(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】高力価ポリペプチドベースのタンパク質阻害のための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20240312BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240312BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240312BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240312BHJP
C07K 14/00 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/50 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/44 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/49 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/40 20060101ALN20240312BHJP
C07K 14/11 20060101ALN20240312BHJP
C07K 14/165 20060101ALN20240312BHJP
C07K 14/16 20060101ALN20240312BHJP
C07K 14/08 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K35/76
A61K31/7088
A61K9/127
A61K9/51
A61K9/72
A61P31/14
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P31/18
A61P31/12
A61K39/395 N
A61K31/7056
A61K31/4965
A61K31/675
A61P31/16
A61P31/20
C07K14/00 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/50
C12N15/44
C12N15/49
C12N15/40
C07K14/11
C07K14/165
C07K14/16
C07K14/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560826
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022071424
(87)【国際公開番号】W WO2022213076
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チンホア
(72)【発明者】
【氏名】マー、チエンポン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA93
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB25
4C076BB31
4C076CC35
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA19
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4C086MA13
4C086MA24
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4C086MA59
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4C086MA66
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4C086ZB33
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
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4C087ZB33
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA01
4H045CA05
4H045EA29
(57)【要約】
【課題】 ポリペプチドベースのタンパク質阻害のための方法および組成物を提供する。
【解決手段】 本開示の局面は、ウイルススパイクタンパク質などの標的タンパク質と相互作用するポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物、ならびにウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群などの疾患の治療および予防のためのそれらの使用方法に関する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記標的タンパク質もしくはその一部および/または前記標的タンパク質の天然型相互作用パートナーもしくはその一部を、前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ
前記ポリペプチドと前記標的タンパク質とは、前記標的タンパク質が前記ポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;
前記ポリペプチドと、前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーとは、前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーが前記ポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ならびに/あるいは
前記ポリペプチドと、前記標的タンパク質と、前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーとは、前記標的タンパク質および前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーが前記ポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項2】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の配列との配列同一性が少なくとも10%である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも20%である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも30%である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも40%である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも50%である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも60%である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも70%である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも80%である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも85%である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも90%である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも95%である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドが前記標的タンパク質の前記対応する配列を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
標的タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記標的タンパク質もしくはその一部および/または前記標的タンパク質の天然型相互作用パートナーもしくはその一部を、前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ
前記ポリペプチドは前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;
前記ポリペプチドは前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーの前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ならびに/あるいは
前記ポリペプチドは前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインおよび前記標的タンパク質の前記天然型相互作用パートナーとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項16】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの配列同一性が少なくとも10%である、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも20%である、請求項15~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも30%である、請求項15~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも40%である、請求項15~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも50%である、請求項15~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも60%である、請求項15~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも70%である、請求項15~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも80%である、請求項15~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも85%である、請求項15~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも90%である、請求項15~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも95%である、請求項15~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドが前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインを含む、請求項15~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記標的タンパク質がウイルスタンパク質である、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記標的タンパク質がウイルス糖タンパク質である、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記標的タンパク質がウイルススパイクタンパク質である、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、疾患または状態が前記対象において処置される、または防止される、請求項1~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記疾患または状態がウイルス感染症である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項1~33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記非天然型タンパク質複合体の形成は、前記標的タンパク質またはその生物学的機能を、前記標的タンパク質のホモオリゴマー化を阻害することによって生体内で調節する、請求項1~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記非天然型タンパク質複合体の形成は、前記標的タンパク質またはその生物学的機能を、前記標的タンパク質のヘテロオリゴマー化を阻害することによって生体内で調節する、請求項1~34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記非天然型タンパク質複合体の形成は、前記標的タンパク質またはその生物学的機能を、前記標的タンパク質のホモオリゴマー化およびヘテロオリゴマー化を阻害することによって生体内で調節する、請求項1~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその一部を、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法。
【請求項39】
コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその一部を、前記コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドは前記コロナウイルススパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項40】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、コロナウイルス感染症が前記対象において処置される、または防止される、請求項38~40に記載の方法。
【請求項42】
前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することが、前記コロナウイルススパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む、請求項38~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、前記コロナウイルススパイクタンパク質の量が前記対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる、請求項38~42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
コロナウイルス感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
コロナウイルス感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドは前記コロナウイルススパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【請求項46】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリペプチドと前記コロナウイルススパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、前記コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、前記コロナウイルス感染症が処置される、または防止される、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記コロナウイルススパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における前記コロナウイルススパイクタンパク質の量が減少させられる、請求項44~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記コロナウイルスが、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43またはHCoV-HKU1を含む、請求項38~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記コロナウイルスがSARS-CoVを含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がSARS-CoVスパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記コロナウイルスがSARS-CoV-2を含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がSARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記コロナウイルスがMERS-CoVを含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がMERS-CoVスパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記コロナウイルスがHCoV-229Eを含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-229Eスパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記コロナウイルスがHCoV-NL63を含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-NL63スパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記コロナウイルスがHCoV-OC43を含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-OC43スパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記コロナウイルスがHCoV-HKU1を含み、前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-HKU1スパイクタンパク質を含む、請求項38~50のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも80%である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも85%である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも90%である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも95%である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも80%である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも85%である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも90%である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも95%である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリペプチドが配列番号4を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも80%である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも85%である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも90%である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも95%である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ポリペプチドが配列番号6を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも80%である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも85%である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも90%である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも95%である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記ポリペプチドが配列番号8を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも80%である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも85%である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも90%である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも95%である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記ポリペプチドが配列番号10を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも80%である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも85%である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも90%である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも95%である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記ポリペプチドが配列番号12を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも80%である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも85%である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも90%である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも95%である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ポリペプチドが配列番号14を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項38~57のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも80%である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも85%である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも90%である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも95%である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ポリペプチドが配列番号16を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
さらに、
前記対象を前記コロナウイルス感染症と診断すること;
前記コロナウイルス感染症の症状を有するとして前記対象を診断すること;または
前記コロナウイルス感染症を有する危険性があるとして前記対象を診断すること
を含む、請求項44~105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記対象は、コロナウイルス感染症を有することについて危険性が高い、請求項44~106のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
前記対象はコロナウイルス感染症を有しない、請求項44~107のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
前記対象は、コロナウイルス感染症について検査が陰性である、請求項44~108のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
前記対象は、コロナウイルス感染症を有するとして診断されていた、請求項44~107のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
前記コロナウイルス感染症が、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群、または呼吸器感染症を引き起こす、請求項44~110のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
前記コロナウイルス感染症がCOVID-19を引き起こす、請求項111のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
前記対象には、前記コロナウイルス感染症のための効果的な量の第2の治療が施される、請求項44~112のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記第2の治療が抗SARS-CoV-2薬物を含む、請求項113または請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記抗SARS-CoV-2薬物が、ステロイド、亜鉛、ビタミンC、レムデシビル、トシリズマブ、アナキンラ、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニドコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アジスロマイシン、AC-55541、アピシジン(Apicidin)、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、ダウノルビシン、E-52862、エンタカポン、GB110、H-89、ハロペリドール、インドメタシン、JQ1、ロラタジン、メリメポディブ、メトホルミン、ミドスタウリン、ミガラスタット、ミコフェノール酸、PB28、PD-144418、ポナチニブ、リバビリン、RS-PPCC、ルキソリチニブ、RVX-208、S-ベラパミル、シルミタセルチブ(Silmitasertib)、TMCB、UCPH-101、バルプロ酸、XL413、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネジスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェーリン(Sanglifehrin)A、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン(Ternatin)4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、ベルジネクソル、WDB002、ゾタチフィン(eFT226)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記コロナウイルス感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる、請求項44~116のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記HIVスパイクタンパク質またはその一部を、配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法。
【請求項119】
HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記HIVスパイクタンパク質またはその一部を、前記HIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドは前記HIVスパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項120】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、HIV感染症が前記対象において処置される、または防止される、請求項118~120のいずれかに記載の方法。
【請求項122】
前記HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することが、前記HIVスパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む、請求項118~121のいずれかに記載の方法。
【請求項123】
前記HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、前記HIVスパイクタンパク質の量が前記対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる、請求項118~122のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
HIV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項125】
HIV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、HIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドは前記HIVスパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【請求項126】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記ポリペプチドと前記HIVスパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、前記HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、前記HIV感染症が処置される、または防止される、請求項125または請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記HIVスパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される、請求項124~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における前記HIVスパイクタンパク質の量が減少させられる、請求項124~128のいずれかに記載の方法。
【請求項130】
前記HIVスパイクタンパク質がHIVのgp160スパイクタンパク質を含む、請求項118~129のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項118~130のいずれかに記載の方法。
【請求項132】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも80%である、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも85%である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも90%である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも95%である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記ポリペプチドが配列番号18を含む、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
さらに、
前記対象を前記HIV感染症と診断すること;
前記HIV感染症の症状を有するとして前記対象を診断すること;または
前記HIV感染症を有する危険性があるとして前記対象を診断すること
を含む、請求項124~136のいずれかに記載の方法。
【請求項138】
前記対象は、HIV感染症を有することについて危険性が高い、請求項124~137のいずれかに記載の方法。
【請求項139】
前記対象はHIV感染症を有しない、請求項124~138のいずれかに記載の方法。
【請求項140】
前記対象は、HIV感染症について検査が陰性である、請求項124~139のいずれかに記載の方法。
【請求項141】
前記対象は、HIV感染症を有するとして診断されていた、請求項124~138のいずれかに記載の方法。
【請求項142】
前記対象には、前記HIV感染症のための効果的な量の第2の治療が施される、請求項124~141のいずれかに記載の方法。
【請求項143】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記第2の治療が抗HIV薬物を含む、請求項142または請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記抗HIV薬物が、エファビレンツ(Sustiva)、リルピビリン(Edurant)、エトラビリン(Intelence)、デラビルジン(Rescriptor)、ネビラピン(Viramune、Viramune XR)、ドラビリン(Pifeltroz)、アバカビル(Ziagen)、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Vemlidy)、テノホビル(Viread)、エムトリシタビン(Emtriva)、ラミブジン(Epivir)、ジドブジン(Retrovir)、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、エムトリシタビン/テノホビル(Truvada)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Cimduo、Temixys)、ラミブジン/ジドブジン(Combivir)、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(Descovy)、ジダノシン(Videx、Videx EC)、スタブジン(Zerit)、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、リトナビル(Norvir)、チプラナビル(Aptivus)、ロピナビル/リトナビル(Kaletra)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz)、ダルナビル/コビシスタット(Prezcobix)、インジナビル(Crixivan)、ネルフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル(tenofovir alafenamide fumar)(Biktarvy)、ラルテグラビル(Isentress)、エルビテグラビル(GenvoyaおよびStribild)、ドルテグラビル(Tivicay)、コビシスタット(Tybost)、リトナビル(Norvir)、エンフビルチド(Fuzeon)、マラビロク(Selzentry)、イバリズマブ-uiyk(Trogarzo)、マラビロク(Selzentry)、ホステムサビル(Rukobia)、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Delstrigo)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi Lo)、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Atripla)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Odefsey)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Complera)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Genvoya)、アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン(Triumeq)、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Biktarvy)、ドルテグラビル/ラミブジン(Dovato)、ドルテグラビル/リルピビリン(Juluca)、ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Symtuza)、アセチル-L-カルニチン、乳清タンパク質、L-グルタミン、L-アルギニン、ヒドロキシメチルブチラート(HMB)、プロバイオティクス、ビタミンおよびミネラル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記HIV感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる、請求項124~145のいずれかに記載の方法。
【請求項147】
エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記エボラ糖タンパク質またはその一部を、配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法。
【請求項148】
エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記エボラ糖タンパク質またはその一部を、前記エボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドは前記エボラ糖タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項149】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、エボラ感染症が前記対象において処置される、または防止される、請求項147~149に記載の方法。
【請求項151】
前記エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することが、前記エボラ糖タンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む、請求項147~150のいずれかに記載の方法。
【請求項152】
前記エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、前記エボラ糖タンパク質の量が前記対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる、請求項147~151のいずれかに記載の方法。
【請求項153】
エボラ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項154】
エボラ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、エボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドは前記エボラ糖タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【請求項155】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記ポリペプチドと前記エボラ糖タンパク質とのオリゴマー形成により、前記エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能が調節されて、前記エボラ感染症が処置される、または防止される、請求項154または請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記エボラ糖タンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される、請求項153~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における前記エボラ糖タンパク質の量が減少させられる、請求項153~157のいずれかに記載の方法。
【請求項159】
前記エボラ糖タンパク質がエボラGP糖タンパク質を含む、請求項147~158のいずれかに記載の方法。
【請求項160】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項147~159のいずれかに記載の方法。
【請求項161】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも80%である、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも85%である、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも90%である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも95%である、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記ポリペプチドが配列番号20を含む、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
さらに、
前記対象を前記エボラ感染症と診断すること;
前記エボラ感染症の症状を有するとして前記対象を診断すること;または
前記エボラ感染症を有する危険性があるとして前記対象を診断すること
を含む、請求項153~165のいずれかに記載の方法。
【請求項167】
前記対象は、エボラ感染症を有することについて危険性が高い、請求項153~166のいずれかに記載の方法。
【請求項168】
前記対象はエボラ感染症を有しない、請求項153~167のいずれかに記載の方法。
【請求項169】
前記対象は、エボラ感染症について検査が陰性である、請求項153~168のいずれかに記載の方法。
【請求項170】
前記対象は、エボラ感染症を有するとして診断されていた、請求項153~167のいずれかに記載の方法。
【請求項171】
前記対象には、前記エボラ感染症のための効果的な量の第2の治療が施される、請求項153~170のいずれかに記載の方法。
【請求項172】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記第2の治療が抗エボラ薬物を含む、請求項171または請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記抗エボラ薬物が、アトルチビマブ(atoltivimab)/マフチビマブ(maftivimab)/オデシビマブ(odesivimab)-ebgn(Inmazeb)、アンスビマブ-zykl(Ebanga)、ファビピラビル(Avigan)、リバビリン、BCX4430、ブリンシドホビル、TKM-Ebola、AVI-7537、JK-05、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記エボラ感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる、請求項153~174のいずれかに記載の方法。
【請求項176】
インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその一部を、配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法。
【請求項177】
インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその一部を、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドは前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項178】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項177に記載の方法。
【請求項179】
前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、インフルエンザ感染症が前記対象において処置され、または防止される、請求項176~178に記載の方法。
【請求項180】
前記インフルエンザウイルスススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することが、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む、請求項176~179のいずれかに記載の方法。
【請求項181】
前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の量が前記対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる、請求項176~180のいずれかに記載の方法。
【請求項182】
インフルエンザ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項183】
インフルエンザ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドは前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【請求項184】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項183に記載の方法。
【請求項185】
前記ポリペプチドと前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、前記インフルエンザ感染症が処置される、または防止される、請求項183または請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される、請求項182~185のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
前記対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質の量が減少させられる、請求項182~186のいずれかに記載の方法。
【請求項188】
前記インフルエンザがA型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む、請求項176~187のいずれかに記載の方法。
【請求項189】
前記A型インフルエンザウイルスがA/H1型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA/H1型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項190】
前記A型インフルエンザウイルスがA/H3型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA/H3型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項188に記載の方法。
【請求項191】
前記インフルエンザがB型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む、請求項176~187のいずれかに記載の方法。
【請求項192】
前記B型インフルエンザウイルスがB/ビクトリア型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB/ビクトリア型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
前記B型インフルエンザウイルスがB/山形型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB/山形型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項191に記載の方法。
【請求項194】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項176~193のいずれかに記載の方法。
【請求項195】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも80%である、請求項194に記載の方法。
【請求項196】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも85%である、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも90%である、請求項196に記載の方法。
【請求項198】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも95%である、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記ポリペプチドが配列番号25を含む、請求項198に記載の方法。
【請求項200】
さらに、
前記対象を前記インフルエンザ感染症と診断すること;
前記インフルエンザ感染症の症状を有するとして前記対象を診断すること;または
前記インフルエンザ感染症を有する危険性があるとして前記対象を診断すること
を含む、請求項182~199のいずれかに記載の方法。
【請求項201】
前記対象は、インフルエンザ感染症を有することについて危険性が高い、請求項182~200のいずれかに記載の方法。
【請求項202】
前記対象はインフルエンザ感染症を有しない、請求項182~201のいずれかに記載の方法。
【請求項203】
前記対象は、インフルエンザ感染症について検査が陰性である、請求項182~202のいずれかに記載の方法。
【請求項204】
前記対象は、インフルエンザ感染症を有するとして診断されていた、請求項182~201のいずれかに記載の方法。
【請求項205】
前記対象には、前記インフルエンザ感染症のための効果的な量の第2の治療が施される、請求項182~204のいずれかに記載の方法。
【請求項206】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項205に記載の方法。
【請求項207】
前記第2の治療が抗インフルエンザ薬物を含む、請求項205または請求項206に記載の方法。
【請求項208】
前記抗インフルエンザ薬物が、オセルタミビルリン酸塩(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、ペラミビル(Rapivab)、バロキサビルマルボキシル(Xofluza)、アマンタジン、リマンタジン(Flumadine)、ウミフェノビル(Arbidol)、モロキシジン、フルチカレ(fluticare)、アセトアミノフェン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項207に記載の方法。
【請求項209】
前記インフルエンザ感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる、請求項179~208のいずれかに記載の方法。
【請求項210】
RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記RSV糖タンパク質またはその一部を、配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法。
【請求項211】
RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、前記RSV糖タンパク質またはその一部を、前記RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、
前記ポリペプチドは前記RSV糖タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって前記RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法。
【請求項212】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項211に記載の方法。
【請求項213】
前記RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、RSV感染症が前記対象において処置される、または防止される、請求項210~212に記載の方法。
【請求項214】
前記RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することが、前記RSV糖タンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む、請求項210~213のいずれかに記載の方法。
【請求項215】
前記RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、前記RSV糖タンパク質の量が前記対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる、請求項210~214のいずれかに記載の方法。
【請求項216】
RSV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項217】
RSV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドは前記RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【請求項218】
前記非天然型タンパク質複合体がプロテアソーム分解を受ける、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記ポリペプチドと前記RSV糖タンパク質とのオリゴマー形成により、前記RSV糖タンパク質またはその生物学的機能が調節されて、前記RSV感染症が処置される、または防止される、請求項217または請求項218に記載の方法。
【請求項220】
前記RSV糖タンパク質の形成および前記対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される、請求項216~219のいずれか一項に記載の方法。
【請求項221】
前記対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における前記RSV糖タンパク質の量が減少させられる、請求項216~220のいずれかに記載の方法。
【請求項222】
前記RSV糖タンパク質がRSVのF糖タンパク質を含む、請求項210~221のいずれかに記載の方法。
【請求項223】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項210~222のいずれかに記載の方法。
【請求項224】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも80%である、請求項223に記載の方法。
【請求項225】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも85%である、請求項224に記載の方法。
【請求項226】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも90%である、請求項225に記載の方法。
【請求項227】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも95%である、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
前記ポリペプチドが配列番号34を含む、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
さらに、
前記対象を前記RSV感染症と診断すること;
前記RSV感染症の症状を有するとして前記対象を診断すること;または
前記RSV感染症を有する危険性があるとして前記対象を診断すること
を含む、請求項216~228のいずれかに記載の方法。
【請求項230】
前記対象は、RSV感染症を有することについて危険性が高い、請求項216~229のいずれかに記載の方法。
【請求項231】
前記対象はRSV感染症を有しない、請求項216~230のいずれかに記載の方法。
【請求項232】
前記対象は、RSV感染症について検査が陰性である、請求項216~231のいずれかに記載の方法。
【請求項233】
前記対象は、RSV感染症を有するとして診断されていた、請求項216~230のいずれかに記載の方法。
【請求項234】
前記対象には、前記RSV感染症のための効果的な量の第2の治療が施される、請求項216~233のいずれかに記載の方法。
【請求項235】
前記第2の治療が抗RSV薬物を含む、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記RSV感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる、請求項216~235のいずれかに記載の方法。
【請求項237】
前記対象の体重1kgあたり0.1mg~1000mgの間での用量の前記ポリペプチドが前記対象に投与される、請求項1~236のいずれかに記載の方法。
【請求項238】
前記対象の体重1kgあたり0.1μg~1000μgの間での用量の前記ポリペプチドが前記対象に投与される、請求項1~236のいずれかに記載の方法。
【請求項239】
前記ポリペプチドが、前記ポリペプチドをコードするベクターから発現される、請求項1~236のいずれかに記載の方法。
【請求項240】
前記ベクターがウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項239に記載の方法。
【請求項241】
前記ベクターがミニサークルDNAベクターである、請求項239または請求項240に記載の方法。
【請求項242】
ベクターコピー体が前記対象の体重1kgあたり1×10
8~1×10
18の間である用量が前記対象に投与される、請求項239~241のいずれかに記載の方法。
【請求項243】
ベクターコピー体が前記対象の体重1kgあたり約1×10
11~約1×10
14である用量が前記対象に投与される、請求項239~242のいずれかに記載の方法。
【請求項244】
ベクターが前記対象の体重1kgあたり約1×10
12~約1×10
15である用量が前記対象に投与される、請求項239~243のいずれかに記載の方法。
【請求項245】
前記ベクターは前記対象の細胞への形質導入を引き起こし、前記対象の前記細胞により、前記ポリペプチドが発現される、請求項239~244のいずれかに記載の方法。
【請求項246】
前記組成物がさらに、医薬的に許容され得るキャリアを含む、請求項1~245のいずれか一項に記載の方法。
【請求項247】
前記医薬的に許容され得るキャリアが、リポソーム、ポリマー状ミセル、ミクロスフェアまたはナノ粒子を含む、請求項246に記載の方法。
【請求項248】
前記組成物の単回服用が行われる、請求項1~247のいずれかに記載の方法。
【請求項249】
前記組成物の多回服用が行われる、請求項1~247のいずれかに記載の方法。
【請求項250】
前記組成物が、1日に1回、1日に2回以上、週に2回以上、月に2回以上、または年に2回以上、前記対象に送達される、請求項249に記載の方法。
【請求項251】
前記組成物が全身に、または局所的に送達される、請求項1~250のいずれか一項に記載の方法。
【請求項252】
前記組成物が、鼻腔内投与によって、静脈内投与によって、腹腔内投与によって、気管内投与によって、筋肉内投与によって、内視鏡投与によって、経皮投与によって、皮下投与によって、局所投与によって、頭蓋内投与によって、吸入によって、注射によって、注入によって、または灌流によって前記対象に投与される、請求項1~251のいずれかに記載の方法。
【請求項253】
前記組成物が吸入によって前記対象に投与される、請求項1~252のいずれかに記載の方法。
【請求項254】
前記組成物が鼻腔内投与によって前記対象に投与される、請求項1~253のいずれかに記載の方法。
【請求項255】
標的タンパク質および/または前記標的タンパク質の天然型相互作用パートナーの配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物であって、
前記ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ
前記ポリペプチドは前記標的タンパク質の前記配列との少なくとも10%の配列同一性を有する、医薬組成物。
【請求項256】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項255に記載の組成物。
【請求項257】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の配列との配列同一性が少なくとも10%である、請求項255または請求項256に記載の組成物。
【請求項258】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも20%である、請求項255~257のいずれかに記載の組成物。
【請求項259】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも30%である、請求項255~258のいずれかに記載の組成物。
【請求項260】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも40%である、請求項255~259のいずれかに記載の組成物。
【請求項261】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも50%である、請求項255~260のいずれかに記載の組成物。
【請求項262】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも60%である、請求項255~261のいずれかに記載の組成物。
【請求項263】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも70%である、請求項255~262のいずれかに記載の組成物。
【請求項264】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも80%である、請求項255~263のいずれかに記載の組成物。
【請求項265】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも85%である、請求項255~264のいずれかに記載の組成物。
【請求項266】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも90%である、請求項255~265のいずれかに記載の組成物。
【請求項267】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記配列との同一性が少なくとも95%である、請求項255~266のいずれかに記載の組成物。
【請求項268】
前記標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドが前記標的タンパク質の前記対応する配列を含む、請求項255~267のいずれかに記載の組成物。
【請求項269】
標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物であって、
前記ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ
前記ポリペプチドは前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの少なくとも10%の配列同一性を有する、医薬組成物。
【請求項270】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項269に記載の組成物。
【請求項271】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも10%である、請求項269または請求項270に記載の組成物。
【請求項272】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも20%である、請求項269~271のいずれかに記載の組成物。
【請求項273】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも30%である、請求項269~272のいずれかに記載の組成物。
【請求項274】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも40%である、請求項269~273のいずれかに記載の組成物。
【請求項275】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも50%である、請求項269~274のいずれかに記載の組成物。
【請求項276】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも60%である、請求項269~275のいずれかに記載の組成物。
【請求項277】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも70%である、請求項269~276のいずれかに記載の組成物。
【請求項278】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも80%である、請求項269~277のいずれかに記載の組成物。
【請求項279】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも85%である、請求項269~278のいずれかに記載の組成物。
【請求項280】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも90%である、請求項269~279のいずれかに記載の組成物。
【請求項281】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドは、前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも95%である、請求項269~280のいずれかに記載の組成物。
【請求項282】
前記標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有する前記ポリペプチドが前記標的タンパク質の前記オリゴマー形成ドメインを含む、請求項269~281のいずれかに記載の組成物。
【請求項283】
前記標的タンパク質がウイルスタンパク質を含む、請求項255~282のいずれかに記載の組成物。
【請求項284】
前記標的タンパク質がウイルス糖タンパク質を含む、請求項255~283のいずれかに記載の組成物。
【請求項285】
前記標的タンパク質がウイルススパイクタンパク質を含む、請求項255~284のいずれかに記載の組成物。
【請求項286】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項287】
コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項288】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がSARS-CoVスパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項289】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がSARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項290】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がMERS-CoVスパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項291】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-229Eスパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項292】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-NL63スパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項293】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-OC43スパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項294】
前記コロナウイルススパイクタンパク質がHCoV-HKU1スパイクタンパク質を含む、請求項287に記載の組成物。
【請求項295】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項296】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも80%である、請求項295に記載の組成物。
【請求項297】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも85%である、請求項296に記載の組成物。
【請求項298】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも90%である、請求項297に記載の組成物。
【請求項299】
前記ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも95%である、請求項298に記載の組成物。
【請求項300】
前記ポリペプチドが配列番号2を含む、請求項299に記載の組成物。
【請求項301】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項302】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも80%である、請求項301に記載の組成物。
【請求項303】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも85%である、請求項302に記載の組成物。
【請求項304】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも90%である、請求項303に記載の組成物。
【請求項305】
前記ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも95%である、請求項304に記載の組成物。
【請求項306】
前記ポリペプチドが配列番号4を含む、請求項305に記載の組成物。
【請求項307】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項308】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも80%である、請求項307に記載の組成物。
【請求項309】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも85%である、請求項308に記載の組成物。
【請求項310】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも90%である、請求項309に記載の組成物。
【請求項311】
前記ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも95%である、請求項310に記載の組成物。
【請求項312】
前記ポリペプチドが配列番号6を含む、請求項311に記載の組成物。
【請求項313】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項314】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも80%である、請求項313に記載の組成物。
【請求項315】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも85%である、請求項314に記載の組成物。
【請求項316】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも90%である、請求項315に記載の組成物。
【請求項317】
前記ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも95%である、請求項316に記載の組成物。
【請求項318】
前記ポリペプチドが配列番号8を含む、請求項317に記載の組成物。
【請求項319】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項320】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも80%である、請求項319に記載の組成物。
【請求項321】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも85%である、請求項320に記載の組成物。
【請求項322】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも90%である、請求項321に記載の組成物。
【請求項323】
前記ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも95%である、請求項322に記載の組成物。
【請求項324】
前記ポリペプチドが配列番号10を含む、請求項323に記載の組成物。
【請求項325】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項326】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも80%である、請求項325に記載の組成物。
【請求項327】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも85%である、請求項326に記載の組成物。
【請求項328】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも90%である、請求項327に記載の組成物。
【請求項329】
前記ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも95%である、請求項328に記載の組成物。
【請求項330】
前記ポリペプチドが配列番号12を含む、請求項329に記載の組成物。
【請求項331】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項332】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも80%である、請求項331に記載の組成物。
【請求項333】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも85%である、請求項332に記載の組成物。
【請求項334】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも90%である、請求項333に記載の組成物。
【請求項335】
前記ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも95%である、請求項334に記載の組成物。
【請求項336】
前記ポリペプチドが配列番号14を含む、請求項335に記載の組成物。
【請求項337】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項286~294のいずれかに記載の組成物。
【請求項338】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも80%である、請求項337に記載の組成物。
【請求項339】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも85%である、請求項338に記載の組成物。
【請求項340】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも90%である、請求項339に記載の組成物。
【請求項341】
前記ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも95%である、請求項340に記載の組成物。
【請求項342】
前記ポリペプチドが配列番号16を含む、請求項341に記載の組成物。
【請求項343】
コロナウイルス感染症のための第2の治療をさらに含む、請求項286~342のいずれかに記載の組成物。
【請求項344】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項343に記載の組成物。
【請求項345】
前記第2の治療が抗SARS-CoV-2薬物を含む、請求項343または請求項344に記載の組成物。
【請求項346】
前記抗SARS-CoV-2薬物が、アジスロマイシン、AC-55541、アピシジン、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、ダウノルビシン、E-52862、エンタカポン、GB110、H-89、ハロペリドール、インドメタシン、JQ1、ロラタジン、メリメポディブ、メトホルミン、ミドスタウリン、ミガラスタット、ミコフェノール酸、PB28、PD-144418、ポナチニブ、リバビリン、RS-PPCC、ルキソリチニブ、RVX-208、S-ベラパミル、シルミタセルチブ、TMCB、UCPH-101、バルプロ酸、XL413、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン(および/またはヒドロキシクロロキン)、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネジスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェーリンA、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン(Ternatin)4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、ベルジネクソル、WDB002、ゾタチフィン(eFT226)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項345に記載の組成物。
【請求項347】
配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項348】
HIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項349】
前記HIVスパイクタンパク質がHIVのgp160スパイクタンパク質を含む、請求項348に記載の医薬組成物。
【請求項350】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項347~349のいずれかに記載の組成物。
【請求項351】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも80%である、請求項350に記載の組成物。
【請求項352】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも85%である、請求項351に記載の組成物。
【請求項353】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも90%である、請求項352に記載の組成物。
【請求項354】
前記ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも95%である、請求項353に記載の組成物。
【請求項355】
前記ポリペプチドが配列番号18を含む、請求項354に記載の組成物。
【請求項356】
HIV感染症のための第2の治療をさらに含む、請求項347~355のいずれかに記載の組成物。
【請求項357】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項356に記載の組成物。
【請求項358】
前記第2の治療が抗HIV薬物を含む、請求項356または請求項357に記載の組成物。
【請求項359】
前記抗HIV薬物が、エファビレンツ(Sustiva)、リルピビリン(Edurant)、エトラビリン(Intelence)、デラビルジン(Rescriptor)、ネビラピン(Viramune、Viramune XR)、ドラビリン(Pifeltroz)、アバカビル(Ziagen)、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Vemlidy)、テノホビル(Viread)、エムトリシタビン(Emtriva)、ラミブジン(Epivir)、ジドブジン(Retrovir)、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、エムトリシタビン/テノホビル(Truvada)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Cimduo、Temixys)、ラミブジン/ジドブジン(Combivir)、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(Descovy)、ジダノシン(Videx、Videx EC)、スタブジン(Zerit)、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、リトナビル(Norvir)、チプラナビル(Aptivus)、ロピナビル/リトナビル(Kaletra)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz)、ダルナビル/コビシスタット(Prezcobix)、インジナビル(Crixivan)、ネルフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル(tenofovir alafenamide fumar)(Biktarvy)、ラルテグラビル(Isentress)、エルビテグラビル(GenvoyaおよびStribild)、ドルテグラビル(Tivicay)、コビシスタット(Tybost)、リトナビル(Norvir)、エンフビルチド(Fuzeon)、マラビロク(Selzentry)、イバリズマブ-uiyk(Trogarzo)、マラビロク(Selzentry)、ホステムサビル(Rukobia)、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Delstrigo)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi Lo)、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Atripla)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Odefsey)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Complera)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Genvoya)、アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン(Triumeq)、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Biktarvy)、ドルテグラビル/ラミブジン(Dovato)、ドルテグラビル/リルピビリン(Juluca)、ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Symtuza)、アセチル-L-カルニチン、乳清タンパク質、L-グルタミン、L-アルギニン、ヒドロキシメチルブチラート(HMB)、プロバイオティクス、ビタミンおよびミネラル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項358に記載の組成物。
【請求項360】
配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項361】
エボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項362】
前記エボラウイルス糖タンパク質がエボラGPスパイクタンパク質を含む、請求項361に記載の医薬組成物。
【請求項363】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項360~362のいずれかに記載の組成物。
【請求項364】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも80%である、請求項363に記載の組成物。
【請求項365】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも85%である、請求項364に記載の組成物。
【請求項366】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも90%である、請求項365に記載の組成物。
【請求項367】
前記ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも95%である、請求項366に記載の組成物。
【請求項368】
前記ポリペプチドが配列番号20を含む、請求項367に記載の組成物。
【請求項369】
エボラ感染症のための第2の治療をさらに含む、請求項360~368のいずれかに記載の組成物。
【請求項370】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項369に記載の組成物。
【請求項371】
前記第2の治療が抗エボラ薬物を含む、請求項369または請求項370に記載の組成物。
【請求項372】
前記抗エボラ薬物が、アトルチビマブ(atoltivimab)/マフチビマブ(maftivimab)/オデシビマブ(odesivimab)-ebgn(Inmazeb)、アンスビマブ-zykl(Ebanga)、ファビピラビル(Avigan)、リバビリン、BCX4430、ブリンシドホビル、TKM-Ebola、AVI-7537、JK-05、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項371に記載の組成物。
【請求項373】
配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項374】
インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項375】
前記インフルエンザがA型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む、請求項374に記載の組成物。
【請求項376】
前記A型インフルエンザウイルスがA/H1型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA/H1型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項375に記載の組成物。
【請求項377】
前記A型インフルエンザウイルスがA/H3型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がA/H3型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項375に記載の組成物。
【請求項378】
前記A型インフルエンザウイルスがB型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む、請求項374に記載の組成物。
【請求項379】
前記B型インフルエンザウイルスがB/ビクトリア型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB/ビクトリア型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項378に記載の組成物。
【請求項380】
前記B型インフルエンザウイルスがB/山形型インフルエンザウイルスを含み、前記インフルエンザウイルススパイクタンパク質がB/山形型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む、請求項378に記載の組成物。
【請求項381】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項373~380のいずれかに記載の組成物。
【請求項382】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも80%である、請求項381に記載の組成物。
【請求項383】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも85%である、請求項382に記載の組成物。
【請求項384】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも90%である、請求項383に記載の組成物。
【請求項385】
前記ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも95%である、請求項384に記載の組成物。
【請求項386】
前記ポリペプチドが配列番号25を含む、請求項385に記載の組成物。
【請求項387】
インフルエンザ感染症のための第2の治療をさらに含む、請求項373~386のいずれかに記載の組成物。
【請求項388】
前記第2の治療が、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項387に記載の組成物。
【請求項389】
前記第2の治療が抗インフルエンザ薬物を含む、請求項387または請求項388に記載の組成物。
【請求項390】
前記抗インフルエンザ薬物が、オセルタミビルリン酸塩(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、ペラミビル(Rapivab)、バロキサビルマルボキシル(Xofluza)、アマンタジン、リマンタジン(Flumadine)、ウミフェノビル(Arbidol)、モロキシジン、フルチカレ(fluticare)、アセトアミノフェン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項389に記載の組成物。
【請求項391】
配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項392】
RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物。
【請求項393】
前記RSV糖タンパク質がRSVのFタンパク質を含む、請求項361に記載の医薬組成物。
【請求項394】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である、請求項360~362のいずれかに記載の組成物。
【請求項395】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも80%である、請求項363に記載の組成物。
【請求項396】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも85%である、請求項364に記載の組成物。
【請求項397】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも90%である、請求項365に記載の組成物。
【請求項398】
前記ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも95%である、請求項366に記載の組成物。
【請求項399】
前記ポリペプチドが配列番号34を含む、請求項367に記載の組成物。
【請求項400】
RSV感染症のための第2の治療をさらに含む、請求項360~368のいずれかに記載の組成物。
【請求項401】
前記第2の治療が抗RSV薬物を含む、請求項369または請求項370に記載の組成物。
【請求項402】
前記ベクターがウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである、請求項255~401のいずれかに記載の組成物。
【請求項403】
前記ベクターがミニサークルDNAベクターである、請求項255~402のいずれかに記載の組成物。
【請求項404】
ベクターゲノムが前記対象の体重1kgあたり1×10
8~1×10
18の間である用量が前記対象に投与される、請求項255~403のいずれかに記載の組成物。
【請求項405】
ベクターゲノムが前記対象の体重1kgあたり約1×10
11~約1×10
14である用量が前記対象に投与される、請求項255~404のいずれかに記載の組成物。
【請求項406】
ベクターゲノムが前記対象の体重1kgあたり約1×10
12~約1×10
15である用量が前記対象に投与される、請求項255~405のいずれかに記載の組成物。
【請求項407】
医薬的に許容され得るキャリアをさらに含む、請求項255~406のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項408】
前記医薬的に許容され得るキャリアが、リポソーム、ポリマー状ミセル、ミクロスフェアまたはナノ粒子を含む、請求項407に記載の組成物。
【請求項409】
組成物の単回服用が行われる、請求項255~408のいずれかに記載の組成物。
【請求項410】
組成物の多回服用が行われる、請求項255~408のいずれかに記載の組成物。
【請求項411】
1日に1回、1日に2回以上、週に2回以上、月に2回以上、または年に2回以上、前記対象に送達される、請求項410に記載の組成物。
【請求項412】
全身に、または局所的に送達される、請求項255~411のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項413】
鼻腔内投与によって、静脈内投与によって、腹腔内投与によって、気管内投与によって、筋肉内投与によって、内視鏡投与によって、経皮投与によって、皮下投与によって、局所投与によって、頭蓋内投与によって、吸入によって、注射によって、注入によって、または灌流によって前記対象に投与される、請求項255~412のいずれかに記載の組成物。
【請求項414】
吸入によって前記対象に投与される、請求項255~413のいずれかに記載の組成物。
【請求項415】
鼻腔内投与によって前記対象に投与される、請求項255~414のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月30日に出願された米国仮出願シリアル番号63/168,107の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の局面は、一般に、少なくともタンパク質生物学、分子生物学、ウイルス学、および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質は、所与の生物における生物学的機能の広大なスペクトルを遂行する主要なプレーヤーである。例えば、コロナウイルス、HIV、エボラ出血熱、RSV、およびインフルエンザウイルスなどのウイルスによる感染は、ウイルスのスパイクタンパク質が宿主細胞の表面膜上のレセプターに結合することによって媒介される。ウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群、COVID-19、呼吸器感染症など、生命を脅かす重篤な症状を引き起こし、その他の症状は持続し、ウイルス感染後症候群となる。残念ながら、タンパク質は現代医学の主要な治療手段とはなっていない。実際、これらの感染症を治療するための治療オプションは、しっかりとした臨床試験で有効性が証明されたものはほとんどない。
【0004】
従って、特にウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群の治療および予防のための、タンパク質またはポリペプチドベースの治療薬のための組成物および方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の様々な態様が、ウイルススパイクタンパク質(これに限定されない)を含めてタンパク質を生体内で標的とするポリペプチド、そのようなポリペプチドを含む組成物、ならびにコロナウイルス(例えば、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1)感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、エボラ感染症、RSV感染症またはインフルエンザ感染症(これらに限定されない)を含めて対象における疾患または状態の処置および防止のための使用方法に関する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は、標的タンパク質の対応する配列との少なくとも10%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの少なくとも10%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号25または配列番号34との少なくとも10%~80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%~80%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、HIVスパイクタンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は配列番号18との少なくとも10%~80%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、エボラウイルス糖タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は配列番号20との少なくとも10%~80%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は配列番号25との少なくとも10%~80%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、RSV糖タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、当該アミノ酸配列は配列番号34との少なくとも10%~80%の同一性を有する。
【0006】
本開示の実施形態には下記が含まれる:ポリペプチド;ウイルススパイクタンパク質;タンパク質相互作用ポリペプチド;ウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;コロナウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;MERS-CoVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;SARS-CoVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;SARS-CoV-2スパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;HCoV-229Eスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;HCoV-NL63スパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;HCoV-HKU1スパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;HCoV-OC43スパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;HIVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド;インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド;RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド;
【0007】
ポリペプチドをコードするベクター;タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;ウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;コロナウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;MERS-CoVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;SARS-CoVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;SARS-CoV-2スパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;HCoV-229Eスパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;HCoV-NL63スパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;HCoV-HKU1スパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;HCoV-OC43スパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;HIVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするベクター;
【0008】
標的タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;ウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;MERS-CoVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;SARS-CoVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;HCoV-229Eスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;HCoV-NL63スパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;HCoV-HKU1スパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;HCoV-OC43スパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;エボラウイルス糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法;
【0009】
疾患を処置するための方法;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群を処置するための方法;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群を処置するための方法;MERS-CoV感染症を処置するための方法;SARS-CoV感染症を処置するための方法;SARS-CoV-2感染症を処置するための方法;HCoV-229E感染症を処置するための方法;HCoV-NL63感染症を処置するための方法;HCoV-OC43感染症を処置するための方法;HCoV-HKU1感染症を処置するための方法;HIV感染症を処置するための方法;エボラ感染症を処置するための方法;インフルエンザ感染症を処置するための方法;RSV感染症を処置するための方法;
【0010】
疾患を防止するための方法;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群を防止するための方法;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群を防止するための方法;MERS-CoV感染症を防止するための方法;SARS-CoV感染症を防止するための方法;SARS-CoV-2感染症を防止するための方法;HCoV-229E感染症を防止するための方法;HCoV-NL63感染症を防止するための方法;HCoV-OC43感染症を防止するための方法;HCoV-HKU1感染症を防止するための方法;HIV感染症を防止するための方法;エボラ感染症を防止するための方法;インフルエンザ感染症を防止するための方法;RSV感染症を防止するための方法;
【0011】
疾患の重症度を軽減するための方法;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群の重症度を軽減するための方法;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群の重症度を軽減するための方法;MERS-CoV感染症の重症度を軽減するための方法;SARS-CoV感染症の重症度を軽減するための方法;SARS-CoV-2感染症の重症度を軽減するための方法;HCoV-229E感染症の重症度を軽減するための方法;HCoV-NL63感染症の重症度を軽減するための方法;HCoV-OC43感染症の重症度を軽減するための方法;HCoV-HKU1感染症の重症度を軽減するための方法;HIV感染症の重症度を軽減するための方法;エボラ感染症の重症度を軽減するための方法;インフルエンザ感染症の重症度を軽減するための方法;RSV感染症の重症度を軽減するための方法;
【0012】
疾患の発症を遅延させるための方法;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群の発症を遅延させるための方法;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群の発症を遅延させるための方法;MERS-CoV感染症の発症を遅延させるための方法;SARS-CoV感染症の発症を遅延させるための方法;SARS-CoV-2感染症の発症を遅延させるための方法;HCoV-229E感染症の発症を遅延させるための方法;HCoV-NL63感染症の発症を遅延させるための方法;HCoV-OC43感染症の発症を遅延させるための方法;HCoV-HKU1感染症の発症を遅延させるための方法;HIV感染症の発症を遅延させるための方法;エボラ感染症の発症を遅延させるための方法;インフルエンザ感染症の発症を遅延させるための方法;RSV感染症の発症を遅延させるための方法;
【0013】
疾患の発達を阻害するための方法;ウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;コロナウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;MERS-CoVウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;SARS-CoVウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;SARS-CoV-2ウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;HCoV-229Eウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;HCoV-NL63ウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;HCoV-OC43ウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;HCoV-HKU1ウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;HIVウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;エボラウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;インフルエンザウイルスの細胞内への進入を阻害するための方法;RSVの細胞内への進入を阻害するための方法;
【0014】
1つまたは複数のタンパク質との間での相互作用を調節するための方法;ウイルススパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;コロナウイルススパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;MERS-CoVウイルススパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;SARS-CoVウイルススパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;SARS-CoV-2スパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;HCoV-229Eスパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;HCoV-NL63スパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;HCoV-OC43スパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;HCoV-HKU1スパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;HIVスパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;エボラウイルス糖タンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;インフルエンザウイルススパイクタンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;RSV糖タンパク質と宿主細胞膜との間での相互作用を調節するための方法;
【0015】
1つまたは複数のタンパク質種によって形成されるタンパク質複合体の形成および移行を調節する方法;ウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;コロナウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;MERS-CoVスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、および/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;SARS-CoVスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;SARS-CoV-2スパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;HCoV-229Eスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;HCoV-NL63スパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;HCoV-OC43スパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;HCoV-HKU1スパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;HIVスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;エボラウイルス糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;インフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;RSV糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を調節する方法;
【0016】
1つまたは複数のタンパク質種によって形成されるタンパク質複合体の量を対象の細胞において、かつ/または細胞表面において減少させる方法;ウイルススパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;コロナウイルススパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;MERS-CoVスパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;SARS-CoVスパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;SARS-CoV-2スパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;HCoV-229Eスパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;HCoV-NL63スパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;HCoV-OC43スパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;HCoV-HKU1スパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;HIVスパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;エボラウイルス糖タンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;インフルエンザウイルススパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;RSV糖タンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる方法;
【0017】
1つまたは複数のタンパク質種によって形成される非天然型タンパク質複合体の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;ウイルススパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;コロナウイルススパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;MERS-CoVスパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;SARS-CoVスパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;SARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;HCoV-229Eスパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;HCoV-NL63スパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;HCoV-OC43スパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;HCoV-HKU1スパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;HIVスパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;エボラウイルス糖タンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;インフルエンザウイルススパイクタンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;RSV糖タンパク質の細胞によるプロテアソーム分解を促進させる方法;
【0018】
核酸;ベクター;細胞;医薬組成物;ならびにキット。SARS-CoV-2ウイルスはCOVID-19を引き起こすため、SARS-CoV-2の文脈で議論される実施形態はどれもCOVID-19に関して実行されることが可能である。
【0019】
本開示の様々な方法では、下記工程の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上を含むことができる:ポリペプチドを対象に投与する工程;核酸を対象に投与する工程;ベクターを対象に投与する工程;抗ウイルス剤を対象に投与する工程;
【0020】
疾患を有するとして対象を診断する工程;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群を有するとして対象を診断する工程;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群を有するとして対象を診断する工程;MERS-CoV感染症を有するとして対象を診断する工程;SARS-CoV感染症を有するとして対象を診断する工程;SARS-CoV-2感染症を有するとして対象を診断する工程;HCoV-229E感染症を有するとして対象を診断する工程;HCoV-NL63感染症を有するとして対象を診断する工程;HCoV-OC43感染症を有するとして対象を診断する工程;HCoV-HKU1感染症を有するとして対象を診断する工程;HIV感染症を有するとして対象を診断する工程;エボラ感染症を有するとして対象を診断する工程;インフルエンザ感染症を有するとして対象を診断する工程;RSV感染症を有するとして対象を診断する工程;
【0021】
疾患の症状を有するとして対象を診断する工程;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群の症状を有するとして対象を診断する工程;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群の症状を有するとして対象を診断する工程;MERS-CoV感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;SARS-CoV感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;SARS-CoV-2感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;HCoV-229E感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;HCoV-NL63感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;HCoV-OC43感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;HCoV-HKU1感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;HIV感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;エボラ感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;インフルエンザ感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;RSV感染症の症状を有するとして対象を診断する工程;
【0022】
疾患を有する危険性があるとして対象を診断する工程;ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群を有する危険性があるとして対象を診断する工程;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群を有する危険性があるとして対象を診断する工程;MERS-CoV感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;SARS-CoV感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;SARS-CoV-2感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;HCoV-229E感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;HCoV-NL63感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;HCoV-OC43感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;HCoV-HKU1感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;HIV感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;エボラ感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;インフルエンザ感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;RSV感染症を有する危険性があるとして対象を診断する工程;
【0023】
疾患のための第2の治療を対象に施す工程;試料を対象から得る工程;ウイルスを試料において検出する工程;コロナウイルスを試料において検出する工程;MERS-CoVウイルスを試料において検出する工程;SARS-CoVウイルスを試料において検出する工程;SARS-CoV-2ウイルスを試料において検出する工程;HCoV-229Eウイルスを試料において検出する工程;HCoV-NL63ウイルスを試料において検出する工程;HCoV-OC43ウイルスを試料において検出する工程;HCoV-HKU1ウイルスを試料において検出する工程;HIVウイルスを試料において検出する工程;エボラウイルスを試料において検出する工程;インフルエンザウイルスを試料において検出する工程;RSVを試料において検出する工程;
【0024】
ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群のための第2の治療を対象に施す工程;コロナウイルス感染症および/またはコロナウイルス感染後症候群のための第2の治療を対象に施す工程;MERS-CoV感染症のための第2の治療を対象に施す工程;SARS-CoV感染症のための第2の療法を対象に施す工程;SARS-CoV-2感染症のための第2の治療を対象に施す工程;HCoV-229E感染症のための第2の治療を対象に施す工程;HCoV-NL63感染症のための第2の治療を対象に施す工程;HCoV-OC43感染症のための第2の治療を対象に施す工程;HCoV-HKU1感染症のための第2の治療を対象に施す工程;HIV感染症のための第2の治療を対象に施す工程;エボラ感染症のための第2の治療を対象に施す工程;インフルエンザ感染症のための第2の治療を対象に施す工程;RSV感染症のための第2の治療を対象に施す工程;3つ以上のタイプの抗ウイルス療法を対象に施す工程。本開示のある特定の実施形態では、前述の要素および/または工程のうちの1つまたは複数が除外される場合がある。
【0025】
本開示の様々な組成物では、下記成分の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上を含むことができる:ポリペプチド、タンパク質、核酸、ベクター、治療剤、抗ウイルス剤、医薬的に許容され得るキャリア、および賦形剤。これらの成分のうちの1つまたは複数が、ある特定の実施形態から特に除外される場合がある。
【0026】
本明細書中には、いくつかの態様において、標的タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、標的タンパク質もしくはその一部および/または標的タンパク質の天然型相互作用パートナーもしくはその一部を、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ、ポリペプチドと標的タンパク質とは、標的タンパク質がポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ポリペプチドと、標的タンパク質の天然型相互作用パートナーとは、標的タンパク質の天然型相互作用パートナーがポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ならびに/あるいはポリペプチドと、標的タンパク質と、標的タンパク質の天然型相互作用パートナーとは、標的タンパク質および標的タンパク質の天然型相互作用パートナーがポリペプチドと接触したときには非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法が開示される。
【0027】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との配列同一性が少なくとも10%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも20%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも30%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも40%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも50%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも60%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも70%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の対応する配列を含む。
【0028】
本明細書中には、いくつかの態様において、標的タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、標的タンパク質もしくはその一部および/または標的タンパク質の天然型相互作用パートナーもしくはその一部を、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつ、ポリペプチドは標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ポリペプチドは標的タンパク質の天然型相互作用パートナーのオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する;ならびに/あるいはポリペプチドは標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインおよび標的タンパク質の天然型相互作用パートナーとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによって標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法が開示される。
【0029】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの配列同一性が少なくとも10%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも20%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも30%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも40%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも50%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも60%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも70%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルスタンパク質である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルス糖タンパク質である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルススパイクタンパク質である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、疾患または状態が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、疾患または状態はウイルス感染症である。
【0031】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体の形成は、標的タンパク質またはその生物学的機能を、標的タンパク質のホモオリゴマー化を阻害することによって生体内で阻害する。いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体の形成は、標的タンパク質またはその生物学的機能を、標的タンパク質のヘテロオリゴマー化を阻害することによって生体内で阻害する。いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体の形成は、標的タンパク質またはその生物学的機能を、標的タンパク質のホモオリゴマー化およびヘテロオリゴマー化を阻害することによって生体内で阻害する。
【0032】
本明細書中には、いくつかの態様において、下記の方法が開示される:
【0033】
コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質またはその一部を、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法;
【0034】
コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質またはその一部を、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドはコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによってコロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法;
【0035】
コロナウイルス感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法;および
【0036】
コロナウイルス感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含み、ポリペプチドはコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【0037】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、コロナウイルス感染症が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することは、コロナウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、コロナウイルススパイクタンパク質の量が対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドとコロナウイルススパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、コロナウイルス感染症が処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される。いくつかの実施形態において、対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面におけるコロナウイルススパイクタンパク質の量が減少させられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、コロナウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43またはHCoV-HKU1を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoVを含み、コロナウイルススパイクタンパク質はSARS-CoVスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2を含み、コロナウイルススパイクタンパク質はSARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはMERS-CoVを含み、コロナウイルススパイクタンパク質はMERS-CoVスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはHCoV-229Eを含み、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-229Eスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはHCoV-NL63を含み、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-NL63スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはHCoV-OC43を含み、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-OC43スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはHCoV-HKU1を含み、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-HKU1スパイクタンパク質を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号4を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号6を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号8を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号10を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号12を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号14を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号16を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節するための方法、ならびに/あるいはコロナウイルス感染症を処置するための、または防止するための方法はさらに、対象をコロナウイルス感染症と診断すること;コロナウイルス感染症の症状を有するとして対象を診断すること;またはコロナウイルス感染症を有する危険性があるとして対象を診断することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、コロナウイルス感染症を有することについて危険性が高い。いくつかの実施形態において、対象はコロナウイルス感染症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、コロナウイルス感染症について検査が陰性である。いくつかの実施形態において、対象は、コロナウイルス感染症を有するとして診断されていた。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群、または呼吸器感染症を引き起こす。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症はCOVID-19を引き起こす。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる。
【0048】
いくつかの実施形態において、対象には、コロナウイルス感染症のための効果的な量の第2の治療が施される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗SARS-CoV-2薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗SARS-CoV-2薬物は、ステロイド、亜鉛、ビタミンC、レムデシビル、トシリズマブ、アナキンラ、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニドコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アジスロマイシン、AC-55541、アピシジン(Apicidin)、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、ダウノルビシン、E-52862、エンタカポン、GB110、H-89、ハロペリドール、インドメタシン、JQ1、ロラタジン、メリメポディブ、メトホルミン、ミドスタウリン、ミガラスタット、ミコフェノール酸、PB28、PD-144418、ポナチニブ、リバビリン、RS-PPCC、ルキソリチニブ、RVX-208、S-ベラパミル、シルミタセルチブ(Silmitasertib)、TMCB、UCPH-101、バルプロ酸、XL413、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネジスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェーリン(Sanglifehrin)A、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン(Ternatin)4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、ベルジネクソル、WDB002、ゾタチフィン(eFT226)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
本明細書中には、いくつかの態様において、下記の方法が開示される:
【0050】
HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、HIVスパイクタンパク質またはその一部を、配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法;
【0051】
HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、HIVスパイクタンパク質またはその一部を、HIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドはHIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによってHIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法;
【0052】
HIV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法;および
【0053】
HIV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、HIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含み、ポリペプチドはHIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【0054】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、HIV感染症が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することは、HIVスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む。いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、HIVスパイクタンパク質の量が対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドとHIVスパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、HIV感染症が処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される。いくつかの実施形態において、対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面におけるHIVスパイクタンパク質の量が減少させられる。
【0055】
いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質はHIVのgp160スパイクタンパク質を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節するための方法、ならびに/あるいはHIV感染症を処置するための、または防止するための方法はさらに、対象をHIV感染症と診断すること;HIV感染症の症状を有するとして対象を診断すること;またはHIV感染症を有する危険性があるとして対象を診断することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、HIV感染症を有することについて危険性が高い。いくつかの実施形態において、対象はHIV感染症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、HIV感染症について検査が陰性である。いくつかの実施形態において、対象は、HIV感染症を有するとして診断されていた。いくつかの実施形態において、HIV感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、対象には、HIV感染症のための効果的な量の第2の治療が施される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗HIV薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗HIV薬物は、エファビレンツ(Sustiva)、リルピビリン(Edurant)、エトラビリン(Intelence)、デラビルジン(Rescriptor)、ネビラピン(Viramune、Viramune XR)、ドラビリン(Pifeltroz)、アバカビル(Ziagen)、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Vemlidy)、テノホビル(Viread)、エムトリシタビン(Emtriva)、ラミブジン(Epivir)、ジドブジン(Retrovir)、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、エムトリシタビン/テノホビル(Truvada)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Cimduo、Temixys)、ラミブジン/ジドブジン(Combivir)、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(Descovy)、ジダノシン(Videx、Videx EC)、スタブジン(Zerit)、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、リトナビル(Norvir)、チプラナビル(Aptivus)、ロピナビル/リトナビル(Kaletra)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz)、ダルナビル/コビシスタット(Prezcobix)、インジナビル(Crixivan)、ネルフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル(tenofovir alafenamide fumar)(Biktarvy)、ラルテグラビル(Isentress)、エルビテグラビル(GenvoyaおよびStribild)、ドルテグラビル(Tivicay)、コビシスタット(Tybost)、リトナビル(Norvir)、エンフビルチド(Fuzeon)、マラビロク(Selzentry)、イバリズマブ-uiyk(Trogarzo)、マラビロク(Selzentry)、ホステムサビル(Rukobia)、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Delstrigo)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi Lo)、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Atripla)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Odefsey)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Complera)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Genvoya)、アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン(Triumeq)、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Biktarvy)、ドルテグラビル/ラミブジン(Dovato)、ドルテグラビル/リルピビリン(Juluca)、ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Symtuza)、アセチル-L-カルニチン、乳清タンパク質、L-グルタミン、L-アルギニン、ヒドロキシメチルブチラート(HMB)、プロバイオティクス、ビタミンおよびミネラル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
本明細書中には、いくつかの態様において、下記の方法が開示される:
【0060】
エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、エボラ糖タンパク質またはその一部を、配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法;
【0061】
エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、エボラ糖タンパク質またはその一部を、エボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドはエボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによってエボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で阻害する、方法;
【0062】
エボラ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法;および
【0063】
エボラ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、エボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含み、ポリペプチドはエボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【0064】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、エボラ感染症が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することは、エボラ糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む。いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、エボラ糖タンパク質の量が対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドとエボラ糖タンパク質とのオリゴマー形成により、エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能が調節されて、エボラ感染症が処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される。いくつかの実施形態において、対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面におけるエボラ糖タンパク質の量が減少させられる。いくつかの実施形態において、エボラ感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる。
【0065】
いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質はエボラGP糖タンパク質を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、エボラ糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節するための方法、ならびに/あるいはエボラ感染症を処置するための、または防止するための方法はさらに、対象をエボラ感染症と診断すること;エボラ感染症の症状を有するとして対象を診断すること;またはエボラ感染症を有する危険性があるとして対象を診断することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、エボラ感染症を有することについて危険性が高い。いくつかの実施形態において、対象はエボラ感染症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、エボラ感染症について検査が陰性である。いくつかの実施形態において、対象は、エボラ感染症を有するとして診断されていた。
【0068】
いくつかの実施形態において、対象には、エボラ感染症のための効果的な量の第2の治療が施される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗エボラ薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗エボラ薬物は、アトルチビマブ(atoltivimab)/マフチビマブ(maftivimab)/オデシビマブ(odesivimab)-ebgn(Inmazeb)、アンスビマブ-zykl(Ebanga)、ファビピラビル(Avigan)、リバビリン、BCX4430、ブリンシドホビル、TKM-Ebola、AVI-7537、JK-05、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
本明細書中には、いくつかの態様において、下記の方法が開示される:
【0070】
インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその一部を、配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法;
【0071】
インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその一部を、インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドはインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによってインフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節する、方法;
【0072】
インフルエンザ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法;および
【0073】
インフルエンザ感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含み、ポリペプチドはインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【0074】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、インフルエンザ感染症が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することは、インフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む。いくつかの実施形態において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、インフルエンザウイルススパイクタンパク質の量が対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドとインフルエンザウイルススパイクタンパク質とのオリゴマー形成により、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能が調節されて、インフルエンザ感染症が処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される。いくつかの実施形態において、対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面におけるインフルエンザウイルススパイクタンパク質の量が減少させられる。
【0075】
いくつかの実施形態において、インフルエンザはA型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、A型インフルエンザウイルスはA/H1型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA/H1型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、A型インフルエンザウイルスはA/H3型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA/H3型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、インフルエンザはB型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、B型インフルエンザウイルスはB/ビクトリア型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB/ビクトリア型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、B型インフルエンザウイルスはB/山形型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB/山形型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号25を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節するための方法、ならびに/あるいはインフルエンザウイルス感染症を処置するための、または防止するための方法はさらに、対象をインフルエンザ感染症と診断すること;インフルエンザ感染症の症状を有するとして対象を診断すること;またはインフルエンザ感染症を有する危険性があるとして対象を診断することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、インフルエンザ感染症を有することについて危険性が高い。いくつかの実施形態において、対象はインフルエンザ感染症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、インフルエンザ感染症について検査が陰性である。いくつかの実施形態において、対象は、インフルエンザ感染症を有するとして診断されていた。いくつかの実施形態において、インフルエンザ感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる。
【0078】
いくつかの実施形態において、対象には、インフルエンザ感染症のための効果的な量の第2の治療が施される。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗インフルエンザ薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗インフルエンザ薬物は、オセルタミビルリン酸塩(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、ペラミビル(Rapivab)、バロキサビルマルボキシル(Xofluza)、アマンタジン、リマンタジン(Flumadine)、ウミフェノビル(Arbidol)、モロキシジン、フルチカレ(fluticare)、アセトアミノフェン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0079】
本明細書中には、いくつかの態様において、下記の方法が開示される:
【0080】
RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、RSV糖タンパク質またはその一部を、配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む、方法;
【0081】
RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を対象において生体内で調節するための方法であって、RSV糖タンパク質またはその一部を、RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの効果的な量と接触させることを含み、ポリペプチドはRSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成し、それによってRSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で阻害する、方法;
【0082】
RSV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含む、方法;および
【0083】
RSV感染症を対象において処置するための、または防止するための方法であって、RSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む組成物の治療効果的な量を対象に投与することを含み、ポリペプチドはエボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、非天然型タンパク質複合体を形成する、方法。
【0084】
いくつかの実施形態において、非天然型タンパク質複合体はプロテアソーム分解を受ける。いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、RSV感染症が対象において処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することは、RSV糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害を含む。いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節することにより、RSV糖タンパク質の量が対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させられる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドとRSV糖タンパク質とのオリゴマー形成により、RSV糖タンパク質またはその生物学的機能が調節されて、RSV感染症が処置され、または防止される。いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行が阻害される。いくつかの実施形態において、対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面におけるRSV糖タンパク質の量が減少させられる。いくつかの実施形態において、RSV感染症が防止され、重症度において軽減され、かつ/または発症において遅延させられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質はRSVのF糖タンパク質を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質またはその生物学的機能を生体内で調節するための方法、ならびに/あるいはRSV感染症を処置するための、または防止するための方法はさらに、対象をRSV感染症と診断すること;RSV感染症の症状を有するとして対象を診断すること;またはRSV感染症を有する危険性があるとして対象を診断することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、RSV感染症を有することについて危険性が高い。いくつかの実施形態において、対象はRSV感染症を有しない。いくつかの実施形態において、対象は、RSV感染症について検査が陰性である。いくつかの実施形態において、対象は、RSV感染症を有するとして診断されていた。
【0088】
いくつかの実施形態において、対象には、RSV感染症のための効果的な量の第2の治療が施される。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗RSV薬物を含む。
【0089】
本明細書中に開示される方法のいくつかの実施形態において、対象の体重1kgあたり0.1mg~1000mgの間での用量のポリペプチドが対象に投与される。いくつかの実施形態において、対象の体重1kgあたり0.1μg~1000μgの間での用量のポリペプチドが対象に投与される。
【0090】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、当該ポリペプチドをコードするベクターから発現される。いくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターはミニサークルDNAベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターコピー体が対象の体重1kgあたり1×108~1×1018の間である用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、ベクターコピー体が対象の体重1kgあたり約1×1011~約1×1014である用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、ベクターが対象の体重1kgあたり約1×1012~約1×1015である用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、ベクターは対象の細胞への形質導入を引き起こし、対象の細胞により、ポリペプチドが発現される。
【0091】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、医薬的に許容され得るキャリアを含む。いくつかの実施形態において、医薬的に許容され得るキャリアは、リポソーム、ポリマー状ミセル、ミクロスフェアまたはナノ粒子を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、組成物の単回服用が行われる。いくつかの実施形態において、組成物の多回服用が行われる。いくつかの実施形態において、組成物は、1日に1回、1日に2回以上、週に2回以上、月に2回以上、または年に2回以上対象に送達される。いくつかの実施形態において、組成物は全身に、または局所的に送達される。いくつかの実施形態において、組成物は、鼻腔内投与によって、静脈内投与によって、腹腔内投与によって、気管内投与によって、筋肉内投与によって、内視鏡投与によって、経皮投与によって、皮下投与によって、局所投与によって、頭蓋内投与によって、吸入によって、注射によって、注入によって、または灌流によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は鼻腔内投与によって対象に投与される。
【0093】
本明細書中には、いくつかの態様において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物であって、ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつポリペプチドは標的タンパク質の配列との少なくとも10%の配列同一性を有する、医薬組成物が開示される。
【0094】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との配列同一性が少なくとも10%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも20%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも30%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも40%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも50%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも60%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも70%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の配列との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質の対応する配列を含む。
【0095】
本明細書中には、いくつかの態様において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物であって、ポリペプチドの長さが30アミノ酸超であり、かつポリペプチドは標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの少なくとも10%の配列同一性を有する、医薬組成物が開示される。
【0096】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも10%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも20%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも30%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも40%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも50%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも60%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも70%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインとの同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルス糖タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、標的タンパク質はウイルススパイクタンパク質を含む。
【0098】
本明細書中には、いくつかの態様において、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物;およびコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物が開示される。
【0099】
いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はSARS-CoVスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はSARS-CoV-2スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はMERS-CoVスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-229Eスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-NL63スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-OC43スパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コロナウイルススパイクタンパク質はHCoV-HKU1スパイクタンパク質を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2を含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号4との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号4を含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号6との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号6を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号8との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号8を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号10を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号12を含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号14との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号14を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号16との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号16を含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、コロナウイルス感染症のための第2の治療を含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗SARS-CoV-2薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗SARS-CoV-2薬物は、アジスロマイシン、AC-55541、アピシジン、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、ダウノルビシン、E-52862、エンタカポン、GB110、H-89、ハロペリドール、インドメタシン、JQ1、ロラタジン、メリメポディブ、メトホルミン、ミドスタウリン、ミガラスタット、ミコフェノール酸、PB28、PD-144418、ポナチニブ、リバビリン、RS-PPCC、ルキソリチニブ、RVX-208、S-ベラパミル、シルミタセルチブ、TMCB、UCPH-101、バルプロ酸、XL413、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン(および/またはヒドロキシクロロキン)、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネジスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェーリンA、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン(Ternatin)4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、ベルジネクソル、WDB002、ゾタチフィン(eFT226)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0109】
本明細書中には、いくつかの態様において、配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物;およびHIVスパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号18との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物が開示される。
【0110】
いくつかの実施形態において、HIVスパイクタンパク質はHIVのgp160スパイクタンパク質を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号18との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、HIV感染症のための第2の治療を含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗HIV薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗HIV薬物は、エファビレンツ(Sustiva)、リルピビリン(Edurant)、エトラビリン(Intelence)、デラビルジン(Rescriptor)、ネビラピン(Viramune、Viramune XR)、ドラビリン(Pifeltroz)、アバカビル(Ziagen)、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Vemlidy)、テノホビル(Viread)、エムトリシタビン(Emtriva)、ラミブジン(Epivir)、ジドブジン(Retrovir)、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、エムトリシタビン/テノホビル(Truvada)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Cimduo、Temixys)、ラミブジン/ジドブジン(Combivir)、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(Descovy)、ジダノシン(Videx、Videx EC)、スタブジン(Zerit)、アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、リトナビル(Norvir)、チプラナビル(Aptivus)、ロピナビル/リトナビル(Kaletra)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz)、ダルナビル/コビシスタット(Prezcobix)、インジナビル(Crixivan)、ネルフィナビル(Viracept)、サキナビル(Invirase)、ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル(tenofovir alafenamide fumar)(Biktarvy)、ラルテグラビル(Isentress)、エルビテグラビル(GenvoyaおよびStribild)、ドルテグラビル(Tivicay)、コビシスタット(Tybost)、リトナビル(Norvir)、エンフビルチド(Fuzeon)、マラビロク(Selzentry)、イバリズマブ-uiyk(Trogarzo)、マラビロク(Selzentry)、ホステムサビル(Rukobia)、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Delstrigo)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi Lo)、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Atripla)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Odefsey)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Complera)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild)、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Genvoya)、アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン(Triumeq)、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Biktarvy)、ドルテグラビル/ラミブジン(Dovato)、ドルテグラビル/リルピビリン(Juluca)、ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Symtuza)、アセチル-L-カルニチン、乳清タンパク質、L-グルタミン、L-アルギニン、ヒドロキシメチルブチラート(HMB)、プロバイオティクス、ビタミンおよびミネラル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0113】
本明細書中には、いくつかの態様において、配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物;およびエボラ糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号20との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物が開示される。
【0114】
いくつかの実施形態において、エボラウイルス糖タンパク質はエボラGPスパイクタンパク質を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号20との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、エボラ感染症のための第2の治療を含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗エボラ薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗エボラ薬物は、アトルチビマブ(atoltivimab)/マフチビマブ(maftivimab)/オデシビマブ(odesivimab)-ebgn(Inmazeb)、アンスビマブ-zykl(Ebanga)、ファビピラビル(Avigan)、リバビリン、BCX4430、ブリンシドホビル、TKM-Ebola、AVI-7537、JK-05、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0117】
本明細書中には、いくつかの態様において、配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物;およびインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号25との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物が開示される。
【0118】
いくつかの実施形態において、インフルエンザはA型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、A型インフルエンザウイルスはA/H1型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA/H1型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、A型インフルエンザウイルスはA/H3型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はA/H3型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、インフルエンザはB型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB型インフルエンザウイルススパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、B型インフルエンザウイルスはB/ビクトリア型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB/ビクトリア型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、B型インフルエンザウイルスはB/山形型インフルエンザウイルスを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はB/山形型インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号25との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号25を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、インフルエンザ感染症のための第2の治療を含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は、抗生物質、抗ウイルス剤、回復期血清、免疫調節剤、抗凝固剤、体液、酸素、コルチコステロイド、抗体、GSnP-6、シアリルルイスXアナログ、抗増殖剤、カルシニューリン阻害剤、抗シグナル伝達化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗インフルエンザ薬物を含む。いくつかの実施形態において、抗インフルエンザ薬物は、オセルタミビルリン酸塩(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、ペラミビル(Rapivab)、バロキサビルマルボキシル(Xofluza)、アマンタジン、リマンタジン(Flumadine)、ウミフェノビル(Arbidol)、モロキシジン、フルチカレ(fluticare)、アセトアミノフェン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0122】
本明細書中には、いくつかの態様において、配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物;およびRSV糖タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応し、かつ配列番号34との少なくとも10%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするベクターを含む医薬組成物が開示される。
【0123】
いくつかの実施形態において、RSV糖タンパク質はRSVのF糖タンパク質を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも80%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも85%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも90%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号34との同一性が少なくとも95%である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、RSV感染症のための第2の治療を含む。いくつかの実施形態において、第2の治療は抗RSV薬物を含む。
【0126】
本明細書中に開示される組成物のいくつかの実施形態において、ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターはミニサークルDNAベクターである。いくつかの実施形態において、ベクターゲノムが対象の体重1kgあたり1×108~1×1018の間である用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、ベクターゲノムが対象の体重1kgあたり約1×1011~約1×1014である用量が対象に投与される。いくつかの実施形態において、ベクターゲノムが対象の体重1kgあたり約1×1012~約1×1015である用量が対象に投与される。
【0127】
本明細書に開示される組成物のいくつかの実施形態において、組成物はさらに、医薬的に許容され得るキャリアを含む。いくつかの実施形態において、医薬的に許容され得るキャリアは、リポソーム、ポリマー状ミセル、ミクロスフェアまたはナノ粒子を含む。
【0128】
本明細書に開示される組成物のいくつかの実施形態において、組成物の単回服用が行われる。いくつかの実施形態において、組成物の多回服用が行われる。いくつかの実施形態において、組成物は、1日に1回、1日に2回以上、週に2回以上、月に2回以上、または年に2回以上対象に送達される。いくつかの実施形態において、組成物は全身に、または局所的に送達される。いくつかの実施形態において、組成物は、鼻腔内投与によって、静脈内投与によって、腹腔内投与によって、気管内投与によって、筋肉内投与によって、内視鏡投与によって、経皮投与によって、皮下投与によって、局所投与によって、頭蓋内投与によって、吸入によって、注射によって、注入によって、または灌流によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は鼻腔内投与によって対象に投与される。
【0129】
「個体」、「対象」および「患者」は交換可能に使用され、ヒトまたは非ヒトを示すことができる。
【0130】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「処置する」、または「処置」または同等の用語は、治療的処置および予防的または防御的措置の両方を指し、ここで、目的は、ウイルスを含むがこれらに限定されない疾患の成長、発症、または蔓延などの望ましくない生理学的変化または障害を予防または減速(軽減)することである。本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、症状の緩和、疾患の範囲の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化していない)、疾患の進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および検出可能であるか検出不可能であるかを問わない寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)が含まれるが、これらに限定されない。「治療」とは、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することも意味する。治療が必要な患者には、すでに状態または障害を有する患者だけでなく、状態または障害を有しやすい患者、または状態または障害を予防すべき患者も含まれる。治療の結果は、ウイルス量の減少の判定、機能の回復の判定など、当技術分野で公知の方法により判定することができる。
【0131】
本出願全体を通じて、「約」という用語は、値が測定又は定量方法の固有の誤差の変動を含むことを示すために使用される。
【0132】
用語 "comprising"とともに使用される場合の"a"又は"an"の使用は、"1つ"を意味する場合があるが、"1つ以上"、"少なくとも1つ"、及び "1つ以上"の意味とも一致する。
【0133】
"及び/又は "という語句は、"及び "又は"又は "を意味する。例示すると、A、B、および/またはCは以下を含む:A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、AとBのCの組み合わせ。言い換えると、「および/または」は包括的なまたはとして作用する。
【0134】
「comprising」(および「comprises」、「comprises」などのcomprisingの任意の形態)、「having」(および「have」、「has」などのhavingの任意の形態)、「including」(および「includes」、「include」などのincludingの任意の形態)または「containing」(および「contains」、「contain」などのcontainingの任意の形態)という語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、再現されない要素または方法ステップを除外しない。
【0135】
組成物およびその使用方法は、本明細書を通じて開示される成分またはステップのいずれかを「含む」、「本質的にからなる」、または「からなる」ことができる。開示された成分またはステップのいずれかから「本質的になる」組成物および方法は、クレームの範囲を、クレームされた開示の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない指定された材料またはステップに限定する。本明細書および請求項(複数可)において使用される場合、「からなる」(および「からなる」および「からなる」のような「からなる」の任意の形態)、「有する」(および「有する」および「有する」のような「有する」の任意の形態)、「含む」(および「含む」および「含む」のような「含む」の任意の形態)、または「含む」(および「含む」および「含む」のような「含む」の任意の形態)という語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、再現されていない要素または方法ステップを除外するものではない。用語 "含む "の文脈で本明細書に記載される実施形態は、用語 "からなる "または "本質的になる "の文脈でも実施され得ることが企図される。
【0136】
治療、診断、または生理学的な目的または効果の文脈における任意の方法はまた、記載された治療、診断、または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書で議論される任意の化合物、組成物、または薬剤の「使用」のような「使用」クレーム文言で記載され得る。
【0137】
本開示の1つの実施形態に関して議論される任意の限定は、本開示の任意の他の実施形態に適用され得ることが特に企図される。さらに、本開示の任意の組成物は、本開示の任意の方法において使用され得、本開示の任意の方法は、本開示の任意の組成物を製造または利用するために使用され得る。実施例に記載される実施形態の態様はまた、異なる実施例または本願の他の場所、例えば、要約、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面の説明において議論される実施形態の文脈において実施され得る実施形態である。
【0138】
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神および範囲内での様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明および具体例は、本開示の具体的な実施形態を示しながら、例示のためにのみ与えられることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
以下の図面は本明細書の一部を形成しており、本開示のある特定の態様をさらに明らかにするために含まれる。本開示は、本明細書中に示される具体的な実施形態の詳細な説明との組み合わせでこれらの図面の1つまたは複数を参照することによってよりよく理解され得る。
【0140】
【
図1A-C】ポリペプチドに基づくタンパク質阻害の概念。
図1Aは、COVID-19 SARS2-Sのドメイン構成、SARS2-Sバリアントにおける変異、ならびに阻害ポリペプチドのCoV-F1(F1)およびCoV-F2(F2)の設計。SP:シグナルペプチド;NTD:N端側ドメイン;RBD:受容体結合ドメイン;SD1:サブドメイン1;SD2:サブドメイン2;FP:融合ペプチド;HR1:七残基反復1;HR2:七残基反復2;TM:膜貫通ドメイン;CT:細胞質側尾部。S1/S2における切断(赤色矢印)により、N端側S1断片と、C端側S2断片とが生じる。F1およびF2のN末端先端におけるシグナルペプチド配列は、COVID-19 SARS2-Sと同じようにポリペプチドが移行されることを可能にした。C末端先端において、SARS2-Sは、C9-ロドプシン抗体1D4によって認識されるC9エピトープを有し、一方、F1ポリペプチドおよびF2ポリペプチドはともFLAGタグを有する。F1は、SP、HR1、HR2、TMおよびCTを包含し(残基911~1273;配列番号2)、一方、F2は、SP、HR2、TMおよびCTを含有する(残基985~1273;配列番号27)。
図1Bは、コロナウイルススパイクタンパク質を標的とする、ポリペプチドに基づく阻害のための提案された作用様式。上段:通常の状況では、スパイクタンパク質が合成され、モノマーとして折り畳まれ、天然型スパイクオリゴマーに組み立てられ、天然型スパイクオリゴマーはビリオンの表面に固定される。下段:阻害ポリペプチドがこの組み立て工程を妨害し、これにより、野生型スパイクタンパク質を伴う非天然型オリゴマーを生じさせる。正味の結果が、新しいビリオンの表面における低下した数の天然型スパイクオリゴマーである。
【0141】
【
図2A-C】プラスミドDNAから発現されるF1ポリペプチドは3つのコロナウイルススパイク糖タンパク質の発現および表面移行を有意に減少させた。
図2Aは、COVID-19 SARS2-S。全細胞溶解物(左側)または細胞表面画分(右側)におけるSARS2-Sタンパク質の量を、トランスフェクションされたHEK293T細胞について、すなわち、SARS2-Sをコードするプラスミドのみ(カラム#1)により、あるいはF1をコードするプラスミドの2倍モル比(カラム#2)または10倍モル比(カラム#3)と一緒に、あるいはF2をコードするプラスミドの2倍モル比(カラム#4)または10倍モル比(カラム#5)によりトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。
図2Bは、2002年型SARS-S。全細胞溶解物(左側)または細胞表面画分(右側)におけるSARS-Sタンパク質の量を、トランスフェクションされたHEK293T細胞について、すなわち、SARS-Sをコードするプラスミドのみ(カラム#1)により、あるいはF1をコードするプラスミドの2倍モル比(カラム#2)または10倍モル比(カラム#3)と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。
図2Cは、2012年型MERS-S。全細胞溶解物(左側)または細胞表面画分(右側)におけるMERS-Sタンパク質の量を、トランスフェクションされたHEK293T細胞について、すなわち、MERS-Sをコードするプラスミドのみ(カラム#1)により、あるいはF1をコードするプラスミドの2倍モル比(カラム#2)または10倍モル比(カラム#3)と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。 すべてのパネルについて、非切断型Sタンパク質および切断型S2タンパク質がC9-ロドプシン抗体1D4によって検出された。内因性膜タンパク質CNPアーゼが抗CNPアーゼ抗体によって検出され、内部対照として役立った。少なくとも2つの独立した実験からの代表的な結果を示した。
【0142】
【
図3A-B】コロナウイルススパイクタンパク質の配列アラインメント。
図3Aは、SARS2-Sスパイクタンパク質(SARS2)、SARS-Sスパイクタンパク質(SARS)、およびSARS-CoV-2 B.1.1.7-Sスパイクタンパク質(SARS2α)のアラインメント。F1ポリペプチドに含まれる残基の範囲が青色四角で強調される。
図3Bは、SARS2-Sタンパク質(SARS2)およびMERS-Sタンパク質(MERS)のアラインメント。F1ポリペプチドに含まれる残基の範囲が青色四角で強調される。S1とS2との間での切断部位が赤色矢印によって示される。S1内において、NTDドメインとRBDドメインとの間での境界が緑色縦棒によって示されている。 多重配列アラインメントを、CLUSTAL Omega
29を使用して行った。配列は、SARS2-S(GenBankアクセッション番号AFR58740.1)、SARS-S(GenBankアクセッション番号QHD43416.1)、B.1.1.7-S(SARS2α-S)(GenBankアクセッション番号QQH18545.1)、およびMERS-S(GenBankアクセッション番号QBM11748.1)である。
【0143】
【
図4A-D】代表的なウイルス糖タンパク質の配列保存。
図4Aは、SARS-Sタンパク質およびMERS-Sタンパク質の全長SARS2-Sとの比較。
図4Bは、代表的なヒトコロナウイルススパイクタンパク質の、SARS2-S F1ポリペプチド(残基911~1273)との比較。
図4Cは、A/H1N1、B/VicおよびB/YMのHAタンパク質の、全長A/H3N2 HAとの比較。
図4Dは、A/H1N1 HA、B/Vic HA、およびB/YM HAの、A/H3N2 HAiポリペプチドとの比較。 すべてのパネルにおいて、同一である残基の数(同一性)、比較される総残基(「/」の後)、および対応する割合(括弧内)が示される。総残基が、配列アラインメントにおける様々なギャップに起因してわずかに変化する。配列は、SARS2-S(GenBankアクセッション番号AFR58740.1)、SARS-S(GenBankアクセッション番号QHD43416.1)、SARS2α-S(GenBankアクセッション番号QQH18545.1)、MERS-S(GenBankアクセッション番号QBM11748.1)、HCoV-HKU1-S(Uniprotアクセション番号Q0ZME7)、HCoV-OC43-S(Uniprotアクセション番号P36334)、HCoV-NL63-S(Uniprotアクセション番号Q6Q1S2)、およびHCoV-229E-S(Uniprotアクセション番号P15423)である。パネルc)およびパネルd)において、HA配列は、2019年~2020年における4つのインフルエンザワクチン株、A/ハワイ/70/2019(A/H1N1)、A/香港/45/2019(A/H3N2)、B/ワシントン/02/2019(B/Vic)、およびB/プーケット/3073/2013(B/YM)からのものであった。
【0144】
【
図5A】F1またはF2をコードするプラスミドが、COVID-19 SARS2-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1ポリペプチドおよびF2ポリペプチドのタンパク質発現レベル。
【
図5B】F1またはF2をコードするプラスミドが、2002年型SARS-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1ポリペプチドおよびF2ポリペプチドのタンパク質発現レベル。
【
図5C】F1またはF2をコードするプラスミドが、2012年型MERS-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1ポリペプチドおよびF2ポリペプチドのタンパク質発現レベル。 抗CNPアーゼ抗体によって検出される内因性膜固定タンパク質CNPアーゼを内部対照として使用した。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0145】
【
図6A-E】ミニサークルDNAから発現されるF1ポリペプチドはタンパク質レベルでコロナウイルススパイクタンパク質と相互作用した。
図6Aは、スパイクタンパク質、COVID-19 SARS2-SのmRNAレベルを、F1をコードするプラスミドの非存在下または存在下で測定した。
図6Bは、スパイクタンパク質、2002年型SARS-SのmRNAレベルを、F1をコードするプラスミドの非存在下または存在下で測定した。
図6Cは、スパイクタンパク質、2012年型MERS-SのmRNAレベルを、F1をコードするプラスミドの非存在下または存在下で測定した。
図6Dは、FRET設定についての略図であり、CFPおよびYFPがそれぞれ、SARS2-SおよびF1のC末端先端にタグとして付加され、これにより、SARS2-CおよびF1Yがそれぞれ得られた。
図6Eは、F1YのみのFRET比と比較される、SARS2-CのF1YとのFRET比(トランスフェクションについては1:1のモル比で)。
****、所与の日における実験のそれぞれの一組について、同日のF1Yのみに対するSARS2C+F1YのFRET比を比較する対応のないt検定において、p<0.0001。括弧内の数字は、それぞれの分析に含まれる細胞の数を示している。3つの独立した実験からの結果が示される。
【0146】
【
図7A】COVID-19 SARS2-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1およびF2のmRNAレベル。
【
図7B】2002年型SARS-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1およびF2のmRNAレベル。
【
図7C】2012年型MERS-Sについてのコロナウイルススパイクタンパク質をコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのF1およびF2のmRNAレベル。 阻害ポリペプチドをコードするプラスミドの非存在下における対応タンパク質のmRNAレベルを、他の試料のmRNAレベルが正規化されるベースラインとして処理した。エラーバーは、2つ以上の独立した実験からの標準偏差(SD)を表す。
【0147】
【
図8A-D】ミニサークルDNAから発現されるF1ポリペプチドは3つのコロナウイルススパイク糖タンパク質の発現および表面移行を有意に減少させた。
図8Aは、本研究において使用されるF1ミニサークルの作製のための略図。
図8Bは、COVID-19 SARS2-Sについての結果。
図8Cは、2002年型SARS-Sについての結果。
図8Dは、2012年型MERS-Sについての結果。 全細胞溶解物(左側)または細胞表面画分(右側)における非切断型Sタンパク質および切断型S2タンパク質の量が、トランスフェクションされたHEK293T細胞について、すなわち、Sをコードするプラスミドのみにより、あるいはF1ミニサークルの4.5倍モル比または22.5倍モル比と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較される。抗CNPアーゼ抗体によって検出される内因性膜固定タンパク質CNPアーゼを内部対照として使用した。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0148】
【
図9A-B】ミニサークルDNAから発現されるF1ポリペプチドは有意に、無傷なシュードウイルス(pseudovirus)の表面でのSARS2-Sの量を減少させ、シュードウイルスの感染力を損なった。
図9Aは、切断型S2タンパク質の量を、SARS2-Sをコードするプラスミドおよび種々の比率の空のミニサークル対照MN501AによりトランスフェクションされるHEK293T細胞(カラム#1~#4)、または種々の比率のF1ミニサークルと一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞(カラム#5~#8)から産生される無傷なシュードウイルスについて比較した。抗p24抗体によって検出されるp24を内部対照として使用した。2つの独立した実験からの代表的な結果。
図9Bは、2倍モル比のF1ミニサークルの存在下で生じるシュードウイルスは、hACE2発現HEK293T細胞に感染する能力を失った。MN501Aミニサークルが2倍モル比で存在する場合に生じるシュードウイルスの感染力を、それぞれの共トランスフェクション比について100%と見なした。少なくとも2つの独立した実験からの代表的な結果が示される。エラーバーは、2つの独立した実験からの標準偏差(SD)を表す。
【0149】
【
図10A-C】一般化された、ポリペプチドに基づくタンパク質阻害の略図。
図10Aは、ホモオリゴマーについて、正常な状況では、タンパク質が最初に合成され、モノマーとして折り畳まれ、その後、多数のモノマー(これらは青色および緑色で示され、しかし、同じタンパク質種の異なるモノマーについては同じ形状で示される)が天然型タンパク質複合体に組み立てられる。ポリペプチドに基づくタンパク質干渉の状況では、天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来する、あるいは天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントを含有する干渉ポリペプチド(青色で示される)が、標的タンパク質の天然型相互作用パートナー(これは配列および構造において標的タンパク質に対して同一であり、緑色で示される)と相互作用するように標的タンパク質と競合し、天然型タンパク質複合体の形成を阻止し、これにより、非天然型タンパク質複合体をもたらし、したがって、組み立てられた天然型タンパク質複合体のレベルを調節する。
図10Bは、ヘテロオリゴマーについて、正常な状況では、タンパク質が最初に合成され、折り畳まれ、その後、多数のタンパク質種(これらは青色およびオレンジ色で示され、異なるタンパク質種については異なる形状で示される)が天然型タンパク質複合体に組み立てられる。ポリペプチドに基づくタンパク質干渉の状況では、天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来する、あるいは天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントを含有する干渉ポリペプチド(青色で示される)が、標的タンパク質の天然型相互作用パートナー(これはオレンジ色で示される)と相互作用するように標的タンパク質と競合し、天然型タンパク質複合体の形成を阻止し、これにより、非天然型タンパク質複合体をもたらし、したがって、組み立てられた天然型タンパク質複合体のレベルを調節する。
図10Cは、標的タンパク質の多数のコピー体(青色および緑色で示される)と、他のタンパク質種(オレンジ色で示される)とを含むヘテロオリゴマー天然型タンパク質複合体のいくつかのタイプについて、正常な状況では、タンパク質が最初に合成され、折り畳まれ、その後、天然型タンパク質複合体に組み立てられる。ポリペプチドに基づくタンパク質干渉の状況では、天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来する、あるいは天然型タンパク質複合体またはそのホモログにおける(青色で示される)標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントを含有する干渉ポリペプチド(青色で示される)が、標的タンパク質の天然型相互作用パートナー(緑色およびオレンジ色で示される)と相互作用するように標的タンパク質と競合し、天然型タンパク質複合体の形成を阻止し、これにより、非天然型タンパク質複合体をもたらし、したがって、組み立てられた天然型タンパク質複合体のレベルを調節する。ポリペプチドに基づくタンパク質干渉は標的経路のダウンレギュレーションまたはアップレギュレーションを引き起こすことができる。
【0150】
【
図11】阻害ポリペプチドgp160iはHIV-1のgp160糖タンパク質の発現を有意に減少させた。全細胞溶解物における非切断型gp160タンパク質および切断型gp41タンパク質の量を、gp160をコードするプラスミドのみにより、またはgp160iをコードするプラスミドの5倍と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。非切断型gp160および切断型gp41がC9-ロドプシン抗体1D4によって検出され、内因性膜タンパク質CNPアーゼが抗CNPアーゼ抗体によって検出され、内部対照として役立った。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0151】
【
図12】阻害ポリペプチドGPiはエボラGP糖タンパク質の発現および移行を有意に減少させた。全細胞溶解物(左側)または細胞表面(右側)における非切断型GPタンパク質および切断型GP2タンパク質の量を、GP含有プラスミドのみにより、あるいはGPiをコードするプラスミドの5倍モル比または15倍モル比と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。非切断型GPおよび切断型GP2がC9-ロドプシン抗体1D4によって検出され、内因性膜タンパク質CNPアーゼが抗CNPアーゼ抗体によって検出され、内部対照として役立った。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0152】
【
図13】阻害ポリペプチドHAiはA型およびB型のインフルエンザウイルスの糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)の発現および移行を有意に減少させた。全細胞溶解物(左側)または細胞表面(右側)における非切断型HAタンパク質の量を、HAをコードするプラスミドのみにより、またはHAiをコードするプラスミドの5倍と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。非切断型HAがC9-ロドプシン抗体1D4によって検出され、内因性膜タンパク質CNPアーゼが抗CNPアーゼ抗体によって検出され、内部対照として役立った。A/H1 HAについての結果が例として示される。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0153】
【
図14】阻害ポリペプチドFiはA型RSVの糖タンパク質Fの発現および移行を有意に減少させた。全細胞溶解物(左側)または細胞表面(右側)における非切断型のRSV Fタンパク質の量を、RSV Fをコードするプラスミドのみにより、あるいはFiをコードするプラスミドの5倍モル比または15倍モル比と一緒にトランスフェクションされるHEK293T細胞について比較した。非切断型のRSV FがC9-ロドプシン抗体1D4によって検出され、内因性膜タンパク質CNPアーゼが抗CNPアーゼ抗体によって検出され、内部対照として役立った。2つ以上の独立した実験からの代表的な結果。
【0154】
【
図15A-D】ミニサークルDNAから発現されるF1ポリペプチドは、正真正銘のSARS-CoV-2ウイルスのhACE2マウスにおける複製を効果的に阻止した。
図15Aは、hACE2マウスにおけるF1ポリペプチドのインビボ保護試験の実験設定。
図15Bは、2つのマウス群の体重変化。
図15Cは、2つの実験群におけるマウス肺でのSARS-CoV-2ウイルスの負荷量を示す箱ひげ図。それぞれのドットが1匹のマウスを表し、「×」が平均を示す。p値が、これら2つの群のウイルス量を比較する対応のない両側t検定について報告される(n=6)。
図15Dは、2つの実験群を比較する接種後3日でのマウス肺組織切片のH&E染色。
【0155】
【
図16A】本明細書中で使用される、CoV-F1(F1)のアミノ酸配列。
【
図16B】本明細書中で使用される、CoV-F2(F2)のアミノ酸配列。
【
図16C】本明細書中で使用される、HIV gp160iのアミノ酸配列。
【
図16D】本明細書中で使用される、エボラGPiのアミノ酸配列。
【
図16E】本明細書中で使用される、RSV Fiのアミノ酸配列。
【
図16F】本明細書中で使用される、インフルエンザHAiのアミノ酸配列。 一文字コードがアミノ酸のために使用される。配列は、SARS2-S(GenBankアクセッション番号AFR58740.1)、HIV-1 gp160(GenBankアクセション番号NP_057856.1)、ザイールEBOV GP(GenBankアクセッション番号AAN37507.1)、A型RSV F(GenBankアクセッション番号QKN22797.1)、およびA/香港/45/2019(H3N2)型インフルエンザウイルスHAに由来した。シグナルペプチド配列がN末端において太字で強調される。それぞれのポリペプチドのC末端先端におけるFLAGタグには、FLAGタグと、FLAGタグに先行する、strepを2つ含むタグとが含まれる(示されず)。RSV Fiにおける下線の残基は、導入されたリンカーを表す。
【発明を実施するための形態】
【0156】
本開示は、ポリペプチドに基づく阻害のための、ならびにポリペプチドに基づく阻害を、ウイルス感染症(例えば、コロナウイルス感染症、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症またはインフルエンザ感染症)および/またはウイルス感染後症候群(これらに限定されない)を含めて様々な疾患の処置および防止において利用するための組成物および方法を提供することによって医学およびウイルス学の分野における様々なある特定の要求を満たしており、少なくとも部分的には、ポリペプチドに基づく阻害が、ウイルススパイクタンパク質の細胞表面移行を低減させるための、かつ、ウイルス子孫の宿主細胞感染能を損なわせるための強力な革新的戦略であるという驚くべき発見に基づいている。本発明の新規な組成物および方法は、タンパク質に対する設計調節ポリペプチドを要し、不可逆的な遺伝子改変を伴うことなくインビトロおよびインビボにおけるタンパク質レベルの翻訳後調節のための革新的かつ効率的な解決策として広く適用可能である。
【0157】
本明細書中に記載されるように、COVID-19 SARS-CoV-2ウイルスおよびA/H3N2型インフルエンザウイルスの糖タンパク質配列に基づいて設計される阻害ポリペプチドが予想外にも、27%もの低い配列同一性にもかかわらず、他のコロナウイルス株およびインフルエンザ株の糖タンパク質に対してそれぞれ等しく効果的であることが見出された。このことは、異なる系統のウイルスからの糖タンパク質についての阻害ポリペプチドの変異に対するそれらの高い不感受性および潜在的活性を強調している。実際、驚くべきことに、正真正銘のSARS-CoV-2ウイルスに感染したhACE2マウスでは、阻害ポリペプチドをコードするDNAの1回だけの服用により、マウス肺におけるウイルス複製が効果的に防止されたことが示されている。そのうえ、少なくとも部分的にはその低下した配列サイズに起因して、阻害ポリペプチドをコードするミニサークルは、便利かつ効果的な鼻腔スプレー送達を可能にするためにエアロゾルを生じさせる際の剪断力に耐え得る27。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物および関連した方法は、非常に効果的な広域スペクトルの抗ウイルス治療剤のための基礎を提供することができる。さらに、これらのアプローチは、本質的にどのようなタンパク質であれタンパク質の発現を翻訳後に変化させるための一般的な方法を表しており、したがって、感染性または非感染性の疾患を処置するための直截的かつ高精度のアプローチを提供する。
【0158】
コロナウイルスを含むRNAウイルスについては、ウイルスの高い変異率が、ヒト集団の間における反復感染のための強力な武器である。最近のSARS2-Sバリアントによって例示されるように
3、4、7、8、9、S1領域に累積する変異が、自然感染またはワクチンによって誘発される中和抗体からの回避を許している(
図1A)。これらのスパイクタンパク質のS2領域は一般に進化においてより不変である。したがって、ウイルスタンパク質の高度に保存された配列を利用する、ポリペプチドに基づく阻害を、ウイルス病原体と戦うために、高い有効性および標的特異性、広域スペクトルの適用範囲、ならびに、限定されないが、他のウイルス膜融合糖タンパク質を含めて、他のウイルスタンパク質に対する適応性を有する新規な治療剤のために用いることができる。
【0159】
さらに、本明細書中に記載される、ポリペプチドに基づくタンパク質阻害は、天然型タンパク質複合体の翻訳後調節のための一般的な方法を提供する。この場合、天然型タンパク質複合体の翻訳後調節において、複合体の内部における相互作用が、天然型ポルテイン(portein)複合体またはそのホモログにおける標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来する、あるいはそのような1つまたは複数のセグメントを含有するポリペプチド(
図10)により、例えば、HIV、エボラ、RSVおよびインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質複合体における標的タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来する、あるいはそのような1つまたは複数のセグメントを含有するポリペプチドにより調節されることが可能である。より小さい有機化合物と比較して、ポリペプチドの比較的より大きい相互作用表面のために、そのようなポリペプチドに基づく阻害は高い有効性および特異性を治療剤に与え、ポリペプチドが、構造情報がないもとで容易に設計または選択されることが可能である。加えて、宿主タンパク質の1つまたは複数のセグメントに由来するポリペプチドは本質的に免疫原性的に不活性である。
【0160】
本開示の様々な態様が、タンパク質相互作用ポリペプチド(これは本明細書中では「干渉ポリペプチド」または「タンパク質干渉ポリペプチド」として示される)、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質、HIVスパイクタンパク質、エボラウイルス糖タンパク質、RSV糖タンパク質、およびインフルエンザウイルススパイクタンパク質(これらに限定されない)を含むウイルススパイクタンパク質などのウイルスタンパク質のようなタンパク質と相互作用する、また、いくつかの場合にはそのようなタンパク質を妨害する、
図16A~
図16Eによって特徴づけられるタンパク質相互作用ポリペプチドなどを含む組成物、ならびにそのようなポリペプチドの投与方法に基づいており、しかしながら、他のウイルスタンパク質および非ウイルスタンパク質と相互作用するポリペプチドもまた意図され、本開示の範囲内である。本開示のある特定のポリペプチドは、ウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を阻害する。本開示の特定のポリペプチドは、ウイルススパイクタンパク質の保存されたオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、ウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行を阻害する。本開示のある特定のポリペプチドはウイルススパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる。本開示のある特定のポリペプチドは、ウイルススパイクタンパク質の保存されたオリゴマー形成ドメインとオリゴマー形成して、ウイルススパイクタンパク質の量を対象の細胞表面において、かつ/またはウイルスエンベロープの表面において減少させる。いくつかの場合において、ウイルススパイクタンパク質の形成および対象の細胞表面への、かつ/またはウイルスエンベロープへの移行の阻害、ならびに/あるいはウイルススパイクタンパク質の量の対象の細胞表面における、および/またはウイルスエンベロープの表面における減少により、ウイルス感染症および/またはウイルス感染後症候群が処置され、または防止される。したがって、そのようなポリペプチドは、例えば、ウイルス感染症、例えば、コロナウイルス感染症(例えば、MERS-CoV感染症、SARS-CoV感染症およびSARS-CoV-2感染)および/またはコロナウイルス感染後症候群、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症、ならびに/あるいはインフルエンザ感染症など、あるいはポリペプチドに基づくタンパク質阻害が有益であろう、ウイルス感染症とは無関係の他の疾患の処置および防止のための方法において有用である。
【0161】
I.タンパク質相互作用ポリペプチド組成物
本開示の態様は、標的タンパク質及び/又はその天然相互作用パートナー(「タンパク質相互作用ポリペプチド」又は「阻害ポリペプチド」又は「干渉ポリペプチド」又は「相互作用ポリペプチド」又は「タンパク質干渉ポリペプチド」)と相互作用し、いくつかの場合においては阻害又は干渉するポリペプチドに関し、限定されないが、インビボでのウイルス性スパイクタンパク質のようなウイルス性タンパク質、そのようなポリペプチドを含む組成物、並びに限定されないがウイルス(例えば、コロナウイルス、HIV、エボラ、RSV、インフルエンザ)感染症を含む対象の疾患又は症状を処置及び予防するためのポリペプチドの使用方法を含む。
【0162】
本明細書中に開示されるように、「と相互作用する」は、タンパク質相互作用ポリペプチドと、標的タンパク質及び/又は標的タンパク質の天然相互作用パートナーとの相互作用表面での任意の接触を表し、これには、タンパク質相互作用ポリペプチドと、標的タンパク質の対応するオリゴマー化ドメイン及び/又は標的タンパク質の天然相互作用パートナーとのオリゴマー化が含まれるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの場合において、「と相互作用する」は、タンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質、タンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質の天然相互作用パートナー、及び/又はタンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質と標的タンパク質の天然相互作用パートナーとの間の任意の接触を表し得る。いくつかの場合において、「と相互作用する」は、タンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質、タンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質の天然相互作用パートナー、及び/又はタンパク質相互作用ポリペプチドと標的タンパク質と標的タンパク質の天然相互作用パートナーのオリゴマー化を表し得る。ある特定の実施形態において、「と相互作用する」は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質との間の任意の接触を表してもよく、これには、ウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドのオリゴマー化が含まれるが、これらに限定されない。
【0163】
いくつかの場合において、相互作用表面における、タンパク質相互作用ポリペプチドと、標的タンパク質及び/又は標的タンパク質の天然相互作用パートナーとの間のそのような相互作用は、阻害又は干渉であり得る。本明細書中に開示されるように、「阻害する」、「阻害性」、「阻害」、「干渉」、「干渉する」並びに関連する用語及び語句は、タンパク質相互作用ポリペプチド、標的タンパク質、及び/又は天然タンパク質複合体形成を妨げる標的タンパク質の天然相互作用パートナーの間の接触を表し、それには、限定するものではないが、標的タンパク質の天然相互作用パートナーとの相互作用のための標的タンパク質とのタンパク質相互作用ポリペプチドの競合が含まれる。いくつかの場合において、「阻害する」、「阻害性」、「阻害」、「干渉」、「干渉する」並びに関連する用語及び語句は、標的タンパク質の対応するオリゴマー化ドメイン及び/又は天然オリゴマータンパク質複合体形成を防止する標的タンパク質の天然相互作用パートナーとのタンパク質相互作用ポリペプチドのオリゴマー化を表してもよく、それには、限定するものではないが、標的タンパク質の天然相互作用パートナーの対応するオリゴマー化ドメインとの相互作用のための標的タンパク質とのタンパク質相互作用ポリペプチドの競合が含まれる。ある特定の実施形態において、「阻害する」、「阻害性」、「阻害」、「干渉する」は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドがウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合するように、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質との間の接触を表し得る。
【0164】
本明細書中に開示されるように、「タンパク質相互作用ポリペプチド」は、標的タンパク質及び/又は標的タンパク質の天然相互作用パートナーと相互作用することができ、いくつかの場合においては阻害又は干渉することができる任意のポリペプチドを表す。例えば、タンパク質相互作用ポリペプチドは、ウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイク糖タンパク質及び/又は他のウイルス性タンパク質と相互作用する、阻害する、又は干渉するウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドであり得る。
【0165】
本明細書中に開示されるように、「標的タンパク質」は、本明細書に開示されるタンパク質相互作用ポリペプチドのアミノ酸配列が由来するタンパク質であって、タンパク質相互作用ポリペプチドと少なくとも10%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を指す。
【0166】
いくつかの場合においては、「標的タンパク質」は、ホモオリゴマータンパク質複合体のモノマーであり、タンパク質相互作用ポリペプチドとタンパク質モノマーとの相互作用又は接触は、天然ホモオリゴマー複合体形成を阻害する(例えば、
図10Aを参照されたい)。そのような場合、タンパク質相互作用ポリペプチドは、モノマーと競合して、標的モノマー及び追加のモノマーによる天然ホモオリゴマー複合体形成を防止し、それによってモノマー及び/又はその生物学的機能を調節する。
【0167】
いくつかの場合において、「標的タンパク質」は天然タンパク質であり、タンパク質相互作用ポリペプチドと天然タンパク質の天然相互作用パートナーとの相互作用又は接触は、天然タンパク質と天然タンパク質の天然相互作用パートナーとのさらなる相互作用を妨げる(例えば、
図10Bを参照されたい)。そのような場合、タンパク質相互作用ポリペプチドは、天然タンパク質の天然相互作用パートナーへの結合について天然タンパク質と競合して、天然タンパク質による天然ヘテロオリゴマー複合体形成を防止し、それによって天然タンパク質及び/又はその生物学的機能を調節する。
【0168】
いくつかの場合において、「標的タンパク質」は天然タンパク質であり、タンパク質相互作用ポリペプチドと天然タンパク質及び/又は天然タンパク質の天然相互作用パートナーとの相互作用又は接触は、天然タンパク質と他の天然タンパク質及び/又は天然タンパク質の天然相互作用パートナーとのさらなる相互作用を妨げる(例えば、
図10Cを参照されたい)。そのような場合、タンパク質相互作用ポリペプチドは、天然タンパク質の天然タンパク質及び/又は天然相互作用パートナーへの結合について天然タンパク質と競合して、天然タンパク質による天然ヘテロオリゴマー複合体形成を防止し、それによって天然タンパク質及び/又はその生物学的機能を調節する。
【0169】
本明細書に開示されるタンパク質相互作用ポリペプチドのアミノ酸配列は、天然タンパク質複合体の調節を達成するための1つ又は複数の「標的タンパク質」に由来し得る。さらに、1つ又は複数の「タンパク質相互作用ポリペプチド」を使用して天然タンパク質複合体を調節してもよく、1つ又は複数の「タンパク質相互作用ポリペプチド」を使用して1つ又は複数の天然タンパク質複合体を調節してもよい。
【0170】
本明細書中に開示されるように、「標的タンパク質の天然相互作用パートナー」、「天然タンパク質の天然相互作用パートナー」などは、細胞内の天然タンパク質と会合して天然タンパク質複合体を形成する1つ又は複数のタンパク質を指す。
【0171】
タンパク質相互作用ポリペプチドは、相互作用表面での相互作用ポリペプチドの結合時に、標的タンパク質のホモオリゴマー化、又はそれ自体との相互作用を遮断及び阻害又は干渉することができ、及び/又はタンパク質相互作用ポリペプチドは、相互作用表面での相互作用ポリペプチドの結合時に、標的タンパク質のヘテロオリゴマー化、又は標的タンパク質の天然相互作用パートナーとの相互作用を遮断及び阻害又は干渉することができる。そのような相互作用の結果として、天然タンパク質複合体又はそのホモログ中の標的タンパク質の1つ又は複数のセグメントに由来するか又はそれを含有することができるポリペプチドは、標的タンパク質と競合し、非天然タンパク質複合体をもたらし、したがって、組み立てられた天然タンパク質複合体のレベルを調節する。そのようなポリペプチドベースのタンパク質阻害又は干渉は、標的経路の下方調節又は上方調節をもたらし得る。
【0172】
本明細書で使用される場合、「調節すること(regulating)」、「調節する(regulate)」、「調節(regulation)」及び文法上の等価物は、標的タンパク質及び/又はその生物学的機能の調節を指し、それにより、細胞は、そのタンパク質成分の量だけでなく活性も調節することができる。天然タンパク質複合体は、複数の独立したポリペプチドサブユニットからなる。いくつかのホモオリゴマーの実施形態では、天然タンパク質複合体のタンパク質サブユニットは同一である。他のヘテロオリゴマーの実施形態では、天然タンパク質複合体のタンパク質サブユニットは、2つ以上の異なるポリペプチドである。いずれの場合も、ポリペプチド間の相互作用は、タンパク質活性の調節において重要である。
【0173】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はその生物学的機能の「調節」は、標的タンパク質及び/又はその生物学的機能の阻害を含む。本明細書において使用される場合、用語「低減する」、「阻害する」、「減少させる」、「抑制する」及び文法的等価物(「より少ない」、「より小さい」などを含む)は、発生又は活性の完全な遮断を含む、発生又は活性の測定可能な低下、いくつかの場合においては統計学的に有意な低下を指す。例えば、活性は、天然タンパク質及び/又は天然タンパク質複合体の1つ又は複数の生物学的活性を指すことができ、発生は天然タンパク質複合体の形成を指すことができる。例えば、「阻害」は、活性又は発生の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の低下を指し得る。これらの用語は、特定の処置、例えば本開示の方法を受けていない「対照」に対して使用することができる。一例では、対照は未処置の試料又は対象であり得る。別の例において、対照は、処置された試料又は対象とは異なる処置を受けた試料又は対象であり得る。いくつかの実施形態では、「処置された」試料又は対象は、本開示の方法に供されたものである。
【0174】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はその生物学的機能の「調節」及び/又は「阻害」は、非天然タンパク質複合体の形成時の標的タンパク質及び/又は天然タンパク質複合体の損なわれた生物学的活性を含む。いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び/又はその生物学的機能の「調節」及び/又は「阻害」は、緩く充填されており非天然タンパク質複合体の形成時に細胞の品質管理系を不全にする非天然タンパク質複合体のプロテアソーム分解を含む。
【0175】
したがって、いくつかの実施形態では、限定するものではないが、コロナウイルススパイクタンパク質、HIVスパイクタンパク質、エボラ糖タンパク質、RSV糖タンパク質、及び/又はインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質などのウイルス性タンパク質を含む標的タンパク質又はインビボでのその生物学的機能の調節は、限定するものではないが、コロナウイルススパイクタンパク質、HIVスパイクタンパク質、エボラ糖タンパク質、RSV糖タンパク質、及び/又はインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質などのウイルス性タンパク質を含む標的タンパク質又はインビボでのその生物学的機能の阻害を含む。いくつかの実施形態では、限定するものではないが、コロナウイルススパイクタンパク質、HIVスパイクタンパク質、エボラ糖タンパク質、RSV糖タンパク質、及び/又はインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質などのウイルス性タンパク質を含む標的タンパク質又はインビボでのその生物学的機能の阻害は、非天然タンパク質複合体の形成時の標的タンパク質及び/又は標的タンパク質を含む天然タンパク質複合体の生物学的活性の障害を含む。いくつかの実施形態では、限定するものではないが、コロナウイルススパイクタンパク質、HIVスパイクタンパク質、エボラ糖タンパク質、RSV糖タンパク質、及び/又はインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質などのウイルス性タンパク質を含む標的タンパク質又はインビボでのその生物学的機能の阻害は、非天然タンパク質複合体の形成時の標的タンパク質及び/又は標的タンパク質を含む天然タンパク質複合体のプロテアソーム分解を含む。
【0176】
特定の態様は、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、標的タンパク質の対応する配列と少なくとも10%の配列同一性を有する。特定の態様は、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、標的タンパク質のオリゴマー形成ドメインと少なくとも10%の配列同一性を有する。
【0177】
特定の態様は、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と少なくとも10~80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。特定の態様は、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と少なくとも10~80%の同一性を有する。
【0178】
特定の態様は、配列番号18と少なくとも10~80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。特定の態様は、HIVスパイクタンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、配列番号18と少なくとも10~80%の同一性を有する。
【0179】
特定の態様は、配列番号20と少なくとも10~80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。特定の態様は、エボラウイルス糖タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、配列番号20と少なくとも10~80%の同一性を有する。
【0180】
特定の態様は、配列番号25と少なくとも10~80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。特定の態様は、インフルエンザウイルスHAスパイクタンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、配列番号25と少なくとも10~80%の同一性を有する。
【0181】
特定の態様は、配列番号33と少なくとも10~80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関する。特定の態様は、RSV糖タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドに関し、アミノ酸配列は、配列番号34と少なくとも10~80%の同一性を有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、又はそれよりも多くのアミノ酸、又はその中の誘導可能な任意の値を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と10%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と20%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と30%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と40%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体の配列を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0183】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、又はそれよりも多くのアミノ酸、又はその中の誘導可能な任意の値を有し、標的タンパク質のオリゴマー化ドメイン、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと10%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと20%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと30%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと40%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと50%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと60%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと70%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと少なくとも80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと少なくとも85%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、アミノ酸配列は、少なくとも30個のアミノ酸を有し、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインと少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、標的タンパク質又はその断片若しくは機能的誘導体のオリゴマー化ドメインを含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0184】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばコロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、若しくは16、又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号2又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0186】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号4又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0187】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号6又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0188】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号8又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0189】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号10又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0190】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号12又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0191】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号14又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0192】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号16又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0193】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばHIVのスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18、又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、HIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0195】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばエボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20、又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、エボラウイルス糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0197】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25、又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、インフルエンザウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0199】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばRSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34、又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも40%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質、例えば、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0201】
いくつかの実施形態では、タンパク質、例えばウイルス性タンパク質と相互作用するポリペプチドは、シグナルペプチド配列をさらに含む。シグナルペプチド(シグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、トランジットペプチド、リーダー配列又はリーダーペプチドと呼ばれることもある)は、新しく合成された分泌可能なタンパク質のN末端に存在する短いペプチド(例えば、16~30アミノ酸長)である。シグナルペプチドは、通常は細胞膜へのタンパク質のトランスロケーションを細胞に促すように機能する。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28~32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、若しくは16、又はそれらの断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、例えばコロナウイルススパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号28又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをさらに含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、配列番号18又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、例えばHIVスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号29又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをさらに含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、配列番号20又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、例えばエボラ糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号30又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをさらに含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、配列番号25又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、例えばインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号31又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをさらに含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、配列番号34又はその断片若しくは機能的誘導体と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むタンパク質、例えばRSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドは、配列番号32又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するアミノ酸配列を含むシグナルペプチドをさらに含む。
【0212】
A.ポリペプチド
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」又は「タンパク質」は、少なくとも5つのアミノ酸残基を含む分子を指す。本明細書において使用される場合、用語「野生型」は、生物において天然に生じる分子の内因性バージョンを指す。いくつかの実施形態では、タンパク質又はポリペプチドの野生型バージョンが使用されるが、本開示の多くの実施形態では、改変されたタンパク質又はポリペプチドが使用される。上記の用語は互換的に使用され得る。「改変されたタンパク質」又は「改変されたポリペプチド」又は「バリアント」は、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が野生型タンパク質又はポリペプチドに対して変化しているタンパク質又はポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、改変/バリアントタンパク質又はポリペプチドは、少なくとも1つの改変された活性又は機能を有する(タンパク質又はポリペプチドが複数の活性又は機能を有し得ることを認識する)。改変/バリアントタンパク質又はポリペプチドは、1つの活性又は機能に関して変更され得るが、免疫原性などの他の点では野生型の活性又は機能をなお保持し得ることが特に企図される。
【0213】
本明細書で使用される場合、「タンパク質性分子」、「タンパク質性組成物」、「タンパク質性化合物」、「タンパク質性鎖」又は「タンパク質性材料」は、一般に、約30アミノ酸を超えるタンパク質、又は遺伝子から翻訳された全長内因性配列;約100アミノ酸を超えるポリペプチド;及び/又は約30~約3000アミノ酸のペプチドを指すが、これらに限定されない。上記のすべての「タンパク質性」用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0214】
タンパク質が本明細書で具体的に言及される場合、それは一般に、天然(野生型)若しくは組換え(改変)タンパク質、又は任意に、任意のシグナル配列が除去されたタンパク質への言及である。タンパク質は、それが天然である生物から直接単離され得るか、組換えDNA/外因性発現方法によって産生され得るか、又は固相ペプチド合成(SPPS)若しくは他のインビトロ方法によって産生され得る。特定の実施形態において、ポリペプチド(例えば、抗体又はその断片)をコードする核酸配列を組み込んだ単離された核酸セグメント及び組換えベクターが存在する。「組換え」という用語は、ポリペプチド又は特定のポリペプチドの名称と共に使用され得、これは一般に、インビトロで操作されたか、又はそのような分子の複製産物である核酸分子から産生されるポリペプチドを指す。
【0215】
ある特定の実施形態において、タンパク質又はポリペプチド(野生型又は改変型)のサイズは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3250、3500、3750、4000、4250、4500、4750、若しくは5000個のアミノ酸残基又はそれよりも多く、及びその中の誘導可能な任意の範囲、又は本明細書に記載又は参照される対応するアミノ配列の誘導体を含み得るが、これらに限定されない。ポリペプチドは、切断によって突然変異させ、それらの対応する野生型形態よりも短くされ得るか、また、特定の機能(例えば、標的化又は局在化のため、免疫原性の増強のため、精製の目的のためなど)を有する異種タンパク質又はポリペプチド配列を融合又はコンジュゲートすることによって変化し得ることができると考えられる。タンパク質は、1つ又は複数のポリペプチドを含み得る。
【0216】
本明細書において使用される場合、用語「ドメイン」は、タンパク質又はポリペプチドの任意の異なる機能的又は構造的単位を指し、一般に、当業者によって認識可能な構造又は機能を有するアミノ酸の配列を指す。例えば、ドメインは、タンパク質又はポリペプチドのオリゴマー化ドメインを指し得る。コラーゲン三重らせん、コイルドコイル及び他のオリゴマー化ドメインは、多数のタンパク質のサブユニットアセンブリを媒介する。オリゴマー化は、多価性及び高い結合強度の機能的利点、構造安定性の増加及び異なるドメインの複合機能をもたらす。ドメイン、例えば、本明細書中に記載されるオリゴマー化ドメインは保存されていてもよい。進化生物学では、保存された配列は、種全体の核酸(DNA及びRNA)若しくはタンパク質(オルソログな配列)、又はゲノム内(パラログな配列)、又はドナー及びレセプター分類群の間(異種配列)の同一又は類似の配列である。保存は、配列が自然選択によって維持されていることを示す。高度に保存された配列は、系統樹を遡って比較的変化していないものである。
【0217】
ある特定の実施形態において、タンパク質性組成物は、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含む。本明細書中に記載される実質的に任意のタンパク質、ポリペプチド又はペプチド含有成分が、本明細書に開示される組成物及び方法において使用され得ることが企図される。さらなる実施形態において、タンパク質性組成物は、生体適合性タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含む。本明細書において使用される場合、用語「生体適合性」は、本明細書中に記載される方法及び量に従って所与の生物に適用又は投与された場合に、有意な不都合な効果を生じない物質を指す。そのような不都合又は望ましくない効果は、有意な毒性又は有害な免疫学的反応などの作用である。好ましい実施形態において、生体適合性タンパク質、ポリペプチド又はペプチド含有組成物は、一般に、哺乳動物のタンパク質若しくはペプチド又は合成のタンパク質若しくはペプチドであり、それぞれ毒素、病原体及び有害免疫原を本質的に含まない。
【0218】
タンパク質性組成物は、標準的な分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチド又はペプチドの発現、天然源からのタンパク質性化合物の単離、又はタンパク質性材料の化学合成を含む、当業者に知られている任意の技術によって作製され得る。
【0219】
様々な遺伝子のヌクレオチド並びにタンパク質、ポリペプチド及びペプチド配列は、以前に開示されており、認識されているコンピュータ化データベースに見出すことができる。2つの一般的に使用されるデータベースは、国立バイオテクノロジー情報センターのGenbank及びGenPeptデータベース(ワールドワイドウェブ上ncbi.nlm.nih.gov/)並びにThe Universal Protein Resource(UniProt;ワールドワイドウェブ上uniprot.org)である。これらの遺伝子のコード領域は、本明細書に開示される技術を使用して、又は当業者に知られているように増幅及び/又は発現され得る。
【0220】
ある特定の実施形態において、タンパク質性化合物は精製され得る。一般に、「精製された」とは、様々な他のタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを除去するために分画に供された特定の又はタンパク質、ポリペプチド又はペプチド組成物を指し、その組成物は、例えば、特定の又は所望のタンパク質、ポリペプチド又はペプチドについて当業者に公知であるように、タンパク質アッセイによって評価され得るように、その活性を実質的に保持する。
【0221】
本発明での使用に適したタンパク質及びペプチドは、自己タンパク質又はペプチドであり得るが、本発明は明らかにそのような自己タンパク質の使用に限定されない。本明細書において使用される場合、用語「自己タンパク質、ポリペプチド又はペプチド」は、生物に由来する又は生物から得られるタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを指す。使用され得る生物には、ウシ、爬虫類、両生類、魚、げっ歯類、鳥類、イヌ、ネコ、真菌、植物、原核生物、ウイルス又はバクテリオファージが含まれるが、これらに限定されない。選択された動物又はヒトの対象が好ましい。したがって、「自己タンパク質、ポリペプチド又はペプチド」は、選択された動物又はヒト対象への適用を意図した組成物の成分として使用され得る。
【0222】
本開示の組成物では、mlあたり、約0.001mg~約10mgの総ポリペプチド、ペプチド、及び/又はタンパク質が存在すると考えられる。組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約、又は多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml、又はそれよりも多く(又はその中の誘導可能な任意の範囲)であり得る。
【0223】
B.核酸
ある特定の実施形態において、核酸配列は、本明細書において記載のポリペプチド及び/又はその誘導体、ムテイン若しくはバリアントをコードする組み込まれた配列又は組換えポリヌクレオチドの単離されたセグメント及び組換えベクター、ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定、分析、突然変異又は増幅するためのPCRプライマー又は配列決定プライマー、ポリヌクレオチドの発現を調節するためのアンチセンス核酸、及び本明細書において記載の前述の相補配列などの様々な例で存在し得る。本明細書で提供される特定の抗体が提供されるエピトープをコードする核酸も提供される。これらのペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸も提供される。核酸は、一本鎖又は二本鎖であり得、RNA及び/又はDNAヌクレオチド並びにそれらの人工バリアント(例えば、ペプチド核酸)を含み得る。
【0224】
「ポリヌクレオチド」という用語は、組換えであるか、又は全ゲノム核酸から単離されている核酸分子を指す。「ポリヌクレオチド」という用語には、オリゴヌクレオチド(長さが100残基以下の核酸)、例えばプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換えベクターが含まれる。ポリヌクレオチドは、特定の態様では、それらの天然に存在する遺伝子又はタンパク質コード配列から実質的に離れて単離された調節配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード又はアンチセンス)又は二本鎖であり得、RNA、DNA(ゲノム、cDNA又は合成)、それらの類似体、又はそれらの組み合わせであり得る。さらなるコード配列又は非コード配列がポリヌクレオチド内に存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0225】
この点において、用語「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチド(適切な転写、翻訳後修飾、又は局在化に必要な任意の配列を含む)をコードする核酸を指すために使用される。当業者によって理解されるように、この用語は、ゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、並びにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質及び突然変異体を発現するか又は発現するように適合され得るより小さな操作された核酸セグメントを包含する。ポリペプチドの全部又は一部をコードする核酸は、かかるポリペプチドの全部又は一部をコードする連続核酸配列を含有し得る。特定のポリペプチドは、異なる核酸配列を有するバリエーションを含む核酸によってコードされ得るが、それにもかかわらず、同じ又は実質的に類似のタンパク質をコードすることも企図される。
【0226】
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法(例えば、標準パラメータを用いたBLAST分析)を使用して、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列と比較して、本明細書に開示される配列と実質的な同一性を有するポリヌクレオチドバリアント、例えば、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれよりも高い(その間のすべての値及び範囲を含む)配列同一性を含むポリヌクレオチドバリアントが存在する。特定の態様では、単離されたポリヌクレオチドは、配列の全長にわたって、本明細書中に記載されるアミノ酸配列と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、又は該単離されたポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含み、いくつかの場合においては、本明細書中に記載されるアミノ酸配列と少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、本明細書中に記載されるポリペプチドの構造と類似の構造を有するポリペプチドをもたらす。
【0227】
核酸セグメントは、コード配列自体の長さにかかわらず、他の核酸配列、例えばプロモーター、ポリアデニル化シグナル、追加の制限酵素部位、多重クローニング部位、他のコードセグメントなどと組み合わされてもよく、したがって、その全長はかなり変動し得る。核酸は任意の長さであり得る。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、3000、5000若しくはそれを超えるヌクレオチド長であり得、及び/又は、1つ又は複数のさらなる配列、例えば調節配列を含み得、及び/又は、より大きな核酸、例えばベクターの一部であり得る。したがって、ほぼ任意の長さの核酸断片を使用することができ、全長は、好ましくは、意図された組換え核酸プロトコルにおける調製及び使用の容易さによって制限されることが企図される。いくつかの場合において、核酸配列は、例えば、ポリペプチドの精製、転座、分泌、翻訳後修飾を可能にするために、又は標的化若しくは有効性などの治療上の利益のために、追加の異種コード配列を有するポリペプチド配列をコードし得る。上記のように、タグ又は他の異種ポリペプチドを改変ポリペプチドをコードする配列に付加することができ、「異種」は改変ポリペプチドと同じではないポリペプチドを指す。
【0228】
変化は、核酸への突然変異によって導入することができ、それにより、それがコードするポリペプチドのアミノ酸配列の変化をもたらす。突然変異は、この技術分野で知られている任意の技術を使用して導入することができる。1つの実施形態において、例えば部位特異的変異誘発プロトコルを使用して、1つ又は複数の特定のアミノ酸残基を変更する。別の実施形態において、1つ又は複数のランダムに選択された残基は、例えばランダム変異誘発プロトコルを使用して変更される。しかし、これを作製すると、突然変異体ポリペプチドを発現させ、所望の特性についてスクリーニングすることができる。
【0229】
突然変異は、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を有意に変化させることなく核酸に導入することができる。例えば、非必須アミノ酸残基でのアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を行うことができる。あるいは、1つ又は複数の突然変異を、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変化させる核酸に導入することができる(例えば、Romain Studer et al.,Biochem.J.449:581-594(2013)を参照)。例えば、突然変異は、生物学的活性を定量的又は定性的に変化させることができる。定量的変化の例としては、活性の増加、減少又は排除が挙げられる。定性的変化の例としては、抗体の抗原特異性の変化が挙げられる。
【0230】
C.バリアントポリペプチド
本発明によるタンパク質をコードするタンパク質及び/又はポリヌクレオチドに改変及び/又は変更が行われ得るが、同様の又は改善された特徴を有する分子を依然として得るので、そのような生物学的に機能的な等価物も本発明に包含される。
【0231】
生物学的機能的等価物は、「野生型」若しくは標準的なタンパク質若しくはペプチド又は「バリアント」タンパク質若しくはペプチドをコードする能力を同時に保持しながら、異なる配列を含有するように操作されたポリヌクレオチドを含み得る。これは、遺伝暗号の縮重、すなわち同じアミノ酸をコードする複数のコドンの存在に対して達成することができる。
【0232】
機能的等価物に関して、「生物学的に機能的等価物」のタンパク質及び/又はポリヌクレオチドの定義に固有のものは、許容可能なレベルの等価な生物学的活性を有する分子を保持しながら分子の定義された部分内で行われ得る変化の数に制限があるという概念であることが当業者によって十分に理解される。したがって、生物学的に機能的な等価物は、例えば、インビボで標的タンパク質と相互作用する能力を保持する、選択されたアミノ酸(又はコドン)に置換又は突然変異を有するタンパク質(及びポリヌクレオチド)として本明細書で定義される。
【0233】
一般に、分子の長さが短いほど、機能を保持しながら分子内で行うことができる変化は少なくなる。より長いポリペプチドは、中間の数の変化を有し得る。全長タンパク質は、より多数の変化に対して最も高い耐性を有する。しかしながら、それらの構造に高度に依存する特定の分子又はドメインは、改変をほとんど又は全く許容し得ないことを理解しなければならない。一例において、ポリヌクレオチドは、より有意な変化を伴う生物学的機能的等価物であり得る(及びコードし得る)。特定のアミノ酸は、例えば、オリゴマー化ドメイン、基質分子上の結合部位、受容体などの構造との相互作用的結合能を認識可能に失うことなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸で置換され得る。
【0234】
以下は、タンパク質のアミノ酸を変化させて、同等の、又はさらに改良された第2世代のバリアントポリペプチド又はペプチドを作製することの議論である。例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域又は基質分子上の結合部位などの構造との相互作用的結合能の認識可能な喪失の有無にかかわらず、タンパク質又はポリペプチド配列中の他のアミノ酸で置換され得る。タンパク質の機能的活性を規定するのはタンパク質の相互作用能力及び性質であるため、タンパク質配列及びその対応するDNAコード配列において特定のアミノ酸置換を行うことができ、それにもかかわらず、類似又は望ましい特性を有するタンパク質を産生することができる。したがって、本発明者らは、タンパク質をコードする遺伝子のDNA配列に、それらの生物学的有用性又は活性を明らかに失うことなく様々な変更を加えることができると考えている。
【0235】
「機能的に等価なコドン」という用語は、本明細書では、同じアミノ酸をコードするコドン、例えばアルギニンの6つの異なるコドンを指すために使用される。生物学的に等価なアミノ酸をコードする1つ又は複数のコドンの変化を指す「中性置換」又は「中性突然変異」も考慮される。
【0236】
本開示のアミノ酸配列バリアントは、置換、挿入、又は欠失バリアントであり得る。本開示のポリペプチドのバリエーションは、野生型と比較して、タンパク質又はポリペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、又はそれよりも多くの不連続又は連続したアミノ酸に影響を及ぼし得る。バリアントは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%(その間の全ての値及び範囲を含む)、本明細書で提供又は参照される任意の配列と同一のアミノ酸配列を含むことができる。バリアントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれよりも多くの置換アミノ酸を含み得る。
【0237】
アミノ酸及び核酸配列は、追加の残基、例えば追加のN末端若しくはC末端アミノ酸、又はそれぞれ5’若しくは3’配列を含み得るが、それでもなお、配列が、タンパク質発現が関係する生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を満たす限り、本明細書に開示される配列の1つに示されるように本質的に同一であり得ることも理解されよう。末端配列の付加は、特に、例えば、コード領域の5’又は3’部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列を含み得る核酸配列に適用される。
【0238】
欠失バリアントは、典型的には、天然又は野生型タンパク質の1つ又は複数の残基を欠く。個々の残基を欠失させることができ、又はいくつかの連続するアミノ酸を欠失させることができる。終止コドンをコード核酸配列に(置換又は挿入によって)導入して、切断型タンパク質を生成することができる。例えば、ペプチドは、対応する内因性形態よりも短くする切断又はいくつかの連続するアミノ酸の欠失によって突然変異され得ることが企図される。
【0239】
挿入突然変異体は、典型的には、ポリペプチドの非末端点におけるアミノ酸残基の付加を含む。これは、1つ又は複数のアミノ酸残基の挿入を含み得る。末端付加も生成され得、本明細書に記載又は参照される1つ又は複数のペプチド又はポリペプチドの多量体又はコンカテマーである融合タンパク質を含み得る。例えば、ペプチドは、特定の機能(例えば、標的化又は局在化のため、活性の増強のため、精製の目的のためなど)を有する異種タンパク質又はポリペプチド配列を融合又はコンジュゲートすることによって変化し得ることが企図される。
【0240】
置換バリアントは、典型的には、タンパク質又はポリペプチド内の1つ又は複数の部位で1つのアミノ酸を別のアミノ酸に交換することを含み、他の機能又は特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1つ又は複数の特性を調節するように設計され得る。置換は保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が類似の化学的特性の1つと置換される。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸クラスのメンバーと同じクラスの別のメンバーとの交換を含み得る。保存的置換はこの技術分野において広く知られており、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリシン;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミン;イソロイシンからロイシン又はバリン;ロイシンからバリン又はイソロイシン;リシンからアルギニン;メチオニンからロイシン又はイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン又はメチオニン;セリンからトレオニン;トレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニン;及びバリンからイソロイシン又はロイシンへの変化が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、天然に存在しないアミノ酸残基を包含し得、これらは、典型的には、生物学的系における合成ではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる。これらには、ペプチド模倣物又はアミノ酸部分の他の逆転形態若しくは逆位形態が含まれる。構造変化は、タンパク質がその設計された機能を実行する能力に影響を与えるものではないので、いわゆる「保存的」変化はタンパク質の生物学的活性を破壊しない。したがって、本発明者らは、本発明の目的を依然として達成しながら、本明細書に開示される遺伝子及びタンパク質の配列に様々な変更を加えることができることを企図している。
【0241】
あるいは、ポリペプチドの機能又は活性が影響を受けるように、置換は「非保存的」であり得る。非保存的変化は、典型的には、アミノ酸残基を化学的に異なるもの、例えば非極性又は非荷電アミノ酸を極性又は荷電アミノ酸で置換することを含み、逆もまた同様である。非保存的置換は、アミノ酸クラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを含み得る。
【0242】
アミノ酸及び核酸配列は、追加の残基、例えば追加のN末端若しくはC末端アミノ酸、又はそれぞれ5’若しくは3’配列を含み得るが、それでもなお、配列が、タンパク質発現が関係する生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を満たす限り、本明細書に開示される配列の1つに本質的に記載されるとおりであり得ることも理解されよう。末端配列の付加は、特に、例えば、コード領域の5’又は3’部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列を含み得る核酸配列に適用される。
【0243】
本開示のアミノ酸配列バリアントは、例えば、置換、挿入、又は欠失バリアントであり得る。本開示のポリペプチドの領域又は断片は、配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかに関して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400個又はそれよりも多くのアミノ酸置換、連続するアミノ酸付加、又は連続するアミノ酸欠失を有する、少なくとも有する、又は多くとも有する、アミノ酸配列を有し得ることが企図される。あるいは、本開示のポリペプチドの領域又は断片は、配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかと少なくとも又は多くとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%(又はその中の誘導可能な任意の範囲)同一であるアミノ酸配列を含むか、又はそれからなるアミノ酸配列を有してもよい。
【0244】
さらに、いくつかの実施形態では、領域又は断片は、配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかにおける位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400又はそれよりも多く始まる(位置1は、配列番号のN末端である)、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400又はそれよりも多くの連続したアミノ酸のアミノ酸領域を含む。本開示のポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50又はそれよりも多くのバリアントアミノ酸を含み得るか、又は配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかの少なくとも、若しくは多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、350、400若しくはそれよりも多くの連続するアミノ酸、又はその中の誘導可能な任意の範囲と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%類似、同一、若しくは相同であり得る。
【0245】
本開示のポリペプチドは、配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかの少なくとも、多くとも、又は正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400個の置換(又はその中の誘導可能な任意の範囲)を含み得る。
【0246】
置換は、配列番号1~25、27、33、及び34のいずれかのアミノ酸位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、又は400(又はその中の誘導可能な任意の位置)であり得る。
【0247】
当業者は、周知の技術を使用して、本明細書に記載のポリペプチドの適切なバリアントを決定することができる。当業者は、活性にとって重要であるとは考えられない領域を標的化することによって、活性を破壊することなく変化させることができる分子の適切な領域を同定し得る。当業者はまた、類似のタンパク質又はポリペプチド間で保存されているアミノ酸残基及び分子の一部を同定することができるであろう。さらなる実施形態では、生物学的活性又は構造にとって重要であり得る領域は、生物学的活性を有意に変化させることなく、又はタンパク質若しくはポリペプチド構造に悪影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換を受け得る。
【0248】
そのような変更を行う際に、アミノ酸の疎水性指標が考慮され得る。タンパク質の疎水性プロファイルは、各アミノ酸に数値(「疎水性指標」)を割り当て、次いでペプチド鎖に沿ってこれらの値を繰り返し平均することによって計算される。各アミノ酸には、その疎水性及び電荷特性に基づく値が割り当てられている。それらは以下の通りである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/システイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性アミノ酸指標の重要性は、当技術分野で一般的に理解されている(Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-131(1982))。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特性が、結果として生じるタンパク質又はポリペプチドの二次構造に寄与し、それが、タンパク質又はポリペプチドと他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を規定することが認められている。特定のアミノ酸が、類似の疎水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸に置換されてもよく、依然として類似の生物学的活性を保持することも知られている。疎水性指標に基づいて変更を行う際に、ある特定の実施形態において、疎水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。本開示のいくつかの態様では、±1以内のものが含まれ、本開示の他の態様では、±0.5以内のものが含まれる。
【0249】
同様のアミノ酸の置換は、親水性に基づいて効果的に行うことができることも当技術分野で理解されている。参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第4,554,101号は、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性が、タンパク質の生物学的特性と相関することを述べている。ある特定の実施形態において、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と相関する。これらのアミノ酸残基には、以下の親水性値が割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);及びトリプトファン(-3.4)。同様の親水性値に基づいて変更を行う際に、ある特定の実施形態において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の実施形態では、±1以内であるものが含まれ、さらに他の実施形態では、±0.5以内であるものが含まれる。いくつかの例では、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。アミノ酸は、類似の親水性値を有する別のものに置換することができ、それでもなお、生物学的に等価で免疫学的に等価なタンパク質を産生することができることが理解される。
【0250】
さらに、当業者は、活性又は構造にとって重要な類似のポリペプチド又はタンパク質中の残基を同定する構造機能研究を概説することができる。このような比較を考慮して、類似のタンパク質中の活性又は構造に重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、そのような予測された重要なアミノ酸残基について化学的に類似したアミノ酸置換を選択し得る。
【0251】
当業者はまた、類似のタンパク質又はポリペプチドにおけるその構造に関連する三次元構造及びアミノ酸配列を分析することができる。そのような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に対するポリペプチドのアミノ酸残基のアラインメントを予測することができる。当業者は、タンパク質の表面上にあると予測されるアミノ酸残基に対して、そのような残基が他の分子との重要な相互作用に関与し得るので、変更を加えないことを選択し得る。さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含むバリアントを生成及び試験し得る。次いで、これらのバリアントを、結合及び/又は活性についての標準的なアッセイを使用してスクリーニングすることができ、したがって、さらなる置換が単独で又は他の突然変異と組み合わせて回避されるべきアミノ酸位置を当業者が決定することを可能にし得るそのような日常的な実験から集められた情報が得られる。二次構造を決定するために利用可能な様々なツールは、ワールドワイドウェブ上のexpasy.org/proteomics/protein_structureに見出すことができる。
【0252】
本開示のいくつかの実施形態では、以下のアミノ酸置換が行われる。(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる、(2)酸化に対する感受性を低下させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)リガンド又は抗原の結合親和性を変化させる、及び/又は(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的又は機能的特性を付与又は改変する。例えば、天然に存在する配列において単一又は複数のアミノ酸置換(ある特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換)が行われ得る。分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外側にあるタンパク質の部分で置換を行うことができる。そのような実施形態では、タンパク質又はポリペプチドの構造的特徴を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換を使用することができる(例えば、天然タンパク質を特徴付ける二次構造を破壊しない1つ又は複数の置換アミノ酸)。
【0253】
本明細書で使用される場合、「アミノ分子」は、当業者に知られている任意のアミノ酸、アミノ酸誘導体、又はアミノ酸模倣物を指す。ある特定の実施形態において、タンパク質性分子の残基は連続的であり、いかなる非アミノ分子も、アミノ分子残基の配列を妨害しない。他の実施形態では、配列は、1つ又は複数の非アミノ分子部分を含み得る。特定の実施形態において、タンパク質性分子の残基の配列は、1つ又は複数の非アミノ分子部分によって中断され得る。ペプチド及びポリペプチドには、20個の「天然」アミノ酸、及びその翻訳後修飾が含まれる。しかしながら、インビトロペプチド合成は、改変アミノ酸及び/又は異常アミノ酸の使用を可能にする。
【0254】
したがって、「タンパク質性組成物」という用語は、天然に合成されたタンパク質中の20個の共通アミノ酸の少なくとも1つ、又は以下の表に示されるものを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの改変アミノ酸若しくは異常アミノ酸を含むアミノ分子配列を包含する。
【表1】
【0255】
上記の生物学的機能的等価物に加えて、本発明者らはまた、本発明のペプチド又はポリペプチドの重要な部分を模倣するように構造的に類似した化合物を製剤化し得ることを企図している。ペプチド模倣物と称され得るそのような化合物は、本発明のペプチドと同じ様式で使用され得、したがって、機能的等価物でもある。
【0256】
タンパク質の二次構造及び三次構造のエレメントを模倣する特定の模倣物は、Johnsonら(1993)に記載されている。ペプチド模倣物の使用の背後にある根本的な理論的根拠は、タンパク質のペプチド主鎖が主に、抗体及び/又は抗原のものなどの分子相互作用を促進するようにアミノ酸側鎖を配向させるために存在することである。したがって、ペプチド模倣物は、天然分子と同様の分子相互作用を可能にするように設計される。
【0257】
ペプチド模倣物概念のいくつかの成功した応用は、高度に抗原性であることが知られているタンパク質内のβターンの模倣物に焦点を当てている。ポリペプチド内のβターン構造の可能性は、本明細書中で議論されるように、コンピュータベースのアルゴリズムによって予測することができる。ターンの構成アミノ酸が決定されると、模倣物を構築して、アミノ酸側鎖の必須エレメントの同様の空間的配向を達成することができる。
【0258】
他のアプローチは、大きなタンパク質の結合部位を模倣する生物学的に活性な立体配座を生成するための魅力的な構造テンプレートとしての小さなマルチジスルフィド含有タンパク質の使用に焦点を当てている(Vitaら(1998))。ある特定の毒素において進化的に保存されていると思われる構造モチーフは、小さく(30~40アミノ酸)、安定であり、突然変異に対して高い許容性を有する。このモチーフは、3つのジスルフィドによって内部コアに架橋されたベータシート及びアルファヘリックスから構成される。
【0259】
ベータIIターンは、Weisshoffら(1999)において、環状L-ペンタペプチド及びD-アミノ酸を有するものを使用して、うまく模倣されている。また、Johannessonら(1999)は、逆方向ターン誘導特性を有する二環式トリペプチドについて報告している。
【0260】
特定の構造を生成する方法は、当技術分野で開示されている。例えば、アルファ-ヘリックス模倣物は、米国特許第5,446,128号;同第5,710,245号;同第5,840,833号;及び同第5,859,184号に開示されている。これらの構造は、ペプチド又はタンパク質をより熱的に安定にし、タンパク質分解に対する耐性も高める。
【0261】
立体配座が制限されたベータターン及びベータバルジを生成する方法は、例えば、米国特許第5,440,013号;同第5,618,914号;及び同第5,670,155号に記載されている。ベータターンは、対応する主鎖立体配座に変化を有することなく、変化した側置換基を可能にし、標準的な合成手順によってペプチドに組み込むための適切な末端を有する。他の種類の模倣物ターンには、逆及びガンマターンが含まれる。逆方向ターン模倣物は、米国特許第5,475,085号及び同第5,929,237号に開示されており、ガンマターン模倣物は、米国特許第5,672,681号及び同第5,674,976号に記載されている。
【0262】
II.タンパク質相互作用ポリペプチドの外因性送達
いくつかの態様では、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子が存在する。ある特定の実施形態において、核酸ベクターは、細胞が本明細書に開示されるタンパク質性組成物及びポリペプチドを発現することを可能にする外因性核酸配列を含むように構築することができる。これらのベクターの成分及び送達方法の詳細を以下に開示する。
【0263】
様々な実施形態において、本明細書に開示されるポリペプチド配列をコードするDNA構築物又はベクターが提供される。遺伝子改変を細胞に導入することもできる。これらの改変には、例えば、ポリペプチドを発現する細胞を作製するための、ポリペプチドをコードするベクターによる細胞の形質導入が含まれる。
【0264】
本開示による細胞は、本明細書に開示されるタンパク質性組成物及びポリペプチド配列が入っている任意の細胞を含む。本明細書に開示されるタンパク質性組成物及びポリペプチド配列を細胞が発現することを可能にする外因性核酸配列を含むように構築されたDNA構築物又はベクターは、本明細書中に記載されるように導入及び発現され得る。本明細書中に記載される本開示の基本概念は、細胞型によって限定されないことを理解されたい。本開示による細胞には、原核生物細胞、真核生物細胞、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞などが含まれる。さらに、細胞は、機能性タンパク質の産生を調節することが有益又は望ましい任意のものを含む。
【0265】
A.ベクター
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるポリペプチド配列は、ポリペプチド配列又はその一部をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結し、構築物を、細胞によって取り込まれ発現される発現ベクターに組み込むことによって達成される。ベクターは、真核生物における複製及びいくつかの場合には組込みに適し得る。典型的なクローニングベクターは、転写ターミネーター及び翻訳ターミネーター、開始配列、並びに所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含む。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むがこれらに限定されないベクターにクローニングすることができる。特定の目的のベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及び配列決定ベクターが含まれる。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ又は複数の選択マーカーを含む(例えば、国際公開第01/96584号;国際公開第01/29058号;及び米国特許第6,326,193号を参照)。いくつかの実施形態では、適切なベクターは、血液脳関門を通過することができる。
【0266】
ある特定の実施形態において、発現ベクターは、非ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。例えば、非ウイルスベクターは、ミニサークルベクターを含み得る。ミニサークルは、遺伝子治療のための新たに開発されたDNA担体の一種である。ミニサークルの主な利点には、最小限のウイルス又は細菌遺伝子エレメントを有するよりクリーンな遺伝子バックグラウンド及び持続的な高レベルタンパク質発現が含まれ、ミニサークルのサイズが小さいことにより、薬物送達のためのエアロゾルにおけるその使用が可能になり得る。非ウイルスベクターは、pcDNA3.1(+)ベクターを含み得る。非ウイルスベクターは、配列番号26と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有するヌクレオチド配列を含み得る。
【0267】
ある特定の実施形態において、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術はこの技術分野において広く知られており、例えば、Sambrook et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、並びに他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルに記載されている。
【0268】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のために、いくつかのウイルスベースのシステムが開発されている。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス(自己不活性化レンチウイルスベクターを含む)が含まれるが、これらに限定されない例えば、アデノウイルスは、遺伝子送達システムのための便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子をベクターに挿入し、この技術分野で知られている技術を用いてレトロウイルス粒子にパッケージングすることができる。次いで、組換えウイルスを単離し、インビボ又はエクスビボのいずれかで対象の細胞に送達することができる。したがって、いくつかの実施形態では、ポリペプチド配列をコードする核酸を、組換えベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、ガンマ-レトロウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス又はアデノウイルスを含むウイルスベクターなど)を使用して細胞に導入する。
【0269】
ベクターはまた、遺伝子送達及び/又は遺伝子発現をさらに調節するか、又は標的細胞に有益な特性を他の方法で提供する他の成分又は機能性を含むことができる。そのような他の成分には、例えば、細胞への結合又は標的化に影響を及ぼす成分(細胞型結合又は組織特異的結合を媒介する成分を含む);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を及ぼす成分;取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を及ぼす成分(核局在化を媒介する薬剤など);及びポリヌクレオチドの発現に影響を及ぼす成分が含まれる。
【0270】
そのような成分はまた、ベクターによって送達された核酸を取り込んで発現している細胞を検出又は選択するために使用することができる検出可能及び/又は選択マーカーなどのマーカーを含み得る。そのような成分は、ベクターの天然の特徴(結合及び取り込みを媒介する成分又は機能性を有する特定のウイルスベクターの使用など)として提供することができ、又はそのような機能性を提供するようにベクターを改変することができる。多種多様なそのようなベクターがこの技術分野では知られており、一般に入手可能である。ベクターが宿主細胞内で維持される場合、ベクターは、自律構造として有糸分裂中に細胞によって安定に複製され得るか、宿主細胞のゲノム内に組み込まれ得るか、又は宿主細胞の核若しくは細胞質内に維持され得る。
【0271】
ベクターに含まれる真核生物発現カセットは、特に、タンパク質コード配列に作動可能に連結された真核生物転写プロモーターを含む調節エレメント、介在配列を含むスプライスシグナル、転写終結/ポリアデニル化配列、転写後調節エレメント、及び複製起点を(5’から3’方向に)含む。
【0272】
1.プロモーター/エンハンサー
「プロモーター」は、転写の開始及び速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。それは、RNAポリメラーゼ及び他の転写因子などの調節タンパク質及び分子が結合して、核酸配列の特異的転写を開始することができる遺伝要素を含み得る。「作動可能に配置された」、「作動可能に連結された」、「制御下にある」、及び「転写制御下にある」という語句は、プロモーターが核酸配列に対して正しい機能的位置及び/又は向きにあり、その配列の転写開始及び/又は発現を制御することを意味する。
【0273】
プロモーターは、一般に、RNA合成のための開始部位を配置するように機能する配列を含む。これの最もよく知られている例はTATAボックスであるが、例えば哺乳動物ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーター及びSV40後期遺伝子のプロモーターなどのTATAボックスを欠くいくつかのプロモーターでは、開始部位自体を覆う別個のエレメントが開始の場所を固定するのに役立つ。さらなるプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは、開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下」にするために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、選択されたプロモーターの「下流」(すなわち3’)に配置する。「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
【0274】
プロモーターエレメント間の間隔はしばしば柔軟であり、その結果、エレメントが互いに反転又は移動した場合にプロモーター機能が保存される。例えばチミジンキナーゼプロモーターでは、活性が低下し始める前に、プロモーターエレメント間の間隔を50bpまで広げることができる。プロモーターに応じて、個々のエレメントは、転写を活性化するために協調的又は独立して機能し得るようである。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列を指す「エンハンサー」と共に使用されてもされなくてもよい。
【0275】
プロモーターは、コードセグメント及び/又はエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得ることができるように、核酸配列と天然に会合しているものであり得る。このようなプロモーターは、「内因性」と称され得る。同様に、エンハンサーは、その配列の下流又は上流のいずれかに位置する核酸配列と天然に会合したものであり得る。あるいは、特定の利点は、コード核酸セグメントを組換え又は異種プロモーターの制御下に配置することによって得られ、これは、その天然環境において核酸配列と通常関連しないプロモーターを指す。組換え又は異種エンハンサーはまた、その天然環境において核酸配列と通常関連しないエンハンサーを指す。そのようなプロモーター又はエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーター又はエンハンサー、並びに任意の他のウイルス又は原核細胞若しくは真核細胞から単離されたプロモーター又はエンハンサー、並びに「天然に存在しない」、すなわち異なる転写調節領域の異なるエレメントを含有するプロモーター又はエンハンサー、及び/又は発現を変化させる突然変異が含まれ得る。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に生成することに加えて、配列は、本明細書に開示される組成物に関連して、PCR(商標)を含む組換えクローニング及び/又は核酸増幅技術を使用して生成され得る(その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第4,683,202号及び第5,928,906号を参照)。さらに、ミトコンドリアなどの非核オルガネラ内の配列の転写及び/又は発現を指示する制御配列も同様に使用することができると考えられる。
【0276】
当然のことながら、発現のために選択されたオルガネラ、細胞型、組織、器官又は生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に指示するプロモーター及び/又はエンハンサーを使用することが重要であろう。分子生物学の当業者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサー及び細胞型の組み合わせの使用を知っている(例えば、その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれるSambrookら、1989を参照)。使用されるプロモーターは、組換えタンパク質及び/又はペプチドの大規模生産において有利であるなど、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指示するための適切な条件下で、構成的、細胞特異的、組織特異的、誘導性及び/又は有用であり得る。プロモーターは、異種又は内因性であり得る。
【0277】
さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(例えば、Eukaryotic Promoter Data Base EPDBに従って、ワールドワイドウェブによるepd.isb-sib.ch/)を使用して発現を駆動することもできる。他の潜在的なプロモーターの非限定的な例としては、初期又は後期ウイルスプロモーター、例えばSV40初期又は後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモーター;真核細胞プロモーター、例えば、βアクチンプロモーター(Ng,1989;Quitsche et al.,1989)、GADPHプロモーター(Alexander et al.,1988,Ercolani et al.,1988)、メタロチオネインプロモーター(Karin et al.,1989;Richards et al.,1984);及び連結された応答エレメントプロモーター、例えば、サイクリックAMP応答エレメントプロモーター(cre)、血清応答エレメントプロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)及び最小TATAボックス付近の応答エレメントプロモーター(tre)が挙げられる。ヒト成長ホルモンプロモーター配列(例えば、Genbank、アクセッション番号X05244、ヌクレオチド283~341に記載されるヒト成長ホルモン最小プロモーター)又はマウス乳腺腫瘍プロモーター(ATCCカタログ番号ATCC 45007から入手可能)を使用することも可能である。具体例は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターであり得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現は構成的プロモーターによって調節される。いくつかの実施形態では、構成的プロモーターは、CAG(CAGGS又はCBAとしても知られる)、EF-1ALPHA、ユビキチン又はCMVである。
【0279】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現は細胞特異的プロモーターによって調節される。いくつかの実施形態では、細胞特異的プロモーターはニューロン特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、ニューロン特異的プロモーターは、ヒトシナプシンI(SYN)プロモーター、マウスカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)プロモーター、ラットチューブリンアルファI(Ta1)、ラットニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター、ヒト血小板由来増殖因子β鎖(PDGF)プロモーター、又はTHY1(CD90)プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、細胞特異的プロモーターは、ヒトシナプシンIである。
【0280】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの発現は組織特異的プロモーターによって調節される。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは、脈絡膜叢特異的プロモーターである。いくつかの実施形態では、脈絡膜叢特異的プロモーターは、Prlrプロモーター、Spint2プロモーター、又はF5プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、組織特異的プロモーターは、肝臓特異的プロモーターである。肝臓特異的プロモーターは、例えば、L.M.Kattenhorn et al.,Hum.Gene Ther.27(12):947-961(2016)に記載されており、その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0281】
2.プロテアーゼ切断部位/自己切断ペプチド及び内部リボソーム結合部位
適切なプロテアーゼ切断部位及び自己切断ペプチドは当業者に公知である(例えば、Ryan et al.,1997;Scymczak et al.,2004を参照)。プロテアーゼ切断部位の例は、フリンプロテアーゼ、ポチウイルスNIaプロテアーゼ(例えば、タバコエッチウイルスプロテアーゼ)、ポチウイルスHCプロテアーゼ、ポチウイルスP1(P35)プロテアーゼ、バイオウイルスNlaプロテアーゼ、バイウイルスRNA-2コード化プロテアーゼ、アフトウイルスLプロテアーゼ、エンテロウイルス2Aプロテアーゼ、ライノウイルス2Aプロテアーゼ、ピコルナ3Cプロテアーゼ、コモウイルス24Kプロテアーゼ、ネポウイルス24Kプロテアーゼ、RTSV(米粒球形ウイルス)3C様プロテアーゼ、PY\IF(パースニップ黄色斑点ウイルス)3C様プロテアーゼ、トロンビン、第Xa因子及びエンテロキナーゼの切断部位である。その高い切断ストリンジェンシーのために、TEV(タバコエッチウイルス)プロテアーゼ切断部位が使用され得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、フリンプロテアーゼの切断部位である。
【0282】
例示的な自己切断ペプチド(「シス作用性加水分解エレメント」、CHYSELとも呼ばれる);deFelipe(2002)を参照)は、ポチウイルス及びカルジオウイルス2Aペプチドに由来する。特定の自己切断ペプチドは、FMDV(口蹄疫ウイルス)、ウマ鼻炎Aウイルス、トセア・アシグナウイルス、及びブタテッショウウイルスに由来する2Aペプチドから選択され得る。
【0283】
特定の開始シグナルはまた、ポリシストロンなメッセージにおけるコード配列の効率的な翻訳のために使用され得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン又は隣接配列が含まれる。例えば、開始シグナルは、GCCACCAUGGGを含むアミノ酸配列を有するコザックコンセンサス配列を含み得る。Kozak,1987;Harte et al.,2012を参照。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルを提供する必要があり得る。当業者は、これを決定し、必要なシグナルを提供することが容易に可能であろう。インサート全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然又は合成のいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって高められ得る。
【0284】
ある特定の実施形態において、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用は、多重遺伝子又は多シストロン性メッセージを作製するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回し、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier及びSonenberg(1988年))。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオ及び脳心筋炎)由来のIRES要素が記載されており(Pelletier及びSonenberg、1988年)、哺乳動物メッセージ由来のIRESも記載されている(Macejak及びSarnow、1991年)。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームを一緒に転写することができ、それぞれがIRESによって分離され、ポリシストロンなメッセージを作成する。IRESエレメントのおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。単一のメッセージを転写するために単一のプロモーター/エンハンサーを使用して、複数の遺伝子を効率的に発現させることができる(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,925,565号及び第5,935,819号を参照)。
【0285】
3.多重クローニング部位
ベクターは、複数の制限酵素部位を含む核酸領域である多重クローニング部位(MCS)を含むことができ、そのいずれも、ベクターを消化するための標準的な組換え技術と併せて使用することができる(その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれるCarbonelli et al.,1999,Levenson et al.,1998、及びCocea,1997を参照)。「制限酵素消化」とは、核酸分子内の特定の位置でのみ機能する酵素による核酸分子の触媒的切断を指す。これらの制限酵素の多くは市販されている。このような酵素の使用は、当業者に広く理解されている。多くの場合、ベクターは、外因性配列をベクターにライゲーションすることを可能にするためにMCS内で切断する制限酵素を使用して線状化又は断片化される。「ライゲーション」は、互いに連続していてもいなくてもよい2つの核酸断片間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指す。制限酵素及びライゲーション反応を含む技術は、組換え技術の当業者には周知である。
【0286】
4.スプライシング部位
ほとんどの転写された真核生物RNA分子は、RNAスプライシングを受けて一次転写物からイントロンを除去する。ゲノム真核生物配列を含有するベクターは、タンパク質発現のための転写物の適切なプロセシングを確実にするために、ドナー及び/又はアクセプタースプライシング部位を必要とし得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれるChandlerら、1997年を参照されたい。)。
【0287】
5.終結シグナル
ベクター又は構築物は、少なくとも1つの終結シグナルを含み得る。「終結シグナル」又は「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写の特異的終結に関与するDNA配列からなる。したがって、ある特定の実施形態において、RNA転写物の産生を終了させる終結シグナルが企図される。ターミネーターは、望ましいメッセージレベルを達成するためにインビボで必要であり得る。
【0288】
真核生物系では、ターミネーター領域はまた、ポリアデニル化部位を露出させるように新しい転写物の部位特異的切断を可能にする特定のDNA配列を含み得る。これは、特殊化された内因性ポリメラーゼにシグナル伝達して、転写物の3’末端に約200A残基のストレッチ(ポリA)を付加する。このポリAテールで修飾されたRNA分子は、より安定であるように見え、より効率的に翻訳される。したがって、真核生物を含む他の実施形態では、ターミネーターはRNAの切断のためのシグナルを含み、ターミネーターシグナルはメッセージのポリアデニル化を促進する。ターミネーター及び/又はポリアデニル化部位エレメントは、メッセージレベルを高め、カセットから他の配列へのリードスルーを最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0289】
企図されるターミネーターには、本明細書中に記載されるか又は当業者に公知の任意の公知の転写ターミネーターが含まれ、それには、例えば、遺伝子の終結配列、例えばウシ成長ホルモンターミネーター又はウイルス終結配列、例えばSV40ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、終結シグナルは、配列の切断などによる、転写可能又は転写可能な配列の欠如であり得る。
【0290】
6.ポリアデニル化シグナル
発現、特に真核生物発現において、転写物の適切なポリアデニル化をもたらすためのポリアデニル化シグナルが典型的には含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、実施の成功に重要であるとは考えられず、任意のそのような配列が使用され得る。例示的な実施形態は、好都合であり、様々な標的細胞において良好に機能することが公知であるSV40ポリアデニル化シグナル又はウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。ポリアデニル化は、転写物の安定性を高め得るか、又は細胞質移行を促進し得る。
【0291】
7.転写後調節エレメント
本開示で使用するためのベクターはまた、1つ又は複数の転写後調節エレメント(PRE)を含むことができる。PREの例には、ウッドチャック肝炎ウイルスPRE(WPRE)、B型肝炎ウイルスPRE、及びヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子のイントロンAが含まれる。さらなる例及び詳細については、Sunら(2009年)及びMariatiら(2010年)を参照されたい。特定の実施形態では、PREはWPREである。WPREは、転写されると、ウイルスベクターによって送達される遺伝子の発現を増強するための三次構造を作成するDNA配列である。
【0292】
8.複製起点
ベクターを宿主細胞内で増殖させるために、ベクターは、1つ又は複数の複製起点部位(しばしば「ori」と呼ばれる)、例えば、上記のEBVのoriPに対応する核酸配列、又は複製が開始される特定の核酸配列である、分化プログラミングにおける類似又は上昇した機能を有する遺伝子操作されたoriPを含み得る。あるいは、上記の他の染色体外で複製するウイルスの複製起点又は自律複製配列(ARS)を使用することができる。
【0293】
B.ベクター送達
外因性核酸の細胞への遺伝子改変又は導入は、本明細書中に記載されるように、又は当業者に知られているように、細胞の形質転換のための核酸送達のための任意の適切な方法を使用し得る。遺伝子を細胞に導入及び発現させる方法は、この技術分野において知られている。発現ベクターに関連して、ベクターは、当技術分野における任意の方法によって宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的又は生物学的手段によって宿主細胞に移入することができる。
【0294】
そのような方法には、エクスビボトランスフェクション(Wilsonら(1989年)、Nabelら(1989年)などによるDNAの直接送達;形質導入;ウイルス形質導入;マイクロインジェクション(参照によって本明細書中に組み込まれるHarland及びWeintraub(1985年);米国特許第5,789,215号)を含む注入(それぞれ参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,994,624号、第5,981,274号、第5,945,100号、第5,780,448号、第5,736,524号、第5,702,932号、第5,656,610号、第5,589,466号及び第5,580,859号);エレクトロポレーション(参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,384,253号;Tur-Kaspaら(1986年);Potterら(1984年));リン酸カルシウム沈殿(Graham及びVan Der Eb(1973年);Chen及びOkayama(1987年);Rippeら(1990年));DEAE-デキストランとそれに続くポリエチレングリコール(Gopal(1985年))の使用;直接音波負荷(Fechheimerら(1987年));ヌクレオフェクション;リポフェクション又はリポソーム媒介性トランスフェクション(Nicolau及びSene(1982年);Fraleyら(1979年);Nicolauら(1987年);Wongら(1980年);Kanedaら(1989年);Katoら(1991年))及び受容体媒介性トランスフェクション(Wu及びWu(1987年);Wu及びWu(1988年));マイクロプロジェクタイル又はナノ粒子衝撃(PCT出願第WO 94/09699号及び同第95/06128号;米国特許番号5,610,042;5,322,783 5,563,055、5,550,318、5,538,877及び5,538,880(それぞれ参照によって本明細書中に組み込まれる));シリコンカーバイド繊維を用いた撹拌(Kaepplerら(1990年);米国特許番号5,302,523及び5,464,765(それぞれ参照によって本明細書中に組み込まれる));アグロバクテリウム媒介形質転換(それぞれ参照により本明細書中に組み込まれる米国特許番号5,591,616及び5,563,055);プロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirullehら(1993年;米国特許番号4,684,611及び4,952,500(それぞれ参照によって本明細書中に組み込まれる));乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykusら(1985年));熱衝撃(Froger及びHall(2007年));及びそのような方法の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。これらのような技術の適用により、オルガネラ(複数可)、細胞(複数可)、組織(複数可)又は生物(複数可)は、安定的又は一時的に形質転換され得る。
【0295】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を産生する方法は、この技術分野において広く知られている(例えば、Sambrook et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照)。
【0296】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法は、目的のポリヌクレオチド又は導入遺伝子を挿入することができるDNA及びRNAベクターの使用を含むことができる。ウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用されている方法になっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスなどに由来し得る(例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号などを参照)。
【0297】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系、及び水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。ナノ粒子も企図される。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0298】
例えば、アデノ関連ウイルスを使用する、遺伝子治療方法及び遺伝子を対象に送達する方法は、US 6,967,018、WO2014/093622、US2008/0175845、US 2014/0100265、EP2432490、EP2352823、EP2384200、WO2014/127198、WO2005/122723、WO2008/137490、WO2013/1421 14、WO2006/128190、WO2009/134681、EP2341068、WO2008/027084、WO2009/054994、WO2014059031、US 7,977,049及びWO 2014/059029に記載されており、これらの各々はその全体が具体的に、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0299】
1.リポソーム媒介トランスフェクション
1つの例示的な送達ビヒクルは、脂質及び/又はリポソームである。宿主細胞への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)のために、脂質製剤の使用が企図される。別の態様において、核酸は脂質と会合していてもよい。脂質と会合した核酸は、リポソームの水性内部にカプセル化されていてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよく、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方と会合した連結分子を介してリポソームに付着していてもよく、リポソームに封入されていてもよく、リポソームと複合体を形成していてもよく、脂質を含有する溶液中に分散されていてもよく、脂質と混合されていてもよく、脂質と組み合わされていてもよく、脂質中に懸濁液として含まれていてもよく、ミセルを含有若しくはそれと複合体を形成していてもよく、又は他の方法で脂質と会合していてもよい。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクターと会合した組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、それらは、二重層構造内に、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で存在し得る。それらはまた、溶液中に単に散在してもよく、場合によってはサイズ又は形状が均一でない凝集体を形成する。脂質は、天然に存在する脂質又は合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質には、細胞質に天然に存在する脂肪滴、並びに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物のクラスが含まれる。
【0300】
ある特定の実施形態において、核酸は、例えば、リポソームなどの脂質複合体に捕捉され得る。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を特徴とする小胞構造である。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されると自然に形成する。脂質成分は、閉じた構造の形成前に自己再配列を受け、脂質二重層の間に水及び溶解した溶質を捕捉する(Ghosh及びBachhawat、1991年)。使用されるリポソームの量は、リポソームの性質並びに使用される細胞によって異なり得、例えば、細胞1~1000万個あたり約5~約20μgのベクターDNAが企図され得る。
【0301】
リポソーム媒介核酸送達及びインビトロでの外来DNAの発現は非常に成功している(Nicolau及びSene、1982年;Fraleyら、1979年;Nicolauら、1987年)。培養されたニワトリ胚、HeLa及び肝癌細胞におけるリポソーム媒介送達及び外来DNAの発現の実現可能性も実証されている(Wongら、1980年)。
【0302】
ある特定の実施形態において、リポソームを赤血球凝集ウイルス(HVJ)と複合体化させることができる。これは、細胞膜との融合を促進し、リポソーム封入DNAの細胞侵入を促進することが示されている(Kanedaら、1989年)。他の実施形態において、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)(Katoら、1991年)と複合体化され得るか、又はそれと併せて使用され得る。なおさらなる実施形態では、リポソームは、HVJ及びHMG-1の両方と複合体化されてもよく、又はその両方と組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態において、送達ビヒクルは、リガンド及びリポソームを含み得る。
【0303】
様々な実施形態において、使用に適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、リポフェクタミンは、Thermo Fisher Scientific,Waltham,Massから入手することができる。ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,Mo.から入手することができる。リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&K Laboratories(Plainview,N.Y.)から得ることができる。コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得ることができる。ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,Ala.)から入手することができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質の保存溶液は、約-20°Cで保存することができる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するので、唯一の溶媒として使用することができる。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の生成によって形成された様々な単層及び多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を有する小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されると自然に形成する。脂質成分は、閉じた構造の形成前に自己再配列を受け、脂質二重層の間に水及び溶解した溶質を捕捉する(Ghosh et al.(1991)Glycobiology 5:505-510)。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとるか、又は単に脂質分子の不均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0304】
2.エレクトロポレーション
ある特定の実施形態において、核酸は、エレクトロポレーションによって細胞に導入される。エレクトロポレーションは、細胞及びDNAの懸濁液を高電圧放電に曝露することを含む。レシピエント細胞は、機械的な傷によって形質転換を受けやすくすることができる。また、使用されるベクターの量は、使用される細胞の性質によって異なり得、例えば、細胞1~1000万個あたり約5~約20μgのベクターDNAが企図され得る。
【0305】
エレクトロポレーションを用いた真核細胞のトランスフェクションは、非常に成功している。このようにして、マウスプレBリンパ球にヒトκ免疫グロブリン遺伝子(Potterら、1984年)をトランスフェクトし、ラット肝細胞にクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(Tur-Kaspaら、1986年)をトランスフェクトした。
【0306】
3.リン酸カルシウム
他の実施形態では、リン酸カルシウム沈殿を使用して核酸を細胞に導入する。ヒトKB細胞を、この技術を使用してアデノウイルス5 DNA(Graham及びVan Der Eb,1973年)でトランスフェクトした。また、このようにして、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV-1、BHK、NIH3T3及びHeLa細胞にネオマイシンマーカー遺伝子(Chen及びOkayama、1987年)をトランスフェクトし、ラット肝細胞に種々のマーカー遺伝子(Rippeら、1990年)をトランスフェクトした。
【0307】
4.DEAE-デキストラン
別の実施形態において、DEAE-デキストラン、続いてポリエチレングリコールを使用して、核酸を細胞内に送達する。このようにして、レポータープラスミドをマウス骨髄腫及び赤白血病細胞(Gopal、1985年)に導入した。
【0308】
C.選択マーカー又はスクリーニングマーカー
外因性核酸を宿主細胞に導入するために、又は他の方法で細胞を本開示の阻害剤に曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが行われ得る。そのようなアッセイとしては、例えば、当業者には広く知られている「分子生物学的」アッセイ、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCR;「生化学的」アッセイ、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によって、又は本開示の範囲内に入る薬剤を同定するための本明細書中に記載されるアッセイによって、特定のペプチドの存在又は非存在を検出することなどが挙げられる。
【0309】
ある特定の実施形態において、外因性核酸を含有する細胞は、発現ベクター又は外因性核酸にマーカーを含めることによってインビトロ又はインビボで同定され得る。そのようなマーカーは、発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする細胞に特定可能な変化を付与するであろう。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を与えるものであり得る。ポジティブ選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするマーカーであり得、ネガティブ選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるマーカーである。ポジティブ選択マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
【0310】
条件の実施に基づいて形質転換体の識別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、比色分析が基礎となるGFPなどのスクリーニングマーカーを含む他の種類のマーカーも考えられる。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などのネガティブ選択マーカーとしてのスクリーニング可能な酵素を利用してもよい。当業者はまた、おそらくFACS分析と組み合わせて免疫学的マーカーを使用する方法を知っているであろう。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現することができる限り、重要ではないと考えられる。選択マーカー及びスクリーニングマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
【0311】
選択マーカーは、トランスフェクション又は外来DNAを細胞に導入することを意図した他の手順の成功を示すために実験室微生物学、分子生物学、及び遺伝子工学で使用されるレポーター遺伝子のタイプを含み得る。選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子であることが多く;外来DNAを導入する手順を行った細胞を、抗生物質を含む培地上で増殖させ、増殖可能な細胞は、導入した遺伝物質を取り込み、発現させることに成功している。選択マーカーの例としては、ジェネテシンに対する抗生物質耐性を付与するTn5由来のAbicr遺伝子又はNeo遺伝子が挙げられる。
【0312】
スクリーニングマーカーは、レポーター遺伝子を含み得、これにより、研究者は、必要な細胞と不要な細胞とを区別することができる。本発明の特定の実施形態は、特定の細胞系統を示すためにレポーター遺伝子を利用する。例えば、レポーター遺伝子は、同時発現のための心室選択的又は心房選択的遺伝子のコード領域に通常関連する心室選択的又は心房選択的調節エレメントの制御下で、発現エレメント内に位置し得る。レポーターは、特定の系統の細胞を、それらを薬物又は他の選択圧下に置くことなく、又は細胞生存率を他の方法で危険にさらすことなく単離することを可能にする。
【0313】
そのようなレポーターの例としては、細胞表面タンパク質(例えば、CD4、HAエピトープ)、蛍光タンパク質、抗原決定基及び酵素(例えば、β-ガラクトシダーゼ)をコードする遺伝子が挙げられる。細胞を含有するベクターは、例えば、ベクターにコードされた酵素によって蛍光生成物に変換することができる細胞表面タンパク質又は基質に対する蛍光タグ付き抗体を使用するFACSによって単離され得る。
【0314】
具体的な実施形態において、レポーター遺伝子は蛍光タンパク質である。可視光スペクトルのほぼ全体に及ぶ蛍光発光スペクトルプロファイルを特徴とする広範囲の蛍光タンパク質の遺伝的バリアントが開発されている(非限定的な例のために表1を参照)。元のAequorea victoriaクラゲ緑色蛍光タンパク質における変異誘発の努力は、青色から黄色に及ぶ新しい蛍光プローブをもたらし、生物学的研究において最も広く使用されているインビボレポーター分子のいくつかである。橙色及び赤色のスペクトル領域で発光するより長波長の蛍光タンパク質が、海産イソギンチャクであるDiscosoma striataとAnthozoa綱に属するサンゴ礁から開発された。シアン、緑色、黄色、橙色、及び深紅色の蛍光発光を有する同様のタンパク質を生産するために、さらに他の種が採掘されている。蛍光タンパク質の輝度及び安定性を改善し、したがってそれらの全体的な有用性を改善するための開発研究努力が進行中である。
【表2】
【0315】
III.ウイルス
本開示の態様は、ウイルスの処置又は予防に関する。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を処置又は予防する方法が開示される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の抗ウイルス剤を含む組成物が開示される。
【0316】
A.コロナウイルス
特定の実施形態において、ウイルスは、コロナウイルス科(Coronaviridae)に由来する。コロナウイルス科は、エンベロープを有するポジティブセンス一本鎖RNAウイルスのファミリーである。コロナウイルスは、コロナウイルス科(Coronaviridae)及びオルソコロナウイルス科(Orthocoronavirinae)(コロナウイルス科(Coronavirinae)とも呼ばれる)の一般名である。コロナウイルス科は、2亜科、5属、23亜属及び約40種に編成される。それらは、ポジティブセンス一本鎖RNAゲノム及びらせん対称性を有するヌクレオカプシドを有するエンベロープウイルスである。
【0317】
いくつかのコロナウイルスは、動物を主な宿主として利用し、ヒトに感染するように進化している。アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタとして知られる4つの主要なサブグループのコロナウイルスと、人々に感染し得る7つのコロナウイルスがある。4つの最も一般的なコロナウイルスは、それらの天然宿主としてヒトを利用し、以下を含む:HCoV-229E(アルファコロナウイルス);HCoV-NL63(アルファコロナウイルス);HCoV-OC43(ベータコロナウイルス);HCoV-HKU1(ベータコロナウイルス)。他の3つのヒトコロナウイルスは以下の通りである:MERS-CoV(MERSを引き起こすベータコロナウイルス);SARS-CoV(SARSを引き起こすベータコロナウイルス);及びSARS-CoV-2(コロナウイルス疾患2019、すなわちCOVID-19を引き起こす新規コロナウイルス)。
【0318】
コロナウイルスは、その表面から突出する特徴的なクラブ形状のスパイクを有し、電子顕微鏡写真では、それらの名称の由来となる太陽コロナを連想させる画像を作成する。ウイルス粒子の平均直径は約120nm(.12μm)である。エンベロープの直径は約80nm(.08μm)であり、スパイクは約20nm(.02μm)の長さである。ウイルスのスパイクされた外側の下には、ウイルス性エンベロープに覆われた丸いコアがある。コアは、ウイルスが細胞に注入してそれらに感染させることができる遺伝物質を含む。
【0319】
ウイルス性エンベロープは、膜(M)、エンベロープ(E)、及びスパイク(S)構造タンパク質が固定されている脂質二重層からなる。エンベロープの内側には、連続的なビーズ・オン・ア・ストリング型立体配座でポジティブセンス一本鎖RNAゲノムに結合しているヌクレオカプシド(N)タンパク質の複数のコピーから形成されるらせん対称のヌクレオカプシドがある。コロナウイルスのゲノムサイズは、約26~32キロベースの範囲である。コロナウイルスのゲノム構成は、5’-リーダー-UTR-レプリカーゼ/転写酵素-スパイク(S)-エンベロープ(E)-膜(M)-ヌクレオカプシド(N)-3’UTR-ポリ(A)テールである。ゲノムの最初の2/3を占めるオープンリーディングフレーム1a及び1bは、レプリカーゼ/転写酵素ポリタンパク質をコードする。レプリカーゼ/転写酵素ポリタンパク質は自己切断して非構造タンパク質を形成する。後のリーディングフレームは、4つの主要な構造タンパク質:スパイク、エンベロープ、膜及びヌクレオカプシドをコードする。これらのリーディングフレームの間には、アクセサリータンパク質のリーディングフレームが散在している。アクセサリータンパク質の数及びその機能は、特異的コロナウイルスに依存して独特である。
【0320】
脂質二重層エンベロープ、膜タンパク質、及びヌクレオカプシドは、ウイルスが宿主細胞の外側にあるときにウイルスを保護する。スパイクタンパク質は、コア内からウイルス表面まで延び、ウイルスが体内の特定の細胞を認識して結合することを可能にする。スパイクが宿主細胞上の受容体に係合すると、カスケードがトリガされ、ウイルスが細胞と融合し、ウイルスがその遺伝物質を放出し、細胞のプロセスを追い越して新しいウイルスを産生することを可能にする。
【0321】
ウイルス性スパイク(S)糖タンパク質がその相補的な宿主細胞受容体に付着すると、感染が始まる。付着後、宿主細胞のプロテアーゼは、受容体付着スパイクタンパク質を切断して活性化する。利用可能な宿主細胞プロテアーゼに応じて、切断及び活性化は、エンドサイトーシス又はウイルスエンベロープと宿主膜との直接融合によってウイルスが宿主細胞に入ることを可能にする。宿主細胞に入ると、ウイルス粒子はコーティングされず、そのゲノムは細胞の細胞質に入る。コロナウイルスRNAゲノムは、RNAが翻訳のために宿主細胞のリボソームに結合することを可能にする5’メチル化キャップ及び3’ポリアデニル化テールを有する。宿主リボソームは、ウイルスゲノムの最初の重複するオープンリーディングフレームを翻訳し、長いポリタンパク質を形成する。ポリタンパク質は、ポリタンパク質を複数の非構造タンパク質に切断するそれ自体のプロテアーゼを有する。
【0322】
ウイルス侵入の後、ウイルスの複製が続く。いくつかの非構造タンパク質が合体して、多タンパク質レプリカーゼ-転写酵素複合体(RTC)を形成する。主なレプリカーゼ-転写酵素タンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)である。それは、RNA鎖からのRNAの複製及び転写に直接関与する。複合体中の他の非構造タンパク質は、複製及び転写プロセスを補助する。例えば、エキソリボヌクレアーゼ非構造タンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼが欠く校正機能を提供することによって、複製に対する追加の忠実度を提供する。複合体の主な機能の1つは、ウイルスゲノムを複製することである。RdRpは、ポジティブセンスゲノムRNAからのネガティブセンスゲノムRNAの合成を直接媒介する。これに続いて、ネガティブセンスゲノムRNAからポジティブセンスゲノムRNAが複製される。複合体の他の重要な機能は、ウイルスゲノムを転写することである。RdRpは、ポジティブセンスゲノムRNAからのネガティブセンスサブゲノムRNA分子の合成を直接媒介する。これに続いて、これらのネガティブセンスサブゲノムRNA分子のそれらの対応するポジティブセンスmRNAへの転写が続く。
【0323】
複製されたポジティブセンスゲノムRNAは子孫ウイルスのゲノムとなる。mRNAは、最初の重複するリーディングフレームの後のウイルスゲノムの最後の3分の1の遺伝子転写物である。これらのmRNAは、宿主のリボソームによって構造タンパク質及びいくつかのアクセサリータンパク質に翻訳される。RNA翻訳は小胞体の内部で起こる。ウイルス構造タンパク質S、E及びMは分泌経路に沿ってゴルジ中間区画に移動する。そこでは、Mタンパク質は、ヌクレオカプシドへの結合後のウイルスのアセンブリに必要なほとんどのタンパク質間相互作用を指示する。次いで、子孫ウイルスは、分泌小胞を介したエキソサイトーシスによって宿主細胞から放出される。
【0324】
コロナウイルススパイクタンパク質とその補体宿主細胞受容体との相互作用は、ウイルスの組織向性、感染性及び種範囲を決定する上で中心的である。コロナウイルスは、主に上皮細胞受容体を標的とする。それらは、例えば、エアロゾル、フォマイト、又は糞便-口腔経路によって伝達され得る。ヒトコロナウイルスは気道の上皮細胞に感染するが、動物コロナウイルスは一般に消化管の上皮細胞に感染する。例えば、SARS-CoV-2などのコロナウイルスは、スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)が細胞表面のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合することによって、エアロゾル経路を介して肺のヒト上皮細胞に感染することができる。
【0325】
WHOは、コロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群による重症疾患を経験するリスクが最も高い2つの群が、65歳以上の成人及び慢性肺疾患、重篤な心臓症状、重度の肥満、免疫系の低下、又は糖尿病を含む他の基礎健康症状を有する人々であることを報告している。ヒトでは、コロナウイルスは典型的には軽度から重度のインフルエンザ様症候を伴う呼吸器感染症を引き起こすが、正確な症候はコロナウイルスの種類に応じて異なる。4つの一般的なヒトコロナウイルスは、人々に鼻水、頭痛、咳、喉の痛み及び発熱を発症させる可能性がある。心肺疾患を有する者又は免疫系の弱まった者を含む対象のサブセットでは、ウイルス感染症は、肺炎又は気管支炎などのより重度の下呼吸器感染症に進行する可能性がある。比較すると、重度のMERS及びSARS感染は、しばしば肺炎に進行する。MERSの他の症候には、発熱、咳、及び息切れが含まれるが、SARSは発熱、悪寒、及び身体の痛みを引き起こす可能性がある。
【0326】
コロナウイルスは、ほとんどの患者において発熱、咳及び息切れを引き起こす様々な症候を引き起こす。より稀な症候としては、めまい、疲労、痛み、悪寒、喉の痛み、嗅覚の喪失、味覚の喪失、頭痛、悪心、嘔吐及び下痢が挙げられる。緊急の徴候又は症候には、呼吸困難、持続的な胸痛又は圧迫、新たな錯乱、及び/又は青い唇又は顔が含まれ得る。コロナウイルス感染症の合併症には、肺炎、臓器不全、呼吸不全、血栓、心筋症などの心臓の症状、急性腎障害、及び/又はさらなるウイルス感染症及び細菌感染症が含まれ得る。
【0327】
本開示は、コロナウイルス科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。ある特定の実施形態において、本開示は、コロナウイルス亜科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含し、アルファ-、ベータ-、ガンマ-、及びデルタコロナウイルスの4つの属が含まれる。具体的な実施形態において、本開示は、サルベコウイルス亜属及び重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス種を含むベータコロナウイルス属;エンベコウイルス亜属及び種ヒトコロナウイルスHKU1;及び種ベータコロナウイルス1の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)、ヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63)、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウイルスHKU1(HCoV-HKU1)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2、COVID-19を引き起こすウイルス)の株を含む、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルスの種における任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。本開示は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、中東呼吸器症候群コロナウイルス又は重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(少なくともSARS-CoV及びSARS-CoV-2を含む)の種の任意の分離株、株、タイプ(タイプA、タイプB及びタイプCを含む;Forster et al.,2020,PNAS、ワールドワイドウェブ上のdoi.org/10.1073/pnas.2004999117で入手可能)、クラスター又はサブクラスターの感染症の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、ウイルスは、29000~30000塩基対、29100~29900塩基対、29200~29900塩基対、29300~29900塩基対、29400~29900塩基対、29500~29900塩基対、29600~29900塩基対、29700~29900塩基対、29800~29900塩基対、又は29780~29900塩基対の長さのゲノム長を有する。
【0328】
本開示の態様は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質(例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質が含まれるが、これらに限定されない)と相互作用するポリペプチドに関する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用するポリペプチドが開示される。
【0329】
コロナウイルススパイクタンパク質などのウイルス膜融合タンパク質はウイルス性エンベロープ上のオリゴマーのクラスI膜貫通糖タンパク質である。コロナウイルススパイクタンパク質が切断されて、N末端のS1領域及びC末端のS2領域が生じる。S1領域は、細胞表面受容体ACE2への付着に関与するNTD及びRBDドメインを含み、S2領域は三量体化して、主に大規模な立体配座変化を介してウイルス性エンベロープと宿主膜との融合を誘導するための細長い「ステム」ドメインを形成する。膜融合を担うS2領域の断片は、コロナウイルス間で配列が高度に保存されている。したがって、いくつかの実施形態では、S2断片は、MERS-CoV Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、HCoV-229E Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、HCoV-NL63 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、HCoV-OC43Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、HCoV-HKU1 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、SARS-CoV Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、S2断片は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。
【0330】
SARS-CoV-2 Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号1として示す。
【0331】
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTNGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号1)。
【0332】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号2に対応する配列番号1の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0333】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号2に対応する配列番号1の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0334】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号2に対応する配列番号1の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0335】
SARS-CoV Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号3として示す。
【0336】
MPMGSLQPLATLYLLGMLVASVLASGSDLDRCTTFDDVQAPNYTQHTSSMRGVYYPDEIFRSDTLYLTQDLFLPFYSNVTGFHTINHTFGNPVIPFKDGIYFAATEKSNVVRGWVFGSTMNNKSQSVIIINNSTNVVIRACNFELCDNPFFAVSKPMGTQTHTMIFDNAFNCTFEYISDAFSLDVSEKSGNFKHLREFVFKNKDGFLYVYKGYQPIDVVRDLPSGFNTLKPIFKLPLGINITNFRAILTAFSPAQDIWGTSAAAYFVGYLKPTTFMLKYDENGTITDAVDCSQNPLAELKCSVKSFEIDKGIYQTSNFRVVPSGDVVRFPNITNLCPFGEVFNATKFPSVYAWERKKISNCVADYSVLYNSTFFSTFKCYGVSATKLNDLCFSNVYADSFVVKGDDVRQIAPGQTGVIADYNYKLPDDFMGCVLAWNTRNIDATSTGNYNYKYRYLRHGKLRPFERDISNVPFSPDGKPCTPPALNCYWPLNDYGFYTTTGIGYQPYRVVVLSFELLNAPATVCGPKLSTDLIKNQCVNFNFNGLTGTGVLTPSSKRFQPFQQFGRDVSDFTDSVRDPKTSEILDISPCSFGGVSVITPGTNASSEVAVLYQDVNCTDVSTAIHADQLTPAWRIYSTGNNVFQTQAGCLIGAEHVDTSYECDIPIGAGICASYHTVSLLRSTSQKSIVAYTMSLGADSSIAYSNNTIAIPTNFSISITTEVMPVSMAKTSVDCNMYICGDSTECANLLLQYGSFCTQLNRALSGIAAEQDRNTREVFAQVKQMYKTPTLKYFGGFNFSQILPDPLKPTKRSFIEDLLFNKVTLADAGFMKQYGECLGDINARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDDMIAAYTAALVSGTATAGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKQIANQFNKAISQIQESLTTTSTALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQAAPHGVVFLHVTYVPSQERNFTTAPAICHEGKAYFPREGVFVFNGTSWFITQRNFFSPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIINNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYVWLGFIAGLIAIVMVTILLCCMTSCCSCLKGACSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号3)。
【0337】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号4に対応する配列番号3の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0338】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号4に対応する配列番号3の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0339】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号4に対応する配列番号3の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0340】
SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号5として示す。
【0341】
MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHSTQDLFLPFFSNVTWFHAISGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNIIRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYHKNNKSWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGYFKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLTPGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETKCTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASVYAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSFVIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYNYLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPTYGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTGVLTESNKKFLPFQQFGRDIDDTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITPGTNTSNQVAVLYQGVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCLIGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSHRRARSVASQSIIAYTMSLGAENSVAYSNNSIAIPINFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECSNLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGFNFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLICAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAMQMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQDVVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILARLDKVEAEVQIDRLITGRLQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLMSFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGTHWFVTQRNFYEPQIITTHNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKEELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDLQELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSCGSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT(配列番号5)。
【0342】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号6に対応する配列番号5の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0343】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号6に対応する配列番号5の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0344】
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号6に対応する配列番号5の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 B.1.1.7バリアントSタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0345】
MERS-CoV Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号7として示す。
【0346】
MIHSVFLLMFLLTPTESYVDVGPDSAKSACIEVDIQQTFFDKTWPRPIDVSKADGIIYPQGRTYSNITITYQGLFPYQGDHGDMYVYSAGHATGTTPQKLFVANYSQDVKQFANGFVVRIGAAANSTGTVIISPSTSAIIRKIYPAFMLGSSVGNFSYGKMGRFFNHTLVLLPDGCGTLLRAFYCILEPRSGNYCPAGNSYTSFATYHTPATDCSDGNYNRNASLNSFKEYFNLRNCTFMYTYNITEDEILEWFGITQTAQGVHLFSSRYVDLYGGNMFQFATLPVYDTIKYYSIIPHSIRSIQSDRKAWAAFYVYKLQPLTFLLDFSVDGYIRRAIDCGFNDLSQLHCSYESFDVESGVYSVSSFEAKPSGSVVEQAEGVECDFSPLLFGTPPQVYNFKRLVFTNCNYNLTKLLSLFSVNDFTCSQISPAAIASNCYSSLILDYFSYPLSMKSDLSVSSAGPISQFNYKQSFSNPTCLILATVPHNLTTITKPLKYSYINKCSRLLSDDRTEVLQLVNANQYSPCVSIVPSTVWEDGDYYRKQLSPLEGGGWLVASGSTVAMTEQLQMGFGITVQYGTDTNSVCPKLEFANDTKIVSQLGNCVEYSLYGVSGRGVFQNCTAVGVPQQRFVYDAYQNLVGYYSDDGNYYCLRACVSVPVSVIYDKETKTHATLFGSVACEHISSTMSQYSRSTRSMLKRRDSTYGPLQTPVGCVLGLVNSSLFVEDCKLPLGQSLCALPDTPSTLTPRSVRSVPGEMRLASIAFNHPIQVDQLNSSYFKLSIPTNFSFGVTQEYIQTTIQKVTVDCKQYVCNGFQKCEQLLREYGQFCSKINQALHGANLRQDDSVRNLFESVKSSQSSPIIPGFGGDFNLTLLEPVSISTGSRSARSAIEDLLFDKVTIADPGYMQGYDDCMQQGPASARDLICAQYVAGYKVLPPLMDVNMEAAYTSSLLGSIAGVGWTAGLSSFAAIPFAQSIFYRLNGVGITQQVLSENQKLIANKFNQALGAMQTGFTTTNEAFQKVQDAVNNNAQALSKLASELSNTFGAISASIGDIIQRLDVLEQDAQIDRLINGRLTTLNAFVAQQLVRSESAALSAQLAKDKVNECVKAQSKRSGFCGQGTHIVSFVVNAPNGLYFMHVGYYPSNHIEVVSAYGLCDSANPTNCIAPVNGYFIKTNNTRIVDEWSYTGSSFYAPEPITSLNTKYVAPQVTYQNISTNLPPPLLGNSTGIDFQDELDEFFKNVSTSIPNFGSLTQINTTLLDLTYEMLSLQQVVKALNESYIDLKELGNYTYYNKWPWYIWLSFIAGLVALALCVFFILCCTGCGTNCMGKLKCNRCCDRYEEYDLEPHKVHVH(配列番号7)。
【0347】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号8に対応する配列番号7の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0348】
いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号8に対応する配列番号7の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0349】
いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号8に対応する配列番号7の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、MERS-CoV Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0350】
HCoV-229E Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号9として示す。
【0351】
MFVLLVAYALLHIAGCQTTNGLNTSYSVCNGCVGYSENVFAVESGGYIPSDFAFNNWFLLTNTSSVVDGVVRSFQPLLLNCLWSVSGLRFTTGFVYFNGTGRGDCKGFSSDVLSDVIRYNLNFEENLRRGTILFKTSYGVVVFYCTNNTLVSGDAHIPFGTVLGNFYCFVNTTIGNETTSAFVGALPKTVREFVISRTGHFYINGYRYFTLGNVEAVNFNVTTAETTDFCTVALASYADVLVNVSQTSIANIIYCNSVINRLRCDQLSFDVPDGFYSTSPIQSVELPVSIVSLPVYHKHTFIVLYVDFKPQSGGGKCFNCYPAGVNITLANFNETKGPLCVDTSHFTTKYVAVYANVGRWSASINTGNCPFSFGKVNNFVKFGSVCFSLKDIPGGCAMPIVANWAYSKYYTIGSLYVSWSDGDGITGVPQPVEGVSSFMNVTLDKCTKYNIYDVSGVGVIRVSNDTFLNGITYTSTSGNLLGFKDVTKGTIYSITPCNPPDQLVVYQQAVVGAMLSENFTSYGFSNVVELPKFFYASNGTYNCTDAVLTYSSFGVCADGSIIAVQPRNVSYDSVSAIVTANLSIPSNWTTSVQVEYLQITSTPIVVDCSTYVCNGNVRCVELLKQYTSACKTIEDALRNSARLESADVSEMLTFDKKAFTLANVSSFGDYNLSSVIPSLPTSGSRVAGRSAIEDILFSKLVTSGLGTVDADYKKCTKGLSIADLACAQYYNGIMVLPGVADAERMAMYTGSLIGGIALGGLTSAVSIPFSLAIQARLNYVALQTDVLQENQKILAASFNKAMTNIVDAFTGVNDAITQTSQALQTVATALNKIQDVVNQQGNSLNHLTSQLRQNFQAISSSIQAIYDRLDTIQADQQVDRLITGRLAALNVFVSHTLTKYTEVRASRQLAQQKVNECVKSQSKRYGFCGNGTHIFSIVNAAPEGLVFLHTVLLPTQYKDVEAWSGLCVDGTNGYVLRQPNLALYKEGNYYRITSRIMFEPRIPTMADFVQIENCNVTFVNISRSELQTIVPEYIDVNKTLQELSYKLPNYTVPDLVVEQYNQTILNLTSEISTLENKSAELNYTVQKLQTLIDNINSTLVDLKWLNRVETYIKWPWWVWLCISVVLIFVVSMLLLCCCSTGCCGFFSCFASSIRGCCESTKLPYYDVEKIHIQ(配列番号9)。
【0352】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号10に対応する配列番号9の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0353】
いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号10に対応する配列番号9の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0354】
いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号10に対応する配列番号9の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-229E Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0355】
HCoV-NL63 Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号11として示す。
【0356】
MKLFLILLVLPLASCFFTCNSNANLSMLQLGVPDNSSTIVTGLLPTHWFCANQSTSVYSANGFFYIDVGNHRSAFALHTGYYDANQYYIYVTNEIGLNASVTLKICKFSRNTTFDFLSNASSSFDCIVNLLFTEQLGAPLGITISGETVRLHLYNVTRTFYVPAAYKLTKLSVKCYFNYSCVFSVVNATVTVNVTTHNGRVVNYTVCDDCNGYTDNIFSVQQDGRIPNGFPFNNWFLLTNGSTLVDGVSRLYQPLRLTCLWPVPGLKSSTGFVYFNATGSDVNCNGYQHNSVVDVMRYNLNFSANSLDNLKSGVIVFKTLQYDVLFYCSNSSSGVLDTTIPFGPSSQPYYCFINSTINTTHVSTFVGILPPTVREIVVARTGQFYINGFKYFDLGFIEAVNFNVTTASATDFWTVAFATFVDVLVNVSATNIQNLLYCDSPFEKLQCEHLQFGLQDGFYSANFLDDNVLPETYVALPIYYQHTDINFTATASFGGSCYVCKPHQVNISLNGNTSVCVRTSHFSIRYIYNRVKSGSPGDSSWHIYLKSGTCPFSFSKLNNFQKFKTICFSTVEVPGSCNFPLEATWHYTSYTIVGALYVTWSEGNSITGVPYPVSGIREFSNLVLNNCTKYNIYDYVGTGIIRSSNQSLAGGITYVSNSGNLLGFKNVSTGNIFIVTPCNQPDQVAVYQQSIIGAMTAVNESRYGLQNLLQLPNFYYVSNGGNNCTTAVMTYSNFGICADGSLIPVRPRNSSDNGISAIITANLSIPSNWTTSVQVEYLQITSTPIVVDCATYVCNGNPRCKNLLKQYTSACKTIEDALRLSAHLETNDVSSMLTFDSNAFSLANVTSFGDYNLSSVLPQRNIRSSRIAGRSALEDLLFSKVVTSGLGTVDVDYKSCTKGLSIADLACAQYYNGIMVLPGVADAERMAMYTGSLIGGMVLGGLTSAAAIPFSLALQARLNYVALQTDVLQENQKILAASFNKAINNIVASFSSVNDAITQTAEAIHTVTIALNKIQDVVNQQGSALNHLTSQLRHNFQAISNSIQAIYDRLDSIQADQQVDRLITGRLAALNAFVSQVLNKYTEVRGSRRLAQQKINECVKSQSNRYGFCGNGTHIFSIVNSAPDGLLFLHTVLLPTDYKNVKAWSGICVDGIYGYVLRQPNLVLYSDNGVFRVTSRVMFQPRLPVLSDFVQIYNCNVTFVNISRVELHTVIPDYVDVNKTLQEFAQNLPKYVKPNFDLTPFNLTYLNLSSELKQLEAKTASLFQTTVELQGLIDQINSTYVDLKLLNRFENYIKWPWWVWLIISVVFVVLLSLLVFCCLSTGCCGCCNCLTSSMRGCCDCGSTKLPYYEFEKVHVQ(配列番号11)。
【0357】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号12に対応する配列番号11の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0358】
いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号12に対応する配列番号11の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0359】
いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号12に対応する配列番号11の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-NL63 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0360】
HCoV-HKU1 Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号13として示す。
【0361】
MFLIIFILPTTLAVIGDFNCTNSFINDYNKTIPRISEDVVDVSLGLGTYYVLNRVYLNTTLLFTGYFPKSGANFRDLALKGSIYLSTLWYKPPFLSDFNNGIFSKVKNTKLYVNNTLYSEFSTIVIGSVFVNTSYTIVVQPHNGILEITACQYTMCEYPHTVCKSKGSIRNESWHIDSSEPLCLFKKNFTYNVSADWLYFHFYQERGVFYAYYADVGMPTTFLFSLYLGTILSHYYVMPLTCNAISSNTDNETLEYWVTPLSRRQYLLNFDEHGVITNAVDCSSSFLSEIQCKTQSFAPNTGVYDLSGFTVKPVATVYRRIPNLPDCDIDNWLNNVSVPSPLNWERRIFSNCNFNLSTLLRLVHVDSFSCNNLDKSKIFGSCFNSITVDKFAIPNRRRDDLQLGSSGFLQSSNYKIDISSSSCQLYYSLPLVNVTINNFNPSSWNRRYGFGSFNLSSYDVVYSDHCFSVNSDFCPCADPSVVNSCAKSKPPSAICPAGTKYRHCDLDTTLYVKNWCRCSCLPDPISTYSPNTCPQKKVVVGIGEHCPGLGINEEKCGTQLNHSSCFCSPDAFLGWSFDSCISNNRCNIFSNFIFNGINSGTTCSNDLLYSNTEISTGVCVNYDLYGITGQGIFKEVSAAYYNNWQNLLYDSNGNIIGFKDFLTNKTYTILPCYSGRVSAAFYQNSSSPALLYRNLKCSYVLNNISFISQPFYFDSYLGCVLNAVNLTSYSVSSCDLRMGSGFCIDYALPSSRRKRRGISSPYRFVTFEPFNVSFVNDSVETVGGLFEIQIPTNFTIAGHEEFIQTSSPKVTIDCSAFVCSNYAACHDLLSEYGTFCDNINSILNEVNDLLDITQLQVANALMQGVTLSSNLNTNLHSDVDNIDFKSLLGCLGSQCGSSSRSLLEDLLFNKVKLSDVGFVEAYNNCTGGSEIRDLLCVQSFNGIKVLPPILSETQISGYTTAATVAAMFPPWSAAAGVPFSLNVQYRINGLGVTMDVLNKNQKLIANAFNKALLSIQNGFTATNSALAKIQSVVNANAQALNSLLQQLFNKFGAISSSLQEILSRLDNLEAQVQIDRLINGRLTALNAYVSQQLSDITLIKAGASRAIEKVNECVKSQSPRINFCGNGNHILSLVQNAPYGLLFIHFSYKPTSFKTVLVSPGLCLSGDRGIAPKQGYFIKQNDSWMFTGSSYYYPEPISDKNVVFMNSCSVNFTKAPFIYLNNSIPNLSDFEAELSLWFKNHTSIAPNLTFNSHINATFLDLYYEMNVIQESIKSLNSSFINLKEIGTYEMYVKWPWYIWLLIVILFIIFLMILFFICCCTGCGSACFSKCHNCCDEYGGHNDFVIKASHDD(配列番号13)。
【0362】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号14に対応する配列番号13の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0363】
いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号14に対応する配列番号13の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0364】
いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号14に対応する配列番号13の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-HKU1 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0365】
HCoV-OC43 Sタンパク質の配列を、S2領域を太字にし、S2断片を太字にして下線を引いて、配列番号15として示す。
【0366】
MFLILLISLPTAFAVIGDLKCTSDNINDKDTGPPPISTDTVDVTNGLGTYYVLDRVYLNTTLFLNGYYPTSGSTYRNMALKGSVLLSRLWFKPPFLSDFINGIFAKVKNTKVIKDRVMYSEFPAITIGSTFVNTSYSVVVQPRTINSTQDGDNKLQGLLEVSVCQYNMCEYPQTICHPNLGNHRKELWHLDTGVVSCLYKRNFTYDVNADYLYFHFYQEGGTFYAYFTDTGVVTKFLFNVYLGMALSHYYVMPLTCNSKLTLEYWVTPLTSRQYLLAFNQDGIIFNAEDCMSDFMSEIKCKTQSIAPPTGVYELNGYTVQPIADVYRRKPNLPNCNIEAWLNDKSVPSPLNWERKTFSNCNFNMSSLMSFIQADSFTCNNIDAAKIYGMCFSSITIDKFAIPNGRKVDLQLGNLGYLQSFNYRIDTTATSCQLYYNLPAANVSVSRFNPSTWNKRFGFIEDSVFKPRPAGVLTNHDVVYAQHCFKAPKNFCPCKLNGSCVGSGPGKNNGIGTCPAGTNYLTCDNLCTPDPITFTGTYKCPQTKSLVGIGEHCSGLAVKSDYCGGNSCTCRPQAFLGWSADSCLQGDKCNIFANFILHDVNSGLTCSTDLQKANTDIILGVCVNYDLYGILGQGIFVEVNATYYNSWQNLLYDSNGNLYGFRDYIINRTFMIRSCYSGRVSAAFHANSSEPALLFRNIKCNYVFNNSLTRQLQPINYFDSYLGCVVNAYNSTAISVQTCDLTVGSGYCVDYSKNRRSRGAITTGYRFTNFEPFTVNSVNDSLEPVGGLYEIQIPSEFTIGNMVEFIQTSSPKVTIDCAAFVCGDYAACKSQLVEYGSFCDNINAILTEVNELLDTTQLQVANSLMNGVTLSTKLKDGVNFNVDDINFSPVLGCLGSECSKASSRSAIEDLLFDKVKLSDVGFVEAYNNCTGGAEIRDLICVQSYKGIKVLPPLLSENQISGYTLAATSASLFPPWTAAAGVPFYLNVQYRINGLGVTMDVLSQNQKLIANAFNNALYAIQEGFDATNSALVKIQAVVNANAEALNNLLQQLSNRFGAISASLQEILSRLDALEAEAQIDRLINGRLTALNAYVSQQLSDSTLVKFSAAQAMEKVNECVKSQSSRINFCGNGNHIISLVQNAPYGLYFIHFSYVPTKYVTARVSPGLCIAGDRGIAPKSGYFVNVNNTWMYTGSGYYYPEPITENNVVVMSTCAVNYTKAPYVMLNTSIPNLPDFKEELDQWFKNQTSVAPDLSLDYINVTFLDLQVEMNRLQEAIKVLNQSYINLKDIGTYEYYVKWPWYVWLLICLAGVAMLVLLFFICCCTGCGTSCFKKCGGCCDDYTGYQELVIKTSHDD(配列番号15)。
【0367】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、配列番号16に対応する配列番号15の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0368】
いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号16に対応する配列番号15の太字下線部分は、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むがこれらに限定されないコロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用する。
【0369】
いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチド、例えば、配列番号16に対応する配列番号15の太字下線部分は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質、例えば、MERS-CoV Sタンパク質、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43、HCoV-HKU1 Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、MERS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-NL63 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-OC43 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、HCoV-HKU1 Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HCoV-OC43 Sタンパク質のS2領域に由来するポリペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0370】
B.レトロウイルス
特定の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス科に由来する。レトロウイルスは、レトロウイルス科の一般名である。レトロウイルス科は、エンベロープを有するポジティブセンス一本鎖線状RNAウイルスのファミリーである。レトロウイルスは、オンコウイルス、レンチウイルス、及びスプーマウイルスの3つのサブファミリーに分類される。レトロウイルスはまた、電子顕微鏡における形態学的タイプに基づいて、A型、B型、C型及びD型として分類される。A型ウイルスは、細胞質内へ、又は小胞体内でのいずれかで、細胞内に出芽し、感染性であるとは考えられず、電子透過性コアを有する。これらは内因性ウイルスであり、いくつかの動物種はそれらの染色体DNA中にこれらのA型ウイルスの数千コピーを有する。それらの機能は未知のままである。B型ウイルスは偏心性コアを有し、乳ガンウイルスはこの構造のみを有する。これらのウイルスは、いくつかの動物において内因性及び外因性ウイルスとして存在し、発現されると乳房腫瘍を引き起こし得る。C型ウイルスは中心に高電子密度コアを有し、ほとんどの癌ウイルス及び内因性ウイルスはこのタイプのものである。D型ウイルスは棒状のコアを有し、レンチウイルスはこのタイプのものである。
【0371】
レトロウイルスのビリオンは、直径約100nmのエンベロープ粒子からなる。外側脂質エンベロープは糖タンパク質からなる。ビリオンはまた、7~10キロベースの長さの2つの同一の一本鎖RNA分子を含有する。2つの分子は、相補配列間の塩基対合によって形成される二量体として存在する。2つのRNA分子間の相互作用部位は、キスステムループとして同定されている。
【0372】
異なるレトロウイルスのビリオンは同じ形態又は生物学を有さないが、すべてのビリオン成分は非常に類似している。主なビリオン成分は以下の通りである。
【0373】
エンベロープ:(出芽プロセス中に宿主原形質膜から得られる)脂質並びにenv遺伝子によってコードされる糖タンパク質から構成される。レトロウイルス性エンベロープは、3つの異なる機能を果たす:脂質二重層を介した細胞外環境からの保護、エンドソーム膜輸送を介したレトロウイルスの宿主細胞への出入りを可能にすること、及びそれらの膜との融合によって細胞に直接侵入する能力。
【0374】
RNA:二量体RNAからなる。これは、5’末端にキャップを有し、3’末端にポリ(A)テールを有する。ゲノムRNA(gRNA)は、宿主RNAポリメラーゼII(Pol II)活性の結果として産生され、5’メチルキャップ及び3’ポリAテールを付加することによって、宿主mRNAとしてプロセシングされる。RNAゲノムはまた、複製に重要な末端非コード領域と、遺伝子発現のためのビリオンタンパク質をコードする内部領域とを有する。5’末端は、4つの領域(R、U5、PBS及びL)を含む。R領域は、逆転写中に使用されるゲノムの各末端における短い反復配列であり、成長中の鎖における正しいエンドツーエンドの転写を確実にする。一方、U5は、RとPBSとの間の短いユニーク配列である。PBS(プライマー結合部位)は、tRNAプライマーの3’末端に相補的な18塩基からなる。L領域は、ゲノムRNAのパッケージングのためのシグナルを与える非翻訳リーダー領域である。3’末端は、3つの領域(PPT(ポリプリントラクト)、U3及びR)を含む。PPTは、逆転写中のプラス鎖DNA合成のためのプライマーである。U3は、PPTとRとの間の配列であり、プロウイルスが転写において使用することができるシグナルとして働く。Rは、3’末端における末端反復配列である。
【0375】
タンパク質:gagタンパク質、プロテアーゼ(PR)、polタンパク質、及びenvタンパク質からなる。グループ特異的抗原(gag)タンパク質は、ウイルスカプシドの主要成分であり、ビリオンあたり約2000~4000コピーである。Gagは、マトリックス(MA)及びヌクレオカプシド(NC)を含む2つの核酸結合ドメインを有する。レトロウイルスのゲノムRNAを特異的に認識し、結合し、パッケージングしてビリオンを構築することは、Gagタンパク質の重要な機能の1つである。細胞RNAとのGag相互作用もまた、アセンブリの局面を調節する。gagのみの発現は、原形質膜から出芽する未成熟ウイルス様粒子のアセンブリを生じさせる。すべてのレトロウイルスにおいて、Gagタンパク質は内部構造タンパク質の前駆体である。プロテアーゼ(pro)は、異なるウイルスにおいて異なって発現される。これは、成熟gag及びpolタンパク質を作製するために、ビリオン成熟中のタンパク質分解切断において機能する。レトロウイルスGagタンパク質は、ビリオンアセンブリの多くの局面を調整する役割を果たす。Polタンパク質は、ウイルスDNAの合成及び感染後の宿主DNAへの組み込みを担う。Envタンパク質は、ビリオンの宿主細胞への会合及び進入において役割を果たす。env遺伝子の機能的コピーを有することは、レトロウイルスをレトロエレメントと区別するものである。特定の細胞表面受容体を使用してレトロウイルスがその標的宿主細胞に結合する能力は、Envタンパク質の表面成分(SU)によって与えられ、膜融合を介してレトロウイルスが細胞に入る能力は、膜固定膜貫通成分(TM)によって付与される。したがって、レトロウイルスが感染性であることを可能にするのはEnvタンパク質である。
【0376】
レトロウイルスゲノムはウイルス粒子としてパッケージングされる。これらのウイルス粒子は、一本鎖ポジティブセンス線状RNA分子の二量体である。レトロウイルス(及び一般にオルターウイルス)は、RNAゲノムにおける5’-gag-pro-pol-env-3’の配置に従う。gag及びpolは、各々がカプシド及び複製を管理するポリタンパク質をコードする。pol領域は、逆転写酵素、プロテアーゼ及びインテグラーゼなどのウイルス複製に必要な酵素をコードする。ウイルスに応じて、遺伝子は、より大きなポリタンパク質鎖に重複又は融合し得る。
【0377】
レトロウイルスは、宿主細胞上の受容体タンパク質に結合することができる糖タンパク質を含有する膜を有する。細胞内には、プロテアーゼ、逆転写酵素、及びインテグラーゼの3つの酵素を有する2本のRNA鎖が存在する。複製の第1の工程は、糖タンパク質の受容体タンパク質への結合である。これらが結合すると、細胞膜が分解し、宿主細胞の一部になり、RNA鎖及び酵素が細胞に入る。細胞内では、逆転写酵素がレトロウイルスRNAからDNAの相補鎖を生成し、RNAが分解され;このDNA鎖はcDNAとして知られている。次いで、cDNAが複製され、2本の鎖が弱い結合を形成し、核に入る。核内に入ると、DNAはインテグラーゼの助けを借りて宿主細胞のDNAに組み込まれる。この細胞は休眠したままであり得るか、又はRNAがDNAから合成され、新しいレトロウイルスのためのタンパク質を作製するために使用され得る。リボソームユニットは、ウイルスのmRNAを、粗面小胞体内でタンパク質にすることができるアミノ酸配列に翻訳するために使用される。この工程はまた、ウイルス酵素及びカプシドタンパク質を作製する。ウイルスRNAは核内で作製される。次いで、これらの小片を一緒に集め、新しいレトロウイルスとして細胞膜からピンチオフする。
【0378】
転写は古典的にはDNAからRNAにのみ起こると考えられていたが、逆転写酵素はRNAをDNAに転写する。レトロウイルスにおける「レトロ」という用語は、通常の転写方向のこの逆転(RNAからDNAを作製すること)を指す。それは、情報を核酸から核酸に伝達することができるが、タンパク質からタンパク質又は核酸のいずれかに戻すことはできないと述べている分子生物学の中心的な定説に依然として従っている。レトロウイルス以外の逆転写酵素活性は、ほとんどすべての真核生物において見出されており、宿主ゲノムへのレトロトランスポゾンの新しいコピーの生成及び挿入を可能にする。これらの挿入は、宿主の酵素によって、細胞質ゾルに入る新しいRNA分子に転写される。次に、これらのRNA分子の一部がウイルス性タンパク質に翻訳される。粗面小胞体では、グリコシル化が始まり、env遺伝子は、粗面小胞体内のスプライシングされたmRNAからエンベロープタンパク質の分子に翻訳される。エンベロープタンパク質分子がゴルジ複合体に運ばれると、それらは宿主プロテアーゼによって表面糖タンパク質と膜貫通糖タンパク質とに分けられる。これらの2つの糖タンパク質産物は密接な関係にあり、さらなるグリコシル化後に原形質膜に輸送される。
【0379】
世界中で3500万人を超える人々が、AIDSを引き起こすウイルスであるレトロウイルスヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している。体内に入ると、HIVは、通常は感染から身体を保護している免疫細胞を攻撃及び破壊する。現在の処置は、ウイルスが増殖するのを防ぐのに役立つ。
【0380】
処置がない場合、HIVは典型的には3つのステージを経て進行する。ステージ1は急性HIV感染症に対応する。人々は、血液中に大量のHIVを有し、非常に伝染性である。一部の人々は、感染後2~4週間以内にインフルエンザ様症候を有する(急性HIV感染症と呼ばれる)。これらの症候は、数日間又は数週間続くことがある。考えられる症候としては、発熱、頭痛、悪寒、発疹、寝汗、筋肉痛及び関節痛、喉の痛み、疲労、下痢、体重減少、咳、リンパ節の腫れ、及び口腔潰瘍が挙げられる。抗原/抗体検査又は核酸検査(NAT)のみが急性感染を診断することができる。
【0381】
ステージ2は慢性HIV感染症に対応する。このステージは、無症候性HIV感染又は臨床潜時とも呼ばれる。HIVは依然として活性であるが、非常に低いレベルで再生する。人々は、このステージの間、いかなる症候も有さないか、又は病気になる可能性がある。他のものは、症候性HIVに進行し、発熱、疲労、リンパ節の腫脹、下痢、体重減少、口腔内酵母感染(鵞口瘡)、帯状疱疹(帯状ヘルペス)及び肺炎を含む症候を有し得る。HIV薬剤を服用しないと、この期間は10年間以上続く可能性があるが、一部はより速く進行する可能性がある。人々はこの段階でHIVを伝染させる可能性がある。この段階の終わりに、血液中のHIVの量(ウイルス量と呼ばれる)が増加し、CD4細胞数が減少する。人は、ウイルスレベルが体内で増加するにつれて症候を有し得、ステージ3に移動する。
【0382】
ステージ3は、HIV感染症の最も重症な段階である後天性免疫不全症候群(AIDS)に対応する。AIDSの人々は免疫系がひどく損傷されているので、日和見感染症と呼ばれる多数の重症疾患にかかる。これらの感染症のいくつかの徴候及び症候には、発汗、悪寒、再発性発熱、慢性下痢、リンパ腺の腫脹、舌又は口内の持続性の白い斑点又は異常な病変、持続性の原因不明の疲労、衰弱、体重減少、及び皮膚発疹又は隆起が含まれ得る。CD4細胞数が200細胞/mm未満に低下した場合、又は特定の日和見感染症を発症した場合、人々はAIDS診断を受ける。AIDS患者は、ウイルス量が高く、非常に感染性であり得る。処置しない場合、AIDS患者は典型的には約3年間生存する。
【0383】
HIV-1試験は、HIV-1に対する抗体を検出するために酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して最初に行われる。初期ELISAからの非反応性の結果を有する検体は、感染パートナー又は未知のHIV状態のパートナーへの新たな曝露が発生していない限り、HIV陰性とみなされる。反応性ELISA結果を有する検体は、二連で再試験される。いずれかの二重試験の結果が反応性である場合、検体は繰り返し反応性であると報告され、より具体的な補足試験(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ウエスタンブロット、又はあまり一般的ではないが、免疫蛍光アッセイ(IFA))による確認試験を受ける。ELISAによって繰り返し反応性であり、IFA又はPCRによって陽性であるか、又はウエスタンブロットによって反応性である検体は、HIV陽性であり、HIV感染症を示すと考えられる。繰り返しELISA反応性である検体は、時折、感染者におけるHIVに対する不完全な抗体応答又は非感染者における非特異的反応のいずれかであり得る不確定なウエスタンブロット結果を提供する。
【0384】
HIVに感染するには、感染した血液、精液又は膣分泌物が体内に入らなければならない。これはいくつかの方法で起こり得る。感染は、血液、精液、又は膣分泌物が体内に入る、感染パートナーとの膣、肛門、又は口腔内でのセックスの結果として起こり得る。ウイルスは、性的活動中に直腸又は膣に時折発生する口内炎又は小さな裂傷を介して体内に入ることができる。感染症は、汚染されたIV薬物の付属器(針及びシリンジ)を共有する結果として起こり得る。感染は、輸血による伝達の結果として起こり得る。感染症は、妊娠又は出産の結果として、又は授乳を通じて起こり得る。感染した母親は、その乳児にウイルスを渡し得る。
【0385】
任意の年齢、人種、性別又は性的指向の人は誰でもHIV/AIDSに感染する可能性がある。保護されていないセックス、性感染症、及びIV薬物の使用はすべて、HIV感染症のリスクを高める要因である。
【0386】
本開示は、レトロウイルス科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。ある特定の実施形態において、本開示は、オルソレトロウイルス亜科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含し、アルファレトロウイルス、ベータレトロウイルス、デルタレトロウイルス、イプシロンレトロウイルス、ガンマレトロウイルス、及びレンチウイルスの5つの属が含まれる。具体的な実施形態において、本開示は、ヒトに感染し、経時的に後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすヒト免疫不全ウイルス1及びヒト免疫不全ウイルス2の種を含む、レンチウイルス属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。
【0387】
本開示の態様は、HIVスパイク(S)タンパク質と相互作用するポリペプチドに関する。潜在的なHIV治療薬の主な標的は、Envとして公知のスパイク状ウイルスタンパク質である。EnvはHIVウイルス粒子の表面から伸びている。このタンパク質は、糖タンパク質120(gp120)と呼ばれる3つのキャップ様サブユニットと、Envをウイルス膜に固定する糖タンパク質41(gp41)と呼ばれる3つのステム様サブユニットとからなる3つのヘテロ二量体の三量体構造である。いくつかの異なるenv遺伝子の構造及び配列の分析は、Envタンパク質がタイプ1融合マシンであることを示唆する。タイプ1融合マシンは、最初に標的細胞表面上の受容体に結合し、これが立体配座変化を誘発し、融合タンパク質の結合を可能にする。融合ペプチドは、それ自体を宿主細胞膜に挿入し、宿主細胞膜をウイルス膜に非常に近づけて膜融合を促進する。
【0388】
env遺伝子は、ホモ三量体を形成するgp160タンパク質をコードし、宿主細胞プロテアーゼのフリンによってgp120及びgp41に切断される。活性な融合タンパク質を形成するために、表面タンパク質gp120及び膜貫通タンパク質gp41ポリペプチドは、互いに非共有結合したままであるが、この相互作用はしばしば安定ではなく、脱落した可溶性gp120及び膜結合gp41断端をもたらす。
【0389】
Env発現はrevの遺伝子産物によって調節される。実験的にrevを欠失させると、Envタンパク質を検出することができなくなり、細胞質中のenv mRNAのレベルが有意に減少した。しかし、全細胞RNAを分析した場合、env RNAの合計は、rev共発現の有無で有意差はなかった。rev発現なしでは、核内env RNAの顕著な増加があり、これは、revがenv mRNAの核外輸送において重要な役割を果たすことを示唆することが見出された。RevがHIV-1のenv遺伝子に存在する特定の配列を標的とするトランスで作用して、不完全にスプライシングされたHIV-1 RNAの核からの搬出を開始することが見出された場合、revの役割をさらに解明した。
【0390】
ウイルス性エンベロープの表面に露出した糖タンパク質gp120は、そのような受容体、特にヘルパーT細胞を有する任意の標的細胞上のCD4受容体に結合する。宿主細胞に結合する前に、gp120は、タンパク質に埋もれ、糖によって遮蔽されるので、抗体から効果的に隠されたままである。gp120は、宿主細胞に近接している場合にのみ露出され、ウイルス膜と宿主細胞膜との間の空間は、抗体の結合を立体的に妨害するのに十分小さい。
【0391】
糖タンパク質gp41は、gp120に非共有結合しており、HIVが細胞に入る第2の工程を提供する。それは元々ウイルス性エンベロープ内に埋もれているが、gp120がCD4受容体に結合すると、gp120はその立体配座を変化させてgp41を露出させ、そこで宿主細胞との融合を助けることができる。
【0392】
HIV gp160 Sタンパク質の配列を、gp41断片を太字にして下線を引いて、配列番号17として示す。
【0393】
MRVKEKYQHLWRWGWRWGTMLLGMLMICSATEKLWVTVYYGVPVWKEATTTLFCASDAKAYDTEVHNVWATHACVPTDPNPQEVVLVNVTENFNMWKNDMVEQMHEDIISLWDQSLKPCVKLTPLCVSLKCTDLKNDTNTNSSSGRMIMEKGEIKNCSFNISTSIRGKVQKEYAFFYKLDIIPIDNDTTSYKLTSCNTSVITQACPKVSFEPIPIHYCAPAGFAILKCNNKTFNGTGPCTNVSTVQCTHGIRPVVSTQLLLNGSLAEEEVVIRSVNFTDNAKTIIVQLNTSVEINCTRPNNNTRKRIRIQRGPGRAFVTIGKIGNMRQAHCNISRAKWNNTLKQIASKLREQFGNNKTIIFKQSSGGDPEIVTHSFNCGGEFFYCNSTQLFNSTWFNSTWSTEGSNNTEGSDTITLPCRIKQIINMWQKVGKAMYAPPISGQIRCSSNITGLLLTRDGGNSNNESEIFRPGGGDMRDNWRSELYKYKVVKIEPLGVAPTKAKRRVVQREKRAVGIGALFLGFLGAAGSTMGAASMTLTVQARQLLSGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARILAVERYLKDQQLLGIWGCSGKLICTTAVPWNASWSNKSLEQIWNHTTWMEWDREINNYTSLIHSLIEESQNQQEKNEQELLELDKWASLWNWFNITNWLWYIKLFIMIVGGLVGLRIVFAVLSIVNRVRQGYSPLSFQTHLPTPRGPDRPEGIEEEGGERDRDRSIRLVNGSLALIWDDLRSLCLFSYHRLRDLLLIVTRIVELLGRRGWEALKYWWNLLQYWSQELKNSAVSLLNATAIAVAEGTDRVIEVVQGACRAIRHIPRRIRQGLERILL(配列番号17)。
【0394】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、HIV gp160 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、HIV gp160 Sタンパク質に由来するポリペプチドは、配列番号18に対応する配列番号17の太字の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0395】
いくつかの実施形態では、HIV gp160 Sタンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号18に対応するHIV gp160 Sタンパク質のgp41断片は、レトロウイルス性スパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HIV gp160 Sタンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号18に対応するHIV gp160 Sタンパク質のgp41断片は、HIVスパイク(S)タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、HIV gp160 Sタンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号18に対応するHIV gp160 Sタンパク質のgp41断片は、レトロウイルス性スパイク(S)タンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、HIV gp160 Sタンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号18に対応するHIV gp160 Sタンパク質のgp41断片は、HIVスパイク(S)タンパク質とオリゴマー化する。
【0396】
C.エボラウイルス
特定の実施形態において、ウイルスはフィロウイルス科に由来する。フィロウイルス科は、エンベロープを有するネガティブセンス一本鎖RNAウイルスのファミリーである。フィロウイルス科は、クエバウイルス(Cuevavirus)、ジアンロウイルス(Dianlovirus)、エボラウイルス(Ebolavirus)、マールブルグウイルス(Marburgvirus)、ストリアウイルス(Striavirus)、及びタムノウイルス(Thamnovirus)を含む6つの属に分類される。
【0397】
フィロウイルスの生活周期は、特定の細胞表面受容体へのビリオン付着から始まり、続いてビリオンエンベロープと細胞膜との融合及びそれに伴うウイルストヌクレオカプシドの細胞質ゾルへの放出が続く。ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp又はRNAレプリカーゼ)は、ヌクレオカプシドを部分的に脱コーティングし、遺伝子をポジティブ鎖mRNAに転写し、次いで構造タンパク質及び非構造タンパク質に翻訳される。フィロウイルスRdRpsは、ゲノムの3’末端に位置する単一のプロモーターに結合する。転写は、遺伝子の後で終結するか、又は下流の次の遺伝子に続く。これは、ゲノムの3’末端に近い遺伝子が最も多く転写されるのに対して、5’末端に向かう遺伝子は最も転写されにくいことを意味する。したがって、遺伝子の順序は、転写調節の単純であるが効果的な形態である。産生される最も豊富なタンパク質は核タンパク質であり、その細胞中の濃度は、RdRpが遺伝子転写からゲノム複製に切り替わるときを決定する。複製は、完全長のポジティブ鎖アンチゲノムをもたらし、これが次にネガティブ鎖ウイルス子孫ゲノムコピーに転写される。新しく合成された構造タンパク質及びゲノムは自己集合し、細胞膜の内側付近に蓄積する。ビリオンは細胞から出芽し、それらが出芽した細胞膜からそれらのエンベロープを得る。次いで、成熟子孫粒子は、他の細胞に感染して周期を繰り返す。
【0398】
エボラウイルス疾患(EVD)又はエボラ出血性熱(EHF)としても知られているエボラは、フィロウイルス科由来のエボラウイルスによって引き起こされるヒト及び他の霊長類のウイルス性の出血性熱である。EVDは、最も一般的にはヒト及び非ヒト霊長類(サル、ゴリラ、チンパンジー等)に影響を及ぼす。これは、エボラウイルス属内のウイルス群:エボラウイルス(ザイールエボラウイルス種)、スーダンウイルス(スーダンエボラウイルス種)、タイフォレストウイルス(タイフォレストエボラウイルス種、以前はCote d’Ivoireエボラウイルス)、ブンディブギョウイルス(ブンディブギョエボラウイルス種)、レストンウイルス(レストンエボラウイルス種)、及びボンバリウイルス(ボンバリエボラウイルス種)による感染によって引き起こされる。これらのうち、4つ(エボラ、スーダン、タイフォレスト、及びブンディブギョウイルス)のみが人々に疾患を引き起こすことが知られている。レストンウイルスは、非ヒト霊長類及びブタでは疾患を引き起こすことが知られているが、ヒトでは疾患を引き起こさない。最近コウモリで同定されたボンバリウイルスが動物又はヒトのいずれかに疾患を引き起こすかは不明である。
【0399】
エボラウイルスは、一本鎖の非感染性RNAゲノムを含む。エボラウイルスゲノムは、3’-UTR-NP-VP35-VP40-GP-VP30-VP24-L-5’-UTRを含む7つの遺伝子を含む。5つの異なるエボラウイルス(BDBV、EBOV、RESTV、SUDV及びTAFV)のゲノムは、配列並びに遺伝子重複の数及び位置が異なる。全てのフィロウイルスと同様に、エボラウイルスビリオンは、「U」又は「6」の牧杖の形状で現れ得る糸状粒子であり、コイル状、トロイド状又は分岐状であり得る。一般に、エボラビリオンは幅が80ナノメートル(nm)であり、14,000nmもの長さであり得る。
【0400】
徴候及び症候は、典型的には、発熱、喉の痛み、筋肉痛、脱力、疲労及び頭痛でウイルスにかかった後2日~3週間の間に始まる。嘔吐、下痢、腹痛、及び発疹が通常続き、肝臓及び腎臓の機能が低下する。このとき、内部及び外部の両方で出血し始める人もいる。この疾患は死亡リスクが高く、感染者の25%~90%が死亡し、平均約50%が死亡する。これは、多くの場合、体液喪失によるショックによるものであり、典型的には、症候が現れてから6~16日後に起こる。
【0401】
ウイルスは、感染したヒト又は他の動物からの血液などの体液との直接接触によって広がる。体液で最近汚染された物品との接触からも広がり得る。ヒトを含む霊長類間の空気を介した疾患の広がりは、実験室条件又は自然条件のいずれにおいても実証されていない。EVDから回復した後の人の精液又は乳汁は、数週間から数ヶ月間ウイルスを保有し得る。フルーツコウモリは自然界では通常のキャリアであり、ウイルスに感染することなくウイルスを広めることができると考えられている。
【0402】
EVDの可能性のある非特異的検査指標には、少ない血小板数;最初に白血球数が減少し、続いて白血球数が増加;上昇したレベルの肝臓酵素アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びプロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間、出血時間の延長など、播種性血管内凝固(DIC)と一致することが多い血液凝固異常が含まれる。EBOVなどのフィロビリオンは、電子顕微鏡で検査した細胞培養物中のそれらの固有の糸状形状によって同定され得る。
【0403】
EVDの特異的診断は、ウイルスを単離すること、そのRNA若しくはタンパク質を検出すること、又はヒトの血液中のウイルスに対する抗体を検出することによって確認される。細胞培養によってウイルスを単離すること、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってウイルスRNAを検出すること、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってタンパク質を検出することは、疾患の初期ステージで最もよく使用される方法であり、ヒト残留物中のウイルスを検出するためにも最もよく使用される方法である。ウイルスに対する抗体の検出は、疾患の後期ステージ及び回復した人において最も信頼性が高い。IgM抗体は症候発症の2日後に検出可能であり、IgG抗体は症候発症の6日後~18日後に検出することができる。
【0404】
エボラ患者をケアしながら適切な感染制御を使用しない医療従事者、及びエボラ患者と密接に接触している家族及び友人は、病気になるリスクが最も高い。エボラは、人々が感染した血液又は体液と接触すると広がる可能性がある。エボラは、エボラに罹患している人をケアしていないか、又はエボラに罹患している人と(3フィート又は1メートル以内で)密接に接触していない旅行者又は一般の人々にほとんどリスクをもたらさない。ウイルスは、急性感染後に免疫学的に特権的な部位である身体の領域に留まることができる。これらは、エボラウイルスなどのウイルス及び病原体が、体内の他の場所で除去された後でさえ生存者の免疫系から遮蔽される部位である。これらの領域には、精巣、眼の内部、胎盤、及び中枢神経系、特に脳脊髄液が含まれる。
【0405】
本開示は、フィロウイルス科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含し、6つの属、クエバウイルス(Cuevavirus)、ジアンロウイルス(Dianlovirus)、エボラウイルス(Ebolavirus)、マールブルグウイルス(Marburgvirus)、ストリアウイルス(Striavirus)、及びタムノウイルス(Thamnovirus)を含む。具体的な実施形態において、本開示は、ヒトに感染するエボラウイルス(ザイールエボラウイルス種)、スーダンウイルス(スーダンエボラウイルス種)、タイフォレストウイルス(タイフォレストエボラウイルス種、以前はCote d’Ivoireエボラウイルス)、ブンディブギョウイルス(ブンディブギョエボラウイルス種)を含むエボラウイルス属内の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。
【0406】
本開示の態様は、エボラウイルス(EBOV)スパイク(S)タンパク質と相互作用するポリペプチドに関する。EBOVは、粘膜との接触又は皮膚の破れを通じてヒトに感染すると考えられている。感染後、内皮細胞(血管の内側にある細胞)、肝細胞、並びにマクロファージ、単球、及び樹状細胞などのいくつかの種類の免疫細胞が主な攻撃標的である。感染後、免疫細胞は近くのリンパ節にウイルスを運び、そこでウイルスのさらなる複製が起こる。そこから、ウイルスは血流及びリンパ系に入り、全身に広がることができる。マクロファージはウイルスに感染する最初の細胞であり、この感染はプログラム細胞死をもたらす。リンパ球などの他の種類の白血球もプログラム細胞死を受け、血液中のリンパ球の濃度が異常に低くなる。これは、EBOV感染者に見られる免疫応答の低下に寄与する。
【0407】
内皮細胞は、ウイルスへの曝露後3日以内に感染し得る。血管損傷につながる内皮細胞の分解は、EBOV糖タンパク質に起因し得る。この損傷は、エボラウイルス糖タンパク質(GP)の合成により起こり、これは、細胞間構造への細胞接着に関与する特異的インテグリンの利用可能性を低下させ、肝損傷を引き起こし、不適切な凝固をもたらす。罹患者に起こる広範な出血は、血液量の喪失による腫脹及びショックを引き起こす。EVDで一般的に見られる機能不全の出血及び凝固は、マクロファージ及び単球による過剰な組織因子産生に起因する凝固カスケードの外因性経路の活性化の増加に起因すると考えられている。
【0408】
感染後、分泌糖タンパク質である小可溶性糖タンパク質(sGP又はGP)が合成される。EBOV複製は、感染細胞のタンパク質合成及び宿主免疫防御を圧倒する。GPは、ウイルスを内皮細胞に繋ぎ止める三量体複合体を形成する。sGPは、別のタイプの白血球である好中球のシグナル伝達を妨げる二量体タンパク質を形成する。これは、好中球活性化の初期工程を阻害することによって、ウイルスが免疫系を回避することを可能にする。
【0409】
エボラウイルス糖タンパク質の配列を、GP断片を太字にして下線を引いて、配列番号19として示す。
【0410】
MGVTGILQLPRDRFKRTSFFLWVIILFQRTFSIPLGVIHNSTLQVSDVDKLVCRDKLSSTNQLRSVGLNLEGNGVATDVPSATKRWGFRSGVPPKVVNYEAGEWAENCYNLEIKKPDGSECLPAAPDGIRGFPRCRYVHKVSGTGPCAGDFAFHKEGAFFLYDRLASTVIYRGTTFAEGVVAFLILPQAKKDFFSSHPLREPVNATEDPSSGYYSTTIRYQATGFGTNETEYLFEVDNLTYVQLESRFTPQFLLQLNETIYTSGKRSNTTGKLIWKVNPEIDTTIGEWAFWETKKNLTRKIRSEELSFTVVSNGAKNISGQSPARTSSDPGTNTTTEDHKIMASENSSAMVQVHSQGREAAVSHLTTLATISTSPQSLTTKPGPDNSTHNTPVYKLDISEATQVEQHHRRTDNDSTASDTPSATTAAGPPKAENTNTSKSTDFLDPATTTSPQNHSETAGNNNTHHQDTGEESASSGKLGLITNTIAGVAGLITGGRRTRREAIVNAQPKCNPNLHYWTTQDEGAAIGLAWIPYFGPAAEGIYTEGLMHNQDGLICGLRQLANETTQALQLFLRATTELRTFSILNRKAIDFLLQRWGGTCHILGPDCCIEPHDWTKNITDKIDQIIHDFVDKTLPDQGDNDNWWTGWRQWIPAGIGVTGVIIAVIALFCICKFVF(配列番号19)。
【0411】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、エボラウイルス糖タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質に由来するポリペプチドは、配列番号20に対応する配列番号19の太字の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0412】
いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば、配列番号20に対応するエボラウイルス糖タンパク質のGP断片は、フィロウイルス科糖タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば、配列番号20に対応するエボラウイルス糖タンパク質のGP断片は、エボラ糖タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば、配列番号20に対応するエボラウイルス糖タンパク質のGP断片は、フィロウイルス科糖タンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば、配列番号20に対応するエボラウイルス糖タンパク質のGP断片は、エボラウイルス糖タンパク質とオリゴマー化する。
【0413】
D.オルソミクソウイルス
特定の実施形態において、ウイルスはオルソミクソウイルス科に由来する。オルソミクソウイルス科は、エンベロープを有するネガティブセンス一本鎖線状RNAウイルスのファミリーである。それには、7つの属:アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、デルタインフルエンザウイルス、ガンマインフルエンザウイルス、イサウイルス、ソゴトウイルス及びクアランジャウイルスが含まれる。アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、デルタインフルエンザウイルス、及びガンマインフルエンザウイルスは、鳥類、及びヒトを含む哺乳動物において、インフルエンザを引き起こすウイルスを含有する。アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、及びガンマインフルエンザウイルスは、ヒトにおいてインフルエンザを引き起こすウイルスを含有する。
【0414】
オルソミクソウイルス科のウイルスは、6~8セグメントの線状ネガティブセンス一本鎖RNAを含有する。それらは10,000~14,600ヌクレオチド(nt)である全ゲノム長を有する。インフルエンザウイルスAゲノムは、例えば、8個のセグメント化されたネガティブセンスRNA(合計13.5キロベース)を有する。ゲノム配列は、両端で繰り返されている末端反復配列を有する。5’末端12~13ヌクレオチド長の末端反復。3’末端同一のヌクレオチド配列;同じ科の属で同じ;ほとんどがRNA(セグメント)上、又はすべてのRNA種上にある。3’末端の9~11ヌクレオチド長の末端反復。カプシド形成された核酸は、ゲノムのみである。各ビリオンは、欠陥のある干渉コピーを含み得る。M及びNS遺伝子は、選択的スプライシングを介して2つの異なる遺伝子を産生する。
【0415】
インフルエンザウイルスのビリオンは多形性であり;ウイルス性エンベロープは、球状及び糸状の形状で生じ得る。一般に、ウイルスの形態は、直径100~120nmの粒子を有する楕円形であるか、又は直径80~100nm及び長さ20μmまでの粒子を有する糸状である。エンベロープには約500個の異なるスパイク様の表面突起があり、それぞれが表面から10~14 nm突出しており、様々な表面密度を有する。主要糖タンパク質(HA)スパイクは、ノイラミニダーゼ(NA)スパイクのクラスターによって不規則に挟まれており、HA対NAの比は約10対1である。
【0416】
糖タンパク質スパイクが固定されている脂質二重層膜から構成されるウイルス性エンベロープは、ヌクレオカプシド;各末端にループを有する異なるサイズクラスの核タンパク質を取り囲んでおり;ビリオン内の配置は不確実である。リボ核タンパク質は糸状であり、らせん対称性を有し、長さが50~130nm、直径が9~15nmの範囲にある。
【0417】
典型的には、インフルエンザは、感染哺乳動物から咳又はくしゃみによって空気を介して伝染し、ウイルスを含有するエアロゾルを生成し、感染鳥からそれらの排泄物を介して伝染する。インフルエンザは、唾液、鼻分泌物、糞便及び血液によっても伝達され得る。感染は、これらの体液との接触又は汚染された表面との接触によって起こる。宿主から、インフルエンザウイルスは、ヒトの体温で約1週間、0°C(32°F)で30日間、及び非常に低い温度で無期限に、感染性のままであり得る。それらは、消毒剤及び洗剤によって容易に不活性化され得る。
【0418】
ウイルスは、肺及び喉の上皮細胞の表面上のヘマグルチニン糖タンパク質とシアル酸糖との間の相互作用を介して細胞に結合する。細胞はエンドサイトーシスによってウイルスを取り込む。酸性エンドソームでは、ヘマグルチニンタンパク質の一部がウイルス性エンベロープを液胞の膜と融合し、ウイルスRNA(vRNA)分子、アクセサリータンパク質及びRNA依存性RNAポリメラーゼを細胞質に放出する。これらのタンパク質及びvRNAは、細胞核に輸送される複合体を形成し、そこでRNA依存性RNAポリメラーゼが相補的なポジティブセンスcRNAの転写を開始する。cRNAは、細胞質に輸送され、翻訳されるか、又は核内に留まる。新たに合成されたウイルス性タンパク質は、ゴルジ装置を介して細胞表面に分泌されるか(ノイラミニダーゼ及びヘマグルチニンの場合)、又は核内に輸送されて戻り、vRNAに結合し、新しいウイルスゲノム粒子を形成する。
【0419】
将来のウイルス、RNA依存性RNA転写酵素、及び他のウイルス性タンパク質のゲノムを形成するネガティブセンスvRNAは、ビリオンに組み立てられる。ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼ分子は、細胞膜内のバルジにクラスター化する。vRNA及びウイルスコアタンパク質は核を出て、この膜突出部に入る。成熟ウイルスは、宿主リン脂質膜の球の中で細胞から出芽し、この膜被覆と共にヘマグルチニン及びノイラミニダーゼを獲得する。前述のように、ウイルスはヘマグルチニンを介して細胞に付着する。成熟ウイルスは、それらのノイラミニダーゼが宿主細胞からシアル酸残基を切断すると分離する。新しいインフルエンザウイルスの放出後、宿主細胞は死滅する。
【0420】
オルトミクソウイルス科ウイルスは、核内で複製する2つのRNAウイルスのうちの1つである(他方はレトロウイルス科である)。これは、オルソミクソウイルスの機構がそれ自体のmRNAを作製することができないためである。それらは、キャップスナッチングとして知られるプロセスにおいてウイルスmRNA合成を開始するためのプライマーとして細胞RNAを使用する。核内に入ると、RNAポリメラーゼタンパク質PB2は細胞プレmRNAを見つけ、その5’キャップ化末端に結合する。次いで、RNAポリメラーゼPAは、5’末端付近の細胞mRNAを切断し、このキャップ化断片を、ウイルスRNAゲノムの残りの部分をウイルスmRNAに転写するためのプライマーとして使用する。これは、翻訳のために細胞のリボソームによって認識されるためにmRNAが5’キャップを有する必要があるためである。
【0421】
インフルエンザウイルスには4つの属があり、それぞれが単一の種又はタイプのみを含有する。インフルエンザA及びCは様々な種(ヒトを含む)に感染するが、インフルエンザウイルスBはほぼ排他的にヒトに感染し、インフルエンザDはウシ及びブタに感染する。
【0422】
インフルエンザAウイルスは、ネガティブセンスの一本鎖セグメント化RNAウイルスである。インフルエンザAウイルスゲノム全体は、13,588塩基長であり、株に応じて少なくとも10個であるが最大14個のタンパク質をコードする8つのRNAセグメント上に含まれる。ウイルス粒子(ビリオンとも呼ばれる)は、最小のビリオンが楕円形をとるように直径80~120ナノメートルである。各粒子の長さは、インフルエンザが多形性であり、数十マイクロメートルを超える可能性があり、糸状ビリオンを生成するという事実のためにかなり変動する。これらの様々な形状にもかかわらず、すべてのインフルエンザA型ウイルスのビリオンの組成は類似している。それらはすべて、中心コアの周りに巻き付けられた2つの主要な種類のタンパク質を含むウイルス性エンベロープで構成されている。
【0423】
ウイルス粒子の外側に見られる2つの大きなタンパク質は、ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)である。HAは、標的細胞へのビリオンの結合及び標的細胞へのウイルスゲノムの侵入を媒介するタンパク質である。NAは、粘液中に存在する豊富な非産生付着部位からの放出、並びに感染細胞からの子孫ビリオンの放出に関与する。これらのタンパク質は、通常、抗ウイルス薬の標的である。さらに、それらは、宿主の抗体が結合して免疫応答を誘発することができる抗原タンパク質でもある。インフルエンザA型ウイルスは、ウイルス性エンベロープの表面上のこれら2つのタンパク質のタイプに基づいてサブタイプに分類される。HAの16のサブタイプ及びNAの9のサブタイプが知られているが、H 1、2及び3並びにN 1及び2のみがヒトにおいて一般的に見出される。
【0424】
ビリオンの中心コアは、ウイルスゲノム及び遺伝物質をパッケージングして保護する他のウイルス性タンパク質を含む。インフルエンザA型ウイルスゲノムは単一のRNA小片ではない;代わりに、それは、ネガティブセンスRNAのセグメント化された小片からなり、各小片は、遺伝子産物(タンパク質)をコードする1つ又は2つの遺伝子のいずれかを含む。本明細書で使用されるネガティブセンスRNAという用語は、RNAゲノムをタンパク質に直接翻訳することができないという事実を指す。それは、タンパク質産物に翻訳され得る前に、最初にポジティブセンスRNAに転写されなければならない。ゲノムのセグメント化された性質は、異なるウイルス株間の遺伝子全体の交換を可能にする。
【0425】
感染を引き起こすインフルエンザAウイルスは、本明細書に開示されるポリペプチドによって処置又は予防され得る:インフルエンザAウイルスサブタイプH1N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH1N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH2N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH2N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N6、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH6N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH6N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N4、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N7、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH9N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH10N7、インフルエンザAウイルスサブタイプH10N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH11N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH11N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH17N10、インフルエンザAウイルスサブタイプH18N11、又はそれらの組み合わせ。
【0426】
インフルエンザBウイルスカプシドはエンベロープを有し、そのビリオンはエンベロープ、マトリックスタンパク質、核タンパク質複合体、ヌクレオカプシド及びポリメラーゼ複合体からなる。それは球形であるときがあり、糸状であるときがある。その500個程度の表面突起は、ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼでできている。インフルエンザBウイルスゲノムは、14,548ヌクレオチド長であり、線状ネガティブセンス一本鎖RNAの8つのセグメントからなる。多部分ゲノムはカプシド化され、各セグメントは別々のヌクレオカプシド内にあり、ヌクレオカプシドは1つのエンベロープによって囲まれている。表面糖タンパク質ヘマグルチニンの抗原特性に基づいて、インフルエンザBウイルスの2つの既知の循環系統が存在する。系統は、B/Yamagata/16/88様及びB/Victoria/2/87様ウイルスと呼ばれ、これらのインフルエンザBウイルス系統による感染は、本明細書に開示されるポリペプチドによって処置又は予防され得る。
【0427】
インフルエンザCウイルスは7つのRNAセグメントを有し、9つのタンパク質をコードし、一方、A型及びB型は8つのRNAセグメントを有し、少なくとも10のタンパク質をコードする。インフルエンザCウイルスは、ただ1つの糖タンパク質:ヘマグルチニン-エステラーゼ融合(HEF)を有する。インフルエンザウイルスA及びインフルエンザウイルスBとは異なり、インフルエンザウイルスCは酵素エステラーゼも発現する。この酵素は、両方とも宿主細胞受容体を破壊するのに機能するという点で、タイプA及びBによって産生される酵素ノイラミニダーゼに類似している。
【0428】
インフルエンザウイルスへの曝露と症候の発症との間の期間は、潜伏期間と呼ばれ、1~4日間、最も一般的には1~2日間である。しかしながら、多くの感染は無症候性である。症候の発症は突然であり、初期症候は主に非特異的であり、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛又は疼痛、不快感、食欲不振、エネルギー不足/疲労、及び錯乱を含む。これらの症候は、通常、乾いた咳、喉の痛み又は乾燥、嗄声、及び鼻詰まり又は鼻水などの呼吸器症候を伴う。咳は最も一般的な症候である。悪心、嘔吐、下痢及び胃腸炎を含む胃腸症候も起こり得る。標準的なインフルエンザ症候は、典型的には2~8日間続く。
【0429】
感染した人々は、呼吸、会話、咳、及びくしゃみによってインフルエンザウイルスを伝染させる可能性があり、これにより、ウイルス粒子を含む呼吸液滴及びエアロゾルが空気中に拡散する。感染しやすい人は、これらの粒子と接触することによってインフルエンザに接触する可能性がある。呼吸液滴は比較的大きく、近くの表面に落下する前に2メートル未満しか移動しない。エアロゾルはより小さく、より長く空気中に浮遊したままであるため、沈降にはより長くかかり、呼吸液滴よりも遠くに移動することができる。エアロゾルの吸入は感染につながる可能性があるが、ほとんどの伝播は、上気道の粘膜と接触する呼吸液滴を介して感染者の周囲約2メートルの領域である。インフルエンザウイルスは非多孔質表面上で数時間生存することができるため、人、体液、又は中間物体(媒介物)との接触による伝播も、汚染された手及び表面などを介して起こり得る。手が汚染されている場合、顔に触れると感染症を引き起こす可能性がある。インフルエンザは、通常、症候の発症の1日前から5~7日後まで伝染性である。健康な成人では、ウイルスは最大3~5日間排出される。
【0430】
インフルエンザへの曝露のリスクがある人々には、医療従事者、ソーシャルケアワーカー、及びインフルエンザにかかりやすい人々と一緒に生活するか、又はインフルエンザにかかりやすい人々を介護する人々が含まれる。長期ケア施設では、インフルエンザは、導入後に急速に広がる可能性がある。より低い温度、より低い絶対湿度及び相対湿度、より少ない太陽からの紫外線放射、及び混雑を含む様々な要因が、インフルエンザの伝染を促進する可能性が高い。
【0431】
症候に基づく診断は、季節性流行中の他の点では健康な人々においてかなり正確であり、肺炎、ARDS、敗血症の場合、又は脳炎、心筋炎、及び横紋筋融解症が発生した場合に疑われるべきである。インフルエンザは他のウイルス性気道疾患と類似しているので、確認のために検査室診断が必要である。試験のために試料を採取する一般的な方法には、鼻スワブ及び咽喉スワブが含まれる。感染が上気道を通過したが下気道を通過しなかった場合、下気道から試料を採取してもよい。インフルエンザ検査は、インフルエンザシーズン中にインフルエンザに似た症候で入院した人、又はインフルエンザ症例に関連している人に推奨される。重篤な症例では、早期診断により患者の転帰が改善される。インフルエンザを同定することができる診断方法には、ウイルス培養、抗体及び抗原検出試験、並びに核酸に基づく試験が含まれる。
【0432】
ウイルスを、哺乳動物細胞又は胚形成卵の培養物中で3~10日間増殖させて、細胞変性効果をモニターすることができる。次いで、抗体染色、赤血球を使用した血液吸着、又は免疫蛍光顕微鏡法によって最終確認を行うことができる。細胞変性効果が現れる前に免疫染色によって感染を同定することができるシェルバイアル培養物は、従来の培養物よりも感度が高く、1~3日の結果が得られる。
【0433】
血清学的アッセイを使用して、自然感染又はワクチン接種後のインフルエンザに対する抗体応答を検出することができる。一般的な血清学的アッセイには、HA特異的抗体を検出する赤血球凝集阻害アッセイ、抗体がウイルスを中和したかどうかをチェックするウイルス中和アッセイ、及び酵素結合免疫吸収アッセイが含まれる。
【0434】
直接蛍光又は免疫蛍光抗体(DFA/IFA)試験は、蛍光標識されたインフルエンザ特異的抗体で試料中の呼吸上皮細胞を染色し、続いて蛍光顕微鏡下で検査することを含む。それらはIAVとIBVとを区別することができるが、サブタイプAをサブタイプ化することができない。
【0435】
核酸に基づく試験(NAT)は、ウイルス核酸を増幅及び検出する。NATの中でも、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応は、迅速であり、IAVをサブタイプ化することができるので、最も伝統的であり、インフルエンザを診断するためのゴールドスタンダードと考えられている。使用されている他のNATには、ループ媒介等温増幅に基づくアッセイ、単純増幅に基づくアッセイ、及び核酸配列に基づく増幅が含まれる。核酸配列決定法は、ウイルス及び抗ウイルス薬耐性を同定するためにウイルス試料の核酸配列を得ることによって感染を同定することができる。
【0436】
本開示は、オルソミクソウイルス科ファミリーの任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含し、それには、7つの属、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、デルタインフルエンザウイルス、ガンマフルエンザウイルス、イサウイルス、ソゴトウイルス及びクアランジャウイルスが含まれる。具体的な実施形態において、本開示は、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、デルタインフルエンザウイルス及びガンマフルエンザウイルスを含む、脊椎動物に感染するオルソミクソウイルス科ファミリーの属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、及びガンマフルエンザウイルスを含む、ヒトに感染するオルソミクソウイルス科ファミリーの属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、種インフルエンザウイルスA及び任意のインフルエンザウイルスA株、サブタイプ、又は系統を含む、アルファインフルエンザウイルス属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、種インフルエンザウイルスB及び任意のインフルエンザウイルスB株、サブタイプ、又は系統を含む、ベータインフルエンザウイルス属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、種インフルエンザウイルスC及び任意のインフルエンザウイルスC株、サブタイプ、又は系統を含む、ガンマインフルエンザウイルス属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。
【0437】
本開示の態様は、インフルエンザウイルスのスパイク(S)タンパク質と相互作用するポリペプチドに関する。ヒトでは、インフルエンザウイルスは、気道の上皮細胞に感染することによって最初に感染を引き起こす。感染中の疾患は、主に上皮細胞の感染と死によって引き起こされる肺の炎症と機能低下が、感染に対する免疫系の反応によって引き起こされる炎症が組み合わさった結果である。非呼吸器が関与する可能性があるが、これらの場合にインフルエンザが関与する機序は不明である。重度の呼吸器疾患は、気道の閉塞、肺胞構造の喪失、上皮細胞の感染及び死による肺上皮の完全性の喪失、並びに肺構造を維持する細胞外マトリックスの分解を含む、複数の非排他的な機構によって引き起こされ得る。特に、肺胞細胞感染は、ガス交換の障害をもたらし、ウイルスが大量の炎症促進性サイトカインを産生する内皮細胞に感染することを可能にするので、重篤な症候を引き起こすようである。
【0438】
インフルエンザの病態生理学は、細胞への侵入中にインフルエンザウイルスがどの受容体に結合するかによって有意に影響される。哺乳動物インフルエンザウイルスは、呼吸器及び網膜上皮細胞などの様々な呼吸器細胞に最も一般的に見られるα-2,6結合によってオリゴ糖の残りに結合したシアル酸に優先的に結合する。トリインフルエンザウイルス(AIV)は、α-2,3結合を有するシアル酸を好み、これは、鳥において胃腸上皮細胞及びヒトにおいて下気道で最も一般的である。さらに、HAタンパク質のHA1(結合サブユニット)及びHA2(融合サブユニット)への切断は、異なるプロテアーゼによって行われ、どの細胞が感染し得るかに影響を及ぼす。哺乳動物インフルエンザウイルス及び低病原性AIVの場合、切断は細胞外であり、適切なプロテアーゼを有する細胞への感染を制限するが、高病原性AIVの場合、切断は細胞内であり、遍在性プロテアーゼによって行われ、より多様な細胞の感染を可能にし、それによってより重篤な疾患に寄与する。
【0439】
インフルエンザA/H1 HA Sタンパク質の配列を、HA2断片を太字にして下線を引いて、配列番号21として示す。
【0440】
MPMGSLQPLATLYLLGMLVASCLGTANADTLCIGYHANNSTDTVDTVLEKNVTVTHSVNLLEDKHNGKLCKLRGVAPLHLGKCNIAGWILGNPECESLSTARSWSYIVETSNSDNGTCYPGDFINYEELREQLSSVSSFERFEIFPKTSSWPNHDSDKGVTAACPHAGAKSFYKNLIWLVKKGNSYPKLNQTYINDKGKEVLVLWGIHHPPTIAAQESLYQNADAYVFVGTSRYSKKFKPEIATRPKVRDQEGRMNYYWTLVEPGDKITFEATGNLVVPRYAFTMERDAGSGIIISDTPVHDCNTTCQTPEGAINTSLPFQNVHPITIGKCPKYVKSTKLRLATGLRNVPSIQSRGLFGAIAGFIEGGWTGMVDGWYGYHHQNEQGSGYAADLKSTQNAIDKITNKVNSVIEKMNTQFTAVGKEFNHLEKRIENLNKKVDDGFLDIWTYNAELLVLLENERTLDYHDSNVKNLYEKVRNQLKNNAKEIGNGCFEFYHKCDNTCMESVKNGTYDYPKYSEEAKLNREKIDGVKLESTRIYQILAIYSTVASSLVLVVSLGAISFWMCSNGSLQCRICI(配列番号21)。
【0441】
インフルエンザA/H3 HA Sタンパク質の配列を、HA2断片を太字にして下線を引いて、配列番号22として示す。
【0442】
MPMGSLQPLATLYLLGMLVASCLGQKIPGNDNSTATLCLGHHAVPNGTIVKTITNDRIEVTNATELVQNSSIGEICDSPHQILDGGNCTLIDALLGDPQCDGFQNKKWDLFVERSRAYSNCYPYDVPDYASLRSLVASSGTLEFKNESFNWAGVTQNGKSFSCIRGSSSSFFSRLNWLTHLNYTYPALNVTMPNKEQFDKLYIWGVHHPGTDKDQISLYAQSSGRITVSTKRSQQAVIPNIGSRPRIRDIPSRISIYWTIVKPGDILLINSTGNLIAPRGYFKIRSGKSSIMRSDAPIGKCKSECITPNGSIPNDKPFQNVNRITYGACPRYVKQNTLKLATGMRNVPEKQTRGIFGAIAGFIENGWEGMVDGWYGFRHQNSEGRGQAADLKSTQAAIDQINGKLNRLIGKTNEKFHQIEKEFSEVEGRVQDLEKYVEDTKIDLWSYNAELLVALENQHTIDLTDSEMNKLFEKTKKQLRENAEDMGNGCFKIYHKCDNACIGSIRNETYDHNVYRDEALNNRFQIKGVELKSGYKDWILWISFAISCFLLCVALLGFIMWACQKGNIRCNICI(配列番号22)。
【0443】
インフルエンザB/Victoria HA Sタンパク質の配列を、HA2断片を太字にして下線を引いて、配列番号23として示す。
【0444】
MPMGSLQPLATLYLLGMLVASCLGTSNADRICTGITSSNSPHVVKTATQGEVNVTGVIPLTTTPTKSHFANLKGTETRGKLCPKCLNCTDLDVALGRPKCTGKIPSARVSILHEVRPVTSGCFPIMHDRTKIRQLPNLLRGYEHVRLSTHNVINAEDAPGRPYEIGTSGSCPNITNGNGFFATMAWAVPKNKTATNPLTIEVPYICTEGEDQITVWGFHSDSETQMAKLYGDSKPQKFTSSANGVTTHYVSQIGGFPNQTEDGGLPQSGRIVVDYMVQKSGKTGTITYQRGILLPQKVWCASGRSKVIKGSLPLIGEADCLHEKYGGLNKSKPYYTGEHAKAIGNCPIWVKTPLKLANGTKYRPPAKLLKERGFFGAIAGFLEGGWEGMIAGWHGYTSHGAHGVAVAADLKSTQEAINKITKNLNSLSELEVKNLQRLSGAMDELHNEILELDEKVDDLRADTISSQIELAVLLSNEGIINSEDEHLLALERKLKKMLGPSAVEIGNGCFETKHKCNQTCLDRIAAGTFDAGEFSLPTFDSLNITAASLNDDGLDNHTILLYYSTAASSLAVTLMIAIFVVYMVSRDNVSCSICL(配列番号23)。
【0445】
インフルエンザB/Yamagata HA Sタンパク質の配列を、HA2断片を太字にして下線を引いて、配列番号24として示す。
【0446】
MPMGSLQPLATLYLLGMLVASCLGTSNADRICTGITSSNSPHVVKTATQGEVNVTGVIPLTTTPTKSHFANLKGTETRGKLCPKCLNCTDLDVALGRPKCTGKIPSARVSILHEVRPVTSGCFPIMHDRTKIRQLPNLLRGYEHVRLSTHNVINAEDAPGRPYEIGTSGSCPNITNGNGFFATMAWAVPKNKTATNPLTIEVPYICTEGEDQITVWGFHSDSETQMAKLYGDSKPQKFTSSANGVTTHYVSQIGGFPNQTEDGGLPQSGRIVVDYMVQKSGKTGTITYQRGILLPQKVWCASGRSKVIKGSLPLIGEADCLHEKYGGLNKSKPYYTGEHAKAIGNCPIWVKTPLKLANGTKYRPPAKLLKERGFFGAIAGFLEGGWEGMIAGWHGYTSHGAHGVAVAADLKSTQEAINKITKNLNSLSELEVKNLQRLSGAMDELHNEILELDEKVDDLRADTISSQIELAVLLSNEGIINSEDEHLLALERKLKKMLGPSAVEIGNGCFETKHKCNQTCLDRIAAGTFDAGEFSLPTFDSLNITAASLNDDGLDNHTILLYYSTAASSLAVTLMIAIFVVYMVSRDNVSCSICL(配列番号24)。
【0447】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、太字の配列番号25、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0448】
いくつかの実施形態では、インフルエンザHA Sタンパク質由来のポリペプチド、例えば配列番号25に対応するインフルエンザHA Sタンパク質のHA2断片は、インフルエンザウイルスHAスパイク(S)タンパク質、例えばインフルエンザウイルスA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB Sタンパク質又はインフルエンザウイルスC Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質は、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスA Sタンパク質、例えばインフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスB Sタンパク質、例えばインフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスC Sタンパク質と相互作用する。
【0449】
いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質由来のポリペプチド、例えば配列番号25に対応するインフルエンザHA Sタンパク質のHA2断片は、インフルエンザウイルスHAスパイク(S)タンパク質、例えばインフルエンザウイルスA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB Sタンパク質又はインフルエンザウイルスC Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質は、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスA Sタンパク質、例えばインフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスB Sタンパク質、例えばインフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質及び/又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスHA Sタンパク質に由来するポリペプチドは、インフルエンザウイルスC Sタンパク質とオリゴマー化する。
【0450】
E.呼吸器合胞体ウイルス
特定の実施形態において、ウイルスはニューモウイルス科に由来する。ニューモウイルス科は、モノネガウイルス目のネガティブ鎖RNAウイルスのファミリーである。ニューモウイルス科は、メタニューモウイルス及びオルソニューモウイルスを含む2つの属に分類される。
【0451】
ニューモウイルスは、宿主細胞の細胞質で複製する。最初に、ウイルスは、細胞の表面に発現されるHN糖タンパク質受容体に結合する。そして、融合タンパク質の作用により、ウイルスが宿主の原形質膜に融合し、ヌクレオカプシドが放出される。複製を受ける前に、mRNAが転写され、ウイルス性タンパク質が翻訳される。転写は、ウイルスコードRNA依存性RNAポリメラーゼに依存し、これは3’リーダー領域でゲノムに結合し、次いで各遺伝子を順次転写する。ウイルス性タンパク質の翻訳は、宿主細胞リボソームによって行われる。新たに複製されたゲノムの周りにカプシドを作製するのに十分なP、N、L及びM2タンパク質が利用可能になると、ウイルスは複製を受ける。複製後、P、L及びMタンパク質は、リボヌクレオカプシドの形成に関与する。ビリオンアセンブリが完了すると、ビリオンは細胞から出芽することによって排出される。
【0452】
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)及びヒトオルソニューモウイルスとも呼ばれる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、気道の感染症を引き起こす一般的な伝染性ウイルスである。いくつかの態様では、RSVはRSVタイプAである。いくつかの態様では、RSVはRSVタイプBである。これは、ネガティブセンスの一本鎖RNAウイルスであり、その名称は、感染細胞が融合したときに形成されるシンシチウムとして知られる大型細胞に由来する。RSVは、乳児における呼吸器入院の一般的な原因であり、再感染は後の生活において一般的なままであり、したがって、すべての年齢層において重要な病原体である。感染率は、典型的には寒い冬の月の間に高く、乳児では細気管支炎、成人では一般的な風邪、並びに高齢者及び免疫低下では肺炎などのより重篤な呼吸器疾患を引き起こす。
【0453】
RSVは、中型(約150nm)のエンベロープウイルスである。ゲノムは、らせん状ヌクレオカプシド内にあり、マトリックスタンパク質及びウイルス性糖タンパク質を含有するエンベロープによって囲まれている。ゲノムは線状であり、約15,000ヌクレオチド長である。ほとんどの粒子は球形であるが、糸状種も同定されている。RSVゲノムは、11個のタンパク質:脂質エンベロープタンパク質(糖タンパク質(G)、融合タンパク質(F)、小さな疎水性タンパク質(SH))、内部エンベロープ表面マトリックスタンパク質(M)、リボヌクレオカプシドタンパク質(核タンパク質(N)、リンタンパク質(P)、大型タンパク質(L)、M2-1)、調節性M2-2、及び非構造タンパク質(NS-1及びNS-2)をコードする10個の遺伝子を含む。遺伝子の順序はNS1-NS2-N-P-M-SH-G-F-M2-Lである。
【0454】
RSV感染症は、軽度の上気道感染症から、入院及び機械的換気を必要とする重度で生命を脅かす可能性のある下気道感染症(例えば、細気管支炎、ウイルス性肺炎、又はクループ)まで及ぶ多種多様な徴候及び症候を呈することがある。ほとんどのRSV感染症には、一般的な風邪、副鼻腔、及び/又は上気道の徴候及び症候(鼻詰まり、鼻水、咳、倦怠感、喉の痛み、及び微熱など)が含まれる。鼻粘膜(鼻炎)及び咽喉(咽頭炎)の炎症、並びに眼の発赤(結膜感染症)が検査で見られることがある。
【0455】
RSVは、感染者が咳又はくしゃみをし、液滴が別の個体の目、鼻、又は口に入るか、又はウイルスの付いた表面に個体が接触し、次いで手を洗う前に顔に接触するか、又は個体がウイルスに直接接触すると伝播する可能性がある。RSVに感染した人は、通常3~8日間、いくつかの場合においては最大4週間伝染性である。重度の疾患のリスクが最も高い人々には、未熟児、先天性(出生からの)心臓又は慢性肺疾患を有する幼児、医学的症状又は医学的処置により免疫系が損なわれた(弱まった)幼児、免疫系が損なわれた成人、及び高齢者、特に基礎心疾患又は肺疾患を有する者が含まれる。
【0456】
RSV感染の診断には、限定されないが、抗原検査、分子検査、ウイルス培養、及び血清学的検査を含む様々な検査室検査が利用可能である。胸部X線を実施して、肺門周囲のマーキング、斑状の過膨張、及び/又は無気肺を識別することもできる。
【0457】
本開示は、2つの属、メタニューモウイルス及びオルソニューモウイルスを含むニューモウイルス科の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。具体的な実施形態において、本開示は、ヒトに感染するヒトオルソニューモウイルス(RSV A又はB型)種を含む、オルソニューモウイルス属の任意のウイルスの感染の処置又は予防を包含する。
【0458】
本開示の態様は、RSV糖タンパク質と相互作用するポリペプチドに関する。鼻又は眼を介した伝達後、RSVは、上気道及び下気道の線毛円柱上皮細胞に感染する。RSVは、これらの気管支細胞内で約8日間複製し続ける。最初の数日後、RSV感染細胞はより丸くなり、最終的には下気道のより小さい細気管支に脱落する。この脱落機構はまた、上気道から下気道へのウイルスの拡散の原因であると考えられている。感染は、炎症細胞(単球及びT細胞など)の移動及び浸潤、上皮細胞壁の壊死、浮腫、並びに粘液産生の増加を含む、肺内の全身性炎症を引き起こす。合わせて、脱落した上皮細胞、粘液栓、及び蓄積した免疫細胞は、下気道の閉塞を引き起こす。
【0459】
糖タンパク質F(表面融合タンパク質)は、ウイルス及び宿主細胞膜の融合、並びにウイルス粒子間のシンシチウム形成を担う。Fタンパク質は、複数の立体配座形態で存在する。融合前状態(PreF)では、タンパク質は三量体形態で存在する。宿主細胞表面上のその標的に結合した後、PreFは、タンパク質がそれ自体を宿主細胞膜に挿入することを可能にする立体配座変化を受け、ウイルス及び宿主細胞膜の融合をもたらす。最終的な立体配座シフトは、タンパク質のより安定で伸長した形態をもたらす(融合後、PostF)。RSV Fタンパク質はまた、toll様受容体4に結合してこれを活性化し、自然免疫応答及びシグナル伝達を開始させる。
【0460】
ウイルス及び宿主細胞膜の融合後、ウイルスヌクレオカプシド(ウイルスゲノムを含む)及び関連するウイルスポリメラーゼが宿主細胞の細胞質に送達される。転写及び翻訳の両方が細胞質内で起こる。RNA依存性RNAポリメラーゼは、宿主細胞機構によって構造タンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)の10個のセグメントにゲノムを転写する。ネガティブセンスウイルスゲノムの複製中、RNA依存性RNAポリメラーゼは、アンチゲノムと呼ばれるポジティブセンス相補体を合成する。この相補鎖は、ヌクレオカプシドにパッケージングされてアセンブリ及び粒子出芽のために原形質膜に輸送されるゲノムネガティブセンスRNAを構築するための鋳型として使用される。
【0461】
RSV F糖タンパク質の配列を、F断片部分を太字にして下線を引いて、配列番号33として示す。
【0462】
MELPILKTNAIITILAAVTLCFASSQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIELSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPAANSRARRELPRFMNYTLNNTKNTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVNAGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSSNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYVVQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKVQSNRVFCDTMNSLTLPSEVNLCNIDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKTKCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDPLVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLALIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN(配列番号33)。
【0463】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、RSV糖タンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質に由来するポリペプチドは、配列番号34に含まれる配列番号33の太字の下線が引かれた部分、又はその断片若しくは機能的誘導体と、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、52%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性、又はその中の誘導可能な任意の値を有する。
【0464】
いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号34は、ニューモウイルス科の糖タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号34は、RSV糖タンパク質と相互作用する。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号34は、ニューモウイルス科の糖タンパク質とオリゴマー化する。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質に由来するポリペプチド、例えば配列番号34は、RSV糖タンパク質とオリゴマー化する。
【0465】
IV.抗ウイルス処置
本明細書中に記載される組成物(例えば、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)又は方法は、ウイルス性タンパク質、例えばウイルススパイクタンパク質と相互作用し、いくつかの場合においては阻害又は干渉する症状を有する任意の対象に投与することができ、治療上の利益を有し得る。ウイルス性タンパク質を標的化することが治療上の利益を有し得る症状としては、例えば、ウイルス粒子の細胞への結合及びウイルス粒子の細胞への侵入に関連する症状が挙げられる。そのような症状としては、例えば、コロナウイルス感染症又はコロナウイルス感染後症候群、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症、及び/又はインフルエンザ感染症が挙げられる。
【0466】
本明細書で使用される場合、「コロナウイルス感染症」は、任意のコロナウイルス科のメンバーによって引き起こされる感染症を指す。例えば、コロナウイルス感染症には、MERS-CoV感染症、HCoV-229E感染症、HCoV-NL63感染症、HCoV-OC43感染症、HCoV-HKU1感染症、SARS-CoV感染症、及びSARS-CoV-2感染症が含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、本開示の態様は、コロナウイルス感染症に罹患している、又はコロナウイルス感染症を有すると疑われる、又はコロナウイルス感染症を有するリスクがある対象の処置を含む方法に関する。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、MERS-CoV感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、HCoV-229E感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、HCoV-NL63感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、HCoV-OC43感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、HCoV-HKU1感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、SARS-CoV感染症である。いくつかの実施形態において、コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
【0467】
本明細書で使用される場合、「HIV感染症」は、レトロウイルスヒト免疫不全ウイルスによって引き起こされる感染症を指す。したがって、本開示の態様は、HIV感染症に罹患している、又はHIV感染症を有すると疑われる、又はHIV感染症を有するリスクがある対象の処置を含む方法に関する。
【0468】
本明細書で使用される場合、「エボラ感染症」は、エボラウイルスによって引き起こされる感染症を指す。例えば、エボラ感染症には、エボラウイルス感染症(ザイールエボラウイルス種)、スーダンウイルス感染症、タイフォレストウイルス感染症、及び/又はブンディブギョウイルス感染症が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、エボラ感染症はエボラウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、エボラ感染症はスーダンウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、エボラ感染症はタイフォレストウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、エボラ感染症はブンディブギョウイルス感染症である。したがって、本開示の態様は、エボラ感染症に罹患している、又はエボラ感染症を有する疑いがある対象の処置を含む方法に関する。
【0469】
本明細書で使用される場合、「インフルエンザ感染症」は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症を指す。例えば、インフルエンザウイルスは、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、及びガンマフルエンザウイルスを含む、ヒトに感染するオルソミクソウイルス科ファミリーの属の任意のウイルスを含み得る。具体的な実施形態において、インフルエンザウイルスは、種インフルエンザウイルスA及び任意のインフルエンザウイルスA株、サブタイプ、又は系統を含む、アルファインフルエンザウイルスを含む。具体的な実施形態において、インフルエンザウイルスAは、インフルエンザAウイルスサブタイプH1N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH1N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH2N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH2N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH3N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N6、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH5N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH6N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH6N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N1、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N3、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N4、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N7、インフルエンザAウイルスサブタイプH7N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH9N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH10N7、インフルエンザAウイルスサブタイプH10N8、インフルエンザAウイルスサブタイプH11N2、インフルエンザAウイルスサブタイプH11N9、インフルエンザAウイルスサブタイプH17N10、インフルエンザAウイルスサブタイプH18N11、又はそれらの組み合わせを含む。具体的な実施形態において、インフルエンザウイルスは、種インフルエンザウイルスB及び任意のインフルエンザウイルスB株、サブタイプ、又は系統を含む、ベータインフルエンザウイルスを含む。具体的な実施形態において、インフルエンザウイルスBは、インフルエンザウイルスB/Yamagata及び/又はインフルエンザウイルスB/Victoriaを含む。具体的な実施形態において、インフルエンザウイルスは、種インフルエンザウイルスC及び任意のインフルエンザウイルスC株、サブタイプ、又は系統を含む、ガンマインフルエンザウイルスを含む。したがって、本開示の態様は、インフルエンザ感染症に罹患している、又はインフルエンザ感染症を有すると疑われる、又はHIV感染症を有するリスクがある対象の処置を含む方法に関する。
【0470】
本明細書で使用される場合、「RSV感染」は、ヒトオルソニューモウイルスによって引き起こされる感染を指す。したがって、本開示の態様は、RSV感染症に罹患している、又はRSV感染症を有すると疑われる、又はRSV感染症を有するリスクがある対象の処置を含む方法に関する。
【0471】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療又はタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、ウイルス感染症、例えばコロナウイルス感染症、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症、及び/又はインフルエンザ感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるウイルス感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルスに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルスに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるウイルス感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0472】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のタンパク質相互作用ポリペプチド治療又はタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、ウイルス感染後症候群を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することをさらに含む。具体的な実施形態において、有効量は、個体におけるウイルス感染後症候群の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるウイルス感染の持続性症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、有効量は、個体におけるウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染後症候群を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染の持続性症候を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染後症候群を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染症の持続性症候を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、ウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。
【0473】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象はウイルス感染症を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、ウイルス感染を有さないか、又はウイルス感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態では、対象は、ウイルス感染症を有するとして診断されていた。いくつかの実施形態では、対象は、ウイルス感染症の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、ウイルス感染症を有するリスクがあると診断される。
【0474】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療又はコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、コロナウイルス感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるコロナウイルス感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルスに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルスに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるコロナウイルス感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0475】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、コロナウイルス感染後症候群を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することをさらに含む。具体的な実施形態において、有効量は、個体におけるコロナウイルス感染後症候群の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるコロナウイルス感染の持続性症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、有効量は、個体におけるコロナウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染後症候群を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染の持続性症候を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響を有する対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染後症候群を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染症の持続性症候を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、コロナウイルス感染によって引き起こされる細胞、組織、器官、又は系の損傷の慢性的影響を有する対象の回復時間を短縮することをさらに含む。
【0476】
それを必要とする対象は、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、SARS-CoV、SARS-CoV-2、又はMERS-CoVなどのコロナウイルス科のウイルスによる感染の1つ又は複数の症候を有する対象であり得る。HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、SARS-CoV、SARS-CoV-2、及び/又はMERS-CoV感染の一般的な初期徴候及び症候には、発熱、咳、息切れ又は呼吸困難、疲労、痛み、悪寒、喉の痛み、嗅覚の喪失、味覚の喪失、頭痛、下痢、又は嘔吐が含まれ得る。ウイルス感染が進行するにつれて、個体は肺炎又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症し得る。いくつかの実施形態では、ウイルスはSARS-CoV-2であり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはSARS-CoVであり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはMERS-CoVであり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはHCoV-229Eであり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-NL63、HCoV-OC43、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはHCoV-NL63であり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-OC43、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはHCoV-OC43であり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、又はHCoV-HKU1ではない。いくつかの実施形態では、ウイルスはHCoV-HKU1であり、ある特定の実施形態において、ウイルスはSARS-CoV、SARS-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、又はHCoV-OC43ではない。
【0477】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、コロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、コロナウイルス感染を有さないか、又はコロナウイルス感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態では、対象は、コロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群を有すると診断された。いくつかの実施形態では、対象は、コロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、コロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群の症候を有するリスクがあると診断される。いくつかの実施形態において、対象は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群、又は呼吸器感染症を有する。いくつかの実施形態では、対象はCOVID-19を有する。
【0478】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のHIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療又はHIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、HIV感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるHIV感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、HIVに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、HIVに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるHIV感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるHIV感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0479】
それを必要とする対象は、HIV感染症の1つ又は複数の症候を有する対象であり得る。HIV感染症の一般的な初期徴候及び症候には、発熱、頭痛、悪寒、発疹、寝汗、筋肉痛及び関節痛、喉の痛み、疲労、下痢、体重減少、咳、リンパ節の腫脹、口腔潰瘍、口腔内酵母感染(鵞口瘡)、帯状疱疹(帯状ヘルペス)及び肺炎が含まれ得る。ウイルス感染が進行するにつれて、個体は、発汗、悪寒、再発性発熱、慢性下痢、リンパ腺の腫脹、舌又は口内の持続性の白い斑点又は異常な病変、持続性の原因不明の疲労、衰弱、体重減少、及び皮膚発疹又は隆起を発症し得る。
【0480】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象はHIV感染症を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、HIV感染を有さないか、又はHIV感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態において、対象は、HIVを有するとして診断されていた。いくつかの実施形態では、対象は、HIV感染症の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、HIV感染症を有するリスクがあると診断される。
【0481】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のエボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療又はエボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、エボラ感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるエボラ感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、エボラに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、エボラに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるエボラ感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるエボラ感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0482】
それを必要とする対象は、エボラウイルスによる感染の1つ又は複数の症候を有する対象であり得る。エボラ感染の一般的な初期徴候及び症候には、発熱、喉の痛み、筋肉痛、脱力、疲労、及び頭痛が含まれ得る。嘔吐、下痢、腹痛、及び発疹が通常続き、肝臓及び腎臓の機能が低下する。このとき、内部及び外部の両方で出血し始める人もいる。
【0483】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象はエボラ感染症を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、エボラ感染を有さないか、又はエボラ感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態において、対象は、エボラを有するとして診断されていた。いくつかの実施形態では、対象は、エボラ感染症の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、エボラ感染症を有するリスクがあると診断される。
【0484】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療又はインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、インフルエンザ感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるインフルエンザ感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、インフルエンザに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、インフルエンザに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるインフルエンザ感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるインフルエンザ感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0485】
それを必要とする対象は、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、又はインフルエンザウイルスCウイルスなどのオルソミクソウイルス科ファミリーのウイルスによる感染の1つ又は複数の症候を有する対象であり得る。インフルエンザ感染症の一般的な徴候及び症候には、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛又は疼痛、不快感、食欲不振、エネルギー不足/疲労、及び錯乱が含まれ得る。これらの症候は、通常、乾いた咳、喉の痛み又は乾燥、嗄声、及び鼻詰まり又は鼻水などの呼吸器症候を伴う。咳は最も一般的な症候である。悪心、嘔吐、下痢及び胃腸炎を含む胃腸症候も起こり得る。
【0486】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象はインフルエンザ感染症を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、インフルエンザ感染を有さないか、又はインフルエンザ感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態において、対象は、インフルエンザを有するとして診断されていた。いくつかの実施形態では、対象は、インフルエンザ感染症の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、インフルエンザ感染症を有するリスクがあると診断される。
【0487】
具体的な実施形態において、方法及び組成物は、有効量のRSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療又はRSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することによって、RSV感染症を、それを必要とする対象において処置、予防、その発症を遅延、及び/又はその重症度を軽減することを含む。具体的な実施形態において、有効量は、対象におけるRSV感染症の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減に有効である。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、RSVに感染した対象の生存率を増加させることをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、RSVに感染した対象の回復時間を短縮することをさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるRSV感染症の症候の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。具体的な実施形態において、方法及び組成物は、対象におけるRSV感染によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の処置、予防、その発症の遅延、及び/又はその重症度の軽減をさらに含む。
【0488】
それを必要とする対象は、RSV感染症の1つ又は複数の症候を有する対象であり得る。RSV感染症の一般的な初期徴候及び症候には、一般的な風邪、副鼻腔、及び/又は上気道の徴候及び症候(鼻詰まり、鼻水、咳、倦怠感、喉の痛み、及び微熱など)が含まれ得る。
【0489】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、対象はRSV感染症を有するリスクが高い。いくつかの実施形態では、対象は、RSV感染を有さないか、又はRSV感染について陰性であると試験されている。いくつかの実施形態において、対象は、RSVを有するとして診断されていた。いくつかの実施形態では、対象は、RSV感染症の症候を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、RSV感染症を有するリスクがあると診断される。
【0490】
具体的な実施形態において、対象は、ウイルス感染症の症候の発症に基づいて;及び/又は現在のウイルス感染の陽性生物学的試験に基づいてウイルス感染症と診断され得る。具体的な実施形態において、現在のウイルス感染の生物学的試験は、ウイルスのアッセイである。具体的な実施形態において、対象は、ウイルス感染の症候の発症から経過した時間の量、発熱を減少させる薬剤薬物の非使用下で発熱なしに経過した時間の量、及びウイルス感染の他の症候の改善;及び/又は少なくとも一定期間離れて行われた現在のウイルス感染についての2回の連続した陰性生物学的試験に基づいて、ウイルス感染から回復したと考えられ得る。具体的な実施形態において、ウイルス感染症候が最初に出現してから少なくとも10日が経過し、発熱を減少させる薬剤薬物の非使用下で発熱なしで少なくとも24時間が経過し、及びウイルス感染の他の症候が改善しており、及び/又は少なくとも24時間離れて行われた現在のウイルス感染についての2回の生物学的試験は両方とも陰性である場合、対象はウイルス感染から回復したと考えられ得る。具体的な実施形態において、対象は、過去のウイルス感染の生物学的試験に基づいて、以前のウイルス感染を確認することができる。具体的な実施形態において、過去のウイルス感染の生物学的試験は、ウイルス抗体のアッセイである。具体的な実施形態において、ウイルス感染症から回復したと考えられる対象は、ウイルス感染症の持続性症候及び/又はウイルス感染症によって引き起こされる細胞、組織、器官、若しくは系の損傷の慢性的影響に基づいて、ウイルス感染後症候群と診断され得る。具体的な実施形態において、コロナウイルス感染症の持続性症候及び/又はコロナウイルス感染症を引き起こす細胞、組織、器官又は系の損傷の慢性的影響には、持続的な発熱、咳、息切れ、呼吸困難、疲労、痛み、悪寒、喉の痛み、嗅覚の喪失、味覚の喪失、頭痛、下痢、嘔吐、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、めまい、気分障害、認知障害、筋力低下、神経損傷、関節痛、胸痛、動悸、発疹、脱毛、生活の質の悪化、肺損傷、心臓損傷、心臓腫脹、腎臓損傷又は肝臓損傷が含まれる。具体的な実施形態において、それを必要とする対象は、ウイルス感染症の1つ又は複数の持続性症候を有する対象であり得る。ウイルス感染症の一般的な持続性症候及び/又はウイルス感染症によって引き起こされる細胞、組織、器官又は系の損傷の慢性的影響の慢性的な影響には、持続的な発熱、咳、息切れ、呼吸困難、疲労、痛み、悪寒、喉の痛み、嗅覚の喪失、味覚の喪失、頭痛、下痢、嘔吐、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、めまい、気分障害、認知障害、筋力低下、神経損傷、関節痛、胸痛、動悸、発疹、脱毛、生活の質の悪化、肺損傷、心臓損傷、心臓腫脹、腎臓損傷又は肝臓損傷が含まれ得る。
【0491】
「処置」又は「処置すること」という用語は、哺乳動物における疾患の任意の処置を意味し、(i)疾患を予防すること、すなわち、疾患の誘発前に保護組成物を投与することによって疾患の臨床的症候を発症させないこと;(ii)疾患を抑制すること、すなわち、誘導事象の後ではあるが、疾患の臨床的出現又は再出現の前に、保護組成物の投与によって疾患の臨床的症候を発症させないこと;(iii)疾患を阻害すること、すなわち、初期出現後に保護組成物を投与することによって臨床的症候の発生を停止させること;及び/又は(iv)疾患を軽減すること、すなわち、初期出現後に保護組成物を投与することによって臨床的症候の後退を引き起こすことを含む。
【0492】
本明細書で提供される治療は、治療剤(例えば、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含む組成物の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される治療は、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードする核酸を含むベクター及び薬学的に許容される賦形剤の投与を含む。
【0493】
本明細書中に開示されるように、「ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド」(「ウイルスタンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、ウイルス性タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。例えば、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドは、「ウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド」(「ウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)であり得、ウイルス糖タンパク質と相互作用し得る。いくつかの場合において、ウイルス糖タンパク質とのそのような相互作用は、ウイルススパイクタンパク質の阻害又は干渉であり得る。具体的な例では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドは、「ウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチド」(「ウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)であり、ウイルススパイクタンパク質と相互作用し得る。いくつかの場合において、ウイルススパイクタンパク質とのそのような相互作用は、ウイルススパイクタンパク質の阻害又は干渉であり得る。
【0494】
本明細書中に開示されるように、「コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド」(「コロナウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。いくつかの場合において、コロナウイルススパイクタンパク質とのそのような相互作用は、コロナウイルススパイクタンパク質の阻害又は干渉であり得る。例えば、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoVを含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、SARS-CoV Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2を含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、SARS-CoV-2 Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、MERS-CoVを含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、MERS-CoV Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-229Eを含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、HCoV-229E Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-NL63を含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、HCoV-NL63 Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-OC43を含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、HCoV-OC43 Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-HKU1を含み、コロナウイルススパイクタンパク質は、HCoV-HKU1 Sタンパク質を含み、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、HCoV-229E Sタンパク質、HCoV-NL63 Sタンパク質、HCoV-OC43 Sタンパク質、HCoV-HKU1 Sタンパク質、MERS-CoV Sタンパク質、SARS-CoV Sタンパク質、及び/又はSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドは、SARS-CoVスパイクタンパク質、SARS-CoV-2スパイクタンパク質、MERS-CoVスパイクタンパク質、HCoV-229Eスパイクタンパク質、HCoV-NL63スパイクタンパク質、HCoV-OC43スパイクタンパク質、HCoV-HKU1スパイクタンパク質、又はそれらの組み合わせと相互作用することができる。
【0495】
本明細書中に開示されるように、「HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド」(「HIVスパイクタンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、HIVスパイク(S)タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。いくつかの場合において、HIVスパイクタンパク質とのそのような相互作用は、HIVスパイクタンパク質の阻害又は干渉であり得る。いくつかの実施形態では、HIV Sタンパク質はHIV-1 gp160を含み、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドはHIV-1 gp160 Sタンパク質に由来する。
【0496】
本明細書中に開示されるように、「エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド」(「エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、エボラ糖タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。いくつかの場合において、エボラ糖タンパク質とのそのような相互作用は、エボラ糖タンパク質の阻害又は干渉であり得る。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質はエボラウイルスGPを含み、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドはエボラウイルスGPタンパク質に由来する。
【0497】
本明細書中に開示されるように、「インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド」(「インフルエンザウイルススパイクタンパク質相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、インフルエンザウイルススパイク(S)タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。いくつかの場合において、インフルエンザウイルスSタンパク質とのそのような相互作用は、インフルエンザウイルスSタンパク質の阻害又は干渉であり得る。例えば、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスAタンパク質、インフルエンザウイルスBタンパク質、及び/又はインフルエンザウイルスCタンパク質と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスAを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスA Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスA/H1を含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスA/H3を含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。
【0498】
いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスBを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスB Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスB/Victoriaを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスB/Yamagataを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。
【0499】
いくつかの実施形態では、インフルエンザはインフルエンザウイルスCを含み、インフルエンザウイルススパイクタンパク質はインフルエンザウイルスC Sタンパク質を含み、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドは、インフルエンザウイルスA/H1 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスA/H3 HA Sタンパク質、インフルエンザウイルスB/Victoria HA Sタンパク質、又はインフルエンザウイルスB/Yamagata HA Sタンパク質に由来する。
【0500】
本明細書中に開示されるように、「RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド」(「RSV相互作用ポリペプチド」とも呼ぶ)は、RSV糖タンパク質と相互作用することができる任意のポリペプチドを記載する。いくつかの場合において、RSV糖タンパク質とのそのような相互作用は、RSV糖タンパク質の阻害又は干渉であり得る。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質はRSV Fタンパク質を含み、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドはRSV Fタンパク質に由来する。
【0501】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、ウイルス感染症、例えば、コロナウイルス感染症、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症、及び/又はインフルエンザ感染症、及び/又はウイルス感染症後症候群に罹患している対象を、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで処置することを含む。いくつかの実施形態において本明細書中に開示されるように、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質の量を減少させることができる。
【0502】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでウイルス性タンパク質、例えば糖タンパク質及び/若しくはスパイクタンパク質、又はその生物学的機能を調節する方法であって、ウイルス性タンパク質又はその一部を、ウイルス性タンパク質の配列に対応するアミノ酸を含む有効量のポリペプチドと接触させることを含み、アミノ酸配列がウイルス性タンパク質の対応する配列と少なくとも10%の配列同一性を有する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、対象のウイルス感染症、例えばコロナウイルス感染症、HIV感染症、エボラ感染症、RSV感染症、及び/又はインフルエンザ感染症、及び/又はウイルス感染後症候群を処置又は予防する方法であって、ウイルス性タンパク質の配列に対応するアミノ酸を含み、アミノ酸配列がウイルス性タンパク質の対応する配列と少なくとも10%の配列同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの場合において、ウイルス性タンパク質又はその一部を、ウイルス性タンパク質の配列に対応するアミノ酸を含む有効量のポリペプチドと接触させることは、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含む。
【0503】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質の量の減少は、ウイルス性タンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びウイルス性タンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合においては、ポリペプチド及びウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質のオリゴマー化は、ウイルス性タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合においては、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合、及びウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質などのウイルス性タンパク質とのポリペプチドの競合を含み、ウイルス性タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0504】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質、又はその生物学的機能を調節する方法であって、ウイルス性タンパク質又はその一部を、ウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、オリゴマー化ドメインと少なくとも10%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがウイルス性タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによりウイルス性タンパク質又はその生物学的機能をインビボで調節する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、対象におけるウイルス感染症及び/又はウイルス感染後症候群を処置又は予防する方法であって、ウイルス性タンパク質、例えばウイルス性スパイクタンパク質及び/又はウイルス性糖タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、オリゴマー化ドメインと少なくとも10%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがウイルス性タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの場合において、ウイルス性タンパク質又はその一部を、ウイルス性タンパク質の配列に対応するアミノ酸を含む有効量のポリペプチドと接触させることは、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドとウイルス性タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含む。
【0505】
いくつかの実施形態では、開示の方法は、コロナウイルス感染症、例えば、MERS-CoV感染症、HCoV-229E感染症、HCoV-NL63感染症、HCoV-OC43感染症、HCoV-HKU1感染症、SARS-CoV感染症及び/又はSARS-CoV-2感染症、並びに/あるいはコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド又はコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによるコロナウイルス感染後症候群に罹患している対象を処置することを含む。本明細書中に開示されるように、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのコロナウイルススパイクタンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のコロナウイルススパイクタンパク質の量を減少させることができる。
【0506】
したがって、いくつかの実施形態では、コロナウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能を対象においてインビボで調節するための方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質又はその一部を、配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16と少なくとも10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16を含む。いくつかの場合において、コロナウイルススパイクタンパク質又はその一部を、有効量の、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることは、ポリペプチドをコロナウイルススパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合させることを含む。いくつかの実施形態では、対象におけるコロナウイルス感染症、例えば、MERS-CoV感染症、HCoV-229E感染症、HCoV-NL63感染症、HCoV-OC43感染症、HCoV-HKU1感染症、SARS-CoV感染症、及び/又はSARS-CoV-2感染症、及び/又はコロナウイルス感染後症候群を処置又は予防する方法であって、配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16と少なくとも10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と80%を超える同一性12、14、又は16、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16を含む。
【0507】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのコロナウイルススパイクタンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/あるいは対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のコロナウイルススパイクタンパク質の量の減少は、コロナウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合において、ポリペプチド及びコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化は、コロナウイルススパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合において、ポリペプチドとコロナウイルススパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ポリペプチドとコロナウイルススパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含み、ポリペプチドとコロナウイルススパイクタンパク質との競合は、コロナウイルススパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0508】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでコロナウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能を調節する方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質又はその一部を、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによってコロナウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能をインビボで調節する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16を含む。
【0509】
いくつかの実施形態では、対象におけるコロナウイルス感染症及び/又はコロナウイルス感染後症候群を処置又は予防する方法であって、コロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがコロナウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12、14、又は16を含む。
【0510】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はHIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、HIV感染症に罹患している対象を処置することを含む。本明細書中に開示されるように、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのHIVスパイクタンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のHIVスパイクタンパク質の量を減少させることができる。
【0511】
したがって、いくつかの実施形態では、HIVスパイクタンパク質又はその生物学的機能を対象においてインビボで調節するための方法であって、HIVスパイクタンパク質又はその一部を、配列番号18と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。いくつかの場合において、HIVスパイクタンパク質又はその一部を、有効量の、配列番号18に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることは、ポリペプチドをHIVスパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合させることを含む。
【0512】
いくつかの実施形態では、対象のHIV感染症を処置又は予防する方法であって、配列番号18と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。
【0513】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのHIVスパイクタンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/あるいは対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のHIVスパイクタンパク質の量の減少は、HIVスパイクタンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びHIVスパイクタンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合において、ポリペプチド及びHIVスパイクタンパク質のオリゴマー化は、HIVスパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合において、ポリペプチドとHIVスパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ポリペプチドとHIVスパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含み、ポリペプチドとHIVスパイクタンパク質との競合は、HIVスパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0514】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでHIVスパイクタンパク質又はその生物学的機能を調節する方法であって、HIVスパイクタンパク質又はその一部を、HIVスパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号18と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがHIVスパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによってHIVスパイクタンパク質又はその生物学的機能をインビボで調節する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。
【0515】
いくつかの実施形態では、対象におけるHIV感染症を処置又は予防する方法であって、HIVスパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号18と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがHIVスパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号18を含む。
【0516】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はエボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、エボラ感染症に罹患している対象を処置することを含む。本明細書中に開示されるように、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのエボラウイルス糖タンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のエボラウイルス糖タンパク質の量を減少させることができる。
【0517】
したがって、いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質又はその生物学的機能を対象においてインビボで調節するための方法であって、エボラウイルス糖タンパク質又はその一部を、配列番号20と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号20と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。いくつかの場合において、エボラウイルス糖タンパク質又はその一部を、有効量の、配列番号20に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることは、ポリペプチドをエボラウイルス糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合させることを含む。
【0518】
いくつかの実施形態では、対象のエボラ感染症を処置又は予防する方法であって、配列番号20と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号20と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。
【0519】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのエボラウイルス糖タンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/あるいは対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のエボラウイルス糖タンパク質の量の減少は、エボラウイルス糖タンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びエボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合において、ポリペプチド及びエボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化は、エボラウイルス糖タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合において、ポリペプチドとエボラウイルス糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ポリペプチドとエボラウイルス糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含み、ポリペプチドとエボラウイルス糖タンパク質との競合は、エボラウイルス糖タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0520】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでエボラウイルス糖タンパク質又はその生物学的機能を調節する方法であって、エボラウイルス糖タンパク質又はその一部を、エボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号20と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがエボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによってエボラウイルス糖タンパク質又はその生物学的機能をインビボで調節する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号20と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。
【0521】
いくつかの実施形態では、対象におけるエボラ感染症を処置又は予防する方法であって、エボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号20と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがエボラウイルス糖タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号20と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号20を含む。
【0522】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、インフルエンザ感染症に罹患している対象を処置することを含む。本明細書中に開示されるように、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのインフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のインフルエンザウイルススパイクタンパク質の量を減少させることができる。
【0523】
したがって、いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスのスパイクタンパク質又はその生物学的機能を対象においてインビボで調節するための方法であって、インフルエンザウイルスのスパイクタンパク質又はその一部を、配列番号25と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号25と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号25を含む。いくつかの場合において、インフルエンザウイルススパイクタンパク質又はその一部を、有効量の、配列番号25に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることは、ポリペプチドをインフルエンザウイルスのスパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合させることを含む。
【0524】
いくつかの実施形態では、対象のインフルエンザ感染症を処置又は予防する方法であって、配列番号25と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号25と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号25を含む。
【0525】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのインフルエンザウイルススパイクタンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/あるいは対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のインフルエンザウイルススパイクタンパク質の量の減少は、インフルエンザウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合において、ポリペプチド及びインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化は、インフルエンザウイルススパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合において、ポリペプチドとインフルエンザウイルススパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ポリペプチドとインフルエンザウイルススパイクタンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含み、ポリペプチドとインフルエンザウイルススパイクタンパク質との競合は、インフルエンザウイルススパイクタンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0526】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでインフルエンザウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能を調節する方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質又はその一部を、インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号25と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによってインフルエンザウイルススパイクタンパク質又はその生物学的機能をインビボで阻害する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号25と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号25を含む。
【0527】
いくつかの実施形態では、対象におけるインフルエンザ感染症を処置又は予防する方法であって、インフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号25と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがインフルエンザウイルススパイクタンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号25と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0528】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はRSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、RSV感染症に罹患している対象を処置することを含む。本明細書中に開示されるように、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドの投与は、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのRSV糖タンパク質の形成及び移行を阻害することができ、及び/又は対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のRSV糖タンパク質の量を減少させることができる。
【0529】
したがって、いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質又はその生物学的機能を対象においてインビボで調節するための方法であって、RSV糖タンパク質又はその一部を、配列番号34と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドの効果的な量と接触させることを含む方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号34と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。いくつかの場合において、RSV糖タンパク質又はその一部を、有効量の、配列番号34に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチドと接触させることは、ポリペプチドをRSV糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインと競合させることを含む。
【0530】
いくつかの実施形態では、対象のRSVを処置又は予防する方法であって、配列番号34と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号34と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。
【0531】
いくつかの場合において、対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープへのRSV糖タンパク質の形成及び移行の阻害、並びに/あるいは対象の細胞表面及び/又はウイルス性エンベロープ上のRSV糖タンパク質の量の減少は、RSV糖タンパク質又はその生物学的機能を阻害するためのポリペプチド及びRSV糖タンパク質のオリゴマー化に起因する。いくつかの場合において、ポリペプチド及びRSV糖タンパク質のオリゴマー化は、RSV糖タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。いくつかの場合において、ポリペプチドとRSV糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとのオリゴマー化は、ポリペプチドとRSV糖タンパク質の対応するオリゴマー化ドメインとの競合を含み、ポリペプチドとRSV糖タンパク質との競合は、RSV糖タンパク質を阻害し、非天然タンパク質複合体の形成をもたらす。
【0532】
したがって、いくつかの実施形態では、対象においてインビボでRSV糖タンパク質又はその生物学的機能を調節する方法であって、RSV糖タンパク質又はその一部を、RSV糖タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号34と10~80%の同一性、例えば10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有する有効量のポリペプチドと接触させることを含み、ポリペプチドがRSV糖タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成し、それによってRSV糖タンパク質又はその生物学的機能をインビボで調節する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号34と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。
【0533】
いくつかの実施形態では、対象におけるRSVを処置又は予防する方法であって、RSV糖タンパク質のオリゴマー化ドメインに対応するアミノ酸配列を有し、配列番号34と10~80%の同一性、例えば、10%の同一性、20%の同一性、30%の同一性、40%の同一性、50%の同一性、60%の同一性、70%の同一性、又は80%の同一性を有するポリペプチドを含む組成物の治療有効量を対象に投与することを含み、ポリペプチドがRSV糖タンパク質のオリゴマー化ドメインとオリゴマー化して非天然タンパク質複合体を形成する、方法が開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号34と80%を超える同一性、例えば85%の同一性、90%の同一性、95%の同一性又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは配列番号34を含む。
【0534】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される治療は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどの治療剤と追加の治療剤との組み合わせの投与を含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、ウイルス感染症を処置するための薬剤を含み、これには、限定されないが、ステロイド、亜鉛、ビタミンC、回復期血清、レムデシビル、トシリズマブ、アナキンラ、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニドコルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アジスロマイシン、AC-55541、アピシジン(Apicidin)、AZ3451、AZ8838、バフィロマイシンA1、CCT 365623、ダウノルビシン、E-52862、エンタカポン、GB110、H-89、ハロペリドール、インドメタシン、JQ1、ロラタジン、メリメポディブ、メトホルミン、ミドスタウリン、ミガラスタット、ミコフェノール酸、PB28、PD-144418、ポナチニブ、リバビリン、RS-PPCC、ルキソリチニブ、RVX-208、S-ベラパミル、シルミタセルチブ(Silmitasertib)、TMCB、UCPH-101、バルプロ酸、XL413、ZINC1775962367、ZINC4326719、ZINC4511851、ZINC95559591、4E2RCat、ABBV-744、カモスタット、カプトプリル、CB5083、クロラムフェニコール、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、CPI-0610、ダブラフェニブ、DBeQ、dBET6、IHVR-19029、リネゾリド、リシノプリル、ミノキシジル、ML240、MZ1、ナファモスタット、ペボネジスタット、PS3061、ラパマイシン(シロリムス)、サングリフェーリン(Sanglifehrin)A、サパニセルチブ(INK128/MlN128)、FK-506(タクロリムス)、テルナチン(Ternatin)4(DA3)、チゲサイクリン、トミボセルチブ(eFT-508)、ベルジネクソル、WDB002、ゾタチフィン(eFT226)、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0535】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を処置するための薬剤には、エファビレンツ(Sustiva)、リルピビリン(Edurant)、エトラビリン(Intelence)、デラビルジン(Rescriptor)、ネビラピン(Viramune,Viramune XR)及びドラビリン(Pifeltro)を含むがこれらに限定されない非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)などの抗レトロウイルス治療(ART);アバカビル(Ziagen)、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Vemlidy)、テノホビル(Viread)、エムトリシタビン(Emtriva)、ラミブジン(Epivir)、ジドブジン(Retrovir)、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン(Trizivir)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、エムトリシタビン/テノホビル(Truvada)、アバカビル/ラミブジン(Epzicom)、ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Cimduo、Temixys)、ラミブジン/ジドビン(Combivir)、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(Descovy)、ジダノシン(Videx,Videx EC)及びスタブジン(Zerit)を含むがこれらに限定されないヌクレオシド又はヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI);アタザナビル(Reyataz)、ダルナビル(Prezista)、ホスアンプレナビル(Lexiva)、リトナビル(Norvir)、チプラナビル(Aptivus)、ロピナビル/リトナビル(カレトラ)、アタザナビル/コビシスタット(Evotaz、シトクロームP450阻害剤でもある)、ダルナビル/コビシスタット(Prezcobix、シトクロームP450阻害剤でもある)、インジナビル(クリキシバン)、ネルフィナビル(Viracept)、及びサキナビル(Invirase)を含むプロテアーゼ阻害剤(PI);ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル(Biktarvy)、ラルテグラビル(Isentress)、エルビテグラビル(Genvoya及びStribild)及びドルテグラビル(Tivicay)を含むがこれらに限定されないインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI);コビシスタット(Tybost)及びリトナビル(Norvir)を含むがこれらに限定されないシトクロームp450阻害剤;及びエンフビルチド(Fuzeon)及びマラビロク(Selzentry)を含むがこれらに限定されない侵入阻害剤又は融合阻害剤;イバリズマブ-uiyk(Trogarzo)を含むがこれらに限定されない付着後阻害剤;ケモカイン共受容体アンタゴニスト(限定されないが、マラビロク(Selzentry)を含む);gp 120結合阻害剤(限定されないが、フォステムサビル(Rukobia)を含む);NNRTIとNRTIとの組合せ(限定されないが、ドラビリン/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Delstrigo)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi)、エファビレンツ/ラミブジン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Symfi Lo)、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Atripla)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Odefsey)、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Complera)を含む):エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(Stribild)及びエルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Genvoya)を含むがこれらに限定されない、NRTI、INSTI及びシトクロムp450阻害剤の組み合わせ;アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン(Triumeq)、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Biktarvy)及びドルテグラビル/ラミブジン(Dovato)を含むがこれらに限定されない、NRTIとINSTIとの組合せ;ドルテグラビル/リルピビリン(Juluca)を含むがこれに限定されない、NNRTI及びINSTIの組合せ;ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Symtuza)を含むがこれに限定されない、NRTI、PI及びシトクロムp450阻害剤の組み合わせ;アセチル-L-カルニチン;乳清タンパク質;L-グルタミン;L-アルギニン;ヒドロキシメチルブチレート(HMB);プロバイオティクス;ビタミン及びミネラル;又はそれらの組み合わせがさらに含まれるが、これらに限定されない。
【0536】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を処置するための薬剤には、アトルチビマブ(atoltivimab)/マフチビマブ(maftivimab)/オデシビマブ(odesivimab)-ebgn(Inmazeb)、アンスビマブ-zykl(Ebanga)、ファビピラビル(Avigan)、リバビリン、BCX4430、ブリンシドホビル、TKM-Ebola、AVI-7537、JK-05、又はそれらの組み合わせがさらに含まれるが、これらに限定されない。
【0537】
いくつかの実施形態では、ウイルス感染症を処置するための薬剤には、オセルタミビルリン酸塩(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、ペラミビル(Rapivab)、バロキサビルマルボキシル(Xofluza)、アマンタジン、リマンタジン(Flumadine)、ウミフェノビル(Arbidol)、モロキシジン、フルチカレ(fluticare)、アセトアミノフェン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリン、又はそれらの組み合わせがさらに含まれるが、これらに限定されない。
【0538】
V.医薬組成物
いくつかの実施形態では、タンパク質相互作用ポリペプチド又はタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物も開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド又はコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はHIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はエボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はRSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0539】
したがって、いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド又はコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はHIV Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はエボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はRSV糖タンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの医薬組成物が開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ又は複数の追加の治療薬、例えば、限定されないが、本明細書に開示される薬剤を含むウイルス感染症を処置するための薬剤をさらに含むことができる。本開示の組成物は、インビボ、インビトロ又はエクスビボ投与のために使用され得る。
【0540】
いくつかの実施形態では、治療は、タンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、タンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、タンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクターを含む治療であり得る、ポリヌクレオチドに基づく治療を含む。例えば、いくつかの実施形態では、治療は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、ウイルス性タンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療は、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療である。いくつかの実施形態では、ウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療、RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療、及び/又はインフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療を含むがこれらに限定されない、2つ以上のタンパク質相互作用ポリペプチド治療の組み合わせである。
【0541】
したがって、いくつかの実施形態では、治療は、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、コロナウイルスSタンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、HIV Sタンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、エボラウイルス糖タンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、インフルエンザウイルス性Sタンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド治療であり得る、RSV糖タンパク質ベースの治療を含む。いくつかの実施形態では、治療は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体、例えばコロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクター;HIV Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクター;エボラウイルス糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクター;インフルエンザウイルス性Sタンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクター;RSV糖タンパク質相互作用ポリペプチド又はその断片若しくは機能的誘導体をコードするベクター;又はそれらの組み合わせを含む治療であり得るポリヌクレオチドベースの治療を含む。
【0542】
いくつかの実施形態では、治療は、1つ又は複数の疾患薬剤薬物、例えば1つ又は複数の抗ウイルス性薬剤薬物を含む。任意のこれらの疾患治療が含まれ得る。任意のこれらの疾患治療を除外することができる。これらの治療の組み合わせも投与され得る。
【0543】
本明細書で提供される治療は、第1の疾患治療(例えば、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)及び1つ又は複数の追加の疾患治療(例えば、抗ウイルス性薬剤薬物)などの治療組成物の組み合わせの投与を含み得る。治療は、当分野において公知である任意の適切な方法で投与することができる。例えば、治療は、連続的に(異なる時間に)又は同時期に(同じ時に、又はほぼ同じ時に;また「同時に」又は「実質的に同時に」)投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は、別個の組成物で投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は同じ組成内であり得る。異なる治療は、1つの組成物で、又は1つよりも多くの組成物、例えば2つの組成物、3つの組成物、又は4つの組成物で投与され得る。薬剤の様々な組み合わせが使用され得る。
【0544】
いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)と、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物とは、実質的に同時に投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)と、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物とは、連続的に投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物を投与する前に投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物を投与した後に投与される。
【0545】
いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、対象に1回送達される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、対象に複数回(1日1回、1日1回超、週1回、週1回超、月1回、月1回超、年1回、又は年1回超など)送達される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象に複数回投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象に1回投与される。複数の処置は、同じ製剤及び/又は投与経路(複数可)を有していてもよく、又は有していなくてもよい。
【0546】
いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、疾患、例えばウイルス感染症及び/又はウイルス感染後症候群の発症後に送達される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、疾患、例えばウイルス感染症及び/又はウイルス感染後症候群の発症前に送達される。
【0547】
A.担体
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む有効量の1つ又は複数の組成物が、薬学的に許容され得る担体中に溶解又は分散されている。「薬学的」及び「薬理学的に許容され得る」という語句は、本明細書では互換的に使用され、必要に応じて対象、例えばヒトに投与した場合に有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を引き起こさず、本開示の治療方法を妨げない分子実体及び組成物を指す。ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などの少なくとも1つのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び/又は追加の有効成分を含有する医薬組成物の調製は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.Lippincott Williams and Wilkins,2005(具体的にその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)によって例示されるように、本開示に照らして当業者に知られている。さらに、対象への投与のために、製剤は、FDA Office of Biological Standardsによって要求される無菌性、発熱原性、一般的な安全性及び純度基準を満たすべきであることが理解されよう。
【0548】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」は、当業者に知られているように(例えば、具体的にその全体で参照によって本明細書中に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照)、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、矯味矯臭剤、色素などの同様の材料及びそれらの組み合わせを含む。任意の従来の担体が有効成分と適合しない場合を除いて、医薬組成物におけるその使用が企図される。ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、固体、液体又はエアロゾルの形態で投与されるかどうか、及び注射など、そのような投与経路のために滅菌されている必要があるかどうかに応じて、異なる種類の担体を含み得る。
【0549】
さらに本開示によれば、投与に適した本開示の組成物は、不活性希釈剤を含む又は含まない薬学的に許容され得る担体中で提供され得る。担体は同化可能であるべきであり、液体、半固体、すなわちペースト、又は固体担体を含む。任意の従来の媒体、薬剤、希釈剤又は担体がレシピエント又はその中に含有される組成物の治療有効性に有害である場合を除いて、本開示の方法を実施する際のその使用は適切である。担体又は希釈剤の例としては、脂肪、油、水、生理食塩水、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤、アルコールなど、又はそれらの組み合わせが挙げられる。組成物はまた、1つ又は複数の成分の酸化を遅らせるための様々な酸化防止剤を含んでもよい。さらに、微生物の作用の防止は、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な抗菌剤及び抗真菌剤などの保存剤によってもたらされ得る。
【0550】
本開示によれば、組成物は、任意の簡便かつ実用的な方法で、すなわち溶液、懸濁液、乳化、混合、カプセル化、吸収などによって担体と組み合わされる。そのような手順は、当業者にとって日常的である。ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、凍結乾燥され得る。
【0551】
本開示の特定の実施形態では、組成物は、半固体又は固体担体と完全に混合又は混合される。混合は、粉砕などの任意の好都合な方法で行うことができる。組成物を治療活性の喪失、すなわち胃における変性から保護するために、安定剤を混合プロセスに添加することもできる。組成物に使用するための安定剤の例としては、緩衝剤、グリシン及びリシンなどのアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなどの炭水化物が挙げられる。
【0552】
さらなる実施形態では、本開示は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、1つ又は複数の脂質、及び水性溶媒を含む組成物を組み込んだ医薬脂質ビヒクル組成物の使用を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語「脂質」は、特徴的に水に不溶性であり、有機溶媒で抽出可能な広範囲の物質のいずれかを含むと定義される。この広範なクラスの化合物は当業者には広く知られており、「脂質」という用語が本明細書で使用される場合、それはいかなる特定の構造にも限定されない。例としては、長鎖脂肪族炭化水素及びそれらの誘導体を含有する化合物が挙げられる。脂質は、天然に存在するものであってもよく、又は合成のもの(すなわち、人によって設計又は製造される)であってもよい。しかしながら、脂質は、通常、生体物質である。生物学的脂質はこの技術分野において広く知られており、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド、エーテル及びエステル結合脂肪酸を有する脂質並びに重合性脂質、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。もちろん、脂質として当業者によって理解される本明細書中に具体的に記載されるもの以外の化合物も、本開示の組成物及び方法に包含される。
【0553】
当業者は、脂質ビヒクル中に組成物を分散させるために使用することができる技術の範囲に精通しているであろう。例えば、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、当業者に公知の任意の手段によって、脂質を含有する溶液中に分散され得るか、脂質と溶解され得るか、脂質と乳化され得るか、脂質と混合され得るか、脂質と組み合わされ得るか、脂質と共有結合され得るか、脂質中に懸濁液として含有され得るか、ミセル若しくはリポソームと含有若しくは複合体化され得るか、又はそれ以外の方法で脂質若しくは脂質構造と会合し得る。分散は、リポソームの形成をもたらしてもよいし、もたらさなくてもよい。
【0554】
ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、遊離塩基、中性又は塩の形態で組成物に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、例えばタンパク質性組成物の遊離アミノ基で形成されるもの、又は無機酸、例えば塩酸若しくはリン酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸などの有機酸で形成されるものが含まれる。遊離カルボキシル基で形成された塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化第二鉄;又はイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン若しくはプロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。製剤化すると、溶液は、投与製剤と適合する様式で、治療上有効な量で投与される。製剤は、注射用溶液などの非経口投与のために製剤化されたもの、又は肺への送達のためのエアロゾル、又は薬物放出カプセルなどの消化管投与のために製剤化されたものなどの様々な剤形で容易に投与される。
【0555】
B.投与経路
本開示の治療剤は、同じ投与経路又は異なる投与経路によって投与され得る。組成物の投与経路は、例えば、鼻腔内、静脈内、脳内、頭蓋内、筋肉内、皮下、局所、経口、粘膜、皮内、経皮、腹腔内、動脈内、眼窩内、移植による、膣内、直腸内、クモ膜下腔内、関節内、脳室内、又は滑液包内;吸入による、注射、注入、持続注入、局所灌流浴標的細胞を直接、カテーテルを介する、洗浄を介する;クリーム又は脂質組成物中(例えば、リポソーム);当業者に知られているような他の方法又は前述の任意の組み合わせによるものであり得る(例えば、その全体で具体的に参照によって本明細書中に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990を参照)。
【0556】
いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物(複数可)は、全身的又は局所的に送達される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、吸入によって送達される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、鼻腔内に送達される。
【0557】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるような、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、A.L.Lewis and J.Richard,Therapeutic Delivery 6(2):149-163(2015)(その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる)で説明されるように、インビボでの安定性及び/又は細胞による取り込み若しくは吸収を増強するように製剤化され得る。例えば、組成物は、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞による吸収を増加させるために、吸収促進剤、例えばアシルカルニチン、オクタン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、SNAC、SNAD、5-CNACと共に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、インビボでの安定性及び/又は細胞による取り込み若しくは吸収を増強するための製剤は、組成物の投与経路、例えば鼻腔内、経口、又は注射に依存する。
【0558】
1.非経口経路
したがって、いくつかの実施形態では、組成物(複数可)は、非経口経路を介して投与され得る。本明細書において使用される場合、用語「非経口」は、消化管を迂回する経路を含む。具体的には、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、限定するものではないが、眼窩後、脳内、頭蓋内、静脈内、皮内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、皮下、又は腹腔内に投与され得る。米国特許第6,737,514号、同第6,613,308号、同第5,466,468号、同第5,543,158号;同第5,641,515号;及び同第5,399,363号(各々、その全体で具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0559】
遊離塩基又は薬理学的に許容され得る塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中及び油中で調製され得る。保存及び使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。注射用途に適した医薬形態には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる(例えば、その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,466,468号を参照)。すべての場合において、形態は無菌でなければならず、容易な注入性が存在する程度まで流動性でなければならない。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(すなわち、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び/又は植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0560】
水溶液での非経口投与の場合、例えば、溶液は、必要に応じて適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤は、まず十分な生理食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適している。これに関連して、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1つの投与量を等張性NaCl溶液に溶解し、提案された注入部位に注射してもよい(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15版、1035~1038頁及び1570~1580頁を参照)。処置される対象の症状に応じて、投与量のいくらかのバリエーションが必然的に生じるであろう。投与の責任者は、いずれにせよ、個々の対象に対する適切な用量を決定する。さらに、ヒト投与のために、製剤は、FDA Office of Biologics standardsによって要求される無菌性、発熱原性、並びに一般的な安全性及び純度基準を満たすべきである。
【0561】
滅菌注射液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した様々な他の成分と共に適切な溶媒に組み込み、続いて例えば濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散液は、様々な滅菌された有効成分を、基本的な分散媒体及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分+任意の追加の所望の成分の粉末をその以前に滅菌濾過された溶液から得る真空乾燥及び凍結乾燥技術である。粉末化された組成物は、安定化剤とともに又は伴わずに、液体担体、例えば、水又は生理食塩水と組み合わされる。
【0562】
2.消化管経路
本開示の特定の実施形態において、組成物は、消化管経路を介して投与されるように製剤化される。消化管経路には、組成物が消化管と直接接触している全ての可能な投与経路が含まれる。具体的には、本明細書に開示される医薬組成物は、経口投与、口腔投与、直腸投与、又は舌下投与することができる。したがって、これらの組成物は、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体と共に製剤化されてもよく、又は硬殻若しくは軟殻ゼラチンカプセルに封入されてもよく、又は錠剤に圧縮されてもよく、又は食事の食物に直接組み込まれてもよい。
【0563】
ある特定の実施形態において、活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハなどの形態で使用され得る(Mathiowitz et al.,1997;Hwang et al.,1998;米国特許番号5,641,515;5,580,579及び5,792,451、各々、その全体で具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる)。錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、結合剤、例えば、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン又はそれらの組み合わせ;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム又はそれらの組み合わせなど;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸又はそれらの組み合わせ;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど;甘味剤、例えばスクロース、ラクトース、サッカリン又はそれらの組み合わせ;矯味矯臭剤、例えばペパーミント、冬緑油、サクランボ風味、オレンジ風味などを含有してもよい。投薬単位形態がカプセルである場合、それは、上記の種類の材料に加えて、液体担体を含み得る。様々な他の材料が、コーティングとして、又は他の方法で投与単位の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセルは、シェラック、糖、又はその両方でコーティングされ得る。剤形がカプセルである場合、それは、上記の種類の材料に加えて、液体担体などの担体を含み得る。ゼラチンカプセル、錠剤又は丸剤は、腸溶性にコーティングされ得る。腸溶性コーティングは、pHが酸性である胃又は上部腸における組成物の変性を防止する。例えば、米国特許第5,629,001号を参照。小腸に到達すると、その中の塩基性pHはコーティングを溶解し、組成物が放出され、特殊な細胞、例えば上皮腸細胞及びパイエル板M細胞によって吸収されることを可能にする。エリキシルのシロップは、甘味剤としての活性化合物スクロース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、色素、並びにサクランボ又はオレンジ風味などの香味料を含有し得る。当然のことながら、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、持続放出製剤及び製剤に組み込むことができる。
【0564】
経口投与の場合、組成物(複数可)は、代替的に、マウスウォッシュ、歯磨き剤、口腔錠剤、経口スプレー、又は舌下経口投与製剤の形態で1つ又は複数の賦形剤と共に組み込まれてもよい。例えば、ホウ酸ナトリウム溶液(Dobellの溶液)などの適切な溶媒中に必要量の有効成分を組み込んだマウスウォッシュを調製してもよい。あるいは、有効成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリン及び重炭酸カリウムを含有するものなどの経口溶液に組み込まれてもよく、又は歯磨き剤に分散されてもよく、又は水、結合剤、研磨剤、矯味矯臭剤、発泡剤及び湿潤剤を含み得る組成物に治療有効量で添加されてもよい。あるいは、組成物は、舌の下に配置され得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤又は溶液形態に成形され得る。
【0565】
他の様式の消化管投与に適したさらなる製剤には、坐剤が含まれる。坐剤は、直腸に挿入するための、通常は薬用の、様々な重量及び形状の固体剤形である。挿入後、坐剤は軟化するか、融解するか、又は空洞液に溶解する。一般に、坐剤の場合、従来の担体は、例えば、ポリアルキレングリコール、トリグリセリド又はそれらの組み合わせを含み得る。ある特定の実施形態において、坐剤は、例えば、約0.5%~約10%(重量基準)、好ましくは約1%~約2%(重量基準)の範囲の有効成分を含有する混合物から形成され得る。
【0566】
3.種々の経路
本開示の他の実施形態では、組成物(複数可)は、様々な種々の経路を介した投与、例えば、吸入による投与、局所(すなわち、経皮)投与、及び/又は粘膜投与(鼻腔内、膣内など)のために製剤化され得る。
【0567】
ある特定の実施形態において、医薬組成物(複数可)は、点眼剤、鼻腔内スプレー、吸入、及び/又は他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。経鼻エアロゾルスプレーを介して組成物を肺に直接送達する方法は、例えば、米国特許第5,756,353号及び同第5,804,212号に記載されている(各々、その全体で具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる)。同様に、鼻腔内微小粒子樹脂(例えば、Takenagaら、1998年を参照)及びリゾホスファチジル-グリセロール化合物(例えば、その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,725,871号を参照)を使用する薬物の送達もまた、製薬分野において周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態の経粘膜薬物送達は、例えば、米国特許第5,780,045号に記載されている(その全体が具体的に参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0568】
エアロゾルという用語は、液化又は加圧ガス噴射剤中に分散された液体粒子の微細に分割された固体のコロイド系を指す。吸入のための本開示の典型的なエアロゾルは、液体噴射剤中の有効成分の懸濁液又は液体噴射剤と適切な溶媒との混合物からなる。好適な噴射剤としては、炭化水素及び炭化水素エーテルが挙げられる。適切な容器は、噴射剤の圧力要件に応じて変化する。エアロゾルの投与は、対象の年齢、体重、並びに症候の重症度及び応答に応じて変化する。
【0569】
局所投与のための医薬組成物は、軟膏、ペースト、クリーム又は粉末などの医薬用途のために製剤化された活性化合物を含み得る。軟膏は、局所適用のためのすべての油性、吸着性、エマルション及び水溶性ベースの組成物を含むが、クリーム及びローションは、エマルション基剤のみを含む組成物である。局所投与される薬剤薬物は、皮膚を通じた有効成分の吸着を促進するための浸透増強剤を含有し得る。適切な浸透増強剤としては、グリセリン、アルコール、アルキルメチルスルホキシド、ピロリドン及びルアロカプラムが挙げられる。局所適用のための組成物のための可能な基剤としては、ポリエチレングリコール、ラノリン、コールドクリーム及びワセリン、並びに任意の他の適切な吸収性、エマルション又は水溶性軟膏基剤が挙げられる。局所製剤はまた、有効成分を保存し、均質な混合物を提供するために、必要に応じて乳化剤、ゲル化剤、及び抗菌保存剤を含み得る。本開示の経皮投与は、「パッチ」の使用も含み得る。例えば、パッチは、1つ又は複数の活性物質を所定の速度で一定期間にわたって連続的に供給することができる。
【0570】
C.投与
対象に投与される本開示の組成物(複数可)の適切な投与量は、体重、重症度及び症状の経過、処置される疾患の種類、個体の臨床的症状、以前の又は同時期の治療的介入、個体の臨床歴及び処置に対する応答、対象の特発性疾患、投与経路、及び主治医の裁量などの物理的及び生理学的要因によって決定することができる。投与量及び投与経路に応じて、好ましい投与量及び/又は有効量の投与回数は、対象の応答に従って変動し得る。投与を担当する医師は、いずれにせよ、組成物中の有効成分(複数可)の濃度及び個々の対象に対する適切な用量(複数可)を決定する。
【0571】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、例えば、最大で又は少なくとも約0.000001~最大で又は少なくとも約10%(重量基準)の活性化合物を含み得る。他の実施形態では、活性化合物は、単位の重量の約0.001%~約1%、又は例えば約0.01%~約0.1%、及びその中の誘導可能な任意の範囲を含み得る。当然のことながら、各治療的に有用な組成物中の活性化合物(複数可)の量は、化合物の任意の所与の単位用量で適切な投与量が得られるように調製され得る。溶解度、生物学的利用能、生物学的半減期、投与経路、製品貯蔵寿命、並びに他の薬理学的考慮事項などの要因は、そのような医薬製剤を調製する当業者によって企図され、したがって、様々な投与量及び治療計画が望ましい場合がある。
【0572】
処置は、様々な「単位用量」を含み得る。単位用量は、所定量の治療用組成物を含むと定義される。投与される量、並びに特定の経路及び製剤は、臨床分野の当業者の決定の技能の範囲内である。単位用量は、単回注射として投与される必要はないが、設定期間にわたる持続注入を含んでもよい。いくつかの実施形態において、単位用量は、単回投与可能な用量を含む。
【0573】
投与される量は、処置回数及び単位用量の両方に応じて、所望の処置効果に依存する。有効用量は、特定の効果を達成するのに必要な量を指すと理解される。さらに、そのような用量は、1日、及び/又は複数の日、週、若しくは月の間に複数回に投与することができる。
【0574】
いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療の単回用量が投与される。いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療の複数回用量が投与される。いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療の有効用量が投与される。いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、少なくとも、最大で、又は約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、及び200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日、若しくはmg/日、又はその中の誘導可能な任意の範囲若しくは値の用量で投与される。ある特定の実施形態において、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療の有効用量は、約、少なくとも約、又は最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100μM又はその中の誘導可能な任意の範囲の血中レベルを提供し得るものである。ある特定の実施形態において、対象に投与されるタンパク質相互作用ポリペプチド治療、例えば、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療は、体内で代謝されて、代謝された治療剤になり、この場合、血中レベルは、その薬剤の量を指し得る。あるいは、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療が対象によって代謝されない限り、本明細書で論じられる血中レベルは、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などの非代謝タンパク質相互作用ポリペプチド治療を指し得る。
【0575】
いくつかの実施形態では、コロナウイルスSタンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチドの単回用量が投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの複数の用量が投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有効用量が投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象の体重kg当たり少なくとも、最大で、又は約1x108、1x109、1x1010、1x1011、1x1012、1x1013、1x1014、1x1015、1x1016、1x1017、又は1x1018ポリヌクレオチドコピー、又はその中の誘導可能な任意の範囲若しくは値の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1x108~1x1018ポリヌクレオチドコピーの間の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1x1011~1x1014ポリヌクレオチドコピーの間の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1x1012~1x1015ポリヌクレオチドコピーの間の用量で投与される。
【0576】
いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ベクター内に含まれる。いくつかの実施形態では、ウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチド治療などのタンパク質相互作用ポリペプチド治療をコードするポリヌクレオチド、又はウイルス性タンパク質相互作用ポリペプチドなどのタンパク質相互作用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターの有効用量が投与される。いくつかの実施形態では、ベクターは、対象の体重kg当たり少なくとも、最大で、又は約1x108、1x109、1x1010、1x1011、1x1012、1x1013、1x1014、1x1015、1x1016、1x1017、又は1x1018ベクターコピー、又はその中の誘導可能な任意の範囲若しくは値の用量で投与される。いくつかの実施形態では、ベクターは、対象の体重kg当たり1×108~1×1018ベクターコピーの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ベクターは、対象の体重kg当たり1×1011~1×1014ベクターコピーの用量で投与される。いくつかの実施形態では、ベクターは、対象の体重kg当たり1×1012~1×1015ベクターコピーの用量で投与される。
【0577】
いくつかの実施形態では、単回用量の1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物が投与される。いくつかの実施形態では、複数回用量の1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物が投与される。いくつかの実施形態では、有効用量の1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物が投与される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物は、少なくとも、最大で、又は約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、及び200、300、400、500、1000μg/kg、mg/kg、μg/日、若しくはmg/日、又はその中の誘導可能な任意の範囲若しくは値の用量で投与される。ある特定の実施形態において、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物の有効用量は、約、少なくとも約、又は最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100μM又はその中の誘導可能な任意の範囲の血中レベルを提供し得るものである。ある特定の実施形態において、対象に投与される1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物は、体内で代謝されて、代謝された治療剤になり、この場合、血中レベルは、その薬剤の量を指し得る。あるいは、1つ又は複数の追加の疾患薬剤薬物が対象によって代謝されない程度まで、本明細書で論じられる血中レベルは、非代謝疾患薬剤薬物を指し得る。
【0578】
いくつかの実施形態では、ヒトに投与される組成物の治療有効量又は十分な量は、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、患者の体重kg当たり約0.01~約50mgの範囲である。いくつかの実施形態では、使用される治療は、例えば、約0.01~約45mg/kg、約0.01~約40mg/kg、約0.01~約35mg/kg、約0.01~約30mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.01~約20mg/kg、約0.01~約15mg/kg、約0.01~約10mg/kg、約0.01~約5mg/kg、又は約0.01~約1mg/kgで毎日投与される。1つの実施形態において、本明細書中に記載される治療は、21日間サイクルの1日目に、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg又は約1400mgの用量で対象に投与される。用量は、単回用量として、又は複数回用量(例えば、2回又は3回の投与)として、注入などで投与され得る。この治療の進行は、従来の技術によって容易に監視される。
【0579】
治療用組成物の正確な量はまた、施術者の判断に依存し、各個体に特有である。用量に影響する因子には、患者の身体的及び臨床的状態、投与経路、処置の意図された目標(症候の緩和対治癒)、並びに対象が受け得る特定の治療物質又は他の治療の効力、安定性及び毒性が含まれる。
【0580】
μg/kg体重又はmg/kg体重の投与単位を変換して、μg/ml又はmM(血中レベル)の同等の濃度単位で表すことができることが、当業者によって理解され、認識されるであろう。取り込みは、種及び器官/組織に依存することも理解される。取り込み及び濃度測定に関して行われる適用可能な転換係数及び生理学的仮定は周知であり、当業者が1つの濃度測定値を別のものに変換し、本明細書中に記載される用量、有効性及び結果に関して合理的な比較及び結論を下すことを可能にする。
【0581】
VI.キット
本開示の特定の態様はまた、本開示の組成物又は本開示の方法を実施するための組成物を含有するキットに関する。いくつかの実施形態では、キットを使用して、試料中のウイルスを中和することができる。ある特定の実施形態において、キットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、500、1,000若しくはそれよりも多くのプローブ、プライマー若しくはプライマーセット、合成分子若しくは阻害剤、又はその中の誘導可能な任意の値若しくは範囲及び組み合わせを包含するか、少なくとも包含するか、又は最大で包含する。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示されるポリペプチドを含むウイルススパイクタンパク質などの1つ又は複数のウイルスタンパク質と相互作用することができる1つ又は複数のポリペプチドを含む。例えば、キットは、ウイルススパイクタンパク質などのウイルスタンパク質と相互作用して中和する、本明細書に開示される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれよりも多くのポリペプチドを含み得る。
【0582】
キットは、チューブ、ボトル、バイアル、シリンジ、又は他の適切な容器手段などの容器に個別に包装又は配置され得る成分を含み得る。
【0583】
個々の成分はまた、キットに濃縮量で提供され得る。いくつかの実施形態では、成分は、他の成分を含む溶液中に存在するのと同じ濃度で個別に提供される。成分の濃度は、1倍、2倍、5倍、10倍又は20倍以上として提供され得る。
【0584】
予後診断又は診断用途のための本開示のプローブ、合成核酸、非合成核酸、合成ポリペプチド、非合成ポリペプチド、及び/又は阻害剤を使用するためのキットが、本開示の一部として含まれる。特定の態様では、陰性及び/又は陽性対照核酸、ポリペプチド、プローブ、及び阻害剤がいくつかのキット実施形態に含まれる。
【0585】
キットは、使用説明書をさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットは試料中のウイルス抗体を検出するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、試料中のウイルスを中和するための説明書を含む。
【0586】
本明細書中に記載される任意の方法又は組成物は、本明細書中に記載される任意の他の方法又は組成物に関して実施することができ、異なる実施形態を組み合わせることができると考えられる。出願当初の特許請求の範囲は、任意の出願された特許請求の範囲又は出願された特許請求の範囲の組み合わせに多重に依存する特許請求の範囲を包含することが意図される。
【実施例】
【0587】
下記の実施例は、本開示の様々な実施形態を明らかにするために含まれる。下記の実施例において開示される技術は、本開示の実施において十分に機能することが本発明者らによって見出される技術を表すことが、当業者によって理解されなければならない。しかしながら、当業者は本開示に照らして、多くの変化を、開示される具体的な実施形態において行うことができ、また、多くの変化が依然として、同じような結果または類似する結果を本開示の精神および範囲から逸脱することなくもたらし得ることを理解しなければならない。
【0588】
実施例1
ポリペプチドに基づく阻害の概念
ウイルス糖タンパク質(例えば、膜融合タンパク質)、例えば、コロナウイルススパイクタンパク質、HIV-1 gp160、エボラGP、およびインフルエンザウイルスHAなどは、ウイルスエンベロープの表面におけるオリゴマー状のクラスI膜貫通糖タンパク質である。
【0589】
コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質は、N端側S1領域と、C端側S2領域とを生じさせるように切断される(
図1A)。N端側S1領域は、N端側ドメイン(NTD)と、細胞表面受容体への付着に関わる受容体結合ドメイン(RBD)とを含有しており、C端側S2領域は三量体化して、主にウイルスエンベロープの宿主膜との融合を誘導するための細長い「ステム」ドメインを、大規模な立体配座変化を介して形成する
17~20。S1領域は、自然感染またはワクチン接種によって誘発される中和抗体のための主標的であり、したがって、逃避バリアントのための絶え間ない正の選択を受けている。例えば、COVID-19の襲来以降、B.1.1.7バリアント株、B.1.351バリアント株、P.1バリアント株、B.1.617.2バリアント株およびC.37バリアント株(
図1A)を含めて、広範な変異を有するSARS-CoV-2の6つの主要なバリアントが出現している。SARS-CoV-2スパイク(SARS2-S)タンパク質における変異はS1領域に集中している(
図1A)。他方で、オリゴマー化および膜融合に関わるC端側S2領域は、異なるコロナウイルス株の間においてより保存されている。SARS2-Sと同様に、HIV-1 gp160、エボラGP、およびインフルエンザウイルスHAはすべてが、受容体結合に関わるN端側球状ドメインと、主に膜融合のためのC端側の細長いドメインとをもたらすように切断される。
【0590】
宿主細胞内に進入すると、ウイルスゲノムはリボソームによる新しいコロナウイルススパイクタンパク質の合成を導き、その後、新しいスパイクタンパク質は折り畳まれ、組み立てられ、小胞体(ER)膜の中への移行を受け、その後で、新しいスパイクタンパク質はERを通過して、新しいビリオンを産生させるための新たに複製されたゲノムRNAとの相互作用のためのゴルジ体の中間区画に達する。
【0591】
理論によってとらわれることを望まないが、天然型の野生型スパイクタンパク質と同じオリゴマー界面を維持する、コロナウイルススパイクタンパク質の断片を含むポリペプチド、例えば、SARS2-SのS2領域に由来するポリペプチドは、このポリペプチドが天然型の野生型スパイクタンパク質とオリゴマー形成したときには、天然型の野生型スパイクタンパク質との非天然型タンパク質複合体を形成することができる。例えば、野生型SARS2-S S2領域と同じオリゴマー界面を含むSARS2-S S2領域のセグメントを含むポリペプチドは、野生型SARS2-SとS2領域で競合することによって、野生型SARS2-Sとの非天然型タンパク質複合体を形成することができる。同様に、HIV-1のgp160膜融合ドメイン、エボラGP膜融合ドメインおよびインフルエンザウイルスHA膜融合ドメインのセグメントを含み、かつ野生型タンパク質と同じオリゴマー界面を含むポリペプチドは、このポリペプチドと、野生型タンパク質とのオリゴマー形成界面において野生型タンパク質との非天然型タンパク質複合体を形成することができる。これらの緩く詰め込まれた非天然型タンパク質複合体は品質管理システムにひっかかり、非天然型タンパク質複合体のプロテアソーム分解を生じさせるであろう。正味の結果が、宿主細胞膜の表面における、および新たに生じたウイルス子孫のエンベロープの表面におけるウイルスタンパク質の著しく低下した量であり、したがって、新たに生じたウイルス子孫の感染力を損なわせることである(
図1B)。また、保存されたS2領域または他の保存されたウイルス糖タンパク質領域の断片を含むポリペプチドは、変異に対する耐性が大きくなっているであろうし、ウイルスの異なる系統に対して潜在的に「万能」であり得るであろう(すなわち、汎ウイルス阻害剤となり得るであろう)。
【0592】
この「ポリペプチドに基づく阻害」戦略を検証するために、2つのポリペプチド、すなわち、CoV-F1(本明細書中以下ではF1;配列番号43)およびCoV-F2(本明細書中以下ではF2;配列番号44)(
図1A、
図3A、
図16A、
図16B)を、SARS2-SのS2タンパク質配列から導き、作製した。F1(配列番号2)は野生型SARS2-Sの残基911~1273を包含し、野生型SARS2-Sの残基985~1273を含むF2(配列番号27)よりもわずかに長い。両方のポリペプチドは、同定を容易にするためのC端でのFLAGエピトープと、細胞表面移行のための野生型SARS2-S由来のN端でのシグナルペプチド(SP)とを含有する。
【0593】
実施例2
F1ポリペプチドは多数のコロナウイルススパイク糖タンパク質の発現および表面移行を強力に阻害する
SARS2-Sタンパク質の発現および原形質膜への細胞表面移行に対するF1およびF2の影響を詳しく調べた。SARS2-Sをコードするプラスミドの一過性トランスフェクションは、HEK293T全細胞溶解物において検出されるタンパク質の良好なレベルをもたらし、発現タンパク質のほとんどが切断された(
図2A)。SARS2-Sタンパク質のこの高効率切断はS1/S2境界における新規な多塩基切断部位と一致した
17、18、24、25。そのうえ、切断されたSARS2-Sタンパク質のS2断片のみがビオチンによって標識され、抗ビオチン抗体によって親和性精製され、細胞表面画分において検出され(
図2A)、このことから、適切に切断されたSARS2-Sタンパク質のみが細胞表面に移行したことが示唆された。F1をコードするプラスミドが、SARS2-Sをコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときには、2倍のモル比においてさえ、SARS2-Sの優勢な切断型S2バンドが全細胞溶解物において、また、細胞表面画分においてほぼ完全に減少した(
図2A)。したがって、F1はSARS2-Sの発現および細胞表面移行を強く阻害した。
【0594】
COVID-19 SARS-CoV-2のほかに、過去20年において、コロナウイルスが原因である2つの他の大きな脅威を目のあたりにしている:SARS-CoVが原因である2002年~2003年の大流行、およびMERS-CoV1が原因である2012年~2014年の大流行
1、2。これらのコロナウイルスからのスパイク糖タンパク質の間における、COVID-19 SARS2-Sとの配列比較により、幅広い範囲の配列同一性レベルが明らかにされた(
図3、
図4)。スパイクタンパク質のN端側S1領域、とりわけNTBドメインは非常に変化しやすく、一方、C端側S2領域、特にF1ポリペプチドに含まれる領域はこれらのタンパク質の間で高度に保存されている。例えば、2002年型SARS-CoVスパイクタンパク質(SARS-S)は、全長COVID-19 SARS2-Sとの77%のアミノ酸配列同一性を共有する(
図3A、
図4A)。SARS2-S F1ポリペプチドに含まれる領域(残基911~1273)のみを比較すると、同一残基は94%に増大する(
図3A、
図4B)。MERSスパイクタンパク質(MERS-S)は全長SARS2-Sとのほんの35%にすぎないアミノ酸配列同一性を共有し、SARS2-S F1ポリペプチドとの42%のアミノ酸配列同一性を共有する(
図3B、
図4)。その結果、これらのスパイクタンパク質を、アミノ酸変異に対するF1誘導阻害の感受性を調べるために使用した。
【0595】
F1をコードするプラスミドを2倍モル比で用いた場合でさえ、切断された全長SARS-Sおよび全長MERS-Sのバンドならびに切断型S2バンドが全細胞溶解物において、また、細胞表面画分においてほぼ完全に減少した(
図2B~
図2C)。したがって、配列同一性がより低いにもかかわらず、F1はまた、SARS-S糖タンパク質およびMERS-S糖タンパク質の適切な組み立てならびに細胞表面への移行を強く妨害する。
【0596】
加えて、F1によって示される頑強な阻害活性(
図2)と一致して、高レベルのF1が細胞表面画分において一貫して検出され(
図5)、しかし、低レベルにすぎないF2が細胞表面画分において検出された(
図5A)。理論によってとらわれることを望まないが、F2は、F1と比較して(
図1A)、N端における欠いた74残基によって不安定化されるかもしれず、このことは、
図2Aに示されるように、F2の干渉がないことと一致している。
【0597】
実施例3
F1はタンパク質レベルでコロナウイルススパイクタンパク質と相互作用する
SARS2-Sの発現および移行のF1媒介阻害の機構を調べるために、本発明者らは、COVID-19 SARS2-SのmRNAレベル(
図6A)およびF1またはF2のmRNAレベル(
図7A)、2002年型SARS-SのmRNAレベル(
図6B)およびF1のmRNAレベル(
図7B)、ならびに2012年型MERS-SのmRNAレベル(
図6C)およびF1のmRNAレベル(
図7C)を分析した。F1またはF2をコードするプラスミドの存在はコロナウイルススパイクタンパク質のmRNAレベルを有意に変化させず、コロナウイルススパイクタンパク質のmRNAレベルは、それぞれのコロナウイルススパイクタンパク質のみをコードするプラスミドによりトランスフェクションされる試料と比較して、比較的一定のレベル(50%~150%の間)で保たれた(
図6)。F1のmRNAレベルは、内因性GAPDHに対して正規化されたときには2
6.5~2
12の程度であり(
図7)、このことは、F1媒介阻害の高い効力と一致した。F2のmRNAレベルはF1のmRNAレベルと同程度であった。理論によってとらわれることを望まないが、このことはさらに、に対するF2の阻害がないことが、
図5Aにおけるウエスタンブロット結果によって示唆されるように、合成されたF2ポリペプチドの不安定性に起因するという考えを裏づけている。これらのデータは、様々なコロナウイルススパイク糖タンパク質のF1媒介阻害がmRNAレベルでなかったことを示唆している。
【0598】
本発明者らは次に、F1媒介阻害が、非天然型オリゴマータンパク質複合体を細胞内で形成するために、SARS2-Sタンパク質との直接的な相互作用を介して、すなわち、SARS2-Sタンパク質との競合を介してタンパク質レベルであるかどうかを調べた。SARS2-SおよびF1をそれぞれ、C末端先端においてモノマー型の緑色蛍光タンパク質(GFP)バリアントにより、すなわち、SARS2-SについてはCFPによりタグ標識し(SARS2C)、F1についてはYFPによりタグ標識した(F1Y)(
図6D)。SARS2Cおよび/またはF1Yをコードするプラスミドを使用して、HEK293T細胞プラスミドを(1:1のモル比で)一過性にトランスフェクションし、トランスフェクション後48時間で、CFPとYFPとの間での蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を、三キューブアプローチを使用してモニターした
14。F1を受け入れているプラスミドがSARS2-S運搬プラスミドとともに共トランスフェクションされたときには、2倍のモル比においてさえ、優勢な切断型S2バンドがほぼ完全に減少したという事実にもかかわらず(
図2A)。SRARS2CおよびF1Yによって形成される非天然型オリゴマーは非常に不安定であると予想されたにもかかわらず、(共トランスフェクションにおいて1:1のモル比での)SARS2Cタンパク質とF1Yポリペプチドとの間におけるFRETシグナルが頑強に検出され、この場合、SARS2CとF1Yとの間におけるFRET比が、F1Yのみの対照よりも有意に大きかった(対応のないt検定においてp<0.0001、
図6E)。このことは、
図1Bに図示されるように、SARS2-Sタンパク質とF1ポリペプチドとの間における直接的なタンパク質-タンパク質相互作用および非天然型オリゴマーの形成を裏づけている。
【0599】
実施例4
ミニサークルから発現されるF1ポリペプチドはコロナウイルススパイク糖タンパク質の発現および表面移行を強力に阻害する
2002年~2022年の間における重篤な大流行または世界的流行を引き起こしたヒトコロナウイルスからのスパイク糖タンパク質の発現および表面移行を阻害することにおけるF1の高い効力は、F1が、長期間にわたる異なるコロナウイルス系統に対する効果的な治療剤として有望であることを示唆している。したがって、本発明者らは、F1を治療目的のために送達するための便利な方法を特定しようとした。F1は直接的にその標的スパイクタンパク質と相互作用して、タンパク質の合成および折り畳みに付随する非天然型オリゴマーを形成するので、いくつかの実施形態において、F1コード遺伝子が作用部位に送達される。
【0600】
ミニサークルは、遺伝子治療のための新しく開発されたDNAキャリアの一タイプである26。ミニサークルの主な特徴には、ウイルスまたは細菌の遺伝子エレメントが最小限であるクリーンな遺伝子バックグラウンド、ゲノム組み込みまたは炎症の危険性がほとんどない~全くない、および持続した高レベルのタンパク質発現が含まれ、また、ミニサークルの小さいサイズは細胞進入を大幅に容易にする場合があり、かつ/または薬物送達のためのエアロゾルの使用を可能にする場合がある27。後者は、コロナウイルスによって引き起こされる呼吸器疾患に対する明確な利点であるかもしれない。
【0601】
F1ミニサークルを、F1コード配列を改変された親ミニサークルクローニングベクターpMC.CMV-MCS-SV40polyA(
図8A)に挿入することによって作製し、下記糖タンパク質の発現および表面移行を阻害することにおけるその有効性を調べた:COVID-19 SARS2-S糖タンパク質(
図8B)、2002年型SARS-S糖タンパク質(
図8C)、および2012年型MERS-S糖タンパク質(
図8D)。ミニサークルが使用されない対照と比較して、F1ミニサークルの存在は4.5倍のモル比において、3つすべてのスパイクタンパク質の細胞表面移行をほぼ完全に消失させた(
図8B~
図8D)。重要なことに、このレベルの強力な干渉が、コロナウイルススパイクタンパク質をコードする遺伝子を受け入れているpcDNA3.1系プラスミドがHEK293T細胞において効率的に複製されたが、一方、F1ミニサークルが複製されない状況のもとで達成された。したがって、F1ミニサークルは予想外にも、これらのコロナウイルススパイクタンパク質の適切な組み立てに対する強力な阻害を明らかにした。
【0602】
実施例5
ミニサークルから発現されたF1は無傷なシュードウイルスの表面におけるSARS2-Sタンパク質レベルを減少させ、かつシュードウイルス感染力を損なう
F1ミニサークルから発現されるコロナウイルススパイクタンパク質の低下した細胞表面移行の結果を詳しく調べるために、空の親ベクター(MN501A)またはF1ミニサークルから作製される対照ミニサークルの異なるモル比の存在下でルシフェラーゼ発現env欠損HIV-1ゲノムプラスミドpRL4.3-Luc-REを使用して生じるシュードウイルスの表面におけるSARS2-Sタンパク質のレベルを比較した。シュードウイルスエンベロープの表面に固定されるスパイクタンパク質のみが明らかにされることを確実にするために、QUICKTITER(商標)レンチウイルス力価キットを用いて、無傷なシュードウイルスをウエスタンブロットによる分析に先立って、清澄化された上清から沈殿させた。驚くべきことに、ほんの2倍モル比のF1ミニサークルを用いた場合でさえ、SARS2-Sが、生じた無傷なシュードウイルスの表面にほとんど検出されなかった(
図9A)。さらに、これらのシュードウイルスはhACE2発現HEK293T細胞に感染することができなかった(
図9B)。
【0603】
実施例6
ミニサークルから発現されたF1は強力な抗ウイルス活性をヒト化HACE2マウスモデルにおいて示す
hACE2-IRES-lucマウスを、F1ポリペプチドの抗ウイルス活性を試験するために使用した。マウスを無作為に2つの群に分けた(n=6)。0日目に、マウスに10
4PFUのSARS-CoV-2ウイルスを接種した。接種後2時間で、対照群におけるマウスをPBSにより1回処置し、一方、処置群におけるマウスをそれぞれ、50μLの抗ウイルス性F1懸濁物により処置した(
図15A)。
【0604】
実験の経過期間中、両群が体重変化における類似した変化を経験した(
図15B)。接種後3日目に、対照群および処置群における平均動物体重がそれぞれ13.7%および17.1%減少した(
図15B、表1)。
【表3】
【0605】
SARS-CoV-2感染マウスの肺におけるウイルス量が、対照群と比較される処置群では有意に低下した(p=0.0027)(
図15C)。さらに、処置群における50μLの抗ウイルス性F1懸濁物による1回の処置は、hACEマウス肺組織におけるSARS-CoV-2ウイルスによって引き起こされる間質性肺炎の重症度を有意に緩和した(
図15D)。これらのデータは、いくつかの実施形態において、F1ポリペプチドが、SARS-CoV-2ウイルスの感染および生体内での伝播を防止することにおいて非常に有効であることを示唆している。
【0606】
実施例7
GP160iポリペプチドはHIVスパイク糖タンパク質の発現および表面移行を阻害する
本発明者らはまた、HIV-1 gp160糖タンパク質の発現およびこのgp160糖タンパク質の細胞表面移行に対する阻害ポリペプチドgp160i(
図16C;配列番号45)の影響を評価した。gp160をコードするプラスミドの一過性トランスフェクションは、HEK293T全細胞溶解物において検出されるタンパク質の良好なレベルをもたらし、発現タンパク質のほとんどが切断された(
図11)。gp160iをコードするプラスミドの、HIV-1 gp160をコードするプラスミドとの共トランスフェクションは、とりわけ15倍のモル比では全細胞溶解物における切断型gp41画分を減少させた(
図11)。したがって、gp160iは、HIV-1 gp160糖タンパク質の発現を強く阻害する。
【0607】
実施例8
GPiポリペプチドはエボラスパイク糖タンパク質の発現および表面移行を阻害する
本発明者らはまた、エボラGP糖タンパク質の発現およびエボラGP糖タンパク質の細胞表面移行に対する阻害ポリペプチドGPi(
図16D;配列番号46)の影響を評価した。エボラGPを受け入れているプラスミドの一過性トランスフェクションは、HEK293T全細胞溶解物において検出されるタンパク質の良好なレベルをもたらし、発現タンパク質のほとんどが切断された(
図12)。そのうえ、切断されたエボラGPタンパク質のGP2断片のみが、ビオチンによって標識され、抗ビオチン抗体によって親和性精製される細胞表面に検出され(
図12)、このことから、適切に切断されたエボラGP糖タンパク質のみが細胞表面に輸送されることが示唆された。GPiをコードするプラスミドが、GPをコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたとき、切断型GP2バンドが、とりわけ15倍のモル比では全細胞溶解物において、また、細胞表面画分において減少した(
図12)。したがって、エボラGPiはエボラGP糖タンパク質の発現および細胞表面へのその移行を強く阻害する。
【0608】
実施例9
FiポリペプチドはRSVスパイク糖タンパク質の発現および表面移行を阻害する
本発明者らはまた、A型RSV F糖タンパク質の発現およびこのF糖タンパク質の細胞表面移行に対する阻害ポリペプチドFi(
図16E;配列番号47)の影響を評価した。RSV Fをコードするプラスミドの一過性トランスフェクションは、HEK293T全細胞溶解物において検出されるタンパク質の良好なレベルをもたらし、発現タンパク質のほとんどが切断された(
図14A)。Fiをコードするプラスミドの、RSV Fをコードするプラスミドとの共トランスフェクションは、全細胞溶解物における切断型画分を減少させた(
図14A)。したがって、Fiは、RSV F糖タンパク質の発現を強く阻害する。
【0609】
Fiをコードするプラスミドとともに共トランスフェクションされたときのRSV糖タンパク質の低下した細胞表面移行の結果を詳しく調べるために、Fiをコードするプラスミドの異なるモル比の存在下で生じるシュードウイルスの表面におけるRSV F糖タンパク質のレベルを測定した。Fiをコードするプラスミドの、Fをコードするプラスミドとの共トランスフェクションは、生じた無傷なシュードウイルスの表面に検出されるRSV F糖タンパク質を減少させた(
図14B)。
【0610】
実施例10
HAiポリペプチドはインフルエンザウイルススパイク糖タンパク質の発現および表面移行を阻害する
本発明者らはまた、インフルエンザHAタンパク質の発現および原形質膜へのその移行に対する、2019年~2020年のインフルエンザワクチン株のA/香港/45/2019(H3N2)ウイルスのHA配列に由来する阻害ポリペプチドHAi(
図16F;配列番号48)の影響を評価した。A/H1型インフルエンザ、A/H3型インフルエンザ、B/Vic型インフルエンザおよびB/YM型インフルエンザのHAをコードするプラスミドの一過性トランスフェクションは、HEK293T全細胞溶解物において、また、細胞表面画分において検出されるタンパク質の良好なレベルをもたらした(
図13)。インフルエンザHAiをコードするプラスミドの、A/H1型インフルエンザ、A/H3型インフルエンザ、B/Vic型インフルエンザおよびB/YM型インフルエンザのHAをコードするプラスミドとの共トランスフェクションは、インフルエンザHA画分を全細胞溶解物および細胞表面画分において減少させた(
図13)。特に、HAiポリペプチドは下記の4つすべてのインフルエンザワクチン株のHAタンパク質の発現および移行を強力に阻害することができた:A/ハワイ/70/2019(H1N1)、A/香港/45/2019(H3N2)、B/ワシントン/02/2019(B/ビクトリア系統(B/Vic))、B/プーケット/3073/2013(B/山形系統(B/YM))。重要なことに、HAiポリペプチドが由来するA/香港/45/2019(H3N2)のHAは、A/ハワイ/70/2019(H1N1)、B/ワシントン/02/2019(B/Vic)およびB/プーケット/3073/2013(B/YM)に由来するHAタンパク質との、43%、27%および29%のアミノ酸配列同一性をそれぞれ共有する(
図4C、
図4D)。したがって、インフルエンザHAiはインフルエンザHAの発現および細胞表面へのその移行を強く阻害する。
【0611】
これらのデータから、部分配列の使用は、配列同一性のレベルが非常に低いときでさえ、重要なヒト病原体のタンパク質発現の標的化された減少のための効果的な方法であることがさらに明らかにされた。
【0612】
実施例11
例示的方法
プラスミドおよび構築物。SARS-CoVスパイク(GenBankアクセッション番号AFR58740.1)、SARS-CoV-2スパイク(GenBankアクセッション番号QHD43416.1)およびヒトACE2(GenBankアクセッション番号NM_021804)をコードする遺伝子を受け入れているpcDNA3.1プラスミドは、Fang Li博士からの譲渡物であった19(Addgeneプラスミド#145031、#145032および#145033、それぞれ)。MERS-CoVのスパイクポリペプチド(GenBankアクセッション番号QBM11748.1)、F1ポリペプチドまたはF2ポリペプチドをコードする遺伝子を受け入れているpcDNA3.1プラスミド、HIV-1 gp160(GenBankアクセション番号NP_057856.1);ザイールEBOV GP(GenBankアクセッション番号AAN37507.1);RSV F(GenBankアクセッション番号QKN22797.1);A/ハワイ/70/2019(H1N1)、A/香港/45/2019(H3N2)、B/ワシントン/02/2019(B/Vic)およびB/プーケット/3073/2013(B/YM)についてのHAタンパク質、gp160i、GPi、FiおよびHAiをコードする遺伝子を受け入れているpEZT-BMプラスミドは、GENSCRIPT(登録商標)Biotech(Piscataway、NJ、米国)によって合成された。親のミニサークルベクターpMC.CMV-MCS-SV40polyA(カタログ#MN501A-1)、ZYCY10P3S2T大腸菌ミニサークル産生菌株28のコンピテント細胞(カタログ#MN900A-1)、およびアラビノース誘導溶液(カタログ#MN850A-1)を、System Biosciences(Palo Alto、CA、米国)から購入した。ルシフェラーゼ発現env欠損HIV-1ゲノムプラスミドpRL4.3-Luc-R-E-(カタログ番号3418)を、NIH AIDS Reagent Program、Division of AIDS(NIAID、NIH、米国)を通して得た。HEK293T細胞(カタログ番号CRL-11268)を、American Type Culture Collection(Manassas、VA、米国)から購入し、10%のウシ胎児血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(GIBCO(商標))において、5%CO2細胞培養インキュベーターにおいて37℃で維持した。
【0613】
試薬。C9-ロドプシン抗体(1D4)HRP(カタログ#sc57432 HRP)および2’,3’-環状ヌクレオチド3’-ホスホジエステラーゼ(CNPアーゼ)抗体(カタログ番号A01308)、ならびにCD147抗体(カタログ番号ab108308)を、SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY(登録商標)Inc.(Dallas、TX、米国)、GENSCRIPT(登録商標)Biotech(Piscataway、NJ、米国)、およびABCAM(登録商標)(Cambridge、英国)からそれぞれ購入した。QUICKTITER(商標)レンチウイルス力価キットを、Cell Biolabs Inc(San Diego、CA、米国)から購入した。PIERCE(商標)細胞表面ビオチン化および単離キット(カタログ#A44390)を、THERMO SCIENTIFIC(登録商標)(Waltham、MA、米国)から購入した。QUICK-RNA(商標)ミニプレップキット(カタログ#R1054)およびZYMOPURE(商標)IIプラスミドマキシプレップキット(カタログ#D4203)を、Zymo Research(Irvine、CA、米国)から入手した。ISCRIPT(商標)逆転写スーパーミックス(カタログ#1708840)をBIO-RAD(登録商標)(Hercules、CA、米国)から購入した。BIMAKE(商標)SYBRグリーンqPCRマスターミックス(カタログ#B21203)をBimake(Houston、TX、米国)から得た。リポフェクタミン(商標)3000をINVITROGEN(登録商標)(Carlsbad、CA、米国)から得た。試薬のIN VIVO-JETPEI(登録商標)(カタログ番号201-10G)をPOLYPLUS-TRANSFECTION(登録商標)SA(Vectura、フランス)から購入した。ONE-GLO(商標)EXルシフェラーゼキットをPROMEGA(登録商標)(Madison、WI、米国)から購入した。アラビノース誘導溶液(カタログ番号MN850A-1)を、System Biosciences(Palo Alto、CA、米国)から購入した。
【0614】
細胞表面ビオチン化およびタンパク質精製。細胞表面ビオチン化およびタンパク質精製を、PIERCE(商標)細胞表面タンパク質ビオチン化および単離キットを製造者の指示に従って使用して行った。簡単に記載すると、HEK293T細胞の表面における細胞表面タンパク質を最初にスルホ-NHS-SS-ビオチンにより4℃で30分間にわたって標識し、その後、Tris緩衝生理食塩水を加えることによって停止させ、さらに洗浄した。細胞を溶解緩衝液により溶解した後、溶解物を遠心分離によって清澄化した。清澄化された溶解物をNEUTRAVIDIN(商標)アガロースとともにインキュベーションして、ビオチン化タンパク質の結合を可能にした。広範な洗浄の後、結合したタンパク質を、10mMのDTTを含有する溶出緩衝液により溶出した。清澄化溶解物(「全細胞」画分)および溶出タンパク質(「細胞表面」画分)を10%SDS-PAGEで泳動し、スパイクタンパク質をC9-ロドプシン抗体1D4 HRPによって検出した。抗CNPアーゼ抗体によって検出される内因性膜固定タンパク質CNPアーゼ、または抗CD147抗体によって検出されるCD147を内部対照として使用した。
【0615】
総RNA単離およびRT-qPCR。総RNAを、QUICK-RNA(商標)ミニプレップキットを使用して精製した。逆転写を、ISCRIPT(商標)逆転写スーパーミックスを使用して行った。qPCRを、BIMAKE(商標)SYBRグリーンqPCRマスターミックスを下記のプライマーとともに使用して行った:
【0616】
1060(SARS-S順方向):GTTCAAGGACGGCATCTACTT
【0617】
1061(SARS-S逆方向):ACGCTCTGGGACTTGTTATTC
【0618】
1062(SARS2-S順方向):GACAAAGTGCACCCTGAAGA
【0619】
1063(SARS2-S逆方向):GGGCACAGGTTGGTGATATT
【0620】
1089(MERS-S順方向):GAACGCCTCTCTGAACTCTTT
【0621】
1090(MERS-S逆方向):GTCCTCGGTGATGTTGTATGT
【0622】
1091(F1およびF2の順方向):GATTAGAGCCGCCGAGATTAG
【0623】
1092(F1およびF2の逆方向):GGACTGAGGGAAAGACATGAG
【0624】
F1およびF2の合成された遺伝子は哺乳動物発現のために最適化され、SARS2-Sについてコードする遺伝子とは異なるため、qPCRプライマーの1091および1092はF1およびF2に対して特有であり、一方で、1062および1063はSARS2-Sに対して特有であった。
【0625】
ミニサークル産生。ミニサークル親ベクターpMC.CMV-MCS-SV40polyAを、その機能に影響を与えることなく最終ミニサークルのサイズを短くするために改変した。F1コード遺伝子をミニサークル親ベクターpMC.CMV-MCS-SV40polyA(MN501A)にクローニングして、MN501A-F1を得た。MN501AまたはMN501A-F1を製造者の指示に従ってZYCY10P3S2T大腸菌ミニサークル産生菌株28のコンピテントセルへの形質転換に供した。ミニサークルDNAの産生をアラビノース誘導溶液の添加によって誘導した。ミニサークルDNAを、ZYMOPURE(商標)IIプラスミドマキシプレップキットを製造者の指示に従って使用することによって精製した。
【0626】
シュードウイルスの生成、沈殿および濃縮。シュードウイルス生成は、確立されたプロトコルに従った。HEK293T細胞を前夜に6ウエルプレートに播種した。翌日、pcDNA3.1-SARS2-S(0.6μg)およびpRL4.3-Luc-R-E-(0.6μg)を、リポフェクタミン(商標)3000を使用して1つのウエルのHEK293T細胞をトランスフェクションするために使用した。示されたモル比でのMN501AミニサークルまたはF1ミニサークルがトランスフェクション混合物に含まれた。トランスフェクション後16時間で、HEK293T細胞に新鮮な培地を与えた。培地交換後48時間で、6ウエルプレートのそれぞれのウエルの上清を集め、300gで5分間にわたって遠心分離して、細胞片を除いた。無傷なシュードウイルスを、QUICKTITER(商標)レンチウイルス力価キットを製造者の指示に従って使用して精製した。ウイルス溶解物を、スパイクタンパク質についてはC9-ロドプシン抗体1D4 HRPを使用する、そして内部対照として役立つp24についてはFITCコンジュゲート化抗p24 mAbおよびHRPコンジュゲート化抗FITC mAbを使用するウエスタンブロットによって分析した。シュードウイルス含有上清の一部をPEG8000によって濃縮し、細胞進入のルシフェラーゼアッセイのために使用した。
【0627】
組換えシュードウイルスによる細胞進入のルシフェラーゼアッセイ。HEK293T細胞を前夜に100mmのディッシュに播種した。翌日、HEK293T細胞を、リポフェクタミン(商標)3000を使用して10μgのpcDNA3.1-hACE2によりトランスフェクションした。トランスフェクション後16時間で、細胞をDMEM培地に再懸濁し、10μLの濃縮されたシュードウイルスが既にそれぞれのウエルに加えられている96ウエル白色プレートに置床した。2時間後、それぞれのウエルに、20%のFBSを含有する等量のDMEMを加えた。細胞をさらに36時間にわたってインキュベーションし、その後、等量のONE-GLO(商標)ルシフェラーゼアッセイ試薬を加え、3分間のインキュベーションの後、発光シグナルを記録した。
【0628】
SARS2CとF1Yとの間でのFRET。高品質/高解像度の自動化された画像化を、Olympus PlanApoN 60X/1.42 NA対物レンズと、1024×1024のFOVを有する1.9k×1.9k pco.EDGE sCMOS_5.5カメラとを使用するGE Healthcare DeltaVision LIVE落射蛍光画像回復顕微鏡で行った。使用されたフィルターセットは、CFP(438/24の励起、470/24の発光)およびYFP(513/17の励起、559/38の発光)であった。ドナー対照チャネルおよびアクセプター対照チャネルを、CFP-CFPおよびYFP-YFPを使用してそれぞれ取得した。FRET画像を、CFP-YFPの励起および発光のフィルター対を使用して取得した。細胞を、37℃および5%CO2の環境条件のもとにある間の取得に先立つドナーおよびアクセプターにおける類似の強度プロファイルにより選んだ。細胞全体(約12μm)を覆うZ個の積み重ね(0.25μm)を取得し、その後、SoftWorx v7.0を使用する定量的画像デコンボリューションのための保存的復元アルゴリズムを適用し、それぞれの個々のチャネルについて最大ピクセル強度投影tiffとしてファイルを保存した。FRET存在下でのYFP発光をFRET非存在下でのYFP発光で割った比として定義されるFRET比(FR)を、三キューブアプローチ14を使用することによって求めた:
【0629】
FR=FA(D)/FA=[SFRET(DA)-RD1・SCFP(DA)]/RA1・[SYFP(DA)-RD2・SCFP(DA)]
【0630】
式中、RD1=SFRET(D)/SCFP(D);RD2=SYFP(D)/SCFP(D);RA1=SFRET(A)/SYFP(A);
【0631】
D、A、DAを括弧で伴うSFRET、SCFPおよびSYFPは、(CFPをドナー(D)として含有する)SARS2Cのみ、(YFPをアクセプター(A)として含有する)F1Y、またはSARS2C含有プラスミドとF1Y含有プラスミドとの両方(ドナーとアクセプターとの両方(DA))がトランスフェクションで使用されたときの、FRETチャネル、CFPチャネルまたはYFPチャネルの蛍光シグナルを示す。非トランスフェクション細胞からの平均値を、それぞれのフィルターキューブについての同じ日の蛍光値から差し引いた。FRET比の定義によれば、FRET比=1.0は、FRETがないことを意味し、一方で、1.0を超えるFRET比は、ドナータンパク質およびアクセプタータンパク質を担持するタンパク質の間でFRETが存在することを示している。
【0632】
hACE2マウスモデルにおける抗ウイルス活性。hACE2-IRES-lucマウス(メス、8~10週齢)は体重がおよそ17~25gであった。合計で12匹のマウスを特定病原体除去(SPF)実験動物室に収容し、食物および水を自由に摂らせた。抗ウイルス性F1懸濁物を、F1をコードするミニサークルDNAを使用前に、IN VIVO-JETPEI(登録商標)と5%グルコースにおいて6のN/P比および0.4μg/μLの最終DNA濃度で混合し、室温で15分間インキュベートすることによって調製した。マウスを無作為に2つの群に分けた(n=6)。0日目に、マウスに104PFUのSARS-CoV-2(MT627325株)を接種した。接種後2時間で、対照群におけるマウスをPBSにより1回処置し、処置群におけるマウスを50μLの抗ウイルス性F1懸濁物により1回処置した。
【0633】
体重を0日目~3日目にわたって1日に1回、それぞれの群について記録した。重量変化割合を下記の式によって計算した:
【0634】
100%×(体重最終-体重初期)/体重初期
【0635】
接種後3日で、マウスを安楽死させ、肺を切開した。SARS-CoV-2のウイルスゲノムRNAを、QIAAMP(登録商標)ウイルスRNAミニキット(QIAGEN(登録商標))を使用することによって抽出した。逆転写を、qPCRのためのHISCRIPT(登録商標)II Q RTスーパーミックス(VAZYME(登録商標))を使用することによって行った。qPCRを行って、ウイルスRNAコピー体の定量化を、APPLIED BIOSYSTEMS(商標)QUANTSTUDIO(商標)5リアルタイムPCRシステムを使用することによって得た。
【0636】
統計学的分析p値を、インビボ抗ウイルス研究およびFRET実験のための2つの群を比較する対応のない両側t検定から計算した。
【0637】
本明細書において開示され、特許請求される方法の全ては、本開示に照らして過度の実験を行うことなく製造および実行することができる。本開示の組成物および方法は、好ましい実施形態の観点から記載されてきたが、当業者には、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法のステップまたはステップの順序において、方法に変形が適用され得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載される薬剤の代わりに用いても、同じまたは類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の代替物および改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載されたものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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