(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】損傷した神経を治療するためのキット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20240313BHJP
A61K 35/14 20150101ALI20240313BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240313BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240313BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61B17/11
A61K35/14
A61K45/00
A61P25/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023549983
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 IL2022050206
(87)【国際公開番号】W WO2022180627
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114528
【氏名又は名称】レッドドレス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クシュニール,アロン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
4C160
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA53
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB34
4C087CA03
4C087DA40
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA53
4C087ZC75
4C160MM32
(57)【要約】
本開示は、対象から引き抜かれた血液の血餅を適用することによる、対象の損傷した神経の成長誘導又は再生、あるいはその治療のための方法及びキットを提供する。対象から引き抜かれた血液は、神経の損傷部分を包む神経包囲中空要素の内腔に導入され、内腔内で制御可能に凝固しながら、神経の損傷部分に血餅を形成する。血餅は、神経の損傷部分と物理的に接触しながら、神経の修復を向上させ、部分的又は完全にその機能を回復し得る。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の損傷した神経部分を成長誘導又は再生するためのキットであって、
前記損傷した神経部分が内腔の少なくとも一部に存在するように前記損傷した神経部分を包むための内腔を有する神経包囲中空要素と、
対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
前記対象から引き抜かれた血液を受け取るための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するための1種又は複数種の凝固誘導剤と、引き抜かれた血液との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記内腔に導入するためのアプリケータと
を備えるキット。
【請求項2】
前記凝固アセンブリが、前記引き抜かれた血液を導入するための容積を備え、前記容積が、1種又は複数種の凝固促進剤又は抗抗凝固剤と接触可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の抗凝固剤を含む、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記神経包囲中空要素を形成するために、前記損傷した神経部分の上に配置するためのフィルム又はシートを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記神経包囲中空要素が神経誘導導管である、請求項1~4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記損傷した神経部分を前記神経包囲中空要素に固定するための固定要素を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
損傷した神経部分を治療、成長誘導、又は再生するための方法において使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載のキットであって、前記方法が、
(i)前記損傷した神経部分が内腔内に存在するように、内腔を有する神経包囲中空要素で前記損傷した神経部分を包むことと、
(ii)対象から全血を引き抜くことと、
(iii)前記対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)前記血液の凝固が完了する前に、前記血液を前記凝固剤とともに前記内腔に導入することと、
(v)前記内腔内で前記血液を凝固させることと
を含む、キット。
【請求項8】
損傷した神経部分内で又は損傷した神経部分を横切って神経を再生する方法であって、
内腔を有する神経誘導導管を、前記内腔内に存在するように前記神経部分を包むように取り付けることと、
対象から引き抜かれた全血と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、完全に凝固する前に前記内腔に導入することと
を含む方法。
【請求項9】
前記取り付けることが、前記部分の上にフィルム又はシートを配置し、前記部分を前記シートで包んで前記導管を形成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
損傷した神経部分を横切って神経線維の成長を誘導する方法であって、
前記神経部分を包むように神経誘導導管を取り付けることと、
被験者から引き抜かれた全血と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、完全に凝固する前に前記内腔に導入することと
を含む方法。
【請求項11】
前記損傷した神経部分が、切断された神経線維を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記神経部分が、外科的に接合されるか又は近接させられる2つの切断された神経断端を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記取り付けることが、
フィルム又はシートを前記部分の上に配置し、前記シートで前記部分を包んで前記導管を形成すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記取り付けることが、
前記2つの神経断端を、前記導管の両端から1つずつ、前記導管に導入することと、
前記2つの断端を前記導管内で互いに近接させることと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記近接させることが、縫合により前記導管内で前記2つの断端を固定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記導入することが、前記混合物が前記神経部分に接触するように前記導管の内腔の一部を前記混合物で満たすことを含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記神経部分が、切断された2つの神経断端を含み、前記導入することが、前記混合物が前記断端に密に接触するように行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(i)前記導入の前に、前記血液を酸素リッチガスで飽和させること、(ii)前記導入の前に、前記血液を1つ又は複数の自己細胞と混合すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項8~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の自己細胞がシュワン細胞を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1及び第2の神経断端を有する切断された神経を有する対象の損傷した神経を治療する方法であって、
前記第1の神経断端の上に神経誘導導管の第1の開放端部分を取り付けて固定すること、及び前記第2の神経断端の上に前記神経誘導導管の第2の開放端部分を取り付けて固定することであって、前記神経誘導導管が、前記第1及び第2の開放端部分の間に延びる内腔を画定する、取り付けて固定することと、
前記対象から引き抜かれた全血を1種又は2種の凝固誘導剤と混合し、それを完全に凝固する前に前記内腔に導入することと
前記血液を前記内腔内で凝固させることと
を含む方法。
【請求項21】
前記導入することが、血液が第1及び第2の神経断端の両方に接触するように前記内腔の一部を血液で満たすことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項8~21のいずれか一項に記載の方法において使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経線維の成長を誘導する方法であって、
前記第1及び第2の神経断端を神経移植片の2つの反対側の端部に取り付けることであって、前記神経移植片は、前記第1の神経断端と前記第2の神経断端との間の、それを通る神経の成長を可能にする微小チャネルを含む、取り付けることと、
前記対象から引き抜かれた全血と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、前記混合物の完全な凝固前に前記チャネルに導入することであって、前記導入は、前記取り付けの前又は後に実施される、導入することと、
前記血液を前記チャネル内で凝固させることと
を含む方法。
【請求項24】
前記1種又は複数種の凝固剤及び/又は抗抗凝固剤が粉末の形態であり、前記粉末の粒子の少なくとも一部が、前記チャネルに入るのに適合するサイズである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
粒子の少なくとも一部が2.5ミクロン未満のサイズを有する混合物を得るために、前記粉末を前記血液と混合する前にフィルタにかけることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィルタにかけることが、
選択された時間の間、前記粉末を液体中に導入することと、
浮遊粒子を収集することと、
所望のフィルタにかけられた粒子を得るために、前記収集された粒子を乾燥することと
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の神経断端及び前記神経移植片の一部、前記第2の神経断端及び前記神経移植片の一部、又は前記第1の神経断端、前記神経移植片及び前記第2の神経断端、のうちの少なくとも1つの上に包囲中空要素を取り付けることを含み、
前記導入することが、前記神経包囲中空要素の内腔を前記混合物で満たすことを含む、
請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第1の神経断端及び第2の神経断端を有する対象の損傷した神経部分を成長誘導又は再生するためのキットであって、
前記第1の神経断端と前記第2の神経断端との間の、それを通る神経の成長を可能にする微小チャネルを有する神経移植片と、
前記対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
前記対象から引き抜かれた血液を受け入れるための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するために、引き抜かれた血液と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記チャネルに導入するためのアプリケータと
を備えるキット。
【請求項29】
前記引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の抗凝固剤を備える、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第1の神経断端及び前記神経移植片の一部、前記第2の神経断端及び前記神経移植片の一部、又は前記第1の神経断端、前記神経移植片及び前記第2の神経断端、のうちの少なくとも1つの上に配置するための神経包囲中空要素を備える、請求項28又は29に記載のキット。
【請求項31】
損傷した神経部分を治療、成長誘導、又は再生するための方法において使用するための、請求項28~30のいずれか一項に記載のキットであって、前記方法は、
(i)前記神経移植片の第1の端部を前記第1の神経断端と接合し、前記神経移植片の第2の端部を前記第2の神経断端と接合することと、
(ii)前記対象から全血を引き抜くことと、
(iii)前記対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)前記血液の凝固が完了する前に、前記血液を前記凝固誘導剤とともに前記内腔に導入することと、
(v)前記チャネル内で前記血液を凝固させることと
を含む、キット。
【請求項32】
請求項23~27のいずれか一項に記載の方法における使用のための、請求項28~30のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は損傷した神経の医学的治療の分野に存する。
【背景技術】
【0002】
本開示の主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に列挙する:
-国際公開第2019/058373号パンフレット
-国際公開第2019/058375号パンフレット
-米国特許第9,180,142号明細書
【0003】
本明細書における上記参考文献の認定は、これらが本開示主題の特許性に何らかの形で関連することを意味するものとして推論されるものではない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、対象から引き抜かれ、制御された方法でその場で凝固される全血を使用することにより、対象の損傷した神経を成長誘導又は再生するための方法及びキット、又はその治療を提供する。治療される神経は、押し潰された神経、特定の疾患プロセス(例えば、炎症)によって損傷した神経、部分的に切断された神経、又は2つの神経の断端を残すように完全に切断された神経であり得る。いくつかの実施形態により、対象から引き抜かれた血液は、神経の損傷部分又はスリーブの反対側の端部からスリーブ内に取り込まれる対向する神経の断端の2つの端部を包む神経包囲スリーブの内腔に導入され、内腔内で制御可能に凝固しながら、そのような損傷した神経部分及び/又は2つの切断された神経断端の間に血餅又は凝固した血液マトリックスを形成する。この血餅は、神経の損傷部分と物理的に接触している間、神経の修復を向上し、その機能を部分的又は完全に回復し得る。他の実施形態では、切断された神経の2つの断端を橋渡しするために神経移植片が使用される。
【0005】
「神経治療部分」又は「治療部分」という用語は、本明細書において、切断された神経の断端の2つの端部部分の間の、損傷した神経部分を横切って神経再生を誘導するために本開示に従って治療される神経の部分、又は切断された神経の断端の2つの端部部分とその間の神経移植片とを含む部分を示すために使用される。
【0006】
本開示において使用される全血は、典型的には個人から引き抜かれた血液であるが、ドナー又は血液バンクから得られた血液である場合もある。したがって、「血液」又は「全血」という用語は、特に断りのない限り、その供給源にかかわらず全血を意味すると解釈すべきである。
【0007】
「凝固誘導剤」という用語は、本明細書において、1種又は複数種の凝固剤及び/又は抗抗凝固剤(anti-anti-coagulant)を示すために使用される。「混合物」という用語は、本明細書において、全血と凝固誘導剤を含む混合物を示すために使用される。
【0008】
「血餅(clot)」、「血餅(blood clot)」又は「凝固血液」という用語は、前記混合物から形成された凝固した全血マトリックスを示すために交換可能に使用される。
【0009】
以下において、方法が記載される場合、方法の実施におけるステップの順序は、それらが書かれる順序であってもなくてもよい。
【0010】
本開示に従って治療可能な対象は、ヒト又は非ヒト動物であり得る。
【0011】
したがって、本開示の一態様は、神経治療部分内又は神経治療部分を横切って神経を再生するための方法を提供する。本方法は、内腔を有するスリーブを、前記内腔内に収容されるように神経治療部分を包むように取り付けることを含む。本方法はまた、全血と前記凝固誘導剤との混合物を(混合は、導入前又は導入中に行われる)前記内腔に導入することを含む。神経を包むスリーブは、その内面と神経治療部分との間に空間を維持しながら神経治療部分を包むように製造又は構成することができ、その空間への凝固血液の導入を可能にして、損傷した神経上に血餅を形成する。全血と凝固誘導剤との混合物は、通常、混合物の凝固が完了する前に前記内腔に導入される。
【0012】
本開示のいずれの態様においても、全血を対象から抜き取り、その自然凝固を防止するために抗凝固剤と最初に混合してもよいことに留意されたい。所望のタイミングで、全血を凝固誘導剤と混合して、損傷した神経部分の全血を制御可能に凝固させ、そこに所望の血餅を形成する。
【0013】
本方法のいくつかの実施形態において、前記取り付けは、フィルム又はシートを神経治療部分の上に配置し、前記シートで前記部分を包んで神経包囲スリーブを形成することを含む。他の実施形態では、スリーブは先験的な管状要素であってもよく、治療部分はその中に導入される。スリーブは、プラスチック材料又は他の適切で生体適合性のある材料で作られてもよい。
【0014】
本開示のいずれかの態様に関して記載された実施形態のいずれかの組み合わせが適用可能であることに留意されたい。言い換えれば、本開示のいずれかの態様は、記載された実施形態のいずれかの組み合わせによって定義され得る。
【0015】
本開示のさらに別の態様は、損傷した神経部分を横切って神経線維の成長を誘導する方法を提供する。この方法は、神経誘導導管などの内腔を有する神経包囲スリーブを、前記内腔内に存在するように前記神経部分を包むように取り付けること;及び前記混合物を、混合物の完全な凝固前に前記内腔内に導入することを含む。
【0016】
本方法のいくつかの実施形態において、スリーブは神経誘導導管である。
【0017】
本方法のいくつかの実施形態において、損傷した神経部分は切断された神経線維を含む。
【0018】
本方法のいくつかの実施形態において、神経部分は、スリーブ内で外科的に接合されるか又は近接させられる2つの切断された神経断端を含む。
【0019】
本方法のいくつかの実施形態において、前記取り付けることは、フィルム又はシートを治療部分の上に配置することと、前記導管を形成するために前記部分を前記シートで包むこととを含む。
【0020】
本方法のいくつかの実施形態において、前記取り付けることは、2つの神経断端をスリーブの両端から1つずつ前記スリーブ内に導入することと、前記神経包囲スリーブ内で2つの断端を互いに近接させることとを含む。いくつかの実施形態により、混合物は、2つの断端の間の空間を満たすように作られてもよい。
【0021】
本方法のいくつかの実施形態において、前記近接させることは、縫合により前記スリーブ内に2つの断端を固定することを含む。
【0022】
本方法のいくつかの実施形態において、前記導入は、前記神経部分と接触するように導管の内腔の一部を混合物で満たすことを含む。
【0023】
本方法のいくつかの実施形態において、前記神経部分は切断された2つの神経断端を含み、前記導入は、前記混合物が前記断端と接触するように行われる。
【0024】
いくつかの実施形態において、本方法は、前記導入の前(血液を凝固剤と混合する前、間又は後であり得る)に、酸素リッチガス、例えば酸素富化空気又は純酸素で血液を飽和させることをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記1つ又は複数の自己細胞は、シュワン細胞を含む。
【0026】
本開示のさらに別の態様は、切断された神経の第1及び第2の神経断端間の神経再生を促進する方法を提供する。一実施形態により、本方法は、神経誘導導管の第1の開放端部分を前記第1の神経断端上に取り付けて、例えば縫合により、固定することと、前記神経誘導導管の第2の開放端部分を前記第2の神経断端上に取り付けて固定することとを含む。前記神経誘導導管は、前記第1及び第2の開放端部分の間に延びる内腔を画定する。本方法はさらに、全血を凝固誘導剤と混合し、その混合物を、完全に凝固する前、すなわち、まだ流動可能な形態である間に前記内腔に導入し、血液を前記内腔内で凝固させることを含む。
【0027】
本方法のいくつかの実施形態において、前記固定することは、前記第1及び第2の神経断端をそれぞれ第1及び第2の開放端部分に縫合することを含む。
【0028】
本方法のいくつかの実施形態において、前記導入することは、前記内腔の一部を、第1及び第2の神経断端の両方に接触するように血液で満たすこと、すなわち、第1及び第2の神経断端の間の間隙又は空間を血液で満たし、神経断端及び血液の連続マトリックスを形成することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、本方法は、前記導入の前に、血液を酸素で飽和させることをさらに含む。
【0030】
本方法のいくつかの実施形態において、抗抗凝固剤は、以下からなる群からの1つ又は複数である:ACD-A(抗凝固剤クエン酸デキストロース、溶液A)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、クエン酸塩、ヘパリン及びシュウ酸塩(「第1の群」)。
【0031】
本方法のいくつかの実施形態において、1つ又は複数の凝固剤又は抗抗凝固剤は、以下からなる群の1つ又は複数である:カオリン、Ca2+、例えばグルコン酸カルシウムなどのカルシウム塩の形態のもの、Mg2+、負に帯電したリン脂質(PL)及び硫酸プロタミン(「第2の群」);又は第1の群の1つ又は複数と第2の群の1つ又は複数との混合物。
【0032】
いくつかの実施形態において、本方法は、前記導入の前に、血液に、ケラチン、幹細胞(あらゆる種類の)、成長因子、コラーゲン、骨髄、又は他の気体もしくは材料を添加するか、又は血液をそれらで飽和させることをさらに含む。
【0033】
本方法のいくつかの実施形態において、前記導入は、血液アプリケータを管腔内に挿入することと、前記血液アプリケータ、例えば注射器によって血液を管腔内に注入することとを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本方法は、前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記1つ又は複数の自己細胞は、シュワン細胞を含む。
【0035】
本方法のいくつかの実施形態において、前記導管は、コラーゲン、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びブタ小腸粘膜下層(SIS)から作られるか、又はそれらを含む。
【0036】
本開示のさらに別の態様は、上記方法に採用され得る、対象の損傷した神経部分を治療、成長誘導、又は再生するためのキットを提供する。このキットは、前記損傷した神経部分を、前記部分が内腔の少なくとも一部内にあるように包囲するための内腔を有する神経包囲スリーブと;対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと;任意選択的に、対象から引き抜かれた血液を受けるための1つ又は複数の血液収集レセプタクル、又は血液バンクから得られた全血を受けるための手段と;血液の凝固プロセスを開始するために、引き抜かれた血液と凝固誘導剤との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと;不完全凝固血液を前記内腔に導入するためのアプリケータとを備える。
【0037】
キットのいくつかの実施形態において、1つ又は複数の収集レセプタクルは真空チューブである。
【0038】
キットのいくつかの実施形態において、凝固アセンブリは、引き抜かれた血液を受容するための容器を備え、前記容器は、血液を前記凝固誘導剤と接触させるように構成される。
【0039】
いくつかの実施形態において、キットは、引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の凝固誘導剤をさらに備える。
【0040】
キットのいくつかの実施形態において、1種又は複数種の凝固誘導剤は、前記1つ又は複数の血液収集レセプタクル内に含まれる。
【0041】
キットのいくつかの実施形態において、抗抗凝固剤は、前記第1の群の1つ又は複数、又は前記第2の群の1つ又は複数、又は前記第1の群の1つ又は複数と前記第2の群の1つ又は複数との組み合わせからなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態において、キットは、神経包囲スリーブを形成するために前記損傷した神経部分の上に配置するためのフィルム又はシートをさらに備える。
【0043】
キットのいくつかの実施形態において、前記スリーブは神経誘導導管である。
【0044】
キットのいくつかの実施形態において、前記神経治療部分は、第1及び第2の神経断端を有する切断された神経である。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記キットは、前記神経治療部分を前記スリーブに固定するための固定要素又は保持要素をさらに備える。
【0046】
いくつかの実施形態において、本キットは、損傷した神経部分を治療、成長誘導、又は再生するための方法における使用を意図している。本方法は、(i)損傷した神経部分が内腔内に存在するように、内腔を有する前記スリーブで前記損傷した神経部分を包むこと、(ii)対象から全血を引き抜くこと、(iii)対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合すること、(iv)血液の凝固が完了する前に、凝固剤を含む血液を前記内腔内に導入すること、及び(v)血液を前記内腔内で凝固させることを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、キットは、上述の方法の実施形態のいずれか1つによる方法において使用することを意図されている。
【0048】
本開示の他の態様により、切断された神経の2つの断端を橋渡しするために橋渡し神経移植片が採用される。これらの態様には、「神経移植片態様方法」と称する方法及び「神経移植片態様キット」と称するキットが含まれる。移植片態様によれば、神経線維の成長を誘導するため、又は第1の神経断端と第2の神経断端との間で神経を再生するための方法は、以下のことを含む:
(i)第1の神経断端と第2の神経断端との間に神経移植片を位置決めすること。神経移植片は自己又は非自己の神経移植片であることができ、ドナー又は死体から得てもよく、同種異系又は異種であり得る。神経移植片は、部分的に合成されたもの、加工されたヒト神経同種移植片、又は完全に合成されたものであってもよい。神経移植片は、例えば適切な培地中に維持された新鮮なものであってもよいし、凍結されたものであってもよいし、他の方法で保存されたものであってもよい。神経移植片は、使用前に、例えば凍結によって無細胞になるように処理してもよい。神経移植片は、神経包囲スリーブ(例えば、チューブ)の内腔内に縫合することなく、それを片方の断端の上に取り付ける前に、又はそのように取り付けた後に、配置することができる。神経移植片は空の神経内膜チューブを含み、このチューブは、以前にそこを通過した軸索が残した微小チャネル/トンネルであり、第1と第2の神経断端間での神経の成長を可能にする。微小チャネルは、移植片が断端を連結しているとき、神経移植片の両端の間、すなわち、第1の神経断端と第2の神経断端の間に延びる;
(ii)全血と凝固誘導剤との混合物を、混合物の完全な凝固の前に、前記チャネルに導入することであって、前記導入は、前記位置決めの前又は後に実施される。これは、神経移植片の一端又は両端を前記混合物に接触させ、毛細管力によって血液が前記チャネルに入るのを許容することによって、又は他の任意の適切な手段によって、強制的な導入によって達成することができる。この導入は、前記位置決めの前でも後でもよい;及び、
(iii)血液を前記チャネル内で凝固させること。
【0049】
凝固した全血の少なくとも一部は、第1の神経断端及び/又は第2の神経断端と接触し得ることに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、第1の神経断端と神経移植片との間、及び神経移植片と第2の神経断端との間に連続凝固全血マトリックスを形成し、それによって神経移植片チャネルを介して第1の神経断端と第2の神経断端とを連結することをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様の方法は、前記移植片を前記第1及び前記第2の神経断端の一方又は両方に固定することをさらに含む。
【0051】
この方法のいくつかの実施形態では、前記固定することは、前記第1及び第2の神経断端を前記神経移植片に縫合することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様の方法は、前記導入の前に、血液を酸素で飽和させることをさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様の方法は、前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することをさらに含む。
【0054】
神経移植片の態様の方法のいくつかの実施形態において、前記1つ又は複数の自己細胞はシュワン細胞を含む。
【0055】
神経移植片の態様の方法のいくつかの実施形態において、前記1種又は複数種の凝固誘導剤は粉末の形態であり、前記粉末の粒子の少なくとも一部は前記チャネルに入るのに適合する大きさである。すなわち、粒子は十分に小さいので、その直径はチャネルの断面の直径よりも小さい。
【0056】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様の方法は、粒子の少なくとも一部が2.5ミクロン未満、2ミクロン未満、1.5ミクロン未満、又はさらには1ミクロン未満のサイズを有する混合物を得るために、血液と混合する前に前記粉末をフィルタにかけることをさらに含む。いくつかの実施形態では、粉末は、前記チャネルに入るのに適合するサイズの粒子を50%超含む。
【0057】
神経移植片の態様の方法のいくつかの実施形態において、前記フィルタにかけることは、(i)選択された時間の間、粉末を液体中に導入すること、(ii)浮遊粒子を収集すること、すなわち、液体の上部を収集すること、及び(iii)所望のフィルタにかけられた粒子を得るために前記粒子を乾燥することを含む。
【0058】
神経移植片の態様の方法のいくつかの実施形態において、前記凝固誘導剤は、前記第1の群の1つ又は複数、あるいは前記第2の群の1つ又は複数、あるいは前記第1の群の1つ又は複数と前記第2の群の1つ又は複数との組み合わせである。
【0059】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様の方法は、前記スリーブすなわち神経誘導導管を、第1の神経断端及び神経移植片の一部、第2の神経断端及び神経移植片の一部、又は第1の神経断端、神経移植片及び第2の神経断端のうちの少なくとも1つの上に取り付けることをさらに含み;前記導入することは、前記内腔を前記混合物で満たすことを含む。
【0060】
第1の神経断端及び第2の神経断端を有する対象の損傷した神経部分の成長を誘導又は再生させるための神経移植片の態様のキットは、上記のキットの要素に加えて、さらに、それを通して神経の成長を可能にする微小チャネルを有する神経移植片、あるいはそのような神経移植片を採取又は作り出すための手段も備える。
【0061】
神経移植片の態様のキットのいくつかの実施形態において、前記1つ又は複数の収集レセプタクルは真空管である。
【0062】
神経移植片の態様のキットのいくつかの実施形態において、凝固アセンブリは、引き抜かれた血液を導入するための容器を備え、前記体積は、1種又は複数種の凝固剤又は抗抗凝固剤と接触可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様のキットは、引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の凝固誘導剤をさらに備える。
【0064】
神経移植片の態様のキットのいくつかの実施形態において、1種又は複数種の抗凝固剤は前記1つ又は複数の血液収集レセプタクル内に含まれる。
【0065】
神経移植片の態様のキットのいくつかの実施形態において、前記凝固誘導剤は、前記第1の群の1つ又は複数、あるいは前記第2の群の1つ又は複数、あるいは前記第1の群の1つ又は複数と前記第2の群の1つ又は複数との組み合わせである。
【0066】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様のキットは、第1の神経断端及び神経移植片の一部、第2の神経断端及び神経移植片の一部、又は第1の神経断端、神経移植片及び第2の神経断端のうちの少なくとも1つの上に配置するための前記スリーブをさらに備える。アプリケータを用いることによって、凝固中の全血は前記スリーブの内腔に導入されることが意図される。そうすることにより、全血は、神経移植片のチャネルを介して、第1の神経断端と第2の神経断端との間に連続した凝固全血マトリックスを形成する。凝固した全血から形成された血餅は、神経の再生プロセスを向上させる。
【0067】
キットのいくつかの実施形態において、前記スリーブは神経誘導導管である。
【0068】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様のキットは神経移植片の態様の方法における使用を意図している。
【0069】
いくつかの実施形態において、神経移植片の態様のキットは、神経移植片を使用する方法の上述の実施形態のいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせにおける使用を意図している。
【0070】
実施形態
以下は、本開示の態様による任意選択の実施形態及びその組み合わせである。これらの実施形態は、上記に一般的に記載したような本明細書の開示に追加することを意図するものであり、限定するものではない。これらの実施形態において、方法ステップは、書かれている順序であってもなくてもよい。
1.損傷した神経部分内又は神経部分を横切って神経を再生する方法であって、
前記神経部分がスリーブの内腔に収容されるように、前記神経部分を包むようにスリーブを取り付けること、及び
典型的には対象から引き抜かれた全血(ただし、ドナー又は血液バンクからのものでもよい)と、凝固剤及び/又は抗抗凝固剤であり得る1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、完全に凝固する前に前記内腔に導入すること、
を含む方法。
2.前記取り付けることが、フィルム又はシートを前記部分の上に配置し、前記シートで前記部分を包んで前記スリーブを形成することを含む、実施形態1に記載の方法。
3.損傷した神経部分を横切って神経線維の成長を誘導する方法であって、
前記神経部分を包むようにスリーブを取り付けること、及び
典型的には対象から引き抜かれた全血と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、完全に凝固する前に前記内腔に導入すること、
を含む方法。
4.損傷した神経部分が、切断された神経線維を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.前記神経部分が、外科的に接合されるか又は近接させられる2つの切断された神経断端を含む、実施形態4に記載の方法。
6.前記取り付けることが、
フィルム又はシートを前記部分の上に配置すること、及び前記部分を前記シートで包んで前記スリーブを形成することを含む、実施態様5に記載の方法。
7.前記取り付けることが、
2つの神経断端を、前記スリーブの両端から1つずつ、前記スリーブ内に導入することと、2つの断端を前記導管内で互いに近接させることと
を含む実施態様5に記載の方法。
8.前記近接させることが、縫合により前記スリーブ内で2つの断端を固定することを含む、実施形態7に記載の方法。
9.前記導入することが、前記スリーブの内腔の一部を、前記神経部分に接触するように混合物で満たすことを含む、実施形態3~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記神経部分が2つの切断された神経断端を含み、前記導入することは、前記混合物が前記断端と接触して断端の間に凝固した血液マトリックスを形成するように行われる、実施形態9に記載の方法。
11.前記導入の前に、血液を酸素リッチガスで飽和させることを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.前記1つ又は複数の自己細胞がシュワン細胞を含む、実施形態12に記載の方法。
14.切断された神経の第1の神経断端と第2の神経断端との間で神経線維の成長を誘導するための方法であって、
前記第1の神経断端の上にスリーブの第1の開放端部分を取り付けて固定すること、及び前記第2の神経断端の上にスリーブの第2の開放端部分を取り付けて固定することであって、前記スリーブが前記第1及び第2の開放端部分の間に延びる内腔を画定する、取り付けて固定することと、
対象から引き抜かれた全血を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合し、それを混合物の凝固が完了する前に前記内腔に導入することと、
血液を前記内腔内で凝固させることと
を含む方法。
15.前記固定することが、前記第1及び第2の神経断端をそれぞれ前記第1及び第2の端部分に縫合することを含む、実施態様14に記載の方法。
16.前記導入することが、前記混合物及びそこから形成される凝固血液マトリックスが前記第1及び第2の神経断端の両方に接触するように、前記内腔又はその一部を前記混合物で満たすことを含む、実施形態14又は15に記載の方法。
17.前記導入の前に、血液を酸素で飽和させることを含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の方法。
18.前記導入することが、血液アプリケータを管腔内に挿入することと、前記血液アプリケータによって血液を管腔内に注入することとを含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載の方法。
19.前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することを含む、実施形態14~18のいずれか1つに記載の方法。
20.前記1つ又は複数の自己細胞がシュワン細胞を含む、実施形態19に記載の方法。
21.対象の損傷した神経部分を成長誘導又は再生するためのキットであって、
前記損傷した神経部分が内腔の少なくとも一部に存在するように前記損傷した神経部分を包むための内腔を有するスリーブと、
任意選択的に、対象から血液を引き抜くための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
血液を受け取るための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するための1種又は複数種の凝固誘導剤と、引き抜かれた血液との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記内腔に導入するためのアプリケータと、
を備えるキット。
22.前記1つ又は複数の収集レセプタクルが真空管である、実施形態21に記載のキット。
23.前記凝固アセンブリが、血液を受け入れるための容器を備え、前記容器は、血液を前記凝固誘導剤と接触させるように構成されている、実施態様21又は22に記載のキット。
24.1種又は複数種の凝固誘導剤を備える、実施形態21~23のいずれか1つに記載のキット。
25.前記1種又は複数種の凝固誘導剤が、前記1つ又は複数の血液収集レセプタクル内に含まれる、実施形態24に記載のキット。
26.前記凝固誘導剤が、ACD-A(抗凝固剤クエン酸デキストロース、溶液A)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、クエン酸塩、ヘパリン及びシュウ酸塩からなる群から選択される抗抗凝固剤である、実施形態24又は25に記載のキット。
27.前記1種又は複数種の凝固誘導剤が、カオリン、Ca2+、Mg2+、負に帯電したリン脂質(PL)及び硫酸プロタミンから選択される、実施形態21~26のいずれか1つに記載のキット。
28.前記神経包囲スリーブを形成するために、前記損傷した神経部分の上に配置するためのフィルム又はシートを備える、実施形態21~27のいずれか1つに記載のキット。
29.前記神経包囲スリーブが神経誘導導管である、実施形態21~27のいずれか一項に記載のキット。
30.前記損傷した神経部分を前記神経包囲スリーブに固定するための固定要素を備える、実施形態21~29のいずれか1つに記載のキット。
31.前記損傷した神経部分が、第1及び第2の神経断端を有する切断された神経である、実施形態21~30のいずれか1つに記載のキット。
32.損傷した神経部分を治療、成長誘導、又は再生するための方法において使用するための、実施形態21~31のいずれか1つに記載のキットであって、前記方法は、
(i)前記損傷した神経部分が内腔内に収容されるように、内腔を有するスリーブで前記損傷した神経部分を包むことと、
(ii)対象から全血を引き抜くことと、
(iii)対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)血液の凝固が完了する前に、血液を凝固誘導剤とともに前記内腔に導入することと、
(v)前記内腔内で血液を凝固させることと
を含むキット。
33.実施形態1~20のいずれか1つによる方法において使用するための、実施形態21~31のいずれか1つに記載のキット。
34.第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経線維の成長を誘導する方法であって、
第1の神経断端と第2の神経断端との間に神経移植片を配置し、任意選択的に、第1の神経断端と第2の神経断端のそれぞれを神経移植片の異なる端部に取り付けることであって、前記神経移植片は、第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経の成長を可能にする微小チャネルを含む、配置し、任意選択的に取り付けることと、
全血、典型的には対象から引き抜いた血液と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物を、混合物の完全な凝固前に前記チャネルに導入することであって、前記導入は、前記配置の前又は後に実施される、導入することと、
血液を前記チャネル内で凝固させることと
を含む方法。
35.前記移植片を前記第1及び第2の神経断端の一方又は両方に固定することを含む、実施態様34に記載の方法。
36.前記固定することが、前記第1及び第2の神経断端を前記神経移植片に縫合することを含む、実施態様35に記載の方法。
37.前記導入の前に、血液を酸素で飽和させることを含む、実施形態34~36のいずれか1つに記載の方法。
38.前記導入の前に、血液を1つ又は複数の自己細胞と混合することを含む、実施形態34~37のいずれか1つに記載の方法。
39.前記1つ又は複数の自己細胞がシュワン細胞を含む、実施形態39に記載の方法。
40.前記1種又は複数種の凝固剤及び/又は抗抗凝固剤が粉末の形態であり、前記粉末の粒子の少なくとも一部が前記チャネルに入るのに適合するサイズである、実施形態34~39のいずれか1つに記載の方法。
41.粒子の少なくとも一部が2.5ミクロン未満のサイズを有する混合物を得るために、前記粉末を血液と混合する前にフィルタにかけることを含む、実施態様40に記載の方法。
42.前記フィルタにかけることが、
選択された時間の間、粉末を液体中に導入することと、
浮遊粒子を収集することと、
所望のフィルタにかけられた粒子を得るために、収集された粒子を乾燥することと
を含む、実施形態41に記載の方法。
43.前記凝固誘導剤が、ACD-A(抗凝固剤クエン酸デキストロース、溶液A)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、クエン酸塩、ヘパリン及びシュウ酸塩からなる群から選択される抗抗凝固剤である、実施形態34~42のいずれか1つに記載の方法。
44.前記1種又は複数種の凝固剤が、カオリン、Ca2+、Mg2+、負に帯電したリン脂質(PL)及び硫酸プロタミンからなる群から選択される、実施形態34~42のいずれか1つに記載の方法。
45.第1の神経断端及び神経移植片の一部、第2の神経断端及び神経移植片の一部、又は第1の神経断端、神経移植片及び第2の神経断端のうちの少なくとも1つの上に包囲スリーブを取り付けることを含み、
前記導入することが、前記スリーブの内腔を前記混合物で満たすことを含む、
実施形態34~43のいずれか1つに記載の方法。
46.第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経線維の成長を誘導するためのキットであって、
第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経線維の成長を可能にする微小チャネルを有する神経移植片と、
任意選択的に、対象から血液を引き抜くための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
血液を受け入れるための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するために、引き抜かれた血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合するように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記チャネルに導入するためのアプリケータと
を備えるキット。
47.前記1つ又は複数の収集レセプタクルが真空管である、実施形態46に記載のキット。
48.前記凝固アセンブリが、血液を受け入れるための容器を備え、前記容器が、血液を前記凝固誘導剤と接触させるように構成されている、実施態様46又は47に記載のキット。
49.1種又は複数種の凝固誘導剤を備える、実施形態46~48のいずれか1つに記載のキット。
50.前記1種又は複数種の凝固誘導剤が、前記1つ又は複数の血液収集レセプタクル内に含まれる、実施形態49に記載のキット。
51.前記凝固誘導剤が、ACD-A(抗凝固剤クエン酸デキストロース、溶液A)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコール四酢酸)、クエン酸塩、ヘパリン及びシュウ酸塩からなる群から選択される抗抗凝固剤である、実施形態49又は50に記載のキット。
52.前記1種又は複数種の凝固誘導剤が、カオリン、Ca2+、Mg2+、負に帯電したリン脂質(PL)及び硫酸プロタミンからなる群から選択される、実施形態46~51のいずれか1つに記載のキット。
53.第1の神経断端及び神経移植片の一部、第2の神経断端及び神経移植片の一部、又は第1の神経断端、神経移植片及び第2の神経断端のうちの少なくとも1つの上に配置されるスリーブとして使用するための少なくとも1つの管状要素を備える、実施形態46~52のいずれか1つに記載のキット。
54.前記神経包囲中空要素が神経誘導導管である、実施態様53に記載のキット。
55.第1の神経断端と第2の神経断端との間の神経線維の成長を誘導するための方法における使用のための、実施形態46~54のいずれか1つに記載のキットであって、方法は、
(i)前記第1の神経断端と前記第2の神経断端との間に、その中を延びる微小チャネルを含む神経移植片を配置し、任意選択的に、前記神経移植片の第1の端部を前記第1の神経断端に取り付け、前記神経移植片の第2の端部を前記第2の神経断端に取り付ける、配置し、任意選択的に取り付けることと、
(ii)血液、任意選択的に対象から引き抜かれた全血を得ることと、
(iii)血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)血液の凝固が完了する前に、混合物を移植片の微小チャネルに導入することと、
(v)前記微小チャネル内で血液を凝固させることと
を含む、キット。
56.実施形態34~45のいずれか1つに記載の方法において使用するための、実施形態46~54のいずれか1つに記載のキット。
【0071】
本明細書において開示される主題をよりよく理解するため、及びそれが実際にどのように実施され得るかを例示するために、次に実施形態を、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1A-1D】本開示の態様による損傷又は切断された神経を成長誘導又は再生する方法の異なる段階を例示する概略図である。
【
図2A-2C】本開示の態様による損傷した神経を成長誘導又は再生する方法の異なる段階を例示する概略図である。
【
図3】本開示の態様による方法の実施形態を例示する概略図である。
【
図4】本開示の態様による方法の実施形態を例示する概略図である。
【
図5A-5B】本開示の方法でウサギの切断神経を処理した試験結果を、標準的な一般的方法で処理したウサギの切断神経と比較して示す。
図5Aは、2つの試験群の神経の中間部分における軸索密度のヒストグラムを示し、
図5Bは、2つの試験群の神経の中間部分の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1A~1Dを参照する。それらは本開示の態様に従う損傷又は切断された神経を成長誘導又は再生する方法の異なる段階を例示する概略図である。
図1Aは、治療される対象の切断された神経の第1及び第2の断端102及び104を示す。スリーブ106、例えば神経誘導導管は、内腔107を有し、第1及び第2の開放端108及び110の間に延在し、それぞれの開放端を通して断端102/104のそれぞれを受容するように構成され、それによってスリーブ106は第1及び第2の断端102及び104の上に取り付けられる。
図1A~1D及び
図2A~2Bでは、スリーブは透明であり、そうでなければ隠れてしまうであろう要素を見ることができるようになっているが、スリーブは完全な透明と完全な不透明の間の任意の透明度を持つ材料で作ることができることに注意されたい。
【0074】
図1Aでは、神経の断端102/104がそれぞれ第1及び第2の開放端108及び110を介して導入され、断端を包むスリーブの部分に縫合などにより固定されている。
図1Bは、断端102及び104がスリーブ106内にあり、断端103及び105のそれぞれの端部を含む部分がスリーブ106の内腔内にあり、断端のそれぞれがそれぞれの開口部を越えて延びるように固定要素112によって所定の位置に固定されている状態を示している。
【0075】
図1Cに見られるように、全血、典型的には対象から引き抜かれた血液と、1種又は複数種の凝固剤及び/又は1種又は複数種の抗抗凝固剤である1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物114が、混合物の完全な凝固前、すなわち血液がまだ流動可能な状態にあるときに、内腔107内に導入される。内腔への混合物の導入は、注射器109又は任意の適切な手段によって行うことができる。混合物が断端のそれぞれの少なくとも一部に接触するように、内腔107は混合物で満たされる。
図1Dは、混合物が2つの断端102/104を連結する連続的なマトリックスを形成していることを示している。混合物が内腔107内にあるときに、断端102/104の1つ又は2つに接触するかそれを包む血餅が形成されるまで、混合物の凝固プロセスが進行する。スリーブ106は神経の断端にぴったりとフィットするように作られてもよい。しかしながら、そうでない場合には、混合物を内腔107内に保持するために、第1及び第2の開放端108及び110を、例えば布、ドレッシング手段、又は任意の適切なシール手段によってシールしてもよい。
【0076】
次に、本開示の態様による実施形態の非限定的な例の概略図である
図2A~2Cを参照する。
図2Aは、対象の神経NEの損傷部分211の上に取り付けられたスリーブ206を示す。スリーブは、神経NEの周囲に巻かれたシートによって形成されてもよいし、神経上に配置するために開くことができるように、その壁に軸方向に延びる切れ目を有する可撓性の管状要素から形成されてもよい。スリーブ206が所定の位置に設置されると、全血、典型的には対象から引き抜かれた血液と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合物214が、混合物の凝固が完了する前、すなわち
図2Bに見られるように血液がまだ流動可能な形態であるときに、スリーブ206の内腔207に導入される。混合物214は神経NEの損傷部分211に接触するかそれを包むように内腔207を満たし、
図2Cに見られるように、神経NEの損傷部分211に接触するかそれを包む血餅を形成するように内腔に維持される。やがて、血餅は損傷した神経の再生又は成長を誘導する。
【0077】
図3は、本開示の態様による方法の実施形態の非限定的な例の概略図である。この例では、損傷神経は、第1の神経断端302及び第2の神経断端304を有する切断神経である。2つの断端302及び304は、それを通して神経の成長を促進するチャネル322を有する神経移植片320を介して互いに連結されている。神経移植片320のチャネル322は、神経移植片320の第1の端部324と第2の端部326との間に延びている。第1の端部324は第1の神経断端302と接合され、第2の端部326は第2の神経断端304と接合される。通常、治療される対象から引き抜かれる全血は、1種又は複数種の凝固誘導剤(すなわち、凝固剤及び/又は抗抗凝固剤)と混合され、全血と凝固誘導剤との混合物315を得、これは次にアプリケータ309によって、チャネル322に導入される。この導入は、一方又は両方の端部324/326を混合物中に置いて、毛細管力による混合物の微小チャネル内への進入を可能にすることによっても可能である。混合物315は、任意選択的に、神経移植片320と各神経断端302及び304との間の界面にも適用することができる。次いで、全血は、微小チャネルを通して2つの断端間の神経線維の成長を向上させる血餅を形成するために、チャネル内及び任意選択的に界面上で凝固される。
【0078】
図4は、本開示の一態様による方法の実施形態の非限定的な例を示す概略図である。この例は、各神経の断端と神経移植片との間の界面をスリーブ406で包囲し、任意選択的に断端のそれぞれをスリーブ406及び/又は神経移植片420に固定することによって、
図3のものとは異なる。スリーブ406の内腔407は、神経移植片420のチャネル422が凝固開始剤と全血の混合物415で完全又は部分的に満たされるように凝固する全血で満たされ、また、断端402及び404と神経移植片420との間の間隙も凝固する全血で満たされ、その結果、2つの断端の間に連続した血餅が生じる。
【0079】
ウサギを用いた本発明の方法の試験
本開示の方法をウサギで試験した。ウサギの脛骨神経の2.5cmの部分を切断した。神経誘導導管を、神経の断端の2つの縁とそれらの間の隙間の上に取り付けた。両縁を縫合して神経誘導導管に固定した。ウサギから自己全血を引き抜き、凝固開始剤と混合して血液凝固を開始させた。その後、神経誘導導管の内腔をウサギの活性化全血で満たし、2つの縁を連結する内腔内に血餅マトリックスを形成した。ウサギの神経の成長と再生の状態を4ヵ月後に調べた。
図5Aは、4ヵ月後の神経の所与の領域における軸索の割合のヒストグラムを示す。各ヒストグラムの左のバーは神経の近位部における結果を示し、各ヒストグラムの右のバーは神経の中間部における結果を示す。「ActiGrft使用」と記載された群は、本開示の方法で試験されたウサギを表す。近位部と中間部のいずれの部分においても、導管内で全血餅を使用した群では、使用しなかった群よりも多くの軸索が認められた。
【0080】
図5Bは、4ヵ月後の切断神経の中間部の断面図を示す。左の断面は本開示の方法を用いなかった対照群で、導管は未充填のままであり、右の断面は本開示の方法を用いた被検群で、導管はウサギの凝固全血で満たされた。ミエリンを標識し、認識できるようにし、被検群の断面は対照群よりもはるかに高い軸索密度を示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の損傷した神経部分を成長誘導又は再生するための方法で使用するためのキットであって、
前記損傷した神経部分が内腔の少なくとも一部に存在するように前記損傷した神経部分を包むための内腔を有する神経包囲中空要素と、
対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
前記対象から引き抜かれた血液を受け取るための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するための1種又は複数種の凝固誘導剤と、引き抜かれた血液との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記内腔に導入するためのアプリケータとを備え、
前記方法は、
(i)前記損傷した神経部分が内腔内に存在するように、内腔を有する神経包囲中空要素で前記損傷した神経部分を包むことと、
(ii)前記対象から全血を引き抜くことと、
(iii)前記対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)前記血液の凝固が完了する前に、前記血液を前記凝固剤とともに前記内腔に導入することと、
前記内腔内で前記血液を凝固させることとを含み、
前記導入することが、前記混合物が前記神経部分に接触するように前記導管の内腔の一部を前記混合物で満たすことを含む、キット。
【請求項2】
前記凝固アセンブリが、前記引き抜かれた血液を導入するための容積を備え、前記容積が、1種又は複数種の凝固促進剤又は抗抗凝固剤と接触可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の抗凝固剤を含む、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記神経包囲中空要素を形成するために、前記損傷した神経部分の上に配置するためのフィルム又はシートを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記神経包囲中空要素が神経誘導導管である、請求項1~4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
前記損傷した神経部分を前記神経包囲中空要素に固定するための固定要素を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
第1及び第2の神経断端を有する切断された神経を有する対象の損傷した神経を治療する方法において使用するためのキットであって、
前記損傷した神経部分が内腔の少なくとも一部に存在するように前記損傷した神経部分を包むための内腔を有する神経包囲中空要素と、
前記対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
前記対象から引き抜かれた血液を受け取るための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
前記引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するための1種又は複数種の凝固誘導剤と、前記引き抜かれた血液との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記内腔に導入するためのアプリケータとを備え、
前記方法が、
前記第1の神経断端の上に神経誘導導管の第1の開放端部分を取り付けて固定すること、及び前記第2の神経断端の上に前記神経誘導導管の第2の開放端部分を取り付けて固定することであって、前記神経誘導導管が、前記第1及び第2の開放端部分の間に延びる内腔を画定する、取り付けて固定することと、
前記対象から引き抜かれた全血を1種又は2種の凝固誘導剤と混合し、それを完全に凝固する前に前記内腔に導入することと
前記血液を前記内腔内で凝固させることとを含み、
前記導入することが、前記血液が前記第1および第2の神経断端の両方に接触し、神経断端および血液の連続マトリックスを形成するように、前記内腔の一部を前記血液で満たすことを含む、キット。
【請求項8】
第1の神経断端及び第2の神経断端を有する対象の損傷した神経部分を成長誘導又は再生するための方法において使用するためのキットであって、
前記第1の神経断端と前記第2の神経断端との間の、それを通る神経の成長を可能にする微小チャネルを有する神経移植片と、
前記対象からの血液の引き抜きを可能にするための1つ又は複数の血液引き抜きデバイスと、
前記対象から引き抜かれた血液を受け入れるための1つ又は複数の血液収集レセプタクルと、
引き抜かれた血液の凝固プロセスを開始するために、引き抜かれた血液と1種又は複数種の凝固誘導剤との混合を可能にするように構成された凝固アセンブリと、
不完全凝固血液を前記チャネルに導入するためのアプリケータとを備え、
前記方法が、
(i)前記神経移植片の第1の端部を前記第1の神経断端と接合し、前記神経移植片の第2の端部を前記第2の神経断端と接合することと、
(ii)前記対象から全血を引き抜くことと、
(iii)前記対象の血液を1種又は複数種の凝固誘導剤と混合することと、
(iv)前記血液の凝固が完了する前に、前記血液を前記凝固誘導剤とともに前記チャネルに導入することと、
前記チャネル内で前記血液を凝固させることとを含み、
前記導入することが、前記血液が前記第1および第2の神経断端の両方に接触し、神経断端および血液の連続マトリックスを形成するように、前記内腔の一部を前記血液で満たすことを含む、キット。
【請求項9】
前記引き抜かれた血液と混合するための1種又は複数種の抗凝固剤を備える、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記第1の神経断端及び前記神経移植片の一部、前記第2の神経断端及び前記神経移植片の一部、又は前記第1の神経断端、前記神経移植片及び前記第2の神経断端、のうちの少なくとも1つの上に配置するための神経包囲中空要素を備える、請求項8又は9に記載のキット。
【国際調査報告】