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特表2024-512889植込み型心臓内装置及び各ヘッダ・アセンブリの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】植込み型心臓内装置及び各ヘッダ・アセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20240313BHJP
   A61N 1/362 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550611
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022055388
(87)【国際公開番号】W WO2022214247
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,771
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21173500.6
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンシェル、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、デバン
(72)【発明者】
【氏名】オースティン、エリック
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC01
4C053KK08
(57)【要約】
本発明は植込み型心臓内装置用のヘッダ・アセンブリの製造方法及び心臓内装置の製造方法に関し、ヘッダ・アセンブリはベース・リング33、133から延在する少なくとも1つのタイン3、103を備え、ベース・リング33、133は円錐状に形成され、ヘッダ・アセンブリはヘッダ・キャップ2、102及びヘッダ・ベース1、101を備え、ヘッダ・キャップ2、102及びヘッダ・ベース1、101は、それぞれベース・リング33、133の円錐形状に対応する支持側面43、53、143、153を備え、製造方法は、ベース・リング33、133がヘッダ・ベース1、101とヘッダ・キャップ2、102との間に配置される、組み立てステップと、ベース・リング33、133がベース・リング溝内に位置するように、ヘッダ・キャップ2、102がヘッダ・ベース1、101に永久的に固定される、次の固定ステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型心臓内装置用のヘッダ・アセンブリの製造方法であって、前記ヘッダ・アセンブリは、ベース・リング(33、133)から延在する少なくとも1つのタイン(3、103)を備え、前記ベース・リング(33、133)は円錐状に形成され、前記ヘッダ・アセンブリは、さらにヘッダ・キャップ(2、102)及びヘッダ・ベース(1、101)を備え、前記ヘッダ・キャップ(2、102)及び前記ヘッダ・ベース(1、101)は、それぞれ、前記ベース・リング(33、133)の円錐形状に対応する支持側面(43、53、143、153)を備えており、前記製造方法は、以下のステップ、すなわち、
前記ベース・リング(33、133)が前記ヘッダ・ベース(1、101)の支持ヘッダ・ベース側面(53、153)及び前記ヘッダ・キャップ(2、102)の支持ヘッダ・キャップ側面(43、143)に隣接した位置にあるように、前記ベース・リング(33、133)が前記ヘッダ・ベース(1、101)と前記ヘッダ・キャップ(2、102)との間に配置される、組み立てステップと、
前記ベース・リング(33、133)が、前記支持ヘッダ・キャップ側面(43、143)及び前記支持ヘッダ・ベース側面(53、153)によって形成されたベース・リング溝内に位置するように、前記ヘッダ・キャップ(2、102)が前記ヘッダ・ベース(1、101)に永久的に固定される、次の固定ステップと
を含む、製造方法。
【請求項2】
前記ヘッダ・ベース(1、101)及び前記ヘッダ・キャップ(2、102)の各々は、前記組み立てステップ後に互いに少なくとも部分的に隣接した位置にあるその各支持側面(43、53、143、153)のそばに横側面(45、55、145、155)を備え、前記ヘッダ・キャップ(2、102)と前記ヘッダ・ベース(1、101)との永久的な固定は、その各横側面(45、55、145、155)において少なくとも部分的に提供される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ヘッダ・キャップ(2、102)及び/又は前記ヘッダ・ベース(1、101)は、その各横側面(45、55、145、155)に突起部(46、146)を備え、前記突起部(46、146)を形成する材料の少なくとも一部は、前記ヘッダ・ベース(1、101)における前記ヘッダ・キャップ(2、102)の固定のために使用される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ベース・リング溝は、前記円錐状のベース・リング(33、133)が、前記固定ステップの後に、前記ベース・リング溝内で回転可能であるようなサイズである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヘッダ・キャップ(2、102)及び前記ヘッダ・ベース(1、101)は、ヒート・ステーキング若しくは超音波ステーキング、又は、機械的溶接、例えば、スピン溶接、撹拌溶接、振動溶接、及び/又は超音波溶接によって固定される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の前記製造方法によって製造された前記ヘッダ・アセンブリが、前記心臓内装置に永久的に取り付けられる、植込み型心臓内装置の製造方法。
【請求項7】
前記心臓内装置のピン状電極(7、107)又は前記心臓内装置のフィードスルー(106)は、それぞれ、そのシェル表面又はその側面に少なくとも1つの受容ノッチ(7a、106a、106b)を備え、その結果、前記ヘッダ・キャップ(2、102)又は前記ヘッダ・ベース(1、101)の溶融部分は、前記ヘッダ・アセンブリの前記固定ステップの間に、前記受容ノッチ(7a、106a、106b)に流入する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記部分は、前記ヘッダ・キャップ(2、102)及び/又は前記ヘッダ・ベース(1、101)の前記それぞれの横側面(45、55、145、155)の前記突起部(46、146)によって提供される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ヘッダ・キャップ(2、102)は、直接又は前記ヘッダ・ベース(1、101)を介して前記フィードスルー(106)に永久的に固定される、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1から5及び9のいずれか一項に記載の前記製造方法を使用して製造されるヘッダ・アセンブリ。
【請求項11】
請求項6から9までのいずれか一項に記載の前記製造方法を使用して製造される植込み型心臓内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植込み型心臓内ペースメーカなどの植込み型心臓内装置、及びそのためのヘッダ・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
能動的又は受動的な心臓内医療装置(IMD:intracardiac medical device)、例えば、植込み型心臓内ペースメーカ(リードレス・ペースメーカとしても知られている)は、心室又は心房内に完全に植え込まれる、周知の小型医療装置である。心臓内ペースメーカは、徐脈を患っている患者のために、すなわち、心臓の鼓動が遅すぎて患者の生理的ニーズを満たすことができない場合に使用される。心臓内ペースメーカは、生理学的に適切な心拍数を生成するために心臓へのパルスの形態で、及び/又は、より正常な心臓リズムを取り戻すためにカーディオバージョン若しくはディフィブリレーションのためのショックの形態で電気刺激を加える。心臓内装置の代わりの又は追加の機能は、心臓又はその周囲組織に他の電気信号又は電磁信号を提供すること、心臓及び/若しくはその周囲組織の電気信号若しくは電磁信号、又は他の生理学的パラメータを感知することを含む。
【0003】
米国特許出願公開第2012/0172690(A1)号は、遠位端に4つの遠隔展開可能な能動的固定タインのセットを備えたマルチピース・タイン固定サブアセンブリを備えるリードレス・ペースメーカ装置を開示している。この文献は、低侵襲手術中に、円形に配置された4つのタインを使用して、患者の組織にペースメーカを固定することをさらに記載している。タインは、装置をしっかりと固定し、能動的固定タインの円形配置の中心内で患者の組織に電極の機械的接触を提供するために、この組織に隣接して展開及び配置されたときに、患者の心臓組織に出入りするように構成される。この既知の文献は、さらに、ヘッダ・アセンブリを取り付けるためのいくつかのステップを含む複雑な製造方法と、ヘッダ・アセンブリを形成するために互いに取り付けられる必要のある7つの構成部品とを開示している。米国特許第10,179,236(B2)号は、ヘッダを備えたリードレス・ペースメーカの別の実例を示す。
【0004】
市場標準の装置サイズを有する装置に統合された既知のヘッダの解決策では、ヘッダの設計が、バッテリ又は電子モジュールなどの、他の重要な構成部品からスペースを奪い、装置の寿命、又は、より大きな電子モジュール内に組み込むことができた治療機能などの、より重要度の高い装置機能に影響を及ぼす。
【0005】
別の問題は、植込み型心臓内装置のための既知の解決策が、固定的に取り付けられて展開するために軸方向に調整可能な固定機構を含んでいるか、又は、回転防止機能を含んでいることにある。これらの既存の解決策の欠点は、緊急の又は長期にわたる装置除去中に、固定機構に対する装置の回転が禁止されることであり、それにより、組織封止(tissue encapsulation)のさまざまな程度に応じて、装置除去中に手順上の課題が追加される。
【0006】
製造中、既知の解決策は、医療用インプラント・ハウジングにタイン・アレイを固定させるために高度な位置合わせ方法を使用する。例えば、小型の構成部品を互いに正確に配向させることは、組み立て前に必要とされ、マイクログラムの適用量で接着剤を高度に分配すること、又はバヨネット機能を位置合わせすることは、ヘッダ・アセンブリを装置ハウジングと組み合わせるため、又は、ヘッダ・アセンブリ構成部品を組み合わせるために必要である。さらに、タインを固定するには、ノッチを有する複雑な射出成形部品が、タインを受容するために必要である。したがって、一般的な製造方法では、自動化が困難である。さらに、シリコーン接着剤の使用によって、製造後に、手動での洗浄が必要になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0172690(A1)号
【特許文献2】米国特許第10,179,236(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、より小さな寸法を有し、同時に、取付け機構が堅牢で、製造の手間とコストが少なく、同時に、自動化の可能性を提供する植込み型心臓内装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題は、請求項1に定義されたヘッダ・アセンブリの製造方法と、請求項6に定義された植込み型心臓内装置の製造方法と、請求項9に定義されたそれぞれのヘッダ・アセンブリと、請求項10に定義されたそれぞれの植込み型心臓内装置とによって解決される。
【0010】
特に、植込み型心臓内装置用のヘッダ・アセンブリの製造方法であって、ヘッダ・アセンブリは、ベース・リングから延在する少なくとも1つのタインを備え、当該ベース・リングは円錐状に形成され、当該ヘッダ・アセンブリは、さらにヘッダ・キャップ及びヘッダ・ベースを備え、当該ヘッダ・キャップ及び当該ヘッダ・ベースは、それぞれ、当該ベース・リングの円錐形状に対応する支持側面を備えており、当該製造方法は、以下のステップ、すなわち、
- 当該ベース・リングが当該ヘッダ・ベースの当該支持ヘッダ・ベース側面及び当該ヘッダ・キャップの当該支持ヘッダ・キャップ側面に隣接した位置にあるように、当該ベース・リングが当該ヘッダ・ベースと当該ヘッダ・キャップとの間に配置される、組み立てステップと、
- 組み立て時に、当該ベース・リングが、当該支持ヘッダ・キャップ側面及び当該支持ヘッダ・ベース側面によって形成されたベース・リング溝内に位置するように、当該ヘッダ・キャップが当該ヘッダ・ベースに永久的に固定される、次の固定ステップと
を含む。
【0011】
ヘッダ・アセンブリは、薬剤デポ、例えば、特にDXAステロイドを含むステロイド・デポを形成又は含むことができるワッシャ状スペーサをさらに備えることができる。
【0012】
本発明の植込み型心臓内装置、例えば、リードレス・ペースメーカは、上述の製造方法によって、並びに、以下のさらなる実施例において製造された円筒状ハウジング及びヘッダ・アセンブリを備える。心臓内装置の円筒状のハウジング、ヘッダ・アセンブリ、及びピン状電極は、組み立て後の状態で近位端から遠位端まで延びる長手方向を形成する長手方向軸を有する。さらに、ピン状電極は、ハウジングの遠位端から突出しており、ヘッダ・アセンブリは、電極がヘッダ・アセンブリ、すなわち、ヘッダ・アセンブリのそれぞれの貫通又は完全な開口部から突出するように、心臓内装置のハウジングの遠位端に配置され、取り付けられる。開口部は、中央開口部であってもよい。一実施例では、フィードスルーは、ピン状電極の近位端の周り及び近位端に配置することができ、ヘッダ・アセンブリの開口部を少なくとも部分的に通って突出してもよい。
【0013】
ベース・リング、ヘッダ・キャップ及びヘッダ・ベース、並びに、該当する場合には、ワッシャ状スペーサは、上述の開口部を備えていてもよく、スペーサの開口部のサイズは、ピン状電極、又はその電極の近位端に位置する電極フィードスルーが、この開口部内に配置され得るようなものであってもよい。
【0014】
ヘッダ・アセンブリは、上記及び下記により詳細に記載されているように、心臓内装置の遠位端に収容され、少なくとも1つのタインから成るタインベースの固定部を提供する。ヘッダ・アセンブリの近位端は、心臓内装置にヘッダ・アセンブリを固定した後に、ヘッダ・ベースによって形成される。ヘッダ・キャップ及びワッシャ状スペーサは、別個に形成されてもよいし、一体的に形成されてもよい。
【0015】
一実施例では、ヘッダ・アセンブリは、ベース・リングの遠位端から延びる複数の、特に2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのタインを備え、タインは、ベース・リングの全周に沿って均等に分布している。ベース・リングは、ベース・リングの遠位端がその近位端と比較して、より大きな内径及び外径を有するように、円錐状に形成されている。ベース・リングの軸は、心臓内装置のハウジングの軸と平行に、言い換えれば、近位方向から遠位方向に延在する。少なくとも1つのタインは、展開後に心臓組織内に装置を固定することができる。
【0016】
心臓内装置の円筒状のハウジングは、プロセッサ、エネルギー源(例えば、バッテリ又はコイル(無線充電用))及び、該当する場合には、アンテナなどの通信部品を有する電子モジュールを備える。プロセッサは、患者の身体から判定される信号、又は周囲環境から受信される信号を処理するように、及び/又は、患者の心臓の治療のための信号を生成するように適合され得る。このような信号は、生理学的に適切な心拍数を生成するために、パルスの形態の電気刺激や、より正常な心臓リズムを取り戻すために、カーディオバージョン若しくはディフィブリレーションのためのショックや、及び/又は、心臓若しくはその周囲組織へのその他の電気信号若しくは電磁信号を含み得る。このような信号は、電子モジュールによって変換及び送信され、ピン状電極によって心臓又はその周囲組織に適用されてもよい。ピン状電極は、電子モジュール及びエネルギー源に電気的に接続されている。密封されたハウジングは、導電性材料、例えば、チタンを含んでいてもよく、領域コーティング、例えば、フラクタル・イリジウムを用いて別の電極として機能して、有効な電気的活性表面積を増加させることができる。
【0017】
ヘッダ・アセンブリのための本発明の製造方法は、有利には、組み立ての自動化を可能にする。さらに、本発明の製造方法は非常に簡単であり、したがって、接着プロセス又は回転固定方法が、提案された製造ステップに必要とされないため、コスト効率が良い。本発明の製造方法は、小型部品であっても自動化の準備が整っている単軸のアセンブリだけを含む。
【0018】
さらに、上述のヘッダ・アセンブリは、円錐状のベース・リングによるスペースを最適化し、より少ないヘッダ構成部品を有するため、植込み型心臓内装置の製造中に、処理ステップ及び組み立てステップが少なくなり、コストが低くなる。ベース・リングは、バンドの高さを維持しながら、軸方向の高さを低減することができるように円錐形状である。ヘッダの軸方向の長さ及び体積は、最小化される。リードレス・ペースメーカ内に実装されるとき、この改良によって、バッテリなどの装置の他のより重要な機能のためのより大きなスペースが可能になり、装置の寿命を延ばすことができる。言い換えれば、そのスペースは、より多くの治療機能を組み込むために、電子モジュールに割り当てることができる。逆に、同じバッテリ及び電子モジュールのサイズについて、ヘッダの長さを短くすると、装置全体の長さを短くすることが可能になる。これにより、より小さな患者への適用、又は右心房などの心臓内への代替配置が可能になる。
【0019】
一実施例では、ベース・リングは、複数のノッチ(すなわち、材料の切り欠き、スロット又は他の形状)、例えば、上記ベース・リングの遠位端面内で円周方向に隣接して配置され、遠位端からベース・リングの本体内に延びる2つのノッチの少なくとも2つのグループを有する。1つのノッチの長さは、ベース・リングの長さの少なくとも1/4(すなわち、軸方向への寸法)及びベース・リングの長さの最大2/3であってもよい。別の実施例では、ノッチの長さは、ベース・リングの長さの少なくとも1/2であってもよい。複数のノッチにより、形状設定プロセス中の歪みを減らすことが可能である。
【0020】
一実施例では、少なくとも1つのタインの各々は、ベース・リングから直接延在してベース・リング及びフレックス・ゾーンとの接続を形成する当接部を備え、タインの当接部は、ベース・リングの円錐形状を継続する。複数のタインの各々は、ヘッダ・キャップの表面のすぐ下でタインの弧に接するベース・リングで終端し、ベース・リングは、その遠位端のヘッダ・キャップによって、及び、その近位端のスペーサによって完全に収容される。複数のタインのうちの各タインの中間部は、湾曲形状(例えば、円形の湾曲)を有し、ベース・リングから最も遠い端部は、外向きにねじれた直線部を含む。各タインの他の形状も同様に可能である。一実施例では、ベース・リング及び少なくとも1つのタインは、一体的に形成される。ベース・リング及び/又は少なくとも1つのタインは、部分的又は完全に生体適合性材料、例えば超弾性材料、例えばニチノールから成っていてもよい。
【0021】
ヘッダ・キャップは、タイン・アレイの回転自由度を可能にする心臓内装置のハウジングに対して、少なくとも1つのタインの確実な接続を形成することができる(以下を参照)。さらに、ヘッダ・キャップは、装置ハウジングからタインを電気的に絶縁することができ、超音波ステーキングなどの単軸アセンブリのステーキング方法を可能にすることができる。ヘッダ・キャップは、回転対称の設計、例えば、ベース・リングの円錐形状に対応する支持側面(支持ヘッダ・キャップ側面)を有するほぼ中空円筒の形状を有する。これは、支持側面のサイズ及び傾きが、ベース・リングのサイズ及びベース・リングのテーパに対応していることを意味する。ヘッダ・キャップは、該当する場合には、ワッシャ状スペーサ用の座部を形成する内面から内方に突出するフランジを提供することができる。それにより、ヘッダ・キャップは、装置にステロイド・デポを永久的に固定することができる。さらに、ヘッダ・キャップの遠位端は、溶着ホーンの適用、すなわち、溶着ホーン・ツーリング・インターフェースを可能にするための比較的滑らかで平坦な表面の適用にふさわしいようなサイズ及び形状となり得る。
【0022】
少なくとも1つのタインを有するベース・リングは、ヘッダ・アセンブリの(その近位側の)ヘッダ・ベースと(その遠位側の)ヘッダ・キャップとの間、より正確には、支持ヘッダ・ベース側面と支持ヘッダ・キャップ側面との間で、長手方向の移動に対してクランプされ、固定される。ヘッダ・ベースは、ベース・リングが装置ハウジングと接触すること、及び、装置ハウジング上の任意のコーティング材料(例えば、パリレン)を損傷させることを防ぐ。
【0023】
ヘッダ・ベースは、半径方向に対称であり、さらに、リングの構造を有する。内面の一方は、ベース・リングの円錐形状に対応する支持側面(支持ヘッダ・ベース側面)として形成されており、それは、支持側面のサイズ及び傾きが、ベース・リングのサイズ及びベース・リングのコニシティ(テーパリング)に対応することを意味している。
【0024】
ヘッダ・ベース及びヘッダ・キャップは、電気絶縁性及び熱可塑性材料、例えばPEEKを含んでいてもよい。PEEKは、その機械的強度、生体適合性及び絶縁特性によって理想的である。
【0025】
本発明によれば、組み立てステップでは、ヘッダ・アセンブリの構成部品は、互いに隣接して配置され、すなわち、ベース・リングは、ベース・リングがヘッダ・ベースの支持ヘッダ・ベース側面に隣接し、且つ、ヘッダ・キャップの支持ヘッダ・キャップ側面に隣接した位置にあるように、ヘッダ・ベースとヘッダ・キャップとの間に配置される。次の固定ステップでは、ヘッダ・キャップは、ベース・リングが支持ヘッダ・キャップ側面及び支持ヘッダ・ベース側面によって形成されたベース・リング溝内に位置し、完全に収容されるように、ヘッダ・ベースに永久的に固定される。ベース・リングのコニシティと、ヘッダ・キャップ及びヘッダ・ベースの側面とによって、タインを有するベース・リングは、ヘッダ・アセンブリから引っ張られたり、さもなければ除去されたりすることはできず、ヘッダ・アセンブリに永久的に固定される。ベース・リングは、円錐形状を有するため、支持ヘッダ・キャップ側面及び支持ヘッダ・ベース側面によって形成される円錐ポケットから除去することはできず、心臓内装置にしっかりと取り付けられる。
【0026】
一実施例では、ヘッダ・キャップ及びヘッダ・ベースは、ヒート・ステーキング若しくは超音波ステーキング、又は、機械的溶接、例えば、スピン溶接、撹拌溶接、振動溶接、及び/又は超音波溶接によって固定される。これは、例えば、ヘッダ・ベース及びヘッダ・キャップが溶接及び/又はステーキングに適した材料を含むか、それらから成る場合に実現される。固定ステップの間に溶着ホーンを適用するために、ヘッダ・キャップは、適切なサイズの端面を形成するその最も遠位端にそれぞれの横側面を備える。溶着ホーンは、長手方向への押圧力及び/又は超音波範囲の振動、例えば、20kHz~70kHzの範囲の周波数、30mm~50mmの振幅、60N~100Nのステーキング力、及び、最大2秒までの、特に最大1.5秒までのステーキング時間を提供することができる。
【0027】
一実施例では、ヘッダ・ベース及びヘッダ・キャップの各々は、組み立てステップ後に互いに少なくとも部分的に隣接した位置にあるその各支持側面のそばに横側面を備え、ヘッダ・キャップとヘッダ・ベースとの永久的な固定は、その各横側面において少なくとも部分的に提供される。ヘッダ・ベース及びヘッダ・キャップの横側面は、組み立てステップ後に少なくとも部分的に平行に延びていてもよい。それぞれの横側面は、ヘッダ・アセンブリの、又は心臓内装置のハウジングの長手方向軸に対して、垂直、平行、又は傾斜して延びていてもよい。これらの面は、固定ステップ後に材料同士の接続(material-to-material connection)を提供するステーキング領域又は溶接領域を形成する。
【0028】
一実施例では、ヘッダ・キャップ及び/又はヘッダ・ベースは、その各横側面に突起部を備え、突起部を形成する材料の少なくとも一部は、ヘッダ・ベースにおけるヘッダ・キャップの固定のために使用される。したがって、特に溶接中に、突起部の材料は、溶融して、他のそれぞれの構成部品との永久接続のための材料を提供し、それにより、材料同士の接続(結合)を形成する。一実施例では、他のそれぞれの構成部品は、固定ステップの間に追加の連動接続を形成するために、それぞれの突起部の反対側にくぼみを備えていてもよい。突起部は、例えば、ヘッダ・キャップ及び/又はヘッダ・ベースのそれぞれの横側面の表面に位置する他の形態の単一の円錐又は隆起によって形成することができ、少なくとも2つの円錐又は複数の円錐は、それぞれの横側面の全周に沿って分布している。或いは、突起部は、それぞれの横側面に位置する、例えば、三角形の断面を有する隆起したリングとして形成される。一実施例では、リング、円錐又は隆起は、その頂部に非常に鋭いリッジを形成する。
【0029】
一実施例では、ベース・リング溝は、円錐状のベース・リングが、固定ステップの後に、心臓内装置のハウジングに対してベース・リング溝内で回転可能であるようなサイズである。一実施例では、ベース・リング溝は、ベース・リング用の傾斜したスロット又はポケットが、結果としてベース・リングが回転可能に固定されるように、互いに固定されたヘッダ・ベース及びヘッダ・キャップの横側面によってその近位端で閉鎖される。これにより、固定機構に対する装置の回転自由度が提供され、固定機構、すなわち少なくとも1つのタインの安定性を損なうことなく、封止された組織からの解放が可能になる。
【0030】
植込み型心臓内装置のための本発明の製造方法は、特に、上述の製造方法によって製造されたヘッダ・アセンブリが、心臓内装置に、例えばハウジングの遠位端に、及び/又は、ハウジングの遠位端から両方ともが突出しているピン状電極又はフィードスルーに永久的に取り付けられるステップを含む。完成した心臓内装置は、ヘッダ・アセンブリに関して、以上に説明した利点を有する。
【0031】
一実施例では、心臓内装置のピン状電極又は心臓内装置のフィードスルーのうちの1つは、例えば、それぞれ、そのシェル表面又はその側面にくぼみ又はアンダーカットを形成する少なくとも1つの受容ノッチを備え、その結果、ヘッダ・キャップ又はヘッダ・ベースの溶融部分は、ヘッダ・アセンブリの固定ステップの間に、受容ノッチに流入する。受容ノッチは、それぞれのシェル表面又は側面の周囲に沿って規則的又は不規則的に分布しているリングノッチ又は複数の単一ノッチとして形成され得る。これにより、ヘッダ・アセンブリの固定ステップの間、同時にヘッダ・アセンブリが心臓内装置に固定される。少なくとも1つの受容ノッチによって、局所的な材料の流れが可能になり、ヘッダ・アセンブリのヘッダ・ベースを心臓内装置ハウジングに固定することができる。溶融部分の溶融材料は、ピン状電極又はフィードスルーとの連動接続を実現する。そのために、ヘッダ・アセンブリは、ピン状電極及び/又はフィードスルーがヘッダ・アセンブリの上述の開口部内に位置するように、心臓内装置のハウジングの遠位端に、組み立てステップ後又は組み立てステップ中に配置する必要がある。一実施例では、溶融部分は、ヘッダ・キャップ及び/又はヘッダ・ベースのそれぞれの横側面に形成された突起部によって提供される。
【0032】
上記の問題は、上記製造方法を使用して製造されたヘッダ・アセンブリ、又は上記製造方法を使用して製造された植込み型心臓内装置によって解決される。
【0033】
一実施例では、心臓内装置のハウジングの遠位端は、遠位方向に突出するその外周に環状突起部を有する凹部を備える。ヘッダ・ベースは、この凹部内に固定されるのに適しており、環状突起部は、ヘッダ・ベース用の外側リムを形成し、それによって、ヘッダ・アセンブリをハウジングにおいて固定した後にヘッダ・ベースを保護する。
【0034】
さらなる追加機能が、ヘッダ・アセンブリ又は心臓内装置によって提供されてもよい。すなわち、
- ヘッダ・ベースは、ハウジングに電気的絶縁を確保してタイン・アレイを収容するために使用される。
- ヘッダ・キャップは、ハウジング・インプラント又はフィードスルー・フランジの一部と相互作用する機能を有する内径を提供する。
【0035】
本発明は、添付の概略図を参照して、ここに、さらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ヘッダ・アセンブリを備える本発明の心臓内装置の第1の実施例を側面図で示す。
図2】組み立て中の図1の実施例を側面図で示す。
図3図1の実施例のヘッダ・キャップを断面図で示す。
図4図1の実施例のヘッダ・ベースを断面図で示す。
図5】製造中の図1の実施例を断面図で示す。
図6】ピン状電極を備えた心臓内装置のハウジングの遠位端を側面図で示す。
図7】固定ステップの終了後の図1の実施例を断面図で示す。
図8】ヘッダ・アセンブリを備えた本発明の心臓内装置の第2の実施例を分解斜視図及び断面図で示す。
図9】固定ステップの終了後の図8の実施例を断面図で示す。
図10】製造方法の固定ステップ中の図8の実施例を断面図で示す。
図11】固定ステップの終了後のヘッダ・アセンブリを備えた本発明の心臓内装置の第3の実施例を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2は、ヘッダ・アセンブリを備えた植込み型心臓内装置、例えば、リードレス・ペースメーカの第1の実施例の分解図を示しているが、図1は、製造方法の固定ステップを終了後の装置の遠位端を示している。構成部品は、円環状のヘッダ・ベース1、基本的に円筒状のヘッダ・キャップ2、ベース・リング33と一体的に形成された4つのタイン、円筒状の装置ハウジング5、及び、そこから遠位方向に延在するピン状電極7である。共通の長手方向軸10は、図1及び図2にも示されている。
【0038】
ベース・リング33は、ベース・リング33の遠位端33aがその近位端33bに比べて大きな直径を有するように円錐状に形成されている。
【0039】
タイン3は、円錐形状のベース・リング33から延在している。ベース・リング33は、3つの材料リリーフ・ノッチ(スロット)31の4つのグループ(1つのグループ及び他の2つのグループの一部のみが示されている)を備えていてもよく、それぞれが、円錐状のベース・リング33の形状設定を可能にするために、その遠位側からベース・リング33の本体内へと延在する。ノッチ31は、ベース・リング33の円周上に配置され、ノッチ31のうちの1つは、ノッチ31のうちの別の1つに隣接して配置される。各タインは、当接部(フレックス・ゾーン)3aと、湾曲した中間部と、外方にねじれた直線状の端部(ベース・リング33から最も遠い)とを有する。タイン3は、中央電極7が1つの心室又は心房内の患者の心臓の内部組織と機械的及び電気的に接触するように、心臓組織の展開及び貫通後に、患者の心臓内で心臓内装置を機械的に固定する。
【0040】
ヘッダ・ベース1、ヘッダ・キャップ2、ベース・リング33などの各構成部品は、電極7を収容するための中央貫通開口部(ヘッダ・キャップ2の開口部41及びヘッダ・ベース1の開口部51、図1を参照)を備える。中央開口部の直径は、電極7が製造方法の終了後の状態において、この開口部内に位置するようになっている。
【0041】
心臓内装置のハウジング5は、バッテリと、プロセッサを備える電子モジュールとを含み、これらの構成部品の密封を確実にする。これらの構成部品は、電極7に電気的に接続され、心臓の電気刺激、又は心臓から判定された電気信号の処理を提供する。さらに、ハウジングは、アンテナなどの通信用の構成部品を含んでいてもよい。心臓内装置の装置ハウジング5は、電極7からハウジング5の本体を絶縁するための蒸着プロセスを用いて提供されるパリレンでコーティングされてもよい。
【0042】
図3に示す基本的に円筒状の回転対称のヘッダ・キャップ2は、電極7用の上記の中央開口部41と、ヘッダ・キャップ2の外側面に形成された傾斜側面43と、長手方向軸10に対して垂直に延びる横側面45と、その頂部にリッジを形成する横側面45に配置された環状突起部46とを備える。環状突起部46は、さらに、中央開口部41に隣接して配置されている。
【0043】
図4は、ヘッダ・ベース1の内側面に形成された、その中央開口部51と、横側面55と、傾斜側面53とを備える、環状で半径方向に対称的なヘッダ・ベース1を示す。
【0044】
ピン状電極7がその近位端に受容ノッチ(環状凹部)7aを備えることが図6から導き出せる。
【0045】
ヘッダ・アセンブリ及び心臓内装置のための本発明の製造方法の第1のステップの間、ヘッダ・キャップ2と、タイン3を有するベース・リング33と、ヘッダ・ベース2とは、ヘッダ・キャップ2の支持側面43及びヘッダ・ベース1の支持側面53が、円錐状のベース・リング33に隣接した位置にあるように、この順序で配置される(図5を参照)。図2(矢印39を参照)に示すように、上記の構成部品は、ヘッダ・アセンブリの構成部品の固定と同時に、ヘッダ・アセンブリをハウジング5及びピン状電極7と固定するために、心臓内装置のハウジング5の遠位端へ図示の順序で移動される。さらに、電極は、ヘッダ・キャップ2の開口部41及びヘッダ・ベース1の開口部51の内部に配置される。或いは、ヘッダ・アセンブリの構成部品は、最初に(以下に示すように、ヘッダ・キャップ2をヘッダ・ベース1に固定することによって)固定され、その後、ハウジング5及びピン状電極7に固定されてもよい。さらに、組み立てステップの終了時には、ヘッダ・キャップ2の横側面45は、ヘッダ・ベース1の横側面55に隣接した位置にある。ヘッダ・キャップ2の突起部46は、ヘッダ・ベース1の対向する横側面55に接触する(図5を参照)。さらに、突起部46は、図6に示すピン状電極7の受容ノッチ7aの近くにある。
【0046】
次の固定ステップの間、ヘッダ・アセンブリの構成部品は、心臓内装置のピン状電極7を有するハウジング5に永久的に固定される。結果として生じる構成が、図7に示されている。超音波溶接のために、ソノトロード200は、第2の実施例について図10に示すように、ヘッダ・キャップ2に配置されてもよい。
【0047】
超音波溶接は、熱可塑性材料を含むヘッダ・キャップ2上への押圧と、超音波範囲(20kHz~70kHzの典型的な周波数)内の振動によって行われる。この高周波励起は、ヘッダ・ベース1とのインターフェース(すなわち、横側面45、55及び突起部46)においてヘッダ・キャップ2の熱可塑性物質を加熱し、熱可塑性材料が溶融し始める。溶融したプラスチック材料は、流動を開始し、ピン状電極7に設けられた受容ノッチ7aと係合する。溶接後、ヘッダ・キャップ2のプラスチック材料及び/又はヘッダ・ベース1は、ヘッダ・キャップ2とヘッダ・ベース1との間のインターフェース、すなわち、横側面45、55において、及び、受容ノッチ7a内で冷却され、凝固する(図7の参照番号57を参照)。その結果、ヘッダ・アセンブリの構成部品と、ピン状電極7を有する心臓内装置ハウジング5との材料同士及び連動永久接続が実現される(図7を参照)。
【0048】
さらに、ヘッダ・キャップ2及びヘッダ・ベース1の材料同士の接続により、これらの構成部品の横側面45、55はインターフェースを形成し、それにより、ヘッダ・キャップ2の支持側面43及びヘッダ・ベース1の支持側面53によって形成される傾斜ポケットの近位端を閉鎖し、そのポケットは、ベース・リング33を完全に収容する。このポケットの傾斜配置により、ベース・リング33の係合解除が防がれ、ベース・リング33ひいてはタイン3が、このポケット内で心臓内装置ハウジング5に対して回転することが可能になる。
【0049】
上部キャップの下部キャップに対する超音波ステーキングは、典型的には20kHz~70kHzの周波数で行われる。ソノトロード200は、超音波振動エネルギーをヘッダ・キャップ2内へ伝達する(同様に図10を参照)。
【0050】
心臓内装置及びヘッダ・アセンブリの第2の実施例は、図8図10に示される。心臓内装置の大部分の構成部品は、図1図7に示されており、再度詳細には説明しない。第2の実施例の1つの構成部品又は機能の参照番号は、第1の実施例の対応する構成部品又は機能よりもちょうど100だけ大きい数字である。
【0051】
しかしながら、第1の実施例と比較すると、いくつかの違いがある。すなわち、第2の実施例の心臓内装置は、フィードスルー106をさらに含む。基本的に中空の円筒として形成されたフィードスルー106は、心臓内装置のハウジング105の遠位端に配置され、その近位端でピン状電極107を取り囲んでいる。したがって、溶接中、溶融材料のための受容ノッチ106aは、フィードスルー106のシェル表面に設けられる。さらに、ヘッダ・アセンブリは、例えばステロイド・デポなどの薬剤デポを形成又は収容することができるワッシャ状スペーサ104を備える。ワッシャ状ステロイド104を固定するために、ヘッダ・キャップ102は、開口部141の内面に形成されたフランジ状突起部148を備える。電極フィードスルー106の直径は、電極7の直径よりも大きい。
【0052】
ヘッダ・ベース101の横側面155は、長手方向軸110に部分的に平行に延び、この軸に対して部分的に垂直であり、内面によって形成される。ヘッダ・キャップ102の横側面145は、長手方向軸に部分的に平行に延び、且つ、この軸に対して部分的に傾斜している外面によって形成される。ヘッダ・キャップ102の最近位端には、環状突起部146が、近位頂部にリッジを有して形成されている。
【0053】
組み立てステップの間、ヘッダ・キャップ及び心臓内装置の構成部品は、図9で長手方向軸110に平行に延びる矢印139によって示すように、予め定められた順序で互いに近くに配置される。ワッシャ状スペーサ104は、ヘッダ・キャップ102のフランジ状突起部148と、フィードスルー106の遠位端面との間に配置される。次に、上記の第1の実施例に関して説明したように、次の固定ステップが実行される。ヘッダ・キャップ102の端面におけるソノトロード200の適用が図10に示されている。超音波励起により、環状突起部146の材料は溶融され、フィードスルー106の受容ノッチ106aに流入し、それによって、ヘッダ・アセンブリを心臓内装置及びそのハウジング105に永久的に係合する。さらに、横側面145、155のインターフェースに材料同士の接続を形成することによって、傾斜ポケットは、ベース・リング133の収容のために、ヘッダ・キャップ102及びヘッダ・ベース101の支持面143、153のそれぞれによって形成される。ワッシャ状スペーサ104は、フランジ状突起部148によってクランプされ、心臓内装置に固定される。
【0054】
上記で説明された本発明の製造方法によって製造される心臓内装置の第3の実施例が、図11に示されている。この装置は、2つの受容ノッチ106bを形成するフィードスルー・シェル表面における(1つの代わりに)2つの円形溝を除いては、第2の実施例と同様である。各受容ノッチ106bは、単一の受容ノッチ106aよりも浅い。固定ステップの間、これらのノッチ106bは、その後に凝固する溶融材料を受容し、ヘッダ・アセンブリ及び心臓内装置のための連動接続を提供する。
【0055】
ヘッダ・キャップ2、102及びヘッダ・ベース1、101は、PEEKを含むか、又は、PEEK若しくは他の熱可塑性材料から成る。
【0056】
本発明のヘッダ・アセンブリを備えた上記心臓内装置は、円錐形状のベース・リング33、133によって軸方向の長さが短縮されている。したがって、それは、心周期の仕組みにあまり干渉せず、より小さな患者及び心臓に関する困難な状況(例えば、心臓の心房内の調節)に、より適している。
【0057】
以上で説明されたヘッダ・アセンブリの形状により、簡素化され、自動化された単軸アセンブリが可能になる。さらに、ヘッダ・アセンブリの形状により、心臓内装置ハウジングに対するベース・リング33、133の回転運動が可能になる。これは、さまざまな程度の封止が存在するときに、緊急の又は長期にわたる装置除去に有利であり、少なくとも1つのタイン3、103を用いてベース・リング33、133に対して心臓内装置ハウジングを回転させて、少なくとも1つのタイン3、103に係合された組織を引き裂くことなく、装置を封止から解放することができることが有利である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】