(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】秘密スポーツ通信システム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20240313BHJP
H04B 1/034 20060101ALI20240313BHJP
H04B 1/06 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
A63B71/06 T
H04B1/034 Z
H04B1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550622
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2021065370
(87)【国際公開番号】W WO2022182416
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522204692
【氏名又は名称】ジョン アンドリュー ハンキンス
(71)【出願人】
【識別番号】522204706
【氏名又は名称】クレイグ アンソニー フィリセッティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アンドリュー ハンキンス
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ アンソニー フィリセッティ
【テーマコード(参考)】
5K060
5K061
【Fターム(参考)】
5K060DD10
5K060GG03
5K060HH07
5K060HH31
5K060HH32
5K060JJ21
5K060MM02
5K061BB11
5K061CC02
5K061CC31
5K061DD14
5K061EE01
(57)【要約】
【課題】競争しているアスリートが指示を聞かないようにしながら、指示を選択してアスリートに伝達することを可能にする安全な通信システムを提供する。
【解決手段】秘密スポーツ通信システムは、符号化されたオーディオトラック選択信号を無線で送信するように構成された送信機を有する。システムは、ヘッドギア内に装着され得る受信機を含む。受信機は記憶されたオーディオトラックを含み、送信機から符号化されたオーディオトラック選択信号を受信し、オーディオトラック選択信号を解読し、解読したオーディオトラック選択信号に従って少なくとも1つの記憶されたオーディオトラックを再生するように構成される。オーディオトラックは、スポーツイベントの参加者に対するオーディオ命令を含むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ指令を遠隔通信するためのシステムであって、
送信機と受信機とを備え、
前記送信機は、
無線信号を送信するように構成された送信機ユニットと、
前記送信機ユニットに結合され、第1の送信機ユニットに無線で送信するための選択信号を提供するように構成された第1のマイクロコントローラとを含み、
前記受信機は、
前記選択信号を無線で受信するように構成された受信ユニットと、
複数の記憶されたオーディオ指令を含むように構成されたメモリと、
前記複数の記憶されたオーディオ指令を可聴的に再生するように構成されたオーディオ再生トランスデューサと、
前記受信ユニット、前記メモリおよび前記オーディオ再生トランスデューサに結合された第2のマイクロコントローラとを含み、
前記第2のマイクロコントローラは、前記メモリおよび前記オーディオ再生トランスデューサを制御し、受信した選択信号に従って選択されたオーディオ指示を再生するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記複数の記憶されたオーディオ指令は、球種、投球位置およびランニングゲーム指示のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の記憶されたオーディオ指令は、スポーツ参加者のための指令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記オーディオ再生トランスデューサはスピーカである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信機の前記第1のマイクロコントローラは、前記選択されたオーディオ指令を示すように前記選択信号を符号化するように構成され、前記受信機の前記第2のマイクロコントローラは、前記選択されたオーディオ指令を決定するように前記選択信号を解読するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記メモリは、複数のアドレス指定可能な記憶位置を有しており、その記憶位置では、前記複数の記憶されたオーディオ指令の各オーディオ指令がオーディオトラックとしてそれぞれ記憶される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記オーディオトラックの異なる組が複数のそれぞれのフォルダに記憶され、前記第2のマイクロコントローラは、前記それぞれのフォルダのうちの選択された1つからのみオーディオトラックを取り出し、前記選択されたオーディオ指令に応答して前記選択されたフォルダからそれらのオーディオトラックを再生するように前記メモリおよびオーディオ再生トランスデューサを制御するように構成可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
複数のそれぞれのフォルダに記憶された前記複数のオーディオトラックの前記異なる組の各組は、異なる言語のオーディオ指令の対応する組を備え、前記第2のマイクロコントローラは、前記受信機の現在の言語構成に基づいて、前記異なる組のオーディオトラックのそれぞれの組からそれぞれのオーディオトラックを選択するように構成可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
複数の受信機をさらに備え、
前記複数の受信機は、前記複数の受信機のうちの第1の受信機が第1のフォルダから第1の言語でオーディオトラックを取り出すように構成され、前記複数の受信機のうちの第2の受信機が第2のフォルダから第2の言語でオーディオトラックを取り出すように構成されており、
前記第1の受信機および前記第2の受信機で同じ選択信号を受信したことに続いて、前記第1の受信機が前記第1の言語で前記第1のオーディオトラックを再生するように構成され、前記第2の受信機が前記第2の言語で前記第1のオーディオトラックを再生するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
複数の受信機をさらに備え、前記複数の受信機は第1の受信機および第2の受信機を含み、前記第1の受信機は第1の言語の複数のオーディオトラックを備え、前記第2の受信機は第2の言語の複数のオーディオトラックを備え、
前記第1の言語の各オーディオトラックは、同じ意味を有する前記第2の言語のそれぞれのオーディオトラックに対応し、
前記第1の言語の各オーディオトラックは、前記第2の受信機のメモリの前記第2の言語の各オーディオトラックと同じ対応するアドレス可能な記憶位置に記憶され、
前記第1の受信機および前記第2の受信機は、前記それぞれの受信機の前記それぞれのメモリの同じ対応する記憶位置から対応するオーディオトラックを取り出すことによって、同じ選択信号に応答するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記送信機は、複数のユーザ作動可能入力要素を備え、ユーザは、ユーザ作動可能入力要素を通して、前記受信機で聴取されるオーディオ指令を選択する、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザ作動可能入力要素がボタンである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記送信機は、さらに、複数の選択可能な動作モードを提供するように構成され、
前記複数の選択可能な動作モードは第1のモードを含み、この第1のモードでは、前記ボタンのうちのいずれかの第1の操作が1つのオーディオ指令を選択し、前記ボタンのうちのいずれかの第2の操作が第2のオーディオ指令を選択するものであり、
前記第2のマイクロコントローラは、前記ボタンのうちのいずれかの第2の操作の後にのみ選択信号を前記送信機ユニットに提供し、前記選択信号は、前記受信機に前記第1および第2のオーディオ指令を連続的に再生させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の選択可能な動作モードは第2のモードを含み、第2のモードでは、前記ボタンのいずれかの作動がオーディオ指令を選択し、前記マイクロコントローラは、前記ボタンのいずれかを押した直後に選択信号を前記送信機ユニットに提供し、前記選択信号は、前記受信機に前記選択されたオーディオ指令を再生させる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ボタンの少なくともいくつかは、ストライクゾーンの位置に対応する位置に従って、前記送信機上に配置されており、投球位置指令は前記ボタンの前記位置に対応する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記送信機は音量制御ボタンをさらに備え、前記第1のマイクロコントローラは、前記送信機ユニットに、前記受信機における聴取音量を制御するように少なくとも1つの受信機に音量制御信号を送信させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信機は、さらに、前記第2のマイクロコントローラに結合された周囲雑音レベル決定回路と、前記周囲雑音レベル決定回路に結合されたマイクロフォンとを備え、
前記第2のマイクロコントローラは、前記周囲雑音レベル決定回路によって決定された周囲雑音レベルに従って、前記受信機のスピーカのオーディオ出力の音量を自動的に調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記送信機はさらに、前記第2のマイクロコントローラに結合された決定ユニットを備え、前記決定ユニットは、前記第2のマイクロコントローラに決定信号を提供するように構成されており、
前記第2のマイクロコントローラは、前記決定信号に基づいて選択信号を前記送信機ユニットに提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
野球の投球選択通信システムであって、
投球選択送信機ユニットと無線受信機とを備え、
前記投球選択送信機ユニットは、
遠隔受信機で聴取されるべき球種を選択するためのボタンと、
前記ボタンに結合され、前記ボタンから球種選択信号を受け取り、球種選択信号に従った符号化信号を生成する第1のマイクロコントローラと、
前記第1のマイクロコントローラに結合され、前記符号化信号を受信し、符号化された無線信号を送信する送信機とを含み、
前記無線受信機は、
符号化された無線信号を受信するように構成された受信ユニットと、
前記受信ユニットに結合され、前記符号化された無線信号を解読し、球種選択信号に従って球種のオーディオを含むオーディオトラックを決定する第2のマイクロコントローラと、
前記第2のマイクロコントローラに結合され、オーディオトラックが記憶されているアドレス指定可能記憶位置を含むメモリと、
前記第2のマイクロコントローラに結合されたスピーカとを含み、
前記第2のマイクロコントローラは、メモリ内のアドレス指定可能記憶位置でオーディオトラックを取り出し、スピーカにオーディオトラックを再生させる、システム。
【請求項20】
秘密スポーツ通信システムであって、
符号化されたオーディオトラック選択信号を無線送信するように構成された送信機と、
記憶されたオーディオトラックを有するヘッドギア内に装着された受信機とを備え、
前記受信機は、符号化されたオーディオトラック選択信号を受信し、オーディオトラック選択信号を解読し、解読したオーディオトラック選択信号に従って少なくとも1つの記憶されたオーディオトラックを再生するように構成されており、
前記オーディオトラックは、スポーツ参加者へのオーディオ指令を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年2月26日に出願され、「野球ピッチ選択通信システム」と題された米国仮特許出願第63/207,437号、2021年6月15日に出願され、「秘密スポーツ通信システム」と題された米国仮特許出願第63/259,031号、および2021年12月27日に出願され、「秘密スポーツ通信システム」と題された米国特許出願第17/562,626号の優先権を主張するものであり、それらの開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は,一般に、安全かつ秘密(covert)の態様で運動参加者と通信するための通信システムに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのスポーツでは、プレーヤ間、またはコーチとプレーヤとの間のコミュニケーションが許容され、望ましい。例えば、野球の試合では、投手がファストボール、カーブボール、スライダ及びチェンジアップを含む様々な投球を行う。ファストボールは比較的真っ直ぐに投げられ、名前が示すように、ピッチャーの投球のレパートリの中で最も速い速度で投げられる。カーブボールは一般に、高速のサイドスピンでより低い速度で投げられ、その結果、ボールは、より湾曲した軌道でバッターに接近する。スライダは、カーブボールよりも速い投球であるため、ファストボールとカーブとの間に位置するものであるが、ファストボールよりも遅く、投球先の終端に向かってシャープなブレークを持つ。チェンジアップは最も遅い投球である。ナックルボール、フォークボール、およびスプリッタなどの、しかしこれらに限定されない、さらに他のタイプの投球が存在する。ピッチャーはこれらの異なる球種の全てを投げることができないかもしれないが、これらの球種のいくつかを投げることができるであろう。
【0004】
どのような場合でも、メジャーリーグのピッチャーによって投げられた野球ボールを打つことは非常に困難であるが、メジャーリーグのバッターはどのような球種の球が来ているか、すなわち、投球された球がファストボール、カーブボール、スライダまたは他の球種のものであるかを知っていれば、投球された球を打つことがはるかに容易である。打者は投球された球をより効果的に計時することができ、また、投球された球の軌道を予測し、投げられた球に合うように自分のスイングを変更することができる。一方、キャッチャーは、予想されるものとは異なる球種で投げられた球を捕球することは非常に困難であるため、どのような投球が来ているかを知ることが重要である。言い換えれば、キャッチャーがカーブボールを期待していて、ピッチャーが予想に反してファストボールを投げた場合、ファストボールの速度はキャッチャーを驚かせ、ボールを見逃し、または負傷さえする可能性がある。
【0005】
したがって、野球の初期から、キャッチャーはピッチャーとコミュニケーションをとり、投球する球種を選択してきた。キャッチャーは、通常、投げ手側の指を使用して、投球の球種の選択を示す信号を送る。それらの指は通常、キャッチャーが腰を下ろしているときに、両脚の間を下向きに向けて保持される。これにより、反対側のチームは球種の信号を見ることができなくなる。球種選択信号は、ファストボールの場合は1本の指、カーブの場合は2本などであってもよい。ピッチャーは、キャッチャーの指を見て、どの球種を投げるかを知ることができる。残念ながら、セカンドベース上に立っている相手側チームのプレーヤは、信号を見ることができる。ランナーが信号を解読することができる場合、ランナーは、どの球種が来るのかを示す視覚信号をバッターに送信することができる。これに対抗するために、キャッチャーは、暗号で指を使い、一連の投球信号を送る。
【0006】
キャッチャーは、信号が盗まれるのを防ぐために暗号を使用するが、信号の視覚的性質により信号を見ることができる誰にでも指信号を解読することを可能にする。セカンドベース上のプレーヤが信号を解読しようとするのは伝統的なものであるが、近年ではより高度な手段が球種選択を確認するために用いられているとうわされている。ビデオを使用したサイン盗聴が疑われ、チーム従業員にキャッチャーの指信号を見る能力を提供し、例えばカーブの代わりにファストボールを示すための笛などによって、疑わしい球種を示すための可聴信号または他の信号をバッターに提供する。野球は伝統的なスポーツであるため、ビデオおよびカメラの使用、さらにダグアウトとの通信により、相手チームの球種選択を示すことは、チーティング(cheating)の一形態と考えられる。さらに、野球の試合がますます長くなるにつれて(平均ゲーム長さは数年にわたって著しく増加し、ファンの関心を脅かす)、球種選択の解読を防止または妨ぐために各投球ごとに多数の信号を操作するのは、各試合に数十分の単位で時間を追加する。
【0007】
秘密(covert)通信は野球に限られない。例えば、フットボールは、プレーヤ、特にクォーターバックがサイドライン上のコーチから指示を受け取るために、あらゆる種類の異なる方法を試みてきた。プレーヤは、コーチからクォーターバックに向けてプレイコールを運ぶために中に入ったり出たりする。クォーターバックは、チーム・ハドルでプレイコールを発表する。その後、チームは、クォーターバックに手信号で何をなすべきかの信号を使用し始めた。最後に、ナショナルフットボールリーグは、コーチとクォーターバックとの間の限られた無線ヘッドセット通信を許可した。このシステムは、クォーターバックのヘルメット内のオーディオボイスレシーバへのクォーターバックへの従来のオーディオボイス送信を使用している。サイドライン上でマイクを装着しているコーチは、通常、口唇読取を防ぐためにクリップボードで口を覆う。クォーターバックは、受信機に電力を供給するために必要なバッテリの重量について不満を述べている。また、他のプレーヤは、クォーターバックがプレーの指示を知らせるまで、プレー指示がどのようなものであるのか知らない。
【0008】
さらに他のスポーツ、例えば水泳などでは、コーチとアスリートとの間のコミュニケーションを有する。コーチが水泳指令を水泳者に提供するための音声無線通信装置が考案されている。そのような装置は比較的かさばり、音声通信にも依存する。
【0009】
競馬やホッケーなどの他のスポーツは、参加者への音声通信の使用を回避してきた。例えば、競走中の馬の位置をジョッキーに知らせることや、後ろから近づいてくる他の馬を知らせることは有用である。もちろん、そのようなコミュニケーションの使用は、そのようなスポーツを監督する当局によって合法化される必要がある。
【発明の概要】
【0010】
競争しているアスリートが指示を聞かないようにしながら、指示を選択してアスリートに伝達することを可能にする安全な通信システムが必要とされている。
【0011】
この必要性および他の必要性は、暗号化されたオーディオトラック選択信号をワイヤレスで送信するように構成された送信機を有する秘密スポーツ通信システムによって満たされる。システムは、記憶されたオーディオトラックを有するヘッドギア内に装着された受信機を含む。受信機は暗号化されたオーディオトラック選択信号を受信し、オーディオトラック選択信号を解読し、解読されたオーディオトラック選択信号に従って少なくとも1つの記憶されたオーディオトラックを再生するように構成される。オーディオトラックは、スポーツ参加者へのオーディオ指令を含む。
【0012】
これらの要求は、送信機および受信機を備える、オーディオ指令を遠隔通信するためのシステムによっても満たされる。送信機は、無線信号を送信する送信機ユニットと、送信機ユニットに結合されたマイクロコントローラとを含む。送信機マイクロコントローラは、送信機ユニットに、無線で送信するための選択信号を提供するように構成される。受信機は、選択信号を無線で受信するように構成された受信ユニットと、複数の記憶されたオーディオ指令を含むように構成されたメモリと、記憶されたオーディオ指令を聞き取れるように再生するように構成されたオーディオ再生トランスデューサと、受信ユニット、メモリ、およびオーディオ再生トランスデューサに結合されたマイクロコントローラとを含む。マイクロコントローラは、受信された選択信号に従って、選択されたオーディオ指令を再生するようにメモリおよびオーディオ再生トランスデューサを制御するように構成される。
【0013】
前述の必要性は、ピッチ選択送信機と無線受信機とを備える野球投球選択通信システムによっても満たされる。投球選択送信機は遠隔受信機において聴取される球種を選択するためのボタンと、ボタンから球種選択信号を受信し、球種選択信号に従って暗号化信号を生成するためにボタンに結合されたマイクロコントローラと、暗号化信号を受信し、暗号化ワイヤレス信号を送信するためにマイクロコントローラに結合された送信機ユニットとを含む。ワイヤレス受信機は暗号化ワイヤレス信号を受信するように構成された受信ユニットと、暗号化ワイヤレス信号を解読し、球種選択信号に従って球種のオーディオを含むオーディオトラックを決定するために受信ユニットに結合されたマイクロコントローラと、受信機マイクロコントローラに結合され、オーディオトラックが記憶されるアドレス指定可能記憶場所を含むメモリと、受信機マイクロコントローラに結合されたスピーカとを含む。レシーバマイクロコントローラは球種選択信号に従って球種のオーディオを含むオーディオトラックが記憶されるメモリ内のアドレス指定可能な記憶位置でオーディオトラックを取り出し、スピーカを通してオーディオトラックを再生する。
【0014】
対象技術の他の構成は、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになることが理解される。詳細な説明では、対象技術の様々な構成が例示として示されている。対象の技術は他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、対象の技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で修正が可能である。したがって、図面および詳細な説明は本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0015】
図面は、本教示に従う1つまたは複数の実施形態を、限定としてではなく、単なる例として示す。図面において、同様の参照番号は、同じまたは同様の要素を指す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来の方法による、指を使用して投球信号を提供するキャッチャの一部分の概略図である。
【
図3】開示した実施形態に従って構成されたレシーバの斜視図である。
【
図4A】開示した実施形態による、野球帽内に設置された
図3の受信機を示す。
【
図4B】開示した実施形態による、野球帽内に設置された
図3の受信機を示す。
【
図5】開示した実施形態に従って構成された送信機のブロック図である。
【
図6】開示した実施形態に従って構築された受信機のブロック図である。
【
図7A】開示した実施形態による、メモリ位置に記憶されたオーディオファイルの概略図である。
【
図7B】本発明の実施形態による、単一の受信機のメモリ位置のフォルダに記憶されたオーディオファイルの概略図である。
【
図8A】受信機の他の実施形態を単独で示す図である。
【
図8B】帽子内に点線で示した受信機を示す図である。
【
図9A】本発明の他の実施形態に従って構成された受信機の側面図である。
【
図9B】本発明の実施形態に従って構成された受信機のブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態に従って構成された送信機の正面斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に従って構成された中央送信機の正面斜視図である。
【
図13】システムのスターネットワーク構成を示す、本発明の実施形態のシステムの概略図である。
【
図14】本発明のある実施形態に従って構築されたレシーバの斜視側面図である。
【
図15】野球用帽子の側面に取り付けられた
図14のレシーバの斜視側面図である。
【
図16】フットボール用ヘルメットの側面図であり、フットボール用ヘルメット内に取り付けられた
図9Aのレシーバを点線で示している。
【
図17】ジョッキーヘルメットの側面図であり、ジョッキーヘルメット内に取り付けられた
図9Aのレシーバを点線で示している。
【
図18】
図9Aのレシーバがキャップの下にある、水泳キャップを着用している水泳者の頭部の側面図である。
【
図19A】本発明の実施形態に従って構築された受信機の別の実施形態の側面図である。
【
図19B】
図19Aのレシーバが設置された野球用帽子を着用しているプレーヤの頭部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に記載される詳細な説明は、対象技術の様々な構成の説明として意図され、対象技術が実施され得る唯一の構成を表すことは意図されない。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。発明を実施するための形態は、主題技術の完全な理解を提供するための具体的な詳細を含む。しかしながら、主題の技術は本明細書に記載される特定の詳細に限定されず、1つまたは複数の実施形態を使用して実施され得ることが、当業者には明らかであり、明白であろう。1つまたは複数の例では、主題の技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造および構成要素がブロック図の形式で示されている。
【0018】
指令が選択され通信されることを可能にする安全な通信システムを提供するための技術が提供される。これらの技術は、競技相手のアスリートがこれらの指示を盗み聞きすることを防止しながら、スポーツイベント中にアスリートと通信するために使用され得る。これらの技術は、様々なスポーツイベントにおいて、コーチ、マネージャ、または別のプレーヤに指令を伝達することを望む他のプレーヤから、スポーツイベント中にアスリートに命令を送るために使用され得るものであり、その際にこれらの指令が相手のプレーヤに不注意に漏らすことがないようにする。安全な通信システムは、様々なフォームファクタを有する送信機を含み得る。送信機は、送信機から指令を受信するように構成された対応するレシーバを装着している別のプレーヤまたはプレーヤ達に指令を提供し得るプレーヤ、コーチ、マネージャ、または他のユーザによって装着され得る。送信機はまた、装着され得る送信機のフォームファクタよりも大きいハンドヘルド(手で保持する)フォームファクタを有する可能性がある。このより大きなフォームファクタは限定するものではないが、ディスプレイなどの追加の制御およびユーザインターフェース要素を送信機が含むことを可能にし得、それは装着され得る送信機のいくつかの実施形態では利用可能ではない場合がある。送信機は、ユーザが対応する送受信機を装着している1人または複数のプレーヤに指令を送信するための様々な手段を提供することができる。送信機のいくつかの実施形態は、所定のセットの指令にマッピングされるボタンのセットを含み得る。例えば、野球で使用される送信機は、1組の投球にマッピングされた1組のボタンを含むことができ、送信機上でボタンを押して、対応するコマンドをピッチャーによって装着された受信機に送信することができる。特定のコマンドに対するボタンのマッピングは構成可能であり、送信機は複数の異なるプレーヤによる使用に適した複数の構成になるようにしてもよい。送信機はさらに、送信機に送信された信号を解読して、信号が競技相手によって傍受されて理解されるのを防ぐように構成される。受信機はまた、有利には、競技相手が送信機から受信された指令を盗み聞きする可能性を低減するために、伝導音を利用するように構成され得る。本明細書で開示される技術のこれらのおよびその他技術的利益は、以下の例示的な実装形態の説明から明らかになるのであろう。
【0019】
図1は、野球のキャッチャー10の下半分をピッチャー側から見た図を示しており、先行技術に従ってキャッチャーが投球選択信号を提供している。認識され得るように、キャッチャー10は、キャッチャー10の前面部がピッチャー側に面してしゃがんでいる姿勢である。キャッチャー10は、ピッチャーに投げさせようとする球種を示すために1本または複数の指12を延ばす(図示したケースでは1本の指)。例えば、1本の指は、球種がファストボールであることを意味し得る。しかしながら、この方法の問題は、セカンドベース上のランナーがこの信号を見ることができるだけでなく、双眼鏡、カメラなどを有する人であれば、ピッチャーと同じようにキャッチャー10を見ることができる。例えば、テレビで見ている人、またはスタジアムで何千人ものファンがそのように見れるし、球種の信号を盗むことができる。
【0020】
本開示の実施形態に従って構成された送信機20が
図2に示されている。
図2に示す実施形態では、送信機20がキャッチャー10のグラブ側の腕の前腕に取り付けられて示されている。しかしながら、送信機20は、キャッチャー10の身体上のどこにでも、またはキャッチャーグラブなどの用具上のどこにでも設けることができる。後述するように、送信機20は、キャッチャー10に提供されることに限定されず、マネージャ、ピッチングコーチ、またはその他の者に提供され得る。
図2に示す送信機20は、球種を選択して送信するためにキャッチャー10によって作動可能な多数のボタン22を含む。ボタン22は、ファストボール、カーブなどの球種で個別にラベル付けされてもよい。
図2では、ボタン22が単にA、B、C、およびDとラベル付けされているので、キャッチャーを混乱させることなく、ボタンを容易に異なるピッチに再割り当てすることができる。この実施例では4つのボタンが示されているが、より少ない数又はより多い数のボタン22を送信機20に設けることができる。コーチによって使用される送信機などの特定の実施形態では、送信機20がディスプレイ(図示せず)を含み得る。選択されたピッチャー、設定、および呼び出された投球などの情報は、送信機20のディスプレイ上に表示することができる。
【0021】
キャッチャー10のグラブ側の手の前腕がキャッチャーの胸部に面している間、キャッチャー10の投げ手側の手24が送信機20のボタン22のうちの1つを押し下げることができる。これはキャッチャー10以外の誰もが、どのボタン22が押されたか、したがって、どの球種が選択されたかを見ることを防ぐ。後により詳細に説明されるように、特定のボタン22の押下は、球種選択を示す暗号化信号を送信させる。さらに、いくつかの実施形態では、送信機20が送信されるべき球種を示す暗号化信号を送信機20に送信させるために、ボタン22の組合せが押下され得るように構成され得る。
【0022】
受信機30の実施形態が
図3に示されている。受信機30は送信機20によって送信された暗号化信号を受信し、送信機20のユーザによって選択された球種を示す信号を提供するように構成され得る。その信号は、ピッチャーなどのユーザに認識可能なものである。前述の例に示されるように、このユーザは、キャッチャー、コーチ、またはピッチャーによって投げられるべき球種を選択し得る別の人物であり得る。特定の実施形態によれば、受信機30は、人に認識可能な可聴信号を生成するように信号を変換するように構成された骨導体32を有する。他の実施形態は、可聴、触覚、および/または他のフィードバックを、ピッチャーまたは受信機30の他のユーザに提供するための他の手段を含むことができる。受信機の詳細については後述する。
【0023】
図4Aおよび
図4Bは、
図3の受信機30が野球帽子35内の例示的な位置に設置された実施形態を示す。受信機30は、送信機20によって送信された暗号化信号を受信することに応答して、野球帽子35の着用者に認識可能な可聴信号を生成するように構成され得る。受信機30の位置は、通常、野球帽の底部の周りを走る汗バンド37内にあってもよい。受信機30は、実質的に汗バンド37内に適合するようなサイズにすることができ、クリップ(図示せず)または他のタイプのファスナによって適所に保持することができる。受信機30は、有利には頭部の側部、頭部の後部、または頭部の頂部に配置されてもよい。位置決めは、安全性の考慮事項および/またはオーディオ再生の考慮事項に依存し得る。受信機30は、野球帽35の着用者に認識可能な可聴信号を生成するために信号を変換するように構成された骨導体32を含むことができる。オーディオコンテンツを再生するために骨伝導技術を使用する技術的利点は、ボリュームが非常に高くなっても、骨伝導体によって生成された(または変換された)オーディオを、典型的には骨伝導体受信機の着用者のみが聞くことができることである。したがって、受信機30を装着しているプレーヤ以外の別のプレーヤが、オーディオファイルおよび受信機30から提供される情報を聞くことができる可能性はほとんどない。
【0024】
図5は、本開示に従って構成された送信機20の例示的な実施形態のブロック図を示す。送信機20は、送信機20の構成要素のための電源として機能する充電式バッテリ26を含む。バッテリ26は限定はしないが、マイクロユニバーサルシリアルバス(USB)ポートなどのポート28を介して再充電され得る。バッテリ26はまた、ワイヤレス充電を使用して再充電され得る。バッテリ26は、他の実施形態では再充電不可能な交換可能なバッテリであってもよい。送信機20は、外部から作動可能な電源スイッチ21を介してオンにされてもよい。スイッチ21は、スライドスイッチ、押しボタンスイッチ、または他のタイプのスイッチであってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、送信機が電力スイッチを有さず、バッテリ26が充電されている限り、常に送信する準備ができている。従来のマイクロコントローラ23は、バッテリ26、無線送信機ユニット25及びメモリ27、並びに入力ボタン22に結合することができる。ワイヤレス送信機ユニット25は内部アンテナ(図示せず)を有することができ、または送信機20から延びる外部アンテナ(図示せず)に接続することができる。マイクロコントローラ23はまた、プログラミングおよび外部通信を可能にするために、ポート28に接続されてもよい。動作中、送信機20が電源スイッチ21を介して電源投入されると、ユーザはボタン22のうちの1つを押す。ユーザは、キャッチャー10、マネージャ、ピッチングコーチ、またはピッチ選択信号を提供し得る他のユーザであり得る。
【0025】
マイクロコントローラ23は入力ボタン22のボタンのうちの1つが押下されたときを決定し、これは、球種の選択に対応する。マイクロコントローラ23は単に「1」、「2」、「3」などのためのコードであり得るコード化信号(暗号化信号)を生成するために、それ自体の内部メモリ、または信号発生器として機能するための外部メモリ27のいずれかを使用し得る。他の符号化(暗号化)された信号がメモリに記憶されてもよい。符号化された信号は、オーディオファイルをエンコード(符号化)する長い文字列または一連の文字を必要としない。代わりに、符号化信号は、対応するオーディオファイルを参照する一組の値を含み得る。たとえば、送信機は、ボタンまたはボタンのシーケンスもしくは組合せを、受信機30のメモリに記憶された対応するオーディオファイルを表す値にマッピングすることができる。
【0026】
送信機20はまた、いくつかの実装形態では、任意選択で決定ユニット29に結合され得る。決定ユニット29は、ボタン22の機能を迂回し得る決定信号をマイクロコントローラ23に出力するように構成され得る。受信される決定信号のタイプは、利用される決定ユニット29のタイプに依存し得る。送信機20のマイクロコントローラ23は決定ユニット29から決定信号を受信し、符号化信号を生成し、受信機30に送信するように構成され得る。例示的な実施態様では、決定ユニット29は、ボールが境界内または境界外にあることを検出するための1つまたは複数のカメラおよび/または他の感知手段を含むことができる電子回線発呼装置である。送信機20は、電子回線発呼装置に結合され得、ボールが境界内にあったかまたは境界外にあったかを示す決定信号を回線発呼装置から受信し得る。送信機20はその決定信号に対応する符号化信号を生成し、送信機ユニット25を使用して、符号化信号を受信機30に送信することができる。この実施例では、受信機30がライン判定器によって装着されてもよい。受信機30は受信された符号化信号をデコード(解読)し、メモリから適切なオーディオファイルを選択し、導電性手段または他の方法を使用して、オーディオファイルをライン判定器に出力することができる。受信機の例示的な実施形態は、以下の段落で詳述される。
【0027】
図6は、本開示に従って構成された受信機30の例示的な実施形態のブロック図を示す。レシーバ30は充電式バッテリ31を含むが、他のタイプのバッテリを使用することもできる。バッテリ31は、マイクロUSBポート28などのポート28を介して再充電することができる。ポート28はまた、マイクロコントローラ38をプログラムし、メモリ42内にオーディオファイルを記憶するためのコンジット(conduit)として使用されてもよい。特定の実施形態では発光ダイオード(LED)ディスプレイなどであるが、これに限定されないディスプレイ48を設けることができる。ディスプレイは受信機30をプログラミングするとき、または使用するオーディオファイルのサブセットを選択するときなど、ユーザとの視覚的対話を可能にする。たとえば、
図7Aに示すオーディオファイル80a~80dは1番目のピッチャーSmithによって使用され得、オーディオファイル80e~80hは2番目のピッチャーJonesによって使用され得る。これらの異なるサブセットは、制御ボタン46を介して選択することができる。
【0028】
従来の無線信号受信ユニット40は、マイクロコントローラ38によって提供され、制御される。受信ユニット40は、選択された球種の指示を含み得る、符号化信号を送信機20から受信し得る。受信ユニット40は、異なる形態をとることができるアンテナ41を含むことができる。例えば、アンテナ41は、他のアプリケーションで一般的に使用されるような従来のチップアンテナとすることができる。他の実施形態では、アンテナ41がより長いアンテナであってもよく、受信機30の本体に沿って延在してもよい。動作中、マイクロコントローラ38は受信ユニット40から受信された符号化信号を解読し、オーディオ増幅器45を介して信号を送信して、骨導体32または他のサウンド再生器(または「オーディオ再生トランスデューサ」)に、以下で説明するように、選択された球種に対応する特定のオーディオファイルを再生させるように構成され得る。
【0029】
例示的な実施形態では、受信機30がメモリ42に記憶される複数のオーディオファイル80a~80vを有することができる。これらのオーディオファイルは、受信された符号化信号に従って受信機によって再生される。受信機メモリ52に記憶されたオーディオファイルリストの概略図が
図7Aに示されている。動作中、受信機30は、送信機20のユーザによって押し下げられているボタン22の「1」ボタンを反映する、「1」などの符号化投球選択信号を受信する。この特定の実施例では、この特定の信号が選択された球種が「ファストボール」であることを示すことができる。受信機30が符号化信号を受信すると、受信機30のマイクロコントローラ38は信号を復号(解読)し、信号が「1」信号であると判定し、ファイル位置「1」からオーディオファイルを再生する。この実施例では「1」位置のオーディオファイル80aは「ファストボール」に対応し、したがって、単語「ファストボール」は骨導体32を介して受信機30によって聴覚的に再生される。他の実装形態では送信機20のボタン22が球種の異なるセットにマッピングされ得、これらの球種に関連する対応するオーディオファイルは受信機30のメモリ42に記憶され得る。
【0030】
記憶されたオーディオファイルに従って復号化(解読)され再生される符号化信号の使用は、スポーツで使用される他の通信システムに勝る多くの重要な利点を有する。例えば、プレー中に呼び出すためにフットボールのヘルメット内に使用されるようなラジオ受信機は、誰かがマイクに話しかけて声を直接クォーターバックに送信するようにする。これは、野球では実用的ではない。なぜなら、キャッチャーは。バッターに対しては球種を明らかにせずに球種の名前を話すことができないからである。むしろ、本開示によれば、単一のボタンの単純な押下は、球種選択をピッチャーに伝える。さらに、球種選択の符号化によって、無線音声通信によって達成することができるものよりも、安全性がより容易に保証される。
【0031】
通信の安全性はスポーツチームにとって大きな関心事である。特定の実施形態では、システムのすべての部分間の安全なメッセージングを提供し、無線雑音および他のチームの機器との干渉または改ざんから保護される無線通信プロトコルが使用される。各チームは、暗号化および識別の目的で、チームシステム全体で共有される独自の固有キーを使用する。送信機20および受信機30は以下の技術、すなわち、アドレス指定およびブロードキャストメッセージング、配信確認、データ完全性チェック、標準アルゴリズム(RC4、AESなど)のうちの1つまたはその修正を使用するデータ暗号化、ホッピングコード、ホッピング周波数拡散スペクトル(HFSS)、無線チャネル占有監視、バックアップ通信チャネル、または当業者に周知の他のそのような技術のうちの1つを含み得るが、他に限定されない、無線通信プロトコルを通して通信する。
【0032】
受信機30におけるオーディオファイルの記憶は、本通信システムの多くの利点を可能にする。よく知られているように、野球は、大リーグの選手が多くの異なる国から来て、多くの異なる言語を話すような国際的なスポーツである。翻訳者は、ピッチングマウンド上での協議のために使用されてきた。しかしながら、本発明のようにオーディオファイルを使用することにより、オーディオファイルが多数の異なる言語であることが可能になる。各受信機30は、ユーザに適した言語のオーディオファイルを含むことができる。一例では、日本語を話すピッチャーが日本語のオーディオファイルを含む受信機を有することができる。この例のキャッチャーはスペイン語を話し、日本語を話さない。しかしながら、スペイン語を話すキャッチャーは彼の送信機20上の「1」ボタンを押して、「ファストボール」投球指令を投手に送信することができ、投手の受信機30は、この実施例では日本語でのファストボールの投球指令を投手に提供する。チームは異なる言語を話す複数のプレーヤを含むことができ、各受信機30は、その受信機30のユーザの好ましい言語に関連付けられたオーディオファイルを含むように構成することができる。
【0033】
受信機30を装着することは、ピッチャーに限定されない。キャッチャー10は、自分がピッチャーに送信した球種を確認するために、自分のヘルメットに設置された受信機30を有することが望ましい。さもなければ、彼はカーブボールのための「2」を押したと考えながらファストボールのための「1」を偶発的に押したかもしれない。装着した受信機によって提供される可聴フィードバックがなければ、ファストボールのための準備をすることができず、球を捕逸するか、または負傷するかもしれない。さらに、フィールドの他の野手は、それらの帽子に設置された受信機30を有することができる。伝統的に、どのような投球がなされようとしているかを知ることによって、野手は打者がボールを打つ可能性がある場所をより良く予測するために、彼らの位置をわずかにシフトさせる。
【0034】
同様に、送信機20は、キャッチャ10に限定されない。また、監督やピッチングコーチなど、ダグアウトの人が投球を指示するように使用することもできる。これは、経験のないキャッチャー10がプレーしているとき、または見慣れていないバッターがプレート上にいて、マネージャが特定の投球を指示したいときに、特に有用であり得る。マネージャまたはピッチングコーチが押すボタンは、キャッチャー10が使用するものと同じまたは異なるオーディオファイルを再生することができる。例えば、キャッチャーは、受信機30内の4つの異なるピッチオーディオファイル80に対応する4つのボタンのうちの1つを押すことができる。マネージャまたはピッチングコーチは使用するための4つ以上の追加のボタンを有することができ、これらのボタンはピッチャーの受信機30内の追加のオーディオファイル(例えば、オーディオファイル5~9)に対応する。投球の名前に加えて、オーディオファイル80は「あなたが投球するときに前肩を内に維持せよ」など、ピッチャーに対する可聴指令またはリマインダを生成するためにも使用され得る。メジャーリーグルールがそのようなシステムの使用を禁止するのであれば、システムはこの使用を防止するために容易にロックされ得、受信機30は、受信機30に記憶され、再現可能なピッチング指令を有するだけであり得る。さらに、1つまたは複数のボタン22は、他のタイプの指令に関連付けられ得る。たとえば、1つまたは複数のボタン22は投球を行う代わりに、ピッチアウトするか、またはファーストベースに投げるように、ピッチャーに指示するための指令に関連付けられ得る。
【0035】
受信機30は
図7Aに概略的に示されるように、アドレス指定可能な記憶場所にいくつかのオーディオファイル80a~80vを有する。各オーディオファイル80は、オーディオファイル80を聴く人に特有の言語で記録することができる。例えば、ピッチャーが韓国語である場合、そのピッチャーの受信機30は、韓国語で記録されたオーディオファイルを含むことになる。日本語の場合は、日本語などで記録される。もちろん、オーディオファイルのいくつかが1つの言語であり、他のものが異なる言語であるオーディオファイル80を提供することも可能である。複数の受信機30が使用されるが、異なる記憶言語を有する場合、受信機30のうちの第1のものにおける第1の言語のオーディオファイル80a~80vが、受信機30のうちの第2のものにおける第2の言語のオーディオファイル80a~80vと同じアドレス指定可能な記憶場所に記憶され、オーディオファイル80a~80vが互いに対応することが重要である。例えば、英語で記録され、受信機30のうちの第1の受信機にオーディオファイル80aとして記憶された「curveball」(カーブ球)は、スペイン語で記録され、受信機30のうちの第2の受信機にオーディオファイル80aとして記憶された「curva」に対応する。この対応関係により、送信機は受信機30のすべてに同じ符号化信号を送信することができ、次いで、受信機30のそれぞれにおいて、その受信機30に記録され、記憶される指令が何であれ、同じ指令(例えば、球種)を再生する。符号化信号を受信することができる受信機30の数に制限はなく、これらの受信機30の各々は、他の受信機30とは異なる言語でその指令を記録することができる。
【0036】
図7Bは、本発明の他の実施形態によるメモリ42を示す。メモリ42は、複数のフォルダ43を含む。各フォルダ43は、それぞれ異なる言語のオーディオファイル80a~vを含む。フォルダ43aは英語オーディオファイル80a~vを含むことができ、フォルダ43bはスペイン語オーディオファイル80a~vを含むことができ、フォルダ43cは日本語オーディオファイル80a~vを含むことができ、以下同様である。対応するオーディオファイル80a~vはフォルダ43にわたって同じ意味を有し、その結果、フォルダ43aのオーディオファイル80aは用語「curveball」を含み、フォルダ43bのオーディオファイル80aは用語「curva」を含み、等々は、メモリ42にオーディオファイルとして記憶される異なる言語の各々についてである。特別なボタン押下シーケンス(
図9Aおよび9Bの実施形態におけるボタン102および104など、または他の手段)を通して、受信機30(または
図9Aおよび9Bにおける100)は、選択された言語でオーディオを出力するように構成され得る。受信機を構成するために受信機30または受信機100において言語が選択された後、受信機30または受信機100は、符号化信号を受信すると、適切なフォルダを参照する。たとえば、受信機30または100が送信機20からの信号を解読した後、スペイン語オーディオを出力するように構成されている場合、受信機30または受信機100はフォルダ43bを参照し、符号化された信号がオーディオファイル80aのためのものであるとき、用語「curva」のためのオーディオを出力する。出力言語は、受信機30または受信機100を再構成するためにフォルダ43を変更することによって、ユーザによって単純に変更され得る。これらの実施形態では、各受信機30または受信機100が言語を変更するためにメモリ42に記憶されたオーディオファイル80a~vを変更するために、受信機30または受信機100をコンピュータに再接続する必要なしに、着用者によって異なる言語に設定され得る。
【0037】
オーディオファイル80a~80vのセットは、個々のピッチャーが有する異なる投球レパートリに対応するように記録することもできる。例えば、ピッチャー・ジョーンズはファストボール、カーブ、スライダ、チェンジアップを投げ、ピッチャー・スミスはファストボール、ナックルボール、スプリッタ、チェンジアップを投げるかもしれない。ピッチャー・ジョーンズによって装着された受信機30に記憶されたオーディオファイルは送信機20によって送信された第2の投球選択信号に対応するオーディオファイルを、例えば、送信機20上の第2のボタン22がキャッチャー10によって押し下げられたときに、カーブボールとして記録される。しかしながら、ピッチャー・スミスがマウンド上にいるときに同じ第2のボタン22が押されると、第2の投球選択信号に対応するオーディオファイルは、ナックルボールと言うようにオーディオファイルを記録する。したがって、同じ送信機20を使用して、同じ符号化信号(暗号化信号)を送信することができる。これらの符号化信号は単に、受信機30内のどのオーディオファイルが再生されるかを示すに過ぎない。汎用性は、受信機30から受信機30への同じオーディオスロットにおける異なるオーディオ記録によって提供される。オーディオ記録を行うことは、コンピュータ(図示せず)または他の手段を介して容易に達成され、送信機20から受信した異なった球種の信号に対応するオーディオスロット内の受信機30に記憶されるオーディオファイルを作成する。受信機30はコンピュータに接続することができ、フォルダ内の記録されたオーディオファイルは、単に受信機30のファイルまたはフォルダにドラッグすることができる。
【0038】
球種に加えて、オーディオファイル80a~80vは、受信機30によって再生され得る他のタイプの関連情報を含むことができる。例えば、送信機20に関して後述するように、球種に加えて、投球の所望の位置(「投球位置」)をオーディオファイル80a~80vとして記憶し、受信機30で再生することができる。また、キャッチャーが選択後に自分の心を変える場合、キャッチャーは、単語「キャンセル」を含むオーディオファイル80a~80vを再生するキャンセルボタン(
図10の送信機20の実施形態で説明される)を打つことができる。オーディオファイル80a~80vの他の例は、ピッチアウト、スライドステップ、ハーフピッチアウトなどを含む、いわゆる「ランニングゲーム」信号である。そのようなランニングゲーム信号は、典型的にはコーチによってダグアウトから呼び出される。本開示では、キャッチャーがフィールド上の投球を呼び出している場合、第2の送信機20を使用して、ランニングゲーム信号を呼び出すことができる。
図12に示す送信機の実施形態などの他の実施形態では、球種、投球位置、およびランニングゲームはすべてベンチ上で呼び出される。
【0039】
特定の実施形態において提供される受信機30の有利な特徴は、リピートボタン44(
図6)である。リピートボタンは、競技の熱気の中でピッチャーが指示された球種のリマインダを望む場合に、オーディオファイル80~80vの再生を繰り返す。また、プレーヤの快適さのために、特定の実施形態では、音量制御も受信機30に提供される。
【0040】
キャッチャー10が、送信機20上のボタン22に対応する個々のピッチャーのためのオーディオファイルがどれなのかを記憶する必要がないようにするために、各ピッチャー用にオーバーレイ(図示せず)を設けることができ、そのオーバーレイは、各ピッチャーのレパートリ内の対応する球種、したがって、ピッチャーの受信機30に記憶されたそのピッチャーのオーディオファイルを、ボタン22のそれぞれにラベル付けする。
【0041】
図8Aおよび8Bは、本開示に従って構築された受信機30の別の実施形態を、それぞれ、帽子内に設置された斜視図および点線図で示す。
図8Aの受信機30は、基材として機能するように設計されたバンド50として形成され、一方の耳の上、頭部の後部の周りから他方の耳の上まで、野球帽の後半部のリムの形状に類似したほぼ半円形または半楕円形の形状で延びるように見える。特定の実施形態では、バンド50がほとんどの人々の皮膚を刺激しないスキンセーフゴムで作製されてもよい。バンド50は
図8Bに見られるように、野球帽のバンド内にフィットするようなサイズおよび形状にされ、着用者の頭蓋に緩やかに適合して、快適かつ確実な装着を提供する。同時に、バンド50はオーディオ信号の良好な伝導が着用者に提供されるように、複数の骨導体32が着用者の頭蓋骨上に適切に配置されることを保証する。複数の骨導体32は、着用者によって知覚されるオーディオのボリュームを増加させることができる。
【0042】
バンド50は、受信機30のいくつかの電子部品、例えば、マイクロコントローラ38、受信ユニット40、およびメモリ42などを担持する電子回路基板31を支える基板として機能する。バンド50は野球スタイルの帽子の背面の周りに、かつその両側面に沿って延在するように構成される。
【0043】
先に説明したように、この実施形態では、より長いアンテナ41を使用することができる。このアンテナ41はバンド50の長さの大部分にわたって延在することができ、受信範囲を増大させることができる。いくつかの要因に応じて、送信機20と受信機30との間の送信範囲は、150フィートをはるかに超えることができる。安全性の考慮もまた、スポーツ用具におけるファクタであり、特定の実施形態では、着用者のための帽子の安全性をさらに高める保護材料が提供される。受信機30はプレー中にボールがバンド50にぶつかると、いくらかのエネルギーを消散させることによっていくらかの保護を提供すべきであるが、追加の保護材料52を提供して、プレイヤーが頭部に受ける衝撃をさらに和らげることができる。例えば、シリコンゴム層52をバンド50の内面53及び/又は外面55に設けることができる。カットアウト(図示せず)が層52内に設けられ、骨導体32が頭部に直接接触することを可能にする。
【0044】
図9Aは、本発明の他の実施形態に従って構成されたレシーバ100の側面斜視図である。それは、
図6の受信機30と同様の内部構成要素を含む。しかしながら、受信機100のブロック図を示す
図9Bを参照することによって理解されるように、この実施形態にはいくつかの相違点がある。ここで、
図9A及び
図9Bの両方を参照すると、受信機100は、オン/ボリュームアップボタン102とオフ/ボリュームダウンボタン104とを有する。ボタン102および104が最上になるようにレシーバ100が配向された状態で、帽子の布地に設置されると、ボタン102および104を押すことによって、レシーバ100を帽子の布地を通して容易にオンおよびオフにすることができる。さらに、音量は、ボタン102を押すことによって受信機100がオンにされた後の音量を制御する、これらの同じ2つのボタン102および104を使用することによって、段階的に増減させることができる。受信機100をオフにすることは、ボタン104を、音量を下げるために使用するよりも長い期間、押し続けることを必要とする。受信機100はまた、マイクロUSBポートなどの入力ポート106を有し、これは、受信機100が充電され、プログラムされ、入力ポート106を通して提供されるオーディオトラックを記憶することを可能にする。
【0045】
ここで
図9Bを参照すると、受信機100は、マイクロコントローラ122および無線ユニット124に結合された充電式バッテリ120を有する。特定の実施形態では、マイクロコントローラ122および無線ユニット124が単一のユニットに統合される。ここで、
図5の無線ユニット124、無線送信機ユニット、および
図6の受信ユニット40は、実際にはトランシーバ(送受信機)であり得ることに留意されたい。そのような各トランシーバは、受信機または送信機としてのみ機能することができる。マイクロUSBポートなどのポート106は、バッテリ120およびマイクロコントローラ122に結合され、それを介して電力およびプログラミングを提供することができる。メモリ128はプログラム命令を搬送することができるが、オーディオファイル80a~80vも記憶する。ユニットがオン状態であることを示すLED130が設けられ得るが、そのLEDは電池が不足状態であるということや、他の機能を示すものであってもよい。特定の実施形態ではより詳細な英数字ディスプレイ132が提供されるが、必須ではない。受信機100は、マイクロコントローラ122の出力に結合されたオーディオ増幅器133を有する。オーディオ増幅器133の出力はスピーカ134に結合され、これは一例としてスマートフォンスピーカと同様の構成とすることができる。そのようなスピーカ134は比較的薄く、優れた音質を提供し、オーディオ再生トランスデューサの別の実施例である。
【0046】
受信機100は、特定の実施形態では周囲雑音に応じて、受信機の着用者によって聞かれる音量を自動的に調整するように構成され得る。これは、ノイズ(雑音)の強さが広範囲に変動するスタジアムでプレーするときに、特に便利である。プレーヤがボタン102および104を介して自分の好ましい音量を設定した後、マイクロフォン129は、周囲から音入力を受信する。マイクロフォン129の出力は、マイクロコントローラ122に結合された周囲雑音レベル決定回路131に提供される。このような周囲雑音レベル決定回路131は周知であり、ノイズ(雑音)低減ヘッドホン、雑音計などの装置に使用される。周囲雑音レベル検出回路131は、周囲雑音レベルを示す信号をマイクロコントローラ122に提供する。マイクロコントローラ122は、この周囲雑音レベルを示す信号に応答して、スピーカ134が出力する音量を、プレーヤによって予め設定された好ましい音量から調整する。これにより、周囲の騒音条件が変化する場合でも、プレーヤの見かけの音量レベルを一定のレベルに保つことができる。
【0047】
図9Aに見られるように、受信機100は、概して、形状が細長く、野球帽の汗バンド内に快適にフィットするように十分に薄い。受信機100の構成要素は、ハウジング140内に収容される。ハウジングは、耐湿性および耐腐食性の材料で作られ、好ましくは皮膚に安全なものである。例えば、シリコーンゴムが好適な材料である。特に際立った快適性を提供するために、特定の実施形態では、受信機100が、受信機100を3つのセクション144a~cに分割する屈曲線142を用いてセグメント化される。セグメント化は、セクション144aおよび144cがセクション144bに対して屈曲することを可能にし、それによって、人間の頭部の形状により良好に適合する。一例として、セクション144aはスピーカ134を含むことができ、スピーカ134の開口部は、レシーバハウジング140の下側にある。マイクロコントローラ122および無線ユニット124(LED130とともに)が搭載される回路基板は、セクション144b内に含まれてもよく、セクション144c内にバッテリ120が含まれてもよい。無線部124には、ハウジング140を介してワイヤアンテナ146が取り付けられてもよい。
【0048】
本開示の特定の実施形態に従って構成された送信機150が、
図10の正面斜視図に示されている。
図10の送信機150は、
図5に示されるものと同様の内部構造を有する。送信機150には8つのボタン152a~hがあるが、他の実施形態ではより多いまたはより少ないボタンを設けることができる。ボタン152a~gは球種および投球位置ボタンに対応し、ボタン152hはキャンセルボタンである。ボタン152a~gを押しながら送信機150を視界から遮蔽することが望ましいので、キャッチャーが感覚だけで所望のボタン(したがって、所望の球種および投球位置)を選択することができるように、直感的なパターンで配置されたボタン152a~gを有することが有利である。ボタン152a~gのパターンは「水平なH」であり、上列に3つのボタン(152a~c)、中央にボタン(152d)、および下列にボタン(152e~g)を有する。2つの列の間の空間は、キャッチャーが、自分の親指がどの列のボタンをオンしているのかを容易に感じることを可能にする。
【0049】
各ボタン152a~gは、球種および投球位置の両方を表す。まず、球種について説明すると、ボタン152a~gは、それぞれ、投球番号1~7に対応すると考える。これらの投球は例えば、ファストボール、カーブボール、スライダ、チェンジアップ、ナックルボール、スプリッタ、フォークボールであってもよい。投球位置は、
図11に示されるストライクゾーンに匹敵する物理的位置に対応する。したがって、ボタン152aは投球位置位置「高めのインサイド」、ボタン152bは「高めの中央」、ボタン152cは「高めのアウトサイド」、ボタン152dは「真ん中」、ボタン152eは「低めのインサイド」、ボタン152fは「低めの中央」、ボタン152gは「低めのアウトサイド」に対応する。
【0050】
特定の実施形態では、符号化信号が受信機100に送出される前に、送信機150上のボタン152a~gを2回押す必要がある。動作例として、キャッチャーが、高めおよびアウトサイドのファストボールを要求したいと仮定する。そうするために、キャッチャーはファストボールに対応するボタン152aを押し、次いで、高めのアウトサイドに対応するボタン152cを押す。2つのボタンが押されると、送信機150は、受信機100に含まれる適切なオーディオトラックの識別子に対応する符号化信号を送信する。なお、送信部150は、音声を送信しない。受信機100はこの符号化信号を受信し、信号を解読する。解読された信号は受信機100に、特定の記憶されたオーディオトラック80aおよび80jを連続して再生するように指令する。したがって、特定の実施形態では第1のボタン押しは球種であり、第2のボタン押しは投球位置である。2つの異なるタイプの情報(球種および投球位置)を入力するために同じボタンのセットを使用することによって、送信機150は、はるかに小さく、より洗練され、キャッチャーのために使用するのがより容易になることができる。
【0051】
送信機は、
図10の実施形態ではキャンセルボタン152hを有する。キャッチャーが例えば、ボタン152b(カーブボール)を押したいのに誤ってボタン152a(ファストボール)を押した場合、キャッチャーはボタン152hを押すことができ、これは符号化された信号を直ちに(第2のボタン押下を必要としない)受信機100の各々に送出する。符号化信号を受信すると、受信機100は、用語「キャンセル」であるオーディオトラック80oを再生する。送信機150はキャンセルボタン152hが押下された後にリセットされ、その結果、押下された次のボタン152a~gは球種を再度選択し、ボタン152a~gの第2の押下は投球位置を選択する。隆起した隆起部154は特定の実施形態ではキャンセルボタン152hを取り囲み、その結果、このボタンは、感覚によって容易に識別され、意図せずに押されないことが可能である。
【0052】
同じまたは同様の送信機150を使用して、ピックオフ、ピッチアウト、ホールド、およびピックなどのような、実行中のゲーム信号(ランニングゲーム信号)を要求することもできる。そのような信号は、典型的にはダグアウト内のコーチによって出されるので、球種および投球位置を呼び出すために使用されるものとは別個の送信機150が使用され得る。しかしながら、符号化信号を送信するために2つのボタン押下が必要とされる代わりに、1つのボタン押下のみが必要とされる。動作例として、コーチがファーストベースへのピックオフ(けん制)を要求したいと仮定する。彼は、実行中のゲーム送信機150について、「ファーストベースへのピックオフ」に対応するボタン152aを押す。実行中のゲーム送信機150は符号化された信号を受信機100に送り、受信機はこの符号化された信号によって、「ファーストベースへのピックオフ」というように記憶されたオーディオトラック80pを再生する。すべての受信機100と同様に、記憶されたオーディオトラック80a~80vは、着用者のネイティブ言語であり得る。
【0053】
送信機160の別の実施形態が
図12に示されている。送信機160のこの実施形態は、キャッチャーの手首に容易に装着される典型的な名刺のサイズ程度であり得る送信機150よりも大きなサイズである。送信機160は例えば、コーチによって、ダグアウトで使用するためのものである。手首に装着する必要がないので、追加の機能を提供することができ、過大なサイズを有利に使用することができる。たとえば、
図5の送信機20または
図9の送信機150の同様の内部アーキテクチャを使用して、送信機160は、異なる機能のための別個のセクションを有することができる。そのようなセクションは
図12に示されるように、球種セクション162、投球位置セクション164、およびランニングゲームセクション166を含むことができるが、これらに限定されない。制御セクション168は、フィールド上の受信機100を制御するために使用され得る、特定の実施形態に含まれてもよい。ディスプレイ169は、特定の実施形態において、コーチが制御情報、球種、投球位置、ランニングゲーム信号、と呼ばれる情報を見ることを可能にするために提供される。制御情報はたとえば、個々の受信機100の各々のバッテリレベル、および個々の受信機が電源投入されているかどうかを含むことができる。個々の受信機100のボリュームは、送信機160から制御することができる。制御情報は、個々の受信機が符号化信号を受信しなかったかどうかを含むことができる。他の制御情報を提供することができる。送信機160は、ラップトップ、タブレット、ディスプレイおよびハードウェア押しボタンを有するコントローラの形成であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、送信機160が任意のゲーム状況において最良の球種および投球位置を識別するソフトウェアと統合され得る。すでに、その傾向、弱点、強みなど、プレーヤについて収集されている利用可能な多くの統計がある。この特定のピッチャーに対して、セカンドベースにランナーがいてワンアウトの場合、特定の右利きバッターは低めでアウトサイドのファストボールでセカンドベースに向かって打つ傾向があり、それが所望の結果である場合、ソフトウェアはこの傾向を識別し、コーチが低めでアウトサイドのファストボールを指示することを提案する。さらに、この情報に基づいて球種選択および投球位置のプロセスを自動化することは比較的容易であり、コーチは単に、ピッチカウント(どれだけのボールおよびストライク)、ならびにランナーの数および位置を見てゲーム状況を更新しなければならない。それが完全に予測可能ではないため、ランダム性の要素を使用して、そのゲーム状況では見ることのない何かでバッターを驚かせることができる。例えば、ゲーム状況は低めのアウトサイドのファーストボールを要求し得るが、ランダム性のパーセンテージを導入することは送信機160に、中央から落ちるカーブボールを選択させ得る。
【0055】
図13は、本開示のある実施形態による、送信機および複数の送信機のスターネットワーク構成の実装の概略図である。送信機20、150、または160は、スターネットワーク構成で受信機100の各々に接続される。受信機100および送信機(たとえば、160)は、メッセージが各受信機によって受信されることを保証するために、ラウンドトリップ技術を採用することができる。受信機100が送信機160から符号化信号を受信した後、受信機100は、符号化信号を受信したことを示すために、信号を送信機160に送り返す。送信機160がある時間量(ミリ秒のオーダー)内に受信機100から戻る信号を受信しない場合、送信機100は、符号化信号をその受信機100に再度送信することができる。スターネットワーク構成およびラウンドトリップ技術を使用することによって、送信機160は、受信機100が送信機160から符号化信号を受信したことを保証することができる。
【0056】
図14は、本開示のある実施形態による、受信機170の側面斜視図である。受信機170は、受信機100と同じ内部構成要素を有する。スピーカまたは骨伝導部品は、領域172に配置される。受信機170は、その外面に広告領域174を有する。使用中に汗バンド内に位置する受信機30および100とは異なり、受信機170は
図15に示されるように、帽子の外側に装着されるように設計される。受信機170のこの実施形態は、チームが広告領域174を使用して、受信機170上の広告スペースを販売することを可能にする。テレビカメラは多くの場合、プレーヤの顔の側面に焦点を当てるので、これはそのような広告領域174がテレビ上でかなり頻繁に見られることを意味し、チームはこの領域174を収益源として使用することができる。さらに、受信機170のこの実施形態はスピーカまたは骨伝導部品をプレーヤの耳の正面に直接配置し、これにより、特定のプレーヤのリスニング体験を改善することができる。
【0057】
図16は、フットボールヘルメット180に挿入された
図9のレシーバ100の側面図である。レシーバ100をフットボールヘルメット180のパッドの間または内部に固定することは比較的容易である。それは非常に軽量であるので、フットボールヘルメット180へのレシーバ100の追加は、ヘルメット180を着用しているプレーヤによって気付かれない。
【0058】
フットボールは現在、オーディオ無線送信を使用して、クォーターバック(および、他のチームから、1人のディフェンスプレーヤ)にプレーを提供するが、本開示のシステムの実施形態の使用は現在のシステムにいくつかの利点を有する。例えば、軽量受信機100を提供することは、プレーヤの疲労を低減し、快適性および安全性を向上させる。さらに、フィールド上のチームのすべてのプレーヤは、それが呼び出されたときに、そのプレーを同時に聞くことができる。これは、ハドルの必要性を排除する。クォーターバックが送信機150と同様の送信機を装着する場合、別の利点を実現することができる。通常、プレーの単一選択肢に限定される、スクリメージのラインで可聴音(ハドルで呼び出されたものから変更されたプレー)を呼び出すことに代えて、さらに可聴音が呼び出されたことをディフェンスに警告することに代えて、クォーターバックは、送信機150を使用することができる。これにより、クォーターバックは受信機100に可聴音を再生させて、符号化された信号をオフェンスの他のプレーヤの各々に黙って秘密に送信することができる。ディフェンスは、音声が呼び出されたことに気付かない。さらに、クォーターバックは、複数の選択肢から可聴音を選択することができる。フットボールに使用されるときの別の潜在的な利点は、プレーを加速する可能性である。各プレーヤはレシーバ100を装着しており、ハドルを必要としないので、ゲームのペースを上げることができる。
【0059】
図17はジョッキーのヘルメット184の側面図であり、その中に取り付けられた受信機100(点線)を示す。レース中、ジョッキーは、レース中の戦略を支援する指令を受信機100を介して受信することができる。
【0060】
本発明の実施形態によるシステムによれば、コーチが競技エリア内のプレーヤの無線受信機で聞き取れる指令を声に出して発しなければならない従来のシステムとは異なり、プレーヤが可聴指令で互いに通信することを可能にする。したがって、競技場のプレーヤは、発声することなくコミュニケーションをとることができる。これは、しばしば他のプレーヤにゲーム中の指令を与えるのに最良の位置にいるプレーヤに、これらの指令を与えることができるという利点をもたらす。そうでなければ、相手側のチームがその発声を聞くので、発声によって伝えることが不可能であろう。
【0061】
図18は、水泳キャップ188の下に受信機100(点線)を有する水泳キャップ188を着用する水泳者を示す。水泳キャップ188は水中で着用されることが意図されるので、特定の実施形態では、スピーカではなく骨導体の使用が好ましい。水泳者は、キックハード、スローペース、増加ペースなどの指示を聞くことができる。
【0062】
図19Aは、受信機100の別の実施形態を示す。この実施形態では、オーディオ管190が提供され、そこからスピーカ音が発せられる。そのようなオーディオ管は周知であり、セキュリティ担当者、オンエアーのコメンテーターなどによって使用される。音はイヤホンのように、外耳道にまっすぐに向けられる。しかしながら、オーディオ管はイヤホンのように、耳の中で別個に装着されて支持されていない。したがって、実際には、ユーザにとって気づかれない。それらは軽量であり、一般に柔軟であり、快適さを増す。音を外耳道に直接送り込むか、または少なくともそれに近づけることによって、
図19Aの実施形態は最も大きな騒音のスタジアムで使用することができるし、より静かな環境でも使用することができる。なぜなら、音が外に出ないからである。
【0063】
図19Bは、プレーヤが着用するキャップ35のスウェットバンド37に設置された
図19Aの受信機100を示す。オーディオ管190は、スピーカ134からプレーヤの耳たぶ内に延びるように示されている。
【0064】
こうして、本開示で説明される通信システムは、アスリートに安全かつ秘密に指示を通信するものである。その通信の際に、ビデオ、双眼鏡、および他の方法を通して傍受されて解読され得る視覚的信号を使用しない。さらに、オーディオ信号、またはデジタル化されたオーディオをヘッドセット受信機に送信するのではなく、本開示の実施形態では、短い符号化された信号(数字など)のみを送信する。ヘッドセット受信機には、既にオーディオトラックが保存されている。これにより、伝送が短くて爆発性の性質(急に聞こえる性質)により、伝送のセキュリティが強化される。これはまた、完全な音声オーディオ送信ではなく、ヘッドセット受信機が信号を解読することを容易にする。また、ヘッドセット受信機を軽くし、バッテリ寿命を延ばすこともできる。
【0065】
「例示的」という用語は本明細書では「例、事例、または例示として機能すること」を意味するために使用され、「例示的」または「例」として本明細書で説明される任意の実施形態は必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが、明細書または特許請求の範囲において使用される限りにおいて、そのような用語は用語「備える(comprise)」と同様の方法で包括的であることが意図される。
【0066】
当業者に知られているか、または後に知られることになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆のために提供されることは意図されていない。クレーム要素は35 U.S.C§112、第6段落の規定に基づいて解釈されるべきではない。ただし、要素が「のための手段」という語句を用いて明示的に記載されている場合、又は方法クレームの場合、要素が「のためのステップ」という語句を用いて記載されている場合はこの限りでない。
【0067】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載される様々な態様を実施することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する完全な範囲に従うものであり、単数形の要素への言及は、具体的に述べられない限り、「1つおよび1つのみ」ということを意味するのを意図するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味する。特に明記しない限り、「いくつかの」という用語は1つ以上を指す。男性表現(例えば、彼)の代名詞は女性および中性(例えば、彼女およびその)を含み、逆もまた同様である。見出しおよび小見出しは、存在する場合、便宜上使用されるに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0068】
様々な実施形態が説明されてきたが、説明は限定ではなく例示的であることが意図され、実施形態の範囲内にある、より多くの実施形態および実装が可能であることが理解される。特徴の多くの可能な組合せが、添付の図面に示され、この詳細な説明で論じられるが、開示される特徴の多くの他の組合せが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は特に限定されない限り、任意の他の実施形態における任意の他の特徴または要素と組み合わせて使用され得るか、またはそれらの代わりに使用され得る。したがって、本開示で示され、かつ/または論じられる特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実装され得ることが理解されよう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に照らすことを除いて、限定されない。また、添付の特許請求の範囲の範囲内で、様々な修正および変更を行うことができる。
【0069】
上記では最良の形態および/または他の例であると考えられるものを説明してきたが、本明細書では様々な修正を行うことができ、本明細書で開示する主題を様々な形態および例で実施することができ、教示を多数の用途に適用することができ、そのうちのいくつかのみが本明細書で説明されていることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本教示の真の範囲内にある、任意のおよびすべての応用、修正、および変更を請求することを意図している。
【0070】
特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書に記載されるすべての測定結果、値、評価、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、正確ではなく、おおよそのものである。それらは、それらが関係する機能およびそれらが関係する技術分野において慣習的であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0071】
保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。その範囲は本明細書および審査過程に照らして解釈されるときに特許請求の範囲で使用される文言の通常の意味と一致し、すべての構造的および機能的等価物を包含するのと同じくらい広く解釈されるべきである。それにもかかわらず、特許法第101条、第102条又は第103条の要件を満たさない主題を包含することを意図するものではなく、また、そのように解釈されるべきものではない。そのような主題の意図しない包含は、本明細書によって放棄される。
【0072】
直前に述べた場合を除き、特許請求の範囲に記載されているか否かにかかわらず、記載または図示されているものは、いかなる部品、ステップ、特徴、目的、利益、利点、またはそれらの同等物を専ら示すように意図されるべきではなく、また解釈されるべきではない。
【0073】
本明細書で使用される用語および表現は特定の意味が本明細書で別段に記載されている場合を除き、それらの対応するそれぞれの問い合わせおよび研究の領域に関して、そのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されよう。第1および第2などの関係的な用語は、一方の実体又は動作を他方から区別する目的でのみ使用されるものであり、それらの実体間および動作間にそのような順序の関係を与えるものではない。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、またはそれらの任意の他の変更は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素のみを含まず、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーすることを意図する。「a」または「an」が先行する要素は、さらなる制約なしに、要素を含むプロセス、方法、物品、または装置におけるさらなる同一の要素の存在を排除しない。
【0074】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲を解釈または限定するために使用されないことを理解されたい。さらに、前述の詳細な説明では、開示を簡素化する目的で、様々な特徴が様々な例において一緒にグループ化されていることが分かる。この開示方法は、請求項が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された例のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は本明細書によって詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別々に請求される主題として独立している。
【国際調査報告】