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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】断熱予冷再分配システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 1/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
E03B1/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560658
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 US2022023069
(87)【国際公開番号】W WO2022212856
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/169,420
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/711,504
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ケネス カルビン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,パトリック スティーブン
(57)【要約】
積み重ねられた断熱パネルを有する断熱的に予冷される乾式冷却器用の水再分配システムであって、上側断熱パネルと下側断熱パネルの間に設置され、水の自由落下高さおよび結果として生じる飛沫を低減するように配置された複数の交互配置バッフルを有する。各バッフルの上部にある上向きフランジが、内部水路からの水の移動を抑止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側断熱パッドと下側断熱パッドの間に断熱予冷式乾式冷却器に取り付けるように構成された水再分配システムであって、水再分配フレーム内に交互に配置され、落下する水を交互配列方向に偏向するように構成された複数の水偏向バッフルを備える、水再分配システム。
【請求項2】
前記複数の水偏向バッフルの上方に設置され、前記複数の水偏向バッフルの第1のものの上に水を落下させるように構成された上側水回収トレイをさらに備える、請求項1に記載の水再分配システム。
【請求項3】
最も低い水偏向バッフルの下方に設置された底部水回収トレイをさらに備える、請求項1~2のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項4】
前記水再分配システムの底部に設置され、水を前記下側断熱パッドに再分配するように構成された水再分配バッドをさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項5】
各前記水偏向バッフルは、上向き曲げフランジを備え、この上向き曲げフランジは、前記水偏向バッフルと前記フレームの内面との間に取り付けポイントを構成する、請求項1~4のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項6】
前記水再分配システムは、シーラントを含まない、請求項1~5のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項7】
前記水偏向バッフルは、前記フレームの垂直面から35°~75°の角度で配置される、請求項1~6のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項8】
前記水再分配システム内の水の自由落下高さが5インチを超えない、請求項1~7のいずれかに記載の水再分配システム。
【請求項9】
フレームと、
前記フレーム内に配置された2つのチューブバンドルであって、前記チューブバンドルの各々は、入口ヘッダおよび出口ヘッダを有し、前記入口ヘッダは、高温プロセス流体を受け取り、それを対応するチューブバンドルに分配するように構成されて設置され、前記出口ヘッダは、前記チューブバンドルから冷却プロセス流体を受け取るように構成され設置されており、前記2つのチューブバンドルはそれぞれ、チューブ屈曲部を用いて隣接するチューブに接続された、複数の水平配置フィン付きチューブを備える、2つのチューブバンドルと、
前記チューブバンドルの上方で前記フレームによって支持され、前記チューブバンドルを通って前記ファンの上部を通って空気を引き出すように構成された複数のファンと、
前記チューブバンドルの空気取り入れ側に隣接して前記フレームに取り付けられた複数の上側断熱パッドおよび下部断熱パッドと、
前記断熱パッドの上方に構成され設置され、水を前記断熱パッドに送給するように構成された1つ以上の水分配チューブを含む水分配システムと、
前記フレーム内に取り付けられ、前記上側断熱パッドと前記下側断熱パッドの間に設置された水再分配システムであって、前記フレーム内で前記上部断熱パッドの下方に交互に配置され、前記上側断熱パッドから落下する水を交互配列方向に偏向させるように構成された複数の水偏向バッフルを含む、水再分配システムと、
前記下側断熱パッドの下方に設置された水回収トレイと、を備える乾式断熱冷却器。
【請求項10】
前記水再分配システムは、前記上側断熱パッドと前記複数の水偏向バッフルの最上部のものとの間に設置された上側水回収トレイをさらに備える、請求項9に記載の乾式断熱冷却器。
【請求項11】
前記水再分配システムは、最も低い水偏向バッフルの下方に設置された底部水回収トレイをさらに備える、請求項9または10に記載の乾式断熱冷却器。
【請求項12】
前記水再分配システムは、前記底部水回収トレイの下方に設置され、水を前記下側断熱パッドに再分配するように構成された水再分配パッドをさらに備える、請求項9~11のいずれかに記載の乾式断熱冷却器。
【請求項13】
各前記水偏向バッフルは、上向き曲げフランジを備え、この上向き曲げフランジは、前記水偏向バッフルと前記フレームの内面との間に取り付けポイントを構成する、請求項9~12のいずれかに記載の乾式断熱冷却器。
【請求項14】
前記水再分配システムは、シーラントを含まない、請求項9~13のいずれかに記載の乾式断熱冷却器。
【請求項15】
前記水偏向バッフルは、前記フレームの垂直面から35°~75°の角度で配置される、請求項9~14のいずれかに記載の乾式断熱冷却器。
【請求項16】
前記水再分配システム内の水の自由落下高さが5インチを超えない、請求項9~15のいずれかに記載の乾式断熱冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱的に予冷される乾式熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱予冷システムは、空気の水分含有量を増加させることによって、流入空気の乾球温度を低下させるために、完全に飽和した断熱媒体を必要とする。大型の断熱システムは、大型の空冷式熱交換器の表面を覆うために互いの上部に積み重ねられた湿潤媒体を有する。例えば、図1に示す先行技術のモジュール式断熱空冷熱交換器を参照。図1に示すように、水分配チューブが、上部断熱予冷パッドの上方に設置され、上部断熱パッド上に水を滴下または噴射する。上部断熱パッドを通過した水は、下部断熱パッドに流出する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
積み重ねられた湿潤媒体は、上部断熱セクションからの排出水を再分配または除去し、下側断熱セクションに水を供給する中間セクションを必要とすることを本発明者は発見した。しかしながら、断熱再分配システムの潜在的な課題は、水の迷走、不均等分配を含み、および/または、シーラントの使用を必要とすることがある。水の迷走は、排出水の飛沫や再分配システムの設計不良によって生ずることがある。水漏れにより、湿潤媒体が完全に飽和するのを阻止する場合、水の迷走により断熱性能が劣化することがある。完全に飽和していない湿潤媒体により、排熱機器全体が意図したように動作しなくなり、より高いエネルギー消費量や、より高い流出流体温度をもたらす。水の迷走はまた、断熱システムや排熱機器および構造の望ましくない腐食をもたらすこともある。熱伝達表面の腐食は、より高いエネルギー消費量やより高い流出流体温度をもたらすことになる。最後に、漏れた水は、排熱機器の内部に水たまりを作ったり、溜まることがあり、ファンまたは空気移動装置が水をエアロゾル化することがあり、レジオネラ菌の蔓延を引き起こす可能性がある。
【0004】
排出水を下側セクションの分配トラフに均等に分配しない断熱再分配システムでは、湿潤媒体を完全に飽和させないことがある。さらに、完全に飽和していない湿潤媒体は、排熱機器全体全体が意図したように動作しなくなり、より高いエネルギー消費量や、より高い流出流体温度をもたらす。
【0005】
一般には、水の迷走を防ぐために、支持材の継ぎ目や接合部にシーラントが使用される。しかしながら、シーラントの使用は、断熱再分配システムに潜在的な問題をもたらすことがあり、時間経過とともにシーラントが劣化して断熱システムを水の移動に対して脆弱にするためである。野外支持材継ぎ目を組み込んだ断熱再分配システム設計は、設置の際に組立作業者が適切なシーラントを塗布し忘れる可能性がある。
【0006】
本発明は、飛沫の高さを方向転換して低減する水落下/バッフル設計および、シーラント使用なしの再分配水の閉じ込めを中間システムに設けることによって、これらの予想される問題に対する解決策を提供しようとする。
【0007】
本発明によれば、断熱再分配システムに入った水は、上部断熱セクションから来る排出水となって排水路を通る。排水路から水は1つ以上の傾斜したバッフル上に落下し、水の流出を許容し、飛沫を最小化する。傾斜したバッフルは、ジグザグパターンに配置され、水を下向きに滝のように流す。バッフルを通過した後、水は、下側断熱システムに分配するための分配トラフを満たす。バッフル設計により、シーラント無しの再分配を可能にし、断熱システム全体の内部運河から水が漏れるのを防止する。
【0008】
本発明の水落下/バッフル設計は、水を外部ケーシング継ぎ目から遠ざけるように方向転換し、水を再分配システムの内部に維持し、これらの継ぎ目上のシーラントの必要性を回避する。外側ケーシング継ぎ目は、配水システムの内部運河から水を逃がすために、水を上り坂に上げて付勢するように構成された角度で設定された金属板の切れ目も有する。水を縫い目から遠ざけるとともに、バッフルは、水が自由落下するまでの垂直距離を減少させる。この自由落下高さを減少させることにより、広範なまたは大量の飛沫が外部継ぎ目に水を押し込む可能性がある運河内の飛沫を減少させる。飛沫を減少させ、外部縫い目を保護することにより、再分配システムの外側への水の迷走を防止し、シーラントの必要性を排除することになる。
【0009】
本発明の水落下/バッフル設計は、再分配システムの長さに渡って水の均等分配を支援する。下側断熱セクション分配トラフは、湿潤媒体が完全に飽和することを確保するために、一定量の水頭と水位を必要とする。飛沫の減少により水の乱流を低減するようになる。乱流が少なくなると、水の均等分布およびトラフ全体の均等水位を促進するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の好ましい実施形態の下記説明は、添付図面を参照する。
【0011】
図1】積み重ねられた断熱パネルを備えた先行技術のモジュール式断熱空冷排熱システムの図である。
図2】積み重ねられた断熱パネルを備えた断熱空冷排熱システムの側面図である。
図3】本発明に係る予冷式断熱システムの斜視図であり、上側断熱セクションと、下側断熱セクションと、上側断熱セクションと下側断熱セクションの間に配置された本発明の一実施形態に係る断熱水再分配システムとを有する。
図4】本発明の一実施形態に係る断熱再分配システムの頭上斜視図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る断熱再分配システムの側方斜視図である。
図6図4の実施形態に係る断熱水再分配の側面図である。
【0012】
添付図面中の構成は、下記の参照番号が付与される。
1 断熱システム
2 乾式冷却器
3 断熱水分配システム
4 断熱媒体
5 断熱再分配システム
6 断熱媒体
7 排水路
8 上部断熱セクション排水パン
9 大型翼付き傾斜バッフル
10 小型翼付き傾斜バッフル
11 取り外し可能な傾斜バッフル
12 下側断熱セクション分配トラフ
13 支持外部構造
14 ハンドル
15 分配パッド媒体
16 水流路
18 ファン
20 上向き曲げフランジ
22 下向き曲げフランジ
24 サイドバリア
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2図3を参照すると、断熱予冷式乾式空気冷却器排熱システム1が、断熱予冷システム2を含む。断熱予冷システム2は、断熱媒体4,6のセクション上に断熱予冷水を分配するように構成された水分配システム3を含む。空気が、ファン18を介して断熱媒体4,6を通って乾式冷却器2を通って、空気を事前調整し、乾式冷却器2の性能を改善する。水は、断熱水分配システム3を介して断熱媒体4の上側セクションに分配される。そして、水は、断熱再分配システム5に入り、断熱媒体6の下側セクションに再分配される。水は、最終的に排水路7に回収される。排水路7に回収された水は、必要に応じてポンプおよびリターンパイプを介して水分配システム3に送られてもよい。水分配システム3は、任意の種類の水分配システムでもよく、断熱媒体4の上部を横切って配置された水チューブを含み、水チューブの底部に孔が設けられる。この孔は、むき出しでもよく、ノズルが取り付けられてもよい。
【0014】
ここで図4図6を参照すると、再分配システム5は、上側排水パン8を含み、これは上側断熱媒体セクション4内の断熱パッドの底部から排出される水を受け取るように設置される。上側排水パン8は、斜面またはV字の形状に形成でき、長手方向チャネルを形成する。上側排水パン8の下方には、複数の傾斜したバッフル9,10,11が外部ケーシング構造13に接続されて配置される。バッフル9,10,11は、水がケーシング構造13の内部で滝のように流れることを可能にする交互配置またはジグザグパターンで配置されることが好ましい。上側排水パン8の底部に形成された孔は、上側排水パン8内に回収された水が複数の傾斜したバッフル9,10,11の上に順次流れるのを可能にし、これにより図6のカスケード流路16を示す矢印で示すように、水の流出を可能にし、飛沫を最小化できる。カスケード流路16の終端で、水は、下側断熱セクション分配トラフ12に到達する。トラフ12には、一連の排水孔が設けられ、分配パッド媒体15上での水の分配を可能にし、そして水を下側断熱セクション6の断熱パッド上に分配する。複数のバッフル9,10,11により、断熱再分配システム5は、シーラントが不要となり、断熱システム1全体の内部運河から水が漏れるのを防止する。複数のバッフルの各々の上面は、上向きに曲がったフランジ20を採用することが好ましく、このフランジはバッフルとフレーム13との間の取り付けポイント点であり、フランジの上向き方向は、システムからの水の漏出/損失を抑制するように構成される。さらに、各バッフルの底面には、下向きに曲がったフランジ22を設けてもよく、これは水の表面張力と付着力によって下側バッフルへの水の飛沫を抑制できる。各バッフルの側面には、必要に応じてサイドバリア24を設けてもよく、バッフルの側面からの水の漏出/損失を抑制する。
【0015】
ここで説明する実施形態は3つのバッフルを含むが、本発明の水分配システムは、より少ないまたはより多くのバッフルを含んでもよい。
【0016】
バッフルは、好ましくは、再分配システム5を通る水の流量を制御するために、フレーム13の垂直部品から角度α1,α2,α3で配置される。角度α1,α2,α3は、全て同じでもよく、あるいは互いに異なってもよい。角度α1,α2は、30°と75°の間の任意の角度に設定でき、好ましくは45°と75°の間、最も好ましくは約60°に設定できる。角度α3は、30°と75°の間の任意の角度に設定でき、好ましくは35°と65°の間、最も好ましくは約50°に設定できる。
【0017】
より多くのバッフルを使用する場合、角度α1,α2,α3は、典型的には、範囲の上限(より浅い傾斜)でもよい。より少ないバッフルを使用する場合、角度α1,α2,α3は、典型的には、範囲の下端でもよく、すべて同じでもよい(より急峻な傾斜)。
【0018】
ここで開示される交互配列バッフルパターン/配置は、水滴高さを成分の自由落下高さy1,y2,y3に分割し、その飛沫高さを有効に減少させる。飛沫高さを減少させることによって、水は、制御された方法で構造の継ぎ目から遠くに向けられる。これにより構造シーラントの必要性を軽減しまたは排除する。バッフルは、自由落下高さy1,y2,y3が全て同じになるように、または異なるように配置してもよい。自由落下高さy1は、好ましくは3.5インチと5インチの間のいずれかに設定でき、より好ましくは約4.17インチに設定できる。自由落下高さy2は、好ましくは1.0インチと2.0インチの間のいずれかに設定でき、より好ましくは約1.4インチに設定できる。自由落下高さy3は、好ましくは0.5インチと1.5インチの間のいずれかに設定でき、より好ましくは約1.05インチに設定できる。
【0019】
好ましい実施形態では、1つ以上の傾斜したバッフルは、メンテナンスおよび清掃の目的でハンドル14を介して一時的に除去できる取り外し可能なパネル11と一体化される。
【0020】
本発明の概念から逸脱することなく、上述した好ましい実施形態を変更できることは当業者に理解されよう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないが、本開示で概説され、本明細書の観点で読み取られる下記の請求項の最も広範な合理的な解釈に従って定義される本発明の精神および範囲内の変更をカバーすることを意図していることは理解されよう。特に、任意の数の交互配列バッフルを含む任意の断熱水再分配システムは、本発明の範囲内にあるとみなされる。さらに、上側水回収トレイ、下側水回収トレイ、および水再分配パッドの使用は任意でもよい。さらに、ここで説明する断熱水再分配システムは、任意の2つの断熱パッドまたは他の断熱媒体の間で使用してもよく、この場合、一方の断熱パッド/媒体が他方の上方に配置され、2列、3列またはそれ以上の列の断熱媒体が互いの上方に積み重ねられる場合を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】