(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電池の電解質用の難燃剤
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240312BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240312BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240312BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240312BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560912
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022022732
(87)【国際公開番号】W WO2022212634
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・ジュニア,チャールズ・ダニエル
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
本発明は、リチウム電池用の非水電解質溶液を提供する。非水電解質溶液は、液体電解質媒質と、リチウム含有塩と、少なくとも1つの臭素系難燃剤とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用の非水電解質溶液であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤であって、
a)同一のチオフェン環に2個以上の臭素原子が結合した臭素化チオフェン、
b)チアゾール環に結合した1個または2個の臭素原子を有する臭素化チアゾールであって、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有し、前記臭素原子が前記環の2位及び5位にある場合、前記チアゾール環の炭素原子は酸素含有置換基が結合している、前記臭素化チアゾール、及び
c)チアジアゾール環に結合した1個の臭素原子と、前記チアジアゾール環の炭素原子に結合した酸素含有置換基とを有する臭素化チアジアゾールとから選択される、前記臭素系難燃剤と、を備える、前記溶液。
【請求項2】
前記臭素系難燃剤は、
4から約12の炭素原子、前記チオフェン環に結合する2から約4の臭素原子、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約40重量%以上の臭素含量を有する、臭素化チオフェン、
3から約12個の炭素原子を含み、前記チアゾール環に結合した1個の臭素原子を有する臭素化チアゾール、
4から約12個の炭素原子を含み、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有する、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアゾール、または
3から約12個の炭素原子、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアジアゾールである、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記臭素系難燃剤は、
4から約10個の炭素原子、前記チオフェン環に結合する2から約3の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約45重量%以上の臭素含量を有する、臭素化チオフェン、
3から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合する1つの臭素原子を有し、前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアゾール、または
4から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアゾール、または
3から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアジアゾールである、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
前記臭素系難燃剤は、
前記臭素原子に加えて前記チオフェン環に1つまたは2つの置換基を有する臭素化チオフェンであって、この置換基はエーテル基、エステル基、またはカーボネート基から選択されるが、前記エーテル酸素原子が前記チオフェン環に直接結合していないことを条件とし、この臭素化チオフェンは約6個から約12個の炭素原子を有する、前記臭素化チオフェン、
前記酸素含有置換基がヒドロカルビルオキシ基及びエーテル基から選択される臭素化チアゾール、または
前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%から約45重量%の臭素含量を有する
臭素化チアジアゾールである、請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
前記臭素化チアゾールが1,3-チアゾールである、請求項1から4のいずれかに記載の溶液。
【請求項6】
前記臭素系難燃剤が、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、または4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾールである、請求項5に記載の溶液。
【請求項7】
前記臭素化チアジアゾールが1,3,4-チアジアゾールである、請求項1から4のいずれかに記載の溶液。
【請求項8】
前記臭素系難燃剤が2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、または2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールである、請求項7に記載の溶液。
【請求項9】
前記臭素系難燃剤が、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、または2,3,5-トリブロモチオフェンである、請求項1から3のいずれかに記載の溶液。
【請求項10】
前記臭素系難燃剤が前記チオフェン環の置換基としてエーテル基を有する臭素化チオフェンであり、前記エーテル基が前記チオフェン環と前記エーテル酸素原子との間に部分を有し、その部分が1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基であり、前記エーテル酸素原子に結合した他の基は、1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビル基である、請求項4に記載の溶液。
【請求項11】
前記臭素系難燃剤がプロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテルである、請求項10に記載の溶液。
【請求項12】
前記臭素系難燃剤が前記チオフェン環の置換基としてエステル基を有する臭素化チオフェンであり、前記エステル基のカルボニル部分が前記チオフェン環に直接結合しており、前記エステル基の他の部分が、1から約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である、請求項4に記載の溶液。
【請求項13】
前記臭素系難燃剤が、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、または3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチルである、請求項12に記載の溶液。
【請求項14】
前記臭素系難燃剤が前記チオフェン環の置換基としてカーボネート基を有する臭素化チオフェンであり、前記カーボネート基の酸素原子が前記チオフェン環に直接結合していてもよく、前記チオフェン環に直接結合していなくてもよく、他のカーボネート酸素原子に結合した基は、1から約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、または3から約6個の炭素原子及び1から3個の酸素原子を有するエーテル基のいずれかである、請求項4に記載の溶液。
【請求項15】
前記カーボネート基は、前記カーボネート基の酸素原子を介して前記チオフェン環に結合しておらず、前記チオフェン環と前記カーボネート酸素原子との間の前記カーボネート基の部分は、1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基である、請求項14に記載の溶液。
【請求項16】
前記臭素系難燃剤が4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチルまたは1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチルである、請求項14に記載の溶液。
【請求項17】
前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約12重量%以上の臭素の量である、請求項1から16のいずれかに記載の溶液。
【請求項18】
前記液体電解質媒質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはそれらの混合物であり、及び/または前記リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項1から17のいずれかに記載の溶液。
【請求項19】
a)3から約6つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約5つの炭素原子と1から約4つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約9つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約12個の炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、2から約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項1から18のいずれかに記載の溶液。
【請求項20】
前記電気化学的添加剤は、
a)3から約4つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約4つの炭素原子と1から約2つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約6つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約9つの炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約4個の炭素原子を含有する、環状スルトン、
f)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、または7員環を有し、2から約4個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される、請求項19に記載の溶液。
【請求項21】
前記電気化学的添加剤は、
a)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約12重量%の量の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約8重量%の量のフッ素含有不飽和環状カーボネート、
c)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.1重量%から約5重量%の量のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量のトリヒドロカルビルホスフェート、
e)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%から約5重量%の量の環状スルトン、
f)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%から約5重量%の量の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される、請求項19または20に記載の溶液。
【請求項22】
各電気化学的添加剤は、他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項17から21のいずれかに記載の溶液。
【請求項23】
前記溶液がニトリル化合物をさらに含む、請求項1から21のいずれかに記載の溶液。
【請求項24】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルである、請求項23に記載の溶液。
【請求項25】
前記溶液が、ニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項1から21のいずれかに記載の溶液。
【請求項26】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項25に記載の溶液。
【請求項27】
正極、負極、及び請求項1から23のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む、非水リチウム電池。
【請求項28】
リチウム電池用の非水電解質溶液であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロ
モチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチル、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールからなる群から選択される少なくとも1つの臭素系難燃剤と、を含む、前記溶液。
【請求項29】
前記臭素系難燃剤が2,5-ジブロモチオフェンである、請求項28に記載の溶液。
【請求項30】
前記臭素系難燃剤が2,3-ジブロモチオフェンである、請求項28に記載の溶液。
【請求項31】
前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約13重量%以上の臭素の量である、請求項30に記載の溶液。
【請求項32】
前記臭素系難燃剤が、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、または4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾールである、請求項28に記載の溶液。
【請求項33】
前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約12重量%以上の臭素の量である、請求項29に記載の溶液。
【請求項34】
前記液体電解質媒質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはそれらの混合物であり、及び/または前記リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項28から33のいずれかに記載の溶液。
【請求項35】
前記溶液が、ニトリル化合物またはニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項28から33のいずれかに記載の溶液。
【請求項36】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであるか、または前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項35に記載の溶液。
【請求項37】
正極、負極、及び請求項27から36のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む、非水リチウム電池。
【請求項38】
リチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤であって、
a)同一のチオフェン環に2個以上の臭素原子が結合した臭素化チオフェン、
b)チアゾール環に結合した1個または2個の臭素原子を有する臭素化チアゾールであって、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有し、前記臭素原子が前記環の2位及び5位にある場合、前記チアゾール環の炭素原子は酸素含有置換基が結合している、前記臭素化チアゾール、及び
c)チアジアゾール環に結合した1個の臭素原子と、前記チアジアゾール環の炭素原子に結合した酸素含有置換基とを有する臭素化チアジアゾールを含む前記臭素系難燃剤とを含む成分を配合することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記成分は、
a)3から約6つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約5つの炭素原子と1から約4つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約9つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約12個の炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、2から約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記成分が、ニトリル化合物、またはニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項38から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであるか、または前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
リチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチル、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールからなる群から選択される少なくとも1つの臭素系難燃剤と、を含む成分を配合することを含む、前記方法。
【請求項43】
前記成分が、
ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、エチレンサルファイト、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシド、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される、少なくとも1つの電気化学的添加剤、及び/または
ニトリル化合物をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記成分が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含む、請求項43から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記臭素系難燃剤が2,3-ジブロモチオフェンまたは2,5-ジブロモチオフェンである、請求項42から46のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の電解質溶液用の臭素系難燃剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池の安全性に影響を与える成分の1つは、リチウム含有電解質溶液に可燃性溶媒を使用していることである。電解質溶液に難燃剤を含めることは、これらの溶液の可燃性を軽減する1つの方法である。難燃剤が電解質溶液の適切な成分であるためには、電池の動作範囲にわたる電気化学的な安定性、及び電池の性能への悪影響が最小限であることに加えて、電解質溶液への可溶性が必要である。電池の性能に対する悪影響には、活物質の導電性の低下、化学的不安定性、リチウムの消費、及び/または活物質での抵抗界面の形成が含まれてよく、初期のサイクルの間の固体電解質界面(SEI)の形成に悪影響を与える可能性があり、それは電解質溶液の化学的劣化を引き起こす。
【0003】
リチウムイオン電池の電気化学的性能への影響を最小限に抑えながら、合理的なコストでリチウムイオン電池の可燃性を効果的に抑制できる難燃剤が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの臭素系難燃剤を含有する、リチウム電池用の非水電解質溶液を提供する。臭素系難燃剤(複数可)の存在下では、少なくとも実験室条件下で、これらの非水電解質溶液で火が消える。
【0005】
本発明の実施形態は、リチウム電池用の非水電解質溶液であり、この溶液は、i)液体電解質媒質と、ii)リチウム含有塩と、iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤と、を含む。臭素系難燃剤は、a)同じチオフェン環に結合した2個以上の臭素原子を有する臭素化チオフェン、b)チアゾール環に結合した1個または2個の臭素原子を有する臭素化チアゾールであって、チアゾール環に結合する2個の臭素を有し、臭素原子が環の2位と5位にある場合、チアゾール環の炭素原子は酸素含有置換基が結合している、臭素化チアゾール、及びc)チアゾール環に結合する1個の臭素原子と、チアジアゾール環の炭素原子に結合する酸素含有基とを有する臭素化チアジアゾールから選択される。
【0006】
本発明の別の実施形態は、リチウム電池用の非水電解質溶液であり、この溶液は、i)液体電解質媒質と、ii)リチウム含有塩と、iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤と、を含む。臭素系難燃剤は、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチル、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4
-チアジアゾールからなる群から選択される。
【0007】
本発明のこれら及び他の実施形態及び特徴は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲からさらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書全体を通して、「電解質溶液」という語句は、「非水電解質溶液」という語句と同じ意味で使用される。
【0009】
液体電解質媒質は、リチウム電池で使用されるリチウム電解質溶液の液体電解質媒質を通常形成する、1つまたは複数の溶媒からなり、これらの溶媒は、極性及び非プロトン性であり、電気化学的サイクルに対して安定していて、好ましくは低粘度である。これらの溶媒には通常、非環状炭酸エステル、環状炭酸エステル、エーテル、硫黄含有化合物、及びホウ酸のエステルが含まれる。
【0010】
本発明の実践で液体電解質媒質を形成することができる溶媒には、エチレンカーボネート(1,3-ジオキソラン-2-オン)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジオキソラン、ジメトキシエタン(グリム)、テトラヒドロフラン、エチレンサルファイト、1,3-プロピレングリコールホウ酸エステル、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、及び前述のうちの任意の2つ以上の混合物が含まれる。
【0011】
好ましい溶媒には、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそれらの混合物が含まれる。より好ましいのは、特に約20:80から約40:60、より好ましくは約25:75から約35:65のエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネートの比の体積比でのエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合物である。
【0012】
本発明の実践で適切なリチウム含有塩には、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム、チオシアン酸リチウム、アルミン酸リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム、テトラフルオロアルミン酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、ヘキサフルオロアンチモン酸リチウム、リチウムチタン酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、アルキル基が1から6つの炭素原子を有するアルキル炭酸リチウム、メチルスルホン酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロフェニルスルホン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、リチウム(エチルスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及び前述のうちの任意の2つ以上の混合物が含まれる。好ましいリチウム含有塩には、ヘキサフルオロリン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが含まれる。
【0013】
電解質溶液中のリチウム含有塩の通常の濃度は、約0.1Mから約2.5M、好ましくは約0.5Mから約2M、より好ましくは約0.75Mから約1.75M、さらにより好ましくは約0.95Mから約1.5Mの範囲である。複数のリチウム含有塩がリチウム含有電解質を形成する場合、濃度は、電解質溶液中に存在するすべてのリチウム含有塩の総濃度を指す。
【0014】
電解質溶液は、所望の用途に対する電池の性能または電解質溶液の難燃性のいずれかを
著しく低下させない限り、リチウム塩に加えて他の塩(複数可)を含有することができる。リチウム塩以外の適切な電解質には、他のアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、及びセシウム塩、ならびにアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、及びバリウム塩が含まれる。いくつかの態様では、非水電解質溶液の塩は、1つ以上のリチウム塩のみである。
【0015】
電解質溶液中に存在し得る適切なアルカリ金属塩には、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、テトラフルオロアルミン酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、及びヘキサフルオロリン酸ナトリウムなどのナトリウム塩、ならびに塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、チオシアン酸カリウム、アルミン酸カリウム、テトラクロロアルミン酸カリウム、テトラフルオロアルミン酸カリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、及びヘキサフルオロリン酸カリウムなどのカリウム塩が含まれる。
【0016】
電解質溶液中に存在し得る適切なアルカリ土類金属塩には、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、テトラクロロアルミン酸マグネシウム、テトラフルオロアルミン酸マグネシウム、テトラフェニルホウ酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、及びヘキサフルオロリン酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、ならびに塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、過塩素酸カルシウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、テトラクロロアルミン酸カルシウム、テトラフルオロアルミン酸カルシウム、テトラフェニルホウ酸カルシウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、及びヘキサフルオロリン酸カルシウムなどのカルシウム塩が含まれる。
【0017】
本発明の実践にて、液体臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の液体媒質と混和性があり、この場合「混和性」とは、臭素系難燃剤が、電解質溶液から分離した相を形成しないことを意味する。さらに具体的には、固体化合物を溶解するためにマグネチックスターラーで一晩振とうした後、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートの混合物に単相を形成する場合、臭素系難燃剤は混和性であり、振とうを停止した後に別のものは形成されず、臭素系難燃剤は、非水電解質溶液から沈殿したり、非水電解質溶液で懸濁液またはスラリーを形成したりすることはない。臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の他の成分のいずれかの沈殿、または懸濁液もしくはスラリーの形成を引き起こさないことが推奨され、かつ好ましい。
【0018】
本発明の実践にて、固形の臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の液体媒質に可溶であり、ここで「可溶」とは、臭素系難燃剤が、電解質溶液から沈殿しないことを意味する。さらに具体的には、固体化合物を溶解するためにマグネチックスターラーで一晩振とうした後、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートの混合物中に単相を形成する場合、臭素系難燃剤は可溶であり、振とうを停止した後に別の相または沈殿は形成されず、臭素系難燃剤は、非水電解質溶液から沈殿したり、非水電解質溶液で懸濁液またはスラリーを形成したりすることはない。臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の他の成分のいずれかの沈殿、または懸濁液もしくはスラリーの形成を引き起こさないことが推奨され、かつ好ましい。
【0019】
本発明の実践において、臭素系難燃剤は一般に、臭素系難燃剤の重量に基づいて約30重量%以上の臭素含量を有する。本発明の実践での臭素系難燃剤は、分子における臭素含
量が約30重量%から約75重量%の範囲である。
【0020】
本発明における臭素系難燃剤の沸点は、通常約75℃以上、好ましくは約95℃以上である。一般に、本発明の実践において使用される臭素系難燃剤は、非水電解質溶液の溶媒または溶媒混合物の沸点に近いまたはそれを超える沸点を有する。本明細書全体で説明されている沸点は、特に明記されていない限り、標準の温度と圧力(標準状態)でのものである。
【0021】
本発明の実践において使用される臭素系難燃剤は、一般に極性かつ非プロトン性であり、電気化学的サイクルに対して安定している。液体臭素系難燃剤もまた、低い粘度を有することが好ましい。
【0022】
本発明の実践にて、非水電解質溶液の難燃剤の量は、溶液が以下に記載される修正された水平UL-94試験に合格するのに十分な難燃剤が存在することを意味する。難燃剤の量は異なる臭素系難燃剤に対して、多くの場合異なる。臭素化チオフェンについては、難燃剤の量は、通常、非水電解質溶液の総重量に対して溶液中に臭素が約10重量%以上、好ましくは約11重量%以上、より好ましくは約12重量%以上である。臭素化チアゾールについては、難燃剤の量は、通常、非水電解質溶液の総重量に対して溶液中に臭素が約12重量%以上である。臭素化チアジアゾールについては、難燃剤の量は、通常、非水電解質溶液の総重量に対して溶液中に臭素が約11重量%以上、好ましくは約12重量%以上である。
【0023】
本発明の臭素系難燃剤は、いくつかの全体的な特徴を共有している。すべては硫黄を含む不飽和の5員環を有している。これらの難燃剤の中には、環内に1つまたは2つの窒素原子を有するものもある。これらの臭素系難燃剤では、臭素原子が環の炭素原子に結合している。
【0024】
いくつかの実施形態では、臭素系難燃剤は、同じチオフェン環に結合した2つ以上の臭素原子を含む臭素化チオフェンである。チオフェン環には硫黄原子以外のヘテロ原子はない。環内に1個の臭素原子を含むチオフェンは、非水電解質溶液では難燃剤としての十分な能力を発揮しない。典型的には、本発明で使用される臭素化チオフェンは、分子内に4から約12個の炭素原子、好ましくは4から約10個の炭素原子を有する。同じチオフェン環に結合している臭素原子が2つまたは3つあり、及び/または臭素含量は、臭素系難燃剤の総重量に対して、好ましくは約40重量%以上、より好ましくは約40重量%から約75重量%である。
【0025】
臭素系難燃剤が臭素化チオフェンであるいくつかの実施形態では、臭素原子に加えてチオフェン環上に1つまたは2つの置換基が存在する。これらの他の置換基は、通常、酸素含有基、典型的にはエーテル基、エステル基、またはカーボネート基であり、これらの臭素化チオフェンは、分子内に約6から約12個の炭素原子、好ましくは6から約10個の炭素原子を有する。
【0026】
臭素化チオフェンがチオフェン環上の置換基としてエーテル基を含む実施形態では、エーテル酸素原子はチオフェン環に直接結合していない。酸素原子がチオフェン環の炭素原子に結合しているエーテル基(例えば、アルコキシ基)が電解質と反応することが見出されている。チオフェン環とエーテル酸素原子との間のエーテル基の部分は、通常、1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基であり、エーテル酸素原子に結合している他の基は、通常、1から約4個の炭素原子を有し、好ましくは1から約3の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基であり、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、またはイソブチル、好ましくはメチルまたはエチルであ
る。ヒドロカルビレン基は、直鎖または分枝鎖であり、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり得る。本発明において、エーテルである好ましい臭素化チオフェンには、n-プロピル1,1-ジメチル-2-(2,4,5-トリブロモチオフェン-3-イル)-エチルエーテルとも呼ばれるプロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテルが含まれる。
【0027】
臭素化チオフェンがチオフェン環上の置換基としてエステル基を含む実施形態では、エステル基のカルボニル部分はチオフェン環に直接結合しており、エステル基の他の部分は通常、1から約4個の炭素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、またはイソブチル、好ましくはメチルまたはエチル、より好ましくはエチルである。臭素化チオフェンの中には2つのエステル基を含むものもある。エステル基は同じであっても異なっていてもよい。エステル含有臭素化チオフェンにおいては、通常、チオフェン環に結合している2から約3個の臭素原子、好ましくは2個の臭素原子がある。エステル含有臭素化チオフェンの臭素含量は、臭素系難燃剤の総重量に対して、好ましくは約40重量%以上、より好ましくは約40重量%から約65重量%、さらにより好ましくは約40重量%から約60重量%である。本発明におけるエステルである好ましい臭素化チオフェンは、(2,5-ジブロモチオフェン-3-イル)カルボン酸メチルとも呼ばれる、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-イルカルボン酸メチルとも呼ばれる、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-イルカルボン酸エチルとも呼ばれる4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、及び3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチルを含む。
【0028】
臭素化チオフェンがチオフェン環の置換基としてカーボネート基を含む実施形態では、カーボネート基の酸素原子はチオフェン環に直接結合していてもよく、またはチオフェン環に直接結合していなくてもよい。他のカーボネート酸素原子に結合した基は、通常、1から約4個の炭素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有し、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、またはイソ-ブチル、好ましくはメチルまたはエチルであるヒドロカルビル基、または3から約6個の炭素原子、及び1から3個の酸素原子を有し、好ましくは2-メトキシエトキシまたは2-エトキシエトキシを有するエーテル基のいずれかである。カーボネート基がカーボネート基の酸素原子を介してチオフェン環に結合していない場合、チオフェン環とカーボネート酸素原子との間のカーボネート基の部分は、通常、炭素数1から約4の飽和ヒドロカルビレン基である。ヒドロカルビレン基は、直鎖または分枝鎖であり、好ましくはエチレン、プロピレン、またはブチレンである。カーボネート含有臭素化チオフェンにおいては、通常、チオフェン環に結合している2から約3個の臭素原子、好ましくは3個の臭素原子がある。エステル含有臭素化チオフェンの臭素含量は、臭素系難燃剤の総重量に対して、好ましくは約45重量%以上、より好ましくは約45重量%から約65重量%、さらにより好ましくは約45重量%から約60重量%である。本発明における、カーボネートである好ましい臭素系難燃剤は、エチル(2,4,5-トリブロモチオフェン-3-イル)カーボネートとも呼ばれるエチル4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)カーボネート、及びメチル1,1-ジメチル-2-(2,4,5-トリブロモチオフェン-3-イル)-エチルカーボネートとも呼ばれるメチル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルカーボネートを含む。
【0029】
臭素化チオフェンにおいて、臭素原子が2個ある場合、それらはチオフェン環の2位及び5位にあることが好ましい。存在する場合、チオフェン環における他の置換基は、置換
基が1個の場合には3位にあることが好ましく、置換基が2個の場合には3位及び4位にあることが好ましい。
【0030】
好ましくは、臭素化チオフェンは、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、メチル-1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]炭酸エチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、及び3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチルである。より好ましい臭素化チオフェンは、2,3-ジブロモチオフェン及び2,5-ジブロモチオフェン、特に2,3-ジブロモチオフェンが挙げられる。
【0031】
別の実施形態では、臭素系難燃剤は、チアゾール環に結合した1つまたは2つの臭素原子を含む臭素化チアゾールであり、環における2つの臭素原子が好ましい。チアゾールは、1,2-チアゾールまたは1,3-チアゾールであり得る。好ましくは、臭素化チアゾールは1,3-チアゾールである。臭素化チアゾールがチアゾール環に結合した臭素原子を1つ有する場合、典型的には、分子には3から約12個の炭素原子、好ましくは3から約10個の炭素原子が存在する。臭素化チアゾールがチアゾール環に結合した2つの臭素原子を有し、臭素原子が環の2位と5位にある場合、チアゾール環の炭素原子には酸素含有置換基が結合しており、典型的には分子に炭素原子が4から約12個、好ましくは炭素原子が4から約10個ある。臭素化チアゾールがチアゾール環に結合した2つの臭素原子を有し、環の2位と4位または環の4位と5位にある場合、好ましくはチアゾール環の炭素原子には酸素含有置換基が結合しており、典型的には分子に炭素原子が4から約12個、好ましくは炭素原子が4から約10個、分子にある。
【0032】
好ましくは、チアゾール環に結合した2つの臭素原子、及び/または臭素系難燃剤の全質量に対して、約30重量%以上、好ましくは約35重量%以上、より好ましくは約40重量%以上の臭素含量が存在している。これらの臭素化チアゾールにおいて、臭素含量は、臭素系難燃剤の総重量に対して、多くの場合、約30重量%から約60重量%、好ましくは約35重量%から約60重量%、より好ましくは約40重量%から約60重量%である。チアゾール環に結合した1個の臭素原子を有する臭素化チアゾールは、臭素原子に加えて環上の炭素原子に結合した少なくとも1個の酸素含有置換基を有することが好ましい。チアゾール環の炭素原子における酸素含有置換基は、ヒドロカルビルオキシ基及びアルコキシエーテル基であることが好ましい。ヒドロカルビルオキシ基は、通常、1から約4個の炭素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有し、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、2-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、またはイソブトキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシであり得る。アルコキシエーテル基は、3から約7個の炭素原子及び1から約4個の酸素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有し、好ましくは2-メトキシエトキシまたは2-エトキシエトキシである。
【0033】
好ましくは、臭素化チアゾールは、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、または4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、より好ましいものは、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、及び4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾールである。
【0034】
別の実施形態では、臭素系難燃剤は、チアジアゾール環に結合した1個の臭素原子と、チアジアゾール環の炭素原子に結合した酸素含有置換基とを含む臭素化チアジアゾールである。チアジアゾールは、1,2,3-チアジアゾールまたは1,3,4-チアジアゾールであり得、好ましくは1,3,4-チアジアゾールである。典型的には、分子に3から約12個の炭素原子、好ましくは3から約10個の炭素原子が存在する。臭素含量は、臭素系難燃剤の総重量に対して、約22重量%以上、より好ましくは約30重量%以上、さらにより好ましくは約35重量%以上である。これらの臭素化チアジアゾールにおいて、臭素含量は、多くの場合、臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%から約45重量%、好ましくは約30重量%から約45重量%である。臭素化チアジアゾールは、環上の炭素原子に結合した酸素含有置換基を有し、酸素含有置換基は通常、ヒドロカルビルオキシ基またはアルコキシエーテル基である。ヒドロカルビルオキシ基は、通常、1から約4個の炭素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有し、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、2-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、またはイソブトキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシであり得る。アルコキシエーテル基は、3から約7個の炭素原子及び1から約4個の酸素原子、好ましくは1から約3個の炭素原子を有し、好ましくは2-メトキシエトキシまたは2-エトキシエトキシである。
【0035】
好ましくは、臭素化チアジアゾールは、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、または2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールである。
【0036】
本発明のいくつかの好ましい実施形態にて、液体電解質媒質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはそれらの混合物である。より好ましくは、リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態で、少なくとも1つの電気化学的添加剤は、非水電解質溶液に含まれる。
【0038】
本発明の実践にて、電気化学的添加剤は、非水電解質溶液の液体媒質に可溶であるか、またはそれと混和性である。液体の形態の電気化学的添加剤は、非水電解質溶液の液体媒質と混和性であり、この場合「混和性」は、電気化学的添加剤が電解質溶液から別の相を形成しないことを意味する。さらに具体的には、固体の化合物を溶解するためにマグネチックスターラーで一晩振とうした後、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートの混合物に単相を形成し、撹拌を停止した後に分離相が形成されず、電気化学的添加剤が非水電解質溶液から沈殿せず、または非水電解質溶液で懸濁液またはスラリーを形成しない場合、電気化学的添加剤は混和性がある。
【0039】
「可溶性」という用語は、固体の形態の電気化学的添加剤に通常使用され、電気化学的添加剤は、一旦溶解すると、非水電解質溶液から沈殿せず、非水電解質溶液で懸濁液またはスラリーを形成しないことを示す。さらに具体的には、固体の化合物を溶解するためにマグネチックスターラーで一晩振とうした後、1.2Mのヘキサフルオロリン酸リチウムを含有する30重量%のエチレンカーボネートと70重量%のエチルメチルカーボネートの混合物に溶解し、撹拌を停止した後に、沈殿、懸濁がなく、またはスラリーまたは分離相が形成されない場合、電気化学的添加剤は可溶である。電気化学的添加剤は、非水電解質溶液の他の成分のいずれかの沈殿、または懸濁液もしくはスラリーの形成を引き起こさないことが推奨され、また好ましい。
【0040】
臭素系難燃剤、電気化学的添加剤、及びそれらの混合物は、一般に電気化学的サイクルに対して安定していて、好ましくは低粘度であり、及び/または非水電解質溶液の粘度を著しく増加させない。
【0041】
様々な実施形態にて、電気化学的添加剤は、a)3から約4つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、b)3から約4つの炭素原子と1から約2つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、c)3から約6つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、d)3から約9つの炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、e)3から約4つの炭素原子を含有する、環状スルトン、f)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、g)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、h)6員環または7員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、i)別のリチウム含有塩、及びj)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態にて、電気化学的添加剤は、3から約6つの炭素原子、好ましくは3から約4つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネートである。適切な不飽和環状カーボネートには、ビニレンカーボネート(1,3-ジオキソール-2-オン)、4-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン、及び4,5-ジメチル-1,3-ジオキソール-2-オンが含まれる。ビニレンカーボネートは、好ましい不飽和環状カーボネートである。不飽和環状カーボネートは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.5重量%から約12重量%、より好ましくは約0.5重量%から約3重量%、または約8重量%から約11重量%の量である。
【0043】
電気化学的添加剤が、3から約5つの炭素原子、好ましくは3から約4つの炭素原子、及び1から約4つのフッ素原子、好ましくは1から約2つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネートである場合、適切なフッ素含有飽和環状カーボネートには、4-フルオロ-エチレンカーボネート、及び4,5-ジフルオロ-エチレンカーボネートが含まれる。好ましくは、フッ素含有飽和環状カーボネートは、4-フルオロ-エチレンカーボネートである。フッ素含有飽和環状カーボネートは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.5重量%から約8重量%、より好ましくは約1.5重量%から約5重量%の量である。
【0044】
トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト電気化学的添加剤は、3から約9つの炭素原子、好ましくは約3から約6つの炭素原子を含有する。トリヒドロカルビルシリル基は、同じでも異なっていてもよい。適切なトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトには、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリエチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリエチルシリル)ホスファイト、ビス(トリメチルシリル)(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイト、及びトリス(トリ-n-プロピルシリル)ホスファイトが含まれる。トリス(トリメチルシリル)ホスファイトは、好ましいトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトである。トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイトは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.1重量%から約5重量%、より好ましくは約0.15重量%から約4重量%、さらにより好ましくは約0.2重量%から約3重量%の量である。
【0045】
いくつかの実施形態にて、電気化学的添加剤は、3から約12の炭素原子、好ましくは3から約9つの炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェートである。ヒドロカルビル基は飽和でも不飽和でもよく、トリヒドロカルビルホスフェートのヒドロカルビル
基は同じでも異なっていてもよい。適切なトリヒドロカルビルホスフェートには、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、トリ-n-プロピルホスフェート、トリアリルホスフェート、及びトリビニルホスフェートが含まれる。トリアリルホスフェートは、好ましいトリヒドロカルビルホスフェートである。トリヒドロカルビルホスフェートは、一般に、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%、好ましくは約1重量%から約5重量%、より好ましくは約2重量%から約4重量%の量である。
【0046】
電気化学的添加剤が、3から約8つの炭素原子、好ましくは3から約4つの炭素原子を含有する、環状スルトンである場合、適切な環状スルトンには、1-プロパン-1,3-スルトン(1,3-プロパンスルトン)、1-プロペン-1,2-スルトン(1,3-プロペンスルトン)、1,3-ブタンスルトン(5-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、2,4-ブタンスルトン(3-メチル-1,2-オキサチオラン2,2-ジオキシド)、1,4-ブタンスルトン(1,2-オキサチアン2,2-ジオキシド)、2-ヒドロキシ-アルファ-トルエンスルホン酸スルトン(3H-1,2-ベンゾオキサチオール2,2-ジオキシド)、及び1,8-ナフトスルトンが含まれる。好ましい環状スルトンには、1-プロパン-1,3-スルトン及び1-プロペン-1,3-スルトンが含まれる。環状スルトンは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.25重量%から約5重量%、より好ましくは約0.5重量%から約4重量%の量である。
【0047】
飽和環状ヒドロカルビルサルファイト電気化学的添加剤は、2から約6つの炭素原子、好ましくは2から約4つの炭素原子を含有し、5員環または6員環、好ましくは5員環を有する。メチル基またはエチル基、好ましくは1つまたは複数のメチル基などの1つまたは複数の置換基が環に存在することができ、より好ましくは、環に置換基は存在しない。適切な飽和環状ヒドロカルビルサルファイトには、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド(1,2-エチレンサルファイト)、1,2-プロパンジオールサルファイト(1,2-プロピレンサルファイト)、4,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド、1,3,2-ジオキサチアン2-オキシド、4-メチル-1,3-ジオキサチアン2-オキシド(1,3-ブチレンサルファイト)が含まれる。好ましい環状ヒドロカルビルサルファイトには、1,3,2-ジオキサチオラン2-オキシド(1,2-エチレンサルファイト)が含まれる。環状ヒドロカルビルサルファイトは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.5重量%から約5重量%、より好ましくは約1重量%から約4重量%の量である。
【0048】
いくつかの実施形態では、電気化学的添加剤は、2から約6つの炭素原子、好ましくは2から約4つの炭素原子を含有する飽和環状ヒドロカルビルサルフェートであり、5員環または6員環、好ましくは5員環を有する。メチル基またはエチル基、好ましくは1つまたは複数のメチル基などの1つまたは複数の置換基が環に存在することができ、より好ましくは、環に置換基は存在しない。適切な飽和環状ヒドロカルビルサルフェートは、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド(1,2-エチレンサルフェート)、1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシド(1,3-プロピレンサルフェート)、4-メチル-1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシド(1,3-ブチレンサルフェート)、及び5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサチアン2,2-ジオキシドを含む。飽和環状ヒドロカルビルサルフェートは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.25重量%から約5重量%、より好ましくは約1重量%から約4重量%の量である。
【0049】
電気化学的添加剤が環状ジオキサジチオポリオキシド化合物である場合、環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、2から約6個の炭素原子、好ましくは2から約4個の炭素原子を含み、6員環、7員環、または8員環を有する。好ましくは、環状ジオキサジチオ
ポリオキシド化合物は、2から約4つの炭素原子を含有し、6員環または7員環を有する。メチル基またはエチル基、好ましくは1つまたは複数のメチル基などの1つまたは複数の置換基が環に存在することができ、より好ましくは、環に置換基は存在しない。適切な環状ジオキサジチオポリオキシド化合物には、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチエパン2,2,4,4-テトラオキシド(シクロジソン)、3-メチル-1,5,2,4-ジオキサジチエパン2,2,4,4-テトラオキシド、及び1,5,2,4-ジオキサジチオカン2,2,4,4-テトラオキシドが含まれる。1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシドが好ましい。環状ジオキサジチオポリオキシド化合物は、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.5重量%から約5重量%、より好ましくは約1重量%から約4重量%の量である。
【0050】
「別のリチウム含有塩」及び「他のリチウム含有塩」という語句は、電解質溶液の調製に少なくとも2つのリチウム塩が使用されていることを示している。電気化学的添加剤が別のリチウム含有塩である場合、それは、非水電解質溶液の総重量に対して、好ましくは約0.5重量%から約5重量%の量である。適切なリチウム含有塩には、上に列記したすべてのリチウム含有塩が含まれる。ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びビス(オキサラト)ホウ酸リチウムが好ましい。
【0051】
同じ種類の様々な電気化学的添加剤及び/または異なる種類の電気化学的添加剤を含む、前述の電気化学的添加剤のうちの任意の2つ以上の混合物を使用できる。電気化学的添加剤の混合物を使用する場合、電気化学的添加剤の合計量は、非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%から約5重量%である。不飽和環状カーボネートと飽和環状ヒドロカルビルサルファイトの混合物、または環状スルトン、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、及び環状ジオキサジチオポリオキシド化合物の混合物が好ましい。
【0052】
リチウム電池用の電解質溶液にしばしば含まれる追加の因子もまた、本発明の電解質溶液中に存在することができる。そのような追加の因子には、スクシノニトリル及びパーフルオロアルキルニトリルなどのニトリル化合物、及びヘキサメチルジシラザンなどのシラザン化合物が含まれる。好ましい追加の因子はニトリル化合物である。スクシノニトリルは好ましいニトリル化合物である。通常、任意の因子の量は、非水電解質溶液の総重量に対して、約1重量%から約5重量%、好ましくは約1重量%から約4重量%の範囲である。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態では、ニトリル化合物及び別のリチウム含有塩が電解質溶液の成分である。ニトリル化合物及びリチウム含有塩は、上記の通りである。好ましくは、ニトリル化合物はスクシノニトリルであり、他のリチウム含有塩は、好ましくはジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである。
【0054】
本発明の別の実施形態は、リチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法を提供する。方法は、i)液体電解質媒質と、ii)リチウム含有塩と、iii)臭素化チオフェン、臭素化チアゾール、または臭素化ジアチアゾールから選択される少なくとも1つの臭素系難燃剤を含む成分を配合することを含む。任意選択で、成分は、iv)上述のような少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む。臭素系難燃剤は、電解質溶液中に難燃剤の量で存在する。因子は任意の順序で配合することができるが、すべての成分を液体電解質媒質に加えることが好ましい。任意選択の因子をまた、液体電解質媒質に加えることが好ましい。液体電解質媒質、リチウム含有塩、臭素系難燃剤(複数可)、電気化学的添加剤(複数可)、及び各成分の量の特徴及び好ましさは、上述のとおりである。
【0055】
本発明のさらに別の実施形態は、リチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法を提供する。この方法は、i)液体電解質媒質と、ii)リチウム含有塩と、iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤と、含む成分を配合することを含む。任意選択で、成分は、iv)上述のような少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む。臭素系難燃剤は、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、エチル4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)カーボネート、メチル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルカーボネート、メチル2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボキシレート、エチル2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボキシレート、メチル4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボキシレート、エチル4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボキシレート、エチル4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボキシレート、ジメチル3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボキシレート、ジエチル3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボキシレート、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールからなる群から選択される。液体電解質媒質、リチウム含有塩、電気化学的添加剤(複数可)、及び各成分の量の好ましさは、上述のとおりである。
【0056】
1つまたは複数の臭素系難燃剤を含有する、本発明の非水電解質溶液は、通常、正極、負極、及び非水電解質溶液を含む、非水リチウム電池で使用される。非水リチウム電池は、任意選択でそれらの間にセパレータを有する、負極と正極との間に非水電解質溶液を注入することによって得ることができる。
【0057】
以下の実施例は、例示の目的のために提示され、本発明の範囲に制限を課すことを意図するものではない。
【実施例】
【0058】
実施例1では、修正版水平UL-94試験が実施された。この修正された水平UL-94試験は、既知の公開されている水平UL-94試験と非常によく似ている。この点に関しては、例えば、Otsuki, M. et al. “Flame-Retardant Additives for Lithium-Ion Batteries.“
Lithium-Ion Batteries. Ed. M. Yoshio et al. New York, Springer, 2009, 275-289.を参照されたい。修正版UL-94試験は次のとおりである。
円筒状のグラスファイバーの芯から芯を切り取り、切り口を滑らかにした後、芯の表面からほこりや粒子を取り除いた。試験前に芯を115°Cで24時間乾燥させた。芯の長さは、5±0.1インチ(12.7±0.25cm)であった。
試験する各試験片は,ドライボックスの中で,4オンス(120mL)のガラス瓶の中に準備され、所望の量の難燃剤と、存在する場合は電気化学的添加剤を、所望の量の電解質溶液と配合することによって、例えば、20重量%の臭素系難燃剤、及び80重量%の電解質溶液を配合して、難燃剤を含有する電解質溶液を形成した。難燃剤と配合する前に、電解質溶液には、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)に1.2MのLiPF6が含まれていた。各芯を電解質溶液に30分間浸した。
各試験片を電解質溶液から取り出し、滴下が生じなくなるまで電解質溶液上に保持し、その後、4オンス(120mL)のガラス瓶に配置した。電解質溶液の蒸発を防ぐためにキ
ャップを閉めた。
バーナーを点火し、高さ20±1mmの青い炎を生成するように調整した。
試験片を4オンスの容器(120mL)のガラス瓶から取り出し、試験片を金属支持固定具に水平の配置で置き、芯の一端に固定した。
排気扇が作動している場合、試験のために停止した。
炎は水平の芯に対して45±2度の角度であった。バーナーにバーナー管があるときにこれを達成する1つの方法は、バーナー管の中心軸を試験片の端に向かって水平から45±2度の角度で傾けるものであった。
位置を変えずに、試験片の自由端に炎を30±1秒間当てた。30±1秒後、または試験片での燃焼フロントが1インチ(2.54cm)の印に達するとすぐに、バーナーを取り外した。
試験炎を取り除いた後、試験片が燃え続けていた場合は、炎が消えるまでの時間、または燃焼フロント(炎)が1インチ(2.54cm)の印から4インチ(10.16cm)の印に移った時間が秒で記録された。
【0059】
バーナーを取り外したときに炎が消えた場合、試験片は「可燃性ではない」とみなされた。1インチ(2.54cm)の印に達する前に炎が消えた場合、試験片は「難燃性」であるとみなされた。4インチ(10.16cm)の印に達する前に炎が消えた場合、試験片は「自己消火性」であるとみなされた。
【0060】
以下に報告するそれぞれの修正版水平UL-94テスト結果は、3回の実行の平均である。
実施例1
【0061】
上述のように調製した異なる酸素含有臭素系難燃剤を含有する様々な非水電解質溶液を、上述の修正版UL-94試験に供した。結果を以下の表1にまとめる。上述のように、報告された数値は、3回実施した平均値である。
【表1】
【0062】
実施例2
コイン電池のいくつかの難燃剤の試験も実施した。コイン電池は、所望の量の難燃剤を含有する、非水電解質溶液を使用して組み立てられた。次に、コイン電池を、CV部分の電流カットオフC/50を使用してC/5で4.2VまでCCCV充電し、C/5で3.0VまでCC放電する電気化学的サイクルにさらした。
【0063】
1つの試料は、難燃剤を含まない非水電解質溶液であり、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(重量比3:7)中に1.2MのLiPF6を含んでいた。残りの試料には、電解質溶液中に所望の量の難燃剤が含まれていた。
【0064】
結果を以下の表2にまとめる。クーロン効率の誤差の範囲は、約±0.5%から約±1.0%である。
【表2】
【0065】
本明細書または特許請求の範囲のいずれかで化学名または化学式によって言及される成分は、単数または複数で言及されるかどうかにかかわらず、化学名または化学型で言及される別の物質(例えば、別の成分、溶媒など)と接触する前に存在するものとして同定される。そのような変化、変換、及び/または反応は、特定の成分を本開示に従って要求される条件下で一緒にすることの自然な結果であるため、結果として得られる混合物または溶液でどのような化学変化、変換、及び/または反応が起こるかは問題ではない。したがって、この成分は、所望の操作の実行または所望の組成物の形成に関連して一緒にされる因子として識別される。また、以下の請求項は、物質、構成要素、及び/または成分を現在形で言及してもよいけれども(「含む」、「である」など)、言及は、本開示に係る1以上の他の物質、成分、及び/または因子とそれが最初に接触された、ブレンドされた、または混合された直前の時点でそれが存在したときの物質、成分、または因子に対するものである。物質、成分、または因子は、本開示及び化学者の通常の技術に従って実施された場合、接触、ブレンドまたは混合の操作の過程で化学反応または変換により元の同一性
を失った可能性があるという事実はしたがって、実質上問題はない。
【0066】
本発明は、本明細書に列挙される材料及び/または手順を含んでもよいし、それらからなってもよいし、またはそれらから本質的になってもよい。
【0067】
本明細書で使用されるとき、本発明の組成物中のまたは本発明の方法で使用される、因子の量を修飾する「約」という用語は、例えば、典型的な測定及び現実世界での濃縮物の作製または溶液の使用に使用される液体処理手順を介して;これらの手順の不注意によるエラーを介して;組成物の製造または方法の実行に使用される因子の製造、供給源、または純度の差異を介して;その他を介して発生し得る、数的な量の変化を指す。約という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項にはその量と等価なものが包含される。
【0068】
本明細書で使用される冠詞「a」または「an」は、本明細書で用いる場合、特に明示的に示される場合を除き、詳細な説明または特許請求の範囲を、その冠詞が指す単一の要素に対して限定することを意図するものではなく、限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、冠詞「a」または「an」とは、本明細書で用いる場合、本文で別段明記されていない限り、1以上のそのような要素を網羅することを意図している。
【0069】
本発明は、その実施においてかなりの変動を受けやすい。したがって、前述の説明は、本発明を上記に提示された特定の例示に限定することを意図するものではなく、限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用の非水電解質溶液であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤であって、
a)同一のチオフェン環に2個以上の臭素原子が結合した臭素化チオフェンであって、
前記臭素原子に加えて前記チオフェン環に1つまたは2つの置換基を有する前記臭素化チオフェンであって、この置換基はエーテル基、エステル基、またはカーボネート基から選択されるが、前記エーテル酸素原子が前記チオフェン環に直接結合していないことを条件とし、この臭素化チオフェンは約6個から約12個の炭素原子を有する、または
前記臭素化チオフェンが、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、または2,3,5-トリブロモチオフェンである、前記臭素化チオフェン、
b)チアゾール環に結合した1個または2個の臭素原子を有する臭素化チアゾールであって、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有し、前記臭素原子が前記環の2位及び5位にある場合、前記チアゾール環の炭素原子は酸素含有置換基が結合している、前記臭素化チアゾール、及び
c)チアジアゾール環に結合した1個の臭素原子と、前記チアジアゾール環の炭素原子に結合した酸素含有置換基とを有する臭素化チアジアゾールとから選択される、前記臭素系難燃剤と、を備える、前記溶液。
【請求項2】
前記臭素系難燃剤は、
I)4から約12の炭素原子、前記チオフェン環に結合する2から約4の臭素原子、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約40重量%以上の臭素含量を有する、臭素化チオフェン、
3から約12個の炭素原子を含み、前記チアゾール環に結合した1個の臭素原子を有する臭素化チアゾール、
4から約12個の炭素原子を含み、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有する、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有す
る臭素化チアゾール、または
3から約12個の炭素原子、及び/または前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアジアゾール、または
II)4から約10個の炭素原子、前記チオフェン環に結合する2から約3の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約45重量%以上の臭素含量を有する、臭素化チオフェン、
3から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合する1つの臭素原子を有し、前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアゾール、または
4から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約30重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアゾール、または
3から約10個の炭素原子を含有し、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子、及び前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%以上の臭素含量を有する臭素化チアジアゾールである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項3】
前記臭素系難燃剤は、
前記酸素含有置換基がヒドロカルビルオキシ基及びエーテル基から選択される臭素化チアゾール、または
前記臭素系難燃剤の総重量に対して約22重量%から約45重量%の臭素含量を有する臭素化チアジアゾールである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項4】
前記臭素化チアゾールが1,3-チアゾールであり、任意選択で前記1,3-チアゾールが、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、または4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾールであるか、または
前記臭素化チアジアゾールが1,3,4-チアジアゾールであり、任意選択で、前記1,3,4-チアジアゾールが2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、または2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールである、請求項1から3のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項5】
前記臭素系難燃剤が、
i)前記チオフェン環の置換基としてエーテル基を有する臭素化チオフェンであって、前記エーテル基が前記チオフェン環と前記エーテル酸素原子との間に部分を有し、その部分が1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基であり、前記エーテル酸素原子に結合した他の基は、1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビル基であり、任意選択で前記臭素系難燃剤がプロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテルである、前記臭素化チオフェン、または、
ii)前記チオフェン環の置換基としてエステル基を有する臭素化チオフェンであって、前記エステル基のカルボニル部分が前記チオフェン環に直接結合しており、前記エステル基の他の部分が、1から約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、任意選択で前記化臭素化チオフェンが、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、または3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチルである前記臭素化チオフェン、または
iii)前記臭素系難燃剤が前記チオフェン環の置換基としてカーボネート基を有する
臭素化チオフェンであって、前記カーボネート基の酸素原子が前記チオフェン環に直接結合していてもよく、前記チオフェン環に直接結合していなくてもよく、他のカーボネート酸素原子に結合した基は、1から約4個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、または3から約6個の炭素原子及び1から3個の酸素原子を有するエーテル基のいずれかである前記臭素化チオフェンである、請求項1に記載の非水電解質溶液。
【請求項6】
iii)において、
前記カーボネート基は、前記カーボネート基の酸素原子を介して前記チオフェン環に結合しておらず、前記チオフェン環と前記カーボネート酸素原子との間の前記カーボネート基の部分は、1から約4個の炭素原子を有する飽和ヒドロカルビレン基であるか、または
前記臭素系難燃剤が4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチルまたは1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチルである、請求項5に記載の非水電解質溶液。
【請求項7】
前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約12重量%以上の臭素の量である、請求項1から6のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項8】
前記液体電解質媒質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはそれらの混合物であり、及び/または前記リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項1から7のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項9】
I)
a)3から約6つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約5つの炭素原子と1から約4つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約9つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約12個の炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、2から約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、または
II)
a)3から約4つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約4つの炭素原子と1から約2つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約6つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約9つの炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約4個の炭素原子を含有する、環状スルトン、
f)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環を有し、2から約4つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、または7員環を有し、2から約4個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項10】
前記電気化学的添加剤は、
a)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約12重量%の量の不飽和環状カーボネート、
b)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約8重量%の量のフッ素含有不飽和環状カーボネート、
c)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.1重量%から約5重量%の量のトリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量のトリヒドロカルビルホスフェート、
e)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%から約5重量%の量の環状スルトン、
f)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.25重量%から約5重量%の量の飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)前記非水電解質溶液の総重量に対して、約0.5重量%から約5重量%の量の別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物、から選択される、請求項9に記載の非水電解質溶液。
【請求項11】
各電気化学的添加剤は、他の電気化学的添加剤と共に使用されない、請求項7から10のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項12】
前記溶液がニトリル化合物をさらに含み、任意選択で前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであるか、または前記溶液が、ニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意選択で、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項1から10のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項13】
前記溶液が、
2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチル、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-
(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールからなる群から選択される少なくとも1つの臭素系難燃剤を含む、請求項1に記載のリチウム電池用の非水電解質溶液。
【請求項14】
前記臭素系難燃剤が2,5-ジブロモチオフェンであり、任意選択で、前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約12重量%以上の臭素の量である、請求項13に記載の非水電解質溶液。
【請求項15】
前記臭素系難燃剤が2,3-ジブロモチオフェンであり、任意選択で、前記臭素系難燃剤は、前記溶液の総重量に対して、約13重量%以上の臭素の量である、請求項13に記載の非水電解質溶液。
【請求項16】
前記臭素系難燃剤が、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、または4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾールである、請求項13に記載の非水電解質溶液。
【請求項17】
前記液体電解質媒質は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、またはそれらの混合物であり、及び/または前記リチウム含有塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、またはビス(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項13から16のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項18】
前記溶液が、ニトリル化合物またはニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意選択で、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであるか、または前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項13から16のいずれかに記載の非水電解質溶液。
【請求項19】
正極、負極、及び請求項1から18のいずれかに記載の非水電解質溶液を含む、非水リチウム電池。
【請求項20】
リチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法であって、
i)液体電解質媒質と、
ii)リチウム含有塩と、
iii)少なくとも1つの臭素系難燃剤であって、
a)同一のチオフェン環に2個以上の臭素原子が結合した臭素化チオフェンであって、
前記臭素原子に加えて前記チオフェン環に1つまたは2つの置換基を有する前記臭素化チオフェンであって、この置換基はエーテル基、エステル基、またはカーボネート基から選択されるが、前記エーテル酸素原子が前記チオフェンに直接結合していないことを条件とし、この臭素化チオフェンは約6個から約12個の炭素原子を有する、または
前記臭素化チオフェンが、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、または2,3,5-トリブロモチオフェンである、前記臭素化チオフェン、
b)チアゾール環に結合した1個または2個の臭素原子を有する臭素化チアゾールであって、前記チアゾール環に結合した2個の臭素原子を有し、前記臭素原子が前記環の2位及び5位にある場合、前記チアゾール環の炭素原子は酸素含有置換基が結合している、前記臭素化チアゾール、及び
c)チアジアゾール環に結合した1個の臭素原子と、前記チアジアゾール環の炭素原
子に結合した酸素含有置換基とを有する臭素化チアジアゾールを含む前記臭素系難燃剤とを含む成分を配合することを含む、前記方法。
【請求項21】
前記成分は、
a)3から約6つの炭素原子を含有する、不飽和環状カーボネート、
b)3から約5つの炭素原子と1から約4つのフッ素原子を含有する、フッ素含有飽和環状カーボネート、
c)3から約9つの炭素原子を含有する、トリス(トリヒドロカルビルシリル)ホスファイト、
d)3から約12個の炭素原子を含有する、トリヒドロカルビルホスフェート、
e)3から約8個の炭素原子を含む環状スルトン、
f)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルファイト、
g)5員環または6員環を有し、2から約6つの炭素原子を含有する、飽和環状ヒドロカルビルサルフェート、
h)6員環、7員環、または8員環を有し、2から約6個の炭素原子を含む環状ジオキサジチオポリオキシド化合物、
i)別のリチウム含有塩、及び
j)前述のうちの任意の2つ以上の混合物から選択される少なくとも1つの電気化学的添加剤をさらに含み、及び/または
前記成分が、ニトリル化合物、またはニトリル化合物及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意選択で、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであるか、または前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの臭素系難燃剤が、2,3-ジブロモチオフェン、2,4-ジブロモチオフェン、2,5-ジブロモチオフェン、3,4-ジブロモチオフェン、2,3,4-トリブロモチオフェン、2,3,5-トリブロモチオフェン、プロピル1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチルエーテル、4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)炭酸エチル、1,1-ジメチル-2-[4-(2,3,5-トリブロモチオフェン)]エチル炭酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸メチル、2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸メチル、4,5-ジブロモチオフェン-2-カルボン酸エチル、4,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸エチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジメチル、3,4-ジブロモチオフェン-2,5-ジカルボン酸ジエチル、2-ブロモチアゾール、4-ブロモチアゾール、5-ブロモチアゾール、2,4-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモチアゾール、4,5-ジブロモ-2-メトキシチアゾール、4,5-ジブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)チアゾール、2-ブロモ-5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾール、2-ブロモ-5-(2-メトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-ブロモ-5-(2-エトキシエトキシ)-1,3,4-チアジアゾールからなる群から選択される、請求項20に記載のリチウム電池用の非水電解質溶液を製造するための方法。
【請求項23】
前記成分が、
ビニレンカーボネート、4-フルオロエチレンカーボネート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリアリルホスフェート、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、エチレンサルファイト、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシド、ジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウム、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム、及びこれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される、少なくとも1つの電気化学的添加剤、及び
/または
ニトリル化合物であって、任意選択で、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、または任意選択で、前記成分が、ニトリル化合物、及び別のリチウム含有塩をさらに含み、任意選択で、前記ニトリル化合物がスクシノニトリルであり、前記リチウム含有塩がジ(フルオロ)(オキサラト)ホウ酸リチウムである、前記ニトリル化合物、をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記臭素系難燃剤が2,3-ジブロモチオフェンまたは2,5-ジブロモチオフェンである、請求項22から23のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】