(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フロセミドの皮下注入
(51)【国際特許分類】
A61K 31/341 20060101AFI20240312BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20240312BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/341
A61P7/10
A61P9/12
A61P1/16
A61P13/12
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560127
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022023003
(87)【国際公開番号】W WO2022212813
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515272327
【氏名又は名称】エスシーファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】モール,ジョン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コーネリアス,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,バビニ
(72)【発明者】
【氏名】カミネニ,パニ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC16
4C076CC17
4C076DD22
4C076DD23
4C076DD30
4C076DD50Z
4C076FF14
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA51
4C086ZA83
(57)【要約】
本明細書では、一部には、短縮された注入プロファイルを使用して、フロセミドを含有する液体医薬製剤を患者に皮下投与する方法が開示される。体液過剰によるうっ血、浮腫又は高血圧などの状態の治療を、それを必要とする患者において行う方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤を前記ヒトに皮下投与することを含む方法。
【請求項2】
投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらす、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、フロセミドを含む液体医薬製剤を前記ヒトに皮下投与することを含み、以下:
前記方法が、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
前記方法が、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと
の1つ以上である、方法。
【請求項9】
前記ヒトは、10mLの総体積の前記液体医薬製剤を投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体医薬製剤は、約80mgのフロセミドを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤を前記ヒトに皮下投与することを含み、以下:
前記方法が、投与が開始されてから約2時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
前記方法が、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
前記方法が、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと
の1つ以上である、方法。
【請求項12】
投与は、約0.5時間~約2時間の期間にわたるものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
投与は、約2時間~5時間未満の期間にわたるものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
投与は、約2時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
投与は、約2時間の期間にわたる二相性送達プロファイルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記二相性送達プロファイルは、前記2時間の期間の最初の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達及び前記2時間の期間の最後の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達をもたらす、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
投与は、約1.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
投与は、約1時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
投与は、約0.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記液体医薬製剤は、薬学的に許容される緩衝液をさらに含み、任意選択により、前記薬学的に許容される緩衝液は、トロメタミン塩酸塩を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記液体医薬製剤は、約7.2~約8のpHを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記液体医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み、任意選択により、前記1つ以上の薬学的に許容される賦形剤は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記液体医薬製剤は、等浸透圧性である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記液体医薬製剤は、プレフィルドポリマーカートリッジから投与され、任意選択により、前記プレフィルドポリマーカートリッジは、身体装着型送達装置に関連付けられる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマープレフィルドカートリッジは、使い捨てカートリッジである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記液体医薬製剤の投与中及び/又は前記液体医薬製剤の投与が完了したほぼ直後に0の痛みスコアをもたらし、前記痛みスコアは、11点数値痛み評価スケールを使用して測定される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒトは、成人であり、任意選択により、前記成人は、45~80歳である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記成人は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスII、クラスIII又はクラスIVの心不全、肝不全又は腎不全を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記成人は、前記方法による皮下投与を開始する前に、経口利尿剤に対する低下した応答性を示す、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記浮腫は、うっ血性心不全、肝硬変又は腎疾患に関連し、任意選択により、前記腎疾患は、ネフローゼ症候群である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月2日に出願された米国特許出願第63/169,998号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
典型的なループ利尿薬であるフロセミドは、非代償性心不全を含む高血圧、浮腫及び関連疾患の治療で用いることができる。フロセミドは、通常、心臓、腎臓及び肝臓の機能不全又は不全、例えば鬱血性心不全に関連する浮腫の治療及び/又は管理で使用される。H. Bundgaard, T. Norgaard, N. M. Nielsen,“Photodegradation and hydrolysis of furosemide and furosemide esters in aqueous solutions,”International Journal of Pharmaceutics 42, 217 (1988)。
【0003】
フロセミドの経口生物学的利用能及び従って経口効能は、制限されている。酸性pHにおける制限された溶解性及び減少した安定性の組み合わされた効果のため、高度に変化しやすい経口吸収が観察されるが、フロセミドは、通常、非経口及び経口の両方で投与される。B. Devarakonda, D. P. Otto, A. Judefeind, R. A. Hill, M. M. de Villiers,“Effect of pH on the solubility and release of furosemide from polyamidoamine (PAMAM) dendrimer complexes,”International Journal of Pharmaceutics 345, 142 (Dec. 10, 2007)。従って、フロセミドは、典型的には、非代償性心不全又は他の形態のより進行した浮腫に罹ったほとんどの患者に対して、静脈内又は筋肉内投与される。
【0004】
フロセミドのような医薬品の静脈内投与は、カテーテルの設置及び薬物溶液の投与について訓練された医療専門家を必要とする。対照的に、医薬品の皮下投与は、自動注射装置及び/又はミニポンプ、又は皮下注射若しくは注入を用いて達成することができ、これは、投与が例えば家庭において患者又は介護者によって行われることを可能にする。
【0005】
皮下投与では、患者の治療計画遵守の不良を回避するように、投与中の不快及び痛みを最小化すべきである。皮下投与時、その間又はその後、患者が感知する痛み及び不快に寄与し得る因子は、注射容量、製剤のpH及び製剤の容積オスモル濃度又は重量オスモル濃度を含む。さらに、そのような製剤は、それが使用のために容易に入手でき、及び/又は様々な分注装置に予め充填できるように溶液中で安定なものであるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野では、フロセミドを治療有効量で皮下投与するための新しい代替的な製剤及び送達ビヒクル及びプロファイルが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
一態様において、本発明は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法を提供し、方法は、一般に、フロセミドを含む液体医薬製剤を投与することを含む。特定の実施形態において、治療有効量のフロセミドは、例えば、約0.5時間~約5時間未満の期間にわたって皮下投与される。すなわち、治療有効量のフロセミド、例えば80mgを含む本発明の液体医薬製剤、例えば総体積約10mLが、約30分間(0.5時間)、約1時間、約1.5時間、約2時間など~5時間未満などの短縮された時間期間にわたって皮下送達され得ることが見出された。注射部位の痛みを実質的に増加させることなく、約10mLの体積中の80mgのフロセミドを、短縮された時間期間中に送達することにより、患者は、注入装置などの装着をより短期間とすることが可能となり、これにより治療のコンプライアンスが向上するであろう。
【0008】
本発明の様々な実施形態において、方法は、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含む。
【0009】
特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。特定の実施形態において、方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0010】
本発明の様々な実施形態において、方法は、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、フロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含み、以下の1つ以上である:
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと。
【0011】
特定の実施形態において、ヒトは、10mLの総体積の液体医薬製剤を投与される。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、約80mgのフロセミドを含む。
【0012】
本発明の様々な実施形態において、方法は、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含み、以下の1つ以上である:
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと。
【0013】
特定の実施形態において、投与は、約0.5時間~約2時間の期間にわたるものである。特定の実施形態において、投与は、約2時間~5時間未満の期間にわたるものである。特定の実施形態において、投与は、約2時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、投与は、約2時間の期間にわたる二相性送達プロファイルを含む。いくつかの実施形態において、二相性送達プロファイルは、2時間の期間の最初の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達及び2時間の期間の最後の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達をもたらす。特定の実施形態において、投与は、約1.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、投与は、約1時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。いくつかの実施形態において、投与は、約0.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。
【0014】
特定の実施形態において、液体医薬製剤は、薬学的に許容される緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される緩衝液は、トロメタミン又はその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、トロメタミン塩酸塩である。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、約79mgのトロメタミン塩酸塩及び水をさらに含み得る。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、約7.2~約8のpHを有する。特定の実施形態において、液体医薬組成物は、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせなどの1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、等浸透圧性である。
【0015】
特定の実施形態において、液体医薬製剤は、プレフィルドポリマーカートリッジから投与される。特定の実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、身体装着型送達装置に関連付けられる。いくつかの実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジのポリマーカートリッジは、環状オレフィンポリマーを含む。特定の実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、使い捨てカートリッジである。
【0016】
特定の実施形態において、方法は、液体医薬製剤の投与中に0の痛みスコアをもたらし、痛みスコアは、11点数値痛み評価スケールを使用して測定される。特定の実施形態において、方法は、液体医薬製剤の投与が完了したほぼ直後に0の痛みスコアをもたらし、痛みスコアは、11点数値痛み評価スケールを使用して測定される。
【0017】
特定の実施形態において、ヒトは、成人である。特定の実施形態において、成人は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスII、クラスIII又はクラスIVの心不全、肝不全又は腎不全を有する。特定の実施形態において、成人は、本方法による皮下投与を開始する前に、経口利尿剤に対する低下した応答性を示す。特定の実施形態において、成人は、45~80歳である。
【0018】
特定の実施形態において、浮腫は、うっ血性心不全、肝硬変又は腎疾患に関連する。いくつかの実施形態において、腎疾患は、ネフローゼ症候群である。
【0019】
別の態様において、本発明は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法における使用のための、フロセミドを含む液体医薬製剤を提供する。
【0020】
様々な実施形態において、本発明は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法における使用のための、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤を提供し、液体医薬製剤は、約0.5時間~5時間未満の期間にわたってヒトに皮下投与される。
【0021】
いくつかの実施形態において、本発明は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法における使用のための、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤を提供し、液体医薬製剤は、約0.5時間~5時間未満の期間にわたってヒトに皮下投与され;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらし;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらし;
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらし;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらし;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらし;及び
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
【
図1】実施例2に記載のフロセミドの薬物動態及び薬力学モデリング研究のタスク1~5を要約したフローチャートである。
【
図2】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドの皮下(SC)及び静脈内(IV)投与について、期間の各中間点(例えば、0.5、1、3、5、7、9、11、15及び21時間)でmL/時間として表される尿排泄速度対時間プロファイルを示すプロットである。
【
図3】実施例2にさらに記載されるように、SCフロセミド治療(最初の1時間にわたって30mgで投与され、その後、4時間にわたって1時間あたり12.5mgで投与されるフロセミド)の投与後の、観察対シミュレーション累積尿排出量を示すプロットである。
【
図4】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドのSC及びIV投与(40mgのフロセミドを0時間及び1.5時間の2つの時点で皮下投与(各回30分間))の時間の関数としての総尿排出量を示すプロットである。
【
図5】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドのSC及びIV投与(80mgのフロセミドを1時間にわたって皮下投与)の時間の関数としての総尿排出量を示すプロットである。
【
図6】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドのSC及びIV投与(80mgのフロセミドを2時間にわたって皮下投与)の時間の関数としての総尿排出量を示すプロットである。
【
図7】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドのSC及びIV投与(80mgのフロセミドを4時間にわたって皮下投与)の時間の関数としての総尿排出量を示すプロットである。
【
図8】実施例2にさらに記載されるように、フロセミドのSC及びIV投与(80mgのフロセミドを8時間にわたって皮下投与)の時間の関数としての総尿排出量を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
ここで、注射部位の痛みを実質的に増加させることなく、約10mLの体積中の治療有効量のフロセミドが、短縮された時間期間中に皮下送達され得ることが見出された。このような方法により、患者は、注入装置などの装着をより短期間とすることが可能となり、これにより治療のコンプライアンスが向上するであろう。本明細書に一般的に記載されるように、本発明は、様々な状態、疾患及び障害(例えば、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧)の治療を、それを必要とする患者(ヒト)において行う方法を提供する。この方法は、一般に、5時間未満(例えば、約0.5時間~5時間未満)の期間にわたり、患者にフロセミド(例えば、80mg)の液体医薬製剤を皮下投与することを含み得る。本明細書に記載のフロセミドの液体医薬製剤及び送達プロファイルは、患者の転帰(例えば、総尿排出量及び尿中ナトリウム排泄量)を最大化することができる、最適化されたフロセミドの薬物動態及び薬力学プロファイルをもたらし得る。
【0024】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語及び句が以下に定義される。
【0025】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される略語は、化学及び生物学の分野におけるそれらの通常の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学技術分野で公知の化学原子価の標準規則に従って構築されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、「1つ以上」を意味し、文脈が不適切でない限り、複数形を含む。
【0027】
本出願において、要素又は構成要素が引用された要素又は構成要素のリストに含まれ、及び/又はそれから選択されると言われる場合、要素若しくは構成要素は、引用された要素若しくは構成要素のいずれか1つであり得るか、又は要素若しくは構成要素は、引用された要素若しくは構成要素の2つ以上からなる群から選択され得ることが理解されるべきである。
【0028】
さらに、本明細書中に記載された組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書中において明示的であるか又は黙示的であるかを問わず、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。例えば、特定の化合物に言及する場合、その化合物は、文脈から別段に理解されない限り、本発明の組成物の様々な実施形態及び/又は本発明の方法で使用することができる。換言すれば、本出願内において、実施形態は、明確で簡潔な出願を記述及び描画することを可能にする方法で説明及び描写されてきたが、本教示及び本発明から逸脱することなく、実施形態を様々に組み合わせるか又は分離し得ることが意図され、及び理解されるであろう。例えば、本明細書に記載及び表現されている全ての特徴は、本明細書に記載及び表現されている本発明の全ての態様に適用できることが理解されるであろう。
【0029】
「少なくとも1つ」という表現は、文脈及び使用から別段に理解されない限り、表現の後に列挙された対象のそれぞれ及び2つ以上の列挙された対象の様々な組み合わせを個別に含むことを理解されたい。3つ以上の列挙された対象に関連する「及び/又は」という表現は、文脈から別段に理解されない限り、同じ意味を有することが理解されるべきである。
【0030】
「包含する(include)」、「包含する(includes)」、「包含している」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有している」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」又は「含有している」という用語(これらの文法的均等物を含む)の使用は、一般に、オープンエンドであり、限定しないものとして理解されるべきであり、例えば特に明記されるか又は文脈から別段に理解されない限り、追加の引用されていない要素又はステップを除外するものではない。
【0031】
用語「約」の使用が定量的な値の前にある場合、本発明は、具体的にそうでないことが述べられているのでなければ、具体的な定量値自体も含む。本明細書で使用される場合、用語「約」とは、文脈からそうでないことが示されているか又は導かれるのでなければ、公称値から±10%の変動を指す。
【0032】
本明細書中の様々な箇所において、値は、群又は範囲において開示される。記載は、そのような群及び範囲のメンバーのそれぞれの及びあらゆる個々の部分的組み合わせを含むことが具体的に意図されている。例えば、0~40の範囲の整数は、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39及び40を開示することが具体的に意図されており、1~20の範囲の整数は、個々に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20を開示することが具体的に意図されている。
【0033】
任意の全ての例又は本明細書の例示的な言語、例えば「など」又は「含む」の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、特許請求されない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書のいかなる文言も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であるとして示すと解釈されるべきではない。
【0034】
本明細書で使用される場合、(具体的に名称が与えられた化合物、例えばフロセミドを含む)「化合物」とは、記載の文脈からそうでないことが理解されるか、又は化合物の1つの特別な形態、例えば化合物自体又はその薬学的に許容される塩、水和物若しくはエステルに明示的に限定されているのでなければ、化合物自体及びその薬学的に許容される塩を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「フロセミド」とは、式:
【化1】
を有する化合物及びその薬学的に許容される塩を指す。そのような塩には、フロセミドナトリウム塩及びフロセミド第四級アンモニウム塩が含まれ得るが、これらに限定されない。フロセミドは、他の名称、例えばフルセミド、5-(アミノスルホニル)-4-クロロ-2-[(2-フラニル-メチル)アミノ]安息香酸又はそのIUPAC名称、4-クロロ-2-(フラン-2-イルメチルアミノ)-5-スルファモイル-安息香酸又はその通常の商品名、ラシックス(登録商標)によって言及され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書に記載の方法及び/又は組成物によって治療される生物を指す。そのような生物は、好ましくは、哺乳動物(例えば、ネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)、より好ましくはヒトである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「緩衝液」とは、pHの変化に対して抵抗性である水性溶液を指す。緩衝液は、弱酸及びその塩又は弱塩基及びその塩などの「緩衝剤」を含み得、これは、pHの安定性の維持を促進する。医薬製剤で用いる緩衝液の例としては、炭酸水素塩緩衝液、炭酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、ヒスチジン緩衝液、リン酸塩緩衝液、酒石酸塩緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(又は2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール[(HOCH2)3CNH2])緩衝液及びその組み合わせが挙げられる。ある種のこれらの緩衝液は、皮下投与される医薬製剤に適している。
【0038】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液は、「トリス(TRIS)」、「トリス(Tris)」、「トリス緩衝液」、「トリスアミン」、「THAM」、「トロメタミン」及び他の名称として言及することができる。さらに、多くの緩衝液及び/又は緩衝液系は、トリス又はその薬学的に許容される塩を含むことができ、本教示において使用することができる。例えば、トリス-緩衝化生理食塩水(「TBS」)、トリス-塩酸塩緩衝液(「トリス-HCl」)、トリス塩基(pH10.6)、トリス/ホウ酸塩/エチレンジアミンテトラ酢酸塩(「EDTA」)緩衝液(「TBE」)及びトリス/酢酸塩/EDTA緩衝液(「TAE」)である。トリス塩基は、多くの場合、所望のpHのトリス緩衝液を調製するためにトリス-HClと共に用いられる。加えて、本教示は、トリス-関連化合物、例えば緩衝液として作用することができる、トリスに由来するか又はトリスに構造的に関連する化合物を含み得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「等張性」とは、医薬製剤のような溶液中のイオンのイオン強度又は濃度を指す。等張性は、多くの場合、モル濃度(「M」)で測定される。本明細書で使用される場合、「等張溶液」、「等張製剤」、「等張医薬製剤」及び「等張」である医薬製剤とは、体液で見出されるイオンの同一又は類似の濃度を有する溶液又は製剤を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「生理学的pH」とは、約7.4のpHを指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「浸透圧性」及び「重量オスモル濃度」とは、医薬製剤のような溶液の浸透圧を指す。浸透圧性は、多くの場合、本明細書中で相互交換可能に用いることができる容積オスモル濃度(「Osm/L」又は「OsM」)又は重量オスモル濃度(「Osm/kg」)で測定される。凝固点降下を測定する場合、観察される値は、溶液の重量オスモル濃度である。等張性とは対照的に、浸透圧性は、存在する場合、溶液の容積オスモル濃度又は重量オスモル濃度がその等張性よりも高いような溶液中の非イオン化溶質を説明する。本明細書に記載の液体医薬製剤の容積オスモル濃度は、例えば、蒸気圧法を使用して測定することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「等浸透圧性液」、「等浸透圧性製剤」、「等浸透圧性医薬製剤」及び「等浸透圧性」である医薬製剤とは、体液中で見出されるのと同一又は類似の溶質の濃度を有する溶液又は製剤を指す。ある実施形態では、「等浸透圧性」である液体医薬製剤は、約275mOsM~約350mOsMの範囲の容積オスモル濃度を有し得るか、又は製剤の重量オスモル濃度が約275mOsm/kg~約350mOsm/kgの範囲である場合である。
【0043】
本明細書で使用される場合、「容積オスモル濃度調整剤」及び「浸透圧剤」は、液体医薬製剤の容積オスモル濃度を調節するために本明細書に記載の液体医薬製剤に添加され得る薬学的に許容される化合物を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」とは、毒物学的視点から医薬適用で用いるのに許容され、有効成分と有害に相互作用しない物質を指す。従って、薬学的に許容される担体は、製剤中の他の成分と適合し、生物学的に許容されるものである。特定の実施形態において、補充的な有効成分も医薬組成物に配合することができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」は、対象への活性剤の投与及び対象による吸収を補助する物質を指し、患者に重大な有害の毒物学的影響を引き起こすことなく、本発明の組成物に含めることができる。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、通常の生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、エマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョンなど)、乳酸リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング、甘味料、香料、食塩溶液(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース又はデンプンなど)、脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリジン及び着色剤などが含まれる。そのような調製物は、滅菌することができ、必要に応じて、潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤及び/又は本発明の化合物と有害に反応しない芳香族物質などの補助剤と混合することができる。賦形剤及び担体の例については、Martin, Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ.Co., Easton, PA (1975)を参照されたい。
【0046】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョンなど)及び様々なタイプの湿潤剤など、標準的な医薬担体のいずれかを指す。組成物は、安定化剤及び保存剤も含み得る。担体、安定化剤及びアジュバントの例については、Martin, Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ.Co., Easton, PA (1975)を参照されたい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象に投与した際、本発明の化合物又はその活性代謝物若しくはその残基を提供することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸又は塩基)を指す。当業者に公知であるように、本発明の化合物の「塩」は、無機又は有機の酸及び塩基に由来し得る。酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが含まれるが、これらに限定されない。シュウ酸などの他の酸は、それ自体、薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得るための中間体として有用な塩の調製に使用され得る。
【0048】
塩基の例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア及び式NW4
+の化合物(ここで、Wは、C1~4アルキルなどである)が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。塩の他の例には、Na+、NH4
+及びNW4
+(ここで、Wは、C1~4アルキル基である)などの適切なカチオンと共に構成された本発明の化合物のアニオンが含まれる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な組成物(例えば、本発明の液体医薬製剤)の量を指す。有効量は、1つ以上の投与、適用又は投与量で投与することができ、特定の製剤又は投与経路に限定されることを意図するものではない。
【0051】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、状態、疾患、障害などの改善をもたらすか又はその症状を改善する、例えば軽減、低減、調節、改善若しくは排除する任意の効果を含む。
【0052】
本明細書で使用される「治療有効量」という句は、対象において何らかの所望の治療効果を生じるのに有効な組成物(例えば、本発明の液体医薬製剤)の量を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、(心不全における)「うっ血」という用語は、心拍出量の低下につながる心充満圧の増加をもたらす細胞外体液蓄積の徴候及び症状の存在である。この心拍出量の低下は、神経ホルモンの活性化によってさらに悪化し、腎臓のナトリウムと水の結合力の上昇を生じ、その結果、血漿量が増加する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「体液過剰」、「容量過負荷」及び「循環血液量過多」は、血液中に過剰な体液がある病状を説明し得る。過剰な体液、主に塩分及び水分が体全体に蓄積し、その結果、体重が増加し得る。
【0055】
説明全体を通して、組成物及びキットが特定の構成要素を有するか、包含するか若しくは含むと記載される場合、又はプロセス及び方法が特定のステップを有するか、包含するか若しくは含むと記載される場合、記載された構成要素から本質的になるか又はそれらからなる本発明の組成物及びキットがあり、記載された処理ステップから本質的になるか又はそれからなる本発明によるプロセス及び方法があることがさらに企図される。
【0056】
一般的に、パーセンテージを指定する組成物は、特に明記しない限り、重量による。さらに、変数が定義を伴わない場合、変数の以前の定義が優先される。
【0057】
フロセミドの液体医薬製剤
本明細書に記載されるように、一態様において、本発明は、本明細書に記載の状態の治療のための、フロセミド又はその薬学的に許容される塩を含む液体医薬製剤を提供する。様々な実施形態において、状態は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、状態は、体液過剰によるうっ血である。特定の実施形態において、状態は、浮腫である。特定の実施形態において、状態は、高血圧である。
【0058】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約60mg~約100mg、約65mg~約100mg、約70mg~約100mg、約75mg~約100mg、約80mg~約100mg、約85mg~約100mg、約90mg~約100mg、約95mg~約100mg、約60mg~約95mg、約60mg~約90mg、約60mg~約85mg、約60mg~約80mg、約60mg~約75mg、約60mg~約70mg、約60mg~約65mg、約65mg~約95mg、約65mg~約90mg、約65mg~約85mg、約65mg~約80mg、約65mg~約75mg、約65mg~約70mg、約70mg~約95mg、約70mg~約90mg、約70mg~約85mg、約70mg~約80mg、約70mg~約75mg、約75mg~約95mg、約75mg~約90mg、約75mg~約85mg、約75mg~約80mg、約80mg~約95mg、約80mg~約90mg、約80mg~約85mg、約85mg~約95mg、約85mg~約90mg又は約90mg~約95mgのフロセミドを含み得る。
【0059】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg又は約100mgのフロセミドを含み得る。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、約80mgのフロセミドを含む。
【0060】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、フロセミドの薬学的に許容される塩をさらに含み得る。
【0061】
様々な実施形態において、本明細書に記載のフロセミドの薬学的に許容される塩は、約60mg~約100mg、約65mg~約100mg、約70mg~約100mg、約75mg~約100mg、約80mg~約100mg、約85mg~約100mg、約90mg~約100mg、約95mg~約100mg、約60mg~約95mg、約60mg~約90mg、約60mg~約85mg、約60mg~約80mg、約60mg~約75mg、約60mg~約70mg、約60mg~約65mg、約65mg~約95mg、約65mg~約90mg、約65mg~約85mg、約65mg~約80mg、約65mg~約75mg、約65mg~約70mg、約70mg~約95mg、約70mg~約90mg、約70mg~約85mg、約70mg~約80mg、約70mg~約75mg、約75mg~約95mg、約75mg~約90mg、約75mg~約85mg、約75mg~約80mg、約80mg~約95mg、約80mg~約90mg、約80mg~約85mg、約85mg~約95mg、約85mg~約90mg又は約90mg~約95mgのフロセミドを遊離塩基形態で提供する量で液体医薬製剤中に存在し得る。
【0062】
様々な実施形態において、本明細書に記載のフロセミドの薬学的に許容される塩は、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg又は約100mgのフロセミドを遊離塩基形態で提供する量で液体医薬製剤中に存在し得る。特定の実施形態において、フロセミドの薬学的に許容される塩は、約80mgのフロセミドを遊離塩基形態で提供する量で液体医薬製剤中に存在する。
【0063】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤中のフロセミドの濃度は、約5mg/mL~約15mg/mL、約6mg/mL~約15mg/mL、約7mg/mL~約15mg/mL、約8mg/mL~約15mg/mL、約9mg/mL~約15mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約11mg/mL~約15mg/mL、約12mg/mL~約15mg/mL、約13mg/mL~約15mg/mL、約14mg/mL~約15mg/mL、約5mg/mL~約14mg/mL、約5mg/mL~約13mg/mL、約5mg/mL~約12mg/mL、約5mg/mL~約11mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約9mg/mL、約5mg/mL~約8mg/mL、約5mg/mL~約7mg/mL、約5mg/mL~約6mg/mL、約6mg/mL~約14mg/mL、約6mg/mL~約13mg/mL、約6mg/mL~約12mg/mL、約6mg/mL~約11mg/mL、約6mg/mL~約10mg/mL、約6mg/mL~約9mg/mL、約6mg/mL~約8mg/mL、約6mg/mL~約7mg/mL、約7mg/mL~約14mg/mL、約7mg/mL~約13mg/mL、約7mg/mL~約12mg/mL、約7mg/mL~約11mg/mL、約7mg/mL~約10mg/mL、約7mg/mL~約9mg/mL、約7mg/mL~約8mg/mL、約8mg/mL~約14mg/mL、約8mg/mL~約13mg/mL、約8mg/mL~約12mg/mL、約8mg/mL~約11mg/mL、約8mg/mL~約10mg/mL、約8mg/mL~約9mg/mL、約9mg/mL~約14mg/mL、約9mg/mL~約13mg/mL、約9mg/mL~約12mg/mL、約9mg/mL~約11mg/mL、約9mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約14mg/mL、約10mg/mL~約13mg/mL、約10mg/mL~約12mg/mL、約10mg/mL~約11mg/mL、約11mg/mL~約14mg/mL、約11mg/mL~約13mg/mL、約11mg/mL~約12mg/mL、約12mg/mL~約14mg/mL、約12mg/mL~約13mg/mL又は約13mg/mL~約14mg/mLであり得る。
【0064】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤中のフロセミドの濃度は、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL又は約15mg/mLであり得る。特定の実施形態において、液体医薬製剤中のフロセミドの濃度は、約8mg/mLである。
【0065】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、薬学的に許容される緩衝液をさらに含み得る。
【0066】
様々な実施形態において、液体医薬組成物は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;及び
(ii)薬学的に許容される緩衝液
を含む。
【0067】
特定の実施形態において、薬学的に許容される緩衝液は、ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トロメタミン又はそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択される緩衝剤を含む。特定の実施形態において、緩衝剤は、トロメタミン又はその薬学的に許容される塩である。特定の実施形態において、トロメタミンの薬学的に許容される塩は、トロメタミン塩酸塩である。
【0068】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、水をさらに含み得る。
【0069】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;
(ii)薬学的に許容される緩衝液;及び
(iii)水
を含む。
【0070】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約75mg~約85mg、約76mg~約85mg、約77mg~約85mg、約78mg~約85mg、約79mg~約85mg、約80mg~約85mg、約81mg~約85mg、約82mg~約85mg、約83mg~約85mg、約84mg~約85mg、約75mg~約84mg、約75mg~約83mg、約75mg~約82mg、約75mg~約81mg、約75mg~約80mg、約75mg~約79mg、約75mg~約78mg、約75mg~約77mg、約75mg~約76mg、約76mg~約84mg、約76mg~約83mg、約76mg~約82mg、約76mg~約81mg、約76mg~約80mg、約76mg~約79mg、約76mg~約78mg、約76mg~約77mg、約77mg~約84mg、約77mg~約83mg、約77mg~約82mg、約77mg~約81mg、約77mg~約80mg、約77mg~約79mg、約77mg~約78mg、約78mg~約84mg、約78mg~約83mg、約78mg~約82mg、約78mg~約81mg、約78mg~約80mg、約78mg~約79mg、約79mg~約84mg、約79mg~約83mg、約79mg~約82mg、約79mg~約81mg、約79mg~約80mg、約80mg~約84mg、約80mg~約83mg、約80mg~約82mg、約80mg~約81mg、約81mg~約84mg、約81mg~約83mg、約81mg~約82mg、約82mg~約84mg、約82mg~約83mg又は約83mg~約84mgのトロメタミン塩酸塩を含み得る。
【0071】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg又は約85mgのトロメタミン塩酸塩を含み得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約79mgのトロメタミン塩酸塩を含み得る。
【0072】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のトロメタミン塩酸塩の濃度は、約25mmol~約500mmol、約50mmol~約500mmol、約100mmol~約500mmol、約150mmol~約500mmol、約200mmol~約500mmol、約250mmol~約500mmol、約300mmol~約500mmol、約400mmol~約500mmol、約25mmol~約400mmol、約25mmol~約300mmol、約25mmol~約250mmol、約25mmol~約200mmol、約25mmol~約150mmol、約25mmol~約100mmol、約25mmol~約50mmol、約50mmol~約400mmol、約50mmol~約300mmol、約50mmol~約250mmol、約50mmol~約200mmol、約50mmol~約150mmol、約50mmol~約100mmol、約100mmol~約400mmol、約100mmol~約300mmol、約100mmol~約250mmol、約100mmol~約200mmol、約100mmol~約150mmol、約150mmol~約400mmol、約150mmol~約300mmol、約150mmol~約250mmol、約150mmol~約200mmol、約200mmol~約400mmol、約200mmol~約300mmol、約200mmol~約250mmol、約250mmol~約400mmol、約250mmol~約300mmol又は約300mmol~約400mmolである。
【0073】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のトロメタミン塩酸塩の濃度は、約25mmol、約50mmol、約100mmol、約150mmol、約200mmol、約250mmol、約300mmol、約400mmol又は約500mmolである。
【0074】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のフロセミド又はその薬学的に許容される塩に対するトロメタミン塩酸塩のモル比は、約1~約3.5、約1.5~約3.5、約2~約3.5、約2.5~約3.5、約3~約3.5、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.5~約2、約2~約3、約2~約2.5又は約2.5~約3である。
【0075】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のフロセミド又はその薬学的に許容される塩に対するトロメタミン塩酸塩のモル比は、約1、約1.5、約2、約2.5、約3又は約3.5である。
【0076】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のフロセミドに対するトロメタミン塩酸塩のモル比は、約1~約3.5、約1.5~約3.5、約2~約3.5、約2.5~約3.5、約3~約3.5、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2、約1~約1.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.5~約2、約2~約3、約2~約2.5又は約2.5~約3である。
【0077】
様々な実施形態において、液体医薬製剤中のフロセミドに対するトロメタミン塩酸塩のモル比は、約1、約1.5、約2、約2.5、約3又は約3.5である。
【0078】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約8mL~約12mL、約8.5mL~約12mL、約9mL~約12mL、約9.5mL~約12mL、約10mL~約12mL、約10.5mL~約12mL、約11mL~約12mL、約11.5mL~約12mL、約8mL~約11.5mL、約8mL~約11mL、約8mL~約10.5mL、約8mL~約10mL、約8mL~約9.5mL、約8mL~約9mL、約8mL~約8.5mL、約8.5mL~約11.5mL、約8.5mL~約11mL、約8.5mL~約10.5mL、約8.5mL~約10mL、約8.5mL~約9.5mL、約8.5mL~約9mL、約9mL~約11.5mL、約9mL~約11mL、約9mL~約10.5mL、約9mL~約10mL、約9mL~約9.5mL、約9.5mL~約11.5mL、約9.5mL~約11mL、約9.5mL~約10.5mL、約9.5mL~約10mL、約10mL~約11.5mL、約10mL~約11mL、約10mL~約10.5mL、約10.5mL~約11.5mL、約10.5mL~約11mL又は約11mL~約11.5mLの水を含み得る。
【0079】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約8mL、約8.5mL、約9mL、約9.5mL、約10mL、約10.5mL、約11mL、約11.5mL又は約12mLの水を含み得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約10mLの水を含み得る。
【0080】
医薬製剤に添加される水の体積は、総体積を、本明細書で列挙された水の体積の1つにする量、例えば医薬製剤の総体積を10mLにする量であり得ると解されるべきである。
【0081】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約8g~約12g、約8.5g~約12g、約9g~約12g、約9.5g~約12g、約10g~約12g、約10.5g~約12g、約11g~約12g、約11.5g~約12g、約8g~約11.5g、約8g~約11g、約8g~約10.5g、約8g~約10g、約8g~約9.5g、約8g~約9g、約8g~約8.5g、約8.5g~約11.5g、約8.5g~約11g、約8.5g~約10.5g、約8.5g~約10g、約8.5g~約9.5g、約8.5g~約9g、約9g~約11.5g、約9g~約11g、約9g~約10.5g、約9g~約10g、約9g~約9.5g、約9.5g~約11.5g、約9.5g~約11g、約9.5g~約10.5g、約9.5g~約10g、約10g~約11.5g、約10g~約11g、約10g~約10.5g、約10.5g~約11.5g、約10.5g~約11g又は約11g~約11.5gの水を含み得る。
【0082】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、約10g、約10.5g、約11g、約11.5g又は約12gの水を含み得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬組成物は、約10gの水を含み得る。
【0083】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0084】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;
(ii)薬学的に許容される緩衝液;及び
(iii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む。
【0085】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;
(ii)薬学的に許容される緩衝液;
(iii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤;及び
(iv)水
を含む。
【0086】
様々な実施形態において、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤は、エタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、N-メチル-ピロリドン(NMP)、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン(PVP)、シクロデキストリン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0087】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約6.5~約8.5、約7~約8.5、約7.5~約8.5、約8~約8.5、約6.5~約8、約6.5~約7.5、約6.5~約7、約7~約8、約7~約7.5又は約7.5~約8のpHを有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7~約8のpHを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7.2~約8のpHを有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7.4~約8のpHを有する。
【0088】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7~約8、約7.2~約8、約7.4~約8、約7.6~約8、約7.8~約8、約7~約7.8、約7~約7.6、約7~約7.4、約7~約7.2、約7.2~約7.8、約7.2~約7.6、約7.2~約7.4、約7.4~約7.8、約7.4~約7.6又は約7.6~約7.8のpHを有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7~約7.8のpHを有する。
【0089】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約6.5、約7、約7.5、約8又は約8.5のpHを有する。
【0090】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約7、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9又は約8のpHを有する。
【0091】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;及び
(ii)薬学的に許容される緩衝液
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpHを有する。
【0092】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)フロセミド又はその薬学的に許容される塩;
(ii)薬学的に許容される緩衝液;及び
(iii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpHを有する。
【0093】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤の総体積は、約8mL~約12mL、約8.5mL~約12mL、約9mL~約12mL、約9.5mL~約12mL、約10mL~約12mL、約10.5mL~約12mL、約11mL~約12mL、約11.5mL~約12mL、約8mL~約11.5mL、約8mL~約11mL、約8mL~約10.5mL、約8mL~約10mL、約8mL~約9.5mL、約8mL~約9mL、約8mL~約8.5mL、約8.5mL~約11.5mL、約8.5mL~約11mL、約8.5mL~約10.5mL、約8.5mL~約10mL、約8.5mL~約9.5mL、約8.5mL~約9mL、約9mL~約11.5mL、約9mL~約11mL、約9mL~約10.5mL、約9mL~約10mL、約9mL~約9.5mL、約9.5mL~約11.5mL、約9.5mL~約11mL、約9.5mL~約10.5mL、約9.5mL~約10mL、約10mL~約11.5mL、約10mL~約11mL、約10mL~約10.5mL、約10.5mL~約11.5mL、約10.5mL~約11mL又は約11mL~約11.5mLであり得る。
【0094】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤の総体積は、約8mL、約8.5mL、約9mL、約9.5mL、約10mL、約10.5mL、約11mL、約11.5mL又は約12mLであり得る。特定の実施形態において、液体医薬製剤の総体積は、約10mLである。
【0095】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、約80mgのフロセミドを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤は、約80mgのフロセミド及び約10mLの総体積を含む。
【0096】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;及び
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;並びに
(iii)水
を含む。
【0097】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;及び
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;並びに
(iii)水
を含み、液体医薬製剤は、約10mLの総体積を有する。
【0098】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む。
【0099】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約10mLの総体積を有する。
【0100】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpHを有する。
【0101】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpH及び約10mLの総体積を有する。
【0102】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む。
【0103】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約10mLの総体積を有する。
【0104】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpHを有する。
【0105】
様々な実施形態において、液体医薬製剤は、
(i)約80mgのフロセミド;
(ii)約79mgのトロメタミン塩酸塩;
(iii)水;及び
(iv)塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤
を含み、液体医薬製剤は、約7~約7.8のpH及び約10mLの総体積を有する。
【0106】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、約250mOsM(又は250mOsm/kg)~約350mOsM(又は350mOsm/kg)、約275mOsM(又は275mOsm/kg)~約350mOsM(又は350mOsm/kg)、約300mOsM(又は300mOsm/kg)~約350mOsM(又は350mOsm/kg)、約325mOsM(又は325mOsm/kg)~約350mOsM(又は350mOsm/kg)、約250mOsM(又は250mOsm/kg)~約325mOsM(又は325mOsm/kg)、約250mOsM(又は250mOsm/kg)~約300mOsM(又は300mOsm/kg)、約250mOsM(又は250mOsm/kg)~約275mOsM(又は275mOsm/kg)、約275mOsM(又は275mOsm/kg)~約325mOsM(又は325mOsm/kg)、約275mOsM(又は275mOsm/kg)~約300mOsM(又は300mOsm/kg)又は約300mOsM(又は300mOsm/kg)~約325mOsM(又は325mOsm/kg)の範囲の容積オスモル濃度を有する。
【0107】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、等浸透圧性である。
【0108】
様々な実施形態において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、第2の治療剤をさらに含む。特定の実施形態において、フロセミドは、本明細書に記載の液体医薬製剤中に存在する唯一の治療剤である。
【0109】
様々な実施形態において、本明細書に記載の状態、疾患又は障害の治療に有用な液体医薬製剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,884,039号に記載の液体医薬製剤である。
【0110】
治療方法
一態様において、本明細書に記載の液体医薬製剤は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧などであるが、これらに限定されない様々な状態の治療又は予防を、それを必要とする患者において行うために使用され得る。様々な実施形態において、状態は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、状態は、体液過剰によるうっ血である。特定の実施形態において、状態は、浮腫である。特定の実施形態において、状態は、高血圧である。
【0111】
特定の実施形態において、患者は、ヒトである。
【0112】
様々な実施形態において、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0113】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mL、約500mL~約950mL、約550mL~約950mL、約600mL~約950mL、約650mL~約950mL、約700mL~約950mL、約750mL~約950mL、約800mL~約950mL、約850mL~約950mL、約900mL~約950mL、約450mL~約900mL、約450mL~約850mL、約450mL~約800mL、約450mL~約750mL、約450mL~約700mL、約450mL~約650mL、約450mL~約600mL、約450mL~約550mL、約450mL~約500mL、約500mL~約900mL、約500mL~約850mL、約500mL~約800mL、約500mL~約750mL、約500mL~約700mL、約500mL~約650mL、約500mL~約600mL、約500mL~約550mL、約550mL~約900mL、約550mL~約850mL、約550mL~約800mL、約550mL~約750mL、約550mL~約700mL、約550mL~約650mL、約550mL~約600mL、約600mL~約900mL、約600mL~約850mL、約600mL~約800mL、約600mL~約750mL、約600mL~約700mL、約600mL~約650mL、約650mL~約900mL、約650mL~約850mL、約650mL~約800mL、約650mL~約750mL、約650mL~約700mL、約700mL~約900mL、約700mL~約850mL、約700mL~約800mL、約700mL~約750mL、約750mL~約900mL、約750mL~約850mL、約750mL~約800mL、約800mL~約900mL、約800mL~約850mL又は約850mL~約900mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらす。
【0114】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL、約500mL、約550mL、約600mL、約650mL、約700mL、約750mL、約800mL、約850mL、約900mL又は約950mLの総尿排出量をもたらす。
【0115】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mL、約2150mL~約2600mL、約2200mL~約2600mL、約2250mL~約2600mL、約2300mL~約2600mL、約2350mL~約2600mL、約2400mL~約2600mL、約2450mL~約2600mL、約2500mL~約2600mL、約2550mL~約2600mL、約2100mL~約2550mL、約2100mL~約2500mL、約2100mL~約2450mL、約2100mL~約2400mL、約2100mL~約2350mL、約2100mL~約2300mL、約2100mL~約2250mL、約2100mL~約2200mL、約2100mL~約2150mL、約2150mL~約2550mL、約2150mL~約2500mL、約2150mL~約2450mL、約2150mL~約2400mL、約2150mL~約2350mL、約2150mL~約2300mL、約2150mL~約2250mL、約2150mL~約2200mL、約2200mL~約2550mL、約2200mL~約2500mL、約2200mL~約2450mL、約2200mL~約2400mL、約2200mL~約2350mL、約2200mL~約2300mL、約2200mL~約2250mL、約2250mL~約2550mL、約2250mL~約2500mL、約2250mL~約2450mL、約2250mL~約2400mL、約2250mL~約2350mL、約2250mL~約2300mL、約2300mL~約2550mL、約2300mL~約2500mL、約2300mL~約2450mL、約2300mL~約2400mL、約2300mL~約2350mL、約2350mL~約2550mL、約2350mL~約2500mL、約2350mL~約2450mL、約2350mL~約2400mL、約2400mL~約2550mL、約2400mL~約2500mL、約2400mL~約2450mL、約2450mL~約2550mL、約2450mL~約2500mL又は約2500mL~約2550mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらす。
【0116】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL、約2150mL、約2200mL、約2250mL、約2300mL、約2350mL、約2400mL、約2450mL、約2500mL、約2550mL又は約2600mLの総尿排出量をもたらす。
【0117】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mL、約3300mL~約4200mL、約3400mL~約4200mL、約3500mL~約4200mL、約3600mL~約4200mL、約3700mL~約4200mL、約3800mL~約4200mL、約3900mL~約4200mL、約4000mL~約4200mL、約4100mL~約4200mL、約3200mL~約4100mL、約3200mL~約4000mL、約3200mL~約3900mL、約3200mL~約3800mL、約3200mL~約3700mL、約3200mL~約3600mL、約3200mL~約3500mL、約3200mL~約3400mL、約3200mL~約3300mL、約3300mL~約4100mL、約3300mL~約4000mL、約3300mL~約3900mL、約3300mL~約3800mL、約3300mL~約3700mL、約3300mL~約3600mL、約3300mL~約3500mL、約3300mL~約3400mL、約3400mL~約4100mL、約3400mL~約4000mL、約3400mL~約3900mL、約3400mL~約3800mL、約3400mL~約3700mL、約3400mL~約3600mL、約3400mL~約3500mL、約3500mL~約4100mL、約3500mL~約4000mL、約3500mL~約3900mL、約3500mL~約3800mL、約3500mL~約3700mL、約3500mL~約3600mL、約3600mL~約4100mL、約3600mL~約4000mL、約3600mL~約3900mL、約3600mL~約3800mL、約3600mL~約3700mL、約3700mL~約4100mL、約3700mL~約4000mL、約3700mL~約3900mL、約3700mL~約3800mL、約3800mL~約4100mL、約3800mL~約4000mL、約3800mL~約3900mL、約3900mL~約4100mL、約3900mL~約4000mL又は約4000mL~約4100mLの総尿排出量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらす。
【0118】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL、約3300mL、約3400mL、約3500mL、約3600mL、約3700mL、約3800mL、約3900mL、約4000mL、約4100mL又は約4200mLの総尿排出量をもたらす。
【0119】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmol、約50mmol~約110mmol、約60mmol~約110mmol、約70mmol~約110mmol、約80mmol~約110mmol、約90mmol~約110mmol、約100mmol~約110mmol、約40mmol~約100mmol、約40mmol~約90mmol、約40mmol~約80mmol、約40mmol~約70mmol、約40mmol~約60mmol、約40mmol~約50mmol、約50mmol~約100mmol、約50mmol~約90mmol、約50mmol~約80mmol、約50mmol~約70mmol、約50mmol~約60mmol、約60mmol~約90mmol、約60mmol~約80mmol、約60mmol~約70mmol、約70mmol~約100mmol、約70mmol~約90mmol、約70mmol~約80mmol、約80mmol~約100mmol、約80mmol~約90mmol又は約90mmol~約100mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0120】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol、約50mmol、約60mmol、約70mmol、約80mmol、約90mmol、約100mmol又は約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0121】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmol、約230mmol~約300mmol、約240mmol~約300mmol、約250mmol~約300mmol、約260mmol~約300mmol、約270mmol~約300mmol、約280mmol~約300mmol、約290mmol~約300mmol、約220mmol~約290mmol、約220mmol~約280mmol、約220mmol~約270mmol、約220mmol~約260mmol、約220mmol~約250mmol、約220mmol~約240mmol、約220mmol~約230mmol、約230mmol~約290mmol、約230mmol~約280mmol、約230mmol~約270mmol、約230mmol~約260mmol、約230mmol~約250mmol、約230mmol~約240mmol、約240mmol~約290mmol、約240mmol~約280mmol、約240mmol~約270mmol、約240mmol~約260mmol、約240mmol~約250mmol、約250mmol~約290mmol、約250mmol~約280mmol、約250mmol~約270mmol、約250mmol~約260mmol、約260mmol~約290mmol、約260mmol~約280mmol、約260mmol~約270mmol、約270mmol~約290mmol、約270mmol~約280mmol又は約280mmol~約290mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0122】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol、約230mmol、約240mmol、約250mmol、約260mmol、約270mmol、約280mmol、約290mmol又は約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0123】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmol、約360mmol~約480mmol、約370mmol~約480mmol、約380mmol~約480mmol、約390mmol~約480mmol、約400mmol~約480mmol、約410mmol~約480mmol、約420mmol~約480mmol、約430mmol~約480mmol、約440mmol~約480mmol、約450mmol~約480mmol、約460mmol~約480mmol、約470mmol~約480mmol、約350mmol~約470mmol、約350mmol~約460mmol、約350mmol~約450mmol、約350mmol~約440mmol、約350mmol~約430mmol、約350mmol~約420mmol、約350mmol~約410mmol、約350mmol~約400mmol、約350mmol~約390mmol、約350mmol~約380mmol、約350mmol~約370mmol、約350mmol~約360mmol、約360mmol~約470mmol、約360mmol~約460mmol、約360mmol~約450mmol、約360mmol~約440mmol、約360mmol~約430mmol、約360mmol~約420mmol、約360mmol~約410mmol、約360mmol~約400mmol、約360mmol~約390mmol、約360mmol~約380mmol、約360mmol~約370mmol、約370mmol~約470mmol、約370mmol~約460mmol、約370mmol~約450mmol、約370mmol~約440mmol、約370mmol~約430mmol、約370mmol~約420mmol、約370mmol~約410mmol、約370mmol~約400mmol、約370mmol~約390mmol、約370mmol~約380mmol、約380mmol~約470mmol、約380mmol~約460mmol、約380mmol~約450mmol、約380mmol~約440mmol、約380mmol~約430mmol、約380mmol~約420mmol、約380mmol~約410mmol、約380mmol~約400mmol、約380mmol~約390mmol、約390mmol~約470mmol、約390mmol~約460mmol、約390mmol~約450mmol、約390mmol~約440mmol、約390mmol~約430mmol、約390mmol~約420mmol、約390mmol~約410mmol、約390mmol~約400mmol、約400mmol~約470mmol、約400mmol~約460mmol、約400mmol~約450mmol、約400mmol~約440mmol、約400mmol~約430mmol、約400mmol~約420mmol、約400mmol~約410mmol、約410mmol~約470mmol、約410mmol~約460mmol、約410mmol~約450mmol、約410mmol~約440mmol、約410mmol~約430mmol、約410mmol~約420mmol、約420mmol~約470mmol、約420mmol~約460mmol、約420mmol~約450mmol、約420mmol~約440mmol、約420mmol~約430mmol、約430mmol~約470mmol、約430mmol~約460mmol、約430mmol~約450mmol、約430mmol~約440mmol、約440mmol~約470mmol、約440mmol~約460mmol、約440mmol~約450mmol、約450mmol~約470mmol、約450mmol~約460mmol又は約460mmol~約470mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0124】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol、約360mmol、約370mmol、約380mmol、約390mmol、約400mmol、約410mmol、約420mmol、約430mmol、約440mmol、約450mmol、約460mmol、約470mmol又は約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらす。
【0125】
様々な実施形態において、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、フロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含む方法が本明細書に提供され、以下の1つ以上である:
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約450mL~約950mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと。
【0126】
特定の実施形態において、ヒトは、約8mL~約12mL、約8.5mL~約12mL、約9mL~約12mL、約9.5mL~約12mL、約10mL~約12mL、約10.5mL~約12mL、約11mL~約12mL、約11.5mL~約12mL、約8mL~約11.5mL、約8mL~約11mL、約8mL~約10.5mL、約8mL~約10mL、約8mL~約9.5mL、約8mL~約9mL、約8mL~約8.5mL、約8.5mL~約11.5mL、約8.5mL~約11mL、約8.5mL~約10.5mL、約8.5mL~約10mL、約8.5mL~約9.5mL、約8.5mL~約9mL、約9mL~約11.5mL、約9mL~約11mL、約9mL~約10.5mL、約9mL~約10mL、約9mL~約9.5mL、約9.5mL~約11.5mL、約9.5mL~約11mL、約9.5mL~約10.5mL、約9.5mL~約10mL、約10mL~約11.5mL、約10mL~約11mL、約10mL~約10.5mL、約10.5mL~約11.5mL、約10.5mL~約11mL又は約11mL~約11.5mLの総体積の液体医薬製剤を投与される。
【0127】
特定の実施形態において、ヒトは、約8mL、約8.5mL、約9mL、約9.5mL、約10mL、約10.5mL、約11mL、約11.5mL又は約12mLの総体積の液体医薬製剤を投与される。特定の実施形態において、ヒトは、約10mLの総体積の液体医薬製剤を投与される。
【0128】
様々な実施形態において、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される状態の治療を、それを必要とするヒトにおいて行う方法であって、約0.5時間~5時間未満の期間にわたり、10mLの総体積の、約80mgのフロセミドを含む液体医薬製剤をヒトに皮下投与することを含む方法が本明細書に提供され、以下の1つ以上である:
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約2100mL~約2600mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約3200mL~約4200mLの総尿排出量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約2時間後に約40mmol~約110mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;
方法は、投与が開始されてから約6時間後に約220mmol~約300mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと;及び
方法は、投与が開始されてから約24時間後に約350mmol~約480mmolの総尿中ナトリウム排泄量をもたらすこと。
【0129】
特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約0.5時間~約1時間、約0.5時間~約1.5時間、約0.5時間~約2時間、約0.5時間~約2.5時間、約0.5時間~約3時間、約0.5時間~約3.5時間、約0.5時間~約4時間又は約0.5時間~約4.5時間の期間にわたるものである。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約0.5時間~約2時間の期間にわたるものである。
【0130】
特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約0.5時間~5時間未満、約1時間~5時間未満、約1.5時間~5時間未満、約2時間~5時間未満、約2.5時間~5時間未満、約3時間~5時間未満、約3.5時間~5時間未満、約4時間~5時間未満又は約4.5時間~5時間未満の期間にわたるものである。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約2時間~約5時間未満の期間にわたるものである。
【0131】
特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間又は約4.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約2時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約1.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約1時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約0.5時間の期間にわたる持続送達プロファイルを含む。
【0132】
特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約1時間、約2時間、約3時間又は約4時間の期間にわたる二相性送達プロファイルを含む。特定の実施形態において、液体医薬製剤の投与は、約2時間の期間にわたる二相性送達プロファイルを含む。いくつかの実施形態において、二相性送達プロファイルは、2時間の期間の最初の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達、その後の送達の1時間休止及び2時間の期間の最後の約0.5時間にわたる約40mgのフロセミドの送達をもたらす。
【0133】
特定の実施形態において、液体医薬製剤は、プレフィルドポリマーカートリッジから投与される。特定の実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、身体装着型送達装置に関連付けられる。いくつかの実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジのポリマーカートリッジは、環状オレフィンポリマーを含む。特定の実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、使い捨てカートリッジである。
【0134】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、液体医薬製剤の投与中に0の痛みスコアをもたらし、痛みスコアは、11点数値痛み評価スケールを使用して測定される。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、液体医薬製剤の投与が完了したほぼ直後に0の痛みスコアをもたらし、痛みスコアは、11点数値痛み評価スケールを使用して測定される。例えば、11点数値痛み評価スケールは、0~10の範囲にわたって整数増分でスコア付けされる。0は、痛みなしに相当し、10は、考えられる最悪の痛みに相当する。例えば、Kwong and Pathak,“Validation of the eleven-point pain scale in the measurement of migraine headache pain,”Cephalalgia, 27(4), 336-342 (2007)を参照されたい。
【0135】
特定の実施形態において、ヒトは、成人である。特定の実施形態において、成人は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスII、クラスIII又はクラスIVの心不全、肝不全又は腎不全を有する。特定の実施形態において、成人は、本方法による皮下投与を開始する前に、経口利尿剤に対する低下した応答性を示す。
【0136】
特定の実施形態において、成人は、30~80歳、35~80歳、40~80歳、45~80歳、50~80歳、55~80歳、60~80歳、65~80歳、70~80歳、75~80歳、30~75歳、30~70歳、30~65歳、30~60歳、30~55歳、30~50歳、30~45歳、30~40歳、30~35歳、35~75歳、35~70歳、35~65歳、35~60歳、35~55歳、35~50歳、35~45歳、35~40歳、40~75歳、40~70歳、40~65歳、40~60歳、40~55歳、40~50歳、40~45歳、45~75歳、45~70歳、45~65歳、45~60歳、45~55歳、45~50歳、50~75歳、50~70歳、50~65歳、50~60歳、50~55歳、55~75歳、55~70歳、55~65歳、55~60歳、60~75歳、60~70歳、60~65歳、65~75歳、65~70歳又は70~75歳である。特定の実施形態において、成人は、45~80歳である。
【0137】
特定の実施形態において、成人は、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79又は80歳である。
【0138】
特定の実施形態において、浮腫は、うっ血性心不全、肝硬変又は腎疾患に関連する。特定の実施形態において、腎疾患は、ネフローゼ症候群である。
【0139】
キット
一態様において、本発明は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧などであるが、これらに限定されない様々な状態の治療又は予防を、それを必要とする患者において行うためのキットを提供する。特定の実施形態において、状態、疾患又は障害は、体液過剰によるうっ血、浮腫及び高血圧からなる群から選択される。特定の実施形態において、状態は、体液過剰によるうっ血である。特定の実施形態において、状態は、浮腫である。特定の実施形態において、状態は、高血圧である。
【0140】
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載の液体医薬製剤を含むポリマープレフィルドカートリッジを提供する。
【0141】
様々な実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、身体装着型送達装置に関連付けられる。
【0142】
様々な実施形態において、ポリマープレフィルドカートリッジは、使い捨てカートリッジである。
【0143】
様々な実施形態において、液体医薬製剤を成人に皮下投与するための、身体装着型送達装置と関連付けられ得る使い捨てポリマープレフィルドカートリッジであり、使い捨てポリマープレフィルドカートリッジは、液体医薬製剤を含み、及び液体医薬製剤は、等浸透圧性であり、約7~約7.8のpHを有すると共に、
約80mgのフロセミド;
約79mgのトロメタミン塩酸塩;
任意選択により、1つ以上の他の薬学的に許容される賦形剤;及び
総体積が10mLになる量の水
からなる。
【0144】
様々な実施形態において、1つ以上の他の薬学的に許容される賦形剤は、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸又はそれらの組み合わせを含む。
【0145】
様々な実施形態において、キットは、例えば、プレフィルドポリマーカートリッジ及び身体装着型送達装置の使用説明書を含む。
【実施例】
【0146】
実施例
ここで一般的に説明されている本発明は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。これは、本発明の特定の態様及び実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。
【0147】
実施例1.フロセミド製剤(8mg/mL)の製造プロセス
以下の例では、8mg/mLフロセミド液体製剤を調製するための製造プロセスが説明される。
【0148】
賦形剤(塩化ナトリウム及び塩酸トロメタミン)及び原薬フロセミドUSP/EPは、フロセミド、塩化ナトリウム及びトロメタミン塩酸塩の最終濃度がそれぞれ8mg/mL、5.84mg/mL及び7.88mg/mLとなるのに必要な量で個々の容器に分注された。
【0149】
指定された量の注射用水(WFI)並びに賦形剤であるトロメタミン塩酸塩及び塩化ナトリウムを適切なサイズの混合容器に加えた。容器を閉じ、賦形剤を混合した。水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を容器に加え、混合した。
【0150】
pH試料を採取し、必要に応じて溶液を塩酸(HCl)又は追加のNaOHでpH8.50±0.10に調整した。調整が必要である場合、各添加後に溶液を混合してから再度サンプリングした。
【0151】
次いで、フロセミドUSP/NF/EPを賦形剤溶液に加え、その後、分注容器をWFIですすいだ。容器を閉じ、原薬を光から保護するために容器に蓋をし、溶液を混合した。混合後、APIが溶解していない場合、NaOH溶液を溶液に加えて溶解を促進した。
【0152】
pH試料を採取し、溶液をHCl又は追加のNaOH溶液でpH7.40±0.10に調整した。
【0153】
pH調整後、得られた溶液にWFIを加えて最終重量を達成した。濾過を続ける前に、アッセイ、pH、重量オスモル濃度及び外観試験のために、最終混合後に試料を収集した。
【0154】
フロセミド液体製剤は、最初に0.45μmバイオバーデン低減フィルターを通して濾過し、次に二重の0.22μmフィルターを通して除菌濾過した。次いで、フロセミド液体製剤を10mLのポリマーカートリッジに充填し、無菌プロセスを使用して栓をした。
【0155】
実施例2.フロセミドの薬物動態-薬力学モデリング研究
研究目的
研究scP-01-002からの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)データを利用して、PK及びPDのモデリング及びシミュレーションを実施する。研究scP-01-002は、皮下(SC)注入として投与されるフロセミドと、静脈(IV)注射として投与されるリストの薬剤(LD)との間のブリッジを実証するPK及びPDデータを提供した。
【0156】
このPK-PDモデリング及びシミュレーションの目的は、うっ血性心不全を有する患者におけるフロセミド全身曝露の経時変化を記述するための集団PKモデルを構築し、患者のフロセミドへの曝露の変動の原因を調査することであった。さらに、SC注入投与がLD、IVフロセミドと生物学的同等(BE)である可能性の評価を様々な投与計画で実施した。
【0157】
研究のタスク
タスク1:薬物動態分析
PK研究scP-01-002の部分AUC(血漿濃度対時間プロファイル下面積)及び部分AUEC(有効(PD)対時間プロファイル下面積)について、ノンコンパートメント(NCA)PK分析を実行する。
【0158】
タスク2:集団薬物動態モデリングy
集団PKモデリングを実行して、SCフロセミドの最適モデルからSC吸収率を特定する。共変量モデルは、集団PKパラメーター(例えば、分布体積、クリアランス及び皮下吸収速度)に対する共変量(例えば、年齢、体重及び腎機能)の影響を評価する。
【0159】
タスク3:フロセミド皮下送達の薬物動態シミュレーション
80mg(合計)のフロセミドを異なる投与間隔及び注入期間にわたって皮下送達するためのPKシミュレーションを実行する。合計5つのBE試験をシミュレートして、様々な投与計画によるSCフロセミド注入(試験)とIVフロセミド注射(LD、参照)との間でBEが実証される可能性を調査した。全てのBE試験では、研究scP-01-002から得られたIVフロセミド注射(LD、参照)からの観察データを使用した。
【0160】
SC治療群(試験群)からのデータは、以下についてシミュレートされた。
・BE試験1:試験:40mgSC注入×2回投与(30分間);0時間及び1.5時間の時点
・BE試験2:試験:80mgを1時間にわたってSC注入
・BE試験3:試験:80mgを2時間にわたってSC注入
・BE試験4:試験:80mgを4時間にわたってSC注入
・BE試験5:試験:80mgを8時間にわたってSC注入
【0161】
タスク4:仮想生物学的同等性試験のための薬物動態シミュレーション
仮想BE試験のためのPKシミュレーションを実行し、フロセミドのSC送達と異なる薬物送達スケジュール(すなわち用量、注入時間)を比較する。5回のSC注入投与をIV送達のPKと比較する(LD、NDA018667のラベルにリストされている固定薬物送達用量/注入時間;及びscP-01-002からの観察データ)。
【0162】
タスク5:集団PK-PDモデリング
集団PK-PDモデリングを実行して、SCフロセミド製剤のPK-PDモデルを確立し、PD効果を促進するPKパラメーターを特定する。最終PK-PDモデルを使用して、SC治療とIV治療とを比較する各試験の累積尿排出量をシミュレートした。
【0163】
高レベル概要
タスク1:SC注入群とIV治療群との間のAUC0-2、AUC0-4、AUC0-6、AUC0-8、AUClast及びAUCinfに関するBE評価により、研究scP-01-002で概説されているように投与されたSC注入が、AUC0-8;AUClast及びAUCinfに関して、IV、LDに対してBEであることが実証された。しかし、SC注入治療群のAUC0-2、AUC0-4及びAUC0-6は、IV治療群と比較して、80.00%~125.00%のBE限界の下限を下回った。さらなる説明は、以下のタスク3及びタスク4の概要に提示される。
【0164】
タスク2:慢性心不全を有する患者におけるフロセミド全身曝露の経時変化を記述するための集団PKモデルが構築された。さらに、患者のフロセミドへの曝露の変動の原因が調査された。一次皮下吸収速度(ka)及び一次排出速度による2コンパートメントPKモデルは、フロセミドのPKプロファイルを最もよく説明するものであった。
【0165】
共変量、クレアチンクリアランス及び体重が患者のフロセミド曝露に影響を与えることが見出された。クレアチンクリアランスは、フロセミドクリアランスに大きい影響を与える一方、体重は、フロセミドの体積分布に有意な影響を有することが見出された。年齢は、集団PKパラメーターのいずれにも有意な影響を示さなかった。
【0166】
タスク3及び4:LD、IVフロセミドに対してBEである様々な投与計画によるSC注入投与の可能性の評価が実施された。PK BE基準は、AUClast及びAUC0-infであった。AUC0-2、AUC0-4、AUC0-6及びAUC0-8は、全体的なBEの評価に使用されなかったが、尿排出量のPK-PDモデルを開発するために使用された。最終構築集団PKモデルを使用して、異なる投与計画によるSC注入投与の個々のフロセミド血漿濃度対時間プロファイルをシミュレートした。
【0167】
AUClast及びAUCinfの生物学的同等性は、試験された全ての投与計画についてSCフロセミド注入とLD IVフロセミドとの間で証明された。
【0168】
BE基準が達成される可能性は、一般的に、注入時間が増加するにつれて減少した。AUC0-2について、IV LDに対してBE基準を達成した唯一の投与計画は、1時間にわたって80mgの皮下投与であった。AUC0-0.5及びAUC0-1は、この分析では評価されなかった。この観察は、皮下フロセミドの臨床的有用性が、IV LDを利用すべき非緊急の状況に限定されていることと一致している。
【0169】
80mgフロセミドを40mg SC×2回投与(30分間超、試験1)として送達し、80mgを1又は2時間にわたって送達した場合(トライアル2及び3)、試験したpAUC(0-6、0-8、last及びinf)についてSC注入とLD、IVフロセミドとの間で生物学的同等性が実証された。80mgのフロセミドをより短い注入時間(1時間及び2時間、試験1、2及び3)で送達した場合に対して、より長い注入時間(4時間又は8時間、試験4及び5)で送達した場合、AUC0-6は、80.00~125.00%BE限界の下限を下回った。
【0170】
フロセミドの皮下吸収半減期及び最終排出の両方が短いため、IVとSC注入との間で同等の早期部分AUC(例えば、投与後6又は8時間後)を得るには、総用量80mgのSC注入をより短い注入時間で投与しなければならない。試験したSC注入投与計画のうち、より短い期間(1時間又は2時間)で合計80mgを投与すると、SC注入とIVとの間で同等のAUC0-6が示された。しかし、合計80mgのSC注入がより長い期間(4時間(試験4)、5時間(scP-01-002で投与)及び8時間(試験))にわたって投与された場合、AUC0-6は、LD IV治療と比較して、80.00~125.00%BE限界の下限を下回った。
【0171】
タスク5:説明された集団PK-PDモデルは、PK-PDデータに最もよく適合する。PK及びPDデータは、連続的にモデリングされた。タスク2で特定された共変量効果を伴う最終集団PKモデルを使用して、尿中へのフロセミド排泄速度をシミュレートした。次に、尿中へのシミュレートされたフロセミド排速度を間接反応PDモデルで使用して、フロセミドのPK-PD関係を確立した。PK-PDモデルを使用して、最大PD効果(尿体積排泄速度mL/時間)の50%を提供する尿中へのフロセミド排泄速度であるIC50を推定した。フロセミドは、阻害機構を介してその薬理効果を生じるため、本明細書では、IC50パラメーター用語(刺激機構によって生じる薬理効果を説明するために使用されるEC50ではない)を使用したことに留意されたい。
【0172】
IC50、最大尿排出量(mL/時間)の50%を提供する尿中へのフロセミド排泄速度(ng/時間)は、PD効果の主な要因であることが見出された。PK-PDモデリング及びシミュレーションの結果は、慢性心不全を有する患者における尿へのフロセミド排泄速度と尿排出量との関係を理解するための洞察を提供する。臨床的に有意義な尿排出量がない場合、IC50の値からフロセミド血漿閾値レベルを解釈することは、推測的であるとみなされる。その結果、5つのシミュレーション試験において、累積尿排出量がシミュレートされ、SCフロセミド注入とIVフロセミド注射治療との間で比較された。
・BE試験1:試験:40mgSC注入×2回投与(30分間);0時間及び1.5時間の時点。
総尿排出量は、4時間でのIV治療群と同様である。投与後6時間~24時間までに、SC治療群は、IV治療群よりも約250mL多くの尿排出量を生成した。
・BE試験2:試験:80mgを1時間にわたってSC注入。
総尿排出量は、24時間までの全ての時点でSC治療群とIV治療群との間で同様である。
・BE試験3:試験:80mgを2時間にわたってSC注入。
SC治療群から排出される総尿排出量は、投与後4時間までIV治療と同等であり、投与後24時間でIV治療よりわずかに150mL多い。
・BE試験4:試験:80mgを4時間にわたってSC注入。
SC治療群からの総尿排出量は、投与後4時間までのIV治療と同様である。SC治療群は、IV治療と比較して、投与後24時間での尿排出量より160mL多いと推定される。
・BE試験5:試験:80mgを8時間にわたってSC注入。
IV治療群からの総尿排出量は、投与後4時間までのIV治療よりも約800mL多い。しかし、SC治療群は、IV治療と比較して、投与後24時間での尿排出量よりおよそ1000mL多いと推定される。
【0173】
データソース
PK/PDモデリング及びシミュレーションのデータソースは、研究scP-01-002(ClinicalTrials.gov識別子:NCT02329834)から取得した。Sica et al.,“Subcutaneous Furosemide in Heart Failure: Pharmacokinetic Characteristics of a Newly Buffered Solution,”JACC Basic Transl.Sci.3(1), 25-34 (2018)も参照されたい。この研究は、SC及びIV投与後のフロセミドのPK及びバイオアベイラビリティを評価するためにデザインされた非盲検、単一施設、単回投与、無作為化、二元(2期間)クロスオーバー研究であった。以前に軽度~中等度の心不全(NYHAクラスII/III)と診断され、40mg/日以上の用量の経口フロセミド療法で同時に治療を受けている成人患者が登録された。合計16人の患者が2つの治療シーケンスの1つに無作為に割り当てられた。患者は、各クロスオーバー期間の研究薬投与の少なくとも24時間前に経口フロセミドを中止した。
【0174】
研究の記述
治療群:
・静脈内フロセミド(IVフロセミド):ホスピーラ、フロセミド注射、溶液10mg/mL(NDA018667)(総用量=80mg)をIVボーラス注射により2分間にわたって40mg静脈内投与、その120分後に2分間にわたって40mgの第2の投与(参照治療)。
・皮下フロセミド(SCフロセミド):フロセミド注射液、8mg/mL(総用量=80mg用量)を最初の1時間にわたって30mg、その後、4時間にわたって1時間あたり12.5mgで皮下投与(試験治療)。
【0175】
フロセミド濃度測定用の血漿試料:
・SC注入治療群:投与後0(投与前)、0.5、1、1.5、2、3、4、5、5.08、5.25、5.5、5.75、6、8、10、12、14、16及び24時間。
・IV注射治療群:投与後0、0.083、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.08、2.25、2.5、2.75、3、3.5、4、5、6、8、10、12、14及び16時間。
【0176】
尿中ナトリウム及び総尿排出量測定用の尿試料:
・患者は、投与直前(投与前尿)及び各採取期間の終了時に排尿するように指示された。各治療期間の投与開始(時間0)後、(0~1)、(1~2)、(2~4)、(4~6)、(6~8)、(8~10)、(10~12)、(12~18)、(18~24)時間の期間中に自然排尿から尿を採取した。投与前の検査試料が取得されなかったため、投与前の尿ナトリウム濃度は、提供されなかったことに留意されたい。
【0177】
両方の治療期間を完了した16人の患者のうち、数人の対象は、一般的にCmaxの5%未満であるフロセミドの定量可能な投与前濃度を示したが、1人の患者(患者2)は、皮下注入フロセミド治療の投与前に927.55ng/mL(Cmaxの35%より大きい)の投与前濃度を示した。FDAガイダンス(FDA,2014)に従い、患者2は、投与前濃度が対象のCmaxの5%を超えていたため、一次非コンパートメントパラメーター推定(scP-01-02研究報告書)及び統計解析から除外された。したがって、本明細書で概説したPK/PDモデリング及びシミュレーションは、15人の患者について実施された。
【0178】
尿量及び尿中ナトリウムは、研究scP-01-002の主要薬力学的パラメーターとして選択された。
【0179】
方法
薬物動態分析 - タスク1
AUClast及びAUCinfを計算するために、以下のPKパラメーターが研究scP-01-002からの血漿濃度経時変化データのノンコンパートメント分析(NCA)を使用して推定された。さらに、IV治療及びSC治療の両方に関するAUC0-2、AUC0-4、AUC0-6、AUC0-8、AUC0-12及びAUC0-24を含む早期部分AUC(pAUC)も探索的PK-PD関係の評価のために計算された。
【0180】
研究scP-01-002データからのSC治療群とIV治療群との間の総フロセミド曝露を比較するために、AUClast及びAUCinfに関する生物学的同等性評価を実施した。BE評価は、タスク4についても実施されたことに留意されたい。比較は、シーケンス、期間及び治療に対する固定効果と、シーケンスでネストされた対象に対する無作為効果とを伴う線形混合モデルを使用して実施された。AUClast及びAUCinfの最小二乗幾何平均及び90%信頼区間(CI)をフロセミドAUClast及びAUCinfの幾何平均の比(SC対IV)について計算した。AUClast及びAUCinfについて計算された90%CIが80.00~125.00%の範囲内にある場合、SC治療とIV治療との間のフロセミド総全身曝露についてBEが実証される。
【0181】
Phoenix WinNonlinバージョン6.4(Pharsight, Mountain View, CA)を、BEの決定(90%CI)及びノンコンパートメント分析(NCA)を利用したPKパラメーターの推定に使用した。
【0182】
部分AUEC(有効(PD)対時間プロファイル下面積)のNCA PK分析は、タスク1で計画された。尿の排泄速度及び尿中ナトリウムは、フロセミドのPK-PD関係により適切であると考えられた(Jusko and Ko, 1994)。したがって、上記で特定した期間の各中間点(すなわち0.5、1、3、5、7、9、11、15及び21時間)でのmL/時間として表される尿の排泄速度対時間プロファイルであるAUECは、連続PK-PDモデリング(タスク5)のデータインプットとして使用された。
【0183】
集団薬物動態-薬力学モデリング及びシミュレーション タスク2~5
本明細書で実施されるPK-PDモデリング及びシミュレーション タスク1~5を
図1に示す。
【0184】
最終集団薬物動態-薬力学モデル タスク5
共変量効果を伴う最終集団PK-PDモデル
集団PK-PDモデリングを実施して、フロセミドのPK-PDモデルを確立し、PD効果を促進するPKパラメーター(すなわちIC50)を特定した。尿中へのフロセミド排泄速度のIC50の評価は、本明細書に記載の連続集団PK-PDモデリングを介して実施された。
【0185】
尿排出量対尿中ナトリウム量の比率に関する線形回帰分析の適合度を決定した。線形回帰分析の決定係数R二乗値0.9587が特定され、尿中ナトリウム排出速度と尿排出速度との間の線形関係が実証された。研究scP-01-002では、ナトリウム排出量及び尿排出量の両方がフロセミドの薬理効果の主要PDエンドポイントとみなされた。これは、フロセミド誘導効果のPD変数(すなわち尿流量、ナトリウム排泄速度、塩素排泄速度)がほぼ同一の反応パターンを生じることが示されている文献の報告と一致している(Hammarlund et al., 1985;Hammarlund-Udenaes and Benet, 1989)。これらの同一の反応パターンにより、PDモデルのPDインプットとして、尿中ナトリウムではなく、尿排出速度が選択された。
【0186】
したがって、尿の排泄速度対時間プロファイルであるAUECは、
図2に示されるように、上記で特定した期間の各中間点(すなわち0.5、1、3、5、7、9、11、15及び21時間)においてmL/時間として表される。
【0187】
集団PK-PDモデルの適合度は、以下の残差診断プロットによって証明された。
・個別予測(IPRED)対個別加重残差(IWRES);
・従属変数(観察尿量、DV)対IPRED;及び
・個別加重残差対標準正規分位数。
【0188】
これらの診断プロットは、一般的に、選択されたエラーモデルがデータを説明するのに合理的であり、観察PDデータ(尿排出量)を適切に捕捉したことを示した。
【0189】
最終集団PK-PDモデルのモデル検証
本明細書で確立された最終集団PDモデルを検証するために、最初の1時間にわたって30mgとしてSCを投与し、その後の4時間にわたって1時間あたり12.5mgとしてSCを投与した(試験治療)、SC治療の投与後の累積尿排出量をシミュレートした。観察対シミュレーション累積尿量を
図3に示す。
【0190】
確立されたモデルから推定された集団PDパラメーター値は、ブートストラップ反復から推定された値の95%CIに該当する。診断プロット及び集団PDパラメーター推定のCV値を合わせて、最終PDモデルが完全に検証される。
【0191】
結果
PK-PDモデリング及びシミュレーションの結果は、慢性心不全を有する患者における尿中へのフロセミド排泄速度と尿排出量との関係を理解するための洞察を提供する。1,735,300ng/時間というIC50は、フロセミド投与(経口、IV又はSC)後、尿中フロセミド排泄速度が1,735,300ng/時間を係数FER(腎経路から除去/排泄されたフロセミドの割合)で割った値に達すると、尿排出の最大速度の50%に達することを示唆している。
【0192】
上で概説した5つの試験の累積尿排出量をシミュレートするために、本明細書に記載のモデルを使用した(FERの正確な値は必要ではない)。
【0193】
・試験1:40mgのフロセミドを0時間及び1.5時間(毎回30分間)の2つの時点で皮下投与した場合、総尿排出量は、4時間でのIV治療群と同様である。投与後6時間~24時間までに、SC治療群は、LD治療群よりも約250mL多くの尿排出量を生成した。結果を
図4に示す。
【0194】
・試験2:80mgのフロセミドを1時間にわたって皮下投与した場合、総尿排出量は、24時間までの全ての時点でSC治療群とIV治療群との間で同様である。結果を
図5に示す。
【0195】
・試験3:80mgのフロセミドを2時間にわたって皮下投与した場合、SC治療群から排出される総尿排出量は、投与後4時間までIV治療と同等であり、投与後24時間でIV治療よりわずかに150mL多い。結果を
図6に示す。
【0196】
・試験4:80mgのフロセミドを4時間にわたって皮下投与した場合、SC治療群からの総尿排出量は、投与後4時間までのIV治療と同様である。SC治療群は、IV治療と比較して、投与後24時間での尿排出量より160mL多いと推定される。結果を
図7に示す。
【0197】
・試験5:80mgのフロセミドを8時間にわたって皮下投与した場合、IV治療からの総尿排出量は、投与後4時間までのSC治療よりも約800mL多い。しかし、SC治療群は、IV治療と比較して、投与後24時間での尿排出量よりおよそ1000mL多いと推定される。結果を
図8に示す。
【0198】
まとめると、これらの試験により、試験1~5において、同じ80mgの総用量を1、24及び8時間にわたって皮下投与した場合、投与後8時間までに、IV治療(40mgをIVボーラス注射により2分間にわたって投与、その120分後に2分間にわたって40mgの第2の投与)と比較して同様又はわずかに多い総尿排出量が得られることが実証された。さらに、試験5で実証されているように、80mgのフロセミドを8時間にわたって皮下投与した場合、SC治療群は、IV治療と比較して、投与後24時間での尿排出量よりおよそ1000mL(約30%増加)多いと推定される。この結果は、試験5対試験1~4(それぞれ8時間対1、2及び4時間)で用いた注入時間を増加させると、フロセミドの尿中への排泄速度がより長くIC50を超えたままとなるため、予想どおりである。
【0199】
実施例3.フロセミド液体製剤(Furoscix(登録商標))の皮下注入期間が安全性及び局所皮膚忍容性に及ぼす影響の評価
研究目的
Furoscix(すなわち実施例1のフロセミド液体製剤)の短縮された皮下注入の安全性及び忍容性を評価する。
【0200】
方法論
非盲検、非無作為化、単一施設研究。
【0201】
対象数
この研究に登録された対象の数は、50人であった。
【0202】
選択基準
研究に登録するためには、対象は、以下の選択基準を満たす必要があった:治験審査委員会(IRB)が承認したインフォームドコンセントが、全ての研究関連活動前に署名され、日付が記入されていること;45~80歳の男性及び女性の対象;研究の要件を理解する能力を有し、全ての研究手順に従う意思があること;治験責任医師の意見で研究に参加することができること。
【0203】
除外基準
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、対象は、研究に登録する資格を有しなかった:治験薬投与後24時間以内のループ利尿剤(フロセミド、ブメタニド又はトルセミド)若しくはサイアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド又はメトラゾン)の摂取;治験薬投与後24時間以内のカリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、アミロリド)若しくは経口カルシウム、カリウム若しくはマグネシウムサプリメント(マルチビタミンを含む)の摂取;フロセミド、スルホンアミド若しくは他のループ利尿薬剤対するアレルギーの病歴;現在薬物療法を要する皮膚の状態;糖尿病の病歴;尿道カテーテルの存在若しくは必要性、尿路異常若しくは排尿に干渉する障害;スクリーニング時に130mEq/L未満の血清ナトリウム;スクリーニング時に3.5mEq/L以下若しくは5.5mEq/L以上の血清カリウム;スクリーニング時に1.5mEq/L未満若しくは2.5mEq/L超の血清マグネシウム;スクリーニング時に96mEq/L未満若しくは106mEq/L超の血清塩化物;スクリーニング時に8.5mg/dL未満若しくは10.5mg/dL超の血清カルシウム;スクリーニング時に30mL/分/1.73m2未満の簡易版Modification of Diet in Renal Disease(sMDRD)式による推定糸球体濾過量(GFR);スクリーニング時若しくはベースライン時に90mmHg未満の収縮期血圧(SBP);スクリーニング時若しくはベースライン時に110拍/分(BPM)超の心拍数;耳鳴若しくは難聴を含む聴覚障害の病歴;38℃超(口腔又は同等)のスクリーニング時若しくはベースライン時の体温;2mg/dL(0.02%)以上のスクリーニング時若しくはベースライン時の血中アルコール濃度;妊娠中若しくは授乳中の女性対象;針留置部位に影響を与える腹部の大手術の病歴;前立腺肥大症(BPH)、前立腺炎若しくは前立腺癌の病歴;膀胱排出障害及び/又は尿道狭窄による尿閉;肝疾患、肝硬変若しくは腹水の病歴;治療当日の腹部の局所的な皮膚の状態、すなわち日焼け、発疹、湿疹など;絆創膏又は医療用テープに対するアレルギー及び/又は過敏症;又は治験責任医師の意見で研究への参加に干渉し得るか若しくは研究の転帰に影響を与え得る外科的若しくは医学的状態。
【0204】
研究デザイン
インフォームドコンセントに署名した後、スクリーニングの検査結果を含む選択/除外基準を満たした対象が試験に登録された。治療は、スクリーニング評価の完了から5日以内に開始された。初回のスクリーニングから5日以内に治療来院がなかった場合、対象は、再スクリーニングされ、新しい対象番号が割り当てられ、再スクリーニングから5日以内に治療を受けた。
【0205】
異なる注入時間で同じ用量のFuroscixの皮下(SC)注入(フロセミド注射80mg/10mL)を受ける対象の4つのコホートがあった。Furoscixは、UnomedicalNeria(商標)注入セット(6mm、27G、垂直挿入用ステンレス鋼針)に接続されたB. Braun Omnifix 10mLルアーロックシリンジを介して、B. Braun Perfusor Space Infusion Pumpを使用して投与された。
【0206】
最初のコホート(コホート1)は、5時間にわたる二相性送達を受け、それにより最初の1時間にわたって30mg(3.75mL)が注入され、その後の4時間にわたって12.5mg/時間(1.56mL)が注入され、80mg(10mL)のフロセミドの総用量が注入された。その後のコホートでは、80mg/10mLの用量を維持しながら、注入時間を段階的に減少させた。後続のコホートへの登録は、スポンサー、医療モニター及びCROによる完了した各コホートの安全性評価の完了後に開始された。コホート2a及び2bは、同時に登録された。
【0207】
その後のコホートの注入時間は、以下のとおりである。
コホート2a:Furoscix 80mg/10mLを2時間にわたって持続注入。
コホート2b:合計2時間の期間にわたり、最初の30分間にFuroscix 40mg(5mL)を注入;1時間休止;残りの40mg(5mL)を最後の30分間にわたって注入。
コホート3:Furoscix 80mg/10mLを1時間にわたって持続注入。
コホート4:Furoscix 80mg/10mLを30分間にわたって持続注入。
【0208】
各コホートの対象は、注入開始後、最低8時間モニタリングされた。対象は、注入部位の痛み、明らかな漏れ、有害事象についてモニタリングされた。注射部位の評価が実施され、血圧、心拍数、12誘導ECG及び臨床検査結果が収集された。尿排出量及び水分摂取量を注入開始後8時間モニタリングした。
【0209】
2グラム未満のナトリウムを含む標準食が提供された。水、ジュース、カフェインを含まない飲料及び低ナトリウムスナックは、自由に摂取させた。カフェインの摂取は、許可されていなかった。
【0210】
対象は、注入開始から24~48時間後にフォローアップ来院して、血圧及び心拍数を測定し、注入部位の検査を実行し、治療下で発現した全てのAEを評価した。
【0211】
対象の内訳
50人の対象が研究のためにスクリーニングされた。41人の対象が登録され、治療意図(ITT)及び安全性(SP)集団に含まれた。39人の対象が研究を完了した。10人の対象は、漏れのため評価対象集団(EP)から除外された。
【0212】
主要な人口統計
全ての集団(ITT、SP、EP)における対象の主要な人口統計は、全てのコホートにわたって同様であった。1コホートあたりの対象の平均年齢は、53.9~61.5歳の範囲であった。1コホートあたりの平均BMIは、27.14kg/m2~29.10kg/m2の範囲であった。1コホートあたりの性別分布は、男性が25%~62.5%の範囲であった。1コホートあたりの人種分布は、白人が37.5%~87.5%の範囲であり、民族は、非ヒスパニック系が87.5%~100%の範囲であった。
【0213】
治療期間
対象は、割り当てられたコホートに応じて、5時間、2時間、1時間又は30分間にわたってFuroscix(80mg/10mL)の注入を受けた。全ての対象は、注入開始から8時間モニタリングされた。
【0214】
エンドポイントの評価
注入部位の痛み:痛みは、皮下(SC)針の留置時、SC注入の起動時及び注入中の定期的な評価及び注入開始後8時間にわたる注入完了後の評価を含む11点スケールを使用して評価された。痛みスコアは、0~10のスケールで評価された。0は、痛みなしに相当し、10は、考えられる最悪の痛みに相当する。
【0215】
安全性:評価された安全性変数は、治験薬の投与開始から注入開始後24~48時間までの治療下で発現した有害事象(TEAE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生率であった。
【0216】
研究期間中、血圧、心拍数、12誘導心電図(ECG)及び臨床化学検査結果が収集された。
【0217】
探索的エンドポイント:総尿排出量を注入開始後8時間にわたって評価した。対象は、可能であれば注入開始直前に排尿するように指示され、この試料は、廃棄された。尿は、注入開始後8時間にわたり、自然排尿から採取され、測定され、記録され、廃棄された。
【0218】
統計的手法
分析集団:分析において以下の集団が使用された:
スクリーニングされた集団(ScP):インフォームドコンセントに署名した全ての対象。
治療意図(ITT)集団:インフォームドコンセントに署名し、適格基準を満たした全ての対象。これは、登録集団に相当した。
安全性集団(SP):研究治療を受けた全ての対象。全ての安全性及び探索的エンドポイントは、安全性集団について要約されている。
評価可能集団(EP):注入を完了し、明らかな漏れのエビデンスを経験しなかった安全性集団の全ての対象。総尿排出量の探索的エンドポイントは、評価可能集団について要約されている。
【0219】
エンドポイント:全てのエンドポイントは、記述的に分析された。
【0220】
安全性分析:有害事象は、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョン22.0を使用して、基本語(PT)及び器官別大分類(SOC)によってコード化された。AEのリストが提供された。
【0221】
結果
大多数の対象は、処置中に痛みをほとんど又は全く感じなかった。針留置時の痛みスコアの中央値は、全てのコホートで0(痛みなし)であった。注入中、大半の対象は、痛みをほとんど又は全く報告しなかった。注入後の痛みスコア中央値は、0であった。痛みスコアは、全てのコホートで一貫していた(表1)。
【0222】
【0223】
8時間の採取期間にわたる総尿排出量は、全てのコホートで同等であった(表2及び3)。
【0224】
【0225】
【0226】
安全性結果:24人の対象が経験した40件の有害事象があった。全ての事象は、軽度又は中等度であり、重篤ではないと評価された。明らかな安全性の問題は、観察されず、死亡の報告もなかった。
【0227】
いずれのコホートでも、血清化学検査値、バイタルサイン又はECGパラメーターに明らかな変化は観察されなかった。
【0228】
結論
大多数の対象は、Furoscixの皮下注入中及びその後に痛みをほとんど又は全く感じなかった。痛みスコアは、全てのコホートで一貫していた。
【0229】
いずれのコホートでも明らかな安全性の問題は観察されなかった。
【0230】
8時間の採取期間にわたる総尿排出量は、全てのコホートで同等であった。
【0231】
参照による組み込み
本明細書で参照される各特許文献及び科学論文の開示全体は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0232】
均等物
本開示は、その趣旨又は必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。従って、これまでの実施形態は、全ての点において、本明細書中に記載された本開示について、限定的であるよりむしろ例示的であると考えられる。従って、本開示の範囲は、これまでの記載によるものよりむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に該当する全ての変形形態は、その中に含まれることが意図される。
【国際調査報告】