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▶ クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】自己接着性歯科用材料
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/887 20200101AFI20240312BHJP
   A61K 6/836 20200101ALI20240312BHJP
   A61K 6/831 20200101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K6/887
A61K6/836
A61K6/831
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560780
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022058709
(87)【国際公開番号】W WO2022207877
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021108476.8
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021108477.6
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】517275117
【氏名又は名称】クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kulzer GmbH
【住所又は居所原語表記】Leipziger Strasse 2, D-63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリア レヘマン-ドアン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゲアラッハ
【テーマコード(参考)】
4C089
【Fターム(参考)】
4C089AA06
4C089BA12
4C089BC12
4C089BD01
4C089CA03
4C089CA10
(57)【要約】
自己接着性の放射線硬化性歯科用材料であって、該歯科用材料は、A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、二官能性ウレタン(メタ)アクリレートと、親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤と、リン酸のオレフィン系酸性モノエステルおよび/またはチオリン酸のオレフィン系酸性モノエステルを、任意にオレフィン系カルボン酸および/またはオレフィン系カルボン酸無水物と組み合わせた少なくとも1つの酸性モノマーと、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、任意に補助開始剤を含む開始剤および/または開始剤系とを含む、モノマー成分と、任意に、B)少なくとも1つの歯科用ガラスを含むフィラー成分とを含み、特に、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、a)小窩裂溝封鎖材において100:0~60:40、またはb)コンポジット材において59:41~20:80の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材またはコンポジット材の組成物全体は、100重量%であるものとする、歯科用材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性でかつ放射線硬化性の重合性歯科用材料であって、前記歯科用材料は、
A)モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートであって、ここで、それぞれ独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、ウレタン(メタ)アクリレートと、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物であって、ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるものとする、架橋剤または架橋剤の混合物と、
c)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルと、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、i)ジケトンと、ii)第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも1つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および/または開始剤系と
を含むものとするモノマー成分と、任意に、
B)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分と
を含み、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%であるものとする、歯科用材料において、
i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.1以上のモル比で存在し、i)前記ジケトンは、前記組成物全体において0.2重量%以上存在することを特徴とする、歯科用材料。
【請求項2】
前記歯科用材料は、
c)
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む酸性モノマーの混合物
を含む、請求項1記載の歯科用材料。
【請求項3】
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、i)ジケトンと、ii)第三級アミンから選択される補助開始剤とを含み、ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.15以上のモル比で存在し、i)前記ジケトンは、前記歯科用材料の100重量%の組成物全体において0.4重量%以上存在するものとする、開始剤および/または開始剤系
を含む、請求項1または2記載の歯科用材料。
【請求項4】
前記歯科用材料は、
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルであって、前記エステルは、リン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステルおよび/またはチオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルを含み、ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択され、独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、エステル
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項5】
前記歯科用材料は、
A)モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物10~35重量%と、
c)以下:
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物5~30重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、i)少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%以上であり、ii)少なくとも1つの補助開始剤の含有量が、0.6重量%以上であるものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と、任意に、
B)フィラー成分であって、前記フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であるものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から4までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項6】
A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、前記歯科用材料中に100:0~60:40の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から5までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項7】
i)は、一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、または式I、Ia、IbおよびIIから選択される少なくとも2つのモノエステルの混合物を含み、
【化1】
ここで、R=CH、OR、ORまたはORであり、式I、Ia、IbおよびIIにおけるR、RおよびRは、それぞれ独立して、式III、IIIa、IIIb、IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよびVIIIbから選択され、
【化2-1】
【化2-2】
- 式Iaにおいて、o=1~100であり、
- 式IIIaおよび/またはIIIbにおいて、m=1~100であり、ここで、式IIIaおよびIIIbにおいて、Rは、Hおよびメチルから選択され、
- 式VおよびVIIaにおいて、それぞれ独立して、n=1~100であり、
- 式I、Ia、IbおよびIIにおいて、R、RおよびRから選択される少なくとも1つの基または2つの基は、式IIIまたはIIIaの基に対応し、R、RおよびRの残りの基は、式IV、V、VIa、VIIa、VIIaおよび/またはVIIIbの少なくとも1つの基から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、式IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよびVIIIbの基において、H、メチルおよびエチルから選択され、かつ
- Rは、それぞれ独立して、式Ia、Ib、VIIIaおよびVIIIbの基において、Hおよびメチルから選択され、
- 式VIIIaおよび/またはVIIIbにおいて、m=0または1~100、特に1~20であり、Rは、Hおよびメチルから選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項8】
前記歯科用材料は、A)モノマー成分を、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で含み、前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、前記架橋剤は、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択され、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート10~20重量%、ならびに/または
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、もしくは少なくとも5個、特に5~20個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物2~7.5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート2~7.5重量%
であり、ここで、組成物全体中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、12~25重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、好ましくは一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、特に9.5~20重量%、
ii)4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)2~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)から選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと補助開始剤の重量比は、1:1.5~1:3、有利には1:2であり、ここで、±0.15である、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%とを含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であり、任意に、
B)フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/もしくはVis安定剤ならびに/または少なくとも2つのフィラーの混合物0~5重量%と
を含み、
ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であり、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から4までまたは請求項7のいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項9】
前記歯科用材料は、A)モノマー成分を、B)フィラー成分との混合物の状態で含み、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に59:41:0~20:80の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から8までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項10】
前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートであって、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテル、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテルを含む、二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択され、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン(UDMA)が特に好ましいものとする、ウレタン(メタ)アクリレート
を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項11】
前記歯科用材料は、b)として、
以下:
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(ブタンジオールジメタクリレート)、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレートおよび/もしくはドデカンジオールジメタクリレート
から選択される少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項12】
少なくとも1つの親水性アルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するものから選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項13】
少なくとも1つの親水性アルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤は、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、特に、n=5~20、特に5~15、n=5~12の、有利には5~9個あるいは10~15個のエチレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびn=5~20、特に5~15、bn=5~12の、有利には5~9個あるいは10~15個の直鎖状または分岐状のプロピレングリコール基を有するポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートであって、好ましくは、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも2つのジ(メタ)アクリレートの混合物
から選択される、請求項1から12までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項14】
前記歯科用材料は、c)として、酸性モノマーの混合物を含み、前記混合物は、
i)一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートと、
ii)4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/またはその無水物(4-META)と
を含む、請求項1から13までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項15】
前記歯科用材料は、b)として、
i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)から選択される少なくとも2つの異なる親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤
を含み、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートおよび/またはテトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ii)少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート
である、請求項1から14までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項16】
前記歯科用材料は、A)モノマー成分において、g)として、
式IXの二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタンを含み、
【化3】
ここで、式IXにおけるR、R、RおよびRは、それぞれ独立して、HまたはC1~C4アルキルから選択され、RおよびRは、それぞれ直鎖状の二価のC1~C4アルキレンであり、式IXにおいて、n=1~20およびm=1~20、好ましくはn=2~15およびm=2~15である、請求項1から15までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項17】
前記A)モノマー成分は、
e)それぞれ脂環式ジケトンおよび補助開始剤として芳香族第三級アミンを少なくとも含む、吸収極大が420~550nmである少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系
を含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項18】
前記B)フィラー成分は、少なくとも1つのa)歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにb)任意に少なくとも1つの無機フッ化物および/または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩を含み、ここで、a)少なくとも1つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび/またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも2つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、b)には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質SiO、ZrO、またはさらにはSiOとZrOとの混合酸化物、石英、長石および少なくとも2つの前記フィラーの混合物が含まれる、請求項1から17までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項19】
e)少なくとも1つの開始剤および/または少なくとも1つの開始剤系のジケトンは、1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオンを含み、少なくとも1つの補助開始剤は、第三級アミンとして2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートを含む、請求項1から18までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項20】
A)モノマー成分は、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で存在し、前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物8~20重量%と、
c)i)一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/もしくは10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、および
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/もしくは少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも1つのカルボン酸官能化および/もしくはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマー1~10重量%
ならびにまたはi)とii)との混合物と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)およびフェニルプロパンジオンから選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される、特に2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、1:1.5~1:3であるものとする、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)二酸化チタンを含む少なくとも1つの顔料0~1重量%、ならびに染料、UVおよび/またはVis安定剤0~2重量%と、
f)少なくとも1つの歯科用ガラス0~76重量%と、
g)無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%と、
h)二酸化チタンを含む少なくとも1つの顔料0~1重量%、特に0.1~0.5重量%、ならびに染料、UVおよび/もしくはVis安定剤0~2重量%
ならびに/または少なくとも2つの前記フィラーe)~h)の混合物と
を含み、ここで、前述の成分a)~h)により、前記歯科用材料の100重量%の組成物全体となる、請求項1から19までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項記載の歯科用材料の重合によって得ることができる重合歯科用材料であって、特に象牙質に対する10MPa以上、有利には15MPa以上、好ましくは17MPa以上、特に好ましくは20MPa以上のせん断付着強度および/またはエナメル質に対する12MPa以上、有利には19MPa以上、好ましくは22MPa以上、特に好ましくは23MPa以上のせん断付着強度を示す、重合歯科用材料。
【請求項22】
エナメル質および/もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、または歯、特にヒトもしくは家畜の歯の象牙質および/もしくはエナメル質上の特に金属基材、セラミック基材、ポリマー成形体および/もしくは前述のハイブリッド材料の基材を含む基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着に使用するための、請求項1から21までのいずれか1項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用材料または自己接着性の重合、特に放射線硬化歯科用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自己接着性の放射線硬化性歯科用材料であって、該歯科用材料は、A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、二官能性ウレタン(メタ)アクリレートと、親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤と、リン酸のオレフィン系酸性モノエステルおよび/またはチオリン酸のオレフィン系酸性モノエステルを、任意にオレフィン系カルボン酸および/またはオレフィン系カルボン酸無水物と組み合わせた少なくとも1つの酸性モノマーと、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、任意に補助開始剤を含む開始剤および/または開始剤系とを含む、モノマー成分と、任意に、B)少なくとも1つの歯科用ガラスを含むフィラー成分とを含み、特に、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、a)小窩裂溝封鎖材において100:0~60:40、またはb)コンポジット材において59:41~20:80の重量比で存在し、小窩裂溝封鎖材またはコンポジット材の組成物全体は、100重量%であるものとする、歯科用材料。
【0002】
直接的な接着修復や間接的な歯科用補綴物の口腔外製作に汎用的に使用することのできる、多くの歯科用コンポジットが知られている。フィラー含有量が高いことは、硬化したコンポジットの非常に良好な機械的特性を達成すると同時に、硬化時に生じる重合収縮を低減するのに有利である。これらの特性は、歯科用補綴材の長期的な成功にも決定的な影響を与える。
【0003】
小窩裂溝封鎖材は、小窩裂溝が深い場合や齲蝕に罹患しやすい患者の齲蝕リスクを最小化するための予防品である。小窩裂溝封鎖材は、エナメル質に付着する重合性組成物である。小窩裂溝封鎖の標準的な手順では、エナメル質を酸でエッチングした後、通常はフローと呼ばれる低粘性材料、またはグラスアイオノマーセメントで封鎖し、ボンディングを早期には使用しない。あるいは、適切なフロー材を接着剤と組み合わせて使用することもできる。
【0004】
本発明の課題は、有利にはフィラーの含有量に応じて、接着により高い付着力でエナメル質に結合する自己接着性小窩裂溝封鎖材としても、自己接着性コンポジットとしても調整可能である、歯科用の自己接着性の重合性歯科用材料を提供することであった。ここで、開発される歯科用材料を、有利には象牙質および/またはエナメル質を事前に化学処理せずに、好ましくは象牙質および/またはエナメル質あるいは小窩裂溝表面を事前にエッチングせずに使用できることが望ましい。さらに、歯科用材料を、象牙質および/またはエナメル質に接着剤を事前に施与せずに使用できることが望ましい。さらに、吸水率(μg/mm)が低減され、かつ/または溶解度(μg/mm)が低減された自己接着性歯科用材料を開発することも課題であった。さらに、ビスGMAを含まない歯科用材料を開発することも課題であった。この歯科用材料がHEMAも含まないことが望ましい。
【0005】
これらの課題は、請求項1記載の自己接着性歯科用材料、および請求項19記載の重合性歯科用材料、ならびに自己接着性でかつ放射線硬化性の付着および象牙細管の封鎖に使用するための、またエナメル質への自己接着性の付着に使用するためのコンポジットによって解決される。本発明の主題のさらなる詳細な開示は、従属請求項および明細書に記載されている。
【0006】
自己接着性コンポジットは、エナメル質および象牙質を含む歯の表面上で接着剤系およびエッチング剤を事前に使用せずに充填材を使用できるという利点を顧客に提供する。本発明によるコンポジットは、該コンポジットの配合の特別な調整により高い付着力を示し、セルフエッチング様式でエナメル質と象牙質との双方に対して非常に高い付着力を生じる。達成された付着値は、市場で競合物が達成した値よりも明らかに高い。牛歯へのせん断付着強度は、ISO 29022に準拠して測定される(TC-5000サイクルの5℃~55℃の熱サイクル負荷での人工時効)。本発明による歯科用材料は、象牙質に対して15MPa以上、エナメル質に対して20MPa以上のせん断付着強度を示すのに対して、以下の製品は、それ以外は同一の条件下で4.8~16.4MPaのせん断付着強度を示す(Vertise Flow(5.9MPa SBS-象牙質、16.4±4.2MPa エナメル質、TWL 2.1±2.9MPa)、Constic(4.8MPa SBS-象牙質、15MPa エナメル質、TWL 12.0±5.6MPa))。
【0007】
本発明の主題は、自己接着性でかつ放射線硬化性の重合性歯科用材料であって、該歯科用材料は、
A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートと、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物と、
c)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルと、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、i)ジケトンと、ii)第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも1つの補助開始剤とを含み、ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.1以上、特に1.15以上のモル比で存在し、i)ジケトンは、該歯科用材料の組成物全体において0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上存在するものとする、開始剤および/または開始剤系と
を含み、
- ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択され、それぞれ独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、モノマー成分と、任意に、
B)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分と
を含み、該歯科用材料の組成物全体は、100重量%であるものとする、歯科用材料である。
【0008】
代替的に好ましい歯科用材料において、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~30:70の重量比で存在することができ、同様に好ましい選択肢では、歯科用材料中にa)60:40~40:60またはb)59:41~20:80の重量比で存在することができ、ここで、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。本発明による歯科用材料は、小窩裂溝封鎖材として、フィラー含有量がゼロないし少ない状態で使用することも、コンポジットとして、フィラー含有量が多い状態で、特に組成物全体中のフィラー含有量が約41重量%以上の状態で使用することもできる。
【0009】
さらに、本発明の主題は、c)i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物と組み合わせて含む酸性モノマーの混合物を含む歯科用材料である。
【0010】
本発明の主題はまた、自己接着性の放射線硬化性歯科用コンポジット材、特に可視光により硬化可能あるいは重合可能なコンポジット材であって、該コンポジット材は、
A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートと、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物と、
- 任意に、ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤と、
c)i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸の少なくとも1つのモノエステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、特にチオリン酸の少なくとも1つのモノエステル、好ましくはリン酸とモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-ウレタン(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルおよび/またはチオリン酸とモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルを、ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも1つのカルボン酸官能化および/またはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、少なくともi)ジケトンと、ii)第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも1つの補助開始剤とを含み、ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.1以上、特に1.15以上のモル比で存在し、i)ジケトンは、歯科用材料の組成物全体において0.22重量%以上、特に0.3重量%以上、特に0.5重量%以上存在し、特に補助開始剤は、歯科用材料の組成物全体において1.0重量%以上存在するものとする、開始剤および/または開始剤系と
を含むものとする、モノマー成分と、
B)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含む、フィラー成分であって、特に、歯科用ガラスは平均粒径d50が0.2~2.0μmであるものとする、フィラー成分と
を含み、
任意に、少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤が、A)および/またはB)に含まれていてよく、
A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80、特に100:0~30:70の重量比で存在し、特に該コンポジット材中に59:61~30:70の重量比で存在し、歯科用材料、好ましくは該コンポジット材の組成物全体は、100重量%であるものとする、コンポジット材である。
【0011】
ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤が、ii):i)=1.15以上、特に1.2以上のモル比で存在し、i)ジケトンが、歯科用材料の組成物全体において0.50重量%以上、特に0.55重量%以上、特に0.6重量%±0.25重量%以上存在する場合が特に好ましい。
【0012】
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート系またはウレタン(メタ)アクリレートという呼称では、アクリレート、アクリレート系またはウレタンアクリレート、および有利にはメタクリレート、メタクリレート系またはウレタンメタクリレート、ならびにこれらの混合物が全体にわたって開示される。したがって、定義にしたがって、前述のウレタン(メタ)アクリレートには、(メタ)アクリレート成分としてウレタンメタクリレートおよび/またはウレタンアクリレートも含まれる。それに応じて、カルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマーにも、それぞれのカルボン酸無水物官能化メタクリレートおよび/またはカルボン酸無水物官能化アクリレートモノマーが含まれる。そしてまた、(メタ)アクリレート系リン酸のモノエステル、例えば(メタ)アクリロイルオキシ誘導体は、それぞれの化合物のそれぞれのメタクリレートおよびアクリレートから選択することができる。これは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるという点で、すべての(メタ)アクリレートに一貫して適用される。
【0013】
歯科用材料が本明細書においてモノマー成分A)とフィラー成分B)とを含む歯科用材料として記載されていても、これら2つの成分はコンポジット中に混合物として存在する。歯科分野の当該当業者には、この種の開示が知られており、なぜならば、この種の開示は単に、最初に製造された、歯科用材料の製造に向けた混合の前の2つの成分A)およびB)を特徴付ける役割を果たすためである。2つの成分A)およびB)の混合は、通常、小窩裂溝封鎖材やコンポジットのような歯科用材料を製造するための分散装置において予め実施される。
【0014】
開始剤系は、有利には、ジケトンのような開始剤と補助開始剤とを含む。特に好ましいのは、それぞれ脂環式ジケトンおよび補助開始剤として芳香族第三級アミンを少なくとも含む、吸収極大が420~550nmである少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系である。
【0015】
特に好ましい一実施形態において、歯科用材料は、A)モノマー成分において、A)モノマー成分の100重量%の組成物全体に対して、d)少なくとも1つのジケトン、特に1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)0.3~2.5重量%、特に0.5~1.2重量%と、少なくとも1つの第三級アミン、特に2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート0.6~2.5重量%、特に1.0~2.0重量%、好ましくは1.0~1.5重量%とを含む。この場合、ジケトンと補助開始剤との重量比は、1:1~1:2.5、特に1:1.5~1:2.5、好ましくは1:1.8~1:2.5である。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、歯科用材料は、d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系を含み、該開始剤および/または開始剤系は、i)ジケトンと、ii)第三級アミンから選択される補助開始剤とを含み、ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.15以上、特に1.17以上、好ましくは1.2以上のモル比で存在し、i)ジケトンは、該歯科用材料の100重量%の組成物全体において0.4重量%以上、特に0.5重量%以上存在する。特に好ましい実施形態において、組成物全体において、ジケトンは、0.5~1.0重量%存在し、補助開始剤は、1.0~1.8重量%存在する。フィラーを含有しない代替形態において、ジケトンおよび補助開始剤は、組成物全体において0.5~1.0重量%存在し、補助開始剤は、1.0~1.8重量%存在し、補助開始剤は、常にジケトンより過剰に存在する。
【0017】
さらに、以下のものを含む歯科用材料が好ましい:
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルであって、該エステルは、リン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステルおよび/またはチオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルを含み、ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択され、独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択される。特に好ましいのは、以下の式I、Ia、IbおよびIIのエステルであり、式IおよびIIのエステルがさらに好ましい。
【0018】
好ましいi)リン酸のオレフィン系酸性モノエステルおよび/またはチオリン酸のオレフィン系酸性モノエステルは、少なくとも2個のウレタン(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステルを含み、ここで、少なくとも2個のウレタン(メタ)アクリレート基は、少なくとも1個の3価のC原子および任意にO原子を有する基によってリン酸のO原子に共有結合して、リン酸のモノエステルを形成しており、ここで、ウレタン(メタ)アクリレート基は、ウレタンメタクリレート基およびウレタンアクリレート基から選択され、それぞれ独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとし、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の(メタ)アクリレートの対応するチオホスホネートであり、特に(メタ)アクリロイル官能化酸性モノマーは、それぞれ独立して、メチルアクリロイル官能化酸性モノマー、アクリロイル官能化酸性モノマー、または前述の少なくとも2つのモノエステルの混合物、またはi)とii)との混合物から選択される。
【0019】
同様に、以下:
A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物10~35重量%と、
c)以下:
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物5~30重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、i)少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%以上であり、ii)少なくとも1つの補助開始剤の含有量が、0.6重量%以上であるものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と、任意に、
B)フィラー成分であって、該フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であるものとする、フィラー成分と
を含む歯科用材料も含まれ、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~60:40の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0020】
また、本発明の主題は、歯科用材料であって、該歯科用材料は、
A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物10~35重量%と、
c)以下:
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物5~30重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、i)少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%以上、特に0.4重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であり、ii)少なくとも1つの補助開始剤の含有量が、0.6重量%以上、特に0.8重量%以上、好ましくは1.0重量%以上であるものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と、任意に、
B)フィラー成分であって、該フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であるものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、モノエステルは、式I、Ia、Ib、IIのモノエステルおよび/またはこれらのモノエステルの少なくとも2つを含む混合物を含む。代替的な一実施形態によれば、i)は、一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、または式I、Ia、IbおよびIIから選択される少なくとも2つのモノエステルの混合物であり、
【化1】
ここで、R=CH、OR、ORまたはORであり、式I、Ia、IbおよびIIにおけるR、RおよびRは、それぞれ独立して、式III、IIIa、IIIb、IV、V、VI=VIaおよび/またはVIb、VII=VIIaおよび/またはVIIbおよびVIII=VIIIaおよび/またはVIIIbから選択され、
【化2-1】
【化2-2】
- 式Iaにおいて、o=1~100、特にo=1~5であり、
- 式IIIaおよび/またはIIIbにおいて、m=1~100、特に1~20であり、ここで、式IIIaおよびIIIbにおいて、Rは、Hおよびメチルから選択され、ここで、Rを含む二価のアルキレンオキシド基は、鏡像状態または左右反転状態で存在することもでき、
- 式V、VIIaおよび/またはVIIbにおいて、それぞれ独立して、n=1~100、特にn=1~20であり、
- 式I、Ia、IbおよびIIにおいて、R、RおよびRから選択される少なくとも1つの基または2つの基は、式III、IIIbおよび/またはIIIaの基に対応し、R、RおよびRの残りの基は、式IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよび/またはVIIIbの少なくとも1つの基から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、式IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよびVIIIbの基において、H、メチルおよびエチルから選択され、特に残りの基は、IV、V、VIa、VIIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよび/またはVIIIbの少なくとも2つの式から選択され、かつ
- Rは、それぞれ独立して、式Ia、Ib、IIIa、IIIb、VIIIaおよびVIIIbの基において、Hおよびメチルから選択され、
- 式VIIIaおよび/またはVIIIbにおいて、m=0または1~100、特に1~20であり、Rは、Hおよびメチルから選択される。
【0022】
二重のモノリン酸としても存在し得るモノリン酸の代表的な例を、本開示をこれらの例に限定することなく以下に例示する:
以下に示すリン酸のモノエステルにおいて、R10AおよびR10B/R10Cは、Hおよびメチルから選択され、有利には、R10AおよびR10BおよびR10Cは、それぞれHまたはメチルである。特に、n=0または1~100、好ましくはn=0または1~10である。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【0023】
特に好ましい酸性モノマーは、c)酸性モノマーの混合物を含み、該混合物は、
i)一般式Iおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートと、
(ii)4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/またはその無水物(4-META)と
を含む。
【0024】
有利には、歯科用材料は、A)モノマー成分において、A)モノマー成分の100重量%の組成物全体に対して、c)として、i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、特に、一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/もしくは10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートまたは少なくとも2つの酸性エステルの混合物4~20重量%と、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/またはその無水物(4-META)2~10重量%と
を含む。
【0025】
有利には、歯科用材料は、歯科用材料の100重量%の組成物全体に対して、c)として、i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、特に、一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/もしくは10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートまたは少なくとも2つの酸性エステルの混合物2~10重量%と、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/またはその無水物(4-META)1~5重量%と
を含む。
【0026】
さらなる好ましい歯科用材料は、A)モノマー成分を、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で含み、該歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、該架橋剤は、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択され、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート10~20重量%、ならびに/または
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、もしくは少なくとも5個、特に5~20個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物2~7.5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート2~7.5重量%
であり、ここで、組成物全体中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、12~25重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、好ましくは一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、特に9.5~20重量%、
ii)4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)2~10重量%、特に3.75~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)から選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと補助開始剤の重量比は、1:1.5~1:3、有利には1:2であり、ここで、±0.15である、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%とを含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であり、任意に、
B)フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%、特に2~10重量%、好ましくは5~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/もしくはVis安定剤ならびに/または少なくとも2つのフィラーの混合物0~5重量%、特に0.1~0.5重量%と
を含み、
ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であり、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0027】
さらに、一実施形態によれば、A)モノマー成分をB)フィラー成分との混合物の状態で含む歯科用材料が好ましく、該歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~40重量%と、
b)少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、該架橋剤は、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択され、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート10~20重量%、ならびに
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、もしくは少なくとも5個、特に5~20個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物2~7.5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート2~7.5重量%
であり、ここで、組成物全体中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、12~25重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、好ましくは一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、特に9.5~20重量%、
ii)4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)2~10重量%、特に3.75~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)および/またはフェニルプロパンジオンから選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと補助開始剤の重量比は、1:1.5~1:3、有利には1:2であり、ここで、±0.15である、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.5重量%とを含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であり、任意に、
B)フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%、特に2~10重量%、好ましくは5~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/もしくはVis安定剤ならびに/または少なくとも2つのフィラーの混合物0~5重量%と
を含み、
ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であり、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に59:41~20:80の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0028】
好ましい一実施形態によれば、歯科用材料、特にコンポジット材は、
A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%、特に50~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物10~35重量%、特に15~35重量%、好ましくは20重量%±5重量%、特に±3重量%であるものとする、架橋剤と、
c)開示されている酸性モノマーの混合物5~30重量%、特に10~20重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%であり、任意に、補助開始剤としての少なくとも1つの第三級アミン、または補助開始剤としての1,2-メチレンジオキシベンゼンを含むものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%、特に0.3~3重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%、特に0.01~5重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.6重量%と
を含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と、
B)フィラー成分であって、該フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)少なくとも1つの無機フッ化物、有利にはフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばSiO、ZrO、および混合酸化物、特にSiOとZrOとの混合酸化物0~10重量%、特に5~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.6重量%と
を含むものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、コンポジット材中に60:40~40:60の重量比で存在し、コンポジット材の組成物全体は、100重量%である。
【0029】
また、本発明の主題は、A)モノマー成分を任意にB)フィラー成分との混合物の状態で含む歯科用材料であり、該歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物8~20重量%と、
c)i)一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/もしくは10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、および
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/もしくは少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも1つのカルボン酸官能化および/もしくはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマー1~10重量%、特に1.5~5重量%
ならびに/またはi)とii)との混合物と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)から選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、特に0.4~1.5重量%、ならびに
第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される、特に2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%、特に1.0~2.0重量%であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、1:1.5~1:3であるものとする、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)二酸化チタンを含む少なくとも1つの顔料0~1重量%、ならびに染料、UVおよび/またはVis安定剤0~2重量%、特に0.1~0.5重量%と、
f)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物0~76重量%、特にa)0~40重量%またはb)50~76重量%、特に50~76重量%と、
g)無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%、特に2~10重量%、好ましくは5~10重量%と、
h)染料、UVおよび/もしくはVis安定剤0~2重量%
ならびに/または少なくとも2つのフィラーe)~h)の混合物と
を含み、ここで、前述の成分a)~h)により、歯科用材料の100重量%の組成物全体となる。
【0030】
さらなる好ましい歯科用材料は、A)モノマー成分を、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で含み、該歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~30重量%と、
b)少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、該架橋剤は、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択され、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート5~10重量%、ならびに
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、もしくは少なくとも5個、特に5~20個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物1~5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート1~5重量%
であり、ここで、組成物全体中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、6~15重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、好ましくは一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート3~15重量%、特に3~10重量%、
ii)4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)0.5~5重量%、特に3.75~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオンから選択される少なくとも1つのジケトン0.3~1.5重量%、ならびに
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと補助開始剤の重量比は、1:1.7~1:3、有利には1:2であり、ここで、±0.15である、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.5重量%と、
g)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物10~80重量%、特に50~80重量%と、
h)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%と
を含み、
ここで、前述の成分a)~h)により、歯科用材料の100重量%の組成物全体となる。
【0031】
好ましくは、歯科用材料、特にコンポジットまたは小窩裂溝封鎖材は、モノマー成分中に、少なくともa)ウレタンジメタクリレート(UDMA)と、以下のものから選択される少なくとも1つのモノマーとを含む:i)TEGDMA、およびii)n=2~20のPEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、n=2~20のPPGDA(ポリプロピレングリコールジアクリレート)、n=2~20のPEGDMA(ポリエチレングリコールジメタクリレート)、n=2~20のPPGDMA(ポリプロピレングリコールジメタクリレート)またはDDDMA(ドデカンジオールジメタクリレート)、およびiii)BDMA、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)またはペンタエリスリトールテトラアクリレート、および任意にビス-GMAモノマー(ビスフェニルA-グリシジルメタクリレート)。ii)において、nは、好ましくはn=10~20である。
【0032】
特に好ましくは、歯科用材料、特にコンポジットまたは小窩裂溝封鎖材は、モノマー成分中に、少なくとも以下のものを含む:a)ウレタンジメタクリレート(UDMA)、ならびにi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせの少なくとも2つの異なるモノマー、ならびにb)i)TEGDMA、およびii)n=5~20のPEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、n=5~20のPPGDA(ポリプロピレングリコールジアクリレート)、n=5~20のPEGDMA(ポリエチレングリコールジメタクリレート)、n=5~20のPPGDMA(ポリプロピレングリコールジメタクリレート)またはDDDMA(ドデカンジオールジメタクリレート)、およびiii)BDMA、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)またはペンタエリスリトールテトラアクリレート。好ましくは、n=8~20、特に好ましくは10~20である。
【0033】
さらに好ましくは、歯科用材料は、モノマー成分中に、少なくとも以下のものを含む:a)少なくとも1つの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、有利にはウレタンジメタクリレート(UDMA)、ならびにi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせの少なくとも1つのモノマー、有利には少なくとも2つの異なるモノマー、ならびにb)i)TEGDMA、およびii)n=10~20のPEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、n=9~20のPPGDA(ポリプロピレングリコールジアクリレート)、n=10~20のPEGDMA(ポリエチレングリコールジメタクリレート)、n=9~20のPPGDMA(ポリプロピレングリコールジメタクリレート)またはDDDMA(ドデカンジオールジメタクリレート)、およびiii)BDMA、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)またはペンタエリスリトールテトラアクリレート、および任意にビス-GMAモノマー(ビスフェニルA-グリシジルメタクリレート)。
【0034】
モノマー成分A)において、a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートは、有利には、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテル、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、ウレタンジアクリレートオリゴマーを含む、二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択され、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレンおよび/またはビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換アルキレンエーテルが好ましく、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン(UDMA)が特に好ましい。
【0035】
二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートは、有利には、二価のアルキレン基で官能化された直鎖状または分岐状のウレタンジメタクリレート、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリアルキレンエーテルなどのアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテルまたはポリエーテルから選択され、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、UDMAが有利である。好ましいのは、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレンであり、ここで、アルキレンは、直鎖状または分岐状のC3~C20、有利にはC3~C6を含み、特に好ましいのは、メチル基で置換されたアルキレンである。二価のアルキレンは、有利には2,2,4-トリメチルヘキサメチレンおよび/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンを含む。特に好ましいのは、UDMA(1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン)である。
【0036】
また、本発明の主題は、歯科用材料、特にコンポジット材であって、該歯科用材料、特にコンポジット材は、有利には
b)として、少なくとも2つの異なる親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤を含み、ここで、1つの架橋剤がi)から選択され、1つの架橋剤がii)から選択されるか、または各架橋剤がそれぞれ別個にi)およびiii)から選択されるか、またはそれぞれ少なくとも1つの架橋剤が別個にi)、ii)およびiii)から選択され、該歯科用材料、特にコンポジット材は、特に好ましくは、b)として、以下のものから選択される少なくとも2つの異なる少なくとも二官能性、三官能性、四官能性、多官能性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤を含む:
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールグリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールグリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート(DEGA)、トリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、および
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、特に少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、特に、n=5~20、特に5~15、n=5~12の、有利には5~9個あるいは10~15個のエチレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびn=5~20、特に5~15、bn=5~12の、有利には5~9個あるいは10~15個の直鎖状または分岐状のプロピレングリコール基を有するポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートであって、好ましくは、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも2つのジ(メタ)アクリレートの混合物、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(ブタンジオールジメタクリレート)、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート。
【0037】
同様に、コンポジット材は、(e)として、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤を含むことができ、該架橋剤は、ウレタン(メタ)アクリレートではなく、かつ以下のものから選択される:(i)3個の(メタ)アクリレート基を有するものであって、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化(15)-トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化5-ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)-グリセリルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートおよび/または(ii)4個の(メタ)アクリレート基を有するものであって、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化(4)-ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、エトキシル化(4)-ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、および/または(iii)5個の(メタ)アクリレート基を有するものであって、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、i-ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジ(テトラメチロールメタン)ペンタメタクリレート、および/または(iv)6個の(メタ)アクリレート基を有するものであって、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート。
【0038】
c)酸性モノマーの混合物は、有利には、
i)2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシッドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシッドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシッドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシッドホスフェート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス-2または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メトキシフェニルアシッドホスフェート、および前述の(メタ)アクリレートの対応するチオホスホネートを含む、リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性モノエステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性モノエステル、特に、少なくとも1つのリン酸系(メタ)アクリレート、リン酸系ウレタン(メタ)アクリレートおよび/または少なくとも1つのチオリン酸系(メタ)アクリレートを、
ii)マレイン酸、p-ビニル安息香酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)、1,4-ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-、3-または4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N-O-ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N-(メタ)アクリロイル-p-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-O-アミノ安息香酸、グリシジル(メタ)アクリレートとN-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとの付加体、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3-または4-[N-メチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸および(メタ)アクリロイルオキシサリチル酸、少なくとも2個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも3個のカルボキシル基を有するオレフィン系カルボン酸無水物であって、特に、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物(PMDM)との付加生成物、2モルのヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1モルのマレイン酸無水物との付加反応生成物、または3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、または3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選択されるもの、および2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3-ジ(メタ)アクリルオイルオキシプロパンを含み、特にこれらから選択される、少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む。
【0039】
ここで、それぞれ独立して、それぞれの(メタ)アクリレートは、独立してメタクリレートおよびアルキレートから選択され、特にこれは、独立してウレタメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるウレタン(メタ)アクリレート、ならびにリン酸のモノエステルおよび言及された他のすべてのオレフィン系化合物にも当てはまる。
【0040】
特に好ましいのは、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(MAC-10)および4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/もしくはその無水物(4-META)、ならびに2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートである。
【0041】
酸性モノマーMDPおよび4-METAおよび/または4-METの含有量は、モノマー成分中で非常に低くすることができ、本発明によるコンポジットを用いて非常に良好な付着値を達成することができる。例えば、MDPの含有量は、モノマー成分中で約4~5重量%であってよく、4-METAおよび/または4-METの含有量は、モノマー成分中で約2重量%であってよく、有利には、象牙質(牛歯)に対する16~21MPaの範囲の付着強度、およびエナメル質(牛歯)に対する4~21MPAの範囲の付着強度を測定することができる。
【0042】
好ましい代替形態において、コンポジット材は、A)モノマー成分において、g)式IXの二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタンを含むことができ、
【化4】
ここで、それぞれ式IXにおけるR、R、RおよびRは、独立して、HまたはC1~C4アルキルから選択され、RおよびRは、それぞれ直鎖状の二価のC1~C4アルキレンであり、式IXにおいて、n=1~20およびm=1~20、好ましくはn=1~15およびm=1~15、特にn=3およびm=3またはn=10およびm=10である。特に好ましくは、n+m=10またはn+m=3である。
【0043】
さらなる代替形態において、コンポジット材は、A)モノマー成分において、i)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレート系モノマーを含むことができ、これには特に、2-ヒドロキシエチルメチルアクリレート(HEMA)が含まれる。代替的または付加的に、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートのような、ウレタン結合を含むメタクリレートも適している。さらなる適切な単官能性(メタ)アクリレート系モノマーには、芳香族ビニル化合物、例えばスチレンおよびジビニルベンゼン、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0044】
好ましい一実施形態によれば、歯科用材料は、A)モノマー成分を含み、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物10~35重量%と、
c)
i)リン酸の、特に式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIのリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、ならびに/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物5~30重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、該開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%、特に0.55重量%以上であり、補助開始剤としての少なくとも1つの第三級アミン、または補助開始剤としての1,2-メチレンジオキシベンゼン1.1重量%以上を含むものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と、
g)式IXの二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタンであって、ここで、それぞれ式IXにおけるR、R、RおよびRは、独立して、HまたはC1~C4アルキルから選択され、RおよびRは、それぞれ直鎖状の二価のC1~C4アルキレンであり、n=1~15およびm=1~15であるものとする、二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタン5~25重量%、特に5~15重量%と
を含み、
ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%である。A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中にA):B)=100:0~20:80の比で、または代替的にA):B)=100:0~30:70の比で存在することができる。
【0045】
B)フィラー成分として、小窩裂溝封鎖材またはコンポジット材から選択される歯科用材料において、有利には少なくとも1つのa)歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにb)任意に少なくとも1つの無機フッ化物および/または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩が使用され、ここで、a)少なくとも1つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび/またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも2つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、任意に、b)には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質SiO、ZrO、またはさらにはSiOとZrOとの混合酸化物、熱分解法シリカまたは沈降シリカ、非晶質シリカ、層状シリケート、石英、長石および少なくとも2つのフィラーの混合物が含まれる。フィラーは、すべて有利にはシラン化されていてよい。一般的なシラン化剤には、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよび(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランまたは(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシランおよび(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシランが含まれる。
【0046】
好ましい一実施形態によれば、歯科用材料、特に歯科用コンポジット材には、平均粒径d50が0.2~5.0μmであり、特にd50が0.2~2.0μmであり、有利には平均粒径が0.2~1.75μmであり、特にd50が1.0μmであり、任意に±0.6μm、有利には±0.05μmであり、有利にはd99が10μm以下である、少なくとも1つの歯科用ガラスおよび/またはこの混合物、特にX線不透過性歯科用ガラスまたはこの混合物が含まれる。特に好ましくは、平均粒径d50は、約0.85μmであり、任意に±0.1μm、特に±0.05μm、好ましくは特に±0.03μmであり、有利にはd99は10μm以下である。特に好ましい歯科用ガラスには、バリウムアルミニウムボロシリケートガラス、特にバリウムアルミニウムボロフルオロシリケートが含まれる。さらに、屈折率がn=1.52~1.55、有利には1.53であるバリウムアルミニウムシリケートガラスが存在する。特に好ましい粒径分布は、d10=0.1μm以上~d99=5μm以下、有利にはd10=0.4μm以上~d99=2.5μm未満の範囲であってよく、平均直径d50=0.8~1.00μmの範囲であってよい。
【0047】
さらに、本発明の主題は、フィラー成分を含む歯科用材料であって、該フィラー成分は、特にシラン化された、有利にはメタクリロキシプロピル基で官能化された、バリウムアルミニウムボロシリケートガラス、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケートガラスを含む少なくとも1つの歯科用ガラスと、任意に一次粒径が2~45nmである少なくとも1つの非凝集性の非晶質金属酸化物とを含み、非晶質金属酸化物は、沈降シリカ、酸化ジルコニウム、混合酸化物またはこれらの混合物を含み、特に、金属酸化物はシラン化されている、歯科用材料である。
【0048】
開始剤または開始剤成分として、有利にはd)ジケトンは、1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)であり、少なくとも1つの補助開始剤は、有利には2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートを含み、かつ/または1,2-メチレンジオキシベンゼンとして、ピペロニルアルコール(1,2-メチレンジオキシベンゼン-4-メタノール)を含む。さらなる適切な第三級アミンには、2-(エチルヘキシル)-4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエート、ジメチルアミノ安息香酸エステル、トリエタノールアミン、N,N-3,5-,N,N-3,5-テトラメチルアニリン、4-(ジメチルアミノ)フェニルエチルアルコール、ジメチルアミノ安息香酸エステル、4-(N,N-ジメチルアミノ)安息香酸が含まれ得る。
【0049】
二酸化チタンのような少なくとも1つの顔料、染料、および特に2-ヒドロキシ4-メトキシ安息香酸を含む少なくとも1つのUVおよび/またはVis安定剤が、モノマー成分および/またはフィラー成分の双方に存在していてよい。
【0050】
c)酸性モノマーの混合物は、有利には、i)ii)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、有利にはリン酸のモノエステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、有利にはチオリン酸のモノエステル、特に好ましくはリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステルおよび/またはチオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルを含み、特に好ましいのは、式I、Ia、Ibおよび/またはIIのエステル、ならびにこれらを含む混合物であり、かつii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、有利には少なくとも1つのカルボン酸官能化および/またはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマーを含み、i)およびii)は、1:3~1:1、有利には1:2.75~1:1.75、好ましくは1:2.25~1:1.75の重量比で存在する。(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレートには、アクリレートまたはメタクリレートの双方が含まれるという上記の定義が、ここでも同様に適用される。
【0051】
特に好ましい一実施形態において、歯科用材料は、A)モノマー成分中でc)において、A)モノマー成分の100重量%の組成物全体に対して、i)として、リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、有利にはリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステル、チオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルおよび/またはチオリン酸とウレタン(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル4~20重量%、特に9.5~20重量%を含み、特に好ましいのは、式I、Ia、Ibおよび/またはIIのエステル、ならびにこれらを含む混合物であり、かつii)として、少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、有利には少なくとも1つのカルボン酸官能化および/またはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマー2~10重量%、特に3.75~10重量%を含む。全体にわたって、(メタ)アクリレートは、メチルアクリレートまたはアクリレートと同義で用いられ、すなわち、すべての(メタ)アクリレートは、架橋剤、リン酸のウレタンまたはモノエステルとして開示されているか否かにかかわらず、メチルアクリレートまたはアクリレートとして開示される。
【0052】
さらに、歯科用材料は、好ましくは、A)モノマー成分であって、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート50~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの該架橋剤の混合物10~35重量%、特に15~35重量%、好ましくは20重量%±5重量%、特に20重量%±3重量%と、
c)i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステル、特にリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステルおよび/またはチオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル4~20重量%、特に9.5~20重量%を、ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物、特に少なくとも1つのカルボン酸官能化および/またはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマー2~10重量%、特に3.75~10重量%と組み合わせたものとを含み、これを、以下:
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)から選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、特に0.5~2.5重量%、および
第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択され、特に2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコール(1,2-メチレンジオキシベンゼン-4-メタノール)から選択される少なくとも1つの補助開始剤であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤、好ましくは第三級アミンとの重量比は、1:1.5~1:3、有利には1:2であり、この値2は、±0.15の変動を伴うものとする、補助開始剤0.6~2.5重量%、特に1.0~2.5重量%、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%、特に0.01~5重量%、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.6重量%
と組み合わせて含み、
ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と、
B)フィラー成分であって、該フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%、
b)無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばSiO、混合酸化物、ケイ酸塩、石英、長石および/またはこれらの混合物0~10重量%、特に5~10重量%、
c)少なくとも1つの顔料、例えばTiO、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.6重量%および/または
少なくとも2つのフィラーの混合物を含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、100重量%であるものとする、フィラー成分とを含み、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に70:30~30:70、特に60:40~40:60の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0053】
好ましい一代替形態において、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に55:45~35:65の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である。
【0054】
さらなる特に好ましい歯科用材料、特にコンポジット材は、A)としてモノマー成分を含み、該モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート50~80重量%と、
b)i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択される少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート10~20重量%、ならびに
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/またはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、または少なくとも5個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するもの、ならびにこれらの混合物2~7.5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート2~7.5重量%
であり、ここで、モノマー成分A)中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、17.5~25重量%、特に15~35重量%、または20重量%±3重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)式I、Ia、Ibおよび/またはIIのモノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートを含むリン酸の酸性モノエステル4~20重量%、特に9.5~20重量%と、
ii)4-(メタクリロイルオキシエチル)トリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)2~10重量%、特に3.75~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)および/またはフェニルプロパンジオンから選択される少なくとも1つのジケトン、ならびに任意に少なくとも2つのジケトンを含む混合物0.5~2.5重量%、特に0.5~2.5重量%と、
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコール(1,2-メチレンジオキシベンゼン-4-メタノール)から選択される少なくとも1つの補助開始剤であって、ジケトンと補助開始剤との重量比は、1:1.5~1:3、有利には1:2であり、この値2は、±0.15の変動を伴うものとする、補助開始剤1.0~2.5重量%、特に1.1~2.5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~5重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、例えばTiO、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%、特に0.1~0.6重量%と
を含み、
ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であり、
B)フィラー成分を含み、該フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラス90~100重量%と、
b)無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、例えばSiO、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩0~10重量%、特に5~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、例えばTiO、染料、UVおよび/もしくはVis安定剤ならびに/または少なくとも2つのフィラーの混合物0~5重量%、特に0.1~0.6重量%とを含み、ここで、フィラー成分の組成物全体は、100重量%であり、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、コンポジット材中に59:41~20:80の重量比で存在し、コンポジット材の組成物全体は、100重量%である。
【0055】
成分の含有量が記載されている示された組成物において、特にその後に記載されている含有量は、一体的なものとして理解されるべきであり、下位群において、好ましいものとしてそこに記載されている含有量についても同じことが適用される。開示は、例示的に列挙された実施例にも関連づけて理解されるべきであり、化学者または材料科学者に向けたものである。
【0056】
また、本発明の主題は、重合、特に可視光による重合によって得ることができる重合歯科用材料であって、特に、重合歯科用材料は、牛歯象牙質に対する10MPa以上、有利には15MPa以上、好ましくは17MPa以上、特に好ましくは20MPa以上のせん断付着強度および/または牛歯エナメル質に対する12MPa以上、有利には19MPa以上、好ましくは22MPa以上、特に好ましくは23MPa以上のせん断付着強度を示す。
【0057】
さらに、本発明の主題は、歯、特にヒトまたは家畜の歯の象牙質および/またはエナメル質への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着のための、硬化性または重合性の歯科用材料の使用である。放射線硬化は、有利には可視光(Vis線)によって、好ましくは420~500nmの波長範囲で、好ましくは485nmで行われる。適切な光源は、LED照明器具である。
【0058】
また、本発明の主題は、エナメル質および/もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、ならびに/または歯、特にヒトもしくは家畜の歯の象牙質および/もしくはエナメル質上の金属基材、セラミック基材および/もしくはポリマーを含むハイブリッド材料、特に非貴金属、ジルコン、コンポジット、貴金属を含む基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着に使用するための、自己接着性の放射線硬化性歯科用材料、特に小窩裂溝封鎖材もしくは歯科用コンポジット材または自己接着性の重合、特に放射線硬化コンポジット材である。また、本発明の主題は、自己接着性小窩裂溝封鎖材として使用するための、または自己接着性歯科用コンポジットとして使用するための歯科用材料である。
【0059】
以下の実施例は、本発明の主題を特定の実施例に限定することなく説明するためのものである。
【0060】
方法の説明:
せん断付着強度の測定を、DIN EN:ISO 29022(2013)に準拠して行う。牛歯のエナメル質および/または象牙質の表面を、粒度120~粒度320のSiCペーパー上で準備した。「未切削」表面の場合、機械的に清浄化した牛歯エナメル質表面を付着面として使用する(3M製Sof-Lexディスク)。小窩裂溝封鎖材を歯質にすり込み、Tranzlux Wave(Kulzer GmbH、スペクトル:440~480nm、出力密度1200ミリワット/cm)で10秒間光を照射する。その後、この材料を円筒形のプラスチック型(Ultradent製器具)に充填し、20秒間硬化させる。時効をシミュレートするため、一部の試料を熱サイクル(TWC=熱サイクル、人工時効のための熱サイクル浴/熱サイクル負荷)に供する(5℃~55℃の水浴、滞留時間30秒、移動時間5秒、5000サイクル)。せん断付着強度を、万能試験機(クロスヘッド速度1mm/min)で測定する。HO中37℃で24時間測定する。万能試験機(室温)で測定を行う。特に断りのない限り、RZS/RZDは、24時間の測定値である。
【0061】
曲げ強さおよび曲げ弾性率は、DIN-ISO 4049規格(ポリマー系充填、修復および補強材、室温での測定、2019年)に準拠して実施する。
【0062】
吸水率/溶解度の測定を、DIN-ISO 4049 Part7.12~4-8に準拠して行う。直径15mm、幅1mmの試験体を硬化させ、乾燥させ、HO中37℃で7日間保存し、再び乾燥させる。
【0063】
小窩裂溝封鎖材の膜厚を、ISO 4049 7.5に準拠して測定する。この材料に、2枚のガラス板の間で180秒間にわたって150Nの負荷をかけ、硬化させ、その差を外径測定用マイクロメーターで測定する。
【0064】
硬さを以下のようにして測定する:試験体である10mmデルリン型/テフロン型を上面(OS)で20秒間硬化させる。下面(US)に印をつける。HO中、37℃で24時間保存し、平坦に切削し、ダイヤモンドを使用してZwick製ユニバーサル硬度計で上面/下面の貫入力(N/mm)/貫入深さを測定する。
【0065】
以下の実施例で使用したアルキレンオキシド系二官能性メタクリレート、例えばTEGDMA、PEGDMAまたはDDDMA(ドデカンジオールジメタクリレート)は、特に好ましい代替形態ではこれらの組み合わせに基づき、かつ/または含有に基づき、小窩裂溝封鎖材の非重合状態で、エナメル質への良好な密着性および小窩裂溝への浸透性をもたらし、ひいては放射線硬化後に高い付着性能をもたらす。エナメル質への付着は、エナメル質を事前にエッチングすることなく生じる。
【0066】
重合時の架橋の転化率が高いと、基材、この場合は象牙質および/またはエナメル質への良好な付着も生じるため、開始剤の濃度に加え、歯科用材料中のジケトンと補助開始剤との比も特に重要である。カンファーキノン(CQ)/第三級アミン(2-n-ブトキシエチル)-4-(ジメチルアミノ)-ベンゾエート(BEDB)の組み合わせの含有量は、モノマー成分中で、好ましくは歯科用材料の組成物全体中で、ジケトンが0.2重量%超であり、特に0.3重量%超であり、開始剤系中の補助開始剤が0.4重量%超であり、特に0.6重量%超であることが望ましい。表1に、その他の点では質的および量的に同一組成の歯科用材料において、熱サイクル浴(TWL)後に、切削牛歯エナメル質(RZS)および未切削エナメル質(未切削RZS)に対して得られたせん断付着強度の値を示す(ISO 29022に準拠した測定、単位MPa)。せん断付着強度は、前述の開始剤系を用い、濃度を増加させることで、未切削RZSに対して熱サイクル浴(TWL)後でも明らかに増加させることができた。
【0067】
フィラーの粒径:粒径を、レーザー回折法で測定する。通常、粒径測定は、CilasあるいはHoriba LA-950(Retsch)またはDT1200(Dispersion Technology)の機器を用いたレーザー回折法で行われる。この場合、非シラン化フィラーは水(蒸留水)中で測定し、シラン化フィラーはイソプロパノール中で測定する。粒径測定の精度は、有利には、例えば0.4マイクロメートルまたはd50=0.4マイクロメートルの粒径を有するフィラーの場合には、±0.1マイクロメートルである。1.5マイクロメートルまたはD50=1.5マイクロメートルの粒径での精度も、同様に少なくともこの範囲である。
【0068】
【表1】
【0069】
以下の実施例で使用したアルキレンオキシド系二官能性メタクリレート、例えばTEGDMA、PEGDMAまたはDDDMA(ドデカンジオールジメタクリレート)は、特にこれらの組み合わせに基づき、かつ/または含有に基づき、コンポジットの非重合状態で、象牙質およびエナメル質の極性基材への良好な密着性をもたらし、ひいては放射線硬化後に高い付着強度をもたらす。
【0070】
可視光による重合時の架橋の転化率が高いと、基材、この場合は象牙質およびエナメル質への良好な付着も生じるため、コンポジット中の開始剤濃度も非常に重要である。カンファーキノン(CQ)/第三級アミンの組み合わせの含有量は、組成物全体中で有利には0.3重量%超/0.6重量%超であることが望ましい。表1に、牛歯象牙質(RZD)および牛歯エナメル質(RZS)に対して得られたせん断付着強度(SBS、Shear bond Strength)の値を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
4-META(4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物)をMDP(10-メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート)のようなリン酸含有モノマーと組み合わせて追加で使用すると、象牙質への付着強度が明らかに向上する。これは特に、長いPEG基を有する架橋剤/可塑剤(PEG600 DMA、n=13)、または本発明において親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であるとみなされるドデカンジオールジメタクリレート(DDDMA)と組み合わせた場合に言えることである。カルボン酸またはカルボン酸無水物の酸性モノマーと、酸性エステルと、TEGDMAおよびPEGDMAまたはTEGDMAおよびDDDAを含む2つの異なるアルキレンオキシド系二官能性メタクリレートとを組み合わせたコンポジットにより、最も高いせん断付着強度を達成することができる(表2a/2b参照)。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
4-META(4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物)をMDP(10-メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート)のようなリン酸含有モノマーと組み合わせて追加で使用すると、付着強度がさらに明らかに向上する。これは特に、例えばヘプタ(プロピレングリコール)ジアクリレート(n=7)、ヘプタ(エチレングリコール)ジアクリレート(n=7)、またはドデカンジオールジメタクリレート(DDDMA、n=12)のような、TEGDMAよりも長いPEG基を有する架橋剤/可塑剤と組み合わせた場合に言えることである。カルボン酸またはカルボン酸無水物の酸性モノマーと、リン酸の酸性エステルと、TEGDMAおよびPEGDMA(ポリエチレングリコールジメチルアクリレート)、TEGDMAおよびポリエチレングリコールジアクリレートまたはTEGDMAおよびDDDAを含む2つの異なるアルキレンオキシド系二官能性メタクリレートとを組み合わせた歯科用材料により、高いせん断付着強度を達成することができる。あるいは、カルボン酸またはカルボン酸無水物の酸性モノマーと、リン酸の酸性エステルと、n=3~15未満、特にn=3~9のポリプロピレングリコールジアクリレートを含む2つの異なるアルキレンオキシド系二官能性アクリレートとを組み合わせた小窩裂溝封鎖材を用いることで、非常に高いせん断付着強度を達成することができる。プロピレングリコールジアクリレート系の小窩裂溝封鎖材はさらに、TWCの有無にかかわらず、せん断付着強度の増加と同時に吸水率の減少を示す。
【0076】
コンポジット製造用歯科用材料中のフィラー成分割合を60重量%として、実施例15、実施例16および実施例17を調製した。これらの付着性能は、競合するConsticおよびVertise Flowとは明らかに異なる。実施例15では、補助開始剤に対して本発明による含有量のジケトンを使用し、親水性架橋剤としてn=13のプロピレングリコールジメチルアクリレートを使用した。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】
【表16】
【0089】
【表17】
【0090】
【表18】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己接着性でかつ放射線硬化性の重合性歯科用材料であって、前記歯科用材料は、
A)モノマー成分を含み、前記モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートであって、ここで、それぞれ独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、ウレタン(メタ)アクリレートと、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物であって、ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択されるものとする、架橋剤または架橋剤の混合物と、
c)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルと、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、i)ジケトンと、ii)第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも1つの補助開始剤とを含むものとする、開始剤および/または開始剤系と、
g)式IXの二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタンであって、
【化1】
ここで、式IXにおけるR 、R 、R およびR は、それぞれ独立して、HまたはC1~C4アルキルから選択され、R およびR は、それぞれ直鎖状の二価のC1~C4アルキレンであり、式IXにおいて、n=2~15およびm=2~15であるものとする、二置換4,4’-ジ(オキサベンゼン)ジアルキルメタンと
を含み、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%であり、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.1以上のモル比で存在し、i)前記ジケトンは、前記組成物全体において0.2重量%以上存在する、歯科用材料。
【請求項2】
前記歯科用材料は、B)フィラー成分を含み、前記フィラー成分は、少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物を含み、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1記載の歯科用材料。
【請求項3】
前記歯科用材料は、
c)
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む酸性モノマーの混合物
を含む、請求項1または2記載の歯科用材料。
【請求項4】
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、i)ジケトンと、ii)第三級アミンから選択される補助開始剤とを含み、ここで、i)ジケトンおよびii)補助開始剤は、ii):i)=1.15以上のモル比で存在し、i)前記ジケトンは、前記歯科用材料の100重量%の組成物全体において0.4重量%以上存在するものとする、開始剤および/または開始剤系
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項5】
前記歯科用材料は、
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルであって、前記エステルは、リン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステル、リン酸とウレタン(メタ)アクリレートとのモノエステルおよび/またはチオリン酸と(メタ)アクリレートとの少なくとも1つのモノエステルを含み、ここで、それぞれ独立して、(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートから選択され、独立して、ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートから選択されるものとする、エステル
を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項6】
前記歯科用材料は、
A)モノマー成分であって、前記モノマー成分は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート40~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物10~35重量%と、
c)以下:
i)リン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルおよび/またはチオリン酸の少なくとも1つのオレフィン系酸性エステルを、
ii)少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸および/または少なくとも1つのオレフィン系カルボン酸無水物
と組み合わせて含む、酸性モノマーの混合物5~30重量%と、
d)少なくとも1つの開始剤および/または開始剤系であって、前記開始剤および/または開始剤系は、それぞれ吸収極大が420~550nmであり、ここで、モノマー成分中で、i)少なくとも1つのジケトンの含有量が、0.3重量%以上であり、ii)少なくとも1つの補助開始剤の含有量が、0.6重量%以上であるものとする、開始剤および/または開始剤系0.3~5重量%と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であるものとする、モノマー成分と
B)フィラー成分であって、前記フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%と
を含み、ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であるものとする、フィラー成分と
を含み、
ここで、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1からまでのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項7】
A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、前記歯科用材料中に100:0~60:40の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から5までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項8】
i)は、一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、または式I、Ia、IbおよびIIから選択される少なくとも2つのモノエステルの混合物を含み、
【化2】
ここで、R=CH、OR、ORまたはORであり、式I、Ia、IbおよびIIにおけるR、RおよびRは、それぞれ独立して、式III、IIIa、IIIb、IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよびVIIIbから選択され、
【化3】
- 式Iaにおいて、o=1~100であり、
- 式IIIaおよび/またはIIIbにおいて、m=1~100であり、ここで、式IIIaおよびIIIbにおいて、Rは、Hおよびメチルから選択され、
- 式VおよびVIIaにおいて、それぞれ独立して、n=1~100であり、
- 式I、Ia、IbおよびIIにおいて、R、RおよびRから選択される少なくとも1つの基または2つの基は、式IIIまたはIIIaの基に対応し、R、RおよびRの残りの基は、式IV、V、VIa、VIIa、VIIaおよび/またはVIIIbの少なくとも1つの基から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、式IV、V、VIa、VIb、VIIa、VIIb、VIIIaおよびVIIIbの基において、H、メチルおよびエチルから選択され、かつ
- Rは、それぞれ独立して、式Ia、Ib、VIIIaおよびVIIIbの基において、Hおよびメチルから選択され、
- 式VIIIaおよび/またはVIIIbにおいて、m=0または1~100、特に1~20であり、Rは、Hおよびメチルから選択される、請求項1からまでのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項9】
前記歯科用材料は、A)モノマー成分を、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で含み、前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)少なくとも2つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤であって、前記架橋剤は、i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の組み合わせからそれぞれ選択され、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート10~20重量%、ならびに/または
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、もしくは少なくとも5個、特に5~20個のエチレングリコール基もしくはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物2~7.5重量%、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート2~7.5重量%
であり、ここで、組成物全体中のi)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)の全含有量は、12~25重量%であるものとする架橋剤と、
c)i)一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、
ii)4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(4-META)および/または4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)2~10重量%と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオン、ベンゾイルトリメチルゲルマン(BTMGe)および/またはジベンゾイルジエチルゲルマン(DBDEGe)から選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび/またはピペロニルアルコールから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと補助開始剤の重量比は、1:1.5~1:3である、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)ウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1つの三官能性、四官能性、五官能性および/または六官能性の(メタ)アクリレート系架橋剤0~10重量%と、
f)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/またはVis安定剤0~5重量%とを含み、ここで、モノマー成分A)の組成物全体は、100重量%であり
B)フィラー成分は、
a)少なくとも1つの歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物90~100重量%と、
b)無機フッ化物、金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%と、
c)少なくとも1つの顔料、染料、UVおよび/もしくはVis安定剤ならびに/または少なくとも2つのフィラーの混合物0~5重量%と
を含み、
ここで、フィラー成分B)の組成物全体は、100重量%であり、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に100:0~20:80の重量比で存在し、歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1からまでまたは請求項のいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項10】
前記歯科用材料は、A)モノマー成分を、B)フィラー成分との混合物の状態で含み、A)モノマー成分およびB)フィラー成分は、歯科用材料中に59:41~20:80の重量比で存在し、前記歯科用材料の組成物全体は、100重量%である、請求項1から8までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項11】
前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレートであって、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化エーテル、3~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテルを含む、二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレートから選択され、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン(UDMA)が特に好ましいものとする、ウレタン(メタ)アクリレート
を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項12】
前記歯科用材料は、1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン(UDMA)を含む、請求項11記載の歯科用材料。
【請求項13】
前記歯科用材料は、b)として、
以下:
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ii)ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するもの、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(ブタンジオールジメタクリレート)、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレートおよび/もしくはドデカンジオールジメタクリレート
から選択される少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤を含む、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項14】
少なくとも1つの親水性アルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物から選択される、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項15】
少なくとも1つの親水性アルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物であって、少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するものから選択される、請求項1から14までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項16】
少なくとも1つの親水性アルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤は、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物から選択され、これには、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジアクリレート、デカプロピレングリコールジメタクリレート、デカプロピレングリコールジアクリレート、ウンデカプロピレングリコールジメタクリレート、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート、ドデカプロピレングリコールジメタクリレート、ドデカプロピレングリコールジアクリレート、および前述の少なくとも2つのジ(メタ)アクリレートの混合物が含まれる、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項17】
前記歯科用材料は、c)として、酸性モノマーの混合物を含み、前記混合物は、
i)一般式I、Ia、Ibおよび/またはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/または10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェートと、
ii)4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4-MET)および/またはその無水物(4-META)と
を含む、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項18】
前記歯科用材料は、b)として、
i)およびii)、またはi)およびiii)、またはi)、ii)およびiii)から選択される少なくとも2つの異なる親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤
を含み、ここで、
i)1,2-エタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートおよび/またはテトラプロピレングリコールジアクリレート、ならびに
ii)少なくとも5個のエチレングリコール基またはプロピレングリコール基を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび/もしくはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物、ならびに/または
iii)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート
である、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項19】
前記B)フィラー成分は、少なくとも1つのa)歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、ならびにb)任意に少なくとも1つの無機フッ化物および/または非晶質金属酸化物、混合酸化物、結晶性金属酸化物、ケイ酸塩を含み、ここで、a)少なくとも1つの歯科用ガラスには、アルミノシリケートガラスまたはフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムアルミニウムシリケート、バリウムアルミニウムボロフルオロシリケート、ストロンチウムシリケート、ストロンチウムボロシリケート、リチウムシリケートおよび/またはリチウムアルミニウムシリケート、フッ化イッテルビウムを含む歯科用ガラス、ならびに前述の少なくとも2つの歯科用ガラスの混合物が含まれ、b)には、フッ化イッテルビウム、酸化物系または混合酸化物系の非晶質球状フィラー、例えば、非晶質SiO、ZrO、またはさらにはSiOとZrOとの混合酸化物、石英、長石および少なくとも2つの前記フィラーの混合物が含まれる、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項20】
e)少なくとも1つの開始剤および/または少なくとも1つの開始剤系のジケトンは、1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)、フェニルプロパンジオンを含み、少なくとも1つの補助開始剤は、第三級アミンとして2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートを含む、請求項1から1までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項21】
A)モノマー成分は、任意にB)フィラー成分との混合物の状態で存在し、前記歯科用材料は、
a)少なくとも1つの少なくとも二官能性のウレタン(メタ)アクリレート20~80重量%と、
b)i)ウレタン(メタ)アクリレートを含まずかつ/またはii)芳香族基を含まない、少なくとも1つの親水性のアルキレンオキシド系二官能性(メタ)アクリレート系架橋剤または少なくとも2つの前記架橋剤の混合物8~20重量%と、
c)i)一般式I、Ia、Ibおよび/もしくはIIの少なくとも1つのリン酸の少なくとも1つの酸性モノエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシッドホスフェートおよび/もしくは10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシッドホスフェート4~20重量%、および
ii)少なくとも1つのカルボン酸官能化および/もしくはカルボン酸無水物官能化(メタ)アクリレートモノマー1~10重量%
ならびにまたはi)およびii)の混合物と、
d)1,7,7-トリメチル-ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタ-2,3-ジオン(カンファーキノン)およびフェニルプロパンジオンから選択される少なくとも1つのジケトン0.3~2.5重量%、ならびに
第三級アミンおよび1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される少なくとも1つの補助開始剤0.6~2.5重量%であって、ここで、ジケトンと、第三級アミンまたは1,2-メチレンジオキシベンゼンから選択される補助開始剤との重量比は、1:1.5~1:3であるものとする、ジケトンおよび補助開始剤と、
e)二酸化チタンを含む少なくとも1つの顔料0~1重量%、ならびに染料、UVおよび/またはVis安定剤0~2重量%と、
f)少なくとも1つの歯科用ガラス0~76重量%と、
g)無機フッ化物、例えばフッ化イッテルビウム、金属酸化物、混合酸化物および/またはケイ酸塩0~10重量%と、
h)二酸化チタンを含む少なくとも1つの顔料0~1重量%、特に0.1~0.5重量%、ならびに染料、UVおよび/もしくはVis安定剤0~2重量%
ならびに/または少なくとも2つの前記フィラーe)~h)の混合物と
を含み、ここで、前述の成分a)~h)により、前記歯科用材料の100重量%の組成物全体となる、請求項1から20までのいずれか1項記載の歯科用材料。
【請求項22】
請求項1から2までのいずれか1項記載の歯科用材料の重合によって得ることができる重合歯科用材料であって、象牙質に対する10MPa以上、有利には15MPa以上、好ましくは17MPa以上、特に好ましくは20MPa以上のせん断付着強度および/またはエナメル質に対する12MPa以上、有利には19MPa以上、好ましくは22MPa以上、特に好ましくは23MPa以上のせん断付着強度を示す、重合歯科用材料。
【請求項23】
エナメル質および/もしくは象牙質の小窩裂溝の封鎖時に使用するための、または歯の象牙質および/もしくはエナメル質を含む基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着に使用するための、請求項1から21までのいずれか1項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用材料。
【請求項24】
金属基材、セラミック基材、ポリマー成形体および/または前述のハイブリッド材料の基材を含む基材への放射線硬化性でかつ自己接着性の付着のための、請求項1から21までのいずれか1項記載の自己接着性の放射線硬化性歯科用材料の使用。
【国際調査報告】