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特表2024-512837高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法
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  • 特表-高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法 図1
  • 特表-高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20240313BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H01S5/042 614
H01S5/343
H01S5/343 610
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579921
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2022106853
(87)【国際公開番号】W WO2023165072
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202210205786.5
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522121322
【氏名又は名称】▲蘇▼州▲長▼光▲華▼芯光▲電▼技▲術▼股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521354086
【氏名又は名称】蘇州長光華芯半導体激光創新研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 俊
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼ 少▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 立晨
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲いつ▼文
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 武
(72)【発明者】
【氏名】李 波
(72)【発明者】
【氏名】李 泉▲霊▼
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AF72
5F173AH02
5F173AH14
5F173AH22
5F173AK21
5F173AP05
5F173AR94
(57)【要約】
半導体基板層と、前記半導体基板層上に位置する活性層と、前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に位置し、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層と、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に位置する保護層と、前記第1領域の前記活性層から離れる側に位置する表面電極層であって、前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低い表面電極層と、を備える高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法。前記半導体発光装置は、高信頼性とプロセスの低コスト化を両立させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高信頼性低欠陥半導体発光装置であって、
半導体基板層と、
前記半導体基板層上に位置する活性層と、
前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に位置し、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層と、
前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に位置する保護層と、
前記第1領域の前記活性層から離れる側に位置する表面電極層であって、前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低い表面電極層と、を備えることを特徴とする高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項2】
前記保護層の上面と、前記第1領域に位置する前記表面電極層の上面との高さの差は0.05μm~5μmであることを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項3】
前記保護層の前記半導体基板層の表面に垂直な方向の厚さは0.1μm~5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項4】
対向して設けられた前キャビティ面と後キャビティ面を有し、前記前キャビティ面と後キャビティ面は、いずれも活性層の側壁面とドープ半導体コンタクト層の側壁面を露出し、前記保護層は、対向して設けられた第1サブ保護領域と第2サブ保護領域を含み、第1サブ保護領域と第2サブ保護領域は、光出射方向に沿って配置され、前記第1サブ保護領域の外側壁は、前記前キャビティ面の露出した活性層の側壁面及び前記前キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層の側壁面と面一となり、前記第2サブ保護領域の外側壁は、後キャビティ面の露出した活性層の側壁面及び後キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層の側壁面と面一となることを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項5】
前記ドープ半導体コンタクト層の材料は第1導電性イオンがドープされた第1本体半導体材料であり、前記保護層の材料はドープされていない第2本体半導体材料であり、又は、前記保護層の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と逆であり、又は、前記保護層の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と同じであり、且つ前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項6】
前記第2導電性イオンの導電型が前記第1導電性イオンの導電型と同じである場合、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度の10-6倍~10-1倍であることを特徴とする請求項5に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項7】
前記第2本体半導体材料と前記第1本体半導体材料との平均格子不整合率は1%以下であることを特徴とする請求項5に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項8】
前記第2本体半導体材料は前記第1本体半導体材料と同じであることを特徴とする請求項7に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項9】
前記保護層は単層構造又は多層構造であることを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項10】
前記半導体基板層がGaAs基板である場合、前記保護層の材料は、ドープ又はノンドープのGaAs、ドープ又はノンドープのAlGaAs、ドープ又はノンドープのInGaP、ドープ又はノンドープのInGaAsP、又はドープ又はノンドープのInGaAsであり、
前記半導体基板層の材料がInP基板である場合、前記保護層の材料はドープ又はノンドープのInGaAsP、ドープ又はノンドープのInGaAlAs、ドープ又はノンドープのInGaAs、ドープ又はノンドープのInAlAs、又は、ドープ又はノンドープのInPであり、
前記半導体基板層の材料がGaN基板である場合、前記保護層の材料はドープ又はノンドープのAlGaN、ドープ又はノンドープのGaN、又は、ドープ又はノンドープのInAlGaNであることを特徴とする請求項1又は9に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項11】
前記表面電極層はさらに、前記保護層の前記ドープ半導体コンタクト層から離れる側に位置し、
前記保護層上の表面電極層と前記保護層との間及び第1領域のエッジの前記活性層から離れる側に位置する電流制限絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項12】
前記ドープ半導体コンタクト層は、第1サブドープ半導体層と、前記第1サブドープ半導体層の前記活性層から離れる側の表面に位置する第2サブドープ半導体層とを含み、前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項13】
前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度の10倍~50倍であることを特徴とする請求項12に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項14】
前記ドープ半導体コンタクト層と前記活性層との間に位置する上部導波層と、
前記上部導波層と前記ドープ半導体コンタクト層との間に位置する上部制限層と、
前記活性層と半導体基板層との間に位置する下部導波層と、
前記下部導波層と半導体基板層との間に位置する下部制限層と、
前記半導体基板層の前記活性層から離れる側の表面に位置する裏面電極層と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置。
【請求項15】
高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法であって、
半導体基板層を提供するステップと、
前記半導体基板層上に活性層を形成するステップと、
前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層を形成するステップと、
前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に保護層を形成するステップと、
前記第1領域の前記活性層から離れる側に表面電極層を形成するステップであって、
前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低いステップとを含むことを特徴とする高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記保護層を形成するステップは、
前記第1領域及びエッジ領域の前記活性層から離れる側に初期保護層をエピタキシャル成長することと、
第1領域における初期保護層をエッチングして除去し、第1領域の表面を露出した保護層を形成することと、を含むことを特徴とする請求項15に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記ドープ半導体コンタクト層と前記初期保護層は同一エピタキシャル工程において順に形成されることを特徴とする請求項16に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記表面電極層を形成する前に、保護層及び一部の第1領域エッジの前記活性層から離れる側に位置する電流制限絶縁層を形成し、
前記表面電極層を形成するステップでは、前記電流制限絶縁層の前記保護層から離れる側にも前記表面電極層を形成することを特徴とする請求項15に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【請求項19】
前記ドープ半導体コンタクト層を形成するステップは、
前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に第1サブドープ半導体層を形成することと、
前記第1サブドープ半導体層の前記活性層から離れる側の表面に第2サブドープ半導体層を形成することと、を含み、
前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【請求項20】
表面電極層を形成する前に、第1領域の数は複数であり、異なる第1領域の周囲のエッジ領域の間に切断領域を有し、
切断領域に沿って表面電極層、電流制限絶縁層、保護層、ドープ半導体コンタクト層、活性層及び半導体基板層を切断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体の技術分野に関し、具体的には、高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法に関する。
【0002】
本願は、2022年03月04日に中国特許庁に提出された、出願番号が202210205786.5で、発明の名称が「高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
半導体発光装置は、所定の半導体材料を動作物質として誘導放出作用を生じるものであり、その動作原理は以下のとおりである。所定の励起方式により半導体材料のエネルギーバンド(伝導帯と価電子帯)の間又は半導体材料のエネルギーバンドと不純物(アクセプタ又はドナー)準位の間に非平衡キャリアの粒子数反転を実現し、粒子数反転状態にある大量の電子と正孔が再結合すると誘導放出作用が発生し、このような半導体発光装置は、体積が小さく、電気光変換効率が高いため、広く使用されている。
【0004】
従来の半導体発光装置の表面に対する欠陥最適化技術は信頼性の向上とプロセスの低コスト化を両立させることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本願が解決しようとする技術的課題は、高信頼性とプロセスの低コスト化を両立させにくいという従来技術の課題を解決し、高信頼性低欠陥半導体発光装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、半導体基板層と、前記半導体基板層上に位置する活性層と、前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に位置し、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層と、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に位置する保護層と、前記第1領域の前記活性層から離れる側に位置する表面電極層であって、前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低い表面電極層と、を備える高信頼性低欠陥半導体発光装置を提供する。
【0007】
選択可能には、前記保護層の上面と、前記第1領域に位置する前記表面電極層の上面との高さの差は0.05μm~5μmである。
【0008】
選択可能には、前記保護層の前記半導体基板層の表面に垂直な方向の厚さは0.1μm~5μmである。
【0009】
選択可能には、前記高信頼性低欠陥半導体発光装置は、対向して設けられた前キャビティ面と後キャビティ面を有し、前記前キャビティ面と後キャビティ面は、いずれも活性層の側壁面とドープ半導体コンタクト層の側壁面を露出し、前記保護層は、対向して設けられた第1サブ保護領域と第2サブ保護領域を含み、第1サブ保護領域と第2サブ保護領域は、光出射方向に沿って配置され、前記第1サブ保護領域の外側壁は、前記前キャビティ面の露出した活性層の側壁面及び前記前キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層の側壁面と面一となり、前記第2サブ保護領域の外側壁は、後キャビティ面の露出した活性層の側壁面及び後キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層の側壁面と面一となる。
【0010】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層の材料は第1導電性イオンがドープされた第1本体半導体材料であり、前記保護層の材料はドープされていない第2本体半導体材料であり、又は、前記保護層の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と逆であり、又は、前記保護層の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と同じであり、且つ前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度よりも小さい。
【0011】
前記第2導電性イオンの導電型が前記第1導電性イオンの導電型と同じである場合、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度の10-6倍~10-1倍である。
【0012】
選択可能には、前記第2本体半導体材料と前記第1本体半導体材料との平均格子不整合率は1%以下である。
【0013】
選択可能には、前記第2本体半導体材料は前記第1本体半導体材料と同じである。
【0014】
選択可能には、前記保護層は単層構造又は多層構造である。
【0015】
選択可能には、前記半導体基板層がGaAs基板である場合、前記保護層の材料は、ドープ又はノンドープのGaAs、ドープ又はノンドープのAlGaAs、ドープ又はノンドープのInGaP、ドープ又はノンドープのInGaAsP、又はドープ又はノンドープのInGaAsであり、前記半導体基板層の材料がInP基板である場合、前記保護層の材料はドープ又はノンドープのInGaAsP、ドープ又はノンドープのInGaAlAs、ドープ又はノンドープのInGaAs、ドープ又はノンドープのInAlAs、又は、ドープ又はノンドープのInPであり、前記半導体基板層の材料がGaN基板である場合、前記保護層の材料はドープ又はノンドープのAlGaN、ドープ又はノンドープのGaN、又は、ドープ又はノンドープのInAlGaNである。
【0016】
選択可能には、前記表面電極層は、前記保護層の前記ドープ半導体コンタクト層から離れる側に位置し、前記保護層上の表面電極層と前記保護層との間及び第1領域のエッジの前記活性層から離れる側に位置する電流制限絶縁層をさらに含む。
【0017】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層は、第1サブドープ半導体層と、前記第1サブドープ半導体層の前記活性層から離れる側の表面に位置する第2サブドープ半導体層とを含み、前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度よりも大きい。
【0018】
選択可能には、前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度の10倍~50倍である。
【0019】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層と前記活性層との間に位置する上部導波層と、前記上部導波層と前記ドープ半導体コンタクト層との間に位置する上部制限層と、前記活性層と半導体基板層との間に位置する下部導波層と、前記下部導波層と半導体基板層との間に位置する下部制限層と、前記半導体基板層の前記活性層から離れる側の表面に位置する裏面電極層とをさらに含む。
【0020】
本願は、半導体基板層を提供するステップと、前記半導体基板層上に活性層を形成するステップと、前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層を形成するステップと、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に保護層を形成するステップと、前記第1領域の前記活性層から離れる側に表面電極層を形成するステップであって、前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低いステップとを含む高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法をさらに提供する。
【0021】
選択可能には、前記保護層を形成するステップは、前記第1領域及びエッジ領域の前記活性層から離れる側に初期保護層をエピタキシャル成長することと、第1領域における初期保護層をエッチングして除去し、第1領域の表面を露出した保護層を形成することと、を含む。
【0022】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層と前記初期保護層は同一エピタキシャル工程において順に形成される。
【0023】
選択可能には、前記表面電極層を形成する前に、保護層及び一部の第1領域エッジの前記活性層から離れる側に位置する電流制限絶縁層を形成し、前記表面電極層を形成するステップでは、前記電流制限絶縁層の前記保護層から離れる側にも前記表面電極層を形成する。
【0024】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層を形成するステップは、前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に第1サブドープ半導体層を形成することと、前記第1サブドープ半導体層の前記活性層から離れる側の表面に第2サブドープ半導体層を形成することとを含み、前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度よりも大きい。
【0025】
選択可能には、表面電極層を形成する前に、第1領域の数は複数であり、異なる第1領域の周囲のエッジ領域の間に切断領域を有し、切断領域に沿って表面電極層、電流制限絶縁層、保護層、ドープ半導体コンタクト層、活性層及び半導体基板層を切断するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本願の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する。
本願の技術的解決手段に係る高信頼性低欠陥半導体発光装置は、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に位置する保護層を備え、前記保護層はドープ半導体コンタクト層のエッジ領域を高くすることに用いられ、これにより、前記第1領域における表面電極層の上面が前記保護層の上面よりも低くなる。第1領域における表面電極層の上面が前記保護層の上面よりも低いため、保護層は第1領域における表面電極層を保護する。よって、保護層は、半導体発光装置が製造プロセスで外力を受けてスクラッチや汚れのような欠陥を発生させることを回避でき、また、保護層を導入することにより保護層上の表面電極層から活性層までの距離を増加させ、これは、半導体発光装置のキャビティ面及び側面で発生する切断欠陥による活性層への影響を大幅に低減させる。表面電極層の少量の材料が半導体発光装置のキャビティ面の一部まで延びていても、保護層の存在は表面電極層の材料が活性層に延びることを回避でき、これによって、キャビティ面のめっき膜に対する表面電極層の材料の遮蔽を低減させ、キャビティ面の光学損傷を減少させる。以上のように、半導体発光装置の信頼性が向上する。また、保護層の設置が容易であり、技術上の難度が低下し、且つコストが低い。
【0027】
選択可能には、第2導電性イオンの導電型が第1導電性イオンの導電型と逆である場合、ドープ半導体コンタクト層と保護層とが電気的に分離され、ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の電流が制限される。前記第2導電性イオンの導電型が前記第1導電性イオンの導電型と同じである場合、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度よりも小さいため、前記保護層は導電しにくく、保護層はドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の電流に対して一定の制限作用を果たす。
【0028】
選択可能には、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度の10-6倍~10-1倍である。これにより、保護層は追加の電気的絶縁作用を果たし、ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の電流は電流制限絶縁層と保護層による二重制限により確保される。
【0029】
選択可能には、ドープ半導体コンタクト層の材料は第1導電性イオンがドープされた第1本体半導体材料であり、前記保護層の材料はドープされていない第2本体半導体材料であり、又は、前記保護層の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料である。前記第2本体半導体材料と前記第1本体半導体材料との平均格子不整合率が1%以下であることにより、ドープ半導体コンタクト層と保護層との界面の応力が低減され、ドープ半導体コンタクト層と保護層との界面の格子整合度が高くなり、これにより、保護層がドープ半導体コンタクト層上に形成されやすくなる。
【0030】
選択可能には、ドープ半導体コンタクト層は、第1サブドープ半導体層と、前記第1サブドープ半導体層の前記活性層から離れる側の表面に位置する第2サブドープ半導体層とを含み、前記第2サブドープ半導体層のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層のドープ濃度よりも大きい。第2サブドープ半導体層のドープ濃度が高いため、第2サブドープ半導体層と表面電極層との接触抵抗が低くなる。第1サブドープ半導体層のドープ濃度が低く、且つ第2サブドープ半導体層は第1サブドープ半導体層に対して活性層から離れ、そのため、ドープ半導体コンタクト層のドープイオンが活性層から発した光の吸収損失に与える影響が低減される。
【0031】
本願の技術的解決手段に係る高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法では、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に保護層を形成し、前記保護層はドープ半導体コンタクト層のエッジ領域を高くすることに用いられ、これにより、前記第1領域における表面電極層の上面が前記保護層の上面よりも低くなる。第1領域における表面電極層の上面が前記保護層の上面よりも低いため、保護層は第1領域における表面電極層を保護する。保護層は、半導体発光装置が製造プロセスで外力を受けてスクラッチや汚れのような欠陥を発生させることを回避でき、また、保護層を導入することにより保護層上の表面電極層から活性層までの距離を増加させ、これは、半導体発光装置のキャビティ面及び側面で発生する切断欠陥による活性層への影響を大幅に低減させる。表面電極層の少量の材料が半導体発光装置の一部のキャビティ面まで延びていても、保護層の存在は表面電極層の材料が活性層に延びることを回避でき、これによって、キャビティ面のめっき膜に対する表面電極層の材料の遮蔽を低減させ、キャビティ面の光学損傷を減少させる。以上のように、半導体発光装置の信頼性が向上する。また、保護層の設置が容易であり、技術上の難度が低下し、且つコストが低い。
【0032】
選択可能には、前記ドープ半導体コンタクト層と前記初期保護層は同一エピタキシャル工程において順に形成され、これにより、プロセスを簡略化する。さらに、ドープ半導体コンタクト層と前記初期保護層の形成が連続的であるため、ドープ半導体コンタクト層と前記初期保護層との間への欠陥導入が回避され、保護層とドープ半導体コンタクト層のエッジ領域との間の欠陥を低減させ、これにより、キャリア移動度に影響を与えることが回避され、素子の抵抗電圧上昇を引き起こすことが回避される。
【0033】
選択可能には、電流制限絶縁層を形成する前に、保護層の上面に欠陥があって、保護層上の電流制限絶縁層で形成中に積層欠陥が発生していても、保護層の電気的分離作用は電流制限絶縁層の電荷の増加による絶縁破壊現象の発生を回避し、半導体発光装置の老化、寿命短縮や又はリーク、焼損を回避できる。
【0034】
本願の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は本願の一実施例の高信頼性低欠陥半導体発光装置の構造概略図である。
図2図2は本願の別の実施例における高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造プロセスの構造図である。
図3図3は本願の別の実施例における高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造プロセスの構造図である。
図4図4は本願の別の実施例における高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造プロセスの構造図である。
図5図5は本願の別の実施例における高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造プロセスの構造図である。
図6図6は本願の別の実施例における高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造プロセスの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
大電力半導体発光装置の市場及び応用の拡大に伴い、半導体発光装置には、高信頼性及び低コスト化が要求されてきたので、メーカは大電力半導体発光装置の長期運転中の耐障害性を重要視している。半導体発光装置の故障は、一般的に、製造プロセスやパッケージ過程でウェハの表面に導入された汚れやスクラッチのような欠陥や、チップの切断、めっき膜やパッケージ過程でチップキャビティ面の表面に近い切断欠陥に起因する。表面の欠陥は堆積中の誘電体膜の積層欠陥を引き起こし、例えばこのような異常が発光領域の近傍に発生すると、キャリア移動度が影響を受けて、装置の抵抗電圧が上昇したり、誘電体層の電荷が増加して絶縁破壊現象を発生させたりし、それにより、半導体発光装置の老化、寿命短縮やリーク、焼損を引き起こす。ウェハの表面の欠陥はさらにチップの電流注入領域のパッケージ欠陥をもたらし、その結果として、チップの局所的な温度が高くなり、応力が大きくなり、活性材料の故障を招く。キャビティ面と側面の表面に近い切断欠陥はキャビティ面の壊滅的な損傷を引き起こし、それによりパッケージ過程中のバイパスリークや焼損を引き起こす。そのため、エピタキシャル成長調整、ウェハ製造、キャビティめっき膜及びパッケージのプロセスを厳密に制御することにより装置の信頼性を向上させるのが一般的である。しかしながら、上記技術のいずれも、技術の複雑化、プロセス安定性の低下、及びプロセスコストの上昇などの欠点を引き起こす。
【0037】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明瞭で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られた全ての別の実施例は、すべて本願の特許範囲に属する。
【0038】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等で示される方位又は位置関係は図示した方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし、且つ説明を簡素化するためにのみ使用され、係る装置又は構成要素が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを指示又は示唆するものではないので、本願を限定するものとして理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。
【0039】
また、以下に説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0040】
実施例1
本願の一実施例は高信頼性低欠陥半導体発光装置を提供し、図1を参照し、該装置は、
半導体基板層100と、
前記半導体基板層上に位置する活性層130と、
前記活性層130の前記半導体基板層100から離れる側に位置し、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層160と、
前記ドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域の前記活性層130から離れる側に位置する保護層170と、
前記第1領域の前記活性層130から離れる側に位置する表面電極層190であって、前記第1領域における表面電極層190の上面は前記保護層170の上面よりも低い表面電極層190と、を備える。
【0041】
本実施例では、前記保護層170はドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域を高くすることに用いられ、これにより、前記第1領域における表面電極層190の上面が前記保護層170の上面よりも低くなる。第1領域における表面電極層190の上面が前記保護層170の上面よりも低いため、保護層は第1領域における表面電極層190を保護する。そのため、保護層170は、半導体発光装置が製造プロセスで外力を受けてスクラッチや汚れのような欠陥を発生させることを回避でき、また、保護層170を導入することにより保護層170上の表面電極層190から活性層までの距離を増加させ、これは、半導体発光装置のキャビティ面及び側面で発生する切断欠陥による活性層への影響を大幅に低減させる。表面電極層190の少量の材料が半導体発光装置の一部のキャビティ面まで延びていても、保護層170の存在は表面電極層190の材料が活性層130に延びることを回避でき、これによって、キャビティ面のめっき膜に対する表面電極層190の材料の遮蔽を低減させ、キャビティ面の光学損傷を低減させる。以上のように、半導体発光装置の信頼性が向上する。また、保護層170の設置が容易であり、技術上の難度が低下し、且つコストが低い。
【0042】
一実施例では、前記保護層170の上面と前記第1領域に位置する前記表面電極層190の上面との高さの差は0.05μm~5μm、例えば0.05μm、0.1μm、0.5μm、2μm、3μm、4μm又は5μmである。前記保護層170の上面と前記第1領域に位置する前記表面電極層190の上面との高さの差が0.05μmよりも小さいと、前記保護層170は第1領域と活性層130に対する保護作用が弱く、保護層170の上面と前記第1領域に位置する前記表面電極層190の上面との高さの差が5μmよりも大きいと、半導体発光装置の高さが高すぎ、且つ小型化に不利である。
【0043】
一実施例では、前記保護層170の前記半導体基板層100の表面に垂直な方向の厚さは0.1μm~5μm、例えば0.1μm、0.5μm、2μm、3μm、4μm又は5μmである。保護層170の前記半導体基板層100の表面に垂直な方向の厚さが小さすぎると、前記保護層170は第1領域と活性層130に対する保護作用が弱く、保護層170の半導体基板層100の表面に垂直な方向の厚さが厚すぎると、半導体発光装置の高さが高すぎ、小型化に不利である。
【0044】
前記保護層170は環状構造である。保護層170は第1領域の上方に設けられていない。
【0045】
前記高信頼性低欠陥半導体発光装置は、対向して設けられた前キャビティ面と後キャビティ面を有し、前記前キャビティ面と後キャビティ面はいずれも活性層130の側壁面とドープ半導体コンタクト層160の側壁面を露出し、前記保護層170は対向して設けられた第1サブ保護領域と第2サブ保護領域を含み、第1サブ保護領域と第2サブ保護領域は光出射方向に沿って配置され、前記第1サブ保護領域の外側壁は前記前キャビティ面の露出した活性層130の側壁面及び前記前キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層160の側壁面と面一となり、前記第2サブ保護領域の外側壁は後キャビティ面の露出した活性層130の側壁面と後キャビティ面の露出したドープ半導体コンタクト層160の側壁面と面一となる。
【0046】
前記保護層170は、対向して設けられた第3サブ保護領域と第4サブ保護領域をさらに含み、第3サブ保護領域は、第1サブ保護領域と第2サブ保護領域にそれぞれ接続され、第4サブ保護領域は、第1サブ保護領域と第2サブ保護領域にそれぞれ接続される。
【0047】
前記保護層170の材料はドープされていない第2本体半導体材料であり、又は、前記保護層170の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と逆であり、又は、前記保護層170の材料は第2導電性イオンがドープされた第2本体半導体材料であり、前記第2導電性イオンの導電型は前記第1導電性イオンの導電型と同じであり、且つ前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度よりも小さい。
【0048】
第2導電性イオンの導電型が第1導電性イオンの導電型と逆である場合、ドープ半導体コンタクト層160と保護層170とが電気的に分離され、ドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域の電流が制限される。具体的な一実施例では、ドープ半導体コンタクト層160の導電型はN型であり、前記保護層170の導電型はP型である。
【0049】
前記第2導電性イオンの導電型が前記第1導電性イオンの導電型と同じである場合、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度よりも小さいため、前記保護層170は導電しにくく、保護層170はドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域の電流に対して所定の制限作用を果たす。
【0050】
一実施例では、前記第2本体半導体材料と前記第1本体半導体材料との平均格子不整合率が1%以下であることにより、ドープ半導体コンタクト層160と保護層170との界面における応力が低減され、ドープ半導体コンタクト層160と保護層170との界面の格子整合度が高くなり、これにより、保護層170がドープ半導体コンタクト層上に形成されやすくなる。
【0051】
さらに、一実施例では、前記第2本体半導体材料と前記第1本体半導体材料は同じである。前記ドープ半導体コンタクト層160と保護層170は同様の本体半導体材料を採用し、これにより、ドープ半導体コンタクト層160と保護層170との間の界面の応力がさらに低減され、ドープ半導体コンタクト層160と保護層170との界面の格子整合度がさらに高くなる。
【0052】
前記保護層170は単層構造又は多層構造である。
【0053】
一実施例では、前記保護層170の材料はP型半導体保護層、N型半導体保護層又は真性半導体保護層である。具体的には、前記半導体基板層100がGaAs基板である場合、前記保護層170の材料はドープ又はノンドープのGaAs、ドープ又はノンドープのAlGaAs、ドープ又はノンドープのInGaP、ドープ又はノンドープのInGaAsP、ドープ又はノンドープのInGaAsであり、前記半導体基板層100の材料がInP基板である場合、前記保護層170の材料はドープ又はノンドープのInGaAsP、ドープ又はノンドープのInP、ドープ又はノンドープのInGaALAs、ドープ又はノンドープのInGaAs、ドープ又はノンドープのInAlAsであり、前記半導体基板層100の材料がGaN基板である場合、前記保護層170の材料はドープ又はノンドープのAlGaN、ドープ又はノンドープのGaN、ドープ又はノンドープのInAlGaNである。
【0054】
保護層170が多層構造である場合、前記保護層170は第1サブ保護層ないし第Nサブ保護層(Nが2以上の整数である)を含み、第k+1サブ保護層(kが1以上N以下の整数である)は第kサブ保護層の半導体基板層100から離れる側に位置する。
【0055】
具体的な一実施例では、第k+1サブ保護層の導電型は第kサブ保護層の導電型と逆であり、第1サブ保護層の導電型はドープ半導体コンタクト層の導電型と逆である。一実施例では、第1サブ保護層ないし第Nサブ保護層の導電型はいずれもドープ半導体コンタクト層の導電型と逆である。
【0056】
本実施例では、前記表面電極層190はさらに、前記保護層170の前記ドープ半導体コンタクト層160から離れる側に位置し、前記高信頼性低欠陥半導体発光装置は、前記保護層170上の表面電極層190と前記保護層170との間に位置する電流制限絶縁層180をさらに含む。電流制限絶縁層180の材料には、酸化シリコンが含まれる。
【0057】
さらに、前記第2導電性イオンのドープ濃度は前記第1導電性イオンのドープ濃度の10-6倍~10-1倍、例えば10-6倍、10-5倍、10-4倍、10-3倍、10-2倍又は10-1倍である。これにより、保護層170は追加の電気的絶縁作用を果たし、これにより、ドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域の電流は電流制限絶縁層180と保護層170による二重制限により確保される。
【0058】
さらに、前記電流制限絶縁層180は、前記保護層170上の表面電極層190と前記保護層170との間及び第1領域のエッジの前記活性層130から離れる側に位置し、電流制限絶縁層180はさらに保護層170の内側壁を覆う。このとき、第1領域のうち電流制限絶縁層180で覆われていない領域を電流注入領域とする。そうすると、電流注入領域に電流を注入する際に、電流注入領域が保護層170とドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域との間の界面から一定の距離を有するため、保護層170とドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域との間の界面はリークの経路になりにくいという利点がある。
【0059】
電流制限絶縁層180がさらに第1領域のエッジの前記活性層130から離れる側に位置する場合、表面電極層190はさらに第1領域における電流制限絶縁層180を覆う。
【0060】
電流制限絶縁層180が第1領域のエッジを覆う幅とは、電流制限絶縁層180が第1領域のエッジのいずれか片側を覆う幅を指す。
【0061】
本実施例では、前記ドープ半導体コンタクト層160は、第1サブドープ半導体層161と、前記第1サブドープ半導体層161の前記活性層130から離れる側の表面に位置する第2サブドープ半導体層162を含み、前記第2サブドープ半導体層162のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層161のドープ濃度よりも大きい。第2サブドープ半導体層162のドープ濃度が高いため、第2サブドープ半導体層162と表面電極層190との接触抵抗が低くなる。第1サブドープ半導体層161のドープ濃度が低く、且つ第2サブドープ半導体層162は第1サブドープ半導体層161に対して活性層130から離れるため、ドープ半導体コンタクト層160のドープイオンが活性層130から発した光の吸収損失に与える影響が低減される。
【0062】
一実施例では、前記第2サブドープ半導体層162のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層161のドープ濃度の10倍~50倍である。これによって、第2サブドープ半導体層162と表面電極層190との接触抵抗の低減と、光の吸収損失への影響の低減とをうまく両立させる。
【0063】
別の実施例では、ドープ半導体コンタクト層は単層構造であってもよい。ドープ半導体コンタクト層の第1領域は表面電極層と接触することに用いられ、コンタクト電極を低減させる。
【0064】
前記高信頼性低欠陥半導体発光装置は、前記ドープ半導体コンタクト層160と前記活性層130との間に位置する上部導波層140と、前記上部導波層140と前記ドープ半導体コンタクト層160との間に位置する上部制限層150と、前記半導体基板層100の前記活性層130との間に位置する下部導波層120と、前記下部導波層120と前記半導体基板層100との間に位置する下部制限層110と、前記半導体基板層100の前記活性層130から離れる側の表面に位置する裏面電極層101とをさらに含む。
【0065】
本実施例では、高信頼性低欠陥半導体発光装置とヒートシンクを一体として溶接する場合、保護層170は溶接過程において半田と活性層との距離を増加させ、半田バンプによる素子のリークや焼損による故障を低減させ、それにより、半導体発光装置の信頼性を向上させる。
【0066】
本実施例では、前キャビティ面を覆う反射防止膜、後キャビティ面を覆う反射膜をさらに含む。
【0067】
実施例2
本実施例は高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法を提供し、図1を参照し、該方法は、
半導体基板層を提供するステップS1と、
前記半導体基板層上に活性層を形成するステップS2と、
前記活性層の前記半導体基板層から離れる側に、第1領域と、前記第1領域を取り囲むエッジ領域とを含むドープ半導体コンタクト層を形成するステップS3と、
前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に保護層を形成するステップS4と、
前記第1領域の前記活性層から離れる側に表面電極層を形成するステップであって、
前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低いステップS5とを含む。
【0068】
図2を参照し、半導体基板層100を提供するステップと、半導体基板層100に下部制限層110を形成するステップと、下部制限層110の半導体基板層100から離れる側に下部導波層120を形成するステップと、下部導波層の半導体基板層100から離れる側に活性層130を形成するステップと、活性層130の半導体基板層100から離れる側に上部導波層140を形成するステップと、上部導波層140の活性層130から離れる側に上部制限層150を形成するステップと、上部制限層150の活性層130から離れる側にドープ半導体コンタクト層160を形成するステップとを含む。
【0069】
本実施例では、前記ドープ半導体コンタクト層160を形成するステップは、前記活性層130の前記半導体基板層100から離れる側に第1サブドープ半導体層161を形成することと、前記第1サブドープ半導体層161の前記活性層130から離れる側の表面に第2サブドープ半導体層162を形成することとを含み、前記第2サブドープ半導体層162のドープ濃度は前記第1サブドープ半導体層161のドープ濃度よりも大きい。第1サブドープ半導体層161及び第2サブドープ半導体層162のパラメータについては、上述した実施例を参照する。
【0070】
別の実施例では、ドープ半導体コンタクト層は単層構造である。
【0071】
ステップS4では、前記ドープ半導体コンタクト層のエッジ領域の前記活性層から離れる側に保護層170を形成する。前記保護層170を形成するステップは、前記第1領域及びエッジ領域の前記活性層130から離れる側に初期保護層17をエピタキシャル成長する(図2参照)ことと、第1領域における初期保護層17をエッチングして除去し、第1領域の表面を露出した保護層170を形成する(図3参照)こととを含む。
【0072】
初期保護層17は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0073】
初期保護層17が多層構造である場合、初期保護層17は下から上へ第1サブ初期保護層ないし第Nサブ初期保護層を含み、第1領域における初期保護層17をエッチングして除去し、第kサブ初期保護層を第kサブ保護層にとし、第k+1サブ初期保護層を第k+1サブ保護層とする。
【0074】
一実施例では、初期保護層17が多層構造である場合、第1領域における初期保護層17をエッチングして除去するステップでは、いずれかの第k+1サブ初期保護層の材料と第1サブ初期保護層の材料とのエッチング選択比は5以上、例えば5、8、10、15又は20であり、第1サブ初期保護層の材料とドープ半導体コンタクト層160の材料とのエッチング選択比は5以上、例えば5、8、10、15又は20である。
【0075】
第1サブ初期保護層の材料と第2サブドープ半導体層162の材料とのエッチング選択比は5以上である。
【0076】
前記初期保護層を形成するプロセスは有機金属化学気相成長法(MOCVD)及び分子線エピタキシャル(MEB)を含む。
【0077】
一実施例では、前記ドープ半導体コンタクト層160と前記初期保護層17は同一エピタキシャル工程において順に形成され、それにより、プロセスを簡略化する。ドープ半導体コンタクト層160と初期保護層17の形成が連続的であるため、ドープ半導体コンタクト層160と初期保護層17との間への欠陥導入が回避され、保護層170とドープ半導体コンタクト層160のエッジ領域との間の欠陥を低減させ、これにより、キャリア移動度に影響を与えることが回避され、素子の抵抗電圧上昇を引き起こすことが回避される。
【0078】
ドープ半導体コンタクト層160と前記初期保護層17は同じキャビティに連続的に形成される。
【0079】
保護層に関する具体的なパラメータの説明は実施例1を参照し、詳述しない。
【0080】
図4を参照し、電流制限絶縁層180を形成し、前記電流制限絶縁層180は保護層170の前記活性層130から離れる側に位置し、さらに、前記電流制限絶縁層180は、保護層170の前記活性層130から離れる側、第1領域のエッジの前記活性層130から離れる側及び保護層170の内側壁に位置する。
【0081】
図5を参照し、前記第1領域の前記活性層から離れる側に表面電極層を形成し、前記第1領域における表面電極層の上面は前記保護層の上面よりも低い。
【0082】
前記表面電極層を形成するステップでは、電流制限絶縁層の前記保護層から離れる側にも前記表面電極層を形成する。
【0083】
本実施例では、電流制限絶縁層を形成する前に、保護層の上面に欠陥があって、保護層上の電流制限絶縁層で形成中に積層欠陥が発生していても、保護層の電気的分離作用は電流制限絶縁層の電荷の増加による絶縁破壊現象の発生を回避し、半導体発光装置の老化、寿命短縮やリーク、焼損を回避できる。
【0084】
図6を参照して、半導体基板層100の活性層130から離れる側の表面に裏面電極層101が形成される。
【0085】
本実施例では、表面電極層を形成する前に、第1領域の数は複数であり、異なる第1領域の周囲のエッジ領域の間に切断領域を有し、前記高信頼性低欠陥半導体発光装置の製造方法は、切断領域に沿って表面電極層、電流制限絶縁層、保護層、ドープ半導体コンタクト層、上部制限層、上部導波層、活性層、下部導波層、下部制限層及び半導体基板層を切断するステップをさらに含む。
【0086】
本実施例では、前キャビティ面に反射防止膜を形成するステップと、後キャビティ面に反射膜を形成するステップとをさらに含む。
【0087】
明らかに、上記実施例は単に明確に説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変更も本発明の特許範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】