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特表2024-512916置換ジアミノピラジンジカルボン酸の精製
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  • 特表-置換ジアミノピラジンジカルボン酸の精製 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】置換ジアミノピラジンジカルボン酸の精製
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/28 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
C07D241/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554903
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2022020789
(87)【国際公開番号】W WO2022212080
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】63/168,518
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517175301
【氏名又は名称】メディビーコン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フア、シャオガン
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物を精製する方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から前記式(I)の化合物又はその塩を精製する方法であって、
(a)前記式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む前記沈殿した反応生成物を溶媒と接触させて、第1の反応混合物を形成するステップと、
(b)40℃未満の温度を維持する真空下で、前記第1の反応混合物の少なくとも1回の蒸留を行い、第2の反応混合物を形成するステップと、
(c)前記第2の反応混合物を約0℃の温度まで冷却するステップと、
(d)前記第2の反応混合物から前記式(I)の化合物を単離するステップと、を含み、
前記式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C-C10非置換アルキル又はC-C10置換アルキルである、方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、(R)配置、(S)配置、又はラセミ混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、(R)-セリンである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が、C-C非置換アルキル又はC-C置換アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が、ベンジルである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(b)における前記少なくとも1回の蒸留が、少なくとも2回の蒸留を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応混合物が、50%未満の体積まで蒸留される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の反応混合物が、25%未満の体積まで蒸留される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
追加の溶媒が蒸留の合間に添加される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
2回目又はそれ以降の蒸留では、1回目の蒸留と同じ溶媒又は異なる溶媒を利用する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ブタノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、酢酸エチル、イソプロパノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約2:1~約25:1である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約15:1~約20:1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、4:1~約6:1である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記温度が、前記ステップ(b)において20℃未満で維持される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記真空が、1693.19hPa(50inHg)未満で行われる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記真空が、948.19hPa(28inHg)未満である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記式(I)の化合物が、60%超の収率を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記式(I)の化合物が、70%超の収率を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記式(I)の化合物が、95%超の純度を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記式(I)の化合物が、97%超の純度を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が(R)-ベンジルセリンであり、
前記ステップ(a)における前記溶媒が、酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約2:1~約25:1であり、
前記第1の反応混合物が真空下で蒸留され、
前記蒸留の温度が40℃未満であり、
前記真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、
蒸留後の前記第1の反応混合物の体積が50%未満であり、
前記ステップ(b)における前記溶媒がイソプロパノールであり、
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約2:1~約25:1であり、
前記第1の反応混合物が真空下で蒸留され、
前記真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、
前記蒸留の温度が20℃未満であり、
蒸留後の前記第1の反応混合物の体積が50%未満であり、第2の反応混合物を形成し、
前記第2の反応混合物が約0℃の温度になり、
前記第2の反応混合物から前記式(I)の化合物が単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記式(I)の化合物が、60%超の収率を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記式(I)の化合物が、95%超の純度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が(R)-ベンジルセリンであり、
前記ステップ(a)における前記溶媒が、酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約15:1~約20:1であり、
前記第1の反応混合物が真空下で蒸留され、
前記蒸留の温度が40℃未満であり、
前記真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、
蒸留後の前記第1の反応混合物の体積が50%未満であり、
前記ステップ(b)における前記溶媒がイソプロパノールであり、
前記式(I)の化合物と前記溶媒との体積(mL)対重量(g)比が、約4:1~約6:1であり、
前記第1の反応混合物が真空下で蒸留され、
前記蒸留の温度が20℃未満であり、
前記真空が846.59(25inHg)未満であり、
蒸留後の前記第1の反応混合物の体積が25%未満であり、第2の反応混合物を形成し、
前記第2の反応混合物が約0℃の温度になり、
前記第2の反応混合物から前記式(I)の化合物が単離される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記式(I)の化合物が、70%超の収率を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記式(I)の化合物が、97%超の純度を有する、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月31日に出願された米国仮出願第63/168,518号の優先権を主張し、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物を精製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3,6-ジアミノ-2,5-ビス{N-[(1R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル]-カルバモイル}ピラジン(MB-102と称される)は、ヒト対象における腎機能の監視に有用な非放射性外因性薬剤である。3,6-ジアミノ-2,5-ビス{N-[(1R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル]-カルバモイル}ピラジンの調製は、図1に示されるように、文献に開示される4段階法によって調製される。この4段階プロセスのステップ1は、濃硫酸を使用して化合物1の芳香族ニトリル基を加水分解して、ジカルボキサミド化合物2を形成する。ステップ2は、化合物2のジカルボキサミド基を加水分解して、ジカルボン酸化合物3(MB-301と称される)を得る。ステップ3は、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)、EDC HCl、ジイソプロピルエチルアミンのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を使用して、生成物3を(R)セリンHClのベンジルエステルとカップリングさせて、化合物4(MP-3269と称される)を得ることを伴う。不純物を除去して高純度の化合物4を提供するために、粗化合物4をクロマトグラフィーにより概ね精製する。精製された化合物4は、還元脱ベンジル化を経て、ステップ4で3,6-ジアミノ-2,5-ビス{N-[(1R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル]-カルバモイル}ピラジン化合物5を形成する。
【0004】
このプロセスをGMP(適正製造基準)プロセスに更に発展させる際の主な問題は、このプロセスのステップ3で特定される。ステップ3は、クロマトグラフィーを利用し、不純物を除去して化合物4の純度を増加させるために大量の様々な溶媒を必要とする。クロマトグラフィー及び溶媒の量は、化合物4の全体的なコストを増加させ、本プロセスの廃棄物を増加させる。
【0005】
初期プロセス開発では、上記のプロセスのステップ3を試験した。最初にステップ3を試験して、本プロセスにおけるDMFの量を減少させた。このDMFの減少により、廃棄物要因が改善され、本プロセスのコストが削減された。これらの初期プロセス開発実験から、溶解度を提供し、かつステップ3を続行して完了させるのに必要な最小量のDMFが見出された。その後、反応混合物からDMFを除去する必要があった。概して、大過剰量のDMFは、大過剰量の水(DMFの量に対して約50~100倍の水)を使用して除去することができ、化合物4が沈殿する。沈殿物に大量の水を使用することにより、本プロセスの全体的な廃棄物要因が増加する。DMFを除去するための代替方法を調査した。蒸留した後に沈殿させて完了した方法ステップからDMFを除去するための実験を行った。この蒸留により、新たな不純物、すなわち、N-ホルミル不純物化合物12が得られた。本プロセスのステップ4で少量のN-ホルミル不純物12を含む粗化合物4の使用を試み、ステップ3から持ち越された少量のN-ホルミル付加物を含む材料が得られた。
【0006】
化合物4を調製するための新たな方法は、カップリング試薬としてOxyma及びEDC HClを利用し、同時係属出願(全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年3月31日に出願された米国仮出願第63/168,512号)に開示されている。この方法が図2に示され、粗プロセス由来の不純物が図3に示される。他の不純物は、ステップ3由来の化合物4の結晶化によって容易に除去されることが見出された。
【0007】
不純MB-102を後処理して結晶化して、高度に精製されたMB-102を形成するための改善された方法が必要とされている。この新たな方法は、クロマトグラフィーの必要性を排除し、N-ホルミル不純物化合物12などの不純物を減少させるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、下記の式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物又はその塩を精製する方法であって、
(a)式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物を溶媒と接触させて、第1の反応混合物を形成するステップと、
(b)40℃未満の温度を維持する真空下で、第1の反応混合物の少なくとも1回の蒸留を行い、第2の反応混合物を形成するステップと、
(c)第2の反応混合物を約0℃の温度まで冷却するステップと、
(d)第2の反応混合物から式(I)の化合物を単離するステップと、を含み、
式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C-C10非置換アルキル又はC-C10置換アルキルである、方法が提供される。
【0009】
【化1】
【0010】
本発明の他の特徴及び態様は、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】文献の方法に示される、3,6-ジアミノ-2,5-ビス{N-[(1R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル]-カルバモイル}ピラジンを調製するための反応スキームを示す図である。
図2】プロセスのステップ3の反応及び最適化を示す図である。
図3】プロセス進行中に得られた不純物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を開示及び記載する前に、本発明が本明細書に開示される特定の方法、組成物、又は材料に限定されず、関連技術分野の当業者によって認識され得るように、それらの等価物にまで及ぶことを理解されたい。本明細書で用いられる用語が特定の実施形態を説明する目的のためにのみ使用され、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0013】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現又は提示され得る。かかる範囲形式が単に利便性のためかつ簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値のみならず、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例として、「約2~約50」の数値範囲は、2~50の明示的に列挙された値のみならず、指示された範囲内の全ての個々の値及び部分範囲も含むように解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、2.4、3、3.7、4、5.5、10、10.1、14、15、15.98、20、20.13、23、25.06、30、35.1、38.0、40、44、44.6、45、48などの個々の値、及び1~3、2~4、5~10、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~50、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、最小値又は最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。更に、かかる解釈は、範囲の幅又は記載されている特性にかかわらず適用されるべきである。
【0014】
式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物を精製する方法が提供される。有利には、式(I)の化合物は、精製後に、より少ない量の不純物、少ない残留溶媒、少ない残留水を有し、後続のプロセスステップで容易に利用することができる。
【0015】
(I).式(I)の化合物を精製する方法
【0016】
一態様では、本開示は、下記の式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物を精製する方法であって、
(a)式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物を溶媒と接触させて、第1の反応混合物を形成するステップと、
(b)40℃未満の温度を維持する真空下で、第1の反応混合物の少なくとも1回の蒸留を行い、第2の反応混合物を形成するステップと、
(c)第2の反応混合物から式(I)の化合物を結晶化するステップと、を含み、式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C-C10非置換アルキル又はC-C10置換アルキルである、方法が提供される。
【0017】
【化2】
【0018】
本明細書に開示される精製は、クロマトグラフィーを利用せず、次のプロセスステップ又はステップに持ち越されるであろう不純物を減少させる。したがって、これらの不純物は、最終生成物中に存在しないか、又は低レベルでしか存在しないであろう。4段階法は、通常の、従来の製造装置、従来の製造蒸留装置、真空、及び従来の撹拌方法を使用して、半バッチプロセス又はバッチプロセスで行われ得る。
【0019】
(a).式(I)の化合物
【0020】
式(I)の化合物は、以上で詳細に記載される。
【0021】
概して、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸であり得る。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分は、非天然アミノ酸であり得る。特定の実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分は、セリンであり得る。
【0022】
概して、AAエステルのアミノ酸部分の配置は、(R)配置、(S)配置、又はラセミ混合物であり得る。特定の実施形態では、アミノ酸部分の配置は、(R)配置、具体的には、(R)-セリンであり得る。
【0023】
概して、式(I)の化合物のAAエステルのエステル部分は、C-C10非置換アルキル又はC-C10置換アルキルであり得る。様々な実施形態では、式(I)の化合物のAAエステルのエステル部分は、C-C非置換アルキル又はC-C置換アルキルであり得る。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分は、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルであり得る。特定の実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分は、ベンジルである。
【0024】
本プロセス由来の反応生成物は、式(I)の化合物、増加した不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む。
【0025】
a.ステップ(a)
【0026】
上述のように、4段階プロセスのステップ(a)は、式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物を溶媒と接触させて、第1の反応混合物を形成することを伴う。
【0027】
様々な溶媒が本方法で使用することができる。これらの溶媒は、式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む本プロセス由来の沈殿した反応生成物の部分的又は全体的溶解性を提供する。
【0028】
概して、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、及びプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合物を含む多種多様な溶媒が本方法で使用され得る。好適な溶媒の非限定的な例は、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ブタノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。ある特定の実施形態では、溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、イソブタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。特定の実施形態では、溶媒は、酢酸エチル、イソプロパノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。4段階法のステップ(a)で使用される水は、脱イオン水、蒸留水、蒸留脱イオン水、又は飲料(水道)水であり得る。
【0029】
概して、式(I)の化合物に対する溶媒は、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)である。様々な実施形態では、体積対重量比は、約2:1~約25:1、約4:1~約20:1、又は約5:1~約18.5:1であり得る。一実施形態では、式(I)の化合物に対する溶媒は、約15:1~約20:1の体積(mL)対重量比(g)である。別の実施形態では、式(I)の化合物に対する溶媒は、4:1~約6:1の体積(mL)対重量比(g)である。
【0030】
概して、4段階法のステップ(a)は、利用される溶媒又は溶媒の混合物に応じて、約10℃~約35℃の範囲の温度で行われ得る。様々な実施形態では、ステップ(a)の温度は、約10℃~約35℃、約15℃~約30℃、又は約20℃~約30℃の範囲であり得る。一実施形態では、本方法のステップ(a)は、約23℃の温度(室温)で行われ得る。本方法は、典型的には、周囲圧力下で行われる。反応は、不活性雰囲気下、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、及びそれらと空気との組み合わせ下でも行われ得る。
【0031】
概して、4段階法のステップ(a)は、スラリーが得られるまで十分な時間にわたって続行される。4段階法のステップ(a)の持続時間は、約30分間~約6時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本方法の持続時間は、スラリーが得られるまで、約30分間~約2時間、約2時間~約4時間、又は約4時間~約6時間の範囲であり得る。一実施形態では、4段階法のステップ(a)は、約30分間~約1時間にわたって続行されてもよい。
【0032】
b.ステップ(b)
【0033】
4段階法のステップ(b)は、40℃未満の温度を維持する真空下で、第1の反応混合物の少なくとも1回の蒸留を行い、第2の反応混合物を形成することを含む。このステップは、沈殿中に十分に除去されなかった式(I)の化合物を含む沈殿した反応生成物中の同伴溶媒、溶媒和物、又は残留溶媒を除去する。4段階法のステップ(b)は、少なくとも2回の蒸留を利用し得、2回目又はそれ以降の蒸留は、1回目の蒸留と同じ溶媒又は異なる溶媒を利用し得る。2回の蒸留が利用される場合、2回目の蒸留前に、追加の溶媒が第1の反応混合物に添加され得る。様々な実施形態では、溶媒は、同じ溶媒又は溶媒の混合物である。他の実施形態では、溶媒は、異なる溶媒又は異なる溶媒の混合物であり得る。
【0034】
概して、4段階法のステップ(b)の温度は、第1の反応混合物の内容物の温度を40℃未満で維持するために行われる。様々な実施形態では、第1の反応混合物の内容物は、40℃未満、30℃未満、20℃未満、10℃未満、又は0℃未満の温度で維持される。一実施形態では、第1の反応混合物の内容物の温度は、20℃未満で維持される。
【0035】
概して、4段階法のステップ(b)の蒸留に使用される真空は、1693.19hPa(50inHg)未満である。様々な実施形態では、ステップ(b)の蒸留における真空は、1693.19hPa(50inHg)未満、1354.55Pa(40inHg)未満、1015.91(30inHg)未満、又は677.28(20inHg)未満である。一実施形態では、4段階法のステップ(b)の蒸留に使用される真空は、948.19hPa(28inHg)未満である。
【0036】
概して、4段階法のステップ(b)の真空蒸留は、第1の反応混合物の初期体積と比較して第1の反応混合物の体積が50%未満になるまで行われる。様々な実施形態では、4段階法のステップ(b)の蒸留は、第1の反応混合物の初期体積と比較して体積が50体積%未満、40体積%未満、30体積%未満、又は20体積%未満になるまで行われる。一実施形態では、蒸留は、第1の反応混合物の初期体積と比較して第1の反応混合物の体積が50%未満になるまで行われる。別の実施形態では、蒸留は、第1の反応混合物の初期体積と比較して第1の反応混合物の体積が25%未満になるまで行われる。2回以上の蒸留が4段階法のステップ(b)で利用される場合、蒸留後の第1の反応混合物の体積は、第1の反応混合物の初期体積と比較して同じであり得るか、又は異なり得る。別の実施形態では、第1の反応混合物は、1回目の蒸留において、第1の反応混合物の初期体積と比較して50%未満の体積まで蒸留され、2回目の蒸留において、第1の反応混合物の初期体積と比較して25%未満の体積まで蒸留される。
【0037】
当業者に理解されるように、4段階法のステップ(b)を行う時間は、蒸留の回数、バッチのサイズ、溶媒の体積、真空の量、及び使用される装置に応じて変化する可能性があり、変化するであろう。
【0038】
c.ステップ(c)
【0039】
4段階法のステップ(c)は、ステップ(b)後に形成された第2の反応混合物を冷却し、精製された式(I)の化合物を結晶化する。結晶は、様々なサイズ及び形状のものであり得る。第2の反応混合物が外部で冷却されて、式(I)の化合物の溶解度を更に低下させることができる。
【0040】
概して、第2の反応混合物は、約0℃の温度まで冷却される。様々な実施形態では、第2の反応混合物は、約0℃、0℃未満、-10℃未満、又はそれ以下の温度まで冷却される。
【0041】
d.ステップ(d)
【0042】
4段階法のステップ(d)は、第2の反応混合物から精製された式(I)の化合物を単離する。この化合物は、式(I)の化合物の精製された結晶を含む。
【0043】
精製された式(I)の化合物は、濾過又は遠心分離などの当該技術分野で既知の技法を使用して単離され得る。精製された式(I)の化合物を単離した後、この物質が洗浄され、カール・フィッシャー滴定(KF)によって測定される、一定量の水分が得られるまで、乾燥させられる。
【0044】
概して、4段階法を行った後の式(I)の化合物の収率は、60%超であり得る。様々な実施形態では、収率は、60%超、70%超、80%超、又は90%超であり得る。一実施形態では、4段階法の収率は、70%超である。
【0045】
概して、式(I)の化合物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)、又は当該技術分野で既知の他の方法によって測定して、95%超であり得る。様々な実施形態では、式(I)の化合物の純度は、95%超、97%超、99%超、又は99.9%超であり得る。一実施形態では、式(I)の化合物の純度は、97%超である。
【0046】
d.例示的な実施形態
【0047】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分は(R)-ベンジルセリンであり、溶媒は、ステップ(a)において酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、式(I)の化合物に対する溶媒は、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物は真空下で蒸留され、蒸留の温度は40℃未満であり、真空は1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積は50%未満であり、溶媒は、ステップ(b)においてイソプロパノールであり、式(I)の化合物に対する溶媒は、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物は真空下で蒸留され、真空は1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留の温度は20℃未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積は50%未満であり、第2の反応混合物を形成し、第2の反応混合物は約0℃の温度になり、式(I)の化合物は第2の反応混合物から単離される。式(I)の化合物の4段階プロセスを行った後の収率は60%超であり、式(I)の化合物の純度は95%超である。
【0048】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分は(R)-ベンジルセリンであり、溶媒は、ステップ(a)において酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、式(I)の化合物に対する溶媒は、約15:1~約20:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物は真空下で蒸留され、蒸留の温度は40℃未満であり、真空は1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積は50%未満であり、溶媒は、ステップ(b)においてイソプロパノールであり、式(I)の化合物に対する溶媒は、約4:1~約6:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物は真空下で蒸留され、蒸留の温度は20℃未満であり、真空は846.59(25inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積は25%未満であり、第2の反応混合物を形成し、第2の反応混合物は約0℃の温度になり、式(I)の化合物は第2の反応混合物から単離される。式(I)の化合物の4段階プロセスを行った後の収率は70%超であり、式(I)の化合物の純度は97%超である。
【0049】
定義
【0050】
本明細書に記載の実施形態の要素を紹介する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「前記(said)」は、1つ以上の要素が存在することを意味するよう意図されている。「約」という用語は、±20%を表すよう意図されている。
【0051】
本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、及び「有する(having)」などは、米国特許法でそれらに帰するとされる意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができ、一般にオープンエンド用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」という用語は、閉ざされた用語であり、かかる用語と併せて具体的に列記される構成要素、構造、ステップなど、並びに米国特許法に従うもののみを含む。「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」は、米国特許法によって概してそれらに帰するとされる意味を有する。特に、かかる用語は、概して、関連して使用される品目の基本的な及び新規の特性又は機能に実質的に影響を及ぼさない、追加の品目、材料、構成要素、ステップ、又は要素を含めることを可能にすることを除いて、閉ざされた用語である。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質又は特性に影響を及ぼさない微量元素は、存在する場合、かかる用語に続く品目のリストに明示的に列挙されていなくとも、「から本質的になる(consisting essentially of)」という言語下で許容されるであろう。本明細書において、「含む(comprising)」又は「含む(including)」などのオープンエンド用語を使用する場合、明示的に述べられているかのように、「から本質的になる(consisting essentially of)」という言語及び「からなる(consisting of)」という言語にも直接的なサポートが提供されるべきであり、その逆も同様であることが理解される。
【0052】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法に様々な変更を加えることができるため、上記の発明を実施するための形態及び以下に提供される実施例に含まれる全ての事項が例証として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
【0053】
例示的な実施形態
【0054】
実施形態1:下記の式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物から式(I)の化合物又はその塩を精製する方法であって、
(a)式(I)の化合物、不純物、及び/又は残留溶媒若しくは同伴溶媒を含む沈殿した反応生成物を溶媒と接触させて、第1の反応混合物を形成するステップと、
(b)40℃未満の温度を維持する真空下で、第1の反応混合物の少なくとも1回の蒸留を行い、第2の反応混合物を形成するステップと、
(c)第2の反応混合物を約0℃の温度まで冷却するステップと、
(d)第2の反応混合物から式(I)の化合物を単離するステップと、を含み、
式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C1-C10非置換アルキル又はC1-C10置換アルキルである、方法。
【0055】
【化3】
【0056】
実施形態2:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分が、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸である、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分が、(R)配置、(S)配置、又はラセミ混合物である、実施形態2に記載の方法。
実施形態4:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のアミノ酸部分が、(R)-セリンである、実施形態2又は3に記載の方法。
実施形態5:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分が、C-C非置換アルキル又はC-C置換アルキルである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分が、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルである、実施形態2に記載の方法。
実施形態7:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分が、ベンジルである、実施形態2に記載の方法。
実施形態8:ステップ(b)における少なくとも1回の蒸留が、少なくとも2回の蒸留を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9:第1の反応混合物が、50%未満の体積まで蒸留される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10:第1の反応混合物が、25%未満の体積まで蒸留される、実施形態9に記載の方法。
実施形態11:追加の溶媒が蒸留の合間に添加される、実施形態8又は9のいずれかに記載の方法。
実施形態12:2回目又はそれ以降の蒸留では、1回目の蒸留と同じ溶媒又は異なる溶媒を利用する、実施形態11に記載の方法。
実施形態13:溶媒が、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ブタノン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14:溶媒が、酢酸エチル、イソプロパノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態13に記載の方法。
実施形態15:式(I)の化合物に対する溶媒が、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16:式(I)の化合物に対する溶媒が、約15:1~約20:1の体積(mL)対重量比(g)である、実施形態15に記載の方法。
実施形態17:式(I)の化合物に対する溶媒が、4:1~約6:1の体積(mL)対重量比(g)である、実施形態15に記載の方法。
実施形態18:温度が、ステップ(b)において20℃未満で維持される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19:真空が、1693.19hPa(50inHg)未満で行われる、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20:真空が、948.19hPa(28inHg)未満である、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:式(I)の化合物が、60%超の収率を有する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22:式(I)の化合物が、70%超の収率を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23:式(I)の化合物が、95%超の純度を有する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24:式(I)の化合物が、97%超の純度を有する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分が(R)-ベンジルセリンであり、溶媒が、ステップ(a)において酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、式(I)の化合物に対する溶媒が、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物が真空下で蒸留され、蒸留の温度が40℃未満であり、真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積が50%未満であり、溶媒が、ステップ(b)においてイソプロパノールであり、式(I)の化合物に対する溶媒が、約2:1~約25:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物が真空下で蒸留され、真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留の温度が20℃未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積が50%未満であり、第2の反応混合物を形成し、第2の反応混合物が約0℃の温度になり、式(I)の化合物が第2の反応混合物から単離される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26:式(I)の化合物が、60%超の収率を有する、実施形態25に記載の方法。
実施形態27:式(I)の化合物が、95%超の純度を有する、実施形態25に記載の方法。
実施形態28:式(I)の化合物のAAエステル又はその塩のエステル部分が(R)-ベンジルセリンであり、溶媒が、ステップ(a)において酢酸エチル、イソプロパノール、及び水の混合物であり、式(I)の化合物に対する溶媒が、約15:1~約20:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物が真空下で蒸留され、蒸留の温度が40℃未満であり、真空が1693.19hPa(50inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積が50%未満であり、溶媒が、ステップ(b)においてイソプロパノールであり、式(I)の化合物に対する溶媒が、約4:1~約6:1の体積(mL)対重量比(g)比を有し、第1の反応混合物が真空下で蒸留され、蒸留の温度が20℃未満であり、真空が846.59(25inHg)未満であり、蒸留後の第1の反応混合物の体積が25%未満であり、第2の反応混合物を形成し、第2の反応混合物が約0℃の温度になり、式(I)の化合物が第2の反応混合物から単離される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29:式(I)の化合物が、70%超の収率を有する、実施形態28に記載の方法。
実施形態30:式(I)の化合物が、97%超の純度を有する、実施形態28に記載の方法。
【実施例
【0057】
実施例1:ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)の精製
59.02gの不純ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)をEtOAc(500mL、8.5体積)中で再構築し、オレンジ色のスラリーを得た。IPA(295mL、5体積)を20℃で添加し、いくらかの溶解度が観察された。HO(295mL、5体積)をこの混合物に添加し、二相性の均質な混合物を得た。真空蒸留を使用して、溶媒をT=20℃/T=0℃(948.19hPa(28inHg))で除去して、600mLの体積にした。EtOAcを除去するとオレンジ色のスラリーが生じ、この液体は単相になった。IPA(295mL、5体積)を充填し、Vが425mL(約7.7体積、理論収率を参照されたい)になるまで真空蒸留(948.19hPa(28inHg))をT=25℃/T=13℃で継続した。真空を破壊し、オレンジ色のスラリーを3℃まで冷却し、1時間熟成させた後、冷却濾過した。反応容器をIPA/HO(1:1v/v、120mL、2.18体積)ですすぎ、冷却し、その後、それを使用して湿潤ケーキをすすいだ。MP-3269の結晶化から得られた濾液の体積は219mL(4体積)であった。湿潤ケーキを35℃の真空オーブン内で16.5時間乾燥させて、オレンジ色の流動性固体として39.04gのMP-3269(収率70%)を得た。HPLCによる分析(25分法)は、97.28%(AUC)の純度を示し、RRT=1.03(m/z=233、陽性モード)で1.17%の不純物を含んでいた。この物質は、KF分析による、0.59%HOを含んでいた。
図1
図2
図3
【国際調査報告】