(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ジャガイモタンパク質製品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/26 20060101AFI20240312BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240312BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A23J3/26
A23J3/14
A23J3/00 502
A23J3/26 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561000
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022058087
(87)【国際公開番号】W WO2022207546
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374024
【氏名又は名称】ケーエムシー カートフフェルメルセントラレン エーエムビーエー
【氏名又は名称原語表記】KMC KARTOFFELMELCENTRALEN AMBA
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンニバル, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ソーレンセン, オーレ・バンドホルム
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン, ライン バッハ
(57)【要約】
ジャガイモタンパク質製品製造の押出方法。前記方法は、高温においておよびアルカリ性塩と組合せて大部分のジャガイモタンパク質を含む組成物を使用して行われる。食肉および食肉類似品の特徴を有する押出ジャガイモタンパク質製品を得る。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
iv)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と
を含む組成物を準備する工程と;
b)150~230℃の範囲の温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と
を含み;
これにより、押出ジャガイモタンパク質製品を得る、
方法。
【請求項2】
前記工程a)の組成物は、4.5~9の範囲などの4.5~10の範囲のpH、好ましくは、5~7などの4.8~9の範囲のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程a)の組成物は、5~6または6~7などの5~7の範囲のpHを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)5未満、好ましくは、4.5未満のpHを有する組成物であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と;
ii)前記組成物の総重量の5~40重量%などの5~50重量%の量の水と;
iii)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と
を含む、組成物を準備する工程と;
b)前記組成物のpHを、範囲pH5~10の範囲のpHに調整する工程と;
c)150~230℃の範囲の温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と
を含み;
これにより、押出ジャガイモタンパク質製品を得る、
方法。
【請求項5】
前記工程b)のpHを、5~7などの5~9の範囲のpH、好ましくは、4.8~9の範囲、より好ましくは5.8~8の範囲、好ましくは6~6.8などの6~7の範囲のpHに調整する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程b)のpHを、6~7などの5~7の範囲のpHに調整する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において、前記pHを、前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量までなど、1つ以上のアルカリ性塩を用いて調整する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群から選択される、請求項1~3および7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリ性塩は、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムおよびカリウムからなる群から選択される1つ以上のカチオンを含む、請求項1~3および7~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される、請求項1~3および7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、ソーダ、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸ナトリウム水和物(Na
2CO
3・xH
2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、セスキ炭酸ナトリウム(Na
3H(CO
3)
2)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、重炭酸カリウム(KHCO
3)、およびNa
2CO
3・NaHCO
3・2H
2Oなどのこれらの混合物からなる化合物の群から選択されるなどの炭酸塩化合物であり、好ましくは、炭酸ナトリウム十水和物などの炭酸ナトリウム水和物などの炭酸ナトリウムである、請求項1~3および7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ジャガイモタンパク質は、天然タンパク質、再加工品、および/または変性タンパク質であり、好ましくは変性タンパク質である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ジャガイモタンパク質の量は、前記組成物の総重量に対して45~94.9重量%の範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルカリ性塩は、前記組成物の総重量に対して0.1~4重量%の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、前記組成物の総重量に対して10~50重量%の量の水を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の追加の植物性成分は、植物タンパク質、植物デンプン、植物繊維、およびこれらの組合せからなる群から選択され;但し、前記植物性成分はジャガイモタンパク質と異なる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記植物タンパク質は、エンドウマメ、ダイズ、セイヨウアブラナ、コムギ、コメ、豆(bean)、ソラマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、藻、グルテン、ルピナス、ヒマワリ、アサ、およびこれらの組合せからなる群から選択される植物源を含み、好ましくは、エンドウマメおよび/またはソラマメを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記植物デンプンは、天然デンプン、加工デンプン、アルファ化された天然または加工デンプン、ジャガイモ顆粒、およびポテトフレークからなる群から選択される供給源を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記植物繊維は、ジャガイモ、エンドウマメ、ナシ、リンゴ、アボカド、デーツ、豆(bean)、インゲンマメ、ライマメ、およびエダメ(edame)からなる群から選択される植物源を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記押出機を出た後の前記押出ジャガイモタンパク質製品は、20重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の含水率を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物の前記押出を、150~200℃など、好ましくは150~190℃などの150~220℃、より好ましくは175~190℃の温度において行う、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の方法により得られる/得ることができる押出ジャガイモタンパク質製品。
【請求項23】
前記押出ジャガイモタンパク質製品は、食品成分である、請求項22に記載の押出ジャガイモタンパク質製品。
【請求項24】
請求項22に記載の押出ジャガイモタンパク質製品または請求項23に記載の食品成分を含む食品製品。
【請求項25】
前記押出ジャガイモタンパク質製品、前記食品成分および/または前記食品製品は、食肉類似品、魚肉類似品、家畜肉類似品、植物性牛挽肉、植物性ミンチ肉、植物性食肉代替品/類似品、ベーコン類似品、スナック、およびこれらの変化形からなる群から選択される、請求項22に記載の押出ジャガイモタンパク質製品、請求項23に記載の食品成分および/または請求項24に記載の食品製品。
【請求項26】
食肉類似品製造の押出方法における組成物の使用であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
を含む、使用。
【請求項27】
前記組成物は、pH4.5~9の範囲、好ましくはpH5~7などのpH4.8~9の範囲、より好ましくはpH5.8~8の範囲、更により好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記組成物は、6~7などの5~7の範囲のpHを有する、請求項26または27に記載の使用。
【請求項29】
食肉類似品製造の押出方法において4.5超のpHを有する組成物の使用であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の5~40重量%の量の水と、
を含む、使用。
【請求項30】
前記組成物は、5~7などの4.5~9の範囲、好ましくは、4.8~9の範囲、より好ましくは5.8~8の範囲、更により好ましくは6~6.8などの6~7の範囲のpHを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物は、6~7などの5~7の範囲のpHを有する、請求項29または30に記載の使用。
【請求項32】
前記組成物は、前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量までなど、1つ以上のアルカリ性塩を更に含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群から選択される、請求項26または27または32に記載の使用。
【請求項34】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される、請求項26~27または32~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩化合物、好ましくは炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである、請求項26~27または32~34のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製品および/または食品成分の押出方法に関する。詳細には、本発明は、ジャガイモタンパク質に富んだ食品の押出に関する。
【背景技術】
【0002】
植物材料から製造された食品および他の製品は、高まる公共の関心の対象であり、新規または改良されたその製造方法は需要がある。しかしながら、ビーガンフードなどの野菜をベースとする食品は、特に目的がタンパク質に富み毎日の栄養素摂取に寄与する植物をベースとする食品製品を提供することである場合、製造および開発するのが煩わしいとされることがある。食肉類似品は、総じて、それぞれの食肉をベースとする製品と質感、香りおよび官能的品質により非常によく似ている製品を期待する消費者に悩まされている。
【0003】
タンパク質は、完全食および健康食の重要な構成要素である。タンパク質は、組織の構築と修復に重要である。タンパク質は、酵素、ホルモン、および骨、筋肉、軟骨、皮膚、および血液の構築を助ける他の体の化学成分を作るためにも必要である。世界人口の増加および農業利用の土地の量の減少は、新規かつ豊富なタンパク質源を必要とする。とりわけ、栄養士、医師、およびアスリートは、健康を維持、筋肉を構築および脂肪を減らす助けとするためにタンパク質を消費することを推奨する。タンパク質は、様々な動物性および植物性供給源、生成物および副産物において見ることができる。いくつかの広く使用されている動物性タンパク質は、食肉、海産物、卵、ミルクおよびチーズから直接的または間接的に得られる。今日、多くの人々は、動物タンパク質の産生に関連する環境に対する効果を減らすため、または動物を扱う方法に反しているので植物性タンパク質を選択する。
【0004】
多くの異なる種類の植物タンパク質は、今日の食品製造業者に利用可能である。そのようなものとして、植物タンパク質は、気候の影響を受けにくい高収穫量作物であるジャガイモ植物(ソラナムチュベロスム変種(Solanum Tuberosum var.))から得られる可能性がある。ジャガイモのいずれの部分も利用し、機能成分および栄養成分に丁寧に加工することができる。タンパク質、デンプンおよび繊維は、同量のジャガイモから抽出され得る。ジャガイモタンパク質は、例えば、栄養価に関して食肉タンパク質の優れた代替品であると考えられている。高レベルのジャガイモタンパク質を含む食品およびスナックは、同様な食肉製品に対する人気のある健康的代替品であると思われるが、消費者の好みは質感および味に関して満足されなければならない。
【0005】
押出方法は、押し出される組成物中の構成要素の混合物により主に支配される特性を有する質感加工された(textured)植物性タンパク質(TVP)の製品を得る方法を提供する。
【0006】
英国特許出願公開第1495194号は、質感加工された植物性タンパク質の製造方法を開示している。単離されたジャガイモタンパク質およびジャガイモパルプの組成物が押し出される。しかしながら、単離されたジャガイモタンパク質は純度85%であるが、全組成物(すなわち、合計210重量部に対して100重量部)の47重量%の構成要素にしかならない。したがって、押し出される組成物のタンパク質含有率は、あきらかに43重量%未満である。
【0007】
加えて、欧州特許第3578053号は、70~85重量%のジャガイモタンパク質を含むが、低温で押し出される食品製品を開示している。
【0008】
しかしながら、ほとんどタンパク質からなる組成物の押出は、総じて、例えば、不均質な混合および/または溶融が原因となるフロー制御不良のせいで製造が難しいと考えられる。総じて言えば、押し出された質感加工された植物タンパク質は、製造するのが難しく、各タンパク質源に対して開発する必要がある。
【0009】
したがって、食肉の外観、味および質感を有する栄養製品を得るためのほとんどタンパク質を含む組成物の押出促進方法は、価値があると考えられる。
【0010】
したがって、押出ジャガイモタンパク質製品の改良された製造方法は有益であり、特に高タンパク質含有率を有する押出ジャガイモタンパク質製品の改良された製造方法は有益であろう。
【発明の概要】
【0011】
食品として使用するための押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法。前記方法は、ジャガイモタンパク質、アルカリ性塩、水および所望によりデンプン、繊維、および更なる植物タンパク質などの他の植物性成分を含む組成物の押出を含む。ジャガイモタンパク質は、全組成物の少なくとも40%であり、組成物を、230℃以下の温度で押し出し得る。前記方法により得られる押出ジャガイモタンパク質製品を、その後に15%未満の水を含むように乾燥してよい。
【0012】
詳細には、大量の植物タンパク質を含み、更に栄養価および味の需要を満足させる植物性食品製品を提供することは、本発明の目的である。押出ジャガイモタンパク質製品は、質感、繊維構造物、水分容量、密度および外観などの食肉または食肉類似品に特徴的である視覚的および感覚的特性を有してもよい。
【0013】
炭酸ナトリウムなどのアルカリ性塩の添加により、品質が向上した押出ジャガイモタンパク質製品を得ることが分かった。本発明者らは、驚くべきことに、前記塩を含む組成物の押出は、前記塩を含まない組成物から押し出された製品と比較して、繊維構造および質感の向上した製品をもたらすことを見出した。加えて、前記塩を含む組成物の押出中により良好な流れが観察され、それにより押出方法の改善を促進した。
【0014】
したがって、本発明の第一態様は、押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
iv)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と
を含む組成物を準備する工程と;
b)150~230℃の範囲の最大温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と
を含み;
これにより、押出ジャガイモタンパク質製品を得る、
方法に関する。
【0015】
実施例3において概説されているように、工程a)におけるアルカリ性塩(炭酸ナトリウムで例示される)の添加は、得られる押出ジャガイモタンパク質製品の繊維構造に対するポジティブな影響を有する。
【0016】
実施例4は、他のアルカリ性塩を用いて同じ効果を得ることができることを更に示す。実施例4は、組成物のpHが、押出ジャガイモタンパク質製品の繊維構造物に重要であることも示す。これは、広範囲のアルカリ性塩を用いて確認された。
【0017】
したがって、本発明の更なる態様は、押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)5未満、好ましくは、4.5未満のpHを有する組成物であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と;
ii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
iii)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と、
を含む、組成物を準備する工程と;
b)前記組成物のpHを、範囲pH5~10などの4.5~10の範囲のpHに調整する工程と;
c)150~230℃の範囲の最大温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と、
を含む方法に関する。
【0018】
本発明による組成物の押出から得られる押出ジャガイモタンパク質製品は、押出手順により決定される特性を有する。
【0019】
したがって、本発明の更なる態様は、先行請求項のいずれか一項に記載の方法により得られる/得ることができる押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0020】
本発明の押出ジャガイモタンパク質製品を、いくつかの応用のため、いずれかの更なる食品製品を製造するための成分として使用して、したがって、かかる製品の製造において使用される組成物、配合物または混合物における構成要素であり得る。
【0021】
なお本発明の更なる態様は、食品成分である本明細書に記載されている押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0022】
押出ジャガイモタンパク質製品または成分を含む組成物から得られるいずれもの食品製品は、本発明の一部でもあり、これにより、本発明の態様は、本明細書に記載されている押出ジャガイモタンパク質製品または本明細書に記載されている食品成分を含む食品製品に関する。
【0023】
本発明による押出パラメータおよび組成物仕様の組合せは、食肉およびその製品に特徴的である視覚的および感覚的特性を有する押出ジャガイモタンパク質製品をもたらす。
【0024】
したがって、本発明の更なる態様は、食肉類似品製造の押出方法における組成物の使用であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
を含む、使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、サンプル#6の押出ジャガイモタンパク質製品を示す。
【
図2】
図2は、サンプル#8の押出ジャガイモタンパク質製品を示す。
【
図3】
図3は、サンプル#11の押出ジャガイモタンパク質製品を示す。
【
図4A】
図4Aは、標準的カメラで撮影されたサンプル#6の押出ジャガイモタンパク質製品を示し、
図4Bは、立体顕微鏡で撮影された同サンプルの写真を示す。この押出ジャガイモタンパク質製品は繊維状構造物を有することが、両方のこれらの図から分かる。
【
図4B】
図4Aは、標準的カメラで撮影されたサンプル#6の押出ジャガイモタンパク質製品を示し、
図4Bは、立体顕微鏡で撮影された同サンプルの写真を示す。この押出ジャガイモタンパク質製品は繊維状構造物を有することが、両方のこれらの図から分かる。
【
図5A】
図5Aは、標準的カメラで撮影されたサンプル#1の押出ジャガイモタンパク質製品を示し、
図5Bは、立体顕微鏡で撮影された同サンプルの写真を示す。この押出ジャガイモタンパク質製品は繊維状でないことが、両方のこれらの図から分かる。
【
図5B】
図5Aは、標準的カメラで撮影されたサンプル#1の押出ジャガイモタンパク質製品を示し、
図5Bは、立体顕微鏡で撮影された同サンプルの写真を示す。この押出ジャガイモタンパク質製品は繊維状でないことが、両方のこれらの図から分かる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本発明を以下により詳細に説明する。
【0027】
定義
更に詳細に本発明を述べる前に、以下の用語および慣例を最初に定義する:
【0028】
押出
本文脈において、用語「押出」は、混合物、組合せまたは同様のものなどの組成物を装置(すなわち、押出機)に押し通す方法を表す。押出機は、出口にダイを装備していることが多く、これに制限されないが、押出プロセス中に組成物を加熱する手段および/または押出中に組成物に水などの更に構成要素を添加する手段を備えている場合もある。押出は、連続式方法または単一なバッチ式方法であり得る。
【0029】
高水分押出調理(HMEC)
本文脈において、植物性タンパク質のHEMCを、バレル中、高(45%超)水分を用いて行い、押出機を出る製品は、高含水率、通常35重量%超、好ましくは50重量%超を有するだろう。
【0030】
質感加工された植物性タンパク質
本文脈において、TVPの押出中、バレル中の含水率はバレルにおいて低く(45重量%未満)、押出機を出る製品は、低含水率、通常、25重量%以下、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、更により好ましくは10重量%未満を有するだろう。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、押出を乾式押出により行う。
【0032】
ジャガイモタンパク質
本文脈において、用語「ジャガイモタンパク質」は、植物ソラナムチュベロスム(Solanum Tuberosum)の塊茎から得られるタンパク質を表す。例えば、ジャガイモタンパク質を、ジャガイモからのデンプンの抽出方法における二次製品として得てもよい。
【0033】
天然タンパク質
本文脈において、用語「天然タンパク質」は、その一次構造および天然三次元形態を有するタンパク質を表す。この三次元形態は、タンパク質が、その天然生物環境におけるように機能することを可能とする。
【0034】
変性タンパク質
本文脈において、用語「変性タンパク質」は、その天然三次元形態でないタンパク質を表す。変性タンパク質を、例えば、天然タンパク質の加熱処理または酸などの化学薬品を用いた処理によるなど、対応する天然タンパク質から得てもよい。
【0035】
再加工品
本文脈において、用語「再加工品」は、タンパク質を含むサンプルを表し、このサンプルは、これらに限定されないが食品製品または成分など1つの応用において既に使用されている。
【0036】
アルカリ性塩
本文脈において、用語「アルカリ性塩」は、水に溶解して塩基性溶液を生成する塩基性化合物を表す。塩基性化合物は、これらに限定されないが炭酸、リン酸、クエン酸、水酸化物、および酸化物などのアニオンにより相殺される1つ以上のカチオンを含む化合物である。
【0037】
炭酸化合物
本文脈において、用語「炭酸化合物」は、いずれかの有機または無機カチオンにより相殺される1つ以上の炭酸アニオン(すなわち、CO3
2-)を含む化合物を表す。
【0038】
質感加工された
本文脈において、用語「質感加工された(textured)」は、より繊維構造物を得るように加工されたものを表すが、この特性のみに制限されない。
【0039】
植物デンプン
本文脈において、用語「植物デンプン」は、植物から得られるデンプンまたはデンプンを含む部分(すなわち、ジャガイモ顆粒またはポテトフレーク)を表す。デンプンは、グリコシド結合、好ましくはα-グリコシド結合により結合されたD-グルコース単位からなる多糖類である。デンプンは、エネルギーを貯蔵するための多くの異なる植物種により産生される。
【0040】
植物繊維
本文脈において、用語「植物繊維」は、植物から得られる繊維状構造物を表す。
【0041】
本明細書において、食品として使用するための押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法を説明する。前記方法は、ジャガイモタンパク質、アルカリ性塩、水および所望によりデンプン、繊維、および更なる植物タンパク質などの他の植物性成分を含む組成物の押出を含む。押出ジャガイモタンパク質製品は、構造が繊維状であり、食肉または食肉類似品に特徴的である質感、水分容量、密度および外観を有する。
【0042】
本発明者らは、驚くべきことに、アルカリ性塩を含む組成物の押出は、かかる塩を含まない組成物から押し出された製品と比較して、繊維構造および質感の向上した製品をもたらすことを見出した。更に、前記塩を含む組成物の押出は、装置を通ってより良好に流れ、したがって押出結果を改善することが観察された。
【0043】
押出ジャガイモタンパク質の製造方法
上記にも概説されているように、本発明は、質感、繊維構造物、水分容量、密度および外観などの食肉または食肉類似品に特徴的である視覚的および感覚的特性を有し得る押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0044】
したがって、本発明の第一態様は、押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
iv)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と
を含む組成物を準備する工程と;
b)150~230℃の範囲の最大温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と
を含み;
これにより、押出ジャガイモタンパク質製品を得る、
方法に関する。
【0045】
実施例のセクションで概説されているように、アルカリ性塩(工程a)における炭酸ナトリウム(実施例3)およびトリポリリン酸ナトリウム(実施例4)で例示される)の添加は、得られる押出ジャガイモタンパク質製品の繊維状構造物に対してポジティブな効果を有する。
【0046】
実施形態では、工程b)において、150~230℃の範囲の温度において押出を行う。
【0047】
工程a)における組成物のpHも、得られる押出ジャガイモタンパク質製品の特性に重要であり得る。したがって、実施形態では、工程a)における組成物は、pH4.5~9の範囲などpH4.5~10の範囲のpHを有し、好ましくはpH5~6などのpH5~7などのpH4.8~9の範囲、より好ましくはpH5.8~8の範囲、更により好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する。
【0048】
別の好ましい実施形態では、工程a)における組成物は、pH5~6の範囲、好ましくはpH5.2~5.8の範囲、より好ましくはpH5.3~5.6の範囲のpHを有する。
【0049】
別の好ましい実施形態では、工程a)における組成物は、pH5~7の範囲、好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する。実施例4で概説されているように、異なるアルカリ性塩を、繊維強度に影響するように使用することができる。更に、pHと繊維強度との相関関係が特定された。したがって、pHは、得られる押出ジャガイモタンパク質製品の繊維強度に重要である可能性がある。
【0050】
したがって、本発明の更なる態様は、押出ジャガイモタンパク質製品の製造方法であって、前記方法は:
a)5未満、好ましくは、4.5未満のpHを有する組成物であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と;
ii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
iii)所望により、1つ以上の追加の植物性成分と
を含む、組成物を準備する工程と;
b)前記組成物のpHを、範囲pH5~10などの4.5~10の範囲のpHに調整する工程と;
c)150~230℃の範囲の最大温度において前記工程a)の組成物を押し出す工程と、
を含み;
これにより、押出ジャガイモタンパク質製品を得る、
方法に関する。
【0051】
実施形態では、工程c)において、150~230℃の範囲の温度において押出を行う。
【0052】
本発明の実施形態は、組成物の押出を、160~220℃などの155~220℃などの150~220℃のバレル温度、好ましくは150~190℃など、150~180℃の温度などの好ましくは165~220℃の温度、より好ましくは175~190℃のバレル温度で行う。
【0053】
また、実施例4で概説されているように、pHは、得られる押出ジャガイモタンパク質製品の繊維強度に重要である。
【0054】
本発明の第二態様の実施形態では、工程b)のpHを、5~7などの4.5~9の範囲のpH、好ましくは、4.8~9の範囲、より好ましくは5.8~8の範囲、更により好ましくは6~6.8などの6~7の範囲のpHに調整する。
【0055】
好ましい実施形態では、工程a)における組成物は、pH5~6の範囲、好ましくはpH5.2~5.8の範囲、より好ましくはpH5.3~5.6の範囲のpHを有する。
【0056】
別の好ましい実施形態では、工程b)におけるpHは、pH5~7の範囲、好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHに調整する。好ましくは、前記調整は、pHを上昇させる。
【0057】
本発明の第二態様の別の実施形態では、工程b)において、pHを、組成物の総重量の0.1~5重量%の量までなど、1つ以上のアルカリ性塩を用いて調整する。
【0058】
本発明の実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群から選択される。
【0059】
本発明の別の実施形態では、アルカリ性塩は、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムおよびカリウムからなる群から選択される1つ以上のカチオンを含む。
【0060】
本発明の更なる実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される。
【0061】
本発明のなお更なる実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩化合物、好ましくは炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。
【0062】
本発明の1つの特定の実施形態は、ジャガイモタンパク質が天然タンパク質、再加工品、および/または変性タンパク質である、方法に関する。好ましくは、ジャガイモタンパク質は変性されている。実施例セクションでは、変性タンパク質を使用する。例えば、天然タンパク質と比較して、本発明の方法において変性タンパク質を使用する1つの利点は、製造コストはより低いことである。
【0063】
押出製品は、ジャガイモタンパク質に富んでいるべきであり、したがって、本発明の特定の実施形態は、ジャガイモタンパク質の量が、組成物の総重量に対して、65~94.9重量%などの60~94.9重量%などの55~94.9重量%などの50~94.9重量%などの45~94.9重量%の範囲である、方法に関する。しかしながら、本発明の別の実施形態は、ジャガイモタンパク質の量が、組成物の総重量に対して、50~83重量%などの50~85重量%などの50~90重量%などの45~90重量%などの43~90重量%の範囲、好ましくは50~80重量%の範囲である、方法に関する。
【0064】
特に高品質の押出ジャガイモタンパク質製品を、組成物が特定の種類の塩を含む場合に得ることができる。したがって、本発明の実施形態は、アルカリ性塩が、組成物の総重量に対して、0.5~3重量%などの0.1~3重量%などの0.1~4重量%の量である、方法に関する。
【0065】
本発明の実施形態は、アルカリ性塩が、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムおよびカリウムからなる群から選択される1つ以上のカチオンを含む、方法に関する。
【0066】
炭酸アニオンを含むアルカリ性塩は、好ましいジャガイモタンパク質製品の押出に特に関連していると考えられている。したがって、本発明の実施形態は、アルカリ性塩が、ナトリウムまたはカリウムを含む炭酸化合物である、方法に関する。かかる炭酸化合物の数は限定的であるが、この族のいくつかの化学種は、高品質の製品を得る傾向がある。したがって、本発明のより特定の実施形態は、炭酸化合物が、ソーダ、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸ナトリウム水和物(Na2CO3・xH2O)、、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、セスキ炭酸ナトリウム(Na3H(CO3)2)、炭酸カリウム(K2CO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、およびこれらの混合物(例えば、Na2CO3・NaHCO3・2H2O)からなる化合物の群から選択される、方法に関する。本発明の好ましい実施形態は、炭酸ナトリウム水和物が、炭酸ナトリウム十水和物である、方法に関する。
【0067】
水の量は、最終製品の特性に影響する。したがって、本発明の実施形態は、組成物が、組成物の総重量に対して、20~45重量%などの20~50重量%などの15~50重量%などの10~50重量%の量、好ましくは20~15重量%または20~35重量%の量の水を含む、方法に関する。
【0068】
本発明のいくつかの必要に応じて選択される実施形態では、組成物は、他の追加の植物性成分も含む。植物性成分の量の上限は、工程a)により、ならびに構成要素i)~iii)およびiv)の植物性成分を含む組成物の構成要素の総量が100重量%を超えることができないという事実によってのみ限定される。したがって、本発明の実施形態は、追加の植物性成分が、植物タンパク質、植物デンプン、植物繊維、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法に関する。追加の植物性成分は、ジャガイモタンパク質と異なることは理解されるものとする。
【0069】
植物タンパク質を、タンパク質を提供するいずれもの植物源から得てもよい。本発明の特定の実施形態は、植物タンパク質が、エンドウマメ、ダイズ、セイヨウアブラナ、ナタネ、コムギ、コメ、豆(bean)、ソラマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、藻、グルテン、ルピナス、ヒマワリ、アサ、およびこれらの組合せからなる群から選択される追加の植物源を含む、方法に関する。
【0070】
植物源は、植物タンパク質に富んでいるべきであり、これにより、本発明の実施形態は、植物源が植物タンパク質の総重量に対して少なくとも50重量%のタンパク質を含む、方法に関する。
【0071】
植物デンプンは、天然で存在するのと同じ形態であってよく、化学的に、物理的に、熱により、または食品において使用するためのデンプンを製造するのに適した他の方法により加工されていてもよい。植物デンプンは、供給源または植物デンプンおよび/もしくは他の構成要素を含む供給源の一部である。したがって、本発明の実施形態は、植物デンプンが、天然デンプン、加工デンプン、アルファ化された天然または加工デンプンまたは、ジャガイモ顆粒、およびポテトフレークからなる群から選択される供給源を含む、方法に関する。
【0072】
更に、本発明のより特異的実施形態は、植物デンプンが、ジャガイモ、コメ、トウモロコシ、カラスムギ、コムギ、エンドウマメ、豆(bean)、キャッサバ、オオムギ、ワキシートウモロコシ、およびワキシーポテトからなる群から選択される植物源を含み、好ましくはジャガイモまたはワキシーポテトを含む、方法に関する。
【0073】
植物デンプンは、植物タンパク質に富んでいるべきであり、これにより、本発明の実施形態は、植物デンプンが、植物デンプンの総重量に対して、少なくとも60重量%など少なくとも50重量%、好ましくは80重量%のデンプンを含む、方法に関する。
【0074】
組成物は、植物繊維を含んでもよい。したがって、本発明の実施形態は、植物繊維が、植物性食物繊維を含む、方法に関する。しかしながら、しばしば、植物繊維は、供給源または植物繊維および/もしくは他の構成要素を含む供給源の一部である。したがって、本発明の別の実施形態は、植物繊維が、ジャガイモ、コムギ、トウモロコシ、キャッサバ、ニンジン、柑橘類、エンドウマメ、ナシ、リンゴ、アボカド、デーツ、豆(bean)、インゲンマメ、ライマメ、およびエダメ(edame)からなる群から選択される植物源を含む、方法に関する。
【0075】
押出温度は、組成物中の特定の構成要素の溶融および押出機を通る組成物の流れに関連する。更に、運転温度は、食肉の視覚的および感覚的特性を有する押出ジャガイモタンパク質製品を得ることに関して重要なパラメータである。したがって、本発明の実施形態は、組成物の押出を、165~220℃の温度などの160~220℃などの155~220℃などの150~220℃の最大温度で行う、方法に関する。本発明のさらに別の実施形態は、組成物の押出を、150~200℃など、好ましくは150~180℃の温度などの150~190℃などの150~220℃、より好ましくは175~190℃の最大温度で行う、方法に関する。本発明による方法では、変性タンパク質を溶融し、その後、所望の繊維構造にアセンブルするのに充分なエネルギー(温度)を印加することは重要である。
【0076】
本発明のさらに別の実施形態は、組成物の押出を、150~200℃など、好ましくは150~180℃の温度などの150~190℃などの150~220℃、より好ましくは175~190℃の(バレル)温度で行う、方法に関する。
【0077】
本発明の更なる実施形態は、組成物の押出を、押出中の組成物内で測定される温度で行う、方法に関する。本発明の更なる別の実施形態は、組成物の押出を、ダイまたはバレルの1つなど、押出機で測定される温度で行う、方法に関する。そのようなものとして、本発明の実施形態は、組成物の押出を、160~220℃などの155~220℃などの150~220℃の最大バレル温度、好ましくは150~180℃の温度などの150~190℃などの好ましくは165~220℃の温度、より好ましくは175~190℃の最大バレル温度で行う、方法に関する。
【0078】
本発明の実施形態は、組成物の押出を、160~220℃などの155~220℃などの150~220℃のバレル温度、好ましくは150~180℃の温度などの150~190℃などの好ましくは165~220℃の温度、より好ましくは175~190℃のバレル温度で行う。
【0079】
本発明の実施形態は、組成物の押出を、ダイが装備された押出機を用いて行う、方法に関する。
【0080】
本発明の実施形態は、ダイが非温度調節型ダイである、方法に関する。
【0081】
本発明の実施形態は、ダイが、2.8~5.0mmなどの2.5~6.0mmなどの2.5~7.0mmなどの2.0~15.0mmの径を有する少なくとも1つの穴を有する、方法に関する。
【0082】
本発明の実施形態は、組成物の押出中に押出機に水を供給し、好ましくは、水は液体、気体または蒸気の形態である、方法に関する。
【0083】
TVPを、押出機を出た後の押出ジャガイモタンパク質製品にする場合、押出機は、好ましくは20%未満、より好ましくは15%未満、更により好ましくは10%未満の含水率を有する。
【0084】
したがって、実施形態では、押出ジャガイモタンパク質製品は、20重量%未満、好ましくは15重量%未満、更により好ましくは10重量%未満の含水率(水含有率)を有する。
【0085】
押出製品を、所望により更に乾燥してよい。したがって、本発明の実施形態は、組成物の押出後、押出ジャガイモタンパク質製品を、5~10重量%などの4~13重量%などの4~15重量%、好ましくは6~10重量%の量の水を含むように乾燥する、方法に関する。
【0086】
本発明の実施形態は、押出ジャガイモタンパク質製品を、150℃などの185℃などの230℃、好ましくは90℃の最大温度で乾燥する、方法に関する。
【0087】
本発明の実施形態は、押出ジャガイモタンパク質製品を、設置型オーブン、バンド乾燥機または流動床乾燥機で乾燥する、方法に関する。
【0088】
本発明の方法により得られる/得ることができる押出ジャガイモタンパク質製品
本発明の更なる態様は、本明細書に記載の方法により得られる/得ることができる押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0089】
本発明の実施形態は、押出ジャガイモタンパク質製品が、180超などの140超などの130超などの115超、好ましくは200超、最も好ましくは240超の水和力を有する、押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0090】
本発明の更なる実施形態は、押出ジャガイモタンパク質製品が、視覚的繊維状構造を有する、押出ジャガイモタンパク質製品に関する。したがって、本発明の押出ジャガイモタンパク質製品は、質感加工された植物性タンパク質と考えられ得る。
【0091】
更に、本発明の実施形態は、押出ジャガイモタンパク質製品が、80~200g/Lの範囲などの50~200g/Lの範囲などの1~200g/Lの範囲などの200g/L未満の密度を有する、押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0092】
食品成分
更に、本発明の態様は、食品成分である本明細書に記載されている押出ジャガイモタンパク質製品に関する。
【0093】
食品製品
なお本発明の更なる態様は、本明細書に記載されている押出ジャガイモタンパク質製品または本明細書に記載されている食品成分を含む食品製品に関する。
【0094】
本発明の実施形態は、食肉類似品、魚肉類似品、家畜肉類似品、植物性牛挽肉、植物性ミンチ肉、植物性食肉代替品/類似品、ベーコン類似品、スナック、およびこれらの変化形からなる群から選択される、本明細書に記載されている押出ジャガイモタンパク質製品、本明細書に記載されている食品成分および/または本明細書に記載されている食品製品に関する。
【0095】
本文脈において、用語「スナック」は、所望により食事の間で食べられる少量の食品である。スナックは、タンパク質バー、菓子類、およびチップスがあるが、これらに限定されない。
【0096】
使用
本発明の更なる態様は、食肉類似品製造の押出方法における組成物の使用であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の0.1~5重量%の量の1つ以上のアルカリ性塩と、
iii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
を含む、使用に関する。
【0097】
実施形態では、組成物は、pH4.5~9の範囲、好ましくはpH5~7などのpH4.8~9の範囲、より好ましくはpH5.8~8の範囲、更により好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する。
【0098】
好ましい実施形態では、工程a)における組成物は、pH5~6の範囲、好ましくはpH5.2~5.8の範囲、より好ましくはpH5.3~5.6の範囲のpHを有する。
【0099】
別の好ましい実施形態では、組成物は、pH5~7の範囲、好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する。
【0100】
更に本発明の態様は、食肉類似品製造の押出方法において4.5超のpHを有する組成物の使用であって、前記組成物は:
i)前記組成物の総重量の43~94.9重量%の量のジャガイモタンパク質と、
ii)前記組成物の総重量の5~50重量%の量の水と、
を含む、使用に関する。
【0101】
実施形態では、組成物は、5~7などの4.5~9の範囲のpH、好ましくは、4.8~9の範囲のpH、より好ましくは5.8~8の範囲のpH、更により好ましくは6~6.8などの6~7の範囲のpHを有する。
【0102】
好ましい実施形態では、工程a)における組成物は、pH5~6の範囲、好ましくはpH5.2~5.8の範囲、より好ましくはpH5.3~5.6の範囲のpHを有する。
【0103】
別の好ましい実施形態では、組成物は、pH5~7の範囲、好ましくはpH6~6.8などのpH6~7の範囲のpHを有する。
【0104】
別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量の0.1~5重量%の量までなど、1つ以上のアルカリ性塩を更に含む。
【0105】
別の実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、水酸化物、および酸化物からなる群から選択される。
【0106】
更なる別の実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群から選択される。
【0107】
更なる実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、炭酸塩化合物、好ましくは炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。
【0108】
関連する実施形態では、1つ以上のアルカリ性塩は、ソーダ、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸ナトリウム水和物(Na2CO3・xH2O)、、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)、セスキ炭酸ナトリウム(Na3H(CO3)2)、炭酸カリウム(K2CO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、およびNa2CO3・NaHCO3・2H2Oなどのこれらの混合物からなる化合物の群から選択されるなどの炭酸塩化合物であり、好ましくは、炭酸ナトリウム十水和物などの炭酸ナトリウム水和物などの炭酸ナトリウムである。
【0109】
なお、本発明の態様の1つとの関連で記載されている実施形態および特徴は、本発明の他の態様にも当てはまる。
【0110】
本願に引用されている全ての特許および非特許文献は、これらの全文を参照することにより本明細書に援用される。
【0111】
ここで、本発明を以下の非限定的実施例において更に詳細に説明する。
【実施例】
【0112】
実施例1-材料
変性ジャガイモタンパク質(DPP)を、低pHにおいて熱凝固により調製し、次いで、希釈無機酸中で洗浄し;タンパク質含有率は83%(重量/重量)であった。DPPに加えて、ジャガイモ顆粒、天然および加工ジャガイモデンプン、およびエンドウマメタンパク質濃縮物も、押出方法で使用して、KMC、デンマーク国ブランドから得た。エンドウマメタンパク質濃縮物をVestkorn、ノルウェイ国タウから得た。炭酸ナトリウムをSequens Minerals、仏国から得た。
【0113】
押出方法で使用されたジャガイモ由来製品およびエンドウマメタンパク質濃縮物の異なる構成要素を表1に示す。
【0114】
【0115】
実施例2-押出
試験目的
目的は、大量のジャガイモタンパク質を含む組成物を作成し、次いで、押出方法の異なる設定およびパラメータを用いてこれらの組成物を押し出し、このように食肉または食肉をベースとする製品と類似または似ている特性を有する押出ジャガイモタンパク質製品を得ることであった。
【0116】
手順
TVP材料を、Clextral、仏国の二軸押出機EV44+で製造した。DPP、ジャガイモをベースとする成分、エンドウマメタンパク質濃縮物および炭酸ナトリウムの混合物を、表2および表3により混合した。
【0117】
【0118】
【0119】
原材料混合物を、2フィーダーから供給した;1つのフィーダーはDPPおよび炭酸ナトリウムを含み、もう1つのフィーダーは個々の混合物の他の構成要素を含み、合計スループットは100kg/時であった。所望によりプレコンディショニングにより、15~30kg/時の水を添加した。スクリュー速度を、レシピ-間で調整し、500~800rpmで変更した。いずれの場合の温度プロファイルも、最高温度は195℃、最高出口温度は194℃であった。バレルセクションの最終部において、2.8mm径の12穴または15mm径の5穴のいずれかのダイプレートを設置した。バレルを出る材料を、4回転刃および2モノブロック刃を備えた回転カッターを用いて小片に切断した。押出後、全サンプルを、90℃で30分間乾燥した。
【0120】
実施例として、サンプル#6、#8、#9および#11の押出機および供給設定を表4に示す。
【0121】
【0122】
全ての原材料混合物は、様々な品質の押出および質感加工されたジャガイモタンパク質製品をもたらした。押出製品の写真を、それぞれ、
図1、2および3に示す。
【0123】
押出および質感加工されたジャガイモタンパク質製品全てを、含水率10%未満まで乾燥した。
【0124】
実施例3-押出ジャガイモタンパク質製品の分析
試験目的
密度、水分容量および質感などのこれらの特性により押出製品を特性決定すること。
【0125】
密度
1000ml円筒容器をてんびんに置き、風袋の重さを量った。押出ジャガイモタンパク質製品を、1000mLマークまで充填し、再度、円筒容器の重量を量った。重量を、g/Lの単位の密度として使用し、表5に一覧表にする。
【0126】
【0127】
水分容量
水分容量は、冷水に浸漬された場合の押出ジャガイモタンパク質製品1グラムが吸収する水の量(グラム)の尺度である。押出ジャガイモタンパク質製品15グラムをビーカーに加えた。冷水200グラムを添加し、数秒間混合して、乾燥押出ジャガイモタンパク質製品の全てが浸漬されたことを確かにした。混合物を、2分間、4分間および6分間室温で放置した。次いで、もはやビーカーから水が流れなくなる/滴り落ちなくなるまで、水を押出ジャガイモタンパク質製品からデカントした。この時に水和された押出ジャガイモタンパク質製品の重量を量り、水和力を算出した(水和押出ジャガイモタンパク質製品の重量-乾燥押出ジャガイモタンパク質製品の重量)/乾燥押出ジャガイモタンパク質製品の重量。異なる押出ジャガイモタンパク質製品の範囲の水和力を表6に一覧表にする。
【0128】
表6は、押出前の原材料混合物への炭酸ナトリウムの添加は、少なくとも2倍水和力を増大することを示している。サンプル#7は、最も高い水分摂取を有した。
【0129】
【0130】
繊維構造物の評価
食肉繊維を模倣するために、押出ジャガイモタンパク質製品は、水和後明確な繊維構造物を有することが必要である。繊維構造物は、視覚的に明確な整列された繊維の束が特徴である。水和された押出ジャガイモタンパク質製品(水200mlに乾燥製品15g、6分間水和)の写真を標準的カメラで撮影し、顕微鏡画像を立体顕微鏡で撮影した。
【0131】
本実施例では、
図4Aおよび4Bは、明確な可視性繊維はどういうものかを示し、
図5Aおよび5Bは、繊維構造物のない押出ジャガイモタンパク質製品を例示している。
図4Aおよび4Bの押出ジャガイモタンパク質製品を炭酸ナトリウムと共に(すなわち、サンプル#6)押し出し、
図5Aおよび5Bの製品を炭酸ナトリウムなしで(すなわち、サンプル#1)押し出した。加えて、炭酸ナトリウムの存在下押し出された全サンプルは、構造が繊維状であり、炭酸ナトリウムは繊維状製品を得るのに重要であることを示唆した。
【0132】
したがって、押し出される組成物への炭酸ナトリウムの添加は、より繊維状であり質感加工された製品をもたらす。
【0133】
実施例4-ジャガイモをベースとする質感加工された植物性タンパク質における繊維強度に対するpHの効果
目的:
試験目的は、再水和された押出製品における繊維の強度に対する、押出前の原材料混合物へのアルカリ性塩の添加の効果を評価することであった。押出方法は、pHを変更しない。
【0134】
材料および方法:
0%~2%(総タンパク質の%)アルカリ性塩を含む押出製品において最終pHを測定した。質感加工されたタンパク質を粉砕し、5グラムを脱塩水50グラム中に分散した。pH測定前に、溶液を室温で5分間放置した。
【0135】
広範囲のアルカリ性塩製品およびアルカリ性塩投与量の効果を、0.50%~5%の投与量における炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムの添加により評価した。アルカリ性塩を添加しない参照品も含まれ、タンパク質10グラムおよび脱塩水100グラムを含む溶液にアルカリ性塩を添加し、室温で30分後pHを測定した。
【0136】
感覚的評価により繊維強度の評価を行った。1:2の比(TVP:水)で5分間質感加工されたサンプルを水和し、タンパク質繊維の強度を比較し、0~5の基準で繊維強度を評価し、前記基準において0は繊維強度のないサンプルであり、5は非常に強い繊維である。
【0137】
結果:
質感加工品(texturates)におけるpH測定:
押出中のアルカリ性塩の様々な投与量による質感加工されたタンパク質のpHを表7に一覧表にする。
【0138】
【0139】
表7から、0%~2%のアルカリ性塩の投与量の増加はpHを上昇させ、著しく繊維強度にも影響したことは明らかである。
【0140】
原材料のpHの測定:
タンパク質原材料のpHに対する異なるアルカリ性塩の効果を表8に示す。アルカリ性塩を添加しない参照サンプルは、4.20のpHを示した。
【0141】
【0142】
表8から、本試験で使用された投与量におけるアルカリ性塩の添加は、溶液のpHを上昇させたことは明白である。異なるアルカリ性塩は、様々な程度までpHを上昇させた。水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムは、pHに対して最も大きな効果を示したが、クエン酸三ナトリウムは最も低い効果を示した。
【0143】
表7および表8のpH値の比較により、本試験においてタンパク質原材料(表8)または押出中のいずれかに適用された投与量におけるアルカリ性塩の添加により上昇したpHと、それによる質感加工品(表7)中のpHとは相関すると結論することができる。これは、アルカリ性塩の投与量および原材料のpHに対するその効果の知見を、アルカリ性塩の効果および質感加工されたタンパク質のpH上昇に対するその効果に直接的に移転することができることを意味する。
【0144】
結論:
本試験で得られた結果から、アルカリ性塩は、タンパク質原材料更に質感加工されたタンパク質の両方にpHを同様に上昇させることができることは明らかである。更に、質感加工品のpHの上昇により、繊維の強度は増強したことは明白である。
【0145】
異なる投与量のアルカリ性塩の範囲でpHは上昇させることができ、したがって、上昇されたpHはタンパク質質感加工品の繊維強度を増強することができると結論される。
【0146】
優れた繊維強度を得るための好ましいpHは、pH4.8~9であり、最も好ましくはpH5.8~8、更により好ましくはpH6~6.8などのpH6~7である。
【国際調査報告】