(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】組織補助材植え込み後の治癒の監視
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20240312BHJP
A61B 17/064 20060101ALI20240312BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B90/00
A61B17/064
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560590
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 IB2022052807
(87)【国際公開番号】W WO2022208288
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC06
4C160CC40
(57)【要約】
生体吸収性補助材を患者の体内に植え込んだ後に、患者の外部から患者の体内の補助材の分解を監視することを含む、医療方法が本明細書で開示される。監視することは、-患者の体内で補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために補助材を撮像することと、-植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な補助材の廃棄副産物を追跡することと、-患者の老廃物を監視することと、-患者内で補助材をステープル留めした外科用ステープラから患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療方法であって、
生体吸収性補助材を患者の体内に植え込んだ後に、前記患者の外部から前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視することを含み、
前記監視することが、
前記患者の前記体内で前記補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために前記補助材を撮像することと、
前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記補助材の廃棄副産物を追跡することと、
前記患者の老廃物を監視することと、
前記患者内で前記補助材をステープル留めした外科用ステープラから前記患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つを含む、医療方法。
【請求項2】
前記監視することが、前記補助材を少なくとも撮像することを含み、
植え込まれた前記補助材が、その中に前記放射線不透過性マーカを含み、
前記補助材を撮像することが、前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視するための前記放射線不透過性マーカの可視化を可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補助材を撮像することが、複数の異なる時間に前記補助材を撮像することを含み、
前記補助材の分解を監視することが、前記異なる画像を比較して、前記患者の前記体内の前記放射線不透過性マーカの動きを識別することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記補助材が、前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記廃棄副産物を含み、
前記監視することが、前記補助材の前記廃棄副産物を少なくとも追跡することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記廃棄副産物が、鉄材料又は放射性物質を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記補助材の前記廃棄副産物を追跡することが、前記患者によって着用可能なモニタを使用して、前記患者の前記体内の前記廃棄副産物を追跡することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記監視することが、前記患者の前記老廃物を少なくとも監視することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の前記老廃物を監視することが、トイレに取り付けられたモニタを使用してデータを収集することと、収集された前記データを前記トイレの外部のコンピュータシステムに送信することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記監視することが、前記追跡可能要素を少なくとも追跡することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記補助材が、結腸にステープル留めされ、
前記追跡可能要素が、前記結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記追跡可能要素が、前記補助材とは別に前記外科用ステープラから前記患者に送達される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記植え込まれた補助材が、前記補助材から、前記補助材が植え込まれた前記患者内に放出可能な薬剤を内部に保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
医療方法であって、
生体吸収性補助材を患者の組織にステープル留めした後に、
前記患者の前記体内で前記補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために前記補助材を撮像することと、
前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記補助材の廃棄副産物を追跡することと、
前記患者の老廃物を監視することと、
前記患者内で前記補助材をステープル留めした外科用ステープラから前記患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つによって、前記組織の治癒を非侵襲的に監視することを含む、医療方法。
【請求項14】
前記監視することが、前記補助材を少なくとも撮像することを含み、
植え込まれた前記補助材が、その中に前記放射線不透過性マーカを含み、
前記補助材を撮像することが、前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視するための前記放射線不透過性マーカの可視化を可能にする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記補助材が、前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記廃棄副産物を含み、
前記監視することが、前記補助材の前記廃棄副産物を少なくとも追跡することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記廃棄副産物が、鉄材料又は放射性物質を含み、
前記補助材の前記廃棄副産物を追跡することが、前記患者によって着用可能なモニタを使用して前記患者の前記体内の前記廃棄副産物を追跡することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記監視することが、前記患者の前記老廃物を少なくとも監視することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記監視することが、前記追跡可能要素を少なくとも追跡することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記補助材が、結腸にステープル留めされ、
前記追跡可能要素が、前記結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記植え込まれた補助材が、前記補助材から、前記補助材が植え込まれた前記患者内に放出可能な薬剤を内部に保持する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、組織補助材及び組織補助材を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープラは、外科的処置において、組織、血管、導管、シャント又は特定の処置に関連する他の対象物若しくは身体部位の開口部を閉鎖するために使用される。開口部は、血管内又は胃のような内臓内の通路など、自然に存在するものであり得るか、あるいは組織若しくは血管穿刺でバイパス若しくは吻合を形成すること、又はステープル留め処置中の組織切開などによって、外科的処置中に外科医によって形成されたものであり得る。
【0003】
ほとんどのステープラは、細長いシャフトを備えるハンドルを有し、シャフトはその端部に、それらの間でステープルを保持して成形するために形成された一対の移動可能な対向する顎部を有する。ステープルは典型的にはステープルカートリッジに収容され、そのステープルカートリッジは、ステープルの複数の列を収めることができ、2つの顎部のうちの1つ内に、手術部位へのステープルの放出のために配置されることが多い。使用中、顎部は、ステープル留めされるべき対象物が顎部の間に配置されるように位置決めされ、顎部が閉じてデバイスが作動されると、ステープルが放出されて成形される。ステープラによっては、ステープルカートリッジ内のステープルの列の間を移動し、ステープル留めされた列の間で、ステープル留めされた組織を長手方向に切開及び/又は開口するように構成されたナイフを含むものがある。
【0004】
外科用ステープラは何年にもわたって改良されてきたが、それ自体にはいまだに多くの問題が存在する。よく見られる問題の1つは、ステープルは、ステープルが配置される組織又は他の対象物を貫通するときに孔を形成するため、漏出が起こり得ることである。血液、空気、消化管液、及び他の流体が、ステープルが完全に成形された後でも、ステープルによって形成された開口を通してしみ出ることがある。処置される組織は、ステープル留めによる外傷のために炎症を起こすこともある。
【0005】
手術部位の組織に補助材を適用することは有益であり得る。例えば、補助材を使用して、血液、空気、胃腸液、及び他の流体が、ステープルによって形成された孔を通って滲出するのを防止することができる。別の例として、補助材は、補助材が組織に適用された後に補助材から放出されるように構成された薬剤をその中に含むことができる。薬剤は、止血の促進、炎症の低減、及び細胞増殖の刺激など、治癒のための1つ又は2つ以上の利益を提供するように構成され得る。
【0006】
補助材は、吸収性であり得る。吸収性である補助材は、補助材が患者の体内で溶解又は分解することを可能にし、したがって、患者の身体から補助材を除去するために追加の手術又は他のプロセスを必要としない。補助材が薬剤を含有する場合、吸収性である補助材は、補助材が溶解又は分解する際に補助材からの薬剤の自動放出を促進する。しかしながら、吸収性補助材を形成する薬剤及び/又は材料は、包装される補助材と使用される補助材との間の様々な要因のいずれかによって悪影響を受ける可能性がある。例えば、環境要因は、薬剤の有効性の低下を引き起こす場合があり、及び/又は患者の体内に植え込まれる前に補助材の分解を開始させる場合がある。別の例として、薬剤は、薬剤を含有する補助材が患者の体内に植え込まれる前に期限切れになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善された補助材が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
組織補助材植え込み後の治癒を監視する様々なシステム及び方法が提供される。
【0009】
一態様では、一実施形態では、生体吸収性補助材を患者の体内に植え込んだ後に、患者の外部から患者の体内の補助材の分解を監視することを含む医療方法が提供される。監視することは、患者の体内で補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために補助材を撮像することと、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な補助材の廃棄副産物を追跡することと、患者の老廃物を監視することと、患者内で補助材をステープル留めした外科用ステープラから患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
医療方法は、任意の数の変形形態を有することができる。例えば、監視することは、補助材を少なくとも撮像することを含むことができ、植え込まれた補助材は、その中に放射線不透過性マーカを含むことができ、補助材を撮像することは、患者の体内での補助材の分解を監視するために放射線不透過性マーカの可視化を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、補助材を撮像することは、複数の異なる時間に補助材を撮像することを含むことができ、補助材の分解を監視することは、異なる画像を比較して、患者の体内の放射線不透過性マーカの移動を識別することを含むことができる。
【0011】
別の例では、補助材は、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な廃棄副産物を含むことができ、監視することは、補助材の廃棄副産物を少なくとも追跡することを含むことができる。いくつかの実施形態では、廃棄副産物は、鉄材料若しくは放射性物質を含むことができ、及び/又は補助材の廃棄副産物を追跡することは、患者によって着用可能なモニタを使用して、患者の体内の廃棄副産物を追跡することを含むことができる。
【0012】
更に別の例では、監視することは、患者の老廃物を少なくとも監視することを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者の老廃物を監視することは、トイレに取り付けられたモニタを使用してデータを収集することと、収集されたデータをトイレの外部のコンピュータシステムに送信することと、を含むことができる。
【0013】
更に別の例では、監視することは、追跡可能要素を少なくとも追跡することを含むことができる。いくつかの実施形態では、補助材は結腸にステープル留めすることができ、追跡可能要素は結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成することができ、及び/又は追跡可能要素は補助材とは別に外科用ステープラから患者に送達することができる。
【0014】
別の例では、植え込まれた補助材は、補助材から、補助材が植え込まれた患者内に放出可能な薬剤を内部に保持することができる。
【0015】
別の態様では、一実施形態では、生体吸収性補助材を患者の組織にステープル留めした後に、患者の体内で補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために補助材を撮像することと、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な補助材の廃棄副産物を追跡することと、患者の老廃物を監視することと、患者内で補助材をステープル留めした外科用ステープラから患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つによって、組織の治癒を非侵襲的に監視することを含む、医療方法が提供される。
【0016】
医療方法は、任意の数の点で異なり得る。例えば、監視することは、補助材を少なくとも撮像することを含むことができ、植え込まれた補助材は、その中に放射線不透過性マーカを含むことができ、補助材を撮像することは、患者の体内での補助材の分解を監視するために放射線不透過性マーカの可視化を可能にすることができる。
【0017】
別の例では、補助材は、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な廃棄副産物を含むことができ、監視することは、補助材の廃棄副産物を少なくとも追跡することを含むことができる。いくつかの実施形態では、廃棄副産物は、鉄材料又は放射性物質を含むことができ、補助材の廃棄副産物を追跡することは、患者によって着用可能なモニタを使用して、患者の体内の廃棄副産物を追跡することを含むことができる。
【0018】
更に別の例では、監視することは、患者の老廃物を少なくとも監視することを含むことができる。
【0019】
更に別の例では、監視することは、追跡可能要素を少なくとも追跡することを含むことができる。いくつかの実施形態では、補助材は結腸にステープル留めすることができ、追跡可能要素は結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成することができる。
【0020】
別の例では、植え込まれた補助材は、補助材から、補助材が植え込まれた患者内に放出可能な薬剤を内部に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】従来の外科用ステープル留め及び切断器具の例示的な一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1の外科用ステープル留め及び切断器具とともに使用するためのステープルカートリッジの上面図である。
【
図3】
図1の外科用ステープラの発射バーの斜視図である。この発射バーは、その遠位端にE-ビームを有する。
【
図4】外科用ステープラの別の実施形態の斜視図である。
【
図5】外科用ステープラの更に別の実施形態の斜視図である。
【
図6】ステープルカートリッジの上面又はデッキ面に取り付けられた例示的な補助材を有するステープルカートリッジの例示的な実施形態の長手方向断面図である。
【
図7】組織配備状態の
図6の補助材を示す部分概略図である。
【
図8】プロセッサを含む通信ネットワークの例示的な一実施形態及び包装ユニットの例示的な一実施形態の概略図である。
【
図9】包装ユニットの別の実施形態の部分切断斜視図である。
【
図10】包装ユニットの別の実施形態、外科用ハブの例示的な一実施形態、及び外科用ステープラの別の実施形態を含む通信ネットワークの別の実施形態の斜視図である。
【
図11】通信ネットワークシステムの別の実施形態の概略図である。
【
図12】コンピュータシステムの例示的な一実施形態の概略図である。
【
図13】コンピュータ実装双方向外科用システムの例示的な一実施形態の概略図である。
【
図14】外科用データネットワークの例示的な一実施形態の概略図である。
【
図15】外科用器具の制御システムの例示的な一実施形態の論理図である。
【
図16】曝露条件及び貯蔵寿命を経時的に示すグラフである。
【
図17】曝露条件、接着粘着性、及び許容可能な適用を経時的に示すグラフである。
【
図18】構成要素の互換性を確立する方法の例示的な一実施形態のフローチャートである。
【
図19】包装ユニットの別の実施形態及びコンピュータシステムの別の実施形態を含む、通信ネットワークの別の実施形態の概略図である。
【
図20】包装ユニットの別の実施形態及び外科用ハブの別の実施形態を含む、通信ネットワークの別の実施形態の概略図である。
【
図21】包装ユニットのカバーが閉状態の包装ユニットの別の実施形態の長手方向断面図である。
【
図22】包装ユニットのカバーが開状態の
図21の包装ユニットの長手方向断面図である。
【
図23】患者の身体の外側に位置する撮像システム、及び患者の内側にステープル留めされた補助材の別の実施形態の斜視図である。
【
図24】補助材が配置されたステープルの例示的な一実施形態の斜視図である。
【
図25】組織に適用された
図24のステープルの部分断面側面図である。
【
図26】ステープル及び組織に適用された複数の追加のステープルを有する
図25の組織の縮小斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本明細書で開示するデバイス及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に図示されるデバイス及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0023】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが内部で使用される対象の解剖学的構造、システム及びデバイスが使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手術に依存し得る。
【0024】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、器具のハンドルを握っている臨床医などのユーザを基準として使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、かつ明瞭さのために、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用される点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0025】
外科的処置を行うための、様々な例示的なデバイス及び方法が提供される。いくつかの実施形態において、切開外科的処置のためのデバイス及び方法が提供され、他の実施形態において、腹腔鏡下、内視鏡的、及び他の低侵襲的外科的処置のためのデバイス及び方法が提供される。これらのデバイスは、人間のユーザによって直接発射されるか、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法及びデバイスが、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、自然開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセスデバイスを使用してなどの、何らかの方法で体内へ挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入できる、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを通過させることが可能な作業用チャンネルを有するアクセスデバイスを介して挿入され得る。
【0026】
本明細書で「補助材」と呼ぶ1つ又は2つ以上の生体材料及び/又は合成材料を、外科用器具とともに使用して、外科的処置の改善を支援することは望ましいことであり得る。「補助材」は、本明細書において、「補助材料」とも呼ばれる。種々の異なる外科用エンドエフェクタが、補助材の使用によって利益を得ることがあり、いくつかの例示的な実施形態では、エンドエフェクタは、外科用ステープラであり得る。外科用ステープラとともに使用されるときには、補助材(複数可)は、ステープラの顎部の間及び/又はその上に配置されても、顎部上に配置されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。ステープルが配備されると、補助材(複数可)は、ステープルとともに施療部位に残ってもよく、その結果、多くの利益を提供することができる。例えば、補助材(複数可)は、施療部位の組織を増強して、施療部位において、ステープルにより裂かれる又は引き裂かれるのを防止することができる。組織増強は、組織が病変している場合、治癒している場合、及び/又は別の組織特性を変更する状況を経験している場合に、ステープルが組織を裂かないようにするために必要な場合がある。いくつかの場合において、補助材(複数可)は、ステープル留め後に生じる組織変形(例えば、肺膨張、消化管膨張など)から生じ得る、ステープル穿刺部位及びその付近における組織の移動を最小化することができる。当業者は、ステープル穿刺部位は応力集中部となることがあり、ステープルによって形成された孔の寸法は、その付近の組織が張力下に置かれると増大することを認識するであろう。これらの穿刺部位付近での組織の移動を制限することは、張力下で増大し得る孔の寸法を最小化できる。いくつかの場合において、補助材(複数可)は、例えば、シーラント、血液、接着剤など、更に治癒を促進する有益な流体を吸い上げる(wick)、又は吸収するように構成され得る。又、いくつかの場合において、補助材(複数可)は、分解して、例えば、シーラントなど、更に治癒を促進するゲルを形成するように構成され得る。いくつかの場合には、補助材(複数可)が、組織、血管、及び種々の他の対象物又は身体部位に植え込みされるときに、ステープルによって形成される孔の封止の支援に使用されてもよい。
【0027】
他の実施形態では、補助材(複数可)は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,172,611号に記載されているように、ステープルを使用せずに(例えば、RF又は超音波などのエネルギを使用することによって)組織を封止するように構成された外科用器具とともに使用することができる。
【0028】
場合によっては、補助材(複数可)は、補助材(複数可)が組織にステープル留めされるときに、組織厚さの変動を補償するように構成され得る。このような場合、補助材は、「組織厚さコンペンセータ」と呼ぶこともできる。組織厚さコンペンセータは、形成された構成にあるステープルの高さよりも大きい、圧縮されていない(変形していない)、又は配備前の高さを有する。例示的な組織厚さコンペンセータに関する更なる詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,864,007号に見出すことができる。組織厚さコンペンセータは、例えば、米国特許第9,272,406号、及び同第10,136,890号に記載されているように、様々な方法でステープルカートリッジに取り付けられ、そこから解放することができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
本明細書の開示に加えて、補助材(複数可)及び他の例示的な補助材に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第10,172,611号及び同第10,433,846号、並びに米国特許出願公開第17/009,769号(発明の名称「Compressible Non-Fibrous Adjuncts」、2020年9月1日付けで出願)に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
代替的に又は加えて、補助材(複数可)は、組織の内殖を促進するように構成することができる。様々な場合において、治療される組織(例えば、ステープル留め及び/又は切開される組織)の治癒を促進するため、及び/又は患者の回復を加速するために、植込み可能な補助材の中への組織の内殖を促進することが望ましい。より具体的には、植込み可能な補助材への組織の内殖により、手術部位での炎症の発生率、程度、及び/又は期間が減少し得る。植込み可能な補助材への、かつ/又はその周辺での組織の内殖は、例えば、手術部位での感染の拡大を管理し得る。例えば植込み可能な補助材への及び/又はその周辺での、血管、特に白血球の内殖は、植込み可能な補助材及び隣接組織の中で及び/又はそれらの周辺で感染に対抗し得る。組織の内殖はまた、患者の身体による異物(例えば、植込み可能な補助材及びステープル)の受容を助成し、患者の身体が異物を拒絶する可能性を低減し得る。異物の拒絶により、手術部位では感染及び/又は炎症が生じ得る。
【0031】
代替的に又は加えて、補助材(複数可)は、その上及び/又はその内部に、薬剤(複数可)を有することができる。薬剤は、周囲の組織への薬剤の所望の効果に応じて変更することができる。非限定例として、薬剤は、止血、炎症、マクロファージ、及び/又は繊維芽細胞に影響を及ぼすために提供され得る。重ねて、組織に対する所望の効果に応じて、薬剤は任意の組み合わせで混合若しくは混ぜ合わせられることができるか、又は薬剤は単独で提供されることができる。薬剤は、種々の異なる方法で、補助材から溶出し得る。非限定例として、補助材上のコーティングは、異なるタイミングで吸収されることにより、異なるタイミングで薬剤を放出するように変更され得る、補助材は、様々な速度で補助材間の薬剤の拡散を可能にするように変更され得る、補助材は、異なるタイミングで薬剤を放出させるために、分子量及び/又は物理的特徴を変更し得る、などである。本明細書の開示に加えて、薬物溶出補助材に関する更なる詳細は、米国特許第9,232,941号及び同第10,569,071号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
外科用ステープル留め器具
様々な外科用器具が、本明細書で開示される補助材及び/又は薬剤とともに使用され得る。外科用器具は、外科用ステープラを含み得る。様々な外科用ステープラ、例えば、線状外科用ステープラ及び円形ステープラが使用され得る。概して、線状ステープラは長手方向ステープルラインを形成するように構成されることができ、長手方向ステープル列を収容するカートリッジが結合される細長い顎部を含むことができる。細長い顎部は、顎部内に保持された組織に沿ってステープル列の間に切断部を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。概して、輪状ステープラは、環状ステープルラインを形成するように構成されることができ、環状ステープル列を収容するカートリッジを有する輪状顎部を含むことができる。輪状顎部は、顎部内に保持された組織を貫通する開口部を画定するために、ステープルの列の内側に切断部を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含むことができる。ステープラは、様々な異なる外科的処置において、例えば、胸部手術又は胃部手術において、様々な組織に対する様々な異なる外科的処置に使用され得る。
【0033】
図1は、1種又は2種以上の補助材及び/又は薬剤とともに使用するに適した線状外科用ステープラ10の一例を図示する。ステープラ10は、概して、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12の遠位端12dから遠位に延在するシャフト14と、シャフト14の遠位端14dにあるエンドエフェクタ30と、を含む。エンドエフェクタ30は、対向する下部顎部32及び上部顎部34を有するが、他の種類のエンドエフェクタを、シャフト14、ハンドルアセンブリ12、及びそれらに付随する構成要素とともに使用してもよい。下部顎部32は、ステープルカートリッジ40を支持するように構成されているステープルチャネル56を有する。上部顎部34は、下部顎部32に面し、ステープルカートリッジ40のステープル(ステープルは、
図1及び
図2では不明瞭)を配備するのを支援するように、アンビルとして動作するように構成されているアンビル面33を有する。対向する下部顎部32及び上部顎部34の少なくとも一方は、それらの間に配置された組織及び/又は他の物体をクランプするために、他方の下部顎部32及び上部顎部34に対して移動可能である。いくつかの実装形態では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の一方は、固定されるか、又は別の方法で移動不能であってよい。いくつかの実装形態では、対向する下部顎部32及び上部顎部34の両方が移動可能であってよい。発射システムの構成要素は、ステープルをクランプされた組織内に放出するために、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通過するように構成され得る。様々な実装形態では、ナイフブレード36又は他の切断部材は、発射システムに関連付けられて、ステープル留め処置中に組織を切開し得る。
【0034】
エンドエフェクタ30の作動は、ハンドルアセンブリ12での、例えば、臨床医、外科医などのユーザからの入力によって開始され得る。ハンドルアセンブリ12は、それに関連付けられるエンドエフェクタ30を操作して作動させるように設計された多くの異なる構成を有してもよい。図示した実施例では、ハンドルアセンブリ12は、器具10の多様な特徴部を操作するための様々な機械的及び/又は電気的構成要素が内部に配設されている、ピストルグリップ型のハウジング18を有している。例えば、ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12に対する、シャフト14の長手方向軸線Lの周りでのシャフト14及び/又はエンドエフェクタ30の回転を促進し得る、その遠位端12dに隣接して取り付けられた回転ノブ26を含み得る。ハンドルアセンブリ12は、クランプトリガ22によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、発射トリガ24によって作動される発射システムの一部としての発射構成要素と、を更に含み得る。クランプトリガ22及び発射トリガ24は、例えば、トーションばねによって、静止ハンドル20に対して開放位置に付勢され得る。静止ハンドル20に向けたクランプトリガ22の移動は、以下に記載のクランプシステムを作動させることができ、これにより、顎部32、34を互いに向けて倒し、それによって、それらの間に組織をクランプすることができる。発射トリガ24の移動は、以下に記載の発射システムを作動させることができ、これにより、内部に配置されたステープルカートリッジ40からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフブレード36を前進させて、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断することができる。当業者であれば、機械、油圧、空気圧、電気機械、ロボット、又はその他の発射システムの構成要素の様々な構成が、ステープルの放出及び/又は組織の切開に使用され得ることを認識するであろう。
【0035】
図2に示すように、図示した実装形態のエンドエフェクタ30は、カートリッジアセンブリ又はキャリアとして機能する下部顎部32と、アンビルとして機能する、対向する上部顎部34とを有する。内部に複数のステープルを有するステープルカートリッジ40は、ステープルトレイ37内に支持され、次に、ステープルトレイ37は、下部顎部32のカートリッジチャネル内に支持される。上部顎部34は、複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有し、ステープル形成ポケットの各々は、ステープルカートリッジ40内に収容される複数のステープルからの対応するステープルの上に位置付けられる。上部顎部34は、様々な方法で下部顎部32に接続され得るが、図示した実装形態では、上部顎部34は、シャフト14との係合部のすぐ遠位の、ステープルチャネル56の近位端56p内に枢動可能に受容される近位枢動端34pを有している。上部顎部34が下向きに枢動すると、上部顎部34は、アンビル面33を移動させ、アンビル面33上に形成されているステープル形成ポケットが、対向するステープルカートリッジ40に向かって移動する。
【0036】
様々なクランプ構成要素を使用して顎部32、34の開放及び閉鎖をもたらして、それらの間に組織を選択的にクランプすることができる。図示するように、上部顎部34の枢動端34pは、ステープルチャネル56とのその枢動的な取り付け部より遠位に閉鎖機構34cを含む。したがって、その遠位端部に、閉鎖機構34cと係合する馬蹄形開口部46aを含む閉鎖管46は、クランプトリガ22に応じて、閉鎖管46の近位長手方向運動中に上部顎部34に対して開放運動を、及び、閉鎖管46の遠位長手方向運動中に上部顎部34に対して閉鎖運動を、選択的に与える。上記のように、様々な実装形態では、エンドエフェクタ30の開閉は、上部顎部34に対する下部顎部32の相対運動、下部顎部32に対する上部顎部34の相対運動、又は互いに対する両方の顎部32、34の運動によってもたらされてよい。
【0037】
図示した実装形態の発射構成要素は、
図3に示すように、遠位端にEビーム38を有する発射バー35を含む。発射バー35は、シャフト14内、例えば、シャフト14の長手方向発射バースロット14s内に包含され、ハンドル12からの発射運動によって誘導される。発射トリガ24の作動は、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通るEビーム38の遠位運動に影響を与え、それによって、ステープルカートリッジ40内に収容されたステープルを発射させ得る。図示したように、Eビーム38の遠位端から突出しているガイド39は、
図2に示したウェッジスレッド47と係合し得る。次に、ウェッジスレッド47は、ステープルカートリッジ40内に形成されたステープル空洞41を通ってステープルドライバ48を押し上げ得る。ステープルドライバ48の上向きの移動は、カートリッジ40内の複数のステープルの各々に上向きの力を加え、それによって上部顎部34のアンビル面33に対してステープルを上向きに押し、成形されたステープルを作り出す。
【0038】
ステープルを発射させることに加えて、Eビーム38は、顎部32、34の閉鎖、ステープルカートリッジ40からの上部顎部34の引き離し、及び/又は、顎部32、34間に捕捉された組織の切断を促進するように構成され得る。具体的には、一対の頂部ピン及び一対の底部ピンは、上部顎部32及び下部顎部34の一方又は両方と係合して、発射バー35がエンドエフェクタ30を通って前進するときに、顎部32、34を互いに向けて圧迫し得る。同時に、頂部ピンと底部ピンとの間に延在するナイフ36は、顎部32、34の間に捕捉された組織を切断するように構成され得る。
【0039】
使用中、外科用ステープラ10は、カニューレ又はポート内に配置され、手術部位に配置され得る。切開されてステープル留めされる組織は、外科用ステープラ10の顎部32、34の間に定置されてもよい。ステープラ10の機構が、ユーザによって望みどおりに操作され、顎部32、34に関する手術部位と組織において、顎部32、34の所望の場所として実現され得る。適切な位置決めを達成した後に、クランプトリガ22を静止ハンドル20に向けて引いて、クランプシステムを作動させ得る。トリガ22は、閉鎖管46が、シャフト14の少なくとも一部を通過して遠位方向に進んで、顎部32、34の少なくとも一方を他方に向かって倒し、これらの間に配置された組織をクランプするように、クランプシステムの構成要素を作動させ得る。その後、発射バー35及び/又はEビーム38が、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って遠位方向に進んで、ステープルの発射をもたらし、任意選択的に、顎部32、34の間で捕捉された組織を切断するように、トリガ24を、静止ハンドル20に向けて引いて、発射システムの構成要素を作動させ得る。
【0040】
線状外科用ステープラ50の形態における外科用器具の別の例を、
図4に図示する。ステープラ50は、一般に、
図1のステープラ10同様に、構成され、使用され得る。
図1の外科用器具10と同様に、外科用器具50は、シャフト54を備えるハンドルアセンブリ52を含み、シャフト54はハンドルアセンブリ52から遠位に延在し、かつ、組織を処置するために遠位端にエンドエフェクタ60を有している。エンドエフェクタ60の上部顎部64及び下部顎部62は、間に組織を捕捉すること、下部顎部62内に配置されたカートリッジ66からステープルを発射することによって組織をステープル留めすること、及び/又は、組織に切開部を形成することを行うように構成され得る。この実装形態において、シャフト54の近位端にある取り付け部67は、シャフト54及びエンドエフェクタ60をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に取り付け可能にするように構成することができる。具体的には、取り付け部67の嵌合機構68は、ハンドルアセンブリ52の補助嵌合機構71と嵌合できる。嵌合特徴部68、71は、例えば、スナップフィット結合、バヨネット式結合などによって互いに結合するように構成され得るが、シャフト54をハンドルアセンブリ52に着脱可能に結合するために、任意の数の補助嵌合特徴部及び任意の種類の結合を使用することができる。図示した実装形態のシャフト54の全体は、ハンドルアセンブリ52から分離可能に構成されているが、いくつかの実装形態では、取り付け部67は、シャフト54の遠位部分のみを取り外すことができるように構成され得る。シャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の分離可能な結合は、特定の処置のための所望のエンドエフェクタ60の選択的な取り付け、及び/又は、多数の異なる処置のためのハンドルアセンブリ52の再利用を可能にできる。
【0041】
ハンドルアセンブリ52は、エンドエフェクタ60を操作して作動させるための1つ又は2つ以上の機構をその上に有していてもよい。非限定例として、ハンドルアセンブリ52の遠位端に取り付けられた回転ノブ72は、ハンドルアセンブリ52に対するシャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の回転を促進し得る。ハンドルアセンブリ52は、移動可能なトリガ74によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、同様にトリガ74によって作動され得る発射システムの一部としての発射構成要素と、を含み得る。したがって、いくつかの実装形態では、第1運動範囲を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の移動は、クランプ構成要素を作動させて、対向する顎部62、64を互いに向けて閉鎖位置に近づけさせ得る。いくつかの実装形態では、対向する顎部62、64の一方のみが、顎部62、64に向けて閉鎖位置に移動し得る。静止ハンドル70に向けた、第2運動範囲を通るトリガ74の更なる移動は、発射構成要素を作動させて、ステープルカートリッジ66からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフ若しくは他の切断部材(図示せず)を前進させて、顎部62、64の間に捕捉された組織を切断することができる。
【0042】
環状外科用ステープラ80の形態の外科用器具の一例を、
図5に図示する。ステープラ80は、概して、
図1及び
図4の線状ステープラ10、50と同様に構成されて使用され得るが、一部の特徴部は、その機能を輪状ステープラとして適応させている。外科用器具10、50と同様に、外科用器具80は、シャフト84を備えるハンドルアセンブリ82を含み、シャフト84は、外科用器具80から遠位に延在し、組織を処置するためのエンドエフェクタ90をその遠位端に有している。エンドエフェクタ90は、略円形の形状を有する、組織に接触する表面をそれぞれが有するカートリッジアセンブリ92及びアンビル94を含み得る。カートリッジアセンブリ92とアンビル94とは、ステープラ80のアンビル94からハンドルアセンブリ82まで延在するシャフト98を介して結合させることができ、ハンドルアセンブリ82上のアクチュエータ85を操作すると、シャフト98を後退及び前進させて、カートリッジアセンブリ92に対してアンビル94を移動させることができる。アンビル94及びカートリッジアセンブリ92は、様々な機能を行うことができ、それらの間に組織を捕捉すること、カートリッジアセンブリ92のカートリッジ96からステープルを発射することにより組織をステープル留めすること、及び/又は、組織に切開を形成することを行うように構成することができる。一般的に、カートリッジアセンブリ92は、ステープルを収容しているカートリッジを収めることができ、ステープルをアンビル94に対して配備することにより、輪状のステープルパターンを形成し、例えば、管状体内臓器の外周の周りをステープル留めすることができる。
【0043】
一実装形態では、シャフト98は、アンビル94をカートリッジアセンブリ92から分離することができるように解放可能に互いに結合されるように構成された第1及び第2の部分(図示せず)で構成することができ、これにより、アンビル94及びカートリッジアセンブリ92を患者の体内に配置するのに、より高い柔軟性を与えることができる。例えば、シャフトの第1の部分は、カートリッジアセンブリ92の内部に配置され、遠位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、遠位嵌合機構において終端することができる。シャフトの第2の部分は、アンビル94の内部に配置され、近位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、近位嵌合特徴部において終端することができる。使用に際しては、近位嵌合機構と遠位嵌合機構とを互いに結合することにより、アンビル94とカートリッジアセンブリ92とを互いに対して動かすことができる。
【0044】
ステープラ80のハンドルアセンブリ82には、ステープラの動作を制御することができる様々なアクチュエータを配設することができる。例えば、ハンドルアセンブリ82には、回転によってエンドエフェクタ90の位置決めを容易にする回転ノブ86、及び/又は、エンドエフェクタ90を作動させるためのトリガ85を配設することができる。第1の運動範囲を通るトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、クランプシステムの構成要素を顎部に近づける、例えば、カートリッジアセンブリ92に向かってアンビル94を動かすように作動させることができる。第2の運動範囲を通るトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、発射システムの構成要素を作動させて、ステープルをステープルカートリッジアセンブリ92から配備させ、かつ/又は、カートリッジアセンブリ92とアンビル94との間に捕捉された組織を切断するためにナイフを前進させることができる。
【0045】
外科用ステープル留め器具10、50、及び80の図示した例は、多くの異なる構成及び関連する使用方法のうちのごく一部の例を提供するものであり、これらは本明細書で提供される開示とともに使用され得る。図示した例は、全て低侵襲処置で使用するように構成されているが、切開外科的処置で使用するように構成されている器具、例えば、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)に記載されているようなオープン線状ステープラを、本明細書で提供される開示とともに使用できることが理解されるであろう。図示した実施例の更なる詳細、並びに、外科用ステープラ、その構成要素、及びその関連する使用方法の更なる実施例は、米国特許出願公開第2013/0256377号(発明の名称「Layer Comprising Deployable Attachment Members」、2013年2月8日付けで出願)、米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)、米国特許第7,143,925号(発明の名称「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」、2005年6月21日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134077号(発明の名称「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願、発明の名称「Sealing Materials for Use in Surgical Procedures」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134076号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0133995号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願公開第14/226,142号(発明の名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、2014年3月26日付けで出願)、及び米国特許出願公開第14/300,954号(発明の名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」、2014年6月10日付けで出願)において提供され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
植込み可能な補助材
上記されたように、様々な植込み可能な補助材が、外科用ステープルリング器具とともに使用するために提供される。外科用ステープラとともに使用されるときには、補助材(複数可)は、ステープラの顎部の間及び/又はその上に配置されても、顎部上に配置されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。例えば、
図6に示すように、補助材104は、ステープルカートリッジ102に対して位置決めされる。簡略化のために、補助材104は、
図6に概略的に示されており、補助材の様々な構造的構成が、以下でより詳細に説明される。
図6では部分的に遮られているが、ステープルカートリッジ102は、組織内に配備されるように構成されたステープル106を含む。ステープル106は任意の好適な未形成(配備前)高さを有することができる。例えば、ステープル106は、約2mm~4.8mmの未形成高さを有することができる。配備前に、ステープルのクラウンが、ステープルドライバ(図示せず)によって支持することができる。
【0047】
図示された実施形態では、補助材104は、ステープルカートリッジ102の上面又はデッキ面108の少なくとも一部分に解放可能に嵌合されることができる。いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ102の上面108は、1つ又は2つ以上の表面特徴を含むことができる。代替的に、又は加えて、1つ又は2つ以上の接着剤を使用して、補助材をステープルカートリッジ102に解放可能に嵌合させることができる。1つ又は2つ以上の表面特徴及び/又は1つ又は2つ以上の接着剤は、補助材104と係合して、ステープルカートリッジ102に対する補助材104の望ましくない移動を回避するために、及び/又はステープルカートリッジ102からの補助材104の早期解放を防止するように構成されることができる。例示的な表面特徴は、米国特許出願公開第2016/0106427号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。器具への一時的な取り付けのための接着剤及び他の例示的な接着剤に関する更なる詳細は、米国特許第9,282,962号、同第10,172,617号、同第10,172,618号、同第10,258,332号、同第10,517,592号、同第10,548,593号、同第10,568,621号、及び同第10,588,623号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。取り付け方法及び他の例示的な方法に関する更なる詳細は、米国特許第10,166,023号及び同第10,349,939号及び、米国特許出願公開第17/022,520号(発明の名称「Method of Applying Buttress to End Effector of Surgical Stapler」、2020年9月16日付けで出願)に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
或る特定の場合では、補助材は圧縮可能とすることができ、補助材が様々な高さに圧縮されて、それによって配備されたステープル内に捕捉される異なる組織の厚さを補うことができる。例えば、
図6に示すように、補助材104は、未圧縮(未変形)又は配備前の高さを有し、複数の圧縮(変形)又は配備の高さのうちの1つに変形するように構成されている。したがって、補助材104は、ステープルカートリッジ102内に配置されたステープル106の発射後高さ(例えば、
図7の発射済みステープル106aの高さ(H))よりも高い未圧縮高さを有することができる。すなわち、補助材104は、補助材104の最大限の高さが発射済みステープルの最大限の高さ(例えば、形成された構成にあるステープル)よりも高い、未変形状態を有することができる。このような場合、補助材は、「組織厚さコンペンセータ」と呼ぶことができる。一実施形態では、補助材104の未圧縮高さは、ステープル106の発射後高さよりも、約10%高く、約20%高く、約30%高く、約40%高く、約50%高く、約60%高く、約70%高く、約80%高く、約90%高く、又は約100%高くすることができる。或る特定の実施形態では、補助材104の未圧縮高さは、例えば、ステープル106の発射後高さよりも、100%超高くすることができる。
【0049】
補助材は、様々な構成を有することができ、様々な材料から形成されることができる。概して、補助材は、フィルム、発泡体、射出成形熱可塑性材料、真空熱成形材料、繊維性構造体、付加製造材料、及びそれらのハイブリッドの1つ又は2つ以上から形成され得る。又、補助材は、1つ又は2つ以上の生物由来材料及び1つ又は2つ以上の薬物も含み得る。これらの材料はそれぞれ、以下により詳細に検討される。
【0050】
補助材は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体、又はスポンジから形成され得る。このような補助材を製造することができる方法の例は、動物由来コラーゲン、例えば、ブタの腱からのものであり、次いで、これが処理され、凍結乾燥されて、発泡構造を得ることができる。様々な発泡補助材の例は、先で言及された米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)に更に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
補助材はまた、以下で検討される任意の適切な材料又はその組み合わせから形成されたフィルムからも形成され得る。フィルムは、1つ又は2つ以上の層を含むことができ、これら層はそれぞれ、異なる分解速度を有することができる。更に、フィルムは、内部に形成された様々な領域、例えば、多くの異なる形態の1種又は2種以上の薬剤を内部に放出可能に保持することができるリザーバを有することができる。内部に配置された少なくとも1種の薬剤を有するリザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含み得る、1つ又は2つ以上の異なるコーティング層を使用して封止され得る。フィルムは、様々な方法で形成され得る。例えば、フィルムは、押出しフィルム又は圧縮成形フィルムであり得る。
【0052】
補助材はまた、射出成形熱可塑性材料又は真空熱成形材料からも形成され得る。様々な成形補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0221065号(発明の名称「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」、2013年2月8日付けで出願)に更に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。補助材はまた、ファイバベース格子であることもできる。同格子は、織布、編地、又は、メルトブロー、ニードルパンチ、若しくは熱構成ルーズ織布などの不織布であることができる。補助材は、多くの異なる方法でともに補助材を形成し得る、同じ種類の格子又は異なる種類の格子から形成され得る、複数の領域を有し得る。例えば、ファイバは、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編み組まれ、編まれ、又は他の方法で相互に結び付けられ得る。得られた補助材が比較的緩くなるように、ファイバは、相互に結び付けられ得る。あるいは、補助材は、密に相互に結び付けられたファイバを含み得る。補助材は、シート、チューブ、螺旋、又は、柔らかい部分及び/若しくはより硬い補強部分を含み得る任意の他の構造の形態であり得る。補助材は、特定の領域がより密なファイバを有することができ、一方で、他の領域がより密でないファイバを有するように構成され得る。ファイバ密度は、補助材の意図した用途に基づいて、補助材の1つ又は2つ以上の次元に沿った異なる方向で変わり得る。
【0053】
他の実施形態では、補助材は、吸収性ポリマーと適合する3D印刷プロセス(複数可)を使用して形成することができる。好適な3D印刷プロセスの非限定的な例としては、当業者によって理解されるように、ステレオリソグラフィ(SLA又はSL)、材料噴射、選択的レーザ焼結(SLS)、及び溶融フィラメント製造が挙げられる。
【0054】
補助材はまた、積層複合材又はメルトロック相互結合ファイバなどのハイブリッド構造であることもできる。様々なハイブリッド構造補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0146643号(発明の名称「Adhesive Film Laminate」、2013年2月8日付けで出願)及び米国特許第7,601,118号(発明の名称「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」、2007年9月12日付けで出願)に更に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
材料
記載された技術に基づく補助材は、様々な材料から形成され得る。材料は、異なる目的のための様々な実施形態に使用され得る。材料は、組織内方成長を促進するために、組織に提供されるべき所望の治療に従って選択され得る。以下に記載された材料は、任意の所望の組み合わせで補助材を形成するのに使用され得る。
【0056】
材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含めた、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含み得る。ホモポリマー及びコポリマーの非限定的な例としては、p-ジオキサノンPDO又はPDS)、ポリグリコール酸(PGA)(例えば、Dexon及びNeoveil)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(lactic-co-glycolic acid、PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGL)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)(例えば、Linvatec Bioscrew及びBionx Implants Smart Screw)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリエチレンジグリコレート(PEDG)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリエチレンエーテル(PEE)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エポキシカーボネート)、ポリ(2-オキシプロピレンカーボネート)、ポリ(ジオールシトレート)、ポリメタクリレート無水物、ポリ(エトキシエチレンジグリコレート)、ポリ(グリコール酸-co-乳酸)(PLA/PGA)(例えば、Vicryl、Vicryl Rapide、PolySorb、及びBiofixで使用されるPLA/PGA材料)、ポリウレタン(例えば、Elastane、Biospan、Tecoflex、Bionate、及びPellethane fibers)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、Gliadel及びBiodel polymers)、ポリオキサエステル、ポリエステルアミド(例えば、REVA ReZolve Stents)、及びチロシンベースのポリエステルアミド(例えば、TYRX)が挙げられる。コポリマーはまた、ポリ(乳酸-co-ポリカプロラクトン)(PLA/PCL)(例えば、16~18ヶ月加水分解されたもの)、ポリ(L-乳酸-co-ポリカプロラクトン)(PLLA/PCL)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/TMC)(例えば、Maxon)、ポリ(グリコール酸-co-カプロラクトン)(PCL/PGA)(例えば、Monocryl及びCapgly)、PDS/PGA/TMC(例えば、Biosyn)、PDS/PLA、PGA/PCL/TMC/PLA(例えば、Caprosyn)、LPLA/DLPLA(例えば、Optima)、PLGA-PCL(例えば、15:85(PCL:50% D,L-ラクチド:50%グリコリド)、40:60(PCL:50% D,L-ラクチド:50%グリコリド)、及び40:60(PCL:85% D,L-ラクチド:15%グリコリド)、PLGA-PCL-PLGA、及びPLGA-PEG-PLGAも含み得る。
【0057】
補助材はまた、(メタ)アクリレート及び有機的に誘導されたポリマーを含む特別なポリマー末端も含むことができる。有機的に誘導されたポリマーの非限定的な例としては、コラーゲンに由来するもの(例えば、Avitene、Endoavitene、Instat、Integran、Veritas、及びMicrofibrillar Collagen(MFC))が挙げられる。
【0058】
補助材はまた、活性剤、例えば、活性な細胞培養物(例えば、ダイス状の自家組織、幹細胞療法に使用される作用剤(例えば、Biosutures及びCellerix S.L.)、止血剤、及び組織治癒剤も含み得る。止血剤の非限定的な例は、セルロース、例えば、酸化再生セルロース(ORC)(例えば、Surgicel及びInterceed)、フィブリン/トロンビン(例えば、Thrombin-JMI、TachoSil、Tiseel、Floseal、Evicel、TachoComb、Vivostat、及びEverest)、自家血小板血漿、ゼラチン(例えば、Gelfilm及びGelfoam)、ヒアルロン酸、例えば、マイクロファイバ(例えば、ヤーン及び織物)若しくはヒアルロン酸に基づく他の構造物、又はヒアルロン酸ベースのヒドロゲルを含み得る。止血剤はまた、ポリマーシーラント、例えば、ウシ血清アルブミン及びグルタルアルデヒド、ヒト血清アルブミン及びポリエチレン架橋剤、並びに、エチレングリコール及びトリメチレンカーボネートなども含み得る。ポリマー封止剤としては、Focal Inc.により開発されたFocalSeal外科用封止剤を挙げることができる。
【0059】
本明細書で記載された補助材は、内部に、少なくとも1種の薬剤を放出可能に保持し得る。同薬剤は、多数の異なる薬剤から選択され得る。薬剤としては、所望の機能を有する、補助材内に含まれ、又は、同補助材に関連付けられた薬物又は他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤としては、例えば、抗菌剤、例えば、抗菌剤及び抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、麻酔剤、組織マトリックス変性阻害剤、抗癌剤、止血剤、並びに生物学的応答を引き起こす他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
抗菌剤の非限定的な例は、銀イオン、アミノ配糖体、ストレプトマイシン、ポリペプチド、バシトラシン、トリクロサン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ニトロフラン、フラゾリドン、ニトロフラントイン、ベータ-ラクタム、ペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン+クラブラン酸、アズロシリン、フルクロキサシリン、チカルシリン、ピペラシリン+タゾバクタム、タゾシン、Biopiper TZ、ゾシン、カルバペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム/ベタミプロン、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、スルファセトアミド、スルファジアジン、銀スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、バクトリム、プロントシル、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、フィダキソマイシン、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババシン、オリタバンシン、リンコサミド、クリンダマイシン、リンコマイシン、リポペプチド、ダプトマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、オキサゾリジノン、リネゾリド、アミノ配糖体、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロマイシン、パロモマイシン、セファロスポリン、セフトビプロール、セフトロザン、セフクリジン、フロモキセフ、モノバクタム、アズトレオナム、コリスチン、及びポリミキシンBを含む。
【0061】
抗真菌剤の非限定例は、トリクロサン、ポリエン、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、アゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、アリルアミン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、エキノカンジン、アニデュラファンジン、カスポファンジン、ミカファンジン、シクロピロックス、及び安息香酸を含む。
【0062】
抗ウイルス剤の非限定例は、脱殻阻害剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリルなど;逆転写阻害剤、例えば、アシクロビル、ラミブジン、アンチセンス、フォミビルセン、モルホリノ、リボザイム、リファンピシンなど;及び抗ウイルス薬、例えば、シアノビリン-N、グリフィスシン、シトビリン、α-ラウリル-L-アルギニンエチルエステル(LAE)、並びに銀イオンを含む。
【0063】
抗炎症剤の非限定的な例は、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アスピリン、ジフルニサール、プロピオン酸誘導体、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、及びロキソプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、トルメチン、スリンダク、及びジクロフェナク)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、ドロキシカム、及びロルノキシカム)、アントラニル酸誘導体(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルフェナム酸)、選択的COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ(セレブレックス)、パレコキシブ、ロフェコキシブ(Vioxx)、スルホンアニリド、ニメスリド、及びクロニキシン)、免疫選択的抗炎症誘導体、副腎皮質ホルモン(例えば、デキサメタゾン)、及びiNOS阻害剤を含む。
【0064】
成長因子の非限定例は、細胞の成長、治癒、再形成、増殖、及び分化を刺激する細胞シグナル伝達分子である因子を含む。例示的な成長因子は、短い範囲(パラクリン)、長い範囲(エンドクリン)、又は自己刺激(オートクリン)であり得る。成長因子の更なる例は、成長ホルモン(例えば、組換え成長因子、ニュートロピン、ヒューマトロープ、ゲノトロピン、ノルディトロピン、サイゼン、オムニトロープ、及び生合成成長因子)、表皮成長因子(EGF)(例えば、阻害剤、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、及びセツキシマブ)、へパリン結合EGF様成長因子(例えば、エピレグリン、ベタセルリン、アンフィレグリン、及びエピジェン)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF-a)、ニューロレグリン1-4、繊維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF-1-2、FGF2、FGF11-14、FGF18、FGF15/19、FGF21、FGF23、FGF7、又はケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF10、又はKGF2、及びフェニトイン)、インスリン様成長因子(IGF)(例えば、IGF-1、IGF-2、及び血小板由来成長因子(PDGF))、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、阻害剤、ベバシズマブ、ラニビズマブ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、及びベカプレルミン)を含む。
【0065】
成長因子の更なる非限定的な例は、サイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(例えば、炎症応答を阻害する阻害剤並びに組換えDNA技術を使用して及び組換え酵母由来ソースにより製造されたGM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(例えば、フィルグラスティム、レノグラスティム、及びニューポジェン)、組織成長因子ベータ(TGF-B)、レプチン、及びインターロイキン(IL)(例えば、IL-1a、IL-1b、カナキヌマブ、IL-2、アルデスロイキン、インテルキング、デニロイキン、ジフチトックス、IL-3、IL-6、IL-8、IL-10、IL-11、及びオプレルベキン)を含む。成長因子の非限定的な例は、エリスロポエチン(例えば、ダルベポエチン、エポセプト、ダイネポ、エポマックス、ネオレコルモン、シラポ、及びレタクリット)を更に含む。
【0066】
鎮痛薬の非限定例は、麻酔剤、オピオイド、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、非麻酔剤、パラセタモール、アセトアミノフェン、NSAID、及びフルピルチンを含む。
【0067】
麻酔剤の非限定的な例は、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、及びロピバカイン)及び全身麻酔剤を含む。
【0068】
メタロプロテイナーゼ(MMP)及び他のプロテアーゼの作用を阻害する組織マトリックス分解阻害剤の非限定例は、MMP阻害剤(例えば、外来性MMP阻害剤、ヒドロキシメート系MMP阻害剤、バチマスタット(BB-94)、イロマスタット(GM6001)、マリマスタット(BB2516)、チオール、ペリオスタット(ドキシサイクリン)、スクアリン酸、BB-1101、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、内在性、カルバモイルリン酸塩、ベータラクタム、及びMMPの組織阻害剤(TIMP))を含む。
【0069】
抗癌剤の非限定的な例としては、モノクローナル抗体、ベバシズマブ(アバスチン)、細胞/化学誘引物質、アルキル化剤(例えば、二官能性、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、一官能性、ニトロソ尿素及びテモゾロミド)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、及びバルルビシン)、細胞骨格破壊剤(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、微小管機能を阻害することによって細胞分裂を制限するエポチロン剤、細胞分裂又は或る特定の細胞機能に必要な様々な酵素を遮断する阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット及びロミデプシン)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン及びトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、及びタフルポシド)、キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ及びビスモデギブ)、ヌクレオチドアナログ(例えば、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、5-FU、アドルシル、カラック、エフジックス、エフデックス、フルオロプレックス、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン及びチオグアニン)、DNAを開裂し、DNA巻戻し/巻取りを分裂させるペプチド抗生物質剤(例えば、例えば、ブレオマイシン及びアクチノマイシン)、DNA修復及び/又は合成を阻害するDNAを架橋する白金系抗腫瘍薬(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、及びエロキサチン)、レチノイド(例えば、トレチノイン、アリトレチノイン、及びベキサロテン)、有糸分裂及び微小管形成を阻害するビンカアルカロイド剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、細胞増大又は細胞増殖を阻害する血管新生阻害剤(例えば、アキシチニブ(インライタ)、ベバシズマブ(アバスチン)、カボザンチニブ(コメトリック)、エベロリムス(アフィニトール、ゾートレス)、レナリドミド(レブラミド)、パゾパニブ(ヴォトリエント)、ラムシルマブ(サイラムザ)、レゴラフェニブ(スチバーガ)、ソラフェニブ(ネクサバール)、スニチニブ(スーテント)、サリドマイド(シノビル、サロミド)、バンデタニブ(カプレルサ)、Zib-アフリベルセプト(ザルトラップ)、抗血管新生多糖、アプリジン(デヒドロジデムニンB)、サポゲニン、すなわち、20(S)-プロトパナキサジオール及び20(S)-プロトパナキサトリオール)、抗イレウス剤、運動促進剤、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス)、血液アスペクト改変剤(例えば、血管拡張剤、バイアグラ、及びニフェジピン)、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-CoA(HMG CoA)還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン)、及び抗血管新生剤が挙げられる。
【0070】
例示的な薬剤はまた、創傷治癒に受動的に寄与する作用剤、例えば、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランなども含む。例示的な薬剤はまた、抗癒着剤も含む。その非限定例は、ヒアルロン酸/カルボキシメチルセルロース(seprafilm)、酸化再生セルロース(Interceed)、及びイコデキストリン4%(Extraneal、Adept)も含む。
【0071】
例示的な薬剤はまた、冠動脈疾患(CAD)(例えば、VEGF165タンパク質、AdVEGF165、AdVEGF121、及びVEGF165プラスミド)又は末梢動脈疾患(PAD)(例えば、VEGF165プラスミド、AdVEGF121、SB-509(SFP-VEGFプラスミド)、AdVEGF165、及びAd2-HIF1α-VP16(WALK試験))後の血液供給の再生を促進する薬剤も含む。
【0072】
薬物放出
記載された技術に基づく補助材は、例えば、組織内方成長に対して、所望の様式で所望の効果を提供するために、多くの異なる方法で、少なくとも1種の薬剤と関連付けられ得る。少なくとも1種の薬剤は、施療部位において所望の治癒プロセスをトリガするために、複数の空間的及び時間的パターンで補助材から放出されるように構成され得る。薬剤は、補助材内に配置され、補助材に結合され、補助材内に組み込まれ、補助材内に分散され、又は補助材と他の方法で関連付けられ得る。例えば、補助材は、内部に、1種又は2種以上の異なる薬剤を放出可能に保持している、1つ又は2つ以上の領域を有し得る。これらの領域は、様々なサイズ及び形状の、様々な方法で内部に薬剤を保持する、別個のリザーバであるか、又は、補助材内の他の別個の若しくは連続した領域であることができる。いくつかの態様では、補助材の特定の構成により、1種の薬剤又は2種以上の異なる薬剤を、内部に放出可能に保持することができる。
【0073】
薬剤が補助材内に配置される方法に関わらず、有効量の少なくとも1種の薬剤が、容器、例えば、マイクロカプセル、マイクロビーズ、又は任意の他の容器の形態であることができるペレット内に封入され得る。この容器は、生体吸収性ポリマーから形成され得る。
【0074】
補助材からの少なくとも1種の薬剤の標的化運搬及び放出は、様々な要因に応じた多くの方法において達成され得る。一般的に、少なくとも1種の薬剤は、補助材料が組織に運搬された実質的に直後に薬剤が放出されるように、ボーラス投与量として補助材料から放出され得る。あるいは、少なくとも1種の薬剤は、数分、数時間、数日、又はそれ以上であり得る特定の期間にわたって、補助材料から放出され得る。タイミングを合わせた放出(timed release)の速度及び放出される薬剤量は、様々な要因、例えば、薬剤が放出される領域の分解速度、補助材内に薬剤を保持するのに使用される1つ又は2つ以上のコーティング又は他の構造の分解速度、施療部位の環境条件、及び様々な他の要因により決まり得る。いくつかの態様では、補助材が内部に配置された2つ以上の薬剤を有する場合、第1の薬剤のボーラス投与量放出は、第1の薬剤が放出された後に放出し始めるように、第2の薬剤の放出を調節し得る。補助材は、複数の薬剤を含み得る。同薬剤はそれぞれ、1種又は2種以上の他の薬剤の放出に、任意の適切な方法で影響を及ぼし得る。
【0075】
ボーラス投与量として又はタイミングを合わせた放出としての少なくとも1種の薬剤の放出は、補助材料が組織に運搬された実質的に直後に生じても若しくは開始してもよいし、又は、所定の時間まで遅延されてもよい。遅延は、補助材又は1つ若しくは2つ以上のその領域の構造及び性質により決まり得る。
【0076】
補助材料は、補助材内に保持された有効量の1種又は2種以上の薬剤の分配を促進する構造を有し、所望の効果をもたらすように構成され得る。例えば、薬剤の標的化運搬は、薬剤の特定の空間的分布をその運搬に基づいて可能にするパターンで形成された補助材内の領域(例えば、リザーバ、例えば、孔又は他の構造)に、薬剤を組み込むことにより達成され得る。リザーバ内に配置された薬剤は、別個の容器内に組み込まれ得る。リザーバは、2種類以上の異なる薬剤を含み得る。1種又は2種以上の薬剤は、均質な様式又は異質な空間的及び/若しくは時間的様式において、補助材から溶出され、所望の治療を提供し得る。補助材の構造及び薬剤がそれから放出される様式は、組織再成長に影響を及ぼし、又は、制御するのに使用され得る。更に、組織再成長は、施療部位の特定の位置において亢進させ、施療部位の他の位置では抑制することができる。
【0077】
曝露条件の監視
補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の1つ又は2つ以上の曝露条件への曝露を監視及び/又は追跡することにより、任意の数の利益を提供することができる。環境条件とも呼ばれる曝露条件は、補助材のパフォーマンス、例えば、寿命に影響を及ぼす可能性があり、及び/又はその中に保持された薬剤(複数可)のパフォーマンス、例えば、バイアビリティ、寿命、及び効力に影響を及ぼす可能性がある。薬剤のバイアビリティは概して、薬剤の有効性、例えば、特定の効果を生み出す薬剤の能力を指す。補助材の寿命は概して、患者の体内で分解又は溶解し、それによって補助材から薬剤(複数可)を放出する補助材の能力などの特定の効果を補助材が生み出し得る時間の長さを指す。薬剤の寿命は概して、薬剤が特定の効果を生み出し得る時間の長さを指す。薬剤の効力は概して、特定の効果を生み出すために必要な薬剤の量を指す。包装時点から投与までの補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)又はその一部を監視又は追跡することにより、生存不能な補助材及び生存不能な薬剤の早期識別、並びに患者の治療の修正、例えば、曝露の監視又は追跡に基づいて、薬剤のパフォーマンス及び/又は貯蔵寿命に悪影響を及ぼす曝露条件を経験した薬剤を補償するために追加の薬剤用量を患者に提供することを可能にすることができる。したがって、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の曝露を監視及び/又は追跡することにより、曝露条件に起因して無効にされた補助材を植え込むリスクを低減することができ、曝露条件に起因して無効にされた投与量で薬剤を投与するリスクを低減することができ、その中に薬剤を保持する補助材の植込みを介して生存不能な薬剤が患者に投与されるリスクを低減することができる。
【0078】
概して、本明細書に記載されるシステム及び方法は、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の少なくとも1つの曝露条件を監視することができるセンサなどの能動又は受動感知機構を含む。場合によっては、能動感知機構又は受動感知機構は、補助材及び薬剤(複数可)の曝露の程度、例えば、頻度、強度、及び/又は持続時間を追跡することもできる。結果として、曝露条件自体及び/又は曝露の程度に関連する情報を使用して、補助材の植込み前及び/又はその中に薬剤(複数可)を保持する補助材の流通前に、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の有効性を判定することができる。
【0079】
能動又は受動感知機構を含む本明細書に記載されるシステム及び方法は、ステープルカートリッジ、及びステープルカートリッジに解放可能に結合された補助材、例えば、ステープルカートリッジのうちの任意の1つ又は2つ以上、及び上述の補助材のうちの任意の1つ又は2つ以上を含むことができる。同様に上述したように、補助材は、その中に1つ又は2つ以上の薬剤を保持することができ、ステープルカートリッジは、外科用ステープラの顎部に固定して結合され得るか、又は外科用ステープラの顎部に取り外し可能かつ交換可能に結合されるように構成され得る。薬剤は、上述の薬剤のうちの任意の1つ又は2つ以上を含み得る。
【0080】
例示的な実施形態では、補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)を包装する包装ユニットは、少なくとも1つの能動又は受動感知機構を含む。補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)の少なくとも1つの曝露条件は、したがって、補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)が包装ユニットによって包装されたときから補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)が包装ユニットから取り出されるまでのサプライチェーンに沿って監視され得る。
【0081】
包装ユニットは、少なくとも1つの薬剤が内部に放出可能に保持された補助材を包装することができ、補助材は、包装ユニットが開かれた後にステープルカートリッジに解放可能に結合されるように構成されている。あるいは、包装ユニットは、補助材がステープルカートリッジに解放可能に結合された状態で、少なくとも1つの薬剤が内部に放出可能に保持された補助材を包装することができ、その結果、包装ユニットは、補助材、少なくとも1つの薬剤、及びステープルカートリッジを包装する。そのような実施形態では、補助材が解放可能に結合されたステープルカートリッジは、包装ユニットが開かれた後に外科用ステープラのエンドエフェクタ内に着座するように構成され得るか、又は包装ユニットは、ステープルカートリッジがステープラのエンドエフェクタ内に着座した状態で、又はステープルカートリッジが包装ユニットが開かれた後にステープラのエンドエフェクタ内に着座可能な状態で、外科用ステープラを包装することもできる。いくつかの実施形態では、包装ユニットは、各々が内部に保持された少なくとも1つの薬剤を有する複数の補助材を包装することができ、任意選択的に、各々が補助材のうちの1つが解放可能に結合された複数のステープルカートリッジも包装することができる。ステープルカートリッジは、典型的には、異なる外科用ステープラに対して異なるサイズで、及び/又は異なるサイズのステープル及び/又は異なる数のステープルとともに提供されるので、包装ユニット内に複数の補助材を用意することにより、外科医又は他の医療専門家が、特定の処置で使用するために適切なサイズのステープルカートリッジを選択することができるように、異なるステープルカートリッジを提供することが可能になり得る。包装ユニット内に複数の補助材を用意することにより、複数の同じ補助材が提供されて、一連の同じ補助材を用いた外科的処置中の外科用ステープラの再装填を容易にすることが可能になり得る。包装ユニットによって包装される要素に関わらず、例示的な実施形態では、包装ユニットは無菌であり、患者による包装された要素(複数可)の安全な使用を確実にするのに役立つ。
【0082】
上述したように、センサは、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の少なくとも1つの曝露条件を監視又は検出するように構成され得る。曝露条件の例は、地理的位置(例えば、GPS又は他の位置を感知するように構成された位置センサによって感知される)、時間(例えば、タイマ又は原子時計などのクロックデバイスによって感知される)、日付(例えば、タイマによって感知される)、温度(例えば、温度センサによって感知される)、紫外線(ultraviolet、UV)曝露(例えば、UVレベルを感知するように構成されたUVセンサによって感知される)、pH(例えば、pHレベルを感知するように構成されたpHセンサによって感知される)、湿度(例えば、湿度レベルを感知するように構成された湿度センサによって感知される)、光(例えば、光レベルを感知するように構成された光検出器によって感知される)、酸素曝露(例えば、酸素レベルを感知するように構成された酸素(O2)センサによって感知される)、振動(例えば、振動を感知するように構成された振動センサ、加速度計などによって感知される)、及び大気圧(例えば、気圧を検知するように構成された気圧センサ又は大気中の大気圧を感知するように構成された大気圧センサによって感知される)を含む。代替的に又は加えて、センサは、補助材の植込み前に補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)が経験する有害な曝露事象の頻度、持続時間、及び/又は強度、例えば、曝露条件を感知するように構成されたセンサ及び感知されたデータの日付及びタイムスタンプデータを提供するように構成されたタイマによって感知される、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の輸送又は保管中の曝露条件の急増を追跡するように構成され得る。1つ又は2つ以上のセンサを使用して、少なくとも1つの曝露条件を監視することができる。センサは、単一の曝露条件を監視する(例えば、時間のみを監視する、地理的位置のみを監視する、pHのみを監視する、光のみを監視するなど)ように構成され得るか、又は少なくとも2つの曝露条件を感知する(例えば、温度及び湿度を監視する、時間、日付、及び少なくとも1つの他の曝露条件を監視する、光及びUV光を監視するなど)ように構成され得る。米国特許出願公開第2002/0014951号(発明の名称「Remote Control For A Hospital Bed」、2002年2月7日付けで公開)、及び米国特許出願公開第2007/0251835号(発明の名称「Subnetwork Synchronization And Variable Transmit Synchronization Techniques For A Wireless Medical Device Network」、2007年11月1日付けで公開)は、様々な例示的センサを更に論じ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0083】
温度は、補助材のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、所定の最大閾値温度を上回るか又は所定の最小閾値温度を下回る温度は、患者の体内に補助材を植え込む前に補助材の分解を開始させる可能性があり、したがって、補助材はもはや使用されるべきではない。温度はまた、薬剤のパフォーマンスにも悪影響を及ぼし得る。例えば、特定の薬剤に適切な所定の最大閾値温度を上回るか、又は所定の最小閾値温度を下回る温度は、薬剤に効力を失わせる可能性があり、したがって、その中に保持された薬剤を有する補助材はもはや使用されるべきではないか、又は薬剤が補助材内に保持される前に、薬剤は補助材内に保持されるべきではない。
【0084】
UV曝露は、補助材のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、特定の補助材の材料(複数可)に適切な所定の最大閾値UVレベルを上回るか、又は所定の最小閾値UVレベルを下回るUVレベルは、患者の体内に補助材を植え込む前に補助材の分解を開始させる可能性があり、したがって、補助材はもはや使用されるべきではない。UVレベルはまた、薬剤のパフォーマンスにも悪影響を及ぼし得る。例えば、特定の薬剤に適切な所定の最大閾値UVレベルを上回るか、又は所定の最小閾値UVレベルを下回るUVレベルは、薬剤に効力を失わせる可能性があり、したがって、その中に保持された薬剤を有する補助材はもはや使用されるべきではないか、又は薬剤が補助材内に保持される前に、薬剤は補助材内に保持されるべきではない。
【0085】
湿度は、補助材のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、特定の補助材の材料(複数可)に適切な所定の最大閾値湿度を上回るか、又は所定の最小閾値湿度を下回る湿度は、患者の体内に補助材を植え込む前に補助材の分解を開始させる可能性があり、したがって、補助材はもはや使用されるべきではない。湿度はまた、薬剤のパフォーマンスにも悪影響を及ぼし得る。例えば、特定の薬剤に適切な所定の最大閾値温度を上回るか、又は所定の最小閾値湿度を下回る湿度は、薬剤に効力を失わせる可能性があり、したがって、その中に保持された薬剤を有する補助材はもはや使用されるべきではなく、又は薬剤が補助材内に保持される前に、薬剤は補助材内に保持されるべきではない。
【0086】
特定の日時における特定の位置について温度及び湿度を知ることができるので、地理的位置は、温度及び/又は湿度曝露を示すことができる。地理的位置は又、薬剤がその現在位置での使用に承認されているかどうか、例えば、薬剤が不適切な地理的位置に曝露されており、したがって使用されるべきではないかどうかも示すことができる。
【0087】
光は、薬剤のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、所定の最大閾値光レベルを上回る光レベルは、薬剤に効力を失わせる可能性があり、したがって、その中に保持された薬剤を有する補助材はもはや使用されるべきではないか、又は薬剤が補助材内に保持される前に、薬剤は補助材内に保持されるべきではない。
【0088】
酸素は、補助材のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、補助材が所定の最大閾値酸素レベルを上回る酸素レベルに曝露されると、補助材は、患者の体内に補助材を植え込む前に無菌状態を失い、及び/又は分解し始める可能性があり、したがって、補助材はもはや使用されるべきではない。補助材が滅菌包装ユニット内に密封されている場合、補助材の酸素曝露は、包装ユニットが使用のために開封されるまで変化しないはずである。したがって、特定の日付/タイムスタンプにおいて所定の最大閾値酸素レベルを上回る酸素レベルは、補助材がもはや使用されるべきではないほど補助材の滅菌状態が失われていること、及び/又は補助材がもはや使用されるべきではないほど補助材が分解し始めている可能性があることを示すことができる。
【0089】
振動は、補助材のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、補助材が所定の最大振動を上回る振動に曝されることは、補助材が力によって衝撃を受けていることを示す。この力は、例えば、植込み前に補助材を早期に圧縮させ、したがって、患者の体内で適切に圧縮して適合させることができない場合がある。
【0090】
大気圧は、薬剤のパフォーマンスに悪影響を及ぼし得る。例えば、所定の最大閾値大気圧を上回る大気圧への薬剤の曝露は、薬剤に効力を失わせる可能性があり、したがって、その中に薬剤を保持する補助材は、もはや使用されるべきではない。
【0091】
サプライチェーンにおける突然の増加又は遅延も又、補助材及び薬剤への影響を及ぼし得る。例えば、補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)の製造又は保管の遅延は、補助材又は薬剤の貯蔵寿命に悪影響を及ぼし得る。
【0092】
上述したように、システムは1つ又は2つ以上のセンサを含むことができる。センサは、少なくとも1つの補助材(したがって、その中に保持された任意の薬剤も)及び/又は少なくとも1つの補助材用の包装ユニット(したがって、その中に保持された任意の薬剤も)と関連付けられ得る。上述したように、包装ユニット内の1つ又は2つ以上の補助材は、独立型要素であってもよく、又はステープルカートリッジに解放可能に結合されてもよく、ステープルカートリッジは、外科用ステープラのエンドエフェクタの顎部内に取り外し可能かつ交換可能に着座するように構成された独立型ユニットとして包装ユニット内にあってもよく、又は、例えばエンドエフェクタの顎部内に固定的に着座されることによって、若しくはエンドエフェクタの顎部内に取り外し可能かつ交換可能に着座されることによって、外科用ステープラのエンドエフェクタに既に結合された包装ユニット内にあってもよい。
【0093】
センサは、補助材が患者に植え込まれる前に、したがって薬剤(複数可)が患者に投与される前に、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)の曝露条件を監視するために使用され得る。これは、植込み時に補助材(複数可)が薬剤(複数可)を効果的に放出することができ、補助材植込み時の薬剤投与時及び/又はその後の時間(複数可)において、1つ又は2つ以上の薬剤のそれぞれが生存可能であり、有効投与量で送達されることを確実にするのに役立ち得る。更に、この監視は又、サプライチェーンにおける早期の生存不能な補助材及び/又は生存不能な薬剤の検出も支援し得る。結果として、製造業者は、初期の段階で、例えば、包装及び/又は流通の前に、生存不能な補助材(したがって、その中に保持された薬剤(複数可))をリコールすることができ、これにより、リコールコストを減少し、患者への潜在的な健康リスクを回避することにつながる場合がある。
【0094】
センサは、補助材がステープルカートリッジ内に着座している間(ステープルカートリッジがエンドエフェクタの顎部内に着座しているか否かに関わらず)、補助材及びその中に保持された任意の薬剤の少なくとも1つの曝露条件を監視するように構成され得る。代替的に、又は加えて、センサは、例えば補助材がステープルカートリッジに既に取り付けられて包装されているか否かに関わらず、補助材及びその中に保持された任意の薬剤が包装ユニット内にある間に、補助材及びその中に保持された任意の薬剤の少なくとも1つの曝露条件を監視するように構成され得る。したがって、センサは、薬剤(複数可)が補助材と関連付けられた後、例えば、薬剤(複数可)が補助材によって保持された後であるが、補助材が患者に植え込まれる前に、薬剤(複数可)の少なくとも1つの曝露条件を監視するように構成され得る。結果として、センサは、その中に保持された薬剤(複数可)を有する補助材の貯蔵寿命モニタとして、及び薬剤(複数可)が補助材によって保持されると、薬剤(複数可)の貯蔵寿命モニタとして機能することができる。
【0095】
センサによって取得されたデータは、通信インターフェースを介してプロセッサに通信され得る。例示的な実施形態では、通信インターフェースは、補助材又は補助材を中に着座させるステープルカートリッジと関連付けられ、補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)を包装する包装ユニットは、本明細書で論じられるように、通信インターフェースを含む。プロセッサは、補助材から遠隔であっても、補助材に対してローカルであってもよく、したがって、補助材を包装する包装ユニットから遠隔であっても、補助材に対してローカルであってもよい。
【0096】
使用中、データがプロセッサによって受信されると、プロセッサは、データを処理し、データ出力を提供することができる。一例では、データ出力は、補助材によって保持された薬剤の有効期限とすることができ、これは、センサによって取得されたデータを考慮に入れることによって決定され得る。プロセッサは、同様にデータを処理し、補助材に関するデータ出力を提供するように構成することができる。例えば、プロセッサは、センサによって示されるように、薬剤及び補助材が包装された後の経過時間を決定することによって、有効期限を決定するように構成され得る。プロセッサはまた、決定された経過時間量を、製造業者(又は他の品質コントローラ)によって設定される薬剤及び/又は補助材の所定の有効期限と比較して、有効期限が過ぎているかどうかを決定するようにも構成され得る。プロセッサはまた、包装された薬剤及び補助材の任意の曝露条件の強度及び持続時間を考慮するために、センサによって取得されたデータに基づいて経過時間を調整するようにも構成され得る。プロセッサは、メモリに記憶されており、かつ薬剤及び/又は補助材の所定の測定基準を記憶したルックアップテーブルにアクセスするように構成され得る。所定の測定基準は、薬剤及び/又は補助材を、1つ又は2つ以上の曝露条件の各々と関連付け、かつ例えば、曝露条件の特定の持続時間にわたって(もしあったとしても)薬剤及び/又は補助材の有効期限を下方に調節する必要がある時間を示すことによって、薬剤及び/又は補助材の有効期限に対する曝露条件の効果を示すことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、薬剤の有効期限は、薬剤のバッチに対するものであり得る。プロセッサは、薬剤のバッチ、したがって補助材によって保持された薬剤がその有効期限を過ぎていることを示すデータ出力を提供するように構成され得る。例えば、データ出力は、テキストメッセージ、電子メール、コンピュータシステムの表示画面上のディスプレイなどによって、テキスト及び/又は画像表示を介してユーザに通信されるように構成された警告などの警告の形態であり得る。補助材の有効期限は、同様に、補助材のバッチに対するものであり得る。
【0098】
本明細書で論じられるような警告は、補助材の(したがって、補助材によって保持された薬剤の)ユーザ、及び/又は第三者、例えば、補助材及び/又は薬剤の製造業者、病院及び/又はユーザに補助材を提供する他の医療施設と通信するように構成されたクラウドサービスなどに対するものであり得る。ユーザに警告を提供することは、補助材が植え込まれることを防止するのに役立つ場合があり、それによって、補助材及び薬剤が患者に送達されることを防止するのに役立ち、したがって、患者への悪影響を回避するのに役立ち、及び/又はユーザが植込みのための新しい補助材を得ることを可能にする。クラウドサービスとして第三者に警告を提供することは、(1)クラウドサービスが補助材、補助材に結合されたステープルカートリッジ、及び/又は補助材に結合されたステープルカートリッジに結合された外科用ステープラを自動的に再注文することを可能にすることによって、製品の自動交換を容易にし、(2)クラウドサービスが、クラウドサービスから別の第三者、例えば、補助材及び/又は薬剤の製造業者、補助材を植え込むよう意図した医療専門家などに送信される苦情報告を自動的に生成することを可能にし、他の第三者がこれを用いてそれらの事業を評価し、是正措置をとるなどすることができ、(3)クラウドサービスが、ユーザ、ユーザの医療提供者(HCP)、補助材の製造業者、薬剤の製造業者、及び/又は別の関係者がどのステップ(複数可)をとるべきかの相談のために、補助材及び/又は薬剤の製造業者の品質管理チームなどの品質管理ユニットへの要求を自動的に生成することを可能にし、及び/又は(4)(例えば、警告に含まれる製品識別コードで識別されるような)特定の補助材を、サプライチェーン内の特定の流通行程まで追跡することができるシリアル化と関連付けることができ、ユーザにエクスカーションが生じた場合、補助材及び/又はその中に保持された薬剤は、既知のユーザエラーの履歴に起因して返却又は交換できない可能性があり、及び/又は補助材の適切な保管条件をユーザに思い出させることができ、例えば、コンピュータシステムのディスプレイ上に示されるメッセージ、補助材(したがって、補助材によって保持された薬剤)に関連付けられたユーザに送信される電子メール、病院又は他の医療施設に、医療施設における補助材の適切な保管及び/又は輸送を担当する1人又は2人以上の関係者との議論のためにユーザエラー(複数可)を通知することなどである。
【0099】
警告は、例えば、補助材(及び補助材によって保持された任意の薬剤)が経験する有害な曝露条件(複数可)のために、補助材(したがって補助材によって保持された任意の薬剤)が使用されるべきではないことを示すことができる。補助材(したがって、補助材によって保持された任意の薬剤)が依然として使用可能であるが、少なくとも1つの有害な曝露条件を経験している場合、警告は、補助材(したがって、補助材によって保持された任意の薬剤)が十分な有効性を維持するように補助材が植え込まれるべき現在の時間からの期間など、有害な曝露条件(複数可)を反映する使用の推奨を提供することができる。補助材(したがって、補助材によって保持された任意の薬剤)が、補助材(したがって、補助材によって保持された任意の薬剤)が十分な有効性を維持するように、補助材が植え込まれるべき現在の時間からの期間など、外科的処置におけるその使用に悪影響を及ぼす曝露条件(複数可)を経験していない場合であっても、警告を提供することができる。例えば、そのような推奨は、光曝露によって悪影響を受ける補助材及び/又は薬剤にとって有益であり得る。補助材及び補助材によって保持された薬剤(複数可)を包装する包装ユニットが開かれると、補助材及び薬剤(複数可)は光に曝露され、その後、補助材及び薬剤(複数可)が過剰な光に曝露される前に補助材(したがって薬剤(複数可))が植え込まれるべき期間が開始し得る。別の例では、そのような推奨は、温度及び/又は湿度曝露によって悪影響を受ける補助材及び/又は薬剤にとって有益であり得る。手術室は、プロセッサと通信して警告を提供する温度センサ及び/又は湿度センサを有することができ、その結果、警告は、手術室の温度及び/又は湿度を考慮して、補助材(したがって、補助材によって保持された任意の薬剤)が手術室内の状態に現在曝露されていることを考慮して十分な有効性を維持するように、補助材が植え込まれるべき現在時刻からの期間を提供することができる。
【0100】
プロセッサがデータを処理した後のプロセッサのデータ出力の別の例は、エクスカーション条件状態であり、エクスカーション条件状態は、センサによって取得されたデータを考慮に入れることによって決定され得る。例えば、プロセッサは、センサから受信したデータを、安全な曝露条件を示す所定の閾値又は範囲と比較するように構成され得る。受信したデータが、特定の曝露条件に適切な所定の安全範囲の外側にあるか、所定の安全閾値を上回るか、又は所定の安全閾値を下回る場合、データ出力は、その中に薬剤(複数可)を保持する補助材(複数可)を植え込むべきでないほど十分にそのパフォーマンスが悪影響を受けているサプライチェーンにおいて、包装ユニット、したがって補助材(複数可)及び補助材(複数可)によって保持された任意の薬剤がこれまでのその寿命中で少なくとも1つの曝露条件を経験していることを示す警告の形態であってもよい。
【0101】
図8は、その中に薬剤4006を保持する補助材4004を包装する包装ユニット4002と通信するように構成されたプロセッサ4000の実施形態を示す。この図示された実施形態における包装ユニット4002は、ブリスタパックの形態であるが、他のタイプの包装ユニットを使用することができる。包装ユニット4002に取り付けられたセンサ4008は、本明細書で論じられるように、少なくとも1つの曝露条件を監視するように構成され、その中に通信インターフェース、例えば、RFIDセンサタグ、センサ、電源、及びワイヤレス送信機を含むマイクロコントローラ、センサ、バッテリ、及びワイヤレス送信機を含むフレックス回路などを組み込むが、包装ユニットは、別個のセンサ及び通信インターフェースを含むことができる。センサ4008、例えば、その通信インターフェースは、プロセッサ4000とワイヤレスでデータを通信するように構成される。センサ4008は、包装ユニット4002を形成する材料(例えば、ポリマー、強化ボール紙、ガラスなど)にはめ込まれることによって、接着剤を使用して包装ユニット4002の内面若しくは外面に接着されることによって、包装ユニット4002上のラベル若しくはステッカに接着されることによって、又は別の取り付け機構を使用して包装ユニット4002に取り付けられることによってなど、様々な方法のいずれかで包装ユニット4002に取り付けることができる。
【0102】
図9は、プロセッサ(図示せず)と通信するように構成された包装ユニット4010の別の実施形態を示す。この図示された実施形態における包装ユニット4010は箱の形態であるが、他のタイプの包装ユニットを使用することができる。この図示された実施形態における包装ユニット4010は、その中に薬剤(
図9では不明瞭)を保持する補助材4012を包装する。包装ユニット4010に取り付けられたセンサ4014は、本明細書で論じられるように、少なくとも1つの曝露条件を監視するように構成される。包装ユニット4010はまた、センサ4012から感知されたデータを読み取るように構成された電気接点1016も含む。センサ4014及び電気接点1016は、補助材4012とともに包装ユニット4010内に収容される。センサ1014は、電気接点1016に近接して位置決めされる。したがって、本明細書で論じられるように、センサ1014が電気接点1016の近くに又は直接接触して位置決めされると、センサ1014は、電気接点1016(例えば、読み取り装置)によって読み取られ、センサ1014からのデータは、包装ユニットの通信インターフェースを介してプロセッサに送信することができる。この図示された実施形態では、データは、この図示された実施形態では電気接点1016の一部である包装ユニットの通信インターフェースを使用してプロセッサにワイヤレスで送信される。
【0103】
包装ユニットと通信するように構成されたプロセッサは、
図10に示されるコンピュータシステム4018の実施形態などのコンピュータシステムの構成要素であり得る。コンピュータシステム4018は、包装ユニット4012の通信インターフェース4022、例えば、QRコード、RFIDタグなどを介して、包装ユニット4020、例えば、
図8の包装ユニット4002、
図9の包装ユニット4010、又は他の包装ユニットとワイヤレスで通信するように構成される。通信インターフェース4022は、通信技術を含むセンサ、感知及び通信技術を含むマイクロコントローラなどの多機能構成要素の一部とすることができ、又は収集されたデータを通信インターフェースに通信するように構成された別個のセンサを包装ユニット4020に取り付けることができる。この図示された実施形態における包装ユニット40202は、その中に薬剤(
図10では不明瞭)を保持する補助材4024を包装する。コンピュータシステム4018はまた、例えば外科用器具4026の通信インターフェース(
図10では不明瞭)を介して、外科用器具4026とワイヤレス通信するようにも構成されており、この図示された実施形態では、線状外科用ステープラを含むが、本明細書で論じられるような別のタイプの外科用器具であってもよい。コンピュータシステム4018は、
図11及び
図12に示されるコンピュータシステム4028、4030などの様々な構成を有することができ、これらについては以下で更に説明する。この図示された実施形態におけるコンピュータシステム4018は、外科用ハブを含む。外科用ハブについても以下で更に説明する。
【0104】
いくつかの実施形態では、包装ユニットは、複数の他の包装ユニットを包装することができ、例えば、複数の
図9の包装ユニット4010を包装することができ、複数の
図10の包装ユニット4020を包装することができ、複数の
図9の包装ユニット4010及び複数の
図10の包装ユニット4020を包装することができ、複数の
図8の包装ユニット4002を包装することができ、又は複数のいくつかの他の組み合わせ及び/又はタイプの包装ユニットを包装することができる。複数の包装ユニットを包装するそのような包装ユニットは、本明細書では概して「バルク包装ユニット」と呼ばれる。バルク包装ユニットは、本明細書に記載されるようなセンサ及び通信インターフェースを含むことができ、したがって、バルク包装ユニット内に包装された包装ユニットの全てのための曝露条件モニタとしての役割を果たすことができる。そのような構成は、バルク包装ユニット内に包装された包装ユニットの各々が、本明細書に記載されるようなセンサ及び通信インターフェースを含む必要がないため、全体的コストを低減し得る。しかしながら、更なる信頼性のために、及び/又は包装ユニットがバルク包装ユニットから除去された後の曝露を考慮するために、ケース内に包装された包装ユニットのそれぞれは、本明細書に記載されるようなセンサ及び通信インターフェースを含むことができる。センサ及び通信インターフェースを含むバルク包装ユニットは、箔パウチが、空気移動を介して長距離を移動するときにバルク包装ユニット内にあり、したがって、過加圧からの或る程度の保護を有するため、パウチの滅菌シールを破壊し得る包装ユニットの箔パウチの過加圧などの懸念を低減するのに役立ち得る。薬剤は、過加圧を受けた場合に早期に放出される可能性があり、したがって、バルク包装ユニットは、早期の薬剤放出を防止するのにも役立ち得る。
【0105】
コンピュータシステム
上述のように、通信インターフェースは、例えば、補助材及び通信インターフェースを含むその中に保持された任意の薬剤を包装する包装ユニットによって、補助材及び/又は補助材によって保持された薬剤と関連付けられ得る。そのような通信インターフェースは、
図11に示される中央コンピュータシステム4028などのコンピュータシステムと通信するように構成され得る。
図11に示すように、内部に保持された薬剤を有する補助材を包装する包装ユニット4032に関連付けられた通信インターフェースは、医療施設4036(例えば、病院又は他の医療施設)、倉庫4038(例えば、配送センタ又は包装ユニットのサプライチェーン内の他の停留所)、又は移動位置4040(例えば、包装ユニットのサプライチェーンに沿った停留所間)などの任意の数の位置から通信ネットワーク4034を介して中央コンピュータシステム4028と通信するように構成される。通信インターフェースは、ネットワーク4034への有線及び/又はワイヤレス接続を介して、コンピュータシステム4028にアクセスするように構成され得る。例示的な実施形態では、通信インターフェースは、コンピュータシステム4028にワイヤレスで、例えば、Wi-Fi接続(複数可)を介してアクセスするように構成されており、それにより、世界のほぼ全ての位置からのコンピュータシステム4034のアクセス可能性を促進し得る。
【0106】
当業者は、コンピュータシステム4034が、任意の特定のノードに利用可能なコンピュータシステム4034の態様が、例えば、ノードの識別情報及び/又はノードがシステムにアクセスしている位置に基づいて決定され得るように、セキュリティ機能を含み得ることを理解するであろう。そのために、それぞれのノードは、コンピュータシステム4034へのアクセスを容易にするために、固有のキー、ユーザ名、パスワード、及び/又は他のセキュリティ資格情報を有し得る。受信されたセキュリティパラメータ情報は、ノードが認定されているかどうか、及びノードがどの程度、コンピュータシステム4034と対話すること、コンピュータシステム4034に記憶された情報を見ることなどを許可されているかを決定するために、認定ノードのデータベースに対してチェックされ得る。
【0107】
本明細書に論じられるように、本明細書に記載の主題の1つ又は2つ以上の態様又は特徴、例えばコンピュータシステム4034及びセンサの構成要素は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な態様又は特徴には、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムの実装が含まれてもよく、このプロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、それらへデータ及び命令を送信するように結合された専用又は汎用プロセッサとすることができる。プログラム可能なシステム又はコンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、概して、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワーク、例えば、インターネット、ワイヤレス広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、又は有線ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0108】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも称されることがあり、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高級プロシージャ言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理型プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実現され得る。本明細書で使用されるとき、「機械可読媒体」という用語は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又はデバイスを指し、これらは、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される。「機械可読信号」という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば、非過渡的固体メモリ若しくは磁気ハードドライブ、又は任意の同等の記憶媒体などの、このような機械命令を非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、例えば、プロセッサキャッシュ、若しくは1つ又は2つ以上の物理的プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリなどの一時的な方法で、そのような機械命令を代替的又は追加的に記憶することができる。
【0109】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載される主題の1つ又は2つ以上の態様又は特徴は、表示画面、例えば、ユーザに情報を表示するための陰極線管(cathode ray tube、CRT)又は液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)又は発光ダイオード(light emitting diode、LED)モニタなどを有するコンピュータ上に実装され得る。表示画面は、直接的に(例えば、タッチスクリーンとして)又は間接的に(例えば、キーパッド又は音声認識ハードウェア及びソフトウェアなどの入力デバイスを介して)表示画面への入力を可能にし得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を同様に提供することができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含むが、これらに限定されない任意の形態で受信されてもよい。本明細書で論じられるように、このフィードバックは、警告として提供され得る。
【0110】
図12は、コンピュータシステム4030として示されるコンピュータシステム4028の例示的な一実施形態を示す。コンピュータシステムは、コンピュータシステム4030の動作を制御するように構成されている1つ又は2つ以上のプロセッサ4042を含む。プロセッサ(複数可)4042は、プログラム可能な汎用若しくは専用マイクロプロセッサ、及び/又は様々な専用若しくは市販の単一若しくはマルチプロセッサシステムのうちのいずれか1つを含む、任意のタイプのマイクロプロセッサ若しくは中央処理装置(central processing unit、CPU)を含み得る。コンピュータシステム4030はまた、プロセッサ(複数可)4042によって実行されるコードのための、あるいは1人又は2人以上のユーザ、記憶デバイス、及び/又はデータベースから得られたデータのための一時ストレージを提供するように構成されている1つ又は2つ以上のメモリ4044も含む。メモリ4044は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、1つ又は2つ以上の様々なランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)(例えば、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、若しくはシンクロナスDRAM(SDRAM)、及び/又はメモリ技術の組み合わせを含むことができる。
【0111】
コンピュータシステムの様々な要素は、バスシステム4046に結合されている。図示されたバスシステム4046は、適切なブリッジ、アダプタ、及び/又はコントローラによって接続された、任意の1つ又は2つ以上の別個の物理的バス、通信ライン/インターフェース、及び/又はマルチドロップ若しくはポイントツーポイント接続を表す抽象化したものである。コンピュータシステム4030はまた、1つ又は2つ以上のネットワークインターフェース4048(本明細書では、通信インターフェースとも呼ばれる)、1つ又2つ以上の入力/出力(input/output、IO)インターフェース4050、及び1つ又は2つ以上の記憶デバイス4052も含む。
【0112】
通信インターフェース(複数可)4048は、コンピュータシステムが、リモートデバイス、例えば、他の通信インターフェース又は他のコンピュータシステムとネットワークを介して通信することを可能にするように構成されるか、又は、例えば、リモートデスクトップ接続インターフェース、イーサネットアダプタ、及び/又は他のローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)アダプタであり得る。IOインターフェース(複数可)4050は、コンピュータシステム4030を他の電子機器と接続するための1つ又は2つ以上のインターフェース構成要素を含む。例えば、IOインターフェース(複数可)4050は、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)ポート、1394ポート、Wi-Fi、Bluetoothなどの高速データポートを含み得る。追加的に、コンピュータシステム4030は、人間ユーザにアクセス可能とすることができ、したがって、IOインターフェース(複数可)4050は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、ポインティングデバイス、及び/又は様々な他のビデオ、オーディオ、若しくは英数字インターフェースを含み得る。メモリとして分類することもできる記憶デバイス(複数可)4052は、不揮発性及び/又は非過渡的な方法でデータを記憶するための任意の従来式媒体を含む。したがって、記憶デバイス(複数可)4052は、コンピュータシステムへの電力の中断にも関わらず、値(複数可)が保持される永続的な状態で、データ及び/又は命令を保持するように構成される。記憶デバイス(複数可)4052は、1つ又は2つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、様々なメディアカード、ディスケット、コンパクトディスク、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、コンピュータシステムに直接接続されるか、又はネットワークを介してなどで、コンピュータシステムに遠隔接続され得る。例示的な実施形態では、記憶デバイス(複数可)4052は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、メディアカード、ディスケット、又はコンパクトディスクなどの、データを記憶するように構成されている有形又は非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0113】
図12に図示されている要素は、単一の物理的機械の要素の一部又は全てであり得る。更に、図示された要素の全てが同じ物理的機械上又は同じ物理的機械内に配置される必要はない。
【0114】
コンピュータシステム4030は、ウェブページ又は他のマークアップ言語ストリームを取得すること、それらのページ及び/又はストリームを(視覚的に、聴覚的に、又は他の方法で)提示すること、それらのページ/ストリーム上でスクリプト、コントロール、及び他のコードを実行すること、(例えば、入力フィールドの完了のために)それらのページ/ストリームに対するユーザ入力を受諾すること、(例えば、完了した入力フィールドからサーバ情報を提出するために)それらのページ/ストリームに対するHyperText転送プロトコル(HyperText Transfer Protocol、HTTP)リクエストなどを発行すること、などのためのウェブブラウザを含み得る。ウェブページ又は他のマークアップ言語は、HyperText Markup Language(HTML)、又は埋め込みExtensible Markup Language(XML)、スクリプト、コントロールなどを含む他の従来の形態であり得る。コンピュータシステム4030はまた、ウェブページを生成する及び/又はウェブページをクライアントコンピュータシステムに配信するためのウェブサーバも含み得る。
【0115】
図11に示すように、上述した
図12のコンピュータシステム4030は、少なくとも1つの包装ユニットにそれぞれ関連付けられた1つ又は2つ以上の通信インターフェースと通信する中央コンピュータシステム4028の構成要素を形成することができる。データは、中央コンピュータシステム4030と1つ又は2つ以上の通信インターフェースとの間で交換することができる。コンピュータシステム4030は、1つ又は2つ以上の追加のコンピュータシステムと通信するようにも構成することもできる。
【0116】
例示的な実施形態では、コンピュータシステム4030は、単一のユニットとして、例えば、単一のサーバ、単一のデスクトップコンピュータ、単一のラップトップ、単一の携帯電話、単一の電子タブレット、単一のスマートウォッチ、単一のタワーなどとすることができる。単一のユニットは、その様々な態様が、システムの任意の他の態様の機能を中断することなく、例えば、アップグレード、交換、メンテナンスなどのために、必要に応じてスワップイン及びスワップアウトされ得るようにモジュール化することができる。したがって、単一のユニットはまた、追加のモジュールとして追加される能力を使用して拡張可能とすることができ、並びに/又は既存のモジュールの追加の機能性が所望され、かつ/若しくは改善される。
【0117】
コンピュータシステム4030はまた、一例として、オペレーティングシステム及びデータベース管理システムを含む、様々な他のソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素のうちのいずれかも含み得る。本明細書には例示的なコンピュータシステムが図示及び説明されているが、これは一般概念及び便宜のためであることが理解されるであろう。他の実施形態では、コンピュータシステムは、本明細書に示され説明されるものとは、アーキテクチャ及び動作が異なる場合がある。例えば、メモリ4044及び記憶デバイス4052を一体化することができ、又はセンサをコンピュータシステム4030に含めることができる。
【0118】
例示的な実施形態では、データ、例えば、補助材に関連付けられたセンサによって取得されたデータ、及び/又は補助材によって保持された薬剤に関するデータが取得されるコンピュータシステムは、外科用ハブを含む。データを受信し、分析し、出力するように構成された外科用ハブ、及びそのような外科用ハブを使用する方法の例示的な実施形態は、米国特許出願公開第2019/0200844号(発明の名称「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0200981号(発明の名称「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0206004号(発明の名称「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」、2018年3月29日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0201140号(発明の名称「Surgical Hub Situational Awareness」、2018年3月29日付けで出願)、及び米国特許出願公開第17/068,857号(発明の名称「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」、2020年10月13日付けで出願)において更に記載され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
概して、外科用ハブは、複数の医療施設に又がることができ、統合され包括的な改善された医療を膨大な数の患者に提供するように構成された包括的なデジタル医療システムの構成要素とすることができる。包括的なデジタル医療システムは、多くの異なる医療施設にわたって位置する複数の外科用ハブに相互接続するように構成されたクラウドベースの医療分析システムを含む。外科用ハブは、患者に対して医療処置を行うために使用される外科用デバイス、曝露条件を監視するように構成されたセンサなどの1つ又は2つ以上の要素と相互接続するように構成される。外科用ハブは、医療処置の結果を改善するための多種多様な機能を提供する。様々な外科用デバイス、センサ、及び外科用ハブによって生成された、患者及び医療処置に関するデータは、クラウドベースの医療分析システムに送信され得る。次いで、このデータは、他の医療施設に位置する多くの他の外科用ハブ、センサ、及び外科用デバイスから収集された同様のデータと集約され得る。収集されたデータを分析するクラウドベースの分析システムを通じて、様々なパターン及び相関が見出され得る。結果として、データを生成するために使用される技術の改善をもたらすことができ、次いで、これらの改善は、種々の外科用ハブ及び外科用デバイスに広めることができる。上述した構成要素の全ての相互接続性により、多くの構成要素がそのように相互接続されていない場合には見出されない可能性がある医療処置及び医療実践における改善が見出される可能性がある。これらの様々な構成要素の構造及び機能の様々な例は、先で言及された、米国特許出願公開第2019/0200844号(発明の名称「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0200981号(発明の名称「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0206004号(発明の名称「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」、2018年3月29日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0201140号(発明の名称「Surgical Hub Situational Awareness」、2018年3月29日付けで出願)、及び米国特許出願公開第17/068,857号(発明の名称「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」、2020年10月13日付けで出願)により詳細に記載される。
【0120】
図13は、1つ又は2つ以上の外科システム4102及びクラウドベースのシステム(例えば、記憶デバイス4116に結合された遠隔コンピュータシステム4114(この図示された実施形態ではサーバ)を含むことができるクラウド4104)を含むコンピュータ実装双方向外科用システム4100の実施形態を示す。各外科用システム4102は、クラウド4104と通信する、少なくとも1つの外科用ハブ4106を含む。一例では、
図13に示すように、外科用システム4102は、可視化システム4108と、ロボットシステム4110と、インテリジェント外科用器具4112と、互いに及び/又はハブ4106と通信するように構成された包装ユニット4118(例えば、内部に保持された薬剤を有する補助材を包装する)と、を含む。本明細書で論じられるように、例示的な実施形態では、包装ユニット4118は、外科用ハブ4106と通信するように構成され、外科用ハブは、可視化システム4108、ロボットシステム4110、インテリジェント外科用器具4112、及び包装ユニット4118のそれぞれと通信することができる。外科用システム4102は、M個のハブ4106と、N個の可視化システム4108と、O個のロボットシステム4110と、4a P個のインテリジェント外科用器具4112と、Q個の包装ユニット4118と、を含むことができ、ここで、M、N、O、P、及びQは、互いのいずれか1つ又は2つ以上に等しくても等しくなくてもよい1以上の整数である。好適なロボットシステム、可視化システム、クラウドベースの分析、及びコンピュータ実装双方向外科用システムで使用され得るインテリジェント外科用器具の様々な例示的な例は、先で言及された、米国特許出願公開第2019/0200844号(発明の名称「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0200981号(発明の名称「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0206004号(発明の名称「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」、2018年3月29日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0201140号(発明の名称「Surgical Hub Situational Awareness」、2018年3月29日付けで出願)、及び米国特許出願公開第17/068,857号(発明の名称「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」、2020年10月13日付けで出願)に更に記載される。
【0121】
システム4100内の外科用器具4112は、様々なタイプのツールとすることができる。例示的な実施形態では、外科用器具4112は、上述の様々な外科用ステープラ及び補助材などの、補助材を組織に送達するように構成された外科用ステープラを含む。したがって、補助材及びその中に保持された薬剤(複数可)に関連付けられた曝露条件は、例えば、感知された曝露条件データをハブ4106のうちのそれらの関連付けられた1つに通信するようにそれぞれ構成された包装ユニット4118の通信インターフェースによって、包装ユニット4118からそれらの関連付けられたハブ4106に、及びハブ4106からクラウド4104に通信することができる。包装ユニット4118はまた、それぞれ、他のデータをハブ4106のうちのそれらの関連付けられた1つに通信するようにも構成することができる。他のデータは、例えば、包装ユニット4118、並びに/又は包装ユニット4118内に包装された及び/若しくはそれに取り付けられたより多くの構成要素のいずれか1つを一意に識別する識別データを含むことができる。識別データは、外科的処置の結果、患者への薬剤送達の記録、患者への補助材送達の記録など、様々な有用な測定基準の分析を容易にすることができる。データ分析は、結果分析処理を更に利用してもよく、標準化されたアプローチを使用することにより、外科的治療及び補助材及び/又は薬剤の有効性を確認するか、又は外科的治療、外科医挙動、補助材、及び/又は薬剤に対する修正を提案するために、有益なフィードバックが提供される場合がある。例えば、上述したように、補助材及びその中に保持された任意の薬剤(複数可)が受ける曝露条件を監視及び追跡することができ、これは、補助材及び/又は補助材によって保持された薬剤(複数可)が受ける曝露条件が外科的処置の結果、例えば、治癒時間の長短、補助材からの早期又は遅延薬剤放出などにどのように影響を及ぼしたかの分析を容易にすることができ、これを用いて、患者の術後治療を修正し及び/又は曝露条件の将来の評価を修正し、曝露条件に起因して手術後に観察される有害作用を、例えば、曝露条件の閾値を変更することによって将来説明するのを助けることができる。
【0122】
図14は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置するモジュール式デバイスを、記憶デバイスに結合されたリモートサーバを含むクラウド4124を含むクラウドベースのシステム、例えば、記憶デバイス4116に結合されたリモートサーバ4114を含むクラウド4104に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ4122、例えば、ハブ4106を含む外科用データネットワーク4120の一例を示す。モジュール式通信ハブ4122は、ネットワークルータ4130と通信するネットワークハブ4126及び/又はネットワークスイッチ4128を含む。ネットワークハブ4126、ネットワークスイッチ4128、及びネットワークルータ4130は、通信ハブの通信インターフェースを定義する。モジュール式通信ハブ4122はまた、ローカルコンピュータシステム4132に結合し、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することもできる。外科用データネットワーク4120は、受動式、インテリジェント又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つのデバイス(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ4126又はネットワークスイッチ4128内の各ポートを構成する追加の特徴部を含む。「インテリジェント外科用データネットワーク」は、「管理可能なハブ」又は「管理可能なスイッチ」と称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0123】
モジュール式ユニット1
a~1
n、例えば、
図8の包装ユニット4002、
図9の包装ユニット4010、又は手術室内に位置する他の包装ユニットなどの任意の数の包装ユニットを、モジュール式通信ハブ4122に結合することができる。ネットワークハブ4126及び/又はネットワークスイッチ4128は、ネットワークルータ4130に結合されて、ユニット1
a~1
nをクラウド4124又はローカルコンピュータシステム4132に接続することができる。ユニット1
a~1
nに関連付けられたデータは、リモートデータ処理及び操作のためにルータ4130を介してクラウドベースのコンピュータ、例えば、クラウド4124に転送することができる。ユニット1
a~1
nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のために、ローカルコンピュータシステム4132にも転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式ユニット2
a~2
mもまた、ネットワークスイッチ4128に結合されてもよい。ネットワークスイッチ4128は、ネットワークハブ4126及び/又はネットワークルータ4130に結合されて、ユニット2
a~2
mをクラウド4124に接続することができる。ユニット2
a~2
nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ4130を介してクラウド4124に転送されてもよい。ユニット2
a~2
mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のために、ローカルコンピュータシステム4132にも転送されてもよい。ユニット1
a~1
n/2
a~2
mの数n、mは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0124】
複数のネットワークハブ4126及び/又は複数のネットワークスイッチ4128を複数のネットワークルータ4130と相互接続することによって、外科用データネットワーク4120が拡張され得ることが当業者に理解されるであろう。モジュール式通信ハブ4122は、複数のユニット1a~1n/2a~2mを受け入れるように構成されたモジュール式制御タワーに含めることができる。ローカルコンピュータシステム4132もまた、モジュール式制御タワーに含めることができる。モジュール式通信ハブ4122は、ユニット1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかによって取得されたデータ、及び/又は例えば外科的処置中にクラウド4124及び/又はローカルコンピュータシステム4132によって分析されたそのようなデータ(及び/又は他のデータ)を表示するように構成されたディスプレイ4134に接続される。
【0125】
外科用データネットワーク4120は、ユニット1a~1n/2a~2mをクラウド4124に接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)の組み合わせを含むことができる。ネットワークハブ4126又はネットワークスイッチ4128に結合されたユニット1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。代替的に又は加えて、ネットワークハブ4126又はネットワークスイッチ4128に結合されたユニット1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、例えば、ユニット1a~1n/2a~2mの1つ又は全てが通信ハブ4122を介してクラウド4126に動作可能に接続されると、データ処理及び操作のために、曝露条件データなどの以前に収集されたデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナルデバイスを有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することが当業者に理解されるであろう。「クラウド」という用語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングのうちの1つのタイプ」を指すように使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術室(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ4122及び/又はコンピュータシステム4132、並びにインターネットを介して、モジュール式通信ハブ4122及び/又はコンピュータシステム4132に接続されたデバイスに配信される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置するユニット1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整するエンティティであり得る。クラウドコンピューティングサービスは、包装ユニット、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化デバイスによって収集されたデータに基づいて多数の計算を実施することができる。ハブハードウェアは、複数のデバイス又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。ユニット1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的転帰の改善、コスト低減及び/又は患者満足度の改善を提供することができる。
【0126】
手術室デバイス1a~1nは、ネットワークハブへのユニット1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又はワイヤレスチャネルを介してモジュール式通信ハブ4122に接続することができるが、上述のように、例示的な実施形態では、包装ユニットとともにワイヤレス通信が使用される。ネットワークハブ4126は、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャストデバイスとして実装されてもよい。ネットワークハブ4126は、同じ手術室ネットワーク内に位置するユニット1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ4126は、パケットの形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータ4130に送信する。ネットワークハブ4126は、いかなるデバイスデータを転送するための媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶しない。ユニット1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ4126を介して一度にデータを送信し得る。ネットワークハブ4126は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド4124上のリモートサーバにブロードキャストする。ネットワークハブ4126は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0127】
ユニット2a~2mは、有線チャネル又はワイヤレスチャネルを介してネットワークスイッチ4128に接続することができるが、上述のように、例示的な実施形態では、包装ユニットとともにワイヤレス通信が使用される。ネットワークスイッチ4128は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ4128は、同じ手術室内に位置するユニット2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャストデバイスである。ネットワークスイッチ4128は、フレームの形態のデータをネットワークルータ4130に送信し、全二重モードで機能する。複数のユニット2a~2mは、ネットワークスイッチ4128を介して同時にデータを送信し得る。ネットワークスイッチ4128は、データを転送するためにユニット2a~2mのMACアドレスを記憶し、使用することができる。
【0128】
ネットワークハブ4126及び/又はネットワークスイッチ4128は、クラウド4124に接続するためにネットワークルータ4130に結合されている。ネットワークルータ4130は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ4130は、ユニット1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ4126及び/又はネットワークスイッチ4128から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ4130は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなど、異なる位置に位置する2つ又はそれ以上の異なるネットワークを接続するために利用されてもよい。ネットワークルータ4130は、パケットの形態のデータをクラウド4124に送信し、全二重モードで機能する。複数のユニットが同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ4130は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0129】
一例では、ネットワークハブ4126は、複数のUSBデバイスをホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、ユニットをホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ4126は、有線チャネル又はワイヤレスチャネルを介して情報を受信するための有線機能又はワイヤレス機能を含み得る。ワイヤレスUSB短距離高帯域幅ワイヤレス無線通信プロトコルは、手術室内に位置するユニット1a~1nとユニット2a~2mとの間の通信に利用することができる。
【0130】
他の例では、ユニット1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイルデバイスから短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetoothワイヤレス技術規格を介してモジュール式通信ハブ4122と通信することができる。他の態様では、ユニット1a~1n/2a~2mは、数多くのワイヤレス又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができ、そのような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LIE)並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他のワイヤレス及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離のワイヤレス通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離のワイヤレス通信専用であってもよい。
【0131】
モジュール式通信ハブ4122は、手術室ユニット1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、ユニット1a-1n/2a-2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ4122によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ4130へ送信され、ネットワークルータ4130は本明細書に記載されるように、数多くのワイヤレス又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0132】
モジュール式通信ハブ4122は、独立型デバイスとして使用されてもよいし、より大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ4122は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ4122は手術室ユニット1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0133】
図15は、外科用器具又はツール、例えば、本明細書に記載される外科用ステープラの制御システム4136の実施形態を示す。制御システム4136は制御回路を含む。制御回路は、この図示された実施形態では、プロセッサ4140及びメモリ4142を含むマイクロコントローラ4138を含むコントローラを含む。マイクロコントローラ4138は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。モータドライバ4146によって駆動されるモータ4144は、上述したように、ステープルを発射し、顎部を閉じ、及び/又は組織を切断するために、閉鎖チューブ、発射バー、Eビーム、及び/又はナイフなどの長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に結合する。追跡システム4148は、長手方向に移動可能な変位部材のポジションを判定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な変位部材のポジションを判定するようにプログラム又は構成可能なプロセッサ4140に提供される。追加のモータが、発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ4150は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ4150上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイされ得る。
【0134】
マイクロコントローラ4138は、ナイフ及びエンドエフェクタ関節運動システムの速度及びポジションに対する精密制御など、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ4138は、マイクロコントローラ4138のソフトウェア内で応答を計算するように構成され得る。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に使用される。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0135】
モータ4144は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的結合部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。モータドライバ4146は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバが、絶対位置決めシステムを含む追跡システム4148で使用するために容易に代用され得る。絶対位置決めシステムの更なる説明は、米国特許出願公開第2017/0296213号(発明の名称「Systems And Methods For Controlling A Surgical Stapling And Cutting Instrument」、2017年10月19日付けで公開)において提供され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
モータ4144は、モータドライバ4146によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって利用されてもよい。様々な形態において、モータ4144は、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の配列では、モータ4144としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータドライバ4146は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を備えるHブリッジドライバを含んでもよい。モータ4144は、外科用器具に制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解放可能に固着された電源アセンブリによって電力を供給され得る。電源アセンブリは電池を含み、この電池は、外科用器具に電力を供給するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池セルを含んでよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。例えば、電池セルは、電源アセンブリに結合可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。モータドライバ4146は、例えば、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。
【0137】
制御システムのセンサ4152、4154、4156、4158のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ4140にリアルタイムなフィードバックを提供するように構成することができる。センサ4152、4154、4156、4158のうちの少なくとも1つは、外科的処置中の外科用器具の動作に関連する少なくとも1つの動作パラメータを監視するように構成され得る。
【0138】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの一例は、直線変位を測定するように構成されることなどによって、変位部材の位置に対応する固有のポジション信号を提供するように構成された位置センサを含む。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサの例として、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0139】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの別の例は、外科用器具のエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された歪みゲージ又はマイクロ歪みゲージである。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ4140に提供される。例えば、歪みゲージ又はマイクロ歪みゲージは、クランプ動作中に外科用器具のアンビルに及ぼされる歪みの振幅を測定するように構成することができ、これは、アンビルに印加される閉鎖力を示し、組織圧縮を示すことができる。例えば、歪みゲージ又はマイクロ歪みゲージは、外科用器具のエンドエフェクタによって組織に印加される力を測定するように構成され得る。
【0140】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの別の例は、外科用器具の閉鎖駆動システムによってアンビルに印加される閉鎖力を測定するように構成された負荷センサである。負荷センサは、外科用器具の発射ストロークにおいてEビーム(又はIビーム)に印加される発射力を測定するように構成され得る。
【0141】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの別の例は、エンドエフェクタの顎部の間に捕捉された組織を切断する外科用器具の切断要素、例えば、ナイフを動作させるために使用される力を測定するように構成された負荷センサである。
【0142】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの別の例は、エンドエフェクタの顎部の間に捕捉された組織の厚さを測定するように構成された磁場センサである。磁場センサの測定値は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ4140に提供され得る。
【0143】
動作パラメータを監視するように構成されたセンサの別の例は、モータ4144によって消費される電流を測定するように構成された電流センサ4158である。発射部材を前進させるために必要な力は、例えば、モータ4144によって消費される電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ4140に提供される。
【0144】
組織圧縮、組織厚さ、及び/又は組織上でエンドエフェクタを閉じるのに必要な力の測定値は、発射部材の選択されたポジション、発射部材の速度の対応する値、及び/又はモータ電力レベルを特徴付けるために、マイクロコントローラ4138によって使用され得る。例えば、メモリ4142は、評価の際にマイクロコントローラ4138によって利用され得る技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶してもよい。
【0145】
ロボット外科用システムを使用して外科用器具の動作を制御することを含む、動作パラメータを感知するように構成されたセンサ及びセンサ測定データの使用は、先で言及された、米国特許出願公開第2019/0200844号(発明の名称「Method Of Hub Communication,Processing,Storage And Display」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0200981号(発明の名称「Method Of Compressing Tissue Within A Stapling Device And Simultaneously Displaying The Location Of The Tissue Within The Jaws」、2018年12月4日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0206004号(発明の名称「Interactive Surgical Systems With Condition Handling Of Devices And Data Capabilities」、2018年3月29日付けで出願)、米国特許出願公開第2019/0201140号(発明の名称「Surgical Hub Situational Awareness」、2018年3月29日付けで出願)、及び米国特許出願公開第17/068,857号(発明の名称「Adaptive Responses From Smart Packaging Of Drug Delivery Absorbable Adjuncts」、2020年10月13日付けで出願)に更に記載される。
【0146】
外科用器具の制御システム4136は、
図14のモジュール式通信ハブ4122などのモジュール式通信ハブと通信するように構成された有線又はワイヤレス通信インターフェースを含むことができる。
【0147】
曝露条件の分析
上述したように、補助材及びその中の任意の薬剤(複数可)の1つ又は2つ以上の曝露条件は、包装ユニットの1つ又は2つ以上のセンサを使用することなどによって監視することができ、外科用ハブ又は他のコンピュータシステムなどのプロセッサは、1つ又は2つ以上の曝露条件に関して1つ又は2つ以上のセンサによって収集されたデータを受信するように構成することができる。同様に上述したように、プロセッサは、データを記憶するように構成されたメモリと動作可能に通信することができる。記憶されたデータは、プロセッサがデータモジュールから関連するデータを受信し得る1つ又は2つ以上の曝露条件の各々についての所定の閾値(複数可)を含み得る。所定の閾値(複数可)のそれぞれは、特定の薬剤(又は関連する薬剤のファミリー)及び/又は特定の補助材(又は全てが同じ材料から作製された補助材などの関連する補助材のファミリー)と関連付けられ得る。プロセッサは、受信した曝露条件データを、対応する曝露条件及び要素(薬剤及び/又は補助材)についての所定の閾値と比較し、データ出力を提供するように構成することができる。
【0148】
曝露条件データ及びプロセッサ分析の一実施形態を
図16に示す。この図示された実施形態では、プロセッサは、温度、湿度、及び光の測定値に基づいて、包装ユニットによって包装された補助材の貯蔵寿命分解率を判定するように構成される。上述したように、補助材は、内部に保持された少なくとも1つの薬剤を有し、包装ユニットは、少なくとも1つのカートリッジ本体、1つ又は2つ以上の追加の補助材などの他の構成要素を内部に包装することができる。
図16に示すように、包装ユニットのセンサ、例えば、
図8のセンサ4008、
図9のセンサ4014、
図10のセンサ4022などは、9つの異なる時間間隔t
1、t
2、t
3、t
4、t
5、t
6、t
7、t
8、t
9にわたって温度、湿度、及び露光を追跡するように構成することができる。上述したように、センサは、複数の曝露条件を監視するように構成された単一のセンサであってもよいし、それぞれが曝露条件のうちの少なくとも1つを感知するように構成された複数のセンサであってもよい。以下の説明は、他の曝露条件、例えば紫外線、圧力などにも適用可能である。
【0149】
プロセッサに動作可能に結合されたメモリは、温度、光、及び湿度のそれぞれについて所定の閾値を記憶している。温度については、所定の閾値は、低温最大値T
MaxLow、低温T
Low、高温T
High、及び高温最大値T
Maxを含む。低温T
Lowと高温T
Highとの間の温度範囲は、温度が貯蔵寿命に悪影響を及ぼさない補助材の許容可能な温度範囲である。低温T
Lowを下回り、及び/又は温度最大値T
MaxLowを下回る温度は、貯蔵寿命に悪影響を及ぼす。温度最大値T
MaxLowを下回る温度は、補助材が使用されない十分に有害な温度に補助材が曝露されたことを示す。高温T
High及び/又は高温最大値T
Maxを上回る温度は、貯蔵寿命に悪影響を及ぼす。高温最大値T
Maxを上回る温度は、補助材が使用されない十分に有害な温度に補助材が曝露されたことを示す。
図16に示されるように、時間0から時間t
1まで、時間t
2と時間t
3との間、及び時間t
7と時間t
8との間で、温度は許容範囲内にあると感知され、時間t
1と時間t
2との間、時間t
3と時間t
7との間、及び時間t
8と時間t
9との間では、温度は、高温T
Highを上回り、高温最大値T
Maxを下回ると感知され、時間t
9の後、温度は、高温最大値T
Maxを上回ると感知される。
【0150】
湿度については、所定の閾値は、高湿度H
High及び湿度最大値H
Maxを含む。高湿度H
High及び/又は湿度最大値H
Maxを上回る湿度は、貯蔵寿命に悪影響を及ぼす。湿度最大値H
Maxを上回る湿度は、補助材が使用されない十分に有害な湿度に補助材が曝露されたことを示す。
図16に示されるように、時間0から時間t
4まで、及び時間t
7以降、湿度は、高湿度H
Highを下回る許容範囲内にあると感知され、時間t
4から時間t
7まで、湿度は、高湿度H
Highを上回り、かつ湿度最大値H
Maxを下回ると感知される。
【0151】
光については、所定の閾値は、高光L
High及び光最大値L
Maxを含む。0の光は暗さ(露光なし)を示す。高光L
Highより上及び/又は光最大値L
Maxを上回る光は、貯蔵寿命に悪影響を及ぼす。光最大値L
Maxを上回る光は、補助材が使用されない十分に有害な光に補助材が露出されたことを示す。
図16に示されるように、時間0から時間t
5まで、及び時間t
6以降、光は、高光L
Highを下回る許容範囲内にあると感知され、時間t
5から時間t
6まで、光は、高光L
Highを上回り、光最大値L
Maxを下回ると感知される。
【0152】
一般に、補助材の貯蔵寿命は、曝露条件のうちの1つだけが同時に許容範囲外である場合に第1の速度で悪影響を受け、曝露条件のうちの3つのうちの2つが同時に許容範囲外である場合に第1の速度よりも速い第2の速度で影響を受け、曝露条件の3つ全てが同時に許容範囲外である場合に第2の速度よりも速い第3の速度で影響を受ける。例えば、
図16に示すように、温度、湿度、及び光の全てが、時間0から時間t
1まで、時間t
2から時間t
3まで、及び時間t
7から時間t
8までのそれぞれの許容範囲内にあると感知された場合、補助材の貯蔵寿命は、第1の非常に遅い速度Q
1で減少する。時間の経過は、貯蔵寿命減少の第1の速度Q
1を説明する。時間t
1から時間t
2まで、時間t
3から時間t
4まで、及び時間t
8以降、温度のみが許容温度範囲外であると感知されると、補助材の貯蔵寿命は、第1の速度Q
1よりも速い第2の速度Q
2で減少する。時間t4から時間t5まで、温度及び湿度の各々がそれぞれの許容範囲外であると感知され、光が許容範囲内であると感知されると、補助材の貯蔵寿命は、第2の速度Q
2よりも速い第3の速度Q
3で減少する。第3の速度Q
3は、有害な曝露条件が温度及び湿度であるこの図示された実施形態において、第1の速度Q
1よりも約3倍速い。温度、湿度、及び光の全てが、時間t
5から時間t
6までそれぞれの許容範囲外であると感知されると、補助材の貯蔵寿命は、第3の速度Q
3よりも速い第4の速度Q
4で減少する。第4の速度Q
4は、有害な曝露条件が温度、光、及び湿度であるこの図示された実施形態において、第1の速度Q
1よりも約5倍速い。
【0153】
貯蔵寿命が0%に達すると、プロセッサは、補助材がもはや使用に適していないと判定する。貯蔵寿命が0%に達する前に補助材が致命的な曝露事象を経験した場合、プロセッサは、補助材がもはや使用に適していないと判定する。この図示された実施形態では、補助材は、時間t9において温度が高温最大値TMaxを上回ると感知されることによって、貯蔵寿命が0%に達する前に致命的な曝露事象を経験する。したがって、プロセッサは、t9後に補助材がもはや使用に適していないと判定する。いくつかの実施形態では、補助材がもはや使用に適していないと判定するために貯蔵寿命が0%に達するまで待機する代わりに、そのような不適合判定のためのパーセンテージ閾値は、15%、10%、5%、8%、3%、2%などの0を上回るパーセンテージであり得る。0%を上回る不適合閾値パーセンテージは、補助材がいくらかの残りの貯蔵寿命を有するとしても、寿命が十分に短いため、患者における補助材の有効性を確実にするのを助けるために、より長い貯蔵寿命を有する補助材が使用されるべきであることを反映する。
【0154】
プロセッサが、補助材が使用に適さない、例えば、0%の貯蔵寿命(又は非バイアビリティの他の所定の閾値)を有すると判定するか、又は曝露条件のうちのいずれか1つ又は2つ以上が致命的なレベル(高温最大値TMaxを上回る温度、温度最大値HMaxを上回る湿度、光最大値LMaxを上回る光)にあると感知された場合、プロセッサは、本明細書で論じられるように、補助材を使用しないという警告が提供され得るように、判定を特徴付けるデータ出力を送信し(例えば、電子メール警告、ディスプレイ上の視覚的警告、可聴的警告、触覚的警告などである)、及び/又は、そのような警告を提供させるデータ出力を送信するように構成される。プロセッサは、同様に、補助材の現在の決定された貯蔵寿命を示すデータ出力を送信するように構成することができ、これは、外科医又は他の医療専門家が補助材を使用するか否かを決定するのに役立ち得る。プロセッサは、同様に、補助材が有害曝露事象を経験する任意の時間及び曝露事象の表示を示すデータ出力を送信するように構成することができ、これは、製造業者、流通業者、又は他の提供者が、その包装ユニットのための保管条件及び/又は輸送オプションを評価するのに役立ち得る。
【0155】
曝露条件データ及びプロセッサ分析の別の実施形態を
図17に示す。この図示された実施形態では、プロセッサは、温度及び光の測定に基づいて、包装ユニットによって包装された補助材の適応症及び禁忌を決定するように構成される。上述したように、補助材は、内部に保持された少なくとも1つの薬剤を有し、包装ユニットは、少なくとも1つのカートリッジ本体、1つ又は2つ以上の追加の補助材などの他の構成要素を内部に包装することができる。
図17に示すように、包装ユニットのセンサ、例えば、
図8のセンサ4008、
図9のセンサ4014、
図10のセンサ4022などは、15の異なる時間間隔(時間0からt
15)にわたって温度及び露光を追跡するように構成することができる。上述したように、センサは、複数の曝露条件を監視するように構成された単一のセンサであってもよいし、それぞれが曝露条件のうちの少なくとも1つを感知するように構成された複数のセンサであってもよい。以下の説明は、他の曝露条件、例えば紫外線、圧力、湿度などにも適用可能である。
【0156】
プロセッサに動作可能に結合されたメモリは、
図16に関して上述したものと同様に、温度及び光のそれぞれについて所定の閾値を記憶している。この図示された実施形態では、温度については、所定の閾値は、中温F
med、高温F
high、及び高温最大値F
maxを含む。中温F
medを下回る温度範囲は、温度が補助材の適応症又は禁忌に悪影響を及ぼさない、補助材の許容可能な温度範囲である。中温F
medを上回り、高温F
highを下回る温度は、第1の中程度の分解レベルで補助材を分解する。高温F
highを上回り、高温最大値F
maxを下回る温度は、第1の分解レベルよりも高い第2の高分解レベルで補助材を分解する。高温最大値F
maxを上回る温度は、補助材が禁忌であり、使用すべきでない十分に有害な温度に補助材が曝露されたことを示す。
【0157】
光については、所定の閾値は、低光Jlow、中光Jmed、及び高光Jhighを含む。低光Jlowを下回る光範囲は、光が補助材の適応症又は禁忌に悪影響を及ぼさない、補助材にとって許容可能な光範囲である。低光Jlowを上回り、中光Jmedを下回る光は、第1の低レベルの分解で補助材を分解する。中光Jmedを上回り、高光Jhighを下回る光は、第1の分解レベルよりも高い第2の中程度の分解レベルで補助材を分解する。高光Jhighを上回る温度は、補助材が禁忌であり、使用されるべきでない十分に有害な光に補助材が曝露されたことを示す。この図示された実施形態では、低光Jlowを下回る光範囲は暗さ(露光なし)に対応し、低光Jlowを上回り中光Jmedを下回る光は屋内照明曝露に対応し、中光Jmedを上回り高光Jhighを下回る光は間接太陽光曝露に対応し、高光Jhighを上回る光は直接太陽光曝露に対応する。
【0158】
概して、
図17は、補助材の取り付け接着剤分解、及び補助材が使用されるように計画されている外科的処置に対するその関係を示す。プロセッサは、補助材の耐久性閾値を調整し、耐久性閾値を外科的処置の所定の耐久性要件と比較する。この比較の結果、補助材の使用状態、手順表示、又は補助材の使用ステップの推奨又は変更を含むプロセッサのデータ出力が得られる。
【0159】
この図示された実施形態では、プロセッサは、時間t4まで、補助材が肺用途、胃用途、低リスク処置、及び非常に低リスクの処置における使用に許容可能であることを判定する。したがって、プロセッサのデータ出力は、補助材の使用に「許容可能」である。時間t4において、補助材は、時間t2以降、中温Fmedを上回り、高温Fhighを下回る温度を経験しており、時間t3以降、屋内照明曝露を経験している。したがって、補助材の接着粘着性は、時間t2における100%から時間t4における90%に低減されている。90%の接着粘着性は、胃用途、低リスク処置、及び非常に低リスクの処置に対して許容可能であるが、呼吸に対する漏れの悪影響のために肺への漏れが特に重要であるため、粘着性がより重要である肺用途では疑わしい。プロセッサのデータ出力は、したがって、胃用途、低リスク処置、及び非常に低リスクの処置における補助材の使用のために「許容可能」であり、肺用途において「判断を推奨」である。これらの適応症及び禁忌は、光及び温度への補助材の曝露が補助材の粘着性を60%に低減させる時間t7まで残る。60%~90%の接着粘着性は、胃用途、低リスク処置、及び非常に低リスクの処置には許容されるが、肺用途では疑わしい。60%未満の接着粘着性は、肺用途には許容不可能である。したがって、プロセッサのデータ出力は、肺用途における補助材の使用に「許容不可能」である。60%まで低減した接着粘着性は、低リスク処置又は非常に低リスクの処置に対する補助材の有効性を変化させないが、補助材の粘着性が、患者に植え込まれた補助材による適切な胃機能に悪影響を及ぼすほど低くなり始める可能性がある胃用途に対する補助材の有効性を変化させる。プロセッサの出力は、したがって、低リスク処置、及び非常に低リスクの処置における補助材の使用のために「許容可能」であり、胃用途において「判断を推奨」である。これらの適応症及び禁忌は、光及び温度への補助材の曝露が補助材の粘着性を40%に低減させる時間t10まで残る。40%未満の接着粘着性は、胃用途には許容不可能である。プロセッサのデータ出力は、したがって、胃用途(及び、上記のような肺用途)における補助材の使用に「許容不可能」である。40%まで低減した接着粘着性は、低リスク処置又は非常に低リスクの処置に対する補助材の有効性を変化させない。したがって、プロセッサの出力は、低リスク処置及び非常に低リスクの処置における補助材の使用のために「許容可能」である。これらの適応症及び禁忌は、光及び温度への補助材の曝露が補助材の粘着性を25%に低減させる時間t14まで残る。25%まで低減した接着粘着性は、非常に低リスクの処置に対する補助材の有効性を変化させないが、低リスク処置に対する補助材の有効性を変化させる。したがって、プロセッサの出力は、非常に低リスクの処置において補助材の使用に「許容可能」であり、低リスクの処置において「判断を推奨」である。これらの適応症及び禁忌は、補助材が高温最大値Fmaxを上回る温度に曝露される時間t15まで残る。したがって、補助材は、任意の用途での使用に適さないと考えられる。したがって、プロセッサの出力は、全ての手順に対して「許容不可能」である。
【0160】
図16及び
図17は、補助材に対する曝露条件の影響に関して説明されているが、曝露条件は、補助材に対する曝露条件に加えて又はその代わりに、薬剤に対して同様に処理することができる。したがって、補助材は、1つ又は2つ以上の有害な曝露条件への補助材の曝露及び/又は1つ又は2つ以上の有害な曝露条件への薬剤の曝露に基づいて、使用に適さないと判定され得る。
【0161】
補助材、ステープルカートリッジ、及びステープラ互換性
場合によっては、補助材及びその中に保持された薬剤は、それらのパフォーマンスに悪影響を及ぼすいかなる曝露条件も経験していない場合があるが、依然として使用に適さない場合がある。互換性は、上述の曝露条件の監視及び分析に加えて決定することができ、又は曝露条件の監視及び分析なしで決定することができる。曝露条件の監視及び分析なしに互換性を決定することは、感知能力が含まれる必要がないので、包装ユニットがより安価であること、及び/又は製造がより容易であることを可能にし得る。
【0162】
ステープルカートリッジが外科用ステープラのエンドエフェクタに取り外し可能かつ交換可能に結合されるように構成されている実施形態において、ステープルは、ステープルカートリッジが外科用ステープラと互換性がある場合にのみ、ステープルカートリッジから適切に及び/又は安全に発射され得る。ステープルカートリッジは、異なるサイズを有するので、エンドエフェクタに取り外し可能かつ交換可能に結合されるステープルカートリッジは、ステープルカートリッジが結合される特定のエンドエフェクタと適合するサイズを有するべきである。いくつかの外科用ステープラは、補助材の存在がステープラの顎部の適切な閉鎖を妨げるため、ステープラが補助材を通してステープルを駆動するのに十分な力を提供することができないために補助材の存在がステープルの適切な発射を妨げるため、カートリッジが異なる種類のステープラ用であるため(例えば、線形対円形)、及び/又はステープラのナイフが補助材を切断するのに十分な鋭さ及び/又は強度を有していないためなど、補助材が解放可能に結合されたステープルカートリッジと適合しない場合がある。したがって、外科用ステープラと、補助材が取り外し可能に結合されたステープルカートリッジとの間の互換性を確立することが重要であり得る。
【0163】
外科用ステープラと、補助材が解放可能に結合されたステープルカートリッジとの互換性を確立することは、概して、ステープラ、ステープルカートリッジ、及び補助材が互いに使用するのに好適であると予め定められているか否かを判定することを含む。ステープルがステープラから発射されることが試みられる前に互換性を確立することは、ステープラ及び補助材がそれぞれ適切に機能することができることを確実にするのに役立ち、及び/又は、互換性がなくステープラとともに使用されるべきではないステープルカートリッジ及び/又は補助材を含むステープラの使用によって患者が負傷しないか又は別様に害を受けないことを確実にするのに役立ち得る。例示的な実施形態では、ステープラがステープルカートリッジからステープルを発射しようとする前に必ずあるように、ステープルカートリッジがステープラに結合される前に、例えば、ステープラカートリッジがステープラのエンドエフェクタ内に着座される前に互換性は確立される。
【0164】
例示的な実施形態では、外科用ステープラと、補助材が取り外し可能に結合されたステープルカートリッジとの互換性を確立する方法は、例えば、外科用ハブ又は他のコンピュータシステムのプロセッサを含み、補助材を包装する包装ユニットから、それに取り外し可能に結合された補助材に関する構成要素データを取得することと、構成要素データを許容可能な構成要素データと比較することと、を含む。構成要素データは、上述したように包装ユニットの通信インターフェースを使用して包装ユニットから送信することができ、例えば、通信インターフェースは、記憶されたデータを外部デバイスに送信する。構成要素データが許容可能な構成要素データと一致しないことに応答して、プロセッサは、非互換性を示す警告を提供させることができる。したがって、ユーザは、構成要素を使用しようと試みる前に、互換性のない構成要素を使用しないように警告され得る。互換性を示す確認通知は、構成要素データが許容可能な構成要素データに一致することに応答して応答して提供することができる。いくつかの実施形態では、包装ユニットは、補助材がまだステープルカートリッジに解放可能に取り付けられていない状態で補助材を包装し、包装ユニットは補助材を包装してもしなくてもよい。他の実施形態では、包装ユニットは、補助材がステープルカートリッジに解放可能に取り付けられた状態で補助材を包装し、包装ユニットは外科用ステープラを包装しないが、これは、ステープルカートリッジ及びステープラが一緒に包装されると、構成要素データの比較なしに互換性を示すからである。
【0165】
外科用ステープラと、補助材が解放可能に結合されたステープルカートリッジとの互換性を確立する方法は、正しいステープルカートリッジ及び補助材がステープラとともに利用されることを確実にし得る。これは、それぞれが患者にとって危険であり得る、ステープラ、カートリッジ、及び/又は補助材の機能不全、不適切な若しくは全く存在しないステープル配備、及び/又は補助材の不正確な植込みにつながり得る不適切な構成要素を不注意に使用するリスクを低減し得る。
【0166】
ステープラが記憶された制御パラメータに従って動作される場合、構成要素の互換性を確立することは、制御パラメータとの互換性を保証し得る。例えば、ステープラが最大切断要素速度を示す制御パラメータを有する場合、構成要素の互換性を確立することは、構成要素が切断要素速度と適合すること、及び例えば、補助材が適切に切断され、切断要素の移動に応答して、補助材が予期せずに引き裂かれないか、又は別様に意図せずに損傷されないことを確実にし得る。制御パラメータは、ステープラ又は外部デバイスのメモリに記憶することができ、制御パラメータが適切であるか、又は構成要素データを考慮して変更する必要があるかの比較は、プロセッサによって実行することができる。
【0167】
本方法は、カートリッジ及び補助材に解放可能に結合された補助材のうちの1つのみとのステープラの互換性を確立することができ、又はカートリッジ及び補助材に解放可能に結合された補助材の各々とのステープラの互換性を確立することができる。カートリッジ及び補助材に解放可能に結合された補助材の一方のみと適合するステープラは、カートリッジ及び補助材に解放可能に結合された補助材の他方がステープラと適合することを示すことができ、なぜなら、例えば、或る特定のサイズの補助材のみが或る特定のサイズのカートリッジとともに使用され得るため、或る特定の補助材のみが或る特定のカートリッジとともに使用され得るためなどである。
【0168】
構成要素データを許容可能な構成要素データと比較することは、構成要素データの構成要素パラメータ(複数可)、例えば、数、コード、テキストなどを、プロセッサを含む外部デバイスに記憶された、及び/又は外部デバイスの外部にあるがアクセス可能なメモリに記憶された許容可能な構成要素データの許容可能なパラメータ(複数可)、例えば、数、コード、テキストなどと比較することを含むことができる。比較は、構成要素データ内の1つ又は2つ以上の構成要素パラメータの各々が許容可能な構成要素データ内の対応するパラメータと一致するかどうかを判定することを含み、一致は互換性を示し、不一致は非互換性を示す。許容可能な構成要素データは、例えば、包装ユニットから許容可能な各可能な構成要素データが許容可能なステープラ及び/又はカートリッジと関連付けられる、ルックアップテーブルの形態で記憶することができる。別の例では、許容可能な構成要素テーブルは、特定の外科用ステープラとともに使用可能な補助材及び/又はステープルカートリッジを相関させるルックアップテーブルとして記憶されて、受信された構成要素データが、互換性を示すテーブル内に見出されるか、又は非互換性を示すテーブル内に見出されないかのいずれかを可能にすることができる。
【0169】
許容可能な構成要素データは、更新可能であり得る。したがって、様々なカートリッジ及び補助材とのステープラの適合性は、カートリッジ及び補助材並びにステープラに関する開発に基づいて更新することができる。例えば、外科用ハブ又は他の外部デバイスのメモリに記憶されたルックアップテーブルは、許容可能な構成要素データを用いて定期的に更新され得る。別の例では、外科用ハブ又は他の外部デバイスのメモリに記憶されたユーザ(eIFU)のための電子命令は、許容可能な構成要素データを含むように定期的に更新され得る。
【0170】
包装ユニットに記憶される構成要素データは、1つ又は2つ以上の構成要素パラメータを含むことができる。構成要素パラメータの例としては、補助材製造業者、補助材モデル番号、補助材シリアル番号、補助材材料、補助材厚さ、カートリッジ製造業者、カートリッジモデル番号、カートリッジシリアル番号、及び他のパラメータが挙げられる。
【0171】
構成要素データは、互換性がある発射パラメータの表示を含むことができる。このようにして、第1の構成要素データは、1つ又は2つ以上の発射設定、例えば、モータ速度、切断要素速度、組織クランプ力などのいずれが、構成要素とともに動作するのに好適であるかを示すことができる。
【0172】
構成要素の互換性を評価することに加えて、互換性のあるデバイスのみが利用されることを保証するために、他の手法を使用することができる。例えば、構成要素間の物理的インターフェースは、ステープルカートリッジ及び相補的嵌合特徴部を有するエンドエフェクタの顎部などによって、互換性があることが知られている構成要素を含むように、物理的互換性を制限するようなサイズ及び形状にすることができる。このようにして、ステープラに結合することができるステープルカートリッジの数、したがってカートリッジに解放可能に結合された補助材の数が制限され、それによって、互換性がない構成要素を利用する可能性が低減される。
【0173】
構成要素データに加えて、包装ユニットは、補助材及び/又は補助材によって保持された薬剤(複数可)の有効期限を示す有効期限データを外部デバイスに送信するように構成され得る。現在の日付との比較に基づいて有効期限が過ぎている場合、プロセッサは、補助材及び/又は薬剤(複数可)が期限切れになっていること、したがって補助材を使用すべきではないことを示す警告を提供させることができる。
【0174】
構成要素データに加えて、包装ユニットは、例えば、各補助材、各薬剤、各ステープルカートリッジ、ステープルカートリッジの各構成要素部品など、包装された各構成要素のロット情報を示す副構成要素データを外部デバイスに送信するように構成することができる。副構成要素データのいずれかが特定の副構成要素が故障していることを示す場合、記憶された既知の故障した副構成要素データとの比較に基づいて、プロセッサは、補助材、ステープルカートリッジ、ステープラ、及び/又は薬剤(複数可)を使用すべきではないこと、及び/又は保守又は交換のために返却すべきことを示す警告を提供させることができる。副構成要素データを比較することは、例えば、ロット内のいくつかのステープルカートリッジのみとともに使用される不良ステープル、ロット内のいくつかのステープルカートリッジのみとともに使用される不良切断ブレード、ロット内のいくつかの補助材のみとともに使用される不良薬剤など、副構成要素のロットが不良であることが見出されるが、ロットのうちのいくつかのみが最終製品のロットの小部分に組み込まれた場合、有用である場合があり、リコールは、不良副構成要素を含むデバイスのみを対象とすることができる。したがって、プロセッサは、全ての構成要素及び副構成要素が良好なロットからのものであることを確認するためにチェックすることができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、包装ユニットは、副構成要素データを送信するが、構成要素データを送信しないように構成される。いくつかの実施形態では、包装ユニットは、有効期限データを送信するが、構成要素データを送信しないように構成される。いくつかの実施形態では、包装ユニットは、有効期限データ及び副構成要素データを送信するが、構成要素データを送信しないように構成される。いくつかの実施形態では、包装ユニットは、有効期限データ及び構成要素データを送信するが、副構成要素データを送信しないように構成される。いくつかの実施形態において、包装ユニットは、構成要素データ及び副構成要素データを送信するが、有効期限データを送信しないように構成される。
【0176】
図18は、構成要素の互換性を確立する方法の実施形態を示す。図示されるように、構成要素データが取得される(4200)。本明細書で述べるように、取得は、包装ユニットから外部デバイスに通信される構成要素データによって行うことができる。次に、構成要素データは、許容可能な構成要素データと比較される(4202)。本明細書で述べるように、この比較は、プロセッサ、例えば、外科用ハブのプロセッサ、又は他の外部デバイスを使用して実行することができる。許容可能な構成要素データは、プロセッサに関連付けられたメモリに記憶することができ、プロセッサは、取得された構成要素データをメモリ内に存在する許容可能な構成要素データと比較することができる。この比較に基づいて、プロセッサは、構成要素データが許容可能な構成要素データに対応するかどうかを判定する(4204)。構成要素データが許容可能な構成要素データに対応すると判定された状況(4204)では、プロセッサは、非互換性が検出されなかったので、更なる措置をとることができない(4206)。したがって、関連する構成要素は、ステープル及び補助材送達のために使用することができる。しかしながら、プロセッサは、互換性の通知を提供することができる。構成要素データが許容可能な第1の構成要素データと対応しないと判定された場合(4204)、プロセッサは、本明細書で論じられるように、非互換性を示す警告を提供させる(4208)。
【0177】
図19は、外部デバイス4210を含む検証システムの実施形態を示す。この実施形態における外部デバイス4210は、包装ユニット4212、例えば、
図8の包装ユニット4002、
図9の包装ユニット4010、又は他の包装ユニットとワイヤレスで相互作用するように構成された携帯電話の形態である。この図示された実施形態における包装ユニット4202は、ステープルカートリッジ4214、補助材4216、及び補助材4216によって放出可能に保持された薬剤4218を包装する。ステープルカートリッジ4214は、補助材4216が既に解放可能に取り付けられた状態で包装され得る。外部デバイス4210は、本明細書で論じられるように、包装ユニット4202から構成要素データ、副構成要素データ、及び/又は有効期限データを取得し、同じく本明細書で論じられるように、受信したデータを分析するように構成される。
【0178】
包装ユニットの電力
いくつかの実施形態では、包装ユニットは、包装ユニットがそのサプライチェーン内のどこにあるか、及び包装ユニットが開かれているか否かに関わらず、単一電力モードで動作することができる。包装ユニットのセンサは、したがって、包装ユニットの全貯蔵寿命にわたってデータを収集する「オン」にすることができ、包装ユニットの通信インターフェースは、データを外部デバイスに送信するための十分な電力を常に有することができる。したがって、データは、全ての関連する時間に収集され、通信されることが保証され得る。
【0179】
他の実施形態では、包装ユニットは、低電力モード及び高電力モードで動作するように構成され得る。低電力モードでは、包装ユニットのセンサには、本明細書で論じられるようにセンサがデータを監視するのに十分な電力がオンボード電源から供給され、包装ユニットの通信インターフェースは、データを外部デバイスに送信するのに十分な電力を有していない。高電力モードでは、センサ及び通信インターフェースはそれぞれ、十分な電力を供給される。データ収集に加えてデータ通信を可能にするためよりも、データ収集のために電源から必要とされる電力は少ないため、低電力モードは、電力を節約するのに役立ち、それによって、電源が高電力モードでのデータ通信を通して十分な電力を有することを確実にするのに役立ち得る。例示的な実施形態では、包装ユニットを開くことは、包装ユニットを低電力モードから高電力モードに移動させるように構成される。包装ユニットが開封されるまで、包装ユニットは、有害な曝露条件(複数可)に曝露され続けるので、包装ユニットが開封されてデータ通信を可能にするまで待つことは、全ての関連データが分析のために外部デバイスに通信されることを確実にするのに役立ち得る。
【0180】
低電力モードから高電力モードへの移動を容易にするために、包装ユニットは、包装ユニットの開放に応答して自動的に移動されるように構成されたタブを含むことができる。タブを完全に取り外すと、包装ユニットの電源が「ウェイクアップ」され、したがって、電源は、(低電力モードの場合のように)データを収集するためにセンサに電力を供給し、データ通信を可能にするために通信インターフェースに電力を供給する。タブは、例えば、包装ユニットの上部ボックスの継ぎ目にわたって取り付けられ、ボックス上部が開かれたときに自動的に移動及び/又は破壊されるように構成され得る。別の例では、タブは、包装ユニットの箔パウチの封止された開口部の上に取り付けられ、封止された開口部が開かれたときに自動的に移動及び/又は破壊されるように構成され得る。電源は、低電力モード及び高電力モードにおいてセンサに電力を供給するように構成された第1の電源と、高電力モードにおいて通信インターフェースにのみ電力を供給するように構成された第2の電源と、を含むことができる。タブは、例えば、包装ユニットが開かれてタブを移動させることに応答して、タブが取り外されるまで、第2の電源が通信インターフェースに電力を供給することを防止する絶縁体として機能することができる。換言すれば、タブは、タブが取り外されるまで回路が完成するのを防止するように構成することができる。いくつかの実施形態では、タブは、回路の完成及び防止を容易にするように構成された導電性トレースを含むことができる。低電力モードから高電力モードへの移動を引き起こすように移動されるように構成されたタブの例示的な実施形態は、国際出願第IB2020/060710号(発明の名称「Drug Delivery Device Sensing Modules」、2020年11月13日付けで出願)に更に記載され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0181】
タブを含む代わりに、包装ユニットは、低電力モードから高電力モードへの包装ユニットの移動を容易にするように構成された光センサを含むことができる。光センサは、包装ユニット内に配置され、包装ユニットが開かれていない状態では露光されないようにすることができる。包装ユニットが開かれると、光センサが露光される。光センサの露光は、包装ユニットの電源をトリガして、包装ユニットの通信インターフェースへの電力供給を開始することができる。
【0182】
いくつかの実施形態では、包装ユニットは、非電力モードから電力オンモードに移動するように構成され得る。非電力モードでは、包装ユニットの通信インターフェースは電力が供給されない。電力オンモードでは、通信インターフェースに電力が供給される。包装ユニットは、包装ユニットが開かれていない、閉状態では非電力モードにあり、包装ユニットが開状態では電力オンモードにあるように構成される。したがって、包装ユニットは、包装ユニットが開かれたことに応答して、例えば、閉状態から開状態に移動することに応答して、非電力モードから電力オンモードに自動的に移動するように構成される。包装ユニットは、非電力モードから電力オンモードへの包装ユニットの移動を容易にするように構成された電源を含む。電源は感光性である。包装ユニットが閉状態にある場合、電源は休止状態であり、電力が供給されない。開かれている包装ユニットは、電源を光に曝すことによって電源を作動させるように構成される。したがって、包装ユニットは、包装ユニット内部の電源への光の通過を防止するように構成された材料から作製される。したがって、包装ユニットは、包装ユニットが開かれるまで受動的であり、電力が供給されない。電池などの能動電源を含まないことによって、包装ユニットは、能動電源を含む包装ユニットよりも安全及び/又は環境に優しい方法で処分することができる。
【0183】
例示的な実施形態では、非電力モードから電力オンモードに移動するように構成される包装ユニットは、湿度、温度、酸素、又は照射などの環境条件への曝露に応答して分解するように構成された分解可能要素を含む。電源オンモードでは、通信インターフェースは、本明細書で論じられるように、分解可能要素の状態を示すデータを外科用ハブ又は他のコンピュータシステムに通信するように構成される。分解可能要素の状態は、環境条件への分解可能要素の曝露に対応し、それによって、本明細書で論じられるように使用することができる外科用ハブ又は他のコンピュータシステム曝露条件情報を提供する。
【0184】
図20は、非電力モードから電力オンモードに移動するように構成された包装ユニット4300、4300’の実施形態を示す。非電力モードは、初期のデフォルトモードである。包装ユニット4300、4300’は、この図示された実施形態では外科用ハブ4302とワイヤレスで通信する(4304、4304’)ものとして示されているが、本明細書で論じられるように、別の外部デバイスと通信することができる。
【0185】
包装ユニット4300、4300’は、湿度(水分又は水レベルを含む)、温度、酸素、又は照射などの環境条件への曝露に応答して分解するように構成された分解可能要素4306、4306’を含む。したがって、分解可能要素4306は、概して、曝露条件を監視するように構成されたセンサとして構成される。分解可能要素4306は、非電力モードにおいて無傷である。言い換えれば、分解可能要素4306の初期状態は、包装ユニット4300が閉状態で分解されない。したがって、分解可能要素4306を含む回路4308は、非電力モードにおいて閉じられる。
【0186】
電力オンモードでは、分解可能要素は、無傷(分解されていない)又は分解されている。包装ユニット4300として
図20の左側に示される包装ユニットは、分解可能要素4306が無傷である電源オンモードの包装ユニットを示す。したがって、回路4308は、分解可能要素4306が分解されていない状態で、電力オンモードにおいて閉じられる。包装ユニット4300’として
図20の右側に示される包装ユニットは、他の図示された包装ユニット4300の同じ要素に対応する要素のハッシュマークを使用して、分解可能要素4306’が分解された電力オンモードの包装ユニットを示す。したがって、回路4308’は、分解可能要素4306’が分解されている状態で、電力オンモードにおいて開いている。
【0187】
包装ユニット4300が非電力モードにある場合、例えば、包装ユニット4300が分解可能要素4306を分解するのに十分長く高温環境にあったため、包装ユニット4300が分解可能要素4306を分解するのに十分長く高湿度環境にあったため、包装ユニット4300が分解可能要素4306を分解するのに十分長く高放射線環境にあったため、包装ユニット4300が分解可能要素4306を分解するのに十分長く酸素に曝露されたためなど、分解可能要素4306が十分な時間にわたって環境条件に曝露された場合、分解可能要素は無傷の状態(分解可能要素4306)から分解中の状態(分解可能要素4306’)に移動し、それによって回路が閉状態(回路4308)から開状態(回路4308’)に移動する。
【0188】
分解可能要素4306、4306’は、環境に敏感な材料から作製される。例示的な実施形態では、分解可能要素4306、4306’は導電性である。分解可能要素4306、4306’が導電性であることにより、分解可能要素4306が無傷の状態で回路4308を閉じることが可能になる。分解可能要素4306、4306’は、それが監視するように設定される環境条件の存在下で分解するように構成される、吸収性ポリマー及びドープされた導電性粒子を注入するか、又はそれらから作製することができる。通電されると、分解可能要素4306、4306’の導電率は、包装ユニット4300、4300’が受けた曝露に正比例する。分解可能要素4306、4306’は、監視されている補助材、例えば、包装ユニット4300、4300’によって包装された補助材と同程度に速く、又はそれより速く破壊するポリマーを注入する、又はそれから作製することができる。例示的な実施形態では、
図20に示すように、分解可能要素4306、4306’は、回路4308、4308’の一部を形成するフィラメント(単一のフィラメント又は複数のフィラメントのいずれか)を含む。
【0189】
分解可能要素4306、4306’は、1つ又は2つ以上の環境条件に対する分解可能要素の感受性が、1つ又は2つ以上の環境条件に対する補助材及び/又は薬剤(複数可)の感受性に対応するか、又はそれよりも敏感であるように、包装ユニット4300、4300’によって包装された補助材及び/又は薬剤(複数可)に基づいて選択することができる。補助材及び/又は薬剤(複数可)の感受性に対応する分解可能要素の感受性は、分解可能要素の分解が補助材及び/又は薬剤(複数可)の有効性に対応することを可能にする。このようにして、もはや無傷ではないように分解する分解可能要素は、補助材及び/又は薬剤(複数可)が使用されるべきではないことを示すことができる。分解可能要素の感受性が補助材及び/又は薬剤(複数可)の感受性よりも敏感であることにより、分解可能要素の分解が補助材及び/又は薬剤(複数可)の有効性の低下よりも速く起こるようになる。分解可能要素の分解は、したがって、有効性の低減をもたらす可能性があり、これは、無効な補助材及び/又は薬剤(複数可)の不使用を確実にするのに役立ち得る。
【0190】
包装ユニット4300、4300’はまた、回路4308、4308’内に感光素子4310、4310’も含む。感光素子4310、4310’は、分解可能要素4306、4306’と直列である。包装ユニット4300、4300’が電源オンモードにある場合(分解可能要素4306、4306’が分解されているか又は分解されていない場合)、感光素子4310、4310’は、包装ユニット4300、4300’のコントローラ4312、4312’、包装ユニット4300、4300’の通信インターフェース4314、4314’、及び包装ユニット4300のライト4316、4316’に電力を供給するように構成される。したがって、感光素子4310、4310’は電源として機能する。非電力モードでは、感光素子4310は、コントローラ4312、通信インターフェース4314、及びライト4316のいずれにも電力を供給しない。
【0191】
感光素子4310、4310’は、光に曝されたことに応答して、コントローラ4312、4312’、通信インターフェース4314、4314’、ライト4316、4316’への電力の供給を開始するように構成される。したがって、例えば、閉状態から開状態に移動する包装ユニット4300、4300’の開口部は、包装ユニットが開かれている部屋において、感光素子4310、4310’が人工光、太陽光、又は人工光及び太陽光の両方のいずれかの光に曝されることを可能にすることによって、感光素子4310、4310’を作動させるように構成される。例示的な実施形態では、感光素子4310、4310’は、太陽電池(単一の太陽電池又は複数の太陽電池のいずれか)を含む。
【0192】
通信インターフェース4314、4314’は、この図示された実施形態ではワイヤレス送信機を含み、通信インターフェース4314’が感光素子4314’によって電力供給された状態で外科用ハブ4302とワイヤレス通信するように構成される。通信インターフェース4314’を使用して外科用ハブ4302に通信されるデータは、分解可能要素4306’の状態を考慮する。分解可能要素4306’が導電性である場合、分解可能要素4306’の導電率は、分解可能要素4306’の分解量に比例し、例えば、導電性分解可能要素4306’の抵抗は、その分解量に基づいて変化する。したがって、通信インターフェース4314’によって通信されるデータは、分解可能要素4306’の分解量を含むことができる。通信インターフェース4314は、非電力モードでは、包装ユニット4300を用いて外科用ハブ4302(又は他のもの)とワイヤレス通信することができない。コントローラ4312、4312’は、回路4308、4308’の感知された状態に基づいて通信インターフェース4314、4314’を制御するように構成される。回路4308が閉状態で、コントローラ4312は、例えば、包装ユニット4300が無効な補助材及び/又は無効な薬剤を示す有害な環境条件を経験していないので、包装ユニット4300、したがってその包装された構成要素が品質基準を満たすことを通信インターフェース4314が外科用ハブ4302に通信させるように構成される。回路4308’が開状態で、コントローラ4312’は、例えば、包装ユニット4300’が無効な補助材及び/又は無効な薬剤を示す有害な環境条件を経験しているので、包装ユニット4300’、したがってその包装された構成要素が品質基準を満たさないことを通信インターフェース4314’が外科用ハブ4302に通信させるように構成される。そのような満たされていない品質規格通信は、本明細書で論じられるように、外科用ハブ4302に警告を提供させることができる。
【0193】
ライト4316、4316’は、この図示された実施形態では単一のLEDを含むが、別のタイプのライト及び/又は複数のライトを含むことができる。非電力モードでは、ライト4316はオフである(点灯していない)。電力オンモードでは、ライト4316、4316’はオンである(点灯する)。したがって、オンであるライト4316、4316’は、包装ユニット4300、4300’が開いており、電源オンモードにあることの視覚的表示を提供する。電力オンモードにおけるライトの点灯の色は、分解可能要素が分解されているか(分解可能要素4306’)又は無傷であるか(分解可能要素4306)に依存する。この図示された実施形態では、ライト4316は、分解可能要素4306が無傷の状態で緑色に点灯し、ライト4316’は、分解可能要素4306’が分解された状態で赤色に点灯するが、他の色を使用することもできる。他の実施形態では、異なる色である代わりに、ライト4316’は、分解可能要素が分解されるとき(分解可能要素4306’)、連続的に点灯することができ、ライト4316は、分解可能要素が分解されないとき(分解可能要素4306)、点滅することができる。あるいは、ライト4316’は、分解可能要素が分解されているとき(分解可能要素4306’)、点滅することができ、ライト4316は、分解可能要素が分解されていないとき(分解可能要素4306)、連続的に点灯することができる。
【0194】
コントローラ4312、4312’は、回路が閉じている(回路4308、分解可能要素4306が分解されていない)か、又は開いている(回路4308’、分解可能要素4306’が分解されている)かを感知するように構成される。コントローラ4312、4312’は、回路4308、4308’の感知された状態に基づいてライト4316、4316’を制御するように構成される。例えば、この図示された実施形態に示されるように、コントローラ4312、4312’は、回路4308が閉状態ではライト4316を緑色に点灯させ、回路4308’が開状態ではライト4316’を赤色に点灯させる。
【0195】
この図示された実施形態におけるように、包装ユニット4300、4300’は、力要素4318、4318’、例えば、コイルばね、弾性フィラメント、又は他の力要素を含むことができ、これらは、包装ユニット4300が非電力モードにある状態で分解可能要素4306に力を提供するように構成される。力要素4318、4318’は、環境条件への曝露によって弱められた無傷の分解可能要素4306の破壊を容易にするように構成される。したがって、力要素は、分解可能要素4306’が分解された状態で回路4308’が開かれることを確実にするのに役立つことができる。力要素4318、4318’は、回路4308、4308’の一部を形成しないように、非導電性材料で形成されること、及び/又は絶縁コーティングを有することなどによって、導電性ではない。
【0196】
図21及び
図22は、非電力モードから電力オンモードに移動するように構成された包装ユニット4320の別の実施形態を示す。包装ユニット4320は、概して、上述の
図20の包装ユニット4300、4300’と同様に構成及び使用され、例えば、分解可能要素(
図21及び
図22では不明瞭)、回路(
図21及び
図22では不明瞭)、感光素子4322、コントローラ(
図21及び
図22では不明瞭)、通信インターフェース4322、ライト4324、及び力要素(
図21及び
図22では不明瞭)を含む。
図21及び
図22に示されるように、感光素子及び通信インターフェースは、この図示された実施形態において一緒に統合される。この図示された実施形態における感光素子4322は、太陽電池(単一の太陽電池又は複数の太陽電池のいずれか)を含む。この図示された実施形態における通信インターフェース4322は、ワイヤレス送信機を含む。
【0197】
この図示された実施形態における包装ユニット4320は、カバー4326を有する箔パウチを含む。カバー4326は、包装された要素をハウジング4328の空洞4330内に収めた包装ユニット4320のハウジング4328から手動で(完全に又は部分的に)取り外されるように構成される。包装された要素は、
図21及び
図22には示されていないが、本明細書論じられるような要素、例えば、その中に薬剤(複数可)を放出可能に保持する補助材、その中に薬剤をそれぞれ放出可能に保持する複数の補助材、その中に薬剤(複数可)を放出可能に保持する補助材が解放可能に取り付けられたステープルカートリッジ、その中に薬剤(複数可)を放出可能に保持する補助材がそれぞれ解放可能に取り付けられた複数のステープルカートリッジなどを含むことができる。本明細書で論じられるように、包装ユニット4320は、バルク包装ユニット内に包装され、使用のためにそこから除去され得る。
【0198】
図21及び
図22に示されるように、感光素子4322、通信インターフェース4322、及びライト4324は、ハウジング4328内にはめ込むことができる。不明瞭な分解可能要素、回路、コントローラ、及び力要素は、同様に、ハウジング4328内にはめ込まれる。これらの要素をハウジング4328内にはめ込むことは、サプライチェーンを通る包装ユニットの進行の間に要素が損傷されるのを防ぐのに役立ち得る。
【0199】
図21は、非電力モードにおける包装ユニット4320を示す。したがって、カバー4326は、感光素子4322が露光されないように閉じられる。ライト4324はオフである。分解可能要素は、非電力モードにおいて環境条件に左右され、したがって、正当な場合には分解することができる。
【0200】
図22は、電力オンモードにおける包装ユニット4320を示す。これにより、カバー4326は、感光素子4322が露光されるように開かれる。ライト4324はオンである。点灯するライト4324の色(及び/又は点滅/連続点灯状態)は、上述したように、分解可能要素が分解されているか又は無傷であるかに依存する。ここで、包装ユニット4320が電力オンモードにある状態で感光素子4322から電力を受信すると、通信インターフェース4322は、分解可能要素の状態に関するデータを外科用ハブ又は上述したように他のコンピュータシステムに送信する(4332)ものとして示されている。
【0201】
いくつかの実施形態では、包装ユニットの要素に電力を提供するように構成された感光素子を含む、非電力モードから電力オンモードに移動するように構成された包装ユニットの代わりに、包装ユニットは、RFIDタグ又は他の受動的磁気給電要素などの磁場給電要素を含むことができる。磁場給電要素は、磁界が存在するときにのみ電力を供給されるように構成される。したがって、RFIDリーダ又は他のデバイスによって提供されるような磁場に曝されると、磁場給電要素は、包装ユニットの通信インターフェースが上述したようにデータを通信することを可能にすることができる。
【0202】
植込み後の補助材監視
上述したように、補助材は吸収性であり得る。したがって、補助材は、患者の体内で分解するように構成され得る。補助材の吸収可能な構成を利用して、患者の治癒を監視するのに役立つことができる。補助材が植え込まれた後に患者の体内で補助材の破壊(本明細書では概して補助材の「分解」と呼ぶ)を監視することは、患者の治癒を監視する手段として役立つことができる。補助材の分解は、患者の治癒に概して対応する。なぜなら、組織は経時的に治癒し、補助材によって放出可能に保持された任意の薬剤は、補助材が患者の体内に植え込まれた後に経時的に放出可能であるからである。したがって、補助材の分解を監視することは、患者の治癒の評価を可能にし得る。
【0203】
補助材の監視は、患者の体外から非侵襲的に行うことができる。したがって、患者は、補助材が植え込まれた後に補助材の吸収状態及び患者の治癒を評価するために、いかなる外科的介入も必要としない。
【0204】
植え込まれた補助材の分解は、様々な方法で監視することができる。例えば、監視は、患者の体内で補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために補助材を撮像することを含むことができる。別の例では、監視は、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な補助材の廃棄副産物を追跡することを含むことができる。更に別の例では、監視は、患者の老廃物を監視することを含むことができる。更に別の例では、補助材が外科用ステープラを使用して送達される実施形態では、監視は、患者内の補助材をステープル留めした外科用ステープラから患者に送達された追跡可能要素を追跡することを含み得る。これらの例のそれぞれは、以下で更に検討される。
【0205】
植え込まれた補助材の分解に関して収集された情報は、以下で更に論じられるように、画像、追跡可能な材料データなどを収集するデバイスの通信インターフェースなどを介して、外科用ハブ又は他のコンピュータシステムに通信することができる。外科用ハブ又は他のコンピュータシステムは、患者の治療を容易にするために、互換性の通知を提供することに関して上述したものと同様に、患者の外科医又は他の医療専門家(複数可)に補助材の監視の通知を提供するように構成することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、患者の体内に植え込まれた補助材の破壊を監視することは、患者の体内で補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために補助材を撮像することを含むことができる。このような実施形態では、放射線不透過性マーカは、補助材が植え込まれたときに薬剤を放出可能に保持する補助材に関して本明細書で論じたものと同様に、補助材が植え込まれたときに補助材によって保持される。補助材が破壊して生体吸収されると、放射線不透過性マーカは、補助材が患者にステープル留めされたか、又は他の方法で取り付けられた元の植込み位置から移動する。それによって、補助材の分解、したがって患者の治癒を監視することができる。
【0207】
患者は、放射線不透過性マーカの可視化のために、複数の異なる時間、例えば、互いに連続した複数の異なる日、及び/又は1日又は2日以上離れた複数の異なる日に撮像され得る。したがって、補助材の分解は、経時的に監視することができ、各後続撮像は、患者の治癒の更新された表示を提供する。したがって、画像のそれぞれを比較することにより、患者の体内での放射線不透過性マーカの経時的な移動、したがって、経時的な補助材の分解及び患者の治癒の表示を提供することができる。
【0208】
補助材が組織厚さコンペンセータであることなどによって圧縮可能である実施形態では、経時的に撮影された画像の比較は、補助材が分解するにつれて放射線不透過性マーカが互いに近づくように移動するように補助材が破壊しているか、又はそれらを拘束して保持する補助材が分解し、放射線不透過性マーカが自由に移動するにつれて互いから離れるように移動しているかを示すことができる。
【0209】
放射線不透過性マーカは、様々な生体適合性放射線不透過性材料のいずれかから形成することができ、様々な方法で補助材によって放出可能に保持することができる。例えば、補助材が発泡体から形成される実施形態では、発泡体が分解するにつれて放射線不透過性マーカが放出されるように、放射線不透過性マーカを発泡体全体にはめ込むことができる。発泡体補助材によって放出可能に保持された任意の薬剤は、本明細書で論じられるように、同様に放出可能である。別の例では、補助材が繊維性構造体から形成される実施形態では、放射線不透過性マーカは、繊維性構造体が分解するにつれて放射線不透過性マーカが放出されるように、繊維性構造体を形成する繊維の間に捕捉され得る。繊維性構造体補助材によって放出可能に保持された任意の薬剤は、本明細書で論じられるように、同様に放出可能である。
【0210】
例示的な実施形態では、放射線不透過性マーカは、補助材及び補助材によって保持された薬剤(複数可)、並びに補助材及び薬剤(複数可)の組織への運搬を容易にするデバイス(複数可)、例えばステープル及び補助材を適用する外科用ステープラなどから独立した要素である。したがって、本明細書に論じられるような放射線不透過性マーカとともに使用するために、既存の補助材及び既存の薬剤を変更する必要はなく、将来の補助材又は薬剤を特に設計する必要もない。
【0211】
図23は、薬剤4402及び複数の放射線不透過性マーカ4404を放出可能に保持する補助材4400の実施形態を示す。補助材4400は、単一の薬剤4402を保持しているが、本明細書で論じられるように、複数の薬剤を保持することができる。この図示された実施形態では、補助材4400は、構造を変化させるように構成されている。
【0212】
図23は、組織4406内に配備されたステープル4408の配備によって患者の組織4406の縁部に植え込まれた補助材4400を示す。補助材4400が患者に植え込まれた状態で、放射線不透過性マーカ4404の視覚化を可能にする画像を提供するように構成された蛍光透視システム、X線システム、又は他のシステムなどの撮像システム4410を使用して患者を撮像することができる。撮像システム4410は、患者の体外4412に位置し、補助材4400、薬剤4402、及び放射線不透過性マーカ4404は、患者の体内4414に位置する。したがって、撮像システム4410は、患者の身体の外側4410から患者を撮像するように構成される。患者の外部表面は、点線4416によって概略的に表される。撮像システム4410を使用して撮影される各画像は、既知の補助材4400の植込みの位置で撮影することができ、それは、この図示される実施形態では、組織4406の縁であり、又は2つ又はそれ以上の異なる位置での複数の画像は、撮像システム4410を使用して撮影することができる。2つ又はそれ以上の位置のうちの1つ又はそれ以上は、既知の補助材4400の植込みの位置を含むことができる。既知の補助材4400の植込みの位置で少なくとも1つの画像を撮影することは、既知の補助材4400の植込みの位置での組織4406の治癒の監視を可能にし得る。既知の補助材4400の植込みの位置を含まない少なくとも1つの画像を撮影することは、組織4406又は他の位置のいずれかにおいて、既知の補助材4400の植込みの位置から離れた治癒の監視を可能にし得る。既知の補助材4400の植込みの位置から離れた治癒は、患者の体内で移動する薬剤4402によって引き起こされ得る。既知の補助材4400の植込みの位置を含まない少なくとも1つの画像を撮影することは、分解補助材4400及び/又は放出された薬剤4402が患者の体内でどのように移動するかを監視することを可能することができ、これは、患者及び/又は同様の補助材及び/又は同様の薬剤を受ける将来の患者にとって有用な術後分析を容易にするのに役立ち得る。
【0213】
図24及び
図25は、薬剤4422を放出可能に保持し、複数の放射線不透過性マーカ4424を放出可能に保持する補助材4420の別の実施形態を示す。
図24は、植込み前の補助材4420を示し、
図25は、補助材4420が患者の組織4426にステープル留めされた状態で患者の体内に植え込まれた補助材4420を示す。この図示された実施形態では、外科用ステープル4428は、補助材4420を組織4426に送達するのに使用されるように構成されたステープル4428の両脚部上に配置された補助材4420を含む。したがって、補助材4420は、この図示された実施形態では2つの部分からなる補助材であり、補助材4420の各部分が薬剤4422及び放射線不透過性マーカ4424を放出可能に保持する。他の実施形態において、補助材4420の一方の部分は、薬剤442を放出可能に保持することができ、補助材4420の他方の部分は、放射線不透過性マーカ4424を放出可能に保持することができる。いくつかの実施形態では、一方のステープル脚部のみが上に補助材を有することができ、又は一方又は両方の脚部が、上に2つ以上の補助材を有することができる。
【0214】
図25に示すように、ステープル4428の患者の組織4426内、例えば、腸、肺内などへの配備時に、ステープル4428が変形する際、薬剤4422及び放射線不透過性マーカ4424が、補助材4420から放出するように構成される。薬剤4422の一部及び/又は放射線不透過性マーカ4424の一部は、ステープル留め時に補助材4420内に留まり、補助材4420が分解する際に補助材4420から放出され得る。
図26は、ステープル4428、及びそれぞれがステープル4428上の補助材4420の配置と同様に上に配置された補助材を有する複数の追加の同様のステープルを示す。
図26は、側側吻合術を示しているが、ステープル4428は、その他の外科的処置で使用することができる。薬剤4222及び/又は放射線不透過性マーカ4424は、補助材4420から、組織4426を通って延在する通路4430内に放出され得る。したがって、組織4426における補助材の植込みの位置で、及び/又は組織4426における補助材の植込みの位置から離れて、通路を撮像することは、放射線不透過性マーカ4424の可視化を可能にし得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、患者の体内に植え込まれた補助材の破壊を監視することは、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な補助材の廃棄副産物を追跡することを含むことができる。そのような実施形態では、補助材は、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能な廃棄副産物を含む。補助材から放出可能な放射線不透過性マーカに関して上述したものと同様に、廃棄副産物を放出可能に保持する補助材が破壊して生体吸収されると、廃棄副産物は、補助材が患者にステープル留めされたか又は他の方法で取り付けられた元の植込み位置から移動する。それによって、補助材の分解、したがって患者の治癒を監視することができる。
【0216】
廃棄副産物は、様々な生体適合性材料のうちのいずれかから形成することができる。例えば、補助材は、吸収性材料及び非吸収性材料から形成することができる。非吸収性ポリマーなどの非吸収性材料は、廃棄副産物を画定することができる。補助材の吸収性材料が患者の体内で破壊すると、廃棄副産物が補助材から放出されて、廃棄副産物の監視が可能になる。補助材は、複数の吸収性繊維及び複数の非吸収性繊維を含む繊維性構造体から形成された補助材、少なくとも1つの非吸収性フィルムに取り付けられた少なくとも1つの吸収性フィルムから形成された補助材、又は他の補助材構成など、様々な方法で吸収性材料及び非吸収性材料から形成することができる。別の例では、廃棄副産物は、金属検出器によって検出されるように構成された鉄材料を含むことができる。補助材は、放射線不透過性マーカを含む補助材に関して上述したものと同様の鉄材料を含むことができる。別の例では、廃棄副産物は、放射線検出器によって検出されるように構成された放射性物質を含むことができる。補助材は、放射線不透過性マーカを含む補助材に関して上述したものと同様の放射性物質を含むことができる。放射性物質は、安全レベルになるようにわずかに放射性である。更に別の例では、廃棄副産物は、生理学的副生成物を含み得る。更に又別の例として、廃棄副産物は、代謝マーカ又は分解腐敗生成物を含むことができる。上述のように、補助材は、吸収性ポリマーから形成することができる。吸収性ポリマーは、身体によって代謝される成分と、身体によって代謝されず、排泄物として身体から放出される別の成分と、を含む副成分に破壊される傾向がある。代謝されない成分は、廃棄副産物であり得る。一例として、PLGAでは、代謝産物は、腎臓によって排出される乳酸及びグリコール酸を含む糖及び廃棄副産物として作用する物質を含み得る。別の例として、PLAでは、代謝産物は、糖として作用する物質と、腎臓によって排出される乳酸を含む廃棄副産物と、を含み得る。
【0217】
廃棄副産物は、監視デバイスを使用して局所的に監視することができる。監視デバイスは、患者の体内の廃棄物の濃度及び位置を監視するように構成することができる。監視デバイスは、植え込まれた補助材から放出される物質を監視するように構成された
図23の撮像システム4410に関して上述したものと同様に、患者の体外に位置する。例示的な実施形態では、監視デバイスは、患者を容易かつ非侵襲的に監視することを可能にし得る装着型モニタである。
【0218】
いくつかの実施形態では、廃棄副産物は、鉄材料を含むことができ、監視デバイスは、患者の体内の鉄材料の濃度及び位置を監視するように構成された金属検出器を含むことができる。鉄材料を放出可能に保持する補助材が患者の体内に植え込まれる時間0において、鉄材料の濃度が分かる。次いで、監視デバイスは、植込み部位から離れた鉄材料のこの濃度又は分散に対する任意の変化を追跡することができる。
【0219】
いくつかの実施形態では、廃棄副産物は放射性物質を含むことができ、監視デバイスは、患者の体内の放射性物質の濃度及び位置を監視するように構成された放射線検出器を含むことができる。放射性物質を放出可能に保持する補助材が患者の体内に植え込まれる時間0において、放射性物質の濃度が分かる。次いで、監視デバイスは、植込み部位から離れた放射性物質のこの濃度又は分散に対する任意の変化を追跡することができる。
【0220】
いくつかの実施形態では、患者の身体内の植え込まれた補助材の破壊を監視することは、患者の老廃物を監視することを含むことができる。補助材は、肺、胃腸管、又は肝臓など、患者の様々な位置に植え込むことができる。補助材が結腸などの胃腸管に植え込まれる状況では、補助材の位置を利用して、患者の体内での補助材の分解の監視を容易にすることができる。このような状況では、補助材の廃棄副産物は、補助材4420から通路4430内に放出される
図26の放射線不透過性マーカ4424の放出に関して上述したものと同様に、胃腸管の通路内に放出され得る。
【0221】
患者の老廃物を監視することは、植え込まれた補助材から患者の体内に放出可能であり、老廃物とともに放出される補助材の廃棄副産物を追跡することを含むことができる。そのような実施形態では、廃棄副産物は、廃棄副産物が廃棄物として患者から出た後に体系的に監視することができる。したがって、廃棄副産物は、患者の体外から監視することができる。患者の身体から放出された後に監視される廃棄副産物は、代謝マーカ又は分解腐敗生成物を含み得る。
【0222】
トイレは、尿パックと同様に、代謝マーカ又は分解腐敗生成物を追跡するように構成されたスマートコンピュータシステムモニタを含むことができる。スマートモニタは、補助材の監視の通知を患者の外科医又は他の医療専門家(複数可)に提供するように構成することができ、又はスマートモニタは、それによって収集されたデータを、そのような通知を提供するように構成された外科用ハブ又は他のコンピュータシステムに通信するように構成することができる。
【0223】
スマートモニタを使用することに加えて、又はその代わりに、患者の糞便を、糞便中の廃棄副産物の検出のために収集することができる。廃棄副産物は、廃棄物に存在する場合に視覚的に観察可能である染料を含む廃棄副産物などによって、様々な方法のいずれかで糞便中に検出することができる。別の例では、廃棄副産物は、廃棄物中に存在する場合、糞便に適用されるリトマス紙又は活性化剤化学物質などのリアクタと反応する反応性化学物質を含むことができる。したがって、pHを使用して廃棄副産物を検出することができる。細菌負荷又は他の鉱物反応物質も使用することができる。
【0224】
いくつかの実施形態では、患者の体内に植え込まれた補助材の破壊を監視することは、補助材を患者内でステープル留めした外科用ステープラから患者に送達された追跡可能要素を追跡することを含むことができる。補助材が結腸などの胃腸管に植え込まれる状況では、補助材の位置を利用して、患者の体内での補助材の分解の監視を容易にすることができる。このような状況では、追跡可能要素は、補助材4420から通路4430内に放出される
図26の放射線不透過性マーカ4424の放出に関して上述したものと同様に、胃腸管の通路内に放出され得る。追跡可能要素は、結腸などの胃腸管のマイクロバイオームと相互作用するように構成され得る。追跡要素の放出の追跡された大きさは、経時的な腸のマイクロバイオーム及び/又は治癒応答のバランスを分析するための手段として使用され得る。マイクロバイオームバランス又は治癒に関連する相互作用的尺度として使用され得る結腸内のパラメータとしては、pH、O
2、及びCO
2が挙げられる。CO
2濃度は、有機構造におけるpHのシフトを引き起こす。O
2/CO
2バランス尺度をもたらし得るpH変化の原因を決定するために、増加したpHが検出された場合追加の試験が行われてもよい。異なる細菌は、O
2及びCO
2を異なって使用し、いくつかはそれらを排出する。バランス尺度は、腸の細菌量を示すことができ、したがって、マイクロバイオーム中の善玉菌と悪玉菌とのバランスを明らかにすることができる。
【0225】
例示的な実施形態では、追跡可能要素は、補助材とは別個に患者に送達される。追跡可能要素及び補助材のそれぞれは、同じデバイス、例えば、本明細書で論じられるような外科用ステープラを使用して患者に送達され得るが、それぞれがデバイスから別個に送達され得る。したがって、補助材は、追跡可能要素とともに使用するために変更される必要はない。
【0226】
本発明には従来の低侵襲性及び開放外科用器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを当業者は認識するであろう。
【0227】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後に、再使用のために再調整することができる。再調整には、デバイスの分解ステップ、それに続く洗浄ステップ又は特定の部品の交換ステップ、及びその後の再組立ステップの任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、デバイスを後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0228】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0229】
〔実施の態様〕
(1) 医療方法であって、
生体吸収性補助材を患者の体内に植え込んだ後に、前記患者の外部から前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視することを含み、
前記監視することが、
前記患者の前記体内で前記補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために前記補助材を撮像することと、
前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記補助材の廃棄副産物を追跡することと、
前記患者の老廃物を監視することと、
前記患者内で前記補助材をステープル留めした外科用ステープラから前記患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つを含む、医療方法。
(2) 前記監視することが、前記補助材を少なくとも撮像することを含み、
植え込まれた前記補助材が、その中に前記放射線不透過性マーカを含み、
前記補助材を撮像することが、前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視するための前記放射線不透過性マーカの可視化を可能にする、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記補助材を撮像することが、複数の異なる時間に前記補助材を撮像することを含み、
前記補助材の分解を監視することが、前記異なる画像を比較して、前記患者の前記体内の前記放射線不透過性マーカの動きを識別することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記補助材が、前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記廃棄副産物を含み、
前記監視することが、前記補助材の前記廃棄副産物を少なくとも追跡することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記廃棄副産物が、鉄材料又は放射性物質を含む、実施態様4に記載の方法。
【0230】
(6) 前記補助材の前記廃棄副産物を追跡することが、前記患者によって着用可能なモニタを使用して、前記患者の前記体内の前記廃棄副産物を追跡することを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記監視することが、前記患者の前記老廃物を少なくとも監視することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記患者の前記老廃物を監視することが、トイレに取り付けられたモニタを使用してデータを収集することと、収集された前記データを前記トイレの外部のコンピュータシステムに送信することと、を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記監視することが、前記追跡可能要素を少なくとも追跡することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記補助材が、結腸にステープル留めされ、
前記追跡可能要素が、前記結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成されている、実施態様9に記載の方法。
【0231】
(11) 前記追跡可能要素が、前記補助材とは別に前記外科用ステープラから前記患者に送達される、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記植え込まれた補助材が、前記補助材から、前記補助材が植え込まれた前記患者内に放出可能な薬剤を内部に保持する、実施態様1に記載の方法。
(13) 医療方法であって、
生体吸収性補助材を患者の組織にステープル留めした後に、
前記患者の前記体内で前記補助材から放出可能な放射線不透過性マーカの可視化のために前記補助材を撮像することと、
前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記補助材の廃棄副産物を追跡することと、
前記患者の老廃物を監視することと、
前記患者内で前記補助材をステープル留めした外科用ステープラから前記患者に送達された追跡可能要素を追跡することと、のうちの少なくとも1つによって、前記組織の治癒を非侵襲的に監視することを含む、医療方法。
(14) 前記監視することが、前記補助材を少なくとも撮像することを含み、
植え込まれた前記補助材が、その中に前記放射線不透過性マーカを含み、
前記補助材を撮像することが、前記患者の前記体内の前記補助材の分解を監視するための前記放射線不透過性マーカの可視化を可能にする、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記補助材が、前記植え込まれた補助材から前記患者の前記体内に放出可能な前記廃棄副産物を含み、
前記監視することが、前記補助材の前記廃棄副産物を少なくとも追跡することを含む、実施態様13に記載の方法。
【0232】
(16) 前記廃棄副産物が、鉄材料又は放射性物質を含み、
前記補助材の前記廃棄副産物を追跡することが、前記患者によって着用可能なモニタを使用して前記患者の前記体内の前記廃棄副産物を追跡することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記監視することが、前記患者の前記老廃物を少なくとも監視することを含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記監視することが、前記追跡可能要素を少なくとも追跡することを含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記補助材が、結腸にステープル留めされ、
前記追跡可能要素が、前記結腸のマイクロバイオームと相互作用するように構成されている、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記植え込まれた補助材が、前記補助材から、前記補助材が植え込まれた前記患者内に放出可能な薬剤を内部に保持する、実施態様13に記載の方法。
【国際調査報告】