(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】腫瘍及び/又は免疫細胞を標的化する結合剤
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240312BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240312BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240312BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240312BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240312BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240312BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240312BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240312BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240312BHJP
C07K 17/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240312BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/18
C07K16/28
C07K16/46
C07K16/30
C07K19/00
C07K17/00
A61P35/00
A61P35/04
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K47/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560694
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 CA2022050442
(87)【国際公開番号】W WO2022204793
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522245477
【氏名又は名称】キソジ・バイオテクノロジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュガン・ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ワーガチャック
(72)【発明者】
【氏名】ウェンヤン・ホウ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ダ・クルス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エス・ヤング
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF31
4C085AA13
4C085BB11
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA50
4H045BA60
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、概しては、腫瘍細胞及び/又は免疫細胞を標的化する能力を有する結合剤に関する。本開示の結合剤は、DR2、PD-1及び/又はCD47に結合する能力を有する重鎖抗体(HcAb)の1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む。本開示の結合剤は、単量体又は多量体の形態であってよく、単一特異性又は多特異性であってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、
a.配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
b.配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
c.配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
d.配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
e.配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
f.配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
g.配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
h.配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
i.配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
j.配列番号32に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
k.配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
l.配列番号39に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号41に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
m.配列番号43に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号45に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
n.配列番号46に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号48に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
o.配列番号50に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号51に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号52に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
p.配列番号53に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号54に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
q.配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
r.配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
s.配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
t.配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
u.配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
v.配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
w.配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;又は
x.配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖
を含む、結合剤。
【請求項2】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、
a.配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
b.配列番号60に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号61に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号62に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;又は
c.配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖
を含む、結合剤。
【請求項3】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、
a.配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号66に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
b.配列番号67に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号68に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号69に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;又は
c.配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖
を含む、結合剤。
【請求項4】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、
a.請求項1に規定の抗原結合性ドメイン1(ABD1)、
b.請求項2に規定の抗原結合性ドメイン2(ABD2)、又は
c.請求項3に規定の抗原結合性ドメイン3(ABD3)
から選択される、結合剤。
【請求項5】
a.配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
b.配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
c.配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
d.配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
e.配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
f.配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
g.配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
h.配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
i.配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
j.配列番号32に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
k.配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
l.配列番号39に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号41に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
m.配列番号43に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号45に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
n.配列番号46に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号48に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
o.配列番号50に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号51に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号52に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
p.配列番号53に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号54に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
q.配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
r.配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
s.配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
t.配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
u.配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
v.配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
w.配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
x.配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
y.配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
z.配列番号60に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号61に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号62に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
aa.配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;
bb.配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号66に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
cc.配列番号67に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号68に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号69に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
dd.配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖;又は
ee.a.~dd.のいずれか1つの組合せ
を含む結合剤。
【請求項6】
1つより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項7】
2個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項8】
3個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項9】
4個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項10】
5個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項11】
6個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項12】
1~12個の抗原結合性ドメインを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項13】
前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、腫瘍細胞に結合する能力を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項14】
前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫調節因子に結合する能力を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項15】
前記免疫調節因子が免疫チェックポイントタンパク質である、請求項14に記載の結合剤。
【請求項16】
前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫細胞に結合する能力を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項17】
前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質に結合する能力を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項18】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、単球又はマクロファージを含む、請求項16又は17に記載の結合剤。
【請求項19】
1つより多くの抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが請求項1に規定の抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインである、結合剤。
【請求項20】
1つより多くの抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが請求項1に規定の抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインである、結合剤。
【請求項21】
免疫チェックポイントタンパク質がPD-1である、請求項15から20のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項22】
免疫細胞の表面に発現されるタンパク質がCD47である、請求項17、18、20又は21のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項23】
免疫細胞の表面に発現されるタンパク質がCD3である、請求項17、18、20又は21のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項24】
少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む、請求項4から23のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項25】
少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から23のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項26】
少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から23のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項27】
少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から23のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項28】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項29】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項30】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項31】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項32】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項33】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項34】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項35】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む結合剤であって、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む、結合剤。
【請求項36】
二量体化ドメインを含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項37】
前記二量体化ドメインが抗体又はその部分の定常領域を含む、請求項36に記載の結合剤。
【請求項38】
前記二量体化ドメインがCH3ドメインを含む、請求項36に記載の結合剤。
【請求項39】
前記CH3ドメインが天然CH3ドメイン又は変異型CH3ドメインである、請求項38に記載の結合剤。
【請求項40】
前記二量体化ドメインがCH2ドメインも含む、請求項38又は39に記載の結合剤。
【請求項41】
前記CH2ドメインが天然CH2ドメイン又は変異型CH2ドメインである、請求項40に記載の結合剤。
【請求項42】
前記二量体化ドメインが天然CH2ドメイン及び天然CH3ドメインを含む、請求項41に記載の結合剤。
【請求項43】
前記二量体化ドメインが天然CH2ドメイン及び変異型CH3ドメインを含む、請求項41に記載の結合剤。
【請求項44】
前記二量体化ドメインが変異型CH2ドメイン及び天然CH3ドメインを含む、請求項41に記載の結合剤。
【請求項45】
前記二量体化ドメインが変異型CH2ドメイン及び変異型CH3ドメインを含む、請求項41に記載の結合剤。
【請求項46】
ヒンジ領域も含む、請求項36から45のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項47】
前記ヒンジ領域が天然のヒンジ領域又は変異型ヒンジ領域である、請求項46に記載の結合剤。
【請求項48】
前記抗原結合性ドメインが1つ又は複数のポリペプチド鎖上にある、請求項1から47のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項49】
前記抗原結合性ドメインが同じポリペプチド鎖上にある、請求項1から48のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項50】
少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む、請求項1から49のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項51】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む、請求項1から50のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項52】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が異なる抗原結合性ドメインを含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項53】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同じ抗原結合性ドメインを含む、請求項1から52のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項54】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項55】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項56】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項57】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項58】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項59】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項60】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が、同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)、同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む、請求項4から53のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項61】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が同じである、請求項1から60のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項62】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式I:
X-[(Ab
a)-(L
b)]
m-(DD)-[(L
c)-(Ab
d)]
n-Y
のアミノ酸配列を含み;
mが、0、1、2又は2より大きい整数であり;
nが、0、1、2又は2より大きい整数であり;
m及びnが同時に0ではなく;
Ab
a、Ab
dが各々、抗原結合性ドメインを表し、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり;
X又はYが独立して存在するか又は存在せず、アミノ酸配列を含み;
L
b、L
cが各々独立して1つ又は複数のリンカーを含み;且つ
DDが二量体化ドメインを表す、
請求項48から61のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項63】
ポリペプチド鎖が1個の抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項64】
ポリペプチド鎖が、1個より多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項65】
ポリペプチド鎖が、2個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項66】
ポリペプチド鎖が、3個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項67】
ポリペプチド鎖が、4個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項68】
ポリペプチド鎖が、5個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項69】
ポリペプチド鎖が、6個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項70】
ポリペプチド鎖が、1~12個の抗原結合性ドメインを含む、請求項48から62のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項71】
mが2又は2より大きい整数である場合、[(Ab
a)-(L
b)]単位が同じである、請求項62から70のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項72】
mが2又は2より大きい整数である場合、[(Ab
a)-(L
b)]単位が異なる、請求項62から70のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項73】
mが2より大きい整数である場合、[(Ab
a)-(L
b)]単位が同じ及び異なる単位を含む、請求項62から70のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項74】
nが2又は2より大きい整数である場合、[(L
c)-(Ab
d)]単位が同じである、請求項62から73のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項75】
nが2又は2より大きい整数である場合、[(L
c)-(Ab
d)]単位が異なる、請求項62から73のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項76】
nが2又は2より大きい整数である場合、[(L
c)-(Ab
d)]単位が同じ及び異なる単位を含む、請求項62から73のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項77】
mが2又は2より大きい整数である場合、各々のAb
aが同じ又は異なる、請求項62から70のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項78】
nが2又は2より大きい整数である場合、各々のAb
dが同じ又は異なる、請求項62から70又は77のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項79】
Ab
aがABD1を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項80】
Ab
dがABD2を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項81】
Ab
dがABD3を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項82】
mが1であり、且つAb
aがABD1を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項83】
nが2であり、且つAb
dのうちの1つがABD2を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項84】
nが2であり、且つAb
dのうちの1つがABD3を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項85】
nが2であり、Ab
dのうちの1つがABD2を表し、且つ他のAb
dがABD3を表す、請求項62から78のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項86】
mが、2、3、4、5又は5より大きい整数である、請求項62から85のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項87】
nが、3、4、5又は5より大きい整数である、請求項62から86のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項88】
L
bが抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域である、請求項62から87のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項89】
L
cが剛性リンカーである、請求項62から88のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項90】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において以下:
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-Y (式II);
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III);
X-(Ab
a1)-(L
b2)-(Ab
a2)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-Y (式IV);
X-(Ab
a1)-(L
b2)-(Ab
a2)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式V)
X-(Ab
a1)-(L
b2)-(Ab
a2)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-(L
c3)-(Ab
d3)-Y (式VI);
X-(Ab
a1)-(L
b3)-(Ab
a2)-(L
b2)-(Ab
a3)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式VII);
X-(Ab
a1)-(L
b3)-(Ab
a2)-(L
b2)-(Ab
a3)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-(L
c3)-(Ab
d3)-Y (式VIII)
のいずれか1つのアミノ酸配列を含み;
Ab
a1、Ab
a2、Ab
a3、Ab
d1、Ab
d2、Ab
d3の各々が抗原結合性ドメインを表し、前記抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つが、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり;
L
b1が、1つ若しくは複数のリンカー及び/又は抗体若しくはその抗原結合性断片のヒンジ領域を含み;
L
b2、L
b3、L
c1、L
c2、及びL
c3が、各々独立して、1つ又は複数のリンカーを含み;且つ
DDが二量体化ドメインを表す、
請求項48から89のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項91】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式III
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III)
のアミノ酸配列を含み;
Ab
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表す、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項92】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式III
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III)
のアミノ酸配列を含み;
Ab
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表す、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項93】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式III
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III)
のアミノ酸配列を含み;
Ab
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項94】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式III
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III)
のアミノ酸配列を含み;
Ab
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表し、Ab
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表し、且つAb
a1、Ab
d1又はAb
d2のうちの1つが抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項95】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式III
X-(Ab
a1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(Ab
d1)-(L
c2)-(Ab
d2)-Y (式III)
のアミノ酸配列を含み;
Ab
a1が抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表し、Ab
d1が抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表し、且つAb
d2が抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項96】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式IIIa:
X-(ABD1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(ABD2)-(L
c2)-(ABD3)-Y (式IIIa)
のアミノ酸配列を含む、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項97】
ポリペプチド鎖の各々が、独立して、N末端からC末端への様式において式IIIb:
X-(ABD1)-(L
b1)-(DD)-(L
c1)-(ABD3)-(L
c2)-(ABD2)-Y (式IIIb)
のアミノ酸配列を含む、
請求項48から90のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項98】
二量体化ドメインが天然ヒトIgG1 CH2及び変異型IgG1 CH3を含む、請求項36から97のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項99】
変異型IgG1 CH3が、EUナンバリングにしたがってD399、D/E356及び/若しくはK370に対応する位置における1つ若しくは複数のアミノ酸置換又はD399、E357及び/若しくはK439に対応する位置における1つ若しくは複数の変異を含む、請求項97に記載の結合剤。
【請求項100】
前記変異型IgG1 CH3ドメインが、EUナンバリングにしたがってY349、T350、L351、P352、S354、R/Q355、T394及び/又はP395に対応する位置における1つ又は複数のアミノ酸置換を更に含む、請求項99に記載の結合剤。
【請求項101】
前記変異型CH3ドメインが、
d.変異D399N、D/E356Q、K370E;
e.変異D399N、K439E、E357Q;
f.変異D399Q、D/E356Q、K370E、Y349K及びS354K;
g.変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351W;
h.変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354M;
i.変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350I;
j.変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350V;
k.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352R;
l.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352E;
m.変異D399Q、D/E356Q及びK370E;
n.変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Y;
o.変異D399N、D/E356Q、K370E、及びL351H;
p.変異D399N、D/E356Q、K370E、及びR355K;
q.変異D399N、D/E356Q、K370E、及びQ355K;
r.変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354K;
s.変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350L;
t.変異D399N、D/E356Q、K370E及びT394N;
u.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Y;
v.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352V;
w.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352T;
x.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352L;
y.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352G;
z.変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352C;
aa.変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351T;
bb.変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351A;
cc.変異D399Q、E357Q、K439E、Y349D及びS354D;
dd.変異D399N、E357Q、K439E及びL351R;
ee.変異 In D399N、E357Q、K439E及びL351Y;
ff.変異D399N、E357Q、K439E及びT350I;
gg.変異D399N、E357Q、K439E及びT350V;
hh.変異D399Q、K439E、E357Q;
ii.変異D399N、K439E、E357Q、S354K;
jj.変異D399N、K439E、E357Q、S354W;
kk.変異D399N、K439E、E357Q、Y349R;
ll.変異D399N、K439E、E357Q、T350L;
mm.変異D399N、K439E、E357Q、R355W;
nn.変異D399N、K439E、E357Q、Q355W;
oo.変異D399N、K439E、E357Q、P395I;
pp.変異D399N、K439E、E357Q、P395G;
qq.変異D399N、K439E、E357Q、P395E;
rr.変異D399N、K439E、E357Q、P352K;
ss.変異D399N、K439E、E357Q、P352D;並びに
tt.変異D399N、K439E、E357Q、L351D
から選択される変異を含む、請求項99又は100に記載の結合剤。
【請求項102】
リンカーの各々が、独立して、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50アミノ酸残基の長さを有する、請求項62から101のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項103】
リンカーの各々が、独立して、柔軟性リンカー、らせん状リンカー、又は剛性リンカーである、請求項62から102のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項104】
前記リンカーが柔軟性リンカーを含む、請求項103に記載の結合剤。
【請求項105】
前記リンカーが剛性リンカーを含む、請求項103に記載の結合剤。
【請求項106】
L
c1、L
c2及び/又はL
c3が剛性リンカーである、請求項90から105のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項107】
前記1つ又は複数のポリペプチド鎖が抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域を更に含む、請求項62から106のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項108】
前記ヒンジ領域が二量体化ドメインのN末端にある、請求項107に記載の結合剤。
【請求項109】
前記ヒンジ領域が、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4からのものである、請求項107又は108に記載の結合剤。
【請求項110】
各々の抗原結合性ドメインが、異なるエピトープに特異的に結合する能力を有する、請求項1から109のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項111】
各々の抗原結合性ドメインが、異なる抗原に特異的に結合する能力を有する、請求項1から110のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項112】
各々の抗原結合性ドメインが、異なるタンパク質に特異的に結合する能力を有する、請求項1から111のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項113】
2つのポリペプチド鎖のうちの1つが、EUナンバリングにしたがってD399、D/E356及び/又はK370に対応する位置における1つ又は複数のアミノ酸置換を含む変異型CH3ドメインを含む第1の二量体化ドメイン(DD
1)を含み;
且つ
前記2つのポリペプチド鎖のうちの他方が、EUナンバリングにしたがってD399、E357及び/又はK439に対応する位置における1つ又は複数のアミノ酸置換を含む変異型CH3ドメインを含む第2の二量体化ドメイン(DD
2)を含む、
請求項50から112のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項114】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q及びK370Eを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q及びK439Eを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項113に記載の結合剤。
【請求項115】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)及び/又は第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがってY349、T350、L351、P352及び/又はS354に対応する位置におけるアミノ酸置換を更に含む変異型CH3ドメインを含む、請求項113又は114に記載の結合剤。
【請求項116】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399Q、D/E356Q、K370E、Y349K及びS354Kを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399Q、E357Q、K439E、Y349D及びS354Dを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項117】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Wを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項118】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354Mを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Yを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項119】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Iを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びT350Iを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項120】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Vを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びT350Vを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項121】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Rを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項122】
前記第1の二量体化ドメイン(DD
1)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Eを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ前記第2の二量体化ドメイン(DD
2)が、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む、請求項115に記載の結合剤。
【請求項123】
多特異性である、請求項1から122のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項124】
二特異性、三特異性又は四特異性である、請求項123に記載の結合剤。
【請求項125】
多価である、請求項1から124のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項126】
ポリペプチド鎖が同じ価数及び特異性を有する、請求項48から124のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項127】
ポリペプチド鎖が異なる価数及び特異性を有する、請求項48から125のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項128】
ポリペプチド鎖の各々が抗体重鎖である、請求項48から127のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項129】
二特異性抗体である、請求項48から128のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項130】
前記二特異性抗体が第1の抗体軽鎖及び第2の抗体軽鎖を更に含む、請求項129に記載の結合剤。
【請求項131】
1つ又は複数の抗原結合性ドメインがヒト化されている、請求項1から130のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項132】
X又はYが、リンカー、サイトカイン、ケモカイン、タグ、マスキングドメイン、ファージコートタンパク質(pIII、pVI、pV、pVII若しくはpIX)、抗原結合性ドメイン又はこれらの組合せから独立して選択される、請求項62から131のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項133】
抗体又はその抗原結合性断片である、請求項1から132のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項134】
抗体様分子である、請求項1から133のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項135】
タンパク質スキャフォールドを含む、請求項1から134のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項136】
免疫細胞調節剤を含む、請求項1から135のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項137】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号77に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項138】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号78に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項139】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号79に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項140】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号80に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項141】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号81に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項142】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号82に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項143】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号83に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項144】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号85に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項145】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号86に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項146】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号87に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項147】
1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む結合剤であって、前記ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つが、配列番号88に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する、結合剤。
【請求項148】
前記ポリペプチド鎖が、相補性決定領域の外側にアミノ酸置換、付加又は欠失を含む、請求項137から147のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項149】
前記結合剤が、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖が異なる、請求項1から148のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項150】
前記2つのポリペプチド鎖が、アセンブルしてホモ二量体を形成する能力を有する、請求項149に記載の結合剤。
【請求項151】
前記2つのポリペプチド鎖が、アセンブルしてヘテロ二量体を形成する能力を有する、請求項149に記載の結合剤。
【請求項152】
a.配列番号77に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
b.配列番号78に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
c.配列番号79に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
d.配列番号80に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
e.配列番号81に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
f.配列番号82に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
g.配列番号83に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
h.配列番号85に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
i.配列番号86に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤;
j.配列番号87に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤、又は
k.配列番号88に示されるアミノ酸配列を各々が有する2つのポリペプチド鎖を含む結合剤
から選択される結合剤。
【請求項153】
治療用部分にコンジュゲートされている、請求項1から152のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項154】
検出可能な部分にコンジュゲートされている、請求項1から153のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項155】
延長された半減期を可能とするタンパク質にコンジュゲートされている、請求項1から154のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項156】
ナノ粒子に取り付けられている、請求項1から155のいずれか一項に記載の結合剤。
【請求項157】
請求項1から156のいずれか一項に記載の結合剤を含む組成物。
【請求項158】
単量体、二量体及びこれらの混合物を含む、請求項157に記載の組成物。
【請求項159】
前記組成物の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くが二量体を含む、請求項158に記載の組成物。
【請求項160】
前記組成物の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くがホモ二量体を含む、請求項158に記載の組成物。
【請求項161】
前記組成物の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くがヘテロ二量体を含む、請求項158に記載の組成物。
【請求項162】
請求項1から161のいずれか一項に記載の結合剤及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項163】
80.0%~99.9%の純度レベルを有する結合剤を含む、請求項162に記載の医薬組成物。
【請求項164】
請求項1から163のいずれか一項に記載の結合剤をコードする核酸又は核酸のセット。
【請求項165】
請求項164に記載の核酸を含むベクター。
【請求項166】
請求項1から165のいずれか一項に記載の結合剤を発現する細胞。
【請求項167】
請求項164に記載の核酸又は請求項165に記載のベクターを含む細胞。
【請求項168】
請求項1から156のいずれか一項に記載の結合剤を含むキット。
【請求項169】
請求項164に記載の核酸、又は請求項165に記載のベクター又は請求項166若しくは167に記載の細胞を含むキット。
【請求項170】
請求項1から156のいずれか一項に記載の結合剤、請求項157から161のいずれか一項に記載の組成物又は請求項162若しくは163に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、障害又は疾患を処置する方法。
【請求項171】
前記障害又は疾患ががんである、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
前記障害又は疾患が固形腫瘍である、請求項170又は171に記載の方法。
【請求項173】
前記障害又は疾患が進行性転移性固形がんである、請求項170から172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記障害又は疾患が血液がんである、請求項170から172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記障害又は疾患が肺がんである、請求項170から173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記肺がんが小細胞肺がんである、請求項175に記載の方法。
【請求項177】
前記肺がんが非小細胞肺がんである、請求項175に記載の方法。
【請求項178】
前記肺がんが転移性である、請求項175から177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記障害又は疾患が骨髄腫である、請求項170から173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
請求項164に記載の核酸又は核酸のセットを含む1つ又は複数のベクターを用いて細胞を形質転換する工程を含む、請求項1から152のいずれか一項に記載の結合剤を製造する方法。
【請求項181】
前記結合剤が前記細胞から精製される、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記結合剤の純度レベルが80.0%~99.9%である、請求項181に記載の方法。
【請求項183】
前記結合剤を、治療用部分、検出可能な部分、延長された半減期を可能とするタンパク質とコンジュゲートするか、又はナノ粒子に取り付ける工程を更に含む、請求項180から182のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概しては、腫瘍細胞及び/又は免疫細胞を標的化する能力を有する結合剤に関する。本開示の結合剤は、DR2、PD-1及び/又はCD47に結合する能力を有するVHH抗体の1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む。本開示の結合剤は、単量体又は多量体の形態であってよく、単一特異性又は多特異性であってよい。
【背景技術】
【0002】
ラクダ科動物及び軟骨魚は、機能的なホモ二量体重鎖のみの抗体(HCAb)から構成される抗体を天然に産生する(Hamers-Castermanら、1993;Muyldermans及びSmider、2016)。HCAbの重鎖は第1の定常ドメイン(CH1)を欠いており、軽鎖対合に通常関与するわずか数アミノ酸の置換により古典的な抗体とは異なる(Muyldermansら、1994;Vuら、1997)。これらの置換(Val37Phe/Tyr、Gly44Glu、Leu45Arg、及びTrp47Gly)はフレームワーク領域2(FR2)中に存在する。HCAbの抗原結合性断片は、VHH又はナノボディ(登録商標)と称される。VHHは約15kDaの分子量を有し、これによりそれらは、増強された組織透過又は迅速なクリアランスを要求する適用、例えば放射性同位体ベースのイメージングに適したものとなる。しかしながら、治療適用のために、VHHの半減期は、通常、腎臓クリアランスを最小化し、且つ治療有効性を最適化するように増加させる必要がある(De Vliegerら、Antibodies 8(1)、1~22頁、2019)。VHHの半減期を増加させる方法、例えばPEG化、N-グリコシル化、HSA又は他のキャリアタンパク質との融合が活用されているが、そのような構築物は免疫原性を導入し得るか、又は成功は限定的となり得る。
【0003】
VHHは、二特異性及び多特異性抗体を作製するためのビルディングブロックとして活用されている。一部の研究において、二価構築物は、一価形態と比較して増加したアビディティ又は親和性を有することが示されている(Conrathら、2001; Coppietersら、2006; Hmilaら、2008; Simmonsら、2006及びHultbergら、2011、Jahnichenら(2010)、Fridyら、2014)。
【0004】
多数のVHHベースの治療剤が現在、後期治験ステージにあるか、又はFDAにより承認されている。これらとしては、血栓性血小板減少性紫斑病に対して承認された抗原vWFに対する二価単一特異性抗体カプラシズマブが挙げられる(Duggan、2018)。RSVに対する三価ナノボディ複合体、ALX-0171は、呼吸器合胞体ウイルス感染症に対して後期開発ステージにある(Detalleaら、2015)。ALX-0061は、抗原IL-6Rに対して一価であるが、半減期を延長させるためにHSAナノボディに取り付けられており、RA及びSLE適応症に対して臨床開発ステージにある(Van Royら、2015)。治験薬物ALX-0761は、抗原IL-17A、IL-17F及びHASに対する3つのナノボディを含有し、乾癬に対して開発されている(Svecovaら、2019)。抗RANKL、ALX-0141は、抗原RANKLに対して二価であり、半減期を延長させるためにHSAに取り付けられている(Schoenら、2013)。オゾラリズマブは、抗原TNFαに対する二価ナノボディであり、半減期を延長させるためにHSAに取り付けられている(Fleischmannら、2012)。
【0005】
本出願人は、1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含有する腫瘍細胞及び/又は免疫細胞を標的化する新規の結合剤を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0010242号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20110076275号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】De Vliegerら、Antibodies 8(1)、1~22頁、2019
【非特許文献2】Vincke C.ら(J. Biol Chem. 2009、284(5):3273~3284頁)
【非特許文献3】Kovalenko OVら(J Biol Chem. 2013、288:17408~17419頁)
【非特許文献4】Saunders K.O.(Front. Immunol. 10:1296頁、2019)
【非特許文献5】Ha, J-Hら(Front Immunol、2016;7:394頁)
【非特許文献6】Godar Mら(Expert Opinion on Therapeutic patents、2018;28(3):251~276頁)
【非特許文献7】Chen Xら(Adv Drug Deliv Rev. 2013;65(10):1357~1369頁)
【非特許文献8】Angal, S.ら、Mol Immunol 30、105~108頁、1993
【非特許文献9】Tatiana A. Tatusova、Thomas L. Madden (1999)、「Blast2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」、FEMS Microbiol Lett. 174:247~250頁
【非特許文献10】Vandesompele J.ら、Genome Biology 2002
【非特許文献11】Hellemansら、Genome Biology, 2007
【発明の概要】
【0008】
本開示は、概しては、特に、腫瘍細胞及び/又は免疫細胞を標的化する能力を有する結合剤に関する。
【0009】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、DR2、PD-1及び/又はCD47に結合する能力を有する。本開示の他の実施形態では、結合剤は、DR2を発現する細胞、PD-1を発現する細胞及び/又はCD47を発現する細胞に結合してよい。
【0010】
一部の実施形態では、DR2を発現する細胞は腫瘍細胞を含む。
【0011】
一部の実施形態では、PD-1を発現する細胞は免疫細胞を含む。
【0012】
一部の実施形態では、CD47を発現する細胞は免疫細胞又は腫瘍細胞を含む。
【0013】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、DR2若しくはDR2を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン、PD-1若しくはPD-1を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及び/又はCD47若しくはCD47を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインを含んでよい。本開示によれば、結合剤はまた、追加の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0014】
一部の実施形態では、DR2又はDR2を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン1(ABD1)である。一部の実施形態では、DR2又はDR2を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインは抗原結合性ドメイン1(ABD1)に限定されない。
【0015】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)を含んでよい。
【0016】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び少なくとも1つの他の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0017】
一部の事例では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)を含んでよく、且つまた免疫細胞に結合してよい。よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び免疫細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0018】
一部の実施形態では、PD-1又はPD-1を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン2(ABD2)である。一部の実施形態では、PD-1又はPD-1を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインは抗原結合性ドメイン2(ABD2)に限定されない。
【0019】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含んでよい。
【0020】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び少なくとも1つの他の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0021】
一部の事例では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含んでよく、且つまた腫瘍細胞に結合してよい。よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0022】
一部の実施形態では、CD47又はCD47を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン3(ABD3)である。一部の実施形態では、CD47又はCD47を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインはABD3に限定されない。
【0023】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含んでよい。
【0024】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)及び少なくとも1つの他の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0025】
一部の事例では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含んでよく、且つまた腫瘍細胞に結合してよい。よって、一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)及び腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。他の事例では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含んでよく、且つまた免疫細胞に結合してよい。一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)及び免疫細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0026】
一部の事例では、結合剤は、DR2及びPD-1に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、DR2に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びPD-1に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0027】
一部の事例では、結合剤は、DR2及びCD47に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、DR2に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びCD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0028】
一部の事例では、結合剤は、DR2、PD-1及びCD47に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、DR2に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン、PD-1に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びCD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0029】
一部の事例では、結合剤は、PD-1及びCD47に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、PD-1に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びCD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0030】
一部の事例では、結合剤は、PD-1、CD47及び腫瘍細胞に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、PD-1に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン、CD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0031】
一部の事例では、結合剤は、PD-1及び腫瘍細胞に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、PD-1に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0032】
一部の事例では、結合剤は、CD47及び腫瘍細胞に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、CD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0033】
一部の事例では、結合剤は、CD47及び免疫細胞に結合する能力を有する。よって、一部の実施形態では、結合剤は、CD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び免疫細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0034】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは抗原結合性ドメイン1(ABD1)である。
【0035】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは抗原結合性ドメイン2(ABD2)である。
【0036】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは抗原結合性ドメイン3(ABD3)である。
【0037】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、
抗原結合性ドメイン1(ABD1)、
抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は
抗原結合性ドメイン3(ABD3)
から選択される。
【0038】
一部の実施形態では、結合剤は、ABD1、ABD2及びABD3によりカバーされるもの以外のエピトープを標的化する抗原結合性ドメインを含んでよい。結合剤はそのため、ABD1、ABD2及び/又はABD3の特異性と同じ又は異なる特異性を有する抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0039】
一部の実施形態では、結合剤は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0040】
例えば、一部の実施形態では、結合剤は、2個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、3個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、4個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、5個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、6個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、7個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、8個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、9個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、10個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0041】
一部の実施形態では、結合剤は1~12個の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0042】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は単一特異性であってよい。
【0043】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は多特異性であってよい。
【0044】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は一価であってよい。
【0045】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は多価であってよい。
【0046】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は単量体の形態であってよい。
【0047】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、二量体の形態又はより高次の形態、例えば三量体、四量体及び五量体等(例えば、多量体)であってよい。
【0048】
一部の事例では、結合剤の抗原結合性ドメインは重鎖抗体を起源とする。一部の事例では、重鎖抗体は、ラクダ科動物又はトランスジェニック動物の免疫化により得られてよい。
【0049】
一部の実施形態では、結合剤は、DR2に結合し、且つ本明細書に記載の相補性決定領域を含む、少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0050】
一部の実施形態では、結合剤は、PD-1に結合し、且つ本明細書に記載の相補性決定領域を含む、少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0051】
一部の実施形態では、結合剤は、CD47に結合し、且つ本明細書に記載の相補性決定領域を含む、少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0052】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは1つ又は複数のポリペプチド鎖上にある。
【0053】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは同じポリペプチド鎖上にある。
【0054】
一部の実施形態では、結合剤は単一のポリペプチド鎖を含む。
【0055】
一部の実施形態では、結合剤は2つのポリペプチド鎖を含む。よって、結合剤は二量体の形態であってよい。
【0056】
一部の実施形態では、結合剤は、2個より多くのポリペプチド鎖、例えば3個又はそれより多くのポリペプチド鎖、4個又はそれより多くのポリペプチド鎖、5個又はそれより多くのポリペプチド鎖、6個又はそれより多くのポリペプチド鎖、7個又はそれより多くのポリペプチド鎖、8個又はそれより多くのポリペプチド鎖、9個又はそれより多くのポリペプチド鎖、10個又はそれより多くのポリペプチド鎖を含む。よって、結合剤は多量体の形態であってよい。例えば、3個のポリペプチド鎖を含む結合剤は本明細書において三量体として参照され、4個のポリペプチド鎖を含む結合剤は本明細書において四量体として参照される、等である。
【0057】
一部の実施形態では、結合剤は、アセンブルして二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む。
【0058】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は、アセンブルして二量体を形成する能力を有し、且つ各々のポリペプチド鎖は異なる抗原結合性ドメインを含む。
【0059】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は、アセンブルして二量体を形成する能力を有し、且つ各々のポリペプチド鎖は同じ抗原結合性ドメインを含む。
【0060】
一部の実施形態では、各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)を含む。
【0061】
一部の実施形態では、各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む。
【0062】
一部の実施形態では、各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0063】
一部の例示的な実施形態では、結合剤は、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む。
【0064】
他の例示的な実施形態では、結合剤は、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0065】
更なる例示的な実施形態では、結合剤は、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖は同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0066】
いっそう更なる例示的な実施形態では、結合剤は、アセンブルして二量体を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み、且つ各々のポリペプチド鎖は、同一の抗原結合性ドメイン1(ABD1)、同一の抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び同一の抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0067】
一部の事例では、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び抗原結合性ドメイン3(ABD3)は、2つのポリペプチド鎖の各々における同じ位置を占有してよい。
【0068】
一部の事例では、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び抗原結合性ドメイン3(ABD3)は、2つのポリペプチド鎖の各々における異なる位置を占有してよい。
【0069】
一部の実施形態では、結合剤の各々のポリペプチド鎖は同じである。
【0070】
一部の実施形態では、結合剤の各々のポリペプチド鎖は異なる。
【0071】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は、アセンブルしてホモ二量体を形成する能力を有する。
【0072】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は、アセンブルしてヘテロ二量体を形成する能力を有する。
【0073】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインはアミノ酸配列により分離されている。
【0074】
一部の実施形態では、アミノ酸配列はリンカーである。
【0075】
本開示の結合剤は、例えば、本明細書に開示される抗原結合性ドメイン、本明細書に開示される単一のポリペプチド鎖、本明細書に開示されるポリペプチド鎖の二量体又は本明細書に開示されるポリペプチド鎖の多量体を包含する。
【0076】
よって、本開示の結合剤は、抗体及びその抗原結合性断片、抗体様分子(Fc、CH3融合物等)、タンパク質スキャフォールド及び免疫細胞調節剤等との融合物のフォーマットを有してよい。
【0077】
有利には、本開示の結合剤は、2020年12月18日に出願されたPCT/CA2020/051753(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)において式Ia、式Ib、式Ic、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII若しくは式VIII等として、又は本明細書において式I、式II、式III、式IIIa及び式IIIb、式IV、式V、式VI、式VII若しくは式VIIIとして開示されるようなフォーマットを有してよい。
【0078】
一部の実施形態では、結合剤は、1つ又は複数の抗原結合性ドメイン及び少なくとも2つのポリペプチド鎖が二量体を形成することを可能とする二量体化ドメインを含むポリペプチド鎖から構成される。
【0079】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、N末端からC末端への様式において式I:
X-[(Aba)-(Lb)]m-(DD)-[(Lc)-(Abd)]n-Y
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含んでよく、
mは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
nは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
m及びnは同時に0ではなく;
Aba、Abdは各々、抗原結合性ドメインを表し、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり;
X又はYは独立して存在するか又は存在せず、アミノ酸配列を含み;
Lb、Lcは各々独立して1つ又は複数のリンカーを含み;且つ
DDは二量体化ドメインを表す。
【0080】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、2個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、3個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、4個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、5個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン、6個又はそれより多くの抗原結合性ドメイン等を含む。
【0081】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は1~12個の抗原結合性ドメインを含む。
【0082】
一部の実施形態では、結合剤は1個のポリペプチド鎖を含む。
【0083】
一部の実施形態では、結合剤は、2個のポリペプチド鎖、3個のポリペプチド鎖、4個のポリペプチド鎖、5個のポリペプチド鎖、6個のポリペプチド鎖、7個のポリペプチド鎖、8個のポリペプチド鎖、9個のポリペプチド鎖、10個のポリペプチド鎖又は10個より多くのポリペプチド鎖を含む。
【0084】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は共有結合的に連結されてよい。
【0085】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は非共有結合的に連結されてよい。
【0086】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、静電相互作用を介して会合してよい。
【0087】
mが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、[(Aba)-(Lb)]単位は同じ又は異なる。
【0088】
nが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、[(Lc)-(Abd)]単位は同じ又は異なる。
【0089】
mが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、各々のAbaは同じ又は異なる。
【0090】
nが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、各々のAbdは同じ又は異なる。
【0091】
一部の実施形態では、Abaは、ABD1、ABD2又はABD3を表す。
【0092】
一部の実施形態では、Abdは、ABD1、ABD2又はABD3を表す。
【0093】
一部の実施形態では、Abdは、ABD1、ABD2又はABD3を表す。
【0094】
実施形態では、1つ又は複数のポリペプチド鎖は抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域を更に含む。例えば、一部の実施形態では、Lbは抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域である。
【0095】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4からの天然のヒンジ領域である。
【0096】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4からの天然のヒンジ領域と少なくとも70%の同一性を有する変異型ヒンジ領域である。
【0097】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーの各々は、独立して、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50個のアミノ酸残基の長さを有する。
【0098】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーの各々は、独立して、柔軟性リンカー、らせん状リンカー、又は剛性リンカーである。
【0099】
一部の実施形態では、柔軟性リンカーはGSリンカーである。一部の実施形態では、柔軟性リンカーは、本明細書に記載されるような1つ又は複数のGGGGS単位を含む。
【0100】
一部の実施形態では、剛性リンカーは本明細書に記載されるような複数のPAリピートを含む。
【0101】
一部の実施形態では、らせん状リンカーは本明細書に記載されるような1つ又は複数のEAAAK単位を含む。
【0102】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式II: X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式II)を含む。
【0103】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式III: X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)を含む。
【0104】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式IV: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式IV)を含む。
【0105】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式V: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式V)を含む。
【0106】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式VI: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VI)を含む。
【0107】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式VII: X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式VII)を含む。
【0108】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、式VIII: X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VIII)を含む。
【0109】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、又はAbd3は、各々独立して、抗原結合性ドメインを含む。
【0110】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、又はAbd3は、各々独立して、抗原結合性ドメインを表す。
【0111】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、又はAbd3のうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)である。
【0112】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、又はAbd3のうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)のいずれでもない。
【0113】
一部の実施形態では、Lb1は1つ若しくは複数のリンカー及び/又は抗体若しくはその抗原結合性断片のヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、本明細書に開示されるような天然のヒンジ領域である。他の実施形態では、ヒンジ領域は、本明細書に開示されるような変異型ヒンジ領域である。
【0114】
一部の実施形態では、Lb2、Lb3、Lc1、Lc2、及びLc3は、各々独立して、本明細書に開示されるような1つ又は複数のリンカーを含む。
【0115】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるような抗原結合性ドメインABD1及び免疫細胞に結合する抗原結合性ドメインを含む。
【0116】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるような抗原結合性ドメインABD2及び腫瘍細胞に結合する抗原結合性ドメインを含む。
【0117】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるような抗原結合性ドメインABD3及び腫瘍細胞に結合する抗原結合性ドメインを含む。
【0118】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるような抗原結合性ドメインABD3及び免疫細胞に結合する抗原結合性ドメインを含む。
【0119】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるようなABD1、ABD2及びABD3から選択される少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含む。
【0120】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるようなABD1、ABD2及びABD3から選択される少なくとも2つの抗原結合性ドメインを含む。
【0121】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、本明細書に開示されるようなABD1、ABD2及びABD3から選択される少なくとも3つの抗原結合性ドメインを含む。
【0122】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは免疫グロブリン二量体化ドメインを含む。ロイシンジッパー等を含む、当業者に公知の他の二量体化ドメインが本明細書において想定される。
【0123】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgE二量体化ドメイン(ヒト又は動物IgG、IgM、IgA、IgD又はIgEからのもの)を含む。
【0124】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは抗体のCH3ドメインを含む。二量体化ドメインはまた、抗体のCH2ドメインを含んでよい。
【0125】
一部の例示的な実施形態では、二量体化ドメインは天然CH3ドメインを含む。
【0126】
一部の例示的な実施形態では、二量体化ドメインは変異型CH3ドメインを含む。
【0127】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは天然CH2及び天然CH3ドメインを含む。
【0128】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは天然CH2及び変異型CH3ドメインを含む。
【0129】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは変異型CH2及び変異型CH3ドメインを含む。
【0130】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは変異型CH2及び天然CH3ドメインを含む。
【0131】
一部の実施形態では、二量体化ドメインはCH1ドメインを含まない。
【0132】
一部の実施形態では、二量体化ドメインはCH4ドメインを含まない。
【0133】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは抗体又はその部分のFc領域を含む。
【0134】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、少なくとも2つ又は少なくとも3つの抗原結合性ドメイン並びに2つのポリペプチド鎖のアセンブリーにより多価及び/又は多特異性結合剤を形成することを可能とする二量体化ドメインを含む。
【0135】
実施形態では、抗原結合性ドメインは単一ドメイン抗体(sdAb)の抗原結合性ドメインを含む又はからなる。
【0136】
実施形態では、抗原結合性ドメインは重鎖可変領域(VH又はVHH)を含む。
【0137】
一部の実施形態では、VHHは、ヒト、マウス、ラット等に由来する。
【0138】
一部の実施形態では、VHHは、ラクダ化マウス若しくはラットVHH、他の種(例えば、ヒト等)からのVHH又は他の種からのラクダ化VHH(例えば、ラクダ化ヒトVHH等)を発現する能力を有するトランスジェニックマウス又はラットからのものである。
【0139】
一部の実施形態では、結合剤は軽鎖可変領域(VL又はVLL)を含まない。
【0140】
実施形態では、結合剤は軽鎖可変領域(VL又はVLL)を含む。
【0141】
実施形態では、抗原結合性ドメインは単鎖可変断片(ScFv)である。
【0142】
実施形態では、抗原結合性ドメインはVNAR断片からのものである。
【0143】
他の実施形態では、ポリペプチド鎖の抗原結合性ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖可変領域(VH若しくはVHH)、軽鎖可変領域(VL若しくはVLL)、単鎖可変断片(ScFv)及び/又はVNAR断片のいずれかの抗原結合性ドメインの組合せを含む。
【0144】
一部の実施形態では、sdAb又はVHHはラクダ科動物抗体からのものである。
【0145】
実施形態では、ラクダ科動物抗体は、ヒトコブラクダ、ラクダ、ラマ、アルパカ等からのものである。
【0146】
他の実施形態では、sdAb又はVHHは軟骨魚抗体からのものである。
【0147】
実施形態では、軟骨魚抗体はサメ抗体である。
【0148】
一部の実施形態では、各々の抗原結合性ドメインは、異なるエピトープに特異的に結合する。
【0149】
他の実施形態では、各抗原結合性ドメインは異なる抗原に特異的に結合する。
【0150】
更に他の実施形態では、各抗原結合性ドメインは異なるタンパク質に特異的に結合する。
【0151】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍により発現されるタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、腫瘍により発現されるタンパク質に結合し、その活性をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0152】
一部の実施形態では、結合剤は、免疫チェックポイントタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、免疫チェックポイントタンパク質に結合し、その活性をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0153】
一部の実施形態では、結合剤は、免疫細胞タンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、免疫細胞タンパク質に結合し、その活性をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、免疫細胞に結合又はエンゲージメントし、免疫細胞を動員又は再方向付けする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0154】
一部の実施形態では、結合剤は、末梢血単核細胞(PBMC)に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、PBMCに結合し、その活性をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、PBMCに結合し、PBMCを動員又は再方向付けする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0155】
一部の実施形態では、結合剤は、T細胞タンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、T細胞タンパク質に結合してよく、その活性をモジュレートしてよい。更に他の実施形態では、結合剤は、T細胞タンパク質に結合してよく、T細胞を動員又は再方向付けしてよい。一部の実施形態では、結合剤は、活性化T細胞に結合してよく、且つ/又は活性化T細胞の活性をモジュレートしてよい。
【0156】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍により発現されるタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び免疫細胞に結合し、免疫細胞を動員又は再方向付けする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0157】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍により発現されるタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン、免疫チェックポイントタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び免疫細胞に結合し、免疫細胞を動員又は再方向付けする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0158】
一部の実施形態では、結合剤は、免疫チェックポイント阻害剤をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0159】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン、免疫チェックポイントタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びT細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0160】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン、免疫チェックポイントタンパク質に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及びCD47に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0161】
一部の実施形態では、結合剤は、CD47の機能をモジュレートする少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0162】
一部の実施形態では、結合剤は、CD47に結合し、SIRPα/CD47相互作用を遮断することによりマクロファージ機能を増強する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0163】
一部の実施形態では、結合剤は、受容体に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0164】
一部の実施形態では、結合剤は、腫瘍抗原に特異的に結合する抗原結合性ドメイン及び免疫調節因子に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0165】
一部の実施形態では、腫瘍抗原に特異的に結合する抗原結合性ドメインは二量体化ドメインのN末端側にあり、且つ免疫調節因子に特異的に結合する抗原結合性ドメインは二量体化ドメインのC末端側にある。
【0166】
一部の実施形態では、免疫調節因子は、免疫チェックポイントタンパク質、サイトカイン、ケモカイン又は免疫受容体若しくは補助受容体である。
【0167】
所与の抗原結合性ドメインは、異なるタンパク質中に存在するエピトープに結合してよいことが本明細書において理解されるべきである。そのため、一部の実施形態では、抗原結合性ドメイン、又はそれを含む結合剤は、1つより多くのタンパク質に結合してよい。一部の実施形態では、抗原結合性ドメイン、又は結合剤は、1つより多くのタンパク質に対して親和性を有してよい。
【0168】
一部の実施形態では、結合剤は、二量体を形成する能力を有する少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む。
【0169】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は同じである。
【0170】
一部の実施形態では、2つのポリペプチド鎖は異なる。
【0171】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は同じであり、且つ結合剤はホモ二量体である。
【0172】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は異なり、且つ結合剤はヘテロ二量体である。
【0173】
一部の実施形態では、結合剤は多特異性である。
【0174】
一部の実施形態では、結合剤は、二特異性、三特異性又は四特異性である。
【0175】
一部の実施形態では、結合剤は、多特異性である1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む。
【0176】
一部の実施形態では、結合剤は、二特異性、三特異性又は四特異性である1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む。
【0177】
一部の実施形態では、1つ又は複数のポリペプチド鎖は同じ価数及び特異性を有する。
【0178】
一部の実施形態では、1つ又は複数のポリペプチド鎖は異なる価数及び特異性を有する。
【0179】
一部の実施形態では、1つ又は複数のポリペプチド鎖の各々は抗体重鎖である。
【0180】
抗体又はその抗原結合性断片である、先行する請求項のいずれか一項に記載の結合剤。
【0181】
一部の実施形態では、結合剤は二特異性抗体である。
【0182】
一部の実施形態では、二特異性抗体は第1の抗体軽鎖及び第2の抗体軽鎖を更に含む。
【0183】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインのうちの1つ又は複数はヒト化されている。
【0184】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインのうちの1つ又は複数は部分的にヒト化されている。
【0185】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは1つ又は複数のヒトフレームワークを含む。
【0186】
一部の実施形態では、X又はYは、リンカー、サイトカイン、ケモカイン、タグ、マスキングドメイン、ファージコートタンパク質(pIII、pVI、pV、pVII若しくはpIX)、抗原結合性ドメイン又はこれらの組合せから独立して選択される。
【0187】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、治療用部分にコンジュゲートされている。
【0188】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、検出可能な部分にコンジュゲートされている。
【0189】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、延長された半減期を可能とするタンパク質にコンジュゲートされている。
【0190】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖はナノ粒子に取り付けられている。
【0191】
本開示の他の態様及び実施形態は、本明細書に開示される結合剤のうちの少なくとも1つを含む組成物に関する。
【0192】
一部の実施形態では、組成物は、単量体、二量体及びこれらの混合物を含む。
【0193】
一部の実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くは組成物中で二量体として存在する。
【0194】
一部の実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くは組成物中でホモ二量体として存在する。
【0195】
一部の実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖の70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%より多くは組成物中でヘテロ二量体として存在する。
【0196】
本開示の他の態様及び実施形態は、本明細書に開示される結合剤及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0197】
本開示の更に他の態様及び実施形態は、本明細書に開示されるポリペプチド鎖及び/又は結合剤をコードする核酸又は核酸のセットに関する。
【0198】
核酸は、本明細書に開示されるDNAセグメントの形態であってよい。
【0199】
本開示の追加の態様及び実施形態は、本明細書に開示される核酸を含むベクター又は本明細書に開示される核酸を各々が含むベクターのセットに関する。
【0200】
本開示の更なる態様及び実施形態は、本明細書に開示されるポリペプチド鎖又は結合剤を発現する細胞に関する。
【0201】
本開示の追加の態様及び実施形態は、本明細書に開示される核酸又はベクターを含む細胞に関する。
【0202】
本開示の更なる態様及び実施形態は、本明細書に開示される結合剤を含むキットに関する。
【0203】
本開示のいっそう更なる態様及び実施形態は、本明細書に開示される核酸を含むキットに関する。
【0204】
本開示のいっそう更なる態様及び実施形態は、本明細書に開示されるベクターを含むキットに関する。
【0205】
本開示のいっそう更なる態様及び実施形態は、本明細書に開示される細胞を含むキットに関する。
【0206】
追加の態様及び実施形態では、本開示は、本明細書に開示される結合剤を投与することを含む、障害又は疾患を処置する方法に関する。
【0207】
更なる態様及び実施形態では、本開示は、本明細書に開示される組成物を投与することを含む、障害又は疾患を処置する方法に関する。
【0208】
更なる態様及び実施形態では、本開示は、本明細書に開示される医薬組成物を投与する工程を含む、障害又は疾患を処置する方法に関する。
【0209】
一部の実施形態では、障害又は疾患はがんである。
【0210】
一部の実施形態では、障害又は疾患は固形腫瘍である。
【0211】
一部の実施形態では、障害又は疾患は進行性転移性固形がんである。
【0212】
一部の実施形態では、障害又は疾患は血液がん(hematogenous cancer)である。
【0213】
一部の実施形態では、障害又は疾患は肺がんである。
【0214】
一部の実施形態では、肺がんは転移性である。
【0215】
一部の実施形態では、障害又は疾患は小細胞肺がんである。
【0216】
一部の実施形態では、障害又は疾患は非小細胞肺がんである。
【0217】
一部の実施形態では、障害又は疾患は骨髄腫である。
【0218】
一部の実施形態では、障害又は疾患は前立腺がんである。
【0219】
一部の実施形態では、障害又は疾患は乳がんである。
【0220】
一部の実施形態では、障害又は疾患は直腸がんである。
【0221】
一部の実施形態では、障害又は疾患は膵臓がんである。
【0222】
一部の実施形態では、障害又は疾患は神経膠芽腫である。
【0223】
一部の実施形態では、障害又は疾患は感染症である。
【0224】
一部の実施形態では、障害又は疾患は免疫調節異常である。
【0225】
他の態様及び実施形態では、本開示は、本明細書に開示される核酸を含む1つ又は複数のベクターを用いて細胞を形質転換させる工程を含む、本明細書に開示される結合剤を製造する方法に関する。
【0226】
一部の実施形態では、方法は、結合剤を不純物から単離及び/又は精製することを更に含んでよい。
【0227】
他の実施形態では、方法は、ヘテロ二量体を単量体及び/又はホモ二量体から単離及び/又は精製することを更に含んでよい。
【0228】
他の実施形態では、方法は、ホモ二量体を単量体及び/又はヘテロ二量体から単離及び/又は精製することを更に含んでよい。
【0229】
一部の実施形態では、方法は、結合剤を、治療用部分、検出可能な部分、若しくは延長された半減期を可能とするタンパク質と、又はナノ粒子にコンジュゲートする工程を更に含む。
【0230】
本開示の更なる範囲、応用可能性及び利点は、以下に与えられる非制限的な詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、この詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を指し示すが、添付の図面を参照して、単なる例として与えられることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【
図1】D2プロテオリポソームに関するD2特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)の結合曲線を表すグラフ。Mockプロテオリポソームを陰性対照として含めた。
【
図2】様々なGタンパク質センサーをトランスフェクトしたGPCR BRETアッセイにおけるD2特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)のEC50を列記する表。Gαz、Gαi2、GαoA、及びBarr2を含むGタンパク質を用いたGPCR応答を示すためにドーパミンを陽性対照として使用した。陰性対照は、配列番号114に示される抗原結合性ドメインを含む4HEM特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC018)である。
【
図3】D2特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC013;配列番号73)を用いた処理でのNCI-H69細胞における遺伝子発現の変化を示すヒートマップ。陰性対照は、配列番号114に示される抗原結合性ドメインを含む4HEM特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC018)である。
【
図4】
図3のRNAseq結果のPANTHER解析からの下方調節されたシグナル伝達経路及びタンパク質クラスを表すグラフ。
【
図5】D2特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC013;配列番号73)を用いた処理でのNCI-H69(
図5A)、NCI-H82(
図5B)、及びHEK-D2(
図5C)におけるqRT-PCRにより検証された下方調節された遺伝子を表すグラフ。
【
図6】単回用量注射(
図6A: IV注射)(
図6B: IP注射)を用いたSCIDマウスにおけるD2特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC013;配列番号73)及びトラスツズマブの薬物動態を表すグラフ。
【
図7】NCI-H727腫瘍予防モデル(
図7A)、NCI-H69腫瘍予防モデル(
図7B)又はNCI-H510A腫瘍予防モデル(
図7C)における、アイソタイプ対照(破線)と比較した小細胞肺がん(SCLC)異種移植片モデルを有するNCGマウスにおけるD2特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3、実線)(KC013;配列番号73)の腫瘍動態及びin vivo有効性を示すグラフ。陰性対照は、配列番号114に示される抗原結合性ドメインを含む4HEM特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)(KC018)である。
【
図8】配列番号71(KC011)、配列番号72(KC012)、配列番号73(KC013)、又は配列番号74(KC014)に示されるアミノ酸配列を含むD2特異的結合剤(VHH-ヒンジ-CH2-CH3)を用いた処置でのSCIDマウスにおける様々な腫瘍予防SCLC腫瘍モデルにおける腫瘍増殖阻害のパーセンテージを列記する表。
【
図9A】ヒト、カニクイザル、及びラット組換えPD1タンパク質又は対照タンパク質(BSA)に関するPD-1特異的結合剤(KC036;配列番号94)の結合曲線を示すグラフ。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC035:配列番号93)である。
【
図9B】抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(陽性対照)と比較したヒト組換えPD1タンパク質に関するPD-1特異的結合剤(KC036;配列番号94)の結合曲線を示すグラフ。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC035:配列番号93)である。
【
図9C】ヒト組換えCD47タンパク質に関するCD47特異的結合剤(KC015;配列番号75)の結合曲線を示すグラフ。KC015の陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC016:配列番号76)である。陽性対照はモノクローナル抗体クローンB6H12である。クローンB6H12のアイソタイプ対照をマウスIgGアイソタイプ対照抗体として使用している。
【
図9D】カニクイザルCD47タンパク質に関するCD47特異的結合剤KC015の結合曲線を示すグラフ。陰性対照KC016は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤である。陽性対照はモノクローナル抗体クローンB6H12である。クローンB6H12のアイソタイプ対照をマウスIgGアイソタイプ対照抗体として使用している。
【
図9E】T細胞、単球、顆粒球、赤血球細胞(RBC)、及び血小板を含む様々な血液細胞サブタイプに関するCD47特異的結合剤KC015の結合曲線を表すグラフ。
【
図10】フローサイトメトリーにより得られたCHO-PD1細胞(
図10B)及びCHO親細胞(
図10A)に関するPD-1特異的結合剤(KC036;配列番号94)の細胞結合活性を表すグラフ。商業的に入手可能なPD-1抗体を陽性対照として使用している。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC035:配列番号93)である。
【
図11】CD3サブユニットを介してT細胞を活性化させるために使用されたインキュベーションの48時間後のCD33 BiTEの存在下で又は対照BiTEの存在下でPD-1特異的結合剤(KC036;配列番号94)により誘導されたPBMC媒介性THP-1死の細胞傷害性データを表すグラフ。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC031:配列番号89)である。陽性対照はペムブロリズマブ及びニボルマブを含む。
【
図12】PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイシステムを使用したPD-1特異的結合剤(KC036;配列番号94)のチェックポイント阻害活性を示すグラフ。このシステムは、NFATプロモーター下でルシフェラーゼレポーターを発現する操作されたJurkat細胞株である。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC035:配列番号93)である。抗PD-1抗体ペムブロリズマブを陽性対照として使用している。
【
図13】HEK293T細胞及びHEK293T-CD47 KO細胞(CD47ノックアウト細胞)に対する抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む三特異性結合剤(KC020;配列番号77)の他に、同じ抗CD47抗原結合性ドメインを含む単一特異性結合剤(KC015:配列番号75、VHH-ヒンジ-CH2-CH3)の結合データを表すグラフ。陰性対照は、抗HEWL抗原結合性ドメインを含む対応するフォーマット(KC016(配列番号76)及びKC039(配列番号97))を含む。商業的に入手可能な抗ヒトCD47抗体(クローンCC2C6)を陽性対照として使用している。
【
図14】抗HEWL抗原結合性ドメイン(KC035:配列番号93)又は抗CD3及び抗HEWL抗原結合性ドメイン(KC034;配列番号92)を含む対照結合剤と比較したヒトT細胞に関する抗D2、及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC040:配列番号84)の結合を表すグラフ。
【
図15】ヒトT細胞に関する抗D2、及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC040:配列番号84)により誘導された5:1のE:T比でのT細胞活性化(
図15A)及びT細胞依存性細胞傷害性(
図15B)を表すグラフ。対照は、培地単独(陰性対照)、抗HEWL抗原結合性ドメイン及び同じ抗D2抗原結合性ドメインを含む結合剤(陰性対照KC032;配列番号90)並びにOKT3(陽性対照)を含む。
【
図16】コンカナバリンAの存在下又は非存在下でのD2及びCD47特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC040:配列番号84)を用いた処理でのT細胞活性化を図示するグラフ。対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメイン(KC035:配列番号93)若しくは抗CD3及び抗HEWL抗原結合性ドメイン(陽性対照KC034;配列番号92)を含む結合剤又はOKT3(陽性対照)を含む。
【
図17】Promega社CD47/SIRPα遮断バイオアッセイシステムを使用したCD47特異的結合剤(KC015;配列番号75)のチェックポイント阻害活性を示すグラフ。このシステムは、FcγRをエンゲージメントするFcγRタンパク質により誘導されるルシフェラーゼレポーターを発現する操作されたTHP-1細胞株である。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC016:配列番号76)である。陽性対照はモノクローナル抗体クローンB6H12である。クローンB6H12のアイソタイプ対照はマウスIgGアイソタイプ対照抗体である。
【
図18】NCGマウスにおける確立されたNCI-H82異種移植片モデルにおける抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む三特異性結合剤(KC021:配列番号78)を用いた処置での腫瘍体積を表すグラフ。陰性対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC031:配列番号89)を含む。
【
図19】抗D2及び抗PD-1抗原結合性ドメイン(KC037;配列番号95)、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメイン(KC038;配列番号96)を含む結合剤若しくは同じ抗D2、抗PD 1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む三特異性結合剤(KC020;配列番号77及びKC021:配列番号78)を用いた処理でのNCI-H69細胞クラスター中へのT細胞浸潤(
図19A)又は同じ剤を用いたT細胞活性化(
図19B)を表すプロット。対照は、HEWL特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC035:配列番号93)を含む。
【
図20】異なる抗D2、並びに同じ抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む三特異性結合剤(KC020;配列番号77、KC022;配列番号79、KC023;配列番号80、KC024;配列番号81、KC025;配列番号82、KC026;配列番号83)を用いた処置での腫瘍体積を表すグラフ(
図20A)及び腫瘍増殖阻害を表す表(
図20B)。
【
図21A】NCGマウスにおけるPBMC予備移植NCI-H82異種移植片モデルにおけるCD47特異的結合剤(KC015;配列番号75)を用いた処置での腫瘍体積を表すグラフ。1000万個のPBMCを腫瘍細胞移植の3日前にNCGマウスに移植した。処置をPBMC移植の10日後に開始し、週当たり2回で全部で8用量とした。研究において使用された陰性対照はPBSであった。
【
図21B】異なるモデルにおいてNCI-H69、NCI-H82、SCLC-21H及びRKOを含む様々な腫瘍細胞を使用したKC020(配列番号77)のin vivo有効性を示す表。
【
図21C】SCIDマウスにおける確立されたMDA-MB-231異種移植片モデルにおける抗CD47特異的結合剤KC015を用いた処置での腫瘍体積を表すグラフ。研究において使用された陰性対照はPBSであった。500万個のMDA-MB-231細胞をSCIDマウスの右脇腹の皮下(s.c.)に注射した。マウスに週1回、全部で8用量の、腹腔内(i.p.)による結合剤(8mg/kg)処置を与えた。
【
図22】抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含むIgG1又はIgG4アイソフォームの結合剤(KC028;配列番号86; KC029;配列番号87、KC027:配列番号85)を用いた処置での腫瘍体積を表すグラフ。対照は、抗HEWL抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC031:配列番号89)を含む。
【
図23】NCGマウスにおけるNCI-H82(上パネル)及びNCI-H69(下パネル)異種移植片モデルにおける抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む三特異性結合剤(KC021;配列番号78)の蓄積を示す体内分布実験の図解(
図23A)及び写真(
図23B)。
【
図24A】PBS又はKC020(配列番号77)のいずれかを用いて処置された確立されたNCI-H69腫瘍を有するhCD34+ヒト化NCGマウスからの肝臓の転移を表すグラフ(
図24A)及び黒ボックスに示されるようにPBS群からの播種性腫瘍細胞を指し示すがKC020(配列番号77)群からの播種性腫瘍細胞を指し示さない腫瘍のH&E染色写真(
図24B)。
【
図24B】PBS又はKC020(配列番号77)のいずれかを用いて処置された確立されたNCI-H69腫瘍を有するhCD34+ヒト化NCGマウスからの肝臓の転移を表すグラフ(
図24A)及び黒ボックスに示されるようにPBS群からの播種性腫瘍細胞を指し示すがKC020(配列番号77)群からの播種性腫瘍細胞を指し示さない腫瘍のH&E染色写真(
図24B)。
【
図24C】NCGマウスにおける1:5のE:T比でのNCI-H82/PBMC共移植モデルにおける腫瘍動態及びKC020のin vivo有効性を表すグラフ。
【
図25】ELISAアッセイにより測定された場合のD2プロテオリポソーム(
図25A)、ヒト組換えPD-1タンパク質(
図25B)、及びヒト組換えCD47タンパク質(
図25C)に関するストレス条件に供されたKC020(配列番号77)の結合を表すグラフ。ストレス負荷条件は、3日間の撹拌、5回の凍結及び解凍、並びに40℃で2週間の貯蔵を含む。
【
図26】ELISAアッセイにより測定された場合のD2プロテオリポソーム(
図26A)、ヒト組換えPD-1タンパク質(
図26B)、及びヒト組換えCD47タンパク質(
図26C)に関する低pHストレスに供されたKC020(配列番号77)の結合を表すグラフ。ストレス負荷条件は、pH 3.5での4時間及び48時間の処理を含む。
【
図27】NCI-H82 SCLC尾静脈転移モデルを移植されたKC020処置動物の生存曲線を表すグラフ。NCGマウスに50,000個のNCI-H82細胞を接種し、続いて翌日にKC020処置を行った。KC020での処置を隔週毎に行った。研究において使用された陰性対照はPBSであった。
【発明を実施するための形態】
【0232】
詳細な説明
定義
他に指し示されなければ、二量体化ドメインのために指し示されるアミノ酸ナンバリングはEUナンバリングシステムによるものである。
【0233】
実施形態を記載する文脈(特に請求項の文脈)における「a」及び「an」及び「the」という用語並びに類似した参照語の使用は、本明細書において他に指し示されなければ又は文脈に明確に矛盾しなければ、単数及び複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。
【0234】
特に記載されなければ又は文脈から自明でなければ、本明細書において使用される場合、「又は」という用語は、包含的であると理解され、「又は」及び「及び」の両方をカバーする。
【0235】
「及び/又は」という用語は、本明細書において使用される場合、他方を伴う又は伴わない指定される特色又は構成要素の各々の特有の開示として解釈されるべきである。
【0236】
「含む」(comprising)、「有する」、「含む」(including)、及び「含有する」という用語は、他に記載されなければ、オープンエンドの用語として解釈されるべきである(即ち、「含むがそれに限定されない」を意味する)。「からなる」という用語はクローズエンドとして解釈されるべきである。
【0237】
「処置」という用語は、本開示の目的のために、治療的処置及び予防的又は腫瘍防止措置の両方を指す。処置を必要とする者としては、障害を既に有する者の他に、障害を有する素因を有する者又は障害が予防されるべき者が挙げられる。
【0238】
所与の値に関する「約」又は「おおよそ」という用語は、値における変動が想定されることを意味する。一部の実施形態では、「約」又は「おおよそ」という用語は、所与の値又は範囲の+/-10パーセント以内、+/-5パーセント以内、+/-4パーセント以内、+/-3パーセント以内、+/-2パーセント以内又は+/-1パーセント以内の範囲を一般に意味する。
【0239】
抗原結合性ドメインに関する「機能的に活性の」という用語は、抗原結合性ドメインがその標的に結合する能力を有すること及び任意選択で抗原結合性ドメインが1つ又は複数の生物学的活性を有することを意味する。
【0240】
本明細書において使用される場合、「柔軟性リンカー」という用語は、隣接するモジュールが互いに対して相対的に動くことを可能とする柔軟なアミノ酸残基から構成される少なくとも部分を含むペプチドを指す。
【0241】
本明細書において使用される場合、「剛性リンカー」という用語は、剛性の構造を呈し且つ2つのモジュールの間の距離を保つアミノ酸から構成される少なくとも部分を含むペプチドを指す。
【0242】
本明細書において使用される場合、「らせん状リンカー」という用語は、α-ヘリックスコンホメーションをとるアミノ酸残基から構成されるリンカーを意味する。
【0243】
本明細書において使用される場合、「切断可能なリンカー」という用語は、ADAMS、ADAMTS、アスパラギン酸プロテアーゼ、カスパーゼ、システインカテプシン、システインプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ、セリンプロテアーゼ、凝固因子プロテアーゼ、II型膜貫通セリンプロテアーゼ(TTSP)及びこれらの組合せから選択されるプロテアーゼに対して感受性の酵素切断部位を含むペプチドを指す。
【0244】
本明細書において使用される場合、ポリペプチド鎖又は結合剤に関する「単一特異性」という用語は、単一の抗原又はエピトープに結合するポリペプチド鎖又は結合剤を指す。単一特異性ポリペプチド鎖又は結合剤はそのため、1つの抗原結合性ドメイン又は所与の抗原若しくはエピトープに対して同じ特異性を有する1つより多くの結合性ドメイン(同じ若しくは異なる)を有してよい。
【0245】
本明細書において使用される場合、ポリペプチド鎖又は結合剤に関する「多特異性」という用語は、1つより多くの抗原又はエピトープに結合するポリペプチド鎖又は結合剤を指す。
【0246】
「多特異性」という用語は、「二特異性」、「三特異性」、「四特異性」、「五特異性」及び「六特異性」等を包含する。
【0247】
本明細書において使用される場合、結合剤の文脈において、「二特異性」という用語は、2つの異なる抗原若しくはタンパク質又は同じ抗原若しくはタンパク質の2つのエピトープに結合する結合剤を呼称する。
【0248】
本明細書において使用される場合、例えば「結合剤は少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む」等の表現における「少なくとも2つのポリペプチド鎖」等の表現は、ある個数のポリペプチド鎖種を指し、絶対的な数値を指すものではない。
【0249】
「A~B」等の形式において値の範囲に言及する表現は、そのような範囲に含まれる及び該範囲を構成する各個々の値及び任意の部分的範囲を含むことが本明細書において理解されるべきである。例えば、「1~10」という表現は、限定なく、「2~10」、「2~9」、「3~6」、「5~7」等の部分的範囲、並びに1及び10を含めて1~10に含まれる任意の個々の値、即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を含む。
【0250】
所与の値に関する「少なくとも」という用語は、該値及びより大きい値を含む意図であることが本明細書において理解されるべきである。例えば、「少なくとも80%」という用語は、「少なくとも81%」、「少なくとも82%」、「少なくとも83%」、「少なくとも84%」、「少なくとも85%」、「少なくとも86%」、「少なくとも87%」、「少なくとも88%」,「少なくとも89%」、「少なくとも90%」、「少なくとも91%」、「少なくとも92%」、「少なくとも93%」、「少なくとも94%」、「少なくとも95%」、「少なくとも96%」、「少なくとも97%」、「少なくとも98%」、「少なくとも99%」、「少なくとも99.1%」、「少なくとも99.2%」、「少なくとも99.3%」、「少なくとも99.4%」、「少なくとも99.5%」、少なくとも99.6%」、「少なくとも99.7%」、「少なくとも99.8%」、「少なくとも99.9%」、及び100%を含む。
【0251】
抗原結合性ドメイン(Ab)
本明細書に開示されるように、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよい。本開示の抗原結合性ドメインは、特異的な標的に結合するそれらの能力について選択されてよい。抗原結合性ドメインはまた、例えば、細胞プロセス、例えば遺伝子発現、シグナル伝達、細胞増殖、及び細胞生存等をモジュレートする能力を含むin vivo及び/又はin vitroでの機能的特性又は生物学的効果のために選択されてよい。
【0252】
例えば、本開示の結合剤は、抗体の1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)を各々独立して含む1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含む。
【0253】
本開示の結合剤の特異性は、そのため、それらの抗原結合性ドメインにより付与されてよい。
【0254】
本開示の結合剤は、DR2若しくはDR2を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン、PD-1若しくはPD-1を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメイン及び/又はCD47若しくはCD47を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0255】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、DR2又はDR2を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、例えば、抗原結合性ドメイン1(ABD1)を含む。
【0256】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、PD-1又はPD-1を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、例えば、抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む。
【0257】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、CD47又はCD47を発現する細胞に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、例えば、抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0258】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、ABD1、ABD2及び/又はABD3と同じエピトープ又は抗原を標的化する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、ABD1、ABD2及び/又はABD3と、それらのそれぞれのエピトープ又は抗原への結合について競合する。
【0259】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、DR2、PD-1又はCD47の中から選択されるものではない少なくとも1つの抗原に結合する。
【0260】
一部の実施形態では、結合剤は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0261】
例えば、一部の実施形態では、結合剤は、2個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0262】
一部の実施形態では、結合剤は、3個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0263】
一部の実施形態では、結合剤は、4個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0264】
一部の実施形態では、結合剤は、5個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0265】
一部の実施形態では、結合剤は、6個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0266】
一部の実施形態では、結合剤は、1~12個、例えば1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、8~9、8~10、8~11、8~12、9~10、9~11、9~12、10~11、10~12、又は11~12個の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0267】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、腫瘍細胞に結合する能力を有する。
【0268】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫調節因子に結合する能力を有する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する。一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質はPD-1である。
【0269】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫細胞に結合する能力を有する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、単球、マクロファージ等)の表面に発現されるタンパク質に結合する能力を有する。
【0270】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は多価であってよく、腫瘍細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び免疫細胞に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0271】
一部の実施形態では、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質は、CD47又はCD3から選択される。
【0272】
一部の実施形態では、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質はCD47である。
【0273】
一部の実施形態では、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質はCD3である。
【0274】
抗原結合性ドメインは、(ヒト若しくは動物起源の)天然抗体又は合成抗体に由来してよい。
【0275】
一部の実施形態では、天然抗体の抗原結合性ドメインは、単鎖を形成するように操作される。
【0276】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、IgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4から得られてよい。特定の実施形態では、抗原結合性ドメインはヒトIgG重鎖に由来する。
【0277】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、重鎖のみの抗体(HCAb)から得られてよい。
【0278】
抗原結合性ドメインの例示的な実施形態としては、限定なく例えば、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖可変領域(VH又はVHH)、軽鎖可変領域(VL又はVLL)、単鎖可変断片(scFv)、VNAR断片、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0279】
一部の実施形態では、本明細書に開示される結合剤の抗原結合性ドメインはVHHである。
【0280】
一部の実施形態では、本明細書に開示される結合剤の抗原結合性ドメインは、本明細書に開示されるVHHの相補性決定領域を含むVHHである。
【0281】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるVHHの相補性決定領域(CDR)はKabat CDRに対応する。
【0282】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるVHHの相補性決定領域(CDR)はIMGT CDRに対応する。
【0283】
特定の実施形態では、本開示の結合剤は、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c若しくはIgG3又はこれらの組合せの、ヒト若しくはマウス若しくはラット、若しくはマウス若しくはラットVHHがラクダ化されているトランスジェニックマウス若しくはラットに由来する抗原結合性ドメインVHH、ヒトVHH、ラクダ化されているヒトVHHを含んでよい。抗体は、その重鎖、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c若しくはIgG3若しくはこれらの組合せ、又は上記のVHHの組合せのいずれかにおいて機能的なCH1ドメインを欠いたマウス若しくはラット又はトランスジェニックマウス若しくはラットを、目的の抗原で免疫化することにより得られてよい。
【0284】
特定の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、ラクダ科動物抗体の抗原結合性ドメイン、例えばIgG2又はIgG3のVHHを含んでよい。ラクダ科動物抗体は、ヒトコブラクダ、ラクダ、ラマ又はアルパカを目的の抗原で免疫化することにより得られてよい。
【0285】
一部の実施形態では、ラクダ科動物抗体は、いわゆる旧世界ラクダ科動物、例えばフタコブラクダ(Camelus bactrianus)、ヒトコブラクダ(Camelus dromedarius)又は新世界ラクダ科動物、例えばアルパカ(Lama pacos)、ラマ(Lama glama)及びビクーニャ(Lama vicugna)を起源としてよい。
【0286】
別の特定の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、軟骨魚の抗原結合性ドメイン、例えばIgNARのVNAR断片を含んでよい。VNAR断片はサメ抗体を起源としてよい。
【0287】
所望の場合、非ヒト抗体の抗原結合性ドメインはヒト化されてよい。例えば、非ヒトVH、VHH又はHCAbのフレームワーク領域は、それらをよりヒト様とするように改変されてよい。ラクダ科動物抗体のヒト化は、例えば、Vincke C.ら(J. Biol Chem. 2009、284(5):3273~3284頁)において議論されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。ヒト化されたラクダ科動物抗体は、例えば、ユニバーサルヒト化ナノボディスキャフォールド(例えば、Vincke C.らにおいて開示されるh-NbBcII10FGLA)へのCDRグラフトにより得られてよい。VNAR抗体は、Kovalenko OVら(J Biol Chem. 2013、288:17408~17419頁)(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)において議論されるように非CDR残基をヒト生殖系列Vκ1配列DPK9の残基に変換することによりヒト化されうる。本開示のポリペプチド鎖は、したがって、ヒト化された抗原結合性ドメインを包含する。
【0288】
更に別の特定の実施形態では、抗原結合性ドメインは、ヒトVH(改変されたもの又はそうでないもの)を含んでよい。ヒトVHは、例えば、合成ヒトVHライブラリーから得られてよい。改変されたヒトVHとしては、一部のアミノ酸残基が、それらをよりラクダ様とするために改変されているもの(即ち、ラクダ化によるもの)が挙げられる。
【0289】
抗原結合性ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)、VHH、従来型抗体又はその抗原結合性断片、二特異性抗体、単鎖Fv-CH3(scFv-CH3)融合物、タンデム-scFv-CH3(TaFv-CH3)融合物、ダイアボディ-CH3(Db-CH3)融合物、タンデムDb-CH3(TaDb-CH3)融合物、単鎖Db-CH3融合物(scDb-CH3)、Fab-CH3融合物、単鎖Fab-CH3融合物、Fab-scFv-CH3融合物、二重親和性再標的化(DART)-CH3融合物、Fab-DART-CH3融合物、単鎖Fv-Fc(scFv-Fc)融合物、タンデム-scFv-Fc(TaFv-Fc)融合物、ダイアボディ-Fc(Db-Fc)融合物、タンデムDb-Fc(TaDb-Fc)融合物、単鎖Db-Fc融合物(scDb-Fc)、Fab-Fc融合物、単鎖Fab-Fc融合物、Fab-scFv-Fc融合物、二重親和性再標的化(DART)-Fc融合物、Fab-DART-Fc融合物等を限定なしに含む抗体、抗原結合性断片又は抗体様分子に組み込まれうることを当業者は理解する。これらの抗体フォーマットは、本明細書に開示される天然CH3、変異型CH3ドメイン、天然CH2-CH3ドメイン又は変異型CH2-CH3ドメインを有してよい。
【0290】
ABD1の例示的な実施形態
抗原結合性ドメイン1(ABD1)は、例えば、DR2に結合する抗原結合性ドメインから選択されてよく、その一部の非限定的な例示的な実施形態は本明細書において提供される。
【0291】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む。
【0292】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0293】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号10に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0294】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0295】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号17に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0296】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号20に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0297】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号22に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0298】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号25に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号27に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0299】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0300】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号32に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号33に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号34に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0301】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号36に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号37に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号38に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0302】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号40に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号41に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0303】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号43に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号45に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0304】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号46に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号47に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号48に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0305】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号51に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号52に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0306】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号53に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号54に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号55に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0307】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号7の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0308】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号7のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0309】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号7のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0310】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0311】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号14の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0312】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号14のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0313】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号14のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0314】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0315】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号21の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0316】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号21のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0317】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号21のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0318】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0319】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号28の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0320】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0321】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0322】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0323】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号35の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0324】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号35のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0325】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号35のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0326】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0327】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号42の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0328】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号42のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0329】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号42のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0330】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0331】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号49の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0332】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0333】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0334】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0335】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号56の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0336】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号56のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0337】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号56のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0338】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0339】
ABD2の例示的な実施形態
抗原結合性ドメイン2(ABD2)は、例えば、PD-1に結合する抗原結合性ドメインから選択されてよく、その一部の非限定的な例示的な実施形態は本明細書において提供される。
【0340】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む。
【0341】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号60に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号61に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号62に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0342】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号63の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0343】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号63のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0344】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号63のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0345】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0346】
ABD3の例示的な実施形態
抗原結合性ドメイン3(ABD3)は、例えば、CD47に結合する抗原結合性ドメインから選択されてよく、その一部の非限定的な例示的な実施形態は本明細書において提供される。
【0347】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(CDRH2)及び配列番号66に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDRH3)を含む。
【0348】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号67に示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号68に示されるアミノ酸配列を有するCDRH2及び配列番号69に示されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む。
【0349】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖を含む。一部の実施形態では、アミノ酸バリエーションは、配列番号70の1つ又は複数のフレームワーク領域中に位置してよい。
【0350】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のKabat CDRと同一のCDRを含む。
【0351】
一部の実施形態では、重鎖は、配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のIMGT CDRと同一のCDRを含む。
【0352】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0353】
他の抗原結合性ドメインの例示的な実施形態
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、少なくとも1つの抗原結合性ドメインは異なる抗原に結合する。
【0354】
一部の実施形態では、結合剤はそのため、CD3に結合する抗原結合性ドメインを含んでよい。そのような抗原結合性ドメインは、当業者に公知のものを含む。CD3に結合する抗原結合性ドメインの例示的な実施形態は配列番号115に提供される。
【0355】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、DR2、PD-1及び/又はCD3に結合する抗原結合性ドメインを含んでよい。他の実施形態では、結合剤は、DR2及び/又はCD3に結合する抗原結合性ドメインを含んでよい。更に他の実施形態では、結合剤は、PD-1及び/又はCD3に結合する抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0356】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、限定なく例えば、CD3、CD36、DRD1、DRD2、DRD3、DRD4、DRD5、PD-L1、TROP2、CD147、MCT1、IL1RAP、AMIGO2、PTK7、MCT2、MCT4、NHE1、H+/K+-ATPアーゼ、LAP、HLA-I A2、CD73、CD98、CEACAM5/6、ICAM-1、MCSP、フィブロネクチン、ベータ1インテグリン、テトラスパニン8、CD164、CD59、CD63、CD44、CD166、cWF、TNF、IL-17A、IL17-F、IL-6R、BCMA、TNF、RANKL、ADAMTS5、VEGF、Ang2、CX3CR1、CXCR4、TfR1(CD71)、CXCR2、CD3、PD1、PDL-1、CTLA-4、CD8、LAG-3、OX40、CD27、CD122/IL2RB、TLR8/CD288、TIM-3、ICOS/CD278、NKG2A、A2AR、B7-H3、B7-H4、GITR/TNFRSF18、4-IBB/CD137、KIR2DL1、KIR3DL2、SIRPα、CD47、VISTA、CD40、CD112、CD96、TOGOT、BTLA、TIGIT、CD4、VEGFR2、CD19、IGFR1、EpCAM、EGFR、DLL3、CGRP、CD79b、CD28、CCR5、ErbB3、ErbB2、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TGFβR1、TGFβR2、IDO1、IDO2、TLR-4、TLR-7、TLR-8、TLR-9、NOX2、又はSIGLEC-7に特異的に結合する抗原結合性ドメインから選択される。
【0357】
ポリペプチド鎖
本開示の結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む。
【0358】
所望されるポリペプチド鎖配列をコードするDNAのセグメントはin vitroで合成されてよい。異なるDNAモジュールが、組織化及び方向付けされた方式で単一の小片にアセンブルされ、それが次に発現ベクターにクローニングされる。結果としてもたらされるポリペプチド鎖はしたがって、単一の鎖を形成する異なるモジュールから構成される。
【0359】
本開示のポリペプチド鎖は、限定なく例えば、抗原結合性ドメイン、リンカー及び少なくとも2つのポリペプチド鎖のアセンブリーを促進する二量体化ドメインを含む。
【0360】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は単一特異性であってよい。
【0361】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は多特異性であってよい。
【0362】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は一価であってよい。
【0363】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は多価であってよい。
【0364】
一部の事例では、ポリペプチド鎖は二量体化ドメインを含まない。
【0365】
一部の事例では、ポリペプチド鎖は二量体化ドメインを含む。
【0366】
本開示の一部の態様では、ポリペプチド鎖は単一特異性であってよい。
【0367】
単一特異性ポリペプチド鎖の例示的な実施形態は、1つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。単一特異性ポリペプチド鎖の別の例示的な実施形態は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含むが、抗原結合性ドメインは同一のCDR及びフレームワーク領域を有する。単一特異性ポリペプチド鎖の更に別の例示的な実施形態は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含むが、抗原結合性ドメインは同一のCDR及び異なるフレームワーク領域を有する。単一特異性ポリペプチド鎖の更なる例示的な実施形態は、同じ抗原又はエピトープに結合する能力に影響することなくそれらのCDRのうちの1つ又は複数のアミノ酸配列において異なる(例えば、1つ又は複数のCDRにおける保存的置換)抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。
【0368】
本開示の一部の態様では、ポリペプチド鎖は多特異性であってよい。ポリペプチド鎖は、例えば、二特異性ポリペプチド鎖、三特異性ポリペプチド鎖、四特異性ポリペプチド鎖、五特異性ポリペプチド鎖、六特異性ポリペプチド鎖、二パラトープ性ポリペプチド鎖及び多パラトープ性ポリペプチド鎖等を包含しうる。
【0369】
例示的な構成では、1つ又は複数の抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのN末端、C末端又は各側に位置してよい。
【0370】
別の例示的な構成では、ポリペプチド鎖は、二量体化ドメインのN末端における少なくとも1つの抗原結合性ドメイン及び二量体化ドメインのC末端における少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0371】
更なる例示的な構成では、ポリペプチド鎖は、二量体化ドメインのN末端における1つの抗原結合性ドメイン及び二量体化ドメインのC末端における少なくとも2つの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0372】
いっそう更なる例示的な構成では、ポリペプチド鎖は、二量体化ドメインのN末端における2つの抗原結合性ドメイン及び二量体化ドメインのC末端における2つの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0373】
ポリペプチド鎖は、N末端からC末端への様式において式I:
X-[(Aba)-(Lb)]m-(DD)-[(Lc)-(Abd)]n-Y
のアミノ酸配列を含んでよく、
mは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
nは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
m及びnは同時に0ではなく;
Aba、Abdは各々、抗原結合性ドメインを表し、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり;
X又はYは独立して存在するか又は存在せず、アミノ酸配列を含み;
Lb、Lcは各々独立して1つ又は複数のリンカーを含み;且つ
DDは二量体化ドメインを表す。
【0374】
一部の実施形態では、Lbは存在しなくてよい。
【0375】
一部の実施形態では、Lcは存在しなくてよい。
【0376】
一部の実施形態では、Lb及びLcの両方は存在しなくてよい。
【0377】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0378】
mが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、[(Aba)-(Lb)]単位は同じである。
【0379】
mが2又は2より大きい整数である他の実施形態では、ポリペプチド鎖又は結合剤の[(Aba)-(Lb)]単位は異なる。
【0380】
mが2より大きい整数である他の実施形態では、ポリペプチド鎖又は結合剤の[(Aba)-(Lb)]単位は、同じ及び異なる単位を含んでよい。
【0381】
nが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、[(Lc)-(Abd)]単位は同じである。
【0382】
nが2又は2より大きい整数である他の実施形態では、[(Lc)-(Abd)]単位は異なる。
【0383】
nが2又は2より大きい整数である他の実施形態では、[(Lc)-(Abd)]単位は、同じ及び異なる単位を含む。
【0384】
mが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、各々のAbaは同じ又は異なる。
【0385】
nが2又は2より大きい整数である一部の実施形態では、各々のAbdは同じ又は異なる。
【0386】
一部の実施形態では、AbaはABD1を表す。
【0387】
一部の実施形態では、AbdはABD2を表す。
【0388】
一部の実施形態では、AbdはABD3を表す。
【0389】
一部の実施形態では、mは1であり、AbaはABD1を表す。
【0390】
一部の実施形態では、nは2であり、Abdのうちの1つはABD2を表す。
【0391】
一部の実施形態では、nは2であり、Abdのうちの1つはABD3を表す。
【0392】
一部の実施形態では、nは2であり、Abdのうちの1つはABD2を表し、他のAbdはABD3を表す。
【0393】
一部の実施形態では、mは、2、3、4、5又は5より大きい整数である。
【0394】
一部の実施形態では、mは2である。
【0395】
他の実施形態では、mは3である。
【0396】
更に他の実施形態では、mは4である。
【0397】
更なる実施形態では、mは5である。
【0398】
他の実施形態では、mは5より大きい整数である。
【0399】
一部の実施形態では、nは、2、3、4、5又は5より大きい整数である。
【0400】
一部の実施形態では、nは2である。
【0401】
他の実施形態では、nは3である。
【0402】
追加の実施形態では、nは4である。
【0403】
更なる実施形態では、nは5である。
【0404】
他の実施形態では、nは5より大きい整数である。
【0405】
実施形態では、1つ又は複数のポリペプチド鎖は抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域を更に含む。
【0406】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は二量体化ドメインのN末端にある。
【0407】
一部の実施形態では、Lbは抗体又はその抗原結合性断片のヒンジ領域である。
【0408】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は天然ヒトIgG1ヒンジ領域である。他の実施形態では、ヒンジ領域は変異型ヒトIgG1ヒンジ領域である。
【0409】
他の実施形態では、ヒンジ領域は天然ヒトIgG2ヒンジ領域である。他の実施形態では、ヒンジ領域は変異型ヒトIgG2ヒンジ領域である。
【0410】
他の実施形態では、ヒンジ領域は天然ヒトIgG3ヒンジ領域である。他の実施形態では、ヒンジ領域は変異型ヒトIgG3ヒンジ領域である。
【0411】
更に他の実施形態では、ヒンジ領域は天然ヒトIgG4ヒンジ領域である。他の実施形態では、ヒンジ領域は変異型ヒトIgG4ヒンジ領域である。
【0412】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーの各々は、独立して、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50アミノ酸残基の長さを有する。
【0413】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーの各々は、独立して、柔軟性リンカー、らせん状リンカー、又は剛性リンカーである。
【0414】
一部の実施形態では、リンカーLcは剛性リンカーである。
【0415】
一部の実施形態では、Lcは切断不可能なリンカーを含む。他の実施形態では、Lcは切断不可能なリンカーからなる。
【0416】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーは柔軟性リンカーを含む。
【0417】
一部の実施形態では、1つ又は複数のリンカーは剛性リンカーを含む。
【0418】
一部の実施形態では、柔軟性リンカーはGSリンカーである。
【0419】
一部の実施形態では、柔軟性リンカーは、1つ又は複数のGGGGS単位を含む。
【0420】
一部の実施形態では、柔軟性リンカーは、少なくとも2、3、4、5、又はより多くのGGGGS単位を含む。
【0421】
一部の実施形態では、剛性リンカーは複数のPAリピートを含む。
【0422】
一部の実施形態では、剛性リンカーは、PAPAPKA(配列番号105); APAPAPAPAPKA(配列番号106); APAPAPAPAPAPAPAPAPAPKA(配列番号107);又はこれらの組合せから選択される。
【0423】
一部の実施形態では、らせん状リンカーは1つ又は複数のEAAAK単位を含む。
【0424】
一部の実施形態では、らせん状リンカーは、AEAAAKEAAAKA(配列番号109); AEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号110); AEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号111);又はこれらの組合せから選択される。
【0425】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは、配列番号116に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0426】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは、配列番号117に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を更に含む。
【0427】
他の例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式II:
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式II)
を含む。
【0428】
更に他の例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式III:
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
を含む。
【0429】
更なる例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式IV:
X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式IV)
を含む。
【0430】
追加的な例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式V:
X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式V)
を含む。
【0431】
更なる例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式VI:
X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VI)
を含む。
【0432】
いっそう更なる例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式VII:
X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式VII)
を含む。
【0433】
他の例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、式VIII:
X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VIII)
を含む。
【0434】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、Abd3は、各々独立して、抗原結合性ドメインを含む。
【0435】
一部の実施形態では、Aba1、Aba2、Aba3、Abd1、Abd2、Abd3は、各々独立して、抗原結合性ドメインを表す。
【0436】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)である。
【0437】
一部の実施形態では、Lb1は1つ若しくは複数のリンカー及び/又は抗体若しくはその抗原結合性断片のヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、Lb1はLbである。
【0438】
一部の実施形態では、Lb2、Lb3、Lc1、Lc2、及びLc3は、各々独立して、1つ又は複数のリンカーを含む。
【0439】
一部の実施形態では、Lb1、Lb2及び/又はLb3のうちの1つ又は複数は存在しなくてよい。
【0440】
一部の実施形態では、Lb2及び/又はLb3は存在しなくてよい。
【0441】
一部の実施形態では、Lc1、Lc2、及び/又はLc3のうちの1つ又は複数は存在しなくてよい。
【0442】
一部の実施形態では、Lc2及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0443】
一部の実施形態では、Lc1は剛性リンカーである。
【0444】
一部の実施形態では、Lc2は剛性リンカーである。
【0445】
一部の実施形態では、Lc3は剛性リンカーである。
【0446】
一部の実施形態では、Lc1、及びLc2は剛性リンカーである。
【0447】
一部の実施形態では、Lc1、Lc2及びLc3は剛性リンカーである。
【0448】
一部の実施形態では、Lc1、Lc2及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0449】
一部の実施形態では、Lc2、及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0450】
一部の実施形態では、Lc1、及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0451】
一部の実施形態では、Lc2及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0452】
一部の実施形態では、Lc1、Lc2、及びLc3は存在しなくてよい。
【0453】
本開示のポリペプチド鎖は、単一の鎖として、又は本明細書に開示される結合剤の部分である場合に機能的に活性である抗原結合性ドメインを含む。
【0454】
例えば、ポリペプチド鎖の抗原結合性ドメインは、その標的に結合してよく、生物学的に活性であってよい。
【0455】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインの生物学的活性は、限定なく例えば、標的のその天然の受容体又はリガンドへの結合を遮断することを含む。代替的に、抗原結合性ドメインの生物学的活性は、標的を隔離するその能力を含む。更に、抗原結合性ドメインの生物学的活性は、シグナル伝達を誘導するその能力を含む。
【0456】
1つより多くの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖は、多価であるとして特徴付けられる。
【0457】
本開示のポリペプチド鎖は、そのN若しくはC末端又は両方の末端における追加のアミノ酸配列(本明細書に開示される式においてそれぞれX及びYにより定義される)を含んでよい。
【0458】
一部の実施形態では、N末端におけるアミノ酸配列(Xにより定義される)はシグナルペプチドを含んでよく、その例示的な実施形態は配列番号133に提供される。
【0459】
一部の実施形態では、N末端におけるアミノ酸配列(Xにより定義される)又はC末端におけるアミノ酸配列(Yにより定義される)は、独立して、リンカー、サイトカイン、ケモカイン、タグ(例えば、Hisタグ(例えば配列番号134))、マスキングドメイン、ファージコートタンパク質、抗原結合性ドメイン又はこれらの組合せを含んでよい。
【0460】
多特異性ポリペプチド鎖の例示的な実施形態としては、異なる結合特異性に繋がるそれらのCDRのうちの1つ又は複数のアミノ酸配列において異なる少なくとも2つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖が挙げられる。
【0461】
ポリペプチド鎖は、より特には、それが2つの異なるエピトープ又は抗原に結合する場合に二特異的であるとして特徴付けられてよい。ポリペプチド鎖は、それが3つの異なるエピトープ又は抗原に結合する場合に三特異的であるとして特徴付けられてよい。ポリペプチド鎖は、それが4つの異なるエピトープ又は抗原に結合する場合に四特異的であるとして特徴付けられてよい。ポリペプチド鎖は、それが5つの異なるエピトープ又は抗原に結合する場合に五特異的であるとして特徴付けられてよい。ポリペプチド鎖は、それが6つの異なるエピトープ又は抗原に結合する場合に六特異的であるとして特徴付けられてよい。
【0462】
同じ標的上の2つのオーバーラップしないエピトープに結合する2つの抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖は、二パラトープ性であるとして特徴付けられる。同じ標的上の3、4又はより多くのエピトープに結合する抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖は、多パラトープ性であるとして特徴付けられる。
【0463】
所与のポリペプチド鎖の抗原結合性ドメインは、意図される用途、例えば検出、診断及び/又は治療用途に基づいて選択される。特定のポリペプチド鎖の抗原結合性ドメインの各々は、相加的又は相乗的効果を生成するように選択されてよい。
【0464】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、疾患又は状態に関与するタンパク質に特異的に結合する能力について選択されてよい。
【0465】
例えば、本開示のポリペプチド鎖は、腫瘍細胞又は腫瘍細胞環境により発現される抗原に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメイン(即ち、腫瘍特異的抗原結合性ドメイン)を含んでよい。
【0466】
本開示の他の態様及び実施形態では、ポリペプチド鎖は、免疫調節因子に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0467】
例えば、ポリペプチド鎖は、免疫チェックポイントタンパク質、サイトカイン、ケモカイン又は免疫受容体若しくは補助受容体等に結合する1つ又は複数の抗原結合性ドメイン(例えば、免疫特異的抗原結合性ドメイン)を含んでよい。
【0468】
一部の例示的な実施形態では、抗原結合性ドメインはドーパミン受容体D2(DR2)に結合してよい。
【0469】
一部の例示的な実施形態では、抗原結合性ドメインはPD1に結合してよい。
【0470】
一部の例示的な実施形態では、抗原結合性ドメインはCD47に結合してよい。
【0471】
例示的な実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、少なくとも1つの腫瘍特異的抗原結合性ドメイン及び少なくとも1つの免疫特異的抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0472】
一部の実施形態では、腫瘍特異的抗原結合性ドメインは二量体化ドメインのN末端に位置してよい。
【0473】
一部の実施形態では、腫瘍特異的抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのC末端に位置してよい。
【0474】
一部の実施形態では、腫瘍特異的抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのN末端及びC末端の両方に位置してよい。
【0475】
一部の実施形態では、複数の免疫特異的抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのN末端に位置してよい。
【0476】
一部の実施形態では、免疫特異的抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのC末端に位置してよい。
【0477】
一部の実施形態では、免疫特異的抗原結合性ドメインは、二量体化ドメインのN末端及びC末端の両方に位置してよい。
【0478】
例示的且つ非限定的な実施形態では、ポリペプチド鎖又は結合剤は、二量体化ドメインのC末端において2つの免疫特異的抗原結合性ドメインを含んでよい。一部の実施形態では、二量体化ドメインのC末端部分に直ちに隣接する免疫特異的抗原結合性ドメインは、切断不可能なリンカーを介して連結されてよい。
【0479】
二量体化ドメイン(DD)
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は二量体化ドメインを含む。そのため、2つのポリペプチド鎖は、アセンブルして結合剤を形成してよい。結合剤の例示的な実施形態はホモ二量体及びヘテロ二量体を含む。
【0480】
二量体化ドメインは、限定なく例えば、例えば重鎖免疫グロブリンのFc、CH2及び/又はCH3ドメインを含めて、免疫グロブリンの定常領域を含んでよい。
【0481】
本開示のある特定の実施形態及び態様では、二量体化ドメインは、天然IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4定常領域又はそれらの対応するCH2及び/若しくはCH3ドメインの配列と同一の配列を有してよい。
【0482】
天然ヒト抗体の配列と同一の配列を有する二量体化ドメインが本開示に特に包含される。二量体化ドメインの例示的な実施形態としては、例えば天然ヒト重鎖のCH2-CH3ドメインが挙げられる。
【0483】
よって、一部の実施形態では、二量体化ドメインは、抗体の天然定常領域、例えば、天然ヒトIgG1定常領域、天然ヒトIgG2定常領域、天然ヒトIgG3定常領域又は天然ヒトIgG4定常領域等を含む。
【0484】
よって、一部の実施形態では、二量体化ドメインは天然CH3ドメインを含む。
【0485】
例示的な実施形態では、二量体化ドメインは天然ヒトCH3ドメインを含む。
【0486】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは天然CH2ドメイン及び天然CH3ドメインを含む。
【0487】
一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然IgG1 CH3ドメインである。一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然ヒトIgG1 CH3(例えば、配列番号116)である。
【0488】
一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然IgG2 CH3ドメインである。他の実施形態では、天然CH3ドメインは天然ヒトIgG2 CH3ドメインである。
【0489】
一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然IgG3 CH3ドメインである。他の実施形態では、天然CH3ドメインは天然ヒトIgG3 CH3ドメインである。
【0490】
一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然IgG4 CH3ドメインである。一部の実施形態では、天然CH3ドメインは天然ヒトIgG4 CH3ドメインである。
【0491】
結合剤の2つのポリペプチド鎖が同じアミノ酸配列から構成される場合、結合剤はホモ二量体を形成する。しかしながら、天然抗体のCH2-CH3ドメインを有するが異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖の共発現は、ホモ二量体及びヘテロ二量体の混合物を結果としてもたらしうる。混合物中に存在する異なる結合剤は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを含む、当技術分野において公知の方法により分離されうる。
【0492】
本開示の例示的なヘテロ二量体は、したがって、天然抗体のCH3ドメイン又はCH2-CH3ドメインを有し、且つ異なる配列又は構成を有する2つのポリペプチド鎖により形成されるものを含む。
【0493】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、天然又は野生型配列と比較して、例えば、1~30、1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3個のアミノ酸置換を含む変異型二量体化ドメインを有してよい。
【0494】
例示的な実施形態では、変異型二量体化ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸置換を含んでよい。アミノ酸置換は、表2(表2)に概説されるように保存的又は非保存的であってよい。
【0495】
例示的な実施形態では、ポリペプチド鎖は、天然IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4定常領域又はCH2及び/若しくはCH3ドメインの配列と80%~99%同一の配列を有する変異型二量体化ドメインを有してよい。本開示に包含されるポリペプチド鎖としては、天然IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4定常領域又はCH2及び/若しくはCH3ドメインの配列と85%~99%同一の、90%~99%同一の、95%~99%同一の変異型二量体化ドメインを含むものが挙げられる。
【0496】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、ヘテロ二量体形成を有利にするアミノ酸置換を含む変異型二量体化ドメインを含んでよい。本開示のヘテロ二量体は、したがって、そのような変異を含むポリペプチド鎖により形成されてよい。
【0497】
よって、一部の実施形態では、二量体化ドメインは、抗体の変異型定常領域、例えば、変異型ヒトIgG1定常領域、変異型ヒトIgG2定常領域、変異型ヒトIgG3定常領域又は変異型ヒトIgG4定常領域等を含む。変異型定常領域は、天然定常領域と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換、アミノ酸挿入又はアミノ酸欠失を有してよい。
【0498】
よって、一部の実施形態では、二量体化ドメインは変異型CH3ドメインを含む。変異型CH3ドメインは、天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数のアミノ酸置換、アミノ酸挿入又はアミノ酸欠失を有してよい。
【0499】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは天然CH2及び変異型CH3ドメインを含む。
【0500】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは変異型CH2及び変異型CH3ドメインを含む。変異型CH2ドメインは、天然CH2ドメインと比較して1つ又は複数のアミノ酸置換、アミノ酸挿入又はアミノ酸欠失を有してよい。
【0501】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型IgG1 CH3ドメインである。他の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型ヒトIgG1 CH3ドメインである。
【0502】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型IgG2 CH3ドメインである。他の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型ヒトIgG2 CH3ドメインである。
【0503】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型IgG3 CH3ドメインである。他の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型ヒトIgG3 CH3ドメインである。
【0504】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型IgG4 CH3ドメインである。他の実施形態では、変異型CH3ドメインは変異型ヒトIgG4 CH3ドメインである。
【0505】
一部の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型IgG1 CH2ドメインである。他の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型ヒトIgG1 CH2ドメインである。
【0506】
一部の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型IgG2 CH2ドメインである。他の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型ヒトIgG2 CH2ドメインである。
【0507】
一部の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型IgG3 CH2ドメインである。他の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型ヒトIgG3 CH2ドメインである。
【0508】
一部の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型IgG4 CH2ドメインである。他の実施形態では、変異型CH2ドメインは変異型ヒトIgG4 CH2ドメインである。
【0509】
一部の実施形態では、Fc領域は、グリコシル化を予防し、その半減期を延長させ、受容体結合又はエフェクター機能をモジュレートするように改変されてよい。例示的な変異は、Saunders K.O.(Front. Immunol. 10:1296頁、2019;その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)において議論されており、例えばアスパラギン297(例えば、N297)の変異が挙げられる。
【0510】
本開示によれば、変異型CH3ドメインは、天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含む。よって、一部の実施形態では、二量体化ドメインは、天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含む変異型CH3ドメインを含む。
【0511】
例えば、変異型CH3ドメインは、ヒトIgG1の天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含んでよい。別の例では、変異型CH3ドメインは、ヒトIgG2の天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含んでよい。更に別の例では、変異型CH3ドメインは、ヒトIgG3の天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含んでよい。更なる例では、変異型CH3ドメインは、ヒトIgG4の天然CH3ドメインと比較して1つ又は複数の変異を含んでよい。
【0512】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、(EUナンバリングシステムにしたがって)356位、357位、370位、399位及び/又は439位におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0513】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは、ヒトIgG1又はIgG4の天然CH3ドメインと比較して(EUナンバリングシステムにしたがって)D399、D/E356及び/又はK370に対応する位置における1つ又は複数の変異を含む変異型CH3ドメインを含む。
【0514】
他の実施形態では、二量体化ドメインは、ヒトIgG1又はIgG4の天然CH3ドメインと比較して(EUナンバリングシステムにしたがって)D399、E357及び/又はK439に対応する位置における1つ又は複数の変異を含む変異型CH3ドメインを含む。
【0515】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、ヒトIgG1又はIgG4の天然CH3ドメインと比較して(EUナンバリングシステムにしたがって)Y349、T350、L351、P352、S354、R/Q355、T394及び/又はP395に対応する位置における1つ又は複数の変異を更に含む。
【0516】
例示的な実施形態では、所与の結合剤の1つのポリペプチド鎖は、例えば、(EUナンバリングシステムにしたがって)357位、399位及び439位におけるアミノ酸置換を有する、変異型CH3ドメインを含んでよい一方、結合剤の他のポリペプチド鎖は、例えば、356位、370位及び399位におけるアミノ酸置換を有する、変異型CH3ドメインを含んでよい。
【0517】
例示的な実施形態では、所与の結合剤の1つのポリペプチド鎖は、例えば、(EUナンバリングシステムにしたがって)357位、399位及び439位におけるアミノ酸置換を有する、変異型CH3ドメインを含んでよい一方、結合剤の他のポリペプチド鎖は、例えば、356位、370位及び399位におけるアミノ酸置換を有する、変異型CH3ドメインを含んでよい。所与の結合剤の1つ又は両方のポリペプチド鎖は、349、350、351、352、354、355、394及び/又は395から選択される位置における変異を任意選択で更に含んでよい。所与の結合剤の1つのポリペプチド鎖は、そのため、本明細書に開示されるアミノ酸配列を有する第1の二量体化ドメイン(DD1)を含んでよく、所与の結合剤の他のポリペプチド鎖は、そのため、本明細書に開示されるアミノ酸配列を有する第2の二量体化ドメイン(DD2)を含んでよい。
【0518】
一部の実施形態では、356位におけるアミノ酸は中性アミノ酸により置き換えられてよい。一部の実施形態では、370位におけるアミノ酸は正に荷電したアミノ酸により置き換えられてよい。一部の実施形態では、399位におけるアミノ酸は中性アミノ酸により置き換えられてよい。一部の実施形態では、357位におけるアミノ酸は中性アミノ酸により置き換えられてよい。一部の実施形態では、439位におけるアミノ酸は負に荷電したアミノ酸により置き換えられてよい。
【0519】
例えば、ヘテロ二量体形成を有利にするために、ポリペプチド鎖のうちの1つは、a)356位におけるアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)を中性アミノ酸に、b)370位におけるリジン(K)を正に荷電したアミノ酸に、及びc)399位におけるアスパラギン酸(D)を中性アミノ酸に置き換えることにより変異されてよく、他のポリペプチド鎖は、a)357位におけるグルタミン酸(E)を中性アミノ酸に、b)399位におけるアスパラギン酸(D)を中性アミノ酸に、及びc)439位におけるリジン(K)を負に荷電したアミノ酸に置き換えることにより変異されてよい。
【0520】
本開示のポリペプチド鎖の例示的な実施形態は、356位におけるアスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)がグルタミン(Q)に変更されてよく、370位におけるリジン(K)がグルタミン酸(E)に変更されてよく、且つ399位におけるアスパラギン酸(D)がアスパラギン(N)に変更されてよい変異型CH3ドメインを含む二量体化ドメインを含んでよい。
【0521】
本開示のポリペプチド鎖の別の例示的な実施形態は、357位におけるグルタミン酸(E)がグルタミン(Q)に変更されてよく、399位におけるアスパラギン酸(D)がアスパラギン(N)に変更されてよく、且つ439位におけるリジン(K)がグルタミン酸(E)に変更されてよい変異型CH3ドメインを含む二量体化ドメインを含んでよい。
【0522】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは、(天然CH3ドメインと比較した)アミノ酸置換が、
a.位置D399におけるアミノ酸置換;
b.位置D/E356におけるアミノ酸置換;
c.位置E357におけるアミノ酸置換;
d.位置K370におけるアミノ酸置換;
e.位置K439におけるアミノ酸置換;
f.位置Y349におけるアミノ酸置換;
g.位置T350におけるアミノ酸置換;
h.位置L351におけるアミノ酸置換;
i.位置P352におけるアミノ酸置換;
j.位置S354におけるアミノ酸置換;
k.位置R355におけるアミノ酸置換;
l.位置Q355におけるアミノ酸置換;
m.位置T394におけるアミノ酸置換;
n.位置P395におけるアミノ酸置換;
o.位置Y349におけるアミノ酸置換;及び
p. a.~o.のうちの2つ又はより多くの任意の組合せ
から選択される変異型CH3ドメインを含む。
【0523】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びY349におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0524】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びT350におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0525】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びL351におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0526】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びP352におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0527】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びS354におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0528】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びR355におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0529】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びQ355におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0530】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370及びT394におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0531】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、D/E356、K370、Y349及びS354におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0532】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びY349におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0533】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、E357、K439及びT350におけるアミノ酸置換を含む。
【0534】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、E357、K439E及びL351におけるアミノ酸置換を含む。
【0535】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びP352におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0536】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びS354におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0537】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びR355におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0538】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びQ355における変異を含んでよい。
【0539】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、K439、E357及びP395におけるアミノ酸置換を含んでよい。
【0540】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、位置D399、E357、K439、Y349及びS354におけるアミノ酸置換を含む。
【0541】
天然CH3ドメイン又は変異型CH3ドメイン中の他のアミノ酸置換(他の位置におけるもの又は他のアミノ酸残基を用いる同じ位置におけるもの)が、二量体を形成するポリペプチド鎖の能力に影響することなく実行されうることが理解されるべきである。
【0542】
一部の実施形態では、位置Y349におけるアミノ酸置換は、Y349K、Y349D又はY349Rから選択される。より特には、一部の実施形態では、位置Y349におけるアミノ酸置換はY349Kである。他の実施形態では、位置Y349におけるアミノ酸置換はY349Dである。
【0543】
一部の実施形態では、位置S354におけるアミノ酸置換は、S354K、S354D、S354W又はS354Mから選択される。より特には、一部の実施形態では、位置S354におけるアミノ酸置換はS354Kである。他の実施形態では、位置S354におけるアミノ酸置換はS354Dである。他の実施形態では、位置S354におけるアミノ酸置換はS354Mである。
【0544】
一部の実施形態では、位置L351におけるアミノ酸置換は、L351Y、L351W、L351H、L351R、L351D、L351A、L351Tである。より特には、一部の実施形態では、位置L351におけるアミノ酸置換はL351Yである。他の実施形態では、位置L351におけるアミノ酸置換はL351Wである。他の実施形態では、位置L351におけるアミノ酸置換はL351Rである。
【0545】
一部の実施形態では、位置T350におけるアミノ酸置換は、T350L、T350I又はT350Vである。より特には、一部の実施形態では、位置T350におけるアミノ酸置換はT350Iである。他の実施形態では、位置T350におけるアミノ酸置換はT350Vである。
【0546】
一部の実施形態では、位置P352におけるアミノ酸置換は、P352Y、P352V、P352R、P352T、P352L、P352G、P352E、P352C、P352K又はP352Dである。より特には、一部の実施形態では、位置P352におけるアミノ酸置換はP352Rである。他の実施形態では、位置P352におけるアミノ酸置換はP352Eである。
【0547】
一部の実施形態では、位置T394におけるアミノ酸置換はT394Nである。
【0548】
一部の実施形態では、位置P395におけるアミノ酸置換はP395Iである。他の実施形態では、位置P395におけるアミノ酸置換はP395Gである。他の実施形態では、位置P395におけるアミノ酸置換はP395Eである。
【0549】
一部の実施形態では、位置R355におけるアミノ酸置換はR355Kである。他の実施形態では、位置R355におけるアミノ酸置換はR355Wである。
【0550】
一部の実施形態では、位置Q355におけるアミノ酸置換はQ355Kである。他の実施形態では、位置Q355におけるアミノ酸置換はQ355Wである。
【0551】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q及びK370Eを含む。
【0552】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、EUナンバリングにしたがって変異D399Q、D/E356Q及びK370Eを含む。
【0553】
他の実施形態では、変異型CH3ドメインは、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q及びK439Eを含む。
【0554】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399Q、D/E356Q、K370E、Y349K及びS354Kを含んでよい。
【0555】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Wを含んでよい。
【0556】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354Mを含んでよい。
【0557】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Iを含んでよい。
【0558】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Vを含んでよい。
【0559】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Rを含んでよい。
【0560】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Eを含んでよい。
【0561】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399Q、D/E356Q及びK370Eを含んでよい。
【0562】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Yを含んでよい。
【0563】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E、及びL351Hを含んでよい。
【0564】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E、及びR355Kを含んでよい。
【0565】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E、及びQ355Kを含んでよい。
【0566】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354Kを含んでよい。
【0567】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Lを含んでよい。
【0568】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びT394Nを含んでよい。
【0569】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Yを含んでよい。
【0570】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Vを含んでよい。
【0571】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Tを含んでよい。
【0572】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Lを含んでよい。
【0573】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Gを含んでよい。
【0574】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Cを含んでよい。
【0575】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Tを含んでよい。
【0576】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Aを含んでよい。
【0577】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399Q、E357Q、K439E、Y349D及びS354Dを含む。
【0578】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む。
【0579】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、E357Q、K439E及びL351Yを含む。
【0580】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、E357Q、K439E及びT350Iを含む。
【0581】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、E357Q、K439E及びT350Vを含んでよい。
【0582】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399Q、K439E、E357Qを含んでよい。
【0583】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、S354Kを含んでよい。
【0584】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、S354Wを含んでよい。
【0585】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、Y349Rを含んでよい。
【0586】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、T350Lを含んでよい。
【0587】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、R355Wを含んでよい。
【0588】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、Q355Wを含んでよい。
【0589】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、P395Iを含んでよい。
【0590】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、P395Gを含んでよい。
【0591】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、P395Eを含んでよい。
【0592】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、P352Kを含んでよい。
【0593】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、P352Dを含んでよい。
【0594】
一部の実施形態では、変異型CH3ドメインは、変異D399N、K439E、E357Q、L351Dを含んでよい。
【0595】
一部の実施形態では、結合剤は2つのポリペプチド鎖を含み;
2つのポリペプチド鎖のうちの1つは、EUナンバリングにしたがってD399、D/E356及び/又はK370に対応する位置における1つ又は複数のアミノ酸置換を含む変異型CH3ドメインを含む第1の二量体化ドメイン(DD1)を含み;且つ
2つのポリペプチド鎖のうちの他方は、EUナンバリングにしたがってD399、E357及び/又はK439に対応する位置における1つ又は複数のアミノ酸置換を含む変異型CH3ドメインを含む第2の二量体化ドメイン(DD2)を含む。
【0596】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q及びK370Eを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q及びK439Eを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0597】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)及び/又は第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがってY349、T350、L351、P352及び/又はS354に対応する位置におけるアミノ酸置換を更に含む変異型CH3ドメインを含む。
【0598】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399Q、D/E356Q、K370E、Y349K及びS354Kを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399Q、E357Q、K439E、Y349D及びS354Dを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0599】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びL351Wを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0600】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びS354Mを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Yを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0601】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Iを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びT350Iを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0602】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びT350Vを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びT350Vを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0603】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Rを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0604】
一部の実施形態では、第1の二量体化ドメイン(DD1)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、D/E356Q、K370E及びP352Eを含む変異型CH3ドメインを含み、且つ第2の二量体化ドメイン(DD2)は、EUナンバリングにしたがって変異D399N、E357Q、K439E及びL351Rを含む変異型CH3ドメインを含む。
【0605】
本開示によれば、結合剤は、会合して、本明細書においてヘテロ二量体として参照される二量体を形成する2つの異なるポリペプチド鎖から構成されてよい。
【0606】
ヘテロ二量体は、2つの異なるポリペプチド鎖(例えば、鎖A及び鎖B)を共発現させることにより製造されうる。
【0607】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、ヘテロ二量体の形成を有利にする野生型ヒトCH2及び変異型ヒトCH3を含む二量体化ドメインを含んでよい。一部の事例では、ポリペプチド鎖は、単独で発現された場合にホモ二量体を形成するか、又は相補的な鎖と共に発現された場合にヘテロ二量体(若しくはホモ二量体及びヘテロ二量体の混合物)を形成する可能性を有する。
【0608】
ヘテロ二量体は、特には、CH3変異を含むポリペプチド鎖のセット(Table 1(表1)に例示される鎖A及び鎖B)のトランスフェクションにより製造された。
【0609】
【0610】
鎖Bに対する鎖Aの比に依存して、2つのそのようなポリペプチド鎖の共発現でホモ二量体を形成させることも可能である。
【0611】
よって、一部の状況では、ポリペプチド鎖Bとのポリペプチド鎖Aの共発現は、したがって、鎖A及び鎖Bのヘテロ二量体、鎖Aのホモ二量体、鎖Bのホモ二量体並びにこれらの混合物を結果としてもたらしうる。鎖A及び/又は鎖Bの残留する単量体が存在することもまた可能である。単量体、ヘテロ二量体及びホモ二量体の各々は抗原結合性ドメインを含有するので、混合物の各成分は何らかの活性レベルを有しうる。
【0612】
したがって、本明細書に開示されるCH3変異を含む単量体、ヘテロ二量体及びホモ二量体の他に、そのような単量体、ヘテロ二量体及び/又はホモ二量体の混合物は本開示に包含される。
【0613】
他の実施形態では、本明細書に開示されるポリペプチド鎖は、ヘテロ二量体形成を有利にするための当該技術分野において公知の変異を含む変異型二量体化ドメインを含んでよい。
【0614】
例えば、本開示のポリペプチド鎖は、本明細書に開示される式I、式II、式III、式IIIa及び式IIIb、式IV、式V、式VI、式VII又は式VIIIに記載される構成並びにヘテロ二量体形成を有利にすることが当技術分野において公知の変異を含んでよい。
【0615】
そのような変異の例示的な実施形態は、例えば、Ha, J-Hら(Front Immunol、2016;7:394頁)又はGodar Mら(Expert Opinion on Therapeutic patents、2018;28(3):251~276頁)に開示されており、これらの全内容は参照により組み込まれ、例えば、ノブ-イントゥー-ホール(第1のCH3ドメインの変異T366Y及び第2のCH3ドメインの変異Y407T、第1のCH3ドメインの変異T366W及び第2のCH3ドメインの変異T366S、L368A、Y407V、又は第1のCH3ドメインの変異S354C、T366W及び第2のCH3ドメインの変異Y349C、T366S、L368A、Y407V)、DD/KK変異(第1のCH3ドメインの変異K409D、K392D、第2のCH3ドメインの変異D399K、E356K)、非対称再操作技術(第1のCH3ドメインの変異E356K、E357K、D399K及び第2のCH3ドメインの変異K439E、K370E、K409D)、BiMAb変異(第1のCH3ドメインの変異K249E、K288E、第2のCH3ドメインの変異E236K、D278K)、XmAb変異(第1のCH3ドメインの変異S364H、F405A、第2のCH3ドメインの変異Y349T、T394F)、DuoBody変異(第1のCH3ドメインの変異F405L、第2のCH3ドメインの変異K409R)、Azymetric変異(第1のCH3ドメインの変異T350V、L351Y、S400E、F405A、Y407V、第2のCH3ドメインの変異T350V、T366L、N390R、K392M、T394W)、Biclonics変異(第1のCH3ドメインの変異T366K(+L351K)、第2のCH3ドメインの変異L351D又はY349、L368若しくはY349+R355におけるE若しくはD)、ZW1変異(第1のCH3ドメインの変異T350V、L351Y、F405A、Y407V、第2のCH3ドメインの変異T350V、T366L、K392L、T394W)、7.8.60変異(第1のCH3ドメインの変異K360D、D399M、Y407A、第2のCH3ドメインの変異E345R、Q347R、T366V、K409V)、EW-RVT変異(第1のCH3ドメインの変異K360E、K409W及び第2のCH3ドメインの変異Q347R、D399V、F405T)、EW-RVTs-s変異(第1のCH3ドメインの変異K360E、K409W、Y349C及び第2のCH3ドメインの変異Q347R、D399V、F405T、S354C)、SEED変異(第1のCH3ドメインの変異 IgG1 CH3上のIgA由来45残基及び第2のCH3ドメインの変異 IgA CH3上のIgG1由来57残基)、A107変異(第1のCH3ドメインの変異K370E、K409W、第2のCH3ドメインの変異E357N、D399V、F405T)等が挙げられる。
【0616】
リンカー(L)
本明細書に開示されるポリペプチド鎖の異なるモジュールは、リンカーを介して互いに会合してよい。
【0617】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖の1つ又は複数のモジュールを接合するために使用されるリンカーは、切断可能なリンカーではない。
【0618】
例示的な実施形態では、二量体化ドメインのC末端に直ちに隣接して位置するリンカー(Lc)は、切断可能なリンカーを含まない。
【0619】
別の例示的な実施形態では、2つの抗原結合性ドメインの間に位置するリンカーのうちの少なくとも1つは、切断可能なリンカーを含まない。
【0620】
他の実施形態では、ポリペプチド鎖の1つ又は複数のモジュールを接合するために使用されるリンカーは、切断不可能なリンカーを含んでよい。
【0621】
例示的な実施形態では、二量体化ドメインのC末端に直ちに隣接して位置するリンカーは、切断不可能なリンカーである。
【0622】
別の例示的な実施形態では、2つの抗原結合性ドメインの間に位置するリンカーのうちの少なくとも1つは、切断不可能なリンカーである。
【0623】
更なる例示的な実施形態では、二量体化ドメインのC末端に直ちに隣接して位置するリンカー及び二量体化ドメインのC末端に位置する第1の2つの抗原結合性ドメインを接合するリンカーは、切断不可能なリンカーである。
【0624】
一部の実施形態では、二量体化ドメインのN末端に直ちに隣接するリンカーは、好ましくは、抗体のヒンジ領域を含んでよい。
【0625】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は、天然のヒンジ領域である。
【0626】
一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然IgG1ヒンジ領域である。一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然ヒトIgG1ヒンジ領域である。
【0627】
一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然IgG2ヒンジ領域である。他の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然ヒトIgG2ヒンジ領域である。
【0628】
一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然IgG3ヒンジ領域である。他の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然ヒトIgG3ヒンジ領域である。
【0629】
一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然IgG4ヒンジ領域である。一部の実施形態では、天然のヒンジ領域は天然ヒトIgG4ヒンジ領域である。
【0630】
一部の実施形態では、ヒンジ領域は変異型ヒンジ領域である。
【0631】
一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型IgG1ヒンジ領域である。一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型ヒトIgG1ヒンジ領域である。
【0632】
一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型IgG2ヒンジ領域である。他の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型ヒトIgG2ヒンジ領域である。
【0633】
一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型IgG3ヒンジ領域である。他の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型ヒトIgG3ヒンジ領域である。
【0634】
一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型IgG4ヒンジ領域である。一部の実施形態では、変異型ヒンジ領域は変異型ヒトIgG4ヒンジ領域である。
【0635】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖の全てのモジュールは、切断不可能なリンカーを介して連結される。
【0636】
切断不可能なリンカーの例示的な実施形態としては、タンパク質発現の間又は製造過程の間に実質的にインタクトなままであるものが挙げられる。本明細書において使用される場合、「実質的にインタクトな」は、リンカー切断が、所与の溶液又は組成物の全ポリペプチド含有量のうちの20%又はそれ未満、15%又はそれ未満、10%又はそれ未満、7.5%又はそれ未満、5%又はそれ未満、4%又はそれ未満、3%又はそれ未満、2%又はそれ未満、1%又はそれ未満において起こることを意味する。
【0637】
切断不可能なリンカーの他の例示的な実施形態としてはまた、ヒト又は動物の血液又は血清中に存在する1つ又は複数のプロテアーゼのための特異的な切断部位を含まないリンカーが挙げられる。
【0638】
切断不可能なリンカーの追加の例示的な実施形態としては更に、個体における結合剤の投与において投与後に少なくとも1、2、3、4、5、6、12、24、48時間又はより長きにわたり完全性を保持するリンカーが挙げられる。
【0639】
更なる例示的な実施形態では、リンカーは、切断不可能なリンカー及び切断可能なリンカーの両方を含む。
【0640】
一部の実施形態では、リンカーは切断可能でない。
【0641】
一部の事例では、切断可能なリンカーは、本開示のポリペプチド鎖に取り付けられた薬物(例えば、細胞分裂抑制分子、細胞傷害性分子、化学療法剤等)又は標識のin vivo放出のために使用されてよい。
【0642】
切断可能なリンカーの例示的な実施形態は、例えば、米国特許出願公開第2019/0010242号明細書に提供されており、プロテアーゼ、通常は細胞外プロテアーゼ、例えば腫瘍又は活性化された免疫エフェクター細胞により産生されるプロテアーゼによる切断に対して感受性のリンカーが挙げられ、ADAMS、ADAMTS、例えばADAMS; ADAMS; ADAM10; ADAM12; ADAM15; ADAM17/TACE; ADAMDEC1; ADAMTS1; ADAMTS4; ADAMTS5;アスパラギン酸プロテアーゼ、例えば、BACE又はレニン;アスパラギン酸カテプシン、例えば、カテプシンD又はカテプシンE;カスパーゼ、例えば、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、又はカスパーゼ14;システインカテプシン、例えば、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンS、カテプシンV/L2、カテプシンX/Z/P;システインプロテイナーゼ、例えば、クルジパイン;レグマイン;オツバイン-2; KLK、例えば、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK10、KLK11、KLK13、又はKLK14;メタロプロテイナーゼ、例えば、メプリン;ネプリライシン; PSMA; BMP-1; MMP、例えば、MMPl、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP23、MMP24、MMP26、又はMMP27、セリンプロテアーゼ、例えば、活性化プロテインC、カテプシンA、カテプシンG、キマーゼ、凝固因子プロテアーゼ(例えば、FVIIa、FIXa、FXa、FXIa、FXIIa)、エラスターゼ、グランザイムB、グアニジノベンゾアターゼ、HtrAl、ヒト好中球エラスターゼ、ラクトフェリン、マラプシン、NS3/4A、PACE4、プラスミン、PSA、tPA、トロンビン、トリプターゼ、uPA; II型膜貫通セリンプロテアーゼ(TTSP)、例えば、DESC1、DPP-4、FAP、ヘプシン、マトリプターゼ-2、マトリプターゼ、TMPRSS2、TMPRSS3、又はTMPRSS4;及びこれらの任意の組合せから選択されるプロテアーゼによる特異的な切断のための部位を有するものが挙げられる。一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、Lcに対応する位置においてそのようなリンカーを含まない。
【0643】
リンカーの例示的な実施形態としては、柔軟性リンカー、剛性リンカー、らせん状リンカー及びこれらの組合せが挙げられる。リンカーは、例えば、Chen Xら(Adv Drug Deliv Rev. 2013;65(10):1357~1369頁)において議論されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0644】
一部の実施形態では、ヒンジ領域又はその部分は、モジュールを二量体化ドメインに連結するために使用されてよく、本明細書においてリンカーとして考えられる。ヒンジ領域は、(ヒト若しくは動物起源の)天然抗体又は合成抗体に由来してよい。ヒンジ領域は、例えば、IgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4から得られうる。ヒンジ領域の例示的な実施形態は、配列番号98、配列番号121、配列番号125及び配列番号129において提供される。
【0645】
一部の事例では、ヒンジ領域は、天然のヒンジ領域と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換、アミノ酸挿入及び/又はアミノ酸欠失を有してよい。変異型ヒンジ領域は、例えば、天然IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ヒンジ領域の配列と80%~99%同一の配列(変異型ヒンジ領域)を含む。変異型ヒンジ領域の例示的且つ非限定的な実施形態としては、S228がP(EUナンバリング)で置き換えられたIgG4のヒンジ領域が挙げられる(Angal, S.ら、Mol Immunol 30、105~108頁、1993)。変異型ヒンジの他の例示的な実施形態は、配列番号118~120、122~124、126~128及び130-132において提供される。
【0646】
柔軟性リンカーは、通常、小さい極性アミノ酸、例えばスレオニン又はセリン及びグリシンから構成される。柔軟性リンカーの例示的且つ非限定的な実施形態としては、GSリンカー(グリシン/セリンリピート)、例えば、(GGGS)n(GGGGS)m、(GS)n、(G4S)n、(GGS)n、(GGGS)n、(GGGGS)n、(GGSG)n、(GGGSS)n等が挙げられ、n及びmは、整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はより大きいもの、例えば15、20若しくは25であってよい。
【0647】
柔軟性リンカーの特有の例示的且つ非限定的な実施形態としては、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103又は配列番号104に示されるアミノ酸配列を含む又はからなるものが挙げられる。
【0648】
配列番号104は、式(GGGGS)n(nは、1~10から選択される整数である)又は代替的に式GGGGSX1(X1は存在しないか、若しくは存在する場合、配列番号104のアミノ酸残基1~5の1~9個のリピートである)により表されるものであってよいことが理解されるべきである。
【0649】
本開示の剛性リンカーは、通常、プロリンリッチ配列(XP)nから構成され、Xは任意のアミノ酸、好ましくはAla、Lys又はGluを示し、nは整数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等である(Chen Xら、2013)。
【0650】
剛性リンカーの特有の例示的且つ非限定的な実施形態としては、配列番号105、配列番号106、配列番号107又は配列番号108に示されるアミノ酸配列を含む又はからなるものが挙げられる。
【0651】
配列番号108は、式(X(PAPAP))nKAにより表されてよく、nは1~10から選択される整数であり、Xは存在するか若しくは存在せず、存在する場合、Aであり、又は代替的に、配列番号108は、式(XPAPAP)X2KAにより表されてよく、Xは存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Aであり、且つX2は存在しないか、若しくは存在する場合、配列番号108のアミノ酸残基1~6の1~9個のリピートであることが理解されるべきである。
【0652】
らせん状リンカーは剛性であるとして特徴付けられることがあるが、本明細書において別個のリンカーファミリーに分離される。らせん状リンカーの例示的な実施形態は、Chen Xら、2013において議論されており、例えば、正荷電及び負荷電のアミノ酸残基により隣接されるアラニン残基のリピートを含む。
【0653】
らせん状リンカーの特有の例示的且つ非限定的な実施形態としては、配列番号109、配列番号110、配列番号111及び配列番号112に示されるアミノ酸配列を含む又はからなるものが挙げられる。
【0654】
配列番号112は式X(EAAAK)nX2により表されてよく、nは、1~10、より好ましくは2~5から選択される整数であり、X及びX2は独立して存在するか又は存在せず、存在する場合、好ましくはAであることが理解されるべきである。代替的に、配列番号112は、式X(EAAAK)X3X2により表されてよく、X及びX2は独立して存在するか又は存在せず、存在する場合、好ましくはAであり; X3は存在しないか、又は存在する場合、配列番号112のアミノ酸残基2~6の1~9個のリピートである。
【0655】
例示的な実施形態では、二量体化ドメインのC末端に直ちに隣接するリンカー(式II~VIIIにおいてLc1として同定される)は、柔軟性リンカー、剛性リンカー又はらせん状リンカーのいずれかを含んでよい。この位置を占有するように特に選択されてよいリンカーとしては、限定なく例えば、配列番号100~109、配列番号111又は配列番号112(ここで、nは1である)に示されるアミノ酸配列を含む又はからなるリンカーが挙げられる。
【0656】
例示的な実施形態では、二量体化ドメインのC末端に位置する第1の2つの抗原結合性ドメインを接合するリンカー(式II~VIIIにおいてLc2として同定される)は、柔軟性リンカー、剛性リンカー又はらせん状リンカーのいずれかを含んでよい。この位置を占有するように特に選択されてよいリンカーとしては、限定なく例えば、配列番号100~110又は配列番号112(ここで、nは1である)に示されるアミノ酸配列を含む又はからなるリンカーが挙げられる。
【0657】
本開示はまた、配列番号100~112のうちのいずれかのN末端又はC末端の1つ又は両方において1~10個のアミノ酸(並びに1及び10以内に含まれる任意の範囲又は値、例えば1~5等)の付加を有するリンカーを提供する。これらの追加のアミノ酸残基は各々独立して任意のアミノ酸残基から選択されてよい。これらの追加のアミノ酸残基は、好ましくは、切断不可能な配列を形成する。
【0658】
本開示はまた、配列番号100~112のうちのいずれかのN末端又はC末端の1つ又は両方における1、2、3、4又は5個のアミノ酸(並びに1及び5以内に含まれる任意の値)の欠失を有するリンカーを提供する。
【0659】
好適なリンカーは、例えば、約3~約50、約3~約40、約3~約30、約3~約25、約3~約20、約3~約15、約3~約10個のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を含んでよい。
【0660】
例示的な実施形態では、各リンカーの長さは、独立して、約5~約50個のアミノ酸残基の範囲内であってよく、これには、例えば、約5~約40個のアミノ酸残基、約10~約40個のアミノ酸残基、約20~約40個のアミノ酸残基、約20~約35個のアミノ酸残基、約25~約30個のアミノ酸残基並びにそのような範囲に含まれる及び該範囲を含む任意の部分的範囲が含まれる。
【0661】
一部の実施形態では、配列番号104、配列番号108又は配列番号112に示されるアミノ酸配列を含むリンカーは、好ましくは1~10、より好ましくは2、3、4又は5を含めて2~5の「n」値を有してよい。
【0662】
結合剤
本開示の結合剤は、例えば、本明細書に開示される抗原結合性ドメインを包含する。
【0663】
本開示の結合剤は、例えば、本明細書に開示されるポリペプチド鎖を包含する。
【0664】
本開示の結合剤は、例えば、本明細書に開示されるポリペプチド鎖の二量体を包含する。
【0665】
本開示の結合剤は、例えば、本明細書に開示されるポリペプチド鎖の多量体を包含する。
【0666】
本開示の結合剤は、抗体及びその抗原結合性断片、抗体様分子(Fc、CH3融合物等)、タンパク質スキャフォールド及び免疫細胞調節剤等との融合物のフォーマットを有してよい。
【0667】
一部の実施形態では、結合剤は抗体又はその抗原結合性断片を含む。
【0668】
一部の実施形態では、結合剤は抗体様分子を含む。
【0669】
一部の実施形態では、結合剤は、タンパク質スキャフォールドと融合していてよい。
【0670】
一部の実施形態では、結合剤は免疫細胞調節剤を含む。
【0671】
よって、一部の実施形態では、結合剤は、抗体及びその抗原結合性断片、限定なく例えば、ラクダ科動物又はサメからの単一ドメイン抗体、IgG(ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4を含む)、ヒトIgM、ヒトIgA(ヒトIgA1及びヒトIgA2を含む)、ヒトIgE、ヒトIgDを含むヒト抗体、例えば、IgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、IgG4)、IgM、IgA、IgE及びIgDを含む、動物抗体等を含む。
【0672】
他の実施形態では、結合剤は、抗原結合性断片、限定なく例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、相補性決定領域、並びにVH、VHH、VLを含む可変領域等を含む。
【0673】
結合剤はまた、免疫細胞調節剤、例えば、二重親和性再標的化分子(DART)、キメラ抗原受容体(CAR)構築物、二特異性T細胞エンゲージャー構築物(BiTE)、二特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、scFv又はVHHを含有する三特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)等を含む。
【0674】
結合剤はまた、アンキリンリピートタンパク質、スタフィロコッカス(Staphylococcus)プロテイン-AのZ-ドメイン、III型フィブロネクチン及びノッチン等を含む、タンパク質スキャフォールドとの融合物を包含する。結合剤の例示的な実施形態は、単一特異性、二特異性(対称的若しくは非対称的)、三特異性、又は多特異性抗体の他に、一価、二価、三価又は多価抗体、単鎖FV(scFV)並びに誘導体、例えばダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFv、scFV-Fc、ミニボディ(scFV-CH3)、タンデムダイアボディ、ジダイアボディ及びバイボディ(bibody)等、VH又はVHH並びに誘導体、例えばタンデム二特異性又は多特異性VHH、二価VHH-Fc融合物、VHH-ヒンジ-CH2-CH3融合物、二価CH3融合物、VHHペンタボディ及びデカボディ等を含む。
【0675】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、2020年12月18日に出願されたPCT/CA2020/051753において式Ia、式Ib、式Ic、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII若しくは式VIII等として、又は本明細書において式I、式II、式III、式IIIa及び式IIIb、式IV、式V、式VI、式VII若しくは式VIIIとして開示されるようなフォーマットを有してよい。
【0676】
本開示の結合剤は、同じ構成(同じ若しくは異なるアミノ酸配列を有する)を有するか又は異なる構成を有する2つのポリペプチド鎖のアセンブリーにより形成されてよく、同じ又は異なる構成は、本明細書に開示される式I、式II、式III、式IIIa及び式IIIb、式IV、式V、式VI、式VII又は式VIIIに記載の構成を含む。
【0677】
本開示の結合剤は、例えば、N末端からC末端への様式において式I:
X-[(Aba)-(Lb)]m-(DD)-[(Lc)-(Abd)]n-Y
のアミノ酸配列を独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含んでよく、
mは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
nは、0、1、2又は2より大きい整数であり;
m及びnは同時に0ではなく;
Aba、Abdは各々、抗原結合性ドメインを表し、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)、抗原結合性ドメイン2(ABD2)又は抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり;
X又はYは独立して存在するか又は存在せず、アミノ酸配列を含み;
Lb、Lcは各々独立して1つ又は複数のリンカーを含み;且つ
DDは二量体化ドメインを表す。
【0678】
一部の実施形態では、Lbは存在しなくてよい。一部の実施形態では、Lb2及び/又はLb3は存在しなくてよい。
【0679】
一部の実施形態では、Lcは存在しなくてよい。一部の実施形態では、Lc1、Lc2、及び/又はLc3は存在しなくてよい。
【0680】
一部の実施形態では、Lb及びLcの両方は存在しなくてよい。
【0681】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、1個より多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0682】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、2個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0683】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、3個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0684】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、4個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0685】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、5個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0686】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は、6個又はそれより多くの抗原結合性ドメインを含む。
【0687】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖は1~12個の抗原結合性ドメインを含む。
【0688】
一部の実施形態では、結合剤は、1~12個、例えば1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、8~9、8~10、8~11、8~12、9~10、9~11、9~12、10~11、10~12、又は11~12個の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0689】
一部の実施形態では、結合剤は1個のポリペプチド鎖を含む。
【0690】
一部の実施形態では、結合剤は2個のポリペプチド鎖を含む。
【0691】
一部の実施形態では、結合剤は3個のポリペプチド鎖を含む。
【0692】
一部の実施形態では、結合剤は4個のポリペプチド鎖を含む。
【0693】
一部の実施形態では、結合剤は5個のポリペプチド鎖を含む。
【0694】
一部の実施形態では、結合剤は6個のポリペプチド鎖を含む。
【0695】
一部の実施形態では、結合剤は7個のポリペプチド鎖を含む。
【0696】
一部の実施形態では、結合剤は8個のポリペプチド鎖を含む。
【0697】
一部の実施形態では、結合剤は9個のポリペプチド鎖を含む。
【0698】
一部の実施形態では、結合剤は10個のポリペプチド鎖を含む。
【0699】
一部の実施形態では、結合剤は10個より多くのポリペプチド鎖を含む。
【0700】
一部の実施形態では、結合剤は、式II: X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式II)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0701】
一部の実施形態では、結合剤は、式III: X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0702】
一部の実施形態では、結合剤は、式IV: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-Y(式IV)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0703】
一部の実施形態では、結合剤は、式V: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式V)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0704】
一部の実施形態では、結合剤は、式VI: X-(Aba1)-(Lb2)-(Aba2)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VI)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0705】
一部の実施形態では、結合剤は、式VII: X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式VII)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0706】
一部の実施形態では、結合剤は、式VIII: X-(Aba1)-(Lb3)-(Aba2)-(Lb2)-(Aba3)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-(Lc3)-(Abd3)-Y(式VIII)を有する少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む。
【0707】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式III
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み;
Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表す。
【0708】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式III
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み;
Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表す。
【0709】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式III
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み;
Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す。
【0710】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式III
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み;
Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表し、Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表し、Aba1、Abd1又はAbd2のうちの1つは抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す。
【0711】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式III
X-(Aba1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(Abd1)-(Lc2)-(Abd2)-Y(式III)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み;
Aba1は抗原結合性ドメイン1(ABD1)を表し、Abd1は抗原結合性ドメイン2(ABD2)を表し、Abd2は抗原結合性ドメイン3(ABD3)を表す。
【0712】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式IIIのアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、Aba1は、DR2に結合する抗原結合性ドメインであり、Abd1は、PD-1に結合する抗原結合性ドメインであり、Abd2は、CD47に結合する抗原結合性ドメインである。
【0713】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式IIIのアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、Aba1は、DR2に結合する抗原結合性ドメインであり、Abd1は、CD47に結合する抗原結合性ドメインであり、Abd2は、PD-1に結合する抗原結合性ドメインである。
【0714】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式IIIa:
X-(ABD1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(ABD2)-(Lc2)-(ABD3)-Y(式IIIa)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む。
【0715】
一部の実施形態では、結合剤は、N末端からC末端への様式において式IIIb:
X-(ABD1)-(Lb1)-(DD)-(Lc1)-(ABD3)-(Lc2)-(ABD2)-Y(式IIIb)
のアミノ酸配列を各々独立して含む1つ又は複数のポリペプチド鎖を含む。
【0716】
一部の実施形態では、結合剤は、2つの同一のポリペプチド鎖を含む。
【0717】
一部の実施形態では、結合剤の両方のポリペプチド鎖は、式IIに記載の構成(同じ又は異なるアミノ酸配列を有する)を有してよい。
【0718】
一部の実施形態では、結合剤の両方のポリペプチド鎖は、式IIIに記載の構成(同じ又は異なるアミノ酸配列を有する)を有してよい。
【0719】
一部の実施形態では、結合剤の両方のポリペプチド鎖は、式IIIaに記載の構成(同じ又は異なるアミノ酸配列を有する)を有してよい。
【0720】
一部の実施形態では、結合剤の両方のポリペプチド鎖は、式IIIbに記載の構成(同じ又は異なるアミノ酸配列を有する)を有してよい。
【0721】
一部の実施形態では、1つのポリペプチド鎖は式IIIaに記載の構成を有してよく、1つのポリペプチド鎖は式IIIbに記載の構成を有してよい(抗原結合性ドメインは同じ又は異なるアミノ酸配列を有する)。
【0722】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖のうちの1つは、式IIに示される構成を有してよく、他方は、式IIIに示される構成を有してよい。
【0723】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖のうちの1つは、式IIに示される構成を有してよく、他方は、式IVに示される構成を有する。
【0724】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖のうちの1つは、式IIIに示される構成を有してよく、他方は、式IVに示される構成を有する。
【0725】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖のうちの1つは、式IVに示される構成を有してよく、他方は、式IVに示される構成を有する。
【0726】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は単一特異性又は多特異性である。
【0727】
単一特異性結合剤は、所与の抗原の単一のエピトープに特異的な結合剤を包含する。
【0728】
単一特異性結合剤の例示的な実施形態は、1つの抗原結合性ドメインを含む結合剤を含む。単一特異性結合剤の別の例示的な実施形態は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含む結合剤を含むが、抗原結合性ドメインは、同一のCDR及びフレームワーク領域を有する。結合剤鎖の更に別の例示的な実施形態は、1つより多くの抗原結合性ドメインを含む結合剤を含むが、抗原結合性ドメインは、同一のCDR及び異なるフレームワーク領域を有する。単一特異性結合剤の更なる例示的な実施形態は、同じ抗原又はエピトープに結合する能力に影響することなくそれらのCDRのうちの1つ又は複数のアミノ酸配列において異なる(例えば、1つ又は複数のCDRにおける保存的置換)抗原結合性ドメインを含む結合剤を含む。
【0729】
多特異性結合剤は、(同じ抗原若しくは異なる抗原の)1つより多くのエピトープ又は1つより多くの抗原に特異的な結合剤を包含する。例えば、多特異性ポリペプチド鎖又は結合剤はそのため、1つより多くの抗原結合性ドメインを有してよく、そのうちの少なくとも2つは、異なる抗原又はエピトープに結合する。
【0730】
本開示の結合剤はそのため、二特異性、三特異性、四特異性、五特異性、六特異性等であってよい。一部の実施形態では、各々の抗原結合性ドメインは、所与の抗原に特異的であってよい。一部の実施形態では、所与の結合剤の2つ又はそれより多くの抗原結合性ドメインは、同じ又は異なる抗原に特異的であってよい。一部の実施形態では、所与の結合剤の3つ又はそれより多くの抗原結合性ドメインは、同じ又は異なる抗原に特異的であってよい。一部の実施形態では、所与の結合剤の4つ又はそれより多くの抗原結合性ドメインは、同じ又は異なる抗原に特異的であってよい。一部の実施形態では、所与の結合剤の5つ又はそれより多くの抗原結合性ドメインは、同じ又は異なる抗原に特異的であってよい。一部の実施形態では、所与の結合剤の6つ又はそれより多くの抗原結合性ドメインは、同じ又は異なる抗原に特異的であってよい。特異性は、所与の結合剤中に存在する抗原結合性ドメインの数に依存してよい。
【0731】
多特異性結合剤の例示的な非限定的な実施形態は、多特異性ポリペプチド鎖から構成されるものを含む。多特異性結合剤の他の例示的な非限定的な実施形態は、異なる特異性の2つの抗原結合性ドメインを有するものを含む。多特異性結合剤の更に他の例示的な非限定的な実施形態は、2つの異なる抗原、タンパク質又は同じ抗原若しくはタンパク質上の2つの異なるエピトープに結合する2つより多くの抗原結合性ドメインを有するものを含む。
【0732】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は一価又は多価である。
【0733】
多価結合剤の例示的な非限定的な実施形態は、多価ポリペプチド鎖から構成される結合剤を含む。多価結合剤の他の非限定的な例示的な実施形態は、1つより多くの一価ポリペプチド鎖から構成される結合剤を含む。
【0734】
本開示によれば、二特異性結合剤は、それが含有する抗原結合性ドメインの数に依存して二価又は多価であってよい。二特異性結合剤の例示的な非限定的な実施形態は、二量体を形成する2つの同一の二特異性ポリペプチド鎖を含むものを含む。
【0735】
単一特異性結合剤の例示的な実施形態
本明細書に指し示されるように、本開示の結合剤は単一特異性であってよい。
【0736】
単一特異性結合剤の例示的且つ非限定的な例示的な実施形態は、本明細書において提供されるものを含む。
【0737】
例えば、結合剤は、ただ1つの抗原結合性ドメインを含んでよい。代替的に、結合剤は、1つより多くの同一の抗原結合性ドメインを含んでよい。
【0738】
単一特異性結合剤の例示的な実施形態は、本明細書に開示されるABD1、ABD2、ABD3又は重鎖を含む本明細書に開示される抗原結合性ドメインを含む。
【0739】
例示的な実施形態では、単一特異性結合剤は、本明細書に開示される抗原結合性ドメイン及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0740】
二量体化ドメインの例示的な実施形態は、本明細書の全体を通じて提供され、限定なくCH3ドメイン(天然CH3ドメイン及び天然ヒトCH3ドメイン、変異型CH3ドメインを含む)を含み、且つまたCH2ドメイン(天然CH2ドメイン又は変異型CH2ドメイン)を含んでよい。
【0741】
一部の実施形態では、二量体化ドメインは抗体又はその部分のFc領域である。
【0742】
一部の実施形態では、二量体化ドメインはまた、抗体又はその部分のヒンジ領域を含んでよい。一部の実施形態では、ヒンジ領域又はその部分はヒトヒンジ領域又はその部分である。
【0743】
一部の実施形態では、結合剤はABD1及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0744】
一部の実施形態では、結合剤はABD2及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0745】
一部の実施形態では、結合剤はABD3及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0746】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号7に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0747】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0748】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0749】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0750】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号35に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0751】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0752】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号49に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0753】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号56に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0754】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0755】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号70に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖及び二量体化ドメインを含んでよい。
【0756】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号71に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を含んでよい。
【0757】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号72に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を含んでよい。
【0758】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号73に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を含んでよい。
【0759】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号74に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を含んでよい。
【0760】
一部の例示的な実施形態では、本開示の結合剤は、配列番号75に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一のアミノ酸配列を含んでよい。
【0761】
単一特異性結合剤の他の例示的な実施形態は本明細書において提供される。
【0762】
多特異性結合剤の例示的な実施形態
本明細書に指し示されるように、本開示の結合剤は多特異性であってよい。
【0763】
多特異性結合剤の例示的且つ非限定的な例示的な実施形態は、本明細書において提供されるものを含む。
【0764】
例えば、一部の実施形態では、結合剤は1つより多くの抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインである。
【0765】
他の実施形態では、結合剤は1つより多くの抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫細胞の表面に発現されるタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインである。
【0766】
更に他の実施形態では、結合剤は1つより多くの抗原結合性ドメインを含んでよく、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載されるような抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、免疫チェックポイントタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインであり、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、腫瘍細胞の表面に発現されるタンパク質に結合する能力を有する抗原結合性ドメインである。
【0767】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)を含む。
【0768】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0769】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0770】
一部の実施形態では、結合剤は、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン1(ABD1)、少なくとも1つの抗原結合性ドメイン2(ABD2)及び少なくとも1つの抗原結合性ドメイン3(ABD3)を含む。
【0771】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0772】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0773】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0774】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0775】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号35に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0776】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0777】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0778】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数の抗原結合性ドメインを含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン1(ABD1)であり、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン2(ABD2)であり、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含み、且つ抗原結合性ドメインのうちの少なくとも1つは、抗原結合性ドメイン3(ABD3)であり、配列番号70に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0779】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号77に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号77に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号77に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0780】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号78に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号78に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号78に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0781】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号79に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号79に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号79に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0782】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号80に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号80に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号80に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号80に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0783】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号81に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号81に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号81に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号81に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0784】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号82に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号82に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号82に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号82に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0785】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号83に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号83に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号83に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号83に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0786】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号85に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号85に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号85に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号85に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0787】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号86に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号86に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号86に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0788】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号87に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号87に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号87に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0789】
一部の実施形態では、結合剤は1つ又は複数のポリペプチド鎖を含み、ポリペプチド鎖のうちの少なくとも1つは、配列番号88に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、結合剤は、配列番号88に示されるアミノ酸配列を有する1つのポリペプチド鎖を含む。他の実施形態では、結合剤は、配列番号88に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。更に他の実施形態では、結合剤は、配列番号88に示されるアミノ酸配列を有する2つのポリペプチド鎖を含む。
【0790】
多特異性結合剤の他の例示的な実施形態は、Table 7(表8)におけるものを含む本明細書において提供される。
【0791】
一部の実施形態では、本開示の結合剤は、DR2に結合する抗原結合性ドメイン、PD1に結合する抗原結合性ドメイン及びCD47に結合する抗原結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、本開示の結合剤は、T細胞をDR2発現腫瘍細胞に近接させる能力を有してよく、T細胞機能を回復させる能力を有してよく、且つ/又はSIRPα/CD47相互作用の遮断を介してマクロファージ機能を増強する能力を有してよい。本開示の一部の実施形態では、結合剤は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を介してその抗腫瘍活性を呈してよい。
【0792】
バリアント
本明細書に開示される配列のバリアントもまた本開示に包含される。
【0793】
本開示に包含されるバリアントとしては、1つ若しくは複数の位置における1つ若しくは複数のアミノ酸残基の挿入、1つ若しくは複数の位置における1つ若しくは複数のアミノ酸残基の欠失又は1つ若しくは複数の位置における1つ若しくは複数のアミノ酸残基の置換(保存的若しくは非保存的置換)を含んでよいものが挙げられる。
【0794】
例えば、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる。保存的置換は、下記に列記される群(群1~6)の1つからのアミノ酸を同じ群の別のアミノ酸に交換することにより為されてよい。非保存的置換は、これらの群のうちの1つのメンバーを別の群のメンバーに交換することを伴う。
(群1)疎水性:ノルロイシン、メチオニン(Met)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)
(群2)中性親水性:システイン(Cys)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、
(群3)酸性:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)
(群4)塩基性:ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)
(群5)鎖配向に影響を及ぼす残基:グリシン(Gly)、プロリン(Pro);及び
(群6)芳香族:トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)。
【0795】
保存的置換の他の例示的な実施形態は、「好ましい置換」の見出しの下に表2(表2)において示される。そのような置換が望ましくない特性を結果としてもたらす場合、表2(表2)において「例示的な置換」と命名される、又はアミノ酸クラスに関して更に以下に記載されるようなより実質的な変更が導入され、生成物がスクリーニングされてよい。
【0796】
ある特定のアミノ酸は、他のアミノ酸と比較してより低く正に荷電しており、中性であり、負に荷電しており、又は低減された電荷を有することを当業者は認識する。アミノ酸は、アミノ酸の等電点により指し示されるように正味電荷に基づいてカテゴライズされうる。等電点は、アミノ酸分子の平均正味電荷が0となるpHである。pH>pIである場合、アミノ酸は正味の負電荷を有し、pH<pIである場合、アミノ酸は正味の正電荷を有する。一部の実施形態では、抗体について測定されるpI値は、約3~9(例えば3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、及び9)並びに間にある任意の値である。一部の実施形態では、抗体について測定されるpI値は、約4~7の間(例えば4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0)、及び間にある任意の値である。アミノ酸の例示的な等電点は下記の表2(表2)に示される。一般に、正の電気的に荷電した側鎖を有するアミノ酸としては、例えば、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、及びリジン(K)が挙げられる。負の電気的に荷電した側鎖を有するアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)が挙げられる。極性の特性を有するアミノ酸としては、例えば、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、及びシステイン(C)、チロシン(Y)及びトリプトファン(W)が挙げられる。非極性アミノ酸としては、例えば、アラニン(A)、バリン(V)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)及びプロリン(P)が挙げられる。
【0797】
一部の実施形態では、抗体の等電点は、アミノ酸置換を介して改変される。例えば米国特許出願公開第20110076275号明細書を参照。一部の実施形態では、抗体を構成するポリペプチドの等電点の改変は、抗体の半減期における変化を結果としてもたらす。
【0798】
【0799】
一般に、可変鎖の間の類似性及び同一性の程度は、本明細書においてBlast2配列プログラム(Tatiana A. Tatusova、Thomas L. Madden (1999)、「Blast2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」、FEMS Microbiol Lett. 174:247~250頁)を使用し、デフォルトの設定、即ち、blastpプログラム、BLOSUM62マトリックス(オープンギャップ11及びエクステンションギャップペナルティ1;gapxドロップオフ50、期待値10.0、ワードサイズ3)及びアクティベートされたフィルターを使用して決定される。
【0800】
同一性パーセントは、したがって、元々のペプチドとの比較において同一の、同じ又は類似した位置を占有しうるアミノ酸の指標となる。
【0801】
類似性パーセントは、同一のアミノ酸及び同じ又は類似した位置における元々のペプチドとの比較において保存的アミノ酸置換で置き換えられたアミノ酸の指標となる。
【0802】
本開示のバリアントは、したがって、元々の配列若しくは参照配列又は元々の配列の部分と少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一の配列を含んでよい。
【0803】
一部の実施形態では、所与のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、99%同一であるか、又は100%未満で同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド鎖は、相補性決定領域の外側に一般に位置するアミノ酸置換、付加又は欠失を有してよい。
【0804】
一部の実施形態では、バリアントは、本明細書に開示される配列と少なくとも80%の配列同一性を有してよい。他の実施形態では、バリアントは、本明細書に開示される配列と少なくとも85%の配列同一性を有してよい。更なる実施形態では、バリアントは、本明細書に開示される配列と少なくとも90%の配列同一性を有してよい。更なる実施形態では、バリアントは、本明細書に開示される配列と少なくとも95%の配列同一性を有してよい。他の実施形態では、バリアントは、本明細書に開示される配列と少なくとも99%の配列同一性を有してよい。
【0805】
バリアントの例示的な実施形態は、天然抗体に由来するが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多くのアミノ酸差異(アミノ酸置換、挿入又は欠失を含む)を含むヒンジ、Fc、CH3、CH2/CH3領域を含むポリペプチド鎖又は結合剤を含む。
【0806】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、そのため、天然抗体のヒンジ領域に対して少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも99%同一の変異型ヒンジ領域を含んでよい。
【0807】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、そのため、天然抗体のFcに対して少なくとも80%同一の変異型Fc部分を含んでよい。
【0808】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、そのため、天然抗体のCH2ドメインに対して少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも99%同一の変異型CH2ドメインを含んでよい。
【0809】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、そのため、天然抗体のCH3ドメインに対して少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも99%同一の変異型CH3ドメインを含んでよい。
【0810】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖は、そのため、天然抗体のCH2/CH3ドメインに対して少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも99%同一の変異型CH2/CH3ドメインを含んでよい。
【0811】
核酸、ベクター、キット、細胞及びポリペプチド鎖を作製する方法
本開示の核酸分子は一本鎖又は二本鎖であってよい。本明細書に開示される核酸分子は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド又は修飾リボヌクレオチドを含んでよい。本開示の核酸分子は例えばDNAを含んでよい。
【0812】
1つ又は複数のモジュール又はポリペプチド鎖全体をコードするDNAセグメント及びベクターが特に提供される。
【0813】
DNAセグメント及び/又はベクターは、別々のバイアル中で提供され、キットとして販売されてよい。
【0814】
モジュールの方向付けられた集合を可能とする配列を含むDNAセグメントのセット及び該DNAセグメント又はポリペプチド鎖全体を組み込んだクローニングベクターが特に想定される。
【0815】
DNAセグメント及びベクターは、本明細書に開示されるポリペプチド鎖又は結合剤を発現する能力を有するDNA構築物を集合させるためのキットの部分として提供されてよい。
【0816】
キットは、本明細書に開示されるように(EUナンバリングシステムにしたがって)356位、357位、370位、399位及び/又は439位におけるアミノ酸置換を有する変異型二量体化ドメインを含むポリペプチド鎖をユーザーが生成することを可能とする1つ又は複数のDNAセグメント又はベクターを少なくとも含んでよい。
【0817】
遺伝コードの本来的な縮重に起因して、同じ、実質的に同じ又は機能的に同等のアミノ酸配列をコードするDNA配列が製造され、使用されうる。本開示のヌクレオチド配列は、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、及び/又は発現の改変が挙げられるがこれらに限定されない様々な目的のためにヌクレオチド配列を変更するために当該技術分野において一般に公知の方法を使用して操作されてよい。遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのランダム断片化及びPCRリアセンブリーによるDNAシャッフリングを使用してヌクレオチド配列を操作することができる。例えば、オリゴヌクレオチド媒介性部位特異的変異誘発を使用して、新たな制限部位を作出する、グリコシル化パターンを変更する、コドン選好性を変化させる、及びスプライスバリアントを産生する等の変異を導入することができる。本明細書に記載のポリペプチド鎖をコードするコドン最適化された核酸は本開示に包含される。
【0818】
本明細書に開示されるポリペプチド鎖及び結合剤は、組換えDNA法又はin vitro転写/翻訳によるものを含めて、当業者にとって慣用の様々な方法により作製されてよい。
【0819】
一般に、本明細書に記載のポリペプチド鎖は、発現ベクター、即ち、特定の宿主中での挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳制御のためのエレメントを含有するベクターに挿入された核酸配列から発現される。これらのエレメントは、調節配列、例えばエンハンサー、構成的及び誘導性プロモーター、並びに5'及び3'非翻訳領域を含んでよい。
【0820】
当業者に公知の様々な発現ベクター/宿主細胞システムを使用して、本明細書に記載のポリペプチド鎖を発現させることができる。結合剤が別個のポリペプチド鎖から構成される場合、そのようなポリペプチド鎖の各々は、別々の発現ベクター又は独特の発現ベクターにより提供されてよい。本開示によれば、結合剤の2つの鎖は、単一のベクター又は別々のベクター(ベクターセット)によりコードされてよい。
【0821】
ポリペプチドは多くの場合に哺乳動物細胞中で発現される。組換えタンパク質の長期製造のために、安定発現システムが使用されてよく、該システムでは、DNAセグメントが、選択マーカーの使用により宿主細胞ゲノムに組み込まれ、又はエピソーム形態において維持される。宿主細胞種は、挿入された配列の発現をモジュレートする能力又は発現されたポリペプチドを所望の様式においてプロセシングする能力について選択されてよい。特有の細胞機構及び翻訳後活性のための特徴的な機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びW138)がAmerican Type Culture Collection(ATCC)から市販されており、発現されたポリペプチドの正確な修飾及びプロセシングを確実にするように選択されてよい。
【0822】
他の種類の発現システムが使用されうる。これらとしては、例えば、微生物、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミド、若しくはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌;酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母;バキュロウイルスベクターを感染させた昆虫細胞システム;ウイルス若しくは細菌発現ベクターを用いて形質転換された植物細胞システム;又は動物細胞システムが挙げられる。
【0823】
本開示は、したがって、本明細書に記載のポリペプチド鎖の少なくとも1つをコードするベクター、核酸、ベクターのセット又は核酸のセットを用いて形質転換又はトランスフェクトされた単離された細胞に関する。本開示は、したがってまた、本明細書に開示されるポリペプチド鎖又は結合剤を発現する能力を有する単離された細胞に関する。
【0824】
本開示はまた、結合剤を作製する方法に関する。方法は、本明細書に開示されるポリペプチド鎖の1つ又は複数をコードするベクター又はベクターのセットを細胞(例えば、哺乳動物細胞)に提供すること及び発現させることを含んでよい。
【0825】
方法はまた、細胞又は細胞デブリから結合剤を精製する工程を含んでよい。
【0826】
一部の実施形態では、生産方法は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも99%の(二量体の)純度レベルに達することを可能とする。
【0827】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは80.0%~99.9%である。
【0828】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは95.0%~99.9%である。
【0829】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは少なくとも90.0+/-5.0%である。
【0830】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは少なくとも95.0+/-5.0%である。
【0831】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは95%に等しいか又は95%より高い。
【0832】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは97.0+/-1.0%である。
【0833】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは97%に等しいか又は97%より高い。
【0834】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは99.0+/-1.0%である。
【0835】
一部の実施形態では、結合剤の純度レベルは99%に等しいか又は99%より高い。
【0836】
一部の実施形態では、細胞により産生される結合剤の力価は0.1g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は0.5g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は1g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は2g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は3g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は4g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は5g/L又はそれより高くてよい。一部の事例では、細胞により産生される結合剤の力価は6g/L又はそれより高くてよい。通常、ホモ二量体は、本明細書に開示されるポリペプチド鎖の1つをコードする核酸配列を含むベクターを用いる細胞のトランスフェクションにより作製される。収集された上清は、ホモ二量体又は単量体及び/若しくはホモ二量体の混合物を含有しうる。
【0837】
一般に、ヘテロ二量体は、2つの別個のポリペプチド鎖をコードする核酸配列を各々含む少なくとも2種類のベクター(ベクターセット)を用いる細胞の共トランスフェクションにより作製される。鎖Aの鎖Bに対する適切な比は、一般に、各個々のプラスミドから得られるタンパク質発現のレベルに依存し、例えば約1:10~約10:1で変動しうる。約1:1のDNA比が、本明細書に開示される構築物の一部のために特に好ましい。
【0838】
ヘテロ二量体はまた、両方のポリペプチド鎖をコードする単一のベクターを用いて細胞へのトランスフェクトを行うことにより作製されうる。収集された上清は、ヘテロ二量体又は単量体、ヘテロ二量体及び/若しくはホモ二量体の混合物を含有しうる。
【0839】
本開示のポリペプチド鎖を作製する方法は、単量体、ホモ二量体及びヘテロ二量体を、これらを含む混合物から分離又は単離する工程を更に含んでよい。ホモ二量体又はヘテロ二量体は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーにより又はタグの補助を用いて又は当業者に公知の他の方法により精製及び単離されてよい。
【0840】
方法はまた、結合剤を不純物から単離及び/又は精製する工程を含んでよい。
【0841】
本開示の方法は、したがって、ホモ二量体、ヘテロ二量体又は単量体、ヘテロ二量体及び/若しくはホモ二量体の混合物を含む組成物を結果としてもたらす。
【0842】
一部の例示的な実施形態では、組成物は主にホモ二量体を含んでよい。例示的な実施形態では、組成物は、少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%の割合のホモ二量体を含んでよい。
【0843】
他の例示的な実施形態では、組成物は主にヘテロ二量体を含んでよい。例示的な実施形態では、組成物は、少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%の割合のヘテロ二量体を含んでよい。
【0844】
コンジュゲート
本開示のポリペプチド鎖又は結合剤は、例えば、治療用部分(治療目的のため)若しくは検出可能な部分(即ち、検出若しくは診断目的のため)若しくは延長された半減期を可能とするタンパク質とコンジュゲートされてよく、又はナノ粒子に取り付けられる。一部の事例では、治療用又は検出可能な部分は、ポリペプチド鎖の少なくとも1つのアミノ酸残基に連結されてよい。
【0845】
例示的な実施形態では、本開示のポリペプチド鎖又は結合剤は、治療用部分、限定なく例えば、化学療法剤、サイトカイン、細胞傷害剤、及び抗がん薬物(例えば、小分子)等とコンジュゲートされる。
【0846】
治療用部分は、限定なく例えば、イットリウム-90、スカンジウム-47、レニウム-186、ヨウ素-131、ヨウ素-125、及び当業者により認識される多くのその他のもの(例えば、ルテチウム(例えば、Lu177)、ビスマス(例えば、Bi213)、銅(例えば、Cu67))、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、イリノテカン、タキサン類、シュードモナスエンドトキシン、リシン、アウリスタチン類(例えば、モノメチルアウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF)、メイタンシノイド類(例えば、メルタンシン)及び他の毒素を含んでよい。
【0847】
別の例示的な実施形態では、本開示のポリペプチド鎖又は結合剤は、限定なく例えば、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的及び/又は他の物理的手段により検出可能な部分を含めて、検出可能な部分とコンジュゲートされる。検出可能な部分は、当該技術分野において周知の方法を使用してポリペプチド鎖又は結合剤に直接的及び/又は間接的のいずれかで(例えば連結、限定なく例えばDOTA若しくはNHS連結を介して)カップリングされてよい。要求される感度、コンジュゲーションの容易性、安定性の要求及び利用可能な設備に依存する選択と共に、多様な検出可能な部分が使用されてよい。好適な検出可能な部分としては、蛍光標識、放射性標識(例えば、限定なく、125I、In111、Tc99、I131及びPETスキャナー用の陽電子放出同位体等が挙げられる)、核磁気共鳴活性標識、発光標識、化学発光標識、発色団標識、酵素標識(限定なく例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、量子ドット並びに/又はナノ粒子が挙げられるがこれらに限定されない。検出可能な部分は、検出可能なシグナルを惹起及び/又は生成し、それにより検出可能な部分からのシグナルが検出されることを可能としてよい。
【0848】
医薬組成物
本開示のポリペプチド鎖又は結合剤を含む医薬組成物もまた本開示に包含される。医薬組成物はまた、薬学的に許容される担体を含んでよい。
【0849】
一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に開示されるようなコンジュゲートされたポリペプチド鎖又はコンジュゲートされた結合剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、治療用部分とコンジュゲートされたポリペプチド鎖又は結合剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、検出可能な標識とコンジュゲートされたポリペプチド鎖又は結合剤を含む。
【0850】
活性成分に加えて、医薬組成物は、水、PBS、塩溶液、ゼラチン、油、アルコール、並びに薬学的に使用されうる調製物への活性化合物の加工を促す他の賦形剤及び助剤を含む薬学的に許容される担体を含有してよい。他の事例では、そのような調製物は、滅菌されてよい。
【0851】
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」は、薬学的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体を伴う治療有効量の剤を意味する。「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、所与の条件及び投与レジメンについて治療効果を提供する量を指す。そのような組成物は、液体又は凍結乾燥若しくは別法で乾燥された製剤であり、様々な緩衝液成分(例えば、Tris-HCl、アセテート、ホスフェート)、pH及びイオン強度の希釈剤、添加剤、例えば、表面への吸収を妨げるためのアルブミン又はゼラチン、界面活性剤(例えば、Tween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、バルキング物質又は張度修飾剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリマー、例えばポリエチレングリコールの共有結合的取付け、金属イオンとの錯体形成、又はポリマー化合物、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ハイドロゲル等の粒子状調製物中若しくは上への、若しくはリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、ユニラメラ若しくはマルチラメラ小胞、赤血球ゴースト、若しくはスフェロプラスト上への材料の組込みを含む。そのような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、in vivo放出の速度、及びin vivoクリアランスの速度に影響を及ぼす。制御又は持続放出組成物としては、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の製剤が挙げられる。ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)でコーティングされた粒子状組成物もまた本開示に包含される。本開示の組成物の他の実施形態は、非経口、経肺、経鼻、経口、経膣、直腸経路を含めて、様々な投与の経路のための粒子状保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤又は透過増強剤を組み込んでいる。1つの実施形態では、医薬組成物は、非経口的に、がん周囲に、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、静脈内に、皮内に、皮下に、腹腔内に、脳室内に、頭蓋内に及び腫瘍内に投与される。
【0852】
更に、本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」又は「薬学的担体」は当該技術分野において公知であり、0.01~0.1M若しくは0.05Mのリン酸緩衝液又は0.8%の食塩水を含むがこれらに限定されない。追加的に、そのような薬学的に許容される担体は、水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルションであってよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、水、アルコール/水性溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられ、これには食塩水及び緩衝化媒体が含まれる。非経口媒体としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液又は固定油が挙げられる。静脈内媒体としては、流体及び栄養補充液、並びに電解質補充液、例えばリンゲルデキストロースに基づくもの等が挙げられる。防腐剤及び他の添加剤もまた存在することができ、これは例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス等である。
【0853】
任意の化合物のために、治療有効用量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、若しくはブタのいずれかにおいて最初に概算されてよい。動物モデルはまた、濃度範囲及び投与の経路を決定するために使用されてよい。そのような情報は次に、ヒトにおける投与のための有用な用量及び経路を決定するために使用されてよい。これらの技術は当業者に周知であり、治療有効用量は、症状又は状態を軽快させる活性成分の量を指す。治療有効性及び毒性は、標準的な薬学的手順により細胞培養において又は実験動物を用いて、例えばED50(集団の50%において治療的に有効な用量)及びLD50(集団の50%に対して致死的な用量)の統計を算出及び対比することにより決定されてよい。上記の任意の医薬組成物は、療法を必要とする任意の対象に適用されてよく、これには哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び特にヒトが含まれるがこれらに限定されない。
【0854】
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の数の経路により投与されてよく、これには、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、外用、舌下、又は直腸手段が含まれるがこれらに限定されない。
【0855】
一部の実施形態では、医薬組成物は、80.0%~99.9%の純度レベルを有する結合剤から作られる。よって、一部の実施形態では、医薬組成物は、不純物を実質的に含まない結合剤を含む。例えば、医薬組成物は、少なくとも90.0+/-5.0%の純度の結合剤を含む。他の例では、医薬組成物は、少なくとも95.0+/-5.0%の純度の結合剤を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも99.0+/-1.0%の純度の結合剤を含む。
【0856】
一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されるような1つ又は複数のストレス条件下の溶液中で安定な結合剤を含む。
【0857】
使用方法
本開示のポリペプチド鎖及び結合剤は障害又は疾患の処置のために使用されてよい。
【0858】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖及び結合剤は、標的細胞、循環タンパク質又は組織に治療及び/又は診断を標的化するために使用されてよい。
【0859】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖及び結合剤は、治療用部分とコンジュゲートされ、治療方法のために使用されてよい。
【0860】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖及び結合剤は、検出可能な部分とコンジュゲートされ、検出又は診断方法のために使用されてよい。
【0861】
一部の実施形態では、本開示のポリペプチド鎖及び結合剤は、in vivoで腫瘍を標的化するために使用されてよい。
【0862】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖及び結合剤は、in vivoで腫瘍退縮を促進するため及び/又は腫瘍体積を低減させるために使用される。
【0863】
本開示のポリペプチド鎖及び結合剤は、そのため、がん処置のために使用されてよい。
【0864】
本開示の方法は、本明細書に開示されるポリペプチド鎖、結合剤又は混合物、又は該ポリペプチド鎖、結合剤若しくは混合物を含む医薬組成物を、必要とする個体に投与する工程を含んでよい。
【0865】
一部の実施形態では、ポリペプチド鎖及び結合剤は、化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0866】
本開示によれば、必要とする個体はヒトであってよい。更に本開示によれば、必要とする個体は動物であってよい。
【0867】
一部の実施形態では、ネオ抗原の発現と共に引き起こされる又はそれと関連付けられる障害又は疾患の処置が特に想定される。
【0868】
一部の実施形態では、抗原の過剰発現と共に引き起こされる又はそれと関連付けられる障害又は疾患の処置が特に想定される。
【0869】
一部の実施形態では、障害又は疾患はがんであってよい。
【0870】
他の実施形態では、障害又は疾患は感染症であってよい。
【0871】
他の実施形態では、障害又は疾患は免疫調節異常であってよい。
【0872】
他の実施形態では、障害又は疾患は代謝調節異常であってよい。
【0873】
一部の実施形態では、結合剤は静脈内に投与される。
【0874】
一部の実施形態では、結合剤は注入により投与される。
【0875】
本開示のポリペプチド鎖及び結合剤は、検出目的のために使用されてよい。
【0876】
特定の標的の検出は、標的を含有する又は含有することが疑われる試料を、そのような標的用の抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖又は結合剤と接触させ、検出装置を使用して結合陽性又は陰性と関連付けられるシグナルを定量化することによりin vitroで行われてよい。
【0877】
試料は哺乳動物(例えば、ヒト)を起源としてよい。試料は、哺乳動物又は細胞培養上清から得られた組織試料であってよい。
【0878】
一部の実施形態では、試料は、哺乳動物から得られた血清試料、血漿試料、血液試料、精液又は腹水液であってよい。
【0879】
特定の標的の検出は、そのような標的用の抗原結合性ドメインを含むポリペプチド鎖又は結合剤を個体に投与し、検出装置を使用して結合陽性又は陰性と関連付けられるシグナルを定量化することによりin vivoで行われてよい。
【0880】
試料中又は個体中に標的の存在が検出されたら、薬物(例えば、本明細書に開示される抗体、小分子、ポリペプチド鎖又は結合剤)が個体に投与されてよい。
【0881】
本開示において記載及び提供される実施形態に加えて、以下の非限定的な実施形態が特に想定される。
【0882】
Table 3(表4)、Table 4(表5)、Table 5(表6)及びTable 6(表7)は、それら自体で(例えば、二量体化ドメインとの融合物として)生物学的活性を有するVHH並びにTable 7(表8)に例示されるような多量体、多価及び/又は多特異性結合剤の部分としてのVHHを示す。
【実施例】
【0883】
(実施例1)
動物の免疫化及び免疫ライブラリーの構築
ヒト抗原、ヒト抗原をコードするcDNAプラスミド及び/又はヒト抗原を過剰発現する細胞を用いてアルパカ(Vicugna pacos)又はラマ(llama glama)を免疫化することにより単一ドメイン抗体を生成した。
【0884】
例えば、抗DR2単一ドメイン抗体は、ヒトDR2タンパク質、ヒトDR2 cDNAプラスミド、及びヒトDR2過剰発現細胞株;SH-SY5Y-D2細胞を含むDR2抗原を用いてアルパカ(Vicugna pacos)を免疫化することにより生成した。抗PD-1単一ドメイン抗体は、ヒトPD-1タンパク質、ヒトPD-1 cDNAプラスミド及びヒトPD-1過剰発現細胞株;CHO-PD1細胞を含むPD-1抗原を用いてアルパカ(Vicugna pacos)を免疫化することにより生成した。抗CD47の場合、単一ドメイン抗体は、ヒトCD47タンパク質、ヒトCD47 cDNA、及び(活性化された)ヒトPBMCを含むCD47抗原を用いてラマ(llama glama)を免疫化することにより生成した。
【0885】
抗原に対する再構成された免疫ライブラリーのファージディスプレイパニング後のクローンピッキングから単一ドメイン抗体の配列を明らかにした。
【0886】
ポリペプチド鎖(例えば、Table 6(表7)又はTable 7(表8)を参照)の発現並びにin vitro及びin vivo試験のために、VHHをコードするDNA断片を構築物に一般にサブクローニングした。
【0887】
HEWL特異的VHHでの1つ又は複数のVHHの置換により対照も生成した。
【0888】
(実施例2)
結合剤のトランスフェクション、発現、及び精製
ExpiCHO又はExpi293細胞におけるポリペプチド鎖のトランスフェクション及び発現
タンパク質二量体(例えばホモ二量体又はヘテロ二量体)は、ExpiCHO(商標)Expression System (Thermo Fisher社、カタログ番号A29133)又はExpi293(商標) Expression System (Thermo Fisher社、カタログ番号A14635)を使用して、DNA構築物から2.5mL又は400mL培養容積中で発現させた。
【0889】
簡潔に言うと、新しく解凍したCHO細胞は、トランスフェクションの前に2回又はそれ以上継代して、培養中で回復させた。次いで、細胞は、4×106~6×106個の細胞/mLに達するまで3~4日毎に継代し、その時点で、それらは、37℃に温めたExpiCHO(商標)Expression Medium中で2×105~3×105個の細胞/mLに希釈した。トランスフェクションの前日、細胞は、3×106~4×106個の細胞/mLに希釈し、トランスフェクションの日に、細胞は、6×106個の細胞/mLに更に希釈した。1μgのDNA/mLの培養容積は、cold OptiPRO(商標)培地(2.5mLの培養容積につき100μL; 400mLの培養容積につき16mL)によって希釈した。ExpiFectamine(商標) CHO Reagent(2.5mLの培養容積につき8μL;400mLの培養容積につき1280μL)を、DNAを含有する培地に添加し、室温で1~5分間、ExpiFectamine(商標)/DNA複合体とインキュベートした。次いで、DNA複合体を回旋しながら培養に移した(6×106個の細胞/mL)。細胞は、震盪(INFORS HT振盪機、125rpm)しながら8%CO2及び湿度80%下で、37℃でインキュベートした。トランスフェクションの開始後18~22時間で、ExpiCHO(商標)フィード(2.5mLの培養容積につき0.6mL;400mLの培養容積につき96mL)及びExpiCHO(商標)エンハンサー(2.5mLの培養容積につき15μL;400mLの培養容積につき2.4mL)を細胞に添加した。細胞を、125rpm(25mm orbit)で震盪しながら、8%CO2及び湿度80%下、37℃に設定したINFORS HTインキュベーターに戻した。トランスフェクションの8日後、30分間、4000×gでの遠心分離によって上清を清澄化した。上清は、Nalgene(商標) Rapid-Flow(商標) Sterile Disposable Filter Unitsの1000mLフィルターユニット(Thermo Science社、カタログ番号567-0020)を使用してフィルター滅菌し、後の解析のために4℃で保存又は凍結した。
【0890】
新しく解凍したHEK293細胞は、トランスフェクションの前に2回又はそれ以上継代して、培養中で回復させた。次いで、細胞は、3×106~5×106個の細胞/mLに達するまで3~4日毎に継代し、その時点で、それらは、37℃に温めたExpi293(商標)Expression Medium中で3×105~5×105個の細胞/mLに希釈した。トランスフェクションの前日、細胞は、2.5×106~3×106個の細胞/mLに希釈し、トランスフェクションの日に、細胞は、3×106個の生細胞/mLに更に希釈した。1μgのDNA/mLの培養容積は、OptiMEM(商標) I低血清培地によって希釈し、2.5mLの培養容積につき150μL及び400mLの培養容積につき24mLの最終容積を得た。ExpiFectamine(商標) 293 Reagent(2.5mLの培養容積につき8μL;400mLの培養容積につき1.3mL)を、Opti-MEM(商標) I低血清培地(2.5mLの培養容積につき140μL;400mLの培養容積につき22.5mL)に添加し、室温で5分間インキュベートした。希釈したExpiFectamine(商標)を希釈したDNAに添加し、室温で15分間インキュベートした。ExpiFectamine(商標)/DNA溶液を、回旋しながら一滴ずつ(3×106個の細胞/ml)培養に移した。細胞は、終夜震盪(INFORS HT振盪機、125rpm)しながら8%CO2及び湿度80%下で、37℃でインキュベートした。トランスフェクションの開始後18~22時間で、ExpiFectamine(商標)293 Transfection Enhancer 1(2.5mLの培養容積につき15μL;400mLの培養容積につき2.4mL)及びExpiFectamine(商標)293 Transfection Enhancer 2(2.5mLの培養容積につき50μL;400mLの培養容積につき24mL)を細胞に添加した。細胞を、125rpm(25mm orbit)で震盪しながら、8%CO2及び湿度80%下、37℃に設定したINFORS HTインキュベーターに戻した。トランスフェクションの5日後、30分間、4000×gでの遠心分離によって上清を清澄化した。上清は、Nalgene(商標)Rapid-Flow(商標) Sterile Disposable Filter Unitsの1000mLフィルターユニット(Thermo Science社、カタログ番号567-0020)を使用してフィルター滅菌し、後の解析のために4℃で保存又は凍結した。
【0891】
精製
タンパク質は、上清の容積に応じて、重力カラムを備えた3mL MabSelect(商標)SuRe(商標)樹脂(GE Healthcare社、カタログ番号17-5438-02)又はAKTA PURE(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)を備えた40mL MabSelect(商標)SuRe(商標)樹脂を使用して精製する。樹脂は、終夜0.5M NaOHとインキュベートし、注入前にTrisベース緩衝液pH7.4(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.4)で平衡化した。上清を、重力カラム又は5ml/分で40mLカラムにアプライした。樹脂カラムは、流速10mL/分で、Trisベース緩衝液pH7.4の3CV(カラム容積)により洗浄した。タンパク質は、10mL/分で、0.1Mクエン酸pH3の3CVにより溶出した。クロマトグラム(280nmでの吸光度)の視覚的なアウトプットからのタンパク質によって同定した画分を共にプールした。プールした画分は、1M Tris-HCl pH9.0によって中和され、PBS 10× pH7.2(15mMリン酸二水素カリウム、1552mM塩化ナトリウム、27mM二塩基性リン酸ナトリウム、ThermoFisher社、カタログ番号70013073)から調製したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH6.0緩衝液へと移す前に、pH約5~6を達成した。
【0892】
緩衝液交換は、重力カラムから精製したタンパク質は試料濃縮器により、又はAKTA PUREから精製したタンパク質は透析によるか若しくは脱塩カラムにより行った。重力カラムから精製したタンパク質は試料濃縮器VivaSpin2によって濃縮し、4℃での3500~4000×gの遠心分離による50kDa MWCO(GE Healthcare社、カタログ番号28932257)は、次いで、PBS pH6によって4倍に達するまで希釈し、試料が200倍に達するまで繰り返した。透析は、7kDa分画分子量透析チューブ(ThermoFisher社,カタログ番号68799)を使用して、4℃で終夜、4LのPBS pH6中で行った。一方、脱塩カラムは、終夜0.5M NaOHとインキュベートし、PBS pH6で平衡化した。15mLの容積の中和タンパク質試料は、0.5mL/分で、HiPrep26/10脱塩カラム(GE Healthcare社、カタログ番号17-5087-02)にロードし、次いでタンパク質は、2CVのPBS pH6によって溶出した。ロードするステップ及び溶出ステップは、アフィニティーカラムの溶出から中和タンパク質試料がなくなるまで繰り返した。クロマトグラム(280nmでの吸光度)の視覚的なアウトプットからのタンパク質によって同定された画分を共にプールした。
【0893】
試料は、Nalgene(商標)Rapid-Flow(商標)Sterile Disposable Filter Unitsの150mLフィルターユニット(Thermo Scientific社、カタログ番号565-0010)を使用してフィルター滅菌した。最終タンパク質試料を、Pierce(商標)ビシンコニン酸Protein Assayキット(ThermoFisher社、カタログ番号23227)によって定量し、Endosafe(登録商標) LAL Reagentカートリッジ(Charles River社、カタログ番号PTS2005)によってエンドトキシンレベルについて試験した。最終タンパク質試料は、還元又は非還元条件下のSDS-PAGEゲルで解析した。
【0894】
CHO細胞中での結合剤の製造、続いてプロテインAアフィニティークロマトグラフィーに続くサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた従来の2工程精製は、95.5%~99.5%の範囲に及ぶ(二量体の)純度を結果としてもたらした。
【0895】
KC020の純度は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及びSDSキャリパー後に97%を上回ることが見出された。上位3つのクローンのDNA配列を検証したところ;KC020の電荷プロファイル及びグリコシル化プロファイルはモノクローナル抗体のものと類似していることが見出された。以下の表は、細胞株開発のために選択された3つの代表的なクローンからの14日後のKC020力価を表す。
【0896】
【0897】
SDS-PAGE及びウエスタンブロッティング
試料は、NuPAGE(商標)Sample Reducing Agent(TermoFisher社 カタログ番号NP0004)を含むか又は還元剤を含まないNuPAGE(商標)LDS Sample Buffer(ThermoFisher社 カタログ番号NP0007)で、還元又は非還元条件下のSDS-PAGE解析のために調製した。還元条件下の試料を70℃で10分間の加熱により変性させた。試料(16μL)を、3~8% Tris-酢酸ミニゲル(1.5mm、15ウェル)のBSA標準の横にロードした。電気泳動は、125ボルトでおよそ1時間、X-Cell SureLock(商標)ミニゲル装置を使用して実施した。ゲルは、GelCode(商標)染色試薬(Thermo Fisher社、カタログ番号24594)を使用して染色した。
【0898】
ウェスタンブロット解析のため、タンパク質は、製造業者の説明書に従って、iBlot(商標)システム(Thermo Fisher社、カタログ番号IB301031)を使用してニトロセルロースメンブレンへと移した。
【0899】
Hisタグの検出は、Anti-Penta His-HRP抗体によって行った。簡潔に言うと、メンブレンは、震盪しながら室温で1時間、Qiagenブロッキング緩衝液(Qiagen社、1018862)20ml中でのインキュベーション、次いで震盪しながら室温で1時間、Starting Blocking(商標) T20(PBS) Blocking(Thermo Fisher社、カタログ番号37528)20ml中でのインキュベーションによりブロックした。メンブレンは、1X TBS Tween(商標)-20によって10分間、3回洗浄した。メンブレンは、震盪しながら室温で1時間、事前にブロッキング緩衝液で1:2000に希釈したAnti-Penta His-HRP(Qiagen社、カタログ番号1014992)とインキュベートした。メンブレンは、1X TBS Tween(商標)-20で10分間、3回洗浄した。シグナルは、製造業者の説明書に従って、Super Signal(商標) West Pico PLUS(ThermoFisher社、カタログ番号34080)を使用して可視化した。画像は、Azure Biosystem画像化システムを使用して記録した。
【0900】
これらの実験の結果は、本開示の結合剤(ホモ二量体又はヘテロ二量体)は効率的に細胞中で発現され、精製されること、及び本明細書に開示されるポリペプチド鎖のフォーマットは、グラム/Lの範囲内の結合剤(ホモ二量体又はヘテロ二量体)の収率を達成することを可能とすること(データ示さず)を指し示す。
【0901】
(実施例3)
抗D2抗原結合性ドメインを含む結合剤のin vitro及びin vivo試験
細胞株
OCI-AML3細胞は、PBMC依存的細胞傷害性アッセイにおいて標的細胞として使用されるヒト起源の急性骨髄性白血病細胞である。THP-1は、急性単球性白血病患者に由来する単球性細胞株である。THP-1細胞は、PBMC依存的細胞傷害性アッセイにおいて標的細胞として使用される。
【0902】
NCI-H82、NCI-H69及びNCI-H510Aは、免疫不全マウスにおけるSCLC異種移植片腫瘍モデルにおいて使用されるヒト小細胞肺がん(SCLC)細胞株である。NCI-H82、NCI-H69及びNCI-H510Aは、ドーパミン受容体D2を過剰発現し、特にD2標的化研究用のモデルとして、本明細書において使用される。
【0903】
NCI-H727細胞は、免疫不全マウスモデルにおけるNSCLC異種移植片腫瘍モデルのために使用されるヒト非小細胞肺がん(NSCLC)細胞である。D2は、NCI-H727細胞において上方調節されることが示されている。
【0904】
PANC1は、免疫不全マウスモデルにおける異種移植片腫瘍モデルのために使用されるヒト膵臓細胞株である。
【0905】
プロテオリポソームの製造
抗D2結合剤の結合特異性を決定するために、補足されたプロトコールにしたがってCellFree Science社からのProteoLiposome BD kit (CellFree Science社、カタログ番号CFS-CPLE-BD)を用いてヒトD2提示プロテオリポソームを製造した。
【0906】
簡潔に述べれば、要求される体積のヌクレアーゼフリー水、5X 転写緩衝液、NTPミックス、RNase阻害剤、SP6 RNAポリメラーゼ及びプラスミドDNAを1.5mLチューブ中で混合し、37℃で6時間インキュベートすることにより転写反応を行った。翻訳反応を行うために、mRNA混合物、栄養緩衝液(feeding buffer)、WEPRO7240、クレアチンキナーゼ及びアゾレクチンリポソームの混合物を指示書の通りに調製した。翻訳反応混合物をslide-A-Lyzer Mini Dialysis device (Thermo Scientific社、カタログ番号69570)に加え、15℃で72時間インキュベートすることにより翻訳反応を行った。
【0907】
PBSを用いた洗浄及び15000rpm、4℃で10分間の遠心分離によりプロテオリポソームを精製した。洗浄工程を3回繰り返した後に、採取したプロテオリポソームを適切な量のPBSに再懸濁し、-80℃で貯蔵した。
【0908】
ヒトD2提示プロテオリポソームへの抗D2結合剤(例えば、Table 6(表7))の結合(
図1、
図25、
図26)をELISAにより評価した。簡潔に述べれば、標的タンパク質を含有するプロテオリポソーム又はエンプティリポソームを96ウェルプレート上にコーティングした。プレートに蓋をし、4℃で終夜放置した。翌日、プレートをPBSで1回洗浄し、ブロッキング緩衝液を用いて室温で1時間ブロッキングした。結合剤を、ブロッキング緩衝液中に希釈した指し示される濃度で試験し、37℃で1時間のインキュベーションを行った。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。プレートを、1:5000に希釈された抗ヒトFc-HRP (Sigma-Aldrich社、カタログ番号AP113P)と室温で1時間インキュベートし、次にPBS-T洗浄緩衝液で3回洗浄した。SuperSignal(商標) ELISA Pico Chemiluminescent Substrate (Thermofisher社、カタログ番号37069)を用いてシグナルを発生させた。プレートをSpectraMax(商標) i3x Multi-Mode Microplate Reader (Molecular Devices社)上で読み取った。
【0909】
そのような実験の代表的な結果を
図1に提示しており、
図1は、試験された抗D2結合剤はD2プロテオリポソームに特異的に結合し(0.1488nMのEC50)、非常に高い親和性を有することを実証する。
【0910】
GPCR BRETアッセイ
D2の下流のシグナル伝達に対する様々な抗D2結合剤の効果を評価した(
図2)。トランスフェクションの前に、1%のペニシリン/ストレプトマイシン及び10%のウシ胎仔血清を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中でHEK293細胞を維持した。ポリエチレンイミン(PEI)トランスフェクション試薬を全てのトランスフェクションのために使用した。HEK293細胞にhDR2及びバイオセンサーのうちの1つを共トランスフェクトした。トランスフェクトされるDNAの総量を、トランスフェクトされる細胞培養物1mL当たり1μgで一定に保った。PEI:DNA比(μg:μg)は3:1に固定した。DNA及びPEIを最初に150mM NaCl中に別々に希釈した。各々のチューブ中の希釈剤の体積は、トランスフェクトされる細胞培養物の体積の5%に対応する。DNA及びPEIを希釈してから、PEI含有溶液をDNA溶液に加え、DNA/PEI混合物を直ちに5秒間ボルテックスした。DNA/PEI混合物を室温で少なくとも20分間インキュベートしてDNA/PEI複合体を形成させた。インキュベーションの間に、HEK293細胞を剥離し、カウントし、培養培地に再懸濁した。インキュベーション期間の終わりに、DNA/PEI混合物を細胞に加えた。細胞を最後に96ウェルプレート中に35000個の密度で分布させた。
【0911】
トランスフェクションの48時間後に、BRET実験を行ってアゴニスト試験モードでD2の下流のシグナル伝達を検出した。培養培地を吸引し、96ウェルプレートからの50μlのHank’s Balanced Salt Solution bufferで置き換えた。HEK239細胞において行ったアッセイのために10μlの10μM e-Coelenterazine Prolume Purpleを1μMの最終濃度で各々のウェルに加えた。HP D300デジタルディスペンサーを使用して陽性対照としてドーパミンを各々のウェルに加えた。ドーパミンを16個の濃度で各々のバイオセンサーと共にアッセイした。抗体を各々のウェルに手動で加えた(ウェル毎に1μMの最終濃度)。抗D2結合剤を8個の濃度で各々のバイオセンサーと共に2連でアッセイした。細胞をドーパミンと室温で10分間及び抗体と室温で60分間インキュベートした。Synergy NEOプレートリーダー上で0.4秒のインテグレーションタイムを用いてBRETシグナルを収集した。
【0912】
様々なGタンパク質センサーを用いてトランスフェクトされたGPCR BRETアッセイにおける様々な抗D2結合剤のEC50を
図2に提示している。Gαz、Gαi2、GαoA、及びBarr2を含むGタンパク質を用いたGPCR応答を示すためにドーパミンを陽性対照として使用した。予想外なことに、KC011、KC012、KC013、及びKC014を含む全ての抗D2結合剤は、Gαzを通じた特異的なGPCRシグナル伝達を示した。抗D2結合剤はD2上の独特のエピトープに結合し、高度に特異的なシグナル伝達経路を開始させることを結果は指し示す。
【0913】
RNAseq及びqRT-PCR検証
処理後の大域的な転写プロファイルを評価する次世代シークエンシング技術の使用を通じて、KC013の作用の機序をNCI-H69細胞においてin vitroで調べた。懸濁NCI-H69細胞を収集し、5×106細胞/mLの濃度で再懸濁した。完全培地2mL当たり1000万個の細胞を6ウェルプレートのウェルに移した。KC013及び陰性対照KC018(VHH部分が配列番号114に示される抗4HEM VHHで置き換えられている)を適切なウェルに1.0μMの最終濃度で加えた。細胞を37℃、5% CO2のインキュベーターに戻し、3時間処理した。インキュベーション期間の後に、QiaShredderカラムを使用して細胞をホモジナイズし、生産者のプロトコールの通りにRNeasy RNA Isolation Kitを使用して、破壊細胞溶解液からトータルRNAを単離した。全部で500ngのトータルRNAをスナップ凍結し、解析のためにGenome Quebecに移送した。
【0914】
Agilent bioanalyzerを使用してRNA完全性を評価した。mRNA濃縮工程、続いてIlluminaライブラリーQC評価を組み込んで、NEB mRNA stranded NEBNext Ultra II kit (NEB社、カタログ番号E7645S)を使用してライブラリーを調製した。NovaSeq 6000 PE100機器(Illumina社)上で2500万リード/試料で試料をシークエンシングした。リードをENSEMBL GRCh38(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))リリース86ヒト参照ゲノム配列及びアノテーションにマッピングした。これは58,051個の遺伝子についてのカウントデータを結果としてもたらした。少なくとも3つの試料において1カウント・パー・ミリオン(CPM)を超えない(即ち最小群サイズの)遺伝子をフィルタリング除去したところ、下流の解析のために14,983個の遺伝子が残った。
【0915】
KC018陰性対照と比べてKC013処理での0.05の最大偽発見率(False Discovery Rate; FDR)を使用することにより遺伝子リストを構築した。Enrichr (Icahn School of Medicine、Mount Sinai; http://amp.pharm.mssm.edu/Enrichr/)を使用してエンリッチメント解析を実行した。FDR多重検定補正を伴うFischerの直接検定を使用し、Gene Ontology (GO)生物学的経路及びタンパク質クラスに焦点を当てて、PANTHERデータベース(University of Southern California; http://pantherdb.org)を使用して過剰出現解析(over-representation analysis)を実行した。使用された遺伝子リストは、191個の上方調節された遺伝子及び634個の下方調節された遺伝子からなり、組み合わせて825個の有意に変更された遺伝子の総数である(FDR<0.05)(
図3)。Ingenuity Pathway Analysis (IPA、Qiagen社)を使用して経路解析を実行した(
図4A&B)。完全連鎖クラスタリング(complete linkage clustering)及びピアソン距離測定と共に、Log2変換された転写物リードカウントを使用してヒートマップを構築した(FDR<0.05、825個の遺伝子)。
【0916】
RNA-Seqデータの経路解析は、NCI-H69及びNCI-H82 SCLCを含む陰性対照(KC018)処理細胞と比べてCREB、Wnt、及びmTORシグナル伝達経路を含むいくつかのがん関連経路の下方調節、並びに複数のシグナル伝達経路を通じたp53の活性化を明らかにした。
【0917】
NCI-H69(
図5A)、NCI-H82(
図5B)、及びHEK-D2(
図5C)を含む3つの異なる細胞株を使用した定量的逆転写酵素PCR (qRT-PCR)によりRNA-Seqデータの経路解析を検証した。簡潔に述べれば、懸濁細胞をT175フラスコ中の完全培地中で増殖させた。細胞を3つの6ウェルプレート中にウェル当たり5×10
6細胞/mLで播種し、1.0μM KC013又は1.0μMのKC018を用いて3連で3時間及び6時間処理した。指定されたインキュベーション期間後に、反復試料を剥がし取り、各々の時点に15mLファルコンチューブに移した。細胞を1x PBSで2回洗浄し、細胞ペレットを液体窒素中でフラッシュ凍結し、下流の解析のために-80℃で貯蔵した。生産者の指示書にしたがってQuick-RNA Miniprep Plus kit (Cedarlane社、カタログ番号R1057)を使用してトータルRNAを抽出した。NanoPhotometerを使用して260及び280nmにおける吸光度を測定することにより、各々の試料について回収されたRNAの量を定量化した。生産者の指示書にしたがってiScript(商標) Reverse Transcription Supermixを用いる逆転写のために1μgのRNAを使用した。得られたcDNAを次に、40ng/mLのグリコーゲンを含有するddH2Oを使用して1:20に希釈した。
【0918】
相対標準曲線法を使用するiQTM5 Real-Time PCR SystemにおいてSsoAdvanced Universal IT SYBR Greenを使用して遺伝子発現解析を行った。最終反応体積は、1x SYBR greenミックス、200nM 最終プライマー濃度、2μl cDNA及びddH2Oを含有する96ウェルプレートのウェル当たり10μlであった。クロスバックグラウンドレベル(即ち閾値)に対する蛍光シグナルのために要求されるサイクルの数として標的遺伝子についてのqRT-PCRの未加工データを収集した。これらの値はサイクル閾値又はCt値として公知である。KC013 vs KC018での処理後の標的遺伝子の相対的な遺伝子発現レベルを決定するために、複数内部対照遺伝子法の幾何平均を使用し、続いて以下に記載されるΔΔCt算出方法を行った。このアプローチは、Vandesompele J.ら、Genome Biology 2002及びHellemansら、Genome Biology, 2007に詳細に記載されている。最終のデータは、対照結合剤と比べた、選択された共通の内因性参照遺伝子に対して正規化された遺伝子発現における倍数変化として提示した。データは、3つの技術的反復試料において行った3つの生物学的反復試料の平均として提示した。結果は、3連で少なくとも3回行ったアッセイからの代表的なデータであった。
【0919】
KC013を用いた処理でのNCI-H69細胞における遺伝子発現における変化をヒートマップ(
図3)により示しており、色及び強度バリエーションは個々の遺伝子発現における変化を表す。この実験の結果は、825個の総数の有意に変更された遺伝子(FDR<0.05)がKC013での処理後に観察され、634個の遺伝子が下方調節されたことを指し示す。
【0920】
図4は、RNAseq結果のPANTHER解析からの下方調節されたシグナル伝達経路及びタンパク質クラスを表す。上位の下方調節されたシグナル伝達経路は、Wnt経路、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)経路及びカドヘリンシグナル伝達経路を含む(
図4A)。PANTHER解析による最も下方調節されたタンパク質クラスは遺伝子特異的転写調節因子である(
図4B)。Wnt経路及びカドヘリンシグナル伝達経路は、腫瘍細胞生存、増殖、腫瘍形成、及び進行において重要な役割を果たすことが示唆されている。異常なWntシグナル伝達経路は、がん幹細胞(CSC)を調節することにより多くのがん細胞の開始において鍵となる役割を果たすことが示されている。これらの経路及び転写調節因子の下方調節はKC013の抗腫瘍機序を示唆する。
【0921】
RNAseqプロファイルと合致して、Wnt経路、mTOR経路及びcAMP経路における特有のシグナル伝達成分は、KC013を用いた処理で、NCI-H69細胞(
図5A)、NCI-H82細胞(
図5B)、及びHEK-D2細胞(
図5C)における下方調節を示した。
【0922】
CB-17 Fox Chase SCIDマウスにおける単回用量PK
University Health Network (UHN、Toronto、ON)から購入したCB-17 Fox Chase SCIDマウス(6~8週齢、雌)をPK研究のために使用した。マウスをUHNの動物施設において病原体フリーの環境において飼育した。動物研究は、Canadian Council on Animal Care (CCAC)のガイドライン及びUHNの動物実験委員会により承認された動物使用プロトコールにしたがって実行した。簡潔に述べれば、マウスを2つの実験群(6匹のマウス/群)に分け、各々の群のマウスに30mg/kgの単回用量のトラスツズマブ(UHNの薬局)又はKC013を静脈内注射(
図6A)又は腹腔内注射(
図6B)のいずれかにより与えた。各々の研究のために、注射の0.083時間(PK iv研究についてのみ)、1時間(PK ip研究についてのみ)、3時間、6時間、1日、3日、7日、10日、15日、21日及び28日後に血液試料を収集した。血液試料を遠心分離し、血清試料を収集し、解析の時点まで-80℃で貯蔵した。マウス血清中のトラスツズマブ及びKC013の濃度を、以下に記載されるように定量的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した。Phoenix WinNonlinソフトウェア(Certara社)を使用して非コンパートメント法により薬物動態データ解析を行った。
【0923】
マウス血清中の抗体を定量的ELISAにより定量化した(
図6)。簡潔に述べれば、マウス抗ヒトIgG抗体(Bio-rad社、カタログ番号MCA878G、1/200の希釈を使用)を使用して4℃で終夜96ウェルプレートをコーティングした。翌日、プレートを3回洗浄し、2% BSAを用いて室温で1時間ブロッキングした。一方、標準品(STD、Bio-rad社、カタログ番号MCA6092)、品質管理(QC)、及び各々の血清試料を、1%マウス血清を含有する洗浄緩衝液中に希釈した。100μlのSTD、QC、及び希釈された血清試料を96ウェルプレートに加え、室温で2時間インキュベートした。3回の洗浄後に、プレートを二次抗体(ヤギ抗ヒトFc抗体、1/5000の希釈、Cedarlane社、カタログ番号109-035-098)と室温で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した後に100μlの検出基質を各々のウェルに加えた。最も高いSTDリーディングが650nmの波長で0.9~1.1に達したときに、50μlの停止溶液を各々のウェルに加えて反応を停止させた。プレートを抗体測定のために450nmの波長で読み取った。
【0924】
これらの実験の結果は、KC013のIV注射(
図6A)は214時間のT1/2を示し、IP注射(
図6B)は159時間のT1/2を示したことを指し示す。KC013について達成されたCmaxは、全長ヒト抗体トラスツズマブと類似している。このデータは、SCIDマウスにおける抗D2結合剤の長い半減期を実証した。
【0925】
CB-17 Fox Chase SCIDマウスにおける腫瘍予防モデル
CB-17 Fox Chase SCIDマウス(6~8週齢、雌)はCharles River Laboratories社(St. Constant、QC)又はUHN (Toronto、ON)のいずれかから購入した。動物の飼育及び動物研究のガイドラインは上記されるものと同じである。
【0926】
抗D2結合剤の有効性を様々な腫瘍予防モデル、NCI-H510A(
図7C、
図8)、NCI-H727(
図7A、
図8)、PANC1(
図8)、及びNCI-H69(
図7B、
図8)において評価した。各々のモデルについて、DPBS中の腫瘍細胞(NCI-H510Aについて800万細胞/マウス、NCI-H727について600万/マウス、PANC1について500万/マウス、又はNCI-H69について300万/マウス)をマウスの右脇腹の皮下(s.c.)に注射した。細胞接種1日後、各細胞系を接種したマウスを2つの実験群(10又は5匹のマウス/群)に無作為に分け、各群のマウスは、全部で8週間、週に2回、KC018(陰性対照)又はKC013のいずれかの16mg/kg ip.を受けた。腫瘍体積は、ノギスを使用して測定し、マウスは、週に1又は2回計量した。腫瘍体積は、式:1/2(長さ×幅
2)を使用して算出した。腫瘍増殖阻害(TGI)のパーセンテージの算出のため、KC013処置群をそのそれぞれの陰性対照と比較した。TGIは以下の式により算出した。
【0927】
【0928】
TV day zは、指定した試験日(day z)の個々の動物の腫瘍体積を表し、TV day xは病期分類日(day x)の個々の動物の腫瘍体積を表す。
【0929】
統計検定は、スチューデントのt検定(両側検定)によって実施した。
【0930】
図7に示されるように、KC013は、アイソタイプ対照と比較してNCI-H727腫瘍予防モデルにおいて49%の腫瘍増殖阻害(
図7A)、NCI-H69腫瘍予防モデルにおいて46%の腫瘍増殖阻害(
図7B)及びNCI-H510A腫瘍予防モデルにおいて77%の腫瘍増殖阻害(
図7C)を示した。
【0931】
図8に示されるように、KC013、KC012、及びKC014は、腫瘍予防SCLC腫瘍モデルの全てにおいて普遍的な腫瘍増殖阻害を実証し、KC013は他の抗D2結合剤よりも最良のin vivo有効性を与えた。これらの抗D2結合剤の全てはBRETアッセイにおいて独特のGαzシグナルを開始させたので、SCLC腫瘍モデルにおいて達成されたin vivo有効性は、腫瘍細胞における特有のGαzシグナルと関連しうる。in vivo有効性はまた、腫瘍進行のために重要である下方調節されたシグナル伝達経路により説明される。
【0932】
(実施例4)
抗PD1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤のin vitro及びin vivo試験
ELISA結合アッセイ
組換えヒト若しくはカニクイザルPD-1 (Cedarlane社、カタログ番号HPLC-10377-H08H-100)又は組換えヒト若しくはカニクイザルCD47 (Cedarlane社、カタログ番号12283-H08H-200及び90869-C08H)に対する抗PD-1及びCD47抗原結合性ドメインを含む結合剤の結合をELISAにより評価した(
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図22、
図23)。ペムブロリズマブをPD1結合アッセイにおける陽性対照として使用した。モノクローナル抗CD47抗体(クローンB6H12)をCD47結合アッセイにおける陽性対照として使用した(Biolegend社、カタログ番号401401)。
【0933】
簡潔に言うと、組換えタンパク質を96ウェルプレートにコートした。プレートは蓋をして、4℃で終夜置いた。次の日、プレートをPBSで1回洗浄し、室温で1時間、ブロッキング緩衝液でブロックした。結合剤を、指定した濃度で試験し、ブロッキング緩衝液で希釈し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。プレートを、1:5000に希釈された抗ヒトFc-HRP (Sigma-Aldrich社、カタログ番号AP113P)と室温で1時間インキュベートし、次にPBS-T洗浄緩衝液で3回洗浄した。SuperSignal(商標) ELISA Pico Chemiluminescent Substrate (Thermofisher社、カタログ番号37069)を用いてシグナルを発生させた。プレートは、SpectraMax(商標)i3x Multi-Mode Microplate Reader(Molecular Devices社)でリードした。
【0934】
図9Aに示されるように、抗PD1結合剤KC009は、ヒト、カニクイザル、及びラット組換えPD1タンパク質に効率的に結合する。KC009の異種間結合活性は、KC009のための毒性モデルとしてカニクイザル及びラットを使用する実現可能性を含意する。
【0935】
KC036の結合をペムブロリズマブと比較した。KC036及びペムブロリズマブの両方を、500nMから開始して1/5に希釈した。
図9Bに示されるように、KC036は、ELISAによりペムブロリズマブと同様に結合する。陰性対照KC036はPD-1組換えタンパク質に結合しなかった。
【0936】
KC015の結合を抗CD47抗体B6H12 (ThermoFisher社、カタログ番号14-0479-82)と比較した。KC015及びB6H12抗体の両方を、50nMから開始して1/5に希釈した。
図9Cに示されるように、KC015は、ELISAによりクローンB6H12よりも高い結合親和性を示した。陰性対照KC016はCD47組換えタンパク質に結合しなかった。
【0937】
図9C及び
図9Dに示されるように、抗CD47結合剤はヒト及びカニクイザルCD47組換えタンパク質に効率的に結合する一方、陰性対照はCD47組換えタンパク質の両方への結合を示さなかった。
【0938】
フローサイトメトリーによる結合剤の血液細胞結合
様々な血液細胞サブタイプに関するKC015の結合活性を評価するために、新鮮な血液を2人の健常ドナーからBecton Dicinson Vacutainerに収集した。白色細胞調製のために、10mLの1X赤血球細胞溶解緩衝液(eBiosceince社、00-4300-54)を各々の1mLの新鮮な血液に加え、RTで15分間インキュベートした。細胞懸濁液を次に、300gで5分間、室温で遠心分離し、続いてPBMC培地(RPMI + 10%熱不活化FBS)を用いて更に1回洗浄した。結合剤での染色の前に白血球数をカウントした。
【0939】
赤血球細胞(RBC)の調製及び染色のために、新鮮な血液を15mLのコニカルボトムポリプロピレンチューブに移し、PBS洗浄緩衝液(PBS + 2%熱不活化FBS)と混合した。チューブを中断と共に800gで10分間、室温で遠心分離した。赤血球細胞をチューブの底から収集し、PBS洗浄緩衝液(PBS + 2%熱不活化FBS)に再懸濁し、結合剤での染色の前に細胞数をカウントした。
【0940】
血小板細胞調製のために、新鮮な血液を15mLのコニカルボトムポリプロピレンチューブに移し、PBS洗浄緩衝液(PBS + 2%熱不活化FBS)と混合した。チューブを中断と共に800gで10分間、室温で遠心分離した。血小板に富んだ血漿をチューブの上部(血漿体積の2/3)から収集した。血小板に富んだ血漿を9mLのPBS洗浄緩衝液に移し、中断と共に1250gで15分間、室温で遠心分離した。血小板細胞数を結合剤での染色の前にカウントした。
【0941】
Fc受容体遮断抗体を細胞懸濁液に1/100の希釈で加え、氷上で10分間インキュベートした。一次結合剤を細胞懸濁液に連続抗体濃度で加え、氷上で30分間インキュベートした。二次検出抗体での染色の前に細胞をPBS洗浄緩衝液で1回洗浄した。T細胞もまたCD3マーカー抗体(Biolegend社、557705)で染色した。単球をCD14抗体(Biolegend社、301814)で染色した。顆粒球集団をFSC及びSSCに基づいてゲーティングした。赤血球細胞をCD235ab抗体(Biolegend社、306620)で染色した。血小板をCD41抗体(Biolegend社、303704)で染色した。サイトメーターFACSCantoIIによる解析の前に全ての細胞を1/100の希釈を伴う7-AAD (BD社、559925)で染色した。
【0942】
図9Eに示されるように、KC015は、ヒトT細胞に効率的に結合するが、RBC及び血小板に対してはより低い効率である。
【0943】
細胞のFACS結合アッセイ
細胞への結合剤の結合をフローサイトメトリーにより評価した。抗PD-1抗原結合性ドメインを含む結合剤の結合特異性を決定するために、CHO親及びCHO-PD-1細胞株を結合アッセイにおいて使用した(
図10)。簡潔に述べれば、1×10
5個の細胞をFc受容体遮断抗体(1/100の希釈、Cedarlane社、カタログ番号422302)と室温で10分間インキュベートした。抗PD-1抗原結合性ドメインを含む結合剤をFACS染色緩衝液に20μg/mLまで希釈して加え、細胞と氷上で30分間インキュベートした。PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)を陽性対照として使用した。FACS染色緩衝液での3回の洗浄後に、ヒトFc領域を認識するAPCコンジュゲート二次抗体(Cedarlane社、カタログ番号409306)を細胞と混合した。30分間の染色後に、細胞を3回洗浄し、続いて100μlの7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)溶液(1/500の希釈、BD Bioscience社、カタログ番号559925)に再懸濁した。細胞をBD FACSCanto(商標) II Flow cytometer (BD Bioscience社)により解析した。単一細胞及び生細胞に関するゲーティングを介してFlowJoを用いてデータを解析した。
【0944】
図10に示されるように、KC036はCHO-PD1細胞にのみ結合し、非PD1発現細胞(CHO親細胞)に結合せず、抗PD-1モジュールKC009の高い特異性を立証した。
【0945】
PBMC媒介性細胞傷害性アッセイ
PBMC媒介性細胞傷害性をフローサイトメトリーにより評価した。簡潔に述べれば、腫瘍細胞(THP-1又はOCI-AML3)をCellTrace violetを用いて37℃で10分間染色した。細胞を洗浄し、ヒトPBMC (Cedarlane社、カタログ番号70025.1)と5:1の比で混合した。抗CD3抗体又はCD33二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE、G&P Bioscience社、カタログ番号FLC2032)を加えてT細胞を活性化させた。結合剤を、対応するウェルに指し示される濃度で加えて、細胞傷害性に対する抗PD-1モジュールの効果を決定した。48又は72時間のインキュベーションの後に、細胞を3回洗浄し、続いて100μlの7-AAD溶液(1/100の希釈、BD Bioscience社、カタログ番号559925)に再懸濁した。細胞をBD FACSCanto(商標) II Flow cytometer (BD Bioscience社)により解析した。単一細胞及び生細胞のみに関するゲーティングによりFlowJoを用いてデータを解析した。
【0946】
図11に示されるように、KC036(配列番号94)は、陽性対照ペムブロリズマブ及びニボルマブと類似したレベルまで、T細胞依存性細胞傷害性を増加させることによりチェックポイント阻害(CPI)活性を示した。
【0947】
PD-1/PD-L1遮断バイオアッセイ
発光性NFAT-REレポーターシステム内でのPD-1/PD-L1遮断アッセイ(Promega社、カタログ番号J1255)を使用して抗PD-1抗原結合性ドメインを含む結合剤の遮断活性を評価し、陽性対照と比較した。PD-L1 aAPC/CHO-K1(標的)細胞を解凍し、96ウェルプレートに推奨される密度で播種し、プレートに終夜接着させた。翌日、結合剤をアッセイ緩衝液(10%低IgG FBSを含むHam’s F12培地)中で350nMに希釈し、8回の2.5×段階希釈を行った。96ウェルプレートからの培地はデカントし、40μlの希釈した結合剤及び40μlのJurkat(エフェクター)細胞をプレートに添加した。プレートは、37℃で6時間インキュベートした。Bio-Gloルシフェラーゼアッセイ緩衝液及び基質を合わせ、80μlの溶液を各ウェルに移した。プレートは室温で5分間インキュベートし、発光はプレートリーダーを使用して測定した。
【0948】
これらの実験の結果は、KC036はペムブロリズマブと類似したin vitro CPI活性を達成したことを示し、結合剤は、「疲弊した」T細胞においてT細胞機能を回復させることにより抗腫瘍活性を誘導できることを示唆した(
図12)。
【0949】
KC036の抗PD1抗原結合性ドメインは、Table 4(表5)に列記される他の抗PD-1抗原結合性ドメインに、本明細書に記載されるものと類似した方式で置換される。
【0950】
(実施例5)
抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤のin vitro及びin vivo試験
抗D2及び抗CD47抗原結合性ドメイン(KC040)又は抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメイン(配列番号70)を含む結合剤を、HEK293T若しくはHEK293T-CD47KO細胞(CD47ノックアウト)(
図13)又は初代ヒトT細胞(PBMC、StemCell社)(
図14)における結合について試験した。
【0951】
図13に示されるように、抗CD47モジュールを含む結合剤は、親HEK293T細胞に結合し、CD47ノックアウト細胞(HEK293T-CD47KO)には結合しない。
【0952】
図14に示されるように、抗CD47モジュールを含む結合剤は初代ヒトT細胞に結合する。
【0953】
T細胞活性化アッセイ
ポリクローナルT細胞活性化を誘導する、抗CD47モジュールを含む結合剤の能力を、コンカナバリンA (ConA、Cedarlane社、14951-250)の存在下(
図16)又は非存在下で行った(
図15A)。簡潔に述べれば、PBMCを、指し示される濃度の結合剤と、10μg/mL ConAの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。プレートを遠心沈降にかけ、細胞をFc受容体遮断抗体(Biolegend社、1/200の希釈)と氷上で10分間インキュベートした。プレートを再び遠心沈降にかけ、細胞をAPCコンジュゲート抗CD3 (Cedarlane社、カタログ番号300312)及びFITCコンジュゲート抗CD69抗体(Biolegend社、カタログ番号310904、1/500の希釈)を用いて氷上で30分間染色した。細胞を3回洗浄し、続いて100μlの7-AAD溶液(BD Bioscience社、1/100の希釈)に再懸濁した。細胞をBD FACSCanto(商標) II Flow cytometer (BD Bioscience社)により解析した。単一細胞及び生細胞のみに関するゲーティングによりFlowJoを用いてデータを解析した。
【0954】
PBMC媒介性細胞傷害性アッセイ
PBMC媒介性細胞傷害性をフローサイトメトリーにより評価した(
図15B)。簡潔に述べれば、腫瘍細胞(THP-1又はOCI-AML3)を、CellTrace violetを用いて37℃で10分間染色した。細胞を洗浄し、PBMCと5:1の比で混合した。抗CD3抗体又はCD33二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE、G&P Bioscience社、カタログ番号FLC2032)を加えてT細胞を活性化させた。結合剤を、対応するウェルに指し示される濃度で加えて、細胞傷害性に対するCD47の効果を決定した。48又は72時間のインキュベーションの後に、細胞を3回洗浄し、続いて100μlの7-AAD溶液(1/100の希釈、BD Bioscience社、カタログ番号559925)に再懸濁した。細胞をBD FACSCanto(商標) II Flow cytometer (BD Bioscience社)により解析した。単一細胞及び生細胞のみに関するゲーティングによりFlowJoを用いてデータを解析した。
【0955】
図15に示されるように、抗CD47モジュールを含む結合剤は、T細胞を活性化させず(
図15A)、THP-1腫瘍細胞に対するT細胞依存性細胞傷害性を媒介しなかった(
図15B)。結合剤はHEK293T及び初代T細胞に対する結合を示したが、in vitroでT細胞を活性化させず、これは、T細胞を活性化させずに免疫細胞再方向付けのためのより良好な安全性を結果としてもたらしうる。
【0956】
図16に示されるように、コンカナバリンA媒介性T細胞活性化は、抗CD47モジュールを含む結合剤により影響されない。スーパー抗原であるコンカナバリンAは、TCR-MHC複合体を通じたT細胞活性化に繋がる。これらの結果は、抗CD47モジュールは、TCR-MHC複合体を通じて誘導されるT細胞活性化に干渉しなかったことを示唆する。
【0957】
CD47/SIRPα遮断バイオアッセイ
発光性レポーターシステムにおけるCD47/SIRPα遮断アッセイを使用して、抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤の遮断活性を評価し、陽性対照としてのB6H12抗体(Promega社、カタログ番号CS316013)と比較した。CD47 CHO-K1標的細胞を解凍し、10% FBSを含有するHam F12培地に再懸濁した。細胞懸濁液を96ウェルプレートのウェル当たり100μLのCD47 CHO-K1細胞で分注し、37℃、5% CO2で終夜インキュベートした。翌日、試験分子の1.5x段階希釈液をアッセイ緩衝液(2% FBSを含有するRMPI-1640培地)中に調製した。細胞培地を除去し、50μLの段階希釈された抗体を対応するウェルに加えた。SIRPαエフェクター細胞を解凍し、アッセイ緩衝液に再懸濁した。細胞懸濁液をウェル当たり75μLのSIRPαの細胞懸濁液で分注した。プレートを37℃、5% CO2で4時間インキュベートした。4時間のインキュベーションの終わりに、ウェル当たり75μLのBio-Glo-NL Luciferase Assay Reagentを加え、5~10分後にSpectra Max ix3 Plate Readerを使用して発光を測定した。
【0958】
図17に示されるように、KC015(配列番号75)は、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断することによりチェックポイント阻害(CPI)活性を呈した。陰性対照(KC016:配列番号76)はいかなるCPI活性も示さなかった。
【0959】
(実施例6)
抗DR2、PD-1及びCD47抗原結合性ドメインを含む結合剤のin vitro及びin vivo試験
NCGマウスにおける確立された腫瘍モデル
多価及び多特異性結合剤の抗腫瘍有効性を決定するために、ヒト化NCGマウスにおける確立された腫瘍モデルを研究において使用した(
図18、
図22)。簡潔に述べれば、NCGマウス(5~6週齢、雌)はCharles River Laboratories社(St. Constant、QC)から購入した。DPBS中の腫瘍細胞(NCI-H82について800万細胞/マウス)をマウスの右脇腹の皮下(s.c.)に注射した。腫瘍が100mm
3まで成長してから、マウスを実験群(10又は9マウス/群)に無作為に分けた。ヒトPBMC(1000万個の細胞)を静脈内(i.v.)に注射した。翌日、各々の群のマウスに週2回、計8用量で腹腔内(i.p.)により結合剤(28mg/kg)処置を与えた。ノギスを使用して腫瘍体積を測定し、マウスを週に2回計量した。腫瘍体積及び腫瘍増殖阻害を上記と同様に算出した(方法セクションにおける「CB-17 Fox Chase SCIDマウスにおける腫瘍予防腫瘍モデル」)。統計的検定をスチューデントt検定(両側)により行った。
【0960】
図18に示されるように、抗D2、抗PD-1及び抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤は52%のTGIを示した。結果は、三特異性結合剤はin vivoで腫瘍成長を抑制できることを含意した。本明細書に開示される抗CD47抗原結合性ドメインを含む結合剤は、免疫細胞再方向付けのために他の活性化抗体よりも良好な安全性を提供することが予想される。
【0961】
in vitro T細胞動員アッセイ
腫瘍抗原(D2)及びT細胞を標的化する結合剤がT細胞を動員し、T細胞を腫瘍細胞とブリッジし得るかどうかを試験するために、T細胞を結合剤の存在下でNCI-H69細胞クラスターと共培養した。
【0962】
簡潔に述べれば、抗D2、抗PD1及び/又は抗CD47モジュール、並びにこのモジュールの組合せのバリエーションを含有する様々な結合剤について、NCI-H69 SCLC細胞クラスターへのT細胞動員のレベルを定量化した(
図19)。懸濁NCI-H69細胞を収集し、12ウェルプレートに移し、37℃、5% CO
2のインキュベーターに72時間戻して、より大きい細胞クラスターを成長させた。72時間後に、5.0×10
5個のPBMC及び結合剤(25μg/mLの最終濃度)をNCI-H69細胞に加えた。プレートを37℃、5% CO
2のインキュベーターに24時間戻して、NCI-H69細胞クラスターにT細胞を動員させた。
【0963】
24時間後に、各々のウェルからの培地を微量遠心チューブに移し、各々のチューブを、5秒パルススピンのためにベンチトップミニ遠心分離機を使用して短く遠心分離した。上清を分離し、ペレットを150μLのフロー緩衝液(5mM EDTAを含むPBS)に再懸濁した。大細胞クラスターの効率的な分離を確実にするために明視野顕微鏡を使用してペレット及び上清画分を評価した。微量遠心チューブからの再懸濁されたペレットを96ウェルプレートに移した。プレートを1200RPMで遠心分離にかけて細胞をペレット化させ、プレートを反転して上清を除去し、Human TruStain FcX Block (BD Bioscience社、カタログ番号559925)をウェル当たりフロー緩衝液100μL当たり2μLで加え、氷上で10分間インキュベートした。プレートを1200RPMで遠心分離にかけて細胞をペレット化させ、別々のウェル中の適切なアイソタイプ対照を含めて、APCコンジュゲート抗ヒトCD3 (Cedarlane社、カタログ番号300312)及びFITCコンジュゲート抗ヒトCD69抗体(Cedarlane社、カタログ番号310904)をウェル当たりフロー緩衝液100μL当たり各0.5μLで加えた。蛍光コンジュゲート抗体の添加後に、プレートに蓋をし、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション期間の後に、プレートを1200RPMで遠心分離にかけて細胞をペレット化させ、150μlのフロー緩衝液で洗浄した。プレートを1200RPMで遠心分離にかけて細胞をペレット化させ、ウェル当たりフロー緩衝液100μL当たり1.0μLの7-AADを含有する7-AAD溶液に再懸濁した。
【0964】
細胞集団をフローサイトメトリーにより解析した。未加工リードをBD FACSCanto II機器上で収集した。全部で100,000個の事象をデータ解析のために収集した。全生細胞集団を、7-AAD陰性細胞(PerCP-Cy5.5)についてのゲーティングにより評価した。全T細胞集団を、CD3陽性細胞(APC)についてのゲーティングにより評価し、活性化T細胞集団を、二重CD3 (APC)及びCD69 (FITC)陽性細胞についてのゲーティングにより評価した。CD3 (APC)及びCD69 (FITC)の平均蛍光強度(MFI)を定量化し、処理群の間で比較した。この報告に記載される全ての試料は3連で試験された。結果は平均+/-標準偏差を表した。
【0965】
図19に示されるように、結合剤はin vitroでT細胞をNCI-H69細胞クラスターに有効に動員することが見出された。
【0966】
CB-17 Fox Chase SCIDマウスにおける腫瘍予防腫瘍モデル
抗D2モジュールを含む結合剤を、実施例3に記載されるように腫瘍予防モデルにおいて試験した。
【0967】
簡潔に述べれば、ヒトPBMC及びNCI-H82細胞を1:5の比で共移植したことを除いて、NCGマウスにおける同様にNCI-H82細胞を接種した腫瘍予防モデルにおいて、結合剤(KC020;配列番号77、KC022;配列番号79、KC023;配列番号80、KC024;配列番号81、KC025;配列番号82、KC026;配列番号83)を試験した(
図20A~B及び
図24C)。
【0968】
図20Bに示されるように、KC001、KC009及びKC010(配列番号77)を含有する結合剤は、KC009及びKC010を有する他のD2モジュールと比較して74%の最良の有効性を示した(
図20A&B)。KC001有効性データの優位性はまた、VHH-ヒンジ-CH2-CH3としてのD2有効性データと合致し(
図20)、該データにおいて、KC001(KC013;配列番号73)は、NCI-H69、NCI-H510A、及びNCI-H727を含むいくつかの腫瘍モデルにおいて最良の有効性を示した。
【0969】
PBMC予備移植モデルにおけるKC015のin vivo有効性
PBMC予備移植NCI-H82異種移植片腫瘍モデルを使用してNCGマウスにおいてKC015の抗腫瘍活性を評価した(
図21A)。KC020の抗腫瘍活性もまた、PBMC予備移植NCI-H69、RKO、及びSCLC-21H異種移植片腫瘍モデルにおいて研究した(
図21B)。簡潔に述べれば、NCGマウス(5~6週齢、雌)はCharles River Laboratories社(St. Constant、QC)から購入した。1000万個のPBMCを腫瘍細胞移植の3日前にNCGマウスに移植した。処置をPBMC移植の10日後に開始し、週当たり2回で全部で8用量とした。研究において使用された陰性対照はPBSであった。式:1/2(長さ×幅
2)を使用して腫瘍体積を算出した。腫瘍増殖阻害(TGI)パーセンテージの算出のために、処置群をそのそれぞれの陰性対照と比較した。本明細書に記載されるようにTGIを算出した。統計的検定をスチューデントt検定(両側)により行った。
【0970】
研究の終わりに、動物を屠殺し、腫瘍及び肝臓を転移解析のために収集した。
【0971】
これらの実験の結果は、KC015(配列番号75)はPBMC予備移植モデルにおいてNCI-H82腫瘍成長を抑制することを示した。KC020(配列番号77)は、がんのヒトPBMC予備移植モデルにおいてNCI-H69、RKO及びSCLC-21H異種移植片腫瘍の成長を抑制した。
【0972】
SCIDマウスにおける確立された腫瘍モデルにおけるKC015のin vivo有効性
KC015結合剤の抗腫瘍有効性をSCIDマウスにおける確立されたMDA-MB-231腫瘍モデルにおいて評価した(
図21C)。PBS中の腫瘍細胞(500万細胞/マウス)をSCIDマウス(5~6週齢、雌; Charles River Laboratories社(St. Constant、QC))の右脇腹の皮下(s.c.)に注射した。腫瘍が100mm
3まで成長してから、マウスを実験群(9匹のマウス/群)に無作為に分けた。翌日、各々の群のマウスに週1回、全部で8用量で腹腔内(i.p.)により結合剤(8mg/kg)処置を与えた。ノギスを使用して腫瘍体積を測定し、マウスを週に2回計量した。腫瘍体積及び腫瘍増殖阻害を上記と同様に算出した。統計的検定をスチューデントt検定(両側)により行った。
【0973】
図21Cに示されるように、確立されたMDA-MB-231腫瘍モデルはKC015を用いた処置で成長せず、この腫瘍モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を指し示した。
【0974】
IgG4バージョンとIgG1バージョンとを対比した結合剤のin vivo有効性
IgG4は、この場合にT細胞殺傷に繋がりうるADCC効果、及びサイトカイン放出ストームを回避するための治療抗体のために一般的に使用される。IgG4 CH3ドメインを含む結合剤の抗腫瘍有効性を決定するために、ヒト化されたNCGマウスにおける確立された腫瘍モデルを上記のように使用した。
【0975】
図22に示されるように、結合剤のIgG4バージョンとIgG1バージョンとの間で有意差は観察されなかった(KC021(配列番号78)及びKC027:配列番号85を比較されたい)。
【0976】
腫瘍保有マウスモデルにおける結合剤体内分布のMicro-PET/CTイメージング
結合剤の放射性標識及びその体内分布のマイクロPET/CTイメージングを行った(
図23)。Amicon(登録商標) Ultra-4 Centrifugal Filter (MWCO 30kDa、UFC803008)を使用して、結合剤の調製物を最初に0.1M 炭酸ナトリウム(pH 9.0)を用いて緩衝液交換した。結合剤を次に、14倍モル過剰のp-イソチオシアナトベンジルデスフェリオキサミン(p-NCS-Bz-DFO、Macrocyclics社)との反応によりデスフェリオキサミン(DFO)で修飾した。簡潔に述べれば、無水DMSO中のp-NCS-Bz-DFOの20mM (15μg/μL)溶液20~40μLを4~7mgの結合剤(0.1M NaHCO3緩衝液中3~4mg/mL、pH 9.0)と37℃で30分間、Excella E24 mixer (New Brunswick Scientific社)上で300rpmでの混合と共に反応させた。反応液を小さいアリコートに分割して抗体の架橋及び凝集を回避した。30分の反応後に、過剰なp-NCS-Bz-DFOを限外濾過により除去し、これは過剰な0.25M Na酢酸緩衝液、pH 5.5を使用して5000×gで5分間の遠心分離でAmicon Ultra-4遠心フィルターデバイス(Millipore、30kDaカットオフ)上で4回繰り返した。還元(2-メルカプトエタノール)及び非還元条件下での4~20% Tris-HClゲル(Bio-Rad社)上のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によりDFO結合剤の純度及び均質性を評価した。
【0977】
DFOコンジュゲーション後に、結合剤を以下のプロトコールにより89Zrで放射性標識した。シュウ酸塩としての89ZrをWashington University (St. Louis、MO)から購入し、2M NaCO3(pH 10.0)と3分間インキュベートして溶液を中和した。次に、32mM ゲンチジン酸(5mg/mL)及び0.5Mの4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES緩衝剤)を含有する0.25M 酢酸Na緩衝液(pH 7.0)を加え、続いてD2、PD-1及びCD47特異的抗原結合性ドメインを含む結合剤(KC020;配列番号77)(1~5.0mg/mL)を加えた。放射性標識を0.28mCi/mgの比活性で60~90分間、室温で行った。20mM Na2CO3中の22mM クエン酸(pH 5.0)中で展開したインスタント薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ITLC-SG)により放射化学純度を測定した。
【0978】
放射性標識後に、[89Zr]-DFO結合剤を、2つの異なるタイプの異種移植片(NCI-H69及びNCI-H82)を有するマウスに注射した。イソフルラン(Fresenius Kabi Canada Ltd.社)麻酔(5%で誘導、1.5~2%で維持)を使用してマウスを麻酔し、続いて[89Zr]-DFO結合剤のi.v.注射を行い、200μL、2.86±0.2MBq、及び30mg/Kgを与えた。注射後24時間、96時間、及び144時間においてMediso nanoScan(登録商標) SPECT/CT/PET 82S systemを使用して動物をイメージングした。
【0979】
図23A及び
図23Bに示されるように、放射性標識された結合剤は、NCI-H69及びNCI-H82の両方の異種移植片モデルにおいて腫瘍における蓄積を示すことが見出され、腫瘍抗原を介する結合剤の動員を示唆した。
【0980】
(実施例7)
hCD34+ヒト化NCGマウスモデルにおける結合剤のin vivo試験
hCD34+ヒト化NCGマウスはCharles River Laboratories社から購入した。腫瘍移植の1日前にフローサイトメトリーによりHSC生着レベルを評価した。マウスを2つの群に無作為化し、NCI-H69細胞を各々の動物の右脇腹の皮下(s.c)に移植した(動物当たり800万個の細胞)。腫瘍が平均で100mm3の体積に達したら、陰性対照及び試験品をIP注射により週に2回投与した。腫瘍体積、腫瘍増殖阻害(TGI)パーセンテージ及び統計解析は実施例3に記載されるように行う。
【0981】
研究の終わりに、動物を屠殺し、腫瘍及び肝臓を転移解析のために収集した。
【0982】
図24A~Bに提示されるこれらの実験の結果は、KC020(配列番号77)はhCD34+ヒト化NCGマウスモデルにおいて肝臓へのNCI-H69細胞の転移を低減させることを示した。
図24Cの結果もまたNCI-H82/PBMC共移植モデルにおけるKC020(配列番号77)の有効性を示した。
【0983】
(実施例8)
他の固形腫瘍における結合剤の試験
ヒト小細胞肺がんのNCI-H510A及びNCI-H727 s.c.予防的異種移植片モデルにおいてKC013、KC011、KC012、及びKC014を含む抗D2結合剤の抗腫瘍有効性を決定するために、雌SCIDマウスをCharle River Laboratories社から購入し、4~6週齢時に研究のために使用した。NCI-H510a細胞について、細胞を各々の動物の右脇腹の皮下(s.c)に、マウス当たり800万個の細胞で移植した。NCI-H727細胞について、細胞を各々の動物の右脇腹の皮下(s.c)に、マウス当たり100万及び600万個の細胞で移植した。翌日、ビヒクル対照及び試験品をi.p注射により週に1回投与した。腫瘍体積、腫瘍増殖阻害(TGI)パーセンテージ及び統計解析は実施例3に記載されるように行う。
【0984】
ヒト膵臓がんのPANC1 s.c.予防的異種移植片モデルにおいて抗D2結合剤の有効性を評価するために、雌SCIDマウスをCharles River Laboratories社から購入し、4~6週齢時に研究のために使用した。細胞を各々の動物の右脇腹の皮下(s.c.)に、各々500万個で移植した。処置を細胞移植の1日後に開始した。陰性対照抗体及び試験品をi.p.注射により週に1回投与した。腫瘍体積、腫瘍増殖阻害(TGI)パーセンテージ及び統計解析は実施例3に記載されるように行う。
【0985】
(実施例9)
安定性研究
20mg/mL(+/-0.5)の濃度の精製された結合剤の溶液を調製し、2つのバッチに分けた。1つのバッチを-80℃(ストレス負荷条件ではない)で貯蔵し、他のバッチを、3日間の撹拌(25℃)、5サイクルの凍結及び解凍、40℃で2週間の貯蔵、又は4時間及び48時間の低pH(3.5)処理を含む様々なストレス条件に供した。両方のバッチを、実施例3及び4に記載されるようにD2含有プロテオリポソーム(
図25A及び
図26A)、組換えPD-1 (Cedarlane社、カタログ番号10377-H08H-50)(
図25B及び
図26B)又は組換えCD47 (Cedarlane社、カタログ番号12283-H08H-200)(
図25C及び
図26C)への結合について試験した。
【0986】
図25及び
図26に提示される結果は、KC020のその標的への結合は試験されたストレス条件により影響されないことを指し示す。
【0987】
追加的に、溶液の生物物理学的特徴(溶解性及び凝集)はこれらの条件下で有意に変化しなかった。
【0988】
類似した結果がいくつかの他の結合剤について得られた(データ示さず)。
【0989】
(実施例10)
SCLCのNCI-H82尾静脈転移モデルにおける結合剤の試験
NCGマウス(5~6週齢、雌)はCharles River Laboratories社(St. Constant、QC)から購入した。NCGマウスに50,000個のNCI-H82細胞を尾静脈注射を通じて接種した。マウスに腫瘍細胞注射の24時間前に腹腔内注射によりKC020処置を与えた。KC020を隔週で全部で8用量にわたり投与した。動物を研究の全持続期間にわたり体重損失及び全般的健康状態についてモニターした。全体的に、KC020処置は、ビヒクル処置された陰性対照群と比較して、NCI-H82 SCLCをi.v.で移植されたマウスにおいて生存を有意に長期化させた(
図27)。
【0990】
in vivo生物発光イメージング研究のために、全部で20匹のNCGマウスを、PBS群、KC020 3mg/kg群、KC020 10mg/kg群及びKC020 30mg/kg群を含む4つの群に無作為に割り当てた。0日目に、全てのマウスにKC020又はPBSの1処置を与えた。KC020 3mg/kg群について、マウスにKC020処置の1日前に10mg/kgのヒトIgGの1処置を与えた。NCI-H82-ルシフェラーゼ細胞をNCGマウスに尾静脈注射を通じて、マウス当たり100,000個の細胞で接種した。全てのマウスをPBS又はKC020のいずれかを用いて、全部で8用量にわたり週に2回処置した。生物発光イメージングを腫瘍細胞接種の3週後に週に1回行った。イメージングの前に、マウスにDPBS中の15mg/mLのホタルルシフェラーゼ基質を、200μLの投与体積で腹腔内注射を通じて投薬した。この実験の結果は、KC020処置は、3mg/kgの最小用量を含む試験された全ての用量においても腫瘍発生を予防したことを示す。
【0991】
本明細書に提示される結果は、特に、本開示の結合剤は、その標的の各々に結合し、in vitro CPI活性を呈し、ヒトがんの予防的な異種移植片モデル及び確立された異種移植片モデルの両方においてin vivo腫瘍抑制有効性を示し、転移発生を予防し、ヒトがんの尾静脈モデルにおいてマウス生存を延長させることを指し示す。追加的に、本開示の結合剤は、生産性細胞株において非常に高い収率で製造され、加速安定性試験下で好都合な安定性を呈する。
【0992】
本明細書に記載される実施形態及び実施例は例示であり、請求項の範囲を制限することを意味しない。代替え物、改変物及び均等物を含む前述の実施形態のバリエーションが、請求項によって包含されることを本発明者らは意図する。本出願の引用リストは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0993】
参考文献
本出願の全体を通じて参照される全ての特許、特許出願及び刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0994】
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【0995】
配列表
【0996】
【0997】
【0998】
【0999】
【1000】
【1001】
【1002】
【1003】
【1004】
【1005】
【1006】
【1007】
【1008】
【1009】
【1010】
【1011】
配列番号98(天然ヒトIgG1ヒンジ領域)
EPKSCDKTHTCPPCP
配列番号99(リンカー-HL1)
EPKIPQPQPKPQPQPQPGGSGSAEAAAKAPKAP
配列番号100(柔軟性リンカー-FL2)
GGGGSGGGGS
配列番号101(柔軟性リンカー-FL18)
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号102(柔軟性リンカー-FL4)
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号103(柔軟性リンカー-FL5)
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
配列番号104(柔軟性リンカー)
(GGGGS)n (nは1~10から選択される整数である)
配列番号105(剛性リンカー-RL5)
PAPAPKA
配列番号106(剛性リンカー-RL7)
APAPAPAPAPKA
配列番号107(剛性リンカー-RL12)
APAPAPAPAPAPAPAPAPAPKA
配列番号108(剛性リンカー)
(X(PAPAP))nKA (nは1~10から選択される整数であり、Xは存在するか又は存在せず、Aである)
配列番号109(らせん状リンカー-RL1)
AEAAAKEAAAKA
配列番号110(らせん状リンカー-RL2)
AEAAAKEAAAKEAAAKA
配列番号111(らせん状リンカー-RL4)
AEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKA
配列番号112(らせん状リンカー
X(EAAAK)nY (nは1~10、より好ましくは2~5から選択される整数であり、X及びYは独立して存在するか又は存在せず、好ましくはAである)
配列番号113 抗HEWL VHH (KC017)
【1012】
【1013】
(XはE又はQである)
配列番号114 抗4HEM VHH (KC018のVHH部分)
【1014】
【1015】
(XはE又はQである)
配列番号115 抗CD3 VHH (KC019)
【1016】
【1017】
(XはE又はDである)
配列番号116 天然ヒトIgG1 CH3
【1018】
【1019】
配列番号117 天然ヒトIgG1 CH2
【1020】
【1021】
配列番号118 変異型ヒトIgG1ヒンジ領域
EPKSSDKTHTCPPCP
配列番号119 変異型ヒトIgG1ヒンジ領域
EPKSSDKTHTSPPSP
配列番号120 変異型ヒトIgG1ヒンジ領域
DKTHTCPPC
配列番号121 天然ヒトIgG2ヒンジ領域
ERKCCVECPPCP
配列番号122 変異型ヒトIgG2ヒンジ領域
ERKSSVECPPCP
配列番号123 変異型ヒトIgG2ヒンジ領域
ERKSSVESPPCP
配列番号124 変異型ヒトIgG2ヒンジ領域
ERKSSVESPPSP
配列番号125 天然ヒトIgG3ヒンジ領域
ELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCP
配列番号126 変異型ヒトIgG3ヒンジ領域
EPKSSDTPPPCPRCP
配列番号127 変異型ヒトIgG3ヒンジ領域
EPKSSDTPPPSPRCP
配列番号128 変異型ヒトIgG3ヒンジ領域
EPKSSDTPPPSPRSP
配列番号129 天然ヒトIgG4ヒンジ領域
ESKYGPPCPSCP
配列番号130 変異型ヒトIgG4ヒンジ領域
ESKYGPPCPPCP
配列番号131 変異型ヒトIgG4ヒンジ領域
ESKYGPPSPSCP
配列番号132 変異型ヒトIgG4ヒンジ領域)
ESKYGPPSPSSP
配列番号133 シグナルペプチド
MEWSWVFLFFLSVTTGVHS
配列番号134 エピトープタグ
HHHHHH
配列番号135 天然ヒトIgG1定常領域
【1022】
【1023】
配列番号136 変異型CH3ドメイン(鎖A- 変異D399N; K370E; E356Q)
【1024】
【1025】
配列番号137 変異型CH3ドメイン(鎖B- 変異D399N; K439E; E357Q)
【1026】
【1027】
配列番号138 変異型ヒトIgG1定常領域(鎖A- 変異D399N; K370E; E356Q)
【1028】
【1029】
配列番号139 変異型ヒトIgG1定常領域(鎖B- 変異D399N; K439E; E357Q)
【1030】
【1031】
配列番号140 変異型ヒトIgG4定常領域
【1032】
【配列表】
【国際調査報告】