(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】置換ジアミノピラジンジカルボン酸の調製
(51)【国際特許分類】
C07D 241/28 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
C07D241/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555815
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022020754
(87)【国際公開番号】W WO2022212077
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517175301
【氏名又は名称】メディビーコン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フア、シャオガン
(57)【要約】
本発明は、下記の式(I)の化合物を調製するための改善された方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩、極性非プロトン性溶媒、三級アミン、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩を好適な反応条件下で互いに接触させて、下記の式(I)の化合物を形成するステップを含み、
前記式(I)の化合物の前記エステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C
1-C
10非置換アルキル又はC
1-C
10置換アルキルである、方法。
【請求項2】
前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩、前記極性非プロトン性溶媒、前記三級アミン、前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び、前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩が、任意の順序で添加されるか、任意の組み合わせで添加されるか、又はそれらの全てが一度に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)容器内の前記極性非プロトン性溶媒中で、前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸を前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩と接触させて、懸濁液を形成するステップと、
(b)前記ステップ(a)で形成された前記懸濁液を前記三級アミンと接触させるステップと、
(c)前記ステップ(b)で形成された前記懸濁液を前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと接触させるステップと、
(d)前記ステップ(c)で形成された前記懸濁液を前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と接触させて、前記式(I)の化合物を形成するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、(R)配置、(S)配置、又はラセミ混合物である、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸が、(R)配置である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸が、(R)-セリンである、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、C
1-C
8非置換アルキル又はC
1-C
8置換アルキルである、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルである、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、ベンジルである、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、(R)-セリンベンジルエステル又は(R)-セリンベンジルエステルHClである、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記三級アミンが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジンからなる群から選択される、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記三級アミンが、ジイソプロピルエチルアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.01:1.0~約2.20:1.0である、請求項2~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エステルアミノ酸(AAエステル)と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0である、請求項2~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0である、請求項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.30:1.0である、請求項2~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0である、請求項2~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.36:1.0である、請求項2~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記三級アミンと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0~約3.0:1.0である、請求項2~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記三級アミンと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0である、請求項2~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N-N-ジメチルアセトアミド、又はジメチルスルホキシドである、請求項2~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドである、請求項2~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記極性非プロトン性溶媒と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、10.0:1.0~約100.0:1.0である、請求項2~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記極性非プロトン性溶媒と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、約20.0:1.0である、請求項2~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記各ステップでの接触が、約-10℃~約30℃の範囲の温度で行われる、請求項2~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記各ステップでの接触が、約0℃~約20℃の範囲の温度で行われる、請求項2~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記各ステップでの接触が、ヘリウム、窒素、アルゴン、又はそれらの任意の組み合わせ下で行われる、請求項2~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記式(I)の化合物が、少なくとも70%の収率を有する、請求項2~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記式(I)の化合物が、少なくとも80%の収率を有する、請求項2~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記式(I)の化合物が、約95%超の純度を有する、請求項2~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記式(I)の化合物が、約98%超の純度を有する、請求項2~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドであり、
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、(R)-セリンベンジルエステルHClであり、
前記三級アミンが、ジイソプロピルエチルアミンであり、
前記(R)-セリンベンジルエステルHClと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.01:1.0~約2.20:1.0の範囲であり、
前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲であり、
前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲であり、
前記ジイソプロピルエチルアミンと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0~約2.30:1.0の範囲であり、
前記N,N-ジメチルホルムアミドと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、10.0:1.0~約100.0:1.0の範囲であり、
前記各ステップでの接触が、約-10℃~約30℃の温度で行われる、請求項2~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記式(I)の化合物が、少なくとも70%の収率を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記式(I)の化合物が、約95%超の純度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドであり、
前記エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の前記エステル部分が、(R)-セリンベンジルエステルHClであり、
前記三級アミンが、ジイソプロピルエチルアミンであり、
前記(R)-セリンベンジルエステルHClと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0であり、
前記1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.30:1.0であり、
前記2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.36:1.0であり、
前記ジイソプロピルエチルアミンと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸のモル比が、約2.20:1.0であり、
前記N,N-ジメチルホルムアミドと前記3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、約20.0:1.0であり、
前記各ステップでの接触が、約0℃~約20℃の温度で行われる、請求項2~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記式(I)の化合物が、少なくとも80%の収率を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記式(I)の化合物が、約98%超の純度を有する、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月31日に出願された米国仮出願第63/168,512号の優先権を主張し、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、式(I)の化合物を調製するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3,6-ジアミノ-2,5-ビス{N-[(1R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシエチル]-カルバモイル}ピラジン(MB-102と称される)は、ヒト対象における臓器機能の監視に有用な非放射性外因性薬剤である。N,N'-[(3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジイル)ジカルボニル]ビス[D-セリン]の調製は、
図1に示されるように、先行出願に開示される4段階法によって調製される。この4段階のプロセスのステップ1は、濃硫酸を使用して化合物1の芳香族ニトリル基を加水分解して、ジカルボキサミド化合物2を形成する。ステップ2は、化合物2のジカルボキサミド基を加水分解して、ジカルボン酸化合物3(MB-301と称される)を得る。ステップ3は、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)、EDC HCl、ジイソプロピルエチルアミンのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を使用して、化合物3を(R)セリンHClのベンジルエステルとカップリングさせて、生成物である化合物4(MP-3269と称される)を得ることを伴う。不純物を除去して高純度の化合物4を提供するために、粗化合物4をクロマトグラフィーにより概ね精製する。精製された化合物4は、還元的脱ベンジル化を経て、ステップ4でN,N'-[(3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジイル)ジカルボニル]ビス[D-セリン]化合物5を形成する。
【0004】
このプロセスをGMP(適正製造基準)プロセスに更に発展させる際の主な問題は、このプロセスのステップ3である。ステップ3は、クロマトグラフィーを利用し、大量の様々な溶媒を必要とする。これらの要因は、化合物4の全体的なコストを増加させ、本プロセスの廃棄物を増加させる。
【0005】
クロマトグラフィーを利用せず、粗化合物4がより少ない不純物を有することを可能にし、かつ材料が容易に再結晶されて精製されたもの4を形成することを可能にする、本プロセスの改善されたステップ3が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩、極性非プロトン性溶媒、三級アミン、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩を好適な反応条件下で互いに接触させて、下記の式(I)の化合物を形成するステップを含み、
式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C1-C10非置換アルキル又はC1-C10置換アルキルである、方法が提供される。
【0007】
【0008】
本発明の他の特徴及び態様は、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】先行技術の方法に示されるN,N'-[(3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジイル)ジカルボニル]ビス[D-セリン]を調製するための反応スキームを示す図である。
【
図2】プロセスのステップ3の反応及び最適化を示す図である。
【
図3】プロセス進行中に得られた不純物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を開示及び記載する前に、本発明が本明細書に開示される特定の方法、組成物、又は材料に限定されず、関連技術分野の当業者によって認識され得るように、それらの等価物にまで及ぶことを理解されたい。本明細書で用いられる用語が特定の実施形態を説明する目的のためにのみ使用され、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0011】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で表現又は提示され得る。かかる範囲形式が単に利便性のためかつ簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値のみならず、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例として、「約2~約50」の数値範囲は、2~50の明示的に列挙された値のみならず、指示された範囲内の全ての個々の値及び部分範囲も含むように解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、2.4、3、3.7、4、5.5、10、10.1、14、15、15.98、20、20.13、23、25.06、30、35.1、38.0、40、44、44.6、45、48などの個々の値、及び1~3、2~4、5~10、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~50、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、最小値又は最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。更に、かかる解釈は、範囲の幅又は記載されている特性にかかわらず適用されるべきである。
【0012】
図2に示される式(I)の化合物を調製する方法が本明細書に提供される。有利には、ステップ3における新たな活性化(カップリング)剤である2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)が、化合物9を調製するためのプロセスに持ち越されるであろうN-ホルミル不純物(化合物8)の量が減少した中間化合物7を他のカップリング試薬と同等の収率で産出することが発見された。本明細書に開示される方法は、出発材料の最適モル比などのプロセス改善、及び主要中間体を回収する方法を含む。式(I)の化合物を含む所望の化合物は、容易に再結晶化され、N-ホルミル不純物(化合物8)を除去するためのクロマトグラフィーを必要とせず、大規模実現が容易であり、GMPに適用可能であり、
図2に示されるように、化合物9を形成するプロセスのステップ4で直接使用することができる。
【0013】
(I)式(I)の化合物を調製する方法
【0014】
本開示は、式(I)の化合物を含む化合物を調製する方法であって、
3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩、極性非プロトン性溶媒、三級アミン、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩を好適な反応条件下で互いに接触させて、下記の式(I)の化合物を形成するステップを含み、
式(I)の化合物のエステルアミノ酸(AAエステル)のエステル部分が、C1-C10非置換アルキル又はC1-C10置換アルキルである、方法を提供する。
【0015】
【0016】
(a)3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸
【0017】
3,6-ジアモノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3(MB-301)は、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンカルボニトリル1の98%H
2SO
4中で加水分解して3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボキシアミド2を形成することによって調製される。
図1に示されるように、過剰量のKOH水溶液を使用したビスアミド2の塩基加水分解により、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3が得られる。この材料は、少量の残留水(KF0.5%未満)を用いて高純度で分離することができる。
【0018】
(b)エステルアミノ酸又はその塩
【0019】
エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の様々なアミノ酸部分が本方法で使用され得る。様々な実施形態では、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸であり得る。これらのアミノ酸の非限定的な例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、システイン、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられる。他のアミノ酸としては、非限定的な例として、N-アシルアミノ酸、及びヒドロキシ相同体化合物が挙げられる。好ましい一実施形態では、エステルアミノ酸のアミノ酸部分は、セリンである。
【0020】
エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分は、(R)配置、(S)配置、(R)及び(S)配置の不均等混合物、又はラセミ混合物であり得る。好ましい一実施形態では、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分の配置は、(R)配置である。
【0021】
エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分は、C1-C10非置換アルキル又はC1-C10置換アルキルであり得る。様々な実施形態では、エステルアミノ酸(エステルAA)のエステル部分は、C1-C8非置換アルキル又はC1-C8置換アルキルであり得る。ある特定の実施形態では、エステルアミノ酸のエステル部分は、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルであり得る。好ましい一実施形態では、エステルアミノ酸のエステル部分は、ベンジルである。
【0022】
エステルアミノ酸(AAエステル)は、塩基又はその塩であり得る。その生理学的に許容される塩の非限定的な例は、アミノ酸の塩酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びナトリウム塩であり得る。好ましい一実施形態では、AAエステルの塩は、塩酸塩である。
【0023】
エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩の非限定的な例は、(S)-アラニンメチルエステルHCl、(R)-セリンベンジルエステルHCl、又は(S)-プロリンエチルエステルヒドロサルフェートであり得る。好ましい一実施形態では、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩は、(R)-セリンベンジルエステルHClであり得る。
【0024】
概して、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とエステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩とのモル比は、約2.01:1.0~約2.20:1.0の範囲である。様々な実施形態では、エステルアミノ酸又はその塩と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.01:1.0~約2.20:1.0、約2.05:1.0~約2.15:1.0、又は約2.08:1.0~約2.12:1.0の範囲である。好ましい一実施形態では、エステルアミノ酸又はその塩と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.10:1.0であり得る。
【0025】
(c)極性非プロトン性溶媒
【0026】
様々な極性非プロトン性溶媒が本プロセスで使用され得る。3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸の溶解度が限られているため、極性非プロトン性溶媒を本方法で他の成分と用いることにより、溶解度の増加及び反応性の増加が提供される。好適な極性非プロトン性溶媒の非限定的な例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)である。好ましい一実施形態では、本方法で使用される極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドである。
【0027】
概して、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンと極性非プロトン性溶媒は、約10.0:1.0~約100.0:1.0の体積(mL)対重量(グラム)比で存在する。様々な実施形態では、極性非プロトン性溶媒と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンとの体積(mL)対重量(g)比は、10.0:1.0~約100.0:1.0、約12.0:1.0~約75.0:1.0、約15.0:1.0~約50.0:1.0、又は約18.0:1.0~約25.0:1.0の範囲であり得る。好ましい一実施形態では、極性非プロトン性溶媒と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンとの体積(mL)対重量(g)比は、約20.0:1.0であり得る。
【0028】
(d)三級アミン
【0029】
様々な三級アミンが本方法で使用され得る。三級アミンにより、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンと本方法の他の成分との溶解度が増強される。好適な三級アミンの非限定的な例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジンであり得る。好ましい一実施形態では、本方法で使用される三級アミンは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0030】
概して、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸と三級アミンとのモル比は、約2.01:1.0~約2.30:1.0である。様々な実施形態では、三級アミンと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.01:1.0~約2.30:1.0、約2.05:1.0~約2.25:1.0、又は約2.15:1.0~約2.25:1.0の範囲であり得る。好ましい一実施形態では、三級アミンと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.20:1.0であり得る。
【0031】
(e)カップリング試薬
【0032】
2つの試薬の組み合わせにより、エステルAA又はその塩と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのカップリングが促進される。これらの2つの試薬は、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC HCl)である。
【0033】
概して、EDC HClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.20:1.0~約2.50:1.0である。様々な実施形態では、EDC HClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.20:1.0~約2.50:1.0、約2.20:1.0~約2.40:1.0、又は約2.25:1.0~約2.35:1.0の範囲であり得る。好ましい一実施形態では、EDC HClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.30:1.0であり得る。
【0034】
概して、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.20:1.0~約2.50:1.0である。様々な実施形態では、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、約2.20:1.0~約2.50:1.0、約2.25:1.0~約2.45:1.0、約2.30:1.0~約2.40:1.0、又は約2.34:1.0~約2.38:1.0の範囲であり得る。好ましい一実施形態では、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)と3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比は、2.36:1.0であり得る。
【0035】
(f)反応条件
【0036】
本方法は、上記の試薬を添加して、式(I)の化合物を形成することを含む。これらの試薬は、任意の順序で、任意の組み合わせで、又は一度に全て添加することができる。これらの全ての試薬が接触すると、本方法は、式(I)の化合物の調製を開始する。好ましい一実施形態では、本方法は、(a)容器内の極性非プロトン性溶媒中で3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸をエステルアミノ酸又はその塩と接触させて、懸濁液を形成するステップと、(b)ステップ(a)で形成された懸濁液を三級アミンと接触させるステップと、(c)ステップ(b)で形成された懸濁液を2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと接触させるステップと、(d)ステップ(c)で形成された懸濁液を1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDC HCl)と接触させて、式(I)の化合物を形成するステップと、を含む。
【0037】
本明細書に記載の方法は、バッチモード、半連続モード、又は連続モードで行われ得る。
【0038】
本方法は、典型的には、周囲圧力下で行われる。本方法は、不活性雰囲気下、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン、及びそれらの組み合わせ下でも行われ得る。
【0039】
概して、本方法は、約-10℃~約30℃の温度で行われる。様々な実施形態では、本方法の温度は、約-10℃~約30℃、約-2℃~約25℃、又は約-0℃~約20℃の範囲であり得る。一実施形態では、反応は、-0℃~約20℃の温度で行われ得る。
【0040】
概して、本方法は、HPLC、UPLC、プロトン核磁気共鳴(例えば、1H NMR)、又は炭素磁気共鳴(例えば、13C NMR)などの当業者に既知の任意の方法によって決定して、反応が完了するまで、十分な時間にわたって続行されてもよい。本方法の継続時間は、約1時間~約48時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本方法の継続時間は、約1時間~約2時間、約2時間~約4時間、約4時間~約8時間、約8時間~約12時間、約12時間~約18時間、約18時間~約24時間、約24時間~36時間、又は約36時間~約48時間の範囲であり得る。例示的な実施形態では、本方法は、約24時間にわたって続行されてもよい。
【0041】
この文脈では、「方法が完了した」とは、概して、反応混合物が有意に減少した量の3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸を含むことを意味する。典型的には、反応終了時に反応混合物中に残存する3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸の量は、約5%未満、約2%未満、又は約1%未満であり得る。
【0042】
本方法が完了したとみなされた後、式(I)の化合物、微量の3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、及びエステルアミノ酸を含む懸濁液を濾過して、微量の3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸を除去する。3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸の分離後、濾液を水に添加することによって式(I)の化合物を沈殿させる。当業者に理解されるように、式(I)の化合物を確実に完全に沈殿させるために過剰量の水が必要である。化合物が完全に沈殿した後、式(I)の化合物を最初に追加の水で洗浄し、その後、濾過又は遠心分離などの当該技術分野で既知の手段によって単離する。沈殿に使用される水は、脱イオン水、蒸留水、蒸留脱イオン水、又は飲料(水道)水であり得る。
【0043】
式(I)の化合物は、少なくとも約70%の収率を有し得る。様々な実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は90%超の収率を有し得る。特定の実施形態では、収率は、少なくとも約80%であり得る。
【0044】
概して、本明細書に開示される方法によって調製された式(I)の化合物の収率は、先行技術の方法によって調製された当該化合物の収率と同等である。しかしながら、次の方法ステップに持ち越され得る不純物の相対量は有意に減少する。
【0045】
式(I)の化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)、又は当該技術分野で既知の他の方法によって測定される、約95%超の純度を有し得る。様々な実施形態では、式(I)の化合物は、HPLC又はUPLCによって測定される、約95%超、約97%超、又は約98%超の純度を有し得る。好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、HPLCによって測定される、97%超の純度を有する。
【0046】
(g)例示的な実施形態
【0047】
いくつかの実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドであり、(R)-セリンベンジルエステルHClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.01:1.0~約2.20:1.0であり、EDC HClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲であり、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲であり、ジイソプロピルエチルアミンと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0~約2.30:1.0の範囲であり、N,N-ジメチルホルムアミドと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、約10.0:1.0~約100.0:1.0の範囲であり、各ステップでの接触が、約-10℃~約30℃の温度で行われる。式(I)の化合物は、少なくとも70%又は少なくとも80%の単離収率及び95%超の純度を有する。
【0048】
ある特定の実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドであり、(R)-セリンベンジルエステルHClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.10:1.0であり、EDC HClと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.30:1.0であり、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸のモル比が、約2.36:1.0であり、ジイソプロピルエチルアミンと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸とのモル比が、約2.20:1.0であり、N,N-ジメチルホルムアミドと3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸との体積(mL)対重量(g)比が、約20.0:1.0であり、本方法の各ステップでの接触が、約0℃~約20℃の温度で行われる。式(I)の化合物は、少なくとも80%の単離収率及び97%超の純度を有する。
【0049】
定義
【0050】
本明細書に記載の実施形態の要素を紹介する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「前記(said)」は、1つ以上の要素が存在することを意味するよう意図されている。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するよう意図されている。「約」という用語は、±20%を表すよう意図されている。
【0051】
本開示において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(containing)」、及び「有する(having)」などは、米国特許法でそれらに帰するとされる意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができ、一般にオープンエンド用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」という用語は、閉ざされた用語であり、かかる用語と併せて具体的に列記される構成要素、構造、ステップなど、並びに米国特許法に従うもののみを含む。「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「から本質的になる(consists essentially of)」は、米国特許法によって概してそれらに帰するとされる意味を有する。特に、かかる用語は、概して、関連して使用される品目の基本的な及び新規の特性又は機能に実質的に影響を及ぼさない、追加の品目、材料、構成要素、ステップ、又は要素を含めることを可能にすることを除いて、閉ざされた用語である。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質又は特性に影響を及ぼさない微量元素は、存在する場合、かかる用語に続く品目のリストに明示的に列挙されていなくとも、「から本質的になる(consisting essentially of)」という言語下で許容されるであろう。本明細書において、「含む(comprising)」又は「含む(including)」などのオープンエンド用語を使用する場合、明示的に述べられているかのように、「から本質的になる(consisting essentially of)」という言語及び「からなる(consisting of)」という言語にも直接的なサポートが提供されるべきであり、その逆も同様であることが理解される。
【0052】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法に様々な変更を加えることができるため、上記の発明を実施するための形態及び以下に提供される実施例に含まれる全ての事項が例証として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
【0053】
例示的な実施形態
【0054】
実施形態1:
式(I)の化合物を調製するための方法であって、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩、極性非プロトン性溶媒、三級アミン、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩を好適な反応条件下で接触させて、式(I)の当該化合物を形成することを含み、当該AAエステルのエステル部分が、C
1-C
10非置換アルキル又はC
1-C
10置換アルキルである、方法。
実施形態2:3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸、当該エステルアミノ酸又はその塩、当該極性非プロトン性溶媒、当該三級アミン、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩が任意の順序で添加されるか、任意の組み合わせで添加されるか、又は一度に全て添加される、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:
容器内の極性非プロトン性溶媒中で3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸を当該エステルアミノ酸又はその塩と接触させて、懸濁液を形成することと、
ステップ(a)由来の当該懸濁液を当該三級アミンと接触させることと、
ステップ(b)由来の当該懸濁液を2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルと接触させることと、
ステップ(c)由来の当該懸濁液を1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩と接触させて、式(I)の当該化合物を形成することと、を含む、実施形態2に記載の方法。
実施形態4:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は合成アミノ酸である、実施形態2又は3に記載の方法。
実施形態5:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸部分が、(R)配置、(S)配置、又はラセミ混合物である、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸が、(R)配置である、実施形態5に記載の方法。
実施形態7:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のアミノ酸が、(R)-セリンである、実施形態2~6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8:当該エステルアミノエステルのエステル部分が、C
1-C
8非置換アルキル又はC
1-C
8置換アルキルである、実施形態2~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が、メチル、エチル、tert-ブチル、又はベンジルである、実施形態2~8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10:当該エステルアミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステル部分が、ベンジルである、実施形態2~9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11:当該アミノ酸(AAエステル)又はその塩のエステルが、(R)-セリンベンジルエステル又は(R)-セリンベンジルエステルHClである、実施形態2に記載の方法。
実施形態12:当該三級アミンが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、4-メチルモルホリン、4-エチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジンからなる群から選択される、実施形態2~10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13:当該三級アミンが、ジイソプロピルエチルアミンである、実施形態12に記載の方法。
実施形態14:当該エステルアミノ酸及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.01:1.0~約2.20:1.0のモル比で提示される、実施形態2~13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15:当該エステルアミノ酸及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.10:1.0のモル比で提示される、実施形態2~14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16:EDC HCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.20:1.0~約2.50:1.0のモル比で提示される、実施形態2~15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17:当該EDC HCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.30:1.0のモル比で提示される、実施形態2~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18:当該2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸の範囲が、約2.20:1.0~約2.50:1.0のモル比で提示される、実施形態2~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19:当該2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.36:1.0のモル比で提示される、実施形態2~18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20:当該三級アミン及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸の範囲が、約2.10:1.0~約3.0:1.0のモル比で提示される、実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21:当該三級アミン及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.20:1.0のモル比で提示される、実施形態2~20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22:当該極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N-N-ジメチルアセトアミド、又はジメチルスルホキシドである、実施形態2~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23:当該極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドである、実施形態2~22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24:当該極性非プロトン性溶媒及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、10.0:1.0~約100.0:1.0の体積(mL)対重量(グラム)比で提示される、実施形態2~23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25:当該極性非プロトン性溶媒及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約20.0:1.0の体積(mL)対重量(グラム)比で提示される、実施形態2~24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26:各ステップの当該接触が、約-10℃~約30℃の範囲の温度で起こる、実施形態2~25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27:当該方法の各ステップの接触が、約0℃~約20℃の範囲の温度で起こる、実施形態2~26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28:当該方法の各ステップの当該接触が、ヘリウム、窒素、アルゴン、及びそれらの組み合わせ下で行われる、実施形態2~27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29:式(I)の当該化合物が、少なくとも70%の収率を有する、実施形態2~28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30:式(I)の当該化合物が、少なくとも80%の収率を有する、実施形態2~29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31:式(I)の当該化合物が、約95%超の純度を有する、実施形態2~30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32:式(I)の当該化合物が、約98%超の純度を有する、実施形態2~31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33:当該極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドであり、(R)-セリンベンジルエステルHCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.01:1.0~約2.20:1.0のモル比で提示され、EDC HCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲のモル比で提示され、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.20:1.0~約2.50:1.0の範囲のモル比で提示され、ジイソプロピルエチルアミン及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.10:1.0~約2.30:1.0の範囲のモル比で提示され、N,N-ジメチルホルムアミド及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、10.0:1.0~約100.0:1.0の体積(mL)対重量(グラム)比で提示され、各ステップの当該接触が、約-10℃~約30℃の温度で起こる、実施形態2~32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34:式(I)の当該化合物が、少なくとも70%の収率を有する、実施形態33に記載の方法。
実施形態35:式(I)の当該化合物が、約95%超の純度を有する、実施形態33に記載の方法。
実施形態36:当該極性非プロトン性溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミドであり、(R)-セリンベンジルエステルHCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.10:1.0のモル比で提示され、EDC HCl及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.30:1.0のモル比で提示され、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.36:1.0のモル比で提示され、ジイソプロピルエチルアミン及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約2.20:1.0のモル比で提示され、N,N-ジメチルホルムアミド及び3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸が、約20.0:1.0の体積(mL)対重量(グラム)比で提示され、当該方法の各ステップの接触が、約0℃~約20℃の温度で起こる、実施形態2~35のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37:式(I)の当該化合物が、少なくとも80%の収率を有する、実施形態36に記載の方法。
実施形態38:式(I)の当該化合物が、約98%超の純度を有する、実施形態36に記載の方法。
【実施例】
【0055】
実施例1:初期スクリーニング実験
【0056】
一連のスクリーニング実験を行い、ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)3を改善された収率で単離して、より高い純度及び副産物の減少をもたらすことができる、簡略化された/複雑性が低下した混合物を産生する他のカップリング試薬、塩基、及び極性溶媒を試験した。
【0057】
プロパンホスホン酸無水物(T3P)をプロセスに実装する実用的な側面に基づいて、この試薬を候補として選択した。T3P媒介カップリング反応速度は典型的には非常に速く、それ故に、ラセミ化は通常抑制される。試薬を用量制御して発熱挙動を緩和することができ、後処理手順は、通常、水溶液クエンチ及び相分離を伴う。T3Pは、DMF、MeCN、及びEtOAc中のT3Pなど、いくつかの一般的な溶媒中に、50質量%成分で市販されている。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)も、ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)3を調製するためのカップリング試薬として試験した。
【0058】
一連の一般的な有機塩基もスクリーニングして、(a)3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3のカルボン酸アンモニウムの溶解度、及び(b)反応変換に対するpKa(共役酸)の影響を決定した。本プロセスの重要な態様は、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3の溶解度がDMF中で低いことである。しかしながら、反応変換及び溶解度は、EDC活性化エステル、DIPEA、及び最終的にジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4を使用することによって改善される。
【0059】
最後に、溶媒スクリーニングを行い、T3Pカップリングプロセスで使用される好適な溶媒を特定した。試験した有機溶媒のうち、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中で最高の溶解度を有した(定量化していない)。
【0060】
一般的な手順は以下のとおりである。窒素雰囲気下で磁気撹拌棒を備えたバイアルに、D-セリンベンジルエステル塩酸塩及び溶媒を入れた。溶液を氷浴中で冷却し、窒素でパージした。その後、塩基を添加し、続いて、3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボン酸3を添加した。赤色の懸濁液が生じ、15分間撹拌した。その後、カップリング試薬を0℃で一度に添加した。懸濁液を一定期間撹拌し、HPLC及びUPLCにより分析した。以下の表は、これらのスクリーニング実験の結果を示す。各反応物を水中でクエンチし、UPLC又はHPLCにより分析し、3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボン酸3の残留量及び変換率を測定した。見つかった不純物を
図3に示す。
【0061】
【0062】
上記の表の結果が示すように、スクリーニング実験は、他のカップリング試薬が、活性化試薬としてHOBtを使用した場合、EDC HClほど有効ではないことを示した。モノアミド副産物10が様々な事例で観察され、T3Pが有効なカップリング試薬ではないことが示された。
【0063】
3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3の溶解度が低いため、溶解度を増加させ、反応速度を増加させ、かつ化合物4を調製するプロセスの収率を改善するために、極性非プロトン性溶媒が必要であった。これらの結果は、変換を改善し、ラセミ化を減少させ、かつ副産物の量を減少させるために改善されたカップリング剤が必要であったことを示す。
【0064】
実施例2:シアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(Oxyma)を使用したスクリーニング実験
【0065】
カップリングの反応速度を増加させ、それ故に、D-セリンベンジルエステル塩酸塩のラセミ化を抑制するために、HOBtを活性化剤として使用した。無水HOBtは、その取り扱い/単離に関連する熱的危険性を有することが指摘されている。水和形態が問題なく他のプロセスで使用されており、材料が合理的に良好な安全性プロファイルを有するが、ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4の単離及び副産物の形成に関する懸念が提起されている。これらの懸念は、代替のカップリング試薬及び条件の調査を必要とした。
【0066】
ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4を調製するための手順の1つの利点は、D-セリンベンジルエステル塩酸塩、EDC・HCl、HOBt・H2O、DIPEA、及びDMFを使用することであった。上記及び文献に記載の他のカップリング条件と比較して、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3は、反応が進行するにつれて可溶性になった。この溶解度の増加により、反応変換が増加し、ラセミ化が抑制された。EDC、塩基、場合によりジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4、及び添加物の組み合わせは、本プロセスにおいて3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3の溶解度を増加させると仮定された。この目的のために、一般に使用されている市販の活性化剤であるOxyma(シアノヒドロキシイミノ酢酸エチル)を、HOBtの代替としてスクリーニングした。
【0067】
OxymaとHOBtとの間の比較を得るために、小規模実験を行い、単離されたジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4の収率及び副産物を決定した。
【0068】
Oxyma又はHOBtを使用する一般的な手順は以下のとおりである。オーバーヘッド撹拌及び窒素注入口を備えた丸底フラスコに、D-セリンベンジルエステル塩酸塩及び溶媒を入れた。溶液を氷浴中で冷却し、窒素でパージした。その後、塩基を添加し、続いて、3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボン酸3を添加した。赤色の懸濁液が生じた。15分間撹拌した後、カップリング試薬及び活性化試薬を0℃で一度に添加した。懸濁液を一定期間撹拌し、HPLC及びUPLCにより分析した。以下の表は、これらのスクリーニング実験の結果を示す。各反応物を水中でクエンチし、UPLC又はHPLCにより分析し、3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボン酸3の残留量及び変換率を測定した。加えて、ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4の量及びアッセイを決定した。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
結果が表2及び表3に示すように、HOBtを活性化剤として使用することにより、ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4を形成するための良好ないし優れた変換が提供される。しかしながら、HOBtに関連する安全性問題に加えて、N-ホルミル不純物12が形成される。このN-ホルミル不純物12は生成物と共結晶化し、生成物から除去することは困難であろう。過去に、クロマトグラフィーを使用して、N-ホルミル不純物12を生成物から分離した。
【0074】
対照的に、表4及び表5に示すように、Oxymaを活性化試薬として使用することにより、良好ないし優れた変換が提供される。加えて、N-ホルミル不純物12は形成されない。したがって、結晶化条件を開発して、N-ホルミル不純物12を含まないジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4を生成することができる。表5の試験20における新たな未知の不純物を特定し、Oxyma-EDC不純物13として特徴付けた。
【0075】
実施例3:ジベンジル2,2'-(3,6-ジアミノピラジン-2,5-ジカルボニル)ビス(アザンジイル)(2R,2'R)-ビス(3-ヒドロキシプロパノエート)4の調製
【0076】
オーバーヘッド撹拌及びN2注入口を備えた1Lのジャケット付き反応器に、3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3(20.0g、10.0mmol)、D-セリンベンジルエステルHCl2(49.11g、212.0mmol、2.10当量)、及び無水DMF(400mL、20体積)を充填した。撹拌を開始し、赤色のスラリーが生じた。反応器を(ジャケット温度0℃、内部温度6℃)まで冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、38.7mL、222.1mmol、2.2当量)を5分間かけて添加した。DIPEAの添加時に、スラリーの色が赤色からオレンジ色に変化し、発熱は検出されなかった。オレンジ色のスラリーに、2-シアノ-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma、33.85g、238.2mmol、2.36当量)を2分間かけて添加した。Oxymaの添加後、反応物を2℃から6℃に発熱させ、即座に鎮めて内部温度2℃に戻した。この混合物に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC HCl、44.5g、232.2mmol、2.3当量)を4分間かけて添加した。発熱は検出されず、スラリーは非常に厚くなった。撹拌速度を370RPMから500RPMに増加させた。混合物を10℃、その後、20℃まで加温した。反応物を20℃で20時間撹拌し、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)により監視した。その時点で、混合物は、およそ1.76面積%のモノアミド10及び1.0面積%未満の3,6-ジアミノ-2,5-ピラジンジカルボン酸3を含んでいた。この時点で、混合物を冷却濾過した。濾液を(ジャケット温度0℃、内部温度2℃)まで冷却し、蒸留水(500mL、25体積)を45分かけて緩徐に添加した。370mLの水(18.5体積)を添加した後、生成物3が沈殿し始めた。水の添加が完了した後、混合物を0℃で1.5時間撹拌し、その後、混合物を冷却濾過して、濾過ケーキを得た。ジャケット付き反応器容器を蒸留水(2×100mL)ですすぎ、濾過ケーキ上に注ぎ、濾過ケーキを真空下(40℃)で乾燥させた。流動性固体として生成物4(42.95g、77.7mmol、収率77%、97.28面積%)を得た。
【国際調査報告】