(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無声プラズマ放電を発生させるための真空フィードスルー、電極組立体および装置
(51)【国際特許分類】
H01J 9/24 20060101AFI20240312BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01J9/24 C
H05H1/24
H01J9/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560424
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022057385
(87)【国際公開番号】W WO2022207397
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518303251
【氏名又は名称】インフィコン・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアウス,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】バルトナー,アストリット
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA11
2G084CC19
2G084CC33
2G084DD13
(57)【要約】
径方向に積層された真空フィードスルー(10)は、(内側から外側へ)以下の要素、すなわち、レンズ素子(11)、ガラス製の第1のリング(12)、第1の誘電体材料製の第1の中空円筒(13)、第1の導電層(18)、ガラス製の第2の中空円筒(14)、セラミック製の第3の中空円筒(15)、ガラス製の第2のリング(16)、および金属製のフレーム(17)を含む。また、本発明は、真空フィードスルーに基づいた電極組立体、DBDプラズマ放電を発生させるための装置、圧力および/またはガス組成を特徴付けるための測定装置、および測定装置を作動するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空フィードスルー(10)であって、径方向の内側から外側へ以下の順序で、
レンズ素子(11)と、
ガラス製の第1のリング(12)と、
第1の誘電体材料製の第1の中空円筒(13)と、
第1の導電層(18)と、
ガラス製の第2の中空円筒(14)と、
セラミック製の第3の中空円筒(15)と、
ガラス製の第2のリング(16)と、
金属制のフレーム(17)とを備え、
前記真空フィードスルーの第1側(2)の第1の点から始まり、前記レンズ素子を通って前記真空フィードスルーの第2側(3)の第2の点までに、光学波長範囲からの放射線のための少なくとも1つの連続的な放射線経路が存在している、真空フィードスルー(10)。
【請求項2】
隣接する要素(11、12、13、14、15、16、17)は、前記真空フィードスルーの前記第1側(2)と前記第2側(3)とを互いに分離するための封止面(1)を形成するように真空気密的に互いに接続され、
特に白金製の第1の導電層(18)は、前記第1の中空円筒の前記外面に適用され、
前記第1の中空円筒および前記第1の導電層は、導電性接触面(19)を形成するように、前記第2側で前記第2の中空円筒を越えて突出し、
前記第1の中空円筒、前記第2の中空円筒、前記第3の中空円筒および前記第1の導電層は、前記第1側で前記レンズ素子を越えて突出する、請求項1の真空フィードスルー(10)。
【請求項3】
前記レンズ素子(11)は、サファイア製である、請求項1または2に記載の真空フィードスルー(10)。
【請求項4】
前記第1の中空円筒(13)は、サファイア製である、請求項1から3に記載の真空フィードスルー(10)。
【請求項5】
DBDプラズマ放電を発生させるための電極組立体(20)であって、
前記電極組立体は、請求項1から4のいずれか一項に記載の前記真空フィードスルー(10)を備え、その外面に特にモリブデン製の第2の導電層(22)を担持するセラミック製の第4の中空円筒(21)をさらに備え、
前記第4の中空円筒(21)は、前記第1の中空円筒(13)と同軸になるように前記真空フィードスルーの前記第1側(2)に配置され、少なくとも部分的に前記第1の中空円筒内に位置し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とは、軸方向に沿って部分的に重なっており、
前記第2の導電層と前記第1の中空円筒の前記内面との間に、径方向延在を有する間隙(24)が開放である、電極組立体(20)。
【請求項6】
前記間隙(24)の前記径方向延在は、1mm未満であり、特に、前記間隙の前記径方向延在は、0.05mm~0.5mmである、請求項5に記載の電極組立体(20)。
【請求項7】
DBDプラズマ放電を発生させるための装置(30)であって、
前記装置は、請求項5または6のいずれか一項に記載の前記電極組立体(20)を備え、
前記第2の導電層と前記第1の中空円筒の前記内面との間の前記間隙は、前記真空チャンバの内部と流体力学的に連通しており、
前記第1の導電層は、前記導電性接触面で高電圧交流電源(32)に導電的に接続され、
前記第2の導電層は、接地に導電的に接続されている、装置。
【請求項8】
圧力および/またはガス組成を特徴付けるための測定装置(40)であって、
前記測定装置は、請求項7に記載の前記装置を備え、
前記レンズ素子(11)の前記大気側(3)には、光学センサ(41)が配置されている、測定装置。
【請求項9】
1~10kVの電圧振幅および1~10kHの周波数を有する交流電圧が、前記第1の導電層(18)と前記第2の導電層(22)との間に印加される、請求項8に記載の測定装置(40)を作動するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無声プラズマ放電を発生させるための真空フィードスルー、電極組立体および装置に関する。また、本発明は、圧力および/またはガス組成を特徴付けるための測定装置、および測定装置を作動するための方法に関する。
【0002】
本発明は、プラズマの生成、分子およびイオンのイオン化および励起によるプラズマ光の生成、さらに生成されたプラズマのガス組成に関する情報の測定および評価の技術分野に属する。プラズマ放電の1つの可能な種類は、いわゆるDBDプラズマ放電である。(無声放電または誘電体バリア放電(DBD)とも呼ばれる)DBDプラズマ放電は、誘電体を用いたガルバニック分離によって少なくとも1つの電極をガス空間から電気的に絶縁した交流ガス放電である。絶縁体がアーク放電の発生を防ぐため、DBDプラズマ放電は、誘電抑制放電とも呼ばれる。
【0003】
DBDプラズマで生成された光の測定および評価は、多くの困難を伴う。素子の寿命、場合によっては真空適性、装置のサイズおよび複雑さ、ならびに達成可能な感度は、大きな課題である。
【0004】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの課題を解決することであった。すなわち、本発明の1つの目的は、DBDプラズマ放電に基づいて圧力および/またはガス組成を測定するための小型センサを可能にすると共に、この目的に適した部品を提供することである。
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の真空フィードスルーによって解決される。実施形態は、従属請求項2から4の特徴から生じる。
【0006】
真空フィードスルーは、径方向の内側から外側へ以下の順序で、以下の要素、すなわち、レンズ素子と、ガラス製の第1のリングと、第1の誘電体材料製の第1の中空円筒と、第1の導電層と、ガラス製の第2の中空円筒と、セラミック製の第3の中空円筒と、ガラス製の第2のリングと、金属製のフレームとを備える。フレームは、特に環状であってもよい。フレームは、特にステンレス鋼で作ることができる。
【0007】
真空フィードスルーの第1側の第1の点から始まり、レンズ素子を通って真空フィードスルーの第2側の第2の点までに、光学波長範囲からの放射線のための少なくとも1つの連続的な放射線経路が存在している。
【0008】
レンズ素子は、光学波長範囲内の少なくとも1つの波長範囲に対して透明であるため、真空フィードスルーの光学部分を構成する。真空フィードスルーの要素は、上記の波長範囲で透明でない限り、少なくとも1つの連続的な放射経路に沿って経路を通るときに妨げられない。光学波長範囲は、100nm~1mmの波長を有する電磁放射線、特に可視光線、紫外線および赤外線の範囲を含む。レンズ素子は、例えば、平凸レンズの形状を有してもよく、凸面は、封止面の第1側に面してもよい。レンズ素子は、例えば、第1のリングと径方向に重なるように、第1側面にトラス頭状の直径拡大部を有してもよい。このようにして、第1側からの放射線を集束させることができる。例えば、レンズ素子は、レンズ半径と屈折率の組み合わせによって、第1側からの平行な放射線を第2側の焦点または少なくとも焦点体積に集束させるように設計されてもよい。
【0009】
特に、第1側は、真空側として提供されてもよく、第2側は、大気側として提供されてもよい。真空フィードスルーという用語は、本発明の文脈において、第1側と第2側との間に実質的な圧力差があって、ガスが封止面を通って他方の側に通過することができない状況の使用にフィードスルーが適していることを意味すると理解されるべきである。この要件は、真空技術におけるフィードスルーの使用に典型的であるが、いずれかの側に真空範囲の圧力が存在していない他の用途にも有用である。
【0010】
したがって、本発明の真空フィードスルーは、電気光学真空フィードスルーである。フレームから絶縁された第1の導電層は、電気フィードスルーを形成する。レンズ素子は、光学フィードスルーを形成する。
【0011】
必要に応じて、追加のロッド状またはワイヤ状の電極が、レンズ素子の中心軸を沿ってレンズ素子に通すことができる。さらなるガラスリングを用いて、この追加の電極を嵌めることができる。さらなる素子への電力供給が必要な場合に、この追加の電極は、構造全体をコンパクトに保つことができる。
【0012】
本発明の真空フィードスルーの一実施形態において、互いに隣接する要素(レンズ素子および上記リストからのさらなる要素)は、真空フィードスルーの第1側、特に真空側と、第2側、特に大気側とを分離する封止面を形成するように、真空気密的に互いに接続される。
【0013】
第1の導電層は、第1の中空円筒の外面に適用される。この導電層は、金属、特に白金で作ることができる。
【0014】
第1の中空円筒および第1の導電層は、導電性接触面を形成するように、大気側で第2の中空円筒を越えて突出する。第1の電極は、第1の導電層がDBDプラズマ放電の電極として機能するように、接触面で、例えば高電圧源に接続されてもよい。第1の導電層は、中空円筒の形状を有してもよい。第1の導電層は、セグメント化することができる。すなわち、第1の導電層は、例えば、DBD放電の電極として機能する領域および/またはガラスリング下方のフィードスルーの領域において、互いに隣り合う長手ストリップとして形成されてもよい。
【0015】
第1の中空円筒、第2の中空円筒、第3の中空円筒、および第1の導電層は、第1側でレンズ素子を越えて延在する。
【0016】
各要素は、封止面の実質的に環状のゾーンを形成する。ガラス製の第1のリングは、レンズ素子の径方向外側でレンズ素子に隣接し、レンズ素子に真空気密的に接続されている。第1の中空円筒は、第1のリングの径方向外側で第1のリングに隣接し、真空封止されている。この構成では、各層は、少なくとも1つのガラス層に隣接する。第1のガラスリング、第2のガラスリングおよび第2の中空円筒は、特に溶融ガラスで作ることができる。特に、溶融ガラスは、金属またはセラミックとの真空気密接続に特に適したいわゆる半田ガラスであってもよい。金属フレームは、リング状であってもよい。金属フレームは、例えば、フレームをさらなる要素に溶接することを容易にするように設計されたフランジを有してもよい。金属フレームは、例えば、高い耐食性を特徴とするステンレスオーステナイト鋼、例えば、鋼1.4435または鋼1.4404から作ることができる。
【0017】
各要素は、回転軸を有する回転体の形状を有することができる。これらの要素は、回転軸に対して互いに同軸に配置することができる。
【0018】
第1側、例えば真空側では、導電層は、第1の中空円筒と第2の中空円筒との間に完全に封入することができる。この場合、真空側では電極との容量結合のみが可能である。導電層を絶縁材料に完全に封入することは、アーク放電の発生を防止することができるという利点を有する。
【0019】
セラミック製の第3の中空円筒は、ガラス製の第2の中空円筒が十分な耐絶縁破壊性を有していない場合に、ガラス製の第2の中空円筒を介した絶縁破壊を抑制する効果を有する。例えば、後述する測定装置の金属製収容管の間の放電は、セラミック製の第3の中空円筒によって良好に防止される。特に、第3の中空円筒は、Al2O3セラミックで作られてもよい。
【0020】
真空フィードスルーの一実施形態では、レンズ素子は、サファイアで作られる。
サファイアは、200nm~5000nmの波長領域において高い透過率を有し、真空領域からの損失が殆どなく、光学領域外の電磁波を導くのに特に適している。特に、200nmを超える紫外領域の透過率が高い。さらに、サファイアは、機械的に非常に頑丈である。
【0021】
真空フィードスルーの一実施形態では、第1の中空円筒は、サファイアで作られる。
本発明はさらに、請求項5に記載の電極組立体に関する。電極組立体の実施形態は、請求項6の特徴から生じる。
【0022】
本発明の電極組立体は、DBDプラズマ放電を発生させるための電極組立体である。電極組立体は、上述した本発明の真空フィードスルーを含む。電極組立体は、その外面に第2の導電層を担持するセラミック製の第4の中空円筒をさらに備える。第2の導電層は、特にモリブデンで作られてもよい。
【0023】
第4の中空円筒は、第1の中空円筒と同軸になるように真空フィードスルーの第1側(真空側)に配置されている。第4の中空円筒は、少なくとも部分的に第1の中空円筒内に位置する。第1の導電層と第2の導電層とは、軸方向に沿って部分的に重なっている。
【0024】
径方向延在を有する間隙は、第2の導電層と第1の中空円筒の内面との間に開放である。
【0025】
第1の導電層および第2の導電層は、電極組立体の2つの電極を形成する。動作中、プラズマ放電ゾーンが、間隙内に、すなわち、2つの電極が重なり合う軸方向の領域内に形成される。
【0026】
第4の中空円筒は、スパッタ保護効果を有する。第4の中空円筒は、電極組立体の寿命を延長する。第4の中空円筒は、例えばAl2O3セラミックで作ることができる。スパッタ保護効果を達成するための別の手段は、フィードスルーの寸法選択である。レンズ素子とプラズマ放電領域との間の距離が大きくなると、レンズ素子に対するスパッタリング効果が減少する。特に、レンズ素子の直径に対して大きな距離は、この目的のために有効である。
【0027】
電極組立体の一実施形態では、間隙の径方向延在は、1mm未満である。特に、間隙の径方向延在は、0.05mm~0.5mmであってもよい。本発明者らは、この間隙の延在によって、DBDプラズマ放電が、広い圧力範囲にわたってキロボルト範囲の高周波電圧(1~10kV、1~10kHz)で点火できることを認識している。約0.35~1500トールの圧力範囲で動作可能である。
【0028】
さらに、本発明は、請求項7に記載の装置に関する。
本発明の装置は、DBDプラズマ放電を発生させるための装置である。装置は、上述した本発明の電極組立体を備える。第2の導電層と第1の中空円筒の内面との間の間隙は、真空チャンバの内部と流体力学的に連通している。
【0029】
第1の導電層は、導電性接触面で高電圧交流電源に導電的に接続され、第2の導電層は、接地に導電的に接続される。
【0030】
電極組立体は、例えば、真空チャンバの金属壁に取り付けることができ、フレームの周辺部は、真空チャンバの壁に真空気密的に溶接される。本発明の装置でDBD放電を行う可能な圧力範囲が大きいため、装置は、例えば、周囲圧力、すなわち第1側を第2側から流体力学的に分離するチャンバなしで動作することもできる。
【0031】
さらに、本発明は、請求項8に記載の測定装置に関する。
本発明の測定装置は、圧力および/またはガス組成を特徴付けるための測定装置である。測定装置は、上述したDBDプラズマ放電を発生させるための本発明の装置を含む。また、光学センサが、レンズ素子の大気側に配置されている。
【0032】
光学センサは、レンズ素子を透過することができる波長範囲で機能する。光学センサは、単純な放射線センサ、例えば光センサであってもよいが、より複雑な光学センサ、例えば分光計であってもよい。例えば、波長選択フィルタを備えたフォトダイオードは、光学センサとして機能することができる。
【0033】
本発明の測定装置は、例えば、真空チャンバ内の圧力および/またはガス組成を特徴付けるのに適している。本発明は、0.35~1500トール(~2000ミリバール)の圧力範囲に最適に使用され、大気圧以上の圧力範囲にも使用できるため、広く適用可能である。使用される材料の具体的な選択は、上記の実施形態に従った真空要件に具体的に適合させることができる。特に、誘電体としてサファイアを使用すること、電極材料として白金およびモリブデンを使用すること、およびフレームとしてステンレス鋼を使用することは、測定装置の真空適合性に寄与する。さらに、言及された材料は、半導体産業において、真空プロセスプラントの典型的な要件に適合している。
【0034】
さらに、本発明は、請求項9に記載の方法に関する。これは、本発明の測定装置を作動するための方法に関する。本発明の方法において、1~10kVの電圧振幅および1~10kHの周波数を有する交流電圧が、第1の導電層と第2の導電層との間に印加される。電圧波形は、例えば、交流電圧の1周期にわたって-5kVから+5kVに変化し、その後繰り返してもよい。すなわち、10kVppの電圧が印加されてもよい。例えば、電圧波形は、正弦波であってもよい。矩形波の電圧も可能である。接地電位に対して電圧を正から負に変化させることが有利である。このようにして、例えば、電圧を0と正の間にまたは0と負の間に変化させることよりも、はるかに安定したプラズマを得ることができる。
【0035】
電圧が印加されると、2つの導電層が軸方向に重なる領域において、第2の導電層と誘電体との間の間隙にプラズマが点火されるが、誘電体上の電荷の蓄積によってこのプラズマの寿命が短い。印加される交流電圧の符号を変えることによって、蓄積された電荷キャリアは、再び誘電体から離れるように移動し、その結果、連続的に現れるプラズマを維持することができる。プラズマによって放出された放射線は、光学センサによって検出される。
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】電極組立体の一実施形態、装置の一実施形態、および測定装置の一実施形態に関連して、本発明の真空フィードスルーを概略的且つ部分的に示す断面図である。
【
図2】封止面に沿った本発明の真空フィードスルーを示す断面図である。
【
図3】封止面に沿った真空フィードスルーの一実施形態を示す断面図である。
【
図4】封止面に沿った真空フィードスルーの別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明の中央素子、すなわち、真空フィードスルーを示す縦断面である。径方向に積層された電気光学真空フィードスルー10は、中央に配置されたレンズ素子11、レンズ素子の周囲に配置され、内側から外側への径方向に列挙された以下のさらなる素子、すなわち、ガラス製の第1のリング12、第1の誘電体材料製の第1の中空円筒13、ガラス製の第2の中空円筒14、セラミック製の第3の中空円筒15、ガラス製の第2のリング16、および金属製のフレーム17を備える。
【0039】
さらに、第1の中空円筒の外面には、特に白金で作られ得る第1の導電層18が適用されている。
【0040】
封止面1は、真空チャンバ31の内側に位置する第1側2、この場合では真空側と、第2側3、この場合では大気側とを分離している。図示の縦断面では、封止面1は、破線で示した線に沿って横断する。真空チャンバ31の大気側には、光学センサ41および高電圧源32が配置されている。第4の中空円筒21およびその外面に取り付けられた第2の導電層22は、真空フィードスルーを完成させ、電極組立体20を形成する。図示の実施形態では、電極組立体の全ての要素は、共通の回転軸4(破線)を有する回転体の形を有する。
【0041】
第1の導電層18は、接触面19で高電圧源32に接続されている。第2の導電層は、接地に接続されている。第1の導電層および第2の導電層は、電極組立体の2つの電極を形成する。2つの電極は、軸方向の重なり領域23で重なっている。この重なり領域において、第2の導電層22と、特にサファイアから作られ得る中空円筒13との間に径方向に沿って、(点線で示される)放電領域25が動作中に形成される。この放電領域からは、例えば可視領域、紫外域または赤外域の電磁放射線が放出される。特に、この放射線は、(波線矢印で示す)レンズ素子の方向に放出される。この放射線は、レンズ素子11を通過して光学センサ41に到達し、検出される。
【0042】
第1の導電層18および第2の導電層22は、軸方向に沿って、例えば2~3mmで重なってもよい。第4の中空円筒21は、例えば、レンズ素子に向かって第2の導電層22を越えて約5mm突出してもよい。第2導電層22からレンズ素子11までの最短距離は、例えば、約10mmであってもよい。上述した実施形態によれば、これらの寸法は、0.05~0.5mmの径方向延在を有する放電領域に適合する。上述した間隔比により、上述したスパッタ保護効果が生じる。この組立体では、放電によって電極材料からノックアウトされた粒子は、高い確率で、第4の中空円筒の突出したセラミック表面に付着するため、レンズ素子を汚染しない。放電領域25からの放射線は、第4の中空円筒自体が放射線に対して透明でない場合または電極材料によって既に汚染されている場合であっても、軸方向にほぼ平行にレンズ素子に到達することができる。
【0043】
図示された測定装置または装置の一実施形態において、電極組立体は、真空チャンバ31の金属壁に設置され、フレームの周辺部は、真空チャンバの壁に真空気密的に溶接されている。
【0044】
特に、真空チャンバ31および壁、ならびに高電圧源32および光学センサ41は、非常に概略的に示されており、電極組立体の寸法に適合していない。具体的には、真空チャンバは、真空フィードスルーに対して図示されたものよりも何倍も大きくすることができる。また、レンズ素子からさらに離れた第4の中空円筒および第2の導電層の端部が、概略的かつ不完全に示されている。これらの2つの要素の軸方向端部は、2つの層が明確に見えるように互いにオフセットされるように示されている。しかしながら、2つの要素は、図示されているよりも更に軸方向に延在してもよく、第2の導電層は、特に、第4の中空円筒の全長にわたって第4の中空円筒上に配置されてもよい。機械的な固定装置(図示せず)が、第4の中空円筒を所定の位置に保持する。
【0045】
図2は、真空フィードスルー10の断面図を示す。好ましい実施形態では、内側から外側への材料の順序は、サファイア(垂直クロスハッチング線)、ガラス(対角クロスハッチング線)、サファイア、白金(黒色)、ガラス、セラミック(水平クロスハッチング線)、ガラス、金属(対角クロスハッチング線)である。第1導電層18は、金属フレーム17から電気的に絶縁されている。シェル状に構造化されたフィードスルーの各要素は、隣接する要素に真空気密的に接続される。
【0046】
図3は、レンズ素子を貫通する追加の中心電極26を有する真空フィードスルー10の一実施形態の断面図を示す。追加の電極は、追加のリング27によってレンズ素子に嵌められている。追加の電極は、ロッド状またはワイヤ状であってもよく、両側、すなわち真空側および大気側でフィードスルーを越えて突出してもよい。
【0047】
図4は、ガラス製の第2のリング16の領域に径方向に配置されたさらなる電極28、29を有する真空フィードスルー10の一実施形態の断面図を示す。例示的に、図示では2つのさらなる電極を示しているが、この半径の中空円筒の軸に平行な長手方向に沿って方位角的に離間したストリップの形で、このような電極を複数に配置してもよい。例えば、これらのさらなる電極の1つは、
図3に示された例示的な実施形態の中心電極26を置換することができる。さらなる実施形態では、
図3の中心電極は、
図4に示すように、径方向にさらに離れて配置されたさらなる電極と組み合わせられてもよい。さらなる電極28、29は、例えば、薄いメタライゼーションとしてセラミック製の中空円筒15に適用することができ、セラミック円筒から離れる方を向ける側でガラス製の第2のリング16によって真空気密的に囲まれてもよい。さらなる電極の材料として、様々な金属、特に白金、モリブデンおよびチタンを使用することができる。さらなる電極を介して、例えば、さらなるプラズマチャンバおよび/またはセンサを、例えば真空側の冷陰極真空圧力計またはピラニ圧力センサに電気的に接触させることができる。外側のこのようなさらなる電極への電気接触を可能にするために、セラミック円筒15は、例えば、
図1の図示とは異なって、真空フィードスルーの真空側から離れる側でリング16を越えて突出することができ、したがって、この側でもさらなる電極の接触面を形成し、径方向外側の電気接触を可能にする。このようなさらなる電極は、例えば、その全長にわたって絶縁層で覆うことができる。これは、電子/イオン光学系において、荷電粒子に影響を及ぼし得る望ましくない開放電位を回避できるという利点を有する。この目的のために、例えば、電極上に配置されているガラスリングを軸方向にさらに延長することができ、または個々の導体トラックを、それぞれの導体トラックに重なる薄いガラス層で実現することができる。
【0048】
要約すると、本発明は、例えば、レンズシステムを一体化した円筒形サファイア高電圧フィードスルーを用いて、0.35トール~1500トールの範囲、すなわち、過大圧力範囲までの圧力測定またはガス分析を可能にする。DBDプラズマは、1~10kV範囲の交流電圧を1~10kH範囲の周波数で印加することによって点火することができる。本発明は、高感度を有し、多種多様な用途に使用される小型でエネルギー効率が良くフレキシブルなガス分析器を提供する。
【0049】
参照符号のリスト
1 封止面、2 第1側(真空側)、3 第2側(大気側)、4 共通軸、5 真空フィードスルー、11 レンズ素子、12 第1のリング(ガラス)、13 第1の中空円筒(第1の誘電材料)、14 第2の中空円筒(ガラス)、15 第3の中空円筒(セラミック)、16 第2のリング(ガラス)、17 フレーム(金属)、18 第1の導電層、19 接触面、20 電極組立体、21 第4の中空円筒(セラミック)、22 第2の導電層、23 軸方向重なり領域、24 間隙、25 間隙内の放電ゾーン、26 追加の(中心)電極、27 追加のリング(ガラス)、28,29 他の電極、30 装置、31 真空チャンバ、32 高電圧交流電源、40 測定装置、41 光学センサ。
【国際調査報告】