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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240313BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240313BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R1/00 317
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521156
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2022079435
(87)【国際公開番号】W WO2023164953
(87)【国際公開日】2023-09-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朱 光▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲慶▼依
【テーマコード(参考)】
5D004
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D004AA02
5D004AA12
5D004BB01
5D004BB02
5D004BB03
5D004BB04
5D004CD03
5D004DD01
5D017AB11
5D220AA47
(57)【要約】
本明細書の実施例は、音響装置を開示する。前記装置は、駆動電圧の作用で振動する圧電アセンブリと、圧電アセンブリに機械的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる振動アセンブリと、圧電アセンブリに直列接続されて振動アセンブリの周波数応答を変化させ、振動アセンブリの振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにする抵抗素子と、を含む。本明細書は、抵抗素子を直列接続することにより、振動アセンブリが中高周波数帯域で振動する振幅を低下させ、全周波数帯の感度差を減少させ、音響装置から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善する。そして、音響装置が中高周波数帯域にある場合、直列接続された抵抗素子は、さらに分圧の方式で、圧電アセンブリを流れる電流を低減することにより、圧電アセンブリにより生成される熱エネルギーを減少させ、温度制御という効果を達成し、音響装置の動作信頼性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧の作用で振動する圧電アセンブリと、
前記圧電アセンブリに機械的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動アセンブリと、
前記圧電アセンブリに直列接続されて前記振動アセンブリの周波数応答を変化させ、前記振動アセンブリの振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにする抵抗素子と、
を含む、音響装置。
【請求項2】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの正極に直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの正極に溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの負極に直列接続されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの負極に溶接されていることを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記圧電アセンブリの正極及び負極は、前記圧電アセンブリの同一側から引き出されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の音響装置。
【請求項7】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリに接続された導線を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリに接続された導電性接着剤を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項9】
前記抵抗素子は、フレキシブルプリント基板に配置されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項10】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの電極を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項11】
前記圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の材料は、銅、金、アルミニウム、タングステン、鉄、又は白金という材料のうちの1つであることを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の有効断面積は、前記電極の輪郭断面積よりも小さいことを特徴とする請求項10又は11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の断面は、網状構造又はS字形構造であることを特徴とする請求項12に記載の音響装置。
【請求項14】
前記抵抗素子は、抵抗値が1Ω~1kΩであることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項15】
前記圧電アセンブリは、梁構造であることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項16】
前記圧電アセンブリは、互いに電気的に接続された少なくとも2つの圧電セラミックシートを含むことを特徴とする請求項15に記載の音響装置。
【請求項17】
前記少なくとも2つの圧電セラミックシートは、前記圧電アセンブリの電極と交互に積層されていることを特徴とする請求項16に記載の音響装置。
【請求項18】
動作状態で、前記圧電アセンブリは、表面温度がそのキュリー温度よりも低いことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項19】
前記振動アセンブリは、
弾性素子と、
質量素子と、
を含み、
前記弾性素子は、前記弾性素子の一端が前記圧電アセンブリに接続されており、前記弾性素子の他端が前記質量素子に接続されていることを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項20】
前記弾性素子は、振動伝達シート、ゴム、ドーム又は基板のうちの1つを含むことを特徴とする請求項19に記載の音響装置。
【請求項21】
前記質量素子は、前記圧電アセンブリ及び前記抵抗素子を収容するハウジングを含むことを特徴とする請求項19又は20に記載の音響装置。
【請求項22】
骨伝導音響装置であることを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項23】
電源から出力される電圧を向上させる電圧昇圧システムをさらに含むことを特徴とする請求項1~22のいずれか一項に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、音響の技術分野に関し、特に音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響装置は、一般的に、圧電アセンブリに電気エネルギーを印加することにより、圧電アセンブリを変形させて音声を伝達する。例えば、音響装置は、圧電アセンブリの分極方向に駆動電圧を印加して、圧電材料の逆圧電効果で振動することにより、音波を外部に放出することができる。
【0003】
しかしながら、音響装置における圧電アセンブリの共振周波数が一般的に高く、装置の高周波数感度が高く低周波数感度が低いことを引き起こし、それにより音響装置から発した音声が耳障りであり、高低周波数でのユーザ聴感のバランスがよくないことを引き起こす。
【0004】
また、圧電アセンブリは、交流電圧信号が導入された後、圧電アセンブリ材料の内部抵抗の作用で発熱し、特に共振周波数の近傍で、発熱がより深刻であり、300℃に近いか又はそれを超えることがある。一方、圧電アセンブリは、圧電性を有するため、その動作温度がその材料のキュリー温度よりも低くなければならない。したがって、圧電アセンブリの交流電圧信号での動作温度をどのように効果的に制御するかは、圧電アセンブリにより駆動される音響出力装置の動作信頼性を向上させるキーとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高低周波数での感度のバランスがよく、同時に中高周波数の発熱を効果的に制御する音響装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施例は、音響装置を提供する。該装置は、駆動電圧の作用で振動する圧電アセンブリと、圧電アセンブリに機械的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる振動アセンブリと、圧電アセンブリに直列接続されて振動アセンブリの周波数応答を変化させ、振動アセンブリの振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにする抵抗素子と、を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリの正極に直列接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリの正極に溶接される。
【0009】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリの負極に直列接続される。
【0010】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリの負極に溶接される。
【0011】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリの正極及び負極は、圧電アセンブリの同一側から引き出される。
【0012】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリに接続される導線を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリに接続される導電性接着剤を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、フレキシブルプリント基板に配置される。
【0015】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、圧電アセンブリの電極を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の材料は、銅、金、アルミニウム、タングステン、鉄、又は白金という材料のうちの1つである。
【0017】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の有効断面積は、電極の輪郭断面積よりも小さい。
【0018】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の断面は、網状構造又はS字形構造である。
【0019】
いくつかの実施例では、抵抗素子は、抵抗値が1Ω~1kΩである。
【0020】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリは、梁構造である。
【0021】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリは、互いに電気的に接続される少なくとも2つの圧電セラミックシートを含む。
【0022】
いくつかの実施例では、少なくとも2つの圧電セラミックシートは、圧電アセンブリの電極と交互に積層される。
【0023】
いくつかの実施例では、動作状態で、圧電アセンブリは、表面温度がそのキュリー温度よりも低い。
【0024】
いくつかの実施例では、振動アセンブリは、弾性素子と、質量素子と、を含み、弾性素子は、一端が圧電アセンブリに接続され、他端が質量素子に接続される。
【0025】
いくつかの実施例では、弾性素子は、振動伝達シート、ゴム、ドーム又は基板のうちの1つを含む。
【0026】
いくつかの実施例では、質量素子は、圧電アセンブリ及び抵抗素子を収容するハウジングを含む。
【0027】
いくつかの実施例では、音響装置は、骨伝導音響装置である。
【0028】
いくつかの実施例では、音響装置は、電源から出力される電圧を向上させる電圧昇圧システムをさらに含む。
【0029】
本明細書の実施例は、抵抗素子を設けて圧電アセンブリに直列接続して分圧することにより、圧電アセンブリの両端の電圧を低下させ、それにより振動アセンブリが中高周波数帯域で振動する振幅を低下させ、全周波数帯の感度差を減少させ、音響装置から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善することができる。
【0030】
そして、音響装置が中高周波数帯域にある場合、直列接続された抵抗素子は、さらに分圧の方式で、圧電アセンブリを流れる電流を低減することにより、圧電アセンブリにより生成される熱エネルギーを減少させ、温度制御という効果を達成し、音響装置の動作信頼性を向上させることができる。
【0031】
例示的な実施例によって本明細書をさらに説明し、これらの例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る音響装置の構成ブロック図である。
図2】本明細書のいくつかの実施例に係る音響装置の概略構成図である。
図3】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの回路概略図である。
図4】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリのインピーダンス-周波数曲線概略図である。
図5】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電流-周波数曲線概略図である。
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの概略構成図である。
図7】本明細書のいくつかの実施例に係る抵抗素子及び圧電アセンブリの回路概略図である。
図8】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電圧-周波数曲線概略図である。
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る振動アセンブリの周波数応答曲線の概略図である。
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電流-周波数曲線概略図である。
図11A】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図11B】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図11C】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図11D】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図11E】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図11F】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリと抵抗素子の接続構造の概略図である。
図12】本明細書のいくつかの実施例に係るプリント基板の概略構成図である。
図13A】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
図13B】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
図13C】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
図13D】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
図13E】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
図13F】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本明細書のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らになっているか又は別に説明されていない限り、図中の同じ番号は、同じ構造又は操作を示す。
【0034】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び素子を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器がまた他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0036】
本明細書では、フローチャートを使用して本明細書の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0037】
本明細書の1つ以上の実施例の音響装置は、圧電アセンブリの振動で音声を出力することにより、オーディオを再生する必要のある様々なシーンに適用され、例えば、音響装置は、ユーザ命令に基づいてオーディオを再生できる独立したオーディオ出力装置(例えば、サウンドボックス、イヤホンなど)であってもよく、また、音響装置は、端末命令に基づいてオーディオを再生できる端末装置(例えば、携帯電話、コンピュータなど)中のモジュール又はアセンブリであってもよい。いくつかの実施例では、音響装置は、出力すべき音声の周波数、大きさなどのパラメータに基づいて、圧電アセンブリの変形を調整して異なる振動を発生させ、異なる振動に基づいて異なる音声を振動アセンブリに出力させることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、音響装置は、骨伝導音響装置であってもよく、骨伝導音響装置における振動アセンブリは、ユーザの人体組織にフィットして、ユーザの骨により振動アセンブリが発する音波をユーザの内耳に伝達することができる。いくつかの実施例では、音響装置は、空気伝導音響装置、助聴器、補聴器、メガネ、ヘルメット、拡張現実(Augmented Reality、AR)装置、仮想現実(Virtual Reality、VR)装置などの他のタイプの音響装置であってもよく、あるいは、好ましくは、音響装置は、車載オーディオシステム又は室内オーディオシステムの一部として、音声を出力するために用いられてもよい。
【0039】
現在、音響装置における圧電アセンブリの共振周波数が一般的に高く、装置の高周波数感度が高く低周波数感度が低いことを引き起こし、それにより音響装置から発した音声が耳障りであり、高低周波数でのユーザ聴感のバランスがよくないことを引き起こす。
【0040】
本明細書の実施例では、音響装置が説明される。いくつかの実施例では、音響装置は、圧電アセンブリ、振動アセンブリ及び抵抗素子を含んでもよい。圧電アセンブリは、駆動電圧の作用で振動することができ、振動アセンブリは、圧電アセンブリからの振動を受け、音声を発生させることができ、抵抗素子は、圧電アセンブリに直列接続されて、上記振動アセンブリの周波数応答を変化させることにより、振動アセンブリの振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにすることができる。
【0041】
本明細書の実施例は、抵抗素子を設けて圧電アセンブリに直列接続して分圧することにより、圧電アセンブリの両端の電圧を低下させ、それにより振動アセンブリが中高周波数帯域で振動する振幅を低下させ、全周波数帯の感度差を減少させ、音響装置から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善することができる。
【0042】
そして、本明細書の実施例に係る音響装置が中高周波数帯域にある場合、直列接続された抵抗素子は、さらに分圧の方式で、圧電アセンブリを流れる電流を低減することにより、圧電アセンブリにより生成される熱エネルギーを減少させ、温度制御という効果を達成し、音響装置の動作信頼性を向上させることができる。
【0043】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響装置100の構成ブロック図である。
【0044】
図1に示すように、音響装置100は、振動アセンブリ110、圧電アセンブリ120、及び抵抗素子130を含んでもよい。圧電アセンブリ120は、駆動電圧の作用で振動する。振動アセンブリ110は、圧電アセンブリ120に機械的に接続されて、振動を受け、音声を発生させる。抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に直列接続されて上記振動アセンブリ110の周波数応答を変化させ、かつ、振動アセンブリ110の振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにする。
【0045】
振動アセンブリ110は、振動を伝達して音声を発生させるアセンブリとして構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動アセンブリ110は、弾性素子を含んでもよく、弾性素子は、振動に応答して変形し、それ自体の周囲の音圧を変化させることにより、音波を発生させ、音声の出力を実現することができる。例示的には、弾性素子は、それ自体の変形(例えば、それ自体の振動など)により周囲の空気に疎密変化を発生させ、疎密相間の縦波を形成し、それにより音波を生成することができる。いくつかの実施例では、弾性素子は、振動伝達シート、ゴム、ドーム、基板など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、弾性素子の材料は、振動伝達性能を有する任意の材料であってもよい。例えば、上記弾性素子の材料は、シリカゲル、プラスチックゴム、ゴム、金属など、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、上記振動アセンブリ110は、質量素子をさらに含む。上記弾性素子は、一端が上記圧電アセンブリ120に接続され、他端が上記質量素子に接続されてもよい。いくつかの実施例では、上記圧電アセンブリ120の少なくとも一部は、上記弾性素子に接続されてもよく、上記質量素子の一部は、上記弾性素子に接続されてもよい。いくつかの実施例では、上記質量素子は、質量ブロック、ハウジングなどを含んでもよい。例えば、上記ハウジングは、上記圧電アセンブリ120及び上記抵抗素子130を収容し、圧電アセンブリ120及び上記抵抗素子130を保護し、音響装置100の耐用年数を延長することができる。いくつかの実施例では、ハウジングの材料は、緩衝衝撃吸収の作用を達成するように、金属、シリカゲル、ゴム、プラスチックなどのうちの1種以上の材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、振動アセンブリ110は、膜状構造(例えば、空気伝導振動膜など)であってもよく、板状構造(例えば、骨伝導振動パネルなど)であってもよく、網状構造又は層状構造などの他の構造であってもよい。
【0046】
以下、振動アセンブリ110の具体的な実施方式を説明するために、例示的な音響装置100を提供する。
【0047】
図2は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響装置100の概略構成図である。
【0048】
図2に示すように、振動アセンブリ110の一端は、振動を受けるために、圧電アセンブリ120の振動出力端121に接続されてもよい。振動アセンブリ110の他端は、音声を出力することができる。例示的には、振動アセンブリ110は、1種以上の媒質(例えば、空気、ユーザの骨など)を介してユーザに音波を伝達することができ、それにより音響装置100から出力された音声をユーザに聞かせる。
【0049】
圧電アセンブリ120は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気エネルギー変換装置として構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、異なる駆動電圧に基づいて、異なる程度の変形を発生させることにより、振動することができる。圧電アセンブリ120の具体的な実施方式について、以下の図6図11A図11F図12、及び図13A図13Fにおける関連説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、シート状、環状、菱形、直方体形、円筒形、球形などの形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、他の不規則な形状であってもよい。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の材料は、圧電結晶、圧電セラミック、圧電ポリマーなどの圧電材料、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電結晶は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KHPO、NaKC・4HO(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミックは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合して得られた圧電多結晶体である。いくつかの実施例では、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電ポリマー材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120に印加する駆動電圧の大きさを調整することにより、圧電アセンブリ120の振動の振幅を調整することができる。例えば、圧電アセンブリ120から出力される振動の振幅は、印加された電圧の大きさに関連し、両者の関係式は、式(1)であってもよい。
【0051】
【数1】
【0052】
ここで、Fは、圧電アセンブリ120から出力される振動幅であり、Vは、圧電アセンブリ120の駆動電圧であり、dは、圧電アセンブリ120の圧電定数であり、Aは、圧電アセンブリ120の面積であり、tは、圧電アセンブリ120の厚さであり、Sは、圧電アセンブリ120の弾性コンプライアンス定数である。式(1)によれば、圧電アセンブリ120から出力される振動幅は、圧電アセンブリ120の駆動電圧に正比例する。
【0053】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120に印加する駆動電圧の周波数の大きさを調整することにより、圧電アセンブリ120の振動周波数を調整してもよい。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120が発生させる振動は、さらに圧電材料の圧電定数に関連する。例えば、駆動電圧が同じである場合、圧電定数が大きいほど、圧電アセンブリ120により生成された変形が大きくなり、振動が強くなる。いくつかの実施例では、圧電定数の違いにより、圧電アセンブリ120に発生した変形の方向が違う。例えば、圧電アセンブリ120の圧電定数は、D33定数又はD31定数であってもよく、他の圧電定数であってもよい。ここで、D33定数は、圧電アセンブリ120の電気的方向(すなわち、電界の方向)と力学的方向(すなわち、変形の方向)が同じであることを示し、D31定数は、圧電アセンブリ120の変形が主に1つの方向に発生することを示す。
【0054】
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120の回路概略図である。
【0055】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、容量特性を有する部品と見なすことができる。図3に示すように、圧電アセンブリ120は、容量値を有するコンデンサCであってもよく、これに対応して、圧電アセンブリ120のインピーダンスZは、式(2)により決定することができる。
【0056】
【数2】
【0057】
ここで、Zは、圧電アセンブリ120の等価インピーダンス値であり、ωは、駆動電圧の角周波数であり、Cは、圧電アセンブリ120の等価容量値である。式(2)によれば、抵抗素子130が設けられていない場合、駆動電圧の角周波数ωの増加に伴い、圧電アセンブリ120のインピーダンスZが低下する。
【0058】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120のインピーダンス-周波数曲線概略図である。
【0059】
図4に示すように、曲線1は、圧電アセンブリ120のインピーダンス-周波数曲線である。曲線1によれば、駆動電圧の周波数の増加(例えば、100Hzから1kHzまで上昇する)に伴い、駆動電圧の角周波数ωも上昇するが、圧電アセンブリ120のインピーダンスが低下する(例えば、インピーダンス値Zp1からインピーダンス値Zp2まで低下する)。
【0060】
さらに図3に示すように、抵抗素子130が直列接続されておらず、駆動電圧の電圧Vが変化しない場合、圧電アセンブリ120のインピーダンスZが低下することは、圧電アセンブリ120を流れる電流がそれに伴って増加することを引き起こすことができる。すなわち、駆動電圧の角周波数ωの増加に伴い、圧電アセンブリ120のインピーダンスZが低下し、圧電アセンブリ120を流れる電流が増加することを引き起こす。
【0061】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線概略図である。
【0062】
図5に示すように、曲線2は、圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線である。曲線2によれば、駆動電圧の周波数の増加(例えば、1kHzから10kHzまで上昇する)に伴い、駆動電圧の角周波数ωも上昇し、圧電アセンブリ120を流れる電流が増加する(例えば、電流値Iから電流値Iまで上昇する)。ジュールの法則、すなわち、式(3)によれば、抵抗が一定である場合、電子デバイスの発熱出力Pは、電流Iの二乗に正比例する。
【0063】
【数3】
【0064】
したがって、抵抗素子130が直列接続されていない場合、駆動電圧の周波数の増加に伴い、圧電アセンブリ120の電流が増加し、圧電アセンブリ120は、駆動電圧の周波数が中高周波数(例えば、1KHzより大きい)の場合に発熱出力が徐々に増大し、それにより圧電アセンブリ120の動作温度が高く、深刻になればキュリー温度よりも高くなり、圧電アセンブリ120の圧電性を低下させて音響装置100の正常な動作に影響を与える可能性もある。
【0065】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、梁構造(例えば、一端が音響装置に固定接続され、他端が自由に振動する梁構造であり、片持ち梁構造と見なすことができる)を有してもよい。いくつかの実施例では、片持ち梁構造の圧電アセンブリ120(以下、圧電梁と略称する)の固定端が電圧信号を受信することができ、圧電梁全体は、振動し、かつ、圧電梁上の任意の位置(例えば、自由端)により振動を振動アセンブリに伝達し、ユーザの耳で感知させる。ここで、圧電梁上の振動を出力する位置は、振動出力端と称する。いくつかの実施例では、振動出力端は、空気伝導音声を直接出力してもよく、いくつかの実施例では、振動出力端は、振動膜に接続されて空気伝導音声を直接出力してもよく、いくつかの実施例では、振動出力端は、振動伝達シートなどの構造に接続され、振動をユーザの皮膚、骨などの組織により聴覚神経に伝達し、骨伝導音声を出力してもよい。
【0066】
例示的には、図2に示すように、片持ち梁構造の固定端は、圧電アセンブリ120の駆動端122であってもよく、駆動端122は、駆動電圧を受けることができ、片持ち梁構造の自由端は、圧電アセンブリ120の振動出力端121であってもよく、振動出力端121は、振動を発生させ出力することができる。
【0067】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、互いに電気的に接続される少なくとも2つの圧電セラミックシートを含んでもよい。圧電セラミックシートは、シート状で、圧電特性を有する部品であってもよい。いくつかの実施例では、圧電セラミックシートは、駆動電圧の大きさ及び周波数に応じて機械的に変形することができる。例えば、圧電セラミックシートは、駆動電圧が正方向である場合に伸長し、駆動電圧が負方向である場合に収縮することができる。いくつかの実施例では、異なる圧電セラミックシートの分極方向は異なってもよく、それにより同じ駆動電圧の作用で発生した変形の方向が異なってもよい。例えば、駆動電圧が正方向である場合、圧電セラミックシートAと圧電セラミックシートBの分極方向が異なる時、圧電セラミックシートAは伸長することができ、圧電セラミックシートBは短縮することができる。いくつかの実施例では、異なる圧電セラミックシートの分極方向は同じであってもよく、それにより同じ駆動電圧の作用で発生した変形の方向が同じであってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120は、層状構造であってもよい。いくつかの実施例では、少なくとも2つの圧電セラミックシートは、積層するように設けられてもよい。例えば、複数の圧電セラミックシートは、重ねて設けられ、かつ、それらの位置が空間的に対応する。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の振動は、圧電セラミックシートの層数に関連してもよい。例示的には、圧電セラミックシートの層数が多いほど、圧電アセンブリ120の振動幅が大きくなる。
【0069】
いくつかの実施例では、少なくとも2つの圧電セラミックシートが互いに電気的に接続された方式は、圧電セラミックシートの間の分極方向に関連してもよい。例えば、異なる層の圧電セラミックシートの分極方向が同方向である場合、複数の圧電セラミックシートは、異なる圧電セラミックシートの変形方向が異なるように、直列接続されてもよい。例えば、分極方向が同方向である2つの圧電セラミックシートは、積層されて直列接続されてもよく、かつ、2層の圧電セラミックシートの駆動電圧が逆方向であることで2層の圧電セラミックシートの変形方向が逆方向であり、それにより圧電アセンブリ120の変形強度を増大させ、さらに圧電アセンブリ120の振動幅を増加させることができる。
【0070】
いくつかの実施例では、異なる層の圧電セラミックシートの分極方向が逆方向である場合、複数の圧電セラミックシートは、異なる圧電セラミックシートの変形方向が異なるように、並列接続の形態で接続されてもよい。例えば、分極方向が逆方向である2つの圧電セラミックシートは、積層されて並列接続されてもよく、かつ、2層の圧電セラミックシートの駆動電圧が逆方向であることで2層の圧電セラミックシートの変形方向が逆方向であり、それにより圧電アセンブリ120の変形強度を増大させ、さらに圧電アセンブリ120の振動幅を増加させることができる。以下、並列接続された圧電セラミックシートの具体的な実施方式を説明するために、例示的な圧電アセンブリ120を提供する。
【0071】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120の概略構成図である。
【0072】
図6に示すように、圧電アセンブリ120は、積層して設けられた複数の圧電セラミックシート123を含んでもよい。いくつかの実施例では、複数の圧電セラミックシート123は、それぞれ圧電アセンブリ120の第1層、第2層、第3層及び第4層に設けられてもよい。第1層及び第2層の圧電セラミックシート123の極化方向は、第3層及び第4層の圧電セラミックシート123の極化方向と異なってもよく(すなわち、第1層と第2層の極化方向が同じであり、第3層と第4層の極化方向が同じである)、圧電アセンブリ120に駆動電圧が印加される場合、第1層及び第2層の変形方向は、第3層及び第4層の変形方向と逆であってもよく、それにより圧電アセンブリ120の振動幅を増加させる。
【0073】
いくつかの実施例では、正負電極は、それぞれ少なくとも2つの圧電セラミックシートの両端に設けられて、少なくとも2つの圧電セラミックシートが互いに並列接続され、それにより圧電セラミックシートに同じ駆動電圧を提供する。いくつかの実施例では、少なくとも2つの圧電セラミックシートは、圧電アセンブリ120の電極と交互に積層されてもよい。圧電アセンブリ120の正負電極は、圧電セラミックシートと互いに接触する面積を増大させ、駆動効率を向上させるために、複数の圧電セラミックシートの間に延伸してもよい。
【0074】
例示的には、図6に示すように、複数の圧電セラミックシート123の並列接続が実現されるように、正電極は、複数の圧電セラミックシート123の第1端1231に接触し、負電極は、複数の圧電セラミックシート123の第2端1232に接触する。正電極は、複数の圧電セラミックシート123の第1層と第2層との間に、第3層と第4層との間に設けられてもよい。負電極は、複数の圧電セラミックシート123の表面に、第2層と第3層との間に設けられてもよい。
【0075】
本明細書の実施例では、音響装置100は、圧電アセンブリ120の逆圧電効果により振動して外部に音波を放出し、従来の動電型スピーカーと比較して、音響装置100は、電気機械変換効率が高く、エネルギー消費が低く、体積が小さく、集積度が高いなどの利点を有する。なお、図6は、例に過ぎず、圧電アセンブリ120は、他の数の圧電セラミックシートを含み又は他の形態で電極に接続されてもよい。
【0076】
抵抗素子130は、抵抗特性を有するか又はバンドパス調整制御効果を実現できる任意の電気デバイスとして構成されてもよい。例えば、抵抗素子130は、抵抗性質を有する部品、材料、コーティング、接着剤などのデバイス、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。また例えば、抵抗素子130は、バンドパス調整制御効果を有する抵抗-コンデンサ(RC)フィルタ、例えば、直列接続形態のRCフィルタ、並列接続形態のRCフィルタ、直並列接続形態のRCフィルタ、カスケード又は多次元RCフィルタ、パッシブ又はアクティブRCフィルタなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に直列接続されて、振動アセンブリ110の振幅差を調整することができる。例えば、抵抗素子130は、直列接続分圧の原理により圧電アセンブリ120の両端の電圧又は帯域幅を調整制御することにより、振動アセンブリ110の高低周波数での振幅差を変化させる。
【0078】
図7は、本明細書のいくつかの実施例に係る抵抗素子130及び圧電アセンブリ120の回路概略図である。
【0079】
図7に示すように、抵抗素子130は、抵抗Rに等価することができ、圧電アセンブリ120は、コンデンサCに等価することができ、抵抗Rは、コンデンサCに直列接続することができ、駆動電圧Vは、同時に抵抗R及びコンデンサCに電圧を提供することができる。駆動電圧Vの電圧が変化せず、駆動電圧Vの周波数が継続的に上昇する場合、圧電アセンブリ120のインピーダンスが低下するため、抵抗素子130の両端の電圧が増加し、それにより圧電アセンブリ120の両端の電圧が低下する。
【0080】
図8は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120の電圧-周波数曲線概略図である。
【0081】
いくつかの実施例では、抵抗素子130の抵抗値を調整することにより、圧電アセンブリ120の両端の電圧を調整することができる。図8に示すように、曲線3は、抵抗素子130が直列接続されていない(すなわち、抵抗値がR=0の抵抗素子130が直列接続された)場合、圧電アセンブリ120の電圧-周波数曲線であり、曲線4は、抵抗値がRの抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電圧-周波数曲線であり、曲線5は、抵抗値がRの抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電圧-周波数曲線であり、曲線6は、抵抗値がRの抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電圧-周波数曲線である。ここで、0=R<R<R<Rである。
【0082】
いくつかの実施例では、駆動電圧Vの周波数が低い(例えば、周波数10Hz~100Hz)場合、圧電アセンブリ120のインピーダンスが大きいため、直列接続された抵抗素子130のインピーダンス全体に対する作用が明らかではなく、圧電アセンブリ120の電圧に対する影響が小さい。駆動電圧Vの周波数が中高周波数(例えば、周波数1k~10kHz)に徐々に上昇する場合、圧電アセンブリ120の両端の電圧が低下する。例えば、駆動電圧Vの周波数が10kHzに上昇する場合、曲線3の圧電アセンブリ120の電圧がUであり、曲線4の圧電アセンブリ120の電圧がUであり、曲線5の圧電アセンブリ120の電圧がUであり、曲線6の圧電アセンブリ120の電圧がUであり、ここで、U>U>U>Uである。
【0083】
いくつかの実施例では、抵抗素子130の抵抗値の増加に伴い、圧電アセンブリ120の両端の電圧が低下し始める周波数点は、徐々に上昇する。図8における曲線3~4に示すように、抵抗素子の抵抗値の増加に伴い、電圧が低下し始める周波数点は、徐々に上昇する。これに対応して、いくつかの実施例では、抵抗素子130の抵抗値を調整することにより、音響装置100の音響出力特性の調整制御を実現して、音響装置100の周波数応答特性及び適用に対する需要を満たすことができる。
【0084】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に直列接続されることにより、圧電アセンブリ120の両端の電圧又は帯域幅を調整制御し、振動アセンブリ110の周波数応答を変化させることができる。いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に直列接続され、圧電アセンブリ120の両端の電圧を調整することにより、振動アセンブリ110の高低周波数での振幅差を変化させることができる。以下、抵抗素子130の具体的な実施方式を説明するために、例示的な振動アセンブリ110の周波数応答曲線を提供する。
【0085】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動アセンブリの周波数応答曲線の概略図である。図9に示すように、曲線7は、圧電アセンブリ120に抵抗素子130が直列接続されていない場合の振動アセンブリ110の周波数応答曲線であり、曲線8は、圧電アセンブリ120に抵抗素子130が直列接続される場合の振動アセンブリ110の周波数応答曲線である。いくつかの実施例では、抵抗素子130が直列接続される作用は、高周波数の出力を抑圧することにある。例えば、図9に示すように、抵抗素子130が直列接続された後、周波数応答曲線のピーク谷の位置が変化せず、低周波数の振幅に対する影響も大きくないが、ある周波数(例えば、600Hz)から、周波数の増加に伴い、対応する周波数振幅の低下が多くなり、高低周波数曲線の振幅差の減少を示し、主観的な聴感上の「耳障り感」が緩和され、高低周波数でのバランスが改善される。図9に示すように、曲線8の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差D1は、曲線7の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差D2よりも小さい。いくつかの実施例では、上記差D2は、特定の閾値(例えば、30dB、20dB、15dBなど)を超えなくてもよい。本明細書の実施例は、抵抗素子130を設けて圧電アセンブリ120に直列接続されることにより、音響装置100の全周波数帯での感度差を小さくし、それにより音響装置100から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善する。
【0086】
いくつかの実施例では、駆動電圧Vの電圧が変化せず、駆動電圧Vの周波数が継続的に上昇する場合、圧電アセンブリ120のインピーダンスが低下するため、直列接続された抵抗素子130により、圧電アセンブリ120の両端の電圧が低下し、圧電アセンブリ120を流れる電流が対応して低下する。また、ジュールの法則(式(3))により、圧電アセンブリ120の発熱出力が電流の二乗に正比例し、抵抗素子130が直列接続されていない場合と比べて、圧電アセンブリ120の発熱も対応して低下し、それによりデバイスの信頼性を向上させる。
【0087】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線概略図である。
【0088】
いくつかの実施例では、抵抗素子130の抵抗値を調整して、圧電アセンブリ120を流れる電流を調整することにより、圧電アセンブリ120の発熱を調整し、温度に対する制御を実現することができる。図9に示すように、曲線9は、抵抗素子130が直列接続されていない(すなわち、抵抗値がR=0の抵抗素子130が直列接続された)場合、圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線であり、曲線10は、抵抗値がR10の抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線であり、曲線11は、抵抗値がR11の抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線であり、曲線12は、抵抗値がR12の抵抗素子130が直列接続された場合、圧電アセンブリ120の電流-周波数曲線である。ここで、0=R<R10<R11<R12である。
【0089】
駆動電圧Vの周波数が低い(例えば、周波数10~100Hz)場合、圧電アセンブリ120のインピーダンスが大きいため、直列接続された抵抗素子130のインピーダンス全体に対する作用が明らかではなく、圧電アセンブリ120を流れる電流に対する影響が小さい。駆動電圧Vの周波数が中高周波数(例えば、周波数1k~10kHz)に徐々に上昇する場合、圧電アセンブリ120を流れる電流が低下する。駆動電圧の同じ周波数で、抵抗素子130の抵抗値の増加に伴い、圧電アセンブリ120を流れる電流が小さくなる。例えば、駆動電圧Vの周波数が10kHzに上昇する場合、曲線9の圧電アセンブリ120の電流がIであり、曲線10の圧電アセンブリ120の電流がI10であり、曲線11の圧電アセンブリ120の電流がI11であり、曲線12の圧電アセンブリ120の電流がI12であり、ここで、I>I10>I11>I12である。
【0090】
いくつかの実施例では、直列接続する抵抗の大きさは、形成された音響装置100の全体の周波数応答特性に基づいて決定することができる。例えば、圧電アセンブリ120の特性に基づいて、高周波振幅が大きいか又は上昇傾向を呈すると仮定し、主観的な聴音に基づいて、直列接続する必要がある抵抗素子130の大きさを決定することができる。例えば、圧電アセンブリ120の周波数応答曲線に基づいて、どの周波数閾値fcから、周波数の増加に伴い、周波数が高いほど対応する振幅の低下が顕著になるという効果を達成するかを決定することができる。いくつかの実施例では、周波数閾値fcは、具体的な圧電アセンブリ120の振動特性に基づいて決定されてもよい。
【0091】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の圧電シートの静電容量は、式(4)により決定されてもよい。
【0092】
【数4】
【0093】
ここで、εは、圧電シートの誘電率であり、Sは、電極面積であり、tは、正負電極間の距離である。圧電材料を変化させたことで、誘電率εが変化し、それにより静電容量が変化したと仮定すると、式(5)により、マッチングする抵抗を改めて設定する必要がある。電極の幾何学的寸法S及びtを変化させれば、音響装置100の振動特性が影響され、その周波数応答曲線及び主観的な聴音に基づいて、直列接続する抵抗の具体的な値を判定する必要がある。
【0094】
異なる容量値を有する圧電シートCp1及びCp2で構成された音響装置100に対して、この2つの音響装置がいずれも周波数閾値fcから周波数応答振幅が周波数の上昇に伴って低下するという効果を実現する必要があると仮定し、式(5)により、直列接続する必要がある抵抗素子R1及びR2を決定することができる。
【0095】
【数5】
【0096】
いくつかの実施例では、抵抗素子130の抵抗値は、一定の範囲(例えば、1Ω~1000Ω、100Ω~10kΩなど)で、振動アセンブリ110の振動振幅を周波数閾値fc(例えば、100Hz)から低下し始めさせることで、振動アセンブリ110の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにし、それにより音響装置100の全周波数帯での感度差を小さくし、音響装置100から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善することができる。同時に、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の発熱を低減して、圧電アセンブリ120の動作温度をキュリー温度より低くし、音響装置100の正常な動作を確保することができる。例えば、6kHzの単一周波数の励起で、直列接続されていない上記圧電アセンブリ120の表面温度(例えば、236.9℃)が高く、そのキュリー温度(例えば、上記圧電アセンブリ120のキュリー温度が290℃である)に近づけることができる。励起時間が増加すると、上記圧電アセンブリ120の表面温度はそのキュリー温度を超え、上記圧電アセンブリの故障を引き起こす場合がある。一方、6kHzの単一周波数信号の励起で、上記抵抗素子130が直列接続された圧電アセンブリ120の表面温度は、明らかに低下する。いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の表面温度は、6kHzの単一周波数信号によって励起されてから5min以内に、そのキュリー温度より低い状態にあることができる。
【0097】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、異なる接続方式で圧電アセンブリ120に直列接続されてもよい。以下、上記図6に示す圧電アセンブリを例として、抵抗素子130の具体的な実施方式を詳細に説明するために、いくつかの例示的な抵抗素子130と圧電アセンブリ120の接続方式をそれぞれ提供する。
【0098】
図11A図11Fは、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリ120と抵抗素子130の接続構造の概略図である。
【0099】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の電極に接続されてもよい。いくつかの好ましい実施例では、図11A図11Cに示すように、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の正極に直列接続されてもよい。これに対応して、駆動電圧は、抵抗素子130及び圧電アセンブリ120で構成された全体の両端に印加されてもよい。
【0100】
いくつかの好ましい実施例では、図11D図11Fに示すように、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の負極に直列接続されてもよい。これに対応して、駆動電圧は、圧電アセンブリ120及び抵抗素子130で構成された全体の両端に印加されてもよい。いくつかの実施例では、抵抗素子130は、複数であってもよく、複数の抵抗素子130は、それぞれ圧電アセンブリ120の正極及び/又は負極に直列接続される。例えば、複数の抵抗素子130のうちの1つ以上は、圧電アセンブリ120の正極に直列接続され、残りの抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の負極に直列接続されてもよい。また例えば、上記複数の抵抗素子130は、全て圧電アセンブリ120の正極又は負極に直列接続されてもよい。
【0101】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、導線を介して圧電アセンブリ120の電極に接続されてもよい。図11Aに示すように、抵抗素子130は、一端が導線を介して圧電アセンブリ120の正極に接続され、他端が駆動電圧を受けてもよい。さらに、図11Dに示すように、抵抗素子130は、一端が導線を介して圧電アセンブリ120の負極に接続され、他端が駆動電圧を受けてもよい。
【0102】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の電極に溶接されてもよい。いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の正極に溶接されてもよい。図11B図11Cに示すように、抵抗素子130は、一端(図に示す溶接点)が導電性接着剤131により圧電アセンブリ120の正極に溶接され、圧電アセンブリ120に電気的に接続されてもよい。これに対応して、駆動電圧は、抵抗素子130及び圧電アセンブリ120で構成された全体の両端に印加されてもよい。
【0103】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の負極に溶接されてもよい。図11E図11Fに示すように、抵抗素子130は、一端が導電性接着剤131により圧電アセンブリ120の負極に溶接され、圧電アセンブリ120に電気的に接続されてもよい。これに対応して、駆動電圧は、圧電アセンブリ120及び抵抗素子130で構成された全体の両端に印加されてもよい。
【0104】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120及び抵抗素子130に駆動電圧を印加するために、圧電アセンブリ120の正極と負極は、それぞれ圧電アセンブリ120の異なる側から引き出されてもよい。図11A図11B及び図11D図11Eに示すように、圧電アセンブリ120は、正極が圧電アセンブリ120の第1側1201から引き出され、負極が圧電アセンブリ120の第2側1202から引き出されてもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120及び抵抗素子130の占める空間を節約するために、圧電アセンブリ120の正極及び負極は、圧電アセンブリ120の同一側から引き出されてもよい。図11C及び図11Fに示すように、圧電アセンブリ120は、正極及び負極がいずれも圧電アセンブリ120の第3側1203から引き出されてもよい。
【0106】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に直列接続された1つ以上の抵抗を含んでもよい。いくつかの実施例では、抵抗の数及び/又は抵抗値を調整することにより、抵抗素子130の大きさを調整することができる。
【0107】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に接続される導線を含んでもよい。導線は、圧電アセンブリ120が他のデバイスに電気的に接続される回路デバイスであってもよく、図11A及び図11Dに示すように、導線は、抵抗素子130及び圧電アセンブリ120を接続することができる。いくつかの実施例では、導線は、圧電アセンブリ120と駆動電圧との間の導線、圧電アセンブリ120と抵抗との間の導線、圧電アセンブリ120と他のデバイスとの間の導線のうちの1つ又は複数の組み合わせを含んでもよい。
【0108】
いくつかの実施例では、導線の抵抗値を調整することにより、抵抗素子130の抵抗値を調整することができる。例えば、導線の形態、例えば、導線の断面積、長さ、迂回形状などのパラメータを調整して、導線の抵抗値を調整することにより、抵抗素子130の抵抗値を調整することができる。
【0109】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120に接続される導電性接着剤を含んでもよい。導電性接着剤は、圧電アセンブリ120が他のデバイスに電気的に接続された回路デバイスであってもよく、図11B図11C図11E又は図11Fに示すように、導電性接着剤131は、抵抗素子130及び圧電アセンブリ120を接続することができる。いくつかの実施例では、導電性接着剤の材料は、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケル)、グラファイト、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタンのうちの1つ又は複数の組み合わせを含んでもよく、他の導電性化合物を含んでもよい。いくつかの実施例では、導電性接着剤の材料及び使用量を調整して、導電性接着剤の抵抗値を調整することにより、抵抗素子130の抵抗値を調整することができる。
【0110】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、1つ以上の抵抗、圧電アセンブリ120を接続する導線、圧電アセンブリ120を接続する導電性接着剤のうちの1つ又は複数の組み合わせを含んでもよく、抵抗特性を有する他のデバイスを含んでもよい。いくつかの実施例では、抵抗素子130のうちの1つ以上のデバイスの抵抗値を調整することにより、抵抗素子130全体の抵抗値を調整してもよい。
【0111】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に係るプリント基板の概略構成図である。
【0112】
いくつかの実施例では、音響装置100の体積を節約するために、抵抗素子130は、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit、FPCと略称する)に配置されてもよい。図12に示すように、2つの抵抗Rは、それぞれ圧電アセンブリ120の正負電極に接続され、圧電アセンブリ120の電極から引き出された、フレキシブルプリント基板200における導線に配置されてもよい。抵抗素子130は、抵抗R、導線及び導電性接着剤などを含んでもよく、抵抗素子130の抵抗値は、抵抗Rの抵抗値、導線の形態(例えば、断面積、長さ、迂回形状など)及び導電性接着剤の抵抗値に基づいて決定することができる。
【0113】
いくつかの実施例では、抵抗素子130は、圧電アセンブリ120の電極を含んでもよい。圧電アセンブリ120の正負電極及び圧電アセンブリ120の設置関係については、上記図6で示す関連内容を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0114】
いくつかの実施例では、電極が一定の抵抗性質も有するため、圧電アセンブリ120の電極の抵抗値を調整することにより、抵抗素子130全体の抵抗値を調整することができる。電極の抵抗値は、式(6)により決定することができる。
【0115】
【数6】
【0116】
ここで、Rは、電極の抵抗値であり、ρは、電極の抵抗率であり、Lは、電極の長さであり、Sは、電極の断面積である。いくつかの実施例では、電極の材料、形状、長さなどのパラメータを調整することにより、電極の抵抗値を調整することができる。
【0117】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の電極の少なくとも一部の材料は、銅、金、アルミニウム、タングステン、鉄、又は白金という材料のうちの1つであってもよく、抵抗率が適切な他の材料であってもよい。例えば、圧電アセンブリ120の電極における一部の材料を銀から銅に交換することにより、抵抗率が変化し、電極の抵抗値もそれに伴って変化し、それにより抵抗素子130の抵抗値を調整することができる。
【0118】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の電極の少なくとも一部の有効断面積が電極の輪郭断面積よりも小さくてもよく、それにより抵抗素子130の抵抗値を増大させて、圧電アセンブリ120の電圧及び発熱出力を調整する。ここで、電極の有効断面積は、電極が動作する時の実際に使用される断面積であり、輪郭断面積は、電極の最外縁の線で構成された断面積であってもよい。いくつかの実施例では、電極の少なくとも一部の有効断面積を輪郭断面積よりも小さいように制御することによって、電極の抵抗値を増加させて、抵抗素子130の抵抗値を調整することができる。いくつかの実施例では、電極の有効断面の形状を調整し、例えば、電極の断面を網状(例えば、格子形状は、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形などの他の異形である)を呈するように制御することにより、電極の有効断面積を低減することができる。
【0119】
図13A図13Fは、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電アセンブリの電極の概略図である。
【0120】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の電極の少なくとも一部の断面は、網状構造又はS字形構造であってもよい。図13A図13Cに示すように、電極aは、元の矩形電極であり、電極b及び電極cは、網状電極であり、電極dは、S字形電極である。有効断面積は、灰色部分の面積であり、輪郭断面積は、矩形面積である。つまり、電極aの有効断面積は、電極の輪郭断面積に等しい。電極b及び電極cの有効断面積が網状を呈するため、有効断面積が輪郭断面積よりも小さい。電極dの有効断面積がS字形を呈するため、有効断面積が輪郭断面積よりも小さい。このようにして、同じ材料及び同じ長さの条件で、電極dの抵抗値は、電極b及び電極cの抵抗値よりも大きく、電極b及び電極cの抵抗値は、電極aの抵抗値よりも大きい。
【0121】
いくつかの実施例では、圧電アセンブリ120の電極の局部断面積を変化させて、電極の抵抗値を変化させてもよい。例えば、図13Dに示すように、矩形電極310及び320の引き出し部分の断面積を円形に減少させることにより、電極の抵抗値を変化させ、さらに抵抗素子130の抵抗値を変化させることができる。
【0122】
いくつかの実施例では、電極の長さを変化させることにより、圧電アセンブリ120の電極の抵抗値を調整して、抵抗素子130の抵抗値を調整してもよい。図13Eに示すように、圧電アセンブリ120の正負電極の引き出し部分の長さを増加させることにより、電極の抵抗値を増加させ、さらに抵抗素子130の抵抗値を増加することができる。
【0123】
いくつかの実施例では、電極の厚さを変化させることにより、圧電アセンブリ120の電極の抵抗値を調整して、抵抗素子130の抵抗値を調整してもよい。図13Fに示すように、図6に示す圧電アセンブリ120の電極の厚さと比べて、図13Fに示す圧電アセンブリ120の電極の厚さが増加することにより、電極の抵抗値を増加させ、さらに抵抗素子130の抵抗値を増加させる。
【0124】
いくつかの実施例では、音響装置100は、骨伝導音響装置であってもよい。これに対応して、振動アセンブリ110は、ユーザの人体組織にフィットして、振動アセンブリ110が発する音波をユーザの骨によりユーザの内耳に伝達し、音声を伝播することができる。いくつかの実施例では、音響装置100は、電圧昇圧システムをさらに含んでもよい。上記電圧昇圧システムは、電源(例えば、バッテリー)から出力される電圧を向上させることができる。
【0125】
いくつかの実施例では、音響装置100は、上記ハウジング及び人体を接続する接続部品をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、接続部品は、ハウジングをユーザにフィットさせるウェアラブル装置であってもよい。例示的には、接続部品は、メガネフレームであり、ハウジングがメガネフレームのテンプルに設けられてもよく、ユーザがメガネフレームを装着している時、ハウジングが人体に接触することにより、音響装置100は、ユーザに音声を伝達することができる。また例えば、接続部品は、ヘッドバンドであり、ハウジングがヘッドバンドの一端に設けられてもよく、ユーザがヘッドバンドを装着している時、ハウジングが人体に接触することにより、音響装置100は、ユーザに音声を伝達することができる。
【0126】
本明細書の実施例による有益な効果は、以下の(1)~(2)を含むが、これらに限定されない。(1)抵抗素子を設けて圧電アセンブリに直列接続して分圧することにより、圧電アセンブリの両端の電圧を低下させ、それにより振動アセンブリが中高周波数帯域で振動する振幅を低下させ、全周波数帯の感度差を減少させ、音響装置から出力される音声の高低周波数でのバランスを改善することができる。(2)音響装置が中高周波数帯域にある場合、直列接続された抵抗素子は、さらに分圧の方式で、圧電アセンブリを流れる電流を低減することにより、圧電アセンブリにより生成される熱エネルギーを減少させ、温度制御という効果を達成し、音響装置の動作信頼性を向上させることができる。
【0127】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本明細書を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本明細書に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本明細書によって示唆されることが意図されているため、本明細書の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0128】
さらに、本明細書の実施例を説明するために、本明細書において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本明細書の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本明細書の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0129】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本明細書に記載の処理素子又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本明細書の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本明細書の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0130】
同様に、本明細書の実施例の前述の説明では、本明細書を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0131】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本明細書のいくつかの実施例では、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0132】
本明細書において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本明細書の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本明細書に関連する)本明細書の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。なお、本明細書の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本明細書に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本明細書における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0133】
最後に、本明細書に記載の実施例は、単に本明細書の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本明細書の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本明細書の実施例の代替構成は、本明細書の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本明細書の実施例は、本明細書において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0134】
100 音響装置
110 振動アセンブリ
120 圧電アセンブリ
123 圧電セラミックシート
130 抵抗素子
1231 第1端
1232 第2端
1201 第1側
1202 第2側
1203 第3側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧の作用で振動する圧電アセンブリと、
前記圧電アセンブリに機械的に接続されて、前記振動を受け、音声を発生させる振動アセンブリと、
前記圧電アセンブリに直列接続されて前記振動アセンブリの周波数応答を変化させ、前記振動アセンブリの振動の10kHzでの振幅と1kHzでの振幅との差が20dBを超えないようにする抵抗素子と、
を含む、音響装置。
【請求項2】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの正極に直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの正極に溶接されていることを特徴とする請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの負極に直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項5】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの負極に溶接されていることを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項6】
前記圧電アセンブリの正極及び負極は、前記圧電アセンブリの同一側から引き出されていることを特徴とする請求項4に記載の音響装置。
【請求項7】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリに接続された導線を含むことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項8】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリに接続された導電性接着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項9】
前記抵抗素子は、フレキシブルプリント基板に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項10】
前記抵抗素子は、前記圧電アセンブリの電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項11】
前記圧電アセンブリの電極の少なくとも一部の有効断面積は、前記電極の輪郭断面積よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記抵抗素子は、抵抗値が1Ω~1kΩであることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項13】
動作状態で、前記圧電アセンブリは、表面温度がそのキュリー温度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項14】
前記振動アセンブリは、
弾性素子と、
質量素子と、
を含み、
前記弾性素子は、前記弾性素子の一端が前記圧電アセンブリに接続されており、前記弾性素子の他端が前記質量素子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項15】
骨伝導音響装置であることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の音響装置。
【国際調査報告】