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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自己接着性の小窩裂溝封鎖材
(51)【国際特許分類】
A61K 6/887 20200101AFI20240312BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240312BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20240312BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240312BHJP
A61K 6/836 20200101ALI20240312BHJP
A61K 6/62 20200101ALI20240312BHJP
【ＦＩ】
A61K6/887
C08F220/10
C08L33/10
C08K3/013
A61K6/836
A61K6/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560779
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022058711
(87)【国際公開番号】W WO2022207879
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021108477.6
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021108476.8
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】517275117
【氏名又は名称】クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Ｋｕｌｚｅｒ ＧｍｂＨ
【住所又は居所原語表記】Ｌｅｉｐｚｉｇｅｒ Ｓｔｒａｓｓｅ ２， Ｄ－６３４５０ Ｈａｎａｕ， Ｇｅｒｍａｎｙ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス＝ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリア レヘマン－ドアン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゲアラッハ
【テーマコード（参考）】
4C089
4J002
4J100
【Ｆターム（参考）】
4C089AA06
4C089BA14
4C089BC02
4C089BC12
4C089BD02
4C089BD05
4C089BD11
4J002BG041
4J002DE046
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GB01
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100BA08Q
4J100BA39P
4J100BA65R
4J100CA05
4J100JA51
(57)【要約】
自己接着性でかつ放射線硬化性の小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は、白色顔料と、Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、ａ）少なくとも１つの二官能性ウレタン（メタ）アクリレートと、ｂ）少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤と、ｃ）オレフィン系カルボン酸および／またはオレフィン系カルボン酸無水物の酸性モノマーの混合物を、リン酸のオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸のオレフィン系酸性モノエステルと組み合わせたものと、ｄ）それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、任意に補助開始剤を含む開始剤および／または開始剤系とを含む、モノマー成分と、Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスを含むフィラー成分とを含み、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材において６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％であるものとする、小窩裂溝封鎖材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性でかつ放射線硬化性の歯科用小窩裂溝封鎖材であって、前記小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレートであって、ここで、それぞれ独立して、ウレタン（メタ）アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、ウレタン（メタ）アクリレートと、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物であって、ここで、それぞれ独立して、（メタ）アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるものとする、架橋剤と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマーと、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、前記開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系と
を含む、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含むフィラー成分と
を含み、
前記Ａ）モノマー成分および前記Ｂ）フィラー成分は、前記小窩裂溝封鎖材の１００重量％である前記組成物全体中に６０：４０～１００：０の重量比で存在する、小窩裂溝封鎖材。
【請求項2】
前記小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート４０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物１０～３５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー５～３０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、前記開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ここで、前記モノマー成分中で、少なくとも１つのジケトンの含有量は、０．３重量％であり、任意に、補助開始剤としての少なくとも１つの第三級アミン、または補助開始剤としての１，２－メチレンジオキシベンゼンが存在するものとする、開始剤および／または開始剤系０．３～５重量％と、
ｅ）少なくとも１つの白色顔料０～０．５重量％と
を含み、ここで、前記モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、前記フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、金属酸化物および／または混合酸化物０～１０重量％と、
ｃ）少なくとも１つの白色顔料０～０．５重量％と
を含み、ここで、前記フィラー成分Ｂ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、フィラー成分と
を含み、
前記Ａ）モノマー成分および前記Ｂ）フィラー成分は、前記小窩裂溝封鎖材において６０：４０～１００：０の重量比で存在し、前記小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％であるものとする、請求項１記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項3】
前記小窩裂溝封鎖材は、前記Ａ）モノマー成分を、任意に前記Ｂ）フィラー成分との混合物の状態含み、前記小窩裂溝封鎖材は、ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート２５～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／もしくは少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー３～２０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、前記開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系０．８～３重量％と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含むフィラー成分０～４０重量％と
を含み、
ここで、前記小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である、請求項１または２記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項4】
前記ｃ）酸性モノマーは、前記ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物と、前記ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸のモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にチオリン酸のモノエステルとを含み、これらは、１：３～１：１の重量比で存在する、請求項１から３までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項5】
前記ｃ）酸性モノマーは、ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物と、
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含み、ｉ）およびｉｉ）は、１：１～２：１、特に７：６～５：２、好ましくは５：４～５：２の重量比で存在する、請求項１から４までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項6】
前記Ａ）モノマー成分は、ｃ）において、前記Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｉ）として、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物２～１０重量％を含み、ｉｉ）として、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％を含む、請求項１から５までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項7】
前記小窩裂溝封鎖材は、ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレートを含み、前記ウレタン（メタ）アクリレートは、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン（メタ）アクリレート、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテル、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテルを含む、二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン（メタ）アクリレートから選択され、１，６－ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）－２，４，４－トリメチルヘキサン（ＵＤＭＡ）が特に好ましい、請求項１から６までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項8】
前記小窩裂溝封鎖材は、ｂ）として、以下：ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも５個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート（ブタンジオールジメタクリレート）、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレートおよび／もしくはドデカンジオールジメタクリレート
から選択される少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤を含む、請求項１から７までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項9】
ｂ）は、ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）から選択される少なくとも２つの異なる親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤を含み、ここで、ｉ）は、１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレートを含み、
ｉｉ）は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、またはこれらの混合物であって、少なくとも５個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するものを含み、かつ／または
ｉｉｉ）は、１，３－ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレートを含む、請求項１から８までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項10】
ｃ）は、酸性モノマーを含み、前記酸性モノマーは、ｉ）マレイン酸、ｐ－ビニル安息香酸、１１－（メタ）アクリロイルオキシ－１，１－ウンデカンジカルボン酸（ＭＡＣ－１０）、１，４－ジ（メタ）アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、６－（メタ）アクリロイルオキシエチルナフタレン－１，２，６－トリカルボン酸、４－（メタ）アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、４－［２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシ］ブチルトリメリット酸およびその無水物、２，３－ビス（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）プロピル（メタ）アクリレート、２－、３－または４－（メタ）アクリロイルオキシ安息香酸、Ｎ－Ｏ－ジ（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｏ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシフェニルアラニン、Ｎ－（メタ）アクリロイル－ｐ－アミノ安息香酸、Ｎ－（メタ）アクリロイル－Ｏ－アミノ安息香酸、グリシジル（メタ）アクリレートとＮ－フェニルグリシンまたはＮ－トリルグリシンとの付加体、４－［（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、３－または４－［Ｎ－メチル－Ｎ－（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、（メタ）アクリロイルアミノサリチル酸および（メタ）アクリロイルオキシサリチル酸、少なくとも２個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも３個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸無水物、ならびに少なくとも２つのカルボン酸を含む混合物を含む、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、ならびに
ｉｉ）少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基を含む少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルを含む、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルであって、ここで、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、少なくとも１つの３価のＣ原子および任意にＯ原子を有する基を介してリン酸のＯ原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ここで、前記ウレタン（メタ）アクリレート基は、ウレタンメチルアクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択され、ここで、それぞれ独立して、ウレタン（メタ）アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択され、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、６－（メタ）アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、８－（メタ）アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、１２－（メタ）アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス（２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス－２または３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチル－ｐ－メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の（メタ）アクリレートの対応するチオホスホネートであり、特に、（メタ）アクリロイル官能化酸性モノマーは、それぞれ独立して、メチルアクリロイル－およびアクリロイル官能化酸性モノマーから選択されるものとする、モノエステル、または前述の少なくとも２つのモノエステルの混合物、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、請求項１から９までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項11】
前記Ｂ）フィラー成分は、少なくとも１つのａ）歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにｂ）任意に少なくとも１つの無機フッ化物および／または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩を含み、ここで、ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび／またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも２つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、ｂ）には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質ＳｉＯ２、ＺｒＯ２、またはさらにはＳｉＯ２とＺｒＯ２との混合酸化物、石英、長石、ならびに少なくとも２つの前記フィラーの混合物が含まれる、請求項１から１０までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項12】
前記ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または少なくとも１つの開始剤系のジケトンは、１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）および少なくとも１つの補助開始剤を含み、前記補助開始剤は、第三級アミンとして、２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートを含み、かつ／または１，２－メチレンジオキシベンゼンとして、ピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）を含む、請求項１から１１までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項13】
前記Ａ）モノマー成分は、前記Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｅ）少なくとも１つのジケトン、特に１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）０．３～２．５重量％と、少なくとも１つの第三級アミン、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエート０．６～２．５重量％とを含み、特に、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２±０．１５である、請求項１から１２までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項14】
前記ｃ）酸性モノマーは、ｉ）４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）および／またはその無水物（４－ＭＥＴＡ）、および
ｉｉ）少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基を含む少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルであって、特に、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、少なくとも１つの３価のＣ原子および任意にＯ原子を有する基を介してリン酸のＯ原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ウレタン（メタ）アクリレート基は、独立して、ウレタンメチルアクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択されるものとする、２－メタクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、１０－メタクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、２－アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、請求項１から１３までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項15】
前記ｉｉ）一般式Ｉおよび／もしくはＩＩの少なくとも１つのリン酸の少なくとも１つの酸性モノエステル、または式ＩおよびＩＩから選択される少なくとも２つの前記モノエステルの混合物は、【化1】
ここで、Ｒ＝ＣＨ３、ＯＲ１、ＯＲ２またはＯＲ３であり、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３は、式ＩＩＩ、ＩＩａ、ＩＩＩｂ、ＩＶ、Ｖ、Ｖｉａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａおよびＶＩＩｂから選択され、
【化2】
【請求項16】
少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、またはこれらの混合物から選択される、請求項１から１５までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項17】
前記親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、特にＴＥＧＤＭＡ、およびｎ＝２～ｎ＝２０のポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートを含む、請求項１から１６までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項18】
前記Ａ）モノマー成分は、任意に前記Ｂ）フィラー成分との混合物の状態で存在し、前記小窩裂溝封鎖材は、ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオンから選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス０～３０重量％と、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる、請求項１から１７までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項19】
請求項１から１７までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材の重合によって得ることができる歯科用の重合小窩裂溝封鎖材であって、特に、前記重合小窩裂溝封鎖材は、未処理牛歯エナメル質、特に切削牛歯エナメル質に対して１９ＭＰａ以上、好ましくは２２ＭＰａ以上、特に好ましくは２３ＭＰａ以上のせん断付着強度を有する、重合小窩裂溝封鎖材。
【請求項20】
エナメル質および／もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、ならびに／または歯、特にヒトもしくは家畜の歯の象牙質および／もしくはエナメル質上の基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着に使用するための、ならびに／または充填材としての、請求項１から１７までのいずれか１項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用小窩裂溝封鎖材、または自己接着性の重合小窩裂溝封鎖材、特に自己接着性の放射線硬化小窩裂溝封鎖材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自己接着性でかつ放射線硬化性の小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、ａ）少なくとも１つの二官能性ウレタン（メタ）アクリレートと、ｂ）少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤と、ｃ）オレフィン系カルボン酸および／またはオレフィン系カルボン酸無水物の酸性モノマーの混合物を、リン酸のオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸のオレフィン系酸性モノエステルと組み合わせたものと、ｄ）それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、任意に補助開始剤を含む開始剤および／または開始剤系とを含む、モノマー成分と、Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスを含むフィラー成分とを含み、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材において６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％であるものとする、小窩裂溝封鎖材。
【0002】
小窩裂溝封鎖材は、小窩裂溝が深い場合や齲蝕に罹患しやすい患者の齲蝕リスクを最小化するための予防品である。小窩裂溝封鎖材は、エナメル質に付着する重合性組成物である。小窩裂溝封鎖の標準的な手順では、エナメル質を酸でエッチングした後、低粘性のフロー材またはグラスアイオノマーセメントで封鎖し、ボンディングを早期には使用しない。あるいは、適切なフロー材を接着剤と組み合わせて使用することもできる。
【0003】
国際公開第００２５７２９号では、歯科用材料や類似の材料向けの特定の構成のフィラーが推奨されている。この材料はさらに、従来のガラスフィラー、顔料および放射線不透過性添加剤を含み得る。欧州特許出願公開第３６３０９５号明細書には、特に充填材料として提案されているフッ素放出性材料が記載されている。実施例９には、０．７７重量％のＴｉＯ２を含む歯エナメル用封鎖材が記載されている。同様のフッ素放出材料がＧＢ２２５７４３３Ａに記載されている。
【0004】
ＤＩＮ－ＩＳＯ ６８７４－２０１５では、小窩裂溝封鎖材について、１．５ｍｍの重合深さの硬化深さが規定されている。小窩裂溝封鎖材は通常、萌出したばかりの臼歯または小臼歯の小窩裂溝に浸透し、そこで化学的結合を達成することを目的としているため、硬化深さおよびエナメル質への化学的結合をさらに改善することが望ましい。もう１つの課題は、自己接着性の小窩裂溝封鎖材がエナメル質の未処理の小窩裂溝に浸透し、そこに化学的に結合する必要があることである。未処理の小窩裂溝とは、洗浄はされているがエッチングはされていない小窩裂溝のことである。
【0005】
本発明の課題は、接着により高い付着力でエナメル質に結合する自己接着性の歯科用小窩裂溝封鎖材を提供することであった。ここで、開発される小窩裂溝封鎖材を、有利にはエナメル質あるいは小窩裂溝を事前に化学処理せずに、好ましくはエナメル質あるいは小窩裂溝表面を事前にエッチングせずに使用できることが望ましい。さらに、小窩裂溝封鎖材を、エナメル質に接着剤を事前に施与せずに使用できることが望ましい。もうひとつの課題は、小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材の硬化深さが放射線硬化によってさらに改善される小窩裂溝封鎖材を提供することであった。小窩裂溝封鎖材はさらに、無柱エナメル質にも付着することが望ましい。このモルフォロジーは、乳歯のエナメル質や歯の深い孔に見られる。さらに、吸水率（μｇ／ｍｍ３）が低減され、かつ／または溶解度（μｇ／ｍｍ３）が低減された不透明な自己接着性の小窩裂溝封鎖材を開発することも課題であった。さらに、ビスＧＭＡおよびＨＥＭＡを含まない小窩裂溝封鎖材を開発することも課題であった。なぜならば、これらのモノマーは、アレルゲン性および変異原性の可能性があると考えられているためである。
【0006】
驚くべきことに、エナメル質の事前のエッチング工程を行うことなく、無柱エナメル質での人工時効の後にエナメル質に対して同等またはより良好な付着強度を示す小窩裂溝封鎖材を提供することが可能であった。せん断付着強度は、人工時効（５０００サイクルの熱サイクル負荷）後にＤＩＮ－ＩＳＯ２９０２２に準拠して測定される。本発明による小窩裂溝封鎖材は、無柱エナメル質に対して１４．６ＭＰａのせん断付着強度を示すが、一方で、前述の製品は、事前のエッチング工程ありで、他の点では同一の条件下で０．７～１３．９ＭＰａのせん断付着強度を示す（Ｈｅｌｉｏｓｅａｌ Ｆ（１３．６ＭＰａ）、Ｃｌｉｎｐｒｏ（１０．１ＭＰａ）、Ｇｒａｎｄｉｏ Ｓｅａｌ（１３．９ＭＰａ）、Ｕｌｔｒａ Ｓｅａｌ ＸＴ Ｈｙｄｒｏ（０．７ＭＰａ））。
【0007】
一方では、小窩裂溝封鎖材中の重合性酸性モノマーの特定の組み合わせを、小窩裂溝封鎖材の施与と直接併用することにより、せん断付着強度の向上を達成することができた。さらに、開始剤または開始剤系の含有量の増加と反応性希釈剤の特定の選択とを組み合わせることにより、一方では、小窩裂溝封鎖材の最適な密着性を得ると同時に硬化あるいは重合を改善するために、小窩裂溝封鎖材の粘度と反応性との双方を調整することが可能であった。同時に、エナメル質表面への化学結合も改善させることができた。
【0008】
これらの課題は、請求項１記載の小窩裂溝封鎖材、および請求項１７または１８記載の重合小窩裂溝封鎖材によって解決される。本発明の主題のさらなる詳細な開示は、従属請求項および明細書に記載されている。
【0009】
自己接着性の小窩裂溝封鎖材は、エナメル質および任意に象牙質を含む歯の表面上で接着剤系およびエッチング剤を事前に使用せずに封鎖材を使用できるという利点を提供する。本発明による小窩裂溝封鎖材は、配合物中の特別に互いに調整されたモノマーと任意に開始剤系との組み合わせによる相乗効果により、高い付着力を有する。エナメル質に対して、小窩裂溝封鎖材は、セルフエッチング特性に基づき本質的に非常に高い付着力を発揮する。達成された付着値は、市場で競合物が達成した値よりも明らかに高い。未処理のエナメル質に対して、小窩裂溝封鎖材は、人工時効後であっても、事前のエッチングが想定される市場の競合他社の製品よりも高い付着性能を示す。本発明による小窩裂溝封鎖材が、ＩＳＯ ２９０２２（未切削ＲＺＳ、ＴＷＬ、５０００サイクル）に準拠して測定した場合に未処理のエナメル質に対して１６．３［ＭＰａ］のせん断付着強度を示すのに対して、施与前に事前にエナメル質のエッチングが行われる競合製品は、１２．１［ＭＰａ］～１［ＭＰａ］未満の範囲のせん断付着強度を示す。例えば、エッチングを行ったにもかかわらず、Ｈｅｌｉｏｓｅａｌ Ｆ［１２．１ＭＰａ］、Ｈｅｌｉｏｓｅａｌ ｃｌｅａｒ［１１．４ＭＰａ］、Ｃｌｉｎｐｒｏ［６．７ＭＰａ］、Ｆｉｓｓｕｒｉｔ ＦＸ［４．２ＭＰａ］およびＧｒａｎｄｉｏ Ｓｅａｌ［１ＭＰａ未満］であることが判明した。本発明による小窩裂溝封鎖材のせん断付着強度は、それぞれ人工時効（ＴＷＬ、５０００サイクル）後に測定した場合に、エッチング工程なしでの１６．３［ＭＰａ］という非常に良好な値から、エッチング工程ありでの２１．１［ＭＰａ］まで増加させることができた。
【0010】
本発明の主題は、自己接着性でかつ放射線硬化性の歯科用小窩裂溝封鎖材、特に可視光硬化性あるいは重合性の小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は、
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物、ならびに／または
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸の少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にチオリン酸の少なくとも１つのモノエステル、好ましくはリン酸とモノ－、ジ－、トリ－もしくはテトラ－（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸とモノ－、ジ－、トリ－もしくはテトラ－（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸のモノエステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、特に第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系
を含み、ここで、それぞれ独立して、特にａ）による対応するウレタンを含む（メタ）アクリレートおよび／またはｂ）による（メタ）アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分であって、特に、歯科用ガラスは平均粒径ｄ５０が０．２～２．０μｍであるものとする、フィラー成分と
を含み、
Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に５０：５０～１００：０、好ましくは６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は１００重量％である、小窩裂溝封鎖材である。有利には、Ａ）およびＢ）は、小窩裂溝封鎖材中に混合物として存在する。小窩裂溝封鎖材は、有利には、流動性で、そのままで容易に視認可能であり、歯の硬組織と区別可能であり、かつ可視光で硬化する小窩裂溝封鎖材として存在する。
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物、ならびに／または
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸の少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にチオリン酸の少なくとも１つのモノエステル、好ましくはリン酸とモノ－、ジ－、トリ－もしくはテトラ－（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸とモノ－、ジ－、トリ－もしくはテトラ－（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸のモノエステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、特に第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系
を含み、ここで、それぞれ独立して、特にａ）による対応するウレタンを含む（メタ）アクリレートおよび／またはｂ）による（メタ）アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分であって、特に、歯科用ガラスは平均粒径ｄ５０が０．２～２．０μｍであるものとする、フィラー成分と
を含み、
Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に５０：５０～１００：０、好ましくは６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は１００重量％である、小窩裂溝封鎖材である。有利には、Ａ）およびＢ）は、小窩裂溝封鎖材中に混合物として存在する。小窩裂溝封鎖材は、有利には、流動性で、そのままで容易に視認可能であり、歯の硬組織と区別可能であり、かつ可視光で硬化する小窩裂溝封鎖材として存在する。
【0011】
したがって、定義にしたがって、前述のウレタン（メタ）アクリレートには、（メタ）アクリレート成分としてウレタンメタクリレートおよび／またはウレタンアクリレートも含まれる。それに応じて、カルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマーにも、それぞれのカルボン酸無水物官能化メタクリレートおよび／またはカルボン酸無水物官能化アクリレートモノマーが含まれる。（メタ）アクリレート系リン酸のモノエステル、例えば（メタ）アクリロイルオキシ誘導体についても同様であり、これは、それぞれの化合物のそれぞれのメタクリレートおよびアクリレートから選択することができる。これは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるという点で、すべての（メタ）アクリレートに一貫して適用される。
【0012】
代替的な一実施形態において、小窩裂溝封鎖材は、少なくとも１つの白色顔料を含むことができ、該白色顔料は、組成物全体に対して有利には０．１～１．０重量％存在する。代替的または追加的に、小窩裂溝封鎖材中には、ｅ）少なくとも１つの白色顔料、および任意に少なくとも１つの染料、フォトクロミック化合物、および／またはラジカル化合物の存在下でその色を変化させ、特に経時的に再び変色する化合物が含まれていてよい。白色顔料または白色顔料と同義のものとしては、高い屈折率を有する酸化物、例えば二酸化チタン、Ａｌ２Ｏ３、ＺｒＯ２またはＺｎＯが特に考慮される。二酸化チタンが好ましい。白色顔料は、小窩裂溝封鎖材中に有利には０．３～１．０重量％含まれている。
【0013】
（メタ）アクリレート、（メタ）アクリレート系またはウレタン（メタ）アクリレートという用語により、全体を通じて、アクリレート、アクリレート系および／またはウレタンアクリレート系と、有利にはメタクリレート、メタクリレート系および／またはウレタンメタクリレート系との双方が開示される。リン酸のモノエステルの（メタ）アクリレートについても同様である。
【0014】
小窩裂溝封鎖材が本明細書においてモノマー成分Ａ）とフィラー成分Ｂ）とを含む小窩裂溝封鎖材として記載されていても、これら２つの成分は小窩裂溝封鎖材中に混合物として存在する。歯科分野の当該当業者には、この種の開示が知られており、なぜならば、この種の開示は単に、最初に製造された、小窩裂溝封鎖材に向けて混合する前の２つの成分Ａ）およびＢ）を特徴付ける役割を果たすためである。小窩裂溝封鎖材は、すぐに使用できる混合物として入手可能である。モノマー成分Ａ）およびフィラー成分Ｂ）を、６０：４０～１００：０、特に６０：４０～８０：２０または９０：１０～１００：０の比で混合して小窩裂溝封鎖材を製造することができ、好ましいのは９０：１０～９９：１であり、特に好ましいのは９５：５～１００：０である。一代替形態において、フィラー不含の小窩裂溝封鎖材が特に好ましい。
【0015】
開始剤系は、有利には、ジケトンのような開始剤と補助開始剤とを含む。
【0016】
特に好ましいのは、それぞれ脂環式ジケトンおよび補助開始剤として芳香族第三級アミンを少なくとも含む、吸収極大が４２０～５５０ｎｍである少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系である。好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系を含み、該開始剤および／または開始剤系は、ｉ）ジケトンと、ｉｉ）第三級アミンから選択される補助開始剤とを含み、ここで、ｉ）ジケトンおよびｉｉ）補助開始剤は、ｉｉ）：ｉ）＝１．１５以上のモル比で存在し、特にｉ）ジケトンは、歯科用材料の１００重量％の組成物全体において０．５重量％以上、好ましくは０．４重量％超の量で存在する。代替的に、ジケトンは、小窩裂溝封鎖材中に０．１５重量％以上、好ましくは０．２重量％超、特に好ましくは０．３重量％以上存在する。
【0017】
特に好ましい一実施形態において、小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分において、Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｄ）少なくとも１つのジケトン、特に１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）０．３～２．５重量％と、少なくとも１つの第三級アミン、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエート０．６～２．５重量％とを含む。好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）およびフェニルプロパンジオンから選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％と、２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤０．６～２．５重量％とを含み、ここで、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２±０．１５である。
【0018】
好ましい一実施形態によれば、小窩裂溝封鎖材は、
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート４０～８０重量％、特に５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物１０～３５重量％、特に１５～３５重量％、好ましくは２０重量％±５重量％、特に±３重量％と、
ｃ）開示されている酸性モノマーの混合物５～３０重量％、特に１０～２０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ここで、モノマー成分中で、少なくとも１つのジケトンの含有量は、０．３重量％であり、任意に、補助開始剤としての少なくとも１つの第三級アミン、または補助開始剤としての１，２－メチレンジオキシベンゼン、特に少なくとも０．６重量％の補助開始剤を含むものとする、開始剤および／または開始剤系０．３～５重量％、特に０．３～３重量％と、
ｅ）二酸化チタンから選択される少なくとも１つの顔料、および任意に染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～１．０重量％、特に０．１～０．５重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、有利にはフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、ＺｒＯ２、および混合酸化物、特にＳｉＯ２とＺｒＯ２との混合酸化物０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｂ）二酸化チタンから選択される少なくとも１つの顔料、および任意に染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～１．０重量％、特に０．１～０．５重量％と
を含むものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート４０～８０重量％、特に５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物１０～３５重量％、特に１５～３５重量％、好ましくは２０重量％±５重量％、特に±３重量％と、
ｃ）開示されている酸性モノマーの混合物５～３０重量％、特に１０～２０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ここで、モノマー成分中で、少なくとも１つのジケトンの含有量は、０．３重量％であり、任意に、補助開始剤としての少なくとも１つの第三級アミン、または補助開始剤としての１，２－メチレンジオキシベンゼン、特に少なくとも０．６重量％の補助開始剤を含むものとする、開始剤および／または開始剤系０．３～５重量％、特に０．３～３重量％と、
ｅ）二酸化チタンから選択される少なくとも１つの顔料、および任意に染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～１．０重量％、特に０．１～０．５重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、有利にはフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、ＺｒＯ２、および混合酸化物、特にＳｉＯ２とＺｒＯ２との混合酸化物０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｂ）二酸化チタンから選択される少なくとも１つの顔料、および任意に染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～１．０重量％、特に０．１～０．５重量％と
を含むものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
【0019】
ここで、少なくとも１つの白色顔料の含有量が、組成物全体に対して０～１．０重量％、有利には０．１～１．０重量％であると好ましい。
【0020】
モノマー成分において、親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤ｂ）の成分は、好ましい一代替形態において、少なくとも２つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤の混合物として存在することができる。
【0021】
特に好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、モノマー成分中に、少なくとも以下のものを含む：ａ）ウレタンジメタクリレート（ＵＤＭＡ）、ならびに少なくとも１つのモノマー、有利には、ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）の組み合わせの少なくとも２つの異なるモノマー、ならびにｂ）ｉ）ＴＥＧＤＭＡ、およびｉｉ）ｎ＝２～９のＰＥＧＤＡ（ポリエチレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＡ（ポリプロピレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＥＧＤＭＡ（ポリエチレングリコールジメタクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＭＡ（ポリプロピレングリコールジメタクリレート）またはＤＤＤＭＡ（ドデカンジオールジメタクリレート）、およびｉｉｉ）ＢＤＭＡ、１，４－ブタンジオールジメタクリレート（１，４－ＢＤＭＡ）またはペンタエリスリトールテトラアクリレート。アルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤、すなわちアルキレンオキシド系二官能性メタクリレート系架橋剤またはアルキレンオキシド系二官能性アクリレート系架橋剤とは、総じて、ジオールないしポリオールと（メタ）アクリル酸とのエーテルおよびエステルであるとみなされる。（メタ）アクリレートとは、ここでもメタクリレートまたはアクリレートモノマーを意味すると理解される。
【0022】
さらに好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、モノマー成分中に、少なくとも以下のものを含む：ａ）二官能性のウレタン（メタ）アクリレート、有利にはウレタンジメタクリレート（ＵＤＭＡ）、ならびに以下のものから選択される少なくとも１つのモノマー：ｂ）ｎ＝２～９のＰＥＧＤＡ（ポリエチレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９、特に２～８のＰＰＧＤＡ（ポリプロピレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＥＧＤＭＡ（ポリエチレングリコールジメタクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＭＡ（ポリプロピレングリコールジメタクリレート）またはＤＤＤＭＡ（ドデカンジオールジメタクリレート）、およびｉｉｉ）ＢＤＭＡ、１，４－ブタンジオールジメタクリレート（１，４－ＢＤＭＡ）またはペンタエリスリトールテトラアクリレート。それぞれ上述の化合物のアクリレートも同様である。
【0023】
好ましい一代替形態において、小窩裂溝封鎖材は、モノマー成分中に、少なくとも以下のものを含み得る：ａ）二官能性のウレタン（メタ）アクリレート、有利にはウレタンジメタクリレート（ＵＤＭＡ）、ならびに以下のものから選択される少なくとも１つのモノマー、有利には少なくとも２つの異なるモノマー：ｂ）ｉ）ＴＥＧＤＭＡ、ｉｉ）ｎ＝２～９のＰＥＧＤＡ（ポリエチレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＡ（ポリプロピレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＥＧＤＭＡ（ポリエチレングリコールジメタクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＭＡ（ポリプロピレングリコールジメタクリレート）またはＤＤＤＭＡ（ドデカンジオールジメタクリレート）、およびｉｉｉ）ＢＤＭＡ、１，４－ブタンジオールジメタクリレート（１，４－ＢＤＭＡ）またはペンタエリスリトールテトラアクリレート。
【0024】
特に好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分またはＡ）モノマー成分とＢ）フィラー成分との混合物を含み、該小窩裂溝封鎖材は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート２５～８０重量％、特に３０～７５重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／もしくは少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物を、
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／もしくはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステルと組み合わせたもの、またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物３～２０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系０．８～３重量％と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含み、特に歯科用ガラスの含有量は４０重量％までであるものとする、フィラー成分０～４０重量％と
を含み、
ここで、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート２５～８０重量％、特に３０～７５重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／もしくは少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物を、
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／もしくはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステルと組み合わせたもの、またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物３～２０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、該開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系０．８～３重量％と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含み、特に歯科用ガラスの含有量は４０重量％までであるものとする、フィラー成分０～４０重量％と
を含み、
ここで、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
【0025】
酸性モノマーｉ）とｉｉ）との重量比は、有利には１：１～２：１、好ましくは５：４～５：２、特に好ましくは５：４～５：３である。
【0026】
粒径０．８～２．５マイクロメートルの歯科用ガラスと粒径０．１～０．８マイクロメートルの歯科用ガラスとの重量比は、有利には４：１～１：１、好ましくは３：１～１．５：１である。
【0027】
低フィラー含有量またはフィラー成分不含と組み合わせて、酸性モノマーの含有量は、有利には、ｃ）以下のものを含む酸性モノマーの混合物８～２０重量％を含むことができる：ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に１．５～８重量％を、ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特に６．５～１２重量％と組み合わせたもの。
【0028】
さらに好ましいのは、Ａ）モノマー成分またはＡ）モノマー成分とＢ）フィラー成分との混合物を含む小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～１６重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／もしくは少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／もしくはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステル、またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特にｉ）とｉｉ）との混合物３～１５重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤系であって、該開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤系０．８～３重量％と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分０～４０重量％と
を含み、
ここで、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～１６重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／もしくは少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／もしくはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特に式Ｉおよび／もしくはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステル、またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー、特にｉ）とｉｉ）との混合物３～１５重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤系であって、該開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤系０．８～３重量％と、任意に、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分０～４０重量％と
を含み、
ここで、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
【0029】
特に好ましいｂ）親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、特にＴＥＧＤＭＡ、およびｎ＝２～ｎ＝２０、特にｎ＝２～１５、ｎ＝２～１０、特に２～８、または５～９の直鎖状または分岐状のプロピレングリコール基を有するポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートを含み、好ましいのは、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジメタクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも２つのジ（メタ）アクリレートの混合物、および／もしくは１，３－ブチレンジグリコールジメタクリレート（ブタンジオールジメタクリレート）、１，３－ブタングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールグリコールジアクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、オクタジオールジアクリレート、デカンジオールジメタクリレート、デカンジオールジアクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジアクリレート、ならびに／またはこれらの少なくとも２つの架橋剤の混合物である。
【0030】
特に好ましい小窩裂溝封鎖材において、ｂ）親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤として、ｎ＝２～ｎ＝２０、特にｎ＝２～１５、ｎ＝５～１２、好ましくはｎ＝２～９、特に好ましくは２～９のポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、例えば、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＡ（ポリプロピレングリコールジアクリレート）、ｎ＝２～９のＰＥＧＤＭＡ（ポリエチレングリコールジメタクリレート）、ｎ＝２～９のＰＰＧＤＭＡ（ポリプロピレングリコールジメタクリレート）またはＤＤＤＭＡ（ドデカンジオールジメタクリレート）、およびｉｉｉ）ＢＤＭＡ、１，４－ブタンジオールジメタクリレート（１，４－ＢＤＭＡ）またはペンタエリスリトールテトラアクリレートが使用される。
【0031】
モノマー成分Ａ）において、ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレートは、有利には、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン（メタ）アクリレート、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテル、３～２０個のＣ原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、ウレタンジアクリレートオリゴマーを含む、二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン（メタ）アクリレートから選択され、ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）アルキレンおよび／またはビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）置換アルキレンエーテルが好ましく、１，６－ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）－２，４，４－トリメチルヘキサン（ＵＤＭＡ）が特に好ましい。
【0032】
二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン（メタ）アクリレートは、有利には、二価のアルキレン基で官能化された直鎖状または分岐状のウレタンジメタクリレート、ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）アルキレン、ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）置換ポリアルキレンエーテルなどのアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテルまたはポリエーテルから選択され、１，６－ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）－２，４，４－トリメチルヘキサンが有利である。好ましいのは、ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）アルキレンであり、ここで、アルキレンは、直鎖状または分岐状のＣ３～Ｃ２０、有利にはＣ３～Ｃ６を含み、特に好ましいのは、メチル基で置換されたアルキレン、例えばＨＥＭＡ－ＴＭＤＩである。二価のアルキレンは、有利には２，２，４－トリメチルヘキサメチレンおよび／または２，４，４－トリメチルヘキサメチレンを含む。特に好ましいのは、ＵＤＭＡ（１，６－ビス（メタクリロキシ－２－エトキシカルボニルアミノ）－２，４，４－トリメチルヘキサン）、特にＨＥＭＡ－ＴＭＤＩである。
【0033】
また、本発明の主題は、有利には以下のものを含む小窩裂溝封鎖材である：
ｂ）少なくとも２つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であって、該架橋剤はそれぞれ、ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）の組み合わせから選択され、特に好ましいのは、ｂ）少なくとも１つの単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、多官能性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であり、
ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、１，２－エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに／または
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも５個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、特に、ｎ＝５～２０、特に５～１５、ｎ＝５～１２の、有利には特に５～９個のエチレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、およびｎ＝５～２０、特に５～１５、ｎ＝５～１２の、有利には特に５～９個の直鎖状または分岐状のプロピレングリコール基を有するポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートであって、好ましくは、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジメタクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも２つのジ（メタ）アクリレートの混合物、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート（ブタンジオールジメタクリレート）、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート。
ｂ）少なくとも２つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であって、該架橋剤はそれぞれ、ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）の組み合わせから選択され、特に好ましいのは、ｂ）少なくとも１つの単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、多官能性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であり、
ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、１，２－エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに／または
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも５個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、特に、ｎ＝５～２０、特に５～１５、ｎ＝５～１２の、有利には特に５～９個のエチレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、およびｎ＝５～２０、特に５～１５、ｎ＝５～１２の、有利には特に５～９個の直鎖状または分岐状のプロピレングリコール基を有するポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートであって、好ましくは、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジメタクリレート、ヘプタ（プロピレングリコール）ジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも２つのジ（メタ）アクリレートの混合物、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート（ブタンジオールジメタクリレート）、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート。
【0034】
同様に、小窩裂溝封鎖材は、ｂ）少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤を含むことができ、該架橋剤は、ウレタン（メタ）アクリレートではなく、かつ以下のものから選択される：（ｉ）３個の（メタ）アクリレート基を有するものであって、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化（１５）－トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化５－ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化（５．５）－グリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよび／または（ｉｉ）４個の（メタ）アクリレート基を有するものであって、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化（４）－ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、エトキシル化（４）－ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、および／または（ｉｉｉ）５個の（メタ）アクリレート基を有するものであって、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ｉ－ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジ（テトラメチロールメタン）ペンタメタクリレート、および／または（ｉｖ）６個の（メタ）アクリレート基を有するものであって、ジペンタエリスリトールヘキサ（メタ）アクリレート。
【0035】
ｃ）酸性モノマーの混合物は、有利には、
ｉ）マレイン酸、ｐ－ビニル安息香酸、１１－（メタ）アクリロイルオキシ－１，１－ウンデカンジカルボン酸（ＭＡＣ－１０）、１，４－ジ（メタ）アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、６－（メタ）アクリロイルオキシエチルナフタレン－１，２，６－トリカルボン酸、４－（メタ）アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、４－［２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシ］ブチルトリメリット酸およびその無水物、２，３－ビス（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）プロピル（メタ）アクリレート、２－、３－または４－（メタ）アクリロイルオキシ安息香酸、Ｎ－Ｏ－ジ（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｏ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシフェニルアラニン、Ｎ－（メタ）アクリロイル－ｐ－アミノ安息香酸、Ｎ－（メタ）アクリロイル－Ｏ－アミノ安息香酸、グリシジル（メタ）アクリレートとＮ－フェニルグリシンまたはＮ－トリルグリシンとの付加体、４－［（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、３－または４－［Ｎ－メチル－Ｎ－（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、（メタ）アクリロイルアミノサリチル酸および（メタ）アクリロイルオキシサリチル酸、少なくとも２個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも３個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸無水物であって、特に、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレートとピロメリット酸二無水物（ＰＭＤＭ）との付加生成物、２モルのヒドロキシエチル（メタ）アクリレートと１モルのマレイン酸無水物との付加反応生成物、または３，３’，４，４’－ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物（ＢＴＤＡ）、または３，３’，４，４’－ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択されるもの、および２－（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）１，３－ジ（メタ）アクリルオイルオキシプロパンを含み、特にこれらから選択される、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物を、
ｉｉ）２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、６－（メタ）アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、８－（メタ）アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、１２－（メタ）アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス（２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス－２または３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチル－ｐ－メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の（メタ）アクリレートの対応するチオホスホネートを含む、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステル、特に、少なくとも１つのリン酸系（メタ）アクリレート、リン酸のモノエステルおよび少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレート、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、および／または少なくとも１つのチオリン酸系（メタ）アクリレート
と組み合わせて含む。
ｉ）マレイン酸、ｐ－ビニル安息香酸、１１－（メタ）アクリロイルオキシ－１，１－ウンデカンジカルボン酸（ＭＡＣ－１０）、１，４－ジ（メタ）アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、６－（メタ）アクリロイルオキシエチルナフタレン－１，２，６－トリカルボン酸、４－（メタ）アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、４－［２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシ］ブチルトリメリット酸およびその無水物、２，３－ビス（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）プロピル（メタ）アクリレート、２－、３－または４－（メタ）アクリロイルオキシ安息香酸、Ｎ－Ｏ－ジ（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｏ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシフェニルアラニン、Ｎ－（メタ）アクリロイル－ｐ－アミノ安息香酸、Ｎ－（メタ）アクリロイル－Ｏ－アミノ安息香酸、グリシジル（メタ）アクリレートとＮ－フェニルグリシンまたはＮ－トリルグリシンとの付加体、４－［（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、３－または４－［Ｎ－メチル－Ｎ－（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、（メタ）アクリロイルアミノサリチル酸および（メタ）アクリロイルオキシサリチル酸、少なくとも２個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも３個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸無水物であって、特に、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレートとピロメリット酸二無水物（ＰＭＤＭ）との付加生成物、２モルのヒドロキシエチル（メタ）アクリレートと１モルのマレイン酸無水物との付加反応生成物、または３，３’，４，４’－ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物（ＢＴＤＡ）、または３，３’，４，４’－ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択されるもの、および２－（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）１，３－ジ（メタ）アクリルオイルオキシプロパンを含み、特にこれらから選択される、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物を、
ｉｉ）２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、６－（メタ）アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、８－（メタ）アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、１２－（メタ）アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス（２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス－２または３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチル－ｐ－メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の（メタ）アクリレートの対応するチオホスホネートを含む、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステル、特に、少なくとも１つのリン酸系（メタ）アクリレート、リン酸のモノエステルおよび少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレート、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、および／または少なくとも１つのチオリン酸系（メタ）アクリレート
と組み合わせて含む。
【0036】
特に好ましい小窩裂溝封鎖材は、ｃ）酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物を含み、これは特に、以下のものから選択されるものを含む：ｉ）４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）および／またはその無水物（４－ＭＥＴＡ）、およびｉｉ）少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基を含む少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルであって、特に、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、少なくとも１つの３価のＣ原子および任意にＯ原子を有する基、特にＯＨ２Ｃ－Ｃ（－Ｏ）－ＣＨ２Ｏ基を介してリン酸のＯ原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ウレタン（メタ）アクリレート基は、独立して、ウレタンメチルアクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択されるものとする、２－メタクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、１０－メタクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、２－アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、ならびに前述の少なくとも２つのモノエステルを含む混合物。
【0037】
一代替形態において、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、それぞれ１つのＯ原子を介して、第四級Ｃ原子を含む基およびリン酸の少なくとも１つのモノエステルに共有結合している。三価または四価のＣ原子を含む基は、有利には３～６個のＣ原子を含み、その場合特に、それぞれウレタン（メタ）アクリレート基およびリン酸のモノエステルは、それぞれ独立して、ポリアルキレンオキシド基を介して該基に共有結合することができる。ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアルキレンオキシド基を含み、これには、ポリプロピレンオキシドおよびポリエチレンオキシドのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの基、ブロックが含まれる。
【0038】
非常に特に好ましいｉｉ）少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルは、一般式Ｉ、Ｉａ、Ｉｂおよび／もしくはＩＩの少なくとも１つのリン酸、またはこれらの少なくとも２つのモノエステルの混合物を含み、
ここで、Ｒ＝ＣＨ３、ＯＲ１、ＯＲ２またはＯＲ３であり、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３は、式ＩＩＩ、ＩＩＩａ、ＩＩＩｂ、ＩＶ、Ｖ、ＶＩ＝ＶＩａおよび／またはＶＩｂ、およびＶＩＩ＝ＶＩＩａおよび／またはＶＩＩｂ、ＶＩＩＩ＝ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂから選択され、
ここで、式ＶおよびＶＩＩにおいて、それぞれ独立して、ｎ＝１～１００、特にｎ＝１～２０であり、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３から選択される少なくとも１つまたは２つの基は、式ＩＩＩ、ＩＩＩａおよび／またはＩＩＩｂの基に対応し、式Ｉおよび／またはＩＩのＲ１、Ｒ２およびＲ３の残りの基は、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂの基から選択され、Ｒ４およびＲ５は、それぞれ独立して、Ｈ、メチルおよびエチルから選択される。
【化1】
【化2-1】
【化2-2】
【0039】
一代替形態において、残りの基は、ＩＶ、Ｖ、ＶＩａおよび／またはＶＩＩａの少なくとも２つの式から選択することができる。好ましくは、式Ｉおよび／またはＩＩにおいて、１つの基は、式ＩＩＩの基Ｒ１、Ｒ２およびＲ３に対応し、残りの基は、それぞれ式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａまたはＶＩＩａの基に対応し、有利には、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３から選択される残りの基は、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａまたはＶＩＩａの同一の基に対応する。さらに好ましくは、Ｒ２は、式ＩＩＩに対応し、残りの基は、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩＩａ、好ましくはＩＶから選択される同一の基である。好ましいモノエステルは、Ｒ２が式ＩＩＩに等しく、Ｒ１およびＲ２が式ＩＶまたはＶＩＩａに等しい式Ｉに対応する。
【0040】
特に好ましくは、上述の式Ｉ～ＶＩＩＩｂにおいて、
－ 式Ｉａにおいて、ｏ＝１～１００、特にｏ＝１～５であり、
－ 式ＩＩＩａおよび／またはＩＩＩｂにおいて、ｍ＝１～１００、特に１～２０であり、ここで、式ＩＩＩａおよびＩＩＩｂにおいて、Ｒ６は、Ｈおよびメチルから選択され、ここで、Ｒ６を含む二価のアルキレンオキシド基は、鏡像状態または左右反転状態で存在することもでき、
－ 式Ｖ、ＶＩＩａおよび／またはＶＩＩｂにおいて、それぞれ独立して、ｎ＝１～１００、特にｎ＝１～２０であり、
－ 式Ｉ、Ｉａ、ＩｂおよびＩＩにおいて、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３から選択される少なくとも１つの基または２つの基は、式ＩＩＩ、ＩＩＩｂおよび／またはＩＩＩａの基に対応し、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３の残りの基は、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂの少なくとも１つの基から選択され、ここで、Ｒ４およびＲ５は、それぞれ独立して、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよびＶＩＩＩｂの基において、Ｈ、メチルおよびエチルから選択され、特に残りの基は、ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂの少なくとも２つの式から選択され、かつ
－ Ｒ６は、それぞれ独立して、式Ｉａ、Ｉｂ、ＩＩＩａ、ＩＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよびＶＩＩＩｂの基において、Ｈおよびメチルから選択され、
－ 式ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂにおいて、ｍ＝０または１～１００、特に１～２０であり、Ｒ６は、Ｈおよびメチルから選択される。
－ 式Ｉａにおいて、ｏ＝１～１００、特にｏ＝１～５であり、
－ 式ＩＩＩａおよび／またはＩＩＩｂにおいて、ｍ＝１～１００、特に１～２０であり、ここで、式ＩＩＩａおよびＩＩＩｂにおいて、Ｒ６は、Ｈおよびメチルから選択され、ここで、Ｒ６を含む二価のアルキレンオキシド基は、鏡像状態または左右反転状態で存在することもでき、
－ 式Ｖ、ＶＩＩａおよび／またはＶＩＩｂにおいて、それぞれ独立して、ｎ＝１～１００、特にｎ＝１～２０であり、
－ 式Ｉ、Ｉａ、ＩｂおよびＩＩにおいて、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３から選択される少なくとも１つの基または２つの基は、式ＩＩＩ、ＩＩＩｂおよび／またはＩＩＩａの基に対応し、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３の残りの基は、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂの少なくとも１つの基から選択され、ここで、Ｒ４およびＲ５は、それぞれ独立して、式ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよびＶＩＩＩｂの基において、Ｈ、メチルおよびエチルから選択され、特に残りの基は、ＩＶ、Ｖ、ＶＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩａ、ＶＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂの少なくとも２つの式から選択され、かつ
－ Ｒ６は、それぞれ独立して、式Ｉａ、Ｉｂ、ＩＩＩａ、ＩＩＩｂ、ＶＩＩＩａおよびＶＩＩＩｂの基において、Ｈおよびメチルから選択され、
－ 式ＶＩＩＩａおよび／またはＶＩＩＩｂにおいて、ｍ＝０または１～１００、特に１～２０であり、Ｒ６は、Ｈおよびメチルから選択される。
【0041】
二重のモノリン酸としても存在し得るモノリン酸の代表的な例を、本開示をこれらの例に限定することなく以下に例示する：
以下に示すリン酸のモノエステルにおいて、Ｒ１０ＡおよびＲ１０Ｂ／Ｒ１０Ｃは、Ｈおよびメチルから選択され、有利には、Ｒ１０ＡおよびＲ１０ＢおよびＲ１０Ｃは、それぞれＨまたはメチルである。特に、ｎ＝０または１～１００、好ましくはｎ＝０または１～１０である。
以下に示すリン酸のモノエステルにおいて、Ｒ１０ＡおよびＲ１０Ｂ／Ｒ１０Ｃは、Ｈおよびメチルから選択され、有利には、Ｒ１０ＡおよびＲ１０ＢおよびＲ１０Ｃは、それぞれＨまたはメチルである。特に、ｎ＝０または１～１００、好ましくはｎ＝０または１～１０である。
【0042】
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【0043】
特に好ましいのは、１１－（メタ）アクリロイルオキシ－１，１－ウンデカンジカルボン酸（ＭＡＣ－１０）および４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）および／もしくはその無水物（４－ＭＥＴＡ）、ならびにリン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルであり、特に好ましいのは、式ＩおよびＩＩのリン酸のモノエステル、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートである。
【0044】
酸性モノマーＭＤＰおよび４－ＭＥＴＡおよび／または４－ＭＥＴの含有量は、モノマー成分中で非常に低くすることができ、それにもかかわらず、本発明による小窩裂溝封鎖材を用いて非常に良好な付着値を達成することができる。例えば、ＭＤＰの含有量は、約４～５重量％であってよく、４－ＭＥＴＡおよび／または４－ＭＥＴの含有量は、モノマー成分中で約２重量％であってよく、有利には、象牙質（牛歯）に対する１６～２１ＭＰａの範囲の付着強度、およびエナメル質（牛歯）に対する４～２１ＭＰａの範囲の付着強度を測定することができる（ＤＩＮ：ＩＳＯ ２９０２２）。
【0045】
さらに、好ましい実施形態において、このような材料は薄層でしか使用されないため、高白色に着色された小窩裂溝封鎖材の高い不透明度を達成することが重要となり得る。なぜならば、このような境界材料が従来のフローコンポジットと同じ不透明度を有する場合、その白色にもかかわらず、歯の硬組織上では識別できないか、または不十分にしか識別できないと思われるためである。それに応じて不透明度を高く設定することは、技術的には原理的に問題ないが、不透明度が高くなるにつれて、その後の材料の光硬化が問題となる。光硬化性材料が不透明であればあるほど、１回の重合サイクルで重合できる層は薄くなる。
【0046】
さらなる代替形態において、小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分において、少なくとも１つの単官能性（メタ）アクリレート系モノマーを含むことができ、その際、２－ヒドロキシエチルメチルアクリレート（ＨＥＭＡ）は除外される。代替的または付加的に、例えば２－（メタ）アクリロイルオキシエチルイソシアネートのような、ウレタン結合を含むメタクリレートも適している。さらなる適切な単官能性（メタ）アクリレート系モノマーには、芳香族ビニル化合物、例えばスチレンおよびジビニルベンゼン、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、（メタ）アクリル酸の脂肪族エステル、例えばメチル（メタ）アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、プロピル（メタ）アクリレート、ブチル（メタ）アクリレート、ペンチル（メタ）アクリレート、ヘキシル（メタ）アクリレートが含まれる。
【0047】
Ｂ）フィラー成分として、小窩裂溝封鎖材において、有利には少なくとも１つのａ）歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにｂ）任意に少なくとも１つの無機フッ化物および／または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩が使用され、ここで、ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび／またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも２つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、ｂ）には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質ＳｉＯ２、ＺｒＯ２、またはさらにはＳｉＯ２とＺｒＯ２との混合酸化物、石英、長石、熱分解法シリカまたは沈降シリカ、非晶質シリカ、層状シリケート、および少なくとも２つのフィラーの混合物が含まれる。フィラーは、すべて有利にはシラン化されていてよい。一般的なシラン化剤には、（メタ）アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよび（メタ）アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランまたは（メタ）アクリロイルオキシメチルトリメトキシシランおよび（メタ）アクリロイルオキシメチルトリエトキシシランが含まれる。
【0048】
好ましい一実施形態によれば、歯科用小窩裂溝封鎖材には、平均粒径ｄ５０が０．２～５．０μｍであり、好ましくはｄ５０が０．２～２．０μｍであり、有利には平均粒径が０．２～１．７５μｍであり、特にｄ５０が１．０μｍであり、任意に±０．６μｍである、少なくとも１つの歯科用ガラスおよび／またはこの混合物、特にＸ線不透過性歯科用ガラスまたはこの混合物が含まれる。特に好ましい歯科用ガラスには、バリウムアルミニウムボロシリケートガラス、特にバリウムアルミニウムボロフルオロシリケートが含まれる。さらに、屈折率がｎ＝１．５２～１．５５、有利には１．５３であるバリウムアルミニウムシリケートガラスが存在する。
【0049】
さらに、本発明の主題は、フィラー成分を含む小窩裂溝封鎖材であって、該フィラー成分は、特にシラン化された、有利にはメタクリロキシプロピル基で官能化された、バリウムアルミニウムボロシリケートガラス、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケートガラスを含む少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物と、任意に一次粒径が２～４５ｎｍである少なくとも１つの非凝集性の非晶質金属酸化物とを含み、非晶質金属酸化物は、沈降シリカ、酸化ジルコニウム、混合酸化物またはこれらの混合物を含み、特に、金属酸化物はシラン化されている、歯科用材料である。
【0050】
開始剤または開始剤成分として、有利にはｄ）ジケトンは、１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）であり、補助開始剤は、有利には２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートを含み、かつ／または１，２－メチレンジオキシベンゼンとして、ピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）を含む。さらなる適切な第三級アミンには、２－（エチルヘキシル）－４－（Ｎ，Ｎ－ジメチルアミノ）ベンゾエート、ジメチルアミノ安息香酸エステル、トリエタノールアミン、Ｎ，Ｎ－３，５－，Ｎ，Ｎ－３，５－テトラメチルアニリン、４－（ジメチルアミノ）フェニルエチルアルコール、ジメチルアミノ安息香酸エステル、４－（Ｎ，Ｎ－ジメチルアミノ）安息香酸が含まれ得る。
【0051】
特に好ましい一実施形態において、小窩裂溝封鎖材は、０．２～２．５重量％、好ましくは０．２５重量％～２．５重量％、特に好ましくは０．３～２．５重量％の、１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトンと、０．５重量％～２．５重量％、好ましくは０．５５重量％～２．５重量％、特に好ましくは０．６～２．５重量％の、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択されると少なくとも１つの補助開始剤とを含み、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、好ましくは１：１．７５～１：３である。特に好ましいのは、０．２５～２．５重量％のジケトン、および０．５５～２．５重量％の補助開始剤であり、ジケトン：補助開始剤＝１：１．７５～１：２．２５である。
【0052】
少なくとも１つの白色顔料、染料、および特に２－ヒドロキシ－４－メトキシベンゾフェノンを含む少なくとも１つのＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤が、モノマー成分および／またはフィラー成分の双方に存在していてよい。顔料の含有量は、フィラー成分に割り当てられる。
【0053】
ｃ）酸性モノマー、特に酸性モノマーの混合物は、有利には、ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、有利には少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマーと、ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸のモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にチオリン酸のモノエステル、有利にはリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルとを含み、これらは、１：３～１：１、有利には１：２．７５～１：１．７５、好ましくは１：２．２５～１：１．７５の重量比で存在する。（メタ）アクリレートにはアクリレートまたはメタクリレートの双方が含まれるという上記の定義が、ここでも同様に適用される。
【0054】
好ましくは、小窩裂溝封鎖材は、ｃ）酸性モノマーの混合物を含み、この混合物は、ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物を、ｉｉ）特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルと組み合わせて含み、ｉ）およびｉｉ）は、１：１～２：１、特に７：６～５：２、好ましくは５：４～５：２の重量比で存在する。
【0055】
特に好ましい一実施形態において、小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分中でｃ）において、Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｉ）として、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、有利には少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％を含み、ｉｉ）として、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、有利にはリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、特に９．５～２０重量％を含む。
【0056】
特に好ましい一実施形態によれば、小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分を、任意にＢ）フィラー成分との混合物の状態で含み、該小窩裂溝封鎖材は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス０～３０重量％、特に３０重量％までの含有量と、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸の少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス０～３０重量％、特に３０重量％までの含有量と、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる。
【0057】
さらに、小窩裂溝封鎖材であって、Ａ）としてモノマー成分を含み、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物１０～３５重量％、特に１５～２５重量％、および／または
－ ウレタン（メタ）アクリレートではない、少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤１０～３５重量％、特に１５～２５重量％、またはアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤と少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤との混合物１０～３５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／またはオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、リン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸と（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤、好ましくは第三級アミンとの重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに任意に、染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であり、任意に、
Ｂ）フィラー成分を含み、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、ケイ酸塩、石英、長石および／またはその混合物０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに任意に、染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である、小窩裂溝封鎖材が好ましい。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物１０～３５重量％、特に１５～２５重量％、および／または
－ ウレタン（メタ）アクリレートではない、少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤１０～３５重量％、特に１５～２５重量％、またはアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤と少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤との混合物１０～３５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／またはオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、リン酸と少なくとも１つのウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、特に式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸と（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤、好ましくは第三級アミンとの重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに任意に、染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であり、任意に、
Ｂ）フィラー成分を含み、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、ケイ酸塩、石英、長石および／またはその混合物０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに任意に、染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である、小窩裂溝封鎖材が好ましい。
【0058】
また、特に好ましい一実施形態によれば、本発明の主題は、小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は、
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物、有利には少なくとも１つのジ－ないしポリアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤１０～３５重量％、特に１５～２５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）４－（メタクリロイルオキシエチル）トリメリット酸無水物（４－ＭＥＴＡ）および／または４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
ならびに／またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよびピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、特に、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラス９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、ケイ酸塩０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含むものとする、フィラー成分とを含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である、小窩裂溝封鎖材である。
Ａ）モノマー成分であって、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物、有利には少なくとも１つのジ－ないしポリアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤１０～３５重量％、特に１５～２５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）４－（メタクリロイルオキシエチル）トリメリット酸無水物（４－ＭＥＴＡ）および／または４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
ならびに／またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよびピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、特に、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、任意に、
Ｂ）フィラー成分であって、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラス９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、ケイ酸塩０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含むものとする、フィラー成分とを含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である、小窩裂溝封鎖材である。
【0059】
さらなる特に好ましい小窩裂溝封鎖材は、Ａ）としてモノマー成分を含み、該モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）から選択される少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であって、
ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート５～１５重量％、ならびに
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／またはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、または少なくとも５個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するもの、ならびにこれらの混合物５～１５重量％、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート５～１５重量％、ならびに／または
－ ウレタン（メタ）アクリレートではない、少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤５～１５重量％
であり、ここで、モノマー成分Ａ）中のｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）の全含有量は、１０～３５重量％であるものとする架橋剤と、
ｃ）以下：
ｉ）４－（メタクリロイルオキシエチル）トリメリット酸無水物（４－ＭＥＴＡ）および／または４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
ならびに／またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であり、任意に、
Ｂ）フィラー成分を含み、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物であり、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート５０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）から選択される少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤であって、
ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート５～１５重量％、ならびに
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／またはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、または少なくとも５個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するもの、ならびにこれらの混合物５～１５重量％、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート５～１５重量％、ならびに／または
－ ウレタン（メタ）アクリレートではない、少なくとも１つの三官能性、四官能性、五官能性および／または六官能性の（メタ）アクリレート系架橋剤５～１５重量％
であり、ここで、モノマー成分Ａ）中のｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）の全含有量は、１０～３５重量％であるものとする架橋剤と、
ｃ）以下：
ｉ）４－（メタクリロイルオキシエチル）トリメリット酸無水物（４－ＭＥＴＡ）および／または４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）２～１０重量％、特に３．７５～１０重量％、ならびに
ｉｉ）式Ｉおよび／またはＩＩのリン酸のモノエステル、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート４～２０重量％、特に９．５～２０重量％、
ならびに／またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、特に０．５～２．５重量％および
２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコール（１，２－メチレンジオキシベンゼン－４－メタノール）から選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３、有利には１：２であり、この値２は、±０．１５の変動を伴うものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％、特に１．０～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と
を含み、ここで、モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であり、任意に、
Ｂ）フィラー成分を含み、該フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばＳｉＯ２、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩０～１０重量％、特に５～１０重量％と、
ｃ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物と
を含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、ならびに／または少なくとも２つのフィラーの混合物であり、フィラー成分の組成物全体は、１００重量％であり、Ａ）モノマー成分およびＢ）フィラー成分は、小窩裂溝封鎖材中に６０：４０～１００：０の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％である。
【0060】
同様に特に好ましいのは、小窩裂溝封鎖材であって、該小窩裂溝封鎖材は特に、Ａ）モノマー成分を、任意にＢ）フィラー成分との混合物の状態で含み、該小窩裂溝封鎖材は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス０～３０重量％、特に１～３０重量％、好ましくは１０～３０重量％と、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、特にフッ化イッテルビウム（ＩＩＩ）、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる。
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつ／またはｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの該架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも１つのカルボン酸官能化および／またはカルボン酸無水物官能化（メタ）アクリレートモノマー２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン（ＢＴＭＧｅ）および／またはジベンゾイルジエチルゲルマン（ＤＢＤＥＧｅ）から選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に２－ｎ－ブトキシエチル－４－（ジメチルアミノ）ベンゾエートおよび／またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス０～３０重量％、特に１～３０重量％、好ましくは１０～３０重量％と、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、特にフッ化イッテルビウム（ＩＩＩ）、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、特に０．１～０．５重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる。
【0061】
成分の含有量が記載されている示された組成物において、特にその後に記載されている含有量は、一体的なものとして理解されるべきであり、下位群において、好ましいものとしてそこに記載されている含有量についても同じことが適用される。開示は、例示的に列挙された実施例にも関連づけて理解されるべきであり、化学者または材料科学者に向けたものである。
【0062】
また、本発明の主題は、小窩裂溝封鎖材の重合、特に可視光による重合によって得ることができる歯科用の重合小窩裂溝封鎖材であって、特に、重合小窩裂溝封鎖材は、未処理牛歯エナメル質および切削牛歯エナメル質に対して１１ＭＰａ以上、特に１３ＭＰａ以上、好ましくは１５ＭＰａ以上、特に好ましくは１７ＭＰａ以上、さらに好ましくは１９ＭＰａ以上、好ましくは２２ＭＰａ以上、特に好ましくは２３ＭＰａ以上のせん断付着強度を有する。ここで、Ａ）８０～１００重量％のモノマー成分と、Ｂ）０～２０重量％のフィラー成分とを含み、組成物全体が１００重量％であるものとする小窩裂溝封鎖材が、特に未切削牛歯エナメル質に対して、サーモサイクリング後に、有利には、本発明による小窩裂溝封鎖材を未切削エナメル質に施与する前に小窩裂溝封鎖材とは異なる組成物による別個のエッチング工程を行うことなく、すなわち、予めエッチングされていない牛歯エナメル質に対して、１５ＭＰａ以上、好ましくは１７ＭＰａ以上、特に好ましくは１８ＭＰａ以上のせん断付着強度を有する場合、さらに好ましい。
【0063】
さらに、本発明の主題は、歯、特にヒトまたは家畜の歯の象牙質および／またはエナメル質への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着のための、硬化性または重合性の歯科用小窩裂溝封鎖材の使用である。放射線硬化は、有利には可視光（Ｖｉｓ線）によって、好ましくは４２０～５００ｎｍの波長範囲で、好ましくは４８５ｎｍで行われる。適切な光源は、ＬＥＤ照明器具である。
【0064】
また、本発明の主題は、非常に細い小窩裂溝および／もしくは角質物、例えば蹄において、エナメル質および／もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、または歯、特にヒトもしくは家畜の歯の象牙質および／もしくはエナメル質上の無機ガラス、ＰＭＭＡ、セラミック、ハイブリッドセラミック、金属および／もしくは合金などを含む基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着に使用するための、ならびに／または充填材としての、自己接着性の放射線硬化性歯科用小窩裂溝封鎖材、または自己接着性の重合小窩裂溝封鎖材、特に自己接着性の放射線硬化小窩裂溝封鎖材である。
【0065】
以下の実施例は、本発明の主題を特定の実施例に限定することなく説明するためのものである。
【0066】
方法の説明：
せん断付着強度の測定を、ＤＩＮ ＥＮ：ＩＳＯ ２９０２２（２０１３）に準拠して行う。牛歯のエナメル質および／または象牙質の表面を、粒度１２０～粒度３２０のＳｉＣペーパー上で準備した。「未切削」表面の場合、機械的に清浄化した牛歯エナメル質表面を付着面として使用する（3M製Ｓｏｆ－Ｌｅｘディスク）。小窩裂溝封鎖材を歯質にすり込み、Ｔｒａｎｚｌｕｘ Ｗａｖｅ（Kulzer GmbH、スペクトル：４４０～４８０ｎｍ、出力密度１２００ミリワット／ｃｍ２）で１０秒間光を照射する。その後、この材料を円筒形のプラスチック型（Ultradent製器具）に充填し、２０秒間硬化させる。時効をシミュレートするため、一部の試料を熱サイクル（ＴＷＣ＝熱サイクル、熱サイクル浴）に供する（５℃～５５℃の水浴、滞留時間３０秒、移動時間５秒、５０００サイクル）。せん断付着強度を、万能試験機（クロスヘッド速度１ｍｍ／ｍｉｎ）で測定する。Ｈ２Ｏ中３７℃で２４時間測定する。万能試験機（室温）で測定を行う。特に断りのない限り、ＲＺＳ／ＲＺＤは、２４時間の測定値である。ＲＺＤ（牛歯象牙質）。
せん断付着強度の測定を、ＤＩＮ ＥＮ：ＩＳＯ ２９０２２（２０１３）に準拠して行う。牛歯のエナメル質および／または象牙質の表面を、粒度１２０～粒度３２０のＳｉＣペーパー上で準備した。「未切削」表面の場合、機械的に清浄化した牛歯エナメル質表面を付着面として使用する（3M製Ｓｏｆ－Ｌｅｘディスク）。小窩裂溝封鎖材を歯質にすり込み、Ｔｒａｎｚｌｕｘ Ｗａｖｅ（Kulzer GmbH、スペクトル：４４０～４８０ｎｍ、出力密度１２００ミリワット／ｃｍ２）で１０秒間光を照射する。その後、この材料を円筒形のプラスチック型（Ultradent製器具）に充填し、２０秒間硬化させる。時効をシミュレートするため、一部の試料を熱サイクル（ＴＷＣ＝熱サイクル、熱サイクル浴）に供する（５℃～５５℃の水浴、滞留時間３０秒、移動時間５秒、５０００サイクル）。せん断付着強度を、万能試験機（クロスヘッド速度１ｍｍ／ｍｉｎ）で測定する。Ｈ２Ｏ中３７℃で２４時間測定する。万能試験機（室温）で測定を行う。特に断りのない限り、ＲＺＳ／ＲＺＤは、２４時間の測定値である。ＲＺＤ（牛歯象牙質）。
【0067】
曲げ強さおよび曲げ弾性率は、規格ＤＩＮ－ＩＳＯ ４０４９（ポリマー系充填、修復および補強材、室温での測定、２０１９年）に準拠して実施する。
【0068】
吸水率／溶解度の測定を、ＤＩＮ－ＩＳＯ ４０４９ Ｐａｒｔ７．１２～４～８に準拠して行う。直径１５ｍｍ、幅１ｍｍの試験体を硬化させ、乾燥させ、Ｈ２Ｏ中３７℃で７日間保存し、再び乾燥させる。
【0069】
小窩裂溝封鎖材の膜厚を、ＤＩＮ－ＩＳＯ ４０４９ ７．５に準拠して測定する。この材料に、２枚のガラス板の間で１８０秒間にわたって１５０Ｎの負荷をかけ、硬化させ、その差を外径測定用マイクロメーターで測定する。
【0070】
硬さを以下のようにして測定する：試験体である１０ｍｍデルリン型／テフロン型を上面（ＯＳ）で２０秒間硬化させる。下面（ＵＳ）に印をつける。Ｈ２Ｏ中、３７℃で２４時間保存し、平坦に切削し、ダイヤモンドを使用してZwick製ユニバーサル硬度計で上面／下面の貫入力（Ｎ／ｍｍ２）／貫入深さを測定する。
【0071】
以下の実施例で使用したアルキレンオキシド系二官能性メタクリレート、例えばＴＥＧＤＭＡ、ＰＥＧＤＭＡまたはＤＤＤＭＡ（ドデカンジオールジメタクリレート）は、特に好ましい代替形態ではこれらの組み合わせに基づき、かつ／または含有に基づき、小窩裂溝封鎖材の非重合状態で、エナメル質への良好な密着性および小窩裂溝への浸透性をもたらし、ひいては放射線硬化後に高い付着性能をもたらす。エナメル質への付着は、エナメル質を事前にエッチングすることなく生じる。
【0072】
重合時の架橋の転化率が高いと、基材、この場合はエナメル質への良好な付着も生じるため、小窩裂溝封鎖材中の開始剤系の濃度も特に重要である。カンファーキノン（ＣＱ）／第三級アミン（２－ｎ－ブトキシエチル）－４－（ジメチルアミノ）－ベンゾエート（ＢＥＤＢ）の組み合わせの含有量は、モノマー成分中で、好ましくは小窩裂溝封鎖材の組成物全体中で開始剤系として０．３重量％超／０．６重量％超であることが望ましい。表１に、その他の点では質的および量的に同一組成である、フィラー含有量４０重量％の小窩裂溝封鎖材において、熱サイクル浴（ＴＷＬ）後に、切削牛歯エナメル質（ＲＺＳ）および未切削エナメル質（未切削ＲＺＳ）に対して得られたせん断付着強度の値を示す（ＩＳＯ ２９０２２に準拠した測定、単位ＭＰａ）。せん断付着強度は、前述の開始剤系を用い、濃度を増加させることで、未切削ＲＺＳに対して熱サイクル浴（ＴＷＬ）後でも明らかに増加させることができた。
【0073】
フィラーの粒径：粒径を、レーザー回折法で測定する。通常、粒径測定は、ＣｉｌａｓあるいはＨｏｒｉｂａ ＬＡ－９５０（Retsch）またはＤＴ１２００（Dispersion Technology）の機器を用いたレーザー回折法で行われる。この場合、非シラン化フィラーは水（蒸留水）中で測定し、シラン化フィラーはイソプロパノール中で測定する。粒径測定の精度は、有利には、例えば０．４マイクロメートルまたはｄ５０＝０．４マイクロメートルの粒径を有するフィラーの場合には、±０．１マイクロメートルである。１．５マイクロメートルまたはＤ５０＝１．５マイクロメートルの粒径での精度も、同様に少なくともこの範囲である。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
例えば０．１ＣＱ／０．２ＢＥＤＢおよび０．０５ＣＱ／０．０５ＢＥＤＢのような、開始剤系の含有量が０．３ＣＱ／０．６ＢＥＤＢ未満の組成物では、エナメル質へのせん断付着強度は、最初のケースでは９．０ＭＰａ、ＴＷＬ後では１７．１ＭＰａであり、さらに低濃度の第２のケースではわずか６．３ＭＰａ（２４時間）、ＴＷＬ後では７．８ＭＰａである。
【0077】
４－ＭＥＴＡ（４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物）をＭＤＰ（１０－メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート）のようなリン酸含有モノマーと組み合わせて追加で使用すると、せん断付着強度が明らかに向上する。これは特に、例えばヘプタ（プロピレングリコール）ジアクリレート（ｎ＝７）、ヘプタ（エチレングリコール）ジアクリレート（ｎ＝７）、またはドデカンジオールジメタクリレート（ＤＤＤＭＡ）のような、ＴＥＧＤＭＡよりも長いＰＥＧ基を有する架橋剤／可塑剤と組み合わせた場合に言えることである。カルボン酸またはカルボン酸無水物の酸性モノマーと、リン酸の酸性エステルと、ＴＥＧＤＭＡおよびＰＥＧＤＭＡ（ポリエチレングリコールジメチルアクリレート）、ＴＥＧＤＭＡおよびポリエチレングリコールジアクリレートまたはＴＥＧＤＭＡおよびＤＤＤＡを含む２つの異なるアルキレンオキシド系二官能性メタクリレートとを組み合わせた小窩裂溝封鎖材によっても、高いせん断付着強度を達成することができる。あるいは、カルボン酸またはカルボン酸無水物の酸性モノマーと、リン酸の酸性エステルと、ｎ＝３～１５未満、特にｎ＝３～９のポリプロピレングリコールジアクリレートを含む２つの異なるアルキレンオキシド系二官能性アクリレートとを組み合わせた小窩裂溝封鎖材を用いることで、非常に高いせん断付着強度を達成することができる。プロピレングリコールジアクリレート系の小窩裂溝封鎖材はさらに、ＴＷＬの有無にかかわらず、せん断付着強度の増加と同時に吸水率の減少を示す。
【0078】
【表3】
【0079】
その後、小窩裂溝封鎖材として、１００重量％の組成物全体においてモノマー成分の含有量が６０重量％であり、フィラー成分の割合が４０重量％である小窩裂溝封鎖材も製造した。本発明による小窩裂溝封鎖材の付着性能は、競合物であるＣｏｎｓｔｉｃ（２４ｈでのせん断付着強度１５ＭＰａ、ＴＷＬ後のせん断付着強度１２ＭＰａ）およびＶｅｒｔｉｓｅ Ｆｌｏｗ（２４ｈでのせん断付着強度１６．４ＭＰａ、ＴＷＬ後のせん断付着強度２．１ＭＰａ）から明らかに際立っている。これらは、特殊な小窩裂溝封鎖材ではなく、小窩裂溝封鎖材として認可されている自己接着性フローであるが、本発明と同様に（事前のエッチング工程なしで）使用される。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
無柱エナメル質へのせん断付着強度を、５０００サイクルの熱サイクル負荷（エッチング工程なしのＳＡＦＩ／施与前の事前のエッチング工程ありの競合物）後に実施した（ＩＳＯ ２５０２２）。総じて、無柱エナメル質（ＭＺＳヒト歯無柱エナメル質）は、エナメル小柱を持たない未調製の歯エナメル質からなる。無柱エナメル質は、保持性エッチングパターンを生成しない。
【0083】
【表6】
【0084】
エナメル質を事前にエッチングする工程があるにもかかわらず、小窩裂溝封鎖材であるＨｅｌｉｏｓｅａｌ ＦおよびＣｌｉｎｐｒｏは、事前にエッチングする工程がない本発明による小窩裂溝封鎖材と比較して、低いかまたは同等のせん断付着強度を示す。
【0085】
【表7】
【0086】
未研削とは、エッチング工程のない小窩裂溝封鎖材の場合と同様に、エナメル質を事前に研削せず、洗浄のみを行ったことを意味する。その結果、保持性のアンカー措置は、さらに最小限に抑えられている。よって、付着強度は化学結合により形成される。
【0087】
【表8】
【0088】
【表9-1】
【表9-2】
【0089】
吸水力は、ＤＤＤＭＡまたは短鎖トリ（プロピレングリコール）ジアクリレート、ｎ＝３を用いた小窩裂溝封鎖材が最も低い。表８の測定例のせん断付着強度は、サーモサイクリングなしでは２０ＭＰａ以上であり、サーモサイクリングありでは１０ＭＰａより明らかに大きい。短鎖ポリエチレングリコールジアクリレート、ＤＤＤＭＡおよびポリプロピレンジアクリレートは、ＰＥＧＤＭＡ、エチレングリコール、ｎ＝７を用いた小窩裂溝封鎖材と比較して高い弾性率を示す。
【0090】
【表10】
【0091】
ＤＩＮ－ＩＳＯ ６８７４（２０１５）では、小窩裂溝封鎖材について、１．５ｍｍの重合深さの硬化深さが規定されている。本発明による配合物では、３．４ｍｍの硬化深さ（Ｔｒａｎｓｌｕｘ ｗａｖｅ、ＬＥＤ、４４０～４８０ｎｍ、出力密度１２００ｍｍＷ／ｃｍ２超）を実現することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性でかつ放射線硬化性の歯科用小窩裂溝封鎖材であって、前記小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレートであって、ここで、それぞれ独立して、ウレタン（メタ）アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、ウレタン（メタ）アクリレートと、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物であって、ここで、それぞれ独立して、（メタ）アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択され、前記少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ｎ＝２～ｎ＝２０のポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートを含むものとする、架橋剤と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマーと、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、前記開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ジケトンと、任意に、第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および／または開始剤系と
を含む、モノマー成分と、
Ｂ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含むフィラー成分と
を含み、
前記Ａ）モノマー成分および前記Ｂ）フィラー成分は、前記小窩裂溝封鎖材の１００重量％である前記組成物全体中に６０：４０～１００：０の重量比で存在する、小窩裂溝封鎖材。
【請求項2】
前記小窩裂溝封鎖材は、Ａ）モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート４０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物１０～３５重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、および
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、酸性モノマー５～３０重量％と、
ｄ）少なくとも１つの開始剤および／または開始剤系であって、前記開始剤および／または開始剤系は、それぞれ吸収極大が４２０～５５０ｎｍであり、ここで、前記モノマー成分中で、少なくとも１つのジケトンの含有量は、０．３重量％であり、任意に、補助開始剤としての少なくとも１つの第三級アミン、または補助開始剤としての１，２－メチレンジオキシベンゼンが存在するものとする、開始剤および／または開始剤系０．３～５重量％と、
ｅ）少なくとも１つの白色顔料０～０．５重量％と
を含み、ここで、前記モノマー成分Ａ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、モノマー成分と、
Ｂ）フィラー成分であって、前記フィラー成分は、
ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物９０～１００重量％と、
ｂ）無機フッ化物、金属酸化物および／または混合酸化物０～１０重量％と、
ｃ）少なくとも１つの白色顔料０～０．５重量％と
を含み、ここで、前記フィラー成分Ｂ）の組成物全体は、１００重量％であるものとする、フィラー成分と
を含み、
前記Ａ）モノマー成分および前記Ｂ）フィラー成分は、前記小窩裂溝封鎖材において６０：４０～１００：０の重量比で存在し、前記小窩裂溝封鎖材の組成物全体は、１００重量％であるものとする、請求項１記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項3】
前記ｃ）酸性モノマーは、前記ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物と、前記ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルとを含み、これらは、１：３～１：１の重量比で存在する、請求項１または２記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項4】
前記リン酸のオレフィン系酸性エステルは、リン酸のモノエステルであり、かつ／または前記チオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルは、チオリン酸のモノエステルである、請求項３記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項5】
前記ｃ）酸性モノマーは、ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物と、
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性エステル、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含み、ｉ）およびｉｉ）は、１：１～２：１の重量比で存在する、請求項１から４までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項6】
前記Ａ）モノマー成分は、ｃ）において、前記Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｉ）として、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物２～１０重量％を含み、ｉｉ）として、リン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル４～２０重量％を含む、請求項１から５までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項7】
前記小窩裂溝封鎖材は、ｂ）として、以下：ｉ）１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ｉｉ）ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートまたはこれらの混合物、ならびに／または
ｉｉｉ）１，３－ブチレングリコールジメタクリレート（ブタンジオールジメタクリレート）、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレートおよび／もしくはドデカンジオールジメタクリレート
から選択される少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤を含む、請求項１から６までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項8】
ｂ）は、ｉ）およびｉｉ）、またはｉ）およびｉｉｉ）、またはｉ）、ｉｉ）およびｉｉｉ）から選択される少なくとも２つの異なる親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤を含み、ここで、ｉ）は、１，２－エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート（ＤＥＧＭＡ）、トリエチレングリコールジメタクリレート（ＴＥＧＤＭＡ）、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレートを含み、
ｉｉ）は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、またはこれらの混合物であって、少なくとも５個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するものを含み、かつ／または
ｉｉｉ）は、１，３－ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレートを含む、請求項１から７までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項9】
Ａ）は、ｃ）酸性モノマーを含み、前記酸性モノマーは、ｉ）マレイン酸、ｐ－ビニル安息香酸、１１－（メタ）アクリロイルオキシ－１，１－ウンデカンジカルボン酸（ＭＡＣ－１０）、１，４－ジ（メタ）アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、６－（メタ）アクリロイルオキシエチルナフタレン－１，２，６－トリカルボン酸、４－（メタ）アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、４－［２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシ］ブチルトリメリット酸およびその無水物、２，３－ビス（３，４－ジカルボキシベンゾイルオキシ）プロピル（メタ）アクリレート、２－、３－または４－（メタ）アクリロイルオキシ安息香酸、Ｎ－Ｏ－ジ（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｏ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシチロシン、Ｎ－（メタ）アクリロイルオキシフェニルアラニン、Ｎ－（メタ）アクリロイル－ｐ－アミノ安息香酸、Ｎ－（メタ）アクリロイル－Ｏ－アミノ安息香酸、グリシジル（メタ）アクリレートとＮ－フェニルグリシンまたはＮ－トリルグリシンとの付加体、４－［（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、３－または４－［Ｎ－メチル－Ｎ－（２－ヒドロキシ－３－（メタ）アクリロイルオキシプロピル）アミノ］フタル酸、（メタ）アクリロイルアミノサリチル酸および（メタ）アクリロイルオキシサリチル酸、少なくとも２個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも３個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸無水物、ならびに少なくとも２つのカルボン酸を含む混合物を含む、少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物、ならびに
ｉｉ）少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基を含む少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルを含む、リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルであって、ここで、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、少なくとも１つの３価のＣ原子および任意にＯ原子を有する基を介してリン酸のＯ原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ここで、前記ウレタン（メタ）アクリレート基は、ウレタンメチルアクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択され、ここで、それぞれ独立して、ウレタン（メタ）アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択され、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、４－（メタ）アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、６－（メタ）アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、８－（メタ）アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、１０－（メタ）アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、１２－（メタ）アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス（２－（メタ）アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス－２または３－（メタ）アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、２－（メタ）アクリロイルオキシエチル－ｐ－メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の（メタ）アクリレートの対応するチオホスホネートである、モノエステル、または前述の少なくとも２つのモノエステルの混合物、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、請求項１から８までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項10】
前記Ｂ）フィラー成分は、少なくとも１つのａ）歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにｂ）任意に少なくとも１つの無機フッ化物および／または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩を含み、ここで、ａ）少なくとも１つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび／またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも２つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、ｂ）には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質ＳｉＯ２、ＺｒＯ２、またはさらにはＳｉＯ２とＺｒＯ２との混合酸化物、石英、長石、ならびに少なくとも２つの前記フィラーの混合物が含まれる、請求項１から９までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項11】
前記Ａ）モノマー成分は、前記Ａ）モノマー成分の１００重量％の組成物全体に対して、ｅ）少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％と、少なくとも１つの第三級アミン０．６～２．５重量％とを含み、ジケトンと補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３である、請求項１から１０までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項12】
前記ｃ）酸性モノマーは、ｉ）４－メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸（４－ＭＥＴ）および／またはその無水物（４－ＭＥＴＡ）、および
ｉｉ）少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基を含む少なくとも１つのリン酸の酸性モノエステルであって、少なくとも２個のウレタン（メタ）アクリレート基は、少なくとも１つの３価のＣ原子および任意にＯ原子を有する基を介してリン酸のＯ原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ウレタン（メタ）アクリレート基は、独立して、ウレタンメチルアクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択されるものとする、２－メタクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、１０－メタクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、２－アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび／または１０－アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、
またはｉ）とｉｉ）との混合物
を含む、請求項１から１１までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項13】
ｉｉ）一般式Ｉおよび／もしくはＩＩの少なくとも１つのリン酸の少なくとも１つの酸性モノエステル、または式ＩおよびＩＩから選択される少なくとも２つの前記モノエステルの混合物は、【化1】
ここで、Ｒ＝ＣＨ３、ＯＲ１、ＯＲ２またはＯＲ３であり、Ｒ１、Ｒ２およびＲ３は、式ＩＩＩ、ＩＩａ、ＩＩＩｂ、ＩＶ、Ｖ、Ｖｉａ、ＶＩｂ、ＶＩＩａおよびＶＩＩｂから選択され、
【化2】
【請求項14】
少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレートおよび／もしくはポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、またはこれらの混合物から選択される、請求項１から１３までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項15】
前記親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ（メタ）アクリレート、およびｎ＝２～ｎ＝２０のポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレートを含む、請求項１から１４までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項16】
前記Ａ）モノマー成分は、任意に前記Ｂ）フィラー成分との混合物の状態で存在し、前記小窩裂溝封鎖材は、ａ）少なくとも１つの少なくとも二官能性のウレタン（メタ）アクリレート３０～８０重量％と、
ｂ）ｉ）ウレタン（メタ）アクリレートを含まずかつｉｉ）芳香族基を含まない、少なくとも１つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性（メタ）アクリレート系架橋剤または少なくとも２つの前記架橋剤の混合物８～２０重量％と、
ｃ）以下：
ｉ）少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸および／または少なくとも１つのオレフィン系カルボン酸無水物２～１０重量％、ならびに
ｉｉ）リン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルおよび／またはチオリン酸の少なくとも１つのオレフィン系酸性モノエステルであって、リン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステル、リン酸とウレタン（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルおよび／またはチオリン酸と（メタ）アクリレートとの少なくとも１つのモノエステルを含むもの４～２０重量％、
またはｉ）とｉｉ）との混合物と、
ｄ）１，７，７－トリメチル－ビシクロ－［２．２．１］－ヘプタ－２，３－ジオン（カンファーキノン）、フェニルプロパンジオンから選択される少なくとも１つのジケトン０．３～２．５重量％、および
第三級アミンおよび１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも１つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは１，２－メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、１：１．５～１：３であるものとする、補助開始剤０．６～２．５重量％と、
ｅ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／またはＶｉｓ安定剤０～２重量％と、
ｆ）少なくとも１つの歯科用ガラス３０重量％までと、
ｇ）無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および／またはケイ酸塩０～１０重量％と、
ｈ）二酸化チタンを含む少なくとも１つの顔料０～１重量％、ならびに染料、ＵＶおよび／もしくはＶｉｓ安定剤０～２重量％
ならびに／または少なくとも２つのフィラーｅ）～ｈ）の混合物と
を含み、ここで、前述の成分ａ）～ｈ）により、小窩裂溝封鎖材の１００重量％の組成物全体となる、請求項１から１５までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材。
【請求項17】
請求項１から１６までのいずれか１項記載の小窩裂溝封鎖材の重合によって得ることができる歯科用の重合小窩裂溝封鎖材であって、前記重合小窩裂溝封鎖材は、未処理牛歯エナメル質、特に切削牛歯エナメル質に対して１９ＭＰａ以上のせん断付着強度を有する、重合小窩裂溝封鎖材。
【請求項18】
歯、ヒトもしくは家畜の歯の象牙質および／もしくはエナメル質へのエナメル質および／もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、ならびに／または充填材としての、請求項１から１６までのいずれか１項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用小窩裂溝封鎖材、または自己接着性の重合小窩裂溝封鎖材。
【請求項19】
基材への付着のための、請求項１から１６までのいずれか１項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用小窩裂溝封鎖材、または自己接着性の重合小窩裂溝封鎖材、特に自己接着性の放射線硬化小窩裂溝封鎖材の使用。
【国際調査報告】