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特表2024-512852モアレパターンを形成するオーバーレイマーク、これを用いたオーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】モアレパターンを形成するオーバーレイマーク、これを用いたオーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533298
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2022016026
(87)【国際公開番号】W WO2023140468
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0008304
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515309575
【氏名又は名称】オーロステクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒュンチュル
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヒュンジン
(72)【発明者】
【氏名】ホン スンフン
(72)【発明者】
【氏名】ウ ヨンジェ
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197EA11
2H197EA13
2H197EB05
2H197EB06
2H197EB10
2H197EB16
2H197HA03
2H197JA23
(57)【要約】
第1オーバーレイマークは第1対象中心を備え、第1対称中心を基準に180度回転対称であり、オーバーレイマークの中心部に配置される一対の第1モアレパターンが形成されるように構成され、第2オーバーレイマークは第2対称中心を備え、第2対称中心を基準に180度回転対称であり、第1モアレパターンを挟んで向かい合うように配置される一対の第2モアレパターンが形成されるように構成され、第3オーバーレイマークは第3対称中心を備え、第3対称中心を基準に180度回転対称であり、第1モアレパターンを挟んで第1対角線上に配置される一対の第3モアレパターンが形成されるように構成され、第4オーバーレイマークは第4対称中心を基準に180度回転対称であり、第1モアレパターンを挟んで第1対角線と交差する第2対角線上に配置される一対の第4モアレパターンが形成されるように構成される、オーバーレイ測定用の複数のオーバーレイマーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のパターン層間の相対的なズレを決定する、イメージベースのオーバーレイ測定用オーバーレイマークであって、
第1~第4オーバーレイマークを含み、
前記第1オーバーレイマークは、
第1対称中心(COS)を備え、前記第1対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、中心軸が互いに一致し、前記オーバーレイマークの中心部に配置される一対の第1モアレパターンが形成されるように構成され、
前記第1モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第1方向に沿って第1ピッチを有する第1格子パターンと、第2パターン層と共に前記第1格子パターンに重なるように形成され、前記第1方向に沿って前記第1ピッチとは異なる第2ピッチを有する第2格子パターンによって形成され、
前記第2オーバーレイマークは、
第2対称中心(COS)を備え、前記第2対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、中心軸が互いに一致し、前記第1モアレパターンを挟んで向かい合うように配置される一対の第2モアレパターンが形成されるように構成され、
前記第2モアレパターンは、前記第1パターン層と共に形成され、第1方向に沿って第3ピッチを有する第3格子パターンと、第2パターン層と共に前記第3格子パターンに重なるように形成され、前記第1方向に沿って前記第3ピッチとは異なる第4ピッチを有する第4格子パターンによって形成され、
前記第3オーバーレイマークは、
第3対称中心(COS)を備え、前記第3対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、前記第1モアレパターンを挟んで第1対角線上に配置される一対の第3モアレパターンが形成されるように構成され、
前記第3モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第2方向に沿って第5ピッチを有する第5格子パターンと、第2パターン層と共に前記第5格子パターンに重なるように形成され、前記第2方向に沿って前記第5ピッチとは異なる第6ピッチを有する第6格子パターンによって形成され、
前記第4オーバーレイマークは、
第4対称中心(COS)を備え、前記第4対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、前記第1モアレパターンを挟んで前記第1対角線と交差する第2対角線上に配置される一対の第4モアレパターンが形成されるように構成され、
前記第4モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第2方向に沿って第7ピッチを有する第7格子パターンと、第2パターン層と共に前記第7格子パターンに重なるように形成され、前記第2方向に沿って前記第7ピッチとは異なる第8ピッチを有する第8格子パターンによって形成され、
前記第1対称中心(COS)と前記第2対称中心(COS)との前記第1方向への誤差は、前記第1パターン層と前記第2パターン層との前記第1方向へのオーバーレイ誤差を示し、
前記第3対称中心(COS)と前記第4対称中心(COS)との前記第2方向への誤差は、前記第1パターン層と前記第2パターン層との前記第2方向へのオーバーレイ誤差を示すことを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマーク。
【請求項2】
前記オーバーレイマークは、スキャナ方式の露光装置を用いて形成され、
前記第2方向は、前記露光装置のスキャン方向と並んでいることを特徴とする、請求項1に記載のモアレパターンを形成するオーバーレイマーク。
【請求項3】
前記第1~第4モアレパターンのピッチは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、
前記第1~第8格子パターンのピッチは、前記オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のモアレパターンを形成するオーバーレイマーク。
【請求項4】
前記第1ピッチは前記第4ピッチと同じであり、
前記第2ピッチは前記第3ピッチと同じであることを特徴とする、請求項1に記載のモアレパターンを形成するオーバーレイマーク。
【請求項5】
前記第5ピッチは前記第8ピッチと同じであり、
前記第6ピッチは前記第7ピッチと同じであることを特徴とする、請求項1に記載のモアレパターンを形成するオーバーレイマーク。
【請求項6】
複数の連続するパターン層間のオーバーレイを測定する方法であって、
複数の連続するパターン層にパターンを形成するとともに、形成されたオーバーレイマークによって形成されたモアレパターンイメージを取得するステップと、
前記モアレパターンイメージを分析するステップと、を含み、
前記オーバーレイマークは、請求項1~5のいずれか一項に記載のオーバーレイマークであることを特徴とする、オーバーレイ測定方法。
【請求項7】
前記モアレパターンイメージを取得するステップは、
傾斜した光学要素を備えたオーバーレイ測定装置を用いてモアレパターンイメージを取得するステップであり、
前記モアレパターンイメージを取得するステップで、前記オーバーレイ測定装置は、前記傾斜した光学要素と前記オーバーレイマークとの距離が、前記第1方向に進むほど増加または減少し、前記第2方向に進むときには一定であるように配置されることを特徴とする、請求項6に記載のオーバーレイ測定方法。
【請求項8】
前記傾斜した光学要素はビームスプリッタであることを特徴とする、請求項7に記載のオーバーレイ測定方法。
【請求項9】
前記モアレパターンイメージを分析するステップは、
前記モアレパターンイメージの一部を一次元にプロジェクションして周期的なグラフを得るステップと、
前記周期的なグラフを正弦波で表現するステップと、を含むことを特徴とする、請求項6に記載のオーバーレイ測定方法。
【請求項10】
前記正弦波で表現するステップは、
前記周期的なグラフと下記の数式9で表現された正弦波との差異が小さくなるように、回帰分析を介して数式9のA、A、A、θ、θ、f、f値をフィッティングするステップであることを特徴とする、請求項9に記載のオーバーレイ測定方法。
【数9】
【請求項11】
半導体素子の製造方法であって、
複数の連続するパターン層を形成するとともに、オーバーレイマークを形成するステップと、
前記オーバーレイマークを用いてオーバーレイ値を測定するステップと、
測定されたオーバーレイ値を、複数の連続するパターン層を形成するための工程制御に用いるステップと、を含み、
前記オーバーレイマークは、請求項1~5のいずれか一項に記載のオーバーレイマークであることを特徴とする、半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記オーバーレイマークを形成するステップは、
スキャナ方式の露光装置を用いて前記オーバーレイマークを形成するステップであり、
前記第2方向は、前記露光装置のスキャン方向と並んでいることを特徴とする、請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モアレパターンを形成するオーバーレイマーク、これを用いたオーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上には、複数のパターン層が順次形成される。また、ダブルパターニングなどを介して一つの層の回路が2つのパターンに分けられて形成されることもある。所望の半導体素子を製造するためには、このようなパターン層または一つの層の複数のパターンが所定の位置に正確に形成されなければならない。
したがって、パターン層が正確に整列されたかを確認するために、パターン層と同時に形成されるオーバーレイマークが使用される。
オーバーレイマークを用いてオーバーレイを測定する方法は、次の通りである。まず、以前工程、例えば、エッチング工程で形成されたパターン層に、パターン層の形成と同時に、オーバーレイマークの一部である一つの構造物を形成する。そして、後続工程、例えばフォトリソグラフィー工程において、フォトレジストにオーバーレイマークの残りの構造物を形成する。
そして、オーバーレイ測定装置を介して以前工程に形成されたパターン層のオーバーレイ構造物(フォトレジスト層を透過してイメージを取得)とフォトレジスト層のオーバーレイ構造物のイメージを取得し、これらのイメージの中心同士間のオフセット値を計測してオーバーレイ値を測定する。
より具体的には、特開2020-112807には、基板に形成されたオーバーレイマークのイメージをキャプチャし、キャプチャされたイメージから複数のワーキングゾーンは選択し、選択されたワーキングゾーンのそれぞれに対して情報を有する信号を形成し、これらを比較することにより、互いに異なる層または互いに異なるパターン間の相対的なズレを決定する方法が開示されている。
また、韓国特許第10-1604789号には、オーバーレイマークのイメージを取得し、取得されたイメージの中心を基準にオーバーレイマークの180度回転イメージを取得した後、2つのイメージを比較し、一致すれば、現在イメージの中心をオーバーレイマークの中心とし、一致しなければ、一致するまで位置を変更し、オーバーレイマークのイメージを取得しながら上記のステップを繰り返すオーバーレイ測定方法が開示されている。
また、韓国公開特許第2000-0006182号には、互いに重なり合う反復的なオーバーレイマークでモアレパターンを形成し、これを光学的に観察して、整列時のモアレパターンと観察されたモアレパターンとを比較してオーバーレイを測定する方法が開示されている。
また、米国公開特許第2021-0072650号には、互いに重なり合うX軸方向の1次元格子パターンとY軸方向の1次元格子パターンを用いて、180度回転対称な4対のモアレパターンを形成し、これらを用いてX軸方向とY軸方向のオーバーレイを測定する方法が開示されている。
このようなモアレパターンのイメージを用いる方式は、層間のミスアラインメントを増幅して表すという点で、オーバーレイマーク自体のイメージを用いる方式に比べて利点がある。しかし、現在の層に形成されたオーバーレイマークから反射された光による干渉などの影響によってモアレパターンにノイズが生じるという問題がある。
また、米国公開特許第2021-0072650号に示されているそれぞれのモアレパターンは、オーバーレイマークの中心からオーバーレイマークの外郭までの長い領域にわたって形成されるため、オーバーレイ測定装置の傾斜光学要素、例えば、ビームスプリッタによる光学収差の影響を大きく受けることができるという問題もある。特に、複数のバーが配置される方向に沿って光学系との距離の変化が大きい、特定方向のオーバーレイ測定用モアレパターンは、オーバーレイマークの中心に近いバーまでの光経路と、外郭に配置されたバーまでの光経路との差異が大きいため、光学収差の影響を大きく受ける。
また、スキャナ(scanner)方式の露光装置を用いてオーバーレイマークを形成する場合、スキャン方向に沿って配置されるモアレパターンはバラツキが小さく、スキャン方向に直交する方向に沿って配置されるモアレパターンはバラツキが大きいが、従来のオーバーレイマークは、スキャン方向に関係なくモアレパターンが配置されるので、スキャン方向に直交する方向に沿って配置されるモアレパターンのバラツキがオーバーレイ測定段階においても影響を与えるおそれがあるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112807号公報
【特許文献2】韓国特許第10-1604789号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2000-0006182号公報
【特許文献4】米国公開特許第2021-0072650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した問題点を改善するためのものであって、光学収差の影響を最小限に抑えることが可能なオーバーレイマーク、これを用いた新規なオーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、スキャナのスキャン方向による影響を最小限に抑えることが可能なオーバーレイマーク、これを用いた新規オーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、2つ以上のパターン層間の相対的なズレを決定する、イメージベースのオーバーレイ測定用オーバーレイマークであって、第1~第4オーバーレイマークを含み、前記第1オーバーレイマークは、第1対称中心(COS)を備え、前記第1対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、中心軸が互いに一致し、前記オーバーレイマークの中心部に配置される一対の第1モアレパターンが形成されるように構成され、前記第1モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第1方向に沿って第1ピッチを有する第1格子パターンと、第2パターン層と共に前記第1格子パターンに重なるように形成され、前記第1方向に沿って前記第1ピッチとは異なる第2ピッチを有する第2格子パターンによって形成され、
前記第2オーバーレイマークは、第2対称中心(COS)を備え、前記第2対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、中心軸が互いに一致し、前記第1モアレパターンを挟んで向かい合うように配置される一対の第2モアレパターンが形成されるように構成され、前記第2モアレパターンは、前記第1パターン層と共に形成され、第1方向に沿って第3ピッチを有する第3格子パターンと、第2パターン層と共に前記第3格子パターンに重なるように形成され、前記第1方向に沿って前記第3ピッチとは異なる第4ピッチを有する第4格子パターンによって形成され、
前記第3オーバーレイマークは、第3対称中心(COS)を備え、前記第3対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、前記第1モアレパターンを挟んで第1対角線上に配置される一対の第3モアレパターンが形成されるように構成され、前記第3モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第2方向に沿って第5ピッチを有する第5格子パターンと、第2パターン層と共に前記第5格子パターンに重なるように形成され、前記第2方向に沿って前記第5ピッチとは異なる第6ピッチを有する第6格子パターンによって形成され、
前記第4オーバーレイマークは、第4対称中心(COS)を備え、前記第4対称中心(COS)を基準に180度回転対称であり、前記第1モアレパターンを挟んで前記第1対角線と交差する第2対角線上に配置される一対の第4モアレパターンが形成されるように構成され、前記第4モアレパターンは、第1パターン層と共に形成され、第2方向に沿って第7ピッチを有する第7格子パターンと、第2パターン層と共に前記第7格子パターンに重なるように形成され、前記第2方向に沿って前記第7ピッチとは異なる第8ピッチを有する第8格子パターンによって形成され、
前記第1対称中心(COS)と前記第2対称中心(COS)との前記第1方向への誤差は、前記第1パターン層と前記第2パターン層との前記第1方向へのオーバーレイ誤差を示し、
前記第3対称中心(COS)と前記第4対称中心(COS)との前記第2方向への誤差は、前記第1パターン層と前記第2パターン層との前記第2方向へのオーバーレイ誤差を示すことを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマークを提供する。
また、前記オーバーレイマークは、スキャナ方式の露光装置を用いて形成され、前記第2方向は、前記露光装置のスキャン方向と並んでいることを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマークを提供する。
また、前記第1第~第4モアレパターンのピッチは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、前記第1~第8格子パターンのピッチは、前記オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマークを提供する。
また、前記第1ピッチは前記第4ピッチと同じであり、前記第2ピッチは前記第3ピッチと同じであることを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマークを提供する。
また、前記第5ピッチは前記第8ピッチと同じであり、前記第6ピッチは前記第7ピッチと同じであることを特徴とする、モアレパターンを形成するオーバーレイマークを提供する。
また、本発明は、複数の連続するパターン層間のオーバーレイを測定する方法であって、複数の連続するパターン層にパターンを形成するとともに、形成されたオーバーレイマークによって形成されたモアレパターンイメージを取得するステップと、前記モアレパターンイメージを分析するステップと、を含むことを特徴とする、オーバーレイ測定方法を提供する。
また、前記モアレパターンイメージを取得するステップは、傾斜した光学要素を備えたオーバーレイ測定装置を用いてモアレパターンイメージを取得するステップであり、前記モアレパターンイメージを取得するステップで、前記オーバーレイ測定装置は、前記傾斜した光学要素と前記オーバーレイマークとの距離が、前記第1方向に進むほど増加または減少し、前記第2方向に進むときには一定であるように配置されることを特徴とする、オーバーレイ測定方法を提供する。
また、前記傾斜した光学要素はビームスプリッタであることを特徴とする、オーバーレイ測定方法を提供する。
また、前記モアレパターンイメージを分析するステップは、前記モアレパターンイメージの一部を一次元にプロジェクションして周期的なグラフを得るステップと、前記周期的なグラフを正弦波で表現するステップと、を含むことを特徴とする、オーバーレイ測定方法を提供する。
また、前記正弦波で表現するステップは、前記周期的なグラフと下記の数式9で表現された正弦波との差異が小さくなるように、回帰分析を介して数式9のA、A、A、θ、θ、f、f値をフィッティングするステップであることを特徴とする、オーバーレイ測定方法を提供する。
【数9】
このようなオーバーレイ測定方法は、フィッティングするステップによって、既存パターンの高周波成分を除去したモアレパターンの低周波成分を安定的に得ることができるという利点がある。
また、本発明は、半導体素子の製造方法であって、複数の連続するパターン層を形成するとともに、オーバーレイマークを形成するステップと、前記オーバーレイマークを用いてオーバーレイ値を測定するステップと、測定されたオーバーレイ値を、複数の連続するパターン層を形成するための工程制御に用いるステップと、を含むことを特徴とする、半導体素子の製造方法を提供する。
また、前記オーバーレイマークを形成するステップは、スキャナ方式の露光装置を用いて前記オーバーレイマークを形成するステップであり、前記第2方向は、前記露光装置のスキャン方向と並んでいることを特徴とする、半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるオーバーレイマーク、これを用いた新規なオーバーレイ測定方法、及び半導体素子の製造方法は、光学収差の影響を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0007】
また、スキャナのスキャン方向による影響を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるオーバーレイマークの一実施形態の平面図である。
図2図1に示された第1オーバーレイマークの一部の断面図である。
図3図1に示された第2オーバーレイマークの一部の断面図である。
図4図1に示された第3オーバーレイマークの一部の断面図である。
図5図1に示された第4オーバーレイマークの一部の断面図である。
図6図1に示されたオーバーレイマークに光を照射したときに形成されるモアレパターンのシミュレーション結果を示す図である。
図7】モアレパターンイメージ取得ステップを説明するための図である。
図8図1に示されたオーバーレイマークから取得された信号を示す。
図9図8に示された信号を正弦波に変更するステップを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に上述の実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施形態は、当技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されたものであり、図面上において同じ符号で表示された要素は、同じ要素を意味する。
図1は、本発明によるオーバーレイマークの一実施形態の平面図であり、図2図5は、図1に示された第1~第4オーバーレイマークの一部の断面図であり、図6は、図1に示されたオーバーレイマークに光を照射したときに形成されるモアレパターンのシミュレーション結果を示す図である。図1は、第1~第4オーバーレイマーク100、200、300、400が整列された状態を示す。
図1及び図2に示すように、第1オーバーレイマーク100は、オーバーレイマーク10の中心部に配置される一対の第1格子パターン110と、一対の第2格子パターン120とを備える。一対の第1格子パターン110は、一定の間隔をおいて並んで形成される。一対の第2格子パターン120は、第1格子パターン110に重なるように形成される。一対の第2格子パターン120は、一定の間隔をおいて並んで形成される。
第1格子パターン110は、第1パターン層(下層)と共に形成される。第1格子パターン110は、第1方向(図1では、X軸方向)に沿って第1ピッチPを有する。第1格子パターン110は、複数の薄いバーを含む。
第2格子パターン120は、第2パターン層(上層)と共に形成される。第2格子パターン120は、第1方向(図1では、X軸方向)に沿って第2ピッチPを有する。ここで、第2ピッチPは、第1ピッチPとは異なる。第2格子パターン120は、複数の薄いバーを含む。
このような第1格子パターン110と第2格子パターン120とは、オーバーレイマーク10の中心部に一対の第1モアレパターンMを形成する。すなわち、このような第1格子パターン110と第2格子パターン120上に光を照射すると、周期的なパターンを重ねるときに生じる干渉現象によって、図6に示すように、第1モアレパターンMが形成される。
このとき、第1モアレパターンMのピッチPM1は、下記の数式1のように、第1格子パターン110のピッチPと第2格子パターン120のピッチPによって決定される。数式1から分かるように、第1モアレパターンMのピッチPM1は、第1格子パターン110のピッチPと第2格子パターン120のピッチPに比べて遥かに大きい値となる。
【数1】
【0010】
ここで、第1モアレパターンMのピッチPM1は、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、第1格子パターン110のピッチPと第2格子パターン120のピッチPは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことが好ましい。これは、格子パターン110、120、特に、上層である第2格子パターン120から反射された光による干渉などの影響によってモアレパターンにノイズが生じることを最小化するためである。
また、第1格子パターン110に対する第2格子パターン120の格子要素の配列方向(本実施形態では、X軸方向)への相対移動は、第1モアレパターンMの移動を引き起こす。そして、第2格子パターン120の相対移動距離と第1モアレパターンMの移動距離との比である第1モアレゲインGM1は、下記の数式2によって決定される。
【数2】
【0011】
数式2から分かるように、第2格子パターン120が少しだけ移動しても、第1モアレパターンMは、相対的に遥かに長い距離を移動する。よって、微細なオーバーレイ誤差もモアレパターンのイメージから測定することができる。
第1モアレパターンMは、第1対称中心COSを備える。第1モアレパターンMは、第1対称中心COSを基準に180度回転対称である。第1モアレパターンMの中心軸Cは互いに一致する。
図1及び図3に示すように、第2オーバーレイマーク200は、第1オーバーレイマーク100の第1格子パターン110を挟んで向かい合うように配置される一対の第3格子パターン210と、第2格子パターン120を挟んで向かい合うように配置される一対の第4格子パターン220と、を備える。一対の第4格子パターン220は、第3格子パターン210に重なるように形成される。
第3格子パターン210は、第1パターン層と共に形成される。第3格子パターン210は、第1方向(図1では、X軸方向)に沿って第3ピッチPを有する。第3格子パターン210は、複数の薄いバーを含む。
第4格子パターン220は、第2パターン層と共に形成される。第4格子パターン220は、第1方向(図1では、X軸方向)に沿って第4ピッチPを有する。ここで、第4ピッチPは、第3ピッチPとは異なる。第4格子パターン220は複数の薄いバーを含む。ここで、第4ピッチPは第1ピッチPと同じであり、第3ピッチPは第2ピッチPと同じであってもよい。
図6に示すように、このような第3格子パターン210と第4格子パターン220とは、第1モアレパターンMを挟んで向かい合うように配置される一対の第2モアレパターンMを形成する。
第2モアレパターンMのピッチPM2下記の数式3のように、第3格子パターン210のピッチPと第4格子パターン220のピッチPによって決定される。
【数3】
【0012】
そして、第4格子パターン220の相対移動距離と第2モアレパターンMの移動距離との比である第2モアレゲインGM2は、下記の数式4によって決定される。
ここで、第2モアレパターンMのピッチPM2は、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、第3格子パターン210のピッチPと第4格子パターン220のピッチPは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことが好ましい。これは、格子パターンから反射された光による干渉などの影響によってモアレパターンにノイズが生じることを最小限に抑えるためである。
【数4】
【0013】
数式4から分かるように、第4格子パターン220が少しだけ移動しても、第2モアレパターンMは、相対的に遥かに長い距離を移動する。
第2モアレパターンMは、第2対称中心COSを備える。第2モアレパターンMは、第2対称中心COSを基準に180度回転対称である。第2モアレパターンMの中心軸Cは互いに一致する。整列時には、第1モアレパターンMの中心軸Cと第2モアレパターンMの中心軸Cとが一致する。
図6では、オーバーレイマーク10が整列された状態であるので、第1モアレパターンMの対称中心COSと第2モアレパターンMの対称中心COSとが互いに一致する。
オーバーレイマーク10が整列されていないときには、第1モアレパターンMの対称中心COSと第2モアレパターンMの対称中心COSとが互いに一致しない。
第1モアレパターンMの対称中心COSと第2モアレパターンMの対称中心COSとの第1方向(X軸方向)への差異を利用すると、第1方向へのオーバーレイ誤差を測定することができる。
図1及び図4に示すように、第3オーバーレイマーク300は、第1オーバーレイマーク100の第1格子パターン110を挟んで第1対角線D上に配置される一対の第5格子パターン310と、第2格子パターン120を挟んで第1対角線D上に配置される一対の第6格子パターン320と、を備える。一対の第6格子パターン320は、第5格子パターン310に重なるように形成される。
第5格子パターン310は、第1パターン層と共に形成される。第5格子パターン310は、第2方向(図1では、Y軸方向)に沿って第5ピッチPを有する。第5格子パターン310は複数の薄いバーを含む。
第6格子パターン320は、第2パターン層と共に形成される。第6格子パターン320は、第2方向(図1では、Y軸方向)に沿って第6ピッチPを有する。ここで、第6ピッチPは、第5ピッチPとは異なる。第6格子パターン320は複数の薄いバーを含む。
図6に示すように、このような第5格子パターン310と第6格子パターン320は、第1モアレパターンMを挟んで第1対角線D上に配置される一対の第3モアレパターンMを形成する。すなわち、このような第5格子パターン310と第6格子パターン320上に光を照射すると、周期的なパターンを重ねるときに生じる干渉現象によって、図6に示すように、第3モアレパターンMが形成される。
このとき、第3モアレパターンMのピッチPM3は、下記の数式5のように、第5格子パターン310のピッチPと第6格子パターン320のピッチPによって決定される。数式5から分かるように、第3モアレパターンMのピッチPM3第5格子パターン310のピッチPと第6格子パターン320のピッチPに比べて遥かに大きい値となる。
【数5】
【0014】
ここで、第3モアレパターンMのピッチPM3は、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、第5格子パターン310のピッチPと第6格子パターン320のピッチPは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことが好ましい。これは、格子パターンから反射された光による干渉などの影響によってモアレパターンにノイズが生じることを最小限に抑えるためである。
また、第5格子パターン310に対する第6格子パターン320の格子要素の配列方向への相対移動は、第3モアレパターンMの移動を引き起こす。そして、第6格子パターン320の相対移動距離と第3モアレパターンMの移動距離との比である第3モアレゲインGM3は、下記の数式6によって決定される。
【数6】
【0015】
数式6から分かるように、第6格子パターン320が少しだけ移動しても、第3モアレパターンMは相対的に遥かに長い距離を移動する。よって、微細なオーバーレイ誤差もモアレパターンのイメージから測定することができる。
第3モアレパターンMは、第3対称中心COSを備える。第3モアレパターンMは、第3対称中心COSを基準に180度回転対称である。
図1及び図5に示すように、第4オーバーレイマーク400は、第1オーバーレイマーク100の第1格子パターン110を挟んで前記第1対角線Dと交差する第2対角線D上に配置される一対の第7格子パターン410と、第2格子パターン120を挟んで第2対角線D上に配置される一対の第8格子パターン420と、を備える。一対の第8格子パターン420は、第7格子パターン410に重なるように形成される。
第7格子パターン410は、第1パターン層と共に形成される。第7格子パターン410は、第2方向(図1では、Y軸方向)に沿って第7ピッチPを有する。第7格子パターン410は複数の薄いバーを含む。
第8格子パターン420は、第2パターン層と共に形成される。第8格子パターン420は、第2方向(図1では、Y軸方向)に沿って第8ピッチPを有する。ここで、第8ピッチPは、第7ピッチPとは異なる。第8格子パターン420は複数の薄いバーを含む。
図6に示すように、このような第7格子パターン410と第8格子パターン420は、第1モアレパターンMを挟んで第2対角線D上に配置される一対の第4モアレパターンMを形成する。すなわち、このような第7格子パターン410と第8格子パターン420上に光を照射すると、周期的なパターンを重ねるときに生じる干渉現象によって、図6に示すように、第4モアレパターンMが形成される。
このとき、第4モアレパターンMのピッチPM4は、下記の数式7のように、第7格子パターン410のピッチPと第8格子パターン420のピッチPによって決定される。数式7から分かるように、第4モアレパターンMのピッチPM4は、第7格子パターン410のピッチPと第8格子パターン420のピッチPに比べて遥かに大きい値となる。
【数7】
【0016】
ここで、第4モアレパターンMのピッチPM4は、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも大きく、第7格子パターン410のピッチPと第8格子パターン420のピッチPは、オーバーレイ測定装置の光学解像度よりも小さいことが好ましい。これは、格子パターンから反射された光による干渉などの影響によってモアレパターンにノイズが生じることを最小限に抑えるためである。
また、第7格子パターン410に対する第8格子パターン420の格子要素の配列方向への相対移動は、第4モアレパターンMの移動を引き起こす。そして、第8格子パターン420の相対移動距離と第4モアレパターンMの移動距離との比である第4モアレゲインGM4は、下記の数式8によって決定される。
【数8】
【0017】
数式8から分かるように、第8格子パターン420が少しだけ移動しても、第4モアレパターンMは、相対的に遥かに長い距離を移動する。よって、微細なオーバーレイ誤差もモアレパターンのイメージから測定することができる。
第4モアレパターンMは、第4対称中心COSを備える。第4モアレパターンMは、第4対称中心COSを基準に180度回転対称である。
図6では、オーバーレイマーク10が整列された状態であるので、第3モアレパターンMの対称中心COSと第4モアレパターンMの対称中心COSとが互いに一致する。
オーバーレイマーク10が整列されていないときには、第3モアレパターンMの対称中心COSと第4モアレパターンMの対称中心COSとが互いに一致しない。
第3モアレパターンMの対称中心COSと第4モアレパターンMの対称中心COSとの第2方向(Y軸方向)への差異を利用すると、第2方向へのオーバーレイ誤差を測定することができる。
以下、上述したオーバーレイマーク10を用いたオーバーレイ測定方法について説明する。
オーバーレイ測定方法は、オーバーレイマーク10によって形成されたモアレパターンイメージを取得するステップと、モアレパターンイメージを分析するステップと、を含む。オーバーレイマーク10は、2つの連続するパターン層を形成すると同時に形成される。
モアレパターンイメージを取得するステップは、オーバーレイ測定装置を用いて第1~第4モアレパターンM、M、M、Mのイメージを一度に取得するステップである例えば、図6のようなイメージを取得するステップである。
本ステップは、傾斜した光学要素と、レンズLや、オーバーレイマーク10が形成されたデバイスDを支持するステージSなどとを備えたオーバーレイ測定装置を用いて、オーバーレイマークイメージを取得するステップであり得る。傾斜した光学要素は、例えばビームスプリッタBSであり得る。
図7は、オーバーレイマークイメージ取得ステップを説明するために、オーバーレイ測定装置の一例の一部を示す図である。図7に示すように、本ステップにおいて、オーバーレイ測定装置は、傾斜した光学要素であるビームスプリッタBSと、オーバーレイマーク10が形成されたデバイスDとの距離が、第1オーバーレイマーク100と第2オーバーレイマーク200による第1モアレパターンMと第2モアレパターンMが配置される方向であるX軸方向に進むほど増加または減少し、Y軸方向に進行するときには一定であるように配置されることが好ましい。すなわち、ビームスプリッタBSはX軸に対して傾斜して配置される。
このようにオーバーレイ測定装置を配置した状態でオーバーレイマークイメージを取得すれば、光学収差の影響を減らすことができるという利点がある。なぜなら、第1オーバーレイマーク100と第2オーバーレイマーク200は、X軸方向を基準にオーバーレイマーク10の中心部にのみ形成されるためである。
オーバーレイマーク10の全面積が同一であれば、第1オーバーレイマーク100と第2オーバーレイマーク200のX軸方向の幅が相対的に狭い。
したがって、X軸方向の両端と傾斜した光学要素であるビームスプリッタBSとのZ軸方向距離の差異が従来のオーバーレイマークに比べては小さくなる。これにより、傾斜した光学要素との距離差異による光学収差の影響が最小化される。
第3オーバーレイマーク300と第4オーバーレイマーク400は、Y軸方向を基準にオーバーレイマーク10の全領域に形成されるが、傾斜した光学要素であるビームスプリッタBSは、Y軸に対しては傾斜して配置されないため、Y軸方向への歪みが少ないので、第3オーバーレイマーク300と第4オーバーレイマーク400による第3モアレパターンMと第4モアレパターンMは、傾斜した光学要素による光学収差の影響をほとんど受けない。
本発明では、一方の方向(図1では、X軸方向)に配置される第1モアレパターンMと第2モアレパターンMを中心部に寄せて配置し、モアレパターンのイメージを取得するときにこれを考慮して、傾斜した光学要素であるビームスプリッタBSがその方向の軸(図7では、X軸)と角をなすようにオーバーレイ測定装置を配置することにより、光学収差の影響を最小化する。
モアレパターンイメージを分析するステップは、取得されたモアレパターンイメージにおける第1モアレパターンMのX軸方向中心と第2モアレパターンMのX軸方向中心とのオフセットを測定するステップと、第3モアレパターンMのY軸方向中心と第4モアレパターンMのY軸方向中心とのオフセットを測定するステップと、を含むことができる。
第1モアレパターンMのX軸方向中心と第2モアレパターンMのX軸方向中心とのオフセットを測定するステップは、次のステップを含むことができる。
まず、第1モアレパターンMの対称中心COSのX値と取得されたモアレパターンイメージの中心COIのX値との差異を求める(S11)。図6では、COIはイメージ領域自体の中心であって、モアレパターンの対称中心とは無関係である。図6では、便宜上、COIが第1モアレパターンMの対称中心COSと一致することを示している。
図6に示すように、取得されたモアレパターンイメージから上方の一つの第1モアレパターンMの一部領域Rを選択する。そして、取得されたモアレパターンイメージの中心を基準に180度対称となる領域Rも選択する。この領域Rは、下方のもう一つの第1モアレパターンMに位置する。
そして、選択された2つの領域R、Rの二次元イメージをそれぞれ一次元にプロジェクションする。すなわち、二次元イメージにおいて同じX値を有する画素のグレー値を全て加算したり、グレー値の平均を求めたり、グレー値を正規化したりする。
すると、図8に示すように、X値によるグレー値の変化を示す周期的なグラフGを描くことができる。第1モアレパターンMのグレー値はX値によって異なるので、図8に示されているグラフGを得ることができる。
図8から分かるように、取得された周期的なグラフGには、ノイズが多く含まれている。このようなノイズは、実際の格子パターンによる補強干渉により発生するノイズであり得る。よって、図8の周期的なグラフGの高周波成分を除去して、図9に示すように正弦波Sで表現する。
正弦波Sで表現するステップは、周期的なグラフGと下記の数式9で表される正弦波Sとの差異が最小化されるように、回帰分析を介して下記の数式9のA、A、A、θ、θ、f、fの値をフィッティングするステップであり得る。例えば、MSE(Mean Squared Error)、RMSE(Root Mean Squared Error)、MAE(Mean Absolute Error)、MAPE(Mean Absolute Percentage Error)、MPE(Mean Percentage Error)などのさまざまな誤差関数を用いてフィッティングすることができる。
【数9】
【0018】
次に、RとRのそれぞれから取得された正弦波で表現された2つのグラフSを用いて、第1モアレパターンMの中心のX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心のX値との差異を求める。
第1モアレパターンMの対称中心COSのX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値とが同一であれば、2つのグラフSは同じ形態でなければならない。もし、第1モアレパターンMの第1対称中心COSのX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値とが同一でなければ、一つのグラフは他のグラフに対してX軸方向にオフセットされた形態になる。このときのオフセット値は、第1モアレパターンMの中心のX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値との差異を示す。
次に、同様の方法で、第2モアレパターンMの第2対称中心COSのX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値との差異を求める(S12)。
次いで、先に求めた第1モアレパターンMの第1対称中心COSのX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値との差異、及び第2モアレパターンMの第2対称中心COSのX値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのX値との差異を用いて、X軸方向のオーバーレイ値を求める(S13)。
この差異値は、モアレゲイン値によって拡大された値であるので、モアレゲイン値で割ると、実際のX軸方向のオーバーレイ値を求めることができる。
次に、同様の方法で、第3モアレパターンMの第3対称中心COSのY値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのY値との差異を求める(S14)。そして、第4モアレパターンMの第4対称中心COSのY値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのY値との差異を求める(S15)。
次いで、先に求めた第3対称中心COSのY値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのY値との差異、及び第4モアレパターンMの第4対称中心COSのY値と取得されたオーバーレイマークイメージの中心COIのY値との差異を用いて、Y軸方向のオーバーレイ値を求める(S16)。この差異値は、モアレゲイン値によって拡大された値であるので、モアレゲイン値で割ると、実際のY軸方向のオーバーレイ値を求めることができる。
以下では、図1に示された、オーバーレイマーク10を用いた半導体素子の製造方法について説明する。オーバーレイマーク10を用いた半導体素子の製造方法は、オーバーレイマーク10を形成するステップから始まる。2つの連続するパターン層を形成するとともにオーバーレイマーク10を形成する。
オーバーレイマーク10を形成するステップは、スキャナ方式の露光装置を用いてオーバーレイマーク10を形成するステップであってもよい。そして、このとき、露光装置のスキャン方向は、中心部に配置される第1オーバーレイマーク100と第2オーバーレイマーク200の格子パターン110、120、210、220を構成する薄いバーの長手方向(図3では、Y軸方向)と並んでいることが好ましい。露光装置のスキャン方向には等速制御することができるため、薄いバーのY軸方向への歪みは大きくないが、X軸方向に歪みが生じることがあるので、スキャン方向に垂直なX軸方向に沿って配置される薄いバーは、中心部に配置して歪みを最小限に抑えることが好ましいからである。
次に、オーバーレイマーク10を用いてオーバーレイ値を測定する。オーバーレイ値を測定するステップは、上述したオーバーレイ測定方法と同様である。
最後に、測定されたオーバーレイ値を、2つの連続するパターン層または1つのパターン層に別々に形成された2つのパターンを形成するための工程制御に用いる。すなわち、導出されたオーバーレイを工程制御に活用して、連続するパターン層または2つのパターンが所定の位置に形成されるようにする。
以上で説明された実施形態は、本発明の好適な実施形態を説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想と特許請求の範囲内で当該分野の当業者によって様々な変更、変形または置換が可能であり、それらの実施形態も本発明の範囲に属すると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0019】
第1モアレパターン
第2モアレパターン
第3モアレパターン
第4モアレパターン
COS 第1対称中心
COS 第2対称中心
COS 第3対称中心
COS 第4対称中心
10 オーバーレイマーク
100 第1オーバーレイマーク
110 第1格子パターン
120 第2格子パターン
200 第2オーバーレイマーク
210 第3格子パターン
220 第4格子パターン
300 第3オーバーレイマーク
310 第5格子パターン
320 第6格子パターン
400 第4オーバーレイマーク
410 第7格子パターン
420 第8格子パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】