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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ナノ銀ペースト及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/0545 20220101AFI20240312BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240312BHJP
   B22F 1/107 20220101ALI20240312BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20240312BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20240312BHJP
   B22F 1/052 20220101ALI20240312BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20240312BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20240312BHJP
   C22C 13/02 20060101ALN20240312BHJP
   C22C 12/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
B22F1/0545
B22F1/00 K
B22F1/00 R
B22F1/107
B22F9/00 B
B23K35/26 310A
B23K35/26 310C
B23K35/26 310Z
B22F1/052
C22C1/04 E
C22C13/00
C22C13/02
C22C12/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559032
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 CN2022073665
(87)【国際公開番号】W WO2022227736
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110447478.9
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523365527
【氏名又は名称】広州漢源微電子封装材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】SOLDERWELL MICROELECTRONIC PACKAGING MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 404, Building B, No. 58,Nanyun 2nd Road, Science City, Huangpu District Guangzhou, Guangdong 510663 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】蔡航偉
(72)【発明者】
【氏名】杜昆
(72)【発明者】
【氏名】許四妹
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA02
4K017AA06
4K017AA08
4K017BA01
4K017BA02
4K017BA10
4K017CA08
4K017DA01
4K017DA07
4K018BA01
4K018BA07
4K018BA20
4K018BB05
4K018BD04
4K018KA32
(57)【要約】
本発明は、ナノ銀ペースト及びその製造方法を開示する。本発明のナノ銀ペーストは、ナノ銀粉末と、ミクロンスズ系はんだ粉粒と、還元剤と、分散剤と、希釈剤とを含む。本発明のナノ銀ペーストは、ナノ銀粉末、ミクロンスズ系はんだ粉粒と還元剤、分散剤、希釈剤を均一に混合することで得られる。本発明のナノ銀ペーストは、従来技術におけるナノ銀ペーストが無圧焼結時に、スタッキング密度が低く、空隙率が高く、体積収縮が激しく、クラックが生じやすく、界面のボンディング率が低いという問題を解決することによって、焼結部位の力学的性能と信頼性を向上した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ銀ペーストであって、ナノ銀粉末と、ミクロンスズ系はんだ粉粒と、還元剤と、分散剤と、希釈剤とを含むことを特徴とする、ナノ銀ペースト。
【請求項2】
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の材質は、融点が120-250℃の範囲内にあるスズ系合金であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項3】
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の材質は、SnBi系合金、SnBiAg系合金、SnAg系合金、SnCu系合金、SnAgCu系合金、SnSb系合金、SnSbCu系合金、SnSbAg系合金、SnAgCuBi系合金、SnAgCuSb系合金のうちの少なくとも一種であることを特徴とする
請求項2に記載のナノ銀ペースト。
【請求項4】
前記ナノ銀粉末の平均粒径は、5-3000nmであり、
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.1-100μmであることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項5】
前記ナノ銀粉末の平均粒径は、10-1500nmであり、
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.5-50μmであることを特徴とする
請求項4に記載のナノ銀ペースト。
【請求項6】
前記ナノ銀粉末は、一種の平均粒径のナノ銀粉末であり、又は二種以上の異なる平均粒径のナノ銀粉末混合物であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項7】
前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比は、20-500:1であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項8】
前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比は、30-200:1であることを特徴とする
請求項7に記載のナノ銀ペースト。
【請求項9】
前記希釈剤は、アルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記希釈剤の質量百分率は2%-8%であり、
前記分散剤は、ポリアルキレン類アミド、ポリアルキレン類酸塩、アルキル酸塩のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記分散剤の質量百分率は0.1%-3%であり、
前記還元剤は、有機酸のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記還元剤の質量百分率は0.1%-1.5%であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のナノ銀ペーストの製造方法であって、前記ナノ銀粉末、前記ミクロンスズ系はんだ粉粒と前記還元剤、分散剤、希釈剤を均一に混合し、ナノ銀ペーストを得ることを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスパッケージング技術分野に関し、特にナノ銀ペースト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの精密化、微細化、集積化が日増しに進むにつれて、パッケージング密度とパワー密度が必然的に高くなるため、パッケージングの放熱性、信頼性に対する要求はますます高くなっている。炭化ケイ素、窒化ガリウムに代表される次世代パワー半導体は、バンドギャップが広く、破壊電圧が高く、熱安定性が強く、スイッチング特性が安定している等の特徴を有し、軌道交通、航空宇宙、新エネルギー自動車、深海深井戸探査等の分野で広く用いられている。
【0003】
使用中、パワーデバイスの相互接続材料は、機械的振動、熱応力、高密度電流、及びパワーサイクルからの厳しい試練を受けることがあり、従来のスズ系はんだは、ますます厳しくなる信頼性要件を満たすことができないため、高温耐性のある新たな相互接続材料及び対応する相互接続プロセスの開発が強く求められている。
【0004】
ナノ金属粒子は、高い表面エネルギー、低い融点特性を有することから、近年、ナノ金属を用いて部品をパッケージングすることが国内外で提案されている。ナノ銀ペーストは、良好な導電熱伝導性、低温焼結性、高信頼性及び高温使用性能を有するため、現在最も潜在力のある低温焼結相互接続材料となっている。しかしながら、ナノ銀ペーストの本来のスタッキング密度は低く、焼結時、特に相互接続デバイスの構造によって圧力を与えることができなかったり、圧力による相互接続デバイスへの損傷を防ぐために無圧焼結が必要な場合、制御不可能な空隙構造が多数発生する。焼結層により密度が低く、体積収縮が明かになり、無圧焼結時に焼結層にクラックが生じやすく、界面のボンディング率が低下し、機械的強度が低く、導電熱伝導性能がバルク銀に比べて大幅に低下する。そして、焼結銀ペーストが比較的大きい熱膨張係数を有するため、使用中に比較的大きい熱機械的応力が生じ、相互接続部位が無効になることを引き起してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、従来技術の欠陥と欠点を克服し、従来技術におけるナノ銀ペーストが無圧焼結時に、焼結層のスタッキング密度が低く、体積収縮が激しく、クラックが生じやすく、界面のボンディング率が低いという問題を解決し、さらに相互接続部位の力学的性能と信頼性を向上させるためのナノ銀ペーストを提供することである。
本発明の別の目的は、上記ナノ銀ペーストの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1目的は、下記技術案によって実現される。ナノ銀ペーストであって、ナノ銀粉末と、ミクロンスズ系はんだ粉粒と、還元剤と、分散剤と、希釈剤とを含む。
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の材質は、融点が120-250℃の範囲内にあるスズ系合金であり、好ましくは、SnBi系合金、SnBiAg系合金、SnAg系合金、SnCu系合金、SnAgCu系合金、SnSb系合金、SnSbCu系合金、SnSbAg系合金、SnAgCuBi系合金、SnAgCuSb系合金のうちの少なくとも一種である。
前記ナノ銀粉末の平均粒径は、5-3000nmである。
好ましくは、前記ナノ銀粉末の平均粒径は、10-1500nmである。
前記ナノ銀粉末は、一種の平均粒径のナノ銀粉末であり、又は二種以上の異なる平均粒径のナノ銀粉末混合物である。
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.1-100μmである。
好ましくは、前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.5-50μmである。
前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比は、20-500:1である。
好ましくは、前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比30-200:1である。
前記希釈剤は、アルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類のうちの少なくとも一種である。
系中の前記希釈剤の質量百分率は2%-8%である。
前記分散剤は、ポリアルキレン類アミド、ポリアルキレン類酸塩、アルキル酸塩のうちの少なくとも一種である。
系中の前記分散剤の質量百分率は0.1%-3%である。
前記還元剤は、有機酸のうちの少なくとも一種であり。
系中の前記還元剤の質量百分率は0.1%-1.5%である。
上記ナノ銀ペーストの製造方法は、前記ナノ銀粉末、前記ミクロンスズ系はんだ粉粒と前記還元剤、分散剤、希釈剤を均一に混合し、ナノ銀ペーストを得ることである。
前記ナノ銀粉末は、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥することで得られる。
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒は、スズ系はんだを真空グラインダによって研磨することで得られる。
前述した、均一に混合することは、好ましくは、機械的撹拌又は磁気撹拌の方法を用いる。
ナノ銀ペースト中の低融点ミクロンスズ系はんだ粉粒は、添加量が少なすぎると、完全に溶融しなかったナノ銀粒子間の空隙を充填する効果が不十分であり、添加量が多すぎると、溶接後の焼結層に低融点相が多すぎ、逆に焼結後の焼結層の信頼性が低下する。そのため、ナノ銀ペーストにおける低融点ミクロンスズ系はんだ粉粒の使用量を制御することは、本発明のキーポイントの一つである。
低融点のミクロンスズ系はんだ粉粒は、粒径が小さすぎると、粒径が小さいほど、比表面積が大きくなり、粉粒が酸化しやすくなり、一方で、粒径が小さいため、粉粒の製造コストが高い。しかしながら、粒径が大きすぎると、ナノ銀ペースト中のナノ銀粉末との接触確率が低下し、ミクロンスズ系はんだ粉粒がナノ銀ペーストにおいて十分に混合されることに不利である。
アルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類などを希釈剤とし、そしてナノ銀ペースト系全体における希釈剤の質量百分率が2%-8%である場合、希釈剤、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末が均一に混合され、粘性が適切なペースト状スラリー製品を生成することができる。希釈剤の添加量が少なすぎると、粘性が比較的に大きく、ペースト状スラリー製品を形成することができず、希釈剤、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末が均一に混合されることに不利であり、一方、焼結面における製品の貼り合わせに不利である。しかしながら、希釈剤の添加量が大きすぎると、粘性が小さすぎ、製品が焼結面に貼り合わせられる時に崩壊しやすく、相互接続操作に不利であり、一方、希釈剤が多すぎると、焼結温度が上昇する際に希釈剤が揮発してガスが過剰に発生し、軽いと、焼成炉の炉壁やダクト内に付着して清掃不良となり、重いと、焼結層に多数の空洞が発生する。
ポリアルキレン類アミド、ポリアルキレン類酸塩、アルキル酸塩などを分散剤とし、そしてナノ銀ペースト系全体における分散剤の質量百分率が0.1%-3%である場合、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末を均一に分散させることができる。分散剤の添加量が少なすぎると、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末の均一な分散に不利であり、凝集してしまう。しかしながら、分散剤の添加量が多すぎると、粘性が小さすぎ、製品が焼結面に貼り合わせられる時に崩壊しやすく、相互接続操作に不利であり、一方、希釈剤が多すぎると、焼結温度が上昇する際に分散剤が揮発してガスが過剰に発生し、軽いと、焼成炉の炉壁やダクト内に付着して清掃不良となり、重いと、焼結層に多数の空洞が発生する。
有機酸を還元剤とし、そしてナノ銀ペースト系全体における還元剤の質量百分率が0.1%-1.5%である場合、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末の表面の酸化物を効果的に除去することができる。還元剤の添加量が少なすぎると、還元剤、ミクロンスズ系はんだ粉粒及びナノ銀粉末が均一に混合されにくく、ミクロンスズ系はんだ粉粒とナノ銀粉末が還元剤と十分かつ効果的に接触できることが保証されにくく、ミクロンスズ系はんだ粉粒とナノ銀粉末の表面の酸化層が十分かつ効果的に除去されることが保証されにくい。しかしながら、還元剤の添加量が多すぎると、粘性が小さすぎ、製品が焼結面に貼り合わせられる時に崩壊しやすく、相互接続操作に不利であり、一方、還元剤が多すぎると、焼結温度が上昇する際に還元剤が揮発してガスが過剰に発生し、軽いと、焼成炉の炉壁やダクト内に付着してそれを腐食し、重いと、焼結層に多数の空洞が発生する。
【発明の効果】
【0007】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
1、本発明のナノ銀ペーストには、低融点ミクロンスズ系はんだ粉粒が均一に混合されており、焼結中に完全に溶融したミクロンスズ系はんだ粉粒が完全に溶融しなかったナノ銀粒子間の空隙を充填することによって、従来のナノ銀ペーストが無圧焼結時に、スタッキング密度が低く、空隙率が高く、体積収縮が激しく、クラックが生じやすく、界面のボンディング率が低いという問題を解決し、相互接続部位の力学的性能と信頼性をさらに向上した。
2、本発明のナノ銀ペーストの製造方法は、大規模生産を出発点とすることができ、プロセスが簡単であり、コストが低く、操作可能性が高く、量産可能であり、経済的効果が著しい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例に結び付けて本発明の具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0009】
実施例1
本実施例は、ナノ銀ペーストを提供し、このナノ銀ペーストに平均粒径が30nmであるナノ銀粉末、平均粒径が5μmであるSn42Bi58合金粉粒(融点が139℃である)、上記粉粒をペースト状にする希釈剤、銀ペースト中の粉末の凝集を防止する分散剤、焼結中に溶接面の酸化層と銀ペーストにおける金属粒子酸化層を還元するための還元剤が含有される。前記ナノ銀粉末とミクロンSn42Bi58合金粉粒との質量比は、200:1である。前記希釈剤は、質量比が1:2であるエチレングリコールとn-ブタンであり、ナノ銀ペースト系全体における前記希釈剤の質量百分率は、2%である。前記分散剤は、質量比が3:1であるドデシル硫酸カリウムとポリブテン酸ナトリウムであり、ナノ銀ペースト系全体における前記分散剤の質量百分率は、1.2%である。前記還元剤は、質量比が1:4であるアビエチン酸と酢酸であり、ナノ銀ペースト系全体における前記還元剤の質量百分率は、0.5%である。
【0010】
ナノ銀ペーストの製造方法であって、以下のステップを含む。
S1、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥する方法で、平均粒径が30nmであるナノ銀粉末を得る。
S2、スズ系はんだの合金成分(SnとBiの質量比(42:58))に応じてSn42Bi58合金を配合し、Sn42Bi58合金を真空グラインダによって研磨し、平均粒径が5μmであるSn42Bi58合金粉粒を得る。
S3、ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:2であるエチレングリコールとn-ブタンの総質量百分率が2%であるという配合比率に応じて、希釈剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が3:1であるドデシル硫酸カリウムとポリブテン酸ナトリウムの総質量百分率が1.2%であるという配合比率に応じて、分散剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:4であるアビエチン酸と酢酸の総質量百分率が0.5%であるという配合比率に応じて、還元剤を配合する。
S4、ステップS1で製造されたナノ銀粉末とステップS2で製造されたミクロンSn42Bi58粉粒を200:1の質量比に応じて、ステップS3で配合された、還元剤、分散剤、希釈剤を含有する混合溶媒に添加し、機械式撹拌によって均一に混合し、ミクロンスズ系はんだ粉粒が混合されたナノ銀ペーストを得る。
【0011】
実施例2
本実施例は、ナノ銀ペーストを提供し、このナノ銀ペーストに平均粒径が20nmであるナノ銀粉末、平均粒径が100nmであるナノ銀粉末からなる混合ナノ銀粉末(その質量比が5:3である)と、平均粒径が10μmであるSn96.5Ag3.5合金粉粒(融点が221℃である)とが含有され、混合ナノ銀粉末とミクロンSn96.5Ag3.5合金粉粒の質量比が160:1であり、そして上記粉粒をペースト状にする希釈剤、銀ペースト中の粉末の凝集を防止する分散剤、焼結中に溶接面の酸化層と銀ペーストにおける金属粒子酸化層を還元するための還元剤が含有される。前記希釈剤は、質量比が3:2であるヘキサノン、n-ペンタンであり、ナノ銀ペースト系全体における前記希釈剤の質量百分率は、3.5%である。前記分散剤は、質量比が4:3であるポリエチレンアミドとポリアクリル酸カリウムであり、ナノ銀ペースト系全体における前記分散剤の質量百分率は、1.9%である。前記還元剤は、質量比が2:1であるシュウ酸とアジピン酸であり、ナノ銀ペースト系全体における前記還元剤の質量百分率は、0.8%である。
【0012】
ナノ銀ペーストの製造方法であって、以下のステップを含む。
S1、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥する方法で、平均粒径が20nmと100nmであるナノ銀粉末をそれぞれ得る。
S2、スズ系はんだの合金成分に応じて前記Sn96.5Ag3.5合金を配合し、Sn96.5Ag3.5合金を真空グラインダによって研磨し、平均粒径が10μmであるSn96.5Ag3.5合金粉粒を得る。
S3、ナノ銀ペースト系全体における、質量比が3:2であるヘキサノンとn-ペンタンの総質量百分率が3.5%であるという配合比率に応じて、希釈剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が4:3であるポリエチレンアミドとポリアクリル酸カリウムの総質量百分率が1.9%であるという配合比率に応じて、分散剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が2:1であるシュウ酸とアジピン酸の総質量百分率が0.8%であるという配合比率に応じて、還元剤を配合する。
S4、ステップS1で製造されたナノ銀粉末(平均粒径が20nmであるナノ銀粉末、平均粒径が100nmであるナノ銀粉末の質量比は5:3である)とステップS2で製造されたミクロンSn96.5Ag3.5合金粉粒を160:1の質量比に応じて、ステップS3で配合された、還元剤、分散剤、希釈剤を含有する混合溶媒に添加し、磁気撹拌によって均一に混合し、ミクロンスズ系はんだ粉粒が混合されたナノ銀ペーストを得る。
【0013】
実施例3
本実施例は、ナノ銀ペーストを提供し、このナノ銀ペーストに平均粒径が10nmであるナノ銀粉末、平均粒径が120nmであるナノ銀粉末、平均粒径が800nmであるナノ銀粉末からなる混合ナノ銀粉末(その質量比が7:4:1である)が含有され、平均粒径が15μmであるSn99.3Cu0.7合金粉粒(融点が227℃である)が含有され、混合ナノ銀粉末とミクロンSn99.3Cu0.7合金粉粒の質量比が120:1であり、そして上記粉粒をペースト状にする希釈剤、銀ペースト中の粉末の凝集を防止する分散剤、焼結中に溶接面の酸化層と銀ペーストにおける金属粒子酸化層を還元するための還元剤が含有される。前記希釈剤は、質量比が2:5であるn-ペンタンと酢酸エチルであり、ナノ銀ペースト系全体における前記希釈剤の質量百分率は、5%である。前記分散剤は、質量比が1:3であるポリアクリルアミドとドデシル硫酸ナトリウムであり、ナノ銀ペースト系全体における前記分散剤の質量百分率は、2.2%である。前記還元剤は、質量比が3:1であるグルタル酸とアビエチン酸であり、ナノ銀ペースト系全体における前記還元剤の質量百分率は、1%である。
【0014】
ナノ銀ペーストの製造方法であって、以下のステップを含む。
S1、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥する方法で、平均粒径が10nm、120nm、800nmであるナノ銀粉末をそれぞれ得る。
2、スズ系はんだの合金成分に応じて前記Sn99.3Cu0.7合金を配合し、Sn99.3Cu0.7合金を真空グラインダによって研磨し、平均粒径が15μmであるSn99.3Cu0.7合金粉粒を得る。
S3、ナノ銀ペースト系全体における、質量比が2:5であるn-ペンタンと酢酸エチルの総質量百分率が5%であるという配合比率に応じて、希釈剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:3であるポリアクリルアミドとドデシル硫酸ナトリウムの総質量百分率が2.2%であるという配合比率に応じて、分散剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が3:1であるグルタル酸とアビエチン酸の総質量百分率が1%であるという配合比率に応じて、還元剤を配合する。
S4、ステップS1で製造されたナノ銀粉末(平均粒径が10nmであるナノ銀粉末、平均粒径が120nmであるナノ銀粉末、平均粒径が800nmであるナノ銀粉末の質量比は7:4:1である)とステップS2で製造されたミクロンSn99.3Cu0.7合金粉粒を120:1の質量比に応じて、ステップS3で配合された、還元剤、分散剤、希釈剤を含有する混合溶媒に添加し、機械式撹拌によって均一に混合し、ミクロンスズ系はんだ粉粒が混合されたナノ銀ペーストを得る。
【0015】
実施例4
本実施例は、ナノ銀ペーストを提供し、このナノ銀ペーストに平均粒径が25nmであるナノ銀粉末、平均粒径が70nmであるナノ銀粉末、平均粒径が1200nmであるナノ銀粉末からなる混合ナノ銀粉末(その質量比が9:5:1である)が含有され、平均粒径が20μmであるSn42Bi57Ag1合金粉粒(融点が139℃である)とSn96.5Ag3Cu0.5合金粉粒(融点が217℃である)からなる混合低融点ミクロン合金粉粒(その質量比が4:1である)が含有され、上記混合ナノ銀粉末と混合低融点ミクロン合金粉粒の質量比が30:1であり、そして上記粉粒をペースト状にする希釈剤、銀ペースト中の粉末の凝集を防止する分散剤、焼結中に溶接面の酸化層と銀ペーストにおける金属粒子酸化層を還元するための還元剤が含有される。前記希釈剤は、質量比が1:3:4であるn-ペンタン、プロピレングリコール及び酢酸エチルであり、ナノ銀ペースト系全体における前記希釈剤の質量百分率は、8%である。前記分散剤は、質量比が1:2:4であるポリエチレンアミド、ポリアクリル酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムであり、ナノ銀ペースト系全体における前記分散剤の質量百分率は、2.5%である。前記還元剤は、質量比が1:4であるシュウ酸とアビエチン酸であり、ナノ銀ペースト系全体における前記還元剤の質量百分率は、1.2%である。
【0016】
ナノ銀ペーストの製造方法であって、以下のステップを含む。
S1、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥する方法で、平均粒径が25nm、70nm、1200nmであるナノ銀粉末をそれぞれ得る。
S2、スズ系はんだの合金成分に応じて前記Sn96.5Ag3Cu0.5合金とSn42Bi57Ag1合金をそれぞれ配合し、Sn42Bi57Ag1合金とSn96.5Ag3Cu0.5合金をそれぞれ真空グラインダによって研磨し、平均粒径が20μmであるSn42Bi57Ag1合金粉粒とSn96.5Ag3Cu0.5合金粉粒を得る。
S3、ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:3:4であるn-ペンタン、プロピレングリコール及び酢酸エチルの総質量百分率が8%であるという配合比率に応じて、希釈剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:2:4であるポリエチレンアミド、ポリアクリル酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムの総質量百分率が2.5%であるという配合比率に応じて、分散剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:4であるシュウ酸とアビエチン酸の総質量百分率が1.2%であるという配合比率に応じて、還元剤を配合する。
S4、ステップS1で製造されたナノ銀粉末(平均粒径が25nmであるナノ銀粉末、平均粒径が70nmであるナノ銀粉末、平均粒径が1200nmであるナノ銀粉末の質量比は9:5:1である)とステップS2で製造されたミクロン合金粉粒(Sn42Bi57Ag1合金粉粒とSn96.5Ag3Cu0.5合金粉粒の質量比が4:1である)を30:1の質量比に応じて、ステップS3で配合された、還元剤、分散剤、希釈剤を含有する混合溶媒に添加し、磁気撹拌によって均一に混合し、ミクロンスズ系はんだ粉粒が混合されたナノ銀ペーストを得る。
【0017】
実施例5
本実施例は、ナノ銀ペーストを提供し、このナノ銀ペーストに平均粒径が15nmであるナノ銀粉末、平均粒径が60nmであるナノ銀粉末、平均粒径が900nmであるナノ銀粉末、平均粒径が1500nmであるナノ銀粉末からなる混合ナノ銀粉末(その質量比が12:9:5:1である)が含有され、平均粒径が50μmであるSn64Bi35Ag1合金粉粒(融点範囲が約139-180℃である)、平均粒径が10μmであるSn96Ag2.5Bi1Cu0.5合金粉粒(融点が約215℃である)、平均粒径が2μmであるSnSb5合金粉粒(融点が約240℃である)からなる混合低融点ミクロン合金粉粒(その質量比が11:5:2である)が含有され、上記混合ナノ銀粉末と混合低融点ミクロン合金粉粒の質量比が80:1であり、そして上記粉粒をペースト状にする希釈剤、銀ペースト中の粉末の凝集を防止する分散剤、焼結中に溶接面の酸化層と銀ペーストにおける金属粒子酸化層を還元するための還元剤が含有される。前記希釈剤は、質量比が1:2:5であるn-ヘプタン、ブタノール及び酢酸エチルであり、ナノ銀ペースト系全体における前記希釈剤の質量百分率は、6%である。前記分散剤は、質量比が1:1:2であるポリアクリル酸カリウム、ポリアクリルアミド及びドデシル硫酸ナトリウムであり、ナノ銀ペースト系全体における前記分散剤の質量百分率は、3%である。前記還元剤は、質量比が1:3:4である酢酸、グルタル酸及びアビエチン酸であり、ナノ銀ペースト系全体における前記還元剤の質量百分率は、1.5%である。
【0018】
ナノ銀ペーストの製造方法であって、以下のステップを含む。
S1、銀塩溶液を化学的に還元し、銀沈積層を100Pa以下の負圧環境において乾燥する方法で、平均粒径が15nm、60nm、900nmと1500nmであるナノ銀粉末を得る。
S2、スズ系はんだの合金成分に応じて前記Sn64Bi35Ag1合金、Sn96Ag2.5Bi1Cu0.5合金及びSnSb5合金をそれぞれ配合し、それぞれ真空グラインダによって研磨し、平均粒径が50μmであるSn64Bi35Ag1合金粉粒、平均粒径が10μmであるSn96Ag2.5Bi1Cu0.5合金粉粒、平均粒径が2μmであるSnSb5合金粉粒を得る。
S3、ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:2:5であるn-ヘプタン、ブタノール及び酢酸エチルの総質量百分率が6%であるという配合比率に応じて、希釈剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:1:2であるポリアクリル酸カリウム、ポリアクリルアミド及びドデシル硫酸ナトリウムの総質量百分率が3%であるという配合比率に応じて、分散剤を配合する。ナノ銀ペースト系全体における、質量比が1:3:4である酢酸、グルタル酸及びアビエチン酸の総質量百分率が1.5%であるという配合比率に応じて、還元剤を配合する。
S4、ステップS1で製造されたナノ銀粉末(平均粒径が15nmであるナノ銀粉末、平均粒径が60nmであるナノ銀粉末、平均粒径が900nmであるナノ銀粉末、平均粒径が1500nmであるナノ銀粉末の質量比は12:9:5:1である)とステップS2で製造されたミクロン合金粉粒(Sn64Bi35Ag1合金粉粒、Sn96Ag2.5Bi1Cu0.5合金粉粒及びSnSb5合金粉粒の質量比が11:5:2である)を80:1の質量比に応じて、ステップS3で配合された、還元剤、分散剤、希釈剤を含有する混合溶媒に添加し、機械式撹拌によって均一に混合し、ミクロンスズ系はんだ粉粒が混合されたナノ銀ペーストを得る。
【0019】
本発明の技術的効果をさらに検証するために、以下では、本発明のナノ銀ペーストに対して焼結試験を行う。ここで、焼結試験に必要な検出サンプルと焼結される材料は具体的に以下のとおりである。
検出サンプル:
本発明の実施例5:ミクロンスズ系はんだ粉粒のナノ銀ペースト
比較例1:ミクロンスズ系はんだ粉粒が添加されていない(他の条件が本発明の実施例5と同じである)ナノ銀ペースト
焼結される材料:厚さが1.5mmであり、焼結面積が10mm*8mmである無酸素銅板。
焼結方式:2枚の無酸素銅板の間にそれぞれ0.1mmの厚さの比較例1のナノ銀ペースト又は本発明の実施例5のナノ銀ペーストを挟み、且つ比較例1のナノ銀ペーストと本発明の実施例5のナノ銀ペーストを同時に圧力を加えない常圧リフロー焼結を行った。
以下では、焼結後の焼結層に対して性能テストを行い、焼結層の性能テストは、焼結層の空隙率、剪断強度、熱伝導率、及び温度サイクル衝撃後の焼結層の空隙率を含む。。焼結層の空隙率は、超音波走査測定器又はX-Ray測定器により測定され、剪断強度は電子万能試験機により測定され、熱伝導率はレーザーフラッシュ法熱分析器により測定された。
【0020】
焼結層の空隙率が小さいほど、ナノ銀ペースト焼結後の焼結層の品質が良好であることを示し、また、焼結層に温度サイクル衝撃を与えた後の空隙率の変化が小さいほど、焼結層の劣化度が低いこと、すなわち、焼結層が温度衝撃に強いことを示す。焼結層の剪断強度が大きいほど、焼結層が機械的衝撃に耐える能力が強くなる。焼結層の熱伝導率が大きいほど、焼結層がパワーデバイスが作動する時に発生した熱を伝導する能力が強いことを示す。
【0021】
(1)実験1:焼結層の空隙率と熱伝導率のテスト
表1 焼結後の焼結層の空隙率と熱伝導率
【0022】
表1から分かるように、焼結後、本発明の実施例5のナノ銀ペーストは、比較例1のナノ銀ペーストに比べて、焼結層の空隙率が平均で約53.2%((19.74-9.24)/19.74×100%=53.2%)低下し、熱伝導率が約35.5%((248-183)/183×100%=35.5%)向上した。
【0023】
(2)実験2:焼結層の剪断強度のテスト
実験1における比較例1のナノ銀ペーストと本発明の実施例5のナノ銀ペーストの焼結後の互いに対応する5組の焼結層に対して剪断強度のテストをそれぞれ行い、テスト結果を表2に示した。
表2 焼結後の焼結層の剪断強度
【0024】
表2から分かるように、焼結後、本発明の実施例5のナノ銀ペーストは、比較例1のナノ銀ペーストに比べて、焼結層の剪断強度が約29.2%((35.0-27.1)/27.1×100%=29.2%)向上した。
【0025】
(3)実施例3:焼結層の温度サイクル衝撃後の空隙率(劣化度)
実験1における比較例1のナノ銀ペーストと本発明の実施例5のナノ銀ペーストの焼結後の互いに対応する5組の焼結層に対してそれぞれ-40℃-125℃の温度サイクル衝撃を1000回行った後に、それの焼結層の空隙率を測定し(温度サイクル衝撃後の焼結層の空隙率が温度サイクル衝撃前の焼結層の空隙率に比べて大きく変化した場合、劣化度が比較的に著しいことを表し、ここで、劣化度=温度サイクル衝撃後の空隙率-温度サイクル衝撃前の空隙率である)、テスト結果を表3に示した。
表3 焼結後の焼結層の温度サイクル衝撃後の劣化度
【0026】
表3から分かるように、比較例1のナノ銀ペーストと本発明の実施例5のナノ銀ペーストを用いて焼結された後の焼結層に対して-40℃-125℃の温度サイクル衝撃を1000回行った後に、本発明の実施例5のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度は、比較例1のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度よりも明かに低く、本発明の実施例5のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度は、比較例1のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度に比べて、約46.7%((3.45-1.84)/3.45×100%=46.7%)低下した。
【0027】
本発明の技術的効果をさらに検証するために、以下では、本発明の実施例1における、粒径及び添加量の異なるミクロンスズ系はんだ粉粒を添加したナノ銀ペーストを比較例として、焼結試験を行った。ここで、焼結試験に必要な検出サンプルと焼結される材料は具体的に以下のとおりである。
測定サンプル:本発明の実施例1における、粒径及び添加量の異なるミクロンスズ系はんだ粉粒を添加したナノ銀ペースト
本発明の実施例1:ナノ銀粉末と平均粒径が5μmであるミクロンSn42Bi58粉粒の質量比200:1に応じて製造されたナノ銀ペースト
比較例2:ナノ銀粉末と平均粒径が5μmであるミクロンSn42Bi58粉粒の質量比10:1(他の条件が本発明の実施例1と同じである)に応じて製造されたナノ銀ペースト
比較例3:ナノ銀粉末と平均粒径が5μmであるミクロンSn42Bi58粉粒の質量比800:1(他の条件が本発明の実施例1と同じである)に応じて製造されたナノ銀ペースト
比較例4:ナノ銀粉末と平均粒径が250μmであるミクロンSn42Bi58粉粒の質量比200:1(他の条件が本発明の実施例1と同じである)に応じて製造されたナノ銀ペースト
焼結される材料:厚さが1.5mmであり、焼結面積が10mm*8mmである無酸素銅板。
焼結方式:2枚の無酸素銅板の間にそれぞれ0.1mmの厚さの本発明の実施例1、比較例2、比較例3、比較例4のナノ銀ペーストを挟み、且つ本発明の実施例1、比較例2、比較例3、比較例4のナノ銀ペーストを同時に圧力を加えない常圧リフロー焼結を行った。
焼結後の焼結層について、-40℃-125℃の温度サイクル衝撃が1000回行われた劣化度に対してテストを行い、テスト結果を表4に示した。
表4 焼結後の焼結層の温度サイクル衝撃後の劣化度
【0028】
表4から分かるように、本発明の実施例1、比較例2、比較例3、比較例4のナノ銀ペーストを用いて焼結された後の焼結層に対して-40℃-125℃の温度サイクル衝撃を1000回行った後に、本発明の実施例1のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度は、比較例2、比較例3、比較例4のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度よりも明かに低く、本発明の実施例1のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度は、比較例2のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度よりも約59.3%((5.77-2.35)/5.77×100%=59.3%)低下し、比較例3のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度よりも約31.1%((3.41-2.35)/3.41×100%=31.1%)低下し、比較例4のナノ銀ペーストの焼結層の劣化度よりも約46.6%((4.40-2.35)/4.40×100%=46.6%)低下した。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ銀ペーストであって、ナノ銀粉末と、ミクロンスズ系はんだ粉粒と、還元剤と、分散剤と、希釈剤とを含み、
前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比は、20-500:1であることを特徴とするナノ銀ペースト。
【請求項2】
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の材質は、融点が120-250℃の範囲内にあるスズ系合金であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項3】
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の材質は、SnBi系合金、SnBiAg系合金、SnAg系合金、SnCu系合金、SnAgCu系合金、SnSb系合金、SnSbCu系合金、SnSbAg系合金、SnAgCuBi系合金、SnAgCuSb系合金のうちの少なくとも一種であることを特徴とする
請求項2に記載のナノ銀ペースト。
【請求項4】
前記ナノ銀粉末の平均粒径は、5-3000nmであり、
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.1-100μmであることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項5】
前記ナノ銀粉末の平均粒径は、10-1500nmであり、
前記ミクロンスズ系はんだ粉粒の平均粒径は、0.5-50μmであることを特徴とする
請求項4に記載のナノ銀ペースト。
【請求項6】
前記ナノ銀粉末は、一種の平均粒径のナノ銀粉末であり、又は二種以上の異なる平均粒径のナノ銀粉末混合物であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項7】
前記ナノ銀粉末と前記ミクロンスズ系はんだ粉粒との質量比は、30-200:1であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【請求項8】
前記希釈剤は、アルコール類、炭化水素類、ケトン類、エステル類のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記希釈剤の質量百分率は2-8%であり、
前記分散剤は、ポリアルキレン類アミド、ポリアルキレン類酸塩、アルキル酸塩のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記分散剤の質量百分率は0.1-3%であり、
前記還元剤は、有機酸のうちの少なくとも一種であり、
系中の前記還元剤の質量百分率は0.1-1.5%であることを特徴とする
請求項1に記載のナノ銀ペースト。
【国際調査報告】