(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】トール様受容体アゴニストを使用したがん治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/711 20060101AFI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/711
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P1/16
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560819
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022022801
(87)【国際公開番号】W WO2022212690
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521104137
【氏名又は名称】トリサルース・ライフ・サイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・シー・カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エフ・コックス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ベンジャミン・ジャロク
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA65
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明の実施形態は、血管系を通した局所領域療法を使用して、がんを治療する方法、及び肝臓の固形腫瘍にトール様受容体(TLR)アゴニストを送達する方法を提供する。一態様では、本発明は、TLR9アゴニストを肝臓に投与することを含む、肝細胞がん(HCC)及び肝内胆管がん(ICC)などの原発性肝臓がんを治療する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原発性肝臓がんを治療するための方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の構造:5’-TCG AAC GTT CGA ACG TTC GAA CGT TCG AAT-3’(配列番号1)を有するトール様受容体9(TLR9)アゴニストを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記原発性肝臓がんが、肝細胞がん(HCC)又は肝内胆管がん(ICC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TLR9アゴニストが、肝動脈注入(HAI)によってデバイスを通して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記TLR9アゴニストが、門脈注入(PVI)によってデバイスを通して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
投与される前記TLR9アゴニストの前記治療有効量が、0.01mg/mL、0.04mg/mL、0.08mg/mL、又は0.16mg/mLからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
投与される前記TLR9アゴニストの前記治療有効量が、0.5mg、2mg、4mg、又は8mgからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記TLR9アゴニストが、カテーテルデバイスを通して投与され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カテーテルデバイスが、局所的圧力及び/流量変化に動的に応答する一方向バルブを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記TLR9アゴニストが、圧力有効化薬物送達を介して前記カテーテルデバイスを通して投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記TLR9アゴニストが、約10~200分の期間にわたって投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記TLR9アゴニストが、約10~60分の期間にわたって投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記TLR9アゴニストが、約25分の期間にわたって投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記TLR9アゴニストが、1つ以上のチェックポイント阻害剤(CPI)と組み合わせて投与され、前記CPIが、前記TLR9アゴニストの投与と同時、その前、又はその後のいずれかで全身投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のCPIが、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びイピリムマブのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記TLR9アゴニストの投与が、サイクルを含む投与レジメンを含み、前記サイクルのうちの1つ以上が、肝動脈注入によるカテーテルデバイスを介した前記TLR9アゴニストの投与、続いて、前記1つ以上のチェックポイント阻害剤(CPI)の全身投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
1サイクルが、3週間連続で週に1回、前記治療有効量のTLR9アゴニストの投与を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投与レジメンが、2サイクルを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のCPIが、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びイピリムマブのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、両方とも参照によりその全体で組み込まれる、2021年4月1日に出願された米国仮特許出願第63/169,674号、及び2022年1月11日に出願された米国仮特許出願第63/298,589号の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当該ASCIIコピーは、2020年9月16日に作成され、A372-502_SL.txtという名称であり、サイズは、484バイトである。
【0003】
本開示は、概して、血管系を通した局所領域療法を使用して、がんを治療する方法、及び肝臓の固形腫瘍にトール様受容体(TLR)アゴニストを送達する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、皮膚、肝臓、及び膵臓などの様々な臓器における固形腫瘍の増殖をもたらし得る、細胞の抑制のない増殖を伴う壊滅的な疾患である。腫瘍は、最初に任意の数の臓器に存在し得るか、又は転移の結果であり得るか、又は他の位置からの拡散であり得る。
【0005】
肝細胞がん(HCC)及び肝内胆管がん(ICC)は、最も一般的な原発性肝臓腫瘍であり、肝臓内の進行が急速に進行性でしばしば致命的な状態をもたらす、固形臓器悪性腫瘍の中の1つである。
【0006】
HCCは、原発性肝臓腫瘍の症例の90%超を表す。HCC及びICC患者の両方が、治療に関して同じ特徴及び課題の多くを共有する。両方の疾患について、5年生存率は、<20%である。
【0007】
手術が、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんの唯一の潜在的な治療処置となっているが、具体的な症状がないことに起因して、患者の約70%が進行期で診断され、潜在的に治癒的な切除の後でさえも、腫瘍再発が頻繁である。他の悪性腫瘍におけるその有効性を考慮すると、チェックポイント阻害剤(CPI)もまた、HCC及びICCがある患者で試されているが、薬物送達の課題及び肝臓における免疫応答の抑制に起因して、今日までのその成功は限定されている。
【0008】
したがって、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんの治療のための安全かつ効果的な治療法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、治療有効量のトール様受容体(TLR)アゴニストを使用して、原発性肝臓がんを治療する方法に関する。
【0010】
一態様では、本発明は、肝動脈注入(HAI)によってデバイスを通してTLRアゴニストを投与することを含む、原発性肝臓がんを治療する方法に関する。別の実施形態によれば、原発性肝臓がんの治療は、門脈注入(PVI)によってデバイスを通してTLRアゴニストを投与することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、カテーテルデバイスなどのデバイスを通した治療薬の投与を含む、圧力有効化薬物送達(PEDD)を通して投与される。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスは、局所的圧力変化に動的に応答する一方向バルブを備える。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスは、血管及び/又は標的組織若しくは腫瘍内の流体圧力の正味の増加を生成する、引き起こす、かつ/又はそれに寄与する。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスは、血管及び/又は標的組織若しくは腫瘍内の流体圧力の正味の減少を生成する、引き起こす、かつ/又はそれに寄与する。いくつかの実施形態では、カテーテルデバイスは、最初に、血管及び/又は標的組織若しくは腫瘍内の流体圧力の減少、次いで、増加を生成する、引き起こす、かつ/又はそれに寄与する。
【0012】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、血管圧を調節するものなどの圧力有効化デバイスを通して投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、投与されるTLRアゴニストの量は、約0.01~20mgの範囲内、又は0.5mg、2mg、4mg、若しくは8mgのうちの少なくとも1つである。
【0014】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、1~100mLの範囲内、又は10mL、25mL、若しくは50mLのうちの少なくとも1つの溶液中で投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、0.0001~20mg/mLの範囲内、又は0.01mg/mL、0.04mg/mL、0.08mg/mL、若しくは0.16mg/mLのうちの少なくとも1つで投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、約10~200分の期間にわたって投与される。別の実施形態では、TLRアゴニストは、約10~60分の期間にわたって投与される。別の実施形態では、TLRアゴニストは、約25分の期間にわたって投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、1つ以上のCPIと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、CPIは、TLRアゴニストの投与と同時、その前、又はその後のいずれかで全身投与される。いくつかの実施形態では、CPIは、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びイピリムマブのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストの投与は、サイクルを含む投与レジメンを含む。いくつかの実施形態では、サイクルのうちの1つ以上は、HAIによるカテーテルデバイスを介したTLRアゴニストの投与、続いて、1つ以上のCPIの全身投与を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、投与レジメンの1サイクルは、3週間連続で週に1回のTLRアゴニストの投与を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2サイクルを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、肝臓への血管内デバイスを通したTLRアゴニストの投与は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)の低減、又は免疫抑制を制限するためのMDSCの機能的変化をもたらす。いくつかの実施形態では、肝臓への血管内デバイスを通したTLRアゴニストの投与は、抗腫瘍効果をもたらす。
【0021】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、TLR9アゴニストである。いくつかの実施形態では、TLR9アゴニストは、SD-101である。
【0022】
本開示の例示的な実施形態のこれら並びに他の目的、特徴、及び利点は、本明細書全体と併せて考慮される場合、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0023】
本開示の更なる目的、特徴、及び利点は、本開示の例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】健康なドナーから採取され、MDSCを誘導するためにIL6及びGM-CSFで処置されたヒトPMBCのインビトロ分析を例示する。
【
図3】腫瘍の有無別のマウス由来の、MDSCを誘導するためにGM-CSFが使用された、マウス骨髄細胞のインビトロ分析を例示する。
【
図4】SD-101の注入後のブタ肝葉の断面像を例示する。
【
図5】HCC及びICCに対する全身チェックポイント遮断を伴うSD-101のHAIのフェーズ1b/2圧力有効化局所免疫腫瘍学研究の全体的な研究設計を例示する。
【0025】
図面全体を通して、特に明記しない限り、同じ参照番号及び文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、又は部分を示すために使用される。更に、本開示は、図面を参照して詳細に説明されるが、それは例示的な実施形態に関連して行われ、図面及び添付の段落に例示される特定の実施形態によって限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施形態の説明は、本発明の異なる態様の特徴及び教示を特に説明するために数字を参照する非限定的な代表的な例を提供する。説明される実施形態は、実施形態の説明とは別に、又は他の実施形態と組み合わせて実施することが可能であると認識されるべきである。実施形態の説明を検討する当業者は、本発明の異なる説明された態様を理解することができるはずである。実施形態の説明は、具体的にはカバーされていないが、実施形態の説明を読んだ当業者の知識の範囲内である他の実施形態が、本発明の出願と一致すると理解される程度に、本発明の理解を容易にするべきである。
【0027】
トール様受容体アゴニスト
トール様受容体は、微生物病原体関連分子パターン(PAMP)を検出することができるパターン認識受容体である。TLR9刺激などのTLR刺激は、広範な先天性免疫刺激を提供することができるだけでなく、肝臓における免疫抑制の優勢な推進要因に特異的に対処することもできる。TLR1-10は、ヒトにおいて発現され、多様な微生物PAMPを認識する。この点で、TLR9は、微生物DNAを含む非メチル化CpG-DNAに応答することができる。CpGは、シトシン及びグアニンジヌクレオチドlのモチーフを指す。TLR9は、B細胞、形質細胞様樹状細胞(pDC)、活性化好中球、単球/マクロファージ、T細胞、及びMDSCで構成的に発現される。TLR9は、ケラチノサイト及び腸、頸部、及び呼吸器上皮細胞を含む非免疫細胞においても発現される。TLR9は、エンドソーム内のそのアゴニストに結合することができる。シグナル伝達は、炎症誘発性サイトカイン遺伝子発現を誘導するために、MYD88/IkB/NfκBを通して行われ得る。IRF7を通した平行シグナル伝達経路は、適応免疫反応を刺激する1型及び2型インターフェロン(例えば、IFN-α、IFN-γなど)を誘導する。更に、TLR9アゴニストは、サイトカイン及びIFN産生、並びに抗原提示樹状細胞の機能的成熟を誘導することができる。
【0028】
一実施形態によれば、TLR9アゴニストは、MDSCを低減し、再プログラムすることができる。MDSCは、肝臓における免疫抑制の主要な原動力である。MDSCはまた、T制御細胞(Treg)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、及びがん関連線維芽細胞(CAF)などの他の抑制細胞型の増殖を駆動する。MDSCは、免疫細胞を下方制御し、免疫療法薬の有効性を妨げ得る。更に、高いMDSCレベルは、一般的に、がん患者の不良な転帰を予測する。この点で、MDSCを減少、改変、又は排除することは、がんを攻撃する宿主の免疫系の能力、及びより有益な治療反応を誘発する免疫療法の能力を改善すると考えられている。一実施形態では、TLR9アゴニストは、MDSCを免疫刺激性M1マクロファージに変換し、未成熟樹状細胞を成熟樹状細胞に変換し、エフェクターT細胞を増殖させて、抗腫瘍活性を促進する応答性腫瘍微小環境を作成し得る。
【0029】
一実施形態によれば、微生物CpG-DNAの免疫刺激性質を模倣する合成CpG-オリゴヌクレオチド(CPG-ON)を、治療的使用のために開発することができる。一実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である。いくつかの異なるCpG-ODNクラスタイプ、例えば、クラスA、クラスB、クラスC、クラスP、及びクラスSがあり、それらは、特定の構造的及び機能的特徴を共有する。この点で、クラスAタイプCPG-ODN(又はCPG-A ODN)は、B細胞及び最高度のIFNα誘導にほとんど影響を及ぼさないpDC成熟に関連しており、クラスBタイプCPG-ODN(又はCPG-B ODN)は、B細胞増殖を強く誘導し、pDC及び単球成熟、NK細胞活性化、並びに炎症性サイトカイン産生を活性化し、クラスCタイプCPG-ODN(又はCPG-C ODN)は、B細胞増殖及びIFN-α産生を誘導することができる。
【0030】
更に、一実施形態によれば、CPG-C ODNは、以下の属性:(i)非メチル化ジヌクレオチドCpGモチーフ、(ii)隣接ヌクレオチド(例えば、AACGTTCGAA)と並置されたCpGモチーフ、(iii)(細菌DNAに見出される天然ホスホジエステル(PO)骨格とは対照的に)ヌクレオチドを結合させる完全なホスホロチオエート(PS)骨格、及び(iv)自己相補性回文配列(例えば、AACGTT)と関連し得る。この点で、CPG-C ODNは、その回文性の性質のために自らを結合し、それによって二本鎖(double-stranded)二重鎖(duplex)又はヘアピン構造を生成し得る。
【0031】
更に、一実施形態によれば、CPG-C ODNは、5’-Tがオリゴヌクレオチドの5’末端から0、1、2、又は3塩基に位置する1つ以上の5’-TCGトリヌクレオチドと、1つ以上の非メチル化CGジヌクレオチドを含む少なくとも8塩基長の少なくとも1つの回文配列とを含むことができる。1つ以上の5’-TCGトリヌクレオチド配列は、回文配列の5’末端から0、1、又は2塩基を分離し得るか、又は回文配列は、1つ以上の5’-TCGトリヌクレオチド配列の全て又は一部を含有し得る。一実施形態では、CpG-C ODNは、12~100塩基長、好ましくは12~50塩基長、好ましくは12~40塩基長、又は好ましくは12~30塩基長である。一実施形態では、CpG-C ODNは、30塩基長である。一実施形態では、ODNは、少なくとも(下限)12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、50、60、70、80、又は90塩基長である。一実施形態では、ODNは、最大で(上限)100、90、80、70、60、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、又は30塩基長である。
【0032】
一実施形態では、少なくとも1つの回文配列は、8~97塩基長、好ましくは8~50塩基長、又は好ましくは8~32塩基長である。一実施形態では、少なくとも1つの回文配列は、少なくとも(下限)8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、又は30塩基長である。一実施形態では、少なくとも1つの回文配列は、最大で(上限)50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、又は10塩基長である。
【0033】
一実施形態では、CpG-C ODNは、配列番号1の配列を含むことができる。
【0034】
一実施形態によれば、CpG-C ODNは、SD-101を含むことができる。SD-101は、30merのホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドであり、以下の配列:
5’-TCG AAC GTT CGA ACG TTC GAA CGT TCG AAT-3’(配列番号1)を有する。
【0035】
SD-101原薬は、ナトリウム塩として単離される。SD-101の構造を、
図1に例示する。
【0036】
SD-101遊離酸の分子式は、C293H369N112O149P29S29であり、SD-101遊離酸の分子量は、9672ダルトンである。SD-101ナトリウム塩の分子式は、C293H340N112O149P29S29Na29であり、SD-101ナトリウム塩の分子量は、10,309ダルトンである。
【0037】
更に、一実施形態によれば、CPG-C ODN配列は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第9,422,564号に記載される配列番号172に対応することができる。
【0038】
一実施形態では、CpG-C ODNは、配列番号1などの前述のうちのいずれかと少なくとも75%の相同性を有する配列を含むことができる。
【0039】
別の実施形態によれば、CPG-C ODN配列は、米国特許第9,422,564号に記載される他の配列のうちのいずれか1つに対応することができる。更に、CPG-C ODN配列はまた、同様に参照によりその全体で本明細書にも組み込まれる、米国特許第8,372,413号に記載される配列のうちのいずれかに対応することができる。
【0040】
一実施形態によれば、本明細書で論じられるCPG-C ODNのうちのいずれかは、その薬学的に許容される塩形態で存在し得る。例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウム、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、N-Me-D-グルカミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)を有する塩、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、コリン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、t-ブチルアミン、及びアルギニン、リジンなどのアミノ酸を有する塩が含まれる。一実施形態では、CpG-C ODNは、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、又はカリウム塩形態である。1つの好ましい実施形態では、CpG-C ODNは、ナトリウム塩形態である。CpG-C ODNは、薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的溶液中で提供され得る。代替的に、CpG-C ODNは、凍結乾燥固体として提供され得、凍結乾燥固体は、その後、投与前に、滅菌水、生理食塩水、又は薬学的に許容される緩衝液中で再構成される。本開示の薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、溶媒、増量剤、緩衝剤、等張調整剤、及び防腐剤が挙げられる。一実施形態では、薬学的組成物は、溶媒、増量剤、緩衝剤、及び等張調整剤のうちの1つ以上として機能する賦形剤を含み得る(例えば、生理食塩水中の塩化ナトリウムは、水性ビヒクル及び等張調整剤の両方として機能し得る)。本開示の薬学的組成物は、非経口及び/又は経皮投与に好適である。
【0041】
一実施形態では、薬学的組成物は、溶媒としての水性ビヒクルを含む。好適なビヒクルとしては、例えば、滅菌水、食塩水溶液、リン酸緩衝食塩水、及びリンゲル溶液が挙げられる。一実施形態では、本組成物は、等張である。
【0042】
薬学的組成物は、増量剤を含み得る。増量剤は、薬学的組成物が投与前に凍結乾燥される場合に特に有用である。一実施形態では、増量剤は、凍結又は噴霧乾燥中及び/又は保管中の活性剤の分解の安定化及び防止を助ける保護剤である。好適な増量剤は、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビタール、グルコース、及びラフィノースなどの糖(単糖、二糖、及び多糖)である。
【0043】
薬学的組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、pHを制御して、処理、貯蔵、及び任意選択で再構成中の活性剤の分解を阻害する。好適な緩衝液としては、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、又は硫酸塩を含む塩が挙げられる。他の好適な緩衝剤としては、例えば、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、及びリジンなどのアミノ酸が挙げられる。緩衝剤は、塩酸又は水酸化ナトリウムを更に含み得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、組成物のpHを4~9の範囲内に維持する。一実施形態では、pHは、(下限)4、5、6、7、又は8超である。いくつかの実施形態では、pHは、(上限)9、8、7、6、又は5未満である。すなわち、pHは、下限が上限未満である約4~9の範囲内である。
【0044】
薬学的組成物は、等張調整剤を含み得る。好適な等張調整剤としては、例えば、デキストロース、グリセロール、塩化ナトリウム、グリセリン、及びマンニトールが挙げられる。
【0045】
薬学的組成物は、防腐剤を含み得る。好適な防腐剤としては、例えば、酸化防止剤及び抗菌剤が挙げられる。しかしながら、一実施形態では、薬学的組成物は、滅菌条件下で調製され、単回使用容器内にあり、したがって、防腐剤の含有を必要としない。
【0046】
表1は、SD-101医薬品-16g/Lのバッチ式を説明する:
【表1】
1溶液中の測定含有量に基づく量(凍結乾燥粉末中に存在する水分を除く)
*表1のSD-101原薬は、SD-101を含む全てのオリゴヌクレオチド含有量の合計を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、単位用量強度は、約0.1mg/mL~約20mg/mLを含み得る。一実施形態では、SD-101の単位用量強度は、13.4mg/mLである。
【0048】
いくつかの実施形態では、投与されるSD-101の量は、約0.01~20mgの範囲内、又は0.5mg、2mg、4mg、若しくは8mgのうちの少なくとも1つである。
【0049】
いくつかの実施形態では、SD-101は、1~100mLの範囲内、又は10mL、25mL、若しくは50mLのうちの少なくとも1つの溶液中で投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、SD-101の投与用量は、0.0001~20mg/mLの範囲内である。いくつかの実施形態では、SD-101の投与用量は、0.01mg/mL、0.04mg/mL、0.08mg/mL、又は0.16mg/mLのうちの1つである。
【0051】
CpG-C ODNは、修飾を含有し得る。好適な修飾は、3’OH又は5’OH基の修飾、ヌクレオチド塩基の修飾、糖成分の修飾、及びリン酸基の修飾を含むことができるが、これらに限定されない。修飾塩基は、修飾塩基が、ワトソン-クリック塩基対合を介してその天然相補体に対して同じ特異性を維持する限り、回文配列に含まれ得る(例えば、CpG-C ODNの回文部分は、自己相補的なままである)。5’OH基の修飾の例としては、ビオチン、シアニン5.5、染料のシアニンファミリー、Alexa Fluor 660、染料のAlexa Fluorファミリー、IRDye 700、IRDye 800、IRDye 800CW、及び染料のIRDyeファミリーを挙げることができる。
【0052】
CpG-C ODNは、直線的であってもよいか、円形であってもよいか、又は円形部分及び/若しくはヘアピンループを含んでもよい。CpG-C ODNは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。CpG-C ODNは、DNA、RNA、又はDNA/RNAハイブリッドであってもよい。
【0053】
CpG-C ODNは、天然に存在する塩基又は修飾された非天然に存在する塩基を含有してもよく、修飾された糖、リン酸塩、及び/又は末端を含有してもよい。例えば、ホスホジエステル結合に加えて、ホスフェート修飾には、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホラミデート(架橋又は非架橋)、ホスホトリエステル及びホスホロジチオエートが含まれるが、これらに限定されず、任意の組み合わせで使用され得る。一実施形態では、CpG-C ODNは、ホスホロチオエート結合のみ、ホスホジエステル結合のみ、又はホスホジエステルとホスホロチオエート結合の組み合わせを有する。
【0054】
2’-アルコキシ-RNAアナログ、2’-アミノ-RNAアナログ、2’-フルオロ-DNA、及び2’-アルコキシ-又はアミノ-RNA/DNAキメラなどの、本分野で知られている糖修飾も、作製して、任意のリン酸修飾と組み合わせてもよい。塩基修飾の例としては、CpG-C ODNのシトシン(例えば、5-ブロモシトシン、5-クロロシトシン、5-フルオロシトシン、5-ヨードシトシン)のC-5及び/又はC-6、並びにCpG-C ODNのウラシル(例えば、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、5-ヨードウラシル)のC-5及び/又はC-6への電子求引性部分の添加が挙げられるが、これらに限定されない。上記のように、CpG-C ODNの回文配列における塩基修飾の使用は、ワトソン-クリック塩基対合に関与する塩基の自己相補性を妨げるべきではない。しかしながら、回文配列の外では、修飾塩基は、この制限なしに使用することができる。例えば、2’-O-メチル-ウリジン及び2’-O-メチル-シチジンは、回文配列の外側で使用されてもよく、一方、5-ブロモ-2’-デオキシシチジンは、回文配列の内側及び外側の両方で使用されてもよい。回文配列の内側及び外側の両方で用いられ得る他の修飾ヌクレオチドとしては、7-デアザ-8-アザ-dG、2-アミノ-dA、及び2-チオ-dTが挙げられる。
【0055】
ほとんどのODNの二重鎖(すなわち、二本鎖)及びヘアピン形態は、多くの場合、動的平衡状態にあり、ヘアピン形態は、低オリゴヌクレオチド濃度及び高温で一般的に好まれる。共有結合鎖間又は鎖内架橋は、それぞれ、熱、イオン、pH、及び濃度誘導構造変化に向かって、二重鎖又はヘアピンの安定性を増加させる。化学的架橋は、ポリヌクレオチドを二重鎖又はヘアピン形態のいずれかにロックして、物理化学的及び生物学的特性評価を行うために使用することができる。構造的に均質であり、最も活性な形態(二重鎖又はヘアピン形態のいずれか)で「ロック」されている架橋ODNは、架橋されていない対応物よりも潜在的により活性であり得る。したがって、本開示のいくつかのCpG-C ODNは、共有結合鎖間及び/又は鎖間架橋を含有することができる。
【0056】
ポリヌクレオチド及び修飾ポリヌクレオチドを作製するための技術は、当該技術分野において既知である。ホスホジエステル結合を含有する天然に存在するDNA又はRNAは、一般に、適切なヌクレオシドホスホラミダイトを3’末端で固体支持体に結合した成長ODNの5’ヒドロキシ基に順次結合させ、続いて中間ホスファイトトリエステルをリン酸トリエステルに酸化することによって合成され得る。この方法を使用して、所望のポリヌクレオチド配列が合成されると、ポリヌクレオチドが支持体から除去され、リン酸トリエステル基がリン酸ジエステルに脱保護され、ヌクレオシド塩基が水性アンモニア又は他の塩基を使用して脱保護される。
【0057】
CpG-C ODNは、リン酸修飾オリゴヌクレオチドを含有してもよく、そのうちのいくつかは、ODNを安定化することが知られている。したがって、いくつかの実施形態は、安定化CpG-C ODNを含む。ODN中の糖又は糖アナログ部分に結合され得るリン誘導体(又は修飾リン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホラミデートなどであり得る。
【0058】
CpG-C ODNは、1つ以上のリボヌクレオチド(唯一又は主糖成分としてリボースを含む)、デオキシリボヌクレオチド(主糖成分としてデオキシリボースを含む)、修飾糖又は糖アナログを含むことができる。したがって、リボース及びデオキシリボースに加えて、糖部分は、ペントース、デオキシペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、グルコース、アラビノース、キシロース、リキソース、及び糖アナログシクロペンチル基であり得る。糖は、ピラノシル又はフラノシル形態であり得る。CpG-Cオリゴヌクレオチドにおいて、糖部分は、好ましくは、リボース、デオキシリボース、アラビノース、又は2′-0-アルキルリボースのフラノシドであり、糖は、いずれかのアノマー配置でそれぞれの複素環式塩基に結合することができる。これらの糖又は糖アナログ、及びそのような糖又はアナログが複素環式塩基(核酸塩基)自体に結合しているそれぞれのヌクレオシドの調製は既知であるため、本明細書に記載する必要はない。糖修飾はまた、CpG-C ODNの調製において、作製して、任意のリン酸修飾と組み合わせてもよい。
【0059】
CpG-C ODNに組み込まれる複素環式塩基又は核酸塩基は、天然に存在する主プリン及びピリミジン塩基(すなわち、上記のようなウラシル、チミン、シトシン、アデニン、及びグアニン)、並びに当該主塩基の天然に存在する修飾及び合成修飾であり得る。したがって、CpG-C ODNは、イノシン、2’-デオキシウリジン、及び2-アミノ-2’-デオキシアデノシンのうちの1つ以上を含み得る。
【0060】
別の実施形態によれば、CPG-ODNは、クラスAタイプCPG-ODN(CPG-A ODN)、クラスBタイプCPG-ODN(CPG-B ODN)、クラスPタイプCPG-ODN(CPG-P ODN)、及びクラスSタイプCPG-ODN(CPG-S ODN)のうちの1つである。この点で、CPG-A ODNは、CMP-001であり得る。
【0061】
別の実施形態では、CPG-ODNは、チルソトリモド(IMO-2125)であり得る。
【0062】
更に、一実施形態によれば、ヒト末梢血単核細胞(PMBC)のインビトロ研究は、MDSCの低減、M2マクロファージの低減、及びM1マクロファージの促進に関して、SD-101がクラスB TLR9アゴニスト及びTLR7アゴニストよりも優れていることを実証する。例えば、
図2は、健康なドナーから採取され、MDSCを誘導するためにIL6及びGM-CSFで処置されたヒトPMBCのインビトロ分析を示す。この点で、SD-101は、(i)肝臓における優性MDSCサブセット、例えば、M-MDSCのより良好な除去、及び(ii)M1/M2マクロファージ比に対するより好ましい効果(すなわち、M1の誘導及びM2の低減)を示した。
【0063】
更に、一実施形態によれば、マウス骨髄細胞のインビトロ研究は、SD-101が、マウス骨髄細胞プログラミングについてクラスB TLR9アゴニスト及びTLR7アゴニストよりも同様に優れていることを実証する。例えば、
図3は、腫瘍の有無別のマウス由来の、MDSCを誘導するためにGM-CSFが使用された、マウス骨髄細胞のインビトロ分析を示す。この点で、SD-101は、M1マクロファージの誘導に加えて、MDSC及びM2マクロファージの低減において、クラスA TLR9、クラスB TLR9、及びTLR7アゴニストよりも優れていた。
【0064】
チェックポイント阻害剤
一実施形態によれば、本発明のTLRアゴニストは、1つ以上のCPIと組み合わせて使用され得る。CPIは、プログラム死1受容体(PD-1)アンタゴニストを含むことができる。PD-1アンタゴニストは、がん細胞上で発現したプログラム細胞死1リガンド1(PD-L1)の、免疫細胞(T細胞、B細胞、又はNKT細胞)上で発現したPD-1への結合を遮断し、好ましくは、がん細胞上で発現したPD-L2プログラム細胞死1リガンド2(PD-L2)の、免疫細胞発現PD-1への結合も遮断する、任意の化学化合物又は生体分子であり得る。PD-1及びそのリガンドの代替名又は同義語には、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279、及びSLEB2、PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274、及びB7-H、並びにPD-L2についてはPDCD1L2、PDL2、B7-DC、Btdc、及びCD273が含まれる。ヒト個体が治療されている本発明の治療方法、医薬、及び使用のうちのいずれかにおいて、PD-1アンタゴニストは、ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合を遮断し、好ましくは、ヒトPD-L1及びPD-L2の両方のヒトPD-1への結合を遮断する。
【0065】
一実施形態によれば、PD-1アンタゴニストは、PD-1又はPD-L1に特異的に結合し、好ましくは、ヒトPD-1又はヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)、又はその抗原結合断片を含むことができる。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1又はIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFv及びFv断片からなる群から選択される。
【0066】
一実施形態によれば、PD-1アンタゴニストは、PD-1又はPD-L1に特異的に結合し、好ましくは、ヒトPD-1又はヒトPD-L1に特異的に結合する免疫アドヘシン、例えば、免疫グロブリン分子のFc領域などの定常領域に融合されたPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含む融合タンパク質を含むことができる。
【0067】
一実施形態によれば、PD-1アンタゴニストは、腫瘍細胞及びMDSC、並びに他の抑制性免疫細胞によって発現されるPD-L1を遮断することができる。
【0068】
一実施形態によれば、PD-1アンタゴニストは、PD-L1のPD-1への結合を阻害することができ、好ましくは、PD-L2のPD-1への結合も阻害する。上記の治療方法、薬剤、及び使用のいくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、PD-1又はPD-L1に特異的に結合し、PD-L1のPD-1への結合を遮断するモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片である。一実施形態では、PD-1アンタゴニストは、重鎖及び軽鎖を含む抗PD-1抗体である。
【0069】
一実施形態によれば、PD-1アンタゴニストは、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、及びドスタルリマブのうちの1つであり得る。
【0070】
一実施形態によれば、ニボルマブは、4週間毎(「Q4W」)に480mg又は2週間毎(「Q2W」)に240mgの用量で末梢静脈を介して静脈内に(IV)投与される。別の実施形態によれば、ニボルマブは、3週間毎(「Q3W」)に360mgのニボルマブの用量で末梢静脈を介して静脈内に(IV)投与される。別の実施形態では、ニボルマブの投与は、Q2Wに3mg/kg又はQ2Wに10mg/kgのニボルマブにおいて重量ベースである。別の実施形態では、ニボルマブの投与は、Q3Wに1mg/kgのニボルマブにおいて重量ベースである。更に別の実施形態では、ニボルマブは、SD-101と同時に、同じ時間に、ほぼ同じ時間に、又は同日に投与される。別の実施形態では、ニボルマブは、SD-101の1つ以上のサイクルの投与後、週に1回、隔週に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は毎月投与される。
【0071】
別の実施形態によれば、ペムブロリズマブは、Q3Wに200mg又は6週間毎(「Q6W」)に400mgの用量で末梢静脈を介して静脈内に(IV)投与される。別の実施形態では、ペムブロリズマブは、SD-101と同時に、同じ時間に、ほぼ同じ時間に、又は同日に投与される。
【0072】
別の実施形態によれば、CPIは、PD-L1アンタゴニストを含むことができる。この点で、PD-L1アンタゴニストは、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブのうちの1つであり得る。
【0073】
別の実施形態によれば、CPIは、CTLA-4アンタゴニストを含むことができる。この点で、CTLA-4アンタゴニストは、イピリムマブであり得る。
【0074】
別の実施形態によれば、イピリムマブは、3週間毎に3mg/kgの用量で末梢静脈を介して静脈内に(IV)投与される。更に別の実施形態では、イピリムマブは、SD-101及び/又はニボルマブと同時に、同じ時間に、ほぼ同じ時間に、又は同日に投与される。別の実施形態では、イピリムマブは、SD-101及び/又はニボルマブの1つ以上のサイクルの投与後、週に1回、隔週に1回、3週間に1回、4週間に1回、又は毎月投与される。
【0075】
局所領域送達を達成するためのデバイス
一実施形態によれば、上記のデバイスのうちのいずれかは、カテーテル自体を含む、腫瘍への局所領域送達を達成するのに有用な任意のデバイスを含み得るか、又はカテーテルと組み合わせて使用され得る他の構成要素(例えば、フィルタバルブ、バルーン、圧力センサシステム、ポンプシステム、注射器、外側送達カテーテルなど)とともにカテーテルを含み得る。ある特定の実施形態では、カテーテルは、マイクロカテーテルである。
【0076】
いくつかの実施形態では、デバイスは、血管の下流分岐ネットワークにおける治療法の均一な分布を提供することができるセルフセンタリング能力、TLRアゴニストの逆行流を遮断又は阻害することができる逆流防止能力(例えば、バルブ及びフィルタ、並びに/又はバルーンの使用による)、血管内の圧力を測定するシステム、並びに留置時及びTLRアゴニスト注入中の圧力の低下、及び生理食塩水ボーラス中又はTLRアゴニストのボーラス注入中の圧力の上昇を引き起こすことなどによる、血管内の圧力を調節する手段を含むが、これらに限定されない、1つ以上の属性を有し得る。いくつかの実施形態では、システムは、手技全体を通してリアルタイム圧力又は流量を継続的にモニタリングするように設計される。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の方法を実施するために使用され得るデバイスは、全て参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、米国特許第8,500,775号、米国特許第8,696,698号、米国特許第8,696,699号、米国特許第9,539,081号、米国特許第9,808,332号、米国特許第9,770,319号、米国特許第9,968,740号、米国特許第10,813,739号、米国特許第10,588,636号、米国特許第11,090,460号、米国特許公開第2018/0193591号、米国特許公開第2018/0250469号、米国特許公開第2019/0298983号、米国特許公開第2020/0038586号、及び米国特許公開第2020-0383688号に開示されるデバイスである。
【0078】
いくつかの実施形態では、デバイスは、米国特許第9,770,319号に開示されるデバイスである。ある特定の実施形態では、デバイスは、Surefire注入システムとして知られているデバイスであってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、デバイスは、使用中の血管内圧の測定を支援する。いくつかの実施形態では、デバイスは、米国特許第2020-0383688号に開示されるデバイスである。ある特定の実施形態では、デバイスは、TriSalus注入システムとして知られているデバイスであってもよい。ある特定の実施形態では、デバイスは、TriNav(登録商標)注入システムとして知られているデバイスであってもよい。TriNav(登録商標)は、心臓サイクルから生じる、又は注入によって生成されるものなどの局所的圧力及び流量変化に動的に応答する、一方向バルブを備えた単腔カテーテルである。バルブ構造は、遠位血管圧及び血流を調節する。これは、ひいては、血管系内の接触時間の増加に起因して、治療分布及び初回通過吸収を変化させ得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、PEDDを介してデバイスを通して投与され得る。いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、血管内の圧力をモニタリングしながら投与され得、これは、注入部位におけるデバイスの位置を調整及び修正するために、並びに/又は注入速度を調整するために使用され得る。圧力は、例えば、1つ以上の圧力センサを含む圧力センサシステムによってモニタリングされ得る。
【0081】
注入速度は、血管圧又は流量を変化させるように調整され得、これは、標的組織若しくは腫瘍内への、又はその表面におけるTLRアゴニストの浸透及び/又は結合を促進し得る。いくつかの実施形態では、注入速度は、送達システムの一部としてシリンジポンプを使用して、又は任意の他の方法(例えば、注入速度調節デバイスによって)調整及び/又は制御され得る。いくつかの実施形態では、注入速度は、ポンプシステムを使用して調整及び/又は制御され得る。いくつかの実施形態では、ポンプシステムを使用する注入速度は、約0.1cc/分~約40cc/分、又は約0.1cc/分~約30cc/分、又は約0.5cc/分~約25cc/分、又は約0.5cc/分~約20cc/分、又は約1cc/分~約15cc/分、又は約1cc/分~約10cc/分、又は約1cc/分~約8cc/分、又は約1cc/分~約5cc/分であり得る。更に、ボーラス注入を使用する注入速度は、約30cc/分~約360cc/分、又は約120cc/分~約240cc/分であり得る。一実施形態では、SD-101注入手技は、約10~200分間続く。別の実施形態では、SD-101注入手技は、約10~60分間続く。別の実施形態では、SD-101注入手技は、約25分間続く。
【0082】
肝臓への投与を含む方法
一実施形態では、本発明の方法は、HCC及びICCなどの少なくとも1つの原発性肝臓がんの結果である腫瘍、又はHCC及びICCの両方の特徴を有する腫瘍などの肝臓の固形腫瘍を治療する方法を含み、当該方法は、治療を必要とする患者にトール様受容体アゴニストを投与することを含み、トール様受容体アゴニストは、HAIによってデバイスを通して肝臓のそのような固形腫瘍に投与される。HAIは、肝臓の肝動脈又は冠動脈の分岐内への治療薬の注入を指す。一実施形態によれば、1つ又は複数のトール様受容体アゴニストは、カテーテル及び/又は圧力有効化送達を容易にするデバイスなどの肝動脈又は門脈の分岐へのデバイスの経皮的導入を通して導入される。一実施形態によれば、トール様受容体アゴニストは、TLR9アゴニストであり、いくつかの実施形態では、TLR9アゴニストは、SD-101である。一実施形態では、患者は、ヒト患者である。別の実施形態によれば、本方法は、男性又は女性であり、18歳以上である対象への投与を含む。
【0083】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの少なくとも1つの原発性肝臓がんの結果である腫瘍、又はHCC及びICCの両方の特徴を有する腫瘍などの肝臓の固形腫瘍を治療する方法を含み、当該方法は、治療を必要とする患者にトール様受容体アゴニストを投与することを含み、トール様受容体アゴニストは、PVIによってデバイスを通して肝臓のそのような固形腫瘍に投与される。PVIは、肝門静脈系への治療薬の注入を指す。一実施形態によれば、トール様受容体アゴニストは、カテーテル及び/又は圧力有効化送達を容易にするデバイスなどの肝門静脈系の分岐へのデバイスの経皮的導入を通して導入される。一実施形態によれば、1つ又は複数のトール様受容体アゴニストは、TLR9アゴニストであり、いくつかの実施形態では、TLR9アゴニストは、SD-101である。一実施形態では、患者は、ヒト患者である。
【0084】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの少なくとも1つの原発性肝臓がん、又はHCC及びICCの両方の特徴を有する腫瘍を治療するための方法を含み、対象は、登録前の14日以内に以前の細胞傷害性化学療法、標的療法、又は外部放射線療法を受けていない。更に別の実施形態によれば、本発明の方法は、SD-101を用いた治療法を受けたことがない対象に投与される。本発明の一実施形態によれば、方法はまた、永久的な塞栓材料を用いた以前の塞栓性HAI療法を受けたことがない対象への投与を含む。
【0085】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの少なくとも1つの原発性肝臓がん、又はHCC及びICCの両方の特徴を有する腫瘍を治療するための方法を含み、対象は、悪性腫瘍が臨床的に有意でない場合を除いて、以前の病歴又は他の同時の悪性腫瘍を有していない。別の実施形態では、本発明の方法に従って治療される対象は、進行中の治療を有し得ない。更に別の実施形態では、対象は、臨床的に安定している。
【0086】
別の実施形態では、本発明の方法は、RECIST v.1.1基準に従って肝臓に測定可能な疾患を有する対象への投与を含み得る。追加の実施形態では、本発明の方法は、スクリーニング時に、0~1のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンススコア(PS)を示す対象への投与を含み得る。別の実施形態では、本発明の方法に従って治療を投与される対象は、治験責任医師によって推定されるように、スクリーニング時に3カ月を超える平均余命を有する。更に別の実施形態では、対象は、480msec以下のQTc間隔を有する。
【0087】
別の実施形態では、以前のがん治療からの全ての関連する臨床的に有意な薬物関連毒性は、治療の前に分解される。この実施形態では、分解能は、1以下のグレード又は患者の治療前レベルである。追加の実施形態では、対象は、置換療法で制御されたグレード2の脱毛症及び内分泌異常を有し得る。
【0088】
別の実施形態では、本発明の方法は、スクリーニング時に適切な臓器機能を有する対象への投与を含み得る。一実施形態では、適切な臓器機能を有する対象は、以下のうちの1つ以上を示し得る:(i)血小板数>100,000/μL、(2)ヘモグロビン≧8.0g/dL、(3)白血球数(WBC)>2,000/μL、(4)測定されたクレアチニンクリアランスがCockcroft-Gault式によって計算された≧30mL/分でない限り、血清クレアチニン≦2.0mg/dL、(5)総及び直接ビリルビン≦2.0×正常上限(ULN)並びにアルカリホスファターゼ≦5×ULN、(6)文書化されたギルバート病を有する患者について、最大3.0mg/dLの総ビリルビン、(7)ALT及びAST≦5×ULN、並びに(8)スクリーニング時のプロトロンビン時間/国際標準化比(INR)又は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試験結果≦1.5×ULN(これは、治療的抗凝固療法を受けていない患者のみに適用され、治療的抗凝固療法を受けている患者は、研究介入の最初の投与前に少なくとも4週間安定した用量を受けなければならない)。
【0089】
1つ以上の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC又はICCなどの原発性肝臓がんを治療するための方法を含み、対象は、肝臓のみ又は肝臓優性の疾患とともに組織学的又は細胞学的に確認されたHCC又はICCを有する。肝臓優性疾患は、疾患の最大部分を表すか、又はHCC若しくはICCの進行が患者の生命に対して顕著な脅威を表す場合、肝臓内疾患を呈し得る。
【0090】
1つ以上の実施形態では、本発明の方法は、Child-Pugh肝機能スケール(3つのカテゴリのスケール[A、B、又はC]、Cは肝機能の最も重度の障害を示す)上のクラスAの指定を有する対象への投与を含み得る。1つ以上の追加の実施形態では、本発明の方法は、適切な血液学的及び臓器機能を有する対象への投与を含み得る。
【0091】
1つ以上の実施形態では、本発明の方法は、肝臓がんに対する少なくとも最初に行うべき全身療法を以前に受けており、治癒的療法に適していない、RECISTバージョン1.1によって定義される持続性又は進行性の測定可能な疾患を有する対象への投与を含み得る。
【0092】
別の実施形態によれば、腫瘍は、切除不能である。
【0093】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、免疫調節剤、腫瘍殺傷剤、及び/又は他の標的化治療薬などの他のがん治療薬とともに投与され得る。
【0094】
一実施形態によれば、TLR9療法は、細胞療法(それによって免疫系の調節による細胞療法を可能にする)、化学塞栓治療、又は放射線塞栓治療と組み合わせて投与され得る。
【0095】
一実施形態では、肝臓への投与の上記の方法は、固形腫瘍全体、臓器全体、又は実質的に腫瘍全体にわたって、トール様受容体アゴニストの浸透をもたらすことを意図している。一実施形態では、そのような方法は、腫瘍の間質液圧及び固体応力を克服することを含む、トール様受容体アゴニストの灌流の強化を必要とする患者へのトール様受容体アゴニストの灌流を強化する。別の実施形態では、臓器全体又はその一部全体にわたる灌流は、腫瘍を治療剤に完全に曝露することによって、疾患の治療のための利益をもたらし得る。一実施形態では、そのような方法は、全身循環へのアクセスが不十分な腫瘍の領域へのトール様受容体の送達をより良く得ることができる。別の実施形態では、そのような方法は、より高い濃度のトール様受容体アゴニストをそのような腫瘍に送達し、末梢静脈を介した従来の全身送達と比較して、より少ないトール様受容体アゴニストが非標的組織に送達される。非標的組織は、注入デバイスと直接接続している動脈網によって直接灌流される組織である。一実施形態では、そのような方法は、サイズの縮小、成長速度の縮小、又は固形腫瘍の収縮若しくは除去をもたらす。
【0096】
本発明の方法はまた、HAI又は特定のセクタ若しくはセグメントへの選択的注入を実施する前に肝臓の右葉及び左葉につながる血管をマッピングすること、及び必要に応じて、肝臓につながらない、又はそうでなければ標的ではない血管を閉塞することを含み得る。いくつかの実施形態では、注入の前に、患者は、例えば、一般的な大腿動脈アプローチを介して、マッピング血管造影を受けることができる。
【0097】
体内の血管をマッピングし、治療薬の送達のための方法は、当業者に周知である。閉塞は、例えば、治験責任医師がオフターゲット動脈又は血管を遮断することを可能にし、それによって修飾細胞の肝臓への送達を最適化する、マイクロコイル塞栓術の使用によって達成され得る。マイクロコイル塞栓術は、必要に応じて、例えば、TLR9アゴニストを含む薬学的組成物の最適な注入を促進するために、第1の用量のTLR9アゴニストを投与する前に行うことができる。別の実施形態では、滅菌スポンジ(例えば、GELFOAM)を使用することができる。この点で、滅菌スポンジを切断して、カテーテルに押し込むことができる。別の実施形態では、滅菌スポンジは、顆粒として提供され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、SD-101などのTLR9アゴニストの用量は、約0.01mg、約0.03mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.3mg、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、又は約8mgであり得る。いくつかの実施形態では、SD-101は、12mg、16mg、及び20mgの用量で投与される。ミリグラム量のSD-101(例えば、約2mg)の投与は、
図1に例示される約2mgの組成物の投与を記載する。例えば、そのような量のSD-101(例えば、約2mgの量)は、そのような量のSD-101に加えて、他の関連化合物及び非関連化合物などの材料を含有する組成物内にも存在し得る。等価モル量の他の薬学的に許容される塩もまた、企図される。
【0099】
いくつかの実施形態では、SD-101などのTLR9アゴニストの用量は、約0.01mg~約20mg、約0.01mg~約10mg、約0.01mg~約8mg、及び約0.01mg~約4mgであり得る。いくつかの実施形態では、SD-101などのTLR9アゴニストの用量は、約2mg~約10mg、約2mg~約8mg、及び約2mg~約4mgであり得る。いくつかの実施形態では、SD-101などのTLR9アゴニストの用量は、約10mg未満、約8mg未満、約4mg未満、又は約2mg未満であり得る。そのような用量は、毎日、毎週、又は隔週投与され得る。一実施形態では、SD-101の用量は、例えば、約2mg、続いて、約4mg、次いで、約8mgの投与などを通して、徐々に増加する。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、サイクルを含む投与レジメンを投与することを含み得、サイクルのうちの1つ以上は、HAI及びPEDDを介してSD-101を投与することを含む。本明細書で使用される場合、「サイクル」は、投与配列の繰り返しである。一実施形態では、1サイクルは、1サイクル当たり3回の週1回投与(すなわち、3週間連続で週1回のSD-101の投与)を含む。一実施形態では、本発明による治療のサイクルは、SD-101投与の期間、続いて「オフ」期間又は休止期間を含み得る。別の実施形態では、1サイクル当たり3回の週1回投与に加えて、サイクルは、SD-101の週1回の投与後の休止期間として1週間、2週間、3週間、又は4週間を更に含む。更に別の実施形態では、1サイクル当たり3回の週1回投与に加えて、サイクルは、SD-101の毎週の投与後の休止期間として約38日を更に含む。別の実施形態では、サイクル全体は、約52日を含む。別の実施形態では、投与レジメンは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又はそれ以上のサイクルを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明は、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんの結果である腫瘍などの肝臓の固形腫瘍を治療するための薬剤の製造におけるTLR9アゴニストの使用に関し、当該方法は、治療を必要とする患者にTLR9アゴニストを投与することを含み、TLR9アゴニストは、HAIによってデバイスを通して肝臓のそのような固形腫瘍に投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して0.5mgの用量でHCC及びICCなどの原発性肝臓がんの治療のために投与され、いくつかの実施形態では、SD-101は、圧力を調節するデバイス(すなわち、PEDD)を通して更に投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、CPIと組み合わせて血管圧を調節するデバイスを通して、0.5mgの用量で投与され、CPIは、ニボルマブである。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、0.5mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブ及びニボルマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、0.5mgの用量で投与される。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつペムブロリズマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、0.5mgの用量で投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して2mgの用量でHCC及びICCなどの原発性肝臓がんの治療のために投与され、いくつかの実施形態では、SD-101は、圧力を調節するデバイス(すなわち、PEDD)を通して更に投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、CPIと組み合わせて血管圧を調節するデバイスを通して、2mgの用量で投与され、CPIは、ニボルマブである。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、2mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブ及びニボルマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、2mgの用量で投与される。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつペムブロリズマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、2mgの用量で投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して4mgの用量でHCC及びICCなどの原発性肝臓がんの治療のために投与され、いくつかの実施形態では、SD-101は、圧力を調節するデバイス(すなわち、PEDD)を通して更に投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、CPIと組み合わせて血管圧を調節するデバイスを通して、4mgの用量で投与され、CPIは、ニボルマブである。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブ及びニボルマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、4mgの用量で投与される。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつペムブロリズマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、4mgの用量で投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して8mgの用量でHCC及びICCなどの原発性肝臓がんの治療のために投与され、いくつかの実施形態では、SD-101は、圧力を調節するデバイス(すなわち、PEDD)を通して更に投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、CPIと組み合わせて血管圧を調節するデバイスを通して、8mgの用量で投与され、CPIは、ニボルマブである。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつイピリムマブ及びニボルマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、8mgの用量で投与される。他の実施形態では、SD-101は、HAIを通して、かつペムブロリズマブと組み合わせて圧力を調節するデバイスを通して、8mgの用量で投与される。
【0106】
1つ以上の実施形態では、本発明の方法は、対象に最大6回の用量(SD-101の最大で2つのサイクル、1サイクル当たり3回の週1回用量)を投与することを含み得る。1つ以上の実施形態では、SD-101のより少ない用量又はサイクルが、対象の毒性又は忍容性に基づいて投与され得る。
【0107】
1つ以上の実施形態では、SD-101の溶液が、TriNav(登録商標)などのPEDDデバイスを使用して、HAIを介して対象に投与され得る。いくつかのそのような実施形態では、血管アクセスは、大腿動脈又は橈骨動脈アプローチを使用して達成され得る。治療的送達を妨げ得る肝臓の血管腫、シャント血管、又は他の血管病変は、治療する介入放射線専門医の裁量で塞栓され得る。1つ以上の実施形態では、SD-101は、両方とも治療的濃度において、50mLシリンジ(治療的用量)及び治療的フラッシュ(10mL)に必要な量を含む100mLバイアル内で調製及び送達され得る。次いで、PEDDデバイスを、標的血管内に前進させることができる。
【0108】
1つ以上の実施形態では、SD-101の50mLの溶液を、肝臓のセグメント又はセクタ毎に割り当てることができる。一実施形態では、SD-101の50mLの治療用量を、以下のように割り当てることができる。右肝葉の標的血管への3×10mL注入、及び左肝葉の標的血管への2×10mL注入。更に、10mLのアリコートの分布は、測定可能な疾患及び標的血管直径の位置に基づいて調整され得る。1つ以上の実施形態では、SD-101注入は、約10~60分間続くことが予期され得る。例えば、いくつかの実施形態では、注入時間は、約25分であり得る。更に、別の実施形態では、全体的な介入手技は、30~80分間続き得る。これは、異なる位置での注入の合間の全ての取扱時間を伴う。いくつかの実施形態では、SD-101の50mLの溶液は、0.5mg、2mg、4mg、又は8mgのSD-101のうちの1つを含むことができる。この点で、SD-101の注入用量は、0.01mg/mL、0.04mg/mL、0.08mg/mL、又は0.16mg/mLのうちの1つであり得る。
【0109】
別の実施形態によれば、SD-101は、25mLの溶液で調製及び送達することができる。いくつかの実施形態では、SD-101の25mLの溶液は、0.5mg、2mg、4mg、又は8mgのSD-101のうちの1つを含むことができる。この点で、SD-101の注入用量は、0.02mg/mL、0.08mg/mL、0.16mg/mL、又は0.32mg/mLのうちの1つであり得る。
【0110】
別の実施形態によれば、SD-101は、10mLの溶液で調製及び送達することができる。いくつかの実施形態では、SD-101の10mLの溶液は、0.5mg、2mg、4mg、又は8mgのSD-101のうちの1つを含むことができる。この点で、SD-101の注入用量は、0.05mg/mL、0.2mg/mL、0.4mg/mL、又は0.8mg/mLのうちの1つであり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、標的病変の治療をもたらす。この実施形態では、本発明の方法は、全ての標的病変の消失を含む完全奏効をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ベースラインの合計最長径を基準として、標的病変の最長径の合計の少なくとも30%の減少を含む部分奏効をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、治療開始以降の最小の合計最長径を基準として、部分奏効を認めるのに十分な縮小も、進行性疾患を認めるのに十分な増加もない、標的病変の安定疾患をもたらし得る。そのような実施形態では、進行性疾患は、治療開始以降の記録された最小の合計最長径又は1つ以上の新たな病変の出現を基準として、標的病変の合計最長径の少なくとも20%の増加を特徴とする。この合計は、5mmの絶対的な増加を示す必要がある。
【0112】
別の実施形態では、本発明の方法は、非標的病変の治療をもたらす。非標的病変は、注入システムと直接連通する動脈網によって直接灌流されない病変である。この実施形態では、本発明の方法は、全ての非標的病変の消失を含む完全奏効をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の非標的病変の持続性をもたらすが、完全奏効又は進行性疾患をもたらさない。そのような実施形態では、進行性疾患は、既存の非標的病変の明確な進行、及び/又は1つ以上の新たな病変の出現を特徴とする。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、RECIST v.1.1による全奏効率などの有益な全奏効率をもたらす。これらの実施形態では、本発明の方法は、完全奏効である全奏効をもたらし、対象は、標的病変の完全奏効、非標的病変の完全奏効を示し、新たな病変を示さない。他の実施形態では、本発明の方法は、部分奏効である全奏効をもたらし、対象は、標的病変に対する完全奏効、非標的病変に対する非完全奏効及び非進行性疾患を示し、新たな病変を示さない。他の実施形態では、本発明の方法は、部分奏効である全体奏効をもたらし、対象は、標的病変に対する部分奏効、非標的病変に対する非進行性疾患を示し、新たな病変を示さない。別の実施形態では、本発明の方法は、安定疾患である全奏効をもたらし、対象は、標的病変の安定疾患、非標的病変に対する非進行性病変を示し、新たな病変を示さない。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、全奏効期間の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、全奏効期間は、完全奏効又は部分奏効について測定基準が満たされる時間(いずれか最初に記録される方)から、再発又は進行性疾患が客観的に文書化された最初の日まで(治療開始以降記録された最小の測定値を進行性疾患の基準として)測定される。全体的な完全奏効期間は、完全奏効の測定基準が最初に満たされた時点から、進行性疾患が客観的に文書化された最初の日まで測定され得る。いくつかの実施形態では、安定疾患期間は、ベースライン測定値を含む治療開始以降記録された最小の測定値を基準として、治療の開始から進行の基準が満たされるまで測定される。
【0115】
更に他の実施形態では、本発明の方法は、改善された全生存率をもたらす。例えば、全生存期間は、登録日から死亡時まで計算され得る。最終有効性分析のためのデータカットオフ前に生存している患者、又は研究終了前に脱落した患者は、最後に生存が確認された日で打ち切られる。
【0116】
他の実施形態では、本発明の方法は、無増悪生存をもたらす。例えば、無増悪生存は、登録日から再発(又は疾患発症の他の明確な指標)を文書化したCTスキャンの時点、又は死亡日(いずれか早い方)まで計算され得る。再発が文書化されておらず、最終有効性解析のためのデータカットオフ前に生存している患者、又は研究終了前に脱落した患者は、再発がないことを文書化する最後の放射線学的証拠の日で打ち切られる。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、mRECISTによる全奏効率などの有益な全奏効率をもたらす。これらの実施形態では、本発明の方法は、完全奏効である全奏効をもたらし、対象は、標的病変の完全奏効、非標的病変の完全奏効を示し、新たな病変を示さない。他の実施形態では、本発明の方法は、部分奏効である全奏効をもたらし、対象は、標的病変に対する完全奏効、非標的病変に対する非完全奏効及び不完全奏効を示し、新たな病変を示さない。他の実施形態では、本発明の方法は、部分奏効である全体奏効をもたらし、対象は、標的病変に対する部分奏効、非標的病変に対する非進行性疾患を示し、新たな病変を示さない。別の実施形態では、本発明の方法は、安定疾患である全奏効をもたらし、対象は、標的病変の安定した病変、非標的病変に対する非進行性病変を示し、新たな病変を示さない。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、iRECISTによる全奏効率などの有益な全奏効率をもたらす。
【0119】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんを治療するための方法を含み、SD-101の投与は、腫瘍負荷の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍負荷は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%低減する。
【0120】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんを治療するための方法を含み、SD-101の投与は、腫瘍進行の低減又は腫瘍成長の安定化をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍進行は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%低減する。
【0121】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんを治療するための方法を含み、SD-101の投与は、肝臓MDSCコンパートメントを再プログラムして肝臓がんの免疫制御を可能にし、かつ/又はMDSCの排除を通して全身抗PD-1療法への応答性を改善する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、MDSCの制御において優れている。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんを治療するための方法を含み、SD-101の投与は、MDSC細胞(CD11b+Gr1+)、単球性MDSC(M-MDSC;CD11b+Ly6C+)細胞、又は顆粒球性MDSC(G-MDSC;CD11b+LY6G+)細胞、又はヒトMDSC(CD33+CD11b+HLADR-(m-MDSCに対するCD14+及びG-MDSCに対するCD15+))の頻度を低減する。別の実施形態によれば、本発明の方法は、M1マクロファージ(CD14+CD86+)を増強する。更に別の実施形態によれば、本発明の方法は、M2マクロファージ(CD14+CD163+CD206+)を減少させる。
【0122】
別の実施形態では、本発明の方法は、NFκB活性化を増加させる。更に追加の実施形態では、本発明の方法は、IL-6を増加させる。別の実施形態では、本発明の方法は、IL-10を増加させる。更に追加の実施形態では、本発明の方法は、IL-29を増加させる。別の実施形態では、本発明の方法は、IFNαを増加させる。更なる実施形態として、本発明の方法は、STAT3リン酸化を減少させる。
【0123】
本発明は、以下の実施例で更に例示及び/又は実証され、これは、例示/実証のみを目的として示され、いずれにせよ本発明を限定することを意図するものではない。
【0124】
実施例1
この研究の目的は、原発性肝臓腫瘍内及びその周囲で注入されたTLR9アゴニストSD-101の分布を評価することであった。特に、本研究は、インサイチュで肝臓腫瘍を形成する新規のブタモデルで行われた。原発性肝臓腫瘍の発症を要約するために、肝臓組織の生検をブタから収集し、次いで、細胞をベクターに曝露してがん性増殖を誘導した。その後、これらの細胞を局所的針注射によって肝臓組織に移植し、直径約2cmの腫瘍を発症させた。
【0125】
TLR9アゴニストSD-101配列オリゴを合成し、IRD800CW(励起波長767nm、蛍光波長791nm)フルオロフォアにコンジュゲートした。次いで、IRD800CW-SD-101(2.5nmolで1ml)を、SD-101(0.3ml、4mgのSD-101医薬品を含有する)と9mlの滅菌生理食塩水中に混合して、注入のための10.3mlの総体積を生成した。PEDDデバイス、すなわち、TriNav(登録商標)を使用して、HAIを介して溶液を注入した。
【0126】
Seldinger技術を使用して、対象ブタの大腿動脈を通してアクセスを獲得した。5Fイントロデューサシースを、部位に固定した。5F血管造影カテーテルを使用して、血管造影を行い、肝動脈解剖学的構造を特定した。次いで、腫瘍を含む左側葉、左中葉、右中葉、又は右側葉全体に供給する、直径1.5~3.5mmの血管を選択した。次いで、TriNav(登録商標)を標的血管位置まで追跡した。
【0127】
次いで、溶液を含むシリンジをシリンジポンプに入れ、TriNav(登録商標)を通して2ml/分の速度で送達した。最初の4mlの溶液を注入した後、1mlの高圧ボーラスを2cc/秒の速度で0.5秒の期間にわたって行った。次いで、溶液の残りを2ml/分で投与した。
【0128】
正常な生理学的条件を60分間維持し、その時間後に、ブタを安楽死させ、その肝臓を除去した。肝臓の各葉を分離し、薬物取り込みのパターンを特定するために、Pearl Trilogy Imaging Systemを用いた近赤外線撮像を実施した。次いで、各葉を1cmの厚さの切片に切断し、Pearlシステムを使用して両組織面上で別々に画像化した(85μm分解能、700nm、800nm、及び白色光チャネル)。肝臓の全体積を分析して、
図4に示されるように、蛍光標識SD-101の分布を視覚化した。この点で、Aは、腫瘍組織及び壊死の領域を示し、Bは、蛍光標識SD-101の高い取り込みを伴う成長する原発腫瘍及び周辺正常組織の領域を示し、Cは、正常組織を示す(標識SD-101の蛍光シグナルをほとんど又は全く示さない)。
【0129】
本研究は、TriNav(登録商標)を使用した標識SD-101の圧力有効化送達が、活発に成長する原発性肝臓腫瘍末梢及び周辺正常組織の周囲の領域内の蛍光化合物の優先的な蓄積をもたらし、その領域が、SD-101の標的であるTLR9を発現する免疫細胞の大部分を含むことが予期されることを実証した。更に、原発性腫瘍を含む葉全体に供給する血管を通して注入を行い、灌流領域内の組織の大部分が正常な肝臓であった。特異的腫瘍供給血管を通してSD-101を注入しないにもかかわらず、PEDDの使用は、正常な肝臓組織における比較的低い薬物曝露とともに、腫瘍内及びその周囲にSD-101の優先的な分布をもたらした。
【0130】
実施例2
この実施例では、HCC及びICCなどの原発性肝臓がんを有する患者におけるCPI療法への奏効率を向上させることを目的として、TLR9アゴニストSD-101の注入を投与した。SD-101は、肝臓における腫瘍進行を駆動する抑制性免疫細胞を有利に排除又は再プログラミングすることに加えて、様々な免疫細胞を刺激することができるTLR9アゴニストである。肝動脈注入を介した圧力有効化薬物送達(PEDD)(PEDD/HAI)が本研究で適用され、全身曝露を制限しながら、HCC腫瘍へのSD-101の効果的な送達を可能にするであろう。
【0131】
研究は、2つのフェーズ、すなわち、フェーズ1b及び2を有する。この点で、フェーズ1bの主な目的は、HCC若しくはICC又はHCC及びICCの混合物を有する患者において、SD-101単独のPEDD/HAIの最大耐量(MTD)又は最適用量、ペムブロリズマブ又はニボルマブ及びイピリムマブの両方と組み合わせたSD-101のMTD又は最適用量の安全性を決定し、かつこれらの量を特定することである。更に、副次的な目的は、免疫ベースの治療法のためのRECIST(iRECIST)のORR、修正RECIST(mRECIST)のORR、RECIST 1.1肝臓特異的奏効率(HRR)、全無増悪生存(PFS)、及び臨床的利益(完全奏効[CR]+部分奏効[PR]+安定疾患[SD])の観点から予備的な有効性を評価することである。フェーズ2に関して、主な目的は、静脈内(IV)免疫チェックポイント遮断と組み合わせたSD-101のPEDD/HAIへの固形腫瘍における奏効評価基準(RECIST)v1.1の全奏効率(ORR)を評価することである。SD-101と組み合わせて使用されるチェックポイントレジメンは、フェーズ1bからの安全性及び奏効データに基づいて選択されるであろう。HCC及びICCの別個のコホートが登録されるであろう。更に、副次的な目的は、CPIと組み合わせたSD-101の選択されたMTD又は最適用量の奏効期間(DOR)、12カ月全生存(OS)、及び安全性/毒性を評価することである。更に、以下の予備的な目的もある:(i)RECIST v1.1肝臓特異的無増悪生存期間(HPFS)を評価すること、(ii)全身IV CPI注入の有無別にSD-101のPEDD/HAI後の病理学的奏効、及び画像奏効スコア化との相関を評価すること、(iii)対を成したベースライン及び治療中の肝臓腫瘍及び正常肝生検を使用して、MDSC、リンパ球、及びサイトカインプロファイルに対する治療の腫瘍内免疫学的効果を評価すること、(iv)循環腫瘍細胞(CTC)、循環サイトカイン、及び他の免疫学的相関物について連続採血を用いて、治療の末梢免疫薬力学的効果を評価すること、(v)経時的にECOG PSにおけるベースラインからの変化を評価すること、(vi)European Organization for the Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire for Cancer(EORTC-QLQ-C30)機器を使用して、生活の質におけるベースラインからの変化を評価すること。
【0132】
本研究の全体的な設計が、
図5で見出され得る。本研究は、非盲検、多施設、及び非無作為化である。
【0133】
以下で更に詳細に記載されるように、フェーズ1bでは、SD-101の漸増用量を、単独で(コホートA)、ペムブロリズマブと一緒に(コホートB)、又は組み合わせたイピリムマブ及びニボルマブと一緒に(コホートC)投与することができる。コホートB及びCは、CPIをSD-101に添加するときに安全性を最適化するために、コホートAからのMTD又は最適用量を下回る1つの用量レベルを開始するであろう。コホートBは、コホートA内の最終患者のDLTウィンドウの完了まで開始しないであろう(コホートBは、コホートAの拡大と同時に進行するであろう)。コホートCは、コホートB内の最終患者のDLTウィンドウの完了まで開始しないであろう。標準的な3+3用量漸増設計が、MTDを決定するために採用されるであろう。
【0134】
フェーズ1bにおける各患者のための第1のSD-101注入後、一晩の病院内観察又は入院が必要とされる。第1のSD-101用量が良好に許容される場合、更なる一晩の観察又は入院は、後続のSD-101注入のための治療医師の裁量に任される。後続の注入が外来ベースで実施される場合、患者は、臨床的に安定している場合、退院前に注入後最低6時間観察されるであろう。最初の注入後に入院療法を必要とする、SD-101 PEDD/HAIに関連するグレード2超の任意の事象がある場合、患者は、各後続のSD-101注入後に一晩の観察又は入院のために引き留められるであろう。
【0135】
PEDD/HAIのためのSD-101の推奨MTD又は最適用量、及びどのCPIレジメンが許容されるかを決定した後、本研究は、フェーズ2に進んで有効性を評価するであろう。フェーズ2における患者は、単剤又は二重薬剤のチェックポイント遮断とともに、フェーズ1bから選択されるSD-101用量を受けるであろう。フェーズ2のためのSD-101と一緒の単一又は二重CPI療法の選択は、フェーズ1bにおけるコホートB及びCからの奏効率に加えて、安全性データを考慮するであろう。SD-101は、1サイクル当たり3回の週1回用量で2つのサイクルにわたって投与されるであろう。
【0136】
試験対象患者基準
一実施形態によれば、本研究に含めるためには、患者は以下の基準の全てを満たさなければならない:
1.18歳以上であり、局所進行性、転移性、若しくは切除不能な肝細胞がん又は肝内胆管がんを有し、組織学的若しくは細胞学的分析、又は米国肝臓病学会(American Association for the Study of Liver Diseases)による臨床的特徴によって確認された診断がある。
2.肝臓がんに対する少なくとも最初に行うべき全身療法を以前に受けており、治癒的療法に適していない、RECISTバージョン1.1によって定義される持続性又は進行性の測定可能な疾患がある。
3.ECOGスケール上で0又は1のパフォーマンスステータススコアを有する(スコアは0~5の範囲であり、数字が高いほど障害が大きいことを反映する)。
4.Child-Pugh肝機能スケール(3つのカテゴリのスケール[A、B、又はC]、Cは肝機能の最も重度の障害を示す)上のクラスAの指定。
5.適切な血液学的及び臓器機能。
6.肝臓のみ又は肝臓優性の疾患を伴う組織学的又は細胞学的に確認されたHCC又はICCを有する。肝臓優性疾患は、疾患の最大部分を表す肝内疾患として定義されるであろう。
7.研究を理解し、任意の研究手順前に書面によるインフォームドコンセントを提供することができる。
8.スクリーニング前の14日以内に以前の細胞傷害性化学療法、標的療法、又は外部放射線療法を受けていない。
9.永久的塞栓材料を用いた以前の塞栓性HAI療法を受けたことがない。
注意:永久的塞栓材料を用いた以前の塞栓性HAI療法は、この治療法後に、標的血管が閉塞されず、患者のスクリーニングに基づいて腫瘍が灌流される場合、排他的ではないであろう。
10.悪性腫瘍が臨床的に有意ではない場合を除き、以前の病歴又は他の同時の悪性腫瘍を有していない、進行中の治療が必要とされない、患者が臨床的に安定している。
11.RECIST v.1.1基準に従って肝臓に測定可能な疾患を有する。
12.治験責任医師によって推定されるように、スクリーニング時に3カ月超の平均余命を有する。
13.480msec以下のQTc間隔を有する。
14.以前のがん治療からの全ての関連する臨床的に有意な(治験責任医師の判断では)薬物関連毒性は、研究治療投与前に(グレード≦1又は患者の治療前レベルまで)解決されなければならない(グレード2の脱毛症及び置換療法で制御される内分泌障害が許容される)。
15.以下によって証明されるような、スクリーニング時に適切な臓器機能を有する:
・血小板数>100,000/μL。
・ヘモグロビン≧8.0g/dL。
・白血球数(WBC)>2,000/μL。
・測定されたクレアチニンクリアランスがCockcroft-Gault式によって計算された≧30mL/分でない限り、血清クレアチニン≦2.0mg/dL。
・総及び直接ビリルビン≦2.0×正常上限(ULN)及びアルカリホスファターゼ≦5×ULN。文書化されたギルバート病の患者では、最大3.0mg/dLの総ビリルビンが許容される。
・ALT及びAST≦5×ULN。
・スクリーニング時のプロトロンビン時間/国際標準化比(INR)又は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試験結果≦1.5×ULN(これは、治療的抗凝固療法を受けていない患者のみに適用され、治療的抗凝固療法を受けている患者は、研究介入の最初の投与前に少なくとも4週間安定した用量を受けなければならない)。
注意:治験責任医師によって患者の臨床状態と互換性がないと判断された除外結果を有する実験室試験は、適格性のために1回繰り返され得る。
16.妊娠可能性のある女性は、非妊娠及び非授乳中、又は閉経後であり、スクリーニング時に陰性の血清ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)妊娠検査結果、及び研究介入の最初の投与前に陰性の尿又は血清妊娠検査を有していなければならない。
・妊娠可能性のある女性は、避妊治療を受けていない男性パートナーとの性行為を控えることに同意しなければならないか、又は避妊治療を受けていない男性パートナーと性的に活発な場合は、スクリーニングから研究期間中、非常に効果的な避妊方法を使用することに同意し、研究介入の最終投与後100日間そのような予防措置を継続することに同意しなければならない。
・妊娠可能性のある女性と性的に活発な避妊治療を受けていない男性は、効果的な避妊方法を使用し、研究期間中の1日目から研究介入の最終投与後30日間、精子の提供を避けることに同意しなければならない。
【0137】
フェーズ1b
別個のフェーズ1b患者コホートは、以下のとおりである:
コホートA-SD-101単独のMTD又は最適用量を特定し、HCC及びICC患者における単剤療法の奏効率を推定するために、標準3+3設計、続いて、任意選択的な拡大群を使用した、SD-101単剤療法のPEDD/HAIの用量漸増コホート(2サイクル、1サイクル当たり1週間に1回用量×3週間):
・用量レベル1:4mg(n=3~6)
・用量レベル2:8mg(n=3~6)
【0138】
各用量レベルでの最初の2人の患者の登録は、少なくとも48時間ずらされるであろう。追加の増分用量レベル(4mgの増分における)が、安全性及び奏功データに基づいて追加され得る。SD-101単剤療法のMTD又は最適用量での10人の患者の任意選択的な拡大群は、コホートBと同時に進行し得る。
【0139】
コホートB-単剤ペムブロリズマブを伴うSD-101のMTD又は最適用量を特定するための、3週間毎(Q3W)に200mgのIVペムブロリズマブと一緒のSD-101のPEDD/HAIの標準3+3設計用量再漸増コホート(2サイクル、1サイクル当たり1週間に1回用量×3週間):
・用量レベル1:コホートA(すなわち、MTD-1又は最適用量-1)(n=3~6)からのMTD又は最適用量を下回る1回用量レベルでのSD-101のPEDD/HAIと一緒のペムブロリズマブ。
・用量レベル2:コホートA(n=3~6)からのMTD若しくは最適用量でのSD-101のPEDD/HAIと一緒のペムブロリズマブ、又はMTD-1若しくは最適用量-1が許容されない場合、MTD-2若しくは最適用量-2まで漸減するであろう。
【0140】
各用量レベルでの最初の2人の患者の登録は、少なくとも48時間ずらされるであろう。ペムブロリズマブとともにSD-101を受けている最大10人の患者の任意選択的な拡大群は、コホートCと同時に進行し得る。
【0141】
コホートC-二重薬剤CPIを伴うSD-101のMTD又は最適用量を特定するための、4回用量のために3週間毎に3mg/kgのイピリムマブ、続いて、2週間毎に240mgの単剤ニボルマブと組み合わせた、1mg/kgのニボルマブと一緒のSD-101のPEDD/HAIの標準3+3設計用量再漸増コホート(2サイクル、1サイクル当たり1週間に1回用量×3週間):
・用量レベル1:コホートB(n=3~6)からのMTD又は最適用量を下回る1回用量レベルでのSD-101のPEDD/HAIと一緒のニボルマブ及びイピリムマブ。
・用量レベル2:コホートB(n=3~6)からのSD-101のMTD若しくは最適用量でのSD-101のPEDD/HAIと一緒のニボルマブ及びイピリムマブ、又はMTD-1若しくは最適用量-1が許容されない場合、MTD-2若しくは最適用量-2まで漸減するであろう。
【0142】
各用量レベルでの最初の2人の患者の登録は、少なくとも48時間ずらされるであろう。フェーズ2のためのPEDD/HAIを介したSD-101を伴う単剤及び二重薬剤CPIの間で決定するために追加のデータが必要とされる場合、10人の患者の任意選択的な拡大コホートが登録され得る。
【0143】
フェーズ2
2つの別個のコホートが、HCC及びICCについて登録されるであろう。SD-101 MTD又は最適用量+単剤又は二重薬剤CPIでの奏効の割合が、更なる試験を正当化するために十分高いかどうかを確認するために、2段階設計がフェーズ2で使用されるであろう。総試料数が最も少ない2段階設計が、各腫瘍型に使用されるであろう。
【0144】
投与期間
SD-101投与期間(フェーズ1b及びフェーズ2における参加者について):
フェーズ1bのコホートA、B、C、及びフェーズ2-最大6回の用量(SD-101の最大で2つのサイクル、1サイクル当たり3回の週1回用量)。SD-101のより少ない用量又はサイクルが、毒性又は忍容性に基づいて投与され得る。1つのベースライン後腫瘍評価である、ベースライン時に測定可能な疾患の存在を有し、少なくとも1回用量の治療を受け、主要な試験対象患者又は試験除外基準の違反がない全ての患者が、評価可能とみなされるであろう。しかしながら、主要な試験対象患者又は試験除外基準に違反して登録した患者は、重大なプロトコル違反とみなされ、評価可能とみなされないであろう。
【0145】
CPI投与期間
フェーズ1b、コホートA:
・該当なし。
フェーズ1b、コホートB、及び任意選択的な拡大コホート:
・最大6カ月間のQ3Wに200mgのペムブロリズマブ。
フェーズ1b、コホートC、及び任意選択的な拡大コホート:
・4回用量のためのQ3Wに1mg/kgのIVニボルマブ、次いで、最大12カ月間の2週間毎(Q2W)に240mg。
・4回用量のためのQ3Wに3mg/kgのIVイピリムマブ。
フェーズ2:
・最大6カ月間のフェーズ1bのデータによって決定されたCPIレジメン。
フェーズ1、コホートB、及び任意選択的な拡大コホート:
・最大12カ月間のQ4Wに480mgのニボルマブ。
フェーズ1、任意選択的なコホートB1:
・4回用量のためのQ3Wに3mg/kgの全身IVイピリムマブ。
フェーズ1、コホートC、及び任意選択的な拡大コホート:
・4回用量のためのQ3Wに1mg/kgの全身IVニボルマブ、次いで、最大12カ月間のQ4Wに480mg/kg、及び(ii)4回用量のためのQ3Wに3mg/kgの全身IVイピリムマブ。
フェーズ1b:
・最大12カ月間のフェーズ1のデータによって決定されたCPIレジメン。
【0146】
投与された介入
介入及び計画された用量レベルを、以下の表2に要約する。
【表2】
略語:HAI=肝動脈注入、IMP=治験薬、IV=静脈内、ODN=オリゴデオキシヌクレオチド、PEDD=圧力有効化薬物送達デバイス。
a各セグメント、セクタ、又は葉注入は、SD-101が60分よりも長くTriNavデバイス内に残留しないことを確実にするために、その時間以内に完了されなければならない。これは、全体的手技時間を制限しない。
cバイアルは、1人の患者のための用量調製後に廃棄されるであろう。いかなる場合も、1回より多くの用量が1つのバイアルから引き出されないであろう。
【0147】
SD-101のPEDD/HAI
PEDDデバイス、例えば、TriNav(登録商標)を使用して、肝動脈系を介してSD-101溶液を注入することができる。血管アクセスが、大腿又は橈骨アプローチを使用して達成され得る。治療的送達を妨げ得る肝臓の血管腫、シャント血管、又は他の血管病変は、治療する介入放射線専門医の裁量で塞栓され得る。SD-101注入手技のために、薬物は、地元の薬局で調製され、両方とも治療的濃度において、50mLシリンジ(治療用量)及び治療用フラッシュ(10mL)に必要な量を含む100mLバイアル内で介入放射線室に送達されるであろう。薬局は、計画された注入時間の1日前に、及び患者が台の上にいるときに再度、通知され得る。PEDDデバイス、TriNav(登録商標)は、標的血管内に前進されるであろう。
【0148】
一実施形態では、投与される50mLの量は、肝臓のセグメント又はセクタ毎に割り当てられる。一実施形態では、50mLの治療用量を、以下のように割り当てることができる:右肝葉の標的血管への3×10mL注入、及び左肝葉の標的血管への2×10mL注入。更に、10mLのアリコートの分布は、測定可能な疾患及び標的血管直径の位置に基づいて調整され得る。一実施形態では、SD-101注入は、約10~60分間続くことが予期され得る。例えば、注入時間は、約25分であり得る。更に、一実施形態では、全体的な介入手技は、30~80分間続き得る。これは、異なる位置での注入の合間の全ての取扱時間を伴う。
【0149】
腫瘍反応評価
全ての患者は、肝臓及び他の部位における疾患を評価するための磁気共鳴画像法(MRI)又はCTを用いた撮像、並びにCTC、循環サイトカイン、及び他の免疫学的相関物の肝生検及びアッセイを受けるであろう。腫瘍反応は、標準的なRECIST v1.1基準を使用して放射線学的に測定されるであろう。公式の奏効スコア化(RECIST v1.1に準拠)が、84日目に予備的に評価されるであろう。追加の奏効評価が、擬似進行の場合に初期スコア化を確認するために、168日目に取得されるであろう。その後、90日毎に撮像手技が行われるであろう。Eovist(登録商標)造影剤とともにMRIを使用した肝臓画像が、可能な限り評価に使用されるべきである。局所画像の読み取りが、フェーズ1b及びフェーズ2の間に奏効評価に利用されるであろう。奏効評価のための独立した中央レビューが、フェーズ2の間に実施され得る。
【0150】
最大4回の肝生検が実施されるであろう:
・1日目の注入後生検に加えて、SD-101の最初の注入前の1日目にベースライン生検が取得されるであろう。注入前生検が、SD-101の第2のサイクルの開始時(第4のSD-101注入前)に実施され、最終的な生検手技が、100日目に行われるであろう。
・病理学的奏効が、腫瘍及び正常組織試料内の壊死及び線維化のスコア化を用いて、局所部位病理学者によるレビューに基づいて評価されるであろう。
【0151】
生活の質
ECOG PSスケール及びEORTC-QLQ-C30アンケートを使用して、全体的な患者状態及び生活の質を評価することができる。
【0152】
薬物動態
血液試料が、PEDD/HAI後のSD-101全身曝露を特性評価するために収集されるであろう。ペムブロリズマブ、ニボルマブ、又はイピリムマブ濃度については、試料採取又は試験は行われないであろう。
・フェーズ1b:連続静脈血試料が、コホートA、B、及びCにおける各用量レベルについて、投与前及び各用量レベルの終了後の血漿SD-101濃度の測定のために収集されるであろう。試料時間は、研究のフェーズ1bにおけるコホートAの初回投与後に観察された結果に基づいて調整され得る。
・フェーズ2:濃度が、フェーズ1bにおけるアッセイの定量化の下限を大部分下回る場合、これらの測定はフェーズ2で省略され得る。
【0153】
SD-101の腫瘍レベルが、以下の日に取得された注入前及び注入後生検検体で測定されるであろう:コホートA、B、及びCについて、1日目及び57日目(注入前のみ)。
【0154】
各血漿試料を、各々約2~3mLの2つのアリコートに分割することができる(SD-101測定用に1つ、バックアップ用に1つ)。SD-101の分析のために収集された試料はまた、研究の間又は後に生じる懸念に関連する安全性又は有効性の局面を評価するために使用され得る。
【0155】
薬物力学
血液試料は、CTC、循環サイトカイン、並びにIFN-α及びIFN-γ関連遺伝子シグネチャを含む他の免疫学的相関物の測定のために収集することができ、これらは、このクラスの治療薬についての薬物動態評価よりも有益であり得る。
【0156】
安全性
安全性評価には、有害事象(AE)、臨床検査室検査、バイタルサイン、身体検査、心電図(ECG)が含まれる。
【0157】
以下は、サイクル1における最後のSD-101用量後2週間以内にフェーズ1b中に観察されたときにDLTとみなされ、研究介入(SD-101若しくはCPI療法)及び/又はTriNavデバイスに起因するとみなされる。しかしながら、同じ調整又は停止規則が、サイクル2の注入期間中に生じ得る任意のDLT(以下に定義される)に適用されるであろうことに留意されたい。
・国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語基準(CTCAE)に準拠する、≧グレード3のサイトカイン放出症候群(CRS)
・NCI CTCAEに準拠する自己免疫AE≧グレード3
・NCI CTCAEに準拠するアレルギー反応AE≧グレード3
・7日以内に≦グレード2に回復しない、NCI CTCAEによるグレード4の血液学的AE
・任意の臓器系におけるNCI CTCAEに準拠するグレード4のAE
【0158】
DLTを発症する患者は、研究介入を永久的に中止されるであろう。患者は、臨床診療に従って治療し、毒性の解消についてモニタリングすることができる。
【0159】
SD-101及び/又はCPI療法は、重度又は生命を脅かす注入関連の反応に対して永久的に中止されるであろう。患者がグレード3以上の免疫媒介反応を有する場合、SD-101及び/又はCPI療法の投与中断、遅延、又は中止が必要である。異常な肝臓検査のためのSD-101及び/又はCPI療法の中止は、患者が以下に概説される状態のうちの1つを満たす場合、又は治験責任医師が患者の最善の利益であると考えている場合、プロトコルに規定された停止規則を満たさない異常な肝臓化学物質の存在下で必要とされる。
・患者は、臨床的に黄疸がある。
・患者は、凝固障害の証拠を有する。
・患者は、腹水又は静脈瘤出血を含むがこれらに限定されない、門脈圧高進症の臨床的証拠を有する。
【0160】
全ての患者を、治療開始後少なくとも6カ月間及び疾患状態について1年間、安全性のためにこの研究で追跡することができる。
【0161】
疾患の進行(例えば、毒性、同意の撤回)以外の理由で研究治療を中止した患者は、患者が死亡するまで、疾患の進行(肝内又は肝外)を経験するまで、又は更なる全身がん治療を開始するまでのいずれか最初に発生した方で、90日毎に予定されている腫瘍評価を継続して受けることができる。
【0162】
レスキュー薬及び治療
研究施設は、局所的に入手される免疫調節レスキュー薬を提供する。以下のレスキュー薬を使用することができる:
薬剤
・CRSのための60分間にわたるIL6受容体抗体トシリズマブの4~8mg/kg全身IVが、臨床的に示されるように反復し得る。
・グレード2超のCRS又は神経機能障害のための、メチルプレドニゾロンの2mg/kg全身IVボーラス、続いて、6~12時間毎の0.5mg/kg IV。最初の用量は、治験責任医師又は治験実施者と相談することなく投与することができるが、その後の用量は、治験責任医師又は治験実施者と相談した後に投与する必要がある。
・1~2回用量の抗TNFα剤(インフリキシマブ又はエタネルセプト)を検討する。効用は不明であるが、TNFαは急激に上昇する可能性があるため、疾患プロセスの初期に検討する価値はある。
・3~4日間隔で投与される、2回用量のための週に2回のエタネルセプト25mg SC(週に2回の0.4mg/kg、1用量当たり最大25mg。
・インフリキシマブ用量10mg/kg全身IV、週1回×2回用量。
介入
・内視鏡的胆管造影及びステント留置。
・経皮的胆管造影及びステント留置。
【0163】
研究中はいつでもレスキュー薬の使用が許容可能であるが、可能であれば、臨床的に適切な場合は、研究介入の投与後少なくとも6時間はレスキュー医薬の使用を延期する必要がある。レスキュー医薬の投与の日時、並びにレスキュー医薬の名称及び投薬レジメンを記録しなければならない。
【0164】
明らかに疾患の進行に起因する有害事象、治験薬とは無関係の有害事象、又は治験の適格患者集団に予想される有害事象は、DLTとはみなされない。
【0165】
サイトカイン放出症候群の評価
治験責任医師又は治験実施者は、CRSの存在について各患者を評価するであろう。CRSグレーディングは、NCI CTCAE v5.0に基づいて決定され、表3に示されるように管理されるであろう。
【表3】
略語:2D=2次元、ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ASTCT=米国移植細胞治療学会(American Society for Transplantation and Cellular Therapy)、CRS=サイトカイン放出症候群、CTCAE=有害事象共通用語基準、ICU=集中治療室、IL=インターロイキン、IV=静脈内、NCI=国立がん研究所(National Cancer Institute)、NS=生理食塩水、SBP=収縮期血圧、ULN=正常上限
a発熱は、いずれの他の原因にも起因しない≧38℃の体温として定義される。
供給源:NCI CTCAE及びASTCTから出典(Lee DW,Santomasso BD,Locke FL,Ghobadi A,Turtle CJ,Brudno JN,et al.ASTCT consensus grading for cytokine release syndrome and neurologic toxicity associated with immune effector cells.Biol Blood Marrow Transplant.2019;25;625-38)。
【0166】
画像
疾患の程度は、コホートA、コホートB、及びコホートCの時点で放射線学的に測定されるであろう。スクリーニング評価には、腹部及び骨盤のMRI(禁忌でない限り、経口/IV Eovist造影剤を用いる)並びに脳スキャン(IV造影剤を用いたCT又はMRI)が含まれなければならない。腹部及び骨盤のMRIに加えて、胸部のスパイラルCTスキャンを取得する必要がある。MRIが医学的に禁忌であるか、又は医師の裁量である場合、胸部、腹部、及び骨盤のCTスキャンは、三相IV造影剤を使用して実施され得る。部位が胸部、腹部、骨盤の三相CTを実施することができない場合、IV造影剤を用いて胸部、腹部、骨盤のCTを実施し、動脈相及び門脈相画像を取得し得る。PET/CTスキャンが実施される(必要ではない)場合、研究のCT部分は、全造影CTスキャンの標準と一致していなければならない。肝転移奏効が、腹部CT又はMRIで評価されるであろう一方で、肝外病変は、胸部、腹部、及び骨盤を網羅する全身PET/CTスキャン又はCT/MRIスキャンで評価されるであろう。Eovist造影剤を用いたMRIを使用した肝臓画像は、可能な限り肝臓腫瘍の評価に使用されるべきである。スクリーニング時に使用されたと同じ撮像方法を、研究全体を通して使用する必要がある。
【0167】
任意の評価可能又は測定可能な疾患は、スクリーニング時に文書化し、その後の各腫瘍評価時に再評価する必要がある。測定可能な疾患を有する患者については、奏効が、RECIST v1.1に従って評価されるであろう。局所画像の読み取りが、フェーズ1bの間に奏功評価に利用されるであろう。奏効評価のための独立した中央レビュー(ICR)が、フェーズ2の間に考慮され得る。
【0168】
治験責任医師の裁量により、PDが疑われる場合はいつでも撮像が実施され得る。加えて、mRECIST及びiRECIST評価は、副次的エンドポイントデータ収集のために実施されるが、公式の奏効スコアには組み込まれない。
【0169】
ECOGパフォーマンスステータス
ECOG PSスケールを使用して、疾患が患者の日常生活活動及び自分自身の世話をする能力にどのように影響しているかを評価する。各指定された時点で、資格を有する施設職員が以下の尺度に従って患者を評価する:
・十分に活動的、制限なしで全ての病気にかかる前の動作を行うことができる
・身体的に激しい運動が制限されているが、歩行が可能で、軽い又は座って行う性質の作業(例えば、軽い家事、事務作業)を行うことができる
・歩行が可能であり、全てのセルフケアが可能であるが、いかなる作業活動も行うことができず、起床時間の約50%以上で起き上がって動き回ることができる
・限られたセルフケアのみ可能、起床時間の50%以上がベッド又は椅子に限られている
・完全に身体が不自由で、いかなるセルフケアも行うことができず、ベッド又は椅子に完全に限られている
・死亡
【0170】
変更、すなわち悪化は、AEに対する非指示的な質問中に報告されない限り、AEとして記録されない。
【0171】
RECIST v1.1の定義
測定可能な疾患-少なくとも1つの測定可能な病変の存在。測定可能な疾患が孤立性病変に限定されている場合、その腫瘍性の性質は、細胞学/組織学によって確認されるべきである。
【0172】
測定可能な病変-最長直径≧10mm(CTスキャン切片厚≦5mm)で少なくとも1次元で正確に測定することができる病変。
【0173】
測定不可能な病変-小さな病変(最長直径<10mm)を含む全ての他の病変、並びに真に測定不可能な病変(軟膜疾患、腹水、胸膜/心外膜液、炎症性乳房疾患、皮膚又は肺のリンパ管関与、再現性画像技術によって測定できない腹部腫瘤など)。
【0174】
ベースライン文書化
1臓器当たり最大2病変、合計5病変までの全ての測定可能な病変を標的病変として特定し、ベースラインで記録及び測定する必要がある。
【0175】
標的病変は、そのサイズ(最長直径の病変)と、一貫した画像技術による正確な繰り返し測定への適合性に基づいて選択する必要がある。
【0176】
全ての標的病変(非結節性)の最長直径(LD)の合計を計算し、ベースライン合計LDとして報告する。ベースライン合計LDは、疾患の測定可能な寸法における客観的腫瘍応答を特徴付けるための参照として使用される。
【0177】
全ての他の病変(又は疾患部位)は、非標的病変として特定されるべきであり、ベースラインでも記録されるべきである。これらの病変の測定は、必要とされないが、それぞれの有無は、フォローアップ中に留意する必要がある。
【0178】
標的病変の評価
完全奏効(CR):全ての標的病変の消失
【0179】
部分奏効(PR):ベースライン合計LDを基準として、標的病変のLDの合計の少なくとも30%減少。
【0180】
進行性疾患(PD):治療開始以降の記録された最小の合計LD又は1つ以上の新たな病変の出現を基準として、標的病変のLDの合計の少なくとも20%増加。この合計は、5mmで絶対的な増加を示す必要がある。
【0181】
安定疾患(SD):治療開始以降の最小の合計LDを基準として、PRを認めるのに十分な縮小も、PDを認めるのに十分な増加もない。
【0182】
非標的病変の評価
完全奏効(CR):全ての非標的病変の消失
【0183】
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変の持続性
【0184】
進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明確な進行、及び/又は1つ以上の新たな病変の出現。
【0185】
奏功の評価
奏功が、表4に従って、コホートA、コホートB、及びコホートCの時点で評価されるであろう。
【表4】
略語:CR=完全奏効、PD=進行性疾患、PR=部分奏効、SD=安定疾患。
【0186】
全奏効期間
全奏効期間は、CR又はPRについて測定基準が満たされる時間(いずれか最初に記録される方)から、再発又はPDが客観的に文書化された最初の日まで(治療開始以降記録された最小の測定値をPDの基準として)測定される。全体的なCR期間は、CRの測定基準が最初に満たされた時点から、PDが客観的に文書化された最初の日まで測定される。SD期間:安定疾患は、ベースライン測定値を含む治療開始以降記録された最小の測定値の合計を基準として、治療の開始から進行の基準が満たされるまで測定される。
【0187】
全生存率
全ての患者について、OSは、登録日から死亡時まで計算される。最終有効性分析のためのデータカットオフ前に依然として生存している患者、又は研究終了前に脱落した患者は、最後に生存が確認された日で打ち切られる。
【0188】
無増悪生存
全ての患者について、PFSは、登録日から再発(又は疾患発症の他の明確な指標)を文書化したCTスキャンの時点、又は死亡日(いずれか早い方)まで計算される。再発が文書化されておらず、最終有効性分析のためのデータカットオフ前に依然として生存している患者、又は研究終了前に脱落した患者は、再発がないことを文書化する最後の放射線学的証拠の日で打ち切られる。
【0189】
修正RECIST(mRECIST)
肝細胞がんのmRECISTの定義は、以下の通りである:
【0190】
完全奏効(CR)=全ての標的病変における任意の腫瘍内動脈増強の消失
【0191】
部分奏効(PR)=標的病変の直径のベースライン合計を基準として、生存可能な(動脈相における増強)標的病変の直径の合計が少なくとも30%減少する
【0192】
安定疾患(SD)=PR又は進行性疾患のいずれにも該当しない症例
【0193】
進行性疾患(PD)=治療開始以降記録された生存可能な(増強する)標的病変の直径の最小合計を基準として、生存可能な(増強する)標的病変の直径の合計が少なくとも20%増加する
【0194】
奏効はまた、表5に示されるように、mRECISTによって評価されるであろう。
【表5】
略語:CR=完全奏効、PR=部分奏効、IR=不完全奏効、SD=安定疾患、PD=進行性疾患。
供給源:Lencioni R,Llovet JM.Modified RECIST(mRECIST)assessment for hepatocellular carcinoma.Sem Liver Dis.2010;30:52-60.
【0195】
免疫ベースの治療法のためのRECIST 1.1(iRECIST)
奏効はまた、表6に示されるように、iRECISTによっても評価されるであろう。要言すれば、RECISTとiRECISTとの間の主な違いは、Seymour et al 2017で以下のように説明されている:「客観的な腫瘍反応を決定するために使用される原則は、RECIST 1.1とほぼ変わらないが、iRECISTの大きな変更は、腫瘍縮小による次の評価でRECIST 1.1の進行が続く場合に「バーをリセットする」という概念である。iRECISTは、RECIST 1.1の原則に基づいてiUPDを定義するが、iUPDには確認が必要であり、これは、進行が最初に特定された病変カテゴリ(すなわち、標的、非標的疾患)のサイズ(又は新たな病変の数)の更なる増加、又はRECIST 1.1進行基準をこれまでに満たさなかった病変カテゴリの進行(RECIST 1.1によって定義される)のいずれかを観察することに基づいて行われる。しかしながら、進行が確認されないが、その代わりに、iCR、iPR、又はiSDの基準を満たす腫瘍縮小(ベースラインと比較して)が確認された場合、バーがリセットされるため、iUPDが再び発生し(最低値と比較して)、次いで、iCPDが割り当てられるための次の評価で(更なる成長によって)確認される必要がある。iUPDからの腫瘍サイズ又は程度の変化が生じない場合、時点の応答は、再びiUPDとなるであろう。このアプローチにより、擬似進行後に生じる遅延応答などの非定型応答を特定し、更に理解し、より良く特徴付けることができる。」
【表6】
略語:CR=完全奏効、iCPD=確認された免疫PD、iCR=免疫完全奏効、iPR=免疫部分奏効、iRECIST=免疫ベースの治療法のための固形腫瘍における奏効評価基準、iSD=免疫安定疾患、iUPD=免疫未確認PD、NA=該当なし、NL=新たな病変、NLT=新たな病変標的、NLNT=新たな病変非標的、NT=非標的、PD=進行性疾患、PR=部分奏効、RECIST=固形腫瘍における奏効評価基準、SD=安定疾患、SOM=測定値の合計、TP=時点
*RECIST 1.1の原則を使用。擬似進行が発生しない場合、CR、PR、及びSDのRECIST 1.1及びiRECISTカテゴリは同じであり得る。**任意の病変カテゴリ中。***このTPの直前の評価で以前に特定されている。
【0196】
上記は、本開示の原理を単に例示するに過ぎない。本明細書の教示を考慮して、説明される実施形態に対する様々な修正及び変更は、当業者には明白であろう。したがって、当業者は、本明細書に明示的には示され又は説明されていないが、本開示の原理を具現化し、したがって本開示の精神及び範囲内であり得る多数のシステム、配置、及び手順を考案することができることが理解されるであろう。様々な異なる例示的な実施形態は、当業者によって理解されるべきであるように、互いに一緒に、並びにそれと互換的に使用され得る。加えて、本明細書を含む本開示で使用される特定の用語は、例えば、データ及び情報を含むがこれらに限定されない、特定の例において同義的に使用され得る。本明細書では、これらの単語、及び/又は互いに同義であり得る他の単語は、本明細書で同義的に使用され得るが、そのような単語が同義的に使用されないように意図され得る場合があり得ることを理解されたい。更に、先行技術の知識が上記の本明細書において参照により明示的に組み込まれていない範囲において、その全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照した全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】