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特表2024-512918可変光パワー又は可変ビーム偏向を有する光デバイスのセンサベース制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】可変光パワー又は可変ビーム偏向を有する光デバイスのセンサベース制御
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20240313BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240313BHJP
   G03B 19/12 20210101ALI20240313BHJP
【FI】
G02B26/08 H
G02B7/04 Z
G03B19/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023555291
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022058413
(87)【国際公開番号】W WO2022207706
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21165787.9
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511009547
【氏名又は名称】ポライト アーエスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キルピネン、ジャン タパニ
(72)【発明者】
【氏名】カルタショフ、ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】タラロン、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ジレ、アラン
(72)【発明者】
【氏名】クレイン、ピエール
【テーマコード(参考)】
2H044
2H054
2H141
【Fターム(参考)】
2H044BF00
2H054BB02
2H141MA12
2H141MB27
2H141MB43
2H141MB56
2H141MC01
2H141MC04
2H141MC08
2H141MC09
2H141ME01
2H141ME11
2H141ME24
2H141MG09
2H141MZ13
(57)【要約】
本発明は、制御可能なレンズ又は制御可能なビーム偏向器などの制御可能な光アセンブリに関する。光アセンブリは、第1及び第2のカバー部材を備え、これらの一方が透明カバー部材であり、他方が透明又は反射カバー部材である。透明で変形可能な非流動体は、第1及び第2のカバー部材の間に挟まれ、これによって、第1及び第2のカバー部材と非流動体とがレンズ又は光偏向器を構成する。アクチュエータは、制御信号に応じて、少なくとも第1のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されている。1つ以上のセンサが、第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ又は傾きを示す測定信号を生成するために提供される。制御信号は、測定信号に基づいて決定される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変光パワー及び/又は可変ビーム偏向を有する制御可能な光アセンブリ(199、599)であって、前記光アセンブリは、
第1のカバー部材(111)及び第2のカバー部材(112)であって、前記第1及び前記第2のカバー部材の一方が透明カバー部材であり、前記第1及び前記第2のカバー部材の他方が透明又は反射カバー部材であり、
前記第1及び第2のカバー部材の間に挟まれた、透明で変形可能な非流動体(105)であって、これによって、前記第1及び前記第2のカバー部材と前記非流動体とが、前記非流動体と前記第1及び/又は第2の透明カバー部材に交差する光軸(150)を有するレンズ又は光偏向器を構成し、
制御信号に応じて、少なくとも前記第1のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置された1つ以上のアクチュエータ(120)であって、前記制御信号は第1及び第2の測定信号から取得可能であり、
前記第1及び第2の測定信号を供給するように配置された第1及び第2のセンサ(140)であって、これによって、前記測定信号が少なくとも前記第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示し、前記第1のセンサが請求項21から29のいずれか一項に記載の光センサであり、前記第2のセンサが請求項12から20のいずれか一項に記載の変形センサである、
を備える制御可能な光アセンブリ。
【請求項2】
前記第2のカバー部材(112)はプリズム(501)であり、前記第1のカバー部材は、入射光(502)の強度の少なくとも一部を反射するように前記プリズムの斜辺に対向して配置された前記反射カバー部材である、請求項1に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項3】
前記1つ以上のアクチュエータ(120)が、前記反射カバー部材の制御可能な傾きを生成するように配置されている、請求項1又は2に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項4】
前記1つ以上のアクチュエータ(120)は、直線的又は実質的に直線的な変位を発生させることができる変位アクチュエータ(303)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項5】
前記変位アクチュエータ(303)を前記第1のカバー部材(111)及び/又は前記第2のカバー部材(112)と接続する1つ以上の弾性要素(315)を備え、前記1つ以上の弾性要素の各々の少なくとも一部は、前記アクチュエータの変位に応答して弾性的に変形するように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサ(140)は、それぞれの前記1つ以上の弾性要素(315)の一部の変形を測定するように配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項7】
前記支持構造は剛性フレームを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項8】
前記支持構造は前記非流動体を少なくとも部分的に取り囲み、前記支持構造は前記非流動体から離間し、前記非流動体を取り囲むか又は部分的に取り囲む前記支持構造の少なくとも一部に沿って、前記非流動体が前記支持構造に接触することなく膨張することが許容される、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のカバー部材は前記支持構造に固定され、前記1つ以上のアクチュエータは前記第1のカバー部材の表面に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項10】
前記1つ以上のアクチュエータは、前記第1のカバー部材の前記表面に接続された1つ以上の圧電素子を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項11】
前記1つ以上の圧電素子は、前記第1のカバー部材の前記表面に接続されたリング形状の圧電素子を備え、前記リング形状の圧電素子は、前記光の透過を可能にする開口部を有するように構成される、請求項10に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項12】
前記1つ以上のセンサ(140)は圧電センサ素子を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項13】
前記圧電センサ素子は、前記1つ以上のアクチュエータ(120)として構成される前記1つ以上の圧電素子である、請求項1~12のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項14】
前記1つ以上のセンサ(140)は、前記1つ以上のアクチュエータの表面に接続された変形センサである、請求項1~13のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上のアクチュエータ(120)は、前記1つ以上の変形センサ(140)と、前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)との間に挟まれている、請求項14に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項16】
前記光アセンブリ(199、599)は、前記第1又は前記第2のカバー部材の曲げに応じた変形に曝されないように、又は実質的に曝されないように配置された、少なくとも1つの補償センサ(240)を備え、前記少なくとも1つの補償センサは、前記1つ以上の変形センサと同じタイプである、請求項14又は15に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの補償センサ(240)は、前記第1のカバー部材及び/又は前記第2のカバー部材を支持するように構成された支持構造(130)に接続される、請求項16に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの補償センサと前記1つ以上の変形センサは、前記1つ以上の変形センサの温度依存性が前記少なくとも1つの補償センサの対応する温度依存性によって補償されるように配置されている、請求項16又は17に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項19】
前記変形センサ(140)は前記レンズの光軸に対して対称に配置されている、請求項12~18のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項20】
前記制御信号は、前記複数の変形センサにより測定された変形に応じて決定される、請求項12~19のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項21】
前記センサ(140)は、光ビーム(553)が前記第1及び/又は前記第2のカバー部材(111、112)の前記曲げ又は傾きによって影響を受けるよう前記光ビームを伝搬するように配置された光源(551)を備え、前記センサは、前記曲げ及び/又は傾きに関連する前記光ビームの変化を測定するように配置された光検出器(552)を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項22】
前記光源(551)は、曲げられたり傾けられたりするように配置された前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)によって前記光ビーム(553)が反射されるように配置されている、請求項21に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項23】
前記光検出器(552)は少なくとも2つの個別の光検出器(602)を備え、前記個別の光検出器の各々は、前記個別の光検出器に入射する前記光の前記パワーに相関する出力信号を生成することが可能である、請求項21又は22に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項24】
前記光源(551)の出力開口部及び前記個別の光検出器(602)の入力開口部は、前記第1及び前記第2のカバー部材(111、112)に面するように配置されている、請求項21~23のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項25】
前記光源(551)は前記個別の光検出器(602)を囲む円の中心に配置されている、請求項21~24のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項26】
前記光源(551)は、前記光ビーム(553)の強度プロファイルの中心などの前記光ビーム(553)が、前記光軸(150)から所定距離(h)だけ離れて前記第1及び/又は前記第2のカバー部材(111、112)に当たるように配置されている、請求項21~25のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項27】
前記光ビーム(553)が前記第1及び/又は前記第2のカバー部材(111、112)に当たる位置において、前記光ビーム(553)と表面法線とがなす入射面は、光軸(150)を含まない、請求項21~25のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項28】
前記光源(551)は、前記光ビーム(553)が前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)を透過するように配置され、前記光検出器(552)は、前記透過した光ビームを測定するように配置されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項29】
前記光検出器(552)は、その入力開口部が前記光軸(150)を向くように配置されている、請求項28に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項30】
カメラモジュールなどの電子デバイス(900)において、請求項1~29のいずれか一項に記載の前記光アセンブリ(199、599)と、前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の所望の曲げ又は傾きを得るために、前記第1及び前記第2の測定信号に応じて前記制御信号を生成するように配置された制御システム(190)とを備える、電子デバイス。
【請求項31】
請求項1に記載の光アセンブリ(199、599)の制御方法であって、前記方法は、
前記1つ以上のセンサから第1及び第2の測定信号を取得することであり、これにより前記測定信号が前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の前記曲げ及び/又は傾きを示し、
前記測定信号に基づいて制御信号を決定することと、
前記制御信号に応じて、前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを制御すること、
を有する、光アセンブリの制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変光パワー又は可変ビーム偏向を有する光デバイス、及びそのような光デバイスを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可変光パワー又は可変偏向を備えた装置をうまく使用するためには、可変パラメータの高い精度が要求される。これは、光デバイスの正確な校正によって達成される。正確な校正は、温度依存性、ヒステリシス、長期ドリフト現象(クリープなど)により実現が難しくなる。可変パラメータを制御するもう一つの方法は、温度、ヒステリシス、クリープによる可変パラメータの変化を予測できる光デバイスのモデルを開発することである。しかし、この方法でも、モデルによる各光デバイスの可変パラメータの正確な値を予測することはできず、平均値を予測するのみである。
【0003】
したがって、正確な制御を達成し、技術的に実行可能な解決策を得るために、このような光デバイスの制御を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、可変レンズ及び調整可能な光偏向器の制御を改善することである。特に、可変レンズ及び光偏向器における光パワーの変動及び/又はビーム偏向の変動の測定を改善することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様では、可変光パワー及び/又は可変ビーム偏向を有する制御可能な光アセンブリが提供され、前記光アセンブリは、
第1のカバー部材及び第2のカバー部材であって、第1及び第2のカバー部材の一方が透明カバー部材であり、第1及び第2のカバー部材の他方が透明又は反射カバー部材であり、
第1及び第2のカバー部材の間に挟まれた、透明で変形可能な非流動体であって、これによって、第1及び第2のカバー部材と非流動体とが、非流動体と第1及び/又は第2の透明カバー部材に交差する光軸を有するレンズ又は光偏向器を構成し、
制御信号に応じて、少なくとも第1のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置された1つ以上のアクチュエータであって、制御信号は第1及び第2の測定信号から取得可能であり、
第1及び第2の測定信号を供給するように配置された第1及び第2のセンサであって、これによって、測定信号が少なくとも第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示し、第1のセンサが光センサであり、第2のセンサが変形センサである、
を備える。
【0006】
少なくとも第1のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されたアクチュエータにより、アクチュエータは、代替的に又は追加的に、第1及び/又は第2のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されているものであってもよいことが理解される。測定信号が第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示すように、1つ以上のセンサが測定信号を提供するように配置されているものであってもよい。
【0007】
代替的な実施形態によれば、制御可能な光アセンブリは、第1又は第2のセンサのいずれかから構成され、したがって、光アセンブリは、測定信号が少なくとも第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示すように、制御信号が得られる1つの測定信号のみを提供するように配置されている。
【0008】
有利なことに、カバー部材の曲げとそれによる光パワーの変化、又はカバー部材の傾きとそれによるビーム偏向を測定することにより、測定された変化をフィードバック制御システムで使用して、所望の傾き又は光パワーを得るようにアクチュエータを正確に調整することができる。
【0009】
光パワーを制御するためにイメージセンサの読み取りと処理を使用する他の解決策と比較して、例えばレンズの曲げの直接測定は、光パワーの直接測定を提供し、これによって、例えばフィードバック制御ループにおいて、より迅速な調整が可能となる。例えば、画像の鮮明度の測定値を取得し、その測定値を使用して画像の鮮明度を調整するために、カメラに位相検出器を使用することが知られている。しかしながら、位相検出器は光パワーに関する情報は提供しない。
【0010】
制御可能な光アセンブリは、第1のカバー部材及び/又は第2のカバー部材を支持するように配置された支持構造をさらに備えるものであってもよい。
【0011】
2つの異なるセンサを使用し、一方のセンサが光センサであり、他方のセンサが変形センサであると、各センサの利点が組み合わされる。例えば、これにより、光センサの精度の高さが、変形センサの直接応力感知機能や、センサのうちの1つの低コスト化や設計の簡素化などの他の利点と組み合わされる。
【0012】
一実施例では、変形センサ、例えば圧電センサは、変形センサからのセンサ読み取り値に基づいてカバー部材の曲げを制御するために使用される。例えば、圧電センサとしても機能する圧電アクチュエータからのセンサ読み取り値は、圧電アクチュエータに印加する電圧を決定する開ループアルゴリズムで使用することができる。この開ループ制御の例は、国際出願第2019/170793号明細書に記載されており、その記載内容が参照により本明細書に援用される。精度を高めるために、開ループ制御を閉ループ制御と組み合わせるものであってもよく、光センサからのセンサ読み取り値が膜の曲げの基準と比較される。
【0013】
第1及び第2のセンサは、例えば、変形センサを第1のカバー部材と接続して第1のカバー部材の変形を検出し、また、光センサを配置して第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きの変化を光学的に検出することにより、第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示す測定信号を得るように配置されているものであってもよい。
【0014】
変形センサの例には、1つ以上のアクチュエータの圧電素子などの圧電センサ素子が含まれる。変形センサの他の例としては、本明細書で説明される構成のひずみゲージセンサが含まれる。光センサの例としては、光ビームが少なくとも第1のカバー部材によって反射されるか、又は少なくとも第1のカバー部材を透過する、本明細書で説明される光センサ構成のいずれかが含まれる。
【0015】
第1及び第2のセンサ信号はそれぞれ、曲げ又は傾きを示すものであってもよい。また、第1及び第2のセンサ信号の一方が曲げを示し、他方が傾きを示すものとすることも可能である。
【0016】
制御システムは、第1及び/又は第2のカバー部材の所望の曲げ及び/又は傾きを得るために、第1及び第2の測定信号に応じて制御信号を生成するように構成することができる。例えば、測定精度を向上させるために、第1及び第2の測定信号を組み合わせてもよい。別の実施例では、第1の測定信号は曲げの測定を提供し、第2の測定信号は傾きの測定を提供する。また、第1の測定信号を曲げ又は傾きの初期調整に使用し、第2の測定信号を、例えば設定値の参照に基づいた、曲げ又は傾きの継続調整に使用するものであってもよい。
【0017】
一実施形態によれば、第2のカバー部材はプリズムであり、第1のカバー部材は、入射光の強度の少なくとも一部を反射するようにプリズムの斜辺に対向して配置された反射カバー部材である。したがって、1つ以上のアクチュエータが、反射カバー部材の制御可能な傾きを生成するように配置されているものであってもよい。
【0018】
一実施形態によれば、1つ以上のアクチュエータは、直線的な変位又は実質的に直線的な変位を発生させることができる変位アクチュエータである。
【0019】
一実施形態によれば、制御可能な光アセンブリは、変位アクチュエータを第1のカバー部材及び/又は第2のカバー部材と接続する1つ以上の弾性要素を備え、1つ以上の弾性要素の各々の少なくとも一部は、アクチュエータの変位に応答して弾性的に変形するように配置されている。
【0020】
有利なことに、弾性要素は、強固な接続によって生じ得るカバー部材の望ましくない変形を低減することができる。
【0021】
一実施形態によれば、1つ以上のセンサは、それぞれの1つ以上の弾性要素の一部の変形を測定するように配置されている。
【0022】
弾性構造に生じる変形の測定は、カバー部材の傾き又は曲げを決定するために有利に使用される。
【0023】
一実施形態によれば、支持構造は剛性フレームを備える。
【0024】
支持構造は、代替的に剛性が低くてもよいが、非流動体を少なくとも部分的に取り囲むように配置することができ、これにより、支持構造は非流動体から離間し、非流動体を取り囲むか又は部分的に取り囲む支持構造の少なくとも一部に沿って、非流動体が支持構造に接触することなく膨張することが許容される。
【0025】
剛性のある支持構造は、第1又は第2のカバー部材の曲げに応答した変形に曝されないように、又は実質的に変形に曝されないように配置された補償センサの配置に使用されるものであってもよく、少なくとも1つの補償センサは、1つ以上の変形センサと同じタイプである。補償センサは、温度依存性を補償するために使用することができる。有利なことに、支持構造が非流動体から分離されているとき、支持構造は作動に応じた変形にさらされることがなく、したがって補償センサを保持することができる。
【0026】
一実施形態によれば、第1のカバー部材は支持構造に固定され、1つ以上のアクチュエータは第1のカバー部材の表面に接続される。
【0027】
このようなアクチュエータは、カバー部材に表面ひずみを発生させるように配置された表面取り付けアクチュエータであってもよい。
【0028】
例えば、1つ以上のアクチュエータは、第1のカバー部材の表面に接続された1つ以上の圧電素子を備える。
【0029】
1つ以上の圧電素子は、第1のカバー部材の表面に接続されたリング形状の圧電素子を備えるものであってもよく、リング形状の圧電素子は、光の透過を可能にする開口部を有するように構成される。
【0030】
一実施形態によれば、1つ以上のセンサは圧電センサ素子を備える。有利なことに、圧電センサ素子は、測定信号の高帯域幅を得るために使用することができる。
【0031】
例えば、圧電センサ素子は、アクチュエータとして使用される圧電素子の1つであってもよい。したがって、圧電アクチュエータは、アクチュエータとしてもセンサとしても機能するものであってもよい。参照により本明細書に援用される国際出願第2019/170793号明細書は、圧電アクチュエータに印加される2つの電圧間で測定された遷移時間ttに基づいて、圧電アクチュエータの伝達関数dc(V)を決定するために圧電アクチュエータをどのように使用できるかを記載している。したがって、圧電アクチュエータの静電容量のような、圧電アクチュエータに依存する測定値は、圧電アクチュエータの伝達関数を決定するために使用することができ、例えば開ループ構成で制御することができる。
【0032】
一実施形態によれば、1つ以上のセンサは、1つ以上のアクチュエータの表面に接続された変形センサである。例えば、直線変位センサのような1つ以上のアクチュエータは、1つ以上の変形センサと、第1又は第2のカバー部材との間に挟まれているものであってもよい。この場合、センサは、センサの変形を測定するように配置されているものであってもよい。
【0033】
光アセンブリは、第1又は第2のカバー部材の曲げに応じた変形に曝されないように、又は実質的に曝されないように配置された、少なくとも1つの補償センサを備えるものであってもよく、少なくとも1つの補償センサは、1つ以上の変形センサと同じタイプである。
【0034】
少なくとも1つの補償センサは、支持構造に接続されるものであってもよい。
【0035】
少なくとも1つの補償センサと1つ以上の変形センサは、1つ以上の変形センサの温度依存性が少なくとも1つの補償センサの対応する温度依存性によって補償されるように配置されているものであってもよい。
【0036】
一実施形態によれば、変形センサはレンズの光軸に対して対称に配置されている。例えば、2つ以上の変形センサが光軸に対して同じ半径距離で、かつセンサ間が同じ円弧長さとなるように配置されているものであってもよい。
【0037】
一実施形態によれば、制御信号は、複数の変形センサにより測定された変形に応じて決定される。例えば、制御信号は、複数のセンサからの例えば平均値又は差分に応じて決定されるものであってもよく、又は、個別の制御信号は、個別に制御されるアクチュエータに対して決定されるものであってもよい。
【0038】
一実施形態によれば、センサは、光ビームが第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ又は傾きによって影響を受けるよう光ビームを伝搬するように配置された光源を備え、センサは、曲げ及び/又は傾きに関連する光ビームの変化を測定するように配置された光検出器を備える。
【0039】
一実施形態によれば、光源は、曲げられたり傾けられたりするように配置された第1又は第2のカバー部材によって光ビームが反射されるように配置されている。
【0040】
一実施形態によれば、光検出器は少なくとも2つの個別の光検出器を備え、個別の光検出器の各々は、個別の光検出器に入射する光のパワーに相関する出力信号を生成することが可能である。
【0041】
例えば、2つの個別の光検出器が1次元のみの傾き検知をするように使われるものであってもよい。4つの個別の光検出器を使う方が好ましいが、3つの個別の光検出器を使って2次元の傾き検知をするようにしてもよい。
【0042】
一実施形態によれば、光源の出力開口部及び個別の光検出器の入力開口部は、第1及び第2のカバー部材に面するように配置されている。
【0043】
一実施形態によれば、光源は個別の光検出器を囲む円の中心に配置されている。
【0044】
一実施形態によれば、光源は、光ビームの強度プロファイルの中心などの光ビームが、光軸から所定距離だけ離れて第1及び/又は第2のカバー部材に当たるように配置されている。
【0045】
一実施形態によれば、光ビームが第1及び/又は第2のカバー部材に当たる位置において、光ビームと表面法線とがなす入射面は、光軸を含まない。
【0046】
一実施形態によれば、光源は、光ビームが第1又は第2のカバー部材を透過するように配置され、光検出器は、透過した光ビームを測定するように配置されている。光検出器は、その入力開口部が光軸を向くように配置されているものであってもよい。
【0047】
本発明の第2の態様は、カメラモジュールなどの電子デバイスに関し、第1の態様による光アセンブリと、第1及び/又は第2のカバー部材の所望の曲げ又は傾きを得るために、第1及び第2の測定信号に応じて制御信号を生成するように配置された制御システムとを備える。電子デバイスは、カメラモジュール、光ビームスキャナ、又は他の電子デバイスであってもよい。例えば、光ビームスキャナは、画像投影、バーコードスキャン、3Dスキャンなどの様々なビームスキャン目的のために、制御可能なビーム偏向装置、場合によっては制御可能なレンズを使用するものであってもよい。
【0048】
本発明の第3の態様は、第1の態様による光アセンブリの制御方法に関し、前記方法は、
1つ以上のセンサから第1及び第2の測定信号を取得することであり、これにより測定信号が第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示し、
測定信号に基づいて制御信号を決定することと、
該制御信号に応じて、第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを制御すること、
を有する。
【0049】
本発明の様々な態様及び実施形態は、概して、本発明の目的の範囲内で可能な任意の方法で組み合わせたり結合されるものであってもよい。本発明のこれら及び他の態様、特徴及び/又は利点は、本明細書に説明する実施形態を参照することにより明らかとなり、解明されるであろう。
【0050】
本発明の実施の形態について、例示の目的のみにより、以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、可変光パワーを有する制御可能なレンズを備えた光システムを示す。
図2図2は、変形測定センサに加えて少なくとも1つの補償センサを備えた制御可能なレンズを示す。
図3A図3Aは、アクチュエータが制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されている制御可能なレンズの実施形態を示す。
図3B図3Bは、アクチュエータが制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されている制御可能なレンズの実施形態を示す。
図4A図4Aは、変位アクチュエータとカバー部材とを接続する弾性要素の例を示す。
図4B図4Bは、変位アクチュエータとカバー部材とを接続する弾性要素の例を示す。
図4C図4Cは、変位アクチュエータとカバー部材とを接続する弾性要素の例を示す。
図5A図5Aは、制御可能なビーム偏向装置を備えた光アセンブリを示す。
図5B図5Bは、第1のカバー部材が変位アクチュエータによって曲げられるように配置されている場合に使用される光センサを示す。
図6A図6Aは、光センサの詳細を示す。
図6B図6Bは、光センサの詳細を示す。
図7図7は、光センサの線形性能を示す。
図8図8は、光センサの線形性能を示す。
図9図9は、制御可能なレンズの光パワーを決定するように構成された代替の光センサを示す。
図10A図10Aは、図9の光センサからの出力信号を示す。
図10B図10Bは、図9の光センサからの出力信号を示す。
図11A図11Aは、制御可能なレンズの光パワーを決定するように構成された光センサの別の構成を示す。
図11B図11Bは、光センサの検出器上の、光ビームスポットのx軸とy軸の直径の比の関係を示す曲線を示す。
図12図12は、光アセンブリを備えたカメラモジュールなどの電子デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、可変光パワーを有する制御可能なレンズ100を備えた光アセンブリ199を示す。上の図は上面図であり、下の2つの図は2つの異なる作動状態のレンズを示す側面図である。レンズは、第1のカバー部材111と第2のカバー部材112とを備えている。一実施形態では、第1及び第2のカバー部材は透明である。あるいは、第1及び第2のカバー部材の一方は反射性であり、例えば、入射光ビームが反対側の透明カバー部材に反射されるように、全反射又は部分反射を提供する反射性金属層が設けられている。
【0053】
例えば、第2のカバー部材は、透明な第1のカバー部材を透過した入射光線を反射して第1のカバー部材に戻すように配置された反射面を備えるものであってもよい。便宜上、本明細書の例示及び実施形態では、透明カバー部材111、112を参照する。
【0054】
レンズ100は、第1及び第2のカバー部材の間に挟まれた、透明で変形可能な非流動体105をさらに備え、第1及び第2のカバー部材と非流動体は、第1及び第2のカバー部材と非流動体とを交差する光軸150を有するレンズを構成する。非流動体105は、第1及び第2のカバー部材111、112の内側の面に接している。
【0055】
光軸150は、第1及び第2のカバー部材111、112及び非流動体105の中心を通り、一方のカバー部材の面に対する法線として定義することができる。光軸はさらに、従来の光学的定義に従って定義される。
【0056】
1つ以上のアクチュエータ120は、制御可能な曲げ、傾き若しくは変位、又はこれらの組み合わせを生成するように配置されている。これによるレンズの全体的な外形の制御可能な変化は、制御システム190によって生成される制御信号などの電気的又は光学的な制御信号に応じて制御される。
【0057】
第1及び第2のカバー部材111、112の少なくとも一方は、アクチュエータ120によって与えられる力又はトルクによって曲げられるように構成されている。概して、力は、例えば、表面に取り付けられた圧電素子によって生成されたひずみによって生じた応力による、ある面積にわたって分散された力で構成されることが理解されている。
【0058】
レンズは、第1のカバー部材及び/又は第2のカバー部材111、112を支持するように配置された支持構造130を備える。この例では、第1のカバー部材111は支持構造130によって支持され(例えば支持構造に固定され)、第2の支持部材112は支持構造130と接触していない。
【0059】
1つ以上のセンサ140は、曲げ、傾き、変位、又はこれらの組み合わせに相関する変形を測定するように配置されている。例えば、図1において、右側と左側のアクチュエータ120に異なる制御がなされると、第1のカバー部材111の曲げを非対称に形成して、傾き効果を効果的に生じさせることができる。図1の例では、センサ140は、ひずみゲージ又は変形すなわちひずみを測定できる他のタイプのセンサであってもよい。この実施例では、センサであるひずみゲージは、少なくとも第1のカバー部材111の曲げと相関する圧電素子の変形を測定するように、表面に取り付けられた圧電素子の頂上に取り付けられている。
【0060】
制御システム190は、第1及び/又は第2のカバー部材の所望の曲げ及び傾き、又はその組み合わせを得るように、測定された変形に応じて、又は測定された傾き若しくは光パワーの測定された変化に応じてなどの、概して曲げ又は傾きを示す測定に応じて、制御信号を生成するように設けられる。例えば、制御システム190は、測定された傾き又は曲げと所望の傾き又は曲げとの間の差を最小化するように構成されたフィードバック制御システムを備えたものであってもよい。制御システム190は、レンズと一体化されているものであってもよく、又は、制御システムは、変形センサから変形信号を受信するように構成され、アクチュエータ120に制御信号を送信するように構成された独立の制御システムであってもよい。
【0061】
透明で変形可能な非流動性のレンズ本体105は、好ましくは弾性材料から作られる。レンズ本体が非流動体であるため、レンズ本体からの漏れを防止するためにレンズ本体を封止するための流体密閉封止は不要である。図示されているように、レンズ100は、支持構造130と非流動体105との間に隙間182を備えている。したがって、非流動体105の動きは、光軸150に対して半径方向、すなわち光軸に直交する方向に沿って抑制されない。好ましい実施形態では、レンズ本体は軟質ポリマーから製作され、この軟質ポリマーは、シリコーン、ポリマーゲル、架橋結合ポリマー又は部分架橋結合ポリマーのポリマーネットワーク、及び混和性オイル又はオイルの組み合わせなど、多数の異なる材料が含まれるものであってもよい。非流動レンズ本体の弾性率は300Paより大きくてもよく、これにより通常の操作における重力による変形を避けることができる。非流動性のレンズ本体の屈折率は1.3より大きくてもよい。非流動体105は、非流動体105の境界における反射を低減するために、第1及び第2のカバー部材111、112と等しい屈折率か、実質的に等しい屈折率か、又は近い屈折率を有するものであってもよい。
【0062】
カバー部材111、112は、概して板状の形状であり、予め形成された例えば球状のような形状、若しくは平面又はそれらの組み合わせを有するものであってもよい。カバー部材111、112は、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン、ガラスなどの多数の異なる材料から製作されていてもよい。アクチュエータによって変形するように配置されている第1及び第2のカバー部材111、112の少なくとも一方は、アクチュエータ121の作動によって曲げられるようにするのに適した剛性を有する。概して、第1及び/又は第2のカバー部材111、112の材料は、必要な剛性を提供するために、5MPaから100GPaの間の範囲のヤング率を有する材料で形成されるものであってもよい。例えば、ホウケイ酸ガラスのヤング率は63GPaであり、溶融シリカガラスのヤング率は72GPaである。
【0063】
第1及び/又は第2のカバー部材111、112の曲げは、少なくとも部分的に、レンズ本体105からの半径方向に変化する反力によるものであり、この反力は、カバー部材111、112の撓みに影響を及ぼし、したがって反力は、撓みを変化させずにレンズ本体を単に直交方向に圧縮するだけではなく、光パワーに影響を及ぼす。レンズ本体105がカバー部材の曲率に及ぼす影響の詳細な説明は、参照により本明細書に援用される国際公開第2019/002524(A1)号パンフレットに記載されている。
【0064】
図1の例では、1つ以上のアクチュエータ120は、第1のカバー部材111の表面に取り付けられた1つ以上の圧電素子を備える。例えば、図示のようなシート状で円環状の形態をなす圧電素子の単一のアクチュエータ120が、第1のカバー部材の曲げを提供するために、第1のカバー部材111の表面上に取り付けられる。環状の圧電素子上に、1つ以上のセンサ140を配置するものであってもよい。環状の圧電素子の代わりに、光軸150周りの円に沿って複数の圧電素子を分散させてもよい。分散された圧電素子の間や他のアクチュエータ120の間に、1つ以上のセンサを配置するものであってもよい。
【0065】
したがって、1つ以上の変形センサは、1つ以上のアクチュエータの表面に接続されていてもよく、例えば、1つ以上のアクチュエータが1つ以上の変形センサと第1のカバー部材との間に挟まれるように接続されていてもよい。代替的又は追加的に、1つ以上の変形センサは、第1又は第2のカバー部材111、112の表面に接続されていてもよい。
【0066】
他の方法で構成されたアクチュエータ120も実現可能である。例えば、直線変位アクチュエータが第1及び第2のカバー部材111、112の間に配置され、例えばアクチュエータ120とカバー部材111、112上の接続点との間の例えば半径方向の相対変位を蓄積するように配置された曲げ可能な要素のような弾性要素を介して、カバー部材111、112の内側の面と接続されるものであってもよい。この場合、1つ以上のセンサ140は、カバー部材の内側の面及び外側の面のうちの1つ以上に取り付けるものであってもよい。
【0067】
1つ以上の圧電アクチュエータ120は、レンズ100が1つ以上の圧電アクチュエータ120によって囲まれたレンズ領域を構成する内側部分181を備えるように配置され、これにより光がレンズ領域を遮られることなく通過できる。非流動体105は、少なくともレンズ領域を覆うように配置されているが、レンズ領域の延長部を越えて第1又は第2のカバー部材111、112の周囲に向かって延びるようにすることもできる。
【0068】
アクチュエータ120は、第1又は第2のカバー部材111、112の制御可能な曲げを単独で発生させるように構成されるものであってもよい。したがって、アクチュエータの作動によって、第1及び/又は第2のカバー部材を凹形状又は凸形状に曲げることができ、これによって、レンズを透過する光に光パワーを与えることができる。
【0069】
あるいは、1つ以上のアクチュエータ120は、カバー部材の一方111を他方112に対して相対的に変位させ及び/又は傾かせるように配置されているものであってもよい。例えば、アクチュエータ120は、上記で説明したように、2つのカバー部材間の相対角度を変更できるように、例えば、レンズ100を透過する撮像光の方向を変更できるように、カバー部材111、112の間に配置されているものであってもよい。
【0070】
別の実施例では、カバー部材111、112の一方は反射面を備え、カバー部材の傾きを制御することにより反射ビームのビーム偏向を調整可能にする。
【0071】
アクチュエータは、有利には、光パワーとビーム偏向を発生させるために、カバー部材111の一方を傾きと組み合わせて曲げるように配置されているものであってもよい。傾きと曲げの組み合わせは、透明又は反射カバー部材で使用されるものであってもよい。ビーム偏向は、スマートフォンのコンパクトカメラのようなカメラの光学式手ぶれ補正(OIS)を実現するために使用されるものであってもよい。
【0072】
支持構造130は、支持構造に接続されたカバー部材111、112が変形したりアクチュエータからの応力に曝されたりしても、変形しないか又は実質的に変形しない剛性フレームとして構成されるものであってもよい。支持構造体は、少なくとも部分的に非流動体を取り囲むように配置されているものであってもよく、これによって、接続されたカバー部材111、112を継続的に支持する。さらに、制御可能なレンズ100は、非流動体105の周囲と支持構造との間にエアギャップ182のような隙間182、すなわち、光軸150に対して半径方向に延び、非流動体105の周囲を支持構造130から半径方向に分離する隙間を有して配置されているものであってもよい。この隙間により、非流動体はアクチュエータの動作に応じて半径方向に拘束されずに膨張することができる。
【0073】
センサ140からの出力信号は、変形以外の他の物理的影響に依存する場合がある。そのような他の物理的影響には、温度、ヒステリシス、クリープなどがある。センサ140の少なくとも温度依存性は、2つの同一のセンサが互いに近接して配置されている場合、補償されるか、又は少なくとも部分的に補償されることがある。
【0074】
図2は、制御可能なレンズが、変形測定センサ140に加えて、少なくとも1つの補償センサ240を備えて構成されることを示している。補償センサ240は、第1又は第2のカバー部材の曲げに応じた変形に晒されないか、又は実質的にさらされないように配置されている。補償センサと変形センサは同じタイプであるため、温度などの他の物理的影響に対して実質的に同じ依存性を持つ。
【0075】
1つの補償センサ240と1つの測定センサ140を備えた一組のセンサを、これら補償センサと測定センサが抵抗ひずみセンサである場合に、ホイートストンブリッジ回路に接続することによって、ホイートストンブリッジからの出力信号は、補償センサ240及び測定センサ140の両方に影響を及ぼす物理的効果に関して補償されることになる。これにより、温度などの変化が、ホイートストンブリッジからの出力信号に対応する変化を発生させることがない。つまり、温度変化は両方のセンサ140、240に同じように影響を与えることになる。2つのセンサの温度変化は同一であるため、それらの抵抗比は変化せず、温度変化の影響は最小限に抑えられるか、実質的に排除される。このようにして、第1及び第2の変形センサ140の温度依存性は、それぞれの第1及び第2の補償センサ240の対応する温度依存性によって補償することができる。
【0076】
補償センサは、第1又は第2のカバー部材が変形したときに、変形に晒されないか、又は僅かしか晒されないように、支持構造に接続することができる。
【0077】
図2に示すように、4つの変形センサ140及び関連する補償センサ240は、レンズ100の光軸150に対して回転対称に配置されている。例えば、複数の変形センサを使用して、曲げに応じて発生する可能性のある収差を最小限に抑えることができる。
【0078】
有利には、第1及び第2のアクチュエータ120に対する第1及び第2の制御信号など、個別のアクチュエータ120に対する制御信号又は複数の制御信号は、複数の変形センサからのセンサ信号に基づいて決定されるものであってもよい。例えば、単一の制御信号は、複数のセンサ140からの複数のセンサ信号の平均又は差に応じて決定されるものであってもよく、又は、対応する複数のアクチュエータ120に対する複数の制御信号は、複数のセンサ信号に基づいて決定されるものであってもよい。
【0079】
複数の変形センサ120からのセンサ信号は、第1のカバー部材の曲げ変形が光軸150の周りの異なる角度位置でずれていることを示す可能性がある。その場合、測定されたずれは、複数のアクチュエータ120を制御するために使用することができ、これにより、測定された各曲げ変形は、同じ曲げ基準に近づくか、又は偏差が最小限に抑えられる。
【0080】
図3A図3Bは、制御可能なレンズ100の実施形態の主要概略図であり、アクチュエータ120は、他の実施形態について説明したのと同様の原理に従って、1つ以上のセンサ140からの測定信号に応じて、第1及び/又は第2のカバー部材111、112の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置されている。
【0081】
アクチュエータ120は、制御信号に応じて変位を生成可能な変位アクチュエータ303である。アクチュエータ120のそれぞれは、光軸150と平行な方向又は実質的に平行な方向に変位するように配置された変位要素301を有するものであってもよい。
【0082】
1つ以上のアクチュエータ120、303は、図3Bに示された第1又は第2のカバー部材111、112の表面上の円などの、光軸150を取り囲む経路351に沿って、第1又は第2のカバー部材111、112上に力を生成するように配置されている。
【0083】
アクチュエータ120は、リニア圧電又は電磁モータ、圧電作動片持ちアクチュエータ、形状記憶合金、リニアスクリュードライブ、又はリニアボイスコイルアクチュエータなどの、経路351に沿ったいくつかの点、ここでは8つの点で変位を加えるように配置された線形変位アクチュエータであってもよい。
【0084】
アクチュエータは、変位要素301が支持構造130に対して変位するように支持構造130に固定されている。この例では、第1のカバー部材111は支持構造130に直接接続されておらず、アクチュエータ303及び弾性要素315を介して間接的に接続されている。図3A図3Bに示す第2のカバー部材112などの非作動カバー部材は、支持構造130のような更なる支持構造302によって支持されるものであってもよい。あるいは、第2のカバー部材112は、図1図2に関連して説明した変位アクチュエータ303又は表面実装アクチュエータ120のいずれかに類似した他のアクチュエータによって作動されるものであってもよい。
【0085】
経路351は、図示のように、非流動体105が経路351によって取り囲まれるように、透明で変形可能な非流動体105を取り囲むものであってもよい。しかしながら、経路351はまた、非流動体105の延長部の内側に位置する。アクチュエータ120は、第1又は第2のカバー部材111、112の縁部に作用するように、又は縁部に近接して位置するように配置することもできる。
【0086】
アクチュエータ120、303は、経路351に沿って配置され、カバー部材111、112の表面に対して法線方向又は実質的に法線方向に変位を生成するように配置されている。ここでいう「実質的に法線方向」とは、例えば10~15度までの直交からのずれを意味する。直線変位の方向とカバー部材の表面との間の角度の角度変化は、カバー部材の曲がりに応じて生成される。
【0087】
アクチュエータ120、303の動作は、アクチュエータによって与えられる力、トルク、又は変位に応じて、第1及び/又は第2のカバー部材の曲率を変化させる。したがって、アクチュエータを制御することによって、レンズ100の曲がり、ひいては光パワーを制御することができる。アクチュエータが第1のカバー部材に関連して配置されている場合、カバー部材の厚さ又は剛性に応じて、及びさらなる支持構造302に応じて、第2のカバー部材も曲がることがあり、又はその逆も同様である。
【0088】
経路351に沿って異なるアクチュエータに対して第1及び/又は第2のカバー部材111、112に異なる力を生成するようにアクチュエータ120、303を制御することによって、カバー部材111、112を強制的に傾けて曲げることができる。カバー部材の傾きは、誇張された光軸350として示されるように光軸の方向の変化を引き起こし、これによって透過光又は反射光の方向の変化を引き起こす。カバー部材111、112の傾きを制御することによって、透過光の方向の変化を利用してカメラの回転(例えば、手ぶれによるもの)を補償する、すなわち光学式手ぶれ補正(OIS)を得ることができる。
【0089】
アクチュエータ120、303は、第1又は第2のカバー部材111、112のいずれにも作用するように配置できることに留意されたい。また、アクチュエータ120、303が、第1及び第2のカバー部材111、112の両方に作用するように配置されて、アクチュエータ120、303の作用によって両方のカバー部材が強制的に曲げられるようにすることも可能であり、場合によっては、いずれか一方の側のアクチュエータが独立して制御可能であるように、すなわち、カバー部材の一方に加えられる変位/力が他方に加えられる変位/力から独立して制御可能であるようにすることも可能である。
【0090】
レンズのカバー部材111、112のうちの1つの傾きは、レンズ100の別のカバー部材111、112の曲げとは独立して適用されるものであってもよい。例えば、変位アクチュエータ303がカバー部材の曲げのために設けられる一方で、任意のタイプのアクチュエータ120が第1のカバー部材111の曲げのために設けられてもよい。
【0091】
図3Aの主要概略図では、アクチュエータの変位は、ヒンジ接続部306を介して配置されたヒンジ付き梁305を介して増幅される。センサ140は梁上に配置されているものであってもよく、それによって梁の変形を測定することができる。梁の変形は、曲げ及び傾きと相関しており、したがって、梁305に取り付けられたセンサからのセンサ信号は、第1又は第2のカバー部材111、112の所望の曲げ及び/又は傾きを得るために、アクチュエータ120、303の制御に使用することができる。
【0092】
変位アクチュエータ303の代替として、圧電素子などの表面実装アクチュエータ120を梁305に取り付け、例えば弾性接続部307を介して直線変位を与えることもできる。
【0093】
実用的な目的のためには、図3Aに示した主要な解決策とは別の設計が使用される可能性が高いが、同様の原理に基づき、変位アクチュエータ303を使用する。この原理によれば、ヒンジ付き梁305のような1つ以上の弾性要素315が、変位アクチュエータ303と第1及び/又は第2のカバー部材111、112とを連結するように配置されている。弾性要素315は様々な構成を有するものであってもよいが、概して、変位アクチュエータ303によって加えられる力に応じて弾性的に変形するように配置されている。1つ以上の弾性要素315に取り付けられた変形センサ140は、弾性要素315の変形、又は弾性要素315の少なくとも一部の変形を測定する。弾性要素の変形と、第1又は第2のカバー部材111、112の曲げ及び傾きとの間の関係により、測定された変形は、アクチュエータ140を制御するための制御信号を決定するために使用することができる。
【0094】
弾性要素315は、第1又は第2のカバー部材111、112と変位アクチュエータ303との間の相対変位に応じて弾性変形する。
【0095】
図3Aは、ヒンジ付き梁305に加えて、変位アクチュエータ303と第1のカバー部材111との間の弾性接続がさらなる弾性要素307を備えることを示している。
【0096】
さらなる弾性要素307は、第1又は第2のカバー部材111、112の曲げ又は傾きに応答して少なくとも半径方向に変形するように配置され、曲げ又は傾きに起因する第1又は第2のカバー部材111、112の半径方向の延びの変化が半径方向の変形によって蓄積されるようにしてもよい。半径方向の変位によって、相対的な半径方向の変位の少なくとも一成分が、半径方向において光軸に直交する方向の成分を有することが理解される。
【0097】
例えば、更なる弾性要素307は、例えば接着プロセスを実行することによって得られる弾性接着剤から作られるものであってもよい。好ましくは、更なる弾性要素307は、アクチュエータの変位をカバー部材111、112に伝達するために、半径方向の変形に対しては低い剛性を有し、変位アクチュエータ303の変位方向に対しては高い剛性を有する。
【0098】
図4A図4Cは、変位アクチュエータ303と第1のカバー部材111とを連結する弾性要素315の例を示す。この例では、アクチュエータは、更なる弾性要素315aを介して、第2のカバー部材112の曲げを提供するようにも配置されている。これらの図では、アクチュエータ303は示されておらず、変位要素301の接点とアクチュエータ120、303の表示のみが示されている。
【0099】
弾性要素315は、片持ち金属梁などの複数のばね要素401の形態の複数の変形可能部分で構成される。第1のカバー部材111の曲げに応じて、ばね要素401は曲がる。ばね要素401の曲げは、光軸150に向かう半径方向の変形に応答して低い剛性を提供し、アクチュエータの変位を第1のカバー部材に効率的に伝達するために変位アクチュエータ303の変位方向に高い剛性を提供するという弾性要素315の要求を容易なものとする。半径方向の剛性が低いため、第1のカバー部材の曲げが弾性要素315によって制約されない。ばね要素401の各々が、隣接するばね要素から分離されることで、ばね要素401の各々が隣接するばね要素401から独立して又は実質的に独立して変形することを可能にする。
【0100】
弾性要素315は支持部材402を備える。主に図示されるように、変位アクチュエータ303は、支持部材402の表面に作用するように配置されている。
【0101】
この例では、支持部材402は、レンズ100の開口部を構成する穴を備えた環状構造として形成されている。
【0102】
この例では、第1及び第2のカバー部材111、112はそれぞれ、上部の弾性要素315及び下部の第2弾性要素130aを介して独立して作動される。
【0103】
変形を測定するために、1つ以上のセンサ140をばね要素401に取り付けてもよい。この変形は、少なくとも部分的には、第1のカバー部材111の曲げによるものであり、それにより、センサ140からの測定信号は曲げに直接関係する。
【0104】
図5Aは、制御可能なビーム偏向装置500を備えた光アセンブリ599を示す。この実施形態では、第2のカバー部材112はプリズム501であり、第1のカバー部材111はプリズム501の斜辺に対向して配置されたミラーのような反射カバー部材である。入射光502、すなわちイメージセンサ上に撮像されるべき物体空間からの光は、入射光502を反射し、入射光を異なる方向、例えば入射方向に対して直交又は実質的に直交する方向に向けるために、プリズム501をその短辺の一方を介して透過し、非流動体を通って第1のカバー部材に入射する。このように、反射性の第1のカバー部材111は、光軸の折り返しを引き起こす。入射光502の一部は、例えば、第1のカバー部材111によって構成される部分的な反射体によって、第1のカバー部材を透過するものであってもよい。
【0105】
図3Aに関連して説明したような変位アクチュエータ303は、反射カバー部材111の制御可能な傾きを生成するように配置されているものであってもよい。図3Aに関連して説明したように、弾性要素315上に配置されたセンサ140は、アクチュエータの変位振幅、ひいては反射カバー部材111の傾き角度を示す測定信号を提供する。図5Aに示す2つのアクチュエータは、反射カバー部材111の傾きを容易にするために、反対の変位方向で動作するものであってもよい。あるいは、反射カバー部材111は片側でヒンジ止めされていてもよい。
【0106】
代替案として、アクチュエータ303の変位を直接測定するためにセンサ140を配置するものであってもよい。このようなセンサは、光学的距離測定又は抵抗距離測定に基づくものであってもよく、センサと一体化されたものであってもよい。変位アクチュエータ300は、ヒンジ付き梁305なしで構成されるものであってもよい。例えば、変位アクチュエータ303は、変位増幅を提供するためにヒンジ付き梁305が使用されない場合、場合によってはさらなる弾性要素307を介して、反射カバー部材111に直接接続されるものであってもよい。
【0107】
制御可能なレンズ100及び制御可能なビーム偏向装置500は、様々な実施形態による制御可能な光アセンブリの例である。
【0108】
図3Aと同様に、第1のカバー部材111は、支持構造130に直接接続されていないが、アクチュエータ303及び弾性要素315を介して間接的に接続されている。
【0109】
図5Aは、センサ140の代替としての光センサ550を示す。光センサ550は、平行ビーム553のような光ビームを出力するように構成された光源551と、光検出器552とを備える。位置感応検出器又は4分割検出器などの光検出器552は、検出器552上のビーム553の1次元又は2次元位置に応じた出力を生成する。したがって、光センサ550は、第1のカバー部材111の少なくとも傾きを測定することができる。
【0110】
図5Bは、第1のカバー部材111が、第1のカバー部材111に直接接続された変位アクチュエータ330によって曲げられるように配置されている例で使用される光センサ550を示すが、表面に取り付けられたアクチュエータ120も同様にして使用されるものであってもよい。ビームの発散は、第1のカバー部材111の曲げによって影響を受け、これによって、検出器上のビームスポットの大きさは、第1のカバー部材の曲げに直接関係する。したがって、検出器552は、ビームスポットの大きさに応じた出力を生成することができる。検出器552は明らかに、その出力が検出器上のビームスポットの位置とサイズの両方に依存するタイプであってもよい。
【0111】
したがって、この実施形態では、代替の光センサ550は、光ビーム553を、非流動体105を通して、また第1及び第2のカバー部材111、112の少なくとも一方を通して透過するように構成され、これにより、光ビームの方向及び/又は発散が、アクチュエータ120、303によって傾き及び/又は曲げられるように配置された少なくとも1つのカバー部材111、112によって影響を受ける。
【0112】
制御システム190は、偏向装置500又は光センサ550の一部であってもよく、測定された傾きと所望の傾き角度との差が最小化されるフィードバック制御システムのように、測定された傾きに基づいてアクチュエータ120を制御するように配置されているものであってもよい。
【0113】
第1のカバー部材111は、入射光502を屈折させながらカバー部材を通して透過させるために、代替的に透明カバー部材511として構成されてもよい。透明カバー部材は、有利には、カバー部材511とプリズムとの間に非流動体105が挟まれた状態で、プリズムの2つの直交する面のうちの1つに対向して配置されているものであってもよい。透明カバー部材511は、カバー部材511の傾きを制御することによって、光ビーム502の伝搬方向を制御するために使用することができる。したがって、プリズムは、図5Cの簡略図に示すように、反射カバー部材111と屈折性の、すなわち透明カバー部材511とで構成されるものであってもよい。カバー部材111、511を傾かせるためのアクチュエータ120は、図面では便宜上省略されている。
【0114】
図6Aは、図5Aの光センサ550をより詳細に示している。光センサ550は、発散光ビームのような光ビーム553を、第1のカバー部材111の裏面601、すなわち反射体、又は透明カバー部材511に向けて伝搬するように配置された光源551を備える。ビーム553は、裏面601によって反射され、したがって、反射ビーム553の伝搬方向は、カバー部材111、511の傾きの影響を受ける。
【0115】
裏面601とは、プリズム501に背を向ける面を意味する。裏面601は、反射特性を提供するためにコーティングされていてもよい。したがって、カバー部材111、511の裏面は、図5Aに示すような、表側がプリズム501に面するカバー部材111、511の表側の代替として、又は表側に加えて、使用されるものであってもよい。裏面601の使用は、偏向装置500が反射性及び透明性の両方を備えるカバー部材111、511の構成において、検出器552から、又は異なるカバー部材111、511の異なる検出器から、独立したセンサ信号を得るために有利である。
【0116】
光検出器552は、カバー部材111、511の傾きによって生じる光ビーム553の変化を測定するように配置されている。光ビーム553の変化は、光ビーム553が光検出器552に当たる位置の変化及び/又は、光検出器552上の光ビーム553のスポットの大きさの変化を伴うものであってもよい。
【0117】
光検出器552は、少なくとも4つの個別の光検出器602で構成されるものであってもよく、個別の光検出器602の各々は、個別の光検出器に入射する光のパワーに相関する出力信号を生成することができる。個別の光検出器602からの信号出力を処理することにより、例えば個別の出力を比較することにより、カバー部材111、511の傾きの変化を決定することができる。測定された傾きは、測定された傾きと所望の傾き角度との差を最小にする制御システム190のフィードバック制御システムなどの、アクチュエータシステム120、303の制御に使用することができる。
【0118】
図6Bは、光源551が個別の光検出器602の中心に配置されている、すなわち全ての光検出器602が光源551を取り囲むように配置されている、光センサ550の代替の実施形態を示す。この構成では、光源551及び光検出器602の平面は、反射又は透明カバー部材111、511の裏面601と平行又は実質的に平行であってもよい。
【0119】
図7は、図6Aの光センサ550の線形性能を示す。上の図に示すように、検出器552からのy軸位置出力は、x軸の傾きの変動に対して、カバー部材111のy軸の傾き角度にわずかに依存する。同様に、下の図は、検出器552からのx軸位置出力が、y軸の傾きの変動に対して、x軸の傾き角度にわずかに依存することを示している。このように、検出器552からの出力信号は、傾き角度が2つの回転軸の組み合わせである場合(制御可能なビーム偏向装置500が2つの直交するx軸及びy軸の周りに傾きを提供するように構成されている場合)には、わずかに非線形となる。
【0120】
図8は、図6Bの構成の光センサ550の線形性能を示す。このように、光センサのこの構成は、検出器552からの出力信号の線形性が改善されており、したがって、検出器信号出力の校正の必要をなくすことができる。
【0121】
図9は、制御可能なレンズ100の光パワーを決定するように構成された光センサ550の代替の構成を示す。
【0122】
光源551は、光ビーム553、例えば光ビーム553の強度プロファイルの中心が、光軸150から所定距離hだけ離れた第1及び/又は第2のカバー部材111、112に当たるように配置されている。この場合、光ビーム553は平行光ビームであることが好ましい。光ビーム553を反射する第1及び/又は第2のカバー部材111、112の表面は、カメラのイメージセンサ901に面する。前記反射面などの制御可能なレンズ100とイメージセンサ901との間の距離はZである。光検出器552は、光ビーム553の反射の少なくとも一部を検出するように配置されている。光源551及び検出器552は、イメージセンサ901の反対側に配置されているが、必ずしもイメージセンサ901の中心と同一直線上にある必要はない。
【0123】
これは要件ではないが、検出器552がレンズ100から同一又は実質的に同一の距離Zに配置されている場合、反射ビーム553が検出器552に当たる位置と、平面カバー部材111、112から反射されたビーム553が検出器552に当たる位置との間の変位Δは、次のように表される。
【0124】
Δ=hZ/2R
【0125】
ここで、hは、光軸150から光ビーム553が第1又は第2のカバー部材111、112に当たる点までのy軸に沿った距離であり、Zは、イメージセンサ901と第1又は第2のカバー部材111、112との間のz軸に沿った距離であり、Rは、イメージセンサ901に面する第1又は第2のカバー部材111、112の表面の(半径として測定される)曲率である。平凸レンズを仮定したレンズの光パワーPは、次式で与えられる。
【0126】
【数1】
【0127】
ここで、nlensとnairはレンズの屈折率と周囲の空気の屈折率である。したがって、アクチュエータによって変化する光パワーは、測定された変位値Δから決定することができる。
【0128】
光源551及び検出器552は、光ビーム553の入射面が光軸150を含むように、すなわち、光源551及び検出器552がイメージセンサ901と一列に並ぶように配置されているものであってもよい。別の実施形態では、光源551及び検出器552は、光ビーム553の入射面が光軸150を含まないように、すなわち光源551及び検出器552がイメージセンサ901と一列に並ばないように配置されている。
【0129】
図10Aは、変位値Δから決定される光パワーの関数としての検出器552からの出力信号を示し、y軸に沿って測定された検出器552と光軸150との間の距離が5mmの場合(実線の曲線)と、対応する距離が7mmの場合(破線)である。この例では、光源551と検出器552はイメージセンサ901と一列に並んでいる。図示されるように、検出器552がイメージセンサ901から離れた位置にある場合、より良好な感度が達成されるが、(y軸方向において)より大きなフォームファクタを犠牲にする。
【0130】
図10Bは、検出器552と光軸150との間の距離が7mmである図10Aと同様の構成における検出器552からの出力信号を示す。しかし、この例では、光源551と検出器552は、イメージセンサ901と一列に並んでおらず、すなわち、入射面が光軸150を含んでいない。一列に並んでいない構成のため、反射した光ビーム553は検出器552上でx軸方向とy軸方向の両方向に変位する。実線は図10Aと同様にx軸方向の変位を示し、破線はy方向の変位を示す。x軸方向及びy軸方向の変位を引き起こす反射に対する感度は、x軸方向及びy軸方向の変位を比較し、2つの直交する方向についての関連値hを伴う式Δ=hZ/2Rを使用して、非点収差、すなわち、直交する方向における第1又は第2のカバー部材111、112の対向面の異なる半径を決定するために使用されるものであってもよい。
【0131】
図11Aは、制御可能なレンズ100の光パワーを決定するように構成された光センサ550の別の構成を示す。
【0132】
レンズ100は、光源551と検出器552との間に、すなわち、光源551が第1及び第2のカバー部材111、112の一方の外側面に向けて光ビーム553を伝搬するように配置され、検出器552が第1及び第2のカバー部材111、112の他方の外側面を透過した光ビーム553を受光するように配置されているように位置決めされる。したがって、光ビーム553は、第1及び第2のカバー部材111、112を高入射角で透過する。
【0133】
光検出器552は、その入力開口部が光軸150に面するように、すなわち、検出器表面の法線が光軸150に対して直交又は実質的に直交するように配置されているものであってもよい。
【0134】
光ビーム553と第1及び第2のカバー部材111、112の表面との間の入射角は、40度未満又は30度未満など、60度未満の角度であってもよい。
【0135】
光源551及び検出器552は、光ビーム553の入射面が光軸150を含むように配置されているものであっても、又は入射面は光軸150を含まないように配置されているものであってもよい。
【0136】
レンズ100によって非点収差が生じた場合、例えば、アクチュエータの不正確さなどによるカバー部材111、112の曲げ誤差に起因して、光ビーム553のスポットは非円形となり(入射する光ビーム553の回転対称な強度プロファイルを想定)、検出器552の個別の光検出器602からの出力は、非点収差に対応する信号を生成する。
【0137】
さらに、非点収差はレンズパワーPに比例するため、検出器552の4つの光検出器602を使用して、スポットの変形、すなわちスポットの楕円形状を測定することにより、レンズパワーPを決定することができる。
【0138】
図11Bは、検出器553上の光ビームスポットのx軸直径とy軸直径の比とレンズパワーPとの関係を示す。
【0139】
図11Aは、光源551a及び検出器552aが、光ビーム(破線)が制御可能なレンズ100を透過する前に固定レンズ等の他の光学部品920を透過するように、及び/又は、光ビームが制御可能なレンズ100を透過した後に他の光学部品920を透過するように配置されたものであってもよいことを示している。したがって、制御可能なレンズ及び他の光学部品は、光軸に沿って光源551と検出器552との間に配置することができる。これは、光源551及び/又は検出器552を、制御可能なレンズ100の反対側に配置するためのスペースを伴わないコンパクトな光システムにおいて有利となり得る。
【0140】
図12は、制御可能なレンズ100と、レンズ100を透過した光を受光するように配置されたイメージセンサ901とを備えたカメラモジュール900を示す。任意選択で、カメラモジュール900は、撮像される入射光502を受光して方向転換するように配置されたビーム偏向装置500を含むものであってもよく、また、制御可能なレンズ100を備えるものであってもよいレンズスタック内に配置されてもよい固定光レンズなどの、追加の光学部品を含むものであってもよい。したがって、カメラモジュール900は、制御可能なレンズ100及び/又はビーム偏向装置500によって具現化される光アセンブリ199、599を含む。光アセンブリ199、599は、可変レンズ100と偏向装置500の両方を含む単一の光アセンブリに組み合わされるものであってもよい。カメラモジュール900は、スマートフォンなどの電子デバイスに使用するものであってもよい。他の電子デバイス、例えばビームスキャナでは、撮像以外の目的でイメージセンサのない光アセンブリを使用するものであってもよい。


図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変光パワー及び/又は可変ビーム偏向を有する制御可能な光アセンブリ(199、599)であって、前記光アセンブリは、
第1のカバー部材(111)及び第2のカバー部材(112)であって、前記第1及び前記第2のカバー部材の一方が透明カバー部材であり、前記第1及び前記第2のカバー部材の他方が透明又は反射カバー部材であり、
前記第1及び第2のカバー部材の間に挟まれた、透明で変形可能な非流動体(105)であって、これによって、前記第1及び前記第2のカバー部材と前記非流動体とが、前記非流動体と前記第1及び/又は第2の透明カバー部材に交差する光軸(150)を有するレンズ又は光偏向器を構成し、
制御信号に応じて、少なくとも前記第1のカバー部材の制御可能な曲げ及び/又は傾きを生成するように配置された1つ以上のアクチュエータ(120)であって、前記制御信号は第1及び第2の測定信号から取得可能であり、
前記第1及び第2の測定信号を供給するように配置された第1及び第2のセンサ(140)であって、これによって、前記測定信号が少なくとも前記第1のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを示し、前記第1のセンサが光センサであり、前記第2のセンサが変形センサであ
前記光センサは、光ビームが前記第1及び/又は第2のカバー部材の曲げ又は傾きによって影響を受けるよう前記光ビームを伝搬するように配置された光源を備え、前記光センサは、前記曲げ及び/又は傾きに関連する前記光ビームの変化を測定するように配置された光検出器(552)を備え、
前記変形センサは、前記第1のカバー部材に接続された圧電センサ素子を備え、
前記変形センサは、前記1つ以上のアクチュエータの表面に接続されている、制御可能な光アセンブリ。
【請求項2】
前記第2のカバー部材(112)はプリズム(501)であり、前記第1のカバー部材は、入射光(502)の強度の少なくとも一部を反射するように前記プリズムの斜辺に対向して配置された前記反射カバー部材である、請求項1に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項3】
位アクチュエータ(303)を前記第1のカバー部材(111)及び/又は前記第2のカバー部材(112)と接続する1つ以上の弾性要素(315)を備え、前記1つ以上の弾性要素の各々の少なくとも一部は、前記アクチュエータの変位に応答して弾性的に変形するように配置されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項4】
前記1つ以上のセンサ(140)は、それぞれの前記1つ以上の弾性要素(315)の一部の変形を測定するように配置されている、請求項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項5】
持構造前記非流動体を少なくとも部分的に取り囲み、前記支持構造は前記非流動体から離間し、前記非流動体を取り囲むか又は部分的に取り囲む前記支持構造の少なくとも一部に沿って、前記非流動体が前記支持構造に接触することなく膨張することが許容される、請求項1~のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上のアクチュエータは、前記第1のカバー部材の表面に接続された1つ以上の圧電素子を備えている、請求項1~のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項7】
前記1つ以上の圧電素子は、前記第1のカバー部材の前記表面に接続されたリング形状の圧電素子を備え、前記リング形状の圧電素子は、光の透過を可能にする開口部を有するように構成されている、請求項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項8】
前記圧電センサ素子は、前記1つ以上のアクチュエータ(120)として構成される前記1つ以上の圧電素子である、請求項6または7のいずれか一項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上のアクチュエータ(120)は、前記1つ以上の変形センサ(140)と、前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)との間に挟まれている、請求項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項10】
前記光アセンブリ(199、599)は、前記第1又は前記第2のカバー部材の曲げに応じた変形に曝されないように配置された、少なくとも1つの補償センサ(240)を備え、前記少なくとも1つの補償センサは、前記1つ以上のアクチュエータの表面に接続された前記変形センサと同じタイプである、請求項又はに記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの補償センサ(240)は、前記第1のカバー部材及び/又は前記第2のカバー部材を支持するように構成された支持構造(130)に接続されている、請求項10に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項12】
前記光源(551)は、曲げられたり傾けられたりするように配置された前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)によって前記光ビーム(553)が反射されるように配置されている、請求項に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項13】
前記光検出器(552)は少なくとも2つの個別の光検出器(602)を備え、前記個別の光検出器の各々は、前記個別の光検出器に入射する光の前記パワーに相関する出力信号を生成することが可能である、請求項又は12に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項14】
前記光源(551)の出力開口部及び前記個別の光検出器(602)の入力開口部は、前記第1及び前記第2のカバー部材(111、112)に面するように配置されている、請求項13に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項15】
前記光源(551)は前記個別の光検出器(602)を囲む円の中心に配置されている、請求項13又は14に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項16】
前記光源(551)は、前記光ビーム(553)が、前記光軸(150)から所定距離(h)だけ離れて前記第1及び/又は前記第2のカバー部材(111、112)に当たるように配置されている、請求項1又は12に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項17】
前記光源(551)は、前記光ビーム(553)が前記第1又は前記第2のカバー部材(111、112)を透過するように配置され、前記光検出器(552)は、前記透過した光ビームを測定するように配置されている、請求項1又は12に記載の制御可能な光アセンブリ。
【請求項18】
子デバイス(900)において、請求項1~17のいずれか一項に記載の前記光アセンブリ(199、599)と、前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の所望の曲げ又は傾きを得るために、前記第1及び前記第2の測定信号に応じて前記制御信号を生成するように配置された制御システム(190)とを備えている、電子デバイス。
【請求項19】
請求項1に記載の光アセンブリ(199、599)の制御方法であって、前記方法は、
前記1つ以上のセンサから第1及び第2の測定信号を取得することであり、これにより前記測定信号が前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の前記曲げ及び/又は傾きを示し、
前記測定信号に基づいて制御信号を決定することと、
前記制御信号に応じて、前記第1及び/又は前記第2のカバー部材の曲げ及び/又は傾きを制御すること、
を有する、光アセンブリの制御方法。
【国際調査報告】