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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイス
(51)【国際特許分類】
   B81B 1/00 20060101AFI20240313BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240313BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
B81B1/00
B01J19/00 321
B81C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553965
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 IB2022052209
(87)【国際公開番号】W WO2022190056
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2021/5188
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523336398
【氏名又は名称】ファーマフルイディクス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】デスメト ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプス パウル
(72)【発明者】
【氏名】オプ デ べーク ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】クラーレバウト ボ
【テーマコード(参考)】
3C081
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA05
3C081BA21
3C081BA22
3C081BA23
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA23
3C081CA33
3C081DA02
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA07
3C081DA10
3C081DA11
3C081DA43
3C081EA27
3C081EA28
3C081EA37
4G075AA13
4G075AA39
4G075BA10
4G075BB03
4G075BB05
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB50
4G075EC09
4G075FA12
4G075FB01
4G075FB06
(57)【要約】
マイクロ流体デバイス(100)であって、液体チャネル(120)を有する基材(110)と、チャネル(120)内に位置付けられたピラー(130)の順序付けられた組と、を備え、個々のピラー(130)は、基材と山型断面を形成する少なくとも一対のフィンを備え、列の対で配置され、隣接する列は、長さがピラーの半分だけ互いに対して横方向に変位され、ピラー長さは、平均液体方向に垂直に測定され、それによって、ピラー間にマイクロチャネルを形成し、列は、最も長いピラー辺に沿った各位置で連続する列のピラー間に形成されたマイクロチャネルが、実質的に同じ幅を有するように、互い違いである、マイクロ流体デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流に基づくマイクロ流体デバイス(100)であって、前記マイクロ流体デバイス(100)が、
チャネル壁(122)によって画定される液体チャネル(120)を有する基材(110)であって、前記チャネル(120)が入口(123)及び出口(124)を有し、前記チャネル(120)は、液体が前記入口(123)から前記出口(124)へと前記チャネル(120)内へと流れる際に、液体の平均液体流方向に従った長手方向軸線を有する、基材(110)と、
前記基材(110)上の前記チャネル(120)内に位置付けられたピラー(130)の順序付けられた組であって、前記個々のピラー(130)が、少なくとも一対のフィンを備え、前記フィンが、前記基材と山型断面を形成する、ピラー(130)の順序付けられた組と、を備え、
前記ピラー(130)が列の対で配置され、隣接する列がピラー長さの半分だけ互いに対して横方向に変位され、前記ピラー長さが、前記平均液体方向に対して垂直に測定され、
前記列が、最も長いピラー辺に沿った各位置で連続する列のピラー間に形成された前記マイクロチャネルが、実質的に同じ幅を有するように、互い違いである、マイクロ流体デバイス(100)。
【請求項2】
前記山型形状が、実質的に一定のマイクロチャネル幅が同じ列の2つの隣接するピラー間で得られるようなものである、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項3】
前記平均液体流方向で測定されたピラーの全幅Btと、フィンの壁に対して垂直に測定された前記ピラーの平均幅Biとの比が、1.05超である、請求項1~2のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項4】
前記チャネル壁(122)に接触する前記ピラーが、前記チャネル壁に接触しないピラーの前記フィンの半分のみを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項5】
一対の列のうちの一方の列において、外側ピラーが前記チャネル壁に接触し、前記一対の列のうちの他方の列について前記外側ピラーと前記チャネル壁との間に流れ開口部が存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項6】
一対の列のうちの一方の列について、最も外側のピラーと前記第1のチャネル壁との間に流れ開口部が存在し、他方の側のピラーが前記第1のチャネル壁に対向する第2のチャネル壁に接触し、前記一対の列のうちの他方の列について、前記最も外側のピラーと前記第2のチャネル壁との間に流れ開口部が存在し、前記他方の側のピラーが前記第1のチャネル壁に接触する、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項7】
2つのフィンとフィンの端部との間の接続部が丸みを帯びている、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項8】
前記ピラーの高さと前記ピラーの幅との比が3超であり、前記ピラーの前記高さが前記基材(110)に対して直交する方向に測定される、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項9】
前記ピラー(130)の前記フィンが、前記チャネル(120)の前記長手方向軸線の方向に幅(Bp)を有し、前記山型形状が、前記長手方向軸線に対して垂直かつ前記基材に対して平行な方向に長さ(Lc)を有し、前記個々の山型形状が、少なくとも3の長さ-幅比を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項10】
前記フィンの前記端部が前記チャネル壁(122)に対して平行である、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項11】
前記マイクロ流体デバイスが、前記ピラー(130)の頂部に頂部プレートを備え、前記頂部プレートが、前記基材(110)に対向して位置付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項12】
2つの隣接するピラー(130)間の最小距離(W0)が、前記チャネル壁(122)と隣接する非接触ピラーとの間の最小距離(dl)の0.5倍~1.1倍である、請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項13】
ダブルノードが、同じ列の隣接するピラー間の流れ開口部であり、2つのマイクロチャネルが到達し、2つのマイクロチャネルが出発し、ダブルノードに到達する前記マイクロチャネルとダブルノードから出発する前記マイクロチャネルとが対称である、請求項1~12のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス(100)。
【請求項14】
マイクロ流体デバイス(100)の製造のための、基材内への構造のリソグラフィ適用のためのマスクであって、
前記基材(110)上の前記チャネル(120)内に位置付けられたピラー(130)の順序付けられた組を画定するための設計要素であって、前記個々のピラー(130)が、前記基材と山型断面を形成する少なくとも一対のフィンを有する設計要素を備え、
前記ピラー(130)が列の対で配置され、隣接する列がピラー長さの半分だけ互いに対して横方向に変位され、前記ピラー長さが、前記平均液体方向に対して垂直に測定され、それによって、前記ピラー間にマイクロチャネルを形成し、
前記列が、連続する列のピラー間に形成された前記マイクロチャネルが、実質的に同じ幅を有するように、互い違いである、マスク。
【請求項15】
マイクロ流体デバイスを製造するための方法であって、前記方法が、請求項14に記載のマスクを使用して、ピラーを有するチャネルのリソグラフィ実装を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の範囲)
本発明は、一般に、化学反応器用のマイクロ流体デバイスに関する。より具体的には、本発明は、マイクロ流体デバイスのピラー床に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体デバイス内の液体伝播を使用するマイクロ流体デバイスは、多数の用途を有する。実施例としては、化学構成成分の生成、ナノ粒子の合成、構成成分の分離及び/又は抽出等が挙げられる。
【0003】
例えば混合物を正確に分析することができるように、混合物を分離するための分離技術の具体例は、クロマトグラフィである。クロマトグラフィの種々の形態としては、ガスクロマトグラフィ、ゲルクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、吸着クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ等が存在する。
【0004】
液体クロマトグラフィは、典型的には、分析用途及び製造用途の両方のために、薬学分野及び化学分野において使用される。液体クロマトグラフィは、異なる物質と移動相及び固定相との親和性の差を利用する。各物質は固定相までそれ自体の「接着力」を有するので、それらは移動相と共により速く又はより遅く運ばれるが、これは、特定の物質がその他の物質から分離され得ることを意味する。それは、本質的に任意の化合物に適用可能であり、材料の蒸発が必要とされないという利点を有し、温度の変動が無視できる影響のみであるという利点を有する。
【0005】
液体クロマトグラフィの効率的な形態は、(高速液体クロマトグラフィとしても知られている)高圧液体クロマトグラフィ、HPLCであり、高圧が分離プロセスに適用される。HPLCを実施するための技術の具体例は、ピラーを介したクロマトグラフィカラムに基づく。液体クロマトグラフィへのそれらの導入以来、ピラー系のクロマトグラフィカラムは、充填層構造及びモノリシックシステムに基づくシステムに対する価値ある代替物であることが証明されている。高度の均一性でカラムを適用し、それらを完全に整列させる能力により、電流経路の差から生じる分散、すなわち「渦電流分散」をほぼ完全に防止し得る。この原理は、より一般的には、液体プラグ伝播に基づく化学反応器に適用することができる。
【0006】
また、クロマトグラフィの理論から、分離床の均一性に加えて、拡散により分子が移動する距離をできるだけ小さくすることが重要であることが知られている。ピラー床に置き換えると、本設計は、近接して配置された狭いピラーを必要とする。更に、流れシミュレーションはまた、ピラー間のゾーン、マイクロチャネルが理想的には可能な限り均一な幅を有するべきであることを示す。
【0007】
十分に高い液体流量を可能にするために、(ピラー床の幅がシリコンウェハの使用可能な表面積によって制限されるので)ピラー床は十分に深くなければならない。狭いカラムに対する要求と組み合わせて、これは、高いアスペクト比を有するカラムをもたらす。しかしながら、これは、製造中に必要とされる様々な含水処理プロセス中にピラーが崩壊する(スティクション)危険性を増大させる。その結果、ピラーの順序付けられた組をその中に有するチャネルから構築されるマイクロ流体デバイスにおいて、改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態の1つの目的は、ピラーを有する良好なマイクロ流体デバイスを製造することである。
【0009】
本発明に従って製造される実施形態の利点は、製造されるピラーが良好なアスペクト比及び良好なピラー密度を可能にし、同時に、製造プロセス中にピラーが崩壊/圧縮する危険性を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、本発明に対応する装置、デバイス及び/又は方法によって達成される。
【0011】
第1の態様では、本発明は、液体流に基づくマイクロ流体デバイスに関する。マイクロ流体デバイスは、
-チャネル壁によって画定される液体チャネルを有する基材であって、チャネルが入口及び出口を有し、チャネルが、液体がチャネル内を入口から出口まで流れる際の液体の平均液体流方向に従った長手方向軸線を有する、基材と、
-基材上のチャネル内に位置付けられたピラーの順序付けられた組であって、個々のピラーが、少なくとも一対のフィンを備え、フィンが、基材と山型断面を形成する、ピラーの順序付けられた組と、を含む。
【0012】
ピラーは、列の対で配置される。蒸気開口部は同じ列のピラーの間に配置されるが、これらはノードとも称される。列は、2つの連続する列のピラー間のマイクロチャネルが実質的に同じ幅を有するように、互いに対して互い違いの様式に配置され、互いに平行である。なお、隣接する列は、ピラー長さの半分にわたって互いに対して横方向に変位され、ピラー長さは、平均液体方向に対して垂直に、かつ基材に対して平行に測定される。したがって、隣接する列のノードもまた、ピラー長さの半分だけ変位される。本発明の実施形態の1つの利点は、ピラーを平均して互いにより近接して位置付け得ること、及び既存のピラーよりも狭い及び/又は高い均一な流れ孔を達成し得ることである。本発明の場合、これは、山型断面を有するカラムを使用することによって達成される。
【0013】
本発明の実施形態では、流れ孔(ピラー間のマイクロチャネル)は、好ましくは、全体にわたって等しい幅である。
【0014】
本発明の実施形態では、山型形状は、実質的に一定のマイクロチャネル幅が同じ列の2つの隣接するピラー間で得られるようなものである。
【0015】
本発明の実施形態では、平均液体流方向に測定されたピラーの全幅Btと、フィンの壁に対して垂直に測定されたピラーの平均幅Bとの比は、1.05超である。
【0016】
本発明の実施形態の1つの利点は、例えば、同じ幅Bi、長さ及び高さを有する長方形断面を有するピラー形状と比較して、構造的剛性が増大することである。これにより、アスペクト比がより大きい構造を得ることができる。
【0017】
本発明の実施形態では、チャネル壁に接触するピラーは、チャネル壁に接触しないピラーのフィンの半分のみを含む。
【0018】
本発明の実施形態では、外側ピラーは、一対の列のうちの一方の列のチャネル壁に接触し、外側ピラーと対の他方の列のチャネル壁との間に流れ開口部がある。本発明の実施形態では、チャネル壁に接触するフィンは、同じ方向に配置される。これは、チャネル壁とフィンとの間に形成される角度が、例えば、液体流に最初に到達する側上で測定され、両方のチャネル壁上のフィンについて同じであることを意味する。
【0019】
本発明の実施形態では、一対の列のうちの一方の列について、最も外側のピラーと第1のチャネル壁との間に流れ開口部があり、他方の側上のピラーが第1のチャネル壁に対向する第2のチャネル壁に接触しており、一対の列のうちの他方の列について、最も外側のピラーと第2のチャネル壁との間に流れ開口部があり、他方の側上のピラーが第1のチャネル壁に接触している。
【0020】
既に上述したように、本発明の実施形態では、流れ開口部は、同じ列の隣接するピラー間に配置されている。これらはダブルノードとも称される。
【0021】
チャネル壁とピラーとの間に開口部があってもよい。これは単一ノードと称される。
【0022】
列の対ごとに1つの列があり、両側に単一ノードがあり、端部ピラーとチャネル壁との間に開口部がない列がある実施例は、図2図6に見ることができる。
【0023】
各列において、1つのチャネル壁上に存在し、他方のチャネル壁上には存在しない、列ごとに唯一の単一ノードが存在し、一対の列のうちの一方の列における単一ノードが、チャネルの特定のチャネル壁上に配置されており、一対の列のうちの他方の列における単一ノードが、他方のチャネル壁上に配置されている実施例を、図7に示す。
【0024】
本発明の実施形態では、2つのフィンとピラーの端部との間の接続部は丸みを帯びている。
【0025】
本発明の実施形態では、ピラーの高さとピラーの幅との比は3より大きい。ピラーの高さは、基材に直交する方向に測定される。
【0026】
本発明の実施形態では、ピラーのフィンは、チャネルの長手方向軸線の方向に幅(BP)を有し、山型形状は、長手方向軸線に対して垂直で基材に対して平行な方向に長さ(LC)を有し、個々の山型形状は、少なくとも3の長さ-幅比を有する。
【0027】
本発明の実施形態では、フィンの端部はチャネル壁に対して平行である。
【0028】
本発明の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、ピラーの組の頂部に頂部プレートを含み、頂部プレートは、基材の反対側に位置付けられている。
【0029】
本発明の実施形態では、ピラーは微細加工ピラーである。
【0030】
本発明の実施形態では、2つの隣接するピラー間の最小距離(Wo)は、チャネル壁と隣接する非接触ピラーとの間の最小距離(dl)の0.5倍~0.8倍である。
【0031】
本発明の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、液体クロマトグラフィ分離デバイスである。
【0032】
第2の態様では、本発明は、マイクロ流体デバイスの製造のために基材内に構造体をリソグラフィで適用するためのマスクに関する。マスクは、基材上のチャネル内に位置付けられたピラーの順序付けられた組を画定するための設計要素を含み、個々のピラーは、基材と山型断面を形成する少なくとも一対のフィンを有する。
【0033】
ピラーは、列の対で配置される。列は、2つの連続する列のピラー間のマイクロチャネルが実質的に同じ幅を有するように、互いに対して互い違いの様式に配置され、互いに平行である。なお、並置される列は、ピラー長さの半分にわたって互いに対して横方向に変位され、ピラー長さは、平均液体方向に対して垂直に、かつ基材に対して平行に測定される。
【0034】
第3の態様では、本発明は、マイクロ流体デバイスを製造するための方法に関し、本方法は、本発明によるマスクを使用してピラーを有するチャネルをリソグラフィ実装することを含む。
【0035】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に含まれる。記載されるように、従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴及びその他の従属請求項の特徴と組み合わせることができ、請求項に明示的に記載されているだけではない。
【0036】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下で説明される実施形態(複数可)から明らかになり、それらを参照して明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】従来技術によるピラーを有するクロマトグラフィカラムの上面図を示す。
図2】ピラーごとに1つの山型形状を有する、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図3】ピラーごとに2つの山型形状を有する、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図4】ピラーごとに4つの山型形状を有する、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図5】丸みを帯びた角部を備えるピラーを有する、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図6】波状ピラーを有する本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図7】単一のノードが交互の側壁に隣接する、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの上面図を示す。
図8】山型構造の一部である場合にノードにおいてより均一な流れ幅を提供する斜線部分を有する、本発明の実施形態による山型構造を示す。
図9】本発明の実施形態による、マイクロ流体デバイスを製造するための工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面は、概略的な目的のみのためであり、限定するものではない。図面では、いくつかの部分の寸法は誇張されている場合があり、例証の目的のために縮尺通りに示されていない場合がある。
【0039】
特許請求の範囲における参照番号は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。様々な図において、同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を指す。
【0040】
本発明は、特定の実施形態及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によって排他的に限定される。説明される図面は、概略的な目的のみのためであり、限定されるものではない。図面では、いくつかの要素の寸法は誇張されている場合があり、例証の目的のために縮尺通りに描かれていない場合がある。寸法及び相対的な寸法は、本発明の実際の実施形態に必ずしも対応していない。
【0041】
更に、説明及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、同様の要素を区別するために使用されており、必ずしも時間、空間、優先順位、又は任意のその他の方法の順序を説明するために使用されているわけではない。このように使用される用語は、好適な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は表される順序とは異なる順序で動作するのに好適であることを、理解するべきである。
【0042】
更に、説明及び特許請求の範囲における「頂部」、「底部」、「上方」、「前」等の用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対位置を説明するために使用されているわけではない。このように使用される用語は、特定の状況下で交換され得、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は表されるもの以外の配向に従った動作にもまた好適であることを、理解するべきである。
【0043】
特許請求の範囲で使用される「含む(contains)」という用語は、その後に説明される手段に限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。本用語は、その他の要素又は工程を除外しない。したがって、それは、それに言及される特徴、値、工程又は構成要素の存在を指定するものとして解釈され得るが、1つ以上のその他の特徴、値、工程若しくは構成要素、又はそれらの群の存在あるいは追加を除外しない。したがって、「手段A及びBを含むデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。本発明に関して、それは、A及びBがデバイスの唯一の関連構成要素であることを意味する。
【0044】
本明細書を通じた「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態において(in one embodiment)」又は「一実施形態において(in an embodiment)」という表現の出現は、必ずしも常に同じ実施形態を指す必要はなく、そうする場合もある。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本公開に基づいて平均的な当業者に明らかであるように、任意の好適な方法で組み合わせられ得る。
【0045】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明のいくつかの特徴は、刊行物を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つ以上を理解するのを手助けする目的で、単一の実施形態、図面、又はその説明に一緒にグループ化される場合があることを、理解するべきである。いずれせよ、本公開方法は、本発明が各請求項において明示的に述べられているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、以前に開示された単一の実施形態の特徴の全てには含まれない。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明示的に含まれ、各独立請求項は、本発明の別個の実施形態を構成する。
【0046】
更に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、その他の実施形態に含まれるその他の特徴ではなく、いくつかの特徴を含むが、様々な実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあるものとして意図され、これらは、当業者によって理解されるように、様々な実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用されてもよい。
【0047】
多数の具体的な詳細が、本明細書で提供される説明において所与されている。いずれにせよ、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしにもたらされ得ることが理解され得る。その他の場合には、本説明の明確性を確実にするために、周知の方法、構造、及び技術は詳細に示されていない。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲においてピラー間のマイクロチャネルに言及する場合、これは、寸法の少なくとも1つが10μm~0.1μmの間隔にあるチャネルを意味する。
【0049】
本明細書及び特許請求の範囲において順序付けられた組に言及する場合、これは、ランダムに位置付けられていないが、要素の互いの距離の間に特定の関係がある要素の組を意味する。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲において分布又は分散に言及する場合、これは、面積又は体積にわたる空間分布を意味する。
【0051】
本明細書及び特許請求の範囲において透過性に言及する場合、これは、所与の圧力勾配及びチャネル長さに対して液体がピラーを有する液体チャネルを通って流れ得る流量を意味する。
【0052】
本明細書及び特許請求の範囲においてピラーのアスペクト比に言及する場合、これは、ピラーの高さと最小寸法との間の比を意味する。本発明の実施形態では、この最小寸法はピラーの幅であり、幅は平均液体流方向で測定される。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲においてピラーの形状因子に言及する場合、これは、長さ/幅比、すなわち平均液体方向に対して直角に測定されるピラーの長さを意味する。
【0054】
第1の態様では、本発明は、液体流に基づくマイクロ流体デバイス100に関する。マイクロ流体デバイスは、典型的には、液体プラグの伝搬に適している。本発明の実施形態によれば、マイクロ流体デバイスは、液体クロマトグラフィデバイスであり得るが、実施形態はこれに限定されない。別の具体例は、ガスクロマトグラフィデバイスである。マイクロ流体デバイスは、より一般的には、中間体などの特定の構成成分を生成するため、ナノ粒子などの構成成分を合成するため、構成成分を分離及び/又は抽出するためなどに好適であり得る。
【0055】
本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの実施例が、図2図6に示されている。同じ参照番号が、様々な図を通して各部分に使用される。
【0056】
本発明の実施形態によれば、マイクロ流体デバイス100は、流体チャネルとしても周知の液体チャネル120を有する基材110を含む。チャネル120は、流体の供給及び排出のための入口123及び出口124を有する。チャネル120の長手方向軸線は、液体がチャネル120内を入口123から出口124へと流れる際の液体の平均液体流方向に従う。
【0057】
本発明の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、基材110上のチャネル120内に位置付けられたピラー130の順序付けられた組を備え、個々のピラー130は、少なくとも一対のフィンを備え、フィンは、基材と山型断面を形成する。山型ピラーでは、一対のフィンが互いに対してある角度で配置される。
【0058】
本発明の実施形態では、ピラー130は、列の対で配置される(例えば、図2図6の実施例を参照)。隣接する列は、互いに対して横方向に変位されて配置されている。変位量は、ピラーの長さの半分である。ピラーは、マイクロチャネルがピラー間に形成されるように配置され、それによって、連続する列のピラー間のこれらのマイクロチャネルは、(例えば、10%未満、あるいは5%未満、あるいは1%未満、あるいは0.1%未満、好ましい実施形態では更に0%の偏差で)実質的に同じ幅Bcを有する。
【0059】
図2では、液体は左から右に流れるが、列Aの山型対の凹側は平均液体流に面し、列Bの山型対の凸側は平均液体流に面する。
【0060】
本発明の実施形態では、ピラーは、同じ列の2つの隣接するピラーの間に実質的に一定のマイクロチャネル幅が得られるように配置され、山型形態である。
【0061】
本発明の実施形態の1つの利点は、円形又はその他の規則的な断面を有するピラーと比較して、ピラーのより大きなアスペクト比を得ることができることである。山型断面は、ピラーが崩壊する危険性を低減する。
【0062】
なお、本発明の実施形態の利点は、所与の最小ピラー間距離について、円形断面を有するピラーの順序付けられた構造と比較して、より高いピラー密度を得ることができることである。本発明の実施形態では、ピラーは、例えば、円形、正方形、三角形、又は等辺多角形の断面を有するピラーよりも大きな形状因子を有する。本発明の実施形態では、構造は、流れ孔全体(すなわち、隣接する列のピラー間のマイクロチャネル)が(主流れ方向に向けられた区分を除いて)全体にわたってゼロ幅を所与される点まで、同形の意味でより大きくし得る。
【0063】
なお、本発明の実施形態の利点は、ピラー間の平均距離が常にピラー間の最小距離に可能な限り近く、それによって、可能な限り均一な幅を有する流路が得られることである。
【0064】
本発明の実施形態では、流路の全ての区分に、処理するための等しい流量が所与される。これを達成するために、ピラーは、これらのノードに対して対称的に配置されるが、この命名は、ピラーが、2つの分岐が到達する各ノード及び2つの分岐が出発する各ノードにおいて、4つの分岐のそれぞれにおける流量が実質的に同じであるように配置されることを対称的に表す。2つの分岐が到達し、2つの分岐が出発するこのようなノードは、ダブルノードと称される。
【0065】
本発明の実施形態の利点は、十分に高い形状因子を有するピラーを実現し得、それによって、液体流に対する壁効果を低減することである。
【0066】
なお、本発明の実施形態の利点は、実質的に一定のマイクロチャネル幅が同じ列の隣接ピラー間で得られるように順序付けられた山型ピラーの列を導入することによって、試料プラグがカラムを通って移動する際の試料プラグの分布を減少させ得ることである。列は、ピラー長さの半分だけ互いに対して横方向に変位される。本発明の実施形態では、山型ピラーは、ピラー間に実質的に一定のマイクロチャネル幅が得られるように順序付けられる。列は、1つの列の凸状部分が別の列の凹状部分と位置合わせされ、逆もまた同様であるように、互いに対して互い違いであり、それによって、等しい幅のマイクロチャネルが列の間に存在する。列の開口部(ノード)は、ダブルノードに到達するもののマイクロチャネルが対称であり、ダブルノードから出発するマイクロチャネルが対称であるように配置される。対称軸線は、ダブルノードを通る長手方向軸線である。マイクロチャネルは、マイクロ流体デバイスの動作中にノードの方向にマイクロチャネル内に液体流が存在する場合にノードに入る。マイクロチャネルは、マイクロ流体デバイスの動作中にノードから離れたマイクロチャネル内に液体流が存在する場合に、ノードから出発する。このような対称ダブルノードの利点は、流れ場の均一性が、この対称性を有さないノードと比較して増大され得ることである。
【0067】
本発明の実施形態では、ピラー(ピラーが長さの半分である側のピラーを除く)は、同じ形状を有し、同じサイズである。本発明のいくつかの実施形態では、個々のピラーのフィン間の任意の角度は、全てのピラーについて実質的に同じである。
【0068】
基材は、ポリマー基材、半導体基材、金属基材、セラミック基材又はガラス若しくはガラス質基材などの任意の好適な基材であり得る。例えば、基材は、典型的なマイクロ流体基材であってもよい。流体チャネルは、基材内又は基材上に形成されたチャネルであってもよい。
【0069】
本発明の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、ピラーの組の頂部に頂部プレートを含み、頂部プレートは、基材110の反対側に位置付けられている。この頂部プレートは、ピラーと接触している。特定の実施形態では、本発明はこれに限定されないが、流体チャネルは、基材内のくぼみとして導入され、第2の基材(頂部プレート)は、頂部、側部、及び底部で閉鎖される流体チャネルを得るように、第1の基材の頂部に導入される。チャネルは、長方形の断面を有してもよい。本発明の実施形態では、ピラーは基材から頂部プレートまで延在する。本発明の実施形態では、ピラーは、可能な限り均一な流れ場を得るために、基材から頂部プレートまで延在する。
【0070】
本発明の一実施形態では、チャネルは、第1の基材内のくぼみとして導入され、第2の基材によって覆われ、入口及び出口は、第1の基材及び/又は第2の基材内に穿孔を有し得る。
【0071】
流体チャネルは、用途に応じた長さを有してもよい。特定の入口構造及び/又は出口構造、例えば、分配器を使用することによって、必要な長さに影響を及ぼすこともまた可能である。液体チャネルの典型的な幅は、必要に応じて選択され得る。必要な幅は、典型的には選択された長さに依存し、逆もまた同様である。一組の実施例では、流体チャネルの幅Bkは、0.02mm~250mmの間隔で選択され得る。
【0072】
液体チャネル120に関して、典型的には長手方向軸線を画定し得るが、長手方向軸線は、入口から出口へのチャネル内の流体の平均流れ方向の方向に従って配置される。例として、図2に示されるマイクロ流体デバイス100の概略的な実施例における長手方向軸線は、x軸である。このx軸は、図3図5にもまた示されている。更に、基材110、チャネル120自体及びチャネル壁122もまた、図2に示されている。流路壁122は、液体流路120を画定する。チャネル壁122は、基材材料によって画定されてもよいことに留意されたい。
【0073】
ピラーは、微細加工されたピラーであってもよいが、実施形態はこれに限定されない。ピラーは、精密製造技術に基づき得る。本発明の実施形態によれば、ピラー130は、基材に対して山型断面を有する。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態では、ピラーは全体にわたって等しい幅である。図に示される実施例では、この幅はBpとして示される。本発明の実施形態において幅Bpに言及する場合、これは、フィン区分をx軸線上に投影した後に測定される幅を指す。図2図3及び図4では、ピラーは全体にわたって等しい幅である。図5では、ピラーの幅Bpは変化する。この幅Bは、壁に対して垂直に測定されたピラーの平均幅に対応する。これは、例えば、0.5μm~5μm、又は最大10μm、又は最大50μmの間で変化し得る。
【0075】
本発明の実施形態においてピラーの高さに言及する場合、これは、基材に対して垂直に測定される。本発明の実施形態において、山型形状の長さLcに言及する場合、これは、基材に対して平行で長手方向軸線に対して垂直な方向に測定された距離を指す。ピラーの長さLpは、基材に対して平行で長手方向軸線に対して垂直な方向に測定されたピラーの全長である。
【0076】
本発明の実施形態では、ピラーの高さとピラーの幅Bpとの比は、8超であり、更には10超である。本発明の実施形態の利点は、円筒形ピラーを使用するよりも、山型断面を有するピラーを使用することによって、より大きな高さ/幅比を得ることができることである。この比は、アスペクト比とも称される。スティクション(ピラーの崩壊)を回避するために、より高いアスペクト比を可能にする山型構造が導入される。
【0077】
本発明の実施形態では、山型構造の長さLcと幅Bpとの間の比は、6より大きい、又は7より大きい、あるいは8より大きい。この長さ-幅比は、形状因子とも称される。例えば、形状因子は、6~9であってもよいが、例えば、20又は30程度の大きさであってもよい。
【0078】
同時に、フィンの端部は、同じ列の2つのフィンの間のチャネルの幅Woが実質的に一定であるように成形される(例えば、図2図3及び図4を参照)。本発明のいくつかの実施形態(例えば、図4を参照)では、同じ列の2つのフィン間のチャネルの幅Woにいくらかの変動が依然として存在し得る。幅の変動は、例えば、20%未満あるいは10%未満であってもよい。本発明の実施形態では、山型構造のフィン間の角度は、例えば、5°~175°であってもよい。
【0079】
本発明の実施形態では、フィンの端部はチャネル壁に対して平行である。本発明の実施形態の利点は、隣接するフィンの端部の間に形成されたマイクロチャネルが平均液体流方向に対して平行であることである。
【0080】
本発明の実施形態では、連続する列の2つのピラー間に形成されたチャネルは、この幅を測定し得る場所で実質的に等しい幅である。図では、この幅はBcとして示され、x軸上へのチャネル区分の投影に従って測定される。これは、例えば、0.1μm~10μmの間で変化し得る。
【0081】
本発明の実施形態では、軸方向におけるピラーの全幅Btは、ピラーの平均幅Biのx倍超である。幅Bは、フィンの壁に対して垂直の方向で測定される。幅は様々な場所で測定され得、平均が計算される。比率xは、例えば、1.05以上であってもよい。
【0082】
本発明の実施形態では、ノード内の流れ開口部のy方向(x方向に対して垂直かつ基材に対して平行)の幅W0は、自由に選択され得る。本発明の好ましい実施形態では、この幅は2*C以下である。この幅は、例えば、0.5μm~5μmの間隔で選択され得る。本発明の実施形態では、図2図4に示すように、この幅W0は実質的に一定である。
【0083】
本発明の実施形態では、流れ開口部WO=Bcである特別な場合に、多孔率=0を達成し得る。既に上述したように、これは、同形ピラーで得られる。
【0084】
本発明の実施形態の利点は、エッジ効果が生じることなく、2つの隣接するピラー間の最小距離を、チャネル壁と隣接する非接触ピラーとの間の最小距離よりも小さくなるように選択し得ることである。本発明のいくつかの実施形態では、2つの隣接するピラー130間の最小距離(Wo)は、チャネル壁122と隣接する非接触ピラーとの間の最小距離(dl)の0.5倍~2倍、あるいは0.5倍~1.5倍、あるいは0.5倍~1.1倍である。
【0085】
本発明の一実施形態では、マイクロ流体デバイスは、液体クロマトグラフィ分離デバイスである。これらのマイクロ流体デバイスでは、液体チャネルは別個のカラムである。大きな横方向移動のためにシステムの分離効果が高くなり得るが、限界効果が生じないか、又はこれらの効果が無視できることが利点である。
【0086】
チャネルに導入されるピラーの数は、達成されなければならない目的(例えば、分離能力)に従って選択され得る。特定の列内の液体チャネル内に生成され得る列の数は、チャネルの幅に依存する。例えば、チャネルの幅1mm当たり2~1,000個のカラムが導入され得る。
【0087】
本発明の実施形態では、個々のピラーは正確に一対のフィンを含む。その他の実施形態では、ピラーは2対のフィンを含んでもよい。図2では、単一ピラー内の山型構造の数は2に等しい。図3では、ピラーごとに2つの山型構造がある。本実施例では、単一の列に4つのピラーがある。しかしながら、これより多くても少なくてもよい。
【0088】
ピラーごとにより多くの山型構造があってもよい。この実施例が図4に示されており、ピラーごとに3つの山型構造(6対のフィン)がある。この場合も、本発明の実施形態では、単一の列内に存在するより多くのピラーがあってもよい。
【0089】
本発明の実施形態では、チャネル壁122に接触するピラー132は、壁に接触しないピラーのフィンの半分を含む(例えば、壁に接触しないピラーが2つのフィンからなる山型形態の1つのフィンのみ)。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態では、チャネル壁に接触するフィンは、列対の第1の列にのみ存在する。本発明のいくつかの実施形態では、対照的に、それらは列対の第2の列にのみ存在する。これらの場合、奇数列において壁に接触する2つのピラーが存在する(偶数列において壁に接触するピラーが存在しない)か、又は偶数列において壁に接触する2つのピラーが存在する(奇数列において壁に接触するピラーが存在しない)。
【0091】
本発明の実施形態では、チャネル壁に接触するフィンは、同じ方向に配置される。これは、例えば、平均的な液体方向の方向であり得る。
【0092】
本発明の実施形態では、2つのフィンとフィンの端部との間の接続部は丸みを帯びている。この実施例が、図5に示されている。図5の山型構造は、図2図3及び図4の実施例に類似して、互いに特定の角度で配置されたフィンを含む。山型構造の角部は、本実施例では丸みを帯びている。なお、突出部は、ピラーの凹側及び凸側の両方の中央に適用される。これらの突出部は、より均一な流れ幅が得られることを確実にする。これは、図8にて更に説明される。影付き領域は、ノードにおいてより均一な流れ幅を得る形状をピラーに所与する。この領域は、図5の山型構造への移行として見ることができる。
【0093】
既に上述したように、本発明の実施形態では、チャネル壁上のフィンは、流れ方向と同じ方向に配向される。これは、流路壁とフィンとの間に形成される角度が、液体流に最初に到達する側で測定して、90°超であることを意味する。実施形態では、この角度は、例えば、91°~179°、100°~170°、又は100°~140°であってもよい。本発明の実施形態では、チャネル壁と接触するフィン132は、隣接するフィンに対して平行である。
【0094】
同様に、図6では、角部は、2つのフィンの間の境界面において丸みを帯びている。なお、フィンは、ピラー及び基材の断面が波状形態を有するように、かつピラーの2つの列の間の流れ孔の幅Bpが全体にわたって実質的に同じであるように、湾曲している。本実施例では、フィンの横方向端部は平坦であり、チャネル側壁に対して平行である。本発明では、得られた形状を波状山型構造とも称する。
【0095】
本発明による実施形態では、ピラー130は微細加工ピラーである。
【0096】
本発明の実施形態では、当業者によって理解されるように、マイクロ流体デバイスの機能性に応じて、本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイス内に1つ以上の追加の構成要素が存在してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、1つ以上の分配器が存在してもよく、検出器が存在してもよいが、おそらくマイクロ流体デバイスの基材のうちの1つに統合されなくてもよく、更なるマイクロ流体ネットワークが存在してもよく、(例えば、電気泳動に基づく化学反応器又は電気化学反応器などのマイクロ流体デバイス内に)電極が存在してもよく、膜又はフィルタが存在してもよく、触媒床が存在してもよく、熱交換器が存在してもよく、放射源が存在してもよい等である。
【0097】
液体画分がマイクロ流体デバイス内へと流入する際に通る流れ開口部に応じて、液体画分は異なる流路に沿って移動する。本発明の実施形態の利点は、ピラーの特定の配置に起因して様々な流路が等しい長さであることである。
【0098】
第2の態様では、本発明は、マイクロ流体デバイスの製造のために基材内に構造体をリソグラフィで適用するためのマスクに関する。
【0099】
マスクは、基材110上のチャネル120内に位置付けられたピラー130の順序付けられた組を画定するための設計要素を含む。ピラー130は、基材と山型断面を形成する少なくとも一対のフィンを有する。
【0100】
ピラー130は、列の対で配置される。各対は、平均液体流に面する一対のフィンの凹側を有する1つの列と、平均液体流に面する一対のフィンの凸側を有する別の列と、を含む。マイクロチャネルがピラー間に形成される。
【0101】
本発明の実施形態では、列は互い違いになっており、連続する列のピラー間のマイクロチャネルは実質的に同じ幅を有する。
【0102】
本発明の実施形態では、山型形状は、実質的に一定のマイクロチャネル幅が同じ列の2つの隣接するピラー間で得られるようなものである。
【0103】
本発明の実施形態では、設計要素は、壁に接触する結果として生じるピラーが1つのフィンのみを含むように画定される。このフィンは、液体流の方向に配向されることが好ましい。
【0104】
本発明の実施形態では、チャネル壁に対するフィンは、例えば、第1の列の一部を形成してもよい。その他の実施形態では、対照的に、それらは第2の列の一部を形成する。
【0105】
一般に、本発明の第2の態様によるマスクは、ピラー構造のリソグラフィ用途のために、本発明の第1の態様によるピラー構造の用途に好適であるように形成されてもよい。
【0106】
第3の態様では、本発明は、マイクロ流体デバイスの製造方法に関する。本方法は、本発明の実施形態によるマスクを使用したピラーを有するチャネルのリソグラフィ実装を含む。本方法は、マスクのパターンを基材上にリソグラフィで転写して基材特徴部を生成する工程と、基材特徴部をエッチングしてピラーを生成する工程と、を含んでもよい。マイクロ流体デバイスの製造プロセスのその他の特徴は、当業者によって理解され得、したがって、本明細書では更に詳細に説明されない。
【0107】
本発明の一実施形態では、ピラー、入口及び出口は、深紫外線フォトリソグラフィ(deep UV photolithography)を使用して設計をシリコン基材に転写することによって、生成される。
【0108】
この実施例が、図9に示されている。この目的のために、例えば、最初に(工程210)、酸化シリコンの層12がシリコン基板11に1μmの厚さで適用される。この層は、第2の露光に続いて入口チャネル及び出口チャネルが形成された後に、分離床のためのハードマスクとして作用する。
【0109】
次に(工程220)、感光性ラッカ13がハードマスク12に適用される。
【0110】
第1の露光中に、ピラー床のパターンが、初期ドライエッチング工程(230、240)によって本ハードマスク層に転写される。
【0111】
次に、第2のフォトリソグラフィサイクルが実行されるが、これは、感光性ラッカ(13)の新しい層の適用から始まり(工程250)、ラッカ内に入口チャネル及び出口チャネルを画定する露光、その後、入口チャネル及び出口チャネルを、例えば、100μmの深さまで形成するための一連のドライディープエッチング工程が続く(工程260)。
【0112】
フォトラッカ13を除去することによって、ハードマスク層に形成されたピラー床のパターンが解放され、その後の一連の3つの工程によってピラー床を、例えば、30μmの深さまで形成し得、入口チャネル及び出口チャネルは、更に130μmまで深くなる(工程270)。
【0113】
最後の工程280では、修正されたウェットエッチング工程によってハードマスク層12を除去し得る。密閉された反応器を得るために、エッチングされたシリコン基板を、例えば、陽極結合工程によってホウケイ酸ガラス基板に固定し得る。
【0114】
様々な態様は互いに容易に組み合わせることができ、したがって、これらの組み合わせもまた、本発明による実施形態に対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】