る。
【0192】
[0179] AV1に従って動作するときには、補償ユニット316は、上記で説明されたように、並進動き補償、アフィン動き補償、OBMC、および/またはコンパウンドインター/イントラ予測を用いてビデオデータのコーディングブロック(たとえばルーマコーディングブロックとクロマコーディングブロックの両方)を復号するように構成されることがある。イントラ予測ユニット318は、上記で説明されたように、方向性イントラ予測、非方向性イントラ予測、再帰型フィルタイントラ予測、CFL、イントラブロックコピー(IBC)、および/またはカラーパレットモードを用いてビデオデータのコーディングブロック(たとえばルーマコーディングブロックとクロマコーディングブロックの両方)を復号するように構成されることがある。
【0193】
[0180] CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の構成要素によって復号されるべき、符号化されたビデオビットストリームなどのビデオデータを記憶し得る。CPBメモリ320に記憶されるビデオデータは、たとえば、コンピュータ可読媒体110(
図1)から取得され得る。CPBメモリ320は、符号化されたビデオビットストリームからの符号化されたビデオデータ(たとえば、シンタックス要素)を記憶するCPBを含み得る。また、CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の様々なユニットからの出力を表す一時データなど、コーディングされたピクチャのシンタックス要素以外のビデオデータを記憶し得る。DPB314は、概して、符号化されたビデオビットストリームの後続のデータまたはピクチャを復号するときにビデオデコーダ300が参照ビデオデータとして出力および/または使用し得る、復号されたピクチャを記憶する。CPBメモリ320およびDPB314は、SDRAMを含むDRAM、MRAM、RRAM、または他のタイプのメモリデバイスなど、様々なメモリデバイスのいずれかによって形成され得る。CPBメモリ320およびDPB314は、同じメモリデバイスまたは別個のメモリデバイスによって提供され得る。様々な例では、CPBメモリ320は、ビデオデコーダ300の他の構成要素とともにオンチップであるか、またはそれらの構成要素に対してオフチップであり得る。
【0194】
[0181] 追加または代替として、いくつかの例では、ビデオデコーダ300は、メモリ120(
図1)からコーディングされたビデオデータを取り出し得る。すなわち、メモリ120は、CPBメモリ320とともに上記で説明されたようにデータを記憶し得る。同様に、メモリ120は、ビデオデコーダ300の機能の一部または全部が、ビデオデコーダ300の処理回路によって実行されるべきソフトウェアにおいて実装されたとき、ビデオデコーダ300によって実行されるべき命令を記憶し得る。
【0195】
[0182]
図7に示されている様々なユニットは、ビデオデコーダ300によって実施される動作を理解するのを支援するために示されている。ユニットは、固定機能回路、プログラマブル回路、またはそれらの組合せとして実装され得る。
図6と同様に、固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実施され得る動作に関してプリセットされる。プログラマブル回路は、様々なタスクを実施するように、および実施され得る動作においてフレキシブルな機能を提供するようにプログラムされ得る回路を指す。たとえば、プログラマブル回路は、ソフトウェアまたはファームウェアの命令によって定義された様式でプログラマブル回路を動作させるソフトウェアまたはファームウェアを実行し得る。固定機能回路は、(たとえば、パラメータを受信するかまたはパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実施する動作のタイプは、概して不変である。いくつかの例では、ユニットのうちの1つまたは複数は、別個の回路ブロック(固定機能またはプログラマブル)であり得、いくつかの例では、ユニットのうちの1つまたは複数は、集積回路であり得る。
【0196】
[0183] ビデオデコーダ300は、ALU、EFU、デジタル回路、アナログ回路、および/またはプログラマブル回路から形成されるプログラマブルコアを含み得る。ビデオデコーダ300の動作が、プログラマブル回路上で実行するソフトウェアによって実施される例では、オンチップまたはオフチップメモリは、ビデオデコーダ300が受信し、実行するソフトウェアの命令(たとえば、オブジェクトコード)を記憶し得る。
【0197】
[0184] エントロピー復号ユニット302は、CPBから、符号化されたビデオデータを受信し、シンタックス要素を再生するためにビデオデータをエントロピー復号し得る。予測処理ユニット304、逆量子化ユニット306、逆変換処理ユニット308、再構築ユニット310、およびフィルタユニット312は、ビットストリームから抽出されたシンタックス要素に基づいて、復号されたビデオデータを生成し得る。
【0198】
[0185] 概して、ビデオデコーダ300は、ブロックごとにピクチャを再構築する。ビデオデコーダ300は、各ブロックに対して個々に再構築動作を実施し得る(ここで、現在再構築されている、すなわち、復号されているブロックは、「現在ブロック」と呼ばれることがある)。
【0199】
[0186] エントロピー復号ユニット302は、量子化された変換係数ブロックの量子化された変換係数を定義するシンタックス要素、ならびに量子化パラメータ(QP)および/または(1つまたは複数の)変換モード指示などの変換情報をエントロピー復号し得る。逆量子化ユニット306は、量子化の程度と、同様に、逆量子化ユニット306が適用すべき逆量子化の程度とを決定するために、量子化された変換係数ブロックに関連付けられたQPを使用し得る。逆量子化ユニット306は、量子化された変換係数を逆量子化するために、たとえば、ビット単位左シフト動作を実施し得る。逆量子化ユニット306は、それにより、変換係数を含む変換係数ブロックを形成し得る。
【0200】
[0187] 逆量子化ユニット306が変換係数ブロックを形成した後に、逆変換処理ユニット308は、現在ブロックに関連付けられた残差ブロックを生成するために、変換係数ブロックに1つまたは複数の逆変換を適用し得る。たとえば、逆変換処理ユニット308は、逆DCT、逆整数変換、逆カルーネンレーベ変換(KLT)、逆回転変換、逆方向変換、または別の逆変換を変換係数ブロックに適用し得る。
【0201】
[0188] さらに、予測処理ユニット304は、エントロピー復号ユニット302によってエントロピー復号された予測情報シンタックス要素に従って予測ブロックを生成する。たとえば、予測情報シンタックス要素が、現在ブロックがインター予測されることを示す場合、動き補償ユニット316は予測ブロックを生成し得る。この場合、予測情報シンタックス要素は、参照ブロックをそれから取り出すべきDPB314中の参照ピクチャ、ならびに現在ピクチャ中の現在ブロックのロケーションに対する参照ピクチャ中の参照ブロックのロケーションを識別する動きベクトルを示し得る。動き補償ユニット316は、概して、動き補償ユニット224(
図6)に関して説明されたものと実質的に同様である様式で、インター予測プロセスを実施し得る。
【0202】
[0189] 別の例として、予測情報シンタックス要素が、現在ブロックがイントラ予測されることを示す場合、イントラ予測ユニット318は、予測情報シンタックス要素によって示されるイントラ予測モードに従って予測ブロックを生成し得る。この場合も、イントラ予測ユニット318は、概して、イントラ予測ユニット226(
図6)に関して説明されたものと実質的に同様である様式で、イントラ予測プロセスを実施し得る。イントラ予測ユニット318は、DPB314から、現在ブロックに対する隣接サンプルのデータを取り出し得る。
【0203】
[0190] 再構築ユニット310は、予測ブロックと残差ブロックとを使用して現在ブロックを再構築し得る。たとえば、再構築ユニット310は、現在ブロックを再構築するために、予測ブロックの対応するサンプルに残差ブロックのサンプルを加算し得る。
【0204】
[0191] フィルタユニット312は、再構築されたブロックに対して1つまたは複数のフィルタ動作を実施し得る。たとえば、フィルタユニット312は、再構築されたブロックのエッジに沿ってブロッキネスアーティファクトを低減するためのデブロッキング動作を実施し得る。フィルタユニット312の動作は、必ずしもすべての例において実施されるとは限らない。
【0205】
[0192] ビデオデコーダ300は、再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。たとえば、フィルタユニット312の動作が実施されない例では、再構築ユニット310は、再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。フィルタユニット312の動作が実施される例では、フィルタユニット312は、フィルタ処理された再構築されたブロックをDPB314に記憶し得る。上記で説明されたように、DPB314は、イントラ予測のための現在ピクチャのサンプル、および後続の動き補償のための前に復号されたピクチャなど、参照情報を、予測処理ユニット304に提供し得る。その上、ビデオデコーダ300は、DPB314からの復号されたピクチャ(たとえば、復号されたビデオ)を、
図1のディスプレイデバイス118などのディスプレイデバイス上での後続の提示のために、出力し得る。
【0206】
[0193] 上記で説明されたSEI技法によれば、ビデオデコーダ300は、ビデオデータを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、ピクチャを受信し、変換タイプシンタックス要素を含むピクチャ向きメッセージを復号するように構成された1つまたは複数の処理ユニットとを含む、ビデオデータを復号するように構成されたデバイスの一例を表し、ここで、変換タイプシンタックス要素は、複数の変換のうち、ピクチャに適用されることになる変換を示す。ビデオデコーダ300は、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージを復号するようにさらに構成されることもあり、ここで、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す。
【0207】
[0194]
図8は、本開示の技法による、現在ブロックを符号化するための例示的な方法を示すフローチャートである。現在ブロックは現在CUを備え得る。ビデオエンコーダ200(
図1および
図6)に関して説明されるが、他のデバイスが
図8の方法と同様の方法を実施するように構成され得ることを理解されたい。
【0208】
[0195] この例では、ビデオエンコーダ200は、最初に、現在ブロックを予測する(350)。たとえば、ビデオエンコーダ200は、現在ブロックのための予測ブロックを形成し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、現在ブロックのための残差ブロックを計算し得る(352)。残差ブロックを計算するために、ビデオエンコーダ200は、元の符号化されていないブロックと、現在ブロックのための予測ブロックとの間の差分を計算し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、残差ブロックを変換し、残差ブロックの変換係数を量子化し得る(354)。次に、ビデオエンコーダ200は、残差ブロックの量子化された変換係数を走査し得る(356)。走査中に、または走査に続いて、ビデオエンコーダ200は、変換係数をエントロピー符号化し得る(358)。たとえば、ビデオエンコーダ200は、CAVLCまたはCABACを使用して変換係数を符号化し得る。ビデオエンコーダ200は、次いで、ブロックのエントロピー符号化されたデータを出力し得る(360)。
【0209】
[0196]
図9は、本開示の技法による、ビデオデータの現在ブロックを復号するための例示的な方法を示すフローチャートである。現在ブロックは現在CUを備え得る。ビデオデコーダ300(
図1および
図7)に関して説明されるが、他のデバイスが
図9の方法と同様の方法を実施するように構成され得ることを理解されたい。
【0210】
[0197] ビデオデコーダ300は、エントロピー符号化された予測情報、および現在ブロックに対応する残差ブロックの変換係数についてのエントロピー符号化されたデータなど、現在ブロックについてのエントロピー符号化されたデータを受信し得る(370)。ビデオデコーダ300は、現在ブロックのための予測情報を決定するために、および残差ブロックの変換係数を再生するために、エントロピー符号化されたデータをエントロピー復号し得る(372)。ビデオデコーダ300は、現在ブロックのための予測ブロックを計算するために、たとえば、現在ブロックのための予測情報によって示されるイントラ予測またはインター予測モードを使用して、現在ブロックを予測し得る(374)。ビデオデコーダ300は、次いで、量子化された変換係数のブロックを作成するために、再生された変換係数を逆走査し得る(376)。ビデオデコーダ300は、次いで、残差ブロックを作り出すために、変換係数を逆量子化し、変換係数に逆変換を適用し得る(378)。ビデオデコーダ300は、予測ブロックと残差ブロックとを組み合わせることによって、最終的に現在ブロックを復号し得る(380)。
【0211】
[0198] 以下に、本開示の技法およびデバイスの他の例示的な態様について説明する。
【0212】
[0199] 態様1A-ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、キャンセルフラグ、持続性フラグ、成分ピクチャ一致フラグ、または変換タイプシンタックス要素のうちの1つまたは複数を含むピクチャ向き補足拡張情報(SEI)メッセージをコーディングすることと、ここにおいて、変換タイプシンタックス要素は、ピクチャに適用される回転またはミラーリングのうちの1つまたは複数を示す、を備える方法。
【0213】
[0200] 態様2A-コーディングすることは、復号することを備え、方法は、ピクチャ向きSEIメッセージに従ってピクチャを処理することをさらに備える、態様1Aの方法。
【0214】
[0201] 態様3A-ピクチャ向きメッセージは、ピクチャ向き補足拡張情報(SEI)メッセージ(picture orientation supplemental enhancement information (SEI) message)を備える、態様1Aまたは態様2Aの方法。
【0215】
[0202] 態様4A-ピクチャ向きメッセージは、ピクチャ向きオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様1Aまたは態様2Aの方法。
【0216】
[0203] 態様5A-コーディングすることは、符号化することを備える、請求項1Aの方法。
【0217】
[0204] 態様6A-ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、ピクチャの品質メトリクスを示す1つまたは複数のシンタックス要素を含むピクチャ品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージ(quality metrics supplemental enhancement information (SEI) message)をコーディングすることとを備える方法。
【0218】
[0205] 態様7A-コーディングすることは、復号することを備え、方法は、ピクチャ品質メトリクスSEIメッセージに従ってピクチャを処理することをさらに備える、態様6Aの方法。
【0219】
[0206] 態様8A-ピクチャ向きメッセージは、ピクチャ品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様6Aまたは態様7Aの方法。
【0220】
[0207] 態様9A-ピクチャ品質メトリクスメッセージは、ピクチャ品質メトリクスメッセージと関連付けられたピクチャの1つまたは複数のサブピクチャまたは関心領域の品質メトリクスを示す1つまたは複数のシンタックス要素を備える、態様6Aから態様8Aのいずれかの方法。
【0221】
[0208] 態様10A-1つまたは複数のシンタックス要素は、ハイダイナミックレンジ(HDR)または360ビデオコンテンツの品質メトリクスを示す、態様9Aの方法。
【0222】
[0209] 態様11A-コーディングすることは、符号化することを備える、態様6Aから態様10Aのいずれかの方法。
【0223】
[0210] 態様12A-態様1Aから態様10Aの方法の任意の組合せ。
【0224】
[0211] 態様13A. ビデオデータを処理するためのデバイスであって、デバイスが、態様1Aから12Aのいずれかに記載の方法を実施するための1つまたは複数の手段を備える、デバイス。
【0225】
[0212] 態様14A. 1つまたは複数の手段が、回路中に実装された1つまたは複数のプロセッサを備える、態様13Aに記載のデバイス。
【0226】
[0213] 態様15A. ビデオデータを記憶するためのメモリをさらに備える、態様13Aおよび14Aのいずれかに記載のデバイス。
【0227】
[0214] 態様16A. 復号されたビデオデータを表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、態様13Aから15Aのいずれかに記載のデバイス。
【0228】
[0215] 態様17A: デバイスが、カメラ、コンピュータ、モバイルデバイス、ブロードキャスト受信機デバイス、またはセットトップボックスのうちの1つまたは複数を備える、態様13Aから16Aのいずれかに記載のデバイス。
【0229】
[0216] 態様18A: デバイスがビデオデコーダを備える、態様13Aから17Aのいずれかに記載のデバイス。
【0230】
[0217] 態様19A: デバイスがビデオエンコーダを備える、態様13Aから18Aのいずれかに記載のデバイス。
【0231】
[0218] 態様20A-命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、実行されたとき、1つまたは複数のプロセッサに態様1Aから12Aのいずれかの方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0232】
[0219] 態様1B-ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える方法。
【0233】
[0220] 態様2B-品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに備える、態様1Bの方法。
【0234】
[0221] 態様3B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様2Bの方法。
【0235】
[0222] 態様4B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様2Bの方法。
【0236】
[0223] 態様5B-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様2Bの方法。
【0237】
[0224] 態様6B-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様1Bの方法。
【0238】
[0225] 態様7B-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様1Bの方法。
【0239】
[0226] 態様8B-コーディングすることは、復号することを備え、方法は、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとをさらに備える、態様1Bの方法。
【0240】
[0227] 態様9B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様1Bの方法。
【0241】
[0228] 態様10B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様1Bの方法。
【0242】
[0229] 態様11B-ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、メモリと通信している1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行うように構成された装置。
【0243】
[0230] 態様12B-1つまたは複数のプロセッサは、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、を行うようにさらに構成された、態様11Bの装置。
【0244】
[0231] 態様13B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様12Bの装置。
【0245】
[0232] 態様14B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様12Bの装置。
【0246】
[0233] 態様15B-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様12Bの装置。
【0247】
[0234] 態様16B-1つまたは複数のプロセッサは、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、を行うようにさらに構成された、態様11Bの装置。
【0248】
[0235] 態様17B-1つまたは複数のプロセッサは、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、を行うようにさらに構成された、態様11Bの装置。
【0249】
[0236] 態様18B-装置は、品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、1つまたは複数のプロセッサは、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとを行うようにさらに構成された、態様11Bの装置。
【0250】
[0237] 態様19B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様11Bの装置。
【0251】
[0238] 態様20B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様11Bの装置。
【0252】
[0239] 態様21B-ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを受信するための手段と、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段と、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える装置。
【0253】
[0240] 態様22B-品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングするための手段、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに備える、態様21Bの装置。
【0254】
[0241] 態様23B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様22Bの装置。
【0255】
[0242] 態様24B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様22Bの装置。
【0256】
[0243] 態様25B-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様22Bの装置。
【0257】
[0244] 態様26B-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様21Bの装置。
【0258】
[0245] 態様27B-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様21Bの装置。
【0259】
[0246] 態様28B-コーディングするための手段は、復号するための手段を備え、装置は、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用するための手段と、処理されたピクチャを表示するための手段とをさらに備える、態様21Bの装置。
【0260】
[0247] 態様29B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様21Bの装置。
【0261】
[0248] 態様30B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様21Bの装置。
【0262】
[0249] 態様31B-命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、実行されたとき、ビデオデータを処理するように構成されたデバイスの1つまたは複数のプロセッサに、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行わせる非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0263】
[0250] 態様32B-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに行わせる、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0264】
[0251] 態様33B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様32Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0265】
[0252] 態様34B-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様32の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0266】
[0253] 態様35B-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様32Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0267】
[0254] 態様36B-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに行わせる、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0268】
[0255] 態様37B-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに行わせる、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0269】
[0256] 態様38B-デバイスは、品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、命令は、1つまたは複数のプロセッサに、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとをさらに行わせる、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0270】
[0257] 態様39B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0271】
[0258] 態様40B-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様31Bの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0272】
[0259] 態様1C-ビデオデータを処理する方法であって、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える方法。
【0273】
[0260] 態様2C-品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに備える、態様1Cの方法。
【0274】
[0261] 態様3C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様2Cの方法。
【0275】
[0262] 態様4C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様2Cの方法。
【0276】
[0263] 態様5C-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様2Cから態様4Cのいずれかの方法。
【0277】
[0264] 態様6C-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様1Cから態様5Cのいずれかの方法。
【0278】
[0265] 態様7C-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様1Cから態様5Cのいずれかの方法。
【0279】
[0266] 態様8C-コーディングすることは、復号することを備え、方法は、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとをさらに備える、態様1Cから態様7Cのいずれかの方法。
【0280】
[0267] 態様9C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様1Cから態様8Cのいずれかの方法。
【0281】
[0268] 態様10C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様1Cから態様8Cのいずれかの方法。
【0282】
[0269] 態様11C-ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを記憶するように構成されたメモリと、回路中に実装された、メモリと通信している1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行うように構成された装置。
【0283】
[0270] 態様12C-1つまたは複数のプロセッサは、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、を行うようにさらに構成された、態様11Cの装置。
【0284】
[0271] 態様13C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様12Cの装置。
【0285】
[0272] 態様14C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様12Cの装置。
【0286】
[0273] 態様15C-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様12Cから態様14Cのいずれかの装置。
【0287】
[0274] 態様16C-1つまたは複数のプロセッサは、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、を行うようにさらに構成された、態様11Cから態様15Cのいずれかの装置。
【0288】
[0275] 態様17C-1つまたは複数のプロセッサは、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、を行うようにさらに構成された、態様11Cから態様15Cのいずれかの装置。
【0289】
[0276] 態様18C-装置は、品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、1つまたは複数のプロセッサは、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとを行うようにさらに構成された、態様11Cから態様17Cのいずれかの装置。
【0290】
[0277] 態様19C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様11Cから態様18Cのいずれかの装置。
【0291】
[0278] 態様20C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様11Cから態様18Cのいずれかの装置。
【0292】
[0279] 態様21C-ビデオデータを処理するように構成された装置であって、ピクチャを受信するための手段と、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段と、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を備える装置。
【0293】
[0280] 態様22C-品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングするための手段、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに備える、態様21Cの装置。
【0294】
[0281] 態様23C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様22Cの装置。
【0295】
[0282] 態様24C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様22Cの装置。
【0296】
[0283] 態様25C-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様22Cから態様24Cのいずれかの装置。
【0297】
[0284] 態様26C-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様21Cから態様25Cのいずれかの装置。
【0298】
[0285] 態様27C-第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングするための手段、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに備える、態様21Cから態様25Cのいずれかの装置。
【0299】
[0286] 態様28C-コーディングするための手段は、復号するための手段を備え、装置は、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用するための手段と、処理されたピクチャを表示するための手段とをさらに備える、態様21Cから態様27Cのいずれかの装置。
【0300】
[0287] 態様29C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様21Cから態様28Cのいずれかの装置。
【0301】
[0288] 態様30C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様21Cから態様28Cのいずれかの装置。
【0302】
[0289] 態様31C-命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、実行されたとき、ビデオデータを処理するように構成されたデバイスの1つまたは複数のプロセッサに、ピクチャを受信することと、品質メトリクスシンタックス要素を含む品質メトリクスメッセージをコーディングすることと、ここにおいて、品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャに関係する品質メトリクスの値を示す、を行わせる非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0303】
[0290] 態様32C-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、品質メトリクスメッセージ中の品質メトリクスタイプシンタックス要素をコーディングすること、ここにおいて、品質メトリクスタイプシンタックス要素は、複数の品質メトリクスのタイプのうち、品質メトリクスシンタックス要素によって示される品質メトリクスのタイプを示す、をさらに行わせる、態様31Cの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0304】
[0291] 態様33C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)を含む、態様32Cの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0305】
[0292] 態様34C-複数の品質メトリクスのタイプは、ピーク信号対雑音比(PSNR)、構造的類似性指標(SSIM)、マルチスケール構造的類似性指標(MS-SSIM)、ビデオ品質メトリクス(VQM)、重み付きPSNR(wPSNR)、球状に均一な重み付きPSNR(WS-PSNR)、シーケンスPSNR、シーケンスwPSNR、またはシーケンスWS-PSNRのうちの2つ以上を含む、態様32の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0306】
[0293] 態様35C-品質メトリクスシンタックス要素は、品質メトリクスタイプシンタックス要素によって示される品質メトリクスの値を示す、態様32Cから態様34Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0307】
[0294] 態様36C-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャのサブピクチャに関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに行わせる、態様31Cから態様35Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0308】
[0295] 態様37C-命令は、1つまたは複数のプロセッサに、第2の品質メトリクスシンタックス要素を含む第2の品質メトリクスメッセージをコーディングすること、ここにおいて、第2の品質メトリクスシンタックス要素は、ピクチャの関心領域に関係する第2の品質メトリクスの第2の値を示す、をさらに行わせる、態様31Cから態様35Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0309】
[0296] 態様38C-デバイスは、品質メトリクスメッセージを復号するように構成され、命令は、1つまたは複数のプロセッサに、処理されたピクチャを形成するために品質メトリクスの値に従ってピクチャに後処理技法を適用することと、処理されたピクチャを表示することとをさらに行わせる、態様31Cから態様37Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0310】
[0297] 態様39C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクス補足拡張情報(SEI)メッセージを備える、態様31Cから態様38Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0311】
[0298] 態様40C-品質メトリクスメッセージは、品質メトリクスオープンビットストリームユニット(OBU)を備える、態様31Cから態様38Cのいずれかの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0312】
[0299] 上記例に応じて、本明細書で説明された技法のいずれかのいくつかの行為またはイベントは、異なるシーケンスで実施され得、追加、マージ、または完全に除外され得る(たとえば、すべての説明された行為またはイベントが本技法の実践のために必要であるとは限らない)ことを認識されたい。その上、いくつかの例では、行為またはイベントは、連続的にではなく、たとえば、マルチスレッド処理、割込み処理、または複数のプロセッサを通して同時に実施され得る。
【0313】
[0300] 1つまたは複数の例では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶されるか、あるいはコンピュータ可読媒体を介して送信され、ハードウェアベース処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形媒体に対応する、コンピュータ可読記憶媒体を含み得るか、または、たとえば、通信プロトコルに従って、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を可能にする任意の媒体を含む通信媒体を含み得る。このようにして、コンピュータ可読媒体は、概して、(1)非一時的である有形コンピュータ可読記憶媒体、あるいは(2)信号または搬送波などの通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、本開示で説明された技法の実装のための命令、コードおよび/またはデータ構造を取り出すために、1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のプロセッサによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0314】
[0301] 限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、あるいは、命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。たとえば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は媒体の定義に含まれる。しかしながら、コンピュータ可読記憶媒体およびデータ記憶媒体が、接続、搬送波、信号、または他の一時的媒体を含むのではなく、代わりに非一時的な有形の記憶媒体を対象とすることを理解されたい。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびBlu-rayディスク(disc)を含み、ここで、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザーで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0315】
[0302] 命令は、1つまたは複数のDSP、汎用マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、あるいは他の等価な集積回路またはディスクリート論理回路など、1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書で使用される「プロセッサ」および「処理回路」という用語は、上記の構造、または本明細書で説明された技法の実装に好適な任意の他の構造のいずれかを指し得る。さらに、いくつかの態様では、本明細書で説明された機能は、符号化および復号のために構成された専用ハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュール内に提供されるか、あるいは複合コーデックに組み込まれ得る。また、本技法は、1つまたは複数の回路または論理要素において十分に実装され得る。
【0316】
[0303] 本開示の技法は、ワイヤレスハンドセット、集積回路(IC)またはICのセット(たとえば、チップセット)を含む、多種多様なデバイスまたは装置において実装され得る。本開示では、開示される技法を実施するように構成されたデバイスの機能的態様を強調するために、様々な構成要素、モジュール、またはユニットが説明されたが、それらの構成要素、モジュール、またはユニットは、必ずしも異なるハードウェアユニットによる実現を必要とするとは限らない。むしろ、上記で説明されたように、様々なユニットが、好適なソフトウェアおよび/またはファームウェアとともに、上記で説明された1つまたは複数のプロセッサを含めて、コーデックハードウェアユニットにおいて組み合わせられるか、または相互動作可能なハードウェアユニットの集合によって提供され得る。
【0317】
[0304] 様々な例が説明された。これらおよび他の例は以下の特許請求の範囲内に入る。
【国際調査報告】